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1951/03/14 第13回国会 参議院 参議院会議録情報 第013回国会 地方行政委員会 第17号
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1951/03/14 第13回国会 参議院

参議院会議録情報 第013回国会 地方行政委員会 第17号

#1
第013回国会 地方行政委員会 第17号
昭和二十七年三月十四日(金曜日)
   午前十一時二十九分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     西郷吉之助君
   理事
           堀  末治君
           岩木 哲夫君
   委員
           岩沢 忠恭君
           石村 幸作君
           高橋進太郎君
           岡本 愛祐君
           原  虎一君
  国務大臣
   国 務 大 臣 岡野 清豪君
  政府委員
   国家地方警察本
   部長官     斎藤  昇君
   国家地方警察本
   部刑事部長   中川 董治君
   地方財政委員会
   委員      木村 清司君
   地方財政委員会
   事務局長    荻田  保君
   地方自治政務次
   官       藤野 繁雄君
   地方自治庁次長 鈴木 俊一君
   地方自治庁財政
   課長      奧野 誠亮君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       福永與一郎君
   常任委員会専門
   員       武井 群嗣君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○ポツダム宣言の受諾に伴い発する命
 令に関する件に基く警察関係命令の
 措置に関する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
○地方行政の改革に関する調査の件
 (義務教育費国庫負担制度に関する
 件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(西郷吉之助君) それでは只今より委員会を開会いたします。
 本日は昨日取扱いました義務教育費の問題、その他地方財政白書の説明等を求める予定でありまするが、まだ岡野国務大臣がお見えになりませんので、予定を変更いたしまして、只今本委員会にかけられておりますところのポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く警察関係命令の措置に関する法律案の質疑をこの前一度いたしましたが、続行いたします。
#3
○岡本愛祐君 この前要求しておきました関連事項として火薬類の取締状況調を出して頂きました。それを見ますと相当検挙件数があるようであります、これは近頃の治安の状況に鑑みまして取締を強化せられる必要があるのじやないかと思うのですが、どういうふうにお考えになつておるか、齋藤長官からお話願いたいのであります。
#4
○政府委員(斎藤昇君) 只今御意見の通り現下の治安の状況から考えまして、火薬類の不法所持に対する取締は一層強化する必要があると思つておるのであります。我々といたしましては平常からこの点につきましてはこれに重点を注いでやつておりまするが、併しながら火薬の不法所持及びこの火薬を窃取するという事件が相当あるのであります。先ず不法所持の点につきましてはこの火薬の不法所持に至つた径路でありますが、窃盗によつて不法所持をする者、或いは海中その他に終戦のときに投入をいたしましたものをひそかに拾い上げて、そしてそれを所持する者、或いは最初は合法的に所持をしたのでありますけれども、併しそれを合法的に使わないで他のほうに横流しをするとか、他の目的に使うというような場合があるのであります。従いましてそれらの原因に応じまして、先ず第一にそういつた不法所持のほうに流れて行かない監視が大事なのであります。火薬の讓渡し許可等はこれは商工省及び府県庁の関係でやつておりますが、これと緊密な連絡をとりまして火薬の讓渡の場合、又これが讓渡せられた後の使用の状況というような事柄につきましてはそういつた行政関係方面と密接に連絡をとりながらこれが違法に流れないように注意をいたしておるのであります。又一方窃盗の場合が非常に多いのでありまするが、これらはその火薬保管の設備、保管倉庫の設備及びこれの管守につきまして欠くる点が相当あるのでありまして、窃盗せられて数日間知らないでいるとか、或いは非常にたやすく窃盗せられるとかいうような状況にもありまするので、最近これらの業者のかたがたそれらの設備の強化並びに管守について注意を喚起いたしておるのであります。これらの措置によりましても相当効果を挙げつつあるわけであります。窃盗事犯がありました場合にはこの窃盗事犯につきまして特に他の窃盗よりも重点を置きまして、その被疑者の捜査に当つておることは勿論でございます。今そういつたような方法でやつておるのであります。
#5
○岡本愛祐君 この銃砲刀剣類及び火薬類につきましてこういう検挙件数が相当の数に上つておる、この中では近頃の集団暴力事件なんかと関連してもつとそういう規模を拡大するために故意にこういうものを集めておるというような形跡のあるものがありますかどうか、それをお話願いたいと思います。
#6
○政府委員(斎藤昇君) 暴力行為に出る虞れのあるような人物の家宅捜索を他の犯罪によつてやりました場合に、こういつた火薬類を不法に所持をしていたという事件は相当ございます。併しそれは余り大量な数字ではございません。而してそれらの火薬類を暴力行為等に使用するためであつたかどうかということが極めて不明確でありまして、或いはそういう場合に使用するかも知れない、或いは漁業の密漁をやるために所持しておるとかというので、それが相当らしく思えるという場合もあつたのであります。今お尋ねのように不法行為の目的のために大量に火薬を収集をしているかどうかというお尋ねでございまするが、さような情報めいたものがちよいよいございまするが、現実にその目的のために多量にどつかに収集をしているということを確かに突きとめた点はないのであります。情報面によりまして我度々の判断といたしましては現在火薬を多量にすでにどつかに隠匿しているというよりは、火薬倉庫その他をよく調査をし、必要な場合には何時でもこれを奪取して目的に使い得るような調査、或いはそういう方法を講じているという情報のほうを私ども買うほうが高いと考えております。
#7
○岡本愛祐君 そういうような情勢下にあつて火薬類の取締、殊に貯蔵しているところの保護と申しますか、そういう暴力行為によつて大量に持ち去られるようなことがないためにどういうような警察のほうで方法を講じておられるか。その点を若し差支えなかつたらお話願いたい。
#8
○政府委員(中川董治君) この火薬類、又はこういう刀剣類という危険物に対しまして、殊に暴力行為との関連においての警備措置でございますが、先ずこの刀剣類、火薬類等の実態を私ども警察といたしましては掌握することに努めまして、大体こういう実態をいろいろ警察用として集めております。それに伴いましていろいろ警備関係は、先ず第一にその火薬の管理者等につきましての自衛警備につきましてもお願いいたしますけれども、警察全体として警備区域、大体府県ごとに一つのそういう事態が起つた場合の計画を策定しまして、事態の様相その他に関連いたしますけれども、事態の様相に基く計画を想定いたしまして暴力行為等を行うような事象の動向等に関連をいたしまして、一応のその都度警察官の配置もそういうふうに考えて参りたい、殊に警察官の警邏、移動警備等につきましてもそういう角度から考えて参りたい、こういう方途を講じておる次第でございます。
#9
○岡本愛祐君 もう一点お尋ねしておきますが、銃砲刀剣類等のほかにいわゆる兇器という言葉がありますね、その兇器に当たるものとして、どのくらいの範囲のことを考えておるか。たしか兇器については刑法の規定があつたですね。
#10
○政府委員(斎藤昇君) 兇器につきましては、刀剣類の中の類の点で御説明を申上げましたが、それ以外のものにつきましては刑法の兇器は人を殺傷するに足る物件という解釈であると考えておりますが、さようになりますと、例えば竹槍のごときものも兇器と言うことが言えるのであります。又最近現われつつありまする硫酸を瓶につめてぶつかけるとか、或いは催涙ガスの悪質なものを用いるとかいうような傾向もあるのでありますが、これらにつきましては只今そのもの自身の製造或いは流通というものを禁止をしたり、制限をしたりする規定はないのであります。我々のほうといたしましては、これを今後どういうように扱つて行くか、只今いろいろ研究中でございます。
#11
○岡本愛祐君 その点触れたかつたのですが、催涙ガスとか、まあ刀剣銃砲にも比すべき、いわゆる兇器がありまして、これは銃砲刀剣類については、こういう取締の法律ができるが、そのほうは持つているだけでは、製造することは自由であるということでは片手落ちではないかと思うのです。その点で立法措置をせられる意思があるのかどうか、その点をお伺いしたい。
#12
○政府委員(斎藤昇君) 只今も申上げましたように、この点につきましては只今研究中でございまして、これは用いようによつて兇器にもなり又用いようによつてはほかの或いは薬になつたり、ほかの用途に供せられるものでありますから、これを立法化することは非常にむずかしい点が多いのであります。只今研究中でございまして暫らく時間をお与え願いたいと思います。
#13
○委員長(西郷吉之助君) それでは岡野国務大臣がお見えになりましたから、只今の警察関係の法案の審議は次回に讓りまして、岡野国務大臣より昨日義務教育費国庫負担の問題を文部省、文部大臣並びに地財委から伺いましたが、本日は岡野国務大臣より所見を求めます。
#14
○国務大臣(岡野清豪君) 義務教育費国庫負担法というものは文部省で試案が作られておりまして、いろいろお話が出ておりますが、私は地方財政委員会担当の国務大臣といたしまして、あの案には少し異論がございまして、賛成いたしかねる次第でございます。と申しますことは、御承知の通りに、只今現存いたしますところの平衡交付金、この平衡交付金につきましては皆様方に大変な御心配をかけまして、昨年以来いろいろ国会においても論議が出たような次第でございまして、或いは平衡交付金に対するいろいろな御不満なり、又御批評もあつたと思います。併しながら只今の地方財政を運営して行きます最も大切なる根幹の組織でございまして、これはできるだけ一つ尊重して、同時に若し欠陥があり、足りないところがあれば、これを補充して行きたい、かように考えておる次第であります。そこで私も詳しいことは存じませんが、今回の平衡交付金を作ります際におきまして、元国庫の補助金が約三百五六十もあつたと伝えられておるのでございますが、これを地方の自主性を認めるという意味におきまして、平衡交付金に切替えたわけでございます。そうしてその当時およそ三百くらいの国庫補助金というものがあつたのを皆廃止しまして、そうして平衡交付金という一つの組織の中に入れて、そうして詳しい地方財政委員会の規則とか何とかいうことによりまして地方の財政需要をかなり厳格に詳しく策定し、それに対して又地方の収入というものを税の方面或いはいろいろなほかの収入もございましようが、それを合わせて、そして財政需要と財政収入とを彼此勘案しまして、足りないところを国庫が国家が平衡交付金として出す。併し算出の基礎は地方の需要に相応ずるようになつて行きますけれども、地方においては千差万別の地方公共団体でございますから、その自主的立場から一番重要だと思う方面へは無論廻してもよろしい、即ち、と申しますことは、自由に地方が自分自身の行政をやつて行く、こういうことにつきまして、いわゆる紐を付けずに自由自在に自分のところで自主的行政を運行して行く、こういうようなことをさせるために平衡交付金ができておるのであります。私が伺いました今回の文部省の案といたしましては、これが平衡交付金を二分と申しますか、分断いたしまして、そうして元の補助金にあと戻りをするという形になる。そういう意味におきまして、私自身といたしましては、先ず平衡交付金を作つたとき立法の趣旨にも反しますし、又折角地方が自主独立の立派な自治が確立した方向に進みつつある場合に、又中央集権的の形になるような財政というものにするということは地方自治確立の上からも余り面白くないことである。又同時にそれは裏返して申しますれば、平衡交付金というものの趣旨を没却してしまうものである。こういう立場かう、私といたしましては地方財政委員会が主張しておりますようにやはり今まで通りに平衡交付金はやつて行く、併しその点におきまして各省の所管事務が平衡交付金は折角やつてあるけれども、地方において、それが本当の趣旨に使われずに、無駄な方面に使われてしまつておるというようなことがあつて、その弊害が非常に大きいというようなことがあれば、おのずからそれを是正する方法もある。それについては地方財政委員会のほうでは地方財政委員会の平衡交付金法の一部を改正でもいたしまして、それで仮に例えて申しますれば、教育としてこれだけの支出を出しておるのに、まるで使わないでほかの方面に使つている、それではその地方の教育が十分完備されない、又義務教育を行うのに遺憾な点が多いというようなことが気付きますれば、その所管相たる文部大臣が、あの地方公共団体はどうも折角平衡交付金で金を算出してやつておるのに、そのほうにちつとも使わないから、あれを一つ勧告してくれ、又注意してくれという、こういう御依頼があれば、注意をし、同時に又注意してもやはり所管大臣の思うようにその事務が運行されなければ、改めて平衡交付金を今後その仕事に関する限りは減額する、こういうような方法を講ずれば、私は立派に文部省の意図するところが遂行されて行くのじやないかと、こう考えますので、私は今、先ほども申上げましたように地方の自治を確立する点において、でき上りましたところの平衡交付金の趣旨を沒却するような改正案は、私として実は賛成いたしかねる次第でございます。
#15
○委員長(西郷吉之助君) 只今の大臣の御意見に対しまして御質疑ありましたら、この際お願い、いたします。
#16
○石村幸作君 昨日文部大臣の趣旨と御説明を聞いて、財政委員会はこれに反対の意思の発表がありまして、今又岡野国務大臣から真向から御反対の御意見であります。
 先ず我々も徹底的に調査の域まで達しておらないですが、この問題はもう一、二年前から大分くすぶつていたので、根本はどうもお話があつたように紐付きでなければいけない。教育費を折角平衡交付金のうちから支出しても、これを地方が他に流すというような慮れがあるというのですが、平衡交付金でもらつた教育費を流すほど、そんな余裕は地方にはないのであります。むしろもつとく莫大な金を足し前をしなければ、地方の義務教育をやつて行けないというような実情だと思うのです。そこでこの問題は常に教育委員会がこういうことを主張しておる。そこで私は教育行政を握つている教育委員会と、それからこの地方の財政を握つている県、市町村、ここに常に食い違いがあると、こう思うのです。教育委員会とこの財政の面を担当しておる地方公共団体との関連が適当でないように我々も思うのですが、大臣の御所見を伺いたいと思います。
#17
○国務大臣(岡野清豪君) お答えを申上げます、極く率直に申上げますれば、只今の各地方公共団体の教育委員会というようなものが、成るほど教育には非常に御熱心であられる、又そうであるべきはずのものと思いますが、私は地方公共団体の全体というものの枠に入つてそうして自分の立場並びに全体の立場を考えて下されば、そう紛糾が起きるわけはないと思います。と申しますのは、結局地方公共団体にいたしましても中央の政治にいたしましても、中央で申しますれば各省各庁、地方で申しますれば各部局、おのおの一体となつて有機的の政治ができて行かなければならんと思います。そこにもつて来てまあ仕事の熱心な上において自分のところのほうをよくしようということは無論そうあらねばならんと思いますが、併し全体の地方の行政に一種の理解を持ち、大局に処して一つのものを見るという立場を考えながら自己の職責を遂行して行く、こういうふうにあつて然るべきだと思いますが、今までのところではそれが或いは遺憾な点があつたのじやないかと考えます。と申しますことは、教育を担当するところの教育委員会は教育だけのことをお考えになるのじやないか、又ほかの出納方面の人は又そういう方面を考える、併しながら結局問題は、地方公共団体と合せて一体となつて、又すべての行政は有機的に調和のとれた方面に進まなければならんと思いますから、この点において、私は只今の制度そのものに幾らか考えを及ぼさなければならんのじやないかと思います。無論教育委員会は教育委員会としてお尽し下さることと思います。一方上から見まして、地方の全体の行政並びに財政を勘案して、そうして自分の方面はこういう方面に行くべきだということになつて行かなければならんが、只今の制度といたしましては、教育委員会の非常な独立の立場がありますものですから、その調和がうまくとれていないのじやないかとも考えます。そういうことを考えますと、ますます以て只今教育委員会は地方公共団体から人事権は全く自分が持つてしまつて、そうしてただ一つ地方公共団体との繋がりができて密接不可分になつておるということは財政だけの問題であります。その財政までも文部省の御意見のように切離して教育委員会に先取的に確保さしてしまうということになれば全く地方公共団体の中に一独立王国ができてやつて行くということになりますから、ますます不調和を激成する結果になりますから、地方行政の立場から見れば面白くないことのように考えております。
#18
○石村幸作君 今地方の動きを見ますと、地方公共団体等で動きが二色に動いておると思うのですが、知事会又町村長会というような方面では、これを教育費というものの支弁の方法を根本的に検討して全額国庫負担というようなことを要望しておりますが、現在におきましては教育委員会が主になつて市町村長に強要して、そうして文部省案に賛成するようにむしろ引きずつてそういう実現方を促進するような陳情書を出したりしておりますが、私、市町村長方面に当つて調べて見ますと、これは教育委員会から頼まれたから仕方なしに陳情書を出しておるが、これをやられてはかなわんということの町村長の連中は意見を持つております。そこで地方がそういうふうにばらばらになつて実は困つておるからして、そうして又中央においては文部省がそういう案を発表して、又政府機関とも言える地財委が反対する、地方財政行政を押えておる所管の岡野国務大臣が反対する、そういうふうにして委員会に出されて、非常に我々審議するのによくその内容は究められていいのですが、頗る変態的じやないかと、こう考えるのですが、如何でしようか。
#19
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。昔から言われておる通り日本では困つたら親を出せということがありますが、今の制度はどう各機関をあちらこちら作りまして、そうしてお互にこれを研磨練成して、そうしていい政治をして行こうというふうにできておるのではなかろうかと考えます。で、ありますから、およそ閣内におきましても文部大臣と私とが話が違うということになります。そうしてそういうようなことは結局民主主義の本体であるかどうか知りませんが、そういうふうに相きしり合つて案を作つて、そうして、又国民のほうにおきましてもAの人はAの主張をし、Bの人はBの主張をする、そういうことで競争的に意見を出し合つておるという形でございましよう。これは民主主義としていいことでありましよう。併し私どもとしては只今考えますことはそういうふうなことが無論出て来ますが、これは制度としてそういうふうにしてあるのであります。そして結局のところは国家の最高機関たる国会において御裁断を願う、こういうことになるのじやないかと思うのです。この制度がいいか悪いか私存じませんが、過去一年半の間私は国務大臣でおりながら、地方財政委員会の要求を支持してそうして平衡交付金を増してくれ、それから又大蔵大臣のほうでは国家財政の立場からそれはいけないのだ、こういうように議論が一致しませんので、結局問題は残りまして、そうして財政委員会では意見書を出し、大蔵省では裁定案を出して、そうしてお父さんのところの国家最高機関たる国会へ御裁断を願うというような形になつております。今回の場合でもこれはまだ政府案としてきまつたことでもございませんし、又いろいろ文部省であちらこちらと説得に努められておるようであります。我々もやはりその説得されるほうの立場におるのでございますが、只今までのところでは閣議にも上つておりませんし、まだ成案ができたわけでもございませんから、若しこれができますならば、閣議としては一致して出るかも知れませんが、併しそういうような、私が反対しておつたということは事実でございますから、いずれ国会に御審議を願い、そうして国家の最高機関たる国会の御裁定には我々としては承服するつもりでおります。
#20
○石村幸作君 文部大臣は本国会にこれを提案するという固い意思を発表されましたが、大臣は御承知ですか。
#21
○国務大臣(岡野清豪君) それは閣議ではそういう話は出ておりません。と申しますことは、この前に、予算を編成いたしますときにちよつとお話が出たことがございます。ございましたが、併し私はそれには承服できませんから、どうもそういうことにはなりませんということで反対をしたわけです。それで若し閣議決定になりますならば、又本国会に出されるならば、千二百五十億の平衡交付金というものを、予算総則の中に、若しそういうような法案でも出れば国庫補助金に振替え得るというようなことをつけて差出さなければならん。併しながら今回は予算総則には、平衡交付金を振替えることができるというような規則は、これは昨年までありましたけれども外してしまいましたから、少くとも来年度予算に関する限りは、今回この国会に法案が出ましても予算上の措置はできない、平衡交付金を崩すわけにはいかん、こういう結論になるわけであります。そうしてその当時予算審議をいたしておりますときに出まして、そのときにそのままになつておりまして、そして結局は平衡交付金を動かさない法則で予算を国会に提出しておりますから、私はその当時閣議においては或いは話には出たけれども決定せずにそのままに終つた、又提案はこれを引込められたものと、そう私は了解しております。
#22
○委員長(西郷吉之助君) この問題ちよつと私からも岡野さんにお尋ねしておきますが、只今石村委員の御質問の趣旨ですね、閣議云々の問題なんですが、これは昨日原委員から御説明願つたところでは、文部大臣は最近にはないけれども、二十四年の何月とかの閣議決定があつて、それがそのまま今日生きていると思う、それで閣議に文部省の案を出した場合に、閣議は反対するはずもないのだというふうなお話があつたようですね。二十四年の閣議決定がそのまま生きているように言われたのですが、非常に意外に思つたのですけれども、その後地財委の意見を聞くと反対ですし、今岡野国務大臣の御意見も反対で非常にそこに我々としては妙な感じを受けたのです。二十四年の何月かの閣議決定はそのまま生きている、そういうお話だつたのです。
#23
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。二十四年の高瀬文部大臣のときにそんなことがあつたということは聞いております。併しながらその当時の内容と今回漏れ承わりますところの内容とはすつかり変つております。仮にこの前の閣議決定が生きているということに百歩讓りまして承服しましても、それならばその当時の閣議で決定しました要綱通りの法案が出るならば、或いは閣議決定されたと言えないことはありませんけれども、併しながら最近におけるあの法案の内容とするところのものは、閣議には何ら話も出ませんし、決定しておらん次第でございます。
#24
○堀末治君 ちよつと大臣にお尋ねいたしますが、今朝の新聞だと思うのですが、今度平衡交付金法一部改正法案についてこの問題と絡んで文部大臣は閣議の決定に賛成せられなんだということが出ておりますが、何かそういうことはございますか。
#25
○国務大臣(岡野清豪君) それは私はこういうことがそう伝えられておるのじやないかと思います。と申しますことは、御承知の通りに地方財政委員会の規則と申しますものは、二十六年度までは地方財政委員会の規則でいろいろな……ちよつと速記を……。
#26
○委員長(西郷吉之助君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#27
○委員長(西郷吉之助君) 速記を始めて。
#28
○国務大臣(岡野清豪君) それはこういうことです。文部省で教育費というものがどうも確保されていない、だからああいうことをしなければならんというような仰せがあつたものですから、それで丁度まあ二十七年度からは地方財政委員会の規則を法律に直さなければなりません、法律に直すにつきましては文部省の義務教育の費用ですね、確保ができるようにちやんと法定してしまう、そうしたら何も文句はないのじやないかということで、その法定する案を出しているのが一応これになつておるのです。ちよつと詳しいことは事務当局から御説明申上げます。
#29
○政府委員(奧野誠亮君) 地方財政平衡交付金法の改正案は差当り文部省の考え方と食い違いはないと考えておつたのでありますけれども、最近出されております義務教育費国庫負担法案によりますと、その法案によりまして、地方財政平衡交付金法を改正いたしまして、地方財政平衡交付金法で測定いたします小学校費や中学校費、要するに義務教育費に関しまするものは全部削除してしまいたい、そうして義務教育費国庫負担法の中で全部計算するようにしたい、或いは又地方財政平衡交付金法で配分されます交付金千二百五十億円の中から五百三十六億円だけを減額いたしまして、義務教育費国庫負担としてその法案に基いて配分したい、こういう考え方が明らかにされていたわけであります。当時そういう案がわかりませんでしたので、なぜ保留されておつたのか了解に苦しんでおつたのでありますけれども、義務教育費国庫負担法を出したいために一応それは保留しておきたい、こういう考えであつたようであります。
#30
○原虎一君 岡野大臣にお伺いするのですが、今他の委員から説明がありましたのでおわかりと思いますが、先般私が文部大臣に閣議決定はいつ頃できるか、即ち義務教育費国庫負担法というものの案ができつつあるのですが、それが閣議でいつ決定できるのであるか、大よその時期を知りたいというのでお聞きしたのでありますが、はつきりはいたしておりませんが、大臣の信念といいますか、文部大臣のお考えは、こういう正しいことをやるのであるから、閣議においても反対があろうはずがないというような御答弁なんです。ところが今日岡野大臣は真向から反対しているんですね。そうなりますと、我々議員が法案を出すなら別でありますが、政府が出して来るものを閣議決定を経てないものを取上げて、のんべんだらりとやつておる暇がもうだんだんなくなつて来ております。そこでお聞きしたいのは、この問題をめぐつて文部省とそれから岡野大臣との間における折衝は何もなされていないように伺います。そうしますと、岡野大臣はこのままでやつて行かれる、押切つて行かれるとお考えであるか、さもなければ閣議決定を急がれて、閣議で何らかの処置をされるというお考えがあるのか、その点をお伺いしたいのであります。
#31
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。閣議に出れば私は先ほど申上げましたような態度をとるつもりでおりますけれども、併し只今のところでは閣議では話が出ません。ですから何らの立場も表明しておりません。でございますが、今いろいろ事務当局の方面で何か話合いを受けておるのでしよう。事務当局のほうでは話合いを受けておりますけれども、閣議の問題にはなつておりません。それで私はとにかく先ほどのような反対の意思を持つておりますものですから、今それを急いで出してくれという催促はいたさないつもりでございます。
#32
○原虎一君 それは我々地方行政委員としては、私が今言つたように当然考えると思うのであります。事務当局で折衝しておると言われますが、問題は基本的なものがきまらずして事務当局がどう折衝してもそれは一つの駈引に過ぎないことになるのじやないかと思うのであります。岡野大臣のお考えと文部大臣のお考えは、全然基本的に違つておるのでありますから、即ち平衡交付金から義務教育費国庫負担を別にするということについては、基本的に正面から衝突されておるんですね。そうして事務当局が何を折衝されたつてこれはしようないわけですね。ところが文部省からは、こういう案がすでに謄写版刷にして出て来たわけであります。これは地方行政委員会に関係する重大な問題なんです。これはその予備審査というようなことを案はいつまでも続けているには余りにも国会の期日が迫つているのではないかという関係もありますから、地方行政の方面の担当の岡野大臣としては文部大臣は文部大臣の独自の考えであるから、それが閣議に出して来るまではおらほうは知らんで置く、こういうお考えであるようなんで、これでは会期がだんだん終りになつて来て、審議しなければならんということになつて来ては困るという点があるから申上げたのでありまして……。
#33
○国務大臣(岡野清豪君) もともと私の立場といたしましては、予算閣議のときにこれを動かさない、そういう法案を出さないという了解がついて、文部大臣は了解ついていないとかいるとかおつしやるかも知れませんが、我々は了解つけばこそあの新予算、二十七年度がすでに衆議院を通過いたしました、その予算書が国会に提出されているのです。そういたしますというと、千二百五十億のなにを、平衡交付金というものは、これは動かさないということになつているのですから、当然そういうものが出て来るはずはないと私は考えているものですから、そういうものは審議されるのがおかしいのではないかと思います。
#34
○石村幸作君 先ほど私が縷々申上げたのを、原君が同じことを言つていらつしやるのでして、今ここでこの賛否を我々が言うにはまだ早い。そこでこの問題は、岡野国務大臣は、もう予算で平衡交付金が千二百五十億きまつている、だからこれは手は着けられないと言うけれども、文部大臣の意向は二十七年度では紐付きで、平衡交付金からはつきり紐付きで出す、二十八年度になつたら平衡交付金から外して独立する、こういう肚ではないのでしようか。それで而もこれは政府提案でなく、議員提案で出すというような気持でやつておられるのではないかと思うのですが、どうですか。
#35
○国務大臣(岡野清豪君) その辺のところは私もよく存じません。存じませんけれども、仮に議員提出で出されるということになれば、もう一遍予算を審議し直さなければならんことになるのではないかと思います。と申しますのは、衆議院でもうちやんと千二百五十億ときまつて出ておりますし、而も昨年まで平衡交付金というものを彼此振替えができるという規則があつたのを、来年度はそれを外してしまつて、平衡交付金は平衡交付金として使わなければならんということにびしやつときまつてしまつて出て来ているものでありますから、そうしますれば結局紐付きにするということになれば、紐付きにするという法律案を通して、同時に予算をもう一遍審議して、あれは法律になつたからこの予算はこう組替えてもいいようにしたという附帯決議でもつけなければいかん、今咄嗟の考えではそう考えます。
#36
○石村幸作君 この問題は予備審査というよりもむしろそこまで行かない問題ですから、ここでいつまでやつたつて結論が出ないのですからいいとして、ただ御参考にちよつと申上げておきたいのですが、すでに御承知でしようが、この問題は、こういうことをやつておりますと地方の一つの自治体の中に非常に苦しい立場ができて来る、こういうことがいつまでも延びておりますと……、そこで参考に申上げたいのだが、去る十一国会ですか中に、文部省からこんなふうな資料が出ていたのです、アメリカの第二次か第三次か忘れたが、教育使節団が見えてその勧告案が勧告書として配付されたのですが、それを要約して言うと、今出ている文部省案の又一歩進んだ、教育費に関する限りこれは全部教育委員会が掌る、その予算の編成も教育委員会がやる、そしてそれの財源も、つまり教育院のようなものを、独立したものをとつて、これは県なり市町村の地方議会には容喙させない、関係させない、そうして教育委員会が独自で予算を組んでこれを徴税をする、自分の委員会の手で教育税のごときものを徴税する。そういうような勧告が出ているということをプリントにして配付したというように思つておるのです。これは、それから見ると今回の案はずつとまだまだ柔かいもので、そういうふうなものになつて来ますと、もうこれは議会政治がめちやくちやになるのでして、地方の財政なんということは、自主的財政なんということはできなくなる。そこまで、文部省も或る程度まで強い、非常に熱心な、教育の熱心な余りそこまでの気持を持つておる、そういうことを一つ御参考に申上げて、意にとどめて、今後強く地方財政のためにお考えを願いたいと思います。
#37
○委員長(西郷吉之助君) なおこの際岡野国務大臣に伺いますが、衆議院におきまして東京の二十三特別区の区長の任命の問題につきまして御意見の発表があつたようでありますからその問題について御所見をお伺いします。
#38
○国務大臣(岡野清豪君) 区長を都知事の任命制にすると、こういうことですが、これは私昨年の秋以来地方行政の簡素化本部というものを作りまして、そうしてその当時から地方のあり方をどうしたらいいだろうということを研究しておりました。それから又神戸委員会の事務再配分の第二次勧告が出ましたので、それらなんかをいろいろ研究したりしまして、特別区と東京都というものとの間の事務がどういうふうにあつたほうがいいかというふうなことをいろいろ研究して見たのでありますが、その当時から区長を都知事の任命制にしたらどんなものだろうかというようなことが私の頭に往来した次第でございます。あれはそういうふうなことは頭に置いて研究はしたのでございますが、併しまだそれが果してそうやるとかやらんとかということに決定したわけでもございませんし、成案ができたわけでもございません。ただ新聞に早くそういう我々の頭の動き方が反映しまして出て、そうして只今御承知の通りのそれに対する反対運動なんかの気勢が上つておるようでございますが、併しこれは相当重大な問題でございますから、十分研究調査しまして結論を得て成案ができてから皆さんに御審議を願う段取りになると思います。右に行くか左に行くかまだ決定いたしておりません。
#39
○委員長(西郷吉之助君) 他に御質疑ございませんか……。それでは本日はこの程度において散会いたします。
   午後零時二十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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