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1951/02/13 第13回国会 参議院 参議院会議録情報 第013回国会 内閣委員会 第4号
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1951/02/13 第13回国会 参議院

参議院会議録情報 第013回国会 内閣委員会 第4号

#1
第013回国会 内閣委員会 第4号
昭和二十七年二月十三日(水曜日)
   午後一時五十七分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     河井 彌八君
   理事
           山本 米治君
           山花 秀雄君
   委員
           石原幹市郎君
           横尾  龍君
           楠見 義男君
           竹下 豐次君
           成瀬 幡治君
           上條 愛一君
  政府委員
   総理府恩給局長 三橋 則雄君
  事務局側
   常任委員会專門
   員       杉田正三郎君
   常任委員会專門
   員       藤田 友作君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○恩給制度に関する調査の件
 (軍人恩給に関する件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(河井彌八君) それでは内閣委員会を開会いたします。
 過日本委員会におきまして恩給制度に関する調査の証人を議長に申出でました。議長から同意の通知がありましたので、本日は恩給制度に関する調査を議題といたしまして主として軍人恩給に関する問題につきまして三橋恩給局長の御出席を求めましたから局長から御説明を願います。なお次の機会におきまして軍人遺家族に対する援護関係につきましても政府から説明を求めるつもりでありますからこのことを御了承を願つておきます。
#3
○政府委員(三橋則雄君) 今国会に政府といたしましては恩給局の関係法律案といたしまして、恩給法の特例に関する件の措置に関する法律案を提出いたしますべく目下その手続を進めておるのであります。恩給法の特例はポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基きまして制定せられたものでありまして、今回国会に提出せんとする法律案は、恩給法の特例に関しまして講和条約の効力の発生に伴い、取りあえずの措置を講ぜんとするものでありますが、これにつきまして若干の御説明を申上げたいと存じます。
 恩給法の特例は昭和二十年十一月二十四日連合国最高司令官から日本政府に発せられましたペンシヨン・アンド・ベニフイツトと題する覚書に基くものでありまして、この覚書によつて連合国最高司令官から日本政府に命ぜられたところを実施せんとするために制定されたものであります。恩給法の特例の内容を大まかに申上げますと二つの事項に分けられておるのであります。その一つは旧軍人軍属、ここで軍属と申しますのは旧陸海軍部内の文官たる官吏であつた軍属をいうのでありまして、官吏以外の軍属はこの軍属のうちに含まれておりません。かかる旧軍人及び旧軍属、それからその遺族の恩給、例えば傷病軍人の恩給、それから傷病軍人以外の軍人の各種の恩給、それから旧軍人遺族の扶助料並びに一時扶助料等を廃止又は制限したことであります。恩給法の特例によりまして旧軍人軍属及びその遺族の恩給は廃止されたのでありますが、その内容を少しばかり申上げますと、軍人につきましては傷病者以外の者に給せられておりました各種の恩給につきましては、即ち普通恩給、扶助料、一時恩給、一時扶助料というような各種の恩給は全部廃止せられてしまいまして、傷病者の恩給につきましては、従来下士官以下の軍人に給せられておりました傷病賜金の中で傷病の程度の低い者に給せられていたものは全部廃止されてしまつたのであります。又増加恩給第七項症の年金及び傷病年金の制度は廃止せられまして、右増加恩給及び傷病年金の症状に対しましては一時金を給せられることに改正されたのであります。又不具、廃疾者の受ける年金恩給の金額は、即ち増加恩給の金額は従来に比較いたしまして著しく減額されたのであります。軍属たる官吏について申しますると警察、陸海軍監獄、そういう所に勤務いたしておりました警察監獄職員以外の判任文官たる軍属並びに優遇奏任官たる軍属及びその遺族に対しては従来通り恩給を支給されることが許されたのでありますが、その他の軍属たる官吏及びその遺族に対しましては一般軍人と同様に恩給を廃止又は制限されておるのであります。又その二はどういうことかと申しますと、連合国最高司令官の命令によつて逮捕又は抑留せられた者の恩給につきまして、その支給又は裁定を禁止又は停止され又連合国最高司令官の命令によりまして有罪の刑に処せられた者又は退職せしめられた者の恩給を廃止せられたことであります。恩給法の特例によりまして連合国最高司令官により抑留又は逮捕せられた者は、その間恩給の支給又は恩給の裁定を停止され、又連合国最高司令官により有罪の刑に処せられ、又は退職せしめられた者は恩給を受ける権利又は資格を失うことになつたのであります。講和条約の効力の発生後におきましては、連合国最高司令官から逮捕、抑留せられたり、又は有罪の刑に処せられたりするようなことはなくなりますので、恩給法の特例の中のこれらに関する規定事項につきましては、講和条約の効力発生に伴い所要の改正を加えることといたしております。
 次に恩給法の特例中の旧軍人軍属の恩給に関する規定事項に関しまする講和条約の効力発生に伴う措置について申上げたいと思います。恩給法の特例は、今申上げましたように、連合国最高司令官から日本政府に発せられました覚書に基いて制定せられたものでありますから、講和条約の効力発生に伴いまして、恩給法の特例はその制定の基礎を失うことになるのであります。若し恩給法の特例の講和条約の効力発生後の法律的な効力存続に関しまして、何らの措置も講ぜられない場合におきましては、恩給法の特例はすでに政府から国会に提出いたしまして、目下国会において審議中でございます、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令の効力に関する件、あの規定によりまして講和条約の効力の発生いたしましてから百八十日にして法令としての効力を失うことになるのであります。恩給法の特例は、旧軍人軍属及びその遺族の恩給が恩給法の規定によつて給せられることになつていることを前提といたしまして、傷病軍人の恩給を制限し、その他の軍人及びその遺族の恩給を廃止するための特別規定として定められたものであります。かかる恩給法と恩給法の特例との関係は、恩給法の特例制定以来今日まで変つていないのでございます。従つて恩給法の特例がなくなりますると、旧軍人軍属及びその遺族は、恩給法の規定によりまして恩給を給せられることになるのであります。言い換えますれば、恩給法の特例の効力存続に関しまして何らの法律的措置が講ぜられず、講和条約の効力の発生に伴うてこの特例が失効いたしますと、講和条約の効力発生後百八十日を経過しますれば、旧軍人軍属は昔のごとく普通恩給その他の恩給を給せられることになり、又旧軍人軍属の遺族は、扶助料又は一時扶助料を給せられることになると考えられるのであります。
 旧軍人軍属及びその遺族であつて、年金恩給受給者たるべき人々の現在の人員及びその年金恩給の総額を推計いたしますることは、正確な資料の完備していない現在におきましては困難なることであります。昭和二十一年の二月一日に旧軍人の恩給が廃止又は制限されましたのでありますが、その廃止前の各種年金恩給の人員金額は、その当時陸海軍当局から報告せられたる資料と恩給局の資料に基きまして、大体年金恩給の受給者の人員は五百三十八万人前後であると考えられておつたのでございます。然るに両復員局の最近の、これは昨年の暮の頃までの調査でございまするが、その調査報告によりますと、かなり従前考えられていました員数よりも多くなつて来たのであります。その結果といたしまして、今申上げました五百万人余りの数が七百二十五万人と大体推定されるような結果になつたのであります。この新らしい報告に基きまするところの数字につきましてはなお今後も検討を加えて行きたいと思つておりますので、或いは又正確なる資料の発見によりまして若干移動があるかとも思いまするけれども、併し大体この数を基礎といたしましていろいろと申上げて行きたいと思います。この七百二十五万人の年金恩給受給者を前提といたしまして、そうして現行恩給法の規定によつて恩給を支給することといたしますれば、その恩給年金、恩給の金額は相当な金額になると考えられるのであります。軍人恩給廃止又は制限の際退職した文官と同じく今日ベース・アツプしましたところの恩給を支給するといたしますれば、恐らく二千億円前後の金を要することになるのではなかろうかと推定されます。勿論その人員の中から今日軍人恩給の廃止又は制限せられましたときから今日までの失権者の人員を推定いたしますれば、今申上げました金額から三、四百億円前後の金額が少くなるのではなかろうかと想像いたしております。かくのごとく多額の年金を予想されるにかかわりませず、講和条約の効力発生と同時に軍人の恩給又その遺族の扶助料を昔のように復元だしまするということは、国家財の面から考えましても誠にむずかしいことであると考えられます。従いまして軍人軍属の恩給及びその遺族の扶助料を復元することにいたしましても、金受給者を対象といたしまして復元するか、それができないとしますならば限定的に復元をするか、又限定的に復元するといたしました場合にはどういうふうに限定して復元をするか、支給しまする年金恩給の金額にいたしましても、文官と同じような支給水準によつて恩給を支給することができるかどうか、又できないといたしますればどの程度の水準において支給することにするか、又復元その他の方法にしましても、いろいろと問題があるのでありまして、これらの問題につきましては慎重に考慮をして行かなければならないと思うのであります。又従来軍隊に勤務したり、又戦争、事変に従事しましたものにつきましては恩給法上他のものに比較しまして割のよい取扱いをされておつたのであります。これらの規定、その他軍人に関しまする従来の恩給法の規定につきましては、今後軍人の恩給を復元する場合におきましては当然検討を加えなければならない点も少くないと思います。又現行恩給法の文官に関する規定につきましても、軍人、軍属及び遺族の恩給が今日のごとくに廃止又は制限されている実態が改められることになりまするといろいろと検討を加えなければならん事柄が少くありません。而もその復元の措置の如何は、ただ單に国家の財政に大きな影響を及ぼしますばかりでなく、その他各方面に対して影響するところが少くございません。従つてこの措置につきましては慎重の上にも愼重を期さなければならないことは当然のことと考えるのであります。
 このような次第でありまして、この善後措置を講和条約の効力発効後百八十日間に講じてしますことは到底できないことであると考えられますので、政府といたしましては恩給法の特例が特に講和条約の効力発効後も昭和二十八年三月三十一日までは法律としての効力を有することといたしまして、その間に審議会を総理府の附属機関として設置いたしまして、この審議会において旧軍人軍属の恩給に関する重要事項を調査審議することとし、これに関する法案を国会に提出すべく目下準備中であります。審議会が設置されて審議会において公正妥当な結論を得られました場合は、これに基いて軍人軍属の恩給に関する善後措置が講ぜられることと考えています。これを以て私の説明を終ります。
#4
○委員長(河井彌八君) 委員諸君において御質疑がありますればこの際お願いいたします。
#5
○成瀬幡治君 二十八年の三月三十一日までは現在のものも有効として、その期間に審議会を設けて答申案を得てやつてしまうのだという政府の御意向と承わつたのですが、その場合に、今やらない理由を聞くと結局金の問題に落着くようでございます。考えられておる点を伺いますと遺家族の問題、或いは傷痍者との均衡という面をお挙げになりましたが、文官との関係というようなことについてはどんなふうに考えておるでしようか。その点を伺いたいと思います。
#6
○政府委員(三橋則雄君) その点ちよつと触れて今御説明申上げましたが、第一の大きい問題といたしましては、恩給の金額につきましては文官と同じような程度、もう少しわかりやすく申しますならば、文官恩給と同じような支給水準において軍人の恩給を支給するようにするかどうか、それが若しできないとしますならば、文官の支給水準よりも少い支給水準において恩給を支給するようにするか、こういう問題も考えなければならんと思います。一口に申しますならば、文官と同様な金額をやるか、或いは文官より少い金額で一応我慢してもらうようにするのかという問題が今度取上げられる問題ではなかろうかと思います。これはなかなかむずかしい問題で議論があることと私は思います。それから又軍人の恩給に関しまする従来の恩給法の規定の中で、恩給の金額が非常に殖えて来ます原因をなしておるのは在職年の加算に関する規定でございます。御承知の通り軍人が戦地に一年参りますと三年割増をされて四年に計算される。こういうようなことになつております。そういうような規定をそのままに認めて恩給金額を計算するような基礎在職年の取扱をやつて行くかどうか、こういう問題も又検討しなければならんと思います。若し加算の制度を全然廃してしまうと、こういうような措置がとられました場合においては、文官につきましてもやはり軍人さえも加算をとられるとするならば、文官についても現在認められておるような加算制度をそのまま残しておくかどうかというような問題が又起つて来るのではなかろうかと思います。
 それから軍人の恩給、例えば傷病者の恩給につきましていえば、これは従来のような傷病者の恩給でよいか、傷病者の恩給は従来の軍人に行われていたそのままの制度でよいのか、或いは現在は機能障害の程度につきましては年金を出さないようになつておりますが、そういうような制度に今度はその制度を改めるがいいかどうか、これには又議論がありますけれども、仮に改めたといたします場合におきましては、これは文官の傷病者に対しても同じような取扱をするか或いは差別的な取扱をするかというようなことが又問題になつてくるのではないかと、こういうふうに考えるのであります。その他いろいろ文官との関係にいたしましても当然考えて見なければならない問題がございます。
#7
○成瀬幡治君 それからもう一点ですね、今度いわゆる人事院で恩給法をマイアース勧告によつて検討されておるように承わつておりますが、その場合とこれとの関連が一つなんですね。
 もう一点伺いたい点は、現に受けておられるお方で、例えば昭和二十三年以前のお方とその以後のお方とは非常に差があるように承わつておるわけです。それに対してやはりその審議会などに流してしまわれるつもりか、流さずに或いは差のあるものについて処置が近いうちにとられるような用意があるのか。この二点について伺います。
#8
○政府委員(三橋則雄君) 第一点は、人事院から新しい恩給制度が勧告せられる場合におきまして、人事院は軍人恩給の復元に関することも考慮に入れて勧告されるかどうかというようなお尋ねではないかと思うのでありますが、これは私まだ何も聞いておりませんが、私の意見を申上げますならば軍人の恩給が復元を仮にされるということになりますれば恩給制度の運営を、まあゆすぶるといいますか左右するものは文官の恩給制度如何というよりも、軍人恩給制度如何ということであつて、これが大きく取上げられるのではないかというような気がするのです。併し、軍人恩給の取扱い如何によつて私はこの問題はいろいろ変つて来るのではないかと思いますし、恐らく人事院もその点を考慮して勧告してくれるのではないかと想像しておるのですが、まだそれははつきりいたしておりません。
 それから第二の点でございますが、これにつきましては少しく御説明申上げなければならないと思います。それで少しくくどくどしいようなことを申上げて恐縮ですが御説明申しますが、御承知の通り法律の規定によりまして退職当時の俸給を基礎といたしまして、恩給金額を計算いたしております。従来公務員の俸給の支給水準が引上げられました際におきましては、引上げられる前に退職した年金恩給受給者の恩給年額は増額改定いたしております。その増額改定はどういうふうにして増額改定したかと申しますると、この俸給支給水準が引上げられまする前の俸給制度の中の俸給の金額、これが仮に申しますならば、一千円、二千円、三千円、四千円、五千円、八千円と、こういうふうになつておるといたします。それが新しいこの俸給制度の中におきましては、一万円、二万円、三万円、四万円、五万円、八万円と、こうなつたといたします。そうしますれば、俸給支給水準の引上げの前後におけるこの二つの俸給制度の中の俸給金額を彼此対応させまして、そうしてこの今の例で申しますならば、一千円は一万円に、二千円は二万円、三千円は三万円、四千円は四万円、八千円は八万円、こういうように対応するものと想定いたしまして、そうしてこの給与支給水準の引上げ前の一千円の俸給で恩給の金額が計算されているものに対しましては一万円で、二千円で計算されたものは二万円で、こういうふうにこの新らしい対応俸給金額によつて恩給金額を計算し直しておるわけであります。これは給与ベースの引上げがありました場合において新らしい俸給制度、古い俸給制度の相互間におけるところの俸給金額そのものの移り変りによる貨幣価値の変動、それだけを恩給の面で調整するという趣旨に基いて来ているわけです。従つてそういう趣旨でいたしておりまするからして、この新旧両俸給制度の中におきまするところの、俸給金額の価値の変動によるところの恩給金額の調整は、これはできておるものと考えられます。これについてはいろいろの見方が人によつてありますが、調整につきましてはそう大きな狂いはなかろうとこう考えております。併しそれにもかかわらず、今仰せになりますごとくにいろいろと不均衡とかいろいろやかまし言われおりまして、これはどういうところから出て来ておるか、これが問題になつて来ております。それはどういうところから起つて来ておるかと申しますると、俸給の引上げられまするのは、これは俸給のきめ方といいましようか、まあきめ方と一言簡單に言つておきましよう。俸給のきめ方が変つた場合、それから給与待遇が改善された場合、俸給のきめ方以外に給与改善が行われた、こういうような場合に或る特定の公務員だけが俸給が上る場合がいろいろあるわけです。それをもう少し詳しく申上げますと、前段で申上げました俸給のきめ方が変つた結果、或る特定の公務員の俸給が多くなる。これはどういう場合であるかと申しますると、戦争前におきましては今日ほどにこの在職年数とか学歴というものは俸給をきめる上においてやかましく考えられていなかつたように思うのであります。職階制が布かれましてからというものは、俸給をきめますのに、在職年或いは学歴というものが戦前以上にやかましく重く見られております。従つて同じく俸給をもらつておつた者であるにかかわらず、その制度の切換えられた後、即ち新制度が布かれた後におきましては在職年がただ長いということだけによつて或いは大学を出ているということだけで、ほかに大した腕がないにかかわらず、今まで同じ金額をもらつておつた同僚を引離して俸給が増額されているようなことになつて来たのであります。そこでそういうような俸給のきめ方が変えられた後に、その恩恵に浴した人とその前に退職して恩恵に浴していない人を比較いたしますと、相対的には恩恵に浴した人のほうが恩恵に浴しなかつた人よりも俸給が割がいいということになる。従つて俸給が割がいいだけそれだけその人は恩給の割がよくなつて来ておるということが言えるわけです。
 それから又私はその他の給与待遇の改善云々と申上げましたが、それはこの終戦の後におきまして、例えば警察監獄職員、或いは教育職員につきましては、従来の待遇が非常に改善されております。戦争前におきましては、御承知の通りに警察監獄職員にいたしましても、教育職員にいたしましても、一般の行政官吏よりも待遇がよくないと言われておつたのが定評であつたのであります。ところが、それが終戦後の今日におきまして、殊に職階制の布かれるあの前後におきまして改善されまして、そうして一般の官吏にも勝るとも劣らないような待遇改善が行われて来ておるのであります。従つて、その職域に職を奉じておる人は、最近は従前その職域におつた人に比較いたしまして俸給が割合によくなつておるということが言えるわけであります。そこでそういう待遇改善の恩恵に浴しておる人は俸給がよい、従つて割合に恩給もよくなつておるというのが実情であります。
 そこで申上げますが、今のような或る特殊の職域におけるところの待遇改善、或いは俸給のきめ方が変つたことによつて、或る特定の人たちが俸給がよくなる、これらのことは彼此錯綜し重なり合つている。今申上げます俸給のきめ方の点においても恩恵に浴しておる。それから又職域の待遇改善によつての恩恵にも浴しておる。かくダブつて恩恵に浴した人につきましては、それらの恩恵に浴しない人に比較しますれば、その俸給の差、又恩給の差というものがますます大きくなつて来ておるのが実情であるのであります。問題は公務員全体ではなくして、或る特定の人たちだけを対象といたしまして恩給の増額をするかということであつて、これをどうするかという問題がここにあるわけなんです。この問題を解決しない限りにおきましては、今叫ばれておるような、又いろいろ言われておりますような、大きな恩給金額の不均衡があるといわれておる、その言葉がいいか惡いかは別といたしましてそういわれております、それを是正せよといわれる、その要望に副うことは私はできないのではないかと思つております。
 そこで根本的にこういうことが問題になつて来るわけです。といいますのは恩給受給者の中で、恩給受給者と同様な在職者が待遇を改善されたということを理由として、すでに退職してしまつたそれらの者までも、いいかえれば特に恩給受給者の中からその人たちだけを取上げて恩給をよくしてやるような措置をとることが、許されるかどうかということが問題となつて来るわけであります。私はそういうような特別な取扱をそういう人たちに限つてすることが、恩給受給者の中で、そういう人たちに限つて特別の取扱をすることがよいということにつきまして、まだ結論を得ていないのであります。それはどうしてそういう結論を得ていないかと申しますると、恩給法の規定によつて、退職の当時一定の恩給金額をもらつた者につきましては、特別の事由のない限りにおきましては私は同じように取扱を受けるべきものであると思うのです。それでありまするから同じように全部ほかの者も恩給の金額が上げられるならば私はいいと思いますが、併し或る特殊の人たちだけを、その後の在職者が待遇を改善されてよくなつたということによつて、その人たちの恩給額を引上げてやるということは、要するに退職の際の在職中の条件をその人だけに限り変えてやるような結果になりやしないかと思います。そういうことをしますればその波及するところが大きく、いろいろ各方面に波及して来ることになりやしないのか。従つてこれにつきましては慎重に考えて行かなければならん。こう私は考えておりまするが故に、まだそういう要望に副うような結論を得ていないのであります。ただ先ほども申上げましたように、この給与ベースの引上に伴いまする恩給金額の増額につきましては、新らしい俸給制度と古い俸給制度の相互の中におきまするところの俸給金額の対応俸給をきめてやつておるわけであります。これにつきましては、私たちは、その制度が作られますとき、法律が制定されまするときにおきまして十分にいろいろ研究してやつております。が、併しその点につきましては私は委員会でも申しておりますが、若干直すべき点が若しも出て来た場合には直しましよう、ということは、これは言つておるところなんです。併しそれを直したぐらいでは、一般に今不均衡と叫ばれておる、いろいろ言われておりますようなそういう声に応ずることは私はできないと思います。
 それからこの問題につきましては人事院におきまして実は取上げたのであります。これは御承知の通り昭和二十五年の暮にマイヤースが参りまして新しい恩給制度の勧告をいたしまして、その際にマイヤースのところにおいていろいろ調べました結果によつて、昭和二十三年前の恩給受給者につきましてはもう少し恩給を増額してやるようにということを言つております。而もそのマイヤースの意見におきましては、退職当時の恩給が同じ人につきましては同じような取扱をしております。これは私は間違つてはいないと思うのです。ただその恩給を増額する方法につきまして一率に何倍と増額してやつたらどうかということを言つておるのであります。ところでその通りにいたしますればどういうことになりますかといえば、私にいたしましても非常に恩給の金額が殖えます。又小学校の先生なんかに例をとりましても人によつては、総理大臣以上の恩給を支給されなければならないような結果になるのでありまして、この方法が少し当を得ていなかつたことにつきましては、人事院そのものもこれは認めておるのです。ところで人事院はそのマイヤースの勧告もあつたことでそれで少しこれを是正しようと、こういうようなことで実は研究を進めております。研究を進めまして昨年の八月に私のところにおいては、実は新しい制度の勧告をするときにはこれをとり上げたい、こういうようなことを言つて来ておるのです。それは結構だ、新しい制度と睨み合せまして何かそこにおいて善後措置の手を打たれるのは私たちにおいても研究しておるがなかなかよい結論が得られないところであるから、やつて頂ければ結構である、そう私は言つております。それで今日まで来ておつたのであります。ところで昨年の暮に実は人事院のほうから、一応今までやつたが今度は恩給局でやつてもらいたいというようなことで話があり、一応の案の構想についての説明を昨年の十二月に聞いたのであります。併しそのまま私はその案を呑むわけにはいかない、いろいろ検討をしなければならない、而も私のところに出された統計の資料につきましてもいろいろと検討を加えなければいけないところもありまして、又それからこの国会には昨年の十二月に持出された話であつて大蔵省と予算についてもまだ折衝されていないものでありましたから間に合わない。この話に対しましてはこの国会の問題としてはとり上げることもできないような実情でありましたから、今後いろいろ相互に検討しようということで別れたままになつておる実情であります。そういうような実情でございまして、今先ほど申上げましたようにこれには非常にむずかしい問題があるということを一つ御承知おき願いたいと思います。
#9
○成瀬幡治君 恩給に対する根本的な考え方なんですがね。私たちに意見を若干言わして頂くならば、とにかく或る期間勤めた、そしてその勤めたことによつてその退職後の生活というようなものが私は保証されるのが大体恩給の根本的なものだとこういうふうに考えておるわけです。あなたがそこでこれは私見であるとおつしやつたのですが、特定者の改善はいけないんで全体を改善するというようなことならば、これは考えてみる余地もあると思うのですが、特定のものの改善はいけないというような私見を申されたわけですからして、その恩給に対する基本的な考え方によると私はやはりそういう特定者がそういうふうに非常に惡ければ結局老後の、退職後の生活というものが若干これによつて保証されるというような観点で若し恩給が考えられるならば、私は特定の人だから云々とそういうことを言わなくてもいいじやないかと考えるのですが、それについてはこれは意見になるのですけれどもあなたの御意見が承りたい。
#10
○政府委員(三橋則雄君) 私は退職当時の法律の定めるところによつて恩給の金額がきめられて、同一の恩給金額をもらつておる人につきましては、これは同一の恩給の金額をもらつておるという事実をやはり念頭において考えて行くということは、恩給制度というものを考える上に当然なことではないかと思つております。それで、そうしないで、同一の恩給金額をもらつておる人の中で、特に或る人だけにつきまして恩給の金額を増額してやるということにつきましては、これは特別な理由がなければ私はなかなかむずかしいのではないか、こういうようなことを考えております。そこで特別な理由を考えなければいけないので、その特別な理由をあなた方からもお聴きしたいことと思つているのです。いい知慧があつたら教えて頂きたいところであると思つておるわけであります。そういう人たちを特に選び出してそうして恩給をたくさんやるような措置をするということは、先ほど申上げましたように退職当時に遡つて俸給そのものを上げてやることになるのであります。先ほど一番最初に申上げましたように恩給は退職当時の俸給を基礎として計算しておりますから、この人たちだけに特に俸給を上げて取扱つて行くということになる恐れがあるのであります。それはどうしても何か特別な理由がなければ、理由があれば別ですが、特別な理由をつけるのに苦しんでおるのであります。これは理由があればそうしなければならないと思つております。
#11
○成瀬幡治君 法律はかくかくだとこうおつしやるなら、私は何も講和条約が締結されて百八十日間過ぎれば当然前の恩給法が復活するというのに、ここでは一歩譲つて昭和二十八年三月三十一日まで現行法を有効にして勘案してやつて行くというその「ものさし」と、これはもう前からずつと文官のほうはこうなつて来ているから、何ともしようがないのだという「ものさし」は私は違つていると思うのであります。ということはこちらのほうは、前から生きておつた法律が一たびポツダム政令によつて廃止したのだけれども、私は効力が停止されておつただけだと思うのであります。廃止されちやつたわけじやない。ですからこれがなくなれば従前のものが生きて来ると思うのであります。そういうことならそのまま文官のほうはそういう二十三年以前の不均衡なものを直すことは不可能である、法律がそうであるからとおつしやるなら、こちらのほうの「ものさし」も前通りにやつてもらつて差支えないのじやないかということになるのであります。こういうものを検討されるなら、それに併せてこちらのほうも検討されるような、私は時が来ているのじやないか、非常に好い時だから、不均衡があるならば是正してもらいたい。こういうふうな希望的なものを持つているからそういう点を申上げたい。
#12
○政府委員(三橋則雄君) 六十八号恩給法の特例に関しましては、これは法律的には廃止だと私は考えております。それは若しも停止するということでありますなら、恩給権は与えられておつて恩給権の執行を停止されておるということとなり、それならば恩給証書を恩給局は発行しなければいけません。しかし恩給証書は渡しておりません。又恩給の裁定の要求がありましても恩給局はそれに応じておりません。従いまして法律的には、六十八号の規定ある限りにおきましては、これは廃止されているのです。廃止されておりますけれども恩給法特例と恩給法との関係は先ほど申上げました通りであります。そういう特別の関係からいたしまして、恩給法の特例がなくなれば新らしく恩給法の規定が働くことになるわけです。新たに働いて来ますからそこで新らしく軍人恩給というものが給されることになつて来る。これだけのことでありまして、この恩給法の特例がある間は廃止せられていると私考えております。
 それから今の不均衡の問題でございますが、不均衡の問題につきましては先ほど私は二つに分けて申上げ、あとのほうに申上げた点につきましては、すでに退職してしまつた人については同じように平等な取扱をしなければいかんのではないかという前提に立つているわけであります。差別して取扱うという考えは持つていないのです。軍人恩給の場合においても、軍人を差別して取扱うという前提には立つていない。差別した取扱をしますならかれこれいろいろ苦心はしない。差別しない建前を以て措置をして行くように努力するからこそそこに非常に骨を折つているのです。これは差別するという前提には立つておりません。
#13
○成瀬幡治君 これも意見になるわけですが、恩給というものが退職後の生活というものを保障すべきものである、そういう意味が非常に強いというようなふうに私は考えるのですが、その点どんなふうにお考えになつておりますか。
#14
○政府委員(三橋則雄君) 勿論恩給は、私は公務員の退職後の生活を保障するものと考えておりますけれども、その保障といいますのは、これは恩給法に定められた規定によつて減損能力をコンペンゼイシヨン、補償するその補償の範囲に限られているものだと考えております。従つて年金恩給をもらう人はそれで以て生活が安定されるような金をもらえるべきものだということには、必ずしも私はならないものと思います。一応そういうふうに考えられがちですが併しながら必ずしもそうはなつておりません。
#15
○上條愛一君 この審議会を設置されるということですがこの設置の趣旨は、例えば従来の恩給というものと関連して、社会保障制度のようなものを完備して行けば恩給というようなものは廃止してもいいというような意見もあるわけです。審議会ではそういう問題もここで討議せられるのか、従来の恩給制度をどうするかということだけを審議せられるのか、それはどういうふうになされるのですか、お伺いしたい。
#16
○政府委員(三橋則雄君) この審議会は今のところは、恩給法の特例に関する勅令の第一条に規定されております軍人軍属又はその遺族たるによる恩給に関する重要事項を調査審議するために設置するというふうなことに大体考えているのであります。そこで調査の直接の目的は、今申上げましたような軍人軍属たるによる恩給ということになるのでありますが、その問題を考えて行きます場合におきまして、勿論今のお話のようなことも一応考えられることと思いますけれども、併し新らしい社会保障制度に持つて行くというようなことを前提として考えるのではなかろうと思つております。
#17
○上條愛一君 これは私見になりますが、日本の現状から申しますれば審議会というようなものを設置される場合においては、もう少し従来の恩給制度を軍人軍属にいかに適用するかというようなことでなしに、国家としては一体恩給制度を存続するかどうか、或いは恩給制度に代るような制度を考究する時期になつているかどうかというような点を第一に考慮すべきではないか、こういうふうに考えるわけなんです。従つて審議会を設けられて審議するというような場合に、先ず第一に現在の恩給制度の可否というような問題について、或いはこの恩給制度に代るべき現在の国家の情勢からいうて制度があるかどうかというようなことについて考慮を払うのが第一段ではないか。それでその上に立つて従来の恩給制度というものを存置するほうがいいということになつた場合に、その制度の内容をどうするかというようなことを考慮するのが順序じやないかと思うのですが、そういう点についてお考えはどうですか。
#18
○政府委員(三橋則雄君) 私は今上條委員が仰せられますように、恩給制度というものは変えられるという前提に立つて考えられましたならば、今考えられている即ち先ほど申上げましたようなことを目的とするこの審議会は、私は置かれる必要はないのではないか、こう思います。恩給法によるということを前提として考えられていることだと思うのです。ですから御意見としては承つておきますけれども、私から上條委員の仰せられるようにすぐにそれをどうするということはちよつと申上げかねるところであります。
#19
○上條愛一君 そうすると、一番先にお述べになつた審議会を置くという審議会ですね、これはつまり従来の恩給制度を存続するという意味において、その制度に従つて軍人軍属の恩給をどうするかということを審議するという意味の審議会ですね。
#20
○政府委員(三橋則雄君) 恩給制度の存続を前提として考えておる審議会にはこれは間違いありません。併しながらその恩給制度の存続と申しましても、これについては恩給制度の内容をいろいろと検討して、その内容を変えなければならない点はあると思います。そういうような所は先ほども申しましたけれどもいろいろと大いに検討されることだと思つております。
#21
○上條愛一君 そうすると、今社会的に問題になつておるような恩給制度そのものについての是非を考究審議するということではないわけですね。いやわかりました。
#22
○竹下豐次君 今の上條さんの御質問に関連してお伺いしたいのですが、実は一週間くらい前であつたと思いますが、東京の或る新聞に社説であつたかどうであつたかよくおぼえませんが出ておつたのを読んだのでありますが、それによりますると従来は役人の給料が民間人の給料に比べて少かつた、それで恩給とかいうような制度も設けて、そうしてやめた後の生活の一部を補つて行くということになつたのが今日まで続いておる恩給の制度だと思う、ところが近頃は役人のベース・アツプの議論等を見ても民間と権衡を是非とらなければならないというような主張がされて、殆んど今日のところは民間の給料と官吏の給料というものが開きがなくなつておる。というのは待遇において官民いずれも平常において変りないということになつたら特に年金制度というようなものを官吏に限つておくということは不合理なことになるのではないか。この点は十分考慮を要する問題である。こういうことが書いてあつたのを私は見ましたが、成るほど一応尤もな意見だなというふうに私は見たのでありますが、ただ併し私らが見ておりますところではベース・アツプがありましたけれども、まだ民間と同等になつておるかということを考えますると、そこまではまだ行つていないのじやないかというふうにも思いましたが、これはだんだんやはり一致して行く傾向にあると思いますが、そういうふうのことを考えますると将来の問題としていつから時期を切るか、どういう人から時期を切るかということは、これは非常に技術的に困難な問題だと思いまするけれども、極く簡單に言えば新たに採用される人についてはもう恩給がなくなるという制度も建て得られると思います。そういうふうなことも考えますると、今度の審議会でもやはり根本的にそういう問題から取扱つて行かれるということが大事なことじやないかと思います。と申しますのは、予算面から見ましても若し今私が言いましたようなことが取上げられ、つまり将来の役人の年金というようなものがなくなるというようなことになれば、年金の額というものは年年、何年か後には下つて行くものだと思います。そうでなかつたらだんだん殖えて行く傾向にあるというようなことになるのでありまするから、それに関連して現在この権利を持つておる者に対する、権利を持つておると申しまするか、既得権を曽つて持つておつた者、それに対する支給の歩合というものを或る程度に高くやることになつても、何年か後のことを考えると、国家の財政が困らないということになつて来るのではないかというふうにも私は考えられることと思つております。非常に関連のあることであります。この際、ただこの際限りのことを考えて、ただ旧軍人のことだけ考えるということは如何にも徹底しないような感じがするのです。私の感じとしては既得権はこれはもうできるだけ最高度に尊重して行かなければならん。これは文官に限らず武官といわず。できるだけそうしなければならんと思つておりますけれども、その後の恩給制度については、根本的にそれをやめるかどうかということは十分研究しなければならん大事な問題だと思つております。ほかの国あたりはどうなんでしようか。もうどこでもやつぱり恩給の制度、年金の制度というものはあるわけなんですか。ない国もございますのですか、この点具体的に一つ御説明を願いたいと思います。
#23
○政府委員(三橋則雄君) 先ほどの上條委員の御意見なり又只今の竹下委員の御意見を拝聴いたしましたので、そういう御意見につきましてはよく考えさせて頂きます。
 外国における恩給制度の関係ということのお尋ねでございますが、私の承知しておりますところでは、英国におきましても、フランスにおきましても、戦争前のドイツにおきましても、イタリーにおきましても、又スエーデン、ノルウエー、スイス、それからアメリカ、南のほうの南米諸国におきましても、その他におきましてもたいていこの制度はあるのであります。これらにつきましては古い戦争前の調査しましたものでしたら私のほうにございますから御覧に入れても差支えございません。各国にもこうした制度があります。こういうことを考えますと、なかなかこの制度のあることについてはよほど理由のあるものではないかということだけは、私は考えられると思います。仮に御意見のようなことに従いまして措置するにいたしましても、やめさせる者については、恩給制度の廃止放しということでよいかということが問題になり、つきましては軽々しく恩給制度を廃止するということもできない、これについては慎重を要するのではないかと、こういうふうに考えます。
#24
○竹下豐次君 ほかの国でもたいていあるのだというふうに私も存じておつたのでありますけれども、今私は年金のことだけ申しましたけれども、民間の人が退職する場合には相当にまとまつた一時の退職金を支給されるという事実はあるのであります。そうするとそれがあるとすれば、役人が退官したときに、又民間と同じ程度の一時金を支給しなければならないというようなことになると、つまり今日一時恩給ということになりますと、それを一時に支払うほうが国家財政のためとしてもいいのか惡いのかというような問題もあるわけであります。私は決して今のところ恩給制度はやめたほうがいいということを申しておるのではありませんが、ただ審議会としては、やはりこういう根本の問題から研究を出発されるということが適当でないかというような意味で申上げておるわけであります。
#25
○委員長(河井彌八君) ちよつと速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#26
○委員長(河井彌八君) 速記を始めて下さい。それじや恩給局長に申上げますが、今成瀬委員からこの恩給制度の審議会というものはどういうふうに作られるという御腹案があるかということ、それからもう一つは、問題になつております恩給受給額の不均衡を是正してくれという要求が非常に強いのです。そういう点についてもう一度更に恩給局長から御説明を願いたいという成瀬委員の御要求であつたのです。私は成瀬委員の御要求を代弁して取次いだに過ぎないのですから、足りなかつたら成瀬委員からもつと十分に御質問になつたらいいと思いますが、一応その点について御説明を願いたい。
#27
○政府委員(三橋則雄君) ちよつと速記を……。
#28
○委員長(河井彌八君) 速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#29
○委員長(河井彌八君) 速記を始めて下さい。
#30
○政府委員(三橋則雄君) 只今委員長から審議会のことにつきましてお尋ねがございましたが、この審議会は大体先ほど上條委員の御質問に対しましてお答えいたしましたように、恩給法の特例に関する第一条に規定されておりまする軍人軍属又は遺族の受けるところの恩給に関しまする重要事項を調査、審議することを目的といたしておりまして、單なる諮問機関でなく、調査建議をし得る機関にするように考えております。そうしてこの審議会の組織、所掌事務、委員その他の職員につきましては政令で定めるようにいたしたいと考えております。審議会の委員につきましては十名から十五名ぐらいの委員を一応考えておるところでございまして、その委員の中に少くとも半数ぐらいは民間の即ち官吏以外の有識者のかたがたに入つて頂いて委員になつて頂くようにいたしたいと考えておるところでございます。審議会につきましては大体今のところはそれぐらいの程度で御了承を願いたいと思います。
 それから次に恩給の不均衡の点につきまして、先ほど成瀬委員の御質問に対しましてお答えいたしましたとのことにつきまして重ねて委員長からのお言葉でございますが、大体先ほど御説明申上げましたことで御了解を得ていると思いますが、それで御了解を得ないといたしますならば、なお細かく御質問を受けまして、とくと御説明申上げることにいたしたいと思つております。
#31
○成瀬幡治君 先ほどの御答弁で特別な理由はないかというようなお尋ねがあつた、それには若干考慮を自分もしたいというようなふうに、不均衡があるということも事実お認めになつている、だから上げるためには特別な理由がないものかと理由を探しておられるかと思うのですが、その特別な理由についてこんなことを考えておるわけですが、監獄の官吏だとか、或いは教職員というものが戦前は非常に惡かつたということをまあ言われて、そしてそれが終戦後そうした職員の待遇は一般並となつた、但しその前に恩給受給者になつてしまつた人には惡い、私はここに上げてくれというような不均衡是正の問題があると思うのです。そこで惡かつたという理窟は單に個人々々の問題でなく、私は大きく言えば一つの職種の問題にもなつて来ると思うのです。ですからこれを直すには、私は恩給というものが一つの社会保障制度の一環のようなふうに考えられるなら、私はやはりこれは直して頂くことができるのじやないかと思うわけですが、直らんですか、どうしても。ただそれを官吏も公吏も直さなければ直らんというふうでなくて、やはり或る程度生活を保障されるということになるなら私はそういう職種の人たちだけ特別に戦前惡かつたということであれば、僕は上げたつて差支えない、そういうような問題も私はできれば審議会で含めて一つやつて頂く、或いは若しそうじやないとするなら、私は特別に一つ考慮を一つあなたにして頂きたいと、まあ思うのです。
#32
○政府委員(三橋則雄君) その点につきましては、先ほど縷々御説明申上げたのでございますが、要するにもう一つ繰返して申上げますならば、今挙げられました教育職員、或いは監獄職員、そういうような人で今お話のように終戦後において待遇が改善されその恩恵に浴して来た人たちと同じように、すでに退職してしまつた前の人たち、そうした恩給受給者たち、そういう人たちも恩恵に浴さしてくれないかというような御意見であるように伺つたわけですが、これについては先ほどから申上げますように、すでに退職してしまつた恩給受給者に対しましては、他の受給者と同じような法律の規定によつて、その在職当時におけるところの就職条件によつて就職し退職して恩給を給されることになつた、その既成の事実を前提として、その恩給を私考えますると、そういうような人たちだけが特別な取扱をするということにつきましては、特別な理由がなければ許されないことではございませんでしようか、ということを言つておるわけです。先ほどから申上げておるのはそういうことなんです。ですからそういうことは先ほど私が申上げますようにそういう点はある。その点の恩給金額の是正については、これはされていない。これははつきり申上げておる。それがされていないのは、成瀬委員のような御意見のかたもおられるでしようが、併しそれと同時に今私が申上げるようなことも相当考えなければいけないことではないかということで、これについては私たちはまあ決断をいたしかねておるということなんであります。
#33
○委員長(河井彌八君) 速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#34
○委員長(河井彌八君) ちよつと速記をつけて下さい。如何ですか、本日はこの程度において散会しようと思いますが御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#35
○委員長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。なお散会をきめます前にこの問題は非常に重要な、各方面に重要な関係を持つております。そこでなお先も申しましたように、軍人遺家族援護についても適当な機会を選びましてやはり政府の説明を求めるつもりであります。それを御承知願います。
 本日はこれで散会いたします。
   午後三時十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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