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1951/07/16 第13回国会 参議院 参議院会議録情報 第013回国会 地方行政委員会 第62号
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1951/07/16 第13回国会 参議院

参議院会議録情報 第013回国会 地方行政委員会 第62号

#1
第013回国会 地方行政委員会 第62号
昭和二十七年七月十六日(水曜日)
   午前十時五十九分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     西郷吉之助君
   理事
           中田 吉雄君
   委員
           岩沢 忠恭君
           石村 幸作君
           高橋進太郎君
           岡本 愛祐君
           館  哲二君
           若木 勝藏君
           原  虎一君
           吉川末次郎君
  衆議院議員
           小澤佐重喜君
  政府委員
   全国選挙管理委
   員会委員長   牧野 良三君
   全国選挙管理委
   員会事務局長  吉岡 恵一君
   地方自治政務次
   官       藤野 繁雄君
   地方自治庁次長 鈴木 俊一君
   地方自治庁連絡
   課長      松村 清之君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       福永与一郎君
   常任委員会専門
   員       武井 群嗣君
  衆議院法制局側
   参     事
   (第一部長)  三浦 義男君
  ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
○地方制度調査会設置法案(内閣提
 出、衆議院送付)
○公職選挙法の一部を改正する法律案
 (衆議院提出)
○国会議員の選挙等の執行経費の基準
 に関する法律の一部を改正する法律
 案(内閣提出、衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(西郷吉之助君) それでは只今より委員会を開会いたします。
 本日は地方制度調査会設置法案につきまして、提案理由の説明を聞きまして、直ちに質疑に入りたいと存じます。
#3
○政府委員(藤野繁雄君) 只今上程されました地方制度調査会設置法案につきまして、提案の理由を御説明いたします。
 民主政治の健全なる運営発達を期するためには、地方自治の円満なる育成発達が必要不可欠でありますことは申上げるまでもありません。この見地から政府は、国民と共に終戦以来今日に至るまで、地方自治の充実強化のため、あらゆる努力を重ねて参つておるのでありまして、今後といえども日本国憲法に淵源する地方自治制度の基本理念と基礎構造においては、特別の変更はあり得ないのであります。併しながら地方制度につきましては、過去六年有余における運営の実際の経験に徴し、且つ独立後の新事態に鑑みまして、検討を要すべき点が少くないと存ずるのであります。
 先ずこれまでの改革の結果を見まするに、地方行政の各分野における諸制度相互の間に有機的一体性が保たれているとは必ずしも言い得ないのでありまして、地方自治制度を全体的に考察し、その構造、組織、税、財政制度等に再検討を加えることが今日必要とされるのであります。かかる見地に立ちまして、政府は地方制度に所要の改革を加えて行きたいと存じているのでありますが、地方制度は各方面の利害に重大なる関係がございますので、地方制度調査会を設けまして、国会議員を含む各界の有識練達の士の御意見を十分に伺い、所要の改正案を作成いたしたいと存じておるのでございます。何とぞ愼重御審議の上、可決されんことをお願い申上げます。
#4
○委員長(西郷吉之助君) 更に法案の内容につきまして、事務当局から説明を頂きます。
#5
○政府委員(鈴木俊一君) 第一条は「総理大臣の諮問に応じて地方制度に関する重要事項を調査審議するため、国家行政組織法第八条第一項の規定に基き、総理府の附属機関として、地方制度調査会を設置する。」ということを規定をいたしまして、この機関の性格と、それから所掌事務の範囲を明らかにいたしたわけでございます。地方制度に関する重要事項という表現は、非常に包括的な表現でございまして、地方制度に関しまする一切の重要事項を含むという考え方でございます。
 それから第二条の組織の問題でございますが、これは「委員五十人以内で組織する。」「特別の事項を調査審議するため必要があるときは、」本来の委員のほかに臨時委員として二十人以内を置くことができるということになつております。
 それから調査会の内部の構成でありますが、これには会長、副会長各一人を置きまして、委員の互選によつてこれを定めることになつておりまして、会長は会務を総理し、副会長は会長を補佐し、その職務を代理するというのであります。
 第四条は、内部構成の問題の部会の関係の規定であります。「会長は、必要に応じ、調査会に部会を置き、その所掌事務を分掌させることができる。」「部会に部会長を置き、会長の指名する委員をもつて充てる。」「部会所属の委員は、会長が指名する。」部会といたしましては、審議の過程において、審議の都合上適当と思われまする部会を設けられることに相成ると思います。
 それから第五条でございますが、これは調査会の構成委員の資格、選任の方法等を規定いたしたものでございます。委員は、国会議員、関係者行政機関の職員、即ち政府各省、各庁の職員、それから地方公共団体の議会の議員、地方公共団体の長及びその他の職員並びに地方制度に関し学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣が任命する。委員の任期は一年とし、再任を妨げない。委員が欠けた場合における補欠委員の任期は残任期間、臨時委員は、やはり通常の委員と同様の範囲から総理大臣が任命するわけであります。臨時委員は、特別の事項の調査審議に当るわけでございまして、その審議が終れば解任され、委員はいずれも非常勤であります。その他は雑則、運営上の雑則は政令で定めるということであります。なお附則におきましては、総理府の附属機関になりまするので、附属機関として別表に掲げるようにいたしたわけであります。簡単でありますが、大体以上を以て逐条的に御説明申上げました。
#6
○委員長(西郷吉之助君) 以上で説明を終りましたが、御質疑をお願いしたいと思います。
#7
○吉川末次郎君 地方制度は、終戦後新憲法の精神に副いまして、この憲法上に規定されております地方自治の条章によりまして、制度上の改革としては、現在の地方自治法に集積されているような形に一応なつて来ていると思われるのであります。而も毎国会におきまして地方制度上の改正案が政府から提出されなかつたときは私はなかつたと思われるのでありますが、殊に最近におきましては、シヤウプ使節団の勧告を基本といたしまして、地方行政調査会議というような、非常にスケールの大きい調査機関が作られて、そしてそれに基く地方制度及び財政制度上の改革も一応これを完了したわけなんであります。これは遠いことではなくして、最近のことであり、殊に今期国会に出されました地方自治法の一部を改正する法律案のごときも、この地方行政調査会議の結論としての神戸勧告を基本として提案されたものなんでありますが、それが又今度根本的な改革をしなければならんというので、こういう大規模の調査機関を作るという法案を出されているのでありますが、この御説明だけではそうしたことの必要があるということについての十分な私は説き明しができていないかと思われるのであります。それについての御答弁を得たいということが第一点であります。もう少し具体的に言いますと、只今の提案理由の中にこういう言葉があります「併しながら地方制度につきましては、過去六年有余における運営の実際の経験に徴し、且つ独立後の新事態に鑑みまして、検討を要すべき点が少くないと存ずるのであります。」、こういうことが書かれまして、その次に又「先ずこれまでの改革の結果を見まするに、地方行政の各分野における諸制度相互の間に有機的一体性が保たれているとは必ずしも言い得ないのでありまして」云々と、それでここに多少具体的に説き明されている、検討を要すべき点が少くないと言われている、その検討を要すべき点とは具体的にどういうことであるか。それから地方行政の各分野における諸制度相互間に有機的一体性がないということを言つておられるのでありますが、それはもう少し詳しく具体的に言つて頂くとどういうことであるかということを先ず一つ御答弁願いたいと思います。
#8
○政府委員(鈴木俊一君) 終戦後の地方制度の改革につきましては、吉川委員も十分御承知のごとく、先ず時間的に申しましても、非常に毎国会に改正の法律案が提案ざれるというようなことで、その改正案の問答につきましては、多くは関係方面のサゼツシヨン等に基きますものが非常に多かつたわけであります。根本の考え方においては勿論変りはないと思いますけれども、具体的な制度上の問題等につきましては、やはり時期を異にしております関係で、具体的にサゼストいたします人も違うというようなことで、その間に若干のズレがある。或いは分野から申しましても、狭義の地方自治法を中心とする地方自治制度と、或いは税制、財政、域いは公務員制度、或いはもつと中味の問題といたしまして、警察とか、消防とか、教育とかと、或いは社会福祉関係の仕事、或いは農林関係の仕事、およそ地方団体の手を通じて行なわれまする行政の各分野に亘りまして、必ずしも同じような一つの考え方と申しますか、取扱い方になつていない、相当それぞれの関係のセクシヨン、或いは関係の担当者の考え方によつて、いささか全体としては調子が合つてないというような面があると思うのであります。こういうような点を、狭義の地方自治制度、或いは広義の地方自治行政全体を通じまして一つの安定を持つた、それこそ毎国会において直さなければならないというようなことのないような、将来長期に亘つて相当程度みんなが自分の自治制度として維持できるような形のものを国民の各階層、各界の叡知を総合して集めて作り上げて頂きかいと、こういう趣旨であるのであります。この提案理由の説明にございます言葉が、或いはやや抽象的でありましたかも存じませんが、根本の考え方はさような意味で、要するに或る前提条件にとらわれないで、戦後の新らしい民主政治に立脚しました自治制度として、結局において一つの府県、或いは一つの市町村というような地方団体が運営いたしますものでありますから、そういう受入れ側の一つの市町村、或いは府県という立場から、本当に有機的に、一体的に動くような制度であつて欲しい。何と申しますか、余りに専門的に分化されてしまつておるような関係で、部門々々としては一つの理想を追求しておるようでありますけれども、一つの府県或いは市町村と、こういうような立場から考えまして、組織として必ずしも合理的でないといつたような面があるように思われるのであります。そういうようなことが、ここで申しております実際の経験に徴し検討を要すべき点が少くない、或いは有機的一体性を保たれていないといつたような意味を現わしたつもりでございます。
#9
○吉川末次郎君 それは、私が答弁を得たいと要求いたしておりますことに必ずしも十分答えてもらつていない憾みが非常にあるのでありますが、むしろその前提として、第一問として御質問しましたことに対する御答弁だけを得ているような感じがするのであります、それで今の私がいたしました第一質問に対する御答弁の範囲内の御答弁であつたと思われるのでありますが、その範囲内におきましても、先に言いましたように、全面的な日本の地方制度の改革を検討してみるというようなことにつきましては、今期国会にもそれに関連して、地方自治法の一部改正案が出されたと同じように、いわゆるシヤウプ勧告に基く地方行政調査会議がそれを一応やつたんではないのですか。そして又シヤウプ勧告の内容を見ましても、それは府県税の問題についても、或いは市町村のあり方の問題についても、それに伴うところの地方財政の面においても、相当広範囲に一つの有機的な一体性を持つてまとまつた考えが提案されていると思うのです。又それに基いて、ああしたビツグ・スケールの地方行政調査会議が持たれたのでありますから、それが店じまいを今やつたところであるにかかわらず、又それと同様の趣旨のこうした機関を持つ必要があるということがちよつと私には呑込めないので、それについてもう一度御答弁が得たいということが一つと、それから私が第二問としてお尋ねしたことは、ここに書いてあることを繰返して言うて頂くのでなくして、六年有余における運営の実際の経験に徴して検討を要すべき点というのは、抽象的な表現でなくして、どういうことなんですか。例えば府県税なら府県税の問題について、こうこうこういう点がもう一度基本的に検討してみなくちやいかんとか、或いは市町村のあり方についてもう一度考えてみなくちやいかんとか、或いは自治体議会の構成について、或いはその選挙のやり方について、こういう点を我々は再検討を要する問題として考えておるのであるというようなことまで、一つ当局がこの法案を出される動機としての問題点とされている具体的な個所、それをもつと列挙的に説明して頂くのでなければ、地方行政調査会議が漸く店じまいをしたばかりであるのにかかわらず、又同じようなものを拵えるというようなことについて、どうも十分了解できないと思うのです。重ねて一つ御答弁を得たいと思います。
#10
○政府委員(鈴木俊一君) シヤウプ博士の来朝並びにその勧告、それから又その勧告に基きましてできました地方行政調査会議の勧告と、これらは御指摘のごとく、地方制度の改革について一つの理想を指し示したものでありまするし、又それに基く具体的な解決策を示したものでありますが、それに基いて行わるべき問題の中心は、市町村を基盤、第一義といたしました行政事務の再配分と、それからこれに照応いたしまする税源の再配分、こういつたような問題であつたと思うのであります。これに関しまする事務再配分というものが、遺憾ながら今日まで徹底した案が行われないということは誠に遺憾でございまするけれども、この勧告に基きまして行われました税の問題につきましては、これも御承知のごとく、その以前の状態と比較いたしまして、殊に大都市等におきましては非常に窮屈になつておりまするし、又更に甚だしい状態になつておりますのは府県であります。やはり事業税、入場税、遊興飲食税、こういつたような形、これに附加価値税を切替えるということが基本であります。これらの問題が、やはり勧告の趣旨がそのまま取入れらず、今日のような状態になつておるわけでありまして、これを一体どういうふうに今後打開して行くかということが、実は非常に大きな問題であろうと思います。事務再配分の問題につきましても、これを一体今後どういうふうにして行くかといつたようなことがやはり大きな問題であろうと思います。神戸委員会の勧告の中で、曲りなりにもまさに実現しようといたしておりますのは、先般来御審議、御可決を願いました地方自治法の一部改正によつて現われておりますような点だけであります。これはいわば事務再配分等に伴います地方行政の簡素化、合理化、能率化という面からの改正だけでございまして、基本のやや根本に亘る問題については、全然触れてないわけであります。従いまして神戸委員会の勧告だけですでに今後何ら問題なしに問題が解決したというようなことでなくてむしろ従来の体制に対して、新らしい理想に基く勧告をし、それに基く中途半端な改革が行われたという今日の状態においては、更にこれを今後如何に調整して行くかというような、より複雑な、より面倒な問題が今日ここに起つているというふうに考えるわけであります。
 それから第二の点の問題といたしまして、地方制度調査会では、然らば具体的に如何なる点を検討するかというお尋ねでございますが、この点につきましては、先般地方自治法の御審議の際にもいろいろ御意見がございましたごとく、又只今御指摘にも相成りましたように、都道府県の性格というようなものは、これを先ず第一に検討すべきものであろうと思います。現行地方自治法においては、憲法上等しく府県も市町村も地方公共団体という一律の表現になつております関係で、地方自治法上も殆んど同じ性格の団体として規定されているわけであります。ここにやはり根本のいろいろ問題があるわけでございまして、府県の生格を如何にするか、又その性格の検討に関連して、府県の規模を如何ようにするか、或いはこの関連において道州制というような問題を如何にするか、道州制というふうに、国と市町村との間の中間のいわば自治単位、或いは行政単位である道州或いは府県というものを再検討いたすということに相成りまするならば、国の行政の単位になつておりまする各種の出先機関といつたようなものとの関連を如何ように考えるかというようなことも問題になるだろうと思します。それから又市町村を第一義にいて地方自治を考えるという根本の考え方は、過般シヤウプ勧告で明らかにされたところでありまするし、この点は今後とも大いに維持せらるべき点であろうと思いますけれども、それにいたしましても今の市町村の規模、今の市町村の財政力といつたようなもので、果してさようなことができるかどうか。そこでやはり市町村の規模の合理化を考えるといたしまするならば、何かもつと根本的な措置がないかというようなこともあるでありましよう。要するに地方公共団体の構造というような問題について、第一に考えるべき点があろうと思うのであります。それから地方団体の構造が一応考えられました後におきまして、然らばその中の組織をどうするか、執行機関、議決機関の組織につきましても、憲法上一律に、地方公共団体の長は直接に選挙すべしと、こういう一つの方式があるわけでございますけれども、かような直接選挙方式というものを、例えばアメリカのごとく委員会制度、支配人制度、或いは従来日本にもございましたような、市町村会が市町村長を選挙するといつたような方式、これにはいろいろ批判もあるでございましようが、一律に直接選挙方式というものが果して将来長久に維持せられべきがいいのかどうかと、こういうような点、その他の方式は一切とり入れらるべからざるものであるかどうかと、こういうような点もやはり検討の対象になる問題であろうと思うのであります。それから執行機関の問題といたしまして、更に各種の行政委員会制度の問題は、これを将来長久に維持すべきか、或いは維持すべからざるものか、或いは行政委員会自体をどうするかという問題もあろうかと思います。議会の運営の問題にいたしましても、一部には、やや逆行するような意味で、参事会を復活したらどうかというような御意見もあるようでございます。地方議会制度を小さい議会にも一律に適用するのは却つて適当ではないのではないかというような、こういうような意見もあります。これらいろいろな点で、やはり組織の上でも問題があるわけであります。なおこの事務の配分の問題につまきして、一体これはどういうふうにして行くかという問題もございましよう。天国と地方団体との関係につきまして、神戸委員会が、一応新たにいわゆる共同的な関係、何と言いますか、地域的な、社会的な一種の中央集権的なものを認めるような勧告をしたわけでございますが、そういう考え方によつて必ずしも全体が調整されていない。行政の分野によつては旧態依然たる権力的な集中関係というものがある。反面神戸委員会の勧告に従つた一つの考え方というようなものもある。これに対して、もうそういう中央集権はいかんと、地方分権は飽くまでもやらなければいかんというような意見もあるわけでございまして、国と地方団体との関係を如何ようにするかという根本の問題は、やはりはつきりとこれは結論を出して勧告して頂くというふうに考えておるわけでございます。その他これは各行政部門の間の問題として、教育とか、警察とか、消防とかといつたようなところにも、地方の団体の組織との間にどういうふうにこれを結び付けて行くか、委員会制度を、公安委員会、教育委員会といつたようなものをどういうふうにして行くか、これはいろいろ問題があろうと思うのであります。それから又最近の一番の問題でありまする大都市制度の問題というようなこともあるでござましようし、或いは更に実体的には、都市の住民福祉の問題として、都市計画でございますとか、或いは人口の疎散の問題といわれるいわゆる過大都市の抑制の問題であるとか、或いは水道にいたしましても、下水にいたしましても、そういつたような都市の実際の発展方策、都市政策といつたような実質をなす問題もあろうと思います。そういうようなあらゆる角度からの問題について、全体的な考察かどうも今までは不十分でありまして、或るセクシヨンの人の指示なり、いわば思い付きによつて行われた改革というものが各方面に非常に多かつたわけであります。これを全体として一つ考え直して再検討して頂きたいと、こういうのが狙いであります。別にこうしなければならんとか、こういうふうにすべきであるというような、政府としての予定の考え方は何ら持つておりませんので、問題点を申上げまして、それについての結論を拝聴いたしたいと、こういう狙いでおるわけであります。
#11
○吉川末次郎君 この基本的な新憲法に沿うところの改革が行われて、それが現在の地方自治法に集積されておると、ところが而もその間毎国会地方制度の改正を要するという点については、法案の出なかつた国会がないということは先ほど申上げた通りでありますが、更に今度は根本的に全体系についての再検討をやつて行こうというのがこの調査会設置の御趣旨であると思われるのでありますが、そこに私は、非常な政治的な見地からの、又日本の地方自治の発達の上においての大きな危機がひそんでいやしないかと思われるのであります。それは、この間の地方自治法の一部改正案の議決のときにも、委員会でも本会議でも多少申上げたことでありますが、結局よく使われる言葉で言うならば、逆コースの線に沿うた考え方から、我々が考えているよりも非常に深く改正しなくちやいけない。これではいけないのだというように思つていられる人が私は地方行政の面において非常に多いのじやないかということなんです。それからこうした改革の動機が出ているのじやないか。これは政治上においても私は非常に大きな問題だと考えるのですが、それで地方制度のごときものは、これは絶えず無暗に改革して行つたり、変えて行つたりするものじやなくして、制度が一応できれば、その範囲内において所期の目的を、多少の不便があつても、できるだけそれを果して行くという方向ヘリードして行くのがいいんでないかと思うので、新憲法に沿うところの制度上の改革というものは大体一応済んでいるのですから、これをこんな又根本的に改革しようというのは、むしろ政治的精神の上から言うというと、新憲法の精神を否認するところの考え方の上に立つのでなければ、私はこれを根本的に改革しようというような面は起つて来ないのではないかと、それをもう少し具体的に言うと、この問も言つたように、今の鈴木次長の話の中にも私はそういう片鱗が現われていたと思うのですが、具体的に言えば、旧内務省の復活、それから内務省が中心になつて、地方行政を全面的に管轄支配していたときの形態に帰して行こうというところの考えがやはり基本になつていると思うのです。それで今ここに五十人、或いは七十人の地方行政の担当者、或いはエキスパートのようなものを集めて、これをやろうとしていられるのでありますが、結果においてどうなるかというと、これはたびたび我々が言いますように、憲法は全く変つたんだけれども、ありていに言うならば、人間というものは、そんなにもう四十、五十になつて頭の切替えが行われるわけではないですから、実際憲法は変つたけれども、四十、五十の大人の連中は、その頭は、社会的にも政治的にも実際は全然変つていないのです。これはもう私は現実だと思うのです。だからして新憲法の基本的精神は人民主権ということだけれども、然らば人民主権と国家主権、或いは君主主権との相違は、これは基本的な相違なんだけれども、それがよくわかつている人が何人あるかということになつて来ると、私は極めて地方自治体の首長の立場に立つている人でも蓼々たるものじやないか。例えばよくデモクラシーとか、人民主権だとか、民主々義だとかいうことについての地方行政のことについて話をいたしますというと、これは名を挙げるのは避けますけれども、国会の専門員です。衆議院の一専門員であります。その委員会の名も言うことは避けますが、国会の専門員といえば、これは知識上の或いは最高権威者だと思います。その人が、吉川さん、あなたはそんなことを言われますけれども、日本にも美濃部さんのような天皇機関説の憲法や小法学の理論があつたじやありませんか。これは最近のことです。私にそういうことを言つて、私の言うことを駁論しようとして来た人があるわけなんです。美濃部さんの憲法が新憲法の精神に沿うところの民主々義的な見解であるかのように思つている人は、この一人の衆議院の専門員だけじやないのです。私は、恐らく今日国家公務員の有数の地位を占めている最高幹部級の人に同様な見解を持つている人がたくさんあると思うのです。美濃部さんの憲法は、天皇機関説は人民主権論じやないのです。国家主権論なんです。国家に主権があるという建前から、君主に主権があるという上杉さんの学説に対抗しただけであつて、新憲法の人民主権というのは、国家に主権があるということと全く対蹠的な見解の上に立つて、国民個人に主権があるという見解なんです。美濃部さん自身も、これは大体においてゲルルグ・イエリネツクのドイツの公法学の学説を日本において継承していた人なんです。イエルネツクは、一九一三年、第一次欧州大戦前に死んだドイツの公法学者なんです。そういうワイマール憲法以前のドイツの公法学者の国家に主権があるという建前から、君主に主権がある、天皇に主権があるという建前から対抗して、天皇機関論を唱えた人が、新憲法の、公法学の権威者であるということの資格を持つているかのように思つている者が非常に多い、少くない。現に私が今挙げたところの衆議院の最高のエキスパートであるべき専門員がそういうことを言つている。同様の見解を持つている者が非常に多いわけです。そのような見解を持つた人が、今日地方行政或いはその他公法学におけるところの通有の観念であるときに、それが人民主権の上の憲法に則つて作られたところの地方制度の改正というものの精神を理解し得ないことは当然なんです。自分が理解し得ないものだからして、例えば今鈴木君が言われたような、この自治体の首長を一般公選にするというようなことについても、これは非常に懐疑の念を持つている。そこで現在の制度はいけないのだからというので、これを基本的にもう一遍再検討しなくちやならぬというような動機がここに構成されて、こういうことになつて来ていると思う。そこでそういうような美濃部憲法の議論を、新憲法に適用した民主々義的な見解であるかのように誤つているような人が、それが行政法学者であつたり、或いは官吏の古手であつたような人間がここに集まるにきまつている。それを集めて、それにここで地方制度の改革を検討さしても、そこから導き出されて来るところの結論というものが大体どういうものであるかということを私は想像することが極めて容易であると思うのです。今日地方自治法においての考えも、やつぱり戦前のドイツの考え方を継承していますから、官学におけるところの行政法の学者というようなものが最高権威者であると思う。ところが官学の東京大学にしでも、或いは京都大学にしても、行政法の然らば講座を担当している人というのは、やつぱり美濃部憲法が今日適用するかのように考えているところと軌を同じうするところの人間が今日講座を担当してやつているわけなんです。そこから生れて来る結論がどんなものであるかということは、私は想像することができるのであつて、恐らくは逆コースの線に沿うたところの反動的な結論がここに誘導されて来るにきまつている。そういう考え方について、私は非常に重要な問題として、絶えず不断にこういうことはうるさく言われているかも知れんけれども、重大な問題だと思うから言うているのですが、特にこの問題に関連性があるわけですから、お答え願いたいと思います。即ち約言いたしますと、現在の地方制度の見解の基底をなしているところのものは、美濃部さんの公法学的な見解を新憲法の精神に符合さしたところのものである。即ち国家主権論が今日なお通用するものであるというように誤認している人が地方行政研究上の最高権威的な地位にすべて立つているときに、そういうものを集めて生れて来るところの地方制度の改革というものは、やはり美濃部憲法の線に沿うたところの逆コース的な、即ち新憲法の精神に符合しないところの地方制度改革が結論として生れて来るのではないかということに対するお答えです。
#12
○政府委員(鈴木俊一君) 吉川元生の今のお話でございますが、美濃部博士の所説からの話でありますけれども、美濃部博士は、日本国憲法の改正をされるについて、国民主権という考え方から説明をなさつたと思いますが、美濃部博士の一体本来の考え方がどういうお考え方であつたかということはどうも私どもよくわかりませんが、併しさようにそれぞれ学校においてどういうようなことを薫陶を受けたかということと、今日如何ような考え方を関係の者が持つておるかということは、これは別問題であろうと思うのであります。学校で教わつた以後全く発展がないということならば、お説のごとき結論に相成ると思いますけれども、これはそれぞれ皆いろいろ官学を出ました人も、私学を出ました人も、或いは実際界出身の人も、絶えず研鑚をして今日に至つておられるのだろうと思うのでありまして、出身が如何ようなことであろうとも、その後の経験、研究というものの結果、今日如何ような考え方を持つておられるかということを聞くことは、やはり非常に地方制度全体の結論を出す上においては、非常に大いな効果があることであろうと思うのでありますし、又地方制度調査会のメンバーが仮に吉川先生の仰せになりまするような種類の人たちだけで選ばれる、こういうことになるかと申しますと、そういうことは先ず考えられないと思うのであります。ここにも書いてございますように、国会議員なり、地方団体の議員なり、長なり、或いは関係各省の者なり、一般学識経験者なりというところから選ばれるわけでございまして、これは我々事務当局の所掌の範囲を越えた問題でございますけれども、それぞれの内閣を構成しておられまする方の御意向によつて、如何ような人がこの委員に選定されまするか、その結果によつてきまつて来るわけでありまして、そういう或る一定の、先生の仰せになる逆コース的な見解を持つた者だけで地方制度調査会が構成されるというようなことは望みもいたしませんし、反そういうことを事務的には全く考えていない。又この地方制度調査会の結論というものについて、一定の予定概念を持つて、こうしなければならないというようなことを考えているものではないということは、先ほども特に申上げた点でございまして、問題点は問題点として申しますが、逆コース的な見解から問題にしているものもやはり問題であります。そういうものもこれはすべて爼上に乗せて、それが悪いならば悪い、現状でいいものなら現状でいいという結論を出して頂きたい、こういう考え方でございます。
#13
○吉川末次郎君 長いこと話し合つても、これはきりがないことですが、美濃部さんが新憲法に対する註釈本をその名において出されて、我々にもこれは配付されているわけであります。だからそれは文理解釈の本として、国家主権論者であつたところの美濃部さんが人民主権の憲法を文理解釈することは法律家としてできるでしようが、御承知のごとく、美濃部さんは、新憲法を作るというときにも、明治憲法を改正する必要がないということを非常に主張された人なんで、そういうところの、学者としては過去長い間人民主権に対する国家主権の学説を把持して来た人が、たとえ文理解釈の註釈本を新憲法について出していられたところで、新憲法を制定する必要なしと強く主張された人が、人民主権を基本精神とするところの新憲法というものをバーテイリーに、心の底から理解し、これを支持するところの立場になり得ないことは私は当然だと思います。ところがそういうことさえも、これは基本的に非常に重要であることにもかかわらず、そういうことさえも……、憲法を大学で習つて来たところで、新憲法下においてそれぞれの人が進化し、発展していますというようなことを言われたのでありますが、それも考え方ではありますけれども、私は端的に結論的に言うならば、やはりそうした基本的な立場においての発展は私はないと思つています、現在の支配階級の層の人の多くの人には。殊に地方行政の主管的な管掌者には私はないと思う。これは、そんなことを長く言つていると時間がかかりますから省略いたしまして、結論だけ言つておきます。そのことを言えと言われるなら幾らでも言いますが、これは省略いたしますが、まあ議論になりますから、そのくらいにしておきますけれども、ともかくも新憲法というものの精神を理解しないで、何とかして明治憲法の時代へ帰したいという僭在意識を持つている人が多い。同様の精神に基いて、新憲法の精神を基本として作られたところの地方制度というものに対して、やはりこれを心の底から過去の経歴上理解することができないものだから、だから新制度というものに対しては、何か矛盾があつたり、間違いがあつたりするようにばかり思つている。それは理解してないからです。それが私は現在の日本の地方行政が当面しているところの最大の悪であると私は考えておる。だからそんなものを作つて、これは逆転さすことを考えることばかりなんです。鈴木君も御承知のように、戦前におけるところの制度、これは今の地方自治法の中にも、それは非常に多分に残つているのですけれども、山県有朋か内務大臣のときに、ドイツ人であつたところのアルバート・モツセをドイツから引つ張つて来て、そうして日本の地方自治制度を作らしたのです。ドイツ人が作つた。プロシヤ人が作つたのです。ビスマルク、モルトケ時代のドイツの精神で、明治憲法がビスマルク、モルトケの憲法であるのと符合して、ドイツ人が来て作つたのが日本の地方制度なんです。それが明治二十年代頃からずつと続いて戦前まで、局部的な改正があつたけれども、その線で大筋は来ている。明治憲法が存続しているのであります。これに符合したところの地方制度は、同じ精神で存続していたことは当然のことなんです。そうして新憲法ができたからというので、今度は地方制度の改革が行われたけれども、やつぱりドイツ人が日本に来て作つたところの地方制度の精神は、脈々として現在の地方制度の中にも生きている。それを管掌している人間は、ビスマルク、モルトケ時代のドイツの精神によつて、ドイツの行政法学によつて教育されて来た頭から一歩も進歩していません。研究していると言われますけれども、それはいわゆる自治庁の職員、或いは先般来アメリカの地方制度を視察に行つたりしておられますけれども、三月や四月アメリカの地方制度を局部的に、売上税がどうなつているとか、或いは事業税がどうなつているとかというような、局部的な問題を部分的に研究して帰つて来たところで、それはアメリカのデモクラシーというものはわかるものではありません。いわゆるアメシヨン的な行政視察に皆終つているのです。私はそう言います。だから私は、そんなものを作つて、これは結局は新らしい新憲法の精神に沿うたところの戦後の地方制度の改正というものを、古い頭で理解し得ないところから来るところのこれは逆転のための一つの機関を作ろうとするものであつて、結果はドイツの行政法学者や、地方行政を管掌している首脳部の人が、ビスマルク、モルトケ時代のドイツの頭から変つちやいないのですから、ちつとも進化していないのですから、そういうところに持つで行こうとする、そういう結果になることは当然のことです。これは議論になりますから、お答えは求めませんが、私はそういうことを申上げておきます。申上げたいことはたくさんありますが、聞きたいことはたくさんありますが、これくらいにしておきます。
#14
○原虎一君 調査会の委員は五十人を以て組織する、この五十人はどういう形で作られるつもりですか。いわゆるどういう分野から選ばれるというお考えですか。それをお伺いしているのです。
#15
○政府委員(鈴木俊一君) これは第五条にございますように、国会議員、それから政府の関係各省庁の職員、それから地方団体の議会議員、地方団体の長その他の職員、それから学識経験者、こういう範囲でございますが、大きく区分をいたしますと、国会の両院からのかたがたが一つのグループでございます。それから政府各省が一つのグループでありますし、地方団体の議決機関と執行機関のグループ、これは御承知のように県知事、市町村長の関係の機関として三機関、議会の議長の機関として三機関、即ち六団体でございますが、そういうものを中心にし、なおそのほかにも必要に応じて委員会の職員、そういうものを加えたいというようにしております。なおそのほかに一般のいわゆる専門の学者或いは一般住民の代表者というような意味の地方制度に関し経験のあるもの、そういつたようないわゆる第三者的な委員と申しますのは、要するに地方団体の運営の衝に当つておりますもの以外のグループ、こういうような範囲から選出するようにして行きたい、結局四つのグループに相成るわけであります。
#16
○原虎一君 そういうことは五条でわかるのですが、例えば二十一年に設置されたときには、衆議院からは大体二十七名、貴族院から八名、地方団体関係から一名というふうに出ている。議員関係だけを申しますと、貴族院が八名であつて、衆議院が二十七名というように、我々の一番の問題は、今吉川委員が言われますように、これは非常に反動的な、保守的なものになつて来ることは防がなければならない。してみれば、過半数を占めるところの両院の議員から何名くらい出すか、そういうものをきめるのはどこがきめるかということをお伺いしているわけです。
#17
○政府委員(鈴木俊一君) 今一応予定をいたしておりますのは、先ほど申上げました四つのグループにおおむね四分の一くらいずつ、従つて衆議院、参議院十二、三名というようなふうに考えておる次第でございます。
#18
○原虎一君 そうしますと、国会議員それから関係者行政機関の職員、地方公共団体の議会の議員、それから地方公共団体の長及びその職員、学識経験者、五つの分野になりますか。
#19
○政府委員(鈴木俊一君) 今一度申上げますと、国会関係、両院を通じて十二、三名、それから政府各省関係がやはり十二、三名くらい、それから地方公共団体の長、地方公共団体の議会その他の地方公共団体の当局関係のものはやはり十二、三名くらい、その他の地方の学識経験者というものがやはり十二、三名くらい、これが通常の委員として五十名以内の中から予定している線でございます。
#20
○原虎一君 それから婦人ですね。婦人を特に委員に入れるというような方法についてお考えがありますか。
#21
○政府委員(鈴木俊一君) 只今まだ具体的に、どの方面からどの委員というようなことは考えておりませんが、できるだけ各方面の意見が反映をするようにいたしたいという考え方で、御意見の点も十分考慮いたしたいと思います。
#22
○原虎一君 これは占領下にあつたから、そういう点も考慮されると思いまするが、二十一年の委員構成の場合においては、国会議員から出て来る者に対して、婦人を条件にして一人二人入れるというようなことが考慮されたようであります。そういう問題を考えますと、議員のほうから考える場合と、学識経験者から考える場合とがありますが、こういう点について具体的なお考えはまだお持ちになつていないのですか。
#23
○政府委員(鈴木俊一君) そこまで具体的にまだ考えておりません。
#24
○原虎一君 先ほど吉川委員が質問された点は、非常にこれは大事な点だと思います。そこで問題は、委員会で吉川委員が政府委員との間の質問記録に残すのも一つ大事なことでありまするが、当局の今吉川委員が質問されたような点についての質問に対するお考えがはつきりしておりません。これはよく最近の法律に目的を現わしておるわけですが、だからこの地方制度調査会設置法の第一条に目的を明かにされたい。これは第一条に「設置及び所掌事務」と、事務的に扱われておる。こういう地方制度調査会というものは、どういう目的を以て設置するという、目的を明らかにする必要があるんじやないか。この点についてお考えがなかつた点は、要するに吉川委員の御質問のような点については、余りに考えが当然なこととして考えられて、目的を明らかにされなかつたと我々は見るのでありますが、逆に吉川委員が心配するように、そうなつて行くことも止むを得ないが、そうならんだろうという考え方があると思うのです。我々から言えば、やはりこれは非常に大事でありますから、こういう地方制度調査会のようなものを設置する目的を明確にされるということが必要じやないかと思うのですが、当局はどういうお考ですか。
#25
○政府委員(鈴木俊一君) 吉川委員並びに只今の原委員のお尋ねの点でございますが、この点は、先ほど吉川委員にもお答え申上げましたように、この委員会の委員の構成について、或いは調査会の結論について、一定の予定した概念を持つておつて、或いは予定したものを持つておつて、そのほうに持つて行くというような考え方ではなく、やはりここで問題になつております事項をここへ出して、そうしてここで解決をして頂く、一つの勧告案を考えて頂きたいと、そういう考え方でありまするので、例えば地方制度調査会を作る特にここにその趣旨目的というものを明確に謳いませんでも、これはもう当然の事理であるというふうに考えたのであります。これは、殊に五人とか七人とかいう非常に少人数の調査会でございますと、或いはさような一つの考え方にリードされるというようなこともあり得ないことではないと思いますけれども、只今申上げましたような、各方面の代表者のかたがたを以て構成される、最大七十人に達するような委員会でございますので、さような或る一つの考え方がこれをリードして行くというようなことは到底考えられないと私ども考えておりまするし、又それぞれの問題について、それぞれ相対立する見解もあるでございましようし、そういうものが結論として出て来ましたものを政府としては中心にして、今後の地方制度を考えて行きたい、こういう考え方でございます。
#26
○吉川末次郎君 ちよつと原委員のあれに関連して申上げたいのですが、原委員が非常に私は剴切なことを言つて頂いたと思う。即ちこの法案には、今までの法律は、多く最初にその法律の目的が規定されておるけれども、ここに載つておらん。だからしてその目的を掲げたらどうだという、これは私は非常に大事な意見だと思う。だからして、それに私は又賛成ですが、それでここにこの法律の目的を掲げるとすれば、今急の思いつきですから、いろいろ法文化する上においては、ほかのことも考えなくちやなりませんし、非常に不整いでありますが、大体を言うと、私はこういうことをやはりこの法律の第一条として、目的として掲げられれば、私たちは十分肯くことがでぎるかと思うのです。このためには、飽くまでも新憲法の精神というものに則つて、地方制度の改革を行うのである、新憲法の精神を活用して行くという線に沿うてやるものである、こう言えば、それは鈴木君は、憲法は基礎法ですから当然のことですと言われるかも知らんけれども、私はさつきから言つておるように、そのことがわかつていないという立場に立つのでありますから、特に申上げたい。
 それから第二には、これも先ほど言いましたように、従来の地方行政に関する見解はですよ。日本の地方自治制度というものが明治憲法の線に沿うて、伊藤公に憲法講義をしたところのドイツの学者モツセが日本に来て、そうして日本の地方制度を書いたのがずつと明治憲法と共に続いて来て、今日でもその考えが存続しておるのでありますから、従来の地方行政の沿革から来るところのドイツ行政法学、古いドイツの行政法学に準拠する見解を改革するということが地方制度改革の目的であるということ。
 それから第三番目には、戦後いろいろの地方行政制度の改革が行われたけれども、いろいろ述べた新憲法の精神を地方制度の上に発揚するということと、従来の古いドイツ式の見解をば改革し、打破して行くという精神に則つて、今日まで、戦後行われたる一切の地方制度改革をば、右の精神に則つてこれを集大成して行くということを目的にするのだというような意味のことが、私は必然に今後の地方制度改革の目標でなければならんし、むしろ私は一応そういう条項を目的としてこの法律の中に入れるということによつて、私ははつきりさすことができるじやないかと考えるのですが、原委員が大変いいことを言つて呉れたと思うのですがどうですか、そういうことについてもう一度。
#27
○政府委員(鈴木俊一君) この目的というような考えから、新憲法の精神に則つてという言葉を先ず第一に挙げたらどうかという点でございますが、これは勿論新憲法の……。
#28
○吉川末次郎君 そんなことは伺つていないですよ。
#29
○政府委員(鈴木俊一君) いや、それが、吉川さんはそういうふうに独断でおつしやつつておるけれども、私はそのお説には承服できない。私のことを若し言つておられるとすれば承服できませんので、この点を明確に申上げて置きます。併しそういう言葉を入れるか入れないかという点につきましては、これはそれぞれの調査会の委員におなりになるかたの問題でございますから、その審議の過程においてそういうような御意見が出たということが地方制度調査会の審議の過程において明瞭にされれば、同じ結果に相なるというふうに考えまするので、特にさような言葉を入れないでもいいじやないか。二番目の点は。
#30
○吉川末次郎君 旧ドイツ法学。
#31
○政府委員(鈴木俊一君) それもどなたに向つて仰せになるのが、ちよつとその辺がわからんのでありますが、地方制度調査会の委員になられるかたが、地方制度調査会の委員に予定されるかたが、さつき申上げましたように、四分の一つは国会議員のかたがたがなられるのです。地方団体の人たちも四分の一なる。それから一般の学識経験者のかたも四分の一なるので、いわゆる官僚の系流に属する者が吉川さんの仰せになるドイツ法学流の者であるということであるならば、これは僅かに四分の一を占める委員に過ぎないのでありますから、そういうことであるならば、これは国全体の意識の問題ですから、これは別の問題であります。従つてそういう……。
#32
○吉川末次郎君 逆コースですよ、結局は。
#33
○岡本愛祐君 吉川さん、原さんからいろいろ御質問がありました。具体的に原さんは、第一条にこの地方制度調査会設置の目的を明確にしろというお考であります。私どももそういう御懸念があるとすれば、勿論それをしたほうがいいと考えます。私は、先ほど吉川委員に対する御答弁が政府委員からあつたのでありますが、この地方制度調査会と、先に設けられてもう任務が終つて解消した地方行政調査委員会議との関係をもう少し詳しく御説明願いたいと思うのであります。私はこういうふうに従来理解しておつたのであります。それは、地方行政調査委員会議において、内閣並びに内閣を通して国会に勧告をする、その勧告を内閣及び国会は尊重しなければならないというふうになつておりまして、そこで厖大な、又重要な勧告がなされたのでありますが、それに対して政府のほうも、又国会のほうも、これはどの部面を取上げるべきかということについて検討をそれほどしていない。そこでその検討の第一着手として、この地方制度調査会というようなものを設けられて、国会議員も入る、超党派的に入つて、地方自治の拡充旨していろいろ検討をされ、そこへ出て行く各会派の議員、政党の議員というものは、その会派の意見というものを又そこに反映をして行くというようなことで、一つの草案を作つて、そうしてどうせこれは国会がきめることですから、国会で最後的決定はするのでありますが、そういうような順序でやつて行く一つの方便としてこういうものを設けられる、こういうように理解しておつたのですが、そういう意味じやないのかどうか。又これは一時的のものか、常設的のものか、それをお尋ねして置きたい。
#34
○政府委員(鈴木俊一君) 只今岡本委員の御指摘の点でございますが、地方行政調査委員会議の勧告につきましては、事務再配分の点が御指摘のように未だに実現ができないのでございまして、又これに関連する税制改革の勧告の線に全面的に沿つたものができていないわけであります。そういうこれは事務配分と税源の配分というものが相関連をしておるところのシヤウプ博士の勧告であつたわけであります。ざような事務の配分を行わないで、又税源の配分も勧告の線に沿つたものがそのまま実現していない、こういうところに非常に問題があるわけでございまして、これらの点をやはり地方自治の本旨に則つて如何にすれば解決できるか、こういうのが御指摘のように、今回地方制度調査会を作りました理由の一つでございます。この点は、何らか調査会で超党派的な結論を得まして、それによつて解決をして参りたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
 それからこの地方制度調査会は、一応の、一応と申しますか、再検討いたしまして、問題がなくなりまするならば、これは廃止することになると思いまするけれども、やはり相当広汎に亘つていろいろ問題を含んでおるわけでございまして、或る程度の期間に亘つてこれは存置されることになるというふうに考えております。
#35
○岡本愛祐君 そうすると、この事務局はどうなるか。第六条で「調査会に関し必要な事項は、政令で定める。」ということで、政令で定めるつもりでありましようが、これがこの地方制度調査会がうまく働くには、事務局が大いに充実していなければならんと思うのです。それはどういうふうな考え方であるか、お尋ねして置きます。
#36
○政府委員(鈴木俊一君) 事務局につきましては、これは総理府の附属機関ということになるわけでありまして、総理府の関係職員の中から兼任の発令をいたして、その事務に当らしたいというふうに考えております。
#37
○岡本愛祐君 総理府の中からということは、つまり新たにできる自治庁がその事務局を兼ねると、こういう意味ですか。
#38
○政府委員(鈴木俊一君) 自治庁の職員が中心になると考えております。
 なお只今の点に附加えて申上げますが、関係の各省庁の職員で幹事というようなものを加えたいというふうに考えております。
#39
○吉川末次郎君 この機会に政務次官の藤野さんに一言お伺いいたしたいと思います。それは、さつきからいろいろ質問いたしておることと関連性があるわけですが、鈴木次長は個人的に僕は非常に好きな人なんだけれども、その地方行政に対するイデオロギーは、絶えず私の排撃するところのイデオロギーで、これはいくら言つても仕方がないので、旧内務省の官僚でない一つ藤野さんにお尋ねしたいのですが、私はこんなものを拵えてやつたところで、結局旧内務省官僚が百パーセント今日では地方行政を実質上支配しておるのですから、官僚でなかつた人が集まつて来ても、結局結論は、鈴木君なんか実質上やはりコントロールしたような旧内務省官僚イデオロギーの、少し露骨に言うならば、新憲法の精神を地方制度の上において如何に蹂躙することに努力するかということの私は委員会になるだろうと思うのです。それで私は、こんなものを作るよりも、原君が言われるように、新憲法の精神が地方行政上に具現化されていないのだから、それが必要なんで、そのためには、曾つて岡野さんにも私はお尋ねしたのですが、シヤゥプの勧告も私は貢献するところがあつたと思うのです。ところが、御承知のように、シヤウプ使節団は、シヤウプ博士を始め、大体において財政学者の系流としてやつて来た。ところがそれと並んで私は、政治学者や公法学者及び行政学の学者のやはり勧告が必要だと思うのです、日本のために。それは丁度後藤新平さんが東京市長になられた時に、コロンビヤ大学の教授であつたビーアド博士をよんで、東京市政を縦横に批判さして、そうして勧告書を作らして、それが余ほど貢献するところが私はあつたと思うので、それと同じような形で、シヤウプ財政使節団に匹敵するところのアメリカの公法学者、政治学者、行政学者、行政法じやありませんよ。そのような行政学者の使節団に来てもらつて、それを採択するとしないとは、それはこちらの自由でありますが、ともかく縦横に、シヤウプ使節団と同じように研究調査さして、そうして結論を一つ勧告書として出させるというようなことのほうが、そんなまだビスマルク、モルトケ時代のまだ少しも頭が抜け出ていないところの旧内務省官僚、それと部類を同じくするところの人間がいくら寄り集まつてやつたところで、これは日本の地方行政の逆転化に貢献するところはあると思うけれども、何にもならんという私の考えですが、あなたの副大臣としての御見解を一つ。
#40
○政府委員(藤野繁雄君) 今吉川さんからいろいろと有益なお話を承わつたのでありますが、五十名の委員の中には、さつき答弁いたしましたように、官庁関係のものが四分の一ぐらいで、その残りのものが四分の三ぐらいにも達するような人選をしようと、そういうふうな構想でおるのでありまするから、御心配になるようなことがないように努めたいと思うのであります。又シヤウプ使節団と同等な程度のものをアメリカから使節団としてよんで、そうしてその意見を聞いたらどうか、こういうお話でありますが、その点については、よく検討いたしまして善処したいと思つております。
#41
○原虎一君 只今審議中の議案以外ですが、大体この審議が終つたら、一点鈴木次長にお伺いしたい点が地方公営企業法に関係してありまするので、お許し願いたいと思います。
#42
○委員長(西郷吉之助君) 午前中はこの程度にいたしたいと思いますが、簡単でございましたら……原君に申上げますが、労働法が済みましたので、委員会の採決案は再開後の本会議に上程する予定でおります。
#43
○原虎一君 地方公営企業法の第二条の二項にあります「地方公共団体は、政令で定める基準に従い、条例で定めるところにより、地方公共団体の経営する地方公営企業以外の企業に、この法律の規定の全部又は一部を適用することができる。」という、この「地方公共団体は、政令で定める基準に従い、」政府は政令がもう用意されたと思いますが、私の聞きたい点は、政令の中で、例えば東京、大阪等にあります改良下水等で、その府県が条例で定めればできるような政令の規定になつておるかどうか、この点をお伺いしたい。
#44
○政府委員(鈴木俊一君) 只今お尋ねの点でありますが、只今地方公営企業法の施行令は、鋭意立案中でございまして、まだ極く素案の素案といつたようなものしかできておりませんが、だんだんこれを固めて参りたいと考えております。お尋ねの点の、条例で地方公営企業法及び地方公共団体の公営企業に適用をする場合に、政令の定める基準に従つてやると、こういうことになつておるのでございますが、その政令の内容として規定をしようと考えておりまするのは、先ず第一に、あの規模に達しない種類のもの、即ち水道事業でありますとか、地方鉄道、軌道、自動車運送事業、ガス事業、電気事業といつたような種類の事業について、それぞれ規模の基準して職員数を掲げておりますが、その数に満たないものについては、これはもう当然に条例でできるようになるわけでありますが、それ以外のものにつきましても、例えば地方競馬事業、自動車競争事業、モーターボート競争事業、その他地方公営企業以外の企業で、その経費は当該企業の収入を充てようとするものに法の規定の全部を適用いたしまするか、或いは組織の規定及び身分取扱いの規定を除きました規定、即ち総則と財務の規定だけを適用することができるというふうにいたしたいと考えておるのであります。
#45
○原虎一君 そういたしますと、改良下水、水洗便所関係というものに対して、その地方団体が条例で定めることができない結論になりますか。具体的に申しますと、法案審議中には、衆議院においても、政府委員は、そういうものに対しては、改良下水に対してはできるような方法にしたい、又できるという御答弁になつておりますし、参議院においても鈴木次長は、必ずしも不可能だという御答弁をなさつていないわけであります。ところが、今の政令基準を使われますというと、それができないという政令基準では、御答弁の意思に反することになりますと、又問題を別に提起されるということになりますから、この点をお伺いしたわけであります。
#46
○政府委員(鈴木俊一君) 下水道につきましては、すでに独立採算の建前に立つて、さような状況に達しておるものと、そうでない、全く建設過程のものと両様あるわけであります。前者のものにつきましては、これはもう上水道と同様な建前になつておるわけでございますから、そういうものは、今申上げましたこの規定の方式に正に入つて来るわけでありまして、従つてこの法の全部又は一部を適用することができるということに相成るわけであります。
#47
○原虎一君 そこで念のために申して置きますが、大体改良下水にしても、それが土木下水のようなものがあつては、同じ一緒でも独立採算になつていない、そういうものは不可能であるけれども、独立採算の企業形態に近いもの、又すでになつておるもの、こういうものは適用できると、こういう方針であると解釈してよろしうございますか。
#48
○政府委員(鈴木俊一君) その通りでございます。
#49
○委員長(西郷吉之助君) 午前中はこの程度にいたします。
   午後零時三十一分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時十一分開会
#50
○委員長(西郷吉之助君) それでは午前中に引続きまして、委員会を再開いたします。
#51
○吉川末次郎君 午前審議を開始されました地方制度調査会設置法案につきまして、我々の手許に配付されておりまする日程の予定表によりますると、本日質疑を終つて採決する予定になつておりますが、午前中の審議にありましたように、あの法律案の最初に、あの法律の目的を規定する条項を入れたらどうかというところの意見もあり、私もそれを主張いたしたような次第でありますが、ほかの委員のかたがたもお見受けするところ御反対でもなかつたように思われますので、そうした修正案を作りますことにつきまして考究しつつ案文を作り上げて、他日提案いたす運びにいたしたいと思つております。で、そのためには法案の作成その他につきまして、多少時間を頂く必要もあるかと存じますので、できまする法案は、自由党のかたがたその他の会派のかたがた満場一致で積極的に御賛成を願い得られるような案文にいたしたいと考えておるわけでありますので、本日予定の日程表にありまする討論及び採決の過程に入りますことは、お引き延しを願いまして、来週の火曜日以後に延して頂きたいということをお願いいたしたいと存じます。どうぞそのように委員長においてお運びを願いたいと存じます。
#52
○委員長(西郷吉之助君) 只今吉川委員の御発言でございますが御尤もと存じますので、修正の案文ができますまで討論採決を延しまして、できましたら各委員にお諮りしたいと思いますから、本日は地方制度調査会設置法案はさようにいたしまして、直ちに選挙の法案を、公職選挙法中一部改正案並びにこれの関連の国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律案の両案につきまして、質疑を続行して参りたいと存じます。
#53
○衆議院議員(小澤佐重喜君) この際、皆さんちよつとお断りをいたしておきたいことがございまするが、実は今審議願つておりまする公職選挙法が通過いたしますれば、当然の結果といたしまして、関係法律の条文の整理に関する法律が提出されることになるのであります。ところがこれは昨日もあの自治庁なんという文字がありまして、中田君かどこかから質問がありましたのですが、その整理がしておりませんものですからそこに行き違いが生じておりますが、実は事務のほうで案ができておるのでありますが、衆議院の委員会の関係でまだ衆議院のほうを通過いたしておりません。再開劈頭にこれを通過しまして、そうして本院に送付されると思いますから、その節はどうぞ一つこの法律と同じような意味で御審議を願いたいと存じます。
#54
○委員長(西郷吉之助君) なお、詳細につきまして三浦君から……。
#55
○衆議院法制局参事(三浦義男君) ちよつと簡単に申上げます。
 内容は公職選挙法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理に関する法律案でございまして、地方自治法、それから最高裁判所裁判官国民審査法、給与法並びに委員会法等におきまして、公職選挙法の条文を引用いたしておりまするところがたくさんありますので、それがこの改正案によりまして、条文が新らしく加わりましたり、効果がなくなつたりして整理されるところが出て参りますので、そういう関係を以ちまして整理いたしたいと考えておるわけでございまして、そういう法案を衆議院のほうの委員会を通過いたしましたれば、こちらのほうで御審議を願いたいと、こういう意味でございますことを附加えて申上げておきます。
#56
○吉川末次郎君 昨日大野幸一君から質問がありまして、問題になりました要綱第七に掲げられておりまする同一氏名の候補者が二人ある場合の投票についてであります。これは質問いたしました大野君から、自分の意思として補足的に私を通じて質問しておいてくれという依頼があつたのでありますが、この同一の氏名者が、一人の立候補者の当選を実質上は妨害するところの意思を以て同一の氏名を持つた人間を立候補せしめ、或いはみずから立候補するような場合が十分に想定されるというのであります。特にその被害は、参議院議員の全国区の立候補者等においてそういう場合が考えられる。例えば曾つて東京都の第六区でありましたか、赤尾敏君が選挙事務長に頭山満というのを書きまして、それをわざと大きく書いて、有名な右翼の名士である頭山満氏が彼の選挙事務長であるかのごとく広く宣伝したのでありますが、実際のところはかの有名な右翼の浪人の頭山氏ではなくて、同姓同名の何か朝鮮人か何かを使つたということでありますが、それと同じような意思を持つて、大野幸一の当選を妨害するためにどこかにいる大野幸一を引張つて来て立候補さすというようなことであります。その場合において、結果としてそういう被害を防止することが、現行法或いはこの改正法案によつて十分できるかどうかというようなことが同君は特に聞きたかつたのだそうですが、聞くのを忘れたからと言つて帰つたのですが、一つ御答弁を願いたい。
#57
○衆議院法制局参事(三浦義男君) その点につきましては、昨日もちよつと申上げたと思いまするが、法律上の問題といたしましては、現行法の六十八条の第一項第五号の但書に規定してございまする規定の活用によつて行くより仕方がないだろうと、かように考えております。同姓同名の人がたまたまありましたり、又は特に或る意図を以てそういう人を立候補させて競争させるというようなことが仮にあるといたしましても、法律上はそれを抑制する方法はちよつと現在の公職選挙法ではございません。従いまして、その人の政見なり何なり等を十分に有権者が判断いたしまして、そうしてどんな人に自分は投票するかというようなことの方法によるより仕方がないわけでございまして、その場合におきまして、同一氏名の場合であれば、職業、身分、住所又は敬称の類を記入してそれを区別する。そうして自分が真に投票したいと希望し、且つ当選させたいと希望している人を、そういう方法によつて明らかにする、こういうことより現在の選挙法にはないように考えております。
#58
○吉川末次郎君 それで更にお尋ねいたしたいことは、所属政党、或いは住所、職業等によつて現行法では差別するより仕方がないといたしますれば、どこかにそうした同姓同名の同一選挙区において二人以上の候補者が立候補した場合においては、必ずそうした事項を記入しなければならないとか何とかいうような法文を一つ入れておく必要がありはしないかどうかということ、又それはそういう場合が十分起り得るということを想定しての結果でありますから、今までに特にそういう条文を、私が主張しておるような条文を入れる必要があるようなことが起らなかつたかどうかというようなことの前例等につきまして、ないならばない、あつたならばこういう場合があつたと、先ほど赤尾敏君の選挙事務長の頭山満氏について言いましたが、これは選挙事務長でありますが、何か当選を妨害する意思を持つて相当起り得る蓋然率と言いますか、プロパビリティーがあるような私は気がするのでありますが、それについての一つ御答弁を願いたい。
#59
○衆議院法制局参事(三浦義男君) その実例につきましては、全国選挙管理委員会のほうから御答弁願うほうがいいかと考えておりまするが、立法論といたしまして、同一の氏名、氏又は名の場合は一応考えられるわけであります。そのうちで氏又は名だけが同一であるという場合は、ほかの点で区別が付け得るかとも思いまするが、その場合においても、又氏の場合は氏だけを変えたり、名だけを変えたというような場合が或いは同様になるかと存じまするが、特に同一の氏名の、氏も名も同じであるという場合におきまして、特別にそういう措置を立法上にするというようなことを明らかにすることも確かに一案だろうと思つておりまするが、これは私の考えでは現在の選挙法の規定からは、先ほど申しましたような五号の規定の活用によりましてできますので、別途そういう場合におきましては、選挙管理委員等におきまして、啓蒙することによつて、そういうことを明らかにそういうような区別をするようにということをやることも一方法ではないかと考えております。法律の上に書きましても、実際投票するたくさんの有権者がそれを、その法律をよくみんなが呑み込み、且つ熟知しておれば結構でありますけれども、結局要は啓蒙の問題に帰するのではないかと考えますので、運用によつて行けはしないかと、かように考えております。
#60
○政府委員(吉岡恵一君) そういう実例は、まあ話の種としては前によく聞いたことがあるのでありますが、具体的に解釈のむずかしいことを起したという事例は大してございません。又同姓同名が妨害の目的を以て出るということは妨害になるか、或いは却つて浮動票を多少集めるような場合もありはせんかと考えまして、妨害になるかどうかちよつと疑問にも思うのであります。
#61
○吉川末次郎君 あとの妨害云々に関する御答弁は、併し僕は少し事実に反しておると思うのですが、そういう前例がないとしましても、相当起り得る場合が考えられますし、殊に大野君が心配しておりますように、参議院の全国区等においては、一つの悪意を持つておるというような行為についての刑罰法規はあるかも知れませんが、実際上はそれを撤去することが不可能になると思いますが、例えば大野幸一であるとか、山本勇造であるというような名は、これは極めて日本人としてあり触れた名前ですから、どこからか山本勇造を引張つて来て、大野幸一を引張つて来たりして、悪意的な選挙妨害の目的で以て立候補を奨めるというようなことは相当考えられると思うのですが、併しそれほど心配がない、只今現行法で何とか防止するという御見解でありますならば、了解しておいていいと思います。なお、御答弁を願うことがあれば……。
#62
○政府委員(吉岡恵一君) 私が妨害にならないということを申上げましたのは、現行法の下ではなくて、つまり按分比例をして分けますれば、大して妨害にならないじやないか、現行法においてどちらへ入つたかわからんものを無効といたしますれば、それは明らかに妨害になります。ですから、従来そういう事例が大きな選挙ではございませんが、地方選挙等では同姓同名の事例は少くても、少くも同姓の事例は相当あるのです。それですから、従来の考え方で行けばやはり妨害にこれは明らかになると思います。
#63
○吉川末次郎君 それは少し僕が問題にしていることと違うように思うのですが、同姓同名の仮に参議院議員の全国選挙区で山本勇造が二人出ておれば、これを職業とか、或いは住所とか、或いは所属政党とかを必ず書けということになつておれば、それを書いてない投票の按分比例は考えられますけれども、それでない場合は按分比例の標準になるものがないのじやないかと思いますがね。それで私はあなたの御答弁が少し変なような私は気がするのですが。
#64
○政府委員(吉岡恵一君) その職業であるとか、住所であるとかいうものを、今の場合に書くということは、選挙管理委員会で宣伝をすることはやや穏当を欠く場合がありはせんかと、こう考えるのでありますが、選挙運動をやるほうの候補者においては、それは大いに主張をして、自分の投票には住所を書いてくれということをやつてもらうより、現在自署式の投票方法を採用している以上はちよつと仕方がないような気がいたします。
#65
○吉川末次郎君 まあ大してそれほど起つて来そうもない例を被害妄想的に大野君が考えて言つておるのかも知れませんから、これ以上の質問はやめておきましよう。
#66
○岡本愛祐君 小澤さんにお尋ねをいたすのですが、実はこの参議院の各派でまだ相談し合つたわけでも何でもないので、或る会派におきまして、知事や市長、その他高級官吏の国会議員に立候補することの制限をしようというようなことが新聞に出まして、その結果全国知事会とか、全国市長会とかの反対意見なるものが我々の許へ来ておるのです。これにつきまして、ずつと以前にたしか吉川委員が委員長をしておられたときであろうと思います。衆議院のほうで同様な立候補制限の法律案を考えておられて、そうして参議院のほうでもまだそれの法律案の回付は受けなかつたのですが、検討して法的にはどうも面白くないというので、それは非常な広い範囲でした。これは反対でした、幸いにそれは取りやめになつたのであります。それから公職選挙法の立案をいたしますときに、参議院のほうにおきまして、同様な制限をしたほうがいいのじやないかというような議論が大分起つて、併しそれはそうも行かないだろうというので、実は私が立案をして、知事や大都市の市長なんかで、まだ任期があるのに、任期りの中途において立候補をする、その立候補を自分が知事を勤め、又市長をしておつたそこを基盤として参議院の全国区なり、そこの地方区なり、衆議院の選挙に出る。それは半年前にやめなければ出られないというような規定を作つておいたら、これならば憲法違反にならないだろう、任期を約束して市長や知事に出ておるのに、その中途でやめて、そうしてその知事をやつており、市長をやつておつたそのインフルエンスを利用して国会議員に出ようというようなことは不穏当だ、少くとも半年くらいの間隔を置かなければいがんだろうという趣旨であつた。そのときに衆議院側と参議院側の特別委員の懇談会を持ちまして、そのときに社会党の今右派になつておられますが、鈴木義男君なんか憲法論を提げて随分私と議論しあつたのです。そういうことがあるのですが、今度の改正案の立案に当つて、そういうことが討議されましたがどうか、伺つておきたいのです。
#67
○衆議院議員(小澤佐重喜君) 今岡本さんのお話の経過等を大体私も存じておりますが、今回の衆議院の委員会におきましても、最もそれを広い範囲で、例えば都道府県の県会議員が衆議院に立候補する場合に、辞職しなければ立候補できんというのは現行法でありますが、これを削れというような陳情がありまして、都道府県会議員の現職のままで立候補をし、当選したらやめたらいいじやないかという陳情がありましたが、それを合せて只今の所論が相当論議されましたが、結論においては、やはりその反対があり、賛成がありいたしまして、最後の妥結を見るに至らなかつたのであります。従つて先般も申上げましたように、今回は大体その衆議院の自由党だけとかいう意味じやなくして、広く各会派と協調して、まとまつたものだけを出そうという精神で参りましたから、これは一つそれを留保いたしまして、この法律を一旦通しておいて、その問題は再検討しようということになつて留保されたままになつております。併しこの問題は当然この法律が通過後においても衆議院はこの問題の検討を継続して開始することと考えております。
#68
○岡本愛祐君 全国選挙管理委員会の委員長であり、選挙制度調査会の会長であられる牧野さんがお見えになつたようですが、選挙制度調査会におきまして、いろいろ御検討なすつて、衆議院議員選挙法案の要綱なるものをお作りになつて、そうして私ども配付を受けております。その中で非常に問題になつておるのは事前運動であり、戸別訪問であると思うのです。又今申したような知事や或いは高級官吏の国会議員立候補制限なんということについて御研究なすつたことがありますかどうか、つまり戸別訪問、これはこういうことは一切禁止をするというふうに要綱ができております。事前運動は現行通り禁止をするというふうに結論が出ておるようです。立候補制限のことについては勿論何もお触れになつておりませんが、そういう先ず三つのことについて選挙制度調査会で御検討になつた点をお話願いたいと思います。
#69
○政府委員(牧野良三君) お答えいたします。立候補制限については全然意見が出ません。従つて問題になつたことはございません。選挙運動に関することにつきましては、随分詳細な点まで存じ上げました。この点については相当多くの資料も集めております。
#70
○岡本愛祐君 この事前運動、これが立候補の制限とも非常に関係を持つて来るのでありますが、この事前運動は現行通りに禁止するというふうなお考えになつておつて、実は統計もとつて見ますと、事前運動でなかなか厳格に罰し切れない、事前運動をしたものは失格するぐらいになつておるのですが、そういうことが殆んど起つて来ない。而も事前運動というものは滔々として行われておるというのが現状であります。このことについてどういうふうな御研究ができたか、事前運動というものを現行通り禁止するか、これが本当に禁止の効力を挙げるためにはどうしたらいいかというふうなことについて御研究があつたと思います。その点を伺いたいと思います。
#71
○政府委員(牧野良三君) お答えいたします。事前運動に関しましては、相当詳細に議論をいたしました。その点に関して事前運動を禁止すると言つて、事前運動と然らざるものとを混同し、角を矯めるような誹りに陷つてはならない。その事例といたしまして、最も御注意を請うべきものは、政治運動と選挙運動と選挙区培養運動と、この三つを国民にも、政治家にも、輿論機関にも、頭へがつちり入れようということが重要な事項でございます。第一に政治運動とは、国民に対して政治の啓発をするのである。国民一般に関するものであつて、これは選挙前たると後たると、選挙中たるとを問わず、大いに奨励しなければならないが、選挙運動というものと政治運動とははつきり区別して、選挙運動は極力これをしないことに導いて行かなければならん。選挙運動とはどういうものかと言いますると、大体において大審院の判例がこれに相当具体的な解釈を与えておるように、一定の選挙という時期に対し、一定の候補者のために投票を得、若しくは得せしむるところの行為を言う、これはもう殆んど制限なしに広くこれを言うのであります。そこで最も紛らわしいものは、選挙運動と選挙区培養との関係でございます。この点を極めて詳細に論じておるものはイギリスの判例でございます。今から五六十年前までは選挙区培養と選挙運動との区別が法律上に相当問題であり、判例上問題になつておりますが、こういうことになつております。選挙区培養とは、議員若しくは議員たらんとする政治家が己れに人心を向けるためにするところのあらゆる行為を言う、従つでその中には御馳走したり、物を贈つたり、寄附金をしたり、御用聞きをしたり、いろいろな種類のものがある。それによつて本当の政治家と、御用聞きの政治家と、本当の政党政治家と、利益を提供して歩く政治家といろいうな区別ができるので、平素にこれをやつたら、選挙になつたときに一般国民は、即ち有権者はこの人は議員として適当なりや否やということをそこで判断する。従つて政治運動を盛んならしめて、選挙の際に平素いやしくも選挙区培養運動をした者をどしどし退治するというところへ国民を向けて行かなければならない。然らば政治運動の具体的のものはどういうものかと言えば、主として演説と著書、講演とパンフレツト、こういうものである。こういうものを元にして一般国民に対し一般的な政治的啓発をする、これが政治運動である。従つてそういうことを目標として選挙区培養をしておる人が最も望ましい政治家であるということに結論をすればよろしいというのでありました。むべなるかな、最近四五十年の間において、このイギリスの政治的方針と選挙法の方針とが非常な盛況を見まして、昨年私どもが見て参りました選挙におきましては、政治運動はありましても、選挙運動は殆んど見ることができませんでした。そうしてその政治運動も候補者個人でやらなくて、政党がやつております。それで感心いたしました。従つて候補者の選挙費というものは要らないのでございます。殆んど候補者の選挙費は要らないにもかかわりませず、各党各派の本部へ行つて見ますると、どの党派でも立つ派なシヨーウインドーを持つておりました。そのシヨーウインドーには例えばアトリーの著書、チヤーチルの著書、それらのものを初めとして党の幹部の著書及び各知名人のパンフレツト等が立派にこう積み上げてありまして、それへ党の宣伝のポスターが張つてあります。例えばウエストミンスター寺院の前なんかでは寺院の絵葉書なんかと一緒にそれを売つておるというような、実に好ましい風景を見ることができました。もうその他では肖像入りの候補者のポスターが張つてあるのと、色彩を明瞭にするために婦人なんかが買物の籠や乳母車におのおの自分の贔屓をしておる党派や党首のポスターを張つておるくらいが微笑ましい景色として目だつたほかに、もう選挙運動らしいものを殆んど見ませんでした。従つて日本は本人の人物や政見に投票するのじやなくて、選挙運動に投票するような事実がある。これがいけないのであるから、どこまでも政治運動を奨励して、選挙運動や選挙区培養運動というものは極力国民に指弾させるというような方法をとつて行つたらどうかというふうなことを互いに語り合い、論じ合つたわけでございます。御参考までに……。
#72
○岡本愛祐君 誠に有益なお話を承わりましたが、そういたしますと、事前運動というのは選挙区培養運動、これは事前運動だと、こういう御意味でしようか。
#73
○政府委員(牧野良三君) お答えいたします。社会的に選挙近しということが輿論として認められておるときに、選挙区培養の行為はこれを選挙運動と見なすという判例がございます。
#74
○岡本愛祐君 イギリスの判例について承わりましたが、日本の現行法におきまして、もう近く選挙があるということが、今衆議院の解散があるということが国民の常識になつておりますが、そのときに選挙区培養運動というようなことが今非常に盛んに行われておる、これは皆選挙の事前運動だというふうに、それじや日本でも考えられるでしようか。
#75
○政府委員(牧野良三君) お答えいたします。日本でもその通りでありまして、日本の判例にもございます。
#76
○岡本愛祐君 そこで一昨日来いろいろ衆議院の特別委員長である小澤さんや、全国選挙管理委員会の事務局長とも質疑応答をしておつたのですが、事前運動をこのくらいやつておつて、而も罰せられる人は余りないという結果がやつぱり多いのじやないかと、こう思うのです。事前運動は公職選挙法の百二十九条によつて現行法といえども厳禁されておる。而も今收野さんおつしやるような事前運動が滔々と行われておる。而もこれは今度は厳罰に処せられれば非常に結構でありますが、従来の例から見ると、この公職選挙法下においてもそういう人が殆んど罰せられてない。で、昨日も国警のほうから聞きますと、選挙運動期間の違反というので若干は……その中の七〇%が事前運動だということでありますが、罰せられておりますけれども、殆んど重く罰せられていない。こういうことなんか非常な矛盾があるのです。そういうこしとについてどういうふうに全国選挙管理委員長として御処理をなさるつもりか、それを伺つておきたいと思います。
#77
○政府委員(牧野良三君) お答えいたします。私は全国に政治運動とはどういうものだという自分で話をして歩いております。そうしてこういうことをすれば選挙違反であります。事前運動でありますということも明瞭に言つて歩いております。それで岡本君今度はもう私は危ないと思う。今度はやられますよ。
 なぜか、これでね、立候補をやります。六ヵ月に遡つた事実を新聞は指摘してくれる、婦人会が指摘してくれる、青年団が指摘してくれる。それを御承知の三大新聞が取上げてくれている。この地方運動がよほど盛んである、地方新聞を御覧にならないと、それほどじやないですが、地方版はなかなか激しくなつておる。そこでどうも心配なのは政治運動と選挙運動とをごつちやにしておる、そいつをしてくれるなということを、特に今度は各新聞社と打合せたいと思つておりますが、選挙運動や、そして忌わしい培養運動を今更やつておる連中は私はやられるのじやないかと思います。もう危ないところへ来ております。そこで従つて個別的には注意してもうよせ、もうよすんだ、四月二十八日までにやつたことは許す、これは大赦だから心配ない。そうして五月のものはいいが、六、七、八、九のものはいかん。僕は選挙はいつ何日だと思う、何月だと思う。それから遡ると六ヵ月へ入るから危ない。今度から新聞に書かれるだろう、ごそつごそつと投票が減ります。それだけでありますから、処罰以上のことをやると同時に、処罰も必ず出て来ると思つておる。大きい期待を衆議院の決議案と、三大新聞の共同声明と、そうしてこれから吉岡事務局長の手によつて展開される全国運動とに私は待ちたいと思つております。
#78
○岡本愛祐君 誠に重大なお話でありますが、要するに現在衆議院選挙、つまり解散による総選挙の前提として各地方に繰り拡げられておるその運動の中で、演説会とか、講演会というようなものは政治運動としてそれはよろしい、違反じやない。但し御馳走政策、それから利権提供のような御用聞き政策、こういうものをやつておる者、これはいわゆる選挙区培養運動であつて、これは事前運動だ、これだけは危ない、こういう御趣旨でしようか。
#79
○政府委員(牧野良三君) そうでございます。
#80
○岡本愛祐君 それから昨日も小澤特別委員長とも問題にしてお話したのですが、これまでの選挙の有様を見ますと、選挙違反の嫌疑が濃厚であつて、而も告訴されており、裁判に係属しておる、而もその係属しておる裁判が当選無効のような重大な犯罪嫌疑である。ところがそれが裁判所の都合、又は弁護士の引延し政策によつて、ぐんぐんぐんぐん延ばされて来た。中には五年以上前に当選したのでありますが、そのときの事犯にしてもずつと引延しにかかつて、この間の特赦によつてそれがなくなつてしまつた、こういうことは余りに不合理ではないか。小さな犯罪、選挙運動の犯罪だけが罰せられて、そういう大きな犯罪は罰せられない。罰せられないじやない、特赦なんか出て来るとなくなつてしまう。これではいかん。法的措置を何とかこの選挙の、今度の改正案によつて善処しなければならんじやないかというふうにお話しておつた。それとやはりこういう当選無効のような犯罪の係属しておるものについては、成るべく早くほかの事犯に先だつて裁判しなければいかんというような規定を入れようというふうに考えておるわけでございます。そういう点についてこれまで御研究になつた点をお話し願いたい。
#81
○政府委員(牧野良三君) お答えいたします。その点は司法当局も又委員会へ来ておりまして、至極賛成であります。私はこれは私どもの委員会の構想としては実現できると思うのであります。それはモデル事犯ということの取扱いをいたしますると、てきぱきと少くとも一月くらいでやつてしまう。最近は大事件、殺人事件でもモデル事犯といたしますると、もう僅かの期間でやつてしまう、こういうことになつております。恐らく今度又三大新聞を初め主張されましたものが全国新聞の主張となりまして、ちよつと中部日本新聞社は非常にいい構想を発表いたしました。それはやはり公明選挙を展開いたしまして、あそこでは公正選挙という名前でやつておりますが、モデル地区というものを作りまして、それで模範の選挙を行わせる、全力を挙げるのであります。それと同じように今度は違反に対しましては、違反事件を取上げて、これをモデル違反事件としてとつととやろうということを言い出しております。成るほどこれは実効がありますね。そうして必ず私は御説のようなことは、今度の機会にはどしどしと具体的に実現して行くと思いますから、どうぞそういうものは支援してやつて頂きたいと存じます。
#82
○岡本愛祐君 もう一つ牧野さんにお尋ねするのですが、戸別訪問は一切禁止するということにやはり要綱がなつておるようでありまして、衆議院の今度の改正法案におきましてもそうなつておるのでありまして、公職選挙法の百三十八条「何人も、選挙に関し、投票を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて戸別訪問をすることができない。」それだけ残して「但し、公職の候補者が親族、平素親交の間柄にある知己その他密接な間柄にある者を訪問することは、この限りでない。」ということがあつたのを削つてしまうようにされたわけであります。そういたしますると、この選挙に関しては親族でも平素親交のある知己でも訪ねてはいか
 ん、こういうことになるのであります。そこが選挙に関するかどうかということが非常にあいまいになつて来る。併し選挙期間中自分の親、兄弟の所、友人の所に訪ねないわけにも行きません。そういう点についてはどういうふうに御判断になつておりますか。
#83
○政府委員(牧野良三君) お答いたします。この間婦人会から相談を受けまして、戸別訪問に関して詳細な、こう
 いうことはいいか、ああいうことはいいかという七つか八つの質問事項が出ましたから、全部いけません、断じてやつちやいけません。こういう質問をなさる人は戸別訪問をしたいという心持を底に持つているからこういう質問をするのだ、不純だ、断じてこんな考えを持つちやいけません。併し嫁の家に行つたり母親の家に行つたつてよろしい。但しそれは選挙に関係ないということをあなた自身が立証なさつて、一応は原則として悪意に推定いたします。これは法律家としてのあれであります。裁判官は恐らく又違う、だから決して選挙中は人から疑われるような行為はなしてはいけません。俯仰天地に恥なくして行くならばそんな質問も起きないし、そういう心持も起きない、そういうものは問題にいたしません。だから世渡りはもつと安心してやりなさい、わかりましたと言つてくれました。その通りで、これは断じて処罰いたすということを原則にいたしたいと思つております。
#84
○吉川末次郎君 総括的に今度のこの衆議院でおきめになつた選挙法の改正案については世上いろいろ批判があるわけであります。大体において余りに運動を窮屈にしておるというような趣旨で、違反が相当盛んであるわけなんですが、例えば朝日新聞のこれについての社説から見ますると、長いからちよつと抜いて申しますと、供託金の費用の節約ということを、いろいろな運動を拘束しながらこの点が上つていない、供託金を三万円から十万円に増しておるじやないか、或いは戸別訪問を許したり、今度は禁止しておるけれども、そういう朝令暮改は感心できないとか、或いはポスターを一面において禁止しながら、一番金を多く使う自動車上の連呼行為を認めておることは矛盾しておるじやないかとか、或いは政党の運動を選挙期間中において大幅の制限を加えておるのはよくないではないか、或いは又全国を通じて二十五名以上の候補者を持つ政党団体でなければ集団的な選挙運動をばささないというような規定のごときもよくないじやないか、まあいろいろな金のかからない、かけないようにしようということのためから非常に拘束をしておる。併しながらそれにもこういう矛盾があるという点をいろいろ挙げて書いておるわけですが、大体同様の議論が新聞等に非常に散見せられるわけですが、私としてのこういう議論に対する私見はないではありません。又あなたがお出でにならない委員会の席上で小澤特別委員長にも多少申上げたのですが、それは今日は申上げませんが、あなたはこういう今度の衆議院の改正案に対する一般的な世論、殊に非常に運動を制限し過ぎておる、或いは現議員の依頼本位にこれが作られておる、今言いましたような矛盾があるじやないかというような、まああなたも新聞或いはその他を通じて目に或いは耳にそうした批判が随分あなたの頭に入つておると思うのですが、全体的にそうした批判についてどうお考えになるか。更に今度の改正案はあなたの御意見からは、これは全国選挙管理委員会の委員長として、或いは又一個の政治家としての建前からよくできておる改正案と思われるか、或いは非常に悪い改正案と思われるか、そういうようなことについての概括的な一応あなたの御意見をこの機会に承わりたいと思います。
#85
○政府委員(牧野良三君) 大変いい御質問を受けまして感謝いたします。私は新聞は偏狭だと思います。新聞は理想的一般論をやつておる、こういうところから論じ過ぎておる、同時に改正案は具体的にやろうとして近視眼的に余りに近くにカンバスを置いて絵を書いておるから、大局に目がちつとも届いておりません。そこで切実に利害を追う議員としては誠に止むを得ない点がある。そこで、世論は議員の心になつて批判をするというのではないと、議員のほうも反省されない、どうも世論機関の論説と議員のほうの改正案とはどうも車の両輪みたいになつて行つて、両方とも賛成しませんね、こんなやり方をしていては。ただ運動を成るべく狭くさせたいという衆議院の案というものは非常に大きい志の下にできておるのであります。これは運動で成功することはよさせる。選挙というものは日本は運動で成功する、どんなつまらない人物でも金をかけて運動を徹底的にやつておれば当選できる。例外なく当選できる、日本は。これはいけません。だから運動というものはできるだけ幅を狭くしようということはこれは最も非常にいいところに着眼されたのでありますが、併し大事なところで誤まつておるのは、日本の選挙法というものは日本の国を弱くし、日本民族等を弱体化し、日本を混乱に陷れるようにという意図があつてできておるというところに注意が足りません。日本の選挙法というものは日本を弱体化するためにできておるのはそれは明らかであります。そこで左翼の人に便利なように、古い人はできるだけ避けて新人と称して特殊な方面の人々に便利なようにできておるのであります。その結果ラウド・スピーカーであるとかメガホンであるとか、トラツクであるとか、連呼であるとかいう世界に見ない馬鹿々々しいものをそのまま存置しておるのでありますが、これはアメリカにはございます。アメリカには一部にありますが、運動は大げさな運動はしないようにしようじやないかということは何から出ておるかと言いますと、やはり日本の弱体化政策の手先に選挙運動というものを使わないということが大事なのでありますから、どんなことをしても私は連呼はやめなければならん、連呼は一体効果がどこにあるのかといえば、名前の聞えていない人をこれによつて当選の機会を与えようとするのであります。選手権を持たない人をオリンピツクにやろうとすることと同じであります。こういうことは国会の品意を落すことでありますから、これは参議院においてもよほど御考慮下さらなければならんことであつて、恐らく衆議院の諸君もこの言葉には、世論には耳をかされるであろうと存じますが、世論は抽象論で衆議院の改正案を攻撃し過ぎて、又衆議院は具体的に弊害がある事実をとらないで、それに余りに神経を使われ過ぎたから、大局に関するものを逸せられた点がある。そこでもう少し日にちがありますれば、これを中心に参議院ともつといい御相談をして来たならば、大変私はいいところに注意が届いておるのですから、いいものができるのに残念なことをいたしました。大変時間がかかりまして、これは御苦心の結果でありますが、一、二、三、四、五、これだけのものに五ヵ月もかかつた。残念なことでありますが、今私としてはお言葉に従つて不遠慮に率直に申上げますと、そんな次第でございます。
#86
○吉川末次郎君 現在の選挙法案につきましては、私としては私見を別に持つておるということを申上げたのですが、これは重ねて申上げますが、今日は申上げませんが、あなたの御意見只今承わつたのですが、これも又あなたの御意見として一応承わつておくことにしたいのですが、ただ御答弁の中に私から見ますると、若干事実に反したようなことをあなたが認識していらつしやるように考えられるのであります。それは失礼ですが申上げますと、やはりこれは大変失礼ですが、政界から大分長い間御隠退になつておられたのですから、この選挙法改正の歴史的な推移についての事実をやはりよく御存じないように私には思われるのです。その点は全国選挙管理委員長であるあなたの立場からして、私は議員としても国民としても実にそういうものを残念に思うのですが、それはどういうことかといいますと、只今のお言葉の中に、現在の終戦後の選挙法規というものが左翼系の人に非常に有利にできておつて、運動さえやれば当選するというような建前で、非常に左翼のものに有利なようにできておる。そうしてそれはまあ占領軍の意味だと思うのですが、それが日本を弱体化するためにわざとそういう法律を作らせたのだという点、これは私の見るところではあなたが間違つておることを考えていらつしやるように思われるのです。終戦後の選挙法は大体選挙公営の主義から非常に運動が制約されて、あなたのおつしやるような意味においての個人本位の選挙法律だと言われるが、その範囲が制限されたような選挙法規で選挙が行われて、その結果社会党の内閣ができるようなことが起つて来たわけなんです。ところがその社会党内閣を作らすような選挙を見まして、あなたの御所属になつておるところの自由党のかたが、この選挙のやり方はいかん、余りに拘束し過ぎておるというのは、実は社会党の立場からは選挙公営ということを中心にした選挙制度でやつたわけなんですが、それはいかんということを非常に声を大にして言われたのは、私の記憶いたしておるところではむしろ自由党のかたが中心であつたのです。そうして現在のこの公職選挙法ができ上つたのでありまして、現在の公職選挙法をいろいろ御批判になりましたが、この現在の公職選挙法を作りましたときには、参議院では私もその特別委員会の委員の一人であつて、これをこしらえることには参加しておるわけなんですが、そのときに専ら声を大にして全く自由放任主義の選挙をやるべきである、選挙運動は一句自由にすべきである、戸別訪問も自由にすべきである、金も幾らでも使わすようにすべきであるというようなことを自由党のかたがそういうことを声を大にして言われたのです。これは自由党の人ではありませんが、その特別委員長としてまあ自由党系の緑風会の議員と思いますが、天理教の柏木君が初めなられるように、推薦が岡本君から私らにあつたのですが、その柏木君が今申上げましたような、自由党的な自由放任主義に還元する選挙法の改正を専らこの地方行政委員会で先ず主張されたのです。それで私は真向からそのときに反対したのですが、柏木君個人に対しては私は非常に好意を持つていたのですけれども、そうした見解の人は委員長としてはこれは時代の逆行であるという見解から、実は個人的には何らの愛憎はなかつたけれども、私自身には柏木君が特別委員会の委員長になられることをいろいろ実は反対したようなわけなんで、現在のあなたのおつしやる候補者本位の、私人本位の自由なる選挙運動を許すというような方向へ制限されていたところの選挙法規を還元するように持つて行かれたのは、これは決して左翼のものではないので、あなたのおつしやる左翼のものではないので、あなたの御所属の自由党が自由放任主義の建前からおやりになつたのですから、それには事実は間違つておるのですから、その点は一つ誤解がないように願いたいと思います。
#87
○政府委員(牧野良三君) その点は、私の申上げますることとあなたから御指摘を受けたところとちつとも違つていないと思います。自由放任主義がいけない、同時に左翼の人に便利というようなふうに言つたら失言であります。そうでなく新人に便なりと称して今最も新しい人に便利だということを建前にしておるということは、アメリカあたりは一九四八年までの日本の占領政策は、すべての立法は日本を如何にして弱くし、再起不能ならしむるにはどうしたらいいかということを目標でやつた。これは非常に誤まつていた。それで全部を改めてしまつた、そうしたならば、日本に行つておる新聞記者連中が非常にマツヵーサーの政策に反対して、マツヵーサーの悪口をアメリカに放送して来た、日本の占領から三ヵ年間における各種の移植した制度、法律、それからというものを聰明なる日本の政治家が適当にこれを改めて、適当にこれを指導することが必要だということを申しております。そこで選挙法も又その選に洩れなかつた。でありますから、相当これは注意深く考えなければならない。やはり日本を弱体化する、何といつても日本を恐れていたから、殊に再び立つということを恐れていたのですから、無理はないけれども、それの手先に乗つたものは自由党の輩であつたかも知れません。この点はあなたのお説と私は必ずしも反するものではございませんが、アメリカはそういうふうに考えていた。そうして原案でもこれはアメリカの原案じやないということでございます。御承知の通りそこで私がそういうものを国会にいなくて、社会におつて客観的に取扱つておるものですから、国会の審議には参画いたしていないから国会の状況は知りませんが、社会的な資料から牧野一個の説を述べよと、こう言われたので述べたのであります。御了承を請います。
#88
○吉川末次郎君 アメリカの政治的意図についていろいろお話になりましたが、そういう意図があつたかなかつたか、あるというようなことも全然ないということは私は言えないと思うのですが、どうもあなたのお話では誰かのアメリカの人の言つた片言隻語をとられて、部分的な何か事実をとられて非常に独断的に断定していらつしやるように、いわばこれは失礼ですけれども、長く政界を隠退していらつしやつたところにお年の加減か、政治的感覚のずれがあるのですが、それはそれとしまして、その点は承わつておくことだけにしておきますが、それでですね、私は何もあなたがおつしやるように日本の弱体化ということと現行の公職選挙法規とが直接的なそんな深い繋がりがあるようにも思いませんし、動機の上において、又結果の上においてもそうしたことを効かしておるとは思わないので、左翼の政党、例えば共産党なら共産党の政界進出を阻止しようとか何とかいうような意思ならば、何も選挙法を現在の法規のように作らさないでも、それ以外のいろいろなもつと端的な直接的な効果を得るところの政治的措置は司令部から幾らでも取入れられるのですから、あなたがそういうことを考えられておるのは、御承知であるか知らんが、私は少しどうかと思うのですが、それはまあそれとして、それであなたは二大政党主義の建前からだと思うのですが、英国流の一人選挙区制を非常に強く主張していらつしやるとか新聞で散見したのですが、吉田さんも実はそういうことをおつしやつたので、実は私は吉田さんの小選挙区制論は、議会政治は二大政党主義に持つて行くのがいいということは賛成しておるわけなんですが、そのことについての御見解と今度の衆議院の改正案はそういう点は盛られていないわけなんですが、それについてのあなたの一つ御見解を又承わつておきたいと思います。
#89
○政府委員(牧野良三君) お答えを申します。率直に申しまするから、そのことをよく御斟酌を請いたいと思います。小選挙区を主張しまするのは、戦後における日本の政界をどうしたらいいか、選挙法というものの本旨からどういうことが好ましいかという根本論から来ておるのであります。従つてすでに長く七十年も行われている選挙界というものの実情というものから多少かけ離れている点がありまするから、衆議院が直ちにこれを賛成してくれないということは、これは又尤もな点があると存じます。よつて大所高所より、政治上の立場から今度の選挙と、もう一度選挙をやりますれば、恐らく世論と共に政界も実際国民も又そこに落ちて行くものと私は信じ、且つ期待しながらその方面に持つて行きたいと存じております。そこで若しも参議院へもつと早く法律案が廻され、参議院も又この方面でもつと各方面から時間多く御審議になりますれば、恐らく小選挙区制の可否に関する議論はもつと熟しまして、もつとよく衆議院の諸君にも御理解が行くと思うのでありますが、その点は残念に思います。但し今度の選挙の実情を見ますと、各選挙区では中選挙区で全体的に手を入れないで、おのおの特殊地域に主力を入れて小選挙区実行の暁に資せんとする傾向が極めて顕著のようでございます。それは選挙になつて見ませんと具体化いたしませんが、どうもそういうふうになつておりますから、今度の選挙をやつて見ますると、思い及ばないところに進んで参ると思います。これは日本が立憲政治に一大進歩をすることである、一同と共に期待しておる次第でございます。
#90
○岡本愛祐君 牧野さんに今吉川委員かうお尋ねになつた小選挙区制についてついでに伺つておきたいのですが、イギリスのほうに民主主義が非常に発達して、先ほども御説明があつたようにすべてが理想的に行つておる、選挙に当つても選挙運動は殆んどなくて、政治運動ばかりという所ならば、小選挙区、一区一人制度というものが理想的に行くというようなことも考えられましようが、日本の現状、即ち民主主義がまだそれほど徹底していない所において一選挙区、一区一人選挙区ということになりますれば、非常に競争が激化するのじやないか、又いわゆる選挙費用が多くなり過ぎるのじやないか、その結果村が保守派と進歩派で二分をしてしまつて、その弊害が大きくなり過ぎるのじやないだろうか、こういうことが考えられるのです。それで早い話が県会議員、区会議員の選挙におきまして、我々も応援に行つたのでありますが、一区二人選挙区というのは割合尖鋭化しないで、一区一人選挙区というのが非常にするどい争いであります。そういうようなことを考えて小選挙区もいいが、まあ今の程度では一選挙区二人制度というのがいいのじやないだろうかということを私は考えておつた。で、人にもそういうことを話したことがあるのですが、そういうことについてどういうふうにお考えでございますか。
#91
○政府委員(牧野良三君) お答えいたします。その点では岡本さん、世間からはそう言つておるのですが、私どもは違つた考えを持つが、日本は選挙というものの観念が誤まつておる。だから小選挙区にすると大変な激戦にたつたり弊害ができたりするのである。小選挙区にすると同時に選挙というものの観念を全然真直ぐなところに持つて行く、そうして来れば成るほど我れ誤まてりということで、国民はがつちりした選挙をする。そこに持つて行つて小選挙区になりますと、国民の環視、環視は監督して見るじやなくて、環を作つて視る、その注意力が集中しますと、弊害の多い運動をしたり、弊害のある、欠点のある人物なんか出しますと、おのずから正しい結論へ早く行く。従つて今のような状態で岡本さん小選挙区でやつたら、それはお説の通り駄目です。だから選挙というものを今までのような賭博類似の行為にしない、取引をしないように、当選の取引をしない本当の公明正大な公明選挙の競争というものに持つて来る。そうして皆が環視していればいい選挙が行われる。それでも例外的には金を使つてあばれ廻るような人が出て、そういう人が大勢を制するかも知れんが、それは二度とは行われん、必ず花環議員や香奠議員は二度とは出なくなる、一度は出るけれども、二度は出なくなる即ち根本策である。こう思つておるわけであります
#92
○岡本愛祐君 ついでにこの選挙費用のほうの基準に関するそれをお尋ねしたい。まあ一条心々について御説明がないようですから、便宜一条々々御説明願つたほうがいいのかとも思いますが、そう願いましようか。
#93
○委員長(西郷吉之助君) それでは条文について要点を説明願います。
#94
○岡本愛祐君 衆議院の修正と併せて御説明願いたい。
#95
○政府委員(吉岡恵一君) 国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律を逐条的に御説明申します。一番最初の条文は第四条の改正でございます。第四条は投票所の経費のことを規定しておりますが、第一項はその基本額であります。これは職員の給与等が増加いたしておる関係上、一般的に改訂をいたすのでございます。第二項は勤務地手当の加算の問題でありますが、これもやはり給与の改正に伴う変更で、それぞれ増額をいたしております。それから第三項は投棄箱を翌日送致をする場合の費用でございます。投票箱を翌日送致をいたしますと、それに要します投票箱を一日一晩だけ保管をしておく費用は余計に要るのであります。ただ翌日開票をいたします関係上、開票の時間が勤務時間外にならなくて勤務時間内になりますと、却つて減少いたしますので、その金額はやはり違いが生ずるのであります。第五項は燃料費、これは燃料費の増加に伴いまして、基準額を変える改正でございます。それから第六項は投票所が役場の市町村内、つまり距離が近い場合の通信費でありますとか、或いは旅費というものが要りませんので、これがやはり基準額の改訂に伴つて返つて来るのであります。
 次には第五条の改正でありますが、これは政府提案の最初の改正にもございますし、それから衆議院で修正になりましたものもございますが、これは衆議院で修正になりましたものは、旅費額の改訂に伴いまして、僅かの金額が殖える、三十円ばかり殖えるものであります。第一項は開票所の経費の基本額であります。それから第二項は投票所と同じような調子の勤務地手当の加算額の変更で、これは衆議院の修正はございません。最初申しました給与の改正に伴う変更でございます。第三項が投票所と同様に翌日開票の場合の減額の規定でございます。第四項はその場合の動物地手当の加算額の問題。それから第六項は投票所の場合と同じく開票場が近く、近接地にある場合の通信費、旅費の不用額の減少額が違つて来る分でございます。
 それから第六条の改正は、これは選挙外の経費であります。これはやはり給与の改善に伴う変更と、それから旅費の点も関連がありますので、衆議院の修正が加わつて触るわけであります。それから第六条の第三項は勤務地手当の加算額、それから第四項は燃料費、との燃料費は申上げておきますが、これはやはり冬季間に選挙が行われる場合の費用でございますので、夏行われると、この燃料費が要らなくなります。
 それから第七条は選挙公報の発行の基本額であります。これはやはり給与の改善に伴う分と、それから用紙、つまり紙の代が騰貴をいたしましたので、それの改訂などを含んでおります。衆議院の改正は、これはこの点はございません。修正はございません。
 それから第八条は、候補者の氏名掲示費の基本額の改訂でありまして、第九条は演説会の施設の公営の費用でございます。これは単価をきめておるわけでございまして、何回開くかということは法律の表面には現われておらないのであります。第九条の第二項は勤務地手当の支給地による増減の問題でございます。それから第九条に三須と四項等ございますが、これは燃料費の問題であるとか、或いは日曜日の場合どう、休日の場合どうというそれぞれ増減をする金額を定めております。
 それから第十条は立会演説会の費用であります。これも基本額をそれぞれ定めております。第二項は勤務地手当を支給する地域に行われる場合の加算額の問題、それから第十二条はポスター用紙の費用であります。ポスター用紙は衆議院議員の選挙については別に規定をいたしておりますので、参議院の全国選出議員の選挙だけについて一万三千三百円という工合に規定をいたすことになります。
 それから第十三条事務費であります。これは地方へ配付をいたします費用の大部分をなすものであります。これが非常にこの法律では重点をなす分でありますが、これは人口段階がありますが、選挙人の数によつて段階を設けてあります。これは旅費を含みましたり、いろいろな費用、調査費その他人夫を雇う費用であるとか、超過勤務手当であるとか、いろいろな費用を含む、それを選挙民の段階別に分け、又都道府県区市別々に計算をいたしております。それから第二項は勤務地手当の加算額の加算の問題であります。それから第三項は休日の場合どうだ、こういう事項であります。これもそれぞれ休日の場合に給与が違う関係上、こういうふうになつて参ります。それから第四項は燃料費の問題であります。第六項はこれは区につきまして、段階を十五万で切つておるのでありますが、そのほうが、その上は例えば世田谷でありますとか、相当人口の多いところの区については十五万人以上ということでは気の毒な場合がありますので、五万人ごとについて百分の二十の数を乗じて加算額とする。これは新らしくこういう制度を設けました。それから第十四条は費用弁償であります。これは殆んど費用弁償の額が少いので、いろいろ問題がありますが、これを殖やしますと、相当全体の金額に響いて参りますので、これの管理者だけを殖やして五百円を千円にいたしております。それからこれは十七条の二項、三項と加えておりますが、これはいずれも補欠選挙、再選挙の場合の規定であります。特殊な選挙の形態になりますので、特に金額を別にいたしております。それから第十九条、第二十条というのは、従来の条文に疑義がありましたので、特別に書きまして、修正を加えております。
 それから今回の公職選挙法の改正に基きまして、衆議院の特例があるのでございます。その特例のものにつきまして、特に附則に二、三項規定をいたしております。附則のこれは衆議院の修正の分の第二項でありますが、これは選挙公報の発行費の基本額を定めておりまして、前に何条でありましたかありましたのを特例みたいな恰好になるわけでありますが、これは衆議院だけについて特に規定をいたしております。将来参議院その他一般について規定をすれば、附則でないほうへ入れなければならんと考えております。それから第三項は立札の経費、基本額は一箇五百円、これは二三回使うことにして五百円ということにいたしております。それからポスター用紙の経費、これはつまりポスター用紙を四百枚一人について配る経費、これを千五百円、それから第五項の経費は第八条氏名掲示の費用であります。それから第六項はこれも衆議院の特例でありまして、ポスター用紙の、衆議院並びに参議院の地方選出議員、全国選出議員の特例としてポスター用紙の経費の改訂をいたしております。
 各条の説明は大変簡単でありますが、若し御質問がありますれば、あとで……。
#96
○岡本愛祐君 小さいことですが、今御説明のときに気が付いたのですが、六条の第三項の選挙会、又は選挙分会の費用ですが、これたけが減つておるのですね、これはどういうわけですか、つまり衆議院議員選挙会の区が二万七千何ぼが一万二千円に減つておる、これだけが減るという理由は……、六条の三項です。
#97
○政府委員(吉岡恵一君) 第六条の勤務地手当の加算額が減じておりますのは、従来超過勤務を夜の十時まで見ておりましたが、この前の公職選挙法の制定のときであつたかと思いますが、届出の受付時間を減少、時間を勤務時間に限定をいたしました関係上、短くて済むということで、本当は不本意でありましたが、全体が殖えますので、費用を節約するという意味で、ここを落してあります。
#98
○委員長(西郷吉之助君) どうですか、今日はこれくらいで……。
 それでは本日はこの程度にして散会いたします。
   午後三時四十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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