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1947/10/25 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 本会議 第49号
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1947/10/25 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 本会議 第49号

#1
第001回国会 本会議 第49号
昭和二十二年十月二十五日(土曜日)
    午後二時五分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第四十八号
  昭和二十二年十月二十五日(土曜日)
    午後一時開議
 第一 医師会、歯科医師会及び日本医療團の解散等に関する法律案(内閣提出、参議院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(松岡駒吉君) 諸般の報告をいたさせます。
    〔参事朗読〕
 昨二十四日委員会に付託された議案は次の通りであります。
 (内閣提出)金融機関再建整備法の一部を改正する法律案
     財政及び金融委員会に付託
    ―――――――――――――
#3
○議長(松岡駒吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 第一 医師会、歯科医師会及び日本医療團の解散等に関する法律案(内閣提出、参議院送付)

#4
○議長(松岡駒吉君) 日程第一、医師会、歯科医師会及び日本医療團の解散等に関する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。厚生委員長小野孝君。
  ―――――――――――――
 医師会、歯科医師会及び日本医療團の解散等に関する法律案(内閣提出、参議院送付)に関する報告書
 [都合により第五十五号の末尾に掲載]
    〔小野孝君登壇〕
#5
○小野孝君 ただいま議題となりました医師会、歯科医師会及び及び日本医療團の解散等に関する法律案につきまして、厚生委員会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。
 現在の医師会及び歯科医師会は、國民医療法に基いて強制的に設立されたものでありまして、いわゆる國策に協力することを目的としており、しかも、医師及び歯科医師はすべてその会員となることが強制されておるのであつて、終戰後の諸情勢の激変あるいは民主主義の原則等に照らして考えますと、このまま存続させることは適当でないばかりでなく、他方医師、歯科医師の側におきましても、民法に基く任意設立、任意加入を原則とする新しい医師会、歯科医師会を設立しようとの機運が熟してまいりましたので、この際現在の医師会、歯科医師会を解散いたし、また日本医療團につきましても、今日の情勢にそぐわないものがありますので、これまたこの際解散しようというのが本法案の趣旨であります。從つて本法案には、これらの團体の解散に伴う善後措置並びにその手続等が規定されております。
 医師会及び歯科医師会については特に申し上げることもありませんが、日本医療團の解散に伴う善後措置について、一、二申し上げたいと存じます。まず一として申し上げたいのは、医療團の清算に関する重要事項を審議しますために、日本医療團清算監理委員会なるものが設置されるのでございます。二といたしまして、医療團の施設で國が行うところの医療事業のために特に必要であるものは、政府が他に優先して買い取ることができると規定されております。三として、医療團の残余財産の分配でございますが、これは出資金額を限度とすることになつておりまして、その限度を超えてなお剰余があります場合は、その剰余金は國庫に帰属することになつております。なお法案の條文にはありませんが、政府の説明するところによりますれば、結核療養施設として適切な医療團の施設は、すでに本年四月一日をもつて國営に移管され、その他の一般医療施設については、医療制度審議会において審議の上、原則として國営または府縣営に移管されることに処理方針が決定されております。
 以上のやうな法案でありますところから、政府に対する質疑も比較的少く、去る二十三日一日で審査を終了した次第でありますが、質疑内容を一、二簡單に御報告申し上げますと、
 質問、医療團の経営は赤字になつていると聞くが、いかなる原因によるか。
 答弁、医療團はこの二、三年赤字で、二十年度も約一千万円の損失であつた。その原因は、第一に未収入金が多いこと、第二に諸物価の高騰にかかわらず医療費の引上げが少かつた事情による。
 質問 政府の優先買上げのため、旧所有者との間に摩擦を生じないか。
 答弁 これは最後の手段を規定したものであつて、実際の運用にあたつては、できるだけ話合いによつて納得させるつもりである。
 質問 医療團所有の施設は旧所有者へ返還したらどうか。またその場合、賣渡し価格は元の買入価格によらねばならぬと思うがどうか。
 答弁 差支えない限り返還する。その価格については、諸般の事情を考慮して無理のないように定めたい。
 かくして審査を終り、討論を省略して採決いたしましたところ、全会一致をもつて本案は原案通り可決すべきものと決した次第であります。
 以上、簡單ながら御報告申し上げます。(拍手)
#6
○議長(松岡駒吉君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 兒童福祉法案(内閣提出)
#8
○森三樹二君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、内閣提出、児童福祉法案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#9
○議長(松岡駒吉君) 森君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 児童福祉法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。厚生委員長小野孝君。
  ―――――――――――――
 兒童福祉法案(内閣提出)に関する報告書
 [都合により第五十五号の末尾に掲載]
  ―――――――――――――
    〔小野孝君登壇〕
#11
○小野孝君 ただいま議題となりました兒童福祉法案につきまして、厚生委員会の審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。
 本法案は九月十八日より本日午前まで十回にわたつて委員会を開き、なおその間協議会を開きますこと数回、参議院厚生委員会との合同打合会も行つて、終始愼重に審議いたしたのであります。
 本法案は、消極的には、終戰後の社会的混乱に伴つて著しい増加を見た孤兒、浮浪兒等に対する緊急の措置をとり、欧米諸国に比してきわめて高い乳幼兒死亡率に示されるような乳幼兒の保健状態を改善するとともに、積極的には、さらに進んですべての兒童につき、心身ともに健やかに生れ、かつ育成され、またひとしくその生活を保障され、愛護され、もつてその福祉が増進されることを企図しているのであつて、單に從來の少年教護法及び兒童虐待防止法を吸收したのみでなく、はるかに大きな構想をもつ、兒童に関する総合的法律案であります。
 まず法案の内容を御説明申し上げますと、本法案は、第二條に示しますように、「國及び地方公共團体は、兒童の保護者とともに、兒童を心身ともに健やかに育成する責任を負う。」という原則に立つて組立てられておるのでありまして、兒童の福祉を増進する機構といたしましては、各家庭を訪問して現実に事柄を処理していく、いわゆるケース・ウォーカーとしての兒童委員と、それから兒童問題全般について相談に應ずるとともに、兒童の科学的な鑑別を行つて、その福祉を増進させる措置に科学的な根拠を與えようとする兒童相談所と、それから助産施設、乳兒院、保育所等八種類にわたる兒童福祉施設と、この三つのものを有機的に連関させ、なおその上に、兒童福祉の事業全般にわたつて調査審議する機関として、中央および都道府縣に兒童福祉委員会が設立されることになつております。
 そこで、この兒童委員、兒童相談所、兒童福祉施設について概略申し上げますと、兒童委員は、有給吏員であるところの專門的な委員と、民生委員を兼ねる名誉職である委員にわかれます。兒童相談所は、都道府縣ごとに設置されます。次に福祉施設でありますが、これは助産施設、乳兒院、保育所、兒童厚生施設、養護施設、精神薄弱兒施設、療育施設及び救護院の八種類でありまして、國及び都道府縣は、法律上これらの施設を設置しなければならない義務を負い、一方市町村及び民間團体等は、行政廳の認可を得てこれらのものを設置することができることになつております。
 兒童の福祉増進に関する機構は、概略以上の通りでありますが、これに要する費用については、その大部分のものについては、これを都道府縣の負担とし、一部分のものについては市町村の負担といたしまして、これら地方公共團体負担の費用については、國庫よりそれぞれの率によつて補助することになつております。
 なお本法案は、兒童の福祉増進の見地から、兒童の虐待防止に関しまして、刑法に対して特別法と見るべき若干の條項を含んでおります。
 次に、委員会における政府側との質疑應答のおもなるものを御報告いたします。
 質問 刑罰法令に触れるような少年は少年法で取扱い、不良行爲をなす少年はこの法律で取扱うことになつておるが、司法省関係の少年法と厚生省関係の兒童福祉法とは一本にすべきではないか。
 答弁 できる限り一元化したいが、從來の関係から早急に実現することができなかつた。司法省改組の機会に考慮したい。
 質問 少年救護法、兒童虐待防止法では十四歳以下の少年を対象としたのに、本法では十八歳以下の少年を対象としたのはなぜであるか。
 答弁 終戰後の浮浪兒の状況から見て、十八歳に引上げることを適当と考えた。
 質問 兒童の福祉増進は、母性の福祉増進を離れては考えられない。本法は母性の保護に欠くるところがあると思うが、どうであるか。
 答弁 妊産婦の保護指導等相当考慮してあるつもりである。また兒童の福祉の保護によつて、逆に母性の福祉もまた増進されるとも考えられる。
 質問 戦爭未亡人はどのくらいあるか。またこれに対して特別の措置を考えておるか。
 答弁 戦爭未亡人は約三百万人、そのうち救済を要するものは百万人あると推定されておるけれども、平等の原則によつて、戰爭未亡人なるがゆえに特別の取扱いは今日許されない。現状にあつては、遺憾ながら生活保護法でいくよりほかにしかたがない。
 質問 民生委員は本來の職務に多忙でもあり、また必ずしも兒童問題に明るいともいわれないから、これに兒童委員を兼ねさせることは適当ではないと思うがいかん。
 答弁 兒童の問題を処理するにも、その家庭の実相を把握しておらなければならぬ。その点では民生委員が一番よく把握しておると思う。また、一つの家庭に民生委員や兒童委員がこもごも出入するようなことは好ましくないと思う。
 質問 福祉施設の最低基準をきめることになつておるが、どの程度のことを考えておるか。
 答弁 兒童福祉委員会の意見を尊重していきたい。なおこの点に関しては、関係方面から資料も得ておるので、これを参考としてきめることといたしたい。
 質疑應答は大略以上の通りでありますが、審査の進行に伴いまして、委員の間に相当修正意見が出てまいりました。そこで、数回にわたりまして協議会を開きました結果、これをとりまとめまして、各派の共同提案の形で修正案が提出いたされました。
 今その修正のおもな点を申し上げますと、まず第一点は、兒童福祉施設の中に「母子寮」を加えたのであります。すなわち、夫と父親を失つた母と子をともに保護して、もつて兒童の福祉を増進させようという趣旨でございます。このために、新たに二條を追加することにいたしました。
 第二は、兒童委員は原案では、有給の專門吏員と民生委員を兼ねる名誉職の者とでありますが、この間に混乱を生ずるおそれがありますので、有給の吏員の方は、これを兒童委員と呼ぶことをやめまして、兒童福祉司という名称に改めました。しかも、なおその任用につきましては一定の要件を附したのでございます。これはきわめて重要な職でありますから、他の部門から老朽者等が轉職することがあつてはならぬ、こういう趣旨のもとに、一定の要件を附することといたしたのであります。なお、民生委員が兒童委員を兼ねることの可否につきましては、先ほども申しましたように相当論議されたところでありますし、またその点に関する修正についても若干の曲折があつたのでありますが、結局、民生委員は全部兒童委員を兼ねるという建前のもとに、ただ本法案の実施を機会に現在の民生委員は全部これを改選することにいたしまして、しかも、新しく選ばれる民生委員は兒童委員としても適格者でなければならないということにいたしまして、この民生委員が來年の四月一日に総改選を行うべきことと、民生委員は兒童委員としても適格者でなければならぬということを本法の附則に規定いたしたのであります。
 次に第三は、乳兒の保健指導につきましては、助産婦も医師と同樣にこれをなし得ることといたしました。
 第四は、親権者が兒童を虐待いたしました場合に、原案によりますと、都道府縣の知事は親権者の意思に反してもその兒童を兒童福祉施設に送ることができるのでありますが、この点を修正いたしまして、そういう措置をとるためには、家事審判所の承認を得なければならないことといたしました。つまり、新憲法の保障いたしておりますところの人権尊重の趣旨から、その手続に愼重を期した次第であります。
 第五点は、兒童福祉施設において、兒童を酷使してはならないということを明文化し、これに罰則を設けました。これまた人権尊重の趣旨であります。
 第六点は、原案では当該吏員が兒童の住所などに立入つて必要な調査をすることができるのでありますが、これを修正いたしまして、当該吏員というのを改めまして、兒童委員または兒童の福祉に関する事務に從事する吏員というふうに限定いたすことにいたしました。すなわち、これは警察吏その他の者が、このことに籍口して、みだりに家庭に立入ることを排除する精神でございます。
 第七点は、原案において命令に譲つてあつた部分が大分あつたのでございますが、今日の情勢から、命令に譲ることはなるべくこれを避けて、法律自体をもつて規定し得ることは、あくまでも法律をもつて規定するという建前から、相当修正を加えまして、この点からだけでも四箇條にわたつて修正することになつたのでございます。なお、本法案の施行期日につきましても、原案では命令をもつて定めることになつておりましたが、この点も修正いたしまして、本法案の一部については明年の一月一日から、他の部分については四月一日から施行することを明らかに書いた次第であります。
 修正案の概要は以上の通りでありますが、右の修正に伴う技術的の修正その他小さな修正が相当ありまして、原案は六十九箇條より成つておりますが、修正の結果、七十二箇條と相なつた次第でございます。
 かくして審査を終りましたので、本日午前の委員会において討論に入り、社会党を代表して田中松月君、民主党を代表して武田キヨさん、自由党を代表して榊原亨君、國民協同党を代表して野本品吉君、いずれも修正可決に賛成いたしました。次いで採決に入り、まず各派共同提案の修正案について採決いたしましたところ、全会一致これに賛成いたしました。次いで、修正部分を除いた原案の他の部分について採決いたしましたところ、これまた全会一致をもつてこれに賛成いたしました。すなわち、兒童福祉法案は全会一致修正可決すべきものと決した次第でございます。
 なお、本法案の修正案はまことに廣範囲にわたつておりますために、條文の整理等に十分の時間がありませんので、修正議決の結果整理を要するものがあるいはあるかとも思いますので、これらの整理につきましては、これを議長に一任することといたしたいと考える次第であります。以上、御報告申し上げます。(拍手)
#12
○議長(松岡駒吉君) 採決いたします。本案の委員長報告は修正であります。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り決しました。
 ただいまの修正の結果條文の繰下げ等については、議長に一任することに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつてその通り決しました
     ――――◇―――――
 逓信從業員に関する緊急質問
    (赤松勇君提出)
#15
○森三樹二君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、赤松勇君提出、逓信從業員に関する緊急質問、小川半次君提出、全逓集團欠勤行爲に関する緊急質問、倉石忠雄君提出、逓信從業員に関する緊急質問及び徳田球一君提出、逓信從業員に関する緊急質問を逐次許可せられんことを望みます。
#16
○議長(松岡駒吉君) 森君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 逓信從業員に関する緊急質問を許可いたします。赤松勇君。
    〔赤松勇君登壇〕
#18
○赤松勇君 私は、日本社会党を代表いたしまして、逓信從業員に関する緊急質問を行いたいと思いまするが、この緊急質問の関連事項であり、かつ前提をなしますと思われますので、この際、わが党の労働組合に対する当面の基本的な態度を明確にしておきたいと思うのであります。
 まず、現下の客観的情勢から考えまして、今日の日本の労働組合運動はきわめて制約された條件のもとに置かれておるということを、第一に私どもは明瞭に認識しなければならぬと思うのであります。從いまして、そういう認識の上に立ちますならば、労働組合の自主性はあくまでもこれを確保いたしまして、同時にその一切の要求あるいは要求貫徹の手段に関しましては、これを平和的手段を通じて合理的に解決しなければならぬというのが、私どもの根本的な考え方であるのであります。
 また今日、この困難なる條件のもとに置かれておりまする日本の労働運動に対しまして、あわよくばその條件を利用いたしまして、労働組合運動全体の御用組合化あるいは弱化をねらう反動勢力があるということも、われわれは考えなければならぬと思うのであります。(拍手)すなわち、一部の反動勢力はきわめて反動的な労働組合を結成いたしまして、この労働組合を基礎として、日本の労働組合運動の反動化をねらつておるということは、おおうことのできない現実の事実であります。われわれは、こういうようなあらゆる惡條件のもとにおいて、日本の労働運動がきわめて堅実な、しかも現下の客観的情勢に対應するきわめて屈伸性のある方法をもつて自己の要求が合理的に貫徹されるように努力しなければならぬと思う次第であります。
 さらに私どもは、今日の、否、今日までの日本の情勢の帰結といたしまして、しかも、敗戰國家のその基礎的な経済基盤であります生産を復興するという任務は、もはや資本家どもの能力においてこれを再建するということは断じて不可能であるということも、また明瞭に認識しなければならぬと思うのであります。すなわち、今日のこの困難なる生産復興の戰いは、労働階級の能力にまたずんば断じて不可能である。從いまして、一部の反動勢力が、この労働階級の今日課せられておりまする重大な任務に対しまして、一面労働者と農民と、さらに多くの小ブルジョア層との横断的な結合、すなわち日本の民主革命を促進させ、日本の生産復興を行いまする主体勢力をばらばらに分散させまして、農民あるいは小ブルジョア層を反動勢力に結合せんとして虎視眈々ねらつておることにも、またわれわれは注意の目を向けなければならぬと思うのであります。
 そういう意味からいたしますならば、今日の労働者階級は、これらの反動勢力に対抗いたしまして、あくまでも働く農民あるいは廣汎なる小ブルジョア層を自己の側に引きつけるために、みずからの階級的な成熟を遂げなければならぬ。すなわち、みずからが日本のあらゆる機会及び機関を通じまして、みずからの力で日本の國を復興させるという重大な任務を達成しなければならぬのであります。
 私どもは、こういうような重大な任務を担当しておりまする日本の労働階級のこの困難なる立場に対しましては、深甚なる同情を表すると同時に、今日この敗戰國家におきまして、非常に困難なる食糧事情のもとにおきまして、なおかつ默々とあの石炭の増産に、あるいは鉄鋼の増産に、あるいは紡績工場において、あらゆる工場において、默々と生産闘爭を続けております多くの労働大衆に対しまして、われわれは深甚なる敬意と同情の意を表するにやぶさかではないのであります。從つて、そういう意味から申しまして、一切の反動勢力の労働組合の御用組合化あるいは弱化の傾向と戰うと同時に、健全なる労働組合運動をして、また日本の生産復興闘爭をば、この階級の能力において達成させるために、わが日本社会党は全力をあげて戰わんとすることをば、この機会に明白にしておきたいと思う次第であります。(拍手)
 さて、現下の労働不安の社会的原因でありますが、この現下の労働不安の社会的原因に対しまして、これをどう認識するかということにつきまして、それぞれ対策が異つてくると思うのであります。私は全国各地の工場をまわり、多くの労働組合の諸君に接して得ました一つの結論は、日本の労働者大衆、日本の勤労者大衆は、決して名目賃金や貨幣賃金の引上げを希望しておるのではないのである。今日の勤労大衆が自己の胸に内包しておりますその共通の要求は、日給三円でもよいのだ。月收百円でもよろしい、それによつて自分の妻子が餓死しない程度に特別にやみ屋のようにぜいたくな生活は要求しませんが、生活の不安がなくて、また最小限度の生活が保障されて、全力を生産の向上に集中できるような体制を欲しておるのであります。
 私どもは、そういう意味から申しまして、片山内閣がつくりましたいわゆる物價安定政策というものは、これをわれわれは無條件に肯定し、かつこれを支持するものであります。昭和九年―十一年の六十五倍の物價体系をつくりまして、その千八百円賃金ベースをば原價計算の中に入れてたのでありますが、ここで問題になりますることは、政府はしばしば言明いたしましたように、もしもやみ資材を買つて、やみ製品をつくつてこれをやみに流す場合におきましては、そういう形の賃金の値上げを認めるわけにはいかないが、しかしながら、その経営の合理化とまた労働者のその能力において生産されたものに対しましては、これを当然公平なる賃金という形において公平なる分配をなすべきであり、またそういう形において標準賃金が出ましても、これは決してインフレの原因にはならないということをば、再三再四説明しております。
 ここで私は政府に聽きたいことは、この中には二つの問題が潜んでおる。一つは、現場におきまする、すなわち工場経営におきまするところの労働者諸君は、自己の能力において生産をあげ、そうしてそこに利潤が生れ、これを賃金として要求することができまするが、官公労働者におきましては、それができ得ないのであります。從つて官公労働者に対しましては、政府は、たとえば物の支給にいたしましても、あるいはその生活補助にいたしましても、一体、どういう形においてそれを行うのであるか、この点を私は聽きたいと思うのであります。
 なおまた今日の官公労働者の中には、きわめてその給與体系におきまして多くの矛盾が含まれておる。國鉄と申しましても、國鉄の中には事務系統の人もあれば、あるいは工機部もしくは機関部というような重労働に類する人々もあるのであります。從いまして、これを画一的な賃金給與体系にするということは、もとよりこれは多くの矛盾をはらんでおる。殊に今日のようにインフレが激化いたしまして、やみが横行しておりまする現在の社会情勢のもとにおいては、その生活する地区地区の條件において、非常に大きな生活條件のプラス、マイナスが生れてくるのであります。從つて、そういう地域差に対するところの賃金給與体系に対しましても、これまた政府はこれに対するところの再檢討をば行う必要があると私は思うのであります。
 殊に過ぐる八月八日、私が経済安定本部に質問をいたしました際に、勤労所得税を減らすという言質を得たのでありますが、先日も発表されました勤労所得税のあの基礎控除の減免に対しましては、なおかつわれわれは不十分であると考えておるのであります。これは品川の三共製薬の一つの例でありまするが、品川の三共製薬におきましては、六千四百五十四円の平均月收入に対しまして、すなわち税金として二千三円とられ、その割合は三一・三五%ということに相なつております。こういうような、しかも現在の勤労所得税は、その累進の率におきまして、多くの――先日も石炭國管の問題に関連して同僚議員である岡田春夫君が質問をいたしましたように、多くの矛盾を含んでおる。働けば働くほどだんだん税金が殖えてまいりまして、今日の生産向上に対しましては、生産意欲の向上を阻害しておる、そういう事実が随所に現われておる。從つて、勤労所得税に対しましても、政府はもつとこれを減免するか、あるいは具体的な方法を講ずることによつて、この勤労大衆に対する惡税の減免について具体的な努力及びその決意を表明していただきたいと思うのであります。(「逓信省をつかぬか」と呼ぶ者あり)逓信省はこれからやる。
 十月一日の労働委員会におきまして、わが党の辻委員が、私が先ほど申しました点を指摘いたしまして、勤労所得税の減免に対する政府の所信を聽きました際に、和田安本長官は、働けば働くほどかえつて税金となることは、働く人々に対しましてそれが大きな負担になる、そこで、能率給と累進税との間に調和をとりたいと思う、この問題は物價・賃金の全面的な計画を立てなければならないが、さしあたり重要産業についてそれを考えておる。辻委員の、その点具体化しておるかという質問に対しまして、和田長官は、目下立案中であると言明をされておるのであります。さいわいこの機会を通じまして、一体政府はどの程度考えておるか、またその立案の内容は何であるかということにつきまして、これを明白にしていただきたいと思うのであります。
 要するに私は、以上申し上げました諸点から帰納いたしまして、政府に対して、要約して次のような質問をし、かつ明確なる御答弁をお願いしたいと思うのであります。
 まず、一部に行われております集團欠勤問題です。これを爭議行爲とみなすかどうかということ、これが第一点。第二点は、官公廳職員の地域別の実際給與についてどうなつておるか。第三点は、新物價体系確立後におけるところのインフレの進行状況はいかん。第四点といたしましては、千八百円賃金水準に関するこの引上げを拒絶する政府の方針は、インフレ阻止を労働者の犠牲において実施しておるという声がありますが、これに対する政府の所信いかん。その次には、千八百円基準生計費に労務加配を考慮していないようであるが、労務加配を受ける業種の賃金は千八百円以上になるではないか。次には、政府は労務用物資確保のため、労務用物資対策中央協議会の構成に労働者を参加せしめ、これを民主的に運用するという意思があるかどうか。さらに物價決定に際しては、労働者代表を参加せしめる意思があるかどうか。その次には、ただいま申し上げました勤労所得税に関する政府の所信。その次に、賃金の裏づけとなるべき労務用物資の配給の現況及びその対策について、具体的に勤労大衆が協力し得るそのポイントを明確にするために、この際これを明らかにしてもらいたいと思うのであります。次に、この点を明白にする場合には、先ほど申しましたように、特に官公労働者に対する物資の供給の対策につきまして、勤労大衆が安心し得るような方策をこの機会に明らかにしていただきたい。
 私は今日のあの集團欠勤に対しましては、もちろん合法的な機関を通じまして合理的に解決しなければならぬという考え方をもつていることは、先ほど申し上げた通りであります。しかしながら、今日多くの資本家連中がすでに生産復興に関する能力を失い、また多くのやみブローカーが横行しておりますうちに、遅配・欠配に悩みながら、多くの妻子を抱えて、今日職場、工場において、生産復興のために、國家再建のために悲壮なる努力を拂い、かつ協力しておりまする多くの勤労大衆があるということを、政府はしつかり認識いたしまして、これに対する具体的な方策を、この問題を通じて明白にされんことをば希望いたしまして、私の逓信從業員に対する緊急質問を終りたいと思います。(拍手)
    〔國務大臣米窪滿亮君登壇〕
#19
○國務大臣(米窪滿亮君) 赤松さんの御質問にお答えします。たいへん多岐にわたる御質問でございまするので、労働大臣に関する点のみをお答えいたします。実は第一の御質問と第二の御質問は、大藏当局からお答えすることが一番適切であると思うのでございまするが、本日はどなたもお見えになつておらないようであります、それで第三の点から答えします。
 千八百水準引上げを拒絶する政府の方針は、インフレ阻止を労働者の犠牲において実施しているというがいかん、大体こういう御質問だと思うのでございまするが、これは御質問をされた赤松さん自身が今の御演説の中で仰せられたように、今日名目賃金をいくら引上げても、インフレを止め、やみを撲滅しない限り、それは実質的に賃金の引上げにならずして、その翌日からまたまた物價が上つてまいりまして、物價が上ればまた賃金の引上げ再要求が起るので、結局賃金と物價とは惡循環を重ねていくだけで、決して勤労者の生活は安定しないのでございます。從つて、政府が千八百円ベースを堅持する意味は、この新しく改訂された物價において物價の安定をはかり、そしてインフレを阻止するというために、その標準としての名目賃金をきめたのでございまするから、実質賃金を引上げる方策としては、政府としましては、後ほどお答えする勤労所得税の基礎控除額を引上げるとか、あるいは労働者に配給する加配米あるいは労務用物資において今日の傾斜生産重点主義の配給を改めて、名目賃金と最低生活費とのギャップを埋めるための配給制度の改正をしたいという考えを、労働省はもつておるのでございまするが、これはまだ閣議において決定を見ない状態にあるのでございます。(発言する者あり)大体において私としては、千八百円ベースを堅持する意味においては、單に名目賃金を引上げても、それは決して実質的に労働者の生活のよくならないこことは、徳田君もすでにご承知のことと思うのであります。(拍手、笑声)
 以上、第一点について御説明を終ります。
 その次の質問は、政府は労務用物資獲得のために、労務用物資対策中央協議会の構成に労務者を参加せしめて、これを民主的に運用する意思があるか、さらに物價安定に対しては、労働者の代表を参加せしむる意思はあるかというお尋ねであつたと思うのでございます。これは経済安定本部長官からお答えするのが順序だと思いまするが、これもお見えにならぬようですから、私からお答えします。今日中央協議会の委員は五十名ばかりでありまするが、労働者を代表する者が五名はいつております。もちろん、これは不足であると思いまして、政府としましては、これを増員する考えでございます。
 その次の御質問は、勤労所得税軽減並びに撤廃に対してどう考えるか、こういう御質問だつたと思うのでございまするが、この点も、大藏当局がおりませんから私から御説明申し上げまするが、先ほどもちよつと触れました通り、労働者をして満足せしめないことはわれわれは承知しておりまするが、基礎控除を七月にさかのぼつて百四十二円引上げることを大体閣議できめまして、目下税制改革の処置をとつて國会へ提出するつもりで準備中でございます。もちろん、これは労働者の希望には合わないかもしれませんけれども、國の予算の收入のうち相当のウエートを占めている勤労所得税を全廃するということは、その代りその財源が見つからない限り財政上不可能であると私は考えるのでございます。この点は、いずれ大藏当局から説明があると思うのでございます。
 労務用物資配給し見透のについては、先ほど答弁した通りでございます。官公廳に対する物資の配給につきましては、先ほど傾斜生産重点主義を改めて千八百円名目賃金と最低生活費とのギャップを埋めると申し上げた場合に言つた通りでございます。以上、簡單ですが、答弁を終ります。(拍手)
    〔國務大臣三木武夫君登壇〕
#20
○國務大臣(三木武夫君) ただいまの赤松君の御質問に対しまして、この機会に逓信從業員の今日までの集團欠勤に関する経過並びに現在の状態を御報告申上げたいと思います。
 全逓本部は、松江市における臨時全國大会の決議をもちまして、七月十六日に、次に申し上げるような要求書を逓信大臣に提出いたしてまいりました。
一、二千四百カロリーを基礎とする配給と地域的な最低賃金を確保せよ。
一、電気通信事業を民主的に一元化せよ。
一、全從業員に住宅を與えよ。
一、全從業員に制服を支給せよ。
一、結婚資金を全從業員平均月收六箇月分支給せよ。
一、大蔵省預金部中逓信省関係資金運用権を逓信省に移管せよ。
一、特定局制度撤廃を促進せよ。
 この要求に加えて、一月より六月に至る赤字補給のため、生活補給金として本人二千円、家族千円を支給せよ。それに八月における長野縣諏訪市の中央委員会の決議をもつて、通勤費を全額支給せよ。この問題を中心として、全逓本部と逓信当局との間に折衝を続けておつたのでありますが、逓信省の回答を不満なりとして、九月二十六日に中央労働委員会に提訴いたしたわけであります。これが現在逓信從業員の基本的な問題について、この提訴に基いて調停の手続中にあるわけであります。
 ところが、一方諏訪市における中央委員会の決議に基いて地域闘爭を展開するというその線に沿うて、各地方別に大体この線に沿うた要求を出してまいりまして、その要求を貫徹するために、ただいま提訴をいたしておる地方の支部が相当に上つております。たとえば大阪地協、東京中央地協、兵庫地協、京都地協、神奈川地協、靜岡郵便局支部、こういう地方の支部は、おのおの大同小異の要求を掲げて提訴いたしておるわけであります。
 その中において、今回問題になつておりまする東京中央地協は、東京の丸の内と日本橋と京橋、この地域を含んでおる郵便関係の組合でありまして、組合員も一万一千を擁しております。ただこの地域は、地域は小範囲ではありますけれども、丸の内には中央郵便局あり、中央電信局あり、中央電話局あり、日本の通信機関の中枢的官署、この三つの大きな機関がありまするがゆえに、日本の通信機能の上においては最も重大なる影響をもつておるわけであります。この東京中央地協がやはり要求を提出いたしまして、東京逓信局との間に折衝をいたしておりましたが、その回答を不満なりとして、東京都の都労委に対して提訴いたしてまいつたわけであります。大体全逓本部の要求と同じような性質のものでありますが、ただ生活補給金を、全逓の本部は本人二千円、家族千円と言つておるのを、東京中央地協は二箇月分の俸給という形に出しておるのと、労務加配米の問題に触れておる点が多少違つておりますが、大体同性質のものであります。この東京中央地協が都労委にかかる提訴をしても、都労委がこういう問題を地域的な問題として解決することができないわけでありますから、中労委に移されて、目下これも調停の手続中にあるわけであります。
 しかしながら、全逓よりもこれは早く提訴いたして、九月六日に提訴を受理されておりますから、すでに十月五日に爭議権を獲得いたしておるわけであります。そして、その間調停委員は、なるべく平和的に解決しようと、ただいまも努力をされております。その調停の途中をおいて、十月十六日だつたと思いますが、調停委員長の末弘氏ほか調停委員の方々が、私を総理官邸にお訪ねになつて、この際名目はともかく、非常に困つておることは事実であるから、千五百円の金を出すことはできないであろうかというお話があつたわけであります。
    〔議長退席、副議長着席〕
 これは一つの勧告案とか、調停案とかいう形式でなくして、きわめて非公式な話として受け取つたわけでありますけれども、非公式であれ、とにかく調停委員がみえられての話でありますから、愼重に考慮いたしました。またこれに対して私は、千五百円の金を今出すということはそれは困難であるが、しかし、ここに約千円近くの金がもうすぐ直前に出せるような手配になつておる。それは議会の御承認を得ました千八百円の差額が、近くもうこれは出せる寸前にあるから、
 金額も多少は違うけれども、とにかくこれは金であることには違いない、当然の権利であり、当然從業員がもらうべき金で、話が違うと言うかもしれないが、とにかく金であることには違いありませんので、これは当分の生計費になるから、この点ならば、極力一日も早く出すような努力をいたしましようということを申したのでありますが、よく考えてくれということで、その後二日をおきまして十八日に末弘会長に会いまして、どうも千五百円を東京中央地協だけに出すということは、東京地協だけに出して、そうしてほかの面に波及しないというわけにはいかないわけでありまして、政府としてそういう金を出す場合には、全官公從業員全体として考えなければならない、さような金もございませんし、また一方においては全逓本部の基本的な問題が調停委員会にかかつておるのだから、こういう部分的にものを解決するよりは、全体としてこの基本的な問題を解決したい、こういう希望を申し述べて、千五百円に対してお断りをしたわけであります。なお、十月二十日に中労委の調停委員会に私は出席いたしまして、同樣な趣旨を述べたわけであります。
 ところがこれに対して、調停委員が交渉された千五百円をけつたというようなふうに、從業員の諸君はそのことを非常に不満にされまして、職場の離脱が行われてきたわけであります。その結果、二十一日における東京中央郵便局の出勤状態、私が中央労働委員会に出た翌日の状態をここに申し述べますと、十月二十一日の夜勤、午後四時で調べました出勤率は、普通郵便課が三六・四%の出勤、小包課が一〇・九%、特殊課が七五・二%、電信課が五〇%、こういう大量な職場の離脱が行われたわけであります。現在は中央郵便局のみでありまして、中央電信局あるいは中央電話局の方は大体平常通りにやつておるわけで、問題が起りましたのは、この中で中央郵便局と日本橋郵便局との二つであります。
 現在どうなつておるかという状態は、本日の模樣を述べますと、東京中央郵便局の本日午前十一時現在の出勤率は、これは相当詳しく申し述べたいと思いますが、貯金課が六八・三%、外國郵便課が七〇・六%、小包課が二一・八%、特殊課が三八・八%、行嚢課が九〇・五%、電信課が五七・四%、庶務課が八九・八%、厚生課が八六・五%、集配課が七九・一%、普通課が七二・六%―最初に申し上げました二十一日の状態よりは、よほど改善をいたしておりますが、こういう状態であります。
 日本橋の今日の状態は、郵便においては五四%、電信においては二四%、貯金においては五三%、こういう状態であります。しかしながら、各職場において職場大会を開いて、大体職場に復帰する決議をただいまいたしておるようであります。
 この二十日以來の大量職場離脱によつてこうむりました通信上の影響は、現在東京中央郵便局における郵便物の停滯状態は、普通郵便で一種、二種、三種入れまして約二百三十五万、それからほかに開いてない郵袋が七百三十一箇、それから小包が一万五千七十四箇、それから速達、書留等の特殊な郵便物で開いてない郵袋が七百四十八箇、それから赤行嚢が二十七箇、それから白行嚢が千百五十二箇、外國郵便に対しては異常がない次第であります。
 これに対して政府がとりました処置は、こういう処置をとつてわけであります。本省といたしましては、十月の二十一日に電報をもつて各逓信局に対し、東京中央郵便局宛及び中央郵便局を経由する小包郵便物の差立を、当分の間停止方を指示いたしました。十月の二十二日に各逓信局に対し、小包郵便物の迂回逓送方を指示いたしました。また政府の労働組合側に対する今回の爭議に対しての警告を、逓信局をして各組合に傳達をいたすような処置をとりました。また連合軍関係郵便物の取扱いに関し、絶対に支障を來さないような通達をいたしました。また各駅に到着いたしまする郵袋等の滯留物の引受けについては、臨時の人夫を手配し、また普通の郵便の処理のためには、臨時の事務員を採用いたしまして、でき得る限りこのたまつておる郵便物を処理したいという方法をとつております。また欠勤をしておる從業員に対しては、電報をもつて出勤方を命令をいたします等の手段をとつて、できる限りの処置をいたしておりますが、何分にも、このたまつておる郵便物が多いわけでありますので、國民各位に対して非常な御迷惑をかけておることは、まことに申訳ないと思つております。
 この事態に対しまして、私といたしましては、全逓本部の執行部の者たちを呼びまして、組合が一つの―全逓の本部が、根本的な問題を掲げて現在提訴しておるのだ、その手続が進行中である、こういうときに、部分的にこういう事態が発生することは非常に遺憾であるから、組合の統制ある一つの活動をするようにという警告を、数回にわたつて與えたのであります。しかしながら、この事態が改善をいたさなかつたがために、政府といたしましては、御承知のごとく二十日に官公從業員に対しての警告書を発して、この警告書を各組合員にも傳達して、政府の警告するゆえんのものは、これをもつて從業員を威喝する目的でなくして、一日も早く職場に帰つて規律のある行動をとるようにという趣旨であることを傳えて、職場復帰を要望しておるわけであります。從つて政府は、逓信省その他に起つておりまするような集團的な職場離脱は、これは正当でない労働爭議であるという解釈を、二十日の警告書の中においても政府は政府の責任においてかように決定をいたしたわけであります。(拍手)
 それは労働組合法あるいは労働関係調整法等におきましても爭議権というものが認められてはおりまするけれども、どういう形においても爭議というものを保護してはいないのでありまして、あるいは労働組合法の一條、労調法の四十條あるいは四十一條の中には、正当なる労働爭議ということで爭議権の作用というものを制限いたしておることは事実であります。ところが、何が正当であるかということは、結局健全なそのときの社会通念によつてこれを解釈せなければならぬわけであります。
 今日労働組合運動が健全に將來発達いたしますためには、やはり規律のある統制と責任ある行動というものが絶対に必要なわけでありまして、今日のごとく、だれが責任者かわからない。組合は指令をしない。だれが責任者かわからない。自発的であるというようなことを言つておりますが、かくのごとき集團的な大量欠勤が行われて、日本の通信機能というものが麻痺状態になるということは、断じて看過することのできない事実であります。(拍手)
 殊に官紀の維持と公僕精神の発揮とが、新しい時代における公務員に強く國民から期待されておりまする今日、今日のごとき大量の集團欠勤というものが、健全なる社会通念上正当なりとは政府は考えない次第であります。(拍手)かかる行動に対しましては、断固として今回の爭議というものが正当でないという見解のもとに、政府といたしましては、これに対しての処分を、正当ならざる爭議という見解のもとに、政府の警告が出て以來職場に復帰した者に対しては寛大な処置をとりますけれども、政府の意向を傳達して、職場に帰るようにという政府の警告を知つて、なおかつ職場離脱を行う者に対しては、断固処分をいたす決意をいたした次第であります。(拍手)かくのごとき決意をいたさなければ、日本の労働組合の明日を健全に発達させることもできなければ、あるいはまた日本の労働組合運動の健全なる発達を通じて民主的な日本を建設しようとする今日の日本の理想にも合致いたしませんがために、こういう処置をとつた次第であります。
 しかしながら……
    〔発言するものあり〕
#21
○副議長(田中萬逸君) 靜粛に願います。
#22
○國務大臣(三木武夫君)(続) 一面におきましては、逓信從業員の生活の環境が今日非常に困難な状態にあるということは、これを率直に認め、そうしてこの從業員の生活を改善するためには、われわれが今後あらゆる努力をいたさなければならぬし、そういう総合的な政策については、政府も近くこれを発表する機会があることと存じます。われわれは、一方において断固たる決意をするけれども、一方において、現在生活に苦しんでおる從業員の生活の改善に対しては、徹底的な施策を檢討するという努力を惜しむものではないのであります。ここに御報告を申し上げます。(拍手)
     ――――◇―――――
 全逓集團欠勤に関する緊急質問(小川半次君提出)
#23
○副議長(田中萬逸君) 全逓集團欠勤行爲に関する緊急質問を許可いたします。小川半次君。
    〔小川半次君登壇〕
#24
○小川半次君 本問題につきましては、昨日労働委員会において、わが党の川崎委員から詳細にわたる質問がありましたので、なおこの際私からはごく簡單に二、三の点を質し、逓信大臣並びに労働大臣から政府の立場を明らかにしていただきたいと存じます。
 今回発生したる全逓労働組合員の集團欠勤に対して、政府では、これが意識的に欠勤を企てたる一種の爭議行爲、すなわちワイルド・キャット・ストライキであるという見解を発表したのであります。これに対し組合側では、爭議行爲でないという反駁をいたしておるのでありますが、國民の正しい批判は、これを声明なき爭議行爲であると見なしておるのであります。
 御承知のごとく、東京中央郵便局を初め各地の郵便局には、一週間も前から受付けた小包が今なお発送されず、そのまま山のごとく積まれている有樣でありまして、これがために國民に及ぼす損失は、はかり知れざるものがあるのであります。さらに新事態といたしましては……
    〔発言する者あり〕
#25
○副議長(田中萬逸君) 靜粛に。
#26
○小川半次君(続) 昨日來から、大阪地協においては全面的の職場放棄が発生しておるのでありまして、もはや、このまま放置されることが許されない事態に立至つておるのであります。
 すでに第一回政府声明のごとく、政府は努めて寛大な措置をとることを発表し、職場につくことを促したにもかかわらず、その後事態がますます惡化しつつあるのでありますが、政府においては、事ここに至るまでにこれを防止する対策がなかつたのであるか。この点、逓信大臣からその責任を伺いたいのであります。
 なお本問題の発生には、政府においても当然責任があるのでありまして、本日の朝日新聞社説にも述べておるごとく、今回の事件は、これを官吏服務紀律や労調法をたてにして警告を発しただけで、たやすく解決する問題ではないのでありまして、官公吏に千八百円基準賃金の維持を希望し、服務紀律の嚴守を要求するならば、その裏づけとして、千八百円基準賃金に均衡するやみ物価の下落の対策が立てられるか、あるいは主食、副食物の完全配給が実現されなければならないのであります。賃金のみを千八百円基準にストップさせて、やみ物価の上昇を防ぎ得ない政府の弱点に勤労者の不安があり、そこに今回のごとき事態の発生する原因があるのであります。
 過般和田安本長官は、千八百ベースでも十一月からは黒字になると公言したにかかわらず、今日に至るも、その言葉を信頼する方向には進んでおらないのであつて、かえつてやみ物価は上昇の傾向にあるのであります。新公定価格は、昭和九年ないし十一年基準の六十五倍にはね上つたにもかかわらず、賃金の上昇率はわずかに二十七倍にストップされておる。この不合理な点を質した際、和田安本長官は、日本の現在の生産が戰前基準年次に比べて半分に下つておるからだと答えられたのでありますが、生産面に携わる勤労者に対してはこの言葉が当るのでありますが、生産面とは関係のない官公廳の勤労者には、納得がいかないのであります。
 もちろん、官公吏の間にも能率の低下しておることは事実でありますが、官公吏の賃金を上昇さすただ一つの対策は、官公吏に対する一大行政整理以外にないと思うのであります。新マル公と賃金の均衡のとれない原因は、生産面に対しては生産の低下であり、官公廳の場合においては過剩人員であると言えるのであります。政府においては、近き将來一大行政整理を断行すると聞くのでありますが、これは事実であるのか。もし事実であれば、いつごろ断行するつもりであるか。これは西尾國務大臣にお伺いしたいのであります。
 今日勤労者の生活が窮迫の状態にあることについては、われわれはもちろん同情を惜しまないものでありますが、今回の全逓労働組合員のとりたる行動に対しては、もちろん組合員自体反省されなければならないと同時に、政府においても、今後再びこうした問題が発生しないように、官公廳吏員の最低生活を保障しなければならないのであります。
 なお私は、この際わが党の立場から、労働組合のあり方について一言したいのであります。わが民主党は、労働者の爭議権はこれを率直に認めるものであります。しかしながら、國民全体のため、かつまた労働者自身のためにも、日本の復興ということをまず第一番に考えなければならぬのであります。権利とともに義務を、自己とともに他人を、不合理よりも合理的なものを、不規律よりも秩序を、少数の独裁よりも多数者の意見を、そうして公共の利益を最もよく尊重する労働組合こそ、日本再建の原動力なりと言わなければなりません。(拍手)またかかる行動をとることが、労働組合の眞の正しいあり方であると思うのであります。特に國家復興の途上においては、労働も資本もともに尊重され、かつ協力的でなければならぬと思うのであります。
 しかるに、労働組合の一部指導者の中には、労働のみを重んじ、資本や経営を軽視する思想が流れておるのであります。およそ人間の社会生活において、ひとり労働のみが絶対的の意義をもつものでもなく、かつまた同時に、ひとり資本のみが絶対的の意義を有するものでもないのでありまして、労働も資本もともに社会経済組織の根本的要素であるのであつて、これを確認することによつて日本の産業の復興があると思うのであります。かかる際、本問題を現状のままで放置したならば、國家の復興はとうてい望まれず、國民はゼネストの脅威にひとしい無言の圧力を感ずるのであります。殊にこの問題を今にして防止しなければ、今後各種の公益事業にも及ばんとする傾向にあるのであります。政府においては、今後起らんとするこれらの公益事業の爭議を防止する対策ありや、その見解を伺いたいのであります。(拍手)
    〔國務大臣三木武夫君登壇〕
#27
○國務大臣(三木武夫君) 小川君にお答えをいたしますが、小川君の御指摘になりましたごとく、官公從業員の生活が非常に苦しいということは、これはまつたくその通りでありまして、私たち逓信從業員も非常に惠まれぬ立場にあるのであります。これに対しましては、むろん今日のような困難な國情のもとにおいてでありますから、從業員が満足する状態にいろいろ給與の條件がかなうというわけにはいきません。從業員にも國全体のこの客観的な情勢をよく認識してもらつて、そこに我慢をしてもらわなければならぬ部分が非常に多いわけでありますが、今日の國情において許される最大限度に、いろいろな方法を通じて給與の点を考えてきた次第でありますし、今後もこの点については留意をしなければならぬと思います。
 また今回の全逓從業員の中央地協の問題につきましては、この通信機関が國民生活の神経中枢的な役割をしておりますがために、現在國民が体験をしておるように非常な迷惑をかける次第でありますから、何とかして事前にこの事態を防ぎたいと、私も数回全逓の本部の土橋委員長その他執行部の人たちあるいは中央郵便局の代表者にも会つて、こういう事態に至らないような努力はいたしましたが、遂にこういう状態になつたことは遺憾であります。私としては、これを防止するために、できる限りの努力をいたしたのでありますが、事態がここに至つたことは非常に遺憾に存じます。お答えをいたします。(拍手)
    〔國務大臣西尾末廣君登壇〕
#28
○國務大臣(西尾末廣君) 小川君の御質問の趣旨は、民業にありましては能率をあげるということによつて自己の賃金收入を多くするという途が開かれておるが、官の從業員においてはそういう途がないのであるから、何かそういうことについて―行政整理等のことについて考えがあるかどうかという御質問と承つたのであります。現内閣発足直後、経済緊急対策を発表いたしましたが、そのうちにも、きわめて漠然とした形ではありますけれども、企業経営を合理化するような必要のある場合には、まず官が率先してやるという趣旨が述べられておるのであります。現在の日本の民間企業を見ましても、そこには企業の内部において事実は失業救済が行われておる実情であります。すなわち、たとえば百人で仕事ができるというところに、いろいろな事情のために百二十人、三十人がおるというのでありますから、その企業企業の内部で事実は失業問題を解決しておるという状態でありますが、將來の日本の経済の発展のためには、これは何とか解決しなければならない。すなわち、企業の合理化問題が当然必要になつてくると思うのであります。それに併せまして、一面また國民全体の認識において、今日官吏の数が多過ぎるということも、またこれ間違いのない事実であります。そこで、官吏の能率をあげるということは、百人でやつておつた仕事を八十人であげるということによつて能率があがるのでありますから、そういう意味において、官吏のまた行政整理ということも、いきおい必要になつてくるかと思うのであります。
 そのためにはどういう措置が必要であるかと申しますと、たとえば、これをある資本家的な方法でやりますならば、それは首のきりつぱなしということになるのであります。しかしながら現内閣におきましては、一面において整理せられたものの生活の途をどうして立てるかということに対する十分なる用意がともに行われるのでなければならぬと考えるのであります。このことは、一にかかつて日本の経済の長期計画と併せてこの問題が考えられるのでありまして、政府におきましては、この問題について今確たる決定はありませんけれども、この問題については今後十分に考慮するつもりであります。(拍手)
     ――――◇―――――
 逓信從業員に関する緊急質問(倉石忠雄君提出)
#29
○副議長(田中萬逸君) 逓信從業員に関する緊急質問を許可します。倉石忠雄君。
    〔倉石忠雄君登壇〕
#30
○倉石忠雄君 私は、ただいま問題になつておりまする逓信從業員の大量集團欠勤に関して、政府の御所見を伺いたいと思うのであります。
 今行われておりますこの爭議は、報道機関にあまり詳らかに報道せられませんので、國民はかえつて非常に疑心暗鬼を生じて、はなはだしく不安に陷つておるのであります。先ほど逓信大臣の御報告によりますれば、松江大会後組合から提出せられましたる要求が未だ妥結に至らない間に、全日本の通信網の心臟部門とも言うべき中央地協、すなわち中央郵便局および中央電信局においては、御承知のごとくきわめて計画的なる大量職場放棄が行われて、ために小包は滯荷の山をなすのみならず、通信機関はまつたく麻痺状態に陷つておるのであります。
 今やわが國は、全國民をあげて経済再建に邁進せなければならないと言われておる今日であるにかかわらず、その最も重要なる通信機関がかくのごとき状態に至つては、どうして経済の再建などを考えることができましようか。このたびの通信サボによる一般國民の迷惑はもちろんのことでありますけれども、殊に金融機関などは、爲替の決済が遅延することによつて非常なる混乱を來しておるということを、政府当局は知つておられるのでありましようか。近く講和條約をできる限り早く締結せしめんとの好意をよせられつつある連合軍司令部に対しても、私ども國民の一人として、まことに汗顔の至りに堪えないのであります。
 そこで私は、総理大臣にお尋ねをいたしたいのでありますが、政府はどういうふうに考えておいでになるでありましようか。今日のこの問題になつておる爭議の論爭の中心は、やはり從業員の生活苦ということであります。そこで、しばしば問題になつておりまするがごとく、いわゆる千八百円ベースというものは、あくまでもこれを固持される御決心であるかどうか。
 先ほど來のお話を承つておりますと、労働大臣及び同僚議員の間に行われました質問應答によつても了解せられるのでありますが、おそらく千八百円ベースをきめられたそのゆえんのものは、その裏づけとして遅欠配皆無、またいわゆるやみの撲滅による流通秩序の確保ということによつて勤労者の実質賃金の引上げという裏づけがなかつたならば、千八百円ベースというものは空想に過ぎないものであります。しかるに、実質上今日の状態を見ましたならば、その裏づけが全然破壊せられ、それに頼ることあたわずということになつた今日において、なおかつこの千八百円ベースを確保せんとする政府は、どういうお考え、どういう見透しのもとにこれを確保しておられるのであるか、私はこの点に対する政府の御所見を承りたいのであります。
 そもそもこの千八百円ベースが考えられるに至りました事柄は、いわゆる経済白書に十一月四百円黒字説というものがあつた。これが私は根本的なる錯覚の根源であると思うのであります。先ほど労働委員会において、米窪労働大臣は声を励まして、われわれの同僚川崎君の質疑に対してかように言われた。政府は種々なる研究のもとに十一月四百円黒字説を出したのであるが、もし実際においてこれが裏切られた場合において、政府は政治上の責任を考えておると言われた。いかなる表現の方法によつて、この政治上の責任を政府はおとりになるお考えであるか。
 第二は、このたびの全逓爭議に対しては、私どもは、その背景に思想的バツクありと見るものであります。昨年の爭議形態は、集中的であり、きわめて画一的であつたようでありますけれども、このごろ行われております爭議は、地方分散的闘爭方法ともいえるのであつて、共産党の諸君が分散闘爭を指令したと傳えられているのと、きわめてこの点において符合するのであります。政府はこれに対していかなる観測を下しておられるか。
 第三は、現在わが國における労働運動の潮流として、産別系と労働総同盟系があることは、おわかりの通りでありますが、これに対して政府は、これを統一して指導せらるるお考えをもつておられないか。殊に今日産別系の背景には、共産党の諸君が指導しておらるると言われているのでありますが、このたびの爭議にこの思想的バツクありということの確証を得たときにおいて、政府はいかなる処置をとらるるお考えであるか。
 第四としては、本議会の開会劈頭において、片山総理大臣はその施政方針演説において、失業者を救済するために電力資源の開発及び公共事業の新設ということを述べられるているのでありますが、片山内閣成立後すでに半歳を経過したる今日において、この総理大臣の施政方針の御演説によつて訴えられたる方策は、いかなる具体化したるものをおやりになつているかということを承りたいのであります。
 次に、逓信大臣にお伺いをいたしたい。逓信大臣は、先ほどきわめて詳細なる事態の御報告をなされたので、われわれは事情を了承いたしたのでありますけれども、昨日の労働委員会において、同僚共産党の徳田君は、まことに私は不思議に感じたのでありますが、これから次々に起り來るであろうところの爭議を予言的に説明しておられたのであります。おそらく、この労働爭議の問題に関する限りは、共産党の徳田君の予言は百パーセント的中するでありましよう。そこで、このたびの全逓の非合法闘爭に対する政府の処置にしてもし誤られたならば、將來重大なる禍根を残すであろうということをお考えを願いたいのであります。しかして、逓信大臣は先ほどの御説明によりますと、それぞれ地方逓信局長に命じて警告を発しておらるるということを御説明になりましたけれども、單に今それだけのことしかやつておらないのか、こんなことでは、この根強い深刻なる爭議を解決することは断じてできないということを御記憶を願いたいのであります。
 次に、米窪労働大臣にお尋ねをいたしたいのであります。本議会の初めに労働省設置法案が上程せられましたときに、わが党の原侑君より、わが國の労働界の現状から推測して、必ずや十月ごろになつたならば、いわゆる労働攻勢が起るであろうからして、労働省を担当せらるる大臣は、すべからくこの点について今から十分な用意をせられなければならないという警告を発せられたことは、大臣御記憶の通りであります。しかして、そのことあつてすでに数箇月を経過いたしておるのでありますが、今日に至つて、かくのごとくたくさんの爭議状況が現われかかつておる。その間に一体政府はいかなる対策をおとりになつたのであるか。
 また今日は全逓中央地協を初め、全逓本部、國鉄、日教組、電産等は、すでに中労委または地方労委に提訴いたしておる実情であります。またさらに全公連、全官、都労連なども、よりより動揺の兆が見えてきておるのであります。ここで米窪大臣に承りたいのは、今提訴期限が切れかかつておるものがたくさんあるのでありますが、これに対して政府はどういう折衝と態度をとつてこれに臨んでおられるかということを承りたいのであります。
 最後に政府に尋ねたいのは、この労働問題の解決、失業問題の解決に対して、しばしば労働委員会において、われわれとの間に意見の交換が行われたのでありますが、そのときにちらほら問題になりましたのは、資本主義経済組織のもとにおいては、とうていこの失業問題を解決することはできないのだ、われわれが多年唱え來つた社会主義計画経済を採用するにあらざれば、この問題を解決することはできないのであると言われておる現内閣の諸公に対して、なぜしからば社会主義政策を早く断行しないのかという質問のありましたときに、民主党というものがくつついておるから、こういうものが一緒になつておるから、政府は独自の思い切つた政策を断行することのできないのを遺憾とするという説明をされた。(「たれが言つたのか、はつきりしろ」と呼ぶ者あり)國家のために失業問題を解決する、失業問題も重要であるというならば、さような問題は別にして、一日も早く政府のはつきりした態度をとられんことを私は切に要望いたしたいのであります。過去半歳にわたる片山内閣の施策を顧みますときに、遺憾ながら閣僚諸公は、生産及び流通に関してはまつたくの素人であつて、何らの定見もなく、いたずらに右往左往しておられるにすぎない有樣であります。しかしながら、多年労働運動に活躍せられたる諸公でありますがゆえに、労働問題の処理に対しては、快刀乱麻の手腕を発揮せられるであろうことをわれわれは期待しておつたのであります。しかるに、これに対してすら何ら施す術を知らざる今日の有様では、片山内閣の存在意義はまつたくゼロに帰したと申しても、あえて過言ではないのであります。
 私は以上の所点について、関係閣僚諸公の所見を伺いたいと思うのであります。(拍手)
    〔國務大臣米窪滿亮君登壇〕
#31
○國務大臣(米窪滿亮君) 倉石君の御質問に対して、私のお答えする点だけをここで述べます。
 労働委員会において、世上傳えられておる十月労働攻勢ということがしばしば言われたことは事実でございます。
 それに対して政府がいかなる措置をとつたかということについては、ここで簡單に申し上げますが、官公廳職員からいえば既得権利だというかもしれませんが、政府はこの乏しき國力を割いて、その期間に千六百円と千八百円の差額をすでに支給し、また勤労所得税の免税点の引上げを断行いたしまして、近く七月にさかのぼつて還付するつもりでございます。また先ほど申し上げた通り、千八百円の名目賃金の裏づけをする物資の配給制度を改正したいと努力しておるのでございます。政府は手をこまねいて、何らいわゆるこの労働攻勢に対する対策をやつておらないのではないのでございます。ただ問題は、今日の日本の財源と、そして限られた加配米その他の労務用物資を、いかに國民にのみ犠牲を強いずして――すなわち労働者だけを満足せしめて、それがために國民は飢えてもいいというようなやり方を政府は絶対したくないから、この間において調節をとるべく政府が苦心していることは、各位もすでに御承知の通りであります。
 次に、倉石君の御発言のうち非常な間違いがたくさんあります。私は昨日川崎君からの御質問に対して、十一月黒字が出ない場合においては、政府の政治的道徳をもつて、これを改訂すべきか否かを再考慮すべきであるということを申したのであつて、政府に責任があるというようなことを申したのではないのでございますから、これは速記を見てから再び質してください。(拍手)それから先ほどの、民主党というものがくつついておるというようなことは、そういう言葉も、またそれを暗示するようなことも、一言も政府から出ておらないことであります。この点も速記録をお調べになつていただきたい。いやしくもこの上に立つて、一党を代表して質問をなすがごとき公人は、その一挙手一言をよく愼重にやつてもらいたいと思います。(拍手)
    〔國務大臣三木武夫君登壇〕
#32
○國務大臣(三木武夫君) 倉石君の御質問にお答えをいたします。倉石君の御質問中に、事実に相違しておる点が、ございましたので、訂正をいたします。
 一つは、今問題の起つておるのは中央郵便局でありまして、冒頭に倉石君の御指摘になつた中央電信局は……
    〔「懲罰々々」と呼び、その他の発言する者多し〕
#33
○副議長(田中萬逸君) 靜粛に願います。
#34
○國務大臣(三木武夫君)(続) 相当動揺の兆があつたのでありますが、十月二十一日に組合の支部長が來られて、夜遅く私といろいろ懇談して、何とかして重大な事態に至らないように、組合が統制ある行動をとられんことを要請いたしたわけでございます。ところが帰りましてから、中央電信局の人たちをみな説いて、今日中央電信局は正常なる状態であることを訂正いたしておきます。
 今お話の中に爲替の決済のお話がありましたが、御承知のごとく特殊の郵便物が停滯をいたしておりますから、かような結果になるわけでありまして、これは今後臨時雇――あるいは職場復帰をされた場合に、第一番にこういう特殊な郵便物を処理いたしまして、この郵便物の停滯による影響をできるだけ一日も早く解消をいたしたい考えであります。
 次に千八百円ベースの問題でありますが、千八百円ベースによる賃金では、生活が非常に苦しいことは申すまでもないのでありますが、この機会に逓信從業員の給與状況について御報告をしておきたいと思います。御承知のように、千八百円ベースというのは平均の給料でありまして、最高の人と最低の人との間には相当な開きのあることは御承知のことと思いますが、念のためにここに数字をあげてみますと、逓信從業員の最高の場合、家族四人で本俸が千百円であります。御承知のように、地域的に特地、甲地、乙地、丙地とわかれておりますが、特地の場合には千六百円のベースで四千十二円、それが千八百円になつてまいりますと、これがまた二百円増加するわけでありますから、これを月額に割り振りますと、一番最高の人で四千四百二円、甲地では一番最高の人で四千円、乙地では三千六百三十九円、丙地では三千二百六十五円、これが最高級の人であります。低い方の例を申しますと、最低では、独身者の千八百円の差額支給を月割に計算してみますと、特地が千百四十八円、甲地では千五十一円、乙地が九百三十一円、丙地が八百四十円、これは独身者であります。これはもちろん税をこめてのことでありますので、千八百円ベースと申しましても、一概にみな千八百円というわけではないのでありまして、こういうふうに最高最低の間には差があるわけであります。
 また今後の処置について倉石君はいろいろお話になりましたが、最初に申し上げましたごとく、日本のこの困難な時代における労働組合運動は、責任と秩序と統制ある活動をしなければならない、こういう点から、もしも事態を混乱に陷れる意図をもつて、ますます國家の重要な通信機能を混乱せしめるような意図をもつて煽動するような者があつたならば、これは断固として処分をいたさなければならぬわけであります。(拍手)しかし一方において、今回の場合には、誘われてうかうかと職場離脱を行つた人もあるのでありますから、こういう人々に組合運動のあり方、また日本の困難な状態を説けば、必ず心ある自覚ある從業員は、この政府の警告を通じて職場に復帰することを、私は深く期待いたしておる次第であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 逓信從業員に関する緊急質問(徳田球一君提出)
#35
○副議長(田中萬逸君) 逓信從業員に関する緊急質問を許可いたします。徳田球一君。
    〔徳田球一君登壇〕
#36
○徳田球一君 私は、共産党を代表いたしまして、この逓信從業員問題につきまして質問をしたいと思うのであります。
 自由党はややもしますると、何でも共産党が爭議をあおつたように言われておるのでありますが、そういう魔術は決して存在しないのである。これはどういたしましても、労働者諸君が納得しなければ爭議はできないのである。爭議というものは命がけの仕事であつて、これにじようだんではない。命がけの仕事は、やはりこれは納得しない限りできないのでありますから、自由党の諸君も、その点は十分に考えていただきたいのである。わが党は、労働者諸君のこの窮乏に対しましては、單にこれを憂慮するとか、單にこれに対して同情をするとかではなく、わが党は全力をあげてこれを打開することに献身しておるのであります。この点だけは、決して私はうそを言わないし、また控え目にも言わないし、これに対して大攻撃を加えらることは十分覚悟の上で言つておるのである。
 さて、現在日本の全人民は、すべて非常な窮乏に瀕しておるのである。これは労働者諸君のみならず、農民諸君もそうであるし、中小商工業者諸君もそうである。この十二月の暮にいきますると恐ろしい状態になることは、諸君のすでに予感せらるるところであると信ずるのである。
 ここにおきまして、最も重大なる問題は、この爭議が起つたということも、すべてこれは千八百円ベースが実に不合理にできておるという点であります。爭議が、自由党の諸賢は、ただたくさん起つておると言われておるのでありますが、ここに労働省の労政局から発展しておりますところの資料によりますれば、実に尨大なる爭議が起つておるのである。これには八月までしか載つておりませんが、この八月の件数は百五十四件でありまして、これまで一月から二月、三月とずつと殖えました件数にも増して殖えておるのである。あの二・一ストライキのときでさえ百十八件しか起つておらぬのです。三月は百三十二件でありますのに、この八月には百五十四件となつておるのである。ますますこれが増大することは当然である。これは政府の報告でありまして、実際はこれ以上にわたつておると思うのである。
 さらに政府が附け加えて報告しておりますが、ストライキの起らない縣は、わずかに全國に三縣しかない。これは日本全國にストライキが蔓延しておるということである。何ゆえか。ここに千八百円ベースの不合理が存在するからである。なぜ、その千八百円ベースが不合理であるかと申しますれば、政府は千八百円ベースに対しまして、十一月には黒字になると言つておりますが、この十一月にはいかにして黒字になるか、この内容につきましては、実に驚くべきことを言うておる。
 すなわち湯銭は、四・二人の人間でもつてたつた四円だ。そうすると四箇月に一回しかお湯にはいれぬ。それではなるほど眞黒になる、黒字になるが、これは膚が黒字になるだけであつて、決してこれは生計簿が黒字になるのではない。さらに理髪におきましては、驚くなかれ一箇月にわずかに九円だという。さすれば、これは八箇月に一回しか頭は刈られない。いかに禿頭でありましても、八箇月の辛抱はできない。これはおそらく野蛮人的の状態になるでありましよう。さらに交通費におきましては、驚くなかれ一日六キロだという。今東京に勤めております人々が、実に遠隔の地から來ておるのは御承知の通りでありまして、遠いところは、沼津あたりから通つておるのさえある。そんなのはどうする。六キロならば大部分がてくで來なければいかぬ。東京まで來ると夜があけてしまうのである。こういう実に不思議きわまる勘定になつておる。これがそもそも大間違でありますが、この間違を基礎にいたしまして(「計算間違いだ」と呼びその他発言する者あり)一人でそうなんだ。
 さて、こういうものにおきまして、政府は平均に言いまして千五百五十カロリーでよろしいと言う。しかし、これは平均であるから、主人はもつとたくさん食うのだ。このたくさん食うという主人が、二千百五十カロリーだというのである。二千百五十カロリーで、はたして労働ができるかというのであります。断じてできません。文部省の認定しております中等学校一年生の教科書にも、軽労働で二千四百カロリーなければいけないということは明確に言つておる次第でありまして、栄養学者は、これに対して少しも疑問を抱いておらぬ。これはもう常識である。しかるに二千百五十カロリーでは、これは労働できない。これは五十三キロの体重を有する一人の男子である。二千百五十カロリーでは、室内で立つたりすわつたりすることしかできぬ。労働はできないのである。こんな計算で、はたして労働を課することができるか。さらに細君はこれの八〇%と言いますが、これが千七百二十カロリー一千七百二十カロリーでは、ほとんど半分は寝て半分は起きておるという状態である。飯も炊けなければ掃除もできないという状態である。これでもつて、はたして正当か。さらに驚くべきことには、子供は千二百カロリーである。この勘定でいきますと、とうてい子供は成長することは不可能である。子供は四歳で千三百カロリーなければ成長ができない。八歳では千八百カロリーを必要とするのである。かかる状態におきましては、子供は成長しないばかりか、子供はしなびてしまわなければならないのである。
 これではたして千八百円ベースでやつていけるか。これは十一月に黒字になるという説においてこうである。しかるに、十一月に黒字になるという説の後、公定價格の上つたものが大分ある。新公定價格は上りました。そのほかに、今度は米價も上つた。さらに今度は大衆課税がくる。こういうものを合わせますと、この千八百円のベースというものが、実質的には驚くなかれ九百十八円のベースに下るのである。これでは実際上生活ができないばかりか、これはみんな白骨になるのである。死ぬのである。
 かかる状態で、はたしてこれが何の生産の復興か。いかなることもできない。それゆえにこそ、こういう状態であればこそ、ここにおきまして実際上労働者諸君は、いわゆるサイド・ワークなるものをする。やみ仕事をする。やみ屋をせざるを得ないのです。やみ屋で、月給をとつて、そうして裏で働いてもうける。やつと助かるのです。そうしなければできない。(「失業者と代ればいい」と呼び者あり)失業者と代れば、――実際上失業者を國鉄にも逓信にも雇つておる。一週間経たないうちにペケ、だめである。なぜならば、やみ仕事をやつた方がはるかに樂だ。世の中がそうできておる。すなわち、やみ仕事をやらなければやつていけない状態にあるのである。ここに政府の責任があるのでありまして、西尾君はとくとこの方面を答えてもらわなければいかぬ。生きられないからそうなんだ。でありますから、今回起りましたところのこの逓信全逓の問題におきましても、根本的な原因はここにあるのである。
 全逓につきまして、三木逓信大臣は、おのおの二十一日とか何日とかの出勤率を申されておりますが、この出勤率は決して今始まつたのではない。すでにわれわれは、昨年からかくのごとき状態であることをよく知つておる。最もはなはだしいときにおきましては、出勤率は三〇%程度が長く続いたことをよく知つておるのである。この必要な郵便物が滯貨したということを大声叱呼せられておるのでありますが、これは今に始まつたことではない。すでに数箇月以前から始まつておるのである。こんなことは、ちつとも今に始まつたことではない。この今に始まつたことではないものを、これを不当な爭議として断圧しようとするところに問題が存するのである。かかる状態を惹起いたしましたのは、実に政府の労働政策の誤りである。経済政策に対して誤つておる。そのことに原因があるのである。決して労働者諸君に原因があるのではない。
 西尾君は、非常に人員が過剩であるから、ぜひ首を切らなければならぬと言うけれども、首を切つてごらんなさい、仕事ができるか、さらに仕事は停滯するに違いない。なぜならば、千八百円では食えないから、ひよろひようになつて、さらに過重した仕事をもつてくれば、いかにして仕事ができるか、過剩をしておるということ自体問題ではない。根本的に言つて、この生活を安定させて、労働力を再生産しておるか否かが問題である。同時にこれは資本家のサボタージュがあるのだ。
 西尾君は政府におられるからよく知つておらるるであろうが、單に、この生産者のサボタージュというものは、こればかりではない。生産者だけの罪ではない。金融資本家の罪であると同時に、政府の計画経済に根本的な欠陷があるのである。これらの点につきましては、西尾君十分に具体的に知らるるはずである。にもかかわらず、これに対して人員の過剩呼ばわりをして、これを整理するとか何とか言つてみたところで、そんなことはできはしない。失業保險をつくるとか言つてみたところで、今の貧弱な状態でどうして失業保險ができるか。財源がない、財源がないと口で言うておるではないか。失業保險というものは、財源なしではできるものではない。そういう矛盾したことを、平氣で政府がこの壇上からわれわれ國会議員に対して言うこと自体に、少々間違つたことがありはしないか。
 さて、食糧事情のことでありますが、昨日は米窪労働大臣は、食糧事情がどうしても千五百五十カロリー以上は出せないのだ、これは國際的の食糧事情もそうである、殊に國内の食糧事情が、どうしても千五百五十カロリー以上には出せない、もしこれ以上政府が保障するならば、政府が國際的に責任を負い、重大なる事態が発生すると言われております。しかるにいかん。われわれはみんな千五百五十カロリーではなくして、おそらく三千カロリー前後をおとりである。私自身もそうである。そうでなければ大きい声は出ない。歩けない。働けない。重労働者諸君が三千五、六百カロリーをとつておるのは当然である。四千カロリー以上もとつておる労働者は存在するのである。さもなければ、実際これは生産ができない。労働はできないのである。事実そうとつておるではないか。
 こういうふうに具体的にわれわれはこれだけのものをとつておる。すなわち政府の言うところは、單に政府の握つておるだけの数字のことだ。すなわち、彼らの力で統制し、供出せしめておる数字のことだ。やみは尨大にある。このやみによつて、この残りがみんな償われておるのである。從いまして、千五百五十カロリーしか出せぬから千八百円ベースだということは、根本的に間違つておる。それゆえに、これらのやみを防止し、十分統制しておいて、そうしてこれに合理的に賃金ベースをきめることは、政府の責任であると信ずるのである。もし、それができないとするならば、このやみの実際の上り方を考えまして……
#37
○副議長(田中萬逸君) 徳田君、時間であります。
#38
○徳田球一君(続) もう少し待つてください。――こういうわけでありまして、全体といたしまして……
#39
○副議長(田中萬逸君) 徳田君……
#40
○徳田球一君(続) こういう状態でありまして、どうしてもこれは政府の根本的な間違いだと思う。この千八百円ベースの問題、これは食糧事情の実際上の檢討をしなかつたところに根本的な原因がある。
 さて、生産の増強ということは、賃金値上げなしにはできるものではない。賃金の値上げ、これが増産である。現に賃金の値上げをしておるところは増産ができておる。これは別個の問題ではない。だからして、政府の行政上の能力を上げることも、また賃金の値上げにまたなければならないのである。これを引離そうとするならば、ここに根本的な破綻が生ずるのである。それゆえに、政府はこの賃金の問題につきまして、もつと考えなければならぬ。
 ここにおきまして、このストライキが公共の福祉を害する云々と言われますが、ここで公共の福祉とは何か、労働者が死んでしまえば何になる。公共の福祉もへつたくれもない。労働者が賃金を要求して増産をする。これが公共の福祉である。すなわち國民の利益ということを、ややともすればこれを資本家の利益に轉嫁し、労働者の利益、階級的利益ということを、これをいかにも罪惡のごとく言うこと、ここに根本的な相違がある。ここに間違いがある。もし、そういう状態を続ければ、爭議はますます拡がり、ますます深刻になることは当然である。これは私が予言するのではなくて、客観的な諸條件自身がこれを指示するのである。決して私の意図に出たものではないことは明らかであろうと思うのであります。
 それゆえに、この勤労所得税のごときも、実際上これはまつたく今の状態では何の役にも立たぬ。これは月に五千円以上とることにおいて、ここに重大なる問題があるのである。現在のこの三割五分云々というのは、五万円までの限度でありまして、これは四千円階級に属するのである。こういうことをしたつて、増産には何のたしにもならぬ。だから、これは撤廃しなければならないのである。ここにまた、この爭議と重大な関係があるのでありまして、今後税問題を通じて一大爭議が起つてくることは当然であると思うのである。
#41
○副議長(田中萬逸君) 徳田君……
#42
○徳田球一君(続) しかるに、この警告に対しまして、今度のこの山ねこ爭議ということに関しましての警告が、いかなる結果を引き起こしているか。労働者諸君は一大憤慨をもちまして、現に西尾君は、ここに來る前まで、官公労諸君にぐんぐん押しかけられて、脂を絞られたに違いない。ここは避難所になつているような状態である。これからますます、かかる状態はどんどん発展するであろうし、現に中央電信局におきましても、ストライキをやるという決議をしているのである。一昨日、昨日にかけまして、各郵便局、逓信局の連中は、全体をあげて大デモをやつているような状態であります。
#43
○副議長(田中萬逸君) 徳田君、徳田君……
#44
○徳田球一君(続) でありますから、これに対する警告の効果に対しまして、ぜひとも責任のある施策をなされんことを希望する次第でありまして、このことを明らかにせられんことを望む次第であります。これで終ります。
    〔國務大臣西尾末廣君登壇〕
#45
○國務大臣(西尾末廣君) 徳田君の御質問の前段についてお答えいたします。徳田君の考え方は、千八百円ベースでは食えないから、もつとこれを上げろ、あるいは四千円、五千円に上げろ、こういう御意見のようでありますが、この考え方の思想は、金さえあれば労働者の暮しが樂になるという思想であります。すなわち、戰前に比べますと通貨は七十倍になつているのでありますが、しかし、その点から言いますならば、國民のふところには金がたくさんあるわけでありますけれども、実際は苦しい生活をしているという事実、また賃金は昨年の七月に比べますと三倍になつているにもかかわらず、昨年よりもまだ苦しい。この事実からみましても、簡單にこれは金さえよけいとれば生活が樂になるというものでないことは明らかであろうと思うのであります。そこで問題は、金さえあればということでなくして、実際に労働者の生活ができるための物資をどうして賄うかというところに問題があることは、きわめて明瞭であろうと思うのであります。かりに徳田君の御希望のように、あるいは平均水準を三千円、五千円に上げたといたしますならば、その翌日から急激にまた物價が値上がりし、それによつて賃金値上げをする。賃金値上げをすれば、また物價が上るということでありまして、それでは決して日本の経済も安定しなければ、日本の産業の復興もあり得ないし、從つて、日本経済のわく内においても生活しているところの労働者の生活の改善もないのであります。
 そこで政府におきましては、実質的に労働者の生活をよくする、並びに國民全体の生活をよくするということのためには、できるだけ物を生産するということと、生産されたものがやみに流れることなく、全体に正規のルートに流れるようにするということが根本の問題であります。このことのためには、政府におきましては、たとえば物資活用委員会等を設けまして、いわゆる隠退藏物資の摘発をやる、あるいはやみの根源になりますところの料理飲食店をやめる、またやみの親分を檢挙する、あるいは労働組合の諸君に訴えて、國民の力においてやみが撲滅するような運動を展開してもらうように努力いたしまして、あの手、この手、あらゆる手をもつて、國民的な協力の上においてのみこのやみが撲滅され――ただちに撲滅されないまでも、漸次これが少くなつていく、やみが少くなることに正比例しまして、正規に物がでていくということによつてこの問題は解決されるのでありまして、この慢性的になつた今日のやみというものは、そう頓服薬で治すように簡單にはいかないのでありまして、これはやはり國民的な協力のもとに漸次に改善されていく、そのことに政府は努力をしておる次第であります。
#46
○副議長(田中萬逸君) 先ほどの倉石君の質疑中の言辞につきまして労働大臣より答弁がありましたが、その件については、会議録を調査の上、議長において適当の処置をとることといたします。(拍手)
    〔國務大臣三木武夫君登壇〕
#47
○國務大臣(三木武夫君) 徳田君が、警告に対しての政府の責任ということを申されましたが、申すまでもなく、統制のある、秩序のある行動をするために労働組合が組織をされておるのであります。しかるに、組合が指令をしない、責任者も明らかでない、統制もとれない、こういうふうなことで、國の中枢機関である通信が麻痺状態になるということは、公共の福祉を守つていかなければならぬ政府としては黙視することのできない事実であります。もし労働組合の將來をほんとうに愛する指導者は、こういう事態に対して一つの秩序ある統制ある行動をとらしめるということが、労働組合の幹部の私は責任だと思うのであります。從つて、こういう事態を默視することができない政府が、この爭議が正当でない、こういう見解を下すことは政府の自由であり、また責任をもたなければならぬことは申すまでもないことであります。(拍手)
#48
○副議長(田中萬逸君) 次会の議事日程は公報をもつて通知いたします。本日はこれにて散会します。(拍手)
    午後四時三十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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