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1951/03/26 第13回国会 参議院 参議院会議録情報 第013回国会 予算委員会 第28号
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1951/03/26 第13回国会 参議院

参議院会議録情報 第013回国会 予算委員会 第28号

#1
第013回国会 予算委員会 第28号
昭和二十七年三月二十六日(水曜日)
   午前十一時四十四分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
三月二十五日委員中田吉雄君及び高良
とみ君辞任につき、その補欠として金
子洋文君及び西郷吉之助君を議長にお
いて指名した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     和田 博雄君
   理事
           中川 以良君
           山本 米治君
           小林 政夫君
           杉山 昌作君
           内村 清次君
           堀木 鎌三君
           東   隆君
           木村禧八郎君
           岩間 正男君
   委員
           愛知 揆一君
           石坂 豊一君
          池田宇右衞門君
           泉山 三六君
           大島 定吉君
           楠瀬 常猪君
           左藤 義詮君
           白波瀬米吉君
           杉原 荒太君
           鈴木 直人君
           中川 幸平君
           平林 太一君
           宮本 邦彦君
           岡本 愛祐君
           小野  哲君
           片柳 眞吉者
           加藤 正人君
           楠見 義男君
           西郷吉之助君
           新谷寅三郎君
           中山 福藏君
           荒木正三郎君
           岡田 宗司君
           金子 洋文君
           吉田 法晴君
           波多野 鼎君
           松永 義雄君
           山下 義信君
           山田 節男君
           吉川末次郎君
           駒井 藤平君
           鈴木 強平君
           西田 隆男君
           岩木 哲夫君
           深川タマヱ君
  国務大臣
   内閣総理大臣
   外 務 大 臣 吉田  茂君
   法 務 総 裁 木村篤太郎君
   大 蔵 大 臣 池田 勇人君
   文 部 大 臣 天野 貞祐君
   農 林 大 臣 廣川 弘禪君
   通商産業大臣  高橋龍太郎君
   建 設 大 臣 野田 卯一君
   国 務 大 臣 大橋 武夫君
   国 務 大 臣 岡崎 勝男君
   国 務 大 臣 岡野 清豪君
   国 務 大 臣 周東 英雄君
  政府委員
   内閣官房長官  保利  茂君
   大蔵大臣官房長 森永貞一郎君
   大蔵省主計局長 河野 一之君
  事務局側
   常任委員会專門
   員       野津高次郎君
   常任委員会專門
   員       長谷川喜作君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○昭和二十七年度一般会計予算(内閣
 提出、衆議院送付)
○昭和二十七年度特別会計予算(内閣
 提出、衆議院送付)
○昭和二十七年度政府関係機関予算
 (内閣提出、衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(和田博雄君) 予算委員会を開会いたします。
#3
○内村清次君 議事進行について委員長から是非次の問題について政府に質疑をして頂きたいのでございます。その動議を提出したいのでございます。
 本予算委員会は、当初から政府の計画をいたしておりまする自衛力の増強計画が、これは本予算に対しまして直接大きな関係を有するものであるという見地に立ちまして、その漸増計画を政府に要望をしたのでありますが、一昨日の予算委員会に大橋国務大臣はこの増強計画を提出いたしたのでありますが、その際におきまして私は三つの点について質したのであります。その第一点といたしますことは、今回の政府の自衛力の増強というものは、平和及び安保両條約に関連をいたしまして、(「簡単に願います」と呼ぶ者あり)政府は是非自主的な計画の上に立つてこれをする方針であるかどうかという点と、第二点は、いわゆる産業自立経済の五カ年計画と同時にこの自衛力の計画というものは総合的に計画さるべき問題であつて、而も一方において国民の生活水準を下げないという確約をしておる以上は、やはりこれは自衛の計画というものは自立経済と並行して考えるべき問題であるという点と、第三点は、すでにその政府が考えておるような自衛力の増強というものは新聞にもう出ておる。この新聞に対してどういう考えを持つておるかという三点を私は質問したのでありまするが、それに対しまして政府の答弁によりますると、これは各委員のかたがたに配られたところの自衛力の漸増計画、これに終始をするものであるというような答弁でありますし、新聞の(「簡単」と呼ぶ者あり)記事に対しましては、これは実は政府は迷惑しておる、こういうような答弁であつたと思う。ところが今日の朝日新聞を見てみますると、二十七年度に対しまして十八万の予備隊の増員を総司令部が要求をいたしたということが書いてありますし、特に又大橋国務相は去る二十二日に警察予備隊本部で総司令部の民事局長ワトソン代将と会談されて、その会談の席上においてワトソン代将は十月を期して十一万名に増員予定の警察予備隊を二十七年度中には更に十八万名に増員を要望して、而も米国側といたしましては十八万名に対するところの武器の貸與に関するところの一切の手続を完了しておるというような強い要望がなされておるのです。こういうような新聞の記事自体に対しましても、私たちはこの委員会では相当神経をこの一点に集中をいたして、そうして政府の増強計価を明らかにするように図つて来たのでありまするが、政府が昨日答弁をいたしましたその舌の根のまだ乾かないうちにこういうような新聞記事が出ておる。これに対しまして私たちはこれは事が重大でございまするからして、委員長から政府に対しまして、即ち司令部からのこういうような要求を受けたかどうかという一点、これに対して政府はどういう態度で臨むか。それからその次に、二十七年度中には政府は警察予備隊の増強はしないとの確約ができるかどうか。こういう三点につきまして委員長から是非この際質疑をして頂きたいことを要求いたしまする動議を提出いたしたいのであります。
#4
○杉山昌作君 私は只今の内村君の動議に賛成いたします。
#5
○委員長(和田博雄君) 昨日の委員会で質疑が終了いたしておるのでありますが、只今内村君から動議がありましたので、委員長においても実はこの委員会を円満に運営するためにも、討論に入ります前に私から政府の意向を質すことが必要だと私も考えるのでありますが、内村君の動議の通りに、私から簡單に政府の意向を質すことに御異議はございませんでしようか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(和田博雄君) それではさように取計らいます。
 私から政府に質問をいたしますが、政府の意向を質したいと思うのでありまするが、只今内村君の読み上げました朝日新聞の記事にありまするように、大橋国務大臣は総司令部から警察予備隊を十八万に殖やすような要望をお受けになつたのであるかどうか。又これに対して政府はどういう態度をとつておられるのであるか。政府の態度は従来と何ら変りのないものであるのか。それともそこに従来の態度と変つた態度を持つておられるのであるかどうか。と申しますのは、質疑のこの過程におきまして、政府は繰返し昭和二十七年度においては十一万以上には殖やさないということを強く表明されておりますので、その点をお伺いする次第であります。又この十八万名という員数に伴うところの経費は二十七年度の予算の中に入つて来るのかどうか。二十七年度中に若しも殖やすということになるならば、昭和二十七年度中に入るのか、この点をお伺いしたいのであります。と申しますのは、政府は従来の答弁としまして、殖やさないとは言うけれども、将来国際情勢或いは国内情勢によつては、治安その他の関係で考慮するという答弁をしておられるので、以上述べました三点について明確な一つ御答弁をお願いいたしたいと思います。
#7
○国務大臣(大橋武夫君) 只今の委員長の御質問に対しまして答弁を申上げます。第一には、二十二日に朝日新聞の記事によりますると、私がワトソン代将と会談いたしましてその際に二十七年度中に警察予備隊を十八万に増加することの要望を受けたかどうか、こういう御質問でございます。去る二十二日に要務を以ちましてワトソン代将と会談いたしましたる事実はございまするが、このときはこの委員会においても申上げましたところの、講和発効後における米軍顧問団のあり方について協議をいたした次第でございまして、それ以外に何ら警察予備隊の増強の計画に触れた問題はございませんでした。従いまして二十二日の会談におきまして、ワトソン代将よりかかる要望を受けたという朝日新聞の記事は、私に関する限り明らかにこれは誤まりであると言わざるを得ない次第でございます。従いまして政府といたしましては、十八万に増員をするということにつきまして、ワトソン代将から要望をせられた事実はございません。政府といたしましては、二十七年度中におきまして十一万に増加するという計画は、これはさようの計画を立てて、そしてこれについての予算を御審議を願つておる次第でございます。只今この増強の細目につきまして具体化すべく準備をいたしておる次第でございまするが、これ以上の増員につきましては、現に何らの計画を持つておらないことは、しばしば当委員会におきまして申上げた通りでございます。
  ―――――――――――――
#8
○委員長(和田博雄君) これより昭和二十七年度一般会計予算、昭和二十七年度特別会計予算及び昭和二十七年度政府関係機関予算に対する討論に入ります。御意見のあるかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。なお討論時間は各会派三十分間以内にお願いいたします。
#9
○吉田法晴君 私は講和條約、日米安全保障條約に反対投票をいたしました日本社会党第四控室を代表して、昭和二十七年度予算関係三法案に対しまして反対討論をなすものであります。
 我が党が予算関係三法案に強く反対をいたします第一の理由は、この予算案は自主性を持たない日本政府が作つた予算であるという点であります。この予算編成の当時、即ち昨年九月以降我々は殆んど毎日の新聞でやれドツジ氏との交渉がどうなつた、ダレス氏との話合いがどうだ、ラスク氏が来られたから、マーカツト代将がどう言つたというような記事、ニュースの連続を見せられ、或いは聞かされて参つたのであります。あの経緯を見てもわかります通り、この予算案の大綱どころか、極めて細かいところ、例えば遺家族援護費をどのくらいにするとか、地方税の中で固定資産税をどうするかというような点でも、アメリカ当局の意向に制約せられ、その要求通りに、アリメカ軍の駐留費や予備隊強化費等を織り込んで作つた予算であるということははつきりいたしておるのであります。このことは参議院において予算審議の結果、野党のみならず緑風会の賛成までも得て遺家族援護費の極めてささやかな増額修正を志してなされた折衝の結果から見ても明かであります。講和発効を目前に控えて講和條約によつて独立したという姿が実はこのようなものであるということ、これは議論ではなくつて、具体的に野党のみならず與党の諸君といえども学びとられたところであろうと思うのであります。更に今朝の朝日新聞の記事につきましては、只今大橋国務大臣から否定なされましたけれども、従来の経緯から考えますならば、アメリカ側の意向によつて、警察予備隊の増強にしても実現せられて参つたという過去の経験から鑑みまして、これが単なる誤報でないという感じがいたすのであります。或いは又行政協定のような重大な問題を、衆議院においては予算通過を待つて発表せられた政府でありますからして、予算の審議が終つた翌日こういうニュースが伝わるということも、決してこれは偶然であるとは言えないと考えるのであります。我々は昨日まで十一万の警察予備隊が戦力であるかどうか、戦力ではないかという議論をしつこく、いわば目の色を変えたようにして議論をして参つたのでありまするが、こういう質疑というか、論議の済んだ後にこういうニュースを聞くということは、私どもにとつて、この予算の審議が、国会の審議が如何なる意味を持つかということすら考えさせられるのであります。
 我々は一体誰のために誰の予算を審議しておるのでありましようか。我々の主権者は日本の国民であります。アメリカの軍人でもなければアメリカでもございません。収入は日本国民の尊い汗と脂の税金その他から成つておりまして、予算は日本国民のものであります。従つて政府が勝手に使わないように、国会が国民に代り予算というものを款項に亘つて審議決定するものであります。
 主権者である日本の国民、日本国民の代表である日本の国会の意見、意思によらずして編成せられ、勝手に使用せられる自主性のない予算には我が党は絶対に反対するものであります。
 反対の第二の理由は、昭和二十七年度予算は再軍備予算であつて、国民生活、特に勤労者の生活を圧迫するものであるからであります。我が党はこの予算の根本的組替えを要求するものであります。この予算では、給與は現状のまま今後一カ年間据え置かれることになつております。公務員の給與と民間給與との差は初めから明らかであります。その後ますますこの差は拡大をいたしております。標準生計費が昨年五一月後一〇五に達した月があるにかかわらず、政府はひたすらこれらの事実に眼を覆い、或いは事実を隠蔽し、更にあとで述べますように、物価生計費の高騰が必然であるにかかわらず、何ら考慮が拂われておりません。麦、米の統制を撤廃し、農民を曾つてのように仲介人、独占資本の好餌としようとしております。税金は国民所得が四兆六千六百億から五兆三百四十億と名目上の増加があるとして七百七十一億の増徴を見込んでおります。税法上の税率は据え置くといたしましても、実際上増税となることは明白であります。又砂糖消費税、酒税、物品税の増加、計二百三十一億を見込んでおりますが、これら間接税、流通税は政府の今後とろうとする増税の一つの方向でありまして、講和後の諸支出二千三百億近くのものが経済外の非生産的支出としてインフレ促進の役割を果すのと相待つて、本年における物価生計費の高騰、国民生活圧迫の大きな要因となることは明らかであります。米軍の駐留に伴う防衛分担金六百五十億、米軍の施設移転のための営舎建設費等、安全保障費五百六十億、警察予備隊、海上保安庁増強等、政府の自衛力漸増、我々の言う再軍備費六百十四億、今年度からの繰越三十億を加えて六百四十四億、これに平和回復善後処理費百十億、連合国財産補償費百億、遺家族援護費二百三十億等その他経費計四百四十一億を加えた合計二千二百八十三億という厖大な財政支出は、何といつても昭和二十七年度予算の特質的な支出であります。而も自衛力の漸増は安保條約によつて期待せられ、自由党の吉田内閣はこの自衛力の漸増計画を着々実施に移しておられるのであります。自衛力の漸増と米軍の漸減とは政府も認めたところでありますから、この財政支出が今後年ごとに増加して参ることは明白であります。日本みずからの負担において装備をいたしますならば、二十万としてその初年度費用だけでも二千億に上ることが予想せられると大橋国務大臣も認められたところでありますが、日本みずからの負担による装備費が予算に計上せられる日も遠いことではありますまい。本年度千八百四十五億の米軍駐留費と日本の自衛力強化費、内外の軍事力を持つ費用は八千五百億の予算総額の二一%、これに平和回復善後処理費、連合国財産補償費等を加えた厖大な財政支出は内政費を大きく圧迫しないではおきません。政府はこの大きな講和後の諸支出にもかかわらず、内政費は削減しておりませんと強弁しておりますが、今年度内政費六千二百四十四億からインベントリー・ファイナンスを差引き、昭和二十六年度予算の物価基準時と昭和二十七年度予算のそれとの物価騰貴率二割強を考慮に入れますならば、明らかに大幅な縮小、削減であります。このことは地方自治体の赤字の計が四百二十五億、そうして新規財政需要千百億というのに、これを九百三十三億と抑え、平衡交付金千二百五十億、本年対比僅かに五十億の増加として地方自治体の忿懣を買い、地方公務員の給與是正を困難ならしめている事態に鑑みても明らかであります。公共事業費の事業量の縮小、災害復旧の遅延を来し、中小企業関係の財政投資を細かく削減、失業対策費を事実上減額、社会保障の推進を放棄、国立病院を地方に移譲して国の医療行政を完全に放棄し、教育、科学、文化関係の支出を実質的に減少せしめておることに現われております。講和後の諸支出と称せられる軍事費その他が二七%、社会政策費が七・五%、文教費を加えても一一%、このことは遺家族援護費を国家当然の補償、社会保障としてでなく、再軍備のための一施策として取上げても、なおお燈明代にも達せざる惨澹たるものにしております。
 この予算は国民のための予算ではなくして、米軍の駐留と傭兵再軍備のため国民に犠牲を強いる予算であり、国民を抑圧する予算であります。民主主義的予算でなくして再軍備予算であります。これが我が党がこの予算に反対する主要の点でございます。従つて我が党は防衛支出金、安全保障諸費、自衛力増強費、即ち傭兵再軍備のための諸費用合計二千四十億を削除、連合国財産補償費、外債返還費、賠償費等を繰延べ、この合計二千四十億を、平衡交付金、公共事業費の増額、我が党の「講和後の新経済政策」として、五年後に完全雇用を実現し、生活水準を戦前昭和九十一年の水準まで上げるため、完全な社会保障制度を実現するため、鉱工業二倍増のために電源開発、造船等基礎産業開発近代化のための長期資金増、中小企業の長期資金確保のための金融公庫等への投、出資増、食糧自給度向上のため農林、水産二割増産のための投資、遺家族援護費の増額、失業対策費を含む社会保障費の増額、文化、文教費の増額、給與改善費に当てることを要求いたすものであります。
 歳入においては、軍需大資本家等に対する超過所得税を創設、低額所得者の減税を実現することを主張するものであります。昭和二十七年度予算案を通じて出された吉田自由党内閣の国民生活の犠牲、再軍備、即ち大砲の要求に対して国民生活の向上を、パンを我が党は要求するものであります。
 第三の反対の大きな理由は、この自由党内閣の提出にかかる昭和二十七年度予算が軍国主義を復活し、フアシズム支配を招来するものであるからであります。昭和二十七年度予算の基礎は産業活動指数、昭和九十一年対比一四六、特需三億三千万ドル、貿易外収入四億四千万ドルを含む受取勘定二十三億ドル、国民所得五兆三百四十億円等々であります。然るにこの基礎は朝鮮停職による特需の減退、米国の軍拡引延し、ポンド過剰、いわゆる外資導入の期待はずれ等から崩れ出し、産業活動指数一三四・四乃至一三六・二という推計さえ安本当局によつて推算されていると言われるほどであります。このことは日米経済協力のスローガンに集約される向米一辺倒、吉田首相の中国問題に関するダレス氏宛書簡に表現せられる中共絶縁政策、これらによつてもたらされる日本の東洋における孤立化、このことからする中共貿易の杜絶、東南アジア貿易の不振、鉄鋼、アルミ及びその製品の生産費高となり、滞貨と売行不振は繊維関係、ゴム製品から始つて薄鋼板の操短となつて、いわゆる日米経済協力方式では平和的な経済自立が全く不可能なることを端的に現わしておるのであります。通産省の勧奨による操短自身が大資本の利潤確保、一般国民消費者への犠牲転嫁でありますが、この輸出減に対する最大の対策は特需、新特需、駐留軍のドル拂い、米軍個人消費等、貿易外収入で七億乃至九億ドルを期待するということであります。マーカツト声明による一億五千万ドルの新特需はこのうち最も近いものであるとして大きな期待がかけられていること周知の事実であります。これは最近の実情でありますが、ここにはつきり現われているように、勤労者の生活圧迫によつて国内市場をみずから狭隘にし、中国、東南アジア諸国との平和的経済交流を断念した吉田自由党政府は、米軍の支援による東南アジア、朝鮮向け等軍需品、準軍需品の生産、修理の協力による特需新特需等収入を目指しております。このことは今国会劈頭における周東安本長官の経済演説にもはつきり現われております。周東長官の稼働生産設備と言われるものは、従来賠償指定を受けていた軍需生産工場であることは何人にも明らかでありましよう。我が党、或いは従来我が国がとつて来ました平和産業中心の経済ではなくして、アメリカ資本との協力、アメリカ支援による軍需産業中心の経済への転換、いわゆる日本経済のアメリカ国防経済の軍需下請工場化を図つているのが現政府の態度であります。電力、石炭等基礎産業に対する積極保護政策と言つても我が党の主張方向とは全く逆であります。日米経済協力の名の下に軍需生産を再開すること、これが昭和二十七年度予算に関連してとられる政府の産業資金計画、その他顯著な経済政策であります。このことは従来のデフレ政策の終焉と、来年度後半に現われるであろうインフレ傾向、二千億円を超す非生産的諸支出、インベントリーの半減等、財政の中のインフレ政策と必然的な関連を持つておるものであります。アメリカからの更に一層テンポを早めた自衛力漸増の要請は、この加重するインフレの進展と共に、大幅増加の補正予算を組まざるを得なくなるでありましよう。このことは、技能者養成を名とする満十八歳未満の男子の入坑許可及び一般少年工の使用、一部女子の深夜作業禁止の緩和等労働基準法の改悪、その他労働強化、賃金低下のための諸施策、労働組合抑圧のための争議の調整、争議調整に関連する争議行為の禁止等、労働法規の改悪、破壊活動抑制を名として民主的労働組合その他民主的諸組織の行動をも制限する特別保安法、デモ行進取締法等、弾圧立法と裏肚をなすものであります。
 我が党が他の野党の諸君と共に、昭和二十七年度予算が再軍備を実現するものである、現に憲法第九條違反が行われつつあり、更に警察予備隊三万五千名の増員、これは或いはもつと殖えるかも知れません。海上保安庁六千の増員、そうして部隊訓練、軍隊組織の強化、装備の充実によつてより強力な戦力となるのではないか、という強い疑問を提出して終始政府に対する追求の手を緩めなかつたのは、実にかかる環境と動向の中にあるが故でありました。経済の面での軍需生産の再開、それは政治の上の軍隊復活と密接不可分のものであります。今の警察予備隊や海上保安庁の部隊、七月一日から保安庁の下に統合され、十月一日から保安隊、海上警備隊になるのが憲法第九條第二項の戰力になるか否か、この予算委員会でも小委員会でも論議を盡しましたが、予算委会員が呼んだ三人の公述人を初め、憲法学者、憲法制定当時の政府の説明等から何らの悪意も作為も加えず、冷静に論理的に考えたところの結論は、私が本会議で緊急質問の中でも述べましたように、陸海軍と名付けずとも「その他の戰力」であることは明白であります。米英初め世界の輿論が、日本の新聞雑誌、特にこの問題についての新聞の世論調査、部隊訓練演習を見ている子供たちがどう言つているかも客観的判断をよく現わしておるのであります。「知らぬは親爺ばかりなり」ではなく「言わぬは政府ばかりなり」であります。むしろ私はここで軍国主義の復活とフアシズムの危険について政府及び国会、国民に強い注意を喚起しておきたいと思います。予備隊や保安隊の中に追放解除後吸収された旧陸海軍将校、それは陸士第何回卒業生ということでなくても、士官学校卒業生として、旧将校として銃卒指揮の能力において戰術の知識において他に断然優れていることは明白でありますが、そのグループが強化されて行く部隊の中において指導権を握つて行く、中心となつて行くことは誰しも考え得ることであります。五・一五、二・二六事件の中心をなした桜会、小桜会等の諸君が国家社会・主義を奉ずる少数の士官であつたことは百人の記憶に新たなところであります。ヒツトラーが第一次欧州大苫戰に参加した下士官であり、そのドイツ労働者党が一つの有力な力になつたのは、ヒツトラーがフオンエツプ将軍の参謀の一人、「バヴアリアにおける軍の政治活動を統轄する男」エルンスト・レームに会つてからのことであり、この軍人を党員とする軍隊のための政党が警察権と結び、排外的にヴエルサイユ條約の破棄、国民を苦めるインフレの原因である賠償の義務の放棄をスローガンとし、ユダヤ人排撃、その他独占資本に対する闘争を装いつ、職を失つた労働者、没落した小商人、就職困難な学生、青年を動員、組織しつ、親衛隊、突撃隊、アルバイトデイーンスト等潜在的戦力を強化して行つた道は、我々のよく知つているところでありますが、この道が日本においてすでにより大きく始つているということであります。政府が、これはおたまじやくしで蛙でないと強弁しつつある間にもう足が生え、尻尾がだんだん短くなつて参りました。この十一万、或いは今日の新聞の十八万、とてつもなく大きい蛙はその育ての親である大橋国務相や吉田総理、自由党をも一呑みにすることは蚊や蝿を呑むより容易でありましよう。我が党はかかる新らしい軍国主義、封建的要素と結び付いたフアシズム組織の口実理由となつた共産党の武力主義を非難すると共に、これを育てる自由党吉田内閣の腰抜けを、国民と歴史の名において糾弾し、これを強化し決定的にする昭和二十七年度予算に断固反対するものであります。
 最後に我が党は、かかる再軍備を実現し、特定国の戦略的意図に従つて日本の政治経済を再編し、講和條約、安保條約の必然の結果としての行政協定と関連、米国の無制限駐留を日本及び日本周辺に許し、日本と日本の国民をして戦争の惨禍の中に投ずる昭和二十七年度予算に断固反対するものであります。
 当委員会で問題となつた憲法第七十三條と行政協定との関係、予算と関係ある行政協定第二十七條第二項、駐留軍と保安隊、海上警備隊との協力関係を生ずる同第二十四條に関する論議はここでは繰返しません。朝鮮休職成立後の新らしい情勢に備えて、アメリカにおいて「台湾中立化」の方針が再検討され、ニューステーツマン・アンド・ネーシヨン一月十九日号の報ずるごとく、アチソン国務長官自身が、太平洋での対決は避けられないと考え、どんなことがあろうとも国連を説得して侵略の罪を犯した中共を処罰するのが、アメリカの義務であると信じ、かかる考え方の確固たる主唱者となつており、二月三日英労働党議員ミカード氏がレデイングにおける演説において、「アメリカは中国との戦争を決意しており……、その太平洋の戦略が防禦的なものであるという口実さえも振り捨ててしまつている」と言われたごとくであり、そして再びマッカーサー主義の復活として、満州爆撃の戦術が新聞紙上に報ぜられる昨今、行政協定において原爆基地が日本内部には設けられない、或いはイギリスの場合のように設けんとする場合、日本国民或いは国会の承認を求めるというがごとき保証が日本政府によつてとられなかつたことは極めて遺憾であり、国会、国民の最も不安とするところであります。若しマッカーサー主義が実施に移され、元帥の曾つての戦術のごとく、満州、中国の爆撃が行われますならば、マ元帥罷免後のアメリカ国会において統合参謀本部から証言せられましたように、その翌日には東京及び北九州その他日本の主要空軍基地及びその周辺が爆撃せられることは必至であります。憲法を蹂躪し、国会を無視し、行政権の優位を誇りつつ、昭和二十七年度予算を強行、フアシズムを育成する吉田内閣は、日本と日本の国民を、戦争の惨禍と原爆の対象たるの道に一歩一歩近付けつつあります。朝鮮事変によりて四度戰場となり、爆撃砲撃の結果廃墟と化した京城の瓦礫の山の上に、茫然立つている孤児の写真を当時の新聞紙上見たのを、今私は思い起すのであります。日本と日本の国民をあの京城の廃墟と、廃墟の中の孤児たらしめないために、憲法が中外に宣言した民主主義と永久平和主義を守ろうとずる日本の勤労者の政党、日本社会党の名において私は昭和二十七年度予算関係三法案に反対をするものであります。
#10
○委員長(和田博雄君) 午後は一時半から始めることにしまして暫時休憩いたします。
   午後零時二十三分休憩
   ―――――・―――――
   午後一時四十四分開会
#11
○委員長(和田博雄君) 午前に引続き、委員会を再開いたします。石坂豊一君。
#12
○石坂豊一君 私は我が自由党を代表いたしまして只今議題に付せられておりまする昭和二十七年度一般会計、特別会計並びに政府機関予算各案に対し、賛成いたすものであります。賛成いたします理由の主要点は、本予算案が我が国独立に伴う国際的な責任をよく果し得た点にあるのであります。而も現下我が国の経済的な諸制約を考えますならば、編成の困難なことは想像にかたくないところであります。本予算案はよくその間の調整を図り得ておることは、我が党の賛意を惜しまざるところでございます。以下私は予算案審議にあたり、最も問題となつた数点について検討を加えまして、本予算案の性格を明らかにいたしたいと存じます。
 その第一は、自衛力漸増方針に関する問題であります。本予算案は一般会計予算の約二・一割にあたる千八百二十三億円を防衛関係諸費として計上いたしております。独立に伴う責任を果すと共に、みずからの力で治安維持を図るため自衛力漸増の措置をとつているのであります。これらは我が国防衛問題に関する各党の態度をつらつら見ますると、全面的に予備隊の存在を否定するかたもございます。又即時再軍備論に至るまでのかたもございます。多種多様であるのであります。併しながらこれらの態度はいずれも現実の諸情勢に副わざるものであると存じます。我が国の経済力を考え、又崇高なる理想の下に定められたる憲法第九條の規定によりまして、今直ちに再軍備に乗り出しがたいことは勿論であつて、この点に関しては吉田首相が国会において毎度の機会に述べておる通りでありますが、これと同時に、さればと言つて自衛権を放棄して、防衛措置を空白にすべきでないことは、眼前の国際的波瀾に徴し極めて明瞭であります。私はこの点将来の問題はともかくとして、当面内に対しては、予備隊を充実して治安力を確保し、外に対しては、米国駐留軍の力を借りて我が国の独立を維持せんとする大方針こそ、現下我が国の経済力と国際的條件とに適応した唯一の途であると思うものであります。自衛力漸増方針に関して問題になるのは、警察予備隊乃至防衛隊は憲法第九條に規定する戦力に該当するかどうかの点であります。即ち戦力となり得る潜在的力をも含めて戦争と看做して、予備隊はその編成、装備の点から社会的通念上これに該当するという論でございます。併しながらいわゆる戦力は時代に対応してその内容が変動する観念であつて、昔は兵馬と称して軍備を形容したが、今日の戦力は宇宙の秘密を採り、科学の粋を結集して時間と知力、金力を傾倒し、或いは原子力、航空、潜水、電波兵器等、精巧、雄大なる兵器を製作してその装備を具有するのでございまして、軍に武器と人とさえ備えれば戦力なりと断定するということは不当であると存じます。従つて私は予備隊乃至防衛隊を現代における戦力に至らざるものと考うるものであります。殊に現下国際情勢は言うに及ばず、国内治安の状況を顧みまても、ますます險悪化する各種テロ行為の傾向に対しましては、断固治安維持の措置を強化する必要があるのでありましてこの点現下我が国の経済力から考えまして、最小限の経費を以て平和愛好国としてよく独立の維持を図つた自衛力漸増の方針に対しては全面的に賛意を表するものであります。
 第二の問題は、講和発効に伴う残余の案件、即ち行政協定は憲法第七十三條の條約に該当するかどうかの点であります。この行政協定は本委員会の審議中その内容が明らかとなり、日米安全保障條約の委任規定に基き、その実施に関する事務的細目協定として両国政府間の協定に委任せられておることは(「ノーノー」と呼ぶ者あり)明白疑いのないところであり、(「ノーノー」と呼ぶ者あり)又昨日の本会議において院議が決定したから私はここに多言を費しません。ただ予算に計上されたる平和回復に伴う諸費約二千三十億を分解しますれば、日米安全保障條約に基く駐留軍に関する経費の分担、国内治安の確保、海上警備、救護の充実を図り、警察予備隊及び海上保安庁の増強、これらに関する安全保障諸施設又は賠償、対外債務の支拂い、連合国財産の返還等と共にいずれも当然且つ必要な経費であることは言うを待たんのであります。ところがこれらの経費について多いとか少いとかいう多少の議論はありましたが、防衛費の国民所得に対する比率において西ドイツは七・五、イタリアは五・〇、我が国は三・五であるということでございまして、決して過大なものではないと存じます。
 第三に挙げたいのは、苦しい財源の中から内政諸費が前年度以上の金額を確保しておることでございます。その一は、食糧増産対策費四百二億円を計上して食糧自給の度合を向上するために農地の改良拡張、その他農業の助長発達と水産畜産等の振興に向けておることでございます。
 その二は、公共事業費において千二百三十七億を計上しております。これは尤も本予算の金額と各特別会計にある金額とをそれぞれ按配計上して算出したものでございまするが、要するにこの一千二百三十七億を計上して治山治水、単作地帯の土地改良、重要港湾の整備、道路改良を図るほか、継続費を設定して河川の総合開発を促進し、災害復旧の事業に特別の注意を拂つておることは、いずれも熾烈なる国民の要望に応えるものと存じます。
 その三は、遺家族の援護に関する経費として二百三十一億を計上するのほか、交付公債八百八十億の一時金でありますが、これに対して国内に不満の声があることは誠に無理からんことと存じます。そもそも戦争最大の犠牲者として、平和回復後に期待を持つておつたものであるのにかかわらず、その援護が思い通りにならないという点において遺憾の意を表するもののあることは止むを得ないところであります。国家はこれらに対する当然の援護をなすべき責務があるのであります。今回の措置は政府としても財政の現状上止むを得ずこの程度に止めたものであつて、将来財政の許す限り善処するという政府の言明がありましたから、ここに信頼して気の毒な遺家族諸氏の暫く隠忍を切望する次第であります。
 その三は、地方財政平衡交付金についてでございまするが、前年度より五十億を増加すると共に、資金運用部資金より地方起債の枠百五十億円の拡大を見ておることは、地方団体の急需に応ぜんとする措置であつて、誠に適当なる方法と存じます。更に地方行政の簡素化、地方財源の確保については今後中央地方を通ずる根本的措置を期待するものであります。
 その四は、民生の安定、文教の振興のための積極的施策であります。即ち生活保護、社会保障、結核対策等に五百二十七億を計上しております。又深刻な社会問題であるところの住宅事情改善のため百五十億の住宅融資を予定し、六三制校舎の急速整備を図るために、相当な金を見積り、学術振興等の施策に特段の配慮を拂われておること等を挙げなければなりません。このほか産業の発達、貿易の振興を図るために電源開発、造船を初め重要産業に必要な長期資金、中小企業、農林漁業資金貿易資金等については一般会計、資金運用部資金、見返資金を通じ、総額一千百八十三億に上る財政資金の活用を図つておりますことは、誠に資本蓄積の各種の施策と共に周到な金融政策の根幹をなすものと見なければなりません。
 次に、以上の歳出に対して歳入の主なものを申しますれば、租税及び印紙収入の六千二百八十一億七千七百余万円と専売納付金千二百五億でございます。この税収入の見積りの確実なることは、前年度以来の実績に徴し、又今後の生産物価の動向、国民所得の推計等に鑑み、何らの不安なきことは数次の大蔵大臣の言明及び各種の資料によつて明らかとなりました。税制につきましては先に所得税を中心として平年度約一千億に上る負担の軽減、合理化を行ないましたが、二十七年度においてもこれを維持すると共に、所得税、相続税及び法人税において負担の合理化、軽減を図り、課税の簡素化と資本蓄積に資することは極めて機宜に適したる措置と言うべきであります。確実なる見積りによつて歳入を確保し、今後においても絶対に増税を企図しないことは、我々の歳入に対する根本義として信頼を拂うところであります。
 以上のような一般会計予算は総額八千五百二十七億五千三百余万円、前年度に比して五百九十億四千六百余万円の増額でありますが、その国民所得に対する財政規模は一七の比例でありまして、前年度と同率を維持しておるのであります。而もその内容においては収支の均衡を保持し、悪性インフレの原因を排除しつつ、我が国独立後における財政需要の非常なる増大に対して、毫も国民負担の増嵩に訴うることなく、その経費の配分についても、当面の急要なる平和回復に伴い必要なる経費と共によく内政諸費に前年度以上の金額を確保し、国力の培養育成に諸般の施策を講じておりますことは、本予算の特徴とするところであります。併しながら一方において今日我が国民負担を考えますると、決して軽いとは申されません。我が国は今後国際社会に伍してその自立を図るためにはこれに堪え忍ばなければならんことは申すまでもありません。戰勝国たる英国においてすら、チャーチル首相は声を嗄らして率先国民の耐乏を叫んでおりますことは、我々にとつて誠に頂門の一針であり、今後の国際政局に処して、我が国としては更に一段の強力なる施策と努力を必要とすることは言を待たざるところであります。以上問題となつた数点について賛成の理由の大略を述べたのでありますが、その他の詳細に至りましては、本会議において我が党の代表者より述べることと存じますから、他の特別会計及び政府機関の予算等に対する説明と共にこれを省略さして頂きます。これを要するに、本年度の予算は国際情勢と我が国経済力とを睨み併せ、限られたる経費を以て最大限に諸般の施策をめぐらしましたものでありまして、我が党の挙つて賛成するところでございます。(拍手、「大蔵省製造演説草稿」と呼ぶ者あり)
#13
○山下義信君 私は日本社会党第二控室を代表し、昭和二十七年度予算三案全部に対し全面的に不満であり、これが組替えを要求する我が党の立場からいたしまして、ここに反対の意思を表明せんとするものであります。
 只今石坂君は縷々賛成理由をお述べになりましたが、石坂君の賛成せんとせられるそれらの理由は、私どもの全く反対の論拠と相成つておるのでございまして、私どもが本予算案に反対いたしまする理由は、本予算案が軍事予算の性格を持つておりまして、申すまでもなく憲法に違反いたしておりますること、又行政協定、違憲の予算といたしまして到底容認しがたいこと、並びに政府が従来さまざまな公約を国民にいたしておりまするが、それらがいささか履行されてない、いわゆる公約不履行の不徳義なる予算案といたしまして、又国民所得に対するところの非常に水増予算でありまするということ、且つ国民生活に対しまして非常なる圧迫を加えでおりまする予算といたしまして且つ地方財政に対しまして全く見殺し的態度をとつておりまする予算といたしまして、又遺家族援護費の不誠意極まる予算といたしまして、最後には吉田現内閣に対しまする我々不信任の意味におきまして、本予算案に反対いたすものでございます。
 我々の第一に指摘せんといたしまする点は、本予算が真の独立予算でないという点であります。言うまでもなく我が国は今日未だ講和條約は発効されてはおりませんけれども、本予算案の施行の昭和二十七年はまさに我が国の独立の第一年であります。従つて独立国家としての内外の施策を途行ずるにふさわしい財政方針が盛らるべきであるにかかわらず、従来の予算編成方針と何ら変ることのない自主性欠除の予算が組まれたということは、換言すれば予算を通じまして明年度もなお占領政策下に置かれてあると同じでありまして、我々の頗る遺憾とするところであります。例えば平和回復に伴う経費として、ドツジ氏は我が政府に対し二千五百億を示唆したと言われております。それに対し、政府は遺家族援護費等を含め二千二百億にとどめたと称して自慢しておるようでありますが、二十七年度において更に補正予算が組まれるであろうことは衆目の見るところでありまして、何人もこれを疑うものはありません。政府が補正予算を組まないという保証は與えていないのであります。従つて本予算に現われた防衛関係費、その他対外関係諸費は、アメリカとの話合いによる金額の一部でありまして唯々諾々、これ命従つた妥協数字であることは明々白々の事案であります。
 更に歳入の税收入について見ましても、税制そのものもシヤウプ勧告の延長であり、借り物であります。勿論我々はシヤウプ勧告による税制については、一概にこれを排斥するというようなものではありません。同勧告の我が国財政並びに国民生活に與えた功罪につきましては、率直に申しまして、むしろプラスのほうが多かつたものとも考えられる面があり、施行当時の情勢におきましては、特に然りであつたと言い得るかとも思われます。併しながら朝鮮事変を契機としまして、我が国の経済は明らかに一変して来ました。終戦後殆んど破壊せられた工業力の復興が焦眉の急務であつた当時におきましては、国家財政を通じて資本の蓄積を促進することには大なる意義を認めざるを得なかつたのであります。なお今日といえども、依然その必要に変りはありません。併しドツジ氏によるところの超均衡財政によつて、その財源を主として税収入に求め、而も所得税といい、消費税等の間接税といい、すべて大衆的規模において徴収せられざるを得なかつたところに、爾来我が国勤労大衆、中小商工業者の深刻なる苦悩があり、電圧があつたのであります。その間若干の減税措置もちらりと行われたようでありましたが、実質的には何ら負担の軽減になつていないことは、ここで申上げるまでもないことであります。低額所得者、勤労生活者の納めた血のにじむような税金は、国の財政を通じて資本蓄積の一役を買わされたのにかかわらず、又同じく法人や高額所得税の減税が資本蓄積を理由とするにかかわらず、政府の希望するような方向には役立てられないで、我が国産業の大部分が依然不健全なる状態に置かれてあつて、何ら合理化べの積極的な努力が殆んどなされていないということは、我々の頗る遺憾とするところであります。若しも政府が独立第一年にふさわしい構想を以て明年度の租税収入に臨み得たとしまするならば、生活水準の低い、僅かに戰前の七〇%内外の生活を彷徨するような定額所得者から妻の栄養を奪い、子供のふだん着を剥ぎ取るがごとき、その所得の一部を奪うような現行所得税のあり方については、必ずや根本的な反省を加えたに相違ないと思うのであります。或いは又資本蓄積の美名の下に、法人の負担を軽くすることの考え方においても、数十割の利益率を挙げ、莫大なるボーナスを支出するがごとき大会社の法人に対しては、恐らく累進制の採用を考慮せざるを得なかつたろうと思うのであります。池田蔵相がさも我が事のように引用する英国保守党の財政においても、最近超過利得税の創設が取上げられておりますが、我が池田蔵相に果してこの意気があるのでありましようか。かくのごとくいずれにしても、大資本に都合のよいことに対しては知らぬ顔をして自主性を発揮せず、これに反して学働三法とか、治安立法とか、大資本の要求する方向に向つては大いに自主性を発揮して憚らないのであります。吉田内閣の自主性喪失の本質を現わしたものであります。
 次に本予算案に反対する理由の第二は、明らかに憲法違反の予算であるという点であります。予備隊が戦力であるかどうか。このことは如何に政府が詭弁を弄し、黒を白と言いましても、なお且つ只今石坂君がいろいろと戦力でないということを申されましたけれども、併し現実に立派な戰力であることは本国会を通じて極めて明確に相成りました。むしろ政府の苦しい説明、苦しい答弁をしなければならないことそれ自体が、このことをよく立証しておるのであります。良心の前に宣誓するならば、政府閣僚ことごとく偽証罪である。(「その通り」と呼ぶ者あり、笑声)国民はよく知つておるのであります。政府自身、吉田さん自身まじめにこれを主張しているのではなく、内外の情勢止むを得ずこういう苦しい解釈をしているのであることは、国民はよく承知して、むしろ同情しておるのではないかと思うのであります。こうなつては、我々は政府を責めるよりは、お気の毒であると憐憫の情を催さざるを得ないのであります。(笑声)併しながら我々は日米両国間に挾まれた政府の苦境を以てしても憲法違反の罪を許すことはできないのであります。更に一朝有事の際、警察予備隊は駐留軍と一体となり出動することを取極め、その他安保第三條の規定以上に亘つての包括的諸條件を規定した今次の行政協定が、国会の承認を無用なりとする政府の態度に対しては、我々は飽くまでもこれを以て憲法違反なりと認むるものでありまして憲法を尊重し、憲法を擁護する義務を負う国会議員として、且つ又民主主義の本旨に基いて、かかる憲法違反に基いて編成せられたる本予算案に対しては断じて反対せざるを得ないものであります。我が社会党は、講和回復後における我が国の平和と安全を希う点においては決して人後に落つるものではありません。又国内治安の維持についても重大なる関心を有するものであります。もとより我々は平和論者であります。併しそれは拱手傍観、国土を顧みずというがごとき平和論者ではありません。我々は我が国の自衛を是認するものであります。ただそれが吉田内閣の今日とつておるような憲法を無視し、国民生活を圧迫し、国家の経済力に十分なる考慮を拂うことなく、又戰力以外に平和を守る途なきがごとき單純無策なる防衛方策は、我らの到底容認しがたきところでありまして、我々は平和憲法を尊重し、これを擁護し、憲法の許す範囲において、且つ国民の生活保障を第一義とし、その前提の下に自衛力の保持を主張いたすものであります。
 第三点といたしましては、明年度予算が著るしく国民生活を圧迫し、社会厚生諸費においても極めて不十分なる経費を申訳的に支出するに過ぎないことを遺憾とするものであります。政府は一方において一千八百億に上る厖大なる防衛支出金を不生産的に支出する結果として、インベントリー・フアイナンス五百八十億の減額をなさざるを得なくなつたのでありますが、これは二重の意味においてインフレ促進の要素と相成り、国民生活圧迫の招来を見ることは火を見るよりも明かであります。我々は曾つてデフレ政策下におけるインベントリー・ファイナンスの政策が徒らに国民の負担を増加し、その購買力を奪い、中小業者や勤労生活者の生活を不当に圧迫するの故を以ちまして、これに反対いたしたのでありまするが、今や国家の不生産的支出が激増し、特需を中心とする大資本の生産が敢行的に活況を呈し、物価、株価等、依然としてインフレ傾向をとどめざるときに当つて、逆にインベントリー・ファイナンスの大幅減額を行おうとするは、如何に政府の財政政策に確固たる一定の経綸なく、ただそのときどきのやり繰りの辻棲を合せた単なる御都合主義にしか過ぎないことを明白に立証するものと言わざるを得ないのであります。
 内政費中先ず留意すべきは食糧の問題でありまするが、政府は食糧増産経費として、前年度の三百億に比し百億増の四百億を計上いたしております。これは従来のやり方から見ますれば、かなりの増額であることは事実でありますが、何故に従来農村を無視し来たつた現内閣が突如かような態度に出たかと申しますと、これは来たるべき総選挙に対する農村への一時的媚態であります。総選挙が済んだらそれまでのことでありましよう。(笑声)併しこれによりまして期待される増産量は、土地改良による百二十万石、農事改良による百万石計二百二十万石と言うのでありまするが、一方におきまして年々耕地の壊滅又は老朽化による減産額百万石、人口増加による消費額百五十万石、計二百五十万石の不足増がありまして、これを償うには不十分であります。更に一層の努力を我々は必要とするものであります。殊に会計検査院及び大蔵省の監査の結果問題と相成りました補助金の濫費、不正支出等におきまして、何ら改善の措置が講ぜられてないことは、他の諸経費と共に大いに危惧の念を抱かざるを得ないのであります。或いは北洋漁業の利権を狙い、或いは電源開発が自由党の財源開発とならざるよう嚴重なる監視の必要があると思うものであります。
 更に社会保障諸費におきましては四百七十四億と、前年度の四百三億に比しまして一見増加いたしているようでありますが、その大半は生活保護費の増でありまして、なお且つ物価騰貴によるものでありまして、これ現政府が貧民を増加させた結果であります。その社会福祉に冷淡なるは、兒童とか、身体障害者とか、或いは庶民階級の厚生資金とか、かかる最低生活者関係の予算が今回更に減額されていることは、政府の冷酷さを遺憾なく示しているのであります。又前年度と大差なき諸経費につきまして、政府は前年通りであることを以て内政費の圧縮をしないと申し、只今も石坂委員がそのことを強調されましたが、実質的には事業の規模が縮小されざるを得ないことは言うまでもないことであります。一例を挙げますれば、失業対策費のごとき金額は殆んど同額ではありますが、失対事業に吸取する人員は実に一割五分も減らしているという実情であります。我々は雇用率がよし若干の増加を見たといたしましても、それが直ちに失対吸取の人員が減ずるという因果関係にはならんと思うのでありまして、従来の失業対策のままで十分であるというがごとき政府の安直なる考え方に対しましては、大いに反省を求めたいと思うものであります。又本年度すでに二百二十億の赤字を出し、明年度更に二百億近い赤字が予想される地方財政に対しまして、僅かに平衡交付金五十億を増額するに過ぎない政府の措置も、これ又当面の状態を單に彌縫するに過ぎないのでありまして、地方自治確立に関する根本政策の皆無を示すものにほかならないのであります。なおここに我々が最も不満に堪えないものは、遺家族援護費が極めて少額に過ぎるという点であります。傷痍軍人や戰歿者に支給されまするものは百七十四億に過ぎないのでありまして、余は公債利子、厚生援護費等でありまして、これとても遺家族の手に直ちに渡る金額ではありません。従つてこの僅かな金額を以ちまして百五十万乃至二百万と言われる戰歿者を補償し、その遺家族三百五十万乃至四百万の妻子父母に対しまして、如何に支給せんとするのでありましようか。結局如何とも施す方法なきがため、或いは対象者を狭め、或いは戦歿者の数を限定せんとし、或いは遺族支給の範囲を縮小するなど、無理から無理なやり方をなさんとするものでありまして、それがために閣僚の脱落、遺家族の憤激、遂に頂点に達し、由々しき大事を招来せんといたしたのであります。我々はかくのごとき政策を超越したる厳粛なる問題を以ちまして、あえて闘争の具といたしたくないのであります。ただ誠意を以て国家当然の措置を要望するのほかはないとするものでありますが、政府の対策、それに伴う誠に言うに足らざる予算の計上に対しましては、忿懣を禁ぜざるを得ないものがあるのであります。すべからく正当なる対策を講ぜんことを希望して止まないものであります。
 今や吉田内閣はすでに精根つき果て、諸政策は行詰り、民心特に現政府を見限り、諸政一新、新らしき出発を要求しているときに当りまして、恐らく本予算案は池田大蔵大臣最後の編成予算でありましようが、折角の予算ではありまするが、恐らくは数カ月を出でずいたしまして、根本的に補正を免れ得ないでありましよう。若し本予算案をこのまま施行するといたしますならば、我が国の地位を危くし、国民生活を危殆に陷れ、経済界を破局せしむる大なる危險を含むものであると信じますが故に、我々は全面的に断固反対するものであることを申述べまして、私の討論を終るものであります。(拍手)
#14
○杉山昌作君 私は只今議題となつておりまする昭和二十七年度の予算三案に対しまして、緑風会を代表して賛成をいたすものであります。
 本予算案につきましては、憲法第九條に違反して、戰力の創設乃至は増強を内容とする費額が計上してあるという理由を以ちまして、又憲法第七十三條に違反して国会の承認を経ずして締結した行政協定に基く費額を計上しているという理由を以ちまして、本予算案も又まさに憲法に違反であるとの議論がありまするけれども、私は、政府が本予算案にその費額を計上して実現を期しているところの治安及び自衛のための施設は、直ちに以て憲法第九條に言う戰力に該当するとは考えられないし、又日米行政協定は国会の承認を要せざるものと考えますので、(「ノーノー」「その通り」と呼ぶ者あり)あえて本予算案を憲法違反なりとする説には賛成し得ないものであります。併しながらこの治安乃至自衛力の漸増の問題につきましては、政府は速かに篤と考慮する必要ありと考えるものであります。と言いますのは、本委員会の審議を通じまして、政府は自衛力の漸増の規模なり、或いはその速度なりについて何らはつきりした総体的な構想を示すことがありませんでした。又自衛力増強の規模が如何なる程度に達したならば、これを戦力と見るべきかというその見解についても明快な解明がなかつたのであります。自衛力の漸増は日米安全保障條約によつて定められました既定の事案であると考えるのでありまして従つてこれが将来どうなるかということは、その経費がどれくらいの額に増加するのか、従つて国民の負担がどうなるのかという点もさることながら、もつと根本的には独立後の日本のあり方そのものを示すものであると思うのであります。その故にそれについて政府の意図するところが示されていないということは、徒らに国民を不安に陷らせるものであるという感じを深くいたすものであります。従つて政府は速かにこの問題につきまして、はつきりした方針、計画を樹立すべきであると思うのであります。而して若しもその方針、計画に盛られたものが、たとえ自衛のためであると申しましても、いやしくも戰力と言われるものであるならば、それは当然憲法に違反するものであるのでありますからして、政府はこれを率直に披瀝して国民の総意に問うて憲法を改正する等、明朗、公正な態度を以て臨まれんことを強く要望するものでございます。
 第二は政府に要望いたしたいことは、予算の大きさについての問題であります。二十五年度の予算は二十四年度の予算よりか小さくなつております。
 二十六年度当初予算は二十五年度の予算よりも小さくなつております。かくて漸次財政の規模を縮小し、国民の負担を軽減するということであつたのでありまするが、二十六年度の補正予算を作るに当りまして、俄然二十六年度は二十五年度よりも大きな予算となりました。又ここに提案されておりまするところの二十七年度予算は、その二十六年度予算よりも更に五百数十億大きくなつております。かくて予算の規模は今日においてははつきりと漸増の形をとると見なければならない状態になつているのでございます。国民の経済力の増加に伴つて、それに伴うところの予算の規模の増大は、あえて国民負担を増加するものでないと政府はしばしば言つておりまするけれども、果して経済力の漸増とマッチしたところの予算の規模の増大であるかどうか、とかく国の経費は膨脹しやすいものでありまして特に自衛力の増強というふうなことが問題となつておりまする今日におきましては、今後において予算の規模がどしどしと大きくなるのではないかという不安を感ぜざるを得ないのであります。この点政府に対しまして切に自重を望むものでございます。
 而してこの点に関して附言いたしたいことは、国の財政と地方財政との関係であります。国の財政規模を縮小し、国税を軽減いたしましても、他方地方財政がそれ以上に膨脹し、地方税がそれ以上に重荷されるならば、国民としてはやはり財政全体の規模は大きくなり、国民の負担は決して軽くなるものでなく、むしろ重くなるものであるということは申すまでもないのでございます。従つて政府はよろしく国の財政と地方の財政とを合せ考うるの立場から、この予算規模の問題を考えて頂きたいのであります。併しながら今日まで政府のなすところを見ますると、地方財政につきましては割合にこれを軽視しているかの感じを持つものでございます。例えば先に政府は二十六年度の地方財政の赤字対策といたしまして八十億円の起債を認めましたけれども、そのうちの五十億円は二十七年度に予定されたところの起債総額六百五十億円のうちから繰上発行せしめようとするものでありまして、これがために生ずる二十七年度起債の不足五十億円をどうするかというふうなことについては、はつきりした見解を示されておらないのでありまするが、これらは政府が地方財政につきまして、国の財政ほどに重視していない一端を示すものと思うのであります。今後におきましてはひとり国の財政のみならず、地方財政も通じまして、財政の規模を大きくしないように、国民の負担を重くしないようにということに十分の善処を要望するものでございます。
 第三の要望事項は、この経費の分配の問題でございます。ここに提出されておりまする二十七年度一般会計につきまして私が分析いたしたところによりますと、防衛分担金、治安力強化、賠償返還等を含めますところの平和回復に伴う経費は二千三十三億、食糧増産、公共事業、価格調整等、投資出資を含めたところの経済力の増強に関する予算は二千四百五十五億、生活安定と文教振興というふうな、例えば学校の運営、六三制校舎の完成、育英資金、学校給食、或いは生活保護、社会保険、失業対策、結核対策、遺家族援護等、これらを含めましたところの生活安定と文教振興に関する予算は千五十四億、地方財政平衡交付金が千百五十億、その他千七百三十四億、かようになつておりまして、この平和回復に伴うところの経費は全体の予算の二四%を占めております。前年度これに該当するものと比べますると、四百五十七億の増加となつているのであります。これがために経済力の増強に関する経費におきましては、前年度に比べまして二百八十七億を減少しております。又生活安定と文教振興に関する経費は前年度に比べまして、二百六十二億円を増加はいたしておりまするけれども、その総額は千五十四億でありまして、予算総額の僅かに一割二分に過ぎないのであります。かくて自衛力の漸増であるとか、或いは賠償の支沸、外債の返還等ということが今後交渉が成立いたしまして、これが本格的に実行されるようになるという事情を考えますると、今後平和回復に伴う経費はますます多額となるのではないかを惧れるものでありまして、これがために経済力の増強であるとか、文教の振興或いは生活安定等のいわゆる内政費を圧迫するようなこととなりまするならば、政府が常に口にしておりまするところの民生の安定ということは期し得られないと思うのでございます。民生の安定がなくしては如何なる自衛の施設も、治安の組織も、これは砂上の楼閣に等しいものであります。政府はよろしく民生の安定を第一義として今後の予算を考え、それに従つて経費の配分をせられんことをここに強く要望するものでございまするが、特に傷痍軍人及び戦死者遺族の援護につきましては、本予算に計上されてありまする金額は誠に不足でありまして、我々はこれに不満足を感ずるものでございます。至急政府はこの百面におきましても一段の考慮を拂われて、これが増額方を実現せられんことを要望するものであります。
 要望の第四は、政府施策の一貫性に欠けているという点でございます。本委員会の質疑を通じまして痛感いたしますることは、政府の諸施策に計画性が乏しい、信念を持つて実行を期しているのかどうか疑われるような点が誠に多いのであります。で、将来の財政はどうなるのか、予算は今後増加するのかしないのかというふうな質問に対しまして、政府の答弁のあいまいであることはこれは單に財政計画が立つていないということを示すだけではなく、その財政計画の基であるところの政府の政策が将来に亘つて確固として立つてない、計画がはつきりしてないということを示すものではないかと疑わざるを得ないのでございます。而して個々の問題につきましてこれを見ましても、貿易の伸張は経済自立の上に絶対必要であるといつて貿易の伸張に努力をされる一方、ポンドが少し溜ればこのポンド対策としてあえて貿易を阻害するような政策をやるがごときはその一例でありましようし、又食糧の増産が必要であるということから、本年度の予算におきまして昨年度に比して数百億の増加をいたしておりまするにもかかわらず、肝腎の米麦の供出価格につきましては、米価審議会の答申を無視しましてこれを低位に決定し、而も農家の生産費として最も重要場であるところの肥料、飼料等につきましては、これを統制の撤廃をし放しでありましてこの価格につきまして何ら考慮を拂つていないというごとき問題、或いは更に外資の導入は日本の経済自立の上に絶対必要である、非常に有効であるということを強調しておきながら、外資の導入がどうなるかわからないというふうなことになりますと、外資必ずしも必要ではないというふうな答弁をされる等、この間に果して政府は本気にそれぞれの仕事を考えておるのか、本気に計画を立てて邁進しておるのかということを私は疑わざるを得ないような態度が見えまするのを誠に遺憾とするものでございます。勿論占領下の政府でありまするからして、占領軍の言うことは絶対命令であります。従つてここに独自の一貫した施策を行い得ない場合があることは我々は十分承知はいたしておりまするけれども、それにしてもいま少し何とかなつたのではあるまいかという感じを持つております。殊に今や独立は目睫の間に追つておるのでありまして、独立の上は占領軍の指示はなくなるのであります。私は政府が従来のあなた任せの態度を改めまして、確固たる施策を堅持して日本政府ここにありの実を示されんことを強く要望いたすものでございます。
 以上私は数個の要望を附しまして、昭和二十七年度予算三案全部に賛成をいたすものでございます。(拍手)
#15
○岩木哲夫君 私は只今議題となつておりまする予算三案に対し、改進党を代表いたしまして反対の意を表するものであります。ただその反対の前提に対しまして二、三その立場を明らかにしておきたいことは、我が改進党は平和、安保両條約に賛成をいたしたのであります。併しながら今回政府は国会に諮らずして独善的に協定されたいわゆる行政協定と称する條約に、新たなる條約によつてこれら平和、安保両條約の性格が著しく期待に反し、変つて来たことなんであります。この行政協定と称する條約が、今後日本の独立の上に極めて重大な示唆を投じ、又独立の性格を変革したと我々は解釈せざるを得ない。従つてこの行政協定と裏肚の立場を織込んだこの予算は、今申上げましたような工合に、行政協定に我々は反対の意を表する立場といたしまして、従つてこの裏肚である予算に対して反対の態度をとらんとするわけであります。又仮にこの行政協定或いは両條約を承認するといたしましても、或いは承認いたしたといたしましても、今回のこの予算は日本独立の而も自主性のある、我々民族が念願する貴重なるものではないという観点に立つても、仮に承認した場合といえども、この切り盛りの無定見な予算に対しては反対の意を表せざるを得ないということをこの際明らかにしておきたいと思います。
 そこで、今回のこの予算は、我々に言わしむれば犠牲的な浪費予算である。即ち国民からは吸い上げることは極めて苛烈に吸い上げておるのであります。国民所得、事業所得を過大に見積つて筒一ぱい以上の徴税方法をとつて、地方税においては四百億以上、国税においても七百八十億以上のこの厖大なる増徴を図らんといたしておることは、政府の言ういわゆる減税でもなければ何でもない、全く現在の国民生活、経済界の実態から見れば、増税そのものであると私は断定し得るのであります。こうして吸い上げは極めて国民に苛烈であつたが、然らば吸い上げたこれらの我々の汗と脂の税金はどういうところに使つておるかということを見ますると、その二一%を持つ防衛費でありますが、取り分けその防衛分担金六百五十億は従来の終戰処理費のごとく日本会計において処理支出するのではなくして、アメリカ会計にこれを投じてしまう。こうしたことは防衛分担金の日本経済、国民生活に及ぼす危險性につきましては経済上誠に由々しきことであるし、これらに蒙むる被害と申しますか、国民の犠牲は誠に注目を要すると思うのであります。又安全保障諸費五百六十億につきましては、本委員会において二回に亘つて質疑されました。リツジウエイ将軍は、これは日本に迷惑をかけない部面であると言うておるにかかわらず、政府は要るであろうという名目を議会で称えて、かような安全保障諸費五百六十億を計上しておる。これは本日朝日新聞に報ぜられたる警察予備隊七万増強が、先般来ひそかに話が持上るべきを予想してこの五百六十億のうちに幾分計上し、更に十月の警察予備隊、海上保安隊の改編に伴つていわゆる武器その他防衛態勢の増強に使わんとしておるのでありますが、表面は進駐軍が駐留軍に代るときの移転諸費と称して、ここに国民にその実相を知らさずして、安全保障諸費と称して五百六十億を計上していることであります。これらの態度につきましては極めて不明確、不的確の政府の答弁によりましても、国民といたしまして誠に遺憾であります。警察予備隊及び海上保安隊のこの内容は、我々に言わしむれば、吉田内閣は今日政権をおとりになつて以来、或いは共産主義を起すような、いわゆる自由独善の、或いは放漫政策が大きく展開されたが故に、貧乏な国民生活のこの立場において重税々々に苦しみ、国民思想は勢い共産主義に或いはそれのシンパ的状態に及んだことによつて、国内治安を守るためと称して警察予備隊、海上保安隊のかかる厖大な費用を要さなければならんということに相成つたゆえんでありまして、而もこの警察予備隊、海上保安隊は、これを米国軍の顧問団が支配するという段階においては、仮にアメリカと防衛を協力するという立場におきましても、自主性のない日本の国内治安を守らなくてはならんことにかような厖大な予算を計上せねばならんということは、吉田内閣の今日までとられた政治においてこれらの責任があると私は思うのであります。そうして犠牲の割合に効果、目的が不確定、ややもすれば浪費的なこうした予算の性格というものは、これらのものが多くを占めておる予算の性格というものは非常に我々の遺憾とするところであります。こうして日本の経済、国民の生活というものが又新たなる不幸なり、犠牲によつて再開されるということは、誠に我々といたしましても遺憾の意を表せざるを得ないのであります。
 次にこの予算は違憲的予算である。これは戦力の問題その他も今日まで論議されましたが、いずれにおきましても二一%強を占めまする防衛予算の性格は、これを国際的に見ましても或いは過去の歴史に徴しましても、全く防衛、軍備のために使われた予算でありまして、私は今それの是非を論じておるのではない。かような二一%強のこうした防衛軍事力、強大の予算を取る以上であるならば、なぜ堂々と憲法改正をやらないのか、又衣の袖に鎧をちらつかせるような態度によつて、この予算の二一%の防衛費を遂行しようというところに国民の納得が行かないところがあるのでありまして、当然これは憲法改正によつて堂々とやるならやることが望ましいということは、我々の特に主張するわけであります。又今私が触れました安全保障諸費の五百六十億の将来使途が予想されるその内容というものが、警察予備隊、海上保安隊変革に伴つて軍備拡充的な性格を表面に出すことは、もはや間違いのないことでありまして、如何に政府がこれらにつきましての陳弁をされましても、蔽うべからざる一角が現われておると思うのでありまして、これによつて我々の特権、国民の権利義務というものの崇高ないわゆる立権政治、憲法遵奉精神を政府自体からこの予算面において蹂躪するがごとき立場を顯現いたしておることは、我々といたしましてもこれ又極めて潰憾の意を表せざるを得ないのであります。
 次にこの予算は行政協定によりまする特権と国民の権利義務の侵害予算である。一体行政協定それ自体の問題は仮に別といたしましても、合同委員会が今後行わんとする行動、その権能、権限というものはあらゆる日本の行政面、あらゆる日本の財政面、あらゆる経済、社会生活を通じて極めて日本のこうした部面に非常な変動或いは犠牲をこうむることは否定できません。合同委員会が法的根拠をどのような工合に持つておるのか持つておらないのかは、再度に亘つての我々の質問に対しても今日政府は明らかにいたしておりませんが、こうしたその権限、権能が法的にあいまいであるものが、今日占領軍の総司令部のごとき立場に代るような組織となつて、依然として日本が折角の独立でありながら、他の一国の隷属国かの感を起しめるような制度下に置かれるこの方式は、極めて国民と共に遺憾の意を表せざるを得ない。又土地、建物を強制接收しようという法律を近く政府は出そうといたしておるが、こうした問題を事前に先方様と取組んでやるということは、まさに国民の権利、義務を先ず以て侵害してかかることによるわけでありまして又国民といたしましても不可解、遺憾であります。又安全保障條約第三條による米軍の配備規律の條件に属せざる以外の、例えば家族であるとかアメリカの商人であるとかという問題に対しての刑事、民事裁判管轄権の点であるとか、或いは関税の問題であるとか、或いは税法上の特典、免除の問題であるとか、こうしたことをこの行政協定によつて取極めておるということにおきまする日本のあらゆる財政、経済、社会、国民生活に及ぼす影響というものは、誠に由々しき事態と言わなくてはならないのであります。かような状態でありますと、誠に独立第一歩であるというので待ちあぐんだこの予算が、あたかも植民地的性格下に置かれている予算かのごとき印象を受けるということは、吉田内閣のために誠に遺憾であると思うのでありまして、この予算は日本のものであるか外国のものであるかわからんというようなことに相成る次第であります。
 第三は、日本経済の混乱破滅予算である。これは第一に防衛分担金にいたしましても、或いは五百六十億の安全保障諸費の問題はどうなるかわかりませんが、この防衛分担金が先ほども申上げましたアメリカ予算に繰入れられる、そうしてアメリカが直接調達をするということ、本日もさようなことを強調しておるという情報を承わりました。このほかにアメリカから持つて来る同様の分担のもの及び朝鮮その他沖縄基地の設定に必要なる特需一千五百万ドル等を合わせたらば、少くとも三千万ドルといつたようなものが、アメリカの一方的意思ではなくいたしましても、おおむねその指導権を持つアメリカの直接調達によつて日本の物資が随時向うの必要に応じて調達される、買上げられる。これに伴つて日本の物価政策というものは全く昏迷に陷らざるを得ないのであると共に、金融上におきましても、これが又国民生活の上におきましても、殊に日本産業の発展向上に対しまする将来の財政或いは経済、こうしたものを通じての混乱というものが著しく起つて、日本の役所なり、日本の経済は、この直接調達にあとから追いかけて、追いすがつてあとを繕うということになり、日本の法律も日本の経済秩序も、日本の社会秩序も国民生活もあとから追いかけてアメリカの調達について行かざるを得ないというような自主性のない、いわゆる経済混乱、経済破滅が招来される虞れが極めて顕著であります。例えば最近アメリカの二、三の商社が実際相模原の建設の設計についても、日本の請負業者であつたならば一千万でできるものを三千万近くでアメリカが直接これを請負わしめておる。而もアメリカ商社はこうしたものは物資の関税はない、事業税はない、所得税は取らないという、かようなことでは日本の国民犠牲で積立てたこれらの防衛分担金の日本財政、日本経済にリターンするところはない、日本の産業再建に資する潤いというものにはならないということは、この講和第一年の予算といたしまして、従来の占領下以上に悪化したこの状態は、見逃すことのできない事態と我々は考えざるを得ないのであります。又外資導入の外れたということは誠に吉田内閣ばかりでない、或いは日本経済全般の不幸であつたかも知りませんが、いずれにいたしましても、これらを少くとも基盤として構造されたいろいろの問題、例えば電源開発の問題にしても造船計画の問題にしても、化学製品増産の問題にいたしましても、誠にその結果及ぼす日本の経済というものは、先のアメリカの特需直接調達というような厖大な問題と取組んで極めて暗澹たるものがあると言わなくてはならない。一方ソ連、中共との経済交流は封鎖しようという、封鎖しなくてもこれを行おうという方法はとらない。ポンド対策は殆んどないと通産大臣は言われておる。こうした状態は、一面東南開発が然らばそれの裏打ちとしてできるのかと申しますと、東南開発日暮れて道遠し、まだ容易にその緒につきがたいというくらいで、一方貿易振興はいつの日にか期待に副うことができるであろうか。不幸なる三月危機、中小企業の倒壊というものは、農村恐慌と合しまして極めて深刻なる事態は、如何に大蔵大臣が三月危機は来ないと言つても、眼前この事態が展開されておるではないか。誠に日本経済の根抵から破滅に陥るがごときこの結果は、一面自由党の放漫政策の行詰りによつてかような事態が多分に現われたと推定せらるべきものがあります。この結果日本のあらゆる経済基礎は建直さなくてはいけない。予算案自体がめちやめちやであつて自主性がない、或いは外国に翻弄されるような予算性格、その内容については我々は誠に不幸なる予算と一言わなくてはならないのであります。(「その心配はない」と呼ぶ者あり)
 第四は、国民生活の不安予算である。行政協定によりまして、国民生活、社会秩序というものは誠に隷属生活を受けなくてはならないということは、刑民法の管轄権の委譲のみならず、あらゆる部面にすでに現われておることは前段私が申上げました。一方地方税、国税を通じて千二百億の増徴というものが現在のこの不景気、舞金釘付けの実態から、一面物価は上げ続けというような、かような自由放漫政策の悪い部面のみがここに現われて、それが日本経済全般を蔽つておるというような事態から、国民生活の不安は誠にここより始まる、ここより深刻化する虞れなしとはしない。近く政府は麦の統制解除を行わんとしているが、これにつきましても国民の消費生活の上におきましては重大なる脅威を受けることは論を待ちません。全くこれでは弱肉強食の典型的なものと言わざるを得ないのでありまして、或いは教育費の給食費の大削減、或いは政府がとるいろいろな旧体制の復古調、そういう風潮をますます奨励するかのような政策顯現をされては、独立日本の誠に精神的秩序は国民協力を得ることができないのでありまして、私は今回政府が三百億以上に及ぶ自然増収がありと言われながら、擁護費を、将来日本の自衛力増強の上に或いは日米安全保障條約に基く共同防衛を遂行する上に、極めて防衛精神の作興に大なる支障を與えるが、ごとき態度をとつたということは、日本の自治、日本の独立、日本のみずから守らなくてはならん自由精神の破壊でありましてかような方法では到底日本の独立は遂行することはできないと案ぜざるを得ないのであります。
 以上を以て私は本予算に反対するゆえんであります。
#16
○駒井藤平君 私は民主クラブを代表して只今議題となつておる昭和二十七年度予算各案に対しまして賛意を表するものであります。
 さて本予算案は、占領治下又講和後における諸般の情勢に勘案して作成された案でありまして政府当局も相当苦心された点は認めますが、この予算案に対し政府の方針、施策には満足しがたき点が少なくないのであります。本来なれば政府に対して組替えを要求せざるを得ないのでありますが、諸般の緊急重大なる問題の山積せる現状に鑑み、我々はここに厳重な警告を付してこれに賛成するものであります。
 先ず第一にこの予算案は極めておざなりの予算である。講和発効後苦難の道を辿らねばならんここ数年間の日本経済の歩みに副い、十分見通しを付けて組まれねばならんのであります。と申しますことは、申すまでもなく昭和二十七年の予算案は講和発効初年度の予算案である。日本経済が講和発効後の数年間誠に苦境であるということは何人もひとしく認めざるを得ないのであります。政府といたしましては、ここ数カ年間の日本経済に十分の見通しを持ち、更に国際諸関係の推移にも十分な配慮をして予算案を組み立てなければならんのであります。然るに本会及び委員会における政府の御答弁並びに説明を聞きまするのに、極めて安易な見方の下にこの予算案が組まれたことは明らかになつて来た。政府は何故に国内、国外の諸情勢にもつともつと突込んだ見通しを立てて、十分な配慮の下に予算案を組み立てられなかつたのであるか。この総理大臣の言明によつて見ましても、日本の防衛力を漸増するとのことであるから、防衛関係費はここ数カ年間逐次増加することは必然である。又賠償、外債の支拂等の金額も同様に相当長きに亘つて大きな金額に上らざるを得ないような有様であります。政府はこの点に十分な見通しを立て財政に相当の伸張力を含ましておくという必要がある。従つてこの予算案は収入面においては過大見積りの、乃至はぎりぎり一ぱいの見積りをしておるということは見逃せない。お座なり的な弱い、危険の多い予算案と我々は断ぜざるを得ないのであります。これが我々の本案に対し十分満足し得ざる第一の点であります。
 次にこの予算案におきまして防衛関係費、その他講和に伴う諸費の金額が支出総額の四分の一を占め、その結果著しく内政関係の諸費を圧迫しておる事実がある。従つて講和後日本再建のために必要な内政方面の諸支出が相当に圧縮削減されておる。この予算案に対する修正意見の多くもここに起因すると言わざるを得ないのであります。地方平衡交付金の問題、又公共事業費の問題、産業貿易の振興及び中小企業の振興、農林漁業の振興の問題、造船、海運業の振興の問題、文教の問題、傷痍、遺家族に対する問題等々枚挙にいとまないのであります。更に又予算収入について大蔵大臣はむしろ増收を予想されておるような説明がありましたが、今日のごとき金融政策を継続せられるならば、果して予算面における收入を確保することが期待されるかどうか、例えば日本の輸出の大宗である繊維品の製造業者は国際的な影響を受けて、紡績業者は四割の操短、その他の化繊においても大幅の操短を余儀なくされておるような現状であります。又貿易商社の大手筋が値下りのために大整理を余儀なくされておる。中小企業者の倒産相次ぐの現状において、果して予定の増収を確保できるかどうか疑われるのであります。これらに対して政府は早急に善処せられることを要望するのであります。
 更に又海運関係について差当り二つの点について申上げておきたいのであります。先ず造船資金に関することでありますが、船腹の増強ということは我が国経済自立の最大前提條件でありまするが、御承知の通り見返資金の先細り、国内金融の引締め等に上る資金枯渇のために、船主の造船資金融資の途は極度に圧縮せられております。我が海運はこの面から重大な危機に当面いたすわけであります。そこでこの造船金融の抜本的解決策として、海事金融制度の確立が久しく以前から論議され、要望されておりましたが、目下考えられている開発銀行の利用も結構でありまするが、この際船舶金融について別個な制度を設けることが資金的にも又運用の面から申しましても最も望ましいと存ずるのであります。
 又見返資金の割合は六次船以後漸次細り、市中借入の比率が増加して、七次船におきましては見返資金約四割、市中借入約六割で、而も市中借入は三年返済になつております。元来船価の約六割にも及ぶ巨額の金を僅か三年に返済するということは、現在のような情勢下における海運業者といたしましては無理なことである。尻にだいだいであります。この実情に鑑み、すでにこの関連した問題につきましては参議院の決議を経ております。政府は速かにそれらの点につきまして善処されることを強く要望するのであります。なお前述の講和、防衛の諸費は本来消費的の支出であります。もとより生産的支出でないから、その金額が総支出額の約四分の一にも及ぶことになると、これがややもするとインフレーシヨンを助長するの原因となることは必然である。そこで政府は一面にかかるインフレーシヨンを防止すると共に、他方においてこれが生産増加その他必要なる経済活動の阻害とならんよう確固たる施策をすることが極めて肝要であるが、この予算案を通して政府より承わつた説明並びに答弁のうちにはかかる確固たる施策として見るべきものは殆んど何物もなかつたと考えます。これが我々のこの案に対し十分満足し得ざる第二の点であります。
 次に今回の行政協定の成立過程並びに政府の取扱いにつきまして遺憾の点が多々ある。而してこの予算案の政府の取扱いについて又これを遺憾な点があるのであります。行政協定に基く諸費を包含するを以て結局予算案につきましても我々はその納得し得ざるところがあるのであります。これが我々が本案に対し十分満足し得ざる第三の点であります。
 以上述べましたほか、個々の問題についてなお満足し得ざるところ多々あるのでありまするが、我々の十分満足し得ざる点に対しましては、政府として今会期もまだ相当日があるのであります。且つ又臨時国会の開会も可能なことであります。適当な機会において或いは補正予算案を提出する、その他適当なる方法によつて我々の十分満足し、納得の行くように補完してもらうことを強く警告付の條件として、参議院の本来の立場に立つて本予算案に賛成するものであります。(拍手)
#17
○東隆君 私は第一クラブを代表して只今提案をされております予算の各案に対し反対の意思を表明するものであります。
 本予算は違憲の疑い濃厚な内容を持つておるのでありますが、衆議院における本予算は、與党の多数を以て行政協定締結を前にして無理押しに通過せしめたものであります。参議院における予算の決定権は、政府が十分に知つておられるように衆議院優先でありますから、本予算は行政協定の内容を衆議院に報告する前に多数を以て通過せしめた非立憲、多数党横暴の上に通過したものであります。政府の陋劣なタクテイツクスであると言わざるを私は得ないのであります。これは国民を愚弄したのであるとあえて私は言うのであります。アメリカでは行政協定の締結を待つて初めて上院は平和、安保両條約を批准しておるのでありまして、自衛力漸増の中身も行政協定の中身も明らかにせずして衆議院を無理矢理に通過さした本予算は、後世国民が明らかにこれに判断を下すことであろうと思います。これが独立第一年目の予算になるわけであります。これが反対の第一点であります。
 第二に、予算案は衆議院から回付されたのでありますが、違憲の中身を持つ予算案、そうして無理押しに通過して来たこの予算案なるものに対して、参議院においてはこの委員会において正面から取組んで熱心に審議を進めようとしたのでありますけれども、故意か偶然かは知りませんが、首相の失言から端を発しまして、最も大切な総理に対する一般質問は三日で終了すべき予定のところのものが六日から十八日まで、前後十三日間を要したのであります。その間首相の出席は五日間であつて余すところは十日を割つてしまたのであります。まさに参議院の予算審議は政府によつて完全にデイスターヴされたと言つてよいと私は思うのであります。而も政府は独立予算と称される本予算に関係の大きい行政協定は、政府の狭量によつてなお国会の承認を求むるに至らないし、憲法第九條と関連のある自衛力漸増に関する中身も定かにされてはいないのであります。本予算成立の過程においてこのような重大な瑕疵があるということについては、良識のある者はこの予算に対して反対せざるを得ないと私は考うるものでございます。これが反対の第二点であります。
 次にこの予算の内容に立入りまして、政府は国民生活を圧迫しないと言つておりますが、内政費を見ますると、各費目について少しずつ増額をして、一見内政費に重点を置いているかのようでありますけれども、これは二十六年度の出資投資を二十七年度には大幅に減らして、財源を得たうちから大部分を防衛関係費に振向け、残りの百五、六十億の程度を各費目に振当てたに過ぎないのであります。而もそれらの増額は物価の値上りを考えるならば何ら実質的には増額されたものでないと、こう言わざるを得ないのであります。その結果政府はインフレは助長しないと言い、大蔵大臣のごときはその財政演説で、私はこの際国民諸君がインフレーシヨンを是認し、インフレーシヨン謳歌の政策が如何に口に甘く体に害があるものであることを十分に理解せられることが大切であると思うのでありますと言つて、インフレーシヨンには反対のようでありますが、出資、投資の大幅減額が消費的な防衛費に大部分を振向けられて、インフレーシヨンをこれは起すのであります。又外為を初めとしてその他に対する出資投資が中止をされることによつて、日銀依存の面がそれだけ大きく現われ、それが通貨の膨脹となつて来ることはこれは必至だと考えるのであります。政府はみずからインフレ政策に一歩も二歩も進んだと言わざるを得ないのであります。顧みて他を言うという言葉がありますが、インフレーシヨンを起す予算を作つておいて、口に甘く、体に害のあるものであることを十分に理解されることが大切であると繰返されているのは少しおかしいことではないかと思うのであります。これ反対の第三点であります。
 次に、独立後の予算において自衛力漸増のための経費、賠償に伴う支出、対日援助費の支拂を含む旧債の支拂い、この三つのうち、自衛力漸増の支出のみが、仮想敵国を考えぬ場合に、我が国自体がこれを合理化し得ることのできるところの中身である。ところがこれすらが行政協定によつて著しく国民自身の意思は制限を附せられることになつたのであります。政府は極めてこの中身を明瞭にしようとしない。もとより将来の計画については口を緘して語らないのであります。そこで自衛力漸増の中身は一種の武装であつて、これによつて治安を守るのであるから、この政策は武装平和の政策の一種であると断ぜざるを得ないのであります。武装平和の政策は過去において大衆の生活水準を高めたことはありません。いつも大衆の犠牲においてなされ、甚だしき場合には、自衛の名において侵略戦争をやつたのであります。戦争には国民は懲り懲りしておりますが民主的な機構にひびが入りまして、又ぞろ指導者原理のようなものが幅をきかすことになりますと、国民は踊らされて再びあの惨澹たる戦争をやるようになる心配があります。現在すでに第三次の戦争が始まつていると言われているときに、近代戦争を前にしては正におもちやのピストルにも劣るような武装であるかも知れませんが、国内の治安については私は行き過ぎであると思うのであります。アメリカの駐兵費の数千億を前にいたしましては、我がほうの二千億程度のものは少いかも知れませんが、この額は一般会計の総額から見るならば国民は首肯しがたを額であると私は考えるのであります。我々の考え方は次のようになります。事前に社会的な防衛態勢を確立しないでおいて、軍事的な防衛態勢を考えることは早計である、これなのであります。この国内に通信施設が整備されないで、予備隊や国警のみが通信施設を多少持つたという、それが治安の確保上如何なる働きがありましようか。又トラックが縦横に通れないような都市に防備のために予備隊を増強しても、治安の撹乱者は予備隊の所在地なんかには出て来ないのであります。予備隊を増員する前に道路をよくし、必要なところに新道を開設すべきであると私は考えます。トラックの通らん橋では、陸地の中も孤島の兵力と同様で、先の戰争において孤島の我が精鋭が如何なるものであつたかを想起するのがよいのであります。物資の輸送が平和のときですら困難なところに予備隊の増強をしても予備隊自体が不平を言い始めるだけでありましよう。又そのような区域に居住する住民は必ずしも政府の施策に満幅の賛意を表さないのみならず、道路を作れ、鉄道を通せ、学校を頼む、医者を送れ、そうしてそのあとに予備隊を頼むというのが、治安という面において特に必要な北辺の地に住んでおるところの者の声であると私は確信をするのであります。これらは、今次の十勝沖震災が治安に対して教えておるところであると私は考えるのであります。即ち防衛態勢というものは、軍事的な態勢より前にどうしても社会的な防衛態勢を確立をしなければならん。それについては非常に本予算は消極的であります。これ反対の第四点であります。
 次に食糧の自給度を高めるということはこの国の最も重要な政策でなければならんと思います。政府は食糧の自給度を高めるために土地改良を初めその他に五百数十億という支出を考えています。併し農地改革後における農地というものは国が所有しておるようなもので、農家は農地の使用収益権即ち耕作権を持つておるようなものであります。従つて国家が農業の基本的なものを整備するために支出をするのはこれは当然のことでないかと思うのであります。而も政府の誤つた食糧政策は国内の麦の生産を大きく減産に導いております。四百万石の減産をしたと、こういうふうに言われておるほどであります。今又甘藷、馬鈴薯の減産を来そうとしておるのであります。これではいよいよ輸入に依存せざるを得ないのでありまして、食糧の自給度を高めることには断じてなりません。その根本に私は政府の誤つた食糧政策があると思います。私は本予算にそれらの点についての考え方が盛られておらないことを非常に遺憾とすると共に、米価と肥料の価格を考えただけでも、その間に国が予算的措置を当然講じなければならないのにかかわらず、輸出希望の業者の声に左顧右眄して、そうして政府ははつきりしたこの重要な問題について態度を決定いたしません。我々はこれらのことに大きく警告を発して、食糧政策に大きな転換をしなければならないということを述べて第五番目の反対の理由といたします。
 次に中小企業家に対して今の政府は極めて冷淡であるということは、これは定評のあるところであります。大きな企業には零細な郵便貯金や簡易保険でできておるところの資金運用部の、資金を融通するようになつておりますが、中小企業家に対する政府の措置は頗る冷やかなものであります。併し我が国の重要なる生産中この中小企業家によつて生産されるものが大きいことは政府も十分に知つておるはずであります。知つてこれをなさない、これは非常に乱暴な考え方でないかと思うのであります。政府はこの際中小企業家の協同組合に対し大きく力をいたし、注いで、中小企業家による生産の振興にその商工政策を転換すべきであると考えるのでありますが、これらの中小企業振興の手は打たれておらないのであります。そうして中小企業信用保険特別会計に前年は十億を投資したのが、本年は五億に減額したというような、そういうやり方をやつておるのであります。これでは中小企業家の振興を品にいたしましても、その実は一つも現われておらんのでありまして、これらのものを含むところの予算に私は反対をせざるを得ないのであります。これが第六点であります。
 次に私は先ほどもお話がありました遺家族関係の問題でありますが、政府は非常に少い金額を見積つて、これによつて愛国心を振い立たせようとしておるようでありますが、西ドイツその他の戦争犠牲者に対するところの支出に比較いたしますと、これは問題にならない額であります。そのことは政府も十分に知つておるはずであります。私は気の毒な戦争犠牲者に対し終戦後七年経つてこの程度の措置しかしない冷やかな態度に忿懣を感ずると同時に、これでは自衛力漸増に如何に国家が金を使つても、自立日本の底力は養われないと言わざるを得ません。もつと惜しみなく政府は不幸な戦争犠牲者に手を差向くべきものであると……、この内容のない点について反対をするものであります。これが反対の第七点であります。
 自由主義経済を主張される現政府は国民生活の安定に社会保障が非常に大切なること、それから消費生活協同組合が新しい使命を以ておることを一つも理解をされておりません。政府は消費生活協同組合法を生み放しにして、これに対する奨励を殊更にサボつておるようであります。協同組合こそがこれからの民主的にして大衆的な組織であると私はこう考えておりますが、政府は口を開けば民主主義を主張しますが、民主主義の具体的な経済面、生活面においては、協同組合が民主主義の具体的な私は組織であると、こう考えておりますが、この面に対するどころのことは一つも行われておらないのであります。又予算の中には一つも現われておらんのであります。私は大衆生活を犠牲にして、特定の者の営利追求に役立つような奉仕をするようなこの予算の内容に私は反対せざるを得ないのであります。これが反対の第八点であります。
 次は租税についてでありますが、直接税に根幹を置いておる現在の税法には非常に不合理なものがあります。給料生活者や農民などはその所得が明瞭にされ、なかなか遺漏なく徴収されるようでありますが、法人その他においては非常にその徴税において困難なものがあるようであります。これは明らかに不均衡なものがあることを物語つていると思われます。この際私どもは奢侈税その他の間接税を設け、一つは以て資本蓄積を進めると共に、購買力を持つている者から税収を挙げるべき段階に私は今到達をしておると思うのであります。独立日本の予算編成は、依然としてシヤウプ勧告を中心として直接税に重点を置き、専売益金の増収を目的にして未成年者の喫煙と飲酒に断をやり得ない租税体系になつているのであります。この悲しむべき租税体系が固執されている本予算に私は反対をいたさざるを得ないのであります。これが第九点であります。
 最後に、政府は行政機構の改革、地方制度の改正をもくろんでいますが、目下の状態ではいずれも龍頭蛇尾に終ろうとしています。併し多数をたのんで強行する非民主的な解決で、占領下ではあつたが、平和憲法の下に作り上げられた民主的な諸制度を非民主的なものに改変をするならば、たとえそれが小さなものであつても、将来における影響は極めて大きいものと思うのであります。政府の意図するところは自明のものであつて、すでにこの傾向は各種の法規の改廃にその萠芽を十分に看取することができるものであります。この傾向と、政府の好む自由主義的経済政策は、中央と地方、都会と田舎の間に経済的にも社会的にも、文化的にも大きな溝を作ろうとしているのであります。端的に誓いますならば、国民が平等にその恵沢に浴すべき国家的施設乃至は公共的事業は、徒らに独立採算制という営利企業の原則に禍いされて、その法的な性格を失いつつあるのであります。而も現政府が続く限り、この傾向は次第にその濃度を高めるものと断ぜざるを得ないのであります。これでは本当の自立日本ではなく、中央は地方の犠牲の上に立ち、都市は田舎のうまい汁を吸つて肥大するのであつて、決して健全な結果を構成することにはなりません。このような傾向を多分に包蔵しておりますところの本予算に私は反対するのであります。これが第十点であります。
 以上の十項目に亘つて反対の理由を述べまして、予算三案に対して私は断固反対の意思を表明をするものであります。
#18
○木村禧八郎君 私は労働者農民党を代表いたしまして二十七年度予算案に反対いたすものであります。
 反対理由の第一は、この予算案が憲法及び財政法の精神に違反しているということであります。即ち、憲法につきましては九條、七十三條三号、十四條、財政法につきましては、財政総則の九條、十三條の精神に違反していると思うのであります。違反の事実につきましては審議の過程においてすでに明らかになりましたし、各反対の委員のかたがたが詳細に述べましたから、私はここで省略いたします。ただ憲法に照らして事実を判断するのではなく、違反の事実を合理化するために、憲法を事実に合せて歪曲して解釈しようとする人のみが、この憲法違反の事実を否定するのみであるということを指摘するにとどめたいと思うのであります。これはまさに精神の錯倒だと思うのであります。U・S・ニユーズ・アンド・ワールド・レポートのジヨセフ・フロム記者は、日本の警察予備隊についてこういう意味のことを述べております。万一憲法を改正せずして、警察予備隊の名によつて軍隊を作るという憲法違反の事態が許されるようなことがあれば、それこそ新らしい軍隊が立憲政治そのものを破壊するような権力を握るのを防ぐために憲法を改正しようとしても手遅れであるかも知れない。それどころか、若し再軍備の問題で憲法をごまかせるとなれば、日本の民主制度の保持にとつて同じように肝要な他の問題についても容易にごまかせるのである、こういうことを述べておりますし我々国会議員は、このまさに憲法が蹂躪されようとする重大なるこの危機に直面いたしまして、憲法九十九條に基きましてこの憲法を尊重し、擁護する義務を負つているのであります。従いまして憲法違反のこの予算案に反対して、憲法を擁護することこそ我々の責務であると信ずるのであります。これに反して、この予算案を認めるということは、それ自身が憲法違反を犯すことであります。(「ノーノー」「その通り」と呼ぶ者あり)この予算に現われている重大なる憲法違反を容認いたしますならば、他の如何なる憲法違反についてもこれを責める資格を喪失すると思うのであります。(「ノーノー」「その通り」「然り然り」と呼ぶ者あり)
 反対理由の第二は、この予算案の内容が、著るしく不健全であるということであります。政府はこの予算案の提案理由におきまして、この予算は健全なる均衡予算であると説明しております。併しながら、これから述べるような諸点におきまして不健康なる事実は顕著に現われております。その第一は、財政規模が国民所得に対して過大であるということであります。政府は、二十七年度の予算八千五百二十七億は国民所得五兆三百に対しまして一六・九%であり、二十六年度の一七%と大体同様であつて過大ではないと説明しております。併しながら、池田大蔵大臣がよく主張をいたしますところの総合予算に基きまして、一般会計予算八千五百二十七億円と地方財政五千三百三十五億円、この合計から平衡交付金千二百五十億円を差引いた一兆二千六百十二億円を、国民所得五兆三百四十億円に対比いたしますると、二五・一%となりまして、二十六年度の同じ予算二三・七%に比べまして一・四%の増加であります。更に二十七年度のいわゆる交付公債八百八十三億を加えて計算いたしますれば、総合予算の国民所得に対する比率は二六・八%となりまして、二十六年度に比べて三・一%の増加となるのであります。国民所得に対して三・一%の増加というものはこれは相当著大な増額でございます。この比率は、インフレのために国民生活が非常に困窮しました昭和二十三年度の比率に大体ひとしいのでありまして、明らかに過大と言わざるを得ないのであります。政府はこの事実を私は隠蔽して説明しておると思うのであります。更に今後防衛力漸増、国際通貨基金加入等の追加補正を考慮に入れまするならば、一層財政規模は過大となり、国民生活を更に圧迫するに至ることは疑いないと思うのであります。この予算案が不健全である第二の事実は、多くの非生産的インフレ要因を内包しておることであります。先ず第一に八百八十三億の交付公債でありますが、政府はこれは一般会計予算から一応除いて計算せられておりますが、これは一種の赤字財政であると我々は認めざるを得ない。この旧軍人、遺家族に交付公債を交付するということ、或いは援護するということ自体については我々は反対ではないのでありますが、併しながらこういう形で八百八十三億にも上る交付公債を支給するということは、これがやがて担保となつてインフレ要因になることは明らかであります。これは赤字財政に一歩を進めたものであるとみなさざるを得ないのであります。次に非生産的支出の事実は言うまでもなく防衛費であります。防衛費千八百二十億円となつて、予算に対して二一%を占めておりますが、これは表面に現われた数字に過ぎないのでありまして、このほかに公共事業費中の道路、港湾費、国鉄、電通特別会計、或いは地方財政におきまする間接的な防衛費を考慮に入れますならば、その我が国民経済に及ぼす影響は極めて重大であります。二十六年度の終戦処理費について物資調達の例を仮りにみますと、石炭総生産四千九百万トンのうち、終戰処理費による調達が二百万トンであります。朝鮮向の特需が百万トン、これを国鉄の石炭消費量六百五十万トン、火力発電消費の石炭七百五十万トンに比べますれば、如何にこれが重大な影響を及ぼすかは明らかであります。更に又二十六年度の終戦処理費による電力の消費は六%乃至七%、ガス水道の消費は五%乃至七%、国鉄貨物の輸送は一一%なのであります。而も二十七年度は二十六年度よりも五百億円も多いところの非生産的支出をするのであります。而も二十七年度は二十六年度にありましたような対日援助はないのであります。五百八十億の対日援助がありません。その上にこのような非生産的支出をするのでありますから、この日本経済に及ぼす影響が如何に重大であるかということはこれを以ても明白であります。而も駐留軍が日本の物資を調達する場合の調達方式はいわゆる直接調達によるものでありまして、これが日本経済の今後の自立計画に及ぼす影響はこれ又極めて重大でありまして、最近にその重大性が財界等におきましてもだんだんにこれが明らかになつて来ております。
 更にこの予算の不健全性の第三でありますが、それはインベントリー・ファイナンスを減らしておることであります。これはいわばインフレ政策への転換を示したものと見ることができると思います。二十六年度の外貨ポジシヨンは本年三月末十億四千六百四十八万ドルに達する見込であります。二十六年度予算の基礎となりました外貨ポジシヨンは六億二千百万ドル、差引四億二千五百四十八万ドルが予算よりも多くなつて、そこで予算で予定しておりました円資金が二千百四十三億円でありましたものが、千五百三十一億円これが足りなくなつて参りました。政府はこのために日本銀行からの借入れ来年度七百億を千億に殖やして三百億を浮かす。更に又二十六年度の平和回復善後処理費二百億円を流用して二十七年度の三百五十億円のインベントリー・ファイナンス、これを担保といたしまして日本銀行から八百億に上るところのスワップを行なつておるのであります。従いましてもうすでに二十七年度におけるインベントリー、ファイナンスの金を担保として二十六年度において使つておる。こういう状態になりますと、二十七年度においては私は外貨ポジシヨンが更にこれが殖えて来れば、それは金融的なインフレをここに起さざるを得ない。これは明らかに政府はインフレ政策へこの面を通じて転換したのであると、私は認めざるを得ないのであります。更に第四のこの予算の不健全性でありますが、これは日本経済の自立の、自立計画の一番重要な電源開発につきまして、問題になりましたように外資導入を予定しておりましたが、それが困難になりましたので、私はいわゆる建設インフレ的なものが起る、若しそれが起らないならば、起さないようにするならば計画通りに電源開発はできない。こういうジレンマに政府が陷つていると思うのであります。第五のこの予算の不健全性は、国際収支の不健全性にあると思うのであります。これはいろいろな面から論証することができますが、中国経済から日本が遮断され、そうして東南アジア開発を日本経済自立の唯一の手掛りにして行こうとしているのでありますけれども、それはなかなか容易なものでないことはもう周知の事実になつております。そこで結局今後の日本の国際収支は、アメリカの特需並びにアメリカ駐留軍が国内で消費する外貨の獲得、それに頼らざるを得ない。ところが二十六年度の対米の国際収支関係を見ますと、輸出においては二億七十九百万ドルで、貿易外の收入が実に十億ドルに上るのでありましてこの十億ドルのうち特需が四億ドル、特需以外が六億ドルに近い。而もこの六億ドルのうち約一億ドルはいわゆる貞操切符、ブラス・チエツク、貞操切符による収入であります。二十六年度の輸出の最高が雑貨雑品でありますが、三千三百九十九万ドル、いわゆる貞操切符による外貨收入はこの約二倍半ぐらいに達する。生糸の輸出は千八百十一万ドル、貞操切符による外貨収入が約八倍に達するのであります。生糸輸出の八倍であります。こういうような基礎に立つて日本の国際収支を合せて行く。そういう基礎の下に日本経済を建設して行くということは、決してこれは健全ではないと思うのであります。二十七年度予算はこういうような非常な不健全なる基礎の上に立つていると言わざるを得ない。
 更に反対理由の第三は、内政費を犠牲にしているということであります。内政費を犠牲にしている事実はたくさんありますが、ただ一つ私はここに指摘いたしたいのは、社会保障費が犠牲になつている。成るほど社会保障費は二十七年度遺家族援護費を除いて五百五十一億、二十六年度の四百七十五億に比べて七十五億円増加しておりますけれども、人口の増加及び物価の騰貴を考えれば実質的にそんなに増加しておるとは思えない。ところが諸外国におけるところのこの社会保障費を見ますると、西ドイツは予算に対して五〇・四%、国民所得に対して九・九%、イギリスは予算に対して三八・一%、国民所得に対して一一%、スウェーデンは予算に対して三〇・五%、国民所得に対して六・四%、アメリカは予算に対して一〇・五%、国民所得に対して二・七%、アメリカは社会事業が多いから社会保障費としては少いようでありますけれども、こうなつております。ソ連は予算に対して一五・四%、これに対して我が国の社会保障費は予算に対して六・四%、国民所得に対して僅かに一%なのであります。一%であります。而もこのように社会保障費が少いところへ持つて来て、防衛関係費は何と予算の二一%もこれを使うのであります。吉田総理は施政方針演説におきまして、講和後において独立するけれども、日本経済は自立することは困難である。そのような困難な状態において千八百二十億という不生産的な支出をし、而も社会保障費は国民所得に対してたつた一%であります。この結果として現れるものは何でありますか。最近現われておる人身売買が増加しておるということ、或いは又最近における税務署の襲撃とかその他社会不安、これは必ずしもこういう面のみの原因ではないのでありましようけれども、併しながら政府が如何に社会保障に対して冷淡であるか、そうして警察国家的或いは軍事国家的予算に対しては如何に政府は大きな支出を要求しておるか、これで以て福祉血国家と言えるでありましようか。これで以てこの予算が健全であるということが言えるでありましようか。
 反対理由の第四は税制面にある。この予算の裏付となつております税制につきましては所得税、相続税、法人税、砂糖消費税について一部改正案が出ております。併しこれらの税制改正案を一瞥してわかることは、資本蓄積に非常に重点を置いておる。これは資本蓄積自体は決して反対すべきでありませんが、資本蓄積の名において高額所得者や大きな法人を非常に優遇しておる。そうして勤労所得者を非常に不均衡に取扱つておる。大蔵委員会における審議の過程において明らかになりましたことは、勤労所得者はその他の所得者よりも約五百億円だけ税金を不当に取られておる。こういう結果が大体において判明して来ておるのであります。シヤウプ税制改革のときに、勤労控除二五%を今一五%に減らしておる。資本蓄積の名によつて高額所得者に対しては無記名定期を二月十一日から許したり、或いは又株や社債の譲渡によつて起るところの讓渡所得、この控除を軽減したり、将来はこれを廃止しようとしておる。このような、この予算の裏付となる税制が著るしく不均衡になつておる。決してこれは健全な税制と言えない。こんな不健全な、非常に不均衡な税制の下にこの予算を立てられておるのであります。以上のような経済的犠牲を拂つて我々日本民族がかち得るものは何でありましようか。外資援助と国民生活向上の代りに、日本の軍事基地化によるところの不安全と独立の喪失であります。以上のような非常な高価な代金を拂つて我々の得るものは何であるか。我々が戰争に捲き込まれる危険と日本の独立の喪失であります。これがいわゆる寛大と対等の條約によつて與えられるところの代償であります。民主憲法を守り、世界の平和、日本民族の安全と自主独立、額に汗して働く人たちの生活の安定を実現するためにこそ、我が党はこの予算案に反対するものであります。
 二十七年度予算案の実施の影響については十分明らかにされておりません。まだこれが実施されておりませんから割合に楽観的に考える人もあるようでありますが、若しこのような不健全な二十七年度予算が実行に移され、その影響が具体的に現われて来ましたならば、恐らく本日この予算案に賛成されたかたがたといえども、実はこんなはずではなかつたと必ずや反省されるでありましようし、そのときに至り、国民諸君はこの予算案に賛成したかたがたをきびしく批判するでありましようし、又我々がなぜに強くこの予算案に反対いたしたか、その本当の意味を理解されるに違いない。これを信じまして、私の反対討論を終る次第であります。
#19
○岩間正男君 私は日本共産党を代表しまして、只今議題となつております昭和二十七年度予算三案に反対するものであります。
 反対の第一の理由は、本予算案の持つている軍事的侵略的性格であります。吉田政府によりますと、この予算は講和に臨む予算であるということが言われています。併し講和とは何か、言うまでもなくそれは新たな戦争を企らむための講和であることは、講和と同時に結ばれたあの安保條約並びにあの安保條約を手形としてこのたび強制的に、殆んど強制的に調印されたところの行政協定の内容を見れば余りにも明らかであります。この協定は日本が負わねばならない義務だけを一方的に押つけておりまして、これに伴う権利につきましては一片のかけらだにもない。誠に史上空前の酷薄なものであることは、学識者によつてもしばしば指摘されているところであります。占領治下の圧迫と見せかけの口実とによりまして、アメリカヘの奉仕をより恰好な形で独立日本に課そうとするのがこの協定の狙いであり、それはまさに占領の永続化であり、より強化であるということができるのであります。東京では占領任務についている米国の大佐又は将軍が極めて賢沢な生活をエンジヨイすることができる。彼らは米国では五百ドルの収入を持つ場合に初めて可能な生活をすることができる。彼らは収用令一本で百万長者の邸宅を手に入れ、家族はガス、水道、電気、修繕費とか家具類一切を含めて一カ月百五十ドルぐらい、米国では少くとも五百ドルかかるところを一カ月百五十ドルぐらいで、召使五人で月百ドル、それに子供に無料のアメリカン・スクールがあり、又医療費もただである、映画は二十五セント、たばこ一箱十セント、最上のブルボンウイスキーは二ドル、ガソリンは一ガロン十五セント、日本製の贅沢品は無税、更に週末ともなれば米軍将校は日本側から収用した贅沢な温泉や海岸に行けるが、費用は五ドルしかかからない。これはユーエス・アンド・ワールド・レポート十二月に記載されたところの米占領軍の生態であります。一例に過ぎないのでありますが、かかる状態があらゆる面で恒久化されようとするのがこの行政協定の正体である二とを私は指摘したいと思うのであります。
 更にこの行政協定はアメリカのアジア――の体制を一層強化せんがために太平洋軍事同盟を締結し、日本をその有力なる一翼に編成せんとする明らかな目的を持つているのであります。このことは曾つて改進党の岩木君からも指摘されました。二月四日付トルーマン大統領宛吉田首相の書簡なるものに明らかに示されているのであります。即ちその書簡によりますと、日本が将来アメリカの首唱によつて構成せられる太平洋防衛同盟に加わり、その重要な役割を果すことについての了承は、先のサンフランシスコ会議における貴下との約束通り何ら変ることはない。而してその役割が主として軍事的な分担を意味することも又了承している。そのため財政の許す範囲内において、而も最新の装備を持つた軍事力を日本国内に持たなければならんことは当然であり、私はその点に十分の熱意を有し、年次計画を立てて実現の一歩を踏み出しているのである。これは吉田総理によつて否定されたのでありますが、二十七年度予算こそは、この書簡の誓いを十分に裏付けするものではないかというように私は考えるのであります。再軍備は日本の経済事情が許さないからやらないとか、或いはうつかり口をすべらして、自衛のための戦力は違憲でないと答えておいて、あわてて翌日それを取消してみたりした吉田首相の態度と、前記書簡で述べられたこととが果してどつちが正しいかは、ここに提案されている予算案がはつきりとこれに答えていると思うのであります。
 先ず講和関係諸費の名によつて提出された諸費、その中で防衛関係一千八百二十七億は、言うまでもなく二十七年度財政総額の二一%を占める国民の血税であります。吉田首相は軍事専門家が笑うほどの少額であると言つているのでありますが、一国の総理の言としては誠に驚くべき暴言であると言わざるを得ないのであります。三十兆を超えるアメリカ財政においてならいざ知らずのこと、食うや食わずの最低生活をさえ維持できない日本の経済の実情におきましては、二一%の軍事的支出が如何に過大な命取りであるかは、先ほどからしばしば反対論者によつて指摘されたところであります。殊にも公共事業、更に地方財政の諸項目の中にいろいろな名前で匿されているところの軍事的或いは準軍事的支出をこれに加えるときに、その額は非常に厖大なものになるのであります。而も問題はその使用の内容にある。先ず国防分担金六百五十億は、アメリカ軍の駐留を希望した日本が当然に負担せねばならんという名目で支出されているのであります。而もその駐留軍の実体が何ら明らかにされていない。何か知らん、駐屯するその員数さえも明確ではない。従つてこういうものに対しまして六百五十億というような、実に予算の八%にも達するところの厖大なものが支出されるのであります。而もすでに占領治下でも明らかなように、占領軍と、朝鮮戦争後におけるところのいわゆる国連軍というもののけじめが一向はつきりしないのであります。占領軍が直ちに国連軍であつたり、国連軍が又日本に帰ると直ちに占領軍になつたりして、この正体は誠に捕捉できないところの二軍性格を持つているのであります。而もこのたびの一行政協定によりまして、こういうような性格は何らこれを拘束するところの條項がないのであります。従いまして日本に駐屯したところの駐留軍が講和後の情勢如何によりましては、直ちにこれが国連軍として出動するということはこれは明らかな事実であります。このようなことを考えてみますときに、我々がこのようないわば日本の安全のためにという名目で、実はアメリカの作戦のために駐留するところの費用を、我々のこの血の出るような国税によつて支拂わなければならない理由が一体あるかどうか。こういう点におきまして、我々は政府に質問したのでありますけれども、政府の答弁は極めてあいまいであり、確信がなかつたのであります。成るほど駐留軍と占領軍の建前は今後区別する、国連軍になれば直ちにそれの会計は別に移されるというような答弁で岡崎国務相は逃げたのでありますけれども、(「その通り」と呼ぶ者あり)私はそういうことを問題にしているのではない。日本にそもそも駐留する目的が何であるか。その目的が直ちにそれが二重性格を持ちまして国連軍に転嫁される、そのような性格を持つた軍隊に対して、日本がこれを我々の財政支出によつて分担していることを問題にしているのであります。
 次に安全保障諸費の六百五十億の問題でありますが、池田蔵相はこれは想像で組んだのだという二とを最初に本会議で答えております。その内容は何ら明らかにされていなかつたのでありますが、その後の衆議院の追及によつて、一応事務的に辻褄を合した表が示されたようであります。併しその中で大きな問題になりますのは移転費並びに兵舎設営費の約三百余億の費用がどうなるか、この問題につきましては再三改進党の岩木君から質問があつたのでありますけれども、これにつきまして国連軍司令官のリツジウエイ大将と新聞社長との会見談で問題になつた、例のアメリカ側がこの経費を負担する、国会において現に審議中である、こういうような建前によつて日本はこれらの三百億の厖大な支出に対して責任を負う必要はないじやないか、二重に計上する必要はないじやないかという点を指摘されたのでありますけれども、これは何ら明らかにされていないのであります。そういたしますと、これはどういうふうな性格を持つか、明らかにこれは予備費的な性格を私は持つと思うのであります。今朝ほども当委員会で問題になつたところの日本の再軍備体制、いわゆる政府の名前を借りますというと自衛力漸増計画、その計画へのいわゆる予備的なものがここに大きく匿されていることは明らかであろうと思うのであります。これは朝鮮事変以来、一昨年秋以来しばしば池田財政によつて踏襲されて来たところの常套手段であります。更に警察予備隊の三万五千の増員、海上保安庁員六千名の増員を目途としまして従来の約三倍に余る六百十億程度の支出を見込んでいるのでありますが。予備隊が戦力であるかどうか、憲法第九條違反であるかどうかという問題につきましては、これはしばしば検討された問題でありますから、私はここで再び繰返そうとは思わないのであります。ただここで言いたいことは、国会がこの問題を最大の今度の委員会の論議の中心としてこうした論議を繰返している間に外では何が起つているかという問題であります。警察予備隊が軍隊であるかどうか、こういうような問題をよそにしまして、例えば今度発表されましたところの防衛力漸増計画、誠にこれは中身のない一片の紙片でこれは示されたのでありますけれども、その紙片によりましても、我々はここに現在進められている政府の政策の一端を窺い知ることができるのであります。この中で問題になりますのは、今度増強されましたところの約三万五千の予備隊員の中の約二万人というものが管理補給部隊、いわゆる第二線の補給部隊としてその大半が増員され、或いは又吉田総理のいわゆる士官学校、その士官学校の復活と思われるような幹部養成というものに対しまして約六千人の増員を振向けておることであります。従来の比率を私は数的に計算してみたのでありますが、従来は十人に対しまして補給部隊は大体二人の割合でありました。然るにこのたびの案によりますというと十人に対しまして約五人のこれは補給部隊を持つ、五〇%の補給部隊を持つことになるのであります。これは明らかに私は予備隊の性格の変化であるということを断ぜざるを得ないのであります。現在アメリカの軍隊は補給部隊は第一線の軍隊に対しましてそれ以上の補給部隊を持つているのであります。ソ連においては大体一対一のような態勢をとつているのであります。(「詳しいな」と呼ぶ者あり)日本の警察予備隊がだんだん軍隊的なものに近付いておることはこういう事実で私は明らかに指摘することができる。いわゆる行動半径を拡張したところの作戦が、これによつてより容易になすことができるのであります。ここに現在問題になつている海外派遣の問題或いは予備隊の部隊訓練、こういうものを通じまして現在政府が企らんでおるところのこの自衛力漸増なるものが如何なるものであるかという、誠に氷山の一角でありますけれども、氷山の一角の性格をはつきり我々は指摘することができるのであります。又幹部の養成を従来の四倍にも増強しようとしておる、このことは何を意味するか。言うまでもなくこれはまさに来たらんとするものに対して、先ずその中核である幹部を大量に養成するという意図にほかならないのであります。こういう形で警察予備隊が進められておることは、この予算委員会の審議を通じまして明らかにされた事実であります。これについて予備隊が兵隊でないかどうかという論議は果して一体通るものであるか、国民をいつまでつんぼ棧敷に追込んで置くことができるものかと、こういうことについて政府は深甚なる反省を要すべきであり、又憲法を守り平和を守り拔かんとする国民各層はこれに対して深甚なる警戒を拂うべきであると私は思うのであります。
 更にこの警察予備隊の問題につきましてもう一点指摘したいのは、政府は決して二十七年度に警察予備隊をどうしても増強しないのだということは、これははつきり積極的に意思を表明していない。この案によりますと今後の治安及び財政事情を考慮して決定したいと思います。こういうことを申述べているのであります。果して今までの情勢によりますと、只今のところは予備隊を増強する考えはない。こういうことを今までしばしば政府は述べてきた。ところがこの只今のところが曲者でありまして、そのときは何とかそれで過ぎて行くのでありますが、喉元過ぎればこれは何とやらの譬えのように、いつでもその事態が変つたときには先の約束は反古にされておるのが今までの吉田内閣の政治のあり方であります。こういうことを私たちははつきりここで思い起す必要があります。事例は国会の速記録に汗牛充棟もただならずあるのであります。これを指摘することができる。従いましてこういう点から補正予算は組まないということを政府はしばしばこれは声明しているのでありますけれども、併し果して情勢の変化如何によつてはどうなるか、これは明らかであろうと思うのであります。
 私の第二に指摘したいことは、今度の予算は全くこれはアメリカ一遍例の隷属、更にこれを通じまして軍需産業、財閥復活の兆を持つたところの予算であるということであります。日本経済協力の名の下に現在あらゆる産業、軍点的な産業を挙げてアメリカの軍拡経済の下請としてこれは再編成されておることは、言うまでもなくここ二年間の日本の実態であります。そうしてそのために朝鮮戦争後におきましては、これらアメリカの手先として日本の独占資本は相当厖大な利潤を挙げたのであります。併しながらその原因は言うまでもなく労働者の低賃金、殺人的な労働・強化によりましてこれがもたらされたことは明らかであります。而も最近の特需によりまして問題になつておりますところのこの労働條件の劣悪、日本の労働法が適用されていないという事実、又昨年秋からとられましたところのこの商業契約制度によりまして労働者の賃金が非常に切下げられて来ておるということ。いわゆる日立の場合におきまして四十八セント、この労働賃金、これは一時間一人当りの生産コストでありますが、この中で労賃分は僅か八セントにしか当らない。而もこの四十八セントはもつと切下げられているという事実、こういう事態が起つておるのであります。P、D工場におけるこれらの問題は実にこれは由々しい、而も行政協定を前にしまして今後ますます強化されるであろうところの日本の態勢から考えまして、大きな問題であることは言うまでもないのであります。だからして官公吏の俸給はどうしても釘付けにせざるを得ないのであります。若し官公吏の方面の給與を引上げるというような事態があれば、その影響はあらゆるこれら産業に波及する。こういう点からしまして今度の予算におきましても公務員の俸給は生活水準の低下にもかかわらず、その後のいろいろな統計が示すそれらの現実を無視しまして、飽くまでもこれは金縛りになつているのであります。
 私の次に挙げたいのはこの貿易の破綻の問題であります。これは先ほども木村君から取上げられましたのでこのの点は簡單にしたいと思うのでありますが、ただ現在において非常に日本はポンド過剰、ドル不足で悩んでおる。併しこのドル不足の一体大きな原因はどこにあるか、これは言うまでもなくアメリカの一貫した政策であるドツジの政策によりまして、日本のこのドル不足が殆んど恒常的な條件を日本に押付けながら、このようにして稼いだドルの使用には厳格な制限が置かれ、アメリカの商品市場として日本を利用しておる。こういう形が大きく出て来ておるのであります。單にこれは日本だけの態勢ではなくて、このドル不足は世界の、アメリカに従属しそうしてその援助を受けているいわゆる自由国家群の至るところに起つておる現象でありますが、国民はこれらの圧迫に耐えかねて、そうして軍拡の態勢に狂奔しているところのこの政府の態度に対しまして、下から大きな労働階級の圧力が出ておることは最近の世界の経済の特色とも言うことができると思うのであります。こういう形で日本の貿易は御承知のように、例えば安本の今年度の見通しにおきましても約七億ドルの貿易尻の赤字が出るのでありますが、これを埋める手段としましては、先ほど木村君から指摘されましたように、特需への期待或いは米軍が日本国内で使用するところのドルに求められておるのであります。先ほど木村君は非常に丁寧な言葉で、貞操切符というような言葉で話されましたので、余りこれは高尚過ぎておわかりにならないかも知れない。我々は普通これをパンパンと呼んでおるのであります。このパンパンによりまして約五百億程度のものを日本の貿易尻の赤字を埋めておるのであります。いわばこれらの婦人たちによるところの収入が、実は池田蔵相は日本の国際収支は受取超過であるということをしばしばここで自慢そうに何遍も述べられたのでありますけれども、蔵相をして自慢させておるものは、いわゆる日本のこれらの婦人たちであります。そうしてその点から考えますと、池田財政はこれらのパンパン諸君によつて大きく援助されておるというこの事態を私は残念ながら指摘せざるを得ない。(笑声)こういう形であります。
#20
○委員長(和田博雄君) 岩間君、あと五分ですから。
#21
○岩間正男君 私の次に指摘したい問題は、日本のこのような態勢の中で軍需生産が押し進められ、そうしてそれが殆んど次の段階では公然化される態勢がとられつつあるということ、それと併行して日本の財閥復活も恐らくこれは次のコースに大きく上るだろうと思う。そうしてこれらの財閥復活は日本の再軍備とは切つても切り離すことのできない関係にあり、これを財政的に見るときには、これは再軍備の大きな母体であり、その財源となるであろうということ、こういう点で現在事業者団体法とか独占禁止法の緩和の問題が出ておるのでありますが、これらの兆候に対しまして、戦争経済の態勢に対して、我々は深甚な注意を拂わざるを得ないと思うのであります。
 第三に私の指摘したいことは、これらの本年度の予算は正に民族を破滅に瀕せしむるところの予算であるということであります。これにつきましては時間の関係上いろいろくどくど申上げませんが、例えば行政協定や警察予備隊によるところの土地取上げが全国で現在すでに一万二千町歩近くも進められておる。漁区の立入禁止が五十五カ所にも及んでおるということ、更に又農民は米価審議会の決定した答申案よりももつと低い形で以て低米価を強いられておるという問題、更にいろいろ今まで指摘されました社会保障費、失業対策費、これらが如何に再軍備態勢、いわゆる防衛費によつて食われているかという問題、こういうことについては一つ一つ細かく私は指摘しないのでありますが、この中でただ一つここで指摘したいのは、教育予算の問題であります。教育費につきましては、吉田内閣は財政政策と教育政策を二大政策として掲げるということを二年前から述べたのであります。吉田総理が箱根の山から静養して下りて来られるときにそういうことを声明された。併し実態はどうであるか。今年度は教育費は幾分殖えたというような幻想を與えておりますが、併し例えば給食費、こういうような内容を考えますときに、総体的に言つて、これは相当な縮小になつている。而も一方におきまして財政規模の増大による今後の物価値上げというものを考えるときに、これらのものが大きく教育文化に影響する。この影響はどういうふうな形で現われるか。ここで私はいろいろ指摘する時間を持ちませんので、この点は簡單に省略したいと思うのであります。
 このような経済政策の現われとして進められている今度のこの予算、吉田内閣の政策の基調、この政策の基調は何であるか。これは言うまでもなくアメリカ一辺倒、反共鎖国的な政策であるということであります。これがあらゆる面で今日の姿をそのままに露呈しているのである。これは誠に私は時代感覚を失つた古い感覚と言わなければならないと思うのであります。又吉田内閣のこのような政策というものは、これは誠に自然の道理に違反したところの政策であると思うのであります。つい近い距離にあるところの中国と経済的にこれを遮断し、遠いところの南方諸地域と結ばれなければならない。こういうような態勢、いわゆる自然の道理に違反したところのこれらの無理な態勢が、あらゆる面で日本の破壊をもたらしているのであります。併し地球を反対に廻すことはできない。夜の次には必ず朝がやつて来るのであります。こういう点から考えますときに、このような馬鹿げた、自然の道理に違反したところの態勢によつて、恐らく人民はこの状態を我慢することはできないと思う。こういう態勢を併し一方において強化され、そうしてみずからもその手先としてとらなければならないところの吉田内閣は、あらゆる面で無理をやつておる。今度の、例えばソ連の経済会議に対する旅券の拒否のごときは、これは何ら法的に根拠を求めることができない。世界のこれに関心を持つ人たちは、平和と真の光を求めるためにここに集つておる。現にイギリスにおきましては……。
#22
○委員長(和田博雄君) 岩間君、時間がありませんから。
#23
○岩間正男君 イギリスにおきましては、三人の下院議員がこの代表として出席することが決定されたことは、今日の新聞にも伝えられているところであります。こういうような馬鹿げた政策を一方で飽くまで遂行しようとするところに吉田内閣の無理がある。その無理はすでにこれは内閣の衰亡の兆としても現れていると思う。この予算審議を通じまして我々は政府の混乱と確信のなさ、こういうものをあらゆる場面で見たのであります。而も吉田総理は国会審議に対しましてはいろいろな理由、渉外関係というような理由で以ちまして国会に出席を怠つた。そうしてそのために予算の審議が実に一週間も空白に置かれ、重要なる国内諸費の問題につきまして、我々は分科会を以てこれを審議する機会もなかつたということは、(「時間」と呼ぶ者あり)全くこれは政府の責任であるということを私は断ぜざるを得ないのであります。こういう形で作られましたところのこの予算案に対しまして、平和と独立と自由を求める我々共産党は断固として反対するものであります。
#24
○委員長(和田博雄君) 通告者の討論は全部終りました。これを以ちまして討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#25
○委員長(和田博雄君) 御異議ないと認め、これより採決に入ります。
 昭和二十七年度一般会計予算、昭和二十七年度特別会計予算及び昭和二十七年度政府関係機関予算を一括して議題に供します。三予算に賛成の方の起立を願います。
   〔賛成者起立〕
#26
○委員長(和田博雄君) 多数でございます。よつて三予算は可決すべきものと決定いたしました。(拍手)
 なお本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條によつてあらかじめ多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において予算の内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告するこことして御承認願うことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#27
○委員長(和田博雄君) 御異議ないものと認めます。
 次に本院規則第七十二條によりまして、議院に提出する報告書には多数意見者の署名を附することになつておりますから、三予算を可とされたかたは順次御署名を願います。
  多数意見者署名
    中川 以良  山本 米治
    小林 政夫  杉山 昌作
    愛知 揆一  石坂 豊一
   池田宇右衞門  泉山 三六
    大島 定吉  楠瀬 常猪
    左藤 義詮  白波瀬米吉
    杉原 荒太  鈴木 直人
    中川 幸平  宮本 邦彦
    平林 太一  岡本 愛祐
    小野  哲  片柳 眞吉
    加藤 正人  楠見 義男
    西郷吉之助  新谷寅三郎
    中山 福藏  駒井 藤平
    鈴木 強平  西田 隆男
#28
○委員長(和田博雄君) 御署名漏れはございませんか……ないと認めます。
 これを以て本日は散会いたします。
   午後四時三十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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