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1951/03/13 第13回国会 参議院 参議院会議録情報 第013回国会 地方行政委員会 第16号
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1951/03/13 第13回国会 参議院

参議院会議録情報 第013回国会 地方行政委員会 第16号

#1
第013回国会 地方行政委員会 第16号
昭和二十七年三月十三日(木曜日)
   午前十時四十一分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
三月六日委員曾祢益君辞任につき、そ
の補欠として小泉秀吉君を議長におい
て指名した。
三月七日委員館哲二君辞任につき、そ
の補欠として三浦辰雄君を議長におい
て指名した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     西郷吉之助君
   理事
           堀  末治君
           中田 吉雄君
   委員
           石村 幸作君
           高橋進太郎君
           岡本 愛祐君
           原  虎一君
           林屋亀次郎君
           石川 清一君
  国務大臣
   文 部 大 臣 天野 貞祐君
  政府委員
   地方財政委員会
   委員      木村 清司君
   地方財政委員会
   事務局長    荻田  保君
   地方財政委員会
   財務部長    武岡 憲一君
   地方自治政務次
   官       藤野 繁雄君
   文部省初等中等
   教育局長    田中 義男君
   文部省管理局長 近藤 直人君
  事務局側
   常任委員会專門
   員       福永與一郎君
   常任委員会專門
   員       武井 群嗣君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○北海道地震の災害に関する件
○地方行政の改革に関する調査の件
 (義務教育費国庫負担制度に関する
 件)
 (地方財政に関する件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(西郷吉之助君) それでは只今より開会いたします。
 本日は予定といたしまして義務教育費の国庫負担の問題並びに地方財政白書について、政府当局から説明を求める予定でありますが、本日それより前に本会の堀理事が先般の北海道震災に対して党からいち早く現地に行かれましたので、本日堀理事より先ず北海道の震災の状況についてお話を承ります。
#3
○堀末治君 丁度五日の午前でございましたが、幸いこの委員会がございますので、北海道の震災について当院の決議でどなたか調査の委員の派遣を願いたいということをちよつと開会前にお話申上げた。そうこういたしておりまずるうちに私の自由党本部から私にも至急に行つて来いとこういう命令を受けたので、実は急遽委員会にも出かけませんで参りました。そのときには非常に司令部のほうでは今度の北海道の震災については関心を持たれ、同情を寄せられて如何なる便宜でも図るから、こういうことでわざわざリツジウエイ司令官から吉田総理に対して、何か政府のほうでそれがために自分のほうの援助を必要とすることがあればできるだけの援助をするからと、こういう申込があつたのだそうであります。そんなことで急遽総理の意向といたしまして、野田建設大臣に行つて来いとまあこういうことであつたというので、大臣と一緒に司令部の好意で軍用飛行機で午後二時羽田から飛んで参りました。丁度千歳に着きましたのはその日の五時でございましたが、道庁当局等もおりましたし、先発の衆議院議員諸君もおつてあれやこれやと混雑しておつた最中であります。なにさま一番被害の中心地であります釧路方面に行く交通路が絶えているので、その問題についていろいろ調査して、最初行きますときにはヘリコプターがあるのでそれで現地を見るということでありましたが、向うへ参りますとヘリコプターがない。特に東北海道には戰時中あつた飛行場は全部こわしてしまつたので飛行場もない、こういうことでやむを得ず陸路で行くよりほかないということで、その晩の九時十分の臨時列車で釧路へ向いました。丁度その晩の九時十分札幌を立ちまして釧路に着きましたのは五時半でありました。大分時間も遅れまして途中見舞やら何やらで汽車が混雑しておつたことは御想像できることと思います。最初釧路が非常にひどいということを聞いていつたんで誠に困つたことだと思つて行つたのです。だんだん次から次と来る情報を見ますと釧路は意外に被害が少いということで、これは誠にいいことだと喜んで行つたのでありますが、果して釧路は行つて見ますと非常に被害が少いのであります。当時私は大臣とは離れて丁度翌日の交通の関係でどう御案内するのがいいかというようなことで、私は海上保安庁へ行つて船の手配をいたしておつたのであります。そんなことで釧路の被害は大臣と一緒に被害個所を一々見ては参りませんでしたが釧路は意外に少うございました。あすこの岸壁が亀裂が入つたりして非常にこれは厄介な仕事でなかなか釧路自体でもできないし、個人会社ですが冷蔵庫などが立つているのがゆがんだりしている、その損害も莫大でもありますし、なお又非常に復旧にはいろいろと困難を感ずることと思つて見ましたが、ただ被害は非常に強震でありました割合に少なかつた。その特異とするところは建物が破壊したものが非常に少い、同時に火事が殆んどなかつたということであります。聞くところによれば、九カ所とも聞きましたし十一カ所とも聞いたのですが、火事は出ることは出たけれども消防の手配が非常によくて全部消しとめた、僅かに二戸くらいの火事でとめた、こういうことで、この点は関東の震災あたりと比べて非常に幸いだつたと存じます。ただしこの原因はいろいろあるのでありますが、一つには北海道の人が地震となれば何がこわいかというと、火事がこわいというところから、火に対する関心が非常に深いので、わざわざ燃えているストーブを抱えて表に逃げ出した。私のちよつと訪問した所も実はストーブを抱えて逃げた、こう言うておりました。こういう点はただひとり釧路ばかりではございませんので、私が歩いた所でも非常にそういうのがございましたが、それは又あとで申上げます。とにかく火事を起しては大変だというので、非常にその被害を消しとめたことは特色のあることで、普通の震災にはめずらしいことだと思つて喜んで参りました。それと同時に北海道は建物が皆雪の関係で瓦を載せておりません。そんなことで頭が軽いものですから、大分ゆれたけれどももうつぶれる寸前まで行つたけれども、要するにつぶれずに済んだというのが特色であります。殊に北海道は雪がありますものですから、大体建物の資材が非常に丈夫に立ててあるというようなのが、丁度今もう春でありますから雪がなくなつて頭が軽くなつている。その建物が割合に丈夫な資材の太いやつを立てているというところからつぶれるのが少なかつた、こういうことであの大地震でも殆んど被害が少なかつたということが今度の震災で非常に仕合せだつたと思つて見ました。
 それからあそこに美唄の炭鉱あたりの埋没のために死者もございます。或いは十條製紙あたりもいろいろなことで作業が行き悩んでおつたということでございますけれども、これらのものもすでに復旧しておつた所もありますし、復旧に近い所もあつた。そんなことから表から見えない内部の損傷が意外に大きい、つまりおれはひどい目に会つたという姿はなくてなかなか損害が多かつたということであります。
 それから翌日は幸いに海上保安庁で船を出してくれまして、霧多布という所へ参りました。これは今度の震災では一番ひどいということで是非見てもらいたいというので、最初は汽車で行こうと予定を立てておりましたが、汽車で行つてもそこから下りて被害現場まで約八キロ行かなければならないという海岸の貧村であります。そんなようなことで到底汽車では行けないという所で、予定もございませんので、海上保安庁にいろいろ交渉いたしまして、幸いに千歳飛行場に着くと同時に、交通の状況が惡いものですから、知事にも話して、海上保安庁の本庁のほうにも話をするし、大臣からも場合によつたら船の便宜を図つてほしいということを申出ておいたために、海上保安庁では私が丁度いろいろ話をしているうちに本庁のほうから指令が参りました。三そうある警備船のうち、二そうがドツクに入つて一そうある、殊に今度の被害のためにあちらこちらと不眠不休で飛び廻つて非常に疲れているのだが、折角のことであるから船を出しましようということで、翌日九時半に船を出してもらい、四時間で霧多布に往復しました。あそこに写真が出ておりますが、これは漁村でありますが、寒村というか、貧村というか、非常に貧しいところでありますが、丁度函館と同じように岬の突端で、前側のほうは琵琶瀬湾という湾で、反対側には浜中湾という湾がある、その岬の突端の所にある漁村でありますが、丁度この琵琶瀬湾の沖というのは、私も知りませんでしたが、北海から流れて来る流氷がその辺まで流れて来て、やがて黒潮の関係でその沖でぐるぐる廻つて溶けて流れている、こういう所だそうであります。そんなことで、丁度その沖合に流氷がまごまごしている所に津浪が来たのでありますから、先ず琵琶瀬湾を通つて全部流氷を陸へ押上げてあすこにたくさん見えている。私は北海道に生れて今日まで六十年以上も住んでいるのでありますが、東海岸はともかく西海岸では流氷を見ることすら少いのでありますが、流氷が陸へ押上げられて被害をもたらすなどということは本当に初めてであります。殊に今度の地震は北海道としては五十八年目だそうでありまして、この前の三陸大津浪のときに相当の被害があつたそうでありますが、何しろ古いことでありますから人口も稀薄であつたために損害が余り大きくないので、今日まで騒がれておりませんが、古い人は丁度五十八年目だとこういうことであります。そういうことでこの霧多布というのがおよそ被害の半分は全部この流氷と津浪によつてやられている。而もこの水は三度ほど浅い所で往復したと、こういうことで、これは誠に目をおおうような惨状でありまして、丁度大臣が行つたものですから、そこの相当の年輩の人、六十四になるという人ですが、この人のごときは三陸の津浪に会うてここへ逃げて来た、ここへ来て又この津浪に会うてすつかり殆んどもう何もなくなつておりまして、説明を聞くと涙なくしては聞かれないような状態でありました。まあこういう状況でありまして、これが一番ひどいということでありました。そんなことで、そこでいろいろと聞いて参りましたが、やがて船を、これはどうも地図がよくわかりませんですが、霧多布というのはここです、釧路と根室境です、余り平素知れておりません。釧路がここで、厚岸というところがあるのですが、そういうような状況で、これは本当に気の毒な状況であつたけれども、ここにも大分写真に出ております。
 それから厚岸のそばに床潭という所があります。厚岸から少し離れた所ですが、やはり津浪の歩いた道と見えて、随分ひどくなつているからこれも是非寄つてほしいということでありましたが、遺憾ながらこれは時間の都合で省略いたしました。
 やがて釧路に戻りまして、その晩夕食をしてすぐ又船に乗込んで、十勝の広尾という所に参りました。その沿岸が大分やられているのだそうでありますが、交通路が全部駄目なので陸路は到底行くわけに参りませんので、船で広尾に参りました。ここが震源地でございますからここらが一番やられるはずだと思つて参りましたところが、意外にもこの辺が多少建物の亀裂その他はあるけれども津浪なんかも来なくて岸壁もやられなかつたと、こういうことであります。ここでおよそ二時間を費しまして、襟裳を越えまして浦河に行きますと、ここが又意外にひどくやられておりました。ここは津浪は少うございましたけれども、地震がなかなかひどかつた。ここは火事はお蔭で出しませんでした。ここの特色として皆様方に御報告申上げておきたいのは、この浦河の新らしい高等学校でございましたけれども、地盤が脆弱なためにもう全部ゆがんでしまつて本当のつぶれる寸前でとどまつている。それで火事も何も出さなんだということは、ここの生徒が非常に勇敢で、これは是非記録にも残しておきたいのですが、向田浩という三年生の十七になる人だそうでありますが、火事を出しては自分の学校を焼くというので、すべてのストーブを抱いて外へ出した。それで手を燒いたという、非常に毒の毒なことをしました。もう一人藤江彰という人も、自分の教室のストーブを出して、まだ足りないで、又あとのストーブを出して、二つのストーブを出したと、こういうことで非常に火事に気をつけた。丁度その隣に赤十字の建物があるのですが、防火の壁があつてまさに倒れる寸前のような状況でありました。そんなことを見ましてそれからずつと又これを通つて参りましたが、到る所被害がありましたが、何しろ時間がありませんで、浦河から鵡川という所へ寄りまして、そうして苫小牧で泊つて苫小牧の状況を聞いた。これは昔の王子製紙で今苫小牧製紙と申しておりますが、相当な被害を受けておりました。それからその翌日千歳へ行つていろいろなことをまとめて札幌へ帰つたと、こういう状況でございます。
 従つて、余り被害地がいためられないために被害が意外に少い。大体ちよつと見たところは少い。これは百億くらい、多い人は二百億くらいだということでありましたが、道庁の概算によりますと百五十四億七千四百万円くらいということに積つております。ただ併しあの当時雪がありますものですから雪の下になつているところの情勢は殆んど把握できない。殊に交通がまだ通じませんので到る所行つておりません。現に広尾にはできるだけ関係の町村の人が集まつてほしいということをあらかじめ連絡したのですが皆参りません。まだ調査もできない。池田と豊頃だけ参りましたが、池田の町長のごときはまだ興奮がさめないという状況で報告がございました。そういうような概況でありまして、一番急を要する問題の食糧は工合よく行つております。殊に釧路のごときはあすこのCICが千人分からの食糧を放出してくれるというようなことで、意外に、食糧に困らないかと思つておりましたが、食糧には困つておりませんでした。まだ困つておりましたのは衣料に困つておりました。幸い北海道庁といたしましては、飛行機を軍から借りて上から毛布を投げたというようなことが、大分そういうようなことで急速に働いてはおりましたけれども、まだ寒い中を水に洗われたものですから衣料には非常に困つておりました。そのほか復旧としては、いずれ細かいことは申上げますけれども、学校は随分多いのであります。どこもこの附近は割合に北海道としては古い所でございますので学校が皆古くなつている。新らしい学校でも三十六年、四十年、四十二、三年たつているという学校が多かつたので、学校は大分やられているので、これが非常に大きい被害でございました。今日は文部大臣がいらつしやることで恐らく御報告があることだろうと思いますが、これらの復旧については、單なる災害の起債などということでは容易なことではない。実はこんなことに思つております。なお又細かい数字は今も道庁からそろえて、あとで又大臣のお話でも済みましたら詳しく申上げたい、かように存じます。大体さようなことで私の見て参つたことはそんなことで概括であります。
 その後政府のほうからもそれぞれ行つておりましようし、幸い国会からも特別な視察調査団をお出し下さつたことですから細かいことはなおそれによつてわかるだろうと思うのです。私はできるだけ早く概況だけを御報告いたしたい、かように思いまして、大臣と一緒にこれも又司令部の好意で特別な飛行機を仕方てもらつて、九日の晩こちらのほうに八時に着いた、かようなことでございます。大体こんなことで、なお又時間がございましたら詳しく申上げることにいたします。
#4
○委員長(西郷吉之助君) それでは北海道のことについての話を終ります。
  ―――――――――――――
#5
○委員長(西郷吉之助君) 文部大臣も御出席になりましたから、本日の予定であります義務教育国庫負担の問題についてこれよりお話を承ります。
#6
○国務大臣(天野貞祐君) 御承知のように、義務教育費が平衡交付金の中に入つておりますとどうしても教育費が他の費用に転用される慮れがある。従つて義務教育費を確保するということは早くから誰でも考えていることで、すでに二十四年の二月に閣議決定になつたことでございます。それから又参議院で以てこういう決議をなさつたことも皆さんも御承知かと思いますが、念のためちよつとここに朗読いたしてみますと、
   二十五年四月二十九日
  義務教育費確保に関する決議
義務教育の完全実施は、憲法上の義務に基くものであり、平和国家再建のための根幹国策である。本院が、第五国会において、六・三制教育制度完全実施に関する決議を、全員一致可決し、政府を督励鞭撻したのも、この趣旨からである。
 しかるに、六・三制実施に必要な予算の計上も極めて不十分であり、右の決議も未だその成果を期待し得ず、義務教育費確保の完全保障が困難な状況にあることは、まことに遺憾である。かくては、教育の機会均等の理想は実現されず、教育界に多大の不安と動揺を招来し、ために、六・三制教育に暗影を投ずることは、火を見るよりも明らかである。
 この事態に対処し、政府は速かに、憲法に規定する教育の機会均等と義務教育無償の原則に基き、少くとも最低の義務教育費を確保するために、万全の措置を講ずべきである。
 右決議する。
 二十五年四月二十九日の参議院の御決議があつたのでございますが、私どもは今日まで引続いて爾来この線に向つて努力をして参つたわけでございますが、そういうようにして参りましたけれども、閣議の決定にもかかわらずこれが成立せず、参議院の御決議にもかかわらずこれが今日まで成立しないという間の消息については、私はここに詳しく述べることをいたしませんけれども非常に遺憾なことだと私は存じております。このたびどうかしてこういう義務教育というものを確立したいということから、私どものほうで一つの国庫負担制度を考えましてこれを司令部に研究しもらいましたところ、CIEでは非常にいい案だ、是非これを実現するようにせよ、ESSも、これはいい案だ、GHQも結構だ、こういうことで、私どもはこれを是非一つ成立させて国の義務教育というものを安定いたさせたい、そういう考えに基くものでございます。
 その趣意とするところは、要するに義務教育費の安定でございますが、それをよく全額国庫負担というような考えがございますが、併し全額国庫負担というようなことは、一方から言うならば、地方民の義務教育に対する関心を薄くするとい難点があり、他方から言うならば富んでる府県をも経済力の弱い所をも同様に扱うというような不公平が起つて来る。半額国庫負担についても同様な不公平が起つて来る。でありますから現在地方が負担している程度のことを地方が負担して、その他は皆国で以て負担するという一つの案を考えました。これによつて義務教育を確立することができると同時に、却つて地方の財政をも安定させることができるのではないか、こういう考えから、今お手許に差出したようなことを考えた次第でございます。
#7
○委員長(西郷吉之助君) なお今の文部大臣の御説明に敷えんするあれがありますればこの際お願いいたします。
#8
○政府委員(田中義男君) 只今大臣からお話がございましたような趣旨でいろいろ用意をいたして参つているのでございますが、なお重ねて大体の考えを申上げたいと存じます。
 なぜ義務教育費の国庫負担制度を確立しなければならないかという点については、只今もお話がございましたようなことでございまして、この義務教育の一定の規模と内容についてはこれを国が補償する責任がある。かような考えから、その財政的な点につきましてもその裏付をいたさなければならないと考えました。
 そこで現在の平衡交付金制度の下において義務教育費がどんな状態であるかと申しますると、当初の平衡交付金制度の理想にもかかわらず、実際は義務教育費の傾向は誠に好ましくない現状になつて参つておりまして、例えば教員の充足状況を見ましても、教育費国庫負担制度がありました最後の年度におきまして、かようなドツジプランによる超均衡予算によつて非常な削減を受けた年でございますけれども、その年に比しましてもなお低下をいたしている現状でございます。それから教員の給與につきましても大部分の府県において低下をいたしておりますと同時に、非常な不均衡を来たしている現状でございます。かような現状でございますので、各地方における教育関係者等につきましても、何とかこの際根本的な対策を立てなければ、地方の教育行政はその財政面の上からいつて破滅するというような声が澎湃として起つて来ている次第なのでございます。而も平衡交付金そのものの増額ということが非常に困難な現状でありますために、従つて義務教育費の予算額は非常にそのために圧迫を受けている現状でございます。而も平衡交付金制度の中におきましては、ただ單に、その定められた予算額の中においての操作をするという結果になりますので、従つて、教育費のみの水準の向上、或いはその安定ということは期し得ない現状でございます。
 かようなことから考えましたのが、義務教育費国庫負担制度として、今回準備いたしたような次第でございまして、その構想について簡單に概要を一応申上げますと、義務教育に要する標準的な所要経費を法律で算定できるようにいたします。で、そのうち最も中心をなしております教職員の給與費につきまして、理論的に適正学級数を推定いたしまして、これに応ずる所要の教職員数が必ず得られるようにいたしまして、その給與費を適正に算出する方法を法律を以て定めました。
 次に学校の維持運営費につきましては、過去におきまする実績と、なお理論的に研究をいたしました教職員の給與費に対しての一定の比率を得まして、大体只今では三五%と考えておりまするが、その一定の比率によつてこれを確保いたします。それによつて、しばしば問題になつております多額な寄付金とか、或いは又将来は進んで義務教育費、一般の教科書、学用品その他等の支出も無償でできるようにいたしたいという理想をも考えているわけでございます。
 次に学校の施設費でございまして、これは理論的な適正学級数を基礎といたしまして一学級四十五坪、これは小学校の児童一人当り〇・九坪、中学校につきましては一・二八坪と考えておりまするが、さような坪数に時価による坪の單価をかけまして、出て来またし建築費の所要額の総数を算定いたしまして、それを四十年の耐用年数で償却するという考え方で毎年度分の費用を算出いたします。
 かようにして一応地方における義務教育費を算定をいたしまして、他面この義務教育費につきまして、地方の財政力によつて負担できる額を定めます。これを地方負担可能額といたしまして法律で定めます。その基準は、大体都道府県につきましては、おおよそ従来の実績によりまして、義務教育費の半額を持つという限度で、その二分の一程度を算出してみますと、おおよそ国税でありまする所得税の、その都道府県分の一九%に当るようであります。そういたしますと、一応所得税を標準にしてその一九%、或いは又所得税以外に、事業税を標準にしてもよろしいかと考えております。その程度を都道府県の負担可能分といたしまして、市町村につきましては、これも従来の実績と、現在平衡交付金によつて国庫は補償いたしておりまする現状から算定をいたしまして、大体現在の固定費産評価額の千分の五を基準といたしますればそれに相当いたしますので、一応千分の五と予定をいたしております。かようにして出ました地方の負担可能額と、先に申しました義務教育費の額との差額を出しまして、その残余の差額を国が補償する、かように考えております。但し、二十七年度につきましては、すでに予算も確定しようとしているときでもありまするし、一応現在の平衡交付金において予定いたしております教育費に対する国家の補償、これを限度として臨時的な措置を考えて行きたいと思つております。これが大体その構想の概要でございまして、これによつて地方の義務教育費は財政的には国の補償によつて確定する、進んで地方の行政も財政面において確定されることと考えております。
 ただ、私どもの考えておりますこの制度について二、三の反対もあるようでございまして、それらについて考えますことは、私どものこの案が地方自治に干渉し、これによる中央統制を強化するのではないかという事柄であります。これについては、私どもが、ただ今回の案は国の財源補償の目安を求めるに過ぎませんので、従つて、その定められた額についての支出義務を地方に課するわけでございません。又義務教育費の算定基準及び国庫の負担金の配分基準は、これは法律で定めるわけでございますから、必ずしもこれによつて中央統制を強化するということにはならないと考えております。
 次に、本案によりますると地方行政の総合運営を妨げるというようなことも聞くのでありますけれども、現在地方財政において、非常に圧迫を加えておりまする義務教育費を別箇に財政補償をし、而もその支出を強制しないということがどうして総合運営を妨げるのであろうか、非常に疑問に思うのでありまして、私どもは、むしろ地方の行政をもつともつと円滑にするものであろうと考えております。
 なお次に、私どもの案によつては地方の財源はプラスにならんでないかというようなことも聞きます。併し、従来の実績によりまして、御承知のように、或るものは平衡交付金制度からはずされたものもございます。それらの実績を見ましても、平衡交付金制度から離れましたほうがより以上伸びているのでありまして、マイナスどころか逆に本案によつてプラスになるものと考えている次第でございます。以上説明を附加えて申上げます。
#9
○委員長(西郷吉之助君) それでは只今岡野国務大臣も見えますが、まだお見えになつておりませんから、只今までの説明に対しまして御質疑を願いたいと存じます。
#10
○高橋進太郎君 先ほど文部大臣の御説明の中に、本案の提出せられた一つの理由として、或いは根本理由として、昭和二十四年に閣議決定になり、或いは参議院の決議等にも、いわゆる義務教育費というものは現在の平衡交付金の中にあつて、ともすればそれが確保されないという形があるということで本案を提出されたというお話があつたのでありますが、どうも我々の考え方からいたしますると、問題はむしろそこにあるのではなくて、現在例えば教員の年末賞與の問題でも、年末賞與に対する財政的な責任者というものが一体地方にあるのか、国にあるのか、言い換えればたびたび経験いたしたのでありますけれども、一般公務員に対して仮に一ヶ月の年末賞與をやる、それを知事と交渉をする、知事は平衡交付金の増額という形でそれが来ないから、どうもこれは国へ行つてやつてくれ、国へ行つて話をすると責任者は一応それは知事であるから、それは公共団体の長である知事と交渉すべきだというふうな工合で、言い換えれば義務教育というのはいわゆる昔の寺小屋式では許されないので、全国的に或る一定の標準の下に全国画一的に行われて、而もそれが義務的に行われているというのにかかわらず、それがすべて地方の財政的な責任においてやらなければならんというところに私は問題の焦点があると考えるのであります。従つて問題の本質は、そういうような全国画一的にやらねばならん義務教育というものの最終的な財政負担者を国に置くのである、国の責任に置き換えるのであるというところに問題の本質があるように思われるのでありますが、若し文部大臣の先ほどのお話のように、平衡交付金がともすれば義務教育についての確保ができないものだからという観点であるならば、私は現行の平衡交付金というものの或いは運営なり、或いは基準なり、或いはその間に若干の枠をつけて、その枠については或る一定の監督基準を設けるとか、そういうような形で目的が達せられるような気がするのでありますが、その点の本案の持つ本質的な御説明についてもう一度大臣の御所見をお伺いしたいと思うのであります。
#11
○国務大臣(天野貞祐君) いろいろの理論があるにしても、現在のようにしておけば日本の国の中にいろいろなアンバランスができて来ている。二十四年度より三十六年度のほうが経済の点からいつても、教員の密度からいつても、つまり俸給や密度からいつても非常なアンバランスが起つて来ている。併し義務教育というのはそういうものでなくて、国が最終的責任を持つべきものでそういうアンバランスができるというのでは困るので、こういう点を直して行こう、それにはどうしても国が最終責任者として全部をやつて行かなければならんという点では、今おつしやつた通りであると思います。同時に義務教育費というものがちやんと確立されているためには、私はやはりこれを別にしなければ、いつでも他のほうに流用される慮れがあると思うのです。余り卑近なことでございますが、個人の生活でも非常に苦しい中で子供を教育しようというなら、貯金を別にしておく、財源を別にしておくというのでなければ、どうしてもこれが確立されていないという、そういう二つの観点を持つております。そういうことであります。
#12
○委員長(西郷吉之助君) なおこの際申しそえますが、天野文部大臣は文部委員会に呼ばれておりますので、この際文相に対する質疑を先にお願いいたしたいと思います。
#13
○中田吉雄君 お伺いしますが、これは一応こういう案が考えられているというわけなんですか、本国会に御提案になる予定でありますか。その点はつきり一つお伺いしたい。
#14
○国務大臣(天野貞祐君) 出したいと思つております。
#15
○中田吉雄君 天野大臣並びに政府委員のかたから御説明されましたようは、日本再建の基盤である義務教育を財政的な面から十分援助する、こういう趣旨については了承し、非常に同感の意を表するわけでありますが、平衡交付金制度ではそういうことができないと言われていますが、私から見ますると、こういうふうになつたのは日本の再軍備とかその他のことで、全体の平衡交付金の枠が少いからそういうふうになつて来るので、文部省の天野大臣或いは岡野国務大臣或いは吉田内閣全体とされて平衡交付金の枠を拡大され、そうして平衡交付金の計算の測定單位につきまして地財委のほうと話がつきさえすれば、殆んどこういう問題は解決できるのではないかというふうに考えるわけでありますが、例えばこれにもありますが、義務教育費を平衡交付金からはずさなければならない理由として、その第三番目に配付税のようにたくさん来ないというようなことを掲げてありますが、これは私もこの点は絶えず言つているのですが、配付税の際には法人税と所得税総額の百分の三三上四、そういうふうに出ていますから非常によかつたのですが、現在そういう規定がありませんために、これは單に教育費だけでなしに、殆んど地方財政に国の財政難が全部しわ寄せされてしまう。若し配付税のように百分の三三としましたら、本年度の所得税は六千幾らでありますから、少くとも二千億近い配付税乃至平衡交付金が来てさえおれば、こういうことはないわけでありまして、第一次的にはやはりこの配付税の総額を増大しながらなお地方自治全体の総合計画に支障のないようにするのがいいのではないかというように考えるわけでありますが、どうしてこの平衡交付金制度では文部省が申されているようにこういうことが織込まれないのですか。
#16
○国務大臣(天野貞祐君) 私の考えでは教育費というのは、これを精密に計算することができますけれども、他の費用は各府県でやるいろいろな事業は、それははつきりと計算し出すことはできないのでそこには非常な伸び縮みがあると思うのです。それだからしてどれだけ出せばそれでもう教育費は必ず確保できるのだというようなことは、非常にたくさん出たらばできるかも知れませんが、現在の日本の事情ではそういうことは非常なむずかしいことであつて、むしろこれをはずしておいたほうがものがよく成り立つという考え方でございます。
#17
○中田吉雄君 私はしつこいようでありますが、只今政府委員が説明されましたような義務教育費の国庫負担制度の概要というようなこういう方式を平衡交付金の計算の測定の單位に入れてしまいさえすれば、そうしてそれにふさわしい総額の決定がなされれば、私はそういうことにはならぬのではないか、というふうに考えるわけです。特に全国で一番貧乏な自分の県のことを申上げて恐縮ですが、鳥取県でも私は三ヶ年間県会議長をやつていましたが、鳥取県には物の生産もできんので、せめて人の教育なりを十分やつてその面から補わなければいけないというように思いまして、国から来ている以上にかなりこの面では全国でも相当高い水準までやつて来ているわけでありまして、そういうことがまあ今非常に中田なんかのまいた種が大変なことになつたと言つて荻田局長から叱られているわけですが、そういうふうにやつているので、これは全体の額の問題で、私はやはり天野大臣の教育に対する熱意を吉田内閣全体に反映して少くとも相当な額を、配付税のときのように法人税と所得税の百分の三三・一四とは言いませんが、相当そういうものをこういう計算から出された額をしてもらえれば、そう産業経済費とかその他に流用する、これは市町村でありましたらなお弱いのですが、現在では私はそういうことはなされないのではないかというふうに考えますが、文部省とされて平衡交付金の計算方法に基いて出された額が他のほうに流用されているような県があるでございましようか。そういう点がありましたらそういう問題とからんで御説明を。
#18
○国務大臣(天野貞祐君) 初めに私が大体のことだけお答えしておいて、あとは事務当局に答えさせたいと思います。
 私は只今申されたようなことも御尤もだと思うのです。初めの標準義務教育費確保の法律案というものはまさに今中田さんのおつしやつたようなことだと思う。ところがこれが閣議できめられて、参議院において決議案が出てもそれがなぜ実行されなかつたかと言えば、中央が地方のことに干渉をしてはいけないという原理論からそういうことが成立たなかつたのであります。その点も一つの重要な点であつて、そういうことを考えても私は成立たないということが今までの経験なんです。けれどもそのほかにそういうようにしても論者の言うところによれば教育費を流用できるからいいのだ、平衡交付金はそこに特徴があるのだ、そういうひもを付けるということでは特徴がなくなつてしまうと、こういう論もあるのでありまして、今おつしやつたような点で確実に確保できるというならそれも一つの考え方でございますが、私はそれはできないから改めてこういう考えを出したわけでございます。なお私には大体のことを御質問頂いておいてあとは事務当局から一つ答えさして頂きたいと思います。
#19
○中田吉雄君 それでは大臣もお急がれるでしようから。そういたしますといずれ出るわけですが、大体いつ頃御提案、必ずお出しになりますか。最近吉田内閣はいろいろ行政改革その他出ておりますが、途中でいろいろありますが、大体いつ頃はつきり御提案になる御予定でありますか、わかりましたら一つ。
#20
○国務大臣(天野貞祐君) 今まだいつ頃ということをはつきりここで申上げるところまで参つておりません。
#21
○原虎一君 関連してですけれども大臣にお伺いしますが、今の御構想についての閣議決定はなされているのでありますか。
#22
○国務大臣(天野貞祐君) 閣議決定は先に二十四年の二月に標準義務教育費確保ということはもう閣議できまつておりますからその線に行くことには誰も反対をしないだろうと私は考えております。
 それから又現在のままでいいかというと、現在のままではもう事実だんだんに日本中にいろいろなアンバランスが出て来て、このままではいかんということは教育を本当に心配し、教育をいろいろ関心から離れて冷静に考える人のすべて承認するのではないかと私は思うのです。だからこの際私は日本の教育という立場からすべて考えたいと思うのです。そういう意味でこの趣旨については閣議で反対されるかたは私はないと思う。
#23
○原虎一君 大臣の御意思であるとか信念ということについては別に疑いを持つわけではないのでありまして、一つの機構が決定したかせんかということは我々の考えを決定する上において非常に重要な参考になりますからお伺いしているわけでありまして、新しく本国会でこういう構想に基く法律を出すということについて改めて閣議にかけられたわけではないというわけでございますね。
#24
○国務大臣(天野貞祐君) さようでざいます。
#25
○原虎一君 よろしうございます。
#26
○岡本愛祐君 大臣のいらつしやる間にお尋ねしておきたいことは、第一に標準義務教育費確保に関する法律案というのが昭和二十四年高瀬君が文部大臣のときに出て参りましてこの委員会でも一応説明を聞き、又それに対するいろいろの質疑応答をやつたのでありますが、その法律案と今度の義務教育費国庫負担制度とどういうふうに違うのか、その点をお伺いしたいと思います。
#27
○国務大臣(天野貞祐君) いずれ事務当局から詳しく述べると思いますが、私はこういう点で違うと思つております。即ち若しも義務教育費国庫負担の制度でなく従来で参りますと、計算をしたものを義務付けるという点において原理的に言うと、中央が地方の財政にひもを付けるということになつております。この原理論で私どもは反対されて来たのです。併し今度のはそうでなくして、それから出してしまつている、且つ地方に義務を付けないという点が違う。それから又従来のやり方であるとどうしても教育費が地方財政というものを圧迫すると思うのです。併し今度はそれを出してしまうということになれば教育費によつて地方財政が圧迫されるということはない、そういう点が私は重要な点だと思つております。
#28
○岡本愛祐君 今日は大体私どもの意見を言うことは控えまして、御説明を伺いたいという意味でお尋ねするのですが、私、意外に思うことは、このシヤウプ勧告からひいて地方行政調査委員会議の勧告というものが国会にも出ております。その線とこれは非常に離れたことじやないかという気がするのです。それはなぜかというと、国庫からの補助金制度というものは成るたけやめよう、そうしてそれを地方財政平衡交付金制度に変えるのだという、こういう根本方針を今立てつつある。ところがこれだと又平衡交付金制度からはずしてしまつてそうして補助金制度でやるのだという、まあ逆行したことになる。文部大臣のお考え方はわかります。今御説明になつたのはわかりますが、そういう大変革を又やつて行くと地方税法に関する地方財政平衡交付金制度というものが破壊をされて行く、こういふううに思うのですがその点はどういうふうにお考えになつているか。
#29
○国務大臣(天野貞祐君) この今のままではどうしてもいけないということは、私は冷静に今の教育を考え、教育の実状を知つている者で反対される人はないのではないかと思います。現に全額国庫負担にしたほうがいいということは地方長官の決議でございます。市町村長もそれを決議している。それに比すれば、この案のほうが遥かに緩和された案だと思うのです。だから若しも平衡交付金制度に対して修正を加えることが惡いというならば、地方自治を担保されているかたが率先して言われるというところに、やはり今このままではとうていいかんということを明らかにしていると思うのです。私どもの線はそれより遙かに緩和された線であつて、全額やるとか国が全部というのでなくして、地方と共にこれをやつて行こう、こういう考え方でありますから、その平衡交付金制度とは離れますけれども、併しこれが今のままではだめだということをよく証明していると私は思うのです。
#30
○岡本愛祐君 今の地方財政が非常に苦しいので、この教育のみならず警察も消防も又土木工事のほうも全部圧迫をされている。それでほかのをぜいたくに使つて、そうして教育費だけが惡くなつているということではないのであつて、どれもこれも足らん足らんでやつて来ている。まあそれは先ほど中田さんからお話のありましたように、地方財政平衡交付金の総額というものが足らないということからも来ている。併し平衡交付金のほうだと、皆一連託生で、苦しいときには皆節約して行くということができるのですが、こういうふうな制度にされると、まあ一番大事なのは教育だからそれは仕方がないのだといえばそれまでですが、この点少し教育だけは特別だということも言い切れないんじやないかと思うのですが、私は決して教育をおろそかに考えているのではありません。最も大事なものの一つであるということは考えているのですが、その点はどうですか。
#31
○国務大臣(天野貞祐君) 私は教育だけが大事だとは思つておりませんので、一般の国民の生活というものが大事だとは思いますが、併し国を盛んにするためにはよほど苦しい思いをしても教育をやることがよいのだ、現に商大の学長である中山さんなどは教育ほどの投資はないんだという論をされている。私は必ずしもそういう投資のためということではございませんけれども、そういうことから考えても私はよほどの苦しい思いをしても教育だけははつきりとさせて行くということが国家の将来のためによいことではないか。一軒の家におつても教育を子供にして行くということは非常に苦しいけれども。自分の収入を特別に教育のためならわきにとつておいてやつて行くということは誰でもが経験していることで、そういうことを努めてするような国とか家とかが栄えて行くのではないかという考えで、決して教育だけがよければいいといつた考えではございません。
#32
○岡本愛祐君 私は二十四年度の標準義務教育費確保に関する法律案のときにはこの委員会で反対が多かつたんですが、私の立場としては、それは一つの考え方だ、今天野文部大臣がおつしやるように、教育というものは最も大切なものの一つだから、これは確保に関する法律案というものはよく考慮してみなければいかんという立場に立つておつたんですが、併しそれはやはり平衡交付金の中での作業であるのであります。ところが今度は平衡交付金からすでに飛び出してしまつて別扱いにしようというところに私は大きな疑問があるのではないか。文部大臣はむしろこのほうが地方財政を圧迫しないのだ、こう言われますけれども、これもこれからよく研究してみますが、所得税の一九%に相当する額をちやんと取つている。又固定資産税の而も評価価格の千分の五に相当する額というとこれは大変な額です、これも取つておくというふうなことになりますと、これは地方財政が非常に圧迫されるという結果に私はなるのじやないか。平衡交付金の中で按排できるものであればいいのですが、そうじやない、国庫の関係で。今申したのは少し当りませんが、どうも私はその点不安に思うのですがそういうことはないでしようか。
#33
○国務大臣(天野貞祐君) 私はこの平衡交付金から拔き出したという点も、ほかに抜き出されているものも、生活保護法なり重大なものが数項目あります。ですから教育を出すということが原理的には惡いとは言えないと思います。
 それから又地方を圧迫するかどうかという点については、岡本さんなどはエキスパートでございますから一つ研究をして頂きたいと思います。私は何でもこの案さえよければいいという考えではないので、もつといいのがあつて日本の義務教育をちやんと確立できてもつといいのがあるならどういう案でも虚心坦懐に聞こうと言つて、実はCIEに対してももつといいのがあつたら示してくれと言つたところが、これが一番いい、非常に研究したと言われているのです。
 そういうのとそれから一方においてはいろいろな議論はそれは勿論できましようが、事実このままではいかんということは教育を本当に心配する人が誰でも認識していることじやないか。だからしてここに今のままではいかん、このままではいけないのだ、併しこれを救うにはこうしたらいいのだといつて私どもの案よりもつといいの案を出して下さるかたがあるなら、私どもは虚心坦懐に聞こうと思つているわけでございます。私はこういうことについては素人でございますから、皆さんのようなエキスパートのかたに本当に一つ虚心坦懐に政党政派を離れ、或いはどういうどこの省だとかどこのセクシヨンだとかいうようなことでなしに、本当に一つ日本の教育のために御研究を頂きたい。そう考えるのであります。
#34
○岡本愛祐君 私ども勿論そういうつもりでやりたいと思つております。又やらなければならんと思つておりますが、今例に挙げられた生活保護法関係は、地方財政平衡交付金制度から除かれた、それで教育もいいじやないかとおつしやるが、教育費が占める割合と生活保護法の占める割合とは比較にならない大きなものであります。こういうことをすれば平衡交付金制度というものはもうそれこそ考え直さなければならんという私どもは立場に立たなければならんのであります。そこで折角二三年やつてみた制度をこの際もうやめてしまうというところまで掘下げて考えないと問題は解決できない。まあ今日はこまかいことはまだ研究しておりませんので、お尋ねするところまで行つておりませんが、まあそのくらいのことを文部大臣にはお尋ねしておきます。
#35
○石村幸作君 大臣に質問しますが、大体皆さんから御質問があつた。私も皆同じような関心を持つておりますが、殊に平衡交付金でやつた場合には、富裕なつまり恵まれた財政の殊に市町村は義務教育費としては国からもらつてないわけです。ところで、これで行くと今までもらつていなかつた恵まれた財政の市町村もやはりもらうわけですか。そういうことになると財政的関係はどうなるのですか。
#36
○国務大臣(天野貞祐君) そうならないのがこの案の特色だと思つております。例えば全額国庫負担というようなことになれば、どんな富んでいる例えば東京都のような所も全額もらい、非常に富まない、鳥取県のような所でもやはり全額もらうということになると非常に不公平になるということが、私どもがこの案を考える一つの点です。勿論それだけでなくして、この義務教育というのは地方民の関心がなければならないという二つの点から、こういうことを考えているわけでございます。
#37
○石村幸作君 お急ぎのようだがちよつとどうも今のお話、ふに落ちないのですが、平衡交付金に含まれて配付する場合には、裕福な市町村はもらえないのです。県の場合は別ですが市町村はもらえないのです。もらうべきものでももらえないのです。ところがこれによるとそれが各平等にもらえるということになる。そうすると国の財政上どんなことになりますか。
#38
○国務大臣(天野貞祐君) 私はそうならないと思いますが、あとからそういう細かい点を事務当局に一つお尋ねになつて頂きたい。私は府県が全額国庫負担というようなことになればそういうことになるけれども、私どもの案のように地方の財力に従つて地方が出し、現在地方が出しているくらいの金を出し、残りは国が出すというようにやつて、富んでいる所には出さない。貧しい所に国が出すというようにやればそういうことはないと私は思つております。又今ここでは所得税のどれだけとか、固定資産税のどれだけとか言つていますがただこれは標準を示すのであつて、必ずその税によつてやるという案でも何でもございません。そういうようにして地方の経済力に従つて地方が出しあとを国が見るというならば、今おつしやつたようなことは私はないのではないかと思います。併しあとから事務のほうの者によくお尋ね頂きたい。
#39
○高橋進太郎君 文部大臣にちよつとお伺いしたいのですが、どうも先ほどから文部大臣のお話を聞いていまして、いわゆる義務教育に関する財政というものを、どういう方法でもいいから確保したいというのが念願なのか、或いは義務教育というものは、これは国の行政事務だから、言換えるならば今の平衡交付金では、これはいわゆる平衡交付金の中にある限りにおいては一応地方の事務なんで、それではどうしても今の義務教育の本質上工合が惡いので、これは国の事務なんで、その理論からいうならば一体全額国庫負担であるが、地方も応分の教育費を出して寄付してくれ、寄付と申しますか或いは分担金をしたらいいじやないか、財政的な負担をしたらいい、こういう御所論なのか、その点をはつきりお伺いいたしたいと思います。
#40
○国務大臣(天野貞祐君) それは今おつしやつたような、国が最終責任を持つということが根本のことであります。併しそれには財政というものが確立されなければそういう国が根本の責任を持つことができないのでありますから、私はその二つの原理は矛盾するものではなく補うものだと考えております。
#41
○委員長(西郷吉之助君) それではこの際地財委当局が出席しておりますから、この問題に関して地財委当局の意見を求めます。
#42
○中田吉雄君 私の質問いたしました際には、必ずこの国会に御提案になるように言われたのですが、今のお話では何だかその辺がはつきりしなかつたようですが、もう一ぺん改めて勉強の都合もありますし、本議会に御提案ですか。
#43
○国務大臣(天野貞祐君) 本議会に出す考えでおります。
#44
○岡本愛祐君 文部大臣は御退席になりますか。御退席になる前にちよつとこの前の委員会で質問したことで。地方財政に関することですが、その点について文部大臣に簡單にお伺いしたいと思いますが、実は地方財政委員会のほうに来てもらつて、ここで二十七年度の地方財政計画について審議をいたしましたときに、今各市町村で困つておりますのは、義務教育をやる学校、つまり中小学校がもう腐朽しておりまして、我々ほうぼうへ出て行つて視察しましてもつつかえ棒しなければあぶないのがたくさんある、そういうのをどうするか、年限が来ているのが非常に多い、これをどうするのだという質問をいたしたのです。ところがまだ地財委のほうとしては文部省のほうとお打合せをしているようですが、その当時は例の、今日配付して頂きました公立学校の金庫制度というようなものが文部省で考えられていると聞いております。新聞で見ましたからそれについてどういうふうな相談ができておるのかという質問をしたのです。ところがその当時まだ相談ができていないということであつて、従つて二十七年度においてそれが反映していない。これは私の考えではいい案なのだから、だからよく地方財政委員会と文部省で研究をして、なるべく早急に実施のできるようにしてみたらどうかという質問をしたのですが、これに対して文部大臣どういうふうにお考えになつておりますか。
#45
○国務大臣(天野貞祐君) この老朽校舎のことは私どもも非常に苦慮していることでございまして、ただ普通の起債ということだけでは到底できないから、何かそういう金庫制度というものを考えて見てはどうだろうかと言つて非常にやつておりますが、併しどうもまだ結論に到達するに至つておりません。そういう現状でございます。
#46
○岡本愛祐君 この問題が市町村側にも反映しておりまして、今反対だとか賛成だとか言つているのでございますが、それじや文部大臣としては急速にこれをお運びになるというようなお考えは今のところありませんか。
#47
○国務大臣(天野貞祐君) できるならばやりたいと思うのですが、それにもやはりいろいろ難点があるというように言われるのです。それで急に今すぐ結論に到達することができないと思います。それがどう進行するかということは、今私はここですぐ確言することができないような状態にあります。
#48
○岡本愛祐君 今日の今度の国庫負担制度にも出ておりますように、学校の維持費及び施設費というものは非常に市町村の負担である。而も一斉に義務教育の各学校の耐久年限が来ているという状況なんです。何か非常手段をやらなければならないだろうと思います。そうしないと又六三制のときのような財政破たんが地方当局の肩に来る、又来ないようにあぶない学校を使わして、不慮の災害が起るというようなことでは困ると思います。早急に一つお考えになつて、これよりいい案があればなお結構でありますが、この案がいいとお思いになるならば、一応当局と相談して頂いて何らかの手段をつけることが必要じやないか、それだけ希望を申上げておきます。
#49
○委員長(西郷吉之助君) それでは只今まで文部当局より義務教育費国庫負担法案の構想を聞きましたが、これに対しまして地財委当局より意見を聞きたいと思います。
#50
○政府委員(木村清司君) 私どもの考えから申しますと、現在の平衡交付金法制度そのものを確立して行くほうが総合的な地方自治団体の自治全体の運営上及びその将来の発展のためにいいのではなかろうかと考えております。つまり市町村というものが総合的自治団体であるという観点を先ず立てて、そうしてアメリカのようにスクール・ヂストリクトというのですか学校区というのができまして、学校行政として爾余の市町村行政から離れた一つの行政団体ができているわけです。そういうところで特別な目的税的に教育税というものを立てているというのがアメリカの、中都市以上は別問題でありますが、一般の市町村においてはそうです。これも一つの制度としては考えられると思うのです。併しながら又アメリカは、つまり制度は日本と違いまして教員俸給と学校設備とが同じ団体がやつているのですね。日本は教員俸給は府県が持ち、設備は市町村が持つという、彼此相融通もきかない団体が、つまり府県と市町村とが、人件費と物件費とが同じ学校、同じ県について別の団体が持つていると彼此融通がきかないのです。そうしますと、つまり府県についての義務教育費の確保ということは教員俸給の確保ということです。それから市町村について義務教育費の確保ということは市町村の学校の維持費ということになると思うのです。只今市町村で一番難点になつているのは学校の建築費だと思うのです。殊に又人口の急激に増加する大都市その他の都市におきましては新築という問題、その他の一般市町村においては只今御指摘になつたように改築という問題が起つている。こういたしますとその市町村の一番困つているのは維持費の出し方が少いとか多いとかいうことよりも、むしろ一般市町村の困つているのは起債の枠が少いという結果新築が十分に行かないという点が一番市町村財政の困つている点じやないかと思うのです。又義務教育費の、府県について一律的な、画一的な計算方法による結果必ずしも府県の実情に合わない点がある、或いは標準よりも低い支出をしている団体もあると思います。だからと言つてこれが直ちにそこの教員俸給の待遇が非常に劣惡であるとかいうことが言えるかどうかということは私は疑問だと思います。それは教員の内容とか質とかによつて考えられるべきものであつて、だから勿論教員の内容、質を向上せしめて教員俸給を上げるということは極めて望ましいことであると思うのですが、これはなかなか一朝一夕にしてやるべきものでなかろう、大都市においてはこちらの標準よりも遙かに相当高い俸給を出して義務教育に対する支出をしておりますが、
   〔委員長退席、理事堀末治君委員長席に着く〕
これは全国画一的に定めた標準、まあ我々が計算いたしますと全国画一的でありますから、従つて大都市等においてまあ私どもが見ますと資格のある優秀な教員がいる、ところが田舎に行きますと助教程度の者がいるというようなことがあるのでなかろうかと思うのであります。そういう意味で質的な問題もあるのであり、或いは一般の住民の生活程度の差違というようなこともあり、その他の経済的條件があるであろうと思うのでありまして、必ずしも金額によつてそこまで、直接又は間接に今度の文部省案では、必ずしも義務ずけてはおらないのですね。平衡交付金のほうで必ずしも義務ずけてはおりませんけれども、結果においては文部省から出ている金というふうになりますから、そこに精神的なインフリユエンスとして義務ずけることになるのではないかと思うのであります。殊に教育委員会がありますれば当然にそういうことに相成ると思うのであります。従いまして現在の府県で教育委員会を設置してある団体に対しては、教育委員会に対して一定の予算の枠が與えられたという結果になるんじやなかろうか、結論としては、実際の行政の運営としては、又そこが文部当局のねらわれておられる点じやなかろうかと思うのであります。そういたしますと、総合的自治団体、結果においては教育団体とその他の団体、こういうものにその府県なり市町村というものが二つの機能に分れるというような結果になつて来るのじやなかろうかと、こういうような結論になると思います。
   〔理事堀末治君退席、委員長着席〕
 そこで私は必ずしも義務のような制度があるということを否定するものではありませんが、これはもう少し教員俸給の負担団体と設備の負担団体とが一緒になつて総合的に運営されることになれば、まだそういうことはいいところがあると思うのでありますが、現在のようにああいうことになると、人件費、物件費が二つの全然異なつた団体によつて負担されているということは、彼此全く並行的な運営ということになると思うのであります。そういうことになりますとよろしくないのではなかろうかと思うのであります。従いまして若し現在の平衡交付金法におきまして、国の定むる義務教育の内容なり規格、施設なりをしないという団体に対して監督を嚴重にして、或いはそういう団体に対して平衡交付金の減額をせしむるとか、そういうことを法律上国家の定むる規格なり内容なりを実施しないという団体に対して監督措置を講ずれば十分であると思うのであります。
 それから又国全体の財政から申しましても、平衡交付金が二つに分れる結果、まあ相当の、一つの損失もできると思うのでありまするが、これは国家財政の立場ですから必ずしも私どものほうから主張するほどのことではないと思うのでありまするが、これは要するに、つまり現在の市町村の性格そのものについて、殊に教育委員会の設置ということと相待ちまして、そういう教育委員会というものの設置がないとか、或いは府県の教育そのものを総合的に一つの団体が経営しているということを前提といたしますと、必ずしもこれに非常な非難をするということは当らないかも知れませんが、義務教育については総合的に運営しておらないという現状ですね、つまり人件費と物件費とが全然別の団体で執行されているとかいうことから見まして、且つ教育委員会があるということから見て、自治団体の性格そのものも分裂せしむるということから見て、教育の事実的総合確立から見て弊害があるんじやないか。
 それからその他の実際から見て、文部当局がおつしやるような一体弊害があるんだろうか、何人が見ても、一体現在の市町村というものがこういうことをやらんために、教育費に充てるべきものを他の経費に充てているというような実情にあるのであろうかということについて、私は非常に疑問を持つので、むしろ現在の府県なり市町村というものは非常に教育に熱心である。鳥取県の例を申上げましたのですが、標準以上の教員を置いておられて、非常に財政的にお困りになつておられるようでありますが、これはやはり鳥取県としては教育に非常に熱心であるということが言える。つまり貧弱団体でありながら非常に教育に熱心であるということがい言得るのであるから、これは或いはむしろもう少し平衡交付金の算定の基準としての教育費の單位費用の計算とか総額ということについては、もつと問題があろうかと思うのですが、制度そのものを分割してやることは、現在の自治団体そのものに対してそう非常な変革を與えるということにおいて、非常に識者としては研究すべき問題であるとこう思つております。従いまして私、財政委員会としては明確に反対であるという意見であることを申上げます。
#51
○高橋進太郎君 財政委員会の反対理由をお聞きしたのですが、どうも先ほどの文部大臣のお話と同じように、十分理解に苦しむのですが、問題はこの義務教育というものが全国画一的にやらざるを得ない。従つて例えば地方から申しますれば、学校の生徒数を適当に減らすとか、或いは教員の数を、或いは学級の数を適当に、まあ人数を少くするとかいう、そういうことはできないので、いわゆる義務教育というものを全国画一的な形において、それを地方の負担においてやらなければならんというところに問題がある。従つてその結果、而もそれに対する財政的な裏ずけというものが十分でないので、従つてそのしわよせが或いはPTAの寄付であるとか、或いはほかの費目から流用して行く、充当して行くということで、我々から考えるとどうもその点が地方財政において義務教育に持つ比率というものが非常に尨大であるというようなために、この地方財政の運営というものが非常にゆがめられて来るような気がするので、従つてそういう観点からいうならば、もう少し地方財政が身軽な形になるという必要があり、むしろ義務教育というものは、国の事務、言い換えれば、現在の地方自治団体の財政的面からこれをはずすということがかえつて身軽なような形になる気がするのですが、その点はどうでしようか。
#52
○政府委員(木村清司君) これは私は一つの考え方であると思います。つまり地方団体としての経費の負担を身軽にするということにおいては一つの考え方であると思います。財源、平衡交付金なり、税收入の少いということを前提といたしますと、確かにそれは一つの考え方であるのですが、国が全額国庫負担的な考え方、或いは国が直営的の義務教育をやつてしまつて、地方自治団体からは一切はずしてしまう。つまり自治の内容から義務教育をはずすということは一場の考え方であろうと思います。併しながら先ほど文部大臣がおつしやつたように、義務教育と自治というものは密接不可分の関係に置くほうが教育のためにもいいのだというお考えであるわけですね、文部省自身も。だから私自身もその意味においては如何に負担が大きくても、やはり義務教育というものは自治の内容に取入れてやるほうが私はいいと思つております。それはやはり日本の経済全体の問題に関連するのですから、できるだけ平衡交付金を増すなり、国税で取る分を地方税に廻すなりして、要するに地方団体の收入を潤沢ならしめて義務教育を完全にするほうがいいと。これは要するに地方に対する財源の分配問題ですね。だからこれは中央で取るか地方で取るかという問題でありますから、これはやはり義務教育を国営ということにすれば、国税で以て支弁するということでありますから、国税で以て支弁することは国民の負担においては同じなんですね。国民負担から見れば国税であろうが、地方税であろうが同じではないか、こう私は思うわけです。だからこれは無論団体において貧弱団体、富裕団体の差がありますから、その受ける影響力について差があることは、これは否むべからざるものがあるとは存じますけれども、まあ大体論としては同じことであろうと思う。つまり誰が負担しても、つまりその場合において平衡交付金がもう少し潤沢に、貧弱府県においてもゆたかに行くと、成いは教育に対する標準單位等を増して、平衡交付金が潤沢に行くということが先決問題ではなかろうか。やはりそういう総額の問題であるのであつて、制度の問題ではないのではなかろうか。制度そのものを否認するなら、地方事務そのものを否定するということになるというように私は考えておりますので、つまり言い換えるならば厚生の仕事、児童保護法とか、或いは先ほど生活保護法等が全額はずされているかに言われておりますけれども、生活保護法の二割は地方が負担している、全額外しているのではないのです。或いはもう少し生活保護法についても、もつと割合を下げるという議論も起るわけです。そういうふうに重要なる国の施策、地方団体の事務として行なつているということは、これは事務の内容を豊富にする意味におきましても、又それが地方住民の実情に照して行われるということから見ても、極めて好ましいことじやなかろうかというように思うのでありますから、地方団体から身軽にするということは、目前には利益でありますけれども永久的にはやはり利益じやなかろうと思うのです。
#53
○高橋進太郎君 義務教育が地方の事務がいいか、或いは国の事務がいいかということは、まあお話のような議論もありましよう。併しその実際問題として、例えばまあいわゆる平衡交付金の総額が廻されればそれでいいんじやないかという御議論のようですけれども、毎年まあ地方平衡交付金の大蔵省との折衝を見ていましても、結局その義務教育というようななにで、職員の年末賞與であるとか、べースアツプというような数字をはじき出しても、同時に平衡交付金の中での議論ということになると、成るほどその点は増額の必要があるだろうけれども、ほかのところで冗費があることは、或いはこういう費目が金が余つているじやないかというような工合になつて、結局仮に百億義務教育費で増額になつても、実質的には五、六十億に切られるとか何とかということで、言い換えるならば地方財政は義務教育に占むる分が非常に大きい、そのために地方財政がいつでも圧迫されているのが現状のように思われるのですが、そういう現状から考えると、むしろ地方財政委員会から言えば、この義務教育のようなものはそういうようなことで枠外に放つぽり出して、そうして国の事務としたほうが却つて地方財政の見地から、而も現在のいわゆる現実論から言うと、そのほうが私はいわゆる身軽でもあり、又毎年の御苦労の点を見ましても、いつでもやれ冗費がある、やれどうだこうだと言つて、御折衝の経過等から見ますと、その点がむしろ問題であると思うのですが、そういう地方財政の観点からは如何お考えになつておりますか一つ。
#54
○政府委員(木村清司君) これは私はやはり義務的な経費が多いということは、成るほど御趣旨のような点もありますけれども、国家的な関心を持つ義務的経費を地方団体が持つているということは、やはり地方団体の平衡化ですね、平衡交付金を以て賄うべき国家的な理由、これは相当裏付けるものであろうと思います。若し義務的なそういう経費を全部外してしまつたならば、これは平衡交付金制度そのものが一体必要であるかないとかいうことに私は疑問を持つて来るので、それは貧富の差があると同様に、貧しいものは貧しいようにやればいいじやないかというような意見になる危険が私は相当あるのじやないかと思います。成るほど毎年大蔵当局との査定の問題でそういう問題が起きまして、困難な問題が起きることは御承知の通りでありますけれども、これはそういうことがなくなればなくなるほど、今度は一般行政費に対する平衡交付金制度そのものが将来の実質的確保、形式的確保でなくて例えば物価とか給與べースの改訂とかそういうもの、冗費以外の一般平衡交付金の確保については、今度増額するについてもやはり相当な困難の問題が起きて来る。教育費の面から一般平衡交付金をやらんでもよろしいというように相成る慮れが多分にあるのじやなかろうかと思つて、何か二つの口があるから余計とれるという考え方になるかならんか。これは見方の問題でありますから、私は必ずしも外したから平衡交付金のほうが身軽になつて、大蔵省のほうでも取入れるのだというふうにならずに、却つて貧弱団体と富裕団体の一般財政の平衡化ということは非常に失われて行くのではなかろうか。こういう義務的な経費を重要な要素と思つているからこそ、やはりそういうことの作用が重要性を増しますけれども、そうでない義務的な経費がなくなればなくなるほど、今度は地方税が本位になつちやつて、平衡交付金というものが非常に従たる地位に陷れられる虞れが又あるのじやなかろうかという疑念もあると思います。ですから必ずしもお説の通り行かないのじやないか。それは見通しの問題でありますがこの点申添えておきます。
#55
○高橋進太郎君 もう一点お伺いしたい。どうもそうなると平衡交付金の総額がそのために減るのじやないかというお話でありますが、一体平衡交付金というものの本質は、やはり各地方団体の行政というものが私は本筋ではないかと思うのです。例えば税收入のでこぼこであるとか、或いは歳出面についてのでこぼこであるとか、そういう地方団体の実態に応じたのを調整すると、それで義務教育のように、或る一定の基準をきめて国家的に、或いは法律的にも必ず出さなければならんというようなものは、言え換えるならば、或る意味から言えば通り抜け勘定のようなものは、一体平衡交付金の中に入れておくということが私はどうかと思うのですが、その点についてはどうでしようか。
#56
○政府委員(木村清司君) 今の私はもう少し学校の建築と、人件費とが総合されたならば、なおそういう通り抜け勘定のようなことがだんだん少くなる、今のように人件費と物件費を市町村、府県とで分けておりますから、もう少し総合的に一つなつたならば、なお通り抜け勘定になるようなことが少くなるのじやなかろうかと思うのですけれども、今の成るほど通り抜け勘定のような制度がありますけれども、これはまあ非常に何ですか、財源の少い団体についてはそういうことも言えるのであります。若し財源が豊富になりますると、平衡交付金の割合に少い市町村について、大部分の市町村に参りますと、平衡交付金じやなしに相当税の部分で以て補てんしているというのが市町村の教官費に対する一つの状況でありますから、府県も市町村のように税源が豊富でありますならば、そういうことは起きないということが言えるので、今の大部分の農村の中における教員の俸給を負担をしている農民の実情からいいますと、お説のように或る意味では通り抜け勘定のような気がするわけですが、まあ一面のそういう点のみを考えますとお説のようなことが考えられますけれども、市町村、府県全体を合わした自治という立場から見ますと、義務教育費について全額そういう府県から外すということは如何なものであろうかというふうに考えます。
#57
○高橋進太郎君 私はどうも今の地方財政委員のお話は、いわゆる義務教育というものが地方の団体、地方の義務だ、或いはそれが望ましい。こういうためには私はそれにふさわしいような一体地方財政というものを、或いは地方税の財源というものをもつと豊富にして、そういうものをひつくるめて大体八割くらいはいわゆる自分の力で賄い得るような、卑近な例で言えば東京都であるとか大阪府であるとか、そういつたような形にすべきじやないかと思うのです。ところがそのほうについての財源的な措置は何かかすかすであつて、そうして平衡交付金といい、その他の補助金といい、いわゆる中央に頼らなければ、書換えれば財政的には殆んど自主性がない。こういう現状において、言換えればやせ馬がえらく大きな義務教育という重荷をしよつている、こういう現状がやはりこういう問題を起しているのであります。従つてむしろ地方財政委員会が本質的にはこの問題をお取上げになれば、言換えれば義務教育というものはやはり地方の事務として適当だというなら、現に地方財政がこういうふうなやせ馬のような、而も非常に中央に頼らなければ立つて行けないというような、財政的には自主性のない地方団体の財政というものを、もう一度総合的に再検討世られて、そうして国と地方の財源或いは税収入の分配、例えば所得税については地方に移すとか、酒、たばこ税については地方に移すとか何とかそういつたもつとやせ馬でない、どうやら財政的に歩いて行けるような形にして、そうして御議論のような問題をこなされるということなら私は適当だと思うのですが、今の現状では私はどうもこのやせ馬に余り大きな荷物を負わしてそうして必ずその荷物をしよつて歩かなければならん、そういうところに非常に無理があつて、まあいわゆる気息えんえんとして、而も村人から言えば馬だけはよちよちで歩けないから、まあ一般の農業なり或いは生業を休んでそうしていわゆる馬の手伝までして行くというのが、即ちPTAの寄付とか町村の寄付である。例えば六・三制について見れば、まあ実情は御存じの通り国では殆んど見てくれない、或いは起債も十分でない、そのしわよせが一人五千円とか、ひどいところでは一万円の寄付を新制中学にとられて、そうしてやつておられるという現状である。或いはたまたま町村の財産のあるところは殆んど山をはげ山にして六・三制をやつたというふうな現状であるので、私はやはり今の現状から見れば、今言う通り義務教育というものを国の事務に移管するか、或いは移管できないならもう少し国と地方の財政上の自主性といいますか、財源上の分配というものを再検討すべきではなかろうか。こう思われますがその点についてはどうでしようか。
#58
○政府委員(木村清司君) これは前提としてもう一つ御了解願わなければならない点がある。つまり平衡交付金制度の運用に関するわけです。要するに平衡交付金というものは当然地方団体があらかじめ測定して、これだけ当然要るのだ、予算がきまれば、というような仕組にして地方団体自身のものであつて、何か国から地方財政委員会に分けてやるような考え方は、これは非常に間違つた考え方で、本来平衡交付金は地方団体のものであり、分け方は法律の定めるところによるというのである。要するに地方税としては、東京や例えば東北というような所が、人口に正比例的に得られるような税源がありますればお読のようにしたいと思うのでありますけれども、どの税源を見ても都市集中であるということは、地方税の改正という形態を以てしては、今の東京や大阪にうんと余らしてもよいという前提をとらない限りは、全国的の義務教育費の確保のために必要な税源をやる適当な地方税がない、これはまあ日本の農村経済というものから出て来た実態でなかろうかと思うのでありますが、つまり日本の経済機構の点から見て来て、そういう点で結果を招来しているのじやなかろうか。従つて平衡交付金というものは、これは地方全体の地方税である、従つてこれは地方団体から見て当然幾ら来るのだ、分け前が幾らあるのだというように、法律上明確に自己の徴税費の要らん地方税というような運営又仕組に平衡交付金というものをせなければならんと思う。これはまあ一、二年の間だつたものですから、現在必ずしもそうなつておらないのでありますから、これは速かにそういう工合に幾ら来るのだ、地方の税收入が幾らならば平衡交付金が幾ら入るのだということになつて、そういう意味においてまあ平衡交付金の運営も或いは法律制度等についても、いずれ御審議をお願いしなければならんと思つているのですが、そういうような建前にすべきものだと思うのです。いわゆる普通の補助金や何かと違つて本来地方のものである、それが地方団体の代表者も入れた地方財政委員会で以て配分しているのだというのでありますから、特別平衡交付金を除きまして一般平衡交付金については幾ら要るのだ、殊に教育に該当するものについては幾らである、基準財政需要総額というものはその県について幾らに見積り査定するのだろうか、そうすると、自分の税収入は幾らとなるから幾ら平衡交付金が来るだろうかということは、当然に予算策定の際には査定し測定し得られるような建前にしなければおかしいと思うのです。これは何か各省の持つ補助金のような建前で考えられると、非常な誤解であつて地方税というものが総合的に国税で以て集めたものを適当に分配する、適当という意味は、地方の実情に合うように法律の定むるところによつて分配して行くというのが平衡交付金の建前なんであります。従いまして何か中央依存という意味で、他の行政補助金のように中央の方策とか何かによつて任意に変えられるような標準であつてはならないので、本来地方団体に属すべき地方税である、地方税に代るべきものを分配するのである、本来当然の権利として地方団体にこれだけの分け前が得られるものであるのだというように、他の補助金と全然性格が違つたものであるという認識の下に立つて且つ又そういうふうに運営することが理想である。
#59
○高橋進太郎君 今のお説であると、それなら平衡交付金というものが一定の算定基準があつて、而もその算定基準というものを積み重ねて総額がきまれば、国が当然やる財政支出を義務ずけられるというふうにしなければいかんと思うのです。ところが現状を見ますと、地方財政委員会の勧告は全然閣議では取上げない、或いは多いとか少いとかこういうことでは今おつしやるようなことは確保されない。而も義務教育費は地方の責任で而も地方には冗費があるとか何とか言われたのではこの問題は解決しない。もう少しそういうことであるならば、平衡交付金自体がいわゆる国自体に義務ずけられ、そういう算定基準によつて積み上げられた数字というものについては、もう法律の命ずるところといいますか、言い換えれば平衡交付金制度そのものの持つ性質上必ず国庫が出す、こういうような仕組にならなければ、お話のような筋は合わんと思うのですが、その点はどうですか。
#60
○政府委員(木村清司君) 現在の平衡交付金法の建前自体はそういうことであるべき姿であるという考え方に立脚して立案せられているのですが、これは或いは地方財政委員会が大蔵当局その他を説得するに十分の資料なり力がなかつたのだと言われると或いは責任があるかも知れませんけれども、もう少し国家財政も地方財政の重要性を考えてもらつて、よく地方財政の実情を了知してもらえば、又当方においてもそれを説得する十分な資料というものが順次整備されて行くということと相待つて、現在の平衡交付金法が制定された立法趣旨そのものがだんだん貫徹して行くのではなかろうかというふうに考えているわけであります。創立当初でありますからいろいろ必ずしもこの一年の経験は御趣旨の通り満足すべき状態とは思いませんけれども、これはやはり双方の理解、協力とそから勉強をして資料整備ということと相待つて、やはり貫徹して行くのではなかろうかというふうに私は期待しているわけであります。
#61
○石村幸作君 今の問題大分御議論になつたのでありますが、この機会にちよつと木村さんにお伺いしたいのでありますが、先般この委員に地財委から知事あての「市町村財政に対する指導の強化について」というような文章が配付になつたのでありますが、それについて少しお聴きしたいと思います。地方財政委員会が先に百十三ですかの市を認定してこれが非常に赤字財政だというのでありますが、地方に対して放漫財政の警告という意味においてこれはまあ決して私惡い意味で批判するのじやないのでありますが、この「市町村財政に対する指導の強化について」という文章の中にこういうふうに書いてあります。「本年度市財政の赤字はぼう大な額に達することが予想されるが、この原因は、税收入における徴税の停滞、特に市民税における法人税割の捕捉の不徹底、固定資産税における課税客体の捕捉及び評価の不徹底を初めとしてその他歳入一般に徴収不振が認められ、他方歳出については、給與費の膨脹その他経営費の放漫な支出があり、臨時事業を著しく増加し、特に單独事業を過大に執行する等、歳入の確保と歳出の規制に対する努力の欠如による拙劣な財政運営に起因すると認められるものが多い。」とまあこういうふうに書いてあつたのですが、これは市財政に対する不信任に近いようなことでありまして、特に五十九の市の名を列挙して特に赤字が甚しいというふうに書いてあつたのであります。これはそれぞれの市について詳しくその赤字の原因等が地財委ではおわかりになつていると思うのでありますが、これについて一応の御説明を願いたいと思つております。
 ついでにもう時間がありませんからお聴きしたいことを述べますが、この文章は地方自治法の二百四十六條ですか、これの監督権に基いたことと思うのでありますが、権限があるとしてもそのやり方等について細心な注意をお払いになつてやらないと、へたやるとせつかく伸びかけたような自治の芽をつむようなことにもなるというお考えはないか。又指導せよと書いてありますが、指導の根本方針を示していらつしやるのか、又これは誰が指導するのか、こういうふうなことも一応聴きたいのです。
 又地財委としてこういうふうなことの実態をよくお知りになつて、確実な事由によつてこういうふうな強い文章をお出しになつたと思うのでありますが、その内容を一つ御説明願いたいと思います。
#62
○政府委員(荻田保君) 本年度の地方財政につきまして、多くの団体で赤字を出しているという所がありますことは先刻御承知のことと思います。これにつきまして我々としまして、一応どういう数字になつているかということを調査いたしました先般来申上げております地方団体の赤字の問題でございます。
 そこでその原因はどこにあるかということを究明しなければならんと思うのでありますが、一つには国の財源措置というものが十分でなかつたということに我々はあると考えているのであります。この問題につきましては、これも先般来この委員会の多大の御援助によりまして、我々が政府と折衝しております二十六年度の追加財源措置の問題として解決して行きたいと思うのでありますが、中にはその原因の一半が、その文章にございますように歳入或いは歳出の面におきまして、必ずしも適正に行つていないというところがあるわけであります。これは我々の直接調査いたしましたところにつきましても二、三見受けたのであります。で、勿論そのような団体が赤字を出したのは、全くやり方が惡かつた一方的な原因によるのではなくて、先ほど申しました中央から措置いたします財源が不足しているという両者相待つての問題ではございますが、いずれにいたしましても団体の財政運営が拙劣というところに一部起因するものがあるわけなんであります。そのように多くの団体が赤字を出しておりますその中には、両者原因があるわけであります。これにつきまして我々のほうで直接調査いたしますることは、実は府県まではできまするけれども、市町村以下になりますと手数等の関係で不可能なのでありまして、その意味におきまして地方財政委員会が県知事の援助を借りるというような意味におきまして、地方にこのような通牒を出す、そうして出しましてもあれでございますので、差当り我々のほうに報告されておりますところのうちに、赤字が非常に多額に上るものという所につきましては特に指定いたしましてこれを調査するということは、つまりこちらの財源措置が足りないのか、或いはその市の財政運営が惡いのか、そういう点をよく究明してもらいたいということを指示したわけであります。その根拠は先ほど挙げられました地方自治法の條文にあるのでございまして、それを調べましたあとどうするかという点につきましては、これは先ほども申上げました我々の財源措置をそういう団体に対しまして具体的に措置すると共に、向う側の財政運営が必ずしも適当でない所につきましては、どうして赤字を消すかということにつきまして、適切な援助、指導というようなことをいたしたい。こういう趣旨で通牒いたしたわけであります。
#63
○石村幸作君 そうすると通牒に対する知事からのいずれ回答があるわけですね、詳細な。それによつて地財委は適当な措置をするということですか。
#64
○政府委員(荻田保君) 二十六年度で我々の地方財政不足補てんの方法を講じておりますか、その場合に当該団体に対しまして確かにこちらの財政需要の見方と財源の與え方というものが足りないという点につきましては、その結果によりまして考えたい。それからなお逆に地方団体側の適切な運営でなかつたというものに対しましては、どうしてそれを改善して行くかということにつきましても、或る程度の勧告をいたしたいという考えの下に出しております。
#65
○岡本愛祐君 今荻田事務局長からお触れになつた二十六年度の県、市町村の赤字につきまして、追加財源措置のほうももう大体おきまりになつたと思うのでありますが、どういうことにきまつておりますか、御説明願いたいと思います。
#66
○政府委員(荻田保君) その後大蔵省と折衝しておりましたのでありますが、大体におきまして結論に到達したのでございますが、それは八十億程度のものを地方債の形によつて措置いたしたい、こういうことに大体考えがまとまりました。それをどういう形でやるかということにつきましてはいろいろ困難な年度の区分の問題がございますのですが、結論におきましては八十億の起債をこの際形式はいろいろあると思いますが、実質的に二十六年度の財源になるように措置したい、こういう結論に到達いたしました。
#67
○岡本愛祐君 その八十億はこの二十七年度の起債の枠から繰上げて使用する分ですか、どうですか。
#68
○政府委員(荻田保君) でき得ますれば二十六年度で枠の拡張ということも一部考えておりますが、私どもは二十七年度の起債の枠というものを仮に使うというような形において措置したいと考えております。
#69
○岡本愛祐君 そうすると二十六年度の起債の枠の拡大ということができれば非常に結構なんですが、どのくらいできる見込ですか、二十六年度の枠の拡大。
#70
○政府委員(荻田保君) 二十六年度におきましてはすでに預金部資金等もぎりぎり一杯でございまするから、この枠の拡張を預金部資金に求めることはむずかしいと思います。従いまして他の方法によりましてできるだけの措置をしたいと思いまするが、私はまあ八十億のうち三十億程度と考えております。
#71
○岡本愛祐君 そうすると資金運用部資金からでなくして、三十億程度ほかの措置をする、枠を二十六年度において拡大する、ほかの措置というのはどういうのですか。
#72
○政府委員(荻田保君) 結局預金部以外の資金でございますから、まあいわゆる公募というような形になると思います。それにつきましてはすでに一時借入金の形によりまして地方団体が一般金融機関等から金を借りておりますから、こういうものを或る程度はつきりした起債の形にするという方法によりまして措置したらいいのじやないかと考えております。
#73
○岡本愛祐君 そこで残りの五十億ですが、これは二十七年度のを繰上げて措置をするということなんですが、そうすると二十七年度においてそれだけ足りなくなる。これは非常に困ると思うのですが、それは三十七年中には何とかそれを埋めてもらえるあてがありますか、自信がありますか。
#74
○政府委員(荻田保君) 只今の絶対にあてがあるということを申上げられませんのは非常に無責任なようでございまするが、将来の努力といたしまして地方税の増収を図るとか、或いは地方行政の簡素化を図るというようなことによりまして、地方団体みずからがこれをまあ生み出すという方法によりまして努力して頂きたいと思いまするが、なおそれでも若しもできないというような場合にはそれはそのときのことにいたしたいと考えております。
#75
○岡本愛祐君 私どもが先般から検討しておつた二十七年度地方財政計画ですが、それは二十七年度の起債の枠を六百五十億と見てやつている、然るにそれを二十六年度に五十億繰上げると、その財政計画が崩れてしまうということになるのですが、これは今おつしやつたように節約や何かでできれば結構ですけれども、それが容易なことでない、節約を前提としてこの中へ載つているのでありますから容易なことでないと思うのです。これはどうしても五十億繰上げた分は、大蔵当局と地方財政委員会とよく交渉されて、是非とも二十七年度においてその五十億の枠を拡げてもらうという努力が必要だと思うのですが、その措置を強くとられることを要望しておきます。
#76
○中田吉雄君 この赤字に対しまする財源措置ですが、大体八十億の線できまつたように承わつたのですが、それを支出する際には大蔵省と数個の條件が満たされた場合に支出するということになつておるやに仄聞していますが、例えば今回の北海道の災害救済融資はこの八十億からの枠の中で出すのか、いろいろな五つくらいですか、数個の條件があるやに承わつているのですが、その條件を一つ承わりたいと思います。
#77
○政府委員(荻田保君) 別にこうたくさんの條件があるわけではございません。ただこれが地方団体の赤字をなくして財政の再建を図るという意味で出したのでありますから、こちらとして中央から出しますと同時に、先ほど申上げましたように地方団体側におきましても十分この財政運営に気をつけてもらいまして、そちらの面におきましても赤字を解消する。今一応地方から報告されておりまする赤字の額は即ち八十億を超えるものでありますから、両者の努力によりましてこれを解決したい。そういう前提の下に出ておりますから、それから只今お触れになりしまた北海道の災害というようなことはこれとはちよつと別に考えております。これは二十七年度自体の問題として考えております。
#78
○中田吉雄君 実は静岡新聞の二月九日の夕刊なんですが、私帰りがけに見ましたところがやはりそういうことがはつきりしておるんです。これはまあその第一番目はすでに話されたので、一つといたしまして八十億支出すれば昭和二十七年度の起債総額の六百五十億について五十億食い込むことになるので、その対策はどうするかという問題。二番目には二十六年度の赤字は主として地方公務員の給與ベースが国家公務員より割高となつており、給與費が二十六年度の公共事業費や、單独事業費に食い込む結果を生じたものであるから、二十七年度中にはこのような事態を再び起さないようなことを條件とする。三は八十億の配分は赤字を出している道府県、五大都市その他の財政状況を調査してきめる。それから北海道の今回の災害救済融資はこの八十億から支出する。右のことがはつきりしないうちは八十億を支出しないというようなことが具体的に載つているんですが、これはどうなんですか。
#79
○政府委員(荻田保君) そういう條項で我々は何も約束はしておりません。先ほど申しましたように、両者相待つて地方財政を解決したいという程度でございます。
#80
○中田吉雄君 それはこの八十億の道府県と五大都市その他の大体の目安はどうなつておりますか。
#81
○政府委員(荻田保君) 配分につきましてはこれから研究をして最終的な決定を得たいと思つておりますが、大体半々ぐらいじやないかと思つております。
#82
○中田吉雄君 大体のことはわからんですか、府県が四十億とかいろいろ言われているんですが、そのうち。
#83
○政府委員(荻田保君) 大体半々でございます。
#84
○中田吉雄君 そうすると府県市町村の二十六年度の赤字が二百二十億ですかある、その中で八十億は片が付くのですが、その八十億を引いた百四十億ですか、それについては節約とか或いは事業は繰延べだというようなことになるんですか。どうなんですか。
#85
○政府委員(荻田保君) 只今おつしやいましたように、税につきまして我々の見ている税収よりも少し内輪のところがあるのでございますから、それは徴収を強化して取上げるというような方法と、なおまだそれでも計算上足りなくなりますから、それにつきまして今おつしやいましたように事業の繰延というようような方法をとつて頂く。それから又すでに過去において生じたというような赤字がございます。二十五年の以前に生じたというのがございますので、そういうものにつきましてはすぐこれを措置するということがなかなかむずかしければ、早い機会にこの計画を立てて措置して行くという方法はとつて行くようにしたいという考えでおります。
#86
○委員長(西郷吉之助君) ほかに御質疑はございませんか。
#87
○高橋進太郎君 本日はどうでしよう。あと白書もあるようですし、それから我々ももつと質問したいこともあるので、本日はこの程度で散会して頂いたら。
#88
○委員長(西郷吉之助君) それでは本日はこの程度で散会いたします。
   午後零時五十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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