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1951/04/01 第13回国会 参議院 参議院会議録情報 第013回国会 法務委員会 第18号
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1951/04/01 第13回国会 参議院

参議院会議録情報 第013回国会 法務委員会 第18号

#1
第013回国会 法務委員会 第18号
昭和二十七年四月一日(火曜日)
   午前十一時四十六分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     小野 義夫君
   理事
           宮城タマヨ君
           伊藤  修君
   委員
           加藤 武徳君
           左藤 義詮君
           白波瀬米吉君
           長谷山行毅君
           岡部  常君
           江田 三郎君
           齋  武雄君
           一松 定吉君
           羽仁 五郎君
  国務大臣
   法 務 総 裁 木村篤太郎君
  政府委員
   法務政務次官  龍野喜一郎君
   法務府法制意見
   第二局長    林  修三君
   刑 政 長 官 清原 邦一君
   法務府検務局長 岡原 昌男君
   法務府矯正保護
   局長      古橋浦四郎君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       長谷川 宏君
   常任委員会専門
   員       西村 高兄君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○小委員の補欠選任の件
○ポツダム宣言の受諾に伴い発する命
 令に関する件の廃止に関する法律案
 (内閣提出衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(小野義夫君) それでは只今より委員会を開きます。
 本日は先ず小委員の追加選定についてお諮りいたします。先般当委員会の委員となられました加藤武徳君より、司法制度に関する小委員、新刑事訴訟法運用に関する小委員、戰争犯罪人の法的処置に関する小委員の三つの小委員に加わりたい旨申出がございました。つきましては加藤君をこれら小委員に追加選定することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(小野義夫君) 御異議がないと認めましてさよう決定いたします。
  ―――――――――――――
#4
○委員長(小野義夫君) 次にポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件の廃止に関する法律案を議題に供します。本案につきましては、昨日の委員会におきまして、質疑は終局いたしたものと決定いたしておりますので、本日は直ちに討論に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(小野義夫君) 御異議がないと認めます。これより討論に入ります。御意見のおありのかたは、賛否を明らかにしてお述べを願います。
#6
○伊藤修君 本案に対しましては、質疑応答の際、本員の意見は大体述べてあるはずでありますが、要約いたしまして、ここで一言申上げておきたいと思うのであります。問題は、いわゆる我々の多年希望しておつたところの講和條約が成立いたしまして、近き日において日本が独立国家として世界生活の一歩を踏み出さんとしておる、こうした国民の多年要望しておつたいわゆる希望ある日を迎えんとするに際しまして、いわゆる日本管理のために、ポツダム宣言に基くところのいわゆる政令五百四十二号に基いて、占領治下において日本管理の方式として発せられたところの百四十四に亘るところの各種命令というものが、当然これはその効力を失うべきことが、法理的に我々は考えられると思うのであります。或いはその点に対しまして、学説的には、基本法は勿論効力を失うが、併しその基本法に基いて発せられたところの各種の命令は、それ自体において独立してその効力を有するというような説はありますが、併しながらこの独立して効力を発すると否とにかかわらず、私はあえてその点をここで明確にしようとも考えませんが、それと否とにかかわらず、少くとも占領方式遂行のために発せられたところの各種命令というものは、我々はそうした独立の日を迎えるに際しましては、この際一切除去されまして、若しその間において必要な法規があるといたしますれば、改めてこれを日本国民の名において立法し、日本国法として発布せらるべき筋合のものであると思うのであります。殊にこれらの各種の命令に対しましては、事前において国民はあずかり知らないのであります。今回これに対しますところの処置として、この命令をそのまま引継いで日本国内法としての手当をなさるものが十九件、その一部を改廃いたしまして国内法として手当なさるものが二十一件に上り、廃止されるものが七十三件、そうしてまだ未処理のものが三十二件、そのうち二件は大勢によつて再び国会の審議を煩わすということになつておるようでありますが、残る三十件のうち十五件は廃止し、十五件は新らしく立法して御提案になるというような御構想を伺つておる。かようなあり方に対しまして、少くとも本法の第二項によつて百八十日間というものは、いわゆる占領治下において必要とせられたところの法規がそのまま国民の日常生活の規律として残るということは、我々として好ましくないと思うのです。これに対しまして政府当局といたしましては、句々の折であつてこれに対するところの手当をそれまでに成し遂げ得ないという事情をも我々は勘案しなくてはならんと思うのですが、少くとも国民の感情の上からいたしましては、こうした占領治下の法規というものをそのまま受けて立つて、日常生活を営まなくちやならんというあり方に対しましては、私は納得の行かないものがあり得ると思う。かような意味合いにおきまして、本法に対しましては、我々の党派の者といたしましては、衆議院において反対いたしておりますが、併し政府の各種の御説明をお伺いいたしますれば、事情止むを得ないものもあり得ると思う。併しながらそうした残されたところの感情というものは、将来の日本のあり方として、旧連合国との国際関係においても相当に禍根を残すものではないかと思われる。こういうような意味からいたしまして、政府においては速かに残されたところの各種必要法規につきましては、それぞれ手当をなさるべきことを私はこの際強く要望しておきたいと思うのです。かような意味合いにおきまして、本法に対しましては、私はこうした希望條件を附しておきたいと思うのです。日本国管理のためポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基いて発せられた命令は一切廃止すべきものであつて、これを本法のような形によつて残存せしめることは、独立国家となる日本国民に対して依然として連合国最高司令官の命令の下に規律される感を抱かしめるもので、国民感情の上において好ましくない。よつて政府は、速かにこれら一切の諸命令を改廃し、国会の審議を求めるべきことを希望する。
 以上申上げましたような希望條件を附して、本案に対しまして賛成するものであります。
#7
○委員長(小野義夫君) 委員長として伊藤委員に申上げますが、今のお言葉、大体そういう御希望條件を入れて一同に諮ることは結構でありますが、多少字句の点は、或いはその本旨を損わん範囲において、私が本会議に報告する場合における字句はお任せ頂けるでしようか、どうでしようか。
#8
○伊藤修君 その本旨を失わなければよろしいです。
#9
○委員長(小野義夫君) それではそういうことに……他に御発言は……。
#10
○羽仁五郎君 私は本案に反対をするものであります。従いまして、只今の希望條件が附けられましたのに対しても反対せざるを得ないことを甚だ遺憾に思うのであります。反対の理由を申上げますが、その反対の理由につきましては、昨日までの質疑応答の際に、その論拠につきまして、はすでに詳細申上げましたので、本日はその結論だけを述べさせて頂きます。
 反対の第一の理由、現在日本が曾つて経験したことのない占領という状況を果して完全に終結して完全なる独立を得るのか、或いは何らかの意味において占領の継続という事実上の状況の下に置かれるのかという重大な問題に関係しているからであります。この点につきまして、質疑応答の際に、政府は、占領は終結し、完全に独立するのだというふうに言われますけれども、この本法律案の内容は、事実においてその政府の言明と反対の事実を示しておるのであります。これは繰返してすで質疑応答の際に申上げました通り、政府は、或いは現在の事態の重大さを十分に把握しておられないのではないか、その結果生じて来るさまざまの紛擾というものを、いわゆる法律と権力とによつて押えることができるというような、非民主主義的なお考えの上に立脚しておられるのではないか。これらの疑いを我々は拂拭することができないのであります。政府はこの際何故に堂々たる態度をとつて、占領は終結し、完全なる独立を今実現するのだということを事実において示されないのか、了解に苦しみます。
 第二の反対の論拠は、政府は主権在民の原則を積極的に発揮する誠意があるのか、それともそれを事実上においていつの間にか抹殺してしまおうとするのか、この点についての重大な疑いがあるからであります。この点につきましても、政府は主権在民の原則を積極的に発揮するというようなお答えになりましたけれども、併し事実上においてこの法律案はそれとは全く反対の事実を我々の前に表しておるのであります。
 従つて私の反対する理由の第三点は、何故に政府は国会の審議を丁重にしないのか。御承知のごとくに、このポツダム宣言の受諾に伴い発する命令につきましては、当時占領政治下にあつて、占領軍司令官の表明した意思というものに対しては何らの批判を許されなかつたのであります。我々はこの占領が円満に遂行されることを念願して、努めて態度を慎重にして、占領軍司令官の表明した意思には、理論上又政治上、多々批判すべき点があつたにもかかわらず、慎重な態度を以てこれを表明しなかつたのであります。従つて今日となつて、これらのポツダム宣言の受諾に伴い発する命令については、何らの日本の国民を代表する批判が表明されないままに、それが命令となつているものがあります。その最大のものは言うまでもなく警察予備隊令であります。警察予備隊令について当時国会はこの問題について十分の審議を盡すべく用意しておつたのでありますが、政府はこれをポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関係した政令としてこれを実行し、従つてその予算についての審議が全く行われなかつたことは、各委員の十分に御承知の通りであります。当時各委員も必ずや警察予備隊という重大な問題が、一片の政令よつて決定されて出発するということについては、将来禍根を残すということは十分に認識しておられたろうと思う。さればこそ、現在政府も、又国会も、国民の前に、決して良心を持つて、白日の下に恥じないという態度をとることができない甚だ遺憾な境遇、苦境に立たされているのであります。国内及び国際の世論が指摘しておるように、吉田首相も、そして又国会も、これらの問題について言葉の上で事態をごまかしておるという印象を拂拭することができないこと、特に空前の事実である占領が終つて、我々が独立の第一歩、こうした第一歩を持つて出発するということが、国民に果して希望を與えるか、明朗な刺戟を與えるか、それともその反対に、何か割り切れないもの、何か明朗でないもの、何か厭なものというものを持つて出発するかという点で、実に重大な点があると思います。勿論警察予備隊令はその後に改正等に関して、国会の審議を求め、又得られておるというようなこともあるかも知れませんが、併しその第一歩が、その出発が何らの批判を許さない占領軍司令官の表明した意思というものによつて、我が日本国憲法が、日本国の将来の幸福を保障する趣旨に出ておる主権在民の原則というものを全く無視して成立しておるものであります。従つて私の反対する第四の論拠は、何故に政府は潔よく、ポツダム宣言の受講に伴い発する命令は占領の終結と同時に直ちに自動的に無効となるということを確認し、そして必要に応じて潔よく新らしい立法を以て国会に望まれ、そして国会における自由なる審議を丁重にするという趣旨を以て、国民に向つて再び主権在民の貴重なる原則の、積極的確信を與え、又国際的には、日本が重大なる決意を持つて独立によつて国際的任務を果そうとするその態度を明らかにされないのか、その政府の態度は全く了解に苦しむからであります。私が昨日、或いは従来、今日に至るまでの質疑応答、又各位の質疑応答に対して政府の答えられておるところを一言にして要約すれば、第五に、政府は要するに、いわゆる官僚主義的な便宜ということを以て、この日本が今如何なるあり方において独立するか、日本の主権在民の趣旨を如何なる形において積極的に発揮して行くか、国会の審議を常に丁重にして行かなければならないというようなこういう重大問題よりも、全く便宜的な見地から本法律案を提案しておられる。この態度に賛成することが飽くまでもできないことを、ここに表明せざるを得ないのであります。
 以上五つの理由に基いて、私は本法律案に反対をするものであります。
#11
○左藤義詮君 国民の多数が熱望しておりました平和條約が発効いたしまして、七年振りに独立の春を迎えるに当りまして、ポツダム宣言の受諾に伴つて発せられた命令を廃して、今回のごとき措置をとられるに至りましたことは当然でありますが、又御同慶に堪えないところであります。私ども自由党としては本法律案に賛成をいたすのでありますが、只今伊藤委員からお話がありましたように、私たちは従来のポ勅に基きます政令等が形式上は暫定的に従来のままで残存されるといたしましても、そのことが占領行政が継続しておるというような印象を国民が受けるというふうには必ずしも考えないのでありますが、併し只今伊藤委員の御発言のごとき虞れが若しありといたしますれば、これはその点をはつきりして、伊藤委員の御希望の御意見も一理あるところでございますので、その点政府におかれましても、伊藤委員の御希望のごとく善処せられんことを我我も希望するのであります。我々は本法律案に対しましては、全面的に賛成をいたすのであります。
#12
○江田三郎君 私はこれに全面的に反対するものでありまして、反対の理由は、先ほど羽仁委員のほうからいろいろ述べられておりますが、私もまあ大体それと同じことであります。伊藤委員のほうから條件附の賛成というようなことがあり、又それに対しまして、自由党のほうでは同じような見解を以て表明されたように思うのでありますが、そういうような條件を本当に考えるならば、やはりきつぱりとポツダム諸政令はここで全廃いたしまして、改めて日本政府の責任において立法措置を講ずることが当然でありまして、この点は伊藤委員の所属されます党におきましても、衆議院において反対しておられるということのほうが筋が立つているように思うのでありまして、全く政府與党の自由党の方々までも、そういう希望意見というものを考慮しなければならんということは、もはやしつかりと割切つて行けば、これはもう全面的に全廃いたしまして、改めて日本政府の責任で新立法措置を講ずるのが当然でありまして、反対いたします。
#13
○委員長(小野義夫君) 他に御意見はでざいませんか。別に御発言もなければ、討論は終結したものと認めて差支えありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○委員長(小野義夫君) 御異議ないと認めます。よつて本案の採決をいたします本案を原案通り可決することに賛成の諸君の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#15
○委員長(小野義夫君) 多数と認めます。よつて本案は多数を以て可決すべきものと決定いたしました。なお、本案に対する報告書の内容、本会議における委員長報告の内容は、例によつて委員長に御一任願います。御賛成の諸君の御署名を願います。
多数意見者署名
    齋  武雄  宮城タマヨ
    岡部  常  一松 定吉
    白波瀬米吉  左藤 義詮
    長谷山行毅  加藤 武徳
    伊藤  修
  ―――――――――――――
#16
○委員長(小野義夫君) 本日はこれにて閉会いたします。
   午後零時八分散会
ソース: 国立国会図書館
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