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1951/06/11 第13回国会 参議院 参議院会議録情報 第013回国会 地方行政委員会 第49号
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1951/06/11 第13回国会 参議院

参議院会議録情報 第013回国会 地方行政委員会 第49号

#1
第013回国会 地方行政委員会 第49号
昭和二十七年六月十一日(水曜日)
   午後零時二分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     西郷吉之助君
   理事
           堀  末治君
           岩木 哲夫君
   委員
           岩沢 忠恭君
           石村 幸作君
           宮田 重文君
           岡本 愛祐君
           館  哲二君
           原  虎一君
           吉川末次郎君
           林屋亀次郎君
  国務大臣
   国 務 大 臣 岡野 清豪君
  政府委員
   地方自治庁次長 鈴木 俊一君
   地方自治庁行政
   課長      長野 士郎君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       福永與一郎君
   常任委員会専門
   員       武井 群嗣君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○地方自治法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(西郷吉之助君) それでは只今より委員会を開会いたします。
 本日は先般衆議院の修正点について説明を聞きました地方自治法の一部を改正する法律案について質疑を開始いたします。質疑の便宜上区切つてやりたいと思いますので、最初は第九条の二まで、この法案の十三ページですが、そこまで区切りまして、その間につきまして御質疑を願いたいと思います。
#3
○岡本愛祐君 先ず第二条からお伺いいたします。どういう理由でこの第二項の字句の改正があつたのか、その字句の改正によつてどう結果が違うのか、それを伺つておきたい。
#4
○政府委員(鈴木俊一君) 第二条の改正の第一点でございますが、これは「法律又はこれに基く政令」によつて地方公共団体に属するという点を先ず書いたのでございますが、これは地方公共団体を国の何と言いますか、従来出先機関的に考えておる向きが必ずしも少くなかつたわけであります。この地方自治法の第二条の第二項におきましては、将来は法律、政令でなければ事務の委任を行わない建前が現われておつたのでございますが、この点を更に明確にいたしまして、法律なり或いは法律に基く政令というもので事務の委任を行うという建前を明確にいたしたのであります。これはなお附則におきまして、命令等で、即ち省令以下の措置で委任しておりますものが現在あるのでありまするが、そういうものは本法施行後一年以内に、これを整理しなければならないという点を謳つておるわけであります。附則の第二項であります。そういうことによつて法律又はこれに基く政令で事務の委任を行うということを明確にいたし、地方団体の自主性をより明らかに保障しよう、こういう考え方が第一点であります。第三項におきまして法令というのは「法律又はこれに基く政令」と書いてありますのも同様の趣旨でございます。そういう趣旨から別表第一というものを特に設けまして、都道府県が処理しなければならないものを特に列挙いたしたわけであります。更に別表の第二におきましては、市町村が処理しなければならないものを列挙いたしたものであります。これは現行法の第二条におきましては、地方団体の処理いたしまする事務を例示いたしておるわけでございますが、この例示されております事務の中には、自主的に本来行いまするものと、それからいわゆる強制して行わせしめられますものと、二種類あるのであります。事務のわけ方を固有事務或いは委任事務というわけ方にする考え方と、それから必要事務或いは随意事務というように、その事務の強制されているか否かという点からわけるわけ方と両方あるわけでございますが、強制されておる事務というものが、どういう種類のものであるかということを別表におきまして明確にいたしたわけであります。これは更に進みましては、この種の事務ができるだけ自主的に、即ちその事務を処理する、処理しないを、地方団体に自主的にきめさせるようにすることが、地方自治の上から申せば望ましいわけでございまするし、又これらの行政事務の配分が現在で適切であるかどうかという点について、更に検討を加えて配分をし直すという点も必要なわけでございますが、それは将来の研究に譲りまして、とにかく現在の行政事務、必要事務というものを列記いたしまして、その間必要事務とする必要がないようなものも、かように列挙いたしますことの結果として、おのずから批判も起るであろうというところに期待をいたしまして、取りあえず別表で列記いたす地方団体の処理を要求されておる事務の範囲というものを明確にした次第でございます。
 それから更に二条には、五項の次に三項が加わつておるわけでございますが、この三つの項の第一は、地方公共団体に関する法令の規定は、地方自治の本旨に基いて、解釈し運用しなければならない。これは念のためではございまするけれども、この点を明確にいたし、又特別地方団体に関する法令の規定は、そういう特別地方団体の性格、特性に照応するように解釈、運用しなければならない。かようにいたしまして、どうもその辺の解釈について、いわゆる牽強附会の解釈が、あたかも正しき解釈であるかのごとき運用をいたしまする場合がないといたさないのでありまして、ここにそういう基本的な考え方を明らかにいたしたいということであります。
 それからその次の項は、事務処理についての一つの基本原則でございますが、従来民主化という建前から、その中に含まれておりまする最少経費で最大の効果を挙げるという能率主義の原則が、ややともすれば軽視されておつたきらいがあつたのでありまして、そういう点を謳い、且つ住民の福祉の増進に努めるという本来の目的と併せて明確にいたしたわけであります。
 その次の項は、後に出て参りまする規模の合理化に関する具体的の措置の条文とも関係があるのでございますが、基本原則として、組織の合理化と或いは適正化という点を、ここに書くに至つたわけでございます。
 こういうふうに地方自治法令の解釈の基本方針、事務処理の基本方針というようなものを明記いたしまして、地方自治の運営の根本原則を掲げた次第であります。
#5
○岡本愛祐君 そこで新しく加える四項、それから五項でありますが、例えて申しますと、市の処理しなければならないものに、「警察法の定めるところにより、警察を維持し、並びに法律及び秩序の執行の責に任ずる」というのがあるのです。で、これは今の御説明で処理しなければならない、義務付けられてある事務として、ここに挙げておるのですが、一体そういう分け方でなくして、固有事務と委任事務とに分ければ、どちらにお考えになつておるか。これはまあ警察法のときも随分論議があつたのですが、この自治法のほうでは、当局のほうでは、どういうふうにお考えなんでしようか。
#6
○政府委員(鈴木俊一君) 警察の問題でございますが、これは警察に関する公正の建前というものと睨合わして行かなければならんと思いまするけれども、現在の地方自治法の第二条第三項に、例示事務なんでございますが、そのうちに「地方公共の秩序を維持し、住民及び滞在者の安全、健康及び福祉を保持すること、」それから八号でございますが、「防犯、防災、罹災者の救護等を行う」この中の防犯という大体この種類のことが、まあいわば警察法によりまする警察事務として例示されておるわけでございますが、この解釈につきましては、旧憲法時代の建前においては、これは解釈を国家委任事務という、国の責任において処理する事務というような考え方をとつておつたわけでございますが、この自治法並びに警察法の建前といたしましては、私どもとしては、これは自治体が処理いたしますべき事務で、そういう意味で、固有の事務或いは公共の事務であるというふうに考えておるわけであります。ただ併しながら警察という事務自体の特性から、その固有事務或いは公共事務という性格について、相当の規制を受けておる。殊に農村方面の地区においては、それを全然権限的に取上げて、国が直接処理する。かような形になつておるわけでございまして、そういうふうな建前に立つておるものだろうと思います。
#7
○岡本愛祐君 この四項並びに五項につきまして、「この法律又はこれに基く政令に規定のあるものの外」というのが書いてあるのですが、そうすると例えて言いますと、今例に挙げた警察なんかのところでは、この法律又はこれに基く政令に、何も例外の規定はないわけですね。ありますか。
#8
○政府委員(鈴木俊一君) 警察につきましては、特に処理しなければならないという意味で、この法律或いはこの法律に基きます政令の中に、特に規定を設けてないわけでございます。
#9
○岡本愛祐君 この処理しなければならないという意味は、人事から又財政処置から、皆含むのだろうと思いますが、どういう範囲ですか、処理しなければならないという、義務付けられておる処理の範囲というのは。
#10
○政府委員(鈴木俊一君) これはそれぞれの個々の法律、規定の内容の問題でありまするが、一般的には、その事務を処理いたしますべき組織、職員並びに事務処理に必要なる経費というようなものを原則的には含むわけでございます。
#11
○岡本愛祐君 つまり人事の問題、任命の問題、それに対する俸給、それを維持する経費、こういうものは皆その市なら市で負担しなければならない、又任命しなければならない、こういう意味だろうと思いますが、間違つておりましようか。
#12
○政府委員(鈴木俊一君) そういう建前になつております。
#13
○岡本愛祐君 それで「この法律又はこれに基く政令に規定のあるものの外」と、こうあるのだから、ほかの法律では、これは制限ができないと、こう解釈されますが、その通りでしようか。
#14
○政府委員(鈴木俊一君) これは「あるものの外」という表現を用いておるわけでありますが、この法律自体に何か事務処理についての特例を設けておるものがありますならば、それは特に別表には掲げていない、こういう意味でございまして、例えばこの法律の中で、監査委員を置いて監査の事務の委任をやらなければならん、これは特に只今法律に規定があるものでございますので、別表には掲げていないわけです。そういう意味です。
#15
○岡本愛祐君 よくわかりました。
 もう一つお尋ねしますが、第八項におきまして「地方公共団体に関する法令の規定は、地方自治の本旨に基いて、これを解釈し、及び運用するようにしなければならない。」とあります。この「解釈し」というのは拡張解釈は許されましようか。
#16
○政府委員(鈴木俊一君) この地方自治法、その他地方公共団体に関する法令の規定の運用の直接の責任者、要するに解釈について自主的に決定をするものは、例えば庁でありますとか、議会でありますとか、それぞれの関係のことについては、そういう権限のあるものが、最終的な決定権を持つておるわけでありまして、政府その他はこれに自主的な助言をすることはありまするけれども、決定権、指揮権はないわけであります。そういう意味で、地方団体の機関が解釈し、運用する。或いは政府がこの法令を規定上当然に解釈し、運用する場合もございますが、そういう場合には、要するにそれぞれの解釈権者なり運用権者は、この本旨に基いてやらなければいけない、こういうことでありまして、この本旨に基いて解釈いたしたと解釈権者なり、運用権者が思つておりましても、実際は本旨に基かないということもあり得ると思います。その場合には、要するに訓示規定と申しますか、精神規定でございまするから、その結果、解釈を誤つたからと言つて、直ちに、要するにこの規定に違反したからと言つて、直ちに有効無効という問題にまでは参らないと、こういうふうに考えております。
#17
○岡本愛祐君 つまり地方自治法という法律は第一条に今度明らかにされましたような趣旨のものでありますから、それが目的を明示されたのでありますから、その目的について、つまりここには本旨に基いてとありますが、解釈すれば拡張解釈は許されるということは当然じやないかと思います。その点はどうです。
#18
○政府委員(鈴木俊一君) まあこの法令解釈の原則として拡張解釈ということが、地方自治の本旨に基いておりまするものならば、それはそのようなことがあつても、無論差支えないと思います。
#19
○岡本愛祐君 次に第七条の二というものが設けられたのですが、これはどういう趣旨かちよつと御説明願いたい。新たに附加えられた事項です。
#20
○政府委員(鈴木俊一君) これは「従来地方公共団体の区域に属しなかつた地域を都道府県又は市町村の区域へ編入する必要があると認めるときは、内閣がこれを定める。」ということでございますが、この点は実は一つの現行法の欠陥と申せば、欠陥であるわけでございまして、最近に起りました問題といたしましては、青森県と秋田県の中間に位しておりまする久六島の問題であります。所属未定地の編入処分という方式が、従来から境界を変更いたします一つの方式としてあつたわけでありますが、これは本来市町村の区域に属しておると認められるべき地域、即ちいわゆる領海、三海里の領海の区域内に、新たに埋立てを行なつた或いは新らしい島ができたという場合に、それを確認する意味において、市町村の区域に編入するというのが、こういう所属未定地の編入処分というわけであるわけでございます。ところがその領海の区域を越えまして、海中に新たなる島が発生した、或いはまだいずくとも所属のきまつていない、日本の領土ではあるが、いずこの地方団体にも所属がきまつていない所がある。こういう場合に、区域或いは土地を地方団体に編入いたします方向が明確に規定されていなかつたのであります。従来の実例におきましては、さようなものがありますると、これを閣議の決定的なり或いは古くは勅令という方式なりによりまして、要するに行政権の行使の範囲の問題でございまするので、行政権の一番最高の責任機関である勅令或いは内閣というものが、実際の運用としてきめて来たのであります。その点まあ新らしく、例えば外国の領土が日本の領土になつた、これを地方公共団体に入れるか入れないかということ、さような大きな問題は法律で別に定めるというふうになつておりますが、法律で当然定められると思いますが、さようなものでなく、非常に小さな区域が火山等の関係で海中にできた、或いは今の久六島のように、従来どの府県にも属していない、こういうようなものの措置を規定する方式を設けませんと困りますので、そこでかような規定を設けることにいたした次第であります。
#21
○岡本愛祐君 そういたしますると、従来の規定の第七条の後段ですね。「所属未定地の市町村の区域への編入も、また、同様とする。」これとはどういう関係になるのですか。どちらも所属未定地なんで、これは所属未定地と地方公共団体の区域に属しなかつた地域というのと別ですが、所属未定地とはどういうのですか。
#22
○政府委員(鈴木俊一君) これはいずれかの府県の区域には属するけれども、その府県の区域でどの市町村に入れるか、所属未定であるというものを七条の後段のほうで指しているのであります。七条の二項の新らしい規定のほうのは、どの府県に属するかもきまつていない、従つてどの府県知事が所属未定地編入処分をするかこれもきまつていなかつた、かようなものであります。
#23
○岡本愛祐君 七条の二「又は」で区区になつているのでちよつと誤解が起きたのでありますが、都道府県これは及びの「又は」ですね。そのことならばわかりました。そこでこの二項はどういう意味ですか。第七条の二項は「前項の意見については、関係のある普通地方公共団体の議会の議決を経なければならない。」というのはどういうことを意味するのか。「意見を聴かなければならない。」と規定にあつて、前項の意見というのは舌足らずみたいに思うのですが。
#24
○政府委員(鈴木俊一君) これは例えば今の問題になつておりまする久六島等を例に申上げますると、あそこには漁業が行われておりまして、漁業権の対象になつているのでありますが、秋田の知事、青森の知事が漁業の許可をしております。或いは秋田県民、青森県民が出漁している、こういうような実際上利害関係が秋田県、青森県にもあるわけです。それからその県内の漁村、特定の漁村については、特にそういう関係があるわけでございますが、そこで例えば内閣でこれを某県の某町に編入するという場合におきましては、その某県某町の編入を受けるものにつきましても意見を聞くという意味で、区域の変更について関係あるものの意見を聞く、こういう考えであります。
#25
○岡本愛祐君 私の質問は「前項の意見については、関係のある普通地方公共団体の議会の議決を経なければならない。」というのが、書き方が余りぼんやりしていないかということです。「前項の意見については、」ということがはつきりしていないのでどういう意味か……。
#26
○政府委員(鈴木俊一君) 「前項の意見については、」この意見は、今の関係あると認められる府県なり市町村から内閣が聞かなければならぬわけですが、その意見を市町村が出すということになりますると、特に議決事項は限定列挙でございますから、市町村長等の意見として、どうしてもそれは市町村の意見というふうに法的になりますので、そこでその意見については「関係のある普通地方公共団体の議会の議決を経なければならない。」こういうことにいたしまして、議決事項にしたというだけのことでございます。
#27
○岡本愛祐君 どうもよくわからないのですが、つまり内閣がきめる場合「利害関係があると認められる都道府県又は」というのは都道府県及びその関係のある市町村があるときは、あらかじめ予告をしなければならぬという意味ですね。ところがその「前項の意見については、」というのはいつ誰が関係ある地方公共団体の議会の議決に付することになるのか、これは知事がやるということになるのですが、ところがどうも一項と二項との関係がよくわからないのですが、「前項の意見については、」というのはどうもわからない。もつと詳しく言えば、それをどういうふうに言つたらいいか。
#28
○政府委員(鈴木俊一君) この点は地方自治庁の従来の立法形式でございますが、例えば現行法の七条の四項を御覧頂きますと、「前三項の申請又は協議については、関係のある普通地方公共団体の議会の議決を経なければならない。」かような表現方式をとつている。それと同じ表現方式にしているわけでありまして、この意見を出しますものは、一項の関係あると認められる都道府県なり市町村でありまするから、そこでその都道府県なり市町村の意見については、議案を提出いたしまするものは、これは実質上当然市町村長、一般的の市長村長ということになりますので、市町村長が議会の議決を経る、こういうことになるわけであります。
#29
○岡本愛祐君 その意味ならわかります。そこで第七条に帰りますが、「市の廃置分合をしようとするときは、都道府県知事は、予め内閣総理大臣に協議しなければならない。」という新たな規定が設けられたのですが、これはなぜその市だけに限つたのか。町村の場合には必要はないのか。それから知事が協議しなければならない、どういう理由で協議しなければならないのか、その点をお伺いしたい。
#30
○政府委員(鈴木俊一君) この点は、現在御承知の通り市になります要件としては、人口三万でありますとか、或いは中心の市街地にありまする戸数が全戸数の六割になりまするとか、或いは都市的業態に従事する者の数が大体六割でありますとか、という要件が法律で定つておるわけでございまして、そのほかに特に条例で市となるべき要件をきめておるものがあるわけであります。この市になりまする人口三万という要件を、御承知のごとく神戸委員会では人口五万にしたらどうかという勧告があつたわけでありますが、ところが五万にいたしますると、五万未満のものが百十余りもありまして、実際問題として非常に現実に即しないことになりまするので、市の能力を相当将来大きなものにするという一つの考え方から申せば、人口五万という方式を、この際からとり始めるというのも一つの方式でありますが、さりとて五万に達しないところの市を廃止するわけにも行きません。そうなりますと、どうも半数近くのものが原則に合わない市になる。むしろかような人口五万にしたらどうかというような意見が起つて参りましたそのそもそもの一つの理由は、若干どうも市になる要件に合致しませんにもかかわらず、市にしておるというようなものが、必ずしもないわけでなく、のみならず市になりますれば、御承知のごとく各種の制度においても町村と違つて参りまして、従つて経費というものも余分に支出して行かなければならんという、行政経費の多くなるということも一面考えられますし、又市になりましたために、半面相当農村地区、漁村地区、山村地区を含んでおるところが、強いて市にいたしますと、いろいろ弊害があるわけでありまして、やはり市になるかならないかという要件は、相当これをはつきり法に定めて、その通り励行いたすことがいいのではないかというような考え方から、初めにその要件に合致するか否かということを、市の市制施行処分をいたします前に、あらかじめ総理大臣と協議いたします。協議内容は市の要件を備えておるかどうかということでございます。そういう実際の問題として今一つは、市になるということになりますと、各種の国の行政機関の問題、例えば警察の転換というような問題も起るでございましようし、その他各種の現業関係機関の新設というようなこともありましよう。そういう国のやはり行政機関組織の変更を来たして来るのでありまして、例えば何月何日市制を施行するというようなことになりますれば、それは歩調を合せまして、国の行政機関の変更の措置も同時に発足することができるようにするという必要があるわけであります。そのほうが好ましいのであります。そういうようなことを協議を受けまして、関係のほうに通知して同時に発足ができるようにしよう、こういうような考え方からかような規定をおいた次第であります。
#31
○岡本愛祐君 この点は相当問題があると思いますが、いわば市はどういう基準で市たる資格を備えるかということを、地方自治法か何かにはつきり明記しておいて、そしてそれに合つたものは、そこの市になるところの市議会の議決を経れば、自動的に市になるのだということが望ましいのであるが、現行法では都道府県知事に申請して、そうしてそこの都道府県の議会の議決を経なければならんということになつており、今度又それに内閣総理大臣と協議しなければならんという一つの条件を加えるということは、何か民主主義じやないという気がする。早く言えば、市になるために自治庁に又運動をやらなければならんということが、一つ殖えるというようにも思われます。市になる標準はこうなんだということをはつきり自治法に入れて、そしてその条件に合わないのに、議会の議決で市にしてしまつても、取消すことができるとか、何んとかというようなことのほうがいいじやないですか。
#32
○政府委員(鈴木俊一君) 現在も八条におきまして、さような要件は法律上明らかになつておるわけでございます。殊に二号、三号の要件につきまして、市街地を形成しておる区域内にある戸数が、全戸数の六割以上であること、商工業その他の都市的業態に従事する者の数が全人口の六割以上、こういう要件の確認ということにつきましては、必ずしも十分に行われていないように思うのであります。そういうような点から考えまして、お話しのごとく事後にさような条件に合致しないものを取消すということも一つの方法とは存じますけれども、一度市になりましたものを取消すということは、これは実際問題として不可能に近いことと考えられますので、むしろ事前に協議を受けるという方式のほうが実情に即する、かように考えた次第であります。
#33
○岡本愛祐君 そういたしますと、第八条にずつと掲げてあるが、これはまだまだ本当は詳しく書いたほうがいいと思います。条件を書いておいて、それに当はめるようにするか。やはり都市的施設その他の都市としての要件なんということで、曖昧になつておるから、そういうところを斟酌して協議を受けたときに、何んと言いますか、賛成しないことになつて来るだろうと思うのですが、私はそれを言つておるのです。そういうものをもつと詳しく書いて、それに当はまるものは、自動的に町村議会の議決があれば、市になることができるということにしたほうが、いいじやないかというふうに思うのであります。併しあなたのおつしやるようになつてしまつて、取消すというようなことも非常に不適当という見方もあります。併し何んだか市になるのに、都道府県知事に申請をして、何か都道府県のほうが市町村より上の公共団体であるというような感じが濃厚である。又自治体が国の示す条項に当はまれば、自分で市になるというのがいいのではないかと思う。一々許可を得るなんというのは、民主主義のあり方としておかしな気がいたすのであります。大体この新しき制度によつて内閣総理大臣に協議した場合は、そう厳格に市になることを抑制するのでなく、甚しく条件に合わないものを止めたらいいだろうというふうに言うことは、なかなかむずかしいと思います。運動をするというようなことになつて来て、非常にまずいのではないか、その点の御用意はどうでしよう。
#34
○政府委員(鈴木俊一君) 神戸勧告の中に入つておつた点は、人口五万と、それから市になる場合に総理大臣と協議するという二点があるわけであります。やはり外国の例を見ましても、市の場合に特許ということが、中央の政府の一つの権限と言いますか、形になつておるわけでありまして、これはやはり普通の協同組合の組織、廃置分合というようなことでございますれば、これは全く自由にむしろやるということも必要だと思います。今の地方公共団体の性格から申しまして、それが同時に七、八割も国のいわゆる国政事務といいますか、委任事務というものを処理する団体という性格を、特に日本の場合には持つておるわけでございます。そういうような点から申しまして、中央の各省の行政機構との関係から考えましても、若干中央政府との間の繋がりがあるということも、あえて否定されることはないのじやないか。知事が町村の廃置分合を行いますることも、これは自治体の機関としてやるのでなくて、やはり国の機関としてこれをやるというような建前であるわけでございまして、さような点からあらかじめ協議をするという程度において、国と地方との繋がりがあつても支障がないのじやないかというふうに考えるわけであります。あらかじめ協議というふうに表現をいたしておりまする点から御了解願えると思うのでございますが、要するに趣旨は要件に合致しているかどうかという点の協議でございまして、要するに確認的な意味の協議でございまするから、そうすることがいい悪いというよりも、合致しているか、合致していないかということの問題であるわけでございます。
#35
○岡本愛祐君 大体わかりました。次に八条の二をどういう趣旨であるか、要点を御説明願いたい。
#36
○政府委員(鈴木俊一君) この点は市町村の規模の合理化という問題でございますが、この点も過般神戸委員会からの勧告があつた点でございまして、それをかような形で具体化いたしたわけでございます。それで合理化の方法といたしましては、やはり当該市町村だけで合併をするというような話が、自然にできるのを待つということも一つの方法でございまするけれども、これではなかな合理化というものが推進されない。さりとて戦時中の方式のように、ただ市町村の意見を聞いて知事がきめる、かような強制的な方式をとることも、これも新らしい自治制度の建前としては然るべからざるものであると考えておつたわけでございまして、そこで一応知事が関係の各種の機関等の意見を聞きまして、廃置分合、境界変更の計画を定めまして、それを関係市町村に勧告をする。関係市町村としては勧告でございまするから、それに従う義務を生ずるわけではございませんが、そういうようなことで話がまとまれば、それで廃置分合、境界変更に持つて行く、こういうようなことにしようというわけであります。で、知事が計画を定めまする場合に、一方的に作りますることは、これは危険でございまするので、第二項では特に関係の市町村、即ち具体的に廃置分合、境界変更の対象になる市町村の意見は、これは必ず聞かなければならないというふうにしておりますし、なお府県の議会という立場から、区域内の市町村の全体を見通して、意見がどういうふうであるかという点をはつきりしたい。又府県内の市町村の議会なり、長の連合組織、即ち議長会議、市町村長会議というような方面の意見も必ず聞かなければいけない。更に学識経験というような公正な立場にある人の意見も聞かなければならぬ。こういうことでかような人を以て構成する委員会を作りまして、そこの委員会において廃置分合なり、境界変更の具体的の計画ができる、実際の計画ができるということを期待しておるわけでございます。それから更にさような計画ができましたときには、これを総理大臣に報告してもらいます。総理大臣が報告を受けましたならば、これを関係の行政機関に通知をするというふうにいたしております。この点は、次に第六項にございまするように、勧告に基く市町村の配置分合又は境界変更については、「国の関係行政機関は、これを促進するため必要な措置を講じなければならない。」というふうに特に規定しておるのでありますが、知事から報告を受けまして、その報告に基く勧告が実現しやすいように、国の各省各庁は協力しなければならぬ。こういう趣旨を六項で謳つておるのでございます。具体的に申上げますと、例えば合併したらば、平衡交付金が少くなる。それでは一向合併した実績がないじやないか。こういうような論が非常にあるわけでございますが、さようなことも合併がしやすいように、例えば現に財政委員会でやつておりますように、特別交付金において調整をする、特に面倒を見る、こういうことをやることを法律上要求しよう。それから又、これは一例でございますが、どうもそういう市町村の合併をしてもらうと、郵便の集配区域の関係から非常に不便になる、国の出先機関の関係から非常に不便になる。従つて合併には賛成でないということで、合併に反対をするような出先機関もなきにしもあらずなのであります。さようなことのないように、それぞれの出先機関にも、そういうことを通知して協力するようにさせよう、こういうことで特に以上のことを協力させるようにしておるわけであります。
#37
○岡本愛祐君 そこでこれは私は結構だと思いますが、この場合のほかに、例えば湯河原町というものがある。あすこに川が流れておつて、その上流に向つて右側は神奈川県の湯河原町、それからその川の左側は静岡県の熱海市のうちの泉というところだ。ところがあの生活圏は同一である。それで合併をしたいというような意向は非常にあるのであるけれども、両県に跨がつておる関係でなかなかできない。そういうときに両県の知事が話合で行けばいいけれども、なかなかそれはできない現情でありますから、政府のほうで両県並びに市と町に勧告をするというようなことは考えられないものですか、何か方法がありますか。
#38
○政府委員(鈴木俊一君) 御尤もなお尋ねでございますが、只今御指摘のような両県に跨がつての合併というような計画を作り、勧告するという問題でございますが、これは二百五十三条に現行法に改正をちよつと加えておりますが、「都道府県知事の権限に属する市町村に関する事件で数都道府県にわたるものがあるときは、関係都道府県知事の協議により、その事件を管理すべき都道府県知事を定めることができる。」只今のような場合は静岡と神奈川の知事が協議をし、神奈川の知事に、一つその点もやつてもらうということができるわけでございますが、どうもこれでは必ずしも実情に即しない場合もありまするので、今回二項を加えまして「前項の場合において関係都道府県知事の協議が調わないときは、内閣総理大臣は、その事件を管理すべき都道府県知事を定め、又は都道府県知事に代つてその権限を行うことができる。」ということで総理大臣みずから、さような場合の計画について乗り出すということができるような形になつておるのでございますが、併し又これは両県に跨がります境界変更ということになりますると、処分の上でも七条の第二項、改正の第三項に「都道府県の境界にわたる市町村の境界の変更は、関係のある普通地方公共団体の申請に基き、内閣総理大臣がこれを定める。」府県間の問題は地方の建前としましては、原則として総理大臣の権限になつておるわけでありまして、総理大臣がやるということになる、やろうと思えばやれるという建前になつておるわけでございますが、現地の知事の間の協議でできるだけさようなことができるように、先ず第一次的には取り計らうべきものであるというふうに考えております。
#39
○岡本愛祐君 それでその都道府県の間で協議するまでになつておればいいのですが、その協議もしないという場合に、その勧告という途はないのですから、政府のほうから勧告をしてやらないかというふうに勧める途は、この地方自治法の今度の改正でも開かれていないというふうに思うのですが、その点どうでしようか。
#40
○政府委員(鈴木俊一君) この点は改めて今御説明を申上げました八条の二の計画の樹立というのが、この二百五十三条の府県知事の「権限に属する市町村に関する事件」ということになるわけでありまして、従つてその事件をやる場合に協議が整わない場合には、総理大臣が両県の知事等に諮つて第八条の二の計画を定めて勧告するということは、法律上それは可能なわけでございます。
#41
○岡本愛祐君 それでは廻り廻つての解釈ですね。
#42
○政府委員(鈴木俊一君) さようでございます。
#43
○委員長(西郷吉之助君) ほかに九条までの御質問でございませんか……。
 それでは時間も経過いたしましたから、午前中はこれにて休憩いたします。午後は二時から始めます。
   午後零時五十二分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時三十七分開会
#44
○委員長(西郷吉之助君) それでは只今より午前中に引続きまして委員会を再開いたします。
#45
○吉川末次郎君 衆議院で成立いたしました選挙法の改正案でありますが、すでに参議院のほうへ回付されて来ておると思うのであります。当然この委員会が審議することになるのだろうと思いますが、折角衆議院において特別委員会を組織して慎重な審議を重ねられて来たのでありますから、噂されるがごとく目睫のうちに迫つております衆議院議員の総選挙及び来年行われるところの参議院の議員の選挙等に直ちにそれが適用されるように時間的に考慮して置く必要があるだろうと思いますので、重要な法案が本委員会には輻輳しているわけでありますが、いずれも我々はこの法案を既定の期間内に審議を完了したい意思を以て臨んでおるわけでありますが、或いは中には審議未了に終るところの法案もあるのではないかと思います。併しながら特にこの選挙法案はどうしても成立せしむるところの必要があるかと思いますので、先議的に、他の法案に先んじて一つ審議に着手しまして、できるだけ早く審議が完了しますように取運ばれたいと考えるわけであります。委員長にお願いいたします。
#46
○委員長(西郷吉之助君) 只今の点は理事会において十分検討を加えたいと思つております。
 それでは念のために申上げますが、午前中は最初から第九条の二までを一応区切りまして質疑をやつておりますから、第九条の二、十三頁ですが、そこまでの間で御質疑を願いたいと思います。
#47
○岡本愛祐君 もう一つ聞いておきたいのですが、或る市又は或る町の成る区域がその市、町から分離をして町になりたいというようなときにはどういう手続をすればいいのであるか。今度新たに設けられようとしておる八条の二によりまして、知事に申し出て、知事のほうで規模の適正化ということに合つておるならば、それを援助するために計画を定めて関係の市又は町に勧告をしてもらうということはできると思いますが、そのほかにどういう方法があるか、承わつておきたい。
#48
○政府委員(鈴木俊一君) 市町村の分村の問題でございますが、現在の現行法におきましては普通の廃置分合、境界変更の一般の手続のほか、特に分村を容易ならしめるような方式はないわけであります。一般的に分村を容易ならしめるという制度を設けますことにつきましては、それが規模の適正化に場合によりますと逆行する場合が多いわけでありまして、一般的にはさような制度を設けることについては慎重でなければならないように考えておるのでございますが、北海道のごとく逐次発展をして行きまするようなところにおきましては、分村によつて規模の適正化が行われるというような場合が一般でございまして、さような場合におきましては御指摘のような第八条の二というものが規模の適正化のための一つの勧告の中の計画として取入れられるということがあり得ると思うのであります。それ以外の分村の問題につきましては多く分れようとする区域のものと、それを含みまする市町村との間に相当の争論を生ずるというのが一般でございまして、これにも大体二通りの種類があると思います。一つは集団の開拓地域、或いは干拓をいたしました地域等に、いわゆる開拓によりまして入植をいたす、そこで新らしい村民の生活が樹立されまして、従来の住民と全く別個の新しい社会がそこにでき上るというような場合におきまして、その区域の者がやはり独立をいたしたいというようなこと、或いは他の町村の区域に入りたい、殊にそういう社会生活が二つの町村等にまたがつておりますために分断されておるというような場合におきましては、一方の区域の者が一方の区域のほうに入つて社会生活と実際の行政単位とが一諸になるようにしてもらいたい、こういう希望が非常に強いのであります。そういうような場合におきましては全く従来と一変した事情が生じたわけでございまするので、或る程度さようなことが可能であるような方式を考える必要があると思うのであります。これに反しましていわゆる合併によつて一緒になりました場合に、合併の際の条件が成就しない、百の条件のうち十なり五つなりが成就しないというようなことで、又多くの場合完全に成就しない場合が一般的でございますが、さような場合にそれを理由として分離をするというようなことになりますると、非常にこの市町村の一般の位置を不安に陥れ、動揺せしめることになりますので、今申上げたような最後の場合につきましては、相当慎重に分村という問題を考えなければならんと思うのであります。さような点を考慮いたしまして、今回の九条の改正と九条の二の改正でございますが、これはいずれも境界変更に関する問題でございまするが、九条の第十一項に、「前十項の規定は、政令の定めるところにより、市町村の境界の変更に関し争論がある場合にこれを準用する。」かようになつておりまするが、これは一番只今御指摘になりましたような、分村しようという場合に適用される規定であります。この手続といたしましては、市町村の一部の区域の者が直ちに分れたいということで取上げまして、拘束的に分村してしまうということはどうも行過ぎと考えますので、調停という制度或いは裁定という制度をここに導入をいたしまして、調停という場合には、知事から三名の学識経験者を委嘱いたしまして、その者の調停に付する、そうして調停案を出すのでありますが、これが発動いたしまするのは、その一部の区域の者が言い出しました場合にその調停に付する、こういうことに十一項で準用いたしますとなるわけであります。裁定の場合におきましては、その一部の区域の者と、それを含む全体の市町村両方から裁定をしてもらいたいということを申し出た場合に裁定が行われる。調停の場合におきましてはそれぞれ受諾しない限りは効力を生じないのでありまするが、裁定の場合には両方両当事者から申出があるわけでございますので、その場合には拘束的に境界の変更が行われる、こういうわけであります、こういうような裁定なり調停の制度を十一項によつて適用、準用をいたしたいと考えておりまする場合は、今最初に申上げましたような、主として開拓地或いは集団の干拓地というような問題が関連をしておる場合にこれを適用するようにして参りたいというふうに考えておるわけであります。一般的の場合にはこれを適用いたすことについてはなお研究を要するいうふうに考えております。
#49
○岡本愛祐君 なおお尋ねしますが、九条の一項に、「関係市町村の申請に基き、」とありますね。裁定のときも「関係市町村から裁定を求める旨の申請があるときは、」といずれも書いてありまして、これは争いのあるそこの市町村から申出なければ駄目なのであるか、その分離しようとする一部の者からも申出ができるのであるか、これでは一部の者から申出ができないようにとれるのでございますが、その点はどうですか。
#50
○政府委員(鈴木俊一君) ここの九条の一項、二項の規定は境界の確定といいますか、どこが境界であるというこりが明瞭でなく、そのために争論があります場合に、境界を確認する措置として調停、裁定を使つておるわけであります。で今の市町村の中の一部の区域を他の区域に持つて行くという、変更するという場合にこの一項、二項が十一項で準用されるわけでありますが、この場合は、この一項の関係市町村というのを準用する場合におきましては市町村の一部の区域が当事者になり得るように政令でいたしたい。それから二項の場合は「すべての関係市町村」とございまするので、従つてこの場合は分れようという区域の者とそれからそれを含む当該の関係市町村、この両当事者の申請という意味で「すべての」というのを入れておるわけであります。
#51
○岡本愛祐君 大体わかりましたが、それではなお確認しておきますが、九条の十一項によつて前十項の規定が準用されますから準用であるし、「政令の定めるところ」とあるから、その政令の定めによつて一項、二項において関係市町村とかすべての関係市町村とか、或るそれが一部の分れようとする住民から申出てもいいというふうに準用をし、又定めるようにしたい、こういう意味ですか。
#52
○政府委員(鈴木俊一君) そういう意味でございます。
#53
○岡本愛祐君 それからこの第七条との関係はどうなりますか。市町村の廃置分合、今現在ある第七条、少し直つておりますが……。
#54
○政府委員(鈴木俊一君) 調停案を二百五十一条に調停の方法が書いてございますが、調停案を両当事者が受諾いたしました場合に、調停が効力を生じて両当事者を拘束するわけであります。そこでその拘束された調停案の方式に従いまして、この七条の規定によつて即ち一般の廃置分合、境界変更の原則によりまして処分をする、こういうことになるわけであります。それから裁定の場合におきましては、これは裁定が直ちに両当事者を拘束いたしまして、これは五項以下に書いてあるわけでありますが、市町村の境界がそれによつて確定をするというふうになるわけでございまして、この場合は第七条の規定を用いないで裁定によつてきまつて来るというわけであります。
#55
○岡本愛祐君 そこでこの告示によつて効力が生ずるとありますが、告示は何日以内にしなければならんというようなことは抜けておるようですが、それはどういうことになりますか。告示をしないで放つて置けば効力が生じないことになるわけですか。
#56
○政府委員(鈴木俊一君) これは「直ちにその旨を告示する」ということでございまして、「直ちに」という用語を地方自治法といたしまして、かような場合にいつも使つておるわけでございますが、それが甚だしく遅延するというようなことは違法と言わざるを得ないと思いますが、何日以内という、これによつて一定の基準、限定というものは出て来ないのでありまするけれども、総理大臣としては通知を受理いたしましたならば、これを告示するのは当然でございまするし、その点特に期限的に、期間的には拘束をする必要がないと考えたわけであります。
#57
○委員長(西郷吉之助君) 他に御質疑ございませんか。第九条の二まで……。御質疑がなければ次に移ります。
 第十一条から第八十四条までの間において御質疑をお願いいたします。八十四条但書、そこまでであります。その間に質問ございませんか。なければ第九十条から第百三十八条までお願いいたします。二十二頁の第百三十八条の四まで。
#58
○吉川末次郎君 どうも最近に又この委員会に帰つて来ましたのと、病気をしておりましたので説明等を承わらないので、重複いたしましたならば非常に恐縮でありますが、第九十条、今付議されておりまする条文は、世間でこの法律案について非常に論議の的になつております議会の議員の定数の問題についての条章であると考えるのでありますが、ちよつと簡単にもう一度御説明を願うわけにいかんかと思いますが、如何でしようか。重要な条項だと思いますので、どういうように大体改正することになつておりますか、簡単に一つお話を願いたい。
#59
○委員長(西郷吉之助君) 申出がありましたから、特に今の間で、百三十八条までにいたしましよう。第一節通則ですからそこまでで切りますが、そのうちで特に百一条とか百二条は本法案の重要な点の一つですから、そういう点に特に力を入れて御説明をもう一度お願いします。
#60
○政府委員(鈴木俊一君) 九十条でございますが、これは現在の都道府県の議会の議員の定数を定めておる規定でございますが、これは御承知のように法定主義で画一的に法律できめてしまうというふうになつておるわけであります。この議員数を定めましたのは、終戦後の第一回の地方制度の改正のときでございますが、その際に都道府県の議員につきましては最低が三十人でありましたものを四十人にいたしまして、以下それに応じて殖えておるのであります。東京都のごときは百人でありましたものが百二十人というふうに殖えたわけであります。そこで今回の改正案といたしましては、神戸委員会の勧告もございましたし、或いは政令諮問委員会の勧告もございましたしいたしまするので、まあこれらの勧告におきましては二分の一とか三分の一ぐらいに減らしたらどうかという勧告でありましたが、さような数に減じますることにつきましては、実際上の影響その他を考えまして、必ずしも妥当ではあるまいという結論に達しまして、おおむね終戦直後の改正前の状態を一つの目度にいたしまして、一割乃至二割程度の議員数を減じたものを基準として法定をすることにいたしたのであります。即ち第一に、議員数をおおむね現行法に対して一割乃至二割を減じたということと、第二点は法定主義で、固定的に定数が定まつておりましたものを標準、基準を法定をいたして、具体的の議員数は各都道府県の議会において条例でさような標準を一つの目度にして自主的にきめる、こういうふうにいたしたわけであります。
 それからさような標準をきめまする場合におきましては、議会で公聴会を開いてその意見を聞くようにするという点を特に書いたわけであります。なお議員数を定めまする場合におきましては、第二条の九項、十項、即ちできるだけ最少の経費で最大の効果を挙げる、そういう原則を準用いたしたわけでございます。
 そういうのが大体今回の九十条の改正案で、九十一条につきましても大体同様な趣旨で改正をいたしたのでありまするが、市町村につきましては現行法が条例で議員定数を減ずることができるようになつております。増加することはできません。減ずることができるようになつておるわけであります。その点をやはり自主的に条例で定めるという建前にいたしておるわけであります。この点は九十条、九十一条はいずれも衆議院で修正を受けまして、衆議院は現行法通りというふうにいたしたのでありますが、ただ府県の場合には、法定以下に条例で減ずることができるという点を加えた点が遣うのであります。
 それから百一条でございますが、百一条、百二条について御説明申上げます。百一条と百二条の関係におきましては、大体の考え方といたしまして、現在定例会及び臨時会というのが百二条に書いてあるわけでありますが、「定例会は、毎年六回以上これを招集しなければいけない。」こういうふうになつておるわけであります。従いまして現実に議決を要する議案の有無にかかわらず定例会はこれを必ず開かなければならない、かような建前になつておるのであります。これにつきまして改正案といたしましては、やはりこの議会の開催の状況は、通常予算を議しまする議会と、そうでない議案を議しまする議会とにおきましては、開会の会期もまあ非常に違うわけでありまするし、又開催の時期も通常予算を議する会議は二月なり三月に開くのがこれは原則であります。そういうことで国会のほうも常会、臨時会ということにおきめになつたのだろうと思いますが、さようなのが議会制度の従来の地方議会の制度の立て方でもございましたし、そのほうが議決機関である議会の開催の方式としては合理的であるというふうに考えたのであります。これが若し英国流に議会の構成員が同時に執行機関であるというようなことでありまするならば、執行のために定例的に会合をするという定例会制度を設けることが同時に意味があると思うのでありまするけれども、議決機関でございまするならば、一年の計を定めます通常予算を議する議会と、然らざる一般の臨時案件とを議する議会とは性格上明瞭に区分があるわけでございます。又事実議案がないのに必ず定例会を開かなければならんということは、これもどうも合理的でないということで、政府案は通常会、臨時会、かような制度をとることにいたしまして、通常会は、毎年二月又は三月にこれを招集するというふうにしたのであります。そこで半面通常会ということで定例会式のものは一回になつたわけでございますが、臨時会の招集につきまして従来この法律上招集すべきものをなお招集しないというような市町村長なぞがございましたので、さようなことのないように、臨時会の開催を保障しようという意味から、議会の構成が一新したという場合、即ち総選挙によつて議員が変つたという場合、或いは長が選挙によつて変つた、こういう場合におきましては必ず臨時会を開かなければいけないということを規定いたしましたのであります。それから更に四分の一以上の議員から請求がありました場合におきましては、府県の場合には三十日以内、市町村の場合には二十日以内に必ず臨時会を招集しなければいけないということにいたしまして、この点百一条に書いてございますが、そういうふうにいたしまして必ず臨時会を招集せよということにいたしたわけであります。かようなふうにいたしまして臨時会の開催を保障いたしますると共に、又この臨時会に付議いたしますべき事件につきましても、従来はあらかじめ告示された事件以外は付議できない、臨時緊急のもの以外は付議できない、こういうことになつておつたのでございますが、この点を更に拡げまして、およそ議会が開かれておりまするならば、あらかじめ付議すべき事件というものはこれを告示するのが原則でありますけれども、議決を必要とする案件があれば、これを直ちに会議に付することができるというふうにいたしまして、臨時会の議決事項というものも拡げたのであります。かようにいたしまして通常会制度、臨時会制度というものを新らしく規定をしようというのが政府案であつたのであります。これに対しまして衆議院におきましては定例会、臨時会の制度をそのまま存置するということにいたしまして、ただ毎年六回以上開催するというのを毎年四回これを招集しなければならないというふうに、四回に変え、以上というのを取つたわけであります。さような修正を受けたわけであります。あとは特に変つた点はありません。
#61
○吉川末次郎君 十分に法案の案文を仔細に検討いたしておりませんので、併しただ大雑把な点においては大体了解いたしておるつもりであります。それで今御説明になりました中で、議員の定数の問題についてのみ先に御質問いたしたいと思うのでありますが、これにつきましては曾つてこの委員会におきまして岡野長官及び当時の政務次官でありました小野君に対しましても、世間に言われておるところの俗論、私は誤まれる俗論であると断言してあえて憚らないのでありますが、議員の定数を減らすほうがいいというところの議論は非常に誤つているところの議論である。それは第一には、アメリカの一部に行われているところの議論の影響を受けている、併しながらそれはアメリカには特殊の関係があつてそういう議論があるのであつて、直ちに日本に適用されるべきところのものではないということが第一点、それから第二点は、そういう議論が俗論として流行しているのには一般に自治体の議員に対して、余りに選挙民との生活が地域的にも日常接近しておるがために、議員の欠点が選挙民に非常にわかり易い形になつておるので、漠然と反感を持つているような空気がある。そういう感情から、何か議員の数を減らしたり、議会の権限を縮小したりするような議論が一般に俗受けするような傾向があるということ、そうしたことが第二の理由、それから第三としては、昔からの官僚主義的な見解の上から、議会の権限を縮小したり、議員の数を減らしたりするという役人的な考えに、たまたまアメリカの一部に行われているそうした傾向が符合するので、米国の政治全般を背景としたいろいろなアメリカの自治制度というものをば基本的な態度において学ぼうとするところの態度を持たないで、ただ日本の伝統的な官僚主義の見解に符合するところの部分的なものだけをば取入れて、そうして官僚主義的な動機においてそれを実行しようとするようなこと等からそうした誤まれる俗論が一部から流行して、又無知識なる新聞等がそれを支持するようなことになつておるので折るけれども、これは私の見るところでは甚だいわれなきことであるということにつきまして、かなり長い時間を費して皆さんにお聞き苦しかつたと思うのでありますが、私は二度もまあ自分の説を申述べたのであります。同時に又旧刊でありますが十五、六年ほど前でありますが、東京市政調査会の機関雑誌でありまする都市問題に、当時内務省の官僚上りでありまする警視総監をしておりました丸山鶴吉氏が中心になりまして、そうして東京市政革新のための団体と称する市政革新同盟というものを組織いたしまして、その市政革新同盟において現在市政調査会の会長をしておりまする前田多門氏がそういうことを提唱いたしまして、その団体を通じて東京の市民の間に議員数を減少すべしというところの盛んなるキヤンペインをやつたことがあるのでありまするが、私はその当時非常にそれが誤まつているというところの見解を明らかにいたしまして、当時も今日におけるがごとく新聞紙等が頻りにその前田氏の議論をサポートしたのでありますけれども、これは一犬虚に吠えて万犬これを伝うであつて、泥棒も何もいないのに、夜空に犬が吠えておるのを近所の犬が又それを伝え聞いて同じように何もないのに虚に吠えておるのと同じようなものであるというようなことを言つのでありますが、そのときの私の理論的な立場を明白にいたしました論文も特に御覧願いたいと思いまして、岡野長官にも差出して、御覧願つたか願わなかつたか知りませんが、ともかく差出したわけであります。当時小野次官からも岡野長官からも、縷々述べました私の議論に対するところの何らの議論がなかつたのであります。で、或いは私の議論に御賛成願つたのかと思つておつたのでありますが、今度お出しになつたところの案では、大体一割乃至二割程度減らしたいという意向の改正をお出しになつたのでありますから、議論を承わつておりませんので、重ねて長い議論めいたことは申上げることは避けたいと思いますが、この機会にその私のたびたび繰返して申述べました自治体議会の議員数の減小論は誤まれる俗見であるということに対するお立場を一つ明らかにしておいて頂きたいのが基本であります。
 それからその当時又私の議論の基礎として申上げたのでありますが、ヨーロツパにおきましては、大体において私の知るところにおいては、自治体議員の数は人口に比例して日本とそれほど相違はないのが各国の例であるかと思われるのであります。数字等もおぼろげな記憶は若干比較研究的に今直ちに申述べることもできないではありませんが、不確かでありますから省略いたしますが、概活的に申しますと、そのようなことになると思われるのであります。それについては恐らくこういう案をお出しになるに際して、アメリカのことは随分地方行政を視察に我々も行き、文自治庁の役人諸君も行かれたのでありますから、そうした議員の数が減少されているということについての例はたくさん御承知だろうと思います。ヨーロツパのことは併せて御研究になつていることだろうと思いますが、アメリカのことはわかつておりますから、ヨーロツパの各国におけるところの自治体議員と人口の比例数等においてどういう調査をしておられるか、その調査の結果を一つ資料として出して頂きたいと思いまするし、又ここでその御調査になつている資料に基いて口頭で述べて頂くならば、述べて頂きたいと思います。それは私は日本の議員の数は決してヨーロッパの各国に、それぞれ国によつていろいろ違いがありますが、そう大した相違はない。例えば私のおぼろげな記憶からいたしますと、これは或いは古くなるかも知れませんけれども、まあロンドンにいたしましても、パリにしても、ベルリンにしても、ウインにしても、首都の議員の数なんかだけ見ましても、私は日本がそれに比べて多いというような世間の俗論は、比較研究は非常に誤まつていると思つておるのであります。それについては資料の提出、又直ちにお話できるならば、比較研究的な結果を一つお話しを願いたいと思つております。なおいろいろそれについて申述べたいことはたくさんありますが、先ず以上申述べましたことについてのお答えを得たいと思います。岡野さんから……。
#62
○国務大臣(岡野清豪君) それではお答え申上げます。吉川さんの御高説は十分承わりましたし、又御論文も拝見したのでございます。これはまあ非常な見識として敬意を表する次第でございます。ただ我々といたしまして日本の自治法を如何に持つて行くかということは、すべてやはり日本の国情というものを十分考えなければならんと、こう考えます。無論吉川さんのお説はそのまま以つて範とするのに足るのでございますが、併し私どもは何かやはり中外に対して十分なる基礎の事由がなければならんということから、御承知の通りに国会において折衷法をお作りを願い、同時にその委員といたしましては十分なる検討をしてそうして国会の同意を求めて、そうして御就任を願つたところの神戸委員会というものがございまして、これが即ち日本の国情に合わした地方行政の事務に対するどういう方向に進んで行つたらいいだろうかということの御意見を承わることにしてあの委員会を作つたわけなんです。それからあの委員会ができました当時、内閣総理大臣はこの委員会というものによつて地方行政というものの事務の再配分を十分にやつて頂かなければならん。そしてその委員会の調査報告というものは政府として非常によく尊重するということを中外に声明いたしまして、これは当時被占領下でございましたが、マツカーサー元帥の下におきまして総理大臣のその声明、同時にその神戸委員会の任命並びに設立ということに対して満腔の賛意を表せられて、若しこの勧告ができたならば、総理大臣は十分これを尊重してこの勧告に従つて行政の改革を続けて行くと、こういうようなことになつておりました。我々といたしましては無論吉川さんのお説に対して私は反対する意味ではございませんけれども、一応公的の制度を作りますときにおきましては公的の手続を経まして、そうして立派にできた委員会、又それを尊重すべく我々が期待しておりましたところの報告に基いてやることが一応は世間的に我々が責任を果したという意味におきまして、吉川さんの御高説もありましたけれども、先ず神戸委員会の勧告というものを尊重いたしてこの改革案を作つたわけでございます。これは正式のものではございませんが、政令諮問委員会は総理が私設のまあ諮問委員会でございますけれども、これもやはり学識経験者、やはり日本で指導的理想を持つておるかたのお集りを願つてその報告もとつております。これは私も固執いたしません。公的のものでございません。併しいずれにいたしましても我々が万全と考えるところのいろいろの諮問機関並びに公的の委員会というようなものが出しました結果を見ますというと、欧米は如何ありましようとも、日本の現在の国情においては、こういうふうにすべきものが至当じやないかということでございます。ところが只今次長から申上げました通りに、神戸勧告におきましても政令諮問委員会におきましても、非常な削減をするということを申述べておるのでございます。併しそれはやはり吉川さんのお説を我々は非常に尊重いたしまして、そこまで行くべきものじやなかろうということで、吉川さんのお説を十分尊重した上におきまして神戸委員会の報告をとり、同時に而もその神戸委員会の報告は吉川さんのお説を十分活かさんがためにこういうふうな数字にいたしまして、まあ戦前の、いわゆる国力が非常に衰えたというところの日本に相応な行政並びに議会の組織というものを持つて行きたいというわけでこの結論に到達したわけでございます。でございまするから私只今欧洲における議員の定数とか何とかいうようなものに対して事務当局は調べておりますかどうかそれはよく知りませんけれども、併しながら私は日本の立場と申しますものは、この大敗北を喫したのはドイツと日本でございましよう。そういたしますというと、ほかの国は如何にありましようとも、それは我々かくのごとく経済的にも打撃を受けたところの国情と相対比すべき筋合いのものではなくして、我々は独立後は自分自身の国の情勢を一番尊重して、そういうふうにそれに合つたようにして行きたいと、こういうわけでやつたわけでございます。若し事務当局のほうで欧洲のほうの議員のことをお調べになつておりますれば一つ御報告願いたいと思います
#63
○政府委員(鈴木俊一君) 議員数の外国の立法例、殊に欧洲方面の立法例というお話でございますが、これにつきましては古い資料はあるわけでございまするけれども、今大臣からも御説明のございました例えば西独のボン政府の地方議会の議員数がどうなつているかというようなことを私ども是非調べたいと考えておりまして、これは外交再開後直ちに外務省を通じまして今照会をいたしておるのでありまするが、戦後の新らしい自治制度の関係法令を一つ至急に送つてもらうようにということを今連絡いたしております。今までにそういうことをいたしまして手に入れる方法も或いはあつたのかとも存じまするが、それができませんので、今新らしく向うにできました在外事務所を通じて資料を取寄せ中でございます。
#64
○吉川末次郎君 第一に、岡野長官は神戸委員会の勧告を非常に尊重した、同時に私の議論も非常に尊重してくれられたそうで甚だ光栄の至りでありますが、神戸委員会の勧告は言うまでもなく、実質的には委員会附属のいわゆる学識経験者である専門委員の諸君によつて構成され、作られたものであると思うのでありますが、その専門委員には私個人の友人も多数おり、又私からも御推薦を願つて御採択を願つた者もおるわけであります。特にこの議会の議員の数の問題につきましては、誰がどういうことを言い、特にそうした議員数の減少の問題等について恐らくは熱心にそういう意見を立てたと思う人も大体推察はつかないではありません。又同時にその人たちがこの問題についてどれだけの科学的な研究の基礎の上に立つてそういうことを主張したかというようなことにつきましての程度につきましても、私としては大体推断することができるのでありますが、結論だけ申しまするならば、私はそれに対して多くの尊敬を払い得ないところのものであるということを申上げたいと思うのであります。いずれにしてもこの問題についての岡野さん及び当局のこうした法案を出されるに至つたお心持には非常にみずから信ぜられるところが薄いような感がある。即ち自信が非常に足りなくてこういうものを便宜主義的な動機から出されているように思われることを非常に遺憾とするものであるということを申上げておきたいと思います。それ以上の意見に亘ることは質問でありますから避けたいと思います。
 それから第二のヨーロッパ諸国の自治体の議員の数が決して日本に比べて多くないということにつきまして、岡野長官は日本はこうした悲惨なる戦敗国であるから云々というようなことをお話になりましたが、私はそんなことはこの議員の定数を減らすということの理由には少しもならないと思います。各地方の自治体等を視察いたしまするというと、随分理事者であつてやはり理事者的な、役人的な頭から、絶えず議会の権能や議員というものをば非常に煙たがつており、厄介者祝しておりまするから、さつき申しましたような役人的な頭で、どうぞして議会の権能を狭くしたい、又うるさい議員の数を減らしたと、こういうように自然に思つているのでありますから、そういうことにかこつけて行きまするというと、議員が一人いるためにこれだけ金がかかるのでありますというようなことをよく言いますが、私は自治体の予算の全体からいたしまするというと、議会費のごときものは極めてパーセンテージの低いものであつてそんなことは財政上の緊縮の問題に間連さして議員の数を減らしたり、議会の権限を縮少したりするような考え方は実際上私は何らの合理性のないところの抗弁に、口実に過ぎないものであるというように考えておることを申上げておきたいと思うのであります。
 それから第三番目に欧洲諸国の実例についての調査でありまするが、只今の鈴木次長の御答弁によりまするというと、まあ大体において殆んど御調査がないようであります。そうしてアメリカの自治体議会の議員の数が非常に減らされて行くところの一部の傾向があると、このことにつきまして又申しますると、講釈めいて甚だよくないと思いますので省略いたしまするけれども、その方面のことは随分とやかましくその議論をする人には絶えず引例されておるのであります。と言つてヨーロツパ諸国の例については何らの調査がないということが今明白になつたと思うのでありますが、当局に御調査がないようでありますが、私がサゼストしましで最近の調査、できる範囲内においての一定の国の自治体議会の議員の数についての調査を、この参議院の地方行政委員会の専門調査委員室においていたしましたものをプリントにして我々の手許へ配つております。今日私はそれを持つて参りませんでしたが、若し御調査が今のようになくなつて、それを御参考になるならば一つ西郷委員長を通じて御請求になつて何らかの参考資料にして頂ければ大変結構だと思います。ともかく結論といたしまして、地方行政につきましてはたびたび言いまするように、日本の国においては科学的な学問的な研究というものが至るところにないのでありまするから、非常に非科学的な議論が何か一部の人から言いまするというと、それが直ちに新聞紙の無知識に基くところの支持となりまして、社説となつて現われたり、記事になつて現われたりいたしますると、そういう間違つたことがそのまま日本の自治体政治に関するところの輿論に化して来ておるのが今日までの非常な実例であつたということができると思うのであります。例えば今日なお残存いたしておりまする地方自治体に政党があつてはいかんとか、政党の争いがあつてはいかんとかいうような議論であります。これなんかも今日なお残つておるのでありまして、如何に今日まで日本の地方の自治体の政治というものを、そういう意見がコントロールして来たかということは歴々としてその証左を挙げることができると思いますが、そんな馬鹿げた議論があり得べきところのものではないことは言うまでもないことであります。それも一つの例であります。それと相並んで今日多くの新聞紙等が社説等にこれを支持いたしておりまするところの自治体の議員の数というものは少いほどいいのだというようなことは、何らの科学性のない最も誤まれるところの、日本の地方行政研究に対する科学性がないということを暴露しておりまする誤まれる俗論でありますということを申上げまして私は質問はこれで打切ります。
#65
○委員長(西郷吉之助君) 他に御質問ございませんければ……。
#66
○岡本愛祐君 私もいろいろ意見がありますが、まあ衆議院の修正によりまして現行法通りに変つて来たことでありますから、余りくだくだしく申上げません。一つ伺つておきたいのは、衆議院の修正によりまして「九十条の第二項を次のように改める。」とあつて、前項の議員の定数は条例で特にこれを減少することができるというふうに改まつたのであります。つまり基準は一応現在通り定めてあるのでありますが、条例で特にこれを減少することができる、そういう途を開かれたのである。そこでこの条文はどういうことを意味しておるか、二つのことをお尋ねしておきたいのであります。一つは減少することができるとあるから、その半面解釈として、減少することができるが殖やすことはできないということが出て来るのであるかどうか。それが一つ。それからもう一つは、減少することができるというのでどの範囲までできるのか、半減なんてすることもこれでは可能のようでありますが、条例によつてやれば……。そういうことは法文上としてはやる府県があればできるわけであると思いますが、そういうことになると思いますがその点はどうですか。
#67
○政府委員(鈴木俊一君) これは増加することはできない。併し減少することはできるということと私ども御修正の趣旨を承わつておるのでございまして、現行法の市町村の議会の議員につきまして同様趣旨の規定があるわけでございまして、これによつて減少する程度は制限されておりませんから、如何ようにも減少はできるというふうに考えるわけであります。
#68
○委員長(西郷吉之助君) 他に御質疑がなければ百三十八条の二から二百二条の三までお願いいたします。
#69
○岡本愛祐君 百五十八条について承わりたい。これは政府のほうに聞いても仕方がないので、衆議院側に聞かなければならんのでありますが、都においてこれは行政簡素化でなくて、却つて部が多くなつて来たように思うのであります。現在はたしか九つ、九局でなかろうかと思います。それが今度は十局になる、それからこれはミスプリントでありませんか。この修正議決したという衆議院の議案におきまして、十頁の六、労働局とあるのは、今だつて労働局があるのだからこれは小さい字で書いてはいけないのだと思うのですが、これは間違つておると思うのです。ともかく一つ局が現在より殖えたと、そういうことになりますか。
#70
○政府委員(長野士郎君) 只今のお話でございますが、現行の都におきましては、現在一、総務局、二、財務局、三、民生局、四、経済局、五、建設局、六、衛生局、七、労働局のこの七つが必置部でございまして、百五十八条の第二項と申します規定によりまして主税、建築、港湾の三局が随意部といたしまして条例で設けることができるようになつております。現在東京都について申しますと、これ全部設けておりまして、十局設けておることになつておるのでありますから、衆議院の修正によりまして丁度まあ現在と同じ数だけになつたのであるわけであります。ただ労働局につきましては、この衆議院の御修正は政府の原案のほうが七、労働局ということで建築局の前に置いておりますものを、順序を変えまして、衛生局の次に労働局を入れるという恰好で、労働局の格付けを少し変えたと申しますか、順序を少し変えたという恰好であろうと思います。
#71
○岡本愛祐君 それでは今必置が七局であと三局は必置でない。それを今度は必置のものを十局にしたとこういう次第ですか。
#72
○政府委員(長野士郎君) 今度の部局の制度におきましてはいわゆる標準部局でありまして、まあこれだけ設けるのが一応基準になつておりますから、お話のように随意部局でありましたものを標準的に当然置く基準のほうへ入れたということになるかと思います。
#73
○岡本愛祐君 置くものとするというのは基準というのでなくて、置くのだということで、置かなければならんよりか弱いけれども、とにかくこれは常態として置くということなんでしよう。
#74
○政府委員(長野士郎君) お話の通りでありまして、置くのが原則であるということであります。
#75
○岡本愛祐君 次に今度は北海道、「道」についてお尋ねするのですが、やはり建築部というのが置かれる。建築部も成るほど必要でありましようが、それよりも北海道庁におきまして北海道有林という、林業を自分で相当面積経営をしており、又北海道の山林というものは相当大面積の民有林を持つておりまして、山林部というか、そのほうが必置部としては当然であると思うのです。農地にしましても非常に広い農地を持つておる。だから今度一つ殖やすなら建築部よりか、農地部といいますか、農業部というか、農業部とそれから山林部と、こういうものが置かれるべきだと思うのです。その点の意見はどうですか。
#76
○政府委員(鈴木俊一君) 北海道の場合におきまして、建築部を置きますよりもむしろ農業部或いは山林部をおくべきであるという御意見は、私どもも北海道における林務行政或いは農業行政の重要性から考えまして十分意味のあることを考えまするが、恐らくこの点衆議院の御修正の趣旨は、二百五十万以下の県につきまして建築部を置くと、こういう建前をとりましたので、従つてどうもさような見地からいたしまするならばやはり建築部をおくべきではないか、こういうことでかような修正に相成つたものと思うのであります。私どもの考え方といたしましては、人口の多寡によりまして段階を設けまして標準部局の想定をいたしたのでございまするので、山林或いは水産というような関係の行政は必ずしも人口の如何に直接影響がないわけであります。併しながら全国四十六都道府県の中で、山林行政或いは水産行政が行政の量からいつても、質からいつても非常に高いという府県が、人口の如何にかかわらずあるわけであります。さような所につきましては、これは人口段階から申しますると標準の中には掲げがたいわけでございまするが、さようなものは設けているのも理由があるというふうに考えておるわけでございます。
#77
○岡本愛祐君 北海道についてこの部の大きさから考えて、この農林部で農業も林業も、水産業もやるということになれば、非常に大きな部ですから、ほかの部とは比べ物にならんほど大きな部、而も建築部なんというものは極く小さな部で、まあ衆議院で修正されたのでありますが、バランスが崩れて来ておると、こういうふうに思うのであります。
 次にお尋ねしたいのは、同じく同条の何項になりますか、第二項に「都道府県知事は、必要があると認めるときは、前項の規定にかかわらず、条例で局部の名称若しくはその分掌する事務を変更し、又は局部の数を増減することができる。この場合においては、第二条第九項及び第十項の規定の趣旨に適合し、且つ、国の行政組織及び他の都道府県の局部の組織との間に権衡を失しないように定めなければならない。」こういうものがあり、そういう条例を設け又は改正をしようとするときは、知事があらかじめ内閣総理大臣に協議しなければならないと、こういうふうになつておるのであります。それで承わりたいことは、まあ局部の名称を変えることはよろしい、事務の分掌も変えてよろしい、ここはわかります。「又は局部の数を増減することができる。」とあるのですが、これは減はその事情によつて減らしてもよろしい。殖やしてもいいというのはどの程度を予定しておられるのか。その事情によつては幾らでも殖やしてもいいのか。それは趣旨によらなければならないということもあり、権衡を失しないようにしなければならないということもありますが、その権衡を失しないと思われる程度のところでは許されるわけですか、どのくらいを予定しておられるのですか。
#78
○政府委員(鈴木俊一君) 現在の自治法におきましては御承知のごとく六部が必置部でございまして、最高十二部まで置いておるのであります。そのほかに知事室でありますとか、或いは企画局、振興局というような名義で企画行政、総合開発行政のようなものを別の部局を設けてやつておる所もあるのであります。これらの全体の行政処理の仕組といたしましては、戦後非常に行政事務が殖えて参つたこと、又複雑になつたことは事実でありまするが、余りにも細かく分れ過ぎておる細部に分れ過ぎておるということが言われておるわけでございまして、今回の案におきましては神戸委員会が四部乃至六部という一つの法定の基準を出しておりまするが、それを若干の程度緩和いたしたところで標準を定めたわけであります。従いまして標準として定めました八部、北海道といいますか、道の八部、それから二百五十万以上の七部、百万以上二百五十万未満の六部、これは大体標準的な規模の府県におきまして、標準的な態勢の府県におきましてはまあ適当であろうと考えておるのであります。併しながらさつきも申上げましたように、人口は少いけれども非常に林務行政が重要である、全国で一、二位を争うというような所、或いは水産行政が重要な地位にあるというようなものにつきましては、これをやはり若干拡げるということも一つの考え方で、そのほうが却つて行政の実が挙がるというようなこともあり得ようと思います。そういう意味で若干の一、二部くらいの県は実際においての増加ということもあり得ようと思いまするが、鳥取のような小さな県においてもなお且つ九部を置くというような現在の状態をこれを若干是正する必要があると、かように考えたわけであります。
#79
○吉川末次郎君 ちよつとお尋ねいたしますが、これも先ほどの質問と同じように、よく案文を点検いたしておりませんので、的外れの質問になれば大変恐縮でありますが、或いは又すでに御説明があつたのだと思いまするが、いろいろな委員会に関する改正規定の案文だと思うのでありますが、ざつと恐縮ですが、御説明を願つてもよろしうございましようか、少し重要な事項じやないかと思いますので……。
#80
○委員長(西郷吉之助君) じや政府委員より説明を願います。
#81
○吉川末次郎君 第三節「委員会及び委員」という所から要するに委員会の制度を大分変えられるのだと思うのですが、そういうことを中心にして一つ大略をお話し願いたい。
#82
○政府委員(長野士郎君) それでは私のほうで第三節委員会及び委員という所から御説明申上げます。
 第一款通則と申しますのは、地方公共団体の組織の中に現在各法律等に基きまして各種の執行機関が特に委員会或いは委員という形で設けられておるわけでございますが、これを今回の改正におきましてこれらの委員会及び長、議会等との相互的な関係を明かにいたしまして、運営の合理化ということを考えたわけでございますが、この第一款通則におきましては、各法律において設けられております委員会等が明確に地方公共団体の執行機関であるということを明かにいたしますために掲げたのでございまして、現行のそれぞれの特別法において規定しておりますところの趣旨を変更はいたしておらないのであります。で、百八十条の四で「執行機関として法律の定めるところにより普通地方公共団体に置かなければならない委員会」、即ちこの場合には都道府県、市町村、地方公共団体を通じまして現行制度の建前上置くべきものとされておりますものを掲げたわけであります。この第一といたしまして教育委員会、二番目に選挙管理委員会、従いましてこの教育委員会は建前上としては県の教育委員会、市町村の教育委員会、全部含まれておるわけであります。二の選挙管理委員会も同様でございます。三番目の「人事委員会又は人事委員会を置かない普通地方公共団体にあつては公平委員会」、これも同様でございます。四農業委員会、それから第二項といたしまして、そのほかに都道府県に限つて置くことを義務付けられております委員会や委員というものを掲げておるのであります。こういうものとして地方労働委員会以下の規定を入れておるのであります。それから第三項におきましては、それ以外に都道府県につきまして都道府県国家地方警察の運営管理を行わせるための都道府県の公安委員会、都道府県の公安委員会は都道府県の執行機関の一部類に属すると思うのでございますが、内容としては国家地方警察の運営管理を行なつておりますという関係上、三項として特別に掲げたわけであります。第四項は自治体警察を維持する公安委員会を「市及び自治体警察を維持する町村」ということで掲げておるのでありまして、府県におきましては一項、二項、三項が通常府県に置かなければならない委員会その他の執行機関でありますが、市町村につきましては一項と四項が置かなければならないという意味で義務付けられておる委員会であるということを明かにしておるのであります。第五項は法律に特別の定がございません場合にはこれらの委員会の委員又は委員という者は非常勤であるということを明かにしておるのであります。
 百八十条の五におきまして、これらの委員会又は委員は通常独立の権限を有しておるのでありますけれども、地方団体を代表し地方団体を統轄いたします意味での執行機関の長、市長とか知事、市町村長という者との差異を明かにいたしますために、そういう種類の権限を通常は持つていないということを明かにいたしますために百八十条の五を掲げたわけであります。
 百八十条の六は、これらの委員会又は委員とそれから地方団体の長のほうの補助機関、組織等との間におきまして委員会及び委員の権限に属する事務の一部を、長の同意を得ましてそれぞれ補助機関たる職員その他の者に補助執行させる、或いは又その事務の一部を委任をさせる、或いは又委託をして調査をさせるというようなことができるように規定を加えたのであります。
 次の第二款教育委員会と申しますのは、特に教育委員会は独立の執行機関といたしまして、知事、市町村以外の執行機関中では最も重要な意味を持つております機関でありますのみならず、法制の建前上もその独立性が最も明かでありまして、そういう趣旨におきまして地方自治法におきましても第二款といたしまして教育委員会という項を掲げることが適当であるという意味で掲げたわけであります。
 百八十条の七第一項は、現在教育委員会法において規定されております教育委員会の権限をそのまま規定をいたしたのであります。第二項は今回の地方自治法の改正におきまして機関の事務処理に属するいわゆる機関委任事務につきましてはこれを別表に掲げまして、将来そのような事務の膨脹することを防ぎたいという趣旨を表しておるわけでありますが、その趣旨に従いまして教育委員会の権限に属するものの中で、機関委任事務に属するものにつきましては別表第三、第四というのに分けまして掲げることにしたわけであります。第三と申しますのは、知事等の府県の機関の事務で事務処理に属するものを掲げておるものであります。第四のほうは市町村の機関で事務処理に属しておるものを掲げておるわけであります。第三項は、教育委員会の任命する職員の中で、特別な資格や職名を有するものにつきまして、これも他の執行機関の補助機関等におきまして特別な資格、職名を持つておりますものを掲げることにいたしておりますので、同じように掲げることにいたしまして、別表第六といたしたわけであります。従いまして第二項、三項がこの改正法案に教育委員会を加えましたことから新しく規定を加えたことになるというわけであります。
 第三款の選挙管理委員会は現在の選挙管理委員会の規定でありますが、これを第三款として教育委員会の次に置くことにいたしたのであります。
 百八十一条の第二項の改正部分は、選挙管理委員会の委員の数が現在府県六人、市町村四人となつておりますものを、行政簡素化という趣旨に基きまして、府県と五大市、百五十五条の第二項の市にありましては四人、その他の市及び町村にありましては三人ということにいたしまして、それの改正に応じまして関係規定を整理いたしたのであります。即ち百八十二条の第四項におきましては、現在委員は同一政党に属する者は三人以上、府県におきましては三人以上同一政党に属してはいけない、市町村にありましては二人以上ということになつておりますが、今回定数を縮減いたした関係上、その中の二人が同時に同一の政党に属することになつてはならないということにする必要が起きたわけであります。
 百八十六条の一項はこれは「法律又は政令」を「法律又はこれに基く政令」に変えるという建前をとりましたので、これに従いまして改めたのであります。
 百八十六条の三項は、選挙管理委員会の執行しなければならないいわゆる事務処理に属する事務というものを、やはりここでも都道府県の選挙管理委員会にありましては別表第三、市町村の選挙管理委員会にありましては別表第四として掲げることにいたしたのであります。
 百八十九条は選挙管理委員会の開催のための定足数でございますが、これも定数を縮減をいたしました関係上、都道府県や五大市にありましては三人以上という現行通りでいいのでありますが、市町村にありましてはすべての委員の出席ということに改正を加えたのであります。
 百九十条の第二項は、委員の数を縮減をいたしました関係上、委員として議決に加わる権利を委員長が有することにする必要がございますので、第二項を削除いたしたのでございます。
 百九十一条は、委員会に書記その他の職員を必ず置くことになつております建前を改めまして、「置くことができる。」ということにいたしました。それから書記その他の職員の定数は条例で定めるというのが、これは常勤の職員についてのみ定数条例があり得べきであるという地方公務員法の趣旨に鑑みまして改正を加えましたのであります。但書も同様であります。それから三項の「又は第百八十条の三の規定による職員」というのを入れましたのは、これは前の規定、百八十条の三というので、執行部局の長のほうの補助機関の職員を選挙管理委員会の事務を補助させるためにこれに充てることができるというのがございますので、充てられた職員について委員長が指示することができるという関係を明かにしたのであります。
 第四款監査委員につきましては、政令で指定する市におきましては四人まで監査委員を置くことができるということにいたしましたのと、それから百九十六条の三項に新たに学識経験を有する者の中から選任されるものは常勤とする。これは特別な法律の定めがなければ非常勤とするという一般原則を立てましたので、三項で直接の定めをきめることにいたしたわけであります。
 百九十九条の二項は、監査委員が監査をするに当りまして、いわゆる最小の経費で最大の効果を挙げておる、合理的な運営に資しておるということを監査の重点にすべきであるということを明かにしたわけであります。次の八項は、監査委員が監査の結果に基きまして地方団体の組織や運営の合理化に資するためその意見を提出するということにいたしまして、監査委員の監査の注意を払うべきところを明かにすることにしたわけであります。
 二百条の改正部分は、先ほど選挙管理委員会の書記について申上げましたのと同様であります。
 第五款の「人事委員会、公平委員会、公安委員会、地方労働委員会、農業委員会その他の委員会」という款を設けましたのは、やはり同様の趣旨でございまして、先ほどの通則に挙がりました委員会につきまして現在それぞれの法律、地方公務員法或いは警察法等で掲げてありますものを、基本的な事項だけをもう一回地方自治法の中に掲げることにいたしまして、これらの機関が地方団体の機関であることを明かにしたわけであります。それ以外に例の機関委任事務になりますものにつきまして別表に加えることにいたしましたのと、特別な資格や職名を持つておらなければならないという職員について別表に加えることにしたのを新たに加えたわけであります。
#83
○委員長(西郷吉之助君) その間御質問ございませんか。なければ次に参ります。二百三条より七十四頁の二百五十九条、その間の御質問を願います。政府委員のほうから二百三条から二百五十九条までの重要な所だけをちよつと説明を加えて頂きたいと思います。
#84
○政府委員(長野士郎君) それでは重要な所だけ御説明を申上げます。
 二百三条におきましては、各種の委員会を具体的に掲げることにいたしましたので、二百三条の改正部分はこの趣旨に従いましてそれを明かにすることにしたわけであります。二百三条は非常勤関係の報酬をきめる規定でございますので、それらのものを加えることにして整理をしたわけであります。
 二百四条は常勤の職員、即ち給料旅費を支給される常勤の職員についての給与の規定でございますので、それらのものを具体的に掲げることによりまして明かにしたわけであります。
 二百六条の「給与その他の給付」と申しますのは、給与という観念だけでは旅費その他のものは地方公務員法では入らないことになりますので、ここでは、従前から給与という観念の中に旅費その他のものも含めておりましたので、地方公務員法の観念に合せるために「給与その他の給付」という言葉を使つたわけであります。
 それから二百七条、二百十七条が改正されるようになつておりますが、これは衆議院のほうの修正によりまして、この改正部分が改正の必要が現在のところなくなつておるわけであります。
 それから二百二十八条も法律の整理でありまして、法令とありますものを法律又はこれに基く政令に限るために改正を加えるのであります。
 二百二十九条も同様であります。
 第十章は従来監督という章でございましたが、これを今回の改正によりまして、行政調査委員会議等の勧告によりまして、地方との関係は監督というような関係ではない、即ち相互間の協力関係であるということでありますので、監督という章の字句を改めまして、国と地方公共団体との関係、地方公共団体相互間の関係ということにいたしたわけであります。
 二百四十五条の三は、内閣総理大臣や都道府県知事が技術的な助言や勧告をすることができる、そのために必要な資料の提供を求めることができる、それから主務大臣或いは府県の知事、主務大臣と同じような立場における知事或いは府県の委員会、委員というものは個々の担任する事務について同じような助言や勧告ができるということを規定をいたしておるのであります。
 二百五十一条は九条関係の所でお話があつたと思いますが、地方団体相互間、機関相互間の紛争につきまして事件ごとに自治紛争問題の調停を、当事者の申請に基き、又は職権によりまして調停に付することができるという新しい自治紛争調停の規定でございます。調停委員は三人といたしまして、事件ごとに学識経験を有する者の中から任命することになつておるのであります。ただ調停委員につきましてはおしまいのほうの第七項の規定によりまして、調停委員に同一政党の人が同時に二人なることができないということによりまして、公正なる調停を図るように考えておるわけであります。調停委員は内閣総理大臣又は都道府県知事が学識経験を有する者の中から任命するわけでありますが、あらかじめそれぞれ関係のある機関の意見を聞くため協議をいたしまして適任者を選ぶということにいたしております。調停委員は調停案を作成して、その受諾を勧告するというにとどまるわけであります。
 それから第二百五十二条の二以降はいわゆる協議会の規定であります。二百五十二条の六までが地方団体の協議会の規定でございまして、地方団体が事務の一部を共同して処理し、或いは連絡調整を図りますために協議会という簡易な共同の事務処理方式をとることができるという規定を入れたわけであります。行政調査委員会議の勧告にもこのような簡易な共同処理方式を考えるべきだということがございましたので、この規定を加えたのであります。協議会は特別な一部事務組合等の地方公共団体という資格を持つものではございませんので、実際上のいわゆる協議会という恰好で、それぞれ地方団体のために、その担任をせしめられました事務を共同して処理をして行くという恰格を共同処理方式として考えられているわけであります。二百五十二条の七から十三まで、これは地方団体が協議によつて規約を定めまして、地方団体に設けなければならないようになつております委員会でありますとか、委員というものを共同して設置することができるというのが先ず第一でございます。それからその次に、地方団体に附属機関といたしまして、法令上審査会、審議会というものを設けなければならないというようなものがありました場合に、それを共同して設けることができるようにいたしましたわけであります。その次には、地方団体の補助職員でありましても、例えば特別な資格や職名を持つております職員で、なかなか市町村でそれぞれ設けて行くことが困難なようなものにつきまして、共同してこれを置きまして、それらの職員に担任をしております関係地方団体の仕事をやらせるということができるようにいたしますために置きました規定であります。
#85
○吉川末次郎君 委員長どうですか、議事進行について……。これからあとに問題になつておる特別区の区長の問題等もありまするし、今日は大体これくらい一つ打切つて頂いて、日を改めて新らしい気持で以て進んで行きますように御考慮を願いたいと思うのですが……。
#86
○岩木哲夫君 吉川さんの御提案に賛成いたしまするが、ちよつと一口だけお聞きしたいのですが、どうでしようか、差支えございませんか。……それでは今の第十章からのうちで、第二百五十一条についてお尋ねいたしたいことは、それより先に、二百四十五条の三の新らしい規定というものは、これは「内閣総理大臣又は都道府県知事は、普通地方公共団体の組織及び運営の合理化に資するため、普通地方公共団体に対し、適切と認める技術的な助言又は勧告をすることができる。」と、これは内閣総理大臣が地方の普通の公共団体に向つて直接助言又は勧告するということは、一つの国が地方の自治体に対する圧力を与える意味にも解釈される。それからもう一つは、都道府県知事が普通公共団体にあたかも上級機関のような考えの下にあつて、そうして適切と認める助言又は勧告をなさるという、これは何ぞ都道府県知事側のほうが気に入らないといつたような場合に、こうしたことが悪用濫用されるということもなきにしもあらず、この二つの点については、これはいわゆる民主化というものに逆行するということが一つと、同じ公共機関でありながら、上級機関のような工合になつて助言と勧告をなすことができる、こういうことはちよつとおかしいのではないかと思う。助言といいますか、自治庁の役人といわず、自治体の役人といわず、依然として府県行政というものを優位に置いて、内務省的な存在に自治庁設置法その他を持つて行くということがごとき観念の下にどうも自治体の取扱いをしておる感が非常に深いと思いますが、如何でしようか、その点の考え……。
#87
○政府委員(鈴木俊一君) この第十章の二百四十五条の三の点についてのお尋ねでございますが、これは現行法におきましては、第十章「監督」となつておるのでありますが、それを「国と普通地方公共団体との関係及び普通地方公共団体相互間の関係」というふうに表題を変えてあるわけでございますが、この考え方は、いわゆる指揮、監督という考え方を以て国と地方公共団体の関係を律するといいますよりも、国と地方公共団体がこれは相互対等の立場に立つ共同的な関係であるという考え方からいたしまして、この表題もかように変えたわけであります。これは先般神戸委員会からなされました勧告の中にもかような点があるわけでございまして、その趣旨とするところは、従来中央の各省が府県知事を、或いは府県知事が市町村長を指揮監督するというような、そういう建前で立法されておるものが少くなかつたのでありまするが、やはり中央政府と地方団体との関係は相互共同的な関係でなければならないと思いまするし、又中央政府が地方団体に対してどういう立場に立つかと申しまするならば、各種の行政を所管をしておる各省の大臣の立場から申しまするならば、これは農林行政ならば農林行政、厚生行政ならば厚生行政の処理執行につきまして、全国的な情報というものを、或いは報告というものを集めまして、それに基いて最も能率的な且つ合理的な厚生行政の処理方法を探究し、それを一つの技術的な助言という形で地方に流す、そして全体的の厚生行政なり農林行政の水準を高めて行くと、こういう権力的な指揮監督関係で中央と地方の関係を結ぶのでなくて、さような情報の収集並びにそれの供与というような一つの、何といいますか、知識的な中央集権というようなことを学者は申しておられるようでありますが、そういう考え方で国と地方団体との関係を律して行きたい、これを全然国と地方団体とは相反し、相独立するものであつて、国は地方団体に触るることは一切まかりならんというような考え方で行きますることは、これは一つのまとまりをなしておる独立国家としては考えられないことでありまして、権力的な指揮監督関係というものは排除すべきであろうと思いまするが、かような情報並びに技術的な助言という姿における中央地方の相互交流の関係というものは、これはどうしても文化国家の建前として、行政全体において水準を高めて行くという見地から、自治行政の水準を高める見地から、どうしても認めて行かなければならないのじやないかというので、かような中央地方の関係を規定をいたしたわけであります。
#88
○岩木哲夫君 私の質問に一点落ちておることは、都道府県知事が普通地方公共団体に対する監督権はどういう根拠であるのかどうか。それからもう一つ聞き落しましたが、内閣総理大臣が普通公共団体に向つてそういうことがなし得るということは、これは都道府県にも同じような意味があるのかどうか、この条文によるというと「内閣総理大臣及び都道府県知事は」云々とあつて、都道府県知事には内閣総理大臣の勧告、助言権がない、そういう制度がないかのような印象が持たれまするが、これは併せて、都道府県知事がその他の自治体より上級機関である、これは連絡機関、調整機関であるという解釈であるべきにかかわらず、この二つの点の矛盾はどうなんですか、それも併せてお返事願いたい。
#89
○政府委員(鈴木俊一君) 只今の御質問の点は申落しまして失礼いたしましたが、都道府県知事に今申上げましたような一つの資料の提供並びに技術的な助言の関係を規定をいたしましたのは、都道府県という地方公共団体に、市町村との関係においてさような地位があるというふうに考えておるのではないわけであります。現行の地方自治法の建前においては、これは都道府県も市町村も同じ地方公共団体であるわけであります。都道府県が市町村を包括するという意味において、一方は基礎的な団体であり、都道府県は複合的な、この上に立つ団体という性格上の違いはありまするが、その他の点につきましては本質的には違いがないのであります。ただ行政事務等につきましては、都道府県がいわゆる統制条例と申しておりまするが、統制即ち調整をするための条例を設ける。その条例が市町村の行政事務の処理を拘束するということは、現行法の中にはあるのでありまするけれども、それ以上の地位を認めておるわけではないわけでありまして、ここで考えておりまするのは、都道府県知事、こういう都道府県の自治体の機関に対しまして、今日各種の厚生行政なり農林行政なり、その他の行政の部門におきましてこれに各種の権限を行使させまして、そうして市町村との間の事務の調整その他のことをやらしておるわけであります。さような各種の府県知事のいわば国家機関として使われておるさような地位をここでは考えておるわけでございまして、そのような地位における都道府県知事が、それぞれの行政につきまして技術的な勧告、助言ができるという、又資料の提出ができると、こういうような考え方でございます。
#90
○岩木哲夫君 それは納得ができません。府県知事がその他の公共団体のいろいろの調整をするということの、国の委任事項を掌るものだということでありますけれども、今日の税制配分の問題についても、おのおの自治体における権限の問題についても、議会構成の実態についても、中央のいろいろの下部への伝達の調整の方法はあつても、自発的な主導的な調整機関ではないのであります。内閣総理大臣、国の機関からいろいろこういつた地方自治体に対する中央の法律化したもの、中央の国策というものを下部機関に調整伝達する機能は、権限はあつても、主導的に、能動的に、自発的にこの都道府県知事が市町村に向つてそういう調整事務はとれないはずなんです。それを今あなたは、あたかもそれをもなし得るような見解を以て助言と勧告ができるような解釈の生じやすいこういう法文解釈をするということは、いわゆる私が何度も言う通り、自治庁や地財委や、そういうものは、府県の優位復活という頭が去らないからこういう条文が生れて来るのであつて、これは対等の自治体の権能、姿というものを破壊するものであると私は思う。だから内閣総理大臣と同様の権限を持つて、内閣総理大臣が行ういわゆる助言というようなものも、地方長官が、府県知事が、発する助言というのも同様の解釈が生じやすい条文に一律に謳つておるということは、いろいろ問題がある。問題がある事例は、例えば接続町村が一つの市に合体したいと思つても、府県知事の了解を得なければならん。府県知事はその議会にかける、議会に提出するか否かは府県知事の権限にある。だから或る市に隣接する町村が自発的に住民の発意によつて合体したいと思うても、知事がそれをいやだつたら、その県会に上程しないということがある。それはどうもしようがない。だから、あたかも上級機関のような印象をますますはびこらせ助長せしめるのである。私は昨日も質問いたしましたように、府県知事から市町村長に委譲すべき法律が通過して、建築行政はすでに一年もたつておる。それにその府県知事が四の五の言つて、府県知事が委譲しないということは、手が著けられない。ただ昨日も自治庁所管大臣及び建設省の当局者に質問いたしたら、努力する、善処するというようなことであつて、これらは当然強い権能でやらなければならんものが、あたかも府県知事のほうが市町村長よりも上位機関である、県議会は市議会の上位にあるというような観念の下にあるから、接続町村の問題についても、建築行政を委譲すべき法律案が通過してすでに一年もけみしておるのに、その実行が捗らないという事態がここにますます盛んになつて来る。だから内閣総理大臣が必要に応じて自治体に助言をしたり勧告することについて、私は異存を言うのではないが、その場合には府県知事にも市町村長にも同様に与えるべきである。内閣総理大臣が府県知事に一つも勧告、助言を与えておらない。そういう条文が現われておらないじやないか。府県知事、内閣総理大臣が市町村長に助言と勧告を与えるという片手落ちがある道理がない。明確に答えて下さい。
#91
○政府委員(鈴木俊一君) 二百四十五条の三におきましては、「内閣総理大臣又は都道府県知事は」と、かように主語はなつておりまするが、それを受けておりまするのは普通地方公共団体であります。この普通地方公共団体というのは、当然に都道府県及び市町村ということであります。そこで内閣総理大臣が都道府県に対し、都道府県知事は市町村に対し、かような考え方で規定をいたしておるわけであります。内閣総理大臣につきましては、それでは市町村に対してやれるか。これは勿論内閣総理大臣は都道府県及び市町村というように、即ちそういう普通地方公共団体全体について行える。都道府県知事は文理上都道府県にはできませんから市町村だけということになるわけでございます。
#92
○岩木哲夫君 それは、そんな条文の書き方は、一々起案者に説明願わなけりやわからないような条文の書き方は以てのほかであつて、今私が申したような工合に誤解も生じ、そういうことはこの条文については片手落ちなことであります。それから私が今、内閣総理大臣が地方自治体に助言と勧告を与えることについて異存がないということは、誤解があつちやいけないので、これは国の方針というものを下部に伝達することについて、その地方自治体が国の方針を肯んじない、首肯せずして、反撥して、反抗的な逆コースをとる、或いは逆な途をとつて来るという場合の助言と勧告であつて、地方自治体のおのずから認める発展なり業務なり、地方議会においてきめられたことについて一々内閣総理大臣が適切と認める助言と勧告を与えるというようなことについては私は異論を申しておるのである。であるからいわゆる国策というものが自治体に正常に流れるようなことについて、それに反抗的な、反対的なコースをとるものに対しては、これはいけないということの勧告や助言は認めるけれども、それ以外に自治体に向つて要らざる容喙をするというようなことをも認める意味ではないと思う。であるのであるからして、この条文については今説明のような状態であるならば、極めて条文が不的確と私は思うのでございます。ということは、なぜ不的確かということは、他のどの条項でありましたか、「内閣総理大臣は」という条文があるかと思えば、「主務大臣は」という条文があるごとく、主務大臣は内閣総理大臣の任命においてやるのなら、内閣総理大臣だけでいい。であるからこういうことの条文を二つに分けるとなるならば、「内閣総理大臣は普通公共団体に」、又「都道府県は」ということにしなくちやならん。私は一つ異論というのは、都道府県知事が、同じ自治体であります。同じ自治体の長が同じ自治体に向つて勧告、助言を与えるというようなことは、私は自治体の健全な発達と現在の状態を破壊するものだと思うので、府県知事が他の自治体、市町村長に向つて適切と認める、適切と認めるということは、内閣総理大臣なり府県知事が主導的に考えて、みずから解釈して、適切と思うたものについては、それがよいか悪いか、その地方の議会の是非を問わず、その主権者がそういつたようなことの行動をするということは、これは間違いだと思いますが、如何でしようか。
#93
○政府委員(鈴木俊一君) この勧告の問題でございますが、只今お話が出ましたような、例えば政府が閣議で方針を決定いたしまして、それを地方団体にやつてもらいたい、こういうような場合におきましては、これは全く政府としてそういうことを要望しお願いをするということで、これは法律上の問題にはならんと思うのです。法律において特に規定のありまするものは別でありますが、一般的にさようなことがよくございますけれども、これは単なる文書を以て通知をし、或いはその他の方法で要望をし、お願いをするということでありますが、ここで申しておりまするのは、厚生大臣なら厚生大臣が、厚生行政の処理について技術的な助言をするということであります。先ほど引例されましたような、例えば特殊な市町村の合併というような問題についてどうこうせいということは、これはいわば政治的な助言という面を含んでおると思います。そういうような政治的な助言をやるということになりますると、これは昔の指揮監督という権力的な関係に戻るわけでありまして、ここで私どもが考えておりまするのは、さようなものを意味するのでなくて、例えば如何にすれば生活保護の事務が最も合理的に行われ得るかという、そういう現行法の建前においてどういうように処理するのがよろしいかという技術的な助言、勧告であります。従いまして御心配になりまするような、さような意味の政策的な勧告を認めるということは、今の地方自治体と国との関係の建前において、特に特別の規定があれば別でありますけれども、一般的な建前としてさような権力的な助言関係、政治的な助言関係というものは、これは認めるべきでないというふうに考えておるのでありまして、これは特に技術的なという点に強く表現しておるつもりであるわけであります。
#94
○岩木哲夫君 そういう言葉には乗りません。隣接町村が合併するのは政治的な問題ばかりじやない、技術的な問題も半分ある。それは私が言わなくても、あなたはわかつておると思うのです。この町村をこの市に合併するということは、例えば河川技術の問題或いは道路交通、その他その市の規模の問題についても、全部技術問題が半分以上占めておる。併せて政治情勢が要求するかどうかによつて合併が承認されるかどうかである。であるから、先ほど建築行政を委譲する問題についても、建設省は技術的な問題でなかなかむずかしい問題があるとか何とか言つておつたようでありますが、これも政治的な問題と違い、やはり技術的な問題である。すべてがこういつた難問題が、技術的な要素が全部じやなくても、何割かは、何十%かは皆占めておるのであるから、その技術ということに藉口して、或いは引つ掛けてかような解釈も生ずるのです。それが自治体の長でありながら、府県知事がそういう上級機関のような職権を振廻すような制度を設けるということは甚だ穏当を欠く、こう私は思うのですが、まあこの問題は吉川さんが早く本委員会を切上げるというのに何遍も繰返しても失礼でありますけれども、その問題は私かなり重要な問題として、遺憾ながらあなたの解釈と非常な開きがあります。
#95
○岡本愛祐君 岩木君の只今の御意見、私も御尤もだと思うのです。実は岩木君おられませんでしたけれども、第七条の改正点について一席私がやつた。つまり市町村の廃置分合又は市町村の境界変更、そういうときに現在の規定ですら、関係市町村の申請に基いて、都道府県知事が当該都道府県の議会の議決を経てこれを定めて、これは干渉めいたことをやれることになつておる。それで今度はなお、都道府県知事があらかじめ総理大臣に協議しなければならんというように今度改正するわけで、そのとき一席やつたので、私は岩木君が御心配になつておる点、又この二百四十五条の三の問題についても御尤もと思うのであります。まあ私は勧告はそれほど言わない。地方行政調査委員会議が国会に勧告するということもあるのだ、これもいい、併し助言ということはなかなか重大なことだと私も思うのです。技術的なところがあるからいいと鈴木政府委員おつしやるけれども、まあ岩木君から縷々お述べになつたような点が私はあると思うので、こういうのは当該公共団体のほうから求めた場合には助言をするというぐらいの余地を持つておかなければならないのじやないかと私も考えるのであります。
 それから、これはお尋ねしておくのですが、一項の「普通地方公共団体の組織、運営の合理化」ということに限定してあるのですが、これはどういうわけでこれだけを取出したのですか。限定されておつて結構ですが、なぜこれだけを取出したか、「組織及び運営の合理化」……。
#96
○政府委員(鈴木俊一君) この第一項の「組織及び運営の合理化」というのは、何といいますか、行政組織の問題、例えば分課の編成でありまするとか、事務処理の方式でございまするとかいうような、そういう何といいますか、特殊の行政部門に関しない、一般的な行政の関係、そういう意味のものでございます。今申上げたのは三項でありますが、四項におきまして「主務大臣又は都道府県知事」と申しておりまするのは、これはそれぞれ特殊の部門、行政の部門を担当する地位における主務大臣或いは府県知事といたしましては、例えば経済部でありますとか建築部でありますとかいうような地位において表現される府県知事と、こういう意味でございまして、これらの部門においては、例えば今の建築行政の問題でありまするとか、厚生行政の処理の方式につきまして、運営につきまして技術的な助言、勧告をするという意味であります。
#97
○岡本愛祐君 そういうこの問題並びに次に来る協議会の問題、これらについてよほど考えなければならんことがあるのです。もう時間が今日はありませんから、これは留保して頂いて、次に廻して頂きたいと思います。
 それからもう一点だけ、吉川さんに御了解を得て……。前に返つて失礼ですが、伺いたいのですが、都道府県の公安委員会ですね、これはどういう性質に考えておられるのでありますか。
#98
○政府委員(鈴木俊一君) 都道府県の公安委員会は、私どもといたしましては、府県知事が議会の同意を得て選任をする機関でございまして、又その経費も当該都道府県の経費として府県の予算の中から支出をされておるものでございまするが、これはやはり自治体の機関であると、かように考えておるのであります。ただその所管をいたしまする事務が国家地方警察に関する事務である。即ち内容が国の事務であるということになる面が大半であるわけでありますが、これは府県知事とか市町村長でございましても、国の委任事務を行うということは、皆ほかにずつとあるわけであります。自治体の機関である都道府県の公安委員会が、国の事務であるとか国家地方警察事務を行うということはあり得るのではないかというように考えております。
#99
○岡本愛祐君 そこでこれは私もお尋ねしようと思つて、来客があつて外したものですから、あと返りをしたので失礼ですが、そういたしますと、都道府県の公安委員会というものは、その都道府県の機関であつて国家の機関ではない。そうしてその都道府県の自治体の機関である公安委員会が、この下に、国家のほうから任命された警察隊長以下国家の警察員を合して、そして国家警察の管理その他の運営を行う、こういうことになるのですか、非常におかしいことになりませんか。
#100
○政府委員(鈴木俊一君) これは改正法律案の百四十九頁の所を御覧願いたいと思うのですが、別表の所であります。「四都道府県公安委員会が管理し、及び執行しなければならない事務」というのが百四十九頁の一番最後の行にあります。これの百五十頁の所にずつと管理、執行しなければならない事務が書いてあるわけであります。ここで「風俗営業取締法の定めるところにより、風俗営業を営もうとする老の許可に関する事務を行うこと。」、これは私はその府県の事務、かように考えます。そして「なお」と書きまして、(一)から(七)まで書いておりますが、この種類の事務は国の事務であるというふうに考えているわけであります。特に「なお」として風俗営業取締法とそれ以下の警察法と区分して書いてありますのは、やはりさような事務の内容において違いがあるわけであります。併しながらかように都道府県の公安委員会の管理し及び執行しなければならない事務として、都道府県教育委員会とか選挙管理委員会と同じように並べて書いておりますのは、この委員会というものはやはり自治体の機関であるという考え方に立つておるわけであります。
#101
○岡本愛祐君 これは初めて私も気が付いたわけでありまして、私どもは都道府県の公安委員会というものは、実は知事が任命し、議会の同意を得て任命するのではあるが、これは国家機関であると、こういうように思つておつたのであります。それがここでは都道府県という自治体の機関であつて、而も委任を受けてやつておるということになりますか、国家警察事務の……。そこらが非常にあいまいで、委任を受けてやれば、それに従事する警察隊長以下皆そこの都道府県の職員といいますか、そうでなければならんのではないか、そういうことにはなりませんか。
#102
○政府委員(鈴木俊一君) 都道府県の公安委員会の性格というものは非常に私どもも異例的なものと思いますが、都道府県の公安委員会自体としてはこれは自治体の機関であり、その意味で公安委員のリコールの制度でございますとか、議会での出席というようなところには、すでに現行法においても自治法の中に入つておるわけでございます。これはもう自治体の機関であるということは、私ども今まで一点の疑いも持つていなかつたのであります。ただ処理いたしまする事務が殆んど国の事務であるという点で、非常に特異な性格である。併しながら警察隊長以下は、これは全く国家機関であり、国の職員でありまして、何ら自治体とは関係のないものであります。さように解釈しております。
#103
○岡本愛祐君 それではこの問題はもう一度私どもよく考えてみますから、これは留保して、次回にお願いいたします。
#104
○委員長(西郷吉之助君) それでは本日はこれにて散会いたします。
   午後四時四十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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