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1951/06/13 第13回国会 参議院 参議院会議録情報 第013回国会 水産委員会 第42号
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1951/06/13 第13回国会 参議院

参議院会議録情報 第013回国会 水産委員会 第42号

#1
第013回国会 水産委員会 第42号
昭和二十七年六月十三日(金曜日)
   午後一時四十二分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     木下 辰雄君
   理事
           松浦 清一君
           千田  正君
   委員
           秋山俊一郎君
           藤野 繁雄君
  衆議院議員
           田口長治郎君
  政府委員
   水産庁長官   塩見友之助君
  事務局側
   常任委員会專門
   員       岡  尊信君
   常任委員会專門
   員       林  達磨君
  衆議院法制局側
   第三部第二課長 伊達  博君
  説明員
   水産庁漁政課長 家治 清一君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○漁船乗組員給與保險法案(衆議院提
 出)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(木下辰雄君) 只今から委員会を開会いたします。
 先ず漁船乗組員給與保險法案を議題に供します。本日は衆議院から伊達参事もお見えになつております。先ず十一條から始めます。
#3
○松浦清一君 一昨日の委員会で第十一條の第二項の「正当な事由がある場合」の質疑応答がありまして結論が得られないままに散会となつておるのですが、この字句を入れた法制局側の理由、この「正当な事由がある場合」とは如何なる場合を指しているというお考えであるか、その点を承わりたいと思います。
#4
○衆議院法制局参事(伊達博君) 衆議院の担当課長の伊達でございます。大体今まで初めのほうを御審議になりまして、この法律案の趣旨なり或いは又この保険の性格という点について御審議を進められたことと思うのでございますけれども、この法案の趣旨は第一條にもございます通り漁船乗組員が抑留された場合に、当然これはもう雇用契約があれば給與の支拂の請求権があるわけなんでありますけれども、往々にして不拂になつておるというような実情から、そういう場合の給與の支拂を保険の方法によつて保証する、そういうことが先ず打出されており、併せて漁業経営の安定に資することを目的とするということになつておりますが、これは保険の方法によつてやるのだ、そこでその保険の方法としてはどういうことでやるかと言いますと、この法案の建前はこれはいわゆる労働者災害補償保険のような社会保険の形式でなくして、私保険的な経営主の保險、そういうような建前になつております。そういう私保険的な経営主の保險ではあるけれども、実際事故が起つた場合の保險金の支拂は乗組員の指定したものに直接行くという点であるとか、或いは契約を締結する場合に支拂わるべき保険金の基準になりますものが、給與月額の六割を下つてはいけないというような規定において社会保險的な色彩が加味されておる、そういうような保險であります。形式としましては、経営主の保険であるという建前から行きますと、只今問題になつておりますこの十一條の規定も実は衆議院の法制局におきましてもいろいろと問題になつておるわけであります。と言いますのは乗組員側からすれば要するに給與が支拂われればいい、給與の支拂ということが保証されればいいのであります。その場合に事業主に対して保険によつて保証してくれということは、保険でなければいけないんだというようなことを言うことは少し行過ぎではないかということ、或いは憲法に抵触するというような盧れはないかというようなことが実は問題になつたのであります。事業主がその場合にこうむる危險と申しますか、結局雇用契約は存続しておるから当然給與を支拂わなければならないにかかわらず、それに見合う労働というものはその乗組員から得られておらない、抑留された結果労働が得られておらないにかかわらず、給與を支拂わなければならないという危險を保險の方法によつて広く分散してそうして補填してもらう、或いは又別の方法によつてそういう場合には必ず見てやるんだ、その選択は結局は経営技術の内面にまで立入つてその乗組員が是非保険に入つてもらいたいということは少し行過ぎではないか、十一條の規定は実は相当問題になつたと思います。併しながらこの十一條の規定を削るということは先ほども申上げました通り、形は成るほど私保險的な経営者の保險という形をとつているけれども、事故が起つた場合に確実に直接乗組員側の手許に給與に相当する保險金が入るということは、これは乗組員側の利益である、又その場合に六割以上は必ず保証されるということもこれも利益である。そういうような社会保険的な色彩を加味したこの法律の趣旨からいつてやはり何かこういうような規定は必要であろう。そういうような結論に到達したわけでありますけれども、その際に結局乗組員がこういうことを要求するのは、自分たちの給與が何らかの方法によつて保証されるということについての関心を持つておる結果だということから、或いは事業主がそういう場合に何らかこれに代るべき方法で給與が保証されるような、例えば一種の供託金のような恰好で保証してやる方法を講ずる、それについて乗組員も了承をするというような場合には、強いて保険契約の申込をしなければならないというような恰好をとる必要はないんじやないかというようなことも論議されたわけなんです。でこの正当な事由というのは然らば具体的に申上げるとどういうことが予想されるか、只今私が申上げたようなことも勿論一つの遂になるかと思いますが、例えばこういう危険が全然予想されない、操業区域が或る一定の区域に限られておりまして、或いは南太平洋とか或いは伊豆七島の近傍であるとか、要するに拿捕抑留の従来しばしば行われておりました一応客観的に危險区域だという判断を下される以外のみに操業区域が限られておるというような場合に、仮に申込を受けたとしてもそういう必要はないということは一つの正当な事由じやないか。そういう場合に勿論乗組員のほうでそういう要求を持出すということもないであろうと思うのでありますけれども、この十一條の一項のほうの書き方とすれば場合を限定しておりませんから、そういう申込を受けた場合には当然操業区域が危險区域でないということから正当な事由として加入させない。勿論その場合に然らばどういう区域が免責される範囲内であるかどういう区域のみにその操業が限定されるということが免責される事由になるかという、その区域の判断につきましては勿論これは客観的なものであり、且つ例えば従来そういう区域では全然抑留ということはなかつたというような場合であつても、それが東支那海であるとか将来何らか起りそうな区域に含まれるような場合であれば、これは正当な事由ということは言えないわけだと思うのですが、先ほどちよつと例に申上げましたように、伊豆七島の附近だけに限られるとか、そういう場合であればそれは正当な事由になる。それからもう一つは先ほど申上げたのでありますが、事業主が例えば供託というような、そういうような形によつて十分乗組員に納得せしめ得るような手段方法によつて将来の給與支拂を保証し、そうして乗組員が納得したという場合にも正当な事由であるというふうに考えられるわけであります。こういうような場合に乗組員が納得して第一項のほうの申出を撤回するというような場合でありますれば、それは申出がなかつたということになりますから問題はございませんけれども、撤回がなくともこういう場合は正当な事由として責を逃れる、で勿論この場合も事業主の主観的な判断のみではやはりいけないわけでありまして、内部的には申出をした乗組員の側でも十分保証されるということを納得したという場合に結局限られて来るのじやないか、そういう点であります。
 実質的な事項というのは大体以上の二点であると思われますが、そのほかに形式的な問題としましては、一項のほうの申出というものは一応或る條件を備えなければならん。「当該漁船の乗組員の総数の二分の一以上」の連署を以てしなければならない。そうしてその代表者から申出なければならん、こういうような形式的な要件を一応欠くというような場合もこれに相当する場合と考えます。
 それからなおこの法律の建前上四條の規定を見ますと、この保險事業を行うのは漁船保險組合であつて、そうして総会又は総代会の議決を経た場合にこの法律の定めるところによつて、その区域内に住所又は事業所を有する事業主について保險事業を行うことができるというふうになつております。勿論これは行政庁の指導等によつて原則的に一応こういう事業を行う場合の網といいますか、すべて落ちがないようなふうに指導されることだろうと思いますが、法律上は一応そういう穴も予想されるわけでありまして、そういう場合には事業主は入れないという場合もあるわけであります。又前條の第十條において何らかの事由によつて保險組合のほうでその事業主からの申込を拒むというような場合には、勿論事業主は入れないのでありまして、そういう場合も一応正当の事由ということになるのであります。尤も今申上げましたあとの三点、つまり申込の形式的な要件を欠くとか、それから保險者の該当する組合がない、或いは又組合が引受を拒んだという場合は、第一の場合にはこれは正当な申込でございませんから、仮にこの正当な事由というような言葉がなくてもこれはいい、申出に応じて加入する必要はないという解釈になります。それから保險者たる組合がない場合、組合が契約の申込を引受けなかつた場合も、これも法律的な不能の場合でありますから、仮に「正当な事由がある場合の外」という言葉がなくてもこれは当然加入の責を逃れるというふうになります。あとの三点についてはそういうような解釈がとられるだろうと思います。
 大体大ざつぱに申上げますと実質的な面からいつて初めの二点と形式的な面からのあとの三点と、こういうようなことが正当な事由になると考えております。
#5
○松浦清一君 大体法律案の基礎についての正当な事由の御説明は意味はよくわかりましたが、その事由を要約して申しますと、一つには労働協約とかその他の方法で抑留中にも給與が保証されるということがはつきりした場合ですね、抑留中にも給與は保險によらずして事業主が支拂うのだということがはつきりした場合。それからもう一つは危險区域以外で操業するということがはつきりしている場合、それを事由として船員から二分の一以上の連署を以て申込があつても入らんでもいいという正当な事由と判断されるというのは、大体要約して申上げるとこの二点ですね。
 そうするとまだちよつと心配が残るのは、只今御説明がございましたように、経営内容のいい事業主は保險料を納めて給與の抑えないような小事業主、小船主を助けなくとも、自分のところで給與を拂えるから保險に入る必要はない、今言つたように労働協約やその他の方法で保險に入らなくても自分のところは抑留中の給與を拂つてやれる能力があるから心配するな、こういうことでそれを正当な事由として保險に加入することを拒否するという場合も想定される。
 それから船員保險法も適用されていないというこの三十トン未満の最も小規模である小さな事業主においては、保險に入らなくても抑留されたら給與の心配はないからそういう心配をするなと言つて乗組員を得心させて二分の一以上の連署を取下げさせるという手もある。これも正当の事由ですからかまわないのですが、そうするとこの保險組合の保險の運営が成り立つて行かないという結果が起きて来やせんかという心配が一つある。現在の漁船保險でも保險料が高いという理由もありましようけれども、全部の船がこの保險に加入しているのではない。従つて漁船保險組合のほうからは、何とかして全部の漁船がこの組合に入れるように、保險に加入ができるように勧奨をする方法はないかという陳情を我々もしばしば受けておる。第二の轍をふまないように、結果的には船員が抑留中の給與をもらえるという船員の保護にもなりますけれども、事業主の相互連帯的な責任において特に不幸になる者がおらないようにというのが精神であるけれども、ちよつと抜道の幅が広すぎて保險の経営上困難を来たすようなことがないであろうか、こういう心配があるわけですが、どうでしよう。これは見方の相違になつて来ましようけれども、もう少しやはり共同の相互連帯的な責任において、危險区域における日本の漁業をやつて行こうという建前でこの法律を作るというのであれば、もう少し拔道を狭めたほうがいいのではないかという気がするのですが、その点は心配はございまんせですか。
#6
○説明員(家治清一君) 仰せのようにそういう心配も考えられるわけではございますが、ただお話のうちのあとの点で小さい経営者が組合員をむりやりに得心させて入らないという点は、これは結局事業者自体についての啓蒙といいますか、この事業の普及、それからもう一つは、乗組員のこういつた制度に対する認識と、それから経営者と交渉する能力を高める、これは法律外のことでございますが、どうしても指導啓蒙をするという方法で逐次実を牧めるということより仕方がないと考えます。
 それから第一の大経営者が抜けるという点につきましては、これは現在業界のかたがたの空気といいますか、気持は決してこの制度ができましても大きい会社といえども自分のところで自己保險ができるから、こういう制度に乗つからないという空気はございませんで、むしろ進んでこの制度を使おうと、こういうような状態でございまして、條文上は実は正当な事由がある場合は入らんでもいいという規定があります点は、多少効果があるとは申しましても実際問題としては影響はないのではないか。ただ全部が全部入るという点は今のところ我々は保証はできかねるのですがこの制度を実施するまでによほど例えば海員組合とか或いは各事業者団体であるとかそういうかたがたの間の連絡をとつて、十分活用してもらうように善処したいと考えます。
#7
○委員長(木下辰雄君) 第十一條について御質問ございませんか。
#8
○松浦清一君 私も大体この法律案ができ上るまでの業者関係の御意向、船員関係の御意向等は非公式に承わつて知つておるのです。知つておるのですけれども、委員会でやはりそういうことが明確に表明されないと、わかつておるからそれでいいというわけには行かんので、いろいろ問題のある点を申上げておるのです。趣旨はわかつたのです。私はこれで御質問を終ります。
#9
○委員長(木下辰雄君) ほかにありませんければ第十二條に移ります。これは簡單でありますから第十三條に移ります。(「なし」と呼ぶ者あり)十四條に移ります。
#10
○千田正君 この「保險期間は、四箇月とする。」という、その四カ月とする基本的な考え方はどういうところから出て来たか。
#11
○説明員(家治清一君) この四カ月の基礎は、保險組合でやつておりまする特殊保險の保險期間と調子を合しておるのでございます。特殊保險の保險期間も当初三カ月でありましたが、漁船損害保險法の機会に従来の実情等を睨み合せまして、四カ月になつておりますのでそれと歩調を合した次第でございます。
#12
○千田正君 四カ月を経ても例えば拿捕された乗組員及び漁船が帰つて来ない場合は、省令の定めるところにより約款で特別の定めをすることができるとありますが、この予備的な行為についてはどの程度のことを考えておられるのですか。
#13
○説明員(家治清一君) 第十四條の保險期間は実は危險負担期間でございまして、その危險が四カ月間の間に発生いたしますと、これはその抑留せられた人が帰つて来るまではその四カ月にかかわらず保險金の給付を受けることになつておる。それで「約款で別段の定」と申しますのは、契約期間を或いは延長し或いは短縮する、勿論これは約款事項は農林大臣の認可になつておりまするので、そう不相当なことはいたさせませんが伸縮は認める、こういう趣旨でございます。
#14
○千田正君 只今のお答えによると、四カ月は危險負担の期間である、こういうわけですが、仮に或る程度長期に亘つての操業をする場合において、二カ月日若しくは三カ月日においてそういうような問題が起きた場合には、これはどういうふうに取扱うつもりですか。
#15
○説明員(家治清一君) 通例は大体出かける前に入つてそれから十分その期間内に帰つて来られるということを予定しておると思いますが、たまたま四カ月の間に途中から出漁して、そうして帰つて来るまでの期間は四カ月の外に亘る場合は、これも勿論通例の場合でありますけれども、期間の更新をやつておる。そうして更新でございます、延長ではございませんが期間の更新ということによつて救済できると思います。
#16
○千田正君 そうしますと、例えば以西底曳とかそういうような面、殊に九州方面におけるところの台風圏内におけるところの漁業なんというような場合は、まさに操業に出発せんとする場合に保險をつけておいて台風に遭遇して戻つて来た。台風の静まるのを待つて又操業に出かけるという場合は、前の保險は一応御破算にして更に出航する場合において改めて保險を附すというような方法に行かれるのでありますか。その点はどういうふうになりますか。
#17
○説明員(家治清一君) この保險は保險料の支拂を以ちまして保險関係は成立いたしますので、四カ月の加入の際に保險料を全部支拂つておるのでございます。従いましてあらかじめ入つておいて途中で帰つて来られて前の保險をやめるといたしましても、保險料を戻してもらうということもできないわけでございます。解約は保險の性質としてできないそうでございますので、従いまして一応出かける前に仮に保險に入りまして途中で帰つて来ましてもなお前の保險の関係は継続しております。
#18
○千田正君 そういたしますと今までの漁政課長のお答えは矛盾しておるようであります。なぜならば四カ月ならばまあ通常の概念からいうと四カを至当とするというのでありますが、それは何もない平常の場合のことであつて、今私の申上げた場合の問題はいわゆる台風とかそういうような測り知るべからざるところの天災等によつて、四カ月じやなくもう二カ月も待たなければ出漁できないというような場合はどうするかということを私は聞いておるのであつて、いやしくも法律として出す以上は万全を期さなければならん。でありまするからそういう場合にどうするかということを私は聞いておるのであつて、それならば何かここに原則を謳つておかなければ甚だ法文として完全をなさない。かように私は考えまするが、その点はどういう用意をしてこの法案の実施を望んでおられるか、その点の所信を承わりたいと思います。
#19
○松浦清一君 今のお答えの前に関連してちよつとお伺いしておきたいのであります。保險期間の四カ月というのはこういうふうに私は解釈をしておるのですが、それは間違いなんですか。四カ月の期間ですから、今日保險に加入する、そしてその四カ月の期間内に二航海やろうと、三航海やろうと、四航海やろうが期間内であるから改めて何もしなくていいと、ところが丁度今日入つて四カ月目になつたときに漁場で操業して曲るというような状態であるときには事業主が四カ月目の日にまあ加入をするとか、継続するというか知りませんが改めて更新して行く、そういう解釈です。そういう解釈が私は出る。今千田委員の問題で台風等があつてだんだん延びて行くということはどうかというと、四カ月間どういうことが起ろうとも保險は継続しておるのである。その四カ月は台風があろうが、漁場におろうが、事業主の意思によつて再保險をやろうと、加入しようと、継続しようと、四カ月目にそれが更新されるのであるから、四カ月間の状態はどんな状態にあつてもいいと私は解釈しておるのですが、うではないつのですか。
#20
○説明員(家治清一君) 松浦委員の仰せの通りでございます。先ほど通例の場合として申上げたので、行く前に入つて帰つて来たら解約する、期間が満了する、一航海主義をとつたというように或いは聞えたんじやないかと思いますのでその点は訂正いたしますが、四カ月というのは必ずしも行つて帰つて来るという一航海を單位として例をとつたのではありません。
#21
○千田正君 そうしますと、この四カ月というものはいわゆる損害保險の、殊に特殊保險の場合の通常観念からいつて一つの手続のできる期間、そうして或いはまだ出漁中の場合、若しくは天災等の今の台風等があつたときには、なお次の四カ月を継続できるのだというふうに承知してよろしいのですか。
#22
○説明員(家治清一君) さようでございます。
#23
○秋山俊一郎君 今四カ月の問題が出たのですが、この十一條に当該漁艦の乗組員の二分の一以上の者が連署を以て申入れた場合には保險をかける、こうなつておりますがこれは四カ月間かける、そうすると、その次の四カ月は又この手続を必要とするものであるか、或いは一遍申込んでおけばずつと継続して事業主は保險をかけて行かなきやあならないものか。これは地方によつてはいろいろ業態が違います。雇用関係が違うと思いますが地方によつては大体雇用が一年を以て一応終止をするという形式をとつておる所があるのです。例えば長崎などでも天体六カ月なら六カ月を以て一応雇いどめをして又九月から更に雇い入れをして行く、こういつたような形式をとつておる。今でもそうじやないかと思つているのですが、そういつたような雇用関係の慣習があるのです。そういつた場合に、最初の乗組員のその例えばA丸という船の乗組員が申込をしおつた、そうしてそれが欠けて来た、そうすると切れ目がついて、やはりその船には大多数の人が乗るが、人が変つて来る、こういつた場合にはなお且つ初めの申込は有効であつてずつと続けて行かなければならんものであるか、そのときに改めて又申込をして行くべきものか。その点は明かにして頂きたい。
#24
○説明員(家治清一君) これは場合を挙げなければならんと思いますが、事業主が自分で加入されるのはこれは乗組員の同意といいますか、内訳保險金額の問題になりますと、全然内容等が同じであれば実際問題として船が沖へ出ておる関係上、船員の同意を得られないというような場合におきましても、給與の関係が途中で変つたということを想定いたしますと問題が起きるのでありますが、給與の関係が変らないということであれば特別に同意は要らないと考えますが、ただ途中の船員の異動の場合でございます、これはこの場合におきましてはその変更の規定がございますが、その前にあらかじめ加入に当つては、その変更した人、新らしく加入する人の同意はとつておく必要があろうと思います。
#25
○秋山俊一郎君 この保險は大体業主の事故の場合の負担を軽くしようというようなことに出るわけなんでありますが、中には必ずしも喜んで加入しない、かけない、業主としてはおれのほうの船はそういう危險が今までもなかつたのだし、先ず避けられると思うので、できることなら保險に加入して保險料を拂わなくてもやつて行けるのだ、こう業主自体が考えておつても当該漁船の乗組員の半分以上の者が申込をすればかけなきやあならん、できることならかけないようにして行こうという意思のある者もなきにしもあらずなんですが、そういう場合にこの切れ目がない、一遍申込んでおけばそのうちに相当の人の変化があつてもやはりそれはずつと続けて業主は保險に加入しなくちやならん義務があるかどうか、その点なんです。今の一漁期の切れ目があります。そこで一つの形式的ではありますが、一応大部分の者を雇いどめをするといつたようなことも事実あるわけですが、そういう場合に今度新らしく申込みがなければもう今度はかけずに打つておつた場合にはこの法律でどういうような扱いをするか、こういう質問なんです、私の質問は。
#26
○説明員(家治清一君) 御質問の御設例のような場合におきましては、この二分の一以上の申込は、これは全員の連署があつてよろしいということになればいいのですが、そういつた要件が備えられないような場合は、船主と乗組員との間で意見が一致しないというような場合におきましては、加入しなければならんという義務の発生は出て参りません。ただこれは運用の問題になりますけれども、そういつた危險が予想せられます場合におきましては、その最初乗組む乗組員とそれから事業主との間に、仮に途中で期間が切れます場合におきましても引続いて期間の保險契約の更新をするというようなことの話合いをつけて、そうして申込みの際にもそういつた附帶條件を付けて申込むということによつて救済されるのではないかと考えます。
#27
○秋山俊一郎君 少し違うのですがね。乗組員は当然かけてくれるものだと思つておりましても、そこに一応雇用関係が新たになつた場合においては、業主はかけんでいいものだという解釈で若しかけなかつた場合にはどうなるか。一方ではかけているものと思つているが片一方ではかけていない。例えばその船に乗つておる船長、機関長というのは動かずに船に乗つておりずつとかけて来た。併し六月なら六月までかけて来たが七、八月を休んで九月から新らしい漁期に入る、そうして乗組員が整備されて仮に九月に出航した場合に、そのときに保險に加入していなかつた、そうして十一月頃になつて拿捕されたときに何らそれがなかつたというようなときに、これは業主がこの法律によつて責を負わなきやならんものか、或いはそれは責を負わんでもいいものか。即ち最初にこの保險に加入しておれば、四カ月ごとに更新はして来たがそういう雇用関係の切れ目によつて新らしく雇用した場合ののちにおける業主の保險に加入する義務といいますか、そういうものはどうなるか、こういう質問なんです。双方の間にかけるとかかけんとかいうのじやなくして、業主は成るべくならばかけたくないという感じを持つているが、まあ一遍申込を受けたからかけて来た、併し新らしくなつたときには何らの申込がなかつたからかけなかつたというような理窟が立つかどうか。無論構成メンバーが幾らか違つている。
#28
○説明員(家治清一君) 十五條には給與契約が成立したのちに乗組員の異動等によつて最初の契約の申込書に記載した事項で変更があつたときは、これは事業主は組合に変更の通知をする、その変更の通知によりまして前の保險の契約関係が自動的に変るということになつておりますので、大体この特別な手続をいたしませんでも、この保險期間中に新らしく雇用された人といえども保險にかかつているわけでございます。そこで今度はその期間が切れたとき、その場合に新らしく雇用された人からは二分の一以上申出がなされなかつた、事業主としては従つて正当な事由があるからかけなかつた、こういう場合がまあ起り得るわけでありますが、これはそういう場合を予想してそういうときには別に規定は実はございません。ただこの趣旨は、そういう場合におきましても結局保險契約期間中は変更の通知ということで前の関係を承継させるわけでございますので、やはり趣旨としましては人が変つておりましても切れ目のときに自動的に、自動的にと申しますか、事業主としてはその保險期間の更新をしてもらうというように指導して、法律上においてはその場合に特定の規定はございません。
#29
○秋山俊一郎君 勿論契約期間中はここにちやんと出ているのです。今私の言つた場合は、仮に保險契約の四カ月が都合よく六月で切れるときもありましようし、又七月で切れるのもありましようし、八月で切れるのもありましようし、それは契約期間によつて、契約するときによつて、その期間は次々になつて来て、それがずつと更新して来たが、今言つたような一つの切れ目ですね、切れ目というのは契約期間の切れ目じやなくして、漁業の漁期の切れ目なんです。大抵引続いてやるときもありますが、通常一カ月乃至二カ月半くらいは船の修繕だとか、又漁期とか、ほかの関係等で休む船が多いのです。その間はかけている人もあるし、かけていない人もある。そういう期間を省くようにかけている人もあるだろうし、しよつちゆう保險をかけている人もある。休む人もあるし、かけている人もある。そうして新しくなつたときにもう一遍二分の一以上の者が申込まなけしればかけられないのだ。ずつとその船に関する限りは続いてかけるべきか、この十一條はそこに来ているかという質問なんです。
#30
○衆議院法制局参事(伊達博君) この保險の恰好といいますか建前についてちよつとお話いたしたいと思うのですが、成るほどこの保險は乗組員のそれぞれの給與をこういう事故があつた場合に保証するというのが趣旨でございますけれども、保險の方法といたしましては、漁船というものを單位にしまして扱つている。従つて人的な色彩が非常にぼけて来るような場合があるのですね。というのはどういうところで現われて来るかと申しますと、十五條に謳つてありまするが、乗組員が異動した、だから契約締結当時の乗組員と相当大幅に交替が行われたというような場合であつても、尚且つその契約は存続し、而も保証されるものは新たに乗組んだものを含めたその漁船の乗組の全員について保証される。
 それから又保險事故とそれから保險組合との保險金支拂の関係でありますけれども、その漁船について抑留事故が一回でも起ればもうそれで爾後は組合が責任を負わないというのが原則なんであります。ただそれでは余りひどい場合が起るのじやないかということから、一つの折衷案のような恰好になりまして、これは一航海主義というようなことになつたわけでありますけれども、例えば四カ月の間にその船が二航海するという場合に、最初の一航海目に抑留の事故が或る一人乃至二人について起つたという場合に、組合はその一人乃至二人に対する給與額の支拂をしたとすれば、もうその保險契約に関する損失填補の責任を免れるということになつているのです。これは個々の乗組員について考えますと、若干不当といいますかおかしいような感じもするわけでありますけれども、要するに全般主義といいますか、漁船というものが大きく浮び上つて来るということから、先ほど申上げました通り乗組員の相当多数の者が入れ替つても、やはりその乗組員の全部について契約の効果が及んで行くということで、それから今の乗組員の中の一人、二人について事故があつた場合は、その支拂さえすれば一応その保險契約の保險金の支拂責任というものは消滅する、つまりその保險関係が消滅する、こういうようなことが裏腹になつておるわけであります。で先ほどの御質問の要点と申しますか、要するに四カ月の切れ目に当つた場合にどうなるかというようなお話なんでございますけれども、今のように……。
#31
○秋山俊一郎君 四カ月の切れ目じやありませんよ。漁期の切れ目です。
#32
○衆議院法制局参事(伊達博君) その漁期の切れ目と四カ月の切れ目とか……。
#33
○秋山俊一郎君 一致してもしなくても同じです。
#34
○衆議院法制局参事(伊達博君) 漁期の切れ目が四カ月の範囲内に入つておれば、当然保險契約は全部に及ぶわけであります。たまたま非常に漁期が何といいますか食い違つて、長く出漁して途中で期間が切れたという場合にどうなるか……。
#35
○秋山俊一郎君 大分どうもピントが外れておるようですが、あなたは漁業の状態をよく御存じないからそういうことになるのです。
#36
○委員長(木下辰雄君) 懇談会に移りましよう。
   午後二時三十五分懇談会に移
  る。
   ―――――・―――――
   午後三時三十三分懇談会を終
   る。
#37
○委員長(木下辰雄君) 懇談会を閉じます。引続いて委員会を再開いたします。
 先ず第十四條に対しまして水産当局から明確なる解説をお願いします。
#38
○説明員(家治清一君) 第十四條の保險期間の問題でございますが、「給與保險の保險期間は、四箇月とする。」となつておりますのは、これは漁船損害補償法の中でやつております特殊保險の例にならいました期間でございます。組合は省令の定むるところによつてこの四カ月を約款で多少の伸縮をすることができる、こういうことになつております。この四ケ月の期間が、例えば外に出て操業中切れた場合の問題を考えますときに、これは保險契約の更新の手続を事業主はとる、こういうことによつて若しそういつた期間が途中で切れるという場合を救済したいと考えます。
#39
○委員長(木下辰雄君) 何か御質問ありませんか。……御質問がありませんければ第十五條に移ります。
#40
○松浦清一君 保險期間の四カ月の期間内に売船、讓船等によつて保險の契約者である事業主が変更された場合にはどういう手続をしなければならんか、又その方法はどういうようにするお考えであるか、はつきり承わつておきたいと思います。
#41
○説明員(家治清一君) この法律の中には御質問の場合に対する規定はございませんが、契約者が変ります際におきまして、船主の所有の関係を、保險契約者と保險組合の間に交します約款の中に規定することによつて、一度掛けた保險が契約者が交替することによつて当然失効になることのないようにしたいと思います。
#42
○松浦清一君 約款の中にそのことをきめるということは、省令の中ではつきりと明示される御意思でございますか。
#43
○説明員(家治清一君) 省令に規定する点につきましては実はなお検討を要する点もございますので、その方向で研究したいと存じますが、或いは保險組合の約款は農林大臣の認可にかかるのでありますので、その際の指導として御趣旨の点も間違いのないようにやりたいと考えます。
#44
○松浦清一君 省令で規定するとおつしやるけれども、省令というのは法律でもなければ附則でもないのでね。結局保險を施行するのにはどのようにして施行して、関係者はどのように手続をしなければならんかということを指示するのが省令だと僕は理解するのだ。だからそういうことが、どのような言葉で表現すれば一番明瞭になるかということは研究を要するでしようが、その点であいまいな点が残らないように省令の中で表現、指示されることを希望しておきます。
#45
○委員長(木下辰雄君) それでは第十六條、第十七條、第十八條、第十九條について御質問があつたらお願いします。……御質問がありませんければ第二十條に移ります。
#46
○松浦清一君 抑留ということの定義なんですが、どういうことを指して抑留と、この保險においては認定するという解釈であるか。それから「国際法規、法令又は法令に基く命令に違反して航行し」と、こうあるのですが、その「国際法規、法令又は法令に基く命令」、こういうことを具体的にどのように解釈をなさるのか、御説明を承わつておきたいと思います。
#47
○衆議院法制局参事(伊達博君) 最初に抑留の定義に関連してでございますけれども、第三條の四項に揚げてあります通り、先ず「抑留とは、乗組員が自己の意思に反して日本国の領土外に連行留置される」、従つて共産党員が乗組員の中に潜り込み、そうしてつかまえられて中共に行く一つの手段に利用するというような場合は、勿論「抑留」の中には入らないということになつております。それから「日本国の領土外」、この場合の領土は、結局乗組員が領土から隔離されるというような意味です。それから二十條の国際法規でありますけれども、国際法規に違反して航行し又は操業したために抑留が生じたときと申しますのは、ここで多くの場合に起るであろうと予想されることは、領海侵犯の問題でございますが、元来領海と申しますものは各国によつていろいろ主義が異なつておりまして、それぞれの国で或いは三海里とか六海里とかいう主義をとつているわけでございますが、一応これが国際慣例として多くの国がそれを承知しているというような場合には、やはり国際法規を侵犯した際に抑留されたということは、国際法規に違反して航行し又は操業したために抑留が生じたというふうな解釈になると思います。
 それから法令又は法令に基く命令に違反して航行し又は操業したために抑留が生じた場合、これは日本国の法令又は法令に基く所管大臣の命令等に違反して航行したために抑留が起つた、つまり違反と抑留との間に原因結果の関係があるという場合でありまして、例えば或る法律において漁船はこういう機具を備えなければならない、或いは衛生施設をこういうふうにしなければならないという、さまざまそういうことに違反して航行しておつて抑留されたというような場合には免責の事由にならない、直接の原因結果に立つていなければならないというふうに解釈しております。例えば操業区域の制限に関する法律或いは命令があつて、それに基いて操業区域を一応指定したという場合に、その区域外に出漁したために抑留されたというような場合は当然この免責の事由になる、そういうふうに解釈しております。
#48
○松浦清一君 ソ連、中共、台湾、韓国の国際法上容認されておる領海とはそれぞれ何マイルということになつておりますか。
#49
○説明員(家治清一君) その点は国際法上きまつた海里数というのは、実はそれぞれ個別的に乃至は共通的に確定的なものとしてはないそうでございます。一般に今までいわれておりますのは、三海里説でございます。日本は大体それを主張しておる。ところがソ連では十二海里説を主張しておる。中共或いは韓国、台湾等、実は私その主張している海里数は存じないのでございますが、ここでの観念で申上げますと、いわゆる領海侵犯というのは、それぞれの相手国の言う通りをそのままとつてそれを以て領海侵犯とするというような運営は実はしたくないので、日本の立場とからみ合せまして、それから私共見てもどうしても明らかにそこにつかまるのは当然であるというような場合については、国際法に違反というようなことで責を免れるということもある、こういう考え方でございます。
#50
○松浦清一君 これは理窟を言うわけじやないが非常にあいまいで、ソ連はおつしやる通り十二マイル説をとつておる。国際法の上のソ連の領海は十二マイルということを認めておるわけではない。日本のこの保險の立場から考える国際法規できあられている領海というのは十二マイルを容認しているのですか。
 それからもう一つ関連して、中共は、曾つてのマツカーサー・ラインは蒋政権の時代に勝手にきめたやつで、今の中共政権としてはこれを認めないのだ、東支那海全体はおれのほうの領海なんだ、どこで見付かろうとつかまえて行くんだ、こういうことを公言しておる。これは本委員会において抑留船員が帰還した際に参考人として召喚して公述を求めたときに、そう公述しておるから、はつきり向うが言つておるものと了解しておるということ。
 それから韓国の李承晩ライン、これは日本は容認をしないと言い切つて、向うは李承晩ラインをまだ突張つておる。その辺の線をどのように解釈しておるかということをはつきりと明確にしておきたいと思う。
#51
○衆議院法制局参事(伊達博君) そういう区域に立入ることが国際法規に違反するかどうかという問題に関連して、国際慣行上何海里までを一応領海として認識するかということをはつきり確定するという問題は、まあ実は非常にむずかしい問題だと思われるわけでありまして、実はこの條文につきまして法制技術上表現の仕方が非常にむずかしかつたわけであります。或いは国際法規に違反してというような表現の下に括孤しまして領海侵犯を含むという言葉を入れるかというような議論が、法制審議の経過においてもあつたわけでありますが、その場合に又問題になりますのは、領海侵犯といつた場合に領海とは何ぞやというようなことで的確にこれを言い表わすということは非常に困難なわけなんでございまして、明らかに抑留しました相手国の領海、仮に日本が三海里説をとつておる場合に、台湾の三海里以内の沖合で抑留された場合、或いは中共の三海里以内の沖合で抑留されたというようなことがはつきりしております場合には、一応これは領海侵犯だつたということの認定が証拠立てられた場合ははつきりすると思いますけれども、実際は認定に当つてもなかなか困難な問題だと思いますし、それから観念的に領域といつて範囲をきめることも非常に困難だと思います。
#52
○松浦清一君 甚だ不明確な解釈で困るのですが、結局どうなんでしようか。具体的にいつて、ソ連関係は、国際法上十二マイルという領海を容認していないにかかわらず十二マイルくらいを大体限界点とする、それから中共は三マイルまでは領海侵犯でない、韓国は李承晩ラインというものを向うが勝手に宣言しておるけれどもやはり三海里以外は公海である、台湾も三海里以内は公海である、そういう解釈でこの法律は適用するのだ、これくらいははつきりできませんか。
#53
○説明員(家治清一君) 実はその点をはつきり解釈することは今のところではむずかしいのでございます。ただこれは免責事由でこういう場合においては免れることができるということになつておりますので、保險組合が問題としてもつて来ました場合、或いは中央において保險審査会等もございますので、気持といたしましては結局日本の国の考え方というものを中心にいたしまして免責事由を徒らに拡げるということはしたくない。十二海里ということを認めるということも、勿論今日本としては認めるとは言つておりませんから、十二海里以内に入つたら違反だという確定もしたくないのでございます。(笑声)
#54
○松浦清一君 そんなあいまいなことないですよ。一体中央に保險審査会が、あるといつてこの保險をどこの中央審査会へ持つて行くんですか。
#55
○委員長(木下辰雄君) ちよつと速記をとめで下さい。
   〔速記中止〕
#56
○委員長(木下辰雄君) 速記をつけて下さい。
#57
○衆議院議員(田口長治郎君) 只今第二十條の国際法規に関連いたしまして、公海とはどこか、領海とは距岸何マイルか、こういう御質問のようでございますが、我が国といたしましては、世界の領海観念、日本人の国民感情、つそういう点から申しまして、飽くまでも三海里説を持つておる次第でございます。第二十條の適用も勿論この領海は三海里、こういう解釈で三海里以内に若し漁船が入つた場合におきましてこれは国際法規の違反、こういうふうに解釈しておる次第であります。
#58
○委員長(木下辰雄君) 水産庁も異議ありませんか。
#59
○説明員(家治清一君) 異議ございません。
#60
○松浦清一君 その点はよくわかりましたが、こういう疑点が一つありますので解明しておきたいと思いますが、漁船が行方不明になつて消息を断つた、その消息を断つた瞬間においては拿捕されたものであるか遭難したものであるかということが明瞭でない、何日か経つた後にそのときに拿捕されたものだと解釈をして、その保險の保險事故の対象になると考えた、ところが一カ月後に拿捕ではなくてこれは遭難沈沒でありつた、こういうことがわかつて来たときにはどうなるか、どこかの條文に明瞭になつておりますか。
#61
○委員長(木下辰雄君) 速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#62
○委員長(木下辰雄君) 速記を始めて下さい。
#63
○秋山俊一郎君 この拿捕抑留という言葉がさつき定義づけられましたが、めつたにないようでありますけれども、操業中に脂の事故によつて遭難によつて海中に漂うておつたと、そういつた場合に救助をされて日本国外に連れて行かれて、暫くそこに停滞しておつたというような場合は、これは抑留とはみなさないのでありますか。どういうふうになりましようか。直ぐに帰してくれればいいがなかなか帰えさないでそこに置かれた……。
#64
○衆議院法制局参事(伊達博君) これは三條の四項の抑留の定義に当てはまらないと思いますが、意思に反して救助されていると思いますが、抑留でなければ保險事項とは申せませんから保險金は支拂えません。
#65
○秋山俊一郎君 この連れて行かれたときは、救助のようであるけれども、連れて行つたところがなかなか帰してくれない、一カ月も二カ月も、何とかかんとか言つて帰してくれないというような場合は、それはどう解釈するのですか。自分は帰りたくても帰してくれない、意思に反して……。
#66
○衆議院法制局参事(伊達博君) その場合は抑留じやないかと思います。
#67
○秋山俊一郎君 どうも三百代言的な屍理窟のようになりますが、この「法令又は法令に基く命令に違反して航行し又は操業」とこうあります。これは勿論領海の中に入ることも場合によつてはあるが、場合によつては最近この日本政府が操業区域を制限して、これからこの区域は大臣の許可を受けなければ操業してはいけないというような法規も出ているのです。これらも法令の問題だと思いますが、そこに故意に行つたものでなくして、その附近から船舶機関等の故障によつて漂流をいたして止むを得ずそういう区域に入つて行つたという者が抑留されたというような場合は、この免責の事由にはならないと思いますが。
#68
○衆議院法制局参事(伊達博君) 免責の事由にならないと思います。その場合には命令に違反してということにならないと思います。故意又は重大な過失なくして單に違反したような結果になつたと、違反することについて故意の過失がないということで、免責の事由にならないと思います。
#69
○委員長(木下辰雄君) ほかに御質問ございませんか。
 それでは二十一條以降について何か御質問がありましたらお願いいたします。
#70
○松浦清一君 付則第一項の「公布の日から起算して六カ月をこえない期間内」にと、こうあるのですが折角この法律ができ上りますと速かに実施されることを希望するわけなんですが、六カ月の期間があるといつてそのおしまい頃まで引張られちや困るのですが、最大速度を以て施行の日を定めるのにはどのくらいかかりますか。予定を一つ伺つておきたい。
#71
○説明員(家治清一君) これはこの法律の施行のために、実は政府の再保險の特別会計の予算の補正が必要でございます。従いまして、この国会では恐らく補正予算を組まれないと思いますが、次の最も早い機会に補正予算の措置を取りましてその成立しましたときに施行できるように考えます。
#72
○松浦清一君 次の国会が開かれたへき頭にこの補正予算を出してもらうという準備はできますか。これはできんと言つてもそうしてもらわなければならんということなんですが。
#73
○説明員(家治清一君) 農林省として大蔵省に要求する資料は今大体でき上つております。これからと申しますか、大蔵省がそういつた受入態勢ができましたときには、もう直ぐ折衝に入れる段階でございます。
#74
○松浦清一君 その大蔵省の受入態勢ができる、できんと言つて向うの御気嫌ばかり取る必要がないのですから、やはり法律ができればその施行を速かにするということは所管庁としては最も大事なことなんですから、全然向うの立場を理解しないという一方的な共産党みたいなわけには行かんでしようけれども、こちらの態度を早くきめられて今からでも折衝を始められるようにしてもらいたい。
 それから補正予算ができるまでの間、大した金額には上らんと思いますので、予備費の中から賄いをして行くと、こういうような方法が講じられてもいいと思いますが、その点は不可能ですか。
#75
○説明員(家治清一君) 実は特別会計の関係では、特別会計自身の予算として歳入歳出予算をどうしても組まなければならないのでございます。一般会計からの受入を期待する額は実は大きな額ではございませんので、仰せのように予備費でやれないことはないはずでございますが、実は予備費を受入れましても、それに対して歳入歳出の何を作るということは、どうしても手続上補正の措置が要るのでございます。
#76
○松浦清一君 できるだけいろいろと御多忙でしようが努力を拂われて、積極的に行動をして頂くように希望しておきます。
 それから條文の中にない一般的な問題としてですが、現在抑留されている者はまだ雇いどめをしていない、雇いどめをしていないと拿捕されている何丸に乗組中であるという状態に置かれている。ですから拿捕されている何丸に抑留されている某が乗つている、雇いで公認されているという状態で保險に加入することはできますね。
#77
○衆議院法制局参事(伊達博君) 只今の御質問のこの法律施行前にすでに抑留されているという者については、何ら保險が成り立たないんじやないかと、保險事故というものは必ず将来において起るか、起らんかということが不確定でなければいかんということになるかと思います。そういう場合を救済するために、何らか別途の措置によりらなければならないと思います。
#78
○松浦清一君 そうじやないのですよ。現在ですね、船は拿捕されている、船員は抑留されているという状態にあるけれども、法律上に、拿捕されている何丸に某が乗船中であるという法律に基く雇入れの公認を受けたそのままの状態ですよ。法律上の雇いどめをしないのです。法律上の雇入れ契約というものを役所が公認しているのです。そのままの状態に置かれている船があるのです。それならばそのままの状態で保險に加入する、遡及してというわけに行かんけれども、保險に加入の手続を取つた日から保險金を支拂うことができるであろうということです。それに今明確に御答弁できなければよく御研究されて月曜日のときに御答弁なすつて結構です。私はそういう解釈をしておるのです。だからそれはなかなかむずかしい問題だから、今日御答弁なさらなくても結構です。この次でよろしいのです。
#79
○委員長(木下辰雄君) それからお尋ねいたしますが、月曜の日にはこの法案に対して御質問がありますなら、どういう人に御質問があるかということを、あらかじめわかりましたらその関係官を呼びますから。水産長官でよろしうございますか。
#80
○松浦清一君 第十三回国会が始まつて以来、私の記憶に間違いなければ、農林大臣がこの委員会に御出席したというのは一回だつたと思います。国の法律を作るのに所管大臣がその委員会に顔を出さないということは甚だどうも遺憾である。これからは農林大臣勉強してやはり法律を調べるときには委員会に御出席をするように催促を願いたい。特にこの次の委員会にはその他の問題についても私は質問申上げたいと思いますので是非御出席願うように話してもらいたい。
#81
○委員長(木下辰雄君) ほかに。
#82
○説明員(家治清一君) なお研究した上でも御答弁いたしますが、今わかつておりまする分を申上げますと、実はこの法律の三十一條で商法の規定の六百四十二條が準用になつております。これでは「保險契約ノ当時当事者ノ一方又ハ被保險者カ事故ノ生セサルヘキコト又ハ既ニ生シタルコトヲ知レルトキハ其契約ハ無効トス」とこうなつておりますので、この法律の建前からは挙げられましたような例では、仮に雇用契約は解除になつておりませんでもすでに抑留されたという事実がどちらかが確認しておりますれば、これは支拂うことはできないということになると思います。
#83
○松浦清一君 いやその雇用契約というのは事業主対船員の立場だけで雇入れ契約が存続しておるということではないのですよ。船員法上認められた雇入れの後任というものを法律に基いてやつておるままなんですよ。そのままなんですよ。、だから法律上は船は拿捕され船員は抑留されておつても、依然として何丸の乗組員であるという状態にあるわけなんです。だから私はこれは断定はしませんが、そういう解釈で経過規定として今まで抑留されておる者に対してはその加入が認められるとか、認められんということが明瞭になることが好ましいと、こういう希望的な意見を附してのお尋ねでありますから、よく一つ御研究を願いたいとこう思うわけでございます。
#84
○委員長(木下辰雄君) ほかに御質問ありませんか。
 それでは本日の委員会はこれを以て散会いたします。次回は月曜の午後一時からやります。
   午後四時十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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