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1951/06/11 第13回国会 参議院 参議院会議録情報 第013回国会 水産委員会 第41号
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1951/06/11 第13回国会 参議院

参議院会議録情報 第013回国会 水産委員会 第41号

#1
第013回国会 水産委員会 第41号
昭和二十七年六月十一日(水曜日)
   午後二時一分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     木下 辰雄君
   理事
           松浦 清一君
           千田  正君
   委員
           秋山俊一郎君
           藤野 繁雄君
  衆議院議員
           田口長治郎君
  政府委員
   調達庁管理部長 長岡 伊八君
   大蔵省主計局次
   長       石原 周夫君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       岡  尊信君
   常任委員会専門
   員       林  達磨君
  説明員
   水産庁漁政部長 伊東 正義君
   水産庁漁政部漁
   政課長     家治 清一君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○漁船乗組員給与保険法案(衆議院提
 出)
○日本国とアメリカ合衆国との間の安
 全保障条約に基き駐留する合衆国軍
 隊に水面を使用させるための漁船の
 操業制限等に関する法律案(内閣提
 出・衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(木下辰雄君) 只今から委員会を開会いたします。
 先ず漁船乗組員給与保険法案を議題に供します。昨日に引続いて御質問を願います。如何いたしましようか、条文を追うて質疑をお願いいたしましようか。全般的質疑をお願いいたしましようか。
#3
○松浦清一君 条文を追うて委員長から第一条はどうか、第二条はどうかと、こういうふうに言つて頂きますと、原案に異議がなければ異議がないというようにやつたほうが、審議上よいじやないかと思いますが……。
#4
○委員長(木下辰雄君) さよういたします。
 ちよつと速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#5
○委員長(木下辰雄君) 速記を始めて。大蔵省の係官がおいでになりましたので、漁船乗組員給与保険法案をあと廻しといたしまして、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約に基き駐留する合衆国軍隊に水面を使用させるための漁船の操業制限等に関する法律案を議題に供します。先ず質問をお願いいたします。
#6
○秋山俊一郎君 大蔵省からおいでになりましたので、先日の留保になつておりました質問事項についてお尋ねいたします。
 第二条の第二項にあります「前項の規定により補償する損失は、通常生ずべき損失とする。」こうあるのですが、通常生ずべき損失となる計算はどういうふうな計算によつてこれがなされるか御質問いたしたいと思います。
#7
○政府委員(石原周夫君) 通常生ずべき損失というのは、御承知のようにいろいろな損失補填の法令ございまする、いわば慣用でございまして、大体の解釈というものは、従来から大きな筋道におきましては考え方があると思うのでございますが、具体的な場合におきまして、どういうような計算のいたしかたをするかということにつきまして、目下農林省或いは私どものほうで相談をいたしておるわけであります。御承知のように、水産の問題ばかりでなく、農地あたりの問題もございまするので、そこら辺の均衡の関係、或いは御承知でございまするが、予算の均衡の関係というようなものもございまして、まだ結論を得ていない。ただ抽象的と申しまするか、考え方の筋道を申しますれば、こういうようなことによりまして減収に相成りました金額、これは税務上で申しまする所得というもので考えられると思うのでありまするが、その所得の減少いたしましたところを掴えまして、それに対しましてそういうような所得が喪失をいたしました上に伴いまして、半面それを全然損失と見るわけには従来の解釈が相成つておりませんので、それの期間におきまする労務、それ以外のいわばその期間におきまするところの収入というものを控除いたしましてその金額を狙いまして補償いたすというのが通常生ずべき損失というものの筋道だろうと考えております。
#8
○秋山俊一郎君 抽象的なお答えでどうもまだこの通常生ずべき損失というものは如何なる計算によつて生れるかということについての納得は行かないのであります。普通使う言葉でありますけれども、なおこれが決定していないということになりますと我々はこれをどう考えていいかわからない。で、その通常生ずべき損失というのはどういう計算によつてやるかということがはつきりするのはいつ頃になるのでありましようか。
#9
○政府委員(石原周夫君) ちよつと先ほどのお答えに補足をして申上げますが、大体減収の見方、それから所得率と申しまするか、先ほど私が税務上の云々ということを申上げました。総収入に対する所得を見まする率というようなものにつきましては、御承知の通り、従来から補償をいたしておりまするので、大体そこら辺で確定をせられておつたと思うのであります。従いまして残ります問題は、その所得に対しましてどの程度損失を見るかということにあると思いますので、全体につきましてあいまいであるというわけではないんで、問題になります点は一、二の点であると思つております。お考えになつて欲しいと思います。いつ頃まとまるかというお話でありますが、これにつきましては目下農地の関係と睨み合せまして、農林省と私どもの間で折衝いたしておりまするので、期限のほどはちよつと例えば今月中であるというような申し方は今日ちよつといたしかねるのであります。従来からの経過等もありまするので、できるだけ早く処理をいたすようにと考えております。
#10
○秋山俊一郎君 国会ももはや余すところ幾らもありませんので、この法案が我々としてはこの国会中に通したいという考えを持つておるのであります。併しそこにはつきりせん点があるとそういう審議の上に甚だ困難を来たし、わからんで通してしまうということも我々としては責任上どうかと思いますので、我々はこの点をできるだけ早くはつきりさせて、審議を打切りたいと考えるのであります。ところがこれがいつ決定するかわからんということになりますと、通したあとで我々の考えと非常に違つた方向で傾いてしまつても困ると思うのです。従つてこの国会のしまうまでにそういう方面のあり方の見当を付けて、我々に示して項きたいと、こう考えるのでありますが、如何でありましようか。
#11
○政府委員(石原周夫君) 私先ほど申上げましたのは、筋道の点を申上げたんでありますが、先ほど申上げましたように、お承知の通り防衛分担金六百五十億円のうち九十二億円という金額が不動産の、家賃だとか、或いは補償とかそういう関係に相成つておるわけでございます。御承知の通り、現在行政協定二条に伴いまする施設及び区域の提供の範囲をも議論をいたしておるのであります。その範囲の問題と、それからこういうような損失補償の単価と申しまするか、そういう問題が両方面から見合いまして、九十二億という予算金額を考えまして、その睨み合せをつけなければならんので、今申上げましたような筋道の議論と数字の睨み合せをつけておりまするので、私どものほうも漫然と日を延ばしているわけではないのでありますが、施設区域の決定とも睨み合せなければならない関係上ちよつと日にちのことははつきりお答えしかねるのであります。繰返して申上げますが、できるだけ早い機会にまとめたいというので折角やつているわけであります。
#12
○秋山俊一郎君 この計算の算定の仕方につきましては水産庁方面から一応の意図を伺つているのであります。併しこれが水産庁の一存で解決ができない問題であるとすれば、大蔵省当局の意向も考え併せなければ何にもならないのであります。従来の考え方からいたしますというと、今お話の総収入というものから諸経費を引いたいわゆる所得になるものというものに対する更に何%、何十%というものを見るといつたような考え方もあるようでありますが、この就業を制限され或いは禁止されましてもその間全然遊んでいるわけではございません。必ず業者は遊んでおれば、船を繋いで置けば船は非常に損傷をするので、その保存にも、管理にも多くの費用を要しますし、又業者が手を拱いて補償金だけで遊んでいるというわけには、遊べといつても遊べるものではないのであります。従つて或る程度そこは操業いたしますが、その操業した結果が或いはプラスになるか、マイナスになるかやつて見なければわからないけれども、その間に平常働くところの仕事以上の経費がかかるということも予想されるわけであります。若し平常働くよりも安い経費で収入が多ければそちらのほうが本業になるわけでありまして、本体の海面を制限されたために他の海面に行つて仕事をする、或いは他の漁法を以てその仕事のできない期間を働くということになりますと通常の経費以上の経費がかかることが予想されるわけであります。従つてそうして得た所得というものは経費を差引いてプラスになれば結構でありますが、それは我々としても期待ができない、従つてそこで所得に対する何%というものを補償するということになりますと業者としては非常につらいことになりますので、大体この経済安定本部などで従来策定せられておりますところの所得というものに対して補償をしてもらう。で、そこで更に他方面でその制限された期間を他の方面で働くという場合に挙げられた収入がそれは差引いてもいい、けれどもその何%というようなことになりますとますます困つて来る。成るほど九十二億円というような制限もあるかと思いますが、漁業者の特定のもののみにこの犠牲を強いるということは当を得た措置ではないと考えますので、そういつた点について私どもは大蔵省当局の見解を十分質しておかないと漁業者に対して非常な苛酷な制限になりはしないか、こういうことを憂えての質問であります。そういう点でまるつきり見当が付かないのであるか、およそこういう考えで行きたいという御見解もわからないのでございますか。
#13
○政府委員(石原周夫君) 只今のお尋ねのありました前段になるかと思うのでありまするが、操業はいたしているのでありまするが、いわば要領の悪い操業をいたしておりますために同じ総収入でありましても所得になります割合というものは従来とは違うのだというような点につきましては従来から大体安定本部その他の調べておりまするところの所得率四二というものに対しまして、これは三八というふうに引下げまして基準年度は四二%の所得として計算をし、補償いたしまする年度は三八%であるという計算をいたしているわけであります。この数字自身は或いは検討に値いするものであるかも知れませんが、目下のところその点につきましては争いをいたしているわけではございません。先ほど率を申上げなかつたのであります。私どもはかくして出まする所得に対しまして、御承知のように同じような進駐軍の将兵の行動によります、行為によりまする障害でありますとかというような場合におきまして見ております毎日の収入に対します補償割合、いわゆる休業補償に当りますが、そういうようなものとの関連からいたしまして六割ということでどうであろうかというお話をいたしているわけであります。この六割という考え方は失業保険におきましても御承知のように標準報酬に対して六割収入がありました場合には八割まで見るということになつておりまするが、根元のところは六割と見ております。従来いろいろな場合にやつておりまする休業補償というのも大体六割という線になつておるわけであります。休業の場合に見まする考え方は大体六割という線が従来確立せられておつたのに近いものと思うのであります。この法律以前におきまして事実上見舞金的に出しておりましたときに六割という率を適用いたしましたのは以上のような筋合からやつておるわけでございますが、今度は多少考え方が違いまして通常生ずべき損失というような見方をいたします場合におきまして今申上げたような見方から六割という数字でよろしいかどうかということにつきまして目下農林省あたりと相談をいたしておる次第でございます。
#14
○秋山俊一郎君 大分数字が出て参りましたのでおよその見当も付くわけでありますが、先ほどから私が申上げますように安定本部あたりで計算されておる所得の六割ということになりますと、それは業者としては非常に仕事を維持して行く上に、或いは生計を立てて行く上に困るのじやないか。普通の勤労者が給料の六割をもらつて行くということは非常に趣きが違うのでありまして、その間に若しそれで六割で以て我慢して何もせずにじつとしておるということになりますというと、その操業をするに要するいろいろの手段、或いは漁船であるとか、或いは網といつたようなものをそのまま置いておけば使用に堪えなくなることは御承知であろうと思いますが、船なんていうものは繋ぎつぱなしにして置けば非常に傷むのです。陸へあげて置けばしよつ中水をかけるとか、からからにならないようにそれを維持するいわゆる保管費というものも相当かかる。従つて業者はそれを六割もらつてじつとしておるわけじやありませんので、少々遠方でありましても或いは操業が大きな利益にならなくても別に何らかの方法を求めて仕事をして行くのが恒例でございます。そうした場合に利益になる場合には勿論その利益というものを初めに算定した所得から引いても影響ないのでありますが、ただ六割を支給して打切つてしまりということについては私どもとしては業態の性質上どうしてもこれは承知できない。かように考えるわけです。そういうことがございますので、私どもはこの数字的にもはつきりしたことを前以て聞いておきたいというわけなんであります。その点はつきりしていないということになりますと、我々もこの審議が進まない恰好になりますから早急にこれを当局同士で相談をしてきめて頂くように行かんものでしようか。
#15
○政府委員(石原周夫君) 先ほど申上げましたようにいろいろな観点から通常生ずべき損失というものの解釈といたしましてどういうような数字をはめるのかよろしいかということにつきましては検討いたし話合いをいたしておるわけであります。ただそれではすぐにこれで話が何割ということできまるかという点に相成りますると、先ほど申上げましたようにこのこと自身は決して例えば合同委員会というような席におきまして問題にいたすべき筋じやないのでありまして、日本国内で勝手にきめる問題であります。ただ先ほど申上げましたような金額全体からの見当からいたしますとやはり全体の施設区域につきましての具体的な決定がございませんでも、大きな見当を付けて見ませんと、ちよつと予算金額の見当が付けにくい。そこら辺の睨み合せに、ちよつと今何日までに必ずきめるというお約束をいたしかねる点があるのであります。
#16
○秋山俊一郎君 私は先ほどの六割という問題につきまして、もう一応我々の考え方を申上げておきたいと思いますが、失業保険等においての六割というものは、その個人一人の所得に関する問題でありますけれども、漁業はたつた一人でやる場合もありますけれども、多くは使用人を使つております。その使用人を遊ばして、所得だけを以て賄うということは到底できないのでありますから、それらのものを賄つて行くためには何らかの活動をしなければならん。そういう関係がありますので、単に通常の俸給者の失業保険の率を適用するということは私は当らないのじやないか、こういうふうに考えるわけです。従つてさような漁業の経営をしている者に対して失業保険の方式を当てはめるということは、どうも我々は納得が行かない。その点を十分認識しておいて頂きたい。
#17
○政府委員(石原周夫君) お話の通りに失業保険の場合には、いわば給料生活者の給与に対しまする割合でありまして、こういうような、いわば営業所得と申しまするか、そういうものとはいささか所得の性質が違うという点はおつしやる通り、たださつきも申上げましたように、そういうような営業所得の関係においても、従来休業補償というものをやつておりまするときには、たまたま同じ率であるということを申されるのかも知れませんが、六割という率を適用いたしまして、休業期間中におきまする他の収入というものとの関係を睨み、或いはおつしやいますようないろいろな経費が要つたり、或いは逆に要らなかつたりするような関係があるのであります。そこを勘案いたしまして従来六割というやり方でやつておつたのであります。ただそれがこの場合に当りまして適当であるかどうかということにつきましては、目下農林省と検討いたしておるわけであります。そういうふうに御承知を願います。
#18
○秋山俊一郎君 私はこの問題についてはまだ納得が行かないので、もう少検討さして頂きます。
#19
○千田正君 さつき次長さんのお話によるというと、大体六〇%という補償の問題でありましたが、これが所有動産の全損のような場合もそういうパーセンテージを補償の対象としてとられますかどうか、その点を伺いたいと思います。
#20
○政府委員(石原周夫君) 動産の例えば損害をいたしたというような場合吉におきましては、価格を、物の値段の全額を補償いたす建前になつております。今或いは附加えて御説明したほうがよろしいかと存じまするが、休業補償というような場合に六割という率をとりますのは、その期間におきまする勤労というものが一応全然ゼロであるという見方をいたしますと、それに或る程度の価格を見ると申しまするか、値打ちを見るところで六割という数字が出て参るというふうに考えております。
#21
○千田正君 そうしますというと、今の所有財産その他の損害の場合は、全損という場合は、それは全損としての補償をされるというふうに承知してよろしいわけですか。
#22
○政府委員(石原周夫君) よろしうございます。
#23
○委員長(木下辰雄君) 只今秋山委員の御質問は極めて重要な問題でありまして、業者一般の非常な関心を持つておる問題であります。それでこの国会の開会中に、この率の問題について大蔵省と農林省と十分お話合いを願つて、そして本委員会に御報告願いたいと思います。他に御質問がなければこの法案は後日に譲ります。
  ―――――――――――――
#24
○委員長(木下辰雄君) それでは元に帰りまして漁船乗組員給与保険法案を議題に供します。逐条審議をいたします。第一条のこの法律の目的、これについて御質問がありましたならばお願いいたします。
#25
○千田正君 第一条の「この法律は、当分の間」という「当分の間」は、非常にここは抽象的に書いておられますが、大体どの程度と承知してよろしいのか。その点を一応伺つておきたいと思います。
#26
○衆議院議員(田口長治郎君) 第一条の「当分の間」の意義でございますが、この国際情勢が正常に復して、拿捕なんかの不祥事が起らないようになりまして、関係各国と正当、妥当な漁業協約などが成立いたしまして、不安なしに出漁ができるその間というような意味に考え方をいたします。
#27
○委員長(木下辰雄君) ほかに第一条に対しまして御質問ありませんか。……御質問ないようでありますから第二条に移ります。……ほかに御質問ありませんければ第三条に移ります。これは「定義」であります。それでは御質問がないようでありますから、第二章に移ります。第二章の第四条、これは「保険者」でございます。
#28
○秋山俊一郎君 第二項の「省令の定めるところにより、」というのは、省令はもうそろそろできるのですか。水産当局に伺います。
#29
○説明員(家治清一君) 省令案は、実は今私どもの内部では検討中でございます。
#30
○秋山俊一郎君 省令は国会の承認を得る必要のないものだと思うのですが、この場合、省令案ができましたら一応委員会に示して頂きたい。
#31
○委員長(木下辰雄君) ほかにありませんか。それでは第五条に移ります。保険加入の条一項でありますが……。
#32
○松浦清一君 第二項の「保険加入の申込は、漁船ごとに、当該乗組員の全員について」これを行うということなんですが、やはりその申込をする場合には、内容については省令できめるでしようけれども、各人の氏名を記入して申込をすることになるのでございますね。
#33
○衆議院議員(田口長治郎君) 第一項の第一号、これだけのものを記載をして申込むことになつておりますから、各個人別にですが、全員の契約金額を内訳保険金額と称しまして、その合計を出して内訳をきちんと明細に現わすというわけでございます。
#34
○秋山俊一郎君 その点は第二号に書いてある通りに了解ができるのですが、乗下船があつて、乗組員の部分が変る、変つた場合の手続の方法というものは、それもございますか、
#35
○衆議院議員(田口長治郎君) これは直ちに、この十五条を御覧になりますとわかりますが、「事業主は、給与保険契約が成立した後において、乗組員の異動等により第五条第一項の申込書に記載した事項について変更があつたときは、遅滞なく、省令の定めるところにより、組合に変更の通知をしなければならない。この場合において、契約金額が乗組員の給与月額の合計額をこえることとなるときは、第七条の規定にかかわらず、内訳保険金額は、当該乗組員の給与月額に相当する額とし、契約金額が乗組員の給与月額の合計額の百分の六十を下ることとなるときは、第六条第二項の規定にかかわらず、契約金額を乗組員の給与月額の合計額の百分の六十をこえる額まで増額しなければならない。」こういうようなことにしておるのであります。
#36
○委員長(木下辰雄君) ほかにありませんか。ほかにありませんければ第六条に移ります。
 次は「契約金額」のことであります。
#37
○秋山俊一郎君 この乗組員の給与月額ということがございますが、この給与月額ということについてはいろいろ意見もあつたように承わつておりますが、これも抽象的には法文にあるようでありますけれども、一大体どういうふうに計算することになつたのでありましようか。その点を伺いたいと思います。
#38
○説明員(家治清一君) 第六条は、趣旨としましては、給与月額というものは、現在乗組員と事業主との問に結ばれているところの、ありのままの契約金額を対象にする、こういう考え方でございます。で、問題になりますのは歩合制であつて、抑留期間中に特別の定めがない場合はどうかと、こういうことが問題になることと考えますが、通例の場合は抑留期間中にどの程度払うということがこの保険加入に先立つて乗組員とそれから事業主の間に契約せらるることを予想しております。ただそれもないという場合には、これは例えば船員法或いは労働基準法等から、要するに少くともこの線は下つてはならないという実体の規定がございますので、それが大体基準になる、それ以上であるということを予定しております。
#39
○秋山俊一郎君 そうしますと、雇傭関係が、今お話になりましたように、労働基準法等について、不漁の場合、或いは休漁の場合等に最低保障額があるわけなんですが、そういうものが大体基準になる、こういうふうに考えてよいのですか。
#40
○説明員(家治清一君) おつしやるように歩合制については、船員法ではいわゆる一定の額というのがございます。それが要するに最低の基準になる、こういう考えを持つております。
#41
○委員長(木下辰雄君) ほかにありませんか。
 それでは第七条に移ります。
#42
○松浦清一君 第七条の「内訳保険金額」の算定の方法なんですが、よくまあ見ればわかるのですけれども、簡単にわかりやすく言つて見ると、これはどういうふうに表現したらいいのですか。
#43
○説明員(家治清一君) 第七条を極く常識的に見ますと、乗組員の給与月額合計額、ただそれは一〇〇%加入した場合はそうでございますが、六割入つたものはその合計額の六割である。こういうのを正確に書いたらこういう表現になつたわけであります。
#44
○委員長(木下辰雄君) それでは第八条に移ります。
#45
○松浦清一君 第八条だけに限定してはないのですけれども、今までの保険加入の項目の第五条、第六条、第七条、第八条全般についてのはつきりした認識を持ちたいためにお伺いするのですが、この保険の被保険者というものは、漁船に乗組んでおる船員なんですか、それともその人が乗つておる漁船と船員とを一緒にしたものを被保険者ということができるのですか。どちらですか。
#46
○説明員(家治清一君) 保険契約者は事業主でございまして、生命保険なんかの例を取りますと、そこで言う被保険者というものは乗組員と考えております。ただこれは違いますのは、給与の支払をいたしております関係上、乗組員だけが被保険者であるということをはつきり言い切るのは困難かと思います。要するに受益者というものは、乗組員、直接の受益は給与の支払を保険する保険契約者である事業、王でありますが、実際上の受益者と言いますか、これは乗組員である。おつしやるように何と言いますか、この保険制度によつて利益を受ける、直接、間接利益を受ける人は事業王を含め、乗組員も含まつている、こういう関係であります。
#47
○松浦清一君 そういたしますると、厳密にこれを解釈をして行くというと、被保険者というものは船員だけを切り離したものだけが被保険者じやない、漁船という、その一つのものに乗組んでおる船員、内容はそうであるけれども、結局第五条の第二項にありますように、申込が漁船ごとにですから、一つの漁船に船員が乗組んでおるその漁船と船員を一緒にしたものが被保険者の対象である、こういうふうに考えていいわけなんですか、そういう解釈なんですか。人と船とを切離しては考えられないわけですね。
#48
○衆議院議員(田口長治郎君) 一人一人ということはちよつと考えられないわけでありますね。その人が一人々々でなくこの船に乗つているという事実が一つあるのです。そうかと言つてその乗組員のA、B、C、この一人々々が当然被保険者になつているわけなんですが、結局その人がこの船から下りた場合です、そのときはその瞬間にその被保険者という意味がなくなつてしまう、そういう考え方なんであります。その代りに、代りに乗つた人、その人に直ぐ、何と言いますか、保険の金を受取る権利は移る、こういう解釈でございます。
#49
○松浦清一君 そうしますと保険の被保険者というものは漁船に乗つている船員というものを切離して考えるのじやなしに、一つの漁船に乗込んでいる船員だから、漁船ごとに加入するのだから漁船と船員と、受益する者は船員であるけれども、その一人々々被保険者じやなく全体を総合してそれが被保険者である。こういう意味に解釈されるべきなのですか。
#50
○衆議院議員(田口長治郎君) そういう解釈で私らはいるわけであります。
#51
○松浦清一君 そこで問題が一つ残るのですが、今現に抑留されている船員の給与は、支払えるところは雇傭契約が存続の状態に置かれておりますから支払つている。それから給料は実際に一隻、二隻しかない船が抑留されて乗つておつた船がないのだから、経済上から言つて給料が支払えないというものもあるわけでありますから、こういうところからこの保険の必要ということが起つて来たわけでありますが、今抑留されている者が保険に加入しようとする場合に、現に漁船に乗つていないために保険に加入できない。こういう問題が起つて来ますが、そういう点の解決はどこかの条文にございますか。
#52
○衆議院議員(田口長治郎君) その問題はこの保険では救済できないから、何か別途方法を講ずるよりほかに方法がないという解釈でこれは進んでいるのであります。
#53
○松浦清一君 そうすると、水産庁のかたにお伺いするのですが、その話の過程において、これから先には抑留があるかないかわからんですね。実際問題として切実にこの保険の必要が迫つたということは、現に抑留されている者のうちに給料がもらえないという、そういう深刻な状態の中からこの保険の必要が起つて来たものでありますが、若しこの保険が適用できないということになれば、どのような方法で現在給料をもらえない者が保障されるかということは、今までの衆議院との話合いの経過においてどういうことをお考えになつておられますか、一つお伺いしたいのであります。
#54
○説明員(伊東正義君) 私からお答えいたします。その点につきましてはこの法律について田口議員と御相談いたしまして、一緒に我々も協力してお手伝いしたときに問題になつたのでありますが、結局この法律から行きますと、今田口議員のおつしやるようにこれは救済規定がございません。それで過去の……拿捕になつたのでこの法律を作つたというお話、その通りなんでありますが、その分につきましての保障は今目下農林省といたしまして、こういうふうにしてそれを保障するのだということは実は考えておりません。それでそれにつきましては、まあ海員組合のかたがたとも話合いをしたことがあるのでございますけれども、そういうものについては何とか別途これと同じような趣旨の積立でも自主的にやつてもらつて、業者の仲間のかたがたで自主的にやつてもらうよりほかにないのじやないか。こういうように我々は海員組合のかたがたと話したことはございますが、農林省といたしまして予算を計上してどういう形で救済するかということは今考えておりません。
#55
○松浦清一君 今まではお考えになつていらつしやらないのでしようけれども、これからはお考えになれるでしようか、どんなものでしようか。
#56
○説明員(伊東正義君) その点今後過去の被拿捕船員についての対策をどうするということに手を打つということは、今のところは考えておりません。又補正予算その他におきましても内々相談はいたしておりますが、そういう問題について手を打つというようなことは、農林省の内部においては今考えておりません。
#57
○千田正君 あとで出て来るかどうかわかりませんが、期間の問題で出て来ると思いますが、前に給与の問題がありますから聞きますが、抑留中死亡した場合のあれは別途に定めてありますか。
#58
○説明員(家治清一君) これは前提といたしましては船員保険法はそのまま働く、つまり雇傭契約が抑留中といえども継続するという前提をとつて、こういう特殊な措置を考えておりますので、従いまして若し船員保険法の対象になるようなかたの抑留中の死亡につきましては、これは船員保険法に基きます死亡手当が参るということになると思います。
#59
○千田正君 続いて、若しも傷害を受けた場合には、傷病の手当はどういうふうになるのですか。
#60
○説明員(家治清一君) 傷病も船員保険法の中に規定してございまして、その関係では救済できると考えております。ただ船員保険法の適用を受けない非常に細かな漁船乗組員につきましては、これは一般的に言つて労働者災害補償法かと思いますが、これは任意加入でございます関係で、未加入者につきましては、実は救済の措置はないのでございます。
#61
○松浦清君 今の船員保険の問題なんですが、下船をしておつても、船に乗船をしておらなくても船、王との雇傭契約が存続している場合は、そうして給料が支払われている場合には保険は継続しているわけですね、それは問題ないのです、その点は……。一番問題になるのは、給料の支払われておらない船員は、もう保険の権利が喪失しているわけなんであります。船員保険でもカバーができないわけなんであります。そういうものが一番困る。又そういうものを何とか救済しようじやないかということが、この保険のでき上つた趣旨なんであります。これは何とかならんものですかね。水産庁どうですか。考えておらない、言い放しじやちよつと薄情ですよ。
#62
○説明員(家治清一君) 船員保険法の対象にならないもので、而も又労働者災害補償法関係の保険に入つていないというものにつきましては、実はこれからの問題としては加入を勧めて参る。そういう法律の関係で救済してもらうということを考えておりますのでございますが、なおその突きつめた答弁は研究した上で御答弁申上げます。
#63
○松浦清一君 慎重に研究をされて、何とか考えておいて下さい。
#64
○委員長(木下辰雄君) ほかにございませんければ、ちよつとお伺いしますが、この抑留期間中において支払うべき一カ月分の給与の額というのがありますが、この第一条の目的に、漁船の乗組員が抑留された場合と、こうあるのは、抑留されておる場合を言うのですか。抑留されたら、帰つてから或いは一月なり二月なり船がない、人間だけ帰されて船がないという場合の給与にも適用されるのですか。どうですか。
#65
○衆議院議員(田口長治郎君) この抑留の事実があつた日から日本内地に帰つて来たその日までという意味なのです。
#66
○委員長(木下辰雄君) それでは日本内地へ帰つても船はない、併し雇用関係は続いている。船主は船がないために収入がない。併し何とかして、船をチヤーターするか、或いは新造するか、或いは帰還を待つか、その間は船員は何ら保険の対象にはならんわけですね。
#67
○衆議院議員(田口長治郎君) そうでございます。
#68
○松浦清一君 ちよつとくどいようですが、もう一遍私は水産庁に一つ特にお願いをしておきたいのですが、立派な事業主で、給料が払われておるという船員が抑留を解かれて送還をされて来た場合に、やはりこれは事業主も迎えにも行くだろうし、その後の生活の不安というものはない。併し事業主の経営内容が貧弱で、給料を支払われておらないというような者が死んで帰つたり、病気して帰つたりしても誰も迎える者がない、こういう結果になるのですが、例えばその他の事柄のために、例えばソ連か中共に抑留されている者が帰つて来れば、援護庁あたりが出て来て、いろいろ世話役をするわけなのであります。これは只単にその船に乗つて働いておつた者が抑留されておつたということのために、帰つて来て誰もあとの面倒をみる者がない、迎えに行く者もないというようなことは余りに悲惨過ぎますから、若し特別に法律を作つて、極く僅かであろうと思いますけれども、生活を保障するということができないならば、やはり海外に抑留されている人が送還されて、帰つて来たときの形と同じような、援護庁方面の援護の手が延ばせるように、何かその辺の手を打つて頂くように御配慮を願えれば結構だと思います。
#69
○説明員(伊東正義君) 研究します。
#70
○委員長(木下辰雄君) それではまあ研究するそうです。
#71
○秋山俊一郎君 只今の問題ですが、抑留されている間は勿論雇用関係が続いておる。日本に帰つて来た日からこの保険の対象から除かれて何にもならないことになる。併し今お話のあつたように、船主がしつかりした船主であつて給料が払える場合、或いは代船がすぐにあれば、或いは又船がなくてもその工面をする間は給料を払つておるという場合は問題ないが、もう船もない、再建の見込もないという場合には、恐らく船主は解雇の手続をとるのじやないかと思われる。そうした場合に、これは失業保険というものによつて救済されるという途はないのですか。
#72
○衆議院議員(田口長治郎君) 船員法によるいゆわる失業で、六カ月だけは失業に対する保険金がもらえる。但し船員法の適用を受ける船舶が三十トン以上、ですから、三十トン以下、これは支那東海方面には少いのでございますけれども、北海道方面では三十トン以下の船が非常に多いのでございますが、この点いわゆる任意保険制度でありまして、保険に入つていない連中だけはほかに途がないということになつておるのであります。
#73
○秋山俊一郎君 今の船員法の適用を受けない船員を、入ろうと思えば労災保険で救われるのじやないですか。労災保険に入つておるかすれば永久とは行かんが、半年はどうかなるということであるので、その危険のある場合には、そのほうを水産庁あたりもそういう危険のあるものには勧奨して、安全性を保つたほうがいいのじやないかと思うのですが、水産庁の考えはどうでございますか。
#74
○説明員(家治清一君) 先ほど松浦委員の御質問に御答弁いたしましたのですが、仰せのように、こういつた或る程度の危険を伴うものにつきましては、これは事業主、それから乗組員が両方ともよく御理解を願つておるはずでございますので、極力入つてもらう、そういつた措置は進めて参りたいと思います。
#75
○千田正君 これは水産庁に伺いたいのですが、任意加入であるならば、或いは出漁する場合、保険に加入しない船は出漁させないような方法をとるわ請けに行かんのですか。そうじやなかつたならば、恐らく救済されないのじやないですか。勝手にどんどん行つてわけがわからなくなつてしまう、それは何か省令でそういうようなことを考えられる手はないのですか。
#76
○説明員(伊東正義君) それは恐らく許可とか、何らかの際にすればする事項かと思うのでありますが、まだ漁業法の建前から行きまして、乗組員の関係も保険に入つていなければ許可せんというのは、漁業法の趣旨からいつて許可というのは、これは私ちよつと疑問だと思います。今現に出ております法律関係ではそこまで縛つたものはございません。
#77
○千田正君 そうすれば、まあ保険には入らない、もう冒険に行つてつかまつたら、それでもし方がないといつたような見放しの状態で、こういうようないわゆる国際事情の非常に険悪な場合は止むを得ない、こういうふうに水産庁では考えておられるのですか。
#78
○説明員(伊東正義君) その点は、法律的に漁業法やその他で保険に加入しておらん者は出漁させんとか、或いは許可せんということは非常に無理だということを申上げたのでありまして、行政の考え方としましては、やはり成るべくそういう保険に加入して欲しいということをやはり強力に言い、乗組員側にも、これはそういう船でなければこういう結果になるのだということを、海員組合その他を通じてはつきりさして行くというような指導方針をとりたいというふうに考えます。
#79
○委員長(木下辰雄君) ほかにございませんければ、第九条に移ります。保険金の受取人の指定であります。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#80
○委員長(木下辰雄君) これは簡単でありますから、第十条に移ります。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#81
○委員長(木下辰雄君) それでは第十一条に移ります。
#82
○松浦清一君 当該漁船乗組員の総数の二分の一以上の者が連署で申出た場合には、事業主は保険に加入しなければならん、こういう規定なのですが、この保険は強制保険でありませんから、事業主からも乗組員の二分の一からも加入の意思を表明されません場合には、この保険には入らんものもできて来るわけですが、その通りなんですか。
#83
○衆議院議員(田口長治郎君) お言葉の通りでございます。
#84
○松浦清一君 水産庁に伺つておきたいのですが、今たびたび問題になりました船員保険といい、労災保険といい、これ又やつぱり整備された内容の充実した事業主においては船員保険にも、労災保険にも進んで加入しておりますけれども、この中で最も問題になる給料も払えないというような内容の貧弱な事業主に雇用されておるものは、船員保険にも入つていないものもあるし、船員保険に入れない三十トン未満の漁船等においてはおおむね労災保険に入つておらない、こういう状態に現在置かれているわけなんですが、そういうことから考えて十トンや二十トンの船で、特に北海道方面でソ連に抑留されて引張られて行くという船は、船員保険の埓外におかれているのが多い。而も労災保険にも入つておらん、この保険にも入らない。こういうことになればどうもしようがないということでなしに、現実に強制保険ではないが、万一の場合を慮んぱかつて全船保険に加入するように一つ勧奨を強くして頂きたいということを希望しておきます。
#85
○衆議院議員(田口長治郎君) 只今松浦委員からのお話、至極御尤もでございまして、実は国家が再保険するという問題からいたしまして、むしろ強制保険にしたほうがいいのじやないか。再保険する以上は強制保険たるべしと、こういうような意見もありました。衆議院の法制局でいろいろこの保険問題についての強制ということが憲法との関係がどうだと、こういうことを研究してもらつた次第でございます。憲法違反の疑義があるというような解釈もありまして、乗組員の立場からいたしますというと、自己の利益の擁護でございますから、二分の一以上、半分以上の者が保険に加入をしようと、こういうことを申出ることが、各船ともに漏れなくやるだろう、言い換えますと、この十一条によりまして、強制保険に実体的に進まれるであろうと、こういうようなことで憲法違反の疑義があるというような解釈もありまして、実質的に強制保険に近い方法として第十一条を考えた次第でございますが、この点一つ御了承願いたいと思います。
#86
○委員長(木下辰雄君) この条項で「正当な事由」というものは、例えばどういうことを指摘しておりますか。
#87
○衆議院議員(田口長治郎君) いろいろな場合がありますけれども、この事業主の経済状態、或いは銀行預金、その他によつて、船員連中がこれならば如何なる場合でも給料はもらえる、と、こういうような安心を受ける、そういうような処置によつてこの乗組員が安心して行けるというような場合は、事業主としましては、乗組員と相談の上加入せんでもいい。併し一面この保険は成るべく多くの人が入つて頂かなければならないのでございますから、大きな会社なんかも現在におきましては進んでこの保険を作つて頂きたい、こういうような陳情が来ております関係から、この正当な事由ということで、この保険から脱ける者は非常に少いと思うのでございますけれども、いろいろな事情も、将来予測しないことも出て来るかも知れないという、そういう意味もありまして、正当な事由という言葉を使つた次第でございます。
#88
○委員長(木下辰雄君) ちよつと私がわからんのは、船員の二分の一以上が連署を以て申し出た場合は、事業主は正当な事由がある場合のほかは承諾しなければならんとなつておりますが、申出があつても船主は、君らは保険に入らんでも十分利益を払うぞという、船主の自由ですから、申出でがあつた場合に、経営者がこれを拒否するという正当な事由というのはどういうわけですか。
#89
○衆議院議員(田口長治郎君) 本当に乗組員が納得して、言い換えますというと、今度の君らの航海に対して、君らの留守中の給与、これだけ預金して、而も君らの代表者に預けておくからと、この程度の乗組員の安心がなければ、ただ月給に困らないから入らないと、こういうことではいけないと思うのでございます。
#90
○秋山俊一郎君 前の第八条の二項に「事業主は、給与月額を定める場合には、当該乗組員の同意を得なければならない。」というのがありますが、この保険に加入する場合の契約金は、この月額の総額の合計を超えない。そうしてその百分の六〇、即ち六割を下らないその中間というもので保険契約をすることができることになつておりますが、給与月額は、当該船員の同意を得てやる、そうして加入する場合の契約金というものは、船主が、この事業主が今の制限の範囲内において自由にきめて行くということになるのでありますか、その点を伺います。
#91
○衆議院議員(田口長治郎君) 長崎と福岡だけは最低保証金額というものがきまつておるか、或いは各雇傭契約書の中にこのことを書いておるようでございますから問題ないと思うのでありますが、下関だけがその点がはつきりしておりませんけれども、結局この考えは、各種の給与の合計、但しこの一時的の給与だけは除く、こういうような解釈でございますから、おのずから下関方面も長崎或いは福岡と同じようにひつくるまつて来るのではないかと、こういうことを考えるのでございまして、乗組員の同意を得なければならんということになつておりますが、長崎と福岡だけはこれはさまつておるようでございます。恐らく下関にもこの二カ所に倣つて金額がおのずからきまることになるのではないか。乗組員と事業主の間にこの問題についてごたごたが起るというような心配はないと考えておるのでございます。
#92
○秋山俊一郎君 長崎、福岡はきまつておると申されたのですが、給与月額というものはまあきまつておるが、保険に加入するところの加入、即ち契約金というものは、今言つたような幅がある数字で以てまあ行くわけでございます。給与月額の一〇〇%をかけるということならば間違いはないでしよう。この法律で行きますと、必ずしも一〇〇%かけなくても六五%でも、或いは六〇%でも差支えない。これは船主が自分の懐ろ工合によつて一〇〇%もかけてはかなわんから七〇%にしようという船主もあり、或いは又一〇〇%やつて行こうという船主も、いろいろあるのではないか。そういうようなことは申合せできまつておつても、それが本当にぴつたり行つたものか、或いは船主の人々によつてはどうも工合が悪いから減らして行こうというようなことが起りましても、それは船員と相談をせんでもいい、こういうふうにも解釈できるのですが、そういつた場合に給与月額の七〇%の合計のものを契約をして入つた。そういうときにはそれは困る、一〇〇%やつてもらわなければ困るといつたような、船員と船主の間の意見の食い違いが起つて来た場合に、事業主は、それは事業主の自由であるから、自分の勝手に法律できめられた範囲内でやるのだと、それを承知しなければ入らない。即ち正当な事由といつたようなところに持つて来るというようなことはないのですか。
#93
○衆議院議員(田口長治郎君) 御尤もな御説でございますが、実はこの分配に対する雇傭契約、或いは各事業主の実力その他種々雑多でございまして、一つの基準を示して、力のある者も力のない者も、或いは一隻船主も多数船主も同一にせよということは、却つて非常に無理があると思いまして、むしろこの問題は事業主と乗組員と相談をすれば自然にきまる。ただこの法案といたしましては、その幅だけを示して置けばいいのではないか。線を引くことが非常にむずかしいし、又無理ができる関係からいたしまして、その関係は両者の相談で大体きめて行く、こういう考えで第二項を置いているのでございます。
#94
○委員長(木下辰雄君) 秋山委員の御質問は、第六条によつて六〇%以上一〇〇%までは自由につけられる。これは船主の権利になるのだ。第八条で月額を定める。これは当然乗組員の同意を得なければならんから、得て定めても、定めたやつの六〇%かけようが、一〇〇%かけようが、船主の自由である。それで船員は一〇〇%かけてくれと申込む。それはおれのほうはできんのというのは、正当な事由じやないかという質問のようです。
#95
○衆議院議員(田口長治郎君) 法律といたしましては、この最低と最高だけをきめて、その間において事業主と乗組員との相談によつて給与月額をきめる、こういうような考えをとつているのでございますが、この契約金というものは、結局給与月額が基礎になつてずつと出るのでございますから、給与月額のきめ方によりまして、契約金六〇%と一〇〇%の間に非常に金額が違つて参りますけれども、大体の原則といたしましては、給与のすべてですから、一応臨時的のものを除いたそういうものを給与月額と考える。この臨時的の給与、これの解釈が恐らく、両方の相談になると思いますが、とにかくこの契約金の基礎になる給与月額、これの動き方によつて、契約金額が百分の六十と称しましても非常に金額が違つて来るのでございますが、原則としては一時的のものは除く、こういうようなことで両者で然るべくきめて頂くよりほかに、これこれを給与月額とする、こういう案も一応研究して見ましたけれども、なかなかこれが地方別に事情が違つておりまして、一致するところがなかつたものですから、こういうような二項を置いたような次第でございます。
#96
○委員長(木下辰雄君) 今の給与月額という規定の、毎月とる給与月額と、第八条の雇傭契約に基き抑留期間中に支払うべき給与月額とは、これは違うのじやないのですか。
#97
○衆議院議員(田口長治郎君) この給与月額が決定されまして、この給与月額の一〇〇%以上ではいかない、六〇、%を下つてはいかない、こういうようなことが保険契約金額になると思うのであります。
#98
○秋山俊一郎君 只今の給与月額でありますが、少しわからないようになつて来たものですから……。抑留期間中において支払うべき一カ月分の給与とするということは、給与月額とは別であつて、給与であるわけです。それで給与月額というものが両者が話合いをしてきめたが、その給与月額の実際支払うべきときには、一〇〇%になるか、或いは六〇%になるかが、ここが問題なんです。そこで船員のほうでは成るべく一〇〇%つけてもらいたい、かけてもらいたい、船主のほうでは成るべく六〇%で行きたい、掛金も少しで済むし、支払うのは政府において支払うにしても、掛金において違つて来る。従つてこれは何もなければ問題はないわけでありますが、そういつたようなことの間に、そこに四〇%という差がある。これは大きい差だと思うのであります。そこで主な船主、事業主と船員との間に折り合いがつかないときに、これを裁定する方法は何もないが、そうすると両者間で丁度労働争議みたいなことで、賃上げの闘争と同じようなことが起つて来ることが予想される。それでいかなければ折れてしまうかというと、そうは行かない。そこはどういうふうに調整する考えですか。ただ両者の話合いでやつて見た、でなければ契約しないのだ、こういうことになるのですか。
#99
○衆議院議員(田口長治郎君) 実際問題といたしましては、この遠洋底びき漁業の組合が各地方にあります。又一面漁民組合その他がありますから、そういういわゆる団体的の交渉で、少くとも保険をかけないで船主を出してしまう、こういうようなことがないように適当に落ちつくのでないか、こう考えておりますが、法律そのものはその問題については、どのパーセントにしろということは、どこにも指示していないのでありますから、最高と最低を示して、この間において相談してきめる、こういうような建前をとつておるのでございます。
#100
○委員長(木下辰雄君) ちよつと私お伺いしますが、第八条に、給与月額というのは抑留期間中に支払うべき一カ月の給与の額と書いてある、抑留期間中にこれだけのものを払わなければならん額が給与月額、こういうふうに私は思いますが、如何ですか。
#101
○衆議院議員(田口長治郎君) この給与月額は雇傭契約できまつておるものでございまして、この雇傭契約できまつた金額だけは、抑留中でも事業主として当然払わなければならん建前になつておるわけであります。普通の給料、それは抑留中でもやはり乗組員の権利として、又事業主の義務として継続しておる、そういう解釈であります。
#102
○委員長(木下辰雄君) そうであれば、六〇%だ、一〇〇%だという問題は起らんはずですが、如何ですか。これは私は、第五条の契約金額と給与月額が同じであれば、六〇%、一〇〇%というような問題は起らんと思うのですが、当然払うべき一カ月の給与であれば……。
#103
○衆議院議員(田口長治郎君) 若し第六条の合計額ということで、いわゆる一〇〇%の契約金ということになりますれば、給与月額とイクオールになるわけですが、そのイクオールまで、これよりも多くなつてはいけないという最高の線と、給与月額の百分の六十を下つてはいけない、こういう幅を示しておるのが第六条でございまして、契約金額と給与月額はイクオールだというものではないわけでございます。
#104
○松浦清一君 この点の関係をもう一遍説明をしてはつきりしてもらつたらよくわかるのですが、契約金額と、内訳保険金額と給与月額とどれだけ違いがあるかということの説明が徹底すればよくわかるのですが……。
#105
○説明員(家治清一君) 御説明申上げます。契約金額というものは、これは保険契約のときの総金額でございます。それでその契約金額の基礎となりますのは、各乗組員の給与月額、この給与月額と言いますのは、保険法上の一つの用語でございます。各乗組員の給与月額の満額、合計総額以上はかけられません。それから最低は、その六〇%以下はこれもかけられません。こういう意味は、契約金額は超過保険であつてはいけない、或いは少くてもいけない、こういうわけでございます。そこでこの給与月額というものはこれは一体何かという定義は、これは第八条でやつておるのでございまするが、この給与月額というのは、これは雇傭契約に基いて抑留期間中に事業主が乗組員に支払うべき一カ月分の給与の額でございます。これは従来からの、従来からと言いますか、普通の雇傭契約の中に明示されております場合と、それからこういつた危険区域に出漁する場合に当つて特約せられる場合とございますが、とにかくその実体的な雇傭主と乗組員との間に取り交された幾ら幾ら支払うというその額をそのまま給与月額とする、こういう約束を第八条でしておるわけであります。
#106
○松浦清一君 ちよつと待つて下さい。そうなると問題は第三条の第三項の「この法律において「給与」とは、賃金、給料、手当その他名称の如何を問わず、」こうあるが、ここで言う給与というものは、本給、家族手当、それから航海手当も入つておれば、航海手当というものもあるでしようし、それは契約に基いておる。それから歩合手当、歩合金、これも契約に基いて、水揚げの何分と、こうきめておる場合には、ここで言う給与の中に入るでしよう、私の解釈では……。ところが抑留中に支払われる給与というものには、この歩合金額というものは入らないのですね。だから抑留中に支払つておる給料の総額と、乗船をして操業をしておるときに支払われておる給与の総額というものは違うのですよ。その区別は明確になつておるのですね。そうしますと、契約するときの報酬月額というものは、抑留中に支払わるべき給与月額であるのか、乗船中の契約に基いて支払われておる給与月額であるのかということを明確にしたらわかるのですが……。
#107
○説明員(家治清一君) 八条で書いておりますのは、お話の中のあとのほうで、事業主と乗組員との間で特約乃至は雇傭契約の中に謳われました条項に従つて、抑留期間中に幾ら幾ら支払う、給料を出す、こういうことがきまつております、そのものを言います。従いまして抑留されない普通の漁をしておりまして、それで歩合によつていわゆる賞与的のものも入るというようなことは、実は第三条に規定の上で賞与関係その他これに準ずるものと書いてありますので、入つておりません。
#108
○松浦清一君 これはあなたの説明は少しもやもやしておる。僕らが聞いておるのは、ほかの人の考え方は違うかも知れませんが、僕が感じとつておるのは、契約をするときの契約金額というものは、乗船中に働いていて契約に基いて支払われる給与の総額を言うのであるか、第三条にある賃金、給料、手当、つまり具体的には、歩合金を含めた総額、総収入を契約金額とするのであるか、それとも抑留されておるときには歩合というようなものはもらえないのだから、それを控除した実際に支給される給与で契約するのであるかということになるのですよ。
#109
○委員長(木下辰雄君) 私からも……。第三条第三項の給与と第八条の給与と違うのであるか、同じであるかということを質問しておるのです。
#110
○松浦清一君 御答弁を願います前に、ちよつとそれを明確にしないと……。契約をしたときには歩合手当が入つておる。ところが保険金を支給されるときには、抑留期間中の給与月額で算定されるという間違いも起つて来るから、その点も明確にしておく必要がある。
#111
○委員長(木下辰雄君) 速記をとめて。
   午後三時二十九分速記中止
   ―――――・―――――
   午後三時四十九分速記開始
#112
○委員長(木下辰雄君) 速記を始めて下さい。第十一条について御質問がありましたらお願いします。
#113
○松浦清一君 この第二項の、「正当な事由がある場合の外、」という正当な事由を認定する、判定をする機関というものはこの法律にはないのですが、どこで正当な事由を誰が認定するのですか。
#114
○衆議院議員(田口長治郎君) これは結局乗組員が納得するそれだけの事由がなければならんという、そういう意味に私は解釈いたしておるわけでございますが、単に事業主が言葉だけでこうするからということではなしに、従つて厳密に言いますと、船長か或いは船頭に今度の航海分の給料だけは預金として預けるか、或いは今までの抑留期間というものが大体きまつておりますが、この期間内の何カ月分はこうしておくからというようなことで乗組員が本当に心から納得する理由であれば、それは正当な理由、こういうふうに解釈して差支えないと思いますが、正当なりや否やということは、主として乗組員が納得するかどうかという問題であると考えていいと思うのであります。
#115
○松浦清一君 漁船が抑留される場合には、その船が操業して何カ月日に抑留され、拿捕されるか、何年目に拿捕されるかそれはわかりませんが、その事業主が納める保険料の総額というものは、抑留中の船員に支払うべき給料というものよりも低いものと見なければならない。そういう考え方から行きますと、現在経営内容のよい事業主は、現に給与を抑留中の船員に対して支払つている。この保険ができても、保険でカバーされる以外のもの、今まで払つておつた給料に相当するものはやはり保証しなければならない。保険ができたからといつて今まで支払つておつた給与の総額よりも低いという状態に置くということはこれはできないわけですから、今問題になつておつた三十九条かを受けておる保険でカバーされる以外のものは、やはり船長が負担しなければならないということになると、結局経営内容のいい事業主は、経営内容の悪い事業主に対して給料の支払いの援助をしてやるという建前になるということが考えられるのですね。援助をしてやる建前になる。そういうことになると、そんなことは考える人はないかも知れないが、法律を作る場合にはそれを考えておかなければならんのは、経営内容のよい船主は、人の御厄介にならないでも、おれのほうは抑留中の船員には今まで通り払つてやる。何も人様の御厄介にならないでも払つてやるから心配するなということで保険に加入することを快しとしないという面がある。その半面に田口さんから御説明がありましたように、船員が得心すればというけれども、その船主たるや経営内容が極めて悪い。もう保険料を掛けたりしておつたのでは操業できない。儲けにならない。保険料を掛けないで、そういうことがあつたら災難と諦らめてくれということで、事業主が船員に言含めて船員も加入の意思を捨てる、こういう両方の面で保険に入ることを快しとしないというものが出て来る虞れがやはりあるのです。法律はそういう点も考えておかなければならない。正当の事由というものをやはり、いろいろの保険には審査会というのがあつて、保険事故の審査をやつたり、いろいろ被保険者、保険者の間に問題が起つたらそれを調整する機関がある。この保険にはその機関がない。むしろ私は正当な事由というものを取つてしまうほうがよいのではないかというような気がするのですがね、どんなものでしようか。
#116
○秋山俊一郎君 関連して……。これは今のお話のようにとるのじやないのですが、今お話のような場合は、若しそういうふうに両方が納得すればいいのですが、申請の申出、そういうものが正当な事由ではなくして、私の想像するところは、二分の一以上の連署を以てというけれども、二分の一に足りないのだ、実際調べて見たら二分の一はない、或る人が勝手にやつた虚偽のあれじやないか、そういうものには船主としては納得しないのだ、こういつたようなことが正当な事由と言えるのではないですか。そういつたようなことを指すのであつて、今のような説明者のお話、質問者のお話を聞いておれば、納得した者なら初めから二分の一の連署を以て申出をすることはしなければよい。正当な事由も何もない。話合いがつけば申出を引込めるまでだ。拒むことにはならない。拒むことにならないという以上は、二分の一以上だと飽くまで申請の申出をしている。併し、いや二分の一にならんというのが拒むのですね。申出に疑問があるという場合のことではないでしようか。そういうものでは我々は引受けられんということが正当な事由ということにかかつて来るのではないですか。私はそうでなければ理由がつかないと思う。
#117
○衆議院議員(田口長治郎君) そういう場合もあり得ると思うのですね。予測のつかないいろいろな問題が起るだろうと思う。こういう意味が多分にある。それから松浦さんの話、そういうような場合も実際にはあり得るかも知れませんね。保険金をかけることもできないというような……。併しそういう船というものはまあ極く僅かですからね。百円について一円三十九銭くらいなんですから……。そういう金額ですから、恐らく乗組員が是非かけてくれなければ困るという主張があれば、船主はそれもできんといつたようなことは実際には言えないと思うのですけれどもね。理論的には或いはそういうこともあり得るかも知れませんが……。
#118
○松浦清一君 ところが自分の財産である船さえ漁船保険に入らなくて、保険組合の経営が成立たないというほど保険に入らない船があるのですよ。船主の立場から考えてやつぱりそれは自分の財産というものは第一に大事であろうと思う。その船さえ保険に入らない船主があるから、いわんや抑留されるかされないかわからないものに対してまで、非常に苦しいのに保険をかけるほど……、僕はそう根性が悪いつもりはない。善意に解釈していいかということだね。正当な事由をどこまでどうして誰が判定するかということが規定付けられないことには……。誰が判断するかということですね。二分の一以上の連署を以てというけれども、これは二分の一ないじやないかということを言つたりして、いざこざが起つたりする。これは強制保険じやないから、どうしても船員も船主も保険に入るまいと思えば逃げ道はあるから、正当な二分の一の連署を以ての申出があるのならば、如何なる理由があつても入る、入れなければならんということで、正当な事由の除外例というものをここに書く必要はないかと思うのですがね。
#119
○委員長(木下辰雄君) なお十分お互いに研究をいたしまして、こういう必要があるかないかという問題については又後日御意見も御発表願いまして、本日はこの程度で散会いたしたいと思いますが、如何ですか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#120
○委員長(木下辰雄君) それでは本日はこれにて散会いたします。
   午後三時五十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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