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1951/01/28 第13回国会 参議院 参議院会議録情報 第013回国会 本会議 第8号
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1951/01/28 第13回国会 参議院

参議院会議録情報 第013回国会 本会議 第8号

#1
第013回国会 本会議 第8号
昭和二十七年一月二十八日(月曜日)
   午前十時二十五分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第七号
  昭和二十七年一月二十八日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第四日)
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(佐藤尚武君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、国務大臣の演説に関する件。(第四日)
 一昨日に引続き、これより順次質疑を許します。駒井藤平君。
   〔駒井藤平君登壇、拍手〕
#4
○駒井藤平君 私は国民民主党を代表いたしまして、吉田総理大臣並びに関係大臣に質問いたします。
 講和條約発効を前にして、終戰後六年有余、国民といたしまして感慨深いものがあると共に、将来日本のあり方を考えて不安の念にかられております。国会冒頭の吉田総理の施政演説にいたしましても、講和條約発効後に現内閣がとろうとする施策の方向は幾分国民の前に明らかにされたが、なお個個の具体的な問題につきましては明白を欠くものが少くはないのであります。総理は任期一ぱい政局を担当すると言明されました。その意気は誠に壯なりと称すべきであります。又吉田さんは非常に座談がうもうございまして、殊に話がお上手であります。そのかたが過日遺族代表が大磯に陳情に参りましたときにお会いにならずに……、そのとき、話上手の吉田さんでありまするから、私どもお会いしても引きつけられるというような感じの好いかたであります。折角寒風を衝いて遺族の者が陳情に参つたのでありますから、ちよつとでもお会いなすつて、そうして現在の苦衷を披瀝して、そうして慰撫されたということになりますれば、あの人たちは非常に喜んだ、こう考えまするが、大政治家の吉田さんがああしたことをなされるということは誠に遺憾と思います。甚だ苦言を呈しましたが、私はそう思います。会つてやつて頂けば、よほど満足もし、感謝もする、又事情もよくわかる、こういうことになつたと思います。でありまするので、この際国民の聞かんとすることに対しましては、誠実率直にお答えを願いたいのであります。
 今吉田総理に聞きたいことは、アジア諸国との善隣友好関係の積極的実施策であります。例えばインドに開催されましたアジア・オリンピックに派遣された運動選手たちが非常な歓迎を受けて帰りましたに対しまして、政府としてその好意に酬ゆるよう適当な措置をとられたかどうか。又インド等に対しましては、特に国民外交を深めまして、今後外交の基盤を国民相互の信頼に置きまして、そうして国民の信頼によつてやる。なお條約発効後、駐外せしめる大使とか或いは公使の人選は、大事なことであります。特に愼重考慮をされたいのでありまするが、どういうふうな基準でおやりになりまするか、伺いたいのであります。特に一言附加えたいのは韓国の問題であります。韓国は全土を殆んど戦場とされ、その荒廃は思うだに惨澹たるものであると思います。一方、我が国は幸いに今回は地上の兵火の災害に会つてはおりませんが、曾つての同胞であつた韓国民が誠に困つておる。それに対して我が日本から、真に心からなる日本の農村が自主的に動いて、そうして種籾を送るとか、或いは種「じやがいも」を送るとか、具体的な相互共助の実を挙げることが、即ち近きより遠きに及ぼすアジア対策であり、信頼を得る一方法ではないかと思います。アジア諸国との外交の基盤に、この愛の感情を以て事を処理するところに、あらゆる問題の解釈があると思うのでありまするが、如何でしようか。
 次に、講和條約発効に伴う予算の支出を明瞭にされたいことであります。支出の面におきましては約二千億円も支出を明細にせずして、單に予備費的名目の下に盛り込んであることは、国民の目を覆わんとするものであると思われます。政府は、よろしく税源だけを確保しておいて、その支出の明細が決定次第、これを別の補正予算として国会に提出し、十分なる審査の機会を與えるべきであると考えるが、吉田総理は如何にお考えであるか。御所見を聞きたいのであります。
 次に電源開発促進に関する方策についてお伺いいたしたいのであります。政府は電源開発の時下緊急の要を認められて、開発機関を設け、積極的開発の決意を有せられることは、極めて御同慶に堪えないのでありますが、政府の考えるこの開発公社と現存の九分割されたる電力会社との調節、並びに政府の企図せられておる国土総合計画との関連性を如何ように処理されるのであるか。それに対する政府の御所見を承わりたい。又公益事業委員会の考えている河川別開発会社は、一応は納得できまするが、その運営方法は極めて不明でありまして、技術的にも困難であります。民間会社が收益採算のみに終始するとき、洪水防禦等の公共性が忘れられる虞れがあります。この故に、電源の開発は多目的ダムの運営において初めてその目的が達成されると思われるのであります。電源開発は国土開発の一環であるから、国土総合開発法により、治山治水等公共的事業を包含した開発公社を作り、その事業の第一として電源開発をなすべきであると考える。又聞くところによると、日本の既設ダムの殆んどが土砂の堆積により有効貯水量の減少を見つつあり、今後十年を待たずして大なる問題が起ることを思えば、是非開発公社を作り、多目的ダムを作ることに努力し、費用を電力採算の面からするものと公共事業的費用の面との合算振分けによつて推進することが最も妥当と考えるが、御所信を承わりたいのであります。なお現在の電力の監督機構は二重監督になつておりまして、甚だ運営上面白くない相当の問題を投げかけておるということは周知の事実であります。この際、政府は、公益事業委員会を廃止する意図ありや否や、御答弁を願いたい。
 次に行政機構改革についてお尋ねするのであります。政府は、前国会で一律天引き及び仮定に基く人員整理を国会に提出されたのであります。併し国会におきましては、それを現機構における妥当定員を決定し、政府の考える人員整理は基礎要件に欠けておるという、政府として最も反省すべき結論を出したことについては、吉田総理も未だ記憶に新たなものであると考えるのであります。私は公務員の定員が戦前に比較いたしまして著しく増加しておることが国民生活に多大の影響を與えておるということを認めております。吉田総理の意図される公務員の実質人員の減員の一日も速かならんことを期待するものであります。そこで吉田総理は、今国会において人員整理を実施するお考えであるかどうか。これをお尋ねいたしたいのであります。併しながら前国会においてなされたごとき一律天引的人員整理案は、徒らに事務能率の不均衡をもたらすのみであつて、根本的妥当な減員は機構改革と共に進めねばならんのであります。行政機構の改革は言いやすく行いがたい難事業でありますことは、すでに総理も御認識だと思います。米国でさえも、かのフーバー元大統領が委員長となつて作られた機構改革案の実施は極めて難航しておるように聞き及んでおるので、この際、我が国の機構改革に当りましては総花的の考えを一擲して、重点を治案関係及び国土開発関係に置いて実施すべきものと考えます。治安関係につきましては、独立国として再出発に当つて当然考えねばならないものであります。国内開発の統一機関を作り、治山治水等を一元的行政機構において処理することは、国内資源の開発、民生の安定上からも必要であり、この統一は必然的に各省の配置替えが行われると考えるが、首相の御所見を承わりたいのであります。
 次に文部大臣にお尋ねいたします。吉田総理は六三制の充実を言つておられますが、文部省の予算は未だに冷遇されておるかに思われます。義務教育につきましては、教育の機会均等の立場からも平等に扱わるべきと信じます。義務教育費は所在町村によつて不均衡を来たさぬよう全額国庫負担となすべきものであると考えるのであります。又更に学校児童給食の問題であります。これは世論が非常に要望しておる。PTA会長諸君からも非常に、又子供を持つ親の人たちも、この給食問題に対しては継続したいという要望があるのであります。第二の国民の保健上、給食を法制化し、僅か九十億円程度の予算を速かに計上されては、文部大臣、如何でありましよう。なお、私学振興についてお尋ねいたしたいのでありまするが、私学を振興せしむべきことは国民一般の要望であります。文部大臣において近く実現せしむる振興の方策、具体案を承知いたしたいのであります。次に教職員の待遇でありまするが、これは是非とも早く改善して優良なる人材を確保すると共に、教職員の組合等を煩わさないようにその方法を講ずることはどうかと思われるのであります。これに対しての御所見を承わりたいのであります。
 次に木村法務総裁にお尋ねいたします。先般北海道における警察官の射殺事件、あのようなことが起りましたので、国民はひとしく不安の念に駆られております。国内の治安策は万全を期しておられるのかどうか。この辺詳しく国会を通じて国民に安心のできるように御説明を願いたいと思います。なお、近来青少年の目に余る犯罪が累増しておる。誠に憂慮すべきことであります。これらの点におきましても政府は如何なる対策を講ずるか。御所見を承わりたいのであります。
 次に安本長官にお尋ねいたします。先ず第一に、国民所得の計上に過大見込をされてはいないか。政府は二十六年度に自然増收があつたと言つて、二十七年度においても自然増收を計上しておられるが、これは国民の担税能力その他に極めて重要な問題である。二十七年度においては、安保條約、賠償、対外債務等、国民生活を圧迫する点が多々あるのであります。この現状におきまして過大見込と言わねばならないと私は考える。ところが先に長官は、確実な基礎の上において算定したのであると、こう答弁されたと思つておりまするが、果して然らば算定の基礎をお示しを願いたいのであります。又ポンド過剰についての対策でありまするが、政府は、ポンド地域からの輸入促進、ドル地域への輸出振興を單に羅列しておるが、過般の経済情勢と従来の政府の施策の結果として、ボンド過剰或いは最近のドル地域への輸出不振を招来したと見るべきものである。然るにこれと全く反対の方向に持つて行こうとしておるのに、政府は如何なる具体策を持つておられるのか。特に東南アジアの開発を唱えておるが、二十七年度においてどの程度の経済活動を見込んでおられるのか。お伺いいたしたいのであります。
 次に池田大蔵大臣に質問いたします。資金運用部資金について先ずお尋ねいたしたいのでありまするが、資金運用部資金は、主として零細事業者その他一般国民大衆の郵便貯金より成つておるものでありまして、戰前はその相当部分が中小企業へ向けられておつた。即ち低利貸付に活用されていたのであります。然るに戦後その運用が極度に制約せられ、わずかに金融債の引受という形で昭和二十六年度において約二百七十億円が事業資金の供給源に繰入れられておつたに過ぎない。ところが二十七年度の資金運用部資金の運用計画を見ますると、当初三百億円予定されていた金融債の引受が全額削除されておるのであります。これでは、金融債を発行して、主として長期資金又は中小企業資金を供給しておる金融機関の活動を制約し、その面において金融の不円滑を来たすことは必至と考えられるのであります。二十七年度において資金運用部資金による金融債の引受を廃した理由及びその対策として如何なる方策を考えておられるか。池田さんのお考えを承わりたいのであります。次に、世上いわゆる金詰りという言葉で表現されておる傾向、即ち産業は金融に依存し、地方銀行、市中銀行は日銀に依存して経済活動を行なつておる傾向があるのであります。これにより各企業が独立自立の精神を失つておるのみならず、講和発効後国民に最も大切な自立精神を抑圧しておるように思われる。かかる際に無記名預金制を再現されることは誠に結構であるが、その時期方法等について承わりたいのと、同時に、これに対する税賦課の実際の取扱等について、余り行き過ぎの結果、脱税の具にすることは断じて許すべきではない。けれども、税源捕捉等のための取扱の行き過ぎは、これ又嚴に愼しまねばならんと考える。又金融において日銀のオーバー・ローンは一つの癌視されておる。而してこれが生ずるに当つていわゆるインベントリー・フアイナンスの方式がその因を成しておるところが多い。インベントリー・フアイナンスは、やはりこの無記名預金断行と同時に並行的に奥行して行くつもりであるかどうか。インベントリー・フアイナンスは逐次これを全廃せられる所存であるか。然らばその全廃の方法時期は如何になさるのであるか。又その次に、銀行法の全面的改正に着手しておられるということを聞いておる。この国会に提出のつもりであるか。ありとせば、その内容等もほぼ決定を見ておると思うが、これを発表されては如何でしよう。一体、金融及び金融機関は、民主的方法によつて専門家に運営せらるべきことは勿論であつて、政府及び政治の力によつて運営せらるべきではない。又日銀こそ中央銀行として各金融機関を善導し、国民の要望に副うようにこれを民主的に運営せらるべきであります。日銀と市中銀行、地方銀行との間に、仮にも不円滑、確執等あつてはならない。この辺は今回の改正をなさるという点には十分に御注意をなさるべきことだと考えます。その又改正によりまして、徒ちに政府並びに日銀の力が必要以上金融機関に及ぶことは許すべきことじやない。又銀行の首脳人事等につきましても同様であります。又産業界の一部に、仮にもです、金融フアツシヨの声を聞くようなことがあつてはならない。世間一般に経済の焦点が金融に来ているように思われておる際、銀行法の改正には十分の力を置くべきであると考えるのであります。この点につきまして大蔵大臣の御所見を承わりたい。次に農林、水産、鉱工業、船舶、中小企業、これらの金融が甚だ不円滑である。でありまするから、この金融の円滑なる疏通を図つて強化する、こういう御意思はあるかないか。これも池田さんに承わりたいのであります。
 次に農林大臣にお尋ねいたします。食糧増産対策に重点を置かれたのは誠に結構でありまするが、食糧増産を国内自給の線まで引上げるのは勿論であつて、その統制撤廃等の観点を、国内政治の立場に置かず、アジア諸国並びに国際情勢等のあらゆる観点に立つて食糧問題に対処しては如何でしようか。日本のごとく統計の不備な国におきましては、正確なる統計の基礎に立つことができないのでありまするから軽々しく自由党の公約実践で自縄自縛されてはならないと思うのであります。むしろ根本條件として土地改良が重要であるが、大規模土地造成並びに土地改良のみに重きを置かず、土地改良区等を高度に利用した小規模土地改良補助事業も重視すべきだと思うのであります。この点に対しての御所見を承わりたい。次に、農村の子弟の二男三男の問題は将来必ずや農地法の改正を要求すると思われるのでありまするが、これに対して成案があるかないか承わりたいのであります。次に、農業共済保険事業の改善充実に盡すと同時に、営農指導を行い、災害にかからぬよう指導部門を充実すべきであるが、御所見を承わりたいのであります。又協同組合は農村に重要な産業組織でありまするから、育成の実を十分に挙げ、アジア諸国に組織せられつつありまする協同組合とも密接なる連絡をとり、今後の世界経済に寄與される方策をとつては如何かと考えるのでありまするが、御所見を伺いたいのであります。
 次に運輸大臣にお伺いいたします。海運関係について先ずお尋ねいたしたいのでありまするが、七次後期新造船五万総トンの追加が未だにきまつちやおらないことであります。これは是非とも早急に追加決定し、資金手当等万全の措置を講ぜねばならないと考えるのでありますが、大臣は如何お考えでありまするか。責任ある答弁を願います。次に運輸省におきまして、海運、造船並びに貿易各界の要望も容れて、二十七年度の海運向け見返資金として二百十億円というぎりぎり一ぱいの融資枠を要求したのに対しまして、閣議では大蔵省の原案通り百四十億円に削減決定された由でありまするがこれでは日本の経済自立の最大前提である船腹増強の上に非常な支障を来たすことは今更申すまでもありません。政府は船腹増強のために、財政資金による融資、開発銀行の活用、見返資金の増加を早急に追加手当をなすべきであると思うのでありまするが、政府の御所見を承わりたいのであります。なお、我が国の船腹増強の緊急性について国外より深い理解と同情を示されておりまして、却つて我が国の大蔵省はこの点認識不足の傾向が見受けられることは、誠に経済自立の上から遺憾に思うのであります。前述の実現に対処する村上運輸大臣の決意と方策を率直に誠意のある御答弁を煩わしたいのであります。
 次に厚生大臣にお尋ねいたします。独立日本の目標は自由経済の確立と健全なる社会の育成であつて、これには、産業を発展せしむることと、国民一人々々の最低生活を確保することが基本條件であつて、このためには、何よりも先ず国民生活の合理化と安定化が必要でありまして、これらの国民の要望に応えんがためには社会保障制度を確立することであるにもかかわらず、我が国におきましては、今なおその統一した機関なきために、各方面におきまして幾分ずつはこれが行われてはおるものの、徹底を欠いておる。即ち各種の社会保険、社会事業が各自各局にまちまちに行われておるために、その運営においては無駄が多い。従つてこれらの行政機構を合理化し、事務の能率化を図り、以て国民の利便に重点を置いて、これを一本化するということが必要である。殊に最近行政機構の改革時に厚生省を労働省に併合するというような噂を聞きまするが、この際思ひ切つて社会保障省とでもして、社会保障を徹底的に進めるほどの決心があるやないや。お尋ねをいたしたいのであります。次に社会保険は、現在財政的に重大な危機に直面しておるにかかわらず、昭和二十七年度の予算において、健康保険にあつては單に事務費の全額負担をなすのみで、医療費の国庫負担が削られておる。又国民健康保険においては、従来の赤字二十六億円余の補填に対して僅かに四億、医療給付二割として約五十億を要するにかかわらず僅かに四億程度の申訳的の奨励金を出すとのことであるが、これでは遺家族に対する燈明料をやろうと言われたような程度で、社会保険の崩壊を来たすことは明かな事実であります。これによる医療の困難が国民生活に及ぼす重大性に鑑み、この際、医療に関する給付費の二割は国庫が負担し、以て医術の進歩に対処する診療を得せしめることが、生命尊重の本義に徹するゆえんであると思うが如何でしようか。次に人口問題と受胎調節についてお尋ねいたします。我が国はこの狭い領土に八千四百万の人口を擁し、而も現在なお一ヵ年に生れる人が百三十万人からの人口の自然増加があり、新たに就職者は一年に九十万という多数に上つております。かかる過剰人口に対する方策は種々ありますが、例えば移民にいたしましても、何十万という人口の捌け口、輸送する方法等は、今の段階においては得られない。そういたしますと、最終的結論は、当分の間は産児を制限し、特に受胎調節ということになるのであります。政府の二十七年度予算において、優生結婚相談所、こういうものができて、初めて受胎調節の目的指導費を計上されているのでありまするが、その額は僅かに二千万円、こんなことでは問題にならない。我々の見解では、生活保護法適用者並びにその他の生活困窮者で多数の子女を持つている者で、この上に妊娠することは嫌だという者に対しては、調節するすべての指導費、又これに要する資材を無料で配付せねばならぬ。それをやりさえすれば目的が達成される。これには少くとも六、七億の費用を要し、これをその方面に支出すれば、百万程度の出生を防止することができると思うのであります。政府のこれに対する所見を承わりたいのであります。
 時間が参りましたので、この程度で私の質問を終ります。(拍手)
   〔国務大臣吉田茂君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。
 アジア諸国に対する積極的外交方策を明示せよどいうことでありまするが、アジア諸国に対しては、しばしば申しますが、善隣の外交、善隣外交と言いますか、仲よくして行く、努めて仲よくいたしたい、善隣外交の方針と経済協力の方針を以て進む考えであります。インドにおいて過日オリンピック選手に対して非常に好意あるインド政府が待遇をせられた、これは單にオリンピック選手に対する待遇、優遇のみならず、終戰以来各般の問題について、大小の問題について、インド政府その他が日本国のためにいろいろ好意ある行動に、言動に出られたということは、周知の事実であります。これに対して政府としましても国民の謝意を伝達するあらゆる方法を講じております。その結果でありますか、とにかく今日においてインド貿易は非常に盛んになり、又経済協力その他の大小の問題が続々或いは成立し、又話に上つておりますというような状態にあります。朝鮮についても、これは政治的、歴史的、地理的に密接な関係のあることはけ申すまでもありませんが、殊に最近朝鮮事変が起りまして、国連の方針に則つて政府として飽くまでも協力する関係に立つております。従つて朝鮮政府の日本に対する感情も決して悪くないと考えられますことは、日本とのいろいろな問題、現に存在するいろいろな問題処理のために、すでに全権委員になる人を指名し、又予備交渉はすでに数回行われております。その間において、両者の間において何らむずかしい困難な問題はないのであります。従つて朝鮮政府との間の交渉は今後円満な妥結に達することと確信いたしております。でありますから、これらの日本政府の行動等は、自然、他のアジア諸国にも浸透いたしましようから、アジア諸国に対する外交については、目的通り善隣経済援助の線で以て飽くまでも推進いたしたいと考えております。
 その他、行政協定に現われた予算の支出とか、或いは電源開発等の問題については、主管大臣からお答えをいたします。(拍手)
   〔国務大臣天野貞祐君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(天野貞祐君) 質問の第一は義務教育費全額国庫負担の問題でございますが、教育の機会均等の立場からして、現在のままでは府県の間に非常な違いがあるからして、どうしてもこれを均等にするためには国庫負担が必要だということは私も同感でございます。ただ併しこれを全額国庫負担ということにしますというと、国民生活に密接な関係のある義務教育に対して、府県とか市町村というものが関心が薄くなるという欠点があると思います。なお、この府県によつて非常に経済力に相違があるにかかわらず、すべてこれを全額持つということについても問題があると私は思います。でありますからして、この現在のままではいけませんけれども、国庫負担制度というものを、一部分は地方が持ち、一部分は国が持つという意味の国庫負担制度を考えることが必要ではないかという考えでございます。
 第二には給食のことでございますが、給食は学校教育にあつては非常に重要な意味を持つておりますが、併し一方から言えば、これは食生活にも非常に関係を持つことでございますから、今年度は農林省食糧管理特別会計の負担によつて、二十四億二千八百万円の負担を限度として、五百五十万人の学童に対して完全給食をいたすことにいたしました。これではもとより非常に不十分でございますけれども、現在の国家財政の都合上差当つてこれでいたし方ないかと私は考えております。(「九十六億出せ」と呼ぶ者あり)
 次に私学振興のことでございますが、私学を振興することが国家教育の上から言つて非常に重要であるということについては私も痛感いたしておるものでございまして、昨年度においては戰災校に対する補助をいたして、ほぼそれができたと思つております。二十七年度におきましては、私学振興会の設立、それから教員の共済組合の助成ということに力を入れております。(「それはどこかち出るんだ」と呼ぶ者あり)それで、振興会のためには政府出資金の一部として二億六千万円を計上し、共済組合に事務費補助として五百万円を計上しております。これではもとより不十分でございますが、今後機会あるごとになお私学の振興ということに努めて行きたいと思つております。
 第四番に教職員の待遇改善の問題でございましたが、この点も私どもが常に力を用いていることで、教職員の給與の別表を作ることを人事院と交渉いたしております。けれども、この問題は教員の大多数を占めておる義務教育の教員の給與の財源を確保することが必要でありますから、第一に申しました国庫負担の問題と関連いたして来ると考えております。(拍手)
   〔国務大臣木村篤太郎君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(木村篤太郎君) お答えいたします。
 北海道における一警官の射殺事件は誠に遺憾に存じます。只今折角それは捜査中でありますが、現在の段階におきましては、何人が行なつたか、又如何なる原因で行なつたか、その背後関係如何、これは明瞭でありません。民主主義国家において白晝公然かようなテロ行為が行われるということは、誠に私は遺憾と思います。従来、特審局、自警、国警、この間の調整が甚だよく行つていなかつたということは事実であります。今後警察の機構を改革いたしまして、これらの点を十分整備して、こういう犯罪の捜査に全能力を挙げたいと考えております。
 次に青少年の犯罪でありまするが、誠に残念ながら終戰以来増加の傾向を示しております。それで、一般刑事犯罪はよほど検挙数は少くなつております。然るにかかわらず青少年の犯罪というものはむしろ漸増の形になつております。而もその罪質は、殺人、強盗、強姦その他の兇悪罪、粗暴罪、こういうことになつておるので、国家の将来を考えると誠に遺憾に存ずるのであります。(「その原因は何だ」と呼ぶ者あり)その原因は種々ありましようが、とにかく終戰以来の混乱、道徳の破壊、これらが青少年に與えた影響は大なるものがあると私は信じております。これに対する対策は必ずしも刑事政策のみを以てやつてはいけないので、これは社会問題として考慮しなくちやならんのであります。(「それが政治だ」と呼ぶ者あり)内閣はこれについて青少年に対する一つの対策委員会というものを設けまして、地方にもこの委員会を設けて、あらゆる有識者をこれに網羅いたして只今研究中であります。それで、刑事政策方面におきましては、これは必ずしも厳罰主義を以てしてはいかん、温かい心を以て、その性格、環境を改善教化しなきやいかんと私は考えておるのであります。幸いに法務府に外郭団体といたしまして中央更生保護協会があります。この下に全国の保護司が五万有余おりまするが、この人たちは実に涙ぐましい活躍をされておるのであります。私はこの機会にこれらの人に対して深甚の敬意を表したいと思います。おいおいこれらの機関が整備されまして、この青少年の教化改善ということに力を注ぎたいと思つております。今の段階におきましてはなお十分ではありませんが、おいおいこれらの整備改善、殊に家庭裁判所、或いは少年保護院、これらの機関の改善によりまして、逐次青少年の犯罪は減少することとなると考えております。さよう御承知願います。
   〔国務大臣周東英雄君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(周東英雄君) お答えをいたします。
 電源開発に関してのお尋ねでありますが、これは過日も本会議で御答弁いたしましたように、只今のところ、従来からありまする九電気会社等に対しましては、その能力に応じまして極力これを活用いたしますと共に、お尋ねの新らしい機構に関しましては、特に国土総合開発の立場から、治山、治水、利水等の立場から、これを別の機関において開発せしめるのを適当とする個所、又は相当資金等を多大に要する個所等につきましては、別に機構を設けて開発をいたすつもりでありまして、只今お尋ねの新らしい機構と九電気会社の間における権限が重複することもたく、又仕事の上においても、相互において十分に活動し、一刻も早く電源の開発が促進せられるように進めるつもりでございます。又電気行政の重大性に鑑みて将来公益事業委員会をどうするかというお尋ねでありますが、これは只今電気行政の重大性に鑑みまして行政機構の改革の一環として愼重に考究中でございます。
 第二のお尋ねの国民所得の計算についてでありますが、政府といたしましては、過大に陷ることなく、愼重に堅実に指数をとつて計算をいたしております。詳しいことは委員会等で申上げたいと思いますが、例えば産業活動指数等につきましては、昭和九――十一年に対しまして来年は一四六%ということでありますが、これは二十六年度に比しまして八%程度の増を見ております。又鉱工業生産等についても同様に二十六年度に比して九%程度の増を見込んでおります。農林水産業指数につきましては大体二十六年度の三%増、而して雇用の増大は一%程度、又賃金については全国産業平均の一〇%程度を見、物価はおおむね横這いの程度に見ております。卸売等につきましては、これは大体前年の平均二%程度の増を見て慎重に計算をいたした結果でございます。若し価格等の増大等があればもつと上るわけでありますが、むしろ控え目に五兆三百億を出しておるのでありますから、御承知願いたいと思います。
 第三のお尋ねでありますが、ポンド地域等の問題、これにつきましては、何と申しましても。ドル地域からの輸入を極力ポンド地域に変えるということと、ポンド地域からの輸入を殖やすということであります。これはただ抽象的なことではいけません。一面におきましては、過日も申上げましたように、ポンド地域即ち東南アジア地域に対する開発に対して極力協力しつつ、必要なものは、例えば化学肥料とか或いは器具機械等、開発に要するものを輸出して助けると共に、ここから食糧その他のものを入れるというような形に進まなければならんのでありまして、地下資源等につきましても、インド、マレー、フイリピン等の鉄鉱石或いはマレーのボーキサイト等につきましても増を見込んでおります。すでにゴア等の鉄鉱石については日本との間において開発計画と共に輸出の計画が具体化しつつあるような状況です。これらを通じて極力ポンド地域からの輸入を殖やしつつ、輸出をできるだけ日米経済協力の線に沿いつつ必要なものをドル圏に輸出するというような恰好にしまして、ドルとボンドの調整を図つて参りたい考えであります。(拍手)
   〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(池田勇人君) お答え申上げます。
 第一は防衛費の関係でございまするが、御承知の通り防衛支出金は従来の終戰処理費とその性質を異にしております。併し米軍の駐留いたします場合におきましての国内で使用いたします経費につきましては、不動産の借料については我がほうで負担いたします。その他のもの、即ち運輸通信の費用或いは光熱費、需品費、殊にたくさんなのは労務費でございますが、進駐軍関係の労務費につきましては、大体半々に負担することにいたしております。従いまして性質としては終戰処理費と全然違つておりますが、内容におきましては大体似ておるのでございます。又警察予備隊につきましては先般来御説明申上げておる通りでございまして、主としてお聞きになるのは安全保障諸費と思います。我が国の治安確保の上におきまして、防衛支出金並びに警察予備隊、或いは海上保安庁の経費を計上いたしておりまするが、今後におきまして、米軍の移動その他によりまする兵舎の新築、或いは住宅の建設、或いは又移動に伴いまする通信運搬施設、道路等の問題、又海上保安庁関係にいたしましても、巡視船或いは監視施設の強化、こういうことが予想されますので、五百六十億円でそういうものを支出すべく計上いたしておるのであります。決して予備金ではございません。ただ具体的の問題は今後始まりまする行政協定によつてきまりまするので、行政協定の内容によつて或る程度の異同は免まれまいと思います。こういう内容を持つております。
 次に資金運用部資金の運用でございますが、これは御承知の通り手数百億円あるのであります。このうち主なるものは地方債の引受の六百五十億円であります。その次が電気通信関係の百三十億円、鉄道関係の百十億円、農林漁業特別会計の百十億円、こういうものとか、或いは住宅公庫への出資或いは国民金融公庫その他の方面に出しておりまして、当初予定しておりました三百億円の金融債は只今のところ差当りやめております。やめた理由を申上げますると、飽くまで一般会計並びに特別会計、政府関係機関を通じまして、絶対均衡予算を作ります関係上、今のところ一応これを見合せざるを得なかつたのであります。その理由は、御承知の通り、産業資金といたしまして見返資金から従来五、六百億のお金を出しておつたのであります。今までは見返資金特別会計におきましては、アメリカから援助物資が参りますと、これを国内に売つて、その金を見返資金に積み立てて産業資金に出しておつたのであります。御承知の通りもう見返資金は今後は来ない。来年見返資金の財源になるものは、アメリカから来た物資を売つた金でなくて、今まで貸しております金の元本の回收と利子でございます。これが百三十五億円、然るところの絶対均衡予算で、政府が資金の撒布超過を考えないということになりますると、見返資金から貸出し得る金は百三十五億円に限られるのであります。併し今まで小麦等を売りました金が八百億円ありますので、このうち百三十五億円だけ使つて六百四十五億をのけておくというのは、如何にも資金不足のときに策の得たものでないから、百三十五億円以外に四百六十五億円を貸出超過にする計画を立てまして、従来通り見返資金から六百億円を支出することになるのであります。そうしますと、差額の四百六十五億円は撒布超過になりまするから、これを補うために預金部のほうで国債を三百億円持とう、こういう計画を立てております。併し預金部の金、即ち郵便貯金、簡易保険、厚生年金がどんどん政府の貯蓄奨励によつて予定以上に入つて来たならば、その際に三百億円の金融債を引受けよう、こういう計画でございまして、差当りは三百億円載つておりませんが、今後貯蓄の増強によりまして、予定以上の郵便貯金、簡易保険を集めて、そうして金融債を引受けて行こう。その施策といたしましては、簡易保険は従来限度五万円であつたのを八万円に引上げます。郵便貯金の一人の限度も引上げるのであります。利子も引上げる等、極力貯蓄の増強を図つて、金融債を三百億或いはそれ以上引受けるようなことのできるように金融政策を持つて行こう。こういたしておるのであります。
 次に無記名預金につきましては、政府は、はつきり無記名預金を実施することにきめました。早急にやります。ただお話のように脇税その他の点或いは濫に流れることもございますので、時期は早急にやりますが、方法その他につきましては只今検討いたしております。関係方面との了承も得まして、はつきりやることにきまりましたから、御了承願いたいと思います。
 次に外為或いは食糧特別会計へのインベントリー・フアイナンスの問題でございますが、これは何も好んでやつておりません。インフレ対策として政府が資金の撒布超過の起らないように施策を講じて今後も続けて行きまするが、事自体がこれはインフレ対策でございます。やらなくてもいいようならやめるのであります。従いまして今年度におきましては、外国為替特別会計へ八百億のインベントリー・フアイナンスをやつておりますが、今年度はそうしておりました。来年度は八百億を三百五十億円に減じております。又食糧特別会計のほうへ百億円をやつておりましたけれども、来年度はいたしません。これは情勢によつて考えなければならんので、順次減らして行く方針で行つておるのであります。
 次に銀行法の改正でございまするが、銀行法の改正につきましては、事重大でございますので、私は参衆両院議員或いは産業界のかた或いは金融界のかたにおいでを願いまして、臨時金融制度懇談会を設けまして、今熱心に検討せられております。改正の点につきましての問題は、銀行の資本金をどうするかという問題、或いは銀行が一つの会社に対しての貸付限度をどの程度にして行くか。貸付金のみならず、一つの会社の社債引受限度をどうして行くか。併し一度に変えられませんから、どれだけの経過的期間を置くか。又大蔵大臣の銀行に対しまする監督権を明確にする。勿論銀行の自主性はこれを極力保持しなければなりませんが、今まで大蔵大臣の銀行に対する監督権は余り明確でございません。従いまして、それをどの程度どういう方法で明確にするかということにつきましても、産業界、金融界、或いは参衆両院議員のかたがたの御意見を聞いているわけであります。結論が出ましたら善処したいと思います。
 次に農林、水産、鉱工業、船舶、中小企業に対する金融はどう考えるか。――我が国の金融制度の問題は、今後産業の点から考えましても重要でございますので、銀行法改正の場合についての御意見を求めておりまするが、従来におきましては、農林水産につきましては農林中央金庫を通ずるのみならず、今年度から農林漁業資金融通特別会計を設けまして、今年度において百二十億円、来年度においては二百億円を予定いたしておるのであります。そういうようにして一般金融よりも特別の金融機関によりまして農林水産をやつております。船舶につきましても、できるだけ新造船を造るべく、今年度におきましては、或いは見返資金から二百億余りを出しておりまして、金融界のほうから出した金を合せますと大体六百億円近い造船資金が新たに出ているのであります。別に特別の金融機関は設けません。船舶金融公庫というような考えもありますが、別に金融機関は設けませんが、できるだけ新造船のほうには金を出しているのであります。鉱工業関係につきましても開発銀行から出ております。又中小企業につきましては、御承知の通り、大銀行に専門店を設けさすとか、或いは商工中金の拡大強化を図り、商工中金におきましても、もう二百数十億円、二年前は二十五、六億円の融資であつたものが、二年後におきましてそれの十倍に達している。これはますます育成して参りまするが、商工中金或いは国民金融公庫を通じまして、できるだけこういう特殊の金融につきましても考慮をめくらしている次第でございます。
   〔国務大臣廣川弘禪君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(廣川弘禪君) お答え申上げます。
 駒井さんのおつしやる通り、国内自給度の向上を図ることは非常に大事であります。又これと関連いたしまして、アジア諸国の地方との関連も非常に大事なことであります。でありまするから、我々といたしましては、南方諸地域等から種籾等の今問合せ等もあり、或いは又朝鮮等からも大麦或いは粟等のいろいろな問合せがありますし、又その他の地域から肥料その他農機具等についてもいろいろなことで問合せもありまするので、こういつたようなことからいたしまして、アジア地方と十分連絡をとりまして、国内の食糧の問題について万全を期するようにいたしたいと思つておるのであります。
 それから統計の非常にまだ発達しないときにおいて、党の公約を実行するために汲々として国民を犠牲にするようなことがあつてはならんじやないかというお話でありますが、全くその通りでありまするので、我々といたしましては、愼重に考え、愼重な用意を以てやる考えでおります。
 それから土地改良についてのお話でありますが、大小土地改良、大きなほうの土地改良ばかりでなく、小団地の土地改良もやつたらどうかというお話でありますが、これもやる考えでおります。農村の二、三男対策についてのお話でありますが、これも重大な問題でありまするので、農村工業等の振興を図り、或いは又開拓開墾等も十分力を用いまして、入植を勧めるようにいたしたいと思うのでございます。
 それから、次に営農指導の問題ですが、年々災害が非常に多いことはあなたの御指摘の通りであります。この災害につきましては、病虫害の駆除等につきましては、来年度予算においては非常に大きく予算をとりまして未然に防ぐ考えであるのであります。なお又近時特に顕著になつて参りました化学肥料の使い過ぎから来る災害が非常に大きな数字に上つて参つて来ておりまするので、この化学肥料をもつと適正に使う方法を考えなければならんというので、石黒先輩等が目下指導いたしまして、農地の微生物の研究を始めまして、農地の微生物をどう保存して行つたらいいかという研究を進めて参つておるようなわけであります。
 協同組合の問題でありますが、これも農村における中核体として大事な組合でありますので、先年来協同組合の再建整備のために力を盡しておるのでありますが、なお又この組合を通じてアジア諸国の農民団体との交流を図つたらどうかというお話でありますが、これも我々は十分検討いたしたいと思います。(「うまいぞ」と呼ぶ者あり、拍手)
   〔国務大臣村上義一君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(村上義一君) お答え申上げます。
 終戰当時の外航適格船十一万トンから、現在はクラス・ボートが百五十一万トンに相成つておりまして、併しながら輸出入物資の約三〇%を積取り得るに過ぎないのでありまして、五〇%目標に対しては相当の距離がある次第であります。特に遠洋航路の適船は不足いたしておりますし、又一方外国船の購入は世界的な船腹不足の影響を受けまして適格船を期待することができないという実情であるのであります。それで今後の方針としましては、どうしても新造第一主義で推進せんければならんということは勿論であります。なお基本的定期航路の整備に重点を置いて行きたいと考えておるのであります。勿論、前刻も大蔵大臣のお話のごとく、見返資金、又財政資金の捻出をでき得る限り利用する。又でき得るなら外資の導入をも援助する、更に船会社の資本蓄積を特に奨励して、船主の自己資金をできるだけ多額にこれに振向けたいという念慮を持つている次第であります。本年度におきましても若干量の追加着工を企図しておりまするし、二十七年度におきましては少くとも三十万総トンの新造を図りたい。かくして三、四年の後には日本商船隊の整備目標に到達いたしたいと念願いたしておる次第であります。
   〔国務大臣吉武惠市君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(吉武惠市君) 駒井さんのお尋ねにお答えを申上げます。社会保障の必要だという御意見につきましては私どもも同感でございます。毎年相当額の増額を図りまして、これが充実に当つて来たつもりでございますが、今後といえども財政の許す限り努力をいたすつもりでございます。
 なお社会保障省を新設してはという御意見でございますが、これは目下行政簡素化をいたそうという折柄でございまするので、直ちにこれが実現は困難ではなかろうかと存じます。なお社会保険の統合及び健康保険或いは国民健康保険に対し国庫が二割の負担をしてはという御意見でございますが、これは財政が許せばいたしたいと思いまするけれども、今日の状況におきましては無理かと思うのであります。従いまして来年度の予算では差当り健康保険については事務費を国庫が全額負担いたし嘱して、国民健康保険につきましては、再建整備として四億余り、なお奨励金として四億余り、両方合せまして八億数百万円の助成をいたすことにしたのであります。
 なお人口問題につきましては、お話の通り今後相当重要な問題かと思うのでありますが、御指摘の受胎調節につきましては、目下母体保護の立場からこれが指導に努めているようなことでございます。予算が少いというお話でございますが、この範囲内において鋭意努力するつもりでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#13
○議長(佐藤尚武君) 佐々木良作君。
   〔佐々木良作君登壇、拍手〕
#14
○佐々木良作君 私は、昨年の夏、吉田総理大臣が講和全権としてサンフランシスコ会議に乗込むに当りまして、当時予想されました平和、安保両條約の内容から、條約締結後日本の置かれるべき運命につきまして、特に次の二つの点を強調してその善処を要望しておきました。即ちその第一は、将来日本が西欧諸国のアジアにおける防波堤となりまして、いわゆるアジアの孤兒になるかも知れないという危険についてでありました。それから他の一つは、今の第一のことから来る当然の帰結といたしまして、日本経済がアジアの経済から締め出され、経済自立の方途を失うかも知れない危険についてであつたのであります。私どもの危惧にもかかわらず、総理はみずからの外交方針を直進されまして現在に至りました。私は外交問題として今の二つの問題を提起したのではないのでありまして、むしろ遠く日本の将来を決定するところの建国の方針ともなるべきものでありまするが故に、あえて注意を喚起したのでありました。今や事態の進展はまさにその様相を呈して来ております。独立国会と言われる今国会の最初に当りまして、私は重ねてこの問題について総理の意図を質そうとするものであります。
 従つて質問の第一は、新らしく生れ出ましたところの新生日本の建国の方針をどこに総理は求められるか。総理は繰返して再軍備は絶対にしないと言明されております。そして又再軍備という言葉に極度の注意を拂つておられるように見えるのでありますけれども、言葉の如何にかかわらず、條約仮調印以降日本が現実に再軍備過程に入つていることを疑う者は世界のどこにも存在しないほど明々白々たる事実であります。去る十二月十九日のメルボルンのザ・エージ紙は次のように言つております。「オーストラリア人は、ダレス氏が先週東京で行なつた演説を重大な関心と重苦しい気持を以て注目した。ダレス氏はその演説で、殆んど何の條件も付けずに、日本は再軍備する権利ばかりでなく義務をも持つていると日本人に言明したのである。ダレス氏のように権威あるアメリカ人がそのような勧告を與えるのを眺めて、オーストラリア人は事態の進展を施すすべもなくただ見守るものであるとの感を深くする。」こういうふうに述べているのであります。世界の見方はこれだけで明らかでありましよう。バズーカ砲や戰車などで重装備されたものが幾ら軍隊でないと言つても、それは言葉だけの詭弁であることは子供でも明らかなことでありましよう。これが再軍備であるか否かなどと抽象的な論議を弄んでいるのは、ただ恐らくこの日本の国会くらいなものだろうと思います。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり。拍手)而もお互いにその内容を十分に知り盡しているが故に、知らぬは亭主ばかりなりとさえも言えない悲劇ではないじやないですか。百歩讓つて、これは予備隊であつて、どこまでも軍隊でない、そう言いたければ言つておつてもいいと思う。併し総理自身が漸進的な防衛強化を行わなければならんということを言明しております。大蔵大臣は先だつての衆議院の本会議におきましても、再軍備はまだ早いのです、まだ早いのですと、手を振り声を嗄らして叫ばれたじやないか。そうすれば、再軍備という問題は実際にはもう時と量との問題であるだけであつて、形式的な論議の問題ではなくなつておるはずであります。それだのに、なぜ再軍備という言葉をあえて避けようとせられておるのか。併しながら、私はここで今再軍備であるかどうかという單なるそういう言葉の議論を繰返そうとはしない。問題は新憲法が民主主義の大道と絶対平和の大理想の上に新らしい日本の建国理想を確固として明示しておつたはずである。吉田内閣が現に歩みつつあるところの日本の独立の方途と今の憲法の精神との間には明らかなる矛盾があるのではないか。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり、拍手)総理はこの矛盾を外交的な技術や日本語という妙な言葉の使い分けなどによつてごまかそうとしておるように、一見、見えるが、所詮そういう末梢的なやり方で以て私はごまかせるものではないと思う。併しながら私は今新憲法というただあの法典だけにとらわれておるのじやありません。この憲法も千分な日本国民の討議の後にでき上つたものではなくて、あの忽々の間にできたものであることは私は知つておる。従つて若しこの憲法にとらわれておるならば、日本の生存が不可能になるというのであり、或いは又八千万日本人の生きる道が絶対に失われる、こういうふうに断言されるのであるならば、憲法に規定されたところの建国方針といえども変更されることがあるのは、これは当然のことであるわけであります。併しながら、私は恐らく日本人の大多数の者が私どもと一緒にこの人類社会から戦争という手段を永遠に追放しようと誓つたところの新憲法の理想をまだ決して捨ててはいないと思うのであります。むしろ世界情勢の急迫が一段と加われば加わるほど、私どもはこの大理想を世界に向つて強調し、世界人類を破滅的な戰争から救済することに、むしろ新生日本としての、日本人としての積極的な使命をさえ感じておるのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)この、我々の悲願は現実世界においては通用しないところの一片のセンチメンタリズムであるとして破棄されなければならないものであるかどうか。総理は恐らくそう考えておられるのじやないかと思うけれども、若しそうであるならば、言葉のごまかし等でなくて、はつきりと、総理の世界観を通じ、世界情勢の分析を通じて、はつきりとその内容を日本国民に訴えてもらいたいのであります。(「その通り」「ダレスのあやつり人形だよ」と呼ぶ者あり)新生日本の生き方が、現実世界の中で、どうしても軍備に守られた日本、或いは軍備に裏付けられたところの経済発展、いわゆる富国強兵という言葉で、――昔言われたこの富国強兵という言葉で進んだ日本の道はまさに旧日本の道であつて、明らかな方向があつた。――この富国強兵策を中心とするところの旧日本の再現を以て総理は新らしく生れ出るところの日本国の建国の理想とされるのであるか。若しそうであるならば、重ねて私は総理に対して、男らしくその方針を明示して、憲法改正の方向も明らかにし、国民に対して納得の行くところの十分なる説明をすべき義務があると考える。(「解散要求」と呼ぶ者あり)嘘の、欺瞞の説明こそ、世界各国の不信を招き、国内における人心の不案ますます増大しつつある原因になつておるのである。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)日本人のすべてが、或いはまじめな日本人のすべてが、恥も外聞も忘れて憲法理想の日本を本当に建設できるのかどうかというこの問題に対して、心の底から取り組んでおる今の状態を、はつきりと熟視してもらいたい。そうして、その上で総理の偽わらざる建国方針を今ここで明らかにして頂きたいのであります。(「できんだろう」「はつきりしておるじやないか」と呼ぶ者あり)はつきりしているか。(「している、している」と呼ぶ者あり、笑声)
 ここで順序を逐いまして、私はダレス書簡問題から発展しましたところの中国問題に対して、曾つて指摘したところのアジアにおける日本の孤立化という問題について質問したいのでありますけれども、すでにこの問題は同僚諸君からたびたび質問されており、恐らく私が聞いても総理の答弁はあれ以上に出ないだろう、こういうふうに思いますので、この問題は一応割愛して、別の機会に讓つて、次の質問に入ります。
 第二番目の質問は、日本の経済自立の目標とその方途についてであります。平和、安保両條約に基きます向米一辺倒的な政策が日本経済をアジア経済から切り離し、その自立を困難ならしめる危険につきましては、私はたびたび指摘いたしました。そうして今や例のダレス氏宛書簡と共にその危険は現実のものとなつて参つております。周東安定本部長官の経済演説によりますというと、まあ恐らく大陸経済と縁が切れるということを前提として、その代替、その代りのものとして、東南アジア経済との交流を盛んに言つておられるように見える。大陸を失つた代りを東南アジア経済との交流に求めて、そこから日本経済自立の方途を探そうと、こういうふうに考えておられるように見える。(「そうだ」と呼ぶ者あり)大陸貿易の禁止が日本経済の現在と将来に対しまして決定的な打撃を與えるものであり、この結び付きなしには日本経済の自立の方途は恐らく見出しがたいのであつて、而もそれが政治的な要請のためにどうしても不可能だということになるならば、理窟から見ても、常識から見ても、恐らくその打開策の方向が東南アジアという方向を指向するのは必然であるだろうと思います。併しながら経済の動きは決して希望や作文によつて左右されるものではありません。(「そうだ」と呼ぶ者あり)東南アジアに眼を向けることは必要であるとしても、現実に大陸を失うところのこのマイナスを、東南アジアとの経済交流によつて賄い得るかどうかということは、まさに甚だしく大きな疑問を含んでおります。私は現実の問題として、遠い将来の問題はいざ知らず、現実の、今の問題として言うならば、東南アジア地域に対して多くを期待し得ないのであります。現に政府は昨年あたりからたびたび視察団を派遣したりいたしましておりますけれども、ゴアなどの特殊な事例を除いては、一向に問題は進展しておりません。私に言わせるというと、誠に遺憾なことでありますけれども、この状態は極めて当然なことであると言わざるを得ないのであります。なぜと言いますというと、東南アジア等を含む未開発地域援助計画は、現実には英米の再軍備計画の進展のためにすでに死んでしまつているからであります。すでに昨年の九月の中旬にイギリスのトリビユーン誌は言つている。「相互援助世界計画のチヤンスが多少あつたとしても、それは西欧諸国が現在行なつている巨大な再軍備の努力によつてすでに潰されてしまつた。」と、それからアメリカのグレイ報告によりますというと、ポイント・フオア計画を控え目に、極く控え目に始めるといたしましても、最少限五億ドルの金が必要だと言つております。これでも少な過ぎて効果を挙げることが極めて困難だとされていたのに、昨年五月トルーマン大統領が議会に提示いたしました対外援助計画におきましては、援助費八十五億ドルのうち四分の三が軍事援助に使用されまして、ポイント・フオア計画には僅々二億ドルしか残されなかつたと聞いております。而もこの額でさえも議会では削減されて、実際には有名無実に近いものとなつてしまつております。又引きますけれども、トリビユーン誌はこう言つておる。「かくてポイント・フオアは死んだ。その死と共に世界相互援助計画の壯大な構想も全く空想的なものとなつた。今や軍事的必要がアメリカの対外政策における唯一の支配的要素となつた。」と、それから同じように、東南アジア問題のイギリスのコロンボ・プランについても私は同様なことが言えると思います。あの大騒ぎの宣伝にもかかわらず、現実には僅か数百ボンドの資金で数十人の技術者が振り向けられたに過ぎないじやありませんか。而もその上、このコロンボ・プランというのは日本の介入を好まない事情にあることは皆さんもよく御承知の通りであります。して見るというと、東南アジアの開発ということは、アメリカとかイギリスとかその辺の金で何とかなるのではなくて、日本が自分の金で、自分の物資と人材とで行う以外にはないということになります。果して日本経済にその余力があるでしようか。東南アジアの不安定極まる政局を知つておる日本人の誰が長期に亘る投資をする危険をあえて侵す者がありましようか。その上、この土地の民族感情が日本の進出を必ずしも好んでいない事情にあることは、これ父御承知の通りであります。今、この議会で論議されておる日本の再軍備の問題について、軍事費の増大の問題について、彼らは最も細心の注意を拂つて見守つていることを忘れてはなりません。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)イギリスのマンチエスター・ガーデイアン紙でさえも、日本の開発計回は戰前の開発以上のものではないとはつきり認めておる。戰前の関係以上のものではなくて、どうして大陸貿易を失つた穴埋めにこの地域との交流がなり得られましようか。若し東南アジアに対する輸出、その結果としての現在のポンド手持ちの増大を以て東南アジア開発ということを言うのであるならば、話は又別問題です。これは輸入の伴わない輸出であつて、先ほどから言われている通り輸入の伴わない輸出であつて、而もイギリス、アメリカの戰略物資買付けの結果、ダブ付いたこの地のポンドが、インフレ回避のために、その地域のインフレ回避のために日本の消費物資を買付けた結果、こちらにずつと「より」が廻つて来たに過ぎないのであつて、むしろ日本側にとつて逆効果こそあれ、問題の東南アジアとの経済交流という問題の本質とはまさに縁遠いものであります。朝鮮動乱景気がまさに終ろうとしたとき、政府官僚は朝鮮向け復興資材の増大を誇張し、理窟で以て現実の経済運行に眼を覆わせようとした努力を私は思い出します。(「そうだ」と呼ぶ者あり)その結果は、昨年の夏以来の明々白々たる事実となつて現われておるではありませんか。建国の方針と共に打ち出される日本経済再建の方途を吟味するに当つて、このような官僚的作文のようなものに頼り得ないのは言うまでもないことであります。私は周東安本長官に対して、大陸経済を失つた後におきますところの日本経済の自立方式を現実に印して打ち立てられんことを強く要望し、そうしてその内容の釈明を改めて私はここで求めようとするのであります。若しそれがどうしてもできない、不可能な相談だということであるならば、政治的要請の如何にかかわらず私どもは再び眼を大陸に向けなければならないからであります。
 経済自立の方途と共に質しておかなければならないと思いますことは、国民経済再建の目標であります。政府は生産指数の向上を以て国民経済の回復を非常に謳歌されておる。併し政府の目標とする新らしい国民経済の構造と理想は、旧日本の経済状態の復活ということなんでしようか。低賃金と手工業的中小企業の上に大あぐらをかいたところの独占的大企業(「大したもんだ」と呼ぶ者あり)厖大な軍事費によつて生産を向上さして行つた、足の弱い、頭ばつかり大きいあの「たこ」のような産業構造、それは軍備によつて防衛されながら海外進出を図るか。労働者と、中小企業者を、「たこ」配という。あの足を食う「たこ」配のごとくに食つて生存を続けるか。このような道を歩まなければならなかつたところの旧日本の産業構造の回復を以て、新らしく生れ出ようとする日本の国民経済の目標にしようとされておるのか。(「ノー」と呼ぶ者あり)ノーならば、はつきりと答えを出せ。いい加減な野次はやめろ。政府が自賛してやまないところの経済回復は、まさに今のような様相を呈しつつあるではないか。去年の夏から現在までの経済の様相をあなたは知つておるか。(「つまらん演説はやめろ」と呼ぶ者あり)朝鮮動乱以後四〇%の生産向上を自賛するとき、四〇%生産指数が上つたと自賛しておるとき、同じ政府の発表になつているところの安本資料によつてさえも、国民生活の水準は五%低下したと言つておるではないか。こう言えば恐らく政府は、それはその鞘は資本が蓄積されつつあることを意味するのだと言うに違いない。そういうふうに説明するに違いないからこそ、私は一層「たこ」型経済構造の危険を指摘するのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)資本蓄積が行われつつあると説明された去年の八月から現在までのこの期間に、労働者の生活は日一日と追い詰められて行つたじやないか。あなた方の周囲に中小企業はばたばたと潰れて行つておるじやないか。(「誰の責任だ」と呼ぶ者あり)八月、十月、十二月、そうして又二月と、これは明らかに目下辿りつつあるところの経済回復の方向が、曾つて必然的に戰争に導いたところのあの旧日本の経済構造の道を辿りつつある証拠である。(「そうだ」と呼ぶ者あり)私は改めて経済回復の方向を政府に質さざるを得ないのです。経済回復とは、国民の生活を、一人片々の国民の生活を豊かにするということではないでしようか。生産指数の向上と生活水準の低下との関係について、明確なる答弁、明確なる御説明をお願いしたいのであります。政府が自立経済の方途を模索しつつあるところの地域、東南アジア地域の諸民族と共に私は聞きたい。(「その通りだ」「戰争準備の経済だよ」と呼ぶ者あり)
 次に財政質問に入る予定でありましたけれども、もう時間の関係もありますし、これは委員会に譲りたいと思います。ただ大蔵大臣は財政演説におきまして、講和関係の諸経費、まあ気に入りませんでしようけれども、私どもはこれを再軍備費と称しますけれども、これが内政費を圧迫することはないのだと繰返して言明された。併しながら私はそんなことはないと思います。ちよつと目算して見ましても、今年度予算に対して来年は恐らく七、八%の圧迫が加わつていると考えられる。インベントリー・フアイナンス等の関係から見ても、補正は必ず必須だろうという感じがいたします。(「尤もらしい要素がある」と呼ぶ者あり)更に昨年以来の予算編成上における関係当局との折衝経過の跡を辿つて見ましても、いわゆる再軍備費が激増の一途を迫ることは明らかである。これが国民経済に重圧を必ずかけて来ること、これらの危険を指摘するにとどめまして、大蔵大臣に対する本質的な質問は省略いたします。(「よろしい」と呼ぶ者あり)
 三番目に、総理に対しまして国情並びに政局の不安定の原因について質したいと思います。総理は施政方針演説におきまして、外資導入の急務を説いて、その前提として国情の安定、わけても政局の安定の必要ということを言われた。こう言つておられる。「このことたるや外資の導入を待つにあらざれば急速の発展は期しがたく、外資の導入は、国情の安定、わけても政局の安定を見るにあらざれば期待すべからず」と喝破された。(「大したものだ」「その通り」と呼ぶ者あり)現内閣が政局を担当してからすでに三年、終戰後の数個の短命的内閣はまあ一応別問題といたしましても、三年の長期に亘つて政権を担当するということは日本憲政史上稀に見るところの偉大なことであります。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)この長期の政権担当をしておりながら、なお且つ国情が安定せず、政局が不安定であるとするならば、(「主観の相違」と呼ぶ者あり)まさに不安定であるから外資も十分入つて来ないということは誰も疑わない。(「主観の相違」と呼ぶ者あり)一体、それであるならば、この不安定は誰の責任だ。(「誰が負う」と呼ぶ者あり)この不安定の原因が、占領下であるとか、或いは複雑な国際情勢下とか等々、必ずしも内政面からのみ来ておると私は言うものでもありませんし、又複雑な国際的政治條件下におきまして現内閣の業績を私は正当に評価するのに決して人後に落ちるものじやありません。(「よろしい」と呼ぶ者あり)併しながら、語るに落ちた総理自身の言う国情、政局の不安定の原因、これを質さなきやいかんわけであります。(一層の安定」と呼ぶ者あり)一体、現今の不安はどこから来たか、講和から再軍備に至る一連の施策、即ち激化した国際対立の一陣営へ日本みずからを積極的に投じたこと、或いは大陸貿易への道を閉鎖したこと、更に再軍備とそれによる国民生活の圧迫とインフレヘの不安等々、これらの講和から再軍備に至る一連の施策が何にも増して現在の政治的経済的不安を増大しているのじやないだろうか。(「その通り」「止むを得ざる施策だ」と呼ぶ者あり)これが見解の相違だと言われるならば、これは一応暫らく棚に上げておきましよう。それならば米麦統制撤廃問題に関する失策が国情を不安ならしめはしなかつたのですか。電力行政の失敗は経済界と民生を大混乱に陷らしめはしなかつたか。或いは戰争犠牲者への政府の不遜な態度は最もまじめな人々の愛国心を心の底から蝕みはしなつたか。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)保安庁、予備隊、専売公社、特別調達庁等々の枚挙にいとまのないところの相次ぐ汚職事件、これが行政の権威を失墜せしめ、いやが上にも人心を荒廃せしめはしなかつたか。過去と現在と予見せられるこの将来にまで亘つて今最も人心を不安定ならしめている張本人こそ、正に吉田内閣自身の施策ではありませんか。(「そうだ」「何を言う」と呼ぶ者あり、拍手)私はあえて聞こう。この現存もたらされている不安の根本的な解消方法を総理はどこに求められるか。更に聞こう。みずからの責に帰すべき不安定な世情の上に、顧みて他を言う独善的責任回避を以て、国民の頭上に大あぐらをかく吉田自由党内閣の民主主義政治原則に関する解釈如何と聞こう。(「聞いたらいい」と呼ぶ者あり)ここで私は吉田内閣の相次ぐ失政を挙げてそれを追及することに目的があるのじやない。むしろ私はそれにも増して、実は最も寒心に堪えないのは、今や国民感情が一般的な政治不信となつて現われつつある現象であります。総理は衆院の本会議における水谷君の質問に答えて、人心未だ去らずと大見栄を切つて相当得意気でありました。(笑声)或いは私は現在の政党の中で、自由党はまだ人心の支持を得ておるかも知れないと思います。(「その通り」と呼ぶ者あり)併しながら最近各種の輿論調査の中で、支持する者なし、或いは答えず、或いは不明等等の、いわゆる消極的意思表示が次第に高まりつつある現象を何と見るか。政府はここらに関心を拂われたことがあるのか。まじめな人ほど政治に無関心を装おうとする傾向を諸君は何と見るか。(「唇寒し」と呼ぶ者あり)更に政府も、国会も、政党も、議員も、あらゆる政治勢力に対して勝手にしやがれと捨てぜりふする声なき声を諸君は聞かないか。(「そうだ」と呼ぶ者あり)或いは、おれらは、そんな、あんた方みたいなものに頼つてはいられない、それじや飯を食つてはいられない、こういう国民のつぶやきに耳を傾けたことはないか。国民が自分の国の政治そのものに不信を示し始めることほど民主主義者にとつて恐ろしいものはないのであります。まさに私は現下の民主主義政治の危機を感ぜざるを得ないのであります。民心の不安が増大したときに、民心が倦んで来たとき、民主主義政治は国民の新らしい政治的活力を振興させなければならないということを教えております。その最後的方法は国会の解散であり総選挙であることは言を待ちません。みずから蒔いた国情、政局の不安を、権力の動員によつて鎭庄せんとするもの、それは民主主義の敵フアシズムの方向である。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)吉田内閣は現今の国情不安を解消する方法として、民主主義の方法によらずして、断じて解散はせずと言つて、例えば労働三法の改訂、ゼネスト禁止法、団体等規正法等々のいわゆる彈圧立法をとろうとしているのだろうか。私は、今や敗戰と共に日本人全部で誓つたところの民主主義政治のこの危機に立つて、繰返し政府の善処を要望しながら、総理の所信を伺うものであります。(「時間だ」「時間の問題じやないぞ」と呼ぶ者あり)
 以上私は三つの基本的な問題についてお伺いしたのでありますが、あと二、三具体的な問題につきまして簡單にお伺いしたいと思います。第一に戰争犠牲者の問題について。この問題についてはもはや説明する必要はないと思います。併しながらこの問題の要点は、政府の誠意という問題であると考えます。政府は従来の行きがかりにとらわれず、生活援護の観念を一働して、恩給法に基いた権利復活の立場に立つて、すでに恩給局等においてそういう準備をされておると聞きますが、この筋の通つたやり方に転換する考えはありませんか。自由党の政調会でさえも同様な考え方に立とうとしておると聞いております。政府の所信を聞きたい。
 第二にいわゆる李承晩ラインの問題について。公海自由の原則に基く権利の復活によつて飛躍的な発展を期待しつつあつたとき、突如としてなされたいわゆる李承晩声明なるものが、日本漁業界に異常なる衝撃を與えていることは皆さん御承知の通り。現在においてさえも、マツカーサー・ラインを中心に紛争を繰返している漁業操業に鑑みまして、一層の面倒なる事態の起ることが予想せられ、又、南方等、他の海域においても同様な問題が波及する虞れなしとしないのでありますが、政府は今後如何なる態度を以て李承晩声明に当らんとするものであるか。又実際に起るであろう個々の紛争事件について如何なる方針を以て解決に当ろうとするものであるか。外相、特に農林大臣の所信を承わりたい。
 第三に文教問題について。地方財政の貧困のしわ寄せが教育費にもたらされていることは周知の事実であります。先ほどの駒井君の質問にもあつたようでありますが、天野文相は、就任以来の数度の公約となつているこの教育財政確立の問題につきまして、今度こそ義務教育費国庫負担の実現を期して五百八十億の予算を要請されたと聞きます。然るに又々この要請は遂に不成立、留保となつたと聞くのであります。文相はこの政治責任を如何なる方法を以てとろうとするものであるか、伺いたいと思います。まさか予算の伴わない法律を出す意図もなかろうと思いますけれども、ともかくも予算が今のような状態の場合、国庫負担法の提出の意図ありやなきや、明確に伺いたい。「あわてなければ時間がなくなるぞ」と呼ぶ者あり)二番目に懸案の六三制校舎の整備問題につきまして。来年度がその最低基準計画の最終年度に当つておるがために、文相は六十数億の予算を要請したと聞いている。そのうち半ばに過ぎない三十数億への削減となつて現われた。又新制中学校建築の犠牲となつている老朽小学校施設が、危険校舎として一日もゆるがせにできない実情になつており、問題を巻き起しておることは、皆さん周知の通り。それだのに来年度予算の中にはその対策が具体化されておりません。更に災害に基く教育施設の復旧について根拠法規がないために、国庫補助について甚だ不安定な状態であり、幾多の問題を投げかけましたことも、周知のことであります。これら諸懸案の問題について文相の責任ある答弁を要求する。
 最後に電力問題について。昨年の夏以来の電力危機を顧みて最も要請されるのは、電力行政の一元化であると思うのでありますが、政府の見解如何。政府が電力行政の責任を回避しておる一方、公益事業委員会はまさに私益事業委員会的性格を発揮して、九つの電力会社に対して、あたかも本店が支店に対するがごとき態度を以てあらゆる事項に干渉し、電力行政のみならず、電気事業自身をも聾断しつつあることは、これ又周知の事実であります。会社人事に干渉し、工事の請負にまで権力的態度を以て臨んでいることは、越権の沙汰という以外の何ものでもない。こんなことが公共事業令のどこにも書いてないことは誰も知つているはずであります。最近におきましては、いわゆる電源開発計画なるものを発表して輿論をにぎわしているのでありますが、一体この電源開発計画というようなものを樹立する権限は公益事業委員会のどこにもないと思います。事業会のどこに規定しているのであるか。政府はこの委員会のかかる横暴を黙視し続けるつもりであるかどうか。而も昨年来の電力危機が来ますというと、それは予測せざるところの電力需用の激増の然らしめたところであると言い、或いは異常の渇水のためだと言い、責任を天に帰せしめ、更に又それは政府の石炭対策のまずさであると言つて、責任を政府に持ち込み、或いは又電力会社の怠慢の故であると言つて、会社の人事にも干渉している。そうしてみずからは一片の責任をさえも感じていない実情である。一体現在の機構におきまして、電力需用を想定して、それに合せるような電力供給の計画を立案して、その実現を促進指導する者は一体誰なんだ。これは機構上明らかにし、電力行政の責任を明確化しない限り、電力問題の解決の糸口はないと考えるのでありますが、政府の見解を承わりたいと思うのであります。
 二番目に、電気事業と電気労働者の性格について。電気事業は独立採算制を建前とする九つの電気会社によつて運営されておることは説明を要しません。独立採算制は現行法上企業体を意味します。政府や公益事業委員会が如何に要請したとて、企業経営の原則に従つて採算の合わない石炭購入を会社が拒否したとするならば、この会社に石炭を購入せしめ、電力を発生させるための有効な合法的な方法があり得るだろうか。併しながら実際には電気事業の公益事業的性格よりの強力なる要請が採算を割つた石炭購入を余儀なくされておる実情であります。これは企業としては飽くまでも矛盾である。然るに、一方、例えば電気従業員の賃金は、企業会社であるが故に、独立採算の枠のうちに強圧されざるを得ないのであります。石炭の購入には公益事業の故を以て收支の枠を超越せしめられているのに、それだのに、その石炭を電力に変える労働者の賃金は、收支の枠の中に改められなければならない実情であるのであります。かかる矛盾が許されていいだろうか。かかる矛盾の中で電気事業の健全な発展と安定が保たれるであろうか。のみならず電気事業の従業員は、公益事業に従事する故を以て、労働者としての基本的権利に一定の拘束が與えられている。私は現在置かれている電気事業の矛盾に満ちた性格の整理を要請すると共に、特にこの電気労働者の問題について労働大臣の認識を伺いたいのであります。噂によれば、事業性格はそのままにして置きながら、電気労働者の一般労働者としての基本的権利に対して、例えば労調法の改訂等によつて一層の拘束を加えんとする企図ありと聞くが事実か。又昨年末の争議においても行き過ぎた争議行為の故を以て目下検察庁の手を煩わしていると聞くが、何を基準として行き過ぎを云々せんとするのか。若し公益を害するか否かということであるならば、公益を害しないところのストライキ行為というものはないのである。労働大臣の所見如何。
 最後に、電源開発について聞こうと思つたのでありますけれども、時間がないから省略いたしまして、ただ、私は大蔵大臣に、数個発表されておりますところの厖大なる電力開発計画に対して日本経済の許し得る資金の枠の見通しを承わりたい。五年も十年もの先ではありません。現実の日本経済が可能とするところの資金の枠の見通しを承わりたい。電源開発というのは、どの内閣も、どの施政方針演説にもあつて、まだ一遍も本格的にやられたことがないことも事実である。だから本質的な質問を投げかけたいのであります。質問を終ります。(「誠意ある答弁を要望します」と呼ぶ者あり)
   〔国務大臣吉田茂君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(吉田茂君) お答えをします。
 再軍備々々と、いろいろ喋々とお話がありましたが、政府は再軍備をいたす考えはありません。(「その通り」と呼ぶ者あり)再軍備しておるか、しておらないかということは、予算の数字の上に明らかになつているはずであります。(「明らかだ」と呼ぶ者あり)。それを申せば、例えばアメリカのごときは、軍事費、軍備拡張費に五百十二億ドル、即ち日本の円にいたしまして十八兆億円の支出をしておるのであります。又イギリスは十二億ポンドの支出、即ち一兆三千億を軍事費として支出しておるのであります。(「そんな馬鹿な真似をしろと言うんじやない」と呼ぶ者あり)すでにイギリスにしてもアメリカにしても強大な軍備を持つており、更にこれだけの費用を年々支出する、本年支出するということであります。日本は僅かに二千億足らずの金を支出して、これを以て再軍備と言えば、軍事専門家は笑うであろうと思います。
 次に、政局担当三年以来にしてどうということでございましたが、我が内閣政局担当以来三年にして日本の安定はますます進んでおります。(拍手)安定の度が減退はいたしておらないのであります。併しながら日本の経済を自立せしむるためには外資を要する。外資を招くためには政局はますます安定させなければならない。故に解散はしない。これは施政の方針に最も明らかにいたしております。(「その通り」と呼ぶ者あり)故に私はここで更に言葉を添えません。
 その他の問題については所管大臣からお答えいたします。(拍手)
   〔国務大臣周東英雄君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(周東英雄君) お答えをいたします。
 日本の国民経済の確立は中国の貿易関係を断てばできなくなるのではないか、むしろ又国民生活は圧迫せられるのではないかというお尋ねが第一点であります。私は、中国からの輸入関係の物資等について、これがないよりあつたほうがいいということは同感であります。併し佐々木さんも御承知のように、例えば鉄鋼生産にいたしましても、中国から得た鉄鉱石、石炭が、非常なウエートを持つた場合もありまするし、非常に怪く、輸入がなくとも実行せられた過去の実例を御覧になるならば、必ずしも中国貿易関係が少くても日本経済は立派にやつて行けるものであることを証しておると思います。而して私どもは(「誰がそう言つて教えた」と呼ぶ者あり)事実を以てこれをお答え申上げるのですが、今後におきまして東南アジア地区の開発ということは見込がないという佐々木さんの断定の上に立つて非常に御心配を頂きましたことは恐縮ですが、私どもは、今日、日本の復興ということだけでなくて、東南アジア地区における民族国家等の復興、福利増進のためにも協力して、この地区における未開発資源を(「先ず足下のことを考えろ」と呼ぶ者あり)開発し、又熱帯地域における特殊性を考えつつ、食糧その他の増産を協力してもらつて、(「それは帝国主義の夢だ」と呼ぶ者あり)必要なる物の国内輸入を進めて行くことは、決して難事でなく、現に(「ゴアの鉱山か」と呼ぶ者あり)ゴアの問題もありまするし、(「馬鹿の一つ覚え」と呼ぶ者あり)同時にインドシナにおける積極的な、具体的な申入れもすでにあるのでありまして、それらに関する立場をとつて行く上からいたしまして、決して今のような御心配は私は要らぬと思うのであります。殊に佐々木さんのお尋ねの中に、国民経済の発展回復が生産指数の上昇だけでは困るので、それはむしろ軍需工業的なものに移行して、過去の日本になるのではないか、(「その通り」と呼ぶ者あり)それによつて国民生活は圧迫されるのではないか、(「その通り」と呼ぶ者あり)というお尋ねでありますが、私は佐々木さんにしては少し御質問が変だと思う。私は議論はいたしません。実際の事実を以て申上げますと、過去三ヵ年において自由党内閣がやつた跡を振返りまして、成るほど鉱工業生産指数、全産業指数が伸びておる、平均の伸び方一四〇、その物の内訳については、或いは鉱業、或いは化学工業というようなものと、いろいろ中には凸凹があります。併し国民生活に必要な食糧工業、農業、水産、繊維というものの生産指数は同時に非常な伸び方でありまして、終戰後、農業、食糧生産関係が約七九であります。これが今日他の工業の生産増強と並行的にすでに現に一〇〇%近く来ておることは、国民の食生活において非常なゆとりを持つて来たことの証拠であると私は考える。(「その通り」と呼ぶ者あり)繊維工業においては国民生活には最も必要なものであります。(「わかつたか」と呼ぶ者あり)これが終戰直後において大体四〇%くらいの生産です。それに対しまして、今日佐々木ざん御承知でありましようが、すでに六一%の回復を見ておる。このことは、国民一人当りに対する繊維製品の供給が曾つては月三万梱足らずでありました。今日本綿だけとらえても五万梱を確保しておるということは、如何に、他の工業部門の増進があつても、それに抑えられずに、国民生活に対する必要品の生産が増強され、それあるが故にこそ、今日エンゲル係数をとつて見ましても、すでに終戦当時において六二、三%を占めておつた食糧代が、今日すでに五三から五五まで落ちておることは、他の工業生産品の増進が決して国民生活を圧迫しておらない私は一つの証拠になるのではないか、かように存じます。(拍手)私どもは今後における政策をとる上においても、飽くまでも食糧生産、衣料生産、こういうふうな一、二の例でありますが、国民生活に必要な物の生産増強と併せて、他の化学工業その他の工業部門に対する生産増強に向つて施策を施すつもりであります。
 それから電力に関する一つのお尋ねであります。電力行政に関する重要性に鑑みられまして、さすがに佐々木さんは従来の幾つかの弊害を指摘されて、これを一元化して統一する必要があるという御意見には、私どもも今日の場合誠に同感でありまして、先ほどお答えいたしましたように、電力行政に関しましては、目下行政機構の改革と併せまして愼重に考慮いたしていることだけを申上げておきます。(拍手)
   〔国務大臣吉武惠市君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(吉武惠市君) お答えをいたします。
 第一点は、戰争犠牲者に対し、生活援護の考え方よりも恩給復活の線で行かないかというお尋ねでございますが、目下のところは止むを得ない、生活援護で行かざるを得ないと思います。併しながら根本的の問題といたしましては、近く審議会を設けまして、これによつて至急に検討を続けて行くつもりでおります。
 なお、第二に指摘されました電気事業関係の労務者の問題でございますが、お話のごとく争議は多かれ少かれ一般国民の大衆に影響することは、その通りでございますが、特に労調法等におきまして、公益事業として特別の取扱をいたしておりますのは、電気事業のごとき公益性の大なるものは、普通の争議と同じにするわけに参りませんので、止むを得ざる多少の制限があるわけであります。労調法改正についてのお尋ねでございますが、これは目下法制審議会等において検討を加えつつあるのでございまして、近く答申があるはずでございます。私といたしましては、先般吉川さんにもお答えいたしましたごとく、独立後の日本経済は容易でないと存じまして、できるだけ争議によらないで、合理的な機関により、合理的にこれを解決して行きたいという考えを持つているわけでございます。(拍手)
   〔国務大臣廣川弘禪君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(廣川弘禪君) 日本におきましての海洋は非常に大事なことはあなたのおつしやる通りであります。食生活の上から行きましても、或いは海の産業から行きましても、非常に大事であります。我々といたしましては、独立する日本にとつて海洋が何ら制限されないことを期待いたしたいのであります。韓国当局の李承晩声明と申しましようかの発表については、外務省に問合せましたところ、目下確かめ中なそうであります。(笑声、拍手)
   〔国務大臣天野貞祐君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(天野貞祐君) 国庫負担ということは私は賛成でございますが、全額国庫負担ということには欠点があることを先ほど申しました。新らしい国庫負担の計画をいたしまして、これを今諸方面と話合いをいたしている次第でございます。
 それから六三建築を、二十七年度において完成できないことは残念でございますが、併しあらゆる機会をとらえてこれを完成いたしたいと思つております。(「いつ完成するんだ」「法案を出すのか出さんのか」と呼ぶ者あり)なお、老朽校舎の建築費も出ないことは残念でございますが、(「残念だらけじやないか」と呼ぶ者あり)これも来たるべき機会をとらえていたしたいと思つております。
 災害に関する法律は、なお考える必要がありますので、目下考究いたしているところでございます。(拍手)
   〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(池田勇人君) 佐々木君の質問にお答え申上げます。
 電力開発につきましての資金計画でございますが、これには四通りの考え方がございます。第一は九電力会社に対しましての融資でございます。これは大体見返資金のほうから三百億円を計画いたしております。従来は、即ち今年度は二百五十億円、昨年度、一昨年度は、百億円ずつであつたのでありまするが、二十七年度は三百億円計画いたしております。而して九電力会社の自己資金を五百四十億円程度見込んでおるのであります。第二の問題は、電力開発公社を設けまして、これに対しましては、開発銀行から五十億、又資金運用部の貯蓄債券によりまして六十億を予定いたしております。要すれば私はこの点に外資導入を考えて行くべきではないかと思います。で、第三番目の分は自己発電でございます。これは従来も開発銀行から相当融資いたしておりますが、今後も自己発電の方法によつて賄つて行く点が多々あると思います。これにつきましては、開発銀行から六、七十億円を計画いたしております。又自己発電の自己資金も考えておるのであります。第四番目は、公共事業費から出すあれでございます。即ち地方債におきまして或る程度含めております。県が発電事業を行う場合の融資でございます。これも数十億見込んであります。かくいたしますると、大体千百億円程度、而して財政資金からは五百億ばかりが出る予定にいたしております。而してこの千百億円の中には、先ほど申上げました資金運用部から三百億の金融債を出して、而してそのうちに見込んでおりますところの百七八十億或いは二百億の発電資金は入つておりません。従いまして、今後貯蓄の増強によりまして資金運用部に金が入つて来たり、或いは貯蓄債券が六十億以上に売れるということになりますと、財政資金が七百億ばかり出る。そうすると、全体が千二三百億になる予定でおるのであります。而して外資は見込んでおりません。聞くところによりますと、公益事業委員会は一兆億円程度の五ヵ年計画をやつておるようでありますが、この数字には私は関知いたしておりません。(拍手)
#21
○議長(佐藤尚武君) これにて午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時三十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時五十一分開議
#22
○議長(佐藤尚武君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。千葉信君。
   〔千葉信君登壇、拍手〕
#23
○千葉信君 私は労働者農民党を代表して質問をいたします。
 先ず第一に申上げたいことは、首相は今度の施政方針演説においても、国民の最も聞かんとするところに触れず、ただ一般的、抽象的に、項目の羅列を以て当面を糊塗する不親切な態度に終始したということに遺憾の意を表したいのであります。このことについては、朝日新聞の「天声人語」においても、「チヤーチル氏やネール氏の議会演説が、日本とは縁の遠い異国のことでありながらも、我々の胸に訴える何ものかを持つているのに、日本の総理大臣の施政演説が日本国民の胸を打つものに乏しいとは、不可解なことであり、残念なことである」と評しております。(「その通り」と呼ぶ者あり)誠に当を得た評言だと思う。(「傀儡だからだ」と呼ぶ者ありとそこで私は先ず当面国民が最も聞かんとするところからお尋ねいたします。
 今月十六日発表されたダレス氏宛の吉田書簡、この中国の政権選択についてAFP電報が伝えているように、アメリカの圧力があつたとか、なかつたとかいうようなこと、それからイギリスの深刻な困惑を招いたという道義的責任等については、すでに各党代表の究明したところであるから(「答弁済んでいるぞ、もう」と呼ぶ者あり)割愛するとして、私のお尋ねしたいことは、首相はこの措置をとることによつて、中共の介入している朝鮮の動乱並びに休職会談の動向に與える影響をどう考えたか。若しあるとすれば、その影響如何。これが一つ。日本が戰争に省き込まれる危機を濃化すると考えたか否か。これが第二。第三は、この措置によつてますます中国との貿易が閉ざされるという事態に対して、その対策をどう考慮したかということについてお伺いしたいのであります。若し中国を事実上統治する中共との貿易が閉ざされれば、必然の結果として、日米経済協力を通じてのアメリカ依存と東南アジアの一角を対象とする開発に、その経済再建の方策を見出す以外に途はないのであります。こうなれば日米経済協力の中心たる兵器の製造という問題を通じてアメリカの兵器廠と化するのみならず、日本にない石炭、鉄鉱石、塩など、中国からの輸入に比し平均トン当り十ドル高の原料を買わなければならず、よしんば南方開発に協力して、ここから原材料を入手するとしても、五ドル高は免かれないのであります。その原料高が、結局はその分だけコストの切下げ、低賃金、企業合理化、首切りとなつて、国民大衆の所得の減少、生活水準への圧迫が起ることは当然であります。その対策如何。
 第二は再軍備の問題。再軍備の問題については、すでに各議員から追及されたところでありまするから、私は多く触れません。併し一個の人間としては吉田さんは嘘の言えない正直な人のようでありまするが、(「ように見えるね」と呼ぶ者あり)首相として国民に臨むときには、国民の一番心配し、知りたがつていることは、ひた隠しに隠す妙な癖から言えば、恐らくどこまでも防衛力漸増という言葉で再軍備を否定するでありましよう。(「ごまかすのだ」と呼ぶ者あり)併し国民は健全な常識を以てちやんとこれを再軍備だと考えております。(「それは不健全だぞ」と呼ぶ者あり)そこでお尋ねしたいことは、政府は今度の提出予算には千八百二十億円の防衛費を組まれたようでありまするが、大橋国務相が二十三日語られた談話の内容、予備隊が今年度三万五千、来年は三十一万に殖やすとか、二十管区除になるとか、初年度費用だけでも二千億円になるという計画、大橋国務相はあとでこれを否定されましたが、十二月五日のAP電報はこれを裏書する報道を行なつております、或いは又アメリカ航空本部次長エドウイン・W・ローリングス中将がアメリカ下院の予算委員会で、一九五二年度日本再軍備費は三千億円に達する計画だと言われた報告が若し具体化するとすれば、講和関係及び防衛費は実に四千億円近くになる虞れすらございます。吉田首相がダレス氏に約束したかも知れぬ再軍備の量、質、時期については問わないとしても、恐らく今度の予算に計上された再軍備費は氷山の一角に過ぎない。(「補正予算が出ますよ」と呼ぶ者あり)追加補正は必至であると思うが、政府は再びこれに関して補正予算を組むか否か。明確な見通しを首相からこの際承わりたいのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)
 次にお尋ねしたい点は、首相演説の冒頭にも述べられておるように、政府の言う自立計画は外資の導入を前提として立てられております。「外資導入は政局の安定を見るにあらざれば」と言い、政局の安定とは任期一ばい政権を担当するにあるかのごとき口吻は、誠に苦笑を禁じ得ないものがありまするが、(「ノーノー」と呼ぶ者あり)それはさておき、外資の導入はなかんずく最も急を要する電源開発のためのものが一番問題であります。然るに政府の当て込んだ二億八千五百万ドルの電源開発の外資は今や全く望み薄となつた事実は、政府といえどもこれを認めざるを得ないでありましよう。而も電源開発は一日もゆるがせにできないとすれば、勢い、たださえ少いセメント、木材、鋼材等は、どうしてもこれを国内に求め、国内資源を使わなければならないことになつて、これが民需を圧迫し、これが輸出向製品の減少となつて現われざるを得ないとしたら、まさにこれ建設インフレ必至と言わなければならないのであります。ここに民生の圧迫が起らないか。悪循環を断ち切つたと蔵相は大見栄を切つておりまするが、ここにインフレの悪循環の要因がありはしないか。これに対する対策如何。(「大蔵大臣どうした」と呼ぶ者あり)
 次に国民生活を圧迫する二十七年度予算自体の持つインフレ要因についてであります。約二千三十億円の講和関係経費に比して国内行政費が多いか少いかという点については、これ又問題の存するところでありまするが、併し、何と言つても、この予算は飽くまでも物価が横這いであることを前提として組まれております。思惑通り行けばよいが、諸種の條件はことごとく横這いでは済まない見通しを不可避にする。先ず第一が、この予算自体、講和、国防関係費において非生産的支出二千三十億円を擁しておること、インベントリー・フアイナンスを減額して、これを国内行政費に振り向けておること、これらによつて起るインフレの影響は更に考慮に入つていないこと、以上申述べた四つの点、台湾政権を中国の政権と認めたことによつて起る中国貿易の激減と、従つて日米経済協力による低賃金、企業合理化、コストの切下げから来る生活権の圧迫、自衛力漸増計画による非生産支出の増大と、これに伴うインフレ傾向、電源開発に国内資源を使い、民需の圧迫と輸出減少への拍車、従つて建設インフレ、予算自体の持つインフレ要因、そのことごとくが、実質賃金の切下げ、実質收入の低下、首切りへの要素ならざるはないのであります。若しも政府にこれが対処策ありと言うならば、この際その対策を承わつておきたいのであります。而も政府は架室の独立を餌として、なおこれ以上の耐乏を国民に要求しております。(「架空の独立とは何だ」と呼ぶ者あり)わけても池田蔵相のごときは、先には、五人、十人は死ねと言い、麦を喰らえと言い、今度は、今やおおむね国民生活は五四%のエンゲル指数に近づきつつありと、やに下がつております。池田蔵相は、エンゲルがその指数三〇%以上の生活は貧乏人の生活であると喝破したことを知らないのでありましようか。政府は講和会議直前、日本経済自立計画なるものを発表して、昭和二十九年度までには国民の生活水準を戰前の九一%まで確保すると公約をいたしましたが、この公約はまだ生きておると解してよいか。周東安本長官に御答弁を承わりたいのであります。尤も国民大衆は徒らに耐乏生活を忌避するものではありません。だが併し、耐乏生活を要請するには要請するに足るだけの立派な政治がなくてはならないのであります。我々はここにチャーチル首相の就任第一声を思い起す。チャーチル首相は率直大胆に、イギリスの財政が今やこのまま行けば破滅のほかはないと真実を国民に語り、併しながら社会保障制度費のごときはその全額を飽くまでも死守すると叫んだ、あの気魄、あの政治、あれを国民大衆は渇望するのだ。生活水準の低下も止むなしと納得させる政治、勇躍して国民を耐乏生活に赴かしめる政治、それは決して、木で鼻を括つたような答弁や、知らしむべからず式のお座なりの施政方針演説からは出て参りません。富も所得も偏在し、街には大臣が花輪を贈るカフエーが氾濫し、競輪や、競馬や、パチンコばかりが栄えるような政治、あれだけたくさんの汚職官吏を出しながら、ただの一言も国民に詫びようとしない総理大臣では、決して国民に耐乏生活を要請する資格はありません。(「そうだ」「ノーノー」「一言もなかつた」と呼ぶ者あり)所詮、国家の再建は、又経済自立は、吉田内閣のごとき外国依存、外資目当てではできるものではありません。どうしてもそれは、国民による、民族自体による(「そうだ」と呼ぶ者あり)再建でなくてはならん。計画でなくてはならない。例えばフランスのモネ・プランのごとき計画によるにあらざれば、自立も真の独立も不可能だと言わなければならない。我が党はその用意がある。外国依存の奴隷経済にあらざる、日本民族自身の手による、日本民族自身の資本による自主再建の方式、これを強く堅持し、これを国民の前に明示しつつ、我が党は革進勢力の先頭に立つて吉田内閣打倒のために闘うものであります。(「そうだ」「何を言つているんだ」と呼ぶ者あり)
 以上を以て私の質問を終ります。
   〔国務大臣吉田茂君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(吉田茂君) お答えをします。
 台湾政権承認の結果、対中共貿易は困難になり、従つて国民生活水準を低下すると思うというお話でありますが、これは事実に反するものであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)戰前においても中共貿易は全貿易の六分若しくは五分に過ぎないのであります。戰後においては全然ないと言つてもいいくらいな中共貿易にして、なお且つ日本は滅びずに済んだのであります。(拍手)これは数字を無視し事実を無視する暴言であります。私はこれに対して御返事をする材料がございません。
 又軍備問題については、午前の議場において私が説明いたした通り、僅か二千億に足らざる国防費を以て再軍備なりということは、何を以て再軍備と言うか、実に愚の骨頂であります。(「どこの国の首相だ、君は」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
   〔国務大臣周東英雄君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(周東英雄君) お答えをいたします。
 第一点については、只今総理からもお話がありましたが、私は千葉さんはもう少し統計を御覧頂きたいと思います。個別的にはいろいろの議論もありましようが、一昨年、朝鮮事変が始まり、一昨年の十一月に中共の貿易に制限が加えられまして以後、日本の消費水準は逐次上つておりまして、二十四年の消費水準六八・二形が七二%四に上つておる事実は御承知を願いたいと思います。而して消費水準が上つたと同様に、先ほど御指摘のようにエンゲル係数も五三%前後になつて、下つておるのであります。もとより私はこの状態において満足すべきでない、かように考えますが、併し二十四年当時、エンゲル係数が六〇%二というような状況で、生活費の半ば以上を食糧に占めておつたような状態から、少しでも、とにかく五三%程度まで下つておる現状、而もあなたの御指摘の、中共貿易が杜絶えて以後、国民生活を圧迫するのではないかという御議論は、御議論でありますが、現実は逆になつておるということを数字で以てお答えをいたしたいと思います。(「詭弁だ」と呼ぶ者あり、拍手)
 第二点の価格の問題について、今後東南アジアに貿易関係を切り換えるについても、売れない、そこで労働賃金を切り、或いは合理化をして国民生活を圧迫するのではないか(「その通り」と呼ぶ者あり)という御質問であります。御尤もな御質問ではありますが、先ほど申上げましたように、むしろ来年度の国民所得の計算の基礎となつておる労働賃金の全国平均は一〇%ぐらい上るであろうということを考えております。その半面におきまして、御指摘のように合理化はやらなければならない。機械設備の合理化、このことは、すでに戰争中及び戰争直後において、依然として昔のままの非能率的な生産設備を持つていることからいたしまするコスト高は、至急にできるだけ早くこれを置き換えることが必要であります。その意味において、能率化を目途とする設備、機械の置き換えについて、政府は努力し、これによつて生産コストの引下げということを考えつつ貿易に対処いたし、更に生産に必要なる原材料の供給につきましては、できるだけ遠隔の地から近まにこれを置き換えることによつて、運賃等の低減を図るということを考えておりますので、以上の二、三の点から例示いたしましたように、二十七年度におきましても、むしろ我々の施策は、国民生活を少しでも向上するような方向に向つて施策をしておることを御了承願いたいと思います。(拍手)
#26
○議長(佐藤尚武君) 大蔵大臣の答弁は後刻ある趣きであります。須藤五郎君。
    ―――――――――――――
   〔須藤五郎君登壇、拍手〕
#27
○須藤五郎君 私はここに日本共産党を代表して、吉田総理並びに関係閣僚に数点の質問をいたしたいと思います。
 吉田内閣は、昨年秋、多数国民の反対をも顧みず、我が民族の独立と平和を脅やかすところの講和を結び、我が国を東亜の孤兒たらしめ、又アジアに対する――の基地化せしめんとする安保條約を締結した。その批准に際し、我が党兼岩議員は、その売国性を余すところなく暴露し、又和解と信頼の美名に醉いしれておる政府及び自由党諸君に警告を発したのであるが、諸君は自己の非を悟ろうとしなかつた。が、どうだろう。それから僅か数ヵ月を経過した今日、早くもその破綻が現われたことは、諸君が一番よく身に滲みて感じているではないか。政府に対する国民の支持は地に落ちた。その証拠は高知県の知事選挙が明確に物語つている。米の統制撤廃問題、橋本厚生大臣辞任問題はどうか。すべてこの結果である。欧州におけるマーシャル・プランは、一方的宣伝にもかかわらず、如何なる運命に陷りつつあるか。再軍備を押しつけた結果でき上つたものは、西欧諸国の不一致と、未だに生活苦に喘ぐところのヨーロツパ人民諸君のみである。チャーチル首相は財政の危機を訴え、国民により以上の耐乏生活を要請しているではないか。国民生活を犠牲に供して強行された北大西洋同盟のための再軍備はどうか。昨年十二月十一日AFP電は、「難航する米の対欧政策」と題し、「現在米国にとつて最大の失望の対象となつておるものは欧州軍である」と報じておるではありませんか。ドルの魅力に目がくらんだ西欧諸国も、その真相を知るに及んで、今更、事の重大なるに気付き、おじけ付いたのが現状であります。而も彼らの一枚看板たるソ同盟の侵略はその後どうなつたか。如何に国民を欺いても、世界の中和攻勢は各国民の支持を得つつあり、今や平和勢力は増強し、平和確立の日は近付きつつあります。昨年度五大国平和條約署名は五億九千万に達した。この平和を希望する世界の声こそが、西欧再軍備計画を失敗せしめ、アメリカをして失望落胆させたのであるが、吉田総理はこの事実をどう見られるのか。今後日本の外交政策を立てるためには、好むと好まざるとにかかわらず、この世界の大勢を知らずしては何ごともなし得ないのであるが、私はこの際総理の確固たる所信を承わりたいと思います。
 一九二七年六月二十七日開催の東方会議において、日本軍部の中国征略計画を助けたのは、あなたではないか。又総理は、イラン、エジプトを初め中近東の動きをどう見られるか。数世紀に亘る帝国主義の搾取に苦しめられた世界の植民地は、中国の解放に勇気付けられ、奮然として起ち上つた。私は曾つて欧州旅行の途中、シンガポールの椰子の木の蔭で、一インドネシアの青年から聞いた言葉を今もなお忘れることができない。彼は拳を握り目を怒らせて私に語つた。「この土地も、あの森も、曾つては皆我々のものであつた。併し今日はそうではない。我々この土地の主人は一労働者として搾取に喘ぎ、住む家もなく、安住の土地もない。併し日本人よ、我々もいつかは起つ時が来る」と。今や、マライの密林にはこれらの百年が独立のため戰つているのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)世界の植民地が今や挙つて自由を叫び独立と求めて起ち上りつつあるときに、今更何を好んで吉田総理はアメリカ軍の駐留を希望するのであるか。これは曾つての先進国日本をして世界の最後進国たらしめるものである。国辱これに過ぐるものなしと思うが、総理はどう考えられるか。(「共産党がいるからだ」と呼ぶ者あり)それともシカゴ・サンの記者マーク・ゲインの語るごとく、第一次大戰後のドイツの歩いた途を再び歩もうとするのか。はつきりと御意見を伺いたいと思います。
 次に私は予備隊に関しお尋ねする。憲法第九條の精神は、名目はともかくも、軍隊的性格を持つたものを保持しないということだと解するが、政府の考えは、名前さえ軍隊と言わなければ軍隊と同性格のものを作つても違憲ではないという考えであるかどうか伺いたい。なお、去る十二月二十四日附大阪新聞の増原長官談によると、予備隊十一万、六管区とすれば、約三万町歩の演習場と一万五千台のジープ及びトラツクを整備することになる。このためには開拓地の接收が相次いで起り、裸一貫で入植した引揚者を苦しめているのであります。ソ同盟においては昨年度日本の総農耕地に余るところの約六百万町歩の耕地が増加しているのに、貧困にして食糧不足に悩む日本においては、なお、このような愚かな反民族的なことがやられようとしているのである。人民大衆の血税を取立て、その生活を塗炭の苦しみに突き落し、遺家族に対しては僅かお燈明料しか出せない政治が、どうして日本人のための政治ということができるか。朝鮮人民は今ひそかに三十八度線よ消えてなくなれと唄つている。三十八度線は朝鮮のみのものではない。日本にとつても同じ運命の三十八度線である。朝鮮は六人に一人の割で五百万人の死傷者を出した。日本に万一かかる状態が起るとするならば、約一千五百万人の死傷者が出るしとになる。日本の再軍備は世界軍備のバランスを破り、第三次大戦に突入することである。第二次大戦の糸口を作つた我々は、断じて太平洋同盟などに参加して第三次大戰のきつかけを作つてはならないのである。よろしく前非を悔いて再軍備のごとき無謀なる考えを捨て去り、予備隊を即刻解散する良心と勇気がないか。
 憲法において言論、思想、結社の自由が規定されているにもかかわらず、最近とみにこれら人権を侵害せんとする悪法が立法されんとし、又すでに頻頻として人権侵害の不法彈圧がなされている。これは取りも直さず資本主義最後の足掻きであるフアツシヨ化の証拠である。労働者を低賃金に縛り付け、内外独占資本に対する奉仕に憂身をやつす政府は、その反抗に対するに暴力を以て臨もうとしている。即ち十一万の予備隊、十三万の国警、自治警を以て人民を彈圧し、なお飽き足らず、その基本的人権をすら倒剥奪せんとするのである。憲法制定以来未だ五年しか経過しない今日、かかる暴挙は断じて許すことはできないのであります。日本の労働者も、いつまでも従順なる羊ではない。必ずかかる悪法案は彼らの怒りの前に粉砕されるでありましよう。如何に政府が権力を以て彈圧しても、生活環境の変革されざる限り労働者の囲いは終るものではない。而もなお政府は反省するところなく、団規法初め労働法の改悪をやる考えであるか。その真意を承わりたい。
 ソ同盟、中国は日本に大きな手を差伸べている。総理は、正月、我が国民に寄せられたスターリン首相のメツセージをどう考えられるか。あの好意と友愛に充ちた呼びかけをすら受け容れないとするならば、これは全く驚くべき恥知らずと言わねばならない。三菱炭鉱の労働者は、「あのメツセージは、アメリカに捧げたものでもなく、勿論自由党でもなく、実に我々貧しき労働者階級に送られたものである」と言つておる。ソ同盟は日本の完全独立以外何ものをも我々に求めていない。一兵といえども日本国土にとどめ、一坪の土地といえども軍事基地を要求しただろうか。侵略を恐れられていたソ同盟から何がやつて来たか。軍隊の代りにやつて来たのは平和賞ではないか。(「そうだ」と呼ぶ者あり)我々は、講和、安保二條約締結のため非道なる拘束を受け、隣邦中国とすら貿易ができず、そのため財界は非常なる不況に襲われておるのであります。スターリンは言つておる。「貿易こそソヴイエトと資本主義諸国が仲よくする土台だ」と、又「共産主義国と資本主義国とは共存できる」と常に語つている。これを否定するものは常に資本主義国ではないか。今年四月三日にはモスコーにおいて国際経済会議が開かれようとしておる。伝え聞くところによると、我が国からも、石橋湛山氏、村田省藏氏等も参加を希望しておられるようだが、政府は進んでこの際一人でも多くの人を出し、常々恐れたり悪口を言つておるソ同盟の実情を見て来てはどうか。ソ同盟、中国のこの友誼に対して吉田総理は一月十六日、驚くべき破廉恥極まる書簡を発表した。日本人民の利益と希望を踏みにじり、一路外国帝国主義の期待にこれ従わんとする売国的態度は、国民のひとしく憤激するところである。議会の審議を経ずしてかかる重大事を勝手に決定することは、憲法の精神に違反するのみならず、国民に対する背任行為である。(「そうだ」と呼ぶ者あり)中国を敵に廻して如何にして日本は生きようとするのか。東南アジア開発などは一つの幻影に過ぎない。曾つて近衛は蒋介石相手にせずと言つた。今、吉田総理は毛沢東を相手にせずと言う。これは全く国民の意思を相反する道であり、又同じ運命への道である。今日、政府の施策は一から十まで戰争準備に向けられておる。それは今年度の予算を見ればすぐわかることである。予算総額の二一%に当る千八百三十億円を再軍備に消費し、文化方面に対しては約一千億しか割当てていない。これをソ同盟に見るならば、一九五一年度歳出総額の二七%、二千二百億ルーブル、即ち十兆八千七百二十億円を文化費が占めておるのであります。人口の比率においてソ同盟と日本では約二対一であるが、文化費においては百対一であります。(「そうだ」「どうだ、わかつたか」と呼ぶ者あり)、スヴエーレフ蔵相は「勤労者の福祉と文化水準の向上を配慮することは我が国では第一に重要な国家的事業である」と言つている。我が放言蔵相もこれに負けず、朝日の笠主幹との対談において「生活の安定と文教の刷新とが自衛費よりも先だ」と放言しているが、放言は易く行うはかたし。遺家族にどれだけの援護費が出し得たか。白装束を身に着け、位牌を胸に上京した遺家族代表の切々たる言葉を聞くがよい。神奈川県代表は、生活のために国体を売つた未亡人のことを語り、滋賀県代表は、息子を北支で失い、身寄りもなく死んで行つた七十六歳の老人の話を語つている。この老人の死の枕辺には、ただ一言「怨む」という遺言が残されていたのであります。
 又、目を一度映画館、劇場に転じて見るがいい。あたかも我が国の植民地化を裏書きするがごとく、アメリカ製チャンバラのピストル・ギヤング映画の氾濫であり、エロ映画、ストリツプの洪水である。我が伝統の民族芸術は小さく片隅に押し込められ、今や絶滅の一歩手前ではないか。民族文化なきところ民族の独立はあり得ないのであります。今日我が映画界の現状はどうか。すでに本国においてその製作費を十分儲けたところのアメリカ映画の氾濫によつて、日本の映画製作はその製作費の面から非常なる脅威を受けつつある。良心的なる作品に日数と金をかけて製作することが許されないのが現状である。そのために安易なる映画の続出となり、ますます日本映画将来の発展を阻害しているのである。このことは人心に影響するところ誠に大にして、決して軽視すべきことではない。今のうちに国産映画に対する保護をしなければならないのである。そのためには、国産映画に対する観覧税の低減、優秀映画に対する無税等々、種々なる方法を講ずべきものと思う。現在辛うじて日本映画の良心を守つている者は、数名の良心的な作者、監督と志を同じくする一団の俳優諸君のみである。国家は何らこれに貢献していない。(「そうだ」と呼ぶ者あり)このようなことで、果して文化国家ということができるか。演奏会を初め、新劇、軽演劇方面においても同じことが言われておる。税を拂つてもなお続けて行けるのはただエログロ方面のみである。政府はよろしく大衆を対象とするこれら一連の催しに対し、入場税を免じ或いは低減することにより、その発展を図らねばならないと思うが、文相、蔵相及び岡野国務相の意見を承わりたい。
 今や日本は、講和條約、安保條約の締結により、人民は重税と彈圧に喘ぎ、その生活は誠に切なきものがある。頽廃限りなき流行歌がはやり、切なき思いをパチンコ屋に慰める世相を政府当局は何と見られるのか。
 これに反して、新中国は毛主席の下にすばらしい発展をしている。インド国連代表パニカル氏は中国を讃えた詩をうたつている。
 私がロンドンで会つたとき、
 君は満身ボロにくるまり、
 セムシを出して座つていた、
 ちようど乞食のように――
 私は君のために、
 同情して嘆息をもらした。
 私が上海で会つたとき、
 君は人のために汗を流し、
 足は地を飛んでいた、
 ちようど車夫のように――
 私は君のために、
 いたましさに歯ぎしりをした。
 私が北京で会つたとき、
 君は偉丈夫然として
 背骨を伸して立つていた、
 ちようど世紀の巨人のように――
 私は君のために
 喜んだ、そして讃歌を贈つた。
 私は悲しき我が祖国の現状を見るとき、怒りなくしては眺められなかつたのであります。(「ああ悲しいかな」と呼ぶ者あり)同僚諸君、如何にして祖国の独立と自由と平和を闘い取るべきか。我が党は、若し諸君が独立と平和のために闘われるならば、誰とでも協力を惜しまないものであります。時はまさに我が祖国にとつて重大なる段階であります。以上述べた諸点に対し、政府の誠意ある答弁を希望して私の質問を終ります。(拍手、「答弁の要なし」「何を言う」と呼ぶ者あり)
   〔国務大臣吉田茂君登壇、拍手〕
   〔「簡単々々」と呼ぶ者あり〕
#28
○国務大臣(吉田茂君) 世界平和攻勢とはソ連外交の異名と承知いたします。故に私はこれに対して批評は差控えます。但し、はつきり申すことは、我が政府は共産主義及び共産外交に対しては全然賛意を表しません。(拍手、「それだけしか答えられんか」「そんなものは総理の答弁か」「その通り」「総理大臣の資格なし」と呼ぶ者あり)
   〔国務大臣大橋武夫君登壇〕
#29
○国務大臣(大信武夫君) 憲法第九條は陸海空の戦力保持を禁じております。警察予備隊は名実ともに警察予備隊でありまして、軍隊ではございません。これを全廃せよという御意見でございまするが、国民の権利と自由と幸福を守るため欠くべからざるものでございまするから、政府は来年度においては必要にして可能な増強を行いたいと思つております。(「ばか言え」「恥を知れ」と呼ぶ者あり)
   〔国務大臣天野貞祐君登壇〕
#30
○国務大臣(天野貞祐君) 演劇、映画の入場税は現在十割、極く特別な場合は四割というのは、確かに世界の標準に比べて高いと思います。ただ、今もお説がありました通り、よいものを育成して悪いものを退けるというようなそこに考慮がされなければなりません。一律にこれをやるほうがよいかどうかも問題だと思います。なお又地方財政とも関係があることでございますから、よく研究いたしたいと思つております。(「何もやつていないという答弁じやないか」と呼ぶ者あり)
   〔国務大臣岡野清豪君登壇〕
#31
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。
 地方財政は非常に窮迫しておりますので、御説御尤もの点もございますが、我々は地方財政の現況等を十分に考えまして研究しております。
    ―――――――――――――
 一昨日吉川さんからの御質問に対してお答え申上げます。地方行政の改革につきましては、神戸委員会の勧告を参考といたしますけれども、併し地方制度の根本的の改革につきましては、今後周知を集め各界各層の有識者から十分なるアドバイスを得ましていたしたいと思います。
#32
○議長(佐藤尚武君) 大蔵大臣の答弁は後刻ある趣きであります。山花秀雄君。
    ―――――――――――――
   〔山花秀雄君登壇、拍手〕
#33
○山花秀雄君 私は、去る二十三日、本会議場において行われた吉田総理を初めとする周東安本長官、池田大蔵大臣の施政に関する方針の演説を聞いたのであります。いずれも希望に基く政策を述べられ、近く独立する日本の出発に即応する経済自立の達成のため国民の協力を要請されたのであります。これらの演説を聞いております間は、何かしら明るい展望を感ずるような気持になつているような気がしたのであります。併しその演説が終ると、何一つ掴みどころのない、寒む寒むとした、うつろな気持になつたのであります。その所信を披瀝されたと言われる政策の一つ一つが激しく変転する国際情勢に適応せず、感覚的にも時間的にもずれ、單なる作文の羅列であり、遺憾ながら片鱗の誠実すら認めることができなかつたのであります。(拍手)このような無力にして誠実のない政府を存在せしめている日本国民の不幸を悲しまないわけには行かなかつたのであります。(拍手)この内閣成立以来の施政全般を忌憚なく批判すると、やがて我が国の独立が達成されると言われておりますが、現政府の下にどこに独立の姿があるかと怪しまざるを得ぬのであります。(「ありません」と呼ぶ者あり)我我国民の眼に映じた真の祖国は、只今申上げましたように独立かどうかわからないというのが真の祖国日本の実情であります。(「隷属国ですよ」と呼ぶ者あり)ここに私は日本社会党第四控室所属議員として、又我が国の独立を熱望し、世界の平和を愛好する勤労階級の選ばれた代表として、吉田総理を初め関係諸大臣にその施政方針に対する質問をするものであります。当事者は国民大衆の納得し得るよう明快なる答弁されんことを要求するものであります。
 政府は、常に間近に独立々々と声明されておるのであります。従つてこの国会では、来たるべき我が国の独立に備えて、在米の占領下における政策とは根本的に理念の異なつた政策の発表がなくてはならんはずであります。然るに先日の施政方針の発表は、その政策においてどこに独立達成に即応する政策の転換が行われたか。ちよつとも行われていないのであります。このことは野党の立場にある我々のみが言つているのではありません。つい最近まで閣僚の一員であつた橋本前厚生大臣の言によれば、すでに占領下七年、安易に慣れ、責任所在の不明確になずんで、政策の決定に真剣味を欠いておる憾みありと、彼をして慨歎せしめたのであります。外からの批判だけでなく、曾つては閣内に席を置いた者からも、内閣に不信を叩き付ける批判が出ているのであります。かくのごとく内外より吉田内閣不信の焼印を押されておるにもかかわらず、なお三年前の総選挙の結果のみを後生大事に、民心の離反を知らず、永久不変のものと錯覚し、任期一ぱい政権を担当するとしばしば声明されているが、現在の国民の総意は、占領支配より離れて独立日本として再出発するとき、即ち各国の批准が終り、名実共に占領支配が解けたとき、総選挙によつて独立日本の再出発にふさわしい政権担当者をきめたいと考えておるのであります。吉田総理はこの国民の希望を受ける意思ありや否や。これは国民の最も知りたいところであります。従来の行きがかりや面子にとらわれることなく、いつ頃総選挙を行う決意か。率直なる答弁を望むものであります。(「任期一ぱい」と呼ぶ者あり)
 今後の日本の進路は、徹底した民主主義と平和主義による国際協力によつて生きて行かなくてはならんことは申すまでもありません。従つて国際世論の動向を十分に注視することが肝要であります。これらのことに関しては、昨秋サンフンシスコにおける講和会議の席上において、各国代表よりしばしば言及されたことは私も直接聞きましたが、吉田総理も首席全権という責任の下に聞かれたはずであります。そのときの特にフイリピン国ロムロ代表の演説の一節を紹介いたしますと、「日本が六年という短期間に、幾世紀も続いた侵略的、封建的、軍国主義的警察国家から、実行的な徹底した民主主義に、完全且つ永久的に移り変つたと信ずることは、不確かに人間の信じ得る限度を超えるものであります。」と言つて、更に、「日本の真の民主化の基礎は、日本の兒童が人権の尊重と人間の権威と価値に対する信念とを学び得るごとき教育組織であります。併しこれらの民主主義諸原則は容易に得られるものでなく、我々の希望は、すでに昔日の権力主義的な型にはまつている日本の成人人口でなくして、より一層順応性のある日本の青年、民主的生活を真剣に信奉し、忠実に守るため、我々が窮極的に頼らなければならない世代に置かれなければなりません。」と彼は言つていたのであります。衣の世代を担う青少年に多大の期待をかけていたのであります。このような意見は我々大人の仲間においてもよく話合うことであります。真に徹底した民主主義は古い教育を受けた我々の時代では駄目だ。今学校教育を受けつつある青少年が成人になつて初めて実現可能だと話合つているのであります。然るに政府は民主主義普及のために如何なる最善の措置を講じたか。又青少年教育の方針に関して、その施政方針の説明は、六三制義務教育の充実、産業教育の振興、学術文化の高揚と、極めて抽象的に項目の羅列に終つたことは、甚だ遺憾に存ずるものであります。これら民主主義の徹底普及のためにその具体的な方策は如何に考えられておられますか。吉田総理及び天野文部大臣にその所信を質すものであります。
 この際、政府及び閣僚諸君に一言いたしたいことは、青少年の教育は学校教育だけではできません。近頃街の巷の料理屋、遊戯場、キヤバレー等々の享楽機関の店先に大臣諸公の花環が麗々しく立ち並ぶがごときは、青少年教育に対する悪影響は申すに及ばず、国民思想の上にも百害あつて一利なきこと故、以後かかる行為はお愼しみあるが政治に携わる者の我々の立場でなかろうかと御注意申上げる次第であります。(笑声、拍手)
 政府は、講和條約発効後に備えて、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件、及びそれらによつて制定された多くの法律の改廃を考えているようでありますが、私はここに声を大にして政府に警告を発するものであります。独立国家として不必要と思われる命令による措置の改廃は当然でありますが、最近政府部内より時折発表されるものは、およそ民主主義国家としてあるまじき旧軍国主義、警察国家当時にも見ることのできなかつた反民主主義的な法律制定を行わんとする意図が窺われるのであります。この際万一にも一歩足を踏み外せば、思わざる方向へ猪突し、国家百年の大計どころでなく、国の独立を誤まり、民族の自滅を来たし得る危険が見られるのであります。独立国家として即応するところの法律改廃は飽くまで民主主義の完成を基本理念として考えなくてはなりません。軍国主義や権力主義への後退でなく、民主主義革命完成への前進でなくてはならぬはずであります。吉田総理はその施政方針の説明中、労働関係について「経済自立の達成上、産業平和を確保し、労働者の福祉を図りつつ、労働能率を向上し、進んで国際的信用を維持高揚するがために、現行諸法規につき検討中でありますが、このことは事態に即応する当然の措置でありまして、経済の民主化、労働條件の国際的水準保持という基本方針には何ら変るところがないのであります。これに関する一部の危惧は全く当らないもの、であると御承知願いたい」と述べ、更に「生産の増強、貿易の振興も、又物価の安定も、帰着するところ国民生活の安定であります、」と説明されたのであります。その説明された方針は誠に結構な方針でありますが、百万言の弁説よりもただの一つでも無言のうちに行われる実践を我々は尊しとするものであります。吉田総理も聞かれたでしよう。講和会議の調印の直前に英国モリソン首席全権は、「戰前の日本国における高度の技術及び産業の能率、或いは低い労働基準、労働組合の低調及び社会反動との異常な結び付きによつて妨害を受けました。皆さん、これはよくないことであります。この傾向が将来において支配的であるならば、重大なことになるでありましよう。」と演説され、「日本国総理大臣は、ここに集合した国々の善意を本国に持ち帰り、占領支配より解放された後の日本に、世界に平和と繁栄の達成のために努力されたい」と激励されたのであります。併しながらこの好意に満ちた演説の中に、「低い労働基準、労働組合の低調、社会反動、この傾向が将来において支配的であるならば重大なことになるでありましよう」と警告を発しておることは、我々の見逃すことのできないことであります。日本の脆弱なる現経済の下に、身分不相応に再軍備への移行をひそかに企図しつつ進行されんとしておるところの自衛、防衛に名を籍る日米安全保障條約に基く防衛分担金、警察予備隊を初めとする海上保安庁の強化拡充、その使途すら明瞭にされない安全保障のための措置として計上されたる厖大なる軍事的予算は、政府が如何に弁明されようとも、国民生活を圧迫することは火を見るよりも明らかな事実であります。にもかかわらず、総理は、意識してか無意識か、帰着するところ、国民生活の安定を説いたのであります。意識されての発言であるならば、恐るべき老獪であります。無意識で言われたとするならば、失礼ながら迂闊千万と許さざるを得ぬのであります。現在の国民生活は、少数の特権的な金持階級は別として、大多数の国民は、政府施策の失敗から、低賃金、低米価、(「ノーノー」と呼ぶ者あり)物価高、高税金、加うるに大量失業で、塗炭の苦悩を嘗めつつあるのが真の国民生活の姿であります。当然、生きんがために、生活を守らんために、大衆的な運動が各地に起され、これからも起きつつあることは、政府のよく知るところであります。事は起るべき原因によつて生ずるものであります。そのよつて来たるところの原因の究明、これらに対する積極的な解決の努力を拂おうともせず、ただ徒らに治安維持、治安維持と呼号するのみで、全くの無為無策であります、政府のやつていることは……。真の治安維持は権力政治によつて全うするものではありません。(「その通り」と呼ぶ者あり)大衆の声をよく政治に反映する善政によつてのみ達し得られるところであります。然るに、政府はみずからの無策無能を棚に上げて、民主的諸法規、即ち労働法、基準法改悪、新らしく彈圧諸法規、即ち団体等規正法、ゼネスト禁止法、集会示威取締法等々の法案を提出し、再び曾つての権力政治を確立せんと念願しつつあると伝えられているのであります。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)吉田総理の言う、現行諸法規の検討中とか、事態に即応するとかと説明されたことは、只今私が質したことか否か。吉田総理初め、関係担当大臣である吉武、木村の両氏より答弁されんことを要求するものであります。
 次にお尋ねいたしたきことは、国立病院の地方委譲についてであります。現在全国に九十九ヵ所設置されておる国立病院を、政府は二十七年度において地方に委譲しようとしておるが、保険経済、地方財政の極度に窮迫しておる現状では、公的医療機関としての性格、使命を全うすることができず、医療の内容の低下を必然に来たし、社会政策の意義を喪失し、社会保障制度確立の方向とは逆行すると思うが、次の諸点について責任ある答弁を願うものであります。国立病院については、むしろ国庫補助を増額して、設備の拡充と医療の完璧を期すべきではないかと思うが、政府の見解は如何に考えられますか。地方委譲する場所の対象は、各都道府県に限るものであるか否や。地方が受入れを拒絶した場合は、飽くまで国で運営する決意があるか否やであります。
 なお、池田大蔵大臣の財政方針演説中、米軍駐留の費用に関して、我が方の負担は米国側の負担に比して僅少であると報告され、與党自由党の諸君の拍手を得たのでありますが、我が方の負担は、予算にもはつきり六百五十億円と計上されておるのであります。米国における予算は一億五千五百万ドル、即ち円貨に換算して五百五十八億となり、彼我の負担は遙かに我が方が多いのであります。私はあえてこの問題を詰問しようとは思いませんが、今後は正確なる説明をされんことを希望するものであります。
 政府は、今国会に行政機構改革について、国家行政組織法及び各省設置法等の改正法律案を提出すると言明されたのであります。我々は行政の簡素化と能率的運営については賛成であります。併しながら吉田総理は、しばしば談話を発表して、前国会で思うように政府職員の整理ができなかつたから、今度はどんなことがあつてもやるのだと息まいておると噂が伝えられておるのであります。前国会の審議で、大幅の修正によつて整理の目的が達せられなかつたことは、法案そのものの不備から来るところであります。整理の理由が薄弱の結果であります。然るに、犬糞的に二、三の政府職員に詰腹を切らしたと伝えられておるのであります。一国の首相の態度としては誠に軽卒な態度と言わざるを得ません。このような単なる首切りのための行政整理や機構改革は、無用の摩擦を起すのみにて、それについてただただ迷惑を感ずるものは国民であるということを心すべきであろうと思うのであります。(拍手)それよりも、公務員や公共企業体に働く労働者の給與をせめて一般民間企業並みの賃金水準にまで引上げる意思はありませんか。現在の公務員や国鉄、専売等々に働く労働者の給與は、他に比して余りにも低額で、これが一因ともなり、汚職問題を起すこともあり得るのであります。公務員は、一般民間企業労働者と違つて団体交渉権も罷業権もありません。公共企業体の労働者も罷業権なく、その代償という意味で、人事院の規則による給與改訂の勧告や仲裁裁定委員会の裁定が彼らの唯一の生活のよりどころであります。だが、いつの勧告の場合でも、時間的な大きなズレで、実情に副わない低い給與勧告が行われておるのであります。それすら未だ一回も勧告通り承認支給されたことはないのであります。政府が法の定めたることをみずから行わずして、その政府職員に法の定めを強要するもののごときは、これは全く理不霊な行為と言わざるを得ぬのであります。(拍手)今後行政実績を挙げるためには、人事院の給與改訂勧告及び仲裁裁定委員会の裁定を実施して、能率を挙げさせるような施策が絶対必要と存ずるのであります。
 そこで質したいことは、今後は法律に定まつておる通り給與勧告や仲裁裁定をそのまま実施されるか否や。又人事院の勧告の基礎となる生活費実態調査は、物価高に悩む国民生活水準は次第に低くなつておるこの実情に鑑み、当を得たものではないのであります。これを改正改善する意思ありや否や。大蔵大臣及び人事院総裁より明快なる答弁を望むものであります。吉田総理も、周東安本長官も、及び池田大蔵大臣も、我が国の経済向上を説き、国民所得は次第に増加されつつあると説明されたのであります。その発表された数字につきましては若干議論の余地がありますが、併し数字的には増加したことはこれは事実でしよう。だが、国民所得の数字的増加を以てのみ国民生活の向上安定とは言い得ないことであります。ただ数字の増大のみに眩惑されて、その経済政策を誤まりますと、收拾の付かざる悪性インフレ経済の根源となることを十分戒心すべきことであろうと思うのであります。吉田総理は、労働者の福祉を図りつつ労働條件の国際水準保持の方針に変りはないと言明されました。この国際水準とはどこの国の水準を指しておるのかお尋ねしたい。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)国際労働機構にて決議された水準を言われておるのであるか。それとも工業的には後進国の立場にあるアジア地域の労働水準を言われておるのであるか。この際はつきり吉田総理の言われる労働條件の国際水準を承わりたいものであります。
 戰後我が国の労働組合組織は偉大なる発展を遂げたことは各位の御承知のところであります。又労働組合が我が国民主化について重大なる役割を果したことは万人の認めるところであります。これは日本の我々のみでなく、世界のすべての人々が認めるところであります。然るに残念なことには、最近日本政治の反動化は、正常なる労働運動に対して権力による彈圧を加え、およそ民主主義とは逆行の様相を各地において呈しておるのであります。恐るべき事態をかもしつつあるのであります。昨年暮より本年にかけて近々一ヵ月の間に、京都市電、電気産業、三越百貨店、帝国石油会社、東日本重工会社等々に、かずかずの法を無視する不当労働行為や、野蛮極まる官憲の彈圧が白晝公々然と行われておるのであります。京都市電の争議においては、官憲の不当弾圧に争議団の家族が抗議のために自殺をするという社会悲劇すら惹起しておるのであります。その一つ一つの詳細に関してはいずれ常任委員会で質疑を行い、事の善悪を究明いたす所存でありますが、これから独立国家として出発する我が国の現状に鑑み看過できない問題として、その一例を東日本重工会社の不当馘首問題をとらえて政府の所信を質するものであります。同会社はいわゆる日米経済協力の一環として米国政府と契約を結んだ通称〇進とも特需工場とも言つておりますが、占領政策に基く特別調達庁を通じて充足するいわゆる進駐軍労務者ではないのであります。この種の工場が関東地方では十六工場、約五万人の労働者が働いておりますが、問題の東日本重工会社では、去る一月六日、いわゆる軍令馘首として十二名の善良なる組合員を解雇したのであります。このことは、日米経済協力が各所において行われる現状に鑑み、労働者の基本的人権尊重の立場から、次の諸点について政府の見解をお答え願いたいのであります。
 現行特需の基本契約において、業者の法的責任として、契約業者は法律上の雇用主として財政的にも法的にも責任を有するものであると認めながら、一方には好ましからざる人物については云々という條項を設けて、米国側が自由に解雇したり採用を拒否することができる内容となつておる関係上、米国側の自由意思によつて一方的に馘首せられる事態が起きて参りますが、かかる契約方式が国内法に優先するか否や。若し優先するとすれば、その理論的根拠を示して頂きたいのであります。(拍手)従来の軍令馘首の理由が、工場防衛保安上の措置として、その調査は米国側の調査機関と日本政府及び警察の調査によると言つておるのであります。日本政府及び警察はかかる調査に携つておるか否や。この際はつきりして頂きたいのであります。行政協定取極に際してかくのごとき屈従的契約方法が続けられ、特需労働者はこの契約故に国内法の埒外に放置されるとすれば由々しい問題であります。政府は特需関係労働者の労働保護政策を如何に今後の産業政策に織り込んで行かれますや否や。その構想をお尋ねしたいのであります。この問題はひとり労使の雇用関係ではありません。日本が本当に独立と自由とを自分のものにするか、それとも形式的独立で従来と変るところのない占領支配の実質を引続き行われるのであるか否やの分岐点に立つておると思うのであります。(拍手)総理及び関係大臣の明確なる御答弁を求めるものであります。
 最後に一言お尋ねすることは、條約発効に伴い、現在の進駐軍労務者二十数万人のうちでどの程度の失業者が予想されるか、又これに対する失業対策があるか否やという点であります。占領下における進駐軍労務者の労務管理に関しては、労働問題として紛争処理に政府も手を燒いた事例が相当あつたが、今後は駐留軍労務者としての労務管理は如何なる機関によつて行うか否やであります。駐留軍労働者に対しては、昨年七月一日から日米両国政府によつて締結された日本人役務に関する基本契約が引続き継続されるものなりや否や。占領終結に伴い、被占領国として連合軍に対する国際收支決算をするものと考えられますが、この際、政府直傭の進駐軍労務者二十数万に対する占領下勤務時間に対する退職手当を如何に取扱われるや。この問題は占領政策に身を以て奉仕し来たつた二十数万の労働者が一日も早く知りたいところであります。満足の行くようなお答えを願うものであります。
 終りに一言政府に苦言を呈したいことは、我が国の国際的に置かれた立場であります。我が国は不幸にも全交戰国との講和は完了せず、世界の二大国と言われる米ソ対立の冷たい外交戰の焦点に立つておるのであります。私は、この場合の日本のとるべき外交方針は、彼我双方の勢力に利用されることなく、即ちそのいずれかにくみするという片寄つた外交方針は一擲して、米ソは言うに及ばず、如何なる国国に対しても誠心誠意を以て親善外交に邁進することが、日本の真に生きるべき道であると銘記しておるものであります。どうかこのことを十分留意されまして、今後の外交方針の誤まりなきことを熱望、いたしまして、私の質問を終るものであります。(拍手)
   〔国務大臣吉田茂君登壇、拍手〕
#34
○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。
 施政方針に述べましたる通り、財界政界の安定は日本建設のために最も重要なことと考えますから、解散はいたしません。これは施政の方針ではつきり申した通りであります。(拍手)
   〔国務大臣天野貞祐君登壇、拍手〕
#35
○国務大臣(天野貞祐君) 国家の将来が青少年の教育にあるというお考えについては私も全く同感でございます。それにつきましては、さまざまの文化財を利用した社会教育においても、又学校教育においても、民主主義の精神を徹底させ、滲透させようというふうに考えております。それから又この六三制につきましては、六三制をどこまでも堅持して、この体系を崩すことなく、それを完成したいという考えであります。
 次に学術の振興につきましては、これは日本が現在世界において誇り得るものは日本の学術だと思つております。これもいろいろの手段によりまして、例えば講座研究費でも、或いは民間研究の助成であつても、研究費であつても、すべてこういうものをだんだんに増額して盛んにして行きたい。
 産業教育につきましては、産業教育というのは、決して従来の職業教育のように、ややもすれば都合のいい使いよい人間を作るというのじやなくして、本当にこの教養のある、而も技術を持つた人間を作ろうというのでございます。そういう精神に向つて邁進をしたい考えであります。
   〔国務大臣吉武惠市君登壇、拍手〕
#36
○国務大臣(吉武惠市君) 山花さんの御質問にお答え申上げます。
 第一点は総理の演説を引用されまして御質問がございましたが、あれは総理の申された通りでございまして、私どもとしては、産業平和等、労働者の福祉を考えまして、今後対処するつもりでございます。なお英国のモリソンの言を引用されておりましたが、今日の日本の労働基準は決して国際的な水準に劣つておるとは考えておりません。なお、労働三法に対する改正の御意見がございましたが、労働三法につきましては、過日来しばしば申上げておる通り、私どもは法制審議会の答申を待ちまして合理的な改正を行うつもりでございまして、毫も彈圧をする意思はございません。(「その通り」と呼ぶ者あり)
 次に国立病院の移管に関する御質問でございますが、目下のところ国立病院は九十九ございます。そのうち約六十余りを地方の府県その他の公的機関に委譲をしたいと思つております。併しこのことは決して強制をする意思はございません。
 次に公務員給與についてのお尋ねでございますが、私どもも財政の許す限り一般民間水準に近付けたいと思つております。私どもは国鉄の裁定及び専売裁定につきましても、できるだけ裁定についてはこれを尊重して来ておるつもりでございます。(「どこで尊重したか」と呼ぶ者あり)なお国際水準についてのお尋ねでございましたが、国際水準とは、国際労働会議において取上げられておりまする各種の水準を申すのでありますが、この水準にして大体の国々がこれを基準としているものを採用しているつもりでございます。
 なお、京都の市電の争議その他の争議を引用されまして、彈圧をしておるようなお言葉がございましたが、決して彈圧ではございません。(拍手)京都の市電の争議は、今日の公務員法及び政令二百一号において嚴に禁じてある行為をあえてしたために法に触れただけであります。
 次に行政協定に関するお尋ねがございましたが、米国政府と日本の或る会社との間に行われている契約は、それは契約であります。その契約が直ちに労働者に対し国内法上これを拘束するとは考えておりません。なお進駐軍労務者の今後の失業の問題でございますが、差当つてはそうたくさんの失業が出るとは思いませんが、若し出ました際は極力斡旋をするつもりでございます。(拍手)
   〔国務大臣木村篤太郎君登壇、拍手〕
#37
○国務大臣(木村篤太郎君) お答えいたします。
 民主平和国家を建設するについては、国内治安を確保し、社会秩序を維持することが最も急務と考えております。従つて、社会秩序を破壊し、(「生活の破壊はいいのか」と呼ぶ者あり)社会秩序を紊すような、さような暴力団体は、これを十分に規正して行く必要があるのであります。政府は講和條約発効後の情勢に鑑みまして、そのような団体の不法活動を抑制するために、只今法案を作成中であります。いずれ御審議を願おうと思つております。断じて正常なる団体活動を抑制する意思は毛頭もないことをここに明言しておきます。(拍手)
   〔政府委員浅井清君登壇〕
   〔「簡單」と呼ぶ者あり〕
#38
○政府委員(浅井清君) 人事院が政府職員の給與の改善につきまして努力いたしておりますることは、すでに御承知の通りだと存じます。併しながら、この勧告を広く一般財政の見地から最終的に決定する力は実は国会がお持ちになつておるのでございまするから、私といたしましては、只今のようなお尋ねがございますれば、勧告が実現いたしまするよう国会の御援助を仰ぐほかはないと存じます。(拍手)、「その拍手は何だ、自由党」と呼ぶ者あり)
    ―――――――――――――
 なお、昨日吉川さんから人事院の廃止云々というお話がございましたが、これにつきましては、すでに内閣より御答弁がございましたごとく、私といたしましては何も聞いておることはございません。併せて御答弁をいたします。
#39
○議長(佐藤尚武君) 大蔵大臣の答弁は後刻あることになつております。高良とみ君。
    ―――――――――――――
   〔高良とみ君登壇、拍手〕
   〔「共産党が拍手しているよ」「正しい者にはいつでも拍手する」と呼ぶ者あり〕
#40
○高良とみ君 吉田首相にお伺い申上げたいのは、講和條約及び安保條約審議の特別委員会に当りまして、たびたび、日本の再軍備は義務付けられないか、それでも求められたらどうするかということを伺つたときに、首相は繰返して、決して義務付けられない、若しも求められたら断わるとたびたび回答なすつたのであります。併し、御存じの通り、ダレス大使は最後の帰国に際して、日本の軍備は條約上の義務であるとステートメントを出しておられるのであります。そうしますると、今回の條約に当りまして、私ども国民としては、警察予備隊の形及びその漸増による国防の計画を持ち、又外国に向いましては、そのものが即ち再軍備になつておるのでありましようか、その点が私どもとして納得の行かないところであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)吉田首相の、再軍備せず、憲法を守るという公約は、たびたび繰返して聞いておるのでありまするし、国民もそれを信じて、憲法の下に精を出して平和国家建設に努力して参つたのでありまするが、私どもの聞きたいことは、言葉ではございませんで、事実であります。(拍手)武装し、又軍事訓練の増強を実施して行きまするところの、その事実の説明であります。これは警察予備隊であつて、純辞の民衆の味方としての防備の力であると言われましても、戰車や大砲、バズーカ砲を借用してまで訓練するからには、これは確かに戰闘を目的とする戰力であると私どもは考えるのであります。(拍手)事実を率直に認めるならば、これは憲法に言つてありまするところの戰力であると私は考えるものであります。(「そんなもので戰争はできないよ」と呼ぶ者あり)間接侵略等の内乱に備えるものであると共に、実は安保條約によるところの防衛力漸増の一環として駐留軍に代つて防衛に当るものであるという点をはつきり質したいのです。警察予備隊なるものは、実は二つの目的を持つているのであつて、半ば軍隊であり、半ば警察の役も兼ねることができるのであるというふうに解釈してよろしいかどうかを伺いたいのであります。(拍手)これを政府が国民の前に明らかにされませんならば、国民はもとより、このことが海外に及ぼしまする影響は、東南アジア地域を初めとして、濠洲、ニユージーランド、英国等におきましてさえも、日本政府の言うことは信頼ができないということになつているのであります。最近、東南アジア地区からの私の得ました情報によりましても、日本人に対する反感は又盛り返して来つつあるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)「戰闘と武装のない平和な時間を稼げば稼ぐだけ将来の戰争を阻止する可能性が大きくなる」と、日本の友であるところのネール首相が警告しておりましたにもかかわらず、不幸にして朝鮮作戰の真最中に講和條約を結んだことを端緒として、(「強要された」と呼ぶ者あり)日本がこれから結びます日米行政協定の内容次第で、末長く日本人の運命を決定いたしますが故に、まさに国家としても、吉田内閣としても瀬戸際に立つておると申すべきであります。(拍手)それに関する二、三のことを伺いたいのであります。
 第一、基地を借用させることを許し、又駐留してもらうといたしましても、作戰上には平等ではないのではありませんか。米軍の主体は華府又は国連にありまして、日本国全体が戰闘軍へ同盟国として全力を挙げて参加を要請されるのが当然であると考えられるのであります。
 第二には、国連協力のために、條文にもあります通り、「あらゆる機会にあらゆる便宜」を約束いたしました以上は、戰争協力をこちらの一存において断わることは許されないでありましよう。国民や国会の意思に関係なく「国連協力戰闘」というものがあり得ると考えられます。又国民の意思の如何にかかわらず、日本が戰場になることが可能であると考えてよろしいか。岡崎国務大臣は、特定の国の側に立つならば戰争を回避できると断言されましたけれども、私どもそう考えません。朝鮮動乱が本当の停職を見ません限りは、国連の懲罰職、或いは宣戰のない戰争の協力者になることは、條約の当然の帰結であると考えるのであります。
 第三には、日米合同委員会は作戰上にも日本の国民及び予備隊に対して多くのことを要求する権利があると考えられます。例えば今後満洲爆撃や原爆使用の可能性があるときに、国はいわゆる民間防空なるものを強化いたしまして、私どもは再び戰場としての準備をしなければならないと考えられますが、如何でありますか。過日の岡本愛祐議員の質問に対しても、首相はその可能性なしとは言われなかつたわけであります。
 第四には、作戰中の米軍基地となりまする日本は、その場合に国会の意思或いは国民の意思にかかわりなく、国連の一環としてその人的資源を戰線に召集され、或いはこれを要求されることがあり得ると考えられますが、如何でありますか。
 第五に、国連の軍事基地周辺にありまする非戰闘市民の被害、或いはこれらの死亡がありましたときに、その賠償は駐留を頼んだ日本側の負担となるのでありますか。或いは米国がこれに対して責任を持つのでありますか。
 第六には、駐留将兵と我が国民との間の風紀問題を、英国基地などにおきましてはすでに解決に到達しておりますが、日米の永遠の友好関係を望みます以上、最良の策をすでに考えておられるかどうか。岡崎国務相に伺いたいのであります。
 第七には、基地及びその使用施設に期限がありますか。民間伝えますように九十九年の基地使用権のごときものが可能であるかということを、深い憂慮を以て伺いたいのであります。期限がありません限り、日本の独立、日本国民の真の自由と平和はなく、憲法には関係なく守られがたいと考えたら間違いでありますか。今回の行政協定の内容、防衛費の六百五十億、安全保障費の五百六十億、いずれも営舎、道路、通信網、訓練学校等の建設維持費と了解いたしますが、この千二百十億円の使途内容、その雇用員の状態につきましても、分明次第直ちに国会に示して審議を得られる意思がありますか。若しそこに秘密協定がないものならば、これが可能であると考えられるが、如何でありますか。憲法護持はできない国際條約上の事態が発生し、ダレス大使その他と警察予備隊を再軍備として実施する約束をされたのでありまするならば、これを国民の前に明らかにして行かれる義務を感ずるかどうか、伺いたいのであります。それが憲法に合致するか、九條に合うか今わないかということは、おのずから国民が判断することと信ずるのであります。
 次に警察予備隊の徴募の方法であります。自治体の町村長、或いは知事から推薦を求めるか。自治体に対する憲法の施行の根本義に立つて自由を要求し或いはこれに拒否をする者の権利が人権局において保護されるかどうか伺いたい。勿論それは武器を執るということに対しての国民の自由であります。又外地派遣の可能があるかどうか、外地で戰闘の意思があるかどうかどいうことを伺いたいのであります。再び日本が武器を執り、或いは国連の要請に従つて戰闘に参加します場合、私どもほ国内治安を目的とするところの警察予備隊ではなかつたということを了承するものであります。この説明を承わりたい。即ち第九條において約束された日本の戰争放棄乃至平和への念願は一つの理想であつて、自衛権の発動としての戰闘をなし、自衛権の発動としての戰場となり、そうして、そのために予算が今回盛られておるということを考えてよろしいか。若しこれが使わない武器のためのものであり、使わない兵力のためのものでありますならば、この予算を私どもはただ玩具費と考えるより仕方がないのであります。事案はさにあらず、現実の前に国民はこれに対して深い嘆きを持つものであります。(拍手)
 第二に伺いたいのは、吉田内閣に平和政策ありやであります。アメリカ国民さえ最も忌み嫌うところの原爆戰、即ち地球の自殺とも考えられ、又文明そのものの原始化、破壊とも考えられる原爆戰を決定する上に、日本民族がイエスと言うかノーと言うかによつて、一つの大きな役割をなすと考えられればこそ、あの無理な時に独立自主権を獲得したのではないか。私どもはひそかに僅かな希望をかけたのであります。然るに、平和と正義は力によつて守られると考える人たちが未だ多くあるのでおりまして、このくらい危険なものはないと思います。(「ヒヤヒヤ」と呼ぶ者あり)明日は次の権力に媚びるでありましよう。明後日は又他の勢力に媚びるかも知れません。これは内閣にも、国民の中にも、そういう要素があることをあえて申すのであります。(「自由党がそうだ」と呼ぶ者あり)私どもが誠に小さな国として、力を持たず、而も気魄を持ち、領土は半減しながらも幾多の可能性を持つておる日本国民でありますから、日本の使命は、実にこの二大勢力、或いは太平洋、アジア、アフリカ、ヨーロツパまで及ぼすところの影響の起点に存するとも考えられるのであります。実にこの強い二つの武装したところの力の中間に立ちました特別の使命が、我々は憲法に誰つてあると考えるものであります。共産陣営におきましても、武装を以て応えておることに対して深い遺憾を感ずるものですが、日本が如何に少しとはいえ兵器を持ち、そして国連の戰争に協力しているということに対して、これは東洋的手段であるかどうかということを深く憂えるものであります。
 従つて賠償要求に対しましても、眼には眼、歯には歯というユダヤ的奪い合いの計算でないところの譲り合いの計算があり、信頼と東亜同胞の頒ち合いがあると信ずるものであります。日本の再軍備のニユースを得ましたところのオーストラリア、ニユージーランドを初めとして、東南アジア地区、太平洋諸国におきましては、思い出すものは、曾つて日本軍が彼らの上に、平和国家、東洋の平和を建設すると称して侵略いたしましたその残酷な思い出であります。「独立国家で軍備のない国はない」と、大橋国務大臣が二十六日のこの壇上で断言されましたが、そうすれば講和発効後日本は憲法を改正して軍備を持つのでありましようか。或いは今日の警察予備隊は、独立国家になつたときの用意のものでありますか。乃至は、進駐軍が安心して帰つたときに初めて独立国家になるのであつて、それまではそうでないと答えることができるのでありましようか。この三つの点を伺いたいのであります。「よく聞いておけ」と呼ぶ者あり、拍手)国民の知りたいのは真実であります。この国際事態の中に眼を塞がれ、口を塞がれておりました国民といたしましては、何が真理であるかということを伺いたいのであります。再武装をしないで国連へ加盟を許され、将来世界の軍備競争をやめて、国連を真の平和推進団体たらしめるために、日本がむしろ進んで名誉の切札を投ずる機会を持つていたのではないかと、ひそかに思うものであります。併し今日直接侵略と共に間接侵略をも現実の可能性として信じております政府の情報網に、我々は多大の疑惑を持つものであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)即ち日本独特の自主的な考えで以て平和政策を信じ、これを持つものであるか。或いは受け売りであるか。中にはこれを政略であるとか便宜主義であるとかと疑つておる国々もあるのであります。今日までは在外機関がなかつたから、世界の情勢はわからないしばしば答えられたのでありますが、世界の情勢故に、つまり占領下にあつたが故に平、和憲法を作り、独立国となつたら、それは夢であつたと改正されるつもりでありましようか。今日は改正はしないと言われるのでありますけれども、明日如何なることが出るかと私どもは知る権利があります。(拍手)警察予備隊及び海上保安庁の今日以上の軍事化は、まさに憲法の前文及び九條の精神に違反するものと思うのであります。(「憲法の破壊者は誰だ」と呼ぶ者あり)婦人の大衆といたしましては、曾つては国のために夫や息子を犬死させたけれども、日本の妻や母は、今度は集団安全保障という新らしい名目のために、いま一度夫や息子を喜んで戰場に送れということを聞かされるのであります。これに対して国民は、殊に人的資源の生みの親であるところの母は、これを了承し得ないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)私どもは、若い青年たちが再武装の違憲と非立憲を鳴らす正義感の未だ失せず強いものあることを考えまして、国の将来を背負つて立つ青年諸君を国のバツクボーンとしてむしろ喜ぶものであります。私ども四十歳以上の準戰犯中老組は、若い人たちの将来のために、躓くものを置いてはならないと考えるものであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)又その人たちの正義感、国を愛する誠意に傾聴する義務があると考えるものであります。更に宗教的信念に基く同志の多くは、日本が今回の予算におきまして、如何に軍事国家となりつつあるかということを深く憂うるものであります。政府の説明を伺いたいと思うのであります。
 次に伺いたいことは、今回の軍事的な予算によりまして、文教、厚生、遺族の援護費等が縮小され、社会保障が未着手の状態でありまして、我々としては、このためには税金を拂うことは惜しまないものであります。然るに今日の実態におきましては、地方の自治体に対する平衡交付金が地方の枯渇財政状態を潤おすに足らず、社会不安と又人心の不安が醸成されつつあるのであります。この人心不安の根本には、人工的な不安感の醸成があるのではないかということを憂慮して、大橋法務総裁にその真相を伺いたいのであります。例えば松坂における火災に際しましても、徒らに警察当局は、特定政党或いは特定思想着たちの暴力革命の徴ありと公表し、人心を不安に駆り立て、そのために罪のない青少年たちを幾人か犠牲にしたのであります。こういうことにより、例えば北海道の事件は、これから調査することでございましようが、国民の前に、特定な人たちが武力を行使するということを前提として、故に国内治安のために警察予備隊を強化するというようなことになりますと、国民も政府の動機のあるところを疑わざるを得ないのであります。むしろ失業した多くの青年男女――まさに中小企業の倒壊によりまして、多数の人たちが失業状態にございますが――この人たちに進んで技術訓練を與え、未開発資源の開発のために雇用し、建設、或いは治山治水の技術者として、建設奉仕隊を立案する考えはないか。学徒援護隊並びにその他の奉仕隊と共に編成いたしまして、これによつて世界の、殊に東南アジア地区への唯一の友情を開く途でありますところの平和建設奉仕隊を、賠償の志を以つて派遣することは、今日世界の澎湃たる勢力となつているのであります。これを安本長官は何と考えておられるか伺いたいのであります。
 次に伺いたいのは、文教予算が削られ、六三教育改革の最後の年でありますのに、今回の十五億の削除は、まさに日本の兒童の自然増加数を見てないのであります。その点から申しますと、母として、学校を與えない、即ち義務教育を與えない今回の予算に対して不思議な感を持つのであります。寒冷地域の体操場のごときは、必要量の十分の一も予算に取つてないのであります。今後三十年かからなければ、寒冷地区の学校、校舎、体操場はでき上がらないのであります。老朽校舎に至りましては、明治十九年にできた校舎の中に、兒童たちは傾いて破れた寺小屋式校舎の真暗な中で勉強をいたしておりますが、他面、安全保障のための新らしい兵舎、士官学校等の建物ができて行きますときに、兒童や学校の先生たちは、一体誰の国であろうか、何のために我々は税金を納めているのかと歎いているのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)更に過日の行政整理によりまして多数の人たちが整理をされておるのでありますが、今後の行政整理によつてはみ出されて来た人たちは、ペンを捨て、劔を取れと申渡すごとくに、警察予備隊の門が広く開けられているのであります。それらの人たちは今までの技術や教育を捨てて、武器を操縦し、屍をさらすことが生活の道と知りますときに、日本の青少年たちは、平和国家の理想をすべて拒否され、そこへ追込まれ行くことを考えて、深く怒り歎いているものであります。
 第五に簡単に伺いたいのは、婦人に対する吉田内閣の政策についてであります。未亡人の実態、それは実に特飲街への転落、売笑への道であります。又農村婦人や若い青少年の中に、失業の故に或いは学校を半ばにして身売りをしなければならないような人たちが非常に殖えて来つつあるのであります。(「時間々々」と呼ぶ者あり)これらに対しまして、(「罪悪だ」と呼ぶ者あり)婦人少年局は常に(「時間々々」「やかましい」と呼ぶ者あり)その局自身を行政整理の対象にされるばかりではなく、余りに零細な人員と予算しか與えられず、その他の婦人に関する仕事の面においても、(「時間々々」と呼ぶ者あり)果して婦人の生活の実態、勤労の状態、国家に対する大きな貢献の実態が政策に取入れられておるかどうかを常に危ぶむものでございます。これらを考えますときに、子を生み、子を育て、子を教育し、又国の生産の基本におりますところの大多数の婦人は、まさに第二回目の職場たらんとする祖国の姿に、深い悲しみと一種の憤然たる感情を以て、日本の国家がいずこに行くかを憂えておるのであります。(拍手)日本婦人の現在の様相に対して、世界の目は疑惑を注ぎ始め、日本は逆コースを行き、日本人はもともと婦人を認めない、こういう種類の国民であり、文化とか理想とかいうことはただ特定の占領下の状態にあつたときにのみ口にする国民であるというような観念ができつつあります。これは、将来の日本の進路を阻むものであることを考えまして、婦人に対する政策について明快な御答弁を頂きたい。我々耐乏生活をも民族の育成教育にも努力を惜しむものではないが、現状には深甚な警告を発する次第であります。(拍手)
   〔国務大臣吉田茂君登壇、拍手〕
#41
○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。
 日本が軍備を持つか、再軍備するかしないかは、これは国民の自由であります。何ら国際的に義務付けられておりません。又現在の予備隊その他が軍備であるかどうかということは、これは主管大臣からしばしば答弁いたした通りであります。これは再軍備ではございません。(「その通り」と呼ぶ者あり)
 又行政協定の内容についてのお尋ねでありますが、未だ行政協定は始まつておらないので、その内容に関する説明は差控えたいと思います。賠償問題にしても又同じことであります。
 原爆戰についてのお尋ねでありますが、これは、今日、日本の立場として、原爆戰が如何なる状態にあるか、今知る自由もければ、又知る方法もないのでありますから、いずれ独立いたしましたときに研究いたしましてお答えをいたします。
 その他はそれぞれの主管大臣からお答えいたします。(「どうしろと言うんだ」「わかつている」「やめろ」「政府は国民がどうなつてもいいと思つているのか」「心配するな」と呼ぶ者あり)
   〔国務大臣大橋武夫君登壇、拍手〕
#42
○国務大臣(大橋武夫君) 予備隊の問題につきましては只今総理から申上げた通りでございます。来年度増強いたしたいというのは、国内治安確保のための要請によるものでございまして、再軍備或いは戦争(「その通り」「嘘だ」と呼ぶ者あり)というようなことは全く関係ございません。又装備につきましても、この見地より決定をいたしておるものでございます。(「黙つて聞け」「謹聴」「衣を脱いでしまえ」と呼ぶ者あり)又警察予備隊の活動は国内治安上必要な地域に限られるのでありまして、海外に行動するがごときことは考えておりません。又隊員の徴募につきましては(「前に言つたじやないか」と呼ぶ者あり)志願制度によると考えております。以上のごとき警察予備隊の性格を考えまするときに、これは名実共に軍隊ではないのでございます。(「嘘ばかり言うな」と呼ぶ者あり)独立国たる以上軍備が必要であろう、こういうようなお話でございましたが、我が国は自衛権は勿論あるのでございまするが、これを行使する有効なる手段を欠くために、独立と同時に日米安全保障條約により米軍の駐留を求めておる次第でございまして、これによりまして警察予備隊の性格を十分御了察願いたいと存じます。
 次に、犯罪が発生いたしましたる際、検挙前において共産党と関係があるように伝えられておるということでございますが、(「いつもそう宣伝している」と呼ぶ者あり)私どもは捜査中におきましては、(「二重煙突も共産党に関係があるのか」と呼ぶ者あり)犯罪の発生について、その原因その他の事項について、当局が無責任なる臆測或いは未確定の推察を発表するということは堅く禁じておるのでございまするが、(「何を言うか」と呼ぶ者あり)おのずから国民諸君の間にありまする不安の念がいろいろな形をとつてかような結果と相成つておるのではないかと存じますのでございまして、この点は共産党諸君のためにも誠にお気の毒に存じております。(「その通り」「何を言うか」と呼ぶ者あり、拍手)
   〔国務大臣天野貞祐君登壇、拍手〕
#43
○国務大臣(天野貞祐君) 教育予算の不十分なことについては私も遺憾に思つておりますが、今後あらゆる機会をとらえて、そうして私どもの目指すところを追求いたしたいと思つております。(「自由党におつてはできないのだ」「橋本に倣え」と呼ぶ者あり、拍手)
#44
○議長(佐藤尚武君) 周東国務大臣は総司令部との連絡のため出席ができませんので、答弁は他日に留保されたい趣きでございます。なお大蔵大臣は出席が遅れましたので、答弁は明日に留保されました。(「まじめに答弁せい」と呼ぶ者あり)
 国務大臣の演説に対する質疑はなおございますが、これを明日に譲り、本日はこれにて延会いたしたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#45
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。次会は明日午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。
 本日はこれを以て散会いたします。
   午後三時四十七分散会
     ―――――・―――――
○本日の会議に付した事件
 一、日程第一 国務大臣の演説に関する件(第四日)
ソース: 国立国会図書館
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