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1951/04/25 第13回国会 参議院 参議院会議録情報 第013回国会 本会議 第33号
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1951/04/25 第13回国会 参議院

参議院会議録情報 第013回国会 本会議 第33号

#1
第013回国会 本会議 第33号
昭和二十七年四月二十五日(金曜日)
   午前十時五十三分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第三十二号
  昭和二十七年四月二十五日
   午前十時開議
 第一 気象業務法案(内閣提出)(委員長報告)
 第二 中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第三 特許法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第四 平和條約第十一條による刑の執行及び赦免等に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第五 平和條約の実施に伴う民事判決の再審査等に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第六 平和條約の実施に伴う刑事判決の再審査等に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第七 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定に伴う民事特別法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第八 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う電信電話料金法等の特例に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第九 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う電波法の特例に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第一〇 昭和二十五年度一般会計予備費使用総調書(その二)(衆議院送付)(委員長報告)
 第一一 昭和二十五年度特別会計予備費使用総調書(その二)(衆議院送付)(委員長報告)
 第一二 昭和二十五年度特別会計予算総則第六條並びに昭和二十五年度特別会計予算補正(特第一号)総則第四條に基く使用総調書(衆議院送付)(委員長報告)
 第一三 昭和二十六年度一般会計予備費使用総調書(その一)(衆議院送付)(委員長報告)
 第一四 昭和二十六年度特別会計予備費使用総調書(その一)(衆議院送付)(委員長報告)
 第一五 昭和二十六年度特別会計予算総則第七條に基く使用総調書(衆議院送付)(委員長報告)
 第一六 株式会社日本機関紙印刷所輪転機封印解除に関する請願(委員長報告)
 第一七 戰犯者の釈放に関する請願(三件)(委員長報告)
 第一八 戰犯者の釈放等に関する請願(二件)(委員長報告)
 第一九 全戰犯拘禁者の釈放に関する陳情(委員長報告)
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(佐藤尚武君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。
 この際、日程に追加して、国会法第三十九條但書の規定による国会の議決に関する件(広島地方専売公社調停委員会委員)を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。去る二十一日、内閣総理大臣から、広島地方專売公社調停委員会委員に衆議院議員中原健次君を委嘱することについて、本院の議決を求めて参りました。衆議院議員中原健次君が広島地方專売公社調停委員会委員に就くことに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#5
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本件は全会一致を以て中原健次君が広島地方専売公社調停委員会委員に就くことができると決せられました。
     ―――――・―――――
#6
○議長(佐藤尚武君) 日程第一、気象業務法案(内閣提出)を議題といたします。
 先ず委員長の報告を求めます。運輸委員長山縣勝見君。
   〔山縣勝見君登壇、拍手〕
#7
○山縣勝見君 只今議題となりました気象業務法案につきまして、運輸委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。
 我が国は世界有数の天災国でありまするので、災害の防止及び軽減を図りまして、更に進んで国土開発に資するためには、現在殆んどよるべき基準法なくして行われておりまする気象業務の運営に法的秩序を與えますることが緊要と思われるのであります。なお又我が国は、平和條約に関する宣言において、條約発効後六ヵ月以内に世界気象機関條約に参加の承認を申請する意思を有することを宣言いたしておりますので、加入後に備えまして気象業務に関する基本制度を確立しておくことが必要であると考えられるのでありまして、本法案はかかる事情に鑑みまして提案されたものであります。
 次に本法案の主なる点につきまして申上げますと、その第一は、中央気象台以外のものの行う気象観測に技術上の基準を設定することであります。即ち中央気象台以外の気象観測機関は五千八百ヵ所を超えるのでありますが、これらの行う観測方法に統一性を與えまして、観測の成果を総合的に役立たしめようとする趣旨でありまして、この実施には五ヵ年間の猶予期間が規定されております。第二は、国民に対する気象警報伝達経路を確立していることであります。即ち、中央気象台は警報事項を電通省、海上保安庁、航空庁、NHKに通知いたしまして、それらの機関を通じ、市町村長、公衆、船舶、航空機に周知せしめんとするものであります。第三は、予報業務を一般的には中央気象台の任務といたしますと共に、中央気象台以外のものにつきましては予報の国民に與える影響に鑑みましてこれを許可制といたしていることであります。第四は、警報を中央気象台の任務といたしますと共に、公安上の見地よりいたしまして中央気象台以外のものによる警報を禁止していることであります。第五は、予報及び警報の標識を混乱防止のために統一いたしていることであります。第六は、気象測器の検定について規定いたしていることであります。これは依頼によつて中央気象台が行うのでありますが、技術上の基準により気象観測を行わねばならないもの、一定の船舶、及び予報業務の許可を受けたものが用いる気象測器につきましては、検定を義務ずけておりますが、現に使用中の気象測器につきましては五ヵ年間の使用が認められておるのであります。なお計量器の検定につきましては、すでに計量法が施行されているのでありまするが、気象測器は特殊の構造を持つておりまする関係もあり、その検定には特殊の技術と施設とを要すること等の理由によりまして、更に本法案にも規定を設けているのでありますが、計量法による検定との重複を避けまするため、計量法におきましても又本法案におきましても調整措置が講ぜられておるのであります。以上が本決案の主なる内容であります。
 次に水渋案に関する主たる質疑について申上げますと、一委員より、「本決案の実施に伴い気象業務の充実強化を図るため、定員を増加し、その施設を増強する必要があると認められるが、政府の所見如何」との質疑があつたのであります。これに対して政府委員より、「今後できるだけ定員、施設の増強に努め、気象業務の充実を図りたい」との答弁があつたのであります。なお又一委員より、「本法案が法律として施行されるに伴い、運輸省設置法改正の要はないか」との質疑に対しましては、政府委員より、「運輸省設置法についての必要な改正は行政機構改革に伴う改正に織込んで措置するごとく準備中である」との答弁がありました。又一委員より、「中央気象台は現在運輸省の一附属機関であるが、気象業務強化の見地よりこれを昇格せしめて外局にする考えがあるか」との質疑に対しましては、政府委員より、「外局に昇格させることは適当な措置と考える」との答弁があつたのであります。
 かくて質疑を打切りまして、討論に入りましたるところ、一委員より、中央気象台は、従来技術者の処遇、定員の問題について謙虚に過ぎたきらいがあつたが、これらの点の改善を図り、気象業務の充実を図られたいとの希望意見を附して、賛成意見が述べられたのであります。次いで採決に入りましたるところ、本法案は原案通り可決すべきものと全会一致を以て決定いたしたのであります。
 以上御報告を申上げます。(拍手)
#8
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#9
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。
     ―――――・―――――
#10
○議長(佐藤尚武君) 日程第二、中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案、日程第三、特許法の一部を改正する法律案、(いずれも内閣提出、衆議院送付)以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。通商産業委員長竹中七郎君。
   〔竹中七郎君登壇、拍手〕
#12
○竹中七郎君 只今議題となりました二法案につきまして、先ず第一に中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案につき、通商産業委員会におきまする審議の経過と結果を御報告いたします。
 中小企業等協同組合法は、御承知の通り昭和二十四年五月に制定せられまして、その後一回ほど改正を見ましたが、なお、その後の経験と最近の実情に照らしまして更に組合の組織と運営の合理化を期するために、若干の改正を加える必要を生じまして、ここに本改正案の提出を見た次第であります。
 本改正法案の骨子は左の五点でありまして、第一点として、組合員たる業者の規模を引上げること、即ち工業面で従業員が常時百人となつておりましたのを三百人に引上げ、又商業面で同じく三十人となつておりましたのを三十人に引上げております。第二点として、広地域に亘る連合会の事業に関する制限を廃止していること。第三点として、定数の三分の一を限度として、組合員でない理事、いわゆる員外理事の選任を認めていること。第四点として、総代会の権限を拡充して、大規模な組合の運営を容易にしていること。第五点として、行政庁の監督を強化していることであります。
 本委員会におきましては、業界代表などの意見をも聽取して、愼重審議いたしましたが、質疑の主なるものとしては、「商業面の組合員の資格を従業員三十人以下に限定するのは、工業面の三百人に比べて緩和の仕方が不均衡ではないか」との問に対しまして、政府側より、「一応このくらいで妥当と思うが、将来考慮したい」との答弁がありました。「行政庁の権限強化はむしろ行き過ぎではないか」との間に対しまして、「組合法の精神にそぐわぬ向きを是正しめる根拠が必要である」との答弁がありました。又、「組合員の預金受入を兼営し得ることは宿望であり、事業協同組合を育成する重要なる方策であるが、何故に認められなかつたか」との問に対しまして、「兼営の危險性や資金の効率などの理由から政府部内の意見が一致しなかつた」との答弁がありました。
 かくて質疑を終り、討論に入りましたるところ、境野委員より、商業面の組合員資格の規模を引上げること、及び組合の預金業務兼営を探り上げることを希望條件としまして賛成、次に栗山委員より、中小企業庁を廃止せぬこと、優秀な中小企業に特段の金融措置を講ずること、及び海外市場の積極的開拓を要望して賛成、又、結城委員より、公共性の強い組合指導者の育成を要望せられまして賛成されました。古池委員よりも大体同様なる趣旨の要望がありまして賛成を述べられました。次いで採決に入りましたが、全会一致を以ちまして本改正法案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。次に特許法の一部を改正する法律案につきまして、通商産業委員会におきまする審議の経過並びに結果を御報告いたします。
 今般、平和條約の発効に伴いまして本改正が必要となつたのでありまして、本法案の骨子は大体三つに分けることができると思うのであります。第一の点は、従来我が国におきまして特許権等を享有できる外国人は、我が国に住所若しくは営業所を持つている者、並びにその他特定の者に限られたのでありまして、その他の外国人に対しましては一切特許権等の享有を認めておらなかつたのであります。ところが、今回の平和條約によりまして、連合国の中で我が国民に特許権等について内国民待遇を與えている国の国民につきましては、我が国も同様に内国民待遇を與えることになつているので、これを特許法の中に規定しようというのであります。第二点は、今回の平和條約に参加していない国におきましても、すでに我が国の国民に対しまして無條件に又は相互主義により特許権等の享有について内国民待遇を與えることとしている国が多い現状でありますので、これらの諸国につきましても、前記連合国と同様に相互主義の原則に基いて特許権等を享有できるようにいたしたいということであります。第三点は附則の改正でありますが、今回の平和條約発効と同時に、我が国は国際民間航空條約加入前といえどもその航空條約の規定を実施することになつておりますので、この條約国の航空機、その部品等が、特許権等の侵害の理由で差押その他の請求を受けることがないように、特許権等の効力を除外することとするのであります。この措置は、我が国が国際民間航空條約に加入するまでの臨時的なもので、條約加入後は現行特許法により同條約が適用されることになつております。以上が改正される点であります。
 本委員会においては、本法律案を愼重審議の上、討論を省略し、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定した次第であります。
 右御報告いたします。(拍手)
#13
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#14
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて両案は全会一致を以つて可決せられました。
     ―――――・―――――
#15
○議長(佐藤尚武君) 日程第四、平和條約第十一條による刑の執行及び赦免等に関する法律案、日程第五、平和條約の実施に伴う民事判決の再審査等に関する法律案、日程第六、平和條約の実施に伴う刑事判決の再審査等に関する法律案、日程第七、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定に伴う民事特別法案、(いずれも内閣提出、衆議院送付)以上四案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#16
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。法務委員長小野義夫君。
   〔小野義夫君登壇、拍手〕
#17
○小野義夫君 只今上程されました平和條約第十一條による刑の執行及び赦免等に関する法律案について、委員会における審議の経過とその結果を御報告いたします。
 本法案は、平和條約第十一條により、日本政府がいわゆる戰犯者の刑を執行することになつたのにつきまして、これを実施するために、刑の執行、仮出所、一時出所、赦免及び刑の軽減について、大体現在巣鴨プリズンにおいて行われているところに則つて諸般の規定をするものであります。平和條約第十一條のようなことが戰争終了後も実施されますことは、大袈裟に申上げますと有史以来のことでありまして、いわゆる戰犯者にとりましては勿論、国民全体にとりましても極めて重大なる事柄であるのであります。さような点に鑑み、委員会は別に戰争犯罪人に対する法的処置に関する小委員会を設けて、本案をこれに付託した次第であります。小委員会におきましては非常に熱心に且つ愼重に審議をなし、回を重ねること八回に及んだのであります。その間、伊藤、羽仁、吉田の各委員その他より、本案にいわゆる刑の意義、巣鴨刑務所なる名称の不適正、死刑の言渡しを受けて現在比島に收容されている者を受入れるについての用意、仮釈放、赦免、刑の軽減について連合国に勧告をなすまでの手続、特に勧告を相当とする基準、未決通算及び赦免、刑の軽減についていわゆる一般勧告の可能性等を主なる問題点として、殆んど全法案につきまして熱心な質疑が行われました。又巣鴨プリズンを出所した元法務官、国際法学者及び復員局事務官等を参考人として、法案に対する意見を聽取したのであります。かように審議を盡しました結果、次の四点について修正の意見が蓬頭した次第であります。即ち第一に、刑の本質が明確を欠くので、前文又は第二條においてこれを明確にすること、第二に、死刑の言渡しを受けて比島に收容されている者の送還を受けた場合の手続規定を明定すること、第三に、赦免及び刑の軽減については、個別審理のほか、大赦的性質を持ついわゆる一般勧告ができる旨を明確にすること、第四に、巣鴨刑務所なる名称を刑務所以外の適当な名称に修正することの四点であります。
 而して第一点につきましては、政府の説明によりて一応了解ができること、第二点につきましては、本法の第五條で処理ができるとする政府の説明は、理論上は了承することができないが、戰犯の裁判をした相手国の感情や従来の交渉の経緯に徴して、本法に明文を設けることが必ずしも利益でないということが窺われること、又第三点につきましては、本法第三十條第二項により、いわゆる一般勧告も可能であるとする政府の説明に必ずしも承認できないが、第二点と同様、従来の交渉の経緯に徴しまして、本法中に明文を設けることが必ずしも利益でないということが窺われると共に、本法第三十條第二項に相応する政令及び規則にその趣旨を明定することにより目的が達せられること、又第四点については、通称を使用することによつて国民感情に副うことができること、これらの理由によりまして、いずれも修正の必要がないとの意見が伊藤委員より開陳されたのであります。
 以上述べましたように十分審議を盡しました後、本法案の結論について原案通り異議がないものと決定いたした次第であります。かような次第で小委員会は審議を終りましたので、委員会におきましては、岡部小委員長より委員会の審議の経過及び結果について、前に述べました通りの趣旨の報告がありました。委員会は直ちに採決に入りましたところ、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定した次第であります。
 次に、只今上程の平和條約の実施に伴う民事判決の再審査等に関する法律案及び平和條約の実施に伴う刑事判決の再審査等に関する法律案の両案につきまして、委員会の審議の経過及び結果を御報告いたします。
 先ず民事判決の再審査等に関する法律案は、平和條約第十七條(b)項の裁判の再審査に関する規定のうち民事判決に関する部分及び議定書C2項の規定の実施に必要なる措置を講ずることを目的として立案せられたものであります。連合国人が日本国と当該連合国との間に平和條約発効の日までに終局判決の言渡しを受け、その判決が昭和十六年十二月八日以後に確定した民事事件について、当該連合国人が同日以後日本国と当該連合国との間に平和條約が発効する日までの訴訟手続において、原告又は被告として事件について十分な陳述ができなかつたときは、條約発効の日から一年以内に限りその判決に対し再審の訴を以て不服の申立ができることとし、その結果によつてこれら連合国人の地位の回復又は救済を図るものとし、次に、議定書C2項の手形、小切手等の流通証券の呈示等のための期間の最長を六ヵ月と定めた趣旨のものであります。
 次に刑事判決の再審査等に関する法律案について簡單に御説明いたしますと、本法案は、日本国との平和條約第十七條(b)項の規定に基く刑事判決の再審査等について必要な措置を講ずることを目的として立案せられたものでありまして、即ち、連合国人が被告人として日本国の裁判所で有罪の言渡を受け、その判決が昭和十六年十二月から日本国とその連合国との間に平和條約が発効する日までの間に確定した刑事事件について、当該連合国人がその間の訴訟手続において被告人として十分な陳述ができなかつたときは、右の條約発効日から一年以内にその判決に対して当該連合国人の利益のために再審の請求ができることとし、この再審の結果によつて、国の責任においてこれらの連合国人の地位の回復又は救済を図ろうという趣旨のものであります。委員会におきましては両案につき各委員よりそれぞれ熱心な質疑が行われましたが、その詳細は速記録によつて御了承願うことといたし、説明は省略させて頂きます。討論に入りまして、吉田委員より社会党第四控室を代表して反対の意見が述べられました。その趣旨は、「両案は連合国人の利益の保護を考慮して立案されたものであるが、政府はこれに対応する日本人の利益を保護する措置を講じていない。これは国際相互主義の原則に反するものである。」というのであります。次に羽仁委員より、「第一に、両案は平和條約に基く法案であるから、平和條約に反対である自分としては両法案に対しても反対である。又第二に、両案は我が国の裁判の公正を疑わしめるものであり、第三に、両案の基礎となつた平和條約第十七條(b)項の本旨は、我が国の検察及び警察の従来の不当なる行動を対象とするものと認められる。更に第四に、両案は日本人にして同様の処分を受けた者の保護を考慮することなく立案された公平を欠く立法である」という趣旨の反対意見が述べられました。討論終結の上、両案を一括採決いたしましたところ、両案とも多数を以て可決すべきものと決定いたした次第であります。
 次に、只今上程されました日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定に伴う民事特別法案について、委員会における審議の経過及びその結果について御報告申上げます。この法律案は、いわゆる行政協定において規定されている事項のうち、民事に関するものについて特別の定めをしようとするものでありまして、主として駐留軍の活動に起因する不法行為上その他の損害について、国の被用者の行動から生ずる請求の例に従つて賠償すべきことを定めるものであります。委員会におきましては、熱心且つ愼重に審議を重ね、伊藤、左藤、吉田等の各委員より熱心な質疑が行われました。討論におきましては、吉田委員より、「本法案は、我が国がアメリカ軍の違法行為に基く損害賠償の一部を負担するものであつて妥当を欠く」との理由で反対意見の開陳がありました。討論を打切り、採決をいたしましたところ、多数を以て可決すべものと決定した次第であります。
 以上御報告を申上げます。
#18
○議長(佐藤尚武君) 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定に伴う民事特別法案に対し、討論の通告がございます。発言を許します。須藤五郎君。
   〔須藤五郎君登壇〕
#19
○須藤五郎君 平和條約、安保條約、行政協定と、一たび貞操を売つた政府の落ち行く先はまさに八万地獄であります。その証拠に、当第十三国会には、何と反民族的、反祖国的な法案が続々と上程されて来るではありませんか。本日ここに上程されました日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定に伴う民事特別法案もそのうちの一つであります。日本人といたしましての誇りを失つておらぬ者なれば、誰一人といえども賛成することのできぬ法案である。だからこそ衆議院におきましては、自由党を除いた野党各派は皆反対をしたのであります。本法案によりますと、駐留軍の不法行為により国民の受けた損害を日本国政府が賠償するというのであります。言い換えますれば、外国軍隊から受けた我々の損害を我々自身が拂つた血税によつて賠償されるというのであります。こんなおかしな不合理なことがありましようか。石田一松君の「のんき」節の種に持つて来いの材料だと思います。
 第一、この法律は駐留軍による損害に関する規定をしたものでありまして、国連軍に関するものではありません。諸君、現在日本におるアメリカの軍隊は、一体、駐留軍なのだろうか、国連軍なのだろうか。毎日日本の基地から飛び立つて朝鮮爆撃に行く飛行機は駐留軍の飛行機なのか、国連軍の飛行機なのか、横田基地に墜落して多数の民家を焼いたB二九、八高線に爆彈をばら撒いた飛行機は、駐留軍の飛行機なのか、国連軍の飛行機なのか。恐らく御都合主義によりまして、このような場合には国連軍の事件として無賠償となり、被害者は泣き寝入りせざるを得ないことになるのであります。第三に、たとえ駐留軍による損害であつても、演習等による軍行動による損害の場合は賠償しないでもよいということになつております。ところが最も大きな被害はこの軍行動から受けるものでありますが、これらは不法行為による損害ではないということにより賠償の対象にはならないのであります。これはとんでもないことであります。例えば今日全国十数ヵ所の演習海区における漁民の受けておる損害は非常なものでありまして、過去五ヵ年間に約十八億の損害と言われておりますが、この法律によりますと一文も賠償が取れないことになるのであります。
 第三に、駐留軍が土地や建物を接收する場合には、日本の政府が間に入つて民間と契約して、これを駐留軍に提供することになつておりますが、恐らく実際にはそう簡單にスムーズには行くまいと思います。そのときに抜く伝家の宝刀としてこの法律が用意されるのであります。即ちこの法律の第五條がそれであります。事面倒となれば、この第五條により容易に強制收用ができるのであります。
 以上述べました通り、駐留軍による国民の受けた損害は正当に賠償されることなく、殆んどは無賠償となるのであります。政府は言うでありましよう。駐留軍は外国の侵略から日本を守つてくれるのだがら、大いにサービスをしなければならん。まだまだこのくらいのサービスでは足りない。帶も解きましよう、着物も脱ぎましよう。まさに政府のやろうとしておることは、国民を素つ裸にむいてストリツプシヨウをやらせて御機嫌をとろうということであります。だが今日、赤の侵略など、政府が幾ら口を酸つぱくしてわめいたところで、国民はもはや信用をしません。有名な歌舞伎「戻り橋」で大森彦七に(笑声)見破られた鬼女のごとく、如何に表面美しく飾つていても、平和條約締結以来起り来る諸現象、即ち本法律をはじめ幾多の売国法案の上程により、平和條約の本質すら国民は見扱いております。
 これら国民を欺瞞した諸法案に対しまして、民族の誇りを以て破棄すべく国民は大きな行動を開始しました。我々共産党は以上述べました諸点により、この法案に反対するものであります。(拍手)
#20
○議長(佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。
 これより四案の採決をいたします。
 先ず平和條約第十一條による刑の執行及び赦免等に関する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#21
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#22
○議長(佐藤尚武君) 次に、平和條約の実施に伴う民事判決の再審査等に関する法律案、平和條約の実施に伴う刑事判決の再審査等に関する法律案、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定に伴う民事特別法案、以上三案全部を問題に供します。三案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#23
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて三案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#24
○議長(佐藤尚武君) 日程第八、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う電信電話料金法等の特例に関する法律案、日程第九、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う電波法の特例に関する法律案、(いずれも内閣提出、衆議院送付)以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#25
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。電気通信委員長鈴木恭一君。
   〔鈴木恭一君登壇、拍手〕
#26
○鈴木恭一君 只今議題となりました日本国とアメリカ合衆国との問の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う電信電話料金法等の特例に関する法律案について、電気通信委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。
 本案は、講和條約発効後において駐留軍の用に供する電信電話に関する料金等について必要な法律的措置を講じようとするもので、その内容の第一は、講和條約発効後においてアメリカ合衆国の軍隊に提供する電気通信サービスは行政協定第七條によることになり、それに対する料金は当然電信電話料金法の定めるところによるわけでありますが、そのサービスのうちには、国内では一般的に認められないもの、取扱の條件等が異なるもの等があり、又料金徴収事務の関係等から、国内のとは別個の規定を設ける必要がありますので、電信電話料金法の適用を排除し、行政協定に基く取極によつてこれを定めようとするものであります。第二は、電話設備費負担臨時措置法に基く電話の加入又は増設の場合に加入者に課しております負担金は、行政協定第七條の趣旨に基き、国の機関に対すると同様、駐留軍に対しこれを免除しようとするものであります。第三は、駐留軍の使用する市外電話線の專用料金を一般なみのものとする関係上、官庁用として特別割引を受けるものは、警察及び消防事務用のものに限ることにしようとするものであります。第四は、現在連合軍以外の外国人がなす市外通話に対しては最優先の順位で取扱う一方、特別高額の料金を課しておりましたが、講和條約発効後は、英語による取扱はこれを存続して、順位の優先は廃止し、その料金は日本語による通話よりもやや高くきめようとするものであります。
 本案につきまして、電気通信委員会は三回に亘り愼重審議をいたしましたが、政府当局の説明、委員と政府との間の質疑応答によつて明かになりました主なるものは、先ず行政協定に基く実施細目取極については、通信主権は日本にあることを前提とし、電信電話についての基本法である電信法は駐留軍関係についても適用のあること、現在占領軍に提供している電気通信サービスは、講和條約発効後において、その種類、條件等については、現在のところ公に報告すべき程度に至つていないが、日本人の通信の妨げとなるようなことのないように極力配意していること等であります。その他詳細は速記録によつて御承知を願います。
 去る二十三日質疑を終えまして、討論を省略し、採決に入りましたところ、全会一致を以て原案通り可決すべきものと議決した次第であります。
 次に、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う電波法の特例に関する法律案について申上げます。
 本案の提案理由は、講和條約発効後において駐留軍の用に供する曲線局について電波法上の特例を設けるためでありまして、その内容は、右の無線局の設置運営等に関しては、電波法の規定を適用することなく、安全保障條約第三條の規定に基く行政協定の定めるところによることとしようとするものであります。
 電気通信委員会は、本案につきまして三回に亘り愼重な審議をいたしました。即ち本取極に対する政府の基本方針、講和條約発効後において我が国が使用できる電波の数、韓国語放送、AFRS放送並びに航空用無線等に対する措置、その他各般に亘つて質疑があつたのでありますが、詳細は速記録によつて御承知願います。
 去る二十三日質疑を終えまして、討論を省略の上、採決に入りましたところ、全会一致を以て原案通り可決すべきものと議決した次第であります。
 以上御報告申上げます。(拍手)
#27
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#28
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて両案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#29
○議長(佐藤尚武君) 日程第十、昭和二十五年度一般会計予備費使用総調書、(その二)日程第十一、昭和二十五年度特別会計予備費使用総調書、(その二)日程第十二、昭和二十五年度特別会計予算総則第六條並びに昭和二十五年度特別会計予算補正(特第一号)総則第四條に基く使用総調書、日程第十三、昭和二十六年度一般会計予備費使用総調書、(その一)、日程第十四、昭和二十六年度特別会計予備費使用総調書、(その一)日程第十五、昭和二十六年度特別会計予算総則第七條に基く使用総調書、(いずれも衆議院送付)以上六件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#30
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。決算委員長岩男仁藏君。
   〔岩男仁藏君登壇、拍手〕
#31
○岩男仁藏君 只今議題となりました昭和二十五年度一般会計予備費使用総調書(その二)ほか五件の事後承諾を求める件に関する決算委員会の審議の経過並びに結果について御報告いたします。初めに本件の内容について大略を説明いたします。先ず昭和二十五年度一般会計予備費使用総調書(その二)について申上げます。昭和二十五年度一般会計予備費の予算額は四億五千万円でありまして、そのうち昭和三十五年十一月二十日までに使用された二億一千五百余万円については昨年三月国会が承諾を與えておりますが、今回はそれ以後年度末までに使用された六千八百余万円について承諾を求めているのであります。次に昭和三十五年度特別会計予備費使用総調書(その二)について申上げます。昭和二十五年度各特別会計予備費の了算総額は三百二十五億三千余万円でありまして、そのうち昭和二十五年十二月二十六日までに使用された百二十一億九千四百余万円については昨年三月国会が承諾を與えておりますが、今回はそれ以後年度末までに使用された八十五億四百余万円について承諾を求めているのであります。次に昭和二十五年度特別会計予算総則第六條並びに昭和二十五年度特別会計予算補正(特第一号)総則第四條に基く使用総調書について申上げます。
 特別会計予算総則第六條の規定により、厚生保險特別会計において保險料收入の増加額の一部を保險金の支拂に充当したものが八億七百余万円、特別会計予算補正(特第一号)総則第四條の規定により、外国為替等の買取のために支出したものが二百五十五億二千五百万円ありますので、これらについて国会の承諾を求めているのであります。
 次に昭和二十六年度一般会計予備費使用総調書(その一)について申上げます。昭和二十六年度一般会計予備費の予算額は十億円でありまして、そのうち昭和二十六年十二月七日までに使用された金額は八億一千五百余万円となつております。
 次に昭和二十六年度特別会計予備費使用総調書(その一)について申上げます。
 昭和二十六年度各特別会計予備費の予算総額は二百二億三千八百余万円でありまして、そのうち昭和二十六年十二月二十五日までに使用された金額は、外国為替等十一特別会計において合計三十二億七千百余万円となつております。
 本委員会におきましては以上六件につきまして愼重審議いたしました。先ず内閣から提出されました予備費使用総調書は、使用額の大小、軽重、性質の如何にかかわらず、各省等の所管別に列記されておりまして、審査の資料としては不便でありますので、次に述べますような分類表の提出を求めたのであります。即ち「一、新たな款項を設ける必要のあるもの、二、官吏定員の増加を伴うもの、三、行政機構の設置改廃を伴うもの、四、法律政令の改廃を伴うもの、右の四項目を更に国会開会中と閉会中とに分類すること、」以上であります。なお、この分類表は将来は添付書類として委員会の要求を待たず恒例として提出することを要求いたしました。各総調書の内容については、特に当局の説明を求めるほどの問題もなく、各委員においても別段の意見もありませんでしたので、全会一致を以て全部を一括して承諾を與えることに議決いたしました。
 以上を以て御報告を終ります。
#32
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより六件の採決をいたします。六件全部を問題に供します。これら六件は委員長報告の通り承諾を與えることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#33
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれら六件は承諾を與えることに決定いたしました。
     ―――――・―――――
#34
○議長(佐藤尚武君) 日程第十六より第十八までの請願及び日程第十九の陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#35
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。法務委員長小野義夫君。
   〔小野義夫君登壇、拍手〕
#36
○小野義夫君 只今議題となりました請願及び陳情に関して、委員会における審査の経過並びに結果を御報告申上げます。
 請願第千四百十九号、第千四百二十七号、第千四百五十三号、第千五百五十一号、第千五百七十七号及び陳情第七百七十四号は、いずれも講和條約締結後戰争犯罪人の釈放方について善処せられたいとの趣旨のものであります。これには又、個人の減刑釈放について特筆されておるものも含まれておるのでありますが、委員会におきましては一般的な減刑釈放の趣旨といたしまして採択いたしたのであります。併し委員会の審査報告書に附して提出いたしまする意見書案には、各個人に関する具体的事実については政府において調査の上善処されたい旨を明示しておくことにいたしました。
 次に請願第千三百十五号は、株式会社日本機関紙印刷所輪転機封印解除に関するものであります。
 以上の諸件につきまして、本委員会は政府の所見を聞き、愼重に審査いたしました結果、いずれもこれを採択し、院議に付して内閣に送付すべきものと決定いたした次第であります。
 以上御報告申上げます。(拍手)
#37
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#38
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました
     ―――――・―――――
#39
○議長(佐藤尚武君) 参事をして報告いたさせます。
   〔参事朗読〕
本日委員長から左の報告書を提出した。
 行政機関職員定員法の一部の改正す
 る法律案修正議決報告書総理府設置法等の一部を改正する等
 の法律案修正議決報告書
 法務府設置法の一部を改正する法律案可決報可書
     ―――――・―――――
#40
○議長(佐藤尚武君) この際、日程に追加して、行政機関職員定員法の一部を改正する法律案、総理府設置法等の一部を改正する等の法律案、法務府設置法の一部を改正する法律案、(いずれも内閣提出、衆議院送付)以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#41
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。内閣委員会理事鈴木直人君。
   〔鈴木直人君登壇、拍手〕
#42
○鈴木直人君 只今議題となりました行政機関職員定員法の一部を改正する法律案について、内閣委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。
 先ず本法律案の提案理由並びに改正の内容について御説明いたします。この法律案は、昭和二十七年度予算の内容に即応して、平和條約発効後におきまする行政運営の円滑を期し、且つ又国民生活の安定を図る必要上、止むを得ない事務の増加、即ち電気通信、関税、遺族年金給付、国立学校、国立療養機関及び矯正保護機関等の事務量の増加に伴う所要の増員を行うと共に、終戰処理事業費等の廃止等に伴う定員の縮減を行い、又賠償庁の廃止、物価庁の廃止、終戰処理事業費等の廃止及び捕獲審検再審査委員会の設置等による関係各行政機関相互間における職員の定員の移し替えその他の調整を行うことによりまして、行政機関全般の定員の適正なる配置を図ろうとするものであります。
 而してその内容は大要次の六点に要約されるのであります。
 第一に、行政機関職員定員法第二條第一項の表の定員におきまして、行政機関職員の定員の合計八十三万五百二十八人が八十四万千六百三十五人となり、一万千百七人の増員となつておりますが、このうち同法第二條第三項の定員等よりの移し替えによる増員二千五百六十四人を差引きますと、実質上の増員は八千五百四十三人となつております。この増員の主なものを事項別に申しますと、電気通信施設の拡充に伴うもの六千九百六十六人、税関事務の増加に伴うもの三百二十人、更生保護施設の増置に伴うもの四百四十三人、国立学校の学部、施設等の増加等に伴うもの三百五十人、国立療養所等の施設拡充によるもの二百六十三人、旧軍人遺族及び傷病者等の援護支給金支拂の事務に従事するもの百三十四人等であります。
 第二に、従来、終戰処理事業費、特殊財産附帶事務費等の支弁にかかる事務に従事する職員の定員は、これら事務の性質を考慮して、行政機関職員定員法第二條第三項の規定によつてその最高限を定めて、第二條第一項の定員の外に置くこととし、更に第二條第四項の規定によつてその関係者行政機関別の定数は別に政令で定めることとして来たのであります。ところが今般予算上において終戰処理事業費等の項目が廃止され、その事業は他の一般科目に引継がれることとなりましたので、行政機関職員定員法におきましてもこれに即応して。同法第二條第三項及び第四項を削除いたしますと共に、その現在の定員の二千八百四十人のうち二千三百七十八人を同法第二條第一項の関係各行政機関の定員へ移し替え、残り四百六十二人は事務の実状に即して削減されることととされておるのであります。
 第三に、この法律案による各行政機関における職員の定員に関する規定は本年四月一日から適用されるものとなつておりますが、平和條約の発効と同時に設置を予定されている捕獲審検再審査委員会の職員の定員につきましては、同條約の最初の効力の発生の日から施行することとし、又同條約の発効と同時に廃止を予定されておる賠償庁につきましては、同條約の最初の効力の発生の日の前日までの間は現行の規定による定員の職員を置くことができるものとされておるのであります。
 第四に、資源庁から通商産業省本省に七十二人の定員を移し替えることとされておりますが、これに伴いまして、現在本年九月三十日及び十二月三十一日まで通商産業省本省に置き得ることとされております暫定定員を、現行の八千百八十四人及び八千七十一人から、それぞれ八千二百五十六人及び八千百四十三人に改めることとされておるのであります。
 第五に、前回の行政機関職員定員法の改正によつて縮減される員数の職員は、本年六月三十日までは定員外に置くことができることとなつておりますが、今回の改正によつて各行政機関の定員が変更されることになりますので、改めて各行政機関は新定員を超える員数の職員を本年六月三十日まで定員外に置くことができる旨を規定いたしまして、現在進行中の行政整理の遂行に支障を生じないように措置されております。
 最後に、只今第四及び第五で述べました改正に伴つて、前回の行政機関職員定員法の一部を改正する法律中、通商産業省本省の暫定定員を定めた附則第二項及び各行政機関につき本年六月三十日まで定員外の措置を定めた第三項は必要がなくなつたので、これを創ることとされております。以上が本改正法案の主要な内容であります。
 内閣委員会におきましては、各省別に詳細に亘つて愼重に審議をいたしました結果、結局この法律案は、昭和二十七年度予算の内容に即応して、事務量の増減に伴う職員の定員の増減及び省庁間の定員移し替え等によつて、行政機関職員の定員の適正配置を図らんとする、必要止むを得ない当然の措置であつて、政府の目下立案中である行政機構改革に伴う人員の移動は、全然この法律案のうちには含まれておらないということが明らかになつたのであります。
 次に、この法律案が内閣から国会に提案されました後において、法律案提案の当初と少しく異る二三の事情が生じて来たので、この点を御報告申上げます。その第一は、行政協定第二十六條の規定に基いて設置される日米合同委員会の日本国側の事務局の事務は、外務省国際協力局がこの事務を所掌することになりましたので、この事務に従事する二十名の定員を外務省本省に追加する必要が生じたのであります。その二は、現在国会に提案されておる航空法案が成立した場合、航空機検査等の事務に従事する三十六名の定員を、定員法の一部改正の法律案において。運輸省の分のうち航空庁の定員に増員して計上しておるのでありますが、航空法案は現在未だ両院で審議中であつて法律としては成立しておらない事情でありますので、一応この定員法の一部改正の法律案からはずしておくことが適当と認められるのであります。その三は、この法律案の附則第一項で、この法律は昭和二十七年四月一日から施行することとなつておりますが、この四月一日は今日すでに経過しておりますのでこれを適当に修正する必要が生じて来たのであります。本日の内閣委員会におきまして、楠見委員から、以上述べた諸点を考慮してこの法律原案の一部を修正する案が発議されたのであります。便宜その修正案を朗読いたします。
   行政機関職員定員法の一部を改正する法律案に対する修正案
  行政機関職員定員法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。
  第二條第一項改正規定の表、外務省の項中「本省一、五六七人」を「本省一、五八七人」に、「計二、四三二人」を「計二、四五二人」に改め、同表運輸省の項中「航空庁一、二四五人」を「航空庁一、二〇九人」に、計二八、二三〇人」を「計二八、一九四人」に改め、同表合計の項中「八四一、六三五人」を「八四一、六一九人」に改める。
  附則第一項中「昭和二十七年四月一日から施行する。」を「公布の日から施行し、昭和二十七年四月一日から適用する。」に改める。修正案は以上の通りであります。内閣委員会は本日の委員会におきまして先ずこの修正について採決をいたしましたところ、全会一致を以てこれを可決すべきものと決定いたしました。次いで残りの原案について採決をいたしましたところ、これ又全会一致を以て可決すべきものと議決いたしました。以上を以て報告を終ります。次に総理府設置法等の一部を改正する等の法律案について御説明いたします。
 この法律案による改正要点は二点でありまして、即ちその第一点は、平和條約の発効に伴い、現在総理府の外局として置かれておる賠償庁の所掌事務を外務省と大蔵省とに移管する点であり、その第二点は、総理府の臨時の機関として置かれておる地方行政調査委員会議はすでにその目的を達成したのでこれを廃止する点であります。
 改正の第一点である賠償庁に関する事項でありますが、日本国との平和條約の発効と共に占領軍は我が国から撤退いたすこととなつており、従つて連合軍最高司令部も廃止されることとなりますので、従来の賠償施設の管理並びに連合国最高司令官の管理に係るいわゆる特殊財産の管理、及び処理に関する同司令部との連絡の事務は全く終了することとなります。従いまして、この連絡の事務を処理する目的のために設置されておりました賠償庁もその使命を終了することとなりますので、平和條約の発効と共にこれを廃止せんとするのであります。なお従来の賠償指定施設に関する残務処理事務、及び平和條約第十五條以下の各規定に基きまして引続き措置する必要のある、いわゆる特殊財産に関する対外的事務は、外務省で所掌することとし、後者の特殊財産についてはその実施事務は大蔵省で所掌することとし、これがため関係両省の設置法その他関係諸法令につき所要の改正を加えることといたしたのであります。次に改正の第二点である地方行政調査委員会議に関する事項でありますが、同会議は、国と地方公共団体との間の事務の配分の調整等につきまして、内閣及び内閣を経由して国会に勧告することを目的として臨時に総理府に設置された機関であります。同会議はその設置以来約二年に亘りその目的とする諸問題につきまして十分なる検討を加え、その結果をすでに三回に亘り内閣及び国会に勧告いたしました。ここに同会議はすでに十分にその目的を果したものと認められるに至りましたので、この際これを廃止することといたし、同会議設置法を廃止するほか関係諸法律に所要の改正を加えることといたしたのであります。
 内閣委員会は委員会を二回開きまして本法律案を愼重に審査したのでありますが、その審査の結果明らかにされた点は、賠償庁の定員四十七名は、別途上程になつております行政機関職員定員法の一部を改正する法律案によりまして、そのうち二十五名は外務省へ、二十二名は大蔵省へそれぞれ振替えられることになるということ、及び地方行政調査委員会議の廃止はいわゆる行政機構改革による委員会整理の一環をなすものではなく、前述のごとくこの委員会議が所期の目的を果したものと認められるに至つた結果であるということであります。この法律案の附則第一項におきまして「この法律は、日本国との平和條約の最初の効力発生の日から施行する。但し、第一條中総理府設置法第十六條の二の改正規定並びに第二條第二号及び第六條の規定は、昭和二十七年四月一日から施行する。」と規定せられておるのでありますが、この條項に規定しておる昭和二十七年四月一日はすでに経過しておりますので、委員会において楠見委員から次の修正案が発議されたのであります。
   総理府設置法等の一部を改正する等の法律案の一部を次のように修正する。
  附則第一項中「昭和二十七年四月一日」を「公布の日」に改める。
 内閣委員会におきましては本日委員会を開いてこの修正案について採決をいたしましたところ、全会一致を以てこれを可決すべきものと決定いたしました。更に残りの原案について採決をいたしましたところ、これ又全会一致を以て可決すべきものと議決いたしました。これを以てこの部の報告を終ります。最後に法務府設置法の一部を改正する法律案について御報告いたします。先ずこの法律案の内容を御説明いたします。この法律案におきまして法務府設置法を改正いたしております点は、第一に拘置支所を拘置所に昇格させること、第二に少年院を新設すること、第三に少年院の分院を本院に昇格させること、この三点であります。
 先ず拘置支所の拘置所への昇格のことから申しますと、小倉拘置支所は、その收容者が常時五百人を超え、而も安所であるために運営上少からず困難を伴つておりましたので、かねて拘置所として独立させるべく準備中でありましたが、施設のほうも漸く完備いたしましたので、この際ここの被告人及び被疑者の収容について一層円滑な運営を図りますため、支所を本所に昇格させることといたしたのであります。次に少年院の新設及び少年院の分院の大院への昇格の点でありますが、少年院の施設は今日なお十分ではなく、取りわけ特別少年院及び医療少年院の施設、女子の少年院の施設につきましては、著しく不足を感じているのであります。殊に特別少年院につきましては、その殆んどが少年院法の規定により暫定的に少年を收容する監獄の一部を区分して充てている現状であり、更に昨年一月から少年法の適用年齢の制限解除以来ますますこの種少年院の必要性を加えて参りましたことに鑑みまして、小田原少年院及び宇都宮少年院を新設することとしたのであります。又医療少年院につきましては、先に工事未了のため一応分院として設置し昇格の準備を進めておりました宮川医療少年院を本院に昇格させ、種別を異にする本院との関係から生ずる運営上の支障を取除き、その医療少年院としての特殊な機能を十分発揮させることといたしたのであります。女子の少年院につきましては、榛名山麓に榛名女子学園を新設し、又かねて工事中でありました青葉女子学園の完成を機として分院から本院に昇格させ、本院と男女別を異にすることから生ずる運営上の支障を取除き、女子の少年院としての性質を生かすこととしたのであります。ほかに水府学院につきまして、その收容少年の数、施設の大きさ等から考慮いたし、一層効果的な運営を図りますため、これを本院に昇格させることといたしておるのであります。そのほか少年院の名称及び位置について所要の改正を若干いたしておるのであります。なおこの法律は公布の日から施行されることとなつております。
 内閣委員会は前後二回委員会を開きまして本法律案を愼重に審議いたしました結果、次の諸点を明らかにしたのであります。その第一点は少年犯罪の増加の傾向についてであります。終戰以来少年犯罪の数が顕著に増加しておるのでありまして、昭和二十五年までは非常な急上昇の趨勢を辿つて来たのでありますが、その後その上昇のカーブはやや鈍つて参つたということであります。これを数字で示しますと、少年犯罪の総検挙数は、昭和二十年が約五万四千名、二十一年が約十一万一千名、二十二年が約十万四千名、二十三年が約十二万四千名、二十五年が約十五万八千名、二十六年が約十六万六千名となつております。又、その犯罪の性質にも変化特徴が現われておるのでありまして、殺人、強盗等の兇惡な犯罪の増加が目立つておるのであります。その第二点は、かくのごとく少年犯罪の増加した原因は如何なるところにあるかと法務当局が調査したところによれば、戰時中及び終戰後のいろいろな社会情勢の変化の影響ということが主な原因をなしておるということであります。これを具体的に申せば、戰時中に少年に対する教育とか保護などが十分でなかつた点、又、一般社会における道徳の頽廃、遵法精神の弛緩が少年の心理に大きく影響して来ておる点などを挙げ得るのであります。その第三点は、かくのごとき少年犯罪防止の方法の一つとしては、これら少年の矯正保護に当る人に立派な人を得るということであるのでありまして、法務府におきましては、これらの職に当る人を養成するため、矯正保護研修所を中央と地方とに設置しておるのであります。
 内閣委員会におきましては、本法律案の審査によつて以上の諸点を明らかにいたしまして、本日の委員会において討論に入りましたところ、楠見委員から、「本法律案は少年院の拡充等を企図するものであるが、少年犯罪の増加について政府は十分その原因を探求し、その根本を是正するため、政府の今後の努力を要望し、本法律案に賛成する」旨の発言がありました。次いで本法律案について採決をいたしましたところ、全会一致を以て可決すべきものと議決せられたのであります。
 以上を以ちまして三法案の報告を終ります。(拍手)
#43
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 先ず行政機関職員定員法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。委員長の報告は修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#44
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て委員会修正通り議決せられました。
     ―――――・―――――
#45
○議長(佐藤尚武君) 次に総理府設置法等の一部を改正する等の法律案全部を問題に供します。委員長の報告は修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#46
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て委員会修正通り議決せられました。
     ―――――・―――――
#47
○議長(佐藤尚武君) 次に法務府設置法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#48
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。
 議事の都合により暫時休憩いたします。
   午後零時十四分休憩
     ―――――・―――――
   午後三時三十九分開議
#49
○議長(佐藤尚武君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。
 この際、日程に追加して、戰傷病者戰沒者遺族等援護法案(内閣提出、衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#50
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。厚生委員長梅津錦一君。
   〔梅津錦一君登壇、拍手〕
#51
○梅津錦一君 只今議題となりました戰傷病者戰沒者遺族等援護法案につきまして、厚生委員会における審議の経過並びに結果の御報告を申上げます。
 終戰後すでに六星霜を経過いたしましたにもかかわらず、戰傷病者戰沒者遺族等に対する処置が何ら講ぜられず、今日まで放置されておりましたことは、そのことの理由の如何を問わず誠に遺憾の極みであつたのであります。これに関する請願、陳情の山積みを見ましても、これらの人々の衷情のほどが察せられるのであります。厚生委員会におきましては、かねてから本問題の緊急重要性に鑑みまして、特に遺族援護に関する小委員会を設置いたしまして、遺家族等の援護対策につきまして、関係当局から種々微細に亘つて説明を聽取しながら、一方参考人等を喚問いたしまして、これらの意見を徴し、又は各種資料に基きまして鋭意調査研究を進めまして、想を練り、意見をまとめ、一応の対策立案を樹立したのであります。この間、政府よりこの法律案が提出されるに及びましえ、当委員会が予備審議をする運びと相成つたのであります。委員会におきましては慎重に検討いたしました結果、この法律案は、援護の対象、範囲、金額その他の点に対しましても、種々修正を加える必要を発見いたしましたので、一応の修正点を取りまとめた上、先議中の衆議院側とも緊密な連絡をとり、右修正に関し協力方を申入れたのであります。この間本問題の重要性と且つは緊急性とに鑑みまして、施策の円滑を期するため、衆参両院の厚生委員長連名を以ちまして、総理大臣に対し、專任厚生大臣任命方を強硬に申入れるという事態も惹起したのであります。衆議院におきましては、当方の申入れを若干取入れ、修正議決の上、本院へ送付されたのであります。
 次に衆議院におきまして修正されました要点を申上げます。国家補償の精神に基き援護を行うものとすること。遺族一時金については、弔慰のため遺族一時金を支拂うものとすること、遺族一時金を受けるべき遺族の範囲は、政府原案では、配偶者、子、父母、孫及び祖父母の五種類であつたのを、兄弟姉妹にまで支拂うものとすること。戰沒者と同居云々の條件を除くこと。子及び孫に十八才未満という年齢制限を附せぬこと。夫に不具廃疾等の條件を附せぬこと。遺族一時金の受取人の順位を調整すること。遺族一時金の利子が前拂いできるよう規定すること。遺族年金は全額を一時に支拂うこと。従つて後拂いの規定を削除し、前拂いできるようにすること。年度の途中権利を穫得せる者には月割計算とすること。障害年金及び遺族年金において三年以上の懲役等に処せられた場合を受給権の消滅條件となつておるのを停止條件と改めること。障害年金受給者死亡せる場合の遺族年金の限度を二万四千円とせるを生前受けていた額の範囲内とすること。その他字句の修正を行うこと。以上が衆議院の修正でございます。
 よつて本委員会におきましては、この法律案がいよいよ本付託に相成りましたので、先ず政府当局から提案理由並びに法案の大要について説明を求め、次いで衆議院側より衆議院の修正箇所についての説明を聽取いたしまして後、愼重審議の過程におきまして、委員と政府当局との間に熱心なる質疑応答が交わされたのであります。即ち本法が実施された場合に、遺族等に対し現金が交付される時期如何、生活保護法適用者と本法との関係、事実上の婚姻の意義、公債の発行方法並びにその現金化問題等々の質疑に対しまして、厚生大臣並びに引揚援護庁長官からそれぞれ答弁がありましたが、その詳細は速記録によりまして御承知願いたいと存ずるのであります。
 而して本委員会におきましては、愼重審議の結果、この法律案はなお不備の点多く、更に修正を加える必要を認めましたので、この法案の審査を小委員会に付託いたしましたところ、小委員会におきましては、超党派的に全員協力して愼重審議いたしました結果、修正案並びにこれに関連して政府に対する要望事項を次の通り決定いたした旨、小委員長より報告を受けた次第であるのであります。
 即ち修正点といたしまして、障害年金に関する條項、障害年金額のうち特別項症、第一項症及び第二項症に該当する重度の不具廃疾の者に対する年金額を引上げること。遺族年金に関する條項、配偶者がなく、且つ扶養することのできる直系血族がない父母については、年齢制限、不具廃疾の條件を外すこと。二十七年度中は四月二日以後に六十才に達しても、四月一日に年齢條件を満たしたものとして取扱うこと。遺族一時金に関する條項、名称を弔慰金と変えること。法令に基いて強制動員を受けた者、即ち徴用工、徴用船員、勤労報国隊員、女子挺身隊員、学徒報国隊員、元の陸軍又は海軍の要請に基いて戰鬪に参加した者(国民義勇隊員を含む)及び特別未帰還者に対してもう慰金を支給すること。その支給金額は三万円とすること。なお弔慰金を支給すべき遺族の順位について所要の調整をするごと。二十七年度中の遺族年金については、支給停止事由が生じても支給の停止はしないこと。又すでに支給した遺家族年金については一切返還を要しないようにすること。その他條文の整理。
 次に、政府に対する要望事項といたしまして、
 一、この法律案は暫定措置たる趣旨に鑑み、昭和二十八年度においては適切なる根本対策を講ずること。
 二、弔慰金として交付する公債はこれを一種類とし、その現金化につき特別の措置を講ずること。
 三、生活保護法との調整を図り、この保護世帯に特段の留意を拂い、その運用につき遺憾の点なきよう末端まで徹底せしめること。
 四、本法案実施については、関係当局者は懇切丁寧なる態度を以て迅速的確に事務を処理し、いやしくも遺族を利用する等、本法制定の趣旨に反するものがないよう努めること。
 五、本法施行を契機として白衣の街頭募金等が行われないよう指導すること。
 以上の通りでありまして、これに対し厚生大臣より、「修正案につきましては予算の枠で賄えるものについては異存はないが、予算よりはみ出す分についてはその裏付けがなければ実施困難である。なお、要望事項につきましては一々御尤もであるから努めて御要望に副うよう善処いたしたい」旨の答弁がありました。
 かくて質疑を打切り討論に移りましたところ、自由党を代表いたしまして中山委員より、「修正の点は小委員長報告通り、他は原案に賛成する。この修正案は各委員が超党派的に協力一致して決定したものである。五月二日の慰霊祭までには何とかしてこの法律案を成立させたい。なお、小委員長報告の要望事項の実施については政府の善処方を望む」旨の意見の開陳があり、続いて緑風会を代表して藤森委員より、社会党第四接室を代表して河崎委員より、社会党第二控室を代表して山下委員より、民主クラブを代表して谷口委員より、改進党を代表して深川委員より、最後に第一クラブの松原委員より、いずれも小委員長報告の要望事項の実現を期待すると共に、それぞれ若干の希望條項を附加した上、小委員長報告の修正案に賛意を表されました。かくて討論を終局し、採決いたしました結果、この法律案は全会一致を以て小委員長報告通り修正可決すべきものと決定いたした次第であります。
 最後に一言附加えて御報告を申上げます。この修正案が小委員会におきまして意見の一致を見るに至るまでには、実に十二回の修正案が作成せられたのであります。山下小委員長初め、小委員のかたがた並びに参議院法制部におきまして、並々ならぬ努力が拂われたことを申上げまして報告を終ります。(拍手)
#52
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。委員長の報告は修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#53
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は委員会修正通り議決せられました。(拍手)
 次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
   午後三時五十四分散会
     ―――――・―――――
○本日の会議に付した事件
 一、国会法第三十九條但書の規定による国会の議決に関する件(広島地方專売公社調停委員会委員)
 一、日程第一 気象業務法案
 一、日程第二 中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案
 一、日程第三 特許法の一部を改正する法律案
 一、日程第四 平和條約第十一條による刑の執行及び赦免等に関する法律案
 一、日程第五 平和條約の実施に伴う民事判決の再審査等に関する法律案
 一、日程第六 平和條約の実施に伴う刑事判決の再審査等に関する法律案
 一、日程第七 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定に伴う民事特別法案
 一、日程第八 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う電信電
話料金法等の特例に関する法律案
 一、日程第九 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う電波法の特例に関する法律案
 一、日程第十 昭和二十五年度一般会計予備費使用総調書(その二)
 一、日程第十一 昭和二十五年度特別会計予備費使用総調書(その二)
 一、日程第十二 昭和二十五年度特別会計予算総則第六條並びに昭和二十五年度特別会計予算補正(特第一号)総則第四條に基く使用総調書
 一、日程第十三 昭和三十六年度一般会計予備費使用総調書(その一)
 一、日程第十四 昭和二十六年度特別会計予備費使用総調書(その一)
 一、日程第十五 昭和二十六年度特別会計予算総則第七條に基く使用総調書
 一、日程第十六乃至第十八の請願
 一、日程第十九の陳情一、行政機関職員定員法の一部を改正する法律案
 一、総理府設置法等の一部を改正する等の法律案
 一、法務府設置法の一部を改正する法律案
 一、戰傷病者磯波者遺族等援護法案
ソース: 国立国会図書館
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