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1947/04/30 第2回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第002回国会 治安及び地方制度委員会 第25号
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1947/04/30 第2回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第002回国会 治安及び地方制度委員会 第25号

#1
第002回国会 治安及び地方制度委員会 第25号
昭和二十三年四月三十日(金曜日)
    午前十一時六分開議
 出席委員
   委員長 坂東幸太郎君
   理事 松野 頼三君 理事 門司  亮君
   理事 矢尾喜三郎君 理事 高岡 忠弘君
   理事 中島 茂喜君 理事 川橋豊治郎君
   理事 小暮藤三郎君
      大内 一郎君    大村 清一君
      中島 守利君    笠原 貞造君
      矢後 嘉藏君    松澤 兼人君
      松谷天光光君    高橋 長治君
      中垣 國男君    小枝 一雄君
      加藤吉太夫君
 出席政府委員
        内閣官房次長  有田 喜一君
        総理廳事務官  鈴木 俊一君
        國家公安委員  辻  二郎君
        國家地方警察本
        部長官     斎藤  昇君
        國家地方警察本
        部次長     溝淵 増己君
 委員外の出席者
        專門調査員   有松  昇君
    ―――――――――――――
四月二十八日
 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提
 出)(第五〇号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提
 出)(第五〇号)
 大阪市及び神戸市における朝鮮人騒じよう事件
 に関する件
 警察法施行についての現地調査報告に関する件
    ―――――――――――――
#2
○坂東委員長 これより治安及び地方制度常任委員会を開会いたします。
 本日の日程は、内閣提出治方自治法の一部を改正する法律案(第四一号)内閣提出地方自治法の一部を改正する法律案(第五〇号)次には大阪市及び神戸市における朝鮮人騒じう事件に関し当局より説明聽取の件でありますが、会議に先だちまして、河原書記が長野縣廳における警察法適用の状況を視察に参りましたことについて簡單に御報告いたさせます。
    〔書記朗読〕
 長野縣における警察法施行状況に関する実施調査の結果を御報告いたします。私の調査いたしました範囲は、長野市を中心とした北信、松本市を中心とした南信の一部でありました。以下調査の概況を簡單に御説明申し上げます。
 私が今回の出張で最も注目いたしました点は、下伊那郡鼎村の自治体警察反対運動でありまして、このような例は全國的にも珍しいことと考えます。今後の対策に相当参考になることと思います。残念ながら実地調査はできませんでしたが、國家地方警察長野縣本部から示された資料によりまして申し述べてみたいと存じます。
 鼎村においては、当初その経済的負担の過重と地理的條件から、自治体警察設置の延期あるいは撤回を希望して陳情を行つていましたが、四囲の情勢からその不可能であることを知り、公安委員予定者の選任を見たのであります。その後、村代表者と副知事との会見によりまして、自治警察の撤回は可能であるというような言質を得ましたので、その代表者は、急進的左翼分子を糾合して、活発な設置反対運動を展開したのであります。その主張するところは鼎村の現状では、経済負担からして自治体警察の設置は不可能であり、それを行えということは、非民主的であるというのでありまして、村民大会で自治体警察設置反対運動の決議を採択し、村長の独断を理由として、公安委員予定者の取消しを要求したのであります。大会で選ばれた実行委員は、村民の調印書と決議文を携えて、縣当局、さらに内事局に陳情したのであります。その後内事局への陳情の不成功、指導者の関係方面からの呼出し等により、村民は、一部急進的左翼分子の煽動に乘ぜられたことを悟つて平静に帰り、自治体警察設置に全面的な協力をするに至つたのであります。この間、縣当局は他との影響を考えまして、自治体警察設置予定村に対し既決方針通り強行したのであります。
 次に國家警察地方警察の現状を見ますれば、警察官の定員九百六十五名、警察署二十一署、警察官一人に対する受持人口は一千四百十一名、受持面積は四百七十八平方マイルでありまして、その受持人口は自治体警察の七百二十二名に対して、約二倍の数字を示しております。最近國家地方警察官内に集團的な凶惡犯罪が増加する傾向にあるという現象は、かかる警察官の手不足に原因するのではないかと思われます。廳舎、留置場等の施設は自治体警察との共用でありまして、いろいろと不明朗な空氣を醸し出すという状態であります。機動力として十台のジープがありますが、長野縣のごとき山岳縣におきましては、機動力、特にジープの拂下げ、通信施設の充実こそ必要であると存じます。これらが充実すれば、人員の点も相当カバーできるものと考えます。
 自治体警察につきましては、いろいろと大きな問題があります。申すまでもなく、警察法が日本再建のホープとして取上げた制度は、自治体警察でありまして、この自治体警察は國家地方警察とはまつたく独立した別個の機能をもつ存在でありますが、一部を除いて在來の縣警察部たる國家地方警察縣本部が事実上の指導権を握り、命令が單に通知になつたという形式的変化しか見られないやうな現状であります。このことは過渡期の通有性であり、全國的な傾向と言えましようが、自治体警察幹部の自覚が深く要請されねばならないと存じます。このような自治体警察の他律性は、過去からの依存的なものの考え方から來るだけではないのでありまして、他方財政の窮乏、警察内部の人的物的陣容の不備、並びに市町村民の非協力的態度にも大きな原因があることと考えます。このようなことは公安委員に対しても言えることであります。市町村の財政で運営せねばならない自治体警察にとつて、財源の枯渇は致命的でありまして、長野縣下の自治体警察は、都市、温泉地、特産地たる町村を除いて、その維持につきましては、前途まつたく暗澹たるものがありまして、これら零細な町村に対しては特別な考慮を必要とするものと考えます。自治体警察は三十七箇市町村にありまして総数九百二十九名、警察官一人の受持人口は七百二十二名、受持面積は五百六十四平方マイルであります。廳舎留置場は國家地方警察と共同でありまして、附則第九條によりまして、施設の使用は國家地方警察に優先権がありますので、大部分は新築を必要とするのであります。移讓された廰舎でも、規模が小さく、増改築をせねばならないのであります。多くは留置場のない警察という珍現象を示しております。治安確保の上から憂慮すべきことと存じます。これら施設の工事費用等については、いずれの市町村も國庫負担に大きな期待をかけているようであります。また旧松本警察署、長野警察署等大きなものは、自治体警察に移讓するのが、合理的のように考えます。機動力として、乘用車が主要市町に計七台、軽井沢町に一台のトラツクがあるだけです。犯罪は全般的に見て、自治体警察において減少の傾向を示しております。これは人員の増加に原因しているのでありまして、市町村民の協力さえあれば、さらに治安は確保できると考えます、また國家地方警察、自治体警察の職員の給與は一般官吏に先んじて、改善せられなければならないと存じます。
 最後に、縣本部より警察法の一部改正について意見が述べられておりますので申し上げます。
 一、警察官の援助要求は法第五十五條によつて市町村警察のみで行うこととなつているが、國家地方警察においても急速を要する事態発生の場合は、市町村警察に対し援助要求をなし得る措置が必要である。
 二、本部長、次長、部長(法第十五條)及び管区本部長(法第十七條)の身分は警察官でないことになつているが、國家警察の元締である本部長、次長、部長及び管区本部長の身分は警察官とし、特別な階級を與えることを必要とする。
 三、基礎的な警察訓練の過程を経ない者は、警察官以外の一般職員も國家地方警察、自治体警察の勤務につけることができないとされているが(法第三十六條、第五十條)、この制限は警察官に対する場合だけで足りると思われる。
 以上をもつて調査報告を終ります。
    ―――――――――――――
#3
○坂東委員長 それでは内閣提出地方自治法の一部を改正する法律案(五〇号)を議題といたします。
#4
○有田政府委員 ただいま上程に相なりました地方自治法の一部を改正する法律案につきして、提案の理由を御説明いたします。
 地方公共團体の職員に関する職階級、試験、任免、給與、能率、分限、懲戒、保障、服務その他身分取扱いに関して規定すべき地方公務員法案につきましては、さきに國会の御審議を経て、昭和二十三年法律第十四号をもつて、地方自治法の一部を改正し、昭和二十三年五月一日までに、これを國会に提出しなければならないことといたしたのでありますが、しかしながらその後諸般の情勢により、当時予定いたしました本年五月一日までに國会に提出することがとうてい不可能となりましたので、さらに提出時期を延長するの余儀なきに至つたのでありますが、國会の会期等との関係もあり、かつ、現在までの準備の状況ともにらみ合わせ、本年十二月三十一日までに、これを國会に提出しなければならないものといたしたのであります。
 何とぞよろしく御審議のほどを御願いいたします。
#5
○坂東委員長 これにつきまして御質疑がありますれば、この際御発言の要求を願います。
#6
○門司委員 これは國家公務員法と関連して、地方自治体にとりましても、きわめて大きな問題でありますが、ただいまの理由の説明だけでは、私どもちよつと納得しかねる点がありますので、もう少しく内容を詳しく御説明が願えれば幸いと思いますから、この点をできましたなら、もう少し詳しくお願いしたいと思います。
#7
○鈴木(俊)政府委員 ただいまのお尋ねでありますが、実はこの前の改正によつて、一箇月立案の期間を延長する法律案の御賛同を得ました際には、五月一日までには間違いなく関係方面との折衝も終りまして、國会に提出することができるものと予定いたしておつたのでございますが、関係方面におきましても、いろいろ関係する点がたくさんありますので、それぞれまたさらに別の関係方面に協議をいたさなければならないというような事情にございまして、遂に五月一日までに提出するということに至らないような事情に相なつた次第でございます。國内的な立法の手続につきましても、まだごく当初の第一次の段階を経ただけでございますが、関係方面の大体の概略の意向でもつかめますならば、それに基いてそれぞれ急速に手続を了する予定であつたのでありますが、それすらも今までのところございません。またさらに問題が、今もお話がございましたように重大であればあるだけに、愼重に審議を盡すことが必要であろうというので、本年の通常國会に提出する目途のもとに十二月三十一日というふうな期限にお願いしたいというのがこの趣旨でございます。
#8
○坂東委員長 他に御質疑はございませんか。
#9
○松澤(兼)委員 直接この問題に関係はないのでありますが、自治課長がもし御承知なら御説明願いたいと思うのであります。それは地方財政委員会においても、やはり期限を切つて國会に提出しなければならないことになつておつたと思いますが、これも未だに出てまいりません。この方は法律的な処置は決しないでもよいのでありますか、どういうことになつておりますか、一應この点承りたいと思います。
#10
○鈴木(俊)政府委員 地方財政関係の法律の國会提出の期限は、今お話もございましたように、やはり一定の期限が限られておつたように記憶いたしておりますが、これは私の承るところによりますれば、法律案もしくはその法律案の内容を示す要綱を國会に提出をして御相談申し上げるという手続を経ようというのがあの法律の期限をつけた意味であるというふうに、関係方面と地方財政委員会当局との間の話合いになつておると承知いたしております。從つて特に法律を改正する手続はとらないのだというように承つております。こちらの方はそのような含みのある法律の解釈ではなく、文字通り何月何日までに提出いたさなければならないということになれば、法律そのものを出さなければならない、かように了解いたしておりますので、このような法律案の御審議をお願いいたした次第であります。
#11
○坂東委員長 他に御質疑はございませんか。
 それでは質疑終了と認めて御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○坂東委員長 それでは御異議ないものと認めます。
 次に討論に移ります。
#13
○門司委員 やむを得ざるものとして討論を省略して原案を可決されんことを希望いたします。
#14
○坂東委員長 政府の原案通り可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○坂東委員長 それでは政府の原案通り可決いたしました。
    ―――――――――――――
#16
○坂東委員長 次には大阪市及び神戸市における朝鮮人騒擾事件に関し、当局より説明を聽取いたします。実地を視察に参りました國家地方警察本部次長溝淵増己君から、その内容の説明をお願いいたします。
#17
○溝淵政府委員 大阪と神戸におきます朝鮮人学校の問題に関しまする事件について、現地を視察してまいりました状況について簡單に申し上げたいと思います。神戸の方が問題としても大きく取上げられておりますので、神戸を中心にして申し上げたいと思います。
 実は神戸におきましては、学校閉鎖問題が起ると同時に、朝鮮人側の方から縣に対しまして、この閉鎖問題の猶予につきまして交渉をしつつあつたようでありまして、すでに、本月の十四日、十六日の二回にわたりまして知事に面会を求め、知事不在のため、副知事が面接をしておりましたが、その際どうしても副知事が承知しないので、それがために居坐り戰術をやりまして、その結果副知事の方から退去命令を出しました。そうしてそれに應じない結果、これに対しまして、約七十名を檢挙しまして、不法退去罪で勾引いたしておつたのであります。その後相当いろいろな計画も相手方にあつたようでありますが、二十六日に大デモ行進をやるというので、それに対する準備はいたしておつたのであります。ところが、それより先に、二十三日に閉鎖命令に應じない三つの学校に対しまして、仮処分の執行をいたしたのであります。ところが、うち二校は執行ができましたけれども。一校だけは相手方が相当多数集まりまして執行ができない、こういうことになりましたので、二十四日にこの対策をどうするかというので、知事、副知事、市の警察長、縣の警察長、檢事正、次席檢事、市長助役、それから市と府の警備の係の部長など、この事件につきまして権限をもつておる首脳部が全部集まつて知事室で会議をいたしておつたのであります。その会議をやつておることを朝鮮人側に探知されまして、そして監禁されたのであります。相手方は二十六日のデモということを大きく出しておいて、そして何か不意に衝こうというような考えであつたと思うのであります。ここで全部が監禁にされたということが最初の失敗であつたと考えるのであります。
 監禁にされました首脳部と朝鮮人側との交渉の経過は、私その場におりました縣の專任部長から話を聽いたのでありますが、その経緯を申しますと、十一時ごろに不意にはいつてきまして、そして知事に対し相当乱暴な行動があつたらしいのでありますが、しばらくの間に電話線を切るし、いろいろ乱暴をした上で交渉したのであります。その際相手方の非常な強い威圧のたために知事は遂に、たしか一時過ぎだつた聞きましたが、閉鎖命令の撤回を約したそうであります。そして閉鎖命令が撤回をいたしますと、たてつけに、次には教育内容問題について交渉が始まり、次には檢事正に対しまして、今まで処置し、拘留している七十名の釈放を誓約させ、また最後には当日の暴行者に対する処罰をしないということまで誓約させ、一々書面を書かされたというような結果で、四時過ぎに会談を終つた、こういうことになつております。
 こうした長い間監禁同様にされている間に、外部における警察官がなぜその処置ができなかつたかという問題についてでありますが、実は先ほど申しましたように、二十六日のデモということにつきましては、かなり周到に計画いたしておりましたが、当日はほとんどそういう計画のあることを知らなかつたために、縣の警察長は他の用件で大阪に行くべく室外に出ておつたのであります。そういうような関係でありまして、警察長が知事その他が虜になつているという事実を知つたのは十一時二十分ごろであつたと聞きましたが、それから急いで、警察官を招集いたしましたけれども、すでに手後れであつたという感じがするのであります。なお警察官招集につきましては、市内の警察につきましては、市に残つております庶務部長に連絡して庶務部長の方から招集したのであります。縣の方におきましては、学校におる專任の巡査と、本部におる者を集めまして、これに当らせたのでありますが、すでにして知事室と外部との連絡は全部切れておつたのでありまして、廊下にはほとんど暴民化した朝鮮人が三百名前後詰めかけ、知事室の中の模様は、電話も切れておりその他全然連絡はとれなかつたような状況になつておつたのでありまして、警察としましては、これに対する対策として、まず外部にあとからあとから詰めかけてくる暴民をいかにして食い止めるかということに努力いたして、縣廰前の道路の方面の整理をしておつて、内部の方につきましては手が届かなかつたという事実もあるようでありますが、最も大きな原因は、警察官が招集途中におきまして、一時過ぎ、知事が最初の学校閉鎖の命令を撤回すると言つた最初の妥協といいますか、最初に相手方に承認を與えたそのときに、監禁になつておりましたところの警察長は、朝鮮人から強制を受けまして、外で朝鮮人の取締りを嚴重にやられたら交渉がうまくいかないから、すでに知事が閉鎖命令を撤回した以上、取締りの必要はないじやないか、だから取締りをやめろということを警察長の名前で名刺に書いて市の保安部長に持たせて外部に指令を出した。從いまして、せつかく集まつた警察官が相当嚴重に取締りをしておるところへそうした指令が來たので、警察官としてもこれに対する内部の交渉がそこまでいつておればというような氣持も起きまして、せつかくの取締りが鈍つたというような面もあるかと存じます。それにしても四時まで交渉が続いておるからというように考えれば、考えられないこともないのでありますが、あまり外部で警察官と朝鮮人とが乱闘をやつておりましては交渉もうまくいかないし、また知事以下の身辺の危險というようなことも考えたというようなことが、事態の推移をあそこまで長引かせた原因ではないかと考えるのであります。結局四時ごろになりまして全部朝鮮人側の言う通りの協約ができて会談は終つたのでありますが、その間におきまして外部から知事室との連絡が全然とれなかつたということは非常に遺憾な事実であつたと思います。
 それから御承知のように十一時になりまして、進駐軍から非常宣言と申しますか、特別な命令が出て檢挙に着手いたしました。大体当日集まつておりました首脳部はほとんど全部檢挙いたしておるのであります。さいわいにして現場で写眞その他をとつておりましたので、顔も――知事室ではありませんが、外部で相当写眞をとつておりましたので、檢挙はそうむずかしくなかつたようであります。神戸における状態は大体さような状況と承知しております。
 なお大阪におきましては、二十三日に御承知のように一万ほどの朝鮮人が府廳前でデモをやつて、そのデモの帰りに解散と見せかけて府廳になだれこんで、一瞬の間に府廳の一階から三階までの間の廊下に充満してしまつたという事実でありますが、それまでに約三時間ほど大塚副知事と朝鮮人側の代表と交渉を続けておつたのでありますが、副知事は最後までがんばりまして、ついに四時ごろになつて機会を見て逃げ出したということで終つたのでありますが、警察側としましては不意に廳内になだれこまれたので、まず退去命令を出すという順序をとり、そうして四時過ぎになりまして正式に知事の命令により退去命令を出しました。一方当日はデモがありましたので、ある程度の警察官の待機員をもつておりましたが、その上に新しく各署からの應援を求めました。その中で最も力になりましたのは、警察練習所に緊急増員の警察官が千五百名ほどおりましたので、これを一遍に繰り出しまして、この取締りに当りました。その結果一時間ないし二時間程度で、全部を外部に出すことができたのであります。警察官の中には相当負傷もたくさん出ているのであります。
 二十三日の事態は大体かようなことでありますが、二十六日にさらに交渉委員が参りまして、そうしてこれもまた知事が相当長くがんばつている間に、第七軍團の司令官から、この交渉は打切れ、そうして一切デモは解散せよというような命令が出て事無く終つたこういうような実情であります。一應簡單に経過を御報告申し上げます。
#18
○坂東委員長 なおここには國家公安委員長の辻二郎君が來ておりまますから、この問題が起つたときにおける國家公安委員の方々の行動というようなことについて、簡單に辻君から御説明を願います。
#19
○辻政府委員 この事件の起りました際には、実は私ども公安委員の方には、情報のはいるのが非常に遅かつたのでありまして、ほとんど私どもの知らないうちに事件が発生いたして、終つてしまつたという状況でございます。私がこの事件を知りましたときにはすでに進駐軍の方の非常事態の宣言があつた後であつたのであります。私といたしましてはそのときに事情を本部事務局から聽いたのでありますが、当時聽きました情報では縣廳内に闖入した者が三百名ということでありました。それに対して警察官は千五百名ということでありましたが、数の上から申しましても千五百名の警察官が、三百名の暴徒を鎮圧できないことはないということを考えまして、非常事態の宣言をするというようなこととは非常に離れていると私は判断をいたしました。ただそのときに非常に疑問に思いましたのは、三百名の人たちを、何ゆえ千五百名の警察官がつまみ出してしまえなかつたかという一点であつたのであります。これは現地の事情が警察本部でも全然わかりませんので、急遽本部次長が大阪へ出張して調査をするということでありました。その調査の結果はただいま次長から報告があつた通りであります。それで私もたまたま火曜日が定例の委員会の日になつておりますので、月曜日の日に委員会を急遽開くべきかとも考えましたが、すでにそのときには鎮圧された後でありましたので、本部に電話をかけて明日の定例通りにやることにしようということを相談して火曜日にやつたのであります。
 この事件の顛末は今お聽き及びの通りでありまして私どもの判断といたしましては、これを國家非常事態の宣言をするように総理に報告をする必要はないと私は考えました。しかしその後進駐軍の方から國家非常事態の宣言がありましたが、これは進駐軍独自の見解からなされたものであると今でも考えております。大体私どもといたしましてはこういうふうな考え方をいたしております。
#20
○坂東委員長 ただいまの御両君の御説明に対しまして質疑あるいは御意見がありますれば、この際御発言を願います。
#21
○松野委員 ただいま辻公安委員長から御説明がございましたが、解せない点が多々あります。元來公安委員というのは常勤であつて、常に出勤しているように思つておりますが、それにもかかわらず非常事態の発生宣言のなされたあとにしか氣がつかなかつたということは、職務上非常に怠慢だつたということを感じます。
 もう一つは少くとも進駐軍の非常事態の宣言がある前に國内治安の衝に当つている警察がそれほどの必要はないと思つており、今でもそう思つている点については、はなはだ解せないのであります。少くともこれほど大きな國際問題になつているのに、未だに非常事態の大きな問題にしなかつたというような御見解を承りたい。
 もう一つは御常勤の方々がほとんど御存じなかつた。私ども市民でさえ新聞紙上の報道によつて知つているにもかかわらず御存じなくて、次の委員会まで待つておつたということに対しては、どうも少し御説明において、あるいは御執務の点において不審の点がありますので、その点の御見解をもう一度御説明願いたい。
#22
○辻政府委員 私がただいま申しました点で多少誤解を招いたかと思いますが、事件が起つてそれがほとんど済んでしまうまで知らなかつたと申し上げましたのは、私どもが知つたのはラヂオで一番早く知つたような次第であります。公安委員はもとより常勤をしているはずでございますけれども、私は土曜日は警察にはおりませんでした。しかし警察本部に重要な報告があれば必ず私並びに他の四人の委員のところに即時電話がかかつてくることになつております。しかしながら本部から何らそういう情報を私は聽いておりません。これは斎藤長官がここにおられますが、斎藤長官の見解が私どもとまつたく同一であつたために、非常事態の宣言をする段階と考えなかつたものであろうと私は解釈いたしております。
 それから今でもそう思つておると申しました意味でありますが、これは、もしもあの二十四日の晩に進駐軍が非常事態の官言をして強力に鎮圧をしなかつたならば、あるいはほんとうに國家として非常事態の宣言をしなければならない事態に立至つたかとも思うのでありますが、しかしながら、すでに事件がありまして午後の五時ごろに終つて、その夜の十一時に軍司令部から布告されております。その結果といたしましては、その後の騒擾というものは、もはや考えられない状態になつておつた。それで私の今でもと申しましたのはそういう意味であります。ちよつとその点に誤解があつたと思いますから釈明いたしておきます。
#23
○坂東委員長 私からちよつと斎藤長官に伺いますが、マツカーサー司令部が非常事態の宣言をすることについて日本政府の方に打合せ等があつたのですか、なかつたのですか。またこれが布告されました後に、日本政府はどういう関係に立つておりますかということを簡單にお尋ねいたします。
#24
○斎藤(昇)政府委員 このたび神戸で第八軍の基地司令官が発せられました特別措置につきましては、事前に政府側に何ら連絡はございません。またこれは連絡をする必要のないことであろうと考えるのであります。これは第八軍は占領政策を遂行するという独自の見地からやられたものであろうと私は考えております。
#25
○坂東委員長 なおその後積極的に日本の政府から連絡をとつたかとらなかつたか、参考のため聽いておきます。
#26
○斎藤(昇)政府委員 國家警察本部長官の私といたしましては、司令部の公安課のプリアム大佐とその点について話合いをいたしました。政府が司令部の関係部局とそのことについて話合いをされたと私は聞いております。しかしながらその内容はどういう理由で特別措置をとられたか、こういつたような事柄ではなくて、善後措置あるいは事態の状況について話合いをされた、かように私ども思つておるわけであります。
#27
○松澤(兼)委員 國家公安委員会なり、あるいは國家警察本部なりに、たいへん連絡が遅かつた、あるいは連絡がなかつたということは、どういう原因からそういうことになつたのであるか、通信機関が十分、普及していないというためであるか、あるいは地元において中央に連絡する必要がないと考えたからであるのか、参考のためにその点を伺いたいのであります。
 もう一つは大体この事件は最初三百人ばかりの者を廳内に入れてしまつたところに問題があつたと思う。私は地元の関係から知事室の構造や位置等をよく存じておるのでありますが、いわば袋小路の一番奥にある知事室へ百人あるいは二百人の者が入口にがんばつてしまえば、知事なり、あるいはその他の人々を救い出すことは、全然不可能といつてよいような状態にあるのであります。そういう所に三百名ほどの者がはいつた、入口あるいは廊下等にも相当の人がおつたろうと思うのでありますが、現地の警察当局としては、その事態をなぜ重大視しなかつたか、あるいは日本側の警察の手でもて余すほどの事態であると考えなかつたのか。考えたとすれば、日本側の警察の手ではこれは鎮圧はできないから、軍政部なりあるいは憲兵本部なりに連絡をしてその援助を求めることをしたかどうか、その点現地を視察された次長に承りたいと思うのであります。
#28
○斎藤(昇)政府委員 連絡その他につきまして、私から補足をいたします。二十四日の午前十時過ぎから朝鮮人関係の者が押しかけてまいつたのでありますが、私の方にそういつた連絡がありましたのは、同日の午後三、四時ごろであつたと考えております。從つて通信関係を申し上げますと、神戸には直通の警察電話がありませんので、神戸から大阪に連絡をし、大阪からこちらに直通電話で連絡をすることになつております。当時の現地の状況を処理しております関係から申しまして、殊に市の警察当局の首脳部は、中に監禁されてしまつております。縣の警察長は外に出ましたが、指揮をしている関係から、報告がそのくらいの程度にいくことは、現在の通信施設としては、まずやむを得ないことであろうと考えております。そのときの私どもの判断といたしましては、先ほど公安委員長から御説明申し上げました通り、中には約三百名、外部には八百名という報告であります。警察官は千五百名動員をしているということでありますが、事柄は懸廰及びその周囲の事態であります。從いまして神戸市の警察、兵庫縣の自治体警察、國家地方警察が協力をして鎮圧のできるものと考えていたのであります。先ほど次長から説明をいたしましたように、一時過ぎには内部で妥協ができたということが外部に傳えられ、そして四時過ぎには全部交渉が終つて、暴徒は全部引揚げたのであります。從いまして、さような状況といたしまして非常事態の宣言をする必要はないものと判断をいたしておつたのであります。さらに夜十一時、基地司令官の一発せられたる特別措置は、その中に私は報告を受けましたが、これはすでに暴徒が退散した後の檢挙の指示であります。かような檢挙のあれにつきましても、非常事態を宣言をするような必要は毛頭ないと私は確信をいたしておりましたので、翌朝知事と市長にはその旨連絡をいたしたのであります。私の職責といたしましては、非常事態宣言を要請する必要があるのではないかというような考えがいたしました場合には、ただちに公安委員に申し上げる必要があると思うのでありますが、このような状態のもとにおきましては、さような必要はないものと考えているのであります。警察法の非常事態の宣言は、これは一自治体警察または國家警察だけで鎮圧のできない、國家警察と個々の自治体警察を一つの指揮系統の中に入れてやらなければならぬというような、國家非常事態の場合でなければ発効すべきものではないだろうと考えているのであります。現在の制度の運用によつて鎮圧ができると考えます際には、私は非常事態の宣言を要請すべきではないと考えているのであります。
#29
○松澤(兼)委員 ただいま現地における日本側の警察とM・Pとの関係、軍政部との関係については御答弁がなかつたのでありますが、その点はもう一度、あとで御答弁を願いたいと思いまする
 もう一つの問題は、通信関係は大阪と連絡をするのに非常に時間がかかるというお話であつたのでありますが、それでは一体神戸から東京までどのくらい時間がかかるのであるか、三時ごろ電話で報告があつたということであしますが、はたして神戸側で電話をかけました瞬間は何時ごろであつたか。おそらく長官は一時に学校閉鎖命令の撤回があつたということの連絡は、三時には聽いておられないのではなかつたかと、こう思うのであります。もし聽いておられないといたしますならば、知事が三百名の人々の脅迫によつて本來学校閉鎖命令を撤回すべきでないものを撤回したという事態は、これは重大な問題であるというふうにお考えになつたかどうか。これは所管が違われますから朝鮮人学校の閉鎖問題がどういう関係から行われておるかということについて十分その認識がなかつたかもしれないと思うのでありますが、これは日本政府の方針でもあり、かつまたもつと重大な関係もあるのであつて、これが知事の一個の考えによつていくら脅迫されたからといつて撤回すべきでないということは、おそらくはおわかりだろうと思うのであります。つまり不法あるいは暴力によつて知事が一旦出した閉鎖命令を撤回されたということ、それ自身がきわめて重大な問題でありまして、たとえ一時に撤回の妥協がついたとしましても、これは日本政府の法律を実施する場合においても、また政府の方針を遂行する上からいつても、きわめて重大であつて、よしんば撤回したとしても、撤回の原因というものは日本國政府の方針にも反するものであり、その原因は暴力なりあるいは脅迫などによつてなされたものであるということをお知りになるならば、たとえ暴徒は退散いたしたにしても、事態はきわめて重大であるから、これは何らかの処置を講じなければならないとお考えになるのが当然だと思うのであります。しかしその間進駐軍の非常事態の布告がありますまで何らの方法が講ぜられなかつたということは、私どもといたしましてはどうもおもしろくないような感じがするのでありますが、この点につきまして御所見を承りたいのであります。
#30
○斎藤(昇)政府委員 現地の警察とMPとの連絡につきしましては次長から御説明申し上げます。
 私が二十四日の四時ごろに報告を受けました際には、その日の一時ごろ、すでに知事が何かをしたということは、そのときは聽いておらなかつたのであります。私は知事が命令を撤回したということを聞きましたのは、晩であります。それで御説の通りこの命令の撤回は非常に重大なことだということを私は感じました。もちろん学校の閉鎖問題につきましての成り行きは、以前から私十分承知しておつたのであります。從つてこの暴力による命令の撤回は非常に重大な事項であると私は考えたのであります。しかしながら警察当局の処置といたしましては、暴徒はすでに退散をしておるのでありますから、爾後の檢挙が残つておるだけであります。爾後の檢挙は私は当然やるべきものと考えておつたのでありますが、これは現地の警察が当然やるのであります。もちろん私の方から必要があれば連絡をいたすべきでありますが、しかしながらその時の状態では、檢事正もこの事件についてはけが人を出さないという一札を入れたということであつたのであります。これもまた私は非常に重大な問題だと考えましたが、おそらく知事及び檢事正は、あの時の協約は暴力行為による監禁のもとに行われたのであつて、あれは無効であるという宣言を発するであろう。それを発すればただちに檢挙にとりかかる。しかしながら、どこまでもあの命令を取消さないということであれば、警察が檢挙をいたしたくとも、檢察廰の方でこれを不問に付するという以上は、警察当局といたしましてはできないであろう。しかし私は命令が取消されることを期待いたしておつたのであります。しかして命令が必ず取消されるであろう、取消される場合に当時の暴徒を檢挙するということは、これは國家非常事態の宣言がなくても現在の機構においてできるべきである、かように考えておつたのであります。しかしながら、もし第八軍の特別措置がとられなかつた場合には、この檢挙は非常に困難であり、爾後の状態によりましては、おそらく大阪その他各府縣にも同様の動きが起り、あるいは國家非常事態の宣言ということにもなるおそれがあつたであろうということを、申し添えておきたいと思います。
#31
○溝淵政府委員 速記をやめていただきたいと思います。
#32
○坂東委員長 それでは速記をやめて。
    〔速記中止〕
#33
○坂東委員長 速記を始めて。
#34
○小枝委員 ちよつと溝淵次長と、とれから委員長、長官どなたでもよろしいが、お二人の中で御答弁願いたいと思います。
 今回の事件が、國家治安の見地から不祥の事件であつたということは、もはや天下周知の事実でありますが、ただいま溝淵次長から大体その当時の実情を判断し得る程度の材料を承り得たわけであります。いやしくも國家の企図するところの方針を知事が一應発令しておいて、そのものを撤回するというようなことは、容易ならぬ事実であることは繰返すまでもない。また檢事正がいやしくも一應発令したことを、いろいろな罪を犯したと判断し得る者に対して、自分がこれを処置をしないということを約束するということも、これまた、はなはだ容易ならざる事実であると思います。それに対して、ただいま溝淵次長のお話を承つても、相当容易ならざる暴行脅迫の言動がされたということを想像し得るのですが、これについてもう少し詳細な説明を伺いたい。
 それから委員長または長官にお尋ねしてみたいと思うことは、この國家非常事態の宣言なるものが進駐軍によつて行われたということは、これは國内治安の根本方針といたしまして、國家警察が先にこういう処置を講ずべきものであるか、あるいは進駐軍がこれを先にやるべきものであるか、あるいはこれをどちらでも先に必要と認めた方がやるべきものであるかという一つの見解があると思います。この問題については当然こういう処置が行われるときには、ひとり公安委員の問題ばかりではありませんが、一應総司令部関係、あるいは各府縣におけるそういう海外関係において、日本の官公署の責任者に対して相当な交渉があるべきはずであつたと思います。そういう問題について詳細なる打合せなしに、これがなされたものであるかどうかということ。ただいま辻委員長のお話によりますと、日本の公安委員会の立場から考えれば、國家非常事態を宣言する必要を認めなかつつたというふうな御答弁であつたと承つたのでありますが、私の判断によると、むしろ宣言をする必要がなかつたというよりも、いろいろな通信連絡等がきわめて緩慢であつたために、すでにその時期を失したのである、非常事態を宣言すべき当然な事態であるにかかわらず、その時期を逸した。そうしてこれが連合軍の手によつて非常事態の宣言がなされたというふうに解釈するのが正当ではないかと私は考える。これに対しまして、当時の神戸市の國家・地方両警察にも、これは責任があると思うのでありますが、両方面の中央に対する連絡について非常に手落ちがあつたのではないか、こういう点についてひとつ詳細にお伺いした、
#35
○溝淵政府委員 ただいま現地の模様について、もう少し詳しくというお話であります。最初に三百人前後の朝鮮人が不意に縣廳の中に闖入した、これをなぜさせたかということについて、先ほども御疑問があつたようでありますが、警察の方におきましては、二十六日のデモということに頭を奪われて、ほとんど準備をしていなかつたということは、遺憾ながら事実であつたと思うのであります。またこれに対する情報も十分とれていなかつたということも遺憾な事実であります。相手方はこの機会をねらいまして、しかも縣廳の入口では何ら大挙侵入というような態度ではなくして、五人、十人くらいずつこそこそと各入口からはいつて、合図一下、一瞬にしてさつと飛びこんだというような戰術をとつたために、非常に巧妙なこの戰術にやられたというように、私現場で看取いたしたのであります。
 それから知事室へはいつて後の問題は、入るや否や知事の胸ぐらをつかまえて、どうだといつて、そして知事の机の上にも数人のし上つた。それに対しまして青年行動隊と称する二、三の者がこれを制止し、交渉はそういうことじやできないからというので室外に追い出した。追い出された者は隣の部屋に入つて、そうして隣の部屋で壁を破つてのぞきながら、交渉の一つ一つについていろいろ脅迫言辞もつて威かした。これに対して交渉委員は、もし知事がこれを承認せなければ、ここにおる人はあるいはこのままでは済まぬかもしれぬ。われわれはこの激興しておる朝鮮人を抑えることはできない。だから知事は承諾すべきであるというように、いろいろの方法で脅迫したというように聞いております。そして電話を壊されたことは最も大きな痛手であつたわけでありますが、これは入つて二、三十分で壊したように聞いております。いずれにいたしましても、現場の模様等は、相当その当時の暴状がありありと認められるような感じがいたしたのであります。なるほど閉じこめられた首脳部の方々が相当苦心され、相当闘つたこととは存じますが、相手方の脅迫状態がそれにも増して強かつたというに感じられた次第であります。
#36
○辻政府委員 ただいまの御質問に対してお答え申し上げます。今回の事件につきましては、確かに通信は緩慢であつたと私は考えております。この点は通信施設の整備強化ということを、今後十分に考えなければならないと思います。國家公安委員五名は、三名は東京に在住しており一名は群馬におります。一名は大阪におられるのであります。私どもといたしましては、警察本部を通じて情報を得るにあらざれば、現在としては情報を得る機関がないのであります。警察本部へ入つた情報は、すでに相当緩慢でありました上に、長官の判断によりまして、これは非常事態の布告という問題に至るべきものでないという解釈のもとに、私への通告は一日遅れたのでありますけれども、さきに浜松の事件のありました、ときには、静岡縣の公安委員会から國家公安委員会に申入れがあつたでありまして、國家公安委員会としましては、警察本部を通じて入る情報を資料とし、また局地の、事件が起りました地方の都道府縣公安委員会もしくは自治体の公安委員会から國家公安委員会に情報ないしは要請があつて、われわれは初めて正しい判断を下し得るのであります。今回は局地の都道府縣公安委員会からも、自治体の公安委員会からも、今日に至るまで國家公安委員会に対して連絡も要請もないような次第でありまして、私どもはこれなくしては発動するだけの資料を十分に得ることはできないのであります。そういう事情でございます。
 さらにこの事件は、御説のごとくきわめて重大な、しかも非常に不祥な事件であつたと考えます。しかし公安委員会としましては、いかなる場合に非常事態の布告をするかということは、事件の重大性とはちよつと違つた立場から考えなければならないと思うのであります。事件は非常に重大でありますけれども、治安は維持、回復できるという場合には、非常事態の布告を出すべきではない。私どもはそういう見解をとつております。今回の場合は、先ほど斎藤長官から説明がございましたように、三百名の暴徒はすでに解散をし、治安上の事件としては一應平静に復したのであります。その復したとたんに進駐軍による非常事態の宣言があつたのでありまして、その後はさらに治安の維持という点につきましては憂慮すべき状態ではなくなつたというときに、私どもはこれを知つたのでありまして、この神戸地方の自治体の警察官及び國家警察の警官によりまして十分治安の維持ができるという解釈に立つたのであります。從つて事件は重大でありますけれども、そのゆえに非常事態の布告を出すべきではない、こう考えました。
#37
○斎藤(昇)政府委員 大体辻委員長の御説明で十分なのでありますが、一つ蛇足を附け加えておきたいと思います。それはこのたびの第八軍のとられました措置は、非常特別措置でありますが、これは國家は警察法にいう非常事態と全然意味の違いますことは申し上げるまでもないと思うのであります。しかしながら私から申し上げておきたいと思いますのは、このたびの第八軍の措置は、單に日本の治安を維持するというだけでなく、進駐軍独自の考えでおとりになつた措置だと私は考えるのであります。さればこそ、この措置をとるにつきまして、現地の警察あるいは中央の方に、こういうようにやつたらどうであろうか、あるいはこういうようにやらなければ、お前の方はやれないというような御相談は、何らなかつたのであります。進駐軍とされましては進駐軍自身の、しかも第八軍の独自の考えとしておとりになつた措置だと私は考えるのであります。そうしてその効果は、ただ日本の警察が治安を維持するについて足りないところを補つてやるというのではなくて、進駐軍の法権のもとにこれを檢挙し、これを裁判するということであります。さらにこまかく申し上げますと、日本の法律の非常事態でありますならば、たといこれを布告いたしましても、逮捕檢挙ということはすべて日本の法律に從わなければならぬのであります。あの事件について申しますならば、当時騒擾をしたという証拠が十分であり、これについて逮捕令状の申請をし、その逮捕令状をもつてこれを逮捕するということでなければならぬのであります。それはすでに暴徒は退散した後であります。現行犯ではありませんから、その後に檢挙をいたします際には、そういう手続をとらなければならぬのであります。ところが進駐軍のとられた措置は、進駐軍独自の見解でやられたわけでありますから、そういう法律手続は全然要らぬのであります。これこれの関係者を逮捕する、それについて協力せよ、こういう事柄であります。またこの裁判の法権の違うことも御承知の通りであります。この点を特に申し加えておきたいと存じます。
#38
○大村委員 私もただいま御質問になりました趣旨と同じようなことでありますから、この際関連連的にお尋ねしたいと思います。岸田知事が学校閉鎖命令を撤回したということは、非常に重大なことだと思うのであります。このような撤回をするにつきましては、陳情者が極端なる暴行脅迫を用いたがために、遂に撤回するのやむなきに至つたのであるか、ないしはその程度のものではなく、知事の誤認のもとに簡單にこれを撤回したのかというような点が、非常に重大な問題であると思うのであります。次長の補足的なあとの御説明によりまして、おそらくこれは撤回は暴行脅迫のもとにおいてやむを得ずやつた。言葉をかえて申しますならば、形式上は撤回したけれども、そのときの事情から申せば、当然この撤回は無効である、効力がないのだという程度のものであつたといたしますと、よほどこれは問題が重大だと思うのであります。そのような違法な状態を作出させて暴徒が退散したというならば、これを鎮圧すべき状態がなくなつたというように公安委員会で認定されるのは、非常な錯誤があるのではないか。その点は私どもも話を聽きましてどうも納得ができないのであります。もし今日の非常事態の宣言の法的條件が、そのようなことは考えていないということでありまするならば、さかのぼつてその点を深く考えなければ、今後の日本の治安の維持という上に重大な欠陥が伏在しておると私は思うのであります。もしそのような極端なる暴行脅迫が行われたために、取消しのやむなきに至つたということをそのまま放置しておきまするならば、学校閉鎖命令は、單に神戸におけるのみならず、各地においてやつたのでありますから、それと同じ状態を作出するために、各地において暴動が起るおそれが多分にあるのであります。さいわいにして進駐軍の方から、別の見地から非常特別の措置がとられたということ、その一点が各地における暴動の鎮圧になつているのであります。私は單に外見上暴徒が退散したから、それで非常事態を宣言する必要なしというように判断をされる点につきましては、これは現行の法律においてはそれでいいのかも存じませんが、今後の問題といたしまして、新たに深く考えてみなければならぬ問題ではないかと思うのであります。これらの点につきまして、できますことならば、現地の実情と照らし合わせまして、御意見なり判断を伺いたいと思うのであります。しかしこのように申し上げましても、私は別に今回の事件におきまして、進駐軍の非常特別の措置がとられる前に、日本側において方途を講ぜらるべきであつた、それがなかつたのは遺憾であるというように申し上げるつもりはないのであります。だんだん伺いますると、何分神戸とこちらとは非常に離れているし、そうしてそこには通信機関の不備、また現地からの報告が今日に至つてもなお詳細のものが來ておらぬというような状態におきまして、非常事態を宣言するの材料がなかつたことは極めて明瞭でありまして、緊急事態が発布せられなかつたのは当局の手落ちであつたというような氣持は毛頭ないのであります。ただ今後の日本の治安を維持する上におきましては、私は單に暴徒が退散したというような現前の事実だけで簡單にこれを解決することは、日本の將來における治安の維持の上におきまして、非常な手ぬかりがあるのではないか、もし法律的の不備がそこにあるならば、これらの点も將來のために整備していく、必要があるのではなかろうかという点に疑問をもつております。その点につきましての御所見を伺つておきたいと思うのであります。
#39
○辻政府委員 ただいまの御質疑の点について、たいへん言訳がましいことでございますが、再三申し上げました通り、縣知事以下が無理証文に判を押させられて一時退散した、それだけでありましたならば、これはきわめて重大なことであります。これが全國に波及するおそれが十分にあるのであります。しかし私ども公安委員がこの情報を聞きましたときは、その事件が終りまして、次の進駐軍の非常措置の発令があつたという、その二つの情報を同時に聞いたわけでございます。從つて公安委員会といたしましては、非常措置の対策を審議する必要がなくなつた、こう申し上げたのであります。
#40
○斎藤(昇)政府委員 ただいま大村委員の御所見は、私には非常によくわかります。さらに辻委員長の御説明を補足いたしますが、あのときに軍の特別措置がとられなかつた場合――暴徒はもちろん退散しておりますが、その後にあの措置がとられなかつた場合に、あるいは非常事態を宣言しなければならないような事態になつたのではなかろうか。そういう場合に、あちらでもこちらでもこういう事件が起るであろうという予測で、非常事態の宣言ができるかどうかという問題が一つはあると私は思います。現実に擾乱が起きなくても、今までの経過から見て、これが非常に擾乱が起きるであろうというような予測だけでやれるかどうかという問題があると思います。私はただいまの法律では非常に困難じやないかと思つております。
 それからいま一つは、遠く離れた所で事件が起きて、通信その他の関係で報告が遅れる。また中央でも、公安委員会から、あるいは総理大臣というようなところから、時間的に相当遅れるおそれがあります。現地で簡便にそういつた非常事態的な措置をとるような方法が考えられないと、局地では混乱した状態が若干続いて、たとい非常事態の宣言がありましても少し遅れる。その機宜の措置をとる必要がないであろうか。この二つの問題は、將來われわれの方でも取上げなければならぬ問題だと私は考えます。特に立法の府であられますこちらの委員会等におきましても、御研究を願いたいと思うのであります。
 それからいま一つは、かような重大な事項について、知事が脅迫的に意思を変更させられたというような事態をつくりましたことにつきましては、私はこれは神戸自治体警察とも國家警察とも申しませんが、何といつても若干の責任があると考えております。もちろん十分盡したと考えておりまするけれども、手を盡しても、とにかくああいう事態になつて、数時間知事が押しこめられた。事前にこれを察知をし、事前に警戒をし、知事室に入れないという措置がとられなかつたということは、私はどうしても遺憾であつたと考えなければならぬと思います。それにはやはり警察全体の装備なり力なりが十分でない。このことがまた朝鮮人側につけこまれた理由であると私は思つております。もし非常に強い力をもつておるならば、さような事柄を計画すらもしなかつたであろうと思うのであります。警察の装備の下足、その他力の足りないという間隙を利用されたという結論になるのじやないか、事務当局の者としてはさように考えます。
#41
○大村委員 大体了承いたしましたが、なお私の申し述べたことを、もう少しはつきししておく必要があろうと思いますので、申し落しましたからこの際申し添えます。暴力によつて知事が正当に行使せんとした閉鎖命令を、やむを得ず撤回したというようなことによりまして、暴徒が退散した。そこで緊急事態を宣言することは、現在の法律制度のもとにおいては、あるいは適当でないかとも存じまするが、しかし一体暴力によつて違法状態を作出したということをそのままに放置しておきましたならば、その状態が他の方に波及するおそれが多分にあるというような場合におきまして、緊急状態が宣言ができないということは、私は法律上多大の欠陥ではないかと思うのであります。譬喩は少し当らぬかも存じませんが、たとえば、中央におきまして現在の政治のやり方を否認するというような暴徒が起りまして、そうして知事を強要してひつこめというようなことで、結局知事はその脅迫、暴力に抗し得ずしてそれを承知した。そこでまつたく非公式なる政権が成立するというようなことを想像いたしますると、この場合と多少誇張された比較にはなりまするけれども、同じようなことであろうと思います。暴行、脅迫によつて一應作出した状態をそのまま維持するという状態で、暴徒がひつこんだからそれで万事よろしいというようには、私は絶対に考えられないと思うのであります。この点につきましては、今回の御措置が法律上それでよろしいのだということが明らかでありまするならば、第二段の考え方といたしまして、よほど將來のためを考えてみなければならぬと思うのであります。
 なおこの際簡單な点でありますが、お尋ねをいたしておきたいと思いまするのは、今回兵庫縣における騒擾事件においては、朝鮮人が知事を強要したというように御説明でございましたが、日本人がこれに参画していることがあるかないかという点につきましては、何らの説明がございません。新聞紙によりますれば、そのようなことがあるようになつておりまするが、この一点は非常に重大性をもつておると思います。はつきりとこの点について、日本人がこれに参画しておつたか、参画していなかつたかという点につきましての、詳細なる御説明を伺いたいと思うのであります。
#42
○斎藤(昇)政府委員 私の申しましたことにつきまして誤解があると思いますので、申し上げておきたいと思いますが、暴徒が退散したから万事終れりというわけで、われわれは何もする必要はない、かような意味ではないのであります。もちろん暴徒が退散をいたしましても、これを檢挙するということをやらなければなりませんし、お説の通り、あの状態で放置されるならば、他の縣、都市にも起るであろうということを想像しなければならぬのであります。從いまして情勢のいかんによつては、どういう事態が來るかもわからないという考えのもとに、われわれはそういつた警備の情報を絶えず集めておるのであります。決して安心をいたしておるわけではないのであります。
 なお、この事件について日本人が関係をしておるかどうかというお尋ねでございまするが、私の聞いておりまする点、殊に御承知のように第八軍のアイケルバーカー將軍の声明にもその点が明らかになつておるように存ずるのであります。日本人側がこれに應援し、あるいは参画しておるというのは、おそらく事実であろうと私は考えます。いずれ第八軍のもとに取調べが行われ、処断されるわけでありますから、その取調べの結果がはつきりいたすと思うのであります。私の方といたしましては、確実なる証拠もつという事態にはありませんが、それを憶測するに至るような事柄が二、三あるのでありまして、神戸市の市会議員もすでに逮捕されておるのであります。これは申し上げるまでもなく日本人であります。そのほかにも、日本人が参画いたしておるのでありますが、この席ではこの程度に申し上げておきます。
#43
○小枝委員 私はこの機会に、ひとつ明確にしておいていただかなければならぬことがあります。その問題は、かかる大事件があつたにもかかわらず、地方警察から今なお中央の本部に対しまして、何らの詳細なる報告が参つていないということは、將來の國家の治安を維持する上において、私ははなはだ遺憾であると思います。今回の事件を考えてみましても、ただ單に大阪、神戸のみならず、山口、岡山、全國到るところにこれに類似する問題が起きてきたのであります。ただそれが命令を撤回するに至つておるか、おらないかという程度でありまして、現に岡山縣のごときも、この問題の当時は八千名の朝鮮人が岡山縣廳に押しかけてきて、知事に強談判をし、副知事や、学務部長がいろいろ説明をいたしましたけれども、閉鎖命令を出したのは知事だ。きさまらはひつこんでおれといつて、一歩も寄せつけないということで、数時間の間これに強硬な示威的の談判をしたということは事実であります。かくのごとき國家の不祥事は、ただ國家の一箇所において起るものではなくして、各地方々々からどういう問題が起るか、これははかり知れぬのであります。そういう場合に、警察の自治化と申しまするか、権利の地方分散と申しますか、そういう点から考えますると、そこまで地方警察が本部に対して責任をもつ必要はないということが考えられるかもしれませんけれども、いやしくも國家警察というものがある以上、最も敏速に、最も正確に問題の連絡、報道ということ、行われない限り、今後の國家の治安というものははかり得ないのではないかと考えるのであります。そういう問題に対して、ひとつ地方警察と國家警察との連絡協調の問題で、今回の事件について、地方警察が國家警察に対して十分なる責任を果しておるかどうか。果していないとすれば、今後それに対してどういうふうにやるかということについては、当局が十分考えなければならぬ問題じやないかと思います。この点について、ひとつ当局のお考えをお伺いいたします。
#44
○斎藤(昇)政府委員 先ほど辻公安委員長がまだ報告がないとおつしやいましたのは、現地の公安委員会からの意思表示がないと言われただけであります。公安委員会からの非常事態の宣言あるいは公安委員会自身として意思表示がないという御説明でありまして、事件の詳細な報告か、今日までどこからもないという趣旨では毛頭ないのであります。警察当局から國家警察の本部の方には、その後詳細が報告されております。
 なおお尋ねの、こういつた事態に関する情報の連絡につきましては、われわれも極力意を用いているのであります。各府縣の國家地方警察からこういつた警備に関する情報は敏速にされることにいたしておるのであります。また各府縣に、中央でまとめたものを必要に應じて情報を流しているのであります。しかしながら、御承知のような機構でありますから、自治体警察と國家警察との間の情報の連絡は、よほど注意いたしませんと、なかなか敏活にまいりません。自治体警察としましては、自分の自治体に関する地安の維持ということが、何としても主になります。國家的な意味で、廣い意味におけるそういつた警備の情報ということは、事実上相当むずかしい点があると考えるのであります。しかしながらわれわれは、殊に非常事態の宣言を出すか出さないかということに対する勧告は、公安委員会がなさるべきものであり、またその宣言が発せられると、國家地方警察が責任をもつて全國の警察を指揮するのでありますから、そういう事態になる前に、そういう事態になるかならないかというような情報は愼重に蒐集し、また地方にも教えていくという考えをもつて、せつかく努力いたしているのであります。
#45
○松澤(兼)委員 ただいま御発言のありましたことに関連いたしまして、もう一應確めてみたいと思います。
 先ほど大村委員から、日本人の関係者について質問があつたのでありますが、その点については何ら詳細な報告がないようなお話であり、ただいま小枝委員からの御質問では、事件の詳細な報告は連絡がとれているというお話であつたのであります。もし小枝委員に対する御答弁が眞実であれば、日本人の関係者などについて、もつと詳細な報告があるべきはずだと思うのであります。この点どういうことになりますか。
#46
○斎藤(昇)政府委員 日本人の参画している程度、その詳細ということにつきましては、これは情報の程度でありまして、殊に事柄は向うの軍の手で調べておられるわけでありますから、私はこの際は、ただ情報程度で、この席でそれ以上申し上げることをはばかりたいと思います。
#47
○大村委員 なおこの際私として非常にうかつな御尋ねになるかも存じませんが、ねらいは非常に重大な問題だと思う。それはわが國の治安を維持していくことは、政治上最も重大なことであると思います。この治安の維持に対する責任は、もとより内閣全体のとられるところでございますが、しかし治安の維持というような重大問題につきましては、閣僚の中でたれか一人全責任をもつてこれを掌理する者がなければならぬと思うのであります。現在の制度におきましては、警察は総理廳に属しておりますから、あるいは総理大臣が國民に対して責任を負われるのかも存じません。しかし総理大臣のごとく全般のことに目を配らなければならない人が、この具体的な治安の維持について併せて一責任をとるようなことは、事実不可能ではなかろうかと思うのであります。あるいは総理を補佐するという意味において、官房長官たる國務大臣がその責任をとられるのかもしれません。現在の制度におきまして、はたして何人が國民に対して國務大臣として責任をとられるかという点を明らかにしていただきたいと思います。なおまた、現在の制度はその通りであるが、しかし治安の重要性から考えて、他に責任大臣をつくる必要がありやなしやという点については、立法府は國会において深甚なる考慮を費さなければならない問題ではないかと思います。あまり制度変遷が激しいものでありますから、私といたしまして、現在の制度においてはどの國務大臣が責任をとられるかという点について、政府当局の見解を聽くことができますれば、参考のために伺つておきたいと思います。
#48
○斎藤(昇)政府委員 ただいまの法制のもとにおきましては、お述べの通り公安委員会は内閣総理大臣の所轄のもとに置くことになつておるのでありますから、私は総理大臣であると考えております。実際問題といたしましては、直接総理大臣あるいは官房長官を通じて総理大臣に連絡をいたしているような実際でございます。これの法律の問題については大村委員お述べの通り、國会におかれまして十分御檢討していただきたいと思つております。
    ―――――――――――――
#49
○松澤(兼)委員 この問題はかなり重要でありまして、前回の報告も聽き、またただいまいろいろ御調査の結果の報告も承りました。委員会としてはかねがね心配しておりました國家地方警察及び自治体警察の連絡が、今度の問題についても十分行われていなかつたように考えるのでありまして、先般の浜松事件の場合も同様でありますが、今後こういう問題が各地に起る、一体この事態が非常事態の宣言をしなければならなかつたような事態であるかどうか。あるいはたといそれに至らないような場合においても、事はきわめて重大であるという場合には、はたして現実にこういう騒擾を鎮圧する方法としていかなることが適当であるか。現地における各種の事情をよく調査して、今後起つてまいる各種の事件に対する國家地方警察及び自治体警察の緊密なる連絡、あるいはまたそこに不備な点があるとするならば、警察法の改正ということも考えなければならないのでありますが、この点委員会として、さらに詳細に調査したらいかがかと存ずるのであります。そのために衆議院規則第五十五條により委員を派遣して実地にこれを調査し、今後の治安及び地方制度委員会の運営に資し、あるいはまた警察制度の今後の改革等の参考にも資したいと存じますので、委員長におかれましては議長に対して、委員派遣の申請をしていただきたいと考えるのであります。もし他の委員各位の御同意を得まするならば、委員の人数及び日時、期間等は委員長におきまして適当にお取計らいになるよう申し添えておきたいと存じます。
#50
○門司委員 ちよつとその前にお聽きしたいことがあります。この前の浜松事件、さらに今回の事件を通して考えますことは、警察制度の新しい運用が完全に行われていないのではないかという考え方であります。浜松事件におきましても実地の調査をいたしますると、四日に大体事件が起つておりまして、さらに五日に起つて、乱闘事件が二日にわたつて起つております。浜松公安委員会が正式に開かれたのは六日であります。公安委員長が六日の日附で静岡警察本部に應援方の要請がしてあるというような事態でありまして、実際はその前に口頭で話し合つたからという話もありましたが、そういう事態、さらに今回の場合も、先ほどからの御説明によりますと、地方の公安委員会からも、あるいは兵庫縣の公安委員会からも何のお話もないというお話、さらに浜松事件では現地の浜松警察署長は、ああいう大きな事件があります場合には、現在一浜松警察署長でありましたために、自分の職責の上において一切を指揮監督することになつているにもかかわらず、実際の面にあたつてはその処置が完全に遂行できたものとは思えない点がたくさんあるのであります。從つてこの面の教養はきわめて緊急に行われる必要があるのじやないかと思います。國家警察本部においては、それらの教養機関をおもちになつておりますので、これが迅速に行われるようこの点申し上げておきます。
#51
○坂東委員長 先ほどの松沢君の御動議、その派遣先は大阪、神戸の両市だけでありますか。
#52
○松澤(兼)委員 そうであります。
#53
○坂東委員長 ただいまの松沢君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#54
○坂東委員長 そうしますれば、日時は五月五日といたしまして、場所は大阪、神戸市、人員は三名くらいでいかがでありますか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#55
○坂東委員長 御異議ないようでありますから指名いたします。
  松沢 兼人君  小暮藤三郎君
  川橋豊治郎君
 この三名を指名いたします。そうして成規の手続をとることにいたします。
 後の日程が一つありますが、延期いたしまして、本日はこの程度で散会いたしまする
    午後一時六分散会
ソース: 国立国会図書館
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