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1951/05/20 第13回国会 参議院 参議院会議録情報 第013回国会 地方行政委員会 第35号
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1951/05/20 第13回国会 参議院

参議院会議録情報 第013回国会 地方行政委員会 第35号

#1
第013回国会 地方行政委員会 第35号
昭和二十七年五月二十日(火曜日)
   午前十一時七分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     西郷吉之助君
   委員
           愛知 揆一君
           岩沢 忠恭君
           石村 幸作君
           高橋進太郎君
           若木 勝藏君
           原  虎一君
           林屋亀次郎君
  国務大臣
   国 務 大 臣 岡野 清豪君
  政府委員
   国家地方警察本
   部警備部長   柏村 信雄君
   地方自治庁財政
   課長      奧野 誠亮君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       福永與一郎君
   常任委員会専門
   員       武井 群嗣君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○道路交通取締法の一部を改正する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
○地方行政の改革に関する調査の件
 (県会議員の除名問題に関する件)
○地方財政平衡交付金法の一部を改正
 する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(西郷吉之助君) 只今より委員会を開会いたします。
 本日は道路交通取締法の一部を改正する法律案並びに地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案、両案について質疑をいたします。最初に道路交通取締法の一部を改正する法律案に対する質疑をお願いいたします。
#3
○若木勝藏君 私は今の法案につきまして二、三の点を質問したいと思います。
 先ず第一に直接この法案には関係ないことでありますけれども、始終この頃道路を歩いて見て、私の考えておるのは対面交通の問題でありますが、あれが実施されて以来東京都においても、又地方におきましても、殊に地方におきましては全くこれは実績が挙つておらないように思うのであります。それで何と言いましてもこの問題は長い間の我々の習慣に基くところが大きな問題になつて来るだろうと思うのであります、その結果対面交通によつて、いわゆる我々の右側交通というふうなことが実施されないでおるのではないかと、こう考えるのであります。そこでお伺いしたいのは、どうして一体そういうふうな習慣というふうなものがあるのに対面交通をしなければならなかつたか、こういうふうなことに改正しなければならなかつたか、その根拠についてお伺いいたします。
#4
○政府委員(柏村信雄君) 只今お話のように左側通行が長い間の習慣でありましたことは事実でございますが、対面交通をいたしましたのは、道路の交通につきまして事故防止という点から考えますると、車馬と人と同じ方向に歩くということは非常に危險なことが多い、どうしても気がつかずに人が車に軋かれるというようなことが多いわけでありまして、やはり歩道のない所におきましては向い合つて通行することによつてその危険を防止し得るということが、これは理論的にはどうしても正しいことであると考えたわけであります。諸外国の例におきましても、殆んど世界の各国において対面交通をいたしております。従いまして理論的には対面交通が事故防止のために必要であるということはこれは疑いないところであると考えるのであります。ただ只今御指摘のように、長い習慣の左側通行をやめて右側通行にしたということのためにこれが徹底をしない、どうしても知らず知らずに従来の左側通行をするという人が多いということもこれは又事実だと思うのでありますが、これはやはり学校その他子供のときからの教育というものによつて、若い世代については相当趣旨が徹底して参つておると思いまするし、又一般の人々の理解を深めるという啓蒙宣伝ということが行き届けば、かなり困難なことではあらうかと思いますが、将来立派に対面交通の実が挙がるのではないかというふうに考えまして、従来の習慣をこの際打破いたしまして、対面交通にしたいということなのであります。ただその対面交通の場合に人が左側を通つておつた、これはそのままにしておいて、車馬を右にするということが適当ではないかということも考えられるのでありますが、車馬を右を通行させるということになりますると、いろいろ車馬の通行に対して信号であるとか、或いは駐車施設であるとか、いろいろなものにおいて非常な施設の上に経費を要するわけであります。従いまして我が国のごとき財政経済上戰後非常に疲弊いたしておりまする際、又一挙にこれを行うことが非常に技術的にも困難だというようなことから考えまして、理論的に正しい対面交通はとるが、そうした施設、経費の面で負担がかからず、教養啓蒙の面において実施が可能であると考えられまする歩行者の右側通行ということにするのが最も適当ではないかということで、二十四年の十一月からこれを実施したような次第なのでございます。
#5
○若木勝藏君 私も欧米における、いわゆる文明国と称する国においては対面交通をとつておるようなことは聞いておるのでありますけれども、今もお話いたしました通りいわゆる同じく対面交通でも、向うの場合は人が左側を通り、車馬は右側を通るというふうで日本と丁度逆になつておる、ここに私は問題があるんじやないかと思うのであります。対面交通そのものについて科学的な根拠があるといたしましても、要は長い間左側の習慣を持つておるところの日本の人たちに対して、直ちにそれを適用するというところに無理がある。今お話がありましたけれども、終戰当時から今日までに相当年数も経つておるのでありまするし、結局これは経費の問題にのみ捉われて実積の挙がらないところのことを考えておつても問題にならんのじやないかと私は思うのであります。この辺で一つこの習慣を是正して、変えて、右側に持つて行くということになれば、どこまでもこれを遂行するということになれば、私は相当な罰則を設けない限りは実効が挙がらんのじやないかと思うのであります。そういう点から考えまして、今後どこまでもこれを押して行かれる考えであるのか、或いはそういう点について経費の問題で以てこれを解決し、欧米のように対面交通にするというふうなお考えであるのか、その点を伺いたいと思います。
#6
○政府委員(柏村信雄君) 諸外国の例におきまして、歩行者が左、車馬が右という所が多いことは事実でございますが、例えば英本国とかその属領等におきましては、車馬が左側、歩行者が右側という方式をやつておるわけでありまして、世界のすべての国が歩行者が左ということになつておるわけではないのであります。ただ只今御指摘の通り二年半の経験が理想のごとき姿を示していないということは、私どもも甚だ遺憾に思うのでありますが、これは是非とも一般の啓蒙、殊に若い世代のどちらでも変り得る、強い習慣に馴染んでいない者を教養をし、これらが右側通行ということに馴れるということによつて、一般の人もその行き方に自然に従つて行くということになるのではないかというふうに考えておりまするし、警察といたしましては、従いまして去る四月の交通安全旬間におきましても、特にこの対面交通の趣旨の徹底と指導を強調いたしまして、その円滑なる実施に努めておるようなわけでございます。経費の面だけを考慮したと、こういうことでございますが、何分にも金が非常に多くかかるということと、それから施設を一挙に変えるということが非常に困難な点が、歩行者をして右側通行をさせざるを得なかつたという主たる事由になつていることは事実なようなわけであります。
#7
○若木勝藏君 そういうふうな御意向であれば、結局は今後もどうしてもこれを実効を挙げるように努力するということになるのでありましようけれども、在来のこの二年間のようなそういう啓蒙宣伝だけでは、到底私は実効が挙がらないと思うのでありますけれども、いろいろな方法を用いて、こういうふうにきめで行くのであれば、実効の挙がる方法を研究してもらいたい。そういう点を希望いたしておきます。
#8
○委員長(西郷吉之助君) それでは岡野国務大臣がお見えになりましたから、道路交通取締法の質疑は次回に譲ります。
  ―――――――――――――
#9
○若木勝藏君 私はこの際岡野大臣に質問をしたいのでありますが、それは過日の青森県会議員の米内山義一郎君の除名の問題についてであります。これを調査いたしますと、結局は何か言葉の上に至らない点があつたということで問題になつておる。そうして本へはそれを取消したにかかわらず、懲罰と動議に付せられ、除名処分に付せられた。その実情を見ますと、私はこれは非常に、いわゆる議会における多数決の濫用に陷つておるのじやないか、こういうふうに思うのであります。ところが本人の訴えによつて、青森県の地裁におきましてはこの実情を調べて、そうして除名の効力を停止に決定して、そうして議会のほうに通告しておる、これは誠に私は内容から考えまして妥当な措置だと思うのでありますけれども、然るに、この裁判所の決定に対しまして、十三日の閣議においてはいわゆる首相の異議の申立を決定しておる。この際に、この裁判所の決定を支持するところのいわゆる法務府と、それからこの決定を無効にしようというところの自治庁と対立が行われたように新聞で報道されておるのであります。結局は、この自治庁の主張が通つて、首相の異議申立ということになつたようであります。そこで私のお尋ねの点は、どういう根拠で以て、或いは詳細な調査等に基いて妥当であるという立場からこの自治庁として首相の異議申立まで問題を進めて行つたのでありますか、どんな根拠でそれをされたかというその点について……。
#10
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。先般青森県会におきまして一議員を除名処分に付しましたところ、それに対して、本人から裁判所に訴え出て、そうして同時に裁判所がその訴状を受理すると共に、又その申請を受けて執行停止の処分をしたわけでございます。そこで、先ほど法務府と私のほうと対立したというお話がございましたが、これは対立したんではなくて、両方に制度がありますから、それを、片方では執行の処分をし、又私のほうでは異議の申立をしたいという意味において閣議においてお互いに意見を披瀝し合つて、そうして結論といたしまして総理大臣の異議申立をするということに決定したわけであります。対立でも何でもございません。そこで、只今仰せにりましたところの点でございますが、私といたしましては、地方の議会というものは、地方自治の最も大切なる機関でございます。と申しますことは、只今の憲法におきましては、丁度国会が国家の最高機関であるごとく、地方自治行政におきましては、やはり地方議会が一番最高の機関でございます。そこで、その地方の行政の根幹を議決し、そうしてこれを執行機関たる市町村長、都道府県知事に執行させると、こういうことになつておりまして、地方議会というものが地方自治の運営上最も大切な機関である、こういうことだけが前提であります。そこで、我々といたしましては、少くとも自治法の百二十九條にも出ておりますように、地方議会の秩序を保つ、即ち地方議会が円満に運営されて行く、こういう意味におきまして、若しその円満なる地方議会の運営が妨げられるという場合には、これは地方自治法に根拠を発し、同時にその議会の議事規則によりまして四つの懲罰、即ち戒告、陳謝、出席停止、又は除名、こういう四段階に分つて、そうして懲罰に付することができるということになつておるわけでございます。只今仰せのごとく、内容といたしまして、非常に不穏な言葉を使つた、併しあとから取消した。これは除名にもなる筋合のものではないではないかというようなことが御趣旨の内容でございますが、併し、それあるがために、裁判所が果してその決議というものが正当であるかどうかということを、いわゆる司法権の立場から検討するということは、これは当然のことでございまして、私でもとしては、その司法権の発動として、その除名処分が理由があるかないか、これは取消すべきものであるか、若しくはそうすべきものでないかというようなことは、挙げて司法権に一任しておるわけでございます。併しながら、今度は自治庁の立場といたしましては、除名処分ということは極刑であるかないかという内容につきましては、これは裁判所にお任せしてありますけれども、議会の秩序を保つためにできておるところの議事規則によつて、そうして最も困難なる三分の二の出席を要し、同時に四分の三の賛成を得てやるというように、法的に立派に成立しそおるところのその懲罰というものが、若し裁判所の一つの執行停止によつてこれを抑えられて、而もそれが裁判所の判決というものが極く短期間になされて結果が出るというようなものでございますならば、我々としてもまだ考えようもございますけれども、日本の裁判の状況を過去に顧みますというと、これが二年かかることやら、三年かかることやらわかりません。そこで、議員には或る程度の任期がございます。又議会の開会にも期限がございます。そういうふうに、期限を切り、時期を切つておるところの身分上の人に対して、いつきまるかわからないというような判決の副産物として執行停止をして置いておく、そうして負けるか勝つかわからないという不安の状態に置きながら、この決議をむしろ無効化するところの裁判所の執行停止ということがあることは、私は最もこれは自治確立上甚だ遺憾の点が多いと、こう考えまして、地方自治の確立、即ち地方行政が円満に行くという意味におきまして、一応執行停止だけは総理大臣が国の最高行政機関の長として異議を唱える、こういう立場から、私たちとしましては総理大臣の異議を申立てまして、そうしてこの執行停止だけを外して議会の秩序を保たして行きたい、こういうような趣旨から先般のような結論になつたわけでございます。
#11
○若木勝藏君 今の御答弁によりますというと、いわゆる自治の確立の上から、地方議会の自主性というようなものを自治庁として重んじまして、重んずる立場から、そういうう異議の申立をするというふうに私は受取つたのでありますが、それは確かに一応の理があるかと思うのであります。併し、それは内容の如何によるのじやないか、むしろ自治庁といたしましては、議会の運営を正しく指導するというか、或いは協力するというか、そういうふうな形で成長さして行かなければならない、そういうふうな立場から、この内容そのものにも十分検討しないで、むしろ多数の暴力、多数決の濫用に陷つておるような場合をも、ただ單にそういう抽象論によつてこの裁判権を拒否して行く、異議の申立をして行く、そういうふうなことになりますれば、却つてあなたの考えておるところの地方自治の確立ということが逆になつて来るじやないか、私はそう考える。その一面も一つ十分考えて異議の申立というようなことをとらなければならない、こういうふうに思うのであります。今回の場合はどう考えましても、内容から言いまして、多数決の濫用と言うことをむしろ自治庁の方面で支持しておるかのように私には見えるのであります。そうして、それに対する十分なるいわゆる権力を持つておるところの司法権に対しても、これをも侵害するような形に見えるのであります。その点は如何でありますか。
#12
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。先ず第一に、前提といたしまして御了解願つて置きたいことは、日本は法治国でございます。法によつて物事が動いておる政情でございます。そこで私どもといたしましては、若しこの内容に立入りまして、そうして、それがいいか悪いかということを四分の三の多数を以て合法的に議会が決議しておるものを自治庁が介入いたしますならば、これは私はフアツシヨである、独裁主義であると思います。賛成が七、反対が三ある場合に、自治庁が考えまして、反対の三のほうの理窟のほうがいいから、それは七の絶対多数の賛成がありましても、それを無視するというようなことになりますというと、これは私は即ち多数政治、今日の政治の根幹としておりますところの主義に反して、又独裁主義を醸成するという虞れがある。それからこれくらいなことでやつておるものを多数横暴ということがお言葉にありましたが、併しこれは多数横暴とか何とかいうことは、私は見方の関係だと思います。併しながら結局議会が少くとも合法的に成立しており、同時にその議員が合法的の手続を踏んで、そうして決議したというものに対して、私は多数横暴ということは言えないと思います。若し多数横暴ということを言うならば、今日の議会政治というものは成り立たないと、こう考えております。それから司法権の発動に対して総理大臣が異議を申立てる、こういうようなことがございますが、これは併し行政事件訴訟特例法にちやんとこの場合を予想して法律ができておるわけであります。それは一方において裁判所が執行停止をすることができるということになり、同時に又総理大臣が国の最高の行政長官として異議を申立ててよろしいということになつておりますから、法律上は裁判所は裁判所の見方によつて一つの処置をし、又行政機関の長たる総理大臣は、行政機関の長たる総理大臣の見解において又異議を申立てることができる。こういうような法制上の規定になつておりますから、何ら裁判所に対して行政機関が干渉したと、こういうことに私はならんと思います。
#13
○若木勝藏君 再三に亘つての御答弁を検討して見ますると、あなたの御意見は非常に形式論に捉われておる。手続上それは確かにそういうことはあり得るのでありますけれども、そういう手続上からばかり事を考えて、実体についてこれをおろそかにして行つたならば、これはいわゆる議会の権限も或いは首相の権限も濫用に陥る場合が出て来ると同時に、この司法権の立場も非常にこれをうとんじておる。こういう結果に私は降るものであろうと思うのであります。そこで私は只今形式の如何を問うているのではない、もつと実体によつて、その結果によつて事を処したならば、自治庁の立場としてこの地方自治の成長に対して協力して行くことができるのでないか、こう考えるのであります。その点について形式論に終つて、こういう手続がある、それをやつて何ら差支えない、こういうことになつて行きますというと、将来におきましてもそういうことによつて非常に地方議会政治の実体というものから離れた形式論によつて多数がどんどん多数の力によつて事を処して行く、こういうふうなことが多くでき得るということを懸念いたしますので私はその点を質問したのであります。まあそれ以上に亘りましてもどうもあなたの形式論と私の実体論と食い違いがあるようですからいたしかたがないと思いますが、結局は首相の権限の濫用なり、そういう方面に陥ることに対しては、十分一つ警戒をいたして、そうして地方自治のために協力してもらいたい、こういうような考えであります。
#14
○原虎一君 これに関連して、今大臣の答弁はよく筋は通つていますが、一つお聞きしなければわからぬ点があるのであります。裁判の判決、執行停止に対して異議を総理が申立てるという場合に、御説明だと地方の議会が決定した権威を守るためにやつたというようでありますが、この場合ただそれだけですか。その一点でおやりになつたのであるか、他に事情があるか、この点をお伺いしたい。
#15
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。私どもといたしましては、議会の秩序を保つことが地方行政を円満に運営して行く一番よい方法である。同時に、若し円満に議会が運営されない場合には非常に困つたことがあるというようなことが、ちやんと法にも予想されておりまして、若し地方の議会の秩序を破るようなことがあるならば、自治法に根拠を置き、同時に地方議会において規則を作つて、こういうふうにして秩序を保つて行こう。こういうことにしている。その秩序を保つ法の発動といたしまして合法的に決議をした。これはもう完全に地方の行政が正当に運営されていると、こう私は思つている次第であります。それを裁判所の執行停止によつてそういうこともできん。そうすればまあこの場合のことじやございませんが、概括的に申しまして、どんな決議がありましても、その決議というものを裁判所の執行停止によつて停止するということになれば、今後は自治法に予定しておりますところの議会の秩序を保つ條文並びにその議会が作つておりますところの議員規則というものは、無視蹂躙されてしまつて、今後地方の行政というもの、即ち行政の一番大事な議会の秩序は保てなくて、地方自治は円満に運営されて行かん、こういう虞れをなしますから、その意味だけにおきまして、私は一応は地方の議会が合法的に懲罰することを決定しました場合には、それは懲罰を決定させておきまして、同時にその懲罰がいいか悪いかという問題は、これは先ほども申しました通り訴え出れば、司法権というものが日本にはございますから、その司法権の発動によりましてそれを取消すなり、無効にするなり、又場合によつてはあとで損害賠償に訴えるなり何なりということもできますから、これは司法権の意思に任している次第であります。ただ形体といたしまして、地方の議会が折角円満にやつて行こうという、それらの秩序を保つべく作られているところの懲罰の決議というものを裁判所の執行停止という仮処分によつて懲罰事項を死文化する、若しくは実行できないというふうになることは地方自治行政上面白くない、こういう立場から私は異議を申立てさせておいたわけであります。
#16
○原虎一君 そこでやはり行政事件訴訟の場合において、裁判所が今言つたように決定をした場合、成るほど大臣の言われますように地方議会の権威を維持するためにという考えも一つは大事でありましようが、裁判所の決定ということもこれは基本的人権を守るためには尊重しなければならん。そういたしますと、まあその比重が五分五分というような問題にいたしましても、裁判所の決定を実行して行つた結果、その地方議会の権威がどんなに乱されるであろうか。事実上どんなに乱されるであろうかということが私は総理大臣の異議申立の重要なる基本になると思うのです。青森の場合においては余りにも一人ですね、そうしてこれが数人を除名して、数人が議員としての職権を裁判確定まで行使するということが県会の運営に非常に影響を来たすというふうな問題とは違うのじやないか。全く一人ですね、それが一人といえども、それは地方議会の運営を乱す場合がないとは私は断言できませんが、裁判所の決定に異議を申立てるのは今大臣の言われた理由では余りにも薄弱じやないか。この地方議会の運営を円滑ならしめるために、この一人の議員が裁判所の決定通りにするためにどんなに運営が乱されて行くのか、この点はお説明にならずに、ただ法規上自治庁としては県議会の権威を維持するために除名したほうを守るのだというだけにしか聞えない。裁判所の決定を履行したならば一体どれだけ地方議会の権威を壊されて運営が困難になるかということの御説明は我々には聞かれない。この点ちよつと私は納得できないところがあります。
#17
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。これは私が先ほども申上げましたように、地方の議会の円満なる運営を行うためには懲罰ということが必要である。これは法律が予想してちやんと規定しておるわけであります。又議会もそれを予想しまして議員規則によつて議会の円満な運営ということを目標にして運営しておるのでございます。若しそれに邪魔をされるような人かおつては、どうしてもこれが議会の運営ができない、そういうことでございますから、事の軽重によりまして、一応その人に御忠告申上げておいておけば今後は運営がうまく行くだろうと、こう議会が判断しましたときには、これは戒告でおこうし、それからもう少しひどく、謝まつてでもおいてもらわないと困る、工合が悪いという場合には陳謝してもらう。併し又そんなことじやない、もう少し一つ反省を促しておかなければならんから十日間ほど議会を休め、休ましておこうじやないかという、こういうことで十日の出勤停止をさぜるということもできます。極刑といたしましては、もうこういう人がこういう議会におつてもらつちや、どうしたつて県議会としては円満に地方行政をやつて行けない、こういう工合で除名をする、こういうことになつて来ます。そういうふうな秩序を保つて行く法律、規則というものを、これを十分強化させて行つて、そうして議会の秩序を保たせるということが地方行政の一番大事なことである。自治確立の本来の姿であるという意味におきまして、私は御本人が、それがいいか悪いかということには触れておりません、その御本人が一人くらいが少々なことを言つたくらいならばおつてもいいじやないか、除名は余りひど過ぎるじやないかという、こういうようなことは、一に任して裁判所の判断に任すわけであります。我々といたしましては、少くとも形式論とおつしやいましたけれども、法治国はやはり形式論で行かなければならん。即ち法律に基いた形式を踏んで、そうして議会の秩序を保つ大事な懲罰規定というものが裁判所のまだどちらにうちわを挙げるかわからないというところのペンデイングな形における状態において執行停止をして行く、そうして議会の秩序を保つて行こうという法的根拠というものを全く死文化してしまう、こういうことは地方行政上面白くない、こういう建前から私は異議の申立に賛成したわけであります。
#18
○原虎一君 ちよつと私の質問が御了解になつてないようでございますが、私も県議会がこの処分をしたことの内容について、とやこう考えるということを申上げておるのじやなくて、そのことはすでに処分を受けた本人が裁判訴訟をして、これを裁判所が執行の停止をしておる、そうならばそれで裁判は妥当なんですね。併しそのために県議会の権威を損ね、円満を欠くという事態が生ずるという理由がなければ、私は裁判所の決定ということに対して、そう濫りに総理が異議申立をすべきものではない、こう申上げておるので、ただあなたの御説明によれば、規則がそうであつて、そういうことを裁判所に今後たびたびやられては自治体はやつて行かれないから、一人の者のこれは問題であるけれども、執行停止についても異議を申立てる、こういうふうな解釈をされたようにしか取れないので、我々から見れば、訴訟になつて、裁判所の一応の決定は素直に尊重すべきじやないか。素直に尊重するということから来る県会の運営が非常に困難となるという、我々国民をしてうなずけるところの理由があれば、総理が、私は異議を申立てるのがいい、こう申上げておるのであります。
#19
○国務大臣(岡野清豪君) 私は少し法理論になり過ぎるかも知れませんが、地方の行政をとにかく円満に遂行するためには、議会の秩序は十分維持されなければならん、その秩序を維持するところの決議がなされたものを、裁判所の執行停止即ちまだ判決によつてどちらとも付かないぺンデイングの間に、或る間に執行停止によつて議会の決議を無視するというような裁判所の執行停止は、今後あつちこつちへ波及しまして、どんな決議をしましても、一応は裁判所にその被害者は訴え出るにきまつておる、同時にその被害者が訴え出て、同時に執行停止を申請すれば執行停止をするということになれば、今後自治体行政といたしまして、議会の秩序を保つことができない情勢に陥るという非常な危険があると考えまして、今回私は裁判所の決定に対して異議を申立てたわけであります。
  ―――――――――――――
#20
○委員長(西郷吉之助君) それでは平衡交付金の御質疑を願いたい。
#21
○若木勝藏君 昨日補正係数のことにつきまして資料に基いた説明を求めたのでありますが、その点をお伺いいたします。
#22
○政府委員(奧野誠亮君) お手許に半ページの「寒冷度及び積雪度に因る補正係数の算定に用いる地域区分の決定要領」というものをお配りしてございますので、それをご覧頂きたいと思います。寒冷度及び積雪度による補正係数の算定に用いる地域を分別する際、給與差、寒冷度及び積雪愛別に全国の該当地域を定めることにしておるわけであります。給與差につきましては、国家公務員に対する寒冷地手当の支給区域区分をそのままに見ております。昨日問題になりましたのは、第二番目の寒冷度及び積雪度をどう測定しておるかという問題であつたと思うのであります。これは昨日も申上げましたように、東京の中央気象台の調査による全国の測候所において一月の平均気温と降雪量を五十カ年に亘つて観測したものの平均に基いて作成された気候図によつてきめたわけなんでありまして、その基準は裏のほうに書いてございます。寒冷度の面におきましては、マイナス九度以上のものを四級地にする、マイナス六度から九度までのものを三級地にするというふうに定めます。又積雪度におきましては、二メーター以上であるか或いは一メーターから二メーターの間であるかということよつて、この級地の区分をしておるわけであります。中央気象台の調査によりますと、全国に亘る等温線及び等積雪線を描いた図があるのでございます。この図を基礎にいたしましてそれぞれの市町村を区分するわけなんでありますが、それぞれ寒冷度、積雪度については何度以上であるとか、何メーター以上であるとかいら数字を使つておりますのは、等温線なり等積雪線なりの区分の基礎になつておる数字でございます。
#23
○若木勝藏君 そうしますとですね、寒冷地手当の方面におけるところの、いわゆる級地の決定の際には、これは相当又別な角度からやつておるようでありまするが、これは私の調べたところによりますというと、例年の平均気温が攝氏二度以下というふうなもの、その月を積算してそこに指数を出すと同時に、又平均気温が二度以下の月において、その月の平均気温と平均最低気温との差を積卸して指数を作つておる。それから更に今度は例年の月平均の最深積雪二十センチ以上の分を積算して、そうして指数を決定しておる。風力についてもそういう方面から一つの積算をして、そうして計数を出す、そういうふうなものを更にそれに加えるに、降水の日数ですね、これの平均二十日を超えるところの該当月数に〇・五を乗じて指数を作つておる。それから今度は日照時数を百二十時間に満たないところの月数に〇・五を乗じてこれも指数を作つておる。そういうすべての場合を総合して、この寒冷地給等の級地を決定しておるのであります。そういうふうな一つの根拠に立つたこの寒冷地給のいわゆる級地の決定と今お話がありましたところのこの全国の何と言いますか、天気図によつて等温線とか或いは積雪の状態、こういう方面から決定したものと一致するかどうかということを私は考えるのであります。寒冷地給の場合においては、そういうものをそのまま取入れる、補正係数の場合に……。それから別に又今お話のあつたような立場からこれを決定して級地をきめる、ここに私は当然食い違いが出て来るのではないか、こう考えるのでありますが、その点如何でしようか。
#24
○政府委員(奧野誠亮君) 寒冷度、積雪度によりまして何の種類の経費が割高になるかという問題によつて、寒冷度、積雪度をどういうところで区分するかというふうに問題が違つて来ると思うのであります。例えば雪が激しい場合には、層根から雪を下さなければならない。併しながらそれらの経費の対象といたしまして、建物がありません場合には、雪下しの経費は不要でありまするので、その種の経費につきまして特に割増をして行かなければならないということはないと考えられるわけであります。例えば専ら人件費から成つておりまするものにつきまして、特に雪が深いから深さの度合に応じて経費を割高にして行かなければならないというような理窟はすぐには出て参らないと思うのであります。併しながら学校の校舎の費用というふうなものになつて参りますると、やはり雪が深ければ深いだけ雪下しも何回もしなければなりませんので、それだけ経費は割高にして行かなければならないというふうになつて参ると思うのであります。で、寒冷地の手当の問題は、これは單に雪下しの費用でありますとか、或いは煖房の費用でありますとかいうようなことにとどまりませず、生活費全体がそういう関係で高くなるということでございますので、お話のようにあらゆる角度から調査して行かなければならんだろうと思うのであります。幸いにして寒冷地手当の問題につきましては、寒冷地手当の支給地域の区域というものが、国家公務員について設けられておりまするので、それを採用いたしましてもさほどの大きな食い違いがないのではなかろうかというふうに考えまして、給與差はこの面で取上げて行く、又寒冷度や積雪度や経費の対象に応じて先ほど申上げましたような計算によつて割増をして行くというふうに考えているわけであります。
#25
○若木勝藏君 それでは更に伺いたいのでありますが、あなたのほうの平衡交付金の配分の立場から考えて、寒冷度というふうなものと、それから積雪というふうな方面かう見まして、どちらに一体重きを置いてこれを決定しておるか。
#26
○政府委員(奧野誠亮君) 寒冷度も積雪度も全く同等に考えているわけであります。経費の内容から考えまして寒冷度の影響を受けるもの、例えば燃料費が入つております場合には、寒冷度に応じまして燃料責が大きくなるだろうと思うのであります。必ずしも積雪の量に応じて燃料費というものが多くなつたり少くなつたりするものではないというふうに考えているわけであります。同様に先ほども申上げましたように建物があります場合には、或いは雪掻きもしなければならない、或いは雪下しをしなければならない、そういうふうな対象になります経費の内容に応じましてそれらの経費がどれだけ積雪の度合によつで利高になるかというふうなことを計算いたしておるわけであります。
#27
○若木勝藏君 その点はわかりましたが、全国の測候所によつて一月の平均気温とそれから降雪量を五十年に亘つて観測したものがあります。この平均に基いて作成された、そうしますと、大体一月の平均気温というふうなものが基準になつて来るようでありますが、これはこれにのみよるということは、いわゆる十二月頃から四月頃までにおいていろいろ温度の差のある地方もあるのでありますが、却て一月よりも二月になつてから非常に寒くなる、こういうふうな所もあるわけであります。そのために道路が凍り上つたり、或いは橋梁が凍るために壊れる、こういうふうなことは必ずしも一月というふうなばかりでなしに、或いは四月になつてそういうことが起つて来る地方が多々ある、そういう点から考えまして、これまでの二カ年の経験から非常にこの点について是正しなければならぬというふうな実際の状況に基いてお考えになつたことがあるかどうか、この点お伺いします。
#28
○政府委員(奧野誠亮君) 御意見全くその通りでございます。私たちが作業をいたして参りましたことを経過的に申上げますと、二十五年度における寒冷積雪に関しまする補正係数の採用に当りましては、総合的に一貫して地域を定めたものであります。もとよりそれらの基礎といたしましては、只今申上げました等温線図或いは等積雪線図というものを総合的に睨み合せてきめたわけであります。併しながらなお考えて参りますると、やはり給與の面において、或いは雪の面において、或いは寒冷の面において経費が割高になる。対象は違うじやないかというようなことから二十六年度におきましては、只今まで申上げておりましたように、三つの種類に区分してこれらの補正係数を定めたわけでございます。併しながら只今お話になりましたように、一月だけで定めたのでは適当ではない、お説の通りなんであります。そういう意味で地方団体からもいろいろな意見があつたわけでありまするけれども、併しながら個々の地方団体の意見をそのまま採用してよろしいのかどうなのか、検討のいとまがございませんでしたから、やはり一月だけのもので、二十六年度はいたしたわけであります。併しながらその際に、二十七年度においては各府県が中央気象台の調査だけでよろしいかどうかということについては、十分な資料を添えて意見を出してもらいたい、その意見が全体の金額に大きな差のないものである場合にはそれを採用したい、かように申しておるわけであります。で一月だけにいたしますよりは、数カ月の平均をとつたらだうだろうかというようなことも考えられるわけでありますが、現在我んが得ております資料というものは、各地区の等温線図なり等積雪線図があるだけのことでございます。これらの図解だけでは平均を出しようがないわけであります。それで止むを得ず気象台とも相談いたしまして、一月の分だけ行なつておるというようなことになつておるわけであります。併しながら機械的に採用いたしまする結果、若干やはり問題も存しておりますので、二十七年度の補正係数をきめます際には、地方団体の意見に基きまして若干補正をして行きたいというような考え方持つております。
#29
○若木勝藏君 それで御研究の跡よくわかりましたが、確かにお考えのようにそういうところの不合理性は私も認めるのであります。それで今二十四年度から二十六年度更に二十七年度においては相当それらについて研究されておるというお話がありましたが、これは大変私はそういうふうに是非進めてもらいたい、こう考える次第であります。非常にこういう点におきまして私は地方に不合理な点があるのじやないか、こういうことを考えます。
#30
○委員長(西郷吉之助君) それではこの程度で散会いたします。
   午前十一時五十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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