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1947/06/11 第2回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第002回国会 治安及び地方制度委員会 第37号
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1947/06/11 第2回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第002回国会 治安及び地方制度委員会 第37号

#1
第002回国会 治安及び地方制度委員会 第37号
昭和二十三年六月十一日(金曜日)
    午後一時五十八分開議
 出席委員
   委員長 坂東幸太郎君
   理事 小暮藤三郎君 理事 千賀 康治君
   理事 門司  亮君 理事 坂口 主税君
   理事 酒井 俊雄君
      大澤嘉平治君    坂田 道太君
      中島 守利君    原田  憲君
      笠原 貞造君    久保田鶴松君
      松澤 兼人君    矢後 嘉藏君
      中垣 國男君    小枝 一雄君
      大石ヨシエ君
 出席國務大臣
        國 務 大 臣 苫米地義三君
 出席政府委員
        総理廰事務官  鈴木 俊一君
 委員外の出席者
        專門調査員   有松  昇君
    ―――――――――――――
六月十日
 警察官等職務執行法案(内閣提出)(第一二四
 号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提
 出)(第四一号)
 大阪市及び神戸市における朝鮮人騒じよう事件
 に関する現地調査報告の件
    ―――――――――――――
#2
○坂東委員長 これより治安及び地方制度常任委員会を開会いたします。
 本日の日程は、地方自治法の一部を改正する法律案、並びに風俗営業取締法案でありますが、まず地方自治法の一部を改正する法律案を議題に供します。なおこの法律案につきましては二箇月間審議いたしまして、あらゆる面から調査檢討を加えたような次第であります。先日陳情等もありまして、できることならば本院と参議院側と連合の公聽会を開くつもりでありましたが、関係方面といろいろ折衝いたしましたところ、この公聽会は事実上できませんので、参考人を四人呼びまして、昨日四人の意見を聽いたのであります。それは北海道会議長坂東秀太郎君、東京都議会議長石原永明君、神奈川縣副知事豊原道也君、自治労連副執行委員長三田朝丸君、この四人を参考人として出席を願いまして、昨日詳細な意見の陳述を拜聽したようなわけであります。かくいたしまして、本案は二箇月間の檢討の結果、質疑は全部終了いたしまして、本日は討論に移るわけであります。しこうしてこの案は政府案と議員修正案と二つになつております。從つてただいま討論に移りますが、まずもつて門司君からこの修正動議の御陳述をお願いいたします。
#3
○門司委員 地方自治法の一部を改正する法律案に関係いたしまして、政府の改正に対しましてさらに附け加えて修正の意見を申し述べたいと思います。修正の案といたしましては、
  第十二條第一項中「條例」を「條例(地方税、分担金、使用料及び手数料の賦課徴收並びに地方公共の秩序の維持、住民及び滞在者の安全、健康及及び福祉の保持に関するものを除く。)」に改める。
  第十三條第二項中「市町村公安委員会」を「公安委員会」に改める。
  第七十四條第一項中「條例」を「條例(地方税、分担金、使用料及び手数料の賦課徴收並びに地方公共の秩序の維持、住民及び滞在者の安全、健康及び福祉の保持に関するものをを除く。)」に改める。
  第八十六條第一項中「選挙権を有する者」を「選挙権を有する者(都道府縣公安委員会の委員については、当該都道府縣國家地方警察の管轄区域内において選挙権を有する者)」に、「市町村公安委員会」を「公安委員会」に改める。
  第八十八條第二項中「市町村公安委事員会」を「公安委員会」に改める。第九十二條第三項中「当該普通」を削る。
  第百九條第二項中「選任し、」の下に「條例に特別の定がある場合を除く外、」を加える。
  第百十條第三項に次の但書を加える。
   但し、議会の議決により特に付議された事件については、開会中も、なお、これを審査することを妨げない。
  第百二十一條中「市町村公安委員会」を「公安委員会」に改める。
  第百二十五條中「当該市町村の公安委員会」を「公安委員会」に改める。
  第百四十一條第二項中「当該普通地方公共團体の議会の議員及び地方公共團体の有給の職員」を「地方公共團体の議会の議員及び有給の職員」に改める。
  第百九十五條第三項に次の但書を加える。
  但 し、市にあつては條例で四人とすることができる。
  第二百四十七條第一項の次に次の三項を加える。
   前項の規定により普通地方公共團体の長の職務を行う者がないときは、都道府縣知事については内閣総理大臣、市町村長については都道府縣知事は、普通地方公共團体の長の被選挙権を有する者で当該普通地方公共團体の区域内に住所を有するものの中から臨時代理者を選任し、当該普通地方公共團体の長の職務を行わせることができる。
   臨時代理者は、当該普通地方公共團体の長が選挙され、就任する時まで、普通地方公共團体の長の権限に属するすべての職務を行う。
   臨時代理者により選任又は任命された当該普通地方公共團体の職員は、当該普通地方公共團体の長が選挙され、就任した時は、その職を失う。
  第二百六十三條の二 普要地方公共團体は、議会の議決を経て、その利益を代表する全國的な公益的法人に委託することにより、他の普通地方公共團体と共同して、火災、水災、震災その他の災害に因る財産又は営造物の損害に対する相互救済事業を行うことができる。
   前項の公益的法人は、毎年一回以上定期に、その事業の経営状況を関係普通地方公共團体の長に通知するとともに、これを適当と認める新聞紙に二回以上掲載しなければならない。
   前項の通知があつたときは、関係普通地方公共團体の長は、直ちにこれを公表しなければならない。
   第一項の相互救済事業で保險事業に該当するものについては、保險業法は、これを適用しない。
  附則第一條を次のように改める。
   この法律は、昭和二十三年八月一日から、これを施行する。
   この法律施行の際現に地方公共團体の議会の議員と当該地方公共團体以外の地方公共團体の長、副知事若しくは助役又は出納長若しくは副出納長若しくは收入役若しくは副收入役その他の有給の職員を兼ねるものについては、これらの職を兼ねている間に限り、地方自治法第九十二條第二項及び第百四十一條第二項の改正規定(これらの規定を適用又は準用する規定を含む。)はこれを適用しない。この法律施行の際現に同法第五十五條第二項及び第六十五條第十一項の規定の適用又は準用を受ける得票者についても、また、同様とする。
  附則第四條を附則第五條とし、附則第三條の次に次の一條を加える。
   第四條 警察法の一部を次のように改正する。、
  第二十四條第二項を削る。
  第四十四條中「第二十四條第二項、第三項乃至第五項」を「第二十四條」に、但書中「第四條第五項」を「第二十四條第四項」に改める。以上であります。
 これの趣旨の御説明をごく簡單に申し上げておきたいと思うのであります。第十二條第一項中の「地方税、分担金、使用料及び手数料の賦課徴收並びに地方公共の秩序の維持、住民及び滞在者の安全、健康及び福祉の保持に関するものを除く。」というのは、次の第七十四條と相関連いたしておるのでございますが、從來地方自治法の七十四條には、これらの普通地方公共團体の條例に対しましては、人民の改廃に対する直接請求権があつたのであります。これをこの條項に書きましただけを除きたいと思うのでありますが、これは非常に重要な問題でありまして、從來私どもが、憲法第十六條に規定されておりまする「何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。」という條項があるのであります。從つて憲法第十六條の規定によりますならば、当然規則の制定、廃止または、改正について、これの是非を請願する権利をもつておるということが言えるのであります。しかしながら現在の社会情勢に鑑みまして、この法律の條文をただちに受けて、從來自治法の七十四條にありましたような條例の改廃の請求権がありますることによつて、いかなる状態があるかということをまたわれわれは考えなければならぬのであります。
 さらに、憲法の十六條には、以上のように書いてありますが、十二條には、「この憲法が國民に保障する自由及び権利は、國民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、國民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。」というように書いてあるのであります。さらに第三十條には「國民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。」というように書いてあるのであります。もとより税は公平にしてかつ苛酷であつてはならないということは言うまでもないのでありますが、現在のわが國の状態は、すでに皆さんも御承知の通り、敢戰後における経済状態のきわめて逼迫しております状態におきまして、外國からの経済的の援助を仰がなければ日本の経済がやつていけないというような状態に立ち至つておりますことは御承知の通りであります。從いましてこれらの國内情勢を考えまして、日本の國民はでき得るだけ負担力に應じておのおの納税の義務を果さなければならないということも、また論をまたないことだと考えるのであります。從いまして國民はみずからの負担において自立再建への努力を拂わなければならないと考えておるのであります。從いまして現日本の段階におきましては、先ほども申し上げました地方税、分担金、使用料及び手数料の賦課徴收に関するいろいろなものにつきましては、一應人民にせつかく與えられた直接請求権ではありましたが、まだその時期に達していないというような感じもいたしますので、この際一應これを除きたいと考えておるのであります。
 なお附け加えて申し上げておきますことは、分担金につきましてはすでに政府提出の一部改正の中にもありますように、きわめて限られた範囲において利害関係がありますので、これにつきましてはその分担金を定める場合に、公聽会を開かなければならないと考えておるのであります。
 さらにこの改正をいたしましても、自治法の百九條の五項には「常任委員会は、予算その他、重要な議案、陳情等について公聽会を開き、眞に利害関係を有する者又は学識経験を有する者等から意見を聽くことができる。」という條文があるのであります。從つてこの條例その他を定めまする場合において、普通地方公共團体の常任委員会は重要なる議案に対しては公聽会を開き得るという規定かありまするので、これを十分に活用するここによつてある程度人民の意思というものが反映するのではないかと考えられるのであります。
 さらに第百二十四條に、「普通地方公共團体の議会に請願しようとする者は、議員の紹介により請願書を提出しなければならない。」、第百二十五條には「普通地方公共團体の議会は、その採択した請願で当該普通地方公共團体の長、選挙管理委員会若しくは監査委員又は公安委員において措置することが適当と認めるものは、これらの者にこれを送付し、且つ、その請願の処理の経過及び結果の報告を請求することができる。」という條件があるのであります。從つて條文の改廃によつて直接請求権が除かれるような形にはなつでまいりまするが、こういう地方自治法の條文を十分に生かしてこれを処置することによつて、人民の意見もまた十分傳えられるのではないか、かく考えるのであります。
 次は八十六條、さらに八十八條等は字句の訂正であります。ただ市町村公安委員会を公安委員会に改めるというだけでありまして、條文の整理にすぎないのであります。
 次の第百十條の第三項でありまするが、この但書は、現在の地方自治法の制度によりますると、地方の常任委員会はすべて開会中に委託された議案以外には審査ができないようになつております。從つて各地方公共團体におきまして事前にこれを調査という文字を使いまして、実際はその事前審理に似たようなことをやつておるのが現状だと考えるのであります。從つてこれを合法化することのために、議決によつて特に附議された事件については、閉会中もなおそれを審査することができるという條文を設けまして、その点の不明確な点を明らかにしたいと考えております。
 第百二十一條はただ先ほど申し上げたような公安委員会に改めるという條文の整理であります。
 第百二十五條も同じであります。
 第百四十一條の「当該普通地方公共團体の議会の議員及び地方公共團体の有給の職員と兼ねることができない。」というのは、從來たとえば市長であつた人が縣会議員の職を兼ねる、あるいは村長であつた人が縣会議員の職を兼ねるということになつておりましたので、この間の不合理をなくしたいと考えております。
 第百九十五條の三項で、市にあつては監査委員を四人にすることにいたしたいと思いますのは、自治法によりますと、來年度から都道府縣にあつては監査委員が四名でありまするが、市町村にあつては二名になるのであります。ところが現在の日本の地方自治体の状況は、たとえば東京を除く五大都市のごとふきは各府縣よりもはるかに大きい予算と大きい仕事をもつておる。その他の都市におきましても、これに匹敵するような幾多の都市があるのであります。從つてこれらの都市が非常に煩雜な事務を取扱い、大きな予算を監査しなければならないものが、この規則によつて二名になることは非常に不便と不合理を來しまするので、市にあつてはそれを四人までにすることができるというように改めたいと思うのてあります。
 それから次の第二百四十七條は、從來の本本の地方自治法の規定によりますと、市長あるいは都道府縣知事、町村長が欠員のできました場合においては助役がこれを行い、さらに助役がいない場合は高級吏員から順次その市町村あるいは都道府縣の條例によつて市町村の代理行為を行う者の順位が定めてあるのでありますが、これらの者がまつたくなくなつたときの市町村長の代理を行う者の規定がないのであります。從つてそういうことがないとは思いますが、時節柄あるいは総辞職等の場合によつて、そういう事態が万一生ずるのではないかと思いますので、それに対應いたしますために、都道府縣にありましては内閣総理大臣、市町村にありましては都道府縣知事がおのおのその地方公共團体の長の被選挙権を有する者で、当該普通地方公共團体の区域内に居住する者の中からこれを臨時に選任する。その臨時に選任されました者は、むろん次の新しく選ばれてまいりました市町村長の就任するまで当然その権限に属する一切の職務を行う、さらにその臨時の代理者によつて選任または任命されました吏員または職員は、新しい市長ができますとともに一切の職を失うということにいたしたいと思うのであります。
 それからその次の第二百六十三條の三を入れましたのは、これは從來のわが國の普通地方公共團体、殊に町村でありますが、町村におきましては火災あるいは災害等に対しまする保險金その他が非常に高率であるために負担に耐えきれないで、往々にしてそういうものをつけないでおく町村があるのであります。しかるにそれらの町村に一たび災害が起つてまいりますと、なおその災害は大きく反映いたしまして、市町村の経済を根底から破壊するような憂いもないとも限りませんので、これらの地方公共團体がお互いの共済機関を設けることができるというようにいたしまして、そうして普通地方公共團体、殊に町村の災害に対する補償とともに、さらに負担を軽くしたいと考えておるのでありまして、その條項を書き入れたのであります。
 それから次に附則を次の通りに改めると申し上げますのは、これは本年五月十五日からとなつておりましたが、しかし現在の本議案の進行状態から見まして、当然八月一日でなければこれの施行は困難と考えますので、かくいたしたいのでございます。その他の規定は大体條文の整理にすぎないのでありますので、御説明申し上げるまでもないかと思うのであります。
 附け加えて申し上げておきたいと思いますのは、附則の第四條でありますが、これは警察法の二十四條に書いてありました條文をそのまま地方自治法の法令に移讓いたしまして、そうして地方自治法におきましては、この警察法の二十四條にありまするリーコル制がただ單に公安委員、いわゆる当該普通公共團体という文字を、当該という文字を削りまして、そうして普通公共團体ということにいたしまして、都道府縣も市町村も同じようにリコール制のできるように條文の整理をいたしたにすぎないのであります。以上簡單でございますが、提案理由の説明といたしたいと思います。
#4
○坂東委員長 ただいま門司委員からの修正動議は、すでに数回前から印刷して皆さんにまわしまして、内容は皆さんの御承知の通りであります。なお一言申し上げますことは、ただいまの修正案は政府提出の第四一号の地方自治法の改正それ自身の修正ではなくして、一般地方自治法に関する修正でありますが、先例によつて修正として認めることになつておりますから、念のためその点だけを御報告しておきます。
#5
○千賀委員 ただいまの修正案に賛成いたしますならば、私は特に重大な点をここに討議をいたしまして、これはぜひとも委員長から本会議において御披露を願いたいのであります。十二條の條例の改正でありますが、この問題が先般來地方自治團体の職員の労働組合関係から強く取上げられております理由は、彼らが職員として執務をいたしておりまする際に、政府から非常に無理な注文が來る。最も短期間において、たとえば市町村民税の総計をいつまでに割付けをして徴税しろというような、まつたく不可能なことを言つてまいるので、当該吏員たちも政府の言つてくることに反抗する方法もないから、その期間においてとにかく形ばかりの仕事はやつてみるのであるけれども、これは割当をする者の方がすでに公平を欠いているので、自分が承知しているという程度にしか措置ができないというのであります。割当をする者がすでに自信を失つている方法において課税率の按配をした以上は、この割当を受ける市町村民が、かような乱暴な注文に対して納得をするはずはない。街に行きますれば、おれの方がお隣りよりも身上が惡いのに、おれの方が多くてお隣りは少い。お隣りのやみ屋はふんだにもうけているのに、おれの方が家が大きいということで、まつたく中はがらんどうで何も收入はないのに、大きな負担がかかつてくる。こういうような声が実に引きも切らず、その整理はまつたく人間業では不可能だと見られるような状態を常に呈しておつたのであります。かようなことが続きますることは、ひいては市町村吏員に対する不信任となり、地方行政機関に対する人民の仇敵的な怨恨が増大するので、これは執務いたしておつてもまつたく足が地につかない。こういうことを抜本塞源的に改めるのにはどうしてもこの十三條の改正を断行されたのでは、われわれはとても將來善良なる吏員として働いていく自信もなければ、また見透しもつかないのである、かようなわけでこの修正は思い止まつてくれろ、こういう理由で運動を続けたのだということを述懐しております。私はそれを聞きまして非常にごもつともである、その点から見ればまつたくわれわれはこれに難を言うべき筋合はないということをしみじみ感ずるのでありますけれども、さしあたり私どもが参考人から懇談として聽きました理由を申しますると、その点でリコール制を濫用されたのでは地方自治團体の行政もやはりやつていかれない、そういう面から種々説かれてみれば、それもごもつともと思うのであります。よく檢討いたしますると、結局これは両方の目的は相反しているのではなくて、政府の暴政がここに至らしめたのだということがはつきり言えるのであります。この修正を取上げることも可でありまするけれども、これを取上げるならば、再び財政当局が地方自治体に向つてまつたく不可能であるというような難題を將來言いかけないこと、課せないこと、これが根本的な重大な問題でなければならぬのでございます。これさえ拂拭されましたならば、この点はリコール制を停止いたしましても、大きく地方民の既得権を侵害するというほどのことでもないと思うのでございますが、政府の当路者が將來に対してどういう覚悟をもつているか、この点をはつきり私は質した上でこれを賛成いたしたい。かように思つてもおるのでございますけれども、これは委員長から本会議において全議員並びに政府に向つて明確にこの理由を吐露していただければ、さしあたりこれは賛成してもいいとも考えているのでございます。以上の点を強く申し上げまして本案に賛成をいたします。
#6
○坂東委員長 ただいま千賀委員の御説はごもつともでありますから、委員長報告の際に十分にこの点は強調いたしまして、政府をしてそのことのなからしむるように、また委員会としてもそれに対する適当の方法を講じたいと思います。了承いたしました。
 なお千賀委員から質疑になりました漢字制限の不便並びに漢字制限による法律用語のかなまじり等の不便はごもつともでありますから、もし千賀委員が御承知ならば委員長報告には十分それを入れたいと思います。この問題はひとり漢字制限の問題のみならず、法律の用語についても十分研究しておく必要があると思いますから、今後この委員会もその点十分研究を加えたいと思います。その点附け加えておきます。
#7
○千賀委員 地方自治法の一部を改正する法律案につきまして、われわれの修正意見を討論いたしますのについて、この際委員長にお願いをするのでありますが、ただちに官房長官を御招致願いたいと思いますが、いかがです
#8
○坂東委員長 連絡しておりますが、まだ來ません。なお連絡いたします。
 松澤君から緊急動議があります。松津君。
#9
○松澤(兼)委員 実は先月の五日より神戸大阪における騒擾事件の調査を川橋豊治郎君、小暮藤三郎君及び私の三人に御委託になりまして、その後いろいろと調査の結果をまとめておつたわけでありますが、あまり時間も長引きますし、もし委員長においてお差支えなければ本日ここで報告をさせていただきたい。
 それからもう一つは、これを最初から詳細にそのいきさつをお話いたしますとたいへん長くなりますので、詳細の報告は別紙報告書を委員長の手もとに提出いたしますから、ただいまから申し述べます最後の結論的な部分、すなわち警察制度運営の問題を中心として將來改正すべき点として申し上げます分と一緒にして、速記録にお載せくださることができますならば幸だと思います。委員長におきましては委員の各位に御相談くださいまして、御承認を得られんことを望みます。
#10
○坂東委員長 皆さん御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○坂東委員長 御異議なしと認めます。松沢君。
#12
○松澤(兼)委員 それでは報告の最後の部分、特に神戸、大阪事件の経驗から見た警察制度運用に関する改革方途につきまして申し上げます。
 今回の神戸、大阪事件を契機としまして暴露せられた警察機構の不備、警察法の要改正点等は、おおむね次のごときものであります。すなわち
 一、主管大臣の必要
 二、公安委員会運営の改善と啓発
 三、警察力の充実
  1.警察官吏の定員増加
  2.警察官吏の装備の充実
  3.警察官吏の待遇改善と質の向上
 四、警備情報の義務化
 五、地方的非常事態の宣言
 六、警察法の改正
 これより順を逐うてこれを略述することといたします。
 今回神戸、大阪方面に惹起いたした騒擾事件は、これを國家的に見まして未曽有の不祥事と言うべき問題でありまして、警察行政面における政府の責任はきわめて重大であります。しかるに今日の警察機構は、先般の警察制度改革により、個々の自治体警察及び弱小の國家地方警察に分散されたため、警察運営の部分的、地方的の責任者はあるが、國家としての治安維持の責任は、はたしてだれがこれを負ふのか、すこぶる明瞭を欠いております。戰後の國内事情に照らし、今後もかかる事例がいろいろな原因、種々の様相によつて惹起するなきを保しがたいのであります。速やかに主管の國務大臣を定め、過去の経験を生かして、將來の対策樹立に万全を期し、國民に対して、警察行政面における責任の所在を明らかにすべきであります。
 もとより警察國家の復活は嚴に戒めなければならぬが、一般的治安の確保の面より見て、また將來各種の取締法案の立案、企画等についても、現行制度はその責任をとるべき責任者を欠いているため、その中心となるべき國務大臣を設けることは必要であると信ずる。
 二、公安委員会運営の改善と啓発。
 公安委員の人選に関しては、警察法上種々な制限が加えられ、端的に言えば純然たる素人を任命することをもつて理想としております。なるほどこれによつて、ややもすれば旧弊に堕し、化石しやすい警察の行政に、の斬新味を加え、時代に即したいわゆる民主警察出現の期待はかけられるのでありますが、何といつても純然たる素人は、公務員生活に慣れていませんから、自分の職責を十分に自覚し、積極的に自分の仕事を打ちこんでやろうという氣魄に乏しく、はなはだしきに参つては、自分は素人であるから、警察のことなど進んで考えたことがないなどと吹聽し、これをもつて誇りとして、進んで勉強しようとしない者さえあるのであります。そのため任命後すでに相当日数を経たにもかかわらず、警察行政に対する研究を欠き、責任観念の薄い者が多いのであります。ゆえに非常事態等の場合に処して、適宜な活動をなし得ない者の多いことは、むしろ当然の帰結と言はざるを得ないのであります。
 ついては、公安委員会はその職責の重大性を理解し、警察行政を從來の職業的警察官吏に全面的に委ねることなく、常勤制を採用して、速やかにその責任観念を喚起し、積極的に職務に盡瘁せしめるよう何らかの方法を講じなければならぬ。それと同時に、随時地方または中央で、公安委員の研究会ま、たは懇談会を催す等の方法をもつて、お互いに切磋琢磨の機会をたびたびつくりそしてこれには國会からも関係議員が出席して、研究協力の任に当るような仕組をつくるのも一案あろうと考へるのであります。
 二、警察力の充実。
 警察がもつと充実していたならば、あるいは神戸、大阪の事件もあのようには重大化しなかつたであろうと考えられます。警察の充実問題としては、当然(一)警察官吏の定員増加、(二)警察官吏の装備の充実、(三)警察官吏の待遇改善と質的向上が考えられます。(一)警察官吏の定員増加。
 一般的に見て、現在の定員が國内治安維持に不十分であるが、今回の事件を通じて見ると、神戸市自治体警察においては、警察吏員の一人の受持人口は二百人であるのに、大阪市自治体警察においては警察吏員一人当り受持人口は百五十人であります。その結果、地域の近接している同じ大都市でありながら、神戸市警察の定員は、大阪市警察の定員に比し著しく少くなつております。人口によつて警察官の定員が異なることは当然でありますが、これは警察吏員配置表の区分基準を大阪市と神戸市との間に若干の差をつけておるところからくる不合理に起因するものでありますから、速やかにこれを是正して、神戸市その他重要都市における警察吏員の定員を、治安維持に必要な程度に引上げるべきであると考えます。またこれを國家地方警察の面から観察すると、自治体警察が國家地方警察の府縣本部に應援の派遣を申請しても、現在の縣本部の寡少な人員をもつては、とうてい自治体警察の要求に副うべくもありません。すなわち國家警察としては、手もとに十分の予備隊をおいていないから、いきおい附近の村落に散在している國家地方警察官をかり集めて間に合わせるほかはないのであります。しかしこのことは、ただにその招集に非常な手数と時間とを要するのみならず、せつかく集めてみても、平素から團体訓練事を積んでおらないから、いざというときの役に立たない憾みがあるのであります。一部の急性進分子の中には、今回の神戸、大阪事件に際して、日本の警察力ははなはだ弱小であるから、今後ははなはだ與しやすいという自信を得たもののやうでありますが、かくては警察の威信を維持する上において、遺憾であるばかりでなく、將來の治安維持の上から見て、憂慮にたえないものがあるのであります。
 そこで國家地方警察本部は、常駐適当人数の予備訓練部隊を手もとにもつており、一朝有事の際に処するため、十分な團体訓練を施しておなければなりません。なおさらに各縣本部ごとに、平坑約五百人の常備機動部隊を置くとすれば、設置の必要ある縣の数を四十二とし、それに北海道には五百人ずつ四箇所にこれを置くとして、きわめて大体の計算でありますが、全國で約二万四千人を必要とすべく、これに予備用員約一千名を加えて、この際大よそ二万五千人の増員承認方をその筋に懇請すべきでありましよう。
 二、警察官吏の装備の充実
 現在警察官吏の携帶しておる武器は、拳銃のみでありまして、その携帶率は、警察官吏六人につき一挺の割合であります。これではとうてい完全な警備をするわけにいかないから、速やかに全員にこれを携帶せしむるやういたしたい。次にせつかく、武器を携帶するに至つても、これを濫用したり使用が拙劣であつたり、はなはだしきにおいてはその武器を奪われたりしては、大いにその効果を減殺するのみならず、かえつて危險でありますから、武器携帶にあたつては、特に精神訓練と、射撃練習とが必要であります。この点は各警察ともはなはだ遺憾な点が多いのであります。また取締りの対象がだんだん発達して、個人対象から集團対象へと移行しつつある今日、警察用の武装としては、拳銃のみをもつてしては不足でありまして、機関銃、装甲車を必要とすることもあろうと思われます。
#13
○坂東委員長 それでは今の松沢君の御報告は後回しにしまして、ただちに討論に移ります。千賀委員。
#14
○千賀委員 地方自治法の一部を改正する法律案の附則第二條につきまして、官房長官の御声明を得た上で御賛成しなければならない問題がございます。それは昭和十三年というのでございますから、戰争が始まるとすぐそのときからこのかた、地方市町村の間で分合廃止が行われてきたのでございまするが、その全部にわたつて吸收されました方面は、その部分だけの決議によつて、大きい方の市町村から離れることができる、こういう改正の趣旨になつております。しかしながらこれは戰爭のためと言えば言えるのでありまするけれども、まつたく必然的な人文発達の線をたどつて、そのような合併をした所も少くはないし、またその他の関係もありまして、いわゆる合併條件その他が制定をせられて、その合併をせられた部分に過大な施設をして、その合併した部落の町村民を慰撫したというような関係もたくさんあるのでございます。今その部分だけが離れてしまつた方がいいという決議をしたときに、これが離れるということになりますと、大きい方の町村におきましては、その方面に多大な投資を行つた。これがゆえなくして小さいところの決議によつてもつていかれるということになりますと、ずいぶんこれは大きな不公平が起つてきたり、あるいは政治上、事によれば人道上の問題として見なければならないような問題も起つてくるので、相当これは深刻な問題でございましよう。かような場合があつたと仮定しますれば、おそらく離れていかれる方の町村議会は、離れることを承諾しないという決議をするだろうと思います。離れていく決議と、離れてはならないという決議と、両方対立いたしまして、意見が合わないときには、上級の、たとえば都道府縣のごとき議会がこれについて何らかの意思表示をするというようなことも説明を受けつつあるのでございますが、これに対しまして明確な文章がないのでございます。そこで上級の議会がこれに対して可であるとかあるいは不可であるとかいう意思表示を決議を通じていたしました際は、その決議通りに下級の議会の紛爭が解決されるのか、それとも上級の議会の決議があつたのにかかわらず、下級の決議だけがまだ依然として服せずに相反抗を続けるというような場合にどうなるのか、この点を明示されたいと思うのございます。
#15
○苫米地國務大臣 ただいまの御質問は至極ごもつともだと思います。戰時中に合併しました町村におきましては、自然に適つたものもあれば不自然な合併もあつたように思うのでありますが、今度の場合におきましては、戰時中に合併したものの中のある町村が、分村を希望するという住民の希望があれば、これを取入れる、こういう規定でありまして、今町村の議会と言われましたけれども、議会でなくて、住民の一般投票です。一般投票の過半数がこれを分村すべしと、こういうふうにきめますれば、これをその縣の議会がもう一遍審査します。この縣議会がその地方の状態及び住民の希望、一般の利害というものを、とらわれない観点からこれを審査いたしまして、縣の議会で過半数できめれば、初めてそこでこの分村の決定が行われる、こううことになつております。
#16
○千賀委員 そこで縣会が分村は適当にあらずということをきめた際には、どういうふうになりますか。
#17
○苫米地國務大臣 その場合には、その町村の一般投票できめられた決議はやはり成り立たない。法律施行後二箇年聞これが行われるのでありまして、二箇年後になればそういうことさえも行われないのであります。
#18
○千賀委員 私の第一回の質問で、少し言葉が間違つたところがありましたが、小さい所にはもちろん議会がないのであります。これは一般投票で、人民投票であるはずであります。この点は私の間違いでございましたが、今度は合併をしておつた村の議会が、分村は適当だという決議をすれば、もちろんそれはわかれていく所の人民投票と相まつて、一層効力は明確になると思います。そこで合併をされたところの市町村議会が、わかれていつては困るということを決議した場合には、もちろんその決議をしても、これは法的に有効ではないとは思いまするけれども、しかし縣議会がこの問題に対しまして決議をする場合に、縣議会にこの問題を審議をさせる大きな根拠となるのでございますが、そこでわかれられるところの議会の決議というものは、相当に大きな問題が事実はあると思いまするけれども、これは法的根拠をこの法の中で認められますか。その小さいものが、離れていこうということを人民投票できめて離れていく。離れられるところの市町村議会が、離れていつたのでは困るという決議をするということは、この附則の二條の中では法的根拠を認められるか、これは法律根拠としては無視せられて、ただ縣の議会の決議に対する一つの参考という程度でありましようか。法的の根拠が認められるか。そこはいかがですか。
#19
○苫米地國務大臣 ただいまのところがかんじんな点だと思います。要するにこの決定権は縣の議会にある。ただ分村を希望する一般住民の投票によつて、これは非常な強い参考になるのであります。從つて分村を希望しないという決議を、一方の方でやるかもしれません。その場合もやはり縣議会としては、これを一つの参考資料として、そうしてとらわれない高いところからこれを判断してきめる、こういうことになつております。
#20
○千賀委員 ただいまの官房長官の御答弁で、大体了承をいたしました。この問題は少くも官房長官によく御認識を得たいのでありますが、これは全國の非常に大きな問題になつて、このために村がつぶれるか、あるいはせつかくつくつた都市がまた解散をされるか、千波万波を呼んでおる問題でありまするから、いずれ縣議会がある決議をするような場合には、相当な政治的な問題になつてくるのでありまするが、それと前後しておそらく所管大臣であるあなたの所へは、くしの歯をひくように、いろいろな陳情が櫛比してくると思います。そういう場合におきましても、これはよつて來るところのいろいろな理由があつて合併されておるものが多く、ただ戰爭なるがゆえに、軍閥が横暴で、小さい村をむり抑えにして、大きな所に合併さしてしまつたというようなことは、むしろ私は少いのだと思いまするから、さような点もぜひとも適当に、これはその分村問題の裏と言いましようか、眞相もよく吟味していただいて、ここに不必要な地方自治体に対する動揺を起さないように、最小限度の動揺で済むようにお取計らいを願いたいと思います。私はこの希望を申述べまして、本案に賛成をいたします。
#21
○坂東委員長 ただいま門司君の修正に対しまして、なお政府の原案に対しまして、千賀君から非常に有益な、ごもつともな質疑があり、千賀君も十分了解されました。從つて採択いたします。内閣提出第四一号、地方自治法の一部を改正する法律案は、政府の原案に……。
#22
○千賀委員 これは附則第二條だけでございます。ちようどいいところでございまするから、私はほかの問題でこれについて主張しておるところを、所管大臣に申し上げます。この法律の中で使つてありまする用語が、方々かなで妙な翻訳が出てきておるのでございまするが、かようなことが重なつてまいりますると、実に日本の法律文書というものは乱れまして、やがてはどこにおちつくのかわからない。まつたくよることができないような事情になつてしまうだろうと思います。そこで私は各方面からこの問題について研究もし、あるいは答弁も得たのでありまするが、これはまつたく政府部内の一つの道樂と申しましようか、もちろんこれは惡い意味ではないでしよう。何らか日本の文化に貢献できるつもりでおやりになるのだろうとは思いますが、政府部内の方々でこういう企てをしておられても、國民全体といたしましては、何らこの運動に服從する義務はない。まつたく法的根拠がないという現況において、やつておられるのでございまするけれども、同じ地方制度の委員会の中のものでありましても、ずいぶん不統一でありまして、警察法では、この法案の中では「ドツク」と表現されていることを、「船きよ」と書いてありましたり、非常に不統一でございます。これは法律全体を見たら、よそにもすいぶんあると思います。しつかり研究し盡すいとまがありませんけれども、私はこの問題は根本的には委員会の態度が惡いということを指摘します。どうしても使わなければならない漢字を、法律の進行上、日本の生活の進行上氣がついてくれば、ときどき委員会を開いては、その制限漢字の中に最小限度の圧縮したものを今月は幾字を加えるとか、その次に各方面から請求があつたものはよく審査をして、幾字を加える。こうしていけば最小限度の制限で、なおかつ國民に不便を與えることなしに、なるべく漢字を少くすることは可能であると思いまするけれども、それをやらない現況におきましては、すでにわれわれが金科玉條としておる日本の書法でさえも、今の制限漢字の外になつておるというようなことをやられておるので、この点非常に困ります。私は根本問題は別といたしまして、今囘御提出になつた治安委員会関係の法案の中に、二、三字妙な文字が使つてあるので、これはわれわれが修案を出して修正をいたしましても、あるいは政府の方で修正をなさつても、どちらでもいいけれども、とりあえず不合理から脱却をしたいと思うのでございます。これは事例の六の項にありまする「じんかい処理場」という言葉がかなで書いてありまするが、これを制限漢字の中でくふうをして、同じ意義を表わすということを考えてまいりますると、これは「じんかい処理場」と言わずに、都市老廃物処理場と言えば、十分意義はわかると思います。また「めいてい者」ということが、かなで書いてありまするが、これも泥醉者になれば非常に結構ですけれども、このどろという字がないそうです。だからこれをやまと言葉を使つて、醉いどれと修正してもらつてもいいのでありまするし、また醉漢とやつてもらつてもいいのであります。女でも將來は酔いどれができるのでしようが、そうすると漢の字はあてはまりませんが、それくらいの不便を忍んでも、これは意義がわかればいいと思います。それから「風俗のじゆん化」という字が使つてありますが、この「じゆん化」などというのも、すこぶるあいまいでありまして、これは善良な風俗の維持向上とやつてもらえば、われわれの使い得る漢字の中で、「じゆん化」などと不明瞭なものを使うよりも、もつとりつぱな言葉になると思います。かような点に私どもは、字句の問題でありまするが、しかしこれは相当に意義の大きな問題であるので、修正意見をもつております。
 それから事例の第三でありまするが、本文には「上水道その他の給水事業、下水道事業、電氣事業、ガス事業、電車事業、自動車事業、船舶その他の運輸事業その他企業を経由すること。」とあります。この「その他企業を経営する」というのは、すこぶるこれは意義重大でございまして、およそ世の中の経済行為に、企業たらざるはないのでございます。民衆の生活の基礎になつておる事業というものは、ことごとく企業でありまするが、あらゆる企業をここで行つてもいいん、たという例証がここにありますることは、はなはだこれはよろしくない言葉であります。あるいはこの、起案者は、「その他企業」ということは、運輸事業に類した企業という意義のつもりかもしれませんけれども、それにしても文章が適当でないから、これは全企業を指すということになつてしまつておるのでございます。私はこの「その他企業を経営する」ということは、一切これは削除することを提案をいたします。なお「その他企業」ということは、これは地方自治体というものは公共性をもつからということならば、うしろの方の十のところに、「森林、牧野、土地、市場、漁場、共同作業場の経営その他公共の福祉を増進するために適当と認められる收益事業を行うこと」とあり、これが可能になつておりまするから、公共事業をこれが意味するということ事は、まつたく重複でありまして、法律の文章としてはとらざるところでございます。これを取去りまする必要上、文章の体をなしませんから、私は以下続みまする修正をいたしたいと思うのであります。
 三、上水道その他の給水事業、下水道事業、電氣事業、ガス事業、電氣軌道及び自動車事業その他水陸運輸交通事業を経営すること。こういうことに修正をしたいと思います。
 四は、ドツクその他を一切やめまして、大小港湾施設――大港湾の施設の中にはもちろんドツクがある。大小港湾施設、護岸、防波堤、倉庫、上屋その他海陸運輸に必要な造営物を設置し、もしくは管理し、またはこれらを使用する権利を規制すること。これは同じであります。かようにした方がはつきりいたしまして、まがいがないという点で、意義はまつたく同じであります。ただ「その他企業を経営すること。」これを抜いたために、こういうふうに文章が変つてきて、なお容易に表現し得るということを考えるのであります。こういう修正をいたしたいと思いますが、その点につきまして、主管大臣の御意見はいかがでございますか。
#23
○苫米地國務大臣 千賀委事員の第一点はたいへん結構な御注意と思います。時代が変りまして、いろいろな國民用語もだんだん変つてきます。殊に最近では漢語の制限等がございまして、從來のような用語をそのまま使うことができないということに非常に不便を感じます。そこで最近政府でも、少くとも官廰用語だけは統一しなければならぬということで、現在研究さしておるわけなんですが、まだそういう過渡時代でありますから、あるいは御注意になつた点はあると思います。しかしせつかくつくつたものですから、今度はこの程度で御承認を願われれば結構だと思うのです。やがては直るべきものだと私は考えでおります。
 それから第二点の、第三号の「その他企業を経営する」ということですが、これは前文をずつと読んでみますと、何でもかんでもの企業でなくて、やはり自治体が経営するのでありますから、おのずから公共性をもつた企業、こういうことに読めることは読めるのですが、一應明確にしなければならぬとおつしやれば、それも一應ごもつともだと思うのです。思いますが、政府の起案の趣旨は、他の自由企業を意味するのでなくして、公共事業を指すというふうに考えて、前文からずつと読んでみれば、類推して公共事業だというふうに解釈できるのではないかと思うのですが、そういう点で御了解願えれば非常に幸だと思います。
#24
○千賀委員 解釈でわかるというようなものを法律の主文につくらぬでも、一見してすぐわかるものをつくる責任がおありになると思う。私は根本精神から言つて、これを覆えしてあなた方にどろをつけようとは思つておらぬ。まつたく同じ意味の言葉をもつと適当に表わそうということで、こうなさつた方がわれわれも納得しやすいし、人にもわかりやすくさせると思うがどうですというので、これは敵視した注文じやない。味方になつた注文ですから、御採用になつた方がよいと思うのですが、御意見いかがでありますか。
#25
○坂東委員長 それでは暫時休憩いたします。
    午後三時十七分休憩
     ――――◇―――――
    午後三時二十八分開議
#26
○坂東委員長 休憩前に引続いて会議を開きます。千賀君。
#27
○千賀委員 本案の例証第三号と第四号とに修正意見を提出いたしたのでございますが、この修正意見を採用することにいたしましてもさらに〇・Kをとるのに時日を要し、その相手方が旅行中だというようなうわさもありますので、この際委員長の苦衷を察しまして、大体このまま私どもは賛成をすることにいたします。しかしながらこの三の「その他企業を経営すること。」ということは、依然としてこれは難解でありますけれども、この三にかかわる企業ということは、ぜひともこれははつきりしなければなりません。この企業の中に、例示が残された問題があるならば、それを「その他の企業」としておくということで、これが國民全体を含むあらゆる産業、あらゆる企業を指すものでないということだけは、ここで明示をしなければなりません。それから原文をこのまま三、四ともに認めることになりますと、私の修正意見も同時に撤回をいたします。私はこの「その他企業を経営すること。」というのを削除いたしまして、あとを合理的な文章にするために全体を修正することを申し上げたのでありますが、これを残すということになりますと、私の提案しましたものは撤回をいたします。
 それから制限漢字でありますが、もちろんこれは提案者も不合理を自覚しておられるようでもありますし、主務大臣も非常にこの点は不合理の点をよくわかつておるようでござとますから、この際この三字だけを訂正いたしましても、これだけで日本の法律の用語にかかわるものが全部これで直るというわけではございませんので、一まず私はこれを認めますが、しかしこれは同僚議員諸君とともに、この際政府に大いに警告をいたしまして、法律に使う文字だけはせめて意義の透徹した文字を使わなければならないということを、ここに強く要望いたしますとともに、近い將來にこれは決議案その他の形式によりまして、政府並びに國会の注意を喚起したいと思います。以上明確にいたしまして本案に賛成をいたします。
#28
○坂東委員長 ただいま千賀委員より最も適切な御発言があり、また法の不備等に関しまして、政府並びに國会に要望せられた点もありましたので、十分了承いたしました。そこで採決でありますが、政府の原案並びに門司君の修正案がありますので、これをひつくるめてのことでありますが、内閣提出、第四一号、地方自治法の一部を改正する法律案は修正議決に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#29
○坂東委員長 それでは満場御異議ないものと認めまして、これをもつて修正議決いたしました。
    ―――――――――――――
#30
○松澤(兼)委員 先ほど中断しました残りを御報告申し上げます。
 三、警察官吏の待遇改善と質の向上
 警察官吏は、労働組合を組織し、またはこれに加入することを禁ぜられております。これはあえてわが國ばかりの問題でなく、往年英國ロンドンにおける警察ストライキで、苦い経験をなめて以來、米國初め多くの國で、警察官吏の労働運動を禁止しております。ゆえに警察官吏は、他の勤労階級におけるごとく、その團結権または同盟罷業権を盾にとつて、自己の待遇改善を要望することができません。それだけ、為政者としては、警察官の待遇改善には、細心の考慮を拂わなければなけません。労働爭議等の手段によつて、強く主張する者には、その要求がどしどし認められ、默つておとなしく官紀に服している警察官吏の給與は、いつまで経つても上らないというのでは、警察志氣の上に及ぼす影響も甚大であります。また警察官吏は、常時、身体の危險にさらられているのであるから、殉職に対する完全慰藉の制度、警察共済組合の強化拡充によつて、十分の保障を與えるようにすれば、今回の神戸事件におけるがごとく、警察側が軽蔑を受けなくても済んだでありましよう。これらの達成によつて警察官吏の地位が向上すれば、その質もおのずから良好となり、あらゆる事務の執行の上に好結果をもたらすべきは、いまさら多言を要しないところであります。
 四、警察情報の義務化
 警察法第六十條には、犯罪統計、並びに鑑識について、自治体警察より國家地方警察への報告義務を規定していますが、情報については規定がありません。今回の神戸、大阪事件が、あのやうに重大化した一つの原因は、情報の不完全にあつたと言われております。すでに尼ヶ崎方面において、早くからその徴候があつたのに、この方面に関する情報が得られなかつたために、あんな大事に至つたのであると称せられておるのであります。そこで、自治体警察相互間、自治体警察と國家地方警察との間、國家地方警察相互間において、互に新鮮な情報を交換し合い、事件の発生を未然に防止し得る途を講じたいものであります。それには上述のごとく、現在警察法の規定中、自治体警繁から國家地方警察に対して、統計資料の提出をする義務があるのを拡張して、この義務を情報交換にまで推し進めるのも一案であるし、また、実際問題として、公安委員なり、警察長なりが横の連絡、縦の連絡を密にし、ときどきそれぞれの者が適当に会合して、情報や意見の交換を行うことが必要であります。情報の交換に関連して、通信施設の完備を取上げなければなりません。非常事態発生の場合のごときは、寸刻を爭うのでありますから、通信の迅速ということは、何をおいても大切なことであります。現在警察には、警察專用の電話があり、このおかげで非常事態の場合はもちろん、犯人の手配、情報の傳達等、火急に処し、大いに効果をあげておるのであります。しかるに、仄聞するところによれば、近く通信施設一元化のため、警察電話は廃止せられて、逓信電話に併合せられるといいます。もしはたしてしからば、通信の迅速を期待できないのみならず、警察執行業務の上において、最も大切な秘密の嚴守は失われ、同盟罷業による警察通信の中絶を招來して、警察としては、致命的打撃をこうむるに至るであろうゆえに、われわれは何とかしてこの一元化を阻止するか、あるいはこれを延期せしむる方途につき、その筋に懇願する必要があり、もし時すでに遅しとするならば、一元化によつて生ずる不便損害を最小限度に食い止める途を講じなければなりません。
 五、地方的非常事態の宣言
 警察法第六十二條の規定によれば、全國のみならず一部の区域についても、非常事態の布告を発するには、内閣総理大臣がこれを行わなければならぬこと、しこうして、内閣総理大臣からの布告を発するには、國家公安委員会の勧告に基かなければならぬことが、要求せられている。その結果、一々内閣総理大臣や國家公安委員会の手を煩わすことは繁にたえないのみならず、ときにあるいは時期を失して取返しのつかぬ事態を惹起するおそれがある。そこで非常事態布告の手続はもつとこれを簡素化し、たとえば都道府縣知事は、都道府縣公宏委員会の勧告に基いてその都道府縣の区域内における非常事態の布告を発しうるようにし、もしその区域が二つ以上の都道府縣の区域にまたがるような場合には、関係管区本部長がこれを発しうるように改めたい。
 六、警察法改正の諸点
 警察法は昨年十二月成立し、本年三月から実施せられたのであるが、その後世相の変轉目ざましきものがあり、特に今回の神戸、大阪事件のような事態の発生に際して、最小限度に考えても、上に述べ來つた諸点のほか、警察法に対しなお次のような改正を加えざるを得ないであろう。
 一、援助要求者の拡張
 警察法第五十五條の規定によれば、市町村警察から國家地方警察に援助を要求する場合は、その市町村公安委員会が、これをなさねばならぬことになつているが、市町村公安委員は兼職を許され、必ずしも常勤を建前としておらぬから、非常の場合急に集まるということは困難である。そこで時期を失しないために、援助の要求をなし得る者は、公安委員のほか警察長をもこれに加え、もつて実情に即した措置をなし得るよう第五十五條を改正すること。
 二、國家地方警察よりの要求または自治体警察相互間の要求。
 警察法第五十五條の規定による援助の要求、職権の行使は、ただ自治体警察から國家地方警察に対してのみなし得るのみであります。この逆の場合、すなわち國家地方警察から自治体警察へ援助を要求する場合、あるいは、一つの自治体警察から他の自治体警察へ援助を要求する場合、職権行使の規定がないから、これらの場合には警察官吏としての職権行使ができるのか否か、疑問である。しかるに実際問題としては、警視廰や大阪市警察局のごとく、厖大な自治体警察をもつているものに対しては、むしろ周辺にある弱小な國家警察から自治警察の方へ援助を求める場合が多からうし、神戸市とか大阪市とかいうふうに、自治体警察が近接しているような場合には、両者の間に援助を要求し合う場合も少なからずあろうことが察知せられる。そこでこれらの場合援助に派遣せられた警察官吏がその派遣せられた区域内でも職権を行使し得るよう、第五十五條の規定を改正すること。以上をもつて、全体の報告の一部でありますが、報告を終ります。
#31
○坂東委員長 最初お諮りして決定しました通り、今松沢君の御報告の残部のものはそれは他日原稿を速記に載せることにいたします。
 残余の日程は延期いたしまして、本日はこれをもつて散会いたします。
    午後三時四十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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