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1947/06/22 第2回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第002回国会 治安及び地方制度委員会 第41号
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1947/06/22 第2回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第002回国会 治安及び地方制度委員会 第41号

#1
第002回国会 治安及び地方制度委員会 第41号
昭和二十三年六月二十二日(火曜日)
    午前十時三十五分開議
 出席委員
   委員長 坂東幸太郎君
   理事 小暮藤三郎君 理事 松野 頼三君
   理事 門司  亮君 理事 坂口 主税君
      大内 一郎君    大澤嘉平治君
      坂田 道太君    中島 守利君
      松浦  榮君    久保田鶴松君
      松谷天光光君    高橋 長治君
      高橋 禎一君    高橋清治郎君
      小枝 一雄君    加藤吉太夫君
      川橋豊治郎君
 出席國務大臣
        國 務 大 臣 野溝  勝君
 委員外の出席者
        專門調査員   有松  昇君
    ―――――――――――――
六月十八日
 地方財政法案(内閣提出)(第一五八号)
同月二十一日
 地方配付税法案(内閣提出)(第一六二号)
 地方税法を改正する法律案(内閣提出)(第一
 六三号)
同月十九日
 町村財政確保に関する請願(明禮輝三郎君紹
 介)(第一五二二号)
の審査を本委員会に付託された。
六月十九日
 國家地方警察の拡充強化に関する陳情書(大阪
 府会警察委員長山口昌一外七名)(第七四三
 号)
 映画、雑誌等の取締強化に関する陳情書(佐賀
 縣教職員組合定期大会外十二名)(第七五四
 号)
 出版物、演劇等の取締強化に関する陳情書(佐
 賀縣西松浦都南波多村井手実右工門外百十七
 名)(第七六六号)
 地方財政法案並びに地方税法案の修正に関する
 陳情書(東京市政調査会副会長佐野利器)(第
 七八六号)
 地方自治法の一部改正に関する陳情書(東海北
 陸七縣縣議会代表三重縣議会議長小切間重三
 郎)(第八〇七号)
 市町村職員共済施設に対し國庫補助増額の陳情
 書(全國町村会長生田和平)(第八一七号)
 映画・雑誌等の取締強化に関する陳情書外十六
 件(佐賀縣教職員組合定期大会外百六十五名)
 (第八二七号)
 地方競馬を縣営に移管の陳情書(岡山懸議会議
 長友保知)(第八三三号)
 都市財政の確立に関する陳情書(大阪市議会議
 長田村敬太郎外四名)(第八七一号)
を本委員会に送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 地方財政法案(内閣提出)(第一五八号)
 地方税法を改正する法律案(内閣提出)(第一
 六三号)
 地方配付税法案(内閣提出)(第一六二号)
    ―――――――――――――
#2
○小暮委員長代理 委員長がまだ見えませんので、暫時委員長の席を汚します。これより治安及び地方制度委員会を開会いたします。
 本日の議題は地方財政法案、地方税法を改正する法律案、地方配付税法案でありますが、以上の三案を一括して議題に供します。まず提案理由の説明を求めます。
    ―――――――――――――
#3
○野溝國務大臣 ただいま議題となりました地方財政法案につきまして、その提案の理由及び内容の大略を御説明申し上げることにいたします。さきに地方自治法の制定施行によりまして、地方公共團体の自治権は、劃期的な伸張をみたのでありますが、その基盤をなすべき財政自治権は、未だその確立をみるに至らず、しかも他面激変する経済変動の影響を受けまして、地方財政は非常な危局に直面するに至り、この危機を打開して、眞に地方自治の確立に即應する自治的地方財政制度を確立するということが、緊急の課題となりました結果、政府は本年初頭これが企画立案の機関として、総理廳の外局として地方財政委員会を設置し、自主的地方税財政制度確立の方途につきまして、鋭意検討せしめてまいつたのでありますが、ようやく結論に到達するに至り、これら改革案の一環として、ここに地方財政法案を提案いたすの運びとなつた次第でございます。
 申すまでもなく地方財政は、國家財政とともに國民経済にきわめて重要な連関をもつておるのでありまして、その健全性を確保しなければならないことはもちろんであります。しかるに現実の地方財政は、地方公共團体が行う皐務の性質上、國家財政から諸種の負担金の支出を受け、また國の事務の遂行について各種の経費負担を命ぜられておるのでありまして、この國費、地方費の負担区分に関する規律がきわめて明確を欠いている結果、とかく國の負担を轉嫁され、たび重なる地方税制度改革の効果を常に減殺するに至り、その健全性の堅持を困難ならしめてきたのであります。從つて自主的地方税財政制度の確立を期するためには、そ
 の独立財源の拡充強化をはかるとともに、それみずからの健全財政堅持の方途を講じつつ、國家財政と地方財政相互の関係に対し合理的規律を與え、地方財政運営の合理化をはかる必要があるのであります。こうした目的を達成するため、いわば健全地方財政運営法とも申すべき本法案を作成し、地方財政の運営、國家財政と地方財政との関係等に関する基本規定を設け、もつて自主的健全地方財政の確立をはからんとしたのであります。
 本法案はこれを大別いたしますならば、その内容は大体四点から成立つております。
 まず第一点は地方財政運営の基本に関する問題であります。その一は、地方財政の実質的收支の均衡をはかるため、赤字財政の根源である地方債の発行については、相当の規正を加えんとしていることであります。しかしながらもとより公営企業の財源については、その本質上当然地方債によつて差支えないものと考えております。その二は、公営企業の経営について独立採算制を採用し、その経営の合理化をはからんとしていることであります。その三は、地方財政についても減債基金制度を採用し、・その運営全体を通じて健全財政堅持の精神を具現しようとすることであります。
 第二点は、地方財政と国家財政との関係に関する問題でありまして、その一は、事務の性質によつて國費、地方費の負担関係を明瞭にせんとしていることであります。從來の地方財政がとかく國費、地方費の負担区分の撹乱によつて混乱せしめられてきた状況に鑑みまして、いやしくも共同負担の形式をとるものについては、その負担割合・経費の範囲等を法律または政令に明記することによつて、從來のような、國家財政の恣意による地方財政の負担加重を緩和し、國家事務の増加による地方財政への圧迫を除去せんとしているのであります。
 その二は、いわゆる補助職員制度の合理化であります。地方團体が行つております機能に省みまするときは、職員が行う事務の種類に應じ、國庫がある程度の経費を負担することもまた必要なことであります。しかし、從來のごとく國庫財政の一方的な都合によつて補助額の増減せられることは、地方財政を常に不安定にし、かたがた補助を通ずる無用の干渉は、地方公共團体の首長の権限に要らざる掣肘を加えるものであつたのであります。よつて今回從来の補助職員制度を廃し、國庫負担職員の制度を設け、その定員、負担経費の範囲及び負担割合を法定することによつて、この方面における地方財政の困難を取除くことにいたしたのであります。その三は、國庫負担金、国庫補助金等の支出を合理化せんとすることでありまして、これらの負担金、補助金等の金額算定の基礎及びその支出時期等について基本的な規定を設け、國庫の支出金が、実情を無視した低い單償で定められたり、著しく遅れて支出されたりする現状を防止しようと考えております。
 第三点は、地方公共團体相互の間において生じつつあるような財政上の障害は、地方公共團体の相互の間、特に複合地方公共團体である都道府縣と、その区域丙の市町村との間においてもまた存在しておりますので、その間の問題につきましても國と地方公共團体相互の間における財政調整の方法に準じ、経費の負担関係その他について合理的な規正を加えることとしたのであります。
 第四点は地方公共團体の財政運営に関する規律、國庫財政と地方財政との関係に関する規律に違反した場合の措置に関する問題であります。國も地方公共團体もその健全財政を堅持し、その濫費を戒め、経費の経済的効果に着目して、その財政を運営していくべきは当然のことではありますが、現状においては、必ずしもすべてが、こうした線に沿つて動いているとは言えないのでありまして、そのことはやがて、國や他の地方公共團体に多大の迷惑を及ぼすことになつているのであります。從いまして、自治権の濫用または侵害を戒め、その財政の健全性を確保するためには、規律違反に対する措置を規定する必要があるわけであります。その一は、國または地方公共團体が法令の規定に違反して國の補助金、負担金または地方公共團体の負担金等を濫費したときは、國はその負担金、補助金等の返還を命じ、地方公共團体はこれが返還を請求し得ることとしようとすることであります。その二は、地方公共團体が法令の規定に違背して多大の濫費を行つた場合等においては、それだけ財源調整の意味で交付される配付税の額は不要であると考えられますので、その額を減額し得ることとしようとすることであります。
 以上地方財政法の提案の理由及びその内容の大要につきまして御説明申し上げたのでありますが、なおこの際、この法律案の提出が遅延いたしました事情について、一言御説明申し上げておきたいと存じます。
 地方財政委員会法は、地方財政制度改革に関する法律案を、同法公布の日から三箇月以内に國会に提出することを命じてあるのでありまして、政府はこの義務を果すため鋭意努力を続けてまいつたのでありますが、事が國家財政地方財政を通ずる重要問題である上に、関係方面との折衝に意外の日時を費さざるを得ない事情に立ち至り・不本意ながら逐に今日まで延引するに至つたのでありまして、何とぞその間の事情について各位の御了承をお願いいたしたいのであります。
 何とぞ愼重御審議の上速やかに御賛同あらんことを希望してやまない次第であります。
    〔小暮委員長代理退席、委員長着席〕
#4
○坂東委員長 次は地方税法を改正する法律案並びに地方配付税法案につきまして政府の説明を求めます。
    ―――――――――――――
#5
○野溝國務大臣 ただいま提案いたしました地方税法を改正する法律案及び地方配付税法案について提案の理由及びその大要を御説明申し上げます。
 新憲法は、地方團体の自治権を個人の基本権と同様に保障することを闡明し、これに基いて地方自治法が制定実施されたのであります。しかしながら、地方自治発達の裏づけとなるべき財政の面におきましては、その與えられた財源の量は、未だ微力であり、その與えられた財源を入手する方途には未だ十分には自主性を確立しておりません。昨昭和二十二年度を顧みますとき、地方財政を最も悩ました大きな問題は、第一には六・三制の新教育制度の実施に要する経費と、瀕発した災害復旧対策に要する経費とでありました。いずれも当初予想しなかつた多頭の経費を要するものでありました上に、國庫財政の都合で、相当多額の負担が地方に轉嫁されましたので、地方團体はその運営に非常な困難をなめたのであります。この問題は今後も國地方を通ずる大きな財政問題として遺憾のないように措置されねばならないところであります。
 第二はインフレの進行に伴う人件費、物件費等の増加に対應する所要の財源を欠除した点でありました。これがため地方團体は極度の財政難に陥り、そのなすべき事業もなし得ず、いたずらに萎縮してしまつたのでありまして、敗戰による苦難の中から起ち上つて、平和日本の再建に努力すべき地方の創意も自主性も、これを十分に期待ないしは発揮することができなかつたのであります。しこうして地方團体はこれらの問題のため百二十億円の公債を発行し、五十五億円の政府貸付金を得て、ようやく年度を送るだけのことができたのでありますが、その実態はなお非常な金融難に苦しみつつも、多額の一時借入金を背負つて、まつたくの一時しのぎをやつているという状態であります。このような地方財政現在の危局を打破するため、政府といたしましては、地方財政委員会において、第一に、地方自治権確立の方針に則り、地方財政自主化の徹底をはかること、第二に、現在の経済情勢に即應する地方税財政制度を確立することの二つを目標といたしまして、地方税財政制度全般にわたる改革案を立案いたしたものであります。しかしながら國庫財政との関係もありまして、今ただちに地方税財政制度改革案を全面的に実施することはできませんので、一應さしあたりの地方財政の窮乏に対処するものとして、地方税法及び地方分與税法を全文改正することにいたしました。これが本法案を提出することにいたした理由であります。
 最初に地方税法を改正する法律案の大要を御説明申し上げます。
 本法案提出の理由が右に述べました点にありますので、從いまして本法案は、さしあたつての地方財政に必要な財源が得られるようにするため・地方税制の改正を主とし、なお地方財政自主化を一歩進めるために、監督廳の許可の全廃に関する事項及び徴収の確保を期するため、罰則等の強化に関する事項をその内容といたしております。所要の財源を得る途は三つあります。第一は新しい税目を創設することであり、第二は現行税目に賦課率の引上げ等の変更を加えることであり・第三は國秘を地方に委讓することであります。由來地方税はいわゆる直接税主義をとつており、從つてインフレの進行に伴つて増收し得る税種にきわめて乏しいのでありまして、この三つの場合を通じ、この欠陥を補正しようと努めたのであります。
 第一の新税目として創設いたしましたのは、次に申し上げるようなものであります。
 一、事業税、現行営業税は、営利法人の営む営業及び個人の営む物品販賣業以下二十数種の営業に対して課しておるのでありますが、この際農業、畜産業、水産業等の原始産業及び農業組合の特別法人に対しても、その所得を標準として課税しまして、地方團体の財源の一といたしました。以上新たに事業税を創設することにいたしたのであります。しこうして営業税はこれを廃止して、営業税の対象となる営業も事業税の対象とした点が特徴であります。しかしながらその賦課率は営業税の対象であつた営業と、新たに事業税によつて課税の対象となつたものとの差等をつけるのを相当と考えまして、前者は本税附加税を合わせて百分の十五であるのに対し、後者は百分の十といたしたのであります。この営業税の範囲拡張による増收額は、次に申し上げる主要事食糧の分を除いて約三十九億八千万円であります。なお農業に対する事業税については、当分の間その事業から生ずる所得のうち、主要食糧に関する部分は、これをその課税標準に算入しないことにしました。主要食糧の増産は、現下のインフレを克服し、経済を再建する基盤をなすものでありまして、この際その増産意欲を阻害するような措置はこれを避くべきであること、また現在自作農創設特別措置法による農地改革が今なお進行途上にありますので、この際これの成功に障害となるような措置はとるべきでないこと等の事情を考慮した結果であります。
 二、特別業務税、農業初め原始産業に課税することにしますと、それとの均衡上医師、弁護士等のいわゆる自由業に対しても、その所得に対して新たに課税することが適当であると考えまして、これらのものに対する特別業務税を新設したのであります。賦課率は弁護士、公証人、司法書士等に対するものは、原始産業に対する事業税と同樣、本税附加税を合わして百分の十としましたが、医師、歯科医師、助産婦等に対するものについては、これらの業務について法律上應招義務が規定されている等の業務の特殊性に鑑み、百分の八といたしました。この特別義務税の新設による收入は、約九億と見られております。
 三、鉱産税、鉱産税は昭和十四年当時まで國税として存したのでありますが、鉱産地帶の財政状況等にも鑑み、この際地方税として復活することにいたしました。鉱物の掘採または砂鉱の採取の事業に対し、鉱物または砂鉱の價格を標準として課するものとし、賦課率は本税附加税を合わせて、價格の百分の一といたしました。しこうして鉱物の掘採または砂鉱の採取の事業に対しては、事業税は課せられないことにしたのであります。この点が特徴であります。鉱産税の新設による増收は八億九千万円であります。
 四、電氣ガス税、電氣ガス税は戰時中から昭和二十一年まで國税として存しておつたのでありまして、その廃止後は多くの府縣において法定外独立税として徴収してまいつたものであります。この税を法定いたしまして、廣く一般消費者に課することとすることは相当無理な大衆課税であるとの論もあるようでありますが、地方財政の窮乏打開の一策としてやむを得ないものと考えております。賦課率は本税附加税を合わして百分の十といたしておりますが、要保護者等に対しまして、地方團体において適宜減免の措置をとることは望ましいことと考えております。なお重要産業が直接生産のため使用する電氣に対しては、その製品の價格構成中に五%以上の電氣料金を占むるものにつきましては非課税とするように措置いたしますから、その生産を阻害することはないと考えております。電氣ガス税新設による收入は約二十六億円に達する見込みであります。
 五、木材引取税、使用人税、余裕住宅税、以上申し上げましたほか、素材の引取者に課する木材引取税、家事使用人を使用する者に課する使用人視を新設し、なお当分の間、余裕住宅の使用者または空住宅の所有者に余裕住宅税を課し得ることにいたし、あらゆる方面において財源を求めるとともに、住宅難緩和の一助ともすることといたしたのであります。
 次に財源を得る第二の方法として、現行税目について次のようにその賦課率を引き上げる等、所要の変更を加えたのであります。地租の標準賦課率は、現在宅地については本税附加税を合わせて百分の二十四、宅地以外の土地については百分の七十二でありますのを、一樣に百分の二百、家屋税の標準賦課率は、現行百分の四十二でありますのを、百分の二百五十に引き上げて、相当の増收をはかることにしたのであります。地代及び家賃が現在他物價に比し、者しく低位にすえおかれておりますので、これを改定するとともに、この程度の増税を行うことは、またやむを得ないと考えたのであります。因みに、地租、家屋税の課率の引上げによる増收は約五十億になる見込みでおります。
 住民税は、現行地方税中におきまして唯一の人税でありまして、その本來の特色は、これによつて多額の収入を得ようとするのではなく、廣く住民が負担を分担し、これを通じて地方自治に対する住民の関心を深くし、積極的に地方自治に参與しようとする氣風を釀成していこうとする点にあるのでありますが、一面ある程度の彈力性をもち得る性質を具備しておりますので、昨年來しばしばその平均賦課額の制限額を引き上げて、相次ぐ人件費物件費の高騰に対應する財源の一部に充ててまいつたのでありますが、今回さらに一歩を進めて納税義務者一人当り平均賦課額制限の制度を廃止して、新たに標準賦課額の制度を設けることとし、標準賦課額を道府縣民税と市町村税とを合わせて千円とすることにいたしました。現行制限額四百円に対して二倍半の増税でありまして、これによる増收は約九十四億と見込まれるのでありますが、すでに本税としては徴収し得る限度ではないかと考えております。しかして納税者の便宜を考慮して適宜納期を二期をわけることといたしたのであります。
 鉱区税の賦課率は、他の税に比し低位にありますので、五倍に引き上げることにいたし、また不動産流通の担税力に着目し、かたがたインフレの抑制をはかるため、不動産取得税の制限賦課率を、本税附加税を合わせて價格の百分の二十に引き上げて法定することにいたしました。
 自轉車、荷車及び金庫の取得に対しましても、自轉車税、荷車税及び金庫税を課し得るごととし、また遊興税を遊興飲食税に改め、喫茶店における飲食、仕出屋等から供給を受ける飲食に対しても課し得ることにしました。なお、府縣税の藝妓税を廃止し、藝者、ダンサー等に市町村税として接客人税を課することにいたしました。
 以上申し上げましたように、今回の改正においては、地方財政として残されている税源について多数の新しい税目を起し、また、現行税目に変更を加えてこれを捕捉することにしたのでありますが、これらの措置のみをもつては、急増した地方團体の財政需要を充足いたしますには、なお多額の欠除を生ずるのでありましてここに第三の方法といたしまして、國税の地方委讓が考えられるのであります。現下の経済事情におきましては、國庫財政もまた相当窮屈な状態にあるのでありますが、警察、消防、教育等各方面におきまして相当大幅な事務が國から地方に委譲になりました現状におきましては・税源もまたこれに対腐して地方に委讓することが適当の措置であると考えるのであります。かくて今回の改正におきまして、國税入場税と狩猟免許税の地方委讓を受けることにいたしました。入場税は、元來地方税として発達したものでありますが、昭和十五年以來國税として徴收し、その一部を配付税として地方團体に交付する形式をとつて現在に及んでいるのでありまして、このような沿革からいたしましても、また地方團体の施設との関連から見ましても、殊に今般設置せられました自治体警察に要する経費に見合う財源としては適当な税と考えられますので、これを道府縣税とし、市町村においてその附加税を課するごとといたしたのであります。賦課率は、國税当時と同じく、料金の百分の百五十とし、この税の性質からしまして全國一律といたすように規定いたしました。なお道府縣分と市町村分との割合は、この税の委讓の趣旨の一つが自治体警察の財源に充てるという点にあるのに鑑みまして、道府縣分一、市町村分二の割合といたしたのであります。因みに入場税の委讓による地方税の増收は、約百九億となる見込みであります。
 狩猟免許税は、狩猟法に基いて國税として徴收いたしておるのであります。また地方團体におきましては、現在この狩猟免許税の半額以内の狩猟者税を賦課いたしておるのでありますが、いわばこれは附加税と同樣のものなのであります。一方狩猟免許に関する事務は、現在都道府縣において実施しているのでありまして、この際地方財源充足の一つの措置といたしまして、これを道府縣に讓り受けて狩猟者税と併合し、市町村において附加税を課することといたしたのであります。
 次に監督廳の許可の権限の全廃について申し上げます。現行法におきましては、標準率超過課税、法定外独立税の新設、変更、あるいは営業税における外形標準の採用等の場合におきましては、内閣総理大臣及び大藏大臣または都道府縣知事の許可を要することとなつておりますが、地方團体における財政自主権を確立する方向から見ましてうこの際許可制度を全廃することを適当と考えたのであります。その結果、たとえば住民税、地租、家屋税及び事業税については、單に標準賦課総額または標準賦課率を法定するに止め、また法定外独立税は地方團体において、自由に課し得ることとしたのであります。しかしながら、一面地方團体が財政運営の方針を誤り、その財政の健全性を失い、國または住民に迷惑をかけるようになりますと、かえつて自治の基盤を破壊することになりますので、財政自主権を尊重しつつ、しかもかかる弊害に陥らぬようにいたしますため、地方税審議会による審査の制度を設けたのであります。
 すなわち地方團体が標準率超過課税、法定外独立税の新設、変更、外形標準による事業税の賦課等をしようとするときは、これに関する條例の議決後、ただちに内閣総理大臣に報告せしめることとし、内閣総理大臣は國民の租税負担、國の経済施策等に照らし適当でないものがあると認めるときは、地方税審議会の審査を請求し得ることとし、地方税審議会の審査の結果当該條例の取消しまたは変更を可とすると決定したときは、内閣総理大臣は、これに基いて取消しまたは変更の処分をしなければならないこととしたのであります。しかして、この制度は從來の中央集権的な許可の制度とはその精神を異にするものでありまして第一に審査に付せられる事項はできるだけ少くするようにして、地方團体の自主的な活躍を萎縮せしめないようにし、第二に、審議会の委員は、財政主管官廳及び自治團体の関係者でない学識経驗者のうちからこれを選任することとして、その審査の公正を保持し、第三に、審議会は内閣総理大臣の所轄には属するのでありますが、内閣総理大臣は審議会の審査に拘束せられることとしまして、官権の專断を廃して、民主的な運営を所期することといたしたのであります。
 最後に罰則等の強化について申し上げます。地方税の賦課徴收に関しては、從來過料を課し得るのみであつて、刑罰による制裁はなかつたのでありますが、昨年及び今回の改正によりまして、新税の創設、國税の委讓によりまして、その税種におきましてもうその税額からいたしましても、地方税の内容な國税に匹敵するものとなつたのでありまして、これが徴收を確保するため、國と同樣の体刑または罰金を課し得ることといたしたのであります。なお徴税確保の見地から、延滯金の限度も税金額百円につき一円二十銭に引き上げることに改正いたしましたことを付け加えておきます。以上が地方税法案の大要の説明であります。
 次に地方配付税法案の大要を御説明申し上げます。
 現行地方分與税法を廃止して、新たに地方配付税法を制定する手続をとつたのでありますが、地方財政自主化の見地から考えて、分與という言葉は適当でありませんので、これに代えて配付という言葉を用いることとしたほか、現行法の内容に若干の改正を加えただけで、その根本精神には別段の変更を加えたわけではありません。
 改正の要点を御説明申し上げますと、第一は配付税制全体に関連する問題でありますが、その一は入場税を地方独立税とし、地方配付税の財源から除外したことであります。その二は配付税の繰入割合を増率したことであります。地方税所要額は年間一千百七十二億円でありますが、國税の委讓を受けたり地方独立税を創設したり、現行地方税の増税を行つたりいたしましても、なお四百十五億円の不足を生じますので、これを所得税及び法人税から地方配付税配付金特別会計の方へ繰入れる割合の増率に求めることといたしました。昭和二十三年度におきましては、八月から入場税の委讓を受けます等の関係で、若干計数に異動がありますので、経過的規定を設けております。その三は、配付税の道府縣分と市町村分との割合を変更し、市町村分を増率したことであります。地方税所要額中独立税または附加税の收入を充ててなお不足する額は、配付税をもつて充てることといたしますと、その配付税の所要額は道府縣分二百九億円、市町村分二百六億円となりますので、その配付税の道府縣分と市町村分との割合は、それぞれ百分の五十ずつとなります。現行は道府縣百分の六十七、市町村分百分の三十三でありますので、市町村分は相当今回増率したこととなります。もつとも本年度は年度中途から制度の改正が行われますので、若干計数に変化がありまして、この割合は道府縣分百分の五十三、市町村分百分の四十七となつております。その四は、戰災による税の減收額を標準とする戰災地地方團体に対する分與税の特別分與の制度を廃止したことであります。戰災後の地方團体についていつまでも一律に戰災前の状況を基礎として、その税の減收額を補填していくという考え方は穏当でありませんので、この制度を廃止したわけであります。しかし別に戰災地地方團体に対する財政援助の方法として、戰災復興費負債額に一定率を乗じた額を、当該團体の課税力の算定にあたつて用いる税額から控除することといたしました。
 改正の第二は、道府縣配付税に関する問題であります。財政需要に正比例して配付する配付額の算定方法につきまして、その一は、人口に設けるウエイトに改正を加えたことであります。すなわち從來大都市部の人口については、人口の三倍、都市部の人口については実人口の二倍、町村部の人口については実人口を一倍したものを基数に用いて、按分していたのでありますが、入場税の委讓等によりまして、都市方面の財源は相当増加してまいりましたので、大都市部の人口については実人口の二倍、都市部の人口については実人口の一倍半にしたものによることといたしました。またその際北海道の人口については三割増、東北地方及び北陸地方の分については二割増したものについて、それぞれ割増人口を計算することといたしました。これは寒冷地帶の財政需要は、薪炭費等がかさみますのと、事業税についても主要食糧に関する部分を除外した関係で、單作地帶においては、事業税の創設により増收を期待することができないという事情を考慮したのであります。
 その二は新たに義務教育にかかる学級数を標準とずる配付額の制度を設けたことであります。教育制度の改革に伴い、義務教育職員費が著しく増加することになりますので、その財政需要を配付基準にとり入れることといたしたのであります。
 改正の第三は、市町村配付税に関する問題であります。その一は、町村配付税を、自治体警察を設置する町村に対する甲町村配付税と、自治体警察を設置しない町村に対する乙町村配付税とにわけたことであります。
 警察制度の改正により、市町村に自治体警察を設置せられることとなりましたのに伴い、町村のうちこれを設置するものと設置しないものとの間に著しい財政需要の相違を生ずることとなりましたので、これに即應した配付税の配付をするためにそれぞれの配付税を設けろことといたしたのであります。その二は課税力に逆比例して配付する配付額の算定方法につき、改正を加えることであります。すなわち、從來團体間の課税力を測定するものとして、実人口一人当りの税額を用いて比較していたのでありますが、市町村に自治体警察が設置せられたことにより・実人口によることが不適当となりましたので、実人口に、三百に警察吏員の数を乗じた額を割増ししたものの一人当りの税額により比較することにいたしました。その三は、財政需要に比例して配付する配付額の算定方法に改正を加えたことであります。すなわわち大都市、都市、甲町村及び乙町村の各ブロック間の人口比例による分割にあたりまして、道府縣の配付税におけると同樣の趣旨をもちまして、從來大都市、都市及び町村につきそれぞれ実人口の三倍、二倍、一倍したものを按分の基数に用いておりましたのを、それぞれ実人口を二倍、一・五倍、一倍したものと、三百に警察吏員の数を乗じた額を合算したものを用いることにし、なおその際、北海道の人口については三割増、東北及び北陸地方の人口については二割増したものに基いて割増人口を計算するごとに改めたのであります。次に各ブロック内團体間の人口比例による配付額の算定にあたつて、その按分の基準に用います割増人口は、從來は実人口に一定数を加算したものによつたのでありますが、これを改正して、実人口に一定数を加えたものに、さらに三百に警察吏員の数を乗じた額を加算したものによることとするとともに、寒冷地帶の人口につきましては、單なる実人口を用いないで、北海道について三割、東北及び北陸地方については二割をそれぞれ割増ししたものを用いるごとといたしました。なお道府縣配付税の場合と同樣の趣旨によりまして、新たに義務教育にかかる生徒児童数と、義務教育にかかる学級数とを標準とする配付額を設けることといたしたのであります。
 以上をもちまして、地方税法を改正する法律案及び地方配付税法案の提案の理由並びにその内容の大要を御説明申し上げた事次第であります。
 なお一言申し上げておきますが、本法案は特に重要法案であるとともに、自治体の裏づけとなるべき骨格法でございますので、この際委員諸君の檢討を得るためにも詳細に説明した方がよいだろうという意味からくどいようでありまするが、詳細に説明申し上げた次第であります。
#6
○坂東委員長 この際紹介しますが、当委員会の委員中垣國男君が辞任されました、その補欠といたしまして高橋清治郎君を御紹介いたします。なお昨日の議案取扱い方針に基きまして申し上げます。議事進行の都合上、ただいま提案理由の説明がありました三法案に対する質疑は後回しにいたしまして、次に市町村立学校職員給與負担法案を議題に供します。本法案については前前回の委員会において提案理由の説明を聽取したので、本日は質疑に入るのでありますが、その前に松野君から質疑があります。
#7
○松野委員 この際地方財政委員長にお伺いしておきたいことは、地方財政委員の府縣代表及び市長代表、町村代表の各委員が辞任したということを聞き及んでおりますが、現在いかなる方法で委員会の運用をやつておられますか。
#8
○野溝國務大臣 ただいま松野委員から御指摘になりました地方財政委員会の委員三名が辞任をいたしたことは事実でございます。一名は市長代表であります京都の神戸さん、一名は知事代表であります安井東京都知事、一名は町村長代表の生田和平さん、この三人であります。しかしこの三人のうち市長代表の神戸氏の後任はすでに推薦になつておりますので、現在は二各でございます。しかしこの二名の方々も町村長会長の生田君は先般折衝したところ留任するやに見受けられます。知事の方は二、三日中に会議を開きまして、その後任あるいは留任の回答を得ることになつております。まだ運営においては目下のところ支障を來しておりません。
#9
○松野委員 はなはだ厖大な地方税法の改正案が出ましたが、これは当然地方財政委員会において計画立案に参加されたことと思うのでありますが、聞き及びますところによりますると、三人の辞任がいまだにはつきりしない、委員会は三人以上によつて初めてその委員会の運営ができると信じますが、はたしてこれは委員会において十分審議されて各会務の運営においても支障なくこの法案が提出されたかどうか。
#10
○野溝國務大臣 ちよつと質問の趣旨に、お答えがあるいは満足かどうかわかりませんけれども、財政委員会は昨年財政委員会法というのがございました。その委員法は御承知のごとく五人によつて運営されておるわけであります。ここは企画立案する機関でございまして、決議機関ではないのであります。しかし決議機関でなくても、御承知のごとく自治法が生れまして、その自治法に対する裏づけの財政企画をする重要な委員会でございます。たとえば決議の権限がなくても、その企画立案に対しましては相当権威のあるものと見なければならぬと思つております。またさように見るのが至当であると考えております。よつて財政委員会におきましては種々檢討の結果立案をいたしまして、その案を政府へ提示いたしたのでございますが、その財政委員会から要望いたしました全部が容れられなかつたことはまことに遺憾とするのでございますが、一應は容れられたという点においては立証できるのであります。しかし一應は容れられたとて、必ずしも自治体の裏づけとなる自主的地方財政が確立したということにはなら事ないのであります。その点はわれわれも財政委員会の方々の御不満の点は十分了承できるのでございますが、何と言いましても現下の法制のもとにおきましては、遺憾ながらこれ以上にはできないのでございまして、もしこれ以上にやるということになりますならば、財政、税制の根本的改革をやり、あるいは來るべき來年の一月に地方財政委員会法が変ることになりますから、その際に権限を具体的に規定してこの改正の法案を提出したいと考えております。
#11
○松野委員 確かに議決機関ではございませんが、しかし地方財政委員会というものは、発足当時の趣旨から申しても、相当大幅な企画立案に参加し、またそれを議決するときは、委員会の補佐によつて初めて内閣総理大臣が議決すべしという一文があるということは、法文の精神から言いましても、当然議決機関にあらざるも、相当以上の権限を持つべきものだという委員会の趣旨であるにもかかわらず、ただいまの御説明ですと、はなはだ残念ですけれども、委員会の趣旨をくみ入れておらぬ。政府提案の原案は委員会を無視した、財政法あるいは地方税法の趣旨であるとしか解釈されないのあります。殊に三人の委員自身が天下に公表されたごとく、ほとんど地方自治の意見と相容れないために、かくも三人もの委員が辞任されて、委員会の運営さえもできないという窮地に陥つた点は、政府においても十分反省すべき点があると存ずるのであります。殊に財政委員長であられ、國務大臣であられる野溝氏は、この提案の理由においては、民主的あるいは自主的ということを多々うたわれておりますけれども、提案の劈頭においてかくのごとき暴圧的な、一方的な政府の財政法案が提出されるということは、私たち委員としても、また地方民としても遺憾なことであろうと思います。
#12
○野溝國務大臣 お話のあるまでもなく、私も財政委員長でありますし、同時に國務大臣であります。しかし國務大臣として私は就任をし、総理大臣の命によつて委員長を承つたわけであります。なお先ほど御説明申し上げました通り、この財政事委員会というものは、総理廳の外局でありますから、総理大臣の命を受けて私は就任したのでございまして、自然ウエートの点では國務大臣というのが主軸にならなければならぬと思います。
 なお先ほどの松野君からのお話でありますと、何もなしておらぬというのでありますが、不肖私は財政委員会の意見が何も通らないで便々として席を汚しておるものではありません。微力ながらも財政委員会のうち、入場税の委讓であるとか、あるいは狩猟税の委讓であるとか、あるいはその他起債に対し責任をもつて政府が斡旋をするというようなことについては、一歩前進であると考えております。
#13
○松野委員 野溝國務大臣の御努力は懇談会あるいはその他の一切の活動において十分私は了承しておりますが、しかし少くとも財政委員長にあなたがおられるときに、三人も委員が辞任したというこの大きなことは、財政委員長として相当強い責任と、強い反省を求むべき大きな資料であり、これ以上大きな事件はないと思う。もちろん國務大臣として総理大臣の御命によつて職を遂行されるにおいては敬意を表しますが、しかし財政委員会の五人のうち、三人の地方國体のすべての者が辞任するような大きな理由があるもの事を、便々として、國務大臣の職にあるがためにこれに耳をおおうという点においては、私は財政委員長としてはなはだ――もう一歩の努力が足らないとともに、政府自身においても大いに反省を求むべきことだろうと、劈頭において私はこの説明とともに深く感じましたので、私の意見としてもう一度申し上げて、今後の財政委員会の運営には、民主的にという言葉が多々あるにもかかわらず実際財政委員会の運営には民主的なところがない、この点を深く認識して地方財政今後の審議に私の意見を反映されたいと思います。
#14
○松浦(榮)委員 ただいまの國務大臣のお話によりますと、地方財政委員会はまだ全部補充してない、補充してないにもかかわらず、それをむりに押してこの地方財政法案を事出されたことは、きわめて重要問題を割合に簡單にお考えになつておるように思われます。從つてただいま松野氏からもお話のように、きわめて民主的でないところの法案であると言わなければならぬと思います。つきましてはこの法案をもう一度撤回して、地方財政委員をはつきりときめられて、そのきめられた地方財政委員のもとに審議を十分に遂げられて、納得のいつた法案をお出しになる意思はないかどうか、その点をお聽きしたいと思います。
#15
○野溝國務大臣 松浦委員にお答えいたします。財政委員会は現在辞任されておるから、それが新たに就任してから本案を出すことがいいだろうということでありますが、政府と議会が法律案を提案する権限があるのでありまして、財政委員会はその資格はありませんから、これは別個にお考え願いたいと思います。
#16
○中島(守)委員 地方財政委員会の政府に答申した案でなければならないと思います。それがあつたら私どもに配付してもらいたいと思います。
#17
○野溝國務大臣 ごもつともでございまして、それを一緒に出すことになつておつたので、私、先ほどから事務当局に警告を発しておつたのであります。すぐ出します。
#18
○坂東委員長 それでは市町村立学校職員給與負担法案につきまして質疑を続行いたします。
#19
○野溝國務大臣 今委員長のお話では、今日は政府の説明だけでよろしいということでありますが、先ほど中島委員からお話がありましたが、書類がすぐまいると思いますから、後刻にらみ合わせて御檢討願いたいと思います。
#20
○門司委員 今國務大臣の意見では、政府の説明だけというようなお話でございますが、私どもは法案を審議するにあたりまして、政府の説明だけを聽いて、そのまま原案を審議するわけに
 はまいらぬのであります。その原案を審議するにあたりまして、政府の所信をなお質す必要があると思いますので、この際國務大臣の説明に対する質疑を許していただきたいと思います。
#21
○坂東委員長 それでは……。
#22
○門司委員 私は総括的にまだ法案を見ておりませんので、案の内容については御質問を申し上げませんが、ただこの際当局にお伺いしておきたいと思いますことは、地方財政委員会の成案と政府の今回提出されました案との間には相当大きな開きがあると思うのであります。さらにもう一つは地方財政委員会の案と、地方財政との間にも非常に大きな開きがあると思うのであります。從つて結論といたしましては、地方財政を掌つております。
 都道府縣並びに市町村の財政を確立いたしますのと、政府案との間には非常に大きな開きがあることを私どもは見ないわけにはまいらぬのであります。單なる一例でありますが、横浜市の関係を見ましても、政府原案によりまする場合にどれくらいの不足を生するかというと、大体分與税を倍と見まして四億七千八百万円の差額を生ずる。それが地方財政委員会の案をそのまま取入れてまいりましても、なお三億七千八百万円の差額を生ずるのであります。從つてこの大きな開きに対して所管大臣といたしましてどういうふうにお考えになつておるか。私どもはこれを改正し、さらに私どもの氣持の通りにやろうといたしますならば、國の財政に非常に大きな関係をもつてくる。従つて今國が地方に分與しないと言われております、たとえば酒、タバコの消費税のごときにつきましても、財政委員会としては一應地方にある部分を委讓するおうに私ども聞き及んでおりましたか、今回の予算画ではそういうものが出ていない。そうなつてまいりますと地方財政はますます、苦しくなる一方になつてまいりますが、この國の予算に対して地方財政の面からなお考慮を求めて修正し得る余地があるかどうかということであります。これはこの法案を審議するにあたりまして、きわめて重要なことであります。もし國の財政に対してこの修正ができないということになつてまいりますならば、ここで法案の内容についていくら議論してまいりましても、それは單なる條文の整理くらいに止まつて、実質には何らの効果がないと思います。そのほか独立税であるとか、あるいは多少のものを見つけ出して、それを法定税化するという面も多少あると思いますが、それらの面によつて一切が賄えるとはわれわれ考えない。從つてそういう点について、この際大臣のはつきりした御答弁を得ておきたいと思うのであります。それによつてわれわれ案の内容について審議を進めたいと思うのであります。
 それから大臣の説明の中で非常に遺憾に考えておりますことは、地方の財政がどの程度に大きくなつておるかということを、十分認識されていないのではないかということであります。この説明書の中に、住々にして出てまいります地方財源の最も大きな負担となつておりますものは、警察の移讓によることでありますが、警察の移讓による経費のほかにもう一つ、各大都市におきましては消防の設備、施設というものに対してきわめて大きな財源を要するのであります。この点がちつとも大臣の説明の中に考えられてない。ただ單に警察費のみが考えられておる。市町村財政の今日の現状は、從來の警察制度でありますならば、消防は警察に含まれておつたから一應警察の中にそれが勘案されたのでありますが、現在これが独立しておる以上は、市町村においては消防費を別途の項目として考えられておる。そういうものが忘れられていないかというような考えをわれわれはもつのであります。もしこういう点に、あなたの方の委員会から政府に上申されましたこととの間において開きがあるということになつてまいりますと、これもなかなか容易ならぬことでありまして、大体地方における警察費と消防費の割合は、警察費の五割ぐらいは大体消防費に使われるのであります。これは消防施設を持つておりません都市は別でありますが、消防施設をもつておる大都市におきましては、大体警察費の半額が消防費事に使われる状態になつておりますので、こういう点が考えられておるかどうかという点、從つて要約して申し上げますと、第一点はこの法案を審議する上において、政府の予算案の中にこれを織入れて、なお本予算の修正ができ得るかどうかという見透しであります。次は先ほ事ど申し上げた消防その他の点において、地方の自治体の経費がほんとうにおわかりになつておるかどうか。これははなはだ侮辱するような質問でありますが、念のためにお伺いしておきまして、本案の審議に移りたいと考えております。
#23
○野溝國務大臣 お答えいたします。大体先ほど税法、財政法並びに配付税法の中で一貫した地方財政の事情を総括的に織込んで述べたと思いますけれども、あらためてまた御意見を交えた御質問のようでありますから、一應申し上事げておきます。大体地方の府懸予算といたしましては、二十二年度は九百七十億くらいでございました。本年は二千億を突破する予算を計上したのでございます。國の予算から見ると約一般予算の半分でありますが、かような増額にどうしてなつたかと言いますと、何と言いましても教育制度の改正と自治体警察、それに今門司委員が御指摘になりましたように消防等も含んでおります。それに災害復旧あるいは公共事業等々非常に地方の負担が多くなつたのでございます。かくて加えて二千九百円ベース、続いて三千七百円ベースというのとにらみ合わせていかなければならぬ関係から、いきおい人件費の増嵩というようなことから厖大な予算になつたのでございます。そこで特に地方といたしましては、門司委員も御承知の通り財源補填の問題でございますが、これについては地方はまつたく彈力がないのでありまして、從來から國に依存しておるような形をとつておつたのでございます。地方におきましては特に府懸といい、市町村も同様でございますが、大体國からの分與あるいは補助と言いますか、それを見越してみな予算を組んでおるような次第でございます。ところが一体國から援助を受けるこの考え方自身が私はよくないと思つておるのであります。一つの過渡期でありますからいたし方ないのでございますが、大体自治体を確立するということは、自主自存、いわゆるその自治体が自給自足ができるという経済体制を整えなければ、ほんとうの自治体の確立はできないのであります。この点ではわれわれはもちろんさような精神に基いて、特に今回の予算を編成する場合におきましても、分與してもらうという考え方よりは、この彈力のない地方の財政を確保するには、地方民に直結せるところの税源を委讓してもらうという建前で、財政委員会におきましては、入場税と酒、タバコの消費税としての新税を創設するということで、この二つを二大税源眼目として要望してまいつたのでございます。入場税におきましては、七十余億、酒、タバコの二割としまして大体二百四、五十億を予想して、三百有余億の有力財源を地方に委讓することによつて、自主自存の経済体制を整えていきたい、かように念願をし、かつ要望をしたのでございますが、遺憾ながら入場税だけ委讓されまして、酒、タバコの方は委讓をされなかつたのでございます。特に入場税におきましては七十余億の委讓でございますが、國税であつた当時にこの入場税の一部は分與税として地方に配付されておつた関係から、今度委讓をされるということになりますと從來の分與額も、今度の法案からみると、少くなるわけでございますので、ここでまた財源の番狂わせもできたという事情でございます。かような状態でございまして、地方といたしましてはこの財源補填に、先ほど申した通り新たに税率を改正するとか、あるいは新独立税を設定するとか、あるいは從來の中央官廳の許可事項になつている点を撤廃いたしまして、独立新税の自由課税を承認させることにしたというようなことによつて、間に合わせると申しましようか、補足し、また一面におきましては起債に対するところの政府の責任斡旋というようなことで、どうかこうかそのバランスを合わせていくようにしたのであります。そこで特に門司委員におかれましては、横浜市を中心にしてこの分與税の矛盾と、財政上における消防費等の計上に対する疑義ないし論難の御意見がありましたが、横浜市に対する問題については、全國各市にわたる調査資料を私まだ檢討しておりません。事務当局には皆集つておりますので、詳しい点をお事聽きしたいというならば、いずれまた事務当局の方から調べて御回答することにいたしたいと思います。
 消防の問題につきましては、これは当然警察の中にくるめて説明を申したのでありますが、財源対策概略案の中には四十億ばかりを区分して計上してあるのであります。決して軽くみたというわけではないのでありますから、さよう御了承を願つておきたいと思います。
#24
○門司委員 非常にくどいようですが、もう一点はつきりお聽きしておきたいことは、この法案を審議するにあたりまして、今の委員長の説明では大体やむを得なかつたというようなお話でありますが、われわれの立場から突込んだ話でありますが、独立税あるいは法定税として、今國でとつております税金の中から、この法案の方に移すというような修正をして、地方財政を完全に賄つていくことができるような方法を講ずることにしなければならないと思いますが、政府にそれだけの用意があるかないかを伺います。
#25
○野溝國務大臣 地方財政を担当している私としては非常に感謝をする次第でございますが、これは私の方から公の席上で、國にこれだけ財源がある、この財源をもつてこいということは申されませんが、本委員会におきまして十分檢討を願いまして、特に地方財政の逼迫している事情を御了解を願つて、中央地方の財政調整に対する御意見の結論が得られるならば、こちらとしては仕合せと存するのでございます。ただ一点この点だけは門司委員に御回答しておきたいと思います。まつたく地方におきまして財政の基礎となるべきものは営業秘だけでございます。営業税だけか何といつても基本課税でありますし、これが主軸でございます。その営業税だけではとうていやつていけませんので、いろいろ独立新税がありますけれども、特に営業税をもこの範囲を拡張して事業税、この事業税に対してもいろいろ御意見がありますがとにかくかようにいたしまして財源を見つけてやつていかなければならぬというわけで、営業税の範囲を拡張して事業税にしたのでございます。そこで何と言いましても彈力性のある税といたしましては、営業税の範囲を越えた事業税と今度の入場税、これだけくらいのものであります。そこで酒、タバコなどというものは、これは地方に直接関係もあるものでございますし、特に地方においても非常に徴收しやすい税でありますし、同時に非常に彈力があるものでありますから、殊に英國におきましても酒の税は非常に増率した。これはある意味で奢侈的なものでありますし、彈力のあるもので、地方におきましてはよい財源だから、これを讓つてもらいたい、こういうわけで要望したのですが、これがだめであります。特に私の方で考えておるのは、所得税附加税を大幅に地方に委讓してもらうか、酒、タバコの消費税としてこれを地方に委讓してもらうか、全部を委讓せよというのではありませんが、これがもし委讓できますならば、中央地方事の財政調整もよく割切れることができますし、地方の財政育成にもなりますし、特に六・三制の施設の問題、あるいは自治体警察に対する國家警察との紛議のような問題なども、あるいは公安委員に対する給與、施設の問題も円滑にいくだろう、かように考えておるのでございますが、この点がわれわれの方で考えている事だけでありまして、いまだ結論を得ないでおる次第でございます。かような点は本委員会において十分御檢討願つておきたいと思います。
#26
○門司委員 大体財政委員長に対する質問は終りたいと思いますが、次の委員会に、できますならば大藏当局を呼んでいただきたいということを要望いたします。
#27
○松浦(榮)委員 大臣のお出でになるときお伺いしておかぬと、お出でにならぬときもありますから、この際お聽きしたいと思います。各論的なものは逐次その都度述べたいと思いますが、重大な問題だけひとつお伺いしたいと思います。一つはこの地方財政に対するところの大臣の信念をお伺いしたいのでありますが、私はこの地方財政というものはもつと自主的にあらしめなければならぬと思います。かつては地方財政は非常に彈力性があり、苦しいときもあつたけれども、またおもしろみもあつたような財政でありましたが、その後逐次非常に貧弱町村に対する救済を叫ばれまして、それによつて貧弱町村を救済するために、ある程度の調整制度というものが考えられたのでありますが、その制度が戰争に便乗しまして、戰争のために濫用されまして、遂に今ありますところの分與税制度に変つてしまいまして、町村長は知事の認可を得なければならない、また財政はすべで割当制、國で全部集めてそれを割当するにすぎない。おもしろみのある、彈力のある独立税というものは、ほんとうのわずか小遣程度に認められたというのが戰時中の地方財政であつたのであります。今日新憲法が個人的にも非常な自由を認められ、大いに自由闊達なる活動を認められているときにあたりまして、地方團体も十分にその活動ができるように自主性を與えなければならぬ、そういう意味におきまして、私はもつと分與税制度というものを考え直して、今日出されたこれ以上の財政改革というものが行われなければならないと思うのであります。今日過渡期におきましてはこの程度を十分に考慮に入れなければならぬと思いますが、その根本信念といたしまして、どこまでも自主性というものを考慮に入れておかなければならぬと思うのであります。しかるにただいま出されました地方財政法の一條、二條をよく見ますと、まだきわめて國に対する依存性が強い、しかも國の一種の訓示的な字句がそこに感ぜられるような條文があります。また分與税を配付税としたが、この言葉もまたこちらから集めて配付してやるんだというようなにおいがあるのであります。これはやはり調整金という意味にした方がいいと私は思いますが、どこまでも財政の自主性を認めて、國は貧弱町村に対してある程度の調整をしてやる、苦しいところに手助けしてやる。個人で言えば社会事業的な、ほんとうの幼小老若のような、貧弱なものに対してこれをある程度救済の手を伸ばしてやるというような程度にしてやらなければ、將來自治体というものは発達して行かぬと思います。その点に対して大臣はどういううお考えを持つておられますか、そのお考えと、この地方財政法に現われた第二條の條文は多少訓示的であるという意味におきまして、もう少しこれをお考えになる意思はないかどうか。配付税という言葉も私はなお足らないと思いますが、どういうお考えでありますか。それから第二にお聽きしたいことは、地方財政につきまして、起債借入等について独立の金庫をおつくりになる考えをお持ちになつておるように新聞等に拜見しましたが、この点は今度上程されておりませんが、どういうお考えでありますか。それから災害復旧事業に対しましても一つの特別の金庫を持たせるというようなことも拜見しましたが、その点についても政府はどういうようなお考えであり、またいつごろそういうことについて提案されるかということをお伺いしたいと思います。
#28
○野溝國務大臣 松浦委員にお答えいたします。地方財政は自治体の裏づけとして非常に自主性をもつていかなければならぬ、にかかわらず本法案を見ると、まだ中央集権的なにおいが強い。特に財政法の第二條などはそうではないかというような御質疑がありました。特に第二條を指されてお話にな
 つておるのでございますが、これは中央官廳がやるのではないのでございまして、國会がこれは規定するのでございますから、さような点よく朗読をされればわかるのではないかと思います。「地方公共團体は、その財政の健全な運営に努め、いやしくも國の政策に反し、又は國の財政若しくは他の地方公共團体の財政に累を及ぼすような施策を行つてはならない。」「國は、地方財政の自主的な且つ健全な運営を助長するに努め、いやしくもその自主性をそこない、又は地方公共團体に負担を轉嫁するような施策を行つてはならない。」この点はよく読んでくださるというと、相当自主性を堅持する点がはつきりすると思いますが、さよう御了承願いたいと思います。
 なお私非常に考えさせられたのは、松浦委員の、配付税というのは從來の分與税と同じような名称であり、かつ、そういう感じを強くさせる。この説はいたく私も考えさせられておつたのであります。私も配付税という名称をつけるときに、これはどうかということで、相当委員会においてかつ事務当局とも論議をしてみました。御指摘になりましたような調整金とか、調整法という意見も出たのでございます。ところがこれを角度をかえて申しますと、國が調整をしていくというのもこれはまた封建的であり、支配的ではないか、では配付というのもまた、分與とどう違うかというような意見も出まして、結局調整でもよければ配付でもいい、一應自主性を早く確立することだ。一体分與とか配付とかいうことがよろしくない。早く地方の彈力ある財源を確保することが一番いいのである。とりあえず現段階においてはいたしかたあるまいというような程度できまつたのでございますから、さよう御了承願いたいと思います。
 第三点の地方の財政運営にあたつて起債ができないような場合もある、そういう場合は金融機関を設定していかなければならぬと思う。それについてどう考えておるか、特に中央團体金庫法あるいは災害金融機関というものが構想されておつたように聞いておるが、それはどういうふうになつておるか、かつどう考えておるかというような御質疑であります。これにつきましては、もちろん地方財政委員会におきましても御指摘になりました通り決定になつたのであります。しかし地方財政委員会といたしましては、かような金庫法案をつくることが目的ではないのでございます。実を申しますと、今日まで六・三制の予算が計上された、そうすると國が半分、地方が半分ずつというわけであります。かような國家事務は國で全額負担すべきが妥当であると思いますが、一應そういうことになつておりますので、その五割なら五割というものによつて地方はその計画実施にはいるわけですが、その五割という國家からくる分與金なり、公共事業費なりが、決定したその翌日にでも來るならば、その当時に計画した工事費なり建築費なりがその通りでいいのでありますけれども、年度末に來れば結構でありますけれども、翌年度にわたつて來たり來なかつたり崩れたりということになりますので、実際地方では大きな迷惑を來しておるわけです。かような点でどうもその点に非常な不安がある。であるからこの際地方團体としても、そういう場合に國からの資金の融通がつかぬという場合もあるから、一時融通のつく金融機関を設定しておくことがいいのではないかということを考えたのでございます。なお御承知のごとく、中央におきましては金がないというと大藏証券を政府の証明において発行することもできます。臨時議会を開いて補正予算をすることもできます。しかし現下の自治体の予算といたしましては、府縣会にいたしましても市町村会にいたしましても、そういう余裕がないのでありますから、そういう点において運営上に支障を來してはいかぬという点から、かような機関を設けようというわけで財政委員会では要望をしたのでございますが、その具体的な法案を出す前に一應財政委員会で出した予算案に対して檢討を加えた結果、最後にその起債に対しましては前年度のような轍を繰返さないように、政府が責任をもつて斡旋をするという建前をとることに一應なつたので、ただいま御指摘になりました法案につきましては今日まで出しておりません。しかし財政委員会といたしましては、今後機会があつたならば、ただいま御指摘になりましたような法案を提出いたしたい。かように考えております。
#29
○坂東委員長 これで休憩しまして、午後一時から開きます。なお理事諸君はお集まりくださいまして、この法律案の取扱いにつきまして御相談を願いたいと思います。
    午後零時十一分休憩
     ――――◇―――――
    〔休憩後は開会に至らなかった〕
ソース: 国立国会図書館
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