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1951/05/22 第13回国会 参議院 参議院会議録情報 第013回国会 通商産業委員会 第38号
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1951/05/22 第13回国会 参議院

参議院会議録情報 第013回国会 通商産業委員会 第38号

#1
第013回国会 通商産業委員会 第38号
昭和二十七年五月二十二日(木曜日)
   午後一時五十八分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     竹中 七郎君
   理事
           結城 安次君
   委員
           中川 以良君
           山本 米治君
           加藤 正人君
           清澤 俊英君
           島   清君
           境野 清雄君
           西田 隆男君
           石川 清一君
  政府委員
   資源庁次長   山地 八郎君
   資源庁炭政局長 中島 征帆君
   資源庁開発鉱害
   部鉱山局長   松田 道夫君
  事務局側
   常任委員会專門
   員       山本友太郎君
   常任委員会專門
   員       林  誠一君
   常任委員会專門
   員       小田橋貞壽君
  説明員
   通商産業技官
   (資源庁鉱山局
   油政課勤務)  鼠入 武夫君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○石油及び可燃性天然ガス資開発法案
 (内閣提出、衆議院送付)
○臨時石炭鉱害復旧法案(内閣送付)
○本委員会の運営に関する件
○連合委員会開会の件
○議員派遣要求の件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(竹中七郎君) 只今より委員会を開きます。先ず石油及び可燃性天然ガス資源開発法案について審議を行い、次いで臨時石炭鉱害復旧法案について政府側から要綱の説明を求め、更に連合委員会に関する件を御協議願う、かような順序で進んで参りたいと存じます。そこで先ず石油及び可燃性天然ガス資源開発法案を議題といたします。
#3
○境野清雄君 その法案審議の前にちよつと委員会へ諮つてもらいたい問題があるんですがね。それはあなたも御承知の従来からやつてました電源開発法案に対する当委員会と経済安定との連合委員会の件なんですが、それに関して一応途中で予定が変つてしまつたんですけれど、大体最初の打合せは今週は十九日、二十一日、二十三日の三日間連合委員会をやろう、こういうような申合せであつて十九日、二十一日は無事に過ぎましてあと残されたのは明日だけ、併し明日でこの連合委員会を打切るんだという打合せはまだしてないので、最初の打合せのときには一応通産委員会との連合委員会を開いたあと、二日間ぐらいは補足的な質問をやろうというのが委員長間の打合せであつたと思うのでありまして、昨日は各党で一応あと電源開発法案をどんなようなふうに進めようかということを、各党皆寄りまして一応打合せをしたのであります。そのときによりますと大体今週過ぎましたあと二十六日、二十七日、二十八日、二十九日と四日間あるうちで、最低二日間の連合委員会、と言いますことはまだ建設のほうでも何か追加質問があるというような問題がありますので、二十六、二十七、二十八、二十九という四日間の中で最低二日間の追加質問をやろう、こういうような話にしておき、そうして三十、三十一日に公聽会、そして六月に行きましてから公聽会の結果によつてもう一回連合委員会を開こうという打合せがあつたから、それを二日乃至三日までのうちにやつて頂ければ大体まあ会期は再延長されるにしましてもこの間延ばしました六日までには一応上るという形態で、そういうような形はどうだというのを昨日実は各党で申合せをしたのであります。ところが今日聞きましたところが、二十八日、二十九日という二日に公聽会はきめて、その公聽会自体をもう新聞へ発表してある、こういうようなお話でありますので、これは私のほうが昨日申合せしました三十、三十一日というものは二十八、二十九日にならなくちやならんが、二十八、二十九日になりますと二十六、二十七日という二日間に連合委員会をもう一度申込まなくちやならんのじやないか。
 それからもう一つの問題としましては、この公聽会を開くときにはもと連合委員会をやりました通産なり或いは建設なり大蔵なりからの公述人に対する希望も聞き入れる、こういうようなもはや申合せをしてあるので、通産委員会としてそういう申入れをしたのかどうか、申入れしないとすると、今からどなたを呼ぶというようなことを申出してそれが間に合うのかどうか、こういうような点が私どもは少し疑点がありますので、丁度昨日その打合せを各党とやりましたので、一応ここで以て明確にして頂ければ私のほうとしてはその線でもう一遍皆さんと相談したいのでありますけれども、委員長の方へ
 一応それをお伺いしたいと思います。
#4
○委員長(竹中七郎君) 只今境野委員からのお話に対しまして、林專門員からお答え申上げたいと思います。
#5
○專門員(林誠一君) 只今の予定の中で二十八、九日というのは先週の委員長打合会で話が出ましたのです。そのときに来週の予定につきましては、二十六日の月曜日の分だけは今後の必要によつてはそこへ暫し得るよとしようというので穴をあけまして、二十八、九という予定をそういうふうにしたいというお話があつたのであります。皆さんに御連絡する御連絡が不十分だつたかと思いますけれども、それによりまして新聞にすでに広告を出しております。で、その締切が明日になつていると思いますから、これから御意見を伺つても十分間に合うと思います。
#6
○委員長(竹中七郎君) 私からちよつと境野さんに申上げますが、実は先ほど申されました林君からのお話の通りになりまして、今週の金曜日やつといて来週の月曜日をとつておいて頂き、それから公聽会をやる、併し安定委員会の委員長はそう早く打切る意思はない、こういうことは私までにそう申しておるのでございますから、この点は御諒察になりまして、一つ皆さん御了承を願いたいと思います。
#7
○境野清雄君 そうしますと今のお話で、二十八、二十九というのはもうすでに公聽会として決定してあるものでしたら、それは少し日にちが遅れましたが、この委員会で委員の皆さんに御了承を願つておいたらどうかということが一点。
 それから今の連合委員会が二十六日はもう取きめてあるという場合は、この委員会の又意向によりまして、二十、七日もう一日やつてもらうというような点も委員の皆さんにお諮り願つたらどうか、それだけお諮り願つておいて、一応三十、三十一日というふうな打合せをしたものを変えまして、二十八、二十九という既設のものに委員の皆さんの御了承を願つておいたほうがいいだろうと思います。それから又それについて明日まで間に合うというのでしたら、今日法律案の審議のあとでも前でもいいですが、どこかでこの委員会として公述人をどなたにするかというような希望があつたら委員の皆さんにお聞きしたらどうか、これだけのものを事前に林專門員のほうで手続だけ落ちないようにやつておいて頂きたい、それから皆さんの意向を聞いて頂いて、ここでおきめになつたほうが一番いいと思いますから。
#8
○委員長(竹中七郎君) 只今の境野君の御意見に御異議ございませんか……。境野さんの御意見のようにいたしますと、今の公聽会の済みましてから連合委員会をもう一回か二回やつつて頂ければいいのじやないかということも考えられるのだが……。
#9
○境野清雄君 それは当初から林專門員も知つている通り、公聽会をしたあと、もう一回くらいは連合委員会をやつてもらいたいという要望がしてありますので、それは安本の委員長も承知しておるのであります。
#10
○委員長(竹中七郎君) ちよつと速記をとめて。
   〔速記中止〕
#11
○委員長(竹中七郎君) 速記を始めて。只今境野委員からの御発言の通り、即ち公述人は皆さんの御意見のあるかたは委員長にお申出で下さいますれば、私から経済安定委員長のほうへ申込むと、こういうことにいたしたいと思いますが、さよう取計らいまして御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○委員長(竹中七郎君) 御異議ないものと認めましてさよう取計らいます。
#13
○境野清雄君 それから、もう一つ、法案審議の前に委員長にお聞きしたいのですが、何か石炭の鉱害の法案が出ておりますものに関連して、九州のこの鉱害地区の視察というような問題が起つておるやに聞いておるのですが、それはどんなような経過になつておるか、ちよつと委員長からなり、專門員からでも御報告願いたいと思います。
#14
○委員長(竹中七郎君) 九州におきまする鉱害の問題に対しましては、地元から非常な強いまあ現地調査を依頼して参つておりますので、さよう取計らおうということを、本日皆さまがたにお諮りいたしたいと思つておりましたところ、今境野委員からさような御発言があつたのでございますが、実はこの点につきまして、事務当局のほうと委員部のほうと相談しましたところ、この頃又議員の派遣が非常に多うなつておりまして、非常にむずかしくなつておると、こういうことでありまして、そこで決議いたして頂いて撥ねられるようなことになると、非常にまあ問題になるのじやないかと、かように考えておりますのでございますが、実際は行つたほうがいいじやないかという考えは私は持つておるのでございます。皆さんがたにお諮りいたしまして……。境野さん、これはもう明日の議運にかけまして、それを最後としてまあ調査をやらないと、それで嚴選すると、こういうことのようでございます。そういう意味におきまして境野委員の御発言に対しまして、皆様がたの御意見を伺いたいと思います。
#15
○境野清雄君 それは、委員会として、今のお話の通り、九州地区は非常な要望をしておつて、行かなくちやならんという状態なら、これは私は行かれることに賛成するし、そういうような場合に、各党との振合いもありましようし、それから人選その他、勿論議運自体が余り大勢のかたが行かれるということは従来問題になつておりますので、そういうような点も勘案せられて、一つ人選は各党との緊密な連絡をして頂いて、私は委員長に一任したらどうか、こういうふうに思いますが、お計らい願いたいと思います。
#16
○委員長(竹中七郎君) 只今の境野議員の御発言に対して御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○委員長(竹中七郎君) 御異議ないものと認めまして、人選は委員長にお任せ願いまして、さようお取計らいいたします。
  ―――――――――――――
#18
○委員長(竹中七郎君) 次に、連合委員会開催の件についてお諮りいたしたいと思いますが、輸出取引法案につきまして、経済安定委員会より連合審査の申入れがありましたが、同法案につきまして、連合委員会を開くことに御異議はありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#19
○委員長(竹中七郎君) 御異議ないものと認めまして、さよう決定いたします。日取につきましては、委員長に御一任願いたいと思います。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#20
○委員長(竹中七郎君) なお小松議員が通商産業委員に復帰されておりますから元の通り中小企業に関する小委員のほうもお願いすることにいたします。
  ―――――――――――――
#21
○委員長(竹中七郎君) 議題に帰りまして、石油及び可燃性天然ガス資源開発法案につきまして、昨日の委員会におきまして、政府側から答弁がありましたように、衆議院における修正の部分についても、政府側から責任を以て質疑に応じるとのことでございましたつので、昨日行いました中村衆議院通産委員長の修正説明を以て一応衆議院側の説明を終つたことにいたしまして、爾今は原則といたしまして政府側から法案全部について答弁をいたさせますから、さよう御了承を願いたいと存じます。ではこれより質疑に入ります。御質問を願いたいと思います。
#22
○中川以良君 昨日政府側から修正案に対する御説明があつたのでありまするが、今日は松田局長、資源庁次長も見えておりますので、更に詳細に修正案と原案と対照いたしましての修正箇所に対する御説明を承わりたいと思います。
#23
○政府委員(松田道夫君) 修正になりました箇所のみについて御説明申上げましようか。それとも提案理由とややダブル感はございますが、全般を御説明いたしましてからにしましようか。その分だけでよろしうございますか。
#24
○中川以良君 この全般をやつて頂いて。
#25
○政府委員(松田道夫君) この法案を出しました理由につきましては、提案理由で御説明申上げた通りでございまして、なお問題がございますればそれにお答えさして頂きます。この法律の大体の構成を申上げますと、目次で見て頂ければもう文字通りおわかり願えるかと思いますが、一つの問題は、合理的な採掘方法を実施して頂くという恰好になつております。それから試掘乃至二次採取につきまして補助金を交付いたしまして、助成をして行く。そうして助成いたしました補助金の額が若しも成功した場合には返して頂くという恰好になつておりますが、その返還のやり方につきまして、衆議院で修正がございました、これはのちほど修正箇所の部分で申上げたいと思います。
 それから法律構成の第三の点は技術的に非常にむずかしい問題を包蔵しておりますので、行政処分等をいたしますについて愼重な技術的な検討もお願いするという意味で審議会を設けさせて頂く、第四番目はこれは普通ございますが、届出或いは記録をとどめて頂くという事務的な問題でございます。それからその次が罰則、こういう構成になつております。
 原案と修正案との違いにつきまして御説明申上げたいと思います。修正案説明という印刷しましたものがございますので、それを(1)、(2)、(3)この順序を追つて申上げてみたいと思います。
 第一の点でございますが、これは第六條でございます。この六條は油層の状況が明らかである場合に、而も油層を指定して、その油層から石油を掘られる場合に、ガス油比をどうきめるかということにつきまして、通産大臣がそのガス油比をきめるという一項がございまして、第二項では、その通産大臣がきめましたガス油比に従つて掘つて頂きたい、その割合を超えないようにしなければならないという恰好になつております。この点が当初原案で考えましたのは、油層の状況が明らかであるという條件と、而も油層を指定するということと、一日に掘出すガス油比ということでございますので、二十四時間の余裕がございますので、このまますぐ法律でその割合を超えないようにということの規定をしても差支えなかろうというのが私どもの考えました理由でございますが、衆議院ではそこまで一直線にきめてしまうのは少し行過ぎであるということで、この第二項を削られました。ちよつと先のほうへ飛んで恐縮でございますが、十條に参りまして、通産大臣は、鉱業権者が石油を掘つておられるときに、ガス油比が大きくなり過ぎて、石油の完全な開発に支障があるということを認めた場合には、採油の制限又は中止を勧告することができる、ここで一遍勧告の段階を置け、そうしてその十條の修正の二項でございますが、勧告を政府がいたしますと、勧告を受けられた鉱業権者のかたは、これに応諾されるかどうかという返事をしなければならない、そうしてその返事を頂いてから、その返事が正当でないというふうな場合には初めて命令が出せる、こういうことでございまして、繰返しますと、通産大臣がきめましたガス油比を守つて頂きたいということを直接法律できめましたのを、勧告の段階を経まして、それから命令を出して確保して行く、こういうように緩やかになつたというのが第一点の修正点の趣旨でございます。修正説明という印刷物の(2)でございますが、このことは私が今申上げました後段のほうでございます。それから印刷の第三の点でございますが、法律の條文で申しますと第十九條でございます。非常にごちやごちやしてわかりにくい條文でございますが、大雑把に申上げますと、これはこの法律案で廃止して頂こうと考えております元の石油資源開発法にある條文とほぼ同様でございます。これの趣旨といたしますところは、先ほどもちよつと申上げましたのでダブつて恐縮でございますが、補助金を交付いたしましたその補助金によつて掘られた井戸から油層が発見された、そうして石油を汲取られるという場合には、その出ました量に時価を掛けまして、その百分の三を超えない金額で国庫へ納付金を納めて頂くということになつておりますが、これを衆議院で修正をいたされましたのは、若しも石油がじやんじやん出て参りますと無限に納めることになるのではないかというお話がございまして、そこへ一つの制限を置こうという趣旨が衆議院で作られたわけであります。これはその補助金を受けられた鉱業権者のかたが、今までにもらわれた補助金の限度まで来たらもう返さんでもよろしいという、何と申しますか、天井と申しますかそういう制限を一つ設けるべきだという趣旨でございます。
 あとは細かい問題になりますが、一一申上げませんで、ひつくるめて申上げますと、審議会を設けさせて頂くことは先ほど申上げましたが、この審議会の委員の任命権者が原案では資源庁長官になつておりましたが、先ほど申上げましたように、業界と申しますか、鉱業権者に影響のある点もあるので、その任命を愼重にやるようにということで通産大臣というふうになりました。それから審議会が普通の審議会ですと、御承知のように、諮問に応える、或いは意見を述べるということになつておりますが、その際に期日と場所とを公示して利害関係人の出席を求めて聽聞を行わなければならない、これを附加すべきだというのが衆議院の修正点でございます。大体以上でございます。
#26
○中川以良君 どうも專門的なことで私にはわからないので勉強しないで申訳ありませんが、ガスと油の割合を定めるというのは、技術的にどういうふうにして定めるのですか。
#27
○政府委員(松田道夫君) 技術的な点は、申訳ございませんが、説明員に説明さしてよろしうございましようか。
#28
○説明員(鼠入武夫君) それではガス油比の点を御説明いたします。ガス油比という言葉は、その文字通り、石油が出ます場合には、必ず一緒にガスを伴つて地上に鉄管を通じて上るということが起きます。そのときに、地上に上つて来ました、坑口でガスと油というものを分離いたしまして、そのときに分離いたしました量を両方測定いたします。それを分離槽というものに入れますと、必ずガスのほうが液体より軽いものですから、地上において分離する、分離しました量を一日の量に換算いたしまして、ガスのほうは立方メートル、油のほうをキロリツトルで表わしまして、その比率をとりますと、例えばガスが百立方メートルに対して油が一キロリツトルというような場合につきましては、これをガス油比百という数字で呼ぶことにいたしております。それでガス油比がなぜ問題になるかと言いますと、地下におきましてはガスは油の中に融け込んでおりますけれども、地上に上りますとこれが分離する。それで油が地下から地上に上るという運動をするには、油の中に融けておりますところのガスが膨脹をするその運動の力で初めて油が地上に押上げられて来る。そのために油を押上げるところの重要な役割を果すところのガスをたくさんに取るということにしますと、その比率通りに油のほうは増加しないでガスだけが勝手に空中に上つて来るというような現象も起きまして、そのために理論値というものも得られまして、それが一番守らるべき基準として適当な数値として出て参ります。勿論それに対しまして技術上許されるところの許容度の安全率というものはかけて計算されるようになつております。それがガス油比と称するものであります。
#29
○中川以良君 図面を頂きましたが、これについての説明を一つお願いいたします。
#30
○説明員(鼠入武夫君) お手許に配りました図面について御説明いたします。これは地球を横に切つた断面図でありまして、ここに現われておりますところの真中が上つておりまして両翼が下つている、こういう構造が石油の溜るのに一番適している。これを背斜構造と呼びます。それで必ず、その真中よりも少し下のほうになりますけれども、注釈がついておりまして、ガスと油と水というふうな関係がそこに現われております。これは地下におきまして油が生成され、これが堆積して来るという過程におきまして、比重の関係からしましてガスが一番上に、その構造の一番トツプの所に溜つて来る。その次に油が水よりも軽い関係から油が溜る。それからその下に水と書いてございますけれども、これは純粋な水ではございませんで、必ず塩分を含んでいる。更に言い換えれば、必ず海の水であるということになつております。それで、これが比重の関係からガス、油、水とこの三つがございますけれども、地下にありますところの油に対しまして上から井戸を掘つて参りまして、油の所に到達いたしますと、地下におきましてはこの油は上のほうに溜つておりますところのガスが圧縮をされた形になりまして、千メートルあれば大体におきまして百気圧以上というような状態に圧縮をされております。それから水そのものも圧力を持つておりまして、丁度油が、ガスと水というものの二つの圧力を持つておるものの間に圧力を加えられたままの状態でいるという形になつております。そのために、上から井戸を掘りまして、油の部分に穴のあいておるような鉄管を挿入いたしますと、そのときにはガスの膨脹するエネルギーと水の上に押上げようとする力とこの二つの力によつて油が井戸の所に集中的に集つて来る。集つて来たものがひとりでに空中に、地上に上る。油が井戸の所に集つて来る運動は、ガスの膨脹するエネルギーであるとか或いは水の上に押上げようとするところの重力によるところのエネルギーというもので油が井戸の口に集る。それから油が井戸のほうに上つて来る過程におきましては、先ほど御質問がございました、油に融けておりますところのガスか膨脹するエネルギーというものによつて油が地上に上つて来る。それが、地上におきまして測定する結果におきましてガスと油との比率を適正な数値において採取を続けて行くということにいたしますと、中にありますところのエネルギーも無駄にならないし、有効に使えてそこで初めて地下の油の最大採取量というものが計られるという形になり、ガスキヤツプ井というものは、一番上のガスの部分だけに井戸を掘りますと、このガスは膨脹することによつて初めてその下のほうの油を上から押して井戸の口に集めてやる。これは図面を見ますと、如何にも油が中に一ぱい充満しているというような印象を受けますけれども、実際には、油というものはこういうふうに完全に下のほうにこのままの状態におるものではなくて、砂と砂との細かい空隙の間に小さい分子として中に溜つている、そういつたものでありますからして、エネルギーの加えられない限りは油がひとりでに出るということは絶対に起きません。そういうような油を動かすところの重要な役割を果すところのガスキヤツプ井というものを掘つておきます。従つて幾ら井戸を掘りましても油に地下におきまして横へも縦へも動けないということになりまして、その油は永久にとり得ないという結果になる。同様に、一番左側にありますところの端水井というものは、先ほど水と申上げましたのは、專門的に申上げますと、これを端水と呼んでおりますけれども、この端水も、水を汲上げることによりまして油を井戸のほうに押出そうとする力を失わせることによつて、折角理論的に計算されて百万キロの油があるという事実がわかりましても、ガスキヤツプ井を抜けてしまう。或いは端水を抜くということによりまして、油自身が全然地下に存在しているという事実だけになりまして、これ自身が地上に上るということが行い得なくなる。こういうことでガスキヤツプ井或いは端水井というものを、若しもそういうものができ上つたり、或いは自動的にこういうガス、油、水というようなこの線も、ガスが自然に外へ出るとか或いは自然に油が無くなつて来るというようなことからして水の位置も上るというような関係になりまして、井戸の位置も変るというような結果になりまして、その結果として端水井になるというような場合が起きますれば、こういうものは、地下の油を動かすというような重要な役割を持つておるものを地上へ出すことは許されない、こういうような禁止の規定もこの中に含まれております。それから一番下のほうにウオーター・コーンを発生した状況というような図面もございますが、これもやはり一カ所だけから極度に油を汲上げるというようなことをいたしますと、そこに水の線として一カ所だけ上に上つておりまして、丁度円錐状のような形になつておりまして、こういうような状況になると、あとで汲上げようといたしますと、水よりも油の表面張力が大きい関係から、水だけが上つてしまうという結果になりまして、井戸そのものは油をとり得ない。同時に油層の中に油が入りますと、水がその層に滲透いたしまして、油の層というものがこういうようなきれいな配列というものから非常に不均等な配列になりまして、それぞれの油がばらばらに分離してしまう。その結果それがとれなくなつてしまう。こういう形になりますと、油層というものは生産の対象になり得ないというような結果になりまして、油層そのものを破壊するというような結果を生ずるというために、こういうような行為に該当するような採取の方法も好ましくない、こういうことになります。大体その図面につきましての説明は以上の通りであります。
#31
○中川以良君 そうすると、この図面にある三つは、いずれもそのよくない状態を示しておるのでありますか。
#32
○説明員(鼠入武夫君) 好ましくないものを挙げております。
#33
○中川以良君 そうすると、いい状態はどういう所に配置して行つて、どうしたらいいのですか。油の真中辺に置いたらいいというのですか。
#34
○説明員(鼠入武夫君) いい状態は、その採油井と書いてあります井戸は、これは極度に無理して、地下のエネルギー、地下の状態を無視して極度に汲上げているという状態でありましてここに下のほうから円錐形のこういうような形のものが生れない範囲に汲んでおいてさえおれば、真中の採油井というものは良好な状態になる。従つてガスキヤツプと端水井との中間においてこういうようなウオーター・コーンが発生しない。地上においては先ほど申上げましたガス油比が適正であるという抗井であればこれは適切な井戸ということになります。
#35
○委員長(竹中七郎君) 次に帝石の八橋油田を実例としてこのガス油井を重ねて説明して頂きたいと思います。
#36
○説明員(鼠入武夫君) それでは只今の御質問に対してお答え申上げます。帝国石油のガス八橋油田のガス油比の問題につきましては、昨年の春頃からいろいろ議論をいたしておりましたけれども、資源庁から正式を通知をいたしました。通知といいますのは、これは先ほどの御質問にお答えしましたところのガス油比が二〇八という数字をとつております。それでこれを算定いたしました際にはやはり理論的な計算を行いまして、これに一定の数値の許容限度というものを掛けて、この数値を出しております。それで当時におきましてこの数値というものが実際に存在しておりましたところの全坑井に対しましての関係を申上げますと、全部の坑外として取上げましたものが三十九坑というものを対象にいたしまして調べましたけれども、これに対しましてこの基準に合致しないと考えられたものが二十一坑でございました。それでこれにつきましてはその後報告を聽取いたしまして調べて参つておりますけれども、なお現在におきましてもこの数値に必ずしも合致しないというような坑井がございますが、これは地下の状態におつきまして多少ガス油比というものを適正な数値のみに合致せしむるよりも更に條件が悪い。言い換えれば理論的な数値というものに対しまして成る一定の許容限界を付した形で全面的にきちんと押えて行くというにはすでに病状が悪化し過ぎているという部分も一部見受けられる関係からいたしまして、それらの所にあります坑井は必ずしも現在におきましてもこれらの基準というものに合致しておるとは申せません。ただこれにつきまして現在なお再度検討、勧告をしましたときからすでに六カ月以上経過しておりますために、地下の状態におきましてもなお情勢が変つておると見られる点もございます関係から、これにつきましては再検討するためにでき得れば今月中に委員会を開きまして、技術的再検討を加え、その上で改めてガス油比の基準というものを検討するという考え方でおります。以上で説明を終ります。
#37
○委員長(竹中七郎君) 次に昭和三十七年度予算における補助金の運用はどういうふうになつておりますか。
#38
○政府委員(松田道夫君) 二十七年度の予算の石油に関係いたしますものは全部で四千四百万円でございます。そのうち千八百万円は地質調査のための補助金でございます。二千二百万円が試掘の奨励金でございます。四百万円が二次採取の補助金でございます。トータルいたしまして四千四百万円でございますが、この終りの二つ、即ち試掘の奨励金二千二百万円と二次採取の四百万円がこの法律に基きまして交付しようという狙いでおります補助金でございます。
#39
○委員長(竹中七郎君) もう一度伺いますが、これはこの法律ができる前はどうなつておつたのですか。
#40
○政府委員(松田道夫君) 現在、この法律が通りましたならば廃止して頂こうと思つております石油資源開発法が現在活きておりますので、その規定に基いて公布するという恰好になつております。
#41
○委員長(竹中七郎君) ちよつと速記を止めて。
   〔速記中止〕
#42
○委員長(竹中七郎君) 速記を始めて。
#43
○中川以良君 一つ伺いたいのですが、この法律が通つて今後実施される曉において日本の石油の増産というものはどのくらい期待できるのですか、従来と比べて……。
#44
○政府委員(松田道夫君) 後ほど説明員のほうから詳しく申上げるかも知れませんが、私が大体了解しておりますところによりますと、これは理論数字になつて恐縮でございますが、現在通りの掘り方でやつておりますと、先ほど図で御説明いたしましたようにガス或いは水の圧力の関係が合理的に行つていないというような関係から、地下に埋蔵されております石油の量の約二、三〇%、三〇%以下というものが採油井から汲上げられる。こういう合理的なと申しますか、この法案に規定いたしましたような掘り方をやつて頂くと地下に埋蔵されておる量の約五、六〇%がとれるという計算理論数字が出ますので、理窟から申しますと、約倍ぐらいなものが掘り得るという恰好になりますが、勿論これは申上げるまでもなく井戸を多数掘らなければなりませんので、実際に現れて参りますのは井戸の掘り方、掘る量、これによつて変ると思います。結局今までのやり方をやつておりますと二、三〇%がとれて、あとのものは地下に眠つてしまつておる。これがこれでやりますと地下にあるものの五〇%から六〇%ぐらいが地上に上つて来るという恰好になると思います。
#45
○中川以良君 約倍以上つて来るということですか。
#46
○政府委員(松田道夫君) ええ、倍井戸を掘りますと、倍とれるという恰好になると考えるのであります。
#47
○説明員(鼠入武夫君) 只今の御質問を二様に解釈いたしまして、一つはコンサベーシヨンを実施することによりますところの採取量の増加という問題が一つ、それからもう一つの点は、探鉱を促進することによつて新らしく発見されて来るという問題と、この二つの意味があると存じますけれども、先の第一の問題につきましては、具体的な数字で果して何万キロ増加するかという点は、はつきりとは数字的に判定はまだできておりませんけれども、これは非常に遠廻わしな説明になりまして恐縮でございますが、例といたしましては、例えば現在までに日本におきまして掘られました井戸の坑数というものは、約一万五千ぐらいの井戸が掘られておりますけれども、これは実際に現在まで日本でとれました油の総量が約一千五百万キロぐらいでございます。これだけをとるためには実際に必要だと思われる井戸の数と言いますと、大体五分の一くらいでそれだけの油がとれるという結果になつて、そういうような計算が成立いたします。従いまして従来非常に多く井戸を掘り過ぎたということから、逆に言いますと、無駄な採取を続けていたということにもなりまして、それらの関係から言いますと、極く漠然としたことを申上げますけれども、先ほど局長も申上げました通りに、従来の採取量に比して相当量の数字は増加する。例えば八橋井田におきましても、すでに一部には表向きに発表されておりますところの数字といたしましては、数万キロの従来の採油では損をしておるという話が出ておりますけれども、これを逆に読み替えれば、今後におきましても、数億或いはそれ以上の資源の増加が図れるというように考えております。
 それから第二の点の今後日本におきましてどういうような、探鉱の結果として新らしい資源が増加するかという問題ですが、現在日本におきましては、生産の主体というものは八橋井田でございますけれども、なおこの深い部分或いはその層の発達という点につきましては、なお現在におきましても刻々と新らしい状態が生まれておりまして、これらからなお相当大きな数字が得られる。それから新らしい石油の地帶としては山形県の新庄盆地、或いはまだ極めて不十分な調査しか行われておりませんけれども、併しながら北海道というものは、深く行きさえすれば相当大きな油が期待できる。又関東平原というような所についても、従来は油というものについては関心が払われておりませんけれども、戰後におきましてアメリカのほうからいろいろなアドバイスその他によりまして、三千メートル程度の坑井を掘れば、関東平原でも大きな油層というものを期待して差支えないのじやないかというような意見も出ておりまして、これらにつきましては、現在一時には多額の金は出し得ませんですが、それをステツプ・バイ・ステツプという形をとりまして、関東平原の調査、或いは北海道の調査も徹底的に行うという方針でございますから、近い将来におきましてこの効果は期待できるというふうに考えております。以上で終ります。
#48
○清澤俊英君 この法案の目的が、石油及び天然ガス資源を合理的に開発する、こういうことで大体これを読んで見ますと、私出席傘が悪いので御説明も聞き洩らしておるかも知れませんが、合理的な開発というようなものが主眼になつておるように見えますが、大体それだけが主眼でなく、ほかに石油資源地帶と見られる場所があるから、そこの石油がどうあるかというような資源地帶の発見にこの法律を使おうという意味は持たんのですか。
#49
○政府委員(松田道夫君) 目的のところの字句でございますが、先ほどお話のございました合理的な採取を狙いといたしますと同時に、その探鉱及び掘採の促進を図ることを目的とする。お話の後段の部分もこの法律が狙つておる一つの目的でございます。その具体的な方法として規定いたしておりますのが、先ほども申上げましたが、試掘に関する奨励ということを補助金制度を採用してやつて行こうという狙いでございます。
#50
○清澤俊英君 試掘といいますか、大体今やつておるうちで最も進歩した掘鑿法は大体どれくらいの金がかかるのですか。
#51
○説明員(鼠入武夫君) 只今の御質問は一本どのぐらいという御質問ですが、深度も違つておりますが、私のほうで補助金を交付いたします際に定めております單価といたしましては、八百メートル以内の坑井に対しまして、一メートルにいたしまして平均要すると見なす経費が六千五百円、それから千メートルの坑井に対しましては、平均一メートルに要する経費と考えておりますものが七千五百円、千三百メートル以上の坑井に対しましては、八千五百円程度の標準経費というものを彈いております。それで補助の率といたしまして、従来は一律に五〇%ということになつておりますけれども、新法の施行ができました際には、この補助率も重要度に応じて変化させるということにいたしたいと考えております。それから今申上げました標準に要する経費というふうに申上げました中には、一番金を要すると考えられるところの井戸に入れますところの鉄管というものは考慮いたしておりません。これを入れますと、非常に大づかみな数字といたしまして、一メートル当り、千メートル程度までの坑井でありますれば一万円を要する、それ以上になりますれば一万二千円、或いは一万五千円というような費用がかかるというように考えて下さつて結構だと思います。
#52
○清澤俊英君 そうしますと、二十七年の予算で試掘補助費が二千二百万円、それじや二本か三本しか試掘ができない。それで大がかりなこんな法律を作ることはどうもおかしいじやないか。
#53
○政府委員(松田道夫君) 予算の金額の少いという御指摘は、私どももそう考えておりますが、いろいろ私どもとしましても、予算要求をやつたのでございますが、財政の面全般の御考慮等もございましたでしようが、結局金額がそこまで減らされましたので、これで十分と申しますか、徹底的な開発ができようというふうには考えていません。
#54
○清澤俊英君 あなたがたが納得行く開発をやつて見て、これくらい増せるのだというような御自信がありましたら、その額をお知らせ頂きたいと思います。これとは別に……。これくらいの試掘をやつて見たら、その結果においてこれくらいのものが増すのであるというようなお考えがありましたら、それを知らせて頂きたい。それからいま一つは、大体これは既存の石油会社というようなものを中心にしてそれを整備するという形をとつていますが、後段の性格から言つて相当疑問がある鉱区が非常に残されておる。それらに対する試掘を仮にやつたならば、どれくらいのものだというような御意見がありましたら、それも併せてお聞きしておきたいと思います。そういう地区があるのかないのか。
#55
○政府委員(松田道夫君) 予算の金額でございますが、私ども当初要求いたしましたのは八千万円を要求いたしました。これが先ほど申上げましたような数字に実は減つたわけでございます。ところが昨年は一億円ほどの補助金を頂きました。そのうち約六割が帝国石油へ出ておりました。残りの四千万円が帝石以外のところへ出ておるという恰好でございますが、本年度と申しますか、二十七年度の分につきましては、大蔵省の御査定の御趣旨もございまして、この二千数百万円というものは帝国石油以外のところへ出すというようにということでございますので、それで帝国石油さんでは御自分の自力で探鉱をおやりになる、そういたしますと、さつきお話のございました中小と申しますか、その辺へこの補助金が主として廻つて行く、主としてと申しますか、全部廻つて行くという恰好になろうかと思います。
#56
○清澤俊英君 まあ大体いいです。それからちよつと公団のほうの御説明をお願いしておいたのですが、公団経営のものは既存会社の補助で試掘補助を出して一応の目的を達するというふうにあなたがたのほうの見た目で、そういう有力な会社は持つておらないが、この地区の鉱区を一つ試掘して見たいと思う、ここには相当の量があるのじやないかというような所がおありなのかどうかということです。
#57
○説明員(鼠入武夫君) 御質問にお答えします。現在試掘の補助を決定しておりますところの方式を御説明するのが一番手つ取り早いと思いますから、その点について御説明いたします。現在国のほうできめておりますのは、法律の趣旨にもございますように、飽くまで申請者というものが出て来ない限りにおきましては出さないということになつておりますけれども、国といたしましても、現在日本全国の石油の状態というものにつきましては、審議会を設けておりまして、この審議会におきましていろいろな調査結果、これは地質調査所、或いは各大学その他の、或いは実際に事業を行なつておりますところの会社等の調査結果というものを全部集めまして、それによりまして有望な地域というものを探し出して行なつております。それで具体的な事例を一つ申上げますと、会社のほうからは誰も申請がなかつたという地域でありますが、山形県の鳥海山の裏側というような所は人跡未踏の地でありますけれども、この地域は非常に有望な油層があるということで、これを誰かやるところはないかということで逆に国のほうといたしまして、こういう地域を掘つたらよかろう。併しながら実際に国で事業を行うということになりますと、これは法律的に鉱業権が設定されておりません場合には、そこで事業が行えないという結果になりますために、そこに鉱業権が設定せられていない場合には、その鉱業権の設定を誰かが優先的に行えばその者が権利を獲得する。又誰かが持つておりました場合におきましては、それが実際にその事業を行えないということになりますれば、それは適当な、処置し得るところにこの仕事を持つて行くような幹旋をするという形をとつております。従いまして大きな会社と小さい会社というような関係は全然ございませんで、その地域が有望でありさえすれば、国はこれに対しての補助金を交付する、こういう方式をとつております。
#58
○中川以良君 伺いたいことは、仄聞いたしまするに、アメリカから石油の採掘の相当新らしい大ががりの機械が一式日本に輸入されておる。これは、司令部が輸入したか日本の政府が輸入したか聞いておりませんが、併し余り高級で日本には使用できないというので、これらは附属品と共に一切のものが保税倉庫か何かに眠つておるというような話を聞いておりますが、そういうものはございますか。
#59
○説明員(鼠入武夫君) 御質問にお答えいたします。只今のお話のありました問題は、当時アメリカからの援助資金といたしまして、アメリカから直接軍の援助を受けて日本に施設を輸入するという問題にからめましてたしかイロア・フアンドで日本に入つて来たものでありますけれども、それが当初帝国石油のほうで申請いたしましたところの実際の型式、それと異りましたものが輸入されまして、日本におきまして従来輸入しておりました型式と同一型式であればこれは直ちにその機械が日本においても使い得る。併しながらいわゆる寄せ集め式な機械というようなものが入りました関係からして、日本におきましてはこれを使いこなし得ないという問題が出まして、その結果帝国石油のほうにおきましては、引取つた結果としても実際に使い得ないのだ、こういう理由の下にこれの引取り拒否という問題が起きまして、その後貿易公団から臨時通産業務局のほうにその機械に関するところの処分の仕事が引継がれました。引継がれましてその後処分につきまして、一部売却或いは価格の引下げというようなことで処分につきまして進めておつたことまでは聞いておりますが、その後機械の処分がどういうふうになりましたか、それにつきましては私のほうでは詳しくは聞いておりません。
#60
○中川以良君 それは輸入価格がドルでどのくらいのものでございますか。
#61
○説明員(鼠入武夫君) お答えをいたします。邦貨に換算いたしまして約八千万円、それに大分滞貨いたしまして倉敷料その他の保險料等がございまして当時の価格にいたしますと約九千万円に達しておつたと記憶しております。
#62
○中川以良君 それは日本政府の負担になつておりますわけですね。帝国石油がそれを引取らないということですから、所有権は今はどこにありますか。
#63
○説明員(鼠入武夫君) 先ほどお答えいたしましたように、現在処分の状況がわかりませんですから、私が途中まで聞いております範囲におきましては、政府の所有になつております。従いましてそれが若しも処分ができました際には、見返資金として積立をするというその財源として当然出て来る金になるはずです。従いまして処分ができておりますれば見返資金の積立に入つておりますし、処分ができていない場合にはまだ国のものとして残つておるわけであります。
#64
○中川以良君 相当な金額の機械が寝ておるわけでありますが、それの今日の状態、機械の大体の概略等につきまして一つの資料を出して頂きたいと思います。
#65
○委員長(竹中七郎君) それはできますか。……ちよつと速記をとめて。
   〔速記中止〕
#66
○委員長(竹中七郎君) 速記を始めて下さい。
#67
○島清君 ちよつとお聞きしますが、石油資源の開発というものは勿論公正でなければならないと思いますが、この法律を適用するといたしますると、今日必ずしもこれを全体的に業者が受入れられるというような條件は揃つていないと思うのです。例えば、今中小の業者は手掘りでやつておるというような状態ですが、この法律を受入れられるということは、まあ大きな帝石さんでございますれば、こういうことができると思いますが、小さい手掘りでやつておるような会社は差当り困ると思うのですが、それに対して通産省としてはどういうようなお考えをお打ちであるか、お聞かせを願いたいと思います。
#68
○政府委員(松田道夫君) 御尤もなお話でございまして、この法律で考えておりますこと、乃至運用と申しますか、その面に残された部分がございます。具体的に申しますと、殆んど各條文に亘りまして、油層の形質が明らかな場合におきましては、通産大臣が油層を指定するという制度になつております。従いましてこの油層を指定いたしますのは、若い油田と申しますか、大油田と申しますか、こういうものを指定いたしまして、この條文が適用になつております御指摘の中小の鉱区は、そういう大きな若い油田というものは今のところ余りございませんので、どちらかと申しますと今までずつと掘つて来られておる年取つた油田であると思います。そういたしますと、この條文は適用がないという恰好になろうかと思います。
#69
○島清君 そういうことが一応は予想されまして、更に運用の面において考慮されると、こういうまあ御答弁でございますが、併し今日本の油田の間隔の状態から申しますると、井戸と井戸との間が非常に間隔が狭いので、片方において合理的な採油をやりましても、片方のほうで手掘りをやつておりますと、その合理的な採油のほうに非常に影響するところが大きいと思う。アメリカみたいに非常に離れておれば、片方において手掘りをやつても大した影響はないと思いますが、日本の現在の井戸と井戸との間の間隔からいたしますと、相当の影響があろうと思いますが、そういうことについてはどういうふうにお考えでございますか。
#70
○政府委員(松田道夫君) 先ほど私の申上げようが不十分であつたと思いますが、全然適用がないという意味ではございませんので、掘り方のいろいろの、大部分が大鉱区と申しますか、大油層を狙つておりますが、この第五條にもございますし、十二條にもございますが、坑井間隔が近いために地下の資源が無駄になるという虞れは、こういう條文で一定の、距離が近い場合には鉱業権者同志で御相談を願い、そして話がつかないときには通産大臣が御裁定を申上げる、こういう恰好で防げるのではないかというふうに考えております。
#71
○島清君 こういう法律の建前から現在の井戸と井戸の間隔の狭いということを考慮に入れて、それで話合いさせるということになりますると、その話合いがつかない場合には通産大臣が調整されるということになりますると、この法律を実施するという面において通産大臣は斡旋され、調整されるわけでございまするが、そうなりますると中小の業者に多少の本意ならざる意思を強行するような恰好になると思いまするが、そういう場合のことを予想されてその企業に対する例えば補償であるとかいうようなことまでお考えでございますか。
#72
○政府委員(松田道夫君) 今のところ補償制度は考えておりません。ただ一般の、例の違法の行政処分云々の問題はございますが、この法律を適用して見ました場合に、普通の補償の意味は考えておりません。
#73
○島清君 そういう場合に、業者間で話合いがつかない場合、通産大臣として調整をしなければならない余儀なき羽目に立入りました場合に、今予想された法律の中に何か審議会というようなものができるようでございまするが、この審議会にそういう問題をお持込みになるというようなお考えでございますか。
#74
○政府委員(松田道夫君) お答えいたします前に、ちよつと、前私が申しました点で足らなかつた点を補足させて頂きますが、現在掘つておる井戸そのものについては、井戸を変更するという問題は調整いたしませんので、これから掘ろうとされる場合に、一定の区域で余りに近いという場合にはお変えになつたらどうか、こういうことを申上げますので、実際問題として補償の問題が、広い意味から申しますと御迷惑な点もあるかと思いますが、現実に掘つておられる井戸をストツプするというような点もございませんので、そういう意味の補償は実際問題としては起りにくいのじやないかというふうに考えます。それで審議会の点でございますが、決定そのものにつきましては審議会に諮らない。ただ坑外間隔をきめますとか、そういうような場合、事前に審議会でやりますので初めからわかつております。
#75
○島清君 審議会の委員と、それから審議会に專門委員というものがありますが、その專門委員は審議会の委員と兼任ができる予定でございますか、できないのでございますか。
#76
○政府委員(松田道夫君) ちよつと聞き洩らしたのですがもう一遍……。
#77
○島清君 審議会の委員というのがございますね、審議会の委員の下に專門委員というのができる仕組みになつていますが、その專門委員と審議会の委員とは兼任ができるような構想でございますか。
#78
○政府委員(松田道夫君) 兼任できないというふうに考えております。
#79
○西田隆男君 一つ二つお尋ねしますが、この法案を全体を読んで見ますと、今局長が答弁されたように、新らしい井戸を掘る場合だけこの法律を適用するのだということにはなつていないと思うのですが、第六條の第二項ですか、これはガス油比の問題を取上げているのですが、やはり古い井戸、現在掛掘りしている井戸であつても、井戸の距離の関係とか、同じ油層の中で何本も掘つておる、それを一つやめたら何割か、何十%か余計とれるということが考えられるのですが、技術的にはそういうことはないのですか。
#80
○政府委員(松田道夫君) 私が先ほど御答弁申上げましたのは、坑井間隔の点で、距離が近いから、それをやめさせて行けば掘つておられるかたに迷惑をかける、それを補償するようにしなければならん、こういうお話でございましたので、その坑井間隔、井戸と井戸との距離の問題について申上げましたが、その場合には、掘つておられる井戸はそのままで、これから掘られる井戸について距離の問題が出て来る。それから、ガス油比の問題でございますが、これはお話の通り、現在掘つております井戸につきましても、そのガスと油との比率、これをきめて合理的な数量で掘つて頂くということはいたします。
#81
○西田隆男君 私が聞いておるのはそうでないので、一つの油田に井戸が幾つかある、何本か掘つておる。仮に五本あるとしますが、五本で現在採油している。技術的の問題ですが、ガス油比が変化して、その井戸を一本減らして、ガス油比を元のように戻すということが現実に考えられるかという点が一つと、若しそういうことが考えられれば、五本のうち一本をやめて、今狂つているガス油比を正常な状態に戻して採油すれば、採油量が、あなたのおつしやつたように、倍以上も採油できるじやないか。そういう場合に、一本の井戸の中止をされた場合に、これを補償するかせんか、そういうことがこの法案では考えられていないのか。第六條第二項のガス油比の問題を考えると、そういうことが想定されるが、そういう場合はどうか、こういうことなんです。
#82
○政府委員(松田道夫君) 技術的な点に亘りますので、私で御満足行きますかどうか、あとで説明員からも御説明申上げますが、ガス油比の問題は、各井戸々々について起る問題でございまして、その同じ油層の中の他の一本の井戸をつめることによつて影響があるという問題ではないというふうに理解しております。
#83
○西田隆男君 それでは、今言われる、この井戸と井戸が近いから採油が十分に行かんという問題をお話になつておつたようですが、そういうことは考えなくていいじやないか。もつと詳しく言えば、井戸と井戸との間が近い、遠いを論ずるということは、一つの油層を何本かの井戸で掘るということに違いない。油層が変つておれば、井戸が近くても関係ないのです。同じ油層を何本かの井戸で掘鑿するということと、少い井戸で掘ることによつて、ガス油比の狂つておるものを正常の状態に直すということが技術的に考えられるならば、多くあるものを少くして、それを補償して、地下資源を完全に採油するということのほうがより効果的であらねばならん。こういうことが第六條の第二項のうち、ガス油比の問題に関連して考えられるはずだが、そうではないのか、こういう点なんですよ。
#84
○説明員(鼠入武夫君) 御説明申上げます。只今の第六條のガス油比の問題と、抗井間隔の問題が出ましたけれども、第六條のほうで考えております問題は、油層の中にある、油層の中に含まれておるところの油の中に溶けているガスの膨脹エネルギーというものを、完全に有効に、油を上へ押上げることに使うということの趣旨でありまして、そのために、坑口におきまして、個々に坑井の状態を見て行くと、その見て行く際の一つの指標といたしまして、ガスと油の比率というものを、具体的数値によつてきめて行く。勿論その数値を決定する根拠といたしましては、油層全体の圧力の問題、或いは油層の中の砂の配列の問題、油の性状の問題、それらの点が全部総合化されて、油層というものが一つの連続性を持つております。併しながら坑井間隔というものになりますと、一つの井戸というものが完全にエネルギーを利用いたしましても、油をとり得るというもの、油をとり得るところの一つの面積というものは、これはきまつて参ります。で、これは計算値から出しておりますけれども、一つの計算方式を使いますと、一つの坑井が油をとり得るために、全部地下の状態が技術的に必要な資料がわかつたというときにおきましては、それらの計数を式に入れ込めまして計算いたしますと、その坑井が実際に油をとり得るところの一つの、排油面積と呼んでおりますけれども、大いさというものがきまつて参ります。その大いさの関係からして、そういう形で採油すれば地下の油を無駄なくとれる。一つの坑井から無駄なくとれ、而も多くの金を食わなくてもやつて行けるというような問題が出て参ります。そこで一つの坑井間隔といつたような場合におきましては、エネルギーの余計な分散を行わない、一の油に対しまして、一〇のエネルギーを加えるという場合におきまして、井戸二本を掘りまして、ここに一〇のエネルギーを働かせるというためには、その理論的な計算値から出ましたところの排油面積には、一坑以上設ければ、エネルギーの分散が多いということになりまして、その油の回収が図れないという問題であります。前者のほうは、個々の坑井におきまして油層の実態から坑井それぞれにつきまして出て来る数値ということになりますし、後者のほうは、排油面積というものからして規定されて来るところの問題であります。ガス油比というものと坑井間隔というものは一義的には結付かないというように技術上からは言い切れます。
#85
○西田隆男君 あなたの今の説明されておる理論はわかつているのです。従つて、局長は井戸が近いとか遠いという問題を論議されるときに、そういうときに、自然に今の説明で行きますと、井戸の間隔がきまつておるはずだと思うのです。ガス油比が狂うということは、それ以外に原因としてどういう原因があるのですか。
#86
○説明員(鼠入武夫君) ガス油比が狂いますのが……
#87
○西田隆男君 その油田の油を汲み坂つて行くガス油比は二〇八まではいい、井戸が二十一かあるという説明があつた。そうすると、今の井戸の間隔が適当な間隔であつて、いわゆる排油面積と言いますか、排油面積を考えて井戸を掘られておるということであれば、このガス油比の数値が変つて来る。そうして規定より以上になつて、油をとるところの量が少くなる、働かなくなるということは、いわゆる排油面積に関係ないほかの理由があるはずです。その理由はどういう理由か、こう聞いておる。
#88
○説明員(鼠入武夫君) ガス油比の要素をきめる一番重要な要素といたしましては、坑底圧、坑底におきますところの圧力の相違、これは閉めた場合と開けた場合でありますけれども、大口を閉めた場合におきまして、例えば一八〇気圧の圧力を示して、坑口を或る一定の細い穴で油を出さしたときの坑底の圧力はどのくらいあるか、その圧力差によりまして、ガス油比というものは大きく変化いたします。従いまして、坑井の圧力が靜止の状態と運動を起しておる状態とのその違いがガス油比の最大の決定要素というものになつて参ります関係から、一カ所におきまして、極度にガス油比というものが大きくなつておるということになりますと、坑底の圧力がそこだけが急激に落ちて来るという結果を招いておるという結果になつて参ります。その結果は油の中に溶けておるガスというものが油を上に押上げて来るための重大な要素として働くところのガスが油の中で完全に遊離し切つてしまつておる、そういたしますと、これは圧力で油を押上げることができないような遊離ガスが油層の中にたくさんできる。これを二次ガスキヤツプと呼んでおりますけれども、これが出てしまいますと、油というものは自噴をすることができなくなるという形になつて参ります。従いまして、坑底圧というものが一番重要な要素としてガス油比の問題には関係を持つております。
#89
○西田隆男君 技術的な專門的な御説明ですが、坑底圧というものは、これは人為的に変化するものですか、自然の状態で変化を起すものですか。
#90
○説明員(鼠入武夫君) 自然的の変化というものは、少くとも地上から穴をあけない限りにおいては起りませんけれども、坑底圧の変化は必ず採取し始めた瞬間から起つて参ります。人為的の問題です。
#91
○西田隆男君 そうすると井戸を掘つて油層に井戸が到着した場合には、すでにその油田の油比というものは常にきまつておるわけですね。
#92
○説明員(鼠入武夫君) 御説明いたします。掘つた瞬間ということはあり得ません。ただここに法律にも書いてありまする通り、油層の形質という言葉で漠然と言つておりますけれども、油層の形質というものを更に分析いたしますと、油層の厚味或いは滲透率、油の比重、それから中に溶けておりますところのガスの溶解度、それから圧力、こういつたようなものが、完全にわかりませんと、油層というものの実態がわかつた結果にはなり得ません。従いまして一つの井戸が油を出したということで、油層というような立体的のものが完全にわかつたということにはなり得ません関係からして、少くとも数本の井戸によりまして、個々の資料を総合して、統一したところの結論を出しまして、その結果この油層の圧力はどの程度まで下げながら油を採取すれば一番理想的にたくさんとれるかということを計算式によりまして出しまして、その結果を、これを現在においての適正なガス油比であるというふうに算出いたして行くものであります。
#93
○西田隆男君 適正なガス油比だと算定されたガス油比をそのまま守つて行くような採油の方法は技術的に考えられますか。
#94
○説明員(鼠入武夫君) それは坑口におきましてフロービンと称せられるところの非常に小さな自噴のための調整装置がついております。これは大体一つの変化單位と言いますと、六十四分の一インチ程度、大体針ぐらいの穴の調整ができますから、それによりまして全部調整いたします。
#95
○西田隆男君 そうすると今まで掘鑿されておりますガス油比の狂つている二十数本の井戸の採油は、今あなたがおつしやつたような技術的な問題を除外して採油しておつたということになります。
#96
○説明員(鼠入武夫君) 先ほどから申上げました点は、油層というものが、開発当初から正常な状態において、圧力が坑井の下において均等に低下しておるという形であれば、フロービンそのものによつてすべての調整がきくということは言い得ます。併しながら一部におきまして、極度にすでに落しております場合には、必ずしもブロービンだけを調整することによつてガス油比というものは調整し得ないような地下の状態が生まれているということもあります。その場合におきましては、そういうような坑井からの採取をするということは、油層そのものの全体に極度の圧力低下を起すという関係からいたしまして、どうしてもフロービンを調整することによつてガス油比が適正になり得ないような坑井がありますれば、そういう坑井から採取をするという行為は全然許されなくなつて来るというふうに考えます。
#97
○西田隆男君 それは一定の排油面積と言いますか、その中に掘られた井戸が今言うようなガス油比の変化を来たしている場合においては、これは元のようなガス油比に直して採油させるというような方法はないですか。
#98
○説明員(鼠入武夫君) それは病状が悪化しきつたあとでは多少のフロービンの調整程度ではきかない。フロービンを閉めますとガス油比が悪化するという逆現象が起きますけれども、早いステージにおきまして、そういうようなガス油比が一定の基準値二〇〇という数値を置きました場合に二二〇というような場合には、これはフロービンの調整をするということによりまして回復は容易に行い得るということになります。従いまして調整を行うときの時期或いは地下の状態というものが非常に大きな要素となつております関係からして、油層の形質が明らかになるということと、実際に調整し得るかどうかという問題とは当然関連を持つて参りますけれども、少くとも現在の審議会というものにおきましてこれは取上げて、油層の実態というものを十分調査をする、而もそれがことごとく今できない限りわからないという問題ではなく、一定量のデータが集まれば可能であるという現在の技術の水準から申しますれば、極度に悪化しきつてどうにも調整がつかないというような状態が生れるということは今後はあり得ないというふうに考えております。
#99
○西田隆男君 そうすると今までのガス油比の変つている二十数本の井戸に対しては、まあ相当な年月採油されておると思うのですが、どれくらいの期間内に行えば今あなたがおつしやつたようなことが理論的に調整できるのかということが一つと、今まで二十数本の井戸に対してガス油比の変つているものに対しては、資源庁としては、今まで何らの手も打つておらない、或いはそういう意見を強力に申述べられてもなお現在の製油業者は資源庁の考えを実行しないままに現在の状態になつたのか、この二つの点について御答弁願いたい。
#100
○説明員(鼠入武夫君) 只今の御質問の前段につきましてお答えいたします。実際に調整をするという段階におきましては、理想的であれば、少くとも面積を確定し得る大いさがつかみ得るという最小限度は三坑程度であれば、それによりまして最底面積を確定し実体を把握するということが理想的でありますけれども、実際的の問題につきましては、我々の計算その他によりますと、平年程度ズレがあつたというふうに考えております。従いまして半年早く少くとも勧告の基準というものに合致させるような手段を講じておりますれば、ことごとくの坑井が適正なガス油比によりまして採油は行い得たというふうに思つております。
#101
○政府委員(松田道夫君) 後段の点でございますが、三十九坑につきまして資源庁から勧告を出しました。その後帝石さんでは試験の意味だということで、そのガス油比を守らないでおやりになつておりましたので、その理由をお聞きしたわけでございますが、やはり試験のためにということでございました。それならば当初審議会でガス油比を審議して頂きましたので、審議会にお聞きしようということで審議会に諮りましたところが、ガス油比を特に変える必要は認めないというふうな御趣旨でございましたので、その趣旨を申述べたわけでございます。その後帝石さんから元勧告いたしましたガス油比に直したという報告が参りました。
#102
○西田隆男君 今帝石のほうは正常なガス油比の状態で採油されているのですか。
#103
○政府委員(松田道夫君) 現実にそれでうまく行つておりますかどうか、今日その後の状態はわかりませんが、私どものほうではうまく行つているというふうに考えておりません。
#104
○西田隆男君 わからぬということはけしからん話で、地下資源はすべて施業案を出したいですね。施業案を出してそれを許可することになつていると思うのですが、そうでないのですか。
#105
○政府委員(松田道夫君) 鉱業法で施業案がございますが、これは認可制度になつておりますけれども、施業案にはこういう採油の方法の詳細な部面はとることになつておりませんので、施業案の内容になつておりません。
#106
○西田隆男君 施業案の内容になつていないとすれば、こういう法案を作ることよりも、施業案をお出しになるような法律を作らなければならぬ。施業案を出されてそうしてあなたがたが理論的に御説明になつたことが一応監督官庁で考えられ、ガス油比がきまつて許可されて採油するものであれば、今言われた通り六カ月間ぐらいならばガス油比の狂つているものを正常な状態に直す技術的な方法があるのだというお話である。それで許可したものに対しては、監督官庁としては相当な考慮を払うとか、殊に採油し始めて六カ月間というものは相当愼重な取締なり、監督なりをされることのほうが前提條件なんです。この法律が通つたつてその仕事をやらなければ何も意味をなさん、私はそう考えるのですが、局長どうですか。
#107
○政府委員(松田道夫君) 施業案もございますが、これは申上げるまでもなく一年間の計画を鉱業法でとつておりますが、もともと鉱業法の改正によつてこの法案で狙つておることをやつたらどうかというような意見も実はないことはなかつたのですが、それでは適当でないであろうということで、その不足の点、今御指摘の点を合せた狙いでありまして、この法案でやろうというふうにいたしたわけでございます。特にガス油比の問題は動的な状態と申しますか、その点を捉えるのが問題になりますし、鉱業法の関係の施業案は事業計画的な年間のものを狙つておりますので、それをこの法律で狙つて行きたいというふうに考えております。
#108
○西田隆男君 それは理窟であつて施業案を出して許可すれば、必ずしも鉱業法にあるように天然ガスや石油のものを一年間放りつぱなしでおく必要もない、毎月報告をとつてその状態がどうなつているか資源庁のほうではわかつておらなければならん。これも長年間うちやつておいてもガス油比の状態がわかるというなら別ですが、六カ月を経過したらもう正常化されないものならば、毎月でも報告をとられて、そして監督されることのほうが、私はこの法律案を作つてこの法律で縛つてしまうというような考え方よりももつと有効適切な方法だと思う。この法律案の中にもそういうような意味のことを條文として附加えたほうがよくはないですか。
#109
○政府委員(松田道夫君) この法律の中にそういう点を附加えたらどうかというお話でございますが、初め御説明が足らなかつたと思いますけれども、記録をとどめておいて頂く、報告も出して頂く、届けも出して頂くということになつておりますので、この法案が施行されますと、先ほどの御指摘の点のように常時それを睨み合せ得るという状態になろうかと思います。
#110
○西田隆男君 まああなたがたこの法律を通したいためにそうおつしやるのだから、私もこの法律案に反対じやありませんが、なさなければならないことを現にしてないで、ただ法律を作つて監督権を強化し、あなたの言うように業者にさせるということのお考えだけでは仕事というものはでき上つて行かないので、この点は、この法律が通つてもあなたがたは十分にお考えになつてそして万全を実務の上に期せられるように努力せられんと、法律だけ作つても仕方がないから、その点私は希望を申上げておきます。
#111
○島清君 僕はさつき專門員のかたから今日は次の日程があるようなことを言われたので中途で打切つたのですが、私が質問したときの局長のお答えと、鼠入さんの答弁と私素人的に考えても食い違つておるような気がいたしますのでもう一遍念を押したいと思いますが、私が御質問申上げたのは、同一油層内に井戸がある場合に、一つの井戸で合理的な採油をしておつても片方の近くの井戸のほうで手掘りみたいなことをやつておると、その合理的な採油をやつておる井戸に非常に影響を及ぼすのではないか、従つて最も合理的な採油をしようとするには、その手掘りの井戸を何とか始末をしなければならないじやないかという意味で御質問申上げたのです。これは局長もそういう意味を前提として御答弁になつたと私は承知いたしますが、鼠入君の御答弁を承わつておりますと、そうじやなくして、一つの井戸が他の井戸には全然影響を及ぼさんのだという意味の御答弁のように承わつたのですが、これはどうなんですか。
#112
○説明員(鼠入武夫君) 私の答弁が若し一つの井戸が他のものに影響がないというふうに聞えたとすれば、それは説明が非常に不十分な点でありまして、その説明を申上げました際に、油層というものが一つの連続性を持つておるということにおきまして、たまたまガス油比という問題に触れましたから坑口において調整できるということを申上げたのでありまして、坑井が個個に独立しておるというようなことはこれは考えられない問題であります。
#113
○島清君 それはちよつとどういうことですか。
#114
○説明員(鼠入武夫君) 坑井が個々に独立しておるというふうにとり得るというお話ですけれども、油層というものは一つの連続したところの流体運動を起すものでありまして、例を挙げれば風船の中に穴をあけたと同じでありまして、穴が二つあけばお互いに関係を持つたものが流れるということでありまして、独立しておるというような場合には絶対関係がございません。従いまして坑井は相互に関連しておるということになります。ただ手掘りという問題になりますと、手掘井というものと隣りの坑井との関係ということになりますが、手掘井で手掘り限度と申しますと、大体二、三十間ということになります関係からして、現在におきましては手掘井というものと、或いはほかの採油非というものとの関係は殆んど生れておりません。従いまして深度の関係で相互に関係があるということは起きません。又相互に直接的な重大な関係を持つて来るというような場合におおむね自噴しておるケースでありまして、ポンプで揚げておるというようなものは、勿論既存井につきましても問題にならないということはありませんし、既存井につきましては更に坑共間隔を拡げるということになりますと、補償等の問題等も発生するというような観点から、既存井につきましては、重大な損失の起きないという限度におきましてそういうことが大体考えられるという点からして、既存井につきましてはそれに触れないというふうに坑井間隔の所で謳つております。
#115
○島清君 地質や或いはその暦によつても違うと思いますが、日本の油やガスの地下資源につきましては、一つの井戸と他の井戸との間の影響というものは大体において何メートルぐらいだと測定されておるのですか。
#116
○説明員(鼠入武夫君) 坑井間隔という問題になりますと、これは油層の圧力の関係或いは滲透率と言いますか、油層の中を通り得るところの能力というような問題と関連を持ちます。大体におきまして日本におきましては五百メートル程度までは五十メートルぐらい最小限度あけなければなりません。それから千メートル程度になりますと七十メートル前後、或いは千メートル以上になりますと八十メートル乃至八十五メートルあけなければならん。従いまして両方の幅をとりますと坑井と坑井の間は百五十乃至百七十といつた数字が生れて参ります。大体それが日本におきますところの平均したどころの一つの基準と考えております。
#117
○島清君 現在日本にどのくらいの井戸があるかどうか私はよくは存じませんが、現在ある井戸と井戸との間隔ですね。この法律を仮に現在採油しておりますところの井戸に適用するといたしますと、この法律で話合をしなければならないという井戸が、大体パーセンテージにしてどのくらいにあるものですか。今その御答弁ができなければあとでもいいのですけれども、私が申上げておるのは一番近代的なコンサーべーシヨンをやつておりますところの帝石さんですら本委員会において問題にされ、そうして資源庁のほうから勧告を受けておるような状態なんです。帝石さんにおいても、而も帝石さん以外のもう石油業者というものは殆んど手掘りでやつておるわけです。だからこういう法律を適用した場合には、一体この現状とこの法律がどういうふうにマツチするかということを私は今お聞きしたがつたのです。ですが、これはあとでよろしうございます。
#118
○清澤俊英君 ちよつとお伺いしますが、先般来の質問に今の帝石の八橋の問題ですが、あれは大体正常に行つておるというような御答弁がありましたが、そうすると、先般再勧告せられたことはどうなんでしようか、どうもうまく行つておれば勧告の要はないと思うのですが、ここのところを一つ……。
#119
○政府委員(山地八郎君) 実は先般帝石に対しましてコンサーべシヨンのコミツテイが第一回の勧告をいたしました。帝石側はその勧告に従つて実行するというような回答を得ましたが、先ほど鉱山局長が申しましたように、その後若干の技術的な実験をする必要があると申しまして、委員会の勧告通りにはしていなかつた事実がございます。我々のほうでもその点を確めました結果、結局元に戻つて委員会の勧告通りに励行しよう、そうするつもりでありますというお申出を帝石側から言つて来たわけでありまして、その後におきましては、帝石は委員会の勧告通りにやつておるものと一応我々は考えておるわけであります。ただ私は先ほど来技術屋が申しまする通り、現場のいろいろなデリケートな操作を伴つておりますので、本日只今現場であの勧告通りに正確にやつておるかどうかということを確める手段というものは確実に持つておるわけではございません。大体帝石の善意を信用しておるだけであります。ただ御質問になりました第二次の通産省側から勧告いたしましたと言いますのは、実はそのことだけではないのでありまして、帝石全体の社業の運営その他にいろいろ面白くない点もありまして、帝石全般の仕事が今後円滑に行かなければ困りますので、会社側で自発的に再建方策を考えてもらいたい、かように勧告したのでございまして、そのほかにございませんので、その点御了承願いたいと思います。
  ―――――――――――――
#120
○委員長(竹中七郎君) それでは次に移ります。臨時石炭鉱害復旧法案を議題にいたします。本案は先に提案趣旨の説明だけ行われておりますが、本日は法案の内容につきまして、その概略説明を求めたいと思います。
#121
○政府委員(中島征帆君) お手許に法案の要綱が配付されてあると思いますが、法律案の要綱とむしろこの際離れまして、全体的な構成から御説明いたしたいと思います。この法律の目的は再びここで申上げることもないと思いますが、先般の国会で成立いたしまして、現在実施いたしております特別鉱害の残りと一般鉱害をそのまま放置できない、これを如何に復旧するかというのがこの法律の目的であります。一般鉱害を調査いたしましたところによりますと、総額二百三十億の経費を要するものが現在ございまして、そのほかに特別鉱害が現在三分の一復旧しておりますが、合計七十九億、従つて鉱害全体としても三百億を超えるものがあつたわけであります。その二百三十億の一般鉱害の中で農地関係が約百億であります。それから道路或いは水道といつたような公共施設関係が約七十億、家屋或いは土地といつたような個人所有の建物関係を主にするものが約五十億、それでトータル約二百三十億になるわけであります。その中で現在復旧に適するものと適しないようなものとございます。それは現在なお鉱害が進行中であり、又将来その資産を採掘されるというような予定地になつておりますものは、これを完全に復旧いたしましても、又再び鉱害を受けますので、そういうものに対しましては完全な復旧というものは適しないという考え方をとるわけでありますが、そういうふうなものを除きまして、結局差当り復旧の対象になるものは、これは約百億と考えられます。この百億の鉱害の中でやり方を三に分けまして、この法律では考えられておるわけでありますが、第一には農地関係及び農業施設の関係、それから第二には道路、水道その他の公共施設、第三には家屋、土地という私有権、この三つに分けまして若干ずつやり方が違つておるわけであります。初めの二つに対しましては、これはいずれも公共事業費の関係になりますので、この二つについてその復旧を担当する事務機関といたしまして、鉱害復旧事業団という法人を作ります。この事業団におきまして、農地及び鉱業施設に関する復旧基本計画を策定いたしまして、毎年の復旧計画をここできめて主務大臣の許可を受ける、こういうことになるわけであります。農地及びその他の公共施設に対しましては、この復旧費に対してそれぞれ国費及び地方費の補助が出るという建前になつております。それからそれ以外の残りました家屋、土地に関しましては、復旧事業団の計画の対象になつております。これは鉱業権者と被害者との個々解決の一応の原則に委ねる、こういう考え方でありますが、ただそのまま放置いたしましては、現状を見ましても、なかなかこれは解決困難でありますので、できるだけ原状復旧ができるようなものは原状復旧を促進するという意味におきまして、原状回復に関する協議と、それから協議ができなかつた場合におきましては、通産局長がその裁定をする、こういう二つの手段を用いまして、個々解決に対して或る程度の通産局が介入なするというようなところで片附けております。大ずかみな行き方はそういうふうなことであります。それで第一の農地に関しましては、国の補助とそれから鉱業権者の賠償というものはどういう関係になるかと申しますと、この法律は鉱害の復旧を目的としてありますけれども、現在鉱業法の賠償原則というものは、鉱害の賠償は金銭賠償を原則とすることになつております。特に金銭賠償に比べて特別に多額の経費を要しないで復旧できる場合には原状回復を請求してもよろしい、こういうことになつておりまして、原状回復はいわば例外であります。その鉱業法の原則というものは、この法律で根本的には変えないというのが前提要件であります。鉱業法もまだできてから年数がたつておりませんし、その原則が確立されるまでには随分論議もありましたことでありますし、その根本法針には触れないで、できるだけ原状回復するというのがこの法律の狙いでありますが、その意味におきまして、原状回復をすべて鉱業権者の義務とするということは避けております。農地に関しましては、多くの場合におきまして鉱害を受けて減収しております農地に対しましては、加害鉱業権者は年々の減収額に相当するものを賠償いたしております。その年々の賠償額を資本還元いたしましたものを、その鉱業権者の農地に対する賠償額の限度だと、こういうふうな考え方をとりまして、それだけを鉱業権者から徴収するわけであります。これを納付金と言つておりますが、そういうふうな計算方式で計算されました納付金を事業団は鉱業権者から徴収する。それからその農地に対しまして、その復旧費が幾らかということを見ます場合に、多くは復旧費が徴収しました納付金より多い場合が大部分であります。これを平均的に見ますと、大体復旧費に対しまして納付金の平均が三割五分くらいになる、それで結局残りの六割五分というのは復旧費に対して不足する、こういうような計算が出ておりますが、その六割五分の不足分を国及び地方公共団体で負担して、その穴を埋めて復旧をさせると、こういうことになるわけであります。従つて鉱業権者としては鉱業法の金銭賠償の原則によります賠償額を一時に事業団に納めることによりまして、それにその補助金を合せて農地の復旧をやる。そして復旧いたしましたならば、これは鉱業権者としては原状回復したものでありますから、その後の賠償責任はそこで消滅するわけであります。ところが復旧工事をいたしましても、場所によりましては、従来の鉱害を受ける以前の程度の地味まで完全に回復しない場合が起ります。これは計画の齟齬ということも稀にはありますけれども、実際上の工事計画を立てる場合におきまして、工事費に比べてその効果が余りに少い場合には、むしろ工事費を一定限度にとどめて、原状回復の程度ば例えば九割くらいにとどめても、残りの一割を復旧するためには非常に大きな経費がいる場合には、一割だけは初めから原状回復を企図しない、こういうような工事も作ることがあるわけであります。そういう場合におきましては、工事をいたしましても、なお被害が残りますので、その分につきましては、残りました減収の程度というものを更に又資本還元いたしまして、それを被害者に支払いまして、そこで賠償金が消滅する、こういう考え方をとつております。その一時打切補償の金は、これは鉱業権者からとります納付金の中から、あらかじめこれは大体予算ができますので、それに応じまして別にとつておきまして事業団が支払う、こういうことになるわけであります。従つて先ほどの私の説明がちよつと不十分でありましたが、復旧費の三割五分が鉱業権者の負担だと、こう申しましたが、そのほかに鉱業権者が納付金として復旧費の三割五分のほかに、今のような打切補償金のようなものが天引されますから、実際としては原状回復費用の三割五分以外に、そういうものがプラスされたものが納付金になる、こういうことであります。それから今のような例におきまして、例えば地盛りを、例えば鉱害によりまして三尺下つておる土地を三尺上げれば、これは原状回復になりますけれども、もう大体二尺くらい上げても普通の状態、或いは昔と同じような収穫を上げることができるというような場合には、二尺しか上げない場合がありますが、或いは例えば一尺上げて排水施設をそこに設けることによつて、従来通りの収穫が期待できるというような場合には、むしろ地盛りを低くしてポンプを据付けるということが起るわけでありますが、そういう場合にはポンプの施設費は当然原状回復費用の中に入るわけでありますが、それができ上りました後のポンプの維持管理費につきましては、これも毎年の費用を計算いたしまして、それを何カ年間の、要するに資本還元いたしましたものを維持管理費として一時支払いするわけであります。そうしまして、まあいわばポンプの維持管理費は、一時もらつた金額の金利程度で以て将来に対する維持管理ができると、こういうふうなものを内金で支払うわけであります。その費用も事業団があらかじめ納付金の中から天引きする、こういうようなことで農地に対しましては復旧を図るわけであります。それから同じ公共事業費の中でも公共施設に関するもの、これは主に道路であり、橋梁であり、金額の大きいものは水道、下水道でありますが、鉄道も一部ございます。そういうようなものに対しましては、鉱業権者の賠償責任の限度というものが金銭的に幾らであるかということが算出できますならば、只今の農地の場合と同じように、それだけ出させまして納付金として徴収いたしまして、不足部分を国費で補助するということができるわけでありますけれども、農地の場合と異なりまして、例えば道路等につきましては、鉱害によりましてその破壊された道路がそれではどの程度の価値の減少があつたかということは金銭的に甚だ算出がむずかしいのであります。むしろ不可能に近い、強いて言うならば、その場合はその道路の復旧をして、元通りに直す道路の復旧費そのものが、これは鉱業権者の負担すべき賠償責任であるというふうなことになります。それを少しでも少く見積るとか、或いは更に大きい義務があるというようなことは、どうもほかの方法で以て言い得ませんので、結局におきまして、その公共施設については、復旧費が鉱業権者の義務である、賠償責任の限度であるというふうにならざるを得ないのであります。そこで勿論この場合におきましても、例えば道路が相当長期に使用せられました結果、かなり破損されておる、それに併せて鉱害が起つて一層破損の程度が激しくなつておる、こういう場合におきましては、初めの破損の前の程度まで復旧いたしますというと、それはその鉱業権者としては鉱害による部分以上を復旧したことになりますから、その復旧費の全額を負担するということは、これは必要はないわけであります。従つてそのようなものにおきましては、鉱業権者は一般的な使用に基く破損部分と、鉱害に基くものと推定される部分と、その比率を負担するということになりますから、絶対的に道路の復旧費の全額を同じ鉱業権者が負担するという結果にならない場合が多いのでありますが、考え方としては今申上げましたようなことになるのであります。そこでこれに対しましては、現在公共施設に対する公共事業費からの補助金がございます。これはおおむね工事費の五割程度を補助されておりますが、この五割の補助金はこれは一応国から出してもらうということになつております。一応国及び地方公共団体は合せて半額程度の補助金を公共事業費の原則に基きまして補助するわけでありますけれども、本来その復旧費というものが鉱業権者の全責任に帰すべなものだ、従つて国はこれに対して補助は出したけれども、本来は鉱業権者の支払うべきものを出すのであるから、ただ一時にそれだけのものを負担させるのが、一般の公共事業費が補助されておるという振合いから見て気の毒であるからという論議もありまして、公共施設に対します国の補助は将来何年かの後鉱業権者から償還をさせるということになつております。これは法律では償還という文字は使つておりません。補助金として一遍出して別に徴収するということになつておりますが、償還させるということになつております。従いまして公共施設につきましては、一応鉱業権者が全部復旧費を負担するという建前になつております。それから家屋、墓地等に関しましては、先ほどちよつと触れましたところで大体要点は盡きておりますけれども、これも家屋の復旧ということを全面的に原則的に取上げるということは鉱業法と矛盾いたしますので、特に家屋の復旧に関しまして協議をすることができる場合、或いは通産局長が査定をし得るという場合というものは、一般の公共施設の復旧に関連いたしまして、当然にその家屋の復旧まで、家屋等の復旧をしなければならないというふうな場合、これを例えば道路をあけたためにその附近の道路に沿つておる家屋も当然或る程度の工事をしなければならないということが一番手近かな例でありますが、そういう場合には当然復旧に関する協議ができることになつております。それからそういうふうに一般の公共事業の工事と関連いたさない場合におきましても、非常にその家屋の鉱害程度が甚だしくて、実際の使用に非常に支障を来たしておる場合にもやはり協議ができるというふうになつております。従つて單に鉱害によつて家屋が若干の被害を受けておるというだけでは復旧に関する協議まで持つて行けないということにいたしております。その理由は、いやしくも鉱害によつて家屋が若干傾いているという場合に、すべて認可をいたしますと、鉱業法上の原則を全面的に変えるばかりでなく、徒らにいろんな紛争を起すことになりますので、そういうふうに止むを得ない場合にだけということにいたしておりますので、この点は被害者としては若干不満の意向が強いというふうに私は考えております。で、協議裁定をいたしました際の効果というものは、通産局長が、例えば某々家屋はこういうような計画で復旧すべきものだと、こういう裁定をいたしますというと、それはこの法律案におきましては別に強制力は持つていないのであります。その効果としましては、鉱業権者と被害者との間でそういうふうな内容の協議が整つたという、つまり契約が成立したというふうな民事的な効果を持たせております。従つて鉱業権者がその裁定にもかかわらず実際の復旧をやらなかつた場合には、これはやはり民法の原則によりまして適用するというようなことになりまして、これに対する行政的の措置はこの法案では考えていないのであります。大体以上のような構想でありまして、次にこの事業団の内容を若干御説明いたしますと、このような仕事をいたします鉱害復旧事業団というものは、これは先ず政令で以て地域を指定いたしまして、この指定された地域に事業団を作ると、こういうような順序になります。現在考えられておりますのは、この一つの事業団が、予定されております復旧工事の計画或いはこの工事を実行いたしまして相当なこれは人手も要しますが、その経費倒れにならないようにということから、この実行を考えなければならんと思つております。そういう意図からいたしまして、只今では九州地区を一本といたしまして、九州に一事業団、それから宇部、山口でありますが、宇部地区に一本、宇部は九州に比べまして、全体の鉱害額から言いましても五%程度でありまして、非常に小さいわけでありますが、小さいだけに早くこじんまりとやればやれないこともないというふうな事情もございまして、大体今のところでは九州及び宇部にそれぞれ一つの事業団を作ると、こういうふうな構想であります。これは手続をいたします場合には、発起人が被害者、加害者及び第三者、第三者の中には府県或いは市町村等が入りますが、そういうものの代表者が少くとも入りまして、そこで発起人になりましてやるということになります。それから発起人がこれは認可申請を通産大臣にするわけでありますが、発起人が理事長を推薦いたします。それによりまして最初の理事長ができ、更にその理事長を選任して議決機関ができるわけであります。設立されました以後、つまり第二の改選期以後におきましては、理事長は評議員会で推薦する。評議員会で推薦した者から通産大臣が任命する、こういうことになつております。で、評議員会の構成は、これも被害者、加害者、第三者という三者構成で行つておりまして、そのそれぞれがいずれも過半数を占めてはならないというふうなことになつております。大体の考え方といたしましては、被害者及び加害者が同数であり、第三者というものがそれよりか少い、少い人数で以て構成すると、大体こういうふうな考えでおります。で、事業団の仕事につきまして基本的なことは、議決機関としての評議員会がこれをきめ、評議員会には勿論理事長がる出わけであります。この評議員会で一番基本問題であります復旧地基本計画をきめ、更に各炭鉱別の負担計画、こういうものをきめます。事業団の仕事といたしましては、基本計画を作るということと、納金を徴収して、それを支払うということがまあ一番主な仕事でありまして、それ以外にはいろいろここに書いてございますが、実際の復旧事業を行う場合もございます。これは事業団が直接その復旧事業を、復旧工事を施行するように考えられがちでありますけれども、この法律の建前といたしましては、復旧事業を事業団が担当するのは例外的な場合でございまして、本来はこれはそれぞれ道路法、河川法或いはその他の土地改良法とかいつたもので、大体どういうふうなものがその工事を担当するかという原則がきまつております。それは例えば市町村でやることもあり、土地改良区でやることもあるのであります。各法律に基くものが法律に定められたところによつて工事を担当するのであります。それから又鉱業権者が工事権者になり得る場合もありますが、いずれの法律によりましても工事担当者が縛られていない、而も復旧事業団が担当するのは一番適当だと、こういうふうに認められた場合においてだけ事業団が工事施行者となるのであります。例えば鉱業権者が本来ならば工事を担当すべきことになつておるけれども、その鉱業権者自体が工事を施行する能力がない、そういつたような場合には事業団がする。それ以外の場合におきましても、例えば道路と農地とガス或いは水道といつたようなものを総合的に一緒に工事したほうがよろしいという場合がありまして、而もそれぞれの法律に基いておりましても、事業団が担当し得るという場合には、むしろ事業団がそれを包括的にやるというようなことも考えられております。そういうふうな例外的なケースの場合にだけ事業団がやる。従つてそれ以外のものにつきましては、ただ納金の中から支払うべきものをその工事の担当者に支払うというふうなことが事業団の実際の業務でありますが、本格的な仕事の実体というものは、むしろ基本計画を作るというところにあるわけであります。それから事業団のやり方といたしまして、借入金をし、或いは復旧手業債券を発行するということが認められておりますが、これは復旧工事をいたします場合、例えば特に家屋等に関しましては鉱業権者が復旧をいたしたいけれども、金融的にその能力がない、こういう場合におきましては、事業団としては資金運用部の資金その他の借入金等で運用いたしまして、鉱業権者に資金の貸付をして復旧をさせる、こういうふうなこともできるようになつております。家屋等につきましては、この資金の手当が満足に行きますと、この点から事業団が援助することによつて或る程度の家屋の復旧も促進されるということになるかと思つております。
 大体條文を逐わないで構想だけ申上げましたが、この法律の大体の考え方というものは以上申上げましたような点でございます。
#122
○委員長(竹中七郎君) 只今この法案の概略の説明がありましたが、更に理解を深めるために特別鉱害法と殊に異なる点を挙げて重ねて御説明を願いたいと思います。
#123
○政府委員(中島征帆君) 特別鉱害法と今度の法律と根本的に異なりますのは、特別鉱害は本来国の責任に属するものであり、従つてこれの復旧に関しては国が相当の責任を持つて補助金を出す。この出発点が違うわけであります。従つて今度は鉱業権者の場合におきましても、鉱業権者はこの鉱害を惹き起しておる鉱業権者だけのこれは責任ではなくて、一般的な石炭の増産の要請に基いてやつたわけでありますから、これはやはり石炭鉱業権者が全体的に負担をやはり負うべきものと、こういうふうな考え方からスタートいたしまして、従つて特別鉱害に対します国の補助というものは、現在考えられておりまする一般の鉱害復旧に対しまする場合よりも非常に率が高率であります。それと同時に最も根本的な点は鉱業権者の負担を、これは只今私が説明いたしましたような方式の計算によらず、石炭一トン当り何円というふうに負担をするわけであります。これは当初は全石炭鉱業権者から何がしの負担金をとるという構想で始まつたのでありますが、結局現在の法律におきましては、特別鉱害を起しておる鉱業権者だけに限りまして、この鉱業権者の鉱害に直接関係ありまする炭鉱からは二十円、それから鉱害は惹起しておらないけれども、同じ会社の他の山から各十円という負担金をとりまして、それを全部合せまして、あらかじめきめられております。例えば農地に対しましては国の補助が八割出ております。又あとの一割が地方団体の負担になつておりますが、従つて復旧費に対しまして、最終に残りました一割というものを特別鉱害のほうにプールして特別会計の中から支払う、こういうことにいたしておりまして、従つて特別鉱害の復旧のやり方というものは特別会計によりますプール的な方式をとつております。それに対しまして今度の法律案におきましては、いずれも個々に賠償関係乃至は復旧関係を規定いたしておりまして、従つて鉱業権者としては某々の田畑に対しまして幾ら負担すべきか、これを減収率から換算いたしまして負担額をきめ、更にその他を復旧するために幾ら要るか、その差額を国が支弁する、こういうことになります。従つて国の負担する金額というものは工事別或いは田畑別に違つて来ます。先ほど申上げました国、地方を合せまして六割五分という負担は、これは全体の平均でありますから、従つて個々のことをとりますというと、七割乃至八割の場合もありましようし、或いは二、三割の場合もあるかも知れません。そういうような個々別々のケースとして取上げるというのが今度の立案の建前であります。その点が一番根本的な組織でありまして、従つて家屋に対しましては、特別鉱害の場合はやはりほかの場合と同じように特別会計で取上げ、全体の復旧計画の中に盛込んでおりますから、今度の場合には事業の計画に入れておりません。特別会計の場合におきましても、家屋に対しましては補助は勿論これは出ておりません。併し一応プール資金の中から支払う、従つてプールされた特別会計の資金というものは家屋に対しましては一〇〇%特別会計が負担する、それから農地に対しては一割を負担することでよろしい、こういう恰好になつておりますが、一般鉱害に対しましては勘定が違いまして、家屋は法令的にすべてこれは鉱業権者が全責任を以て賠償する、或いは復旧をするということになつております。全体計画的に取上げられませんし、又補助金も出ますので、これを初めから基本計画から除く、こういうことになつております。この点が一歩大きな違いであります。又先ほどもありましたように、一般の公共施設に対しまして補助は出ますけれども、これはあとで又取上げるという点に関しましても、特別鉱害と一般鉱害とのやり方が非常に違つておるということであります。それから形式の点におきましては、特別鉱害に関しましては、特別会計で以てこういうふうな建設的な処理をやるわけでありますが、今度の場合には事業団というものを作ろう、これは構成は法人格を持つておりますが、財団法人とも社団法人ともちよつと違つた一種特別の法人でありますが、要するにその実体といたしましては加害者、被害者、第三者というものが大際上その運営に携わるというわけでありまして、国はその事務経費の一部を負担いたしますけれども、完全に特別会計によらない、この点が形式が違う。それから一点は特別鉱害の期限は一カ年であります。で、実際問題といたしましては、これは或いは一年ぐらい実験をしなければならん結果になるかと思いますが、とにかく一年としたのであります。臨時石炭鉱害のほうは十カ年であります。いずれも臨時立法でありますが、金額の大きい関係からその執行期間が十倍になつておる。で、十カ年で復旧できるかということに関しまして、結局国の予算が大体計画通り毎年十分の一ずつだけ付くかどうかということにかかつておりまして、更に又この十カ年に近くなつた場合には、期限そのものも、又この法律全体の構想というものも再検討する必要もあろうかと思いますので、一応十カ年で十分とは考えられませんけれども、臨時立法の期限として十カ年としてあるのであります。
#124
○委員長(竹中七郎君) ちよつとお伺いいたしますが、この普通鉱害二百三十億、そういたしますと、農地が百億、道路が七十億、建物土地その他が五十億ということになると、鉱業権者は農地の三割五分を出し、道路、建物を皆出すということになると百五十五億、これは鉱業権者が皆出すということになるのですか、大ざつぱな考えでそうなんですが。
#125
○政府委員(中島征帆君) 百五十五億ということではございませんが、現在のあれでは復旧されますものが、先ほど冒頭に申上げますように、復旧に適するものだけ取上げまして、大体十年に百億乃至百二十億くらいと予想しております。そのうち農地がその場合に五十億だつたと思いますが、その約六割五分が国の負担になりますので、従つてそれだけを除いた残りが結局においては全額が鉱業権者の負担と、こういうことになります。
#126
○清澤俊英君 ちよつとわからんところがあるのでありますが、御説明の中に一般鉱害二百三十億、これはわかりますが、そのほか七十七億、合計約三百億、その七十七億は何ですか。
#127
○政府委員(中島征帆君) 七十九億であります。これは特別鉱害で現在復旧計画に載つておりますものが七十九億。
#128
○清澤俊英君 その次、二百三十億のうち回復可能のものが百億余ですか、あと百三十億に該当するものは回復ができない、この分はどうなんですか。
#129
○政府委員(中島征帆君) これは主として現在鉱害が進行中であり、この法律の施行期間が十年経つてもまだ安定しない、そういうようなものでありまして、大体十年以内に安定するもの及び現在すでに安定しておるもの、こういうものを取上げて百億ということにしておる。従つて残りましたものが十年後にどうなるか、十年後に又それらを拾つて、その頃には安定しておるから、更に同じような方法で継続してやるということも考えられますし、又別の考え方をとりますと、この法律で特に臨時的に特別措置をしなければならん趣旨というものは、本来こういつたような鉱害というものは鉱業権者が全責任を持つて処理すべき性質のものである、ところが余りに今多額に鉱害が累積しておるので、鉱業権者だけの措置ではなかなか解決困難ということから取上げられております。従つてその中の、二百三十億の中の半額がこの法律によつて復旧され、解決されるということになりますと、残りのものは鉱業権者の資力で以てやれるだろう、こういう考え方もとれるわけであります。
#130
○清澤俊英君 そうしますと、百億のうち、これから負担する事業団を以てかかろうとする百億の金を前のように分けますと、農地にどのくらい、鉱業施設にどのくらい、家屋にどのくらい、こう大体の目安を……。
#131
○政府委員(中島征帆君) いわゆる鉱業施設として、これには土木、水道、鉄道、学校、こういうものがありますが、その関係の鉱実復旧予想額は五十八億であります。それから農地及び農業施設、これは溜池でありますとか、そういつたようなものであります。それの復旧費が四十三億、そのほかに農地関係では、先ほど説明いたしましたように一時金、補助金でありますとか、或いはポンプの維持管理というようなもの、これも要りますので、それを合せますと全体で百六億になります。ついでにもう少し説明をいたしますと、それに対しまして鉱業権者から徴収できるという納付金が全体で四十六億……。
#132
○清澤俊英君 そこまでお聞きしているのではない。農地関係が四十三億、道路、水道、公共のほうが五十八億、家屋のほう、個人のほうはよろしい。
#133
○委員長(竹中七郎君) 本日はこの程度でよろしうございますか、御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#134
○委員長(竹中七郎君) 御異議ないものと認めまして、本日はこの程度で散会いたします。
   午後四時三十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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