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1951/07/25 第13回国会 参議院 参議院会議録情報 第013回国会 厚生委員会 第33号
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1951/07/25 第13回国会 参議院

参議院会議録情報 第013回国会 厚生委員会 第33号

#1
第013回国会 厚生委員会 第33号
昭和二十七年七月二十五日(金曜日)
   午前十時四十一分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     梅津 錦一君
   理事
           長島 銀藏君
           井上なつゑ君
           深川タマヱ君
   委員
           大谷 瑩潤君
           小杉 繁安君
           中山 壽彦君
           常岡 一郎君
           藤森 眞治君
           河崎 ナツ君
           赤松 常子君
           山下 義信君
           谷口弥三郎君
  衆議院議員
           青柳 一郎君
  国務大臣
   国 務 大 臣 大橋 武夫君
  政府委員
   警察予備隊本部
   次長      江口見登留君
   厚生省社会局長 安田  巖君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       草間 弘司君
   常任委員会専門
   員       多田 仁己君
  衆議院法制局側
   参     事
   (第二部長)  鮫島 眞男君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○日本赤十字社法案(衆議院提出)
○小委員長の報告
  ―――――――――――――
#2
○理事(深川タマヱ君) 只今より厚生委員会を開会いたします。
 日本赤十字社法案を議題にいたします。質疑を願います。
#3
○河崎ナツ君 日本赤十字社法案の重要な部門といたしましての実践部隊とでも言いましようか、救護員のことにつきまして、少し聞かして頂きたいと思うのであります。救護員のことにつきましては、昨日その取扱、その人たちの執務に対しましての種々の取扱につきましては一応済みましたのでございますが、救護員の義務の方面につきましてもう少しはつきり聞かして頂きたいと思うのでございます。と申しますのは、この救護員の大多数は看護婦さんでございまして、その看護婦さんたちの今日この法案に対しまして不安の声が大分ございますので、伺いまして、皆に安心をさせてやりたいと思う次第でございます。
 先ず第一に救護員の養成でございますが、今日は前と違いまして、本格的な看護婦の養成所が各所にございますが、こちらの救護員とじての使命を果し得る看護婦は日赤の看護婦の養成で救護員となさるということにお考えになるのでございましようか。若しもそうであるといたしますならば、日赤が戰前、戰時中、戰後の看護婦の養成の、本格的な養成の御報告がございますが、こういう報告の状態でこれから後足りるのでございましようか。それとも又そういうことにつきまして新たなる御計画をお持ちでござうましようか、それを先ず伺わして頂きたいと思います。
#4
○衆議院議員(青柳一郎君) 救護員の養成でございますが、只今のところ看護婦の養成につきましては、日本赤十字社が現在経営しておりまする赤十字女子専門学校、並びに三十三カ所の高等看護学院を擴張いたしましたり、又新らしく設置いたしてその養成の擴大に努めることとなると思います。なお赤十字社の事業に働いてもらうということに相成ります看護婦さんは、ひとり赤十字社において養成せられた者だけでは足らない場合もございまするので、その他の看護婦さんにお願いする場合もあり得るのでございます。
#5
○河崎ナツ君 もう一つ伺わして頂きます。その養成せられました看護婦さんの非常の場合におきましての、その非常時参加いたしますところの……、それに協力することに努めなければならないという、まあいわぱ協力義務という言葉は使つておりませんが、協力するように努めなければならないというような形になつておりますが、それに協力する程度がどの辺でございましようか。これだけでははつきりいたしませんのですが、それを一つ聞かして頂きまして、看護婦の態度をきめさせなければならんのではないかと思います。
#6
○衆議院議員(青柳一郎君) 御指摘の点は、第二十九條の第三項の規定に関するものでございます。只今御指摘のように、「努めなければならない。」と規定いたしまして、一応公法上の義務を課したものと解釈されるのでありますが、その義務を履行しなかつた場合において何らの罰則が設けられていない等のことから、飽くまでも召集に応ずることを強制する意味ではございません。併しながら本人がその召集に応じなかつたという理由だけで、直ちに救護員の職を解いだり、その他の処分をなすことは考えられないのでございます。
#7
○河崎ナツ君 重ねて伺いたいのでございますが、応じないといたしますと、併し応じないからといつて別に罰はないけれども、その応じない條件と言いましようか、正当のまあ理由がなく、そういうことをその人が課せられて応じない場合もありますわね。又実際本人が弱いとか、家庭の事情がどうとかいう條件もございますが、そういうことにつきましては、多少お考えのところがあるのでございましようか。その辺も伺わして頂きたいと思います。
#8
○衆議院議員(青柳一郎君) 初めに養成いたします際に、特に赤十字社の行う救護業務に深い理解を持つておる者について養成を行います。深い理解を持つておる者でござ」まするから、普通の場合には召集に応じてくれると思うのでございます。ただ併しながら、御家庭の事情なり、或いは体の事情なりで召集に応じないこともよく了解できますので、そういう際には個々の場合につきまして、日赤のほうと話合いをするということに相成ろうかと思います。
#9
○河崎ナツ君 もう一つ伺いたいと思いますが、その応じなければならないと、非常に形の強いあれでございますが、仮に応じなければならないというような責任というわけでもございませんけれども、前にはそれにそういう義務として十五年を課されておつたと思うのでございますが、このところにはそういうことが書いてございませんが、そういうことにつきましては、日赤といたしまして応じなければならない、そのまあ義務ではないけれども、そういうような多少責務といいますか、というようなことを考えさせるときに、年限なんかにつきましてのお考えは多少あるのでございまうようか。伺わして頂きます。
#10
○衆議院議員(青柳一郎君) 只今の御質問の応じなければならない期間はどの程度であるかということにつきましては、従前日赤におきまして、その看護婦さんの義務年限を十二年としておつたようであります。今後は大体これを七年程度にするという考えと聞いております。
#11
○河崎ナツ君 もう一つ伺わせて頂きます。昨日この救護員のかたの待遇のことにつきまして触れて聞いたのでありますが、救護員の養成のところで、この3といたしまして、殊に義務ではありませんけれども、応じなければならないと、そういうふうに要請しておると思う。だから殆んど応じるようになるでしようけれども、まあそこで養成せられた看護婦さんは応じなければならないというような、まあ一つ枠がはめられておるかのごとくになりますが、その看護婦さんの養成は日赤でありませんほかの看護婦の養成所、今日はこの卒業学校の程度におきましても、それから又修業年限におきましても、且つ日赤のほうにおきましてはいろいろの特典を養成者に與えております。経済的に特典を與えておりますが、日赤に限らずそういうところでも特典を與えて、今日看護婦を養成いたしておりますから、その間にそう違いがないのです、心構えといたしまして、日赤といたしましても、この多少応じなければならない義務を果し得るように養成なさつて行こうとなさると思うのでありますが、看護婦さんといたしましては、今日は昔日の日赤にあつたよりももつとああいう態度においでより看護婦さんの実力におきましても、養成の結果に現われるものはもつと普遍化しておると思いますが、そういう救護員の養成の場合、それを殊に協力せしめる場合……、他のそういうほうからもここで日赤で養成した義務、そういう義務に協力せしめるという多少の義務に枠をつけるよりも、広くほかにも志望者がございましようから、そういう志望者というものを中心にして、或いは平常から、咄嗟の場合に志望者を募るわけに参りませんが、そういう意味から進んでそういうことを果そうとする人を登録して置いて、そうしてそういう人たちの希望を叶えて行くというような方向に、こういうふうな強力な責務を與えて行くという広いそういうふうなところに枠を蹟げて行くというお考え、そういうお考えでしようか。一応それも伺つておきたいと思います。
   〔理事深川タマヱ君退席、委員長着席〕
#12
○衆議院議員(青柳一郎君) 先ほどの御質問の中に日本赤十字社で養成した看護婦さんだけでは足りないのではなかろうか、もつと他の看護婦さんの協力を求める必要がありはしないかという御意見も含まれての御質問がございましたのでございますが、それに関連いたしまして日赤において養成せられたのではない、看護婦さんの協力を求めるに際しまして、その日赤で養成せられたにあらざる看護婦さんの協力を得るためにそういう看護婦さんと話合いをいたしまして、その志望者につきまして前から少くとも協力を得られるような資料を整える必要があろうと存じます。それにつきましては、日赤におきましてもそういう看護婦さんにつきまして登録するということを考えております。
#13
○河崎ナツ君 私の言葉が足りなかつたと存じますが、日赤の看護婦では足らないから他の人からもそういうふうな志望者を募つてはどうか、これは先ほどそういうふうな空気がちよつとほかのところからお話がございましたのですが、そこで述べたのでありまして、それだからそうせよというのではなくて、私はあれからヒントを得て考えて日赤の看護婦さんにだけという、こういうふうな協力をしなければならんという責務で縛るということにつきましては、これは私少し……、昔も師範学校というものがあつて、そこで養成せられた教員は何カ年間、初めは随分長かつたのでありますが、そういう義務という形を以て縛られるといつたようなこともあつたと思いますが、あれはその中の何年は是非指定地に奉職しなければならんという姿があつたのですが、ところがもはや今日ではそういうふうな命を帶びておりませんのです。ここでも今そういうふうな協力しなければならんというようなことをわざわざこの法に書いて非常に強く出さなければならんというところに又使命の一つの重要な点もありますけれども、今日の情勢から考えまして、ごごでそういうふうな形に出すというよりも、こういう人に対しては、各又他において養成せられて十分な技術も持つておるかたがありますから、広くそういう希望者を登録して、その登録した人たちで以て果せるというようなやり方をお考えになるというお考えはないかというわけでありまして、今のあなたのおつしやいました協力しなければならんという、この日赤の看護婦さんだけでは足りんから、他のほうからという意味では私の考えはなかつたのでございまして、そこでもう一つお考えを頂きたいと思うのでありますが……。
#14
○衆議院議員(青柳一郎君) 只今思い速いをいたしまして失礼いたしました。結局御質問の要旨は、日赤で養成せられておる看護婦さんに対して公法上の義務を課しておる点につきましての御疑問かと思いますが、さように解釈してよろしうございますか。
#15
○河崎ナツ君 まあそれでお話を進めて下さい。
#16
○衆議院議員(青柳一郎君) その点につきましては、日赤で養成いたしました看護婦さんは、日赤の経費の負担におきまして養成され、又更に日本赤十字社の精神をよく行い、日本赤十字社の行う救護業務につきまして理解を持つておる人でありますので、そういうかたがたを中心として看護婦さんの陣容を整えなければ相成りません。そういう意味からいたしまして日赤で養成せられた看護婦さんにつきましては特別な公法上の義務を課する必要があろうかと存ずるが故に、かかる規定に相成つておるのでございます。
#17
○山下義信君 今日は提案者に対しまして、この法案の中に規定されてあります国の補助と憲法の関係について御所見を明確にしておきたいと存ずるのであります。それで本法の第三十九條におきまして、助成の一條が設けられてありまして日赤に対しましては普通の條件より以上に有利な條件で貸付をし、その他国有財産の譲渡に関しても特典が與えられてあるようになつておるのであります。この御趣旨といたしますところと、憲法の第八十九條との関係につきまして伺いたいと思うのであります。……委員長今大橋国務相が見えたようでありますから、如何ですか、極く簡単なんですが、大橋国務相への質疑をこの際いたしましてそうして提案者に今の質疑をいたしたいと思いますがよろしうございますか。
#18
○委員長(梅津錦一君) よろしうございます。
#19
○山下義信君 それでは大橋国務相に伺いたいのであります。実は今回日本赤十字社法を制定いたしまして、同社の本格的な活動を期待するということに相成りましたのであります。その日本赤十字社の今後なさんとする事業に対しましては、国が大いに監督をいたしまして、又国といたしましても日赤に大いに活動させるべき適当なる仕事につきましては、国がこれらに委託をする。従つて補助金等も流す。只今その問題を礎案者と質疑をいたしかけたのでありますが、このように法律がなつておる。極めて結構でありまして、私は今後日赤が本然の姿に立返つて一朝非常有事の場合には日赤の特別の立場を以ちまして、人類愛の活動がなされることを非常に期待して本法案の成立を急いでおるわけでありますが、つきましては、最近警察予備隊のほうで婦人部隊の募集のことが新聞に載つておるわけであります。どういう内容でありますかはこれを審らかにいたさないのでありますが、極めて簡略な新聞報道記事によりますと、看護婦部隊というようなものができて、恰も進駐軍が持つておりますようなのと同様の御構想ではないかと考えるのでありますが、これは單に警察予備隊の隊員の何かそういう衛生業務に従事するばかりでありますのかどうか。先づ第一番に看護婦を募集いたしまして警察予備隊にその婦人看護婦隊といいますか、そういうものを設置なさろうとする大体の御構想を承わりたい、これが第一点であります。
 それで第二点は、先ほど江口次長に私は資料を渡しておきましたが、日本赤十字社法が成立をいたし、業務が軌道に乗つて来、国が大いに協力して来るということになりますと、いろいろ日赤でも計画するだろうと思うのでありますが、その構想の一端としては、非常災害時におきましては相当大規模な救護態勢というものを考えて行かなければならない、この非常有事の際というのは即ち天変地異というような災害でありまするけれども、ただ単なる天変地異の災害だけでなくいたしまして、如何なる非常時態に際しましても赤十字社としての立場からの活動というものも考えられて行かなければならないというような、計画構想の一端もあるやに我々資料として承知いたしておるのであります。そういう赤十字社が非常な大規模な非常救護態勢を準備するということになりますと、警察予備隊が国内の治安に対しまして特別の任務を持つておりまするその職責上から、国民のいろいろな障害、何と言いますか、そういうことに対しまするかかる計画は私は非常に有益な計画である、従つて警察予備隊におきましても、どういう大事態が、そういう隊員のただ衛生救護といつたようなことだけでなくして、危難を被つた国民、或いは一朝有事の場合に非常な広範囲に而も多数の者が損害を被るといつた場合において、救護態勢ということも又大なる治安の対策の一環でありまするから、政府におきましては、殊に治安当面の責任者におきましては、かかる計画に対しましては何と申しますか、非常なお考え、御連絡を願わなけれなばならんように考えるのであります。そういう場合における警察予備隊としてのお考えはどうであろうか、何らかのお考えをお持ちになつておられますかどうかということが第二点であります。
 以上大橋國務相から御所見を承わりたいと思います。
#20
○国務大臣(大橋武夫君) 警察予備隊におきましても、衛生の問題が極めて重大な問題がございまするし、殊に出動いたしまする際等におきましては、いろいろな面においてこの方面のお世話になることは多いと予想せられるわけでございます。従いまして警察予備隊自体といたしましても、衛生施設の強化蹟充ということは創立以来極力努力をいたしておるところなのでございます。而してこれが編成といたしましては、先ず通常予想されまする警察予備隊の必要機関としては、原則的に警察予備隊はみずから施設を備え、それによつて処置をいたして参るという建前となつておるのございます。これがために現在の警察予備隊の編成といたしましては、十一万の定員でございまするが、この十一万の編成を北海道に一方面隊、又そのほかの全国の区域をも含めまして全国に四管区隊、こういうことにいたしまして、これを現在総隊総監部が統轄をいたすことに相成つておるのであります。従いまして、先ず警察予備隊の地方的の単位といたしましては、管区隊というものが考えられるわけでございます。この管区隊は約一万五千を以て一管区隊を編成いたすことに相成つておりますこの「万五千の管区隊の中には三つの普通科連隊と一つの特科連隊があるわけでございまして、又一つの衛生大隊を持つことに相成つておるのでございます。このうち各普通科連隊には衛生中隊が一中隊ずつ属せしめられておりまして、これは百七十六名の定員から成つておるわけでございます。而して特科連隊においては衛生隊が一隊属せしめられておりますが、これは六十八名の定員を持つことにいたしております。衛生大隊といたしましては、一管区隊に一大隊が配属せられておるのでございますが、これは衛生大隊本部六十三名、救急中隊七十名、治療中隊百八名、合計二百四十一名の定員を持つことにいたしております。このほかに各管区隊には施設大隊、即ち主として技術的な使命を持つておりまする施設大隊がございまするが、この施設大隊には二十四名からなる衛生隊を属せしめるということにいたしておるわけでございます。これが各管区隊に附属いたしておりまする衛生部隊でございますが、このほか総隊全体の統轄をいたしておりまする総隊総監部の直結の部隊といたしまして、即ち各管区隊に属せしめられておりません中央直轄の独立部隊といたしまして、次のような部隊があるわけでございます。第一は基地病院、これは固定五百床を将来施設いたしたい予定でおりまするが、この定員は六百六十四名でございます。救急病院四百床、先ほど申上げました基地病院は二部隊を予定いたしております。合計六百六十四名でございます。救急病院はつまり応急的手当をいたします。救急病院は四百床でありまするが、これは四つの部隊より成りまして定員八百八十四名、それから後送病院四百床、これは三つの部隊からなりまして八百八十二名、独立後送中隊一中隊百六十名、独立救急車六中隊四百六十タンク、衛生補給中隊、衛生関係の補給を使命といたす中隊でありますが、一中隊でありまして二百五十八名、移動外科病院二部隊二百十四名、衛生検査隊一隊五十二名、歯科医療班三班六名、食糧検査班八班四十名、診療隊八班百三十六名、移動歯科補綴班二班十四名、中央歯科投工隊一隊二十八名、X光線班八班二十四名、予防衛生中隊一班六十六名、これら独立の部隊の合計は三千七百八十四名、こういうことに相成つておるのでございまするが、まだこの定員は充実いたすに至つておらないのでございます。特に幹部の充実において非常に遅れておりまするから、目下幹部要員の採用ということに全力を盡している次第でございます。と同時にこれらの部隊が固定の資設を必要とするものがございますので、これらの固定設備の建設ということも差迫つた任務に相成つている次第でございます。かように警察予備隊の衛生関係の施設といたしましては、管区隊に属しておりまする部隊と、中央直轄の部隊とから成つているのでございますが、このうちで中央直轄の機関に相成つておりまする基地病院、救急病院、後送病院等の病院におきましては、当然収容者のために、或いは医師の診療を援助いたしまするために看護婦を必要といたすのでございます。この看護婦の定員といたしましては、約三百名予定をいたしているのでありまして、これは現在は制服職員でないところの一般職員といたしまして十名を採用いたしているのでございますが、併し部隊でありまする病院の必要な人員でございまするから、でき得る限り、正規の人員を以て充足することが望ましいと考えられるのでありまして、この正規の人員といたしましては、十一万の定員のうち、約三百名を予定いたしているのでございます。従いまして、八月以降におきまして、制服隊員としての看護婦を採用いたして行こう、こういう計画を立てているわけでございまして、近く看護婦が婦人隊員として所定の制服を着て、制服職員として勤務をいたすことに相成ると思うのでございますが、その使命は専ら病院における看護業務に相伐つでいるのでございます。
 以上が警察予備隊におきまする現本の衛生関係の組織の大要でございまするが、これを運用いたして参りまする上におきましては、赤十字社のこと吏公的な機関の援助を受けなければな二ん点は多々あると存ずるのでございます。現在におきましても、病院は未が建設をせられておりませんので、国十病院その他一般の病院に患者の診療を委託いたしているのでございますが、所在の地方におきましては赤十字病鷹に診療を委託するということもあり穫るわけでございます。又赤十字病院の看護婦等の援助をお願いするというともあるわけでございます。今後看護婦の養成等について予備隊みずからの機関を持つということは望ましいのでありますが、直ちに実現困難と思われまするので、看護婦養成機関としての赤十字社の御援助をお願いしなけれげならんということもあろうかと思います。殊に警察予備隊の衛生施設というものは、大体、大抵な場合において自分で賄えるという建前を以て組織はいたしてありまするが、併し只今申上げましたるごとく、基地病院或いは後帯病院の設備というものは非常に少ないのでございまするから、従つて非常に多数の患者が出ました場合においては、当然他の一般の病院に御援助を願わなければならない場合が多々あろうと存じます。そういう場合において、赤十字社から御協力を頂くということは極めて望ましいことであると考えておるのでございます。かように赤十掌社に警察予備隊としては衛生の面におきましては、非常にお世話にならなければならない点が多々あると存ずるのでありますが、何分にも現在の段階におきましては、警察予備隊の衛生部隊自体の編成に追われておるような実情でございまして、他との協力につきまして具体的に交渉をいたし、いろいろとお願いを申上げるという段階にまだ至つておらないのでございます。併しこの点は、早晩予備隊といたしまして、一定の方針の下に御協力を頂くようにお願いをいたすべき時期があることと考えておるのでございまして、その際におきましては、赤十字社の伝統ある大きな力に期待するものが私どもとして多大なものがある、かように存じておる次第でございます。甚だ簡単でございまするが、一応御説明を申上げた次第でございます。
#21
○山下義信君 詳細な御説明を承わりまして、承知いたしたのでございますが非常な厖大な衛生部隊をお持ちになる。丁度昔時の軍隊の持つておりました衛生部隊と全く同様なわけでありますが、併し又、赤十字社との関係につきましての御考慮は、御方針、御趣旨を多といたすのでありますが、是非密接な一つ御連絡をおとり願つて、万遺漏ない御研究を願つておきたいと思うのでありますが、この衛生隊の、と申しますか、この独立部隊の任務は主として十一万の隊員の衛生管理にあるようでありますが、一般の何と申しますか、憂慮すべき事態のそういう状況下におきまして、危難を被りましたような一般国民の救護というようなこともこの警察予備隊の衛生特別部隊といいますか、独立部隊は活動いたすのでありましようか、どうでありましようか。その辺の御構想はどういうふうになつておりましようか。承わつておきたいと思います。
#22
○国務大臣(大橋武夫君) 只今申上げました。警察予備隊の衛生施設というものは非常に大きなものでございまして、平常大体において部隊内の患者を収容いたしまして、相当の余力があると存ずるのでございます。もとより病院等の施設は非常に小規模でございまするから、これについては余り裕りができるということはないかと存じますが、併し移動用の診療等の機関は非常に大きなものでございまして、平常はその訓練に当つておるという状態でございます。従いまして、一般災害に際しまして、地方の非常事態、殊に多数の負傷者、病人、こういう事態ができましたような場合に、これを救護のために処理するというような場合には非常に適当な施設であるということが一般的に言い得ると存ずるのでございます。警察予備隊は今回改正案で、本日当院において本会議にかかりまするところの保安庁法におきましては、災害の際に地方機関の要請により救護のために出動するということになつております。これは交通通信の杜絶に対して予備隊の通信機関を利用して急速に通信の回復を図る、或いは隊員の活動によつて交通機能の回復を図る、或いはいろいろ災害地の取片づけその他救護に行くばかりでなく、糧食の運搬とか、或いは負傷者、病人等の輸送、又現地におきまするところの救急診療というようなことをも含みまして、災害出動の態勢を準備いたしておる次第でございます。従いまして、地方の実情上必要があるという場合におきましては、予備隊といたしましてはむしろ予備隊の業務の妨げになるどころか、予備隊といたしまして最も貴重な実地の訓練の機会を與えられるというような、予備隊として感謝すべき機会であるとも考えられますので、でき得る限り地方のお役に立ちまするように出動して救護に御協力をいたすという方針をいたしておるわけでございます。現在までにおきまして、災害のために予備隊が出動した例も数回に亘つておるのでございますが、例えば山口県における水害であるとか、或いは鳥取市における火災でありますとか、或いは北海道における震災でありますとか、こういう際に予備隊が出動をいたして救護に当つた事例はたくさんあるわけでございます。これは勿論必要の場合には中央直轄の部隊が応急的に派遣せられる場合もございますが、今までのところは主として管区に所属いたしておりまする衛生部隊、或いは連隊、大隊に所属いたしております衛生中隊、こういうようなものが出動いたしまして、急速な救護に協力をいたしておるという実情でございます。
#23
○山下義信君 大橋国務相の御答弁によりまして、大体了承いたしたのでありますが、なお私の承わらんとしておりました点が若干残つておるように思われるのでありますが、多くは申上げませんで、むしろ私は希望いたしておくほうがいいと思います。当面の国務相並びに幸いに江口次長も見えている、この衛生部隊の活動の御構想は大体了承した。局部的にいわゆる天変地異の災害等において予備隊の力をからざるを得ない、例えば山口県下の先般の例のごとく非常に地方住民が感謝いたすような御活動も願つた、或いは又その他の場合もあり、今後もあるでしよう。私の希望いたさんとする点は、非常に広汎な而も好ましからざる、好ましからずといえどもこれは何と申しますか、憂慮せざるを得ないこの非常な事態に際会をいたしましては、申上げるまでもない警察予備隊が備えておるものを以ても、そういう非常な広範囲に亘つて、この種々なる恐るべき武器によつて多数の国民が殺織せられ、非常な害を蒙むるものが多数発生いたしたという場合には、この警察予備隊の衛生部隊は負傷した隊員の收容手当になお手が足りないというような状態、若し数万の国民がいろいろな傷害を蒙つたような事態が発生したときは誰がそれを救護するか。そのまま捨て置いて果して治安が保てるかどうか。阿鼻叫喚の声がすさまじくなつて来るという事態には誰がそれをせられるかということになると、そごまでは警察予備隊の独立部隊、これは大規模な編成で、なかなか四千近い衛生部隊は尨大な部隊であるけれども、これは足りない。日本赤十字社がこの際敵味方の差のない中立性を持つているこの赤十字社の救護活動に持たざる得ないということがまあ多く考えられる。そういうことに関しまして、将来警察予備隊は国の治安の確保の上におきまして、日本赤十字社が終戦後空白な状態にありました状態から本然の赤十字社業務に立返るということにつきまして、強力なる御協力を願わなければならない。政府としてもお考え願わなければなりませんが、十分一つ緊密なる御連絡を願わなければ、二重三重になりまして、例えば看護婦の取り合いをするとか何とかがあつてはならん。又いろいろな混乱を生じてもならんのでありまして、先ほどからの国務相のお話でその辺の御配慮があるように了承いたしたのでありますが、なお本案の審議の本日の過程におきまして十分その辺の御考慮が願わしい。且つ又予備隊としてのみならず、国務相は政府の閣僚の一人といたしまして、赤十字社業務の強力なる御援助について御努力下さる御意思がありますかどうかという点も承わつておきたいと思います。
#24
○国務大臣(大橋武夫君) 御趣旨は十分に了承いたしまして、私ども警察予備隊の立場といたしましても誠に心から賛同をいたしておる次第でございます。将来警察予備隊の衛生機関の運営に当りまして、十分赤十字社との連絡協調を保らまして、相寄り相助けて非常の場合における救護という業務の万全を期するようにいたしたい。かように存ずることを申上げてお答えといたします。
#25
○山下義信君 私の質疑は終了いたしました。
#26
○委員長(梅津錦一君) ほかに御質疑ございませんか。
#27
○山下義信君 では、最前提案者に伺つておりました憲法第八十九條との関係につきまして御答弁を得たいと思うのであります。それで極く簡略にいたしますから、適当に御答弁願いたいのでありますが、憲法の規定の公の支配に属しなければこれこれしてはならん、こういうことに対しまして、本法は如何なる御用意がなされてあるかという点を御指摘置きを願いたいと思つております。
#28
○衆議院議員(青柳一郎君) この法案の第三十九條と憲法の第八十九條の関係につきましての御質問でございました。憲法の八十九條は、公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、助成することを禁止しておるのでありますが、本法案の制定の趣旨と法案の内容から考えまして、役員については解任勧告の規定を設けまして、又会計及び業務につきましてはその報告及び検査につきましてこれを規定いたしましたほか、監督処分や定款変更の認可についても規定すること等、日本赤十字社の人事、会計業務等につきまして厳重な監督がなされますることから、公の支配に属するものであると言い得るのであると存じております。すでに私立学校法、生活保護法及び社会福祉事業法につきまして、その例を見るほどであります。従いまして、これらの立法例と同様の解釈によりまして、日本赤十字社の施設又は設備に対し、助成をすることができると存ずるのでございます。なお、この点につきましては、衆議院の法制局並びに社会局長より御答弁すべきものかと存じます。
#29
○衆議院法制局参事(鮫島眞男君) 只今の問題につきましては、青柳議員からの御答弁で大体盡きていると思いますが、この憲法の公の支配という観念をどう見るかということにつきましてはまあ非常に憲法の規定自体がその疑問、まあ疑問と言いますか、非常にあいまいな表現をとつておりますので、解釈上もいろいろな説がなされているのでございますが、憲法制定当時の趣旨から申しますと、この当時の私立学校なり或いは社会事業は、認可なり或いは政府の監督を受けるということになつておつたのでございますが、そういう程度の監督ならば、その補助金をやつてもよろしいというような解釈の下に、憲法は制定されたと存じております。当時の政府側の説明によりますと、そういう趣旨でできておると存じております。ただその後司令部あたりの関係で多少その辺の解釈が窮屈になつたこともあつたように思うのでございますが、只今青柳議員の御指摘になりました私立学校法なり、或いは社会福祉事業法の制定のあたりから、又その辺の解釈が多少この憲法制定当時のように解釈がまあ緩和されて行つたように考えられますのでありまして、今回の立案に当りましても、そういうような傾向を参酌いたしまして、只今のような規定を設けまして、憲法との関係の調整を図つたのでございます。
   〔藤森眞治君発言の許可を求む〕
#30
○山下義信君 いや、社会局長から何かあるかと思つて待つていたのですが、発言がありませんから……。
 そういたしますと、提案者の見解では、公の支配に属すべきということは、まあ本法に規定せられてあるような程度の監督で、憲法の公の支配というものの範囲に属するのであると、こういう見解である、こういうことでありますが、そこで私は伺いたいのでありますが、この法務総裁の意見、年次報告といいますか、法務総裁のほうから出ておりまするそれらによりますというと、公の支配とは、厚生、人事業務内容及び財政等について、公の機関から具体的に発言、指導又は干渉がなされることを言うと、こういうふうに、まあ非常に厳格なことを定義し、まあ意見を示しておるようでありますが、従来のそういつたような考え方から見ますると、少し今法制部長の言われたように、緩やかな一つ考え方になると思うのでありますが、これは解釈なり、意見よりましていろいろな緩急があると思いますが、そういう意見に対しましては、只今の法制部長の説明の、本法の規定等から睨み合せまして、その辺の異動と言いますか、見解の点はどう考えられますか、具体的に承わつておきたいと思います。
#31
○衆議院法制局参事(鮫島眞男君) 只今御指摘になりました法務総裁の見解と申しますのは、恐らく昭和二十四年二月十一日附で当時の法務調査意見長官から発せられました回答を指すのであろうと思いますが、この見解によりますと、成るほど今山下委員のおつしやいましたように、まあかなり厳格な解釈をとつておるように存ずるのでございます。ただ先ほども申上げましたように、この憲法の公の支配という解釈は、まあいろいろな人からいろいろな意見がなされているのでございますが、この今の法務調査意見長官の回答がなされました後におきまして、私立学校法それから社会福祉事業法というのが内閣の提出によりまして、そういう法律案が成立したのでございますが、その法務調査意見長官の見解のなされた時期なり、或いは只今申上げました法律の制定されました時期等を考えまして、先ほど申上げましたように、この憲法八十九條の解釈が、憲法制定当時に政府側からなされていた見解の程度にまでに緩和されて来たのであろうというふうに考えられるのでございまして、そこでこの社会福祉事業法なり、私立学校法におきます規定と同じような規定を置きまして、憲法との調和を図り得たと考えるのでございます。
#32
○山下義信君 私も大体は提案者と同意見であります。で、この公の支配の解釈が非常に厳重であつたことと、今日との解釈の変遷は、これは当然この我が国の情勢に即応いたしまして、こうあるべきでありまして私も同様に思うのでありますが、殊にこの日本赤十字社法の中に規定せられてある公の支配に属するという憲法の條章に抵触せざる御注意につきましては、恐らく赤十字社の持つておりまする中立性というものにつきまして、非常に御苦心のあつた点ではないかと思うのであります。私はこの公の支配に属するということが、若し厳格に解釈をせられて、それが政府の干渉のごとき状態となり、従つて日本赤十字社が時の政府に従属する機関のごとき形になることを一面又非常に恐れるのでありまして、この憲法の解釈を厳格にいたさなければならんという主張を私はするのでない。提案者と同様な見解を持つのでありますが、立法のこの際に明確にいたしておかなければならん。今後政府が監督する、その監督の心がまえ、並びに本法を運用いたしまする諸般の政府監督、或いは認可その他のことがいろいろ謳われてある、それの運用の方針というものがこの立法の際に立法者の意思を明確にいたしておかなければならんというので、この質疑を試みておるわけなんです。従いまして、提案者が恐らくは只今のような御見解はもろもろの他の立法の例証もりましようが、特に本法について意を用いられた公の支配の関係の諸規定、政府が如何に監督するかという監督の範疇、その程度等につきましては、赤十字社の中立性というものの確保という上において如何にそれをマッチさせるかということについての御配慮があつたものと思う。その点を提案者から念のために、ここに赤十字社の中立性と政府の監督をいたすべきこの関係との間の提案者の見解を一つ承わつておきたいと思うのであります。
#33
○衆議院議員(青柳一郎君) 山下先生から非常に有益な御質疑を受けまして、私といたしましても非常にその点に苦心いたしたことをここに御披露し得る機会を與えられましたことを感謝いたします。赤十字社についての公の支配を強化する、即ち政府の監督を厳重にするということは、如何にも先生御指摘の通り、赤十字社の中立性を阻害するものでございます。赤十字社は中立性あつて初めて本当の意味の博愛主義に徹し得るものでございます。この点につきまして一例を挙げますならば、例えば社長、副社長の選任につきまして、普通でありますれば、大臣の認可を要するのでございますが、併しながらそこが十分考慮いたすべき点でございまして、遂にこの認可の規定を削除し得まして、若し不都合なことが社長、副社長につきましてございまする場合には、解任を勧告し得るという程度にとどめ得ましたことは、従前からこの法案の成立につきまして非常なる御盡力を頂きました先生がたに対しまして、深く感謝をする次第でございます。如何にも先生御指摘の通りでございまして、この際赤十字社の中立性を高く掲げて赤十字社本来の仕事に邁進すべき法案ができようとしておりますることを、ここに先生がたに対しまして、潔く感謝の意を表する次第でございます。
#34
○山下義信君 最後に私は提案者に何つておきたいのは、本法の提案理由の御説明の最後の前の第七に、「日本赤十字社の行う事業に対し、国又は公共団体に助成の途を講じたことであります。」とあつて、本法制定の理由の重大なる一つとしては、国又は公共団体が赤十字社に対して十分助成をするということがその御提案の目的の一つにあるわけなんです。実は昨日も日赤関係者を参考人として政府当局に対する御質疑が試みられた。この点については、同僚中山委員からも御指摘があり、他の委員からも御指摘があつたのでありますが、社会局長も厚生省当局者として十分その点を考慮して、赤十字社の計画あればそれを聞き、又いろいろ今後とも十分その趣旨を尊重するということをおつしやつたのでありまするが、私どものこの本法を本院が受取つて予備審査以来この法案を持つておりました間の印象としては、そういう点が何だかまだ物足りない。今大橋国務相に来てもらつて、あれはあれの側から又関心を持つように願つたわけでありますが、提案者におかれましては、この点につきまして十分政府を御督励下されましたかどうか。これは折角赤十字社法を作つて、いろいろ監督を並べ立てて、憲法八十九條とどうじやこうじやということをここでお互いに念を入れまして心配をいたしましても、肝腎の政府が強力なる協力をしないというのでは、これは日本赤十字社に一つの特殊法人格を與えたというだけで、昨日伊藤副社長の言われたように、国際的に一つの政府から承認をさせたというだけのことであつて、何も取柄がないことになる。それこそ昨日参考人諸君が申されておつた、新らしい門出の危険な一歩になつて来る。これは国が強力に赤十字社行為に対し非常な好意を持つて積極的協力をするという裏付があつてこそ赤十字社法制定の価値がある。そういう点につきまして、衆議院、殊に提案者等におかれましては、十分政府当局にその辺を御督励おき下されたかどうかということも承わつておきたいと思う。
#35
○衆議院議員(青柳一郎君) この法案りを提案するに至りますまで、相当長期間に亘りまして小委員会を設け、そのたびに政府当局の出席を求めまして、でき得る限りの政府の了承の下にここまで至つたのが事実でございます。従いまして、私どもといたしましては、政府におきまして、この三十九條による助成につきましては、相当の覚悟を持つておられると存じます。殊に先ほども大橋国務相に対しまして山下先生から御質問がございましたように、事態の推移如何によりましては、政府といたしましても相当な覚悟をせざるべからざる立場に至るということは必然でございまして、そういう点からも私といたしましては、政府当局におきまして十分なる覚悟を持つておると、こう存じております。
#36
○藤森眞治君 二、三点伺いたいのですが、前回の委員会で、災害救助法とそれからこれの第三十三條の関係について伺いまして、殊に第四填につきまして、少し法制局のかたの御意見にもわかりにくいような点があつたかと思いますので、災害救助法と三十三條との関係を御説明願いたいと存じます。
#37
○衆議院法制局参事(鮫島眞男君) ここの第三十三條によりますれば、「国は、赤十字に関する諸條約に基く国の業務及び非常災害時における国の行う救護に関する業務を日本赤十字社に委託することができる。」というふうになつているのでございます。それから又災害救助法の第三十二條によりますると、都道府県知事は国の機関として救助又はその応援の実施に関して必要な事項を日赤に委託し得ることになつているのでございまして、この両者の規定の関係如何という御質問の趣旨かと存じますが、この災害救助法の救助の規定も、こちらの日赤法案の第三十三條も、国の業務の委託の場合の一つの規定を成しておるのでございます。ただ災害救助法におきましては、只今申上げましたように、非常災害時におけるところの救助なり応援の実施というような具体的な事項を主として考えておるのでございますが、この日赤法案におききましては、それよりももつと広い場合を予想いたしまして、非常災害時においてこの災害救助法では賄い得ないような場合があり得るということも十分に察知せられますので、そういう場合におきまして、国は非常災害時における国の救護業務を日赤に委託するというように規定いたしたのでございます。
 それからその場合における費用の補償のことでございますが、この災害救助法によりますれば、都道府県知事が委託をしました場合におつきましてはその費用は都道府県が負担するということになつておるの6ございますが、この日赤法案は只今申上げましたように、それよりももつと広い救護業務の委託の規定でございますので、そういう災害救助法で参りました場合には都道府県が負担することになりますけれども、災害救助法で委託し得ない場合に、こちらの日赤法の三十三條で委託しました場合におきましてはその費用の全部乃至一部を国がみずから直接負担する、こういう関係に相成ろうかと思います。
#38
○藤森眞治君 この四項は業務を委託された場合には費用の全部又は一部を負担するということになつておりますので、業務が委託されない場合にはこれは負担しなくてもいいというふうにとれるのですが、併し災害救助というものは、災害が起つて、それから委託されて、それから設備を整備するとかどうとかじやない。おおよそ災害というものを予想して、そうしてそれに備えるための相当な準備がなければならん。これに対する国の費用の全部又は一部負担というものが必要じやないかと思うのです。この辺の解釈は如何ようになるでしよう。
#39
○衆議院法制局参事(鮫島眞男君) 只今私ども申上げました説明が多少あいまいな点があつたのでございますが、業務を委託しました場合に、日赤で要しました。費用につきまする補償の関係は三十三條の第三項に規定があるのでございます。三十三條の四項は只今御指摘がございましたように、その業務の委託がございましたあとにおいてその業務の費用の負担と、そういうのではございませんので、むしろそういう委託された業務を実施するためにあらかじめ必要な施設なり、設備を整備しておく、そういう整備をしておきました場合におきまして、その費用をこの三十三條の四項で国が負担まるというのでございまして、只今の御質問の通りの御趣旨と考えるのでございます。
#40
○藤森眞治君 そうしますると、あらかじめ赤十字で或る災害を予想してこれこれこれこれの施設又は設備が必要だということになりますと、それに対して国はこの費用を負担する、こういうことに解釈していいわけでございますね。
#41
○衆議院法制局参事(鮫島眞男君) その通りでございます。
#42
○藤森眞治君 そういたしますと、昨日非常救護体制整備計画概要というものを頂きましたのですが、これを見ますると、なかなか尨大な計画がございますようでありますが、これが果してこういうふうな、この何を見ましても、当然必要なことは考えられておるのでございますが、こういうふうな尨大な計画が果してできるかということに一つの疑問がございますので、昨日も実はこの第三十九條につきまして私い質問を赤十字当局のほうにいたしましたのですが、赤十字側としては立法者でないために、十分これの財源的の措置につきまして大蔵当局その他へは赤十字としてはしてない、恐らく立法者のほうとして、してあるとこう思うという、こういう御答弁があつたのですが、その点につきまして、三十九條と今ここに出ておりまするこういうような計画との関係について、どういうふうな、実はいきさつになつておるのでございましようか。
#43
○衆議院議員(青柳一郎君) 只今御指摘の非常救護体制整備計画に関しましは、これはこの程度のものにまで待つて行くことを理想とするものでございまして、逐次各種の客観的情勢に応じまして、ここにまで持つて行つてもらうことを熱願しておるものでございます。大蔵当局におきましても、この問題がどこまで発展してどの程度の整備をしたらいいかということにつきましては、非常に心配といいまするか、よく知つておきたいという熱意を持つておりまして、絶えずこの法案につきましては大蔵当局と連絡をいたしております。従いまして、大蔵当局におきましても、ごごまで持つて行くことにつきまして、相当な考慮を必ず拂いつつあると、こう存じております。
#44
○藤森眞治君 その点はそれでよく了承いたしましたが、次にやはり第三十九條との関係でございますが、先般の委員会でも私申上げましたように、赤十字社の持つておりまするいろいろな医療機関、これが私は衆議院のほうでは独立採算制をとるというふうのお話があつたように承知しておりまするが、私どもはどこまでもこれは医療法の第三十五條による公的医療機関の性格を持たなければならんというように考えておるわけです。殊に新しく強い立派な特別法人の形で出ますといたしますると、率先してこういう形に入らなければならんのじやないかと考えるのでございます。そういたしますと、当然ここに医療機関の運営の上から相当に欠損と申しまするか、費用の不足が予想されるのではないか、そういうふうに考えるのですが、そういう意味におきましても、やはり第三十九條によつて国がこれを助成するという方針に出るものでしようか、どうでしようか、伺いたいと思います。
#45
○衆議院議員(青柳一郎君) お答えいたします。現在日本赤十字社が経営いたしておりまするか医療機関といたしましては、もうすでに御存じのように、百六十四カ所に上る多数の医療機関を持つておるのでございまするが、これらの施設は日本赤十字社という一つの法人格の下に経営せられておるのでありますので、その経営権は当然本社に帰属するものであります。従いまして、全施設に亘る総合的な運営は本社において指導いたし、医療施設が真に公的医療機関としてその使命を果すようにいたさなければならないと存じております。ところで、日本赤十字社が行う医療施設の独立採算制と申しますのは、個々の医療施設の通常の経費につきまして自給自足を維持する程度のものでございまして、完全な自主経済を指すものではございません。従いまして、この通常経費につきましては別に国からの助成を考えておらないのでございます。なお病院の経営につきましては、全施設を特別会計の下に一元化いたし、病院経済の総合運営を行うように検討いたしますことが、日本赤十字社の実態に即応するものと思つておるのでございます。
#46
○委員長(梅津錦一君) 正十二時になりましたが、会議を続行いたしましようか、どうしましようか。
#47
○中山壽彦君 ちよつと休憩をしまして、そうして小委員会を開いて、その後に本委員会を続行したらどうかと思いますが、お諮りを願います。
#48
○委員長(梅津錦一君) 中山さんの御意見では続行ということで暫時休憩に入るということでございますが、御異議ございませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#49
○委員長(梅津錦一君) それでは、さよういたします。暫時休憩いたします。
   午前十一時五十九分休憩
   ―――――・―――――
   午後零時二十九分開会
#50
○委員長(梅津錦一君) これより引続いて厚生委員会を再開いたします。
 質疑を続行いたします。
#51
○井上なつゑ君 私はこの際に、政府当局に対しましてちよつともう一度念を押しておきたいと思います。それはほかでもございませんが、この赤十字社法案の審議に当つて一番問題になつておりますことは、赤十字社の財政でございます。すぐにも災害救助をしなければならないということになりますれば、必要なものはこれは財政の面だろうと思うのであります。財政の擴充だろうと思うのです。それで政府当局におきましては、このことはどんなにお考えになつておられましようか。特別の予算でも見積つてでもすぐにも赤十字の援助をするようにお考えになつておつて下さるか、その点を承わりたいと思います。それはどういう意味かと申しますと、この政府にも先般何と申しましようか。この法案に対して特別大きな予算は取つていないと、事業の進展につれて予算を取るつもりであるという言葉を伺つたのでございますけれども、少々それに対して不安を感じますので、この法律が通過いたしますと、すぐに災害救助が起らんとも限らないのでございますが、これに対して予算の裏付をして下さるかどうかということを念を押しておきたいということが一つ。
 それからもう一つは、昨日の質疑で以て大体救護員の災害扶助の問題が明らかにされましたのでございますけれども、必要なことは、災害救助法を一刻も早く改正して頂きたいということでございます。それでこの政府におきましては災害救助法の改正を次の国会にすぐにも改正なさる意思があるかどうか。このことを特に念を押しておきたいと思います。御答弁願いたいと思います。
#52
○政府委員(安田巖君) 第二の災害救助法の改正の問題でございますが、私としては早速それに手をつけたいと思います。ただ予算の裏付その他がございますので、そういう問題につきましてはいろいろ問題が残りますけれども、努力をいたしたいと思います。
 それから第一の本法案の三十九條でございますけれども、今のところ昨日申しましたように、私どもとして別に具体的な計画を持つているわけではございません。ただこの三十三條等を見られましてもわかります通りに、赤十字に関する諸條約に基く国の業務というものは一体どういうもので、そうしてそれは今どういうような客観情勢にあるからどれだけの仕事をしなければならんというふうなことが起らない限り、すぐにこれに対して幾らということは考えられないと思います。
 第二の災害時における国の行なう救護に関する業務も、これは昨日申しましたように、一応現在の災害救助法というものは府県知事というものを災害救助の主体にいたしております。そうして府県知事に相当の権限を持たしているのであります。そうして日赤は府県知事と医療救助につきまして契約をいたしているような関係になつております。更にこれが規模が大きくなりましたならば、地方の災害救助対策協議会というものを設けたり、又全国的なものはまあ中央の災害対策協議会のほうでいろいろ計画を建てたり、特定の権力を持つたところの指示その他ができるようなことになつており、現在ではそういうふうなことでやつておりますが、今の後段のほうの仕事はどんなのかということは言われても、私どもまだ十分その点について意見を申上げられない段階にございます。そういう点をよく研究いたしました上で、三十九條のような措置をとるようにいたしたいと思います。
#53
○委員長(梅津錦一君) ほかに御発言もございませんようですから、質疑は盡きたものと認めて差支えございませんか。
   〔「異常なし」と呼ぶ者あり〕
#54
○委員長(梅津錦一君) 質疑は盡きたものと認めます。それでは本案に関して小委会長の御報告をお願いいたします。
#55
○山下義信君 日本赤十字社法案に関する小委員会の経過を御報告申上げます。
 当小委員会は本月十三日に設置いたしまして以来、今日まで六回に亘り開会いたしたのであります。本法案の審議に当りましては、提案者であります衆議院の青柳議員を初めといたしまして、厚生省側から安田社会局長、日赤側から島津社長、伊藤副社長以下幹部等の出席を求め、法案及び提案資料に基きまして熱心に審議を進め、なお共同募金関係の代表者からも本案につきましての陳情を聽取し、又共同募金側に対しましても、適当な注意を與える等、審議上の参考にいたしまして、今日まで慎重審議をいたしましたのでございます。その結果本法案に対しまして次の通り修正すべきものと決定をいたしました。
   日本赤十字社法案に対する修正案
  日本赤十字社法案の一部を次のように修正する。
  附則第八項中「旧法人は、」の下に「当分の間、」を加える。
  附則第九項中「当分の間、」を削る。
  附則第二十五項(地方税法の一部改正)第七十八條の改正規定中「第十條の社会教育関係団体、」を「第二十一條の公民館、」に、「社会教育関係団体が行う社会教育、」を「公民館が行う社会教育、」に改め、同項第三百四十八條第二項の改正規定中「第九号」を「第八号」に、「第十号」を「第九号」に、「十の二」を「九の二」に改める。
右の通りでございます。修正の理由は省略をいたしておきます。なお小委員会といたしまして、本法が議決に際し、日本赤十字社に対しまして、当委員会の決議を以て数個條の事項を要望すべきものであると決定をいたしました。右決議の文案等は中山委員に御一任をいたすごとに決定をいたしました。
 以上御報告申上げます。
#56
○委員員(梅津錦一君) これより順次討論に入ります。御発言を願います。
#57
○中山壽彦君 私は本案に対しまして、ここに附帶決議をつけてこれに賛成を表したいと存じます。附帶決議を朗読いたします。
 日本赤十字社法制定の趣旨にかんがみ同法の施行ととともに左の基本方針に基いて社業の改善と擴充に努めるものとする。
 一、機構並びに人事の刷新
  (一) 社員制度を確立すること
  (二) 社費に拠る財源を確保すること
  (三) 本部、支部の機構を改善すること
  (四) 医療機関の運営機損を強化すること
  (五) 支部長は民主的選出方法によること
  (六) 人事の刷新を図ること
 二、募金
  (一) 現在の募金は社費の徴収による財源の不足分についてのみ当分の間認めること
  (二) 二カ年後においてもなお相当額の一般募金を必要とする場合は厚生大臣の許可を受けて行うこと
  (三) 日赤以外の一般募金については政府の監督を強化すること
 三、会計監査
   日赤の会計については本部、支部を通じ政府の会計監督を強化すること
 四、役員の選任
   日赤の使命に鑑みすべての役員を通じ人格識見ともに勝れたる人物を充てるよう留意すること
 五、医療経営
   医療機関の経営は本社の直営として、公的医療機関としての性格を明確にし、且つ非常災害時においては、救護機関としての使命が十分に発揮されるようその運営方針を改善すること
 六、委託業務国は救護等に関する業務の委託を積極的に行い、これに関する助成の実を挙げること
 七、救護業務従事者の扶助救護業務従事者の扶助については、国家公務員災害補償法、労働基準法に基く災害補償と均衡を失しないよう措置すること以上であります。
#58
○長島銀藏君 討論は終結いたしまして、直ちに採決に入らんこことの動議を提出いたします。
#59
○井上なつゑ君 只今の動議に賛成いたします。
#60
○委員長(梅津錦一君) 只今の動議を取上げることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
#61
○委員長(梅津錦一君) さよう決定いたします。
#62
○山下義信君 議事の進行につきまして……、小委員長は修正報告をいたしました。従いまして、小委員長の修正報告と中山委員の決議を別々に議決を願いたいと存じます。
#63
○委員長(梅津錦一君) 討論は終結したものと認めます。これより採決をいたします。日本赤十字社法案について先ず討論中にありました小委員長報告の修正案と議題に供します。本修正案に御賛成のかたの御起立を願います。
  (賛成者起立〕
#64
○委員長(梅津錦一君) 全会一致でございます。よりまして、小委員長報告の修正案は可決せられました。
 次に、只今採決されました小委員長修正にかかる部分を除いて、衆議院提出の日本赤十字社法案全部を問題に供します。修正の部分を除いた衆議院提出案に賛成のかたの御起立を願います。
   〔賛成者起立〕
#65
○委員長(梅津錦一君) 全会一致でございます。よつて日本赤十字社法案は全会一致を以て修正可決すべきものと決定いたしました。
 なお、討論中にありました中山委員提出の附帯決議を採決いたします。中山委員提出の附帶決議に御賛成のかたは挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#66
○委員長(梅津錦一君) 全会一致と認めます。附帶決議は中山委員提案通り可決せられました。
 それから委員長が議院に提出する報告書には多数意見者の署名を附することとなつておりますから、本案を可とするかたは順次御署名を願います。
 多数意見者署名
    長島 銀藏  井上なつゑ
    深川タマヱ  大谷 瑩潤
    中山 壽彦  藤森 眞治
    常岡 一郎  河崎 ナツ
    山下 義信  谷口弥三郎
#67
○委員長(梅津錦一君) 御署名洩れはございませんか……御署名洩れないと認めます。なお、本会議における委員長の口頭報告については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#68
○委員長(梅津錦一君) 御異議ないと認めます。
 ちよつと速記をとめて。
   〔速記中止〕
#69
○委員長(梅津錦一君) 速記を始めて。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時四十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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