くにさくロゴ
1947/02/24 第2回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第002回国会 治安及び地方制度委員会 第9号
姉妹サイト
 
1947/02/24 第2回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第002回国会 治安及び地方制度委員会 第9号

#1
第002回国会 治安及び地方制度委員会 第9号
昭和二十三年二月二十四日(火曜日)
    午前十一時十分開議
 出席委員
   委員長 坂東幸太郎君
   理事 門司  亮君 理事 矢尾喜三郎君
   理事 川橋豊治郎君 理事 松野 頼三君
   理事 酒井 俊雄君
      大石ヨシエ君    久保田鶴松君
      松澤 兼人君    松谷天光光君
      佐藤 通吉君    坂口 主税君
      千賀 康治君    中垣 國男君
      小暮藤三郎君    松浦  榮君
 委員外の出席者
        議     員 竹谷源太郎君
    ―――――――――――――
二月二十三日
 料理飲食業者の営業再開許可の請願(庄司一郎
 君紹介)(第二八号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 地方財政委員会の運営に関する件
 列車内の治安維持対策に関する件
    ―――――――――――――
#2
○坂東委員長 これより治安及び地方制度委員会を開催いたします。
 本日の日程は、地方財政委員会の運営に関する件、地方出先官廳の整理に関する件、列車内の治安維持対策に関する件であります。まず地方財政委員会の運営の件につきまして、地方財政委員会委員竹谷源太郎君からその説明があります。
#3
○竹谷源太郎君 お求めによりまして、地方財政委員会のただいままでの審議の経過について御説明申し上げます。
 皆さん御承知のように、一月七日に地方財政委員会は発足をいたしまして、三月六日までに、地方財政の自主化確立方策に関する法案を審議檢討立案をいたしまして、國会に提出する義務をもつておるものでございます。從つてこの間わずかに二箇月しかございませんので、五人の委員は一週間に二回、二日以上ずつ集合をいたしまして、地方財政に関する立案計画等を審議いたしておるのでありますが、たまたま内閣の総辞職にぶつかりまして、政府の方針を確定することができません関係で、ただいま停頓の状態ではありますが、地方財政委員会として一應の要綱をもつておるのであります。もつともこの要綱はまだ政府部内において、特に大藏省その他の各省との間にも、話合いがついていない部分が相当多いのでございますから、最後の確定案に至りますまでには、相当の紆余曲折もあり、私がこれから御説明申し上げようとします要綱についても変更があると思いますので、この点あらかじめ御了承を願つておきたいと存じます。
 まず地方財政委員会といたしましては、地方財政委員会法の要綱に従いまして、次の二つの大目標を立てた次第であります。第一は、地方自主権の確立の方針に則りまして地方財政の自主化の徹底をはかる、第二は、現在の経済情勢に即應する地方税財政制度を確立すること、この二つの目標を立てた次第であります。この目標をもちまして、次の六つの方針をもつて進むということに決定をいたしました。
 その方針の第一は、地方財政の國家財政に対する、地方税体系の國税体系に対する自立性を確立する。これは要するに、従来の日本のやり方は中央集権的でありまして、すべて地方財政は國家財政にかぶさつておる。そしてまた、中央の方針のみによつて地方財政が左右せられておるというようなことでありまして、地方財政の自主性というものは、ほとんどなかつたと言つてよろしいのでありまするが、これではとうてい今回の地方財政確立に関する方策の徹底を期することができませんので、地方財政が國家財政に対する関係において、國家の公益と調和する限度においてできるだけ自主性を獲得させる。從つて地方税につきましても國税とは独立に、できるだけこの自主性を獲得させる。こういう方針で進みたい。これが第一点であります。
 第二点は、地方税制の弾力性を大幅に拡張すること。これは今日のごとく、物價の変動のはなはだしいインフレ高進の過程におきましては、地方財政が固定をしておりましたのでは、日に日に増大する地方財政における需要を満たすことはできません。従いまして地方税というものを、インフレの高進あるいは物價高に鷹ずるように、相当弾力性のある地方税制を確立しなければならない。こういう趣旨でございます。
 第三は、インフレの進行に應じまして、ただちに増収になるような税収の拡充をはかる。これも現在地租とか、営業税とか、あるいは家屋税とか、その他の地方税がございますけれども、どうも固定的であつて、インフレの進行に感ずるところの増収を見ることができない。従つてインフレの進行に即應するような収入のある税金の種類をたくさん設ける、こういうことであります。
 第四に、災害に起因する地方財政の窮乏化を防止する方途を講ずること。昨年夏関東、東北その他の地方におきまして大水害があつたことは御承知の通りであります。かような災害がありますると、地方財政はただちに窮乏化してしまつて、ひどい赤字になつてまいりますので、日本はとかく不可抗力的な災害の多い國柄でありますので、地方財政の健全化をはかりますためには、災害に起因するところの復旧工事その他に要する費用は、何とかして保險制度あるいは基金制度等によりまして、地方財政の窮乏化を防止する方途を講じなければならぬ。これが第四点であります。
 第五点は、地方團体金融の円滑化をはかる。これは現在その困難に直面しておるのでありまするが、起債の許可を受けましても金の貸手がない。銀行に行きましても、なかなか地方團体に貸してくれない。そこで六・三制の校舎をつくるとか、あるいは災害復旧のこともなかなか実現ができないような実情でございます。こうした地方團体が金融せんとするに当りまして、円滑に金が借りられる制度を設けなければならない。これが第五点であります。
 第六点は、地方税及び地方財政に関する國家の監督権限を縮小する。これは全廃が望ましいのでありますが、もし全廃し得ない現在の経済統制のような状況下においては、國家の監督権というものは最少限度に縮小しなければならない。これは地方財政の自主上当然であろうと思うのであります。
 以上のような六つの方針によりまして、具体的に次に述べまするような要領を地方財政委員会としては今立案をしているわけであります。
 第一番目に経費に関する事項でありまするが、地方團体が所管しておりまする事務に要しまする経費につきまして、地方團体本來の固有事務のみならず、市町村で言いますれば都道府縣、國家、都道府縣から申しますれば國家から、いろいろな事務の委任を受け、あるいはある國政事務の執行を命ぜられるというようなことでありました。これが著しく地方財政を圧迫している現状であります。見方にいろいろありますけれども、町村等にありましては七割ぐらいまでは國家事務をやつている。こういう現状であり、都市にありましても、自治体事務は割合に多いのでありまするが、それでもなおかつ過半の事務は國家事務である。こうした現状が自然地方團体の財政を非常に圧迫いたしまして、地方財政の自主化を妨げている現状を鑑みまして、地方團体の事務運営上の経費につきましては、これを國費及び地方費の負担区分を明瞭にしなければならない。こういう考えをもつているのであります。この原則によりまして、第一に、純粋に國家的な事務につきましては、これは全部國庫でその経費を負担する、こういう方針。第二は、地方的な事務につきましては、その経費は全部地方費の負担として、その地方費の負担とするかわり、それに要する経費は十分に財源を地方に與えなければならない。これが第二点。第三に、地方的な事務でありますると同時に、國家的な性格を帯びる、すなわち國家的な色彩と地方的な色彩とを併せ有するような事務については、これは國家と地方とで経費を分担する。こういう原則、つまり全部国費負担、全部地方費負担、及び國費並びに地方費両方の負担、この三つの原則によりまして、地方團体が今執行している事務費の負担区分を是正する。こういう方針であります。
 この方針によりまして、少し話は詳しくなりますが、重要な点だけ申し上げますと、都道府縣職員費につきましては、純粋の國家的な事務を担当する職員に要する経費は全部國庫の負担。それから地方的な國政事務を負担する、國政事務であるが、地方的である、こういうものにつきましては、原則は地方費負担でありますが、その定員を押えて、その二分の一を國庫負担とする、こういうふうにいたしたい。この点については、農林省あたりの補助による地方費職員がたくさんあるのは御承知の通りであります。すなわち農林省が紐をつけて、自分の思うように地方費職員を使う、こういう趣旨からいろいろ、紐をつけて自分らの仕事をうまくやらすために、糸を引いておるようなかつこうであります。こうしたことはいけない。これは定員はちやんと押えて、費用も國家が二分の一なら二分の一をきちんと負担する。こういうぐあいに定めたいというのでありますが、これらに対しては、ただいま農林省は反対意向をもつておるようであります。以上のほかの一般職員については全部地方の負担。
 それから警察費の問題でありますが、連帯支弁金の制度は廃止しまして、自治体警察に要する経費は全部市町村の負担とする。しかしながら、新警察制度実施のために必要なる建築費、設備費等は、これは全額國庫負担とすべきである。
 それから消防関係の経費は全部当該地方公共團体の負担とする。
 それから義務教育費の人件費の問題でありますが、これは御承知の通り、現在國家が半分、都道府縣が半分、國家と都道府縣で半々づつ義務教育費の人件費をもつておるのでありますが、この原則は新しい地方財政方策においても採用をいたしたいと考えておる次第であります。ただ六・三制等の新教育制度の実施に要する建築費、設備費というような物件費につきましては、現在の状況においては、これは全額國庫負担とする必要があるだろうと考えておりますが、この問題につきましては、文部省は二分の一を國庫の負担としたいという考えなのであります。地方財政委員会としても、ほんとうに一坪の建築費が一万円かかるのならば五千円完全に出す、一万五千円ならば七千五百円を國家が必ず出すということで、実際要する物件費の眞の半額を國庫が負担するならば、どうにかやれるのじやないかという説もございますが、現状は二分の一を國庫がもつといいながら、実際は補助單價を國家が低く見ておる関係から、ほとんど四分の一ぐらいしかもたない。こういう現状になつておるのが、地方財政を圧迫するのもはなはだしいのでありまして、この点につきましては、一應地方財政委員会としては、かような突発的な厖大な六・三制に要する物件費は全額國庫の負担とすべきであつて、もしやむを得なければ、最小限度実際にかかる経費の二分の一以上は必要であろうと考えておる次第であります。
 それから北海道につきましては、從來拓殖計画というようなものがありまして、北海道における國の收入はあげて北海道拓殖のためにこれを使うということになつておつたのでありますが、これらの制度も廃止になりました。しかしながら、北海道はその特殊性と開拓途上にある現状に鑑みまして、北海道から上る地方税だけによつて北海道の開拓を進行していくということは難事に属しますので、これらについては総合的な補助金制度をとつたらどうか、かようなことを考えておる次第であります。
 それから現在國家から都道府縣、市町村に対して何百項目にわたるところの補助金が支出されております。その総額はただいま國家から都道府縣市町村に、いわゆる地方委任事務に対して補助負担金というようなことで助成をいたしておりまする金額は、おおまかに申しまして約三百億円もあるのであります。それが何百項目にわかれて、いろいろな名目で支出されておる。それで末端にいきますと、一町村あたり昔ならば一銭とか、五銭とかいうような補助金もあつたような始末でありまして、まつたく補助の目的が十分に達成されておらぬ。殊に勧業費関係において、その弊害がはなはだしいのであります。これは徹底的に整理をしなければならない。各補助の項目につきまして、地方財政委員会においては検討を加えまして、できるだけこの補助金制度を廃止する、全廃という方向に進んでおりますが、全部というわけにいきません。そのうちどうしても必要なものにつきましては、たとえば救助費とか、災害に要する費用とか、あるいは先ほど申しました義務教育費の問題とか、いろいろございますが、そういうものについては、どういう費目については二分の一とか、三分の一とか、あるいは十分の八とか、それぞれ適当の比率のもとに法律でもつて補助率を確定し、その他は原則として廃止する。但し事務によりましては、全然地方が單に事務を執行している関係のものがあるのでありますが、そういうものについては、たとえば統計のようなもの、あるいは家計調査というようなものは、全部政府の必要によつて地方に命じてその事務をやらせておるのでありますから、そのようなものは全額國庫で支弁する。かような三つの種類にわけております。すなわち補助金は徹底的にこれを整理する。しかしながら、どうしても必要なものについては、法律でもつてその補助率を確定しておく。それから國家事務について、地方にやらせておるようなものについては全額國庫でもつ。こういうように補助の関係を明確にいたしたい。その代り財源を地方に與えて、地方が自主的に必要なる仕事をどんどんやつていく、かようにいたしたい。こういう考えでございます。そういたしましても、今後国政事務に関してやたらに地方に事務を委任いたしましたのでは、また紛淆を来しまするので、今後法律、政令、あるいは國家予算をもつて國家の事務を地方に委任いたすような場合には、あらかじめ地方財政委員会の意見を徴してきめなければならぬ。かようにいたしまして、やたらに國政事務を地方に委任して地方財政を圧迫することのないようにいたしたい。かように考えておる次第であります。
 次に中央政府の方針に準じまして、行政機構の簡素化、職員の配置の合理化等を行いまして、地方財政を行政の合理化によつて経費の節減をはかりますとともに、國家の地方特別官廳の整理を行いまして、地方團体にやらせてよろしい仕事は、できるだけ地方に委せる。この問題につきましては、本委員会におかれまして愼重にただいま御研究中のようでありまするが、十分なる成果が早く得られますれば、それに準じて地方財政委員会としても、歩調を合わせて考えたいと思つておる次第であります。
 なお都道府縣市町村の区域の統合という問題につきましては、いろいろ地方財政委員会としても意見があり、できるだけ地方團体の統合という方向に進んで、地方團体の財政の強化をはかるとともに、経費の節減をはかりたいし考えておる次第であります。
 それから先ほどもちよつとふれておきましたが、地方團体の災害復旧工事あるいは救助事業は、迅速かつ能率的に施行せられることを確保するとともに、併せて災害の累増のために地方公共團体の財政の窮迫を防止するために、地方災害復旧基金を設けたらどうかという案をもつておるのであります。この地方災害復旧基金によりまして、災害が一朝ありました場合に、それから金を支出して、速やかなる災害の復旧をはかるという方法でございます。この基金につきましては、毎年度國庫と地方公共團体から支出して積み立てていく。そうしてこれらにつきましては、例の救助法の救助基金というものもありますから、これを災害復旧基金に統合しなければならぬと思います。資金が不足の場合は借入れたりまた証券を発行して、もし資金に余裕があります場合は、地方公共團体または國庫において資金を必要とする場合に、それに融通するということにしたらどうか、かように考えておる次第であります。
 もう一つ、地方團体の金融の円滑化に関する点を先ほど申し上げましたが、地方費の起債につきましては、原則として赤字を避ける。しかしながら生産企業の公債及び実発的に多額に要する経費の支出に充てるためには、最小限度起債を許す。その他につきましては、すべて赤字によらずして、一般地方財源をもつて支弁をするようにしなければならない。これがためには、どうしても十二分なる地方財源を與えなければならぬのでございますが、しかしながら水道事業をやるとか、あるいは公共團体において電氣を公営するとか、そういう生産事業に関しましては収入をもつて支弁できるのでありますから、赤字もよろしい。また学校の建築のような実発的な、そうして何十年間に一遍しかないようなものにつきましては、これは起債を認めよう。これらの資金がなかなか今得られない。このために地方財政委員会としては、地方團体の中央金庫というようなものをつくりまして、この地方公共團体の金融難を打開して、その分に必要な金融について、自己金融体制を確立して、会計経理の円滑化をはかりたいという考えをもつておるものであります。これが名称は一應地方團体中央金庫とし、これは法人とする。この地方團体中央金庫において、地方公共團体が必要とする資金を貸しつける。こういう制度を設けたいと考えておるのでありますが、ただいまのところ資本金は約二百億円として、政府及び地方公共團体が半分ずつ出資をする。地方公共團体の出資は、都道府縣及び市町村において負担するものについて、設立の最初においては、おのおの五分の一を支出するという構想をもつておるのであります。なおこの地方團体中央金庫は、地方金融債雰を発行することができる。また毎年預金部の資金のうちの一定の割合を、郵便貯金で集まつた金の一定の割合を、この地方團体中央金庫に預け入れさせて、そうして資金が豊富になるようにいたしたい、かように考えておるのであります。この地方團体中央金庫につきましては、ただいまのところ、大藏省事務当局は反対であります。しかしながら、これは今後の地方財政の自主化をはかるために、また円滑なる地方財政の運営上、ぜひ必要なものではないかと思う次第であります。
 次に、こまかいことですが、國有林野の交付金。國有林の多い東北地方等にありましては、地租はほとんどはいらない。そこで今から二十年前ぐらい、何がしかの交付金をもらつておつた。しかし物價は五十倍にも百倍にも上つておるのに、現状維持でありますことは、國有林野が地積の大部分を占めておる市町村におきましては、非常な財政上の苦痛でありますので、國有林野の交付金を引上げたいと考えております。これは政府においても、大体賛成の意向を表示いたしております。
 なおまた、中央公認競馬は、今度國営でやろうという方向に進んでおるようでありますが、地方競馬につきましては、これの施行者を都道府縣として、その収入の全額を都道府縣の財源といたしたいと考えておるのであります。これらについても、大体各方面の意向は賛成でありまするが、ただ大藏省は國庫納付金だけは出してもらいたいというようなことを言つておるのであります。
 なお、配電会社の公納金制度については、その合理化をはからなければならぬ。あるいは地方宝くじの國庫納付金制度も、廃止すべきであるという意見もある次第であります。
 以上地方財政の経理方面等について申し述べましたが、次に地方税法の改正に関する地方財政委員会の意見を申し上げたいと思います。
 今まで地方税というものは、ほとんど地方分與税が地方公共團体の税牧入の半分を占めておるのでありまして、まつたく自主性を欠いておるのであります。從つて地方財政委員会としましては、現在の日本の各公共團体の財政の現状から見て、地方分與税というような財政調整の制度というものは、やはりこれは最小限度に残さなければならない。そうでないと、財源のない貧弱な田舎の町村等は、財源が枯渇して何もできないということになりますので、どうしても最小限度は地方財政調整の制度が必要である。この意味合において、地方分與税制度は最小限度においては存するが、地方財政の税収の半分以上も占める現状を、ずつと率を下げて、できるだけ分與税の額の比率を減らすという方向に進めたい。それにはできるだけ豊富なる税財源を與えなければならない。かような観点から、これから述べますようないろいろな案を考えておるのであります。
 第一は、入場税は今國税となつておりまして、百分の百五十をとつておりまするが、この入場税は全部地方独立税として地方に委譲すべきである。そうして地方に委譲いたしましたならば、現在通り百分の百五十の税率をもつ課税としたい、かように考えておるのであります。昭和二十三年度における入場税の収入見込額は、百十億円に上る次第であります。この点につきましては、まだ大藏省と十分話合いがついておりません。
 それから第二には、狩猟免許税でございますが、現在國税の狩猟免許税というのは、これを廃止して、現在地方でとつておりますところの狩猟者税というものに併合いたしたい。これは各方面賛成であります。
 次に、インフレの進行に應じて税収を確保できるような税金を、地方税でつくりたいということを先ほど申し上げましたが、その重要な一つとして、酒、タバコの消費税を地方税として創設いたしたい。今酒は高額の間接税を政府はとつておりますし、タバコにつきましては專賣制度になつておりまするが、これらに対して百分の二十程度の地方税を認めたい。そうして百分の十を都道府縣、他の百分の十を市町村の税源といたしたい。その総額は二十三年度において二百四十億程度の税源と相なるのであります。非常に厖大なものでありまするが、いろいろ地方税として適当なものを探してみたのでありまするが、なかなかございません。都会ではたくさんとれるが、田舎では全然とれないというような税金が多いのであります。普遍的に日本全國津々浦々まで、比較的公平にとれる財源としては酒、タバコ消費税にしくものはないのでありまして、そうしますと、相当これで地方税制というものが独立性をもつてくると思うのであります。これにつきましては、いろいろ大きな反対論もありまして、むろんまだ結論に達しておりません。酒、タバコの消費税をつくりますといたしましたならば、都道府縣において本税を課しまして、そうして市町村において消費税附加税を課する、こういう方向でいきたい。賦課率は先ほど申しますように、本税と附加税を合わせて小賣價格の百分の二十ずつ、こういう考えであります。
 次に、地方税として事業税を創設いたしたい、かように考えておるのであります。従来商工業等に対しましては営業税を課しておつたのでありますが、この営業税を拡張いたしまして、農林、水産というような原始産業、それから医者、弁護士のごとき自由業、こういう方面にまで拡張いたしまして、その名前を事業税ということにいたしたい。この事業税を都道府縣において本税を課して、市町村でこれに附加税を課するという制度にいたすのであります。賦課率は、本税と附加税を合わせて純益金額の百分の十五程度にいたす。しかしながら原始産業、すなわち農林、水産業及び自由業に対しましては、その半分、すなわち百分の八くらいを賦課率として課税をいたしたい。但しこの事業税は純収益が課税対象でありまするけれども、なかなかこれをとらえることが困難性も多いので、適当に課税標準については外形主義をもつて外形標準によつて課税をしてもよいというような制度にいたしたいと考えておるのであります。ある有力な筋の方面から、あるいは土地使用税というようなものを考えてはどうかというような意見もありまするけれども、農業等に関しまして土地使用そのものに課税するのは、われわれはどうかと思い、それよりも、やはり農業收入に対して課税するという主義の方がよいのではないかと、今考えておる次第であります。かようにいたしまして、結局現在商工業等に課税しております営業税はこれを廃止して、すべて事業税という形でいく。これは百分の十五、及び百分の八というような賦課率でまいりますると、約三十五億ぐらいの税源に相なる次第であります。
 それから鉱産税のことでありまするが、今鉱業に関しましては営業税でいつておりまするけれども、収益がない、赤字だ、石炭を掘つても赤字だ、こういう関係から、ほとんど営業税の収益はございません。しかしながら北海道とか、あるいは九州方面、その他の炭鉱、鉱業地帯には、そうした鉱山があるために、いろいろな学校もたくさんつくらなければならぬ。道路もつくらなければならない。厚生、衛生施設も要る。いろいろ地元としては金が要る。ところが、財源としてその鉱業地帶に対して課税ができない、実際金がとれない。これでは非常に困る。北海道や九州では、非常にこれが高いのであります。従いまして鉱業方面に対しましては、収益があれば事業税を課してもいいのでありますけれども、現在のように事業税としてはとれない現状におきましては、鉱産税というようなものを起して、そうして都道府縣及び市町村において本税及び附加税を課して、そうして、これは鉱産價格に対して、石炭一トン千何百円なら千何百円の何パーセントというような程度にしたい。現在の考えでは、鉱産價格の百分の二程度の鉱産税を課したらどうかと考えておる次第であります。
 なお、現在やつておりまする税金のうち、住民税に関しましては、これは御承知のように、負担分任という精神で、貧乏人も金持もみな住民としての自覚をもつて、少しでも出し合おうというのでできた制度でございますけれども、なかなかこれが税額も高くなつてまいります。また今日のように地方財源の乏しいときに、どうしても住民税というものを相当引上げなければならない。こういう観点から、住民税の年一人当り最高の平均というものの制限がございましたが、これを廃止して、そうしてもつと税収をはかりたい。なお住民税の賦課額を決定するにあたつては、軽度の所得税というような考えで、所得に應じて軽重を加える。こういうようにいたしたい。それからまた、ただいま住民税は十月一日現在で賦課しておりますけれども、これを六月一日をもつて賦課期日と定め、そうして必要に應じて二度なり四度なりにわけて課税する。年一遍ですと、突然一遍に課税される。先般東京都で行われた都民税のように、いろいろ物議をかもすことになります。これを二度なり四度にわければ、相当納入者が樂になるのではないかということで、賦課期日を定めて分納できるような制度にいたしたい。かように考えておる次第であります。
 それから鉱区税、これは非常に安い税金でございます。鉱区に関しては、遊休鉱区に対する便宜を取消してしまうということも、鉱業税法の改正によつて考えられておるようでありますけれども、鉱区税は現在の五倍程度に賦課率を引上げてはどうかと思つております。
 それから不動産の所得税は本税、附加税を合わせて、取得價格の百分の十もしくは百分の十五程度の制限を設けて増徴したらどうかと考えておる次第であります。
 それから都市計画税は、道府縣の都市計画税を廃止して、市町村に全部これを委譲してしまうというように考えておる次第であります。
 以上、各税に関する考えを申し述べたのでありますが、この地方税に関しましては、できるだけ地方自治体の自治性というものを認める趣旨をもちまして、住民税であるとか事業税、地租及び鉱区税につきましては、標準賦課率を法律で定めた分に留める。そうして自由に地方團体をして課税せしめる。それから法定外の独立税につきましては、こういうものは課税してはいかぬということについては法律で定めますが、これに抵觸しない範囲においては、地方公共團体は自由に課税してよろしいというように課税上の自主権を行いたい。
 それから、地方公共團体が課税の標準賦課率を超過して課税したり、あるいは法定外独立税の新設、変更等をやつたり、いろいろいたします場合に、完全に勝手にさせておいたのではいろいろ弊害が生ずる場合があるので、從つて、そういう税に関する特例的な行為を地方公共團体において行つた場合には、ただちにこれを地方財政委員会に報告する。地方財政委員会においては、その地方團体において行つた課税が不適当であると考えます場合には、地方税審議会というようなものを別に設けて、その審査を請求して、そうして是正したらどうかというようにわれわれは考えております。すなわち法定外独立税として、とんでもない税金を、殊にある特殊な事業を、ある町村でひとりで行つているというような場合には、非常に厖大な課税をするというようなことになつて、その事業が成立たぬというようなことがある。町村によつては、そういうことがあるのであります。そういう独立税をつくります場合、その町村に任せておつたのでは救済の途がない。そういう例外的な弊害を防ぐために、中央に地方税審議会というようなものを設けて、そこでそういう異議をさばくというようにして、地方税制の円満な運営をはかるようにしたらどうかというようなことを考えております。
 それから税に関する罰則、あるいは徴税に関する強制手段というようなことにつきましては、國税と同一のような歩調でいきたいと考えております。
 以上は地方税の問題でありますが、地方分與税の問題につきましては、先ほども申し上げましたように、最小限度にいたしたい。しかしながら、日本の現在の地方財政の現状においては、この地方財政調整の制度は、どうしても尊重しなければならぬと考えまして、できるだけこの分與税制度というものを圧縮いたしますが、これに伴つて、どうしても豊富な財源を地方團体に與えなければならぬ。それでいろいろ新しい税収を考えましたが、どうも妥当適切な國民の税負担能力というものは、ほとんど限度に達しておりますので、新しい地方税をたくさんつくりますと、それだけ國民の負担が過重になります。從つて、どうしても國民の負担能力というものとのかね合いにおいて、地方財政の確立を考えます場合には、どうしても、やむを得ず今中央でとつております國税を地方に委譲してもらわなければならぬ、こういうことに相なる次第であります。
 入場税の問題は、これは自治体警察の行われているような町村には活動館なども相当ありますが、自治体警察の行われない、国家地方警察の管轄下にある町村等におきましては、入場税の収入は豊富にはございませんが、自治体警察の費用等もございませんので、自治体警察の費用として、きわめて適切な措置として入場税をその財源とすべきではないかと思う。また酒、タバコ等の消費税について、これは先ほども申し上げました通り、日本全國に普遍的に消費せられる物資でございますから、これも割合あまねく地方團体が、その税金の潤いを受ける。それから酒、タバコを飲む場合も、單に國家の収入になるばかりでなく、これがひいて町村のいろいろな施設、あるいは教育、そういうものにこの金が使われるのだという自覚によつて、酒、タバコをのむことについても、地方のためになるのだというようなことを考えますと、とにかく酒、タバコの消費税というものは、少しくらい負担が重くなりましても、地方民としては精神的にあまり苦痛がないのではないかというようなことも考えている次第であります。
 かようにいたしまして、補助金は徹底的に整理して、税金は地方に委讓し、あるいは新設する。かようないろいろな手段を講いましても、地方財政は猛烈に膨脹してまいります。それで賃金ベースを二千七百円として計算をしてみましても、先ほど申し上げましたように、いろいろな税金あるい補助金の廃止その他を行いますると、結局それでもなおかつ、地方財源の不足が百六十七億ぐらいに上るのでありまして國家の財政も地方財政も非常に赤字になつておるときに、地方財政の確立をはかり、地方財政の赤字をなるたけ避ける。そうして臨時的な事業以外には赤字は認めぬということになりますると、ここに相当厖大な財源を必要とすることになつた次第でありまして、ただいま地方財政委員会としては、以上のような案をもつておるのでありますが、今後なお政府部内においても十分折衝して、できるだけ速やかに地方財政の確立の方策を立てまして、三月六日に至るまでに間に合うように、國会に提出したいと思つて、せつかく努力中でございます。
 大要御説明申し上げましたが、なお御質問に應じましてお答え申し上げたいと存じます。
#4
○坂東委員長 地方自治法の実施によりまして、地方の負担が非常に重くなるということのために、地方財政委員会におきまして、地方の財源確保のために種々研究されましたことを聽きまして、われわれ委員会は非常に同慶に感ずる次第でありますが、聽きますると、その中におきまして、あるいは農林省が反対の点もあるし、あるいはまた大藏省が反対の点もありまするから、そういう点は十分検討していただきまして、できるだけ地方財源確保という点において検討を進めたいと思います。なお時間もありませんから、簡單に質疑を願いまして、引続きまして十分いろいろな点を檢討したいと思います。
#5
○門司委員 ちよつとお聽きしたいのですが、現在の日本の徴税が、非常にうまくいつていないという形が続いておりますが、これが地方財政確立のために、いろいろなものが地方に委譲された場合の徴税の方法等につきましても、何かお考えがあればお聽かせ願いたいと思います。
#6
○竹谷源太郎君 現在の徴税の制度は、先ほどちよつと触れましたけれども、罰則、あるいは加算税制度、あるいは徴税吏員の質問檢査権、あるいは脱税者等に対する懲罰の方法等につきまして、非常に手薄なのであります。これはどうしても國税程度に罰則の強化、あるいは徴税吏員の権限の拡張、それから脱税者、申告を故意に間違えたり、うそをついた者等に対する体刑もしくは罰金制度、それらのものの程度は非常に低いので、この点は國税程度にぜひ引上げたい、こう思つておる次第であります。
 なお税務署は、今最大馬力をかけて徴税にあたつておりまするが、地方は地方でそれぞれまた手もあり、実情もよく知つておるのであつて、地方税に委譲せられることによつて、たとえば入場税等につきましては、現在でもなかなか國税として徴収に困難を感じておるのであつて、地方税にこれを移したならば、これはもうなかなかとれなくなるのじやないかというようなことを、大藏省で非常に心配しております。しかし入場税等に関しましては、市町村等がよくその実情を知つておるのでありまして、むしろ税務署がやるよりも的確なる課税をし、また徴收につきましても、いつも眞近におつて事情をよく知つておる関係から、かえつて円滑にいくのではないかというふうに考えておるのでありまして、國税を地方税に移し、また地方税を新設しても、そう困難を感じないのではないかと思うのであります。
#7
○門司委員 続いてさらにお伺いしたいことは、地方財政確立のためのいろいるな税源を委譲される、殊にただいまの徴税の方法について一應お伺いしたのでありますが、さらにこれを非常に民主化し、かつ円滑化するために、地方自治体に財政委員会のようなものを設置するお考えがあるかどうか、お伺いしたいと思います。
#8
○竹谷源太郎君 中央にただいま地方財政委員会というものがございまして、これは本年十二月三十一日限りと一應なつておるのであります。この中央の財政委員会、あるいはこれに類する機関を、明年度以降においても置かなければならぬかどうかということについては、地方財政委員会としては、せつかくただいま検討中でございます。あるいは何らかの機関を置く必要があるのではないか。すなわち地方財政を監督するとか取締るという意味ではなくて、地方財政を保護助長し、援護していくという意味合において何らかの機関が必要ではないか、かように考えております。なお都道府縣、市町村等にそうした機関が必要かどうかという点につきましては、まだ委員会としては意見がまとまつておりませんので、お答え申し上げるまでの段階に至つておりません。
#9
○坂東委員長 ただいま御説明の点は相当廣汎でありますし、また重要でありますから、適当の機会にさらに檢討を加えることにしたらいかがでしようか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○坂東委員長 それではこの点はそういたしまして、次の地方出先官廳の整理に関する件でございますが、これは今小委員長の中島君が役員会で出られませんので、延期したいと思いますが、いかがでしようか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○坂東委員長 それでは延期いたします。
#12
○坂東委員長 次には、列車内の治安維持対策に関する件でございますが、これは門司小委員長から中間報告をお願いいたします。
#13
○門司委員 それでは列車内の治安維持対策の小委員会の中間報告をいたしたいと思います。
 列車内の治安維持対策に関しましては、去る二月十日松谷君外七名が小委員に選定せられまして、十二日に互選の結果、不省私が小委員長に就任いたしまして、爾來折合せ会を開きますこと一回、さらに小委員会を二回開催いたしまして、そうして運輸省並びに総理廳内事局及び法務廳から、各関係者に出席していただきまして、説明を聽取したのであります。これによりまして、大体昭和二十二年四月ないし十一月の間における事件の起りました数その他を調査いたしたのでありますが、列車内の警戒のために乗つておりまするいわゆる警務員と申しますか、それらの諸君の取扱いました件数を報告いたしますならば、営業法違反というようなものが、大体二万八千件くらいあつて、それに関連いたしました人間の数は、大体二万五千人くらいの程度であります。さらに不法占拠その他の犯罪が三千件を超えておるのであります。それから、私どもが最も関心をもたなければならぬと考えております警察官に対するところの公務執行妨害というようなものは、案外少くて三十五件、さらに運輸省の職員に対します公務執行妨害等は四十三件程度であります。さらにその他の列車内の暴行傷害というものが百件を算えておるのであります。事犯といたしましての刑事犯は一千余件に上りますし、さらに経済違反は七万二千余件に上つておりますのと、その他の犯罪は五千五百件に上つておるのであります。従いまして、犯罪の合計は約十一万件を超えておるのでありまして、これに対しまして、鉄道公安官の現在の数は大体八百六十名程度でありまして、さらにこれが教習中の者四百五十名を加えまして、大体本年度末までには一千二百名の増加を見る予定になつておるのであります。これらの公安官は非常にその必要性があるにもかかわりませず、従來乘つておりまする警乘に必要な武器の携帶を未だに許されておりませんのと、さらに職権の行使にあたりまして、法的に確たる根拠を未だもつておりませんので、從つて執行力が非常に弱体であつたこと、同時に一般警察官との連絡がいろいろの事情から理想的に行われておりませんので、いろいろな支障を來しておるのであります。これらの理由を除きますることのためには、いろいろな処置が講ぜられなければならぬと思うのでございますが、先ほど申し上げました事犯の実績等を考えますならば、事実上の乗客の不安というものは一向に軽減されておりませんので、これに対しまして内事局の意見その他を徴しましたところ、内事局の意見といたしましては、近く警察官吏の三万人の増員が実現されますならば、國家警察におきましても、あるいは自治警察におきましても、從來から見るならば相当の余裕が出てくるのではないか。從つて、この警察の新制度が確立した後におきましては、警察官吏の配置轉換等が完了いたしますならば、列車警乘もまた可能となり、今日の不安が大幅に軽減せられるのではないかというような意見があつたのであります。これらに対しまして、おのおの小委員の中には公安官に武器を携帯し得るような途を講ずるようにしたらどうかという意見もあり、あるいは公安官の職務の執行に対しまして、法的の裏づけによつて権威あらしめたらどうかというような意見があつたのでありまして、現在の不安な状態が存続している間に限りまして、これらの状態を除去するために、先ほど申し上げました法的根拠を與えるとか、あるいは武器の携帯を許すとかいうことが、この不安の状況のある間において必要ではないか。またこれが通常の警戒に還元しまするならば、そういうものの必要はなくなるのではないか。從つて臨時的にも、そういう措置をこの際講ずることがいいのではないかという意見が大体多かつたのであります。これらの諸問題を解決するために、一應必要な法規をつくつたらどうかというような考え方が大体一致いたしましたので、その法案の提出を政府がするか、あるいは委員会がこれを提出するかということは別といたしまして、一應そういう方向に進んで調査を進めることに大体いたしたのであります。
 以上は本委員会における今日までの大体の経過の概要でございますので、御報告申し上げておきます。
#14
○坂東委員長 それでは本日はこの程度をもつて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。
    午後零時十二分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト