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1951/02/15 第13回国会 参議院 参議院会議録情報 第013回国会 地方行政委員会 第5号
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1951/02/15 第13回国会 参議院

参議院会議録情報 第013回国会 地方行政委員会 第5号

#1
第013回国会 地方行政委員会 第5号
昭和二十七年二月十五日(金曜日)
   午前十時四十六分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
二月六日委員平岡市三君辞任につき、
その補欠として北村一男君を議長にお
いて指名した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     西郷吉之助君
   理事
           堀  末治君
           中田 吉雄君
           岩木 哲夫君
   委員
           岩沢 忠恭君
           石村 幸作君
           岡本 愛祐君
           相馬 助治君
           原  虎一君
  政府委員
   内閣官房副長官 菅野 義丸君
   全国選挙管理委
   員会事務局長  吉岡 惠一君
   国家地方警察本
   部長官     斎藤  昇君
   法務府特別審査
   局長      吉河 光貞君
  事務局側
   常任委員会專門
   員       福永與一郎君
   常任委員会專門
   員       武井 群嗣君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○ポツダム宣言の受諾に伴い発する命
 令に関する件に基く全国選挙管理委
 員会関係命令の廃止に関する法律案
 (内閣送付)
○ポツダム宣言の受諾に伴い発する命
 令に関する件に基く警察関係命令の
 措置に関する法律案(内閣送付)
○地方行政の改革に関する調査の件
 (最近の治安状況に関する件)
 (治安機構の改革に関する件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(西郷吉之助君) 只今より委員会を開きます。
 本日は公報に記載してございまするが、本委員会はポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く全国選挙管理委員会関係諸命令の廃止に関する法律案並びにポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く警察関係命令の措置に関する法律案、この二件につきまして政府当局から説明を求めます。それが終りましたら次に治安関係の報告を聞きたいと思います。
#3
○政府委員(菅野義丸君) ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く全国選挙管理委員会関係諸命令の廃止に関する法律案につきましてその提案の理由並びに内容の概略を御説明申上げます。
 今般講和條約の締結に伴いまして政府は、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基いて制定されました諸命令を整理することとなつたのでありますが、全国選挙管理委員会の関係といたしましては、そのような命令が三つあります。
 第一は、昭和二十年勅令第七百三十一号であります。これは、同年勅令第七百三十号を以て釈放された政治犯人が選挙権を回復したのに伴いましてこれらの者に選挙権を行使させるため臨時に選挙人名簿を調製することにいたしたものであります。
 第二は、昭和二十一年内務省令第二十三号であります。これは、昭和二十年法律第四十二号を以て衆議院議員選挙法が改正され、選挙権に関する年齢要件が満二十五年から満二十年に引き下げられ、女子に対しても選挙権が付與される等著しく選挙権を有する者の範囲が拡張され、従来の約二倍以上となりましたので、同年勅令第七百八号を以て特にこれらの者を登載するため十一月、臨時に選挙人名簿を調製したのでありますが、何分にも新たに選挙権を有するに至りました者の数が非常に多かつたため、昭和二十一年十二月十九日までの間に衆議院議員の選挙を行います際更に臨時選挙人名簿を調製して、有権者を漏れなく登載することを期したものであります。
 第三は、昭和二十二年内務省令第二十五号であります。これは、同年四月国会議員選挙並びに地方公共団体の長及び議会の議員の選挙が一齊に行われたのでありますが、同年勅令第六十五号による覚書該当者の指定の解除がこの選挙の立候補届出の締切期日の直前又は、その後に行われましたため、これらの者に対して立候補の届出締切期日後においても、その届出をすることができるように措置したものであります。
 以上御説明申上げたようにこれらの三つの全国選挙管理委員会関係のポツダム命令は、すべて必要に応じて臨機の措置を講ずるために目的が公布当時限りで出されたものでありまして、すでにその目的を達し、現在は適用されることのないものでありますので平和條約の最初の効力発生と共にこれらの命令を廃止して形式上整理しようとするものであります。
 以上がこの法律案の提案の理由並びにその内容の概略であります。何とぞ愼重御審議の上、速かに御賛成あらんことをお願い申上げます。
#4
○委員長(西郷吉之助君) それではこの法案に対する質疑は次回に譲ります。
  ―――――――――――――
#5
○委員長(西郷吉之助君) 次に斎藤国警長官。
#6
○政府委員(斎藤昇君) 今回政府から提出いたしましたポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く警察関係命令の措置に関する法律案につきまして提案の理由並びにその内容の概略を御説明いたします。銃砲刀劍類等の取締については、連合国軍最高司令官から発せられました昭和二十年九月二日附一般命令第区一号、同年九月七日附覚書、同年九月二十四日附覚書「民間人所有のけん銃、小銃、刀劍類の回收に関する件」、同年十月二十三日附覚書「日本民間人武器の引渡に関する指令」、昭和二十一年一月十日附覚書「美術品に価する刀劍類の民間人所有に関する件」などによりまして、民間武器の回収、引渡等についての措置を命ぜられ、政府は、昭和二十年勅令第五百四十二号、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基き昭和二十一年勅令第三百号を以て銃砲等所持禁止令を制定いたしましてこれが措置に当つて参つたのであります。これを更に昭和二十五年五月二十九日附の政府に対する総司令部覚書「日本民間人所有の武器引渡に関する件」によりまして、昭和二十五年政令第三百三十四号を以て、全面的に改正し銃砲刀劍類等所持取締令として今日に至つている次第であります。
 この現在の銃砲刀劍類等所持取締令は本則三十一ケ條よりなつておりまして、銃砲及び刀劍類は、法令に基き職務のために所持するとき、狩猟等の用途に供するものとして公安委員会の許可を得たとき、美術品として価値あるものとして文化財保護委員会の登録を受けたものを所持するとき、国又は地方公共団体の職員が試験若しくは研究のため又は公衆の観覧に供するため所持するときの各場合を除いては、これが所持を禁ずることを骨子といたすものであります。そしてこのための必要な諸手読等を規定しております。
 今回政府から別途提案せられておりますポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件の廃止に関する法律案によりますと、この銃砲刀劍類等所持取締令は別に法律で廃止又はその存続に関する措置がなされない場合におきましては、同法施行の日から起算して百八十日間に限り法律としての効力を有するものとせられることになつております。併しながら前述しましたような内容のこの政令は、日本国憲法の下において社会公共の秩序を維持する上から申しまして必要であると認められますので、平和條約の最初の効力発生の日以後も、法律としてそのままの内容で存続させることといたしたいと存じまして本法律案を提出した次第であります。
 本法律案は、本則一項と附則一項からなつております。本則におきましては、「銃砲刀劍類等所持取締令は、日本国との平和條約の最初の効力発生の日以後も法律としての効力を有する。」と定め、附則といたしましては、この法律は、日本国との平和條約の最初の効力発生の日から施行することと規定しているのであります。
 何とぞよろしく御審議のほどを願い上げます。
#7
○岡本愛祐君 政府に伺いますが、この法律案の……。
#8
○委員長(西郷吉之助君) ちよつと岡本君に申上げておきますが、申し落しましたが、今朝ほどの理事会で今日はこの両法律案の説明を求め、それに対する質疑は次回に讓つて次に移りたいというふうになつておりますが、御了承をお願いいたします。
#9
○岡本愛祐君 形式上の問題でお尋ねしておきたい。この法律案を見ますと、表題がないのですね。つまり先ほど審議された法律案にはポツダム宣言の受諾に伴い発生する命令に関する件に基く全国選挙管理委員会関係諸命令の廃止に関する法律案と、こうある。ところが今のはそれがない。これは間違いじやないでしようか。
#10
○政府委員(斎藤昇君) 只今お尋ねの点は印刷が脱漏しておるような気がいたしますので、よく調べまして……。
#11
○岡本愛祐君 調べて次回に間違つておつたら御訂正をお願いいたします。
#12
○委員長(西郷吉之助君) それでは予定では次に木村、大橋両国務大臣から治安機構改革その他一般治安問題について説明を求める予定でございまするが、まだ見えませんので、それをあとに廻しまして、斎藤国警長官より、先般発生しました北海道並びに長野県に起きました問題を中心といたしまして、一般治安状況について説明を求めます。
#13
○政府委員(斎藤昇君) いわゆる白鳥事件につきましては、只今鋭意捜査中でございまするが、この事件の発生は、今年の一月二十一日午後七時四十分頃でありまして、その場所は札幌市の南六條西十七丁目の道路上でございます。被害者は札幌市の中央警察署勤務の警備課長白鳥一雄であります。同人が自転車で帰宅の途中、只今申上げました場所に差しかかつた際にあとから同じく自転車で追尾して来た何者かに突然拳銃で狙撃されまして、左胸部に盲貫銃創を負つて現場で死亡をいたしたのでございます。中央警察署におきましては、事件発生に際しまして直ちに署員の非常招集を行いますると共に、国家地方警察の札幌方面本部に対しまして援助要請をいたしましたので、国警、自警合同の捜査本部を設けまして、以後鋭意捜査を進めて現在に至つておるのであります。
 その経過の詳細につきましては只今捜査の過程にありまするので、具体的に申上げますることは差し控えたいと存じまするが、そして又この事件が共産党関係者が敢行した犯罪であるかどうかという点につきましても、只今予断を以て臨むことができないと考えておるのであります。併しながらこの事件後日本共産党札幌委員会の署名入で、この種の暴力行為を是認するような宣伝活動が行われておることは事実なのであります。その一例を挙げますと、御承知のように一月二十二日附に「見よ天誅遂に下る、自由の凶敵、白鳥市警課長の醜い末路こそ全フアシスト官憲共の落ゆく運命である。」云々というような表題の宣伝ビラを相当撒いたのでございます。その内容の一部を申上げますと「全警察官及その上級者と高田市長よ、諸君の生命とその家族の幸福のために今後一切の民主運動に対する弾圧を即時中止せよ。そして占領軍と反動政府の命令を拒否し日本人のために、市民のために良心ある役人となられよ。決して第二の白鳥となるような行為をするなかれ、白鳥課長のむごい末路を夢にも他人事と思うなかれ。一九五二年一月二十二日日本共産党札幌委員会」というような署名入のビラを相当撒いたのであります。又事件発生前に、特に昨年十二月二十七日の自由労働者の検挙事件の発生以来、被害者の自宅宛に百七通の脅迫状が送達をされております。又十二月三十日には白鳥課長自宅玄関口の障子に封印をするように「家族を皆殺しにする」という旨の脅迫状が貼られた。その他自宅周囲には多数の脅迫文書が貼られておるのであります。この事前の脅迫状は被害者宛のもののほかに、高田札幌市長の自宅宛に六十通、それから塩谷検事、これは札幌の地検の公安係の検事でありますが、自宅宛に九十通出されておるのであります。
 なお本件の捜査の過程におきまして、昨年十二月十九日発生の自由労働者の公務執行妨害並びに傷害事件の被疑者でありまする尾谷豊というのを二月四日札幌市におきまして又本事件発生後の先ほど申しましたアジ・ビラの配布者でありまする吉田哲、これも自由労働者でありますが、これも同じく札幌において暴力行為等処罰に関する法律並びに団体等規正令違反として二月八日検挙せられ取調中であるのであります。このほかに事件発生後、北海道の検察官憲その他に対しまして相当数の脅迫状めいたものを発送をせられておるのであります。警察官十七人、検事四人、その他の者七人に対して脅迫文書或いはビラというようなものが配布せられておるような状況であります。併しながらこういう脅迫状を受けた関係者は何ら意気沮喪することなく、極めて士気旺盛でありまする状況を、私が実際に出張して見て参つて心強く思つているのであります。先ほども申しましたごとく、この事件はまだ捜査の過程でありまするので、被疑者は果して何者であるか判明をいたしておりません。又捜査過程において浮かび上つております各種いろいろな線がございますけれども、これらは非常にデリケートな関係を持ちまするので、御質問によりましては差支えのない範囲で申上げることができるかと思いますけれども、できるだけ事件の捜査に直接関係いたしまするものは、御説明は差し控えさして頂きたいと思つておるのであります。
 それから長野県下の田口村事件につきましては、これは二月三日の夜午後十一時頃に南佐久地区署員四名が無燈火の自転車で通行中の一名を職務質問いたしましたところ、警察官に抵抗をいたしましたのでこれを逮捕したのでありまするが、その際に他の参集者等が警察官に対しまして集団暴行傷害を加えた事件であります。本事件につきましては爾後捜査の結果、二月四日正午までに前述の一名の被疑者のほかに被疑者七名、うち四名は団体等規正令による届出のある日本共産党員でありまするが、これを逮捕いたしました。七名のうち二名は釈放をいたしておるのであります。この事件も捜査中でございまするが、当日これらの暴行を加えました被疑者等は、或る種の会合を開催をいたし、その帰り途に職務質問を受けて、かような暴行を働いたものと考えておるのであります。国内における共産主義運動関係者が武力革命の問題を、本格的な実践課題として取上げたように考えられますのは、おおむね一昨年、即ち昭和二十五年の秋以来のことであります。それは昨年十二月十四日、共産党中央機関紙「アカハタ」の同類紙と認定の上発行停止処分を受けました「内外評論」の第四号、これは一九五〇年の十月十二日附でありますが、「共産主義者と愛国者の新しい任務」の内容からも推定することができると考えるのであります。その後この方向への準備工作は、非合法のうちに逐次進められつつあるものと考えられます。例えば重要工場、事業場、占領軍の基地、電気、通信、運輸の諸施設に対する調査活動、非合法的なゲリラ集会、各種のアジ・プロ活動、中核自衛隊の結成等の情報乃至は捜査資料としてこれらが現われておるのであります。又この種の武装鬪争に対する基本的な非合法資料といたしまして「内外評論」第十五号、一九五一年の三月十五日附でありますが、「内外評論」十五号の「軍事方針について」及び「球根栽培法」第三十一号、一九五一年の十一月十五日附「われわれは武装の準備と行動を開始しなければならない」など、これらも共産主義運動関係者に対する家宅捜索等から発見されておるのであります。最近の傾向といたしまして注意しなければならないと考えまする点は、一つはいわゆる民族解放、民主統一戦線工作が労農、市民、青年、学生、文化運動等、政治、経済、社会運動の全面に亘りまして、いよいよ本格的且つ具体的に実践されようとしておる点でありまするが、それと共に他面には警察その他治安担当機関に対する牽制的な意味での実力行使がいよいよ積極且つ露骨に現われつつある点でございます。前者につきましては「球根栽培法」第三十三号、これは一九五一年十二月二十日附になつておりまするが、それの「当面の戦術と組織問題について」及び同第三十四号、これは一月八日附、「全国組織会議の決定を実行するために」等の内容につきましてもよく窺い知ることができるのでありまするが、いわゆる抵抗自衛鬪争の大衆組織を結成強化いたしまして各種運動のヘゲモニーを社会民主主義系の指導者から奪取しつつ、吉田内閣の打倒を通じて占領制度の撤廃、革命の実現を図らんとする戰術、工作が極めて詳細且つ具体的に組織の内部で討議されつつあるように見受けられるのであります。対警察工作につきましては、「球根栽培法」の第三十二号、「警察工作立遅れを克服するために」という内容によりましても、従来の守勢の域を脱しまして、攻勢に転じつつあるもののように見受けられるのであります。葉書、ビラ、投石などを以ていたしまする恫喝乃至脅迫的な戦術は、本年一月以来続発いたしつつあるように見受けられるのであります。昨年一年間における全国の警察官に対するこの種の脅迫的事犯は、これは昨年でありまするが、国警本部に報告のありました分、東京警視庁の分は不明でありますが、それを除きましても三百八十一件でございます。うち自治体警察に関するものが二百七十七件ということに相成つておるのであります。これらの傾向は、取締機関たる警察の構成員を各個撃破しつつ内部動揺を招来せしめ、警察の独自の強味である第一線組織を、麻痺させ、そうしてこの種の取締に打撃を與えようとするものであろうと考えられる点は明瞭に看取できるのであります。併し先ほども申上げまする通り、これらによつて取締官憲が或いは牽制をされたり、意気を沮喪したり、そういうような傾向は全然見受けられない点は心強い次第だと考えておるのであります。以上漠といたしておりますが、最近の治安の情勢を併わせまして両事件の報告を終りたいと思います。御質問ございますれば……。
#14
○委員長(西郷吉之助君) ちよつと申上げておきますが、本日の理事会で今日は説明を全部終りましてから、時間があつたら今日御質問をいたしますが、時間がなければ月曜から質問をすることにいたします。次に吉河審査局長から一般治安問題について説明を聽取いたします。
#15
○政府委員(吉河光貞君) 御指名によりまして、簡單に御説明申上げます。只今斎藤国警長官から、詳細に治安の状況について御説明がございましたので、私といたしましては、すでに附け加えて申上げるような格別顯著なものはないのでございまするが、なお簡單に申上げることにいたします。
 現下の我が国内における治安の状況は皆様御承知の通り全体としては一応平静に維持されておると存ずるのでありまするが、その裏面におきまして一部国民の間にはいろいろな不安、動揺が見受けられると共に、最近極く少数の破壊分子の間におきまして日本国憲法並びにその下に成立した政府を、武装反乱或いは武力鬪争によつて破壊顛覆するということを主張したような印刷物を広汎に発行、配布しておるというような事実があつたのであります。で、今斎藤国警長官からも御説明がありましたように、昨年十一月十四日発刊停止処分に付しました日本共産党の機関紙「アカハタ」の同類誌「内外評論」などはその一例であります。又一部過激分子の間におきましては、口に平和と自由を唱えながら、その半面国民の権利と自由を濫用いたしまして、ややもすれば公共の安全保持に当る警察職員等に対しましても、暴行脅迫に出でるというような不祥事件が各地に起きておるのであります。講和條約発効後において、内外情勢の推移によりましては極めて重大なる事態の発生もその可能性が予想されるような状態でございます。かような武装反乱によつて、日本国憲法並びにその下に成立した政府を顛覆、破壊するというような主張が現実の問題として取上げられましたのは、斎藤国警長官からも御説明がありました通り、一昨年九月頃からであります。非合法機関紙として発行配布されております「平和と独立」の一昨年九月三十日附には「高まる波の権力獲得の革命闘争へ」と題しまして、只今申上げたような破壊的な記事が出ております。次に同年十月七日附には、「暴力には力でたたかえ、共産主義者と愛国者の新らしい任務」というような記事が、同じような趣旨で出ております。次に同年十月十四日附には「権力奪取への労働者の課題、農民の闘争を組織し指導せよ」。次に同年十一月四日附には「権力獲得の武力革命のために党をボルシエヴイキ化せよ」というような記事が出ております。次に同年十一月十一日附には「権力獲得のための革命的指導を」、次に同年十二月二日附には「権力獲得への計画的指導」、同じく同年十二月九日附には「祖国日本を世界の放火とアジア侵略の足場にするな」というような題で同趣旨の記事が出ております。更に同年十二月二十三日附には「独立と平和のため朝鮮における帝国主義者の侵略を失敗させよ、実力鬪争は人民の自由と統一を拡大する手段である、武力革命と機械的に同一視するな」というような記事が出ておるのであります。更に只今斎藤国警長官からもお話がございましたが、「内外評論」という秘密出版物には、一昨年九月二十七日、「日本における米帝国主義の農村支配と農民の革命闘争」、同年十月十二日の特別号には「共産主義者と愛国者の新らしい任務、力には力を以てたたかえ」、同年十一月七日附には、「なぜ武力革命は問題にならなかつたか」、次に同年十月二十六日及び十一月七日附には「ゲリラ基地の確立について」、それから同年十一月二十二日附には「工場自衛団、町村人民自衛団をつくれ」、同年十二月二十日附には「革命の思想的強化と正しい闘争路線」、次に昨年四月五日附には「自己批判」と題しまして同じく同趣旨の記事が掲載されておるのであります。特に只今斎藤国警長官からもお話がございましたが、我々は「武装の準備と行動を開始しなければならない」というような「内外評論」の記事に引続きまして、極く最近には「中核自衛隊の組織と戰術」と題しました非合法文書が配布されつつあるような状況でありましてこの文書の内容を検討いたしますと、中核自衛隊は小隊、中隊、大隊のような組織を持つというような組織の方針などが述べられております。極めて破壊的な文書であります。私どもといたしましては、かような一部破壊的な分子の宣伝、煽動の活動の実態につきまして目下調査中でございます。又かような宣伝、煽動に照応いたしまして、具体的な組織活動乃至さような動向の有無につきましても同じく調査を続行しておるような次第でございます。
 極く簡單に申上げました。
#16
○委員長(西郷吉之助君) それでは大臣がほかの委員会の関係でまだお見えになりませんから、今までの問題につきまして御質疑がありましたらお願いいたします。
#17
○相馬助治君 斎藤長官から報告された二つの事例については、まだ捜査の段階にあるので、具体的なことは微妙であるから報告でき」ないというお話で、その点は御尤もであろうと存じますので、それは又いずれ必要に応じては秘密会等を要求してお尋ねするとして、私は一般的にこういう問題を考える基本的な一つの参考として、この際二、三の点を伺つておきたいと、こう思うのです。
 先ず第一点は、今いろいろ述べられたように、共産党側で、共産主義者のグループから暴力革命を肯定するような論文、或いは指令に類するようなものが数多く出ておるということを聞かせられたのですが、これは御案内のように、共産主義理論の中に暴力革命を肯定しておるということは、これは常識的なものであつて、ただこれが世上與える影響は、例えば白鳥事件なら白鳥事件というものは、そういう指令或いは評論に呼応して一つの問題として起きておるのであるという確信を以て警察側はこれを取上げておると思う。問題はそれに対して国民が納得するような結論が出又は解決が付いた場合に、警察の威信を高めるという意味において、そのことの持つ意味というものは極めて重要であろうと思うのですけれども、どうもそういうものが最初の騒ぎに比較いたしまして、何のことかわけがわからなくなつてしまうのが今までも多かつたのであります。今斎藤長官のお話で、共産党と直接の連関ありや否やはにわかに断定し得ないという愼重な御発言ですが、事実これが新聞その他に取上げられておる面を見ると、長官のそういう善意の心やりにもかかわらず、これはそういう一環において発生しておるのであるというふうに取上げられておるのである。従つて国民はこれを注視しておる。そういたしますと潜行した共産党幹部も春日氏一人を逮捕しただけで、その後どうなつておるのか、これも国民はわかつていない。そういたしますると、こういう問題が出るということがいよいよ心理的には国民に動揺を與える以外の何物でもない。そうしてこの問題に対して二つの全く異なつた見解が流布されている。即ち一つは、共産党というものはかくのごとく暴力革命を肯定して、恐るべきものであつて、日本再建の途上におけるこれはバチルスのようなものであるという宣伝、一方は、今度は、いやあれは今の自由党を首班とする内閣のこれは陰謀なのだという、全く同一の問題に対して両方の極端から勝手なことが流布されている。そういうようなことで一番とまどいしているのは私は国民だと思うのです。そこで私はお尋ねしたいことは、一体対共産党工作は現法律の運用を以て事足れりとしておるのであるかどうかということが第一点。それからその次の問題は、この白鳥事件のような問題については、そういう非法的な投書にもかかわらず、警察官は意気軒昂たるものがあるということは心頼もしい限りでございますが、一体札幌においては、こういう不祥な事件が起きるということを現地においては予測する程度まで惡化していたのか、それとも單にいやがらせ程度の投書であると思つていたところに、突如としてこう起きたために、現地においても実のところは現に取調べ上支障を来たしている面があると、こう本部では見ておるのであるかどうか、こういうことについて第二には承わつておきたいと、こう思います。それから第三の問題は、この種の問題が、この種の問題というのは共産党の地下活動であるとか、共産党の暴力革命肯定理論の宣伝であるとか、こういうことがどうも日本を再び警察国家に引戻すための前哨戦として、そういう事実がないなどと私は言つていないが、そういう事実がないと言つてはいないが、それがやや煽動的に一部において取上げられていると批評する向もないではない。これらに対して長官としては基本的にまあどんな心づかいを以て部内の指導に当られているかどうか。まあ基本的な問題として以上のことだけお尋ねしたい。
#18
○政府委員(斎藤昇君) 先ず最初に私たちが申しましたように、例えば白鳥事件はこれはどういう線がやつたものか、そういうようなことにつきましては、具体的の事件が起りました場合に、我々といたしましては如何なる事前のいろいろな條件があろうとも、予断を以て、大体これはこの線だろうというような予断で進んではいけないというのが、我々捜査の変らないいつでもの根本方針なんであります。従いまして実際にいよいよ犯人を検挙し、そして起訴に持つて参りまするまでは、決して一方的な予断で臨まない、こういうのが我々のもう基本的な根本方針であります。この事件が起りました際も、たしか私が北海道でしやべつておりますのも、その線で話をしておるのであります。ただ前後にこういうような誰の目にもわかるような情勢が一方にあるということだけを先ほどから説明もしておるわけであります。従つてその情勢があるから、果してその情勢にマッチすべく事件が起つたと、こう結論付けることは、これはまだ早過ぎる、こう考えておるわけであります。それで只今もおつしやいましたように、共産党と言いますか、共産主義と言いますか、これが武力革命を肯定をしているということは、これはもう誰もわかつた事柄であるのであります。それについてこういうような秘密文書が出ておる、こういうような指令らしいものがあるようだというようなことを、私のほうが進んで社会に発表しておるかのように言われまするが、只今もそういつた状況についてどうなつておるかと聞かれまするから申上げまするが、私のほうから進んでそういうことを宣伝したことは一つもないのであります。ただ我々治安関係者といたしましては、こういうようなことはやはり細かい心づかいをいたしまして、これが実際面にどう現われて来るかということを見ながら、調査と捜査と、それから事件の予防ということに力をいたさなければなりませんので、こういう事態をただ当り前のことだといつてそれで知らん顔をして調査も何もしないというわけには参らない、こういうわけでございます。
 然らばそれらに対する現在の情勢なり、又これに対応して今の法律で事足りるかどうかという問題は、御承知のようにこれは特審局のほうの分野でありまするが、どういうような又新らしい法律で規正を加えて行くかというのが、まだ法務府のほうで研究をされておりまするので、試案が得られれば議会に提案されることと私は考えております。
#19
○相馬助治君 これは特審局長に、私、今の長官の後段で触れられた問題について、局長の立場から御見解を承わつておきたいと思うのです。即ちいろいろ述べられているような情勢に対応して、現在ある法律の操作を以て現、段階においては一応取締ができ、且つ事件の予防ができ得る見込であるかどうか。若しないとするならば、特審局の側の考え方といたしましては、どういう方向の、例えば基本的な問題としては非合法の問題もあるでしよう。そういうものが含まれてどういう方向に構想をお持ちであるか。立法府に連なる我々としてはその御意見そのものによつて動かされるというものではないけれども、事極めて重大な問題なので、この際率直にそれらについてのあなたの立場よりの御見解を参考までに承わつておきたいと思うので、敢えて質問いたします。
#20
○政府委員(吉河光貞君) 立法の問題でございますが、この治安関係の立法を政府が目下準備し、国会の御審議を経て決定する、で私どもの立場としては、事務の当局者として、総裁の命令によりまして所要の法律の草案の立案に従事する。併しこれを御決定になるのは飽くまで国家の最高機関である国会である。で、私といたしましては、與えられた法令の執行者として治安についての所管の事務を運営して行きたいと、かような立場を持つておりますので、立法問題につきまして、私の立場からかれこれ申上げるというのはちと行き過ぎではなかろうかと考えているわけでございます。又特定政党の非合法化の問題というようなものは政府の、或いは国会の御決定になる問題でございまして、これは事務当局者としての私どもとしては何ら申上げる立場にないのであります。ただ占領下におきまして各種の指令、各種のポツダム政令が発布されております。これは占領政策の実施という面からの必要に基くものもその半面にはあるのでありますが、同時に他の半面におきましては、占領下における日本の治安を確保するための必要から出されたという面もあると考えるのでございます。で、これらの指令乃至法令が講和條約の効力発効と同時にその大多数が失効せざるを得ない立場にあるわけでございます。で、講和條約発効後における法令は飽くまで日本国憲法の趣旨に適合したものでなければならんと思います。そして占領下において設けられていたこれらの指令とかポツダム政令のうち、治安の確保に必要な面を反省して、而も日本国憲法の規定にマツチした治安立法の作成を命ぜられまして、現在その一端の法案の作成に従事しているわけでありますが、その法案の内容等につきましては、私から御発表、御説明申上げる立場にないのでお許しを願いたいと思います。
#21
○相馬助治君 それは、局長のお話の筋は私にはよくわかるのです。法律があつてその法を執行する当面の責任者として、進んでその一政党の非合法化の問題等についてまで言うべきでないということはよくわかります。ただ私は問題が極めて大きいし、それから又今後立案する場合においても今まであつた事例に照らし、将来起ろうとする事例というものを考慮して法律というものは作成されるわけです。従つて本日特審局が進んでこういうことをここで御発表になるということは、今後の治安対策上よき法律が生れることを祈念しての積極的な善意に基く意思だと私は敬意を表しているわけでありますが、そういうふうに型通りのことだけで片付けるならば、事務屋だから言うべき筋のものでないという言葉だけで片付けるというと問題は又別なんです。という理由は、私はこういうことを言うつもりはありませんでしたが、先般新聞の報ずるところによると、自由党の議員総会か政策審議会かにおいて、あなたは出て、現在の共産党活動を中心とする国内の治安の一般についてのお話をなさつたようです。秘密会であつたと言われているにもかかわらず、いずれの側の手落ちであるか知りませんけれども、その全貌と窺えるものが新聞において発表になつているわけであります。そうするとこういうものを一つ形式的にこれを議論を吹つかけてあなたに言うならば、何人の命令でそういう一政党の所に出たのであるか。そうしてあそこでは大したデリケートな問題がないからと言うならばそれまでであるが、若しそういう問題が出たときに、秘密会で発言した当の責任者は一体誰なんであるかというような議論を又やつて行けば、そこに議論も生まれて来ると思う。従つて私はそういう議論を楽しもうとしておるのではなくて、ただ今までこの占領下における困難な状態下にあつて、あなたが本問題と取つ組んで来られて、そうしてこういう点では全く法律の解釈上困つた点もある、こういう点では機構がこういうことになつていたならばとあとで悔んだ点もあつたろうというような、現実に帰納された、啓蒙的な、又教訓的な幾つかの判断が当然これはあると思うので、従つて私はこれを公開の席で言えというのではなくてそういうところの立場から一つの過去の法律、それからこの治安確保のいろんな機構上に対する御見解等があつたならばお尋ねしておくことが参考になろうと思つて、それでまあお尋ねしたのですね。その辺のところは一つ私も筋違いなことを或る程度承知の上でお尋ねしたのですから、軽く事務屋の言うべき筋合いのことでありませんというようなことでなくて、日本の将来を考えてのお尋ねですから、その辺についてざつくばらんに、ここでは言えないとか、それはいろいろな方面とも考えてみなくちやならんから、いずれかの機会で見解を述べるという答弁を私は予想していたのですが、只今の答弁ですべてが盡きておられますか。
#22
○政府委員(吉河光貞君) お叱りを受けて何とも申訳ないのです。現在立案いたしておる法律案の内容につきましては、昨日でありますか。新聞にも総裁の談話としてその大綱が述べられておりました。少くとも講和條約発効後の日本の治安を確保するためには、最小限度この程度の法案は絶対に必要であるというように私も又考えております。この法案が政府として決定されました上、国会の御審議を仰ぐ段取りになりました場合には、なぜこういう法案が必要なのか。どうしてこういう法案が必要なのか。なぜ今までの、従来の治安関係の刑法その他の立法では賄えないのか。この法案はどういう建て方になつておるのか。日本の憲法の趣旨とどういうふうに適合しておるのかというような点については、政府の政策が決定されまして、法案が上程されました場合には、腹蔵なく御説明申上げ、御批判、御検討を得たいと考えております。
 次に終戦後今まで私どもが、ここに斎藤さんもおられますが、治安官の一端としまして治安の面に職をとつて参りまして最も痛切に感ずることは、何と申しましても私どもの捜査又は調査の能力が極めて低い、実に技術的にも未熟であるという点を深く深く反省しております。治安のために挺身する気持は国民個人のどなたにも劣るつもりはないのでありますが、遺憾ながらその技術につきまして非常に未熟、不鍛練である。ますますその技術を磨かなければならない。能率を向上しなければ何とも申訳ないということは痛切に感じております。で、今後の問題といたしましては、私どもの能率を向上し、治安のために必要な技術を習得するという面につきましても、各関係機関との協力につきましても、十分にこれを改善反省して行かなければならないということを考えております。
#23
○委員長(西郷吉之助君) ちよつと速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#24
○委員長(西郷吉之助君) 速記をつけて。
#25
○岡本愛祐君 斎藤長官にお尋ねしますが、先ほどのお話では、北海道を視察されたということであります。国民は、北海道は共産党の非合法化活動が非常に甚だしくて、非常に危險だということをまあ信じておる者が大分あるのです。雑誌なんかでも北海道を独立させる、共産国家に独立されるのだというような企てがあるということも承わつておるのであります。あなたが調査をされて、北海道においてそういう危險な状態があるかどうか。又一般の民心は沸き立つておるか。安心しておるか。そういうことを先ずお聞かせ願いたいと思います。
#26
○政府委員(斎藤昇君) 一般巷間に伝えられておると申しますか、これはいろいろな説がありまして、どれがその北海道に対する一般の伝えられておる認識だということを申上げるわけには行かんと思いますが、極端なる例を言いますと、只今おつしやいましたように、もう独立のできるような準備ができておるとか、或いは北海道では武力革命の諸般の準備が完成しておるとか、而も内外呼応の態勢ができておるとかというように伝えられておるものもありまするが、これらは私は少し、と言いますか、余りに行き過ぎた見方或いは情報、惡く言えばためにせんための情報ではなかろうかとさえも思える次第であります。併しそれじや北海道にはそういつたような地下的な工作というものは全然ないかというと、そうではなくてやはりあるのでありますが、今申しましたような、そんな意味のものでは私はまだないと思います。決して心配するようなものではありません。北海道民もそういう意味におきまして、むしろ内地でこういう説が伝つておるというので、却つて自分のほうは迷惑をしているというように考えている人が多いのであります。大部分の人たちは殆んどそういうことには関心なしに日常生活をやつておるという状態だと考えます。室蘭或いは釧路、あの辺におきましても、自分たちは伝えられておるように戦々競々としておるものではない、落着いてこの通りやつておるのだというように、特に責任のある人たちも話をしておられますし、又私もその通りだと考えておるのであります。距離が遠くなりまするといろいろな、ちよつとした事柄も尾鰭がついて大きく伝えられますように、丁度、私も北海道で話したのでありますが、関東震災のあつたときに、遠い所では東京が海の中に入つてしまつたという噂が一日、二日間は真実に伝えられた所もあつた。それと同じような状況ではなかろうかと考えているのであります。地下の組織、地下の工作と申しまするのも、それほど、伝えられるほどできているものとは考えません。ただ治安の責任者である我々といたしましては、これらの点につきましては細心の注意を拂つて行かなければならんと考えておりまして、北海道民のかたがたが自由を守るというこの健全な現在の態勢である以上は、私は心配はない、こう申上げて差支えないと思う。
#27
○岡本愛祐君 それでは次にお尋ねしますが、樺太とかそれから根室に近いソ連の占領している地域とか、そこに、日本の捕虜による人民解放軍というようなものを訓練したものを集めて、そうして北海道に乗込んで来るというような態勢が共産国家側ではできているということが伝えられている。又現に稚内の近所では海上にいろいろのソ連の船が現われるというようなことも伝えられる。で、そういうことは單なるデマであるか、何かの情報が入つているか、それをお尋ねしたい。
#28
○政府委員(斎藤昇君) 只今の点につきましては、私のほうでは信ずべき情報は何もありません。その程度であります。
#29
○岡本愛祐君 国警長官並びに特審局長から日本の現在の共産党活動と言いますか、非合法活動の面に触れていろいろお話がありましたが、まだそれは内乱の予備、又は陰謀をしているという程度には言い得ないのであるか。そうなれば刑法の内乱に関する罪に当つて来るのでありますが、今お話のような程度では刑法の七十八條には該当しない、又該当すればすぐやれるはずでありますから、該当していないと見ておられるのだろうと思う。併しもう大分それに近付いておるんじやないかと私どもは考えておるのですが、どういう認識を持つているか、又どのくらいになれば内乱の予備又は陰謀をなしたものということになるのか、その点をお尋ねいたして置きたい。
#30
○政府委員(吉河光貞君) 只今御説明申上げた程度の、日本国憲法又はその下に成立した政府を武装反乱によつて倒さなければならないという必要、又は倒すことが正しいのであるというような政党、政治を宣伝啓蒙するというような段階につきましては、まだ内乱の予備陰謀には至らないものと考えております。で、これは内乱をする必要性或いは正当性を宣伝啓蒙するというような段階にあるので、又実際に行われるものと予想される実力行動が警察官に対する抵抗、自衛闘争とか或いは森林の盜伐闘争とかいうような段階にありましては、まだ内乱の予備陰謀を以つて規律すべき案件には至らないと考えております。
#31
○岡本愛祐君 今おつしやるような森林の盜伐とかそれから警官を一人、二人殺したとかいうだけでは内乱の予備又は陰謀にはならないだろうと思いますが、私も同感ですが、併しそれのみでなく、その背後に今おつしやつたような秘密結社的な武装闘争の準備ができておる。武器なんかをソヴイエトから持つて来ようと思えばいつでも飛行機で持つて来ればたやすいことですから、今武器がなくてもそういうふうな武力闘争、武力蜂起というようなことがもうだんだん現実化しつつあるように私は思えるのであります。今のお話ではそうするとそういうものを取締れないとなると、予防的にはできやしない、現実的に何か大きなことが起らなければどうすることもできないということになりやしないか。その点についてもう一度お伺いいたします。
#32
○政府委員(吉河光貞君) 内乱を行うということを観念的に目的として設定した場合にはまだ刑法の理論上の問題におきましては表示違反の段階にある、現在の刑法によつてはそれは処置できないものではなかろうか、いつその一定の具体的な行為が内乱の予備陰謀と目せられるか、刑法の価値判断として目せられるかという問題は、客観的な事態、その行為の持つ影響、行為の実現に対する強化というようなものが兼ね具わつて問題になるのではなかろうかと考えております。こういう行為は表示違反の段階から進んでそういう宣伝啓蒙、そういう観念を広く伝播する宣伝啓蒙の表示違反、更に進んでは一定の段階に参りますと、予備乃至陰謀の実現力を持つような段階に立ち至るのではなかろうか、こういうようなふうに考えております。
#33
○岡本愛祐君 私のお尋ねしたのは、もうだんだん内乱の予備なり陰謀ですか、それに近付きつつあるし、近付いてはおるが、こういうものはまだ現在の刑法では取締れない、七十八條でも七十九條でも取締ることができない、そこで手を束ねていなければならない、それでは困るからいわゆる治安関係立法というものをする必要があるんだと、こういうふうじやなかろうかと思うのですが、その点はどうでしよう。
#34
○政府委員(吉河光貞君) 先ほども申しました通り、治安関係立法の内容につきましては、総裁御発表以上に私から説明する立場にないのでございますが、現行刑法の規定だけでは賄い得ないというようなことは、私個人の見解だけではないのでありまして、すでに昭和十五年発表の改正刑法仮案にも、内乱の予備陰謀のほかに、内乱の煽動罪、教唆罪というものを独立罪として規定しているのであります。かような事情から見ましても内乱の予備陰謀だけでは不十分であることが過去においてもすでに考えられておつたということは言えるのではなかろうかと存じます。
#35
○岡本愛祐君 そこで、それと今度の治安立法との関係はないことはない、大いにあるので、そこまで深刻化しなければ手が着けられないというようなことでは困るのだ。ともかく大きな社会不安を起している。社会不安とか非常な不安以上のものがある。深刻化しつつある。それをその深刻の極端において内乱になるのをとめなければいかん。そのための治安関係立法だというのではないのですか。全然違うのですか。その点もうちよつと。
#36
○政府委員(吉河光貞君) 只今お尋ねのような点も十分に考慮されているわけであります。
#37
○中田吉雄君 斎藤長官にお伺いいたしますが、北海道の白鳥事件ですか、捜査の過程でいろいろのことがあると思うんですが、新聞に発表されました各紙を通じての印象では、やはり背後に共産党員のはつきりした関係があるように出ているんですが、あれは警察当局の発表から出たものではないのですか、この点をお伺いしたいと思うわけであります。
 それから私特に最近すべての暴力行為というものを共産党に全部のつかけてしまう。そうして国民の反共思想を煽つて、正しい民族運動まで抑圧してしまうという手段として非常に使われる傾向があるではないか、特に斎藤長官の管轄だと思うんですが、島根県は大橋前法務総裁の出身地であります。あすこで安来のこの自治体警察をどうするかという問題で、全町を挙げて大きな課題になつて、安来町の進歩的な勢力からいたしまして、自治体警察を廃止することは投票によつても不可能であるというような一般の情勢であつたわけであります。ところが検察庁、国警等がこの自治体警察の署長以下が共産党と存置運動を共同闘争をやつているというので、その世論をひつくり返して廃止にまで持つて行つたわけです。ところがその後のあらゆる捜査をやつて見て共産党との共同闘争はなかつたということが判明して、それが国会の参議院のこの法務委員会から社会党の伊藤修氏その他が実際調査に行かれてもそういうことは全然なかつたということになつて、そこで検察庁としては上げた拳のやり場がなくて、自治体警察の職員がいろいろな検挙している犯罪をもらい下げその他でまあ不正なことがあるというようなことにすり変えちやつている。この問題は次回その他でも正式にあらゆる資料を以ていろいろお尋ねしたいと思つていますが、そういうようなことに北海道の事件なんかが使われないように、我々の党といたしましても、暴力行為は断固取締るべきであると思いますが、そういう反共思想を煽る一つの手段として非常に使われる虞れがありますので、そういうことのないように、一つ只今の御説明では十分愼重な用意を以てお取扱いのようですが、現地で果してそういうふうに行つておるかどうか。
 それから私昨年の夏西郷委員長と北海道全道とは申しませんが、北は網走の徳田球一が十九年ですか、入つておつた監獄の辺からずつとくまなく調査いたしまして、特に北海道の諸君が対ソ関係をどういうふうに見ておるかということについて特別の関心を持つて、社会党でなしにむしろ反対の自由党、民主党系のその地方で指導的な地位にある人にひそかに個人的に尋ねてみましたが、内地で伝えられるようなそういう恐怖感は、先に斎藤長官が申されたように余り受けませなんだし、特に国警の、名前は挙げませんが、首脳部の人も、実際現地におつて見ると、この東京なんかのニユースのようなことは全然感じられん、東京にいろいろな会議があつて行くと、早く危險だから奥さんを東京に連れて来て、君だけ北海道に勤めたらいいじやないかと言われて、東京からそういうふうなことを言われてまあ困るというようなこともありましたが、この白鳥事件は安来町の自治体警察の廃止のような、ああいうことに使われないようにはつきりと調査されて、この事態が單なる暴力行為であると、或いは共産党の十分確証に基くところの行為であるかどうかということを十分一つはつきりして頂きたいと思うわけであります。
 それから特審局長に、こういう点は大臣にお伺いすべきかと思いますが、日本が終戦以来六カ年間占領下にありまして、何とか解放されたい、独立したいと、そういう意味で民族意識が徐徐にではありますが、根強く抬頭しつつあるわけであります。ところがアメリカはアジアにおける戦略態勢その他の関係からして何とかして日本におりたい、そういうことを合法化するためにも、共産主義宣伝を誇大にやつて、アメリカが帰るなら、共産主義の侵略があるなら、現在の占領の継続がいいのだというふうなことのために、必要以上にこの点が我々に扱われて、徐々に起りつつある正常な平和的な民族解放意識を抑圧する一つの手段に使われる虞れが極めて多いわけであります。そこでただ法律ができてそれを適用されるという局長の立場としては、相馬君等に対する御説明でよくわかるのですが、そういういろいろな抬頭しつつある民族感情、そういうものを抑える手段として反共を宣伝して、アメリカの形の変つた占領の継続を合法化するというようなことをどう裁かれるということは、この犯罪捜査についても非常に大きな影響を持つと思うわけであります。私はこういう大きな歴史的な流れの一つの過程に立つて、正しい立場で、進歩的な立場で、民族を正しく解放する立場で捜査活動をやるかどうかということによつて、特審局としての法の運用、そうして曽つて日本が太平洋戦争その他で誤つたような形でこれが適用されるかどうかに非常に大きな影響を及ぼすものであるというふうに考えるわけであります。アメリカなんかにおきましても、マツカーシー旋風というふうに、アメリカの上院のいわば札つきの、むしろ反共を宣伝することによつてそうして生計の資料を稼いでおるというような……マツカーシー旋風というようなものが起きて、我々から見ると極めて穏健であるラテイモアその他の人が非常な進歩的な意見を吐くと、すべてこれは共産主義に通ずるものであるというようなことで、大きなマツカーシー旋風が吹いて、大論争がなされておりまして、そういうことで、私は共産主義の侵略を誇大に宣伝することによつて、起りつつある民族の正しい解放意識を抑制する、そうしてそれが結局反動的な方向に行くというようなことになる虞れがありますので、なかなかむずかしい点ではあると思うのですが、その辺の呼吸について特審局長から一つお心がまえを……、起りつつある、民族感情、それと反共宣伝、占領の継続というようなものを調整するためにどういう用意を持つて法の運用をされるかというような心がまえをお伺いしたいと思うわけであります。
#38
○政府委員(吉河光貞君) 誠に適切な御質問を頂戴いたしまして、全般について詳細にお答えする立場ではございませんが、私どもは所管事務の運用につきましては、飽くまで政治的に中正を確保して行きたい。この事務の運用が濫用されまして、特定の思想或いは特定の意識というようなものをレツテルづけて弾圧するというようなことは絶対におかしてはならないというふうな立場を考えておりまして、飽くまで左右両極端並びに破壊的な行動についてこれを規正して行くという立場を堅持して行く、将来といえども私は御説のごとき点につきまして、自分の職を賭しても自分の只今申上げた気持は貫くつもりでおるわけであります。この点をどうか御了承願いたいと思います。いろいろな事務の運営につきましては、絶えず皆様がたから御忠告を受けて或いは御批判を受けて、その都度反省して、只今申上げたような信念を貫徹して行きたいというふうに考えておるわけでございます。
#39
○政府委員(斎藤昇君) 白鳥事件或いはこれに類似するような事件の取扱い方でありまするが、これは只今お述べになりました御趣旨の通り又私が先ほど申上げました通りでありまして、又現地におきましても、これが共産党が犯行をしたのであろう、そう見える節があるというような発表は一つもしておらないと私は考えております。全然関係なしという発表もしておりませんが、関係ありという発表もいたしておりません。私はこういう事件はどこまでも真相を真実のままに洗い出すということが最も必要なことだと考えておるのであります。あらゆる事件をつかまえてそうして反共運動に使うのじやないかという御注意に対しましては、私はさようなやり方は却つて国民を不安に陷れるものであつて、とるべき策ではないと考えております。むしろこれは共産党の末端におきましては、一時ありましたように、今にも革命が成就するかのごとく、又今日でも北海道の或る一部では明日にもここに共産政権が樹立されるような言動をし、その曉には君らは皆おれらの傘下になるのだからというような、宣伝をする誤まつた者もあるのであります。そういう手に乗せられるわけでありまするから、今日の段階における実情というものは、本当のままに知らせるということが必要なのじやないか、私は過大に宣伝することも非常に害がある、又過小にするということも害がある。どこまでも真実のままにこれを明らかにするということが必要だと、かように考えておるのでございます。
#40
○中田吉雄君 特審局長にいろいろ時間をかけてお伺いしたいと思う点ですが、これは月曜日に譲りたいと思うのですが、ただ聞いておきたいと思うことは、十二日ですか、自由党の秘密議員総会におきしてお述べになりました中に、又共産党の拡大を狙い社会党左派、特に総評に対しグループ工作をやつているというようなことを言つておられるようですが、これは新聞だけの記事ですが、はつきり社会党左派にそういう工作をやつておるということを申されているのでしようか、その点を一つお伺いします。私は社会党左派でありまして、(笑声)社会党の一九五二年の運動方針の樹立の中心になつてやつているのですが、私なんかに対してはいささかもそういう働きかけもないし、むしろ甚だ軟弱だといつて猛烈な攻撃を受けたりしておるのですが、一つその辺をはつきり伺つておきたいと思います。
#41
○政府委員(吉河光貞君) 先般開催されました自由党の秘密議員総会には、法務総裁の御依頼によりまして補助者として同行いたしましたが、その議事の内容につきましては私からここで申上げる立場ではございませんので御了承願いたいと思います。私が現在特審局として得ておりまする諸般の情報によりますると、一部破壊的な分子がその矯激な戦略戦術方針を樹立いたしまして、社会党に働きかけよというような指令めいたものや、宣伝のようなものが出ているということは事実でございますが、グループを社会党内部に結成したとかしないとかいうようなことは私としては存じないことでございます。御了承願います。
#42
○中田吉雄君 これは甚だ重要なんですが、こういうことがはつきり言われるとすれば、一体誰にですか、一つそういうことをはつきりしておいてもらわないと……進歩的な立場を一切容共であるとかというようなことで問題を片付けようとすることは、戦前においてとられた行動でありますし、嚴に愼しまなければならんと思うわけです。先般の委員会でも申げましたが、アメリカのトルーマン大統領ですらアメリカにおける反共運動は行き過ぎで、これは重大問題であるという警告を発していますし、アメリカの外交に関する国立の研究所のモーゲンソーという人も、アメリカにおいては共産主義の脅威なんてありはしない、そういう宣伝をやつて、共産主義というものを一つの仮装敵国にして、必要な社会改革を怠るところの保守主義に通ずるものであるということを、アメリカの外交に関する研究所のモーゲンソーという調査主任の人も言つておるわけでありまして、こういうことが新聞に出すというと、いろいろ誤解を招きますので、一体少くともそういう発言をされると……。いつ頃誰にこういうグループ工作なんかがなされているかということを一つ具体的に、最高責任者じやないのでいろいろ御面倒な点もあると思いますが一つお伺いしたい。
#43
○政府委員(吉河光貞君) いつ頃誰になされたかというような具体的な事実ではございません。一つの情報としてそういうふうな指令めいたもの、或いは文書めいたものが出ておるということを申上げたに過ぎません。
#44
○中田吉雄君 そういうことを少くとも公党に対して、平和革命を高く掲げて闘つおるところの党にいろいろな惡影響を及ぼすようなことを、單なる巷間の浮説なんかで言われては甚だ困るわけであります。一つ今後は十分にこの点を、單なる浮説や巷間のデマなんかでとは言いませんが、そういうことでかるがるしく取上げられないことを希望しておきます。
 もう一つ、これは基本的な問題になるので、局長にお尋ねするのは無理だと思うのですが、例えばヨーロツパのスカンジナビア半島はソ連と陸続きでレニングラードのすぐそばであります。それにもかかわらずスウエーデンやフインランド、あの辺にはそう共産主義の脅威というようなことが謳われないし、日本なんかでは謳われるというようなことをどういうふうに理解されておりますか、この点一つ……。
#45
○政府委員(吉河光貞君) スカンジナビアのことにつきましては、お答え申上げるような知識も情報も十分に持つておりません。何とも申訳ない次第であります。
#46
○原虎一君 先ほど吉川局長とそれから斎藤国警長官のいわゆる反共を利用して云々という質問に対しての答弁は誠に政治的答弁です。情実の政党色彩を一切考えずにやるという御答弁をなされておりますが、先ほど北海道の白鳥事件を調査された御報告を聞いておりますと、あたかも共産党がやつたのだと判定するに都合のいい資料を提供されている。それで私はお聞きしたいのですが、今中田君も言つておりましたが、我々は反共です。反資本主義であります。併しながら反共なるが故に共産党を如何なる手段を以ても弾圧すればいいというものではない。それは申すまでもなく国民生活の安定ということが前提にされ、確立されて、今言われたスカンジナビア半島におけるところの平和も、私は国民生活の安定に第一條件があると思うのです。武力によつて共産党を抑えつける、処理しているとは判断できないと思うのであります。そこで反共なるが故に私どもはお聞きするのでありますが、一体白鳥事件にビラが撒かれた、白鳥事件があつた後に共産党の署名入りのビラが撒かれた、こういうことは事実であります。そこまでの調査はなされておりますが、これが共産党のやつたものであるか、誰がしたものであるかということの調査はないのです。あれだけの報告では、これは共産党がやつたと言わざるを得ない、斎藤長官が部下に調べさせた、みずから行つて調べた結果、共産党のビラが撒かれておつた、署名入りのビラが撒かれておつた。この撒いた人間は果して共産党員であつたか、取調はそういうふうになつている、その書いておる者に対する共産党員としての言動を取調べたという報告はないのです。如何にも共産党がやつたらしく、ビラを撒いておつた、それに署名があつたというだけです。これは昔こういうことがありました。戦争前の労働組合を圧迫した時分に、或る紡績会社は優秀な労務課長をして圧迫をしたから、これは労働組合はできない、そうすると労務課長の仕事がなくなる、だから一、二の工員を煽動して、会社のああいう不当な事実、こういう不正な事実があるとか言つてビラを撒かしたということがたびたびありましたです。そういうことが私は行われておるとは申しませんよ。併し今斎藤国警長官の報告を聞けば、誠に我々はそういう圧迫を受けた時代の経験から判断いたしまして、調査が物足りないんです。そこで私はこれを一体共産党がどういうビラを撒いたか、その内容は報告はありましたけれども、その個人の過去の経歴等が調べられてあるかどうか、この点をお伺いしたい。調べてなければ又調べてから……。そうして今中田君が言われておるように、そのことを挙げて全くあなたがたは真相を国民に知らしめるということが使命だ、そういうことが信念だと言われておるけれども、私に言わせれば、これは真相はまだ真相でない。私に言わせれば一つの作為を以て当局が発表しておると非難を受けても仕方がないんではないか。要するに逆に共産党から利用されるんじやないか。共産党がやつたと煽動して、そうして軍備拡張の具に供さんとしておるのではないかという懸念を共産党に今更與えるような調査しかしていなんじやないかということを言わざるを得ないということを一応申上げます。事実共産党がどれだけのことをしたのであるか、明確にされたいと思います。
 それから特審局長にお伺いしたいのでありますが、これは今日は共産党問題で大分やられたと思いますが、共産党もいけませんが、右翼団体もいけない、右翼暴力団体もいけない。それから最近なかなか右翼暴力団体のビラが出て来ました。こういう問題に対するところの調査というものが今日一向にされていない。これはどういうわけでされないのか。資料がないのか、あれば時間がなくてされないのか。いつされますか。この点を一つお伺いしたいのであります。
#47
○政府委員(斎藤昇君) 私が先ほどから申述べておりますように、白鳥事件は共産党がやつたというような印象を與えるような事柄は極力避けておるのであります。従いまして先ほどの御説明におきましても、白鳥事件については真相調査中であり、これは共産党というような予断を持つて臨んでおるものではない。
 そこで区切りまして、それから北海道の治安といたしましては、こういうようなビラ、或いは脅迫状が相当出ておる。併しこれについてもそのために士気は沮喪もされていないという事実だけを申上げたのであります。先ほど申上げましたビラを撒いた吉田哲というのを逮捕いしておるのでありまするが、これは自由労務者でありまして、民主青年団体の関係者と認められるのでありますが、このビラは誰が起草しどこで印刷をしたとか、そこまでの調べはまだできておりません。ただ先ほど申上げませんでしたが、これは私は事件と関係があるという意味で申しておるのではありませんが、翌二十四日に共産党の札幌地方委員である村上氏が新聞記者団と会見をいたしまして、この事件は共産党がやつたのではない。ないけれども白鳥のような人間は、これは民主自由を抑圧するものであり、こういう人間は国民からこういう制裁を受けるということは当然である。こういうようなことはまだ今後も起り得るであろうということを村上地方委員がはつきりと申しているのであります。ただそれだからそれと事件に関係があるというわけではありませんが、そういう事実がある。そういう事柄はこれもやはり一つの治安の問題であります。暴力を場合によつては肯定をするんだ、我々を抑圧するような者は、我々はやらないか知らんが、民主自由の陣営の者がこういう者をやつつけるのは当然のことであるということをはつきり言つておるということを申上げて置きたいと思うのであります。ただ先ほどお答えいたしましたように、無用に共産党の脅威を宣伝をするということは今申上げましたように、却つて宣伝の手に乗ることである。我々といたしましては今御心配になると同じ理由によりまして十分その点は心得えておる次第でございます。
#48
○原虎一君 特審局長の答弁を……。
#49
○政府委員(吉河光貞君) 札幌事件に際しまして撒かれました只今斎藤国警長官から申されましたビラの発行、配付の関係等につきましても、私どもといたしましては団体等規正令に基きまして極力調査中でありまして、調査の結果は検察庁その他の捜査機関に協力しておるような状況でございます。まだ最終的な結論には達しておりません。
 次に右翼の問題でございますが、御承知でもございましようが、現在団体等規正令二條二号、三号、六号によりまして、暴力主義的な行動に出るもの、或いは軍国主義的な言動に出るもの、或いは極端な国家主義的な言動に出るものは禁止されておりまして、私どもといたしましては、十分にかような好ましからん傾向の抬頭につきましては監視いたしておりまして、具体的な端緒をつかみました場合におきましては、これを調査して、適正に処置するという方針でいたしておるわけでございます。
#50
○原虎一君 斎藤国警長官の御答弁は、御本人はそういうお気持で最初の報告をされたかは知りませんけれども、私は、速記を御覧になればわかると思います。誰が聞いてもこれは共産党がやつたと判断せざるを得ないような報告をなさつておつたと思います。もう一つは、この事件で共産党の村上君が白鳥警部のごときは非民主主義者だからやつつけるべきだと言つたというその言葉は、それは嘘じやないと私は判断しますが、それは共産党という本質を御存じですから、いわゆる目的のためには手段を選ばんのでありまして、ギヤングでも人殺しでも目的のためにはやるのであります。そういうことはわかり切つておるのであります。併しながら私はそうであるからと言つて白鳥事件が如何にも共産党がやつたごとく、確たる証拠なくしてそういうふうに国民に意識付けるごとき報告をされるということは、あなたの最初に答弁された公平無私にやるという、中正を誓つてやるというお言葉とはどうもぴつたり来ない。だから共産党が、暴力を否定するような共産党は本物ではない、そのことはもうわかり切つているのであります。併し白鳥事件と共産党との関係が明確にならないのに、共産党のやつたかのごとき印象を與えるような報告をされることは策を得たものではないと思うことを申上げておるわけです。この点だけは考え違いのないように……。あとはあなたの答弁が正しかつたかどうかということは、これは速記を見られればよくわかると思います。
#51
○岩木哲夫君 私大変遅れて、時間が追つておるのに質問して恐縮ですが、極く簡單に二点だけお尋ねしたいのですが、特審局長にお尋ねしたいのは、間接侵略というのは、あの十月三日の日共の行動のようなあれが実現した場合、あれに限りませんが、武力革命というか暴力革命、そういつたものを間接侵略と言われておるのか、それ以外の間接侵略、思想侵略も入るのですか、この解釈を一応伺います。
#52
○政府委員(吉河光貞君) 間接侵略と申しますものは、條約の案文にも出ておりますが、一又は二人以上の外国の教唆、干渉に基く大規模な騒擾、内乱というようなものを指すのではなかろうかと思います。これは我々が取扱つておりまする治安関係の言葉ではありませんので、ちよつとはつきりしたお答えをいたしかねますが、大体そこらではなかろうかと考えております。
#53
○岩木哲夫君 ところが、今行政協定における分派規定と言いますか、防衛委員会或いは日米合同委員会等におきまして間接侵略の場合においてもアメリカ駐留軍は出動することがある。それは自発的か、日本政府の要請に基いてかわかりませんが、そういつたことが出ておりますが、そういつたことがあり得るのですか。
#54
○政府委員(吉河光貞君) その辺の点につきましては、私まだ何らお答えするような知識を持合せておりません。
#55
○岩木哲夫君 私も新聞紙上だけで見たことなんですが、昨日であつたか、一昨日であつたか、日米防衛協定の防衛委員会の協定事項の中に、間接侵略の場合においても日本政府の要請に基いて駐留軍が出動する場合があるということが確かに出ておりましたので、それをお聞きしたいわけなんですが、まあ私も存じませんので、そう突き進んでお尋ねするわけには行かないのですが、若しそうであるならば、これは憲法問題とどういうことになるかということを私はお尋ねしたいと思つたわけですが、御検討願いたい。
 それからもう一点お尋ねいたしたいのは、先ほど中田君からの御意見もありましたが、日共の今度の十月三日の武装行動などに関連することで、自由党の議員総会でお話なしすつた新聞記事の一端に、社会党左派にもこういつた行動があるように載つておるということなのであります。これは非常に我々注目すべきことでありますが、従つて特審局は、或いは日本政府は、社会党左派も要注意団体と、政党と、こういうふうな神経を使われるのか、これを一応聞いておきたい。
#56
○政府委員(吉河光貞君) 先ほどお答えいたしました通り、絶対にさようなことはございません。
#57
○中田吉雄君 特審局長にいろいろお伺いしたいと思うのですが、自由党の要請により秘密議員総会で述べられたことは、局長さんが御説明になる範囲の外にあるように言われますので、一つこれらについて十分具体的に検討したいと思いますので、次回には、政府與党の機関である総会も大事だと思いますが、国会は国権の最高機関であります。そういう意味からいつて、十分御説明を承わりたいと思いますので、一つ秘密党員、シンパというようなものの各府県別な分布状況というようなものから一切合切、我々が正しい論争ができるような一つ資料をお願いしたいと思うわけであります。一つ月曜日には委員長のほうからお取計い願いまして、お願いしたいと思うわけであります。
 それからちよつと速記をとめて下さい。
#58
○委員長(西郷吉之助君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#59
○委員長(西郷吉之助君) 速記を始めて。
#60
○原虎一君 今後の議事の進行ですが、今中田君が速記をやめて質問されたのですが、ああいう一つの人名まで挙げて、そうしてこういうことがあるがどうだというのはやはりこれは責任があると思うのです。よしんば速記がなくても、矢部貞治という人は御承知のように学者である。その人を指して言う以上、これは私は今後議事のやり方について考えなければならん。その言つたことを言うわけであります。そのために速記をやめられたというような形になつて、而もその人の名前が挙つている。極端な国家主義者のごとく中田君は思つてこれを質問している。これは私は今後議事のやり方についてお互いに考えて行かなければならない。この点を、まあ今日は私はどうこう申しませんが、理事会でよく申さなければならないと思つております。
#61
○委員長(西郷吉之助君) そういたしますと、それでは本日は木村、大橋両国務大臣が諸般の関係から御出席になりませんので、月曜日に治安関係の問題をいたしまして、更に今日の報告等に関連する質問がありましたら月曜日に引続いていたします。
 本日はこれで散会いたします。
   午後零時五十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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