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1951/02/08 第13回国会 参議院 参議院会議録情報 第013回国会 大蔵委員会 第11号
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1951/02/08 第13回国会 参議院

参議院会議録情報 第013回国会 大蔵委員会 第11号

#1
第013回国会 大蔵委員会 第11号
昭和二十七年二月八日(金曜日)
   午後二時六分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     平沼彌太郎君
   理事
           大矢半次郎君
           伊藤 保平君
           菊川 孝夫君
   委員
           黒田 英雄君
           西川甚五郎君
           小宮山常吉君
           小林 政夫君
           野溝  勝君
           波多野 鼎君
           菊田 七平君
           油井賢太郎君
           森 八三一君
           木村禧八郎君
  政府委員
   大蔵省主計局法
   規課長     佐藤 一郎君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       木村常次郎君
   常任委員会専門
   員       小田 正義君
  法制局側
   参     事
   (第一部第二課
   長)      堀合 道三君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○派遣議員の報告に関する件
○財政法、会計法等の財政関係法律の
 一部を改正する等の法律案(内閣提
 出、衆議院送付)(第十二回国会継
 続)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(平沼彌太郎君) それでは第十一回の大蔵委員会を開会いたします。
 財政法……。
#3
○油井賢太郎君 ちよつとその前に、私昨日の大蔵委員会で提案したのでありますが、調査団の報告ですね、厖大な資料に上つて、一人で恐らく二時間、三時間やつても報告しきれないほどの資料があるはずです。そういうものを一々この委員会で報告しては、これはやりきれないのでありますが、併し各調査団の重要なポイントだけは要約いたしまして、御報告願つたほうがいいと思いますから、改めてこの点をお諮り願いたい。
#4
○委員長(平沼彌太郎君) 只今油井委員より、報告について、昨日の御意見に対しての修正のお話がございましたが、如何でございましようか。
#5
○菊川孝夫君 どうも固いことを言うようでございますが、一事不再理ということもございますし、まあ一応きまつたので、昨日の報告で一つお進め願いたい、こういうふうに思います。
#6
○油井賢太郎君 私昨日申上げたのは、皆さんのほうで或いは誤つてお聞取りになられたような感じもあるのです。私が申上げたのは、そういう厖な資料を一々数字等を挙げて報告することは、これは大変だから、速記録へ記載することを、まあ委員長において判定されて載せたらどうかという点を申上げたのでありまして、要約しました肝心なポイントだけは、やはりこれはこの委員会に御発表あつたほうがいいと思うのです。そういうのであつて、一時不再理とは違うと思いますので、お諮りを願いたいと思います。
#7
○委員長(平沼彌太郎君) 如何ですか。昨日は時間のなかつた関係もあつて、そういう空気になつたのですが、又今日改めて御研究になつたほうがいいと思うておりますが。
#8
○木村禧八郎君 それは御報告されるかたがあつたら報告して頂いて、別に御報告されるかたがなければないで、前に油井さんが発言されたような形で結構じやないですか。報告されるかたがあれば、我々は喜んでこれを拝聴いたしますが。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
#9
○小林政夫君 速記を読めばいいのだから……。
#10
○委員長(平沼彌太郎君) それでは菊川委員よろしうございますか。
#11
○菊川孝夫君 よろしうございます。
#12
○委員長(平沼彌太郎君) それでは御報告なさりたいかたは御随意になさつて頂きたい。
  ―――――――――――――
#13
○委員長(平沼彌太郎君) それでは財政法、会計法等の財政関係法律の一部を改正する等の法律案、これにつきまして今日は修正点について各党の御意見を持寄つて御討議を願うということになつております。どうか修正の案のおありのかたは、御提案、御説明願いたいと思います。
#14
○波多野鼎君 私のほうはまだ意見がきまらないので、修正意見は相当あるようですけれども、まだまとまつておりませんから、今日は申上げる機会を持ちません。菊川君も出ておるんじやないですか。一つ御説明願つたらどうですか。それで意見を闘わして見たら……。
#15
○菊川孝夫君 只今お手許へプリントをいたしまして差上げてあると思いますが、大体私どもの会派で了承を得ました修正案でございまするが、勿論字句の使い方その他においてまだ不備の点も多いと思うのでありますが、要点だけを簡単に御説明申上げたいと存じます。
 政府の原案によりますると、「国は、工事、製造その他の事業で、」とございまして、あらゆる国が行う事業にはどれにでも継続費を設け得るように、旧憲法下における継続費の表現と同じようになつております。併し今回二十七年度の総予算案として政府から提案されました予算案を見ましても、実際に必要な面はやはり国土の開発事業或いは災害復旧事業、こうした土木事業が主である。而も我々過般議員派遣団として現地を調査いたしました際にも、継続費設定の要望は大体こうした長期間に亘る大土木事業に対して設けてもらいたい、こういうふうな要望が強いわけであります。今再軍備云々ということが論議になつておりますが、それは暫らくおくといたしましても、曽つて継続費を設けましたために、継続費を軍部或いは官僚が利用して、初年度においては頭を少し出して来る、そうして次年度からは逐次これは増額をされまして、非常に濫用に陥つたきらいがある、憲法の八十六条、八十五条等、継続費の関連につきましてはいろいろ議論があるといたしましても、これは学者の間にも両論があるわけでありまして、その継続費の必要性ということについては、大体において必要であろう。而も憲法違反と断定するにも余り断定し切れないというふうな面も考えられますので、この際は予算制度の例外である継続費はとにかく設けるといたしましても、今日まで新憲法下において継続費を設けなかつたという理由を我々は考えて見ますると、やつぱり曽つての継続費濫用の弊を改めようという意図が相当動いておつたのじやないか。政府の説明では経済が安定したから設けるのだというふうなお話でございますが、私はまだそれだけの御説明ではどうも納得できない。従いましてこの際成るべく限定した事業にのみこれを設ける。こういうふうにして濫用を防ぐと同時に、又今政府が出しておる予算とも、これを修正をいたしまして大して齟齬はないのでありまして、将来の濫用ということを防ぐ意味と、それから今の政府の考えていることと食い違つてもおらない、こういう点から考えまして「工事、製造その他の事業で、」というのを、「国土開発事業、災害復旧事業その他の公共事業で、」、こういうふうに文章を法制局で書いてくれましたが、この表現についてはちよつと議論があるといたしましても、これは「その他の工事で、」と直してもいいと思うのでありますが、こういうふうに先ず第一点修正いたします。
 次に継続費の年限でございますが、これは只今世界的に経済五カ年計画又は大体五カ年くらいの限度においた総合計画を立てて、そうして事業を起しているというのが通念にもなつておりますので、明治、大正の初め等におきまして十年、十五年というような継続費があつたように聞いておりますし、又事実調べましてもそういう例はあるわけでありますが、従いましてでき得る限りやはり五年以内に押えておくのが今の通念ではないか、かように考えまして、五カ年を超えない限度において支出することができる、こういう一つの制限規定を設けたほうがいい、かように考えるわけであります
 次に第三点といたしまして、継続費の年割額と歳出予算の総額の比率でございますが、臨軍費があつた時代を今持ち出しても時代錯誤でございますけれども、予算の二〇%以上も継続費によつて占められておるというようなことは、本当の国会の審議権ともこれはからみ合つて来るだろう。成るほど大蔵大臣が継続費につきましても一般の予算同様に次年度以降においてもその年割額において自由に修正できるものであるというお話でございましたけれども、それはただ原則でありまして、実際問題といたしましてやはり継続費の観念というものはそんなものではないと思います。一旦国会において議決いたしました以上は、重大なる情勢の変化、例えば平価の切下げを行う、或いは関東大震災のような大事故が起きるとか、さもなければ世界第三次戦争が勃発するというような、本当に我々が議決する際に想像もしておらなかつたような大変動が起きた場合においてのみ修正すべきであつて、先ず原則としては修正しない。というのは、同じ国会において議決したものでございますから、そうやすやすと修正しておつたのでは、これは継続費の意義がなくなるのでありまして、継続費を設けてもらいたいという要望の理由を聞きましたところ、その事業に取りかかつた以上は、国会で年割額がどうなるかというような心配をすることなしに、五カ年なら五カ年、三カ年間なら三カ年間に亘つて継続した事業計画の下において事業を遂行し得る、安心して事業をやつて行けるからそれを設けてもらいたい、それが又国の経費の使用を適正にできるのである、又請負契約にいたしましてもむしろ節約ができるのだ、非常に国の経費を使う面において節約にもなるのだ、経済になるのだ、こういうような理由から継続費の設定を要望しておるのであります。従いまして原則としては、やはり継続費というものは修正しないのだ、これはどうも学説からいつてもそれは正しいのじやないか、国会においてどうなるかわからんというような継続費では私は意義がないと、かように考えるわけであります。従いましてここでは予算の総額と継続費の比率をきめておいて、これの面から濫用を防ぐ、而もこれが何も政府に対するいやがらせ、現在の政府の考え方に対する本当の反対的の立場に立つておるのではないということがはつきりするのは、なぜかと申しますと、今度二十七年度予算にお出しになつたのも、この限度であつたならば、又今後来年度の構想、再来年度の構想に対しましても、決してこれで不便はないのであります。これを不便というふうに考えるということになりますと、将来においてやはり濫用する意図があるというふうに反対解釈もできないことは私はないと思う。今大蔵当局が考えておるようなことと別に、それに対して私は真正面から対決するのではなくて、今素直に政府が説明されたのをそのまま私は文章の上に現わし得たものである、かように考えまして、この修正案を一応皆さんにお示し申上げまして、そうして御賛同を得たい、かように考える次第であります。
 以上誠に簡単でございますが、提案理由を御説明申上げた次第であります。
#16
○木村禧八郎君 ちよつと菊川さんに伺いたいのですが、菊川さんの今までの御説明では、この継続費の問題で一番重要な問題は、年割額について国会が修正権があるかないかという件ですね、これは一番重要な点だと私は思うのですが、政府のほうは説明のほうで、国会は何でもこれは修正できるんだからそういうことは可能なんだという通り一遍な御説明なんです。ところが菊川さんの御意見では、政府に非常に逆に有利になるのであつて、政府のほうではこれはまあ二重議決みたいなことが可能であるというような説明の仕方だつたんです。それが今度菊川さんの御意見では、継続費というものはやはり通説に従つて一旦国会で議決したら、年割についてはやはり国会ではこれは手は触れられないと考えるのが至当じやないかという菊川さんの御意見なんですがね、政府のあの説明を煎じつめて、若しかそれをこの法律案の中にはつきりと書いたとしたならば、これは継続費の意味は本当に失われて来ると思うのですよ。そこで政府がそういう本当に二重議決も認めるという前提でこれを出して来るなら、私はむしろこれをはつきりさして、原則としては継続費がないほうがいいんですから、それを政府が支障がないというなら、ああいう説明で支障がないというなら、ここにもつと明らかにしてもらつて、二重議決を政府が認めているんですから、そういうふうにすればなお更徹底すると思うのです。濫用を防ぐという意味なら、もつと政府の答弁したことを文章に入れたほうが徹底するので……。で、菊川さんの御意見ですと、むしろ普通の通説に従つてこの継続費を一旦議決したならあとは触れられないような形において認めようという御意見にはどうも賛成しがたい。むしろ政府が答弁したことのほうが、これは継続費を非常に窮屈に解しているような答弁です。併しそれは答弁で一応速記録に残つているだけで、それでいいかどうかは実際問題としては又問題になるのです。ですから政府があれだけ責任を以て答弁するならば、はつきりとここに規定すれば……。それで会計年次について二重議決ということを容認したんです。会計も一遍に五カ年のその決算ですか、決算をする、又各年度においても決算をする、そうしたら実質がまあ継続費というものの体を私はなさいと思うのですが、それでいいというなら我々目に角を立てて論議するまでもなく、はつきりとそういうふうに政府が条文に出して来るならば普通の予算とちつとも変らないのです。ただ政府が計画を発表したというにとどまるのであつて、そうしたほうが私はむしろいいんじやないか、それをはつきりさせるということのほうが……。これはどうでしようか。
#17
○菊川孝夫君 勿論それをはつきりしなくても、私は新憲法の解釈について、金森さんがもう証言もされておりまするし、これは予算委員会においても証言されておりますし、又当委員会においても証言されたのですが、この予算の修正、それから政府の提案権との関連において増額或いは減額、いずれも可であると、先ず旧来の憲法解釈を破つた、金森さんが説明をしておつたことが一つ。それから又継続費につきましても、大蔵大臣もああいう答えをいたしておりますし、これから考えましても、新憲法の精神が、先ず立法の精神というものは、私が曽つて大蔵大臣に御質問申上げたように、ドイツ流の明治憲法と、米英流の新憲法との間に、国会の立法権と政府の行政権との比重という面から考えまして、我我の考えでは、国会の立法権が優先するのであるというもう原則が打立てられているんだ。従いましてまあそういうことを表現しなくても当然なし得る。併しながら継続費の通念から、与れから今設けたい、設けてもらいたいという要望等から考えまして、実は国会で今度きまらなければ又どうなるかわからんというような継続費というのだつたら、むしろこれはもう一般の予算と、木村さんがおつしやつたように、これはそういう計画を政府が発表したと同じことでありまして、何ら継続費の意味をなさぬ。やはりこれはうんと濫用を防ぐようにしておいて、そして一旦議決されたものは重大なる情勢の変更がない限りにおきましてはやはり直さぬというのが、私はどう考えても継続費の通念としては正しいのじやないか、まあこれは古い観念かも知れませんが、そういうふうに考えましてこういうふうに出したわけであります。併しこれも別に固執するものではないのでありまして、ただ立法としては、参議院がそういう立法をすることが果して常識上から言つていいかどうかということについて私は非常に自分で疑問を抱きましたものですから、一つの政府に対する戦いとしてならば、国会が政府に対する闘いとしてフランスの国会がやつているようなそういう意味において修正するというのであつたら、一応別でございますけれども、併しどうも参議院の性格から考えて、まあそれはどうか、こういうふうに私は考えましたので、今お手許に差上げましたような案を出したわけでありますが、併しこれは固執しませんので、更に加えまして、そうして修正権の問題をはつきり謳つておく、こういうことも決して反対するものではございません。
#18
○木村禧八郎君 菊川さんの御趣旨はよくわかつておりますが、私、自説を固執するわけではございませんが、そうだつたらやはり私は継続費を否定するわけじやないのですが、やはりこれは本当は単行法でこれを作れば、今菊川さんの言われたような御懸念は全然なくなるのですから、単行法でやれば……。そうして而も一番問題になる予算の年次制というものを貫ける、ところが大蔵大臣は、それは予算の一体性からいつて今の建前からは困難だ、こういうふうに言つているのですが、そうしたら日本の予算制度をそういうふうに変えればいいと思うのですけれども、そこのところが僕もまあ実際のほうはよくわからんものですから自信がないのですが、まあこの程度でも修正されればこれは結構だと思うのです。ですから、一応ここに……もう一つ菊川さんの御意見では、もう国会は修正権があるのだから一調う必要はない、こういうお話なんですけれども、私は何かやはり年割額について修正することを妨げないという何か一項がやはり欲しいような気がするのです。そうすると何か国会の権限をみずから小さくするというふうに言う人もありますけれども、これは日本ばかりではない。ほかの国でもそういうことを規定しているのですから、そういうふうにしたほうがはつきりするのじやないか。これにはまあそういう点を附加えられればなおいいだろうという私どもの希望意見です。
#19
○菊川孝夫君 今の木村さんの御意見結構だと思うのですが、修正をここだけ謳つておくと、そうするとほかのやつの修正を、一々予算の修正を、国会において修正できるということを、ほかの一般予算について何らか表現しないと、継続費だけは修正できるというように反対解釈……継続費だけ謳つてあるというような点に、まあ法律的にどういうふうになるか、私素人でよくわかりませんが、そういう点も考慮いたしたわけでございますが、併しまあそういうことで差支えないというのだつたら、私これをもう一項加えて頂くということについて賛成いたします。
#20
○波多野鼎君 私も大体今の点で木村君の言われた点なんですがね、継続費というものの観念が、旧憲法時代を基礎にしての確立された一つの観念があるわけですね、年割額については触れることができない、こういつた観念がこれは確立している、旧憲法を背景として……。ところが金森氏にしても、大蔵大臣にしても、そんなことは国会が最高の権威者だからいつでも修正できますよ、こういう意見を、そういう通説に真正面に対立する意見を出しているわけなんです。ところで今度継続費というものを仮に認めるとしました場合に、金森氏や大蔵大臣の言うような意見は恐らく少数意見だと思う。恐らく少数意見ですよ。それで我々仮に継続費を認めるなら、我々の立場から言えば、年割額についても国会が発言する資格を留保しておくほうがいいと私は思うのです。それでこれは即ち通説に反することを私は要求したい、こういうことになるわけです。ですから通説に反することをここで大蔵委員会で議決して、そうして継続費の性格というものを新らしく学者が考え直すような機会を作ることが必要ではないかと思うわけなんで、木村君の言われた趣旨に僕は賛成なんですが、そうすれば継続費などを認める意義がないのではないかという御意見があつたのでありますが、これは又違うと思うのです。というのは、継続費総額について一旦国会が議決をしておりますから、その議決をしいたということの政治的な意味というものは非常に大きいと思うので、初めて今年度予算に出て来た項目に対する審議と、すでに曽つて議決した継続費の一部に対する審議というものは重みが違つて来ると思うのですがね。そういう意味でやはり何か年割額についての国会の審議権といつたようなものを認めたほうがいいような気がしますがね。
 それからもう一つ、先ほどの修正案の中に「その他の公共事業で、」というのを、「その他の工事で、」というふうにしてもいいというようなお考えがありましたが、それはどういう意味なんですか。
#21
○菊川孝夫君 国土開発事業とか、災害復旧事業というものをこれを法律に……それから「その他の公共事業」というのを、国土開発事業や、それから災害復旧工事、まあこれを「公共事業で、」というふうに現わさなくても、「その他の工事で、」と言えば、これらの事業が三つ重なりますので、「その他の工事で、」というふうにしたほうが語呂がよくなるのではないかということだけで私申上げたので、これで別に語呂は差支えないというならいいが、これは法制局の法制担当者に構想をお話して文章化してもらつたので、まあこれでまさか問題になるようなことはあるまいと思いますから、原案の通りでよければそれでいいのですが、その点私個人の感覚としては、「工事で、」としたほうがいいのではないか、こういう考えで申しただけでございます。
#22
○波多野鼎君 それからもう一つはつきり聞いておきたい点があるのは、例えば災害復旧事業ということが出ておりますね、この災害復旧事業という言葉だけからいろいろ解釈をいたしますと、例えば佐世保の軍港施設が災害にかかつて壊れている。この軍港施設を復旧するということも災害復旧事業ではないか。これは再軍備に繋がる工事であつて、而も名前は災害復旧工事ということでやられる虞れはないか。そういう点はどんなふうにお考えになつておりますか。
#23
○菊川孝夫君 ここへ災害復旧工事と申上げましたのは、これはやつぱり審議権の問題だと思うのでありますが、今後起るであろう災害を予測したのでありまして、これは佐世保軍港を復活するということになりますると、もう憲法の第九条との問題だと私は思いまして、ここに言う災害復旧というのは勿論今後起る天災或いは日本が戦争の巻添えを食つたりした場合には、災害と言い得るでありましようけれども、今佐世保軍港を復旧する、而もこれを軍港のために復旧するということになりますると、これはもう憲法第九条と正面から対決するものであるというので、これは問題にならん、こういうふうに私は解釈しているわけなんですが。
#24
○波多野鼎君 それは常識的にはそうなんですが、バズーカ砲を持つても軍備じやないということさえも横行するこの世の中ですから、そういう点によほど注意しておかないと、厳格にあなたの言われた意味のものだということをはつきりさせておかないと、バズーカ砲を持つてもピストルと同じだということを言われる虞れがあると思う。先ほどの公共事業と工事というのは法制局でどんな意見ですか。ただ語路の問題ですか、それとも別の意味がありますか。
#25
○法制局参事(堀合道三君) 道路の建設とか或いは港湾の施設を整備するといつたようなことが前の国土開発事業に入るかどうかという点が問題で、やはり公共事業というものを入れておいたほうがいいのじやないかという考えでおります。
#26
○波多野鼎君 いや僕の聞きたいのは、公共事業という言葉を例えば国の工事という工合に変えてもいいという御意見があつたが、その点を聞いているのです、公共事業というのと工事というのと……。
#27
○法制局参事(堀合道三君) 工事と申しますと一般的な意味でございますから、従つて提案者が考えておられるような除外しようとする趣旨のものが入つて来る虞れがありはしないかと……。
#28
○波多野鼎君 工事ということを言えばもつと広くなるというのですか。
#29
○法制局参事(堀合道三君) はあ。
#30
○菊川孝夫君 これは私先ほど工事と言いましたけれども、今の御意見を聞いて見ると、将来これは今考えているような官庁の営繕というようなことも考えておられるようですが、もう各官庁連合の大きなビルデイングの中に皆入れ込んでしまう。やつぱりこれは国土開発と言つてはちよつとどうかと思いますが、公共事業としてやるというふうにしたほうがいい。やつぱり公共事業のほうがいいと思います。先ほどの工事というのを、やつぱりこの表現のほうがはつきりするだろうと思います。
#31
○波多野鼎君 それから一番おしまいのほうですが、一般会計の歳出予算総額の百分の二というのは何か根拠があるのですか。
#32
○菊川孝夫君 これは過去の継続費の実績を大蔵省から、わかつている限りにおいて資料を提出されましたのを見ましても、軍事費、それを全部軍関係を除いてしまいますると、最大のときでもこのぐらいで納まつているのだという一つの例がございます。それから先ず予算の審議に当りまして、一体総額と年割額との比率を考えましたときに、今出されておりまする今年度の予算総額を見ましても、八千五百億、こう出ておりますが、そうすると今年政府が出しておる継続費の年割額、これと比べ合わして将来もやはり設ける以上は必要な事業が起きて来るだろうと、そうするとそれと睨み合した場合にどの程度で抑えるかということが一番問題になつて、これを学問的に、数字的に出せということになると非常にむずかしいと思いますが、過去の実績、それから今後やはりこれで今年度の総予算と継続費の年割額とを比べましたときに、先ず百分の二くらいであつたならばこれは運用し得るであろうと、こういう目測といつてはどうかと思いますが、そういう推定の下に一応出したわけであります。これがあつたならば予算審議の余り弊害になるというようなことはなかろう。百七十億見当くらいだつたら、今年度の予算の八千五百億円のうち百七十億だつたら継続費の年割額が頭を出しても、常識上からしても大した支障はなかろう、最大限。
#33
○波多野鼎君 そのお考えは、年割額についての国会の審議権というものを認める立場での考え方ですか、認めない立場での考え方なんですか。
#34
○菊川孝夫君 私は先ほどからも申上げましたように、原則としては大蔵大臣の言つたのとは反対でありまして、重大なやはり変革のない限りにおいて、地方公共団体において増額するのだ、継続費を認めておきながら、政府が変るたびに、時の政権が変るたびにこれが動いて来るというようなことになつたのでは、継続費の意義がなくなる。やはり重大な変化、これは国の財政を一割縮めなければならんという必要に迫られた場合、或いは特に支出が必要になつて減らすということは別といたしまして、そうでない限りにおいては、やはり或る程度は原則としては旧来の継続費の観念をとつて行きたい。併しこれは特に国会が必要と認めた場合はこの限りでないと、こういう立場をとつて行かなければ、今まで要望されておつた、我々調査して要望されておつたところも、やはり安心して仕事を進めたいと、こういう点から要望しているのでありまして、その方面の要望は全然これでは入れられない。余り大蔵大臣の答弁をそのまま文章通りに解釈してしまいますると、これは継続費が木村さんがさつき言われましたように、これは計画発表だけに過ぎないのでありまして、そうすると、契約の面におきましても全然何年間に亘つての契約をせんと、毎年々々契約をし直すということになると、初年度において請負つた請負業者は、初年度は来年度もやれるからというので、割合に安く請負をやつて、そして実績をとつてしまう。そうすると来年度は競争入札ということは全然不可能になつてしまうのです。殊にもうずつと設備を持つて来ていますから……。そうすると指名契約、随意契約の指名契約というふうにならざるを得ない。請負業者は狡いですから、初年度においてはちよつと損しても、次年度においてすつぱりと元を引くと、こういうことをやり得る弊害がどうしても避けることができないということを言つていることから見ましても、余り修正というものを大きく浮び上らしたということになつては、それは全然意義をなさないというふうに私は考えますので、やはり原則は成るべく修正しない。併し重大な変革のあつた場合には、これは随意に金森さんの憲法解釈と同じような考え方で修正できると、こういうふうな考えで行きたいと思うて考えたわけであります。
#35
○波多野鼎君 くどいようですがね、その点もう少しはつきりしておきたいのは、この百分の二という数字を出されたのは、今菊川さんの言われたように、年度割額については、国会は原則として審議権なしという立場からこれを出されたのですか、その立場と結付いていますか。
#36
○菊川孝夫君 審議権というのではなしに、国会は修正をしないのだと、こういうふうに考えて私は出しているので、審議権はあると、併し修正はしないのだ、こういうふうに考えて出しているので、審議権なしと断定してしまうのではないと、こういうふうにお考え願いたい。
#37
○波多野鼎君 審議すれば修正もあるわけですね。審議がなかつたら修正もできない。審議権と言つたのは増額修正も減額修正も含めてのことなんです。それなのにです、審議権はないのだから増額とか減額の権能は国会にないという考え方と、この百分の二という制限規定を設ける考え方は裏表になつておるかどうか。
#38
○菊川孝夫君 それはどうも私もくどいようですが、審議権なしというのでなして、国会が原則としては一旦議決したやつは、重大なる変革のない限りにはそのまま通して行くんだ、こういうふうに行くと、こういう考え方でございます。
#39
○波多野鼎君 それは政治論なんですが、それはそれとしまして、こういうことはできないですか、国会において年度割額についても審議し、そうして増額も或いは減額もできるという金森さんや大内さん……大内さんは別として大蔵大臣の考え方の、今度発表したあの考え方を委員会の意向として議決してですよ、これは確定してしまう、確定してしまうということであれば、この百分の二という制限は抜いてもいいかどうかということを聞いておるのです。
#40
○菊川孝夫君 それはもう結構だと思います。それは百分の二というやつを抜いても結構だと思いますが、実際又政治論になるか知れませんけれども、予算でも法律案でもでございますが、まだまだ日本の国会がアメリカの国会の政府に対して持つておるような力と言いますか、憲法上においては持つておるといたしましても、実際の面においては相当官僚に引つぱり廻わされておる。如何にどの政党が政権を担当したといたしましても、今の自由党が衆議院の絶対多数を持ちましても、実際面でさあとなつて参りますと、なかなか官僚の長い間培つておる勢力を自由に政党政治として運用するということは極めて私は困難があるのではないか、そういうことからいたしまして、たとえこの大蔵委員会でそれを議決いたしておきましても、百分の二というのはないといたしますると、殖えて参りましても、さあこれは修正するんだ、こういうことがあつても実際問題としては困難に逢着するんじやないか。と申しますのは、与党が幾ら多数を占めておりましても、官僚がそれを政府に持ち込んで来て、政府原案となりました以上は、なかなか政府原案を、きまつたのを与党がこれを修正したりするということは、実際問題としてこれはできません。その原案をこしらえるのはどこかと言いますと官庁であります。官庁のほうでこしらえてしまつた原案というものに対して、政党が、それは表面的には政党の意見が通つたようでありますが、実質はちやんと官庁の首脳部のほうで掘られておるというのが遺憾ながら今の日本では実際と思います。そういう点も考えて百分の二というのを入れたわけでありますが、今後だんだん、いつまでも国会がそういう立場で甘んじておるというのでなしに、将来ますます憲法上規定してある最高機関としての権能を十分発揮するというふうに発表し、成長して行かなければなりませんので、今申されました木村さんの意見ではこれを法案の中に、法律の中に入れてしまうということになつたならば、百分の二というものは削除するというふうな話合いと言いますかには、喜んで応じると、こういう考えを持つておるわけであります。
#41
○波多野鼎君 もう一つ、今の百分の二というものを、過去の軍事費を除けた継続費の趨勢を見ておると、大体百分の二見当でいいというお話でありましたが、私は又こんなふうに思うのですがね、過去の自由主義国家と違つて、今後日本は福祉国家的な形にどんどん成長して行くだろうと思うので、そうなれば或る制限を設けるとすれば、百分の二では足りないのじやないかというような気もしますが、これはまだ研究しておりませんから何とも言えませんが、過去の実績は、自由主義国家時代の過去の実績であつて、今後日本の国が向う方向から言えばこれじや足りないのじやないか、設けるとすればこれじや足りないのじやないか、そういう気がするのですが、そういう点はどんなふうにお考えになりますか。
#42
○菊川孝夫君 私は先ほどのこの国会の審議権という問題とからみ合いまして考えたのでありますが、でき得る限りこの何といいますか、予算制度の変則であるところの継続費というものは少いに越したことはないと思つているので、必要止むを得ない問題だけに限定すべきである、こういうふうな原則をこの修正案の中には貫いておる、こういう考え方の上に立つて一つ立案しておる。将来福祉国家として発展する場合におきましても、今の予算の規模というものは、そう重要な変化がない限りにおいては、大収縮をしたり大膨脹をするというふうには、一応まあこうなつた以上は私は考えないのです。その意味から言つて、今の八千五百億の百七十億という限度で少くとも抑えるべきである、こういう政治論でございます。
#43
○波多野鼎君 わかりました。
#44
○小林政夫君 参考までに申上げますが、緑風会としては菊川委員がいろいろ心配されておる官僚云々という問題は、現在の占領下の事態と独立後の事態とでは大分違つて来る。ところで国会の権威というものもやはり国会で何でもいろいろやれるというふうに行けるのではないか。そこで年割額等について、大蔵大臣や金森博士のような意見であるならば、このパーセンテージまでに制限すること、百分の二というような規定をおかなくてもいいのじやないか、そうして若しおくとするならば、波多野委員と同じように百分の二というようなことでは少いのじやないかということも考えられるし、百分の二で制限する、百分の二というまあパーセンテージによる限度というものはその必要がないという気持なんですがね。
#45
○菊川孝夫君 今の小林君の御意見、私はまあ官僚と言いましたが、これはまあ官僚の弊害ばかりでなしに、政争の弊害というものも我々考えなければならんと思うのです。まあ今占領下であるから政争というものは、それは独立後における政争とは私は違つたものが現われて来ると思うのです。まあ曾つての政友、民政などの当時の争いを振り返つて見ましたときに、この継続、費を一つの政争の具に供した面もあつたのでありまして、河川とか或いは道路の建設をどこでも公約してしまう。そうして総花的に非常にどんどんどんどん殖やして行くと、で、そうなつた場合に、これは果して時の政権を担当した政党がみずからの党利党略のために、余りにこれを殖やして行くということも私はどうかと思うので、こうした原則が打ち立てられて長く守られて行くということになつたならば、イギリスのように、労働党と保守党の間に民主主義のルールというものが十分不文律の中に確立されておりまして、労働党が政権を担当いたしましても、反対党を認めるという立場の上に立ちまして、常にやはり批判を受けて政権を授受しなければならん場合のことも、その政党は考えることが一つの不文律になつているということを言われておりますが、そういうふうに確立された場合であつたら、その心配はないのでありますが、過去の政争の日本の歴史を考え、又民主主義の未だ未成熟な日本においては、やはりこの法律で一つこの限度の枠内だというふうに限定しておく私は必要があるのじやないか。これは公務員法の制定の由来を考えたときに、曽つて官吏の地位を政争の具に供したその弊害をどうしても除かなければならん。アメリカにおいてさえもやはり公務員の地位を政争の具に供したので、それを除去するためにアメリカの公務員制度といのものは設けられた。そうして今ではうまく運用されておる。日本の公務員法、人事院の設置というのも、一つの狙いはそこにあつた。そういうことを慮つてやはり我我の民主主義のルールを確立するために設けておくことが必要である、こういうことを私は思つて提案したのです。まあ官僚というと官僚ばかり悪いようですが、政党も決して過去の実績はよくないのです。その点を反省して頂きたい。
#46
○油井賢太郎君 提案者のほうへ二、三伺いたいのでありまするが、あなたのほうで第一条の最初の修正案の「国土開発事業、災害復旧事業その他の公共事業」、こういうふうに限定されたことと、原案の、国がやるべきつまり「工事、製造その他の事業」と、こういうようなことの内容的においてどういうふうな違いがあるのでありますか。
#47
○菊川孝夫君 先ほどからもちよつと御説明申上げましたように、今政府がこの継続費設定の理由を説明された際も、こういう土木工事、はつきり言いますと公共事業的な土木工事においても請負、それから事業計画遂行のために継続費がないために非常に不便を感じ、又経費の使い方においても不経済な使い方をせざるを得ないので、不正事故も起るような温床を残しておると、こういうことを説明いたしております。こういうことはあなたがたお聞きになつたと思うのであります。従いましてその点が必要であるから継続費を設ける、而も今度出して来た予算案の中にも、先ずその点を除去するような必要がある事業にのみ継続費を設ける、こういうふうに出して来ておるのであります。我々も考えましたときに、そういうふうなものは必要であろう、こういうので、憲法論は別といたしまして、実際問題として必要であろう、併しながら過去におきまして、特に軍部が建艦計画、八・八計画、五個師団増設ということも継続費としてやつた。将来日本の憲法が現存する限りはそういうことはない。併しながら表現がその当時の継続費の表現と同じように、国は、「製造その他の事業」としてあるから何にでも継続費が使える。而も我々の考え方からしますと、どうも再軍備へ再軍備へと進んでおるのじやないか、而もこの製造その他の事業で一体日本が今後五カ年、三カ年というような継続事業をやらなければならんという大きな製造というものが一体あり得るかということも考えるのであります。その必要もないものを「製造その他の事業で、」と何にでも利用できるようにしておく必要はないと私は思う。ですから予算制度の変則であるものは極めて限定された、憲法上にも疑義があるからその必要欠くべからざるものにのみ適用できるように、こういうように制限をしたほうがいいと考えるのであります。製造といいますと、今国会でも盛んに言われておるバズーカ砲を何万丁作るのに、これを継続費で作るということもでき得るわけでありますから、そういうことは必要はないのじやないか。それは年々国会の審議によつてきめる。継続費の必要はない。こういうふうに考える。
#48
○油井賢太郎君 そうしますと、今の場合で予算のほうとの関連になりますが、法律が幾ら限定しておいでも、予算で以て出された場合のことを考えまずというと、あなたがここで修正案をいろいろお作りになつたのもわかるのですが、大体国民の大多数の意思に反したような予算を出せば、これは国民の支持を失うということは明白なんです。そうすると余り限定しなくてもそのときの国の情勢の違い等において国民が判断するのだから、むしろそういつたことは余り限定しないで、工事その他の事業でやつておいて差支えないように思うのですが、この点どうでしようか。
#49
○菊川孝夫君 逆にあなたに質問したいのですが、工事その他の事業というのは一体何を継続費でおやりになるつもりであるか、何が必要であるかということを逆にお尋ねしたい。逆に製造その他の事業でどういう今後国が継続費を設けなければならん必要が起り得るかということも考えなければならない。そんな必要は私たちは絶対起らんだろう。継続費は憲法上にも疑義があるんだから、極めて限定した止むを得ないものにのみ適用するというふうなのが、これがやはり正しいんじやないか、こういうふうに私はまあ考えるのですが、あなたのお説によると、広くしておいたほうがいいとおつしやるが、一体何か具体的に継続費によつてやらなければならないようなものを想像されるかということをこちらからお尋ねしたいくらいでございますが……。
#50
○油井賢太郎君 それは私がそういうことを言つちや……。
#51
○菊川孝夫君 政府に尋ねてもこれには具体的な数字がないわけです。先刻監視船というようなことをちよつと佐藤さんが御説明になりましたけれども、継続費で監視船をこしらえるということは、日本の製造技術から考えまして、監視船くらいはこれはもう一年くらいあれば片付けられる。又繰越明許の規定もございますし、私はそんな必要はない、こういうふうに考えます。
#52
○木村禧八郎君 油井さんに伺いますが、国民の支持を失うような予算を組めば、おのずから国民に批判されるから広く解釈しておいたほうがいいんじやないかというお話ですけれども、併し今の実情を御覧願えば、長い間内閣が解散しないでいるけれども、それだけで国民の支持を得ているかいないかはつきりしないわけです。それでもどんどん予算を組めるのですから、若しかそう解釈すれば何でも法律を広く解釈して行くに限る、こういうふうになつてしまつて、限定的にいわゆる規定するという意味がなくなつてしまう、立法府としての、そうじやないですか。
#53
○油井賢太郎君 どうせ国で、例えば工事、製造と、いろいろ具体的のことを言え言われてもその都度いろいろ情勢に応じて変つた状態が出ましようから、一つ一つ具体的のことを申上げるというわけにも行かぬでしようが、例えば工事なら工事でも国の必要と認める港湾施設をするとか、そういつた場合が出ると思うのです。それは簡単にまあ修正されたこの文句の中に入らないものも相当あると思うのです。そういう場合も考えられるので、窮屈にしなくてもいいのではないかと思うのですが、それはまあ意見の相違ですからその辺にしておきまして、それからもう一つは、数年度に亘つて支出することという、数年度の解釈ですけれども、これ又五カ年を超えないとはつきり謳わなくても、まさか二十年、三十年に亘つてということを数年度と言いくるめることも、これもまあ不可能じやないかと思うのですが、この点はやはり五カ年としなくてはならない、今までにおいてもそういう懸念されるようなことがありましたかな。
#54
○菊川孝夫君 これは先ほども私ちよつと申上げましたように、十年、十五年というやつはあるのですよ。少しずつ出して、例えばあそこの河をやつてずつと総花的に振り充てて十年間、十五年間の継続で、初年度ちよつと出して顔を立てておく、こういう実績はあるわけです。長いのは二十年でありましたかな。そういうふうな話を聞きました、明治の末から大正の初めにかけて。それは単にもう私は言訳だ、本当の事業を遂行するのにはそんな馬鹿な事業というものはやるべきじやない。むしろ必要があるならばやはり五カ年計画でどんどん進めて行くべきである、こういうふうに考えるわけです。
#55
○野溝勝君 どうです。大体もう今まで公聴会もやつておるし、相当まあこの参議院としては審議も尽されたことと思うのです。そこでまあお互い参議院の任務としては、最も法理論を正しく遂行しようという考えを強く持たなければならんと思う。そこで、今の憲法上から見ても、実際割切れておらんのだな、そこで疑義もあるのですから、併し疑義はあつても今までこれをやつている点もあり、或いは了承する点も少しはあるから、これを我々否決するというのじやないのですからね、だから疑義を成るべく小さくして解決して行こうという考えなんですよ。そこでまあここに年度の制限を規定し、或いは継続費に対しましても或る限界を数字的に設けて行こうということが菊川君の修正案の骨子でありますと私は思うのです。ですからもう十分公聴会も尽されて行つたことでありますし、相当参議院といたしましては、今後、東條軍閥当時のように継続費を濫費されても困るのですよ、特に今の内閣はこういうことを言つている、これ以上は増額をする意思はないと言つております。併し増額する意思がなくても、実際防衛分担金が相当今後多くなつて来ると思わなければならん。こうなつて来るといろいろの面において財政法の運用が或る程度規定をしておかんと、又東條軍閥当時のように運用をされても又困る。ですから参議院の任務としては、そのような禍根を先ずこの際に残さないように用意をしておく必要がお互いあるのじやないかと思うのです。そういう意味において提案されたと思いますので、私はこれに対しては賛成をするものであります。まあ討論じやないけれども。
#56
○大矢半次郎君 本案につきましては随分長い間慎重審議をいたしまして、質疑も殆んど尽しておりまして、本日菊川委員から修正案を示されましたが、これにつきましては、いろいろ今伺つて、まあ御意見の分が非常に多くて、これはむしろ討論に移したほうがいいのではなかろうかというふうな感じがいたしましたが、審議を促進する意味において、修正案が今出ておりますので、それをどういうふうに扱うかということに審議の焦点を整理して頂きたい。
#57
○野溝勝君 これは今の大矢さんのお話で同意見です。意見は私は賛成です。ですからね、一応この修正案に対して、出たのですからこの際委員長はそれを一応理事会を開いてもらつて、この取扱に対して、処分方法について至急理事会を開いて下さい。
#58
○波多野鼎君 修正案について、先ほどから御説明もあり、質疑応答もあり、私どものほうの会派でも一つの修正案を考えております。で、この菊川君が出ざれた修正案とどんなふうにマツチできるかというようなことを、質問を通じて多少はまあ納得したわけなんですが、私どもの会派としてはまだきまつておりません、最初に申上げたように。で、そういう点を含んで、今野溝君が言われたように、理事会を開いて扱い方をきめて頂きたい。
#59
○油井賢太郎君 もう一つ、ここで何か修正案、どなたか名前の書いてないのが出て来たのですが、これはどうなんですか。
#60
○野溝勝君 議題にならんじやないか、提案者がおらないじや。(「提案者誰だ」と呼ぶ者あり)
#61
○大矢半次郎君 野溝委員が昨日御出席にならなかつたからして、御趣旨がおわかりになつておらないと思うのですが、最初の政府の提案が、この附則の第一項において「この法律は、昭和二十七年一月一日から施行する。」となつておりますが、すでに一月一日は過ぎておるので、このままにしては適当ではない。従つて修正する必要があるのではなかろうかということを私お尋ねいたしまして、政府においても全くその通りだ、で、皆さんもこの点については御異存がなかつたと思うのでありまして、誠にこれは簡単な技術的の問題でありまして、この今お手許に配つておりまする修正案のその趣旨に基きまして一応作成したのであります。或いは字句の推敲等においてまだ不十分な点があるかも知れませんけれども、要するに趣旨はそういうので、極めて簡単で、そして委員のどなたも別段この点については御異存がないことかと考えております。
#62
○油井賢太郎君 先ほど波多野さんからまだほかにも修正案が出るようなお話があつたのですが、昨日の申合せでは、今日中にできるだけ各会派の修正案があるのなら出してお互いに検討する、こういうことになつたのですね。それは波多野さんは今日お出しになるのだか、或いは日を延ばしてお出しになるのだか、それをはつきりして頂きたい。でないと、我々も会派に帰つて、どの会派からこういう修正案が出たということを相談するのにも都合がありますから、お諮り願いたいです。
#63
○委員長(平沼彌太郎君) それではちよつと申上げますが、昨日の委員会において、今日は大体各会派の修正案なり又修正案がないならないようなお一話を一通り伺おうというような、持ち寄りの研究の会を開いたようなわけなんです。大体菊川委員から第一線に修正案が出ました。それに対して二、三賛成その他の御意見がありましたわけなんですが、(「賛成なんかしてないですよ」「修正案の内容を質問しただけなんだ」と呼ぶ者あり)その他におきましても修正その他の御意見はまだ出ないわけなんでございます。でありまするから、他の会派も、持ち寄りということになつておるのですから、御意見を伺わして頂きたいと思うのですが、如何でしようか。
#64
○波多野鼎君 只今油井委員から僕を指名して言われましたから、釈明的に答弁いたしますが、昨日そういうことが決定されたということを聞きましたので、今日の公報を御覧下さればおわかりになるように、今日の十一時から、議案審査会を開きまして、討論をいたしております。まだ決定に至らん先にこの大蔵委員会が開かれて、参つたわけなんであります。今修正案を出せと言われても私は出し得ない事情にあります。
#65
○野溝勝君 波多野君の御意見御尤もだと思いますが、併しそれは党のことですので、これは院議のこととは違うのだから、一応院議で大体きまつたことを尊重しなければしようがないのですから、波多野君、今日のうちに出すなら出す、会派の意見で以て委員会に出すことにしてもらつて、そうして昨日きめた通り進行してもらわなければしようがないと思う。
#66
○大矢半次郎君 私も野溝委員の御意見に賛成であります。理事会を開いて、審議の今後の運営方法を御相談いたしたら如何かと思います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
#67
○委員長(平沼彌太郎君) そうしますると、他の方面から別に修正案も出ませんので……。
#68
○黒田英雄君 理事会を開かれるなら、その前にちよつと僕は自分の考えを言つて参考にして……。
#69
○委員長(平沼彌太郎君) ちよつと待つて下さい。菊川委員の提案なさつたところの修正案と、もう一つ大矢委員の出されました修正案、これは期日の変更、この二案について理事会を開くことに、研究することにして差支えございませんでしようか。
#70
○油井賢太郎君 理事会を開いてこの二案だけについて態度を決定すると言われても、まだ波多野さんのほうからも出す意思がおありのような口振りですから、それは併せて、ほかの会派からも出るかも知れません。もつとはつきりとした線を出して頂きたいのです。
#71
○大矢半次郎君 今、油井委員が言われた趣旨も含めて一つ理事会でお諮り願いたいと思います。
#72
○委員長(平沼彌太郎君) それでは油井委員の御意見のように、この以外にも修正案が、その他の意見がおありと思いますから、そういうのを統合的にして理事会で決定するということでよろしうございますね。
#73
○菊川孝夫君 それでいいと思うのでございますが、理事に出ておらん会派があるのですね、これは理事会で満場一致、十分に、社会党の第二控室からもオヴザーバーといいますか、各会派から出てもらつて、オヴザーバーでも何んでもいいのですから、議決なんかしないのですから出て頂いて御相談願つてやるというようにしたほうが、理事会できめてしまつて、ぽつと頂いたのでは、又それぞれの会派で言うこともあるので、そういうことに一つ運営をお願いしたい。
#74
○野溝勝君 今菊川君の言つたことは、もつと具体的に掘下げれば、この重大なる法案のことでございますから、これは重大ですから、だから一応院議を以て、今日提案というか、修正案を出してもらいたいということを一応きめたのだから、更にこの重要法案に対する審議は慎重を期する必要がありますから、各会派でもまだ修正意見を出したいという意見も持つておるようでありますから、理事会は二つの修正案のほかにいろいろな修正案に対しても、今後一応期日を又定めて追加を認めて審議しようというようなことも、一応一つ考慮しておいて頂きたいと、こう思つております。
#75
○委員長(平沼彌太郎君) そうしますと、(「各会派は相談して来ればいい」と呼ぶ者あり)他のかたからの修正案が出ますのが余り遅れますと、理事会の開催が非常に遅れるわけですか……。
#76
○大矢半次郎君 委員長速記をちよつととめて、懇談して、全員の意見を聞いたほうがいいじやないですか。
#77
○委員長(平沼彌太郎君) 速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#78
○委員長(平沼彌太郎君) 速記を始めて下さい。
#79
○黒田英雄君 私は、この継続費の問題につきましては、憲法との関係については私は多少自分の意見はありますけれども、継続費はこの場合認めることは適当であるという前提の下に申上げるのですが、継続費は、いろいろ審議の際にまあ政府からも必要を説かれたのですが、それらによつて継続費が必要でありとするならば、継続費を有効に働けるようにしてやらなければいかんと思うのです。それにはここにまあ修正案が菊川さんから出ておりまするが、こういうふうに制限するということは、継続費にしたほうがいいというものもこれからして省かれるという場合があり得ると思うのです。例えば、工場の建築をするというようなものにしても、実際においてはどうしても三年ぐらいかかるものもこれも継続費にはできないというようなこともできるのですから、又今後どういうものが起つて来るとも今予断することができないのでありまするから、継続費を認めるとすれば、継続費を本当に有効にできるようにしておくことが必要である、又それが濫になるならば、これは国会が以前よりはもつとその予算の審議権を完全に持つておるのでありまするから、適当にその間においてその審議をすれば差支えないと思うのであります。殊にこの五年の期限を切るというようなことは、或いは治水のような事業にしましても、河川の治水というようなときにはなかなか三年や五年じやできないというのを、止むを得ず上流だけに切つてやり、又その次には中流、下流というようなことにしなければならんという非常な支障を生じて来るのでありまするし、又五年とするというと、年度割を組む場合において、六年、七年になるものは五年目に無理に多く計上をしてこれを繰返して行くというようなことまでもしなくちやならんという不便を生じて来ると思うのであります。でありまするから、この年限なども継続費の本当の事業の性質によつて、七年のものは七年でも差支えないと思うのであります。十年ならば十年でも私は差支えないと思うのでありますから、そう限定する必要は私はないと思う。それから殊にこの百分の二という制限のごときは、これは全体の予算としてその国家の予算がどういうふうに按配されるかということによつてきまるのですから、これも必ずしも百分の二ということに制限することの必要もないように思うのであります。これは国会が十分に審議して行けばいいというふうに思うのでありまするから、甚だ遺憾でありまするが、菊川さんの案にはどうも私は余り賛成できないのであります。
#80
○木村禧八郎君 ちよつと、黒田さんに伺いたいのですが、今の御意見はまあいろいろ参考になる御意見を伺いましたが、最初黒田さんは継続費については憲法上多少疑いがあるというお話があつたのですが……。
#81
○黒田英雄君 疑いがあると申したのではないのでありまして、憲法との解釈は、これは政府が言つておるのと多少違うかも知らんのですけれども、併し継続費を認めることは違憲でもないというふうに私は……。
#82
○木村禧八郎君 継続費を認めるという、こういう前提ですから……。
#83
○黒田英雄君 認めることはよろしい、よろしいならば、その継続費が本当に有効に働くようにすることが必要である。それは余り手足を縛つては本当に継続費を認めた趣旨が通らぬというふうに考える。
#84
○油井賢太郎君 黒田元老の御発言だから緊張して聞いておるのですけれども、これは修正案の取扱方について懇談会を開いておる途中、一足飛びに討論に入つてしまつてはこれは困るのです。委員長はそういうところを注意して頂きたい。
#85
○委員長(平沼彌太郎君) 速記をとめて下さい。
   午後三時二十五分速記中止
   ―――――・―――――
   午後三時四十二分速記開始
#86
○委員長(平沼彌太郎君) 速記を始めて下さい。それでは各会派の御意見も一通り伺いましたので、明日の午前十時から理事会を開いて、この修正案その他に対して研究したいと思いますが、お願いいたします。なお理事の関係のない第一クラブ、又第二控室の波多野さんは代表として御出席をお願いいたします。それからなお各会派とも全部集つての理事会でありまするから、理事会の決議については御一任願いたいと思つております。よろしゆうございますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#87
○波多野鼎君 その決議というのは修正案に対する賛否の決議ですか。
#88
○委員長(平沼彌太郎君) 明日どういう理事会の進め方になるか知れませんが、又委員会にかけなくちやいかんということでなく、そこで何とかきまりをつけて、向うへ話を進められるようなことにしたいと思います。
#89
○波多野鼎君 手続上の問題ですね。
#90
○委員長(平沼彌太郎君) 手続上の問題です。
 それでは本日の委員会はこれを以て閉じます。
   午後三時四十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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