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1951/07/18 第13回国会 参議院 参議院会議録情報 第013回国会 地方行政委員会 第64号
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1951/07/18 第13回国会 参議院

参議院会議録情報 第013回国会 地方行政委員会 第64号

#1
第013回国会 地方行政委員会 第64号
昭和二十七年七月十八日(金曜日)
   午前十一時二十分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     西郷吉之助君
   理事
           中田 吉雄君
   委員
           岩沢 忠恭君
           高橋進太郎君
           館  哲二君
           原  虎一君
           吉川末次郎君
           岩男 仁藏君
  衆議院議員
           河原伊三郎君
           川本 末治君
  政府委員
   国家地方警察本
   部総務部長   柴田 達夫君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       福永與一郎君
   常任委員会専門
   員       武井 群嗣君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○市の警察維持の特例に関する法律案
 (衆議院提出)
○警察官等に協力援助した者の災害給
 付に関する法律案(衆議院提出)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(西郷吉之助君) 開会します。
 本日は最初に警察官等に協力援助した者の災害給付に関する法律案を議題にいたします。提案理由の説明等を聞いておりませんから、その法案に対しまして最初提案理由の説明を聽取したいと思います。
#3
○衆議院議員(川本末治君) 警察官等に協力援助した者の災害給付に関する法律案の提案の理由並びにその内容につきまして御説明申し上げます。
 この法律案を提案致しました理由は、職務によらないで国家地方警察の警察官又は市町村警察の警察吏員に協力援助し、災害を受けた者に対して国又は地方公共団体が療養その他の給付を行う刷度を確立するためであります。
 御承知のごとく、すでに明治十五年太政官達第六十七号(一般人民巡査同様ノ働ヲナシ死傷セシ者弔祭扶助療治料支給方)によりまして、警察に協力援助して災害を受けた者に対する給付がなされて来たのでありましたが、この太政官達は、日本国憲法の施行に伴つてその効力を失うこととなつたのでありまして、現在それに代るべきものがなく警察官又は警察吏員に協力援助してそのために災害を受けてもそれについての法的な救済方法が確立していないため統一を欠いてとかく紛議をかもしやすく、その実効性を欠いているのであります。そこでこれら警察官等に協力援助してそのため災害を受けた者について、その本人及び遺族に対して必要と認められる給付を行い、これら警察に協力援助したことに対する公的な救済手段をとる必要があると存ずるのであります。
 次にこの法律案の内容について御説明申上げます。
 この法案は、本文十三條及び附則一項からなつております。
 先ず第一條においては、この法律の目的について定めてあります。第二條におきましては、職務執行中の国家地方警察の警察官又は市町村警察の警察吏員が援助を求めた場合その他これに協力援助することが相当と認められる場合に、職務によらないで当該警察官等の職務の遂行に協力援助した者が、そのため災害を受けました場合に国又は地方公共団体がその療養その他の給付をする責に任ずることとしたのであります。
 次に第三條におきましては、給付を行う者について定めてあります。即ち協力援助者が(一)国家地方警察の警察官に協力援助した場合、(二)都道県公安委員会の要求により援助に赴いた自治体警察の警察吏員に協力援助した場合、(三)国家非常事態の布告のあつた際において、派遣を命ぜられて、職務を執行する自治体警察の警察吏員に協力援助した場合には国が給付を行うこととし、(二)、(三)以外の場合における自治体警察の警察吏員に協力援助した場合には、当該地方公共団体が給付を行うことといたし、併せて自治体警察相互間の援助の際には、援助を要求した地方公共団体において給付を行うことといたしました。
 次に第四條は、この法律に基き給付を実施する機関として、国が行うべき給付の実施機関は、国家地方警察本部とし、地方公共団体が行うべき給付の実施機関は当該地方公共団体が條例で定めることとしたのであります。
 次に第五條は、給付の種類についてであります。給付の種類は(一)療養給付(二)障害給付(三)遺族給付(四)葬祭給付及び(五)打切給付の五種類といたし、又特に必要がある場合には休業給付をすることができることといたしました。
 次に第六條でありますが、本法により国の行います給付の範囲、金額及び支給の方法その他給付に関し必要な事項は国家公務員災害補償法の規定を参酌して政令で定めることとしたのであります。地方公共団体が行います給付の範囲等につきましては、当該地方公共団体がこの政令の規定に準じて條例で定めることとしたのであります。
 次に第七條において国又は地方公共団体がこの法律に基く給付を行なつたときの損害賠償の免責について規定し、第八條において給付を受けるべき者が他の法令による給付又は補償を受けたときはその限度においてこの法律に基く給付の責を免れるものとし、且つ、第三者より損害賠償を受けたときは、その価額の限度においてこの給付の責を免れるものとし、併せて第三者に対する損害賠償の請求権の取得について規定しました。
 次に第九條乃至第十三條において時効、給付を受ける権利の保護、非課税及び戸籍の無料証明について、他の災害補償の法律の規定に準じて本法にも規定することとしたのであります。
 最後に附則において、この法律の施行の日を公布の日から三月を経過した日からとしたのであります。
 以上がこの法律案の提出理由及びその内容の大要であります。何とぞ御審議のほどをお願い申し上げます。
#4
○委員長(西郷吉之助君) それではこの説明を終りましたので、もう一つのほうの市の警察維持の特例に関する法律案につきましては、提案の理由の説明を聞き質疑をいたしましたが、その分につきましての質疑がおありのかたは御質疑をお願いしたいと思います。これの市の警察のほうの質疑がございましたらこれを終り、次に只今御説明願つたほうの質疑をやりたいと思います。中田さんの市のほうの御質疑がなかつたら只今御説明頂いたほうの質疑をいたしたいと思いますが……。
#5
○高橋進太郎君 この警察官等に協力援助した者の前太政官布告との関係はどういつたようなところが一番骨子になつているのでしようか。
#6
○委員長(西郷吉之助君) それでは高橋さん、今市のほうのを先にと申しましたが、市のほうがございませんければ、警察維持のこのほうお願いいたします。
#7
○原虎一君 市のほうの警察、これは仮に今月末公布になるとしてどのくらい該当するものがあるのですか。
#8
○委員長(西郷吉之助君) 原さん昨日資料をお手許に配付しておきましたが……。
#9
○衆議院議員(河原伊三郎君) お手許にお廻わししましたように、岡山県笠岡市、鹿児島県阿久根市、岩手県大船渡市、富山県魚津市、現在のところはこれだけでありますが、なお今後生まれる市もあるやも知れないわけであります。
#10
○中田吉雄君 市の警察維持に関しまして特例を設けますことは、自治体警察全体の崩壊する切つかけになる虞れはないかどうか、こういうことについてどういうふうにお考えか、お伺いいたします。
#11
○衆議院議員(河原伊三郎君) 自治体警察につきましては、二様の考えがあると思います。自治体警察を小さい市までが広く持つていることが自治体警察の力を強めるゆえんだという考え方と、そうして一面におきましては、小さい自治体警察はいろんな警察としての機能上の問題を起す、無論これは無理な小さい自治体警察はなくして、そうして小さい市としても警察のために煩わされないで、警察の規模においても十分なる機能を発揮し得るというものを残すほうが本当にすつきりした自治体警察になるという行き方と二つあるわけでありまするが、併しこの法案におきましては、そういうふうな根本的な問題を考慮に入れてはおりません。最近において自治体警察を国家警察に返上、若しくは今まで少しも持たなかつたもの、そうふうようなものが集つて、市を形成するということにつきましては、市となればこういうような仕事をやりたい、或いは事業をやりたい、こういうふうな希望が先ず先きに出るであろう。そういう場合に市になりますれば、後に至れば財政に余裕ができましても、市になりました当時におきましては、むしろ一時的に費用が相当嵩むのを例とするのであります。そういう場合に小さい市で警察を持たなければならないということにしておくということは、できました市のためにも、又警察自体のためにも好ましくないと、こういうふうな観点から本案を提案いたしている次第でございます。
#12
○中田吉雄君 小さい人口五千程度の市街的な形態をなす町村につきましての問題は、我が党としてはまあ反対でありますが、それを一歩讓つて、一応形態を変えるということを是認するにいたしましても、私はこの法案が通りましたならば、現在のこの市の警察を維持するに要しまする厖大な財政需要からいたしまして、これが橋頭堡になつて、私は市警察が全面的に崩壊する非常な大きな切つかけになる、必ずです。例えば現在の平衡交付金の中に計算されています單位は、まあ二十万足らずと思うのですが、十九万幾ら、今後はまあ計算方法が変りましたが、昨年まではその程度である。ところがどういたしましても、三十万くらい要るわけなんです。私はこの間メーデーの問題で京都へ行きましたところが、やはり京都は市警察に三千七百名おる。そうして平衡交付金でもらうものは二十万足らずで、一人当り十万にも足らん。そうすると三億数千万円の市の財政需要が来るわけなんです。そういうふうなことになつて、こういう特例があるが、この特例が特例でなしに、警察一般に、都市警察一般にこれは擴大されまして、必ずや私はこれは日本の警察制度が全面的に崩壊する、非常な危機をはらむものである。そういう橋頭堡になつて、これはなし崩しに折角警察民主化の制度として、マツカーサー書簡に基いて、このなされた画期的な改正が私は必ず崩壊する。そうしてこれはこういう特例を考えてやられるということも、この自治体警察をなくすという立場をとられるには肯定できるかも知れませんが、大体警察法の附則の第八條ですか、市町村警察に要する費用は、地方自治財政が確立されるまでは政令の定めるところにより、国庫及び都道府県がこれを負担する、こういうことになつているにもかかわらず、三十万くらい要るのを二十万程度しか財源措置をしないということと、これはからみ合いまして、これが必ず全面的に崩壊する切かけになる。こういうことになると思いますが、そういうことは絶対ないと思われるのですか、私はこういうことになると、必ずなつて、もう警察制度は戦前に復帰する。これは重大な、僅か只今御説明になりましたところでは数個所のようですが、これが切つかけになつて私はもう前の警察制度に復帰するということを非常に心配するのですが、この附則第八條と関連いたしまして、現在のように国が有力な財源を與えずに、財源措置をしてやらずにこういうふうなことをやるということは、やはり間接的に警察制度を旧に戻すところの掩護射撃になるというふうに考えますが如何ですか。第八條との関連において一つこの問題について、もう余り質問もいたしませんからお願いします。
#13
○衆議院議員(河原伊三郎君) この法案が成立すれば、これが全面的な自治体警察の崩壊の橋頭堡若しくは突破口になる虞れがあると思うがどうか、こういう御質問と拝承いたしたのでありますが、私は断じてさようなことにはならないと存じております。先般も全国自公連の、自治体警察公安委員会の大会が新潟県で行われました。そのとき参つたのでありますが、その際各地の公安員の諸君又は新潟市の警察の諸君とそれぞれ個別的に懇談いたしたのでございますが、相当規模の大きい自治体警察におきましては、国家警察と比肩して、自治体警察より国家警察のほうが弱体であり、そうして国家警察よりも自治体警察のほうが比較的優位にあるという確信を持つております。例えば或る府県におきまして、この市が非常に大きいといつたような場合には、何か事があつたときに国家警察から援助してもらうというようなことは絶対にない、こういうふうに申しておりました。自治体警察の規模が非常に小さい所におきましては、国家警察が強く自治体警察は弱いもののごとき感を與えておりまするけれども、これは自治体警察の規模によつておのずから異ると思います。従いまして小さい市における自治体警察の場合におきましては、一部返上してもらうほうがいい、返上したいといつたふうな声が起るかも知れませんが、併しながら自治体警察にしても、健全なる自治体警察におきましては輿論の上におきましても、又市の財政の面におきましてもこれを国家警察に吸收すべしというような声は起らないものと思つております。従いまして無理な自治体警察を持たせるということが、却つてその一部の欠陷が全自治体警察の欠陷であるかのごとくに誤認せられますことは、これこそ却つて自治体警察を危くするものであります。こうした無理な面を防ぐ、例えば一つのものにつきましても、少々色の悪くなつているようなものを防ぎますことが、色が濃くなりまして、その末端の商品価値を高めますと同時に、無理なものを置かないということがむしろ自治体警察の声価を高めるゆえんであり、自治体警察と国家警察と両々相待つて治安の完璧を期するものである、かように存ずる次第でございます。
 なお平衡交付金との関連においてのお話でございますが、現在平衡交付金の問題につきましては、御承知の通り教育方面におきましても平衡交付金が食われる、増している。消防の方面においても平衡交付金が食われる。自治体警察の方面においても食われる。それならば誰がくれるかと申しますと、どの方面におきましても国家財政の都合上十分なる算定が行われておらないということになつておる次第でございまして、これはひとり自治体警察の場合でなくて、若しこの平衡交付金を地方の要望するがごとくにしまするならば、恐らく現在の倍額を要するのじやないか、こういうふうに考えられるのであります。これはひとり自治体警察だけが虐待されておるということにはなつておらないと考える次第でございます。
#14
○中田吉雄君 小さいのだけでなしに、私がさつきも申しました京都は大体三千七百名程度市警察のなにがあるらしいのですが、一人当り十万円としますと三億七千円ぐらい財政負担があるわけであります。そこで京都ではもう都市財政ができませんために、今社会党から出ているにもかかわらず、高山市長は大規模な首切りをやつて、その財政欠陷を埋め合せる問題と衝突いたしまして、今自治労連、自治労協がそれに対する強力な反対運動のために実は参つて重大な問題になつているのです。それの主たる財政欠陷を来たしましたものがこの三千七百名の財政的な国家の措置が十分でないために起つたことはこれは明らかです。そこでそういうふうな数億の財政欠陷をどれからどの問題であるというふうに分析して行けば、地方住民に実は非常な深い関連があるにもかかわらず、水道とか、ガスとか、厚生とかいうような問題までやはり取上げて、そういうものを切捨てて行く気運を釀成して、国に対して財政欠陷を補填して、この市警察を、自分たちのところの秩序を破るものは自分たちの選んだ警察官によつてこれの秩序を保つというような民主警察本来の問題を見誤つてしまつて、必ずそういうふうになつて行く。これは大都市の京都ですらそうですから、どのように只今の説明がありましようとも、我々が直接この町村警察を廃止する闘争をやつた際の殆んどというものはもう財政問題に盡きているのです。従つて私は現在のような財源措置でありましたならば、必ずやこれは大きな問題になつて警察制度は旧に復して、遂に我々が長い間の戦争によつてアメリカからのサゼツシヨンに基くとは言いながら、闘いとつたこの警察制度を烏有にしてしまう、そういうようなことを考えて私はこれは突破国になり、そうして橋頭堡になつて行くものであるというふうに考えますが、もう幾ら言つても仕方ありませんので大勢はきまつたようですから、もう意見として質問ではありませんが、申上げて私の質問は終ります。
#15
○吉川末次郎君 我々の手許に市の警察維持の特例法に該当する市の調査というので資料が出されております。即ち岡山県の笠岡市、鹿児島県の阿久津市、岩手県の大船渡市、富山県の魚津市について、今の御説明になりました法案との関連事項がいろいろと表にして出されておるのでありますが、それで我々の手許に出されておりまする町村が合併して新たにこうした市を作りました新らしい市におきまして、この法案と関連して警察行政の実情がどういうふうに行われているか。又こういう特例法をどうしても設けなければならないと提案者がお思いになるところの具体的な理由はどういうところにあるか。それを実例を挙げて一。説明を願いたいと思うのであります。特に今中田君が論じられました財政との関係、そういう点についても当然に一つ御説明が願いたいと思います。
#16
○衆議院議員(河原伊三郎君) この法案を提出いたしました理由は、大きい点では二点にございます。一点は、無理な自治体警察を設けることによつて警察機能が十分に発揮されないことを恐れることが一点と、いま一点は、新たに市の自治体の規模を大きくするという場合、通例の狙いといたしましては規模を大きくすることによつて財政上の余裕を生ずる、それを産業、交通、文化、社会福祉などのいろいろな事業に硬つてそれによつてこの自治体の発展を図ろうとするものが普通でありまするに、自治体警察を持つとすれば、相当にそれに経費が要ることによつて、それらの市を形成する目的が大半烏有は帰してしまう。この二つの点の対策として本法案を提出した次第でございます。
 なおこの提案の必要な理由といたしましては、現在の警察法によりますれば、市の設置から五十日以内に自治体警察を設置しなければならない。併しそれが遅れた場合においては、国警が警察事務の責任に任ずる、こういうようなことになつております。これらの市はすでに五十日を経過しておりまするが、なお設置するに至らないという状態、そこでこれがいつまでも設置しないというふうな場合には、法規がありながらそれを守らないというふうなことになり、誠に憂慮すべきことであります。そういうふうなことのないように置こうと思えば置く、置くのがいやならば置かなくてもいいという途を講ずるということが最も適当だと、こういうふうに考えて提案いたしたわけであります。
#17
○吉川末次郎君 そうした御答弁は、殊に前半のほうは、先にお述べになりました共通的なこととして提案理由をお述べになつた節に大体述べられておると思うのですが、私がお尋ねしたいことは、この四つの市において、今全面的に共通的な現象としてお述べになりましたことをもう少し詳しく具体的に、例えば岡山県の笠岡市においては警察の機能の発揮の上においてこうこうこういうような支障が来たされておる、或いは鹿兒島県の阿久津市においては財政の問題についてこういうような支障があるとか、そういうことを一つ詳しく具体的にお話を願いたい。ただ抽象的にこういうことが起るだろうと考えてこの特例法を出しているのだということでは、ちよつとまだ十分に我々は満足することができないわけで、こういうお尋ねをしておるのであります。
#18
○衆議院議員(河原伊三郎君) この法案は、只今のところでは、この法案が成立いたしまする場合にそれの対象となるものがこれこれでありますが、今後に生れるものも全部その対象となるわけであります。又この法案に対しましては、この法案そのものが直ちにこれらの四つの市の警察を維持するかしないかを決定するものでなく、これらの市に選択の自由を與える途を開くものでありますので、従いましてこれらの市の当局方面から早く通してもらいたい。自治体警察を設置するのは困るというふうなことは聞いておりまするけれども、併し公然議決を以てすでに住民代表の意思はこうだというふうなことで来ておるわけではない。従いましてこれが通ることになれば、これが必ず設置しないことになるかならないかという決定段階には私のほうの承知するところでは行つておらないわけであります。又この法案を出しますにつきましては、この四つの市のみを対象として考えたものではございませんが、従いましてこの市の財政が裕福であるからこの法案は要らない、この市の財政が非常に窮迫しておるからこの法案が要る、この市のみを対象として考えておらない関係上この市の財政状態について詳しく検討する必要も認めませんし、又今まで詳しい調査もいたしたこともない次第でございます。
#19
○吉川末次郎君 私余り詳しいことをよく存じませんが、この特例法を差当り適用されるところの市というものは、現在のところではこの四つの市だけであつて、ほかには今まだできておらんわけですか。それでは更にお尋ねいたしたいと思いますが、今の御答弁でどうもはつきりしないのですが、差当りはこの四つの市なんですが、この四つの市の現状は、やはりこうした特例法をお出しになつて来ている私は現実上の動機をなしていることは御否定にならないだろうと思います。そうするといろいろ親しくその財政状態がどうなつているかとか、或いは警察機能の発揮に支障があるというようなことは、或いは極めて細かい点にまでの御調査は親しくお済みになつておらんかも知れないのでおつしやらないのかも知れませんが、併し今日のお話の中にもいろいろ陳情があつた。そうしてその陳情は相当お聞きになつたような御答弁であつたと思うのでありますが、然らばこれらの四つの市の当局者が提案者であるあなたがたに御陳情になりましたときに、どういう具体的な事実を挙げて陳情いたしましたか。それはお聞きになつているのですから一つここで御披瀝を願いたいと思います。
 一々について一つお聞きになつた陳情の内容を聞かして頂きたい。
#20
○衆議院議員(河原伊三郎君) 私が市の当局から直接に陳情を受けましたのは笠岡市の助役からのみであります。ほかの市は衆議院の専門員室等に陳情に見えたという伝言は聞いたこともございますが、直接には笠岡市だけでありまして、これは、この法案は非常に我々の期待するものである。恐らくその他の市においても又今後できて来る市においても我々のような状況にあるものは双手を挙げて歓迎することと思いますので、是非とも一つ通してもらいたいということでありましたが、そのときはすでに衆議院を通過いたしておりまして、参議院のほうに回付されておつたときでございますので、もはや我々の手の届くところではないのだから、参議院のほうへよろしく懇願して下さい、もう衆議院のほうは一応手を離れておりますから、かように申上げておつた次第であります。
#21
○吉川末次郎君 そうすると御答弁によりますというと、この特例法の適用を受けるべき立場に置かれているところの四つの市については、その必要とするところの理由というものは、この資料の中に書かれておりますように、町の一において自治体警察の廃止を住民投票で決定したということは、この資料でわかるわけであります。だからこのたび町として廃止を決定したのだから、今度市になつて自治体警察を作ることは困るというような、まあ漠然とした私は市の理事者の意見が恐らく心理的に考えることだろうと思うのですが、こういうこと以外に衆議院のほうでは特に警察法の規定を無視し、或いは蹂躙してまで市であるならば必然的に市警察を作らなければならないにもかかわらず、こんな法律まで作つて、必然的に自治体員としてみずからの手によつて警察行政をやらなければならないという民主主義的な、或いは自治精精を蹂躪してまでやろうとする彼らの考えに副うて、こんな特別法を作らなければならないというだけであつて、警察機能の問題であるとか、財政の問題であるとか、いろいろあなたが抽象的に共通的なこととしてお述べになつたようなことの共体的事実については何も知らないで、まあこんな陳情があつたのだからということでこの法案を提出になつたと解釈いたしましてよろしうございますか。
#22
○衆議院議員(河原伊三郎君) 陳情を受けた話を聞かれたので、陳情を受けた時期と所を述べたのでありますが、この提案をいたしまするにつきましては、御承知の通り警察法の一部改正をいたしまして、自治体警察を持つている町村のこれを国家警察に責任を転嫁する途を聞きました以前にできておりました根本的な警察法、それによりますれば、人口五千以上の町村を一応その対象といたしておりますが、その際におきましても市街地を形成するという文句が入つているわけであります。従いまして人口の多い少いという、と同時に、市街地を形成する所ということが自治警察の大きな理由になつていることは今更喋々するまでもいところでございます。従いまして警察法の一部改正で、今まで自治体警察を持つておつたものが、これを解散する、又今までちよつとも持つておらなかつた、即ち今まで持つておらなかつたということはすでに小さいところの自治体であるか、若しくは相当大きくても農村的なものであるか、つまり自治体警察を持つてふさわしくないものであつたわけでありまして、それらのものが寄つて作つたところの新たな市というものはおのずから既成の市というものとは質においても違う点もある。又その望むところは財政の余裕を生じていろいろな事業を行いたいという点にあるという両面を考えまして、これが自治体警察を設置したところの根本的な精神の一端とも関連して考慮して背馳しない、かように存じて提案いたした次第であります。
#23
○吉川末次郎君 私はあなたの御答弁を承わつて非常におかしい感を受けるのですが、れは自治体として市ということになつているわけです、この四つの市は……。この四つの市が市であれば必然的に都市的形態を呈していることは当り前の話なんで、それが曾つては農村であつたから村であつたというような理由をお挙げになるのは甚だおかしいので、然らば居住民の殆んど大多数のものが農業を営んでおつて、その社会形態が田畑や山林で地域的に構成されておつて、居住民の産業形態が農耕民であるというようなことであるならば、それは市という名称を與えることがすでに甚だ奇怪な行政措置なんであつて、私はそんな馬鹿なことはしていないだろうと思うのです。恐らくはその地域が山林と田畑ばかりであつて、商店とか工場とかいうようなものが殆んどない所を市と言いそうなことはないので、曾つてはそれは村であつたとしたところで、それを理由にしてそういうことを言うなんということは僕ら非常に奇異な、ストレーンジブルなことをお言いになるような感じがするのですが如何でしよう。
#24
○衆議院議員(河原伊三郎君) 市という名がつくことによつて実質的に市街地になるわけではございません。どの市におきましても大きな部分が市街地であり小さい部分が農村である市もありますれば、又非常に農村地帶の多い市もありますが、大体におきまして相当年月のたつた市におきましては市街地の部分が多くなつております。併しながら現に小さい町で自治体警察を返したところ、又は自治体警察のない、市街地を形成しておらなかつたところの農村、そういうふうなものが市になりました場合は、市になつたからといつて一躍市街地になるのでなくて、この市街地的な部分が既成の市に比較いたしますれば非常に小さいものであるというふうに私どもは思つている次第でございます。
#25
○吉川末次郎君 ますますおかしなことを私はあなたがお答えになるような感じがするのでありますが、少くとも市である以上はこれは都市であります。だからして東京都の中にも農民も住んでおれは農地もあるわけでありますが、東京都全体として考えるならばこれは一つの市である、同じような市と名がついております限りは、その居住民の生活形態がやはり農業中心ではないということと、そうして従つて人口構成が農民が主要部分を占めてないということによつて、市という名になつておるにきまつておるのです。だから農民がおりましても、それが全体としての自治体、笠岡市、阿久根市、大船渡市、魚津市というふうにして考えて来るならば、これはやはり都市であるという見解からして、市という名前が生れておるんでありますから、従つてやはり市としては、農村でなくして警察法上の規定もやはり市警察を持たなければならないという結論が生れて来るので、農村は残つておるから、或いは農村民がおるから、或いはその市の一部分がまだ農村的であるからというようなことを以て、こうした特例法を設けなければならんということの理由にせられるということが、私は非常に奇怪な感じがするのですが、余り異なことをお答えになるような感じがしますから、もう一つ今のことを。
#26
○衆議院議長(河原伊三郎君) この資料を御覧願いますれば大体わかりまするように、同じく市になりましても、笠岡市の場合、阿久根市の場合、大船渡市の場合、魚津市の場合等は、非常に違うわけでございます。最も甚だしい例で言いまするならば、魚津市のごときは、魚津町の周辺の農村を集めておる。こういつたふうであり、笠岡市の場合は二つの町でありまするが、これは共に自治体警察を返上しておるというような状態でございます。従いまして市街地をちよつとも含まないものは市にはなりませんが、併し市になつたからといつて、市街地が殖えるようなことがなく、又必ずしも市街地が大部分を占めておるというふうなことにはならないと思うのであります。その点よりいたしますれば、やはり既成の市というものは市街地の部分とうものが非常に多く、又地方的な施設或いは設備も備つておりますから、新たに市となつたものは、やはり市としての成熟した形にはなつておらない場合が多い、かような見解をとつた次第でございます。
#27
○吉川末次郎君 それはあなたのお答えになるようなことは、市になつた当初においてはそういうところが多少去るところもあるでしよう。併しながら市になつた以上は、やはり都市としてその自治体をば育てて行く。農村として育てて行くのではなくして、都市として育てて行くということが行政の目標にならなければならないのであつて、そうした考えがここに成立ち得るものであるとするならば、やはりこの警察行政の上においても都市警察というものを作つて行くという方向へ、一切の行政を都市としての行政をリードして行くということが必要であると同じように、警察行政についてもやはり都市警察の方向ヘリードして行くという建前を認めて、その方向への指導の線に沿つたような警察行政を持つて行かなければならないのじやないですか。それをあなたの考えによれば、まだ市にはなつたけれども、農村的な形態をしておる部分が多いのだから、農村の方向へむしろ農村的な警察の方向へうしろ向きに引張つて行こうと、こういうようなお考えのように思われるのですが、失礼ですがもう一度御答弁を願います。
#28
○衆議院議員(河原伊三郎君) 合併して市を形作る場合、農村がことごとく市街地又は工場地帯になるというようなことも、或いはあり得るかも知れませんけれども、併しながら市になつたからというて、直ちに田園が工場に化すというようなことは、容易にはあり得ないのです。徐々にそういうような方向に行くかも知れませんが、現在市になりまするところの主たる狙いといたしましては、農村を都市に変えよう。田畑を工場に変えようという狙いではなくして、財政の規模を大きくし、そして自治団体の規模を大きくすることによつて、財政上の余裕を生じ、これによつていろいろな事業を育てて行く。どの団体におきましても相当財政には苦労しておりますので、この苦労から逃れようというのが当面の目標であります。農を工に変更することを目標として、若しくは農を商業に変更することを目的として合併しておるというふうには私どもは考えない次第でございます。
#29
○吉川末次郎君 私がお尋ねしておる点に答えて頂かないようですが、財政の面においてもいろいろ不足の点があれば、やはり地方財政平衡交付金等の制度もあるのでありますから、財政負担という問題においては必ずしも理事者の局部的な見解にのみ偏しないで、居住民の財政負担ということを考えの中心において、やはりこういう問題に対して頂かなければならないと思います。自治体の税金ばかりでなく、国税でもやつと納める。対象は違いましても、財政の負担の点においてはすでに同じなんですから、その財政の問題についても甚だ明確でない御答弁でありますし、実際上これらの法律の適用を受けるように、眼前に迫つておる四つの市の警察行政の機能の問題についても、事情があつて別になるというような点についても、甚だ不明確であることを遺憾といたしますが、これ以上追及は、追及ということは失礼ですがお尋ねいたしませんが、それでは今度問題点を変えてほかのことを少しお尋ねしたいと思うのでありますが、大体におきまして先ほど中田委員がお尋ねになりました質問の論点に共鳴するというような点が多いのでありますが、これからその自治体警察をできるだけ廃止して、戰前の警察制度に復したいという意向は相当強く言われておるわけです。いわゆる現在逆コースの線に沿うて、たびたび言うようでありますが、旧来の内務官僚諸君がそういうことを非常に努力いたしておるのでありますが、ところがそれが旧内務官僚によつて構成されておるところの当局のほうから出ないで、議員提出案としてお出しになつておるわけなんでありますが、提出者である議員として大体現在の警察法の精神、地方分権主義或いは自治主義的な方向に警察行政をば指導して行こうという現行警察法の精神というものを、飽くまでもこの善導といいますか、或いは発揮さすといいますか、そういう方向に警察行政を持つて行こうというところのお考えであるのか。或いは又先に警察法の一部改正をして、町村警察であつても住民投票という趣く形式的な手段を、形だけ自治的な手段を利用して、むしろ運用して、そうして地方民の民主主義的精神の未成熟なのを利用してですね、そうして昔の中央集権的な警察制度へバツクさせようとしておる、そういう考え方に御賛成であるのか。それに御反対であるのか。そういう特例案を官僚でないところのあなたが議員としてわざわざ御提出になりました現行警察制度の将来についての、或いは動向についての基本的なお考えはどこにあるかということを一つお話し願いたいと思うのであります。
#30
○衆議院議員(河原伊三郎君) お答えをいたしますにつきまして、わかりにくい点がありますので、ちよつとお伺いいたしますが、住民投票というような形式的なことをやる、そしてやつたと、未成熟の住民投票では駄目だと、こういうようなお話でございますが、然らば本当に民主的な行き方というものは、住民投票以上というようなものは、どういうようなものがあるかというお考えであるか、お伺いいたしたいと思います。
#31
○吉川末次郎君 では申上げましよう。私は民主主義というものは形式だけのものではなくして、一切の生活に流されておるところの私は精神の問題でなければならないと考えるのです。現在でも、例えば我々は飽くまでも新憲法というものを守つて行かなければならないと考えております。併しながら民主主義的な精神の理解が不徹底であるところの、仮に極端な例を言うならば、極めて文化の程度の低いところの未開人の所に持つて行つて、新憲法の精神もわからないのですから、何かの一つのアジテーシヨンです、煽動や或いはプロパガンダで旧憲法にこれを復してしまおうというところの運動が盛んに起つて来ていて、それを形式の上では人民投票或いは住民投票というようなのは、民主主義の一つの方法であるけれども、その居住民の政治的な意識の成熟が極めて低い場合においては、それは前の憲法のほうがよかつたというような賛成者が起ることも、私は地方的に見て非常にあると思うのです。私は明らかにそれは考えられると思うのです。それと同じような形で警察というものは自分でやるということをやらさせるということが、自治体警察の精神でなければならないにもかかわらず、それが戰後初めて行われたところの一つの警察制度でありますから、昔からお巡りさんというものは閻魔様のようにこわいものであるとか、自分の子は警察官にはやるものではないというように、明治時代から教えられておる。泣く子と地頭には勝てないというような、地頭のような、専制政治的な警察行政に馴らされておる人間が、今どういう制度を、みずからの手で警察をやろうということをしたところで、その当初においてはその意識は十分成熟しておらない。警察の行政に対する非民主的な旧態依然たる戰前の官僚的な警察行政に馴らされて来た農村民の、その民主主義的な意識の未成熟に乗じて住民投票をやつておる。実際にこれは事実です。私の調べてみたところでも。そのことを私は申上げているわけです。
#32
○衆議院議員(河原伊三郎君) そういたしますれば、甚だ失礼でございますが、あなたも余り内容のある投票によつて出て来ない、まあ甚だ不完全な成り立ちである、こういうふうに考えておる次第でございます。
#33
○吉川末次郎君 これは別の問題だと思うのですがね、そういうことは少しあげ足とりだ……。
#34
○中田吉雄君 この問題で例えば吉川議員が申されたことは全くで、例えば私が昨年各県で県庁の地方課がどういう指導をやつて、そうしてこの自治体警察を廃止する方向に持つて行つておるかというからくりを申上げましてお伺いしたいと思うのですが、成るほど住民投票によつてその形式は極めて民主的な方法をとつてあるのです。ところが県庁の地方課が自治体警察を置いておるところの町長を地方課に呼びまして、去年は平衡交付金の單位費用は十八万幾らであつた、併し二十五万から三十五万要る、それだけ足らん。そうして二十六年までは特別交付金を考えたが今年からは考えぬようになつておる。だから、あなたの所では警察官を十人置けば財政負担が百万くらい余計かかるのだというようなことを言つて脅迫して、そうして齋藤長官の下におるのですが、各県の警察隊長も同工異曲の手段を盡しまして、そうして町長と町会議員がそういうふうに先ず説得されて、そうしてそういうふうな空気を作つておいて、極めて公平なような住民投票をやつて行つておるのです。これはもう各県の、例えば大橋国務大臣の島根県でも、皆そういうことをやつている。都道府県の公安委員長すらもそういうことをやつて、公平なような、如何にも住民の意思を尋ねるようなことをしておるが、背後でそういうふうにやつている。これは丁度講和條約の第二十七條、二つの中国のうちどちらを選ぶか。それは日本の自由意思によつて選ぶのだということにして、ちよつと最後ではもう蒋介石政権を選ばざるを得ないようにしてあるからくりとこれはよく似ているのです。私はそういうふうになると思いまして、そこでこの法案の提出者である河原さんにお伺いいたしますが、この法律は市の警察維持の特例に関する法律となつているのですが、将来はこの特例を抜いてしまつて、市の警察維持に関する法律ということにしてしまつて、市警察でもその議会の議決を得て警察を維持しないことができるというふうにこれはするならば、実にそれはいいステツプになる案だと思うのです。そこで河原さんはそういうふうな、このたび提示したものに限つたものだけであつて、将来若し市警察の、この議会の議決を経て維持しないというような問題が起きた際には、それに対してどういうお考えであるか。その際にはそういうことはいけない。自治体警察は存置すべきであるというようなお考えをとられているのでありますか。その点をまあすべて例外のない法律はないということですから、市警察全部でなしに、このたびそういうふうに提示したものに対して除外例を設けるといたしましても、将来とにかく議会の議決を経て市警察を一本にすることができるというような問題が起きた際には、やはり反対される立場であるか。そうして自分の属される党に対して、やはり民主主義の一形態として市警察を維持すべきであるというような立場から懸命な努力をされる意思があるのか。この点を一つお伺いしておきたいと思う。
#35
○衆議院議員(河原伊三郎君) 先の点でございますが、前の議員投票におきましては、成るほどいろいろなことが或いは行われたかも知れません。私らの付近におきましては、自治体警察が相当勝手に活動した形勢もあるのでありますが、これは必ずしも全国的に言えませんので、それは中央、地方によつてさまざまのことが或いは行われたかも知れない次第でございます。
 なおこれによつて市の警察の維持の場合も市会の議決によつてどうにでもなるというふうな法案が将来出されることがあつた場合、これに反対するかどうか、こういうふうな御質問と拝聴いたしたのでございますが、そのことに限りませず、社会の状勢、政治の動きというものは、これは時々刻々に動くものであります。ときには一朝にして激変することもございますので、従いましてこの点に限らず、将来どうかという点につきましては、私まあ余り卓見を持つておりませんので、その動きに応じて冷静に判断をして行くべきである、かように考えております。
#36
○吉川末次郎君 先ほど来の問題は、あなたの提案理由説明書にある、「之は、警察法の右の規定が、住民多数の意思に逆行するものでありまして、民主的法規と称することを得ません。」という形式的な住民投票が、直ちに反対の居住民の民主的な意思の現れであり、又そうすることが民主的であるというお考えに基いているということを言つていらつしやるのでございます。その次は、それ自身に対する私は疑惑を先ほど来申上げたわけなのでありますが、先にもお話になりましたが、私も自治体警察を多少実地調査をいたしました結果からみまするというと、市町村警察の廃止に対する住民投票というようなものは、形だけ住民投票というところの民主的な方法がとられているのであつて、実際は全くそれに背馳したものであると思います。大体において住民投票をなすときにおいて、自治警察を廃止したい、うるさがつているところの者たちが、それは廃止すれば非常に居住民の負担が軽減されるのであるというようなデマをしきりに飛ばしまして、そうしてその投票をさせるのであります。而も層住民の大多数は十分な判断力を持ちません。それに対しては今も議員選挙のことがお話になりましたが、議員選挙のごとく、各党派から立候補者を立てて、それぞれの政見を述べ合つて、デイスカツシヨンをして、その居住民にその判断をさせるという、そういう私は議員選挙におけると同じような運動は、大体において私の了知しております範囲内においては行われていないのです。理事者の一方的なそういうデマ的宣伝が行われて、それに対するところの反対論を弁解するだけの運動は殆んど起されていません。それで居住民は一方的な、廃止したいという側のデマだけを信じまして、而もそれに対する判断力も十分ないものでありますから、私の知つている範囲内におきましては、住民投票に行きます者も、極めてパーセンテージが少い。居住民のうちでも、極く僅かしか行かない。それによつてこの自治警が廃止されて行つておるのであります。そういう実情から行きましても、私はあなたがこういうように住民投票が如何にも民主的なるものである、又廃止するということは民主的であるという考え方は、これは齋藤国警長官が言うならば、私はまだ多少…。あなたは人民から選ばれていらつしやつたところの公務員である。議員であるかたがそんな時代に逆行する非民主的な警察法の改正の音頭取をせられるのは、私は実に奇怪な感じがするのであります。それについて更にお聞きしたいと思いますことは、私は今言いましたように、警察の中央集権化を図り、現在の警察制度を基本的に元へ戻したいと考えておりまするところの旧官僚ならば、そういう官僚の警察行政改革に関する考え方は、有力に働いておるのでありますがこれであなたは当局と言いますか、政府為政者側からの請託に基いて、この法案を衆議院に御提出になつたのか。或いは独自的にそうした政府当局の請託を受けないでお出しになつたのか。それは政府当局の請託を受けて出す場合も十分考えられるのでありまして、特に三権分立が行われているアメリカのごときは、政府は法律案の提出をしないのでありますから、政府はこういう法律を作つて慾しいというときには、與党に理由を通じて、そういう法案の提出を国会に出すのでありますから、それと同じように政府当局の、殊に警察行政の中央集権化、地方警察制度の非民主的な逆転回を企図しているところの旧官僚諸君の請託に基いて、これをお出しになつたのか。そんなものから離れて、こうすることが民主主義の線に沿うものであるというあなたの説明書にあるように、本当にこう考えてお出しになつたのか、その点をよく御答弁願いたい。
#37
○衆議院議員(河原伊三郎君) この提案の動議は、全く自発的な独自のものでございます。なお自治体警察を廃止し、全面的に国家警察に持つて行くというふうなことは、私も現在の段階といたしましては、これは似てのほかのことであります。有力なる自治体警察は存続して、そして両々相待つて行くことが日本の民主化のためによいと、現在はかように存じております。
#38
○吉川末次郎君 私は非常にあなたの御答弁で肯けないような感じがするのですが、独自の立場で何も旧官僚の委託、請託において出したのではない。自分の判断に基いて自主的に出したのだとおつしやられて、而もすでに四つの市についてこういう特例法を出さなければならんところの具体的な事実、警察行政への支障、或いは財政上の支障というようなものはどこにあるかということをお尋ねするというと、少しもお答えにならない。そんなことは知らないというのであつて、ただ誰かがこういうことを言つたというだけで、こういう重大な、考え方によつては警察制度の基本的な破壊の法律なんですが、こんなものをお出しになるというのは、私はあなたの御答弁だけでは甚だ奇怪で肯けないものであるということだけを申上げまして、私の今日の質問は打切ります。
#39
○中田吉雄君 資料について……。どの程度関心を持つているかという有力な判断の材料になろうと思いますので、先に挙げられたような、この廃止しましたところの有権者の総数、投票数、そうしてその賛否、これを一つ……。更に予定されている相模原とか根室というようなところも、一つどれだけの有権者があつて、そのうちでどれだけ投票して、それに対する賛否はどうなつているか。このことは住民がどのように関心を示しているかという一つのめどもあると思いますので、一つお願いいたします。
#40
○委員長(西郷吉之助君) では休憩いたします。
   午後零時三十八分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時二十一分開会
#41
○委員長(西郷吉之助君) それではこれより午前に引続いて委員会を再会いたします。
 警察官等に協力援助した者に対する災害給付に関する法律案について御質疑をお願いしたいと思います。
#42
○吉川末次郎君 協力援助の対象となるべき警察官等の職務の範囲の問題についてお尋ねしたいと思うのでありますが、法案によりますると、一、職務執行中の警察官又は警察吏員が、二、その職務執行上の必要により援助を求めた場合、三、その他にこれに協力して援助することが相当と認められる場合に、職務によらないで当該警察官又は警察吏員の職務の遂行に協力援助した者と定めているのですが、この範囲と限界を明らかにしておく必要があるだろうと考えられるわけであります、それでこの点がはつきりしないために第一に、折角の民間側の奉公精神に基く協力援助が災害給付の対象にならないというような気の毒な場合が起つて来る。又第二には、警官等が不必要にこれを擴大解釈して、不当に民間側の協力援助を期待するがために思わざる犠牲を招く虞れはないか、それについての一つ御答弁を得たいと思います。
#43
○衆議院議員(川本末治君) この御質問でありまするが、これはもう全く警察官の職務執行中に警察官から援助を求められた場合にのみ限定されておりまして、それ以外の点につきましては一般人が当然援助すべきだというような自分の考え方だけでやられた場合などについては一切この場合の対象にはしないと、こういう考えでございます。
#44
○吉川末次郎君 次にお尋ねしたいことは、給付の主体の区別についてでありますが、第三條はその第二項におきまして、災害が警察法第五十五條の規定によつて、都道府県公安委員会からの要求に基いて援助に赴いた市町村警察の警察吏員に対する協力援助に起因するものについては国が給付を行なうこと、こういうことになつております。それから第二番目に、災害が国家非常事態に出動した警察吏員に対する協力援助に起因するものについては、国が給付を行なうこと、第三條第三項です。で第三番目に、災害が警察法第五十五條の規定によつて市町村公安委員会からの要求に基き援助に赴いた警察吏員に対する協力援助に起因したものについては、当該警察吏員の援助を要求した公安委員会の属する市町村が給付を行なうこと、第三條第四項ですね。いわば属人主義によつて給付の責任者を区別しているわけであります。ところが警察法第五十五條は、要求を受けた警察官又は警察吏員の職権行使についての規定でありまして、自治体警察相互間の援助の場合は前項の一、即ち第三條の第二項に該当するのか、又は先に申しました第三條の第四項に該当するのか、これが明確を欠いておる、こういう疑問が起つて来るだろうと思います。それについてはどうですか。
#45
○衆議院議員(川本末治君) お答えいたします。御質問の要旨は、第三條の第四項の場合でございますね。自治体警察相互の間での要求があつた場合にいずれが給付の責に任ずるかという点がはつきりしていないという御質疑のように考えられますが、これは提案理由の説明のときにも申上げておきましたように、この場合には援助を要求したほうの公安委員会のほうから責任を持つてもらうようにということでありまして、第二、三の場合と第四の場合とはそこに差があるのであります。
#46
○吉川末次郎君 政府側にお尋ねいたしますが、これはまあ専門員の書いてくれたことをそのまま、それによつてお尋ねしているのですが、第五十五條の二第二項は、国家地方警察……都道府県公安委員会ではないのですね。国家地方警察の要求によつて市町村警察の職員がその市町村の区域の外において国家地方警察又は市町村警察を援助した場合においては、その援助に直接要した費用はこれは国庫の負担とすること、こう規定されておるわけですね、警察法第五十五條……。ところがこの法案による災害給付の主体の区分というものは、その本来の精神に鑑みて條文において警察法第五十五條を引用している字句にかかわらず、同第五十五條の二第二項、先に述べました引用した條文ですね、その趣旨と同様に解釈するのが適当と思われるのであるが、提案者の御意見を伺いたいのですが、政府側のこれに対する見解はどうでありますか。
#47
○政府委員(柴田達夫君) お尋ねの点でございますが、五十五條の二の第二項に、国家地方警察の要求によつて市町村警察の職員が他に応援するという場合、費用を国庫の負担にするという規定があるのであります。只今提案されておりますところの法案は、ただ「五十五條の規定により、都道府県公安委員会からの要求に基き」と、こうなつておりますけれども、恐らく法案の趣旨は、五十五條の二のただこの費用の負担の規定と見ておりまして、相互の応援関係自体の職権行使は、五十五條に警察法のほうでは書いてあるとこういうふうに見まして、そういう職権行使応援関係に基いて府県の公安委員会からの要求で出た場合は、たとえそれが国家地方警察の応援した場合も、他の市町村警察に応援した場合もいやしくも府県の公安委員会からの要求の発動によつて出た場合には、これは国が見てやるのだということが至当であるという解釈の下に書かれているものであると、かように存ずるわけであります。結論的に申上げますれば、今のお尋ねの点については、五十五條の二の第二項で一般的に国庫が負担するという場合におきましても、解釈上当然に国がこの災害給付の負担をするものである、こういうふうに読むのが順当であろうと思います。
#48
○吉川末次郎君 提案者のほうの御意見は如何ですか。
#49
○衆議院議員(川本末治君) この点今柴田政府委員の答弁と同様に解釈いたしております。
#50
○吉川末次郎君 その問題については、福永専門員から問題点として、資料として我々に配付されたものによつて今御質問したわけなんですが、なお私と政府委員及び提案者との間における質問応答の間において、なお突込んで聞いておく必要がありましたなら、一つ福永専門員から私の質問が終つたあとで聞いておいて頂くようにしたいと思います。
 それでその前に概括的な問題として先ほど来座談の間にお話し申上げておりましたように、消防のために民間人が協力して災害を受けたということに対する補償を與えるということと同じ趣旨であるというお話がありましたが、共通の面は非常に私はあると思うのですが、併しその節もお話いたしておりましたように、消防とやはり警察の仕事とは非常に違う点が又一面において私はあるだろうと思うのであります。ただ火事が起つた時に火を消すということに一般人が協力をするということは、大して私は弊害はないと思うのです。又その消防のために効果があると思われるのです。併し警察のほうはもつと対象が複雑多岐でありますから、時と場合によるというと、却つて弊害が起つて来る場合も相当考えられると思うのです。警察官のほうでこういう法律もあるからというようなことで、まあ意識的にか無意識的にか惡用されるようなことがありますと、一般の民衆が一種のスパイ的な仕事をするようなことを来たして来るような場合も多分にあると思うのです。そして警察官も又絶えずそうして民間人を自分の仕事に協力さすことができるというような意識を持つて、それに非常に頼るというようなことも考えられないではないと思うので、消防よりも警察というようなものが、そうした当然の職務とされているところの、何と言いますか、職業的な警察官というようなものから逸脱して無責任な動機において警察行政の対象になるようなことが民間人によつて行われるというような場合も私は相当に想像できるような気がするのですが、そういう問題については如何でしようか。提案者及び政府当局のほうでそれについてどう考えていらつしやいますか、御答弁願いたいと思います。
#51
○衆議院議員(川本末治君) 今の御心配の点は一応御尤もであると拝承いたしますが、先にも申上げましたように、第二條の適用範囲というものは極めて狭い範囲において考えて頂かなければならん。そういたしますると、飽くまでも全く警察官が職務の執行中、その周辺におる人とか何かをどうしても協力を願わなければできない場合のみに適用するものでありまして、あらかじめ今度こういうことをやろうと思うから、これについて一般人をうまく利用しようというようなことの場合には、全然ここでは適用されないものだというふうに御解釈を頂きますことによつて、今のスパイ行為とか、又警察官がこの法律によつて一般大衆に民衆を頼るというようなことは飽くまでも避けなければならない、かよう私ども法律を制定しようとしておりまするものは考えております。さよう御承知を頂きたいと思います。
 なお職務執行中のいろんな面につきましては、政府委員のほうから御説明頂くことにいたします。
#52
○政府委員(柴田達夫君) 只今提案者から御説明がございました通り、御質問の御趣旨の通りだと私ども存ずるのであります。消防のことはよくわかりませんが、警察の職務の執行という性質上、こういう法案ができたために警察官が非常に安易な考えでやたらに民衆の協力を求めるということは勿論避けなければなりません。この御提案になつております法案は、その点で第二條については相当私ども承わつております中では、そのような御心配の上から非常に十分にその点をしぼろうというお考えの下に提案されたものと承つておるのであります。一応私ども思いますのに、三つの点が嚴重に縛られておるのであろうと思うのであります。その一つは、この法案の内容といたしましては、職務執行中の警察官がそこにおらなくちやならないということ、職務執行中という第二條の言葉、それからその次にありますところも警察吏員が職務執行上の必要により、職務と無関係に、職務執行上不必要な事柄であつてはならないという点が第二点、第三点といたしましては、その警察官が援助を求めたという事実がなければならない。この三つの点から極めて嚴格に解釈をすべきものであろうと存ずるのであります。援助を求めたという場合は、ただあとのほうにもございますように、その他これに協力援助することが相当と認められる場合というのがございます。これは前述の援助を求めたという場合でなければならないという趣旨からいたしまして、ただこの援助の求め方が必ずしも緊迫した事態の下において、而も現場において明示の意思表示によることができないというような場合も予想されておりまして、例えば警察官が、現に逮捕に向つた警察官が暴漢からその場で首をしめられておつた。のどから声が出ないということで黙示の援助の依頼があるとかいうような場合でありますとか、これは何も逮捕の場合だけに限りませんと思いますが、溺死者を救助しようと思つて飛び込んだ警察官がこれ又共に溺れそうになつた。以上の場合に警察官は水の中から当然にそこに居合しておる他の民衆に助けてもらいたいという意思があるということで、別な民衆も目の前にしたその事態に対しまして、これも飛び込んでそれを助けたというような場合、つまり黙示の意思表示があつたと同様に考えられる場合にこれも限るべきものであろうと存ずるのであります。職務執行中という言葉も、これも嚴格に解しまして、警察官が役所に勤務しておるというだけの意味ではなくして、そのような援助の依頼をされるような事態の起るその現場に臨んで現に職務を執行しているという意味に嚴格に解すべきものであろうと思うのであります。従いまして警察官が駈けつけない前に、気をきかしていわゆる民衆がすでにいろいろなことをやつておる、警察に援助するような行為をやつているということがすべてこの中に入るということは、少し濫に流れることになるのではなかろうか。それから職務執行上の必要の点につきましても、全く援助を求めなくても事が済むのに、援助を求めるというようなことでは、この嚴格な意味においての場合に該当しない。従いまして包括的に万事よろしく頼むというような警察が依頼をしておる。そういうようなことで民衆が援助をしたという場合は、これは入らないじやないか。現場において実際は警察官が他に手段がなくて、その必要によつて職務執行上の必要から止むなく援助を求めたという場合、而もその援助がはつきりした意思表示がある、或いはそれに準ずる黙示の意思表示があるという場合に嚴格に解釈すべきものであろうと存ずるのであります。この法案はそういう点でなかなか嚴重にできておりますので、勿論その場合の運用の点につきましては、確かに注意しなければならない点があると思いますが、警察の職務の執行の性質に鑑みて嚴格に解釈をし、濫に流れないように運用されるべきものであろうかと存ずる次第であります。
#53
○吉川末次郎君 だんだん承わつて大分よくわかつて来たのですが、それで只今の御答弁の通りであるとすると、先ほどは民衆がスパイ的行動をする場合ということを申上げたのですが、スパイ行動というと、非常に表面に現われない陰性的なものですが、もつと陽性的なものの現象として、例えば今まであつた例からいたしますると、関東大震災のときに朝鮮人なんかを相当日本人がよくないことをやつた、或る時には殺したりなんかを随分したようなことがあつたことは御承知だと思いますが、あのときに警察官はもとより、そういうことを何といいますか、指示するとか或いは援助を求めるとかいうようなことをしたのかしないのか、その点ははつきりわかりませんが、あの関東大震災におけるところの朝鮮人に対する日本の民衆の一部のものの暴動といいますか、盲動といいますか、ああいうようなものを一つ例にとつて、今の御答弁を当てはめると、もとより警察官が援助を求めたのでないということであれば、これは当てはまらない。従つて如何なることをしてもこの災害救助の対象にはならんというように解釈すべきだと思うのですが、もう少しこれを割つて第二條なら第二條を当てはめて具体的な例がわかるようにもう一遍お答えを願いたい。それからもう一つの例としては、最近の例えばメーデー暴動事件のようなものでありますが、警察官が暴徒と非常によく闘われたわけですが、民衆の大多数は傍観をしておつたわけですが、そのときにこの第二條を中心としてこの法律案を当てはめますとどうなるのですか。非常に具体的にそういう例に当てはめて話して頂くと今のことが又一層明らかになつて来るのでありますが、そういうメーデー事件のときにはこうこうこういうようなことであつたならば、これは災害給付の対象になると、こういう場合のときにはならんと、こういうようなことでいろいろ話して頂ければいいと思います。
#54
○政府委員(柴田達夫君) 沿革から見まして今までは個々の捕物式のいわゆる捜索時代が多かつた。今お尋ねのように昔にもございましたでしようが、関東大震災の場合であるとか、或いは最近におきますメーデーの事件といつたような大衆騒擾的な場合になりますと、なかなか個々の運用がむずかしい点もあるかと思いますが、先ほどもちよつと申上げましたように、この警察官の援助の依頼というものは、個々別々に現場的にそのケースを見て行くという趣旨に取扱うべきものであろうと思うのであります。包括的に継続的に今日のでき事はすべて協力を援助してあるのだから、その日起つたことは皆この法が適用されるように援助の依頼があつたというような見方は先ず第一に余りに包括的に過ぎる。関東大震災の時代、或いはメーデーの予想される騒擾に当りまして、警察側の責任者があらかじめ依頼をしたからといつて、その場の、その当日その実況の下に行われた民衆側の援助、これによりこうむつた災害が全部この法案で救われるというのは余りにも包括的である、広過ぎるものであろうと思うのであります。特にこの法案におきましては、職務執行中の国家地方警察の警察官又は警察吏員、現場において動いておりますところの警察官、警察吏員、これは勿論必ずしも一番下働きをしておる巡査というものに限るものではないのでありますが、というものの依頼があるということが前提になると思うのです。たとえそのような大衆的な騒擾暴行というような事案の場合におきましても、先ほど申しましたような広い意味においての援助の依頼があつたという解釈はとらないで、丁度例えばいろいろ正当防衛というような場合に、多くの場合、個々のケースとしてこれを検討すると同じように、その大衆騒擾の中において或る一人が、或いは或る一隊が非常な危険にさらされておつて、そうして全くそのためにそのそばにい合せた人々に援助を求めなければ却つて不測の事態をもたらす、或いは他の民衆がどんな危害をこうむるかわからない、こういうような場合におきまして職務執行上の必要から援助を求めた、或いは全くその一人、その一隊というものが皆全滅される、或いは危難をこうむるというので、全くこの場合に協力援助することが相当と認められるというような場合におきまして、これを援助したというようなケース、ケースにおきまして嚴格にこの法案を適用するというふうに扱うべきものであろうと思うのであります。従いまして今お尋ねの点に対しまして、こと細かに手に取るごとく、この場合はなる、この場合はならないというように御説明するためには、非常に不足でございましようけれども、そういうような大衆事案の場合、すべてがこの法案の適用にならないとも申上げるわけに参りませんし、このような場合のものもすべてこの法案の適用になるとも申上げるわけにも行かないかと思うのであります。ただ全く警察側の意思を臆測いたしまして、或いは全く頼まれもしないのに非常な熱意のためにこれを援助すると、或いは全く臆測だけでお節介に或る場合には援助するという場合もございます。若しそれが警察とか治安に対する協力主義から援助したという場合でございましても、それが立派な行いであつてほめられるべきであるというようなことは、このような事案に該当しない場合は、これ又別個の問題であろうと思うのであります。警察側が見舞金を出すとか、感謝状を出すとかいうことはどうかと思いますが、立派な熱意のために起つたことだからすべて対象になるとも考えられないと思うのであります。要は、この個々の場合におきましてそういう事態があつたかどうか、警察官側からの依頼があつたかどうかというようなことで決するのが適当であろうかと思います。
#55
○吉川末次郎君 まだ抽象的なお話振りなのでわかつたようなわからないような気がするのですが、例えばメーデー事件ならメーデー事件で警察官の、仮に五十人なら五十人の一隊と共産党員、自由労働者、学生、朝鮮人等の千人の一隊とが互いに兇器を持つて渡り合つている。そこで五十人と相手が千人だからして、警察官がそこらに立つて傍観している大衆に向つて、諸君ら一つ援助してくれと、こう言つたときには当然第二條の援助を求めた場合、あなたのおつしやる三に該当するものであるとして、そのこれを助けた民衆の中で怪我人が出たとか、或いは死人が出たというような場合においては、この災害の給付を受けることができると解すべきものかと思うのでありますが、これに対するお答えを願います。あなたのおつしやるその次の四番目の場合もこれは一番私は問題だと思うのであります。協力援助することが相当と認められる場合、即ち助けてくれということを警官のほうから言わないのに、どうもこちらは無勢であるし、相手がたの暴徒が多数だからかわいそうに巡査は敗けるというので以て、極めて善意な熱意で以て、そこらにあるところの兇器或いは石を持つて、或いはときによればそのほかの武器というようなものも持つておることがあると思うのでありますが、それで以て警察を援助してこれに立ち向うというような場合、私が挙げましたような例は協力援助することが相当と認められる場合に該当して、やはり災害給付の対象になるかどうかという二つのケースを今挙げたわけですが、それについての御答弁を提案者及び政府側はこの條文の解釈ではどう思われるか。先ず提案者側からの御答弁を得たいと思います。
#56
○衆議院議員(川本末治君) 御質問の前段の場合でありますが、これはこの法律の趣旨は、個々の警察官が職務執行に当つて、最も自己の立場を危險にし、どうしても協力を求めなければ職務執行ができないというような万止むを得ない場合に協力を求めたことを対象といたしておりまするので、今の御質疑のような千人の大衆と五十人の警察官が対峙しております場合などには、他の方面から幾らでも警察それ自体の協力援助を求める場合と我々は想定いたします。そういう場合にはこれは職務執行には違いありませんが、この法の趣旨から言つて、さような場合にこれは適用すべきものじやないと私どもはさように考えます。これはその場合によりましても、五十人の警察官がどういう位置に配置されておるか、これらの点も又考えなければなりませんので、一概にこれは先ほど柴田政府委員がメーデーの例において御説明申上げましたように、適用されないと必ずしも言えない場合があるかも知れません。五十人の一隊であつたけれども、そのうちの一人の警察官はずつと離れた位置におつて、その警察官が暴徒に襲われて危急の場合で援助を求めた、そこにおつた民衆が援助したという場合には、当然これは適用されると思いますし、御質疑のように、これが一隊をなして双方対峙しておりますような場合には当然他の方法を以ちまして、職務執行に当然の責任を持つておる警察官の援助を求めることができる、かように思いますから、この場合には先ほどの柴田政府委員のメーデーの場合の説明とほぼ同様に御解釈頂くより方法がないと思いますが、立法の趣旨は、さような団体的において対峙しておる場合には考えておりません。
 それから後段のそれでは非常に協力をするのが相当と認めた場合は、これは先刻政府委員が説明を申上げましたときのように、警察官が例えば首をしめられるとか又声を出して救助を求めることのできないまでのような状態にあります場合にこれを援助したときでありまして、それ以外の自分のほうでこれは危險に瀕しておるだろうという想定の下に、自分自身勝手な解釈を以て援助した場合には先ず法の適用を受けないのじやないかというふうに御解釈頂くのが至当である、私どもはそういう意思でこの立法をいたしたわけであります。
#57
○吉川末次郎君 柴田君の同様の質問に対する御答弁の前に、多少補足的に私の質問を申上げておきますと、川本さんの御答弁はメーデー暴動事件を例にとるならば、双方対峙しておる場合と言われるのですが、お互いが、千人と五十人とが向い合つているという、対峙、本当に言葉通り対峙的なまあ形態にある時ではない、それならば川本さんがおつしやる通りの御答弁で結構と思うのですが、やはり入り乱れてもうお互いがこの兇器を縦横に振廻して闘かつておるのですが、対峙しておるのでなしに入り乱れて闘つておるという場合を私は考えて申上げておるので、そういう私の質問の意味がそこにあるということを一つ補足いたしますから、今度は政府委員のほうから御答弁願いたいと思います。
#58
○政府委員(柴田達夫君) 川本さんから御答弁がございましたように、今の補足的な又御説明によりまして、必ずしも対峙の場合だけではないという御言葉でありますが、やはり私はこの問題はいつまでも抽象的なことになるかも知れませんが、それからやはり具体的なケースも割切つて行かなければならんと思うのでございますが、その第一段階のほうの援助を求めた場合、やはりその援助を求めたことが職務執行上必要であるとみられるかどうか、川本さんのお答えの通りみられるかどうかということから一つは割出さなければならないのじやないかと思うのです。確かに今のメーデーの騒擾の場合に全く戦闘力と戰闘力の対峙というような場合におきまして、こんな時に無事の民衆に援助を求めて、却つてこれに迷惑をかけたり不測なけがをするかも知れない、つまり援助を求めた結果、応援した民衆は犠牲者を増すばかりだ、犠牲者を民衆の中に出すばかりだという時に、援助を求めるということは警察の本来の民衆の生命財産保護の職務から申ますれば妥当ではないということが申されると思うのであります。補足的な御説明にありました乱闘中の場合でも、もはやこの場合が一般民衆の出入を禁じまして交通を止めましてそうして一つの局地的な地域というものを、全く警察力が暴徒と対峙或いは入り乱れる場合もありましようが、鎮圧に当るという場合にむしろその一種の臨戰地帶のような区域にたまたま出くわして保護しなければならない民衆に援助を求めるというようなことが妥当かどうかということになりますれば、多くの場合、そのような事態を考えますならば妥当ではないのじやないかと思うのであります。ただいま一点は、この法案の趣旨は、援助を警察官が求めた場合に、民衆側が何ら、この援助の求めに応じてそれを助けなければならないという義務を負つておるわけでは全然ないのであります。危なつかしいことに何も手を出さなければならない義務があるわけではございません。にもかかわらず危急の場合に警察官が援助を求めたことに対しまして、自発的にその援助の求めに応じて助けたという結果、そのためにけがをしたというような場合には、如何にもそれは気の毒だということから災害給付の法案を作るという趣旨があるのであろうと思うのであります。従いまして第一段階として、不当な援助の要求があれば、これはもう全部駄目になる、併しそれは止むを得ない援助の要求であつたと思われるというような場合におきましては、これを援助したものはこの災害給付のやはり対象になるということになるかと思うのであります。第二のお尋ねにありましたむしろ気を利かして、見るに見かねて助けたという場合が一体入るかどうかという点につきましても、その見るに見かねたという事態が、全く危險なるところへみずから助ける必要もないのに助けたというような事態であるとか、或いは全く一つの危急の場分であつて、警察官は援助の依頼ができないというような事態と見て助けたかということによつてきまるのであろうと思います。非常に個々のケースに当てはめる説明としては右か左かに断定することはいたしかねるかと思うのでありますが、やはり個々のケースに当りまして、職務執行上の必要から援助を求めたことが、執行上の必要と果して見られるかどうか、又民衆側がこれに協力援助することが相当と認められる場合ということで、援助したということが相当と認められるかどうかということは、やはり解釈の問題についてここに認定をしなければならない問題で、元来非常にむずかしい問題と思われますが、例にお引きになりましたようなメーデーの一つの規格を決めて、あの現実のあの日の場合のように、皇居前の広場の中へ警察力で、むしろ民衆に迷惑をかけないように両方が対峙し、或いは入り乱れてやるというような場合には、職務執行上の必要ということはむしろ趣旨が合わないのじやないかというふうに私は考えております。併しこれが又別なケースで、例えば犯人は非常に凶暴だけれども曾つてありましたように、千葉県の鬼熊というふうな者がおる。これが山の中に入つておつて、民家を荒して又次々と凶惡なる犯罪を繰返すという場合におきまして、別にこれを山狩りをして一緒にやつておつてもその民衆が被害を受けるわけではない、こういうような場合に鬼熊が現わて或る警察官が危急に瀕したというような場合であれば、これは当然援助を求めた結果助けたというようなことならば、これは明瞭に該当すると思います。非常に抽象的で御満足ができないかと思いますが。
#59
○吉川末次郎君 どうも抽象的になるのですが、個々の場合に当てはめなければはつきり言えないというお気持はよくわかるのですが、併し先ほどの御答弁の中にお二方とも、或いは政府委員の御答弁だけであつたかも知れませんが、協力を求めるところの必要がないのに協力を求めて、要するに第二條のあなたの分類による三の場合の協力援助を求めた場合、その場合にも援助を求める必要がないのに警察官が援助を求めたという場合は、本法律案の災害給付の対象にはならんという御答弁であつたのですが、併しこれを援助するところの人間の側からすると、ともかく警察官が助けてくれと仮に言つたわけです。そうすると、大いに警察官の味方になつていろいろなことをやつたときに、どうも客観的に見るならば、警察官が助けてくれと援助を求めたことは不当であつたという場合には、そのためにけがしたところで一向国家は補償してくれないということにあなたの御答弁からなるわけなんですが、それは併し、そのためにけがを受けたとか、或いは命を失つたとかいう人は非常に気の毒なような結果になると思うのですが、そういう場合はあなたの御答弁の通りでいいのですかということをもう一度御答弁が願いたいのですが。それから協力援助ということが相当と認められる場合というのは、例えばメーデーならメーデーのときに、多くの大衆は傍観していたわけです。それから、あれは極めて大規模な形において、そうして警官のほうでも予備的な、集団的な行動を相当せられたと思うのですが、併し同様なことで、ここでアメリカ軍の自動車なら自動車を暴徒が民間人が立つておる前で引つくり返してガソリンに火をつけて焼こうとしているそのときに要らんお節介をしてとめるとか何とかというようなことを仮にしたものであるならば、それは要らんお節介であつて、そういうことをした者は給付の対象にはならないばかりでなく、その法律の精神からすれば結局要らんお節介であつて、そんな馬鹿なことはするなと、こういう見解が成立つわけだと思うのですが、その点を一つ御答弁願いたい。
#60
○政府委員(柴田達夫君) 先ほどのお答えが少し不完全だつたかと思います。この法案の運用に対して、警察官乃至警察吏員側がそのような要求、不当な要求をなすべきでないということが趣旨でありまして、実際問題としてその限界が不明瞭であるというような場合に援助を求めたという結果、全くその援助がその人から見るならば妥当な援助であつたと思つて援助をした結果危害を受けたというような場合は、実際問題として私はやはり救済せらるべきものであろうと思うのであります。併しそれがただそうでないということがわかるような状況であるにもかかわらず、援助をしたという場合は又問題が別であろうかと思うのであります。
 第二の点のお尋ねの点は、お節介なことに見るのは非常に酷であると思われますが、全く手を出さなくても十分警察力があり、警察官がおつてそこでやれるのに勇敢な行動であり、奇特な行動ではあるけれども、このケースに当てはまらずして手を出してけがをしたという場合には、勿論警察側としては感謝すべき事態であり、十分礼を盡して見舞を出すなり、或いは又感謝状というような規定がございまして、感謝状に金を付けることもできるように国警の基本規程、自治体警察の基本規程でなつております。そういう途はあるかと思います。お節介だと言い切つて、そういう場合には援助をする必要はないのだということを意味する法案になるわけではないと思います。その場合この援助を求めた場合、その他これに協力援助をすることが相当と認められる場合とまでは行かないような事態に対して、自発的に協力をしたという場合は、或る場合におきましては災害給付を受けない場合があつても、それには筋としてはやはり止むを得ないのじやないかと、かように考える次第であります。
#61
○吉川末次郎君 今の御答弁の第二の場合でありますが、第一の場合と第二の場合にも私はあのメーデー暴動事件のような集団的な暴動行為等もこれからも相当想定されることだと思うのです。で、仮に要らんお節介という言葉が惡いか知れませんが、まあ結局のところ要らんお節介をしたわけで、そんなことしないで警察官に任しおいたらいいじやないかというような考えが正しいのだということになりますと、それの逆効果が生れて来ると思うのです。結局そこにい合しても要らんお節介なんだからというのでじつと傍観しているのですね。傍観していることがその結果においてはその不法なる暴動に協力している結果を来たす場合が私は相当に考えられると思う。例えば私たちが視察に行つた京都のメーデーの暴動事件、メーデーに集つた三万ほどの労働者が数隊に分れて示威行列をしたのです。併しそのうちで市役所に石を投げ込んだり、裁判所に石を投げ込んだり、交番署を壊したりするような暴動をしたところのものはその三万人のうち一割未満なんです。ところがあとの二万七千人或いは二万八千人というものは、同じ示威行列をして、そしてそういう暴動をやる労働者と一緒に行列して歩いているのですね。やつぱりメーデーの歌を歌つたり、インターナシヨナルの歌を歌つたりして一緒にデモンストレーシヨンをやつているわけです。併しみずから手を下して暴動には参加していないのだが、じつと傍観しているわけです。そこで今交番署を壊そうとしているところの人間を阻止するような行動にその二万七千人或いは二万八千人の人間が役割を演じたとすれば、これは要らんお節介をしたのだからしてけがをしたところでそんなものは何も救済してやる必要はないという考えが成立つわけなんで、それが成立つことは、結果においてはむしろ私は或る意味においてその暴行に協力したという結果を来たしておると思うのですが、こんな場合は今後私は非常にたくさん起つて来ると思うのですが、今の私が挙げた具体的事例についてはあなたの見解は如何ですか、本法の解釈上。
#62
○衆議院議員(川本末治君) 今の吉川さんの御質疑の点でありますが、これは却つてこの法律ができることによつて協力するものが協力しなくなるのじやないかというような前段のお言葉のように拝聽いたしましたが、元来この法律ができて警察官が民衆に協力援助を求めました場合において、民衆はこれに応じる何らの義務を持つておりませんので、いやなればやつぱりこの場合でも応じないのであります。従いまして、この法律がない場合でも応援する人はするし、応援したくなければ別に応援しなくてもいいのでありますから、別段にこの法律のできましたために、折角暴動などに対して好意的に行動しようとして来たものが不測な損害をこうむつたり、又別の方面の考え方をいたすというようなことはあり得ないのじやないかというふうに解釈をいたしております。さよう考えて頂いて差支えないと、こう考えております。
#63
○吉川末次郎君 政府委員の御見解は如何ですか。
#64
○政府委員(柴田達夫君) 私も今のお答えと全く同様に考えます。非常にやかましく扱います結果は、或いはそういうようなふうにとれない点もないではございませんけれども、やはりこの法案ははつきりしたものに対して、ここではつきりした権利義務を生ぜしめる限界が必要であるというようなことから、そういうような場合になると思うのであります。実際問題としましては、この認定に当りまして、やはりその場合の事情というものを成るべく考慮されて認定をすることになつて非常に非常識な結果になるまいかと思います。援助をしてくれ、援助をするという関係をこれは律するものではなくして、援助を求めた場合にということがなければどうしてもはつきりしない、或いはそれに相当するような状況というものが少くともなければきりがないということから止むを得ない点ではなかろうか、そういうはつきりした状況なり、援助を求めたという事実に基いて、いやしくも援助してけがをした者は法に基き救済を受けることを明定をして置く、そこにそれに準ずるような事態においてこの援助を不幸にして受けられなかつたというような場合は、警察側として十分その点今お尋ねのありましたような傍観しているほうがいいのだということにはならないように、先ほど来申上げておりますような実際の額その他においては、この災害給付を受けたと同じくらいの、或る場合におきましては、感謝の意を表するというようなこともやつて参らなければならない場合もあるかと思います。限界点のお話でございましたので、非常に嚴格にはつきりさせるという意味からいろいろ申上げましたが、その他これに協力援助することが相当と認められる場合というのは、何分黙示の場合ということでありますので、その場合警察側は全然手出しができないというような事態ならば、これが読める場合も相当に多かろうと考えております。
#65
○吉川末次郎君 お二方に対する質問は御答弁によつてわかつたようなわからないような感じですが、まあこれ以上はこの場合申上げないことにいたしたいと思いますが、先ほど申しましたように、特に本法についての問題点を挙げて、福永専門員が深く研究して来られたのでありますから、特に研究して来られた福永君が一つ政府委員及び提案者に対して質問される点があれば、質問することを委員長からお許しを願つて、更に我々の審議に資することがあれば結構です。さように一つ御承知を願います。
#66
○専門員(福永與一郎君) 非常に有難いお言葉でありますが、只今までの御質問、御答弁、御苑明等によりまして、私のひそかに疑問というよりも、考えておりましたことも大体了解いたしました。
#67
○委員長(西郷吉之助君) 提案者に数点承わつておきますが、先ほどの吉川委員との御質疑に、個人の場合は割合はつきりいたしますが、最近の数多い事件の場合に、双方が多数の場合には非常に限度がある。その点がいろいろ法の運用上疑問だと思いますが、伺いたい点は、この法案が警察官等にいろいろ協力援助した場合というようなことになつておりますが、その警察官等というものは、国家警察の警察官又は自治体の警察吏員という意味で等をお付けになつたのか、警察官等という意味はどういう意味であるか、その点一つ……。実際にそういう場合に単数の場合であつても、警察官が組み伏せられておるという場合、或いは飽くまでも未成年者でもこれは危いと思つて警察官のピストルを以て相手をうち殺してしまうというようないわゆる過剰防衛の結果になるという場合には、その給付の措置はどういうふうになるかということと、警察官等ということになつていますから、飽くまでも積極的でも、消極的でも、消極的でもそこに警察官がおらなくては問題にならんのか、單に常にいろいろな事件のときに警察は国民に協力を求められるわけですから、例えば自分の通行中暴漢に襲われておる者があるというような場合に、第三者がその危機を救つた場合、それで自分が非常にけがをしたような場合には、例えばやはり警察官がおらない場合ですが、これの適用を受けるのかどうか。飽くまでもこの法案は第二條辺によりますと、そこに警察官がおける場合だけを指すのか、今申しましたように一般の場合に第三者が助けた場合もやはりこれの適用を受けるのか、その点と、さつきの過剰防衛の場合、従つて過剰防衛であるからその者は助けたのではあるが、運悪く過剰防衛になつて相手を殺したために刑に服しなくちやならんというふうな場合に、或いはその妻子が生活に困るという場合にこれはやはり休業の給付といいますか、休業の給付というのはここにありますから、そういうようなものを受けるのか、そういう点がちよつと疑問になりますので、さつき吉川委員の御心配になるようにメーデー事件を初め、相手が多数の場合にやはり個々の人のやつた場合は割合はつきりしますが、民衆が見ておつてこれは危いと思つたので多数が共同して協力したような場合には又それは行過ぎる場合もあると思います。その辺のところの運用が非常にデリケートではないかと思われるので、以上の点につきまして、一つ提案者の御意見を伺いたいと思います。
#68
○衆議院議員(川本末治君) 今のこの法律の題名の点でありまして、警察官等といたしましたことは、厳格に申しますると、自治体警察の警察官或いは警察吏員でありますので、警察官、警察吏員とすべきでありましたのを特に省略をして警察官等といたしました次第でありまして、これは飽くまでも国家地方警察官並びに自治体警察吏員のみを指すものであることを御了承頂きたいと思います。
 それから過剰防衛の場合でありまするが、この場合はやはり職務執行中の警察官からの要求によりまして、恐らくそれがたまたま過剰防衛になつたというために他の法に問われたというような点につきましては、この法律とは別個な問題でありまするので、私どもは、その場合には警察官に協力援助して受けた災害だけは当然その人は給付を受けられるべきものだと解釈をしたいと思います。
 それからいま一つ御質問にありました警察官がいない場合に、これが非常に危險に瀕しておつて暴漢等に襲われておつた人を救済した場合でありますが、この場合にはこの法の適用は受けないというふうに御解釈を頂きたいと思います。如何なる場合にもそこに職務執行中の警察官が現推しておつて援助を求めた場合のみに限定をいたしたいと、こう思います。その他のただ民間人同志で任意にこれをやりました場合には、他に警察のほうで表彰又はいろいろな方法が別途に講ぜられておるのでありますから、その場合にはそのほうで表彰その他の方法を講じてもらうべきだと、かように解釈をいたしております。
 なお最後にお答え申上げまするのは、今後相当多くできるのじやないかと想定されておりまするが、今の団体暴行などに対しまする場合でありまするが、これはどうしても現状に遭遇いたしませんとはつきり申しかねると私どももこの点思いまするのは、もうすでに相当騒擾のような状態を呈しており、警察官がすでに一般人の出入をとめておりまするような場合でありますね、そういう場合には関係のない人はそこにはいないはずなんですが、併しそういう場合でも附近から飛び出して来て警察官の危機に瀕しておるものを救済したというような場合もあり得るのでありまするから、その場合には、結局危害を加えられた場合にはこの法律が適用されるものと思いまするが、団体的にすべてをやりまするような行動につきましては、民衆の多数の者が行つて警察のほうについて大勢の者が闇打ちするというような場合をこの法の適用には想定してはいけないのじやないかという考え方を持つておりまするが、飽くまでも個人と個人の個々の場合を対象として立法したい、こういう考えで提案いたしておる次第であります。
#69
○委員長(西郷吉之助君) それはわかりましたが、もう一点伺いますが、積極的に協力した場合には割合はつきりいたしますが、例えばメーデー事件等の場合においても、一般人が附近におつたために警察官が一般人は危いからどいてくれと言つた場合に、その命令に従つて難を避けておつた。併しそこに遠くにおつたかそこにおつたがために、それも警察官がどいてくれというので避難をしておつたが、そこに火炎ビンでも過つて飛んで来て多数の者が傷ついた場合には、これは消極的に警察官に協力した場合なのですか。逃げればよかつたかも知れないけれども、逃げるひまもなければ逃げる場所がなかつたからそこにおつた。それで火炎ビンなんかのためにけがをしたというのは、これは消極的に警察行動に協力した場合であります、そういう場合も入りますか。
#70
○衆議院議員(川本末治君) お答えいたします。そういう場合にはこの法はむしろ適用しないほうがいいのじやないかという考え方を持つております。そうしますともう際限なく、むしろこの法律を作りましたために却つてそうした弊害が多く起きて来るように思いまするので、飽くまでもこれの適用範囲は極く限定して行くべきであろうと解釈いたしております。
#71
○委員長(西郷吉之助君) 次に政府当局に伺いたいのですが、この法案ができますと、警察官がおつた場合には金銭的にいろいろ給附を受ける。併し私の最初に質問いたしましたように、警察官が足らなくてやはり治安協力という意味から他人の危難を救つて上げたような場合は、警察官がおつたとき以上に私は政府としてはそういうふう人に対しては現在表彰したりいろいろしておりまするが、警察官がおつた場合には協力した人に対しては給付を受けるが、おらなかつた場合には感状一つもらうくらいだというふうな現状のままであると、非常にこれは法案との場合のバランスがとれておらないように思いますので、警察官がおらん場合でも積極的に人の危難を救つたような場合に対しても、感状を出すとかそういうことでなくて、そういうふうな人は、警察官がおらなくてやつたのですから、いわゆる警察に対する国民協力の場合ですから、そういうふうな例には、人から頼まれんでも横柄的に単独行動で勇敢に救つた場合は、やはりこれとバランスをとるために、現在以上に何かその方法をとつても然るべきせのだと私は思いますが、そういうような点について国警当局は何か考えておられるかどうか、この点を伺つておきたいと思います。
#72
○政府委員(柴田達夫君) 御質問の通りに私どもは存ずるのであります。この法案は治安協力者に対する一つの何と申しますか、保護と申しますか、救済と申しますか、このすべてをこれで網羅し得ないと存ずるのであります。この法案はその場合救済を受ける民衆は、いわば一つの警察官にその場合代つた立場として公務員なみのような形になつて行動したという限りにおいて、この法案によつての救済を受けるということでございます。誠にお話の通り治安協力、或いは警察からの感謝という気持におきましては、この法案の救済を受けなくても更にそれ以上に労に報いる、又はその篤行を称揚しなければならない場合が多々あると存ずるのであります。警察官に代つたような立場に立つて明瞭に権利義務を生ずる場合がこの場合でございますので、この場合につきましては、この法案できまつた額を支給されるというようなことになりますので、それ以外の場合におきましては、やはり警察側からの感謝或いは表彰といつたようなことしか方法はないと思いますので、一つの権利義務といつたような形にくいての明確な謝礼ができるというわけには参りませすけれども、そのような趣旨に基きまして、幸い警察の基本規程の中にも感謝状或いは協力賞という一種の勲賞のようなものを、警察功労賞に準じて同じような形の協力賞も差上げることができるようになつております。それにお金を添えて出すこともできることになつております。又警察関係の持つております予算のいわゆる報償費というようなものの中からは、全くそのような場合に見舞金或いは感謝の謝金を出すということは合法的にできるのではないか、お話のような事態においては十分厚く報いなければならないと思うのであります。ただそのほかそういうようなかたがいわゆる流れ彈に当つた式の場合には、民事上の賠償の問題は、当該犯罪人がわかつたというような場合には、流れ彈などはわからない場合が多いのかも知れませんが、民事上の関係というものはやはり法律関係として殊にはつきり出すことはこれは申すまでもないのであります。お説の通りに運用すべきものだろうと思います。
#73
○委員長(西郷吉之助君) ほかに御質疑ございませんか。御質疑がなければ、本日はこの程度にいたしまして、本日の二法案につきましては、後日適当な機会に討論なり採決に入りたいと思います。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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