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1951/07/21 第13回国会 参議院 参議院会議録情報 第013回国会 地方行政委員会 第65号
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1951/07/21 第13回国会 参議院

参議院会議録情報 第013回国会 地方行政委員会 第65号

#1
第013回国会 地方行政委員会 第65号
昭和二十七年七月二十一日(月曜日)
   午前十一時五十四分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
本日委員堀末治君辞任につき、その補
欠として溝淵春次君を議長において指
名した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     西郷吉之助君
   理事
           岩沢 忠恭君
           中田 吉雄君
           岩木 哲夫君
   委員
           石村 幸作君
           高橋進太郎君
           宮田 重文君
           溝淵 春次君
           岡本 愛祐君
           館  哲二君
           若木 勝藏君
           原  虎一君
           吉川末次郎君
           岩男 仁藏君
  衆議院議員
           川本 末治君
  国務大臣
   法 務 総 裁 木村篤太郎君
  政府委員
   国家地方警察本
   部庁      斎藤  昇君
   国家地方警察本
   部次長     谷口  寛君
   国家地方警察本
   部警備部長   柏村 信雄君
   国家消防庁長官 新井 茂司君
   国家消防庁管理
   局長      瀧野 好曉君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       福永與一郎君
   常任委員会専門
   員       武井 群嗣君
  説明員
   国家地方警察本
   部企画課長   桐山 隆彦君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○警察法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
○集団示威運動等の秩序保持に関する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
○市の警察維持の特例に関する法律案
 (衆議院提出)
○警察官等に協力援助した者の災害給
 付に関する法律案(衆議院提出)
○消防組織法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○理事の互選
  ―――――――――――――
#2
○委員長(西郷吉之助君) それでは只今より委員会を開会します。
 本日は日程通り、土曜日に提案の理由の説明を聞く予定のところを本日に延ばしましたので、本日は最初に警察法の一部改正案につき提案の理由を聞き、なお且つ衆議院の修正の説明を川本議員より聞き、次に集団示威運動筆の秩序保持に関する法律案の政府の提案理由の説明並びに衆議院の修正案につき川本議員より御説明を聽取します。先ず最初に警察法の一部を改正する法律案につきまして、木村法務総裁より提案理由の説明を求めます。
#3
○国務大臣(木村篤太郎君) 警察法の一部を改正する法律案の提案理由並びに法案の内容につきまして御説明申上げたいと思います。
 御承知のごとく、現行警察法の下におきましては、国家地方警察は、内閣総理大臣の所轄の下にある国家公安委員会の行政管理及び都道府県知事の所轄の下にある都道府県公安委員会の運営管理に委せられ、政府と警察との関係は、国家非常事態の際に、全警察が例外的に内閣総理大臣の指揮の下に置かれることとなつているのであります。
 国内治安については、政府がその最終の責任者でありますことは、今更申上げるまでもありません。従つて、この際、警察行政に関する内閣の責任を明らかにすることは、治安の確保の上に特に重要と考えましたので、今回、次のような改正を行うことといたしました。即ち、
 第一に、国家地方警察本部長官は、内閣総理大臣が国家公安委員会の意見を聴いてこれを任免することといたしました。
 第二に、特別区の警察は、その特殊性に鑑み、特に政府と緊密な関係を保持せしめる必要があると考えますので、その警察長は内閣総理大臣が、特別区公安委員会の意見を難いて、これを任免し、又、特別区の警察に要する経費の一部は予算の範囲内において、国が負担することができることといたしました。
 第三に、内閣総理大臣、特に必要があると認めるとき、国家公安委員会の意見を聴いて、都道府県公安委員会又は市町村公安委員会に対し、公安維持上必要な事項について、指示することができることとし、この場合における内閣総理大臣の指示に関する事務を、国家地方警察本部をして処理せしめることといたしました。
 最後に附則として、この法律施行の際国家地方警察本部長官又は特別区警察の長の職に在る者は、改正の相当規定により、それぞれの職に任命されたものとみなすことといたしました。
 以上が、この法律案の提案の理由並びにその内容の概要でありますが、なお、本法案は、衆議院において、右の原案に対し次の修正が加えられたのであります。即ち、国家地方警察本部長官又は特別区警察の長は、それぞれ国家公安委員会又は特別区公安委員会が、現行法通り任免することとし、このいずれの場合においても、内閣総理大臣の意見を聽かなければないことと改められたのであります。何とぞ御審議のほどをお願いいたします。
#4
○衆議院議員(川本末治君) 只今議題となつております警察法の一部を改正する法律案は、政府の提案にかかるものでありますが、衆議院におきましては、去る六月十日修正議決をいたしましたので、その修正部分につきまして、私から修正の内容並びに理由について御説明を申上げます。
 先ず修正の第一点は、改正案では警察法第十二條第二項について、国家地方警察本部長官の任免権者を「国家公安委員会」から「内閣総理大臣」に改め、更に同條に一頁を追加して、この場合「内閣総理大臣は、国家公安委員会の意見を聽かなければならない」としているのでありますが、これを修正しまして、第二項はこれを現行法通り「国家公安委員会」を任命権者にすることとし、第三項は、この場合「国家公安委員会は、内閣総理大臣の意見を聽かなければならない。」と改めることとしたのであります。
 修正の第二点は、改正案では、警察法第五十二條の次に、五十二條の二として、「特別区の存する区域における自治体警察の警察長は、内閣総理大臣が、これを任命し、一定の事由により罷免する。
 前項の場合においては、内閣総理大臣は、特別区公安委員会の意見を聽かなければならない。」という一條を加えているのでありますが、これを修正して、特別区の存する区域における自治体警察の警察長は特別区公安委員が任命し、又は罷免し、その場合においては「特別区公安委員会は内閣総理大臣の意見を聽かなければならない。」と改めることにしたのであります。これを要するに国家地方警察本部長官並びに警視総監の任免権を内閣総理大臣の手に収めることとして、ただこの場合、それぞれ国家公安委員会又は特例区公安委員会の意見を聞くこととした改正案を、逆に任免権は、現行法通りそれぞれの公安委員会にあることとして、ただ内閣総理大臣は意見を述べるという消極的権限を持つことに修正しようとするものであります。国内治安の最終の責任は政府にあることは申すまでもないところでありますが、現行警察法上の建前からは、警察行政の責任は、直接には公安委員会に帰属し、内閣の責任は間接的で、而も不明瞭でありまして、今日まで治安確保について政府が責任ある措置に出ずることを妨げて来たことは事実なのであります。今回政府がこの点を改めて、政府の治安確保に対する責任を明らかにしようしました趣旨は、治安の現状から見ましても誠に当然であり、これを諒とするにやぶさかではないのでありますが、併しながらこの現実の実現の方法として、一方内閣総理大臣に指示権を與えると共に、前述の任免権をも與えようとしたことに対しては、我々は同意を表し得ないのであります。
 その理由としては、第一に、警察行政の民主的運営を保障するために設けられた公安委員会の重大な権限を取上げて、これを内閣総理大臣の手に移すということは、現行の警察法の精神から考えて如何かと存ずるのであります。厳正公平なるべき警察権の運営に、政党的関與の道を開き、曾つての選挙干渉のごとき事態を生ぜしめる虞れもあり、少くともそのような印象を與えることの結果となることは、嚴に残しめなければならんと思うからであります。そうして内閣総理大臣の意見と、国家公安委員会の見るところとは結局において一致を見るものと存ぜられますので、任免権を国家公安委員会に持たせておいても、政府の意図するところは失われないものと考えるのであります。
 第二に、今回の改正案では、特に必要ありと認めるときは、内閣総理大臣は、国家公安委員会の意見を聽いて、都道府県又は市町村の公安委員会に対して、公安維持の上に必要な事項について指示することができるよう、新らしい権限を認めているのでありまして、この指示権を適当に運用いたしまするならば、大体において政府は治安の維持の上に責任ある措置を講じ得ると思うのでありまして、あえてその上に人事権まで掌握して、無用の誤解を招くがごときは賢明でないと思うからであります。
 第三に、我が国将来の治安を更に国際的、社会的情勢を考えます場合、現行の警察制度には、首都警察の問題をも含めて、更に一層根本的に検討すべき問題があるのでありまして、かかる根本に触れずして、單に任命権について改正を加えようとする態度には賛成し得ないのであります。
 以上の理由を以ちまして、修正を加えた次第であります。何とぞ速やかに御審議をお願い申上げます。
  ―――――――――――――
#5
○委員長(西郷吉之助君) 次に集団示威運動等の秩序保持に関する法律案に関しまして、提案の理由の説明を求めます。
#6
○国務大臣(木村篤太郎君) 集団示威運動等の秩序保持に関する法律案の提案理由について御説明申上げます。
 終戰後、集会、多衆運動等は、その正当な範囲を逸脱いたしまして、犯罪を構成するに至つたときに、初めて刑法その他の法令によつて取締を受けるほかは、何等これに対する規制の方法がなかつたのでありますが、その後国内各地には多衆による運動が頻発し、その中には刑罰法令にふれ国民一般の迷惑を来すような無秩序、無統制なものも少くなかつたのであります。その結果、当初は、占領軍の命令により必要な規制がなされたのでありますが、集団示威運動、集団行進、集会に関する国内法制定の必要が痛感されるに至り、大阪市をはじめ、各地に、府県又は市町村の條例として立法化せられ、今日に至つておるのであります。
 併しながら、これらの條例は、その内容において区々であるばかりではなく、條例の制定のない地方も少からずあるのであります。かくて基本的人権たる集会、表現の自由が地方によつて異る取扱を受けるという不合理な状態に置かれているのでありますので、これをこの際法律化し全国的に同一内容のものとすると共に必要最少限度の規正を以て、これら集団示威運動等が秩序を保ちつつ行われることを確保する必要があるのであります。
 申すまでもなく集会、表現の自由は、憲法によつて保障された基本的人権でありますからあくまでこれを尊重せねばなりませんが、公共の福祉のためには必要最少限度の制約に服さなければならぬ場合もあるのであります。従いましてその性質上当然一般公衆に対して影響を及ぼすべき集団示威運動、公共の場所における集団行進、公共の場所における屋外集会につきましても、公共の秩序、公共の福祉のため或程度の制限が課せられることはやむを得ないのであります。
 即ち本法案は、これら集団示威運動等が公衆の生命、身体、自由、財産に危険を及ぼさないよう秩序を保持しつつ行われることを確保することを目的として作成したものでありまして、集団示威運動、公共の場所における集団行進、屋外集会に関して届出制をとり、公衆の生命、身体、自由、財産に対する直接の危険が認められる場合にのみ、公安委員会に対して一定の條件を附し、又は一定の事項の変更を命じ得る権限を認めるとともに、警察官吏に対して警告、制止、解散の権限を認め、以てこの目的を達成せんとするものであります。
 以上の理由から本法案を提出いたしましたわけであります。
 なお、集団示威運動等の届出につきましては、原案では、一律に七十二時間前までといたしておりましたが、衆議院の修正によりまして、行進を伴わないものについては四十八時間前までとなりましたので申し添えます。
 何とぞ御審議のほどをお願い申し上げます。
#7
○委員長(西郷吉之助君) 次に、修正案につきまして、川本衆議院議員より御説明がございます。
#8
○衆議院議員(川本末治君) 只今議題となつておりまする集団示威運動等の秩序保持に関する法律案につきまして、衆議院の加えました修正部分の内容並びに修正理由を御説明申上げます。
 御承知の通り本法案は、第二條において、集団示威運動又は道路、公園その他の公共の場所における集団行進若しくは屋外集会を行おうとする場合には、あらかじめこれらを実施しようとする場所を管轄する公安委員会に届け出なければならないことを規定し、第三條第一項において、その届出の手続を規定して、集団示威運動等を開始する日時の七十二時間前までに届書を提出しなければならないとしているのであります。我々はこの「七十二時間前」とある下に、「(行進を伴わないものについては四十八時間前)」という括弧書きを加えるよう修正をしたのであります。申すまでもなく、こういう届出は、主催者の便宜を図つて、できる限り短かい時間に限定することが望ましいので、さような立場から検討いたしましたところ、今日の治安状況から見まして、又従来の保安條令の実施状況から見て、一応七十二時間は必要であるといたしましても、行進を伴わないものについては、四十八時間前の届出で十分である。且つかくすることが最も妥当であると考え、修正を加えた次第であります。何とぞ御賛同をお願い申上げます。
#9
○委員長(西郷吉之助君) 以上を以ちまして、二法案に対する政府提案理由の説明並びに修正案の説明を終りましたが、時間が正午過ぎでございまするから、一時より再開いたしましては如何かと思いますが、如何でございますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○委員長(西郷吉之助君) 御異議ございませんければ、それでは一時まで休憩いたします。
   午後零時十一分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時一分開会
#11
○委員長(西郷吉之助君) これより委員会を開会いたします。
 本日午後の日程につきましてお諮りいたしますが、御承知のごとく先週採決する予定でございましたが、質疑その他の理由によりまして、持越されて来たのが地方制度調査会設置法案、一つはそれでございますが、それは吉川委員より、この目的について修正を加えるという御意見が出まして、その案文について御協議を願いますから、これは今日どうということにはなりませんが、次は、市の警察維持の特例に関する法律案、警察官等に協力援助した者の災害給付に関する法律案、これにつきましては、大体質疑も盡しておると思いますので、御意見によりましては、今日市の警察維持特例法案を採決いたし、次に警察官等に協力援助した者の災害給付に関する法案が質疑が終了すれば討論採決に入りたい、かように考えますが、なお消防組織法案が、本日の午前中に修正案につきまして御協議申上げるところ、御承知のように、土曜に休養したために、午後に繰下つておりますから、その修正点についても御協議をお願いしたら、どうか、さように思つております。運用の点につきまして、最初に市の警察維持特例法案について討論採決に入ることにして如何でございますか。
#12
○吉川末次郎君 委員長のお話のうちに、地方制度調査会設置法案につきまして、吉川、私から第一條に目的の條項を加えるということの話があつたので、討論採決が延びておるというお話がございましたが、全くその通りであります。それで私たちの会派におきましては、相談をいたしまして、法制局に修正案の案文を作らさして用意いたしておりますので、皆さんのお手許に差上げたいと思いますから、どうぞ十分御検討を願いまして、他日、大体におきまして皆様たちが御反対がないような案文を作り上げたつもりでございますが、御検討を願いました後、若し御賛成を得ますならば、各派共同の修正案としてまとめて、この委員会でおきめを願うように取運びたいと思つております。その案文を緑風会と自由党のかたがたにはお渡しいたしましたが、民主クラブ、改進党及び社会党第四控室のかたがたに配付いたしたいと思いますから、どうぞよろしくお願いたします。
#13
○委員長(西郷吉之助君) それでは、只今の吉川委員の御説明の通り、吉川案の内容につきまして、各党とも御研究置きを願いたいと思います。それで本日の最初には、市の警察維持特別法案、これが皆さんの御異議なければ、これを最初に取扱いまして、討論なり採決に入りたいと思います。
#14
○中田吉雄君 衆議院の提案者は今日おいでになつておりませんか。
#15
○委員長(西郷吉之助君) おいでになつております。これまで河原さんがおいでになつて説明に当つておりましたが、御都合が悪くて、川本末治衆議院議員が代りにおいでになつております。本日は質御疑があれば、それにお答えなさる予定で来ておられます。
#16
○中田吉雄君 もう少し念を押して、採決に入つて頂きたいと思いますが、終始説明に当られた河原さんのおいでになつたときにして頂いてはいけないですか。もう遷延する考えはありませんが、先般も言いましたように、やはりこれは自治体警察である市の警察を議会の議決でなくするようなことに変る一つの大きな橋頭堡になりはせんかという憂慮を持つものですから、例えば最近国際観光都市に指定されております松江その他におきましても、自治体警察の負担が非常に多いから、これに対する新たなる措置を要請しておるような記事が今日、昨日の新聞にも出ておりまして、その及ぼす影響は非常に多いと思いますが、どうでしよう、皆さん。今日やるべきでしようか。
#17
○吉川末次郎君 まだ出された資料等についての説明がないんですが、ちよつとお尋ねしたいこともありますので……。
#18
○委員長(西郷吉之助君) それでは今、中田委員より、提案者が御不在であるから、もう一度おいで願つて、よく念を押したいという御意見でございまするから、河原委員は郷里に出ておられますから、すぐ連絡をいたしまして、お帰り次第やることにいたしましても結構でございます。
#19
○石村幸作君 提案者は河原さんばかりでなく、川本さんも提案者でありますが、川本さんの御説明ではいけないでしようか。
#20
○委員長(西郷吉之助君) 中田君、如何ですか。
#21
○中田吉雄君 たくさん何もあるのですが、首尾一貫するためにも、そのほうがいいんじやないでしようか。もう遷延する考えはないんですから一つ……。
#22
○委員長(西郷吉之助君) そうすれば、本日は川本さんが出ておられますので、川本さんは、御承知の通り、警察官等に協力援助した者の災害給付に関する法律案並びに消防組織法案につきましては、川本代鶴士が説明に当つておられますので、警察官等に協力援助した者の災害給付に関する法律案、これか、或いは消防組織法、どちらかを……。
#23
○吉川末次郎君 市の警察維持の特例に関する法律案について、ちよつと提出された資料について質問したいことがありますが、これは国察のほうに聞きたいのです。
#24
○委員長(西郷吉之助君) それでは、市の警察維持の特例に関する法律案について御質疑があるそうですから、それの質疑をいたしまして、それが終りましてから、警察官等に協力援助した者の災害給付に関する法律案について討論採決するということにいたしまして御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#25
○委員長(西郷吉之助君) さよう取計らいます。
#26
○吉川末次郎君 この法案については、自治体警察廃止についての住民投票ということが主たる改正の基本になつておるのであります。それで住民投票が合理的に、又民主的に十分行われるかどうかということについての検討をできるだけして見る必要があると思われるのであります。全面的に我々は、あの住民投票それ自体が甚だ非民主的なものであるという大体考えを持つておるんですが、御提出を願いましたこの四つの市、それは警察法によつて当然に都市警察を、即ち自治体警察を設置しなければならないこの問題になつておる四つの市でありますが、その四つの市に包含された自治体警察を廃止しました町についてでありますが、いろいろ投票数のパーセンテージや投票数等についての資料が我々の手許に出されてあるわけでありますが、北海道の根室町のごとき、僅かにその投票率は一八%に過ぎないというのが挙げられております。ここに挙げられておりませんところの廃止されたる自治体警察の投票率は、この一八%よりまだまだ少い所が多数あると、私は大体推定いたしておるのでありますが、ただこの四つの市に包括さるべき町警察の廃止されたるもの、そのときの住民投票において、その自治体警察廃止については、理事者側から、財政上の事由等で、恐らくはこれを廃止したならば税金が安くなるのだとか、或いは財政負担が軽くなるのだというようなデマがいろいろ起きましたことだろうと思うのでありますが、それに対する反対の運動は、それぞれの町においてあつたかどうか、又どのような反対運動が行われたか。丁度選挙において、自由党が町長の候補を立てるときに、改進党或いは社会党がそれの対立候補を立てて、それぞれその町政についての政策を披瀝し合つて、その是非を住民に問うと同じような自治体警察廃止についての賛否両論を戦わす。首長或いは議員の選挙における改選と同じようなキヤンペインが行われた。住民がそのキヤンぺインを通じてその是非得失を十分理解するような過程を経て、それが行われたかどうかということが、我々の一番知りたいところであります。従つて右のような観点から、これらの町村において、自治体警察廃止についての理事者の廃止論に対する反対的キヤンペインが、どの程度にどういう形において行われたかということについての御答弁をお願いしたいと思います。
#27
○政府委員(斎藤昇君) 昨年、自治体警察を廃止するということに関しての住民投票が行われる前に、廃止賛成或いは反対のどんなキヤンペインが行われたかという御質問でありますが、当時この委員会においても取上げられましたように、相当両者の間に運動といいますか、宣伝運動、キヤンペインが行われましたことは申上げるまでもないことと思うのであります。具体的にどういうふうにと申しましても、ちよつとお答えしにくいのでありますが、大体例外はございましたが、町村役場の理事者側が廃止賛成の立場をとられたのが多かつた。例外的に反対の場合もあつた。それから公安委員会といつたような側に立つ人たちが廃止反対の運動を行われたのです。反対の理由の多くは、自治体が自治体警察を持つということは町村の基本的な権利であり、又民主主義の確立の上にも必要であるということが一番大きな論拠であつたと思います。廃止のほうの論拠は一自治体警察はどうしても機能が十分に行かない。そういう本来の性格を持つている。又財政の負担から考えても、なかなか町村として維持することが困難であるというような二点が主であつたと思います。中に両者の間に相当激しい運動を展開をいたした所も少くありませんでした。大体そんな状況でございます。
#28
○吉川末次郎君 特に今問題になつておりますこの四つの市警察、ミユニシパル・ポリスを置かなければならん、市に包括される岩手県の大船渡町、或いは富山県の魚津町においての今の状況はどうでありましようか、それを一つ伺いたい。
#29
○政府委員(斎藤昇君) 現在問題になつておりまする四市の状況につきましては、私は事分けて特には存じません。ただこの投票の率等から見ますると、相当成積よく投票をしておられまする点から、相当論議された問題じやなかろうか、かように考えております。当市といたしましても、近く市になる所は、警察を又再び持つということは厄介だから、廃止をしないでおくという建前をとられた所が多かつたが、この四市は近く市になりたいと考えながら、なお且つかような特例法が出るというようなことなんかも、全然こうした噂もありませんでしたときであつたにもかかわらず、一般の近く市になるという所では殆んど皆そのために存置をいたしたにもかかわらず、当市が廃止になりましたことについては、相当これは議論をせられた上のことであろうと、これは私の推測を加えてのお答えであります。
#30
○吉川末次郎君 今国警本部長官から御答弁がありましたが、衆議院の提出者側で、先般これらの四市の自治体警察の警察機能等の問題について御答弁を促したのでありますが、それについては十分な御答弁を得ることができなかつたのでありますが、こうした法案をお出しになつているからには、これらの問題等についても、我々よりも遥かに詳細なる資料と調査の結果をお持ちになつておることだろうと思いますので、国警本部長官の御答弁と相並んで、提案者の御答弁をこの際伺つておきたいと思いますので、一つお答えを願いたい。要するにこれらの四市において、四市に包括さるべき町の自治体警察廃止の住民投票をしたときに、どういう賛成、反対の運動が両者側に行われたかということの実情についての御答弁を促します。当然にそういう調査はなさつておることだろうと思います。
#31
○委員長(西郷吉之助君) 吉川委員に申上げますが、提案の説明に当つておられました河原さんがおられませんで、川本さんがおられますので、川本さんにお願いいたします。
#32
○衆議院議員(川本末治君) 今の御質問の点でありますが、実はこの問題の詳しい資料を今日私としては持ち合せておりませんので、数字の上に立つて、資料の上に立つての御答弁を申上げることがちよつとできかねることは甚だ申訳ないのでありますが、最初から、この法案の提案者を代表しまして、終始説明に当つておりました河原君が本日おりませんので、詳しい実情を申しかねるので、大体私も、今国警長官が御答弁を申上げた程度以外には私自体としても今日存じておりませんので、御了承願いたいと思います。
#33
○吉川末次郎君 先般河原さんに、然らばこういう法案を出さなければならない最大の理由とされている自治体警察のこれらの四市における機能が非常に不完全である、これを国家地方警察にしてしまつたほうがいいという建前で、こういう改正案が出されているのじやないか。現在の機能が然らばどういう点において不十分であるかということについての質問をいたしましたところが、少しも答えて頂ことがくできないのであります。そういうような不完全なところの調査と資料に基いて、漫然こうした、中田君が従来言つておられますような、警察法の基本的な精神を否認するような大膽なる法案を、人民の代表であるところの議員みずからが、議員提出案として出されるということは、私は甚だ了解しがたいのでありますが、河原さんはおいでになりませんが、提案者の一人として、川本さんにこれについての、もう一遍、くどいようですが、御答弁を得たい。
#34
○衆議院議員(川本末治君) 現在これらの四市は、廃止になりました後に、現在は国家地方警察に移管されておりますが、自治体警察としての機能は全然ないのでありまするが、その以前におきまする、廃止当時からの実情を我々が承知するところによりますると、いずれも小さな警察でありまして、自治体警察の実施後、我々が最も憂えておりましたいわゆる地方の弱小警察という、自治体警察の一番弱いところをはつきりと現わしておるという、これらの四市はその実例であると思いまするが、現存いたしておりまする自治体警察にその例をとつて見ましても、私どもの浅い経験から見ましても、三十人や五十人の一つの警察を以てしましては、実際に警察機能は発揮できないということが事実上言い得ると思うのです。国家地方警察の場合には、その警察が小さくても、他からの応援の問題が、自治体相互間の問題よりも容易に行われまするし、例をとつて申しましても、三十人くらいの警察や、二十五人くらいの警察でも、署長もいれば、給仕から内勤の仕事は一応百人以上の警察とも同じ程度のものが必要であります。従いまして実動し得る警察官というものは僅かな数にしかならない。こういう弱い警察を以て実際において多額な経費を使つて、そうして今日の警察の機能を発揮し得るや否やという問題になりますると、この問題は申上げるまでもなく、我が国警察組織の根本的な問題に遡らなければならんのでありまして、くどく私が申上げるまでもないのでございまするが、今日の場合に僅かに、それじや抜本的にやらなければならないものを、こういうことを部分的にやるということはどうかという御質疑も多分におありと思いますが、私どもは現在の段階におきまして、直ちに警察全体を大巾に根本的に直し得ない現状でありまする以上、少しずつでも、こうした事実上市という形ができましても、まだ町村と何らの実際においては変りのない所へ、そこへ折角警察が、住民投票で、その数がいずれの数でありましたにもせよ、一たび自治体警察を廃止いたしまして、国家地方警察に移管をされた。又ここで市になつたから、直ぐに自治体警察を設けなければならないということは、実際問題として、非常にその市の理事者なり住民なりは、迷惑こそすれ、そんなに喜ぶということはなかろうと思いますので、この場合急いでそれをしなくもいいように、便法としてかような法案を提出した次第でありまして、若し市の大勢の住民が多数の意思で、やはり自治体警察にしたほうがいいということになりますれば、住民投票でこれはなり得るという
 ふうにしてありまするので、この場合、吉川委員の御質疑にお答え申上げまするのには、余りにも抽象的な議論で、甚だ恐縮に存じまするが、数字等はくどく申上げまするように、現在私は持ち合せておりませんが、そういうような趣旨を以ちまして、私どもはこの際無理に法律にのみ頼つて、そうしてその法文にのみ当てはめて、住民の意思がどうあろうとも、何でも自治体警察にしなければならんというほどの問題ではなかろうと、かように考えておる次第であります。
#35
○吉川末次郎君 そこは議論で、観点の相違になるのですが、私から言うと、法律を改正してまで無理に自治体警察、都市警察、市であれば当然にみずからのミユニシパル・ポリスを持たなければならんのに、無理にこういう法律まで作つてお出しになるのがむしろ非常識だと私たちは考えておるのですが、そこはまあ意見の相違ですが、然らばもう一度お尋ねしたいことは、今二十人とか三十八とかの警察というお話がありましたが、あなたの御見解からすると、私賛成するのじやありませんが、あなたの御見解からすると、何人以上でなければやはりその機能は発揮されないという大体御見解なんでしようか。
#36
○衆議院議員(川本末治君) 私は、これも専門家でありませんので、今の一年半学問をした人間と、一年二ヵ月の人間と果してどれだけ違うかというような答えになると思いますが、要は、少くとも最小限、私は一署六、七十名以上の署員を持たなければ、警察署としての形を成さんのだというように私としては考えております。
#37
○吉川末次郎君 そうすると、まあここで四つの市が眼前に具体的な課題として我々の前に提供されておるわけですが、この市は現在の制度から言いますと、自治体警察の警官の数は大体何名くらいになるのですか。
#38
○政府委員(斎藤昇君) 事務的な点でございますから、私からお答えいたしまするが、御承知のように、今日自治体警察の定員は、自治体が自由に定めるということになつておりまするので、この市が自治体警察を持ちます際に、何名の定員にいたしまするか、それはわかりませんが、大体今までの基準から申しますると、三十人乃至五十数名、一番大きなところは五十数名になつております。三万台のところで三十二、三人が今までとつておつた基準であります。昨年の臨時国会で御訂正頂きましたことによりまして、そういう基準はどうでもいい、自治体の必要とする定員を定めることができるということに相成りましたが、普通の基準、今までの大体の例から言いますと、そのくらいだろうと考えます。
#39
○吉川末次郎君 それで今川本君は、少くとも自治体警察は七、八十人の警官を置かなければならんというお話であつたのですが、人口に比例して、大体の概数でありますが、いろいろ都市によつて違うでありましようが、七、八十人の警官を持つている所といいますと、人口で大体どれくらいの市になるのですか。どちらからお答え願つても結構です。
#40
○政府委員(斎藤昇君) 七、八万ということになります。
#41
○吉川末次郎君 そうすると、提案者の御意思では、概略大体人口七、八万以下の都市は、現行法によつては、自治体警察を市として当然に持たなければならんのだけれども、持つてはならない、持つことは悪いことであるという御見解が基礎になつて、それとの関連性においてこの法案が出されているのであると解してよろしうございますか。
#42
○衆議院議員(川本末治君) そういう趣旨ではございません。誤解のないように願います。
#43
○吉川末次郎君 誤解じやないですよ。あなたの考えでは当然そうなる。
#44
○衆議院議員(川本末治君) 私どもは、このために昨年警察法を改正いたしまして、自治体警察は、おきたければどれだけおいても定員の制限はなくしてありますけれども、この場合にこの法律を出しました私共の趣旨は、力に応じた所だけをやつておいたほうが却つて住民のためだ。又それでも住民が進んでたくさんの警察を置かなければならんというわけで置きたければ、住民のほうで置かれてもいいように、そこまで拘束はいたしておりませんので、これを出しました趣旨は、決し七、八万以下の都市は全部自治体警察をなくしろというような考えは毛頭も持つておりませんので、その点は誤解のないように一つお願いいたします。(「誤解じやない正解です」と呼ぶ者あり)かように存じますわけですが、なおこの場合に、先ほど吉川委員のお話のうちにありましたから、蛇足のようでありますが、附け加えて申上げたいと思いますのは、私どもは、必ず無理に自治体警察をおけということを言いたくないと思いますることは、少し地方へ行つて見ますると、小さな市で、警察を置いておりまするために、非常に困つておるところがたくさん……、私どもは国勢調査に参りましてそれを見まするとき、どうも日本人の悪い癖で、警察を置けばすぐそのあとを階級を非常に作りまして、四国の或る都市のごときは、誠に財政上から申しましても実に貧弱な市であつて、事実上五万になるかそこらの市でありまするが、それが警視正を署長にし、警視を二人も置き、実に定員百名か百二、三名を置いておりましたが、こういうことをやつて、非常に市の予算は、警察費のために非常に困つておるというようなことも実際見まして、住民は果してそういう自治体警察を持つことを喜んでおるかどうかということも一応考えなければならんので、市になりましたばかりに、すぐにそれが警察の重荷を背負わされることもどうかという我々は親心を持つて、これは自由になるようにしてやつたらどうかという、こういう考えでありますので、先ほども申上げました点の足りないところをちよつと申上げます。
#45
○吉川末次郎君 くどいようですが、すべて行政というものはですね。殊にいわゆる自治行政というものは、能率本位に考えてみるのと、本当に新憲法の精神の基底であるところの民主主義的な精神を、自治体の政治を通じて関與して行くという民主主義的な観念及び行政に習熟せしめるということを基本に置くのと、両方考えなければならんと思う。ところがただ能率本位という点からのみ考えましたならば、それは専制政治のほうが能率は上る。ムツソリーニ、ヒツトラーの政治のほうが能率が上る。警察行政についてもそうなんです。だからただそうした考えに偏することによつて、まだ漸くにして初期過程にあつて、或いはそのために今までの未成熟、或いは行政の不慣れということにおいて、能率上はいろいろ欠陥を持つものであつても、やはりそれは自治体警察本来の趣旨を発育さして行くという観念の上に立たなければならんものだと私思うのですが、そういう点のお考えは、或いは結論が出て、全くそれを無視した立場から、先般も申しましたように、官吏の諸君が出すのでなくして、人民の代表であるあなたのほうから、議員のほうからこんな碌でもないような愚劣な法案をお出しになるということは、私は非常に日本の民主主義の発展の上において、地方自治の発展の上において、嘆かわしいと思うのですが、これは意見になりますからして、あえて御答弁は要しませんが、私の質問はこれで終ります。
#46
○委員長(西郷吉之助君) なお市の警察維持の特例に関する法律案についての御質疑はございませか……。なければこの法案はその程度にしておきまして、次に警察官等に協力援助した者の災害給付に関する法律案について御質疑を願います。
#47
○原虎一君 これはですね。警察官等に協力援助した者の災害給付に関する法律案、これでございましよう。問題点は、個々の犯罪、個人的な犯罪に警察官の犯人逮捕に協力のことは、大体常識において判断ができますが、いわゆる集団の場合におけるときに、この法律を適用するということは非常に困難ではないか。そういうものに対する何らかの方法を講ぜられる用意があるか。これはお考えになるのか。例えば京都円山公園における問題、それからを一般市民が見ておるだけでも一つの協力の形でありますが、みずから市民が手を下して犯人を逮捕するために協力するというような問題が起り得るのであります。こういう問題について、いわゆる大衆の犯罪行為に対して、これに警官の活動に協力した場合は非常に判定に困ると思う。そういう問題については、何らか適当な措置ができ得られる自信があるのか、その点をお話願いたい。
#48
○衆議院議員(川本末治君) 大分むずかしい御質問なのでして、私もお答するのに、どの範囲でお答え申上げ得るか、非常に私自身が疑問でありまするが、今の私共は、この協力者、警察官等の職務執行に当つての協力援助したということは、飽くまでも個々のものであるというふうに考えておりますので、第二條に言つておりますように、警察官が職務を執行する場合に、どうしても協力援助を求めなければならんというので、警察官以外の者に協力を、職務でない者に求めた場合、集団の場合等を想像いたしますると、このときには少くとも警察官は多数おる場合がありますし、又一人か二人かの場合、四、五人の警察官が何百人といういわゆる暴徒に取り固まれた場合ということも考えなければなりませんし、仮にそうした場合になれば、必ずこの法律は適用しても差支えないと思いますが、前回どなたかの御質疑がございましたように、一方に千人おる。一方に警察官が五十人おる。この場合にはどうするかというようなことが、そのときにもお答え申上げましたけれども、少なくとも五十人、六十人という警察官がおつて、そうして相手の暴徒と対峙しているというような問題になりますときは、誰かが他の連絡の方法をとり得るのでありますから、当然職務を持つておりますものが、これに応援に参るのは当然でありまして、そういう場合に、警察官が民衆に協力を求めるということそれ自体が警察官の職務執行の上においていささか危惧を抱くような問題でありまするから、さような場合にはこの法律は適用すべきではないと私どもは考えておりますが、ただ時々起り得る問題につきましては、どこからどこまでという、こういうことについては、事実上この法律ができました上において、この法を執行して行く警察官の方の心構えにより、なおそうした事態によつて、それぞれの方法が変つて来るのではないか、かように考えております。御質疑に対して、大変お答えに当てはまらないかも知れませんが、さよう考えております。
#49
○原虎一君 私から言いますと、むずかしい問題ではありますが、一応は考えておくべき問題であります。この法律で警官が協力を求めたのに、市民が協力に応じない場合は、別に罰せられるわけではありませんが、そういう警官の協力に応ぜない場合も想像できますし、それから今の御答弁のように、求めなければ、協力しなくてもいいわけではなくして、市民みずからが協力をした結果怪我する場合もあります。併し一番問題は、今後市民の中からみずから協力したと目されるような問題が起きて、それに対して救護すべきである、或いはこの法律を適用しないという問題が起きて、紛争とも申すべき問題になるのは、大衆運動のときにおける警官と大衆との衝突の場合であります。これは、一番私はこの法律ができて問題が起きるのは、今申しました点だと思います。従つて、立案者はここまでお考えになつていないようでありますが、事実警察官を動かし、事件の処理に当るところの国警みずからの考えはどうですか、この点を伺いたいと思います。
#50
○説明員(桐山隆彦君) 只今お述べになりましたような大衆運動が、暴力行為に発展をするといつたような場合に、これをとり鎮めるためには、警察といたしましては、私は大衆のかたがたの協力を求めるということにいたさないほうがよろしいと考えております。集団暴力行為と申しましても、例えば集団窃盗、集団強盗というような場合は別でありますが、そうでなくて、いわゆる大衆の集団暴力行為というような場合には、これはやはり専門的な警察官、特定の、特別の、そういつた場合に処することに訓練されたものだけが当るということが第一でありますので、かような場合に大衆の援助を得るということは、大衆と大衆がそこで又更に争いを起すということになりまして、事件の処置としては非常に悪い結果を来たすことでありますので、警察といたしましては、さような場合には、一般のかたがたの援助によつて、警察と一緒になつて、その暴徒を鎮圧するというようなことにはならないようにいたしたい。むしろ大衆のかたがたには、そこから遠のいて頂くというようにとり計らうべきだと考えております。
#51
○原虎一君 それで大衆暴動のときには援助を求めないと、そういたしますと、その問題は明らかになつて来ると思います。問題は、今度はそれ以外の場合において、警察官が協力を求めたか否かという、これは何を以てきめるかわからんと、基準は何を以てきめるか、これはあり得ることであります。おせつかいをされたのであるから、その人が怪我をされたことは御自由であるということになる場合がある。従いまして、そういう場合におけるところの判定、求めたか求めないかということは、警察官の言のみによつてきめるのであるか、この点です。
#52
○衆議院議員(川本末治君) 大体この法律の適用されまする範囲は、常に警察官が協力を求めるということが條件になつておるのです。それから実際は求めることができなくも、求めたと同様な状態に、つまり首でも締められて、声を出すことができなかつたという場合以外には、常に警察官が協力を求めて、初めて民衆がこれに協力をしたときに適用するという建前でありますから、今の御質疑のように、どうだかわからんというようなこと、おせつかいに、これをやつてくれたというときには、それが犯人の逮捕の上において非常に効果があり、なおそのために、そのおせつかいに協力をせられた人が怪我をされたり、そうした場合には、この法律以外に、従来の警察でしておりまする民衆に対しての表彰、若しくは表彰に金一封を添えるおる場合もありますので、むしろそういう方法が適用されるのが妥当ではないかと、かように私も解釈いたしておりますから、御質問のような問題は起きないのではないかというふうに考えております。
#53
○原虎一君 私から言いますと、起きやすいのではないかと思うのです。こういう法律がなければないで、そういう問題は起きませんが、こういう法律ができれば、逆に私は、その警察官は無事であつたが、援助者が怪我をした場合、二人で取つ組んで犯人を逮捕したというような場合でなしに、警察官と五間なり十間なり離れた場合、警察官が怪我しないで、求められた形において援助した市民が怪我した場合に、果してこれが、警察官が自分は求めたんであると言い切れるかどうか、こういうことが私どもは想像できるのです。でありますから、警察官が求めたのであるということになりますと、非常な私はこういう法律ができますれば、問題点がそういうところになる。こういう法律がなければない上において、正義感に基いて警察官に援助した。警官が何か言つたから、逃げておる人間をつかまえた。そのときに怪我をした。警官が果して求めたのか求めんか疑問であります。これはやはり法律がないときには問題になりませんが、法律ができた以上、私は問題になると思う。従つて勿論その市民は、こういう法律があることを知らずにおつてやる。いわめる正義感に基いて協力する場合があるのですから、その後において、法律があるからどうだこうだということになるということが起きないとも考えられますけれども、併し警官の立場から協力を求めた形では、自分の職責上困るという場合がないとも限りません。そこまで我々は考えて一応法律というものは見ておく必要があるということを申上げておきます。あなたが言われる、そういうことがないとは私は言えないと思う。こういう問題が往々にして起るということを考えて、そういう場合があればどういう判断でやる、その場合において、警官の言うことのみを以て判断するのでかしに、周囲の事情や状況から判断してやるというお答えがあれば我々も了解できるのでありますが、そういうことはないと思うというお話では、了解ができんのであります。
#54
○衆議院議員(川本末治君) お言葉を返すようですが、私どもこの場合、お話の中にありました警察官というものを、少くとも国家の公務員である警察官がみずから援助を求めておりながら、そのあとで私はそういうことを求めなかつたというような、さような人間は警察官の中にはあり得ないという考えの下に立案をいたしておりまするので、先のようなお答えをいたした次第であります。これは三人だけの場合でありますると、警察官と援助した人との間に、その周囲に誰も実際においていなかつたというような場合でも、周囲の事情を判定いたしますれば、ほぼ実際警察官が求めたか求めないかというような判定に苦しむような場合は恐らくあり得ないであろうと思いまするし、なお実際において求めなければ、犯人逮捕なり、その場合に人を救助に……例えば水に溺れた人間を見て、一人の巡査でどうしてもできんで、おい頼むと言つたのを、川下でこれを救助したというような場合、巡査も共に落ちてしまつてこれを助けたという場合に、巡査が、おれはそういうことを求めなかつたと言つたとすれば、これは由々しい問題であり、さような人間は警察官として、少くとも民衆保護に当るという人間ではないと思いますので、御懸念のような場合もあり得るかと思いますが、大勢の中には、共産党員を取締る警察官が共産党員であつたというような場合も聞き及びますので、何ともそれは言えないと思いますが、それは周囲の判断によつて、ほぼそういう問題は解決し得るのじやないかというふうに私どもは考えております。
#55
○若木勝藏君 一つお尋ねしたいのは、この資料を見ますと、非常に個々の場合の、強盗とか殺人の問題の場合援助したような例がたくさん載つておるのでありますが、実際においてこの提案者は、今後もこういう程度にとどまるものと、こういうふうな工合にお考えでしようか、その点伺いたいと思います。
#56
○衆議院議員(川本末治君) 将来の問題をお尋ねのようでありまするが、私どもは将来は、そういう問題は今の社会情勢から行きますると、多く起きて来るのじやないかという心配は私どもは持つておるのです。従つてそれでありますから、民衆をできるだけそうした場合に、今日のような状態にしておきたい、置くべきじやないかという考えを持つております。けれどもそれがために、この法律ができたから、急に民間から義勇軍ができて来るとも思いませんし、又そういう人たちができて参りましても、警察官の意思表示がない限りは、求援の意思表示がない限りは適用は受けませんし、先ほど国警長官のお答えにもございましたように、大衆と対立するような場合にはむしろやらないようにしようじやないか、こういうことにも考えておりますので、今後この法律が適用される人が今までよりも、今の社会情勢から行きますと、多少殖えるようなことは起りやせんかという懸念は持つておりますが、これが何十倍になるというような、将来財政措置に困るというような問題までは私どもは現在は考えておりません。
#57
○若木勝藏君 私は、財政上の問題ではないのでありますが、この点先ほど原委員からも御質問があつたようでありまするが、とにかく強盗を抑える場合に援助したというばかりでなしに、いわゆる暴動とか、そういうふうな場合は考慮されたかどうか、こういう問題なんです。
#58
○衆議院議員(川本末治君) 暴動などの場合を私どもは考えておりませんでした。
#59
○若木勝藏君 そこで、その点につきましては、本部長官からも先ほど御説明があつたのでありますが、そういう場合には適用しない。そうして暴動のような場合には退いてもらいたい、こういうふうな意向を示すというお話でありましたが、そういうふうなことがこの法案のどこに一体明示されておりますか、その点を伺いたい。
#60
○衆議院議員(川本末治君) お答え申します。これは法を執行する上において、果して警察官が、暴動の場合に、職務執行の上でそういうことをするかしないかというような問題になりますると、やはり警察官の常識の問題にこれは入つて来ると思いますので、およそ今日ここでいろいろな事例を申上げて御説明をすることは事実上不可能じやないかと思いますので、私どもは暴動の場合には、そういうことをしないように、十分これは、こういう法律を濫用しないように、その場合にはそれぞれの立場において、はつきりそうしたことは通達して行わせなければならんのじやないかと、かように思いますので、全然今の御質問のようなことは考えてはおりませんので、いずれにもさようなことは規定していないことと思います。
#61
○若木勝藏君 単なる法律の運用というようなことにのみ頼つて、そういうふうな場合は提案の場合に考えなかつた。これは非常に私は、この法律を考える立法の場合において落度じやないかというように考えるのですが、これは今後必ず私は問題になつて来るだろうと思うのです。それを先ず警察官の常識で以てこれを濫用しないように、大体戒めをされるぐらいのことでは、問題は私は解決できないんじやないか、もつとその点をはつきりしなければならんのじやないかと思うのであります。
 その次にお伺いしたいのは、大体において先ほどの御説明を聞いてみますと、警察官から協力を求めた場合にというようなことが本質である、こういうふうになつておりまするけれども、ここでは、更に第二條においては、そればかりでないようであります。「その他これに協力援助することが相当と認められる場合に、」これは必ずしも私は警官から協力を要求した場合を指しておるのじやなくして、その他協力を求めない場合をこれは明らかに指しておられるのじやないかと、こういうふうに思うのですが、この点如何でしようか。
#62
○衆議院議員(川本末治君) 先日来、この問題につきましては、数回御答弁申上げておりますように、このその他協力を求めたと同様だという意味合の言葉、これは警察官などが、先ほども申しましたように、人を救助するために川に飛び込んで、共に溺れようとしておりまして、自分から救助を求めることができないような場合などを指しておる場合であります。警察官がみずからそこに意思表示をすることの不可能なような急迫した事態に、これを救助した場合というのでございまして、他の者が進んでやることについては、しばしば申上げおりますように、この法の適用はしない。この二條は極めて厳格な意味において御解釈を頂きたい、かように思います。
#63
○若木勝藏君 そうしますというと、そういうふうな場合も認めるということは、援助を求めない場合でも、やつぱりこれは適用するという前提の上に立つておるということになりますね。
#64
○衆議院議員(川本末治君) そうではございません。求めようとしても、求める意思表示をし得ないような急迫の事態におる場合を指しておるのでありまして、求めないでやるという場合には、これはこの法律の適用範囲外でございますので、さように一つ御承知願います。
#65
○若木勝藏君 その判定は非常に私は重要なものであると思うのでありますが、それはどこで判定することになりますか。
#66
○衆議院議員(川本末治君) 個々のそのときの事態がはつきりそれは実証すると思いますから…。
#67
○若木勝藏君 どうもそういうところに非常にはつきりしないものがあると思いますが、まあその程度にしておきます。
#68
○委員長(西郷吉之助君) 他に本法につきまして御質疑ございませんか
 それではお諮りいたしまするが、本法案については御質疑がないようでございますから、これは次の段階に進みまして討論採決に入りまして御異議ございませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#69
○委員長(西郷吉之助君) それではさようにいたします。
 それでは警察官等に協力援助した者の災害給付に関する法律案につきましては質疑は終了したものと認めまして御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#70
○委員長(西郷吉之助君) 御異議ないものと認めまして、それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは、それぞれ替否を明らかにしてお述べを願います。なお修正の御意見等がございました場合には、討論中にお述べをお願いいたします。
 別に御意見がなければ、討論は終局したものと認めて御異議がございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#71
○委員長(西郷吉之助君) 御異議ないものと認めます。
 これより採決に入ります。
 警察官等に協力援助した者の災害給付に関する法律案につきまして採決をいたします。
 本法案につきまして、衆議院送付の通り可決することに賛成の諸君の挙手をお願いいたします。
   〔賛成者挙手〕
#72
○委員長(西郷吉之助君) 全会一致であります。よつて本法案は衆議院送付の通り、全会一致を以て可決すべきものと決定いたしました。
 なお本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條によつて、あらかじめ多数意見の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長におきまして、本法案の内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の趣旨及び表決の結果を報告することとして御承認願うことに御異議ございませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#73
○委員長(西郷吉之助君) 御異議ないものと認めます。
 それから本院規則第七十二條によつて、委員長が議院に提出する報告書等につき、多数意見者の署名を附することになつておりまするから、本法案を可とせられたかたは、順次御署名を願います。
 多数意見者署名
    中田 吉雄  石村 幸作
    岩沢 忠恭  高橋進太郎
    宮田 重文  溝淵 春次
    若木 勝藏  原  虎一
    吉川末次郎  岡本 愛祐
    館  哲二  岩木 哲夫
    岩田 仁藏
#74
○委員長(西郷吉之助君) 御署名洩れはございませんか。ないものと認めます。
  ―――――――――――――
#75
○委員長(西郷吉之助君) それでは次に、消防組織法につきまして、この間から質疑を継続しておりまするが、これにつきまして御質疑があれば、なおお願いいたしますと同時に岡本、館御両人の修正案が出ておりまするから、これにつきましてここで懇談に移しましてよく御検討願いたいと思います。速記をとめて下さい。
   午後三時七分速記中止
  ―――――――――――――
#76
○委員長(西郷吉之助君) 速記をつけて。
 明日は予定の通り、午前中法務との連合で、法務が警察法についての質疑をいたしますから、その連合が終了いたしまして、時間がございますれば、地方制度調査会の設置法案につきまして、吉川委員の修正を決定して頂きまして採決したいと思います。
#77
○岩木哲夫君 まだ時間もありますので、地方制度調査会のことだけぐらいは今日上げておいたらどうですか、実は一、二私も字句を消したいことがありますが、大したことじやないと思いますから……、それから吉川委員の修正点も、私も了承したい点もありますが、ちよつとまだ不要の字句もあるので、消したい点もあると思うのです。
#78
○中田吉雄君 地方制度調査会のメンバーをどういようなことにするかというような重要な問題があるので、これはやはり国会議員その他五十名ですかにするということになつているが、そのメンバーは総理大臣が任命するということになつているのですか。これは非常に重要な、その構成如何によつては、地方制度を根本的に逆コースに持つて行くようなことにならないとも保証しがたいし、これはやはり念を入れて……(「わかつた」と呼ぶ者あり、笑声)
#79
○吉川末次郎君 私の名をお言いになりましたが、私の修正案というのは、公式に修正案としてまだ私出しているわけじやないので、できるならば皆さんの共同一致の修正案のところへ作り上げたいと思つて、ただ話のきつかけとして、私的にむしろお出しした程度でから、どうぞその程度のものであるということを御承知願いたい。できるならば休憩等によりまして、懇談会等で一つ私のを御参考にして頂いて、できれば共同一致の修正案を作り上げるように持つて行つて頂けば、大変結構だと私は思つておる次第であります。
#80
○中田吉雄君 それか。議事を進めます上に、地方制度調査会の設置に関しまするメンバーの構成は大体どういうようにするかという責任のある政府側のまとまつた印刷物を一つ、後日の念のためにしてもらつたら、これは大体はつきりする、それさえはつきりすれば結構です。
#81
○委員長(西郷吉之助君) 本日は龍野政務次官もおられますので……。今お聞きの程度でございますからその点もし…。
 それではこの程度にいたしまして、なお最後にお諮りいたしますが、従来理事が二名補欠がございますので、それにつきましてお諮りいたします。去る六月十八日に岩木哲夫君が、又本七月二十一日堀末治君が地方行政委員から一時辞任されましたので、理事が二名欠員となつておりまするので、この際成規の手続を省略いたしまして、その指名を委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#82
○委員長(西郷吉之助君) 御異議ないと認めます。
 それでは岩木哲夫君の補欠に岩木哲夫君を、堀末治君の補欠に岩沢忠恭君を理事に指名いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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