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1951/07/28 第13回国会 参議院 参議院会議録情報 第013回国会 地方行政委員会 第71号
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1951/07/28 第13回国会 参議院

参議院会議録情報 第013回国会 地方行政委員会 第71号

#1
第013回国会 地方行政委員会 第71号
昭和二十七年七月二十八日(月曜日)
   午前十一時四十一分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
本日委員林屋亀次郎君辞任につき、そ
の補欠として駒井藤平君を議長におい
て指名した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     西郷吉之助君
   理事
           岩沢 忠恭君
           中田 吉雄君
           岩木 哲夫君
   委員
           石村 幸作君
           高橋進太郎君
           堀  末治君
           宮田 重文君
           岡本 愛祐君
           館  哲二君
           若木 勝藏君
           原  虎一君
           吉川末次郎君
           駒井 藤平君
           岩男 仁藏君
  政府委員
   国家地方警察本
   部長官     斎藤  昇君
   国家地方警察本
   部次長     谷口  寛君
   国家地方警察本
   部総務部長   柴田 達夫君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       福永與一郎君
   常任委員会専門
   員       武井 群嗣君
  参考人
   全国自治体公安
   委員会連絡協議
   会副会長    神宅賀壽惠君
   全国自治体警察
   長連絡協議会会
   長       田中 榮一君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○公職選挙法の一部を改正する法律案
 (衆議院提出)
○警察法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(西郷吉之助君) それでは只今より委員会を開会いたします。
 本日は前回に引続きまして、公職選挙法の改正案につきまして、懇談会を開きたいと思います。速記をとめて下さい。
   午前十一時四十二分速記中止
   ―――――・―――――
   午後零時三十九分速記開始
#3
○委員長(西郷吉之助君) 速記を始めて下さい。
 それではこれで休憩いたします。
   午後零時四十分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時十七分開会
#4
○委員長(西郷吉之助君) それでは只今より委員会を開会いたします。午前から選挙法の改正案をやつておりました途中でございますが、警察法の一部改正案につきまして、本日参考人として、全国自治体公安委員会連絡協議会副会長並びに全国自治体警察長連絡協議会会長として田中警視総監、御両人のおいでを願つておりますので、選挙法の改正案審議に先だちまして、御両人の意見を徴します。では最初に全国自治体公安委員会連絡協議会副会長神宅賀壽惠君。
#5
○参考人(神宅賀壽惠君) 私が只今御指名を受けました神宅賀壽惠でございます。このたびの警察法改正法案につきまして、自治体警察の関係者としまして、公安委員会並びに警察長の意見も本委員会におかせられましてはお聞き下さることになりましたので、厚く感謝の意を表する次第で、厚くお礼を申上げます。昨年警察法の一部が改正せられましたときには、事前に国家地方警察の関係者と自治体警察の関係者が数回会合いたしまして、全部一致したわけではありませんが、大体の点について一致をみましたので、衆議院なり、本院に参りまして、私どもの愚見を申上げるときにも、政府の御提案を全面的に反対するというような荒つぽい言葉を申上げないで済んだのでありますが、今度の警察法の一部改正法律案につきましては、事前に我々自治体警察関係者に何らのお話がなく、突如として御提案になつたのでありまして、我々自治体警察の関係者といたしまして、協議の結果、これに対して反対をするということを申上げなければならないようなことになつておることを私どもは甚だ遺憾に思うのでありますが、私ども自治体警察側の者としまして、我が国の治安の万全を期したい、こういう熱意からいたしまして、今度政府御提案になつております警察法改正案に対しては、遺憾ながら反対の意見を申上げなければならないということなんであります。甚だ遺憾とする点であります。この法案が議会へ提出せられましたということを聞きまして、全国自治体公安委員会連絡協議会のうち、警察法改正問題に委員として選任せられております者、それに二、三の公安委員が加わりまして、十三都市の公安委員長会議を五月の十四日に開いたのであります。で、昨年の警察法改正のときには警察長が表面に出ていろいろ改正に対する意見を述べましたことが、これは地方公務員法違反であるというような非難を所々で聞きましたので、今度はさようなことのないように、公安委員会が表面に立つて警察長の各位と十分協議いたしまして、この改正に対する運動をすると、こういうことになりましたので、警察長の各位、警察長連絡協議会等が表面に立つて決議をいたしておりませんのはさような事情に基くのでありまして、警察長が賛成、政府改正案に対して賛成であるが故に沈黙を守つておるのだ、公安委員会のほうだけが反対をしておるんだということを仮に言う人があるといたしますならば、それは間違つておるのでありまして、公安委員会と警察長とは意見を一致しまして、この運動をいたしておる次第であります。さよう御承知おきを願いたいと思うのであります。
 先ず第一に、政府御提案の警察法一部改正の法律案についての私どもの修飾をしない意見を申上げますと、これは全面的に反対なのであります。そのことは五月の十四日、東京都特別区ほか十二市、十三自治体公安委員会連絡協議会におきまして決議しました通りであります。その理由も申上げたいのではありますけれども、これは五月十四日の決議いたしました時に反対理由書も添付して、本委員会にも差出してあることでありますから、詳しいことは申上げないことにいたしますから、どうかあの書面をもう一度御高覧を賜りたいと、かように考えるのであります。で、改正の主なる点は、国警本部長官と東京都特別区の警察長である警視総監の任免権でありますが、これに対して内閣総理大臣が任免権をお持ちになつて当該公安委員会の意見をお聞きになるというようなことは、結局警察長の任免に関して公安委員会の重大なる権限が骨抜きになる、こういうことに尽きるわけであります。これに対しては絶対に反対する。こういうことにいたしたわけであります。
 それから内閣総理大臣が公安維持上必要があるときには、全国の都道府県会安委員会に、自治体公安委員会に対して指示をなさる。それからその指示の事務を国家地方警察本部で行われるという点でありますが、これは任免権と指示権と両方考えますと、結局国家地方警察が自治体警察を支配すると、こういうことに、或いは指示することになりはしないかということを恐れるのであります。それは現に破壊活動防止法の施行を控えておりまする今日、大阪で発行いたしておりまする朝日新聞の七月二十日の夕刊によりますと、検察庁が一定の事項を指示しようとなさつた。それに対してこれは刑事訴訟法の百九十三条に違反するものだとして、国警はこの指示を受けない。こういうことを都道府県の国警、自治警にさような御指示をなさつて、そうして国警本部が責任を持つのだと、こういうような記事が相当大きく取上げられて出ておるのでありますが、現在では国警本部は、国家地方警察に対しましても、勿論自治体警察に対しても何らの運営管理の面については指示権をお持ちになつていないのであります。国家地方警察で都道府県に配属せられておりまする隊長は、都道府県の公安委員会の運営管理に属する。都道府県公安委員会の指揮命令によつてこそ、その仕事をなさるのでありまして、管区本部長にも、国警長官にも、国警地区の、国警が管轄しております地区の運営管理、即ち警察法第二条二項に規定してあることについては、何らの喙が入れられないのであります。自治体警察に関しては勿論であります。警察法に明文で国家地方警察と自治体警察との関係を明らかにしておられまして、指揮命令の関係が謳つているのであります。それにもかかわらず破防法の適用については、国家地方警察の本部が責任を持つて指示をなさるような新聞記事が出ております。昨日の朝日新聞にも、この問題を取上げられておつたのでありますが、国家地方警察におかせられましては、現に何らの権限を持たない場合においても、かような御意図があることが窺われるのであります。この新聞の記事が事実でなければ幸いでありますが、事実であれば、私どもは現に大変な過誤を犯されておるのじやないかと、かように考えるのであります。その国家地方警察本部が指示に関する事務をお取扱いになる。そして国家公安委員会の意見をお聞きになる。こういうのでありますから、私どもはこの関係において全面的に賛成をしないのであります。
 併しながら現在の治安情勢から言つて、内閣総理大臣に何らかの関係を現在の警察に持たそうということであるならば、どうすればいいかということにつきまして、自治体公安委員会といたしましては、五月の二十日に理事会を開きまして、この理事会と言いますのは、全国から公安委員会、三十都市の公安委員が集まりまして、理事会を構成しておるのでありますが、これに対する決議をいたしました。越えて六月の三日に、東京におきまして全国の公安委員会の総会を開きまして決議をしたのでありますが、この修正案というようなものは出さないで、全面的な反対だけでいいのじやないかという議論が、理事会におきましても総会におきましても相当ありましたのですが、絶対反対だけを主張して修正案も出さないというようなことでは、却つて原案が通過する虞れが多いのだと、こういうような物識りの人から注意されまして、それでは代案を考えようじやないかということでこしらえましたのが、これもすでにお手許に差上げてありまする決議でありますが、この要領をここで重ねて申上げさせて頂きたいと思うております。で、この絶対に反対ではあるが、特別区の警察長と国家地方警察本部長官の任命は、それぞれ公安委員会の意見を聞いて、それぞれの公安委員会において任命する。その場合に総理大臣の意見を聞くということになつておるのでありますが、問題になりますのは、総理大臣の御意見を伺つて公安委員会と意見が対立したときにどうなるかという点であります。意見が一致すればよろしいが、意見が対立している場合には、私どもの考えでは、意見を聞くのでありますから、公安委員会が任命権を持つたので、公安委員会の意見に従つてきめるということ、かようなことになりますと、政治的な関係においては、法律的な関係はそれでいいのでありますけれども、政治的な関係においては、総理大臣の意見が公安委員会に通らなかつたというので、非常にまずいことになりますので、私どもとしましては、できるならば総理大臣の意見を徴しないで、国家地方警察の本部長官は議会の御承認を得て内閣が御選任になつた立派な公安委員のかたにおいて御選任になる。東京都特別区の警察長は、東京都特別区におきましては、御承知のように知事か議会の同意を得て公安委員を選任せられておるのであります。その東京都特別区の基本規定によりますと、選考委員会を設けるということになつております。その選考委員は、国家公安委員長、国警の本部長官と東京都特別区の公安委員長の三人と、それ以外に二人の学識経験者を加えまして、五人の選考委員が三人の候補者をおきめになる。三人の候補者をおきめになつたうちから、特別区公安委員会においては一人を選任するということになつておりますので、全く最適任者が御選任になるという制度になつておりますから、私どもの意見としては、内閣総理大臣の意見を徴することなく、現在の東京都警察長の基本規定の規定するところに従つて御選任となつたほうがいいのではないかと思います。
 それから指示権の範囲でありますが、指示権は公安維持上必要な場合というような広い範囲でなく、これを相当制限して頂きたいと思うのであります。で、都道府県の公安委員会は、運営管理だけでありまして、行政管理じやないのでありますから、おのずからその指示される事項は、運営管理の範囲に制限せられることは勿論でありますが、自治体公安委員会におきましては、運営管理と行政管理と両方担当しておるのでありますから、若し総理大臣が公安委員会に対して、お前のほうの警察長は無能であるから罷免せよというような御指示があつたといたしますと、大変なことになるのであります。で齋藤国警長官は、そんなことはやらないんだと、都道府県の公安委員と自治体の公安委員とに指示の内容が違うということはあり得ないから、おのずからわかるんだとおつしやるのでありますが、立案御当局におかれては、さようであつたかも知れませんが、立案当局が永久に内閣の御関係者でないと思われますので、法律はできますと、法律に書いてあるところによつて、ときの内閣が活用されるんでありますから、この指示権の内容は、相当に御制限を願わないと、却つて治安に混乱を来たす。こういうふうに考えますので、内乱、騒擾、集団的破壊行動が発生し、若しくは現に発生することが予想される場合にも、運営管理の面だけに公安委員会に対して総理大臣の指示権を認めるように制限して頂きたいと、こうしたのでありますが、これをなおもう少し制限を強化して頂くことは結構でありますけれども、これでも相当広範囲なのでありますから、十分御当局におかせられましては、この適用に過ちのないように、相当の制限をお願いしたいと思うのであります。
 それから指示権を行使します場合に、政府原案によりますと、国家地方警察本部がその事務を処理するということになつておるのでありますけれども、国家公安委員の意見を聞いてということになつておりますが、私は国家公安委員会よりも、別に公安審議会というものを設けて頂いて、それの意見を徴することにして頂きたいと思うのであります。この指示権の行使について急速を要する場合もございましよう。国家公安委員会の意見を徴するということになりますと、大阪府吹田市にいらつしやる金正公安委員が、その会議に御出席になつて意見を述べられる期間を少くとも置かなければ、国家公安委員会が正式に開かれたと言われないと思うのであります。私どもの考えておりまする公安審議会と、まあ仮に言うておるのでありますが、これは在京のかたがたによつてのみ構成されるのでありますから、在京のかたがたにその招集が到達し、出頭するだけの時間、余裕があればできるのであります。なお実質的な関係から申しますと、国家公安委員会では、実際の行政管理の面に、運営管理の面に当つていらつしやいませんから、各地における実情を御存じないのであります。直接御存じないので、ただその事務取扱の国家地方警察本部の御意見によつて、そうして総理大臣に意見を申上げるということだけになるのでありますが、それで自治体側の特に都市警察において事故が頻発いたしますのに適当じやないんじやないかと思うのであります。それで国家公安委員長、東京都特別区の公安委員長、これは自治体公安委員会連絡協議会の代表者であります。それから国家地方警察の本部長官、東京都特別区の警察長、これは自治体警察長連絡協議会の会長、それから結局起訴、不起訴という問題にもかかるわけでありますから、最高検察庁の検事総長、それからここには法務府特別審査局長と書きましたが、この制度がなくなりましたから、公安調査庁の長官、かようなかたを委員とせられまして、実情に即した指示を内閣総理大臣から出して頂く、そうしませんと、内閣総理大臣の指示が浮き調子になるのではないか。殊に最近の破壊活動をなす連中は、口に言うところと実際に行うところと違うのであります。それは取締当局をまごつかし、自己の目的を達成しようとする手段であります。東に行くということを言つて、実は西に行く、南に行くということを言つて北に活動をする実情であります。国家公安員会の意見をお聞きになつて、総理大臣が指示をなさつておるような場合には、もうすでにそのことは済んでおる。それを聞かなければいかないというようなことでは、現地のものとして非常に迷うことになる。で、私どもは国家公安委員会の意見を聞いてということをやめて頂きたいと、かように考えるのであります。国家非常事態が発生した場合におきましても、国家公安委員会から総理大臣に勧告するのでありまして、総理大臣が逆に意見を徴して指示をなさるというようなことは、今までの法制には考えられなかつた重大な点であるのであります。それから指示権に関する事務部局でありますが、これは先に申上げましたように国家地方警察の本部でおとりになるということは、自治体警察は事実上国家地方警察本部の指揮監督下にあるのと同様な結果を招来しないか。これは無論運用の如何によるのでありますが、さようなことになりはしないかと思われるのであります。殊に指示権を行使します場合には、その前提としていろんな事項を調査報告せよ、こういうことになるのでありまして、まあ大自治体警察においてはそうでもありませんが、中小自治体警察においては、一々指示権行使の前提条件である調査報告をせよということに忙殺される危険があるのです。でありますから、これは指示権行使に関しましては、独立の事務局を内閣にお設けを願いまして、そうしてその所においてして頂くことが警察全体としての指揮の関係から言いましても、運営をいたします公安委員の関係からいたしましても、そのほうがずつといいと考えるのであります。それで私どもこの法制の関係を全体的に知りませんので、現在の我が国の財政の関係から、審議会というようなものを特に設けるというようなことは現在の国家機構からしてできないというようなことになるのではないかと思うのでありますけれども、破壊活動防止法を御制定になりましたときには審議会をお設けになつておるのであります。この私どもの審議会委員の顔触れからいたしまして、特にこれらの人たちに給与をお支払いを願うというようなことなくして済むのであります。ただ内閣におこしらえを願う事務局費が多少は要りましようが、我が国の治安をどうしようかという重大問題でありますから、それに対する少額の費用くらいは政府におかせられては御支出が十分願えることと思うのであります。
 それからもう一つ、警察法改正法中の問題は、東京都特別区に対しては予算の範囲内において費用の一部を国庫から支出せられるようになつておりますが、その他の自治体警察に関しては、費用が出る規定がありません。内
 閣総理大臣は、如何なることを指示なさるのかは知りませんが、指示権は行使するが、それに要する費用は自治体において負担せよとこういうことになりますので、現在の窮乏しておる自治体といたしましては、或いはその指示を実行する上において、費用の負担ができないということがあるのであります。殊に現在のような組織的破壊活動が随所で起つております場合は、現在の状態においても相当国庫からこの警備、捜査、検挙に関する費用を自治体側に御支出を願わなければ、万全を期し得ないというような状態にありますので、警察法改正と同時に、総理大臣は指示のしつ放しで費用の負担をしないというようなことをなさらないで、この費用を警察法の一部を改正する、或いはその他の法律の改正によつて御支出を願いたいと思うのであります。
 それから申し遅れましたが、最後に警察法改正条文の附則によりますと、この法律施行の際国家地方警察本部長官又は特別区に存する区域の自治体警察長の職にある者は、改正後の警察法の相当規定によつてそれぞれその職に任命せられたものとするというのでありますから、現在の長官である齋藤さん、現在の警視総監である田中さんを不適任者としてこれを排斥するためにこの法案を出してないということは明らかであります。この法案によつて任命権者が変つても、それぞれの地位は確保されておるということになるのでありますが、将来内閣総理大臣の意見を聞くというようなことになりますと、総理大臣が変るたびに、内閣が変るたびに、これらの職にある人が変る。これは旧日本の警察制度で内閣の更迭すると同時に内務三役がお変りになつたと同じような運用になりはしないかということを私どもは恐れるのであります。でありますから、ときの内閣総理大臣の意に従わない人が、仮に本部長官なり、警察長になられまするようなことがありましても、運営管理については万全を期する法制でありまするので、かような御改正をして頂きたくないと考えるのが、私ども自治体公安側の意見であります。
 大体これで全部尽しましたが、私田舎者で言葉使いが荒いので、関係方面に或いは失礼なことを申上げたかも知らんのでありますが、この点は平にお詫びを申上げておきまして、私の意見を終ります。御清聴有難うございました。
#6
○委員長(西郷吉之助君) それでは全国自治体警察長連絡協議会会長の田中警視総監。
#7
○参考人(田中榮一君) 只今全国の自治体公安委員会の連絡協議会の副会長として、大阪の神宅公安委員長から、今回の警察法一部改正に関する自治体公安委員会側の意見は詳しく申上げましたので、私から特にこれに敷衍して申上げることはないのでございまするが、ただ全国自治体警察長連絡協議会会長といたしまして、警視総監ではたくして、全国自治体警察長連絡協議会会長として、各自治体警察長が今次の警察法改正に関しまして、いろいろ意見を申述べ、何か機会があるならば、適当の機会に意見を具申してもらいたいということをかねがね私の所に申出
 てございまして、その大部分は只今大阪市の神宅公安委員長から具体的に申上げたことで全部尽きておるものと考えておりまするが、ただ二、三私から補足的に申述べたいと存じまするのは、今日の社会状態にて、皆さまも御承知のように毎日各地におきまして、いろいろな集団暴行事件、或いは騒擾事件等が発生をいたしております。この場合におきまして、一体どういう所に多く起るかと申しますると、大体におきまして、自治体警察の置かれておる地域において最も頻繁にこういつた事件が頻発いたしております。東京を始め大阪、大阪附近周辺の都市並びに京都、名古屋、そのほかいわゆる都市警察の範囲におきまして、相当こうした事件が頻繁に起つております。従いまして、自治体警察官といたしましては、恵まれざる装備、恵まれざる財政、又そうした点を克服いたしまして、身命を賭して只今治安の第一線におきまして活躍いたしておりまするが、勿論この点におきましては、国警も同様に治安の第一線において身命を賭して闘つておりまするが、併しながら現在の状況から見ますると、どうしても都市警察の範囲内におきまして、こうした事態が非常に起りやすいということでございます。又現在の自治体警察は、昨年の警察法の一部改正に伴いまして、一千余の小自治体警察が廃止せられまして、現在四百七十七の自治体警察が存続いたしておりまして、そうしてその有するところの警察力は八万五千に上つておりまして、現在の国家地方警察の四万数千に優ること、その倍の警察力を以て現在の治安に面していろいろ苦心をいたしておるような状況であります。従いまして、私どもとしましては、今次の警察法の改正につきまして、少くともこうした大きな治安面を持つておる、責任を持つておる自治体警察側の意見というものは、十分一つお取上げ願い、又この意見を十分に尊重して頂きたいという念願をかねがね持つておつたのでありまするが、併しながら、今次警察法につきましては、いろいろ緊迫した事情もあろうかと存じまするが、前回の警察法改正のときには、十分に只今神宅公安委員長が御説明のことくに、両者十分に話合いをつけて、そうして改正に従事したのでありまするが、今回はそうでなくして、自治体警察側の意見というものは殆んど述べる機会も失しまして、漸く本日この参議院の地方行政委員会の席上におきまして、我々の自治体警察側の意見を述ぶる機会を与えて頂きましたことは、少くともこの八万有余の自治体警察官としては、非常に私は無上の光栄とし、又且つ喜びとするところであろうと考えております。さような状況でございまして、この前回の警察法改正につきましては、警察長みずからが相当表面に立ちまして、警察法に対し批判を下し、又反対もいたしました。併しながら、今次の状況から見まして、警察長みずからがこうしたことに没頭することは面白くない。かような考えからいたしまして、今回の警察法改正につきましては、全員こうしたことは全部公安委員会にお任せして、我々は先ず治安の維持に最善を尽すべきである。かような点から何らこれに対して批判もいたしませんし、又反対の意思表示もいたしておりません。この点は一つ御了承願いたいと思うのであります。併しながら、警察長みずからといたしましては、今次の改正につきましては、いろいろな批判を持ち、又いろいろな反対の意見を持つておるようであります。併しながらこれにつきましては、先ほど神宅公安委員長から具体的に申述べましたので、それに尽きておりまするから、個々の問題については私から申上げるのを避けたいと思います。
 それから、なお今一つ申述べておきたいと存じまするのは、この指示の問題でございます。政府原案によりますると、六十一条の二に、「内閣総理大臣は特に必要があると認めるときは、国家公安委員会の意見を聴いて、都道府県会安委員会又は市町村公安委員会に対し、公安維持上必要な事項について、指示をすることができる。」と、かように明記されておるのでございまするが、この公安維持上必要な事項というものにつきましては、勿論私はこのいろいろな内乱、騒擾的なそうしたものであろうと考えておりまするが、併しこれも解釈の如何によりましては、公安維持上必要な事項ということについて、すべて意見が一致すれば何でもできるというようなことになると、勢い全部内閣総理大臣において何でもできると、勿論国家公安委員会の意見を聞くからして、さようなことはないという御意見は十分わかるのでありまするが、併し公安維持上必要な事項というだけでこれを実施するということになりますると、現在の立案された御当局のおる間はそれで結構だと思うのでありますが、やがて人が変り代が変つて参りますれば、こうしたことがややもすれば非常に広く解釈せられ、それがときに濫用される虞れもないではない。こうした場合におきまして、一般の国民から、ややもすれば警察国家再建の疑いを以て見られるというようなことにもなる虞れもありまするので、警察長の全員の意見としましては、この六十一条の二というものに対しまして、相当強い制限を附して、将来こうした心配のないような確固たる方法を講じてもらいたい。かような意見が非常に強く出ておりまするので、これは私から一つこの点を申上げておきたいと存じます。
 それからいま一つ、これも先ほど神宅公安委員長から詳しく説明があつたのでございまするが、この指示の場合における国家公安委員会の意見を聞いてということで、国家公安委員会が一つの諮問機関になつておりまするが、我々の考えといたしましては、この諮問機関というのは飽くまで客観性を持つべきでないかと思うのであります。広く社会情勢をあらゆる点から総合的に判断をして、そしてそこに適正妥当なる結論を出して総理に答申をすると、それによつて総理が指示すると、そこにこの治安維持極めて適正妥当なる指示が行われるものと考えております。勿論国家公安委員会にいたしましても、適正妥当なる御意見を答申されるものと考えておりますが、更にこれに対しまして、少くともあらゆる点から検察的な意見、それから今度新たにできました公安調査庁的な意見、それから又実際に治安の取締に従事しておりまする自治体警察の代表の意見と、こうしたものを取入れまして、そうして総理大臣に極めて適正妥当なる意見を具申いたしまして、これによつて指示してこそ、初めて適正なる取締、適正なる指示ができるものであろうと考えておるものであります。
 それからもう一つ、この指示をする部局の編成でございまするが、この政府案によりますると、国家地方警察がこの指示に関する事務を処理するということになつておりまするが、勿論国家地方警察がこの事務を処理されることも結構でございます。併しながら現在の警察法の第五十四条の規定から申しますると、市町村警察は国家地方警察の運営管理又は行政管理に服するものではないということになつております。従つて自治体警察は、国家地方警察の指揮監督を受けないと、これはもう現警察法のはつきりした原則でございます。従つて指示することが、然らば運営管理、行政管理になるかと申しますると、決して私は指示することが必ずしも国警が自治体警察に対して行政管理、運営管理をするものでないことは、これははつきりいたしておるのでありまするが、併し形の上におきまして、国家地方警察が指示の事務を取扱うということは、形の上において行政管理或いは運営管理のような点に走る虞れがあるのではないかと、殊に中央部におきましては勿論そうした考えはないと思いまするが、国警の末端部におきまして、こうした誤まつた考えを持つことによりまして、いわゆる国家地方警察が自治体警察の上にあつて、優位にあるという感じを一般国民に与え、又その衝に当る者自体がそうした錯覚を起すことによりまして、今日の民主警察の原則を傷つけるということに相成るのであります。従つてこうした誤まりを犯すようなことは成るべく未然に防止したほうがいいのではないか、かような点から申しまして、この指示を掌る部局というものはやはりこれは独立して内閣総理大臣の下に設置しまして、これは必ずしも大きな局であるとか、課であるとか、そういうものでなくて結構でありまするが、これには少くとも国警も代表者も入るであろうし、場合によつては自治警のほうからも入る、又検察のほうからも入るというような、組織はいずれにいたしましても、何かそうした総理大臣の直属の一つの部局を設けられまして、その部局が一切の指示に関する事務を掌り、そうして諮問機関に対する一切の事務を掌つて、そこできめたことを総理大臣に答申をいたしまして、そうして総理大臣がこれを流せと言つたときに、その部局が国家地方警察並びに自治体警察に平等にこれを流して行くと、勿論現在の通信施設は全部国警がこれを管理いたしておりまするからして、実際の事務は国家警察がこれをやることは、これは差支えないのでありまするが、建前といたしましては、現在のこの国家地方警察、自治体警察というものを存置するこの法制の上から申しますると、飽くまで両者平等でなくちやならんのであります。従つてこの部局を通じまして、平等に国家地方警察並びに自治体警察にこれを流す。実際は、通信は国警がお待ちになつておりますので、国警がお流しになることは結構でございまするが、建前としてはそういう取扱をすべきが妥当ではないかと、かように、私どもは考えておるわけであります。なお最後に、この今回の政府案によりまする第五十二条の三でございまするが、「特別区に存する区域における自治体警察に要する経費は、都の負担とする。但し、国庫は、その予算の範囲内においてその一部を負担することができる。」と、これは首都警察としての警視庁に対する予算の範囲内において国庫が経費の一部を負担して頂くのでありまして、これは首都警察をお預りいたしまする私といたしましては、従来この点につきまして、政府並びに衆参両院のそれぞれ担当の委員会にかねがね陳情もいたしておりましたし、又都知事並びに都の議会当局者も、かねがねこの点につきましては陳情もいたしておりまして、この点が実現さして頂けましたことは、誠に首都警察といたしまして感謝に堪えないのでございまするが、ただこれは自治体警察全体と申しますると、現在地方の自治体警察におきましては、一般平衡交付金によりまして、大体警察署の財源を賄つておるわけでございます。従つて大都市に行くほどその一般平衡交付金の交付率が少い。小都市は比較的恵まれておりまするが、大都市は全然ない。殊に大阪のごときは、警視庁はこれによつて或る程度国庫負担ができるのでございますが、京都、名古屋、神戸のような所は、一部でも平衡交付金が交付されまするので、財政的に援助があるのでありまするが、大阪は全然ないのであります。こういう点につきまして、大阪以外の、大阪を初め、小都市警察におきましても、やはり五十二条の二のような規定によつて、全体が一つ装備の改善のために地方自治警の経費を国庫において御負担を願う。それによつて装備の強化を図つてもらいたい。こういう強い要望がございまするので、この点は自治体警察連合協議会会長の立場におきまして、特に一つ御配慮のほどをお願いいたしたい。かように考えておる次第でございます。
 以上極めて簡単でございまするが、大体紳宅委員長から詳細お話がございましたから、私からは若干以上敷衍いたしまして、説明に代えた次第であります。
#8
○委員長(西郷吉之助君) 以上で意見
の発表が終りましたが、御両人に対しまして、質疑がありましたら、この際お願いいたします。
#9
○原虎一君 六十一条の二ですね、「内閣総理大臣は、特に必要があると認めるときは、国家公安委員会の意見を聴いて、都道府県公安委員会又は市町村公安委員会に対し、公安維持上必要な事項について、指示をすることができる。」この場合にですね、あなたの御意見によると、国家公安委員会より別な総理大臣の諮問委員会を作ることができる。その理由には現国家公安委員会は、例えば一公安委員が大阪にいることによつて、至急の会合に間に合わないということと、それから国家公安委員は、実際に運営管理の面に直接あたつておるものでないから、専門的なものによつて委員会を作つて頂きたい。公安委員は、治安の直接関係者としての知識経験を持つわけではないのでありますから、専門家によつて委員会を作るというのが主なる理由であるか、公安委員は急拠委員会を開けないからというのが大きな理由であるか、この点を明らかに願いたい。
#10
○参考人(神宅賀壽惠君) お答えいたします。それは治安の実際に当つている人たちによつて、総理大臣の御質問にお答えするというほうが主たるものであります。金正国家公安委員が大阪におられるというようなのは、現在の国家公安委員会の構成からしての従属的な理由であります。
#11
○原虎一君 それから全国自治体警察連絡協議会会長としての田中さんにお
 伺いするのですが、今御承知の通りの自治体警察の特別な経費に対する国庫補助を必要とするという御意見、これは先日の、六大都市でありますが、市長が寄りまして、その審議を終つております。そのときにも資料としてもらつておりましたが、自治体警察と国警との装備の差があるものが揃つておつて、それから装備の関係と総合的な二つを合せまして、大体警察官一人前との程度の費用を要求するか、国警と自治警との費用を要する額の相違点等を、統計を表にできておりますれば、そういう資料を我々の手許に御提出願いたい。と申しますのは、次の補正予算の関係もありますから、その資料はむしろこれはあなたのほうにお願いしたほうがいいんじやないかと思いますので、国警側からは、それはそれぞれ聞いておりますけれども、自治警側のほうを御提出願いたいとこう思つております。
#12
○参考人(田中榮一君) 只今の御要請に対しまして、かねがね承わつておりますので、只今それを取りまとめ中でございまするので、来月の十日頃までには装備の関係その他が全部集まるだろうと思いますので、集まり次第、一つ御提出申上げたいと思つております。
#13
○吉川末次郎君 紳宅委員長から、全国自治体公安委員会連絡協議会の立場から、自治体警察、公安委員会側の意見をこの法案に対して開陳する機会を参議院が与えられましたことに感謝するというところのお話でありましたが、これは当然に、公安委員会側としての全国自治体公安委員会連合団体の代表者、及び全国自治体警察長のかたがた、又は特に東京都の特別区の警察長、即ち警視総監の意見を徴さなければならない法案であると考えまするから、我々はお二かたの御意見を成るべく尊重して、これを審議したいと思うのですが、第一院である衆議院のこの法案を審議する責を負う地方行政委員会では、自治体警察の警察長及び公安委員の代表者のかたがたの意見を徴するというような手続をしなかつたかどうかということをお尋ねしたい。若し衆議院がそうしたことを何もしないで討議しているならば、これは非常にお粗末な審議振りであつたという国民の非難を衆議院は受けなければならんことであると考えるのでありますが、そういう事実があつたかどうかとこういうことをお二人、両者側からそれぞれ御答弁を願いたい。
#14
○参考人(神宅賀壽惠君) お答えを私から申上げます。昨年の警察改正のときには、衆議院におかせられましても、地方行政委員会で十分に意見を述べる機会をお与え下さいまして、そのときには東京都特別区の公安委員長であります連合会の会長小畑さんと私との意見をお聞きを願つたのであります。それから警察長側といたしましては、会長である田中警視総監と副会長である大阪の鈴木警視総監をお呼び下さいまして、いずれもその意見を十分開陳する機会を与えて頂いたのでございますが、今回の御改正については、私どもは決議を以て陳情はいたしましたが、地方行政委員会へお呼び出しを賜わつて、直接親しく私どもの意見をお聞き下さつたということは、公安委員会側にも警察長側にもなかつたのであります。
#15
○吉川末次郎君 田中警視総監から。
#16
○参考人(田中榮一君) 私のほうにも別に出頭を命ぜられまして意見を開陳するような機会はございませんでした。
#17
○吉川末次郎君 それは審議の手続の問題であります。これは本法案の審議につきまして、基本的に最も重要な事項であると私だちは考えておつたのでありますが、御両者の御答弁をそれぞれ伺つてわかつたのでありますが、これはこの法案は基本的に政治的な立場から考えますというと、単に法案論議の一つの傾向のこの改正案と我々は実は考えておらないのでありまして、全面的な現行警察法を一定の方向へ、これはもつと明らかに申しますというと、いわゆる戦前の警察制度の体制へ復元して行こうというところの政治的意図と関連をいたしまして、行われている。先般来政府側から提案して参りましたその他の警察法の改正との一連の関連性において行われておるものであると我々は考えておるわけなんであります。先ず昨年の六月だつたと思いますが、本院におきまして議了いたしましたあの警察法の改正によりまして、その最も重要なるものといたしまして、いわゆる住民投票の形式を通じまして、全国町村警察の実質的の廃止を国警側は主張する法案を出して参つたのであります。で、先般来この委員会において、私たちからそれについていろいろ政府当局、国警当局に希望いたしておるのであります。形式は住民投票というのは、極めて民主的な形であると言うことができると私は思うのであります。特にそれを政府側は、強調いたすのでありますが、形式は民主的であるけれども、これを行わんとするところの政治的意図は、非常に非民主的な意図を持つておるのでありまして、その節もいろいろと批判をいたしたのでありますが、昨年のそうした改正案のときにも、本会議場において反対という、先ほど申上げましたように……。こうしたことによりまして、以来今日まで約一年ほどの間に、全国の町村警察というものは八割まで廃止されてしまつて、すでに千以上の町村警察が廃止されてしまつたのであります。それは日本の国民の民主主義的な一種の擬制、そこに地方自治体の住民の生活のうちに残つていますところのいわゆる封建的な観念に乗じまして、そうして形だけそうした民主的なフオームを通じて、そういうことをば、執行して参つたのでありますが、全く官僚の意図して参りましたことはまんまと成功いたしておるということが見られるのであります。又先にこれも我々が反対したのでありますが、町村警察をこういう住民警察というところのフオームを通じて廃止することに成功しましたところの旧警察官僚の諸君は、魔手を更に自治警察のほうへ伸ばして参りまして、その第一の企てとして、要するに市の警察維持に関する特例についての法律案を出して来まして、それが又両院を通過するような結果で、そうした現行警察法の制度というものをば、戦前の警察制度の体制へ帰してしまおうというところの非常に強い意図を基本的に持つておるのであります。それに賛成しておるところの人も相当にあるのであります。でありまするから、そういう法案が両院を通過してしまうのでありますが、そうした意図に基いて小出しにぽつぽつと、この方向にリードをして行こうとしておるのであります。その小出しの一つとして、自治体警察に対する警視総監の任命権について、又こういう法律案を政府は出して来ておるのであります。その次に考えておりますることは公安委員会の廃止であります。国家公安委員会を、或いは府県の国家地方警察の公安委員会も、市町村の公安委員会も、これは皆廃止してしまう。国会議員の中にも、すでに国家公安委員も田中君が警視総監をしていられるところの東京の首都の公安委員も、これは皆つまらない人間ばかりがしておるということをば、公然委員会で放言していらつしやるところの委員もいらつしやるような有様であります。勝手なことを、見当違いのことを委員が言つておりましても、これはまあ一つの意見でありますが、その法案の修正案を出しました衆議院の東京都から選出されておりまするところの自由党の議員が、そうした東京の公安委員はつまらない人間がなつておるということを肯定するような答弁をいたしておるというような由々しき、許すべからざる表現をいたしておるのが現在の状態であります。公安委員会を今度は廃止するところの法案を来年か再来年か政府は提案して来るだろうということを私は予言しておいて間違いはないと思います。そうして自治体警察の制度を、昔の国家警察一本の建前にしようとする意思を持つておるのであります。これも一つの考えであります。でありまするが、併しながらこれは警察制度の改革の上におきまして、最も現行制度と対蹠的な見解の上に立つての再編成を行う、或いは復元を行わんとするものでありますから、これは極めて、政治的な立場からも重大視しなければならぬのでありますが、今申しまするように、昨年の町村警察の住民投票という民主主義的な性質をうまく運用いたしまして、そうして町村警察を八割まで廃止したのであります。そうして更にその間に市の警察の維持に関する特例についての法律案を提案し、更にこういう意図の下に警察長の任命権その他につきましても、公安委員会の意見を聞くことになつているのでありますが、この法案は、昨年の町村警察の廃止と、それから今の市の警察の維持に関する特例の公布と相並んで、今私が申しまするように、戦前の警察体系へ現行制度をばぽつぽつと昔に帰して行くということの基礎観念を基いて、そうした観点の上に立つた一連の警察制度、反動政策として出されておると私たちは考えておるのでありまするが、あなたのおつしやることはこのことについてどのようなお考えになつているかということを……。
#18
○参考人(神宅賀壽惠君) 先刻私が御答弁申上げました、衆議院地方行政委員会における自治体警察側の参考人の点は、間違つておりまして、私が知らなかつただけでありまして、東京都特別区の橋本公安委員長と神戸市の古山警察長がお呼び出しになつてお答えをしたそうでありますから、あれは訂正いたします。私が知らなかつただけでありまして、甚だ申訳ないと思います。
 それから只今の昨年の警察法改正なり、今年の警察法改正が国警一本化の基礎観念の上に立つて行つておるのかという点でありますが、私どもといたしましては、表面に現われて来る、昨年の警察法の改正、衆議院で諸員提出になりました市の警察維持に関する特例、この警察法の改正も、表面から見ただけをお答えをするよりほかに……、世間でのいろいろな噂を私どもも聞くのではありますけれども、私どもは国警側はどういう御意図があつてなさつておるかを承わつたわけでも調査したわけでもないのでありまして、甚だお答えがしにくいのであります。悪しからず。
#19
○参考人(田中榮一君) 只今神宅公安委員長が訂正したと同様に、衆議院の地方行政委員会には古山警察長が呼ばれて、警察法の改正に関する意見を述べましたのでありますが、この点は私からも訂正をさして頂きます。それからなお吉川委員から昨年の警察法改正に関するいろいろな御意見がございましたが、当時私どもといたしましては、十分に国警側と協調いたしまして、小さな財政を持つた自治体警察は非常に財政的に十分の負担に対して相当な重圧であり、且つ又いろいろの点からして維持が困難であるというような実情も、かねがね聞いておりましたので、勿論警察法の精神から申しますると、自治体は当然みずからの警察を持つのは、これが原則でございまするが、そうした財政上の理由から非常に困難な所につきましては、その住民の意思を尊重いたしまして、住民の意思によつて維持、廃止を決定するというのならば、これは当然民主的なことであり、又そうすることによつて地方の住民の意思を十分に活かし、又地方の財政を救済することになるというので、この点につきましては私ども全面的に賛成いたしまして、あの規定を改正いたしたのでありまするが、結果におきましては、やはりこの住民の負担という点から、まだこの点は自治体警察側におきましても相当な責任もあり、又自治体警察の趣旨というものが十分に住民一般に徹底していなかつたということは、これは自治体警察側も一半の責任を負わなくちやならぬと考えております。従つて大多数の小さな自治体警察が廃止になつたということは、これは現在の民主警察から見ますると、これは誠に残念でございまするが、併し当時の状況としては、又止むを得ないのではないかと、かように考えておる次第でございます。又新たに市になりました自治体が自治体警察を持たない所は国警がこれを負担するという今度の改正法でありますが、この点につきましては、自治体側としましては、やはり市の財政から止むを得ないのじやないかと考えておりまするが、ただ一面、いやしくも市になつた以上は、少くとも自分の警察ぐらいは持てる所が市になる資格があるのじやないかというような意見を言う者も中にはないでもないのでありまして、これも情勢としてどうも止むを得なかつたのじやないかと考えておる次第であります。
#20
○吉川末次郎君 もう一つだけ、ほかの委員から質問があるだろうと思いますので、一つだけそれでは質問さして頂きたいと思いますが、田中警察総監にお尋ねしたいと思うのであります。先ほどの神宅委員長から東京都特別区の警察長の選任についてでありますが、何かの規定があるようなお話がお話の中に窺われたが、そのことが聞き違いだつたかも知れませんが、或いはそれが都の条例にあるのではないかと思います。警察法第四節の特別区に関する特例、この法律の中にはないのでありますが、何か臨時法令或いは都の条例等にあるのではないかと思いますが、それを警視総監から一つ教えて頂きたい。それから田中警視総監の先ほど御答弁の中に、先ほど来私が申しました市の警察維持に関する特例に関する法律についての多少の意見の食違いがあつたが、国会を通過したことでありますから、いわゆる一事不再議の原則において、蒸し返してここで審議すべき限りではないのでありますが、本法の審議と関連いたしまして、あの法律についての神宅委員長の自治体警察公安委員会連合会の代表者としての立場から、あの市の警察維持に関する特
 例についての法律案については、どのようにお考えになつておるかということも神宅さんから一つこの機会に御見解を……。
#21
○参考人(神宅賀壽惠君) 私から申上
 げます。市の警察を維持しないでもいいという特例につきましては、私どもは五月の二十日の新潟の全国公安委員会連絡協議会の理事会におきまして、およそ市が警察を維持しないでもいい
 というようなことはけしからん話だ。
 田中総監只今お答えになりましたように、およそ市になろうという町村が、
 警察を持たないでそれでいいということはないという考えから、あの法案に対しては反対の決議をいたしまして、関係方面に御陳情申上げたのであります。一体この民主警察、新憲法下になりまして、地方自治の関係がどれだけ違つたかと言いますと、警察と消防とが殖えたくらいのことで、あとは前から教育にしましても、土木にしましても、自治体には持つておつたので、警察と消防くらいのものでありますのにかかわらず、財政上の理由とは言え、市にでもしようかというような自治体が警察をみずから持たないというようなことは、私どもその自治体の当局者の考えを疑うので、ああいう法律のできることを甚だ遺憾に思つておる次第であります。
#22
○参考人(田中榮一君) 只今の東京都特別区警察長の任用の方法につきましては、この警視庁基本規程という規程がございまして、これは本年一部改正をいたしたのでありまするが、その趣旨は、大体同様でございますので、現在警視総監のやはりこの任用試験というのがございまして、この任用試験は、公安委員会の定むるところにより、委員長一人及び委員四人以上で組織する警視総監選考委員会がこれを行う。前項委員会の委員中、三人は国家公安委会委員長、国家地方警察本部長官及び東京都特別区公安委員会委員長とす。と、この三人の選考委員のほうは、この規程によつて明定されておるわけです。そのほかの委員は、民間の学識経験ある者の中から公安委員会がこれを選任すると、こういう建前になつております。そうして、これには総監任用候補者名簿をその都度作成いたしまして、その上位三人中から公安委員会がこれを任命すると、こういうことになつております。
#23
○吉川末次郎君 それは警視庁の内規ですか。
#24
○参考人(田中榮一君) それは公安委員会の規定でございます。現在警視総監任用に関するものは今年一月改正いたしまして、まだそのままになつております。まだはつきりした新しいものはできていないのであります。
#25
○吉川末次郎君 それは全国的な規定ですか。東京都だけの規定ですか。
#26
○参考人(田中榮一君) これは公安委員会の規定でございますから、東京都の条例でも何でもないわけであります。
#27
○吉川末次郎君 東京都の公安委員会……。
#28
○参考人(田中榮一君) 東京都の公安委員会の作りました……
#29
○吉川末次郎君 内規ですか。
#30
○参考人(田中榮一君) 内規です。
#31
○岩木哲夫君 先ほどの政府の意見を伺つておりまするというと、自治体警察の場合は、指示を受ける場合においては運営管理のみに限定したい。こういうふうな御説明でしたが、その点から参りますと、東京都の特別区における警察長の運営する場合に内閣総理大臣の意見を聞くということは、まさにこれは行政管理の根本を押さえられた……。その次に若し仮に総理の意見について聞いたとしますと、その場合にこの指示を仰ぐということはあり得るのですか。
 それからその次にお伺いしておきたいのは、指示を仰ぐ場合何か指示の審議会、こういうふうなことを言われておりましたが、これはこの審議会に当つて公安委員長が含まれるということは、既に公安委員会の招集さるべきときに、そういうふうに考えられるのであります。その点を伺いたい。これからこの指示を仰ぐというふうな場合、これは非常事態の発生があり得るというふうな場合、そういうときには、現在の警察法において十分警備政策の点から考えて、或いは国警との連絡で、これがはつきりわかるのです。その上に更に総理大臣の指示を仰ぐということは、これは決して……、若しどうしてもそれがある場合は、むしろ自治体警察においてその要求する。そういうふうな場合に、指示を仰ぐのでなくて同意を求めるというような程度であるか。まあそれらの点について伺いたい……。
#32
○参考人(神宅賀壽惠君) お答えいたします。第一の東京都特別区の警察長、国警本部長官の任免を、これは行政上の通念でありますが、これに対して総理大臣の意見を聞くという新制だけはこしらえましたのは、これはいろいろな議論がありましてこれはこういうことは全然絶対反対だけにしておいたらどうかという意見も相当あつたのであります。先も申上げましたように絶対反対というだけであつたら、却つて総理大臣が当該公安委員会の意見を聞いて任免するというふうに皆が、私どもの意見を衆議院で御修正になつたものと全く違つたものができてしまうという規定があるのだということを注意してくれる人がありまして、それならこの程度の意見を聞くなら、ときの総理大臣が間違つたお考えを、或いは総理大臣としては間違つていないが、公安委員会としては違つた人を選任したいというような意見の対立があつたときでも、意見を聞くだけならその意見を採用すると否とは当該公安委員会の考えによるのだから、丁度拘留中の者を釈放する場合に裁判所が検事の意見を聞くと同じように意見を聞くだけならば、検事の意見と裁判所の意見が違つても裁判所は断行ができるし、現にやつているのだから、この程度のことぐらいは言わないと、政府の御提案を真こうから反対するだけであるというような趣旨から妥協したのでありまするから、甚だ私どもの本心的には、これは全く当該公安委員会の意思によつて選任がせられまするようにお願いしたい趣旨なんであります。
 それからこの指示権の点でありますが、今御説のように当該公安委員会が困つた問題があつて、隣りの警察長に聞く、国警のほうへ御相談をする。それでもわからんから総理大臣に御相談をするというふうに意見の伺いをたてるというのならばいいのでありますが、法律はそうじやありませんので、改正法律では、総理大臣が国家公安委員会の意見を聞いて、そうして都道府県公安委員会、自治体公安委員会に指示するというのでありまして、特に公安委員会はこの内容としては、どんな指示があるのか、私どもは具体的にどういうことを御指示になるかは未だ知らないのであります。それで緊急を要する事項を指示せられるのか、昔の参謀本部が作戦計画のような全面的なことをなさるのか、一般的な指示になるのか、或いは当該犯罪の検挙に関する指示までいつて、刑事訴訟法の百九十三条あたりと牴触するような指示が出るのか出ないのか、さようなことは一向私どものほうで知りませんので、その指示をただ受けるだけで、指示をなさるときには、私ども自治体公安委員会は何ら事前に御相談がない規定であります。実際はどのようになるか知りませんが、内規で、ただ一片の命令が来るだけであります。さようでありまするから、その指示権を総理大臣が行使せられる場合には、私どもの代表者の意見も聞いて頂いて、そうして実行の可能な現実に即した御意見で当該公安委員会にするというのがいいのじやないか。指示権も私のほうは、実際はごれもないほうが、総理大臣の指示を受けるというようなことよりも、総理大臣が権利として指示をなさるというようなことよりも、当該警察がその治安を維持するためには、現在では自治体側といわず、国警側といわず、各府県では警察長指示によつて協議しております。管区でも自治体警察と協議しておりまするし、全国の自治体警察長も、実際問題について協議しておるのでありますから、現行法の運用で、私はこの六十一条の二のような内閣総理大臣の指示権をお持ちにならなくても、自治体警察側に十分な警備費用を出して頂くほうが、私どもはできると思うのであります。現在のように法律を毎年いじりますと、ついでに申上げますが、自治体警察官が浮くのであります。自治体警察は、一体どないになるのか、こないになるのかということで、自治体警察の職員は浮足になりますので、毎年毎年こう法律をいじつて頂くのはやめて頂いて、今年の二月に法務総裁は、警察法は当分いじらないで、運用でやるのだというお話を承つて、やれやれと私も安心しておつたのでありますが、こういうふうに法律だけをいじられますと、自治体警察、国警の側のかたは私は知りませんが、自治体側の者といたしましては、心理的に非常な動揺がありまして、これこそ私は治安に対する由々しき問題だと、かように考えておる次第であります。或いは言い過ぎかもしれませんが、治安に関する責任の重大性を思うの余り、御質問がありましたので、つい脱線したかもしれませんが、申上げる次第であります。
#33
○岩木哲夫君 私は御意見をお伺いする前に丁度齋藤長官がお見えになつておりますので、齋藤長官にお伺いいたしたいのですが、齋藤長官にお尋ねしたいことは、この職務規定の指示に関する事務の処理、指示に関する事務の内容でありますが、これは維持管理、行政管理、こういう管理のうち、どのようなものを調整するのか、お伺いいたしたいと思います。
#34
○政府委員(斎藤昇君) 指示の内容は、先ず行政管理、いわゆる人事とか、予算とかそういつた行政管理は含まないと解釈をいたしております。それは総理の指示は、都道府県会安委員会及び市町村公安委員会に対してなされるのでありまして、都道府県公安委員会は、行政管理の責任を持つておりません。それと並べて書いてありまするが、市町村の公安委員会に対しましても行政管理のみ。かように考えております。若し行政管理が仮に入るといたしまするならば、(「行政管理をやるのですか」と呼ぶ者あり)行政管理はやりません。運営管理のみやります。行政管理には或いは市の条例でありますとか、それを変更する必要も生じて来る場合があるのであります。行政管理をやる以上は、市の市長或いは市の議会というようなものに対しても、指示ができることにいたしませんと、行政管理ができません。法文の解釈上運営管理、かように考えております。で、運営管理につきましても、犯罪の捜査につきましては、これは捜査内容については、指示はしないという建前でございます。これは公安委員会の犯罪捜査についての指示も、ここの犯罪内容については、指示をしないという建前になつておりまするので、犯罪捜査に関しましては、犯罪の捜査態勢を整えるとか、そういつた事柄でありまして、ここの犯罪の捜査の内容には及ばないと解釈をいたしております。
 なお又刑事訟訴法との関係におきましては、刑事警察と警察との関係は、それは刑事訟訴法で定めるということをはつきり検察庁法にも書いてございます。従いまして警察法は刑事訟訴法に対しましては、一般法でありまするから刑事訟訴法が優先をいたします。検察のなす指示、指揮というものに反した総理の指示はなし得ない、かように解釈をいたしております。
#35
○岩木哲夫君 総理が指示する場合は、刑事訟訴法のほうが優先するので、刑事訟訴法のほうに優先した指示はあり得ない。こういうふうに解釈いたします。
#36
○政府委員(斎藤昇君) さようでございます。
#37
○岩木哲夫君 ところが六十一条の二には、「内閣総理大臣が特に必要ありと認める」ということでありますが、特に必要がある場合にというものは、刑事訟訴法に関連するような治安上の問題以外の政治上の指示でありますか、何の指示でございますか。
#38
○政府委員(斎藤昇君) 主として警備活動、警察の警備活動、その指示に入ると考えております。捜査につきましても、或いは捜査態勢を整えるというような意味合におきまして指示ができる。これは法律上は、なそうととすればなされ得ると。かように解釈いたします。
#39
○岩木哲夫君 国家地方警察は、国家公安委員会の委員会規則において、運営管理上以外の指示を受けて、そつ状況を処理することができないのでございます。ところが国家地方警察法では、又別に総理大臣の刑事上であろうが何であろうが、指示を得るということでありますと、国家公安委員会が国家非常事態には、国家公安委員会規則、四号に、国家地方警察の行政管理に関する事項、この行政管理に関する事項でありますが、その他六号等におきます実施に関する国家公安委員会から指示を受けて国警本部長がそれぞれ指示をする。そうすると国家公安委員会の考え方と、内閣総理大臣の考え方が競合するということはないのでしようか。
#40
○委員長(西郷吉之助君) ちよつとその前に、岩木さんにお答えしておきますが、選挙の間にこれを挟みましたから、政府側に対する意見はあとにいたして、二人の意見を一つ伺いたい。
#41
○政府委員(斎藤昇君) 只今の点は、総理が指示をされまする場合には、国家公安委員会の意見を聞いてということに相成つておりまするが、その間の調整は十分とれると考えております。
#42
○岩木哲夫君 そこで、指示の事務を処理するということでありますが、そういつた新機構の事務の処理はどうでございますか。
#43
○政府委員(斎藤昇君) 指示に関する事務と申しますると、総理が指示をするという場合に、これを伝達するということもございます。それから総理が事務を処理されまするについて、事前にやはり国内の治安関係の報告をいたし、総理の指示の責任を全うするようにいたす仕事と申しまするか。それを含むわけでございます。
#44
○岩木哲夫君 その事務を全うするということには、究極のところ行政管理に関する調整……、ところが、行政管理に特別の権利はないのであるが、行政管理に及ぼす、即ち人事権に及ぼすというと、その意見に、自治庁の自治体の長は、どうも意思を全うしないというようなことが観察される場合はあり得ると、そういつた際にはその事務を全うする場合においては、行政管理に及ぼす態度が調整されるということですか。
#45
○政府委員(斎藤昇君) 指示が十分果されたかどうかということについて、これを確めて見るということも、恐らく指示の事務処理のうちに入るのであろうと考えます。併しそれは只今申しましたように行政管理が、殊に人事権には及ぼさないわけでありまするから、従つてその場合の、人事に関するようなそういう観察もいたすというようなことは、事柄上含まないと考えております。
#46
○岩木哲夫君 事柄上直接含まないが、間接によく現われるということは、事務をこれを全うせんとする指示の強化を図らんとすれば、そうなる。そこで若し自治体警察の長その他がこの指示に服従しない。その指示と、更に地方であなたの国警本部長の指示と、現地における指示とは、事情が違つたために、変つた処置がとられるといつたように、指示に対して、それが実行されない。或いはそれを守らないといつたような場合にはどういう制裁を、どういう処置をとるのか。
#47
○政府委員(斎藤昇君) この場合は、何ら制裁も処置もございません。総理の指示よりも、公安委員会が、更に事情が変つて、現地でこういう指示をしたほうがいいということであれば、それきりでございます。或いは全然従わないという場合も、法律の上では何ら制裁というようなものは、規定をいたしておりません。
#48
○岩木哲夫君 それは建前上、こういうことは言われますが、公安委員会指示の内容、いろいろの問題など、その他において、必らずしもこれがぴつたり来ないという事態が多く見られるという虞れがある。更にこういう指示をするために、どれだけの装備というものが必要であるか。どれだけの経費が必要であるか。例えば食事代なら食事代をやらなければならんという場合に、その経費を処理し得る責任をもつて指示を与えるのか。指示だけやつて、経費というものは、自治体の賄料でそういうものにするのか。指示の内容には経費を負担して指示をするのか。これはどうですか。
#49
○政府委員(斎藤昇君) 一々大した経費のかからないような場合もありましようし、又相当経費を要する場合もありましよう。それらは只今の建前といたしましては、平衡交付金の中に、このことを織りこんで貰う。かように考えておりますが。先ほど神宅公安委員からもお話がありましたように、自治体警察に対して全般的に国の補助ができるような道を開きまして、さような場合に支障のないようにいたしたい。只今自治体警察側でも連絡を取つて大蔵省とも話合中でございます。
#50
○岩木哲夫君 それでは齋藤長官は一応結構です。
 神宅公安委員会連絡協議会副会長に対してお尋ねいたしたいことは、国家公安委員会連合会本部じやなくて、国警の本部長が総理大臣の命を受けて、或いは今お聞きのような指示の事務を取る。こういうことで指示の処理を全うしたい。こういうことであります。
 それから指示の内容は、警備上に関することのみを言われております。私の尋ね方がまずかつたと思うのでありますが、警備上のことのみに限定する場合における指示というものは、若しその法律条文が通過して、本部長から出されるという、これは各自治体警察長に向つて出されるといつた場合に、自治体の公安委員会においては、この中のいろいろ問題について管下の警察を指示する、管理することに、支障が生じ、或いは自治体公安委員会としては、何らか事実上困難な場合もありましようかどうかお尋ねいたします。
#51
○参考人(神宅賀壽惠君) 齋藤国警長官はさような運用だけ、即ち警備だけしかやらないとおつしやるのでありますけれども、私どもは法律ができると、立案者のお考え、議会のお考えも無視されて、法律は法律だけで、次の時代の人は解釈せられるのでありますから、警備上の必要な事項を指示するのだとおつしやるならば、六十一条の二に、はつきりそれだけを御明記をして頂いた法律にして頂きたいと私は先ず思うのであります。それからこの警備上必要な事項の指示ということになりましても、現在の破壊活動をやつておりまする者の装備がどういうふうになるか私ども予測を許しません。五月一日までには火炎びんだとか、竹槍だとか、ラムネ弾だとか、硫酸弾だとか、目つぶしだとかいうものが、先ず見なかつたものが、五月一日の皇居前広場事件以後、そういうものが出ております。現にそれより強力な破壊活動が準備されておるという情報もあり、ダイナマイト製の非常に強力なものが、京都市警の管内では発見されたのであります。かような情勢の下において、警備上必要な指示がありましても、それがどういう指示になるのか、どういう費用ですむのか。私ども今後の破壊活動が単に昔の一揆のような騒動でない、相当根強い或いは革命にまで及ぶのじやないかと世間で言われるようなこの時代でありますが故に、自治体の公安委員会といたしましては、警備だけの御指示でありましても、御指示に副うような措置ができるかできないか、中小自治体のことを思いますと、なお困難でないかと考えますので、甚だなんですが適切なお答えをできないのを遺憾とするのであります。
#52
○岩木哲夫君 田中警視総監にお伺いしたいことは、田中総監の東京首都警察の長官としての場合と、全国自治体警察長連絡協議会、これを通じてのお答えを得たいと思うのですが、この六十二条によれば、国家非常事態宣言によるというが、国家非常事態宣言は、総理大臣が一時的にこれを指示するのであります。一時的であります。ところが破防法というようなものの法律がずつと布かれて行つて、事態が常態化される。或いはそういうことが起るかもわからんというような場合に、早期に監察から……。その六十一条の場合には、もうずつと、のべつなく指示が与えられるような段階に置かれるといつた場合には、六十二条では一時的の国家非常事態宣言であります。六十一条の二によりますと、そうじやない、今申上げたような状態であります。そういたしますと、一方、仮に総理大臣或いは国警長官の指揮下に、自治体警察が入る。ところが自治体は自治体としておのずからその地域に関する治安上いろいろの用件も多いし、限定された僅かな財政で警察を維持して行かなければならん。ところがのべつに六十一条の二が発動しまして、指示事項が氾濫されるというような場合には、経費の問題、その他の問題が、大変なことだと思うのでありますが、そういつた場合に、管内の自治体警察としての活動の分野と国警長官が指示して来る内容との優劣という問題と申しましようか、これを如何に現地において競合し或いは僅かな財政、僅かな人員で処置して行くかということについて、自治体警察はどういうお考えを持つておりますか。この指示というものは、実際問題として実施され、且つこれは齋藤長官のように十分処理する、処理の万全を期し得るようなことができ得ると考えますかどうか。この点をお伺いしたいと思います。
#53
○参考人(田中榮一君) 私もこの指示の内容につきましては、まだ十分に御意見は伺つてないのでありますが、少くとも内閣総理大臣が国家公安委員会の意見を聞いて、都道府県公安委員会又は市町村公安委員会に対して、公安維持上必要な事項に対して指示するという以上は、そう軽々にこの指示権を濫用すべきものではないのでありまして、いやしくもこれを捨てて置いたならば、非常に治安維持上由々しき大問題に発展する。例えば内乱であるとか、騒擾的な問題であるとか、そういつたものが、全体に及ぼす非常に大きな影響があるという事柄についてのみ指示すべきものでありまして、平常の事柄について一々内閣総理大臣が国警を通じて具体的にこの指示すべき性質のものでは恐らくないと私は確信いたしております。従つてこの指示権の行使もそのときの情勢によつて、或いは頻繁に出る場合もあろうかと思いますけれども、大体におきまして私の考えるところによりますれば、そう頻繁に行われない。従つて国家警察におきまして、普道の管内の活動と指示権に基く活動とが双方が競合して、その自治体警察の活動に非常に大きな支障を来たすということは万々なかろうと、私は考えているのであります。併しながら先ほども神宅公安会長からお話がありましたが、立法当時の当事者がこの立法の趣旨を十分に理解されて、これを活用いたしましたならば、何ら弊害はないのでございまするが、併し将来におきまして、こうした立法が万一濫用されるというようなことになりますると、只今仰せのような非常に憂慮すべき事態も発生をいたす虞れがありまするので、六十一条の二につきましては何らかいま少し具体的にこの指示権行使の場合を十分に搾りまして、そうして具体的にこうした場合においてのみこれができると、こういうように明定したほうが一般の国民の誤解を防ぐもとでもありまするし、又一般の自治体警察の側におきましても十分に法の趣旨を理解し、安心してこの法に信頼して、共に国内の治安維持を担当できるものと、かように私は考えるのであります。
#54
○岩木哲夫君 最後に一点神宅公安会長にちよつとお尋ねしますが、これは先ほど、どなたかの委員からもお尋ねあつたと思いますが、今度の警察法がこうして仮に通過した場合については、特に必要がありたる場合であるとか、或いは破防法に関連することであるとか、或いは最近の各地における騒擾等の実態に鑑みまして、警察治安維持費というものは不幸にして相当増大して来るであろうと思うのであります。現在的確にはわかりませんが、国家警察については警察官一人に対して年間三十万円内外に相当するものが国から支給されております。自治体警察については多少その地域々々によつて甲乙はありますが、十万円内外低い。つまり二十万円見当で、それぞれ治安を担当しておるわけであります。現在の実態においても先ほど吉川委員からも御指摘がありましたが、弱小市町村の自治体警察というものは、財政上真綿で首を締められるように順次廃滅の余儀ない事態にあります。ところが先ほど田中総監から御指摘もありましたように、最近の騒擾、いろいろの不祥事態は、自治体警察を中心とする地域に多く行われている。これは国警の組織というものは、弱小町村で田舎町村であるから、田舎町村では割合騒擾が起らぬ。大よそ自治体警察が維持されておるところにいろいろの出来事が多い。それだけ自治体警察は余計に経費を、普通の状態でも困難な上に余計に費用が要る。そこへこうした法律案が出て来ますと、あれやこれや随分自治体警察は国家警察より以上に多くの経費を食う。これは装備その他でも、もとよりでありますが、警備上におきましても、その他におきましても、非常に多く食うことは、これは誰も否むことができないと思う。然るに国が賄つてお
 る費用というものは、逆に自治体警察が少い。自治体が財政上困難な自治財政において、これが賄いきれないところがあつたりして、折角の民主警察というものの前途に危機を孕んで来てお
 るようなわけであります。治安の責任はますます増大して来るとういような
 ことで、自治体警察の今後における運営については非常に難儀なことが多いと思うのでありますが、私はこうしたいろいろの場合に警察法が改正され、いろいろな場合にこうした問題の起るときに話題となる自治体警察は、現在その地方の治安も守つておる、国全体
 に共通する治安も守つておるという観点から、一体警察官一人について何万円というのが、幾ら国の補助……財政を別個に、平衡交付金の措置でなく、特別治安に基く、国家治安に基く警備費及びこれらに関連する装備費等の経費を、警察官一人に幾ら政府に或いは国会に要求したらよいのか。大体の金額、目安というものをこの際お示しを願いたいと思います。これは非常に重要なことだと思いますので、的確な資料をお出しになることももとよりであ
 りますが、大体最近一、二の事例に徴しましても、大よそ見当がついていることだと思いますので、一遍この機会に伺いたい。
#55
○参考人(神宅賀壽惠君) 最近に行われまする暴動は、今まで考えておりました警察の警備と全く違いますので、これに要する費用は、恒久的なものでなしに、およそ一年かそこらの間で団体的な破壊活動をするというようなものが終熄するのじやないかと思いますので、これは毎年の、まあ私どもの見込みも違うかも知れませんが、毎年要する費用というのじやなしに、臨時に要る装備の充実費が主なのであります。勿論時間外勤務等がありますから、職員に対する費用も相当要りますし、大阪のように地方財政の窮乏のために警察吏員を千人も減らしておる関係から言いますると、人件費で千人を殖やすことも必要であります。装備について必要もあるんでありますが、現在の私は国警の関係においても、応援は自治体警察に国警が応援するという建前になつておりますのに、先般中川大阪管区本部長に、この頃のように同時多発の集団犯罪が猛烈に起るときに、大阪警察管区として自治体警察から応援を要請せられたら、何時間の間に何人がいかなる装備を持つて来るかを承つておかないと、大阪管区の自治体公安委員長として心構えがあるからというお話をしましたら、そういう大きなものは国警の現在では人も装備もないのだ、こうおつしやるのであります。そういうような実情、私はそれについて質したかつたのは、先ず人が足らなければ装備でも充実して頂いて、暴動が起りますようなときには、自動車の借上げもなかなかできませんし、
 現に現有の自動車等も不足するのでありますから、そういうものも国警がお持ちになつておりまして、要するに適切な暴動鎮圧の器具を国警のほうで御用意下さつて、自治体側にお貸しを願う。勿論警察官の同時御出動は結構なんですが、警察官が少ければ、資材の面からそういうことをお願いできんかということをお尋ねしたのでありますが、いや、国警のほうも人もない、装備もそうない、大阪市警察に応援に行くというようなことは考えていないというのであります。そのときの大阪市警察は千人も減らしているのですし、人も足らないし、同時多発……、大阪市は警備施設が相当たくさんあるので、困ることが大阪市だけでもあると思う。その他の自治体警察においてもなおあるでしようということを申上げたような実情もございますので、大体の費用がどのくらい要るかということも、なかなかむずかしい問題でありますが、大体大阪市がそういう現在の団体的暴力行為を鎮圧するに、現在の暴力団体が持つている兇器に対応して、
 これを鎭圧するのに必要なものを人件費等を入れて二億数千万円あれば、大阪市は足りるのじやないか、こういうふうな概算を考えているのでありますが、これは正確な数字ではありません
 ので、いずれ目下調査中のものができましたら申上げますけれども、どうかよろしくお願いいたします。
#56
○参考人(田中榮一君) 只今の御質問の中で、必要な調査は、当然これは自治体警察といたしましてなすべきものであつたのでございますが、今まで、できていなかつたことはまことに申訳ないのでありまして、只今神宅委員長
 からお答えいたしましたように、早急に一つ作成いたしましてお手許に提出したいと思います。
 それから自治体警察の現状の財政状態からいたしまして、又只今は非常に危急存亡の時期に立つていると考えて差支えなかろうかと考えております。例えば大阪の警親庁におきましても、市の財政からいたしまして相当定員の削減というようなことも先般問題になつておりますし、又地方におきましても装備を強化することが急務でございまするが、併し財政の関係から、そう簡単に装備が強化できません。先ほど平衡交付金によつてという話もあつたのでありますが、御承知のように平衡交付金というものは、その年に労働争議が、労働争議といいますか、集団暴力行為が頻繁に起るからといつて、平衡交付金をその市町村に増するいうことはできないのでありまして、その市町村の財政状況と睨み合せて、その財政の数字から割出して、その市に平衡交付金を渡すのでありまして、従つて例えば集団暴行事件が頻発する諸市には必ずしも平衡交付金が多いわけではないのであります。むろんそういうところは比較的市の財政がいいためか平衡交付金があまり下りません。むしろ平衡交付金のほうは割合に閑散な市警察のほうへ余計下るというような状況でありまして、それが実は警視庁におきましても、現在の状況からいたしまして、先ず装備を強化することによつてのみ、この二万五千の警察官が五万、十万の警察力に倍加されるという考えからいたしまして、相当な装備強化のために七億数千万円の経費を実は計上いたしまして、政府のほうにいろいろとお願いいたしているのでありますが、併しながらこの七億数千万円の金というものは、そう簡単に捻出ができないのでありまして、場合によつては特別平衡交付金の制度によつて何とか賄いできないだろうか、これはお願いをしておりますが、これもなかなか困難のようであります。
 それから自治体警察には起債を是非お許しを願いたいというので、自治庁のほうにも再三再四毎年運動をいたしておりまするが、御承知のように地方財政法の規定によりまして、自治体警察創設に要する経費は当分の間起債を認めずと、こういう規定の明文上、自治体警察創設に要する経費は、もう創設でない、もうすでに三年四年になつているならば創設ではない、併し当分の間であるから、一年か二年で……四年経つたならば当分ではないというので、殆んど全国的に二千万円か三千万円の真にやむを得ざる起債の枠のみ認められておるのでありまして、従つて起債も認められない。それからそのほか殆んど今国庫からの助成というものは、平衡交付金と、僅か年間二千万円か三千万円の起債で、それによつてのみ国庫からの負担をお願いしておるわけでございます。この際何らかこの自治体警察の装備強化のために、財政的の措置を講じて頂くことは刻下の急務であろうと考えております。すべて警察は国警だけが装備がよくなつても、自治体が装備が悪かつたならば、結局同じでありまして、国警と自治体警察が相互が唇歯輔車の関係にあるのでございますので、双方がやはり装備が或る程度、程度を同じうして、初めてそこに総合的な警察力ができると考えておりますので、何分この点についてもよろしくお願いいたします。
#57
○岡本愛祐君 御両所に二点お伺いいたします。だんだんお話がありましたが、この自公連からの我々に提起された修正条文の四十条に、今の国庫からの補助のことが書いてあります。即ち「自治体警察に要する経費は当該市町村の負担とする。但し国庫は予算の範囲内において破壊活動防止法に規定する犯罪の予防、捜査及び検挙に関する費用を負担することができる」と、こういうふうに直してくれという御注文であります。そこで、この建前は、治安の維持というものは、東京都又は大阪市において、これはどういう事務とお考えになつておるか。つまり東京都又は大阪市という自治体の事務とお考えになつておるか、又は自治体の事務と同時に国家の事務であると、両者相関の事務であるとお考えになつておるか。それから又は国家事務であるが、これを現在の警察法の建前から大阪市又は東京都に委任されたものであるとお考えになつておるか。どういうふうにお考えになつておるか。先ずそれを伺つておきます。
#58
○参考人(神宅賀壽惠君) この四十条というような条文をこしらえましたのは、これは私のほうの実は事務局がこしらえましたので、私どもは要するに全国の連絡協議会としましては、こういう具体的なものはないのでありますが、これは指示権の範囲を仮に破壊活
 動防止法に規定する範囲内ということになれば、そうなるならば、犯罪の予防、捜査、検査に関する経費を負担して頂きたいと、こういう趣旨に、これは事務局案なんでございまして、全自公連の案とはちよつと違うのでございますけれども、さよう御了承願いたいと思います。
 それから、これはその経費の全部又は一部を国庫の負担にして頂きたいという、私どもの全自公連から言いますと、決議の五項に書いてありまするものを、ちよつとそういうふうに直したのでありますが、さようにこれは指示権の行使する態様が、そういうようになればという前提を以てこれはお願いしておるのであります。
 それから勿論自治体の区域内における犯罪は、自治体の区域における治安を自治体が担当する以上は、その犯罪の種類が如何なる犯罪であらうとも、これは自治体の仕事であることは間違いありません。但し同時に国家全体の治安にも重大な影響を持つ、自治体の管内において窃盗をするというようなのは、これは全く自治体だけの治安である。人殺しというのもある。併し人殺しも集団でやるとか風紀に関するもので、これは全国に瀰漫するような場合は、国家的な意味を持ちましよう。併し自治体の仕事として、自治体の治安を守らなければならないということは変りありません。その犯罪の種類如何にかかわらず、自治体でやるべきであります。やるべきでありますが、国家的な犯罪であると同時に、現在のような自治体の財政窮乏の折柄でありますし、この種の犯罪は一時的な犯罪と私ども考えますので、恒久的にこういうような破壊活動防止法の関係で莫大な経費が要るようなことが続くということになつたら、或いは日本の治安全体がどうなるかわからない。非常事態宣言というようなところまで行くようなものになりはしないか。私どもは甚だ僭越な考えでありますけれども、破壊活動防止法が制定された以上は、これはそう長くなしに集団的な破壊活動というものは終熄するものじやないか、かように考えますので、一時的な経費、それを国家のほうで御支弁を願えばいい。併し費用は支弁ができないなら、それじや放つておくのかというと、さようなことはいたしません。大阪市におきましても、市長はもう国庫のお世話にならないでやれるだけはやろうじやないか、やれなくて、どうしても万策尽きるところまで一つ窮乏しておるけれども、大阪市の財政でやろうじやないか、余り国家に、公安委員会から補助々々というようなことを先がけてやらんように、慎重にやつてくれというようなことを言われておるくらいでありまして、自治体理事者は自治体の経費で賄つて行けるだけやりたいのでありますが、賄つて行けない額を見積らなければならないような現下の情勢でありますから、国庫の負担をお願いしたい、こういうような趣旨なのでございます。
#59
○参考人(田中榮一君) 私はこの警察法第四十条の精神から申しますと、少くとも地域関係を持つており、国の仕事であろうが何であろうが、当然その自治体が自治体の経費を以てすべて負担すべきが至当だと考えております。ただ実際問題として、今神宅委員長の申しましたごとくに、国家的性格を持つた警察事務も相当ございますので、ただ実際問題としてその分についての国庫の負担をお願いいたしたい、こういうことを申上げておるのであります。建前から申しますれば、これは完全に全部自治体の経費を以て、たとえ国家の仕事であろうが、自治体個人の仕事であろうが、全部自治体警察が自己の費用を以てやるのが警察法の精神であります。これは実際問題として、それが非常に不可能な点がありますので、現在の平衡交付金とか、そういうものではこれが解決できませんので、何らか特別な財政的の措置を一つお願い申上げたい、かように考えております。
#60
○岡本愛祐君 わかりました。私のお尋ねしているのは、破壊活動防止というような、重大な現在の段階におきまして、東京都を守り、大阪市を守る、その治安維持の警察の仕事というものは、大阪市又は東京都の本来の事務としておやりになりたい、こういうように了承してよろしいのですか。それが国家的に非常に影響のある問題であることは疑いないことであるけれども、飽くまで市で又は都でやつている仕事である、こうお考えになつているのですね。
 もう一つお尋ねいたしますが、大阪の公安委員長が見えておりますからお尋ねを申すのでありますが、過般の吹田、池田事件ですが、あそこにおいて破壊活動が行われたのでありまするが、各自治体警察の連絡が非常によくないことは、私は取調べに参りませんが、新聞の伝えるところによると、自分のところでこういうようなことをやられては困るから、成るべく早く他の自治体に行つてもらうというようなことであるというので、甚だ遺憾だつたということが出ておるのでありますが、今後お話のようにああいう事件がだんだん大きくなつて行くというときに、その各自治体警察の間の連絡というようなものを、どういうふうになさる御用意があるのか、それを伺つておきたい。
#61
○参考人(神宅賀壽惠君) 吹田事件の実情は誤り伝えられておる点もあるのでありますが、私は大阪市の警察としては直接関係がなかつたので、余りこれを正確にと言いますか、露骨に申上げることは、よそ様のことを悪く言われることに聞かれるのも如何かと思いますから、詳細に申上げませんが、あの阪大の北校と言いますか、あそこのグラウンドに集つた、あの関係から言いますと、あの前に相当私のはうは情報を収集しておりまして、それを関係の池田、豊中の警察長、それから国警の大阪隊長等にも連絡をしておつたのであります。それでありますから、あそこに集つて、あそこであれを解散さすことができたのであるならば、又事態は違つたとは思うのでありますが、あそこは池田警察と豊中警察と国家地方警察とが入り乱れておるところなんです。それからそのときに警備本部は、国警の大阪隊の警備部長と、池田の警察署長と、豊中の警察署長が欠勤しておるので、次長等が、豊中警察に本部を設けて、警備の御相談になつておるのであります。そのときに豊中、池田の警察は全部挙げても二百人前後なんですが、国警から相当応援に出られておるのでありますから、そこで相当な措置をとられるならば、できたと思うのですが、それはやらなくて、十二時間過ぎて電車の発車を強要されて、それから二時間余りも駅長は摺つたもんだやつて、勿論この豊中警察における警備本部にも御相談になつたようであります。ところが電車に乗るなら乗せるということであつたらしい。そのときに追い散らさなかつたのでありますが、それが大阪市に向つて来るということで、大阪市に来たらいいんだということに、悪く考えればなるのですが、私どもはそうも考えませんので、大阪市としては、大阪市に入つて来るならば、曾根崎警察が丁度あの京阪神急行電鉄の終点になりますので、そこで警備をする。若し宮原操車場へ行くならば、宮原操車場へ行くように手当をしようということもしておつたのであります。それからそれが服部という停留場で降りまして、一里余りの道を通つて池田の警察の垂水という、豊津垂水というのですが、豊津という交番所の前で、火焔瓶を二、三本投込んでやつておるのであります。それか
 らどこへ行つたか。吹田の道に入らないで、裏のほうをぐるつと廻つて、そうして国警の管下であります味舌町の須佐之男命神社というところへ出ておるのであります。その数と現実に出た数とは違うのでありますが、その一部分精鋭部隊はあの石橋停留所の近くの北校グラウンドから国警の地区を裏廻りしまして、三里余りも夜十二時から歩いて、そうしてそこで合体して、そのときに八割くらいの人が竹槍を持つて相対峙しておつた。ここは近所に家がありません。須佐之男命の参道といいますが、その道路と、その横に学校があるくらいです。ここでおやりになれば、これは大分活動を破壊するといいますか、集団行動があれだけにならずに済んだと思うのです。そこで見送られて、そういう時間の前に大阪市警といたしましては、吹田の警察に行つて応援を要請せられたらどうか、応援要請せられるのなら、私のほうは警備隊、機動隊を出すからと言つていたのですが、丁度夜も明けたし、国警から来てくれるからということで、自治体の警察の小さいところは、国警に対する遠慮があるのですね。大阪市に直接頼むというより、先ず国警へという遠慮があるのだろうと思います。そこでその当時国警から九十名くらい行つておられたらしい。それと合して、それから隣の茨木市の警察からも二十何人出て行つている。国警のほうは、最後には二百人あまり、三百人近くなつたのじやないかと思いますが、そういうふうになつた。その途中で駐留軍のクラークというのですか、代将が火焔瓶ですか、硫酸瓶かなんか投げ込まれたという事件がある。次いで茨木市警から応援に来た人を乗せている自動車が、デモ隊の先に廻ろうとしたときに、途中で火焔瓶を投げられて二十数名が怪我をした。それで大変だというので、警察に駈け込んで来られた。そのときには国警の警備部長と吹田の署長とおられたのです。それから、そういうふうなことで大阪市に正式に応援要請をせられた。先に応援要請しようとしたが、おやめになつた。次いで要請がありまして、大阪からは四十分で参つておりますが、そのときにはぐるぐる廻つて、殆んど汽車に乗ろうとしておつたというところで、汽車に乗るのだから、結局指揮は吹田警察の指揮下に入るのですが、それでいいということで、汽車に乗つているから仕方がないという関係で、大阪市警が参りましたときには、もうああいう状態であつた。それが無賃乗車の大阪止りの汽車でありましたので、大阪市が犯罪の終点になるわけです。大阪駅で無賃で乗つておるものですから、又構内でスクラム組んで、わつしよわつしよと、じぐざくをやつたというので、あの犯罪の終点は大阪駅ということになる。それでその後の捜査は国警と大阪市警が担当してやつておるのであります。それが概略なのであります。そこで、お尋ねの、その後どうしているかということでありますが、あれは警察側のしてやられた失敗であるということを、十分関係者一同認識をいたしまして、国警と自治体警察と協議をして特別隊を拵えて、そうしてああいうときに急速に応援に行ける隊を作りたい。常に緊密な連絡をとりまして、今後は国警に遠慮をするとか、大阪市にどうするとかいうような、そんな他人行儀でなしに、十分に協力をして、大阪府下の治安を守ろうということで、目下準備中であります。相当人員の、そういうものが大阪市内に起らずに、郊外に起れば、どこにでもすぐ出動できるようなものを拵えて行くようになつておりますので、あの失敗に鑑みまして自治体警察も国家警察も非常に協力をして、非常に緊密な態勢を整えておりますので、今後ああいうような大阪にあるようなことは、大阪府下には起らないという確信であります。
#62
○委員長(西郷吉之助君) それでは御両名の意見の開陳に関する質疑はこの程度にいたしまして、前回以来の質疑の、選挙法の懇談会に入ります。
   午後四時四十五分懇談会に移る
   ―――――・―――――
   午後七時四分懇談会を終る
#63
○委員長(西郷吉之助君) これで懇談会を終ります。本日の委員会はこれで散会いたします。
   午後七時五分散会
ソース: 国立国会図書館
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