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1951/04/14 第13回国会 参議院 参議院会議録情報 第013回国会 本会議 第29号
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1951/04/14 第13回国会 参議院

参議院会議録情報 第013回国会 本会議 第29号

#1
第013回国会 本会議 第29号
昭和二十七年四月十四日(月曜日)
   午前十一時十八分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第二十八号
  昭和二十七年四月十四日
   午前十時開議
 第一 利根川河底しゆんせつに関する請願(委員長報告)
 第二 吉井川上流津山市境橋、今津屋橋間右岸改修工事促進に関する請願(委員長報告)
 第三 北上川中流部改修工事施行に関する請願(委員長報告)
 第四 防火地域内耐火構造建築物補助法制等に関する請願(委員長報告)
 第五 雄物川改修工事に関する請願(委員長報告)
 第六 公営住宅建設促進に関する請願(委員長報告)
 第七 岩手県田瀬ダム建設に伴う損害補償等の請願(委員長報告)
 第八 斐伊川治水工事完成促進に関する請願(委員長報告)
 第九 埼玉県の中小河川改修工事費国庫補助増額等に関する請願(委員長報告)
 第一〇 和田吉野川下流延長工事施行に関する請願(委員長報告)
 第一一 住宅復興に関する陳情(委員長報告)
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(佐藤尚武君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。
  運輸大臣から航空事故に関して発言を求められております。この際発言を許します。村上運輸大臣。
   〔国務大臣村上義一君登壇、拍手〕
#4
○国務大臣(村上義一君) 去る九日朝突発いたしました日本航空株式会社の航空機の事故につきまして、その概要を御報告申上げたいと存じます。
 日本航空株式会社の運航に関しましては、政府も会社側も、その業務開始以来、安全第一主義を目標にしまして、万全の注意を拂つて慎重な態度を以て臨んで参つたのでありまするが、図らずも、乗客三十三名、乗員四名、全員遭難という稀に見る悲惨事を惹起いたしましたことは、誠に遺憾なことでありますと共に、乗客並びにその御近親のかたがたに対しましては真に申上げる言葉を知らない痛恨事であるのであります。当日は各便とも所定のスケジユールに従いまして無事に運航がなされたのでありまするが、ひとり東京発福岡行第三百一便に就航しましたもく星号は、七時四十三分羽田飛行場を離陸いたしまして、七時五十七分館山上空において所定の通過報告を発しました後は、全く連絡を絶つたので、直ちにその捜索を開始いたしたのであります。政府といたしましても、米国極東空軍、国家地方警察、その他関係各方面の協力を得ると共に、海上保安庁の巡視艇による捜索、又附近航行船舶に対する連絡など、全力を挙げて捜索を続けたのでありまするが、遂に機影を発見することができず、不安焦慮のうちに一夜を徹したのであります。翌十日午前五時半捜査のために羽田を出発しました日本航空会社の捜索機は、午前八時五十分大島三原山の噴火口の東側約一キロメートルの地点、標高二千フイートの地点に遭難機の残骸を発見いたしましたので、急速救助のために、国警大島地区署の捜索隊、又消防隊の現地派遣、米国空軍による航空機の派遣、海上保安庁の救助艇の派遣など、でき得る限りの手配を講じたのであります。その後、現地国警本部大島地区署の報告によりまして、乗客も乗員も全員が死亡したということが確認されるに至つた次第であります。現地は御神火茶屋から約六キロの地点にありまして、遺骸の收容その他につきましては、非常に困難な作業であるにかかわらず、大島の国警隊、消防隊は勿論のこと、元村並びに附近官民の非常な御協力によりまして、迅速に運搬、納棺、安置をなし得た次第で、この点誠に感謝に堪えぬ次第であります。
 これより先、日本航空会社は、遭難の確報を得ると直ちにヘリコプターによつて関係者が現地に急行しますると同時に、東海汽船株式会社の菊丸を傭船いたしまして、御遺族を現地に輸送して、これらの遺族と共に翌十一日午後四時に遺骸を納めた霊枢を月島桟橋に陸揚げいたしまして、同所におきまして仮供養を行いました後、遺骸をお引渡ししたような次第でありまして、なお会社におきましては、来る十九日に合同慰霊祭を築地本願寺においてとり行いまして、敬弔の法要を嚴修することになつております。
 政府としましては、遭難機発見後直ちに現地に航空庁の係官を派遣いたしまして、現場の状態をありのまま保存せしめて、今後の調査検討に遺憾なきを期しておりまするが、事故の原因探究について、又独立後の運営に備え、迅速且つ的確な調査を行わしめるために、関係技術者、専門家などに依嘱しまして、航空事故調査会を運輸省に設けまして、本日その第一回の会議を正式に開くことになつておるのであります。この調査会は今後明確な結論を得るまで鋭意調査を進めまするが、事故の性質上、真相を明白にするには若干の時間を要するものと考えるのであります。
 現在におきましては、航空運送事業の運営に関しましては、昭和二十年十二月十八日の連合国最高司令官から発せられました日本人の航空活動禁止に関する覚書によりまして、日本人が直接航空機を所有し、整備し、又は運航することを禁止されておりますることは御承知の通りでありまするが、その後この覚書を前提として発せられました日本における国内航空事業の運営に関する覚書によりまして、日本航空株式会社は営業面のみを担当し、整備運航の実施面は、米国ノースウエスト航空会社と日本航空会社との間に締結した委託契約に基いて、ノースウエスト航空会社が極東空軍の監督の下に責任を以て行う形態をとつております。併しながら平和條約発効後は当然航空運送事業の運航についても自主的運営が期待されますので、政府は、その監督、特に事故防止については、諸般の万全の措置をとつて参りたいと考えておる次第であります。このため、先ずかねて準備中の航空法案を速かに国会に提出し、御審議を願うことにいたしたいと存じております。遭難者のみならず、遭難者の御近親の各位に対してはかえすかえすも誠にお気の毒に堪えない次第でありますが、この際できる限り手厚き敬弔慰藉の措置を講ずるよう会社側に指示をいたしております。
 終りに重ねて申上げますが、この度の悲惨事については全国民に深甚なる衝撃心痛を與えたことであり、又民間航空事業再発足半年にしてこの事故を見たことはかえすがえすも残念至極であり、運輸大臣としましては、遭難者の霊に対して哀悼の誠を捧ぐると同時に、この議場を通じまして国民各位に深甚なる遺憾の意を表する次第であります。又同時に、将来かかる不祥事を絶対に繰返さないよう監督の責務を果して、以て民間航空の健全なる進展を図つて行きたいと念願いたしておる次第であります。
 以上、事故の御報告を兼ねまして、一言御挨拶を申上げた次第であります。(拍手)
#5
○議長(佐藤尚武君) 只今の運輸大臣の発言に対し、質疑の通告がございます。小泉秀吉君。
   〔小泉秀吉君登壇、拍手〕
#6
○小泉秀吉君 私は日本社会党第二控室を代表いたしまして、只今の御報告に関連いたしましていささか政府に対して二、三の質問をいたしたいと存じます。
 去る九日の日航定期旅客機の遭難事故は、只今も申されました通り、我が民間航空史上未曾有の不祥事でありまして、誠に遺憾に堪えないところでございます。本員はここに国会議員の一人といたしまして、不幸遭難せられました犠牲者並びにその遺家族に対して深甚なる弔意を表するものでございます。
 由来航空交通による人命の損傷は、他の交通機関に比較いたしまして、その率は甚だ低いとせられておるのでありまするが、なお且つ起り得る事故を未然に防止するために万全であるかどうか、又その事故の発生が不可避である場合に、その犠牲を最小限度にとどめるために遺憾なき対策を講ぜられたかどうか、これは重大なる責任問題であると存じます。今回の不祥事の経過につきましては、只今運輸大臣の御報告がありましたのでございまするが、戰後相当時日の空白を持つておりました我が国におきましては、民間航空の復活と発展とを期すると共に、今回の犠牲をして無意義ならしめないためには、謙虚なる態度を以て不祥事の原因が如何にあるかを率直に究明し、万全の施策を講ぜられんことを切望せざるを得ないのであります。本員は、この意味におきまして、以下数点につきまして政府の説明と所信を質さんとするものでございます。
 第一は責任の所在についてでございます。本員が了承をいたしておるところによりますると、航空機の整備、その検査、乗員の技倆の認定、発着管制などの責任は、ノース・ウエスト会社又は極東空軍であつて、線路、航空回数についてのみ政府が責任を持ち、日航はただ乗客の取扱ばかりを支配しておるというようなことで、航空機との地上連絡すら日航には許されていないというようなこの状態が、国民から見ますれば、一体責任の所在はどこにあるのか、一つの航空機の動く場合に、その責任の所在が分散して極めて不明確であるというような感じがするのでございます。特に今回の事故の場合におきましては、捜索の権限も能力もないために一日遅れたというようなことを申す者もあるのでございまするが、若しもこの捜索事業がすぐに発足したならば、或いは僅か一人くらいでも助け得たのではないかというような感じもいたすのでございますが、こういう事件に際会しましたこの場合におきまして、ノース・ウエストに対する米国政府又は極東空軍の監督の実情並びに日航に対する政府の監督責任などにつきまして、政府の率直なる説明を承わりたいのであります。
 第二は、民間航空は軍事とは違つておることは勿論でありまするが、その安全航行が第一義でなくてはならないと信ずるのであります。講和條約発効後におきまして、航空事業に対する政府の責任体制は如何なる態様において確立しようとせられるのか、今までのスキヤツピンはどういうふうになるのか、行政協定はこれに関連があるならば、この点に関しても政府の折衝をされたる経過をこの際承わりたいと存ずるのであります。
 第三点は、今回の事故に対する大新聞共通の論点といたしまして、飛行機自体を問題の一つとして取上げておるようでございまするが、特に注目されるのは、果してそうであるとするならば、将来この買入れる飛行機の検査又は工場における航空機生産過程の検査、運航の監督というようなものは、航空の安全確保のためには、他の如何なる交通機関よりも更に一層不可分且つ一元的の責任行政を必要とするものと私どもは痛感するのでございまするが、伝えられるところによりますると、政府におきましては、将来航空事業の監督助成について責任を二つに分けようとしておるのではないか、而もこのことは、無責任ではあるが有力なる暗躍者の策動に影響されておるような風評も聞かれるのでありまするが、かようなことが若し事実であるとするならば、将来におきまして責任紛更の原因となつて、今回のごとき事故の素因を作るものでありまするが、航空事業の発達を阻害するのみならず、所管争いのために人命を余りにも粗末にするものではあるまいかと存ずる次第でございます。この点に関しては、私は特に総理大臣の所信と御見解を承わりたいのであります。
 第四点におきましては、日航のあり方についてでございます。多くの新聞紙上にその改善策が報ぜられておりまするが、特に今日のチヤーターレージの欠陷については、多くの識者の意見が一致しているようでございまするが、この際、民間に航空機運用の能力がないとするならば、国費を投じてこれを買收するとか、或いは補償をして行き、一種の補助会社とするような意思が政府にあるのかどうか。そうしてこの場合に、政府は当分経営についてその責任を分担し、その改善発達については一定期間駐留軍の協力を求める方策を考えてみるというような意思があるのかどうか。この辺についても政府の所信を承わりたいのであります。
 最後に、先刻運輸大臣が仰せになりました通り、今回の遭難を契機として、その原因を十分究明をして、講和発効後における日本の航空事業の発展のために、どうしてもこの原因の究明によつて万遺憾なき措置をとつて頂きたいと思いますので、さようの希望を申述べて私の質問を終る次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣村上義一君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(村上義一君) お答え申上げます。終戰直後のスキヤツピン三百一号によりまして、前刻申述べましたごとく、日本人は航空機の所有、運航、整備、研究等を禁ぜられているのでありまして、政府機関も連合軍当局から許された範囲内でしか航空に関する仕事ができない状態にあるのであります。(「責任の所在をはつきりせい」と呼ぶ者あり)その後、日本の航空会社が国内航空を経営することができるように相成りましたが、航空機の所有、運航は依然許されておらないのでありまして、現在はどうなつているかと言えば、アメリカのノース・ウエスト航空会社が前刻も申しました通り国内航空の運航整備の責任に任じているのでありまして、従いましてその飛行機の耐空性の証明でありますとか、又操縦士の免許などは、米国政府の民間航空局が行なつているということに相成ります。又航空路の指定でありますとか、又現実の航空交通の管制でありますとか、こういう事柄は占領軍の当局がこれに当つているという次第であるのであります。で、もとより日本航空会社の安全航行につきましては、日本政府としまして第一段の責任があると私は感じているのであります。併し内容を申しますと、只今申述べた通りであります。(「責任をとつてもらえ」と呼ぶものあり)航空保安に関する責任は一応只今申しました通り明確であり
 ます。(「責任者に責任をとつてもらえ」と呼ぶ者あり)且つそれぞれの機関は高度の技術水準を持つているものでありまするが、ただその機構が如何にも複雑であるということは事実であると思うのであります。講和発効後におきましては、日本側の手によつて、而も完全な責任体制を一元化したものとして運営して行くことは、絶対に必要であると思うのでありまして、目下これに関する法案を前刻も申述べましたごとく準備中であるのでありまして、且つ行政協定の航空分科会におきまして、これらを明確にするように協議を進めておるような次第であります。
 次に、米軍としましては、極東航空軍が航空保安施設の維持運用、又交通管制等に当つているのでありまするが、米国政府としましては、その民間航空局が米国の国際機について、飛行機の機体の検査であるとか、乗務員の免許、試験等を行うために、日本にもこの米国の民間航空局の駐在員が来ておるのでありまして、ただ国内航空機につきましても、この国内航空の飛行機や乗務員が米国の国籍であることなどの関係上、スキヤツプの委嘱によりまして、この駐在員が監督の任に当つておるという次第であるのであります。それで、去る土曜日にも、マニラに駐在しておりまする米国政府の民間航空局員が東京に急速参りまして、そうして、調査は日本政府に任しておるから、日本政府の調査会に極力援助せよというGHQからの指令を受けて、土曜日の日に航空庁に参つた次第であります。このミスター・プツシユに十分土曜日に説明をいたしました。昨、日曜日には、航空庁の関係技術員三名、又ノース・ウエストの社員二名、日航の社員四名、そして更に今回設立しました航空調査会の委員であります二名の工学博士に同行を願いまして、この一団は昨朝現地に急行したような次第であります。とにかくこの航空機や乗務員が米国の国籍にありまするが故に、米国としても十分な責任を感じ、そうしてこういう手配をとりつつある次第であります。ついでながら御了承願いたいと存じます。
 なお総理への御質問でありましたが、平和條約発効後の航空の保安の責任についてのお話がありました。政府といたしましては、平和條約の発効と同時に、国際民間航空條約の標準に従いまして、航空機の航行の安全を図るための方法を規定する航空法を施行したいと考えて、目下進行中であるのでありまして、これがため成るべく速かに前刻も申述べましたごとく航空法案を本国会に提出して御審議を煩わしたいと考えておる次第であります。で、この航空法実施の上は、日本政府が航空の保安に関する責任を完全に有することに相成ることは申すまでもないのであります。ただ安全保障條約に基きまして、日本に駐留する米国空軍の行動と、又それらが使用する飛行場、航空保安施設などにつきましては、目下行政協定の予備作業班におきまして、日米相互の協調並びにその調整につきまして交渉が続けられておる次第でありまするが、民間航空機は外国製のものもすべて我が国の航空法に従つて運航しなければならんということになることはもとよりであるのであります。
 なお日航の自主体制確立について政府の考えを御質問になつたと存じまするが、日本の航空会社が自主体制を確立するためには、飛行機も、又その乗務員も、関係の技術員も、日本が自前でやることが窮極の目標となるのでありまするが、そのためには、双発級で現に一機四五十万ドルを要するのであります。又四発級になりますると百万ドル前後という巨額を要する次第であります。で、これらの航空機を購入することであるとか、或いは乗務員の訓練につきましても、相当の費用がかかりますことは申上げるまでもありません。併し今日の犠牲を全く尊き犠牲としまして、これを無にせずに、更に勇猛心を振い起して、日本の民間航空を振興するために、政府としてもでき得るだけの援助を行う必要があると痛感いたしておる次第であります。今日でも操縦士その他技術員の養成のために、少額ではありまするが、三千万円の訓練のための補助費を先般御審議願いました予算に計上いたしておるのであります。勿論これは将来の技術員の養成所の双葉と申しまするか、基礎になるものであると考えておるのであります。なお、ガソリン消費税の免除であるとか……今日国会の協賛を得て実施しておるのでありまするが、併しながら更に更にこの民間航空の将来の発達をもたらすという、又安全第一主義に基いて完全な民間航空の健全発達をもたらすというためには、なおなお政府としても具体的な補助が必要であると思うのであります。或いは又、その検討の結果によりましては、この航空会社を特殊会社にするということが或いは結論付けられるかも知れぬと考えておる次第であります。目下その具体策を早急に研究中でありまして、議員の皆様方は勿論のこと、又この議場を通じまして国民各位の御理解と御支援とを要望してやまない次第であります。(拍手)
     ―――――・―――――
   〔椿繁夫君発言の許可を求む〕
#8
○議長(佐藤尚武君) 椿繁夫君。
#9
○椿繁夫君 私はこの際、破壊活動防止に名をかる政府の政策に関する緊急質問をするの動議を提出いたします。
#10
○岩間正男君 只今の椿君の動議に賛成いたします。
#11
○議長(佐藤尚武君) 椿君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。椿繁夫君。
   〔椿繁夫君登壇、拍手〕
#13
○椿繁夫君 私は、破壊活動防止法案の国会上程をめぐつて、産業界に労働界に大きな不安を與えておりますことに対し、二三、私の所見を述べ、政府の所信を質さんとするものであります。
 私は、一部論者の主張するように、去る十二日行われました労鬪を中心とするこの法案上程に対する反対抗議のストライキは政治ストであるという見解がございまするが、私は全く反対の立場に立つものでありまして、この罷業行為は、労働組合法の第二條に規定いたしております経済的な地位の向上を目的とする以外の目的を達成するための罷業行為であり、この行為は憲法第二十八條によつて保障される団体行動権の発動に基くものであるという見解に立つて、以下二三、政府の所信を質さんとするものであります。
 政府は労働組合代表に対して、この法案は労働組合を対象としていないとしばしば説明しております。この法案によりますると、「団体とは、特定の共同目的を達成するための多数人の継続的結合体又はその連合体を言う」と、こういうふうに明らかにいたしております。従つて、政府が過日労組代表に明示されましたところの、正常なる労働組合活動は本法の取締の対象にならないということを、一体どのように法案の中に示そうとしておらるるのであるか、承わりたい。
 更に吉武労働大臣にお伺いをいたしたいことは、労働組合法が近く改正案として本国会に上程されることが伝えられておる。これと前後して、ゼネラル・ストライキを禁止するところの目的を持つた法案の上程も伝えられておる。こういう場合に、労働組合が、自分たちの既得権、労働組合活動の権利を擁護するためにストライキをやつた場合、反対の、抗議の、政府の態度を改めることを要求するストライキをやつた場合、これを正常なる労働組合活動としてお認めになるや否や。更に、暴力主義的破壊活動とは、この法案の説明によりますると、内乱、騒擾、或いは殺人、強盗、放火などを刑罰の対象にいたしておるようでございまするが、私の浅い知識ではございますけれども、この種の犯罪は現行刑法によつて立派に取締ることができると固く信じております。(「その通り」と呼ぶ者あり)然るに、これほど大きな物議を醸し、再建途上の我が国の産業経済に大きな影響を與えるようなストライキがすでに敢行され、第二波が十八日に予定されるこの情勢にあるにかかわらず、現行刑法によつて十分取締りできると考えられるのにかかわらず、特別の立法措置をあえて政府がとろうとしておる真意について、法務総裁にお答えを願いたいと思うのであります。(拍手)更に、伝えられる法案を検討いたしますると、公安調査官というものができて、これが独自の見解によつて自由人に強制的な出頭を命ずることのできる規定を持つております。若しこの出頭の命令に応ぜざる場合、刑罰を以て臨むがごときことを記しておりまするが裁判所を経由しないで、自由人のそういう人権を拘束し、制約することができるという法律の内容は、明らかに刑事訴訟法を初め、現行法体系を私は乱るものではないかという心配を持つものでありますが、(「めちやくちやになる」と呼ぶ者あり、拍手)これに対する法務府の見解を明らかにせられたい。更に、メーデーの示威行進、或いは争議の戰術として止むを得ず行う場合のある生産管理のごときものを、この法律は違反事項として取締る内容を持つものであろうか。個々の問題について検討して見なければわからないと或いは法務総裁は言われるかも知れないが、私は、政府が、この法律は言論、集会、出版、結社の自由は抑圧しない、正常なる労働組合運動を取締の対象にするものではないと、どんなに言明をせられましても、思い起しまするのは、大正十五年に制定されました暴力行為取締法の存在であります。この法律は、労働運動や農民運動、水平社運動を取締るものではないことを、しばしば時の政府は言明をいたしております。ただ暴力団を取締るのだと言つております。このことを、当時の帝国議会も附帯決議として、この法の執行に万全の注意を與えておるにかかわりませず、この暴力行為取締法が正常なる労働組合活動を取締る法律となり、又大衆的な合法的な示威運動を取締る悪法となつて現に存在いたしておることを忘るることができないのであります。更に、現在では若干改正は見ておりますけれども、行政執行法というのがあつて、その第一條では、住所不定の浮浪人を保護したり、或いは泥酔漢に保護を加えることだけを規定しておるにかかわりませず、立派な住所を持つておる椿繁夫が住所不定として拘禁をされたり、この調子で参りますならば、木村篤太郎が泥酔前後不覚の徒として取締られたかも知れないのであります。(「その通りだその通りだ」と呼ぶ者あり)そういう法律が現に残存しておりまする上に、かくのごとき悪法を重ねて上程しようとされる政府の真意の了解に私は苦しむのであります。いろいろ政府は労働団体の代表に集まりを求めて説明をされておりまするが、私は、かくのごとき法律が若し上程され施行されることになりまするならば、我が国のごとき、自由主義の試練に浅く、民主主義の訓練に乏しいこの国における行政官、司法官が、若しこの法律の執行を委任されるということになりますならば、それこそ恐るべき特高警察の復活をもたらすものであり、警察政治を再現するものとして、ここに断ぜざるを得ないのであります。(拍手)どうか政府は、かくのごときいろいろな誤解を生む、而も考えようによつては気違いに刃物を持たせたように、悪用濫用される危險性のある法律を……再建独立の誠に大切なこのときに、世界各国は日本の吉田内閣の政策に重大な関心を向けております。いろいろ民主的な労働組合の反対を押切つて、民主化への逆コースをとりつつあるのではないかという、大きな、世界は疑惑の目を以て見ることになることを私は恐れます。そういう意味から、速かに、かくのごとき法案を撤回し、以て当面しておりますところの労働不安、産業不安を一掃されることを衷心から希望いたし、それぞれ所管大臣の懇切なる答弁をお願いする次第であります。(拍手)
   〔国務大臣吉武惠市君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(吉武惠市君) 椿さんのお尋ねにお答えいたします。今回の労鬪の抗議ストは政治ストではないか、どうかというお尋ねでございますが、憲法二十八條の保障いたしまする争議権は、御承知のごとく、労働者の労働條件の維持向上、経済的地位の向上のためにのみ許されておるものであります。今回のごとき法案に対しましては、これは国会において、国民の代表である国会が審議すべきものであり、(「その通り」「内容が問題だ」と呼ぶ者あり)これをいわゆる争議権によつて曲げるということは、今日の民主主義政治においては許されるものではないと存じます。(「その通り」と呼ぶ者あり)なお、今後、労働法等においても抗議ストが起るかも知れないが、それも同様な見解を持つかという意味の御質問でありますが、同様でございます。(拍手、「何を言つておるか」「こんな法律を作つて経済的向上なんかあるか」「三文答弁だ」「黙つて聞け」と呼ぶ者あり)
   〔国務大臣木村篤太郎君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(木村篤太郎君) お答えいたします。このたび政府が提案いたさんとしておりまする破壊活動防止法案なるものは、団体組織によつて行われる暴力による国家社会の破壊的活動を防止せんとすることを專ら目的とするものであるのであります。而してその取締の対象とするいわゆる暴力的破壊活動とは、内乱を初め、政治上の目的を以てする騒擾とか、放火とか、殺人とかいう、最も悪質な犯罪行為を明確に規定しておるのであります。このような暴力主義的破壊活動は、いずれも国家社会にとりまして危險中の危險な行為ばかりでありますから、現在我が国における労働組合が、その活動としてかような行為を行い得るものとは我々は断じて考えないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)即ちこの法案の目的とするところは、国家社会を危險に陷れるというような破壊的活動を目的とする団体それ自体を規制して行こうというのであります。今、椿議員から、そういうような反乱とか、騒擾とか、殺人というのは、刑法に規定しておるから、それで縛れるじやないかという御議論であります。(「その通り」と呼ぶ者あり)それは個人がさような行為をした場合には勿論刑法で取締れる。団体がしようとするものを何で刑法で取締れまするか。刑法で取締ることはできないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)そこで政府は止むを得ずかような危險中の危險な行為を目的とするような団体を規制して行こうというのであります。全然見当違いであるということを申上げたいのであります。(拍手)そこで、政府といたしましては、このような、併し法案を作るにいたしましても、できるだけ民主的な方法を以て行きたい。これは我々は十分考慮を拂つておるのであります。即ち破壊活動防止法の運用につきましては、破壊的団体に対する規制処分のために必要な調査及び処分の請求を行う機関とその審査を決定する機関とを全然分離いたしまして、権力の集中を避けると共に、調査機関が規制の請求を行う場合には、あらかじめ当事者の意思と意見との弁解を聞くことにいたしております。又決定機関が民間の労働組合その他国会の代表的人物を委員に選定いたしまして、何人の指揮をも受けず、独立してこれを行うようにいたしておるのであります。即ち法の運営にいたしましても、全然独立した委員を以てこれをやらせる。即ち極めて民主的にこれを運営して行くというのであります。かかるが故に、かような法案に対して反対されるかたは、私はその……(「はつきり言え」と呼ぶ者あり)意思を汲み取るに苦しむのであります。政府といたしましては、この講和條約発効後の治安に対処いたしまして、是非ともこの法案の通過を図りたいと考えておるのであります。(拍手)
     ―――――・―――――
   〔兼岩傳一君発言の許可を求む〕
#16
○議長(佐藤尚武君) 兼岩傳一君。
#17
○兼岩傳一君 私はこの際ゼネスト彈圧に関する緊急質問の動議を提出いたします。
#18
○椿繁夫君 只今の兼岩君の動議に賛成いたします。
#19
○議長(佐藤尚武君) 兼岩君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#20
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。兼岩傳一君。
   〔兼岩傳一君登壇、拍手〕
#21
○兼岩傳一君 私は日本共産党を代表しまして、先ず第一に吉田総理大臣に質したい。(「いないよ」と呼ぶ者あり)政府は法案の名称を破壊活動防止と名付けておる。然らば破壊とは何か。破壊活動の最大なるものはまさに戰争ではないか。(「そうだそうだ」「これ以上の破壊があるか」と呼ぶ者あり)政府はその戰争を準備するため、すでに行政協定によつて具体的に着々とアメリカのアジア━━の戰争政策に協力しておることは全国民の知つておるところである。(「その通り」と呼ぶ者あり)そのために、国会においても、先ほどの予算のときには説明をいろいろとごまかして通つたが、併しながら今や警察予備隊を秋までに十八万にしなければならないところに追い詰められておるということは、避けるべからざる情勢ではないか。(「そうだ、その通りだ」と呼ぶ者あり、笑声)即ち吉田政府の、このようにして戰争へ戰争へと日本国民を導いて行く、この政策に対して、国民は、例えばB二九が一つ落ちて来た場合においても、その破壊が如何に大きいかを知つておる。第二次大戰における日本の受けた破壊活動を申すまでもありません。従つて、破壊活動防止法案なるものは、実は国民に何一つ不平を言うことを許さないで、アメリカの言うなりになつて、すべての日本人を戰争準備に協力させ、あらゆる国土をアメリカの軍事基地に提供し、壯丁を徴兵し、これを戰争に引摺り込むこの一連の吉田政府の暴力的な破壊的な政策、これらの集中的な表現が破壊活動防止法案であることは、今や全く明らかであります。(「でたらめ言うな」「まじめに聞け」と呼ぶ者あり)この暴政に対し、国民の戰争反対、平和擁護の運動、これこそが日本の独立と自由を守る平和的な建設的な民族運動である。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)若し真に政府が日本の国土と人民の破壊を防止せんとするならば、顔を洗つて出直してもらつて、(笑声)戰争防止法案を提出すべきであると思うが、(「その通りだ」と呼ぶ者あり、拍手)吉田総理大臣の見解はどうか。戰争防止法案を出さずして真に日本の破壊を防ぐことはできないと考えるが、博識なる木村法務総裁の見解はどうか。(「答弁々々」「答弁無用だ」と呼ぶ者あり)
 第二の問題はストライキの問題である。木村法務総裁は、今回のストライキは政治的ストライキであつて非合法であるということを記者団の会見において述べている。併しこれは、一九四六年の極東委員会決定の労働十六原則第六條、労働組合は政治活動に参加し、又政党支持を許されるとあるこの第六條、又第十三條、警察その他の政府諸機関が、労働者がストライキをすることをスパイし、又は正当な労働組合活動を抑圧することを得ないと、はつきりと真向から吉田政府のやつていることをあらかじめ知つてでもいるかのごとくこれを禁止している。(「そうだそうだ」「正当な場合だけだ」と呼ぶ者あり)日本国憲法第二十八條は、労働者の団結権、団体交渉権その他の団体行動の権利を保障しておる。これらの国際的協定及び日本国憲法に今回の破壊活動防止法案は真向からこれに牴触するのみならず、これを蹂躪するものと考えるが、木村法務総裁の見解はどうか。これに対して明快な回答を求めるものである。
 第三に吉武労働大臣に質したい。政府は今次ゼネストに関し、総評幹部その他と数次に亘り、公然或いは非公然、(笑声)こそこそと会談し、特に十二日のゼネストを前にした十日の深更、築地の某料亭においてひそかに会談し、法案の修正をほのめかし、ゼネスト切崩しを策したと伝えられておる。かかる行為は労働組合運動に対する最も憎むべき干渉である。(「卑劣だ」と呼ぶ者あり)労働法においてもこれを不当労働行為として固く禁止しているではないか。いやしくも一国の政権担当者が主張を掲げて、よかれ悪しかれ堂々とその主張を掲げて対決するのでなくて、何らの理論と何らの歴史的な信念がなくて、暮夜ひそかに料亭などに会合して、買收と(「読み違いだろう」と呼ぶ者あり)懐柔によつてその非を遂げようとするがごときことは、憐れむべき行為であると同時に憎むべき行為であり、これは政治と国民を堕落させるものであると言わなければならない。これに対して労働大臣の責任ある答弁を要求する。(「答弁々々」と呼ぶ者あり、笑声)この点について恐らく労働大臣はごまかすかも知れない。併し全労働者大衆は労働大臣並びにその関係部下がどこで誰と何をやつたかを知つている。だから、包み隠さず、腹をきめて、ここで明確に答弁されんことを求めるものであります。(拍手、笑声、「歴史的答弁」と呼ぶ者あり)
   〔国務大臣木村篤太郎君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(木村篤太郎君) 兼岩君にお答えいたします。
 兼岩君も御承知の通り、我が国内においては、現に平和に名をかつて国家社会の治安秩序を破壊しようと企てておる暴力主義的団体があるのであります。さような団体を規制する必要のために本法案を我々は提出せんとしておるのであります。(「その通りだ」「了承」と呼ぶ者あり)政治思想云々の問題は、これは労働組合法及び労働関係調整法を読めば極めて明瞭であると思います。労働関係調整法第六條には、労働争議とは、労働関係当事者間において、労働関係について意見の不一致があつたときに初めて争議権を行使することになつておるのであります。その以外に政府を相手にそういう争議をするということは、いわゆる労働法規において許されない、又保護を受けない私は一つの行為であると、こう考えておるのであります。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)
   〔国務大臣吉武惠市君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(吉武惠市君) 兼岩君の御質問にお答えをいたします。
 私が十日に労働組合の幹部とどこかで会つたというお尋ねでございますが、断じてございません。私は組合の幹部には、今回の暴力主義的破壊活動防止法案は、今木村法務総裁がお答えになりましたごとく、内乱、騒擾、殺人、放火、汽車の顛覆、かくのごとき明らかなる暴力を防止しようとする法律である。現在の労働組合がかくのごとき暴力をあえてしようとは私どもは
 少しも考えておりません。(「戰争はどうだ」と呼ぶ者あり)従つてこれは誤解に基くものである。そこで、四月の五日、木村法務総裁に来て頂きまして、幹部を呼んで木村法務総裁の真意をよく伝えて、誤解のないように、そうして今回のストライキのごときものは自重されるようにと言つて、誠意を盡してお話をしたのであります。なお最後に十一日の夜半、再度組合の幹部に来て頂きまして、そうして、政府はそういう意図が全然ないばかりでなく、なお誤解の点があれば修正してでもその点を明らかにするから自重をされたいと、再度私は幹部に会いました以外は会つておりません。(「よろしい」と呼ぶ者あり、拍手)
#24
○議長(佐藤尚武君) 内閣総理大臣の答弁は他日に留保されました。
   〔兼岩傳一君発言の許可を求む〕
#25
○議長(佐藤尚武君) 兼岩君、何ですか。
#26
○兼岩傳一君 再質問を許して頂きたい。
#27
○議長(佐藤尚武君) 時間が残つておりまするからして再質問を許可いたします。兼岩傳一君。
   〔「必要なし」「まじめにやれ」と呼ぶ者あり〕
   〔兼岩傳一君登壇、拍手〕
#28
○兼岩傳一君 まじめに聞いてもらいたいと思う。私は、只今木村法務総裁の答弁は全然答弁になつていないと思います。
   〔「ノーノー」と呼ぶ者あり〕
私が質問したのは、(「質問になつていやしないよ」と呼ぶ者あり)破壊活動を防止する、本当に日本の国土と日本の国民の破壊を防止せんとするならば、それは日本の平和と独立を飽くまで守つて、日本をもう一度戰争に巻き込ませることを防止すること、即ち戰争防止の法案を出し、戰争防止の線に従つてあらゆる政府の政策を動かして行く以外に、日本の国土と日本の国民の破壊を防ぐ方法はあり得ないのではないかということをお尋ねしたのに対して、これに対して法務総裁は、平和に名をかりて云々という極めて高蹈的な答弁があつたのみであります。この点を明快に、あなたの口の先でなくて、信念のある答弁を求める次第であります。
 それから第二に、木村法務総裁は労働法を引用されましたが、私の尋ねておるのは、政府は一九四六年の極東委員会の労働原則をなぜ蹂躪するのかということが一点。第二に、憲法二十八條に保障されておる労働者の団結権、団体交渉権、団体行動の諸権利を、他の法律によつて蹂躪することは許されないのではないかという、この極東十六原則の問題と、日本国憲法の問題を質したのに対して、労働法を引用しておられる。これは全く答弁にならないのであります。この二点について私は明快なる再答弁を求めるものであります。(「答弁無用」「何が無用だ」「もつと勉強して来い」と呼ぶ者あり、拍手)
   〔国務大臣木村篤太郎君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(木村篤太郎君) お答えいたします。
 日本の目下の一番肝腎なことは治安を如何に確保すべきかということであります。先ず以て内地の治安を確保しなければならん。内地の治安を確保するのには、(「戰争はどうだ」と呼ぶ者あり)私が先ほど来申上げました通り、いわゆる国内の治安秩序を破壊せんとする暴力団体を先ず規制して行かなければならん。これが本法案を提出する第一の理由であります。(「戰争はどうだ」と呼ぶ者あり)戰争については、さようなことの起らないようにしようと苦心しておるのであります。何よりも先ず内地の治安が必要であるということから本法案を提出せんとしておるのであります。
 又労働争議につきましては、成るほど憲法では原則的に規定しておりまするが、これは原則的の規定に過ぎないのであつて、その憲法に基いて各種の法案が作られておる。そうして、その憲法に基いて作られたる労働法規において、労働争議に関する定義というものは、はつきりきめておるのであります。決して我々は労働者の団結権とか交渉権とかは否認するものではないので、ただただ、労働争議というものは如何なるものであるかということを労働法規によつて極めて明確に規定され、その線に従つて我々は解釈するのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)
   〔兼岩傳一君発言の許可を求む〕
#30
○議長(佐藤尚武君) 兼岩傳一君、何ですか。
#31
○兼岩傳一君 もう一度質問したいと思います。
#32
○議長(佐藤尚武君) 再質問を許します。兼岩傳一君。
   〔兼岩傳一君登壇〕
#33
○兼岩傳一君 木村法務総裁の答弁は全く顧みて他を言う類であります。国内の治安を維持するためと称して、国民の平和運動を彈圧することによつて、あらゆる国民運動の最も中核的な労働運動を彈圧することによつて戰争へと推し進めておるこの政策は、全く国土と国民を破壊するものである。(「その通り」と呼ぶ者あり)若しそうでないとするならば、如何にして……法務総裁はまじめな答弁であるとするならば、いわゆる総裁の言う国内の治安を維持するため現在の吉田政府の行動が何故に戰争を防止することに役立つかを明快に説明しなければならない。(見解の相違」と呼ぶ者あり)これを私は要求する。それから第二の問題として、原則であると言つて述べておるけれども、この一九四六年の極東委員会の労働十六原則は、さような一片の原則を以て逃げらるべきものでないことは、将来の世界歴史が示すであろう。日本国憲法又然り。憲法改正をして上のことであるならばともかくも、憲法に牴触するような法律を施行することは許されないということは、あえて木村法務総裁の専門的知識を待つまでもなく明々白々である。従つて木村法務総裁は法務総裁の名において、何故に極東十六原則を蹂躪してよろしいか、何故に日本国憲法二十八條の労働者の諸権利を保障しないでよろしいかを明快に説明すべきである。私はこれを要求する。(「極東委員会のことを説明する必要なし」と呼ぶ者あり、拍手)
   〔国務大臣木村篤太郎君登壇、拍手)
#34
○国務大臣(木村篤太郎君) 繰越して申上げます(「親切過ぎるよ」と呼ぶ者あり)労働団結権、団体交渉権というものは、決してこれを否定するものではないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)十分にそれを認めておるのであります。ただ労働争議が如何なるときにその権利を行使し得るかということについては、法律で以て立派に労働争議についての定義は下してあつて、それは労働関係調整法第六條であります。これによつて、如何なる場合に労働争議が発生するか、いわゆる労働組合において争議権を行使し得るかということが規定されておるのであります。そのときの六條の解釈問題に帰着するのである。(「憲法破壊の虞れあり」と呼ぶ者あり)憲法においては労働交渉権、団体交渉権、団結権は認めております。(「許されてない」と呼ぶ者あり)それはやはり労働組合法においても認めております。ただ労働争議権は労働関係調整法において認めている
 わけなのであります。(「戰争々々」「わかつた」と呼ぶ者あり)戰争は、国内治安上戰争は我々はどこまでも防止して行かなければならん。これは国民と共に戰争は防止して行くということは当然であります。それよりも前に、我々は国内の治安を如何にして維持して行くかということについて苦心をしているのであります。それは国民も御同感であろうと私は信じているのであります。
     ―――――・―――――
#35
○議長(佐藤尚武君) 日程第一より第十までの請願及び日程第十一の陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#36
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。建設委員長廣瀬與兵衞君。
   〔廣瀬與兵衞君登壇、拍手〕
#37
○廣瀬與兵衞君 只今議題となりました日程第一より第十までの請願十件及び日程第十一の陳情につきまして、建設委員会の審査の経過並びに結果を御報告申上げます。これらの請願陳情は、河川の改修及び同工事費国庫補助増額に関するもの七件、住宅建設促進及び建築法令に関するもの三件、ダム建設に伴う損害補償に関するもの一件でありまして、いずれも、国土の保全、開発、住宅の復興、民生の安定のため、願意おおむね妥当なものと認めて、これを採択し、内閣に送付すべきものと決定いたしました。なお日程第六の公営住宅建設促進に関する請願、日程第十一の住宅復興に関する陳情につきましては、願意のうち実行困難と思われる部分も含まれておりますが、根本の趣旨が住宅建設の促進にありますので、現在の住宅不足の実情に鑑みまして、この際、政府の最善の努力を要望し、本件を採択し、内閣に送付すべきものと決定いたしました。右御報告申上げます。(拍手)
#38
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#39
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。本日の議事日程はこれにて終了いたしました。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十五分散会
     ―――――・―――――
○本日の会議に付した事件
 一、航空事故に関する運輸大臣の報告
 一、破壊活動防止に名をかる政府の政策に関する緊急質問
 一、ゼネスト弾圧に関する緊急質問
 一、日程第一乃至第十の請願
 一、日程第十一の陳情
ソース: 国立国会図書館
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