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1951/06/12 第13回国会 参議院 参議院会議録情報 第013回国会 地方行政委員会 第50号
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1951/06/12 第13回国会 参議院

参議院会議録情報 第013回国会 地方行政委員会 第50号

#1
第013回国会 地方行政委員会 第50号
昭和二十七年六月十二日(木曜日)
   午後二時二十二分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     西郷吉之助君
   理事
           堀  末治君
           岩木 哲夫君
   委員
           石村 幸作君
           高橋進太郎君
           宮田 重文君
           岡本 愛祐君
           館  哲二君
           若木 勝藏君
           原  虎一君
           吉川末次郎君
  国務大臣
   国 務 大 臣 岡野 清豪君
  政府委員
   地方自治政務次
   官       藤野 繁雄君
   地方自治庁次長 鈴木 俊一君
   地方自治庁行政
   課長      長野 士郎君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       福永與一郎君
   常任委員会専門
   員       武井 群嗣君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○地方自治法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(西郷吉之助君) それでは只今より委員会を開会いたします。
 昨日に引続きまして地方自治法の一部を改正する法律案の質疑を継続いたします。昨日は第二百四十五條の三、五十七ページまでやりましたが、昨日までのところで御質疑があればお願いいたしまして、五十七ページの二百四十五條の三まで、若木さん、その点まで分けて進んで参りましたけれども、その前のほうに御質疑ありましたらこの際お願いいたします。
#3
○若木勝藏君 この第一條でありますが、第一條のこの終りのほうに「併せて国と地方公共団体との間の基本的関係を確立することにより、地方公共団体における民主的にして能率的な行政の確保を図るとともに、地方公共団体の健全な発達を保障することを目的とする。」と相当強いいわゆる地方公共団体の健全な発達を保障するというふうな言葉があるようでありますが、これは第一條を見ますと財政方面には全然亘つておらない、そういうことを抜きにして行政的な一面だけ見て健全なる発達を保障するということが言い得るかどうか、この点について岡野大臣のお答えを願いたい。
#4
○政府委員(鈴木俊一君) 第一條の考え方といたしましては、民主的にして能率的な行政の確保を図るとともに地方公共団体の健全な発達を保障するということはこの自治法の目的であり、その手段としては地方団体の区分なり組織、運用に関する事項の大綱を定めて、併せて国と地方公共団体との基本的な関係を確立するということを手段としまして、その手段に属する事項の規定の方式としては憲法に定めるところに基いて地方自治の本旨に従つてこれを定める、かような考え方になつているわけであります。民主的ということと能率的ということとは、これは広い意味においては能率的であることも又民主的である、民主的ということの中には能率的であるということも含まれていなければならないと思うのでございまするが、民主的と申す言葉と能率的と申す言葉とが一般的にはよく相対立するような言葉にも考えられますので、「民主的にして能率的」かような表現を用いたわけであります。これは一元的な行政というような今お言葉がございましたが、要するに合理的な制度にいたし、簡素な制度にいたし、又能率的な制度にいたしまするが、併しその基本の建前、土台はあくまでも民主的である、これは基本の大前提であつて、その上における能率的な行政方式を追及する、こういうまあ考え方でおるわけでございまして、さような見地で今回の地方自治の改正案については立案をいたしたわけであります。
#5
○若木勝藏君 いや私の聞いているのは、財政的な方面を考慮することなく地方公共団体の健全な発達を保障するということが言えるかどうか、この点を伺つているわけです。
#6
○政府委員(鈴木俊一君) これは地方自治法は飽くまでもこの大網を定める、自治行政の組織運営に関する大綱を定めるというのが自治法の根本の性格であるわけでございまして、財政につきましても自治法の中には御承知のごとく基本的な規定はこれを設けておるわけであります。併しながらなお地方税法なり地方財政平衡交付金法或いは地方財政法というようなものは、この地方自治法のいわば姉妹法典或いは附属法典という形で、自治法に根拠的に結びつけられて制定をされているというような関係であるわけであります。従つてこの自治法だけですべてが、殊に財政的に解決をするというものではない、その点はお話の通りでございます。地方税法なり地方財政法なり平衡交付金法なり全体の地方財政の制度というものを合理化して行く、こういうことが同時に必要でございますけれども、併しこの地方自治に関する基本法の目的としてかような考え方で謳つて行く、こういうのがこの第一條の表現であります。
#7
○若木勝藏君 大体それで意味がわかりましたが、そういたしますると、財政法とかそういうような方面を離れてこの部面だけをやるとすれば、先ず保障というふうなことよりも助成というふうな意味が強いのですか。助成というふうなことになればこれは幾分考えられますけれども、保障するということになると、他のものを抜いてこれだけで以て保障することができるかというような疑問が起つて来るわけです。
#8
○政府委員(鈴木俊一君) この助成といいますと、何と言いますか地方公共団体という一種の自然的に存在するものに対してそれを助成をするというような感じを受けるのでございますが、この地方自治法は憲法に無論附属しているわけでございますけれども、如何なる種類の地方公共団体があり、又その組織をどうするか、どういう仕事をこれに行わしめるかということはすべてこれを憲法は法律に委ねているというふうに考えておるわけでありまして、ただ法律を作ります場合には自治の本旨に基かなければならないわけでございますが、さようなことで憲法の基本的な考え方からいたしまして、地方自治法は地方公共団体のまあ基本法ということでございまするので、この法律自体において地方公共団体の組織なり運営の基本が定められるわけであります。それを定めることによつてやはり助成をすると申しますよりも、そういうそもそもの根本の建前というものをここで規定をして、そうすることによつて発達を保障するというふうに私ども考えたいのでございまして、かようにしてでき上りました地方公共団体というものを各種の特別法、自治団体法等におきまして更にそれをお話のような意味で肉付けをして助成をして行く、或いは予算的な措置によつて助成をして行く、かような関係になるのではないか。自治法としては根本の骨格構造を定めて、又運営の根本方式を定めて、そうして地方自治の健全な発達を保障するというのがやはり第一義的な目的になるのではないかというふうに考えているわけであります。
#9
○若木勝藏君 いや、私は今助成という言葉を使つたが、これは確かに余り適当な言葉ではないだろうと思う。まあ保障するというふうな意味を持つた、もつと弱めた健全化を図るとかというふうなそういう意味であれば、私はこの一行としては條文として穏かなものになるのではないかと考えたので質問をした次第であります。助成はこれは確かに他から助成をする意味にとれまして該当した言葉ではないと思う。
 まあその問題はそのぐらいにいたしまして、次に甚だ私昨日欠席いたしまして皆さんの審議のあとを再び繰返すようで相済みませんけれども、昨日実は病気で休んでおつたものですから甚だ残念です。第二條の三項の十の「労働組合、労働争議の調整、労働教育その他労働関係に関する事務を行うこと。」これは私はその点十分研究しておりませんけれども、北海道庁あたり見ますと労政部というものがございまして、それから又地方労働委員会というものがあつて、そういう方面でこういうことをやつているのでありますが、その地方労働委員会あたりとの関係がどういうふうになるか、それを伺いたいと思います。
#10
○政府委員(鈴木俊一君) この第二條の第三項には地方公共団体が行いまする事務の例示をいたしているわけでございます。これはいわゆる公共事務といいますか、固有事務並びに委任事務、両方の分野に亘つて例示し列挙しているわけであります。その中に今回新らしく加えましたお尋ねの労働組合、労働争議の調整云々という事務でございますが、これは例示でございまするので特にここに列記する必要も単に法律上の必要性だけから申せばないのでございまするが、労働省方面等の希望もございまして、地方労働委員会が労働争議の調整等の仕事をやつておりまするし、又道府県の労働部において労働組合、労働教育等の関係の問題もやつているわけでございますが、これらはいずれも府県という自治体の機関、かように考えておるわけであります。労働部がそうであることは当然でありますけれども、地方労働委員会もこれは道府県の一つの機関というふうに考えているわけでございまして、従つて労働委員会の所管いたします事項もここに例示として列挙したわけであります。
#11
○若木勝藏君 そういたしますと、この十号に挙げてあるところの事務は実質においては労働委員会が扱う、こういうことになるのですか。ただそれは地方公共団体の一つの含まれた事務になるからしてここに例示する、こういうことになるのですか。
#12
○政府委員(鈴木俊一君) これは今申上げましたように労働部におきまして所管をいたしておりまする事項、例えばこの労政課において所管をしております事項、労働組合に関するものはそういうものが多いと思いますが、それから労働教育につきましてもやはり労働部において所管をしているわけであります。そういうものと、それから地方労働委員会が所管をしておりまする労働争議の調整、両方を掲げているわけであります。
#13
○若木勝藏君 その次に七ページになりますか、第七條の第一項の次に加えられる「前項の規定により市の廃置分合をしようとするときは、都道府県知事は、予め内閣総理大臣に協議しなければならない。」その点について伺いたいのでありますが、市の廃置分合というふうなことに関しましてこれはいろいろ考えられるのでありますが、大体今のところは町村の規模の標準というふうなもの、或いは市の規模の標準というふうなものはどういうふうになつておりますか、その点を一つ伺いたいと思います。
#14
○政府委員(鈴木俊一君) 市の規模でございますが、これは現行法におきましては人口が三万以上ということと、いわゆる中心をなす市街地の区域内にありまする戸数が全戸数の六割以上ということ、それから商工業その他のいわゆる郵市的な職業に従事いたしまする人口が全人口の六割以上、この三つが法律に定められている要件でございまして、あとは各府県の條例で特に定めている要件であればその点がやはり市の要件だということになつているわけであります。市につきましてさようなもの以上のものが市になる資格があるわけでございますが、今お話の市の適正規模ということになりまするとこれはなかなかむずかしいことであるわけでございまして、市の性格、例えば大都市の衛星都市というようなもの、或いは工業都市その他の港湾都市でありますとか、いろいろ都市の性格に応じた規模というものが考えられなければならんと思いますので、如何なる規模、標準の市が適正であるかということについては一概に今申上げにくいと思うのでありまするが、ただこの行政事務の処理、自治事務の処理ということからいつていわゆる手頃の市ということになりますと、やはり人口十万前後ということにならうと思いますが、そういう規模の市に市を再編成するということは不適当なことでありまして、やはり市の自然の生成というもの自体について大きく何か人口の問題とともに考え合せまして行かなければならん問題だと思います。
 町村の規模につきましてはこれは神戸委員会から特に適正規模としての標準として勧告せられたものがあるわけでありますが、これは人口七千程度、これも勿論地勢なり住民の業態等によりまして違うわけでありますが、一般的な條件を前提にすれば人口七千くらい、こういう勧告があるわけでありまして、私どもといたしましても七千なり或いは一万なりというようなところがやはり能率的な行政を行います上に適当なる規模ではないかと考えております。
#15
○若木勝藏君 そこで私はもう一つ伺いたいのは、この自治体警察のほうの関係は市の規模の要件としてどういうふうになつておりますか、これを一つ伺いたいと思います。
#16
○政府委員(鈴木俊一君) 自治体警察を持つことが市の要件であるかどうかということでございますが、地方自治法上では今申上げました人口と、市街地戸数、都市的業態の人口数というようなものが法律上の標準になつているわけでありまして、そのほかに自治体警察を持つことを特に府県の條例で市の要件として定めている場合には、これは市となる場合に自治体警察を必ず持つていなければならないということになるわけであります。併しながら警察法から申せば、一度市になりまするならば自治体警察を持つということが原則であることは警察法に定めている通りであるわけであります。
#17
○若木勝藏君 そうすると今の御答弁では、結局は自治体警察というふうなものは必須要件になるのだというように私は伺つたのでありますが、そうしますとですな、このいわゆる今まで町であつて自治体警察を持つておらないものが何か合併したり拡張されて市になつた場合に、この自治体警察を設置しなくてもよいというふうな特例というふうなことは、これは非常に私は原則に相反して来るものであると、こういうふうに考えるのですが、その点如何ですか。
#18
○政府委員(鈴木俊一君) 市になりまして市というものが自治体警察を維持するというのは、現行警察法から申しまするとお話の通り原則であります。自治法上は今も申上げましたように道府県の條例で特に自治体警察を維持すること、とこう書いてございますればこれは市になるために当然必要な前提條件になるわけでございます。大体そういうように解釈しております。
#19
○若木勝藏君 その問題は私は非常に疑問の存する問題だと思うのでありますが、結局するところ、この警察法の方面から考えて、市としては当然持たなければならないというふうな面が、いわゆる地方公共団体においても條例等の方面で強く打ち出して行かなければならん、そういうふうに考えるのであります。それに対して政府は臨時的な、特例的なことを考えて、市になつても持たなくてもいいというようなことを法律的にきめようといつたような御意図があるとするならば、これは私は非常に問題があると思うのであります。
 次にこの点について更に伺いたいのは、「予め内閣総理大臣に協議しなければならない。」一体総理大臣はこれに対してどういうふうな一つの稟議と言いますか或いは協議事項を持ち得るものであるか、その点を伺いたい。
#20
○政府公務員(鈴木俊一君) この点は今申上げました市となるべき要件でございますが、この法律で定められておりまする人口三万以上ということはもう客観的に国勢調査人口というようなものを抑えれば極めて明確なることでございますけれども、中心市街地の戸数が六割以上或いは都市的業態の住民が全人口の六割以上ということはなかなか公正に客観的に認定をいたすことがむずかしいのであります。これを非常にルーズに認定をいたすというようなことになりますと、本来都市としての施設経営を不適当とするというような、そういう地域までが都市という名を冠せられるということになつて、そのために必ずしも実態に即しない自治体が発達をして行かなければならない、そのために経費も殖えて行くというふうな問題があるわけでございまして、さような見地から都市としての要件を具備しているかどうかということを的確に確認をするということが自治体の実情に即した発達から申してやはり必要であると思うのです。ところがこの点につきましてやはり従来必ずしもさような結果になつていないように観察せられるわけでございまして、そういう意味で全国的な情報を基礎にいたしまして総理大臣の持つておりまする一つのこの法律の実施に関する基準というようなものと、確認をするというような意味で知事が処分をいたします前に、あらかじめ協議してもらうというのがこの第一の趣旨でございます。
 なお更に第二の問題といたしましては、市ということになりますると各種の国家的な行政機関の設置の単位になるわけでございまするし、又そこに市として新たに要求される行政事務も加わつて来るわけであります。さような意味で各省の所管の行政につきまして相当の変更を来すわけでございまして、例えば出先機関を市になるとともに設置しなければならないとか、或いは出先機関の区域を市になるとともに変更しなければならない、或いはそのために新らしく行政上の措置を要するというようなことがありまするので、単なる農業協同組合の地区というような意味合のものと性格が違うわけであります。そういう意味でやはりこれは国にも協議をして頂いて各省にそういうことを連絡をいたし、四月一日を期して市にいたすということであるならばそれに歩調を合せて他の行政方式も揃えて行く、こういう意味でやはり協議をしてもらう必要があるというふうに考えているわけであります。
#21
○若木勝藏君 次はこの九ページに入りまして、第八條の二の項目について伺いたいと思うのでありますが、ここには「都道府県知事は、市町村が第二條第十項の規定によりその規模の適正化を図るのを援助するため、市町村の廃置分合又は市町村の境界変更の計画を定め、これを関係市町村に勧告することができる。」いわゆる都道府県知事の勧告の件でありまするが、これはどういうふうな一体意味を持つているのであるか、これを具体的にお話し願いたいと思います。
#22
○政府委員(鈴木俊一君) この市町村の廃置又は境界変更の計画を定めて勧告するという点でございますが、これは先ほどもお尋ねのございました市町村の規模を適正にする、こういう問題でございます。この点につきましては神戸委員会から勧告があつたわけでございまして、先ほども申上げたように人口七千というようなものを一つの標準規模として勧告をしているわけでありますが、さような合理的な町村の構造にいたしまするのを理想といたしますけれども、併しこれは飽くまでも個々の市町村がそうなりますことを納得いたし、さような合理的な市町村の再編成をしようということになりませんと実行できないわけでございます。併しながら当事者の市町村だけではなかなか再編成ということは困難でありまして、そういう意味で都道府県知事に合併に関する計画を作ることを認め、そうしてこれを関係の市町村に勧告する、こういう考え方を定めたものであるのであります。ただその場合に関係の市町村、即ち当事者になる、合併に関係する市町村、これはもう当然でありますが、そういうものや或いはいま少し広い全体的の立場から見るべき府県の議会、或いは市町村議長会、或いは市町村長会といつたような市町村の県内の連合組織そういうようなものの意見を聞き、又比較的公正な立場にある学識経験者の意見も聞く、或いは関係機関の意見も聞く、こういうようなことで合併計画を作つてそれを勧告する、こういうようなことによつて規模の合理化を図つて行きたいという考えでございます。
#23
○若木勝藏君 その点は私は地方自治の上から非常に考慮を要する重要な問題があると思うのでありまするが、結局地方自治の立場から考えまして、市町村自体がここにその廃置分合或いは境界の変更というようなことにつきまして相当そういう方向に動いているというふうな場合に、知事の勧告が発動するということになれば問題はないのでありますけれども、こういうふうな條文がはつきりした場合において、それと関係なしに知事のほうでどんどん勧告いたしましてこの廃置分合をやるということになれば、私は地方自治を乱して来るところのものではないか、そういうふうに考えられるのでありますが、現在までの実態はどういうふうになつておりますか、その点をお伺いしたい。
#24
○政府委員(鈴木俊一君) これは各府県等におきまして事実合併のための委員会などを作りまして、そこで市長会とか町村会或いは議長会の人たちや関係の市町村の人たちに集つてもらつてそうして一つの合併の計画を作り、それを実行に移してやるというようなところも相当あるのであります。併しながらお話のごとく、これがいわゆる強制的な合併、こういうことになりますると非常に問題であるわけでありまして、さようなことは全然考えていないのであります。ここではあくまでも規模適正化の計画を作るわけでありまして、その計画を作る際にも先ほど申上げましたような各種の方面の代表者を以て実質的には委員会を構成して、その委員会がむしろ合併の計画を作る、ただそれを実施に移す段階において知事が勧告する、かような恰好になるわけなのであります。併しそれにいたしましても、こう勧告に従う義務は市町村には勿論ないわけでございまして、若し勧告に従つて合併を行うという場合におきましては、やはりこの第七條の一般的な廃置分合、境界変更の手続で処理していかなければならんわけでございまするので、これによつて市町村の自主性を害するということがないように配慮したわけであります。
#25
○委員長(西郷吉之助君) 若木さん、ちよつとお諮りいたします。大分昨日進みましたので……、御都合よければほかのかたもございますから全部済ませまして後に、あとに延ばしましてよろしうございますか。誠に恐縮でございますが全部やりましてから又あとに戻りますから。
 それでは昨日第二百四十五條の三の前までいたしましたから今日は二百四十五條の三から小さく区切つて行きたいと思いますが、二百五十一條までにいたしましよう。その間で一つ御質疑をお願いいたします……。では鈴木政府委員にお尋ねいたしますが、二百五十一條は全部新たにしたのですね。
#26
○政府委員(鈴木俊一君) そうです。
#27
○委員長(西郷吉之助君) 前の場合と違つた所はどういう点なんでしようか。前のを全部削除したわけですね、その点ちよつと御説明下さい。
#28
○政府委員(鈴木俊一君) この二百五十一條は削除で現在なくなつておるわけでございまするが、今回ここに新らしく紛争の調停に関する事項を規定したのでございます。第十章監督を国と地方公共団体との関係というふうに、直しまして、第二百五十一條はその中に含まれている規定でありますので、土地紛争の調停はやはり国と地方団体との関係という考え方からここに入れるのが適当であろうということで入れたわけでございます。
#29
○委員長(西郷吉之助君) 二百五十一條までに御質問ございませんか。それでは二百五十二條の二から二百五十二條の五ぐらいまでいたしましよう。鈴木政府委員から、今区切りました二百五十二條五までですね、主な点だけを概略一つ御説明下さいませんか。
#30
○政府委員(鈴木俊一君) 二百五十二條の二は地方公共団体の協議会という制度に関する規定であります。この協議会に関する規定がずつと以下只今御指摘のありました二百五十二條の六まで続いておるわけでございますが、これの大体の構想を申上げますと、これは地方公共団体の協議会という制度は、地方自治法ができました最初には地方公共団体の協議会という形で一章設けられておつたのでございますが、これをその後関係方面等のお話がございまして国会において御修正になりまして、地方公共団体の協議会という制度を削除し廃止したのであります。今回設けたいと考えておりまする地方公共団体の協議会はそれとやや性格が違うのでございますが、この協議会はまあ二つの種類があるわけでございます。一つは事務を共同して管理し執行するという種類のもの、いま一つは事務の連絡調整を図るという種類のもの、この二つの種類があるわけでございます。かような協議会制度を考えましたのは、神戸委員会からもつと簡易な事務の共同処理の方式を考えたらどうかという勧告がございましたので、それに基きましてこの協議会という制度を一つ考えたわけであります。
 なおこのほかに各種の機関の共同設置という方式と事務委託の方式というものがあとにあるわけでございます。それで現在この事務の共同処理方式としては組合というのがあるわけであります。例えば府県の組合、市町村の組合、こういうものは御承知のように必ずこの管理者を置く、そうして組会議会を置く、管理者、組会議会というのを置きますると予算もそこで独立に作る、條例もそこで独立に作るというようなことでこれは複合的な地方団体ではありまするが、完全な地方団体の一応の形を持つことになるわけでございまして、むしろ必要以上な、構えばかり大きな地方公共団体の共同組織になるのであります。そこでさようなむずかしいものでなく、もつと簡易な方式で共同に事務の処理ができたら、或いは事務処理についての連絡調整ができるような方式を考えて行きたいというのが、この地方団体の方面からもいろいろ希望がございまして、ここに書いたような協議会制度を立案をいたしたのでございます。
 で二百五十二條はさような協議会の性格とそれから設置の場合の手続を書いてあるわけでございます。二百五十二條の三は協議会の組織を書いておるわけでございまして、協議会には会長と委員を以て組織する、即ち連絡調整をいたしまする場合にはこの協議会でいろいろ相談をして、これには関係地方団体の例えば市町村長で協議会を構成するというような場合が多いと思いまするが、そうして例えばいろんな共通する事務を処理する、人事の交流の問題でありまするとか、或いは現在国土総合開法によりますると、かような協議会制度を設けてブロツクの府県が総合発開について協議をするというようなのがございますが、そういうような制度を自治法の中に取入れて一般的に規定をすると、いうような、こういうような恰好になつておるわけでございます。三百五十二條の四では大体規約に定める事項を書いてあるわけでございますが、何と申しますか、例えば甲乙丙三市町村で協議会を作るというような場合になりますると、甲の市に協議会の共同の執務場所即ち共同事務所を置きましてそこで一切の事務を処理する。そこの事務処理に必要な経費というものは関係の地方団体が負担をする。職員も関係の地方団体の職員の身分を持つたまま出て来てそこで執務をするというようなことで、いわばただの地方団体と同じ仕事に従事している者が一つの執務場所で執務するというような簡便な方式になるわけであります。そこで協議会長というものがありまして、その協議会長が全体の事務を管理するわけでございますが、二百五十二條の五におきましては、協議会が結局個々の市町村のために或いは個々の府県なり構成団体のために仕事をするわけでございまするので、これは共同の執務場所ではありまするけれども、事務の管理執行は構成をしている市町村の、或いは市町村長というようなものの名においてやられるわけでございます。そういうような名前において執行したものは各構成をしておる市町村の仕事をやつたものとしての効力を持つ、こういうことの法的根拠の関係を謳つておるわけでございます。二百五十二條の五は廃止変更に関する手続でございます。
#31
○岡本愛祐君 協議会についてお尋ねしますが、一部事務組合ではないとすると協議会というものの性質はどういうふうになりますか。一部事務組合は特別地方公共団体でありますか……、そうですね。この協議会というものの法的性質はどういうものでしようか。
#32
○政府委員(鈴木俊一君) これはいわゆる法人格を持つていないわけでありまして、地方公共団体が一緒になつて一つの任意の組合といいますか、申合せ団体といいますか、というものを作るということであります。又見方を変えて申せば共同執務場所を設けているというような形のものであります。これは自体として財産を所有し職員を任命するというような一つの法人格を持つものではないのであります。
#33
○岡本愛祐君 そうしますと只今の町村会とか議長会とか知事会、そういうものとの関係はどうなります。
#34
○政府委員(鈴木俊一君) 例えば町村会、知事会というものもこの協議会という形において整理するということが可能であります。大体今の町村会、市長会というようなものはこの協議会と同じような性格のものとこう考えております。財産を所有するという場合においてはたしか別個の財団法人等の組織を設けているようであります。今やつておりまする市長会は大体これに該当するものと思います。
#35
○岡本愛祐君 私の記憶が間違つておるかも知れませんが、二十二年の三月にできた地方自治法ではこの協議会というものがあつたのじやありませんか。そういう協議会というものは民主的なようであつて民主的じやない、やはりそれは任意的なものにしなければいかんというのでそれをやめたというふうに記憶しているのですが、又復活ということになりますか。
#36
○政府委員(鈴木俊一君) お話のごとく制定当初の地方自治法の中には地方公共団体の協議会という組織があつたわけでございます。これは今お話がございましたように主として関係方面からの意見がありました。只今岡本委員の仰せになりましたような趣旨でにあつたかどうかは存じませんが、私どもの今記憶に残つておりまするところでは戦時中にございました地方総監部、或いはそれの後身である地方行政事務局、或いはその前身である地方行政協議会というようなものがやはり一種の戦時統制に寄與したというような点と、それから殊に総司令部の地方行政担当主任官の考えとしては当時は道州制には絶対に反対であるというような一つの考え方もございまして、実際問題として地方公共団体の協議会、いわゆるブロツク単位の協議会というものについては非常に反対をするような考え方を持つておりましたし、又岡本さんの御心配になりましたような点も或いは危惧しておつたのではないかと思うのでありますが、今回の神戸委員会の勧告の中に事務の共同処理の簡便な方式を考えよということの勧告もあつたわけでありますし、それから又町村会などにおきましてもかような形のものを是非考えで欲しい、殊に例えば電気ガス税等は町村会が実際徴収しておりますが、これはまさに執務場所を共同して持つておる一種の協議会であります。そういうようなものの基礎を明確にするという意味からもかようなものの制度化を非常に要望しておつたのであります。私どももこういう方式を考えて今の電気ガス税の徴収等を合法的なものにするということも必要ではないかと考え立案いたした次第であります。
#37
○岡本愛祐君 そうしますと例えば全国の公安委員長の連絡協議会、それから全国の自治体警察の連絡協議会、全公連とか自警連とかと言つている、それから都市消防長の連絡協議会、まあそういうふうにいろいろありますが、ああいうものはみんなこの協議会になりますか。
#38
○政府委員(鈴木俊一君) この協議会の中には今の共同執務場所というような意味で事務を一緒にするというものと、それから事務の連絡調整を行う機能のものと両方考えておるわけでございますが、御指摘のようなものは多くこの連絡調整のための協議会に当るのではないかと考えます。
#39
○岡本愛祐君 そうするとそういうものもこの規定によつて公的性質が與えられる、協議会としてのこの規定に基く公的性質が與えられるということになりますか。
#40
○政府委員(鈴木俊一君) このここで考えております協議会ということになりますると、やはりこの行政事務の処理に関係をしての連絡調整ということになるわけでありまして、例えばこの一つのまあ政治運動をする、或いは法律の制定改廃についての共同の運動をする、こういうようなだけのものでありますると、ここにいう協議会という観念の中に入らないと思うのであります。それで例えばこの職員の交流をするためにブロツクで人事交流の協議会を作るというようなことでありまするが、それ自体人事行政の連絡調整をやることになるのでありますが、政府に対していろんな要望をする、国会に対していろんな要望をするというような面だけでありますると、協議会とは言えないのじやないかと思うのです。
#41
○岡本愛祐君 まあ自警連とか、自公連、自公連なんかは全国の自治体の公安委員長の連絡協議会ですね、自治体警察ついてのいろいろのことを協議ずる、ただ陳情するだけの団体じやない、そういうのもこの協議会にそうするとなりますか、自公連は。
#42
○政府委員(鈴木俊一君) 只今のまあ規約をよく拝見して検討いたしませんと明確なことは申上げられませんが、直接の行政事務の処理、例えば各地方団体で消防のポンプを購入する、そのため共同の購買機関というようなもので、購入協議会を作る、こういうようなものでありますると、これは行政事務処理のための協議会ということになると思いまするけれども、只今のような自警連、自公連の性格ではどうもこの協議会の中には入らないのじやないかというふうに考えられます。
#43
○岡本愛祐君 そうすると今のままの申合せの私的な団体で残つておるのと、こういうふうに公的性質が與えられた協議会になつたのとではどういう効果の違いがありますか。
#44
○政府委員(鈴木俊一君) これは、協議会は飽くまでも構成をしております地方団体が個々でやりますよりも共同してやつたほうがより能率的である、或いは共同してやらなくてはどうしてもうまく事務がとれないからそこで連絡調整のために協議会を作つている、こういうような場合において作られるべきものでありまして、特にこの協議会を設けたからそれによつて特典があるという形のものではないと思います。実質的に独立して職員を置かないで、協同して置くならば三人置く職員を二人で済ますことができるというような意味で財政負担の軽減に資する、又でこぼこの行政処理を統制して行うことができるという意味の点を狙つておるわけでございます。
#45
○岡本愛祐君 じや早い言葉で言えばまあ例えば神奈川県の町村会というものがありますね、それは今まで何の法の根拠もなくして作つておつたのだというのが、今度はこの地方自治法に基いた協議会としてそういうものを作つたとこういうことになるだけあつて、効果には別段変りはない、法的根拠ができたというだけですね。
#46
○政府委員(鈴木俊一君) 今のこの電気ガス税は、市町村単位で徴収すべきものでありますが、これも各市町村でさようなものを置いてやるということになりますると納税者である電力会社のほうもかないませんし、市町村のほうも事実非常に面倒であります。それを県下一個所の町村会の事務所で共同してとつて、それを配分するということは非常に合理的であるわけでありますが、現行法では実は町村組合でも作つておるのならば別でありますが、今の建前は違法と申さざるを得ないのであります。それをかような自治法に基きまする協議会でございまするならば、そこで初めて適法な租税賦課徴収になるという意味では法的根拠を與えるということになると思います。
#47
○委員長(西郷吉之助君) それではほかに御質疑ございませんか。なければ二百五十二條の六から九まで……。それでは二百五十二條の十から十五までやりますか。
#48
○岡本愛祐君 この二百五十二條の十四のような事務委任規定は、今まで実際上やつておつたのだけれども法的根拠をこしらえてやる、このくらいの意味ですか。
#49
○政府委員(鈴木俊一君) 今までこの学校教育法におきまして児童の教育事務の委託をするという制度が古くからあつたわけでございますが、これがまあ事務委託制度の今までのものであると思うのであります。先般御制定を願いました地方公務員法の改正案におきましても、いわゆる公平事務の委託という制度を認めて頂いたわけであります。さようなものが特別の特例法としてあるわけでございますが、ここではまあ一般化いたしまして、近隣の市町村等に非常に優れた施設があるというような場合にはそれを利用するということが却つて自治体としていいサービスを受けることになりますので、この例を一般化したわけでございます。
#50
○岡本愛祐君 そうして、こういうずつと列記してあるのが重要なことが書いてあるのですが、今度新らたにこういうものを補足して充実されたわけですか、なぜこういうのが抜けておつたのか。
#51
○政府委員(鈴木俊一君) この従来市町村の区域が必ずしも市町村に課せられておりまする行政事務権能を行うのに適当な規模でありませんために、これをできるだけ合理的なものに調整をして行こうということでまあ共同の事務処理方式というものを考えておるわけでございますが、現行法では組合がその一つの方式でありまするし、あと財産、営造物の設置につきまして若干の共同設置の方式が地方自治法の中にございますが、その他には特になかつたわけでございます。ところが先般の神戸委員会の勧告におきまして、合併ということによつて行政の規模を適正にするのが根本でありまするけれども、なかなかそれは困難でありまするので、いわば一種の便法としてもつと組合という方式のほかに共同の事務処理の方式を考えるべきであるとこういう勧告があつたわけであります。さよな勧告に基きまして組合というような複雑な方式によらないで、もつと簡単な共同事務の処理方式というものを考えたわけでございます。その一つが協議会であり、又共同設置という方式であります。それからここにありまする事務委託という方式もあるわけでございます。
#52
○岡本愛祐君 あの事務委託の問題で、例えば各府県において消防職員とか、消防団員を教養訓練するために訓練所を設けることができる、ところが或る県でそれを設けた、隣の県は自分だけで設ける必要がないから他のできている県に委託をしたというようなことをやつているのです。それは地方自治法にはその根拠はないのですね。それで今度これが出れば根拠があつてやつておることになる。今までは事実上やつておつたとこういうことになりますか。
#53
○政府委員(鈴木俊一君) その通りでございます。
#54
○吉川末次郎君 ちよつと一点だけ。岡本君の先ほど来質問していらつしやるこの地方公共団体の連合協議会の問題でありますが、第二百五十二條のこの第二項にありますその協議会の「都道府県の加入するものにあつては内閣総理大臣」云々というような、内閣総理大臣に届出でなければならないという規定、まあその他これを通じての協議会の規定に関連してでありますが、先ほど鈴木次長の御答弁の中に、関係方面からは、道州制に対しては反対であつたので同様規定があつたのを削除したことがあるが、併し今度の改正案においてはそれを復活したものであるというような意味に解していられるところの御発言があつたと思うのでございますが。それでこういう協議会を作るということには私はあえて反対するわけではありませんが、この機会に御意見を承わつておきたいと思うのでありますが。道州制に関連しての御発言があつたのでありますが、これはやはり特に二百五十二條の二の第二項の、都道府県が内閣総理大臣に届出なければならないところの義務を持つている協議会でありますが、それは道州制というようなことが、まあ吉田さんの意見として岡野さんを通じても新聞等に発表されておるのでありますが、道州制の実施というような意見との何らかの関連性があつてこうした規定が新たに考えられておるのですか、どうですか。それについての岡野さんの一つ御答弁を。
#55
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。これはもう全く関係のないことでありまして、この案は随分前にできまして、それは吉田さんと私との話合で道州制というものを今度地方制度調査会にもがけようじやないかということはつい最近のことであります。全くこれとは関係なしに出ております。
#56
○委員長(西郷吉之助君) 只今のところで他に御発言ございませんか。
 それでは二百五十二條の十六より二百六十九條第一項中とそこまで行きます。
#57
○岡本愛祐君 特別市につきまして衆議院のほうで修正の法律案が出ておるようでありますが、二通りの修正案が出ておつて、一つは特別市について住民投票に付するときに、その関係の府県の全体の投票によらなければならないというそれを削ろうというのが一つ。それからもう一つは、特別市の市制を、全部この制度を削つてしまおうというのが一つ、たしかそうでしたね、あの成行はどうなつておるのですか。
#58
○政府委員(鈴木俊一君) 衆議院におきまして、御指摘のような特別市の関係の法律案がたしか六通り出ておると思うのでございますが、内容的には三通りでございまして、一つは特別市に指定するという法律案、一つは地方自治法の改正で特別市の指定の法律の投票をいたします場合に、特別市の区域だけで投票するというための自治法の改正の法律案、いま一つは特別市制度を自治法から落してしまうという法律案、これがたしか野党側、與党側両方から二重に出ておるように記憶しております。これは委員会に付託にはなつておるのでございますが、その後審議は行われていないようであります。
#59
○岡本愛祐君 二百六十五條の第四項として附加えられた、「従来地方公共団体の区域に属しなかつた地域を特別市の区域へ編入する必要があると認めるときは、内閣がこれを定める。」これは例の岩礁みたいな土地のことを言うのですか。
#60
○政府委員(鈴木俊一君) その通りでございます。
#61
○岡本愛祐君 これはほかにもその深い意味があるのですか。別にないのですか。そういう場合だけに限りますか。
#62
○政府委員(鈴木俊一君) これは何ら深い意味はございません。
#63
○岡本愛祐君 つまり特別市の区域に編入する必要があると認めたときは、他の隣接の地方公共団体の或る部分、その隣接の地方公共団体そのものではないけれども、その部分をその特別市に加えるときにはこれは勿論適用はありませんね。
#64
○政府委員(鈴木俊一君) これは「従来地方公共団体の区域に属しなかつた地域」ということでございまして、現在日本の領土で具体的にこれに該当いたしまするのは、青森県と秋田県の境の海上にありまする久六島だけであります。
#65
○岡本愛祐君 これは殆んど適用のないもので、今人口五十万ある所でその適用を受けるようなものは今のところじや考えられませんね。
#66
○政府委員(鈴木俊一君) 先ずないと思いますが、海に面しておりまする特別市があると仮定をいたしまして、その特別市の領海をこえた公海上の地先に新らたなる火山の噴火によつて島嶼ができたというような場合でなければちよつと想像できないのであります。
#67
○岡本愛祐君 若しこういうものを置くとすれば東京都にも置かなければならんのじやないですか。東京都の区域の中にこういうものを設けましたか。東京都こそ火山がたくさんあるから噴き出してできるのだがそのほうが適用があるので、この四項を設けるならば都のところにも設けなければならんのじやないかという気がするのですが、どうでしよう。
#68
○政府委員(鈴木俊一君) 都については、一般の規定と同じように都道府県ということで七條の二に規定しております。
#69
○岡本愛祐君 ああそう、片一方のほうにね。政府原案によりますと、この特別市で、これはまだ行かないところかな。
#70
○委員長(西郷吉之助君) それでは前に進みます。二百七十條から二百八十一條の前まで。
#71
○岡本愛祐君 二百七十一條で政府のこのたびのでは、行政区の区長は、その被選挙権を有する者について選挙人が投票によりこれを選挙するという、従来の規定を削ることになつておるのです。つまり従来は行政区で区にも区長を置くときに選挙人が投票によつてこれを選挙するということがあつたのですが、これを削る理由はどういうのですか。まあ幸いといいますか衆議院の修正によつてこれは又元に戻つたようでありますが、政府の意図せられたときはどういう意味でそういう改正を試られるのであるか、それを承わつておきたい。
#72
○政府委員(鈴木俊一君) 行政区の区長を直接選挙にするか、それとも市長の任命するものにするかということにつきましては、この二百七十一條の規定のできまする場合におきましてもいろいろ岡本委員の御承知のようないきさつがあつたわけでありまして、当時も五大市方面では区長の直接選挙は困るということを非常に強く主張をいたしておつたのでありまするが、関係方面のいれるところとなりませんで区長の公選制というものが残つたわけです。今回政府案におきましては、現在の特別市になることを希望しておりまする五大都市におきましては、区長は御承知のごとくいずれも市長の任命する吏員が区長をやつておるわけであります。それによつて何ら支障を生じていないのみならず、むしろこれが公選になることになりまするならば、都市としての一貫した末端にまで及びまするところの行政が困難であるという考えを持つておるようでありまして、私どももさように考えるのであります。この点はさつきお尋ねのございました特別市に関する衆議院の修正法案の一つの中にも、やはりこの区長公選制というものをやめて任命区長にするというような修正案が出ておりまするが、理論的にも行政区でございまするので区長を直接選挙による必要はございませんし、又実際上も皆これを直接選挙でなくすることを望んでおりますので、政府案といたしましてはこれを削除いたしたわけでございます。
#73
○岡本愛祐君 現行の地方自治法二百七十一條によれば、特別市のみならず行政区の区長はやつぱり公選だということにしてある。これはまあ総司令部のほうで是非そうやれと言つたという今のお話でありますが、それにはそれだけの理由がなければならん。アメリカ側がなぜ公選にしなければならんと主張したか、その点を御説明願つておきたい。
#74
○政府委員(鈴木俊一君) それはまあ当時司令部の担当官の本当の真意はいずこにありましたか私どもも推測いたしかねるのでございますけれども、まあ想像いたしまするのに、一つの日本のまあ民主化というような管理政策の方向から、区長を直接選挙にせよという一つの考え方を持つておつたようであります。この点は現行の五大都市の区長をどうするかということとも関連があつたわけでありまするが、折衝の過程におきまして、特別市の行政区長は直接選挙にするが、それでは現行の区長のほうは現状でよかろうと、かようなことになつたわけでございまして、自治行政の合理的なる発達を図るということよりも、日本民主化という管理政策のさような行政上の理論をこえたところから出発して、かようなことを非常に強調したのではないかとうふうに考えております。
#75
○吉川末次郎君 地方自治法に東京都の区長を公選制度にするということ、及びその権限を非常に拡大するというようなことにつきましては、当時私は国会議員ではありませんでしたけれども、こうした法律を作ることについての委員の一人といたしまして非常に弊害があるということを相当強く主張いたしたのであります。今そのときの速記録を取寄せてもらいまして、自分がどんなことを言つたかをさつきから少し読んでおつたのでありますが、カウンテイ・カウンシル・オヴ・ロンドンの区を除きましては、欧洲諸国の首都、キヤピタル・シテイの区はベルリンにしましてもモスコーにしましてもウイーンにしてもパリーにしましても、これは全部行政区になつておるということをも引例していろいろその節言つたのであります。ところが政府当局、当時鈴木君は行政課長であつてその委員会の幹事をしておられて、今自由党におられる郡君が地方局長で、専らそうしたデテールの問題についての政府代表の側に立つて我々委員に対抗せられたのでありますが、私の説がいれられないで結局今日行われているような東京都の区の制度が行われたわけであります。今初めてそれがGHQの強制に基くものであるということを鈴木次長から話されたのでありますが、もとより鈴木次長が真実をまげて話されているとは決して考えないのでありますが、何かそれを今に至つて占領軍が撤退したので、責任を占領軍当事者にかして責任逃れをしていられるような、一面においてそういう感じを受けるのでありますが、先ずそれについてもう一度はつきり重ねて御答弁を願いたいと思います。
#76
○政府委員(鈴木俊一君) 只今吉川さんの御指摘の点でございますが、吉川さんが当時地方制度調査会の委員として活躍をしておられた際に、私どのようなことを申上げてこの区長の問題についてお話を申上げましたか、今速記録を当つておりませんので明確でございませんが、先ほど岡本委員のお尋ねの点につきまして申上げました点は、これは名前を申上げるのも如何かと思いますけれども、当時中島守利さん、それから永江一夫さん、まあこの御両所が非常に地方制度調査会、並びにその後の国会におきまする地方制度改正関係の委員を衆議院のほうでしておられましたので、衆議院に提案されました際、或いは地方制度調査会の際におきまして、この御両所もいずれも委員なり会長をしておられたのでありますが、この問題について直接司令部の担当官でありましたチルトン氏と折衝いたしたのであります。その際私もお伴をして参つたのでございますが、この点につきましては特にこの永江さんは非常に区長の任命制の問題について特に強く関係方面に話をしておつたのでありまするが、どうしてもこの点はチルトン氏が聞き入れられなかつたのであります。今申上げましたような現在の五大市の区長と特別市の区長という両者食い違つたような恰好になつておりますが、さようなことで一種の妥協的な解決になつた次第でございます。
#77
○吉川末次郎君 さつきから係の職員にその当時の速記録を取寄せてもらいまして読んでおつたのでありますが、鈴木君のそれについての御発言はこの中には載つておりません。併しながら行動においてはまあ私なんかが主張いたしました立場は拒否されたことになつたわけでありますが、一応そのいきさつは鈴木君を信頼してそのまま受取つておきたいと思うのであります。
 それで只今の岡本君に対するとろの御答弁を基礎にいたしまして、一遍先ずお伺いいたしたいことは、行政区に要するにしたということでありますが、この地方自治法が制定されるに至ります前の昔の市制、町村制に基くところの東京都の区の永年施行されておりましたところの制度でありますが、御承知のごとく旧市制第六條によりまして東京市と大阪市と京都市の三市は自治区を置くことができるということになつておりまして、大阪及び京都は法令上許されておりましたけれども、実際上はその自治区を設けておらなかつたのでありますが、東京市の区は行政区でない自治区としての機能を持つておりまして、その自治権は広範囲のものではありませんでしたけれども、少くとも法律上の自治区であつたのが、この政府の最初出されておりまする改正案によりますると、旧制度においてさえありました自治区の制度は全く廃棄せられまして、そうしてそれが他の都市名古屋或いは横浜、神戸等におけるような行政区とせられておるということは非常に奇異の感があると思うのですが、今申しましたようなことについての政府の御見解を承わりたいと思います。
#78
○政府委員(鈴木俊一君) 吉川さんの仰せになりましたように、古い地方制度におきましては市制第六條の市の区というものは自治区という制度になつておつたわけでございますが、それを終戦後地方自治の制定の際に当りまして、東京は都になりましたから別でありますが、京都大阪両市の区というものを自治区としておくか或いは行政区に切替えるかということにつきましては、たしか地方制度調査会でもこれは御論議があつたように記憶しておるのであります。併し地方制度調査会におきましては行政区にするという御意見が非常に強くて、たしか地方制度調査会の答申もこれを行政区にするというふうに相成つたのではないか。
#79
○吉川末次郎君 そんなことない。僕が非常に主張したのだ。
#80
○政府委員(鈴木俊一君) いや、その点はそうでございますが、地方制度調査会の答申ではたしか行政区にするというふうになつておつたのではないか。これはなお調べました上で申上げますが……。
#81
○吉川末次郎君 そんなこと言わないで、安井君が僕の言うことに非常に反対しているのですね。
#82
○政府委員(鈴木俊一君) 要するにこの点はなおはつきりいたしました上で、今一度間違つておれば訂正いたしますが、まあさように記憶しておるのでございますが、とにかく政府案といたしまして提出をいたしまする際に、これは行政区という見解を取入れましてさように立案をして提案をしておるように記憶しております。
#83
○吉川末次郎君 それでその当時政府が今日言つていられますような、区の区長を公選にし又自治権を非常に拡大するならば、機能的に有機的な一つの自治体としての生活をし、又しなければならない立場におかれているところの東京都の地方行政というものが、各区においてばらばらになつて非常な不統一を来すような結果を来すということを、まあそのとき私は非常に力説いたしまして、これは速記録にもそのまま載つておるのでありますが、併し政治的に考えまして、今日そうした政府の見解に対して、区を中心として区長並びに区議会の諸君が猛烈なる反対運動をしていられることはよく御承知のことだろうと思うのでありますが、一度そうした公選制を布き又自治権の拡大をした以上は、これは恐らくそのときのその筋の意向であつたと思いまするが、地域的な分権主義を基本にしての民主主義の成育というようなことが、まあ私はGHQの見解だつたと思いますが、そういう方向へできる限りリードして行くということを考えて行くことが政治的に必要なのではないでしようか。私がそうしたことに反対をいたしましたこの地方制度調査会の委員としてのその当時におきましては非常に卑近な例えでありますが、子供にそんなにたくさんお菓子を食べさせたならば腹下しを起すぞというような意味で、そんなにお菓子をたくさん子供に食わすことは悪いというようなことを、まあ私は同様の意味のことを言つたわけであります。併しともかくもう子供にお菓子をやつちやつたのです。そうして子供は食べているのです。そのときに今食べているところのお菓子を取上げてしまうということは、そうした卑近な例がぴつたり該当するかどうかわかりませんが、まあ大体私の真意は髣髴的にお考え願えるかと思うのですが、そういうことをしてこの公選制を取上げてしまう、そうして旧市制の第六條に規定されておつたところの自治区であつた東京都の区というものを行政区にしてしまうというようなやり方は、政治的な立場から甚だ不穏なような感がするのであります。それで子供はその少し多過ぎるかも知れないところのお菓子を今手にしてそれを食べておるのでありますから、もうやつた以上はこれは一つジアスターゼでもたくさん飲まして、できる限り悪い副作用が起つてお腹をこわさないようにリードして行く、そうしてできるだけそれが子供の栄養になるように、即ち居住民の自治精神の涵養になるような方向ヘリードして行くということが政治的な立場から私は必要じやないかと思うのですが、そういう見解についての一つ岡野さんの御意見を承わりたい。
#84
○国務大臣(岡野清豪君) 以上のことは……御想像……
#85
○吉川末次郎君 その政治的な見解、いわゆるあなたの国務大臣、政治家としての御見解を承わりたい。
#86
○国務大臣(岡野清豪君) それじや私お答え申上げます。今吉川さんのお説は至極御尤もでございます。我々といたしましては東京都の例をとりましてみますと、丁度東京都の特別区というものはお説の通りにお菓子をたくさん食べられる地位におるのです。ところが実際上はそうではないのです。と申しますことは、ここに子供がありましてその前にここにバナナもあればもう洋菓子もあれば和菓子もあればお汁粉もあればアイスクリームもあると、こういう調子にたくさんありますが、併しこれはそれだけのものが得られるような自主権を持たせるべき特別区別にしてあるのだけれども、実はバナナとコーヒーだけしか與えていないのです。そして特別区というものはあとの残りのたくさんのものを全部自分で食つてしまおう、こういうような希望を起しておるわけです。それを食べられてしまうと都では食うものがなくなつてしまう。若しくは都と取り合うという調子になるのです。それで御承知の通りに今の東京の特別区というものは本当を言えば市町村と全く同格のものになつておるのでございますが、併し社会上又はいろいろな行政の高い見地から見まして、これをそういうふうに目の前にあるもの全部を食べさせてしまつてはよくないという意味におきまして、選挙権にしろ警察、消防にしろ若しくは地方税法にしろいろいろな点におきまして又そこまでやつていないのです。そういう現状でございますから、本当を言えばやらんほうが本当は地方行政として円満に行くという形になつておりますから、私どもとしましてはそういうふうになつているものならばこれ以上食べすぎさせてはいけないという意味におきまして限定してしまつたわけである。こういうような考えを私は持つております。
 それからまあ御承知の通りに過去何年かの間都と区との間でそのお菓子の取合いとか何とかということで、これは特別区のもの、これは実際を言つたら都が別に施設をしなくてもいいものも、特別区が独立しておるというような形におきまして、都と特別区が競合して同じような、若しくは委託すればできるような仕事も別々にしているといるような仕事もありまして、まあ政治的に見まして、やはりもとの東京市の範囲の二十三区が一体をなした有機的の結合になつて行くというような意味に生長して行つたほうが、もう少し行政が簡素になる。そして又無駄な費用も要らなくなる。こういうことになりはせんかと思つて、政治的に見ましては政府原案のような形で本案を出したわけであります。
#87
○吉川末次郎君 まあ一応そういう御答弁があつたということにして、賛成はいたしませんが、まあ承つておくことにいたしたいと思いますが、この現行法のように特別区が規定されるようになりました地方行政調査会の会議の速記録は、あなたのお手もとにもあると思いますが、私は先ほど申しましたような意味において、むしろはつきり法制上の行政区でなくても、旧市制第六條の市制のような幾能の上においては、行政区を主体としたものであつて、併しながら東京都は余りに人口も多く地区も非常に広いのでありますから、都の行政の統一性を害して弊害を生起しないという範囲内においてむしろ地元の区にこれを自然的にさしたほうが能率が上る、又弊害もないというようなものを区にさすというような考えかたで進んで行くべきものであつて、併しながら基本的な見解はやはり大阪や京都、横浜、名古屋等の行政区とそう大した相違のないものを基本にして進むべきものであるという見解からの私の意見を相当にまあ長くそのとき言つておるわけなんです。そうして私の見解についてはあなたの前任者でありました本多市郎君のごときも実は非常に同意を僕に示したのでありますが、それでところがこの速記録を読みますと、私の記憶にも歴然と残つておるのでありますが、現在の東京都知事をしておりまする安井君が非常に私の意見に反対をいたしたのであります。
 その後御承知のごとく今日まで区の自治権の拡張運動というものは相当盛んに都内に行われまして、大田区のごときは独立の市になるというような運動をして、立看板を立てまして数百万円の運動費を使つて運動をしたことを皆さん御承知のことだろうと思うのであります。そしてこの近くの永田小学校で大会を開きまして我々にも招請状が来たのでありますが、私ははそうしたことには余り賛成できませんので行かなかつたのであります。行かなかつたために君は選挙区である東京都のそういう運動が起つておるのに顔出ししないのは損じやないかというようなことを言われたことがあるのでありますが、そのときにやはり今日のようにいろいろな少くとも東京都内の一つの大きい政治問題になつておりました。これは二、三年前一昨年頃のことだつたと思うのであります。
 ところが私に注意をしに来た人がありまして、名は申しませんが、知事の安井君が、区の区会議員がそういうことを言いに行くと、自分は区の自治権の拡大運動に対しては賛成なんだ、併しながらそれに反対しているのは社会党なんで、特に社会党で吉川が反対しておるのだというようなことを、区会議員の自治機拡大運動者に対して安井君が訴えた。それで吉川さん、あなたのような態度を持しておりますと、あなたの選挙にも関連しますし、安井さんが一生懸命そういう宣伝をしておりますから損ですよと私に注意をしてくれた親切な友人があつたのでありますが、そういう態度をとつていた安井君が、聞くところによると今度の行政区になすということについては、イニシアチヴをとつて、あなた達にそれを慫慂しておるという説があるのでありますが、果して安井君があなた達にそういうことを慫慂したということが、こういう区会制をお目論見になつた実際上の原因になつておるのではないか。これは世間の噂でありますが、私はあえて本当ではないかと思つておるのですがどうですか、この問題については。
#88
○国務大臣(岡野清豪君) お答えいたします。その点については私は全く逆でございます、想像では。私自身ではこれは自治庁独自の考えといたしまして編み出しておるのでありまして、その後安井君がこれに同調したことは聞いております。又同調すると共にあれは結構なことだから是非実行して頂きたいということは、一度私のところに言いに来たことはあります。併しながら安井君の意思によつて自治法の改正案が動かされるとかできたとかということは毛頭ございません。これは私自身がそういうような感じを持つておりますから間違いはございません。
#89
○吉川末次郎君 ところが私の手もとに安井君直接ではありませんが、安井君の幕僚であるところの局長であつたと思いますが、東京都の局長であつた人がやはり今度の改正に賛成する、まだこういう案が出ないときにどうぞ賛成をしてもらいたいという運動をしに来たのでありますが、それで岡野さんの御答弁のごとく自治庁が発意をしてこういう改正問題が起つて来たのか、或いは安井君がもう今度は区会議員の反感を買つても知事には出ないというはらをきめたのか、まあそれの私は一つの現われだと思うのであります。安井君のほうから、安井君というと余りに個人に限定するようでありますが、東京都の理事者が中心になつてこういうように持つて来たのか、その点はまあはつきりわからないということにいたしておきますが、世間ではそういう噂が非常に飛んでおるのであります。
 それで岡野さんの答弁は決して岡野さんを人格的に信頼しないわけではありませんが、私の受けました経験からは、必ずしもその通りではないような気がしておるということだけを申上げておきたいと思います。
#90
○岡本愛祐君 それでは二百七十六條の行政区に選挙管理委員会を置く、その規定を政府原案では削除されたのであります。それは衆議院の修正におきまして又復活したようですが、これは削除した理由を承つておきたい。
#91
○政府委員(鈴木俊一君) 行政区に選挙管理委員会を置くという現行法を削除いたしましたのは、政府原案におきましては区長の公選制を廃止いたしましたので、従つて行政区におきましてはそれ自体の選挙ということがなくなつたわけであります。従つて市の選挙管理委員会の責任の下に、その指揮下に立つ区に選挙事務の職員を置いて処理いたしますならば、十分公正に行い得るであろうという考えかたに立つたわけであります。
 なおこれにつきましては全国選挙管理委員会とも協議いたし、全国選挙管理委員会もさように決定をいたしましたのでかような案を提案した次第であります。
#92
○岡本愛祐君 そこで衆議院のほうじや区長も当選取りやめを又元に戻して当選することにしたから、二百六十七條の選挙管理委員会を置くことになつた、こういう相互関係があるのですか。
#93
○政府委員(鈴木俊一君) 衆議院のほうの御修正の趣旨は、承りますところによりますと、特別区に関する制度については基本的なものは今度触れないという考えかたに立つておられるようでございまして、かたがた行政区の選挙管理委員会におきましては、やはりそれ自体の選挙はなくても、ここに選挙管理委員会を置いて処理させることが適当であるという結論も同時に考慮せられておつたようでございます。
#94
○岡本愛祐君 五大都市の行政区ですね、これにも選挙管理委員会を置くことになつたのですか。
#95
○政府委員(鈴木俊一君) これは特別市の行政区に選挙管理委員会を置くという規定な、百五十五條の三項に行政区に関する規定は五大市の区に準用するとなつておりますので、これが逆に今の五大市にもこの規定を準用した結果、選挙管理委員会を置くという結果になつておるわけでございます。
#96
○吉川末次郎君 いわゆる特別市について衆議院で六種類の案が出ておるという鈴木次長の岡本君に対する御答弁でありましたが、結局特別市を五大市に指定するという案と、それから特別市についての規定を地方自治法から削除するというところの案とが両方を代表するものであるかと思うのでありますが、それについての岡野国務大臣の御見解はどういうことになつておるのですか。一つ政府としての見解を御答弁を願いたいと思います。
#97
○国務大臣(岡野清豪君) それでは申上げます。御承知の通りに特別市というのは、地方自治法に一つの規定を設けまして、そうして置き得るということになつておる次第でございます。そこで五大市におきましては、その條件にかなうからというので特別市に早く指定してもらおうという運動を起しております。ところが御承知の通りにそれじやほかの市町村が立ち行かないからといつて府県側から反対の運動が起きて、そうして相反する議案が衆議院に実は提出されておるわけでございます。併し私どもの考えといたしましては、特別市に若し五大市がなるといたしますればその府県の残存郡部というもののあり方というものに非常に激変を起します。最も重大な影響を受けますのは財政の面からでございまして、御承知の通りに、市町村もそうでございますが、特に府県は財政上非常に窮乏な立場に立つているのであります。そこへ持つて来まして特別市というものが今の形のままでできますならば、残存郡部というものは財政的にも非常に困難を激成するという形になりますから、政府の見解といたしましては、特別市が若し実現されるとなりますれば、あとの残存郡部の始末を十分検討しましてそうして残存郡部は立派に成り立つて行くというような方策ができません以上は、特別市を設置するということに反対しておる次第でございます。この点はいずれ十分検討をしなければならないと思いますから、私の考えといたしましては、将来できます地方制度調査会にこの問題もやはり移しまして、そうして特別市を果して置くか置かんか、若し置くとするならばあとの府県の行政をどういうふうに変えて行くかということも御検討願いたい。こういうふうに考えて政府の立場は、折角両方の案が衆議院に出ておるけれどもこれに対しては最も消極的でございまして、できるならばあれはそのまま審議未了にでもして、改めて地方制度調査会にこの問題を移しまして、検討したい、こういうふうに考えております。
#98
○岡本愛祐君 只今の特別市問題に関する岡野国務大臣の御答弁は非常に公正な見地からの御答弁だと私も満足に思う次第であります。その今おつしやる通りの御答弁をもつと阜く出して頂いて、そうしてああいう無駄な運動が莫大な費用を使われてにがにがしく行われたことを早くとめて頂きたかつたと我々は思うのであります。併し結論として今お述べになつたことは非常に我々も同意見でございまして、特別市問題については必ず残存の郡部側の立ち行く金を公平に見出してその後に解決するという立場を厳守して頂きたいと思います。このたびはともかく一時留保してそうして近くできんとする地方制度調査会に送り込むというふうに政府が善処しておやりになることについて、私は満足の意を表します。
#99
○国務大臣(岡野清豪君) 私も大阪中部選出の代議士でございます。でありますので市部の方面から非常な働きかけを受けまして、そうしてその当時私がこれに賛成しないというので、私自身の個人的の立場としては非常な苦境に立つたのであります。併しながら初めからこの意見は私が発表しまして、そうしてはつきりとこういうようなまあすべて泥合戦はよしてもらいたい、同時に絶対こういうことをやるについは資金も要ることでしようし困つている市財政からいつてもつまらないからと、口をすつぱくして面を犯し、私情ではございますが、市部選出の代議士としては言いにくいことも十分言つたのでございます。それから又郡部側の人に対しては、こういうふうにするのだから余り騒がないで欲しいということも言つたのでございますが、市のほうでやる以上は郡部のほうでもこれはやらんわけにも行かんというので、どうしても私の微力な点でございますが、あの運動がやまなかつた。この意見は只今ではございません。でもあの運動がはげしくなりましたときに、区の陳情者に対しては全部申述べている次第でございますが、恐らく運動している人に対しては、不利益な私の意見でございますから、お取上げがなかつたのだろうと、或いは私は想像しております。
#100
○岡本愛祐君 実は私も京都府の郡部でありましてこの問題の渦中に入つたのでありますが、私も同じく泥仕合することはいけない、だから万一理不尽に特別市が上提されるというようなことになつて来ればそれは十分検討するつもりだからそれまで我々に委しておきなさい、それからそういうような多人数で波状的に上京して来てそうして多大の旅費を使う、滞在費を使うということは、要するに区民の血税を使つておることなのだからやめてくれというので、京都府は大体大阪府よりは穏当にやつておつたのでありますが、遂にあのようなことで衆議院のほうで強行せられるというような形になつて来ましたから、ああいうような大騒ぎになつたのでありますが、この問題は又将来も続くことと思いますが、地方制度調査会が解決するという線で私ども行きたいと思つております。私はこの委員会におきましてこの問題を取上げてやかましく申しませんでした。それはやはり我々はフエア・プレイをしたいのが念願であつたからであります。
#101
○委員長(西郷吉之助君) それでは二百八十一條の二、二百八十一條の二は重要な條項でありますから、政府側で特に説明を加えて頂きたいと思います。
#102
○岡本愛祐君 東京都の特別区の問題につきまして、吉川さんから従来の御主張に対していろいろお話がございましたが傾聴いたしました。私はこの問題は特別市の問題と並んで誠ににがにがしい問題でありまして、これも莫大な運動費を使つて都も区の方面もお互いに競り合う、泥仕合をするということで甚だ残念であつたのであります。そこで政府原案は、従来の都の区はこれを特別区という、とその表現の仕方を変えて、都に区を置く、これを特別区という、こういうふうに表現を変えた。これで僅かなニユアンスでありますが、ともかく従来の特別区の性質を大分変えて来たのだ、こういう御説明があつたように思います。又従来二百八十三條におきまして、「政令で特別の定をするものを除く外、第二編中市に関する規定は、特別区にこれを適用する。」とあつたのを、「準用する」こういうふうに改められて、これも従来の特別区の性質を変えたのだ、そこでそうなつて来た以上は区長の公選という憲法の條文はもう東京都の特別区に当てはまらなくなる、だから公選をやめて任命でいいのだ、こういう論法で来られたのだと思います。この点についても私は非常に異論があります。先ほど岡野国務大臣から吉川さんにお答えになつたことからも、私は同様に観察いたしておりますが、従来の特別区は、従来の区別にかかわらず、いわゆる完全自治体ではないと私は思つておるのであります。完全自治体ではないから特別区を置く地方公共団体ということになつた。完全自治体でないということは多少語弊がありますがともかく都の枠内にある区である。而も普通の市町村のような自然発生的なものではない、多分に行政的な要素が重なつておる。併しそれにかかわらず特別区、地方公共団体として、憲法九十三條の第二項の、地方公共団体の長はその地方公共団体の住民が直接これを選挙する、この規定によりまして、もうすでに二回も公選をして来ておられるのであります。これがもう條文の体裁をちよつといじつたということだけで特別区、地方公共団体の性質はちつとも変らない。その行政区の区長の公選を今度はちよつといじつたことによつて、九十三條の規定に当てはまらない、だから九十三條の公選をしなくてもいいのだ、こういうふうに説明をされた。私は、それはいけない、その公選なんという制度は民主政治の基本制度でありまして、これがときの政府、ときの政党の意見によつて正反対に解釈せられるということはとんでもないことであります、それこそ憲法をふみにじるものだと私は思うのであります。
 今言いましたように、たとえ政府原案で、都の区はこれを特別区という、というのを、都に据え置きこれを特別区というと言われ、今言つた市の規定を適用する、とあるのを、市の規定を準用する、というふうに変えられても、特別区の性質はそういうもので従来あつたのですから、特別区も地方公共団体として憲法第九十三條の規定によつて公選を二度もやつて来ている。それを突如として一方的にこの改正によつてふみにじろうということは憲法違反である、こういうふうに私は解釈しております。これに対して一つ弁明を願いたいと思います。
 それから今度は衆議院の修正におきましては、今申上げました二百八十一條の二の修正をあと戻りさせよう、原案通り都の区はこれは特別区というふうに元通りにし、又「準用する」というのを「市の規定を適用する」とあと戻りさしたのでありまして、こうなれば一点の疑いもなく従来の特別区と、衆議院の修正案における特別区とはちつとも違つていない。それを突如として、衆議院の修正におきましても間接選挙にするということは、それはこの九十三條の地方公共団体の長はその地方公共団体の住民が直接これを選挙するということは、これはいずれも政府の原案といい、衆議院の修正といい憲法違反だ、こういうふうに思うのであります。
 もう一遍弁明を承わりますが、これは委員長に要求しますが、このたびの衆議院の修正の二百八十一條の点につきまして、学識経験者を参考人として呼んで頂いて意見を聞いて頂きたいと思いますが、これは相当大きな問題でありますからのちほど皆さんに御相談願つて、そうして手近かの権威者を呼んで頂いて、それが憲法違反になりはしないか、ならないというならばいいですが、なるということならばこれはどうしても避けなければならず、参議院は憲法違反こそ防止をしなければならないと思います。その措置をお願いするのであります。一応政府委員から御答弁を願います。
#103
○政府委員(鈴木俊一君) 憲法九十三條と今回の二百八十一條の二の改正案との関係でございますが、この点につきましては、私どもは政府原案におきましても、又衆議院が修正いたしました案におきましても、憲法に違反しないというふうに考えておるのでございます。その理由といたしましては、先ず第一にこの憲法の九十三條の地方公共団体の長を住民が直接これを選挙するという規定の性格でございまするが、これは憲法の中にございまする例えばいわゆる権利章典に属するようなさような規定とやはり事柄の性質が少し違うのではないか。地方公共団体というものがどういうものであるかということについては憲法では直接規定をしていないわけでございまして、それを如何に定めるかということは法律にこれを委ねておるわけでございます。法律がただこれを定めまする場合においては地方自治の本旨に従つて定めなければならない、こういうことが憲法のいわば地方自治に関する大原則であるというふうに考えられるのであります。九十三條はかような大原則の第九十二條をうけまして、長その他法律で定める議員は住民が直接にこれを選挙するということを謳つておるわけでございますが、この解釈は、絶対拘束的なものでおよそ地方公共団体の長というものはすべてこれは住民が直接に選挙しなければならないというような種類の解釈をすることは、実際の実情から申しましても、現行法の全体を通観をいたしました建前から申しましても無理ではないかというふうに思うのであります。と申しまするのは、現在の制度におきましても地方公共団体というのは、御承知のごとく普通地方公共団体、特別地方公共団体、非常に広く地方公共団体として地方自治法においては規定をいたしております。併しながらこの地方自治法において規定をいたしておりますすべての地方公共団体が、憲法にいうところの地方公共団体であるというふうに解釈するうにとは如何かと考えておるのであります。これは財産区にいたしましても、或いはいわゆる組合にいたしましても、現行地方自治法においてはその長の直接選挙という建前をとつておりません。これは特別地方公共団体に属しまする特別市、特別区、財産区、或いは一部事務組合というものにつきましては、やはりその地方公共団体の性格に応じて憲法九十三條の地方公共団体であるかどうかということを判定をする必要があると思うのであります。私どもは、憲法九十三條の地方公共団体というのは普遍的な一般的な地方公共団体、その中には市町村、都道府県というような二つの種類のものが現行の地方自治法の建前におきましては当然に入ると思うのでございます。併しながら特別区はその中には入らないのではないかというふうに考えるのであります。特別地方公共団体の中で特別市は、これは府県と市町村の性格を併せ持つておるものでございまして、二層の地方団体が一層の地方団体になつたということでございまして、これが九十三條の本旨に従つて直接その首長を選挙する建前になつているのはこれは当然でございます。併しながら組合とか財産区につきましては、これは学者は、例えば美濃部博士などはこれを地方公共団体と学説にもかねて述べておつたわけでございますが、地方公共団体ということは言われますけれども、併し憲法のいう意味の地方公共団体には私どもが今申しましたところの意味の地方公共団体は考えられないのであります。特別区はかような特別市、財産区なり組合のいわば中間に位するものと実際は言われるのかと思うのであります。
 特別区の性格につきましてこれはひとり地方自治法の問題だけでなく、やはり現行の特別区に関する諸法制を通観いたしまして、特別区が現行諸法制の中で如何なる地位を與えられているかということを明確にいたすことが必要であると思うのであります。これは例えば一番基本でありまする選挙権の問題を考えてみてもわかると思うのでございますが、これは特定の市町村に三ヵ月居住しているということが選挙権の要件でございますが、これを東京都の特別区で申しまするならば、一つの特別区の中に三ヵ月住んでおるというのが、特別区と市を同じ建前と考えまするならば、そうなければならんのでありまするけれども、現行公職選挙法においては特別区の区域を通じて三ヵ月というものを計算するというふうになつておりまするし、又その他の地方税法におきましても或いは地方財政平衡交付金法におきましても、特別区の存する区域というものが一般の市と異なつた取扱を受けておるわけであります。と申しまするのは、地方税法においては都が他の附県の市がとりまするような税もとる、こういう建前になつております。又平衡交付金法では特別区の存する区域を一つの市とみなして都に交付金を交付する、かような形になつておるのであります。又警察法とか消防法でございますが、これは特別区が連合して警察なり消防を持つ、かようなことになつておるわけでございまして、これらも若し特別区というものが普通の市の性格と同じものでありますれば、当然これは個々の特別区が自治体警察を持ち、自治体消防を持つべきでございますけれども、特に法律は連合して一つの警察なり、消防を持つようにしておるのであります。その他各種の実体法を見て参りまするならば、都市計画にいたしましても、或いは道路の関係にいたしましても、現行法制の中におきまして特別区というものを一つの独立の市として取扱うことが困難であるという社会的の実態からいたしまして、特別区の存する区域というものを通じて一つのあたかも地方団体であるかのごとくみなしてこれを規定をしているというのが相当多いのであります。かような点からいたしまして地方自治法並びにこれに基く各種の法律及びその他の実体法を通観をいたしまして、現行の特別区の法制上の実体というものを憲法との関連において合理的に把握いたしまするならば、これらの諸法律というものは憲法九十二條の地方自治の本旨に基いてこれは法律に定められておるものと私どもは考えておるわけでありまして、かようなことが憲法の定めておりまする地方自治の本旨に違反しないというならば、特別区の実体というものをさような実体であるというふうに規定することが地方自治の本旨にも合つておるし、九十二條の本旨にも合つておると思うのであります。そういう点を憲法の一つの規定だけでなく全体を通じて合理的に解釈して参りまするならば、特別区のような性格の地方公共団体は普通のいわゆる基礎的地方公共団体である市町村とは甚だしく性格を異にしているということは私どもは極めて明瞭なることであると考えておるのであります。
 のみならず地方自治法という基本法の中におきましても、現行法におきましてすでに都は條例で特別区について必要な規定を設けることができるとなつておるのであります。この規定だけでも特別区というものは府県の下にありまする市町村とは甚だしく違つておるということを謳つておるわけでありまして、これを非常に極端に広く解釈いたしますれば、特別区というものは非常にその都との関係におきましてはやはり都が主体性を持ち、都の下の地方団体は都と一緒になつてやつて行くべき性格のものではないかとも思われるのであります。さようなことから例えば現在地方自治法の施行令におきましても、各特別区に勤務しておりまする職員はこれを都吏員にしておるわけであります。都吏員を特別区に配属することにしてあります。このこともやはり特別区の現在の性格から申して私は当然のことであろうと思うのであります。又都が特別区に対して財政調整を行なつておりまするが、これもやはりこの二百八十一條、二條の規定に基いてやつておるわけでございますが、かようことは一般の府県と市町村との関係においては行い得ないわけであります。
 かように各種の地方自治法並びに実体法を通じて観察をいたしますると、都と特別区の関係というものは到底普通の府県と市との関係という普遍的な団体相互の間の関係とは考えられないわけでございまして、さような意味におきましては、やはり特別区というものは非常に特殊な性格を持ち、その自治性はあるけれども即ち自治区ではあるけれども、非常に制限を受けた自治区であるというふうに考えるのであります。制度上さように相成つておるのは、実体がやはり都という一つの区域の中にある内部的な地方団体である、それ自体としては独立して自治権を持ち得るような完全な自治団体ではない、やはり二十三区が通じて一つの大都市としての機能を持ち、更に三多摩の郡部を併せましたさような一つの地域の地縁として成り立つところのこれは一つの制度ではないかというふうに考えるのであります。で、自治法上特別市と都制というのは大都市制度を規律する二つの制度であるわけでございまして、先ほど来御論議がございましたように、特別市の下におきまする下部機構としてはこれは行政区である。ところが都の下におきまする特別区というものが市と同格の完全なる地方公共団体ということは如何にもこれは実情に合わないわけであります。で制度上も今申上げましたようなことになつておるのでございまして、さような性格を持ちまする特別区の長というものについては憲法九十三條の二項にいう普遍的な一般的な地方公共団体には入らないであろう。従つてこの長を直接選挙する必要はない。その長を直接選挙する必要があるか否かということは、これは憲法の問題というよりもそのことが大都市行政上果して合理的であるかどうかという、さような都市政策の観点から考えるべきであるというふうに私どもは考えておるのであります。
#104
○岡本愛祐君 今の御解釈は非常な重大な御解釈になると思います。この特別区は完全な地方公共団体じやない、だから特別地方公共団体になつておる、だからそれは憲法九十三條にいつておる公共団体の中には入らない、こういう只今の御解釈であります。この地方自治法が制定された二十二年の三月において果してそういう御解釈であつたかどうか、そのときからそういう御解釈で特別区が憲法にいう地方公共団体の中に入らないのだという御解釈であつたとすればそれはまあ一応よろしい。併しそうでなくて、この特別地方公共団体のうちまあ四つ、特別市と、特別区と、財産区とそれから一部事務組合と、こう四つありますが、そのうちの二つ財産区と一部事務組合を除いて、あとの二つは憲法にいうところの地方公共団体だとして公選制度を当然とられたのであると私は信じて疑わないのであります。それをあとでまあこじつけるということは不当かも知れませんが、ともかくこじつけに似た議論で以てそれは入らないのだということはこれは非常に重大だと思います。で、この特別区は市の規定を適用されておるのであります。つまり市と一応同じ待遇を與えられておる。今おつしやる通り私も先ほど用心して申した通り、行政区的の性格を相当特別区は持つておる。だから一般公共団体にはならないで特別地方公共団体にしてある。が併しそれにもかかわらず特別地方公共団体であつてもこの憲法の地方公共団体の中に入れるべき自主性を持つておる。だから都道府県と市町村とそれからこの特別区が公選を掲げそれは憲法九十三條の趣旨に則つてやられた。こう思うのであります。若し今のような解釈が許されるとするならば基礎的地方公共団体は市町村である。だから都道府県というものはこれは基礎的の地方公共団体でない、だからそれは憲法の考えの中には入れてないのだ、現に財政調整なんかは国家がやつでいるじやないか、地方平衡交付金でやつているじやないか、区が都にやつてもらつていると同じく、都道府県は例えば鹿児島県はたつた税収が五億もないのに二十何億というような平衡交付金をもらつてその財政調整をやつてもらつているじやないか、これは完全な地方公共団体じやないのだ、従つて憲法九十三條にいう地方公共団体でない、だから知事は任命制にしてもいいのだ、こういう議論も出て来ると思う、そういう勝手な解釈をすれば。それは非常に重大なことだと思う。憲法の正しい解釈して今まですでに特別区の区長の公選を二度もやつて来ておる。それを風の吹きまわしで今度は公選しなくてもいいんだ、これは憲法のいう地方公共団体じやないのだ、こういうような解釈を政府がされるということは非常に私は重大だ、ここにもう禍根が潜んでいると思うのであります。この前は用心をして多少性質を変えたと先ほど指摘したようなことが見えている。まあそれは私はそうやられたつて今の実態に合せたものであつてちつとも本質的には特別区との今までのやり方が変つていないと思うのでありますが、それはともかくとして今度は衆議院では現在の特別区の制度に戻つたのでありますから、どうもこれを直接選挙でなくて間接選挙にしようということは私は真正面から憲法に違反しておる、こう思わざるを得ないのであります。まあ今政府側と質疑応答しているのは正面衝突、一方から言えば並行線であります、だからここでその根本論をやり合つても恐らく並行線で解決がつかないと思うのであります。そこでこの点だけについて殊に衆議院の修正点について先ほど委員長に要求しましたように専門員の参考意見を聞きたいと思います。
#105
○吉川末次郎君 私先ほどの質問に関連いたしましてなお質問を残しておりましたのは、今岡本委員が問題にせられました憲法との関係でございまして、区側は専らそのことをたてにとつて今日政府に対しては反対運動をいたしているわけなんであります。つきましてはこれは我々も慎重な態度を持つてこれに望みたいと岡本委員同様に考えている次第でありまして、ほかのかたも又その点については多分御同感下さることだろうと思つているのであります。それで只今岡本委員から参考人を招いて憲法との関係についての意見を聞くというお計らいについての御提案があつたのでありますが、それに関連いたしまして、全くそれも同感でありますが、手もとにそうした意見を聞くことについてのスペシヤリストが相当いるわけでありますから、それらも併せてそのときに御考慮が頂きたいと思います。それでとつさの思いつきのようでありますが、私は名を挙げて言いたいと思うのであります。
 第一にはそこにおられるところの武井専門員であります。武井君は専門員として特に、只今の委員長の下においても多分そうであろうと思うのでありますが、前には結局こうしたこの委員会の所管事務の中で自治制度の問題と、それから地方財政の問題の方面を担当してもらい、警察、治安に関する問題を主に福永専門員にしてもらつて来たと思うのであります。でありますから、この自治制度に関する専門的な調査の担当員であります武井君が専門家の立場からこれに対するところのどういう見解を持つているかという意見を一つこの委員会において十分の研究をした上で、特に今の憲法との関連性の問題について、できるならば一つ簡単な文書を作成して我々委員の手もとに出すと同時にその文書を中心にしてその意見を開陳するようにして頂きたいということ、第一にはこの武井君。
 それから第二には参議院の法制局にその方面の担当者がいると思いますが、或いは代表者として奥野局長が言つてもらつても結構だと思う、これ又文書を作成して、そうして我々の手もとに出してその説明をさすようにして頂きたい。
 それからもう一人私は近いところにある人として、これは院内の人ではありませんが、衆議院の法制局長をいたしておりまするところの入江君であります。これは委員長も御承知だろうと思うのでありますが、さつき申しました二、三年前にやはり東京都の区の自治権の拡大運動が政治的に起りましたときに、東京都の安井君が相当多額の金を東京市政調査会に出しまして、そうして東京市政調査会を中心にして東京都の区制のありかたについていろいろな方面から学理的な研究を委嘱しまして、その調査報告が二、三冊になつていると思うのでありますが出ているのであります。私は一度それを読んだことがあるのでありますが、法制的な面は専ら今衆議院の法制局長をしておりまする入江君が主になつてやつているのであります。私の読みました記憶からいたしますると、入江君の議論は私は反対の意見が多かつたのでありますが、併し今岡本君と鈴木君の間に取交されました議論の対象になつておりますることにつきましても入江君が相当論じておつたのを今記憶いたしておりますので、入江君も三番目にやはり一つ意見書を出させて、そうしてその意見をこの委員会で述べさすようにして頂きたいと思います。参議院、衆議院以外の憲法学者或いは行政の学者等につきましては今私は思い浮びませんが、それも適当の人を岡本君の意見のごとく選択して我々はその意見を徴するようにしたいという見解を持つておりますから、適当に御措置を願いたいと思います。
#106
○委員長(西郷吉之助君) 只今岡本、吉川両委員からの点につきましてはこの委員員散会後理事会で十分協議いたしたいと思います。
#107
○岡本愛祐君 ついでに修正案の「都に区を置き、これを特別区という。というのと、「都の区は、これを特別区という。」と、この二つの違いを御説明願つておきたい。
#108
○政府委員(鈴木俊一君) 「都の区は、これを特別区という」というのは現行法でございますが、これは都の区がどうしてあるかという点には触れないで、ただ都の下には区があるものという建前の下に都の区は特別区というと、ただ平に表現をしているわけであります。これに対しまして政府原案としての改正案におきましては「都に区を置き、これを特別区という」と、都と区の関係をかような表現によつて明らかにしよういうわけであります。
#109
○岡本愛祐君 そうするとこれによつて特別区の性質が大分変りますか。
#110
○政府委員(鈴木俊一君) 先ほどの御答弁の際に申上げましたごとく、都の区というものを全体として考えまして現行法の特別区に関する諸法制と、地方自治法との間の合理的な関連、合理的な表現という建前から申しまして、「都に区を置き」と申したほうがその実体によりよく当てはまるという気持でかような表現をとつたのでございますが、実体はすでにそれぞれの実体法規によつて定まつておりまするので、それを総括的にここで如何に表現するかという問題でございます。従つて実体が現在のような建前になつているのでございまするから、個々の表現を如何ようにするかということによつてその実体が直ちに変つて来るというふうには考えていないのであります。そういう全体を通ずる現行法制との関連においてかような表現をとつたのでありますが、併しこれは現行法の「都の区は、これを特別区という。」というままでもそこに特に大きな変化はないというふりに解釈できると思うのであります。
#111
○岡本愛祐君 先ほどの御答弁の中で、特別区が完全自治体でないという例で、消防とか警察は区に持つていないで二十三区の連合体というか、そのほうでやつているじやないか、だからこれは完全じやないと、こうおつしやるのですが、私はその点は非常に違うと思うのです。それは法文にあるごとく区が警察権を持ち消防の職責を持つている、それを集めて今度の規定で言えば先ほど検討した協議会になつているわけであります。それで今東京消防庁というもの、それから警視庁というものがいわば今度の規定かできれば協議会だと思うのですが、その点はどうですか。
#112
○政府委員(鈴木俊一君) 私どもは、若し特別区が本来の市でございまするならば、これは現行警察法の建前から申しましても、自治法の建前から申しましても、これはそれぞれに公安委員会を持ち自治体警察を持つのが当然であります。それを特に特別区が任意に、只今おつしやるような協議会制度によつて連合して警察を持つというなら別でありますけれども、法律上強制いたしまして必ず連合して二十三区通ずる一つの警察一つの公安委員会を持たなければいかん、かような法律上の制限を置いておりますことはやはり特別区の実体そのものがさよういたさなければ警察なり消防の維持が合理的に行えない。要するに二十三区を通じました特別区全体の区域に一つの大都市社会としての実体があればこそさような制度をやらざるを得ないわけでありまして、私どもは協議会制度とこの問題とは全然別個の問題であるというふうに考えます。
#113
○岡本愛祐君 区は警察の職責を持つている、権能を持つている、又消防の権能を持つている、これはもう法文に明らかだと思います。今私は実は手もとに警察法や消防組織法を持つて来なかつたのでありますが、あの書きかたを見ても都は警察権を持ち、消防の権能を持つている、当然持つているのだが、その警察法により、又消防組織法によつてその権能を二十三区で連合してやらせるという趣旨でやつているのでありまして、それは二十三区にはそれだからないのだということは言わない、二十三区は皆持つているのだけれどもそれを集めて、自分々々で出してそうして東京消防庁ができる、その警視庁ができておる、こう解釈しなければならないと思うのであります。
 今警察法の規定では、特別区の編成区域においては特別区が連合してその区域内における警察の責に任ずる、東京都のやつを書いてないのです。その特別区が連合してその区域内における警察行政に任ずる、つまりおのおの警察の権能を持つておるのだけれども、その持つておる権能を集めて一緒にやるのだ。こういうふうに書いておるのでありまして、これは特別区に警察権があり、消防の職責がある私は証拠だと思つておるのです。これも又見解が違つて来るかもしれません。併しこれは私は制定に従事したのですからその意味は私は間違いないと思う。それは速記録にもちやんと残つておる。
#114
○政府委員(鈴木俊一君) 只今の警察法と消防法の問題でございますが、お話のごとく、特別区の存する区域においては、特別区が連合して、その区域内における警察の責に任ずる、これは若し普通の市でありますならば、市はその区域内における警察の責に任ずるのでありますが、必ず連合しなければその責に任ぜられないように書いておるのです。この点は非常に市と違うと思うのです。
 更に特別区に置かれまする公安委員会におきましては、都知事の所轄の下に、市町村公安委員会に相当する特別会安委員会を置いて、その委員は都知事が都の議会の同意を得て任命する。これは都が実質的に任命するということであれば、これは特別区が組合でも作りまして、自分達の管理者を置き自分達で選ぶ、こうすべきであるけれども、都知事が都議会の同意を得て選ぶということで、公安委員の任命権は特別区にはない。消防も同じで、必ず連合しなければ消防を維持できないと思つておりますし、又都知事が特別区の消防を管理すると明確に書いてあるし、特別区の消防長は都知事がこれを任命すると書いてあるので、大都市の自治体はかようにならなければ困難であるというようなところから、かような非常に市に比較しますれば異例な規定を設けてありますが、実はそれはそういうわけです。
#115
○岡本愛祐君 私は非常に意見がある。例えば昨日も議論をしたのでありますが、都道府県の公安委員会、これはあなたがたが国家の機関でなくて、これは都道府県という地方公共団体の機関であるということを明言なさつた。その都道府県の公安委員会が国家の国家地方警察をやつておるのです。それであなたの議論だと、その国家地方警察はこの都道府県の公安委員会即ち府県の機関がやつておるんだから、国家が権能がないのだというおかしな議論になつて来る。而もその国家の地方警察をやるその公安委員は都知事が任命をする。都道府県の議会の同意を得て任命するものである。だからそういうふうな特別区の二十三区の公安委員会などの話をなさつたが、それは当てはまらないのです。警察はそういうふうに区域外といえば区域外ができておるのですから、そういう議論は当てはまらないんで、ここに書いてあるように読めばいいんで、特別区の存する区域においては、特別区が主体で、特別区が連合して区域内における警察の責めに任ずる、つまり特別区におのおの警察権を持つているけれども、それが連合してやらうということであるんでありまして、これはその都自身がやるというのではないのです。それはですな、公安委員会の例を持つて来て引かれると、今あげ足とりになりましたが、都道府県の公安委員会は自治体の機関だということになるんで、それは例にならない。こう私は思うのです。
 それからこれは一体議論していて、はてしがないから私の議論は言いつ放しになりますが、次に承つておきたいのはこれは二百八十三條の「政令で特別の定めをするものを除くの外、第二編中市に関する規定は、特別区にこれを適用する。」というのをこれに準用すると、こういうふうに政府の原案では直されようとしておる。これはどういう意味であるか、これを直すことによつて、どれだけの違いができて来るのであるか。それを伺つておきたい。
#116
○政府委員(鈴木俊一君) この点は特別区については法律又は政令で特別の定めをするものを除く、要するに特別区の性格からしまして、一般の市に関する原則を適用し得ないところは法律なり政令で除く、要するに政令に対して包括委任をしておるわけです。さような包括委任の結果として抜かれまするものを除いて、その他の第二編中の市に関する規定は特別区にこれを適用するというのが現行法であります。これを準用するというようにするのでございますが、この点も先ほど申上げましたように、第二編中の市に関する規定を、特別区の特殊性格から見て適用し得る限りはこれを適用する、適用できないものはこれは適用しないということでございまして、普通の立法例といたしましてはかような場合に特別区にこれを準用するというのが普通の書きかたなんであります。適用ならばそつくりそのまま全部持つて来るわけでありますが、本当は適用するということでありますが、それを現行法の適用を準用に変えたわけでありますが、これも実質は適用にしても何ら変りはないと考えております。
#117
○岡本愛祐君 その点は私もわかりました。
#118
○委員長(西郷吉之助君) それでは大体條文のところは終りましたから、本日はこの程度にいたしまして散会いたします。
   午後五時六分散会
ソース: 国立国会図書館
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