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1951/07/04 第13回国会 参議院 参議院会議録情報 第013回国会 本会議 第62号
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1951/07/04 第13回国会 参議院

参議院会議録情報 第013回国会 本会議 第62号

#1
第013回国会 本会議 第62号
昭和二十七年七月四日(金曜日)
   午後一時二十九分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第六十三号
  昭和二十七年七月四日
   午前十時開議
 第一 法廷等の秩序維持に関する法律案(衆議院提出)(委員長報告)
 第二 昭和二十三年六月三十日以前に給與事由の生じた恩給の特別措置に関する法律案(衆議院提出)(委員長報告)
 第三 農林漁業組合再建整備法の一部を改正する法律案(衆議院提出)(委員長報告)
 第四 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約に基き駐留する合衆国軍隊に水面を使用させるための漁船の操業制限等に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第五 昭和二十六年産米穀の超過供出等についての奨励金に対する所得税の臨時特例に関する法律案(衆議院提出)(委員長報告)
 第六 製塩施設法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第七 航空法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第八 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約に基く行政協定の実施に伴う航空法の特例に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第九 農地法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第一〇 農地法施行法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第一一 輸出取引法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第一二 航空機製造法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第一三 特定中小企業の安定に関する臨時措置法案(衆議院提出)(委員長報告)
 第一四 電源開発促進法案(衆院提出)(委員長報告)
 第一五 中華民国との平和条約の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)(委員長報告)
 第一六 北太平洋の公海漁業に関する国際条約及び北太平洋の公海漁業に関する国際条約附属議定書の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)(委員長報告)
 第一七 インドとの平和条約の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)(委員長報告)
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(佐藤尚武君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。
 この際お諮りいたします。小泉秀吉君から海外旅行のため会期中請暇の申出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#5
○議長(佐藤尚武君) この際、議員大屋晋三君懲罰の動議を議題といたします。これより提出者の趣旨説明の発言を許します。金子洋文君。
   〔金子洋文君登壇、拍手〕
#6
○金子洋文君 只今議題となりました大屋晋三君に対する懲罰について趣旨の説明をいたしたいと存じます。
 第五回国会におきましても、会期の延長をめぐつて紛糾が起つたのでありますが、その当時議員として経験の乏しかつた私は、議長席へ駈け上つたために、二十三日間の登院停止を喰つておるのであります。そういう苦い経験で思い出すことは、共産党の中西君の除名に賛成するならば、社会党の金子やカニエの懲罰は軽くする、こういう楽屋裏の提示が自由党の方々から出されたのであります。(「不都合だ」と呼ぶ者あり)我が党はこの不正な提示に対して断固拒絶して、我々は中西君の除名に反対し、我々は喜んで二十三日の登院停止を喰つたのでありますが、今回の懲罰動議に際しましても、私は自由党の方々に望みたいことは、そういう国会を侮辱するような楽屋裏の取引は是非やめて頂きたいということであります。会期延長をめぐつて今回も議院運営が不能になつたことは御承知の通りでございますが、その原因は、全国を挙げて反対しておるところの破防法の審議に当つて、吉田総理大臣が一回も委員会に出ない、或いは最終の議院運営委員会に出席を求めたのに、それさえも所労と言つて出て来ない、こういう参議院の軽視が一つの大きな原因となつておると思います。と同時に、衆議院において絶対多数を誇る絶対多数の暴力が、そのまま参議院に持ち込まれたものであると申しても過言でないと思います。それを具体的に申しますならば、六月の二十日に開かれた議院運営委員会において、首相が出席しないので、一つの紛糾が起りました。総理大臣に代つて山崎大臣が出席して弁明これ努めたのでありますが、そのあとで会期の延長をきめたのち、然らば日数をどうするかという場合において、木村議員が誤まつた発言をしたのでございます。そこで野党の総退場となつたのでありますが、これについては、そのあとで、木村議員を初め、加藤、草葉、寺尾、これらの諸君が我が会派に陳謝に参つた、その事実によつても明らかでございます。(「謝まつたのじやないよ、それは違うよ」と呼ぶ者あり)総退場のあと私は運営委員会に残つておりましたが、川村委員長はちよつと茫然の形でありました。あのとき休憩を宣すると、あの紛糾が救えたのではないかと考えられますが、委員長が茫然としておるところで採決という声がかかつたので、そのままふらふらと採決に移つて、野党の議員が全部退場したまま日数が決定を見たのであります。その結果、遂に二十一日、二十二日になつて議院が空白のまま運営不能に陥つたのであります。事態を憂慮した議長は、二十三日各会派の代表の参集を請いまして懇談に入つたのでありますが、そのとき野党の申入れは、各会派がかように集まつて相談してもまとまりにくい、であるから、正副両議長においてよく相談の上、先ず一つの案を以て自由党のほうへ折衝してもらいたい、こういうことを野党が申入れたのであります。その結果、正副議長において相談した上に自由党のほうへ申入れをしたようでありますが、その間の経過はいろいろ聞いておりますが、間違つてはいけませんので省略いたします。そうして、翌日において、これこれのことを、いわゆる三つの條件を自由党に申入れて、大体同意を得そうである、そこで野党においても、野党連合においてもこれを一つ検討して頂きたい、その三つの條件というのは御承知のように、国会法十三條を参議院を尊重して改正すること、川村委員長は自発的に辞任をして、自由党の幹部諸君はそれを承認すること、国会の運営を正規のルートに乗せてもらいたい、この三條件でございます。野党連合は懇談や討論を重ねて、最後にきまつたことは、第十三條を参議院を尊重して改正することを優先的な條件としてこれを呑もう、そういうふうに決定を見て議長にまで申入れをいたしたのであります。
 それは
 第十一條に次の一項を加える。
  前項の場合において、両議院一致
 の議決に至らないときは、衆議院の
 議決したところによる。
 第十二條に次の一項を加える。
  前項の場合において、両議院の議
 決した会期延長の日数が一致しない
 ときは、衆議院の議決したところに
 よるものとし、いずれかの議院が会
 期を延長する旨の議決を行わないと
 き又は会期を延長しない旨の議決を
 行つたときは、会期を延長すること
 ができない。
 これはあとから作られた案文でありますが、大体こういう趣旨の申入れをしまして、三つの條件を呑んだのであります。そこで再び各会派が議長室に集まつて懇談に入つたのでありますが、このとき自由党を代表して出席した大屋晋三君、草葉隆圓君、両君が出席しておつたのでありますが、大屋晋三君から発言があつて、この改正案は参議院の会派に対しては自分はお引受けできるが、衆議院のほうは一存でお引受けすることはできない、でありますから、一旦帰つて御相談してから回答をいたしますと、こういう意味の御答弁が、発言があつたのであります。
 そうすると、野党会派は、それでは暫らく休憩しようじやないかと、そういう私語があつたのでありますが、そうすると、うしろにおつた草葉隆圓君がちよこちよこ前に出て参りまして、(笑声)そうして大屋君に耳打ちをいたしました。そうすると大屋晋三君は再び発言を求めまして、「今、草葉君から耳打ちがありました。草葉君の意見ではこれはお引受けしてもよさそうでありますから、改めてお引受けすることを申入れます。」かようになつたのであります。そこで、緑風会の徳川議員、高瀬議員、民主クラブの大隈議員、これら三君に諮りますと、いずれも大屋君と同様のお答えがございました。そうすると、共産党の兼岩君が突如発言がありまして、衆議院のほうも大丈夫かと、こういうように問われたのであります。そうすると周囲の議員が、兼岩君そんな野暮なことを言うんではないと叱り付けまして、全員拍手をして、余り大きな拍手ではありませんでしたが、拍手をして、そうして笑顔を交わしながらその夜は円満に別れたのであります。然るに翌朝この改正案を作成する小委員会に参りましたところが、俄然空気が変つておりまして、何やらあいまいな弁明が頻りに自由党議員の中から出て参るのであります。そうして、次第に質すと、それは前夜約束した第十三條を改正するということは衆議院では呑めないばかりでなく、参議院も一致した意見となつていない、こういうふうな空気となつて参りましたので、それではまるで公党を欺き、食言するものではないか。では大屋晋三君を、会長を呼んで来たまえ、それから衆議院のほうでは増田幹事長を呼んで来たまえ、かように申入れをしたのでありますが、大屋晋三君も増田幹事長も出席を拒否して遂に姿を見せなかつたのであります。これによつて、二日間正副両議長及び野党の我々が苦心を重ねてまとめたこの條件が、大屋君の食言と背信によつて踏みにじられ、遂に議長の言葉を以てすると、忌わしい職権を以て、議長の職権を以て国会を開くというところの不祥事に至つたのであります。これは明らかに大屋君が会派を代表していながら食言したのであり、公党を欺くところの背信行為と断ぜざるを得ないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)かかる意味において、私は情において忍びませんが、大屋君を懲罰に付することの動議を提出したのであります。
 以上を以て私の趣旨の説明を終りたいと存じます。(拍手)
#7
○議長(佐藤尚武君) 懲罰の動議は討論を用いないで採決いたすことになつております。
 これより本動議の採決をいたします。大屋晋三君を懲罰委員会に付託することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#8
○議長(佐藤尚武君) 少数と認めます。よつて大屋晋三君を懲罰委員会に付託することは否決されました。
     ―――――・―――――
#9
○議長(佐藤尚武君) この際、議員岩間正男君、兼岩傳一君、三輪貞治君、鈴木清一君、江田三郎君、岡田宗司君、栗山良夫君、中田吉雄君、水橋藤作君、河崎ナツ君、高田なほ子君、小笠原二三男君、木下源吾君、島清君、梅津錦一君、菊川孝夫君、吉田法晴君懲罰の動議を議題といたします。
 これより提出者の趣旨説明の発言を許します。溝淵春次君。
   〔溝淵春次君登壇、拍手〕
#10
○溝淵春次君 只今議題となりました懲罰事犯につきまして、その趣旨を御説明申上げます。
 只今議長より読上げられました十七名の諸君に対する懲罰動議でございますが、岩間君、兼岩君、三輪君、鈴木君、江田君、岡田君、栗山君、中田君、水橋君、河崎君、高田君、小笠原君、木下君、島君、梅津君、菊川君、吉田君の十七名であります。これらの同志先輩の議員に対する懲罰動議を出して御審議を願うということは誠に情において忍びざるものがございまするが、(笑声、「やめろ」と呼ぶ者あり)二十八日の本会議におきまするあの出来事に対してこれは重要議案が山積いたしておりまするけれども、本日のこの機会におきまして、議員各位の愼重なる御審議を以て懲罰事犯に対するこの議院の態度を決定して頂きたいと思うのでございます。
 先ず、懲罰の事犯の根抵をなすものは(「おい、君は弁護士ではないか」と呼ぶ者あり)二十八日の本会議におきまして、只今申上げました十七名の人々の第一の事犯は、参議院規則二百十三條に基く議長の許可なく登壇したという事犯であります。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)十七名の諸君ともこの條文に該当する事犯があつたことを確信いたすのでございます。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)第二は、当日の事犯のうちにおきまして、最も私ども参議院議員として黙視することができないと思つております一番大切なる懲罰事犯は、いわゆる小林英三君の動議、即ち他の議案に先だつて破防法案を審議するという動議の採決に当りまして(「その動議が惡いのだ」と呼ぶ者あり)その参事の読上げられるに従つて、緑風会の先輩各位から順次この壇上に投票権を行使する、議決権を行使するために壇上に上つて来たときにおきまして、只今申述べました十七名の人々は右より左よりあらゆる状況におきまして、議員が小林君の動議に対する議決権を行使することに対しまして、遂に実力、暴力を以て議決権行使を阻止したのであります。(「ノーノー」と呼ぶ者あり、拍手)これは日本の国の明治以来、国会開設以来、議員の議決権を暴力を以て阻止したという事案は未だ曾つて聞かざるところであります。(拍手)第五回国会のときにおきましては、議長の職権行使を暴力を以て阻止した事件があつたようでございますけれども、いわゆる議決権自体の行使に対しましてこれを阻んだということは、少くとも今日の民主議会において、我々参議院としては全日本、全世界に恥ずべきことでありまして、断じて看過することができ得ざるところのものであると思うのであります。(拍手)当日の議場を御覧になられたかたは、議長は十数回の制止をいたしております。そうしてこの騒擾の結果は、このいきさつの結果は遂に議長は休憩を宣せなければならんという事態を引起したということは、少くともこの十七名の人々によりまして、神聖なる議場において議員の議決権の行使を阻止したという未だ曾つて見ざる不神事を捲き起したのでありまして、(拍手)これに対して懲罰事犯の起きて来ることは当然であると思うのであります。このことはひとり国会における懲罰事犯として論ずるだけでなく、むしろ議員がその議員たる職責において、公務に関してその職務を執行する場合において暴力を以て阻止した、まさに公務執行妨害したとも言い得る事案であると思うのであります。かような状況におきまして、各位は議員としてこの重要なる国会におきまして審議の実を盡されており、その熱心の余りさような行動に逸脱したのかもわかりませんけれども、現われた状況は、これを参議院が看過するときにおきましては(「原因が違うぞ」と呼ぶ者あり)議員の議決権を暴力を以て阻止することを看過するときにおきましては、到底今後の我が参議院における議事の運営は完全たらざるものありと考えまして、あえて本懲罰動議を提出いたした次第であります。なお第三の事実は、当時この整理に当りました議長の命を受けて、議場整理に当られた衛視に対して暴力を振つた議員があります。岩間君、兼岩君、江田君、そうして島君、そうしてそのうちで河崎氏、高田氏は守衛をつねつておる。(笑声、拍手)島君は衛視のネクタイをつかんでいる。こういつた事案におきまして、おのおのそれは破防法に対する賛否両論の中で、その動議の採決に当りまして、破防法を阻止せんとする人は死力を盡してこれに闘うことも当然であります。通過せしめんとするものは、あらゆる犠牲を拂つてこれを通さんとすることに努力することは当然でありますけれども、我々議員は如何なる場合においても、議員たる品位を傷付け、議員たる行動の上に世間の非難を受けるようなことは、嚴に戒めなければいけないと思うのであります。(拍手)殊に今日の状態におきまして、我々が民主的な議会を運営しようとするときにおきまして、言論に対しては国会規則に則つて正々堂々正しい行動をとるべきでありまして、二十八日の出来事は、我が参議院における誠に遺憾な出来事であつたと思うのであります。
 かような意味におきまして、私はこの国会法に準拠いたしまして、規則二百四十五條の示す議院を騒がし且つ議院の体面を汚し、その情状が特に重い者は登院の停止或いは除名、こういつた條項に該当する事案といたしまして、国会法百二十一條によりまして、あえて懲罰動議を提出いたした次第でございまして、各位の愼重審議をお願いする次第でございます。
#11
○議長(佐藤尚武君) 質疑の通告がございます。発言を許します。小酒井義男君。
   〔小酒井義男君登壇、拍手〕
#12
○小酒井義男君 私は社会党第四控室を代表いたしまして、只今議題となつておりますところの懲罰動議の提案説明者に、一、二の点について質問をいたします。
 先ず第一点といたしましてお尋ねいたしたいことは、御承知のように当日の議事が混乱いたしました原因であります。提案者分りますか。(「聞いているのか」と呼ぶ者あり)御承知のように自由党から、破防法その他の案件を先議すべしという動議の出されました際には、すでに我が会派から、成規の手続によるところの大屋晋三君の懲罰動議の手続がなされておつたわけであります。然るに議長が、手続によるところの動議を採択することなく、議場においてあとから出されたところの動議を、優先議事として採上げたことに問題の出発点があつたと私は解釈をしておるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)この点について提案者は、議長のとられたところの当日の議事の手続、まり参議院の議事規則に背反するところの手続であるという我々は解釈を持つておるのでありまするが、提案者はそれについて参議院規則が、ああした方法で議事の運営をやつて行くことに、将来悪例を残すということがあるか、全然その心配はないというふうにお考えになつておるかどうかという点を一つ明確にして頂きたいと思います。
 更に次には、私は当日演壇に上がつた懲罰の対象となつておる各議員の心情は、今申上げたような参議院の議事規則を無視するごとき悪例を議長が残される、これがいけないという考え方で、議長に対してその理由を質すために登壇をされたものと私は理解をしておるわけでありますが、(「その通り」と呼ぶ者あり)動議の提案説明者は、投票の妨害を行うのが目的であつたというふうに言われております。その点について具体的に提案理由の説明の根拠を一つお示しを願いたいと思います。
 次に第三点としてお尋ねいたしたいことは、只今提案理由の説明に当つて、氏名を挙げて暴行をはたらいたということを説明されております。然らば氏名を挙げて暴行をしたということを言われる以上は、暴行を受けた相手があるはずだと思います。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)相手はどういう暴行を受けて、誰がどのような傷害を受けておるかということを具体的に御説明を願いたいと思います。(拍手)
#13
○議長(佐藤尚武君) 溝淵春次君。
   〔溝淵春次君登壇、拍手〕
#14
○溝淵春次君 小酒井さんの御質問にお答えをいたします。
 先ず議長が、破防法を先議すべしとの小林議員の動議を先に採決せんとした態度に対するその考え方をお尋ねになつたと思うのでありますが、小林議員のその動議は、破防法の成否に関して、全国民重大而も非常な慎重な態度で凝視しているときに、先ず今国会の一番大切な議案の一つといたしまして、破防法を先議することが国民の負託に応えるゆえんであると考えられて出した小林議員の動議を採決することが議長として、又そのときにおける当然の、(「そんなの理由になりません」「反対している」と呼ぶ者あり)当然の措置としてとられた態度であると思うのであります。
 なお、そのときにおけるいわゆる暴行等に対しての具体的な人名その他につきましては、この案が委員会に付された後におきまして、詳細に申上げることにいたしたいと思います。(「答弁にならんぞ」と呼ぶ者あり、拍手)
   〔小酒井義男君発言の許可を求む〕
#15
○議長(佐藤尚武君) 小酒井君、なんですか。
#16
○小酒井義男君 再質問をいたしたいと思います。
#17
○議長(佐藤尚武君) 小酒井義男君。
   〔小酒井義男君登壇、拍手〕
#18
○小酒井義男君 只今の答弁に対して再質問をいたしたいと思います。
 只今の答弁によりますと、議長が、議場内におけるところの動議を優先的にとられたことについて、溝淵議員は、これは国民が重大な関心を持つている案件であるからということでありますが、それでは、それは如何なる規則、手続によつてそういうことを行い得る根拠があるかということを一つ明確にして頂きたいことであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)
 次に(「それこそ暴力だよ」と呼ぶ者あり)公務が妨害されたということでありますが、我々は何ら公務は妨害をされなかつたものと解釈をしております。公務が如何なる根拠に基いて妨害をされているかということについての具体的な説明をお聞かせ願いたいと思います。
 次に我々としては当日の記名投票は、完全に行われておつて、これの公務は妨害されなかつたという解釈を持つているわけであります。
 これらの点について、再び我々の納得のでき得るような御回答をお願いいたします。
#19
○議長(佐藤尚武君) 溝淵春次君。(「休憩は議長の判断でやられたのですよ」「暴力のあつたその点をはつきり言え」と呼ぶ者あり)
   〔溝淵春次君登壇、拍手〕
#20
○溝淵春次君 小酒井議員の再質問にお答えいたします。議長が小林議員の採決を先にやりましたることは、院議に従いやりましたることでありまして、(「ノーノー」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)当然であると思います。
 なお小酒井議員の公務が妨害されたる事実があるかどうかというお尋ねでありますが、これは小酒井議員のお言葉とも思われないのであります。当日小林君の動議に対する採決におきまして、すでに氏名を読み上げて、順次この壇上に来たときにおきまして、それが議長をして休憩せしめなければならんあの混乱に陥つたことに対して、断じてその投票権、議決権の行使を妨害したる事実は天下が認めていることであると思うのであります。(発言する者多し、拍手)
#21
○議長(佐藤尚武君) 大野幸一君。(「これが本当の弁護士だよ、よく聞いておけ」「さつきのは三百だ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
   〔大野幸一君登壇、拍手〕
#22
○大野幸一君 本懲罰動議の賛否を決せられるに当りまして、やはり議員諸公の参考になることであると思いまして、これをかねつつ提案者に対して小林議員の動議が、これが適法なりや否やということについて再度の質問を試みたいと思うものであります。(「恥しいだろう」と呼ぶ者あり)
 この二百五十人の議員のうちから動議動議という声がかかる場合があります。この動議をどういうように取扱わなければならないかというのが議長の使命でありますが、この場合を予想いたしまして、参議院規則二百三十八條には、明らかにこの場合に処する規定があるのであります。(「そうだ」「その通り」と呼ぶ者あり)念のために私がここに読み上げましよう。(「いいぞ」と呼ぶ者あり)参議院規則二百三十八條、「懲罰の動議が提出されたときは、議長は、直ちにこれを会議に付さなければならない。散会後に提出されたときは、最近の」最も近い、次に開かれる会議のことであります。「最近の会議において、これを議題としなければならない。前項の場合においては、議長は、討論を用いないで、議院の決を採り、これを懲罰委員会に付託する。」これが二百三十八條に明文を以て規定しているのであります。
 聞くところによりますと、すでに休憩中に大屋晋三君に対する懲罰動議が提出されておつたのであります。従つて議長は、この参議院規則の命令するところによつて、次に開かれるところの本会議において、この懲罰動議を、第一にこれを上程しなければならん義務があることは、これは明らかであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)併しながら懲罰動議が次々と百十数件提出される場合を仮定してみましよう。これは私は、権利の行使でなくて、或いはこれは権利の濫用であろうと考えるのであります。この権利の濫用とあることを、いつこれを認定するかということであります。濫用であるから濫りに幾つもいつも連続するということが、客観情勢となつて我々に現われて来なければなりません。ただ一つの動議を以て、これは権利の濫用、将来行うであろうところの予測を持つてこの濫用に対する対抗條件といたしまして、或る動議が提出されることは、時期が早かつたのであります。私はこういう意味におきまして、あながち小林君の動議が、違法行為、濫用行為を避けるためには、或いは止むを得なかつたでありましようけれども、併しこれは自然幾つもの動議が提出されて来る間に、議場の人たちが考え初めまして、そして或る程度の了解を求めつつ、暗黙の了解ありつつ、理解を持たれつつ、動議を出されたならば、こんな議場の混乱は起きなかつたのでありますが、(「その通り」と呼ぶ者あり)突如としてこの破防法案、野党としては必死の攻防戰でありまして、この攻防戰に際しまして、突如として小林議員が出されたるこの動議は驚きました。驚ろきの余り、議長のお取計らいについて、希望を述べようとして演壇にかけ上つて来たのでありましよう。こういうことを斟酌されて、そして十七名を、私は懲罰動議に付せられたのかということが、私は第一点に伺いたいところであります。
 第二は、一体何によつて十七人をこのうちから選定されたのでありますか。聞くところによると写真を以て選定されたということでありまするが、写真ほど危險なものはないのであります。
 例えて言うならば、私が申上げますとすると、丁度我が党の島君は、私が議院運営委員として上つて参りまして、これは私は督促をされました、議院運営委員であるから、何が起つておるのか議長の所へ行つて聞いて来いという命令で、私は出て参りまして、私は加藤君にこのことを静かに聞いておりましたが、加藤君もやや興奮しておりました。よくわかりませんでした。ただ投票中だ、投票だと言いましたのです。そこで私はすでに投票の結果は報告されたじやないか、何が投票中だと言つたら、次の動議の投票中だと言つて、私もびつくりしたのであります。このくらいの認識を以てみんなが駈け上つて来たのでありまするから、あの第一回の議場、壇上の騒がれたときは、誰もここにいる人が、今や投票中なりと考えていなかつた。何だか議事の動議が提出されたことが不法なりという気持で以て駈け上つて来ましたけれども、投票中なんということは、私が下におりまして、言われまして初めて気がついたことであります。こういう事実を皆調べられて、この動議を提出されたかどうかということが第二点であります。例えば島君の場合におきましては、私に対して一体守衛が議員を押し出しておる、あれは議長が命令されたのかどうか、君は議院運営委員として知つているかと言いましたから、どうもそういうように考えない、よく知らないと言いました。そこで島君は、それならば守衛に直接聞くがよいと言いました。ところが島君は守衛のところに聞きに来た際、聞きに来たときに、島君は上から押されたのであります。こういうような事案を私は本当に体験しておるのであります。実験的にしておる。こういう事実を、ただ写真のみによつてやられたのではないのかどうか、聞くところによると、衆議院ではやはり調査会を設けられて動議を出すかどうかということを各人に亘つて調査されておるようでありますから、一体提案者はただ写真だけにおいて壇上にあつた者だけを選定されたのか、調査会でも作られたのか、こういう点を先ずお伺いしまして、次の再質問を留保しつつ、一応私は質問を終ります。(拍手)
#23
○議長(佐藤尚武君) 溝淵春次君。
   〔溝淵春次君登壇、「早く謝つたほうがいいよ」、「答弁できやしないんだよ」と呼ぶ者あり〕
#24
○溝淵春次君 お答えいたします。大野議員は小林君の動議が過当でない動議であるという御意見のようでございますが、(「その通りだ」と呼ぶ者あり)これは先ほど申し上げましたように、院議で決定すればそれでよいのであります。(「その前だ」、「参議院規則によつているんだ」、「規則は何のためにあるんだ」、「そんな馬鹿なことがどこにある」等と呼ぶ者あり)そうして小林君の動議の提出はいわゆる権利の濫用であるかの如き御意見でありますけれども、私どもは権利の濫用とは思わないのであります。(「ものをわきまえない」と呼ぶ者あり)
 次に何によつて十七名の動議を提出したかということについて、写真のお話がありましたが、写真のみでなく、いろいろなる調査の結果、(「いろいろとは何ですか」と呼ぶ者あり)動議の提出をいたしたのであります。
 さような事情でございまして、只今大野氏の御質問に対する答弁としては、以上を以て答弁に代えます。(「ちよつとひどいぞ」と呼ぶ者あり)
#25
○議長(佐藤尚武君) 大野幸一君。
   〔大野幸一君登壇〕
#26
○大野幸一君 如何なる動議も成立さえすれば、多数で成立さえすればいいのだという御解釈のようでありますが、さような解釈では議事はいたずらに混乱するのでありまするからこそ、動議の取扱いかたの方法をきめているのであります。おわかりになりましたか。そこで、若しこういう場合に今後処することをあらかじめ懸念するならば、先ず我々は院議で参議院規則を改正する参考にはなるでありましよう。(「わかつたか」と呼ぶ者あり)例えばそういう非常措置の動議を提出する場合には、三分の二以上の賛成者を必要とするとか、或いはその他の形式を用いる、條件を用いる場合があるでありましよう。私はそれを言うのであります。與党がかような非常手段たる(「クーデターだ」と呼ぶ者あり)方法を用いつつ野党の人たちにその責任を全面的に負わせるわけには参りますまいし、一旦懲罰動議が成立すると、世間は何か想像の責任をその人たちが全部負わなければならないというような印象を受けるものであります。裁判にかかつて後ほど無罪になつても、これはやはりその人の回復すべからざる名誉を毀損されたことは現実となつて、あなた提案者も弁護士のかたでありまするから御承知でしよう、(「三百代言でわからん」と呼ぶ者あり)こういう意味におきまして、私は今度動議を採択されるに当つては、むしろ與党のほうからもう一度再調査をして、そうしてこの点省くものがあれば省くというような御考慮をされる意思がないか、こういうことを御質問いたしまして質問を終ります。
#27
○議長(佐藤尚武君) 溝淵春次君。
   〔溝淵春次君登壇、拍手〕
#28
○溝淵春次君 大野議員の再質問にお答えいたします。御意見として今後に処する方法としては傾聴するに足る御意見であると思いますが、動議の取扱いは議長の決するところでありまして、而も(「議長は参議院規則の枠内でやるのだよ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)而も小林議員の(「参議院規則の枠内でないと駄目なんだよ」、「それが明らかにされなくちやいかん」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)動議に対して採決をするかどうか、採決をするかどうかを院議によつて決定をして、院議が小林議員の動議を採用するということになつた以上これに従わなければならないのでありますから、議長がこの動議を採用したことに対して我々議員がこれに従つたことは当然であります。(拍手)
#29
○議長(佐藤尚武君) 岩間正男君。
   〔岩間正男君登壇、拍手〕
#30
○岩間正男君 溝淵君にお伺いしたいと思うのであります。あなたは私よりも法律知識は詳しいかたと思うのでありますから、今までのような不明瞭な答弁では我々は了解することはできない。参議院の権威のためにも是非真劍に答えて欲しいと思う。
 先ず第一に溝淵君は岩間正男ほか十六名の動議を提出するに当つて、三つの理由を挙げておられます。先ず第一にあなたの挙げた理由を見ますというと、二百十三條の議長の許可なくして登壇した。これは甚だけしからん、こういうことを言われているのでありますが、登壇というのはどこを指すのでありましようか。私は演壇の範囲を先ず登壇と考えるのでありますが、我々の見たところではそのようなこの演壇に上つたものの影というものは先ずなかつたというふうに考える次第であります。それからその次、お聞きしたいのは登壇につきましては二十日のあの会期延長の混乱した場合におきまして、この演壇を占領してやじるという小野義夫君の問題が起つた。そうして小野義夫君に対しましては懲罰の動議さえ出てこのようなことが正しいかどうかということが諮られたのであります。ところが演壇を占領してやじつても差支えないというような決定がなされたことはあなたも御承知だろうと思うのであります。(「その通りだ」と呼ぶ者あり、拍手)こういう点から考えてここに演壇を占領もしないのに、これは占領したというようなことであなたは言つておられるのでありますが、あのような決定が多数なれば何でも正しくなくても正しいとして通る。少数なればそれが同じような、全く同じようなことが起つたとしてもこれは正しくないとして取上げられるとしたならば、一体どのようにして民主主義を守り扱くことができるかということについて私は先ず第一にお伺いしたいのであります。
 第二の件でございますが、これは第二の件については議長の職権で行われた。このことに対して採決権を妨害した。これは公務執行妨害であるというようなことをあなたは言われたのであります。併し先ほどから問題になりましたように、一体議長職権というものは無制限に而もあらゆるそのときの勢力に押されて不当に行使されることは我々は了承できないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、)当然これは国会法或いは参議院規則によりまして、その規則の定めるところによつて嚴正中立な立場から行われることが当然であると思うのであります。従いましてあの場合にあなたは院議を以て決定したというようなことを言つておられますけれども、これは院議決定、実は以前、あの動議を採択するかどうかということを記名で諮るその以前の問題がありまして、何らこれは院議では決定していない。議長が、それを議長職権によりまして参議院規則二百三十八條違反という形でもつて、未だ曾て参議院では事前にこのような例がない。ただ僅かに衆議院のほうでそういうような例がたまたまあつたと言われるのでありますけれども、「この問題は我々もしばしば論じましたように、これは衆議院において多数を頼んで、多数さえあれば何でも通るというような、議事規則を無視しても構わないというようないわば、暴力的な政治のあり方なんだ。こういうものを参議院、我々は第二院として、第一院の行き過ぎを当然阻止する任務を持つておる参議院としましては、そのような馬鹿げた議事運営の仕方というものは、これは採入れることができない。これは悪例だと思うのであります。このような悪例に対しまして、我々としては当然不当な議長権限が行使されるときには、議員としては当然これに抗議する権利を持つておると、こう解釈するのでありますが、このような不当に対する抗議権さえもこれは議員は持つことができないと溝淵君はおつしやるのでありますか、どうですか。この点明確にして頂きたいと私は思うのであります。この点は非常に私は重要な問題だと思うのでありまして、我々は單にこの懲罰事犯の問題を自分一身の問題、そういうような問題としてこれは論ずることはできない。飽くまでも我々も公けに選出された議員でありまして、当然これは国会の運営は国民環視の公々然たる中におきまして、当然その職責を正しく公然と運営する立場から、今の問題を明らかにする我々は責任を感ずるのでございます。こういう点からあなたの言われました不当な議長権限行使に対する、我々の議員の抗議権というのはないのであるかどうか、この点を私ははつきり明確にしてもらいたいと思うのであります。(拍手)民主議会が全日本に、恥しい云々と言われましたけれども、その民主議会でありますならば、当然これは規則が如何に議長職権とは言いながら、正しく守られて行く姿こそが民主国会であり、それを正しく行え、こういうふうに抗議するのが当然我々の、正しい議員の任務であると解釈するのであります。
 第三に(「抗議の仕方が間違つている」と呼ぶ者あり。その他発言する者多し)溝淵君の……。お静かに願います、議長。
#31
○議長(佐藤尚武君) 御静粛に願います。静粛に願います。
#32
○岩間正男君(続) 溝淵君の第三の懲罰理由は衛視に対して暴力だというようなことを言うのでありますけれども、これは先ほどから小酒井君にも聞かれましたように、暴力行為の事実があつたとするならばその被害を受けたものがはつきりしなければならない。あなたはこれを委員会で明らかにするなどと言つておられますけれども、いやしくも何十万の選挙者から選ばれたところのこの国会議員を懲罰に付すというようなことは、これは生やさしい問題ではないと私は考えるのであります。当然それに対しては愼重な態度がとられなければならない。然るにあなたはここではつきりそういうような事態を申述べることなく、これを先ず委員会に持込む、そういうやり方そのものが、とにかくどういうような形でこれは院外で受取られるかということははつきりしておるのであつて、持込むか持込まないかということを判定する根拠がここで明らかにされないなどということは当然提案者としては準備の非常に不足だと思うのであります。こういう点から考えまして、あなたはどのような一体具体的な事実があつて、そのような暴力行為がなされた、こういうことをおつしやいますか。以上の三点に亘つてお伺い申す次第であります。(拍手)
#33
○議長(佐藤尚武君) 溝淵春次君。
   〔溝淵春次君登壇、拍手〕
#34
○溝淵春次君 岩間君の御質問にお答えいたします。登壇の意味は、見解は岩間氏の見解と違いありません。小野氏の場合におけることを例に引かれましたが、小野氏の場合は議長の指名ありとして小野氏が登壇されたのであつて、それが小野氏の錯覚によるものでありまして、それをこの議場においてあつさりそれの釈明があつて、これをこの議場におきまして了承したのでありますから、小野氏の例を以て二十八日の本件の場合における例証とはならないと思うのであります。(「そういうことはない」「真中におつたのがよくて、横におつたのが駄目か」と呼ぶ者あり。拍手)
 この次に公務執行妨害というその本質を持つという意見に対しての、岩間氏の御意見がありましたが、これは御意見として拜聴いたしておきます。(「選手交替」、「弁士交替」と呼ぶ者あり)
 次に被害者に対する関係等に対していろいろ岩間氏の御意見がありましたが、これらの点につきましては委員会において詳細申上げることにいたします。(「証拠があつたか」、「やめたほうがいいよ」、「お気の毒と言うよりほかないよ」、「証拠がなきやならん」、「証拠なしに何をやつている」と呼ぶ者あり)
#35
○議長(佐藤尚武君) 岩間正男君。
   〔岩間正男君登壇、拍手〕
#36
○岩間正男君 溝淵君に只今御答弁頂いたのでありますが、我々は公然とこの演壇を通じまして、公然たる態度で以て理論的に、正しいことを追究しているのであります。それに対して只今のような御答弁は、院内で、ここだけの内輪話とは違うのであります(「そうだ」と呼ぶ者あり)当然我々の論議というものは或る場合には世界世論というものが見ているのでありまして、そうして懲罰動議が出されまして、それに対してあなたのような御意見として承る。御意見として考えて、委員会で答えるというようなことを言われたならば、これはどういうことになりますか。私は少くとも事例を明らかにしてお聞きしている。決して意見の問題ではありません。私は具体的な事実を上げて、その事実に対して答弁を求めているのでありますが、あなたは全然それに対して理論的に解明をなされないということは私は不可解と思う。そういう態度で懲罰が行われるなどということは民主国会でありません。これは十分御反省を願いたい。
 先ず第一に小野君のこの前の登壇は指名がされたと思つて、というような主観的判断によつてここに上つたのだという、ところが問題を決定するのはいつでも速記録であります。速記録には何ら議長は指名されていない。又議長にも改めてお伺いしてもいいのでありますが、指名された事実はない。ところが我々はたまたま言辞を聞き間違つたりすることはあるのでありまして、そういうような小野君の行動が正当化され、ああいうような混乱の中だから指名があつたと思つて出たのだということが正当化されるとすれば、我々はやはりこれからでも随時いつでも指名があつたのだとして、そういう主観的な判断で、そうしてここに演壇を占領するということは可能性があり、而もそれは罰することはできないはずだ。(「できない」と呼ぶ者あり)これは絶対に罰することは私はできないと思うのであります。こういう点から考えまして、只今の御答弁三カ條に亘りまして、何ら私は十分なお答えが頂けていると思えないのでありまして、御意見とか、何とかでなくして、私は事例を明らかにしているのでありますから、その事例に対しまして私を納得させる御答弁を頂きたい。私はその結果を待ちましてもう一回再々質問をいたしたいと思います。
#37
○議長(佐藤尚武君) 溝淵春次君(「代つたほうがいいよ。誰かと代れよ」と呼ぶ者あり)
   〔溝淵春次君登壇、拍手〕
#38
○溝淵春次君 岩間君の再質問にお答えいたします。小野君の場合はこれはすでに院議を以て決定した問題でありまして、私よりお答えする筋合でございません。それからいろいろほかの御意見がありましたが、私は岩間君の御意見として拜聴いたしておきます。(「意見じやない、質問だぞ」、「そんな説明じや納得できない」、「駄目だよ、いつまで経つてもらちがあかんよ」と呼ぶ者あり)
#39
○議長(佐藤尚武君) 岩間正男君
   〔岩間正男君登壇、拍手〕
#40
○岩間正男君 そういうような御答弁で以てその御答弁しかすることのできない裏附を以て、いやしくも議員十七名に対して懲罰動議を提出するということは私はあなたの党の名誉のためにも、これはおやめになつたほうがいい。こういう馬鹿気たことは……。只今の御答弁でありまするけれども、小野君の場合は院議を以てきまつた、その院議は演壇を占領しても差支えないという決定なんだ。そうでしよう。だからその院議、その決定と同じような行動を我々がした場合に同じ懲罰を受けるだけの理由があるかということを伺いたい。あんな馬鹿げた御答弁は全然御答弁にならない。
 それから御意見、御意見といつているのでありますが、私はそれでは具体的にもう少し端的にお聞きします。第二の問題につきましては、議長職権が参議院規則を無視して行なわれた。これに対してこれを見送ることはこれを看過することは我々は少なくとも議員の任務とは考えられない。これに対して当然抗議をし、かような不当の行使に対しましてこれを改めて、議長と雖も神様ではございませんから間違いをされることがあるかも知れないそれに対しまして当然これは規則の命ずる正しい線においてこれを正しい方向にやつて貰いたいと抗議する権利というものは絶対議員にあると私は考える。当然だと思います。ところがあなたはこの点についてお答えがない。第三の問題は、先ほども申述べましたように、いやしくも議員を懲罰に付す、こういうような重大な案件を問われる場合に、これを委員会でそういう事実を明らかにするなどといつてあなたはごまかしておられますが、少なくともこれを判断する、これを委員会に付すか付さないか。これはすでにまだ院議でも決定されていない中に委員会に付託するのだということを前提としてかような話を進めておられるが、これはおかしいと思う。委員会に付託するかどうかということを判断するために、根拠を明らかにするために我々はお伺いしている。従つてこれに対してお答えがなければあなた自身の提案の理由というものは全くこれは意味をなさないと考えるのでありますが、この点についてもう一回明らかにして貰いたい。(「そうだ」「明快な答弁して下さい。」、「代れ代れ」、「選手交替」、「溝淵君が告発されているようだよ。」、「しつかりやれ。」と呼ぶ者あり)
#41
○議長(佐藤尚武君) 溝淵春次君。
   〔溝淵春次君登壇、拍手〕
#42
○溝淵春次君 賢明な岩間君が(「賢明じやありません」と呼ぶ者あり)よく了解されると思つて余り詳しく言わなかつたのでありますが、二十八日の場合と小野君の場合との本質的違いの点をおわかりになるようにはつきり申上げます。小野君の場合におきましてはすでに院議で決りましたように了承したのであります。二十八日の場合は皆さんがたが我々がここでとやかく説明しなくてもおわかりのように、(「わかりません」、「わからないから聞いてるんだ」と呼ぶ者あり)一種の我々が見れば計画的とも見られる行動であつて、議長の制止を聞かず、議場の神聖を汚し、議事の運行を妨げるべき、あの看過すべからざる事態が起きたからかような懲罰事案が起きたことを銘記されたいと思います。(「答弁じやない」、「傍聴者に笑われるぞ」と呼ぶ者あり)
#43
○議長(佐藤尚武君) 堀眞琴君。
   〔堀眞琴君登壇、拍手〕
#44
○堀眞琴君 私は社会党右、左並びに共産党の代表者の方々の質問と、これに対する溝淵君の答弁とを聞きまして実はこの懲罰動議は何ら理由がないものだということをはつきり信ずることができたのであります。只今の岩間君の質問に対しまして、例えばこの演壇の占拠の問題であります。あなたは小野委員長の場合と二十八日の夜の場合とは全く異つたものであるという説明をされているのであります。併しながら小野君は決してあなたが言われたように無意識的に何ら意図なしにここへ上られたのではないということはあなたも恐らくお認めになるだろうと思う。小野君は十分この演題に立つて破防法の委員会におけるところの経過並びに結果を報告するという意図を以てここに上られた。而もその発言をされておる。ところが議長はこれに対して何ら制止の態度をおとりになつておらない。私はこの点から考えましても恐らく小野委員長は若干の過誤はあつたものとは思いますが、十分それを承知の上で、ここに上られて発言されたものと思う。(「詭弁だ」と呼ぶ者あり)その意味において、私は小野委員長の場合と二十八日の晩の、このいわゆる議決権行使の阻止と呼ばれるところの理由とは何ら異なるものではないと思うのであります。この点に関しましてもう一度明確な御答弁を願いたいと思うのであります。
 それからこの衛視に対する乱暴な、暴力的な行為だということが第三の理由として挙げられておるのであります。ところがこれに対する説明としては、これは質問に対する説明でありまするが、溝淵君はその詳しい内容は委員会において述べられるということであります。併しながら訴えが出されるためには、その訴えに足るべきところの十分な客観的な理由なり証拠なりがなければなりません。(「その通り」と呼ぶ者あり)例えば暴力的な行為があつたとするならば、その暴力的な行為によつてどのような被害を受けたか、どのような生命の危險を感じたかということが客観的に証明されなければ、その訴えは十分な理由を持つことができないと思うのであります。これにつきましても重ねて御説明をお願いいたしたいと思うのであります。
 それから又これは大野君の質問に対する説明でありまするが、十七人のかたがたの懲罰をきめられたその根拠はどこにあるかと、恐らく写真その他……写真にあるだろうと思うがと、こういう質問に対しまして、溝淵君は写真その他のものによつてこれをきめたというお話であります。その他のものとはどういうものであるか、これ又客観的な十分な根拠のあるものと思いますので、それも重ねて明確にして頂きたいと思います。
 以上三点を先ず質問いたします。
#45
○議長(佐藤尚武君) 溝淵春次君。
   〔溝淵春次君登壇〕
#46
○溝淵春次君 堀議員にお答えいたします。当日の状況は私どもこの議場において、全議員の人々が現認しております。当日の議場の状況について私どもはむしろ今のような質問が出ることをむしろ不思議に思うものであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)参議院の権威のためにこの二十八日の状況をつまびらかに審議いたしまして、懲罰事犯としてこれが成り立つかどうか、これに対する、処する方法を決定することが、やはり全国民が要請しておる点であろうと思うのであります。その他の点は前質問者に対してお答え申上げた通りでありますから、御了承願います。(拍手、「答弁にならんというのだよ、それでは」「多数党なら何でもできると思つているのか」「暴力政治だ」と呼ぶ者あり)
#47
○議長(佐藤尚武君) 堀眞琴君。
   〔堀眞琴君登壇〕
#48
○堀眞琴君 溝淵君の御答弁に対しましては私は全く納得できないのであります。かくこれまでの質問者に対して答えたと同様であるという御答弁であります。私は訴えを出すためにはどうしてもその訴えを出すに足るだけの十分な客観的な証拠がなければならん。(「そうだ」と呼ぶ者あり)ところがあなたはそれをお示しになつておらない。これでは果して訴えを……いわゆる訴えを出すことができるだろうか、こういうことを私は考えるわけであります。で重ねてもう一度お尋ねいたしたいのであります。
 なおあなたのお考えでは、多数党ならば何をやつてもかまわんのだ、少数党が議事を妨害する場合においては多数の力を以てこれを制圧することができるのだというお考えのようであります。(「そんなことはできないよ」と呼ぶ者あり)併しながらフイリバスターリングは勿論限界はありましようが、今日先進国の立憲制度においては十分に認められておるところの制度であります。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)而もその議案は全国民が挙つて反対をいたしておるところの議案であり、委員会においても十分に審議を盡されなかつたところの議案であります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)その議案を遮二無二多数党の力を以てこれを押し切ろうとして、そうしてあのような動議を出されて、これがあの混乱の原因になつておるということはあなたも御承知だろうと思う。あなたは、あの議案の黒か白かを国民は見守つておる、こう申しております。確かに見守つております。国民は挙つてあの議案が葬り去られることを望んでおるのであります。あなたが考えるようにあの議案が通過することを望んではありません。そのような議場において反対党の諸君がこれに対して多少の議事を妨害するということは当然である。皆さんは反対党の地位を第一知らない。英国にはヒズ・マジエステイス・オポジシヨンという言葉があります。あなたがたが少くとも英国の憲政史を御覧になれば知つておるはずであります。與党の力を頼んでのそういうようなイギリスの憲政の歴史も知らないようなことでは私は日本の議員としては恥しいことだと思う。野党の立場を尊重し、野党が国民の輿論を担つてあの破防法を否決しよう、乃至は流産させようと、こう考えておることは当然だとあなたがたは思うべきではありませんか。私は重ねて溝淵君にお伺いいたしますが、もう一度その客観的な明確な証拠を見せて頂きたい。
#49
○議長(佐藤尚武君) 溝淵春次君。
   〔溝淵春次君登壇、拍手〕
#50
○溝淵春次君 堀君の重ねての御質問にお答えいたします。証拠を云々といわれますが当日の状況はこの議場で皆さん御覧の通りであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)それが十分証拠であります。従つてこれ以上は議論に亘りますから申上げません。
 それからなお破防法云々を言われましたが、非常に我々は学理的にあらゆる点から敬意を拂つている堀さんのお言葉とも思えないのであります。すでに参議院は大多数を以て通過いたしました。破防法は、ひとり自由党のみならず参議院における大多数の緑風会、民主クラブ等のかたがたの慎重なる検討の結果参議院を通過いたしました事情はお認めになる通りでありまして、このことをみましてすでに相議了した議案についての御意見でありましたけれども、私どもはこれ以上堀さんの今の御質問に対してお答えする必要はないと思うのであります。(拍手)当日の状況は我々が参議院として静かに正常なる気持を以て判断すれば、おのずから懲罰事犯に対する結論が出ると思つておるのであります。(「何を言うか」「論議無用だ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し、拍手)
#51
○議長(佐藤尚武君) 矢嶋三義君
   〔矢嶋三義君登壇、拍手)
#52
○矢嶋三義君 人を懲罰するということは極めて愼重でなければなりません。まして多数国民の選良にかかる国会議員を懲罰するにおいては更に更に愼重でなければならないと存じます。(「誰だ懲罰するようにしたのは」と呼ぶ者あり)提案者溝淵君の提案理由並びに同僚諸君の質疑応答を承わつておりました矢嶋は愛する参議院のために非常に悲しい現在心境におるものでございます。(「そうだ」「その通りだ」と呼ぶ者あり)私は溝淵君の説明並びに答弁を承わつておりまして、天下に誇る大自由党にも桐一葉の時期が来たなあと、而もその自由党の態度なるが故に、この参議院がこういう状況にあるということを先ず以て遺憾に存ずる次第でございます。(「そうだ」「その通り」と呼ぶ者あり)私は双方から懲罰動議が出されましたが、いずれはこういう形にならないで解決できるものと考えておつたが、與党である自由党は一つの決意を以てここに提案されましたので、私はあえてお伺いを申上げる次第でございます。
 第一点として申上げられることは、この問題を考えるときには結果だけ考えてはならない。そのよつて来たるところの原因というものを究明しなければならないと存じます。(「その通り」「そうだ」と呼ぶ者あり)與党の諸君が再三再四言われましたように、過去数日間の当参議院というものは全く異常状態にあつたわけでございます。その具体的な例として一つ申上げまするならば、今度の参議院の事態の起つた最も大きな原因は国会法十三條の解釈にあつた。従つて国会法十三條の解決を図らなければならないというところに焦点が合わされたのでありますが、二十四日のいわゆる代表者会談におきまして緑風会の代表として高瀬、徳川両君、更に自由党代表として大屋、草葉両君、民主クラブ境野君、以下野党連合の諸君がお集りになつたわけでございますが、この申合せの結果がどういう形になつたかということは皆さん御承知の通りでございます。一体我々が国会を運営して行くに当りまして、各政党、会派の代表者が集つて話合つたことがその通りに行かない場合に、果して国会が運営されるか、そういう例というものは過去においてなかつたと考えるわけでございます。そういう立場からまさに私は異常状態にあつたと断定して差支えないと思うのでございます。(「そうだ」と呼ぶ者あり)而も参議院議長は二十七日の午前中まで大屋君は参議院自由党の会長であると同時に自由党の四役の一人であるから、何とか解決して頂けるであろうと明言されておりましたし、その議席に着かれて採決が終る瞬間まで、佐藤議長は国会法十三條の改正は通過するものと考えておつた。然るに一言も議場に入る前に御挨拶がなく、緑風会の諸君の、自由党、民主クラブの諸君が挙つて青票を投じて否決されたことはまさに青天の霹靂で意外であつたということをあの直後に切言せられておるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)かくのごとき状況ではこれは大人の話合ではなくて、参議院の運営はできないと思うのでございますが、私ここで承わりたい点は、かくのごとき異常状態にあつた参議院というものを確認されるかどうか、これが一点でございます。
 次にお伺いいたします点は、自由党の諸君としては国会法を尊重し、参議院規則も又これを嚴守して、参議院の権威向上のためにこの懲罰動議を出されたと考えるのでございますが、然らば私がお伺いいたしたい点は、ともかくも二十八日議長は採決の宣言をした、採決途中に休憩をしたこの議長の態度、更に第三点としてあとでお伺いいたしまするが、参議院規則を無視したところの議院運営をやられたこの議長の態度、更に二十八日の最後におきまして議長の不信任動議が社会党第四控室から出されているにもかかわらず、小野法務委員長の登壇を許したこの議長の態度、これらの三つの態度を一体自由党の諸君は何と考えられるのであるか。我々はこれらに対するところの議長不信任の態度を示したときに、自由党諸君はそれに反対をしたではないか。国会法、参議院規則を遵守し、参議院の権威を向上するために十七名の諸君の懲罰動議を出した自由党諸君は全く趣旨一貫しないところの言動をとられている。そういうことは国会においては断じて許されないと思うのでございますが、それに対する御答弁を承わりたい。(「その必要なし」と呼ぶ者あり)
 第二点として承わりたい点は、ともかくも議長が参議院規則を無視したということ、溝淵君の御答弁を以てするならば、院議で決定したからと言いまするが、小林君の如何なる議案にも先んじて破防法を審議するというところのこの動議、この動議よりも当然懲罰動議というものは参議院規則によつて先議されなければならない、然るにそういう動議を出されて押切つた。然らばお伺いいたしまするが、ここに五つなら五つの会派があつて、或る場合にはこの会派が結束し、成る場合にはこの会派が結束し、或る場合にはこういう会派が結束して、その都度々々かくのごとき動議を出したならば一体参議院規則というものはどうなるのか。(「そうだ」と呼ぶ者あり)この参議院規則を無視して議院を運営されようとしたところのこの議長の態度こそは、今後参議院規則を尊重して参議院を権威あらしめるところの運営をする立場からして誠に遺憾であり、それに対するところの抵抗というものが、異議申立というものがああいう形で現れてここまで上つて来たのである。その原因を究明することなくして、ただ現象として現れたところの十七名の行動を以て懲罰に付するということは、私は理解に苦しむ点でありまして、この参議院規則を無視して、蹂躪して、そうして決定したこういうものが果して価値があるのかどうか、併せてかくのごとき先例を作つて、今後参議院規則を尊重して参議院の運営ができるかどうかという点について、私は責任のあるところの御答弁を煩わしたいのであります。
 最後に私は自由党諸君に申上げたい、それは先ほど溝淵君は破防法は国民が非常に注視しているころであるから、その当時の状況からして、我々は破防法を先議するところの動議を小林君を通じて出したのだ。そうしてともかくも院議できまつた云々と申されておりますが、その自由党の諸君が今朝の議院運営委員会ではどうですか。今朝の議院運営委員会においては日華、日印條約の承認の件を先にして懲罰動議は今日午後やれなかつたならば次会にして欲しいということを言つておられるではありませんか。全くそのときどきで参議院規則を無視するような、遵法精神に欠けた、数の力さえあれば何とでも押切つて行くこの自由党の態度というものは、私は絶対に容赦できないと思うのでございますが、それに対するところの御所見を私どもは承わりたいと思うであります。答弁次第によつては再質問することを保留して一応答弁を煩わします。(拍手)
   〔溝淵春次君登壇、拍手〕
   〔「もうそろそろ謝つたらどうだ」「兜を脱げよ」と呼ぶ者あり〕
#53
○溝淵春次君 矢嶋君の御質問にお答えをいたします。(「うまくできるかね」と呼ぶ者あり)
 当時の状況が異常状態であつたかどうかという、この確認をするかどうかという御意見でありますが、これはおのおの議員の見かたによつて決することでありまして、(「何を言つてるんだ」と呼ぶ者あり)私のお答えをする限りでないと思います。
 次の懲罰動議は愼重たるべしとの御意見に対しては、その通り私も懲罰事案については愼重なる態度を以て臨まなければいけないと考えております。
 それから議長の態度についていろいろ御意見があり、それに関連して参議院規則の解釈についてのいろいろ御意見がありましたが、これは議長に対する点は私よりとやかく意見を申述ぶる筋合いでないと思います。そうしてこの小林君の動議の点も、只今までの質問者にお答え申上げましたる通り、その当日の状況は、院議に諮つて諸君の意見を聞かんとして記名投票にした、(「それが間違つているのだ」と呼ぶ者あり)そのことでありまして、その事情も矢嶋君は、十分御了承の通りであると思うのであります。(拍手、「何の規則によつてやつたのだ」と呼ぶ者あり)
#54
○議長(佐藤尚武君) 矢嶋三義君。
   〔矢嶋三義君登壇、拍手〕
#55
○矢嶋三義君 溝淵君の御答弁は、私は私の質問に対する答弁になつていないと思うのであります。あなたがたはいやしくも同僚十七名の懲罰動議を出されるに当りまして非常に感情に走つておると、末節に捉われておるということを私は指摘せざるを得ないのであります。私はあのあなたが院議できまつたと言う小林君の動議、あの動議を小林君が出す前に、あなたがたは議長室に行つて議長と密談を凝らされておつた。(「それは違う、そのあとだ。」と呼ぶ者あり)そのときに衆議院のほうからも参つて、衆議院でこういう先例があるからこうやつたらどうだという密談を凝らしておつた。而も突如としてああいう動議が出され、而もその動議は、今繰返し申されるように……、私答弁を煩わしたい。いいですか、溝淵君、こういう三つの会派があるときに、さつと三人で相談して、そうして参議院規則を蹂躪するところの動議を出して、そうして議事運営をされる。或るときにはこの三つが組んで参議院規則を蹂躪するところの動議を出して議事運営をやる。こういうように議事をやつたら、参議院規則というものはどうなるのですか、それを私は承わりたいのであります。(「審議は進まなくてもよいのか」と呼ぶ者あり)
 そうしてもう一つお伺いしたい点は、あたたがたは中立であるところの、中立を堅持しようとするところの佐藤議長に対して圧力を加えて、小林君の動議を取上げるように迫つた。(「誤解だ」と呼ぶ者あり)そうして議長が参議院規則と照し合せ、半信半疑ながらも議長はこれを取上げて強行しようとした。(「そうだ」と呼ぶ者あり)ところがそれに対するところの抵抗が大きかつたので、議長は腹が坐つていなかつたので休憩を宣した、これが私は真相だと思うのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)議長がかくのごとくあなたがたの言う通りになつたから、議長の懲罰には賛成しないが、社会党のかたは懲罰するというのは全く感情であります。ともかくも採決が始つた途中で休憩するというようなことができますか、参議院規則に反するような動議を取上げることができますか、みずからの不信任案が出ておるにかかわらず、小野法務委員長の登壇を許すというようなことが議長として許されますか、あなたがたは国会法なり参議院規則を嚴守して参議院の権威を高めて行くと言うのなら、首尾一貫したところの言動をとられるならば、あえて私はこれに反対するものではないのでありまするが、いやしくも十七名の国会議員を懲罰するに当つて、あなたがたは單なる感情、末節に捉われておるという点は、私は容赦できないわけでありまして、かくのごとき杜撰なる懲罰動議は、私はこの段階において撤回されるのが最も賢明な策であると、然らざれば自由党の桐一葉の兆候はいよいよ激化するであろうという警告を発して私は答弁を煩わします。(「撤回したほうが利口だよ」と呼ぶ者あり)
#56
○議長(佐藤尚武君) 溝淵春次君。
   〔溝淵春次君登壇、拍手〕
#57
○溝淵春次君 矢嶋君の再質問にお答えいたします。
 いろいろ御意見は拜聴いたしましたが、如何なる理由がありましても、議事の運営進行を阻害する暴力なり実力行使は絶対にこれを否定せなければならんのであります。(拍手)私どもは参議院規則を各位と同様に尊重して議事を進めて参つたのであることを附加えておきます。(拍手、「一つも答弁になりませんよ、議長考えてみなさい」「答弁になつておりません、答弁者に注意を促して下さい」と呼ぶ者あり)
#58
○議長(佐藤尚武君) 矢嶋三義君。
#59
○矢嶋三義君 この席から御発言をお許し願います。(「御発言とは何だ」と呼ぶ者あり、笑声)
 溝淵君にお伺いいたしますが、私は院議を以て示したあれに対するあなたの見解をはつきり承わりたい。それなるが故にこの事態が起つたのですぞ、その原因を究明することなく、ただその結果のみ言つていることは承服できない。ああいうことはあなたお認めになつているのか、お認めになつていないのか、この点をはつきり伺いたい。
#60
○議長(佐藤尚武君) 溝淵春次君。
#61
○溝淵春次君 矢嶋君の只今の……。(「答弁しどろもどろですぞ」「醜態だぞ、誠意を欠くよ」と呼ぶ者あり)
#62
○議長(佐藤尚武君) 溝淵春次君、登壇願います。
   〔溝淵春次君登壇、拍手〕
#63
○溝淵春次君 矢嶋君の再々質問にお答えいたします。
 先ほどからいろいろ議事の運営、その他先般来の経過につきまして御意見がありましたが、矢嶋君が参議院議員としてこの議事の運営に非常に御熱心に(矢嶋三義君「そんなことを聞いていない」と述ぶ)心を遣われておることには敬意を表しますが、只今お話のありましたことは、矢嶋君の御意見といたして拜聴いたしておきまして、おのおのの、我々は我々としての見解があるのでありまして、これ以上矢嶋君の御直間に対して私がお答えするの要はないと思うのであります。(拍手)
#64
○議長(佐藤尚武君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終局したものと認めます。
     ―――――・―――――
#65
○議長(佐藤尚武君) 一身上の弁明を求められました。順次発言を許します。小笠原二三男君。
   〔小笠原二三男君登壇、拍手〕
#66
○小笠原二三男君 懲罰事犯の一人の容疑者として訴えられておりますのでありまするが、(笑声)一身上の弁明をなすに当つて先ず申上げたいことは、裁判所におきまして容疑者が起訴せられました場合には、起訴状が明確になつておらなければならんのであります。而も、検事がこれを追及し、我々は弁護人を以て弁論し、他の客観的な裁判官によつて判定を下されるのでありまするが、本院においては多数の会派において検事ともなり裁判官ともなつて判定を下す。そういう形において懲罰が行われる限り、このことは客観的には、感情を交え或いは憎しみを持ち、僻みを持つて行われては断じてならないと考えます。(「その通り」と呼ぶ者あり)この点については訴えられたかたがたは、自由党のみならず緑風会、民主クラブにおいて御相談の結果訴えられたということでありまするが、少くとも愼重な取扱いが欲しいと私は考えるのでありまするが、先ほど来の質問によつて明らかになつた点は、何らこの起訴状、裁判所で言う起訴状が條件を具備しておらない、内容が不明であるということであります。溝淵君は弁護士でございまするから、この程度の抽象的な漠然たる集団的なものを、包括的起訴状が出ます場合には、溝淵君自身は必ず條件が不備であるとして、公訴の棄却を訴えられるでありましよう。而も又内容が不明である限り、検事に対してこれが釈明を求められるでありましよう。然るに先ほどのような質問に対しましては、これは委員会において逐次明らかにするということであり、そうして起訴せられた要件が具備せられておらんのであります。そこで私は事細かにここで一身上の弁明をする気は殆んどなくなつたのでありまするが、併しながら受けて立つ以上は、私は私の所存を申上げ、皆さんがたの御判断に待つという公明な態度をとりたいと考えるのであります。
 先ず、先ほどもどなたかがおつしやいましたが、一般的にこういう事犯があつたとして、訴えられるに及んだその原因について私弁明したいのですが、私がどこの事犯が、何の行為が対象となつてこういうふうに起訴せられておるのかわからんのでありまするから、逐次事実に基いて私のとつた行為に責任を持つと共に、私の心境も申上げたいと思うのであります。
 議長職権でこの本会議が開かれることも止むなしという形になりましたのは、二十六日、二十七日のいろいろな交渉において、この交渉が決裂したために起つたのであります。その場合に私再三議長にお尋ねしましたが、議長の仰せらるるのには、私はかかる事態になる以上、本会議を議長職権で開かざるを得ない、不本意ではあるけれども、そう措置したい、そのためには国会法、参議院規則に従つて本会議を運営して行きたいということを再三申しておられたのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)私はそのことも止むなしとし、規則に従つて本会議を運営せられようとする議長の苦衷も諒としたのでございます。これから申上げることは、今日のような平和状態になつたとき、議長の責任として、議長を追及する形で申上げるように誤解を受けるならば、議長に対して甚だ私何と申しますか、礼を失するかも知れませんが、私の本心は、事々を明らかにするために以下述べるのでございまするから、議長も客観的にお聞きを願つておきたいと思うのであります。
 然るに二十八日あの本会議が開かれ、突如として小林君の動議が出ました。この動議は参議院規則の如何なる根拠も持つておりません。参議院規則によつて我々は懲罰動議を先に提出しております。而もこれは直ちに会議にかけられなければならないとあつて、衆議院のように速かにというふうな手ぬるい言葉による参議院規則ではございません。従つて議長が解釈権を以て、私はこう解釈するということで本会議を開くとするならば、或いはこの動議を採上げたとするならば、解釈をする以上は解釈の根拠になる條文がなければなりません。
 然るにその條文はないし、而も懲罰動議は直ちにかけられなければならないという條文があるのでありまするから、これを如何に議長が解釈権を行使したところで、小林君の動議は採上げらるべきはずのものではないということを、私は議席におつて議長の発言を聞き、この進行の状態を見て突嗟に考えたのであります。而も私は議院運営委員会の理事として、又この小委員として、我が会派を代表して本会議の運営については責任を持たなければなりません。従つて議長に対して如何なる根拠の下に、如何なる解釈の下にこの動議が採上げられ、採決に入られるのであるかということを尋ねる責任と義務が私にございます。(「そうだ」と呼ぶ者あり)従つて私はこの壇上と申しますが、どこを称して壇上と言うのか。少くともこれは懲罰にかけるという限りはこの演壇を指して言うことであろうと思うのであります。高いところが壇上だというような、そんな手ぬるい、安易な漠然たる考えではないと思うのでありまするが、(「その通り」と呼ぶ者あり)私は駆け上つて参つて、この事務総長の机の前で、而もこの根拠を示すこと、又これを明らかにすること、明らかになつて、それが規則に基いてやられたということで、私は納得するならば、この運営はそのまま進められていいだろうということを、再三議長並びに事務総長に申上げたのであります。而もこういうことがああいう対立状態の中に行われるということは、いつかは平和状態になつた参議院の運営の上から、百年の後まで悔を残すことであり、運営上悪例を残すことであつて、こういう議事を議長に取運ばせること自体が、参議院の権威を失墜する所以であると(「そうだ」と呼ぶ者あり)考えましたが故に、(拍手)私は事務総長にこの点を明らかにすることを迫つたのであります。而もその場合において、誰の命令であるか知れませんが、守衛等が一両名入つて来たことを私覚えておりまするが、これが通行させてくれということで、私はこの机にぴつたりと体をつけまして、私のうしろから守衛がどんどんそつちへ通つて行つて、私は若しも起訴状みたいなものにあるこの投票を妨害したと、暴力を振つたということであるならば、どなたに振つたのであるか、どなたが、緑風会のかたが私のために投票を妨害せられたのであるか。明らかにして頂きたいと考えるのであります。
 又これも明らかでありませんが、夜の部に今度は移つて申上げます。(笑声)その中間において、議長は、につこり笑つて休憩を宣せられましたので、ははあ、議長さんは私たちの言うことを一応容れて、議長の考える根拠を示されて、それで納得せしめて、又本会議を運営して行こうとお考えになつたのだろうと考えましたから、議長室に私はその根拠を伺うために参りましたら、混乱して議長室が閉まつておりまして、その後議長室の扉が開けられ、我々野党側も入つて、そうして議長といろいろ話合した結果、ごちやごちやした話では、ただ單に感情に走るだけであつて、一歩も参議院の運営が進まないということをすべて確認の上に、一々の会派に私は念を押しまして、各会派の代表による懇談会を議長において開いて頂くことを決定して、その後休憩の間に議長の取りなしによる懇談会が開かれ、この場合に議長が根拠を示されたのであります。その根拠とはどういうことであつたか。いわゆる小林君の動議に対しては、溝淵君が先ほど来言われておりましたように、参議院規則も、この本院の院議で決したもの、動議が出ても、それが仮におかしい動議であつても、院議を以て決せらるるならば、効力は同じである。従つて議長としては院議を以て決せられる以上は、それを以て進行せざるを得ないのであるという御発言があつたのであります。そこで私からそれはおかしい、動議が二百人も二百五十人もから逐次発言を求めた形で出た場合に、議長は適宜それに発言を許し、動議が成立するとなつて、それについての採決を順ぐりにやつて行くとなつたら、議事を何らか進める前に、一人々々から動議が出て来て、そういうようなことでは本会議は運営できないであろう。(「その通りを野党がやつたんだ」と呼ぶ者あり)而も又参議院規則が院議で決せられたということと、具体的な動議が院議を以て決せられたということと同一視することはできない。なぜならば懲罰動議に対しては直ちにかけられなければならないということが明らかになつている。従つて小林君の動議を成立させるならば、先ず以て懲罰動議は直ちにかけなくともよろしいという参議院規則を修正する動議を出して、それを先ず院議を以て諮つて、それが決せられて動議を出すならば、或いはこの議長において懲罰動議を諮つたあとで、その他同じ並列される動議が出て来ることを予想する意味合で、小林君の動議が出て、これが先議せられて或る一応の案件が終るまでは他の一般的な動議は遠慮されなければならないというふうに議事が進むのであるならば、我々もこの点については考える点があるということを再三議長に申上げました。(「二週間も遊んだ、今更駄目だ」と呼ぶ者あり)議長におきましては御考慮の末、強い御決意を示されて縷々参議院を正規の運営に戻すように懇請があり、それが不可能な場合には、如何なる事態があつても小林君の動議を先決して行き、議事の進行をとるよりほかに仕方がない。従つて各会派においては、御相談の上御返事頂きたいし、懇談を続けて打開の途に努力するということであれば、議長として誠に望ましいことであるということをおつしやられて、一応これが休憩になつたのであります。そこでこの問題については何ら議長と我々との間に根拠の上に立つて明快になつたものはなかつたのであります。併し懇談会において、この運営が正常な形に行くことに努力すること、そのことによつて何らか打開の途が開かれるだろうと考えまして、我々としては我々として相談もいたしました。然るに十時を廻つて来ましてから、議長はやはり強行するということでお伝えがあつたので、我が会派から和田政策審議会会長等を初めとして、幹部のかたがたが他の野党のかたがたと誘い合つて、議長にこの扱いを強行して行くことについては愼重にせられたいということを重ねて要望すると共に、懇談によつて打開する途のために議長は努力してほしいということを懇請したのでありまするが、それが容れられず、あの二十八日の晩の本会議が開かれたのであります。開かれんとする前に、私はやはり疑義は疑義として残り、根拠のない、解釈のしようのないこの問題について、懲罰動議が先議せられないことは、議事運営上、参議院規則上不当であるという考えを私持つておりましたから、開会になります前にこちらのほうから、写真で御覧のように上りまして、そうしてこの席におりまして、いわゆる私はこれを演壇だとは考えません。(「そうだ」と呼ぶ者あり)又我々に議院運営委員会におきましては、こういうところを演壇とは申しておりません。ここに出まして、議長に懲罰動議はどうするのかということをお尋ねするために再三連呼をいたしましたが、議長の決意が固くて開会が宣言せられ、そして議長職権によつて衛視に降壇を命ぜられましたから、私は議長さえが職権ならざるものにおいて動議を採決して行くということについては、私議院運営の委員として不満であり、不同意ではありましたけれども、議長の命令でありましたから、私は降壇いたしまして、和田政策審議会長等と諮つて、そうして議長不信任の動議を出すべく、菊川君は場外に出てこの書類を作成し、私は受取つて議事部のほうに通報すべく(「わかつた、わかつた」と呼ぶ者あり)やつたわけであります。
 以上申上げたことは私の事実である。最初申上げた一般的な問題、なぜにかかる問題が起つたかという原因については、何ら溝淵君の答弁なり趣旨の弁明において明瞭になつておりません。(「うん分つた、もう」と呼ぶ者あり)而も私に対するこの起訴状の條件は、何によつて起訴せられたのか、私は不明である。併しながら一般的に申しますと二つある。暴力を振つて投票を妨害したということ、私はその事実を認めません、その意思を持つておりませんでしたから。而も晩における衛視の問題等も、衛視が中に入りたいということでありまするから、道をよけましてどうぞ、どうぞと言つて(笑声)衛視を中にみんな入れた。命によつて降壇したのであります。壇上を濫りに占拠したと申します第二の点は、私は演壇は占拠いたしません。何によつて、議院運営の委員であり、当然私は私限りにおいて職務を執行しておつたこの合理的な手続と言動に対して、懲罰の対象になるのであるか、一切私は不明でございます。
 以上申上げまして、皆さん方の御判断に待つ次第でありますが、再三申します通り、(「もういい」と呼ぶ者あり)再三申上げました通り、條件が明らかにせられておらない。具体的に個々の人間について、懲罰の理由が明らかになつておらない。こういう形で懲罰委員会に付託せられる、而もそれが検察官と裁判官と同じ権力を持つ形における多数派の意思によつて、強行せられるということについては、私は参議院の権威のために承服できないところであるということを申上げておきます。(拍手)
#67
○議長(佐藤尚武君) 島清君。
   〔島清君登壇、拍手〕
#68
○島清君 溝淵君が私を懲罰の被疑者といたしまして、その動議を提案をいたしておりまする理由を承わつておりますると、私どもの同僚議員諸君の質問の中にございました通り、理由が薄弱のように思えるのでございます。国会議員を罰しようとするからには、愼重なる調査をいたしまして、確固たる証拠を提示しなければならないと思うのでございまするが、併しその意味におきまして提案者は愼重さを欠いておるのであります。従いましてスマートさがなさ過ぎます。(笑声)で私はそういう意味におきましてスマートさがございまするならばスマート的に自己弁明をしたいと思いまするが、この動議の出し方が如何にも邪心があり、如何にも田舎臭いので、私の自己答弁も或いは田舎臭くなるかも知りませんが、その点は提案者のほうにしかとさようにお話を申上げなければおわかりになるまいと、こう思いまして承知の上で申上げるのであらかじめ御了承を頂きたいと存じます。
 先ず提案の理由の中に、その主なるものを挙げますると、要約いたしまして五点くらいに集約できると思いまするが、その夜の背景を溝淵君は重要法案が山積していると、こういう工合に芝居のバツクを想像しておるのであります。更に議長の許可なく登壇したと、このことにつきましては一体演壇とは何ぞやという岩間議員の質問に対しまして、岩間議員の定義をそのまま承認しておられるのでございまするからして、何人も登壇をしたものはないと、こういう結論に相成ろうかと思いまするが、更に議決権の行使を暴力でこれを阻止したと、こういうことに相成り、その行為は全世界に恥ずべき行為であると、更に公務執行の妨害であると、こう言つておりまして、特に私の名前を十六人の人よりも余計言われまして、(笑声)特に島清のごときは衛視の襟髪をつかんで云々ということをおつしやいました。こういうことが私に対しまするところの懲罰の容疑となつておりまするので、私は同僚議員各位の深い御了解を頂くために、この提案の理由につきまして一々ここで私は私なりの立場から説明を加えて参りたいと思います。成るほど重要法案が山積しておつたかも知りませんが、併しながらあなたのほうから見まするならば重要法案であつたかも知りませんが、我々のほうから見まするならば悪法案でございます。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)私たちは重要法案だとは考えておりませんし、いわゆる国民勤労大衆一般もこれを重要法案だとは思つておりませんし、この法案は葬らなければならないということは、数十日に亘りまするところの国会陳情において明白になつておると思うのでありまして、(「そうだ」と呼ぶ者あり)あなたが描いたところのいわゆる舞台装置は破壊をされました。(笑声、拍手)更に議長の許可なく登壇したと、これは岩間君が一体演壇とは何ぞやということにつきましてはあなたは御承認にこれは相成りました。そこで私は演壇とまぎらわしいような所には上つておりません。更にあなたの動議の中に、小林君が動議を提出いたしまして議長がこれを議院に諮つた、これは成立になつたのであるから、投票は開始されておつたと、こうおつしやいますけれども、併し小林君の動議に基いて二回ともいわゆる記名投票が行われております。私は最初小林君が小林君らしくもなく野暮臭い動議を提出された。これは他の同僚議員諸君によつて質疑応答の中にはつきりとされておりまするので、即ち懲罰動議が提出されておりまする時には他の議案に優先するということは参議院規則の二百三十八條……、溝淵君は新米でございまするからおわかりにならんかもわかりませんが、小林君は本国会の開会当時からの議員でありまするからしてそれくらいのことはおわかりのはずでございます。こういうようなことをおやりになりまして、更に議長の許可なく登壇したと、こう言われまするが、私はその時にはまさしくおりました。そこで堂々廻りにまぎらわしい、いわゆる記名投票にまぎらわしいものが行われようといたしまする時に、何かしらん、衛視のかたがたが演壇の近くにお集りになつた。これは穏当ではないと、こう考えましたので、同僚であり、或いは議院運営委員をやつておりまするところの大野君に、一体議長は今衛視に何らかの衛視の行動を求めるような命令をされたかどうかということを念を押したら、そうしましたら、さような命令は出ていないし、聞いておらんと、こういう御返事でございましたから、私は衛視……、この辺から出て参りまするところの衛視をつかまえて、君たちは議長の命を受けて與えられた所定の位置を離れておるのかどうかということを聞いた。そうしたら返事ができない。返事ができないのでございまするからして、君らの来る場所ではないから、下りおれと言つて怒鳴つた。(「いいぞ」と呼ぶ者あり、笑声)全くその通り。もう一人おりまして、不遜にもこの辺に上つておつたのでございまするからして、君もやはり議長の命令を受けたかと聞きましたら、返事ができない。返事ができないはずでございます。命令が出てないのでございまするからして返事ができませんから、お前も下りなさい、下りなさい、下りなさい、ずつと下まで下げて参りまして、(笑声)その時に丁度自由党では弥次んぼうである木村君がそこにいた。そうしたら木村君が如何にも衛視の肩を持つがごとくに、持たざるがごとくに、何かしらん、消極的であるがごとく、積極的であるかのごとくに、僕が衛視を押しのけておるのを見ておりました。木村君に対しまして、衛視は議長の命令を受けておらんじやないか、不遜じやないか、ここは衛視の来る所じやないじやないか。さすがの木村君も一言もなかつたことは、提案者の溝淵君と政党を共にされておるところの木村君を証人として私は申上げるのでございますから、これより確かなことはございますまい。(「どうした、弥次らないのか」「どうした君らは何とか言えよ」と呼ぶ者あり、拍手)
 更にかかる行為は全世界に恥ずべき行為であると、こうおつしやいまするが、ここに私は提案者溝淵君の一体この全世界の概念というものについて私は伺いたい。(笑声)なお全世界の人類は二十数億ありと言われておりまするが、併しながらその中には色の違う、白人もあれば、黒人もあるし、黄色人種もある。その中には或いは未成年者もあれば、老人もある。或いは犯罪を犯しましても、その罪を同一にして罰せられないところの能力の異つておるところの人々もおります。能力を同じういたしましても思想の相違によりまして皆さまがたが極力反対をしておられますところの、日本の業者が中共と、或いはアジア諸地域と貿易をしたいというところの要求に対しましてあなたがたは思想が異るからということで貿易を許さない。ところがあなたがたが言うところの一体全世界というものはソヴイエト連邦を含み、中共を含む全世界であるかどうか。(「いいとこ、いいとこ」と呼ぶ者あり、拍手)ところが全世界というところの(「半分じやないか」と呼ぶ者あり)人類の名称を僣称をするくらいならば、全世界の十九世紀的な資本主義を謳歌するところの古ぼけた考え方を持つておる人だなんというようなことをおつしやいますならばいささかわからんでもありません。(笑声)ところが全世界の人々は、日本の国内におきましてもこの破防法一つ見ましても考え方が違う。あなたがたが悪いということは、我々は必ずしも悪いとは言わん。我々が正しいと思うことを必ずしもあなたがたが正しいとは肯定されないでしよう。(「そうそう」と呼ぶ者あり)而も思想というものは今日変遷をしておりまして、今まさに人類の歴史は変遷しつつあるのであります。(笑声)その場合に、一体全人類の名を引用いたしまして、それを(「僣越だ」と呼ぶ者あり)全世界に恥ずべきなりということは、僣越も甚だしいと申上げたい。(拍手)更に公務執行妨害云々と……(「何とか野次れよ」と呼ぶ者あり)耳が痛いですか。公務執行妨害云々というのがございまするが、一体私が只今申上げたように、議長の命令を受けない限り、衛視諸君は所定の場所から自由に、紊りに議員の行動を束縛するような意図を以て、議員だけしか、議員だけしか来れないような演壇等に近付くごときことは、嚴にこれは慎まなければならないと思います。若しそれ、仮に衛視の認定によりまして、所定の場所を離れて議員の行動に対して掣肘を加えるごときことが公然となされまするならば、一晩のうちにこの議会で民主主義の名においてクーデターでも何でもできる。(「そうだ」と呼ぶ者あり)だから私が、(「そうだ」と呼ぶ者あり)だから私が、衛視が議長の命令を受けずして所定の位置を離れることの誤りを指摘して、議員としてこれを叱責するのは私の公務よりいたしまするところの当然の義務であつて、(拍手)当然の職責であつて、一体誰のための公務執行妨害であるか私にはわかりません。(笑声)それは私、神様でも御存じあるまいと存じます。(笑声、拍手、「お釈迦様でも駄目ですよ」と呼ぶ者あり)そこであなたたちは少数の意見を封殺をいたしまして、議事規定にありますることを顧みずこれを蹂躪をいたしまして、多数の名によつて院議は成立したものなりというて、明瞭なる参議院規則を蹂躪をいたしておりまするが、多数の……民主主義なりといえども、多数のやつた法律の無視の行為は、これ即ち暴力行為であると断定をして憚りません。暴力行為は、自由党がおやりになりましたるところの行為こそ、参議院規則に照しますると、暴力行為であると断言をいたしましていささかも憚らないと私は信じております。(拍手)そこで私のその提案の理由を、証拠といたしまして写真をお出しになつておりまするが、溝淵君はどうも写真を非常に信頼しておられる。例えばここに写真で二人がキツスをしておりますると、これは頭の古い、頭に丁髷を載せた人でございまするならば、男女が噛み合つておるとしか見えません。(笑声)そういうような写真を見て、その姿を見まして、仮に警察のほうに急報したものがありといたしまするならば、これは果して正しい社会秩序のための行為と言えましようか。この人は、私は名誉毀損を以て訴えらるべき筋合のものであると思います。又こういう例がいけないといたしまするならば、蟹がここに這つているのを写真で写したとみましよう。これは一体前進する姿であるか、後退をする姿であるか、はつきりわかりません。(笑声)併しそれ動物、人の動き、行動に対しましては、その目的というものがなければなりません。その目的の何たるやを知らないで、その蟹が前進しようとするのか後退しようとするのかそれすら判断がつかないのに、あの蟹は多分前にある蛙を食いたいんだろう、あいつ打ち殺してしまえというふうにして人を犯罪の容疑にかけるのは余りにも溝淵さんは写真に頼り過ぎておるような気が私はするのでございます。(「フイルムがあるのだ、フイルムが」「余りしやべるとフイルムを出すよ」「はつきりしたらいい」と呼ぶ者あり、笑声)そこで、若し仮に私がやりましたるところの行為が、衛視の襟がみをつかんだとか、衛視を押し出したというようなことが懲罰事案に該当するといたしまするならば、只今申上げたような事実によりまして、私は議長の命令なくして衛視が、徒らに所定の位置を離れ、更に我々議員の行動に制約を加えるがごとき態度を以て臨んだものに対しまして、身を以て参議院の権威を保持したという誇りこそ持つておりまして(「英雄だ」と呼ぶ者あり、拍手)我々と志を同じういたしまするところの全世界の勤労階級並びにインテリ諸君は、その事実を見ていてくれて、日本の議会の良心健在なりと言うて喜んできてくれるという確信を持つております。(拍手)さような立場上、私に関する限り、この私を懲罰にかけんとするところの提案の理由は、理由になりませんし、これこそは提案者の無知と蒙昧を物語る以外の何ものでもないと存じまするので、提案者並びに自由党の名誉と威信に関しまして、撤回されることを要求いたしまするし、更に皆様がたが面子に捉われてこの撤回に肯んじないといたしまするならば、私は参議院の議院の権威と私の良心の続く限り、この懲罰には堂々と応ずるつもりでございます。以上でございます。(拍手)
   〔菊川孝夫君発言の許可を求む〕
#69
○議長(佐藤尚武君) 菊川さん何です、菊川さん。
#70
○菊川孝夫君 この議員の懲罰動議の審議は、一身上の弁明は、非常に重大な問題だと思います。(「そうだ」と呼ぶ者あり)にもかかわりませず、議場を見渡しましたところ、定足数を欠いておるようでありますので、(「その通り」と呼ぶ者あり)どうかお調べの上、欠いているようであつたら暫時休憩を願いたいと思います。(拍手「そうだ」「賛成いたします」「何だ、自由党はいないじやないか」「人を懲罰するのに弁明を聞かない奴があるか」「怪しからんじやないか」「定足数なし」「退場々々」「議長の判断はどうです」と呼ぶ者あり)
#71
○議長(佐藤尚武君) 暫時休憩いたします。
   午後三時四十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後四時二十三分開議
#72
○副議長(三木治朗君) 休憩前に引続き会議を開きます。
 一身上の弁明を続けます。水橋藤作君。
   〔水橋藤作君登壇、拍手〕
#73
○水橋藤作君 結論から申上げますると、私は懲罰にかけられる何ものもないということを先ず申上げたいのであります。
 それから先ほどの提案理由を聞いておりますると、内容が不明確であるばかりでなく、各党からの質問に対しての回答そのものが一つも回答に該当していないということから考えまして、この懲罰動議なるものはでたらめであるばかりでなく、なさんがためにやつた行為であり、今日一日、或いは明日もこの貴重な時間をこうしたことで空費する責任はおのずから提案者にあると断定するのであります。(拍手)ややもすると我々が議事運営を妨げると申しますが、自由党こそがこの姿を暴露しておると私は断定するのであります。(「除名々々」と呼ぶ者あり)
 それから提案理由の一つに暴力を振つたということを言われておりまするが、それに対しての証拠なくして……私が暴力を振われた証拠は私が持つておるのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)併しながらこれは私の判断によりまして暴力と断定せずして、止むを得ず私は涙を呑んで我慢をしておるのであります。(笑声)にもかかわらず……、嘘ならば私はここに持つております。而もほかででなく、この下の医務室で取つて来たのですから決して嘘じやありません、こう持つております。併しながらこれは我々は議長及び事務総長に向つて、先ほど小笠原委員が言われる通り議事の進行上異議があるので我々はそれを質さんとしてここまで来たのであります。而も議院運営委員としてここまで来たことが何が懲罰に該当するか、若しここまで来たことが懲罰に該当するならば、加藤君及び木村君は一日に三、四回ずつ懲罰にかけられておるはずだと私は断定せざるを得ない。(拍手)而も私がここに来ましたときに守衛なる者がいて、それから野田さんがおられました。野田さんと守衛に私は押されてこの三段目のところで落ちた。(「演壇を離れるな」「自席でやれ」と呼ぶ者あり)そうして打撲傷を負つて私はそのあとの議事には出席することができなかつた。だからそのあとの議事の運営についての懲罰には該当しないと思う。従つて私が突き落されてここで怪我をしたことが何で私が懲罰に該当するのか、私には納得できないのであります。こうしたことから判断いたしましてこの懲罰なるものが、十七人を懲罰をかけて議事運営を妨げる、恐らく自由党を初め今の與党と言われる諸氏が、良心的にこれを国民に何としてこの議事の運営を妨げられる申訳けをされるか、我々はその真意を伺いたいのであります。かような意味から行きまして、私は懲罰にかけられるゆえんのものではないということを申上げて私の趣旨弁明に代えます。(笑声、拍手)
#74
○副議長(三木治朗君) 岩間正男君。
   〔岩間正男君登壇〕
#75
○岩間正男君 溝口君提出の懲罰動議、その動議に対する一身上の趣旨弁明を申上げたいと思うのであります。(「趣旨は余計だ」と呼ぶ者あり)この度の破防法を中心としたところの一つの闘い、これが一体どれほど日本民族の将来に深い関係を持つかということは、これは私が喋々と繰返す必要もない問題だと思うのであります。(「余計なことを言うな」と呼ぶ者あり)昨日も討論におきましてカニエ君がこの破防法こそは不正腐敗あらゆる官吏の汚職、こういうような汚職問題について、これを暴露されることを恐れての政府並に與党の諸君がこれに対して言論を封殺するということを申したのでありますけれども、(「破防法はもう済んだ」と呼ぶ者あり)私はこの破防法の性格というものはもつともつと深いところにあると思うのであります。それは言うまでもなく国民に秘密に両條約を結び更に行政協定を結び、これによりまして現在日本が御承知のようにアメリカの防共基地として再編せられ、軍事基地は至るところに作られておる。そうしてこれに伴うあらゆる不正腐敗が起つておる。ところがこういうようなやり方に対しましては当然広汎なる国民の世論が現在下から捲き起つておるのでありまして、農民におきましては土地取上げ、この土地取上げの問題につきまして飽くまでも生活権を守るために戰いをしておる。又全国至るところの漁区におきましては、演習地として漁区がとられておる、そうして漁民の生活権も奪われておるというような問題について、又これに対する猛烈な反撃が起つておるのであります。又米軍の駐留に伴うところの不正、腐敗問題(「議長々々」と呼ぶ者あり)というものは、至るところにこれは起つておるのであります。従いまして……。
#76
○副議長(三木治朗君) 一身上の弁明をお願いいたします。
#77
○岩間正男君(続) 一身上の弁明であります。(「懲罰だぞ」と呼ぶ者あり)こういうような形で、この下から起つて来るところの世論に対しまして、どうしても破防法のようなものを以て言論を封殺することなしには、現在の吉田内閣は政権を維持することができない、こういう立場からあのような厖大な国民のあらゆる世論、ごうごうとしたところの反対運動にもかかわらず、これを何とか強行に通そうとするところの政府與党の強引な破防法通過のこの措置こそが、今度のようないろいろなとばつちりの問題を生んでおるということ、この点について私は深甚に、我々は院外の国民大衆の負託を負うものとしまして、将来日本民族の運命について深く考えなければならないと思うのであります。(「無用々々」と呼ぶ者あり)
 然るに院内におきましては、誠にそれによつて起つたところのとばつちりのような問題について、こういうような時間が大きく空費されておるということは、先ほど水橋藤作君も指摘しましたように、非常に残念に思うところであります。我々の絶えず頭を去来するものは、日本の民族が果して現在のような態勢におかれて、繁栄の方向に向つておるかどうか。「(向つておる」と呼ぶ者あり)平和と自由を獲得する方向に向つておるかどうか。(「向つておる」と呼ぶ者あり)独立の方向に向つておるかどうか。(「向つておる」と呼ぶ者あり)向つておるという言葉もありますが、こういう人たちは何によつて、如何なる現実を見て、そう言つておられるかということを逆にお伺いしたいと思うのであります。(「討論の時間じやない」「討論じやないよ」と呼ぶ者あり)
 そこで、当然このような強引な政府の作戰によりまして、会期は三度も延長されました。そうして又而もなお国民の世論に立つて飽くまでも正しい世論を基礎として、その世論に聞いて議員の職責を果そうとするところの野党側の議員に対しまして、與党の諸君はこれに対して誠に政略的な懲罰をかけて来たのであります。併しながら果して一体裁かれる者は、諸君は今日我々を裁く者として現われておるのでありますけれども、裁かれる者は我々であるか、諸君であるか、これは明らかに院外の世論に聞いてみるがいいと思うのであります。又歴史の進行ではつきりこういう事態は出て来ると思うのであります。現在而も出されておりますところのこの懲罰事犯なるものは、実にこれは誠に根も葉もないところの(「何が根も葉もないか」と呼ぶ者あり)陰謀に過ぎない、こういうふうに私は断定するのであります。(「何が陰謀だ」と呼ぶ者あり)
 それは先ほど溝淵君から出されましたところの懲罰の理由として挙げられた三つの理由が、私はこの演壇から質問したのでありますけれども、殆んど何ら一つ答えられていないのであります。(「現行犯じやないか」と呼ぶ者あり)何らこれは答えられていない。(「現行犯じやないか」と呼ぶ者あり)十七名の野党議員を懲罰に付すというならば、それについて少くとも具体的な理由を明細にし、(「理由が立派にあるよ」と呼ぶ者あり)そうして事の真相がどうであるか、(「真相はわかつているぞ」と呼ぶ者あり)どういうような理由によつてそれが懲罰に付せられたかということは、当然明らかにされるところの理由があることは、しばしば前の諸君の弁明によつても明らかにされたところであります。然るに提出されました三つの理由につきましては、何ら具体的なこれを明らかにするところの根拠がない。(「明瞭じやないか」と呼ぶ者あり)これは先ほど答弁を、私は三度ここに立つて提案者に答弁を求めたのでございますけれども、これについては、何らこれは明らかにされていないのであります。
 先ず第一の演壇を占拠したという事実はこれは明らかにないという……、こういういわくもない事実を種にしてこのような懲罰事犯を理由づけるということは、これはどんな者でもできない。如何なる陰謀者といえどもこれはできないことであります。然るにこれを強引になそうとしている。こういうことは絶対にこれは参議院の権威のためにも許すことができないと思うのであります。而もそれをなお強引に通そうとするところの提案者の理由としましては、飽くまでも多数を頼んで、若し多数さえ、多数の力さえ行使することができれば、少数の理論は如何に正しくとも、これは強引に押切られてしまう。(「正しくないのだよ」と呼ぶ者あり)こういう事態は正しいか正しくないか、先ほどの小野義夫君に対するところの同様な事件に対して、私は公平の原則において、多数党に立つところの小野君が同じことをやりながら、これの懲罰事犯が成立しない。少数の、而も少数なるが故に、演壇も占領しない者が、演壇を占領したというようなことで誣いられているというようなことは、到底これは許すことのできない事実に反することであります。
 更に第二に私が質問いたした通り議長職権が不当な形をもつて如何に混乱の中とは言いながら行使せられた。而もその不当な行使に至るまでの原因としましては、明らかにこれは與党側の圧迫と、これに対するところの陰謀的な取引があつたということは、この前も私は議長不信任の場合にその理由の一端を申上げたところであります。つまり当日小林英三君が動議を出された、あの動議を出されましたときに、それを受けて立つところの議長の発言がちやんと事前において用意されておつた。ちやんと紙に書かれておつた。こういうことは、明らかに與党並びに議長との間にはつきりそのような交渉が事前になされておつたということの何よりの証拠であります。(「何をでたらめ言うのだ」と呼ぶ者あり)こういうような形で議事が運営されたということは、明らかにこれは参議院規則を無視しまして、而もこのような横暴な議長職権の行使に対しまして、我々は飽くまでも国会法並びに参議院規則を遵守して、飽くまで参議院の自主性と民主的な態度を守り抜こうとして、そのためにこのような不当な議長職権の行使に対しましてこれを抗議するということは当然……、むしろ我々議員のこれは職責だと考えるのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)然るにこれに対しても、何ら提案者の溝淵君からは説明がない。これは意見であると言つている。意見であるということは、これは政府の答弁の最近の一つの流行を示しているものに過ぎない。何か苦しくなつて、自分が答えられなくなると、これは意見に亘ります。こういうようなことで問題をごまかしてしまう。意見であるかどうかということは、よく速記録をこれは見れば、明らかなことだと思うのであります。私は事実を挙げて、その事実に対してはつきりあなたにお伺いしているのです、ところが意見だから答えられない、これでは全くこれは行詰つてしまつて、逃げ道を意見であるというようなことでごまかしているに過ぎないということが、余りにも明らかであろうと思うのであります。この点はどうしても今後の参議院の運営に当りまして、我々は不当な交渉、議長職権の行使、不当な運営に対しましては、飽くまでその元を質し、そうして正しい民主々義のルールに乗せて運営するということについても、抗議権を絶対にこれは放棄することはできないのであります。当然この抗議権というものが認められない限り、これは多数の横暴によつてますますその暴威をたくましゆうしようとする運営に対しまして、少数者が正しい立場からその民主主義を本当に守り抜くということは到底不可能なことになるのでありまして、新国会におきまして、少数者の意見が特に尊重されるように、少数者の意見は委員長や議長の報告におきましてもいつでも少数者の意見がそれに附加されて、これについて十分に検討されるというような体制をとられておることは、これは皆さんも先刻御承知であろうと思います。
   〔副議長退席、議長着席〕
従いまして当然このような少数者の與えられたところの権威を守り扱くというところに我々参議院議員の当然の任務があると考えるのであります。然るにこういうものが殆んど只今のような何ら答弁をなすことなくして意見であるというような事実を誣いることによりまして、一方的にこういう問題が等閑に付せられるとするならば、今後議院の運営というものは多数横暴によつて支配されるところの危険がますます刻々これは増大する心配を我々は持たざるを得ないのであります。(「少数横暴だよ」と呼ぶ者あり)こういう点についてあなたの提案理由というものは全然私は意味を持つていない。少くとも我々を懲罰に付する場合におきましてはその理由をここで解明されて、その解明された事由によりまして、明らかにされました理由によりまして並いるところの議員諸君がこれを判断する、公正なる判断をする、多数の党派によつてすでにあらかじめ用意されたところの判断によつてことを行うのではなくて、正しい理窟に対しましては、論理に対しましては多数者といえども率直にこれに従う、こういうような体制が十分にとられることこそが参議院の運営のために望ましいと考えるのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)
 又第三の衛視に対する暴力云々の問題があつたのでありますが、この衛視に対する暴力の問題につきましては、先ほど鳥海君が何らこれは議長によつて命令されたものではない、こういうことを言つています。一体衛視の任務というものはどういうものであるか、これは議長の專有物であるかどうか、議長の専断によつてあらゆる議長権行使のために用意されたそういうものであるかどうか、我々はそうだとは解釈できないと思います。衛視というものは同時に議員そのものの身分、身体の安全を守り抜くことも同時に衛視諸君の任務でなければならないと思うのであります。然るに議長の命令もないところの衛視諸君が多数壇上に立上つて来て、我々の正当なるところの議長に対する抗議権を阻止しようとする、ここに大きな問題があるわけでありまして、而もそれに対して暴力を振つた云々ということを言つておるのでありますけれども、一体どこにその事実があるかということは先ほどもしばしば質問を繰返したところでございますが、これに対して何ら的確な具体的な説明はなかつたのであります。そうしますというと、この説明がない限り提案者の溝淵君は我々に対して誠に事実当らざるところの誣言をしておる、これをデマに利用しておると言わざるを得ない。若しあなたがそういうことを言われることが苦しければ、当然その事実をここで具体的に明らかにされる任務を有すると私は思うのでありますけれども、何らそのようなことに対しては意見であるとか、或いは委員会で述べるとかいうことで以てまるで委員会にこの懲罰事犯が当然移されるということを予定したような行動に立つてそのようなことを話されるということは我々は絶対これは合点の行かないところであります。
 以上いろいろ申述べたのでありますが、私は一身上の弁明というものをこまこまといろいろああだ、こうだということをこれは申上げるそれよりも参議院の運営が如何ように正されなければならないかという問題、又議員の我々の当然の任務として自分の一身上の利害、或いは政党的な立場、こういうことは第二第三の問題であり、飽くまでも我々は院外の国民大衆、日本の民族、これらの人々の要望をどのように果すか、そのためには如何ように身命をかけても戰い抜くかということが我々の最大の責任でなければならんと常々考えておるのであります。こういう点からこのような懲罰事犯に対しましても、これを軽々しく誠に理由のない理由によつて出されて来たこの問題を泥試合に落すことなく、飽くまでも基本的な問題に立つて参議院の運営、正しい民主主義の確立の問題、又現在両條約並びに行政協定によつて誠に売国的な植民地的な体制に追い込まれておるところの院外国民大衆の利益を、如何にかかる民族の危機において守り抜くかということを先ず第一の條件としてこのような問題について私ははつきり皆さんのこの陰謀的な懲罰動議に対しては戰かつて行かなければならないと思う。そういう点で誠に根拠のないこのようなばかげたところの懲罰動議に対しましては全然我々は承服することはできないし、即時このような懲罰、ためにする懲罰動議は撤回されんことを切望して私の弁明を終る次第であります。(拍手)
#78
○議長(佐藤尚武君) 江田三郎君。
   〔江田三郎君登壇、拍手〕
   〔「これは重罪だ」と呼ぶ者あり〕
#79
○江田三郎君 只今問題になつております懲罰動議に対しまして一身上の弁明をいたしたいと思うのでありますが、すでに同僚諸君からいろいろ弁明或いは質問その他の問題がございまして、あまり外に言う必要もないと思うのでありますが、併しこれは私の今後の議員生活に非常な影響を及ぼす問題でございますから、多少重複する点がありましても私は私なりの意見を、私の弁明をさして頂きたいと思うのであります。
 先ほど矢嶋君が質問したのに対しまして、矢嶋君はいろいろ申されましたが、その中で懲罰は愼重でなければならんという発言に対して、提案者の溝淵君もその点については全く同感である、懲罰は慎重でなければならん、そうおつしやられたのでありますが、どうも私は前後のお話を聞いておりまして、少しこの言明とは違つて愼重を欠いておられるのではないかという気がするのであります。(「そんな話はどうでもいいんだ」、「それが大事だ」、「そんなことはない」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
#80
○議長(佐藤尚武君) 靜粛にお願いいたします。
#81
○江田三郎君(続) 黙つていなければ言いませんよ。(「議長の言うことをよく聞きなさい」と呼ぶ者あり)溝淵君は三つの問題を出されたのでありまして第一は三十八日のあの本会議におきまして、規則二百十三條の違反をやつておるというのであります。そこで規則二百十三條は諸君も御承知のように、「何人も、議長の許可がなければ、演壇に登つてはならない。」という点であります。これはその前に小野君の懲罰の動議が二百十三條に関連して出ましたからしてお互によく承知しておるところであります。そこで私はその当時小野君の懲罰が問題になりましたので、愼重を期さなければならんと思いまして事務当局のほうに一体演壇というのはどういう工合に解釈したらいいのか、こういうことをお尋ねしたのでありますが、そのときの事務当局のお答えは、この議長のこの角からこちらの角まで両方、この間が演壇に当るのだ、こういう答えを得ました。たまたま小野君の場合には私当時の新聞に出ました写真を見ますというと、厳然としてこの真中に立つておられますので、これは一点疑うところがない、こう感じたのであります。そこでその点につきましては或いは溝淵君は別な見解を持つておられたのじやないかと思いましたが、併し先ほど岩間君が演壇の意味は今私が申した通りかとそういう質問をしたのに対しまして溝淵君は、岩間君の解釈と全く同一である、こういう答弁をしておられます。これは議事録に残つておりますからして間違いないと思います。(「状況が全く違う」「善意の誤謬だ」「黙れ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)若しそうでありますならば、一体誰があのときに溝淵さんの言われるところの、又事務当局も言われるところの議長の許可なくして占拠した者があつたのか、写真があるとか何とかと言われますけれども、恐らくどういう写真を持つて来られても、あのときにこの演壇の中に入つておる写真というものは一枚もないはずであります。今善意の誤謬ということを言われますが、善意の誤謬ではありません。(「小野委員長のは済んだ」と呼ぶ者あり)小野委員長じやない、演壇の定義を言つておるのであります。演壇の定義は事務当局に聞いても、今度の提案者の溝淵君の話でも、ここからここまでだと言つておる。(「小野委員長の問題は済んだよ」「木村黙つて聞け」「黙つて聞きなさい」と呼ぶ者あり)私は小野委員長のことを問題にしておるのではない、演壇の定義というものはこういうものであるということを言つておる、私の言うことに間違いがあるならはつきりして下さい。(「はつきりしているよ」と呼ぶ者あり)速記録をお読みになつても溝淵君はそう御答弁になつておるのであります。
#82
○議長(佐藤尚武君) 一身上の弁明は靜粛に御聽取を願います。(「そうだ」と呼ぶ者あり)
#83
○江田三郎君(続) そこでそういうような演壇というものの定義がはつきりいたしました以上、誰もその演壇に入つておるものございません。私だけではありません。私だけでなしに、どういうような証拠を皆さんがお出しになりましても、そういうことは断じてないはずであります。そういう点で慎重を期さなければならないと言われながら、みずからありもしないことを懲罰の理由に挙げられたということは、私は参議院の権威のために、溝淵君の名誉のために、自由党の諸君の名誉のために非常に悲しむものであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)若し私の言うことに間違いがありますならば、いつでも結構でございますからして、はつきりとした証拠をお見せ願いたいと思うのであります。(「ありますよ、いくらでも見せますから」と呼ぶ者あり)木村君ございましたら具体的に言つて頂きたい。勝手なことを言つてはいけません。(笑声)
 第二に小林英三君の動議の採決に暴力を以て議決権を阻止して休憩の止むなきに至らしめた、こういう点が挙げられております。私は只今申しますように、演壇には上りませんけれども、この事務総長のそばへ参りました。なぜ参つたかというと、小林君があの動議を出されましたときに、私は小林君より先に発言を求めたわけであります。あの時は小林君より先でありますかどうか、もう一人誰か私の後のほうで発言を求められたのでありますが、これは私の後のことでありますから誰かわかりません。そこでそういうような場合に一体どういうようにやつて行くかということでありますが、これは参議院規則第九十七條で「二人以上起立して発言を求めたときは、議長は、先起立者と認めた者を指名して、発言させる。」と、こうなつておるのであります。そこで私は明らかに私のほうが先に発言を求めたと、こう考えておりますけれども、若し議長がそうでなしに、小林君のほうが先だつたと、こう認定されるならば、これはいたし方がないのであります。それに対しまして私は何等言うことはございませんが、併したまたまその問題について私はなぜ発言を求めたかというと、私は小野君のこの裁決にいささか疑義があつたわけです。なぜかと言いますと、小野君はあの投票の際にここへ出て来られた、出て来られて票をここへ出されて拒否されてお下がりになりましたけれども、(「違う、全然違う」と呼ぶ者あり)どこが違いますか、はつきり言つて下さい。(「弁明を続けなさい」と呼ぶ者あり)黙つて聞きなさい、(「弁明を続けなさい」「妨害するな」「真実を言うこと」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)これは、私嘘を言うんじやありません。小野君が議席へ再び帰つて頭をかいておられた、(笑声)小野君はこの点は自分ではお認めになつておると思います。そこでそういうように演壇を議長の許可なくして占拠したということがたまたま問題になつておるときにですよ、議長の許可なくしては演壇に行けんということははつきりしていながら、それにもかかわらず小野君がここへ出て来られたということは、これはどうもまあ誤まつたといえばそれまででありますけれども、私はそういう人がここへ出て来るということは、投票の効果に非常に影響があると思います。投票の効果に対しまして影響がある、自分の問題について他の人々が投票しているときに、それと一緒に出て来るということは、これは灘かに考えまして投票の効果に影響がある、他の人々を牽制せしめることもできるわけです。そこでそういうような疑義がございますからして、私はその点を事務総長に問い質したい、こう思つて参りましたところが、私が非常に意外に感じましたことは、小林君の発言を取上げられるのに、議長のほうではあらかじめ文書で以て小林君の発言を取上げることを、文書でちやんと書いておられるものを持つておられた。これはそういう問題に立ち至りますと、議長が誤まつて私が先に発言を求めたのを、小林君に発言を許したのではなくして(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)作意があるということを私は感ぜざるを得ないのであります。(「そうだ、そうだ」と呼ぶ者あり)若しそういうことがありますならば、これは参議院の運営の権威というものは全く失われて来るわけであります。而もそれに加うるに懲罰の動議が出ているということも、これもはつきりしております。懲罰の動議が出ておつても、小林君が動議を出せば、それは溝淵君の説明によるというと、国民が重大な関心を持つているからそれを先に取上げればいいんだ、院議できめればいいんだ、こういう御説明でございますけれども、これは私は非常に危険だと思うのであります。お互いにあの破防法のような非常にシリアスな問題に真向から取り組んでおるようなときにはこれは感情的になるのも止むを得んと思います。併しながら破防法の問題が一段落済んで、今度は如何にして我々はこの参議院の運営を軌道に乗せるか、そういう段階に来ているんです。そういうときに何故に冷靜を欠きまして、冷静でものを言わないで、感情でものを言うということがなお続きますならば、これは国民に対しまして我々は非常に申訳ないことになると思うのです。(「そうだ」と呼ぶ者あり)我々はこういう問題につきましては議長の取扱いが当を得ていない、そういうことで議長の不信任案を出しました。出しましたが、それは引つ込めました。なぜ引つ込めたかというと、我々は議長の不信任案を出しましたのは、これはいやしくも参議院規則に相反した間違つた取扱いを、これを続けて行かれるなら、一度でも二度でもそういうことがこの議場において許されますならば、将来悪い慣例が次々に積重ねられまして、もはや国会の円滑なる運営はできない。そういう点から議長の不信任案を出したのでありますが、併しこれを解決するのには、到底あの混乱した、感情が高ぶつた時間では解決つかない。そこで一応この問題は取下げて、議長の不信任案は取下げて、改めてお互いに靜かになつたときにもう一遍将来の参議院運営のためにじつくりと議長並びに各派の責任のあるかたがたと話合いたい、そういう意味であの不信任案を一応引つ込めたわけでありますが、もうそろそろ溝淵君にしましても、自由党の諸君にしましても、冷靜になつて参議院規則というものを検討される時期が来ていると思うのです。なおそういう冷靜さを取返すことができないで、理窟にならん理窟を以て感情に走つて参議院規則をこれ以上無視するような態度が続きますならば、将来の議会運営のために私は取返しのつかないことが出て来ると思うのであります。(「その通り」「そうだ」と呼ぶ者あり)そういう点からいたしまして我々は多くの疑義を持つておる。参議院規則の上からいたしましても、疑義を持つておる。私が明らかに最初に、小林君より先に発言を求めておるのを、あらかじめちやんと原稿をこしらえてやつておられる議長の態度に対しましても、疑いを持つておる。だからしましてここへ来て交渉をするのはこれは当り前なことだと思うのです。それをしも悪いとは諸君もおつしやらんと思うのです。そうしてそういうときに暴力を以て休憩に至らしめた、こういわれますけれども、これも諸君があのときの成行きを靜かにお考えになれば、そうでないことがはつきりわかると思うのです。先ほど同僚の小笠原君が弁明いたしましたが、当時小笠原君は、これは参議院規則に違うじやないか、そういうことを議長なり事務総長にこの席で交渉された。これは運営委員として当然の交渉です。それに対しまして私もかたわらで見ておりますというと、最後には議長も事務総長も笑つてです、笑つてそれではというので休憩を宣せられたのであります。およそ暴力を以て議事を阻止し、休憩の止むなきに至らしめたというのに、その当事者の議長は笑つて事務総長も笑つて休憩を宣するという、そういうようなことが一体平仄が合うでございましようか。(「それは泣笑いだ」「苦笑いだ」と呼ぶ者あり)そういう弥次はちよつと苦いと思うのです。(「苦しくない」「そういう弁明は苦しい」と呼ぶ者あり)明らかにこれは暴力による阻止でもなければなんでもなくして、議長みずからも恐らくあのときに小笠原君から指摘されまして、これは少々参議院規則に照らしまして強引であつたとこうお認めになつて、思わず吹き出されて休憩を宣せられたと思うのでありまして、(「その通り」と呼ぶ者あり)そういう契機からいたしまして、溝淵君が取上げられましたところの第二の理由というものもこれも当つていない、そう私は申さざるを得ないのであります。(「簡單簡單」と呼ぶ者あり)第三の理由はその休憩の止むなきに至らしめたその際に守衛に対して暴力を振つたということでありますが、これは提案者並びに自由党の諸君が写真があるというようなことでございましたが、写真があればお示し願いたい。あの休憩の止むなきに至つたという、そういうときに暴力を振つた者は、守衛に対して暴力を振つた者はないはずであります。而もそのときの守衛が二人か三人か出て来たようでありますけれども、それは議長の命令が出ておりません。島君が言うように議長の命令が出ておりません。議長の命令を得ずして出て来た守衛に対しまして島君のように「さがれ」と言うことはこれは当然でしよう。而も「さがれ」と言うだけであつて、それ以上にあの休憩のときに誰か一人でも守衛と暴力を以つて取つ組んだ者があるというのならば、明らかにして頂きたいと思うのであります。(「明らかになつています」「はたから見ています」と呼ぶ者あり)溝淵君は弁護士を商売にしておられるのでありまして、私どもよりもこういう懲罰とか、或いは刑事事件とかいうものにつきましては、深い御造詣を持つておられるはずであります。いやしくも人を刑事事件にかけ、人を懲罰にかけるときには、具体的に誰が何という守衛に対してどういう暴力を振つたということがはつきりしなければならんということは、これは私が申上げるまでもなくもう御承知の通りだと思うのです。それをただ漠然と何人かの昔が守衛に暴力を振つた、それは追つて委員会で材料を示すというようなことは、これは溝淵君の言われるところの、懲罰は愼重でなければならんというこの態度と一貫したものでございましようか。重ねて申しますけれども、今は破防法の問題は済んだ、破防法のあの感情的な鬪いは済んだ、これは理性の鬪いでありますけれども、同時にあのときには感情の鬪いも交つておる、今はそうではなしに静かにお互いはあのときのことを反省して、参議院の運営を今後権威あらしめるために参議院の規則をもう一遍軌道に乗せなければならぬどきなんです。(「そうだ」と呼ぶ者あり)今なおそういう態度をとり得ずして、慎重にことを運ぶと言いながら、何らの(「反省しているのかな本人は」と呼ぶ者あり)具体的な材料もなしに懲罰の動議を出された溝淵君に対しまして、私は重ねて申しますけれども、溝淵君のために、自由党のために参議院の名誉のために悲しむものであります。断じてかような懲罰には服することができないということを弁明さして頂きます。(拍手)
#84
○議長(佐藤尚武君) 鈴木清一君。
   〔鈴木清一君登壇、拍手〕
#85
○鈴木清一君 懲罰事犯に挙げられた一人といたしまして、なぜ挙げられたかがよく自分でわからなかつたということを先ず先に申上げまして、あの当時の一応弁明といたしたいと思います。
 御承知のように先ほど溝淵さんの言われましたお言葉の中に、国民の要望に応えるために先に動議を取上げたということを言われております。そのことは規則を無視してそうして先にその動議を取上げたということをすでに前提として申されておるように解釈できるのであります。又それが本当だつたと思うのです。というのは手続を踏んで出されておりました動議に対して、そうして小林さんから動議が出たのに対して、議長がそれを取上げた、そのことを議事規則に違反をしないで合理的なものであるということに先にきめつけられておられるように解釈できるのであります。そういたしますると一番怖いのは、いわゆる民主議会の多数制は認めましても、多数であるが故に議事規則を曲げてもいいのだということを認めざるを得なくなるのと同時に、そうしたことを考えて我々は実存しているのだということをあなたがたが如実に示したものとして我々は解釈してもいいのかということになるのであります。それは勿論すでに自由党の諸氏が衆議院では盛んにそれを実行しておるようでありますけれども、(「社会党もやつておる」と呼ぶ者あり)少くとも参議院ではそうしたようなことは、私はあなたがたはするようなかたではないと思つておりましたのに、図らずもはつきりやつたことを(「当り前だ」と呼ぶ者あり)裏付けられるのであります。
 それといま一つはもそつと……原因について一言も申しておりません。破防法の重要性云々は先ず別といたしましても、あの状態に陷つたその原因というものは勿論議長職権から始まつておつたことではありまするけれども、議題そのものにそれまで含んでいるところの重要性を持つ法案であつたということがはつきりしておるのであります。従つてむしろこの破防法を審議の過程において議長がとつた態度に対しまして、あなたがたのほうから先にこれに対しまする不信任なり懲罰なりの態度があるべきであります。それにもかかわらずただ現象を捉えて、而もその現象なるものも、提案者の御説明から行きますると、信を得ておらない。演壇に対しまする解釈といたしましても、又交渉委員の資格に対しまする解釈といたしましても、何ら質問者に対しまして明快な答弁も與えておらないし、そして又議員一般が考えることよりも違つた解釈を提案者は持つておられる、そのような状態の中で、そのような考え方の下に、この議員を懲罰事犯に付するというようなことは私は少くとももつと愼重でなければならんかと思うのであります。他の人たちが非常に慎重に対しまする非難を申しておりまするので、重複を避けまして私はいま一つこの点をお聞きしておきたいのは、例えばあのときに議場の混乱の中に、議長が議場閉鎖を命じたとして、そのときにこの雛壇の扉の中の、こちらの雛壇のうしろの扉のところで、警務部長があの扉を中から閉じたということを多数の人たちが見ておるはずであります。そうした点についてはどういう解釈を持つておられるのか。議長が今までそうしたことを命じて、そうしたことをやらしたことがあつたのかどうか。勿論この議場内におきまするところの雛壇以下の扉についてはいつもたしかに立つておりまして、議長の命令によつてやつておるようでありますが、その上のことについては一言も今までそうしたことがなかつたにもかかわらず、あのときに特に警務部長がそうした態度をとつておるのでありまするが、こうしたことについてあなたがたは何ら一言も触れておらないという点がむしろ私は不思議だと思うのであります。というのは、我々がとつたこの行為を阻止と認定しまして、そして一人々々名前を挙げられるだけのあなたがたに余裕があつたとしたならば、あなたがたに余裕があつたとするならば、そういう中の状態ということにも気が付かなかつたということは私は言い得ないと思う。それにもかかわらずそうした点に一つも触れずにただただここに上つた人たちを写真が云々とか、ただ自分はこう見たという認定の下に名前を挙げて事犯にかけておるのであります。そうした点もいま少し慎重に考えてもらわなければならないかと思うのであります。いずれにいたしましても、私は結論といたしまして事犯にあなたがたにかけられる覚えはないと、我々は正当な行為によつて、正当な方法によつて、そうしてここへ議場の紛乱を避けたいために議長にそれを要求したけれども容れられなかつた。むしろ上つて来た人たちが、その端のところで一足踏んで待つて頂いて議長に発言して、むしろその点を収拾する気持があつたならば、あの混乱はむしろ起きなかつたのではなかろうか。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)こういう点を考えまして、私らはむしろそれを阻止するために、いわゆるそうした混乱を避けんがために議長に発言を求めに上つたというだけでありまして、決して私たちは事犯にかかることには覚えがないことだけをはつきり申上げておきます。(拍手)
#86
○議長(佐藤尚武君) 兼岩傳一君。
   〔兼岩傳一君登壇、拍手〕
#87
○兼岩傳一君 私は一身上の弁明をいたしたいと存じますが、先ほどからの溝淵議員の懲罰の根拠、それに対する各会派の質疑に対する御答弁を拝聴しておりまと、そもそもこれは国会法百二十一條に真向に私は背いておると考えなければならないのであります。と申しますのは、国会法百二十一條によりますと、「懲罰事犯があるときは、議長は、先ずこれを懲罰委員会に付し」云々とございます。即ち懲罰事犯があるときは、議長は、先ずこれを懲罰委員会に付するのでございまして、それを御判定になるのは議員各位なのでありますが、ところが溝淵委員の説明は非常に根拠が薄弱である。これに対して各会派がいろいろの角度からお尋ねしますと、或いはそれは委員会で出そうとか、或いはそれは意見に亘ることだとか、いろいろ言われまして、極めて平素周到なかたに似合わない、御答弁が全く具体性を欠き、科学性を欠いておりまして、国会法百二十一條で申します「懲罰事犯があるときは」、とこの「あるとき」、あるのかないのか全く御説明だけによつて見ては私どもは健全な常識を持つておる限り理解することはできないのでございます。併しながら多数の力でどうしても一身上の弁明をしろという強制でございますので、やはり国民の出されております(「無用々々」と呼ぶ者あり)三つの点から一身上の弁明をしなければならないのでありますが、他の十七名の多くのかたがたはこの参議院規則二百十三條違反、つまり演壇の問題と公務執行妨害でございますが、私ども四人、五人の者は特に衛視に対して暴力を振つた云々という重要な三項目の非難を受けておりますので、私はこの点は特に詳細に一身上の弁明を申上げる必要を感ずるものであります。(「簡單々々」と呼ぶ者あり)
 そこで私は直ちにこの三項に入りたいのでございますが、三項目そのものを申上げますと議員各位の判断を却つて私はこんがらかす点があるのじやないか、と申しますのは、何が故に自分はこういう行動をしたかというそのことを極く簡單でございますが申上げ、且つそれが憲法その他の法規に如何なる根拠をおいて活動しておるか、こういうことだけをちよつと私は申上げておかないと、却つて以下私が具体的に三項目を申上げるに際しまして同僚議員各位が却つて私の申上げることを誤解される危険がございますので、私は極く簡單に私が民主的な国会運営というものをどう考えておるか、これを私は二点、平素拳々服膺しておる二点がございます。第一点は、法律の重要性に対する態度であります。私は如何なる法律が出て参りましても、その重要性を判断するのに際して、これは日本のためになるのか、アメリカの軍事占領のためになるのかという点を私は先ず第一に考えます。それからその次に、これは日本の平和に役立つ、アジアの平和に役立つのか、これは戰争に役立つかどうか。第三に、これは日本国民を自由な朗らかな豊かな生活に持つて行くのか、日本の国民から自由を奪い、日本の国民を窮乏に陥れるものか、私は極めて簡單にいつも独立と平和、自由というこの三点から考えております。
 今回破防法について私どもが心身を賭してこれを阻止しなければならないと感じましたのは、この独立と平和と自由に真向に反対するところの法律案であるという強固な信念に基いて私は一切の行動を律したのでございます。勿論自由党、緑風会、民主クラブが私と全く正反対の立場から、又そういう意味でこの法案の重要性を認められたということに対して私は何ら異議はないのであります。即ち與党と野党が一つの法律案に対して重要性をいろいろな角度から考えて、それぞれの重要性をこれに與え、この重要性に対する態度の故に真向からこれを押潰してやろう、或いはできるだけこれを引き延して引き延して審議未了に追い込もうという態度は、私は民主的な国会の運営としては無條件に認められなければならないと考えております。(「その通り」と呼ぶ者あり)これが第一であります。
 ところが無條件といえばどんなことをやつてもいいかなぞと私どもは毛頭考えていないのであります。私どもはやはり憲法と国会法と、そうして参議院規則を守つて、このルールの許す限り一歩も仮借するところなく與党に対して肉迫して、そうして審議不能或いは否決或いは審議未了、いやしくも髪の毛一本でも與党に隙あらばこれに攻撃を加えて、以て法律の審議未了或いは否決、改正等々を図る、これは私どもとして当然許されるところの権利であり、又私ども十数万の国民を代表して来ておる者の任務であり、又党の立場、党に対して私どもが果さなければならない点であると、こういうふうに考えておるのでございます。そこでこの以上の二つのルール、特に第二の、つまり国会法、憲法、参議院規則を守る限りにおいてその極致まで、我々は極致になりますと、多少出たり入つたりいたす(笑声)のは事物の法則なんで、これを出たと見るか、出てないと見るか、これは御意見がございましようが、併しながらいやしくもこの事柄をつまり国会法、参議院規則の極致まで野党が権限を発揮することをお認めにならないで、多数の力をかりて何らの疑問もなく明確な参議院規則違反、国会法違反、憲法違反を多数の力をかりて與党がやられたときに、それでは我々は泣寝入りをしていいのか。私は断じて泣寝入りをすべきでない。然らばどういう行動をとるか、それは私は直ちに(「その通り」「暴力だ」と呼ぶ者あり)多数党派そのものに反省を促すことは不可能であります。我々は少数でおるから野党なんです。與党は多数であります。そんなものに直接行けば袋叩きになるだけです。(笑声)そういう馬鹿なことはいたしません。その場合に、私は飽くまで議長の反省を求め、議長が、あなたがこういう民主的な運営をされることは国会の自殺ですよと、民主的運営の自殺ですよと、私はこういうことを議長に注意を申上げることが私は正しい民主的運営のルールであると考えております。(「その通り」と呼ぶ者あり)その根拠は憲法四十一條に、国会が国権の最高機関であるということ、従つてこの国会において我々が民主的な国会運営を誤るならば、それは将来はそれを解決するものは国会外の国民の大国民的運動によつてのみ粉砕されると考えておりますけれども私はそういう形の解決をできるだけ避けるためには最高機関であるところの国会の運営を正しいルートに乗せるということが絶対に必要であり、そのためにこそ国会に使われておるという信念の下にこれは断じて私は一歩も譲歩しないで鬪つて来ておりますし、今後も私はその信念を変えないつもりでおります。それは憲法十二條、十二條が「国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。」と言つておるからであります。即ち国会議員としての、これは国会議員にとつても全く無條件に当てはまるもので、国会議員に與えられた自由と権利及び国会の民主的な運営は、国会議員その者が不断の努力によつて守るべき以外には方法がないと私は考えておりますので、飽くまで多数の力をかりて法規に違反した行動をとられるときは、その多数の行動に対しては飽くまで議長の反省を促すということは当然憲法において保障されておるところの権利であり、而してこの途こそが国会運営の民主的のルールであると考えて、これを行動の指針として私は国会活動をいたしておる者でございます。
 さていよいよ私は溝淵議員から提起されておりました三つの條項について一身上の具体的な弁明に入りたいと存じます。
 先ず第一に、私たちが二百十三條違反で、私が二百十三條に違反して議長の許可なし演壇に登つたという問題でありますが、これはもう大方今までの議員で解決されておりますけれども、念のために一、二の事実を私はこれに付加えたいと思います。私自身の考えから言えば、小野法務委員長の故なくして登壇されたのを多数の力で蹂躪された以上、これに対する当然の措置として、我々も壇上へ議長の許可なしに登つて占拠してもこれは私はいいとまで論理的には考えておるのでありますが、併しそれは最後の、最後の、最後になすべきであつて、やはりここで一渉讓つて野党、少数の野党としては堪えられないところであるけれども堪えて、やはりその点は腹の底にぐつと蔵つて、出すべきところに出せばよろしいと考えておりましたところ、この場所で小笠原議員がこれから一歩も入つてはいけないということをあの大きな図体で、彼がしきりに声をからしてこれから入つてはならん、これから入つてはならんと言つておりましたので、私は野党第一党の小笠原君の詮を大いに傾聴いたしまして、肚の底ではそういう必要はないのだ、小野君は現に議長の許可なくして壇上を占拠しておるではないかという、肚の底では煮えくり返えるような義憤を感じましたけれども、私は小笠原君の設に従つて、遂いに徹頭徹尾演壇の上には登らなかつたのでございますから、第一の條項は私の一身上に関する限り関係がございません。
 ところで今度は第二に公務執行妨害したと、これはとんでもない、私は溝淵君ほどの賢明なかたがこういうふうな問題を出されるということは、私は非常にお気の毒と思う。なぜかと申しますと、今皆さんがです、懲罰事犯をかげておられるということを一遍考えて頂きたい。與党のかたは台湾国とのこの條約それから漁業等の條約、それからもうすぐ日切れが近づいて来ておりますインドとの條約、私どもはこれは重要性は認めます。併しこれはやはり国の独立、平和、自由の観点から考えてこれは賛成できんこの議案だと考えておりますが、併し重要性は認めております。與党の諸君は我々と真向から違つた意味でこれを通さなければいかんと考えておられる、而ももう明日か明後日、日華條約は日切れになる、今日はあれですか、どつか台湾国のかた、それから印度の大使が来ておられるというので、議長は非常にこの岡崎外務大臣と共に心魂を使つておられる、それにもかかわらず総理もどうです。今日は出て来る、十時から十一時、二時二十五分から三時四十五分はどうだ、こういうふうにまで頭を使つておられるのに、諸君はあえて今日この懲罰を上げておられるのは、すべての案件に先んじて懲罰を上げるというこの参議院の、二百三十八條を全会派一致で認められればこそ、私は與党のかたにとつては非常に不満だと思いますが、不満にもかかわらずやつておられる。ところがどうです、今我々が懲罰になつておるのは満場一致、あなたがたが認められる二百三十八條を、與党が緑風会と民主クラブの力を借りて議長を嚇したりすかしたり、そしてこの二百三十八條をあえて破らせて、そうして小林英三君、この埼玉の川口出身の意思強固なる自由党の小林英三君を動かして動議を提出し、又同じ埼玉から出ておられる石川榮一君の如きはここまで来て顔を真赤にして、あの温厚なお人柄の人がお顔を真赤にしてどなつておられる、そういうような無理をしてですね、二百三十八條をあえてこの議長に蹂躙させていたということは、今日諸君がこの懲罰を三條約に先んじて取上げて、おられるということであつて、理非曲直がいずれの側にあるかということは、賢明なる諸君だつたら私は御理解願えることと思う。(「ヒヤヒヤ」と呼ぶ者あり)にもかかわらず私は多数決のこの承服できない決定ではありましても、私は民主的な国会のルールに従いますから、私は公務執行妨害のこの第二條につきましても、やはり一身上の弁明を私はやはりするのがよろしいと思いますので簡單にいたしますが、(「分かりました分かりました」と呼ぶ者あり)問題は一兼岩が議員としての体面を徴して懲罰された、そんなことはそれほど大きな問題ではないのでございます。ところが諸君、自由党と緑風会と民主クラブが一緒になつて小林英三君を先頭に立ててやられたことは、一小林英三君が議員としての体面を汚されたという問題ではなくて、與党の力で参議院そのものの体面を汚されたということではありませんか。これを私が一個の議員として、身を挺して、民主的な議院運営の自殺であると見て、これを救うのは、もはや議長の賢明なる判断によるほかはないと思つて駈け上つて参りまして、卓を叩いて、総長並びに議長に対して、事務的な意味においては総長、又終局的な責任者としては議長に対して、あなたがたはこれは民主的な議院運営の自殺であると思いませんかと言つて、私は警告を與え、身振り及び若干の音響を以て(笑声)多少お年を召しております議長のこの網膜(笑声)並びにこの中耳殻の中に振動を與えまして、(笑声)どうですどうですと申上げましたのは、これは急場として私は全く止むを得ない措置であると考え、且つこれは私は当然国会議員として、参議院の民主的な運営の自殺を救うための、民主的な唯一の残された方法であると私は確信を持つております。従つて、公務執行妨害などという溝淵君のお説は、全くこれは、先ほど申しましたように、事実に基かない、事実に即さないところの御見解である、御意見であるとしか私は考えないのでありますが、併し私はルールに従つて、以上第二の公務執行妨害に対する一身上の弁明をいたした次第であります。
 次に、第三の衛視に対して暴力を揮つたというこの問題は、これは十七名のうち、ほんの三名四名、たかだか三名くらいに科せられておりますところの罪名でございますので、私はこれは詳細に意見を一つも述べないで、事実に印して私は十分一身上の弁明をさせて頂きたいのでございます。
 私は、衛視に対して暴力を揮わなかつた。ところが衛視諸君が、ここからだんだんだんだんと押して来られたときに、私は衛視諸君に訴えた。衛視諸君、諸君は正しい者の味方にならなければいけない。今日本が危急存亡にあるときに、かくのごとき国を売るところの大臣、及び與党のためにあなたがたは暴力を使つてはならん(笑声)と、私は衆議院の衛視諸君に比べまして、参議院の衛視諸君が格段に紳士的であり、愼重であることを常日頃私は信用いたして、従つてあの鉄兜の警官のごときは要らない、こういう私は主張をしておつた。絶対に衛視を信用いたしております。私としては、衛視諸君、あなたがたは暴力を揮つてはならん、暴力を揮つて、君たちは何のために君たちは役に立つたことになるか、結局日本を売ることになり、戰争に味方をすることになるぞ、暴力を揮つてはならんぞと言いましたところが、衛視諸君は、ことごとくそれを了としまして、(笑声)そうして極めて穏健なる、非暴力的な形態においてその職務を執行された。ところが、先ほどこれは聞くと、議長の命を受けた受けんという重大問題がございますが、私はそのどきに非常に興奮しておりましたので、これは議長の命があつたという前提で、私はすべての行動をいたしたのでございますが、それらは非常に、これは明確にして頂かなければならん点でございます。ともかく、衛視に対して暴力を揮つたなぞとは、事物の全く反対でございまして、衛視諸君に対して暴力を揮わせなかつたという点につきまして、私は非常な賞讃をこそ受けれ、(笑声)一点の非難を受ける点はないのであります。それからもう一つ、衛視諸君に対して僕が如何に愼重であつたかということは、水橋君が転倒したあの場面のときに、水橋君は、いやしくも衛視が俺を倒すのは何事であるかといつて、非常にいきり立つておられましたけれども、私は相当の打撲を受けておられると見ましたので、先ず彼に、衛視に暴行を働いちやいかん、そういう誤解を受けるような態度をとつてはいかんぞ、今君は動くと打撲傷がどういう病状に変化するかわからないので、(笑声)先ずそのままにして、おとなしくしておれと言つて私は水橋君に対して勧告すると同時に、この事柄が済みましたあとで、直ぐ同君のところへは岩間君があの打撲傷はどうであつたという見舞に行きましたところ、すでに水橋君は、最も水橋君の信頼されておるところのあの医務室に行きまして、レントゲンをとるとか、手当をするというようなことをしておられましたので、この点は非常に安心をいたしましたが、その後数日彼は出席が不能であるので、どうしたのかと言つて聞きますと、やはり大きな声を出すと痛む、こういうふうに言つておられましたので、私は暴力というものに対しては、自分自身が衛視諸君にどういう態度をとつたかということは、ここにおられます六人ほどの衛視を一人一人ここに出して来てもらつて、私は衛視諸君に対して、一指でも暴力を揮つたかどうか、水橋君と衛視のこの闘争に際しまして、(笑声)何と言いますか、この衝突と言いますか、意思の疎通を欠いた点につきまして、(笑声)衛視が暴力を揮つたという、水橋君が衛視が暴力を揮つたという見解の下に、みずから転倒をされた状態を私は確認して、その水橋君に対しても腹は立つだろうが今は腹を立てるなと言つて慰めたという、暴力を絶対私は揮わなかつたという点についてはこれ以上私は申上げる必要はないので、これから先は溝淵君自身が私なり水橋君に対して暴力を揮つたという御非難がなさりたいならば衛視諸君みずから出て、或いは活動写真を若しお撮りになつておるならば、その活動写真、若し録音をとつておつたならば録音で以て常識の基礎に立つて科学的に私どもの非難をして頂きにたいのであります。(笑声)
 さて以上の一身上の弁明に私はもう一つだけ附加えておきたいのは、それでは私は当日の議長の行動なり與党並びにそれに同調される会派の諸君に対して心が平静であつたか、絶対にそうではありません。私は大いなる憤激と義憤、これは許しておけん連中だという私は非常に憤りを持つたのでございます。その点だけを私は申上げて一身上の弁明を終りたいのでありますが、それはやはり先ほど金子洋文君が申しておられましたように、私の最も義憤、憤激を感じましたのは、三十四日の各派代表者の会議において川村松助君だけの首を切つて、そうして国会法の改正をペテンにかけられたということであります。私は川村松助君の首を切る必要はないと思う、あの場合に川村松助君は従来非常に公平に歴代の議運の委員長に稀に見る公平な態度を以て運営して来ておられる。それを首を切つてしまつて、それほど公平な川村松助君がああいう処置に出られたのは、自由党、緑風会、民主クラブがよつて以てさせたのであつて、それをその時には知らん顔をしておつて、あとになつて首を切る、これはいやしくも天下の公党の同志として私は恥ずべき行動である、故に私は非常に不満を感じましたが、ただ大屋晋三君が折角協定を呑んで第五国会以後大問題になつておりまするとろの国会法を改正すると言われるから私はこういう惨酷なる取扱に対してもそれほど抗議を出さないで、まあ不愉快な顔をしておるぐらいのところで僕は同調をしておつたのでありますが、然るにいずくんぞ知らん、大屋晋三君は傲慢な態度で豪語しておきながら、一晩たつと手の掌を覆したように嘘を言つてしまつた。私はこれについては大屋晋三君のみならず、これに立合われました緑風会の徳川、高瀬、民主クラブ大隈君、その他重大なる責任を今後私はとられなければならんのに、それをとらないどころか、我々を懲罰にしようとするなぞという行動はこれは私の大いなる義憤、憤激を感じた第一点であります。
 それからもう一つ私は二十八日の本会議で議長が小林英三君の動議を採用されました私は議長の処置に対して非常なる憤激を持つものであります。なぜならば、あの会議のすぐ前の小委員会で野党第一党を代表して小笠原君がそれでは二十四日の大屋晋三君の協定を白紙に返す以上は、あとは全部憲法、国会法並びに参議院規則によつて運営を図るのだということを全会派確認をしたのにもかかわらず、そのすぐあとで事務総長が援助を命ぜられたのか進んでしたのかこれはいろいろ問題ですが、ともあれ小林英三君の動議はちやんと原稿に入つておるというような馴合いをやつて、そうして小林英三君の参議院規則二百三十八條違反の動議を採用するように仕組まれ、それを公正なるべく緑風会からの選出されております議長をしてさような違反を余儀なくさせたということにつきましては、私は非常なる憤激を感じたのでございます。而もです、議長のこのような行動は以前はなかつた。この数年間議長は非常に公正に運用しておられた。ところがそろそろあやしくなつて来たのは、先月或いは先々月の終りでしたか、出入国管理令で以て議事はやめるという約束をちやんと議長は小委員会で承認しておきながら、続いて刑事特別法を上げようとされた、これは我々が議長に、議長あなたの態度は間違つておりますぞということを強硬に申上げましたところ、議長は了解されて幸いにして民主的議院運営の自殺を免れた。ところがそれからずつと参りまして、十日ほど前の第三回の国会延長のときには、このルールを議長は敢然として蹂躪して、そうして十一時四十八分頃からこのところへ押し込んで来て、第五回国会の乱闘さながらの、国会の運営の方針の違反をあえて強行された。私はかような出入国管理令から第三回の国会延長、そうして二十八日の本会議での小林英三君の動議採用、この一連の関係は明らかに自由党が緑風会をかたらい、民主クラブを誘い入れてそうして(「何を言うのだ、何を言うのだ」と呼ぶ者あり)参議院の民主的運営そのものの自殺を推し進められたという点につきましては、これは私は譲歩することのできない大いなる憤激と義憤を感ずるのであります。私は一身上の弁明を終るに際しまして、大自由党が今や党内民主主義の確立のために幹事長問題を中心にして大きな波乱を巻き起しておられる、これは僕は正しいことだと思う。やはり自由党内における民主主義的運営についてこれは僕はよく、詳しくは知りません、新聞知識しかありませんが、新聞知識だけから見ても自由党の諸君が内に民主的の運営を主張されるならば、やはり国会の運営も又民主的にやるという本来の立場に立ち返られまして、そうしてこの溝淵君の殆んど客観的な説明も主観的な法理論においても不十分な国会法百二十一條に一致しないところの、懲罰事犯があるのかないのか全くわからない状態において、これを非民主的に推し進められないで、これを私は撤回されることこそ大自由党としてこの際民主的になされるべき私は第一の任務ではないかという、これは意見を申し添えまして、私の一身上の弁明を終る次第であります。(拍手)
#88
○議長(佐藤尚武君) 三輪貞治君。(「少し応援団聞いてやれ」「友だちがいがないじやないか」と呼ぶ者あり)
   〔三輪貞治君登壇、拍手〕
#89
○三輪貞治君 只今上程されておりまする懲罰動議に対しまして、一身上の弁明をする機会を得ましたことを非常に喜びとするものであります。(笑声)恐らく具眼の士が多いと思われる自由党の諸君並びに公平なる緑風会の諸君は、我々の正しい立場をば了解をされて、この動議を撤回されるか、或いは又採決に当つては恐らく公平なる判断をされるであろうことをば信ずるものであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)全く皮肉なことでありまするが、私は数日前、小野義夫君の懲罰動議を出した者として趣旨弁明をし、質疑応答をいたしましたが、その私が今日裁かれる身になりまして趣旨弁明をしなければならない。併しながらこれは私ははつきり一つ諸君にも傍聴或いは全国の国民諸君にもわかつて頂かなければならんという非常に大きな一点をばはつきりとここに明示いたしたいと思うものでございます。
 提案者代表である溝淵君からその趣旨の弁明が述べられまして、先ず参議院規則二百十三條の違反、議決権の行使を阻止したこと、衛視に暴力を振つて公務執行を妨害したこと、二百四十五條の違反、これらをば述べておられるわけでありますが、この趣旨弁明に際して非常に重大な点が忘れられておる。それは恐らくこの議場におきましても或いは傍聴席等においても、一体あの場合にどういう事態で何のためにこういうふうに混乱したかということをば知らなかつた諸君が多いのであります。多くの人々が述べられましたように、我々はむしろ国会法或いは参議院規則を守るために鬪つたのであるわけであります。(「そうだそうだ、その点だ」と呼ぶ者あり、拍手)たびたび言われましたけれども、私も又これをば繰返さなきやなりませんが、いわゆる参議院規則二百三十八條を無視いたされまして、懲罰動議が出されておるにかかわらず、小林英三君から違法の動議が出されて、(「そうだ」と呼ぶ者あり)これを採決によつて決するという全く慣例を無視した、而も国会法、参議院規則を蹂躪した方法がです、多数決という方法によつて行われるというこの瞬間(「そうだ」と呼ぶ者あり)私たちはこれをば阻止して国会の正しい運営をば行なつて行かなきやならんというこの一つのためにです、(「正しい運営をしておるのだよ、馬鹿の一つ覚えだよ」と呼ぶ者あり)かかる挙に出たのでありまして、勿論溝淵君の言われたように私もこの壇上に登りました。私は御承知のように議院運営委員として議会の運営のためにこの壇上に……演壇上は別として登つて事務当局に折衝をする義務と責任を持つておりまするから、この際におきましても私は先ず事務総長に対して、非合法ではないか、飽くまでもこれをば多数決によつてやるということは、一体どこにこれは條文に示されておるのだということをば迫りましたが、全くこの我々の申入れを無視されまして、無して語られない、かようなことが多数決によつて行われるというところに非常に問題があるのであつて、先ほどの質問でもこれはあらかじめ打合せされて組立てられたところの陰謀であつたということを言われましたが、私も明かにその実体を見ることができたのであります。小林英三君は自席からこの動議を出されましたけれども、すでにそのときには議長の手許にはりそれをばこの議院に諮るべき文章がきれいに用意されておりまして、而も諸君は筋書通りに行かなくて休憩になつたので、あの休憩中に約束が違うじやないかと言つて議長席に怒鳴り込んでおられる、(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)この一事を以てしても、これが公平なる議長をしてあの暴挙をなさしめたところのここに一つの企てが行われておつたということを私たちは色眼鏡でなしにはつきりと(「明瞭だ、明確だ」と呼ぶ者あり)これをば見ることができたのであります。この二十八日の夜の参議院本会議のあの混乱の状態に至らしめたものは、私はあの瞬間だけを見てはならないと思う。その以前の議院運営を見て参りますると、全く自分らの責任において議事の進行がうまく行かないというのに焦りを感じまして、自由なる我々の討論を、質疑或いはその他に対して五分間などというような無謀な制限をば多数決でやつておられる。これなんかは私は明らかに民主主義の議会政治というものをば無視するところの行動であると思う。(「暴力はどうだ暴力は」と呼ぶ者あり)堀眞琴君が質問の際に申しましたが、これは必ずしもこの場合には当てはまらないけれども、アメリカの議会においては、(「アメリカがわかるのか」と呼ぶ者あり)フイリバスターという制度が明らかに認められておりまして、少数党は公々然と議事引延しをすることが許されておる。それはいよいよ会期末となつて時間切れをば狙いまして、少数党がリレー式に長時間の演説をぶつことによりまして、與党の諸君は非常に焦りを感ずる、それでその裏で與党と野党少数の話合いが進められて、一体お前たちはこれをどういうふうに修正したら満足するのかということで、この少数党の意見が容れられて、初めてそのフイリバスターの戦術が停止をする、こういうふうな仕組になつておるのです。或いは又、私は必ずしも賛成はいたしませんが、あの戰時中の満州国の、これは議会でなかつた、協和会の中央委員会というのがありまして、全国から選ばれたところの諸君によつて、丁度議会と同じような運営がされておりましたが、これも又多数決でなくして、いわゆる衆議統裁という方法でたつた一人しか出ておらないところの民族代表の意見でも、これを抹殺しないというような方法がとられておつた。(「そんなこと聞いていないよ」と呼ぶ者あり)ところが諸君は何でも数にものを言わせて、多数であれば言論を抑圧して、全く五分などというような無謀な制限をして、これをば十分に論議を盡させないという方法をとられた、こういうような場合に、一体正しく自分の主張を通そうとし、或いは国会の権威を護ろうとする者がどのような抵抗をしたらいいでありましようか、私達は正しい国会法に則つて合法的にあの行動をいたしたのでありまして、決して今日諸君によつて懲罰をされるいわれはないのであります。(「そうだ」「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)なお私は別に衛視に対して暴力もいたしませんし、又その事犯に問われておりませんけれども、この公務執行妨害というごときも、公務が正しく規則に違反しない状態で行われておる、それを妨害することはいけません。併し合法的に議事規則に則つて行われないから、これを正常に戻すために行動をする、これは公務執行妨害でありません。公務が正しく行なわれておらないことに対する抵抗であつて、諸君の言い方は全く荒唐無稽であると思うのであります。(笑声)又溝淵君の趣旨弁明の結論を考えて見ますと、いわゆる参議院規則二百十二條或いは二百四十五條にありまするように、いわゆる国会の品位を保たなければならない、こういうことのために出されたようでありますけれども、一体国会の品位というのは何でありましようか、国会が国会法を無視して、参議院規則を蹂躪して行なわれることが一体国会の品位を高めることでありましようか、若しそういうふうに多数によつてゆがめられて運営されるとするならば、これを正しく引戻すことこそ国会の品位を高めるものであると思うのであります。かような点から我々の行つた行動は、むしろ国会の品位が地に墜ちんとする危機の際に、これを挽回して国会の品位を高めることでさえあると私達は確信しておるのであります。なおかようなことが多数決によつて、例えば同じことにいたしましても、多数党によつて或る事犯はこれが懲罰に付され、或る事犯は多数決によつて否決され、如何なる非合法的な行動も不問に付されるということがあつたならば、白を黒とし、黒を白とすることさえも議会において行われるという全く民主主義に反した結果に相成るのでありまして、これではいわゆる破防法において我々が最も懸念をいたしておる一網打盡の切捨て御免の政治が行われるということをば如実にここに見せられるのでありまして、恐らく私は良識を持たれる自由党の諸君並びに公平なる是々非々の立場に立たれておるところの緑風会の諸君は、にがにがしく思つておられると信じておるわけであります。多くの述べたいことがあるわけでてございまするけれども、全く事件は、ただこの国会法、議事規則が破られておることに対する正しい抵抗に対して弁明をされておるのでありまして、非常に重複の憾みがありまするので、これこれらいにとどめまするけれども、どうぞ一つ諸君の公平なる正しい御批判によりまして、かような議会の運営に汚点を残すとか、議事運営の方法がこのことによつて更に合法付けられない、更に恥の上塗りをするという結果にならないように良識を働かして頂くことをば切に希望いたしまして、私の一身上の弁明に代える次第であります。(拍手)
   〔菊川孝夫君発言の許可を求む〕
#90
○議長(佐藤尚武君) 菊川君何でしようか。
#91
○菊川孝夫君 やはり議場の定足数を数えてみますると、定足数を欠いておりますから、又時間も丁度夕食時間にもなつておりますので、暫時休憩いたしまして、休憩してから議事を開かれるように暫時休憩の動議を提出いたします。(「賛成」「定足数はある」と呼ぶ者あり、議場騒然)
#92
○議長(佐藤尚武君) 休憩の動議が出まして、動議として成立しました。
 つきましては菊川君の動議を採決いたします。(「採決の基礎がない」と呼ぶ者あり)
#93
○議長(佐藤尚武君) 休憩の動議でありますから採決いたします」
   〔岡田宗司君発言の許可を求む〕
#94
○議長(佐藤尚武君) 岡田宗司君何ですか。
#95
○岡田宗司君 採決は定足数があつて、本会議が成立をして初めでできるのであります。数がございません。
   〔「定足数はある」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕
#96
○議長(佐藤尚武君) 議長は定足数があると認めます。(拍手)
 採決をいたします。菊川君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#97
○議長(佐藤尚武君) 少数と認めます。よつて菊川君の動議は否決されました。(拍手)
     ―――――・―――――
#98
○議長(佐藤尚武君) 岡田宗司君。
   〔「登壇々々」、「真面目にやれ」、「定足数が足りない」と呼ぶ者あり、議場騒然)
#99
○議長(佐藤尚武君) 岡田宗司君に発言を許します。
   〔「定足数を数えて下さい」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕
#100
○議長(佐藤尚武君) 只今の出席数は八十九名であります。(拍手)
   〔「議事進行、議事進行」と呼ぶ者あり〕
#101
○議長(佐藤尚武君) 岡田君の発言を求めます。
   〔「八十九名いるじやないか」「早くやれよ」「議事進行」と呼ぶ者あり〕
#102
○議長(佐藤尚武君) 岡田君の発言を求めます。
   〔「議事進行、議事進行」と呼ぶ者あり〕
   〔岡田宗司君登壇〕
#103
○岡田宗司君 それでは私の一身上の弁明をいたします。
#104
○議長(佐藤尚武君) 静粛に願います。
#105
○岡田宗司君(続) 溝淵君から私どもを懲罰することになりました。(「当然懲罰だ」と呼ぶ者あり)そうして溝淵君がいわゆる起訴状をお読みになつたのであります。これによりますというと、私どもは演壇を占拠して、(「図々しいね、実際」と呼ぶ者あり)或いは暴力を振つた、或いは公務執行を妨害した、いろいろ言われておるのであります。(「恐れ入つたか」と呼ぶ者あり)この一体原因を溝淵君はどう解明しておられるか、一向原因にはお触れになつておりません。併し私は原因については今更深く申上げない。ただこれはその遠因を成す問題が大屋晋三君にあるということは、御承知願いたいのであります。又諸君の中には、議運に出ておられて相当国会法なり、参議院規則をよく御存じになつて通暁されておるかたも多いと思います。溝淵君なんかもその一人じやないか。有能なる木村君、加藤君、或いは安井君等がその議事規則を知らんはずはないのであります。(「知つている、知つている」と呼ぶ者あり)ところが二十八日に至りまして、諸君らが共同謀議をいたしまして、そうして小林英三君にああいう動議を出さした。私どもはその前に大屋晋三君の、少くとも公党の会長としての態度につきまして、我々はこれは懲罰に付さなければならんというので、金子洋文君から大屋君の懲罰動議が出た。これは議長において直ちに採り上げなければならん問題である。ところが自由党の議運の諸君が頭をひねつた共同謀議の結果、小林英三君にああいう動議を出さした。議長も参議院規則によらないで、そうして自己の勝手なる判断を以てあれを採り上げられた。私はやはりこの議事規則の問題は、これは重大だと思う。そこで私は参議院規則に一体小林英三君の出した動議が適しておるかどうか、又議長がこれを採り上げようとせられたことは、これは一体参議院規則の何條に基いてやつたのか、それを私どもとしては明らかにしなければならぬ。そこで私は議長を補佐しておりますところの事務総長の近藤英明君にそれを質すためにここに参りました。そうして近藤君に対しまして、それが何條に基くものかをお伺いしたのであります。ところがさつぱり近藤君がそれに対して答えない。議長も答えない。そうして何かそのうちにここでごたごたを始めた。私はそこにおつて、近藤君のほうを向いておつたから、何が始つたか知らん。そのうちに議長が休憩を宣せられたから、私は降りた、これが晝間の劇であります。
 夜は一体どうしたか。私は議長のそういう議事規則に基かざる議事の進め方に対しまして疑義を持つておりましたが、私の会派におきましても、この議長の議事の進め方は違法でおる。そうしてかようなることは、これは議長が不手際なんである、こう考えまして、あの休憩中に議長の不信任案が出された。これは当然先に採り上げらるべきものでありましよう。休憩が終りまして、議長職権でいよいよ開かれた。休憩中に出されておりました議長の不信任案をお取上げにならん。そこで私は近藤英明君の所にそれを聞きに来たところが、近藤英明君が議長にそれをお見せしました、お見せしましたというだけでありまして、それをどうするかということについて議長を補佐しておらん、ただお見せしました、お見せしましたと言つておる、それでそれじやこれをどうするのかと聞いているうちに、議長がベルを押されたのか何か知らんけれども、たくさん守衛が出て来まして私を演壇の下へ追い降した、私は投票を妨害したなどという事実は全然ない、誰が私によつて投票を妨害されたか、具体的にその氏名を溝淵君は私に告げる必要がある。若し私を告訴するというのでありますならばそれだけぐらいの証拠を以て出られたらよさそうなものだ。それに私が演壇を占拠した、こう言われるといたしますならば、私が一体ここからここまでの間にあつたかどうか、それを明らかにする証拠を私に示して頂きたい。何かそこいらでごちやごちやと写真を廻してするようですが、それを私に一つ見せて頂きたい。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)そうしなければ私は納得できないのであります。更に私が暴力を振るつた私が暴力を振るつたならば、私に暴力を振るわれた、例えば守衛か何かの証言がありて、私が殴つたとか、つねつたとか、蹴飛ばしたとか或いはなめたとか、いろいろその問題があるだろうと思う。ところがどうもそういう話は溝淵君から私に対してはないのであります。一体何のことなんですか。(「牽強だよ」、「集団的な投票妨害」と呼ぶ者あり)大体溝淵君は弁護士さんである、検事さんじやないから或いはそいうことがお下手なのかも知れません。併しながらとにかく公党の代表者参議院議員を懲罰にかける場合におきまして、そんな証拠不十分なことで人を起訴ができますか、(「証拠調べはあとでやれ」と呼ぶ者あり)あなたもその点については十分に職務の上から御承知のことと思うのであります。(「心配しなくてもいい」と呼ぶ者あり)かようなあきれ返つた懲罰動議に対しましては私は承服できないのであります。(「終り、終り」と呼ぶ者あり)大体自由党の諸君は皆さん大分智慧者がお揃いのようでありますから、もつともつと利口なことをやつて頂きたい。そういう考え方でやつておられますというと議事が捗どりません。あなたがたは政府の與党でしよう。與党の立場としてやるべきことがたくさんあるはずである。今日重要な三つの條約の承認案がかかるはずになつていたじやありませんか。(「お説教はよせ」と呼ぶ者あり)それを一体あなたがたは放擲して何をやつておるのか、(「何を言つているのか」と呼ぶ者あり)私はあなたがたのような智慧者揃いが多いのだから一つもつともつとよくお考えになつたらいいということを忠告いたしまして、私の一身上の弁明といたします。(「全くいい意見だ」と呼ぶ者あり、拍手)
#106
○議長(佐藤尚武君) 栗山良夫君。(「事柄を十分にわかるように話なさいよ」と呼ぶ者あり)
   〔栗山良夫君登壇、拍手〕
#107
○栗山良夫君 私はやはり十七名のうちに加えられまして懲罰事犯の被疑者となつておりまするので、一応一身上の弁明をさせて頂きたいと思うのであります。
 すでに先ほど来趣旨弁明の直後、各会派の代表が問題の焦点につきまして縷々質問をせられたのであります。又すでに八人の被疑者の人たから一身上の弁明が述べられまして、ほぼ問題の核心は明らかになつたのでありまするけれども、私はこれらの総括的な懲罰事犯として挙げられました中で、私自身にはどれが一応適用されるのかがわからないのであります。私はいろいろな問題がある。写真によつて現われておる点或いはその他の点について調べた、こういう工合に溝淵君はおつしやつたのでありまするが、今日まで遺憾ながらその内容を承知いたしておりません。併しながら先ほど来の論議によりますると、大体二つに分けられると思うのであります。議長の許可なくして演壇を占拠したということ。第三には暴力を以て投票を拒否したということ。この二つが中心になろうかと存ずるのでありまするが、私に関する限りにおきましてはこの二つのことは絶対にございません。なぜかならば、第一に私は登壇をいたした事実はないのでありまして、晝の場合におきましてはこの階段の一番上の階段におりましたが、こちらから来る力に押されまして、二転してその下へ転げ落ちたところの被害者であります。直ちに私は起きましたが、(笑声)又何らの怪我もなかつたのでありまするけれども、そういう状態にあるのであります。又夜におきましては、私はこの壇上へ上つたことはございません。こういう二つの事実をもとにいたしまして御判断を頂きたいと思うのでありまするが、更に私は曾つて第五国会におきましての国会の混乱のときを思い起すのであります。今度の混乱が一番大きな混乱であるとおつしやいましたけれども、第五国会におけるときの混乱は更に大きなものであつたと私は考えざるを得ないのであります。当時ここへ一ぱいに寄りまして、収拾のつかない状態である。松嶋副議長は非常に苦心をせられたことを承知いたしておりまするが、そのときにおきましても写真が撮られまして、全部調査をせられたはずでありました。そのときは私はこの上に上つておつたことを承知いたしております。併しながらただ懲罰事犯にかけられたのは、そのうちの趣く数名の人だけであつたはずであります。
 又こういうような事情にあるのでありまするが、私がどうしてこの議場において行動をとつたかを一応御説明を申上げて置く必要があろうかと存ずるのであります。晝の場合におきましては、小林君が緊急動議を出されまするや、私は自席から議長に向いまして休憩の動議を叫び続けたのであります。叫び続けておりましたが、そのうちに同僚議員がだんだんこちらへ参つて参り、私がここへ参りましたときにはすでに先着者が多うございまして、ここへ上るわけに参りません。従つて辛うじて一番上の階段まで上りつめたところで上から突落されたというのが実情であります。(笑声)又夜の場合におきましては、議長が席に着きまするや、同時に私は散会をやはり自席から連呼し、そうしてここの所まで参つておつたのであります。更にこちらへ移動をし、しまいには議長に一番近い速記席のある真中から私は散会を連呼し続けておりました。なぜかようなことをいたしたかと申しますると、小林君の動議が参議院規則に相反しておる。国会の運営は憲法、国会法並びに参議院規則を與野党とも遵守いたしまして、(「そうだ」と呼ぶ者あり)これによつて国会の秩序を守る以外には(「そうだ」と呼ぶ者あり)秩序の守りようはないからであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)そうして而も小林君の動議は、明らかに参議院規則に相反するが故に、(「そうだ」と呼ぶ者あり)私は若しこの動議が院議の決定によつて行われるということでありまするならば、将来の参議院の運営に非常な混乱を招来するものであると心から恐れたからであります。(「そうだそうだ、その点だ」と呼ぶ者あり)国会法を御覧を頂きたいと思います。国会法の第十四章「紀律及び警察」の中の第百十六條にはこう書かれております。「会議中議員がこの法律又は議事規則に違いその他議場の秩序をみだし又は議院の品位を傷けるときは、議長は、これを警戒し、又は制止し、又は発言を取り消させる。」とあるのであります。国会の紀律を命じておりまする百十六條のうちの一番トップに掲げられ、重要視せられておりまするものは「この法律又は」、「この法律」と申しますのは国会法であります。「この法律又は議事規則」に違つた行動をとつたとき、このときが一番大きく取上げられておるのであります。
 鶏か卵か。先ほど来の御議論を聞いておりますると、野党側からは小林君の動議が参議院規則の違反であるということが追及をせられておる。與党側からは投票を妨害した野党側の責任が追及をせられております。併しながらこの両者を冷静に判断いたして参りまする場合には、鶏と卵の関係ではございません。明瞭に国会法の精神から申しましても、参議院規則を破ろうとしたところの小林英三君の動議が混乱の主因をなしたことは一点の疑うべき余地もないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)そこで私はこの事態を收拾いたしまするただ一つの途は、議長が再考をせられまして、休憩を宣し、そうして事態の円満なる収拾に当られる必要があろうと思い、心の底から声をからして私は自席から、更にこの演壇の周辺へ参りまして、議長に休憩、散会を連呼いたしたのであります。私の心からの、国会の規則を遵守することによりまして秩序を維持しようとする心からの念願は遂にふみにじられてしまつたのであります。こういう動機を以ちまして私は絶叫いたしましたが、皆さんお考えを願いたい。先ほど溝淵君は国会法、参議院規則といえども、動議によつて院議を以てこれを変えるのならば又妥当であるとおつしやいましたが、若しさようなことがたまたま行われるということでありまするならば、まさに與党であり、多数を占めるところの人々の力によりまして、国会はその党のために独占せられ、私物化せられまして、そうして国会の権威をいずこに求むることができるでありましようか。私どもは飽くまでもさような考え方を與党が持つといたしまするならば、先ず国会法なり参議院規則なりを多数の力によつて修正をいたしまして、その上に立つて国会の運営を行うべきものであると固く信ずるものであります。(拍手)これなくしてどうして国会の秩序を保つことができるでありましよう。
 更に私は丁度いい機会でありまするから若干附加えたいと思いまするが、(「もうたくさん」と呼ぶ者あり)木村さん、靜かにお聞き下さい。與党のかたがたは、参議院の権威を保つためにこういう懲罰事犯を提議したと言われておりまするが、(「その通り」と呼ぶ者あり)参議院の権威とは一体何事であるか。どういうことであるか。
 六月の二十三日の朝日新聞の第三面を皆様がたはお読みになつたでありましようか。靜岡県の富士郡上野村におきまして、去る五月、あの石黒さんが選挙に当選せられました参議院の補欠選挙に当りまして、上野村においては棄権者の選挙場に対する入場券が集められまして、そしてこれが同一人によつて何回も行使をせられ、選挙管理者がこれを許した驚くべき選挙違反の事犯が行われたのであります。この選挙不正行為を黙視するに忍び得なかつた石川皐月という一少女は、この不正事件を摘発いたしまして、そうして(「何をやつているのだ」と呼ぶ者あり)その選挙の公正を期しまするために、(「何をやつている」「弁明に関係ない」その他発言する者多し)お静かに願います。弁明に関係があるのであります。
#108
○議長(佐藤尚武君) 栗山君、弁明の範囲にとどめて下さい。
○栗山良夫君(続)弁明の範囲でございます。(「そういうことが参議院規則の違反なんだ」と呼ぶ者あり)投書をいたしましたが、その場合にその上野村の人々は、村の平和と名誉のために、その石川なる少女に対して村八分の扱いをいたしましたのであります。皆さん、国会の権威とはまさにこの村の人と同じ考えではございませんか。(「そつくりだ」と呼ぶ者あり)與党が規則を破つて、そうして国会の議事運営を図ろうといたしておる。これに対して私どもは規則を守ることを絶叫いたしておるのであります。これがなければ国会の運営は軌道に乗らない、秩序は保たれないと言つておるのでありまするが、この靜岡県の上野村の事例、封建的な事例が参議院、国会にありますることを私は見まして、誠に残念に思うのであります。どうか賢明なる自由党の諸君も、又緑風会のかたがたも共に国会法と参議院規則だけは守つて行こうではありませんか。そうして若し御不満でありまするならば、多数の力で御修正になり、御改正になることは、私どもも民主主義の立場に立つて決して否定をするものではございません。
 私は以上の諸点を申上げ、少くとも今回の懲罰事犯の対象には私個人は、どの角度から見ましても絶対にあり得ないということをはつきり申上げまして、そうして一身上の弁明に代える次第であります。(拍手)
#109
○議長(佐藤尚武君) 中田吉雄君。
   〔中田吉雄君登壇、拍手〕
#110
○中田吉雄君 只今議題になりました案件につきまして、私のとりました立場の正当性を強く訴えたいと思うものであります。
 先ずこの問題を正しく理解いたしますためには、参議院規則におきまして、懲罰動議は他の一切の動議に優先するという規定がなぜ入れられたかということを理解することが最も大切であるわけであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)これは世界各国の国会の規則を見ましても共通いたしまして、懲罰事犯に関する動議は何物にも優先してその決定をなすということになつておるわけであります。我々はその規定がなぜそうなつたかということを正しく理解しなくては、この問題の適当な判断はできないわけであります。即ち国会は国権の最高機関であり、一切はその数によつて決定するわけであります。(「そうだ」「その通り」と呼ぶ者あり)従つて採決をするまでには、その人が懲罰に値いして除名されるような者が採決に加わつては重大な結果になるから、懲罰事犯は一切に優先いたしまして、その黒白を決定いたしまして、他の議題に入るということがその趣旨であるわけであります。(拍手、「そんなことは間違つているよ」「もう一ぺん大学へ行くんだな」と呼ぶ者あり)若し皆さん百四対百三というような、僅か奇一本の差によつて成る法案が通過したと、而もその人が懲罰事犯によつてその後に(「とんでもない間違いだ」と呼ぶ者あり)除名されたというようなことになりましたならば、一旦成立した法案が無効になるという重大な決定が起きるわけであります。このことが、(「弁明じやない、それは」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)このことが国会の規則におきまして、懲罰事犯が一切に優先するという規定になつているわけであります。そこで小林君が日程の変更の動議を出されましたが、これは明らかに参議院規則の違反であります。従つて私は議長が長きに亘る睡眠不足、或いは疲労困憊の極におきまして、議事日程を誤つてあのような議題に供されたのではないか、こういうことを思つたわけでありますが、そこで我が党におきましては、小笠原君が直ちにここに来まして、事務総長にその由を尋ね、更に議長に詰問いたしましたが、埒があきませんから、私はここに出ましてそういうふうにやつたわけであります。むしろ我々こそ参議院規則を守るために、議長の誤つた議題の取上げ方、そして事務総長が、事務局は中立性を保たねばならないという大原則を破つたことに対する反省を求めるために、(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)ここに来たわけでありまして、我々は自由党、緑風会の皆さんから感謝をされこそすれ(「される」と呼ぶ者あり)いささかも懲罰されるべきことは断じてないわけであります。(「そうだ」「その通り」と呼ぶ者あり)
 特に、(「ほめるべきだ」と呼ぶ者あり)第二百三十八條におきまして、「懲罰の動議が提出されたときは、議長は、直ちに」と書いてあるわけであります。衆議院規則の二百三十六條におきましては、「議長は、速かに」と書いてありまして、衆議院においてそのようなことがなされましたからといつて、参議院規則の厳密な規定からいいましたならば、そのことは成立しないわけであります。(「論の余地なし」と呼ぶ者あり)そういうことからいいまして、私は、我々のとつた立場は極めて適切な、国会法、参議院規則を擁護するためにとつた立場である。そして少数の野党が国会法、参議院規則を縦横に駆使いたしまして、劣勢なる野党勢力を補完するということは、世界の各国の議会にも行われ、そのことはあの事件の翌日の朝日新聞の社説にもはつきりそういうことを書いているわけであります。(「それでどうした」「輿論ですよ、輿論がわかりませんか」と呼ぶ者あり)それで私はかねて尊敬いたしました佐藤議長が、参議院規則の三百三十八條を破られまして、議事日程を参議院規則に反して上程されたことに対しては極めて遺憾の意を表するものであります。(「終りと」呼ぶ者あり)なぜかと申しますならば、佐藤議長こそ参議院を象徴されるところのシンボルである。その者が参議院規則に反しまして、多数の圧力で以て、事前に謀議を凝らしまして、あのような議事日程の変更をされたということは非常に大きな問題であるわけであります。(「社会党に前例があるよ」と呼ぶ者あり)その点で皆さんが岩波文庫の「ソクラテスの弁明」を読まれましたならば、如何に法の権威を護るということが大切であるかということがわかるわけであります。ソクラテスは、誤つた、腐敗した当時の政権のために、彼の抱いておる哲理を不当であるとして獄舎に繋がれたわけであります。そうして三日で死刑が宣告されるという際に、プラトンが獄舎に訪ねまして、あなたの言つておることは正しいことだから……。(発言する者多し)
#111
○議長(佐藤尚武君) 靜粛に願います。一身上の弁明の範囲を出ないように願います。
#112
○中田吉雄君(続) プラトンに対して、私の設は正しいが、法の権威のために……。
#113
○議長(佐藤尚武君) 中田君、一身上の弁明の範囲を出ないように願います。
#114
○中田吉雄君(続) 法の権威を護るために断固として、誤つておるが、ギリシヤの法に従うと言つて、従容として毒を仰いで死んだわけであります。(「自己陶酔はよせよ」と呼ぶ者あり)そのようなことを考えましても、我々といたしましては、参議院規則の二百三十八條を擁護するために、議長の誤つた議事の取上げ方、誤つた動議の提出の仕方、そういうことに対しまして後世物笑いになつてはならないというので、我々はあのような行為をとつたわけでありまして、感謝されこそすれ、いささかも非難に値いするものでは私はないと思うわけであります。(「わかつた、わかつた」と呼ぶ者あり)
#115
○議長(佐藤尚武君) 河崎ナツ君。
   〔河崎ナツ君登壇、拍手〕
#116
○河崎ナツ君 私も懲罰に会うんだそうでございまして、(笑声)一言私の立場を弁明させて頂きます。(「簡單にお願いします」と呼ぶ者あり)
 私はこの間の二十八日のあの席上に立ちます前から不安を、非常に不安を感じておつた一つのことがございました。それは今朝ほどからの皆様がたのお言葉にもございましたが、国会法の十三條の改正のあの問題のときに緑風会のかたがた、自由党のかたがた及び民主党のかたがた、民主クラブのかたがた、そういうかたがたの意思を代表して、皆さんで御相談の結果、大屋晋三さんが代表といたしまして、そしてあれは適当な話合いの上で改正してまとめて行くと、そうしてそこから出発するということを、報告を聞いておりましたのでございますが、(「その通り」と呼ぶ者あり)いよいよその会議になりましたときに、皆さん御存じのように一転してすべての三派のかたがたが反対の態度にお出になつた。私はあのときに、その立場からまとめに行こうとしておられたこの議長に、非常な煮え湯を皆さんでお呑ませになつた。私はそういうふうに思つて、非常に議長にお気の寿だと実は思つておりまして、そうして紳士のかたがたが、いわば紳士協定で以て議会の運営を正しきルールに上せて行こうという一方を結局裏切つた。そういうことに対して実は男のかたの信頼ならないことを憤慨しておりましたのです。そういう心持でおりましたときに、二十八日のあの問題になりまして、そうして突然あのような提議がされまして、提議がされましたときにどういう態度を議長がおとりになるかと思つておりましたら、皆さんも御存じのように、議長はお取上げになつた。私はまだそのときに、私といえどもこの参議院規則の二百三十八條はよく存じております。この二百三十八條にもとるような、又議事を正しいルールから外れさす、ああいうふうな空気になりますことを、これはいかんと実は思いました。そうしてあれは議長がその三派の圧力によつてああなつたのか、又議長は煮湯をお飲ませになるのではないか、又議長は取上げてなさろうとなさるようでありますが、これはやはり私といえども職つてはおられないと思いまして、この前に出て参りましたのでございます。そうして議長に、私はこの前のところから議長の反省を大きな声で促しておりました。なかなかその反省がないようでありましたから、これは議長も御一緒に通謀の上であると思いまして、議長も御一緒であるとなると、なおさら議長に対して反省を促さなければならんと思いまして、そうして、初めは反省を促す叫びでございましたが、だんだんそれは議長を非難する叫びとなりまして、私は議長横暴、議長横暴という叫びをこの正面のところから(拍手、「正しい、正しいよ」と呼ぶ者あり)申しておりましたことは、そういうような意味で黙つてはおられませんので、それこそ参議院の名誉にかけても、私といえども黙つてはおられなかつたという立場でございましたのです。(「当然だよ」と呼ぶ者あり)そのうちに、こちらからだんだんと、まあその前にいろいろ駆け上つたとか、いろいろあつたでしようが、私は動きは存じませんが、ふとこちらを見ましたときに、こちらから随分押されて下つて来た。そうして、危い、その前のときに、どなたでしたか、労農党のかたが落ちてここを怪我したということも聞いておりましたから、殊にあんなに大勢おりますから危いと思いまして、私もあそこへ参りました。参りまして、そうしていたしますと、うしろから写真にもありますような、(笑声)押しております。押しておる、又下つて来て危いから、守衛のかたを、結局それを離すことが私の力でできますならばと、私はその守衛のかたを引張りました。けれどもなかなか私の力では及びません。そこは何と言つても私どもは、女は力が弱い。体力は弱いですけれども、正しさを信ずることにおきまして、正しさを貫かんとしますことにおきまして、女といえども一個の人間として黙つておるわけには(「その通り」と呼ぶ者あり、笑声)参りません。けれども、遂に力及ばないで、もう投票のかたがここへお出でになりまして、私はそこまで又戻つて行きましたが、投票されていらしつたかたは、随分憎らしそうに睨んでお出でになつたり、(笑声)いや本当なんです。そのかたの顔もよく存じておりますが、お互いに睨み合いでございますから、そういうふうでございましたが、そのうちに、議長は、(「同情いたしますよ」と呼ぶ者あり)休憩を御宣告なさいましてしまつたのであります。移り行きはそういうわけでございますが、ここで私一言申上げておきたいと思いますのは、その後、その翌日か、翌々日でございました。私が登院いたしまして、そこを通つておりました。そうすると女のくせに(笑声)生意気なやつだ、こういうふうなことを実はお言いになつたかたを存じております。そういうふうな態度で、私もやはり懲罰の一人にお挙げ下さるとするならば、私どもほかにもまだ婦人議員がおりますが、こういうふうな、ああいうときに、私は黙つていなければならん、女のくせに生意気だ、というようなことでありますならば、(「そうそう」と呼ぶ者あり)これは丁度先ほど栗山さんがおつしやつていうしやいましたが、靜岡県の学校の石川さつきさんがやはり女性であるために、子供であるために、(「くどいくどい」と呼ぶ者あり)なお更村八分の強い罰を必要以上に受ける立場に置かれておるような空気があの新聞の文句のうちからも読みとられますが、こういうふうな空気がやはり私たちの非難の上にも、この懲罰の物差に若しも盛込まれておるといたしますならば、これは一応皆さんと共にもつと正しく考え直して、みんな参議院の一員といたしまして、社会の一員といたしまして、やはり正しきを正しきと主張する立場から私たちは一個の責任を十分果して行くべきであり、又果して行かなければ、ならんと存じておりますものでございます。(「その通り」と呼ぶ者あり)以上の理由でございまして、先ほどからも、皆さん言つておいでになりますが、三つか四つの條件で懲罰に附するのだそうでありますが、その條件には私ははまらないばかりでなしに、私の出て参りましたことは、止むに止まれない正しさを主張するためでありましたことにおきまして私はちつとも後悔もいたしておりませんし、正しさを貫いて議長のためにああいう叫びを出しましたことは正しかつたのだと思つておるものでございます。以上を以ちまして説明といたします。(拍手)
#117
○議長(佐藤尚武君) 高田なほ子君。
   〔高田なほ子君登壇、拍手〕
#118
○高田なほ子君 この壇上からかかる立場において発言をしなければならないことを非常に悲しむものでありますが、これは私一個の悲しみではなくして、参議院の運営自体において悲しむものでございます。(拍手)
 先ず私が声を大にして申上げなければならないことは、私ども国会議員は立法の府にあるものとして最も重んじなければならないものは遵法の精神でなければならないし、我々みずからが遵法の精神に徹するということは当然私は我々としての使命観の上において深く感じなければならないと思うのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)私はこの意味において、この問題の最も起点になりますところは、前発言者からも再々申されておる通りに、国会法並びに参議院規則の運営に当つて、その運営が極めて民主的なルールからはずれておるというところに端を発しておると思うのでございます。(「その通り」と呼ぶ者あり)参議院規則、これは参議院の運営のルールを測る尺度である。この尺度をお互いに守つて行かなければならないのであつて、たとえ多数党でありましようとも、この尺度が破れたときにこそ、参議院の運営それ自体は無政府状態を現出するということはこれは当然のことでございましよう。この無政府状態をどうしても食いとめなければならないというのが我が党の各議員の主張であり、私も又この主張をする一人でございまして、それを無政府状態、いわゆる佐藤議長の言を借りて言えば非常事態でございます。この非常事態の原因というものを追及することなく、ただその現象面だけをここに取上げられたということに対しては誠に遺憾極りないところでございます。(「そうだ」と呼ぶ者あり)そこで私は先ほどの提案者のいわゆる起訴状によりますれば、高田さんは抓ねつたというお話でございます。(笑声)私はその趣旨の中にありますように演壇を占拠したこともございません。暴力を以て妨害をしたということも私はみずからございません。更に抓つたというようなことは、これは声を大にして私は抗議をいたします。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)一身上のことをここに一言うことを許して頂きますならば、私は二人の男の子供を持つております。けれども子供に対して幼少から一度も手をかけたことはございません。(拍手)これは私の両親が熱心なクリスチャンでありましたために、その教育の中に育てられました私は、決して相手に対しては暴力を以て当るということを深く禁じられておりますし、わけて人様を抓るなどというような(笑声)陰險な措置は、誠にこれは人格に関する問題であります。(拍手)私はみずからせざることに対しては声を大にしてここに抗議を申上げなければなりません。ただ朝日新聞の写真によりますと、私は江田議員のうしろからこう押している形が見えておりまして、家に戻りまして、二人の子供から母さんこれは一体何をしておつたのだ、(笑声)いやこれはこうこういうわけで、大変な混乱状態に陷つて……、(「その通り」と呼ぶ者あり)私は議員として、どうしてもこの議会の運営というものを正しいルールに乗せるために非常に大きな声を出して、議長懲罰動議を取上げて下さい、取上げて下さいと叫んで、そしてあの混乱の中で図らずも叫んでおつたときに、こちらにおられた江田議員がうしろのほうにこう倒れかかつたような形でございました。こういうようなときにそれを見て支えるということは、これは当然のことであろうと私は思うのです。(「そうだ」「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)そういう同志として当然なことは皆様がたもこれはお認めにならなければならないと思う。例えば泥棒に旦那さんが押殺されようとしているときに、そばにある家族の者がこれに対して力をかすということは、これは当然のことである。何らこれはつねるというようなこととは全く性質の違うものであるというとを私はここに声を大にして申上げなければなりません。ただ最後に申上げたいことは、婦人なるが故に特定の眼を以てこれを眺めるというこのことについては、(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)いずれの社会にもあり得ることでございましようけれども、少くとも国会議員の懲罰に当つては愼重を期さなければなりません。(「了承」と呼ぶ者あり)然るにもかかわりませず、何らつねつたというような確実な証拠もなくして、私の名前は懲罰された対象としてラジオを通じて全国にこれが広まりました。多くの私の友だちは心配をして、昨日、今日、実に三十通に余る電報をよこされて心配をしている。こういう非常な大きな影響を持つにかかわらず、(「わかつたわかつた」と呼ぶ者あり)何らの的確な証拠もなく、何らの趣旨提案者による罪状にも値しないものを、かかる軽卒な立場において懲罰に付されたということに対しましては私は心から怒りを持つておるものであります。どうか法の前にはすべての者が平等であるごとくに、法の前には公平である立場をとらなければならないと思うものであつて、特に懲罰を提案された皆さんがたにおかれまして、法の運営を公平に、あらゆる角度から見て、全くこれを覆す余地のないという、ところにおいて、初めてかかる仕儀がなされなければならないということを深く私は訴えるものでございます。
 以上私の弁明を終ります。(拍手)
#119
○議長(佐藤尚武君) 木下源吾君、
   〔木下源吾君登壇、拍手)
#120
○木下源吾君 私も簡單な弁明をいたします。非常な迷惑を蒙りました。これは溝淵君、このようなああいうことだけでは、到底懲罰などというものは成立しません。併しこの動議に参画した諸君はです、恐らくあんなことでこれをやろうという気持ではないだろうと思う。根本には政治的な大きな狙いを持つておると思う。それである限りにおいて、
   〔議長退席、副議長着席〕
我々も又そういう観点に立つて弁明しなければならん。価値のない懲罰動議であるということは、後で明確にします。私どもは常に諸君に十分我々の政治的の主張、性格等を話す機会を持たなかつた。本日幸いに諸君によつてこの壇上から全国民に呼びかける機会を與えられたことを、心から感謝するものであります。
 第一に我々は、諸君が(「一身上の弁明だよ」と呼ぶ者あり)今定義しておるように、暴力主義者ではないということ、お忙しくて研究の時間を持たない諸君であればあるほどに、こういう機会によくお耳に入れておかなければならんと思うのであります。我々は社会民主々義者、私どもは社会主義者であるし、我が党の同志は社会主義者であり、民主々義者であるのであります。よく誤解を受ける容共とか、或いは暴力主義だとかいう、これは單なるこじつけに過ぎない。なぜそういうようなことが逆宣伝に使われるかと申しますれば、私ども社会主義者は科学主義者である。従つて事態を明確にするために分析をするのである。この分析に用いる武器は諸君も知られる通り、それはマルクス主義である。このことが大切であります。私どもはマルクス主義者であるけれども、なお共産党員ではないのである。共産党員ではないのである。この点を明確にしておかなければならん。私どもは、この分析の力を借りないでは、戰争以前のような程度では日本の発展が望まれないという現実の事態では、私どもはこの分析の力にようなければならない。従つてそれは諸君の学校に行つている子弟にお聞きになればわかりますように、近代的のマルクス主義以外には、資本主義をなお分析する力を持つたものはございません。(「そんなことはどうでもいいよ」「弁明じやないよ」「議長注意しなさい」「それが大事なんだよ」と呼ぶ者あり)私は、諸君が暴力主義者であり、現に諸君が政治的に我が党に対して何らかの打撃を與えようと考えておらないまでも、(「勿論」と呼ぶ者あり)只今までの論議をお聞きになればわかるように価値ない、一顧の価値もないところの現象、これを捉えて懲罰という、懲罰という舞台にこれを上して我が党を誹謗しようというならば、我々は一身の弁明と共に、我々の政治的の立場の弁明になるかも知りません。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)この点は諸君、弁明であるかないかは、只今私が申上げているような因果の関係、諸君は如何に古いかたであつても仏教の因果くらいはわかつておりましよう。(笑声)因果関係、これを申上げなくてどうして我々の弁明が成立いたしますか。そうお考えになつたならば、私は今申上げておるようなこともお聞きに値するものとお考えが願えるでしよう。我々は公式のマルクス主義に捉われて捕虜になるのでなくて、(「本論片々」と呼ぶ者あり)このマルクス主義を武器にして、我々は利用してこのような時間的な法則を我々が持つて、日本の客観情勢、空間的な一切のこの事態、時間的なモーメントを我々は築いて行くという態度であります。従つてこの武器を我々が使用しておるから、マルクスと言えば何でも共産党だと考え易いように、古い権力者が我が国の一切の勤労階級、国民に教えて来たのである。このようなことを、私は今この壇上から国民に明確にさして頂くことだけでも諸君の今日とられておるこの事件の態度が私は感謝に値するものであるということであります。
#121
○副議長(三木治朗君) 木下君、弁明の範囲内でお願いいたします。(「弁明だけやれ」「弁明になつておらんぞ」と呼ぶ者あり)
#122
○木下源吾君(続) 弁明の範囲内でやつております。この政治的陰謀はすでに各所において演説されておる。社会党の左は暴力を揮つたということを選挙運動の事前運動の演説会において言われておるのであります。私どもは只今申上げるように暴力を否定する上に立つてこそ一切の政策の具体的なものを示しておるのであります。この暴力は絶対的なものでもなければ固定のものでもありません。暴力は相対的である。保守的な諸君が無理に不合理なそういうようなことをやろうとすれば対立的な暴力が生まれるということはもう私が説明するまでもない。我々社会民主主義者はこの二つの大きな危険な要素に立つて平和的に、そうして暴力にならざるためにどのぐらい苦労して我々が鬪つておるかということは、我々の日常共に鬪つておる多数の同志諸君が、労組諸君が、農民の諸君が知つていてくれるのであります。諸君も又これを知らざるわけがない。知つておつてなお我々を讒誣し捏造するというようなことがあるならば、それは明らかになる審判の日は近いと私は思うのである。殊に(「弁明だけやれ」と呼ぶ者あり)私どもは、今諸君の懲罰になつた(「そんなことは言わんでもいいよ」と呼ぶ者あり)原因は破防法の問題でありまして、私はこの破防法に対しましては、諸君が議決せられて只今凱歌を挙げておられまするけれども、私どもは過去の事態を我々が明らかに知つておるがごとく、この破防法がなくなるときは、曾つてのような戦争の敗戦の直後か、戦争か、内乱の結果か(「議長注意」「大事なところだ」と呼ぶ者あり)この二つより考えられますまい。私どもはこの破防法をなくするために、民主的に議会を通じて、この国会を通じて、どうしても破防法をなくする運命を早からしめんと我々は考えておるのであります。諸君我々は当日の問題にいたしましても(「反省をせえ」と呼ぶ者あり)諸君が見られるような主観で、あれらが暴力者だという主観で描き出したような実態でないことは明らかである。私は多数の諸君が間違つたことをやられても、あえて咎めない、却つて哀れみを感ずるくらいなものである、(「自分の弁明をせんか」と呼ぶ者あり)
   〔副議長退席、議長着席〕
諸君のやられたことは、諸君の立場から正当でありましよう、それを認めますけれども、みずからの過ちをおおいかくさんがために、かかる懲罰の動議を出して(「支離滅裂だ」と呼ぶ者あり)それをおおいかくさんとする卑怯なやり方は、私は反省されたがいいと思う。(拍手)何故私はそう言うか、明確に言うておきます。私は当日、溝淵君の言われるような暴力を以て投票を阻止し、議長をして休憩に至らしめたという時間にはここにおらないのである。(笑声)あははでありません。(拍手)この官報の中に、その前の私は二時五十五分にここから出て、我が党の会長の了解を得て(「その通り」と呼ぶ者あり)あの丸ビルに所用あつて参りまして、同伴者もおれば向うに人もおるし、なお国会の自動車も私を果して行つたのである。二時五十五分にたつて三時の会見に約束して出て行つたのであります。帰つて来たのは三時四十五分くらいでありました。従つてこの議事録にありまするあの直前にある小野君の懲罰の動議の堂々廻りに私の名がのつておりません。わかりましたか。(「はつきりしない」と呼ぶ者あり)私はそこにおらない、(「よくわかつた」と呼ぶ者あり)どうしておらないものを諸君がおるということを立証できますか。このような事実が諸君の今提案されておることは、目的は別にあり、我が党を誹謗し、そうして無根な事実を捏造して、全国民を欺瞞する態度でなくてなんであるか。(拍手)かくのごとく明瞭な事実を諸君は何と見る。(「陰謀だ」と呼ぶ者あり)諸君はただ單に反対党を傷付け、反対党にただ讒誣中傷を浴びせれば、それで事足れりとするのか、いやしくも諸君も市井におつては紳士の一員であろう。諸君がこの懲罰動議を出したが故に、背後に何十万の同情者、そうして信頼を持つた人々にどのくらいの実害を與えておると考えておられますか。曾つて破防法の審議の際に、行政権処分を、その損害を取消す術がないということでしばしば繰返された、その際に諸君は裁判でこれを取消すことができると言われたではないか、併しながら諸君、もうすでに実害を蒙つておる。この瞬間、(拍手)どうしてこれを取返すことができるのである。(「泣くな」と呼ぶ者あり)諸君、若しも諸君がこの事実を曲げて私を懲罰に付してやるという政治的な意義を、考えを持つてやるならば甘んじて受けましよう。(「妨害したのは誰だ」と呼ぶ者あり)、その次の夜のときに私はここへ来ておる。(「そうだ」「それだよ」と呼ぶ者あり)併しながら提案者は何と言つて提案理由を説明しておるか。そうして私は一体ここで何をしたか、(「知つている」と呼ぶ者あり)その夜のことは少くとも提案の理由の中にはないのである。(「ある」と呼ぶ者あり)余りそうごつちやにして、又間違いを率直に認めないで、又それに積み重ねて行けば無理が出るということは因果の法則でありますぞ。(「何を言うか」と呼ぶ者あり)
#123
○議長(佐藤尚武君) 靜粛に願います。
#124
○木下源吾君(続) よくお考えになつたらよろしいと思う。勿論私は諸君が忖度せられるであろうように、何とかしてこの破防法が我が参議院を通過しないよう、通過させないようあらゆる合法的な努力をするという決意を持つておつたことは当り前であります。それ故に参議院が政治的に私を葬むろうというならば甘んじて受けましよう、その代り明確にしなさい、事実無根を捏造するのではなく。保守党が進歩的な政党に対して一切かかる斬捨御免の態度を以て臨むものであるという、こういう明確な態度を表明して、そうして懲罰事犯を処理しなさい、我々は諸君によつて議席を奪われようが、命を取られようが、そんなことに我々はまするものではありません。(「そんな啖呵を切るな」と呼ぶ者あり)私どもは曾つて自分の座敷に寝ておつても、(「簡單、々々」と呼ぶ者あり)交通妨害で捕われたしばしばの経験を持つておる、支配階級の陰謀、支配階級の卑劣、支配階級の行動を身を以て体験しておるのであつて、(拍手)今更我々はこれに対して辞を低うして諸君に憐みを乞う考えは毛頭ございません。(「よろしい」と呼ぶ者あり)どうぞ堂々とおやりなさい。(拍手)
#125
○議長(佐藤尚武君) 吉田法晴君。
   〔吉田法晴君登壇、拍手〕
#126
○吉田法晴君 懲罰動議に対しまして一身上の弁明の機会を與えられたのでありますが、私は一個の参議院議員として若しも私が懲罰に附されることが妥当であり、合理的であり、合法的であり、参議院の権威を保持するためにそれがなされなければならないということであるならば私は黙して語りません、(「それなら止めたほうがいい」と呼ぶ者あり)併しながらこの問われました事案或いは懲罰の動議に対しましては黙つておるわけには参りません。これは今まで同僚議員から、同じような事案でありますので、それぞれ弁明がなされましたが、私自身この懲罰動議が今日こういう形で出されることに極めて遺憾の意を表するものであります。なお弁明の機会に、或いは私どもの行動自身ではなくして、参議院の運営について触れなければならないこと、或いは議長のとられた措置に対してさえも触れなければならんことを極めて遺憾に思うのであります。
 私は先に赤木議員から国会法十三條の修正に関連して、再び参議院規則に従つて提案理由の説明を願いたいというときにも申上げたのでありますけれども、私はこの三年参議院議員としてここに議席を有しておることを誇りに思つて参りました。それは参議院の憲法上與えられたところの地位もございますが、この二院の抑制機関としての使命を果して参るについて、従来の参議院は私はおおむね妥当であつたと考えております。時に衆議院を傍聴しても、或いは世論の批判を聞いても、衆議院の自由党の絶対多数の前には、道理も合理性も引込んで無理が押し通り、或いは甚しきに至つては男を女にすること、女を男にすること以外は何でも今の衆議院ではできるというような事態が進められて参りましたことは、これは他の院のことで、批判をすべき限りではございませんけれども、そういう感じを持ち又、批判がなされて参りました。民主主義は、新憲法における民主主義は、少数の意見も尊重せられ、多数の意見によつて議事が決定せられようとも、その少数の意見の合理性は、次の機会には大きくなつて会議の意思となり、或いは国会の意思となり得るところにあると私どもは信じて参りました。参議院においては少くとも私が過去において経験して参りました三年間に亘つて、本会議においても委員会においても道理と合理性、合法性が通つて参つたと信じております。これは参議院の今日の両院制度の下において果すべき使命の上からこれは当然のことであると考えます。参議院が若しも完全にいわゆる與党化してしまいますならば、参議院存在の意義というものはなくなると私は信じます。(「その通り」「弁明しろ、弁明」「一身上の弁明をすればいい」と呼ぶ者あり)或いは参議院のキヤスチングヴオートを握つておると申しますか、事実上その動向を最後的に決定しておる緑風会の動向についても、私はこのことは言えると考えます。然るにこの国会において残念なことでありますけれども、衆議院のやり方が参議院の中に持込ましれて参つた、従来においても参議院の一部会派の與党化工作ということが言われて参りましたけれども、それが議事運営の上にも明らかに出て参つたと私は感じとつております。この国会におけるその最初の現われは、破防法を短期間に通して行くために法務委員会において先ず現われました。従来議事進行について参議院の法務委員会において、多数決で以て議決をして議事を進行するというような慣例はなかつたけれども、それを出席せられた、弁明に出て来られた官房長官がそれを企図せられ、そしてそれが失敗しましたことは御承知の通りでありますが、そのやり方を法務委員会だけでなしに、本会議の議事について行われたということについて、私は非常な遺憾を感ずるのであります。二十四日会期の延長の本会議の議決が如何なる事態に行われたか、その混乱のあとを二十四日国会法の修正と、(「議長注意」と呼ぶ者あり)議運委員長の(「一身上の弁明をしろ」と呼ぶ者あり)辞任に関連をして申合せが行われ、(「これが大事なところだ、前提條件だ」と呼ぶ者あり)そして本会議が開かれて参つたことは、私が繰返す必要はございません。ただその間において私ども指摘をいたしましたように、赤木君の趣旨弁明は議案を配られずしてなされた、或いは法務委員長は議長の許可なく無断で登壇せられたという事態が起つて参りました。これらはすべて無理をして本会議を参議院において進めようという意図とこれは態度の結果であります。私どもはこれらを通じて国会法、参議院規則によつて参議院が運営せられない第一歩を築いたということに非常な悲しみと遺憾の意を表するものであります。私どもはその後の運営について国会法、参議院規則に基いて議事を運営して参りました。或いは採決を繰返すというようなことについても、それは話合が付かないで合法的に進められる場合においては、私ども野党がとり得る最後の方法であると信じます。然るにこれに対して国会法、参議院規則を無視して與党の諸君において議事を強行せられようとしたところに問題の発端と本質がございます。先ほど来院議ならば何でもできるような御発言がございましたけれども、この多数の合意によるならば参議院規則も国会法も無視することができるというこのやり方こそ(「フアシズム」と呼ぶ者あり)私の最も遺憾とする最近の参議院のやり方であります。私どもがこの参議院規則を無視した議事の進め方に対して行い得る最後の抵抗は何であつたでありましようか、あれ以外に何がありましたか。(「ないない」と呼ぶ者あり)小林君の動議については、或いはこれについての議事の進め方については従来同僚議員が述べて参りましたから私はここで繰返すことはいたしません。問題はこういうやり方をなお今後とも進めるかどうか、多数の暴力を以てするならば規則も法律も蹂躙して構わないという態度を與党の諸君はとろうというのであるか。(「誰だ、暴力で以てやつたのは」と呼ぶ者あり)曾つて赤木君の趣旨弁明を多数を以て否決し、法務委員長の無断の登壇を懲罰に付するという問題を多数を以て否決し、或いは我々の抗議のみの議事運営についての争いの一つの方法を多数を以て懲罰するという方法が許されますならば、今後この参議院は従来における合理性、合法性を奪われて、完全に衆議院と同様の議事が進められて参り、そこに不合理性と非合法性が出て来ることを私は虞れるのであります。議論を或いは懲罰動議を出され、それに対する質問或いは弁明が行われておりますと、問題が参議院の中で判断ができないで他の判断をすら求めなければならんのではないかというような事態で議論が進められますことを極めて残念に思うものであります。(「終り」と呼ぶ者あり)二十八日私どもの(「もういいよ」と呼ぶ者あり)行動について議長の許可なく登壇をしたと言われます。この壇の上に上らなかつたことについては同僚も申しました。(「簡單簡單」「何が簡單だ」と呼ぶ者あり)私もこの壇上には上らないでこの事務総長の前までで私どももとめて参りました。或いは暴力を以て投票を阻止したと言われますけれども、どこに暴力を振つた事実があるか。私の点については証明を願いたいと思うのであります。事実を以て証明を願いたいと思います。(「そうだ」と呼ぶ者あり)或いは衛視に対して暴行を働いたという事実がどこにあるか、これらの点については事実を誣うるも甚だしいと思います。議長の許可なくして登壇をするということが私どもの懲罰の主たる理由になつておるようでありますけれども、改めて憲法或いは国会法、参議院規則にある懲罰に関する事由と、その立法の精神とを反省を願いたいと思うのであります。(「簡單々々」と呼ぶ者あり)院内の秩序を乱した議員を懲罰に附することができると憲法五十八條にある。或いは国会法十九條には議長の任務として議長が議院の秩序を保持し、議事を整理するという文句がございます。或いは百十六條なり百十七條は、議院の「紀律及び警察」という事項で掲げられております。参議院規則の問題になつた條文は十六章の「紀律及び警察」の項でありますが、問題は参議院のこの本会議場における紀律と警察問題でありましようか。或いは議長の許可を得ずして登壇をしたということは、その前後の條文を読んでも、会議室において喫煙を禁ずるということ、これは委員会では現に慣習法としてこの二、三年においては喫煙が行われております。或いは二百十二條には「議事中、濫りに発言し又は騒いで、他人の発言を妨げてはならない。」と書いてあります。この二百十二條のあとを受けて「議長の許可がなければ、演壇に登つてはならない。」と書いてありますが、私ども小野法務委員長のように、この演壇に登つたわけではございません。或いは二百十條、二百十二條、二百十三條は、喫煙或いは発言、これはこの点については会議中野次のために議長の注意を受けられたこともあるかたが相当おありになりますが、それと同じに演壇に登ることが二百十三條に規定せられております。私は唯一の懲罰の理由である演壇云々ということは(「簡單々々」と呼ぶ者あり)事実においてもなかつたし、規則の上からいつても、それが喫煙、或いは野次と同じに取扱われておるという参議院規則の建前を申しておるのであります。そしてこれらの條文を読んで参りますというと、現に起つた問題は院内の秩序、或いは警察の問題であるのか、議事規則の問題であるか、会議の運営の問題であるか、これは常識を持つておる者ならば明らかになるところであります。従つて或いはこの問題に関連して議事運営のいろいろな点が、或いは約束が破られたことが、或いは相談ができなかつたことが、そうしてその後に起つた事実が挙げられて参つておる次第であります。或いは参議院規則によるならば、議長は会議の秩序を保持せられるとするならば、現行犯という声もございましたけれども、それが議長において注意せられた後において問題となるべき性質のものであります。(「注意をしたよ」と呼ぶ者あり)こういう点から考えて見ましても、(「速記録を見たか速記録を」と呼ぶ者あり)事実の点においても、或いは規則の精神から言つても、(「速記録を見ろ」と呼ぶ者あり)国会法、参議院規則の精神から言つてもおわかりになるかどうかは知りませんけれども、私どもは懲罰に値するとは考えません。そうしてなお今後こういう運営をなさろうというのであるかどうか、参議院のために、参議院の権威のために私は反省を求めて一身上の弁明に代える次第であります。(拍手)
#127
○議長(佐藤尚武君) 菊川孝夫君。
   〔菊川孝夫君登壇、拍手〕
#128
○菊川孝夫君 只今議題となりました(「簡單々々」と呼ぶ者あり)草葉隆圓君らの提出されました(「草葉じやないよ」「落着いてゆつくり」と呼ぶ者あり)懲罰動議に対しまして私もその当事者として挙げられておりますので一言一身上の弁明をいたします。
 先ず我々はあの日の空気というものを考えなければならんと思うのでありますが、やはりどこにでも雰囲気というものはございまして、併しながらその雰囲気を超えて冷静を失してはならんということはよくわかつております。併しながらあの日の議事の運営を先ず振返つて見ましたときに、あのようにして議長職権によつて今まで前例のない参議院の本会議が運営されておる際に、突如として小林英三君があの動議を出されたのであります。併し考えましたときに、あの動議が果して参議院規則並びに国会法に照し合わしまして、たとえ多数で議決せられたといたしましても、それは参議院規則、国会法に違反しておるものであつたならば、先ずその法律の改正を行なつてからなされなければならないであろう、又従来から守られて参りました慣例を完全に無視してやられるとするならば、これも重大な問題として靜かに考えてみる余裕はあるでございましよう。従いまして小林君の動議が出されましたときに、私は議院運営委員、特に当日の議場内の連絡係を勤めておりましたので、いち早くこの事務総長の席へ参りまして、あれが果して国会法でいいかどうかよく考えてみなさい、又従来の慣行からいつても、或いは参議院規則からいつても、どうしてもこれは無理じやないか、大屋晋三君の懲罰動議は出ておるのだから先ほどから同僚議員が繰返して申しましたようにこういう対立いたしましたときにこそは冷靜に規則に従つて運営しなければならないのである。こういうときに規則を破つた場合には、収拾すベからざるところの事態が生ずるであろうことを最も虞れまして、こういうときにこそは議院運営委員の職務上是非とも事務総長に国会法をもう一遍考えてみよ、或いは参議院規則を冷静に考え直して、そうして議長補佐の役目をしてもらいたいということを申入れに私が参つたのであります。併しそのときにいち早くすでに氏名点呼が行われておりまして、緑風会の諸君がこの壇上へ投票に上つて来られました。従つて我々のおるこの席と投票者が通るところの間に若干の道が狭くなつたことによつて、議事を妨害したの、或いは公務執行妨害であるというような罪名の下に、我々を懲罰に付されようとすることは、何としても私たちは承服することはできないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)第二点といたしましては、暴力を揮つた、或いは実力行使というようなお言葉をお使いになりま、たけれども、私たちは議長並びに事務総長に申上げたのは、国会法並びに参議院規則に従つてやつて下さい、我々も納得したならば、この席から自席に戻りまして、そうして靜かにこの投票に加わるのであつて、無理に実力を以てここでスクラムを組んで、ピケラインを布いたということはないのでありまして、又そういうことは押通せるものではありません。特に私は先ほど申しましたような趣旨から、議院運営委員としてこれを何とかはつきりといたした上で議場の混乱を回避したい、この一念に燃えて登つたものでありますからして、この中に加えられたことは迷惑至極でありまして、私の曾つて所属しておりました国鉄の労働組合からも、こんなことを今まで長い間組合運動をやつておつても、或いは共産党と民主労働組合との間に対立をいたしましたときも、一回も私はそういう暴力を揮つたこともなかつた、又殴られたこともなかつたのです。その男が一体今度は懲罰にかかつた。どうしたことだと言つて非常に心配して見舞の手紙がほうぼうから殺到しておるのであります。このような私の性格からいたしましても、決して暴力的な行為をやろうとか、実力を以て投票を阻止しようというような意図は毛頭なかつたのに、こういう、強いてこんな動議を出されたことは極めて迷惑至極であつて、何らかの自由党の諸君が意図を持つてやられたのではなかろうか、我々は非常に猜疑心を持つことになるわけであります。特に私はここではつきり申上げたいのでありまするけれども、この懲罰動議を出すに当りまして、名前を申上げていいのでございますが、又懲罰動議だと言つてかけて来るとうるさいからして、これが解決するまで一応名前は申上げないことにいたしますけれども、十三号委員室へ衛視の中の某氏以下四、五名を自由党の議員の諸君が呼び込んで、そうしてあの当時にお前は尻を抓られたかとか、或いは誰が来ておつたかというような一々取調べをやられまして、その上でこの懲罰動議に該当する人たちの指名を行なつたという噂が公然と参議院内の廊下に流布されておるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)併し火のないところに煙は立たずだと思う。自由党は今政権を握つていることをかさに着て事務当局に圧力を加えていると言われても抗弁の余地はないと思うのであります。(拍手)衛視を呼ぶならば堂々とこれは懲罰委員会においてお呼びになるのは結構だと思うのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)一会派が衛視を呼んで十三号委員室において尋問をするということは、私は許されないと思うのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)而もこれに属するところの事務局に対しても我々はこれは権力と結んで野党の行動に何らか制肘を加えようとしておることであつて、そういう意図が事務局の中にも或いは、議長の頭にはそういうものはないと私は確信いたしておりまするけれども、事務局の一部の人にそういう意図があるとするならば我々は看過し得ない問題だと思うのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)そうして野党を不利な立場に追いこんでおいて、その上で近く行われるであろうところの衆議院選挙に臨もうとするがごとき卑劣な行為は断乎排撃しなければならんと私は考えるのであります。(拍手、「いつでもそういう言い方が君の戰術だ」と呼ぶ者あり)小林君から野次が飛んでおりまするけれども、私は従来寿らの戰術と言われますが、決してそういう行為はとつておらない。あの議長室に我々は参りましたときも、議長室が混乱いたしましたときも、再度に亘りまして、これは若しも不測の事態が起つてはならないからというので、僕は先に立つて、そうして議員だけが残つて、そうしてほかの人は一応退場してもらおうじやないかといつて、安井君も、菊川君、君もやつてくれ、草葉君あたりもそう言うから、それはわかる、参議院の秩序を保持しようということについては我々は非常な熱意を持つておる、そうして冷靜に議員だけで話をしようというのであの混乱した場合にでもむしろ我々野党派が批判を受けることを、あの場の空気からするならば批判を受けることを覚悟で我々はあの議長室の混乱整理にも当つたのであります。衛視は来てもなかなかできない。そういう男をつかまえて、お前はいつでもそういう無茶を言うのだというようなことを言うに至つては、これは何らかの意図を持つてやられたものだと私は誠に憤慨に堪えないのであります。それは一回ならず二回、国会対策委員長の草葉君も見た。併しその私を暴力行為被疑者である、或いは実力行動をやつたというような悪名を着せようというに至つては、言語道断だと言わなければならん。信義も何も踏みにじつておると思う。君らは多数で以てあの場で以て野党を抑えつけて、破防法を何でもかんでも通そう、この一点のみにかかつてこういう悪質なる動議をお出しになつたと私は言つても過言でないと思う。(「正々堂々とやれ」「聞いて見れば無罪だよ」「詭弁だ」と呼ぶ者あり、拍手)これを未だに議席から詭弁であると言われますけれども、これは事実を以て申上げているのであります。従いまして、(「解釈が悪い」と呼ぶ者あり)このような懲罰動議は撤回せられ、而も私は一昨日の状態であつたならば何をか言わんであります。常に自由党の諸君が、口を開けば大自由党とおつしやつておられる。而も自由党は、議院運営委員長、自由党の議院運営委員長が、我々をお呼びになりまして、そうしてこれからはお互に協力してより一層参議院の議院運営の円滑を図るためにやろうじやないかという挨拶をされて、これで以て一応解消して、これはもう取消しとあつさり出られることがあつてこそ初めて大自由党だ。(「出せ出せと言つて強要したじやないか」と呼ぶ者あり)それを撤回されずに提案されるままに置いておかれるからなんです。それを撤回されれば誰がもう一遍出せという馬鹿なことを言われるだろうか。それを誤解して撤回されない。冷静に撤回されてこそ初めて大自由党と言い得るのだ。従つて私はその場の空気によつて起り得る、醸し出されるところの多少のいきさつも、決して怪我人も出たわけではない。而もそれからは議長の努力によりまして、一時は議長の取計い方については我々もいろいろ異議があつたが、併し野党のほうからそういう気持なら、おれももう一遍この議事が正常のルートに乗るように努力をしようと、こう言つて議長は努力された。幸いに一応正常のルートに乗つてだんだんその方向に向おうとしているのであります。而もこの、(「明日は取下げるよ菊川君」と呼ぶ者あり)議長がこういう態度を靜かに振返つて見たときに、個人の見解として、この壇上から見ておつて、成るほど與党も野党もよくやつた。併しながらあとに別に批判、あのときにはいろいろおれも癪に触つて、そうしてあの野郎あの野郎と思つて何回も腹は立つたけれども、冷静に返つてみたときにはよくやつたと、而もこれからは先ずお互に事故のないように、正常のルートに乗せようじやないか。そうしていよいよ参議院の権威を高めるためにやろう、特にあの日の討論のごときは、実に正々堂々たるものであつたと、個人の見解としてお申しになつて、これは本当に、余り中立過ぎると、殊に僕らから見れば中立過ぎるじやない、與党に偏つていると見える議長さえこういう見解を申しでいるのだ。而も君のほうから出て来ている議院運営委員長が、今後はそういうふうにやつて行こうじやないか、それを今朝になつてもこの動議を取下げないのみか、更にこの動議を取下げないのみか、今日は日華條約や目印條約、こういつた條約をやつて、これはいつまでも威しとして飾つておこうじやないか、こういう行動を以て野党を威し付けるのは卑怯未練だと思うのであります。(拍手)下ろして素直に、起つたときには起つたときでやればいいのだ、又起らないようにお互いにそういうふうに気を付ければいいと思うのであります。そこに大自由党の面目があるのだ、そういうことをやつておるからして、(「余計なことを言うのじやない」と呼ぶ者あり)このように一日、こういう一身上の弁明のみで一日を費さなければならんということになると思います。
 今日のこういう状態はまさに自由党の諸君がみずから好んで掘つた穴だとつ言つても私は過言でないと思うのであります。(拍手)従いまして、私が以上申上げたような理由から、私個人として絶対に懲罰動議に引つかかることはみじんもないという確信を持つていることが一つ。
 もう一つはこういう卑劣な動議はいつも問題が解決し去つたときには静かに、而も男らしく撤回されまして、そうして又次の問題と取組んで行こうじやないかと向われる大きさを示さるる自由党のもう一遍猛省を、最後の猛省を私は特に野党第一党の立場から與党の自由党諸君に最後の猛省を促しまして一身上の弁明に代えたいと存じます。(拍手)
#129
○議長(佐藤尚武君) これより採決をいたします。本動議の採決は各議員それぞれ別個に行います。
 先ず岩間正男君を懲罰委員会に付託することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#130
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて岩間正男君を懲罰委員会に付託することに決しました。
     ―――――・―――――
#131
○議長(佐藤尚武君) 次に兼岩傳一君を懲罰委員会に付託することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#132
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて兼岩傳一君を懲罰委員会に付託することに決しました。
     ―――――・―――――
#133
○議長(佐藤尚武君) 次に三輪貞治君を懲罰委員会に付託することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#134
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて三輪貞治君を懲罰委員会に付託することに決しました。
     ―――――・―――――
#135
○議長(佐藤尚武君) 次に鈴木清一君を懲罰委員会に付託することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#136
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて鈴木清一君を懲罰委員会に付託することに決しました。
     ―――――・―――――
#137
○議長(佐藤尚武君) 次に江田三郎君を懲罰委員会に付託することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#138
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて江田三郎君を懲罰委員会に付託することに決しました。
     ―――――・―――――
#139
○議長(佐藤尚武君) 次に岡田宗司君を懲罰委員会に付託することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#140
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて岡田宗司君を懲罰委員会に付託することに決しました。
     ―――――・―――――
#141
○議長(佐藤尚武君) 次に栗山良夫君を懲罰委員会に付託することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#142
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて栗山良夫君を懲罰委員会に付託することに決しました。
     ―――――・―――――
#143
○議長(佐藤尚武君) 次に中田吉雄君を懲罰委員会に付託することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#144
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて中田吉雄君を懲罰委員会に付託することに決しました。
     ―――――・―――――
#145
○議長(佐藤尚武君) 次に水橋藤作君を懲罰委員会に付託することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#146
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて水橋藤作君を懲罰委員会に付託することに決しました。
     ―――――・―――――
#147
○議長(佐藤尚武君) 次に河崎ナツ君を懲罰委員会に付託することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#148
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて河崎ナツ君を懲罰委員会に付託することに決しました。
     ―――――・―――――
#149
○議長(佐藤尚武君) 次に高田なほ子君を懲罰委員会に付託することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#150
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて高田なほ子君を懲罰委員会に付託することに決しました。
     ―――――・―――――
#151
○議長(佐藤尚武君) 次に小笠原二三男君を懲罰委員会に付託することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#152
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて小笠原二三男君を懲罰委員会に付託することに決しました。
     ―――――・―――――
#153
○議長(佐藤尚武君) 次に木下源吾君を懲罰委員会に付託することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#154
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて木下源吾君を懲罰委員会に付託することに決しました。
     ―――――・―――――
#155
○議長(佐藤尚武君) 次に島清君を懲罰委員会に付託することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#156
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて島清君を懲罰委員会に付託することに決しました。
     ―――――・―――――
#157
○議長(佐藤尚武君) 次に梅津錦一君を懲罰委員会に付託することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#158
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて梅津錦一君を懲罰委員会に付託することに決しました。
     ―――――・―――――
#159
○議長(佐藤尚武君) 次に菊川孝夫君を懲罰委員会に付託することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#160
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて菊川孝夫君を懲罰委員会に付託することに決しました。
     ―――――・―――――
#161
○議長(佐藤尚武君) 次に吉田法晴君を懲罰委員会に付託することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#162
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて吉田法晴君を懲罰委員会に付託することに決しました。(拍手)
     ―――――・―――――
#163
○議長(佐藤尚武君) 以上採決の結果に基き、議長は、岩間正男君、兼岩傳一君、三輪貞治君、鈴木清一君、江田三郎君、岡田宗司君、栗山良夫君、中田吉雄君、水橋藤作君、河崎ナツ君、高田なほ子君、小笠原二三男君、木下源吾君、(「大屋晋三君」と呼ぶ者あり)島清君、梅津錦一君、菊川孝夫君、吉田法晴君を懲罰委員会に付託いたします。
     ―――――・―――――
#164
○議長(佐藤尚武君) この際お諮りいたします。懲罰委員長工藤鐵男君から常任委員長を辞任いたしたい旨の申出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#165
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#166
○議長(佐藤尚武君) つきましては、この際、日程に追加して、常任委員長の選挙を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#167
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。
#168
○木村守江君 只今議題となりました常任委員長の選挙は、成規の手続を省略いたしまして、議長において指名されんことの動議を提出いたします。
#169
○高橋道男君 只今の木村君の動議に賛成いたします。
#170
○議長(佐藤尚武君) 木村君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#171
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて議長は懲罰委員長に一松政二君を指名いたします。(拍手)
     ―――――・―――――
#172
○議長(佐藤尚武君) この際、日程に追加して、水産業協同組合法の一部を改正する法律案(本院提出、衆議院回付)を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#173
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。
#174
○議長(佐藤尚武君) これより本案の採決をいたします。本案の衆議院修正に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#175
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て衆議院の修正に同意することに決しました。
     ―――――・―――――
#176
○議長(佐藤尚武君) この際、日程に追加して栄養改善法案(本院提出、衆議院回付)を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#177
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。
     ―――――・―――――
#178
○議長(佐藤尚武君) これより本案の採決をいたします。本案の衆議院修正に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#179
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て衆議院の修正に同意することに決しました。
 本日はこれにて延会いたします。次会は明日午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後七時五十一分散会
     ―――――・―――――
○本日の会議に付した事件
 一、議員の請暇
 一、議員大屋晋三君懲罰の動議
 一、議員岩間正男君外十六名懲罰の動議
 一、常任委員長辞任の件
 一、常任委員長の選挙
 一、水産業協同組合法の一部を改正する法律案
 一、栄養改善法案
ソース: 国立国会図書館
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