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1951/06/10 第13回国会 参議院 参議院会議録情報 第013回国会 通商産業委員会 第45号
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1951/06/10 第13回国会 参議院

参議院会議録情報 第013回国会 通商産業委員会 第45号

#1
第013回国会 通商産業委員会 第45号
昭和二十七年六月十日(火曜日)
   午後二時一分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     竹中 七郎君
   理事
           結城 安次君
           栗山 良夫君
   委員
           中川 以良君
           加藤 正人君
           小松 正雄君
           島   清君
           境野 清雄君
           西田 隆男君
           石川 清一君
  国務大臣
   通商産業大臣  高橋龍太郎君
  政府委員
   通商産業省通商
   機械局長    佐枝 新一君
   資源庁炭政局長 中島 征帆君
   資源庁炭政局開
   発鉱害部第一課
   長兼第二課長  大山  隆君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       林  誠一君
   常任委員会専門
   員       山本友太郎君
   常任委員会専門
   員       小田橋貞寿君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○派遣議員の報告
○臨時石炭鉱害復旧法案(内閣送付)
○航空機製造法案(内閣送付)
○本委員会の運営に関する件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(竹中七郎君) 只今より通商産業委員会を開きます。
 臨時石炭鉱害復旧法案を議題といたします。先ず派遣議員の報告を求めます。島委員。
#3
○島清君 委員長の御指名を頂きまして福岡県における石炭鉱害の現地視察の経過並びにその概要を簡単に報告いたします。
 派遣されました委員は竹中委員長初め清沢委員と私の三人でございましたが、特に現地参加といたしまして小松委員が同行されましたのでございます。五月の三十日より六月の四日までの六日間、できるだけ広い鉱害地を見、多くの関係者の意を聴取して参りました。
 視察箇所は、福岡県遠賀郡、嘉穂郡、鞍手郡、粕屋郡の各地、関係炭鉱は高松炭鉱、新入炭鉱、大ノ浦炭鉱、日尾炭鉱、忠隈炭鉱、鯰田炭鉱等のうち約二十五カ所に亙り各地区ごとに関係者と懇談会を開き、地元の意見を十二分に聴取、更に最終日には福岡市におきまして通産局長の肝入りで関係者との懇談会を開催し、各方面からの総括的な意見を聴取して参つた次第でございます。
 本視察を通じて感じましたことは、第一点といたしまして現地の鉱害は我我が東京におりまして想像した以上に大きかつたことでございます。福岡県下の鉱害は、最近の調査によりますれば実に二百十四億円の巨額に達し、全国鉱害の九十二%を上廻つており、これらの鉱害による経済上の損失、公共福祉の阻害、或いは人心の不安等は大きな社会問題となつていることをひしひしと感じたのでございます。私たち一行が折尾の駅に着きますと、駅頭は知事初め被害者、炭鉱関係者等約三百五十人もの出迎えを受けまして、被害者から真先に私たちもは切々たる陳情を受けたのでございます。以後至るところ豪雨の中、我々一行の来るのを今や遅しと長時間待ちかまえまして、最後の視察地に至るまで陳情を聞いて参りましたが、それは生活上の苦しみから、又農民本来の土地に対する愛着からにじみ出たもので、終始本視察を通じましてこの声を聞いて参つた次第でございまするが、私たちといたしましては本問題解決については深い深い責任と今後の大きな努力を必要とするであろうということを痛切に感じた次第でございます。
 第二点は、特別鉱害復旧工事が種々の困難を克服しつつよく進歩している事実であります。特別鉱害復旧臨時措置法制定当時、鞍手郡方面の一面の湖であつた田並びに墓地約三十町歩が完全な美田になつているのを見たときは非常に心強く思つた次第でございます。その他各地において特別鉱害復旧工事が熱心に行われていましたが、本法は五年間の臨時立法でありまして、認定された鉱害の復旧は今日単価の値上り等の事情で完了されるまでには相当困難を要し、一部分残ることは火を賭るより明らかでございまして、これが対策については今後の問題として善処方を強く要望をされました次第でございます。
 第三点は、農地の原形復旧工事は必ずしも完全なる効用回復を伴うものではなく、地方の回復にはその地に適合した土壌の成分その他いろいろの条件があり、それが整わなかつた場合は、他の如何なる努力を払つても、完全なる収穫を挙げることが困難であることも想像されました。一方完全なる美田となつている多くの田畑も見受けられました。従つてこれが回復後の賠償責任打切り問題については相当研究さるべき問題であろうかと存ずる次第でございます。なお、農地の復旧工事施行については、その特性に鑑み、農業科学的に大いに研究さるべき問題であるかとこれ又思つた次第でございます。
 第四点は、非公共事業、いわゆる家屋墓地等の復旧については、特別鉱害の分につきましては一応計画的に進められておりまするが、本法における程度では果して完全なる復旧がなされるかどうか、大いに研究さるべき問題だと思われました。特に中小炭鉱にして加害者不明等の被害については、今なお悲惨なものがあり、これが復旧についての努力を払うべきと深く感じたのでございます。同時に非公共全般の問題について適当なる処置を講ずる必要があるのではなかろうかと思つた次第でございます。
 第五点としまして、本法による不適地の選定については、その方針決定に誤りのないようにしないと現地においてはいろいろな深刻な問題を起す虞れがあると感じられたのでございます。特にこれが濫用されないようにとの強い要望でございました。又明らかにこれは不適地であると思われる箇所も、相当部分あるやに、現地に多くのその例を見て参つたのでございます。
 第六点は、道路、鉄道、河川等の復旧工事に伴い、附帯工事が完全に行われていないため、全然鉱害を受けていない場所が、そのために天災地変等の災害の場合より却つて多くの被害を受けるようになることもありまして、これらに対しては何らかの処置がなさるべきだと思われたのでございます。
 第七点は、ポンプの維持管理については現地においていろいろな論争を起しつつあり、適当な処置を講ずる必要があると思われた次第でございます。
 その他個々の被害地においては、それぞれの特性により、いろいろと詳細な説明を承わりましたが、最後の福岡における懇談会の席上におきまして、各代表から総括的な意見の開陳がございまして、会場には関係者多数が御参会をなさいまして、それこそ文字通り、溢れんばかりの参会者で始終熱心なる討議が行われまして、私たちは非常に有益なる意見を拝聴して参りましたが、被害者代表者及び地元公共団体の意見を述べますと、要約いたしますて次の五点に大別することができるのでございます。
 その第一点は、本法第二条の公共施設の項目については、学校及びその他の公共施設を加えること、第二点、非公共事業、家屋墓地等を含むのでございまするが、これの復旧については法案第四十八条の復旧基本計画に準じて、一定の計画を樹立し、計画的に復旧をすること、第三点、地方公共団体の負担の免除、第四点、復旧工事完成後における賠償責任の消滅は効用恢復の成つた後といえども、この復旧が原状恢復でないことに原因をして、農作物が減収した場合には、鉱業権者の賠償責任は消滅しないこと、及び復旧完成後の賠償期間は三年乃至六年とすること、第五点、復旧不適地の決定については、当該市町村長及びその所有権者、耕作権者の同意を得るようにすること以上の五項目でございますが、特に賠償打切と非公共の復旧に対する二点については、これが目的達成について強い要望がございました。
 又鉱業権者代表からは、大体次の五項目についての要望がございました。第一点は、法案、第五十一条の耕地の対価プラス離耕料の決定中基準賃貸価格の二千を下らず五千を超えない範囲とあるを、もつと引下げること、第二点、灌漑排水施設の維持管理は事業団が持つこと、第三点、公共施設に対する国の補助率を明らかにすること、それは一般災害と同率にすること、第四点、賠償責任問題は原案通りとすること、第五点、非公共事業の復旧措置については、原案通りとすること、以上の五項目でございまして、特に第四点、第五点の修正については、強い反対があり、被害者と全く相対立した形で、両者とも非常に強いものがございまして、今後の委員会の審査について十分検討さるべき問題だと思います。
 その他個々の被害者、地方公共団体等から発言がありましたが、大体その立場において以上の五項目に要約されると思いまするので、省略をいたします。
 ともあれ鉱害復旧工事の促進は誰しも望むところであり、地元民は本法律案成立を一日千秋の思いで待つていることをお伝えいたしまして、報告を終ります。
#4
○委員長(竹中七郎君) 報告は終りましたのでございますが、お諮り申上げます。委員長一任となつていましたこの法案に関する公聴会は、十六日に決定いたしまして、目下公述人の人選中であります。
 もう一つは、この法案に対しまして、農林委員会から、委員外議員として質疑の申出がありました。今週中、大体金曜日の予定でございますが、委員会を開きまして、そこで委員外発言をお許しいたしたいと思いますが、御異議ございませんでしようか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(竹中七郎君) 御異議ないものと認めまして、さよう取計いいたします。
 では御質疑を賜わります。こちらに政府委員といたしましては、炭政局長中島君、炭政局鉱害第一課長大山君が見えております。
#6
○栗山良夫君 議事進行について……。この鉱害復旧法案は、相当審議を終るまでには回を重ねて慎重にしなければならんと思うのですね。従つて今日の議事の予定がどうなつておりますか。委員長のほうで然るべく按配をされまして、そうして通産委員会も過日来の経安等の連合委員会によつて若干議事の進行が緩慢になつておる点もありまして、特に雑件等について無処理のものもありますから、そういうものも今日一応結末をつけるほうが私はよくはないかと思いますが、その辺を一つ委員長の意見を開きたいと思います。
#7
○委員長(竹中七郎君) 実ば先ほど委員長理事懇談会をいたしまして、特に安本委員長も御出席願いまして、連合委員会のお話を申上げたのでございますが、それで本日はこの石炭鉱害、それから航空機製造法案、これをお願いいたして、明日事業者団体法案、中小企業安定法案、輸出取引法案を連合委員会でお願いしたい。そうして十二日は輸出取引法案、航空機製造法案、十三日に、金曜日ですが、石炭鉱害復旧法案、これは先ほど申上げました農林委員の委員外質問をお許しして、十四日の土曜日に中小企業対策の問題、それから十六日、月曜日が、石炭鉱害復旧法案の公聴会と、こういうように進めたいと思つておるのでございます。その点御了承願います。ちよつと速記をやめて……。
   〔速記中止〕
#8
○委員長(竹中七郎君) 速記を始めて下さい。
#9
○島清君 只今西田さんから、視察に行つた諸君から質問してくれという話でしたが、まあ西田さんはこの二十日の期間に上げたいということを前提としておられるので、それはこの法案に限らずたくさん法案があるわけでございまして、その調整というものは委員長のほうで適当におやり頂きたいと私は思つております。そこで私は先ほどから申上げておりまするのは、衆議院のほうで折角そういう動きがあるにかかわらず無駄な時間と思つて更に次の議会に徹底的に衆議院を……、今中島政府委員の説明を聞きますると、一両日に上つて来ると、こういうことですから、上つて来たときに徹底的に質疑を展開したほうがよろしいと、こう思いまして先ほど申上げたのですが、如何なものでしようね、そういうふうに扱つて頂いたほうがすべての議事の進行上よろしいかと思いますが、どうしてもやれとおつしやればやりますがね。
#10
○西田隆男君 どうしてもやれというのではないけれども、やつたほうが一番効果的だろうということを言つているのです。
#11
○栗山良夫君 それで私さつきから議事進行の発言をしておるんですが、最も効果的に審議を進める意味において、大体審議の方針を一応きめて、そうして発言者等もあれば用意して頂いて、そして最も能率的に行くようなことを相談しておいて、次回から私は本格的にやつたほうが議事進行上よくはないかと、こう思うんです。
#12
○委員長(竹中七郎君) 栗山君の御発言に対しまして西田さん何か御意見ありませんか。
#13
○西田隆男君 私ばかり言つても……、私は何も、その今日質疑の必要がなければ私がやつてもいいですよ、それは折角調査に行かれたかたが見えておるからね、何だろうと思つて……。
#14
○委員長(竹中七郎君) あとは私のほうで勘案いたしますが、今日少し御質問願つたほうがいいのではないかと思いますがね。
#15
○西田隆男君 それでは私は、今日は、調査においでになつた人に関係のない基本的な点を少し中島さんにお尋ねします。
 この前、提案理由の説明を聞いておりましたのですが、我々は予算委員会での予算審議の過程において、今度出る法律案に対するはつきりした予算が予算書の中に計上されていないという点に非常に疑念を持つておるのであります。それは何故かと申しますと、中島さんも大分いじめられたほうだと思うのでありますが、企業合理化促進法案、あの法案は自由党の議員提出で出ておつたにもかかわらず、予算にはつきり十七億八千万円程度の予算が明記してある。而もこれは政府提案で出されることが予期されておるにもかかわらず予算の中に明記していないのですが、この点は大体資源庁と関係五省との連絡会議で何故資源庁のほうは譲歩されたのか。予算に明記していないがこの法律が通つた場合は、この事業の目的を達成するに必要なだけの金がどこかに取つてあるのか。金は果してあなたがたが会議をせられたときと同じように十分に取れるのかというような点について御解明願いたい。
#16
○政府委員(中島征帆君) 予算の点につきましては、私どもの考えとしては、大体法案の構想がまとまりましたときに、一応の計算をいたしまして、本年度の公共事業費の中に入れるという目的で以て交渉いたしたのであります。各省ともそれについては勿論賛成でありまして、そうやつてもらいたいという意向が一致しておりますが、これに対して大蔵省の意見としては、すでにそのときには一般の公共事業の予算はすでにもうきまつておりましたし、更にこれにあとから追加するということは非常にむずかしい点と、それから法案の内容そのものが果してまだどういうふうになるか、これは審議の結果を待たなければわからないという基本的な問題がありますほかに、全体の鉱業権者の負担金、又これに見合う国及び地方団体の補助金の額、それから国及び地方団体のそれぞれの分担割合、こういつた点につきまして、法案が成立されるまでには決定的な線が出ていなかつた。従つてこれを予算化するということが、そういう計数上の関係で確定しがたいということが一つの理由、それからいま一つ理由といたしましては、すでにその当時まできまつておりました公共事業費予算の中でも、若干は当然各省主務官庁としてはそれぞれ事業計画があるわけですから、その事業計画の中には一般鉱害の復旧に関する工事もあるわけですから、だからこの法律が施行になつても、予算をいじらなければ全然工事ができないということにはならないはずだ、こういうふうな大蔵省の御説明もありまして、それに対しまして、各省はもうすでにきまつておる予算に対しましては、別のほうの見地からそれぞれ計画を組んでおるので、この新らしい一般の鉱害の問題についてはなかなか出しにくいという、全然相反した意見がありまして、その点は一致いたしておりませんでしたけれども、結局そういうふうないきさつから我々といたしましては、やはり法案が未決定だということと、内容の点につきましてなお数字的に検討を要する点が残つている。こういう点からいたしまして、内容が確定次第、補正予算で必ず本年度分は計上してもらう。来年度以降につきましては問題はございませんが、本年度の問題でございますが、そういうふうな意図を以て一応先に延ばしたわけであります。
 それからいま一つ考えるべき点はこの法案が成立いたしましても、鉱害復旧事業団が成立するまでには、やはり法案の施行後、法律の施行後一月或いは二月かかりますが、鉱害復旧事業団が成立しましてから、そこで陣容を固めまして、早急に復旧計画を立てなければならないわけであります。それでともかくも本年度は第一年度でありますし、相当に慎重な調査も要しますので、復旧計画の確定までに或る程度の期間が必要である。そういたしますというと、実際に本年度で工事にかかれるのは、相当秋の暮或いは冬の初めということになりまして先になるのではないか。そういうことを考えますというと、本年度の復旧事業費というものは、平年度に比べまして三分の一とか、四分の一程度以上には出で得ないのだ。そういたしますと、その程度のものであれば、これは補正予算の機会におきましては、勿論我々としても十分取り得るというふうな確信も加えまして、一応補正予算までそれでは延ばそうということで延びたような恰好になつております。
#17
○西田隆男君 補正予算で組んで行くのはいいのですが、それは何ですか、あなたたちだけの会議で話がそういうふうにまとまつただけで、責任者である大蔵省の責任者はそういうことを承知しておるのですかしてないのですか。
#18
○政府委員(中島征帆君) これは正式には勿論大蔵省は必ず補正予算には計上するとは言つておりません。又先般の衆議院の委員会におきましても、主計局長がおられましてその点を念を押されたのでありますが、事務当局としては果して補正予算がきますかどうか今のところわからない。この時期においてはそういうことは引受けかねるというような答弁でありました。表面的な問題は別といたしましても、実際補正予算が問題になれば我々としても何か食いつかなければならんと思つております。
#19
○西田隆男君 補正予算を組まなければ、この法律が通つても来年の三月三十一日までには事業はできんということになるわけですね。補正予算が若しきまらなくても、この条文を読まなくてははつきりしないのですが、事業団そのものが事業の継続、事業に着手できるというようなふうにこの条文になつておれば別でありますけれども、とにかく読んで見て解釈できないのですが、補正予算に組まれなければ、この法律は通つても復旧事業団は、これは仕事はできないというふうになるのですか。
#20
○政府委員(中島征帆君) 復旧工事が、すべて今後の事業計画の内容につきましては、すべて公共事業にひつかかつておりますので、従つて公共事業予算がつかない限りは、借入金だけでは実際問題として事業はできないわけであります。おつしやる通りに仮に補正予算においても全然つかないということになりまするというと、本年度は計画を慎重に立てるということ以外に事業としては進展しないことになるわけです。
#21
○西田隆男君 そういうことであれば、衆議院の予算委員会で主計局長が補正予算に組むということを確約はしなかつたというような、今御説明があつておりますが、資源庁としては少くとも主計局長が予算に計上するのだということで確約を委員会でするように、大蔵省と折衝をされなければ私はいかんと思うのですが、私はこの法律の審査の過程においていろいろ申上げたことは、いろいろな経費がだんだん殖えて行くのだ。だから予算に組まれないということがあつては困る。だから今のうちに法律を出して置いて、そうして予算を確保するようにして行かなければならんということを主計局長に随分言つたつもりですが、議員立法であつてさえも予算を明記しておるのに、こういうような重要な内容を持つた法律案で、まだ補正する場合があつても、その補正の場合においてすら予算を確保するということがはつきりされてないということでは、これは私は実際いかんと思うのですが、勿論この委員会でもそれは大蔵省と質疑応答はやりましようけれども、その点はあなたがた委員会にお出かけになる前に、もう少し大蔵省と喧嘩別れにならん程度の事前交渉というか、何かはやはり主務官庁としてしておかれなければならんと思うのですが、大臣も見えておるようですから、大臣の御協力を求められて、それだけはしておかれなければ、法律は出しておいて、金がなければできないのだというようなやりつ放しのことで、これはいいのですか。その点は一つここで公聴会でも済んで審議に入る前に、もう一遍あなたの力でできなければ、大臣がおられるのですから、大臣と大臣との間で話でもして、少くとも経営者と、被害者の安心の行くような、必ず補正をするというだけの言質を取つておいてもらいたいということを、これを一つ今日お願いをしておきたい。
 もう一点お聞きをしたいのは、この法律では期間が十ヵ年の臨時措置だ、こういうふうな大体構想で条文が書かれていると思うのです。鉱業法審査の過程においては、十ヵ年などという期間が限定されるというような感覚は我我ちつとも持つておりません。而も臨時的なものであるという感覚もちつとも持つてない。という理由は、その理由は、鉱業法に書いてあるように、鉱業権は一切国家のものだ、それを国が或る特定の人に権限を与えるのだ、その人が若し復旧ができなかつた場合には国が責任を持つのが当然ではないか。こういう立論の根拠に基いて鉱業法審査の過程においてはこの法律が論議されたということが一つ、それからもう一つは、この鉱業法の損害賠償、金銭賠償のあの規定だけでは、今起きている鉱害は勿論のこと、これから起きるであろう鉱害も補償するに万全でない。従つてこの鉱業法の損害賠償の規定を補うに足るような何らかの立法をして行かなければならんのじやないか。こういうことが論議になつて私は審議会が作られたのじやないか。私はさように了承しております。ところが局長のこの前の提案理由の説明を聞きますと、今起きておる被害の復旧のできていないものだけを、これを対象として復旧する。今後発生する被害は、年間に四億円程度だから、鉱業法の規定に言う損害賠償の規定で十分に復旧されるという前提に立つて、この法律案を考えておられると、私はそう受け取れる。幸いにして年間に起る被害は四億円程度であつて、あの鉱業法の金銭賠償の規定で十分に鉱害が補償されればこれは幸いと思うのです。それには私は非常な疑問がある。従つて若し鉱業法の規定による損害賠償の規定で満足な復旧が不可能であるとした場合においては、当然これを補う、これと同じような性質のものがなければ、鉱害の復旧というものは年を重ねるに従つて、ますます大きくなつて行くという結果を招く。そこでこれから一応十ヵ年と切つておりますが、十ヵ年でいいと思いますが、基本的な考え方をそういうふうな考え方で、私たちは鉱業法の審査の過程において政府に要求をした。従つて賠償が若しできなかつた場合は鉱業法を改正するか、若しくはこういうような補助立法といつてはおかしいですが、こういうふうな足りないところを補う法律によつて、鉱害の復旧ということを完全にして行くかという、この二つの道しかないと思う。この前の提案理由の説明を聞いておりますと、そういうふうな考え方でなくて、ただ今起きておる被害を復旧するというために、十ヵ年の日限を切つて、年々十何億を出して行ければ、十ヵ年で現在起きている被害は復旧できる、こう局長は断言されたのですが、この点を今日はつきりしてもらわなくてもいいのですが、どうせこれは問題になると思うのですが、もう少し資源庁としては今私の言う二つの問題のどつちを基本的に考えるか。これもこの法案の審議の過程においては非常に重要な問題と思いますから、資源庁としての確乎たる方針を確立しておいて頂きたい。
#22
○政府委員(中島征帆君) 只今の点は最も基本的な問題でありますが、この前御説明申上げましたように、この法律は一応目前の堆積している、累積している鉱害の復旧ということに重点を置いております。その後において年々四億ずつ起きるということが、この前解決されるというふうな言葉で言つたかと思いますけれども、それは現在のものが片付けば必ず復旧されるというふうには参らないと思います。と申しますのは、現在の鉱業法自体が復旧原則ではありませんので、ただ鉱業法の金銭賠償の原則から言つても円滑に行けるはずだ、そのうちでは復旧される部分も相当ある、こういうような意味で申上げたわけでございます。従つて今日ありますものが全部片付いても、その後は年々起きるものが少ないから、すべてこの一般の鉱害の復旧法によるような形で復旧されて行くというふうには考えられません。従つてその点につきましては、今おつしやつたような意味とは若干食い違つて来るわけでありますが、要するにこの法律は目先のものを先ず片付けまして、そこで鉱業法の原則に基く金銭賠償なり何なりというものが、それでは将来どうであるべきか、鉱業法を改正すべきか、或いは現状で行くか或いはそれとも別の補足的な立法をするかということは、一応目先のやつが片付いた頃に考うべきものである、こう思うのであります。従つてこの法律においては単にいわゆる臨時立法として限定した目的しか持つておりませんけれども、将来に鉱業法の原則なり、或いはこういつたような趣旨の法律を更に敷衍して延長するというようなことが必要であるかどうかということは、そのときに問題になるべきことでありまして、今私どもはそこまでのことは将来の問題として、差当りは考えておらないということを御了承願いたいと思います。
#23
○西田隆男君 今中島さんの言われたことは一つの考え方ですが、私は公聴会のときに青山博士と議論しました。青山博士のお考え方は、将来の日本の石炭の採掘の被害はだんだん少くなつて行くのだ、少くなつて行くのだという言葉の表現が悪ければ、今起きているほどの被害は同じ採掘をやつても生じないであろう。それは坑内の採掘跡の充填を十分にするからであり、作業上又そうしなければならない、こういう意見の開陳があつた。私は全然反対である。日本の炭層の賦存状態から言つて、だんだん深く而も重り合つている石炭を掘れば掘るほど、被害はだんだん多くなつて来る、殊に充填をやつて見たところで、完全な充填は不可能だ。私の考え方では今あなたがおつしやつたことくやつておつても、これは十ヵ年で復旧するまで被害の全部を同時に着手して十ヵ年でやれるわけじやない。現実に被害が起きておる。その起きておる被害が見積られてこの二百何十億というものが災害復旧の対象になつている。仮に復旧でもされる段階になれば、これはその期間の十ヵ年、又下を掘つて行くための被害は現実の被害に追加されることによつて、何倍かに殖えることは間違いない。そうでなくても被害の量が減らんことだけは間違いない。そういうものであるにもかかわらず、そういう考え方で被害の復旧が考えられないのでは、被害の復旧は完成されない、従つて金額は相当に増すであろう。結局問題は予算に関連して来る。あなたのほうは百億ぐらいとされておるが。現在考えておられる被害の額よりも、この復旧を完了するという、この法律存続の十ヵ年の最終時においては、だんだん殖えて来ることが考えられる。この中には勿論復旧をせずに放つて置いて殖えるのじやなくて、今後採掘されることによつて生じた被害を、鉱業法の損害賠償の規定で、その復旧をやるとしても、完全な作業は不可能で、やはり損害が加つて来る、重なり合つて生じて来る被害を別に分類しての復旧は困難である。従つて現在ある被害と新たに加つて来る被害とを併せ復旧しなければ、復旧にはならない。今から年年生ずる被害の復旧を、現鉱業法によつては不足するであろう金額も十年分を加えて、そうしてこの復旧の予算というものが取られなければならん。これはまあ予算を組む場合の基本的な考え方です。あなたたちが考えておられるような二百何十億というものだけを対象にして予算を取られたら大変なことだ。これは何ほどになるか知りませんが、年々四億殖えると答弁されているが、そのうち何ほどがこの鉱害の復旧の対象となつて残されるかわかりませんが、いずれにせよ何十%かは殖えるにきまつておるという感覚を持つて、その基礎の上に立つて、この鉱害賠償の復旧事業費の予算を取られる場合に、先方と交渉されなければならない。表面に現われた金額だけを考えて折衝すれば、必ず金は足りないで復旧は不十分だ。被害者からも経営者からもいろいろな難問が出ておると思いますが、全然復旧できないということになり、それを私は非常に恐れるから基本的な問題について意見を述べて見たのです。そういう点も私どもの考え方が必ずしも公正妥当で間違いないとは私も考えません。それは資源庁として専門的に研究されて、学者の間にも議論があるようですから、的確な見通しをこの法案の審議の過程においてはもつと当委員会で御発言願えるように、大臣とよく相談されて御研究しておいて頂きたいと思います。
#24
○委員長(竹中七郎君) それでは本日は鉱害の問題に関しましてはこの程度にいたしまして、いろいろこれに対する取扱いに関しましては、委員長におきまして、又理事諸君と御相談の上、適当に図りたいと考えます。
  ―――――――――――――
#25
○委員長(竹中七郎君) 通産大臣が見えられておりますから、先般栗山委員からの御質問に対してお答えする関係になつておりますから、そちらのほうへ移りたいと思います。航空機製造法案を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#26
○委員長(竹中七郎君) 御異議ないと認めます。航空機製造法案を議題といたします。
#27
○国務大臣(高橋龍太郎君) お答えいたします。憲法第九条と航空機製造法との関係について御説明をいたします。憲法第九条第二項は、第一項の国権の発動たる戦争等の放棄を確保するための規定でありますから、政府が陸海空軍等の戦力を保持することを禁止しておるのであります。従つて民間の企業が注文に応じて武器を製造すること及び製造にかかる武器を需要者に引渡すまでの間所有すること自体は、第九条第二項で規定する範囲外の問題と存ずるのであります。
   〔委員長退席、理事結城安次君委員長席に着く〕
#28
○栗山良夫君 そういたしますと、憲法第九条第二項にあります戦力を保持してはいかんということは、第一項を遂行するための手段としてとられておることであつて、その限りにおいては、いわゆる兵器或いは飛行機、その他兵器に将来使われるようなものも戦力として解釈していいわけでございますか。
#29
○政府委員(佐枝新一君) 只今大臣から御答弁のありました通り、第九条第二項は戦争の放棄ということを確保するための規定でございますから、政府が陸海空軍等の戦力を保持することを禁止しております。従いまして我が国の民間の企業が注文に応じまして武器を製造するということは第九条に触れない、こう解釈しているのであります。
#30
○栗山良夫君 それだから、触れる触れないは別としまして、仮に政府が作ることは別として、そういうような兵器を仮に所有するとすれば、これはやはり戦力を所有することになるのじやないですか。
#31
○政府委員(佐枝新一君) ちよつとお話の趣旨、私わかりにくいのでありますが、御質問の趣旨は、政府が兵器等を所持することが第九条に触れるか触れないか、こういう御質問でございますか。念のために。
#32
○栗山良夫君 私は政府が、というのじやいけないと思うのですが、あなたのほうが、民間がそういうものを作つたところで憲法には触れない、こういう工合におつしやるから、そこで私は政府のほうがそういうものを製造するとか、或いは持つとか、そういうことについては戦力を保持することになりやしませんかと、逆にそういう工合に伺つているのです。
#33
○政府委員(佐枝新一君) その点は私ども通産省の者としてこの法案に関連し、且つ先般御質問のございました兵器、航空機等の生産制限に関する件という政令に関連しまして、要するに航空機製造法も、或いは航空機兵器等の生産制限に関する政令も、これは民間の企業においてこういうものを生産するという場合の規定でございますが、そういうような点についていろいろと検討いたしておりますが、お話のような点につきましては或いは法務府その他とも然るべくそういつた憲法問題についての公権的解釈をなし得る立場のあるものにお尋ね願いたいと存ずるのであります。
#34
○栗山良夫君 今のお話は通産省として、通産行政の立場から民間において兵器を製造しても、憲法の第九条第二項による戦力の放棄には触れない、こういう説明であります。併しまあ、それ以上のことは法務府に聞いてくれというお話でありますが、私はそれは御尤もだとは思うのです。思うのですが、これは日本国の戦力というものは、政府が貯蔵しようが民間が貯蔵しようが、憲法は日本国全体のことを言つておる。今御説明になつたような程度では、私はちよつと理解しかねると思うのです。特に戦力、いわゆるウオー・ポテンシアルというものの定義は、国土、人口、天然資源、各種の産業、施設並びに各計画等が包含されておる。戦力にはそういうものが包含されておるということは藤田嗣雄氏がやはり彼の著述で専門家として著わして、そのほか佐佐木惣一氏も日本国憲法論という中において、軍隊で持ち得る兵器、弾薬、爆弾、空軍や海軍で持ち得る航空機、船舶などの諸物又はこれらのものの製造をする施設は、第九条に言う戦力である。こういうふうに解釈しているわけであります。その他、私ここに資料を持つておりますが、そういうものが戦力として認められるものだということになつております。特に美濃部氏の新憲法概論の中にも、一たび戦争が起つた場合に、直ちに戦争に用うることのできるような潜在的な戦力を含むものだと、戦力を解釈しておる。即ち民間航空機又は船舶、飛行場又は港湾施設、機械工業、原子力研究等は、それだけでは戦力にはならず、これを保有しても憲法土差支えがないが、一定の限度を超えれば戦力に該当するものとして憲法上保有を禁ぜられることになる、そういうようなことがあります。その他今言われておるような簡単な割切つた解釈にはなつていないわけです。これは全部細かく出ておりますが、そういうのがありますので、私は疑問を持つたわけなのであります。そこで今のお話だけでは、私ちよつと了解しかねるのです。これはひとつ委員長の手許において、次回で結構でございますけれども、ひとつ憲法に照して、こういうものを作り、或いは貯蔵することが、或いは使用することが憲法の違反にはつきりならないという、私どもの理解の行く説明をひとつ願いたいと思います。特にこの前も指摘をいたしましたが、この兵器、航空機等の生産制限に関する件、これについては兵器、航空機、戦闘用艦艇、弾薬、そういうものまでも全部一応勘案してできることになつておりますが、これがなつておるから、作つても差支えないというのでは、私ども理解できないので、そういうものを外すことが憲法上いいか悪いかということを私どもはつきりしておかなくちやならない、こう思うわけであります。従つて今私の申上げました趣旨はおわかり願えるかと思うので、委員長のほうでひとつそれをはつきりさしておいて頂きたいのであります。この前私特に発言を求めまして、若しどうしても理解が行かないということであれば、やはり政府の最高責任者である吉田首相にでもはつきりそのことを伺つておきたいとこういうことを申上げておいたのであります。非常に重要な問題であると思いますから、さように御了解を願いたいと思います。
#35
○理事(結城安次君) 栗山委員に申上げますが、これは通産当局としては憲法に触れないという解釈で出ておるのでありますけれども、御質問の趣旨はよくわかりましたからその何をこれは法務総裁に……。次の機会に法務総裁にお答え願うようにいたしたいと思います。
#36
○栗山良夫君 それで結構ですけれども、その機会にやはり今後いろいろな問題が更に私は拡大されて行くと思いますから、通産省としてもやはり法務総裁委せにされないで、やはりはつきり連絡をとつて御研究を願いたいと思います。只今言われたように、民間では何を造つたつて結局構わないのだという御説明はちよつと飛躍し過ぎていると思うんですね。従つてそれだけ申上げておきます。
 実はこの前本委員会の中小企業小委員会におきまして、アジア貿易の促進についていろいろと御意見が出まして、先週土曜日ですか、アジア貿易について関係を有せられる民間の有識者のかたがたお出でを願いまして貴重な御意見を伺つたわけであります。そこで当時の中小企業小委員会といたしましては、そういう参考人の陳述をお聞きいたしまして後、でき得れば参議院におきまして、アジア貿易促進に関する決議案をこの通産委員会が中心になつて出すようにしたい、そういう動議を出しておつたのでありますが、まあ一応、細かい内容の意見交換はいたしませんが、テーマだけは御賛成を願つているわけであります。従つて私はこの機会に一つそういうようなことができますようにこの委員会でおまとめ頂くことをお願いしたい、こう思うわけであります。
#37
○理事(結城安次君) 懇談会に移ります。
   午後三時十五分懇談会に移る。
   ―――――・―――――
   午後三時三十九分懇談会を終る。
#38
○理事(結城安次君) 懇談会を終ります。本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十分散会
ソース: 国立国会図書館
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