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1951/02/20 第13回国会 参議院 参議院会議録情報 第013回国会 地方行政委員会 第7号
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1951/02/20 第13回国会 参議院

参議院会議録情報 第013回国会 地方行政委員会 第7号

#1
第013回国会 地方行政委員会 第7号
昭和二十七年二月二十日(水曜日)
   午前十一時五十六分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
二月二十日委員佐藤尚武君辞任につ
き、その補欠として館哲二君を議長に
おいて指名した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     西郷吉之助君
   理事
           中田 吉雄君
   委員
           岩沢 忠恭君
           石村 幸作君
           高橋進太郎君
           岡本 愛祐君
           館  哲二君
           原  虎一君
  政府委員
   国家地方警察本
   部警備部長   柏村 信雄君
  事務局側
   常任委員会專門
   員       福永與一郎君
   常任委員会專門
   員       武井 群嗣君
  説明員
   国家地方警察本
   部捜査課長   新井  裕君
  参考人
   警 視 総 監 田中 榮一君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○地方行政の改革に関する調査の件
 (治安問題に関する件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(西郷吉之助君) 只今より委員会を開会いたします。
 本日は地方財政のうち二十六年度の赤字補填に関する繋ぎ融資問題を取上げる予定でおりますが、それに先立ちまして中田委員より富士銀行千住史店ギヤング事件について、発言を求められておりますから、これを先にいたします。
#3
○中田吉雄君 東京都内におきますこの事件は、自治体警察である警視庁の管轄だと思いますが、事件の重大性から鑑みて警察法の第五十五條の国家地方警察の応援を求める、そういうことが要請できる一つの條件があるのではないかと思いますが、警視庁からは要請ありませんでしたか、その点。
#4
○政府委員(柏村信雄君) 警視庁のほうから今回の事件についての応援要請はまだございません。
#5
○中田吉雄君 こういう外人の犯しました犯罪についての現在の捜査権の所在はどういうふうになつていますか。
#6
○政府委員(柏村信雄君) 日本に在住いたしまする外国人の犯罪の取扱いにつきましては、大体次の三種に分けて考えることができると思います。一つは連合国人でない外国人については裁判、逮捕共に日本人と同様に取扱われるわけであります。次に連合国人でありまして占領軍要員でない者につきましては、裁判権、逮捕権共に日本側に認められておるのでありまするが、これらの者については留置中における通信、接見等について若干の特例が設けられておるわけであります。第三の占領軍の要員に対しましては日本側の裁判権は認められておりません。ただ逮捕権につきましては次の二つの條件、と申しまするのは、第一が連合国の、占領軍の警察機関が逮捕の現場にい合せないという條件が一つ。次に占領軍要員が他人の身体に対する危害又は財産に対する重大な侵害にかかわる罪を犯し、又は現に犯そうとしているという條件、この二つの條件を充たす場合についてのみ逮捕の権限が認められておるわけであります。このような占領軍の要員を逮捕し得る者は、法令の規定によりまして職務として逮捕の権限を有する老に限られることは勿論でありまするが、この逮捕に際しまして必要あるときは手錠又は捕縄の使用も差支えないわけであります。又武器の使用につきましても、それが正当防衛又は緊急避難にかかるような場合には差支えないものと解されておるわけであります。従いまして先般の銀行ギヤング事件のような場合におきましては、警察官はその場合において現行犯として逮捕することができるわけでありまするし、自己又は他人の生命身体に危険のあるときは拳銃の使用もこれをすることができるというふうに考えられるわけであります。ただ現在の法令におきましては、犯人が逃走しまして、現行犯逮捕が不可能となつてしまつた場合におきましては、日本側においてはこれを逮捕することはできないわけでありまして、現在占領軍関係との協力の下に捜査を続行して行くものと考えられるわけであります。
#7
○中田吉雄君 衆議院の予算委員会ですか、これが外人であるということがわかつた際に、警察署長さんですか、これはアメリカ人だからピストルを使つてはいけないというようなことを言つたやに聞きまして、そのことが犯人を逃走させた大きな原因になつたように伝えられていますが、そういうことは実際あつたことでしようか、その関係を……。
#8
○政府委員(柏村信雄君) 只今お話のような事実は私ども聞いておらないわけであります。
#9
○中田吉雄君 只今の説明でもありましたのですが、そういたしますと犯人が逃亡した際に、捜査の主導権というものはCIDですか、犯罪捜査部に移り、日本側はこれに協力捜査することになるというような形で、現在の捜査はどういうふうにしてその後やられていますか。
#10
○政府委員(柏村信雄君) 先ほども申上げましたように、現在国警としましてはこのことに直接応援を受けておりませんので、関與はいたしておりませんが、警視庁において十分占領軍官憲等に協力して、事実上の捜査については万全を期してやつておるのではないかと考えております。
 なお警視庁から応援の要請はございませんが、これについての各方面への手配の依頼を受けまして、警視庁管内のみならず、他の方面についてもこの手配を国警としていたしているわけであります。
#11
○中田吉雄君 私先般、一昨日ですが、銀座から国会の会館まで帰るときにタクシーの中で、大分一時間以上も乗つておいて、品物買つて来るからといつてまあ降りてしまつて、三十分も待つたけれども来ないで乗り逃げされたということを聞きまして、日本人で乗り逃げしたのはこれが自分の長い間の経験で初めてだ。殆ど外国人で、十人のうち九人は外国人がそういうふうにやつている。乗り逃げされて困つているというふうに言つておりましたが、今直ちに資料はお持ちでないかと思いますが、一体こういうふうな外人のやつている犯罪の種類別の数というものはおわかりになりますか。
#12
○政府委員(柏村信雄君) 只今手許に資料を持ち合せておりませんが、警視庁管内におきましては勿論警視庁において調査をいたしているわけでありまするが、国警本部においても各地からの報告をまとめて、恐らく各種の犯罪についての統計ができているものと思います。私も今直接のその責任でないものですから、若し御要求がありますれば、わかつているものはお知らせするようにしたいと思います。
#13
○中田吉雄君 無理な御要請で、今できないのも止むを得ないと思いますが、一つ年次別の、種類別の何がわかりましたら、この委員会に資料として御提出願いたいと思う次第であります。
 なお現在日米安全保障條約の第三條に基きまして行政協定が結ばれつつありまして、その際に裁判の管轄権の問題が非常に大きな課題として取上げられ、衆議院の予算委員会、更に本日の参議院の本会議におきましても、主権の回復という見地からも非常に問題が大きくクローズ・アツプされておりますが、これまでの数々の外国人の日本における犯罪行為なんかを捜査されまして、どういうような捜査権の形が持たれた場合が、治安上その他からいいというようなことを国警本部として考えられて、裁判管轄権の問題に対して担任の岡崎国務大臣なんかと連絡されておりますか、その点お伺いしたい。
#14
○政府委員(柏村信雄君) この行政協定に伴いまする裁判管轄の問題等につきましては、実は私も甚だ申訳ないわけでありますが、主として警備関係も担当いたしておりますような関係から、事務的にその点がどの程度政府のほうと連絡をされているかよく存じませんが、十分にそういう問題についても円滑なる裁判権の行使或いは逮捕の執行というようなことができるようにしなければならんことは勿論でありまして、ここで私申上げられないのは遺憾でありまするが、十分に連絡をとるようにいたしたいと考える次第であります。
#15
○中田吉雄君 齋藤長官や木村法務総裁がおられませんので、無理だと思うのですか、私はやはり行政協定が結ばれます際に、アメリカの基地内の犯罪の問題、或いは軍属の公務以外の、巷における犯罪の捜査の問題、裁判の問題というようなことは、やはり警察とされてどういうふうな方法に取りきめられたら最も警察活動を能率的にやれるかという、やはり基本的な態度を決定されて、担任の岡崎国務大臣をして万遺漏なからしめることが必要ではないかというふうに考えますので、一つ至急にそのことを御連絡をお願いして、私の質問を終ります。
#16
○委員長(西郷吉之助君) ちよつと中田君に申上げますが、間もなく警視総監が見えますから……。
#17
○岡本愛祐君 関連して質問いたします。大体の日本の警察とアメリカの占領軍要員の犯罪における関係というものはわかりましたが、今日の毎日新聞に、齋藤国警長官が答えておられることとこれは少し違いはしないかと思うのです。今の御答弁によりますと、連合国人であつて占領軍の要員である者については、占領軍の警察機関が現場にいないとき、その條件が一つ、もう一つの條件は、他人の身体財産に重大な危険がある、そのときだけに日本の警察員がそれを逮捕することができる。こういうふうなお答えであつた。そうするとそれほど重大な罪でなければ、放つておかなければならんかということが一つであります。まあ銀行へ行つて金を盗みに行くつもりだつたのだが、そこにあつた自動車を乗り逃げしたというようなとき、そういうときはつかまえることができないかということ、重大な罪でないときはできないかということ。それからもう一つ、それが逃げまして、毎日新聞に書いてありますが、それを追跡する、それでその逃げた所を確め得たというときにも手が打ち得ないかということであります。準現行犯ということが書いてありますが、その場合にはつかまえることができなくなつてしまうか、それを先ず伺います。
#18
○政府委員(柏村信雄君) 只今お尋ねの、重大でない場合というのがどの程度のものであるかというのは、やはり客観的な認識の問題に立たなければならんと思いまするが、現在の限られた範囲におきましては、重大でない場合はこれを逮捕することができないということになつております。第二点の、犯罪を犯しまして、これが逃亡しておるのを追いかけて、追跡してこれを逮捕するということは、当然に現在のきまりの上からもできるものと解釈されると思います。
#19
○岡本愛祐君 少し尋ね方が惡かつたのですが、追跡したが見失つたと、併しまあ日光なら日光の宿屋へ泊つておるやつが、それに間違いないというときに逮捕ができないかという問題であります。
#20
○委員長(西郷吉之助君) 国家地方警察本部捜査課長新井君は政府委員でありませんが、説明員といたしまして答弁させます。新井説明員。
#21
○説明員(新井裕君) 現行犯の解釈の問題は、我々と少し違うようでありまして、今のお尋ねの場合に、例えば私が犯行を現認しておりまして、日光へ行つたらたまたまおつたというときには、準現行犯としてつかまえていいと、こういう解釈を一応示しております。我々のほうの準現行犯の解釈と、或る面では広く、或る面では狭いところがあるようでありまして、今度の場合には準現行犯の問題が大体成り立ち得ない、というのは、はつきり現認しておる警察官はおらなかつたわけであります。それから通常人、常人の逮捕ということは、先ほど警備部長からお話いたしました通り、法令によつて逮捕の権限を有する者でなければつかまえられませんから駄目であります。銀行ギヤングの、特定の千住の事件だけについて考えると、事実上我々の逮捕の権限は執行できない、こういうふうに理解せられております。それから先ほど、自動車を持つて盗んで行つたというような事例を挙げられましたが、窃盗の中にも重窃盗、軽窃盗と分けておりまして、重窃盗の場合にはつかまえてもよろしいと、こういうような解釈をしておるようであります。これらは具体的に気がついたところを問合せをして、きまつたところだけでありまして、全般的には我々のほうで有権的な解釈をし得ない点が相当残つておるというふうに考えるのであります。
#22
○岡本愛祐君 そうすると、そこに警察員がおつて、占領軍の要員が犯罪を犯した、これは重窃盗か重窃盗にならないかと考えているうちに逃げられてしまうことが多いのであつて、そういうのはつかまえていいということにはなつていないのですか。ともかくそこの判断で、そいつは、そんな犯罪を犯せばもうつかまえていいのだということにはなつていないのですか。
#23
○説明員(新井裕君) この重窃盗という、挙げられました事例について見ますと、重か軽かというのは、被害額によつてきめるという考え方でありますから、割合に形式的に認定し得ると、こういうふうに考えております。それから今のお話のように警察の執行面は現場の勝負でありますから、つかまえてみなければわからないということで、つかまえるということは当然我々としてはやるべきことだと思つております。
#24
○岡本愛祐君 そういう点が徹底してないんじやないでしようか。この新聞によると、その銀行の附近にパトロールしておつた警察員が二人いた。ところがなすところなく傍観をしてしまつたということが新聞に出ております。これが本当とすれば重大なことだと思います。そういう今ここで御説明になつたようなことが全警察官に徹底してない、こういうことがありはしないかどうか。徹底させるような措置がしてあつたかどうかということをお尋ねします。
#25
○説明員(新井裕君) これは二十五年の十月の覚書によりまして、以上のことが取きめられまして、この点については詳しい通牒を出しておりますから、一応それは徹底しておると考えておりますが、警視庁の事例につきましては、警視総監がおいでになられるということでありますから、私からお答えする限りじやないと思いますが、大体においてはその点は間違いなく徹底しておるというふうに一応考えております。
#26
○岡本愛祐君 中田君からも御質問がありましたが、進駐軍要員の犯罪というものは相当あると考えられます。私がほかの関係で佐世保の旧軍港地、あすこに進駐軍が駐留しておりますが、そこの犯罪関係を調べて見ましたのでも、殺人だけでも相当の数に上つております。十数件あつたのです。それで、そのほかの窃盗、強盗というようなものも相当あるんじやないかと思うのですが、これに対する日本の警察側の取扱いということが、私はどうも従来徹底してなかつたんだろうと思うのです。そこで私どもの要望いたしますことは、これが、重犯罪か軽犯罪とか考えているうちに逃げてしまうということは当然なんですから、犯罪があれば進駐軍の要員であろうと何であろうが、現場警察官がつかまえてしまうということにしなければいかんと私どもは思うのですが……。それからそこに警察官がいてその現認をしたのでなければ、てつきりあれに逢いないというのが宿屋に泊つておつても、それは一々進駐軍の憲兵を頼んできてつかまえるよりほかはないというようなことも変なことでありまして、それはやはり警察のけうじやはつきりしておるのだつたら、どんどん踏み込んで行つてつかまえて、そうして進駐軍に渡すというふうに私はするべきではないか、今日国警長官が来られたら又繰返すかも知れませんが、速かにそういうふうにせられることを希望するのでありまして、殊に平和條約の発効して後の問題ということについては、そういう点でぬかりなく嚴重に一つ日本の独立国たるの実を示してもらいたいという要望をいたしておきます。
#27
○中田吉雄君 大体国警側に対する質問を終りましたが、希望ですが、只今御両氏からの説明によりまずと、殆んど犯罪の捜査はできないようになつています。そこで私不思議に思いますことは、国警にしても自治警にいたしましても、或いは検察庁にしてもです、国民の犯しました犯罪については根掘り葉掘りなかなか、法の改正をぬかりなくやられて手厳しくやられながら、こういうことに対しては殆んど不問にされるという点は極めて遺憾に思う次第であります。我々の見るところでは、まだ講和條約の発効はかなり延びるのではないかということも予想されます。調印した極東委員会参加国の十二カ国のうちから半分以上が批准して有効に発効するのはかなり手間が取れると思いますので、一つ銀行ギヤング事件を契機にして、国警とされましては有効適切な手が講ぜられるように一つ早急に処理してもらいたいと思うわけであります。こういうことを放つて置かれて、こういう犯罪の捜査が不可能になつた場合に対する警察の威信というものは、かなり私民心に対して大きな惡影響を及ぼすのではないかというふうに考えますので、いろいろ事情止むを得ない点はあると思いますが、一つ大きな事件ですから、これをきつかけに一つ御善処を希望いたします。
#28
○岡本愛祐君 もう一つ伺つておきますが、一カ月前だつたか、山梨県におきまして何か銀行関係の人でしたか、実業家であつたかがジープで拉致されて、山の中に連れて行かれて金を奪われたか、奪われんとしてどつかで放り出されて、そうしてそれは逃亡したという同じような記事があつた。その経過はどうなつておるか、犯人はつかまつておるのかどうか、若しつかまつておるなら新聞に出そうなものですけれども、新聞に出ないところを見るとつかまつていないのかもしれません。それから従来も進駐軍関係についてはつかまつても新聞には出さないということになつておるのか、そういうことをお尋ねいたします。
#29
○説明員(新井裕君) あの事件はたしか一月の初めだと思いますが、捜査は国警がやつておりまして、その後つかまつたかどうか、私もうつかりして聞いておりませんでしたので、早速聞いて、後ほど御返事したいと思います。国警でやつております。
#30
○政府委員(柏村信雄君) 進駐軍の要員がつかまつた場合に新聞に出さないというようなきまりはないと思います。
#31
○中田吉雄君 ちよつともう一つ、千住における銀行ギクングの、消防署からの急報で千住署のパトロール佐々木峯の両巡査が駈けつけた際に、犯人は二発威嚇発射をしたとあるのですが、この際には正当防衛と言いますか、パトロールは発射できるのですか、それはどうなつておるか、外人の場合。
#32
○説明員(新井裕君) 武器の使用は差支えないということになつておりますけれども、これも要望がありまして、成るべくつかまえてくれというのが要望せられております。
#33
○中田吉雄君 それはその筋から日本人の場合には使つてもよいが、おれのほうには使つてくれるなという要望なんですか。その関係はどうです。
#34
○説明員(新井裕君) 覚書は、身体に対する危害が及ぼされる場合に正当防衛として使つてもよいとはつきり書いてあるのであります。これは占領軍だけでなく、全般的の問題として、警察官の職務執行法のみならず、部内の訓令によりましてもよほどのことでなければ発砲するなということを徹底してやつておるわけであります。只今の場合もどういうような具体的な事情があつたか私知りませんけれども、それに対する具体的のお答えとしては当らないかも知れませんが、威嚇程度でありましたならば、これを制するという程度にとどめるべきであつて、我々のきめられた形においては、できるだけ発射しないで逮捕する方法を講ずるというのが当然だと思います。
#35
○原虎一君 警備部長にお尋ねしますが、占領軍の軍人又は占領軍の要員は、現行犯以外には日本警察官は逮捕できないというふうに考えますが、そういうふうになりますか。
#36
○政府委員(柏村信雄君) お話の通りであります。
#37
○原虎一君 そういたしますとですね、今度の千住富士銀行事件のギヤングの問題は、今後の捜査は国警なり地方警察がやるにしましても、逮捕はできぬということになるわけですか。
#38
○政府委員(柏村信雄君) 捜査につきましては占領軍関係に緊密な連絡して協力する。併しながら逮捕はできないということになります。
#39
○原虎一君 捜査に協力するということは勿論やらなければなりませんが、独自に捜査するということはどうなんですか。日本国警が独自に捜査するということは、これもできないのですか、捜査は自由ですか。
#40
○政府襲撃(柏村信雄君) 逮捕に……結局は捜査は逮捕につながるものと思いますが、逮捕までは行かないが、捜査は協力してやる、協力と申しましても、一々指揮を受けるとか指示を受ける必要はないのでありまして、独自の見解における捜査をするということはできると考えます。
#41
○中田吉雄君 要望があつた場合にですか、それはどうなるのですか、ただ治安上やつてみるという程度で……。
#42
○政府委員(柏村信雄君) これは先ほど申しましたような逮捕の権限はないわけでありまするが、結局そういう者については、治安上独自の見解で捜査をし、これが逮捕をし得る状況に至れば、占領軍官憲に連絡して逮捕を可能ならしめるということは、日本の警察の責任としてもなすべきことだと考えております。
#43
○岡本愛祐君 従来この占領軍が来てから、占領軍の名を騙つたり、又日本人の二世であるような振りをしたり、或いは又本当に二世だつたのかも知れません、それが随分犯罪をやつておつたと思うのですが、そういうのは皆徹底的にこの進駐軍の手で挙げ得たのかどうか、そういうことについてどういう認識を持つておられますか、国警のほうは……。それは国警のほうで面接挙げるようなことは今までできなかつたのだろうと思いますが、占領軍のほうで徹底的に挙げ得たのでしようか。
#44
○政府委員(柏村信雄君) 結果的な問題は私も存じませんが、占領軍官憲におきましても、こういう者については徹底的に捜査を行なつているものと確信いたしております。又先ほどのお話のうちに占領軍の振りをしてということがございましたが、今度の銀行ギャング事件においてそのことが当てはまるかどうかということは別問題でありまするが、占領軍の振りをして、即ち占領軍の服を盗んで着ておる疑いがあるという場合に、仮に占領軍の制服を着たというだけで、これは日本官憲がタツチできないというふうに即断するという必要はないのではないか、これは占領軍のまねをして、形をしておるのであるということを疑うに足りる相当の理由があれば、そういう場合においては当然そのつもりで逮捕する場合には差支えないのじやないかと考えます。
#45
○岡本愛祐君 その点が非常に重大な問題と私は思うのであります。進駐軍の洋服を着ており、又ジープに剩つておるからと言つて、必ずしも占領軍要員であるかどうかわからない。だからそういう服装をしておればなかなかつかまえられないということは、これはやはり今のアメリカとの関係における警察制度の癌ではなかろうかと思います。それでそういう前提は、進駐軍要員ともあろう者がそんな大それた罪はするものじやないという前提に立てば、一応はそういう者はどんどん逮捕して行つていいのじやないかと考えておりますが、これは将来の宇和條約発効後における連合軍要員の逮捕権の問題にも私は大きな関連を持つものであつて、その点は国警長官も来られるとなお都合がいいのでありますが、警視総監に改めてお尋ねしますが、こういう問題なんです。一体連合軍の服装を着ておる、それが必ずしも占領軍の要員であるかどうかわからない。そういう服装をしており、又ジープに剩つて来たがために、そういう者ではないかということで遠慮をする。又宿屋にそんな服装をして泊つておつても、こいつてつきりそうだと思つても、これはつかまえられないということでは、これは仕方がないと思うのですが、この点はどうお考えになつておりますか。
#46
○委員長(西郷吉之助君) それでは田中警視総監がお見えになりましたから、千住の富士銀行のギヤング事件に関連して説明を求め、なお且つその際の岡本君の御質問にお答えを願いたいと思います。
#47
○参考人(田中榮一君) 去る十八日に千住一丁目一番地の富士銀行支店におきまして米兵の服装をした米人二名と二世又は日本人のやはりこれも兵隊らしい服装をした者三人が同日午後三時十五分頃、富士銀行の千住支店の東口通用門から一名と、それから南口通用門から二名拳銃を擬して侵入いたしまして、現在のところその後調査いたしました結果、二百八十四万八千四百円の現金を強奪されておるということであります。只今の御質問につきまして私からお答えいたしまするが、一昨年の十一月一日進駐軍の覚書によりまして、日本官憲に或る程度の権限を附與されておるのであります。この場合におきまして、その中にいわゆる軍人軍属にあらざる者の連合国人に対しましては、日本警察側に犯罪発生の場合における捜査並びに検挙の権限があるのでありますが、軍人、軍属に関する限りは原則としてないのであります。これは当然であるのでありまして、但しその例外規定といたしまして、MPがその場にい合わせず、又他人の身体に急迫なる侵害行為がまさに行われんとするような場合、或いは又他人の財産に重大なる危害が及ぼされんとする場合においては、現行犯といたしまして日本の警察官がその場において逮捕いたしまして、これをMPに引渡すということに大体きめられておるのであります。従いまして今の御質問の米人が、仮に軍人にあらざる者が軍服をまとうておつた場合においては、これを直ちに逮捕するということが非常に認定の問題でむずかしいのでございまして、勿論その者が軍人でないということがはつきりしておいて、僞の軍人であるという場合におきましては、今申上げたような規定の範囲におきまして、当然これは日本の警察が捜査並びに検挙ができるのでございまするが、軍人の服装を一応しておるといたしますると、一応それは正規の軍人というふうに考えなくてはなりませんので、直ちにこれが日本官憲が今申上げたような現行犯として逮捕する場合以外は事実上の認定問題になりまして、その辺が非常にむずかしいのではないかと思います。従いましてこうした問題につきましては、今岡本委員からお話がございました通りに條約発効後の治安状況を考えまして、いわゆるこうした人々の犯罪に対しまして、しつかりした行政協定のようなものを事前によく協定しておかれまして、そして今後こうした事犯が絶対に再び起らんようなことを一応きめて置くことが必要ではないかと考えております。或いは御質問に当らない点があるかと思いますが、御質問によつて又お答えいたします。
#48
○岡本愛祐君 先ほどお尋ねしておつたのですが、富士銀行の現場に警察官がパトロール二名がいた。それがなすところなくして現行犯を逃がしてしまつたというように新聞に書いてありますが、その事実があつたかなかつたか、あつたとしたならばなぜそういう卑怯な真似をしたか、或いはこういう今おつしやつた取きめの趣旨が一般警察員に徹底していないのじやないかという恐れもあるのですが、その点ちよつとお尋ねいたします。
#49
○参考人(田中榮一君) それでは折角の御質問でございますので、暫らく時間を拜借いたしまして、当日の模様を私から概略御説明いたしたいと考えております。
 十八日の午後三時十五分頃、丁度銀行は三時に一応現金出納その他を一切窓口をしめますので、大体三時に表門を閉鎖する慣習に相成つておるようでございます。丁度電車通に面した窓の表門は三時にぴつたり閉鎖いたしまして、東口通用門の鎧戸を半分降しておつたそうであります。それから更に南口の、これは路の横に入つたところでありますが、南の通用門は、これは平素通用いたしておりますので、普通客が入らない所でありますが、それは一応そのままになつておつたそうでありますが、丁度三時十五分頃日本人か或いは二世かよくわからないのですが、レインコートを着た男がその鎧戸をくぐりまして、拳銃を擬して、五分間ほと手を挙げてホールド・アツプしろということを、拳銃を擬して大きな声で怒鳴つたようであります。その瞬間に南口の入口の、ドアを排しまして、これもやはり軍服の上にレインコートを着た軍人らしい、GIらしい者が二名入つて来たのであります。それで二人ともやはり拳銃を擬しておつたそうであります。これは口径四十五ミリの拳銃であつたそうであります。そこで二人の白人、米人は、一人は三十歳ぐらいで、背の高さが五尺五寸くらい、コールマン髭を生やしておつた男であります。他の一人はこれも三十歳前後で、一人は非常に背が高いので、五尺八寸くらいの、どちらかというと好男子のようであつたそうであります。それからちよつと私説明が違つたかも知れませんが、東口通用門というのが、少し道から離れた路次のところのドアが、これが東口通用門です。これから米人二名が入つて来たのであります。南門から日本人若しくは二世らしい者が一名入つて来たのであります。そうしてうち一名の米人が支店長黒田貞次郎(五十歳)にホールド・アツプさせまして、一名のGIらしい者が行員を脅迫いたしまして、丁度副支店長でありますが、それが札束を金庫に一々納入しますのにチエツクしておつたのを、拳銃を突付けまして、これもやはりホールド・アツプしまして、その場にあり合せた金を全部ズツク製の袋の中にこれを投込みまして、そうして悠々脱出したのでありますが、その二世か或いは日本人らしい者の言葉は余り訛りがなかつたそうであります。行員の中の非常に機転のきいた行員がありまして、大きな札束をぱつと投げつけたときに、貴様は度胸がいいといつたような言葉つきが、割合に訛りがなかつたということをい合わせた者が言つておるのであります。それから同時にその二世又は日本人らしい男が出納係の机上にあつた現金五万六千円くらいの札束を行きがけの駄賃にポケツトに突込んで行つたようであります。その中で行員の石橋秀子という非常に機転のきいた若い婦人の事務員が、千住消防署に連絡してある非常ベルで危急を通報いたしたのであります。そこでこの非常ベルの通報を受けました千住消防署では、とにかく一応銀行から非常ベルが鳴りましたので、或いは出火ではないかという見地から水村消防士外一名が直ちに現場に急行いたしまして、道路に面した南口の鎧戸の半分締つた所から水村消防士がくぐつて中に入ろうとした瞬間に、その背の低い男がいきなり拳銃を擬してこれもホールド・アツプさしたのであります。そうして一応そのズツクに金を納めまして、三人はそれぞれ入口から出まして、そうしてジープに剩つて脱出したのであります。その際に消防が駈けつけたり何かしたものでありまするので、附近の者が何か出火ではないかというので相当人が集つてがやがやしておつたのでありまするが、その際にこれらの目撃しておりました群集にいわゆる威嚇発砲をいたしまして一発やつたそうであります。それはジープの窓を破つたのであります。そうして別に他の群集には幸いに被害がなかつたのでありまするが、直ちにジープを走らせて逃げ出したのであります。そこへ丁度千住署の警察官が来合せまして、そのことを聞いて丁度トラツクが通り合したものでありますから、そのトラツクに剩つて、せめて自動車の番号か何かでも確認したいというので直ちにあとを追跡いたしたのでありまするが、たまたまジープが西新井橋のほうに右折して行つたのを知らずに、そのまま電車通りを真つ直ぐに走つて行つたために、そのジープを見失いまして、止むなく引返して参つたのでありまして、今お話のように、二名の警察官が、パトロールがそこにおつたということは、私は署長から全然報告を受けていなかつたのであります。で、それと同時にこの拳銃を一発撃つたものでありまするから、これは何か強盗じやないかというようなことから、丁度目撃しておりました群集の一人の或る男が、その場から約千メーターほど離れた警察署まで駆け足で知らしてくれたのであります。丁度そこに警察のジープが置いてありましたので、直ちにそのい合せました制服警察官以下そのジープに乗りまして、丁度ジープが銀行の逆の方向にあいにく向いておりまして、ジープが、警察が道路の左側にありますから、ジープがずつと入つて行きまして、警察の門の前に置いてあつたのであります。それが銀行と逆な方向に向いておりましたものですから、それを、相当大きなジープでありますから、これを道路上で転回をして、そうして直ぐ現場に馳せ参じたのであります。ところがそのときにはもうすでにジープは逃げておりまして、直ちに警察官が降りまして、実情を調査いたしまして、それから緊急手配で警察署から、直ちに通信施設によりまして全署に千住警察署から直接手配ができるような施設になつておりまするので、千住警察署から直接附近の警察は勿論のこと、管下の警察に一斉手配をいたしたのであります。ところが、丁度五時ちよつと過ぎ頃でありましたか、西新井警察署の佐々木という巡査部長が管内を巡視しておりました際に、江北橋に差しかかつた際に一台のジープの後から高級車が続いて来るのを目撃したのでございます。やがてそのジープが江北橋の西詰に停車すると、中から二人連れのG・Iが降りて来たのであります。そうして後続しておりました高級車が江北橋の中間にかかると、停車すると見るや、そのジープから降りたG・I二名が高級車に剩つて西新井方面に向つて高速力で進行して行つたのであります。佐々木部長は、遺棄されました該ジープの番号まで記憶して、巡視の帰途派出所に立寄つた際に、緊急手配が丁度そこへ来ておりまして、そうしてそのジープが犯罪に使用されたジープであることを確認いたしまして、直ちに本署に報告いたしたのであります。なお件の高級車は、これは佐々木部長の証言によるのでありますが、これはまだ佐々木部長の証言でありまするから、瞬間的に見たそのままの感じでありまするから、果してこれがその通りであるかどうかは確認できないのでありまするが、式は五一年式のダツジ或いはプリムスではないかというように想像されるのであります。この犯罪は前から計画的の一つの犯行であるということが一応考えられるのであります。何となれば、犯人はいずれも手袋を着用いたしまして、一切指紋を残さんように大体計画をいたしております。而もこの犯行に使用いたしましたジープは、去る十七日午後十一時東劇前に置いて盗難にかかつたもので、逃走の際前方だけのナンバーは取外していたそうであります。更に高級車も或いは盗難品ではないかということで、只今これはCIDにおきまして厳重に高級車の確認を只今やつておるわけであります。それでその後、昨日日光のほうからの通報によりまして、それらしい高級車が来たという手配がございましたので、確認をいたしましたところが、伊香保に向つたらしいというので、これも更に所在の自警、国警と協力いたしまして調査いたしました結果、どうもその高級車ではないらしいということが只今では確認されておるような次第であります。今回の事件が起りました際に、実は去る十六日の日に京都におきましてやはり銀行ギャングの事件が発生をいたしまして、警視庁といたしましても厳重に警戒するようにそれぞれ各署に通牒を出しておつたのでありまするが、現在警視庁といたしましては、これまでの事件に鑑みまして、いわゆる防犯的措置といたしまして、それぞれ各警察署管内の銀行業者と数回懇談会を開きまして、成るべく警察署若しくは最寄りの派出所、駐在所等に非常ベルの設置を極力勧奨いたしまして、現在では相当、殊に都心部におきましては殆んど完全に警察署又は派出所等と非常ベルの連絡ができておつたのでありまして、たまたま富士銀行の千住支店は、それから近くの消防署まで非常ベルが設置されておりまして、それから約千メートル離れた警察署まで恐らく銀行としては近く設置する予定であつたろうと思うのであります。昨年の暮防犯座談会の際にも、消防、警察署から銀行のほうにも、成るべく一つ早急にベルを取付けるようにということを話合つておつたそうでありまして、いずれ銀行も近く付けたいという意向を持つておつたそうでありまするが、付けないうちにこういう事件が起つたことは誠に遺憾に堪えないのであります。
 それから更にその後警視庁といたしましては、本件は本当に軍人軍属であるか、或いは米人であるかということがまだはつきり確認をいたしていないのでありまして、現場におりました目撃者の談話によると、これは軍人の服装をしておつたというようなことでありまするが、これもまだ本当にこれが軍人であるか、或いはそうでない單なる米人がそうした服装をしているのであるか、これも全然確認しておりませんので、ただ容貌、特徴その他は、多数の人がとにかく数分間これを凝視いたしておりまするからして、人相その他のいわゆる面通しと言いまするか、確認は多数の人が、四十人近くの人がこれを見ておりまするので、若し容疑者が挙つた場合においての面通しの場合においては、比較的私は確実に面通しができるのではないかと考えております。それから目撃者が多数おりまするので、その目撃者のいわゆる感じ、或いは受けた感じ等を参考にいたしまして、いわゆるモンタージユ写真を作成いたしまして、これを各警察署は勿論のこと、それからCIDと協力いたしまして、このモンタージユ写真をそれぞれ地方のCIDにもこれを渡しまして、CIDと自警、国警協力して只今捜査に従事いたしております。それからこのモンタージユ写真によりまして、いわゆるパンパン等にこれを全部見せまして、そうして見知りの者の容疑者を只今いろいろ捜査いたしております。それからなお或いはGIが宿泊するだろうと思うホテル、旅館その他の捜査を、都内は勿論のこと、関係府県のこうした設備に対しましても厳重に捜査をしてもらうように現在緊密なる連絡を取つておる次第であります。それからなお車輌の、今申上げました高級車等も、或いは他から奪取してこれを使用しているのではないかという疑いも相当濃厚でございますので、先ほど申述べましたごとく、これは現在CIDにおきまして心当りを全部捜査をいたしておるような状況であります。大体まあ人相等も十分取れておりまするので、或いは近く逮捕されるのではないかということも実は予想いたしておる次第であります。若し又不足でありまするならば、一つ御質問によつてお答えいたしたいと思います。
 それからなお高級車の番号等が新聞等にも掲載されておつたのでありまするが、新聞には二―二三八八となつておりまするが、これもまだはつきり認定しておるものではございませんので、その点一つお含み置き願いたいと思います。
#50
○岡本愛祐君 それでは先ほど私お尋ねした警視庁の警察員がパトロールして現場にい合わせて、犯人に拳銃を突付けられたのでホールド・アツプした、それで逮捕するに至らなかつたと思われるような節がありますが、それはまだ警視総監は確認しておられないのですか、どういうことですか。
#51
○参考人(田中榮一君) 私は昨日署長から聞きましたときには、署員がそこに行きましたときにはもうすでにジープは逃走したあとであります。それからたまたま千住署員の部長が丁度そこを通りかかつたので、直ちにそのことを聞いて、これはトラックに乗りましてあとを追跡した事実はございまするが、そのジープのそばにパトロールが二人おつたということはまだ全然報告を受けておりませんし、又恐らくそういうことはなかろうと思います。
#52
○岡本愛祐君 この強盗事件が非常に大きく取扱われ、又考えられるのは行政協定に関係があるからであります。従来ともこういう占領軍関係の事件、又占領軍を仮装して、偽つて、占領軍要員に扮装して傭つて犯した罪などは随分あると思うのです。まあ占領治下だから我々も国民も、無念ではあるけれども余り声を大きくしなかつたのでありますが、いよいよ平和條約が発効して完全な独立国になりますとすると、そういうことは堪えられないことになります。そこで今日、本会議で社会党の右派、左派のかたがたからもいろいろ御質問がありましたが、要するに駐留軍の要員が犯した罪これが重大であろうと又軽少な罪であろうと、これは日本の警察がすぐさま検挙ができるようにしなくちやならんと私は思うのであります。それが重いか軽いかと考えている間に犯人は逃げてしまう。だから重かろうが軽かろうが、進駐軍の仮装をしておろうが本当の進駐軍であつても、直ちに逮捕し犯罪の禍根を除くということにしなければならん。我々も勿論強く主張して行くつもりでありますが、警察当局においてもそれを強く主張して頂きたい、その点一つお願いしておきます。
#53
○中田吉雄君 田中総監にお尋ねいたしますが、二月十九日の夕刊の朝日には、「犯人が外人のため捜査の主導権はCID(犯罪捜査部)に移り、日本側はこれに協力捜査する」ということになつておりますがそうなつておりますか。
#54
○参考人(田中榮一君) 先ほど私から冒頭に説明いたしましたごとくに、その犯人が正規の軍人であるか、或いはシビリアンであるか、その辺がまだはつきりいたしておりません。ただ犯行現場における使用した言葉が、ノー・スピーキングという言葉を使つておりますので、目撃者等の勘から、これは米人であるということははつきりしておるのであります。ただそれがレイン・コートを着ておつて何か帽子を被つておつたというのであります。それが正規の軍人であるかどうかということはまだはつきりいたしておりません。ただ正規の軍人らしい恰好をしておつたというのであります。そこで若し正規の軍人であるといたしますと、もうすでに逃亡して、容疑者を逮捕するということになるのでありますからして、容疑者の逮捕ということになりますと、これはやはりMPが主体となつて、CIDによつてこれを逮捕するということが主体となると思います。現行犯でありましたならば、直ちに正規の軍人でありましても、かかる場合におきましては、日本警察官として当然これを逮捕する権能を持つておるのでありますが、今では特定の者でなくして、一応容疑者ということになりますので、これは一応そのCIDと、CIDと言いますか、MPと日本警察との協力の上で逮捕する、かようなことになるであろうと思います。
#55
○原虎一君 総監にお伺いしますが、先ほども警備部長にも伺つたのですが、結局今の御答弁では、この問題のみならず、現行犯以外には日本……、現行犯も而も相当に重大犯行でないと、犯罪でないと日本警官は米軍並びに米軍要員は逮捕できない、こういうふうになるわけですね。そこでこの問題は、結局まあ捜査は警視庁もやるが、逮捕はできないということになるわけですね。
#56
○参考人(田中榮一君) 只今説朗いたしましたごとくに、もうすでに現行犯でなくなつておりまするので、一応容疑者ということになりますると、これはやはりはつきりしたこれが軍人、軍属でありまする場合には、これはMPが逮捕しなければならんことになります。そうでない軍人、軍属にあらざる場合には、これは日本警察官に逮捕権があるのであります。従つて今のところこれが軍人、軍属であるか、そうでないシビリアンであるかということがまだ十分に確認されていませんので、そこで現在のところMPとそれから日本警察と、自警、国警相互協力の上で三者協力の上で現在捜査に従事いたしております。
#57
○原虎一君 そこでもう一つ。これは行政協定がありますから、その点からよほど……、事実こういう問題が起きましたから検討する観点からお伺いするのですが、そうしますと今仮にこれがモンタージュ写真ができて、それがMPに協力する形で日本国警官にモンタージユ写真を渡されて、そのモンタージユ写真……犯人に間違いないと日本警官が認めた場合にも、MPに通知を発して、そのMPの出張を求めなければ逮捕できないということになりまするが。
#58
○参考人(田中榮一君) まあ大体さような手続によつて逮捕せざるを得ないだろうと思つております。
#59
○原虎一君 それからもう一つ犯人が明らかに米国軍人であるということがまあCIDで確認いたしますね、確認いたしましたと仮定しますね。そういう犯人が確定した写真が出て、それが日本警察官に渡されておつても、これでもいかんのですか。日本警察官に逮捕権はない、できない……。
#60
○参考人(田中榮一君) 仮に犯人が軍人軍属でありまして、而もその犯人がすでに特定されまして、何の何某であるということが特定いたしまして、いわゆる指名犯人、その場合においてMP側から、この指名犯人がお前のほうに立廻つたときには直ちにこれを逮捕しろという包括的な日本警察に対する依頼、命令又は委嘱がありましたときには、これは当然警察側としても逮捕できるであろうと考えます。
#61
○原虎一君 そこで最後にこういう問題に関連して、今後のまあ今折衝中の行政協定に、犯罪捜査に関して総監は、行政協定内に如何なることが盛らるべきであるかというお考えがあれば、それをお聞かせ願いたいと思います。
#62
○参考人(田中榮一君) これはまあ国警のほうから又後ほど柏村君からお答えがあると思いますが、現在我々としましては、第一線におきまして実際に犯罪捜査並びに検挙に従事いたしておりまするが、やはりこの進駐軍関係の犯罪につきましては、これはやはり軍人軍属である場合におきましては、当然これはやはりMPがこれが当るのではないかと考えております。それから軍人、軍属にあらざる連合国人といいますか、その犯罪に対しましては、これは従来も同様でありますが、やはり行政協定に、日本警察において当然逮捕する権限を與えて頂きたいという希望を持つております。それからなお軍人軍属といえども、先ほど述べましたような條件の場合においては、これを日本警察が当然逮捕するようなことを、今の、一昨年の十一月一日に日本政府に與えられたるあの覚書の内容を行政行定の中に一つ当然含まれることを希望いたしております。
#63
○原虎一君 ちよつとこれは重要ですから、殊に帝都の治安の責任を担任されている総監の一つの証言になりますから、よく我々もお聞きしておきたいと思いますが、今の御意見ですと、行政協定後に、いわゆる講和條約発効後において、行政協定が発効して、そして独立国家になつた後においても駐留米軍の軍人軍属の犯罪は、今のように重大な現行犯でなければ日本警官はつかまえられんということは、これは止むを得ないというお考えですか。
#64
○参考人(田中榮一君) なお私少し言葉が足りなかつたと思いますが、現在では軍人軍属で、現場にMPがいなくて、他人の生命に重大な危害を生ずる場合であるとか或いは財産に非常な重大な危険を生ぜしめる場合という前提になつておりますが、私どもの希望としましては、MPがいるいないは、これは別として、そういう場合においては当然日本官憲において逮捕できるようにして頂きたい。
 それからなお現行犯以外に、仮にその者が逃走したという場合におきまして、いわゆる容疑者として犯罪捜査並びに検挙の必要のある場合におきましては、これも逮捕できるような権限を、一定の條件の下に逮捕する権限を日本官憲に與えて頂けば非常に犯罪捜査の上にも効果的である、こう考えます。ただ無制限にというのではなく、何らかの條件を付けて與えて頂ければ警備上非常に有効ではないかと、こう考えております。
#65
○原虎一君 これはまあ総監の立場としては今のような御証言以外にないかと思いますけれども、行政協定後に、基地以外にMPが一体日本にいるのが妥当かどうかという問題もあると思います。ですからこれは非常なむずかしい問題ですから、この程度に打切りたいと思いますけれども……それでようございます。
#66
○中田吉雄君 ちよつとまだこの銀行ギヤングのあれは軍人だか軍属だかわからないのでしよう。ですから一昨年の十一月一日の何でも当然やれるのじやないですか。その関係をもう少しはつきりして頂きたい、やれるのじやありませんか、まだそういうことがわからんのですから。それをいろいろCIDや何かと連絡してやるということはどういうことなんですか。それは当然さつきの説明の十一月一日の何では、軍人軍属でない者は日本の何でやれる、だから軍人、軍属の場合は、例外としてMPがおらんで、他人の身体に、或いは財産に対して重大なる場合ということになつておれば、今はこれは軍人、軍属だかわからない、そういうものに対してどうして主導権がCIDに移つておるのですか、その関係をもう少しちよつとはつきりしてもらいたい。
#67
○参考人(田中榮一君) 只今のところ目撃者の談によりますると、軍人、軍属のようなことを言つておるのでありますが、併しこれが果して軍人、軍属であるかどうかということがまだ本当に確認されていないのであります。やはり軍人、軍属の場合を考慮いたして、CIDとしてもこれらに従事いたしておる次第であります。
#68
○岡本愛祐君 そこが非常に重大な点でありまして、今中田君もおつしやるように、つかまつて見なければ本当の軍人、軍属かどうかわからないのだから、遠慮会釈なしに捜査をし、それからそういう被疑者みたいな者がおれば、それをつかまえることは当然じやないのでしようか。
#69
○参考人(田中榮一君) 勿論現実の捜査におきましては、たとい軍人、軍属でありましようしこも、若し該当の容疑人物であるといたしましたならば、それを直ちに確認いたしまして、MPに連絡いたしまして、MPと共同してこれが逮捕に協力するということにつきましては最善の努力をいたしておる次第であります。
#70
○中田吉雄君 どうもこの点が我々として見ると自治体の最高の機関である総監として、例えば三越のストなんかも、私も新宿を担当いたしましたが、なかなかその辺には実に法を拡大解釈して、遠慮会釈なく不当労働行為を平気でやる。こういう一昨年の十一月一日ですか、それは極めて縮小した解釈をしてですね、甚だ我々としてはこういうことは警察の権威を甚だ害すると思うのですが、十一月一日ですか、その何では実際捜査ができないと思うのです。実際できないようになつていると思う。こういうことに対して帝都の治安の最高責任者である田中総監は、一体これではできないから、もう少し一つ治安の確保を捜査上能率の挙げられるような考慮を払つてもらいたいということをその筋なり、法務総裁なんかに御連絡されたことがありますか。
#71
○参考人(田中榮一君) 私のほうといたしましては、現実に現在の進駐軍との取極の範囲におきまして、日本の警察官を最高度に活用いたしまして現在捜査しておりますので、現実の問題としてこれによつて支障を来たすということは今までのところはなかつたのであります。ただ将来の問題といたしまして、先ほど私から御説明いたしましたごとくに、一昨年の十一月一日に進駐軍から命令と言いますか、メモランダムを受けました権限の譲渡以外に、先ほど申述べたような少し広い範囲の権限を與えて頂くことを我々としては希望いたしておる次第でございます。又具体的にこの問題につきましては法務総裁に意見として上申したことはございませんが、私は又必要があればこれを法務総裁に意見として上申したい、かように考えております。
#72
○中田吉雄君 もう最後ですが、東京都内におきまして外国人の犯罪の動向、どういうような犯罪が多いかというような大体の、第一線でやつておられるのでいろいろ報告があると思うのですが、そういうことについて資料はないでしようか、大体の様子をお伺いしたいと思います。
#73
○参考人(田中榮一君) 今まで首都に起りました事件では、進駐軍関係者の日本人に対するいわゆる金品の強奪事件、或いは日本人が進駐軍に対して暴行したというような事件がございます。例えば昨年でありましたか、浅草の或るホテルにおきまして米兵を朝鮮人が刺殺したという事件がございました。それから或いは又米兵が日本人に酩酊の上で暴行したり或いは金品を強奪したというような事件が若干ございます。最近におきましては進駐軍関係並びに連合国人の犯罪というものが比較的少くなつているように報告を受けております。
#74
○岡本愛祐君 私最後に警察当局に対して強く要望しておきたいことは、連合国の要員であろうが何であろうが、日本で犯罪をした者は遠慮会釈なくこれを検挙するという建前に立つてもらわなければならないのでありまして、占領治下において、殊に初期に随分日本人はそれに泣かされて来た、というのは連合国の要員のようなふうをして不正を働いた者が随分ある。殊に田舎においては連合国の要員が正式にやつておるのだというので泣き寝入をしたという者が随分ある。そういうのはあとでわかつて検挙したというようなことがあつた。そのときには品物は皆処分されておつたということがたくさんあつたのであります。私は独立国になる以上は、日本人と同様に進駐軍の要員であろうが何であろうが、犯罪をした者はことごとく検挙するという建前を強く私はとらなければならん。こういうふうに思うのでありまして、そういうことをよく法務総裁並びに国警長官のほうに御連絡頂きたいと思います。
#75
○委員長(西郷吉之助君) それでは午前中はこの程度にいたしますが、地方財政の繋ぎ融資の問題は明日にしますか、今日の午後に再開いたしますか。
#76
○中田吉雄君 明日にお願いいたします。
#77
○委員長(西郷吉之助君) それでは本日はこれにて散会いたします。
   午後一時二十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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