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1951/04/02 第13回国会 参議院 参議院会議録情報 第013回国会 大蔵委員会 第35号
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1951/04/02 第13回国会 参議院

参議院会議録情報 第013回国会 大蔵委員会 第35号

#1
第013回国会 大蔵委員会 第35号
昭和二十七年四月二日(水曜日)
   午後二時三分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     平沼彌太郎君
   理事
           大矢半次郎君
           伊藤 保平君
   委員
           岡崎 真一君
           黒田 英雄君
           西川甚五郎君
           溝淵 春次君
           森 八三一君
           大野 幸一君
           下條 恭兵君
           菊田 七平君
           油井賢太郎君
           木村禧八郎君
  政府委員
   大蔵政務次官  西村 直己君
   大蔵省主計局給
   与課長     岸本  晋君
   大蔵省主税局税
   関部長     北島 武雄君
   大蔵省主税局税
   制課長     泉 美之松君
   大蔵省理財局長 石田  正君
   大蔵省管財局長 内田 常雄君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       小田 正義君
  説明員
   大蔵省管財局総
   務課長     小林 英三君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○貴金属管理法の一部を改正する法律
 案(内閣提出)
○貸付信託法案(内閣提出)
○長期信用銀行法案(内閣送付)
○国民貯蓄債券法案(内閣送付)
○設備輸出為替損失補償法案(内閣送
 付)
○日本国とアメリカ合衆国との間の安
 全保障条約第三条に基く行政協定の
 実施に伴う所得税法等の臨時特例に
 関する法律案(内閣送付)
○日本国とアメリカ合衆国との間の安
 全保障条約第三条に基く行政協定の
 実施に伴う関税法等の臨時特例に関
 する法律案(内閣送付)
○日本国とアメリカ合衆国との間の安
 全保障条約第三条に基く行政協定の
 実施に伴う国有の財産の管理に関す
 る法律案、内閣送付)
○日本開発銀行法の一部を改正する法
 律案(内閣送付)
○閉鎖機関令の一部を改正する法律案
 (内閣送付)
○関税法の一部を改正する法律案(内
 閣送付)
○国家公務員共済組合法の一部を改正
 する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
○国家公務員等の旅費に関する法律の
 一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○ポツダム宣言の受諾に伴い発する命
 令に関する件に基く連合国財産及び
 ドイツ財産関係諸命令の措置に関す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(平沼彌太郎君) 第三十四回の大蔵委員会を開催いたします。
 貴金属管理法の一部を改正する法律案、貸付信託法案、長期信用銀行法案(予備審査)、国民貯蓄債券法案(予備審査)、設備輸出為替損失補償法案、これも予備審査、あと申上げるのは全部予備審査です。日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第二条に基く行政協定の実施に伴う所得税法等の臨時特例に関する法律案、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う関税法等の臨時特例に関する法律案、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う国有の財産の管理に関する法律案、日本開発銀行法の一部を改正する法律案、閉鎖機関令の一部を改正する法律案、関税法の一部を改正する法律案、右十一案について提案の理由の説明を聴取いたします。
#3
○政府委員(西村直己君) 只今議題となりました貴金属管理法の一部を改正する法律案ほか十法律案につきまして内容の概略提案の理由とを御説明申上げます。
 先ず第一に貴金属管理法の一部を改正する法律案、金、銀等の貴金属地金の管理につきましては、現在貴金属管理法によりまして、新産の金、銀及び白金族地金はすべて政府が買入れ、必要止むを得ない用途に対しましては、その需要者に政府から直接売却する制度をとり、その売買価格はそれぞれ政府が公定いたしているのでございます。然るに最近に至りまして、銀地金につきましては、その需給の状況等に鑑みまして、流通及び消費に関する一切の統制を撤廃して差支えない段階に達しましたものと認められまして、又白金族地金につきましては、国内生産額は極めて少量であり、国内の需要を満しますためにはその殆んどを輸入に仰がなければならない状況でありまして、その流通に関する規制は、別途今国会に提出されました「国際的供給不足物資等の需給調整に関する臨時措置に関する法律案」に委ねることがむしろ適切であると認められるに至りましたので、この際銀及び白金族地金に関する貴金属管理法による規制を撤廃することといたしました。一方、金地金につきましては、政府による金地金の売買価格は、米国政府の買入価格を基礎として定めております結果、一般物価の上昇に比べまして、低価格に据置かれており、これがため金の生産は伸びがたい実情にあります。今後国際収支の決済その他国民経済上欠くことのできない金につきまして、その生産を確保し、その増産を図ることは申上げるまでもなく肝要でありますので、この際貨幣用以外の金について妥当な範囲でプレミアム附価格による売買を認めることといたしたのであります。
 以上のような趣旨によりまして、貴金属管理法を改正することといたし、この法律案を提案したのでございますが、その内容の主要点を二、三について申上げますと、
 先ず法律の題名を「金管理法」に改め、法文中「貴金属」とありますのを「金」に改めるなどの字句改正によりまして、銀及び白金族地金の政府買入及び売却の制度を廃止いたしたのでございます。
 次に、政府所有の金地金を直接需要者に売却する現在の制度を改めまして、需要者に対しましては従来通り、割当を行いますと共に、その割当に見合う金地金は、政府に金を納入した金鉱業者等に対しまして、それぞれの納入量に応じて売り戻しました後、金鉱業者等からこれをプレミアム附価格で需要者に売却することを認めたのでございます。
 又金鉱業者等が多数且つ全国的に散在する需要者と直接取引することは容易でないものと考えられますので、その取引を円滑ならしめるために、新たに、中間売買業者として、加工用金売捌業者を設けました。これと共に、金地金取引の特殊性を勘案いたしまして加工用金売捌業を営みまするには、主務大臣の認可を要することといたしました。更に、金地金取引価格の国際的性格並びに割当制度をとることの趣旨に鑑みまして、主務大臣は、金鉱業者等及び加工用金売捌業者が金地金を売却する場合の最高価格を定めることといたし、併せて金地金の需給調整上必要がありますときは、これらの者に対しまして、その所有する金地金の売却に関して必要な指示をすることができるというふうにきめた点でございます。
 以上が貴金属管理法の一部改正の法案の内容でございます。
 二番目に貸付信託法案につきまして、提案の理由を御説明申上げます。
 我が国現下の経済事情に鑑みまして、資本の蓄積を図り、電源開発資金その他緊要な長期資金の円滑な供給を図りますためには、政府は御承知の通り金融制度の整備を図りますと共に、国民貯蓄債券の発行、無記名定期預金の制度の実施等各般の措置を講じて参つたのでありますが、今回新たに貸付信託制度を設けまして、貸付信託の受益権を受益証券に化体すると共に、受益者の保護を図ることによりまして、一般投資者による産業投資を容易にし、以て資本蓄積の目的を達成する一助にしたいというのが、この法案の提出理由でございます。
 内容の基本点を申しますと、
 第一に、貸付信託は、一個の信託約款に基きまして、多数の委託者が信託しました金銭を、信託約款に定められました特定の目的に合同して運用する金銭信託でありまして、その受益権は受益証券により表示することにいたしておるのであります。第二の基本的事項としましては、受益者の一保護を図り、信託財産の運用の適正を期しますると共に、信託財産が予定せられました緊要産業に運用されることを確保するために、信託約款とその又信託約款の変更につきましては、あらかじめ大蔵大臣の承認を要することにいたしております。なお、受益者の保護のために、信託約款変更の場合において、受益証券の権利者が買取請求をいたしました場合、受託者は固有財産を以て買取らなければならないということにいたしておるのでございます。第三の基本的事項といたしまして、一受益証券は、受益者の請求により記名式とする場合のほかは、無記名式とすると共に、受益証券の譲受者は、委託者の権利及び義務を承継することによつて、投資に便ならしめるようにいたしております。なお、利益の配当に対しましては百分の二十の源泉課税ということにとどめております。
 第四点は、貸付信託の信託の期間は、二年以上といたしておりますが、受益証券の消化を容易ならしむるため、又この制度の普及を図りますために、この法律施行後一年を限り、その期間を一年以上とするということになつております。第五に、受益証券の消化を容易にすると共に、長期資金の融資先の資金の安定を図りますため、信託契約の解除に代えまして、信託会社が一年の据置期間を置いて、その固有財産を以て受益証券を買取り得る途を開いております。第六に、信託会社の経営の安定を確保し、同時に信託財産の保全を図りますため、元本に損失を生じました場合にこれを補填する契約をいたしましたときは、その補填に充てるため、その収益のうちから、特別留保金を積立てることを義務付けますると共に、元本に損失を生じました場合に限り、これを取崩すことができることといたしております。
 なお最後は受益権の有価証券化に伴い必要とする信託法の規定の特例など必要な規定の整備を図つておるのでございます。これが貸付信託法の提案の理由と内容でございます。
 第三番目の法案であります長期信用銀行法案でございますが、たびたび申上げますように、長期資金を確保するため、政府は、いろいろ努力をいたしておるのでありますが、一昨年来、政府機関としましては、日本開発銀行、日本輸出銀行を作るなど政府資金の活用を図つて参つたのでありますが、政府機関等によります長期資金の供給は、民間機関の行う長期金融等に対して補完的な立場に立つべきものであると考えられ、民間金融機関の整備強化が証券市場の育成と相並んで、長期資金の確保のための根本的なものであると考えられ、その結果、民間機関による長期資金の供給に関しましては、従来銀行等の債券発行等に関する法律によつて銀行等に対し債券発行の特例を認め、その充足を図つておるのでありますが、最近欧米諸国の事例等も徴し一又我が国制度運用の経験等などから考えまして、銀行の制度としては、その業務の分化によりおのおの特色とする機能を発揮させ、一面長期資金等の円滑な供給を確保し、他面預金者の保護に万全を期し、併せまして普通銀行の融資面における負担の軽減に資する、こういう趣旨から今回この法案を提出いたしたのであります。
 長期金融を専門に行う長期信用銀行を制度として確立することにつきまして、先般来、各界の学識経験のかたがたに諮り、一応政府といたしましては案を検討して参つたのでございますが、今般ここに成案を得ましたので、長期信用銀行法案といたしまして皆様の御審議を願つた次第であります。
 内容の基本となる部分を簡単に申上げますと、
 第一に長期信用銀行業務を営もうとする者は、大蔵大臣の免許を受けなければならないことといたし、且つ資本の最低額を五億円と定めること等によりまして、その規模の適正と内容の堅実を図ることといたしました。第二に、長期信用銀行の業務は、設備資金又は長期運転資金に関する貸出を主とし、なお不動産担保の長期金融のほか、有価証券の応募、引受、その他の業務を認めました半面、預金の受入、短期資金に関する貸出の制限を行うなど、その業務上の特色を明確にし、機能の発揮に遺憾がないようにいたした点であります。第三番目に、資金源といたしましては、預金の受入に代るべきものといたしまして、債券発行につきまして特例を認め、資本及び準備金の二十倍までを限度として、所要資金の確保を図ることといたしております。
 第四点は、この法律の施行に伴いまして、銀行等の債券発行等に関する法律を廃止することといたしておりますが、制度切替の円滑を図り、且つ新らしくできまする長期信用銀行の育成を図る等のため、所要の規定を置いております。第五点といたしましては、新制度実施のため、準備に多少の時日を必要といたしますので、この法律の施行は、公布後一年以内において適当な時期に政令で定めることにいたしております。
 以上が長期信用銀行法案の提案の理由並びに内容でございます。
 第四番目の法律案でございます国民貯蓄債券法案でございますが、たびたび申上げましたように資本の蓄積が重要であります。これがため、政府におきましては、従来ともいろいろな施策をやつて参りましたが、その一環といたしまして、新たに無記名で簡便な、国民大衆の趣向に適した債券として国民貯蓄債券を政府が発行することにより、浮動購買力を吸収すると共にこれによつて得ました資金を、電源開発を中心とする資源の開発及び経済再建に緊要な産業の建設資金の一部に充当したいという目的を以て本法案を提出いたしました次第であります。
 法律案の要点を申し述べますと、
 第一に、この債券の発行の主体及び発行限度につきましては、政府が直接発行するというふうにいたし、又その発行は毎年度、純増が百億円を超えない限度にとどめるということにいたしました。差当り昭和二十七年度におきましては、初年度として純増六十億円を予定しております。第二に、この債券の発行による収入金は、資金運用部資金として管理することとし、発行及び償還に関する経費は、資金運用部特別会計において負担することにしております。
 第三に、この債券発行条件は無記名式で、割引の方法により売出すものとし、額面金額は一万円以下となつておりますが、差当り実行上は売出価額が一千円ぐらいのものを中心にして行きたいと考えております。償還期限は、五年といたしますが、発行後、一定の期間を経過したものについては、所持人の請求に応じ買上償還ができることにしております。なお、この債券の応募者平均利廻りは、一般金利水準と権衡を失しないように定めることといたしております。第四に、この債券の売捌、償還及び買上に関する事務並びにこの債券の割増金の支払に関する事務は、主として郵便官署で取扱うことといたしますが、相互銀行、信用金庫、その他政令で定める金融機関及び証券業者も、大蔵大臣からの委託を受けて、この債券の売捌に関する事務を取扱うことができるようにいたしております。第五に、この債券の発行による収入金相当額は、資金運用部において、資源の開発その他経済の再建に緊要な産業の施設の建設のため必要な資金を供給するため、資金運用部資金法の規定により運用することといたしております。
 以上が国民貯蓄債券法の提案理由でございます。
 第五番目の法案でございますが、設備輸出為替損失補償法案でございます。
 この法律案は、設備を本邦から輸出する者が外国為替相場の変更に伴つて受ける損失を補償する制度を確立することによつて、重要物資の輸入の確保に貢献する設備輸出の促進を図ることを目的としたものであります。
 その内容の概略を申上げますと、
 第一に、政府が設備輸出者を相手方として外国為替相場の変更による損失を補償する契約を締結することができる場合といたしましては、設備輸出が重要物資の輸入市場を、国際収支上有利な地域へ開拓し、又は国際収支上より有利な地域へ転換することに役立つと認められる場合といたし、この場合に大蔵大臣は、総額百億円の範囲内で期間五年以内の為替損失補償契約を、締結できることといたしました。第二に、補償契約を締結した設備輸出者は国庫へ補償料を納付しなければならないものといたしました。設備輸出契約においてその対価が分割払されるときは、その各部分につき別個に補償契約が締結されることになつており、補償料は、それぞれの対価の額に対してその契約締結の日からその対価の受領予定日までの期間に応じ一定の補償料率により算出したものを納付させることといたしました。
 第三に、補償契約に基く補償金の交付及び為替利益の納付についてでありますが、受領すべき設備輸出対価の外貨額を、その受領予定日の為替相場で換算した円貨額と補償契約締結日の為替相場で換算した円貨額とを比較しまして、前者が後者より減じているときは損失が発生したものとしてその差額を補償金として交付し、逆に、前者が後者を超えるときは、為替利益が発生したものとしてこの超過額を納付金として国庫へ納付させることといたしました。第四に、補償契約の解除についてでありますが、設備輸出者の責に帰することのできない事由により、設備輸出契約が解除され、又は設備輸出の対価を当初の受領予定日までに受領することができないことが明白になつた場合に、設備輸出者から解約の申込があつたときは、大蔵大臣は、これに応ずることができるものとし、解約が行われましたときは、解約後の期間分の補償料は免除することといたしておるのであります。第五に、補償契約と輸出信用保險等との関係でありますが、補償契約の対象となりました輸出対価について輸出信用保險の事故が発生して保險金が支払われました場合は、その保險金に係る輸出対価の部分につきましては、補償契約に基く補償金の交付及び納付金の納付は行わないことといたし、なお補償契約の対象となつた輸出為替については、売予約を禁止することといたしたのであります。以上申しましたほか、契約違反等の場合の措置、不服の申立、日本輸出入銀行に対する事務の委任等について所要の規定を設けております。
 以上が設備輸出為替損失補償法案の提案の理由であります。
 次に第六番目といたしまして日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う所得税法等の臨時特例に関する法律案につきまして、その提案の理由を申上げます。
 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の締結に伴いまして、同協定に従つて、米国の駐留軍の構成員、軍属又はこれらの家族等につきまして、所得税等の課税に関する特例を設ける必要が生じましたので、ここに関係法律案を提出いたした次第であります。
 先ず所得税法等の臨時特例に関する法律案におきましては、
 第一に、合衆国軍隊の構成員、軍属又はこれらの者の家族が、合衆国軍隊又はP・X等の軍人用販売機関等における勤務又は雇用により受ける給与所得等、その性質上我が国の所得税を課さないことが適当と認められる所得について、所得税を課さないこととしております。次に、合衆国の個人又は法人で、合衆国軍隊の使用する施設及び区域の建設、運営等に関して合衆国で締結した契約に基く事業のみを行うもののその事業から生ずる所得等については、所得税又は法人税を課さないこととしております。次に、合衆国軍隊の構成員、軍属又はこれらの者の家族が、相続、贈与又は遺贈により取得した個人用動産の価額等は、相続税の課税価格に算入しないこととすると共に、これらの者が日本において有する個人用動産の価額等は、富裕税の課税価格に算入しないこととしております。又、合衆国軍隊が、合衆国軍隊の用務を遂行するために汽車等を利用する場合には、通行税を課さないこととしております。次に、合衆国軍隊又は軍人用販売機関等が発する証書及び帳簿については、印紙税を課さないこととすると共に、合衆国軍隊又はその公認調達機関等が、合衆国軍隊の用に供するため、日本において調達する物品又は揮発油については、物品税又は揮発油税を課さないこととし、この免税された物品又は揮発油は、原則として、他の用途に供するために譲渡することを禁止し、他の用途に供するために譲渡したときは、譲受人から税金を徴収することといたしております。なお、今回の行政協定による物品税課税上の措置に関連いたしまして、輸出免税の手続について簡易化を図るため、物品税法に所要の改正を加えることといたしております。
 次に、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う関税法等の臨時特例に関する法律案でございます。
 先ず、合衆国の公用船で公の目的で運航されているものに対しては、とん税を免除し、公用船が一般貨物を積載しておりまするときは、全積載貨物中一般貨物が占める重量の割合に応じてとん税を徴収することとすると共に、公用船及び公用機の入出港に際しては、関税法で定める手続のうち、必要最小限度のものをとらせることといたしております。次に、合衆国軍隊、その公認調達機関、軍人用販売機関、合衆国軍隊の構成員、軍属又はこれらの者の家族等が輸入する特定の物品については、関税及び内国消費税を免除することとすると共に、右の免税を受けた物品が国内において免税を受ける資格のない者に処分されましたときは、当該物品につき輸入又は保税地域からの引取があつたものとみなして関税及び内国消費税を徴収することとし、譲渡人及び譲受人に必要な手続を行わせることといたしております。なお、関税及び内国消費税を免除された物品につきまして、その横流れを防止するために必要な措置を講じているのであります。
 第八番目に、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う国有の財産の管理に関する法律案でありますが、今回の行政協定の規定によりまして、合衆国の軍隊の用に供することとなります国有の財産の管理及び処分に関しまして国有財産法等の特例を設ける必要が生じましたので、この法律案を提出した次第であります。
 以下この法律案の主な内容について申し上げますと、
 第一に、国有の財産を無償で合衆国に使用を許可することを規定いたしております。即ち、行政協定第二条第一項及び第三条第一項の規定に基きまして、国有の財産を合衆国軍隊の用に供する必要がありますときは、その用に供する間無償で合衆国に対して当該財産の使用を認めることができることとしたのであります。第二は、行政協定第四条第一項の規定に基きまして、合衆国の使用に供した国有の財産につきましては、合衆国から日本国政府に当該財産の返還があつた場合においても、その原状回復又はこれに代る補償の請求を合衆国に対して行わないものとしたことであります。
 第三は、行政協定第二条第四項に基きまして、合衆国の使用に供した国有の財産について、合衆国軍隊の用に供している間といえども、その用途又は目的を妨げない限度において他の者にその使用又は収益を許すことができることとしたのであります。第四は、国が、国有の財産を国以外の者に貸し付けている場合において、当該国有の財産を合衆国の軍隊の用に供する必要があるときは、適正な補償を行なつた上で貸付契約を解除することができることとしたのであります。第五には、特別会計に属する国有の財産を合衆国軍隊の用に供しようとする場合の取扱であります。この場合におきましては、当該財産は一般会計に所管換若しくは所属替をし、又は当該財産は一般会計に使用せしめたこととした上で、一般会計から合衆国の使用に供することとしたことであります。
 以上三法案が行政協定実施に伴う特例法でございます。
 第九番目の法案であります日本開発銀行法の一部を改正する法律案であります。
 日本開発銀行は、長期産業資金の供給により我が国経済の再建及び産業の開発を促進することを目的として、昨年四月二十日米国対日援助見返資金特別会計からの出資金百億円を以て設立されましたが、その後における融資状況等に鑑みまして、一般会計からの出資金七十億円を加えましたほか、去る一月十六日には復興金融金庫の権利義務を承継し、その元利回収金を再投資し得る道を開いたのであります。併しながら、我が国経済の現状を考えますときは、日本開発銀行の業務は、今後なお一層その重要性を増すものと認められますので、このたびその資本金を増加すると共に、これに資金の借入の機能を附与するほか、業務活動全般につき、これを拡充する措置を講ずることとしたのであります。
 以下その内容の要点を申述べますならば
 第一に、資力の充実及び資本構成の適正化を図るため、その資本金を三百億円に増加すると共に、復興金融金庫から承継した資産に見合う政府借入金八百五十二億二千万円を出資金に振替えることとしたのであります。第二は、従来の融資肩替り業務に改善を加えたほか、新たに開発資金に関する債務保証業務を行い得ることとした点でありまして、将来これにより開発資金に関する外資の受入が促進されるものと期待しております。
 第三に、業務の拡充に即応し、その資力の充実に資するため、政府からの資金の借入及び外国からの外貨資金の借入を認めることとした点であります。明年度におきましては、米国対日援助見返資金特別会計から四十億円の借入をすることといたしております。第四に、政府資金の統一的、効率的運用を期するため、将来適当な時期に、米国対日援助見返資金特別会計から、その私企業に対する貸付債権及びこれに附随する権利義務を承継することとした点であります。而して、その際右の承継債権に相当する金額が、同特別会計から日本開発銀行に対して貸付けられ、将来更に適当な時期にこれを出資金に振り替えることができることとしたのであります。第五に、その利益金の一定割合を国庫に納付させることとし、これに伴い、法人税等の非課税の取扱をすることといたしました。
 以上が日本開発銀行法の一部を改正する法律案でございます。
 第十番目の法案であります閉鎖機関令の一部を改正する法律案であります。
 閉鎖機関令に基く閉鎖機関の特殊清算は、従来大蔵大臣の監督の下に、閉鎖機関整理委員会によつて、鋭意その処理を進めて参つたのでありますが、当初閉鎖機関として指定を受けた戦時統制機関、外地関係の会社、金融機関など総数千八百十八機関のうち、その清算が、来年度に繰越される約二群六十機関を除いて、その清算はすべて結了し、閉鎖機関制度の当初の目的もほぼ達せられるに至つております。平和条約の効力発生に伴いまして、閉鎖機関令にも若干の改正を加える必要を生じ、先きにポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く大蔵省関係諸命令の措置に関する法律案を提出いたし、御審議をお願いいたした次第でありますが、今回更に、閉鎖機関に関する制度を速かに終結させることが望ましいと考え、清算未結了の機関のうち民法、商法等いわゆる一般法に基いて清算を行うのが適当と認められるものについては、その指定を解除して一般の要望に応えることといたすと共に、今後における閉鎖機関の在外財産の処理に必要な措置を準備する目的を以つて、この法律案を提出いたした次第であります。
 次にこの法律案の主な内容につきまして、その概要を御説明申上げます。
 第一は、閉鎖機関の指定の解除に関する点でございます。即ち、閉鎖機関はその指定を解除された場合において、その清算事務を執行する機関を欠くことになりますので、それまで特殊清算人であつた者に、株主総会等を招集せしめて、指定解除機関の清算人を遅滞なく選任させると共に、指定解除に関連する政府への報告、利害関係人の異議の申立等の規定を整備しようとするものであります。なお、閉鎖機関のうち特殊法人であるものにつきましては一般の私法に基いてその清算を行うことが困難であるため、その指定解除後の清算につき別に政令で定めうることといたしております。
 第二に、閉鎖機関の在外資産及び負債の処理に関する点でございます。平和条約の発効に伴いまして、閉鎖機関の在外財産については、その返還及び清算等処理を要するものが増加することが予想されますので、閉鎖機関の特殊清算の対象の範囲を拡大して、その本邦外にある本店、支店その他の営業所に係る債権及び債務をも含ませることとし、且つ、閉鎖機関の在外負債のために、その国内資産のうちから留保されている資金について、平和条約に基く在外負債の処理の問題が決定次第それに応じて処理することができるよう、所要の規定を設けることといたしております。
 以上がこの法律案の提案の理由並びにその主な内容でございます。
 最後に関税法の一部を改正する法律案につきまして提案の理由を御説明申上げます。
 今回平和条約の締結に伴いまして、関税関係の国際条約及び協定として、税関手続の簡易化に関する国際条約、貨物の原産地虚偽表示の防止に関する協定、及び国際民間航空条約に我が国が加入又は参加の承認を申請することが予想されますので、これに備えるため、関税法に所要の改正を加える必要がありますので、この法律案を提出いたした次第であります。
 以下この法律案の内容の概略を申しますと、
 先ず、「税関手続の簡素化に関する国際条約」関係におきましては、第一点として、この条約に基き通関手続の簡易化に資するため、関税の担保として認められるものの範囲を拡張して現在認められている金銭、国債又は税関長が確実と確める社債の外保証人の保証をも認めることとして、輸入者の便宜を図り、これに伴つて必要な徴収規定を設けることといたしました。第二点としては、この条約では貨物保税地域、庫敷料等に関する合理的な制度を立てることが要望されておりますが、我が国においては、戦前は税関が直接管理運営し貨物の通関を迅速にしていた税関構内が戦後は殆んど全部消滅していること、又私人の経営する特許上屋に関する規定がないこと等により保税地域に関する制度が充分整備せられていない実情に鑑みまして、保税地域の指定について明確に規定上、この指定を受けた土地、建設物等の処分、用途変更等並びにそれらの保管規則、保管料の決定については、税関長に協議を要する等、関税行政上必要最小限の規制を加えることとすると共に、輸出入貨物は、すべてこの地域を通過させ、税関検査その他税関手続に要する経費、時間の短縮を図り、関税取締の確実を期し、更に、この地域内において貨物を取扱うことができる範囲をできるだけ拡げることといたしました。又、特許上屋については、現在保税倉庫に準じて取扱つておりますので、保税倉庫法の規定に準じて、これに関する規定を設けて特許上屋の性格を明確にいたしました。
 第三点としては、条約に基き、税関手続又は規則の軽微な違反に対しては、苛酷な罰を科することを避けるため、虚偽申告、虚偽証明又は虚偽添附書類の提出に関する罰則の規定を整理いたしました。次に、「貨物の原産地虚偽表示の防止に関する協定」関係におきましては、この協定に基き、虚偽表示をした貨物の輸入の防止を図るため、虚偽の原産地を表示した輸入貨物を税関によつて保管することとし、これに伴い保管後の貨物の処理について必要な規定を設けることといたしました。最後に「国際民間航空条約」関係におきましては、この条約に基き、国際的標準に従つて国際航空機に関する合理的な税関手続を定めるため、税関空港、航空機、機長及び空路運送並びにこれらに関する犯則事件について船舶の場合に準じ、必要な規定を設けることといたしました。
 以上が関税法の一部を改正する法律案の提案の理由でございます。
 以上十一件につきまして御審議の上御賛成賜わらんことをお願いいたします。
#4
○委員長(平沼彌太郎君) 只今提案理由を聴取しましたうちの、行政協定関係三法案について内容の説明を聴取いたします。
#5
○政府委員(泉美之松君) 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う所得税法等の臨時特例に関する法律案につきまして内容を申上げます。
 この法律案は、先に協定締結されまして、公表されました行政協定の第十二条、第十三条、第十四条及び第十五条の内容を実施するために所得税ほか七つの税法に特例を設けようとすることを目的として提案いたしたような次第でございます。この行政協定におきまする課税関係の協定内容につきましては、すでに米国が各国と締結しておりまする各種の協定を参考にいたしまして、そのうち特に北大西洋条約加入当事国間の協定を特に参照いたしまして、できるだけその線に従つて協定を結びまして、それに従つて今回こうした特例法案を提出することにいたした次第でございます。
 それで法律案の内容について申上げますと、第一条は今申上げました目的を掲げたものでございます。第二条は条文の中に出て来ますいろいろな熟語につきまして定義を設けたのでございます。特に申上げる点はございませんが、ここのうち軍属につきましては、通常日本に在留するもの、それからあとで申上げます基地又は施設の建設等の事業を行うためにアメリカからやつて来る個人と、それからその個人又は法人に使用されるもの、こういつたものは軍属から除くことにいたしております。従いまして占領下におきまして軍属として、その公的給与に対しまして課税を受けなかつたものも、軍属の範囲が狭められますことに伴いまして、所得税の課税を受けるということが、講和条約発効後は多くなつて来るということになつております。
 第三条以下第十条までが実質的な各税法の特例法の内容でございます。先ず第三条は、所得税についての特例を規定しているのであります。所得税につきましては七つの種類の所得に対しまして非課税の特例を置こうとしているのであります。その第一は軍人軍属又はこれらの者の家族が軍隊に勤務する、又は合衆国軍隊又は軍人用の販売機関等に雇われまして得た給与所得につきまして課税をしないということにしようとするものであります。これはアメリカ合衆国が各国と協定をいたしておりまするそれぞれの協定に全部規定されているところでございます。これらのものは勿論アメリカ合衆国の所得税の課税を受けることは申上げるまでもないのでございます。なお合衆国軍隊又は軍人用販売機関等に雇用されまする給与所得は、軍人軍属又はそれらの家族に限られているのでございます。こちらにおりまする合衆国人の家族がP・Xに勤める、或いは日本人がP・Xに勤めた場合には所得税を課税することになるのでございます。第二の所得は軍人軍属又はこれらの家族が持つておりまする個人的動産の譲渡所得でございます。而もそれはそれらの者同士の間の譲渡による所得でございまして、若し日本人に売りました場合には譲渡所得を課税するということになるのでございます。それから第三の種類の所得は、先ほど申上げました基地の建設維持又は運営のためにアメリカ合衆国において締結した契約に基きまして日本においてそういつた事業を行う個人の契約者の、そういつた事業者からのみ生ずる所得につきましてその所得を課税しないということにいたしておるのでございます。これにつきましても合衆国の所得税が課税されることは申上げるまでもありません。それから第四番目はその今申上げました個人の契約者又は法人の契約者に雇われておりまするもののその建設、維持、運営のための事業に従事することによる対価として受ける所得、これも非課税としておるのでございます。この個人契約者又は個人契約者若しくは法人契約者の被用者の所得を免除するかどうかということにつきましてはいろいろ先方と話合つた次第でありますが、北大西洋条約の当事国間の協定におきましてはこういつたものは軍属の中に入れられておるようでありますが、そうして課税されないということになつておるのでありますが、日本との間におきましては軍属の中から外しまして特にその範囲を狭めまして、特契して、合衆国において契約してこちらに来て事業を営むものについてのみ課税しないということにしておるのでございます。
 それから第五番目の所得は、そういつた個人の契約者が持つておりまする家屋以外の減価償却資産についての譲渡所得であります。それから第六番目は、個人契約者又はそういつた個人契約者若しくは法人契約者に雇われておりまするものが持つておる個人的な動産の譲渡所得の非課税であります。それから第七番目の所得はP・Xなどの軍人用販売機関が商品又はサービスを提供することによつて生ずる所得を非課税としておるのであります。このP・Xなどの軍人用販売機関は歳出外資金によつて賄われておるのであります。法人格を持つておりませんので個人と一応見られるわけでありますが、そういつたP・Xなどにおきましては営利を目的としないで営まれておりまするのでありますし、その性質上課税をしないことを適当と認めて非課税としておるのでございます。
 その次はアメリカの所得税法の規定によりますると、海外に一年半以上居住しておりまする者の海外から受ける給与所得又は事業所得の一部につきましてはアメリカの所得税を納付しなくてもよいということになつておるのであります。そこでP・Xなどに勤めておりまする者が、例えば日本に在住しておりまする米国の商人の娘がP・Xに働いておるという場合におきますと、その者は一年半以上日本に居住しておりまするとアメリカ合衆国の所得税を納めなくてもよいということになるのであります、そういたしました場合に日本でも所得税を課税しないということになりますると工合が悪いことになりますので、そういつた娘が合衆国の軍人と結婚いたしましてその家族になつた場合におきましても、その者には日本の所得税を課税するということを規定しておるのでございます。第三条の第三項は、そういつた合衆国の軍人、軍属及びこれらの家族、個人契約者、それからそれらの使用人といつたようなものは一時的に日本に滞在しますので、その身分において日本に滞在しておる期間は日本に住所及び居所を有していない期間と見るということにいたしておるのであります。従いましてその者が軍人でなくなつて日本に居住することになりました場合におきましても所得税法上の日本に居所を有している期間の起算点が軍人でなくなつたときから起算するということにしておるのでございます。
 第四条は法人税についての特例でございまして、法人につきましては先ほど申上げました合衆国において基地の建設運営維持のための契約を締結した法人の契約者、それとそれがその事業から生ずる所得に対して法人税を課税しないとすることと共に、その法人の契約者が家屋以外の減価償却資産を譲渡などいたしました場合の所得について非課税にしておるのであります。それから同様にその法人契約者がそういつた減価償却資産を譲渡、相続、贈与又は遺贈によつて取得した場合におきまして、その取得によつて生ずる所得についても非課税としております。第五条は相続税法の特例を規定したものでございます。これも同様に軍人軍属又はそれらの家族と、それから個人契約者又はそれらの個人契約者若しくは法人契約者の被用者が相続、贈与、遺贈によつて個人用の動産或いは減価償却資産を取得した場合において、その資産の価額は相続税の課税に当つて課税財産の価額に算入しないということにしておるのでございます。
 第六条は富裕税法の特例でございまして、同様に今申上げましたような資産は富裕税法の課税価格に算入しないということにしておるのでございます。第七条は通行税法の特例でございまして、合衆国軍隊の構成員が部隊として日本の汽車電車等を利用する場合及び公用の目的のために合衆国軍隊の構成員が汽車電車等を利用する場合におきましては、合衆国軍隊の権限ある官憲の発給する証明書によつて通行税を課税しないということにしておるのであります。家族が利用する場合或いは軍人軍属が私用で旅行する場合に通行税を課税することは申上げるまでもありません。第八条は印紙税法の特例でございまして、軍隊又は軍人用販売機関が発する証書及び帳簿については印紙税を課さないということにしておるのであります。第九条と第十条は物品税法及び揮発油税法についての特例を設けたのでございますが、この規定にありますのは国産品の合衆国軍隊或いはその公認調達機関に販売する場合の規定でございまして、輸入品をそういつた軍隊或いは公認調達機関が輸入する場合の内国消費税につきましてはやはり免税することにはいたしておりますが、それは関税法等の臨時特例に関する法律案に規定いたしておるのであります。従いまして内国産品の免税規定だけここに規定されておるということを御了承願いたいのであります。で、物品税につきましては合衆国軍隊又は合衆国軍隊の公認調灘機関が公用目的のために購入する場合に免除し、又基地建設等の事業を行います個人反は法人の契約者が、その事業の用に供するために使用又は消費して結局において、合衆国軍隊の使用に供せられることになる物品、それとその事業をなすために、個人契約者又は法人契約者が使用又は消費する一定の物品に限りまして、免税するごとにいたしておるのでございます。合衆国の軍人軍属又はそれらの家族が私用で購入する場合の物品、或いはP・Xなどが合衆国軍隊の軍人軍属又はそれらの家族のために提供するために購入する物品につきましては、課税することにいたしておるのでございます。それから揮発油税につきましても、同様に軍隊又は軍の公認調達機関が公用のために購入する場合、或いは基地の建設等の事業を行います個人契約者や法人契約者が、そういつた建設等の事業を行うために消費する揮発油に限りまして、非課税としておるのであります。で、この非課税によつて取得しました物品或いは揮発油につきましては、原則といたしまして譲渡禁止にいたしまして、若しそして一定の手続を経て、税務署長の承認を受けた場合に限つて譲渡しを認める、そうして譲渡しを認める場合には、受人から免除をいたしました物品税又は揮発油税を徴収することにいたしておるのであります。
 以上が法律案の内容でございますが、経過的に従来C・P・〇がP・Xのために購入をいたしました物品につきましては免税しておつたのでありますが、行政協定発効後はそれを免税しないということになりまするので、経過的にそういつた場合におきましては、行政協定の発効前までに発注いたしましたもので、発効後三カ月以内に引取るものにつきましては、従前通り免税するということにしますと共に、従来P・X、C・P・〇などに納入することによつて外貨を獲得しておつたのでありますが、物品税を課税することによつてその販売が行われなくなりましては、外貨獲得上差支えがありますと共に、そういつたことを業としておつた営業表に支障を来たしますので、特に物品税法の一部をこの法律の附則で改正いたしまして、簡易な輸出免税ができることといたしております。即ち従来は製造者の段階でありませんと、輸出免税ができないのでございますが、今後はC・P・〇とか、或いは土産品の専門店、デパート等を指定いたしまして、その場所で販売いたしましたものが輸出されたという実績が明らかでありますと、それに対しまして物品税を免除し、それによつて外貨獲得を図りますと共に、日本の商品に外国人がなじむようにして、輸出の振興を図りたいということを意図しているのでございます。以上内容を簡単に御説明申上げます。
#6
○政府委員(北島武雄君) 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う関税法等の臨時特例に関する法律案につきまして、若干内容を補足いたしまして御説明いたします。行政協定の第五条には、合衆国軍閥係の船舶、航空機の本邦への入港、とん税の免除等について規定いたしております。それから又第十一条には、合衆国軍隊、合衆国軍隊関係の特定の機関並びに軍人軍属又はそれらの者の家族の輸入する特定の物品に対する関税その他の課徴金の免除、税関手続等について規定いたしております。又第十四条には、合衆国軍隊のために、合衆国との契約の履行のためにのみ本邦に居住する者に対する関税の免除等について、それぞれ規定されておりますので、この協定実施のために、今回関税法等の臨時特例法案を提案いたした次第でございます。
 内容につきましては、先ずとん税の免除関係におきましては、合衆国政府が所有し、又は全部用船契約によりまして用船している船舶で、公の目的を以て運航されているいわゆる公用船に対しましては、とん税を免除し、このよう宏船舶が一般貨物を混載している場合におきましては、その重量に対する比率に応じて、とん税を徴収するということにいたしておりまして、これに伴つて必要なとん税の免除手続を定めると共に、これらの公用船及びこれに相当する航空機、いわゆる公用機の入港又は出港の手続につきましては、関税法の規定中、取締上必要なもの以外は適用しないことといたしております。
 次に関税の免除関係におきましては、合衆国軍隊、合衆国軍隊の公認調達機関が、合衆国軍隊の公用に供するために輸入する物品、又は協定の第十五条に規定しておりまするところの機関、いわゆる軍人用販売機関が、合衆国軍隊、合衆国軍隊の構成員、軍属、それらの者の家族又は契約者の用に供するために輸入する物品については、先ず免税いたしております。その他、合衆国軍隊、軍機関以外の者が輸入する物品でありましても、合衆国軍隊が専用すべきもの、又は合衆国軍隊が使用する施設若しくは物品に終局的には合体されるべき物品につきまして、関税を免除いたしております。次に合衆国軍隊の構成員、軍属、それらの者の家族又はいわゆる契約者等の引越荷物、携帯品、及びそれらの者が自用に供するために輸入する自動車又はその部分品について、関税を免除いたしております。又合衆国軍隊の構成員、軍属、それらの者の家族又は契約者等の私用に供するために、合衆国軍事郵便局を通じて日本国に郵送される通常且つ相当量の衣類及び家庭用品につきましても、関税を免除することにいたしております。但しこれらの免税特権の濫用を防止いたしますために、証明書の提出、関税免除物品の製造、関税の追徴等に関し必要な規定を設けております。これらの関税の免除を受けるべき輸入物品に対しましては、原則として酒税、砂糖消費税、物品税、骨牌税及び揮発油税を免除いたしておりますが、ただ輸出免税の適用を受けまして輸出された国内産品で、軍人用販売機関等があとで又再輸入いたしましたような場合におきましては、これは内国消費税の免除をいたしません。
 次に税関検査の免除関係につきましては、合衆国軍隊の命令により、本邦に入国し、又は本邦から出国いたしまする合衆国軍隊の部隊又は合衆国軍隊の構成員の携帯品、合衆国軍隊の公用の封印がある公文書、合衆国政府の船荷証券により船積されておる合衆国軍隊に仕向けられた軍事貨物及び合衆国軍事郵便線路上にある郵便物に対してのみ税関検査を免除いたしておりまして、その他の貨物につきましてはすべて税関検査を免除いたしておりません。
 次に関税及び内国消費税の免除を受けた物品が、国内において免税を受ける資格のない者に処分される場合につきましては、従来の経験に鑑みまして、特に取締の確立を期する必要がありますので、このような処分は関税法規の適用については輸入とみなし、又内国消費税の適用については保税地域よりの引取とみなすと共に、当該物品の讓渡人及び讓受人に必要な手続を犠牲にさせまして、この場合讓受人から徴収する関税については国税徴収法を準用する等必要な規定を設けております。又合衆国軍隊の所有物品を関税法の規定によりまして、収用又は保管いたしました場合には、その物品を当該所有軍隊に、又合衆国軍隊の所有する物品を領置又は差押えました場合におきましては、領置又は差押えの事由が消滅したときは、その領置又は差押えの事由を記載した文書と共に合衆国軍隊の当該機関に引渡すことといたしております。
 なお附則におきましては、この法律の施行前に連合国軍の権限ある官憲によつて正当に認証されました証明書等によつて免税輸入された物品を、この法律施行後国内で処分する場合の課税等についても必要な経過規定を設けております。簡単に内容を補足いたしました。
#7
○説明員(小林英三君) 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う国有の財産の管理に関する法律案の内容について御説明申上げます。
 この法律案の関係のありまする行政協定につきましては、第二条関係と、それから第四条関係でございます。で、この法律案の第一点といたしましては、アメリカ合衆国の軍隊の使用に供するために国有財産を提供するということになつております。第二条におきまして、この必要な施設及び区域の使用を許すということになつておりますので、この第一といたしまして、国有財産、国の財産の提供のために、これを無償で使用を許すということにいたしておりますが、その場合に財産、この施設及び区域につきまして大きく分けますと民有の財産と国有の財産に分れるかと思いますが、この法律案では国有の財産ということにしておるわけでございます。而もこの国有の財産につきましても、国有財産法に言う狭い意味の国有財産のみならず、国有財産法で規定しないいわゆる物品的なもの、機械のようなものがあるのでありますが、勿論国有財産として扱う機械類もございますが、そのほか物品として扱うような機械のことも考えられますので、「国有の財産」ということにしたわけでございます。この無償で提供するということにしてございますのは、行政協定の三十五条の二項の(A)号にございますので、無償で使用をするということにするわけでございます。
 それからこの行政協定の第四条関係におきまして提供いたしました国有の財産につきまして、いろいろにこれを改造したり或いは又場合によつては取壊すようなことも生ずるかと、こういうふうに考えられますが、そうした場合におきましてこのアメリカ合衆国の軍隊の使用がやんだ際におきまして、原状回復とか或いは又損害の補償というような請求権について、アメリカとしてはそういう義務を負わないということになつておりますので、そうした原状回復と補償の請求をなさないということにしたわけであります。それから次に国有財産を提供している間におきまして、たまたまと言いますか、その目的に反しない限度におきまして、これを日本側に或いは又はかの者に一時的に使用さしたり、或いは又修理さしたり、そういうような規定も認めておりますので、そうした又必要もあるかと思いまして、このアメリカの軍隊の用でございまするが、その目的に反しない限度においてそうした一時使用を認めるという規定を置いたのであります。勿論この一時使用と申しましても、この使用がやんだときにおいては当然そうした使用、収益権というものは消滅するということにいたしまして、これが返還になつた場合におきましては、改めて国有財産法の趣旨に従いましてこれを売払処分するなり、或いはいろいろほかの用途に使うというように考えておりますが、そうした権利の消滅ということも規定したわけでございます。それから国有財産を提供する場合におきまして、現在国有財産につきまして、すでに売払つたものにつきましてはこれは民有の財産と同じく扱われるわけでございますが、またこれを貸してある、或いは又国がほかの人に一時使用という形で使用を認めているという場合があるのでございますが、そうした場合におきましてこの国有財産について、いろいろ話合いの結果アメリカ側に提供するということになりますと、そうした使用権なり貸付権というものを解除しなければならんという事態が生ずるわけでございます。で、この場合におきまして、その貸付権なり或いは賃借権と言いますか、使用権を解除した場合におきまして、これをかたと申しますか、いろいろな有益費を投じたり、その他いろいろ問題が生ずるわけでございますが、そうした場合におきまして、この補償をするという規定を置いたわけでございます。で、国有財産法の規定におきましても国が貸付けておいた財産につきましても、国の用に使う場合におきましては、現行法におきましてもこれを解除することができるということになつているわけでございますが、この場合におきましても適当な補償を行うということになつているわけでございます。で、現在の国有財産法としましてはそうした国の用に供する場合だけしか、この解除権が行うことができないわけでございます。従つてこのアメリカ合衆国の軍隊の用に供するという場合におきましても、そういつた解除権が発揮できるというようにしたわけであります。なおこの際この点について一言説明を加えさせて頂きたいのは、損失の補償につきまして、大体国有財産の関係につきましても、民有の財産と同じような扱いをする必要がございます。で実行といたしましては、別途目下関係のところで研究しておりまする民有財産関係法のほうの補償として実行して参る考えでございますが、ただその法律で予定されておるものにつきましては、動産と言いますか、先ほど申しました動産関係の点、即ちいろいろな機械とか、そういうような場合につきまして、その規定がないというような関係もございますので、この国有財産法のほうの関係といたしまして、只今そういう必要があるというので、こうした補償の規定を置いたわけであります。
 それから最後に、この国有財産につきましても、特別会計と一般会計の国有財産があるわけでございますが、特別会計の財産につきましては、大体企業原則に立つておる財産の関係もございますので、特別会計の財産、例えば電気通信省関係のいろいろな通信施設というようなものを提供しなければならんような場合が生じて来るわけでありますが、こうした場合におきまして、特別会計に対して一般会計から金を払う、即ち場合によりましては、財産を一般会計の中に組替える。そうした場合に一般会計から特別会計のほうに金を払う。それから又一般会計のほうに、特別会計の財産を借入れるというような措置を講じまして、要するに一般会計の負担において国有の財産を提供するという、こういうようにしておるわけであります。話が大分思い付きでございますが、この行政協定に関しまする必要な国有財産関係の説明は六体以上の通りでございます。
#8
○委員長(平沼彌太郎君) 右三案に対する質疑は次回に譲りたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○木村禧八郎君 資料を早く出してもらいたいのですが、特に今御説明になつた国有財産の無償使用ですね。対象となるものはどのくらいになりますか。大体二条関係ですね。どの程度のものになるか。その対象ですね、機械とか、それから不動産、土地とか、それから特別会計のほうも今お話がありましたが、そういうものについて対象となるものを成るべく詳細に資料として出して頂きたい。
#10
○説明員(小林英三君) 只今資料の御要求がございましたが、できるだけその御要望に副うようにいたしたいと思つております。ただ、今話中のようなものについてはちよつとお出しかねるのではないかと、こう考えております。ただ旧軍用財産と申しますか、こういうのでございますれば提出できると思つております。
#11
○委員長(平沼彌太郎君) 他に資料を御要求のかたはございませんか。
#12
○大野幸一君 これは行政協定の全文をこういう場合に配付してもらいたい。それから北大西洋条約の全文。
#13
○説明員(小林英三君) 只今の御要求の資料につきましては、これは税金関係、内国税関係その他につきまして関係のあることでありますので、できるだけ早く出すことにいたします。
#14
○委員長(平沼彌太郎君) では次に、貴金属管理法の一部を改正する法律案について内容の説明をお願いいたします。
#15
○政府委員(石田正君) 本法律案提出の趣旨につきましては、先ほど大蔵政務次官から申上げましたので、私からはお手許に配付してございまする法律案の御了解に便する意味におきまして、若干補足的な説明をいたしたいと思います。
 大体要点は三つあるかと思います。第一は、従来貴金属といたしまして、金、銀、或いは白金地金を統制の対象といたしておりましたのを、金だけにする、これが第一点であります。それから第二点は、現在金につきましては、政府が産金業者からこれを買上げまして、そうしてそのうち産業用或いは医療用というような方面に必要なものにつきましては、政府が直接払下げをしておるというのが、今までの制度であつたのでございます。その価格というのは、大体アメリカの一オンス三十五ドルを基準としておりましたが、今回これを二つに分けまして、政府が買上げて保管するところのものにつきましては従来通りでありまするけれども、産業用或いは医療のような用途に向かいますものにつきましては、一オンス三十五ドルの基準によりますところの価格とは違つた価格によるところの販売をいたすことにいたしまして、その差額というものは結局産金業者の手に帰するようにしたいというのが第二点でございます。第三点は、現在、去年の例で申しますと、政府が買上げておりまするところの金は、年間六トン弱でございます。これに対しまして産業用、医療用に払下げておるのは二トン二百キロぐらいに相成つておるわけでございますが、我が国の産金業というものは決して多いものではございません。従いまして、その国内消費等につきましては或る程度やはり従来と同じような規制を加えおくことが適当であろうと、かように考えまするので、国内産業用及び医療用につきましては、大体今までと同じような統制を加えて参りたい、かように考えておる次第でございます。但し、その場合におきまして、その部分の差額を産金業者の手に帰せしめるためにおきましては、従来のように政府が直接実需者に譲るのは工合が悪い点がございますので、そこでその点の制度の上の改正をいたそう、これが第三点でございます。条文で申しますると、大体お手許にありまするところの法案の第一頁から第三頁までのところが一大体今申しましたような三点につきまして条文整理を行なつたということでございます。それから第三貫目の終りのところから……。第九条からあとずつと参りまして、第九条の四までは、第三点として申上げましたところの割当及び売却制度の変更に伴いまするところの所要の規定を盛つておる次第であります。それから第十条は、先ほど申しましたところの第二点、即ち価格の点につきまして、新らしい考え方をとりました結果、それが三つに分れて来るわけでございます。そういうところにつきまして第十条は規定いたしております。と同時に、又それを自由な価格にいたしませんで、政府が指示するところの価格によつて行うようにいたしたい、こういうことを思つておる次第でございます。要するに政府が一遍買上げましたものを産金業者に売返します場合におきましては、大体一オンス三十五ドルの価格を基準として返すわけでございます。それを今度は実需者に売払います場合におきましては、その間の段階といたしまして、直ちに産金業者が売りまする場合と、それから産金業者の所在地というものが需要者と場所を異にしておるという点から申しまして、金売捌業者というものを指定いたしまして、それを通じて売る場合とあるわけでありますが、産金業者が直接売る場合及び加工用売捌業者に売りまして、それを通じて実需者に売るというような場合におきまして、先ほど申しました差額は産金業者の手に帰するというようにいたしまするため、その値段は一オンス三十五ドルというものとは違つて参るわけでございます。それから金売捌業者が実需者に売りまする場合には、若干手数料的なものが加わりまするので、産金業者から加工用金売捌業者が買いました値段と、それから実需者に売ります値段との間に若干の違いが出て来る、かような恰好に相成るのでございます。
 それからこの第十二条の規定は相当長くなつておりまするが、大体金に関するところの取引についてはいろいろと制限をいたしておるのでございますが、今申しましたような割当及び売却が行われまするルートに乗つたものにつきましては、これは制限しないという意味におきまして、その点の規定を修正いたしておるわけでございます。それから第十七条は加工用の金売捌業者というものの認可につきまして規定いたしておるのでありまして、この加工用売捌業者の認可につきましては、現在歯科用の金の地金の加工業者の場合と同じような規定を準用するということにいたしたのでございます。十八条以下の規定は、これは大体条文整理と同時に、従来明瞭でなかつた点を補足いたすというような意味におきまして、主として条文整理を中心といたしまして規定せられておるところのものでございます。
 附則につきましては、本法律案が通りました場合には公布の日から施行するほか、従来の貴金属管理法の下におきましてすでに割当申請が行われておつたり、或いはそれが最終消費に至りまするところの段階にありまするものにつきまして適当な経過規定を設けようというのが趣旨でございます。
 甚だ簡単でございまするが、あとは御質問によりましてお答え申上げたいと思います。
#16
○委員長(平沼彌太郎君) これに対する質疑は次回に譲りまして、別に資料の要求もおありになりませんか。
#17
○大野幸一君 占領当時と今の日本の金の保有高の統計を一つ出してもらいたい。
#18
○政府委員(石田正君) 御趣旨がよくわかりませんが……。
#19
○大野幸一君 占領当時日本にあつた金の保有高と現在あるものを年度的にずつと……。
#20
○政府委員(石田正君) 占領当時ありました金と申しまするのは、政府乃至政府機関で持つておりまして、そうして向うに接収せられたようなものであつて、割合にわかつておる程度のものでよろしうございますか。
#21
○大野幸一君 その通りでございます。
#22
○政府委員(石田正君) じやあそのことで……。
#23
○木村禧八郎君 できましたら地金についてのマーケット・プライスですね、市場価格というものはどのくらいのものかということを……。
#24
○政府委員(石田正君) これは金の問題についてでよろしうございましようか。
#25
○木村禧八郎君 ええ。
#26
○政府委員(石田正君) 金の、例えば香港であるとかカナダとかいうふうなところで、いわゆる貨幣用金にあらずして産業用のものとしてどういうものが出ておるかどうかという程度のものでよろしうございましようか。
#27
○木村禧八郎君 ええ。
#28
○委員長(平沼彌太郎君) 右に対する質疑は次回に譲つて頂きます。
  ―――――――――――――
#29
○委員長(平沼彌太郎君) 次に国家公務員共済組合法の一部を改正する法律案、国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案、右二案について内容の説明を聴取いたします。
#30
○政府委員(岸本晋君) 先ず国家公務員共済組合法の改正法の提案内容から御説明いたします。
 今回の共済組合法の改正内容は大体四点ございます。
 第一点は共済組合の経営を健全化して行こうという狙いのものでございまして、この中に内容といたしましては、第一に組合に対する医療費の支払について調整を加えて行こうという点でございます。この点はちよつと話が技術的になりまして恐縮でございますが、現在組合員が病気になりました場合、利用いたします医療機関といたしましては、組合の直営する医療機関にかかる場合、組合が特別に契約いたしております契約医療機関にかかる場合、それから健康保險医にかかる場合及び一般の町の開業医にかかる場合と四つの場合があるわけであります。現在の建前の下におきましては、組合員はそのいずれの医療機関に行つてもいい、好きなように任意選択ができる建前でございます。ところがこの医療機関のうち最初に申上げました三者の直営病院、契約病院及び保健医にかかりました場合には、その医療に要しました費用は組合から医療機関に対して支払う建前でございます。従いまして余り問題が生じないのでございますが、この一般の町医者を利用いたしました場合は、先ず組合員から町医者に対しまして金を支払い、それに基いて又組合から組合員に対して金を支払う。組合が間に入つて来るわけでありまして、それだけに又いろいろ問題が起り勝ちでございます。或いは又組合員独自の考えでやる場合もございます。或いは医療機関側から是非やれと言われてやらざるを得ない場合もあるのでございまするが、まあ医療の水増し請求でございますとか、実体のない空の請求が出て来たりするというような場合が相当発見されておるのでございます。現在組合の、殊に医療経済につきましては相当窮屈な状況にございますので、こうした医療につきましての無駄ないわば金が出ているようなものはできるだけ締めて行きたいという趣旨の下に、今回の改正法案におきましてはこの組合に対する医療費の直接支払ということをできるだけ制限して行こう、と申しますより調整して行こうというのが狙いでございます。具体的に申しますると、組合員は今までのようにその四つの医療機関のどれでも利用できるというのではなくて、原則として組合の直営病院、或いは契約病院、或いは健康保險機関が原則である。ただ例外といたしまして医者の専門関係でありますとか、或いは地理的な関係であるとか、或いは時間的な夜間急迫の場合であるというような、そうした医療機関でできない場合は、そういう止むを得ない場合は一般医療機関を利用してもいいというふうに趣旨を改めておるわけでありまして、この点は民間の健康保險法と同様の取扱になるわけでございます。第二点といたしましては、医療機関に対しまする大蔵大臣の報告等の徴収及び立入検査の権限を新たに入れた点でございます。この点は組合といたしましては、やはり医療報酬の請求を適正に査定をして無駄な金が出ないようにするということが一番の重大の問題でございますが、従来医療機関から出ております医療給付の請求につきまして、その内容がわからないというような場合もございまするし、或いは内容が完備いたしましても、患者の療養期間中の行動から見てどうもおかしいというような場合が間間あつたのでございまして、そうした場合にはこの医療報酬請求書だけ見て金を支払つたのでは、どうも組合として無駄な金を支出せざるを得ませんので、更に突込んで査定いたしますためには医療機関まで参りまして帳簿類を見せて頂く、こういう必要があるわけであります。従来の法律にはこの規定がなかつたので非常に不便を感じたわけであります。今回の改正でこの規定を入れて頂くことにしたわけであります。組合経営の健全化の面から言いまして、なおもう一つの規定がございまして、組合といたしましては、従来その資金の一部を組合員に貸付けるという職員の福利厚生の事業を営んでおるわけでございますが、その貸付金の回収がなかなか思わしくない、滞り勝ちになつておる場合が相当ございます。これを何とかしなければならない。組合の資金はやはり組合の掛金とかそれから国庫負担金からなつておりまして、組合員の将来の退職年金やその他の長期給付に使われる金でございますから、その金の回収は確実にいたす必要があるわけであります。これが今までおろそかになつていたわけでありますが、この点につきましては今回の改正法律案に入れてございますが、そうした組合に対する債務がある場合におきましては、この俸給支給機関におきましてその債務額を差引いて組合員に代つて組合に払込むというような規定を新たに入れさせて頂いたわけでございます。以上が今回の改正案の第一点でございますが、第二点は組合の給付額につきまして組合でやつております従来の給付がございますが、その中の保育手当金及び埋葬料につきましての金額の引上げがいたしてございます。保育手当金と申しますのは、組合員が子供ができた場合に六カ月間ミルク代として保育手当金を出すわけであります。その金額が今まで月額二百円という非常に低位に置かれておりましたが、これを倍額の四百円に引上げます。同時に埋葬料につきましても、従来俸給一月分、これを埋葬料として支給する。その最低の金額が四千円に満たない場合は四千円までにするという最低の保障の金額があつたわけでありますが、この最低保障の四千円の金額を六千円まで引上げるということにいたしたわけでございます。第三点といたしましては、最近の公務員制度の改正によりまして、若干特殊の公務員ができております。第一は外務公務員でございます。これにつきましての共済組合法の適用に関する特例を設けたわけであります。この外務公務員が外地で病気をした場合、やはり共済として金を払わなければならんわけであります、何分外地は非常に医療費が高うございますので然条件に共済組合法の規定で金を払つて参りますと大問題を生ずるわけであります。組合の経営が成立たなくなりますので、これについては特例を設けたい。その内容につきましては、現在まだどうしたらいいかいろいろ資料を集めて検討中でございますけれども、一応政令に譲るということにしてございます。いま一つは休職者の問題でございますが、休職者は従来国家公務員共済組合法の適用除外になつております。これは形式的には常時勤務に服さない職員でございますが、実質的には従来休職者は無給でございましたので、これは共済組合から脱退するという建前になつておりました。ところが昨年の暮に休職者につきましても、休職者給与を国庫から支給するということになりまして、給与が支給されることになりますと、掛金がとれることになりますので、組合の利益のためにこの休職者も今後は共済組合員として取扱うという意味の規定を入れたわけでございます。
 以上三点が今回の共済組合法の主要な改正点でございますが、そのほか種種法文の不備とかいう点を捕り意味におきまして、若干の改正を加えてございます。
 以上炉共済組合法改正案の内容でございます。
 次に旅費法の改正案の内容を御説明申出げます。
 今回の国家公務員等の旅費に関する法律の改正案の最大眼目は、旅費定額の改正ということでございます。
 その第一に先ず内国旅費の定額の問題でございますが、これは従来の基準定額を引上げるということが第一点でございます。車賃につきましては約三割、目当、宿泊料、食卓料につきましては約一割七分、移転料につきましては約二割、最近の運賃料金、諸物価の引上げに顧みまして、その程度の引上げをいたすということが第一点でございますが、同時に従来この基準定額を基礎といたしまして、職務が上るに伴いまして、割増しがついていたわけでございますが、その割増し段階が非常に複雑であつたのと、その割増しが一定パーセントで指示されておりましたために会計事務として非常に厄介だということを考えまして、今回は職務ごとにすべて新らしい旅費定額を定めるというふうにいたしたわけでございます。
 次に外国旅費の定額につきましては、最高、最低につきましては大体現行通りでございます。ただその間の職務に伴います段階区分につきましては、大体内国旅費に合せましてきめ直したということになつております。ただ外国旅費のうち、支度料については、従来の支度料は出張の場合を基準に定められておりまして、非常に窮屈になつておりますので、今回外交再開を控えまして、赴任の場合は特に出張の場合より有利の支度金のきめ方をいたしております。
 以上定額改訂のほか、旅費法全般に亘りまして、法文の不備を是正する、或いは技術的な、今回の外交再開に伴いまして、外国旅行につきまして若干の新たに制度を考えるというような措置を講じておるのでございますが、非常に技術的な問題でございますので、省略さして頂きたいと思います。
#31
○委員長(平沼彌太郎君) 次にこの二案に対する質疑を行います。
#32
○大野幸一君 先ほど御説明の中に、組合員が組合から債務を負担しているときに、その給料から差引くということを説明されたように思います。そしてまあ組合の財政を健全にする、こういうようなことになつておりますが、その給料から差引く額の制限がここにあるのですか。
#33
○政府委員(岸本晋君) 組合員に対する貸付規定は、各組合ごとにございまして、その貸付規定に従いまして組合員の債務がきまるわけであります。例えば毎月償還するということになつておりまするとか、毎月債務金額の十分の一ずつ支払うということが貸付規定に当然出て来るわけでございます。その金額を俸給支給機関が引いて行く。
#34
○大野幸一君 それは初めの借受けをするときの契約規定であるのでしよう、あなたの御説明は。
#35
○政府委員(岸本晋君) さようでございます。
#36
○大野幸一君 そうすると、それが延滞した場合に相当多額に上つているその場合に、給料から差引くとなると、場合によつて給料全部を差引かれるというときには、この法律は適用しないのですね、そういうことはないのですか。
#37
○政府委員(岸本晋君) それは貸付規定自体の問題であろうかと思います。貸付規定におきまして、特別な事情でどうしても回収できないというような場合には、又その支払をあとに延ばすことができるというような免除規定が、貸付規定にございましたらそのように取計らいできるかと思います。これはやはりただ貸付規定できまつているものをただこちらで、俸給支払機関で差引くという規定だけでございます。
#38
○大野幸一君 その貸付規定の如何によつて、非常にこれは苛酷になる。というのは、給料というものはその月の生活費に給料者が必要欠くべからざるものである。たまたま債務が延滞して、それがどうかしている場合に、貸付規定がどうなつているかということにおいて非常に影響があるのです。で法律でも御承知の通り、この給料というものについては他の債権者から差押えされる場合にも制限があるのです。生活に差支えない程度という最小限度は保全されるのですね。そういう趣旨を理解してこれは実施してもらわないと困るのですが、その用意はあるのですか、どうですか。そのことを特に一つ……。
#39
○政府委員(岸本晋君) 只今の御意見の通りでございまして、貸付規定というものも、本来は組合員の利益のために作られておるものでございまして、貸付規定自体がそうした意味において定められるだろうということを私たちも想像いたしておるのでございまして、特にそれが各組合に設けられております組合の運営審議会にかけましてきまるものでございます。私どももその点は十分留意して行きたいと思います。
#40
○木村禧八郎君 この共済組合の赤字が相当多いようなんですが、どのくらいになりますか。二十七年度に繰越される貸付金は……。
#41
○政府委員(岸本晋君) 二十六年度は丁度最近終つたばかりでございまして、正確なデータはまだ出ていないわけでございますが、昨年の十一月現在でこしらえました資料で申上げますと、共済組合はこれは御承知のように一般会計、特別会計ばかりでなく、公社、地方公務員も全部含んでおります。全部含めましての純粋な赤字、つまり資産から負債を差引きました純粋な赤字といたしましては約一億二千万円ございます。
#42
○木村禧八郎君 この医療機関に対する未払額というのはどのくらいあるのですか。
#43
○政府委員(岸本晋君) 医療機関に対しまする未払額も、やはり正確な数字は出て参つておらないのでございますが、ただ健康保險医に対する分は社会保險医療報酬支払基金に支払つておりますので、大体最近の数字がわかります。これによりますと国家公務員である共済組合のものは大体六億になつております。
#44
○木村禧八郎君 六億……。
#45
○政府委員(岸本晋君) 約でございます。
#46
○木村禧八郎君 先ほど一億二千万円の赤字ということの御答弁ですが、そんなものじやないのじやないですか。馬鹿に少いのですが……。二十五年度は約十億、各組合の給付未払合計が十三億に達すると言われておるのですけれども……。
#47
○政府委員(岸本晋君) これは未払と、それから純粋な赤字と申しますのは、御承知のようにちよつと違うのでございまして、先ほど最初に一億と申上げましたのは、これは純粋な赤字でございます。資産から負債を差引いたものでございます。
#48
○木村禧八郎君 その未払ですね、未払が今六億というのは馬鹿に少いじやないですか。
#49
○政府委員(岸本晋君) これは基金を通じて支払うべき金の未払でございまして、この基金に共済組合が加盟いたしておりますのは全部ではございませんので、例えば国鉄等が抜けておるのであります。それに対しまする基金だけの未払が六億でございます。それにあと国鉄でございますとか、それから組合の直営機関とか契約機関に対する未払、そういうものを含めますともう少し殖えるかと思います。
#50
○木村禧八郎君 どのくらいですか。
#51
○政府委員(岸本晋君) その点は、二十六年度はまだはつきり報告が出揃つておりませんので、わかりかねるような状態でございます。
#52
○木村禧八郎君 この赤字対策としてはどういうことを考えておられますか。
#53
○政府委員(岸本晋君) 御承知のように一昨二十四年度もやはり一般会計のほうでは三億ほどの赤字がございまして、これは国会で御審議を頂きまして補助をして頂いたわけでございます。その後の赤字もやはり或る程度続いておるのでございます。これをどうするかという問題は非常に組合の経営の上にも重大関心を持つておるのでございますが、ただ最近の状況から見ますと、組合員の受診率というものが大体横這いの傾向に入つておるのでございます。それに今後まあ医療費の無駄な支出を差しとめるというような措置を講じております。更に一番大きな問題といたしまして、昨年の一月、それから十月の二回に亘りましてベース改訂がございました。これによる収入が相当増加して参つておるのでございます。その結果といたしまして、現在大蔵省におきまして、各共済組合の来年度の事業計画書をまあ出して頂いて想定いたしておるわけでございますが、これによりますと、大多数の組合が来年度中には赤字が解消できる、遅くとも再来年度ぐらいには赤字がなくなつて行くだろうという見込になつております。
#54
○木村禧八郎君 この国家公務員共済組合法の一部を改正する法律案の改正の要点を伺いましたが、その中ではやはり赤字対策を加味したものもあるわけですね。今まで聞きますと。そこで赤字対策としては、まあ一つとしては成るほどこういうこともやる必要がないというわけでもないのですけれども、もつと根本に遡つて考えるべき点があるのじやないかと思うのですがね。それで例えばこういうような中途半端な対策によつては本当の赤字対策にならない。今大野さんから御質問がありましたように、六十八条二ですか、これを厳格にやるというようなことになりますと、非常に又障害が出て来るのじやないかと思うのですが、それから成るべく民間医にかからないで、健康保險医とか或いは直営の医療機関とか、それから契約医師にかかるとか、こういうことも、これも厳格にやりますと、折角共済組合を作つた趣旨に合わない点が出て来ると思うのですが、それは町医者にかかるのは例外と言いますけれども、又そういう必要も生じて来るときがあるのですから、而も又、いろいろな医療施設が完備しておればいいわけですけれども、不完備の場合、町医者を要する場合がどうしてもあるのですから、そういう点もつと根本的に考えなければならん点があるのじやないかと思うのです。特に最近聞くところによりますと、健康保險医に対する未払が多いために共済組合員が診療に行つてもいやがつて余りやらない。そういうほうは余りやらんと、こういうふうになつて来ると、これはまあ非常に何というのですかね、この社会保障的な趣旨と反して来ると思うのですが、その点もつとこれも私は不必要であるとは言わないのですけれども、この際やはり根本的にもつと遡つて考えて行かないといけないのじやないかと思うのでありますが、どうですか。そういう点についてやはり考えられておるのですか。
#55
○政府委員(岸本晋君) まあこうした表面的な問題を取上げるよりは、根本的な問題をむしろ考えろという御意見であろうかと存じます。ただ私たち現在考えておりますのは、先ほど申上げましたように、この組合経営の実体となつております、基礎となつております掛金収入が増加しておる、受診率も横這いになりつつあるというようなことで、何と申しますか、組合経営の先は相当明るい見通しを立つておるのでございます。その上にこうした点も考えて経営を引締めて行きたい。まあこういう方針でございまして、根本的にこういう問題に着眼するかということになりますと、やはり先ほど申しました組合の経営の実体がよくなりつつあるという点をまあ私たちは非常に信頼しておるわけであります。
#56
○木村禧八郎君 私はそうそんなに、まあ今後の見通しですからわかりませんけれども、非常に甘いと思うのです。現に相当、伺つても相当の赤字があるのですよ、すでに……。それでもつと今後まあ明るい見通しにあるという想定に立つて、じや、このままでいいとお考えなら別ですけれども、先ずその見通しについても私はそんなに明るいものではないと思うのですが、それで私はお伺いしたいのですが、この共済組合の運営ですね、この運営について、これはほかの健康保險みたいに、ほかの社会保險みたいに組合員が真に参画できるようになつているのですか、これは。
#57
○政府委員(岸本晋君) 組合の運営につきましては、国家公務員共済組合法の第五条におきまして「組合の適正な運営を図るため、各組合に共済組合運営審議会を置く。」という規定がございます。更に第三項におきまして、この「委員を命ずる場合においては、一部の者の利益に偏することのないように相当の注意を払わなければならない。」ということがございまして、実際的には官側と職員組合側から委員としてその構成に参加できるというような建前になつております。
#58
○木村禧八郎君 建前はそうですけれども、実際に、保險者、被保險者の代表からできている審議会というものがあるのですか。
#59
○政府委員(岸本晋君) 各共済組合に置かれております組合の運営審議会は、実際にはそういう委員が両方から出ているわけでございます。ただ御質問の点は、恐らく大蔵大臣がこの共済組合を監督しておるにもかかわらず、大蔵大臣の諮問機関がないのじやないかという御趣旨じやなかろうかと思うのでありますが、この点につきましては、確かにほかの社会保險とは違つておるのでございまして、それであるからと申しまして、その運営を官側だけの利益で考えているということはないのでございます。これは、この共済組合制度を運営いたして参る上におきまして、例えば、共済組合連盟と、これは正式な法律上の制度ではございませんが、連盟組織があります、これと絶えず定例的に会合して意見を交換するということもございます、或いは新らしい行政措置を何か講ずる、或いは法規の改廃をやるというような場合におきましても、これは必ず組合のかたがたの御意見を伺うというようにして、事実上の連絡は確保することに努めておるのでございます。ただこれをほかの社会保險のように制度化するという問題につきましては、もう一歩最近の行政機構簡素化というような問題からも、なお研究する余地があるのじやないかと思つております。
#60
○木村禧八郎君 理事者側の連盟はあるでしようが、これだけの共済組合が、なぜほかの社会保險と違つて大蔵大臣の諮問機関がない、今なければ、今後やはりほかの社会保險みたいに審議会を設ける意思があるのか、やはり半分は組合員が払つているのですから、当然に組合員も諮問機関に参画する、やはりそういう制度を、ほかの社会保險にもあるのですから、それを作るのが民主的じやないかと思うのですが、現在ないとしても、これを今後設ける意思があるのか。今私は設けるべきだと思うのですが、その点をお伺いしたい
#61
○政府委員(岸本晋君) 確かに組合の利益を適正に反映させるという意味におきまして必要な制度かと存じます。ただ、一方におきます行政制度の問題もございます。なお、この点は、私たちといたしましても、もう少し研究して処置いたしたいと考えます。
#62
○木村禧八郎君 それは、研究してと言いますけれども、それは御研究願いたいのですけれども、ほかにあるのですから、確かに私は不権衡だと思う。半分組合員が払つているのですから、負担しておるのですから、その点については十分研究されて、でき得るならば、成るべく近い機会にそういう制度化されることを私は要望しておきます。
 それから、更に赤字の原因はいろいろあるでしようが、罹病者が、病気になる人が非常に多く、給付が多くなれば赤字が多くなつて来るわけですから、一番基本的には、公務員の健康を保持するということが非常に重要だと思う。それについて、特に結核なんかの予防給付について、もつと考えるべき点があるじやないかと思うのですが、それは、例えば、今までの健康診断をやる場合に、自分が行つて健康診断してもらうときには給付対象にはならないのですが、併し、特に結核性の疾患の早期発見なんかには、予防診断をやるような場合、それもやはり自発的にこれは変だと思つたとき、医師に予防的な診断をしてもらつたときには給付対象にされる必要があると思うのですが、そうして、早期発見して予防して、そうして罹病者を少くする、これは非常に必要だと思うのですが、現在では定期的な健康診断ですね、年一回ですか、年一回の定期的な集団健康診断以外には給付対象にはならない、その予防診断の場合ですね、これも給付対象にされるようなお考えはないのですか。
#63
○政府委員(岸本晋君) 共済組合は、御承知の通り民間の健康保險と同じように、病気にかかつた場合の措置ということが課題でございまして、予防給付を、予防的診断を行なつて、その結果症状が発見されたというような場合には、当然これは組合から療養給付ができるわけです。ただ予防的診断を行なつてもらつたけれども、どうも症状が出なかつたという場合の費用はどうするか、これが問題になると思うのであります。現在、先ほど御指摘のございましたように、国が職員の健康管理を行う上におきまして、年に一回の健康診断を行なつておるのでございますが、それ以上の予防的な診断まで行わせるということは、今のところ財政上困難な状況でございます。これを組合で以て取上げて見てはどうかという御質問かと存じます。非常に趣旨としては、結局これによつて健康管理が完全に参りますと、国としても将来財政負担をそれはやらなくてもよろしいのでありますし、そのほか行政能率の向上という意味で非常に結構な制度でございます。ただ、何分にも現在の共済組合といたしましては、先ほど申上げました通りの赤字がございます、これも漸次好転の見通しはございますが、なお或る程度の赤字は持つておるという状況でございますし、同時に、予防給付という制度自体が、考えようによつては濫に流れやすい制度でもあるわけであります。事実的にこうした濫に流れやすいのをどうして止めて行くか、共済組合の見通しから見て、なお実施ができるという見通しが大体つくかどうか、こうした点を兼ね合せまして、なおこれを取上げるかどうかは研究して参りたいと思うのでございます。一番問題は、その濫を防ぐと申しますか、技術的な方法にうまいのが発見でさましたら、これはあえて反対すべき制度ではないと思います。なおその方法については研究いたしたいと思います。
#64
○木村禧八郎君 成るほど、社会保障制度が濫に流れることは、それは十分警戒しなければならんことは言うまでもないのですが、併し、日本の今の現状は濫に流れるとか何とか、これは問題にならないですね。問題にならないですよ。消極的に今考えるような段階ではない。よその社会保險、社会保障制度を考えても問題にならないですよ。これはあなたに言つてもあれですけれども、僕は今の、特に自由党の政策なんか非常に憤慨に堪えないですよ。ほかにたくさん社会保障に充てるべき財源があるのに使わないで、今の考え方が実に消極的なんです。私は意見として、まだまだ病気になるもつと根本の原因として、公務員の給与問題もありますし、労働条件の改善とか、或いは健康診断、リクリエーシヨン、そういうもつと根本的には、考える点もたくさんあると思うのです。そうしてもつと政府も思い切つて負担すべきだと思うのです。この機会に私は一応速記に残しておく意味で御質問しているのですが、あなたに余りそう言つてもこれは事務的な立場として、何ですが、大臣にあとで言わなければならないのですよ。この際私はそういうことを要望しておきます。ただ最後に、この先ほどの大野さんの質問があつたのですが、もう一遍念のために、さつきの貸金や何か給与から差引く問題ですね。あれについては、あれは余り厳格にやると非常にすぐに大きな問題が出て来ますから、支障が生ずる点が出て来ますから、この運用については十分その機械的に流れないように留意されたいと思うのですが、これに対してのお考え、結局これまでと非常に変つて来るかどうかです。
#65
○政府委員(岸本晋君) まあ貸付金の返済を確保するための今回の法律規定の趣旨につきましては、先ほど御答弁申上げました通りでございますが、これによつて従来とは非常に取扱を変えるという意味のものではございません。正当に払われる、払われるのにもかかわらず、まあ不精して払わんという人たちから正当に回収して行きたいということでございまして、例えば非常に家族が病気にかかつて出費があつたという場合に、まるまる取立てようというようなことまで全然考えてないのであります。その点は組合の不利益にならないように、貸付規定自体において然るべく安全弁の規定を設けて行きたいと、かように考えております。
#66
○大野幸一君 若しこれが俸給の半額とか全額ということになれば、これは我々だけで審議することができないので、この間民法の改正をやる際に、この点を考慮して改正したのです、ここで俸給と貸金債務と相殺するという意味になれば、或いは民法の規定が根本的に覆えるから、これは法務委員会と合同委員会でもしなければ我々は審議に入ることができないのだが、もともとこれは共済組合の中のことであるから、我々はそれを信頼するのであるが、併しあなたの答弁だけでは満足できない。あの民法の規定を害しない範囲内だということが確言ができるかどうか。多分これは四分の一以上は民法の規定でも差押えから保護されているのです、全給料の四分の一、そういうふうに改正したはずです、この間民法を……。だからその規定をこんなちよつとした十字に足らない規定で覆えすというわけに行かないわけです。その点について確約ができるかどうかということです。
#67
○政府委員(岸本晋君) 実は非常に不勉強で申訳ないのでございますが、民法の点につきましては、なお研究いたしてございませんが、ただ先ほど申上げました組合内部の貸付規定でございますので、それに従つて俸給から差引いて行くということでございまして、特別に何か民法と矛盾するようなことが生じては参らないのじやないかというように考えております。
#68
○大野幸一君 参らないのじやないかというのじやどうも安心できない、これは……、あなたもこれを立案される立場の人であるから、それぐらいの確約はできるはずであると思うし、そもそもこれはあなたに参考のために言つておきますが、一体給料が他の債務と相殺できるかどうかということが根本問題なんです。あれはほかの債務とは相殺できないという説もあるのですよ。それから日本の民法は昔から債権者保護であつて、それで若干の差押えを許していたのです、これくらいに俸給というものは保護されておるのです。それをあなた民法との比較において民法を害することはないというぐらいな確約をする義務があると思うのですが、どうですか。
#69
○政府委員(岸本晋君) 民法の規定は当然その点は尊重して参らなければならないかと存じます。
#70
○木村禧八郎君 率直に申上げますが、共済組合の代表の諸君と会われて今度この改正案を出す場合には、非常にいろいろ要望があつた思うのですが、その要望を考慮されるということを言われたと思うのですがね。ところが全然考慮されていない。例えば結核性患者の予防給付の今質問した問題、それからさつき大蔵大臣の諮問機関として運営審議会を設けるという問題、それから人夫、非常勤職員その他名義の如何を問わず実質的常勤者を組合員とする。それから組合員の掛金を適正に押える等、いろいろこういう問題については今度改正の場合に考慮される、こういうことであつたが、今度の改正案を見たら全然これは考慮されていないということを聞いておるのですが、今度はまあ改正案に含まれなかつたとしまして、今後又臨時国会でも聞かれ、又次の国会あたりにでもこういう点ですね、要望を含めて改正される用意があるのかどうか、この点最後にお伺いしておきたいのですが……。
#71
○政府委員(岸本晋君) 只今木村委員から御指摘になりました要望というのは、それは恐らく職員組合の側から出た要望のことだろうと存じます。又そのうちには非常に私たちとして成るほどと思う点もあるのでございます。現在の財政状況、或いは機構改革の問題、その他の点から勘案しまして、今回はその一部しか取上げられなかつたという結果になつておるのでございます。なお情勢の展開を見ましたならば、できるだけの努力はいたしたい、かように考えております。
#72
○大野幸一君 その次に国家公務員等の旅費に関する法律の表ですが、この表の別表第一、内国旅費のところ、この標準はどこにとつたのでしようか、私ちよつと気が付いたのですが、国会議員との比較はどこに標準をとつたのですか。
#73
○政府委員(岸本晋君) 実は国会議員のかたがたの旅費につきましては、国会議員の歳費旅費等に関する法律がございます。あれによりまして規定がございますので、国会御自身で御判断になるべきものだと存じまして、この国家公務員の旅費法からは一応外して考えておるわけでございます。
#74
○大野幸一君 その法律のあることは知つておりますがね、国会議員がこうだからこうだという、そういう遠慮の気持はなかつたかどうかということです。国会議員は国会議員で作るから、おれたちはおれたちで作る、こういう意味だつたかということです。
#75
○政府委員(岸本晋君) それはそういう考え方ではないのでございまして、現在の国会議員の旅費に、つまり日当につきましても、この法律に併せまして或いは御改正があるのじやないかというふうに考えたわけでございます。
#76
○大野幸一君 一体国会議員の宿泊料は甲地方では幾らになつておるか、あなた御存じですか。
#77
○政府委員(岸本晋君) 国会議員の旅費につきましては、たしかこれは禍泊料とかいうことじやなく、何か一本の名称じやなかつたかと存じますが、甲地、乙地という区分でなくたしか千七百円見当じやないかと思います。
#78
○大野幸一君 そういたしますと、国会議員は食卓料はないのですね。そうするとここで三百二十円という十五級の職務にある者より国会議員は実質的に少くなつておるのですね。そういうことを斟酌されなかつたのですか。
#79
○政府委員(岸本晋君) それは非常に技術的な問題でございまして、恐縮なんでございますが、この食卓料と申しますのは、これは普通の場合は出ないのでありまして、船に乗つた、或いは飛行機に乗つた場合の夜食料として出るものでございます。この上にあります日当、宿泊料と同じに見る性質のものではないのであります。
#80
○木村禧八郎君 この汽車賃、日当、宿泊料の区分ですね、これは非常にたくさん区分されておるのですが、従来は汽車賃は一等とか二等とか三等とか、こういうことになつておつたようです。それを何だか今度は一キロメートルにつき幾ら、こういうふうな規定がしてあるのですが、食卓料のうちでもこんなに階級的に区分する必要があるのですか、一体……。
#81
○政府委員(岸本晋君) どうも細か過ぎて御存じないかと存じますので、簡単に説明さして頂きますと、鉄道賃とかにつきましては、別に本文に規定がございまして、この車賃は鉄道旅行以外でございます。バスに乗つたとか、電車に乗つたとかの手当でございまして、それともう一つ、段階区分が非常に多過ぎるということでございますが、これは従来の規定では基本定額一本の上に割増率でずつと計算しておりまするが、約十ほどございます。それを今回これだけに整備したのであります。表で申しますと十王級及び十四級にある者は一括して六割程度の割増しになるわけであります。従来は十三級が六割、十四級七割になつておつた、それを上のほうを一段削りまして六割にまとめた。だんだん整理いたす方向に向つておるのであります。
#82
○大野幸一君 そうなると、今の問題ですがね、汽車や船舶のないところでは区別を設ける必要がないようだが、バスでも自動車でも乗るのは同じだが、それはどういうようにして区別しておるのですか。
#83
○政府委員(岸本晋君) 明治以来の(笑声)古い慣習でありまして、実はバスに乗つた場合、歩いた場合、電車に乗つた場合、一々やりますと事務的に非常に複雑になるわけでございます。一々一日の旅行でいろいろの交通機関を利用するわけでありますが、乗つたたんびに違つた計算をやるというと会計が手を挙げてしまうので、鉄道だけは別にして、あとは車賃一本、これは主として技術的な問題であります。
#84
○大野幸一君 そんなことはわかつておるが、等級をつける必要はないじやないか。それはやはり従来からの慣習でやつたというならば、まあ小さい法律ですから、笑つて済ませますが、身分だとかいう意味でなく、なお八円八十銭と四円との差があるのは、乗ることは同じじやないかと思う。
#85
○政府委員(岸本晋君) やはり階級、旅費全体としまして階級をつけるという問題はあろうかと存じますが、従来の慣習といたしましても、この程度の差がついております。事実上内閣総理大臣のかたが電車で旅行なさることも先ずあるまいということでございます。
#86
○木村禧八郎君 ちよつと雑談みたいになつてあれですけれども、ちよつとそれは大野さんが言われるように、総理大臣は仮に別として、例えば八級の人がバスに乗る場合四円四十銭で片方七級の人は四円というのは、どこが違うのか、どうも判断に苦しむのですが、こういうものもやはり整理されたらどうかと思うのですがね。我々了解に苦しむんですよ、我々平民は。庶民はどうもわからんですね。
#87
○委員長(平沼彌太郎君) 他に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#88
○委員長(平沼彌太郎君) 異議ないと認めます。それでは二法案一括して討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにして御発表願います。別に御発言もないようですが、討論は終結したものと認めて御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#89
○委員長(平沼彌太郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。
 国家公務員法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成のかたの挙手をお願いいたします。
   〔賛成者挙手〕
#90
○委員長(平沼彌太郎君) 全会一致であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 次に国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案を原案通り可決することに御賛成のかたの御挙手をお願いいたします。
   〔賛成者挙手〕
#91
○委員長(平沼彌太郎君) 全会一致であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 なお諸般の手続は前例によつて委員長に御一任を願います。
 それから多数意見者の御署名をお願いいたします。
  多数意見者署名
   下條 恭兵   大野 幸一
   菊田 七平   岡崎 真一
   油井賢太郎   西川甚五郎
    木村禧八郎   伊藤 保平
    森 八三一   大矢半次郎
    黒田 英雄
  ―――――――――――――
#92
○委員長(平沼彌太郎君) ちよつと速記をとめて。
   〔速記中止〕
#93
○委員長(平沼彌太郎君) 速記を始めて。ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く連合国財産及びドイツ財産関係諸命令の措置に関する法律案について内容の御説明を願います。
#94
○政府委員(内田常雄君) この法律案は占領中のポツダム政令の法律への切替のためのものでございまして、発効に関連いたしまして、従来の政令のうちで講和後の事態に適さない分を併せて修正することを目的といたしております。大変わかりにくく且つ長い法律案になつておりますが、只今申述べましたように、これは従来ありました政令の一部を講和発効後の事態に適するように文章等を書換えた点が主でございまして、内容といたしましては全く新らしいものを加えた点は少うございます。
 第一条から第十三条まで十三カ条と、それに若干の附則がついております。而してこの法律案によりまして切替をいたそうとするポツダム政令は五つございます。
 第一は連合国財産の返還等に関する政令でございまして、これは第一条かち第三条までがこの政令の切替に関する事項を規定いたしております。それから第二は連合国財産の家屋等の譲渡等に関する政令の法律への切替でございまして、これはこの法律案の第四条がこれに該当いたしております。第三番目は連合国財産である株式の回復に関する政令でございまして、これの切替関係はこの法律案の第五条及び六条がこれを規定いたしております。第四番目はドイツ財産管理令でございまして、これの切替関係は第七条から第九条までがこの関係を規定いたしております。第五番目は略奪品の没収及び報告に関する件と申す政令でございまして、この関係はこの法律案の第十条及び第十一条がこれを規定いたしております。残りの十二条と十三条は罰則並びに経旭的措置に関する補足的の事項でございます。
 そこで全体の趣旨を申しますと、提案理由の際大蔵政務次官からも述べられたように、占領期間中敗戦後の処置といたしまして、我が国は連合国最高司令官の命令に基きまして連合国財産の返還の義務を課せられておりましたし、又これは連合国ではございませんが、ドイツ財産の管理処分の仕事を同じく連合国のためにやつて参つたのであります。これらの関係は只今申述べました五つの政令で規定せられておつたのであります。然るに平和条約が成立いたして、平和条約が発効いたしますと、これらの連合国財鷹乃至ドイツ財産の関係は、連合国最高司令官の命令に基く日本政府の義務から、今度は平和条約に基く日本政府の義務に切替えられることになつております。即ち平和条約の第十五条、第十七条及び二十条に従来と同じような大体形において連合国財産の返還、或いはドイツ財産の管理処分、或いは略奪品の返還等の義務が課せられているのでありまして、そこで平和条約が発効しましても大体従来やつて参つたと同じような仕事を今度は平和条約を元にいたしました日本の法律によりまして規制しなければならないことに相成りました。そこで簡単に以下五つの政令を如何ように切替えるかということを申上げます。第一は連合国財産の返還等に関する政令の改正、即ち第一条から第三条まで、これが一番この法律の主要な部分でありまして、お手許の厚い法律案の一頁から四十八頁までを占めております。どういう切替をいたしますかと申しますと、その一つは従来の政令の目的の字句を改めます、即ち従来の連合国財産の返還等に関する政令の第一条におきましては我が国は連合国最高司令官の要求に基いてこの政令に定むる措置をとると、こうなつておりますのを、今回は平和条約第十五条及び第十七条の規定に基いて以下の処置をとる、こういうふうに改めるわけでありまして、ただ時代の変化をこういうふうに現わしたのであります。第二点は連合国の範囲の問題であります。従来連合国の財産の保全、或いは返還の対象とせられた諸国は専ら連合国最高司令官から指定を受けておつたのでありまして、その指定を受入れまして従来の政令の別表に六十カ国を掲げておつたのでありますが、今度は連合国財産の返還が平和条約上の義務として日本政府に課せられることになりますと、その主体の範囲が変つて参ります。即ち平和条約を批准した国だけが連合国でありますから、今度は六十カ国全部に対して直ちに連合国財産の返還の義務を負うわけではないのでありまして、平和条約に署名いたしました四十八カ国のうち、逐次その批准を済ませる国のみに対して返還の義務を負うことになりますので、そこで連合国の範囲を今申すように、平和条約の第二十五条に規定する連合国、こういうことに改めまして大変狭くいたしたのであります。尤もこの連合国の範囲は批准がだんだん進むに従いまして拡まるわけでありまして、従つてこの平和条約発効の際、即ちこの法律の施行の際連合国でないものでありましても将来それが連合国に入つて来る、更に又サンフランシスコの条約には署名しておらなくても平和条約第二十六条の規定によりましてサンフランシスコ条約と大体同種の内容の平和条約を結ぶことを義務付けられておりますような諸国につきましても、将来或いはその財産の返還の問題が起るかも知れません。そこで今度の切替法におきましては、連合国の範囲をいわば二つに分けまして、直ちに財産の返還を実施する連合国、即ち平和条約の署名国と、今後返還をせねばならんと思われる予備連合国と申しますか、連合国予備国というふうに二つに分けまして、あとのほうの連合国関係の財産につきましては返還はしないが、どうせ返還しなければならなくなるであろうという想定の下に、保全の仕事だけをするように規定を書換えてございます。次の点はこの財産の範囲であります。従来保全或いは返還の対象とせられておりました連合国財産は、主として戦争中の敵産管理法の規定によりまして日本政府が敵産管理人を任命いたしまして相手国或いは粗手国民の財産を、強制的に処分をした財産のみでありましたが、今度この切替法ではそのほかに略奪いわゆる略奪品の関係と、それから拿捕船の返還と申しますか、平和条約第十七条の規定によりまして戦争中の捕獲審検所の決定によりまして拿捕した船を奥に審査をやり直して、その審査の結果相手国に返還すべきものと決定したものは返還しなければならない義務が規定せられておるのでありますが、その関係をもこの法律の中に取入れまして、今申す略奪品と返還すべき拿捕船を連合国財産の範囲に加えてございます。これは平和条約の十五条及び十七条からいたしまする義務でございまして、平和条約が施行されます以上この形をとらなければならないと存ずるものでございます。尤もこの拿捕船の再審査の関係につきましては、この法律以外に特に運輸省関係から別個の法律案が本国会に提出せられるはずでございます。それは平和条約の十七条を受けまして捕獲審検所の検定の再審査に関する法律案、こういう名称で再審査の手続関係を規定されることになつております、この手続によつて返還が決定せられたものがこの切替法で返還の対象になる、こういうことでございます。
 その次の改正点は返還請求権者の範囲であります。従来連合国財産の返還を請求できる者は連合国財産の旧所有者でありまして、最高司令官の覚書による従来六十カ国の国民であるものとされておりますのを、連合国の範囲が変るのに即応いたしまして、平和条約に批准した国の国民である、こういうことに狭めますこと、又従来の返還を請求し得る連合国人の範囲には連合国の国家そのもの、或いは連合国の自然人或いは連合国の法令に基いて設立された法人のほか、これらのものが支配をしておる法人即ち連合国の自然人又は連合国法令でできた法人が支配をしておつたならば、その法人は日本法人であつても返還請求ができることになつておつたのでありますが、今回この関係を狭めまして、日本法人であつても返還請求ができるものは連合国の自然人或いは法人が一〇〇%その会社の株式なり或いは社員権を持つておる者に限ると、かような工合に狭めたこと等でございます。
 その次の改正点は、これは今までの政令になかつた新らしい点でありまして、返還請求権の消滅を規定いたしております。連合国財産の返還を請求する権利は平和条約の第十五条におきまして、条約の効力発生後九カ月以内に返還請求をしたものに限つて日本政府は返還の義務がある。それまでに返還の請求をなさないものについてはこの財産については日本政府が適宜処分すると、こういう趣旨の規定があるのであります。そこでこの返還に関する切替法におきましてもこれを受けまして、条約発効後九カ月以内に返還の請求のない連合国人の財産につきましては、それは国庫に帰属するということの規定をいたしております。次の改正点は返還を請求する連合国人のいわば二重利得の取戻しの関係を規定しております。これも従来の政令になかつた新らしい規定でありまして、連合国人が一方において自分が敵産管理人によつて処分された財産を今後返還をしてもらう、而して他方においてこの日本の戦争中の敵産管理はその財産を処分いたしますと、その代金を日本政府が没収してしまつたものではないのでありまして、その連合国人の名義で当時の正金銀行、今日は日本銀行に移されておりますが、そこの特殊財産管理勘定というものを設けまして、各連合国人の名義でその処分代金を振込んでいるのでありますが、その振込まれた処分代金を戦争中最高司令官の要求で、各連合国人がすでに引出したものがある、そうすると一方においてはこの法律或いは平和条約の規定によりまして、財産そのものを返還してもらいながら他方においてはその財産の敵産管理人による処分代金を日本銀行から引出している。こういう場合には結局そこに代金と財産との二重利得の関係が生ずることになりますから、かような不当利得を連合国人に与えないように、すでに引出した特殊財産管理勘定の金はこれを連合国人に対して返還を請求する、こういう趣旨の規定を設けてございます。これは去る十二国会で連合国財産補償法の御審議を願いました際に、補償の関係でも連合国人の二重利得が生じないように、或る種の二重利益を差引くという規定を設けましたのと同じ趣旨でございます。
 それからその次の改正点は、従前連合国人の財産でありましたものでも、その後、状況が変りまして、例えば連合国人所有の土地が現在道路になつておるとか、その他公共の利益を目的とするような施設になつておりまして、返還する余地はない、或いは返還することが公共の利益から非常に困難だというようなものについてはその返還はしない、こういう規定を置いてあります。尤もこの場合には返還しないで済むものではないのでありまして、先般制定いたしました連合国財産補償法で補償を受けるということに相成ると思います。
 以上がこの第一の連合国財産の返還などに関する政令の法律への切替及びこれに関連する必要なる改正でございます。
 第二の政令、即ち連合国財産土の家屋土地等に関する政令の切替、即ちこの法律案の第四条についてでありますが、この政令は、連合国財産である土地が返還される場合には、その土地の上に日本人所有の家屋、工作物等がありました場合には連合国人の選択によりまして、その施設を連合国人に譲り渡すか、或いはそれを取払う、こういうことを規定したものであります。この政令はいわば、先ほど申述べました連合国財産返還に関する政令の補助規定でございまして、従いまして目的その他用語、或いは連合国人の範囲、或いは連合国の範囲等すべて先に申述べました第一の政令と符節を合せまして、大体同種の改正をいたしております。なおこの連合国財産上にある家屋等の除去等に関する若干の権限を大蔵大臣から都道府県に委任することができるようにした規定を今回置いてございます。
 それから第三の政令、即ち連合国財産である株式の回復に関する政令でありますが、これはこの法律案の第五条、第六条、この株式の回復に関する政令は同じ連合国財産でありましても、株式と他の動産、不動産とは甚だ態様を異にして、戦時中敵産管理人等が処分した連合国人所有の株式は、その後国内の取引界を転々流通しておる。而もその後会社の増資等によりまして子株の引受権というようなものも発生いたしておりまして、他の財産と態様を異にしておりますために、これも第一に申述べました返還等に関する政令の補助政令と申しますか、特別政令と申しますか、要するに一連の関係としてできた政令で、今まで施行されておるものでありますが、その株式関係の政令におきましても、この政令の目的、或いは連合国人の範囲、返還すべき株式の範囲、返還請求権者の範囲、或いは返還手続、回復請求権の消滅などについて大体同趣旨の改正を加えております。関係条文も第一の政令改正を逐つておりますので、ずつと短かくなつております。
 第四番目はドイツ財産管理令の改正であります。そもそもこのドイツ財産は、本来日本政府には関係のないことでありまして、敗戦国であるドイツ国、或いはドイツ人の日本にある財産、或いはその他連合諸国にある財産は、日本に関係のない連合国がこれを接収処分するのでありまして、連合国が或いは直接やるべき仕事かとも思われるのでありまするが、占領期間中からそのお手伝を日本政府がさせられております。その関係をうけまして平和条約第二十条でもドイツ国財産の処分は日本政府がその仕事をして、それの処分代金を英、米、仏の三国に引渡す、こういう規定をいたしております。これを実施する関係で、依然この改正法律にもこの件が残ります。ドイツの在外財産は昭和二十年ベルリン会議の議事の議定書、即ちポツダム協定というのがありまして、ドイツ管理理事会というものにその処分が委ねられているのでありまして、このドイツ管理理事会というのは英、米、仏及びソヴイエトの四国の最高司令官によつて構成せられておるのでありますけれども、ソヴイエトはその同じ議定書の中で、東方地区以外のドイツの在外財産に対する請求権を放棄しているので、結局この法律によりまして、日本にあるドイツ財産の処分代金は英、米、仏の三国の勘定に振込まれる、かようなことに相成るものであります。
 それから第五番目に略奪品の関係でありますが、これは先ほど申述べましたような略奪品の没収及び報告に関する件という政令が従来からあるのでありますが、これはこの政令を法律化しないで、これは第一の連合国財産の返還等に関する政令の中に一緒に織込みまして、関係の政令を一つ減らすようにいたしておるものであります。いろいろ長くごたごた書いてありますけれども、以上がこの法律案の内容でございます。
#95
○委員長(平沼彌太郎君) 本日の委員会はこれを以て終ります。
   午後四時五十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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