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1951/05/19 第13回国会 参議院 参議院会議録情報 第013回国会 水産委員会 第33号
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1951/05/19 第13回国会 参議院

参議院会議録情報 第013回国会 水産委員会 第33号

#1
第013回国会 水産委員会 第33号
昭和二十七年五月十九日(月曜日)
   午後一時三十一分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     木下 辰雄君
   理事
           松浦 清一君
           千田  正君
   委員
           青山 正一君
           秋山俊一郎君
  政府委員
   調達庁管理部長 長岡 伊八君
  事務局側
   常任委員会專門
   員       岡  尊信君
   常任委員会專門
   員       林  達磨君
  説明員
   水産庁漁政部長 伊東 正義君
   水産庁漁政部漁
   政課長     家治 清一君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○日本国とアメリカ合衆国との間の安
 全保障條約に基き駐留する合衆国軍
 隊に水面を使用させるための漁船の
 操業制限等に関する法律案(内閣送
 付)
○電源開発促進法案に関する件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(木下辰雄君) 只今から委員会を開会いたします。
 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約に基き駐留する合衆国軍隊に水面を使用させるための漁船の操業制限等に関する法律案を議題に供します。この前の委員会におきまして、本法案に対する提案理由の説明と内容の概括的説明はありましたが、なお本日は補足的に御説明が必要でありましたら御説明のほどをお願いいたします……なければ直ちに質問に入ります。
#3
○説明員(伊東正義君) ありません。
#4
○委員長(木下辰雄君) それでは総括的質問をお願いいたします。
 ちよつと私から政府にお尋ねいたしますが、第六條に「この法律により決定された補償金の額に不服がある者は、訴をもつてその増額を請求することができる。」こういう條文がありますが、この訴は安全保障條約によつてアメリカ側が裁くのですか、日本の政府が裁くのですか。
#5
○説明員(伊東正義君) これは日本側が裁くのです。
#6
○松浦清一君 第二條第二項の「前項の規定により補償する損失は、通常生ずべき損失とする。」という、その通常生ずべき損失ということの判断はどういうところに基礎を置いて判断をなさるというお考えでしようか。
#7
○説明員(伊東正義君) この考え方でございますが、これは法律にこう書きましたのは、例の土地收用法等の思想と全部同じ考えでございます。この間国会を通過いたしました例の土地等の使用等に関する特別措置法でも同じようなこれは考え方をいたしております。それで従来はこの点は、お手許に法律案の参考資料を今すぐお届けしますが、大蔵省と過去において折衝したときは、殆んど漁獲がないといいますような場合は、その年の前年の魚価をとりまして、それに平年の漁獲数量を掛けて、その四二%が所得であるというふうに見まして、又それに失業保險の考え方を入れて、その六〇%が通常生ずべき損失だというような計算を過去の方式ではやつておりました。それでこれがそういうような計算で大体今まで四億一千万くらいの補償をいたしたのであります、過去におきましては。今後はこの通常生ずべき損失はどういう考え方をするかという御質問でございますが、これは実は一つ一つによつて私は違うと思うのです、漁業の種類、いろいろなケースによりまして。併し一つ一つについて方式を作るということもなんでございますので、我々の考え方といたしましては、次のように考えておるのですが、これはまだ大蔵省なり或いは特別調達庁のほうとは十分連絡はいたしておりません、これから話合いをしたいと思つておるのですが、それは殆んど漁獲が零になるというような場合には、今申上げた方式の、魚価に平年の漁獲数量を掛けて、その四二%が所得だというような考え方をして、この四二というのは、安本でとつておる所得なんでありますが、その比率を使いまして最後に大蔵省が六〇%だと言つた六〇%に落したもので、これを我々は、大体通常の損失と考えたらどうかというような考え方を今いたしております。併しこの点につきましては、まだ関係方面と話合いはついておりませんです。
#8
○松浦清一君 いろいろ損失の額というものについての算定の基準というものは大変技術上むずかしい問題だと思いますが、例えば第一條に書いてある最後の禁止をするとか、制限をするとかいうその制限の範囲、例えば禁止をするということになれば、その区域の中における漁業はできないということになるから、今おつしやつたような勘定の仕方ですね、それが少い多いということは別の問題として、直ぐにでもそれは制限するということになると、例えば今の演習区域における漁獲の皆無の場合と、それからその影響によつて漁獲の量が非常に減少するというような事柄についての損失額の決定、これはなかなかむずかしい問題だと思うのですが、それはやはりお役所独自の申請に基いて、その判断の結論はお役所独自の立場において出すお考えですか。
#9
○説明員(伊東正義君) 御質問がありましたように、私御説明いたしましたのは、漁獲が皆無の場合ですが、御質問の通り制限の場合があるのです。これはあとで資料をお届けいたしますが、その場合にはさつき申上げました平年の漁獲数と、今度制限を受けたためにその年は漁獲が減つて来たというような場合が今度は出て来る、それの差額というようなことを考えて補償をするというような考えでおりますが、これにつきましては、従来は大体県から資料をとりまして、その資料は、漁獲を調査する委員会のようなものを各県で作つておりますが、そこで相談した資料をもらつて、こちらで大蔵省、調達庁と相談した額で、それが最後だというような形でやつておつたのです。今後のやり方につきましては、三條以下にございますが、やはり都道府県知事は一番そういうものについては中央より明るいであろうというような考えを以ちまして、都道府県知事が意見をつけてこちらへ出して来る。それについてのやり方でありますが、これはやはり一応内閣総理大臣のほうで、補償という形になつておりますが、私どもの気持といたしましては、農林省あたりでよく検討いたしまして調達庁、大蔵省とやはりどういう算定の方式でやるかというようなことを相談してやつてみまして、それで出して行く。それについて不服等がありますれば、四條以下の救済規定、これは新らしくできたのですが、四條、五條、六條の救済方法で或いは増額とか何とかいうことでやつてみたらどうかというように考えております。
#10
○千田正君 大体昨日承わつたのですが、この行政協定によつてこれが作られたと思いますけれども、第四條にあるところのいわゆる損失補償の決定につき不服の者が内閣総理大臣に対し異議を申立てることができるという点であります。そこであの安保條約におけるところの行政協定の内容を検討する場合において、最後の決定権はアメリカ側にあると承知しておりますが、その点についてはどう思つておられますか。
#11
○説明員(伊東正義君) 或いは私からお答えするのは不適当かと存じますが、今調達庁もおられますので、或いはそちらから不足の点は御説明をお願いしたいと思います。我々考えておりますのは、一応防衛支出金の中から今年は九十二億でしたか、この損出補償や何かに予算が出るということを我々了解をいたしております。それでこれが農地のほうに幾ら、水産に幾ら、どういう施設に幾らというふうに、我々のほうからは今年は水産は幾らくらいだということは実は出しておりませんです。いよいよやりまして、これは九十二億が足りんかどうかというような、最後はそういう枠の問題になるだろうと思いますが、恐らくそういう場合にはこれは又足りなければ、補正予算を何とか……。
#12
○政府委員(長岡伊八君) 本件につきましては、どこまでも日本国内で決定いたします。アメリカにこの問題を持ち出すことは要らないと解釈いたしております。
#13
○千田正君 そこが私どもの疑問のところでありまして、恐らく実際においてはこの決定に不服ということは余り起きないだろうと思います。実施方面においては……。但し或いは万全を期す意味から考えて見た場合において、何かトラブルが起きてどうしても解決できない。現地でも解決できなければ、その解決方法に不服がある場合において、総理大臣に再審議を申立てる。内閣総理大臣の権限においてさえも不服な場合においてはどうするかという問題のとき、どこで決定するかということを私は承わりたいのであります。
#14
○政府委員(長岡伊八君) 第四條の不服異議の申立をいたしまして、その決定を見ましても、なお不服であるという場合には、第六條の訴えを以てその増額を請求する。日本裁判所に訴えまして、その決定に従う、こういうことになつていると思います。
#15
○千田正君 そうしますというと、従来の日米間の裁判の決定権についてはいろいろ我々も疑義があります。研究もしておりますが、この問題については日本の国内法に基いて、日本の裁判権によつてこれを解決する、かように承知してよろしいわけであります。
#16
○政府委員(長岡伊八君) 御指摘の通りだと思います。
#17
○秋山俊一郎君 この法律によりますと、文面では漁船の操業制限と、特に漁船の操業ということに限つているようでありますが、その他漁業権等によるものは権利のほうで補償されますけれども、例えば砂浜のごときもの、或いは網を干す場所といつたようなものについては、これはどういう形によつて補償されることになるのですか。私有地であれば土地使用とか何とかいうことになつて来るが、官有地であるというと、砂浜において網を干さなければならん。その水面では実際船は操業はしないけれども、操業した網を持つて来て干さなければならん。そういつた場合に私有地であれば土地使用のほうで行く。海浜のいわゆる官有地、国有地と申しますか、砂浜を利用するとか、そういつたことから生じた損害は何によつて補償するか。
#18
○政府委員(長岡伊八君) 国有地の場合に御指摘のような問題が相当困難な問題が起るかと存ずるのでありますが、実は本法のほかに御承知の行政協定十八條に関連いたしまして生ずる補償の問題がございます。御承知の通りに従来は進駐軍の行為に基きまして発生いたしました損害は、厚生省が主管で取扱つておりました見舞金のほかには従来救済の途がなかつたのであります。ところが今度は只今申上げました十八條に関連いたしまして、駐留軍の公務上の原因に基きまして、その損害が駐留軍の責に帰すべき場合ということになりますと、民事特例によりまして、補償されることになつております。その補償いたします金は、実は日米分担の問題がございますが、その問題は先ず別といたしまして、駐留軍の責任と言うことはできないけれども、同じような駐留軍の責任に帰すべき事由と同様なことで損害が起きているというときには、これは日本政府の見舞金によつて救済いたしたい、かように考えておりますので、只今御指摘の問題もその見舞金の適用を受けて救済し得ることとなりはしないか、その範疇に入る問題が起るだろうというように考えております。
#19
○秋山俊一郎君 只今のお話だとしますと、例えば爆彈を積んだ飛行機が落ちて、そうして日本の国民に損害を與えたといつたような場合が想像されるのでありますが、私がお尋ねするのはそうでなくて、丁度水面の操業を禁止するといつたような状態と同じように、その海浜で従来操業した網を干していた所が網が干せない、駐留軍がそこを使用するために使えなくなつた。つまり合同委員会においてこの水面の使用禁止と同じような話合いによつてその区域が一定の期間使用を禁止されるというような場合があり得るのではないかと思う。水面とほぼ同じような場合において……。その場合にその土地及び水面が、漁船は操業してはおらないけれども、魚は獲つてはおらないけれども、漁業上どうしてもそこを使用しなければ仕事ができない、漁業ができないという場合は水産には幾らでもあります。それは何によつて補償するかというのであります。
#20
○政府委員(長岡伊八君) 只今御指摘のような場合の土地を制限する、使用するという問題のときには、先般議会を通過いたしました日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法というものが通過いたしました。その海浜を民有地でございましたならば、これを使用或いは收用するという問題でございます。国有地でございますと、只今御指摘の通りに合同委員会その他でその地域を駐留軍に提供するということがきまりますと、これを日本政府が提供することになります。それがために発生いたしますその土地の上に存在いたしました権利がございますならば、これに対する補償はこの法律に基いてやる場合があると思います。それから或いは権利等と言われないと、先ほど申上げましたように、権利侵害と言わんまでも、実は損害が起きている。駐留軍がそこを使用するために損害が起きたということは、これは個々のケースとして検討を加えませんとわからんかと思いまするが、爆彈が破裂した場合と同じような損害という点から申しますと、損害を受けたということで見舞金を交付し得る場合があると考えております。
#21
○秋山俊一郎君 その只今のお話のように、見舞金というものであるというと、これは性質が非常に違つて来ると思うのでございますね。一介の見舞金ということになりますが、引続いてこれを使用して行くということになりますと、海浜の使用なんかになりますと、別に水面使用とか、海浜使用とかという特別の許可を得なくても、網を干していることは幾らでもあるけれども、海岸の権利でもないものが多い。ただ水面に竹棚をして干場を作つている場合には水面使用の許可をもらつてやつているのですが、そういつたようなものに対しては土地のほうの制限に関する法律によつて補償されるのでありますか。補償される根拠がどこにあるかということをお尋ねしている。今のように見舞金でということになりますと、それは突発的の事故、或いは偶発的な事故によつて起つた場合の見舞金ということはありましようけれども、水面を使用すると同じように、いつからいつまでここは使つちやいけないといつたような場合には、見舞金じやいけない。見舞金でいいならこれだつて見舞金でいいというような、同じような理窟になるのですが、そういう場合が必ず場所によつては起つて来るのじやないか。それはどの法律によつて補償して行くか、どうも法律がないから補償できないということになつたのじや困るので私はお尋ねしたのですが、水産庁はそれをどういうふうにお考になつていますか。
#22
○説明員(家治清一君) 只今の御質問のように、この法律でも救われないし、ほかの法律でもはつきりしないというケースは非常にございます。但し先ほど管理部長からの御説明がございましたように、御質問の中の或る部分のケースは、その陸上の土地と言いますか、或いはその上にある権利関係で、これは土地等の使用等に関する特例法で救われる。それでも救えない分は、実はこの法案を審議する、立案する際にもいろいろ議論が出たのでございましたが、実はこれは飽くまでも根拠は行政協定に基かなければなりませんし、その行政協定の根拠を求めます際に、実は二十五條の二項のほかは適当な根拠はございませんでして、二十五條の二項と申しますものは、日本の政府が施設、或いは区域の提供をする、これに要する補償が日本政府の負担である、こういう趣旨の規定でございまして、その根拠以外には実は適当な根拠はございませんでして、その限りにおいて、実は操業の制限禁止と裏表で補償をするという立法の範囲が限定されたのでございます。従いまして、御指摘のようにどうしてもこの法律の中でも救えない、かと言つて陸上の関係の法律でも救えないというケースは考え得るのでございますが、それはまあ偶発的なことを主として、無法的に補償している見舞金の制度を、物によつてはその性質に従つて経常的に活用してもらうより仕方がないと考えております。
#23
○秋山俊一郎君 そういたしますと、若し見舞金ということになりますと、それが不服でも何でも、どこにも持つて行きようがない。泣き寝入りということにならざるを得ないのじやないかと思いますが、その点如何ですか。
#24
○説明員(家治清一君) その点はつきつめますと御説明の通りだと思いますが、ただこの法律では先ほど申上げましたように、根拠を求められないで以て、外れた分でございますので、法律の趣旨に準じてやつて頂くよう、調達庁或いは大蔵省とは話合いを進めておりますし、大体その場合々々によつては異りましようけれども、同じように扱わなきやならん分については法律で認められているのと変らない程度の措置をとつて頂くつもりでございます。
#25
○秋山俊一郎君 そういたしますと、この法律に漁船の操業制限とはつきりしないで、何か字句を操業又は漁業に関すると言つたようなふうにこれを修正するという、修正して字句に今私の申上げたようなことを織り込むということは、行政協定の内容から言つてできないのでございますか。
#26
○説明員(伊東正義君) 私はできないとは思つておらんのでありますが、実は法律で書いておりますのは、大体直接の被害や何かを主に狙つて書いているのでございますが、拔けていると申しますか、間接被害の漁場が変つて来たとか何とかという問題があつたのですが、実はあんまり拡げても結局なんだということで、直接漁船の操業制限というようなことに限定して来たのでありますが、この漁船の操業制限と書きましても実は漁船を余り使わんでも、漁業権漁業、許可漁業も出て来ることと考えますが、そういうものは大体これは片つ方の土地の使用等に関する特別措置法で救えるのじやないかというようなことで、ここは一応は漁船の操業というような言葉で実は書いたようなわけであります。
#27
○秋山俊一郎君 今の私が懸念しておりますのは、九州には殊に長崎方面には、この間も問題になりましたのは、網を干す設備が水面に掛けられているのです。その水面を使用した網の干場が港、或いは港の周辺にたくさんできておりますが、これは勿論無断でやつているわけじやありません。こういう水面使用の許可によつてやつている。若しそういうものをここは使つてはいけない。取外せというようなことになつた場合には、これは土地のほうの規定によつて補償するのであるか、それは全然補償する途がないか。見舞金によつてやるよりほかに方法がないのか、まあ具体的にそういうことなんです、海浜もありますけれども。もう一つはそこに演習するために小舟艇がどんどん入つて来る場合に、とてももう網なんか干したりなんとしていられない。ちよつと待つてくれというような場合が起り得るのじやないか。まあ今後どういうふうな形で行くかわかりませんが、あらゆる方面を考えなければならん、そういう問題は恐らく出て来るのじやないか。その場合にその網干場がなければ、さばの巾着網にしてもあぐり網にしても、いわしのあぐり網にしましても操業ができなくなる。そういう場合に單に漁船の問題だけじやなくして、仕事ができない。漁船が制限されると、できればいいんですが、仕事ができなければ損ですから、そういう場合をどう考えているか。まあ水産庁としてやはり考えておいて頂かなければ、相当大きな問題が起つてからじや追つかないと思うのです。
#28
○松浦清一君 今の問題に関連して、どうも秋山委員の質問の狙いどころと、答弁をされるかたにちよつと食い違いがあると思うのですが、私もちよつとここに疑問に思つたのですが、偶発的に起つて来る問題等については、見舞金等については今まで自動車事故等により死んだ者に対して見舞金の措置を講じて来た。そういう考え方で見ましたのですが、ところが秋山委員の言わんと欲していたところは民有地、自分の土地に網を干しておつたというような所は、まあこれは土地收用法で行けるが、ところがその海岸の網を干しておつた所は国有地かなんかで自分の土地でない、併し先祖伝来この浜で漁業をやつておつて、自分の土地ではないけれども実際上は自分の網干場であるという一つの権利を自然的に、法律によつて保障されてはおらないが、習慣的に自然的にその権利を保有している所があるのですね、そういう所を駐留軍に日本政府が提供したということになると、法律的には認められていない権利、習慣だとかそういう長い伝統とかいうものを無視してしまつて提供してしまつたあとで、網干場がなくなつたときに起つた損害に対してどうするかという問題です。その趣旨だろうと思うのです。それで僕はもう一点、そういう区域で漁業ができなくなつたということのために、そこにいる加工業者等が失業して仕事ができなくなるわけですね、そこまでは考えが及ばないか。いろいろ加工業者とかいうふうに限定するのでなくて、それに関連して起つて来る損害というものがあるわけですね。そこで御答弁なさる前に私は結論を言うてみると、漁船に限定しないでもう少し漁業全体の損害に対して補償ができるような途をこの本條文の中に開いておくということができるかできないかということなんです。
#29
○政府委員(長岡伊八君) 問題は御指摘の通りでございまして、そういう場合、だんだん間接の問題になりますと非常に困難になつて来る。これは陸上の問題につきましても入会権をどうするかというような問題もございまして、まあいろいろ研究いたしております。この法律を立案いたしましたときには、実はこの漁業の補償ということは、今日までも実はこの法律に盛られております内容とほぼ同様な補償を年々して来ている。これをこの際法律化してはつきりしたものにしておく必要があるという観点からこの立法に及んだわけであります。で、いろいろな問題をそれこそ網で全部救い上げるという措置をとることが理想でございますが、先ず先ず立法をいたしますときには、本法と先ほど申上げました土地のほうの、まあ簡單に申上げますならば收用法というものと、もう一つ先ほど申上げました民事特例の十八條の関係で参りますならば、大体従来の経験から見まして救済できるであろう、こういう考え方でこの立法に及んだ次第でございます。
#30
○松浦清一君 今おつしやるように、この法律の全文を読んでみますと、結局今までの米海軍の演習地における損害を補償して来たということに少し肉をつけて来ただけだ、こういうふうにも思われる。変つておるところは、若しその決定額に対して不服があるときには訴訟ができるというところだけが変つている内容だと思うのですよ。今までは日本は占領されておつたのだから、少々不服なことがあつても政府としても、個人としても、これはしようがないということになつていたけれども、今日以後においては日本全体の安全保障のためのアメリカ軍隊の駐留、安全保障條約によつて協定しておる日本全体の安全保障のために、特定の漁業者だけが損害をこうむるということをそのまま放任はできない。今までの米海軍の演習地における損害補償とはこれは意味が違うのだから、そこらの範囲を国全体の責任において、特に漁業者だけが損をしない法律的な措置を講ずるということは当然なんです。今までやつていたことを法律化するというだけでは生ぬるいと思う。これは意見になりますが、これはどうなんですか。これはぎりぎり一ぱいの法律案なんですか。これはまだ練り直す余地があるのですか、そのお考えが……。
#31
○説明員(伊東正義君) お答えいたします。実は衆議院のほうで御審議を願つておるのでありますが、衆議院のほうももう少し政府でこの法律を全部救えるような形にしてはどうかという御意見があつたのでありますが、我々としましては、一つ小委員会等で十分御検討頂きたいということで、衆議院のほうは小委員会付託になりまして、今御検討を願つております。それで松浦先生がおつしやいましたように、魚が取れなくなつて加工業者の仕事がなくなつたというような間接的な問題は、それは私はなかなか困難ではないかと思つております。おつしやいましたように、途中にブランクができて来ることは我々の希望するところではございませんので、先ほどから秋山委員のおつしやるようなケースが何とかどこかで救える方法を考えたいと思うので、私はもう少し研究さして頂いてからその点御答弁さして頂きたいというふうに思つております。
#32
○松浦清一君 先ほど私加工業者と申上げたのは例えばそういうこともあり得る、この法律できまつている範囲のほかにやはり損害というものが拡がつて行く虞れがあるのでありまして單に漁船と限定すると範囲が狭くなるので、もつと損害補償の範囲を拡げるお考えはないかというので、例えばというので加工業者と申上げたので、加工業者までこの法律で救済できないということはわかつております。
 もう一つこの漁船の操業を制限するとか、禁止するとかいう区域が、安全保障條約の行政協定の取極によつてきめられましたね、話合いで……。ところが陸上のほうならば、陸の土地ならば陸軍の演習地或いは駐留場所というものが限定されて、その区域外には伸びないということが想像される、ところが海のほうで海軍が演習する地域というものは、これは区域をきめても区域の外に出る場合があり得るわけですね、これだけが日本と協定した範囲内で、そこから外には一哩も出られないということがあつても外に出るということが実際問題としてあり得ると思うのです。若し演習を行なつた場合にですね、演習を行なつた地点のつまり着彈距離、演習を行う全体の区域というものはきめられるかも知れませんけれども、中心が動いて来ると、着彈距離が伸びて演習地が大きくなるですね。だから協定で取極められていない海面においてアメリカ軍隊のために日本の漁業が損害を蒙つた場合には、その損害補償はこの法律でできるのですか。
#33
○説明員(伊東正義君) 今の場合はそれはごつちの提供します区域外の問題であります。これにつきましては、先ほど調達庁の部長からお話がありましたように、民事特例法で救えるものは救えるという形になろうと思います。
#34
○松浦清一君 だから漁船の操業区域ということを頭の中に置いて、そうして制限をするとか、或いは禁止をするとかいうように漁船と考えかたを限定しないで、漁業全体が受ける損害に対してどうするかということにこの法律の性格と内容をやはり切り替える必要がある、こう思うのですね。
#35
○説明員(伊東正義君) その点は行政協定の二十五條の思想をこれは受けて来ておりますので、二十五條は区域なり施設を提供する、その場合には米軍の負担をかけないで提供するというように二十五條になつているのであります。我々としましては、行政協定に根拠を置きました條文は三十五條というふうに、これはいろいろ各方面において相談したのでありますが、検討しました結果結局二十五條で行こうという、二十五條といいますのは、区域、施設をきめて提供するという形になつているのですから、区域外の損失補償等につきましては、ほかの法律で行けるものは行けるような考えを以てこれは提案しているようなわけでございます。
#36
○松浦清一君 行政協定に基くアメリカの軍隊が使用する土地建物というものは、これはアメリカと日本との間に話合えばよろしいわけです。法律は日本の法律の立場で作ればよろしい。損害を蒙るものは日本人だから、アメリカとの取極によつて提供する土地建物という以外に、日本人の蒙るべき損害というものは別の問題だということでやはり考えて行かなければ駄目じやないかと思うのです。
#37
○説明員(伊東正義君) その点は陸上の演習等についてもやはり私は同じことが言えるのじやなかろうかと思うのであります。例えば陸上で或る区域を演習場として演習をしましても、彈がその中に落ちなくてほかの提供した区域以外に落ちますとか、或いは演習場として提供した以上の土地を使つているというようなことも私はこれは起り得る場合があると思います。そういう場合については先ほど申上げました民事特例法で救えるものは救つて行く、これはこの法律だけで漁業の関係が全部救えるのじやないかと、漁業権は別な法律になつておりますし、全部の法律が合わさつてそういうものを救済して行くというふうに私は今考えております。
#38
○松浦清一君 そうすると、この委員会は、私どもはもう少し愼重にこの法律の條文というものを検討して行つて見たいと思いますけれどもね、参考のために伺つておきたいのですがね、水産庁のほうでは漁船の操業を制限又は禁止するという、損害補償の対象を漁船と限定することによつて日本の漁業の損害が救済できると、こういうお考えは変らないわけですか。最後までこれでおやりになろらというおつもりなんですか。
#39
○説明員(伊東正義君) 私どもこれをやりましたときには、大体のものがこれで救えるのじやなかろうか。この法律は先ほど申しましたように、ほかの法律もございますが、そういうもので大体のものは救えるのじやないかということで実はこれを作つております。この法律を出して、これで全然変えぬとか何とか、そういうことは私ども考えておりません。もつとこれが直つて行ける……。まあ衆議院も先ほど申上げましたように、小委員会で御検討を願つておるのでありまして、私どもは最後までこれで突張るというようなことは毛頭考えておりません。
#40
○千田正君 念のために伺つておくのですが、第二條の二項には「前項の規定により補償する損失は、通常生ずべき損失とする。」と謳つてあるから、こういうことを聞くのはおかしいのですが、例えば駐留軍がおるために緊急事態が生じた。おるためにそこに或いは若しも不幸な事態が生じた場合に、相手国が偵察に来るとかいうような問題が起きて来る、そこに戰時時代と同じような状況を生ずるようなことが仮にあつたとするような場合には、これは戰時立法のようなことで別なものがあるわけですか、行政協定に……。
#41
○政府委員(長岡伊八君) その点に至りますと、そういう損害をこの法律で全部やるということは到底困難なことだと思います。そういう場合の問題につきましては、或いは外務省から御回答頂いたほうが適当かと思いますが、おのずから別な考慮を拂われるべきものじやないかと考えております。
#42
○千田正君 そこで第三項が誠に妙味ある小さい補助項目のように見えますけれども、「通常生ずべき損失とする。」と謳つてあるだけに、我々はもう少し真劍に考えたいと思うことがあるのです。
#43
○委員長(木下辰雄君) 私が一つお伺いいたしますが、これは駐留軍が日本の土地を使用した場合に限定されておりますが、現在は或いはないかも知れませんが、いずれ保安庁も武装する。現に予備隊も武装しておる。日本のこういう武装しておる予備隊なり保安庁なりが、これと同じような損害を與えることが必ずしもなきにしもあらずだと思います。そういう場合の処置は将来お考えになつておりますかどうか。
#44
○説明員(伊東正義君) これはこの法律では確かに救えませんので、駐留軍だけであります。只今の御質問の点は、今の法律で行きますと、国家賠償法があるだけでありまして、この国家賠償法で行きますと、今の御質問の演習等は相当当てはまらん場合が多いと思います。それでそういうような場合につきまして特別立法をいたして、やはりこれと同じような思想のことをやらせなければいかんのじやないかということを考えております。現在の段階ではまだ海上につきましては、そういう問題がございませんので、何しておりませんが、おつしやるような事態になれば、何とか考えなければならんと考えております。
#45
○秋山俊一郎君 この案はまだ予備審査でございましよう。
#46
○委員長(木下辰雄君) そうです。
#47
○秋山俊一郎君 そうすると、もう少しお互いが研究して回を重ねたらと思いますが……。
#48
○委員長(木下辰雄君) 如何でございましようか。本日の委員会はこのくらいで打切つたら如何ですか。
   〔「賛成」「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#49
○千田正君 これは衆議院が先議でございますか。
#50
○委員長(木下辰雄君) そうです。
#51
○千田正君 それなら、なお我々が研究する余地もありますし、衆議院から又廻付されて来ましてからも、或いは修正等がありますれば、なお我々としても研究すべき余地がある……。
#52
○委員長(木下辰雄君) 本法案につきましては、各委員で十分一つ研究いたしまして、今後の審議をお願いいたしたいと思います。
#53
○秋山俊一郎君 漁政部長にお願いしますが、先ほどのお話ですが、もう少し考えたいということでしたが、是非一つ考えてもらいたい、これがなしに通ると、今度は救う途がなくなつて参りますので、そういう点について庁内でも一つ十分御調査願つて善処方をお願いいたします。
#54
○委員長(木下辰雄君) 政府提案に対して各委員の御意見によつて、参議院は参議院で独自で十分一つ考慮することも必要かと思います。
 それからちよつとお諮りしますが、今電源開発促進法案が審議中でありますが、これに対して水産の関係の事項が農林委員会のほうから出ております。これは多分水産庁と打合して出した結果だろうと思いますが、この前の委員会で大体こういう工合に修正したらどうかということでお諮りいたしましたが、その際秋山委員からちよつと保留をざれましたので、本日委員会で一つ御発表願いたいと思います。
#55
○秋山俊一郎君 只今の問題は水産の問題としまして極めて必要な問題であり、従来この種の工作物を設置する場合に、漁業に及ぼす影響を考慮して各種の施設をすることになつておるのでありますが、実際問題としましては、その施設が案外効果がない、申訳的な施設をしてそうしてやつてみるが、一向効果がない、そのままになつたという事例が幾らもあるのであります。従つて今度の電源開発の場合にさような施設をすることは当然でありますが、若しそれが効果がなくて遡河魚類等の遡上を著しく制限して、従つて上流、下流における同種の魚族が非常に減少したという場合に、これを職業としておる業者に補償するということはこれは当然だと考えますので、農林委員会において立案されております修正案に対しましては、我々も当然だと思つて賛意を表します。ただこの字句につきましては、どういう字句を使つたほうがいいか、いろいろここに出ております、「遡河魚類の減少」とありますが、これがまあ問題になる点だと思うのです。魚類の減少というと、どれくらいの範囲か、少々減つても減少ということになりますし、ここは委員会において相当問題になるのじやないかと思います。我々としては相当著しく減少したというような意味に考えて、遡上ができないということによつて生ずる減少というふうに考えてこれを入れる、こういうふうに考えたわけです。
#56
○委員長(木下辰雄君) それでは水産に関係した問題は第四條の第二項になります。それからもう一つは第六條の二を一項加えるというのがありますが、ちよつと読んでみますと、第四條第一項を次の通り修正する。「国の行政機関の長は、河川法その他の法令の規定による他の行政機関の処分が、電源開発の円滑な実施に支障を及ぼすおそれがあると認めるとき又は電源開発の実施に因り治山、治水、利水等国土の総合開発に重大な影響を受けるおそれがあると認めるときは、当該事項を所管する国の行政機関の長に対し協議することができる。」こういう工合のものであります。この治山、治水の下にある利水、これが水産をも含まつておることになるかと思います。
 それから次に「第六條の次に次の一條を加える。」「第六條の二」となつております。「電源開発により生ずるかんがい水の不足、」これは農であります。「木材流送の支障、」これは林でありま
す。「さく河魚類の減少」これが漁業であります。「その他政令で定める事由に因つて損失を受ける者があるときは、当該電源開発を行う者は、政令で定めるところにより、その者に対し損失を補償しなければならない。」これが水産の関係の條項であります。大体この前もこの條項に対して、この條項通りに修正の御意見が一致したようですからして、この通りを水産委員会の決定事項として経済安定委員会に申込むことにいたしたいと思います。御異議ございませんか。
#57
○松浦清一君 第四條の「利水」というところに水産が含まれておることは明確になつておりますか。
#58
○委員長(木下辰雄君) これはこの前の説明でそういう説明がありました。
#59
○松浦清一君 それはやはり水産と入れてもらつたほうがいいね。
#60
○秋山俊一郎君 この利水という問題は、今の灌漑との問題だと私は思うのですが、水を利用するというような意味であつて、例えば工業的に利用する場合もあれば、農耕のために利用する場合もあるし、普通水産は利水のうちに含まないのが常識だと思いますが、どうですか。
#61
○委員長(木下辰雄君) そういう意見はどうですか。
#62
○松浦清一君 やはりそれは水産とか漁業とか、はつきり謳つてございませんと、あとで補償するとか、行政上の相談を受けた場合に、判断に困つて紛争を起す元になると思うし、明確に業種を謳つておいたほうがいいと思います。
#63
○委員長(木下辰雄君) 速記をとめて……。
   〔速記中止〕
#64
○委員長(木下辰雄君) 速記を始めて下さい。
 それでは只今のような御審議によりまして、治水の下に「及び漁業」という字句を入れる。それから第六條の次に一條を加えるのは原案の通り、かようにいたしまして安定本部委員会に申込みます。
 それでは本日の委員会はこれを以て散会いたします。
   午後二時三十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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