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1951/07/15 第13回国会 参議院 参議院会議録情報 第013回国会 地方行政委員会 第61号
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1951/07/15 第13回国会 参議院

参議院会議録情報 第013回国会 地方行政委員会 第61号

#1
第013回国会 地方行政委員会 第61号
昭和二十七年七月十五日(火曜日)
   午前十時十一分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     西郷吉之助君
   理事
           堀  末治君
           中田 吉雄君
   委員
           石村 幸作君
           岩沢 忠恭君
           高橋進太郎君
           岡本 愛祐君
           館  哲二君
           若木 勝藏君
           原  虎一君
           吉川末次郎君
  委員外議員
           大野 幸一君
  衆議院議員
           小澤佐重喜君
  政府委員
   全国選挙管理委
   員会事務局長  吉岡 恵一君
   国家地方警察本
   部刑事部長   中川 董治君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       福永与一郎君
   常任委員会専門
   員       武井 群嗣君
  衆議院法制局側
   参     事
   (第一部長)  三浦 義男君
  説明員
   全国選挙管理委
   員会委員    山浦 貫一君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○公職選挙法の一部を改正する法律案
(衆議院提出)
○本委員会の運営に関する件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(西郷吉之助君) 只今より委員会を開会いたします。
 昨日に引続きまして公職選挙法の一部を改正する法律案並びにその関係法案一件について質疑を続行いたしますが、昨日は公職選挙法改正案要綱の三十まで説明を終り質疑中でございまするが、三十までの点において質疑が残つておりましたら御質疑を願います。
 なお昨日御要求の新聞並びに出版関係の参考書類並びに選挙犯罪関係の刊行書類を廻してございます。
 なお本日は牧野全国選挙管理委員長の不在のために、委員長代理として山浦貫一君が出席されておりまするから、念のために申上げておきます。
#3
○若木勝藏君 昨日の午後私おりませんので或いは重複する点があるかも知れませんが、二、三伺いたいと思います。
#4
○委員長(西郷吉之助君) 三十までのところでお願いいたします。
#5
○若木勝藏君 この選挙期日の公示の問題でありまするが、公示又は告示を早めたところの理由を伺いたいのであります。これは運動期間に非常に関係して来ることになるのでありますが、特に町村の議員及び教育委員は十日にしておるというのは、非常にこれは短縮しておるのでありまするが、これらについての早めた理由を伺いたいと思います。
#6
○衆議院法制局参事(三浦義男君) 選挙期日の告示につきましては、参議院につきましては現行通りであります。し、それから都道府県議員、五大市の市長及び教育委員につきましても現行通りでありますが、そのほかの選挙につきましてはお話のように短縮されておりますが、その短縮されました理由は、選挙運動期間が長くなりますると、それに伴いまして必然的に経費がかかるというようなことが主な理由でありますが、なお地方選挙等におきましては、特に町村の選挙等におきましては、大体範囲が狭い関係上、そこで立候補いたしまする人に対する有権者の選択の目というものは割に行届いておりまするので、期間を短くいたしましても候補者の選択にそう無理を来たすことはなかろうというような、両方の理由から短縮されたわけであります。
#7
○若木勝藏君 これは非常に私は事前運動などに関係して来るのじやないかと思うのでありますが、こういうふうに運動期間を縮減する方法をとつたならば、当然これは事前運動のほうに延びて行く、こういうふうなことを考えるのでありまするが、これは小委員会あたりで相当論議されたと思うのですが、小澤さんどんなものですか。
#8
○衆議院議員(小澤佐重喜君) 小委員会のほうにおきましても、多少その議論がありましたが、大体今三浦君の説明のように、町村の範囲というものは極く、平素からお互いに知り合つておる、そういう趣旨からふだんの選挙民の批判が最も激しく行われておるというような趣旨で規定したような結果になつております。
#9
○若木勝藏君 そういたしますというと、殆んどふだんから選挙運動をやつておる、こういうふうな立場に立つて、本当の運動期間を短くしてもいいということになつたわけですか。
#10
○衆議院議員(小澤佐重喜君) そういう意味じやありません。つまり選挙運動というものは、俗に言う一般国民が期待しないような運動のみを選挙運動とは申せないと思うのであります。つまりお互いの候補者たる人が仮に立候補しない以前でありましても、その人の批判というか、その人の行動というものは常に批判されておるのじやないかと思う。従いましてお互いに議員でも、こうして国会で働いておることも選挙運動ではない、国民のためにやつておるのでも、やはり見方によれば選挙運動ということも言い得るのではないか、そういう意味のことを言つているのであつて、今あなたが言うように、あらかじめトラツクで宣伝に歩くということのみが選挙運動ではないと考えております。
#11
○委員長(西郷吉之助君) ちよつと申上げますが、恐縮ですけれども、昨日の最終の段階が二十四から三十まででありまするから、その間で御質疑を願いまして、その前の分は一応終りましてから又逆戻りしてもよろしうございますから、昨日は十一頁から十六頁の最終の段階、その間の質問を一つお願いしたいのですが。
#12
○吉川末次郎君 一応それで済んだことにしまして、なお終つてから又質問のある人はやつて頂くことにして、あとへ進んで頂いたら如何ですか。
#13
○委員長(西郷吉之助君) それでは昨日三十まで済みましたから三十一から説明をして頂きます。
#14
○衆議院議員(小澤佐重喜君) 三十一は街頭演説の問題でありますが、この街頭演説の問題につきましては、たびたび他の関連した面から申上げましたが、最も選挙法の改正を必要としました理由として、主に街頭における選挙運動という点に重点を置いて参つたのであります。従つて衆議院の地方行政委員会におきましても、この問題についてはかなり議論が行つたり来たり、進んだり戻つたりいたしまして、相当に結論を出すのに苦しんだのでありましたが、例えば街頭の屋外運動というものは一切廃止すべしというような議論もありましたり、演説は一切屋内でのみやることが適当というような議論がありましたり、或いは又連呼とかいうような問題は、或る場合におきましては一般の国民諸君の何と申しましようか、安眠を妨害したりするような場合もあるというような点から、勿論これには時間の制限がありますけれども、いろいろ議論があつたのでありましたが、帰するところ、全部街頭演説の廃止ということも今までの関係上どうかと思う、ついては別動隊というような二班も三班も分つてやることは、人海戦術の上からする場合については、一候補者については一つだけ街頭演説を認める。従つて自動車一台、標旗を掲げまして一台でやらせる。なお先に進みますと出て参りますが、トラツクに乗る人員も運転手、助手その他スピーカーの技師等も含めまして十五名というように制限する方法で、いわゆる人海戦術と同時に経費の節減ということを考えることは適当であるという結論に到達いたしまして、三十一に規定してあるように、すべてが一台の自動車、一揃いのスピーカー、十五人の乗員というような趣旨で、街頭演説は一人の候補者について同一時刻には如何なる場合でも一カ所、同一時刻に二カ所でやられる場合のないように期したような次第であります。
 更に三十二の連呼行為も全く街頭演説と同じような考え方の下に規定されたのでありまして、この問題も必ず標旗の下に一定のトラツクの上でのみなし得るというようにいたしました。但し安眠妨害等の関係がありますので、(2)に規定してありますが、現行法では午後十時から翌日の六時までは連呼ができないという規定がありますけれども、これはむしろ時間を短縮いたしまして、午後九時までとすることがいいのではないかということになりまして、一時間だけ禁止期間を拡張いたしましたような次第であります。
 次に三十三でありますが、標旗を要する選挙運動の運動員、これは今申上げました通り、一台のトラツクには同時に十五人以上の人員は乗車できないということにいたしました。勿論十五人という標準も、いろいろ十人でいいのではないかとか、或いは二十人まではいいのではないかという議論も出ましたが、結局十五人、二十人という標準を、運転手を除くとか、或いはスピーカーの技師は除くということになると面倒であるから、助手、運転手その他乗員一切のものを含みまして十五名というような結論に到達いたしたような次第であります。
#15
○若木勝藏君 街頭演説を、標旗を認めて一カ所に制限するということは、これはあなたのおつしやるところの自由且つ公明な選挙という方面から見ると私は大問題だと思うのです。これはいわゆる葉書であるとかポスター、こういうようなもので制限或いは禁止、これと同じような意図を持つた、全く選挙に関するところの言論の封鎖のように私には考えられるのです。これらは私としてはこういういわゆる厳格な街頭演説の殆んど禁止に等しいものは、極力公明な選挙の上から見て避けなければならん。これはもう少し緩和しなければならんと思うのでありますが、それに対する御見解は如何ですか。
#16
○衆議院議員(小澤佐重喜君) 今の若木さんの御意見は、本当の選挙運動の理想という点から申したならばお話の通りです。できるだけあらゆる制限を、言論も文書も何もかも制限せずにやることが選挙運動の自由で又公正であるということは私どもわかつておるのです。併しながら一面において多大の経費を、或いは一落二当とか何とかいう噂もございますが、そういうような意味で選挙界が仮に、理想ではございませんけれども、そういう現状であるといたしましたならば、それはどうしても制限しなければならないということになりまして、今申上げました理窟も、あなたの理想論から言えば私も同感でありますが、現実の選挙界を見るときにおいては、やはり何らかの制限を設けて、何千万の金を使わなければ衆議院議員になれない、参議院議員になれないという問題はなくして、少くとも或る限度における公正さを保つて行くことが自由であり公正であると考えております。
#17
○若木勝藏君 あなたのお話を聞くと、一面に対する考え方が強くて、私らの考え方では、こういういわゆる選挙の機会というふうなものは、日本の国民のいわゆる民主的な教養を高める唯一の機会だと思うのですが、殊に日本の民主主義は、御承知の通り戦後与えられたところの一つの民主主義で、心の底から教養を持つておるのではない。そういうふうなものを育てて、日本のもつと将来というふうなものを考えたときに、こういうふうに制限して行くということは、非常に私は民主的な、いわゆる日本におけるところの民主主義的な政治を阻害するところのものであると、この一面を強く考えなければならん、こう思うのでありますが、これに対する御見解を承わりたい。
#18
○衆議院議員(小澤佐重喜君) 衆議院ではあなたと同じような議論が共産党から主張されて参りました。併し共産党以外の大部分の人は私が申上げたような見地です。
#19
○若木勝藏君 如何にも私の言うのは共産党だというふうに……。
#20
○衆議院議(小澤佐重喜君) そう誤解されては困るのです。そういうまあ事実を申上げたのです。
#21
○若木勝藏君 私は共産党がそう言つているから、私もそう言うのではないのです。私は本当に民主政治を育てて行くというふうな立場から、その一面を考えなければならん。これに対しては選挙管理委員会の方面では、恐らく私の読んだ範囲では間違いないと思いますが、これは候補を抜いた五人くらいの程度までは、五カ所くらいは認める、こういうふうであつたと思いますが、選挙管理委員会のほうからおいでになつておるようでありますから、これに対する御見解を伺いたいとこう思うのでございます。
#22
○政府委員(吉岡恵一君) 例の選挙制度調査会で答申になりました衆議院議員選挙制度改正要綱の内容をなすものについて、我々が作りましたあれのことだろうと想像するのでありますが、あれは多分五カ所だつたと思います。
#23
○若木勝藏君 五カ所というのは間違いないですね。
#24
○政府委員(吉岡恵一君) ちよつとはつきりしませんが、大体五カ所だつたと思います。
#25
○若木勝藏君 資料によつて明らかにして頂きたい。私の聞いておるのは、それを一カ所に制限するということに対する衆議院の小委員会の見解を伺いたいのです。全国の管理委員会では、五カ所として認められておるのだが、こういうふうな制限をすることに対する見解を伺いたい。明らかにこれは食い違いがあるのです。
#26
○政府委員(吉岡恵一君) 今のお話は、只今も申しましたように、選挙制度調査会が答申をされたのに基いてやつたので、我々は選挙制度調査会の意向が大体その辺だろうということで申上げたのでありまして、選挙管理委員会の意見ではありません。
#27
○中田吉雄君 今の問題に関連してですが、共産党以外は全部賛成だということは、自由党の大幹部であり、この委員長をしておられる小澤さんとしては、必ずしも適切な表現ではないと思うのですが、その点はまあ別にして、私もこれを無制限に殖やすということは、これはやはり問題ですが、できるだけ政策並びに候補者というものを有権者に伝える、そうして過大な選挙費用の増嵩にならないような限度には、果して一回でいいか、二回でいいか、こういう私はやはりそのからみ合の問題だと思うのですが、私はこれを一カ所でなしに、二、三カ所にしてもそう割合費用は嵩まずに、公明選挙の趣旨に副えるのではないかというふうに考えるのでありますが、この点はこの小委員会なんかでも余り問題にならずに、一回ということになつたのですが、いろいろあつたが、ここに落着いたというふうにお考えですか、その点……。
#28
○衆議院議員(小澤佐重喜君) それは何か共産党だけの問題を言つたことが何か皮肉でも言つたように受けられたのですが、私は事実を申上げたので、この問題についてはもう各党とも一カ所に置くことに対しては、むしろ街頭演説を廃して屋内演説だけにしたほうがよかろうというような御意見で、一カ所に置くことにむしろ、消極的な議論はありましたが、これを二回にするとか、三回にするという議論は、いい悪いは別として実際問題としてありませんでした。
#29
○中田吉雄君 これはまあ選挙がどの季節に行われるかということで会場演説が効果的であるか、街頭演説が効果的であるかということがきまるのですが、私が終戦以来体験しました選挙で、例えば昭和二十二年の春行われた選挙、五年の参議院選挙、二十六年の都道府県並びに市町村長の、この春の農繁期に行われた選挙なのですが、そういうものの会場演説というものは殆んど、相当知名なかたがおいでになつても集らないというのが春と秋の、まあ都会は別でありましようが、農村でありましたら、人口の半分以上を占める農村でありましたら春の田植、麦刈、秋の稲刈というふうなときに選挙が行われますと会場演説というものは殆んど集らない。中央から大臣の前歴のあるかたがおいでになつても、私傍聴に行つてもたつた十名ぐらいしか集らないというようなことでありますが、街頭演説ですと道行く人が二十人、三十人、百人というように、割合効果的ではないか。私はそういう意味で、これを十カ所も二十カ所も標旗を以てやるということには私も反対なんですが、一カ所ではやや制限がきつきに過ぎはせんかということを考えるのですが、若し噂されているように、この秋農繁期にかち合いましたら私は会場演説の効果というものは非常に少いと思うのです。そういう意味においても私はむしろ二カ所とか三カ所ぐらいでやれるようにしたほうが立候補者の経費も少くて割合政策その他の普及宣伝もいいのじやないかというふうに考えるのですが、この農繁期等の関係、有権者の集合の度合というようなこととからみ合わせて、これはやつぱり一カ所が適切だ、一回が適切だというふうな考えでありますか。
#30
○衆議院議員(小澤佐重喜君) この問題は一回がいいか、二回がいいか、三回がいいかということは、これは一回も議論は立つし、二回も議論は立つし、程度の問題で、要するに感じの問題なんですが、衆議院の考え方はどうかと言いますと、聴衆の集るのが立会演説の場合はどこの会場も超満員であるから、何とかこの立会演説というものを拡大強化して、そして一つの時間に立候補された全部の候補者の意見を聞いて、そして皆さんの自分の判断をきめようという傾向を生かすのがいいということで、先般申上げたように、例えば市においては五万以下、或いは町村においては五千というものを一万とそれから一千を減らしまして、四万、それから四千ということにしたのです。従つて回数も四〇%に近いものを廻すということにしております。そこで非常に効果的な意味においては、どこまでもこの言論をできるだけ多い機会に与えようという考えでおるのです。一方経費の面に影響する問題を極力制限しようという見地に立つたものが一カ所という問題であります。一カ所といい二カ所といい、どう違うかと言えば、これは議論になりまして、これはお互いに議論してもその人の感じ、考え方に行つてしまつて、これは平行線みたいなものであります。でありますから、要は今私が申上げるのは、衆議院の小委員会ではどうだと言われましたから、衆議院の小委員会の実際の意見を申上げたのでありまして、別にあなたの御意見を反駁するのではないのでありまして、ただ費用が一番嵩まる問題は街頭演説の別動隊、メガホン隊でありまして、何千何万の人間が集まらなければ選挙ができない。而もそれらの人に何らかの手当もかかるのではないか、小なりともその費用がかかるのではないかということから、小委員会で大多数を占めたのがこの結果であります。
#31
○中田吉雄君 これは幾ら言つてもきりのないことと思うのですが、これは都会と農村では非常に違うと思いますし、私も立会演説は非常に効果的とは考えます。非常に盛況なんです。ただ、ところが春並びに秋の農繁期ですと、選挙運動期間は二十五日ですか、になつておるので、どうしてもこれは昼と晩があるわけです。必ず街頭演説、立会演説は昼と晩、どこでも二カ所やつておるのです。ところが昼働いて夜街頭演説に来るのは我々の体験だと非常に多い。ところが昼ですと町は別ですが、有権者の半分を占める農家の人たちはなかなか出ない。そういう意味で立会演説が候補者の品定めにいいが、なお農村の季節的な繁閑の程度からできないのを補充するという意味から、私は二本か三本の標旗ぐらいはあつてもいいじやないかと思いますが、これは見解の相違になるんじやないかと思いますが、そういう点を一つお含み頂きたいと思うわけであります。
#32
○若木勝藏君 今の問題に関連しまして、今の話の中には非常に立会演説、会場演説は盛況であるというふうなお話がありましたけれども、我々の持つておる実感はそのようにも思われないのです。殊に一昨年あたりの選挙の際に私は二十何カ所も廻つたのですけれども、第一集つて来る聴衆よりも、保守系の候補者が出ない。殆んど出ていない。そうしますとあなたのお話から見まして、これは非常に、却つて街頭演説よりも機会がいいのであるからというふうな御推論であるように思うのですが、この辺に私は非常に実情と合わない点がある。ただ街頭において新聞社あたりの主催した立会演説、これはもう候補者も出るし、たくさん来るのでありますが、今中田君からお話があつた通り、会場を設けて学校あたりでやるということになると殆んど来ない。これが私は実情であると思うのです。それを押切つてそつちのほうが非常に有効であるから、金のかかる街頭演説はやめようじやないか、これは少し考え方が偏しておるのじやないか、両方活かすような方法が一番いいのじやないかと思いますが、まあ議論になりますからこれで……。
#33
○吉川末次郎君 多少意見めいたことになるかも知れませんが、さつきから起つています問題ですね、街頭演説、そのほか演説会、街頭演説も一回、標旗が一つということで、要するに一会場しかできないというふうに限定されておるのは、結局のところ、候補者を演説会にはやはり顔出しをさすということを本旨にしてそうきめられたというような意思が含んでいるのじやないかと思うのです。その点は如何でしようか、衆議院の御意向は……。
#34
○衆議院議員(小澤佐重喜君) 改正案によりまして代理という制度を認めましたが、これは代理を認めたのは、候補者が出なくてもいいという趣旨ではないのでありまして、特殊な人がやはり選挙区に帰らずに、党の用とかというような場合もありますので、そういう人に対する機会均等という意味で代理を今度は拡充いたしました。併しながら今吉川君のお話のように、立会演説に候補者が出なくてもいいのだというような考え方は毛頭ございません。もとより立会演説に必ず出ることが望ましいという建前になつております。ただ少数の例でありまするが、やはり中央に残つて選挙区に帰らずに党のために働くという人がありますので、そういう人に対してもやはりせめて代理者で挨拶することが適当じやないかというだけの趣旨であります。原則は本人が行つて直接選挙民に合うことを衆議院でも全部念願いたしております。
#35
○吉川末次郎君 ちよつと私の質問の趣旨と御答弁が違つておるのじやないかと思いますので、それ以上は求めませんが、多少意見めくと先ほど申しましたのは、今度の選挙法の改正案、只今までの御説明のあつた点等から見ると、大体言うと私個人としては、賛成の部分が非常に多いわけなんですが、それでそれに対する批判論として世間で行われているのは、今中田さんやら若木さんからも多少御意見が出ましたが、余り選挙運動を拘束し過ぎて自由関連な運動を阻害する憂いがないかというような点、或いは衆議院議員の選挙運動をやることに、そうした同じ理由で以て非常に阻害しやしないかというようなことが多く言われているのですが、これは第一に選挙運動というものが個人本位に行われるものであるか、政党本位に行われなければならないものであるかということの観念と私は不可分だと思うのです。で、私はこれは選挙運動というものはやはり政党本位に行われなければならんものであつて、投票も又個人でなくして政党本位に投棄されるということが原則でなければならんという考えからすると、平素政党というものは、小澤君が言われたように、実際の行動が国民に非常に親しまれていなければならんのですから、或る意味においては、小澤君が言われたような意味においての政党は年がら年中選挙運動をやつているものであると言われることもあると思われるわけなんです。それでそういう議論を非常に拘束されているというようなことを言われる人は、政党の所属員でないような立場にいる人が多少そういうことを言つていやしないか。職能代表で、例えば参議院で言うならば緑風会等にそういう無所属の議員が多いが、併し緑風会も今日では一つの政党のようなもので、大体政治の色は一つのまとまつたものがついていると思いますが、併し中に例えばお医者の建前で医師会を代表して出ているとか、薬剤師会を代表して出ているとか、或いは観光事業を代表して出ているとか、そういうような政治的な線が不明確であつて、そうしたところの極めて狭い範囲の職能代表で出ているような人がそういうことを非常に言われる基礎の上に立つていらつしやるのではないかと思うのです。それからもう一つは、これはひとり国会議員のみならず、地方自治体でも、私としては長年の間やはり政党の線においてやらなければならんという考えを持つているわけなので、これもやつぱり政党の立場でやらなくちやならん。それから非常に拘束をされていると言われますけれども、これは衆議院案を非常に弁護したようなことになるけれども、昔の選挙運動、まあ私は選挙運動は三十年来十数回も、数十回も自分の選挙運動をやり、人の選挙の世話をして来ましたが、昔の選挙に比べると非常に選挙運動の範囲がこの法律案によつても私は広汎なものになつて、何と言いますか、選挙運動を通じての政見の発表或いは民意の暢達というような点は非常に私は拡大されていると思うのです。それは街頭演説のようなものは昔はなかつたです。それから選挙公報のようなものも出されますし、そのほかまあいろいろな点において、ラジオ放送の利用とか、或いは無料の新聞広告、今度はあることになつているか、どうなつているのか知らんが、現行法ではそういうものがあるとか、それはもう必ずしもその演説会場がどうとかこうとかいう多少の制限がありましても、そんなに金を使わないで公営の形式で以て、金がなくても有力なるところの政党、及び有能な候補者であるならば、選挙民にその人柄と政見とを私は知らすことができるチヤンスは十分に与えられていると思うのですが、そういう点が非常に個人本位に考えられて行われている批判が、私からすると少し誤れる基礎からするところの見当違い的な批判が少し多過ぎるような感じがするわけで、結果においては衆議院の案を非常に支持する立場になるのですが、そういう私の考えについてはどうですか、小澤さんあなたのお考えは。
#36
○衆議院議員(小澤佐重喜君) 今吉川君が、これは私と同じような考えの下に言われましたが、要は今中田君の言われることも若木君の言われることも、本当の理想はやはりこういう問題は制限せずに自由にやつてもらうというのが衆議院のほうも理想なんです。併しながら今の別な面において、選挙界の粛正であるとか、明朗な選挙を行うという意味においては、やはり或る程度法律で規制して行かなければならん。規制するということは、やはり一つの言論の抑圧にもなりますれば、同時に又集会結社の弾圧にもなるのであります。併し或る時期にはこうした経緯を経てだんだん民度高くなりまして、法律を設けんでも自然に一般の有権者或いは候補者も心得て進むということは念願といたしまするか、併し現段階ではやはり現行法のような余りにも自由過ぎるということは却つて弊害のほうが多くなるという見地でこういうようなことになつた次第でありまして、考え方といたしましては、表面から見れば制限するということは望ましくないのでありますけれども、この望ましくないことをしなければならんということを今現段階では遺憾に考えるから、そうすることがむしろ選挙界を漸次粛正させ、又明朗な選挙界に持つて来る一つの道程であろうと考えております。
#37
○吉川末次郎君 いや、私は小澤君に私見に対する答弁を求めたのは、第一に拘束が過ぎるという批判をする人は、選挙が政党本位に行われるべきものであつて、個人本位に行われるべきものではない、従つて自由党とか、社会党とか、改進党とかいうものは、それぞれ党の線において国民がどういう政治を行わんとするものであるかということは、もう常識的に知つていると思うのです。ただ個人で新らしく出るような人は、顔を知られないとか何とかいうことはあるけれども、これは選挙運動全体からするならば、政党本位でなければならんという点からすれば、極めて第二次的になつて来るという見解と、第二には、いろいろ拘束する点が多いと言われるけれども、過去におけるところの選挙運動というものから比較するならば、決してその範囲が狭められているのでなくして、ラジオの放送とか、街頭演説の許可であるとか何とかいう点においては、政見及び候補者を選挙民に知らさせるということについては非常な比較にならんくらいの拡大が行われているという私の意見なんですが、その二点についてのあなたの、小澤君の意見を求めているわけでしす。
#38
○衆議院議員(小澤佐重喜君) 第一点の選挙運動は本来政党本位として展開されるべきであるというような点は、勿論理想として望ましいことだと考えております。併しながら現在のように、よく新聞なんかでも、評論なんかでもそうでありますが、人本位か、政党かというようなことが始終議論されておりまするが、まだ日本の民度では政党本位というよりも、やはり人間本位という点が相当多いのじやないか。併し理想を言えば、私はどこまでも政党本位の選挙運動が展開されて、そうして個人は第二義的にされるべきだと考えております。それから選挙運動の宣伝方法或いは運動の手段等が一般的にその他の進展に伴いまして、却つて古い時代になかつたラジオ等もあれば、又新聞紙のほうも非常に自由を得まして、自由な評論をしているという点から見れば、勿論古い選挙法時代から見まして、大きな拡張された範囲であると思うのであります。併し現行法にちよつと比べますというと制限した形になるのであります。だから吉川君の言われる極く古い、戦争後或いは戦争前の時代から見たならば、今問題になつている案にいたしましても、何十倍と拡大された選挙運動になつております。現行法から見れば、或る程度抑えた形になつておりますから、そういうふうな二色に分けて私は考えております。
#39
○岡本愛祐君 選挙制度調査会のかたが見えていますか。
#40
○委員長(西郷吉之助君) 全国選挙管理委員会の山浦貫一君が委員長の代りに見えています。
#41
○岡本愛祐君 委員長にちよつと伺いますが、山浦さんは選挙制度調査会に御関係になつていますか。
#42
○委員長(西郷吉之助君) いや選挙管理委員会だけです。
#43
○岡本愛祐君 それじや事務局長のほうにお尋ねいたします。この選挙制度調査会の衆議院議員選挙法要綱というものを見ますと、街頭における連呼行為を禁止する法律というふうに考えているようです。この理由はどういう理由であるか、それをわかつていれば御説明願いたい。
#44
○政府委員(吉岡恵一君) 選挙制度調査会の案では街頭における連呼行為は全部禁止しようという考えのようであります。これは街頭において政党の名前であるとか、或いは候補者の名前を呼ぶだけのことならば、大して選挙運動としてやる必要はない、それよりもむしろやはり政策であるとかそういう事柄を伝えるほうに重点を置くべきであり、又昨年の地方選挙の経験に鑑みまして、非常に騒々しい選挙です。そういうことをなくそうということのようでありました。
#45
○岡本愛祐君 私もこの連呼行為は余り感心しないことと思つておるのですが、ただ問題になるのは、個人演説会を開催しておつて、それを一般の人に告知をしたい。連呼行為によつて告知をするということが必要になつて来る、こういう点はどうお考えになつておりますか。
#46
○政府委員(吉岡恵一君) 調査会の案では、ポスターを廃止するような事柄もありませんでしたし、ポスターその他、或いは選挙公報その他いろいろな手段で名前が、やはり立候補者の名前が一般に知らされますから、それで十分である、こういう考え方であります。
#47
○岡本愛祐君 今度は小澤さんにお尋ねいたしますが、連呼についていろいろ問題があつたろうと思うのです。その結果、こういう連呼行為はやはり選挙運動用自動車又は諸車を一台に限るというようなことになつたのだろうと思いますが、これについて廃止論も相当あつたろうと思いますが、なぜ廃止することができなかつたかどうか、それをお尋ねしたい。
#48
○衆議院議員(小澤佐重喜君) 今岡本さんのお話のように廃止論は相当ございました。これは連呼行為のみならず、街頭演説も、それからすべて選挙運動は屋内だけでやるというような考えの下に行きましたが、一寸吉岡君のお話のように、ポスターを先ず廃止するという線から行くと、最小限度の連呼行為は認めなければならないのじやないか。昨日申上げました通り、最初の案は四百枚のポスターを全部廃止するという建前で来て、その途中で連呼行為が論ぜられました。これがなければ選挙演説会の告知はできない、演説会の告知を公営でやつてもらいたいという希望もあつたのでありますが、又事務当局と打合せますと、それは事実上困難であるという点がありましたので、その点を少しずつ絞り合いまして、ポスターの点でも制限する、連呼行為のほうでも制限するというような形で、今のような結論になつた次第であります。
#49
○岡本愛祐君 なおお尋ねしますが、個人演説会告知用のポスターは候補者一人について四百枚、こういうふうに限定なさつておりますが、その四百枚はどういうふうに使つてもよいのですか。演説会一カ所について十枚以内というような制限はないのですか。
#50
○衆議院議員(小澤佐重喜君) この問題は、この四百枚という合計を出すにつきましては、一カ所十枚ということを考えて出しましたが、併しながら一カ所四百枚貼ろうと、二百枚ずつ二カ所に貼ろうと、それは自由という建前で、要は立候補と同時に選挙管理委員会で一定の文句だけを刷つたものを、書入れるだけにしたものを四百枚刷つて渡すということであります。
#51
○岡本愛祐君 この連呼行為によりまして、一つの車に十五人以内ということも制限してあるようですが、選挙費用は非常にかかることになつて来ておるのだろうと思います。各村に行くたびに、又極端に言えば、各部落に行けば、十五人の乗組員全部替えるという戦法も取られるし、なかなか問題が多いだろうと思います。これは個人演説会の告知だけに限定するというようなふうにはお考えになりませんか。それを考えられなかつた意味はどういうことですか。
#52
○衆議院議員(小澤佐重喜君) それは要するに街頭演説を廃止するという意見と共通の意見なんでありまするが、只今も申しました通り、街頭演説は廃すべしという議論と、やや街頭演説も存することが必要だという議論がありまして、その中を取つたようなものでありまして、この議論を別々に申上げますと、岡本さんのような意見もありました。併しながらその意見だけではまとまりません。そうして両方の街頭演説を活かすという線と、それからポスターは少くするという廃止の意味と両方含めて一つの車に十五人というように……。
#53
○委員長(西郷吉之助君) では次に、原君。
#54
○原虎一君 個人演説会の(イ)(ロ)(ハ)(ニ)の(ニ)ですね、「個人演説会においては、候補者以外の者も演説することができること。」、こうなつておりまするから、これは文理解釈で行くと、候補者は必ず出なければならん、その外の者も演説できる。こういうふうに思いますが、候補者が行かないで、推薦演説会をするということも必ずしも悪くないと思いますが、そういう点はできるようになる他に条文がありますかしら。
#55
○衆議院議員(小澤佐重喜君) これは要綱の文字の書き方が或いは適当じやないかも知れませんが、これはお話のように、推薦演説会と言うかどうかわかりません、候補者が主催いたしまして、その場合、ここに候補者本人が出なくてもいい次第であります。従つて候補者が出ないで、外の人たちだけで演説会を済ましても違法ということはないわけであります。
#56
○原虎一君 従いまして街頭演説会のほうも同様だと思いますが、この点を街頭演説に候補者がいなくても、演説者が駐つてさえやれば、要するに行動、動きながら演説しなければいい、演説する者が候補者であろうが、誰であろうと、駐つて演説すればいい、こういうふうなことだと思います。その点はどうですか。
#57
○衆議院議員(小澤佐重喜君) その通りであります。候補者がいなくても、標旗があつて自動車或いは自動車以外の諸車でも、駐つてやれば、候補者でなくてもいい。
#58
○原虎一君 それから個人演説会のほうの(ホ)ですが、二日前に所定の届けを候補者がしなければならんわけですが、そのときに「所定の帳簿を呈示し、これに個人演説会の回数の確認を受けなければならない」ということになつておりますと、事務的には非常に困ると思うのですがね、その点はどういうふうにお考えになつておりましようか。例えばこれは各村に持つて参らなければなりませんね。ですから三十九回目である、二十八回目である、或いは二十九回目であるということを呈示するということになれば、村々が受付けた順番の張簿を一人が持つて村の選挙管理委員会に行かなければならんと思いますが、そういう点はもつと事務的に便宜にできるような何か方法をお考えになりませんかしら……。
#59
○衆議院議員(小澤佐重喜君) 事務の様式の問題はまだ具体的にはきまつていないと思いますが、衆議院における小委員会或いは委員会の考え方は、例えば米の通帳のようなものをこしらえまして、あらかじめ候補者に立候補と同時に渡します。それを第一回の演説会で或る村に行けば第一回と記入することができるようにしてありまして、第二回目は勿論お話のようにこの通帳はどこでも持つて行かなければならん。どこでも持つて行かなければならんが、そうするよりほかに回数を突きとめる方法がないのじやないかという意味で委員会がきめたのでありまして、なお事務的にその後進展しておる
 かどうかということは事務のほうから……。
#60
○原虎一君 これはですね、非常に選挙運動の経験から申しまして、一つの帳面を四十回持廻わるというのは容易ではありません。実際やりますと、場所の借入れ係を一人がやつておりましてもなかなか一人でやり切れないと思うのです。それから二日前にきめなければならんのでありますが、二日前は二十日前でもかまいません。早くやろうと思うときは、日にちをきめておいて早くやろうと思うときは、どうその帳面を持つて廻わるかということです。二十日前に四十回の会場を借りてしまうという場合もあると思います。そういう点を考えて事務的に切符を四十枚渡して、その切符でできるというようにして行くのがいいのじやないかと思います。こういう点をよほど研究して行かないと、帳簿によつて調べるというのは非常に困ると思うのです。だから御検討願いたいと思います。
#61
○政府委員(吉岡恵一君) 今の個人演説会の回数の確認の問題でありますが、お話の通り帳簿で参りますと一カ所しか順々にできないということになりますので、切符か何かを渡しまして、おのおのに番号を付けてそれを渡せば一度に何カ所も申込ができるというようにやりたいと思います。
#62
○若木勝藏君 演説会の禁止の項でちよつと小澤さんに伺いたいのでありますが、この場合労働組合であるとか、或いは新聞社の主催の場合は、これは禁止の中に含まれておるのかどうか、この点について伺いたいと思います。
#63
○衆議院議員(小澤佐重喜君) それは昨日も、あなたお留守でしたが、お答えしましたけれども、全部含めて禁止することになつております。この法律できめられた公営の立会演説、そのほか個人の演説以外は一切禁止になつております。
#64
○若木勝藏君 なかなか厳重ですな。
#65
○吉川末次郎君 進行願います。
#66
○委員長(西郷吉之助君) それでは次に参ります。
#67
○衆議院議員(小澤佐重喜君) 三十四でありますが、これは選挙公報の問題でありますが、これは昨日もお話申しました通り、無料郵便等も多少減じましたし、その代りに選挙公報を拡大するという意味から、現行の五百字を千五百字程度に上げまして、而も若し写真でも入れることができるならば写真でも入れるようなことを事務当局に考えることを希望いたしまして、以上のように組んだわけであります。そうしてその選挙公報の最終配付期日でございますが、現行法では三日になつておりますけれども、三日ということになると殆んど有権者が意思がきまつた頃に公報が廻つて来るということにもなりますので、これはできるだけ早く、つまり選挙期日に選挙権者が意思をきめる参考としてこの公報を送るのでありますから、この期間だけは長いほうがよろしいという趣旨で事務当局と交渉いたしましたが、どうも最終の場合は五日間程度以外には繰上げようがないというお話でありまして、五日でも不十分とは考えましたが、事務当局の許す範囲内で現行法の三日というのを二日繰上げまして五日にしたような次第であります。
 それから三十五の候補者の氏名等の掲示でございますが、これは投票所の中に御承知の通りボツクスがございますが、いろいろお互いでも経験することでありまするが、はつきりこの人を投票しようと思つておりながら投票用紙をもらつて立会いのところへ行くとちよつと度忘れすることが相当あるというような意味から、これは公平に各候補者の名前というものをボツクスの前に貼つておくほうが無効投票も出ないし、投票の写も間違えずにすることができるということからこれを設けるようにしたのであります。
 それから三十六でありますが……これはあべこべに申しました。今のは三十六の問題でありまして、三十五の問題は、昨日もお話しました通りポスターというものを制限いたしましたから、従つて従来も選挙管理委員会で公営によつて候補者の氏名を公示いたしておりましたけれども、それを拡大強化すると、ポスターを廃した分だけをその内容を改善すると同時に、個所等についても費用の許す範囲内においてこれを拡大するという、こういう考えであります。
 それから三十七の選挙運動の収支報告書でありますが、これは現行法におきましては、選挙運動中に二回、三回に分けて経費の報告をするようになつております。けれども、これは実際上からいうと、正確な報告ができないのです。というのは、まあお互いに経験したように、選挙の最中にいろいろ費用も、全県下に散らばつておる場合にそれを的確な報告をするということはむしろ困難でありまして、勢い誤つた報告をする等のこともありまするので、これはやはり旧法でやりましたように、選挙が終了いたしましてから十五日以内に一回報告するほうがむしろ適正な報告をすることができるであろうという見地から、さように考えたわけであります。
 それから三十八は、法定選挙運動費用でありますが、これは基準額に現行法では二円を掛けたのが法定費用でありまするけれども、この問題を経済上の問題、物価の問題等も考慮しましてどの程度に引上げることが適当かという議論があつたのでありましたが、むしろこれの三倍にしろというような議論もございました。或いは四倍にしろというような議論もありました。併しながら余り選挙法定型用を馬鹿げて大きくしておくということは却つて悪影響があるのじやないかと、法定費用がこれだけあるのだからもつと出せというようなことがあつても困るので、これはまあ大体標準程度の倍額、即ち二円を四円に変更いたしましたような次第であります。
 それから三十九は、実費弁償及び報酬の基準額であります。これは現行法でも法律の規定はございませんでも、適当に管理委員会が選挙上の公正を期するために実施しておるようでありますが、むしろこれを法律ではつきりしたほうがよろしいだろうということで規定を設けたわけであります。
 それから四十は、選挙運動期間中の政党その他の政治活動でありますが、これはいろいろ考えて見ますと、殊に只今吉川君のお話もありましたけれども、時代に逆行するような規定のように考えられます。併しながらよく実際を見ますというと、例えば先般の東京第六区における補欠選挙の例においても見ますというと、これは政党が少しも規律されておりませんから、例えば自由党の候補者に対して自由党の本部の自動車だというので、本部の名前で五台でも六台でも自動車を使つてしまうと、勢い自動車を一台にいたしたことが何んの意味もなくなつてしまうのであります。こういう意味でやはり政党の政治活動も少くとも選挙中は制限する必要があるという結論に到達いたしまして、政党の選挙中における政治活動を四十で制限をいたしました。その主なる点は先ず(1)にありますように、選挙運動の期間中に限りまして、政党その他の政治団体の活動のうち、政談演説会及び街頭演説の開催、ポスターの掲示等につきまして次のような制限を加えておるのであります。その制限は(イ)に政談演説会、即ち政党の政策の普及のための政談演説会は、衆議院議員の選挙区ごとにその期間を通じて一カ所だけ開催できる。それから(ロ)のほうは、街頭演説も、これはあとに出て参りますが、与えられた選挙管理委員会から証明を得たその自動車の上でのみ街頭演説ができるということになりました。それからポスターは演説会一回ごとに千枚といたしまして、而も千枚のポスター中には、当該選挙区において立候補されておりまする候補者の名前は如何なる名目を以てするもこれは記載しないこと、なぜそういうふうにするかというと、例えば特定の政党で人しか候補者のないような場合、千枚だけのポスターにその人の、演説会の責任者という名前を出してしまうというと、非常にその人だけが利益を受けるというような意味で、政党の演説会においてはその地区で立候補いたしております候補者が弁士という名前でも、責任者という名前でも一切そのポスターには名前を記載しない。但し政党員でありますから、その演説会におきましてその党の所属する政策を演説することはかまわない。こういう趣旨の制限を規定しております。それから(ニ)は、只今話がありました本部用の自動車の問題でありますが、本部におきましても全国で管理委員会から一定の表示を付けまして、そうしてabcとありますように、二十五人以上百人未満の立候補者のあるものは三台、それから百人以上二百人未満のものは五台、それから二百人以上のものは八台というふうに制限を加えたわけであります。そこで(2)に入りまするが、(2)は、一体政党というものをどういうふうに定義付けるかということについて、これは非常な議論があつたのであります。御承知の通り、今は政治団体規正法によつて、政治団体というものは認められておりまするけれども、政党という定義はどの法律にもないのであります。そこで少くとも政党という文字を使うについては、この法律の上においてのいわゆる政党というものを定義付けねばならんというので、まあここに申上げるような衆議院の選挙で二十五人以上の立候補者を出した政治団体をこの選挙法では政党と称するのであるという定義を付けたわけであります。では、この二十五人という数字はどこから出たかということになりますが、結局十人ぐらいでもいいじやないか、二十人ぐらいでもいいじやないか、三十人でもいいじやないかという数がいろいろ出ました、出ましたが、大体衆議院でも参議院でもそうでしようが、交渉団体というものが昔ありまして、衆議院では現在二十名ということにしております。この交渉団体を基準とした数ぐらいが適当じやないかということで、この二十五名という数字が出て参つたのでありまして、これは全く一つの衆議院の政党の分野に対する団体交渉或いは団体として認める地位を二十名としてあるから、これに五名ぐらいを殖やして二十五名ぐらいの数字にしたほうがよかろうという意味で出たので、その他の理論的の根拠は別にございません。それから(3)は、ここに書いてあります通り、この問題は衆議院の特例として設けまして、先ず衆議院の特例としてやつてみた結果、若し甚だしくこれについて不都合があればその後の選挙の場合には廃止するとか、或いはよかつた場合には参議院議員選挙にも準用するとかという方法を二段階に分けて考えるほうがよかろうと、何にしても初めての試みであるから余り拡大するのはどうか、例外的にこれをやつてみたらどうであろうかという意味で、この問題は衆議院の総選挙に限つてこれを適用することにいたしました。それから機関紙誌の問題でありまするが、各党の機関紙誌も、先ほど申上げました一般新聞雑誌の規格にはまつて制限されることと一応なるのでありますが、それではこの政党活動というものがどうにもできないから、ここに書いてありますように、一つに限りまして自治庁長官に届け出たものに限つて政党の機関紙として認め、その機関紙は先ほど申上げました新聞雑誌の制限にかかわらず、選挙に関する報道、評論等を掲載できることといたしたのであります。
#68
○委員長(西郷吉之助君) それでは十二時過ぎましたからこの質問は午後にいたしましよう。それでは午後は一時半から開催いたします。
 午前はこの程度で休憩いたします。
   午後零時十四分休憩
   ―――――・―――――
   午後一時五十四分開会
#69
○委員長(西郷吉之助君) それでは只今より委員会を開会いたします。
 最初に昨日お話いたしておきました議案の日程表のことでございますが、先般理事会で諮りましたが、多少それに又手を加えたので、その腹案を申上げておきますが、十五日、本日は選挙法を質疑いたしまして、明日十六日水曜日は……。
#70
○吉川末次郎君 ちよつと待つて下さい、何か刷つたようなものはないのですか。
#71
○委員長(西郷吉之助君) まだ皆さんの御意見を聞いてというので刷物はございませんが、十六日は、午前地方制度調査会設置法案の説明聴取後質疑をいたしまして、できれば割合簡単な法案でございますから採決をいたし、時間があれば選挙法の質疑をしたい。
#72
○吉川末次郎君 それは十六日ですか。
#73
○委員長(西郷吉之助君) 十六日、明日でございます。十七日木曜日は、消防法の改正案、消防組織法の改正案の両案の説明を聴取後質疑をいたして、御承知の通り消防法の改正案も極めて簡単なものでございますから、これの採決をいたしたい。十八日金曜日は、市の警察維持の特例に関する法律案、これは相当質疑をしてございますから、これの質疑並びに警察官等に協力援助した者の災害給付に関する法律案、これの説明を聞きまして、両案について質疑をいたし、質疑が終了いたしますれば採決をいたしたい、かように考えます。又十九日の土曜日は、警察法並びに集団示威の両法案の説明を聞きまして、質疑をいたしたい。これは警察法については法務、集団示威については労働でございますが、労働は二十三日、法務は二十二日帰京いたしますので、十九日は単独でいたします。二十一日月曜日は、消防組織法の修正案につきまして協議いたしまして、決定次第採決をいたしたいと思います。
#74
○吉川末次郎君 月曜日ですか。
#75
○委員長(西郷吉之助君) 月曜日でございます。午後は警察法の質疑をいたしたいと思います。二十二日火曜日は、警察法につきまして連合の法務の質疑をして頂きまして、二十二日で法務との連合を打ち切りたいと思つております。二十三日水曜日は、集団示威運動等の法案につきまして法務、労働の連合でございますから午前法務、午後労働というふうなことにいたしまして、二十三日中に連合を打ち切りたいと思います。二十四日、警察法、集団示威につきまして本委員会の単独の質疑をいたしまして、質疑が終了すれば、これらにつきまして採決をして参る。なおその後に、選挙法の修正案を二十四日木曜日に決定いたしたいと思います。二十五日金曜日は、選挙法につきまして質疑を終り次第採決をいたす。以上を以ちまして大体現存までの本付託の法案の審議を終ります。二十六日の土曜日には、請願陳情がたくさんございますので、それを決定いたしたい。来週中に大体法案を終りまして、二十七、二十八、二十九は予備にとつておいたらどうか、さように考えますが、これにつきまして御意見でございましたら伺いたいと思います。……暑中ですから余り長くかかるとお互いに疲れるのじやないか。できるだけ能率を上げまして来週中くらいに大体法案を終了して……大体の腹案でございますね。
#76
○吉川末次郎君 一応おきめになつて必ずしもその通り行かないことが多いだろうと思いますが、まあ一応の予定といいますか……。
#77
○委員長(西郷吉之助君) 大体のめどを今申上げたようなことに置きまして御異議ございませんか。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
#78
○若木勝藏君 今週一遍くらい休む日をこしらえたらどうですか。そのほうが能率が上がるのじやないか。
#79
○委員長(西郷吉之助君) 暑中皆さんお疲れだろうと思いますけれども、今法案が残つておるのは、本委員会と内閣委員会で、内閣委員会も先週ずつとやつておりますしいたしますので、こちらも大体期間が今月一杯でございますから、それまでには大体の法案を上げておいたらどうか、さように考えますので、先週大分こちら休みましたから……、大体の方針でございますね……、(「異議なし」と呼ぶ者あり)それではこれを刷りまして皆さんのお手許に配付いたします。
 それでは午前中に引続きまして選挙法の質疑をいたします。先ほど説明を三十四の「選挙公報」からいたしまして四十まで説明を終つております。その間につきまして御質疑お願いしたいと思います。
#80
○吉川末次郎君 三十三の街頭演説及び連呼等の運動に従事する者の数ですが、十五人がまあ制限になつておりますが、恐らく一人の候補者が十五人出せばやはり気勢を殺がれる虞れがありますから、ほかの候補者も十五人出すだろうと思いますが、こうしたことをすることのために十五人という数は少し多いような常識的な判断がなされるわけなんですが、これは五人とか、或いはこれの半数ぐらいがいいような気がするのですが、衆議院の審議の過程においてそういう議論は行われなかつたでしようか。又委員長としてのお考え等を承わりたいと思います。
#81
○衆議院議員(小澤佐重喜君) これは先ほど申上げましたように、この数は十人くらいでいいだろうというような意見も出ました。併し十人ということになりますと、例えばトラツクを雇ええば運転手は勿論のこと助手もつきます。それから拡声器をつければそれに対する技師もつく。そういう者を別にして十人というような議論なんかも出ましたのです。ところが助手が二人要るのだとか三人要るのだとかというようなことになつて、そこにごまかし的なものが出ては困るから、むしろ運転手も助手も技術者も、一切のものを含めて十五名というふうなことにいたしたのでありまして、吉川君のような意見は衆議院でも相当ございました。
#82
○若木勝藏君 選挙運動期間中の政党その他の政治活動の点について伺いたいと思うのでありますが、これはまあ実際私らの立場から言うというと、政党の政治活動を非常に制限するように見えまして、余り芳ばしく思われないのでありますが、併し或る程度の制限ということも必要かとも思います。ところで先ほどお話ありました二十五人の問題でありますが、これは大体院内交渉の数が二十人くらいになつているから、これによつてまあ大体標準について二十五人くらいというようなところをきめた、こういうふうな御説明があつたようであります。併しこれは院内交渉という場合と、いわゆる院外の場合とは私はおのずから違うのじやないかと思いますが、結局三人でも五人でも政党とか、そういう結社を作つた場合には、選挙活動というふうなことを抜きにしては存在の意味がないと思う。そういう点を二十五人とか、そういうことによつて制限するということは、これはまあ理想論だと言われるかも知りませんけれども、どうも我々は納得の行かないように考えるのです。こういう点につきましては、相当衆議院の委員会においても、私のような考えを持つておるかたもあつたのじやないかと思うのでありますが、その点どんなふうになつておりますか。
#83
○衆議院議員(小澤佐重喜君) 若木君のお話のような意見があつたことは、先ほど説明のときに申上げたのであります。従つて二十五名というふうな数は、理論的に申せばどういう結論も出るのです。でありまするが、大体政党と言えば、少くとも現実の政党的な活動をするのには、やはり国会の議席というものが重要になる。国会の議席を持つものについて、一人でも政党を作つてそれでいいかというと、やはり院外交渉においては大体において私の話した通り二十名前後が一つの交渉団体という昔からの例でもありまするし、最近の衆議院のほうでもそれを行なつております。でありますから、少くとも政党として院内で十分な活動をなし得る程度のものを政党というふうに考えるのが適当じやないかというので二十五という数字が出たのであります。もう一つ、一人でも政党でいいじやないかということになりますと、仮に一人の人に自動車を三台、この法案では三台になつておりますが、一人の場合には一台に改正したにしても、その人が一人だつたため、自分の自動車が一台と自分の政党の自動車が一台その人が借りておるのでありますが、二台できることになります。ですから要は、自動車一台でできるだけ完全に運動をしようという前の仕組みを活かそうとするものには、やはりそれに応じた政党の数を制限しなければどうにもならない。でありまするから、その二つの面からやはり二十五名というものが適当じやないかという意見、結論が出たのであります。あなたのような意見も勿論ありました
#84
○若木勝藏君 その場合に、政党と政治団体を区別して論議されるようなことはなかつたですか。政党の場合には一応いい、併し政治団体という、政党以外の団体ですね、そういう中のは、やはり二十五名というよりも、もつと楽にしたらどうか。殊にこれは参議院における交渉団体というものを考えてみると、二人か三人でもやはり制限されないで出ております。そういう点を考えますと、そういう点は確かに参議院のあり方は進んでいると思います。そういうことについて、政党以外の団体に対してはどうこうというお話は……。
#85
○衆議院議員(小澤佐重喜君) 政党以外の活動は、いわゆる政治団体はこれは活動を認めないとする方針であります。で、政治団体のうちの政党とは何ぞやという問題について、この公職選挙法だけの建前から、政党とはこういうものだという定義をこしらえたのであつて、でありまするから、その定義に入れるについては、政治団体のうちの選挙法上これに該当するものを政党として扱うのだ、こういう意味でありますから、あなたのいわゆる政治団体というものはこの選挙法上は政党と見ないのであります。でありますから、その場合は政治団体として認めることがいいとする、或いは一人でも認めることがいいとするならば、おのずから別問題になると思います。
#86
○若木勝藏君 そうしますと、ここにある二十五名以上の候補者を、やはり政党その他の政治団体という……その他の政治団体というのはどういうふうなものを意味するのですか。
#87
○衆議院議員(小澤佐重喜君) いわゆる政党というものは、名前を政党と使つて、例えば自由党、社会党というようなものがありますが、併し政党という名前を使わんでも緑風会は政党と俗に言われているのでありますけれども、緑風会で二十五人立てればやはり制約を受けるということで政治団体ということを使つたのであつて、原則としては一般の法律では政治団体はあるけれども、認めてあるけれども、政党というものに対しては定義はないわけですね。そこで新らしく選挙法上いわゆる政党というものは、こういう政治団体並びに政党というものをいわゆる政党というのだ、こういうふうに定義を作つたわけであります。
#88
○若木勝藏君 そうすると、その間に何らの区別がないということになりますね、これの適用については……。
#89
○衆議院議員(小澤佐重喜君) この条件に入つた以外には何も区別がない。この条件に入つたものは、特に選挙法上政党として扱つているのだ、こういう意味です。
#90
○若木勝藏君 その次に、右の適用を受けようとする場合においては、政党その他の政治団体の本部は、所属の候補者の氏名を連記し自治庁長官に届け出る、こういうふうに出ているのですが、これは私は少しおかしくないかと考えます。現在のこの政党政治の立場から考えてみますと、いわゆる政府によつて政治活動というふうなものが規制されて来るというふうな場合になるのじやないかと思います。自治庁長官の……。全国選挙管理委員会に届けるということになれば、又違つて来る場合もあります。その辺の御見解を伺います。
#91
○衆議院議員(小澤佐重喜君) これは現行法におきましては、お話のように全国選挙管理委員会にという意味です。ところが全国選挙管理委員会が、今本院で審議されたところによると、自治庁長官の所管に入るようになつておりますから、衆議院で可決した新らしい法案を基礎にして、自治庁長官という文字を入れたのであつて、この場合には、全国選挙管理委員会と読み替えて御覧願えれば結構だと思います。
#92
○若木勝藏君 そうしますと問題は、全国選挙管理委員会を廃止するとかしないとか、自治庁に移管するということが問題になつて来るわけですね。
#93
○衆議院議員(小澤佐重喜君) そうです。
#94
○若木勝藏君 そうすると、移管された場合には、あなたのお考えとしては、自治庁長官に届け出る以外にない、そういうことですか。
#95
○衆議院議員(小澤佐重喜君) そういうわけです。
#96
○岡本愛祐君 ちよつと前へ返りますが、三十三の標旗を要する選挙運動の運動員は、十五人を超えてはならない、こういうことですけれども、これは参議院全国ではちよつと困りやしませんか。
#97
○衆議院議員(小澤佐重喜君) これは非常に困ると思いますので、衆議院のいわゆる特例でございます。従つて若し参議院全国に適用する場合には、地域或いは有権者数を標準にして新たにお考え願いたいと思います。
#98
○岡本愛祐君 実は私のほうで問題になつておつたのですが、本文を見ますと、そう書いてないのです。
#99
○衆議院法制局参事(三浦義男君) その点私からちよつと補つておきますが、十五人の点につきましては、一般の選挙運動について総括的に適用されるということになつておりまして、百六十四条の五という所に新らしく条文を置くことを考えております。衆議院の選挙につきましては勿論、参議院の全国選挙についても同様であります。併しながら参議院の全国選出議員について、選挙運動に従事する者は十五人を超えてはならないということではどうかと考えられますので、この点は私どものほうとしてはあとでいろいろ考えましたが、参議院全国選出議員にあつては、都道府県ごとに十五人と、こういうようなことにして補つて頂いたらどうかと、かように考えております。
#100
○岡本愛祐君 そういうふうにでも修正しなければ、これは工合が悪いと思うのであります。それからこの百六十四条の四のほうで、中ほどに「一台に限る。」とあるのですが、これは上の選挙運動のために使用せられる自動車は一台に限るということにかかつて来ると思いますが、これはどういうふうになりますか。これも参議院全国の場合において、これでも非常に工合が悪いのですが。
#101
○衆議院法制局参事(三浦義男君) その点は下だけにしかかからないというように考えております。上は「百四十一条第一項の規定により選挙運動のために使用される自動車若しくは船舶の上において」というのを、その意味におきまして両方に文句を書いておきましたから、「一台に限る。」ということが、上のほうにも引つかかるという虞れはないと考えます。従いまして参議院全国については三台ということになるのでございます。
#102
○岡本愛祐君 それにしても「又は」の所で自動車以外のものは、これは参議院全国でも一台に限るというようなことはちよつと平仄が合わないのですが、これも参議院全国の場合は三台以内というふうにしなければならん、どうでしよう、そうしなければ平仄が合わないと思いますが……。
#103
○衆議院法制局参事(三浦義男君) その点は勿論さように私ども考えておりますが、この規定で十分読めるということで結論は同じことを考えております。それは先ほども私が申上げましたように、自動車若しくは船舶の上において又は何々の法律に規定する諸車で自動車以外のものの上においてというようなことで、下の括弧書は下だけの括弧書で絞つておる、こういうふうに法律上は疑義がないと私は思つております。
#104
○岡本愛祐君 その点はよくわかりました。わかりましたが自動車以外のもの、諸車の中の自動車以外のものですが、それは衆議院とかその他において一台に限るというようなことならば、参議院全国では三台以内というふうになるほうがいいのじやないですか。「又は」ということで括つてありますが……。
#105
○衆議院法制局参事(三浦義男君) その点はこういうような立法趣旨でこれができておりますので、第百四十一条の一項に規定してありまする自動車は、本来は選挙運動用の自動車というようなもので、衆議院につきましては一台、参議院全国選出議員につきましては三台というようなことにおのずから限定される、後段のほうにおきましては、場所的な関係その他の理由によりまして、それを利用上ない場合もありますので、従いましてそういう場合におきまして、例外的にやはりほかの自転車なり、或いは権なりを使う、こういうようなことを予定せざるを得ないという関係上、そういうものを使う場合におきましては、選挙運動用自動車の本来のきめられた台数以外に一台しかそれは認めないということになりますので、全国選出議員につきましても、三台の自動車以外につきましては、やはり一台というようにこの点は考えております。
#106
○岡本愛祐君 それじやわかりましたが、「又は」で書いてあるから、選挙運動用の自動車三台か、又は選挙運動用の船舶三台か、又はそれ以外の諸車で自動車以外のもの、それが又三台か、こういうふうに読めたのだが、そういう意味でなくてほかに一台は使える、こういう意味ですね。
#107
○衆議院法制局参事(三浦義男君) そういうことでございます。
#108
○岡本愛祐君 それじやもう一遍念を押しておきますが、そうすると連呼行為の場合には、衆議院の場合においても、選挙用の自動車一台のほかに、それ以外の、自動車以外のもの一台は使える、こういうことに読めますか。そうじやなく読めるのですが、これは「又は」だからそれに代えて、選挙運動用自動車に代えて、そのほかの自動車以外のものが一台使える、こういうふうに読まなければならんと考えるのですが、どうですか。
#109
○衆議院法制局参事(三浦義男君) それは百四十一条におきましては、自動車とか或いは船舶、拡声機は、「左の各号に規定するものの外は、使用することができない。」といつて、使い得る種類を限定しておるわけです。従いましてそれ以外の自転車、橇その他の部分につきましては、現行法におきましても、今度の改正案におきましても、何らの制限がないわけです。従いまして自動車を何十台使おうが、橇を何十台使おうがそれは自由なんです。併しながらそれでは又余りに弊害が起りますので、連呼行為の制限につきましてはそれを一台に限定する、こういう趣旨でございます。
#110
○岡本愛祐君 それじやもう一度念を押しておきますが、つまり選挙運動のために使用される自動車又は船舶、これは連呼行為に使えるが、そのほかに自動車以外のものを一台は連呼行為のため使えるのだ、こういう意味ですね。
#111
○衆議院法制局参事(三浦義男君) さようでございます。
#112
○岡本愛祐君 そうすると「又は」では少しおかしいと思うのですが、代りにとも読めるのです、「又は」だから……。
#113
○衆議院法制局参事(三浦義男君) その点はちよつと補つておきますが、台数につきましては私が申上げた通りでありますが、標旗を掲げてやるということになりますから、標旗は一本ですから、従いましておのずからそこに制限を受けるということは別問題だと思います。
#114
○岡本愛祐君 大体わかつたようなわからないような御説明なのですが、(笑声)どうも標旗の関係もあり、百六十四条の四に書いてあることは、連呼行為のために、選挙運動用の自動車又は船舶が使える。で、その所定の台数だけで以てやれる、併しその標旗が一つしかないから、衆議院議員の場合には一台ということでいつたのは当然である、こういうことですね。
#115
○衆議院法制局参事(三浦義男君) そうです。
#116
○岡本愛祐君 だからほかの場合には自動車以外のものを使つたつて一台に限るのだ、こういうことですね。
#117
○衆議院法制局参事(三浦義男君) そういうことです。
#118
○岡本愛祐君 ところが参議院全国のときには三台あつて、標旗も十五あるわけだから、この三台は勿論使える。そうするとそれに代える橇とか何とかというものも、選挙運動用の自動車を使わなければ、三台は使える、こういうふうに規定するのが当然のように思うのですがどうでしようか。それは今の規定ではそうなつていないけれども……。
#119
○衆議院議員(小澤佐重喜君) 実はこの立法技術のほうは法制局のほうに今お願いしたのでありますが、抽象的な要綱は今委員会できめたのです。委員会のほうでは、例えば自動車を使つておつた、ところが道路が非常に狭くて自動車は入らない、リヤカーでなければ入らないという場合に、その自動車の代りに標旗を掲げたリヤカーを持つて行く、こういうわけです。又東北のほうで雪が降つて自動車は通らない、橇でなければいかんという場合には、その自動車の代りに標旗を掲げた橇を持つて行くというようなことで、こう書いたわけです。内容の技術は三浦君に一切任してありますから、どうぞ納得の行くように一つお願いいたします。
#120
○岡本愛祐君 わかりました。それでは三十四についてお尋ねをいたしたいのですが、衆議院議員選挙の特例として、掲載文の字数を選挙公報で千五百字に増加された。そこで参議院全国の場合はともかくとしまして、知事の選挙とかそういうときには、やはり千五百字のほうがいいのじやないかと思うのですが、そういう点はどういうふうにお考えですか。これは参議院のほうは、衆議院選挙の特例としてきめておくから、参議院のほうもそれでよければそうなつたほうがいいということはお言いになれるでしようが、知事のほうも親切に考えておやりにならなかつた意味はどうですか。
#121
○衆議院法制局参事(三浦義男君) その点は、審議の際に、全般的にほかの選挙の場合においてもどうするかということは一応考えたわけでございますが、衆議院の選挙におきまして、特に昨日も話が出ましたように、無料葉書の三万枚を減らしまして、その費用の節約によりまして選挙公報を拡充する、こういう行き方で参りましたので、ほかのほうの葉書につきましては、すべて今度の改正案ではいじりませんで、現行通りということにいたしておりますので、ほかの選挙の場合の選挙公報の字数も従いまして殖やさないことにした、併しながら将来の問題といたしまして、そこらのところに何らかの調整を図る必要があるということはこれは別問題と、かように考えます。
#122
○岡本愛祐君 それはわかりました。それから今度は四十の政党その他の政治活動ですが、それは政党の主催する政談演説会、街頭演説というので、その区域から出ておる自党の候補者に対する応援ということを公然やつていいように読めるのですが、そのつもりですか、小澤さんにお尋ねします。
#123
○衆議院議員(小澤佐重喜君) これは特定の個人候補者に対する応援はやれないのでございます。但し自由党なら自由党、或いは社会党なら社会党が、その党の政策を発表するのでありますから、自由党がこういう政策を持つておるということによつて自由党の候補者が或る意味で得をする、又社会党がこういう政策を持つておるということによつて社会党の候補者が得をするということはありますが、特定の候補者は支持しないという方針であります。
#124
○岡本愛祐君 そこで要綱のほうに書いてありますのは、ポスターには候補者の氏名を記載してはならない、こういうふうにあるのですが、そのポスターには記載してはならないけれども、政談演説会や街頭演説では、自由党の候補者は何々が立つておる、よろしく応援を頼むというようなことを言つていいようにもとれるのですが、それは禁止規定がありますか。
#125
○衆議院法制局参事(三浦義男君) それは二百一条の四に、衆議院議員の選挙におきましての特例でありますが、「選挙運動のためにする演説会は、この法律の規定により行う立会演説会及び個人演説会を除く外、いかなる名義をもつてするを問わず、開催することはできない。」と、このことによりまして、選挙運動のためにする演説会は、ここに法律で特に規定したものだけに限定しておりますので、その半面からそういうことになると思います。
#126
○岡本愛祐君 その点が甚だあいまいなのでありまして、それは選挙運動のためじやないのだ、主たるものはその政党の政談演説又は政談演説を街頭でやるのだと、こういう名義であつて、従として自党の候補者に対することに触れるというようなことは、この二百一条の四では禁止していると、こういうふうなおつもりですか、これははつきりしておきたいと思います。
#127
○衆議院法制局参事(三浦義男君) それは先ほど私どものほうの、衆議院の委員長から話がありましたが、政談演説会というものを、立法の趣旨におきましては、先ほど話がありましたように、政党の政策普及ということを主とした演説会、かように考えております。その結果、反射的効果といたしまして、その党に属しておる候補者というものが間接的に擁護され、利益を受けるということは、これは止むを得ないと思つております。併しながら初めから明らかに特定候補者だけを応援し、或いは支持する目的を持つてやる政談演説会というものは、立法の趣旨においては考えていないわけであります。従いましてそういう場合におきましては、二百一条の四の「選挙運動のためにする演説会」ということになりまして、この禁止条項に触れる、こういう結果になります。
#128
○原虎一君 それに関連してですが、その場合に候補者が弁士として出ることは従つてできないということですか。出たらばそれがどの条項に違反するか、その点がありますか。
#129
○衆議院法制局参事(三浦義男君) それは政党の活動でありまするから、或る候補者が政党の政策普及のために政談演説会においでになることについての禁止規定は何もありません。併しながらそこに出られて政党の政策普及のことと併せて自分の当選を、自分の投票を依頼するような選挙運動に亘る行為になりますれば、個人演説会なり立会演説会以外において演説をやつたことになりますから、その条項に触れると、こういうわけです。
#130
○原虎一君 そういうときは個人演説会の回数に入れた場合はどうなりますか。
#131
○衆議院法制局参事(三浦義男君) 個人演説会の回数に入れますのは、二百一条の三に規定してありますが、選挙運動のためにする座談会が一回、議員候補者が候補者同士お互いに共同して行う共同演説会が一回、それから候補者みずからやりませんで、或る組合なり、或いは或る青年団なんかが主催いたしまして候補者の政見を聞くためにまとめて集つて頂いて演説会を聞く合同演説会、こういう形態を一応個人演説会の回数の中に入れる演説会と見なしておりますので、それ以外のいわゆる政党の政談演説会というものはこの中に含まれておりませんから、そこでは禁止する、その趣旨におきましてポスターにも特定候補者の名前を書いちやいかんというようなことは、その一端の現われのわけであります。
#132
○委員長(西郷吉之助君) それでは先に進みます。終りまで一つ……。
#133
○衆議院議員(小澤佐重喜君) 四十一は、選挙又は当選の効力に関する訴願の問題でありまするが、これは書いてあります通り、決定書の交付を受けた日又は決定書の要旨の告示の日からと改める点で殆んど便宜的の規定であります。
 四十二は当選争訟における潜在無効投票の処理でありますが、御承知のように現在無効投票がありますと、これは主として市町村の選挙でございまするが、無効投票が簡単に立証できまして、そうして争訟した例が去年の選挙におきましても相当の数に上つておるのであります。併しこうしたたくさんの数を裁判所で争つて、その結果再選挙になるということは、余り政治的に見ましても、社会的に見ましても望ましいことではない。というのは、御承知の通り従来の選挙法に対する判例は、無効投票が当選者の当落に影響する範囲内においては失格するというような判例の趣旨になつておりますので、これを何とか救うことが適当ではないか。一面又該当町村からも全国的に陳情の趣旨がありましたので、衆議院といたしましては、一応これはやはり陳情者の希望通り、又は今申上げた点の政治的、社会的に見ても余りこうしたことは望ましくないという見地から、できるだけ再選挙がないようにとどめよう、こういう趣旨でこの規定を設けたのであります。なお法律技術の問題があるのですが、この問題は御質問を受けてお話しようと思つております。 それから四十三は選挙管理費用でありますが、これは本当の事務的な規定の改正でありまして、特に申上げる必要もないと思います。
 四十四は罰則でありまするが、いずれも適当な従来の罰則規定に当はめた改正をいたしましたが、更に詐偽投票の未遂を罰する規定でありますが、又(2)の禁止規定の新設に伴いまして所要の罰則を改正したような次第であります。
 四十五は附則でありまして、これも改めて説明するまでもなく、御覧を願いますれば御了承頂けると思います。 四十六、四十七、いずれも簡単な事項でございまして、殊更に申上げる点はございませんが、ただこの四十七の改正法附則の施行期日についての問題でありまするが、大体今月一ぱいに本院の審議が終了いたしますものと仮定いたしましても、最小限度二月、或いは三月くらいの政令等の準備期間が要りますので、一応九月一日ということに規定してあります。併し、仮に衆議院の選挙がこれ以前にある場合には、次の衆議院の選挙から施行したいと、こういう趣旨で附則を改正したような次第でございます。
#134
○岡本愛祐君 四十二についてお尋ねしたいのですが、投票選争訟における潜在無効投票の処理、で新たにまあこの規定を設けられて、各候補者の得票数からその無効投票数を各候補者について一律にその千票なら千票ずつを引いて行くということになると、法定得票数を割る人がたくさん出て来て、救済ということにならないことが多いんじやないかと、こういうふうに思うのですが、まあいろいろ我々も考えて見たのでありますが、この各候補者の有効得票数に応じて按分して引いたらどうだろうか、こういうふうに考えられるのであります。丁度そういうふうに考えておりましたときに、今日全国地区選挙管理委員会連合会からのほうからも陳情書が出て参りまして、目下参議院において御審議中の公職選挙法の改正に際し、左記条項につき特別の考慮を払われたいということで、今申しましたように、潜在無効投票のことについて、その開票区ごとに各候補者の得票数から当該無効投票数を各候補者の有効投票数に応じて按分し、それぞれ差引くものとする、こういうことにしてもらうことが非常に結構である。そういうふうに是非ともして頂きたい。速かに実現を懇願いたしますということを言つて来ておりますので、それぞれに対する御意見を承わつておきたいと思います。
#135
○若木勝藏君 私も今そこを疑問に思つておつたのであります。投票の効力の場合は、同一氏名の場合には按分加算するということになつております。こつちのほうにおいては、今岡本さんからお話があつたように、一律に引いてしまう、これじやどうも首尾一貫していないように思うのでありますが、併せて御答弁願いたい。
#136
○衆議院議員(小澤佐重喜君) 実は、この問題につきましては、先ほど説明の際に申上げましたように、大体この衆議院の委員会としては、こうした問題はやはり救済することが適当であるという結論が一応出まして、それを一方でどういうふうにするかということは、実は法制局に一任した問題なのであります。従いまして、法制局のほうで、このほうが委員会の趣旨が立法技術から適当だという意見がありましたので、実は衆議院の委員会では余りこの問題に対して疑問を持たずに最終の決定をいたしたのであります。ところがお話のように、一旦こつちに回付をいたしましてから、各市町村のかたの陳情を受けまして、いろいろ説明を聞いて見まするというと、私の考えといたしましては、これは委員会とは関係ありません。私の考えといたしましては、これはできるだけ失格する人をなくするという意味でこの規定を改正したのであつて、今のように一律に引くことによつて法定得票数が少くなる、従つて再選挙の数が逆に多くなるというようなことであれば何の意味もないのであります。私どもは、たとえ一人でも一旦当選した者は、議員としてその任期中は完全に公共のために働いてもらいたい。徒らに当落の問題を心配して、公共のための働き方が鈍るということはよろしくないというようなことから考えたことが、技術的に結果がまずいのだということになりますれば、これは又当然再検討していい問題じやないかと思います。従つて、今岡本さんの御意見はよく皆様で調べた結果、むしろ按分のほうがよろしいのだという結論に達しました場合におきましては、便宜本院で御修正願うことも結構じやないかと考えております。併しこれは委員会を代表しての言葉ではありません。要は多く救われることを望んでこの規定を設けたのでありまするから、多く救われるならば何もこだわることはないと考えております。
#137
○岡本愛祐君 了承いたしました。
#138
○吉川末次郎君 今岡本委員及び若木委員から問題にせられました点につきましては、我々の手許へも陳情書が参つておりまするし、又地方から議員のかたがお出かけになつていろいろ直接的に熱心なる御陳情が先般来各会派に対してあつたわけであります。それで只今衆議院の特別委員会の委員長の小澤君の御意見の御開陳がありましたが、選挙管理委員会の事務当局或いは委員からお答えを願つても結構でありますが、右の問題についての御意見並びに折角我々の常任委員会に専門家としております担任者の福永君の意見をこの際併せて聴取しておきたいと思います。
#139
○委員長(西郷吉之助君) それでは順次今の御意見の開陳をお願いいたします。
#140
○政府委員(吉岡恵一君) 潜在無効投票をどうして解決するかという問題はいろいろあると思います。これは第一の方法は非常に消極的な方法かと思いますが、潜在無効投票の原因をいろいろ調べまして、例えば名簿の調製が不完全であつたから潜在無効投票ができるというような事例がございます。そういう事柄をここに具体的に検討をいたしまして、成るべく無効投票が少くなるような方法をここでとることが一つであります。例えば、名簿の調製を選挙前にやるのでありますが、物理的に考えても、不可能なような住所移動については、それがたとえ本来ならば無効になるべきであつても、調査が実際において不可能であるから、そういうものは有効にするのだというような考え方をとつてここで無効投票を成るべく減らすということを考えるのが一つだと思います。今度の選挙法の改正につきましても、潜在無効投票が、例えば不在者投票の不正というような事柄から相当考えられておるのであります。この不在者投票の制度の改正によつて、或る程度無効投票を減じ得る、こういうことも考えられますので、そういう事柄を具体的に個々別々に当ることが一つの方法であろうと思います。それからもう一つの考え方は、潜在無効投票というものが、無効投票とは言いながら、どの候補者に入つたか、或いはそれが無効投票であるか、全然投票がどういう結果になつて現われておるかはわからない。それであるから、そういうものは元来が無効投票と見ないのだ、こういう考え方をとるのも一つだと思います。
 それからもう一つの考え方は、現在裁判所が解釈をする場合に、現在の考え方は一%でも落選の可能性があれば、それは一応落すんだ、こういう考えをとつておるわけであります。非常に少いパーセンテージの落選可能性をとつつかまえて当選無効の判決を言渡しておるわけであります。そういう考え方を全然変える、法律の擬制か何かでそういう考え方はいかんのだ、つまり一〇〇%の落選の可能性があるのでなければ落してはいかんという擬制をするのも一つの方法であると思います。まあいずれにいたしましてもこの潜在無効投票の問題は非常にむずかしい問題でございまして、法の擬制を用いたから必ずしもそれでいいという問題ではありませんで、選挙の執行の実際から考えましても余り無効が……これは筋が多少違つておるかもわかりませんけれども、無効投票になるのが少いということになりますと、選挙の執行が非常にルーズになつてしまう。又場合によつては不正が行われやすい。つまり不正をやつてもそれが結局無効に響いて来ないので不正が相当行われる。まあこういういろんな点を考えてこれは慎重に考究すべき問題だと考えております。私どものほうでは、どの案がいいということはまだ結論が出ておりません。
#141
○専門員(福永与一郎君) 私の考えを申上げます前に、お手許に先に資料といたしまして「潜在無効投票の処理に関する二、三の学説」という資料、それからいわゆる潜在無効投票に対する裁判所……旧行政裁判所を含めて裁判所の判例の若干を抜書きいたしましたものを差上げてございます。私の意見と申しますのは大体以上のような資料を研究いたしました結果の意見でございますが、只今吉岡君からもお話がありましたように、この問題はいろいろに考えられるのでありまして、絶対的にこれがいいんだとか、これでなければならないとか、いわゆるきめ手はなかなかむずかしいようであります。従つて結論といたしまして只今の按分案も私は必ずしも絶対的に正しいとか合理的だとは存じませんけれども、先ほど小澤委員長からのお話にもありましたこういう立法の趣旨等からも考え併せまして比較的相対的な意味においては按分案に賛成であります。
#142
○政府委員(吉岡恵一君) それから申し落しましたが、これは三浦さんからお話があるのが適当かと思いますが、イギリスの制度では何か投票用紙に番号を附してやつて、それによつて無効投票を調べるという方法があるそうです。ただこれは投票の祕密を害するというような事柄から考究を要する事柄だと思いますが、やはり潜在無効投票をなくする一つの方法だと思います。
#143
○衆議院法制局参事(三浦義男君) 私からこの二百九条の二の潜在無効投票の立案の趣旨を御審議の御参考に申上げたいと思います。先ほどちよつとお話がございましたが、同姓同名の場合における投票につきまして按分をとつておるが、潜在無効投票の場合においてはそれをとつてないがどういうわけかというようなお話もありましたが、それは明らかにこういう点から区別をいたしておるわけであります。同姓同名の投票の場合におきましては、これから同姓同名の投票を候補者にどういうふうに分け与えようかということが問題であるのでありまして、すでに投票された中にその投票が含まれておるのをどういうふうにそれを除いて行こうかという問題と根本的に違つておるわけです。従いましてこれから他の、その人が或る得票数をとつておるのに、別個のいわゆる同姓同名で誰に行つたかわからない或る投票を、或る何十票か何百票の投票を分けてやるというような場合におきましては、得票数が多数である、或いは少いものというような比例に応じまして分けるということが一つの合理的な基準であろうかと思います。ところが潜在無効投票の場合におきましては、すでにその投票の中に無効投票が裁判の結果仮に二百票なら二百票というものが入つておることは確実である。併しながら誰にそれが入つておるかわからない。従いましてその二百票という無効投票を一応個々的な投票の内容を調べてやればいいわけですが、それは投票の祕密というような問題と関連いたしますので、最高裁判所の判例におきましては、それを一応どの人に入つておるかわからないから、個々の当選者から引いて見てそうしてその投票数がどうなるかという結果によつて当落をきめて行こう、こういうことが従来の判例であります。ところがそれでは余りに当選者と、それから落選いたしましたいわゆる次点の最高位者との間の比率によりまして、当選者がちよつとでも、落選者よりも投票が少いということになりますと、すべて落選ということになりますし、その潜在無効投票は落選者のほうにも入つていないとも限らないわけです。従いまして、この案におきましては、当選者だけから引くという従来の判例を改めまして、候補者のすべてから一応引いて考えて見た場合において、その得票はどういうことになるかというようなことの前提に立つて考えておるのがこの案であります。一応それから潜在無効投票の場合におきまして、按分比によります場合におきましては、必ずその端数が出て来るわけです。その端数の問題を切上げるか切捨てるかという問題が起るわけでありますが、切上げればそれだけ投票数以上の得票が票の上に現われる、併し切捨てた場合におきましては、無効投票は二百票と仮に仮定いたしました場合におきまして、二百票以下の百八十票しか無効投票がないというような結果になるわけであります。御承知のように九十五条の規定をお読みになりますると、当落をきめます場合におきましては、「当該選挙区内の議員の定数をもつて有効投票の総数を除して得た数の四分の一以上の得票」これは衆議院の選挙であります。それが法定得票数でそれ以上の多数を得たものを以て当選人とすという規定になつております。その有効投票の総数というか、有効投票をその場合においてどう見るか、いわゆる潜在無効投票の何%をその有効投票の中から引いた残りを本当の有効投票と見るか、今のような端数が出て参りますので、端数の関係によりまして、有効投票のところに非常に相違が出て来るわけです。それからもう一つは、立候補者が十人ありましたといたしました場合におきまして、潜在無効投票が十票以下でありました場合におきまして、今のように割ります関係上、必ずやその半端が出ることは必然的でありまして、その半端自体の何%が誰に入つておるかということを今問題にしようとするときに、それが初めから端数になる関係から端数を初めから切上げるか切捨てるかということによりまして、その無効投票がそのときのどの候補者に入つているかということの所在をきめること自体が不可能になるわけでありまして、その意味におきましてここで決定しようとしておる問題の解決にならないわけです。それから従来の最高裁判所の判例におきましては、或る程度長い間の結果から出て来ておりますから、そういうような意味合いにおきまして、一応全体のものを一律に引いて考えて見る、而も開票区ごとに考えて行くのが合理的だろうというような建前でこの案はできておると思います。併しながら先ほどいろいろ御意見がありましたから、按分投票が今のような点その他の点余り無効投票を奨励するようなことになつても困りますが、そういうような点等も御考慮下さいましていろいろおきめになることは又別の問題だと思いますが、一応立案の趣旨を申上げました。
#144
○原虎一君 今の説明で落選者からも一律に引くということになりますと、これは一律に引く場合においても皆甲乙なしに引かれるわけですか。
#145
○衆議院法制局参事(三浦義男君) さようであります。
#146
○原虎一君 その点はわかりますが、そこで問題になつているのは法定得票数に達しない結果が生じて、再選挙ですか、選挙をやり直さなければならない。この問題を小澤委員長は恐らく防がなければならないという二つがあると思う。個人を救うという場合と、再選挙をやらなくてはいけない……、この四十二項を見て行きますと、まあ意識的、計画的に町村等で潜在無効投票の訴をやつて行けば、裁判が二年ぐらいかかつて結局相当の数洗い出して出て来ますと、選挙をやり直さなければならないということが出て来ます。これは私は要するに無効投票が仮に千票あつたといたします、それを二十人にいたしますというと、二万票というものが減つてしまうわけです。こういうやり方は我々常識的に考えましてもおかしいじやないか、こう思うわけです。それで最高裁判所のこれは判例に基いてお作りになつた法文らしいのですね、私ども今までいろいろな陳情やその他調べたところによりますと……。が併し裁判所の考えは選挙をやり直すということも、裁判所としてはそのほうが法律的に考えて正しいと考えて判決を下したようですけれども、その通りの法律を作るということになれば、裁判所のやり方をこの法律で裏書することになるのです。そうして再選挙という問題が今後起きて来るということを考えてこの法律を作るなら作らなければならん。その点と、もう一つは潜在の無効投票というものが今度の改正で相当防げるかどうかという問題と必ずからんで来ると思うのですね。そこで私はもう一遍質したいと思つていますが、不在投票というものが余りやり方がむずかしくなるのじやないかという点、まあそういう潜在無効投票なんというようなことを防ぐためにむずかしくなり過ぎるのではないかという点と、この三つからんで来るのではないかと思うのです。この点を、我々が検討して行かなければならん一番重要なポイントは、もう一遍戻りますけれども、やはり選挙をやり直すというようなことにならないように、而も合理的に引いて行く、ここに持つて行かなければならんとこう思うのですが、この点は同感じやないですか。
#147
○衆議院法制局参事(三浦義男君) 第一の法定得票数の問題でありますが、それは一律に引くという議論におきましても、按分比例によります議論におきましても、その結果法定得票数以下になればその人は落選する、落選というよりも当選する資格を失うということはいずれにしても同じことたと思つております。ただその場合におきまして、法定得票数の問題や潜在無効投票の場合におきまして、特に顕著に関連を持つて参りますが、普通の投票の場合におきましては例えば余字を記入するとか、或いは候補者のほかに、氏名以外のいろいろのことを書いたことによつて無効になる、潜在無効投票でない本来の無効投票というものは幾らもあるわけであります。そういう場合におきましてもそれらの得票数が相当数になつた場合におきましても、それを引いて考えた場合において、それを以て得票数を割れば当然それは初めから資格がないということになることは当然であるのでありまして、潜在無効投票の場合においても或る一定数の潜在無効投票というものがあつて、その結果法定得票数を割る結果になれば、これはいずれにしてもそれ以上救う理由はないように私は考えております。それから第二の不在者投票の問題と関連いたしまして、今度の改正案によりますと従来のような在宅投票制度を今度は廃止することにいたしましたので、その関係におきまして不在者投票に起因いたしまする潜在無効投票という問題は非常に少くなつて来る、かように推定をいたしております。
 それから潜在無効投票のこの問題につきましては、学説といたしましては、美濃部達吉博士が大体昔から選挙法の議論におきまして従来の裁判所の取扱は不当であるというので、この改正案にありますような意見を従来から述べておられます。それから日本弁護士連合会におきましても二、三カ月前でありましたが、そこにもやはりこの案のような意見を代表的に潜在無効投票の処理として述べておられます。それから先ほど申上げましたこれは最高裁判所の判決を何も肯定するという意味ではありませんが、それは長い間の行政慣例であるし、又同時に判例でもありますので、それは一つの合理性を持つたものだと私ども考えますので、その線に沿うてその足りないところを補うということでこの問題を処理いたしたわけであります。
#148
○原虎一君 ちよつと私解せないのですが、例えば千票の潜在無効投票が洗いざらいやられて、結局裁判の結果出て来た。それを個人の候補者全部でよろしいが、当選者落選者共に二十人なら二十人の者から千票ずつ各自に引くのです。この案で行けば一律に各自から干票ずつ引いて行く。こういう解釈に私はとつているのですが、どうですか。
#149
○衆議院法制局参事(三浦義男君) 例えば潜在無効投票が裁判所の判決の結果百票と仮定いたしまして、立候補者が十人と予定いたしますると、百票の得票を各十人の候補者からそれぞれ引いて見て、その人の当落をきめて行くというわけでありまして、百票が延べにいたしまして千票という観念では全然ないわけで、個々の一人々々について百票ずつを差引いて考えて見るとその人の当落はどうなるか。つまり九十五条の規定の適用は、有効投票の計算については今のように引いて個々の候補者について考えて見る。こういう考え方でありまして、決して延べの数に無効投票がなるということは全然考えておりません。
#150
○原虎一君 それでは私の考えと違わないのです。当選者から仮に潜在無効投票が裁判の結果千票になつたとすれば、全部一人々々千票ずつ引くのですから、そこに法定得票数に達しないものが多くできる。これが千票を二十人に割つて、いわゆる五十票ずつですか、引いて行けば、それは法定得票数から落ちるものは少い、こういう意味ですね、そういう点の……。そこでそういうことになれば無効投票に対する考えが非常にルーズになつて来るからいけない。こういう考え方でこういう四十二条の規定のようなものが出たというふうな御説明のように承わるのですが、そうですかな。
#151
○衆議院法制局参事(三浦義男君) そういうような事柄も一応は考えております。併しながら考え方といたしましては純法律的な問題といたしまして私申上げるのでございますが、法定得票数というものを初めから予定いたしまして一律に引くと、それからずつと下る人がたくさん出て来るからそれは気の毒じやないかという考え方は、私どもといたしましては法律的な見地といたしましては第二次的に考えているわけでございます。付票のいわゆる潜在無効投票があるかということが優先的に取上げて考えられるべきであつてその何票の無効投票をどういうように考えて引いて行くことが最もこの際において合理的であるがというような見地から考えているわけでございます。ただ経験から見ますると、潜在無効投票が多い場合におきましては一律に引くという場合におきましては、法定得票数を割るということは結果において出て来ることはお話の通りでございます。又その場合におきましては、按分比によりました場合におきましてもやはり出て来ることもあり得るだろうと思つております。それからなお按分におきましては、さつきの端数計算の問題と関連いたしまして、例えば一票か何票かの違いの場合におきましては、むしろ逆に端数を切捨てることによつて次点者のほうが上になる。殊に法定得票数の最下位の得票数すれすれのところを問題にいたしました場合に、或いは端数を切捨てるなり、何なりすることによりまして、本来ならば一律に引くならば当選圏内に入る人が逆に法定得票数を割つて落選するという結果も起ることは事実でありまして、これは私ども研究の結果さように考えておりますから、ここらの点は十分にお考え頂いて御審議を願えれば結構じやないかと思います。
#152
○吉川末次郎君 先ほど衆議院の法制局当局の今の問題について御答弁の中で、この要綱の七に掲げております「同一氏名、同一氏又は同一名の候補者が二人以上ある場合」云々ということについての引用であつたのでありますが、この問題について過去に審議上戻るようでありますが、私としても多少お尋ねして見たいことがあるわけなんですが、私が尋ねたいと思いますことを、特に大野幸一君が非常に問題にし熱心にいろいろ御主張になつておられますので、委員外でありますが、もとより委員外の議員といえども委員長の許可を得て発言することが十分できるのでありますが、そのためにここに臨席しておられますから、この辺についての質問応答が一応片付きましたあとで特に大野君から右についての意見を一つ聴取して頂くように御処置願いたいと思います。
#153
○委員長(西郷吉之助君) 只今吉川委員よりのお聞きの通りのお申出がありましたが、只今発言を許したいと思います。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#154
○委員長(西郷吉之助君) 御異議ないと認めます。
#155
○委員外議員(大野幸一君) どうも発言を許可されて恐縮であります。実はこの同一氏名のことを同姓又は同名と同一氏名との区別がはつきりしないようでありますが、例を申上げますが、成るほど同姓又は同名の場合を按分比例に有効投票数に繰入れるということについては非常に発達した私は議論だと思うのであります。私のほうの地方では何といつても大野伴睦氏が非常に有名であつて、昔から選挙民は大野伴睦と書かないで大野と書いておる。そういう投票数が一番多い。又一番簡単で大きいという意味の片かなだけによつて訓練されておるようであるが、誰かが大野というのに前々回か一つ犠牲候補を立てると全部無効になつてしまうということを言つておつたのですが、それが今度こういう按分比例になつたことはいいと思いますが、更に例えて言うならば、全国区の同一氏名が立候補した場合、同一氏名を現に私の選挙区でずつと名簿を見てみますと、五、六人大野幸一というのがある。そこで社会党の党員の中にも同じ同一氏名がある。こういう場合に仮に一緒に両人が立候補したいという場合に、両方とも同姓だけでない、同名だけでない、同一姓名であるためにこれを按分することができないだろうと思うのです。この場合には選挙管理委員会としてどういうふうに取扱われるのか。その場合に、この選挙法の今回の改正点に考慮されているのかをお伺いしておきたいと思います。
#156
○衆議院法制局参事(三浦義男君) その点御尤もな御意見だと思いまするが、公職選挙法の六十八条に無効投票の事項が七号まで挙げてあるわけであります。その中に第五号で「公職の候補者の氏名の外、他事を記載したもの」は無効となつておりますが、「但し、職業、身分、住所又は敬称の類を記入したものは、この限りでない。」ということになつております。従いまして只今御説のような場合におきましては、同一氏名の場合におきましては、全く誰に投票したかわからないことになりまするので、その場合におきましては、職業なり、身分なり或いは人の何党所属とかいうようなことを中に書入れるとか、博士であるとか、そういうことを書入れることによつて自分は誰に投票するかという、投票しておるかということを区別することに選挙法でなつておるわけであります。従いましてそういうような区別をいたしません限りにおきましては、誰に投票したかわかりませんから、按分のしようがないことになりますが、規定上はそういうようなことを区別して投票されたことによりまして、同一氏名の場合におきましては、或る人には何事、或る人には何事ということが出て来ましてその他の投票をその数に按分して分ける、こういうつもりでございます。
#157
○委員外議員(大野幸一君) それが又例えばこの前は私の経験によりますと、大野というのが何人もありまして、岐阜県の大野、岐阜大野というように書いたのは、岐阜県では有効にしていたようであります。ただそれだけで十分であるかどうか、こういうことでいろいろむずかしい職業を長たらしく書くということが生じて、その候補者にとつて不利益だということが普通の場合でございます。又まちまちに書く、例えば社会党を入れるという場合に、党名を入れるだけに又それだけ不利益を生ずる、こういうのでありまして、そういう場合に届出順によつて同一名を第二に届出た人は二号とか、第三に届ける人は三号とかいうような略号で区別する方法をこの法律の中に入れたらよろしいと考えられますが、そういう考えに対する御意見はどうでしよう。
#158
○衆議院法制局参事(三浦義男君) それも確かに一つの御意見だろうと思つておりまするが、有権者の全体にどの人が第一号、第二号ということが全部に徹底しておりますれば、御説のようなことも趣旨はよく通るだろうと思つておりますが、何せよたくさんの、何万の、何十万の有権者の中に、その案が徹底いたしません場合におきましては、やはり却つて複雑なことを来たしまして、投棄者の意思でない人が当選する、投票した結果になるというようなことにもならないとも限らないと思いまするので、従来長い間、選挙法におきましては、先ほど私が挙げましたようなこと、これだけに限りませんが、そういうような類を記入したものは、この限りでないと言つておりまするので、何らか以外の方法で区別する方法のほうがよくはないかと考えておりますけれども、おつしやつたことも確かに一つの御意見だろうと思います。
#159
○委員外議員(大野幸一君) そうすると同一人でないというために記入する、普通の場合には他事記載になる符号は、広汎にこれを認めるのが立法の精神だろうと思う。例えば職業は勿論、出身地或いは党名或いは年齢、その他で二人の間の違いを表示する一切の記入は認めてよろしいだろうと思うが、この点についてはどうか。
#160
○衆議院法制局参事(三浦義男君) その点につきましては、一応選挙法では職業、身分、住所又は敬称の類、こういうことになつておりまするが、例えば住所にいたしますと、これは下のほうの番地まで書けば同じところに二人の人がおるというようなことは、立候補の場合に余りないのじやないかというので、そこらの点でも区別できるのじやないかと思います。その他今のように、これに類する事項を記入することによりまして、従来の投票の有効、無効の場合におきましても、この点については取扱例がいろいろございまて、割にそういう点については、いろいろな例がきまつておるようでございますから、そういう支障はないように、結果においてはおつしやるようなことになつておる、かように考えております。
#161
○委員外議員(大野幸一君) 選挙管理委員会から、今までの経験によつて、そう昔から、そういう場合があつたかどうかということ、及びいわゆる区別標準はどの程度まで従来は認めていたのか。例えばその記入する場合に住所職業云々として、その他これに類するということにこれは限られ、下部に行きますと選挙開票区ごとに条文だけで、それ以外のものはそれで他事記入にすると、こういつて無効になつておる場合は、少くとも同一姓名については不都合だろうと思うのですが、従来はどの程度までそれを認めていたか。いわゆるその条文をただこれを類似的、例示的に解釈していたのか、制限的に解釈していたのか、実際の扱いはどうなつてりおつりますか。
#162
○政府委員(吉岡恵一君) 今の同一氏名の候補者が出た場合の取扱でありますが、これはいろいろ、名前に肩書を付けるということは特に同一氏名であるからということで広く解釈しなくても大体片付く問題だと思います。ただあの例の他事記入をどの範囲で認めるかということはこれは例でありますからあそこへ掲げてあります事柄は制限的の列挙ではなく多少広く解釈しております。それから同一氏名の候補者があつた場合の取扱でありますが、只今三浦さんから大体お話があつた通りであります。それに関して大野さんから届出順によつて一号、二号とかいうことを付けたらどうかというお話でありましたが、そのために特に新らしい事柄を考えるということになりますとやはりそれを宣伝しなければならないと思います。十人なら十人の候補者が立ちました場合に鈴木というのが二人おつた場合に、その二人だけの人を特に宣伝するということはほかの人に対してやはり不公平になるわけですから新らしいことを考えるよりやはり従来の職業であるとか、或いは住所というような事柄で区別をして、どちらの票であるかということを判断する以外にないと思います。
#163
○原虎一君 先の改正要項の四十二、即ち潜在無効投票の問題ですが、もう一度お聞きしようと思いましたのに議事進行が出ましたので……。結局三浦さんの説明を聞いておりますと大体まあ裁判所の判決を例とされて、それが過去の経験であり、法的な処置として正しいと信じられてやられておるようでありますが、我々もこういう問題についてはそう深い経験を持つておりませんが、常識的に考えても一人の候補者に仮に五百票のここに潜在無効投票があつてその五百票が一人の候補者だけに実際に入れられるということは、これは数学的に計算して行つても恐らく天文学的な解折をしなければわからんと、こういうことを数学者が言つておるらしいのですね。そうして見ると、私は最高裁の判例といえども余りにこれは、いわゆる潜在無効投票をなくするために厳罰方針で行つておるという以外にとれないのですね。数学的に見て、実際的に見て三十人なら三十人の候補者に潜在無効投票が確実に五百票入るということはあり得ない。あり得ないということは取締の立場から、そういう不正をなくするために非常に強硬な厳罰的な処置をとる、そのために小澤委員長の指示されました成るべく選挙のやり直しというようなことをなくしようという趣旨と全然逆になつて行つておる、この点だけはとくとお考えになり、この点はそういうことにならんという御意見があればそれを聞いて、我々も衆議院のかたがたとも協議の上修正したいという考えを持つておりますので、折角こういう法案を作るのですから、あなたがたの御意見をよく聞いておきたいと思います。
#164
○衆議院法制局参事(三浦義男君) 先ずその点を先にちよつと申上げて御了解を得ておきたいと思います。今度の改正案によりますと再選挙の機会が従来よりも多くなりやしないかということは全然逆でございまして、従来のいわゆる裁判所の判決によりますと当選者から全部差引きますから、従いまして落選者からは引かないわけであります。従いまして再選挙の率というものは非常に多いわけであります。ところが今度は候補者全体から一応差引くという観念をとつておりますので、当選者だけでなくして、落選した人からも差引いて一応計算する、従いまして原則的には当落の順位も変るのでなく、そのまま差引いたもので、その人の得票と認めて、ただ法定得票数以下になつた場合、これは止むを得ないから仕方ない。こういうような観念に立つておりますから、再選挙の機会は従来よりも多くなるということは全然考えておりませんから、その点は御了承願います。それから潜在無効投票の問題につきましては最高裁判所の判例、その他いろいろ私が申上げましたような趣旨で考慮いたしたわけでございますが、何といたしましても按分の問題につきまして先ほどの端数の問題をどう処理するかという非常に技術的な問題になります。そこの点について十分御検討を願うことが望ましいのではないかという点だけを申上げておきたいと思います。
#165
○原虎一君 くどいようでありますが、あなたのお説で行くと按分する場合に端数のことを一番重要視されておるようであります。要するに按分の場合におけるところの一番困難な問題というものは端数を処理することが困難だというふうに言うのですが、その他にもあると思うのですが、それも聞きたいのです。
#166
○衆議院法制局参事(三浦義男君) その点については実は私先ほどのお話で御説明がありましたが、例えば五百票なら五百票という非常に多い得票数に一人の候補者が入つておるということはなかなか確実性から言つても余りないじやないかというお話でありますが、それは言葉を返して申訳ありませんが、逆の場合を考えていわゆる得票数が按分によりまして、逆に得票数の少い人は無効投票数も少いという理論も成立たない。例えば千票取つた人と、それから五百票取つておる人と、こういうことを仮定いたしました場合におきまして五百票の人が全部五百票の潜在無効、或いはそれに近い潜在無効があるかも知れません。それは五百票の得票が一人の人に行つていないという推定と同じように又逆の推定も可能なわけであります。その場合におきましてどちらの推定がいわゆる合理性があるかということでありますが、これは得票の内容を調べて見ないことには全くわからないことでありまして、場合によりましては少い投票に全部入つておるということもなきにしもあらずで、この点につきましてはそういうような理論的な点から申しましても、そういう理論は成立ち得る、かように考えております。
#167
○原虎一君 もう一つは衆議院の委員会で成るべく選挙のやり直し等をなくするという趣旨から考えられたようでありますが、今まで成るほど最高裁の決定なんかを見ましても当選者から一律に引いてなかつたかも知れませんが、併し現に方々で起つておる問題、市町村で起つておる問題は一律に潜在無効投票を引いたために、例えば立川なんかもこれが半数以上のものが法定投票数に達しないので選挙のやり直しをしておる。広島も同様。この法律を作るたびにそんなことが始終起きておる。それはあなたの説明は従来は当選者から一律に引いておつたから、従来と変りはないのです。併しそのやり方がいわゆる一律に引くというやり方が法定得票数から下る人を多く作つて、結局選挙はやり直しになつて来ておる。この事実は殖えていると思うのです。併し従来より殖えるとは思いませんが、そのやり方が要するに選挙やり直しを多くやらなければならぬ。まあ二百町村とか、百八十町村とか、潜在無効投票の問題が起きておつて、かなり多くの市町村がやり直ししなければならない、このやり方で行きますと……、と言つておるわけですが、ですから私は従来よりこれで急に殖えるとは言いませんが、このやり方自体が選挙やり直しが殖えるものだと思う。そうなれば衆議院の委員会の考え方と実際は反して来る。こういうふうに私どもは判断せざるを得ないわけです。
#168
○衆議院法制局参事(三浦義男君) ちよつと今お話がございました点で、法定得票数以下になるということのお話がありましたが、そうではないのでありまして、現在のやり方で参りますと、お話の通り、当選者からのみ引くわけでございますから、引いてその結果次の落選者、最高落選者と申しまするか、次点者、それ以下になればすべて無効になる、こういうことになつておりますのを、候補者からそれだけ全部引きますから、総体的に全部少い票数で計算をする、こういうことになるわけです。その結果最低の得票数をなお下廻つたものがあれば、それは止むを得ない、こういう考え方なのです。従いまして従来の最高裁の判例よりは、邊かに飛躍をいたしておるわけでございまして、再選挙とか何とかいう機会が従来より多くなるということは全くないわけであります。ただ先ほどお話がありましたように、今度の潜在無効投票がいろいろな原因から起つておりますが、それは立法措置によつてすべて潜在無効投票のあつたものを全部救済しようという立法趣旨でありますれば、これは成るたけ全体に響かない方法がいいと考えますれば、それは按分比の影響が少いということは言い得ると思います。併しながらこの問題は先ほど申上げましたような、いろいろな法律的な問題、それから学界においてもいろいろな問題があるわけでございますので、その点をまあお含みの上御審議願つたらいいじやないか、かように考えます。
#169
○原虎一君 もう大体わかつて来ましたが、あなたの考えと我々の考え方が違う点がはつきりして来ました。ただ一点は、我々が調べた範囲、聞いた範囲では一人の候補者が五百票の潜在無効投票が本当に集中して入るということは、もうそういう投票を天文学的な数字の回数をやらなければ……、そういうことはあり得ないということを数学的に調べてやつて御覧になりましたか。それに対する何か御意見ありますか。
#170
○衆議院法制局参事(三浦義男君) それはそういう意見もあること私承知いたしておりまして、確かに非常に多い投票を予想された場合におきましては、常識的に考えましても、それがみんな一人の人に入つておるということを想像し得ないということは確かに言えると思います。併しながらそれが少い場合におきましては、むしろ逆にそれだけのものはみんなに入つて来るかも知れないということが言えるわけであります。だから説明の如何によりましては、非常に投票総数が五百票予定された、或いは十票、二十票、或いは五十票というものを予定された場合におきましては、おのずから候補者の中に何票それが入つておるという確率性の問題について多少の相違があるということは止むを得ないと思います。そういう前提を明らかにした上でなくては、ただ一律にどちらがいいとうことは言えないかと思つております。なおこの問題につきましては、いろいろ問題が多いように思いますので、現在の私どもの調べでは、潜在無効投票の件数が百四十八件、日本全国でこの前の地方選挙においてあるという話を聞いております。従いましてこういう改正案によりました場合と、そうでなくて按分比によりました場合におきまして、どういう結果が生ずるかということは、この前の地方選挙の潜在無効投票の結果について御調査して頂くということも、なお結構じやないかと思つております。
 それからもう一つ附加えておきたいことは、先ほど五百票とかいう例が出ましたが、今度の案におきましては、これは開票区を中心に考えておりますので、開票区ごとに考えております。従いまして開票区に五百票の無効投票があるかどうか、まあ広さによつて違うでありましよう、仮にあるといたしまして、そのときに四十票しか本当の得票数がない人がございましたら、その人の本来の得票が四十票しかないのですから、五百票の得票がありようがない、事実不可能です。従いましてその者については、四十票を取つた限度において考える。このように、この案の趣旨はそういうことになつております。
#171
○岡本愛祐君 原君の御質問で大体衆議院側の考えがわかつて来たのですが、先ほど若木君が触れられた六十八条の二と、この二百九条の二との関連性です。これは三浦君から御説明があつたように、積極的と消極的の差はあります。併しいずれも要するにできるだけ穏当な擬制を用いて、そうして無効投票を少くし、選挙人の意思、積極的には選挙人の意思を成るべく反映させる、又無効投票なんかによつて当該候補者が不利益をこうむらないようにするという趣旨であろうと思うのです。それで大野君からも御質問がありましたが、六十八条の二におきまして、これは大きな非常な擬制なのです。大野という名前が書いてある、三人連記の場合が一番いいのですが、それが果して大野幸一の意味でなくて、そのほかの投票で大野という票がその開票区にあれば、それに比例してその大野を生かしてやる。つまり六十八条、本条の第一項の第七号「公職の候補者の何人を記載したかを確認し難いもの」というやつを成るべく生かしてやろうという趣旨なので、これは積極的にプラスしてやろう。それから二百九条の二のほうは潜在無効投票が出て、これをまあどうしようか、そうすると衆議院の案では、一律に引くということが、実はこれは各候補者にとつては一番いたいことなのですね。一番不利なことなのです。つまり不利というのは当らんかも知らんが、ともかくその開票区における無効投票の全部自分の得票から引かれれば、これはいたいといつていいだろうと思う。だからそれはやはり二百九条の二と六十八条の二と比べて見たときに、片方は按分で成るべく多くしてやろうというのだから、片方も按分したほうが穏当じやないか、こう我々は常識からそう考える。若木君から質問したのもこういう意味だろうと思う。そういう意味についてはどうですか。やはりそこに関連性があつていいと思う。
#172
○衆議院法制局参事(三浦義男君) その点は、私先ほど申上げましたのでありますけれども、これは人の考え方によつて多少違つて来るかも知れませんが、私の考え方を申上げますれば、要するに何票かの無効かということは、一応確認されたわけなんです。裁判の結果百票なら百票の無効があることは確認された。その確認された無効投票をどういうふうにして引いて行くかという場合に、いろいろの考え方はあると思いますけれども、余計得票を取つておるから、それが入つておるという考え方も或いはできるかも知れませんが、必ずしもそうでなくて少い人であつても、それが全部無効の投票の場合があるかも知れないというようないろいろな点を考えました場合におきましても、喧嘩両成敗というわけでもないでしようが、一律的に引いた場合においては、一応誰にも差障りがなくていいのじやないか、自分が余計取つたから、それから余計引くということは、どこにあるかと言われた場合においても、数を取つておれば一番たくさんあると推定されるのじやないかという場合におきましても、いずれもこれは水掛論じやないかと思つております。ただ按分いたします同一代名の場合におきましては、これからは分けてやろうという場合でありまして、中に入つている得票数を差引く問題でありませんので、分け方は同じ氏名の、例えば鈴木某という人がおられた場合においては得票数を多い人に余計その票を分けてやるのが一応常識的ではないか、こういうことは考え方の相違じやないかと思いますが、おつしやることは必ずしも悪いとは申上げません。
#173
○岡本愛祐君 大体わかりましたが、つまりそこで今おつしやつたことが、私どもはその通りなんですが、つまりまあ問題の投票であるが、それは六十八条によつて無効の投票である、併しこれを有効にするためにはどうしたらいいかというときに、大野という、無効投票の、大野幸一というのを大野幸二という人で現わされた場合、それを按分をしてやろう、つまりそいつはフイクシヨンだが、まあそうしたほうが妥当だろう、大野は必ずしも大野幸一君のほうがこの投票を多く取つておる、そのほうに多く投じた投票とも言い切れない、それと同じように潜在無効投票のときも潜在無効投票は誰の持ち分が多いかと言えば、やはり大野に投じた人、最高点の人が一番多いと、こう考えるのが妥当ではないか、同じ考え方ではないか、こういうふうに考えておるのですが、その点を……。
#174
○吉川末次郎君 三浦君から答弁がありまして、目下この問題について係争中のケースが百八十何件か……百四十八件、全国の自治体の選挙においてあるというお話でありましたが、それで衆議院の案のような、一律にその潜在無効投票を差引いて行く場合と、それから全国の地区選挙管理委員会の連合会からは陳情書に掲げておりますように、先ほどお話のありました各候補者の有効投票数に応じた当該無効投票数を按分して差引いて行く場合と、その百四十八件のケースに当てはめて行つたときにはどうなるかということの具体的な結果についての研究が常任委員会の福永専門員の手許にあるのじやなかと思います。若しありましたらこの際に御発表が願いたい。
#175
○専門員(福永与一郎君) 只今の吉川さんの御質問にお答え申上げますが、私のほうで調べがついておりますのは、広島市とそれから立川市、釜石市、飯田市、この四市でありますが、一応衆議院の改正案によつて計算をいたして見ました。それによつて見ますと、一番著しく予想外の結果が出て参りますように思われますのは広島市の場合、即ち四十人の定員のところに衆議院の案によつて計算いたしますと法定得票数に達する者は僅かに八名であります。而も第四位、第五位、及び第八位というような高位の得票者が却つて落選、法定得票数に達しないで落選する、失格するというような結果が出て参ります。こういう結果はどうして出るのかということを考えて見ますと、御案内の通り開票区ごとに計算するということになつておりますので、或る開票区で僅かの得票しかなかつた人は、その限度においてしか差引かれませんので、そういう結果が出て来るわけであります。広島市の場合は一番私の調べましたところではひどいようでありました。あと多少の問題はございますが、広島市の場合が一番極端な例のように思われます。これは先ほどからだんだんお話のありましたように、根本は潜在無効投票数の絶対数がかなり多い結果でありまして、広島では六百三十二票でありますか、そのようにかなり多い場合にはそれが一律に引かれます結果、法定得票数においてのレベルが非常に少くなつて参ります。そこで少くと言いますか、絶対数が減りますので、そういう影響が強く現われて来るように考えられるのであります。これに対して先ほどからお話のあります按分によつての計算はまだいたしておりませんので、その点について……。
#176
○吉川末次郎君 立川の例、立川の例をもう少し一つ……。
#177
○専門員(福永与一郎君) 立川は二十六名の定員でございますが、立川の場合には……。
#178
○吉川末次郎君 今説明が困難であれば正確に計算をしてからで結構です。
#179
○専門員(福永与一郎君) 大変申訳ありませんが……。
#180
○吉川末次郎君 それからこの計算についていろいろ請願が我々の委員会に来ておるのじやないかと思いますが、何件来ておるかということも今答えられれば答えて頂いて結構です。答えられなければあとでいいです。
#181
○専門員(福永与一郎君) 後ほどお答え申上げます。
#182
○政府委員(吉岡恵一君) 按分のお話が出ておりますが、ここで一つお考え頂きたいことは、第一がその無効投票が或る派の候補者の人の不正によつて行われておる場合がある。例えばAという候補者が運動員を使つて地方選挙において住所の移つているものを探し出して投票入場券あたりが来ているのを唆かして投票に行かせるという、併し無効投票が確定になつても誰に投票したかがわからない場合があるのです、こういう場合についてどう考えるか、その運動員と候補者の連関性も考えなくちやならないと思いますが、そういう或る派の不正ということが明らかにわかる場合がある。併しながらその投票が誰に入つているかということがわかりにくい場合がある。まあ、そういうことについてどう考えるかという点を一つやはり前提にお考えを頂く必要があると思うのです。
 それからもう一つは按分とありましたが、按分をする場合に無効投票のことを考えなければいかん。全部有効投票、つまり潜在無効投票も全部有効投票であるという前提に立つて考えるべきでなく、やはり無効投票の中にも入つているじやないかということも一応考えなければならんことだろうと思います。それから按分をするやり方でありますが、これは今までは大体少数、つまり一票以下を端数切捨ての考えでおるのでありますが、これは何も端数切捨ての必要はないのでありまして、分数をつけても差支えない。これはどうせ擬制でありますからその辺は分数をつけても差支えない。その三点は考えて頂きたいと思います。
#183
○岡本愛祐君 ほかのことを聞きたいのですが、小澤委員長にお尋ねするのですが、この罰則の場合に、例の事前運動、これがまあ非常に問題になつただろうと思いますが、この事前運動の厳罰主義というようなことについて御研究になりましたか。
#184
○衆議院議員(小澤佐重喜君) この問題につきましては、一番最初に申上げたつもりでおりまするが、要するにこの事前運動というものを直ちに検挙ができるかどうかという問題、即ちその事前運動をやつている候補者が、はつきり候補者として立候補届出をしてからでなければできないのか、それともまだ立候補せんでもできるのかという問題を先ず研究したのであります。いろいろ研究いたしました結果、当時は国警長官の斎藤君なんかも罰することはできないというように新聞に出ておりました。併し私のほうの委員が調べた結果、仮に立候補しないうちでありましても、いやしくも立候補することがはつきりした場合においては、これを対象として違反の罰則を適用ができるような結論を得ましたので、いろいろここにおられる吉岡君や三浦君とも意見を聞きまして、衆議院の委員会では、とにかくこれが罰則が可能であるという結論に到達したわけなんです。現行法のままで、そういうような事情でありますし、一方この現実の選挙情勢を見ますというと、とてもその我々が聞くに忍びないような事前運動もありますので、先ずこれは立法の問題ではございませんが、善後措置というような意味で当時選管の委員長並びに検事総長並びに国警長官等、或いはこの警視庁の警視総監等に出席して頂きまして今の事情を申上げ、是非厳罰の方針で進んでくれるように委員会として要望いたしたのであります。その結果各関係庁が適当の措置を講じたと思つておりますが、同時に又委員会で考えました、又立候補前でも罰せられるという建前で現在進んでいるようであります。併し果して、その点だけ研究いたしましたが、その後聞いておりませんが、とにかくそういう措置は講じて参りましたし、又今でも私は罰則を適用できるものと考えております。
#185
○委員長(西郷吉之助君) 岡本君、今の御質問に国警から選挙犯罪調というのが出ておりますからその説明をいたすようにいたします。
#186
○岡本愛祐君 国警見えておりますか。
#187
○委員長(西郷吉之助君) 刑事部長が見えております。
#188
○岡本愛祐君 それではお尋ねしたいのですが、昨日私は資料要求として事前運動に関して処罰をした件数を二十四年の衆議院の検挙、それから二十五年の参議院、それから二十六年の地方選挙、これについて件数を出してくれということを要求しておきました。今この表が参りましたが、この中の「運動期間の違反」というのはそれですか、それについて御説明願いたい。
#189
○政府委員(中川董治君) 事前運動はお示しのように運動期間の違反の罪でございますのでこの件数の中に含まれているのであります。但し御承知のようにこの運動期間の制限の違反の罪ですから、事前の場合と事後の場合と選挙当日の場合これが含まれるわけですから、大体に大ざつぱに申しまして選挙運動の期間の違反の罪の七〇%くらいが事前運動に当てはまろうかと思つております。
#190
○岡本愛祐君 この前の公職選挙法を制定しますときに事前運動の処罰について何とかこれを強化しなければいけない、そうしなければこの選挙法の罰則を作つて見たところが大分骨抜きになる、こういうふうに考えていろいろ工夫をしたことを思い出すのです。そのときに私が考えたことはこの立候補者から相手方なんかの、つまりこの事前運動について或る一定の条件の下に選挙管理委員会に申告をしてもらうという方法をとつたらばどうだというようなことも考えて見たのでありますが、それは又苦肉の案でありましたから参議院のほうの選挙特別委員会のほうでもまあまあそれは少し考えなきやならんということで留保になつたのであります。まあいろいろ考えて我々もおるのでありますが、全国選挙管理委員会において何かそれに対する名案はありませんか。
#191
○政府委員(吉岡恵一君) 非常にむずかしい問題でありまして、まあ一つ考えられることは選挙が告示になりましてから候補者に立つた人の過去を振り返つて見てその候補者がやられた、例えば饗応類似の行為、そういうことは選挙のためにやつたものとみなすという規定を置くことであります。ただこれをやりますと候補者が本当に選挙に出るためにやられるのでなく、何か本当のほかの目的のためにやられることまで全部抑えるということになつてそういうことが社会生活の上から見ていいかどうか、こういう判断になると思います。それ以外は非常にむずかしいのでありまして、或る程度強引にやることになりますとやはり本当の正常な社会生活或いはその他の個人の生活を脅すことに、自由の制限になりますのでその辺のところとのかね合いでありまして、事前運動に対する考え方でありまするが、事前運動を非常に禁止をする、まあそういうことになりますればやはりそれに伴う弊害が片方に出て参りますそれを十分承知でやるか、或いは政治家がある程度いろんな活動をすることは当然認めるべきでないか、むしろそれを正常なほうへ持つて行く場合に演説会によつて、或いはパンフレツトによつて政治的な意見を吐くということは正常に認めるべきじやないかという議論も立つと思います。むしろそれを認めたほうが闇的な活動のほうへ移ることを防ぐゆえんではないかというような考えも出て参りますし、これは非常にむずかしい問題で我我はどうしたらいいという結論は得ておりません。
#192
○原虎一君 あと戻りするのですが、二点、新聞に関する問題と、それから不在者投票問題をちよつと聞きたいと思いますが、よろしゆうございますか。それでは新聞の問題ですが、これは衆議院の小澤委員長にお聞きしたいのですが、要綱の十二頁の第三ですね、「当該選挙の選挙期日の公示又は告示の日前一年以来、前二号に該当し、引き続き発行するものであること。」この場合、改題して、その前の一、二を兼ねておる、具備しておつて、そうして例えばり週刊毎日を週刊青年に改題した、そういう場合にはどういう扱いにされるか、この文理解釈で行くと、場合によつてはそれはいかんということになる虞れがある。そういう場合と、それからもう一点は、今年初めてこれをやるのでありますから、丁度法律が一年前にできておれば新聞、雑誌社も準備できたが、今年はできないわけですね。だから今年はそういう点の事情を考慮して、例えば十カ月になるものはそれを何するというようなことはお考えにならなかつたのですか。そういうことも考えてもいいのじやないかというように思いますが、どうですか。
#193
○衆議院議員(小澤佐重喜君) 第一の改題の問題でありますが、この新聞、雑誌を制約いたした根本の目的は、言うまでもなく、俗に言うもうろう新聞、もうろう雑誌とかいうものを取締る方針でありまして、従つて実際上は三年も五年もやつておつた、或いは部数も相当あつた、ただ名前だけ変えたというものはできるだけ存続して、つまり信用のおける新聞、雑誌というものは広く解釈して、そういうものは置く方針であります。
 それから過渡期における善処措置の問題でありますが、これは原委員の御意見の通りにそういうことも何ら差支えないと私は考えております。併し衆議院の委員会ではそういう議論は出ませんでした。
#194
○原虎一君 それから不在者投票についてちよつと質問したいのですが、非常に今度不在者投票は厳格にしなければ……それを悪用した事実に鑑みて厳格にする。この御趣旨はよくわかるのです。問題は具体的に申しますと結核療養所、そういう所におる人が、殊に結核療養所に入院されて療養のためにそこに入つておる。この諸君は御承知のようにいろいろな保護立法の関係上かなり選挙というものに対して関心を持つておる。そういう諸君の投票が簡単にできるような方法はこの改正によつてできておりますか、むしろ私は非常にむずかしくなるのではないかというように考えるのですが、この点を御説明願いたい。
#195
○衆議院法制局参事(三浦義男君) その点は今度の改正案では一方において従来の在宅投票を廃止いたしました代りに、これは従来もないわけではありませんが、不在者投票管理者というものを、病院その他そういう特別の所にはできるだけ置く。こういうことにいたしまして、不在者投票管理者の管理する投票記載場所で投票させると、こういうことになつておる。従来選挙管理委員会等におきましては、そういう結核療養所等におきましては或る一定のベツド数を単位といたしましてそこに投票管理者を置いておりますので、今度不在矛投票を廃止いたした結果、不在者投票が阻まれることのないようにという考慮から、できるだけ不在者投票管理者を広い範囲に置くというような措置を講じてもらいたいという委員会の要望でありまして、そういうようなことで適当に処理されることになつております。
#196
○原虎一君 そうしますと、家で病気しておるものは投票はできない。
#197
○衆議院法制局参事(三浦義男君) そうです。
#198
○原虎一君 けれども療養所におるものは不在者投票管理者が置かれるからできる、こういうことになるのですか。
#199
○衆議院法制局参事(三浦義男君) そういうことでございます。
#200
○岡本愛祐君 もう一つ国警の中川刑事部長並びに全国選挙管理委員会にお尋ねしたいのですが、選挙違反で問題になつて起訴をされて、それがなかなか片が付かない、例えて言うと、昭和二十三年の五月にあの参議院の第一回の選挙があつて、そのときに買収その他で起訴をされて、そうして問題になつた人が当選者でも数人あるわけです。それが五年たつてもまだ片付かない。そのうちにとうとう今度は特赦になつて何もなくなつてしまつたというようなことが起つておるのですが、そういうようなことが可能であれば、金があつて弁護士でも雇えば選挙違反なんか幾らやつたつていいということになるが、どういう関係ですか、こういうことになつたのは。
#201
○政府委員(中川董治君) 私ども選挙法違反の罪の調査等につきましてはいろいろ証拠等によりまして厳正公平に検挙いたすのでありますが、警察が検挙いたしましたものにつきまして検事がこれを公訴を提起する、その後第一審の判決があつて、その後控訴等がありまして事件が相当長引く、こういうことは御指摘の通りでありまして、現行の刑事訴訟法乃至裁判制度上控訴を認めておりますので、相当長引くということになることはこれは誠に現状としてそうであると申上げるよりほかないと思います。
#202
○岡本愛祐君 私どもが非常に遺憾に思うのはその点でありまして、客観的に買収行為のあつたものが中にある。そういうものが、起訴をされて裁判をされているものがいつまでたつても片付かない。ここに大野君がおられて恐縮ですが、金のある人は弁護士に対して相当の報酬をやつてそうして引つ張り延ばす、そのうちにもう長い参議院の六年の任期は過ぎてしまうというようなことになる事例がたくさんある。この点を早く改正しなければ、選挙法で罰則を設けて見ても、比較的正直な、まずいものがやられて、そういうずるい、又金のある人は得をするということになつてしまう。これはこの選挙法の改正だけの問題で片付く問題ではありませんが、罰則の問題に関連して我々は甚だ遺憾であるということを申上げて、恐らく衆議院のほうでもそういうようにお考えになつていると思いますが、こういう点は出ませんでしたか。
#203
○衆議院議員(小澤佐重喜君) そういう意見の持主もありましたのでありますが、正式な委員会の席上では出たことはありません。
#204
○委員長(西郷吉之助君) 他に御質疑はございませんか。
#205
○石村幸作君 大分もう質疑が済みまして大体わかつたのですが、ちよつと一つお尋ねしたいと思います。それは二十四の新聞、雑誌の報道の自由ですが、その中の(ロ)の四百十八条の二であります。これは新聞、雑誌が特定人のために饗応、つまり報酬を受けて提燈記事を書いてはいけない、こういうふうなことでありますが、而もこれは報酬を受けることを前提としているのです、その禁止でありますが、地方紙の場合ですと特定な候補者といろいろ関連を持つている新聞社又は特に関連を持つている新聞社が自分の、早く言えば好意的、表向きは好意的で、その報酬とか饗応等を問題なく、俗に言う選挙提燈記事を特に掲げる、こういうような場合、これは取締り、これには当らないわけですね、そこをちよつと……。
#206
○衆議院法制局参事(三浦義男君) 今のお話の点は百四十八条二の三項の場合だろうと思いますが、「何人も、当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて、新聞紙又は雑誌に対する編集その他経営上の特殊の地位を利用して、これに選挙に関する報道及び評論を掲載し又は掲載させることができない。」ということになつております。特殊の地位を利用して当選を目的として記事を書いてはいかんということになつております。それから何か金銭をやつてやる場合はこれは一項のほうでありまして、これは地位とか、そういうものとは関係なしにいわゆる言論買収と申しますか、従来の買収に対しましてそういう言葉で一応仮称いたしておるわけでありますが、そういう場合も勿論罰せられる、こういうことになつております。
#207
○石村幸作君 今の三の場合ですが、特殊の地位でありますが、特殊の地位というのが問題で、例えばその新聞社の後援者だとか、出資者だとかいう……、社長をしているとかそういうふうな関係でなく、特殊の地位とは言えないけれども、精神的に非常に候補者を特に応援するという意味でこういう行為をする、それはどうでしよう……。
#208
○衆議院法制局参事(三浦義男君) それは新聞社自体が本来の新聞の使命に基きまして、或る人の記事を、選挙に関して記事を書くということは一向差支えないわけでありまして、まあここで規定いたしておりますのは、編集その他経営上の特殊の地位を利用してこいうことをやらせることはいけない、こういうことでございまするから、今のお話のようなことはこれに入らんと思つております。
#209
○石村幸作君 わかりました。……今の問題相当もうぼつぼつ始まつておりますが、地方紙に至つてはこれがこの裏をかいて相当強力に行われると思うのですが、そういうことは考慮はしたのでしようが、これはいわゆるもぐりで仕方がない、こういう見解でしようか。
#210
○衆議院法制局参事(三浦義男君) まあこの百四十八条の二はそういうこともあり得ますから、新らしく今回こういう規定を置きましたわけで、従来はこういうものについての直接の処罰規定がありませんから、自由に任せられておるわけでございまして、現在も一応この規定がまだ施行になりません間はそういうことは一応放任してある。つまり金でもやつて特別の買収ということに当らない限りは処罰に該当しない、こういうふうに思つております。従いましてこの規定を置きました趣旨はそういうことを抑制しようという趣旨でありますので、これが早く施行される場合はこれに該当する限りはこれに抑えられる、こういうふうに考えております。
#211
○委員長(西郷吉之助君) 他に御質疑ございませんか。……それでは本日はこの程度にいたしまして、明日十時から地方制度調査会法案をいたします。本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五分散会
ソース: 国立国会図書館
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