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1951/05/28 第13回国会 参議院 参議院会議録情報 第013回国会 経済安定委員会 第11号
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1951/05/28 第13回国会 参議院

参議院会議録情報 第013回国会 経済安定委員会 第11号

#1
第013回国会 経済安定委員会 第11号
   公聽会
――――――――――――――――
昭和二十七年五月二十八日(水曜日)
   午前十一時七分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
四月二十一日委員佐藤尚武君辞任につ
き、その補欠として山川良一君を議長
において指名した。
四月二十五日委員泉山三六君辞任につ
き、その補欠として古池信三君を議長
において指名した。
五月十六日委員小滝彬君辞任につき、
その補欠として工藤鐵男君を議長にお
いて指名した。
五月二十一日委員工藤鐵男君辞任につ
き、その補欠として愛知揆一君を議長
において指名した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     佐々木良作君
   理事
           郡  祐一君
           永井純一郎君
   委員
           愛知 揆一君
           古池 信三君
           山川 良一君
           奥 むめお君
           杉山 昌作君
           須藤 五郎君
  委員外議員
           下條 恭兵君
           栗山 良夫君
           西田 隆男君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       桑野  仁君
   常任委員会専門
   員       渡邊 一郎君
  公述人
   主婦連合会専門
   委員      紀伊つや子君
   九州電源開発期
   成同盟会長
   九州産業団体電
   力懇話会会長  貝島 義之君
   中部電力株式会
   社社長     井上 五郎君
   朝日新聞論説委
   員       土屋  清君
   建設技術研究所
   長       内海 清温君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○電源開発促進法案(衆議院提出)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(佐々木良作君) それでは電源開発促進法案に関しまする経済安定委員会の公聴会を開会いたします。公述人のかたがたにはお忙しいところをお出で頂きまして有難うございました。よろしくお願いいたします。会議は大体御連絡いたしましたように今月から午前と午後とに分れまして、今日と明日と二日聞継続いたします。公述人のかたがたには大体一、三十分程度で先ずお話を頂きまして、そのあと午前の部でありますと、午前の公述を終つて頂きまして後に一括して質疑応答をやつて頂きたいと思います。なお経済安定委員のほかの関係の委員のかたがたにおきましてはこれを包括的に委員外発言、従来通りに委員外発言を許したいと思いますので、一つそれは御了解をお願いいたします。今申上げましたように予定の午前の公述を終つて、その公述人に一括して御質問を願う、こういうふうに進みたいと思います。御連絡いたしましたように、今日の午前の部には最初主婦連合会の紀伊つや子君、次に九州電源開発期成同盟会長、兼務されて九州産業団体電力懇話会の会長の貝島義之君、それからなお都今日によりまして変更いたしまして、午後の部の中に真中になつておりますところの日本労働組合総評議会の事務局長の高野實君は急病によりまして出席できんという連絡がありましたので、今日の開会が遅れましたのと併せまして午前の部の最後の中部電力社長の井上五郎君は午後に廻つて頂きまして、午後は朝日新聞の論説委員の土屋清君、それからその次に中部電力社長の井上五郎君、それから最後に建設技術研究所長の内海清温君という、こういう順序でお願いいたします。では早速公述を願います。
 先ず主婦連合会の専門委員の紀伊つや子君をお願いいたします。
#3
○公述人(紀伊つや子君) 主婦連合会の紀伊つや子と申します。今回自由党の御提案によります電源開発促進法案につきまして、一般消費者特に零細なメーター制、定額等による家庭消費者の一員として、この法案について感じたことを述べさして頂きたいと思います。本年を第一年度といたします五ヵ年計画によります大規模な電源開発をして、それを産業と国民生活の向上に費するという点につきましては、その御趣旨におきましては、私ども消費者といたしまして、何ら反対をすべきものはないのでございますが、それにつきましても、その中にいろいろ疑問の点、又消費者といたしまして不安の点が多々ございますので、その点を三、四お伺いいたしたいと思います。この法案は後に設けられます審議会によりまして取極められるという点が多々ございますので、私たち消費にとりましては、不明な点がございますのですが、その中におきまして四つの点についてお伺いしたいのでございます。
 第一の問題といたしましては、これは原則論でございますが、国民生活にとりまして一日も欠くことのできない電力の開発という問題を、これから組織をしてそれから事業に着手する、そのことがどうも私どもにとりましては先の長い話のような気がいたします。それよりも現在活動しております事業正面をどんどん援助して頂いて、それで一日も早く安い料金で消費者の私どもに提供して頂いたほうがいいのではないかというような気がいたしますのです。それと一つは、これは原則論でございますが、先般電力事業が民間の手に移されましたときに、こういう国民の基幹産業となるものは、自由企業でなければ企業の意欲というものが減退して、それがうまく行かないのであるというような御議論を伺つたように思うのでございますが、今回の特殊会社を設立いたしますについて、その原則論がどういうふうに変更したものであるかということが、私たちにとつてはわからないのでございます。それから第二の問題といたしましては、それによる国民の利益の問題なんでございますが、果してこの開発会社ができまして、安い料金で電灯を消費者が享受できるかどうかということが、私たちの一番大きな不安なのでございます。それは大口のほうの電力需用者のかたのほうに有利に向けられて、その撥ね返りが案外小口の私たち消費者の肩にかかつて来るのではないかという不安、これは英米などに比べまして、日本の大口需用の電気料金が割安になつておるということを考えましたり、又過去の実際問題から考えましても、案外大口需用者のほうに有利で、小口の消費者はいつもその撥ね返りで不利な点に立たされておるということを考え併せますときに、今回の特殊会社だけがその点について非常に消費者のために有利に計らつて頂けるというような安心感というものを、私たちが持つことができないということ、家庭の電力需用量というものは、累年増加いたしております。そして今後の生活の向上と合理化という面から考えますと、当然電力の需用は増して来なければならないと思つております。それともう一つは、水力に恵まれない関西以西の地において、今まで非常に窮屈な電力事情におつたものが、今回の特殊会社によつてその点がどこまで有利に展開して行くものであるかということなど考えますと、その点について特殊会社の性格というものが、消費者にそれほど有利に展開するものであるかどうかということが、私たちにとつては不安なのでございます。それともう一つ考え併わされますことは、日本の再軍備というようなことが最近言われておるのでありますが、それと関連いたしまして電力というものが、特殊産業のほうに振向けられてしまつて、私たち消費者は案外いつも停電、何かにつけ停電に脅やかされてしまうような事態になるのではないかという、そういう問題、それから一体消費者の立場というものが、いつも出来上つているものを押付けられている。その一つの法案なり行政措置の出来上る過程においては、消費者の気持とか立場というものが案外反映されていないということを私たち常に考えているのでございますが、今回の特殊会社におきましても、その点についてどこまで考えて頂けるか、消費者の立場というものが非常に重要であるにもかかわらず、いつもその点が見逃されてしまつている。そうして今度の法案につきましても、その点についての国民の幸福が増すのかどうかというような点につきましてはつきりとどの面にも取上げられていないということが私たちにいたしますと、この特殊会社の設立というものが、設立のための設立であつて、案外消費者の利益というものが又等閑に附されるのではないかという不安がございます。
 第三の問題といたしましては、審議会の性格なのでございますが、今度の審議会は官庁側から七名、民間側から七名というような数になつておりますが、それが大体政府側の任命によりますということで審議会の性格をほぼ私たち想像できるのではないかというような気がいたしております。それにつきましては、その民間側の中に消費者の代表というものを入れて頂くということを強調したいのでございます。それはこういう公共の性格を持つ事業といたしましては当然のことでございますし、特に今度の開発につきまして、当然犠牲になられるのではないかと思われる農村、山林方面の代表のかたをその中に入れて頂きまして、こういう特殊の事業に起りがちな非能率性の問題、それから独善主義、それから予想されるような不正を防ぐという意味におきまして、民間の代表を入れて頂きまして、事業の公正化とそれから能率化を図つて頂くということは、私どもとして是非お願いしなければならないことであると存じております。資金の問題が最後になりましたが、このたびの法案によりましてこの会社を設立いたしますにつきまして、厖大な資金が要るように伺つておりますが、これは荒廃した日本の戦後の産業を復興いたしますには、いろいろの面に資金の枯渇ということが現われて、それを国民所得の大きな部分を電力の事業だけに傾注してしまうということは、その半面何かはかの面で私たちが又経済的に非常に窮屈な画に陥るのではないかというような疑問を持つのでございます。私どもは乏しいなら乏しいなりに国民の所得というものをあらゆる産業に平均に使つて頂いて、そうして一定の安定感を持つた生活をしたいということを常々考えておりますので、その点につきましても私どもの疑問とされるものがあるのでございます。
 以上は非常に抽象的な論議でございまして、はつきりしない面も多いかと思いますが、このたびの法案が半分は政府の出資によつて賄われている、その出資というものは国民の血の出るような税金から成り立つているということを考えますときに、この法案が通りまして実施されるという面になりました場合には、常にその血の出るような税金で賄われているということを念頭に置いて頂いて、国民の疑惑を招くようなことがないように実施をして頂きたいということを切に考えておる次第であります。これを以て私の公述を終ります。
#4
○委員長(佐々木良作君) それでは先ほど申上げましたように、引続きまして第二の公述人の公述をお願いいたします。九州電源開発期成同盟会長貝島義之君にお願いいたします。
#5
○公述人(貝島義之君) 私は日本石炭協会九州支部、日本鉄鋼連盟九州支部、日本鋳鋼会九州協議会、九州化学工業協会、九州セメント懇話会、九州地方鉱山会、九州製紙工業会、九州産業機械協会、九州鉄道協会、九州両工会議所連合会及び九州磁気協会、即ち九州の全産業界を以て組織する九州産業団体電力懇談会並びに九州電源開発促進期成同盟を代表して、電源開発促進法案に対する賛成の陳述をいたします。
 第一に同源開発促進に関する法案を本国会において至急に成立せしめられるよう切望いたすものであります。新日本再建の根幹は産業の復興にあり、産業の復興の基盤は我が国唯一の資源とも申すべき水力電源の大規模なる開発にあるということは今更申上げるまでもないところであります。昨秋の渇水による全国の産業の壊滅的打撃は我々の記憶に新たなるところでありまして、今日ほど全国民が電力不足を切実に体験し且つ電源開発の大事業を切望しておることはないのであります。実に電源の開発こそは今日何をおいても成し遂ぐべき急務中の急務でありまして、本国会に提出された本法案の成立については全国民が旱天に慈雨を待つ思いを以て期待し且つ注目しておるところであります。本法案はこの国民的要請に応えるために既存の電力会社は申すに及ばず公営、自家用の自由なる電源開発を認めると同時に、これらの資力を以てしては到底開発困難の大規模の水力地点を政府の直接出資を以て迅速に且つ豊富に開発し、これを低廉に供給せしめんとするものでありまして、我々九州の産業界は全幅の賛意を表するものであります。然るに本法案の審議に当りその趣旨に対しては全面的に賛成しながらも特殊会社の一社或いは数社案を中心として外資の導入の難易、日発の再現などの意見が対立し、その結果法案に対する賛否が相半ばしておるかに見受けられ、難航を極めつつあることは実に驚き入つたることと感ぜざるを得ないのであります。我々はかくのごとき経済復興の重要法案が政党政派を超越し、全会一致の共同提案として上程せられざりしをむしろ遺憾とするものであります。
 以下本法案賛成の具体的理由についてつぶさに申上げたいと思います。
 第一、迅速に電源開発ができること、(イ)特殊会社による建設資金はすでに本年度の予算に計上せられております。将来の建設費用については政府みずからその確保の義務を負うのみならず、外貨債務の保証の措置がとられ且つ社債発行の限度も十倍に拡大されておるのであります。かくのごとく電源開発に最も困難なる資金措置がとられておりまするので、迅速に電源の開発ができると信ずるのであります。(ロ)営利会社が開発する場合には、水利権や補償問題等の紛糾が起りました場合その解決が非常に長引くのが通例でありまして、その例は枚挙にいとまがないのでありまするが、本法案によれば国土総合開発の観点から国家的視野で速かに解決されるものと信ずるのであります。(ハ)電源開発に必要なる調査については国を挙げて優秀なるスタツフを整え、迅速に進めることができるのであります。(二)本法案が万一本国会を通過しないようなことがありまするならば、大電源の開発は著しく遅れざるを得ないのであります。即ち現下の金融情勢に鑑み、政府資金によるにあらずんば到底かかる大事業はなし得られないことは火を見るよりも明らかであります。仮に数社案による場合も政府の出資には特別の立法が必要であります。又既存の九電力会社をして実施せしめる場合におきましてもこれ又特別の立法措置が必要であり、九電力会社は特殊会社にならざるを得ないのであります。果して然らばこれらの立法措置には更に困難を伴い、相当の歳月を経るにあらずんばその成立は不可能であり、いつの日にか大電源の開発に着手し得るでありましようか、甚だ悲観的ならざるを得ないのであります。我々直接現場の第一線に立つてあたら電力不足のために優秀なる設備を遊休化し且つ増産意欲に燃えるところの従業員諸君をして稼働意欲を阻害し、生活難に陷らしめるがごときことを日々体験する私たちとしては、一日遅るることは断じて忍びざるところでありまして、同じ電源開発も国家復興のために一秒を争うて迅速に開発して頂くことが我々産業人の血の出るような叫びであるのであります。
 第二、豊富なる電源の開発ができること、本法案の趣旨は既存の電力会社を初め公営、自家用などにも自由に活溌に電源開発を行わしめ、その上特殊会社はこれらの容易に企図し得ないところの困難な大規模の地点を開発するものであるから更に豊富なる電力が得らるるのであります。
 三、低廉なる重力が得られること、(イ)既存の電力会社、公営、自家用が開発する場合の資金は自己資金のほかに政府資金としては見返資金、預金部資金、開発銀行資金などがあるのでありまするが、この金利は七分五厘並びに一割以上であるのであります。これに比し、本法案によるところの特殊会社に対しては、政府の直接出資があり、この資金には建設利息の免除があるほか、建設完成後の株式の配当も六分五厘程度が考えられておるのみならず、税の免除の特権が與えられておるのでありまするからして、前者に比して遥かに低廉なる電力が得られるのであります。而も電力会社の現在の電源開発資金は主として見返資金に依存しておりまするが、その永続性については疑問があり、これが獲得不可能となつた場合、工事を継続するためには高金利の資金によらざるを得なくなるところの虞れがあるのであります。(ロ)特殊会社による開発は、国土総合開発に基く治水、利水などの多目的計画によるものでありますから、公共事業費などによる工事費の分担があり、電力の建設費はそれだけ低廉になるのであります。
 第四、電源開発が均等、公平に行われること、数社又は既存の電力会社に任せる場合は、コンマーシヤル・ベースに来る地点が先ず開発せられ、コンマーシヤル・ベースに乗らない地点は取残されるところの虞れがあるのであります。電力需給の地域的不均衡と、電力料金の地域差がますます拡大するところの慮れがあるのであります。全国一社の特殊会社になれば、国家的見地においてこれを適正化し、重要度に応じて開発することができるのであります。従つて、電力需給の地域的不均衡を是正すると同時に、電気料金の地域差を緩和するの結果となるのであります。
 以上、いわゆる迅速豊富なる電源、低廉なる電力、電源の開発の均等化の四つの理由によりまして、私はこの法案に賛意を表するものであります。故にこの法案の審議に当つては、賢明なる議員諸氏の良識に訴え、修正すべきは速かに修正し、一刻も早くこれを成立せしめて、生産の最大の隘路であるところの電力不足を早急に打開せられんことを衷心から切望してやまない次第であります。
 第二に、球磨川の開発は、本法案の成立によつて直ちに着工すべきであります。現在予想されておる第一次開発地点の中に、九州の球磨川が入つていないことは甚だ遺憾であります。その理由を申述べさして頂きます。(1)九州の産業上の重要性、九州は、日本経済の基盤となる石炭、鉄鉱、肥料セメント、など重要物資の大生底地であります。即ち、全国の生産量中九州の占める地位は、石炭の五六%、鉄鉱三四%、硫安二四%、セメント二七%等、圧倒的比率を示し、これらの産業に消費せられるところの電力の量は、全九州の消費電力量の八〇%にも達するものであります。日本の経済を建設するためには、先ず九州の基礎産業が発展しなければならない。その発展を阻む最大の隘路は電力の不足であるのであります。何とぞ全国的最緊急の問題として特に九州の電源開発を考慮せられんことを冀うものであります。(2)電源開発の不均衡、特殊会社担当の水力地点の選定には、産業構成上の重要性を第一義的に考慮することが本法案の目的に適合するゆえんであると思います。然るに今次の計画に予想せられておる第一次計画によつて地域的にその需用電力量との均衡を比較して見ますると、本州の中央部以東、即ち関東より東北においては、昭和二十七年度の需用三百六十億キロワツト時に対し、熊野川、天龍川、庄川、北上川、只見川の五地点、三十二億キロワツト時が挙げられ、その比率は大体九%に達しておるに反しまして、西日本、即ち九州、四国中国におきましては、需用百八億キロワツト時に対して吉野川の一地点一億二千万キロワツト時が挙げられ、その比率僅かに一一%に過ぎず、特に九州においては皆無であるのであります。
 (三) 料金の地域差、九州の電気料金は現在でも全国の高位にあります。而も本法案が成立した燒、他地区におきましては、豊富低康なる水力が次々と開発せられるに反し、若し九州の水力開発が遅れまするならば、料金の地域差はますます拡大することは明らかでありまして、日本経済再建のために誠に遺憾であるのであります。(四)球磨川の優位性、球磨川は九州に残されました水力資源の約四割を占め、九州第一の水力の宝庫であります。今次計画に第二次計画として予定されておる球磨川開発の規模は八万五千キロワツトに過ぎないのでありまするが、その後の調査によりますれば、二十五万キロワツトの開発が可能であるのであります。特に最下流の古田地点は調査もほぼ完了し、直ちに著工し得る状態にまであるのであります。(五)吉野川との比較、九州は水力資源に乏しく、将来四国の豊富なる水力に依存する必要があるのでありまするが、球磨川と吉野川の北九州における発電原価を比較いたしますると、古野川から少くとも年間十億キロワツト時以上の発電ができなければ、却つて吉野川が高価となるのであります。
 第三、火力発電所の建設も本法案の対象として取上げて頂きたいと思うのであります。
 第四、総結論、以上私は九州の産業界の総意を代表して電源開発促進法案に対し、全幅の賛意を表明すると同時に、その実施に際し、球磨川を第一次に取上げることが日本経済再建に最も必要なるゆえんを強調いたした次第であります。電源開発の大事業については、今や朝野を挙げて熱望、国民全部が本国会において速かに法案の成立することを刮目して期待しているところであります。本法案の成るか成らざるかの責任は誠に重大であります。何とぞ議員の皆様がたがこの絶好の機会を逸することなく、全力を挙げて本法案の成立に努立せられ、以て産業復興の有終の美を収められんことを衷心からお折り申上げる次第であります。
#6
○委員長(佐々木良作君) ちよつと議事の御相談を申上げたいと思います。速記をとめて。
   〔速記中止〕
#7
○委員長(佐々木良作君) 速記を始めて。それでは継続いたします。次に中部電力の社長井上五郎君にお願いいたします。
#8
○公述人(井上五郎君) 私、中部電力株式会社の社長非上でございます。電源開発促進法案に関しまして、電気事業の経営の責任にある者といたしまして御意見を申述べたいと存じます。この法案の趣旨は、速かに電源の開発並びに送変電設備の整備を行うことによつて電気の供給を増加し、今後の経済発展の基盤を築くというのでありますから、この趣旨は私どもといたしましては、終戦以来常に力説をしておつたところでありまして、又今日何人も異論のないところと考えるのであります。併しながらその趣旨はよいといたしまして、問題はその手段方法にあるのでありまして、電源開発の基本計画は経済安定本部に設けられる電源開発調整審議会によつて決定をし、大規模地点の開発は資本の大部分を政府に仰ぐ、その役員も政府によつて任命せられる全国一社の電源開発株式会社、これは名義は株式会社でありますが、実質上は公社的な機関でありまして、これが独占的に実施をしようというのでありましてかくのごとき方法は、私どもといたしましては誠に理解に苦しむものであります。かかる方法を以ていたしましては、法案の趣旨とするところのものを実現することは困難であると考えます。
 以下その理由とするところを申述べたいと存じます。電源開発会社というものが、機構上に欠陷を持つていると考えるのであります。電源開発会社は電気事業を経営するものではない、電源の設備を建設するものである、こういうふうに了解をいたしております。従いましてその建設した設備は電気事業会社に譲渡する、或いは貸與されることになつております。およそ物を作ります場合に、建設のための建設ということは考えられないのでありまして、効果的に効率的に、且つ低廉なる発電所を建設せんとするのは、その発電所竣工後の運営によつてこれが実証せられるものであります。建設関係担当者が将来の運営について責任を持たないということは、それ自体変則的であり、責任の所在の明確を欠く虞れがあると考えるのであります。仮に開発会社は建設のみを担当するとして、工事の完成後これを当該地区の電力会社に譲渡するわけでありますが、その価格の支払が如何ように支払われるのであるか、電力会社側にその支払代金が用意してあればこれは別でありますが、こういうことは到底考えられないのであります。万一これが準備できるというのであれば、何も電源開発会社の手を煩わすまでもなく、独力を以て建設ができるわけであります。勿論電源開発会社は、その建設した電気設備を電気事業者に貨與することもできるわけであります。この場合には電源開発会社は、正当な賃貸料を受けることになりますが、同社が資金の調達上借入れた社債、借入金は、その設備の耐用年限、即ち四十年或いは五十年以後にならなければ完済できないことになるのであります。これは賃貸料金の中に含まれる減価償却費等から見て当然さよう考えられるわけであります。電源開発会社が存続期間が只今の法律には明記されておりませんが、承わるところによりますと、大体昭和三十五年くらいには清算に入りたいということでありますが、十年未満でこの点が解決がつくということは考えられないと存じます。で、将来譲渡することにも、貸與することにも、困難が伴うことが当初から予測せられているのでありますが、これは取りも直さずこの開発会社の性格があいまいであるという点にあると思うのであります。かかる会社は、全面的に国家資金を仰ぐ場合を別といたしまして、一般的に言えば資金調達上に困難が伴うことは、すでに松本公益事業委員会委員長、或いは栗栖議員等からいろいろ御指摘があつた通りであると考えるのであります。当面厖大な財政資金に依存しながら、建設竣工後は譲渡又は貸與について何かはつきりした見通しが持てないということは杜撰な考え方であるというほかはないと思うのでありますが、かくのごとくして究極の責任の帰属が不明確な形態においてこの電源開発をやつて行くということには賛意を表しかねるのであります。
 第二の点といたしまして、この全国一社の電源開発会社というものが今日考えられております日本の経済のあり方、今後の基本的の動向というものに逆行するものであると考えております。日本の経済が終戰以来自由主義的な資本主義を基調として来たことは申すまでもないのであります。戰時中行われました諸種の統制法令は次々に廃止せられて参りました。電気事業につきましても、公益事業として当然統制せられなければならない部面を除きますならば、統制が外されて参つたということが誓い得ると思うのであります。即ち昨年の五月に実施せられました、いわゆる電力の再編成によりまして、発送配電一貫経営の電力会社が全国九地区を分けて設立せられ、その地区に対する電力会社の供給責任を確保することになつたのもその現われであります。従つて各地区の電力会社は現実の電力需用に応えて適切な電源開発を促進しなければならない立場にあるのであります。かくのごとく明白な責任態勢の下に民有民営事業の利点を最大限に発揮して電源開発を行わんとする熱意は、今回の提案になりました全国一社の官制的な事業によつては、その意図を抑圧せられるということになると存じます。電源開発には国家の強力な支持、援助を必要とすることは申すまでもないのでありますが、その故に、民間の事業に対する熱意までも抑圧するということは、日本の経済の基本的動向に矛盾すると考えております。国の行うべきことは、特に国家的要請のあるものである、而も民間のなし得ざるものに限定すべきであります。同家はあえてみずから事業の経営をなすことはなく、事業を育成し、助成することに限るべきものと考えるのであります。本法案によりますれば、国家は大電源を直接開発する、その他の中小の地点は、それぞれの地区における電力会社又は自家用の開発を推進するというふうに言われておるのであります。併しながら今後数カ年間に亘つて厖大なる資金を要する電源開発に対しましては、今後現在以上な資金難に遭遇するというような場合も想像しておかなければならないのであります。電源開発は将来相当の期間に亘つて、国家資金に頼らざるを得ないとは考えるのでありますが、数年後に亘つて財政資金が十分の余力を以て電気事業に注入されるとのみ楽観しておることは甚だ危険な考え方であると言わざるを得ないのであります。この場合、開発会社は国家の代行的機関であり、既存の電力会社は、一般商法に基く民営会社でありとするならば、その間に国家資金の放出に何らかの差等が付くということは想像に難くないのであります。而も開発会社は、政府出資に対しては無利子である、或いは無配当であるというような取扱を受けます。又税金についても減免等に対して特権を與えられるとするならば、この特典を無視いたしまして、これと同等の保護を受けない一般民間会社に一般の資金が流入するということが相当困難な場合に立ち至るということは想像されるのであります。民間会社の開発は、仮にその熱意が十分ありといたしましても、資金の獲得上に将来実質上の抑圧を受けるということを覚悟しなければならないのであります。而も先般の電力再編力におきまして、電力会社は当該地区の独占的な供給権が認められました半面におきましては、その地区内に電力の需給につきまして全面的な供給の責任を負わされたのでありまして、これが国家機関によつて開発が行われ、この機関によつてこの機関から電力の受電ができ得るのであるというならば、その当該地区の電力会社の供給責任の一半は解除せられた形となるわけであります。曾つて日本発送電が電力供給の大平の責任を負うておつた時代に、需給の不均衡が何人の責任であるのか、その責任の帰属が甚だ明確を欠いたということは、一般の記憶に新たなところと考えるのであります。我々事業者としては、これについて苦い経験を嘗めたわけであります。即ちこうした特権的な開発会社の出現ということが、一般民営事業に対しまして資金面から言つても容易ならざる不安を醸成するものであると共に、事業者をして供給責任完遂の熱意を喪失させる虞れがあるという点から考えまして、これはただに昨年行われました電力再編成の趣旨を沒却するばかりでなく、鶴的な統制経済への逆行でありまして、今後の日本経済の進むべき方向に背馳するものであると言わざるを得ないのであります。
 第三の点といたしまして、こうした非常に巨大な独占的な開発会社は得てして政治問題が介入しがちだと考えるのであります。経済上の問題は、でき得る限り経済上の問題として処理せられるべきものと考えます。電源開発事業のごときも、勿論経済問題でありまして、政治的に解決をせられ乃至は政治的に何らかの意味においても利用せられるというようなことはあつてはならないのであります。併しながら全国一社である独占的の開発会社は、政治的な術策の行われる基盤を與える危険を孕むものと考えるのであります。この点は特に詳しく申述べる必要のない、いわば国民の一つの常識であると言つても言い過ぎではないと考えております。
 次の問題といたしまして電源開発会社は必ずしも経済的な発電ができる、経済性に富むとは言い切れないと存じます。最近発表せられておりとます電源開発会社の電気料金は、一キロワツト時当り二円以下の数字が見えるのであります。これは税金を減免する、或いは利益配当を減免する結果、このような表面的な数字になつておるものでありまして、税金の軽減であるとか、利子配当の減免というようなことは机上の見せかけとしてこうした数字は出るのであります。税金を正当に課し、利息も又これを適正に計上するという計算であつて然るべきものでありまして、こうした特典、減免によりまして一般の国民の負担を増しまして、電力の需用家のみを利益するということは、いささか不当な取扱であるかと考えるのであります。電力の需用家がその消費する電力について正当且つ公正な費用を負担しなくてはならないということは当然のことなのでありまして、この点を別といたしますならば、全社一社の開発会社であろうと、ブロツク別の開発会社であろうと、或いは民間組織であろうと、自家用であろうとその間に非常に大きな差が起るはずはないのであります。政府事業、端的に申しましていわゆるお役所仕事と民間の事業とを比較した場合に、民間の会社組織によるもののほうが一般的に経済性を発揮するということは過去の例に徹しまして周知の事実でありまして、これ又特に言葉を添える必要のない、すでにこれは常識であると考えております。次に利水或いは治水、こうしたことの調整に関しまして、電源開発会社が特に有利な立場にある、或いはこうした特殊な機関によらざるを得ないのであるということは考えられません。民間会社では特に水利権等の調整に関しまして強力な立法措置がとられないという考え方があるのでありますが、これは特殊会社であつても民間会社であつても、大規模の電源開発が国家的要請に基く以上同様な措置をとるべきものでありまして、水利権その他の調整問題が事業形態の如何によつて差別をせらるべき理由は何らないと存じます。総合開発である治水、利水上の総合調整等の実際上の処理について、特殊会社であろうと民間会社であろうと実施上特に相違があることは考えられないのでありまして、このことは戰後日本発送電会社が実施をして来ました開発事業の実施面を見ればおのずからはつきりすることであると思うのであります。でこれを要するに電気事業者としては必要な発電設備の建設についてはこれを早急に完成をする重大な責任があるのであります。政府及びその機関によつて資金、資材上の援助と開発に関する灌漑、治水、その他の目的との調整は、この事業者の責任を遂行せしめるための保護、助成の目的を以て行わるべきものでありまして、これが企業の熱意を抑圧するような形であつてはならないのであります。逆に申しまして特別な形の会社でなければならないという点は毛頭考えられないのであります。でこれを要しますのに、電源開発の促進ということは国家を挙げての要望でありまして、このためには国家はただに財政的援助をなすのみならず、あらゆる行政面においてこれが助成をなすべきものと考えております。問題はその手段と方法なのであります。今日までの本問題に関する御意見の中には、趣旨は賛成であるから運用さえよろしきを得ればその機構については深く問うところではないという考え方が少くなかつたと存ずるのであります。これは実に無責任な危険な考え方であると言わなければならないのであります。いやしくも国民の税金による国家財政の中から厖大な支出をあえてするにかかわらず、これが最も効率的に使用せられると同時に、最も速かに電源開発の目的を達成し得るという確実な見通しがなく、これを漫然と半官平民的な機関の運用に委ねるという考え方に対しましては私は賛成をいたしかねるのであります。かかる組織が運用された結果、国民の期待に背いたということは過去の統制経済において幾多の苦い経験を嘗めたところであると考えております。電気事業は終戰後いち早くその企業形態について再検討を要請せられた事業なのであります。併しながら非常に事業の重要性が高いと同時に厖大な事業であり、厖大な資金需要があるという面からこの再編成の帰趨というものがなかなかまとまりません。昨年に至りまして漸く再編成を終つたのであります。電気事業は今や漸くにして戰時形態を離脱いたしまして、その本然の姿に戻つたのであります。再編成後僅かに一年に過ぎないのでありますから、今日未だ不十分な点は多々あると存じますが、今日にしてそれを更に再々編成するごとき、その事業の根底をゆるがすごとき変更をあえてすることは、徒らに事業を不安に陷れ、ただに電源開発のみならずあらゆる事業の発展の根底に暗影を投ずるものと考えます。電気事業は今日の形において十分発展し得る可能性があると考えております。要は急速な資金の注入であります。この点にのみ国家は能う限りの援助を與え、これが助成をなすべきものと考えます。磁気事業は今やこれに秣を與えるべきときでありまして、その角を矯めるときは去つたものと考えます。今日にして再び角を矯めんとするがごときことは、徒らに電源開発の遅延を招来するのみである、遺憾ながら本法案の趣旨の実現し得ないものであると考えます。その意味におきまして、私は本法案に賛意を表しかねるものであります。
 なおこの法案に関連いたしまして、天龍川の開発計画というものが世上いろいろ取沙汰をされております。本議場におきましても若干これらの点が問題になつたかのごとく拜聴いたしております。若し時間のお許しを頂けますならば、この点につきまして私どもの考えを述べさして頂きたいと思います。如何でございましようか。
#9
○委員長(佐々木良作君) どうぞ。
#10
○公述人(井上五郎君) 中部電力会社が天龍川に佐久間地点、その下流に秋葉地点それぞれ三十五万キロ及び八万六十キロでありまして、合せて四十三万六千キロワツトの水利地点を持つておるのであります。これを急速に開発をするという計画を立てまして、数カ月前から東京電力その他そうした会社との間にこの開発方式につきまして相談をいたしておつたわけであります。ほぼその構想をまとめたわけであります。即ち東京電力と中部電力との合弁によりまして、当初二十億円の授権資本による会社を作りまして、この両社の協力によりましてこの地点を急速に開発をしたい、こうした案を進めておるわけであります。この天龍川の佐久間地点と申しますものは、大正の初め頃から調査を進めておつたのであります。大正十三年に東邦電力株式会社が水利権を得ましてこれを日本発送電株式会社に譲渡し、更に又昨年中部電力株式会社に継承されて参つたのであります。この地点のこれまでの調査の結果によりますならば、一キロワツト時当りの建設費が非常に低廉である、上流に既開発の数発電所がありまして、この貯水池は埋没の心配がない、開発上交通が非常に便利である、直ちに着工ができる、開発のための補償問題が少い、又電力の需用地点に極めて近接しておるといつたようないろいろな長所を持つております。今日残された未開発地点の中で最も優秀なものであるということは、業界が一般に認めておる点であると考えるのであります。この電力を中部電力と東京電力との両区域に供給することにいたしましたのは、この両区域は全国におきましても需用が最も多く、又将来需用の増加する地域であります。将来におきまして万一経済界の変動その他がありましても、これだけの電力は今日この消化に不安があるということは絶対に考えられないのであります。そういう意味におきまして私どもといたしましては、これを東京電力と中部電力の共同の形において、一日も速かに開発をするという決意をいたしたわけであります。この開発計画につきまして世上いろいろの風評があるのであります。要は私どもといたしましては、只今申しましたような事情で最も確実に最も急速に開発をするという趣旨にほかならないのであります。東京電力と中部電力が合同をしてこの開発に着手をするという考え方につきまして一応御説明を申上げておきたいと考えるのであります。
 先刻も申しましたように昨年の再編成の結果各地凶の電力会社が発送配電の一貫経営をいたしました。その一貫経営の中に供給の責任を持つ、言い換えますならばそれぞれの電気会社はそれぞれの電源開発の責任を持つておるわけであります。中部電力といたしましては、昨年五月新会社発足以来大体三段階の電源開発計画を立てたのであります。即ち第一段階といたしましては、私どもがいわゆる緊急電源対策といいましたもので、これは約十八億円の資金を以て向う一カ年間に五万六千キロワツトを急速に竣工せしめるというものであります。これは大体すでにその完成は確実になつております。一部のものはすでにできておるのであります。第二段階は主としまして見返資金によるものであります。これは一カ所数万キロの水力発電所数カ地点、乃至は火力発電所の増設等をするものでもります。これは大体二カ年乃至三カ年間に竣工するものを目途としておるのであります。これ又今日着々実行に移されておるのであります。
 第三段階といたしまして私どもは大規模な電源の開発を計画しておるのでありますが、具体的に申しまして大規模な地点といたしましては、天龍川と大井川の開発計画なのであります。このうち、大井川の地点は十三万キロのダムを井川地点に作るのでありましてこの川はすでにその下流数カ所に既開発の発電所を持つております。河川の一貫開発という上から言いまして、中部電力が一社でこれを開発するということが妥当であると考えまして、すでに本年当初からこれが具体化に着手しておるのであります。然るに天龍川の地点はその規模から申しましても、一地点の出力といたしまして我が国の最大のものであります。資金的に申しましても三百四十億円を要する大工事であるということは御承知の通りであります。これを四カ年間に亘つてこの資金を調達いたしますためには、この間に起り得べき幾多の金融情勢の変動に対処してあらゆる資金吸収の態勢を用意して置くことが至当であると考えるのであります。即ち当然に国家資金の援助を考慮せなければならないのでありますが、でき得る限りの民間資金を動員することを前提といたしております。又資金の供給源としてはもとよりでありまするが、低金利である点も考慮いたしまして外資の導入を考慮しておるわけであります。無論かかる場合にその資金の受人態勢といたしましては、我が国の電力会社中最も信用の高い東京電力並びに中部電力が共同いたしまして、その信用をバツクにすると共に電力の需要面から言いましても、最も確実な消費地を持つ二大会社が、その全電力の消費を確約した契約の上に工事を進捗するということが、投資側から見て最も安全確実なものであると考えておるのであります。即ち三社共同による開発計画は、專ら今後数カ年に亘つて資金獲得の確実性を増し、又そのことは当然に外資導入に対しましても最も実現性の高いものであるという前提におきまして立案されたものであります。換言すれば純経済的に考えて、最も安全確実な方途を選んで、而もこれをでき得る限り早急に実現したいと努力しておる次第であります。この計画を目して、何かこの電源開発法案に対抗して同法案を抹殺せんがためにするものである、或いはこの法案の成立の場合を予測して、有利な水利権の取引をするものであるというような全く根拠のない浮説を聞くことがあるのであります。これらは私どもといたしましては、いわゆる痛くない腹を探られる全く迷惑至極な憶測であります。私どもといたしましては、只今申しましたように、すでに過去三十年に亘つて、この地点を調査し研究しておりまして、我が国の最大且つ最良の水利地点であると確信をしておる次第でありますが、これを一日も早く開発に着手せんとするものにほかならないのであります。電源開発促進法案が目下国会で審議中であり、これが如何ように決定せられるかということは、これは別個の問題で私は存じませんが、併しこの法案が国会で審議せられるの故を以て、現実に水力の開発計画を遅延をするということは許されないばかりでなく、将来若しこの法案が如何なる形でか仮に成立いたしました場合に、これによつてできました審議会が本地点の開発を必要と認められるならば、準備工事が進捗しておつただけ、それだけ工程を促進し得るものと考えております。我々といたしましては、天龍川のごとき電源の開発は只今私が御説明いたしました形が最善のものであると考えておるのであります。今後法律によつて別個の形態を必要といたしますならば、そのときに考え直せばいいのでありまして逆にその故を以ちまして、電源開発の具体的な着手を遅延させるという何らの理由は考えられないのであります。これを要しますのに、電源開発の急務であるということは、何人も異論のないところであります。而も今日の電力の不足というものを抜本的に解消するというためには、相当の大規模の電源の開発に着手をしなければならないわけでありますが、私どもといたしましては、先ほど申しましたように、この法案の形式による開発の形式には賛成をいたしかねるのであります。天龍川のごとき地点を仮に今日の電力会社の形において開発をするとするならば、只今考えておる形が最善であると考えております。仮に一歩を譲りまして、成る地点が経済的に開発が不能である、或いは総合開発の観点から、多目的な水の利用を必要とするというような場合に、初めて国家が介入をするということが考えられるのであります。然らざる限りは、できる限り民間の創意工夫、或いは企業意欲を活して、国家はこれを行政的に、又従いまして資金的にこれを援助助成するという形が一番望ましい形であると考えておる次第であります。天龍川の開発計画につきまして併せて御了承を得たい次第であります。
#11
○委員長(佐々木良作君) 有難うございました。少し時間がはみ出しましたけれども、これを以ちまして午前の部の公述を終りました。公述人の都合もありますので、時間は少し遅くなりましたが午前の部の質疑に入りたいと思います。従いまして午前に述べられました紀伊つや子君並びに貝島義之君、只今の井上五郎君の公述につきまして御質疑のありますかたは順次発言なお求め願いたいと思います。なお質疑の場合におきましては、誰々に質疑ということを成るべく明らかにして御質問をお願いいたします。御質問ありませんか。
#12
○古池信三君 午前の時間が十二時半ということでありますから、あと十分しかないのです。そこで只今伺つた、特に井上さんの御意見の中に非常に重要なものがあると思うのですが、これはゆつくり一つお互いに了解を深める意味において御意見も更に伺つたほうがいいじやないかと私は考えるのです。従つて午後にも質問は続行するようにしたら如何かと思いますが、無論午後の公述人の御都合もありましようから、その公述が済んだあとで結構だと思います。
#13
○委員長(佐々木良作君) ちよつと速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#14
○委員長(佐々木良作君) 速記を始めて下さい。
 只今の古池君からの御要請は井上君も了承されましたので、午後の部の質疑に入れたいと思います。
 ほかに御質問ありませんか。若し御質問がないようでありましたならば、午前の公述人の御都合によりましては、只今のような井上君のような方法をとつて頂くことをお願いいたしまして、一応午前の分を終了いたしましようか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○委員長(佐々木良作君) よろしうございますか。それでは午前の部を終了いたしまして公聴会を休憩いたします。午後は確実に一時半に再開をいたしたいと思います。
   午後零時二十五分休憩
   ―――――・―――――
   午後一時五十八分開会
#16
○委員長(佐々木良作君) それでは午前に引続きまして開会いたします。
 午後の公述をお願いいたしますかたは、朝日新聞の論説委員の土屋清君、それから建設技術研究所長の内海清温君でありまして、予定しておりました日本労働組合総評議会の事務局長の高野實君は急病で出席不可能になりましたことは午前に御報告申上げた通りであります。最初土屋君、内海君と公述をお願いいたしまして、その後に午前中の余りの部分をも含めて質疑をして頂きたいと思います。
 先ず土屋清君にお願いいたします。
#17
○公述人(土屋清君) 私はこの電源開発促進法案に賛成であります。以下それにつきまして私の考えておるところを申上げたいと思います。
 敗戰日本にとりまして残された唯一の資源が電力、即ち水力であることは、もはや申上げるまでもないと思います。これを開発利用するということが日本経済の前途にとつて殆んど唯一とも言うべき可能性をもたらすものと私は考えます。特に十年先を考えますと、この際放置されておる大規模電源を急速に開発するということが極めて大切ではないかと思うのであります。大規模電源と申しますと、一カ所で五十万キロ或いは百万キロとれるというような大規模の地点、まあ国内三、四カ所あるかと思いますが、こういうところはなかなか今まで手が着けられない、放置されて及んでおる。現在でも五万キロ、十万キロ程度の開発は行われておりますけれども、大規模電源に至つては殆んど手が着けられていない。併し先を考える場合には、今日において速かにその開発のスタートをすることが、私は日本経済のために非常に大切だと思うのであります。その手段方法といたしまして、本法案に示されましたような全国一つの特殊公社で以て開発に当るということは大変結構だと思うのであります。これに対しまして、全国数社の民間会社、電力会社を中心とすると承わつておりますが、民間会社で以て開発するというような意見もございますし、又それほどはつきりした形ではないと思いますが、公社若しくは国営といつたような、そういう公共的な色彩の非常に強い形で以て開発しようというような意見もあるかのように聞いております。私はそれに比較いたしまして、今回の御提案になりました全国一つの特殊会社という形が最も妥当と信ずるのであります。その理由は、第一に、この大規模電源の開発には非常に巨額の金を必要といたします。恐らく一千億円内外の金に結局なるのじやないかと思うのでありますが、その資金の調達ということになりますと、今の金融情勢或いは将来を考えましても、こういう大事業を賄う資金、而も相当長期に亘つて回収しなければならないような資金は、財政資金に主たる部分を依存するほかないと思うのであります。財政資金を如何なる形で出すか、一般会計から出すか、或いは開発銀行、その他資金運用部資金を出すか、いろいろ又問題がございましようが、結局財政資金を出すほかはない。そうしますと、財政資金を巨額に大量に使用する場合におきましては、国民感情といたしましても、それが特定の純然たる民間会社の使用に委ねられるということについては非常に割切れない感じが残ると思います。国家資金を大幅に使用するものであれば、それについては相当国家として監督をして行く必要もあろうと思いますし、又財政技術といたしまして、支出の場合に、民間会社よりは公的色彩を持つた特殊会社のほうが支出しやすいということもあろうと思います。このように問題は資金の性質から申しまして純然たる民間会社よりは、私は特殊会社のほうがよいと考えます。然らばそれほど大きな国家資金を使うならば、いつそのこと公社若しくは国営でやつたらどうだ、成るほどそうすれば、これは全く国家資金の性質とは合致するわけでありますが、併しあとから申上げますように、公社等の形態については他の点において又考慮を要する問題がございます。そこまで資金のために形態を国家的にすることは必要でない、やはり特殊会社という程度のことが一番妥当だと思うのであります。
 第二に、大規模電源の開発を行いますには、相当広い地域に亘る総合的な国土開発という形をとらざるを得ないと思います。一カ所でも何十万キロ或いは百万キロというような電力を取るのでありますから、相当その流域は長く、その開発地帯というものが広汎になつて来る、この地帶には、いろいろな水利権の問題も生ずるし、鉱物資源といつたような問題もあるでありましようし、場合によつては観光、風景美との関係もございましよう、又開発に当りまして補償をするというような問題も当然出て参るに違いない、従来も電源開発に当りましては、そのためにいろいろトラブルが起つたのでありますが、こういう今まで考えられなかつたような大規模な開発を行うということになりますと、その困難というものは非常に加重して来るに違いないと思います。特に数県に亘る場合もございまして、行政官庁との折衝ということもなかなか厄介になるに違いないと思う。私も一、二こういう大規模電源地帯に参りましたが、東京で考えてるより広い地帯でありまして、今度実際に開発に着手した場合に厄介たなということをしみじみ感じました。そういう場合に、純然たる民間会社が当るよりは、政府の監督を受ける特殊会社というものが、国家的計画に基いて開発をするという建前をとつたはうが、起り得る今申しましたようなトラブルを解決する上に非常に便利じやないかというふうに私には考えられる。又民間会社でこのトラブルの解決ができないわけはございませんと思いますけれども、やはりそれには相当の時間がかかります。又いろいろ雑音も入つて来るでありましようし、その点においては開発を遅らすというような懸念がないとは言えないと思う。勿論程度の問題でありますけれども、国土の総合開発、それに伴ういろいろの困難を未然に防いでできるだけトラブルを少くして行くという意味におきましては特殊会社の形態のほうがよいのじやないかと考えます。
 第三に、民間会社が、民間の電力会社が出資をして開発会社を作つて大規模電源の開発をやる、そういう構想があると聞いております。具体的にはよく承知いたしておりませんが、そういう構想があるそうでありますが、現在民間の各電力会社が相当の電源開発を担当なさつておると思うのであります。その電源開発をやつて行くだけでも私は今の電力会社にとつては相当の負担だろうと思います。且つ又開発以外にも現在の電力会社はいろいろの面において問題を孕んでおる、もつともつと能率的な運営もしてもらいたいし、サービスもよくやつてもらいたい。又小規模の五万キロ、十万キロという、源開発は民間電力会社が独自の御工夫でやられるほうがいい、そういういろいろの仕事を民間の電力会社は背負つておる。私は再編成には反対でありますが、再編成そのものの形において民間電力会社が一度存在しておる以上は、これが自己に課せられた公的な任務を適正に遂行することには非常に期待するものであります。その使命を遂行するだけで恐らく現在の民間電力会社の能力の一ぱいじやないか、それ以上に更に五十万キロ、百万キロというような大電源開発をする能力が十分現在の民間電力会社にあるとは思いません。そういうことに甚だこの余裕があるならば、現在の電力会社のなさつておるお仕事において多々ますますなさるべきことが多いのじやないか、電源開発の面においても五万キロ、十万キロの中小規模のものを大いにやるべきでありまして、それには独自の御工夫でおやりになり、又資金を調達されておやりになればよろしいのでありまして、そういつた意味におきまして、民間電力会社がこの大規模な電源を着手するということは、現在の民間電力会社に課せられておる使命をよく遂行するということにはならない。おのおのその職分が違う。民間電力会社は與えられた再編成によつてきめられたその地点に立ちまして、自己の業務を適正に遂行するそのことに全力を挙げて頂いたほうが、全体としては電源開発を大きく遂行することになるのじやないかというように考えるのでありまして、勿論これは民間電力会社が電源開発をやつていけないというのじやない。中小規模の開発を大いにやつてもらいたい。それで以て一ぱいじやないか。大規模電源の開発をやる余力は余りないのじやないかというように考えます。
 第四に、全国一つの特殊会社ということでありますと、開発資金並びに資材、技術、労働力といつたものを一元的に運用し得るわけであります。これはなかなか理想通りには行かないと思いますが、仮に数社ができて、大規模電源を各地点で別個の会社で以てやるということになりますと、どうしてもその間において資金、資材等のぶん取り、争奪が始まる。それがお互いに自由競争で意欲を刺戟していい場合もありますけれども、もともと国家資金という枠がきまつておつて、その枠の中でやるということが大部分の資金源になると思われるのでありますから、それならばむしろ資金を一本に抑えまして、それを適正に各地点に配分する、資材についても、技術、労働力についてもそのほうが全体として効果を挙げるゆえんだと思うのでありまして、そういう資金、資材の効率的な使用ということも、まあこれは理論通りには行かないと思いますけれども、分立した場合に起る困難に比べれば、今からでもそのプラスということは考え得ると思うのであります。
 最後に外資導入と特殊会社との関係でありますが、実は私は、この外資導入ということが電源開発に本当に必要かどうかは、それほど重大視いたしておりません。電源開発に外資が入れば、勿論結構である、且つ又日本経済としては将来におけるドルの不足を考えれば、外資の導入ができればいいと思うのでありますけれども、併し電源開発に外資がなければできないとは必ずしも考えない。国内においてあらゆる生産要素がある場合には、国内資金で以て電源開発はできるに違いないと思うのであります。ただ併しそこにプラスXという外資が入つて来た場合には、一層開発が促進されるという効果は考えられる。その意味において、将来電源開発に外資を導入すると、その可能性ということも一応考慮に入れておいて悪くはないと思うのであります。その外資の導入が入る場合を考えて、特殊会社の形がいいか、或いは民間会社の形がいいかという問題がその意味において出て来るのでありますが、これは結局今日本が外資導入をやろうと思えばアメリカの国際復興開発銀行、例のワールド・バンクと称するものが一番有力だろうと思うのであります。ワールド・バンクの今までに行なつた貸付を見ますと、政府若しくは政府保証の事業に対して貸付を行うという形が一番普遍的であるように思います。例外はありますけれども、少くとも政府の保証する或いは行う事業に対して外資を入れ貸付ける、こういう形が普遍的であるように思います。そうしますと、日本の電源開発に外資を入れるという場合も、結局政府保証ということがやはり必要な要件になつて来るのじやないかと考えられる。今日政府保証を與えることは、たしか民間会社に対して政府保証を與えるということを禁止されているように思うのでありますが、私の間違いだつたらば訂正いたしますけれども、大体において余り民間会社に政府保証をやつていない。その場合特殊会社であれば、将来政府保証を與える場合に、一般の民間会社に與えるよりは與えやすいのじやないか。若しも純然たる民間会社に電源開発に限つて政府保証を與えるということになりますと、同じ建前でほかの企業についても政府保証をしなければならぬ、或いは政府保証をしてくれという要求が起るという問題がある。その場合に電源開発が特殊会社であつて、特殊会社だから政府保証を與えたということであれば、そういう場合に処置し得ると思います。そうしますと、私は外資導入が電源開発に不可欠とは思いませんし、又電源開発になければならぬとも考えませんけれども、併し外交導入が入り得る、そういう結構な情勢が生れた場合に、特殊会社であるほうが外資の導入にはやはり便利じやないか、こういうふうに考えるのであります。
 私の論点は以上に盡きるわけでありますが、これに対しましていろいろの反対論が当然起り得るのであります。よく言われる議論はそういう特殊会社を作つては日発の再現ではないか、この間日発をバラバラにして民間電力会社が発足した際に、そういう日発会社式の特殊会社を作るというのはおかしいじやないか、こういう議論が出て来ると思います。もともと再編成に私は反対でありますから、これは取るに足らないと思うのでありますけれども、併し今の立場から申しまして、この法案に示されました特殊会社というものは、私は自発とは非常に違うと思う。これは特殊会社である。国策会社的な国家的意思を相当強く代表している会社という意味においては同じでありますけれども、曾つての自発が一番非難された点というのは、これは発送電の全国独占の一社であつたという点であります。ところが今度の特殊会社は大規模な電源開発という特定の目的であつて、大規模電源開発は独占するけれども、中小規模の電源開発は何ら独占しない。自発の場合は発送電は勿論、開発についても一切を独占してしまつた。そこに自発が非難を受けるとすれば受くべき点があつたと思うのであります。今度の特殊会社はそうではない。大規模電源だけは独占して開発する。国家の認めた根拠によつて開発する。併し中小規模のほうは、これは民間電力会社或いは産業会社或いは府県自治団体等に開放されるわけでありますから、決して独占体じやあない。仮にこの特殊会社が電力を作るようになりましても、それは全体の発送電力量の数分の一にしか達しない。日発が発送電の全部を握つたのとは全く性質を異にするのであります。従つて日発の再現だという議論は非常に粗雑な議論でありまして、私は全く問題にならない。電源開発を独占するのではない。大規模電源開発だけであり、中小規模については大いに民間の創意によつて開発する余地が残されているのであります。この点においても自発の再現という非難は当らないと思うのであります。
 第二に考えられる反対論というのは、特殊会社が非能率だという議論であります。これは私は或る程度認めます。併し全面的には肯定いたしません。成るほど民間会社が能率的で特殊会社が非能率的だということは、一般的に常識化いたしておりますけれども、それはやつぱり個々の場合について見なければいけないのでありまして、現在の民間電力会社が果して能率的かどうかということを先ず検討してかかる必要があると思うのであります。今までにおいては、現在の民間電力会社が能率的だ、従つて民間電力会社が開発をやつた場合は、特殊会社のそれよりは能率的に行くという的確なる証明というものはなかなか出し得ないのではないかと思うのであります。勿論特殊会社というものは、どうしても政府の或る程度の監督は受ける。その結果いろいろ事務的にビユーロークラシイが生れる、そういうような欠陷はないとは言えません。問題はそういう欠陷をどう是正して行くかということでありまして、その点についてむしろ我々がいろいろと工夫を凝らす必要があるのだと思います。私は特殊会社が非能率的だということは、一般論としては認めますけれども、問題はその非能率的だということがそれほど致命的なのかどうか、これを是正する途があるのかないのかということを考えて見ることが必要であると思います。且つ又或いはこの会社がやつた場合に、それほど能率的かどうかということは必ずしも肯定いたさないのであります。特にこの開発を公社或いは国営でやるということになりますと、これは特殊会社の場合以上に能率に対する懸念が強まつて参ります。今日まあ国有鉄道或いは電信電話事業を公社にするという方向に進んでおりまして、国鉄はすでに公社になり、電信電話も近くなるのでありますが、公社ということになりますと、どうしても事業計画、資金計画についてすべてが政府並びに国会に審議を受けるという建前をとらざるを得ない。この段階に至りますと、これはやはり事業運営にはかなりの問題が起ると思うのであります。その意味において、私が今の段階においては公社、国営というのは多少問題があると言つた理由でありまして、そうしますと公社、国営でない特殊会社というような程度のところが能率の点から申しまして比較的弊害が少いのじやないか、全然ないとは申しません。それをどうしたらば能率化できるかということについて研究をして行く必要があろうかと思うのであります。
 それから第三に、この特殊会社案に対して加えられる反対というのは、特殊会社は政府の息がかかつておる。今議会政治、政党政治であるからその結果政党の腐敗の原因となる、そういう危険性を孕んでおるという議論であります。曾つての満鉄などが一時政党色で塗られまして、非常な弊害を起したというようなこともなきにしもあらずである。そういう点から見ますと、特殊会社がそういう政党政治の腐敗の源泉になるという懸念が生ずるのは或いは止むを得ないところかも知れません。特に人事等におきまして政府が総裁その他を任命する場合に、自己の一方的な見解で好ましからざる人物を任命するといつたようなことがないとは決して言えないと思いますが、それこそ国会の監督すべきところだと思います。そのために国会というものがある。そういう議会政治或いは政党政治の腐敗というものが起るべきそういう状態に対して、国会が責任を持つて監視し、その弊害の出現を防止するということをすべきだと思うのであります。特殊会社が曾つてそういう事例があつた。従つて今後においてもそういう危険性があるということは、これはまあ常識的には考えられるのですが、今後そういうことを起さないようにするためにどうしたらばいいか、これもやはり大きな研究問題である。私は国会というものがそういうことについての大きな広い意味の監視を行なつて、こういう腐敗を防止するということをすべきだと思うのであります。又民間会社が電力開発をやつた場合に、そういう腐敗が起らないかということになりますと、これは私はどつちもどつちだと思うので、別に民間会社だから腐敗が起らんという保証もない、場合によつては政府の監督を民間会社はそれほど受けませんから、もつともつと腐敗が起らないとは言えない。結局人の問題であります。結局どういう機構を作りましてもその腐敗が起るか起らんかということは、その当事者の質の問題なんです。特殊会社ができましてそれに清廉剛直な人物が据えられまして、そうして一切そういう起り得る弊害に対して毅然たる態度をとるということであれば、或る程度その弊害というものは防げるわけであります。そういう意味におきまして私はこの危険なきにしもあらずでありますが、それだからといつてこの実に反対する積極的な理由にはなり得ないというふうに考えるのであります。こういうように考えますと、私は現在唱えられる反対論というものはそれほど強力とは思いません。確かに一部の理由はございます。感情的には我々も了解し得る点があるのでありますが、それを以てこの法案全部を葬り去るというほどの大きな理由にはなり得ないというふうに思うのであります。仮に一歩を譲つてこの反対論というものが全面的に正しい、この法案は非常にそういう欠陥を蔵しておるといたしましても、なお且つ私はこの法案が速かに成立するということが今の日本にとつては大事だということを感ずるのであります。それはなぜかと申しますと、若しここで以てこの法案が成立しないということになりますと、どういうことが起るか、私は電源開発の空白時代が相当続くのじやないかと思うのであります。若しもこの法案が成立しない場合には、特に民間会社の出資に成る新会社を各地点別に作つてやるということになるでありましよう。その場合一体これから会社を作つて資本を集めて、そうして一体スタートせしめることができるでありましようか。民間の電力会社はこの秋には大増資をやらなければならん。それだけでも大変な仕事なんです。そのほかに新らしい会社を作つてその資本を集めて、そうして電源開発を軌道に乗せるというようなことを短期間に手際よくなし遂げられるとは私は思わない。結局この法案が成立しなければ電源開発が又一年遅れるということになると思います。私は終戰以来今日まで日本の電源が僅かに三十万キロしか開発されない、そういう情ない状態、これは我々全部の責任だと思うのであります。この歎きを再び繰返してはならない。一刻も早く電源開発に着手しなければならないときだと思うのであります。それだけに、それは勿論人によつていろいろ立場がありますから反対論は出るでありましようが、その反対論のためにこの法案を潰してしまつて、又ここで電源開発の空白期間を生ぜしめるということが国家的に見て有利かどうか。全面的に賛成はできないにしても、併し電源開発の急務ということから見まして、この法案を成立せしめて、そうして悪いところは直して行くことは勿論必要ですが、この法案によれば政府出資で以てともかくスタートは切れる。どう遅く考えましても秋までには会社が成立して、事業に着手されると思います。この法案をぶつこわした場合にここに一年間の空白を生ずる、そういう重大な失敗を我々は繰返してはならない。もう一つ是非この法案が潰れないで何とか成立いたしてもらいたいと思いますのは、私はこの法案に全面的に勿論賛成じやない、いろいろ言いたい点もありますけれども、大体において各政党政派の先ず譲歩し得る、妥協し得る線に来ておると思うからであります。一方の、つまり民間の純然たる民営会社でやろうという案でありますと、これは恐らく社会主義政党は挙つて反対するだろうと思うのです。然らば社会主義政党の主張するように、公社若しくは国営でやろうといつたらば、これは保守政党が全部反対するに違いない。そうなりますと、いつになつたつてこれは電源開発が軌道に乗るわけはないのです。特種会社というものはその意味では、或る意味では不徹底かも知れない。不徹底かも知れないが、純然たる民営会社に片一方が非常に反対する、純然たる公社若しくは国営になりますと又片一方が大いに反対する。そういう状態で議論はかり繰返していつになつても軌道に乗らない、その弊を避けるためには、比較的特殊会社というものは中間的な案であつて、従つて保守党にしても社会主義政党にしても、私はまあ全面的に満足とは行かないけれども、この程度ならば我慢ができるという線じやないかと思うのであります。私は電源開発というような問題は、政党政派の利害によつて遅らされてはならないと思うのであります。八千万国民の最大公約数といつたような一線を見付けまして、その線で以て多少のところは譲り、お互いに譲るべきところは譲つて、その線で以て速かにともかく電源開発を軌道に乗せるということが今非常に大事じやないかと思うのであります。その意味におきましては、特殊会社という案は純然たる自由経済の立場をとる自由党から見ればこれは或る程度のやはり譲歩だと思います。社会主義政党は公社或いは国営という形をとろう、或いは社会化でやろうとする。社会化を待つておつたのでは今の政治情勢からいつていつのことかわからん。その間の電源開発はできないわけですから、やはりまあ純然たる民営でなくて特殊会社であればここのところはやはり社会主義政党としても譲歩し得るのじやないかと思うのであります。そういう政治的聰明を私は大いに期待するものであります。この案が絶対的にいいとは申しません。いろいろ欠点もあります。先ほど申しましたような反対論にも聞くべき点があると思いますが、併し大局的に見まして八千万国民の最大公約数を求めろといつたならば、先ずこの辺のところで妥協するというのが一番日本人として聰明な態度じやないかというように考えるのでありまして、何と言いましても電源開発は国家的な問題、而も急速に着手しなければいけない問題、そういう意味におきまして、私は細かい反対論はお互いに譲りまして、大局的に見てこの法案が成立するということを心から期待するものであります。これを以て私の公述を終ります。
#18
○委員長(佐々木良作君) 先ほど申上げましたように、質問はあとで一活してお願いすることといたしまして、次に内海清温君にお願いいたします。
#19
○公述人(内海清温君) 終戦後石炭が非常に欠乏いたしましたために石炭の傾斜生産ということが唱えられまして、幣原内閣以来第一次吉田内閣、片山内閣、芦田内閣、この歴代の内閣が石炭を超重点産業に取上げましてこれを強行して参つたのでございますが、当時私どもはいわゆる石炭べ―スの傾斜生産を広く電力ベースに切替えなければならん、少くとも石炭と並行して電力の増産即ち水力電源の開発を図らなければ、日本の経済復興、経済自立は望まれないということを強く主張して参つた者の一人でございます。従いまして昨今この電源開発が日本経済自立のために不可欠の基盤であるということが丁度往年の石炭の問題と同様に或いはそれ以上に政府並びに国民の間に強く認識されて参りました。これに呼応いたしまして九つの電力会社は只今全力を挙げて自己資金と国家資金とを以て建設に促進いたしております。又府県の河川総会開発がこの預金部資金によりまして、電源開発を骨子として全国各地に行われております。又自家用発電が開発銀行の融資を受けまして、これも活溌に水力開発をいたしております。これは誠に喜ばしい現象であると存ずるのでございます。然るに今回又この電源開発を大きく促進しようとする意図を以ちまして、電力開発促進法案がこの国会に提出されて審議されておりますことは誠に結構でありまして、私は双手を挙げて賛意を表するものでございます。私は土木技術者でございまして、この三十年間專ら水力開発に携わつて参りましたいわゆる水力技術者でございます。従いましてこの水力技術者の立場から若干気の付いたことを申上げることにいたしたいと思います。逐條的に批判を加えることはいたしませんで、法案を通覧いたしまして感じましたこと、或いは問題になるであろうと思われますような点につきまして、順序なく申上げることをお許し願いたいと存じます。
 この法案におきまして開発の対象となるものが二つになつておるようであります。一つは大規模な電源開発、一つはいわゆる国土の総合開発の一環をなすものであるところの電源開発となつております。どちらも大変結構であると思います。第一のこの大規模な電源開発、これは私が申すまでもなく緊急に着手されなければならんものであります。と申しますのは、現在電力会社におきましては工事をやつておりますもの、又自家用としてやつております発電所、それから県営でやつておるもの、それから電力会社が五カ年計画というものを立てまして、そうして開発を予定しておる地点、こういうものを見ますとこの殆んど全部が豊水期には大きく発電し、渇水期には小さく発電する、言い換えますとこの電力を常時化するためには多かれ少なかれ火力の補給を仰がなければならないものばかりでございます。現在ですら御承知の通り火力用石炭は非常に不足している状況であります。然るに今後この発電所ができるに従いましてこの石炭によつて補給する必要がだんだん大きくなつて参ります。ところがこれに見合う石炭は到底期待できない状態でございます。然るにこの只見川の開発を初めといたしまして、この大規模電源はいずれも大きな貯水池を持ちます。即ち石炭に代るものでありますからこれを一日も早く開発して、そうして逆に石炭が、火力発電用の石炭を節約するということを今から心掛ける必要があるのであります。大規模電源開発を急がねばならん理由の一つはここにあると存ずるのでございます。
 第一の国土総合開発の一環としてなされる電源開発でございますが、私が申すまでもなく日本のこの尊い水資源はこれをただ電力だけに利用するばかりでなく、灌漑とか或いは工業用水とか、上水道とかそういう方面にも遺憾なくこの水は利用されなければならんのであります。又一つのダムが発電に利用されるだけでなく、治水にも他の利水にもいわゆる多目的に利用されなければならんということは私が申上げるまでもないと思います。従いましていわゆる水資源の総合的開発ということが必要になつて参ります。言い換えれば発電事業と公共事業が複雑に関連して参るのでございます。この法案では、国或いは公共団体の行う公共事業を発電を担当する者に代行させ得る途が開かれておるように存じます。これは大変必要でもあり、又従つて大変結構であります。従来は発電事業とこの公共事業が互いに邪魔し合いまして、そうして開発が非常に遅れるという例が多々あるのでございますが、この法案によりましてこの従来の欠点を除去することができれば大変結構だと思います。
 それからよく問題になります技術者不足の問題でございます。新らしく大きな開発会社を作りましても、技術者が得られないのではないかということが各方面で心配されているようであります。一昨年でありましたが日発の解体、電気事業の再編成が論議されておりました当時、実はかく申す私も日発の建設陣が九つの電力会社に分散したのではその一つ一つが非常に弱いものになりはしないかということを心配したのでございます。ところが案ずるより産むがやすく九電力会社とも立派に建設陣容が整いまして、それぞれ不都合なく、未だ曾つてない盛んな建設が行われておる実情でありまして、私どもの抱きました心配も杞憂に終つたようなわけでございます。元来一国の建設力と申しますものは決して固定した存在ではございません。非常に彈力性を持つた伸縮性のあるものでありまして、需要の起るところに供給が生れるといつたいわゆる経済原則に従うものでございます。需要の起るところに供給が生れると申しましても、需要と供給との間に時間的ズレができはしないか、こう懸念される向きもあるかと存じますが、さような心配もないように存じます。と申しますのは、潜在建設力とでも申しましようか、日本には現在需要があればこれに応じ得る、或いは応ずることを常に希望しておるところの多数の有能な技術者が心ならずも他の職場に潜在しておるからでございます。具体的に若干の例を挙げて申しますと、その一つは旧日発におきましても或いは新らしい電力会社におきましても、停年制というものがございまして、満五十五歳になりますと退陣しなければならんということになつております。技術というものは体でなくて頭の働きでありますから、五十五歳と言えばいわば最も油ののつた最も円熟した年輩であると申してよろしいと存じます。殊に建設技術は理論はもとよりでありますが実地の経験というものも極めて大切であります。これらの人々は長い間理論と実地の経験に鍛えられた貴重な存在であると存じます。これらの人々は停年になりましても決して引退して遊んでおることはできないのであります。東京大学、昔の帝国大学と申しました大学の教授は満六十歳で勇退することになつておりますが、勇退すると同時に他の停年制のない大学の学長、或いは教授に迎えられまして、そうして大いに働いております。いわんや僅か五十五歳でありますから、まだ五年や十年は立派に一人前以上に働けるのであります。これらの人々は止むを得ず余り得意でもない他の職場で働いておりまして、機会があればもとの水力建設に返つていま一働きしたいと考えておる人が多数あると存じます。これが私の申します水力開発に対する潜在建設力の一つでございます。
 第二には朝鮮満洲などから引揚げて帰つて参りました多数の水力技術者でございます。これらの人々のうち極く一部の人は適当な地位を得ているようでございますが、大部分は第一の例と同様な状態におるように存じます。
 第三に挙げたいと存じますのは、従来も現在も水力建設には全然経験はないが、併し立派に水力建設に動員し得るところの普通の技術者が多数あり得るということでございます。水力の建設というものは丁度飛行機の組立工場のようなものでありまして、具体的に言いますと、例えばコンクリートのダムを作るためにはダムの材料であります砂、砂利はどこのものを使うか、そうしてその砂、砂利とセメント、水の配合の割合をどうしたら最も安くて最も強いコンクリートができるか、こうしたコンクリートの技術というものが電源開発には必要になつて参ります。それからこの厖大なダムを作るための厖大な材料を早く安く運搬するところ機械設備の工夫設計が必要になつて参ります。トンネルを掘りますにしても、トンネルの通過地を地質的に或いは地形的に研究しました上で路線の選定をしなければなりません。又水門だとか水圧鉄管だとかいうような設計も必要であります。こういうふうに発電所の、今発電所を作る土木工事について見ましても、おのおの専門に分かれておりまして、そうして各專門別に学理の研究と実地の経験とを持つておりますならば、必ずしも従来水力に携わつていないでもこれらの技術者は立派に水力建設に動員することができるのでございます。こういうものが私の先申しました潜在建設力の一斑でございまして、需要があれば供給が生れると申しましたその供給源の具体的の例でございます。なおこれに関連して申上げたいのは、水力開発に必要とするところの技術者の全部を企業者即ち開発会社が全部を雇用して持つておる必要はありません。測量だとか、計画だとか或いは設計、更に必要ならば工事監督までも社外の、いわゆる顧問技師或いは顧問技師の団体である法人、こういうものに委託する方法もあるということでございます。これはアメリカなどでは数十年の歴史を持つておりまして、盛んに活用されておるのでございます。我が国におきましても現に県営発電だとか、自家発電などでは盛んにこの顧問技師、技術顧問団というものを利用しておるのでありまして、九つの電力会社のうちの或る電力会社さえも若干この技術顧問団を利用しております。今後この傾向はますます強くなつて来ることが予想されるのであります。大変好ましいことであると存じます。いま一つ技術について申上げたいことは、外国の顧問技術者の利用でございます。現に日本の政府はOCIと称する技術顧問団を招聘いたしまして只見川、熊野川の調査計画を委託いたしたのでございますが、現在も九州電力とか東京電力などもこのOCI、(海外技術顧問団)に調査計画を依頼しておるような状態でございます。アメリカにはたくさんの優秀な顧問技師がおりまして、現にアメリカのあの大きなダムの半分を建設する責任を持つておりますが、陸軍などにおきましても自分の持つている技術陣以外にこの顧問技術者を利用しておるのでございます。今度できますであろう開発会社も、これらの外国の技術者を利用する必要が起るかも知れませんし、又大いに利用してよろしいと存ずるのであります。かように開発会社ができましても技術者の点ではそう心配はないのではないかと考えるのでございます。私はいろいろのかたから、今度開発会社ができるとしても開発の対象となつているところの地点の調査、計画が十分できているだろうかどうだろうか、こういうことを聞かれるのでございます。これについて一言触れて見たいと思います。本案に規定しておりますような開発会社ができましてすぐ着工できるかどうかということは、勿論私は当事者ではありませんから、すべての地点について調査の進行程度というようなものははつきりは存じておりませんが、大体今すぐ開発会社ができても工業に直ちに着手し得る程度のものが相当あるというふうに考えております。勿論今後も精細な調査、計画は引続いてやらなければなりませんが、開発順位の早いものほど調査も早く完了しなければならんことは勿論であります。この点につきましては、九つの電力会社の五年計画に挙げておる地点でも、その五カ年計画に取上げております地点を見ましても、まだぺ一パー・プランの域を全然出ていないものがたくさん見受けられますが、それでよろしいのでありまして、工事にかかつているものもあり、調査を完了してすぐかかれるものもあり、又これから調査して計画を立てるものもあり、こういうふうにあるのが普通でありまして、これで結構だと思います。開発会社におきましても同様であると存ずるのであります。この意味でも私は一日も早く開発会社が出現いたしまして、開発に早く着手して頂きたいと考えるのでございます。
 それから調整審議会というものがこの法案ではできることになつておりますが、従来一つの開発を行います場合に、建設省はもとより、文部省、厚生省、農林省、運輸省、こういつた各省の所管に属する問題がありまして、そのおのおのの省と折衝いたしますために驚くべき時日を要するのが実情であります。日にちがかかつても解決すればまだよろしいのでありますが、どうしてもその中の或る一省の理解が得られないために、開発を断念しなければならんといつたような場合もあり得るのであります。この調整審議会の構成メンバーを見ますと、七人の行政機関の長というものが加わつております。いわば閣議に準ずるような構成になつておるようでございます。この審議会で速かに調整がなされることは誠に結構でありまして、又極めて必要であると存じます。この審議会が強力に機能を発揮することを私は望むのでございます。
 それから一社か数社かというような問題がありまして、只今も土屋公述人から一社案に賛成の御意見がございました、私も同感でございます。この数社案というのは、例えば只見川、熊野川、天龍川、吉野川、こういうものを開発するために四つの会社にしたらどうかという案も考えられるわけでありますが、私はやはりいろいろな理由で一社のほうがよかろうと考えております。と申しますのは、例えば今四社を作つたといたしますと、そのほかに又石狩川開発のため北海道にも特殊会社を一つ作れ、庄川の開発のために北陸にも作つて欲しい、球磨川の開発のために九州にも作れ、こういうような強い要望が必ずや各方面から起つて参りましよう。そうなるとその一つを拒否する何らの根拠もないわけでありまして、結局は開発の重点主義が破れて総花主義に堕する慮れがあると存じます。又数社の特殊会社を作れば、競争意識を発揮して互いに勉強するだろうという意見もあるようでありますが、他の事業ならばそういうこともあり得るのでありますが、水力発電というものはそうは行かないのでございます。と申しますのは、水力地点というものは百ありましても千ありましても皆地形が違う、地質が違う、流域面積が違う、一つとして全く同一な條件にある地点というものはないのでございます。従つて作りますところの発電所も千差万別でありまして、同じ物差で計画とか施工の優劣の比べようがないのであります。甲の地点では担当者が非常に優秀で計画も施工も大変よくても、乙の発電所より電力原価が高くなることがあります。逆に乙の地点におきましてその担当者が優秀でなく計画もまずくても、それでも甲よりも安い電力原価でできるという例がたくさんあります。電力原価によつてこの計画とか施工、こういうものの比較はできない。即ち数字によつて優劣の判定はできないのであります。九州の電気が高いから九州電力が怠慢だとも言えません。北陸の電力が安くできたといつても必ずしもそれだけでよく勉強した、優秀な成績だとほめるわけには行かないのでありまして、一つの会社でありましても見るものが見ますれば、よく勉強しておるかどうか、怠けておるかどうか、この計画が優秀であるとかどうかということはわかるのでありまして、その意味で競争的に複数の会社を作るということも必要はないと考えます。結局政府なり国民が一社に集中いたしまして監視、監督をすることが却つてその監視、監督を徹底するのではないかと存じます。以上のような理由で本案の一社案に賛成いたすのでございます。
 なお、民間の数社の開発会社を作つて、そうしてこれに政府資金を出してもらつて開発しようという案があるのであります。これもできれば大変結構であります。併し先ほどの土屋公述人の言われた通りでありまして、大規模の資金を出すには投資という形しかない。投資をするとすれば、その投資した会社を強く監督しなければならん。結局特殊会社の性格を帯びざるを得ないということであります。それならば結局この法案に落付くことになりまして、この法案に賛成するわけでございます。一般の輿論といたしましても、只見川以下あの大規模の開発は到底民間会社ではできないであろう、どうしても国家の力で開発しなければならんであろうということは一般の常識になつておると存じます。この法案はこの輿論に応えたものであると存じまして敬意を表する次第であります。
 以上秩序もなくいろいろ申述べましたが、要するに本法案の意図するところ、即ち電源開発の促進ということは勿論双手を挙げて賛成するところであります。電源開発を促進する手段方法についてもおおむね結構だと存じます。ただこの法案が実現しますれば、電力会社その他の電力の開発に当つているものに対する国家の援助が手薄くなるのじやなかろうか、それがために又折角旺盛に盛り上つて来ている電力会社の建設意欲を冷却せしめるようなことはなかろうか、こういう懸念をする向きもあります。私はこの法律が実現せられましても、電力会社或いは自家用発電、或いは県の総合開発の骨子となるところの県営発電、これらに対しましていわゆる電源開発促進の意味におきまして、もつともつと国家の融資の枠を拡げて、そうしてこれらの民間或いは県営の開発が自由潤達に開発されることを望んでやみません。特殊会社ができるためにほかが継子になりませんよう、その意味でできることならこの法案に一、二の事項を織込んで頂いたらと思つております。その一つは、開発会社以外の電源開発担当会社に融資の枠を規定するような條項を加えることであります。安心してできるようにこの法案の中にもつと枠を拡げたところの融資を規定する降順を加える。第二に、電力会社にも外資導入ができるように国家が援助するような法的措置がとれないかどうかということであります。私は先ほどの土屋公述人の所論には全面的に同感でございまして、私の言わんとするところを殆んど全部網羅して言われたように存じますが、ただ外資については多少意見を異にしておるのでございます。この大規模電源開発は小規模電源開発に比べまして、建設に時間を要します。そういたしますと、資金を注ぎ込んでも生産をするまでに相当な時間、その間円が氾濫して生産がこれに伴わないというような懸念が、いわゆるインフレの要素になる懸念がなきにしもあらずだと思います。そうしますと、どうしても外資を導入してそうしてそのドルで以て何も水力開発に必要な資材を輸入する必要はありません。その電力開発に来るところの外資を以て日本の生産なり、国民生活に必要とする物資を入れて来るということがインフレを起さないで、そうして長期の大きな建設ができる方法じやなかろうか。その意味において、つまりインフレを阻止するという意味においての外資導入が望ましいのではないかと考えているのでございます。又この開発会社だけでなく、民間電力会社にも外資を要求するのであります。又国家がちよつと手を貸せば外資が導入できるというような場合には、何か国家的に援助する、法的措置を盛り込むことはできないだろうかというふうに考えております。もう一つは、この総合調整審議会の総合調整の権能をもつと強いものに、法案で盛られている以上にもつと強いものにしたらどうか、それが望ましいと思います。例えば水利権という問題も、強制譲渡ができるような措置とか、或いは水没地その他の用地の土地収用がもつと迅速に行くような法的措置を講ずることはできないだろうか、こういう事項をこの法案に盛られることはできないかというふうに考えております。石炭を往年増産いたしました場合に、いろいろな手段方法がとられました。例えば石炭を国家管理にするとか、或いは復興金融金庫の金をどんどん注ぎ込むとか、或いは米その他の生活物資を多量に配給するとか、あらゆる手段がとられました。これらの手段、例えば国家管理につきましても、いろいろの批判があつたのでございます。併しながら結果といたしましては、石炭増産がずんずんと上つて参りました。そうしてほぼ戦前の生産量に達して今日に至つております。この結果を極く大まかに見まして、手段方法に多少の批判があろうとも、かくのごとくいい結果を迅速に生み出したということについては、誰も否定するものはありません。従つてそのとられた手段等につきましても、今となつては批評する必要がないと考えるのであります。電力の増産という問題にいたしましても、この法案でとつておりますその手段方法につきましては、或いは先頃の電力企業の再編成であるとか、或いは今回の電源開発促進法であるとか、少しでも電力増産にプラスとなると思われる手段をどしどし勇敢に実行すべきではなかろうかと思います。そうして実行して見て割る移転は又どしどし改善したらよろしい。毎年法律案の改正をされることもできるのであります。どうせ人間のやる仕事でありますから、いいと思つてやつてもその通りに行かない、理想通りに行かないことは多々あるのであります。この場合ああでもない、こうでもないと議論に時間を空費することがこの際一番いけないのじやないかと、こう考えております。電力会社にやらせようか、特殊会社にやらせようかと、こういうことでなくて、電力会社にも手一ばいやらせる、又これに対して国も極力援助する、その上に更に特殊会社というものを作つて、そうしてその特徴を発揮させるということは誠に望ましいことであると存ずるのであります。
 以上秩序もなく大変杜撰な点もありましたが、思付くままを申上げて御参考に供する次第であります。
#20
○委員長(佐々木良作君) 以上を以ちまして公述人の公述を一応終つたわけであります。先ほど申上げましたように質疑に入りたいと思います。質疑の場合におきましては、どうか相手方を成るべくはつきりと指名されまして質疑を行われますようにお願いいたします。質疑のありますかたから御発言を願います。
#21
○委員外議員(下條恭兵君) 土屋さんに二、三お尋ね申上げたいと思います。土屋さんは九分割には反対の考え方を持つておられて、なお且つ現在の各政党の主張なり、政策なりを勘案いたしまして、最大公約数で電力を早急に開発するという意味合いから、この法案に賛成なさろうという御趣旨は私ども非常に傾聴いたしたのでございます。そこで私は先ず最初にお尋ね申上げたいのは、土屋さんは外資が場合によつては入らなくても差支えないと、こういう御意見であつたように伺つたのでありますが、この法案作成の前後におきまして、政府のほうでも外資を入れるために特殊会社を作るという建前から、公益委員会その他といろいろ協議されたということをこの参議院の委員会で公益委員会のほうからはつきり言つておられるのであります。それで私どももやはり外資を期待すべきであるという考え方に立つておるのでありまするが、私の聞くところによりますと、ワールド・バンクは最初どうであつたか知りませんが、最近では全く商業採算に合う事業でないと投資しない。つまり政治借款のようなものは余りやらないようになつておると聞いておりますし、又今ここで、参議院では今国会で外資法の審議をやつております。このことは間接には外資導入のための施策であると、こういうふうに考えるのですが、入ればよし入らなくてもよしという土屋さんの御意見は、入らなくても差支えないという考え方なのか、或いは入らなくても無理してもやるべきであるという考えにおいておつしやつておられるのかという点、並びにこの委員会で私はいろいろな質問の経過で知つたのでありますけれども、電力の原価は殆んど九割乃至九割五分が金利であるから、従つて非常に安い金利の金を使うということが安い電気を作ることであるということになりますと、私はこの外資の低金利のものを期待するということは当然であろうと思うが、この点を先ず最初に伺つておきたいと思います。
#22
○公述人(土屋清君) お答えいたします。外資の問題、これは私が申しましたことが多少内海公述人にも又下條さんにも誤解されておるかのように感じますが、私は外資が入らなくてもいいというのは、外資に頼らないで、とにかく日本が円資金でも電力は開発し得るのだ、そういう建前をはつきりさせることが必要なんであります。その上に立つて諸般の計画を進めることが今一番必要だと思うのです。政府のように、最初から外資、外資と言いますと、外資が人らなかつた場合にはそれでは電力の開発はできないのじやないかということに必然的になつて来る。外資導入の見通しについては意見はいろいろあると思いますが、私は必ずしも政府側の言われるように、そう簡単に入るものとは思つておりません。併し入らない場合でも電力開発はやらなければならん。その場合に又円資金を以て立派にやれるのであります。その意味におきまして、外資を先ず頼つて、外資のためにこの法案を作つたというふうには私は解したくないのであります。従つて外資が入つて来れば勿論結構であります。又入るようにできるだけ努力するということを否定しておる意味ではない。ともかく円資金ででも電源開発はできる。併しなお外資が入れば結構なんで、それに応ずるような態勢を法律的に整えるということもこれ又結構なことだと思います。先ほどお話の中に、商業採算でなければ外資は入らぬというようなお話がござ
 いましたが、その商業採算という意味は、もともとワールド・バンク今までの貸付を見てみますと、普通の金融常識における商業採算の考え方から私はワールド・バンクは貸付をしておるとは思いません。例えば農業に対する貸付というものも相当ございます。港湾拡充といつたようなものもございますし、電力開発はこれは至る所に出しております。こういつたものはみんな
 いわゆる商業採算ではないわけです。場所によつては、これはイラクですが、洪水対策にまでワールド・バンクは貸付をしておる。とても洪水対策なんか商業採算に乗るわけではないのです。その商業採算という意味は、日本側が余り政治的に話を持つて行つて、しつかりした建設計画も或いは償還計画もなしに、それを何か日本から政治的に持ち込む、それは困る、少くとも普通の銀行の貸すような商業採算のペースに乗らないけれども、きちつとした計画を持つて来て、そうしてこういう開発が行われて、これによつてこういう償還計画がある、こういう計画を示せという意味だと思うのであります。私はワールド・バンクからの借入につきましては、悲観も楽観もいたしておりません。恐らく大規模な大きな金は入らないでしようけれども、金額の少い五千万ドル、或いは一億ドルといつたような程度のものであれば、比較的入りやすいと思います。そのほうの可能性は決して否定いたしておりません。要するに私の申上げたい点は、外資に頼らんでも即刻円資金で以て電源開発に着手しなければいけない。外資が入ればなお結構ですから、そのための法案等についても考慮を払うことは結構だと思います。
#23
○委員長(佐々木良作君) なお午前中の公述人のうち、紀伊公述人並びに貝島公述人は都合によつて退席されました。残つておられますのは井上公述人であります。従いまして井上公述人を含めて御質疑をお願いしたいと思います。
#24
○委員外議員(下條恭兵君) それではもう一つ、これもこの委員会で論議されておる問題で、土屋さんにお尋ねしたいと思いますが、今の特殊会社ではワールド・バンクの外資の導入は困難であろうという考え方と、それからそうでないという考え方と二つあると思います。これは今後の審議に重要な参考になる点だと思いますので、土屋さんのこの点に対する御意見を一つ伺いたいと思います。
#25
○公述人(土屋清君) ワールド、バンクの貸付を見ておりますと、政府若しくは政府の保証による企業に対する貸付というのが一番多いように私は思つております。そうしますと、特殊会社であれば政府保証を日本政府として與えやすいと思います。現在民間の会社に対しましては政府保証を與えることは行われておりませんけれども、特殊会社であれば例外的に、株式会社でありましても政府保証は與えやすいのじやないかと思いますし、そうしますと特殊会社であつたほうが外資導入には便宜ではないかというふうに考えます。
#26
○委員外議員(下條恭兵君) それでは次にお伺いしたいと思いますのは、最初に土屋さんはこの電源開発には財政投資としても非常に多額のものが必要であるということを言つておられましたし、まさにその通りだと思いますが、現在までも民間の会社にいろいろな形で、私はこれに対して野放しのやり方がいいというのではありませんが、二十七年度の予算におきましても、造船その他に財政投資が行われておると思います。そこで金額に多少の大小がありましても、公社にはいろいろ欠点があるからいかんが、とにかく特殊会社であれば財政投資をしてもよろしいという御意見、これは何か徹底を欠いておるような気がいたしますので、はつきりしたことを伺つておきたいと思います。
#27
○公述人(土屋清君) 特殊会社であればその株の申分は政府が常時持たなければいけないということになつておりまして、従つて政府の監督が十分に行われ得ると思います。併し又この法案を見ますと、会計その他についての帳簿の検査等については、非常に一般の民間会社以上に広汎な権限というものを政府は握ることになるのでありまして、その意味におきまして貴重な政府資金というものを投入した場合に、それが有効適切に使われておるかということにつきましても立ち入つた調査ができることが可能になると思います。そのことは国民の金ですから、これを一つの企業に非常に大量に投下する場合に、当然その程度のことはしなければいけないと思います。起り得るいろいろな腐敗を防ぐというような意味におきましても是非とも必要じやないかというように考えます。本来なれば公社若しくは国営にすれば、その点は無論国家資金、国家事業でやるのでありますから一番徹底しているのでありますけれども、私は理想としては国営賛成であります。又公社賛成でありますが、ただ日本の今の経済の段階では、公社制度を全面化するということは時期尚早だと思つております。この前の石炭国管のお話が先ほど内海さんからちよつと出ましたけれども、私は石炭国管のときには賛成いたしました。恐らくあの当時新聞社では、私のほうの新聞だけだつたと思いますが……、極力賛成して成立せしめたことには多少寄與したかと思います。国管のその後の状況を見ておりますと実は時期が早かつたことがよくわかりました。労働者もそれから社会主義政党というものは、新らしい法案を作るまでは熱心でありますが、法案を作つてからそれを実現せしめる意味においては非常に熱意を欠いておるということがよくわかりました。現在の段階では公社若しくは国営ということをまだ唱える時期が熟しているとは思いません。その意味におきまして、今日私は公社若しくは国営によつて財政資金を使うということには賛成できかねます。
#28
○委員外議員(下條恭兵君) 国管の功罪は別といたしまして、(笑声)私はまあ内海さんも先ほどああいう措置をとつて非常に石炭の増産に寄與したと言つておられますし、実は私そういうふうに議論して参りますと、場合によつて非常に能率がいい民間会社であつても政府が監督して国家の財政投資を誤りなからしめるという方法もあるという御議論に発展して行きやしないかと思つてこの点をお尋ねしたわけでございます。これはこれで結構でございます。その次に私がお伺いしたいのは、先ほど一社案を支持する理由の一つとして、資金、資材の効率的な使用ということを挙げておられたと思います。実はこの委員会におきましても、池田大蔵大臣は場合によりますと、ビルの建築のようなものを差止めても電源開発のほうにセメントや鋼材を廻すということも考えられるということを言つておられたわけです。今この電源開発に国として全能力を挙げて行くということになりまして、地方の公共団体も電源開発をやり、自家用発電もやり、九会社もそれぞえ力一ぱい電源開発をやる、なお且つこの特殊会社ができて大規模発電に全能力を挙げて行くということになりますと、私は当然土屋さんのおつしやる資金の効率的、資材の効率的な使用ということはインフレ防止の建前からいつて、主屋さんは当然計画経済を考えておられるのじやないかというふうに考えるのですが、この点に対する土屋さんの御意見を一つお伺いしたいと思います。
#29
○公述人(土屋清君) 私は今全面的に計画経済を行う必要があるとは思いませんが、最小限度設備投資の規制を行うことは是非ともやらなければいけないと思つております。現在金融面において設備投資の面から経済を計画化して行くということが最も必要な段階だと思つております。電力に対する開発資金でございますが、これは主たる部分は大規模電源については国家投資で行う。併しそのほかやはりいろいろと民間の会社も開発されるということでございますし、それに対する資金というものは非常に問題になつて参ります。先ほど内海公述人が言われたことは私は大賛成でありまして、民間の会社がおやりになることは、国家としても全力を挙げて便宜を図らなければならない。と同時に資金計画の面におきましても、民間会社が電力開発については相当の考慮を払わなければならないと思います。そうしますと少くとも計画経済を全面的にやることは必要ないと思いますが、設備投資につきましては、国家が相当コントロールする、そういう機構を考えて行くことが、今直ちにやつて行かなければならないことだと思つております。
#30
○委員外議員(下條恭兵君) 次にお尋ねしたいと思いますのは、この特殊会社につきまして、土屋さんは非常に日本の国の現在の政治情勢なり、経済情勢なりをよくお考えになりまして、そうして現在の段階に即したものの考え方をやつておられるように思いますが、そこで私はお尋ねしたいと思いますのは、この特殊会社ができまして、この会社は長い生命を持つておる会社でないということは法案に規定してあると思います。できたものは売つてしまうか、貸してしまうか、その当時の責任者というものはいずれも遠からず退陣するということには法案を見ればなつておると思うのでありますが、こういう場合に、これは個々の我々の質問に応えた答弁の中にも、こういうふうな短命な、あと継続するか継続しないかわからないようなものに対して外資の貸付なんかやる馬鹿はないと痛烈に主張されたかたもありますが、今この問題は別としまして、今私がお尋ねしたいと思いますのは、腐敗防止について全部国会で責任を持つて監督し得るということでありますが、まあその責任は大いにあると思いますから、そこでそういう腐敗が起きないようにするまでには如何なる法律を作るかということを我々は考えておるわけでありまして、僅かに五年か三年で会社ができて、発電所ができれば、売つてしまつて、あとは責任を負わないということで、果してこういう今日の日本のいろいろな疑獄なんか起きた例から言いましても、こういう会社が果して国会の監督それ自体だけで誤りなくやれるかどうかというような点については、私どもは相当疑惑を持つておるわけでございます。これが政治的に利用されておることを非常に恐れておる一人なのでございますが、これに対して土屋さんの御見解を一つ伺いたいと思います。
#31
○公述人(土屋清君) おつしやるようにこの法律を見ますと貸付又は譲渡するということになつております。辞し二十二條の第一項第三号には「電気事業者に対する電気の供給」という項目も謳つてありまして、必ずしも電源開発が完成した場合にすぐに消えてなくなるものと私は考えません。この電源開発が一応できました場合の、そのときの政治情勢なり経済状態なりと睨み合せまして、その上で法律のどの條項によつて処分するかということをお考えになるべき問題かと思つております。私の私見といたしましては、電源開発を行いました場合に、発生電力はこれはいわゆる融通会社的な考え方によつてそれだけは別個に供給するという建前で以て残して置くほうがいいと思つております。併しこのことは今ここで以てきめるべき問題ではなくして、今後の情勢で以て考えて行くべきが妥当だと思います。それから又これは電源開発は非常に短期間に完成するように考えられますが、これは私はそうは思つておりません。日本の今後の資源としては、もう水力だけでございますから、第一期計画、第二期計画が完成してそれで終つてしまうという問題ではない問題だと思います。包蔵水力最低限度二千百万キロワツトぐらいはまだ水力で出せると思つております。日本が今後工業立国によつて多大の人口を養つて、そうしてそのエンプロイメントを維持して行くということになりますと、その第一期の計画、第二期の計画が終りましても又その次の計画をやらなければならない情勢になるのじやないか、又そうあるべきだと思つております。従つてそれほど短期間とは考えません。将来そういう場合に起り得る腐敗というものを防止しなければ、折角開発したけれども、どうも政治的腐敗が起るからもう開発はよそうということになりかねない。その意味におきまして、政治的腐敗がこういう事業に伴つて起らないよう考えて行かなければならない。これは私は罪を、例に何も人を見たら泥棒と思えと考えておるのでなくて、必ずしもすぐに政党的な腐敗があるとか、開発ということを濁らしてきめてかかるということはしないのですが、そういうことに陥りやすい危険性があると思います。今までの例から、これは先ほど申しましたように人の問題、経営者の剛直な清廉な立派な人を選ぶ。それこそ政府はこういう国家的な事業をやる以上、好ましからざる人物というような人を、或いは特別の利害関係とか私的な関係において起用するということをやめて国家的見地から立派な人物を起用されて、そうして国会がこれを監督するという建前をとれば、国民の監視が厳重なわけです。これだけ大きな金を投じられておるのですから、私は政治的腐敗を防止する途はあると思つております。そうでなければ民主主義は育つて行かないと思つております。
#32
○委員外議員(下條恭兵君) 只今の問題に関連してもう一つだけお尋ねしたいと思いますが、この法案で土屋さんの御意見といたしまして、どういうところを直せば腐敗防止は完璧だという点についてのお気付きの点があるかどうかお尋ねしたいと思います。これはまあどちらでもよろしうございますが、先ほど士屋さんとしては電力会社は秋は増資しなければならんし、なかなか大変だということを指摘しておられましたが、九分割されて間もない各電力会社は、恐らくその通りであろうと思います。併し、午前中の井上公述人の公述の中にもありましたが、又我我の手に入つておる資料から言つても、各電力会社が相当活発に電源開発をやつていると思うのであります。ここまでは電力公社でできるが、これ以上の大規模なやつは電力会社では困難だと言われておつたと思うのでありますけれども、この限界というのは、技術屋が不足という意味で言つておられるのか、或いは又資金調達の能力がないというのか、或いは現在の九電力会社の経営陣に、もうこれ以上大きいことをする能力はないと考えておられるのか、いずれであるのか、この点をちよつと伺つて置きたいと思います。
#33
○公述人(土屋清君) この会社に対する監督規定は、私はこれで結構たと思つております。余り又細かい監督をいたしますと、それこそ能率低下という問題が起りますので、その点は結構だと思つております。ただ十九條の「総裁、副総裁、理事及び監事は、内閣が任命する。」、そうして又総裁は内閣総理大臣の任命だと思つておりますが、この選任について、何か工夫が要るのじやないか、まあこの條文で、今あつたかどうかわかりませんが、やはり国会の承認を要するとか、特別の選考機関を置くとか、何かそういう点の工夫があつたほうがいいと思う。結局は人の問題たと思つております。なお民間の電力会社のほうは井上さんのほうから……。
#34
○委員外議員(下條恭兵君) 今土屋さんのなにを井上さんここでお聞きになつておつたと思いますが、私は土屋さんにお尋ねしたのでありますけれども、まあお答え頂けないとしても結構でございますが、井上さんにお尋ねしたいのは、電力会社はもう現在恐らく技術陣も何も一〇〇%に動員していて、経営能力が限界点に達しておるのか、またうんと能力があつて、先ほど天龍川について抱負を述べておられたようなことがおできになるのかどうか、この点をお尋ねして見たいと思います。なせかと申しますと、これは先ほど内海公述人から遊休技術者はうんとおるということを言つておりましたしいたしますので、その点に対する井上さんの見解を一つ伺いたいと思います。
#35
○公述人(井上五郎君) 只今の電力会社は再編成後僅々一ヵ年間でありまして、まだ世間のかたがたの大きな御期待に副い得ないという点があるかも知れないということを先刻申上げたつもりであります。又私どもといたしましては、この短期間ではありますが、できるだけの努力をしたつもりであるということも申上げ得ると思うのでありますが、併し、そのことは、逆に申しまして、今日限度一ぱいに来ているのだとは言えないと思うのであります。これは会社によつても若干事情は違うかと思うのでありますが、私どもといたしましては、先刻申上げましたように、私どもが現実に自力ででき得る限度においては、勿論努力をするほかに、若し他の会社と手を組んでやるのが最善と考えればそうした方法を講ずる。技術者の問題につきましても、先ほど内海公述人からお話がありましたが、現実に停年を延長するという方法もとれますし、又外部の人を嘱託にする、或いはコンサルタテイウ・エンジニアを動員する等、いろいろの方法があるのでありまして、そうしたことは工夫或いは経営の範囲においては如何ようにもできると思うのであります。結局において、やはり最終の問題を起すものは資金であると考えております。
#36
○古池信三君 只今おいでになつておりまする土屋、内海公述人からは本案に対する賛成の御意見を伺つたのでありますが、中部電力の井上社長は、それぞれ理由を挙げて反対の意見を述べられたのであります。私は井上さんの非常に熱心な御所論、殊に本案についてよく御研究なさつた御議論については傾聴いたしたのでありまするが、ただここに一、二基本的な考え方についてお尋ねもし、又私も所懐を申上げたいと思うのであります。現在の日本の情勢から言いまして、国も民間も、それぞれその所に応じて総力を挙げて電源の開発に邁進する、そうして豊富な電力を早く作つて、国民生活を向上し、更に又我が国の産業経済を発展さして行くというその目的については、冒頭において井上さんも御肯定になり、私は万人の異論のないところだろうと考えるのであります。問題は、その電源開発を促進して行く方法論にあると思うのでありますが、先ほど来お話を承わつておりますと、この特殊会社案というものは、日本の自由経済の行き方に逆行するものではないだろうか、こういう御意見があつたように思うのであります。昨年の電力事業の再編成以後におきましては、九つの電力会社は商法上の民営の会社になりましたし、又発送配電一貫した会社になつて活溌におやりになつておる。それは十分に認めておるのでありますが、併し、これは再編成によつて電力事業が完全な自由な働きができるというようなものでもなかろうと思うのであります。それは申上げるまでもないのでありますけれども、大体天與の資源たる水利というものは、これは国民全般のものである、それを開発して又国民全般が使う、その仲立ちをするという仕事を各電力会社が受持つておられるわけでありますから、幾ら民営会社であろうとも、その業務の上から言えば、非常な公益性あり、又自然的な独占性がある。これによつて大きな制約を受けておられるわけであります。従つて、自由経済自由経済と申しましても、電力事業に関する限り必ず大きな国家並びに国民からの監督、監視というものを受けて、その限られた枠内において大いに企業努力をなさる、こういうものと私は解釈しておるのであります。でありまするから、この際電源拡充の必要上、国が資金を投入する会社を一つ作つて、これにもやらせるということがまつたとしても、何も自由経済に逆行するというように私は見る必要はない。又さように考えるのはやや相違した見方ではないかと思うのであります。完全な自由な商売でありますならば、経営者の施策がまずくて、その会社が破産するなり、或いは倒産すれば、これは止むを得ないとして放つて置けるかも知れないのであります。電力事業のようなものはそういうことは絶対に許されない。仮にその会社の首脳者はその責任をとられようとも、そういうような事態が起りますれば、迷惑するのは国民でありますから、絶対に会社を潰すわけには行かない。それは昨年来の電気料金の値上げの場合におきましても、いろいろと反対はありましたが、結局これによつて電気事業を健全化するならば止むを得ないだろうということに帰一したように思つておるのであります。従いまして、自由々々と言われましても、非常に自由性は私は少い事業であるということを先ず基本的にお考えになつておるかどうか、かように思うのであります。それから第二は、どうも先ほどのお話を承わつておりますると、この案に盛られておりまする特殊会社というものは如何にも現在の既存の電力会社の立場から見まして、非常な対立した競争相手のようにお考えになつておるのではないか。そこに私は根本的な考え方の相違が現われておるのではないかというふうな気がいたすのであります。これはお読みになつてわかりまするように、大体発電所その他の設備を作るということが前提になる目的でありまして、供給をするということは極めて例外的な場合に限るのでありますから、むしろ電気事業ではないといつても過言ではないくらいの会社であろうと思うのであります。一種の、極端に言えばこれは土建事業会社に近いものでもあるのであります。従つて電気事業者がこれを如何にも競争相手のように、まあ言葉は非常に悪いですが、これはお許し願いますると、何か現在の電力会社の仇でもあるようにお考えになるのは、これは少し思い過ごしではないだろうか。むしろそれよりも今日分たちも一生懸命に開発しておるが、なお日本の実情から見ると電源の開発は急速を要するから、そういう会社ができて共に手を握り合つて行つてくれるならば結構だ。なおそれからでき上つた設備はそれぞれの会社に譲り渡すという根本原則になつておりまするから、でき上つた設備を自分たちの会社に受入れるのだ、こういうふうにお考えになれば一種の傍系的の会社である、或いは何と言いますか、共に協力をしてくれる会社である、こういう考えのしたにいろいろ御研究下さいますならば、大分私は変つた面が出て来るのではないだろうか、こういう気がいたしておつたのであります。具体的な面におきまして数項目先ほど御意見がありましたが、これにつきましては、たまたま土屋公述人が先ほど御発言になりました内容に、非常に私も同感する点が多いのであります。ここに繰返すことはその煩を避けます。ただ一つ二つ申上げますと、こういう御心配があつたようでありまするが、建設専門の会社であるというと、その設備ができ上つてしまえばもう電力会社に譲り渡すのた、こういう前提の下に工事をやる場合は、無責任な工事になりはせんだろうか。あとはもう自分は運営をしないのであるから、先ずその体裁だけ整えればそれでいいのではないか。まあ無責任な建設が行われるであろうということを心配されたように伺つたのでありますが、併しこれは私は又反対の考え方もあるのではないかと思うのであります。水力発電所のようなものは、これはもう極めて壽命の長いものでありまして、殆んど半永久的な設備であります。而も極めて大きなものであつて、誰が見てもその発電所がいいか悪いかというぐらいのことは、専門家は勿論のこと、少しでもその道を噛つた者であつたならば大概わかると思うのであります。殊に土木なり、建設の技術面を担当されるかたとしては、それはその人の殆んど一生の技能を傾けて建設されるのが普通でありますから、その人の一種の記念塔になるわけであります。この発電所は何の誰がしが設計をして、誰がその工事監督に当つたと、殆んど一生を賭ける仕事でありますから、その人としては、本当に心魂をそこに投入して建設されるわけであります。でき上つたものがどの会社がその所有権を得ようと、それは別であつて、こういう構造物を自分がこの世に残したのだということは大きな誇りとなるものだと私は確信するのであります。でありますから、今お話になつた無責任ないい加減な物を作つてそれで引渡すというような御心配は、私は申上げましたような考え方から余りないではないのだろうか、かように考えるのであります。そのときそういうような会社ができて、発電所を作つて讓つてくれるということになりますと、現在の電力会社としては供給責任を感ずる、その感じ方が薄らいで来るのではないか、こういうようなお話もありましたが、これもどうも腹に入らぬのでありまして、設備は多々ますます弁ずるのであります。次に今申しましたような立派な設備が譲り渡されるということになれば、一層供給の責任を強くし、これをバツクするわけでありまするから、むしろ電力会社としては喜んでもらわねばならんとさえ私は考えるのであります。更に特殊会社の経営としてとかく政治的な力によつて不当なほうに曲げられる慮れがないかということ、これは私は若しそういうことがあれば非常に遺憾なことであつて、絶対にそういうことがないようにせねばならんということにおきましては、井上さんと全く同感であります。この特殊会社案に対しまして、本当に心配をし、そういうことのないように防止せねばならない。弊害があるとすれば、そういうことが或いは考えられるかと思うのでありますが、これは何と申しましても、土屋公述人が言われましたように、できるだけの措置を講じて、そういう弊害の起きないようにしたい。このためにこの案そのものを葬るというには当るまいと私も考えております。それから昨年来現在まで各電力会社におかれまして、或いは自己資金或いは社債借入金等をいろいろな方途を講じて、御努力になつて集めておられます。又工事現場について見ましても、非常に熱意を持つて開発に努力されておりますことはよく私は認めております。認めておりますが、併しながらやはり電力会社の現在の資本或いは陣容その他の関係から申しまして、又電源の加点のあり方にもよると思います。そういうような面、いろいろ総合的に考えますると、おのずからそこに一定の限度が出て来るのではないかと思うのであります。先ほど下條さんの御質問で、それではその限度はどの辺に線を引くかというお尋ねがありましたようですが、これはちよつと私も具体的にどこに線を引くかということはなかなかむずかしいと思いますが、併しそこに一種の通念で、常識的に考えてこれくらいの規模の会社であつたならば、大体この辺の金融はできる。又この程度の工事ができるというところが、おのずからこれは長い経験によつてあるものではないかと私は思います。その他いろいろあつたようでありまするが、結局こういう会社を作つて電源を開発促進することは、現在の電力会社から言えば角を矯めるものである、こういうお話がありましたが、私はそうでなく、角を矯めるのではなく、その牛に対する飼い葉は政府もいろいろな点において、或いは見返資金において、或いは又資金運用部資金であるとか、更に又場合によつては開発銀行、いろいろな手を用いてこれを援助し、飼い葉を與えて、而もその上にかような開発会社によつてでき上つた設備は、この電力会社に譲り渡すのでありまするから、角を矯めるどころか更にこれに翼を與えるものである、かように私は考えますので、細かいところは別といたしまして、基本的な考え方につきまして、もう少し井上さんにもお考え願つたらどうかと、かように考えて御所信を更にお伺いしておきたい次第であります。
#37
○公述人(井上五郎君) 只今古池議員から伺いましたお説は、先刻私申述べました意見に対しまする御反駁と申しますか、御意見であるかと思うのでありまして、そうでありますと、実はこれは意見の問題になりますので、若干申上げにくいのでありますが、問題は、この法案の趣旨とするところが、国家が資金的に、又行政的に電源開発を援助しようという基本的な趣旨からスタートしておる。それが賛成であるということは私も申しました点であり、只今古池議員からも御指摘があつたのでありますから、従いまして国家が相当な財政資金を出すのだ。ただその財政資金が如何に効率的に、而も急場に、急速にこれを間に合せ得るかという方法論についての意見であるかと思うのであります。この方法論についての意見が、先刻私こうした意味におきまして、この電源開発会社という特殊会社による方法よりは他の形のほうがよいのであるという意味で反対をいたしたわけであります。只今お話がありました第一点、即ち電気事業は自由主義形態ではあるけれども、野放しな自泊主義にしてはやれない性格の事業ではないか、公共事業業ではないか、お説の通りであります。今一般商法に基いて会社はできておるということを私は申したのでありますが、一般商法だけの監督でない、即ち公共事業令の監督を受けておるということは当然であります。水力資源を使う、例えば天然のり資源を使うのだから、野放しに或る会社だけがその利益を享受できないじやないかということは当然であります。私は水をただで使つているのじやありません。又水火調整金、水力のある、多い地区の会社は、火力の多い地区に補給金を出しておるといつたようないろいろな行政的と申しましようか、そうした公益事業の面から止むを得ない制約というものは当然に受けるべき性格のものであるわけであります。併しながらこれはどこまでも最小限度であるべきであると考えておるわけであります。そうした制約を受けるほどいいのだというようには私は考えておりません。それから第二の問題であります特殊会社が、何か電気会社に仇なんだ、競争相手なんだ、そんなものができては何か怖いのかというふうなお考え、それは私は決してそういう意味で特殊会社がいけないというふうに申上げたつもりはないのであります。今更、電気が昨年再編成をされまして一つの体系が與えられ、その形において及ばずながら最善を盡しておるこの段階において、今更別の会社を作らなければ最も効率的な国家資金の利用ができないと考えない。むしろ私どもにやらさして頂き、先ほど下條議員の御質問に答えましたように、おのずから人間には限度があるかも知れませんが、そこに経営の工夫、民間の創意工夫、あらゆる企業努力というものがあり得るわけでありまして、最大の難点が資金である以上、その資金面につきまして今後とも格段な国家の御援助があるという前提に立ちますならば、私ども更により効率的な方法で電源の開発ができるんではないかと、こういう考え方を申述べたわけであります。その他先ほど私申述べました点につきまして、一々の御意見を伺いました。勿論これらにつきまして十分考慮しなければならない点がある。つまり今の私どもの経営の面において、そうした点は、いろいろ考慮しなければならない点はあると思うのでありますが、基本的には、只今申しましたような再編成後僅かに一年でありまして、未だ完全であるということを申上げかねます。この形におきまして、只今の御意見を反映したいい形においての電源開発、従つては、その面を通じての経済界への寄與ということができ得るのじやないかと、こういうふうに考えております。
#38
○委員外議員(栗山良夫君) 私は土屋公述人にお尋ねをいたしたいと思います。先ほど土屋さんのお話を承わつておりますると、昨年再編成に反対をせられましたお考え等を伺つておりまして、私ども全くその基本的な考え方においては同感なのであります。にもかかわらず、この法案に対して私は非常な疑問を只今持つておるのでありまして、そこに昨年の再編成に反対をせられました土屋さんが、この法案に対して御賛成をなさつておる、その論拠の点について、私一点だけ伺いたい点があるわけであります。それは先ほども自発の解体後の今日できまする特殊会社は日発の復元ではないということをおつしやつた。これは電力の独占、発電の独占をするのでないという御理論のようであつた。併し私は日発の解体をせられましたことにより、国民が受けました一つの波というものがあるといたしまするならば、そういうものよりもより以上に重要なことは、いわゆる日発が全国的な電力の需給を行い、又料金の全国的なプールの基準についてそれがなくなつたということが一番大きな点であろうと思う。その点については殆んどお触れになつていない。そこで私は今度の法律案を審議いたしまするときにも最も熱心に考え、そして議論をして参りました点は、電気を起す電源を開発するということについては、何人にも負けない私は熱情を持つております。併しながらそれで能事終れりとするものでないのであります。できた電気をどういう工合に国民に公平に分けるか。特に財政投資、いわゆる税金を以て行うところの開発であるといたしまするならば、なお更それは国民の注視の的になる点であろうと思うのであります。そこで我々といたしましては、この起しました電気は会社が開発すると同時に清算に入るということではなくして、これはやはり一つの電力の融通機関としての、いわゆる融通会社的な組織を作りまして、そうして全国的な電力融通を、やはり独占はしませんけれども、僅かな調整をやれば十分できるわけでありますから、そういうことにしなくてはいかんのではないか。又開発に着手するにいたしましても、こういう特別な建設費は軽減するような措置を講じての特殊会社の開発でありますから、今まで長い間冷遇をされておりました水火の比重の非常に低率にありますところの関西以西の電源開発、例えて申しますならば、具体的には関西の熊野とか、琵琶湖とか、四国の吉野、九州の球磨川、そういう所の開発を最も早く手を着けまして、そうしてその地区の水力の比重を本州中央部に少しでも意識的に積極的に接近をさせまして、そうしてなお且つ全国的なそういう電力融通のような機構を作るべきではないかということを力説して来たのであります。併しながらこの考え方につきましては、先ほど土屋さんもちらりとその構想のあることをお述べになつたのでありますが、私どもは遺憾ながら提案者並びに政府当局に熱心に質したのでありますけれども、そういう考えは毛頭ないことが明らかになつておるのであります。従つて私はそういう意味合いにおきまして、どうしてもこの法案に疑義を持たざるを得ない。これはこの法案の審議の過程において最も重要な点であろうと思う。先ほどあなたはこの法案について何か修正をすべき点はないかとの同僚議員の質問に答えられても、この点にお触れになつていないわけであります。従つてこれをどういう工合に考えるか、この点を明らかにして頂きたいと思います。
#39
○公述人(土屋清君) お答えいたします。私は昨年も、あの電力再編成のときもたしか参議院の公聴会に参りまして再編成法案にも反対いたしました。融通会社案というような考え方のほうが妥当だということを申上げました。従つて只今栗山議員の言われました通り、考え方といたしましては、将来電力融通をなし得るような、電力を供給し得る会社にまで発展することを期待いたしております。そのことが立案者には全然意思が毛頭ないということが今までの審議の経過において明らかになされた、こういうことを申されました。私はそれは非常に重要な点だと思いますが、法案を見ますと、法案の規定は必ずしもそうはなつていない。譲渡若しくは貸與であり、或いは又電力事業の供給をなし得るのだということになつておる。併し今の提案者、立案者はそういうことをお考えになつていない。併しこのことが将来まで果して拘束するものかどうか、これはこれからあとの電力開発の状態、それから経済状態、それから何よりも日本の政治勢力の動向が決すべき問題たと思つております。今日ここで以て電力融通を確約しろということを言つたならば、恐らく提案者は反対しまして、この法案自体が成立しないことになるかも知れない。又私は提案者自体がいつまでも絶対にこれは譲渡若しくは貸與で以て清算してしまうのだという考え方を、おとりになるとも考えたくはない。それは今後の事態の発展によつておのずから一番いい方法を考えて行くべき問題だというふうに理解しております。その意味におきまして私はこの法案はいろいろ希望したい点もございますけれども、そのことのために今反対をして潰すとかどうかするということについて非常に疑問に感じておるのでありまして、社会党両派がこの法案に反対しているということを伺いまして、その論拠がどこにあるのか、よくわかりかねる点があるのでありますが、つまり開発されたあとの電力の利用について自分たちの納得が行かないから、開発それ自体を反対すれば空白が生ずることは、先ほど申上げました一年なり二年なり恐らく空白が出ると思います。或いは民間会社案といつたようなものが出て来るに違いない。そうすれば社会党の立場からすれば、ますますマイナスになるのじやないかというように私は懸念いたします。要するにこういう大きな国家的な問題はいろいろの立場があつていろいろな主張があり、又利害も錯綜し、一体どの点で最大公約数を見付けて行くかということが今の政治的な心がまえとして一番大事な点だと思います。従つて自由党として、これは特殊会社案というものは或る意味におきまして妥協だと思つております。それから又その意思がないと言われましたけれども、この中に電気事業者に電気の供給という一項目を入れて置くことも、これはやはり妥協だと思う。そうだとするならば、やはり社会党といたしましても、どの点まで妥協できるか、そのために開発自体を遅らす、こういう反対をすべきかどうかということもお考えになることが必要じやないかというふうに思つております。私は恐らく電気事業のあり方についての考え方は栗山議員と余り違わないと思つておりますが、ただ開発を今促進することが急務だという意味におきまして、この法案の成立を阻止するということは正しくないというふうに考えております。
#40
○委員外議員(栗山良夫君) 私はイデオロギー的に考える場合に、今のお話どうしても理解が行かないのであります。その点は、例えば国会において法律案を審議するときに、少くともその法律というものは将来のことは別にしていいというお話でありましたが、少くともこの法律案が或る一つの考え方を以て施行せられる、こういう前提に立つて議論をしなければならんと私は思います。従つて国会の審議の過程において現われました構想というものは、これは国民に対する公約であります。国民に対する大きな公約である。従つて私どもそれなるが故に熱心に議論しているのであります。その議論の中で、私どもが希望するような線が全然出て来ない。そして今土屋さんの話を聞きますと、議論は議論だけれども、実際は裏に含みがあるのだとおつしやいますけれども、それならば堂々と将来のことについて或る程度の発言があつて然るべきだと考える。自由党が只今この案を出しておられますけれども、我々は口をすつぱくしてその点の説明を求めているわけでありますが、何らの端緒もつかみ得ない。若し将来に亘つて今私が述べ、今あなたが是認されているような構想があるならば、これは考え方を私は変えなければならん。併しそういうことは全然ないわけであります。そこでずるずると法案を施行して行く間にそれが三十五年で清算するというのが四十五年になり、五十年になり、しまいには卸売りをやることを既成の事実として作り上げて行くということは、これはやはり少くとも私は一つの、この議論に立つて審議する法律案の理論としてはごまかしではないかと思う。特に卸売りということに言及されて法案にそういうことが書いてあるのは含みとおつしやいました。この点は私ども熱心に議論しておりますが、提案者はどういうことを申されますかというと、設備が完成せられる場合の優先順位は、やはり譲渡だ、譲渡だけれども、相手の会社がこれを買えない場合に貸興するのだ、併しその中で卸売りというのは、どうして入れたかというと、こういうことを申しますと、その卸売りというのは大きな発電所でありますから、例えば三十万キロ七度の発電所であれば三十万キロの発電機を設備するわけには参りませんから、五万キロとか適当なユニツトに切るわけであります。一部竣工した場合に漫然と全部の設備ができるまで待つことができない、一部竣工によつてでき上つたものはすぐ用に供さなければならん、そのために卸売りと書いたのである。又将来でき上つた設備に対しまして譲渡も貸與も希望しないものがある、そういうものに対してはやはり売つて行かなければならん、こういう話であります。私はこういう安い電力、税金を軽減し、配当も抑えて行く安い発電原価の電気を、電気事業者が買わないということは、これは恐らく日本の国内の電気の需給が非常によくとれまして余剰電力がたくさんできたときのことで、我が国はこのなけなしの金で電源開発をするのでありますから、こういうような余剰電源を開発するようなところまでやるべきじやないと私は考える。これはやはり過剰の投資である。あなたの先ほど言われた設備規制にもこれは当るわけでありますから、やるべきでない。そういうことを考えて見ますと卸売りという概念はまずないものと見なければならない。今全国的に非常に声の挙つておりますのは、何らかの形において電力の全国的な円滑な融通、それから地域差料金の圧縮、これを考えてそれをやるためには、日発の資本独占の形における復元ではありませんけれども、少くとも日発が非常に重要な役割を果しておつた電力の融通、料金のプールという形において、それもこれで復元し得るわけであります。そういうものを全然隠しておるということは私はどうしても了解できない、こういうふうに考えます。
#41
○公述人(土屋清君) 私はやはり再編成に反対でございますけれども、再編成されたという事実は率直に認めなければいけないと思います。従つて今日九電力会社が発足した以上、或る期間を與えて九電力会社の公約通り、或いは発足のとき国民に約束した成果が挙るかどうか、時日をかしてその業績を見守るべきだと思つております。私は再編成には飽くまで反対でありましたけれども、今日それが国会を通つて、それが現実になつたときにおいては、今の九電力会社がおのおの機能を発揮して初期の効果を挙げるということをじつと見守つて、且つ又いろいろな面において国家としても助成をして行くのが妥当だと思います。そうしますと、今すぐに日発の復元ということは問題にならないと思います。同時に将来において又融通会社を利用すればすぐできるじやないか、私もそう思います。思いますが、若しもこれが可能になるような政治情勢であり、又それが本当に国民の支持を得るということであるならば、将来この電源開発促進法案を改正なさつたらどうですか。社会党が多数をとつてそして国会にその改正を提案されて、融通会社をお作りになるという措置が残されておると思う。今日の急務は電源の開発ということなのです。開発されるまでには三年或いは五年を要する、その間に今の社会党がちじかんでばかりしてもいないでしようが、社会党が大きくなられたならば、堂々とこの法案の改正を提案されて、そしてこの融通会社において運用なさつたらいいと思います。とにかく開発することが急務です。そのことのために開発を遅らせて罷り間違えば、民営会社がどんどんできるということになれば、社会党としてプラス・マイナス・ゼロ、何にもならないことになるのではないかと思います。従つてこの電力の将来の利用についての得心が行かないから、開発法案そのものに反対するということは、私は非常に全体としてはマイナスじやないかというように思つております。
#42
○愛知揆一君 私は簡単に井上さんに二、三の点をお伺いしたいと思うのでありますが、先ほど来の御意見によりまして、電力の開発ということには御賛成である、併し問題は資金の対策である、一言にして言えばこういうふうな御意見であると思うのでありますが、同時に頭から本案に対して御反対のようにお見受けしたわけであります。ところで今度のこの案で考えられておることは、これはひとり特殊会社を作るということだけが、この案の全部ではないことは御承知の通りでありまするし、従つて又電力の開発については、既設の九電力会社を基礎にして、又一方においては自家発電の問題も取上げ、又火力発電のことも取上げる総合的な開発の促進ということが本案の狙いになつておると思うのであります。従つてこれを資金計画の上で申しましても、例えば昭和二十七年度の計画で見ましても、全体に約千二百億円の金をこのために用意をしよう、そのうちのこの特殊会社で担当させようというのは約十分の一に相当する額になつておるわけであります。そこで私はそういうことを前提にして、井上さんが断定されるように、これは九電力会社が作られたときの経営に逆行するものである。或いは又今御説明がありましたが、どうもお話を承わつておりますと、電力会社から見ると、今度の特殊会社が、仇のように思われるようなお話が依然として私の印象には残るわけでありますが、私はそうじやないのだということを中心に伺いたいわけであります。そこで平たく申しますと、資金対策で財政資金或いは国家資金ということを仰せになるわけでありますが、これは二つに分かれると思うのであります。一つは、直接に国民の税金で調達した金を直接に使おうとする場合、いま一つは、例えば資金運用部資金とか或いは見返資金とかいうような直接には国民の税金ということでなしに、国営のいわば金融機関から金を調達しようという場合と私は二つあると思うのでありますが、その二つに平たく分けて考えました場合に、私が井上さんに伺いたいと思いますることは、例えば中部電力会社において、税金から調達する金を直接に中部電力会社として廻してもらうことを御期待になさつておるのかどうか、この点を先ず第一に伺いたいと思うのであります。
#43
○公述人(井上五郎君) 只今愛知議員からの御質問並びに先刻古池さんからのお話もございましたが、要するに何らかの意味で国家資金が電力事業に流入されなければ十分な開発ができない、これは今日の段階においては事実であると思うのであります。現に私ども見返資金その他相当な国家資金の援助を仰いでおるわけであります。将来に亘つて税金の負担になるような意味の国家資金を必要とするのか、或いは預金部資金その他のそうした他の国家機関の資金だけでいいのか、これにつきましては私はそうした財政の専門家でございませんから、断定的のことを申上げにくいのでありますが、要するに只今もお話がございましたように、相当多額の資金、今年度で申しますれば、九百七十億或いは来年度更にもう少し余計な資金が電気事業に必要である。只今のお話ですと、その十分の一ぐらいのものを特殊会社に廻せばいいのだというお説があるのでありますが、例えば十分の一でありましても、それが最も有効に効率的に使われるということを申上げたつもりなんであります。その国家の財政の中で、それがどういう形で出るのか、逆に申上げますれば、勿論税金の負担の形でないことを国民全般が希望すると思うのでありますが、これが国債その他の形で増発されれば、他の金融政策上のインフレーシヨン、その他の面も起りましようし、或いは建設公債その他のもので、これが国内資金で賄い得るかどうかということは、今後の金融情勢によることであります。私どもといたしましては、税金の負担でないことは希望はいたしますが、然らば今後数年に亘つて国家財政がそれのみで賄い切れるかどうかということは、なかなか早急に断定し得ない問題ではないかと思うのであります。先刻申上げましたように、我々事業人といたしますれば、そういう意味からあらゆる面において動員し得る資金の受入態勢として万全の手立を盡しておく。従つてはその一つの考え方として、当然に外資というものを考え、その外資というものは、今日は勿論予測を許さないのでありまするが、それが先刻申上げましたような形が一番受入態勢としていいのではないかという観点の上に、こういう考え方を持つておるわけであります。
#44
○愛知揆一君 只今のお答えでは、まだ私の伺わんとするところが十分はつきりしないのでありますが、それはそれといたしまして、どんで形でもいいから、国が資金の世話をしてくれればいいのだ、こう言われておることは一貫しておられると思うのであります。そうだとすれば、仮に税金からの金が中部電力に入るということになりますれば、今朝来いろいろなお話が出ておりますように、出したほうの国民の立場から言つて十分その資金の使途なり、或いは会社の運営なりに国民的な監視ということか必要だと思うのであります。これは取りも直さず中部電力会社が特殊会社になるということは、私は最小限度の国民としての要請になると思うのであります。そういつたような場合には、先ほど来お話のこととはむしろ結果が逆になるのであつて、私どもとしてはそういつたことになることはお困りであろうと思うし、又そういつたことになるのは、それこそ電力再編成の従来の経緯に徴しても我々のとるべき途じやない。そこでそういつたような金すらも必要である新らしい会社については、この財政や金融の政策の立場からいつて、この特殊会社というものが土屋さんの言われるような補完的な意味合いにおいて、私は補完的ということは自分で言う言葉でありますが、補完的な意味合いにおいて、そういつた必要性からもこの特殊会社というものが私は必要だと思うのでありますが、その点についてはどういうふうにお考えでございましようか。
#45
○公述人(井上五郎君) 先刻もお話が出ましたように、電力再編成が行われましてから僅々一ヵ年であります。土屋公述人のお話がありましたが、仮にその再編成に反対であり、或いは賛成であるにしても、若干かすに時日を以てして、その成果を見ざるを得ないというのが現在の段階であると思います。今日電源開発が急務であり、その再編成をされた九つの会社には能力がないのであるという断定の下に、或る特殊会社を作らなければならないという考え方に私は若干疑問を持つておるわけなのであります。国家資金が流れるということと、会社の形態ということは不可分な問題ではないと思うのです。国家資金が多分に流れるから、その会社に対して監督を強化しなければ、何となく国民として納得が行かないということは、一つの感情としては肯定され得ることであると思うのでありますが、それはそれに適当した監督の方法というものはおのずからあると思います。今日公共事業会によりまして、電気会社は相当なる監督を受けております。先ほど古池委員から御指摘がありましたごとく、私どもが普通の商法による会社であるとか、公益事業であるが故に、いろいろな意味合において監督、制約を受けていることは事実なのでありまして、その監督だけではいけない、その監督を十分強化しなければいけないということは考え得るのでありますが、その監督だけではいけないから、何か特殊の会社にしなければ、こうした国家資金をその会社に入れるべきではない、そう必ずしも割り切れないのではないかと、こう考えておるわけであります。
#46
○愛知揆一君 その点は先ほどお断りしたつもりでありますが、極く通俗的に申しまして国家資金、財政資金と言つても、二通りある。そこで若し国民の税金から直接に使われるような金が直接に中部電力会社という会社に入るとすれば、これはどうしてもその会社は特殊の機構でなければならない、こういうふうに私は思うのであります。恐らくこの点には御意見がないと思います。ただいま一つの範疇に属するいわゆる財政資金、例えば見返資金であるとか、資金運用部資金であるとか、こういうものから何らかの方法によつて電力会社に金を出すということならば、そういつたような金融の政策の面からいつて、特殊の監督の規定というものを特に厳重にしなければならないということにはならないのであります。そこで現状においては、先ほどもちよつと申しましたように、その後者の意味においては、勿論中部電力を主宰されておる井上さんとしては不十分にはお考えでありましようが、全体の国家の総合的な金融財政策の観点からいつて、私はいわゆる第二の範疇に属する財政的な資金としては、九電力会社に対して、十分の計画ができまするように、他の産業に比べて総体的に比重を重くした資金の割当てというものが計画されておるわけであります。でありまするから、私は決しておつしやるように、能力がないとかあるとかいう問題でなくて、金融上の立場からいつても現在考え得るところのあらゆる智恵をしぼつて最大公約数的に割出された方式でやつて行こう、こういうことを私どもは考えておるつもりでありますから、その点は一つ十分いま少し先入感を排して平たくお考え頂いて、先ほどからお話が出ておりまするように、この特殊会社というものができましても、これはあなたがたの電力会社と全く両々相携えて私は運営さるべきものである、決して仇でもないし、又決して我々は電力会社が能力がないというようなことを考えているというようなことでは断じてないということを、十分いま少し平らな気持で更に御協力的にお考え直しを願いたい。この希望を最後に申上げまして私の質問を終ります。
#47
○委員外議員(西田隆男君) 私一、二点井上さんにお聞きしたいと思います。その前に、土屋さんに一言だけ私の意見を申上げておきたいと思います。土屋さんの今日の公述の要旨を考えて見ますというと、電源の開発は賛成だ、だから目的さえよければ、少々手段方法に悪い点があつても、早く通したらよいではないか、こういうのが要約された御意見のように思われます。新聞の論説委員をなさつておる土屋さんとしては、そういう御意見が成立つかも知れませんが、我々国会議員としては、作ります法律そのものはできるだけ瑕疵を少くしたいという観点に立つて法律案の審議をしておりますから、その点は一つ誤解のないように御了承を願つておきます。次に井上さんにお尋ねいたしますが、古池君がさつきあの法律案の中にある譲渡、賃貸に対するあなたの御意見に対して質問しておりました。私も御尤もな意見たと考えておりますが、これに対して井上さんの御答弁はなかつたように考えております。私は古池君の意見にもう少し附加えておきたいのは、ただ個人の面子の問題だけでなくて、少くとも日本の一流の電気事業者であれば、良心的に当然水力電源のダムなどは作るべきである、こういう前提に立つてあなたのおつしやつたことに対して少しわからない点がある。ただあなたのおつしやつただけの理由であれば、そう不安をお感じになる必要はないと思うのですが、何かそのほかにあなたは譲渡、賃貸を受けることが困難な情勢にあるという御意見をもう少し敷衍して御説明を願いたい。
#48
○公述人(井上五郎君) 先ほど古池さんの御質問にお答えを失念いたしまして、相済みませんでしたが、只今のその建設を一応してその後には譲渡又は貸興するのであるという会社が、それ自体機構的にあいまいなものであるという意味において先はど意見を申述べたと考えます。そのことは二つの考え方があると思うのであります。一つは、先ほど古池さんから御指摘がございましたように、いやしくも発電所を作る人は、経営者としても或いは技術者としても、当然良心的な最善のものを念頭において作るべき心組みであるべきであることは当然であります。併しながら問題は先ほど申しましたように、電源の開発をするという前提において如何なる方法が一番いいのか、先刻申しましたように建設そのもののための建設ということはあり得ないのでありまして、建設した結果が最も効率的な最も低廉な電力の供給をなし得る設備であるというその結果において、その建設のよしあしが反映つるというところにその目的があるわけでありますから、建設をした人間がそのまま引続いて運用の面の責任を持つて行くということが責任が終始一貫しておる。それに比べまして若し一応建設だけしておけばとにかく自分の責任は済んだのだというのと比べて、どちらに優劣があるかというと、当然建設、而も建設した後にその運営にも責任を持つて行くという態勢のほうがはつきりしておるのじやないか、そういう意味におきまして優劣を比較するならば、後者のほうがよろしいという意味のことを申上げたつもりであります。それから譲渡又は貸與の問題につきましては、建設後は譲渡するんだ、譲渡をするんだといえば、相手会社がそれを譲り受ける代金を当然支払うべきでありますが、それが今後三年か五年の後に、恐らくは当該地区の電力会社がそれだけの資金を賄い得るというならば、今日は賄い得ないが、そのときは賄い得るという必ずしも見通しはないのであります。逆にそのとき賄い得るならば、なし崩しにでも今日からでもそうした方途が訓じられる得るはずである。又貸與であるということならば、当然或る賃借料を払つて、三十年なり五十年なりの償却年限において、その資金が完済をされるわけでありますから、仮に三十五年といつたような短い期間にはその会社に清算なされないという性格のものになるのではないか。そういう意味におきまして、譲渡も貸與も必ずしも今考えてそう簡単には行けないんじやないか。先ほど土屋さんからお話がありましたように、そのときは又別個に考慮するんだ、そのまま供給を続けてもいいんだということになれば、これは別問題でありますが、私が知つておる範囲におきましては、一応譲渡又は貸與をする、原則としては供給をしないとすれば、その譲渡又は賃與において、何か今日から考えて相当の困難があるということが想定されるのではないか、こういうことを申上げたつもりであります。
#49
○委員外議員(西田隆男君) 只今井上さんの御意見は概念的には一応考えられる問題であると思うのですが、良心的にダムの建設がなされて、而も安い国家賃金を使つて日本の一流の技術者が仕事に従事した場合、これを譲り受ける側に立つあなたがたのほうで、到底譲り受けの困難なような電源原価の高いダムが建設されるということを前提としてお考えになることは私は間違いだと思います。今の譲り受け資金があるかないかという問題は、これは又別個に考えらるべき問題でもあろう。併しながらこの資金に関連して、将来において何らかの措置を国が講じてくれるものであれは、今考えて見てもいいのではないかという議論も少しかけ離れ過ぎた議論のように私は今受取れます。この問題についてもう質疑はいたしません。その次に聞きたいのは、あなたが午前中の公述において資金の問題を非常に重要視して取上げておられました。今も愛知君との間に大分討論があつたようでありますが、あの法案の中で、電源開発資金に関しては、特殊の問題ではありますけれども、平等という字句は使つてありません。ありませんが、政府としては援助をしなければならん、確保をしなければならんという規定が一応あれについてあります。従つて愛知君が言つたように国民の税金をプライベートな会社が使うということは、これは愛知君の意見が正しいでしよう。従つてそのほかの、愛知君のいわゆる第二の場合の資金を電力会社が電源の開発に使われる上において、若しこの法律が通つたらどういう点で資金の問題で不安をお感じになるか、その点をもう少し具体的に御説明願いたい。
#50
○公述人(井上五郎君) 税金を使うのであれば、何か特殊な会社でなければならない、常識的にそう考えられるわけでありますが、いろいろ国家が政策上の問題で、或る特殊な税金を減免してやるといつたようなことがしばしば行われておるわけでありまして、税金的な負担であるが故にすぐそういうふうにしなければならないのかどうか、私はその辺の法律的の問題は知らないのでありますが、要するにそういう意味におきまして、何らかの国家資金を仰がなければならない、そういうふうな実情にあることは事実でありますが、それが特殊会社はそうした意味におきまして、この法律の第五條であつたかと思いますが、国家がそういう意味において努力をする、その場合に一般の電力会社、或いは自家用その他公共団体のものもありましようが、そうしたものに対して差別待遇があるであろうと考えることは或いは少し行き過ぎというか、僻んだ見方であるか知れませんが、私は今後何年か後のそうした財政資金というものを必ずしも楽観的に、電気に関する限りはその国家の努力に信頼をしておれば、必ず電源開発だけの資金は流れて来るんだというふうにのみ楽観ができない。そういう場合におきましては或る特権、無利子であるとか、無配当であるとか、或いは税金を減免してやるといつたような相当なる特権が認められておる会社と、そうでない会社との間には、いろいろ資金面において将来困難が生ずるであろう、こうしたことが一般の民間会社の開発意欲を減退し、又事実において資金の吸収に困難を来たすであろうということを申上げたつもりであります。
#51
○委員外議員(西田隆男君) 大体のあなたの御意見はわかりましたが、この法律案によりまするというと、政府が財政資金を半分以上投資をする、あなたがたのおきめになる企業においては社債を十倍募集することができる、今後社債を募集するという場合においてあなたの御心配が、あなたの考えておられるような現象が起きないとは私も考えておりません。従つてこの法律案が通ります場合に、経理の面においてはそういうことがないように我々も考えたいと思つております。もう一つお伺いいたしたいのは、この委員会で今日内海さんからいろいろ論議されました技術者の待遇がこの委員会でも問題になつております。それは内海さんが今日反対の議論をされましたように、技術者が足りないのではないかという懸念が委員会で随分論議されました。私はこれとは全く反対の考え方をしております。そしてこれはこういうことを言つては悪いかもわかりませんが、日本人の通弊として、若しここに全国一社の特殊会社の電源開発会社ができましたならば、恐らく今の電力会社におる技術人がこの一社の特殊会社に吸収されてしまう虞れを私は非常に懸念するのであります。そういうために各電力会社の電源の開発が、開発すべき僅か一割しか開発しない特殊会社に優秀技術人が吸収されてしまつて、今おつしやつたような資金の面、或いは技術陣の面において、九電力会社の五ヵ年計画、予定の計画が進歩できないという影響のほうが私は大さいのではないかという懸念を多分に持つのでありますが、この点に関して井上さんはどういうふうな御見解を持つておられるか、一つ御意見を承わりたい。
#52
○公述人(井上五郎君) 先ほどの資金の問題でありますが、只今西田議員からお話がございましたように、特殊会社は国家資金を大部分仰ぐほかに、社債の発行等につきましても非常な特権を持つておるわけであります。従つて特殊会社は開発の資金について相当有利な位置に立つものと考えるのでありますが、それだけに一般の既存の電力会社或いは自家用その他公共団体等の開発が資金的に相当不安な状態に脅やかされるのではないかという意味に申上げたのであります。それと同様のことが今技術者の問題につきましてもたまたま只今御指摘があつたと思うのでありますが、そうした国家的な特権を持つた会社というものに優秀な技術者が殺到するであろう、一応そうしたことも想定されるわけであります。併しこれはおのおの意見があり、立法の以前においては当然十分議を練るべきものでありますが、若しそうしたものが一旦できたと仮定すれば、そこに資金の配分でも、技術者の配分においても最も合理的な措置を講ずべき問題であります。或る会社に技術者が殺到する、或る会社は技術者の払底のためにやるべき工事もできないといつたようなことがないように当然万全の措置を講ぜなければならないのであります。これは当然のことであると思います。ただそうしたいろいろな技術者の異動、延いては多くのこれに関連する人の間にいろいろな不安とか摩擦というものを生じない、一応昨年の再編成におきましても、いろいろな意味におきまして人事というものが世間を騒がせたのであります。そうしたことを繰返さないで今の形を最も善用する形において、電源の開発を促進するほうがいいのじやないか、こういう基本的の考え方を申上げたつもりであります。
#53
○委員外議員(西田隆男君) 只今の井上さんの御答弁では、私のお尋ねしたこととその御答弁と少し相違するように考えます。私がお聞きしておりますのは、今の九つの電力会社の技術陣が、新らしくできる全国一社の特殊会社に吸収されることによつて、電力会社の電源開発が予定通りに進行しないという結果が起きて来る懸念も多分に私は持つのだが、あなたはどうお考えになるか、こういう質問ですから、懸念があるならある、ないならないと、その理由があればその理由を一つ挙げてもう少し具体的に御答弁願いたい。
#54
○公述人(井上五郎君) 将来、この特殊会社は如何なる形でいつ実現するかということは全く未知数なんでありまして、その仮定に立ちまして御答弁をいたしますことは、どうも私はつきり申上げかねるのでありますが、併し私の今日の気持を以てすれば、只今西田議員が御心配になりましたような問題は起らないと考えております。これは私の感じでございます。
#55
○委員外議員(西田隆男君) 非上さんにはそれ以上お尋ねはいたしません。
 内海さんにお尋ねしたいと思います。ここに技術人の問題について、たくさんまだおるのだというお話が出ておりましたが、私がさつきから申しますように、若し九つの電力会社の現在の技術人を引抜くとか、或いは九つの電力会社の開発陣容を変更するために生ずる動揺といいますか、こういうことについての電源開発の意欲が少くなつたり、或いは障害を起したりすることはこれは考えられる問題なんですが、内海さんの御意見によりますと、野に遺賢多しというふうに私は認められましたが、少くとも九つの電力会社の開発技術人をいじらなくても新らしくできる特殊会社に計画しておりますような電源開発の技術人が全部、全部というのは語弊がありますが、電源の開発を可能ならしめるような技術人を集め得るかどうか、この点についてあなたの御見解を承わりたい。
#56
○公述人(内海清温君) 私は先ほど需要のあるところに供給が生まれるはずだということを申上げ、又その供給源として考えられるものを二、二申上げたと思うのでありますが、一つ私は逆に質問をして私の答弁にしたいと思います。それは、一体日本で今大きな電源開発会社というものができるか、或いはできないにしても民間の今の九つの電力会社がやりますか、いずれにしても日本の状態はあの大きな電源開発を誰かがやらなければならんということは御了承願えると思います。そうすると、それには誰がやろうとも、それに必要な技術者は当然なければならんわけです。新らしく一つの会社ができてやるから技術者はどうとかいうのではなくて、誰がやつてもそれに必要な技術者は要るわけなんです。そこでどこで切るか、垣根をどこで作るかということだけでなく、必要な絶対数は民間であろうと、新らしい開発会社でやろうと、その開発に必要な技術者の絶対数というものは同じじやないか。それでは新らしい開発会社ができれば技術者は足りないが、今の電力会社がその大きな新らしく今持つておる五ヵ年計画以外に、あのたくさんの大規模にやるその技術者を持つておるのかどうか。若し持つているとすれば、今後開発会社ができればその技術者は要らなくなるからそのほうに流れることはこれは当然じやないか。現在持つていなければこれは外から供給を仰がなければならん。ですから開発会社ができるから技術者が不足する、開発会社ができないで今の既存の会社がやれば技術者は不足しない、こうお考えになつているのじやないかというような気がするので、そういうふうに私は考えております。
#57
○委員外議員(西田隆男君) 私に質問されましたから一つ答弁しますが、私がお聞きしておるのはそういうことではないのです。あなたの今日の公述を聞いておりますと、神様のような考え方をした人ならできるというようなことを言われておりました。すべてを善意に解釈するということだけではいかんので、あなたは少くとも技術の専門家であられますが、経営というものはあなたのおつしやるようにはいかんのです。ここに仮に十人の技術者がおる、この十人のうちのAという者が主宰をして全部を使つておる。Aが抜かれたという場合、あと九人の人間で一つの技術人の団体として団体行動が不可能ではないか。非常にマイナスになるということが九つの電力会社のいわゆる電源開発に支障を及ぼす虞れがあることを私は非常に懸念をしておる。だから九つの電力会社から抜かないでも、いわゆる野に遺賢多しというあなたの御意見なんだから、その技術人を網羅したら電源の開発が可能でありますかどうかということを私があなたにお聞きしておるのであります。そのつもりで御答弁願いたい。
#58
○公述人(内海清温君) 私は抜くべからずとも抜くべしともお答えはできません。それは若し一つの電力会社に同じような性格の同じような技倆の人が二人あつたら、相競合しておる場合もあり得るのです。位置がないから止むを得ないで臨時に付けておくのだということもあり得る。そういう場合に、この二人を分けて使つたほうが能率的であろうという場合には、電力会社から開発会社に抜かれても差支えないのじやないか。ですから抽象的に一人も抜くべからずとか、抜く必要がないということは考えませんで、全体の工事量を並べまして、そうしてこれは九つの電力会社のうちのどういう人がここに来たらば向うにもマイナスにならんで、こちらに大きなプラスになるというようなときは抜くべしと思います。そういうわけですから、抽象的に一人も取らんとか取るとかいうようなことは申上げかねるわけでございます。ただ繰返して申しますが、どちらにしても誰がやるにしても必要なんだ、ただあなたのお考えは今の電力会社そのものでやれば技術者が多少節約になるのじやないか、新らしい世帯を作るなら多少技術者が多く要るのじやないか、こういう御懸念じやないかと思うのです。
#59
○委員外議員(西田隆男君) 議論はしませんが、私はそういう観点からお尋ねしておるのじやないのです。少くとも新らしい電源の開発をするということは、今まで計画されておる電源の開発を危殆に陥れることなく開発しなければならぬ。そういう意味から技術者が足りるかどうかということが論議されたから、今の経営形態の観点に立つて、若し必要なものを持つて行かなければやれないというようなことでは、計画されておる電源の開発に支障を来たす虞れが多分にあるから、そういうことがなくして、あなたのお考えでは、あなたは専門の技術人の大将といいますか、だから御見解を承わりたいというわけです。もう少し、私はこだわつてお尋ねしておるのではありませんから、こだわらないで御答弁願いたい。
#60
○公述人(内海清温君) 御質問の趣旨はよくわかりました。私の考えでは、現在の九つの電力会社の建設に支障なくして、そうして新らしい一つの開発会社を作り得るように考えております。その新らしい電力会社ができて、そこに技術者が流れたために九つの電力会社の建設に支障を来たすというようなことはすべきでありませんし、又しないでよろしい、こう考えております。
#61
○奥むめお君 私ちよつと土屋さんにお伺いしたいのですが、私実はちよつと放送のほうへ行つておりまして残念ですがお伺いできなかつたのであります。あなたの御答弁を通してまあややわかつたように思うのでございますけれども、そのこにつきまして伺いたいのですが、ジヤーナリストでいらつしやるから拡大鏡に映したようにして、或る一点を非常に強くおつしやることは土屋さんとしてはあり得る、当り前だと思うのでございますけれども、併し何か提案者てある自由党が言いたくてむずむずしていて言えなかつたことをズバリと図星をお指しになつた点も随分あると思うのでございます。去年非常に強行して九分割をしまして、今開発法案を出そうとしておる。これは飽くまで建設である、流すのじやない、売るのじやない、卸売りするのじやない、こういうことは私も聞いていたわけでございますけれども、又皆さんの御質問の中でも、前にはここで九分割したことに対してはつきり言えば反省があるのじやないかという御質問も出ていたのでございますが、これは別といたしまして、私ども消費者といたしましては、電源が開発されて豊かに電気を安く自由に使えて家庭生活が合理化できる日を待ち焦がれているわけであります。ですから電源開発に反対のあろうはずはないのでございます。併し私今御質問しますのは一点にとどめて置くのでございますけれども、重力会社も大いに九つのものが轡を並べて一生懸命開発する。又今度の法律が通れば又特殊会社も開発を一生懸命やつてお互いに競争してやつてくれる。私たち非常に喜んでおりますが、若しこれができればますます豊富に安い電気がもらえるだろうと、こう期待したいところでございます。併し又考えて見ますと、今の日本の国力というものはおよそ私が申上げないでもいいくらいに非常に辛いところにあると思うのでございます。ほんの卑近な例で申上げますと、非常に家計が奇しいから内職をしている。僅か一日三十円で、月にしても千円、これだけ稼げるか稼げないかわからんというような稼ぎでさえも、生活保護法ではお前稼いだじやないかといつて差引くと言つておるのでございますね。稼ぐだけ損になる、そのほかいろいろなことを申上げれば切りがないくらいに廻してもらいたい金は随分あるのですけれども、金がないから、予算がないから廻せん。ところが今度この法案によりまして非常に厖大な国の金が流される。たくさんの電気が出て来るわけでございましよう。併しながらそれができます頃、家庭からじつとできます頃まで考えまして、差当り日米経済協力ということがこの目的の中にはつきり謳われているのですけれども、これがどの程度のものであるか、いつまで続くものであるかということは私たちまだ明らかにされておりませんから知りませんです。日本が今どういう状態にあつてどれだけの電力を作らなければならないかということを知らないのです。併し大いにやるのだ。あなたも又電気を一生懸命にやるよりほかないのじやないか、電気だけじやないかとおつしやつておられますことは、これは私どもも心強い陳述だと思つて聞きましたけれども、併し私案じますのは、非常にたくさんのをそちら一辺倒に廻しまして、そうしてできた頃には河へ流さなければならんというほどたくさんできた。私たちのいやになるほど家庭も電化だ、農村もどんどんもつと取らんかということになるほどの金を若しも予算に組んでいるとしましたら、これは、国民としては非常な問題だと思う。この点であなたはどんな見通しで日米経済協力と、又電源開発のために特殊会社で予想しております予算というものは妥当とお認めになりますかどうかということをちよつと教えて預きたいと思います。
#62
○公述人(土屋清君) お答えいたします。御質問の点は非常にやはり私どもも心配いたしておる点でありまして、電力の年々の自然の需用増加も一割くらいと普通の場合は考えておりますが、この日米経済協力というような問題を一番大きく考えまして、それで私はこの電源開発というようなことを考えると少し違つて来やしないかというように思つております。と申しますのは、成るほど日米経済協力ということは大事な問題である。特に当面のドル経済のほうから申しますと重要な項目ではございますが、やはり日本の経済としては非常に臨時的、応急的な性質のものだと思うのであります。日本経済協力ということは、もつとやはり安定した基盤の上で正常なる輸出の増進と、それから国内の資源の開発と同時に国内市場の確保ということを長い目で見た場合には考えて行かなければいけないと思うのです。そう考えますと、私はやはりこれから日本が輸出を盛んにし、そうして大いに国内の産業を起して行くということになりますと、どうしてもやはり電力の多々ますます弁ずるという形で以て電力は要るのではないかと思つております。うつかりいたしまして、ただ電力だけ作つてそれに伴う産業の発展を考えないことになりますと、これはお話のように電力ができても無駄に流さなければならんという懸念もございますが、やはり電力がどんどんどん豊富に作られるということが一つの大きな刺戟にもなり、それがまあ輸出産業のコストを引下げる、或いは新らしい国内の産業を作り上げる、特に合成繊維、化学肥料とかいうものが重要たと思いますが、そういう形で以てどんどん新らしい需要の途を開拓して行かなければ、私は日本経済の本当の安定ということは望めないと思つております。日米経済協力は恐らくこの数年の問題であつて、それは又非常に大事なことではありますけれども、もう少しやはり先を考えますと、安定した基礎の上で以て日本の経済の正常的な発展を考えなければいけない。その基礎はやはり豊富な、そうして又低廉な電力の確保ということにある。これを基礎にして新らしい産業を作つて行くことじやないかというように考えております。その意味におきまして、私はこの程度の計画が大き過ぎるとは思つておりません。先ほどもちよつと申上げましたが、第一期計画、第二期計画、この程度ではとても家庭の電化、農村の電化等には廻らんと思つております。先ずこの程度が鉄道の電化、合成繊維工夫の確立、化学肥料の生産をやりましたらば、この程度の電力というものはそれだけで以て使われてしまうと思うのでありまして、決してこれをやつたから余つてしまつて、使い方に困るというようなことにはならないと思います。勿論これは放つておいて電力が起きたから産業が起るという問題ではない。そのあとに当然できた電力をどういうふうにして有効に使うか、これは大きな経済計画ができなければいけないと思う。これは国会においてこの次に当然、取上げて考えて頂きたい問題だというように考えております。先ほど西田議員から、私が目的さえよければ法案をどんどん通せと、こういうことに帰着するといつたというお話がございましたが、私は目的がよければもう法案はかまわん、法案を通せというような杜撰なことを申上げたつもりはないのであります。この法案が妥当と信ずるゆえんを申上げたつもりでございますから、よく又御不審の点があればお答えいたしたいと思います。ただ先ほどの栗山議員に対する私の返事は、栗山議員は、私が再編成に反対をしながら、そうして又電力融通会社が基本的にはいいと思いながら、なぜこの法案にそれを規定していないのに賛成するか、こういう御質問でございましたから、これは一応再編成を事実として認めなければいけない。そうして時日をかしてそうして果してうまく行くかどうかということを検当した上で、どうしても電力融通がうまく行かない、電力料金の地域差という問題が解決つかないというのであれば、その場合には改めてこの法案の改正案を出して、これを融通会社に変える途も残されておるじやないか。この電力のできたものの利用について納得が行かないから、この法案全体を葬り去るというそういうようなことになつては非常にマイナスだと、こう申したものであります。それは栗山議員は、この法案全体に反対するかどうかは実は存じておりませんでしたので、私はその点言い過ぎかも知れませんが、電力の利用についての納得が得られないから、若しこの全体の法案の成立についても反対だというようなことがあつては一大事だと思いまして、余計なことを申上げましたのであります。(笑声)
#63
○委員外議員(栗山良夫君) 今反対をして電源の開発を遅らしちやいかんとおつしやいましたのですが、私はその通りだと思います。併し開発地点は、ではどこから着手できるかと申しますと、私ども熱心に提案者、或いは政府にもこの点は質して参りました。本当に本年度行います場合、すぐ着工できる所はどこかということを質して参りましたが、遺憾ながら、それに対しての答弁はございません。而して私ども寡聞にして知つておりますのは、天龍はすぐできるでありましよう。そのほかの地点はわからないのであります。従つて、我々の考えることは、先ほどあなたが、やつて見て電力の融通がうまく行かない、地域差の料金の繋りがうまくできないということならば、又考えたらいいとおつしやる。私は、その点はそういう杜撰なことでなく、現在の提案者並びに経済安定本部等に対しまして、三十一年度末における電力の融通の状態、地域差料金がどういう工合になるか、ブロツク別の資料の提出を要求し、それの提出を求めて見聞した結果であります。その結果、そういうような積極的な意図は全然盛られていないわけであります。だから、私はこの法律案をやるならば、大胆に、勇敢にやれというお話がありましたが、そこまで面子に捉われないで、五年先のことなんですから、三年先に融通会社を作るならばこのときに作ればいいことなんです。従つて、最初にそういうものを積極的に法案に織り込んでやれと、そういうことを申上げておるのです。今日わかつておるわけなんです。あなたが心配されて、将来そういう結果が出たならば直したらいいとおつしやることは、現に資料によつて証明されておる。それだからこそ私は強いことを言つておるのであつて社会党が別にこの法案に反対をすると国家のためにならんというようなお話がありましたが、それは誠に御親切なお話でございまするけれども、(笑声)我我はそういうことを考えておるわけじやない。その点は誤解のないようにお願いしたい。
#64
○山川良一君 井上さんにちよつと一言だけ……。私もまあ今まであらゆる機会に政党、財界或いは公益委員、電力会社の幹部のかたに、この電力の開発について御意見を承わつたのでありますが、今までのところ、見返資金とか、開発銀行とか、或いはこの郵便貯金の、預金部あたりのものだけではいけないので、やはり財政資金を直接出すことが必要だというところまでは大体一致しておるわけです。今日もまあそういうような意味の御発言が井上さんからもあつたようでありますが、その財政資金を出すときに、今まで公益委員或いは電力会社のかたから承わつておることは、それは自分たちみたような営利会社のような形に出すべきであり、それがいいんだというふうな御主張であり、私は自由党案にそのまま賛成するわけでもありませんが、この提案の内容は、ただ普通の民間会社のようなものではいけないので、何らかの特別の会社を作らなければならない。それがつまり内容はこういう提案のような特殊会社である。そこに特殊会社で行くか、財政資金を特殊会社に使わすか、民間の会社に使わすかというところに、問題がそこだけに分れておるように思つております。その会社の、特殊会社案の内容はどうかということは、いろいろ議論があるのでありますけれども、要するに民間に使わせろ、いや特殊会社だと、そこにまあ結論が来ておるように思うのでありますが、今日のお話では、この財政資金を出す場合に、今の電力会社に対する措置よりも、更に高度の何らかの措置をすることは止むを得んと思うというお話がありましたが、そうしますと、その何らかのプラスの措置をするという考え方が、即ち私は特殊会社という考えだと思うのであります。それで、特殊会社の内容はいろいろございましようが、要するに何らかの形に考えるべきだということは、特殊会社であるとしますれば、あなたの今日のお話は、結論的に申しますと、天龍川開発の特殊会社を設ける。もう一つ言うと、一社か数社かということに分れれば、つまり数社案の特殊会社の、会社の内容は申しませんよ、その数社が水系別に発足する特殊会社を作れというようなお話になるのじやないかと思いますが、その点は如何でございましようか。
#65
○公述人(井上五郎君) お答え申します。先ほど利が申上げましたこと、言葉が足りなかつたのか、幾らか誤解があつたかと思うのであります。先刻から申しまするように、私どもといたしましては、何と申しますか、民間の事業として国家の財政に依存するということは極少であるべきだという前提に立ちまして、勿論民間資金を動員することを第一義と考える。でき得べくんば、外資を導入するということを考えても、なお且つ緊急の問題として国家財政に若干依存しなければならない。その。甘味におきまして、財政資金へ御迷惑をかけなければならないじやないかということを申上げたので、財政黄金がどこまであるかということは、私は国家財政のことを存じませんから、断言はできないのであります。先ほど愛知議員からお話がありましたように、そういうような場合には、国民感情として、特殊会社であるとか、何らかの国家の強力な統制の手の届く形でなければ納得行かないじやないかというように御発言があつたように思うのであります。従いまして只今の電気事業の形におきましても、今の公共事業令によりまして、私どもは相当強力な監督を現に受けておる。一般の商法による会社とは格段の差のある監督を受けておるのであめるが、それが不足ならば、その面において更に監督を強化するということは考え得るかも知れないけれども、それであるが故に会社そのものが特殊会社でなければならない。国家が今電源開発のために行政的乃至は資金的に援助をされるということと、会社そのものの機構が何らかの形において特殊会社でなければならないとどうことは別個に考えたらばどうかということを申上げたつもりであります。或いは言葉が足りなかつたのかと思いますが、私はそういう意味で申上げたのであります。そのことから、延いてそれでは天龍の会社は一つの特殊会社的のものであるか、一社に代る数社的存在であるかという御質問であつたのであります。これは先ほど来申しましたように、私どもといたしましては、今日の段階において、この法案の審議が如何ようになるかということは全く未知数であるという今日の段階におきましては、先刻申しました理由におきまして、民間会社として東京電力と中部電力の合弁によつてこの開発を促進して行くということが今日の段階において資金その他の面から言つて 一番いい。であるばかりでなく、将来の資金の獲得乃至は将来の外資導入という観点から言つても最善の形であるという前提においてこれを考えておるのでありまして、この法案と何らか関連を持つた、何かこの法案の修正的存在であるかのごとき御意見のように伺つたのでありますが、そういう考えは毛頭ございません。
#66
○山川良一君 私が申上げたのは、別に攻撃するとかというなんではないのですからそのおつもりで一つ。それは考え方を提案社から聞いて見ますと見返資金とか、その他現在の形で普通の民間会社に投入し得る資金は、私どものような産業から見ますというと、むしろ出し過ぎておるのじやないかというくらいに余計電力開発に投入してあるように思うのです。ところがそれでもなお足らんから財政資金を出そう、それにはやはり特殊会社でなければならんというふうになつておるように思うのでありますが、あなたのほうは、普通のあらゆる民間会社に投ぜられる形態はいろいろな形態がありますが、その形態で投入するだけの資金でいいとお考えになつておるかどうか。ですからそういう資金はすでに皆さんが電力会社或いは自家発でやろうというところで、全部我々から見るというと少し不公平な、非常に余計投入してございますが、そうすると、今度天龍川をそういう資金でやろうと考えられておるわけではないと思いますが、天龍川はどういうような様式で資金を獲得してやられようと考えておられますか。少し具体的に資金獲得の内容をお話下されば私は了解するわけでありますが、何かありますか。やはり財政資金が要るんじやないか、そういう点を御説明願いたい。
#67
○公述人(井上五郎君) 先ほどから申上げておりますように、私は国家の財政というものが如何ようなものであるかということは、専門家でございませんから、国がどういう形で支出するということを私のほうから申上げられないのでありますが、要するに電源開発に対して相当資金が投入せられて然るべきものであると考えますし、先ほどからの御意見を伺いましても、その前提を否定する御意見はないように伺つておるのであります。これが少し電気へ資金が行き過ぎているんだと、数年前私どもは石炭のほうへ少し行き過ぎておるんだと多少焼餅を焼いたように思うのでありますが、(笑声)土屋公述人からの御発言がございまして、電気はまだまだそのくらいの開発をしても決して余るどころではないんだ、或る特定の産業の需要を充たす程度であつて、決してこの金が不当に電気に過重に投入されるのではないという御発言があつたように思います。私ども事業者といたしましては、むしろ今日までのことが遅かつたということを感じておるのでありますが、そういう意味におきまして今後の資金の投入というものをより一層国会において御努力を願いたい。そういう意味におきまして第五條が空文にならないことを希望するのでありますが、それが、例えば天龍川の開発について具体的にどうか。天龍川は大体四ヵ年計画で三百四十三億円の金が要ると我々考えております。で、この金が初年度におきましては大体二十億円ぐらいのものでいいのでありますが、建設工事が進むにつれまして相当の金額を要するようになります。初年度のものに対しましては、特別に多額な国家資金を入れてくれなくてもやつて行けるのではないかと思うのでありますが、全体の資金構成から申しますと、将来は資本金を八十億ぐらいまで増加をしたい。社債は従つてその同額であるものを募集をする。外資といたしまして百億程度のものを考えております。で、その差額更に百億足らずのものを一般の借入金というものに考えておるのであります。そのうち国家は株式、社債その他の形において、資本的並びにその貸付金の形において御援助を願いたいと思うのであります。それが国家の如何なる形の資金で出るかということにつきましては、これはそのときの国家の財政によることであります。私どもといたしましてはそこまではまだ決定的な考えを持つておりません。
#68
○山川良一君 私は質問の形はやめますが、私が申上げる要旨は、今の千百億ぐらいの電力開発の資金は、私は自己資金の大部分は相当調達がむずかしいのじやないかと思います。それで天龍川をやる場合に、やはり財政資金というものが考えられなければいかんのじやないか。そうすると財政資金が要る以上、自分たちの好きなようにそれを使わせろ、会社の金その他を好きなように使わせろというようなふうに私には聞えるのでありますが、いろいろな資金が要るというお話でありますが、それは私は説明の段階で聞いて見ますと、非常にたくさん国の資金が、国の資金というと語弊がありますが、投ぜられるようでありますけれども、それを私どものほうによこせというわけではありませんが、我々それはむしろ天龍川に財政資金を投入してもらうということになると、ほかの産業に廻る国家資金をまあ取上げるという形になりますので、それは少し無理だろうと思うのであります。ですから財政資金が要るということならば、財政資金をどういうふうな形で使うかということを、民間会社的なものでやるか、特殊会社でやるかということをもう一つ御検討を願いたいと、こういうふうに思うのであります。
#69
○委員長(佐々木良作君) 大分御質問がありましたけれども、まだありましようけれども、若し何でしたらこの辺で質疑を打切つたらと思いますが、よろしうございますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#70
○委員長(佐々木良作君) それでは質疑を打切ることにいたします。公聽会を終る前に私から一言公述人のかたに御挨拶申上げたいと思います。
 本日は本当にお忙しい中を長時間に亘りまして委員会のためにいろいろと公述をして頂きましたことを委員会を代表いたしまして厚くお礼を申上げます。お話の中にもありましたように、電源開発問題だけでなく、電力問題すべてにつきまして重要な段階にありまして、そのために本法案の審議につきましては、参議院に送付されました後におきましても、十分な意を盡す意未で審議を続けておるわけであります。付託されまして以来、経済安定委員会のほかに関係ある通商産業委員会であるとか大蔵委員会、更に建設委員会等等と連合委員会を持ちまして、参議院の記録にもないほど、現在まで十五回に亘る連合委員会を継続して愼重な審議を続けておるわけであります。その間に丁度こういう機会を持ちましていろいろお話を承わりましたことを有難く思います。今後の審議におきましても、公述人のかたがたの御公述を十分に尊重して行きたいと思います。なお今後の審議におきましても、直接間接にこれにいろいろな意味で一つ御援助頂きますように特にお願い申上げます。有難うございました。
 それでは本日の公聽会はこれで打切りたいと思いますが、明日は午前十時からお知らせいたしましたように、日本電気産業労働組合の中央執行委員長の藤田進君、それから富士製鉄の社長の永野重雄君、東京都民銀行頭取の工藤昭四郎君、午後に至りましては、一般の公募からの金丸香代君、それから北海道総合開発審議委員並びに北海道石炭鉱業協会会長の船橋要君、最後に日本農民組合の久保田豊君、この順序によりまして公聽会を行います。本日と同様に午前と午後とに区切つて続行いたしますから、さよう御了承をお願いいたします。
 それでは散会いたします。
   午後五時十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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