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1951/02/15 第13回国会 参議院 参議院会議録情報 第013回国会 大蔵委員会 第14号
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1951/02/15 第13回国会 参議院

参議院会議録情報 第013回国会 大蔵委員会 第14号

#1
第013回国会 大蔵委員会 第14号
昭和二十七年二月十五日(金曜日)
   午後三時九分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     平沼彌太郎君
   理事
           大矢半次郎君
           伊藤 保平君
           菊川 孝夫君
   委員
           黒田 英雄君
           西川甚五郎君
           小宮山常吉君
           田村 文吉君
           波多野 鼎君
           菊田 七平君
           森 八三一君
  政府委員
   大蔵政務次官  西村 直己君
   大蔵省主税局長 平田敬一郎君
  事務局側
   常任委員会專門
   員       木村常次郎君
   常任委員会專門
   員       小田 正義君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○所得税法の一部を改正する法律案
 (内閣送付)
○法人税法の一部を改正する法律案
 (内閣送付)
○相続税法の一部を改正する法律案
 (内閣送付)
○砂糖消費税法の一部を改正する法律
 案(内閣送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(平沼彌太郎君) それでは第十四回の大蔵委員会を開催いたします。
 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、相続税法の一部を改正する法律案、砂糖消費税法の一部を改正する法律案、四案とも予備審査でありますが、右の四案について提案理由の説明を願います。
#3
○政府委員(西村直己君) 只今議題となりました所得税法の一部を改正する法律案ほか三法律案についてその提案の理由を説明いたします。
 政府は国民の租税負担の状況に鑑み、負担の軽減と調整を図るため、先に臨時国会におきまして所得税法の臨時特例に関する法律等につき御審議を願つたのでありますが、今回この措置を平年度化するのほか、更に所得税及び相続税について一層負担の軽減を図ると共に、課税の簡素化と資本の蓄積等に資することを目的として、ここに関係法律案を提出いたしましたのであります。
 先ず所得税法の一部を改正する法律案についてその大要を申上げます。所得税におきましては、基礎控除、扶養控除及び税率につきまして、先に特例法によつて実施した軽減措置を平年度化することとしております。即ち、基礎控除額は三万円から五万円に、扶養控除額は一人一万五千円から三人まで一人につき三万円に引上げ、又税率につきましては、最高税率の適用される所得階級を百万円から三百万円に引上げ、これに応じてそれぞれの税率階級区分を緩和することといたしました。これにより所得税の負担は相当の軽減となるのでありまして、特に申告納税の所得岩につきましては、控除及び税率の改正が全年に亘つて適用される結果、昭和二十六年に比し昭和二十七年は更に一層の軽減となるのであります。
 例えば農業所得者の平均所得に近い年十五万円の所得の夫婦子三人の世帶についてみれば、改正前の税額一万二千五百円が改正により五千円となり、七千五百円、即ち約六〇%の軽減となるのでありまして、特例法によつて計算した二十六年分所得の税額に比しても約四六%の軽減となつているのであります。又営業者の平均所得に近い年三十万円の所得の夫婦及び子三人の世帯についてみても、改正前の五万九千円の税額が四万二千五百円となり、二九%軽減され、特例法による二十六年分所得の税額に比しても約一八%の軽減となるのであります。又不具者控除、老年者控除、寡婦控除及び勤労学生控除につきましても、先の特例法と同様に一万五千円の所得控除を年四千円の税額控除に改めることといたしました。なお別に遺家族等の援護対策の一環として、遺家族たる寡婦及び老年者並びに傷痍軍人につきましては、これらの控除を六千円に引上げる等の措置を講ずる予定であります。
 このほか資本蓄積を促進する見地から、生命保険料の控除限度額を二千円から四千円に引上げることといたしました。
 又青色申告書の提出を助長するために、青色申告書を提出する納税義務者については、所得計算上の特例として、事業者がその事業にもつぱら従事する親族に支拂つた給與額を年五万円を限度として事業所得の計算上、必要経費に算入することとしております。
 更に変動所得につきましては、その負担の軽減と課税の簡素化を図るため、先ず退職所得につきましては、その收入金額から十五万円の特別控除をした後の半額に税率を適用して他の所得と分離して課税するという特例法の改正を平年度化することとし、次に山林所得、譲渡所得、一時所得につきましては、その所得金額から十万円を控除して課税することとし、又変動所得の平均課税の適用を受けることのできる範囲及び一年限りの平均課税が認められる範囲を拡張することといたしました。なお相続の場合の譲渡所得課税は、行わないこととしているのであります。
 次に源泉徴收制度につきましては、新たに医師の社会保険に基く診療収入、弁護士及び公認会計士等が法人から受ける報酬並びに制限納税義務者が安排を受ける特許権使用料等に対して源泉徴収を行うこととすると共に、従来の源泉徴收税率二〇%のものを一五%に引下げることと致しました。なお源泉徴收税額が過納となつた場合における原付の手続につきましては、その簡易迅速を図るため特別の措置を講ずる予定であります。
 又租税協定の締結とも関連して制限納税義務者に対する課税所得の範囲を拡張いたしました。このほか基礎控除及び扶養控除によつて納税義務のなくなる者については、申告を要しないこととする等簡素化と合理化とを図ることといたしたのであります。
 次に法人税法の一部を改正する法律案について申上げます。法人税につきましては、先に、法人收益の状況等を考慮して、税率の引上げを行う一方、価格変動準備金及び退職給與引当金の損金算入並びに法人税の徴收猶予等の制度を設けたのでありますが、今回は更に、法人が他の法人から受ける利子又は配当について源泉徴收された税額を法人税額から控除しきれないときは、これを還付することとすると共に、法人税の半額について三月間徴收猶予する場合の利子税を日歩四銭から二銭に引下げることとする等その合理化を図ることといたしました。
 次に相続税法の一部を改正する法律案について申上げます。相続税につきましてもその負担の軽減合理化を図ると共に、申告納付の期限を延長する等の改正を行うことといたしました。即ち先ず、基礎控除額は十五万円から三十万円に引上げ、税率につきましては、現在二十万円以下の金額に対する二五%から最高五千万円を超える金額に対する九〇%となつているのを二十万円以下の金額に対する二〇%から最高一億円を超える金額に対する七〇%までの税率に引下げることといたしているのであります。これにより相続税の負担は著しく軽減されるのでありまして、配偶者及び子供三人で相続する場合におきましては、被相続人の遺産が百五十万円の場合には、現在十二万八千円の税額となつておりますが、改正案によれば殆んど課税せられないこととなり、又遺産が三百万円程度で、これを配偶者及び子供三人が相続する場合についてみれば、現在の税額四十九万円が二十四万円となり、約四八%減されることとなるのであります。
 次に未成年者控除につきましては、未成年者が十八歳に達するまでの各一年につき現在一万円となつているのを二万円に引上げることといたしました。更に相続人の死亡により保険金を受け取る場合の控除限度額は、これを十万円から二十万円に引上げ、また、被相続人の死亡により受け取る退職金につきましても、新たに二十万円を控除することといたしましたのであります。
 なお、相続財産のうちに不動産、立木等換価の困難な財産が半額以上あるときは、その延納期間を現在の五年から十年に延長することとしたほか、延納の場合の利子税を四銭から二銭に引き下げる等延納制度の合理化を図ることといたしたのであります。
 最後に、砂糖消費税法の一部を改正する法律案について申上げます。砂糖につきましては、その小売価格に対する税負担の状況並びに、その配給及び価格の統制が本年四月以降廃止されること等にかんがみまして、別に関税におきまして粗糖の税率を一〇%から二〇%に、精製糖の税率を二〇%から三五%にそれぞれ引上げることといたしておりますが、砂糖消費税におきましては、白砂糖及び氷砂糖等に対する税率をおおむね七割方引上げることといたしました。なお、黒砂糖及び糖蜜等につきましては、その税率を現行のまま据え置くことといたしているのであります。
 以上、四法律案につきまして、その提出の理由と内容の概略を申上げた次第でありますが、右に申上げた措置によりまして、所得税において約千六億円、相続税において約十二億円の減収となります半面、砂糖に対する関税において約二十三億円、砂糖消費税において約四十八億円の増収が見込まれるのであります。なお、法人税におきましては、さきに実施いたしました税率の引上げ等による増減牧の結果差し引き約百九十一億円の増収となるのであります。以上を通算いたしまして、税制改正の結果、二十七年度におきましては、約七百五十八億円の減税と相成るのであります。
 何とぞ御審議の上、速かに賛成せられるよう切望する次第であります。
#4
○委員長(平沼彌太郎君) 次に右四案につき内容説明を聽取いたします。
#5
○政府委員(平田敬一郎君) 税制の改正案につきまして、若干私から敷衍いたしまして御説明申上げたいと思います。
 お手許に税制改正案細目という書類をお配りいたしてあるのでありまするが、要綱のほうは大体今政務次官から御説明ございましたところで盡くされておりますので、細目という書類に基きまして、若干敷衍して御説明申上げたいと思います。
 先ず最初に方針につきまして若干敷衍して申上げて見たいと思いますが、今回の改正に当りましては先ず減税問題と申しますか、減税、増税といつたような問題につきましては、大体基本的には次のように考えているのでございます。即ち所得税と相続税につきましては、この際できる限り減税を図る、但し所得税につきましては、前回臨時特例として出しましたものを、今回前年度分に従つて執行することによつて減税する、そういう考えであります。相続税につきましては今回新たにでき得る限りの減税を図り、それから法人税につきましては、先般若干増税いたしましたが、これをそのままやはり維持する。間接税につきましては、今までは若干減税して参りましたが、今回は減税は行わない。で砂糖消費税につきまして統制の撤廃等と関連しまして若干引上げる、こういう大体基本的な考え方でございます。
 従いまして、なお一部間接税等につきましても減税の要望等がございましたが、最近の財政状況等に顧みまして、このほうは差控えたほうが妥当ではないかという考えがありますので、酒税、物品税等の改正は行わないという考え方でございます。
 それから税の制度に対する考え方といたしましては、二十五年度に基本的な国税、地方税を通じまして改正を行なつた次第でございますが、この点につきまして楽的にいろいろ問題にすべき点がございますけれども、今回といたしましては、この税制の根幹を大きく変えるような改正は暫く見合せまして、もう少し愼重に検討した上で結論を下したらどうかという考えで、ございまして、この際実施の状況に鑑みまして、実情に即しないと考えられる点につきましてでき得る限りの改正を行おうと、こういう考え方で臨んだのでございます。従いまして富裕税をやめるかやめないかという問題、それから譲渡所得税を全部全廃したらどうかという議論がございましたが、そういう問題、それから申告所得税につきましても、これまでの制度の根本にいろいろ改正を加えたらどうかという意見がございましたが、こういう問題につきましては、この際は提案を見合せまして、なお将来の研究に委ねることにいたしたのでございます。そうしまして、できる限りこの際実情に合うように案の蓄積なり、いろいろの簡素化という趣旨で、必要な事項を改正して行こうというのが今回の改正に関する基本的な考え方でございます。
 以下ごの内容につきまして若干敷衍して申上げたいと思いますが、先ず所得税につきましては細目について申上げますが、第一に制限納税義務者の課税の範囲を従来と比べまして若干拡張して行こう。で従来も大体日本で支拂われる場合におきましては、この種の所得に対しても課税する場合が多かつたのでございますが、單に支拂うということではなくて、所得の発生が果して日本において発生したかどうかという点に主たる重点を置きまして、課税範囲をきめることにしたらどうかという考え方で、従来の建前を若干変更いたしております。即ち国債、地方債、それから社債等は日本の国債、日本の地方債でありますれば支沸地の如何を問わず課税しよう。それから社債等の場合も同様にいたしたい。それから預金の利子等につきましても、日本の銀行の支店に預金した場合におきましては、その預金者が外国に住んでいる場合といえどもその利子に対して課税しよう、それから配当につきましては、日本に本店又は主たる事務所を有する法人の配当は全部課税することにしよう。なおその他この自由職業の所得でありますと、その勤務又は役務が日本において行われたかどうかによつてきめよう、で特許権の使用料等につきましても、外国の会社へ日本の会社の特許権の使用料を拂います場合においてはこの際課税しよう。その特許権の使用料は日本において発生した事業の所得の中から拂われる、こういう考え方でそのような改正を行おうという趣旨であります。この点は大体最近の各国の立法令がおおむねやはりこのようになつておりまして、近くアメリカとの間に二重課税の防止に関する條約を結ぶことを目下進めておりますが、その際の基本的な前提といたしまして、このような処置を講ずることにいたしたいと考えておるのであります。而して大部分の場合は源泉で二%の税率で課税する、若干例外としまして、申告で納めてもらう場合がございますので、二%程度は日本において発生した所得でありますれば、所得者の住居が日本にない場合といえども課税するという行き方がいいのではないかということで改正を加えることにいたしておるのであります。それが第一点であります。
 その次はこの相続等の場合の譲渡所得税の課税の問題でございますが、昭和二十五年度の改正で相続が開始しました場合におきましては、先ずそのときの時価で評価しまして、譲渡したものと見なしまして譲渡所得税を課税し、その残りにその相続税を課税することにいたしたのであります。これは私ども理論的には確かにこれも一つの方法だと思いますが、どうもやはり所得税と相続税と同時にかかつて参りまして、実際におきまして納税を困難ならしめる点がございますので、その際に課税するということは見合せまして、あとで現実に相続人がその財産を処分したときに譲渡所得を課税することにしたらどうか。ただ今まででございますと、一ぺん評価しまして課税しますので、相続人のその財産の取得価格は相続税の評価額ということになるわけでありますが、今後は、旧の所有者が取得した値段を相続人が取得したものと見てあとで課税する、こういう方式に切替えよう、これはずつと昔からやつて来た方式でございまして、前の方式に戻ろうという考えでございます。で、相続人への遺贈によりまして讓渡した場合に、相続人に譲渡した場合はそのようにいたそう。普通の贈與の場合はこの際課税しないほうがよかろうという建前でございます。
 それからその次は非課税所得につきまして、若干検討の結果を得まして、公職選挙の候補者の選挙運動に関連しまして、法人から寄附を受けるような場合におきましては、これは選挙法に基きまして、届出でる場合におきましては、税を課さないことにいたし、今までは個人の場合も同様な規定がございまして、相続税、つまり贈與税を課税しないという規定を設けていたのでございますが、法人につきましても同様なことをやつたほうがよろしかろうというつもりでこの規定を追加いたすことにした次第でございます。
 無制限納税義務者と申しますと、外国に勤務するものが外国で特別の勤務地手当等をもらう、こういう場合におきまして、日本に住所がありますと、本当はその部分も総合して課税するわけでございますが、これはどうも実際に即しない点がございますので、そういう部分は非課税にしよう、同時に官公吏の場合におきましては、住所は原則としまして日本にあるものと見まして、日本の税法で課税しよう、でこれは二重課税で相互にそのような協定を結ぶ考えでございますが、その際におきまして、外国で勤務するための特別の加俸そのものにつきましては、非課税にしたほうがいいのじやないかというつもりで非課税に入れようという趣旨でございます。
 それからその次は扶養控除の引上げでございますが、これは前回臨時特例でございましたのを平年度化する改正でございまして、変更はございません。前回の特例をそのまま基本法に織り込むことにいたしましてやつた規定でございます。
 課税標準の計算につきまして若干改正を加えておるのでございますが、退職金につきましては、前回臨時特例でやりましたのと同じ趣旨で基本法に織込むことにいたしております。即ち先ず収入金額から十五万円を控除しまして、残りの金額の半額を課税所得としまして、ほかの所得と分離して、税率を適用して税額を出すという方法によることといたしておるのであります、これは前回と同じであります。山林所得、譲渡所得、一時所得、これらの所得につきまして、新たな課税の方法等につきまして問題になりますことは今申上げた通りでございますが、今回新たに従来の特別控除を行うことにしたらどうかということであります。で十万円の特別控除を行いますと、この種の零細な取引の場合に一々小所得の問題を考える必要がなくなつて、株式の譲渡所得につきましても全廃の議論も大分ございますが、全廃するということになりますと、最初に申上げましたように、税制の全体にも相当影響がございますので、この問題はなお将来研究するということにいたしまして、差当り十万円の特別控除を行う。十万円の控除を行いますれば、普通の一般の投資家の株の売買の場合におきましても、大体讓渡所得の問題は大して問題にする必要はなかろうということに相成るかと思います。仮に売値の三割ぐらいは利益があると仮定いたしますると、取引金額で三十万円前後株を売買しましても、大体讓渡所得税の問題はなくなる。それで、損する場合もございますので、三十万円と申しますと、最近の時価から行きますと、三千株かそこいらになるかと思いますが、三、四千株を一年株の売買をする程度でございますれば、先ず通常の場合譲渡所得税の問題がなくて済む。そうしますと、よほど一般の投資家に対しましていい影響を與えるのじやないか。ただ非常に大きな株で儲けたような場合におきましては、本全部非課税にするということはこれはやはり勤労所得税の負担の権衡等から考えまして、税制の根本に触れる問題でございますので、そういう問題は、将来に研究を見送りまして、差当りこういう改正を行うという趣旨でございます。
 山林所得につきましても十万円の控除をいたしまするので、山林所得に対する課税もよほど緩和されることに相成るかと存じます。
 それから次は青色申告者につきましての特例を新たに追加しようというのでございましてこれは従来事業所得の家族専従者の場合におきましては、
 一万五千円の扶養家族の控除と同額の控除を認めていたので、ございまして、給料を仮に拂いましても、それを費用として差引くことを認めていなかつたのでございますが、青色申告者の場合には一面に比較的はつきりなりまするし、又給與等につきましても、記録がしつかり出て参りますことにもなりますので、青色申告者の場合に限りまして、妻と未成年の子供以外の専従者、つまり通常ならばほかの事業等に勤めるような人、そういう人が自分の家にいて一緒に働くというような場合におきましては、その人に対しまして給料の支拂をする場合に、それを経費として控除することを認めます。ただ実際問題としまして、なかなか日本の現状でそういう場合におきまして、合理的な基準のきめ方はむずかしいので、やはり一応年額五万円を限度とするごとにいたしております。五万円にいたしますと、給與を五万円以内において支拂いましても、給與所得に対する給與控除が五万円ということになりますので、大体所得税もかからないということに相成るわけでございますから、これによりまして青色申告者の負担がよほど合理的に軽減される、と考える次第でございます。
 それからその次は基礎控除は三万円から五万円に引上げる、これは前回の改正と同様でございます。それから扶養控除も同様でございます。
 それから生命保険につきましては、新たに二十六年から二千円の控除を認めたのでありますが、これを四千円に引上げよう。四千円にいたしますと、大体十万円くらいの保険がその所得から控除できるかと存じます。これは今回の新らしい措置でございます。
 それからその次は不具者、老年者、寡婦等の不具者控除、老年者控除、寡婦控除、勤労学生控除、こういう控除は二十六年から設けたわけでございますが、この点も従来の一万五千円の控除除を廃して四千円の税額控除と相成る、これは前回申上げたと同様でございます。ただ、まだ法律案として提案いたしておりませんが、例の遺家族に該当しまする人の場合におきましては、四千円を六千円に引上げる予定でございます。これは遺家族の援護に関する法律案と同時にその附則で所得税の改正を行うようにいたしまして、進めて参りたいと考えておる次第でございます。
 それから次は税率につきましては、先ほど政務次官の提案理由にあつた通りでございます。ここで所得税の平年度化ということにつきましてちよつと敷衍して申上げてみたいと思います。所得税はそれぞれ基礎控除を三万円から五万円に引上げるわけでありますが、二十六年度分を通算しますと三万八千円になるのでございます。八月から実施するという前提で三万八千円になつておるわけでございます。従いまして勤労所得のように毎月納める税金の場合は、すでに五万円、扶養控除ならば三人まで二万円ということで税額には出ておりますので、このほうは新しく減税するということにはなりません。併し申告所得税のように一年の税金を通算して納めるような場合におきましては、今回の平年度化によりまして二十七年は更に二十六年に比べまして一層の控除の引上げ及び税率の軽減になるのでございます。つまり基礎控除でございますが、今申告して頂いております二十六年分は三万八千円の控除でありまして、来年の二月に申告してもらいます場合はそれが五万円に引上げになるのでございます。扶養控除税率につきましても同様な結果になります。従いましてこのほうは実際的にも今回の平年度化によりまして、更に一層の減税になるのでございます。給與所得の場合も年通算しますと全く同様な結果になるのでございまして、昨年の年末調整の税額は三万八千円の基礎控除で計算いたしておるのでございます。従いまして年末調整の際の免税額を比較して見ますと、二十六年に比べまして二十七年はやはり申告所得税の場合と同じような減税に相成るのでございます。そういう関係に相成りますことをよく諸々方々で聞かれますので、重ねて追加して御説明申上げたいと思いますが、それに関係いたしまして、二十六年度分のほうの税額と二十七年度分の税額を事業所得の場合につきまして計算したのを印刷しました要綱のほうに附加えてありますので、それによつて御覧願いたいと思います。
 それから次は変動所得の平均課税の問題でございますが、これは一つは負担を軽くするのと他方におきましては成るべく簡易化しようという意味で改正を加えることにいたしております。即ち従来は変動所得がほかの所得に対して総所得の中で二五%以上の場合に限つて平均課税を認めていたのでありますが、今回はその限度を少し下げまして二割以上の場合は認めることにいたしたい。それから一年限り平均課税を認める範囲を拡張いたしまして、従来は二十万円まで一年限りでありましたが、今回は五十万円まで一年限りで済ますことにしたい。但しこの漁獲所得とか原稿料の所得とか、そういう所得が主たる所得者である場合におきましては、やはり五十万円以下の場合といえども五ヵ年通算いたしませんと、ほかの人と著しく負担の不均衡を来たしますので、漁獲の所得、原稿料の所得が総所得の半分以上の場合は、これは五十万円以下の場合でもやはり五ヵ年平均課税を行うことにいたしております。そういう方法にいたしたのでありますが、普通一般の場合の山林、讓渡、一時所得、或いは比較的少い原稿料の所得の場合は大体一年度限り五分にして課税所得に入れてもらいまして、それに対する負担率を五飛しまして納めてもらえば、あとで五ヵ年間尻を引いて計算しなくてもいいということに相成りまして、それに基きまして相当負担の緩和とそれから課税の簡素化ができるかと考えておる次第でございます。
 それから簡易税額表の手続を受けるその範囲を従来は四十四万円にいたしておりましたが、今回は六十五万円まで拡張いたしております。これは簡易税額表で簡単に済まそうという趣旨でございます。
 それから申告をする必要がある限度額につきまして、先ず一つは先ほど説明にもありましたように、基礎控除に更に扶養控除をすれば当然失格になる、こういう場合におきましても、従来は扶養控除の申請がなければ失格を認めないということになつていたのでありますが、当然失格するような場合におきましては申請がなくても控除しよう、それによりまして一々低い所得者が申告の煩を避けますと同時に、役所におきましても簡素化を図ろうという趣旨であります。これはたしか臨時特例法で今年分につきまして、二十六年分につきましてやりました措置を来年度に恒久化しようという程度でございます。それから給與所得だけでありまして、ほかに所得が少い場合は、現在一万円以下の場合は申告を要しないことにいたしておりましたが、これを三万円以下、ほかの所得が三万円以下の場合でありますれば給與所得の源泉課税だけで済ませまして、申告を要しないことにいたしたい。但し各方面から源泉課税給與の支拂を受けます場合におきましてはもう少し條件を軽くいたしまして、今まで十五万円以下であつてほかの所得が一万円未満の場合に要らなかつたのを、今回は二十万円以下で三万円未満の場合は要しないことに変えようという趣旨であります。それから事前承認、前年度実績で課税しなくてもいい範囲を若干追加し、又退職所得につきましては源泉で課税しますので予定申告等の必要がないというような改正も加えようという趣旨であります。
 それから確定申告につきましても先ほど申上げましたように、予定申告につきまして申上げましたと同じようなできる限りの簡素化を図ろう、退職所得につきましても大部分源泉で済みますので、申告を要しないことになるのでありますが、ただ一カ年にあちこちから退職所得をもらう場合におきましては、やはり確定申告の必要があるわけでございまして、その必要なる限度額をそれぞれの収入金額の合計額が三百万円を超える場合、それから最初に受けた退職所得の収入金額が七十五万円を超え、且つ退職所得の收入金額の合計額が百二十万円を超える、こういう場合に限りまして退職所得の所得者に確定申告で不足分を納めてもらう。勿論納め過ぎのような人の場合におきましては、これ以下でも申告をしまして税金を返すということができるのでございますが、これ以上の場合におきましては確定申告で納め足りなかつたものを合せて納めてもらうことになつております。
 それから源泉課税につきましては、税率を若干調整いたしまして、原稿料等の税率は二〇%を一五%に引下げることにいたします。これは専門の文士等の場合におきまして、二〇%では所得税も大分軽減になりましたので、返す場合が多くなりましたから若干引下げようという趣旨であります。それから弁護士、公認会計士、税理士等が法人から受ける報酬並びに医師の社会保険診療から受ける報酬に対しまして一〇%で源泉課税を行う。それから証券投資信託に属する株式の配当に対しては源泉課税をしない。これは暫定法としまして前回このような改正をいたして頂いたのでありますが、これを恒久化しよう。それから退職所得につきましては、さつき申上げました通りでございます。それから制限納税義務者が受ける事業所得等につきましては、支拂地というよりも、日本で生じた場合におきましてはすべて日本で課税しようという点は先ほど御説明申上げた通りであります。
 それから審査の手続につきまして若干この際合理化を加えようという点がございます。それは現在は審査の請求はすべて税務署長を経由してでなければ審査請求書を出せないことにいたしてあるのでございますが、どうも税務署で再調査しました場合に書類を留め置くという非難があります。これはやはり直接国税局長に審査の請求ができる、税務署長を経由しなくても審査の請求が出せるということに変えるようにいたしたのでございます。それから再調査を請求いたしましてから三月を経た後なお決定がない場合は、別段納税者が申出れば別ですが、そうでない場合は原則としまして審査の請求が五つたとみて審査に移そう。これも納税者の便宜になると解釈してそういうふうにしようというのでございます。
 それから予定申告の場合の利子税額を若干徴収しない範囲を拡張する。それから今確定申告は五十万円以上公示いたしておりましたが、この公示の全額を百万円に引上げる。それから財産負債の明細表を現在は七十万円、所得七十万円以上から提出を要することいたしておりましたが、これを百万円以上の場合に要するように改めることにいたしております。
 以上が大体所得税の改正に関する点でございまして、基本的な部分は今の説明でもわかりますように、大体前国会におきまして臨時特例として御審議を願いましたことが大部分でありまして、その他の部分はいずれも細目につきまして一層の合理化を図ろうというのが大部分でございますことを御承知おき願いたいと思います。
 それから法人税につきましてはこれも前回の改正で大分盡くされたわけでございまして、今回は極く微細な改正にとどめているのであります。
 一に書いてあるのは極く細目の問題でありまして、法人の欠損金がありました結果繰戻控除をするという場合に、申告書を出しましてから現在は五カ月たつてなお返さない場合に加算金を食つ付けて返すということにいたしておりますが、これも少し迅速を図るために三月をたちましてから加算金を食つ付けるということにいたしております。これは納税者の有利にしたのであります。
 それから配当につきまして、源泉課税を行うことに前回からなつたのでありますが、配当と利子で取つた税額が納め過ぎになつた場合、これにつきましては返す措置を新らしく追加しようという趣旨であります。
 それから、その次は利子税につきまして、例の三月間半額の徴收猶予という制度を前回設けたのでありますが、四銭の利子税はどうも少し高きに過ぎるというきらいがありましたので、この場合に二銭に引下げるということにいたしております。
 あとは申告書の公示限度額の引上げ、審査の請求手続等はいずれも所得税に準じましてそれぞれ改正を加えることにいたしております。
 次は相続税でございますが、相続税につきましてはこの際基礎控除の引上げと、それから税率の引下げによりまして相当大幅な軽減を行いたい。基礎控除は十五万円を三十万円までに引上げる。これは相続人の一人ごとにそれぞれ三十万円でございますので、相続人が四人おりますと百二十万円までかからなくなると、こういうことに相成るかと存じますが、相当これによりまして比較的少額の財産家の場合におきましては負担の緩和になると認められます。
 それから税率につきましても、最低二五%を二〇%に引下げ、最高は五千万円超、九〇%を一億超、七〇%と引下げることにいたしたわけであります。
 非課税範囲につきましても、生命保険金は従来十万円の控除を二十万円控除にし、又退職金につきましても、被相続人が死亡したことによりまして、保険金を相続人が受取つた場合におきましては、二十万円まで非課税にする。
 それから公職の候補者が選挙運動に関しまして取得したものにつきましては、金銭は免税にいたしておりますが、その他の財産上の利益も同様にする。
 それから未成年者の控除は先ほど説明がありました通り。それから申告書の提出期限の四月を六月に延ばしたことも先ほど説明がありました通りであります。
 それから延納期間につきましても現在の五年を十年に延ばす、但し不動産、立木など換価困難な財産の場合に限るのであります。同族会社の株等もこの換価困難の財産のうちに入れまして十年に延ばす考えであります。それから延納期間中の利子は四銭でありましたのをこれを二銭に引下げる。それから物納がありました場合の利子税は、一定の物納があつたまでの利子税は課税しない。その他若干所得税、法人税に準じました改正をそれぞれ行おうとするのでございます。細目でございますから、御説明は省略いたします。
 最後に砂糖につきましては、先ほど提案理由の説明にもありましたように、関税と砂糖消費税と両方で若干の増税を行おうというのでございますが、砂糖消費税におきましては、今百斤について千円の税率を千七百円に引上げる。但し黒砂糖に対する税率は据置くことにいたしております。そういたしますると、関税と加えまして、大体千円強の、一斤十円強の負担の増加になるかと思います。現在は御承知の通り自由販売と配給と両方ございまして、自由販売の砂糖は百十円をちよつと超えておるかと思いますけれども、それから配給の値段は六十七、八円だと思いますが、改正後におきましては大体八十円くらいの砂糖の値段になるだろう、それに対しまして砂糖の税が関税と消費税を両方入れまして二十四円程度になりまして、小売価格の中で砂糖の税が関税と消費税と加えまして、大体三割程度の負担となる、この程度でございますれば、先ず砂糖の負担としては適当ではないか、現在はすでに自由販売することによりまして食管の特別会計で約五十億円ほど特別收入を得ておるのでございますが、これは一種の税に類するものでありますから、それが落ちる代りにこういう改正によりまして関税、消費税で年間七十億円増収になる。大体実質的には配給と自由販売と両方通じますと、国民の負担は大体とんとん、現在と余りそう変りはないことになるかと思いますが、そういう点を含めまして砂糖につきまして改正を行おう、こういう考えであります。
 甚だあれでございましたが、一応御説明を終りたいと思います。
#6
○委員長(平沼彌太郎君) それでは本日はこれを以て委員会を閉じます。
   午後三時五十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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