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1947/10/30 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 本会議 第52号
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1947/10/30 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 本会議 第52号

#1
第001回国会 本会議 第52号
昭和二十二年十月三十日(木曜日)
    午後二時二十七分開議
    ―――――――――――――
 議事日程 第五十一号
  昭和二十二年十月三十日(木曜日)
    午後一時開議
 第一 自由討議(前会の続)
    ―――――――――――――
#2
○議長(松岡駒吉君) 諸般の報告をいたさせます。
    〔参事朗読〕
 本日委員会に付託された議案は次の通りであります。
 (内閣提出)地方鉄道法の一部を改正する法律案
    運輸及び交通委員会に付託
    ―――――――――――――
#3
○議長(松岡駒吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#4
○議長(松岡駒吉君) 去る二十五日内閣総理大臣から、國家公務員法附則第二條第六項及び同法第五條の規定に基いて、臨時人事委員長に浅井清君、臨時人事委員に上野陽一君及び山下興家君を任命するため、本院の同意を得たいとの申出がありました。右申出の通り同意を與えるに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本院はこれに同意を與えることに決しました。
     ――――◇―――――
 職業安定法案(内閣提出)
#6
○安平鹿一君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、内閣提出、職業安定法案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#7
○議長(松岡駒吉君) 安平君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 職業安定法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。労働委員会理事山下榮二君。
    〔山下榮二君登壇〕
#9
○山下榮二君 委員長に代りまして私より、ただいま議題となりました職業安定法案の労働委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本法案は、公共職業安定所その他の職業安定機関が、憲法に規定する個人の職業選択の自由趣旨を尊重しつつ、各人の有する能力に適当な職業につく機会を與えることによつて、産業に必要な労働力を充足し、もつて職業の安定をはかるとともに、経済の興隆に寄與することを目的とするものであります。現行法としては職業紹介法があるのでありますが、この法律は労務の統制配置を目的としたものでありまして、新憲法下個人の基本的人権を尊重しなければならない今日、妥当を欠く点が多いため、政府はこれを廃止することとし、新たに新憲法の精神に則る職業安定法案が提出せられ、労働委員会に付託されたのであります。
 しかして、本委員会は八月十五日から十月二十八日に至るまで七回にわたつて開催し、愼重に審議をいたした次第であります。政府からは米窪労働大臣、佐藤法制局長官その他の政府委員が出席せられ、眞劍なる答弁、説明が行われたのであります。以下、そのおもな点を申し上げます。
 第一に、本法案第四條に、この法律の目的を達成するために政府の行う業務の一つとして、「國民の労働力を最も有効に発揮させるために必要な計画を樹立すること。」と規定してあるのでありまして、これと関連し経済再建計画の一環としての労働力需給調整計画の樹立の必要性及びこれが企業遂行に当るべき機関の整備について政府の所見はどうであるかということを質問いたしたのに対し、政府よりは、事はきわめて廣汎にしてかつ複雑な問題であり、諸般の前提條件が未だ明らかでない今日、早急に結果を出すことは困難であるが、今後これが企画に当るべき部局の充実と相まち、要望にこたえるよう十分努力する旨の答弁があつたのであります。
 第二に、本法案の第七條、第八條の規定に関連し、都道府縣知事に対し公共職業安定所の指揮監督権を委任した趣旨について質疑が行われたのであります。これに対し政府からは、本來職業行政は全國にわたる労働力の需要供給の調整をはかることを要するもので、全國的統一性を保持するために、中央から末端機関に至るまで一本の系統で運営されるのを理想とするが、他方、地方自治の本旨を尊重してその間の調和をはかり、公共職業安定所の第一次的監督を都道府県知事に委任したものであるとの答弁があつたのであります。
 第三に、本法案の第九條に関連し、職業行政の効果の發揮は、その業務に從事する職員の素質、能力に依存するところはなはだ大なるものがあるが、これに関する政府の所見について質問がありました。これに対し政府よりは、本條において職業行政職員について「労働大臣の定める資格又は経驗を有するものでなければならない。」と規定してあるのも、職業行政の特質に鑑み、官吏経驗にとらわれることなく、客観的に経驗を尊重し、適材を登用するとともに、能う限りこの道の專門員を養成して行政の能率化をはかろうとするものであり、また第五十二條に職員の教養訓練について特に一條を設けたるゆえんはこの趣旨にほかならず、当局としても今後この方面に力を注ぐ熱意と具体的計画とを有するものであるとの答弁があつたのであります。
 第四に、第十二條の職業安定委員会の規定に関し、本委員会の性質が諮問機関であること、委員会の委員を労働大臣が命ずることとなつていること、及び委員会を招集すべき回数について月一回以上あるいは三月に一回以上と規定してあること等に関し質疑が行われたのでありますが、これらの点について政府からは、本委員会は決して單なる形式的な諮問機関に終らせることなく、実際運営に当つても委員会の意見を尊重し、これを行政に反映させる用意があるとともに、委員の任命についても、形式上は労働大臣が命ずるが、委員の選任に当つては関係團体の意向を重んずべきこと、また委員会の招集回数について法文中に規定したものは、最小限度回数を規定したもので、必要に應じて随時招集し得るのはもちろん、行政上の監督手段によつて招集回数に関する規定が空文に終らざるよう督励させる旨の答弁があつたのであります。
 第五に、第二十條の爭議行爲に関する公共職業安定所の不介入についての規定に関し、爭議行爲に関係ない業務の部門に求職者を斡旋することを認める第二項の規定は、罷業破りに惡用される可能性はないかとの論議が繰返されたのであります。これに対し政府よりは、爭議行爲に対する公共職業安定所の中立の立場は嚴として変らず、本條第一項に、爭議行爲の発生する虞があることが明らかな業務の部門に求職者を紹介してはならないとあるのは、きわめて廣い意味を有するものであり、この規定によつて公共職業安定所の爭議行爲に対する不介入の立場は十分守られるのであつて、実際問題としても、公共職業安定所は工場、事業場の爭議の状況に関し労政事務所と連絡を密にすることによつて、爭議行爲の発生するおそれがある場合に求職者の紹介が行われないよう、本條項の運用について萬全を期する旨の答弁があつたのであります。
 第六に、第二十六條の職業補導に関し、職業補導施設、特に傷痍者に対する職業指導並びに特別の職業補導の強化を期するよう強い要望があつたのでありますが、政府としても現状をもつて満足するものではなく、今後要望の線に沿つて、関係方面とも連絡の上施設の整備充実に努力する旨の答弁がありました。
 第七番目に、第三十九條に規定する、労働者は通常通動することかできる地域から募集するように努めなければならないという原則は、反面において、事業がその必要とする適格者を廣い範囲から求め得るのを困難ならしめ、また失業者が偏在している場合、その救済にあたり不都合を來すおそれはないかとの質問に対しまして、政府からは、労働者の募集について地元募集を原則とする本條の規定は、あくまでも原則てあつて、決してこれに対する例外を認めない趣旨ではなく、実情に則應して彈力性ある取扱いをすることは言うまでもないと答弁があつたのであります。第八番目に、第四十四條の労働者供給事業の一般的禁止に関し、その趣旨は結構であるが、これが廃止に伴う政府の対策はどうであるかという質問が行われたのであります。これに対して政府からは、まず從來の供給事業所属の労働者の常傭化をはかるよう指導すること、次に労働者をして自主的に労働組合を結成せしめ、その組合に無料の労働者供給の機能を果さしめること、さらに公共職業安定所を充実強化して十分その機能を発揮させ、從來の供給業者の営んだ機能に代らしめるよう努めるべきこと、また現に労働者供給事業を行う者については、経過規定として、この法律施行後三箇月を限り引続いて事業の継続を認めることとしており、労働者供給事業の廃止に伴う今後の措置に萬全を期している旨の答弁があつたのであります。
 第九番目に、第五十六條以下において、労働大臣の都道府縣知事に対する監督手段として、都道府縣知事がこの法律の規定によつてその行うべき職務に違反した場合においては、労働大臣は当該都道府縣知事に是正命令を発し、当該都道府縣知事が是正命令に從わないときは、労働大臣はさらに高等裁判所に向つて是正命令を請求して代執行を行い得ることと定められた規定に関し、地方自治との関係から、はたしてかかる制度を設けることが妥当なりや否やについて質疑があつたのであります。これに対して政府からは、かかる制度を設けることは業務の円滑迅速な運営を期する上から必要なことであり、またかかる行政訴訟を高等裁判所にもちこむことについては、行政裁判所が廃止された今日何ら不都合なものでなく、都道府縣知事の地位を尊重して手続を愼重ならしめているものであり、またこれが運用にあたつては、第五十八條に規定する労働大臣の代執行権の発動はできるだけ避け、地方自治の本旨に抵触しないようにしたい所存である旨の答弁があつたのであります。
 以上が、大体本法案に対するおもな質疑應答の概要でありますが、なお本法律案の審議に関して、政府のとる失業対策、なかんずく都市失業者及び知識階級者の失業対策について質されたのに対し、政府は、各種の公共事業の実施によつて極力就業の機会を與えるとともに、失業保険、失業手当制度の実施により生活不安の除去を期している旨を明らかに致されたのであります。
 かくいたしまして、本法案に対する質疑は十月十七日終了いたしまして、本十月三十日、討論に入りましたところ、社会党の山下榮二より各派一致の修正並びに附帶決議を述べ、原案に対する修正議決をした次第であります。
 以下、修正箇所について説明を申し上げます。その修正箇所と附帶決議を読み上げます。修正箇所として、
 第十二條第五項中「雇用主を代表する者及び公益を代表する者」の下に「各、同数」を加える。
 同條第六項を次のように改める。
 職業安定委員会の委員のうち一名以上は、女子でなければならない。
 同條第九項の次に次の二項を加える。
 職業安定委員会の委員には、旅費、日当及び宿泊料を支給するものとする。
 前項の旅費、日当及び宿泊料の金額は、両議院の労働委員会の合同審査会の議を経て、國会の議決を得なければならない。その金額を変更するときも同樣とする
 第二十條を次のように改める。
 (労働争議に対する不介入)
 第二十條 公共職業安定所は、労働爭議に対する中立の立場を維持するため、同盟罷業又は作業所閉鎖の行われている事務所に、求職者を紹介してはならない。
 前項に規定する場合の外、労働委員会が公共職業安定所に対し、事業所において同盟罷業又は作業所閉鎖に至る虞の多い爭議が発生していること及び求職者を無制限に紹介することによつて、当該爭議の解決が妨げられることを通報した場合においては、公共職業安定所は当該事務所に対し求職者を紹介してならない。但し、当該爭議の発生前、通常使用されていた労働者の員数を維持するため必要な限度まで労働者を紹介する場合は、この限りでない。
 第三十三條第二項の下に次のように加える。
 但し、労働組合法による労働組合に対し許可をなす場合には、この限りでない。
 第四十二條及び第四十六條の標題の「爭議行爲」とあるを「労働爭議」と改める。
 附則第一項を次のように改める。
 この法律は、昭和二十二年十二月一日から、これを施行する。
以上修正いたしたいのであります。
 次に附帶決議を朗読いたします。
 一、労働力需要供給の調整等、労働計画の立案に当りては、労働省を中心として各産業廳との連絡を密にし綜合計画を樹立すること。
 二、職業に関する行政の特殊性に鑑み職業関係行政官の任用その他の人事に関しては官吏制度におけるが如き資格経驗等にとらわれることなく客観的に考慮の上、人材の登用をなすべきこと。
 三、職業安定委員会の機構並びに運用については單なる形式に終らざる樣考慮を拂い民主的なる実際活用に努めること。
 四、都道府縣知事に対する監督に当りては、地方自治法との調整に愼重なる態度をとり、摩擦しない樣特に考慮を拂うこと。
 以上、委員会の概要を御報告申し上げ、詳細にわたつては速記録によつて御承知を願いたいと思うのであります。
 以上の各派共同提案による修正あるいは附帶決議を、委員会は満場一致決定いたした次第であります。何とぞ本会議の各位、御賛同願いたいことを特にお願い申し上げます。(拍手)
#10
○議長(松岡駒吉君) 採決いたします。本案の委員長報告は修正であります。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り決しました。
     ――――◇―――――
 民法の一部を改正する法律案(内閣提出)
#12
○安平鹿一君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、内閣提出、民法の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#13
○議長(松岡駒吉君) 安平君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 民法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。司法委員長松永義雄君。
    〔松永義雄君登壇〕
#15
○松永義雄君 ただいま議題と相なりました民法の一部を改正する法律案について、司法委員会における審議の経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。
 まず、政府原案の要旨について御説明申し上げます。今回の民法改正の範囲は新憲法に伴う最小限度に止めたもので、全面的改正はすべて今後の改正に譲つております。
 その要旨を列挙いたしますれば、第一に、民事法全般に通ずる日本國憲法の大原則を規定し、その解釈、運用の指針といたしたのであります。
 第二に、戸主、家族その他、家に関する規定を削除しております。すなわちこれによつて、戸主の家族に対する各種の権利は認められないこととなり、なお継親子、嫡母庶子、入夫婚姻その他家の存在を前提とする各種の制度に関する規定が削除せられております。
 第三に、婚姻は両性の合意によつて成立するという原則に從つて、婚姻に関する各種の制限を撤廃し、婚姻生活の内部規律及び離婚原因等についても不公平な規定を削除し、眞に両性の平等に徹する建前において改正が試みられております。
 第四に、親子関係においては子の人格を尊重し、親権に正しい位置を與えようといたしております。
 第五に、親族会を廃止し、後見人の規定を改めております。
 第六に、親族間の扶養については嚴格なる規定を改め、家事審判所の適宜裁量を認めております。
 第七に、家督相続を廃止し、均分相続制を採用いたしております。
 第八に、必要な経過規定が設けられており、なお親族、相続に関する條文は全部これを口語体の文章に書き改められたことであります。以上が、政府原案の要旨でございます。
 本案はわが國國民生活の原則の法典であり、終戦後の國民生活の全領域を規律する重大法典でございますので、本委員会においては十分愼重に審議を重ね、約百日間を要したのであります。すなわち、去る七月二十三日付託さるるや、各委員は下調事べの後、同月二十八日政府の説明を聽き、八月九日質疑に入り、回を重ねること前後十三回、懇談協議も二十数回の多きに及び、別に八月二十日より二日間、本案について本院最初の公聽会を開き、学識経驗者の專門意見を徴し、一般民衆の声をも参考といたしました次第であります。
 委員会においては、全委員ことごとく諸般の観点から眞摯な質疑を行つたのであります。殊に民法第一條の問題、相続特例の問題及び離婚後の氏については、委員外数名の方より意見が開陳せられたのであります。委員会における審議の状態は、冷静な理論が交錯し、各條文の眞意を深く衝いて余すところがなかつたのであります。以下、委員会における幾多の質疑應答のうち最も論議の中心となつた問題と、公聽会における代表的見解を御紹介申し上げることといたします。
 第一に、原案における私権の定義によれば、「私権ハ総テ公共ノ福祉ノ爲メニ存ス」となつているが、この定義は國民の基本権を定めた新憲法の精神を正当に表現していないのではないかという質疑がございました。これに対し政府より、この定義は、國民の権利に関する憲法の規定のもとを押え、その背後にある原理を表面に引出したものであるという答弁でございましたが、この点は劈頭より大きな問題として再三再四檢討の末、後述のごとき修正案として提出せらるるに至つたのであります。
 第二に、何ゆえに戸主及び家族の規定を削除し、法律上の家族を崩壊せしめねばならぬかという質疑がありましたが、これに対し政府より、戸主を廃止しないで、家の精神的中心または家の象徴とすることも考えてみたが、しかし、何らの権利を伴わない戸主を残置することは法律上無意味であるから、憲法上の要請に應じて家の廃止を率直に認め、戸主及び家族の規定を削除したのであるが、もつぱら法律上の家の廃止であつて、わが國民の現実の家族生活はあまり影響を受けないと考える旨の答弁でございました。
 第三に、内縁の妻を救済するために、婚姻の届出を補足して事実婚を公認する方法はないか、すなわちたとえば、婚姻の儀式をあげて同居する事実があるならば、これを公認してよいではないか、あるいは婚姻の届出の代りに家事審判所の確認があればよいではないかという質疑がなされたのであります。これに対し政府より、儀式をあげない結婚もあるし、同居の事実の認定もむずかしい、それにまたいつ婚姻したか外部にわからない、現在届出はすでに慣習化し漸次普及化しておるから、さしたる不都合も認めない、また家事裁判所の確認は審判所の経費増加を来すだけでなく、婚姻自由の方向に対して逆行するきらいがないでもないのであつて、結局婚姻届出問題は愼重に研究し、民法の全面的改正の機会に譲りたいという答弁がありました。
 第四に、協議上の離婚届は、往々にして届出が妻の眞意に反してなされるおそれがあるから、離婚届には家事審判所の確認書を添付することにしてはどうかという質疑がありましたが、これに対して政府より、離婚は米英法のごとく裁判上の離婚のみとしたいが、協議上の離婚が多い現状では、一々家事審判所の確認書をつけては審判所の経費を増大するばかりではなく、自由なるべき離婚を煩雜にするものであるから、とるべきではないとの見解でありました。
 第五に、継親と継子の関係をほんとうの親子関係と同一の親族関係と認めないのは世態人情に反する、一家円満のためには、血をわけた親子でなくても親子と擬制した方が妥当ではないかという質疑がありました。これに対し、現行民法で継親子を親子関係と認めておるのは同一の家の中にあるということを前提としておるのであつて、すでに法律上の家がなくなる今日、親子の関係を不自然に擬制するのはよくないと考える、親子関係を認めなくても、個々の場合に扶養義務のような規定をおき、かつ一親等の親族関係としておけば十分であるという政府の見解でございました。
 第六に、親族間の扶養の範囲を縮小するか、あるいはこれを社会的扶助に譲つてはどうか、また別途な意見として、親の扶養者をだれだれと法律にあらかじめ定めておいてはどうかという質疑がございましだが、これに対し政府から、親の扶養者も家督相続廃止後は、協議でも慣習でもただちに決定しにくい事情があるから、家事審判所に任す方がよいと考える、まだ扶養制度は社会的扶助に向う傾向はあるが、道義的恩惠や社会制度にのみ任してはおけないのであつて、やはり扶養の最後の線を民法で定めておく必要があるとの答弁でありました。
 第七に、家督相続を廃止し均分相続制を採用しても、祖先の祭祀を主宰する者に対しては財産の分與をする必要がないか、また祭祀の主催者と親の扶養者とは同一の場合が多いので、親の相続分を墳墓等の承継者に取得せしめてはどうかという質疑がありましたが、これに対し政府より、一括してこれらの問題は家庭道義の問題とし、また社会慣習の確定にまつ方が、法律上今ただちに決定するよりはよいと思う。祖先の祭祀を掌るがゆえに、または生存の親を扶養するという理由だけで財産分與や相続分の取得を規定するのはゆき過ぎであろう。今しばらく新しい家のあり方を靜観したいとの答弁でございました。
 第八に、遺留分の規定の削除に関連して、農業資産相続特例のごとく、中小商工業あるいは漁業等の資産についても遺産分割を禁止して特例を認めてはどうかとの意見がありましたが、これに対し政府から、商工業者や水産業者は、遺言により現物分割禁止をしたり価格分割をしたりしても、農地零細化により農業経営が窒息化するほどの事態は起らぬと思われる、將來弊害の兆候があれば対策を立てたいという答弁がございました。
 以上は、民法審議中論議の中心となつた問題でございますが、これ以外にも、たとえば日米人間の結婚、國籍法の改正、捨子、戰災孤児、相姦婚、重婚、夫婦財産の問題、再婚期間の制限、あるいはまた養子、遺贈、遺言等その他百般の問題について貴重な論議がなされたのであります。
 次に、公聽会における代表的意見を申し上げます。まず学識経驗者の代表的意見を問題ごとに申し上げますと、第一の案件たる家督相続廃止の可否につきましては、第一に家督相続を法律上廃止することは賛成である、但し、家督相続の廃止がすなわち道徳的、慣習的家族の崩壊ではない、夫婦、親子の家、すなわち自然家族は絶対に残るという意見であります。第二は、均分相続は個人の自由平等に合致するが、農地の零細分割と財産の分配爭いとの弊害がつきまとう、從つて、農業資産相続特例や家事審判所の適切な運営が必要であるという意見でございます。
 第二の案件たる親族間扶養の範囲については、第一に民法上の扶養の範囲はこれを縮小し、社会的扶助を充実拡大する必要のあることを主張するものと、第二に扶養程度は経済事情によつて違うから、家事審判所の適切な運営を望むという意見がございました。
 第三の案件たる婚姻の要件、夫婦財産制、離婚手続については、第一に、結婚の儀式をあげて同棲の事実があれば、婚姻の届出がなくても、何らかの方法でこれを婚姻として公認する必要があるという意見と、第二に、婚姻自由の原則がうまく行われるためには、民間において配偶者選択が容易に行われるような環境をつくり出すように努力せねばならぬという意見がございました。
 以上の公聽会における意見は委員会の審議に反映し、各委員は深い確信をもつて本案の審議を続けた次第であります。
 かくして愼重に審議を重ねてきましたところ、各党各委員の本案に対する方針、意見もようやく確定の機運が熟し、遂に十月二十七日、まさに審議を開始いたしましてから約三箇月にして、本案に対する四つの修正案と一つの附帶決議案とが提出せられたのであります。以下、各案について簡單に御説明申し上げます。
 第一の案は、社会、民主、國協の三党共同提案になる第一條に対する修正案であります。すなわち、第一項の私権の定義について、私権は公共の福祉のために存するものではなく、公共の福祉のわくがあるわけである。私権は公共の福祉の線に沿うてあるという意味で、「私権ハ総テ公共ノ福祉ニ遵フ」と改め、第二項は原案そのままとし、第三項に「権利ノ濫用ハ之ヲ許サス」と追加したのであります。
 第二の案は、自由党提出にかかる修正案であります。その内容は、第一條においては、「私権ハ公共ノ福祉二反セサル限度二於テ存ス」と修正しております。第七百二十七條においては、継父母と継子との間に眞実の親子関係と同一の親族関係を認めることを改め、第七百三十九條においては、婚姻は両性の合意のみで足りる、届出はその効力要件に過ぎず、届出書の代りに家事審判所の確認書で足りるとの修正であります。第七百三十九條の二においては、協議上の離婚に家事審判所の確認を必要とすると修正しております。さらに第八百九十八條においては、墳墓その他の所有権の承継者を被相続人の生存配偶者の指定とすることを加え、第九百三條においては、親の扶養をする者に親は自己の相続分を取得させることができると修正しています。最後に第九百七條においては、被相続人の家業を承継する者には、すべて遺産分割を禁止する機会を與えることに修正し、第九百六十七條において、遺言書を家事審判所の調書で間に合わせることに修正しております。これらの修正理由については、前に質疑應答のところで申し上げた通りであります。
 第三の案は、安田幹太委員の提出にかかるもので、第七百三十三條の削除、すなわち女の再婚制限の期間を廃止せんとする修正案であります。その理由は、夫の墓標の乾かない間寡婦にのみ先夫に対する貞節を要求したり、男系子孫の血統が女の再婚の自由より重しとするがごとき思想に基く規定は、新憲法の効力発生後、正当ではないというのであります。
 第四の案は、榊原千代委員の提案せられたものでありまして、その内容は四つの修正点を含むものであります。その第一点は、安田委員同樣、第七百三十三條を削除せんとするものであり、第二は、第七百六十五條第二項の削除によつて、法令に違反して受理された離婚届出を無効ならしめ、もつて離婚手続の嚴格を期し、第三に、第七百七十條第二項の削除によつて、裁判上の離婚につき家事審判所のいわば干渉がましき行爲を必要なしとし、第四として扶養の全條を削除せんとしておるのであります。
 第五の案は、社会、民主、國協三党の共同提案になる附帶決議でありまして、その内容に、將來においてさらに民法の全面的改正の必要のあることを附言したものであります。
 委員会は、以上の各案について提案者の説明のあつた後討論に入り、各案に対する賛否の意見が約八時間にわたつて述べられ、かくて討論は終局し、次いで採決の結果、安田委員提案の修正案、榊原委員の修正案、続いて自由党提案の修正案は、それぞれいずれも少数をもつて否決され、次いで社会、民主、國協三党共同提案になる第一條に対する修正案は、多数をもつて提案のごとく修正するに決し、また同じく三党共同提案の附帶決議も全会一致をもつてこれを附することに決し、すなわちここに、本案は附帶決議を付して修正議決せられた次第でございます。
 右、御報告申し上げました。(拍手)
#16
○議長(松岡駒吉君) 本案に対しては、明禮輝三郎君外二名より、正規により修正案が提出されております。この際、修正案の趣旨弁明を許します。明禮輝三郎君。
    〔明禮輝三郎君登壇〕
#17
○明禮輝三郎君 私は 自由党を代表いたしまして、民法の一部を改正する法律案の修正につきまして趣旨弁明をいたします。
 民法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。
 第一條中「総テ公共ノ福祉ノ爲メニ存ス」を「公共ノ福祉二反セサル限度二於テ存ス」と改める。
 原案によりますれば、「私権ハ総テ公共ノ福祉ノ爲メニ存ス」とありまするけれども、これは一に社会主義的ないし共産主義的思想に基いたるものでありまして、私法上の権利は國民の個人的利益のために存するものでありまして、決して公共の利益のためには存し得ないのが原則であります。憲法第十三條において、すべて國民は個人として尊重される、生命、自由及び幸福追求に対する國民の権利については、公共の福祉に反せざる限り最大の尊重を必要とする、とあります。これによつてこれを見ますれば、公共の福祉に反せざる限度において存するということは、きわめて明瞭なりと言わなければなりません。從つて、憲法第十二條並びに第二十九條に「公共の福祉」とあるは、皆公共の福祉に反せざる限度において認められたる権利であります。しかして、社会、民主、國協の共同提案、すなわち「私權ハ總テ公共ノ福祉二遵フ」ということは、「公共ノ福祉ノ爲メニ存ス」と異文同意でありまして、「公共ノ福祉ノ爲メニ遵フ」ということであるから、まつたく修正の意をなさず、同一の結果となるものであります。殊に、第二項において信義誠実の原則を掲げながら、権利の濫用を第三項に附加するということは、蛇足であると考えます。ここにおいて自由党は、憲法の大意を表明するため、「公共ノ福祉二反セサル限度二於テ存ス」と修正いたす次第であります。
 第二、第七百二十七條の次に次のように加える。
 第七百二十七條の二 継父母と継子との間においては、親子間におけると同一の親族関係を生じ、その親族関係は、離婚によつて終了する。
 原案によりますれば、養子と養親及びその血族との間においては、血族間におけると同一の親族関係を生ずと規定しながら、継父母と継子との関係を削除したのでありますが、その理由はいかがでありましようか。家の存立を否定するがゆえに継父母関係を削除するというけれども、その意味なれば、養子と養親関係も同樣に言えるのであります。実際上においては、継父母と継子との関係において一層切なるものがあり、この規定存立せずとせば、まことに家庭的円満を欠くこと著しいものがあると信じ、この規定の復活を要望する次第であります。
 第三、第七百三十九條を次のように改める。
  第七百三十九條 婚姻は、慣習に從つた当事者の合意によつて成立する。但し、戸籍法の定めるところにより、届出をすれば合意の時に遡つて効力を生ずる。
   前項の届出は、当事事者双方及び成年の証人二人以上から口頭又は署名した書面でこれをしなければならない。
   婚姻が成立して同居したる者から届出がないときは、当事者の一方は、家事審判所の確認書を以て、前項の書面に代えることができる。
 この規定は事実婚に対する救済規定であります。原案によりますれば、婚姻は戸籍法の定めるところによりまして届出をすることによつてその効力を生ずるとして、婚姻の成立もまたその時であるとしたのでありますけれども、憲法の第二十四條によりますれば、婚姻は両性の合意のみに基いて成立するとあります。この点において、原案を採用すべきでないことは明らかである。從つて、成立したる婚姻関係につき入籍手続を一方の当事者がやらないために、相手方の人権尊重の精神を破壊、ひいては離婚の誘因を醸すがごとき状態に放置せられる結果となるをもつて、その相手方を救うために本修正をなす次第であります。
  第四、第八百九十七條第二項中
 「慣習が明かでないときは、前項の権利を承継すべき者は、家事審判所がこれを定める。」とあるのを、「慣習が明かでないとき又は被相続人の指定がないときは、被相続人の生存配偶者の指定を受けた者が、前項の権利を承継する。」と改める。
  同條第三項として次のように加える。
  前二項の規定によつて承継者たる者がないときは、家事審判所は直系血族及び同居の親族中からこれを定める。
  第五、第九百三條を第九百五條に、第九百四條を第九百六條にそれぞれ繰下げる
  第六、新たに第九百三條として次のように加える。
  相続開始したる後、被相続人の生存配偶者において相続人の一人を自己の扶養者と指定したる生存配偶者が、その相続分をその扶養者に分與する場合においては、遺留分の規定を適用しない。
  第七、第千二十九條中「その中から」次に、「第九百三條の規定による資産及び」を加える。
 この民法におきまして最も私どもが欠陷であると思いまするものは、第八百九十七條の系譜、祭具及び墳墓の所有権はたれに帰属するか、あるいはだれがあとを守つていくかということが一つであります。それから、その次に私どもが拾いあげましたものは、一方の親が死にましたときに相続は開始いたしまするが、その財産は均分である。從つて子供が皆でわけても、これを相続するということに相なりまする関係上、その残つた親を責任をもつて見てやるものがないという二つの点でございます。
 これは御承知のごとく日本古来の道義でありまして、私ども営々として毎日働きまするものは、その働きましたは所産を楽しむのではないのであつて、結局はその家と申しますか、その家柄と申しますか、自分らの血筋、血統、こういう家柄を永久に幸あれかしと思うて働くのではないでありましようか。その法律上の家は別といたしましても、ともかくもその何々家というものを永久に保存したいのが人間の本能である。そうしてみれば宗教的方面から、あるいは道徳的方面から、どちらから考えましても、家というものが法律上はなくなつても、その家柄というものを立てていきたいのが本能であると思います。
 原案によりますならば、第八百九十七條の規定によつて被相続人がこれを指定するということになつている。ところが、指定ということも普通遺言でやるような場合が多いのであります。しかし、遺言のある家庭というものはまことに少いのであります。そういたしまするならば、この指定というものがない場合には慣習によるというのでありますが、家督相続というものが削除されることになりまする結果、必ずやその慣習というものも、またこれはないという程度に考えられるのであります。
 今までは、家督を相続したる者が家を見る、残つた母を見るというのが、これが原則でありました。ところが、今日のこの改正原案によりますると、ここまでまいつてくるときに私どもが思うことは、少くとも家に残りました両親のうちの一人、被相続人のうちの残つた一人の者が、生存配偶者としまして一定の指図をすることができるというのが、最も穏当であり、しかもこれが日本古来の道徳であり、また宗教的に考えましても、これにしかないと私は考えておる次第であります。こういう意味におきまして、私どもが第八百九十七條の第二項を改正したいと思う次第であります。
 これを申し上げてみますると、第八百九十七條の第二項中、慣習が明らかでないとき、または被相続人の指定がないときは、被相続人の生存配偶者の指定を受けた者が、その系譜、祭具または祖先の祭祀を承け継ぐものであると改めたいのであります。そういたしますことによつて、家代々において行われておりましたお祭りができる。もし生存配偶者の指定がないときにおいて、初めて家事審判所が直系血族あるいは同居の親族中からこれを定めるというのが当然であろうと考えます。裁判所みずからやるということは、しかたのないときにやる。これが、すべての問題を解決するについて妥当性を含んでおるものであります。
 裁判所もとより人間でありますから、裁判所の審判に誤りがないとはいえません。裁判事所における手続が非常にめんどうであるということもまた考えなければなりません。いかに家事審判法ができましても、この点においては、私どもは家事審判所より先に生存配偶者に指定権を與えることが相当であると考えるのであります。はたしてしかりとするならば、この生存配偶者に指定権を與えるということにいたしまして、その家の円満を維持することができるということを、私どもは最も妥当に考える次第であります。この意味におきまして、生存配偶者をみる者を考えてみたいのであります。
 今まで政府の原案によりまして、生存配偶者は相続によつて三分の一ないし三分の二というものを與えられるのでありますから、必要がないではないかという御議論がございますけれども、今のところは、日本においては養老院制度は発達しておりません。またこれをやろうといたしましても、今日の経済状態においては、これは許されないと考えるのであります。この生存配偶者を満足させる程度において養老院を建設することはできません。
 そこで私どもは、ここに生存者をあげまして、生存配偶者が、相続したところの子供のうちから、自分が最も妥当とする、たとえば医者であろうが、あるいは弁護士のような職業であろうが、あるいはいろいろな技術屋もありましよう、そのいろいろなものがありまする子供のうちから、生存配偶者が最も家のあとを継がせるのに適した者を選びまして、そして自分をみてくれる人間、お祭りをしてくれる、法事をしてくれるというその人と同じように、同時にそこに自分の扶養者を定めて、この生存配偶者がきめましたその人に、みずから相続によつて受けましたところの財産を與えて十分に自分の老後をみてもろうということにいたしますことが、最も孝養の精神を一貫するのでありまして、かような制度がなくては、私ども今日の生存配偶者は生きていかれないと思う状態にあります。
 たとえば、三分の一の相続財産といたしましても、家庭によつてはいろいろありましようが、たといここに一万円ありましようとも、二万円ありましようとも、今日の生活状況をごらんになると、どうしても配給をとりにいかなければならぬ。また相当なる生活物資を手に入れるためにどうしても奔走しなければならぬという実情であります。そういう意味においては、どうしてもかような手もとにおいて何くれとなくめんどうをみてくれる者がないといたしますならば、老後においてまことに危い考えをもつものであります。
 この規定は、自分でもらつたものを、そのめんどうをみてくれる人に扶養料としてやるのでありますから、何も均分相続の弊害はここに起らぬ次第であります。この点において司法当局におかれましても、ほとんど疑問といいますか、問題をあます余地はないと考えている筋合いでございます。
 その次に第八、九百七條の第一項に左の但書を加え、第二項以下を左のごとく改める。
  但し、相続人で被相続人の家業を承継するものは、その承継する家業の範囲において、家業資産に関する他の相続人の相続分を買取り、遺産の分割を拒否することができる。遺産の分割又は他の相続人の相続分買い取りにつき、價格並びに代金の支拂等に関して協議が調わないときは、相続人の請求により家事審判所が適当に之を定める。
 この規定は、共同相続人中家業を承継する者があるときは、その者が他の相続人の相続分を買取つて、家業を永久に残さしめ、事実上の家の將來を期待したものであります。
 要するに、現行憲法第十三條及び第十四條におきまして、すべて國民は個人として尊重され、法のもとに平等であつて、性別その他により経済的または社会的関係において差別されないことを明らかにし、その第二十四條におきまして、婚姻は両性の合意のみに基いて成立し、夫婦は同等の権利を有することを基本として、相互の協力により維持されなければならないこと及び配偶者の選択、財産権、相続権、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して制定されなければならないことを宣言しております。しかして、このたびの改正はこれに準拠してなされたものでありまして、この基本原則に抵触する幾多の問題を改正すべきであることもちろんであります。けれどもその改正が、日本國民のよき、慣習や、よき風俗に、はたまた日本民族の道義精神に著しく背反するものがありとせば、はたして、妥当なりというべきであるか。私どもはこの点につき最も留意いたしまして、いたずらにいき過ぎに堕することなく、家庭爭議の原因を多くすることを避け、またいたずらに封建的にして人格を無視するがごときことなく、その中庸を得て、でき得る限り惡平等を排し、しかも國民が納得し得られる改正法の実現を切望してやみません次第であります。わが党の、民法改正にあたり、修正案を提出したるゆえんも、また実にここに存する次第であります。十分御研究御審議を願いたいと思います。(拍手)
#18
○議長(松岡駒吉君) これより採決に入ります。まず本案に対する明禮輝三郎外二名提出の修正案につき採決いたします。明禮輝三郎君外二各提出の修正案に御賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#19
○議長(松岡駒吉君) 起立少数。よつて修正案は否決されました。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長の報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#20
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長の報告の通り決しました。
     ――――◇―――――
 昭和二十二年度一般会計予算補正(第五号)
 昭和二十二年度特別会計予算補正(特第二号)
#21
○安平鹿一君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、昭和二十二年度一般会計予算補正(第五号)及び昭和二十二年度特別会計予算補正(特第二号)の両案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#22
○議長(松岡駒吉君) 安平君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#23
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 昭和二十二年度一般会計予算補正(第五号)、昭和二十二年度特別会計予算補正(特六二号)、右両案は同一の委員会に付託された議案でありますから、一括して、議題といたします。委員長の報告を求めます。予算委員会理事川島金次君。
  ―――――――――
 昭和二十二年度一般会計予算補正(第五号)に関する報告
 昭和二十二年度と区別会計予算補正(特第二号)に関する報告書
 [都合により第五十八号の末尾に掲載]
  ―――――――――
    〔川島金次君登壇〕
#24
○川島金次君 ただいま議題となりました昭和二十二年度一般会計予算補正(第五号)及び昭和二十二年度特別会計予算補正(特第二号)について、予算委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。
 この補正予算は、形式の上では一般会計の特別会計にわかれていますが、その内容を大別しますと、官公職員の手当及び給與に関するものと終戰処理費とにわかれているのであります。官公職員の手当及び給與については、御承知のごとく先般千六百円と千八百円の差額を七、八、九の三箇月分をまとめて一時金として支給したのでありますが、十月以降のものについて、政府は一括して來るべき総括的追加予算に組入れるはずであつたところ、追加予算は十一月末でなければ成立の見透しがつきかねる結果となりましたので、さらに政府においては、この十、十一月の二箇月分を一括して追加予算と分離して提出になつて來たものであります。すなわち十月分については、すでに支給済の千六百円水準給與と、新たに設定された千八百円水準との差額一人当り二百円分と、さらに千八百円基準で支給する十一月分の給與金額合わせて約十二億円余が、一般会計に計上されたのであります。また同じく一般会計には、このほかに、國会議員の特別手当月当り二千円支給の経費として千余万円が計上してあります。なお一方特別会計での給與支給額は二十三億円余で、その内訳は國有鉄道事業において十二億円余、通信事業において八億円余、その残額は國有林野、食糧管理、專賣局、印刷局の各特別会計の分であります。
 第二に、終戰処理費五十億円が一般会計に追加計上されております。これは既定予算の二百七十億円がすでに支出決定済となつていますので、とりあえず十一月分として追加計上されたものであります。
 かくて右に関する財源としましては、一般会計において増加所得税の増收見込額六十億円、その他遊興飲食税、臨時利得税、競馬会納付金などの増加見込額及び二十年度剰余金の受入額が計上されてあります。特別会計の方は、原則として各事業ごとに單價の引上げその他の増收によつて賄うことになつておりますが、国有鉄道事業中工事勘定に属する職員と、通信事業の建設勘定に属する職員の給與は、一億円の公債金收入によつてこれを充当しております。
 予算補正第五号及び特第二号は、以上のごとき内容のものでもありますが、委員会においては、これに関する大藏大臣の説明の後、質疑を省略してただちに討論に移つたのでありますが、自由党を代表して上林山委員より、第一に、今回の終戰処理費はやむを得ないものと認めるが、それは近く提出される追加予算の一部と考えられるので、本予算には賛成するとしても、必ずしも追加予算に賛成するものではないことを注意しておくこと、第二に、重大な予算の提出に際して政府側の資料がきわめて杜撰であつて、審議に苦しむことが少くないから、今後迅速に正確な資料を提供することを要求する、第三に、本予算と追加予算とを加えれば厖大な歳出となり、これが財源はもつぱら國民の税負担に依存するものであるが、ほとんど担税能力の限度に來ておるものもあり、他方税務官吏の質の低下、人員の過少等もあつて、予算通りの歳入をあげ得るか否かに少からず危惧の念をもたざるを得ない、政府は特にこの点に留意して格段の努力を拂われたい。以上三つの條件を附して賛成する旨の発言があつたのでありますが、その後において、これを満場一致可決いたした次第であります。
  以上をもちまして本委員会の議事日程は終了した次第でありますが、続いて大藏大臣から、先般國会を通過しました補正第三号予算、すなわち皇室費の追加につきまして、その後皇室経済会議において、皇籍離脱の各皇族に対する一時賜金支給額の内訳に変更のあつた旨が報告されました。これに対しては、総額に変更なくとも、政府案による支給率の積算方法を前提として右予算を承認したものであるから、これを國会に諮らずして支給率の変更をなしたことにつき、政府は政治道徳上の責任をいかに感じているかの質問がありました。これに対しまして栗栖藏相及び塚越政府委員より、政治道徳上の責任を感じている旨の答弁があつて、右の報告を一應了承することになりました。なお委員長から、予算補正第二号を撤回する旨議長より通知のあつたことが報告されまして、一應これをも了承いたしましたことを、併せてここに御報告申し上げる次第であります。
 以上をもつて、本案に関する予算委員会の経過報告といたします。(拍手)
#25
○議長(松岡駒吉君) 両案を一括して採決いたします。両案の委員長の報告にいずれも可決であります。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#26
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて両案とも委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#27
○安平鹿一君 日程第一、自由討議は延期し、本日はこれにて散会せられんことを望みます。
#28
○議長(松岡駒吉君) 安平君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 
#29
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。
 次会の議事日程は公報をもつて通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
    午後三時五十分散会
ソース: 国立国会図書館
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