くにさくロゴ
1951/02/27 第13回国会 参議院 参議院会議録情報 第013回国会 地方行政委員会 第10号
姉妹サイト
 
1951/02/27 第13回国会 参議院

参議院会議録情報 第013回国会 地方行政委員会 第10号

#1
第013回国会 地方行政委員会 第10号
昭和二十七年二月二十七日(水曜日)
   午前十時五十九分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     西郷吉之助君
   委員
           石村 幸作君
           高橋進太郎君
           岡本 愛祐君
           館  哲二君
           原  虎一君
           若木 勝藏君
           林屋亀次郎君
  国務大臣
   国 務 大 臣 大橋 武夫君
  政府委員
   入国管理庁長官 鈴木  一君
   海上保安庁長官 柳沢 米吉君
   海上保安庁警備
   救難部長    松野 清秀君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       福永与一郎君
   常任委員会専門
   員       武井 群嗣君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○地方行政の改革に関する調査の件
 (治安機構に関する件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(西郷吉之助君) 只今より委員会を開会いたします。
 本日は治安機構の一環として只今いろいろ機構の改革等が行われておりますので、本日は海上保安庁並びに入国管理庁について検討いたしたいと思います。予定といたしましては、最初に大橋国務大臣より海上保安庁改組の構想について伺う予定でありましたが、今司令部に行つておられますので、これをあとに廻しまして、柳沢海上保安長官から特に治安関係から見たところの海上保安庁の現状並びに将来の計画について御説明を求めます。
#3
○政府委員(柳沢米吉君) 海上保安庁の現況について御説明申上げます。
 海上保安庁は昭和二十五年六月に海上保安庁法が制定せられまして、これによりまして、その後改正もございましたが、中央機構としましては、長官の下に次長及び警備救難監、総務部を置きまして、次長の下に海事検査部、水路部、燈台部を置き、警備救難監の下に、船舶技術部、警備救難部というものを置きまして、都合六部のほか、附属機関としまして、海上保安大学校、海上保安学校、海上保安訓練所、航路啓開所を置いておるのでございます。地方機構といたしましては、全国に九カ所の管区本部というものを置きまして、その下部の出先機関としまして、大阪に海上保安監部、その他三十九カ所に海上保安部を設置いたしまして、なお警備救難所というものを三十七カ所設け、そのほかに船舶検査事務所四カ所、水路観測所八カ所を置きまして、業務の円滑を期しておるわけであります。海上保安庁といたしましては、以上の業務を行います根本の精神といたしましては、人命の尊重というものを主体といたしまして、根本精神といたしまして、これに目的といたしまして、海上の安全の確保ということを目的として、指導精神としているわけであります。これによりまして、職員は大船が海上におきまして救難を求めたという場合に、七百トン、或いは五百トン程度の船を以ちまして、これらを救うというために、危難を冒して出て行くわけでございます。或いは一方黙々として燈台を守るというような業務に携わつておりますが、これらはいずれも以上申上げましたような基本精神の下に出発しておるわけでございます。
 以上が大体海上保安庁の指導精神及び外郭の状態でございますが、現在海上保安庁といたしましては、船舶その他の数は業務によつて多少分れておりますが、警備、救難、主としていわゆる治安行政というものに携わつておりますところの船舶は、現在のところ七百トンクラスが三隻、四百五十トンクラスが十八隻、二百七十トンクラスが十五隻等でございまして、大体百トン以上の巡視船と称するものは八十三隻ということに相成つておるわけでございます。なお、これは現在の状況でございますが、今年度末までには四百五十トン四隻及び二百七十トン型五隻というものを増強いたしまして、九十二隻というものが大体百トン以上の巡視船として備えられるわけでございます。このほかに港内艇としまして、今年度末には二百十一隻というような状態になつて来ておるのであります。海上保安庁の発足当時に比べますと相当に増強されて来ておるのでございますが、現在の海の治安ということを考えますときに、相当に不足を感じられておる状態でございまして、まだまだこれから相当に増強せねばならんというふうに感ぜられる次第でございます。現在の治安状況を見まするに、密出入国、或いは密貿易というものにつきまして全国を見渡して見ますると、いずれも大体において九州地区方面が非常に多く、他の地区に比較しまして九州地区が最も件数も人間も多いというように統計されるわけでございます。従いまして、海上保安庁といたしましては、巡視船の約三〇%をこの九州地区に振向けておる状態でございます。このルートは大体南西諸島地区、或いは朝鮮等の地区から流れ込むのが多く、主なるルートといたしましては、朝鮮より対島を経まして、博多方面に上るのが主たるルートのように考えられております。従いまして、海上保安庁といたしましては、対島方面、或いは博多方面を増強しておる次第でございます。なおこの外に、海上保安庁のやるべき仕事といたしまして、漁業問題というものがございますが、これは密漁というものが相当多く近頃出ておるのでございまして、これらは漁類の生産に対して相当に影響を及ぼすと考えられますので、これに対しましても取締りを行なつておるわけでございまして、水産庁方面と連絡しておるわけでございます。特に治安上より見まして、沿岸の底曳漁業の違法行為というものは、たまたま他の漁業との摩擦を起すという事態がしばしば見受けられるでございまして、これらの点につきましては、特に関係の水産庁その他と連絡をいたしまして、十分な取締を行なつておる次第でございます。この事件の起る主なる地域といたしましては、大体瀬戸内方面及び伊勢湾、三河湾或いは遠州灘等が多いのでございます。なお佐渡周辺方面におきましても、近来その状況が見えておる状況でございます。なお拿捕船問題というものが特に漁船において起つて来ておるわけでございますが、これらの拿捕船につきましては、海上保安庁といたしましては、現在のところその行動半径が百マイルに限られておるというために、常時これらの拿捕船の警戒に当るということができない状態に立至つておりますので、これらの点につきましては、将来において、近く航行の制限の撤廃をして頂いて、これらのことも十分やりたいというふうに考えておる次第でございます。大体の状況といたしまして、これらの仕事を一本に行なつております海上保安庁の役目というものは、逐次重要化して来ておるために、これらの船舶というものの数が非常に不足を感じておる状態でございます。御承知の通りに、海上保安庁の任務というものは、以上申上げましたような不法出入及び密輸出入或いは漁業の保護或いは違反漁業の摘発或いは海難救助というような諸種の目的を持つておりますが、これらを分散する場合においては、おのおのが独自の目的で船を動かすというためにはおのおのが船を持たねばならんということになりまして、日本の現在の状態におきましては、おのおのを完全にやるわけには行かない状態におきまして、これを一本にして一つの船があらゆる目的に使用されるという経済的の見地から設立されたものと考えているわけであります。併しながらこれらの船の活動状況を見ましても、相当に活動しておりますが、まだまだ少し足りないのではないか。然らば将来に対してどのくらいの船舶が必要であるかということを我我が考えますときには、少くとも五十トン級以上の船舶の三百五十隻というものを目標とし、これらの船舶三百五十隻があるならば何とかやつて行けるのではないかというふうに考えているわけでございます。我々といたしましても、国家の財政が苦しい折から成るべく有効にこれを使いたいと考えておりますが、逐次拡充されつつある海上保安庁としましても、なお一層の船舶が欲しいというふうに考えている次第でございます。
 以上大体海上保安庁の概況の御説明を申上げました。
#4
○委員長(西郷吉之助君) それでは次に入国管理庁長官の説明を求めまして、そのあとで御質疑を願いたいと思います。
#5
○政府委員(鈴木一君) 入国管理庁の仕事につきまして、特に治安関係に関連性のある面より概況を申上げたいと思います。入国管理庁は一昨年の十月一日にできたのでありますが、これができた動機と申しますか、につきまして一言申述べて見たいと存じます。
 これは連合国司令官のメモランダムによりまして、日本政府において外国人の取扱について国際慣例による民主的な機構並びに法規を制定せよというメモランダムが出ましたのに基きまして入国管理庁が発足いたしたのでございますが、その狙いといたしたところは、外国人の取扱につきまして、戦争中並びに戦争以前におきまして、いわゆる外事警察或いは警察国家というような言葉を以ちまして、日本政府のやり方に対して相当批判が外国方面においてあつたのでございますが、今回は民主的な、平和の日本が独立をするのであるという意味において、外国人の扱いは民主的でなければならないということで、いわゆる警察国家再現ということを避けます意味で、再びそういうことをしないという意味で新らしい役所を作るのがよろしい、その狙いは、いわゆる司法警察権を持たして外人の取扱をするのでなしに、行政措置によりまして外国人の扱いをする、その役所を設けろというのが趣旨であつたのでございます。一昨年の十月一日に出発をいたしまして、甚だ機構といたしましては貧弱な機構でございますが、現在の定員は七百七十四名持つております。本庁は各地に出張所がございます。出張所は仙台、東京、横浜、名古屋、神戸、高松、下関、松江、福岡、大村、鹿児島十一カ所でございます。そのほかに収容所、入国者収容所と申しまして、これが大村に約一千人収容いたします施設がございます。なお横浜にも主としまして西洋人、東洋人は大村でございますが、主として西洋人を収容します収容所を横浜に最近設けたのであります。このように各地に出張所を設けておりますが、そのほかに各港々に我々のほうの審査官を数名乃至十数名配属しまして、いわゆる表門から日本に入つて来る外国人、例えば横浜であるとか、羽田であるとか、それらの所に毎日何百人か入つて参りますが、そういう人たちの取扱をいたすために職員を配置してございます。これらを合わせまして七百七十四人という職員を持つておるわけであります。本庁におきましての機構は極く微々たるものでございまして、二つの部がございます。一つは実施部、一つは、審判調査部で、おのおの課が三つずつございます。
 大体の組織はそのようでございますが、どういう仕事をするかと申しますと、先ほど申しました横浜であるとか、羽田であるとか、いわゆる正式に外国から日本に入つて来る外国人を扱うもの、正式ルートで入つて参る人たちが、船の上或いは飛行機から降りて来たところで、パスポートを調べて正式に入つて来たものかどうか、その人たちが入国の条件を充たしておるかどうかということを調べるのでございます。そのほかに、表向きでない入国者、いわゆる密入国者というものがあるのでございますが、いわゆる不正規の入国に対しまして、この人たちをどういうふうに取扱うかということについて、これが大きな我々のほうの仕事になつております。最も苦心をいたしておるのでございます。この不正規のいわゆる密入国をいたします人たちは、港から入つて来るのはそうたくさんはないのでありまして、大抵は人のおらない海岸に入つて来るのでございます。先ほど海上保安庁長官からお話がございましたように、北九州方面が最も多いのでございまして、これら密入国者を扱いまするのに、我々のほうの手で取調べをして、そうして許可なしに入つて来た者は必ず帰すという原則によつて扱つておるのでございますが、管理庁の権限から申しますれば、いわゆる外国人に関しますることは管理庁の責任においていたさなければならないのでございまして、例えば密入国をして来るという者も管理庁の手において捕え、手において調べて、そうして帰すべき者は帰すということをいたさなければならないのでございますが、只今のように七百人そこそこの定員ではさしたることができないのでありまして、我々当局といたしましては相当の理想を持つておるのでございますが、我が国の経済状態、財政状態という点からいたしまして、止むを得ず現在の段階におきましては海上方面から入つて来る者は海上保安庁において捕えて頂く。陸上におきましては国警並びに自警の手を煩わして捕えて頂く。この密入国をしました者について、海上保安庁及び国警、自警で捕えてもらいました者を司法処分をする者につきましては検察庁にお願いをし、然らざる者については管理庁の手において、いわゆる行政措置によりまして犯罪人ということでなしに公正なる民主的な国際慣例によつた手続によりまして調査をし、審査をし、そうして強制退去という段階になりまして、強制退去をいたさせますのには、一応船に乗せて帰すわけでありますので、船の出ますまで朝鮮、台湾というような方面の人たちは全部大村の収容所に収容いたします。その他オーストラリア、アメリカ方面の人は横浜の収容所に収容をいたしまして船に乗せて帰すのであります。これは後ほどもう少し詳しく状況を申上げたいと思いますが、そのような仕事をいたしております。いわゆるこれが外国人の出入に関しまする管理のやり方でございますが、もう一つ外国人につきまして、管理庁の仕事といたしまして重大なことは、一旦国内に入りました外国人を常時その状態を知つておく、これは外国人自身の保護にもなり、又我が国の治安の上から申しましても、こういう人たちの所在をはつきりさしておく、いわゆる我我自身が戸籍を持ち、寄留というようなものもありますような意味合いで、外国人の登録ということをいたしております。これは本来国家、政府がやるべき仕事でございますが、現在におきましては各市町村に依嘱をいたしまして外国人の登録をいたしております。この登録の現況につきましては後ほど申上げたいと存じます。大体以上によりまして入国管理庁が、いわゆる警察国家の再現を避けるという意味で新らしい使命を以て生れ、そして外国人に対して国際関係による民主的な取扱をするということで出発しましたその仕事の内容を申上げた次第でございまするが、次に密入国の大体の状況を申上げたいと存じます。
 密入国と申しましてもいわゆる正規に横浜、羽田というような海港から入つて来ない裏から入つて来る人たちのことでございますが、これはどのくらい入つて来るかということを一口で申上げますと、大体の見当でございますが、毎日平均十人くらい我々のほうの手に入つているわけであります。毎日十人ということでございますから一年を通算しますれば三千六百人ということになりますが、大体我々の手に入りますのはその程度でございます。ところがなかなか広い海のことでございますし、海岸線が長い我が国の事情から申しまして必ずしも全部捕まつたというふうに断言はできません。然らばどのくらい捕まらない率があるだろうかというようなことがよく問題になるのでございますが、私どもとしましてどの程度であるか、なかなか事実を捕捉するのに困難を来たしております。或いは我々の手に入れております数の二倍乃至三倍ぐらいは捕まらない人たちがあるのではないかということも予想されるのでありますが、これは確たる証拠がないので如何ともしがたいのでありまして、根拠を以て申上げることには参らないのでございます。密入国をいたしまして、それを先ほどの手続によりまして我々のほうで調べて送り帰すということでございますが、お手許に資料を差上げてございますが、一昨年の十月から入国管理庁が発足いたしまして約一年間の間に三千百九十名という朝鮮人を送り帰しておるのであります。そのほかに南西諸島に、と申しましても主として沖繩、大島の人たち、この人たちがこれは大した数ではございませんが、二、三百帰しておるのでございます。このほかに治安上考えなければなりません問題は、密入国ということで処理はいたしておりませんけれども、大きな船が横浜なり神戸なりに入りますが、その船から船員が陸に上陸して、そのまま船に帰らないで逃げてしまう。いわゆるミス・シツプというものがございます。そのミス・シツプと申しますものも相当あるのでございまして、毎月七、八十人はあるのでございます。これは船から上りますときに何人上つた。それから何人帰つたというその差が出て参りますので、だのくらいミス・シツプしたか、そして又どのくらい捕まつたかということが非常にはつきりいたしております。これは大体殆んどと申してよろしいくらい必ず捕まえておるのでございます。なお密入国がどういう方法で入つて来るとか、或いはどこの方面であるとかというようなことについて詳しく申上げるのは時間がかかりますから、極く簡單に申上げますれば、今の密入国の大半は、九〇%は朝鮮人でございます。これの約八〇%は対島を経由して参つておるのであります。対島は御承知のように朝鮮と約五十キロしか離れておりませんので、小舟で渡ることができるのでございますが、朝鮮の動乱によりまして、日本に曾て住んでおつた、親類、親兄弟が日本におるというような条件の人たちがどんどんと入つて来ております。最近の傾向におきましては、女で小さい子供を連れて入つて来ておるというのがかなり多いのでございます。それから又中には子供だけ密航して来るというのもかなりあるようでございます。大体まあ五トンから二十トンぐらいの間の漁船に乗りまして、数名乃至十数名が一団になつて入つて来るのが多いようでございますが、これらは事情は同情をするものがあるのでありますが、法を犯して許可なしに入つて来るという者に対しては、原則として必ず帰すという方針で審理をいたし取扱いをいたしておるわけであります。
 それからその次に外国人の登録のことにつきまして一言現状を御説明申上げておきます。これはお手許に資料がございまして、各府県に何人ぐらい何国人がおるかという数字を掲げてございます。これを総計で申しますと、六十二万千九百九十三名、これは昨年の十二月末現在でございますが、この六十万の外国人のうちで朝鮮人、韓国人というのを合せますと九〇%を超えるのでございます。五十六万近くあります。要するに日本の国内に外国人として、現在ではまだ外国人ではないのでありますが、台湾、朝鮮の人たちは平和条約等が発効と同時に日本の国籍を離れまして純然たる外国人になるのでありますが、現在の法規におきましては外国人登録令というものがありまして、その登録令の上では朝鮮、台湾人は外国人として扱うという条文がありますので、この登録関係におきましては外国人という扱いをいたしております。ただこの表を御覧になりますときに、朝鮮、韓国という二つの欄がありまして、朝鮮人のほうが四十六万、韓国人のほうが九万五千というように、数が非常に違つておるのでございまして、それでよく御質問を受けるのでありますが、これは決して朝鮮は北鮮を意味し、韓国は大韓民国を意味するという趣旨ではないのでございまして、一口で申しますれば、これは合せて朝鮮人というふうに扱つて頂きたい。これが二つに分れたいきさつでございますが、それは最初朝鮮人で外国人の登録を始めたのでありますが、当時大韓民国の代表部が日本にできましたので、代表部のほうから司令部を通じまして韓国という国名を是非使つてくれという強硬な申入れがございましたために、日本政府といたしましては朝鮮でいいではないかということで再三押問答いたしたのでありますが、結局韓国という名前を使いたい人は韓国という名前を使つてもよろしいというふうな扱いになりました関係で、初め朝鮮の登録がすでに始まつておるあとへ、韓国にしたいという連中があとから登録をいたしました関係でこういう数字になつておりますので、これを以て日本の内地におきまするいわゆる朝鮮の北鮮系であるとか、南鮮系であるとか、治安上いわゆる共産系であるとか韓国系であるとかいう、その分野の標準にこれをおとりになることは大きな間違いであるということを特に申上げておきたいと存じます。この表をあとで御覧になればわかりますが、朝鮮の人たちの分布というものにつきまして、やはり東京附近、川崎附近、それから関西におきましては大阪、神戸、ここに集団がございまして、特に大阪方面におきましては十万近くの人たちが集団をいたしております。こういう外国への分布というようなことについて、将来治安問題におきましても相当我々として考えなければならない問題があるように思うのであります。
 一応只今概要を申上げたわけでございますが、御質問によりまして又お答えいたすことにいたします。
#6
○委員長(西郷吉之助君) では只今まで御説明いたしました入国管理庁並びに海上保安庁につきまして御質問を願います。
 なお海上保安庁長官に伺いますが、先ほどの御説明を一応伺いましたが、防衛態勢の問題が、警察予備隊がございますが、それと関連しての将来の機構なり、船舶の問題についてもう少し御説明を願いたいと思います。
#7
○政府委員(柳沢米吉君) 海上保安庁といたしまして、その業務の内容から申しまして、又今までそういう指導精神というものを持つて参りました。先ほど御説明申上げました通り、海上保安庁は海上保安庁法に基くものでありまして、これは指導精神も先ほど申上げました人命の尊重を基盤精神として、これに海上の安全確保を目的とする、この意味におきまして、或いは海上の治安関係及び海の状態がどういう状態になつたかということを観測研究いたします水路部というもの、又燈台、これも現在におきまして海上の国境線というものは、朝鮮及び台湾等がなくなりました現在の日本におきまするやはり国境線は島嶼であり、又岬である、ここにおきまして難波船の監視或いは密出入国の監視、密貿易の監視を兼ねてこれに無線施設を付け、この無線によつて各船舶との連絡を行うというような業務を行い、同時に一面人命の救助と海上の安全を確保するために燈火をつけ、無線を付け、或いは音響の信号を行う等の業務を燈台部において行なつておるわけでございます。なお一面におきまして、戦時中に敷設せられました感応機雷の処理を行う航路啓開所というものを設置いたしまして、これらによつて先般瀬戸内等の航路だけは安全宣言をし得るようになり、又主要港湾に対する航路も安全宣言を逐次やつて行けるような状態に入つて来ておるわけでございます。又一面におきまして、船舶の安全性ということを考えまして、これに対する安全法の法規の励行という点につきまして、船舶の検査或いはこれに乗組む職員の試験という法規の励行も又行なつておる状態でございます。
 以上の海上保安庁業務というものは、これは海上におきましては船舶というものが主体であり、船長が頭になつて船を運転しつつ画かれるところのあらゆる危険に対しまして、これらを一つの官庁に持つて行けば全部処理できるということを目的として設立せられましたもののように考えられるわけでございます。従いましてこの海上保安庁の精神というものは、海上保安庁法が改正せられない限り、この精神で進んで行くべきものと私たちは考えておるのでございます。なお我々といたしましては、この業務が、海上保安庁の性格というものは然らばどこまで行くかというような問題もございますが、少くとも現在国民が要望しておりますところのマツカーサー・ライン撤廃後、或いは拿捕船の保護というような問題につきましては、当然海上保安庁が行わなければならないものというふうに考えておるのでございます。こういう意味におきまして、海上保安庁は或いは昔海軍の一部でやつておりました機雷処理関係を行いますと同時に救難業務というような昔海軍で行なつておりました業務、或いは水路部というような業務を行なつておりますが、その根本精神はどこまでも人命の尊重ということを主体としたものでございまして、この精神を職員全部が非常に崇高な精神であると断定し、又それによつて職員が今の職責において嬉々として働き、自分の身を犠牲にしてまで進もうというふうに考えており、これによつて指導されて来ておるものでございます。従いましてこれらの点につきましては、将来におきましてどういうことになるかという問題につきましては、我々としてはどういうふうになるかはまだ聞いてございませんですが、現在の海上保安庁が運輸省にあり、海上保安庁の業務はこういうものだという確信を持つて部下を指導しておる状態でございます。
#8
○原虎一君 海上保安庁の二十七年度予算によりますと、七十三億円ですか、概算来るわけですね。十六億はまあ燈台、水路等の改修、増設に使うようでありますが、あとの五十七億円はどういう方面に使用されるのですか。いわゆる二十七年度の予算と海上保安庁の計画の大綱をお話願いたいと思います。
#9
○政府委員(柳沢米吉君) 海上保安庁の今御要求申上げておりますところの全予算は、約九十二億で、この九十二億の予算というものの内訳を申しますと、二十七年度におきまして、海上警備救難費というものがお手許にお配りしてあるのでございますが、中央といたしましては三億三千万円、海上保安費というのは四億三千万円、これは中央のあれでありまして、中央が全体として十三億五千万という要求になつております。その他管区海上保安本部という所では、海上における警備救難費としまして六十七億一千二百万、海上保安費としまして八億二千万、その他海上保安施設費及び爆薬処理費というものが付きまして、計として約七十八億七千万円というものが、地方の管区海上保安庁費になつておるのであります。これを合計しますと、約九十二億ということに相成りますが、只今お話のありました七十何億というものは、管区海上保安本部の海上における警備救難費、これの六十七億と、海上保安庁の中央における経費の三億三千万円、これを合わせまして七十億ちよつとと相成るわけでございます。これらの経費というのは、大体の内訳を申上げますと、この海上警備救難費という約七十億に匹敵するものは、現在の海上保安庁における警備救難部の費用及び航路啓開所の費用、これらとこれに対する総務系統の補給その他を行うものの経費というようなものを入れまして、これが全体で七十億というような数字になつて来るわけであります。従いまして御質問の約七十億に入りますものは、現在の組織におけるところの警備救難部、或いは船舶技術部及び航路啓開所というようなものの費用がこの中に含まれておりまして、その他海上保安費としましては、一般の検査或いは燈台の一部維持費、それから又水路業務の経費というようなものがこの海上保安費というものに相成つております。なお航路標識整備費というのは、以前は公共事業費に含まれておりましたものが、公共事業費を各省に分割するということに相成りましたので、いわゆる公共事業費の分として三億四千万というものがここに上つておるわけでございます。航路標識の災害復旧費もやはり公共事業費の一部のものでございます。
#10
○原虎一君 そういたしますと昨年度の警備救難費並びに航路啓開所費の大体と、本年度の大体と二十七年度のこの額との相違は数字的にどういうふうになりますか。
#11
○政府委員(柳沢米吉君) 前年度に比較いたしまして、前年度は本庁経費が二億八千万、管区海上保安本部が三十一億七千万、合せまして大体三十四億程度になりまして、増加分といたしましては、前年度に比しまして約三十五億程度の増加に相成つております。
#12
○原虎一君 その三十五億程度の増額でありますが、海上警備救難に当るためにどの程度の船舶、或いは増員を要するのですか。話に聞きますとアメリカから二千トン級の哨戒艇を借受けるというような、これは噂ですからわかりませんが、そういうこともして、そうして五千人ぐらいの要員を養成して行くというような話もありますが、大体そういう計画ですか。
#13
○政府委員(柳沢米吉君) この三十五億の内訳は、大体人件費として約六千人分の人間の増加というものを見込んでおるわけでございます。この六千人の人間というものは、これは海上保安庁の船舶増強に見返るものでございます。その船舶の増強計画というものにつきましては、只今お話のありました通り、一応日本の国家財政上から見て適船があるならば貸して頂きたいという交渉はやつておる状態でございます。まだその最終的の御返事は頂いておらないのでございます。
#14
○原虎一君 そういたしますと六千人の増は、これは大体決意をされておるのですが、それに要する借入船というものは数にしまして何隻か、凡そのトン数にしてどのくらいのものが必要なんですか。
#15
○政府委員(柳沢米吉君) この件につきましては現在その適船を探しておるわけでございまして、相手方におきましてもいろいろと都合もございますのでまだ最終決定に至つておりません。従いまして的確な数字はここに申上げられないのでありますが、大体の考え方といたしましてはこの六千人分ぐらいは何とかならないか。然らばその数字はどうかというお話になりますると、これは大きさその他で人数も違つて参りますが、大体におきましてアメリカ側の意向としてもこの辺までは何とかできるのではないかということを言つておりますので、この辺の人間的の数字だけは行けるのだ。それからこれに対するそれでは船舶の型とか隻数というものはどうかということでございますが、その点についてはまだ打合せをしておる最中でございます。
#16
○原虎一君 非常に問題がデリケートだから御答弁がむずかしいように感じまするが、理論的に言いますると、ちよつと我々には肯けないのです。六千人の増員をすれば、海上保安庁としてはどれだけのことをしなければ海上警備の充実を図れないということはお考えがあるわけです。それが今日の場合明確な御答弁がむずかしいということならば、又別な方法でも伺うといたしまするが、そういたしますと船は賃料はどのくらいになるのでしようか。船の賃借料金は一体トン当りどのくらいのものに見ておられるか。
#17
○政府委員(柳沢米吉君) この点につきましてはまだ、当然賃借料は払うべきものと考えられますが、いろいろの協定とのかみ合せ等があると思いまして、我々のほうではまだその折衝はしておりませんが、大体今のところかみ合せの都合上或る程度のものは払わねばならないのではないかというふうに考えております。
#18
○原虎一君 そこでこの借入れというものが不調に終つた場合にはどういうことになつて来るわけですか。
#19
○政府委員(柳沢米吉君) 海上保安庁といたしましては、先ほど申上げました通り、少くとも近い将来において五十トン以上の船舶三百五十隻というものを欲しいというふうに考えております。従いまして、来年度はいろいろ折衝しました結果、少くとも六、七十隻の船はどうしても必要ではないかということで、この六、七十隻の程度のものはどうしても要るであろうということで、この六千人というものが出て来ておるわけです。従いましてこの六、七十隻というものを然らばどういうふうにやるかというと、向うとの折衝のあれでございますが、若しもらえないという話がございましたら、向うとしても船の恰好その他で問題があるのでありますが、大体或る程度は借入れられるんではないかという考えでおりますが、若しこれが借入れられない場合には又予算措置その他をお願いしまして考えなければなりませんが、大体現在の状況では借入れられるものと考えておるわけであります。
#20
○岡本愛祐君 お尋ねしますが、この六千人の人件費は、警備といいますか、海上における犯人の捜査及び逮捕に関する職務、その職務に全部充てるのでありますか、ほかの業務にも充てるのですか。
#21
○政府委員(柳沢米吉君) この六千人分というものにつきましては、海上保安庁の全業務に充てるものと考えられますが、例えば燈台その他の補給というようなことにも充てるべきでございますが、併し主たる目的は何であるかというふうに考えますと、この六千人分につきましては、治安関係に使うものであるというふうに考えられるのでございます。
#22
○岡本愛祐君 では従来の定員の一万五千人でしたか、その中で主として治安関係に従事しているものは何人ありますか。
#23
○政府委員(柳沢米吉君) 現在海上保安庁といたしましては、いわゆる治安関係と言われております警備救難系統が海陸合せまして約七千名、それから航路啓開業務、爆薬処理その他に当つておるものが約千七百名ございます。これらが大体いわゆる治安関係のものではないかという考え方ですが、これに総務系統が約三百名、船舶技術、これは船を造るほうでございますが、これが八十七名、その他海事検査が四百八十七名、水路系統が七百名、燈台系統が千三百名、若し治安関係として強いて分けますれば、警備救難系統、航路啓開業務に教育関係を入れまして約九千名というものが治安関係に当るというふうに考えております。
#24
○岡本愛祐君 細かい御説明がありましたが、現在の一万五千名のうちで七千名を見たほうがいいのか、九千名を見たほうがいいのかちよつと疑問でありますが、とにかくそれだけの人が主として治安関係に当つておる、それに今度は六千名殖える、そうすると大体九千名を仮に取つて見ますれば一万五千名のものが主として将来来年度においては治安関係に当つて行くもの、こういうように言えると思います。そこで今度は船ですが、六千名殖やすために今御質問によつて明らかになりましたが、それは来年は六、七十艘が必要である、これは何トンを標準にしておられるのですか。
#25
○政府委員(柳沢米吉君) 我々の考え方といたしましては、現在の海上保安庁で一番欠陥がありますのは遠洋において、海洋の中央において難破船のあつたというような場合に、これを救助に行く船として最も大きいものが我々の持つておるのは七百五十トンクラスでございます。従いましてこれらの救助を行うために、この小さい船でやりますと、非常に船員が苦労しました上に、苦労した結果が余り如実に現われないということで、非常に苦労しまして人間の救助等に当つて成果を挙げておりますが、苦労の割合にかわいそうである、この点は若しこれに千五百トン級の船でもあれば、同じ苦労をして効果が非常に挙るのではないかというふうに考えられますから、でき得れば千五百トン級の船を或る程度もらいたいというふうに考えておりますが、同時に普通の業務に当ります三、四百トンの船も足りないのでございまして、このほうも併せて頂きたいというふうに考えております。
#26
○岡本愛祐君 そういたしますと、まあ千五百トン級のものを主として六、七十艘来年は、二十七年度においては増強をする、そうすると従来持つていたのがその治安関係に何艘持つて来られますか。今まで使つておるもので何艘主として治安関係として使えますか。
#27
○政府委員(柳沢米吉君) 現在いわゆる治安関係と称するものは隻数にしまして、先ほど申上げました通り補助巡視船を入れまして百二十三隻ございます。これは大体五十トン以上でございます。数字が多少違うかも知れませんが、大体百二十三隻ございます。それからなお掃海、いわゆる機雷処理その他に使つておりますものは五十トン以上が三十五隻、なお水路の測量船、これで五十トン以上のものが四隻、燈台その他の業務用船として五十トン以上が二隻、合せまして百六十四隻というものが海上保安庁の今年度末におきます全勢力でございます。
#28
○岡本愛祐君 先ほどおつしやいましたが、大体の海上保安、治安関係として百五十隻ぐらいが必要ではないか、これが大体現在許さるべき最低の治安関係に必要な船舶だ、こういうふうに了解するのでありますが、三百五十隻になつたときには、そうするとどのくらいの海上保安官といいますか、その人が必要であるか、ちよつと計算して見ると大体四万五千名ぐらいになるのじやないかと思いますが、その点はどうですか。
#29
○政府委員(柳沢米吉君) 只今申上げました百六十四隻のほかに、現在海上保安庁といたしましては小さい船が三百二十四隻ございまして、これらを合せまして約人員が一万三千近くございます。これが五十トン以上の船三百五十隻といいますと、約二百隻殖えるわけでございますが、船舶の大小によつて違いますが、大体我々の勘定いたしますところによりますと、約三万人というところが、その計画でやりましたときに出て来る数字ではないかと思います。
#30
○岡本愛祐君 大体それで人員の関係はわかりました。そうすると今度は速力の関係になりますが、只今十五ノツト以下ということになつております。その制限はどういうようにお考えになつておるのか、又聞き忘れましたが、そういう総トン数ですね、現在八万トンですが、それは来年度、二十七年度において幾らになると考えておられるか。三百五十隻になつたときには幾らになると考えておられるか。
#31
○政府委員(柳沢米吉君) 大体海上保安庁法で定められました現在の状況では、御承知の通り人員におきましても一万八千に制限されております。速力は十五ノツトと制限いたしております。一船の大きさが千五百トンの制限になつております。総排水トンが八万トンというところで制限されているわけであります。これに対しまして海上保安庁としましては、先ず早急に撤廃して頂きたいというふうに考えておりますのは、速力の十五ノツトというお話の点が一番大きく響いているわけであります。この制限は普通商船についてはすでに撤廃されているやに聞いておりますが、我々のほうだけが法に縛られているわけでございまして、これはできるだけ制限を早く撤廃して頂ければ非常に結構だというふうに考えているわけであります。なお人員におきましても先ほど申上げた通りでございますが、そのほか一つ一つの船についての制限、これはそう大きなものは私どもは要らないと思いますが、少くとも二千トン以上のものも将来できれば結構だというふうに考えまして、大体二千トン乃至二千五百トンくらいまでの制限にして頂いて、逐次お許しを得て使つて行くということにして頂けば結構なことと思いますが、これらにつきましては近く又その点の改正法律案を御審議願いましてやつて行きたいというふうに考えているわけであります。
#32
○岡本愛祐君 そういたしますと、今二千五百トン以下ということにして三百五十隻ということにすれば総トン数も殖えるということですね。
#33
○政府委員(柳沢米吉君) はあ。
#34
○岡本愛祐君 それでまあ速力は何ノツトぐらいがいいのですか、お考えは。
#35
○政府委員(柳沢米吉君) この点につきましては相当考えなくてはならない問題があると思うのでございます。御承知の通りに、今後船舶その他の速力が相当殖えて参ります。大きくなつて参りますので十五ノツトではとてもいけない。然らば何ノツトにするかという問題でございますが、日本の現在の最大難点は機関の製造状態であります。この機関の製造は一体どの程度まで行けるかということを現在研究中でございます。この制限を如何に大きくして頂きましても、実際問題といたしまして、できる船の速力というものがそれに追いつかない状態ではないかというふうに考えますが、幸いにして日一日と機関の製作も相当に力を入れて整備できつつある状態でございますので、それと睨み合せてのあれにしたいというふうに考えております。
#36
○岡本愛祐君 次に武器のことをお聞きしたいと思います。たしか海上保安庁法には武器の携帯を許されておる。又現在でも船に治安関係上武器を相当設備されていることと思うのであります。現在船に設備されておる武器並びに携帯している武器はどうであるか。又それをどの程度にする必要があるか。どういうふうにお考えになつているか。その点をお伺いしたい。
#37
○政府委員(柳沢米吉君) 現在海上保安庁といたしましては、海上保安庁法に許されております武器を携行いたしておりますが、なおこの点につきましては、現在ピストルを約五千丁借入れまして、これによつて各自が携帯して持つている程度に過ぎません。それ以外に何ものもない。ただ念のために申上げておきたいと思いますが、機雷処理はどうしても小銃で射たなければ非常に危険であるという考え方から、米側から数丁の機雷処理のための小銃を貸与されております。以上が大体海上保安庁の現在における武器の状態であります。なお将来に対してどう考えるかというお話でございますが、我々といたしましては、でき得れば今度の海上保安庁法の改正その他において御審議を願つて許して頂きたいことは、少くとも海賊船その他が相当に高スピードで、我々のスピードよりも速く、或いは同じスピードということだといつまでたつても捕まらないから、これらを停船させる処置ができるようなものを持ちたいというふうなことであります。
#38
○岡本愛祐君 先ほどお話がありましたマツカーサー・ラインの附近に出漁しておる日本の漁師がしばしば支那とかソ連側に逮捕されており、その保護が必要なんでありますが、そういう場合に今おつしやつたような武器では到底役に立たないのじやないかと思うのでありますが、その点はどうでしようか。
#39
○政府委員(柳沢米吉君) この問題につきましては、現在の状況で行いましても、巡視船が出ているということによつて直ちに本部との連絡その他ができると思うのです。従つて巡視船が出て常に警戒するという意味は、我が国の漁船その他が違法なことをやらないようにということが主目的であります。この違法をやらなければ、不法なことを向うもしないのじやないかという考え方から出発して行きたいというふうに考えておるのであります。
#40
○岡本愛祐君 そうしますと、まあ邦人が今までも余り違反をした者は少いだろうと思うのでありますが、マツカーサー・ラインの中で、マツカーサー・ラインの近くではあるけれども内側で漁をしておつたときに、不法に中共側又は北鮮又は韓民国、そういうところから引張つて行かれるということで、不幸を見ている例が非常に多い。そういうのはこちらから言えば不法ですが、マツカーサー・ラインは残るのかどうか、条約発効後ははつきりしませんが、条約を締結できない、平和条約を締結できない国との間には残ると仮にしまして、そうしてそのマツカーサ一・ラインの内側まで入つて来て、そういう船を引張つて行こうとする、或いは逮捕するというときには、これを防禦する手段は将来ともないのですか、どうですか。
#41
○政府委員(柳沢米吉君) この漁船保護の問題につきましては、農林省とも打合せ中でございますが、大体我々の観点といたしますと、海上において若し海賊行為その他を行いました場合には、一般商船も漁船もこれに対して正当防衛を行うことができると考えておるわけでございます。ましてや海上保安庁の船は、これは若し装備その他を許されたといたしましても、これらは武器にあらず合法に使う治安関係のものであろうと考えられるのであります。それらの船ができまして実際に日本政府としまして、どういう状況でどうなつているかということを把握しまして、これを的確なところを見まして、これによつて世の審判を仰ぐということはできるのではないかというふうに考えるわけです。
#42
○岡本愛祐君 お答えしにくい問題だろうと思いますが、これからそういう事例が頻々と起つて来ることだろうと思うのです。この点に対して何とか善処しなければならないのではないかと思うのですが、その問題はそのくらいにしておきます。そこでもう一つお聞きしておきたいことは、こういうふうに六千人も今度保安官が殖えるということになつて来ますが、そういたしましてこの海上の保安関係が大分充実して来るのですが、新聞の報道によりますと、横須賀、呉、佐世保、舞鶴、それに大湊という所が海上保安関係の基地になるというようなことですが、そういう関係はどういうふうにお考えになつておりますか。
#43
○政府委員(柳沢米吉君) 近く海上保安庁法の改正を御審議頂きたいと思つておりますが、この海上保安庁法の内容というものは、まだ最終的には決定しておりませんが、我々の考えておりますのは、でき得ればこれらの六千名というものは今御心配になりましたいろいろの海洋におけるところの事態というものにも備えたいというような考えの下に出発しております。従いましてこれらの訓練或いは目的というものは、でき得ればそういうところに使い得るような、団体行動のとり得るようなものにしておいたほうがいいのじやないか。又一方我々が考えますと、若し千五百トンとかいう船が借入れられましたとしたときに、これらの船を常時巡邏その他に使うと経費が非常に高まる、併しながら必ず年に十回や二十回は必要になるということを考えますと、この期間におきましてはできるだけそういう用途に使えるような訓練をやつておくほうがいいのじやないかという考え方を以ちまして、そういうような行き方をとりたい。それにつきましては、基地その他は、いずれ我々のほうとしては船舶が増強されるに従つて、基地も増加して行かなければならない。その増加の方法はどういう方法をとるかというふうに申しますと、今我々が考えておりますのは、できるだけ今既往として使つておるところを邪魔したくないということが一つ。第二に、さらばといつて新らしく基地を作つて金を使うということもこれもできるだけ避けたい。そうなれば現在できるだけ空いている所で施設の残つている所を使いたいという意味で、基地の選定を確立する場合にやつて行きたいということを考えているわけであります。たまたまそういう方針をとつておりますので、或いはお話のような点に来ておるかとも考えます。以上の方針であります。
#44
○岡本愛祐君 この基地の問題ですが、そういうことにまあならざるを得ないと思うのです。そこで今申しました五つの旧軍港として指定された基地といいますか、それが対象になると思います。そこに基地を設けるということが、日本全体の立場から見て非常にいいということになればそれで結構なんですが、そこを基地にせられるに当つても、今おつしやつたように商港としてもうすでに転換しておる所、又まだ転換してないけれども、転換予定地であつて、そして産業の発展に将来資する計画がもうでき上つているというような所は成るたけ避けて参りたいと思うのです。これは請願なんかもたくさん出ておるので、それは是非ともそうお願いしたいと思います。それから訓練所もだんだん必要になつて来ると思うのですが、今の大学とか、その下の保安学校とか、訓練所とかはどうなつておるか。又その拡充計画はどうなつておるか。それについて一つ。
#45
○政府委員(柳沢米吉君) 海上保安庁は、一般の中学卒業者をとりまして、これを県におきまして六カ月の訓練を行なつております。これは訓練所と称しておるわけでございまして、一回の収容人員が大体二百ということに相成つております。なお幹部を、中級幹部を養成するために、現在海上保安庁におる職員の再教育ということを考えまして、これが舞鶴に保安学校としてあるわけであります。この保安学校には一部、一年くらいの教育といたしまして、燈台、及び水路の学生を、高等学校卒業者をとつての教育も併用してやつております。なお現在東京に保安大学というものがございまして、一年の数が大体百二十を超えんとしておりますが、これが四年教育を以てやつて行く。で、この教育は保安庁の幹部養成というふうに考えておりますが、これらの人間は現在大学は一年でございます。来年二年ができるわけでございますが、二年ができると同時に宿舎及び設備が逼迫しておりますので、広島或いは呉方面に行くということで、呉のほうにその施設を今作りつつある状態でございまして、来年の初めには移り得るというふうに考えておるわけでございます。これらの人間の数でございますが、現在の海上保安庁の人数の状態から申しまして、大体現在の人数で以てどうやら賄つて行ける最低限度ではないかというふうに考えておりますが、若し逐次人間が殖えて参りますと、消耗率も出て参りますので、これらについてはあとで又御要求しなければならない事態が起るものとも考えております。
#46
○岡本愛祐君 そうすると六千名の新たに採用する人々も、今おつしやつた呉、舞鶴で充当ができるのですか。又佐世保とか、横須賀とかにそういう学校とか、訓練所を設ける腹案を持つておるのですか。どういうのですか。
#47
○政府委員(柳沢米吉君) 六千名増強いたしますと、これは短期に相当の人数を訓練する必要がございますので、これを現在あります学校その他でもやるといたしましても、施設その他は到底間に合わない。従いまして或る個所に集めまして、早急にこれが訓練を行うということをやらないと間に合わなくなるであろう。従つて来年度におきましては過渡的に基地で訓練を行うということが起り得るのではないかと考えます。
#48
○原虎一君 今朝の新聞にも出ていますが、拿捕船が非常に殖えておるようでありますが、昨年の八月以前と八月後の統計がわかつておりますれば、概略でよろしいですから御報告を願いたいと思います。それで今の二十七年度の計画が完成しますと、そういう拿捕を、今やられております拿捕のような問題がどの程度まで未然に防げるのか、そういう点の見通し等がありましたらお伺いしたいと思います。
#49
○政府委員(柳沢米吉君) 拿捕船の問題は、最も正確なるものは水産庁でございますが、我々のほうといたしましても、統計によりますと、甚だ申訳ありませんが、月別数字を現在持つておりませんですが、二十六年度においては百五十隻に相成つておるわけであります。二十五年度は六十八という数字でございましたが、二十四年度は七十三、この数字が二十六年に入りまして、急遽殖えまして百五十という数字に相成つております。二十七年の一月末までに、一月で大体十一隻という数字が出て来ております。これらの拿捕船の問題につきましては、いろいろの説がございますが、なお今後すぐなくなるかと申しますと、なくなるとは申上げにくい状態ではないかというふうに考えられます。従いましてこれに対して海上保安庁としてどういう処置をとるかということでございますが、先ず第一に海上保安庁といたしましては、現在の巡視船がそこへ適宜に出て行けない状態にありますので、それは百マイルの航行制限ということがございますが、これを直ちに講和発効後は撤廃して頂き、これによりまして巡視船が常に出て行けるという状態にすることが先ず第一着手ではないかというふうに考えております。これによりまして先ほど申上げました現状をはつきり政府として把握し、そうして若し不法のことがあれば、その不法に対して抗議を申込むということが最も緊要なことではないかというふうに考えております。これによりまして多分相当の効果が挙げ得るものではないかというふうに考えている次第であります。
#50
○原虎一君 拿捕船は主として日本海面にあると想像するのでありますが、今の報告は大体日本海面が殆んど全部でしようか。又はこの南のほうもありますか。それから二十六年において非常に激増した、まあ倍以上に拿捕船が殖えているのですが、その原因としてやはり朝鮮動乱等が影響しているのですか。その点の御見解はどういうふうに……。
#51
○政府委員(柳沢米吉君) 大体お話の地区の問題でございますが、地区としましては二十六年度の約百五十隻のうち三分の一、五十三隻というものは中共方面に拿捕されたものです。なおそのほかに韓国が拿捕したものが四十三隻、ソ連関係がこれが大体四十七隻というような数学になつておりまして、その他残りの約七隻というものは国府軍によつて拿捕されたという数字になつております。これらの原因につきましては、後ほど申上げたいと存ずるのでありますが、諸種の事情があるというふうに考えられます。
#52
○委員長(西郷吉之助君) ちよつと速記をとめて。
   〔速記中止〕
#53
○委員長(西郷吉之助君) 速記を始めて。それでは只今大橋国務大臣が御出席になりましたから、海上保安庁を中心として、この治安機構の改革の構想について御説明願いたいと思います。
#54
○国務大臣(大橋武夫君) 只今私の手許におきまして、警察予備隊及び海上保安庁の機構の一部を統合いたしまして、新らしい保安関係の機構を設けるということについて研究をいたしております次第でございます。この状況について、只今御質問がありましたのでお答えを申上げたいと存じます。
 この新らしい機構というのは、政府で考えておりまする行政機構の全面的な改革の一環といたしまして研究をいたしているものでございます。その要点は、只今申上げましたるごとく、警察予備隊並びに海上保安庁の一部を統合することによりまして、特に国内治安の面におきましても、実力的な部分を統合することによつて、一元的にその使命の達成を図るような組織にいたしたい、こういうことがこの目的でございます。で、これを作り上げます際におきまして、現在警察予備隊におきましては、警察予備隊本部長官、又警察予備隊総隊総監、こういう二つの機関がございまして、それぞれ権限を分担いたしまして、警察予備隊の管理並びに統制を行なつているのでございますが、この機構を新らしい機構におきましてもやはり踏襲して参るということが必要であると考えております。これが実際の指揮とそれから政策的な指導とを如何に統制して行くか、そうして実力を持つ部隊の統制を常に政府の完全なる統制下におくということが眼目となつているわけでございます。只今官制上におきましては、内閣総理大臣が最高指揮者であり、その指揮を受けまして予備隊本部長官が全面的な管理権を持つているのでございまするが、特に予備隊令におきましては、内閣総理大臣が国務大臣の一人を指名いたしまして、自己の権限を代行せしめるということになつているのでございます。で、この新しらい機構におきましては、原則として主務大臣が長官になるというような考え方、即ち国務大臣を長官とする機構にいたしたい、こういう考えで研究いたしているのでございます。それと同時に実力部隊でございまするところの予備隊、或いは海上保安庁のこれに相当する部分に対する指揮命令というものを、常に政府並びにその代表者の手に権限を確保するということを眼目にして、この機構を研究いたしているわけでございます。この要点は、結局において実力ある部隊の活動というものが、国民の代表者でありまするところの国会乃至は政府というものによつて如何によく統制されるか。又統制されることを保証し得るか、これが重点であると、こう考えまして、この点に特に意を用いて構想を練つている次第であります。従いましてこれらの点を考えまして、新機構におきましては、主務大臣を直接に補佐いたしまするところの内部部局を設けるのはもとよりでございまするが、それと同時にこの部隊に対する指揮権を持つところの機関、これは現在警察予備隊におきましては、警察予備隊本部長官及び警察総隊総監、こういう制度になつておりまして、この間の指揮権の所在というものが明確を欠いておりまするので、この辺をはつきりいたすと同時に、それについての政府の責任ある指揮のできるようなやり方にいたしたいと、かように考えております。大体考え方といたしましては内部部局に対しまして、警察予備隊というものと、それから海上保安庁の特に自衛力に関する部分、この二本建にいたして参りたいと存じております。この点につきましては、海上保安庁関係の部分と予備隊関係の部分を、どちらも実力部隊でございまするから、これを統合いたしまして、一つの指揮官の下に統制するという考え方も考え得るのでございまするが、只今これらは二つ切離して、別個の指揮官をおくということが実際的でもありまするし、又統制の上においてもよろしいのではなかろうかと、こう思つております。それからなお一番今問題となつておりまする点は、指揮官を文官にするか、或いは制服職員にするかという点でございまするが、この点につきましては、法制の上においてはでき得る限り制服職員でない人に指揮権を与えるような機構を考えたいと思つておるのでございます。それからもう一つの問題といたしましては、現在海上保安庁は御承知の通りに船舶の検査或いは船舶技術員、即ち海員の技術試験であるとか、こういつたものも仕事としていたしておりまするが、この部分、即ち船体並びに海運に関する検査試験等の仕事は新らしい機構に持込まないほうがよろしいのではなかろうか、こう存じております。
 それから特にそのほかの一般的な仕事といたしましては水路、燈台、それから警備、救難こういつた仕事があるわけでございまするし、又海上保安庁の今日の時局に即応するところの使命といたしまして更に進んだ仕事も考えられておりまするが、この新らしく増強される部分は新機構に持込むことが適当であろう、こう思つております。中間的な部分即ち水路それから警備、救難、燈台これらの仕事につきましては、新機構に持つて来るほうがいいか、或いは現行のまま運輸省に残すがいいか、この点が非常に慎重な研究を要するものであると、こう考えておりまするのでなお結論を得るに至つておりません。私といたしましては、先々週にこの仕事につきまして政府部内におきまして責任を負うことになりまして以来、先週は海上保安庁並びに警察予備隊の関係機関の事務当局の間で、新機構についての基礎的な問題について共同研究をお願いいたしたわけでございます。これは大体先週一ぱいで終了いたしまして、その結果について今週報告を受けましたので、これらの材料を基礎といたしまして、只今私の手許において研究を続けておる次第でございます。できるだけ早い機会に新らしい構想の骨組みを決定いたしまして、閣内において意見を調整いたしますると共に、関係方面又国会の皆様の御批判を仰ぎまして、確定的な案を得るようにしたい、こう考えております。
#55
○岡本愛祐君 今大橋国務大臣から御説明がありましたことにちよつと不審があるのです。それは最後におつしやつた水路、燈台、警備救難というような部門は新機構に入れるか又は運輸省にそのまま残しておくか未定であると承わつたのですが、そうすると警備も運輸省に残すということはわからないのでありまして、その警備部門が即ちこの自衛部門になり、それを又拡大して行くと、こういうことじやないのでありますが、その点はどうなんですか。現在の機構においては警備救難というその警備部門がいわば一種の自衛に当つておるのだろうと思うのですが。
#56
○国務大臣(大橋武夫君) 誠に御尤もな御質問でございまして、現行海上保安庁の官制におきましては、警備救難以外に自衛的なものはございませんわけでございます。従いまして政府といたしまして、只今新たに拡充を準備いたしておりまするものは、現行官制の上におきましては確かに警備の事務の一部だと思います。ただこの部分は使用いたしまする船舶或いは乗組員の訓練等におきましても多少現在のものとは趣きを異にいたしまする点がございまするので、これを別個のものとして取扱つて行くことが適当であるか、或いは現在の警備救難の部分と一緒に取扱つて行くことが適当であるか、これは只今政府部内におきましても研究中に属する重要な問題でございます。従いまして先ほど私の申上げました点は、この在来の警備救難の事務と新らしい事務とを異なつた単位として組織をするかしないかということが第一の問題でございます。一つの組織にいたしました場合には、それを切離して別々にするということは当然あり得ないことでございます。従つてそれぞれ別個に組織を持つということになりました場合において、この二つの組織を両方とも新機構に持つて来るべきであるか、或いは又一部は現状のまま残すべきであるか、こういう問題が第二段にあるわけでございまして、どの部分におきましてもまだ結論に到達いたしておりませんので、それで先ほど申上げましたような御説明をいたしたわけでございます。詳しく申上げますると只今申上げた通りでございます。
#57
○岡本愛祐君 海上保安庁法の第二条に、海上保安庁の現在やらなければならない事務として、いろいろありまして、海難救助、海難の調査、それから海上における犯罪の予防及び鎮圧、海上における犯人の捜査及び逮捕、以下いろいろあるのです。そこで問題になるのは、私は警備救難部とありますが、警備のほうはこれは勿論新機構のほうに持つて行かなければならん、きまりきつている。そうしなければこの自衛のための今度の新機構と、それと別に運輸省のほうに海上における犯罪の予防及び鎮圧のために警備部を持つて行くことはナンセンスだ。だから問題のところは海難救助や何かの、そういう救難部といいますか、それを運輸省におくか、新機構に持つて来るかということが問題なんで、警備のほうは当然新機構に持つて行かなければならんと、こういうふうに考えますが、間違つているでしようか。
#58
○国務大臣(大橋武夫君) 只今岡本先生のおつしやいましたような考え方は、確かに一つの考えであると存じます。ただ新らしく保安庁の任務の増強ということを考えますると、平常時におきまする業務のほかに、緊急事態に際しまして我が国の商船の護送でありまするとか、或いはそういう際におきまする平常時と又異なつたところの海上の警備、警戒でありまするとか、或いは掃海作業であるとか、そういつた特殊な仕事があるということも考え得るわけでありまして、この点はあたかも陸上におきましても平常的な警察事務のほかに、警察予備隊が組織されておりまする理由となりますような非常事態的な仕事があるわけでございまして、この非常事態、海上における平常的な仕事と非常事態的な仕事を一つの組織に統合すべきであるか、或いは陸上においては一般警察と警察予備隊がそれぞれ異なつた組織に組織されている。それと同様に別個の組織にしておくほうが実際上便宜であるか、こういう問題が実は只今起つているわけでありまして、その点につきましては、なお私といたしましても慎重に研究を重ねて参りたいと存じております。
#59
○岡本愛祐君 そこで私は申上げたいのですが、今おつしやつた、どうしても警察的のことは運輸省に残しておいたほうがいいというふうにも、陸の警察と今の予備隊の関係と同じように考えればそうなるというお説だろうと思います。併し私はそのときには海上の警察と申しますか、海上における警備もこれはやはり陸の警察と一緒にする、そうして元やつておつたような警察事務にすべきであるというふうに考えるのですが、その点はどう考えますか。
#60
○国務大臣(大橋武夫君) これは私現実の能力の問題も大分ありはしないかと思います。陸上警察が地先水面に対して警察権を及ぼして行けないという理由は私毫もなかろうと思います。現に戦前、或いは戦後におきましても警察制度の改正までは、いわゆる水上警察というものがあつたのでございます。今日におきましても河川の故障等におきましては水上警察が認められているわけであります。海上における水上警察という観念が成り立たないということは断然ないと私は考えております。ただ警察法改正の際におきましての措置が、或いはどういう事情でそうなつたかは私詳しく存じませんが、現実の問題といたしまして、今陸上の警察においては必要なる舟艇を持つておらないのでありまして、それも殊に海上ということに相成りますと、いわゆる昔の水上警察程度の船で間に合わない部分もありはしないか。無論瀬戸内海でありますとか、東京湾でありまするとか、そういう内海におきましてはそう大きな船も要りませんが、併し太平洋、日本海、或いは支那海等におきましての警備警戒ということになりますと、どうしても相当な大きな船が要る。これは地先警察に普遍的に持たせるということは到底不可能でございまするから、且つ又各県々の地先によつて区別するよりは、むしろ統一的に持つておりまして、一元的に管理運営するということのほうが適当であろう、こういう点で結局陸上の警察の海上における任務を認めましたる場合におきましても、その補充的な意味合いにおきまして、何らか現在の海上保安庁のやつているようなそういう機関が要るのではなかろうか、まあこう思うわけであります。
#61
○岡本愛祐君 この問題はこの両機構の統合の問題について重要な点だと思うのです。で、私は陸上における自衛ということと海上における自衛ということと少し本質的に違つて来ているのじやないかと思います。それは陸上におきましては、常に警察というものがあつて、そうして犯罪なんかを取締つて行く。それから陸上の警察の手におえないならばこの予備隊が出て鎮圧をしてくれる、そうすると海上のほうについて言えば、まあ領海の範囲においては自治体警察、これは従来とも海上保安庁と共管で今の警察法においても水上警察をやり得るが、ところが国家地方警察のほうはどういう意味か知りませんが、進駐軍のほうからのいろいろの指導で、自分の領海の所についても水上警察を持つてないということに現在なつております。そうして今度の機構の海上保安の関係、つまり自衛の関係を新機構に持つて来るとしまして、海上には何も領海だといつても住民はいないのですから、敵が攻めて来るまではそれじや海上保安のほうは何もしないかというと、そうは行かない。やはりこの警察任務を常にやつておらなければこれは不経済でしようがないのですね。犯罪のほうはすべて陸におくとか、運輸省のほうでやるのだとかいうことになつて来ると、これは非常に不経済なことになると思います。だから領海には住民はいない。まあ漁業したりなんかする人はおるでしようけれども。だからこれは新機構における海上保安と、それから運輸省にあるこの海上保安庁の残るものと、それから警察と三重建てになるなんといつたらもう大変なことになります。それでやはり私は海上保安、今度の新機構に行くその海上の自衛は、まあ第一次的にもそういう密入国なんというものはそのほうの任務にせられて、そうして地先の関係はもう国家地方警察でも、自治体は勿論のこと、やはり水上警察もやり得るとか、こういう両建にしなければ、まあ又海上保安庁が、運輸省の海上保安庁が介在するということは非常に複雑なことになると思います。その点をよく御考慮願いたいと思います。
#62
○国務大臣(大橋武夫君) 只今の岡本先生の御意見は誠に深い御研究の結果であると存じまして有難く拝聴いたした次第でございます。先ほど申上げましたるごとく、私といたしましても、この問題はなお研究中に属しているのでございまして、御意見等も十分に考慮いたした上で最後の決定をいたしたいと、かように存ずる次第でございます。ただこの海上保安庁の警備部門を含めまして、全面的に新機構に統合いたした場合におきましても、新らしく増強される部分と、現在ありまする海上保安庁の警備部門との使用いたしまする船舶というものは、その性能、種類等が大分違つております。従いまして特に緊急時における海上警備ということを眼目といたしまして、新らしく拡充されまする船舶につきましては、その乗組員の訓練につきましても特に意を用いる必要があるわけでございまして、これらの点を考えまするというと、経常的な仕事につきましては、一応経常的な組織というものを持ち、もとより経常的な仕事でありましても、その時と場合に応じまして、本来の船舶だけでは不十分な場合におきましては、無論あるものでございまするから新らしい部分から応援をするということは当然でございまするが、併し新らしきものに経常的な仕事を当然受持つ義務があるというふうな建前にいたしますることは、警備の点においても又乗員の組織、訓練というような点におきましても大分難点があるというようなことも聞いておりまするので、果してどういうふうにこの二つの関係をするのが適当であろうか、この点を私といたしましても慎重に研究をいたしているところでございます。
#63
○原虎一君 大橋国務大臣にお尋ねしまするが、今御説明の研究されている、即ちまあ仮称治安省というようなものは今度の国会に必ずお出しになるのですか、その点をはつきりお聞きしたいと思うのですが。
#64
○国務大臣(大橋武夫君) 大体私といたしましてはそのつもりで研究を進めております。
#65
○原虎一君 まあ過去のことを言うわけじやありませんが、この前あなたの構想で、ゼネスト禁止法とは申しませんが、そういうものを、法案を出そうとして研究を自分の手許でやつておられるというお話がありましたのですが、それがまああなたはおやめになりましたけれども、それが出なくなつてほかの暴力行為のような法律に変つて来るようなことになつた。今度はまあそういうことはないと思いますですが、今の御答弁だとこの国会に必ず出すということは言明できないというような状態なんですか。
#66
○国務大臣(大橋武夫君) もとより政府といたしましては、この点について未だ閣議において決定したわけではございません。併し諸般の情勢を考えまして、この国会において法案を出すことが私としては必要でもある。そういうふうに考えておりますので、只今の研究におきましては、是非今国会中に提案をするという気持を含めて研究を進めておる次第であります。
#67
○原虎一君 もう一点、先ほど海上保安庁長官から説明を聞いたのですが、いわゆる二十七年度においては、保安官六千人を訓練して米国から船を借入れて海上警備の任に当るという二十七年度計画と、今大橋大臣の言われました海上保安、海上警備に当るものとは別個な、いわゆる陸上における予備隊的なものとするということは、同じものですか、別のものですか。その点を御説明願いたいと思います。これは長官のほうがいいのですが。
#68
○政府委員(柳沢米吉君) 先ほど御説明申上げました、現在交渉中でございまするが、借り得られるか借り得られないかということははつきりわかりませんが、これらの船艇によりまして、只今国務大臣からお話がありました訓練その他の様子が違うではないかというお話は、同じものと考える。
#69
○原虎一君 そうですと、先ほど私は、三十数億円の二十六年度予算よりか増額して六千人の保安官を養成して、そうして船も相当トン数のある船をアメリカから借入れて作るというのは、その保安庁としては海上警備と救難に常に当るというものではないということになりますと、今の海上警備の不十分なところを何によつて補つて行くかという、別なこう疑問ができて来ます。その点をもう一つ御説明を願います。
#70
○政府委員(柳沢米吉君) 現在海上保安庁といたしましては、先ほど来申上げました通り海上保安庁のほうにおきましてはこの趣旨で進んでおります。而も先ほど申上げました通り、来年度においてどうしても六十隻も七十隻も必要である。この目的はできるだけ現在のものを目的として進んでおるわけです。ただ先ほど申上げました通り、今後海上保安庁といたしましても漁船の保護その他をやるためには、相当の団体的行動をとる必要があるのではないか。この目的のために訓練その他も多少違う点もしなければならんではないか。なお一方これが使途に当りまして千五百トン級以上のものを常に巡邏させるということは経済上から見ても不経済である。従つてこれらが用のない時には或る程度繋留するという期間もあるだろう。その期間にはいわゆる訓練をするのが至当ではないか。併しながら現在の保安庁といたしましては、海上保安庁そのものを主体として全部考えておる。それ以上は政府におきましていろいろ構想があるわけでありますが、その目的その他によつて借りられることがあるかどうかという点は、私たち今官吏としましては、与えられた任務について十分考えるという意味で、その意味で行きたいと思います。
#71
○岡本愛祐君 大橋国務大臣が来られて、今御研究中の仮称保安庁の機構について御説明のあつたことと、その以前に海上保安庁のかたが見えていろいろお尋ねしたことと大分食い違つています。これはよくその間に御連絡がまだないようでありまして、ここで責めることはできないと思いますが、どうも非常に割切れない点が多くあります。大橋さんの御構想であれば、今海上保安庁で考えていられるほかに、やはり戦力類似なものが必要なんだということにどうもなりそうなんでありまして、どうもその点釈然としないところがあるのですが、まあ政府としても御連絡がないようですから、よく一つ御研究になつて頂く。我々は予算の説明としては柳沢さんの説明をお聞きするよりほかに仕方がない立場であります。これで私の質問は終ります。
#72
○石村幸作君 先ほどの海上保安庁長官の話と大橋国務大臣の説明にちよつと食い違いがある。これはどうもそういうふうに思えたのですが、先ほど柳沢長官からもアメリカから船を借入れてというお話があつた。そこで先ほど大橋さんがおつしやつた非常事態に処して出動する海上の実動部隊、こういうふうなものにお使いになる船というのは、先ほど柳沢長官の言つたのとは趣きが違うようにも御説明があつたのですが、大橋国務大臣の今の御意図、この船の非常事態に出動するとおつしやつたその海上の実動部隊と申しますか、これの船型とか、トン数とか、まあそういうふうな内容を、大よそ構想がありましたらちよつと御発表を願いたいと思います。
#73
○国務大臣(大橋武夫君) 実は海上保安庁長官のお話を私伺つておりませんから、果して食い違つておりますかどうか私には判断が付きかねまするが、恐らく私の申上げました新らしく増強される保安庁の部分というものと、それから柳沢長官の言われました六千人の増員並びに米国より貸与される船舶というものは、これは同じものを指しておるのではないかと思います。ただこれの考え方といたしまして、これらの船というものの中には、もとより小型の船舶でございまして、そうして海上保安庁の現在やつておりまする平生の業務に直ちに役立ち得るものもあることと思います。併し大型のものに至りましては、柳沢長官も言われましたように、常時巡邏せしめるということは極めて不経済でもありまするし、適当でないという種類の船もあるわけでございますが、併し日本の国内治安ということを考えまするというと、現在のような平常事態的なことばかり考えてやつて行くということもできないのでございまして、場合によりましてはそれ以上のことも考えておかなければならない。そうなりますると、やはり海上における非常事態に対応するところの措置ということにつきましても、政府としてはやはり考える必要があるのでありまして、もとよりこれは日本が戦争するということではございませんので、ただ戦時的な事態が海上に起りました場合において、海上交通ということを日本といたしましては是非確保するような考えをしなければならない。そうした場合において漁業なり、海上交通、こういうようなことを確保するための準備ということも考えなければならない。こういうことを考えまするというと、この新らしく増強される部分というものは、平常的な任務と同時に、さような新らしい任務を持つわけでございまして、これも併し、いわば海上における警備並びに国内治安のためでございますから、広い意味においてはやはり警備というものであろうと思います。併しその警備の中に二通りの意味がございまして、専ら平素の密入国とか、或いは密漁の取締、そういうことのほかに、只今申しましたような海上における非常事態における治安の確保ということのための任務もあるわけでございます。こう思うわけでございます。従つてこれは警察的目的ではありまするが、そこに多少のニユアンスがありはしないか。そのニユアンスという点を非常に力を入れて考えますると、全然違つたもののように観念しなければならない場合もありましようが、併しこれを両方合一して今日海上保安庁においては御計画になつておるのではないかと私は思うのでございます。そこで新機構を作ります場合において、この二つの面を現在のように一体として管理して行くということも一つの方法でありまするし、強いてその機能のニユアンスという点に着目いたしまして、これを別個の組織として作り上げるということも一つの方法であろう。どちらの方法がよろしいかということを今研究しておる、こういうことを申上げたつもりでございます。
#74
○石村幸作君 今の大橋国務大臣の説明と、それから柳沢長官の説明はよくわかるのですが、長官は現在の機構を本にしてのお話で、大橋国務大臣は、将来の治安の機構の改革、これを本にしたお話しだから、当然これは食い違う、食い違うというのではないのですが、そういうような説明になるのでしよう。そこで大橋国務大臣の今研究しておる構想の下にできたならば、海上の非常事態、こういうような場合にどんな船をお用いになつたほうがよいのか、これは大よその御構想があると思いますから、お漏らしを願います。若し速記が要りませんでしたら……。
#75
○国務大臣(大橋武夫君) 速記をとめて下さい。
#76
○委員長(西郷吉之助君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#77
○委員長(西郷吉之助君) 速記を始めて。では大部時間も経過いたしましたから、本日はこれにて終りまするが、明日午前十時より木村法務総裁の御出席を求めまして、首都警察や警察法改正の構想並びに最近に頻発しておりまする治安関係の事件等について政府当局の説明を求める予定にしております。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時二十五分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト