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1951/05/30 第13回国会 参議院 参議院会議録情報 第013回国会 本会議 第45号
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1951/05/30 第13回国会 参議院

参議院会議録情報 第013回国会 本会議 第45号

#1
第013回国会 本会議 第45号
昭和二十七年五月三十日(金曜日)
   午前十時四十八分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第四十四号
  昭和二十七年五月三十日
   午前十時開議
 第一 港湾法の一部を改正する法律案(衆議院提出)(委員長報告)
 第二 船舶安全法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第三 昭和二十三年度一般会計歳入歳出決算、昭和二十三年度特別会計歳入歳出決算(委員長報告)
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○副議長(三木治朗君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○副議長(三木治朗君) これより本日の会議を開きます。
 この際お諮りいたします。松平勇雄君及び山田佐一君から海外旅行のため会期中それぞれ請暇の申出がございました。いずれも許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。よつていずれも許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#5
○副議長(三木治朗君) この際お諮りいたします。労働委員長から、労働関係調整法等の一部を改正する法律案、労働基準法の一部を改正する法律案及び地方公営企業労働関係法案の審査に資するため、各地方における利害関係者及び学識経験者等から意見を聽取し、実情を的確に把握する目的を以て、札幌市に中村正雄君、一松政二君、堀眞琴君を会期中三日間、京都市に中村正雄君、安井謙君、重盛壽治君、堀木鎌三君を会期中三日間、福岡市に中村正雄、木村守江君、村尾重雄君、菊川孝夫君を会期中四日間の日程を以て派遣いたしたい旨の要求書が提出されております。委員長要求の通りこれら九名の議員を派遣することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。よつて委員長要求の通り議員を派遣することに決しました。
     ―――――・―――――
#7
○副議長(三木治朗君) この際、日程に追加して、日本放送協会経営委員会委員の任命に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。
 去る二十六日内閣総理大臣から、放送法第十六條の規定により、神野金之助君、則内ウラ君、遠藤後一君を日本放送協会経営委員会委員に任命することについて、本院の同意を求めて参りました。本件に関し同意を與えることに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#9
○副議長(三木治朗君) 総員起立と認めます。よつて本件は全会一致を以て同意を與えることに決しました。
     ―――――・―――――
#10
○副議長(三木治朗君) 日程第一、港湾法の一部を改正する法律案(衆議院提出)
 日程第二、船舶安全法の一部を改正する法律案、(内閣提出、衆議院送付)
 以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。運輸委員長山縣勝見君。
   〔山縣勝見君登壇、拍手〕
#12
○山縣勝見君 只今議題となりました港湾法の一部を改正する法律案及び船舶安全法の一部を改正する法律案につきまして、運輸委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。
 先ず港湾法の一部を改正する法律案について申上げます。
 この法律案は衆議院議員岡田五郎君ほか四名の提案にかかるものでありまして、内容の主要点を申上げますと、その一は港務局の委員に関する改正であります。即ち、港務局の財政上の理由によりまして、これを組織する地方公共団体との連絡を密にするために、各地方公共団体ごとに地方議員一名を港務局の委員となし得ることとすると共に、港務局の経済的運営を確保いたしますために、その委員定数は地方議員である委員の数の倍以上とすることでありまして、一方この改正に伴いまして、委員定数を増加することであります。第二は港湾工事費用の受益者負担規定を新設していることであります。本法案に関する質疑におきまして、委員より、「港湾工事費用の受益者負担に関する争いについては行政事件訴訟特例法の適用を受けしめることとすべきではないか」との質疑がありましたが、提案者より、「訴願規定をおかない以上、実質的に余り意味がないし、又負担金額の決定は、行政技術的色彩の強いものとは性質を異にし、民事事件として取扱うことが比較的妥当であると考える」との答弁がありました。討論を省略いたしまして採決に入りましたところ、本法律案は原案通り可決すべきものと全会一致を以て決定いたしました。
 次に船舶安全法の一部を改正する法律案について御報告申上げます。
 政府は平和條約に関する宣言におきまして、「一九四八年海上における人命安全條約」に、「実行可能な最短期間内に、且つ、平和條約の最初の効力発生の後一年以内に……正式に加入する意思を有する」ことを表明しているのでありますが、本案はこの條約に加入するため必要とされる国内法規整備の一として提出されたものでありまして、その主な内容は、無線電信を施設することを要する船舶といたして、現在船舶安全法に規定されておりますもののほかに、「旅客船又ハ総噸数五百噸以上ノ船舶ニシテ国際航海二従事スルモノ」を新らしく加えますと共に、これらの船舶のうち総トン数千六百トン未満の貨物船につきましては、無線電信に代えて無線電話を施設し得ることの規定を設けますことと、従来内部的な職務指定によつておりました検査官の地位を法律に明確に規定することであります。本法案につきまして、質疑、討論の後、採決に入りましたところ、本法案は原案通り可決すべきものと全会一致を以て決定いたしました。
 以上御報告申上げます。(拍手)
#13
○副議長(三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#14
○副議長(三木治朗君) 総員起立と認めます。よつて両案は全会一致を以て可決せられました。
     ―――――・―――――
#15
○副議長(三木治朗君) 日程第三、昭和二十三年度一般会計歳入歳出決算、昭和二十三年度特別会計歳入歳出決算を議題といたします。
 先ず委員長の報告を求めます。決算委員長岩男仁藏君。
   〔岩男仁藏君登壇、拍手〕
#16
○岩男仁藏君 只今議題に上りました昭和二十三年度の一般会計及び特別会計の歳入歳出決算につき、決算委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。
 右決算は第七回国会に提出され、決算委員会において審議を進めましたが、審議半ばで会期が終了したため審議未了に終り、その後の国会において引続き審議いたしましたが、小委員会において特に愼重審議した項目もあり、会議の回数も相当多く、漸く今回に至つてその全部の審議を終つた次第であります。
 先ず歳入の部について御報告いたしますと、一般会計におきましては、歳入決算額は五千八十億余円でありまして、歳入予算額と比較しますと三百四十八億余円を増加しております。
 次に歳出の部につきましては、一般会計におきましては、歳出予算額は四千七百三十一億余円で、これに前年度からの繰越額十七億余円を加えますと四千七百四十八億余円となりますが、このうちから支出額四千六百十九億余円と翌年度へ繰越額十六億余円を差引きますと、結局百十二億余円の不用額を生じております。又昭和二十三年度における特別会計の数は二十八でありまして、各特別会計の決算額の合計額は、歳入決算額一兆千四百四十二億余円、歳出決算額一兆九十五億余円であります。これらの決算に関する詳細は決算書類について御覧を願います。
 次に決算に関する審議の結果を御報告いたします。
 元臨時軍事費特別会計に属する歳入歳出は、昭和二十一年勅令第百十号の規定により、一般会計の歳入歳出に繰入れて整理すべきものでありますが、政府は前年度の決算と同様にこれを一般会計の決算に附記して報告しております。本件については、前年度決算審査報告において、その方法が勅令違反であることを警告し、政府は勅令違反の行為を繰返さないように嚴重に注意すべきであり、若し勅令の規定が実地運用に適用しないならば、すべからく先ず勅令を改正するのが至当である旨の意見を付して置いたのであります。その後、政府の説明によれば、その改正法律案を近く国会に提出する計画であるとのことでありましたが、遂に本年三月三十一日にこのポツダム勅令を廃止することになりましたので、この問題は漸く解決を見た次第であります。
 会計検査院の決算検査報告中の不当事項中、決算検査報告番号第一号は、各官庁において、特に北海道並びに寒冷積雪地に在勤する政府職員に対し、法律に根拠がなく、又予算に計上のない特別俸又は勤務地手当を支給したのは、処置当を得ないものであると指摘されている案件であります。本件実施の内容を検討いたしますと、特別俸は北海道在勤職員だけに対し数カ月に遡つて支給し、支給の翌月には一斉にその支給を廃止したものでありまして、政府職員の新給與実施に関する法律の適用としては妥当を欠くものと認められますし、勤務地手当の増額も右法律の適用としては適当でないと認めます。又既定予算の範囲内であつても、これらの支給は予算に計上せられていないものであり、本件の支出費目である給與特別措置費は俸給改訂に基く予算でありまして、もとよりこれらの給與を予定したものではありませんので、予算上の措置においても適正を欠く点があると認められます。昭和二十二年度及び二十四年度においては、これらの手当を支給するについて特別の法律を制定し、又予算措置を講じた事実に照らしましても、本件は処置当を得ないものであるという会計検査院の指摘は妥当であります。併しながら、当時、政府職員の生活の実情及び労働情勢に鑑み、北海道並びに寒冷積雪地に在勤する職員に対し、石炭手当又は寒冷地手当を支給する必要のありましたことは、一般に認められていたところであります。昭和二十三年十一月に衆議院及び参議院におきましても、それぞれ同趣旨の決議案を可決して内閣にその意向を伝達した次第でありますので、政府においてこれらを考慮に入れてこれら手当を支給したことについては、その事情の諒とすべきものがありまするし、その措置について関係方面との折衝においても相当努力した事実は認められますので、本件は止むを得なかつた措置と認めます。
 このほかに不当事項として会計検査院が報告しておりますものは六百数十件の多きに上り、誠に遺憾に堪えないところであります。不当事項の詳細については決算検査報告で御覧願いたいと思いますが、その殆んど全部について当委員会は会計検査院の報告とその見解を同じくいたします。ただ若干の項目について検査院の見解がいささか穏当でないと認められるものがありますが、その理由等については決算委員会の審査報告書で御覧を願います。右に述べました不当事項を除きまして、決算に関するその他の事項については別に異議はありません。
 決算審査の結果といたしまして、左の五項目について内閣に対し将来の注意を促すため特に警告を與えたいと存じます。
 その一は、工事の施行又は物品等の購入の事実がないのに、その事実があつたもののように関係書類を作為して支出し、その全額を別途に経理して、或いは交際費、旅費等の支拂に充て、或いは職員宿舎を新営し、或いは物品を購入するなど、もともと支拂計画の示達がないか又は示達額では不足する費途に随時使用している事例が少くありません。このような会計経理は甚だ公明を欠くものであり、延いては架室の事実に基く支出金額を関係者がほしいままに費消する誘因ともなるものでありますから、内閣はこのような事実に基かない不当支出を根絶するため適切な措置を講ずべきであります。
 その二は、支出官の補助者である関係職員が小切手用紙及び官印を盗用して、偽造小切手を振り出して金銭を詐取したもの、出納職員又はその補助者が所得税その他の收入金又は労務者への給與金等を横領したもの、司法事務局の職員で收入印紙に消印をせず詐取したものなど、国の收入支出等に関係ある職員が国の損害を與えた事例がますます増加する傾向があります。公務員が職務に忠実公正であり、世人の模範となるべきでありますことは、説明を要しない点でありますし、終戦後すでに社会秩序も著しく改善して参りまして、この種の不祥事件は当然減少すべきものと思われますのに、却つてその増加の傾向にありますことは、特に遺憾とするところであります。昭和二十二年度の決算審査報告にも指摘いたしました通り、公務員の綱紀粛正に関して有効適正な措置を講ずるよう特に内閣に要望いたします。
 その三は、終戰処理費の支出額は一般会計の歳出総額の二三%を占め、千億円を超しておりますが、不当事項として指摘されております件数は九十五の多きに達し、前年度に比して著しく増加しております。工事の施行その他契約の締結にあたり処置当を得なかつたために、妥当と思われない多額の支出がなされているものがあり、或いは過拂があり、不急不要の品若しくは不適格品を多量に購入し、多額の保管料を支拂う等により、巨額の国費が濫費されておるのであります。終戰処理費の経理については特に愼重な注意を拂うよう、昭和二十一年度及び二十二年度の決算審査報告において要望いたしましたにもかかわらず、このように不当事項の件数並びにこれに基く国損が楢加しておりますことは、誠に遺憾に堪えません。内閣はこれら不当事項の発生の根源を絶つよう最善の方策を講ずべきであります。
 その四は、収納未済の多いこと、予算に積算のない支出をしたもの、工事の施行、補助費の交付等について処置当を得ないもの、物品の経理、国有財産の管理及び処分について妥当でないもの等については、毎年これを指摘して、内閣に対し警告と要望とを繰返しておりますにもかかわらず、なお改善の跡が認められません。内閣はこれらの不当事項の発生を防止するために更に一段の努力を盡すべきであります。
 その五は、不当事項の責任者に対する行政処分について、これが適正を期するよう毎年警告しておりますにもかかわらず、なお十分に改善の跡を認め得ないのは甚だ遺憾であります。いやしくも国家に奉仕する公務員でありながら、或いは法令の規定を無視し、或いは予算の執行を軽視し、或いは公益も尊重せざるがごとき者のあつた場合に、その不当行為者並びにその監督者の責任に対して処分の適正を欠くがごときは、公の秩序、善良の風俗を保持するゆえんでないことは明瞭であります。然るに行政処分の実例を見ますると、大部分は嚴重注意の程度でありまして、全般を通じて單に形式的な処分に過ぎないものが多く、又、同一内容の行為に対する処分でありながら、所管の官庁の異なるに従つてその程度に差がある等、正義公平の見地から見ても、不当行為防止の観点から考えても、処分が軽きに失し、妥当を欠くと認められるものが少くないのであります。およそ信賞必罰は古今を通じて政治の要諦であり、一罰百戒ということも経国の道であります。内閣は、これらの格言の意味するところを深く反省し、行政処分の適正につき最善の考慮を拂うよう重ねて要望するのであります。
 以上申述べました事項は、特に考慮を促すべき点を指摘して、内閣に警告を発するものでありますが、会計検査院が報告しております不当事項は、昭和二十一年度百七十五件、二十二年度三百八十六件に比し、二十三年度は六百二十三件の多きに上り、累年増加の傾向仁あります。不当事項の増加は、一面、会計検査院の検査能力の充実に基くものと思われますが、会計法規違反行為の増加は断じて軽視すべきものではありません。而もその内容を検討いたしますと、国費の濫費を招いているもの、職員の不正行為により国損を生じたものの案件が著しく増加しつつありますことは、誠に遺憾に堪えません。敗戦後における国民負担の増加に鑑み、国費が適正に使用せられることと、納税意欲の向上を図るために、これら不正事項の防止につき最善の考慮を拂うべきことを強く要望して止まない次第であります。
 決算委員会は極めて愼重に審議いたしました結果、全会一致を以ちまして、以上述べました通り議決いたしました。
 最後に、不当事項中、決算検査報告番号第三百九十七号、いわゆる二重煙突事件について申上げます。
 本件につきましては、その審査の内容に対する社会的政治的関心の極めて大きいことに鑑みまして、特に第十回国会中、昭和二十六年三月二十六日及び六月三日の本議場において、その審査について御報告をいたしたのであります。即ち、本件審査の結果、
 (1) 特別調達庁においては、当時、本件の生産状況の把握、検収の正否を監督する手段に関し著しく欠けるところがあり、内部的連絡不十分のため過拂を生ぜしめるに至つたことは、特調の内部組織と監督に関し根本的改革を要すること。
 (2) 当時特調においては文書作成日附等に関する虚偽公文書の作成が半ば慣行的に行われておつたが、これが本件の、ごとき過拂を生ぜしめた因をなしていると共に、特調内部の秩序紊乱と一部職員の腐敗を示すものであるので、嚴重な警告を発すべきであること。
 (3) 足利工業株式会社社長田中及び同専務高橋に対する詐欺罪容疑に関する刑事事件の告発並びに特調関係職員に対する懲戒手続をそれぞれ特調当局において当時行わなかつたことは、その措置緩に失し、不当であること。
 (4) 大橋、高橋、田中その他の証人に対しては、小委員会において宣誓の上、証言するに当つて、偽証をした疑いがある。
 と判断せられるので、特別調達庁としては、本件過拂金の回収については最善の措置を講ずると共に、本件関係職員に対する行政処分、事務処理の改善等について特別の考慮を拂うべきであり、又国務大臣の地位にある大橋武夫氏については、或いは疑証の点において、或いは自動車売却代金の処分等の点において、幾多疑惑が存在するが、これらに対する疑惑は未だ解消するに至つていないことを前回に御報告いたしたのであります。
 その後、本委員会から東京地方検察庁に申入れいたしました職権捜査要望に対する捜査の結果の回答が参りましたので、その回答に基いて、本件の真相の糺明に万全を期するために、引続き審査をいたしました。
 先ず回答のうち主なるものを御紹介いたしますと、
 (1) 足利工業株式会社社長田中平吉及び同専務高橋正吉につき、公文書変造、同行使、詐欺の事実が認められたので、昭和二十六年七月起訴した。同会社社員高橋政雄及び同羽島元章については、いずれも公文書変造の事実が認められたので、高橋政雄は同年八月起訴し、羽烏は犯情軽微につき起訴猶予処分に付した。特別調達庁職員で本件代金支拂に關與した者については極力捜査したが、いずれも本件に関し犯罪の嫌疑は認められなかつた。
 (2) 足利工業から過拂金返納に充てるため東武鉄道株式を特調に提供したところ、高橋正吉が欺いてこれを取戻し、ほしいままに売却したことについては、詐欺の事実が認められるので、十一月に追起訴した。過拂金の返納に充てる予定であつた自動車の売却代金については、大橋武夫及び山下茂を横領の容疑で取調べた結果、山下については約三十八万円を横領した事実が認められたが、すでに全額弁償済であり、犯情を考慮して、起訴猶予処分に付し、大橋に対しては、犯罪の嫌疑不十分のため、二十七年一月不起訴処分に付した。
 (3) 大橋が足利工業から顧問料三十万円を受領しながら、所得の申告をしていないことに対する所得税法違反の容疑、並びに衆議院議員選挙の際、高橋正吉から二十万円の贈與を受けていることに対する政治資金規正法違反の容疑については、いずれも犯罪の嫌疑が認められないので、二十七年一月不起訴処分に付した。というのであります。次に大橋氏不起訴の理由につきましては次の通り述べられております。
 (1) 自動車売却代金横領の容疑については、本人は足利工業社長並びに同専務及び特調関係者の了解を得て本件自動車の売却代金を以て山下に他の自動車の売買を行わせたものであるが、自分は監督の立場にあり、山下が右資金を運用するにつき具体的に如何なる指示をしたか、現在一々記憶していないし、勿論山下から全員を受領したことはないと弁解し、一方、山下は、約三十八万円を流用するについて大橋の了解を得ていない旨供述しているので、大橋については、監督不行届の責任はともかくとして、横領の嫌疑は認められない。
 (2) 所得税法違反の容疑については、本人は足利工業の顧問就任当時、高橋との間に会社から月額三万円ぐらいの顧問料を支拂うとの約束であつたので、昭和二十三年六月頃高橋に顧問料の前貸しを依頼したところ、会社より顧問料の前貸しとして支出することはできないとのことであつたので、後に会社より受取るべき顧問料を以て返済することとして、高橋から一時三十万円を借り受けるに至つたものであるが、その後、会社が顧問料を支給してくれないので、二十三年秋頃、高橋に、顧問料をもらつていないから、借入金の麦押は免除されたい旨申入れて、その承認を得たので、結局右三十万円は高橋から贈與されたものと考えて、これについて所得税の申告をしなかつた旨を主張している。他方、二十六年四月十九日附で、澁谷税務署に対して、高橋名義三二十万円の贈與税申告がなされているのに対し、高橋は、同日附の申告は選挙運動資金として贈つた二十万円に関するものであつて、本件顧問料に関するものではなく、若し本件三十万円に関するものとして処理せられているとすれば、これを代筆した同税務署の係員が誤解して取扱を誤まつたものであると主張している。本件三十万円が高橋個人名義の当座預金口座から支拂われている事実を考慮すれば、高橋の主張のみを以て右三十万円を顧問料とは断定しがたく、他にこれを顧問料と認定するに足る的確な証拠はない。要するに、本件三十万円については、これを贈與と認むるべきか、顧問料と認むべきかにつき、いずれとも断定しがたいが、仮りに顧問料であつたとしても、大橋がこれを申告せずして所得税を免れた行為は、所得の単なる不申告にとどまり、詐欺その他不正行為により脱税をしたと認定するに足る証拠は認められないから、犯罪の嫌疑はない。
 (3) 政治資金規正法違反の容疑については、本人は、自分の選挙運動費用は、すべて当時出納責任者兒玉に交付していたが、選挙運動の期間中といえども、私生活の費用を要するので、本件二十万円は兒玉に交付せずして自分の生活費に使つたから、出納責任者に対して届出の必要がないと思つたと供述し、一方、兒玉は、二十四年に死亡しており、この金員の取扱事情を明らかにすることができないので、果してこれを大橋の選挙運動に関する寄附と認むべきか否か、にわかに断定しがたい。併しながら仮りに選挙運動に関する寄附であつたとしても、右届出の期間満了の目より二年を経過した二十六年一月中旬に公訴時効が完成し、公訴権は消滅している。
 以上が検察庁の回答の御紹介であります。この検察庁の捜査の結論のうち、大橋武夫氏に関する部分については、委員の間に意見を異にするものがあります。即ち、一部の委員は、検察庁の周到なる捜査の結果、不起訴と決定したことは、大橋氏に対する疑惑を一掃したものであるとの見解を表明しており、他の一部の委員は、検察庁の捜査は必ずしも満足し得るものではなく、大橋氏に対する疑惑が全く解消されたとは言い得ないのみならず、その結論通り刑法上の犯罪を構成しないとしても、道義的政治責任が残ることは明らかであるとの見解を述べております。このように、全委員の見解が一致するの域に達しませんが、本委員会は、本件の審査のために探るべき途は盡したのでありまして、検察権、捜査権を持たぬ決算委員会といたしましては、これ以上この点の真相を糺明いたし兼ねますので、その審査を打切ることといたした次第であります。而して大橋氏の犯罪容疑につきましては、現在検察庁において収集した諸証拠等によつては法律上犯罪を構成しないといたしましても、大橋氏は自動車売却代金の処理に関して監督不行届の責任は弁明の余地のないところでありまして、そのために国としては過拂金の回収が遅延したことは事実でありますし、又所得税法並びに政治資金規正違反の容疑は、いやしくも国民に範を示すべき地位にある者の嚴に愼しむべきものでありまして、(拍手)大橋氏のこれらに関する責任は決して軽視できないものと認めるというのが多数委員の意見であります。
 なお、大橋氏は委員会における証言におきまして、自動車売却代金の処理に関しては善意を以て解決するつもりであつたが、山下の失敗その他幾多予期しなかつた障害のために、結果的には、当初のすべての人の希望の期待に反するような結果になつており、監督者の役を引受けた自分の不敏不徳のいたすところであり、事前に山下を管理人に選定し、その後監督していた自分の立場としては、私自身についても遺憾の点があつたと考えで、恐縮に存じているとの発言がありました。
 又本件二重煙突代金につきましては、物品税二千九百九十六万七千五百余円を含めて支拂われておりますが、この物品税は、大蔵当局の説明によれば、二重煙突が課税品目でなく、これを納付した事実がないのにもかかわらず、これを含めた金額の支拂を受けたものであり、而も納税の事実を信じさせる資料として税務署の納税証明書を変造してまでもこれを詐取したものでありまして、会計検査院が指摘する過拂金二千二百余万円中に含まれる物品税目相当額は七百余万円でありますので、結局、過拂金は四千五百余万円となり、本件安排金額約一億円中の五割弱に当るという事実、及び最後の支拂金出千百余万円中二千万円は、特調で過拂の事実を発見した当時において田中社長の隠匿による無記名定期預金として存在しておつたので、特調において過拂金回収の処置が適当であつたならば、その回収は可能であつた事実が、委員会審査の結果新たに明らかとなりましたことを御報告いたします。
 以上申上げました通り、本件二重煙突事件につきましては、第九回国会より第十三回国会の間におきまして小委員会十九回、本委員会二十三回の回数を重ねて、その真相を明らかにするために極めて愼重に審査をいたしましたところ、本件の内容は極めて複雑怪奇でありまして(拍手)連合国軍から契約の一部解除の指令が発せられたにもかかわらず、その部分の契約を続行し、現品の実地検収を行わず、その結果、納入数量不足による過拂を生じ、過拂金回収の処理についても適切を欠く点がある等、特調、納入関係者の双方に幾多の不当事実が存在し、且つ又、不当支出があることが明らかとなりましたほかに、犯罪容疑に基き起訴せられた者が数人に上つたのであります。
 このように本件の内容が明らかとなりましたのは、全委員の熱心な審査のたまものでありまするし、決算審査に関するこのような慎重且つ徹底的な努力は、官庁の事務処理の適正及び綱紀粛正に多大の影響を及ぼしていることと確信いたします。
 なお、本件につきまして審査の中途において各種の犯罪容疑が濃厚となりましたので、いち早く委員会は検察庁に対してその事実を指摘いたしたのでありますが、検察庁においてはその捜査に着手せず、第十回国会中の昭和二十六年四月三日附の本委員会からの職権捜査要望がありましたのち、漸くにして同年十一月三十日附及び二十七年一月三十三日附で、その捜査の結果を報告し来たる等、検察庁の本件に関する処置の緩慢は、その報告が本件審査の進行にも影響があり、又世上、関心の大きいことに鑑み、遺憾に存ずる次第であります。(拍手)
 更に又国務大臣の要職にある大橋氏については、本委員会が、本人の名誉のために、その疑惑が解消するよう、多くの日数を費して審査したにもかかわらず、多数委員がなおその疑惑を氷解するに至つていないことに鑑み、たとえ一私人であつた時期における事実に関するものであるにせよ深き反省を促して止まぬ次第であります。(拍手)
 以上をもちまして御報告といたしますが、詳細につきましては、委員会の会議録で御覧を願いたいと存じます。(拍手)
#17
○副議長(三木治朗君) 討論の通告がございます。発言を許します。須藤五郎君。
   〔須藤五郎君登壇、拍手〕
#18
○須藤五郎君 私は日本共産党を代表いたしまして昭和三三年度一般会計歳入歳出決算、昭和三十三年度特別会計歳入歳出決算に対しまして反対の意見を述べるものであります。
 特に、委員長報告にもありましたように、不当事項第三百九十七号、いわゆる二重煙突事件は、吉田政府の不正腐敗を端的に表現しているものとしまして、我々の絶対に容認しがたいところであります。一国の大臣、而も法務総裁の地位を占めている人物が、その政治的影響力を用ついて不当な国費の支出を行わしめたことは、委員長の報告では明瞭にされておりませんが、次に指摘する数々の事実によりまして明らかであります。(「違う」と呼ぶ者あり)よく聞きなさい。
 戰災復興院は、大橋武夫君が同院特別建設局長在職中の昭和二十一年十二月九日に、足利板金工業組合に対して二十五万フイートを発注したが、受注者たる足利板金工業は、かかる大量の物件を短期間内に生産するには、その企業形態、資力から見て不適当であります。即ち社長である田中君がみずから二重煙突を作るような手工業的企業であります。このことは、その後の生産、納入状況が遅延甚だしく、当初の納期に一年九ヵ月も遅れて、二十三年十二月にやつと五分の四を納入した事実によつても明らかであります。その上、昭和二十三年七月末、この契約はキヤンセルになつたにもかかわらず、業者の資材手配及び加工が相当進捗しているものについては、打ち切り困難であるという理由で生産を続行しており、而も再三に亘つて納期の延期を承認して、使用実績の少い二重煙突を生産させ、その価格も当初の二倍半にまで増加承認しているのであります。
 このことは過拂の発生につきましても同じことが言えるのであります。即ち足利工業が昭和二十三年十二月十四日附で最終の五万フイート分の納入代金四千百七十万余円の請求をしますと、同月二十八日決裁となり、忽ちその翌日の二十九日には支拂を受けております。(「どうだ」と呼ぶ者あり)当時のお役所仕事にしましては、全く不可思議なほどの早業であります。而もこの早業は、足利工業が年内に納入することは到底不可能な事情にあることを関係者が当然承知していたと思われる状態にもかかわらず行われたのであります。(「どうです、自由党」と呼ぶ者あり)これらのことは、全く大橋君が地位を利用し、その権力でかかる不正を行わしめたと疑われるに十分であります。(「十分だ」と呼ぶ者あり)
 この問題の審議途中において、自動車売却代金の処理方法とか、顧問料の前借りであるとか、政治資金規正法上の問題とか、大橋君の僞証とか、種々な派生的な事件が起つたのであります。これらの問題は、何ら本件の本質に触れるものではありませんが、その過程においても、以上述べるような数々の不可思議な事実があります。即ち証拠を隠滅するために、次のようなことが行われたと思われる節があります。
 まず第一、二十六年六月初め頃、調査を依頼されました伊藤利夫氏作成の調書が何者かによつて持ち去られ、重要な数々の証拠がなくなつているというようなことも言われております。本委員会から職権捜査を依頼されました検察庁は、何故か十項目の質問を大橋君に提出して回答を求めたのに止まり、何ら積極的な捜査を行わず、時日の遷延を図つております。即ちこの間に、明らかに政治資金規正法違反の事実は時効にかかつてしまつたのであります。又、某委員に対しましては、無署名の脅迫状が舞い込み、大橋君は直ぐやめるから、委員会で審査するのは止めろという申入れがあつたとも伝えられております。又大橋君に関係ある銀行帳簿の重要部門が切り取られている事実も伝えられております。
 以上の諸点によりまして、大橋氏が如何に委員会の席上、三百代言的言辞を弄し、或いは法務総裁たる権力を利用して、巧みに証拠隠滅を図ろうとも、その罪は明々白々としてもはや天下にその非を蔽いがたい動かすべからざる事実であります。(「その通り」と呼ぶ者あり)
 吉田政府は、内にかかる閣僚を抱え、外に向つては全国民め怨嗟の的である売国二條約、行政協定を結んで、(「決算とは関係ない」「あるある」と呼ぶ者あり)祖国を売渡し、真に祖国を愛し、平和と民族の独立を願う国民に対しては、流血と投獄を以て襲いかかつております。(「そうだ」と呼ぶ者あり)かくの。ごとき政府の存在は、もはや一日といえども許しがたいものであります。吉田総理とその一味徒党は、即時総辞職して、天下にその罪を謝し、歴史の前に服罪することを要求して、庁対討論を終ります。
#19
○副議長(三木治朗君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。(「賛成討論をやりなさい」と呼ぶ者あり)討論は終局したものと認めます。
 これより本件の採決をいたします。本件を委員長報告の通り決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#20
○副議長(三木治朗君) 過半数と認めます。よつて本件は委員長報告の通り決せられました。(拍手)
 議事の都合により、これにて午後二時まで休憩いたします。
   午前十一時三十七分休憩
     ―――――・―――――
   午後三時二十七分開議
#21
○副議長(三木治朗君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。
 この際お諮りいたします。加藤シヅエ君、山花秀雄君から、海外旅行のため会期中請暇の申出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#22
○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。よつていずれも許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#23
○副議長(三木治朗君) この際、日程に追加して、電波監理委員会委員の任命に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#24
○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。去る二十七日、内閣総理大臣から、電波監理委員会設置法第六條の規定により、拔山平一君を電波監理委員会委員に任命することについて、本院の同意を求めて参りました。本件に関し同意を與えることに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#25
○副議長(三木治朗君) 過半数と認めます。よつて同意を與えることに決しました。
 次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時二十九分散会
     ―――――・―――――
○本日の会議に付した事件
 一、議員の請暇
 一、議員派遣の件
 一、日本放送協会経営委員会委員の任命に関する件
 一、日程第一 港湾法の一部を改正する法律案
 一、日程第二 船舶安全法の一部を改正する法律案
 一、日程第三 昭和二十三年度一般会計歳入歳出決算、昭和二十三年度特別会計歳入歳出決算
 一、電波監理委員会委員の任命に関する件
ソース: 国立国会図書館
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