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1951/05/19 第13回国会 参議院 参議院会議録情報 第013回国会 内閣委員会 第25号
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1951/05/19 第13回国会 参議院

参議院会議録情報 第013回国会 内閣委員会 第25号

#1
第013回国会 内閣委員会 第25号
昭和二十七年五月十九日(月曜日)
   午前十一時二十七分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     河井 彌八君
   理事
           鈴木 直人君
   委員
           中川 幸平君
           横尾  龍君
           楠見 義男君
           竹下 豐次君
           赤松 常子君
           上條 愛一君
           松原 一彦君
  国務大臣
   運 輸 大 臣 村上 義一君
  政府委員
   内閣官房長官  保利  茂君
   総理府恩給局長 三橋 則雄君
   法制意見長官  佐藤 達夫君
   農林政務次官  野原 正勝君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       杉田正三郎君
   常任委員会専門
   員       藤田 友作君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○恩給法の特例に関する件の措置に関
 する法律案(内閣提出・衆議院送
 付)
○運輸省設置法の一部を改正する法律
 案(内閣送付)
○農林省設置法等の一部を改正する法
 律案(内閣送付)
○連合委員会開会の件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(河井彌八君) これより内閣委員会を開会いたします。
 恩給法の特例に関する件の措置に関する法律案を議題といたします。前回に引続きまして質疑を願います。
#3
○竹下豐次君 先日の連合委員会におきまして、旧軍人軍属の恩給の問題はつきまして、いろいろ感想も述べられ、又希望も述べられ、政府のお考えにつきましても質問が出たのであります。私も同席いたしましてよく拝聴しておつたのであります。同じようなことをここで繰返して言うことは必要でないと思いますが、かいつまんで申しますると、質問なり、或いは述べられた意見なり、希望なりというようなことにつきましては、私も殆んど同様な感じを持つておつたわけであります。それだけを先に申上げておきます。
 本日は、この問題につきまして、そういう感情の問題ということは先ず大体抜きにいたしまして、法律的の解釈につきまして疑問がございますので、その点についてお尋ねをいたしたいと思います。一番初めにお伺いいたしますのは、昭和二十二年勅令第一号の五條によりますると、ちよつと簡單でありまするから読上げてみまするが、一第五條「公私の恩給、年金その他の手当又は利益を現に受ける者又は受ける資格のある者が、覚書該当者として退職し又はその職を失つたときは、その者はその覚書該当者としての指定を受けた時からその権利又は資格を失う。」、こう書いてあります。「その権利又は資格を失う。」。それから昭和二十一年二月一日の勅令第六十八号によりますると、その第一條に「單人若ハ準單人、内閣総理大臣ノ定ムル者以外ノ陸軍若ハ海單ノ部内ノ公務員若ハ公務員二準ズベキ者(以下軍人軍属ト称ス)又ハ此等ノ者ノ遺族タルニ因ル左ノ各号ニ掲グル恩給ハ之ヲ給セズ」…「恩給ハ之ヲ給セズ」こう書いてあります。そこで先に読み上げました五條には「その権利又は資格を失う。」という言葉を使い、あとで読上げました第一條には「恩給ハ之ヲ給セズ」という言葉で両方に使い分けがしてあるのであります。これは何か性質の違つたものを言い現わしているのでありましようか、或いは同じことであるけれども、文句がただ違つているだけだということでありましようか、その点をお伺いいたしたいと思います。
#4
○政府委員(保利茂君) その点はまあむずかしい法律問題のようでございますから、恩給局長が見えておりますから、恩給局長から御説明をお聞取り頂きたい思います。
#5
○政府委員(三橋則雄君) 今竹下委員から御質問のありました最初の問題は、これは人を中心として法文を書いているのでございます。それから後段に述べられましたことは、恩給を中心として規定が作られたものであります。従いまして、人を中心として法文を書きました関係上、前段に申上げましたような場合におきましては、後段のよらな書き方はできませんし、又後段の場合は恩給を中心として書いておりまするために、人を中心として書いたごとき前段のような書き方もできなかつたのであります。なお、私今司令部からのその当時日本政府に発せられましたデイレクテイヴをあいにく持つて来ておりませんが、確かにその最初に仰ぜられましたその規定は、総司令部からのデイレクテイヴは恩給を受ける権利又は資格なしというような規定ではなかつたかと私は思つているのであります。総司令部のデイレクテイヴの趣旨を忠実に現わし、而も人を中心として書いたがために、昭和二十一年勅令第六十八号の恩給法の特例とは書き方が違つているのございまして、内容につきましては少しも変らないわけでございます。こういうふうに御承知を願いたいと思います。
#6
○竹下豐次君 両方は文句は違つているけれども、実質的に内容は変らないという御説明であつたと了承いたします。そういたしますると、両方の場合におきまして、恩給は停止されていたのでありましようか、或いはもうその勅令によつて消滅したのでありましようか、その点を伺いたいと思います。
#7
○政府委員(保利茂君) 私はまあ法律上の解釈は恩給局長がお述べになりました通りで、取扱いとして心得ておりますのは、このデイレクテイヴによる措置によりまして、既発の恩給証書というものが一応無効になつている。そしてそれに基く恩給が支給されてない、こういう措置をとられておりますから、従つて新たに支給せんとすれば、新たなる支給上必要なる措置をとらなければならないとこういうふうに取扱上は心得ているわけでございます。
#8
○竹下豐次君 そうすると一応停止されておつたという言葉は、これは法律的に解釈するというと、一応効力を失つておつたというふうなお言葉でありましたが、一応効力を失つておつたというのは、もう消滅したのか、或いけ停止されているのか。
#9
○政府委員(保利茂君) 恩給局長から御説明申上げます。
#10
○政府委員(三橋則雄君) お尋ねの趣旨につきまして、御説明申上げます。先ず法文の書き方から御説明申上げましたほうがおわかりやすいかと思うのでありますが、恩給法の本文の例えば普通恩給について申上げますというと、恩給法の第六十條に「文官在職年十七年以上ニシテ退職シタルトキハ之二普通恩給ヲ給ス」、こういうふうに書いてあります。「給ス」という言葉を使つておりますが、これは文官が十七年以上で退職した場合においては、普通恩給を受ける権利を與えるということをはつきり明示しているのであります。権利を與える場合におきましては、恩給法は「給ス」という言葉を使つております。そこでその「給ス」という言葉を使つておりますのを今度は特例の規定におきましては、第一條にはつきりと「恩給ハ之ヲ給セズ」、こう書きまして、一として「普通恩給」というものを挙げているのです。恩給法の本文におきましては、今文官の場合を挙げましたが、軍人につきましてはやはり文官と同じような普通恩給の規定がございます。この軍人に対しまして、恩給法の規定のなかにおいて普通恩給を給するということをはつきり書いてあつたにかかわらず、特例におきましては「給セズ」とこう書いてあるのであります。従いまして、私はこの特例のある限りにおいては、恩給法に認められておつた恩給権というものは否認されている、こういうふうに考えております。
#11
○竹下豐次君 そうしますると、次に起ります問題は、結局六十八号によりまして、軍人、軍属に関する限りはもう恩給証書というのは破つて捨ててしまつたものと同じことになつているんですね。もう根も葉もその種子もなくなつたのだということに考えていいわけですか。
#12
○政府委員(三橋則雄君) 差支えございません。
#13
○竹下豐次君 そうすると、次に起る問題は、それならば更に一年、この六十八号の効力を延ばして行くという法律を作らなくとも、もう軍人、軍属の恩給が復活する……言換えれば、政府がそれだけの元の恩給を支拂わなければならない義務というものがないという結論になつて行くわけじやないかと思いますが、ここにこの案を一年延そうという法案を作つてお出しになつて、一年間六十八号を延して効力を保とうというお考えの裏には、やはり根も葉も種子もなくなつたんじやないのだから、それが又ぐつと頭を上げて来ることになつちや困る。政府の財政の都合等もあるけれども、まあ気の毒だけれどもというようなふうにお考えになつた筋がありやしないかと、言換えて申上げますれば、葉も根も種子もなくなつたならば、これを延すという法律は不必要じやないかとする疑問が起るわけであります。その点どうなんですか。
#14
○政府委員(三橋則雄君) 一応御尤もだと思うのでありますが、今のような御解釈をおとりになる場合におきましては、法律の條文としましては、この恩給法の中から全然沫消してしまうような取扱をすることになると思います。これが重要な点です。今の軍人恩給につきましては、そういう措置をとらないで、恩給法の規定におきましては、従来通り軍人には恩給が給されるという規定がそのままにあることを前提といたしまして、そうして特例を別に作つて、その特例によつて即ち昭和二十一年の二月一日から給しないという措置をして来たのであります。従つてこの特例の規定がなくなれば、恩給法本来の規定だけが動く、即ち恩給法の本来の規定と言いますと、恩給法にほ給するというふうに書いてある。先ほど文官の例をとつて申上げましたが、文官が十七年以上在職して退職した場合には普通恩給を給すと書いてありまして、軍人につきましてもそれに類する規定があつたのでございます。特例の規定がなくなると、恩給法に規定してある通りそういう取扱をするということになるのではないかと、こういうふうに考えております。
#15
○竹下豐次君 只今の御解釈によりますると、結局この部分については停止されておつた、新たな法律ができない限り停止されておつた、こういうことを言わなければならないということになるのではないかと思う。
#16
○政府委員(三橋則雄君) 停止という言葉をどういうふうに使うかということで、言葉の使い方になるかとも思いますが、若しも恩給権を與えておつて、そうしてただ單に金を支給することをやめておつた、こういうような意味におきましての今の御質問でございますると、私たちが今までやつておることと全然取扱が違うことになるのでございます。恩給法におきましては、先ほど普通恩給につきまして申上げましたように、普通恩給を給するという規定を置いております。そうしておいて今度は若年停止なんかのときの停止の規定を置いておる。この場合におきましては、恩給証書を本人に渡すのでありますが、恩給の支給を停止するのです。軍人につきましても、若しもそういうふうにすべきでございましたなら、軍人全部について恩給証書を渡して、そうして、但し恩給証書は差上げますが、支拂だけはいたしませんという措置をとらなければならない、こういうことになります。先ほど官房長官から申上げましたごとく、総司令部から明示されました或る種の恩給につきまして、全部昭和二十一年二月一日以後は恩給の支拂を止めるということと、それから又恩給の証書を無効にするということが命ぜられたのであります。そういうような措置をするためにこの特例を規定いたしたのでございまして、今申上げまするように恩給権を與えておる、併しただ恩給の支拂を止めておる、こういうような考えではないのでございます。
#17
○竹下豐次君 そうしまするというと、この法律がなかつたならば、権利が復活して元通りに支給しなければならないということになるんだという結論になりますか。
#18
○政府委員(三橋則雄君) さようでございます。
#19
○竹下豐次君 その問題は私よく了解できませんけれども、そうすると次にお尋ねいたしますが、文官に新たに何と申しますか、追放解除されたものが新たに支給されておる。そうすると旧軍人についても、その恩給法特例審議会でどうきまるかはわかりませんけれども、きまつた場合においてはそれを又支給する。そうしてそれを復活ではなくして、いずれも新らしい式でやるということに了解していいことになりましようか。権利の源はあるわけでございましよう。
#20
○政府委員(三橋則雄君) 権利の源はあるわけでございます。
#21
○竹下豐次君 権利の源があるという、その権利というものは恩給権でありますね。それはもとよりそうだろうと思いますが、その恩給権というものは一種の私権である、要するにその私権を特別の理由なくして、つまり公共の関係とか、その他の特別の理由のない限りそれを支給しないとか、或いはそれを減額するとかいうような問題は一応考えられないことではないかと思いますが、その点憲法に関連してはどういうふうにお考えでございますか。
#22
○政府委員(三橋則雄君) 今の御質問は軍人恩給を復元しまする場合におきまして、その恩給の復元に当つては従来のままの姿において復元すべきではないか、それに対していろいろ制限を加えたような従来と違つた取扱をするということは憲法違反になる虞れはないか、こういうふうなお尋ねじやないかと思うのでありますが、この恩給法では法律の定めるところによつて恩給が給されることになつております。恩給法の第一條には、公務員はこの法律の定めるところによつて恩給を受ける権利を有するということが書いてありまして、第二條以下は恩給を公務員に支給する場合のことを色々と規定しております。その恩給法の規定はそれは時と場合によりまして、時世の移り変りによつて変つて来るものだと私は思つております。軍人に対して給せられるところの恩給につきましても、それは移り変りがあるのが当然だと思います。又文官につきましても、私は移り変りがあるのが当り前だと思つております。従いまして、今度措置しますることも、又仮に軍人恩給が復元せられる場合におきまして、従来のままの姿において復元されなかつたといたしましても、私は法律によつて適当に処置せられる限りにおきましては、憲法上の問題は起らないのではないか、このように考えております。
#23
○竹下豐次君 恩給額を殖やしたり減らしたりするということは国家の財政の都合もありましようし、或いは社会保障制度等との関連などもありまして、或るときには殖やし、或るときには又減らすというようなことは考えられることだろうと思つておりますが、すでに私権としての恩給権を持つておるものをそれを減らすという問題と、今後どういうような支給の額にするかという問題をきめるということは、それはおのずから別だろうと思います。その後減らすか殖やすかという問題については今局長からお話の通りだと思つておりますが、すでに先ほどからの御説明によるというと、権利の源は残つておるんだということでありますから、結局すでに與えられたものを取上げるのではないか、こういうことになるので、これが先の問題だけを考えるわけには行かないのじやないか、こういう疑問を持つわけであります。
#24
○政府委員(三橋則雄君) 今のお話の、恩給の金額云々のお話でございまましたが、勿論恩給の金額については私申上げましたのでございますが、そのほかにおきましても、在職年数の取扱につきまして、これは私は時と場合によつて変えるということは一向差支えないのではないか、法律の定めるところによつて変えて行くことは私は差支えないのではないか、このように考えておるのでございます。勿論その場合におきましては、現に受けておるところの恩給の金額に対しまして、影響を與えないようにするということは、必要なことだと思うのであります。併し全然これを変えられないかというと、私はそうではないのじやないか、このように思つておるのでございます。
#25
○竹下豐次君 それで結局問題は恩給の支給額その他の問題について従来のと変更するということは、二つの場合を考えることができます。一つは将来の支給をどうするかという問題と、すでに支給の契約のあるものをどう取扱うかという問題です。今の御説明によりますと、両方を包含して適当にこれを変更して行くということは憲法違反ではないのだというような御説明でありましたが、併しながら私は変更して差支えない場合もあり得ると思う。それはどういう場合かというと、変更したほうが社会全体の公共性から考えて見てそれが適当である、だから今までたくさんもらつておつたものが幾ら減らされても、それは社会公共のために止むを得ない場合であるというような場合には、受給権者も我慢してもらわなければしようがないというような場合におきましては、必ずしも私はそれは憲法違反じやないと思いますが、そうでない場合には、やはり憲法違反の問題が起る。で、伺いたいのは、若しそうだとすれば、現在公共性の立場で、どうしても恩給の額を従来通り拂えない、拂つたら公共性に非常に悪い影響を及ぼすから、これは抑えないというような実情にあるとお考えになつておるのか。そうでなくして、ただ法律的に、当然法律できめれば何でもできるのだ。一度與えた権利だつていいじやないかというふうにお考えになるのか。まさかそうじやないだろうと思つておりますが、もう一遍その辺……。
#26
○政府委員(三橋則雄君) それは全くお話の通りでございまして、法律できめれば何でもできるのだから、どんなことをやつてもいいのだというような考え方は全然持つておりません。もう少し私詳しく敷衍して申上げますというと、従来の軍人に対しましては、とにかく恩給は給ぜられることになつておる。併しながらその給せられるのは増加恩給その他の傷病者に対する恩給だけである。而もその恩給は従来の恩給法に規定されておつた恩給と違つた形にされておる。そのほかの恩給については今恩給が全然なくなつておる。こういうのが現在の実情であります。このことは恩給法と恩給法の特例とを一緒にして恩給制度全体としての法令を御覧になつて判断して頂きたいと思います。今度恩給法特例を廃止する場合においては、そういうような実情になつておるという現実を一つ考え、それから又軍人の恩給を恩給法の特例が全然なかつた場合においてはどうなつただろうかということを一つ想定いたしまして、そうして恩給法の改正を考え、そうして今お話のようなそういう公共の福祉ということも併せて考えて、どういうふうな措置をして行くかというようなこと、こういうようなことを考えて改正をやりたい、こういうふうに考えております。
#27
○竹下豐次君 私の納得ができないのは……。私だけが時間を費しても皆様御迷惑だろうと思いますが、この問題については恐らくほかの委員の諸君も十分御理解がないかたも失礼ながらおありでないかと思つておりますから、私はこの点はこれで打ち切ります。
 次に移りますが、この恩給制度の、先ず普通の俗語を使いまして復活と申しますが、復活につきまして、文官の恩給の復活と軍人軍属の恩給の復活とを差別的に取扱うべきものであるか、或いは同じ考えでもつて待遇しなければならないものとお考えになつておりますでしようか、その点を官房長官から伺いたい。
#28
○政府委員(保利茂君) この問題は、私はこの文官恩給と軍人恩給の間に実体をそう深くつまびらかにいたしませんが、間違いでありますかどうですか、とにもかくにも戰争への途を非常に纂進いたしました頃に、相当の恩給法の改正があり、そうして軍人の処遇については相当手厚い規定ができておつた。私は戰争遂行への一つの手段としても当時のやり方としては止むを得ない措置だと思う。そうしてそれほどこまでもいやが上にも国力が発展をして行く、そうしてこういう大きな負担にも堪え得るという大前提があつて旧恩給法というものが私はできておつたのだと思う。従いまして、先ほど来の御質問をじつと伺つておりますと、国家の公務に奉仕ぜられるかたに対して、一定年限の奉仕を終られた人に対して恩給権を付與するということは、これは私は国の制度として現存いたしております以上は、軍人であろうと一般のかたであろうと変りはない。従つてその国家公務に奉仕せられたその人に対する恩給権というものは一般的になつておる。ただかような事態においてこの権利を一応無効とする措置がとられた。新たにこれを復活いたしますということにおきましては、この支給に堪え得る国力を勘案して措置を講じなければならない。従いまして本来御質問の点については、文官たると軍人たると差別をして考えるべき問題ではない。従つてそういう取扱は決して妥当な取扱でないというように私は思つておるわけです。その点は非常に苦慮いたしております。
#29
○竹下豐次君 軍人軍属と文官と差別待遇してはならないものであるというお答えを得まして、私もその通りでなくちやならないというふうに平常考えておるのでありますが、それでまだこの恩給法特例審議会もできませんし、そこで又どういうふうにきまるのかもわかりませんけれども、まあ噂にちよいちよい聞くところによりますというと、軍人軍属の恩給は従来のような多額なものは出せないのである、国家の財政の都合もあるから或る程度に我慢しなければならないということにきまつておるのじやなかろうかというようなふうにまあ承わつておるのでありますが、若し、悪いことでありますけれども、いろいろな関係で以て止むを得ないこととするならば、その国家財政上の都合で悪いというならば、それを補うためには軍人軍属だけでなくして、やはり文官のほうにも同じようなことを考えて行かなければならないのじやなかろうか。ところが文官のほうはすでに追放が解除されたのが、元の通りに復活する、然るに若し軍人軍属だけが歩合が減されるということになると、文官と武官との均衡がとれなくなつて来るというように思わざるを得ないことになつてどうも不合理がある。元々私の頭には、戰争の責任は軍人軍属にあると同時に、文官にもあり、すべての国民にもあるわけであります。特別に首脳で計画を立て指揮して、戰場に青年軍人等を送り出した人たちはこれは特別の責任もありましようけれども、一般の大多数の何百万という軍人は、この責任を文官よりも特に重く扱つてあとで虐待するというようなことは、これは合理的でないという気持がありますので、その点どうも差別待遇の結果になるのじやないかということを私は気遣うわけであります。一昨日ですが、長官のお話を承わりまして、二千億内外の金が要るので、なかなか国家財政の都合として賄いにくいというようなことを承わつておるわけなんでありますが、その辺のことも私らは決してわからないわけではありませんので、できるだけ差別待遇のないように、又止むを得ないならば、差別待遇をしなければならないという止むを得ない事情があるとすれば、その点を軍人軍属のほうのみならず、一般国民に納得をさせるような最善の努力を政府でお拂いになる必要がある、かように思つておるわけであります。その辺もう一度長官に御答弁をお伺いしたい。
#30
○政府委員(保利茂君) 若し幸いにいたしまして、軍人の恩給を昔のままに復活いたしましても、国力、国民の全体の負担力が耐え得るということであれば、これは問題はないところであるわけでございます。これは一般政治論になつて恐縮でございますけれども、従つてその点も十分考え、而も御趣意のような点を十分考慮して、只今仰せのように多数の、私は今日も率直に申しまして、旧軍人のかたがたにしても、この日本の疲弊した現状において昔のままの恩給を復活しろと望まれているかたはないと思います。要は、ともかくも一身を国家公務に捧げた、而もそれによつてかちとつた権利を尊重しろということになると思うのであります。只今文官との関係において国民の納得を得らるような形において解決をすべしという御意見については私も同感に存じております。
#31
○竹下豐次君 先の話が戻りますが、憲法との関連性も、既得権があつたにしても、公共性を以て止むを得ないということでありましたら、これは憲法違反にはならない場合もあり得るわけでありますからその公共性についてどれだけの必要があるものかということを、政府のほうではこれははつきり国民にお示しになることが私は絶対に必要だろうと思うわけであります。その点はそれで……。
 それから次にお尋ねいたしまするが、これもまだあとがどうなるかということがはりきりわからないのに、こういう質問をするのは早過ぎるという嫌いがあるかも知れませんが、今申しませんと間に合わないという心配がありますのでお尋ねするわけでありますが、それはまあ公平にやらなければならないのだということは、今長官のお考えの通りでよくわかりました。で公平にやるについても、併し或る場合には恩給の金額を軍人軍属を減らさなければならないというようなことになるかも知れないということを、これはそんな仮定をするのは甚だおかしいとは思いますけれども、そういう噂がありますので、そういうことについてお尋ねするわけですが、若し減るということになるというと、それだけでも非常に不公平の非難も起りましようし、無理でもあるというふうに考えるのでありますが、そのほかに一面減らされた上に又一年延びるのだという文官に比べて……、ということは私はおかしいと思うのです。それで、とにかくどういう金額にきまるかわかりませんけれども、これは審議会に諮つて政府がそれを取上げになるという場合には、支給の日は、平和回復の日に遡るというふうなお考えを願えないものかどうか、審議会でいろいろきめましようが、併し審議会にもやはり政府のお考えが非常に反映する、これは普通審議会の状態であります。遡つて支給するということくらいのことは政府のほうで当然お考えになつていいことではないか。それにつきましても、私は政府の財政で、それを一遍に二年分を拂うということはできかねるというような事情がおありとすれば、或いはその遡つた一年分については、それを二年なり三年なりに分割して佛つてやるのだというくらいのことは、幾ら国家の財政が窮迫であつても、分割佛いもできないということは私は考えられない、こういうように私は考えておるわけですが、長官その点どう考えるのですか。
#32
○政府委員(保利茂君) その点は先般松原委員、山下委員からも御熱心にお話のありました件でございまして、まあ竹下さんのおつしやるお気持はもうよくわかる。今日のところ、先日申上げました以上に申上げることは一つ御猶予を頂きたい。十分政府といたしましても御趣意の点を尊重いたしまして、考慮して参りたい、こう考えております。
#33
○竹下豐次君 今の長官の御答弁、誠意を持つた御答弁と私は感じましたので、この問題につきましては更に、お尋ねすることは御遠慮申上げたいと思います。
 それから恩給法特例審議会のその組織、所管事項その他については政令で定めることになつておりますが、いろいろお定めになることがございましようが、私のお尋ねしたい要件は、この審議会の決議は政府を拘束する力を持たされますか、持たされませんか。ただの諮問機関になりますか、お心組みを……。
#34
○政府委員(保利茂君) この審議会の構成につきましては研究いたしております。併しこの表恰好から見ますれば、総理大臣の諮問機関ということになりますから、最終の責任を持つた決定はこれは内閣がいたさなければならんことは当然のことであります。併しながら軍なる諮問、法律用語としてどういう作用を持つて参りますか、軍なる総理大臣の諮問に応えるというのみならず、進んで総理大臣に建言できるという機能を持つてもらうような審議会にいたしたい。ただこれは要は審議会の答申が仮にまとまりました場合に、政府はそのまま鵜呑みに呑むか呑まないかということにかかつて来ると思いますから、これはできてみなければわかりませんけれども、政府としては審議会の御意見は十分尊重して行かなければならん、そういう意味に一つ御了承頂きたい。
#35
○竹下豐次君 そうすると今承わつておりますと、軍なる諮問機関でなくして、建議することのできる会になる、こういうことなのでございますか。
#36
○政府委員(保利茂君) そういう機能を持つて頂きたい、こう思つております。
#37
○竹下豐次君 この諮問機関の書き方に二通りあつて、特にその意見を尊重しなければならないと言つて書いてありますのと、書いてないのとあるのですね。あれはおかしなことだと思いますが……。
#38
○政府委員(保利茂君) これは書く書かないにかかわりませず、この問題に関しまする限り、審議会の意見をよしんば政府が尊重しまいと思いましても、これは問題の性質に鑑みましても尊重せざるを得ないと思いますから、私は書いても書かなくても同じだと思つております。
#39
○竹下豐次君 ところが、政府が現在いろいろな諮問機関に書き分けてしておられます。で鉄道の審議会のごときはまあ非常に尊重されておりますようですが、余り尊重されていないところもある。それで書き分けされておりますというと、特に重くお考えになるのは、やはり書いたほうがいいのじやな、いかというような気持がするわけで、これは別に御答弁は要りません。それから最後に……もう二つありますな。この審議会のメンバーに旧軍人をお入れになるお考えがありますかありませんか。その点はまだ具体的にお考えがないのでしようか。
#40
○政府委員(保利茂君) いろいろ考え、ておりますけれども、決定的にお答えできるまだ段階にございませんから、入れるべしという御意見でございましようか、入れるべからずという御意見でございましようか。私は十分国会側の御意見を尊重して参りたいと思つております。
#41
○竹下豐次君 私は何人かやはり旧軍人をお入れになるほうを望んでおるわけであります。と申しまするのは、や一はりこの問題については非常な不平がもうすでに今日まで起つておるように私ども察しておりますのです。言いたいことが相当に多いのでありますから、余りそのただ自分のことだけを考えるような人をお選びになるのは、これはいけませんけれども、本当に高い見地から堂々たる意見を吐く素質、素養を持つておる人がたくさんあると思いますから、そういう人たちの中から何人かやはりお加えになることが大変いいのじやないかと一私は思つておるわけです。それをお含み願いたいと思います。
 それから最後にもう一つお尋ねいたしますが、この軍人軍属のうちでも、この恩給特例審議会で審議される場合に、やはり色分けしてお考えになるということもあり得るのじやないか、本当の軍人と軍属と、或いは軍属のうちでもいろいろある。元の法務官みたいなものもあるし……これは軍人ですか、まあ軍属にもいろいろありますが、そのうちでやはり戰争関係とかいうよらなことから見まして、これは区別をおつけにならないという意味ですか力例えば第三次、第二次の大戰に全く関係のなかつた人であるとか、或いは第三次戰争には参加しなかつたというような人などですね、これを区別してお考えになるお考えでありましようか。もう皆一本で取扱うというようなお考えでありましようか。
#42
○政府委員(保利茂君) これはもう私も竹下さんと同じような気持を個人としては実は持つておるのでありますけれども、先日も申上げますように、今回の太平洋戰争に御関係なくて、日清、日露戰争の日本の発展の輝かしい歴史を作つて頂いたその功績者に対するのと、考えの気持としてはこれは違つてもいいじやないかという感じがいたしますけれども、併し実際の取扱上これは差別ができるかどうかということは非常に問題だろうと思います。そういう点も十分この審議会で議を盡して頂いてきめて頂きたいと思います。只今政府のほうでこういたしたいというような考えは持つておりません。
#43
○竹下豐次君 それは立法の技術的の問題からしても、いろいろ困難な複雑な問題がおありだろうと思いますので、その点は私も想像するのでありますが、でき得べくんばやはりその点は差別をつけられるだけ差別をつけて頂きたい。無理の行かないようにまあ私は希望しておるわけです。
 それから審議会で一年間延ばすという問題これはこの間連合委員会でも成るべく早く、一年と言わずに早くきめたらどうかという希望が出ておりました。御答弁も承わつておりましたが、私も一日も早く解決して、必ずしも一年というように期間を切つて頂きたくない、そういう気持を持つておるのであります。それだけ希望を申上げまして、私の質問はこれだけで一応終ります。
#44
○松原一彦君 今日は佐藤法制意見長官もおいでですから、この根本の問題、今竹下さんの御質問に関連して一つ伺つておきたいのですが、私どもは今日までまあ解釈しておつたのですが、このポツダム宣言の受諾に伴い発する命令はすべて六ヶ月後にはこれは消滅するものであつて、あとは本来の法律によつて保障したものはこれが復活するものだと、特別の法律を以て制限せざる限りは復元するものとのみ信じておつたのでありますが、その点に対しまして、今保利官房長官や恩給局長のお答えの中にはどうも不明なものがあるのであります。この点につきま旧して、若しこの法案がここで否決せられた場合に、旧軍人の持つておつた既得権は消滅するものでございますか。それとも復元するものでございますか、法理上の御解釈を承わりたい。
#45
○政府委員(佐藤達夫君) 政府側の立場におる者といたしましては、あらゆる御説明を申上げて、この法律案を成立さして頂くという建前ですべて運んでおりますために、万一不幸にして否決された場合について統一した意見というものは別に私に関する限りにおいてはきめておりませんために、或いは先に官房長官なり恩給局長の答えましたところと、私のお答えするところとは違うかも知れません。これは御了解を願つた上で一応お聞き取りを願いたいと思います。
 問題の要点は、この勅令六十八号というものの趣旨が軍人軍属関係の恩給制度、少くともここに上つておるものに関する限りにおいてはまあ廃止してしまつたと、将来に亘つてて廃止してしまつたというふうに読むというまあ考え方があるわけであります。さように考えますれば、もうこの運命がどうなろうと復活することはないわけであります。ただもう一つの形式論でございますけれども、から考えてみますというと、この軍人恩給関係のものを廃止する趣旨であつたならば、恩給法自体の本法のほうからその分は落してあるはずじやないか、それをそのままにしておいて特例に関する件というこの勅令が並んで今まで来ておるというところに、今の松原先生の恐らく御疑問があるのだろうと、で、このほうの特例がなくなれば勿論恩給の本法の條文がそのまま働きはせんかと、こういうこともこれは形式論としては私は成り立つことだと考えます。ただその場合に仮に形式論で申しましても、御承知の通り金額などからり考えましても、前のベースになつておりますし、その他私恐らく細かいことは存じませんけれども、技術的ないろいろな法律の條文との組合せ関係から、仮に元の恩給法が生きるという観念上の前提をとりましても、実際は動かないと同じことになりやせんかということの結論になるような気もついたしますので、まあ今のところ私の考えとしては、どちらにしてみても現実の問題としては余り大きな違いにならんじやないか。これは素人考えかも知れませんが、そういう気持を持つております。
#46
○松原一彦君 違いにならんとはどういう点ですか、何が違わないのですか。
#47
○政府委つ員(佐藤達夫君) 元の恩給法がそのままの形で復活します場合に、復活するという前提をとつた場合に、果してそのままで動き、現実に適用が無事になされ得るものかどうかという点で、これは私の素人考えでありますから、これは恩給局長に又伺わなければなりませんけれども、そのまま働き得るかどうかというところに疑問を持つておるわけであります。
#48
○松原一彦君 どうもまだ法理論的なはつきりしたお答えではないように思うのであります。効力が発生しても、それは非常に昔のものであるから徴々たるものである、大したことはなかろうというふうに承わつたのでありますが、一体このポツダム勅令第六十八号よつて恩給給與は禁止せられたものでございますか、廃止になつておるものでございますか、その点伺いたい。
#49
○政府委員(三橋則雄君) 今のお尋ねでございますが、先ほど御答弁申上げましたように、総司令部からのデイレクテイブによつて、傷病者に関しまする恩給を除きましては、支給をとめられてしまつたのであります。支給を差止める命令を受けたのであります。それと同時に又、昭和二十年十一月二十四日のデイレクテイヴの第三項に掲げてありますごとく、恩給の証書を無効にすべしという命令を受けたのであります。従いまして、普通恩給の権利を証明する証書につきましても、その証書は無効にする措置をとらなければならないことになつたのであります。そこでその措置をとることとして、どろいうように法文の表現をするかということが検討されたのであります。普通恩給を受ける権利を証明するその証書を無効にするということは、結局普通恩給を受ける権利がない、ということを書けばいいのじやないかということになるのです。そこでそれを現すためにこの恩給法の特例の第一條に書いてありまするごとくに、恩給を「給セズ」という字句を使つて表現したのあります。そういう次第でございまするから、昭和二十一年の二月一日からはこの特例法の第一條に掲げられておりまするように、普通恩給につきましては、軍人は恩給法の本法におきましては與えられることに、給せられることになつておるにかかわらず、特例法におきまして給されないということをはつきりきめられたことになつつておるのであります。
#50
○松原一彦君 どうも私はその御解釈が腑に落ちないのでありますが、本法案の御提案当時の説明を読みますと、禁止という字と廃止という字が二様に使つております。第一條第四号に規定するもの以外の軍人及びその遺族の恩給給與は禁止又は制限されて今日に至つているのであります。これらの廃止又は制限された軍人軍属の恩給の講和條約の効力発生以後における復元の措置という説明がされております。復元とは一体何を以て復元と言われたのでありますか。私は廃止であるならば復元というようなことは考えられないと思うのであります。禁止というのはこれは時間的のものであり、停止と同じ意味をも私は包含していると思う。廃止となれば根本的にはなくなるのであります。これは禁止であるのか廃止であるのか。そのあとで講和條約の効力発生後における復元の措置ということを言つておられまして、その復元の措置が国家財政その他各方面に及ぼす影響が少くないから、ここで一カ年間だけこの政令を法律に直して抑えてあとのことを考えようということになつているように思われますが、若し廃止であるならば何もここで一カ年間、この懲罰に等しいような占領命令を、国会の了解を得ないものをば一カ年間延ばす必要があるか、むしろここで新らしい国会の意思を以て政府は新時代に即応する法律を作られたらいいのであります。審議会を作つて復元の方法を講じようというのは、これは廃止とは違う、これは禁止であると私は思うのです。政府は二通りの言葉を使つておられますが、一体禁止でございますか、廃止でございますか。これを官房長官に伺います。
#51
○政府委員(保利茂君) それは三橋さんから……。
#52
○政府委員(三橋則雄君) 私からお答えいたします。先ほどから廃止ということを中心としていろいろ御質問がございまして、これは停止ではないかというような御質問でございます。そこでその停止という言葉がどういう観念であるかということが又問題はなるのでございますが、私はこのデイレクテイヴの趣旨を忠実に実行するための政府と総司令部との折衝の過程に鑑みまして、昭和二十一年勅令第六十八号の規定によりまして、軍人の普通恩給等は廃止になつたものであると、こういうふうに考えております。ただその廃止といいましても先ほどから申上げましたるがごとく、普通の場合とちがい法文の形といたしましては、佐藤法制意見長官も又申されましたのですが、
 この恩給法の中から普通恩給を全然抹消してしまうような措置をとつていないわけであります。即ち恩給法には従来の規定をそのまま残しておいて、そうしてこの六十八号におきまして、恩給を昭和二十一年の二月一日から廃止するということにしたのであります。
 次に恩給の復元という言葉をどうして使つているのかというような御質問でございますが、私は軍人の恩給と、こういうふうに言いまする場合におきましては、恩給というのは色々の恩給の総称であります。これは御承知のように恩給法におきましては普通恩給、それから増加恩給、傷病年金その他を合せて六種類、軍人恩給廃止前でございましたら、そのほかに傷病賜金をいれて七種類の恩給に分れておつたのであります。そういう数種類の恩給を総称して恩給法では恩給と申しているのであります。そうして恩給法の第一條には先ほど申上げましたように、「公務員及其ノ遺族ハ本法ノ定ムル所二依リ恩給ヲ受クルノ権利ヲ有ス」と書いてあります。この公務員のうちには私は軍人も入つていると考えております。軍人はこの第一條の公務員のうちに入つていて、軍人の恩給は、この恩給法の規定とそれを制限するところの特例法の規定によつて普通恩給とか扶助料は廃止されてしまつた、そうして増加恩給その他の傷病者に給せられる恩給については制限を受けでいる、こういうふうに考えているのであります。そこでこれを元に還すかどうかが問題になつているので、これを私は復元という言葉を使つておるのでございます。
#53
○松原一彦君 どうもわかりません。意見長官に伺いますが、一体復元という言葉を使つて現にこの法案をお出しになつておるのでありますから、私はこの法の建前から見るというと、国会の議を経ざる占領命令というものが消滅すれば、当然法律そのものに復元すると私は思うのです。これは政府もさように御解釈せられておるものとのみ私は信じておつたのでありますが、今日急にどうもお答えが頗るあいまいで、そうして昭和二十一年法律第三十一号ではその第二條に「従前の規定による公務員又は公務員に準ずべきものについてはなお従前の例による。」と駄目が押してある。私は独立の際においては占領命令によるところの勅令のごときものは当然失効する、失効すれば法律そのものが復元するものと私は今日まで確信して参つたのですが、意見長官如何でしようか。
#54
○政府委員(佐藤達夫君) これは先ほど触れました通りに、純粋の法律論といたしましては、仮に恩給法そのものの手当はなさずして、六十八号だけで将来に亘つて確定的に軍人関係の恩給を廃止するという措置が一体とれるものかとれないものかという問題があるわけでありますが、私は純理論としてはこれはとり得ることだと思います。たまたま本法の手当がないだけの話で、それは将来に向つて本法の中の條文は死んでしまつたということは、これは、観念上私は考え得ると思います。勿論そこまで私どもは突き詰めて考えて来ていないことは先ほど申上げた通りでありまして、これは冷静に考えるならば、それは恩給局あたりのお立場はありましようが、私は両論立つ、松原先生の言われるような御疑念も私は十分立つと、かように考えます。今の復元という言葉を引いてのお話でありますけれども、さようなむずかしい事柄を念頭において考えますというと、ますますこの復元の文字が混乱いたします。これは私は常識的の言葉で元に戻す、元のようにするという意味にこれは御了解願わなければならんと思いますが、法理論としては私は先ほど申上げましたような両論は立ち得ると思います。ただ先ほど申上げましたように、然らば仮に六十八号の廃止によつて元の恩給法の規定が又働き始めるという観念を前提としてとりましたところで、それを現実に適用させるためにはどうしてもやはり別にこの際法律をお出し願つて、現実にうまくはまるような立法上の措置がどうしても必要なのでありますが、いずれにせよ、この審議会というようなものできめて行く、審議さるべき必要がそこにあるというのでありますから、私の考えではその理論のほうは余り突き詰めて考えなくても、結論は同じじやないかということで、私自身甚だ職務怠慢かも存じませんけれども、実は割切つたところまで、まだ結論を出しておらなかつたのであります。
#55
○松原一彦君 これは私は意見長官がさようなふうなお答えがあることを私は非常に不満に思うのですが、すべて占領命令によつたものは独立のあとにはこれは消滅する。消滅した場合にどうなるかということは、若し特別の法律を作らない限りにおいては前の法律が活きるというのが原則じやないでしようか。一つこの点をはつきりお答え願いたい。
#56
○政府委員(佐藤達夫君) 非常にはつきりした例を申上げますというと、ポツダム命令を以て他の法律を一部改正した例がございます。各省の設置法などについで多々例がございますが、一部改正をいたしまして、條文の中に一條の二とふ一條の三とかいうことを附加えたことがたびたびあるのでございます。それらにつきましては、私どもは原則としてはもうその際一部改正が完了してしまつておる、従つて仮にそれを改正したポツダム命令が効力を失いましても、すでにその法律を改正したというその効果は影響を受けない。その場合は、仮に廃止の場合をお考えになれば私は明瞭だと存じますが、治安維持法その他をポツダム命令で廃止いたします。併し治安維持法を廃止したポツダム命令というものが失効してしまつた、然らば治安維持法は復活するかというと、これは私は一般の法理論の問題として、それは復活しないということが言い得ると思うわけであります。たまたまこの場合に恩給法の一部を改正して、このポツダム命令を以て何條削除ということをやつておれば、私の申上げた通りになるわけであります。とういう二本建の形になつておりますから、疑問が出るわけでありますが、仮に最初に申しましたこのポツダム命令が失効してしまつたのだというように認めれば、さつき申上げたような例と同じような結論になるわけであります。そこがなかなかむずかしいところになつておるわけであります。
#57
○松原一彦君 むずかしいことにはなりますが、むずかしいことになりましても、法律的な解釈としては私はここではつきりしておかなければ今後の取扱に困ると思うのです。現に政府は私はたびたび承わつておるのでありますが、この恩給法の上におきましては、軍人軍属の恩給は支給しないことになつておるけれども、なお独立の際の用心のために、法律第三十一号、昭和二十一年に出ました法律によつて、「従前の規定による公務員又は公務員に準ずべき者についてはなお従前の例による。」ということを入れてあつて、復元すべき御用意があつたものと私は今日まで信じて参つておつたのであります。意見長官の今のお言葉の中にも両論あり得るということでありますから、私は私の主張によつてこれから申したいと思うのでありますが、意見長官のおいでの際になお承わつておきますが、今回お出しになつた特例法の附則の二に、「この法律施行の際改正前の恩給法の特例に関する件第八條第一項又は第二項の規定により恩給を受ける資格又は権利を失つている者については、なお従前の例による。」と、こうありますが、これは第八條は「公務員若ハ公務員ニ準ズべキ者又ハ此等ノ者ノ遺族連合国最高司令官ニ依リ抑留又ハ逮捕セラレ有罪ノ判決確定シタルトキハ抑留又ハ逮捕ノ時ヨリ恩給を受クルノ資格又ハ権利ヲ失フ」云々という、戰争犯罪人としての取扱を受けた者は恩給の権利を失うことになつておるのであります。併し先に本年三月二十八日の法務委員会における政府委員の御説明によるというと、平和條約第十一條に基く刑の執行及び赦免等に関する法律は、戰争裁判は国内裁判と異るものであるという建前の下に、戰争犯罪人は国内犯罪人にあらずとの解釈がとられておると思うのであります。従つてこの法律の附則の二項に示されておるものは私は必要はないと思う。たとえ今日刑の執行が継続しておりましようとも、これは外国の命令でありまして、国内法における罪人ではないのであります。国内法における罪人でない者がなお且つ恩給権の停止又は廃止といつたようなことを附加えなければならないのかどうか。そこの法律的な解釈を意見長官に伺いたい。
#58
○政府委員(佐藤達夫君) まあこれは立法政策の主として問題であろう存じますが、今お話にもございました通りに、戰犯等につきましては、平和條約の第十一條におきまして、今なおこれは、平和條約は條約でございますから、日本の意思もそこに加わつておると申さざるを得ないのでありますが、一種の意思が加わつて拘禁を継続するということになつておりますから、その点につきましては、政策論といたしましても止むを得ないものじやないかというふうに考えるわけでございます。なお恩給局長のほうから御説明を申上げます。
#59
○松原一彦君 それでは恩給局長から伺いますが、戰争犯罪人は国内犯罪人にあらずとの解釈をとつておられるものとするならば、私はこの附則の二項は要らないものだと思う。そうして独立した後におきましては、この人々にも法の庇護があつていいと思う。国内法において規定せられていないものを、なお追い打ちをかけて一カ年間これを存続せしめなければならない理由を伺いたいのであります。
#60
○政府委員(保利茂君) これは只今意見長官からお答えになりましたから、私から申上げることはないと思いますけれども、立案の経過からいたしまして、これは国際信義の問題にかかつて来ていると思います。従つて今後飽くまで日本存立の基礎が国際信用の上に立つて行かなければならんという上から行きますというと、この立案の経過からいたしまして、この條項を存置せざるを得ないということになつていることを申上げます。
#61
○松原一彦君 私はそれは非常に遺憾に思います。皆さんも御承知の通りに、今巣鴨におらるる人々の中には、今もなお自分の無罪を信じておる人がたくさんおります。名前が同じであつたからといつたようなことで以て間違えられて入つておると信じ切つておる者もおります。独立した以上は、その当時絶対的な取扱を受けて法に服してはおりますものの、もはや今日は、刑の形におきましては戰争犯罪人としてなお残されるとしましても、これを国内犯罪人と同様に、国内法の禁止してある條項でこの際抑えてしまうということは如何にも苛酷だと思うのであります。ドイツのボン憲法のように、独立と同時に憲法まで廃止になるような外国には例もある。独立した以上は独立国の権威を持つて御斟酌には及ばんと思う。私はこの際二項のあることを非常に不満に思います。この点につきましては、今御意見はありましたけれどもが、私は御意見に同じかねるのでそのことだけは申上げておきます。
 なおこの問題につきましては、私は今日の御説明ではどうも腑に落ちません。政府がおとりになつておるところの態度を説明によつて見ましても、私は政府は復元すべきものであると信じてこの法律をお出しになつたものと思うのであります。併し復元の形式が従前通りのものをそのまま復元すべきものか、この国家財政その他の事情に即して或る程度の斟酌を加えなければならないものであるという点につきましては、私も了解いたします。併し一切の恩給権が廃止になつたものではないというさつきのお答え、根源は決して廃止になつておらん、公務員であつた者は恩給権を持つものであるという考えの上から、竹下委員にお答えになつたあの根拠によりましても、私は政府が復元の措置をとろうとしておいでになることを諒としておる。従つて廃止になつたものと解釈しないで、私はこの問題を進めて行きたいと考えております。そのことだけを申上げておきます。
#62
○政府委員(三橋則雄君) 先ほど松原委員から恩給法特例の第八條に関連しまして、今度提出されておりまする法案附則の第二項につきまして、いろいろと御質問、御意見がございましたのですが、御了解を得ていないということでございますので、私から一言附加えて御説明申上げたいと思います。この第八條は講和條約の効力発生後におきましてはその必要がなくなりましたから、本文のほうから削除した、これはもう御了解得られると思うのであります。ところで、そうすれば今度は講和條約の効力発生前において、第八條の規定に該当して恩給を失つておる人についてはどうするかという問題があるのであります。それにつきましては、松原委員の仰せられましたようなことも篤と私ども事務当局といたしましては慎重に検討いたしたのでございます。而してこの第八條に該当しておる人についていろいろと調べまするというと、ただ軍に戰争犯罪人と言われる人ばかりでなくて、占領軍の裁判によつて刑に処せられた人もあるのであります。その中には放火をやるとか、或いは強盗、殺人をやるとかいうようなことで相当な刑に処せられた人もあるのであります。そこでそういうような人のことも考えますると、一概に全部松原委員の仰ぜられまするように、第八條の規定によつて講和條約の効力発生までに権利を失つた人に権利を復活してやるという措置をするのもいささか躊躇せざるを得ない事情があるのであります。国内法の関係と睨み合せて考えてみますると、恩給法の規定によりますと、一定の刑に処せられた者は恩給権を失わしめられるようになつております。そこで第八條に書いてありますところの刑を国内法の刑と同様に考え、これと権衡をとりまして、そうして或る一定の刑に処せられた者は、国内刑法と同じような取扱をするかどうかというようなことも技術的にはいろいろ検討を加えたのでありますが、これについてもいろいろな問題があります。又軍人の恩給が一般的に昭和二十一年勅令第六十八号によつてとめられており、そのとめられたのが昭和二十八年三月三十一日まではそのままに据置かれるということに相成りまするので、勅令第六十八号によつて恩給をとめられた軍人戰犯者等そういうような人の恩給をひつ括めて考えて同じ様な取扱いをし、昭和二十八年四月一日以後において若しも改むべき点があれば改めるようにするほうが適当ではないか、こういうような工合に考えて、そういうふうな措置をすることに相成つたのであります。
#63
○松原一彦君 最後に両長官にも私は希望申すのですが、この六十八号という勅令は、全く私は軍人懲罰、そうしてミリタリズムを根絶するという非常な深い意図があつたものだと思うのであります。今日は私はそれは許されなくなつて来ておるし、非常にこれは軍人諸君の恨みを買つておる勅令であります。それをその形のままに、ここになお一カ年間継続させようというところに無理があるのであつて、廃止なら廃止でもよろしいが、軍人恩給復元に関する新らしい法律ならまだこれで話がわかるのです。かような技術的な考え方の上に、独立国の体面から申しましても、軍人諸君に対しても、私はかような案をお立てになつたことに遺憾をも感ずるのですが、その点につきましてはどういう御所見がおありでしようか。
#64
○政府委員(保利茂君) それはもう気持といたしましては松原さんと同感であります。従つて私どもとしては、速かに審議会を設置いたしまして、そうして復元への努力を傾注することが最もこの場合大事であろう、そういうふうに一つ御了解頂きたい。是非一日も早く発足できるように、一つお力添えを頂きたい。
#65
○委員長(河井彌八君) 諸君にお諮りいたします。恩給法の特例に関する件の措置に関する法律案の審議は、本日はこの程度にとどめたいと思います。そうして二時から……時間を少し遅らせますが、二時から内閣、郵政、電気通信の連合委員会を開きたいと思います。そうしてそれが済みました後に、時間がありますれば、本日予定しておりました農林省設置法等の一部を改正する法律案、運輸省設置法の一部を改正する法律案、いずれも予備審査でありまするが、これの審査に入りたいと思いますが、御異存ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#66
○委員長(河井彌八君) では御異議ないと認めまして、さように決します。
 二時までそれでは内閣委員会は休憩をいたします。
   午後零時五十二分休憩
   ―――――・―――――
   午後三時一分開会
#67
○理事(鈴木直人君) 午前に引続き内閣委員会を開きます。
 午後は運輸省設置法の一部を改正する法律案、(予備審査)及び農林省設置法等の一部を改正する法律案、(予備審査)、この二案件について主管大臣の説明を承わりたいと思います。先ず運輸大臣から提案理由につきまして説明を願います。
#68
○国務大臣(村上義一君) 只今提案となりました運輸省設置法の一部を改正する法律案について説明をお聞きとり願いたいと存じます。
 政府におきましては、かねてから国力にふさわしい簡素且つ能率的な行政機構を樹立するため努力を続けて参つたのでありますが、このたびその方策を決定いたしましたので、この決定の線に副い、運輸省設置法の一部を改正する必要が生じて参つたのであります。
 次に、法律案の要旨について御説明申上げます。
 先づ、改正の第一点は、運輸省の外局である航空庁を内局として、その名称を航空局に改め、大臣官房観光部、海運局海運調整部、鉄道監督局国有鉄道部及び民営鉄道部並びに自動車局業務部及び整備部の六部を廃止すると共に、公共船員職業安定所を海運局に統合することといたしました。
 次に、大臣官房に観光監を置き、観光に関する事務を掌理させたいと思うのであります。又鉄道監督局、自動車局及び航空局にそれぞれ次長一人を置きまして、局長を補佐させることにいたしたいのであります。更に経済安定本部の廃止に伴い、運輸省に移管される事務につき追加規定をすること等の措置を講じました。
 改正の第二の点は、海上保安機構の改革に伴う所要の整理であります。
 即ち、運輸省の外局であります海上保安庁を廃止すると共に、海上保安庁海事検査部の所掌事務を運輸省の関係各局に分属させ、海上保安審議会及び水先審議会を運輸省に移し、水路部及び燈台部は運輸省の附属機関に改め、海難審判理事所は、海難審判庁の附属機関とし、警備救難部の所掌事務のうち、海上交通の保安に関するものを海運局に移す等の改正をいたしたのであります。
 最後に、右の改正に伴いまして、必要な関係法律の整理をも併せ行うことといたしました。
 なおこの法律案の施行は、昭和二十七年七月一日を予定いたしております。
  以上がこの法律案の提案理由及び要旨であります。何とぞ慎重御審議の上成るべく速かに可決せられるようお願いいたします。
#69
○理事(鈴木直人君) 次に運輸省設置法の一部を改正する法律案の逐條説明になるのでありまするが、これはこの次にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
#70
○楠見義男君 今の御提案には異議ありませんが、運輸委員会から若し連合委員会等の申入れがあるとすれば、できるだけ早目にそういう際に一緒にやつて頂いて、一応こちら側が相当進行してから、改めて又運輸委員会から連合委員会が申込まれて、そのためにこちらの審議が非常に手間取るということになつては、この前の行政機関職員定員法の例の際に、我々は苦い経験がありますので、その点はどうなつておりますか。
#71
○理事(鈴木直人君) 運輸委員会からの連合審査の申込みは現在ございませんが、内意を聞きますというと、今後もこの案件については、連合委員会の申込みはいたさないというふうに考えているというふうに聞いております。若し今後そういうふうな意見が出ました場合には、今の意見を伝えるようにいたしたいと思います。
  ―――――――――――――
#72
○理事(鈴木直人君) お諮りいたします。地方行政委員会から、海上保安庁設置法案について連合委員会の申入れがあるのですが、如何いたしましようか。
#73
○楠見義男君 連合委員会の提案のほうの申出でについては、これを認めることにいたしたいと思いますが、ただ希望といたしましては、いずれ保安庁関係の、保安庁設置法案について申出でがあると思いまするので、併せて一緒にその際に御審議が願えるといいと思いますが、その際に一緒にやつて頂くというふうに願えたらいいと思います。
#74
○理事(鈴木直人君) 只今の楠見委員のように決定して御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#75
○理事(鈴木直人君) じやさよう決定いたします。ちよつと速記をとめて。
   〔速記中止〕
#76
○理事(鈴木直人君) じや速記を始めて。
  ―――――――――――――
#77
○理事(鈴木直人君) これより農林省設置法等の一部を改正する法律案について、予備審査でありますが、この法律案について政府委員の農林政務次官野原政勝氏の説明を承わりたいと思います。
#78
○政府委員(野原正勝君) 農林省設置法等の一部を改正する法律案の提案の理由を御説明申上げます。
 今回提案いたしました農林省設置法等の一部を改正する法律案は、今次の行政機構改革の一環としての農林省の機構改革をその内容といたしておるのでありまして、第一條において農林省設置法の一部を、第二條において水産庁設置法の一部をそれぞれ改正いたしております。
 先づ第一條の農林省設置法の一部改正から御説明をいたしますと、その要点は、(一)食糧庁及び林野庁を内局とし、それぞれ食糧局及び林野局とすること。(二)大臣官房、農政局及び農業改良局の事務の配分を調整して、農政局を農林経済局とすること。(三)内局に置かれた部及び新たに内局となる食糧庁及び林野庁の部を廃止すること。(四)農林経済局及び農地局に次長各一人、食糧局及び林野局に次長各二人を置くこと。国農林経済局に統計調査監を、畜産局に競馬監を置くこと。(六)米価審議会を経済安定本部から移管すること。(七)営林局の管轄区域の一部を変更すること。内林野局に林業講習所を新設することの八点であります。
 第一の食糧庁及び林野庁を内局といたしますことは、今次の行政機構改革の主要な目的である外局の整理の方針に即応するものであります。
 第二の大臣官房、農政局及び農業改良局の事務の配分の調整につきましては、これまでの大臣官房の事務が、旧総務局の事務の大部分を承継した関係上、他省に比し複雑厖大であること、又農政局の事務のうち植物防疫及農産物の生産に関する事務は、農業改良及び普及の事務と一体として一局において所掌させることが適当であること等の諸事情がございますので、この際これら三局間に事務調整を行い、大臣官房の事務のうち金融、検査及び貿易等に関する事務並びに農業改良局の事務のうち統計調査、経済研究等に関する事務は従来の農政局に移し、その名称も性格を考慮して農林経済局とし、更に農業改良局には従来の農政局の事務のうち農産、特産及び植物防疫に関する事務を移し、農林行政の刷新を企図いたしたのであります。
 第三の部制の廃止につきましては、これまた今回の行政機構改革の主要な目的の一つでありまして、従来から臨時的なものとして存置されていた内局の部制をこの際全廃することとされましたのに伴い、農林省におきましても農政局の農業協同組合部、農地局の管理部、計画部及び建設部、農業改良局の統計調査部、研究部及び普及部、畜産局の競馬部、新たに内局となる食糧庁の総務部、業務第一部及び業務第二部、林野庁の林政部、指導部及び業務部を廃止することといたしました。
 第四は、前述通り部制の廃止に伴い、その所掌事務が相当複雑厖大な部局――即ち農林経済局、農地局、食糧局及び林野局についてはその質量に応じ、それぞれ一人又は二人の次長を置くことといたしたのであります。
 第五の統計調査監と競馬監の新設は、これまた前述の部制廃止に伴うものでありまして、前者は統計調査事務の特殊の性格等を考慮してその事務を掌理する特別の職が必要と考えられたため設置するものであり、後者は競馬に関する事務を掌理する特別の職が必要であるため設けられるものであります。
 第六の米価審議会は、従来経済安定本部の附属機関であつたのでありますが、物価関係の事務はすべて所管物資別に各省に分割されましたのに伴い、この審議会も農林省の附属機関といたす必要があるのであります。
 第七の営林局の管轄区域の変更につきましては、従来の管轄区域が昭和二十二年のいわゆる林政統一即ち御料林と国有林が合一したとき以来のものであり、その後における諸事情の変更等を考慮してこの際国有林野の適正な経営を図るためには、その一部の管轄区域を変更することが必要と考えられるに至りましたので改正をいたすことといたしたのであります。
 第八の林業講習所の新設は、従来から継続して参りました林野庁及び営林局署の職員の講習施設を形式上講習所という施設に発展せしめるものでありまして、林業の技術及び経営に関する教習を常設的な講習所において行うことによつて事務能率の向上等を図ろうとするものであります。
 次に第二條の水産庁設置法の一部改正について御説明いたしますと、その要点は水産駐在所を廃止することと漁業調整事務所を設置することの二点であります。
 第一の水産駐在所の廃止でございますが、この水産駐在所は、元来設法置上臨時的なものであり、又その所掌事務も水産物の需給調整及び漁業の許可に関する事務であつて、水産庁の地方支分部局として今日の水産行政の事務の実態にそぐわない点がありましたので、後述の漁業調整事務所の新設とも睨み合せてこれを廃止することといたしたのであります。
 第二の漁業調整事務所の新設は、水産駐在所の廃止とともに水産行政の出先機関整備のための支柱をなすものでありまして、水産行政の現段階からみまして、漁業法及び水産資源保護法の施行に関する事務のうち、特に必要な範囲内の国の事務は、直接国において出先機関を設けて行うことが必要と考えられますので、今回漁業調整事務局とならんでその小規模の組織として漁業調整事務所を設置するわけであります。なお従来水産駐在所は、全国で七個所設置されておつたのでありますが、調整事務所は五個所でございますので簡素化の目的にも順応しておるわけであります。
 以上申し述べましたところが本法案提出理由の大要であります。何とぞ慎重御審議の上速やかに御可決あらんことをお願いいたします。
#79
○理事(鈴木直人君) 農林省設置法等の一部を改正する法律案の審議は、本日はこの程度にいたしておきたいと思いますが御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#80
○理事(鈴木直人君) ではさよういたします。
  ―――――――――――――
#81
○理事(鈴木直人君) 次に只今の法務府設置法等の一部を改正する法律案について、五月十六日の法務委員会で連合委員会を開きたいという申入れの決定をいたしたということで、当委員会に連合委員会の申入れがございました。如何にいたしましようか。申入れを受けることにいたして御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#82
○理事(鈴木直人君) それでは受入れることに決定いたします。
 本日はこの程度で散会いたしたいと思います。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#83
○理事(鈴木直人君) では本日はこれを以て散会いたします。
   午後三時二十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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