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1951/04/17 第13回国会 参議院 参議院会議録情報 第013回国会 大蔵委員会 第42号
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1951/04/17 第13回国会 参議院

参議院会議録情報 第013回国会 大蔵委員会 第42号

#1
第013回国会 大蔵委員会 第42号
昭和二十七年四月十七日(木曜日)
   午前十一時三分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     平沼彌太郎君
   理事
           大矢半次郎君
           菊川 孝夫君
   委員
           岡崎 真一君
           黒田 英雄君
           西川甚五郎君
           溝淵 春次君
           小宮山常吉君
           小林 政夫君
           森 八三一君
           下條 恭兵君
           波多野 鼎君
           菊田 七平君
           油井賢太郎君
           木村禧八郎君
  国務大臣
   大 蔵 大 臣 池田 勇人君
   国 務 大 臣 岡崎 勝男君
  政府委員
   特別調達庁次長 堀井 啓治君
   特別調達庁財務
   部長      川田 三郎君
   特別調達庁管理
   部長      長岡 伊八君
   日本專売公社監
   理官      久米 武文君
   大蔵省主計局長 河野 一之君
   大蔵省主計局次
   長       石原 周夫君
   大蔵省主税局長 平田敬一郎君
   大蔵省主税局税
   制課長     泉 美之松君
   大蔵省主税局税
   関部長     北島 武雄君
   大蔵省理財局長 石田  正君
   大蔵省理財局次
   長       酒井 俊彦君
  事務局側
   常任委員会專門
   員       木村常次郎君
   常任委員会專門
   員       小田 正義君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○日本国とアメリカ合衆国との間の安
 全保障條約第三條に基く行政協定の
 実施に伴う所得税法等の臨時特例に
 関する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
○日本国とアメリカ合衆国との間の安
 全保障條約第三條に基く行政協定の
 実施に伴う国税犯則取締法等の臨時
 特例に関する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
○日本国とアメリカ合衆国との間の安
 全保障條約第三條に基く行政協定の
 実施に伴う関税法等の臨時特例に関
 する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
○日本国とアメリカ合衆国との間の安
 全保障條約第三條に基く行政協定の
 実施に伴う国有の財産の管理に関す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○日本国とアメリカ合衆国との間の安
 全保障條約第三條に基く行政協定の
 実施に伴うたばこ專売法律の臨時特
 例に関する法律案(内閣送付)
○特別調達資金設置令の一部を改正す
 る法律案(内閣送付)
○本委員会の運営に関する件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(平沼彌太郎君) 第四十一回大蔵委員会を開会いたします。
 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う所得税法等の臨時特例に関する法律案、同国税犯則取締法等の臨時特例に関する法律案、同関税法等の臨時特例に関する法律案、同国有の財産の管理に関する法律案、同たばこ專売法等の臨時特例に関する法律案(予備審査)特別調達資金設置令の一部を改正する法律案、(予備審査)右六案について一括して質疑を行います。
#3
○木村禧八郎君 特別調達庁のかたに御質問いたしたいのですが、今日は主として行政協定十二條に基くこの法律案について質問いたしたいのですが、特にその中で調達方式ですか、その問題について伺いたいのですが、この前特調のかたに要求しておいたのですが、アメリカの調達規則によつていろいろ発注されるために、日本の商習慣を無視していろいろ発注されるために、日本の業者がいろいろ迷惑をこうむつておるやに聞いております。そういう例がいろいろあるやに聞いておりますので、例えば東亜紡織、東京螺子、それからレイモンド会社の例があるというように聞いておるのですが、レイモンドというのは土建会社ですか、これについても特調はよく御存じだと思うのです。その例について具体的に差支えない範囲でよろしいのですが、今度直接調達になつた場合、そういうような弊害が繰返されたのでは日本経済にとつて非常に不利でありますので、その参考のために前に御質問しておきました具体的な事例について御説明願いたいのですが。
#4
○政府委員(堀井啓治君) 具体的な話は、この前要求がございまして調査いたしましたが、速記を一つとめて頂きたいと存じます。
#5
○委員長(平沼彌太郎君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#6
○委員長(平沼彌太郎君) 速記を始めて下さい。
#7
○木村禧八郎君 前に私はアメリカの軍の直接調達に基くいろいろな弊害があるので、その実例として東京螺子、東亜紡織、それからレイモンド会社の問題について質問をいたしたのであります。それについて大体の事情はわかつたのであります。事務当局としてはいろいろの点がありますので、御答弁しにくい点もあると思うのですが、我々としては行政協定十二條によつて米軍、特に講和後において駐留軍が発注するその調達の方式においそは従来の直接調達による弊害をなくするために間接調達方式がいい、それでなくてはならないと考えていたのですが、行政協定十二條において一応日本の政府が一元的に間接調達をし得る條項があるにかかわらず、事実においては直接調達に決定したやに聞いておるのです。今後この直接調達によるいろいろな障害というものは相当大きいものじやないか。これに対しては相当はつきりした対策を立てなければ日本経済にとつて非常に損失が起ると思うのです。北大西洋條約の例においては、第九條においては、これは駐留されておる国の官憲の手を通じて駐留しておる軍の物資を調達する場合には間接的に調達するということになつておる。はつきりなつておるのです。ところが日本の場合は一応間接調達もできるような條文があるにかかわらず、これが実際においては直接調達になつておる。只今これまでの調達方式による弊害の例として二つの点が明らかになつておる。その一つの点は、丁度東亜紡織の例にあるように、アメリカの調達規則によつてリネゴシエーシヨン・アクトが適用される。そのために金利とか、或いは間接運搬費とか、或いは手数料というものがコストの経費の中に入れられない。或いは又人件費については日本の商習慣としては普通退職給與引当金なんかはこれは経費の中に算入されると思うのですが、アメリカの調達規則によればこれは算入されない。日本の商習慣と非常に違つた調達方式がとられておる。それによつて某会社は現実に損を受けておる。もう一つは、今度はレイモンド会社の例ですが、これはアメリカの商社が今後講和後において駐留軍が発注するいろいろな注文に介入して来た場合、レイモンド会社のような例が起つたら、これは日本の経済にとつても、日本の業者にとつても非常な不利なことになると思うのです。そこでお伺いいたしたいのですが、この直接調達方式というのは、もうこれは変えられない、もう動かせない事実になつてしまつておるのかどうか。前にはまだ日本側の政府のほうの意見もはつきりきまつていないと言つていましたが、事務当局のほうとしてはどうなんですか。もう諦めてしまつておるのですか。直接調達にもう決定してしまつてどうにもしようがない、こういう段階になつておるのですかどうか。
#8
○政府委員(堀井啓治君) 只今お尋ねの問題につきましては、予備作業班において折衝が行われておりますが、私従来米軍の調達を担当いたしておりました経験から、直接調達から生ずる弊害等につきまして、調達庁におきまして意見を述べたこともございましたが、又全般的に更に考えまして先般主計局長からも御答弁がございました通り、日本側の負担いたしまする九十二億を除きました五百五十八億はおおむね役務費とか運般費というようなものでございまして、只今御指摘になりましたような特需の、例の問題の比較的少い面を分担いたしておる関係もございまして、米軍側の強い直接調達の希望に対して、我がほうといたしましても止むを得ない、これは十二條の規定によりまして、できるだけ日本の商習慣等を取入れる方式をとられることによつてカバーされるように努力いたしたいと思います。
#9
○木村禧八郎君 まあこれは重大な、実は今の政府の大きな責任問題ですから、この点については大臣に質問いたしますが、北大西洋條約や何かでは、はつきりやはり現地官憲の手を通じて現地物資を調達するということになつて、わざわざ十二條に又そういうことができるような條項を入れておきながら、実際には非常にこれまで弊害が多かつた直接調達に屈服してしまつた、もう実にだらしがない。この点については何のために十二條でああいう條項を挿入したのか、意味をなさないと思うのです、折角入れたのに……。併しこれを事務当局に申上げても意味ありませんから、大臣に質問いたしますが、それでもつと事務当局に具体的な、事務的なことをお伺いしたいのですが、更に実例として一昨年五月に石炭入札の際に、アメリカの調達担当者が自分の支持する商社を入札に参加せしめるように示唆したと、こういう例があつたように聞くのですが、そういうことありましたですか。
#10
○政府委員(堀井啓治君) 私只今御指摘のような例を記憶いたしませんので、調査いたしまして御報告申上げます。
#11
○木村禧八郎君 今度、大体今お話を承わりますと、直接調達止むを得ない、そういうふうになつておるように伺つたのでありますが、そうしますとこれまでの米軍の調達によつていろいろ弊害があつたのですが、その弊害のうち、先ず第一に日本の予算決算会計令と抵触する面が非常にあつたのですが、そういう問題はどうなんですか。例えば予定価格制度は今まで米軍の発注においてはよくこれが否定される、無視されたことがある。これは今後直接調達になる場合、そういう無視されるようなことはないだろうか。大体日本の会計法では業者の見積乃至入札価格については、政府の予定価格があるはずですが、それが直接調達になると、そういうものは一体適用できないのか、何のために予算決算会計令で予定価格制度というものを設けたか。設けておいて日本の業者にはそれが適用されない、日本政府が発注する場合は……。ところが片つ方はそれに拘束されない一つの発注形式があるとしたら、日本の国内に別の政府が一つできておるようなものであつて、非常に混乱せしめられると思いますが、そういう弊害は起らないか、この点お伺いしたいのです、実際問題として……。
#12
○政府委員(川田三郎君) 予定価格制度につきまして、アメリカの経理方式と日本の予算決算会計令の認めておる方式と異なる点がございますことは御指摘の通りでございます。ただ弊害という点では日本の予定価格制度におきましては、従来の関係業者は大体熟練しておりますが、アメリカの予定価格制度についてはまだ不馴れなものが非常に多い。で、弊害があるかないかという点につきましては、必ずしもアメリカの予定価格制度において弊害が起るとばかりは推測できないのでありまして、それはなぜかと言いますと、アメリカはやはり予定価格と考えられる積算はいたします。ただそれが彼らは一種のガイドであると申しておりまして、基準である、その予定価格に組み合せまして納期、業者の能力、そういう要素を参考にいたしまして、その予定価格からどのくらいの距離があるかという点を判断して、これにやはり合理的に近いと考えられるものを選定いたしまして、必ずしも予定価格以内の最低をとらないという点が違うのであります。併しこれは法規そのものの違いがある以外に、その会計担当官の運用如何でありまして、予定価格によつて制約される。日本の会計官はそうした裁量の余地がないわけでありますが、アメリカのほうの方式で行きますと、予定価格必ずしも制約にならん。予定価格を超過しておるものはなかなかとれないわけでありますが、必ずしもその最低の入札者ばかりをとらなくてもよろしい、二番札、三番札をとりましてもいいという点はございます。そこで取り沙汰されておりますのは、たまたま最低にならなかつたものを選びまして、最低札の線まで改めてネゴシエートする。そこで最低札を入れました者は、日本の会計官によつて経理されるならば、当然自分が落札者になるのでありますが、一面において落札者でなくなる、同時に落札者となるべき地位、つまり選ばれました仮に三番札の者があるといたしますと、その三番札の者と自分の入札した価格で契約が結ばれる、その一番札である最低者の値段までネゴシエートによつて減額される、こういう点で日本の会計法規に馴れておる者の感じからいたしますと、何か利益を失うという感じもいたしまして、不合理なものを感じるのであろうと思いますが、アメリカ側の習慣から申しますと、そうした政府の予定価格らしきもの、政府の積算価格によりまして、最も合理的であると経済的に考えましたものを選ぶということでありまして、必ずしもこれが不合理であるとは考えられないのでありますが、弊害を強いて感じますものがあるとすれば、それは当然日本会計法規によつては、落札者になるべき者が落札者になれないということでありまして、これは果して経済的に不合理であるかどうかということはわかりませんが、幾分その業者としては、当事者といたしましては不満を感じることはあろうと思います。
#13
○木村禧八郎君 でも今の御答弁は、いわゆるアメリカの経理制限令、フイスカル・リミテイシヨンとの関係についての御答弁であろうと思う。私が質問しておるのは、日本の予定価格制度です。今アメリカはアメリカはと言われましたけれども、私が問題にしておるのは、日本の予算決算会計令による予定価格制度、これはその予定価格の範囲内でなければならないことになつておるわけですね、絶体に。ところが今弊害とか合理、不合理と言われましたけども、日本の会計法規から言えば、絶体にこの予定価格の範囲内でなければならないものが、このアメリカ軍の調達では、入札した場合、それが予定価格の範囲より以上である場合でも、それと契約する。全体がまあABCとあれば、そのうちのCが最低価格、落札価格であつて、その落札価格が、日本の予算決算会計令による予定価格より以上であつても、これに落札されるということになると、日本の会計法規で予定価格制度を設けた趣旨がそこで蹂躪される、否定されるということになるのです。今度直接調達になる場合に、そういうことが頻繁に起るのじやないかということを質問しておる。むしろそのどつちの習慣に、或いはどつちの会計法規に近付けるかということになるのです。日本のほうに近付けるのが当り前だと思う。そうでなければ、この予定価格制度を何のために設けるのかわからない。この際私は、日本で予算決算会計令で予定価格制度を設けた趣旨はどこにあるのかをお伺いしておきたいのです。
#14
○政府委員(川田三郎君) 御質問の御趣旨はこういうことであろうと拜承いたします。アメリカが直接調達をやつたならば予定価格に必ずしも拘束されない、すると日本の会計法規の要請は予定価格に拘束されるべきである、すると、そういう日本の会計法規の想像しておらん、許しておらんことがアメリカ側の経理官によつて行われる、そういう事実が起るということは想像されるのであります。ただ日本の予算決定会計令は、日本の会計管理を制約するものでありまして、それが日本の会計管理に関する限り金科玉條でありますが、アメリカの会計管理までを拘束することはできない。これはもう質問者はよくお分りと思いますが、そこでそれではそういう予定価格制度をとつておる取引の方法が会計管理という枠を離れましてなお且つ絶対至上のものであるかという点につきましては、アメリカの経理官の考え方と日本の会計法規を制定されておるその根本思想との間の見解の相違ということになりますので、アメリカの会計官が日本で調達を行う場合に日本会計法規の根本に流れておる契約方式をとらねばならんということをここで今断定するわけに行きませんが、違いが起るということだけは申上げられるが、それがいいか惡いかという判断はちよつとできないのであります。
#15
○委員長(平沼彌太郎君) ちよつと、池田大蔵大臣がお見えになりましたので、先ず大臣に御質問をお願いいたします。
#16
○波多野鼎君 この前大蔵大臣にお伺いしておつた特別調達資金設置令の改正に関連いたしまして、向うの駐留軍が日本で物資を調達する場合、直接調達の方式をとるというふうなことに大体決定したようでありますが、併し行政協定によつて、日本経済に重大な影響を與えないようにするということも一つ確定したことであろうと思う。そこで向うが直接調達をやるのでこれが日本の経済に重大な影響を及ぼすことがないように或る調節を加える一つの機関が日本側でもなくてはならない。いわゆる権限ある機関ということが行政協定に出ておる、その権限ある機関、これの構想はどうかということをこの前聞いたら、そのときに考慮中であるという話であつたが、結論は出たんですか、どうですか。
#17
○国務大臣(池田勇人君) まだ結論を出しておりません。行政機構の問題との兼ね合いもございますし、今後どういうふうにやつて行こうかということは今検討しておりまして、まだ結論は出ておりません。
#18
○波多野鼎君 大蔵大臣が国務大臣としてその問題に関係される場合にどういう御方針で臨まれますか、伺つて置きたいと思います。
#19
○国務大臣(池田勇人君) これはやはり物資の種類、分量と、それから金の出入の問題、この二通りあると思いますが、別に特別の機関をこしらえて、いわゆる需給調節の機関を作るとか、或いは特別保存機関をこしらえなくても既存の機関でできるがという問題があると思いますが、これはもう相手のあることであるから、向うにも陸軍、海軍、空軍と、こうあります、向うがどういうふうな発注態勢を整えるかということも考慮に入れなければならん問題でございますので、よく相手方と相談いたしまして適当な措置をとろうと思つております。
#20
○波多野鼎君 向う側が陸海空軍といつたようなふうに三本でそれぞれ発注をして参りますと、なお更経済界が撹乱される危險が多いのじやないかと思うのです。そこでそういう陸海空として向うが発注して来るものを、こちらで受けてそれを一本にして調節して行くというものがどうしてもなくちやならんというふうに私は思わざるを得んですがね。特別の機関を作るか、それとも既存の機関でやるかについて今検討中だと言われますが、既存の機関でやるとすると、どこがやるのですか、それは。
#21
○国務大臣(池田勇人君) 向うの陸海空が一体になるか、別々になるかということも、まだきまつておりません。それから向うが一体となつた場合と、別々の場合とによつて或る程度こちらの機構も違つて来るかもわかりませんが、先ほど申上げましたように、これは物資別に時期的に又金融的に考えなければならんことであつて、特別の各省に跨がるような機関を設けるのがいいか、或いは主としてこれは通産省の問題が多いと思います。通産省に一課を設けてやるかという問題があると思うのでありまするが、私は成るべく、機関を設けることはどうかというふうな気持がいたしておるのであります。併し分量その他によりまして機関の必要があるということになれば、予算的には考えなければならん。今のところはそういうことを頭におきながらどういう態勢をとるかということを研究いたしておるのであります。
#22
○菊川孝夫君 大蔵大臣が全権として講和條約に調印されまして、講和條約それから安保條約、引続いて行政協定と、一環のこれらの條約が締結され、その結果今議題になつておりますこの四法案が当委員会に提案されたのでありまするが、これは一応行政協定そのものを先ず我々反対する立場からいたしますると別でありますが、行政協定をそのまま実行するに当りましても、成るほど法律の條文の上では誠に細かく規定をされまして、このまま行けば一応行政協定そのままスムースに実行されることになつておると思うのでありまするが、併し何と申しましても、小国に大国が武力を持つて駐屯する場合には、そこの駐屯軍というものはどうしても相当権限をより以上に行使をしたり、特に日本におきましては長い間の占領の結果、六年間に亘る占領の結果、非常に占領ぼけがしておる。率直に申しまして占領ぼけがしておる。或いは占領軍に取入つて、そうしてそれによつてこれは中国であつたことでありますが、日本軍が中国におるときには、日本軍の力を利用してそうして自分だけはうまいことをやろうという、中国における漢奸、日本でも売国的な行為をするのも出て来ると思うのでありますが、従つてこの法律をそのまま実行するに当りましても、先ず第一番には執行する公務員の頭の切換えが非常に大事なことだと私は思うのでありまして、昨日までは占領下でありましたから、占領軍に対する批判はこれはまあ自由はなかつたかも知れんが、駐留軍に対しましては、もう対等の立場でありますから、堂々と向うの違法については批判もし、又向うでも間違つた行為がされた場合には追及して正しい運用をさせるようにして行かなければならんと思うのでありますが、大蔵大臣としましては、これらの法律を運用するに当りまして、先ず配下の公務員の頭の切換えを私は第一番にやらなければならんのじやないか、こういうふうに考えるのですが、これについて一つ大蔵大臣は具体的にもうその用意を進めておられるかどうか、その点をお伺いしたい。
#23
○国務大臣(池田勇人君) 誠に御尤もな御心配と申しますか、お心遣いでございまして、敬服いたします。私は行政協定のうちの大蔵関係の分につきましては、常にそういうふうな留意をいたしまして遺漏のないように、独立国家として恥かしくないように、又相互の信頼ということも考えながらやつて来ておるつもりでございます。御決定を頂きました法律につきましては、御心配のような点が起らないように十分今後とも注意して行きたいと考えております。
#24
○菊川孝夫君 特に日本人の中にもそういうのが出て来ると思うのであります。駐留軍の意向を笠に着まして、往々にしますとこれを笠にかぶつて脱税行為をやろうとする連中も出て来るだろうと思います。又駐留軍にこの法律を守られないのを、日本の公務員がこれを将来追及できないために、だんだんとそういうことは皆国民の間にわかつて来る。それでなくても今苛劍珠求だというので、納税意識については遺憾な点が多々あると私は思うのであります。中には税務署の襲撃をするというような事件まで起きておる。その際に、この法律を見てみますると、国家の中に国家が新たにできたような恰好になるわけであります。明らかに税法上から言つても私はそういうふうに見れると思うのでありまして、自由に品物を持つて来て、而もその家族や或いは請負業者に対してまでも特権を付與するのでありますから、国家の中に国家ができた、税法上から言つてそういうふうな感じもするわけであります。併し一応まあ行政協定を締結してしまつて、これを実施するとなつたら、せめてその法律を完全に実施させるため毅然たる態度を以て臨まなければならん。大蔵大臣がその点については一応確固たる態度で臨むのだということを言つておられますが、さて、若しもそれにもかかわらず向うから軍の力を以て、或いは末端までそれが行き届かないために、国民に米軍に近付きさえすれば脱税その他も平易にできるし、いい金儲けがあるのだというような印象を與えますると、今でもそういう面が多々あるのでありまして、具体的な小さい例を拾い上げてみますると、昨日も專売公社の方にお尋ねしたのでありまするが、これは小さいようでありますが、日本の国内におきまして四十億くらいの闇煙草が平気で横行しておる。而も東京都内の大抵の高級な料理店だとか、カフエー、バー等へ行きましたならば、自由に外国煙草は手に入つてこれはもう日本人として馴れ切つたようなものであつて、誰もこれを不思議がらない。專売公社のちらしだけはどこかへ貼られておりまするけれども、実際にはもう日本人として馴れ切つたようなことになつてしまつておる。進駐軍だから止むを得ない、進駐軍のやることだから止むを得ない、それに坂入つて金儲けするやつがたくさんある。而もその数は、專売公社の見積つただけでも四十億だ、こう言われておる。そういうことがこのままの状態で、切換が完全に行われればいいけれども、行われないというと、国民の納税意識に私は重大な影響を及ぼすだろう、そういうふうに思うのでありますが、この点についても、或いは機構を整備をするなり、その他の方法で以てこれが粛正に乗り出す用意があるかどうか、この点について一つ。
#25
○国務大臣(池田勇人君) 占領治下におきましても、そういうことは望ましくないので、極力防止しなければならん問題でありますが、今度独立いたしましてからより一層そういう感を深くするのであります。従いまして、横流れ、その他の点につきましては、今まで以上に監視の眼を放ち、これは国家公務員ばかりではございません。皆さま国民全体がそういう気持で一つ不正が行われないように監視しなければならん問題だと思うのであります。
#26
○菊川孝夫君 次に、まあこの税法によりますと、どうしても先ほど申上げましたように国家の中に国家ができるのだというような印象が強いのでありますが、而もその来る人の数によつては更にそれがだんだんと大きくなつて来ると思うのでありますが、今のとこころ大体大蔵大臣はもう見通しはついておると思うのですが、軍隊、家族並びに軍属のその数を引つくるめて大体どのくらいな人間がおるか、大体の構想、それは詳しいことは情勢の変化等によつて増減がございましようけれども、一体どのくらいの、行政協定を見ましても、どれを見ましても、具体的にはそういうことはわからないのですが、速記をとめてもいいけれども、どのくらいの人間がおることになる見込でございますか、この点について。
#27
○国務大臣(池田勇人君) 私は大体の構想をつけておりますが、これは軍機に関することでございまして、ここで申上げかねます。
#28
○菊川孝夫君 それじやこの軍隊軍属の数はできないといたしましても、家族やその他の請負業者、これは法律の上では個人契約者、法人契約者、これらの被用者というのがありますが、これは軍隊とは直接関係はないので軍機に関しないと思うのですが、この数が大体におきましてどれくらい来るか、その率がどれくらい……。
#29
○国務大臣(池田勇人君) この行政協定の中で税に関する問題で一番苦労した問題は、お話の軍直接に施設いたします工事につきましてのいわゆる請負業者と申しますか、向うでは軍直接に雇いまして、向うで契約をしております。この分についての課税につきまして最も議論したところなのでございます。私の想像では特殊な施設をやる場合、日本の技術その他ではなかなか十分に行かない特殊な施設をやる場合を想像しておるのでございまして、このために非常な人が来るとは私は考えておりません。勿論そういうものは問題にならん少数のものと思つております。
#30
○菊川孝夫君 次にまあ大蔵大臣から何回も御説明を受けた六百五十億の分担金の中で、土地の借上げとか建物の借上げの九十二億を差引いた五百五十八億、これはまあアメリカの会計の中に入れるのだ、こういうまあお話です。そのほかにアメリカは大体一億八千万ドルぐらい持つて来るのだ、こういうような大臣のお話だつたと思うのであります。この一億八千万ドルはよそから入つた金でございますが、そこで今後この五百五十八億の金の使い方でありますが、我々この行政協定を読んで見ますと、例えば、不動産の提供をした場合、それから移転料、これによつてまあ日本の人間も相当立退かなければならんようなものも出て来るだろうと思いますが、こういう移転料であるとか、それから一部を接收されたために全般にこれは相当影響を及ぼす、残地に生ずる損失、こういうようなものも当然生じて来ると思うのでありますが、更に收用のために必要になつたところの、即ち土地收用法に準ずるような手段によつて收用されるようなその工事用の費用、こういつたようなものは当然この五百五十八億の中から支拂われるものである、私たちはそういうふうに考えておるのですが、これはどういうふうに処理されるのですか。
#31
○国務大臣(池田勇人君) これは五百五十八億の使い方でございますが、これは細かくなりますが、この前お話申上げましたように、五百五十八億の中には物品税その他も入つておるものでございますが、これは引いてもらうことにいたしております。それから一年間の予定だつたのが四月一日から使う、今は終戰処理費でございます。そうすると、私はこれは日割計算で五百五十八億の中から引いてもらわなければならん、例えば四月の二十八日に講和條約ができて、二十八日から来年の三月三十一日まで五百五十八億使われては、これは予定以上になりますから、そういうのは日割で引いてもらう、いろいろなことをやつておりますが、いずれにいたしましてもこの行政協定にありますような五百五十八億以外は幾ら要つても向うが負担する、こういう建前にしております。五百五十八億の中でも出さなくていいのは引くように話をいたしておる次第であります。而して又、その金額をどういう方面に使うかというと、施設の提供に関係あるものはこのうちから出す。細かい問題につきまして私はよく存じませんが、施設の提供に必要な関連の費用はこのうちから出す……。
#32
○菊川孝夫君 関連するならば全部出す……。
#33
○国務大臣(池田勇人君) そういうことであります。
#34
○菊川孝夫君 次に国有財産の管理に関する法律についてちよつとお尋ねいたしたいと思うのでありますが、これは一番問題になるのは、我々は余り日本の歴史というものについて、いわゆる僕らの習つた日本の歴史そのものについて大した執著を持とうとしているのではございませんけれども、やはり民族が辿つて来た跡を長く保存したい、どこの民族でも同じ考えを持つておるだろうと思いますが、基地の提供に当り、或いは施設、区域の提供に当りまして、向うは戰路上から行きまして、そういつた天然記念物であるとか、或いは国宝的ないわゆる建造物といつたようなものを含んだり、或いは墓地であるとか、特に御陵、神社、仏閣といつたようなものを含んで、これは広範囲にやはり提供を求められることがあるかと思うのでありますが、これに対しまして、この間法務委員会でも問題になつて、笑い話になつておりました。床の間にシヤワアーを設けられて、家が今度返還されて、これは困つたものだという話がありましたが、これに類似したような話が、例えば庭園等の燈籠に対してペンキを塗つてしまつたというような話もあるそうでありますが、日本のこういつた重要な史蹟その他天然記念物等を提供するに当りまして、この区域内にどうしても含まなければならんような場合が生じた場合に、これだけは除いて向う側が立入りを禁止をするとか、或いは戰略的にこの施設等が使用されるに当りましても、この基地内にそういうものがあつてもこれだけは特別な保護を加えるということにつきまして、これは国有財産を提供する場合に当然起つて来る問題だと思うのでありますが、これに対しては特別な配慮を加えられるように、これは予備作業班或いは合同委員会においてするつもりであるかどうか、特別な覚書等を交換する予定であるかどうか、この点を……。
#35
○国務大臣(池田勇人君) お話のような考えで進んでおります。これはやはり必要最小限度にとどめてもらいたいという基本観念がございます。又日本の美術その他国宝的な施設につきましては、これはアメリカ軍におきましても、我々同様に非常に高く評価しておるのでございまして、それをめちやくちやにするというようなことは、両方とも考えていないと思います。
#36
○菊川孝夫君 成ほど、まあ配慮については一応安心したのでありますが、その点だけにつきましては。併し明治維新当時もアメリカの人たちが来て、盛んに日本の重要美術品なんかは向うへ持ち出されて、今ワシントンの博物館等には明治維新当時、ぺルリの来朝当時持ち帰つたいろいろ日本の美術品等が相当向うにあるということが言われております。又日本の軍隊がやつたからアメリカの兵隊がやるということを我々は心配する必要はございませんけれども、上のほうにおきましては成るほど理解されまして、例えば京都や奈良が爆撃の対象から除かれたというようなこともございまして、アメリカのそういつた配慮に対しては我々は敬意を表するのでありますけれども、直接下のほうの末端機関へ参りました場合に、往々にいたしまして理解をされずに、こうした重要天然記念物であるとか建造物、史蹟等が荒らされるきらいがあると思うのでありますが、これを提供いたしました場合に、これに対する対抗手段というものが講じ得るかどうか。或いは刑法上の、今度は属人主義で以て向うの裁判に付されるということになると思うのでありますけれども、これが対抗手段が当然講じられるかどうか、この点について一つお伺いしたいと思うのであります。
#37
○国務大臣(池田勇人君) 私はそういうことは万々起してはいけないと、こういう気持でおるのであります。お話のような点は今駐留いたしまして区域的にそういう問題が起る所は非常に少いのじやないか、ただ軍人個人が非合法的なことをやればこれは取締る。私は御心配の点は万々ないと思います。あつてはいけないことであります。そういうことのないようにいたしたいと考えております。
#38
○菊川孝夫君 では岡崎さんも見えておりますから、直接衝に当られた岡崎さんにこの点について一言お尋ねしたいのですが、これはどこの軍隊でもあり得ることだと思うのでありますが、如何に強い軍隊にいたしましても、戰略的な退却だとか、或いは撤退、これは戰略的に当然あり得るわけでありまして、若しも非常事態に直面いたしました場合には、戰略的に移動をするに当つて、今提供している施設並びに区域等にこれは、損害があつても補償の要求をしないということになつておりますが、戰略的に移動したり、或いは非常事態の場合ですが、移動をしたり撤退した場合に、爆破その他によつて生ずるところのこれは虞れがあると思うのでありますが、これはまあそんなことは全然ないのだという意味じやなしに、そういう危險もあるからして、駐留軍が日本に駐留するのでありますから、どういう事態がここに起るかわからない、当然日本にこういう基地をアメリカが持つならば、この対抗手段として、これは中国に対してソヴイエトが恐らくこの対抗手段として要求して、満州から北鮮へかけてやはりこれに対抗するところの処置が講じられて日本海を挾んで米ソが対立することになるのであります。一方に與えたならば必ず他方を刺戟して、どつちが先にやつたか、卵が先か鶏があとかこれは別として、これは対抗して来る、そして不測の事態もこういう小さい湖のような日本海を挟んで対抗しました以上は起り得る、部分的に起り得るということを我々は最も慮れるのであります。そういう場合に、今提供しました基地が撤退、戦略的に撤退、つまり敗退という言葉は使いたくないが、そういう言葉を使うのは不謹愼だと思うのでありますが、戰略的撤退等が当然あり得ると思うのだけれども、そういう場合に、これを爆破したり又燒却したりして撤退する場合に、これに対する補償もこれは放棄しておるものだろうか、その点を一つお伺いしたいと思います。今度の国有財産の管理に関する法律の中では、補償は一切こちらは要求しない、行政協定の中にもそういうことが現われておるんだが、私が今申上げましたようなことも話の、折衝の際には当然起つておるだろうし、又日本側からしてそういうことも私は議題として提供しておると思うのでありますが、この点について御説明を願いたいと思います。
#39
○国務大臣(岡崎勝男君) これはお話が長くなるかも知れませんが、背景を申上げないと私の言うことがはつきりしないかと思いますが、元来この協定は世界戰争というか、或いは米ソの間の戦争というか、こういうものはないという前提の下に立つておるのであります。これがあるという心配の下に立ちますと、考え方は非常に違つて来ます。で、あるという心配或いはこれによつて何か紛争が却つて起るのであるという意見を述べる人もあるのでありますけれども、そういう考えで来ますると、結局日本にはそれを防ぐ力がない。そうしてアメリカに頼つていても今お話しになつたように、日本において大戰争が起るということになれば大変だ、それじや結局どこにも付かないで成るべく戰争の圏外に立つように努力したほうがいいというような議論になつて来るのでありますが、それは却つて私は今の冷い戰争から言いますと、共産陣営のほうはできるだけ各国を中立化しまして、アメリカにもつかない、ソ連にもつかないにしても、アメリカにもつかないという形にしてだんだん無力化して行くという方針に結局乘ぜられることになるのではないかと思うのでああます。で、我々のほうは大きな戰争はないという前提の下に立つてこういうものを考えておる。いわゆるダレスさんの言つておるデイタレント・パワーと言いますか、そういうものを抑制する力になるのだという考えで来ておるのであります。これが前提でありますから、そういうような不測の場合のことについては、その万一の場合を考慮しまして、行政協定の中でも、若しそういうような万一の事態があつたときは、それに適応するような方法を両政府間で考えるということだけを約束しまして、具体的にはそういう問題について協定等はいたさなかつたのであります。併しそういう背景は拔きにしまして、今御質問のようなことが仮に万一起るとしますれば、これは日本にとつて非常に大変な事態でありまして、これはその爆破した施設、その附近に損害を生ずるとか、生じないとかいうことでなく、国全体が復興するかどうかという大問題になつて来ると思います。従つてこれはそういう事態が收まつたときに、自由主義国家といいますか、その方面で世界的に復興計画等を編み出す以外にないのでありまして、この小さな、と言つては誤弊があるかも知れませんが、個々のそういう箇所の損害賠償とかいうような問題を遥かに私は越えることになつてしもうと思います。そういうことは我々到底予期しておらないのでありますが、仮定して申しますと、そういうことになります。ただ法律的に申しますと、今お話のような場合でも、それ自体に対しては損害があるかも知れないが、これは普通の行政協定の中できまつておりますのは、普通の状態において必要がなくなつた施設を返還する場合に、原形に戻すことも要求しない代りに、そこに何か作つたものがあつても、これの支拂をせずに受取つてしもう、これは今月から條約が発効しますと、これは動き出しますが、要らなくなる施設というものは、今年中にも幾つも出て来ると思います。そういう場合の規定でありまして、特別のそういう非常の事態の起きますと、これはやはり両政府間の協議に待つ以外に方法はないというのが法律的の意見になると思います。
#40
○菊川孝夫君 岡崎さんのお見通し誠に結構、我々はそうありたいし、そうなければならんと念願しておりまして、こんなところで戰争をやつてもらつては大変でありますけれども、現に基地の今占領軍がおります米軍の駐留地の附近を私たち二、三廻つて見たのでありますが、夜間盛んに無気味な空襲警報といいますか、サイレンが鳴り響く、日本人たちは一体これは何のことかさつぱりわからない。ところが中に働いておる進駐軍の労務者の話を聞いて見ると、その際には占領軍の兵隊さんは防空壕に待避しておる。ところが日本の労務者の待避する場所がないし、その附近におきましては、一体国民はどうしていいかさつぱりわからない、燈火管制せよという命令も来ない、これはどうだというのでいろいろデマも飛んでおりますが、結局総合して見ると、国籍不明機が入つて来たらしい、こういうことで翌日は国籍不明機程度で話が終つておる模様でありますが、これなんか、先ほど私申上げましたように、当然日本でこういう基地があるからもうやつて来ないのじやないかというのじやなしに、ソヴイエト側から見ると、やはり日本を基地としてこちらに攻撃を加えて来るのじやないかというので、向うはやはり心配するだろうと思います。従つて当然どういう設備を持つておるのだろうかというので、向うでは高室から偵察に来たり或いは写真をとりに来たりすることは、これは当然日本軍とソヴイエト軍が黒龍江を挾んで対峙したときにもあり得たことでありますから、そういうことが軍が対峙した場合には当然起きよう、もう米ソが仮想敵国になつておることは誰も否定することのできない冷嚴な事実なのでございますから、あり得るのだろう、私たちはそれを危惧するのでありますが、その場合に、今の施設区域等の附近にある日本の建造物或いは重要建造物、史蹟等の保護施設をしなければならん、これらの費用は一体どこから出すのだ。それから将来これは今のような状態でありまして、朝鮮戰線も米ソの友好のうちに妥結して、そうして極東の平和はだんだんと明るいほうに向つて来るというのであつたならよろしうございますが、まだ発火点がたくさんあると思う。一番心配するのは台湾海峡を挾んでの中共と中国との台湾の争奪戰もいつ起るかも知れない、これは発火点だと見なければならん、近くでは。これは一番近くに我々の一番恐れておる問題だと思うのですが、そうなつた場合には、当然国内にも何らかの影響があり得ると見なければならんと思うのでありますが、そういう場合に防空施設その他もやらなければならんし、燈火管制の用意もしなければならん。現にもうアメリカの本国においてさえ原子爆彈が来た場合にどうしようかというので防空の施設がされておるということは向うの新聞にも載つておるし、写真なんかもどんどん来ておつて、日本だけ安全だ、ニユーヨークやワシントンが危いというのに、この前線基地が一番安心だ、大丈夫だというような岡崎さんのような楽観論にばかりついて行けない、曽つて国民が政府の言つておる通りについて行つてひどい目に会つたのでありますから、今度はそうついてばかり行かれない。又あらゆる情報を国民が得る限りに得まして、そうしてこれに対する対抗手段、防衛手段を講じなければならんと思うのでありますが、ここでお尋ねしたいのは、この防衛分担金によつて、そうした非常の場合に、基地附近の差当つての防衛の用意等については、防衛分担金によつて支出されるものか、或いは日本のその附近にあつた、あるところの、先ほど申上げました諸種の天然記念物並びに建造物等を保護する費用は一体どこから出すのか、そういう予算として用意してあるかどうか、それに対する手配もできておるのかどうか、非常の事態を考えなければならん。なければ幸いでありますが、十分注意をする、なければこれに越したことはありませんから、これらのことは当然行政協定締結に当つても考えられたことであろうし、又国有財産提供に当つてもこれは議題になつたことだろうと思いますが、この点について岡崎さんにお尋ねしたいと思います。
#41
○国務大臣(岡崎勝男君) 先ず只今お尋ねの国籍不明機云々のことは、私は全然、例えばよその国の飛行機が、飛行機といつても旅客機は別でありますが、正当に来る以外の飛行機が日本の上空に飛ぶことは曽つてないし、今後もないと考えております。これは今お話のような両国の間が緊張すれば緊張するほど、他方においては戰争を回避する努力が試みられておるのでありまして、むやみにそういう日本の上空に飛んで来ることもあり得ないし、又アメリカ側の飛行機がどこか先方に行くということも今までにないところと確信いたしております。ただアメリカの軍隊は、軍隊でありますから、これは常日頃からそういう空襲に対しても、或いは戰闘行為に対しても常に訓練をいたしておるのは当然であります。国籍不明機が来たという仮定の下にそういう実習をするということは、これは当然でありますし、又場合によつては、これは余計なお話かも知れませんが、その軍隊に属しておる人々に本当に国籍不明機が来たと思わせて、実際的に演習をやることもあり得ると思うのです。併しながら本当に上にそういう飛行機が飛んで来るなどということは過去においては全然なかつたとここで申上げて一向差支ないと思います。そこで只今のお話ですが、これら軍隊はどこにおきましても防空演習その他の訓練はいたしておるのでありまするから、日本におきましても、これは当然それに関連して日本の国民が不安を感じ、何かしなければいかんということでありますならば、今お話のように世界の各国、多くの国は防空訓練等もいたしておるし、防空に関する法律も出ておるのでありますから、日本においてもそういう問題は考えても一向差支えないと思つております。ただまだそういうものを具体的に立案いたしておるというわけじやございませんけれども。そこで今の直接のお話でありまするが、これは私は防衛分担金等はアメリカの日本に駐屯する軍隊の費用に充てるものでありますから、若し今お話のような諸点について必要とあれば、法律なり、適当な立法措置をいたしまして、その上で必要な経費は別途支出するというのが筋道だろうと考えております。
#42
○木村禧八郎君 それから菊川さんの岡崎さんに対する質問に関連するのですが、非常に、御承知のような條約を結んだ背景についてお話があつて、これは大体戰争が起らないという建前で作られたかも知れませんが、アメリカのほうの、いわゆる雑誌を見ましても、戰争が起るということを前提として作つたことは明らかだと思うのであります。と申しますのは、最近これは経済の問題ですけれども、ビジネス・ウイークリーなんかを見ますと、アメリカの最近の一九五三年をピークとする軍拡の計画は、朝鮮動乱癖発展して全面戰争になるかも知れないという規模であらゆる軍拡計画をやつたのである。ところがそれが朝鮮休戰等が起つたので、一九五五年にまでならして、これを延ばしておるようですが、そういうように説明されておる。一応あれが全面戰争になるかも知れないという規模で軍拡計画をやつてる。丁度それに呼応して朝鮮動乱以後安全保障條約、こういう條約が問題になつて来た。これを見ましても、この條項を具体的に見れば見るほど、さつき菊川氏が質問されたような、万一戰争になつたときの用意がこの中にたくさん含まれておると思う。ところが情勢が非常に最近変つて来て、戰争が当分起りそうもないとアメリカのほうでも認定したので、あの軍拡計画も延ばして来ておる。その点について私はこの條約を締結したときと情勢が非常に変つて来ておると思う。そこでその認識につきまして岡崎国務大臣にお伺いしたいのと、もう一つは、大蔵大臣にそういう場合財政負担等は変つて来る可能性がないかどうか。最初は全面戰争にまで行くのじやないかという想定において作られたものにおいて、二十七年度予算なんかにおいて防衛分担金等々日本の財政支出が見込まれておるのですか、情勢の変化によつてそういう負担が軽くなる、こういう見通しはないか、そつちのほうは……。併し他方において警察予備隊のほうを増強するというようなことが起るかも知れませんが、情勢の変化によつて何ら防衛関係或いは講和條約関係による財政負担の変化というものは起らないかどうか、この点一つお伺いしたいのです。
#43
○国務大臣(岡崎勝男君) 日本政府のみならず米国政府におきましても戰争を前提としてこういう安全保障條約なり、行政協定なりを考えたことはないのであります。これは一番初めにダレスさんが来て演説をされたときに、すでにこのアメリカの軍隊を日本において希望するならば、日本に駐留させる用意があるけれども、これはいわゆるデイタレント・パワーである、戰争をするためではなくて、戰争を抑制するためであるということを申しておるのでありますが、初めからそういうつもりで日米安全保障條約はできておるのであります。最近の情勢が変つたというようなことは私は考えておりません。又この朝鮮の局地的な問題が若しあなたのおつしやるように全面戰争になる可能性があるとして、アメリカで大いにそれの用意をしたと仮にしますれば、無論そういう用意をしたことによつて局地的になつたと言われるかも知れませんが、いずれにしても我々は朝鮮の動乱の真最中においてすでに安全保障條約はデイタレント・パワーという意味で置けば置くのだ、作れば作るのだという考えに立つたのであります。要するに準備を、即ち軍備等を拡充するということが、結局昔言われたような「備えあれば憂いなし」というような趣旨に今ではやはり通用しておりまして、これを怠れば却つて危險がある、できるだけこれに対する備えをいたしおればむしろ危險が減少する、こういう建前で作つて来ております。
#44
○国務大臣(池田勇人君) 岡崎国務大臣のお答えを前提といたしまして、私は財政計画を変える必要を認めておりません。
#45
○木村禧八郎君 次に今問題になつております法律案について質問いたしたいのですが、この行政協定三條に基くこの法律案全部を見まして、どうも私の感じでは経済的治外法権を規定したような法律であると、こういうふうに見られるのですが、それで治外法権については裁判上の治外法権、これも重要でしようが、私は全体として見て、これは経済的治外法権を規定した法律案である、併しそれも私らが見る場合非常に国際的な慣例よりも不利に規定されておると思うのです。そこで岡崎国務大臣にお伺いいたしたいのは、主として国有財産を無償で使用を許すという法律案と、それから関税その他を免税するという法律案、それから国内物資を駐留軍が調達する場合の免税規定、主としてこの三つでありましたが、これは国際慣例よりも私は著しく不利であると思うのです。それでこういう法律案はどういうふうにしてこれが制定されたのか、これはアメリカ側と相談した結果こういう法律案を出されたのかどうか、先ずその点についてお伺いいたしたい。これは日本政府の自主性においてこの法律案を出されたのか。
#46
○国務大臣(岡崎勝男君) 私はどうも木村君のおつしやることがよく了解ができないのであります。何か財政的ですか、税法的な治外法権というような妙なエクスプレッシヨンは余り聞きませんが、それは別といたしまして、例えば国有財産を使用せしめる点につきましても、その他の点につきましても、別に国際的に特別不思議なことはないと考えております。で、これは今御質問の点に直接関連しますと、大体各国で行なつておりました例を調べまして、その中で日本で適当と思われる点を抜き出して考えたのでありますが、アメリカ側の希望も無論聞きましたし、又行政協定の中にもかなり具体的ないろいろな規定が入つております。この行政協定を作りますときには、具体的に話合いもいたしましたし、今度の法案はその規定の内容を基礎といたしまして、日本側で適当と考えられるものを作つたのであります。
#47
○木村禧八郎君 国際的慣例から見ると別に不思議でないと言われますが、国有財産を、安全保障條約第十條の規定に基いて、駐留軍が必要である場合、無償で使用を許すというこの法律案は、米比協定と比べますと非常に私は不利だと思う。米比協定においては前に石原次長から説明がございましたが、無償で国有財産の使用を許すという規定はないのです。前文にあるとおつしやいましたが、それは公有地を無償で使用を許すということになつておつて、国有財産を無償で使用を許すということはないと思うのです。国有財産の内容について伺いましたが、相当広汎になつております。或いは車両とか、船舶、機械、説備そういうものを無償で貸與するという点は、土地ばかりでなく、そういうような施設、車両、船舶、そういうものまでも無償で貸與するというので、これは私は著しくその点は不利じやないかと思う。賃貸料を取るとか、そういうものが防衛分担金の中から差引かれるか、そういうふうなら一応不利でないと言われるかも知れません。この点私は不利だと思うのですが、岡崎国務大臣どうですか。
#48
○国務大臣(岡崎勝男君) 元来根本的に申しますとアメリカの日本に駐屯する軍隊というものは、日本の政府と同様な立場にあると、いろいろな点では違いますが、取扱上原則的にはそういう観念でやつておるのであります。従つて例えばユーテイリテイ、電気とか、瓦斯とかというようなものを使いますときにも、日本政府機関よりも不利でない條件でこれを使うということになつております。或いは公務で第三者を傷けた場合に日本政府の職員がそういうことをやつたと同じように取扱うというように考えております。従つて原則的には国有財産についてはやはり無償で使用できるという建前で行つておりますけれども、実際問題といたしましては、今おつしやつたような主として国有財産と申すのは施設、区域と考えられるのでありまして、車両などということをおつしやいましたが、こんなものは向うのほうにたくさんおるのでありまして、むしろ向うのほうで余つたものが今まで拂下げたりしておるぐらいでありまして、そういう種類の財産を実際上考えておるわけではないのであります。
#49
○木村禧八郎君 只今のその例として、例えば公益事業なんかを、日本におけると同様に、即ち不利でない條件で使用を許す、そういうような建前になつていると言いますけれども……米比協定あたりではそういうふうに書いてありますが、日本のほうではどうかと言うと対等でない。而も優先的に使用を許すというので、決して対等じやないと思います。そういう意味でそういう対等でないような條文がたくさんあると思うのですね。具体的にこういう法律案が出て来て見ますと、ますますそういう感じを抱くのであります。で岡崎国務大臣の御説明によると、大体日本人と同じようなと言いますけれどもそれよりも著しく不利であり、而も国際慣例よりも不利である、そういう感じを非常に私は持つのです。こういう法律案を具体的に検討すればするほどそういうふうに思れわるのです。これは私は対等じやないと思うのです。さつきのいわゆる公益事業、ユーテイリテイの利用について行政協定の條文を御覧になれば、優先的に使用を許すということになつておるのじやないですか。
#50
○国務大臣(岡崎勝男君) これは予算委員会でも何遍も繰返し申しましたから、木村君お聞きになつたと思いますが、これは全くあなたの御解釈とは違うのでありまして、優先的にというのは、一般の使用者よりも優先的にということであつて、その優先的な條件はどういう條件かというと、日本政府と同様にするという、日本政府よりも不利でないのだ、そういう條件で一般の使用者よりも優先して使える。要するに日本政府が優先すると同じようにアメリカの軍隊もその程度の優先権を持つておる、こういう意味でありまして、日本政府よりももつと優先するということではないのであります。
#51
○木村禧八郎君 これは、第七條の規定はそういうふうに解釈していいのですか。
#52
○国務大臣(岡崎勝男君) その通りであります。
#53
○木村禧八郎君 国有財産の無償使用でありますけれども、無償で許すという点は、現在、三月三十一日で国有財産の使用を許しておる。資料は一応不完全であるということを承わりましたが、一応非常にラフな数字ですけれども、参考資料として頂きましたが、それは土地ばかりでなく船舶も車両も含まれております。それから今後、この安保條約第一條に基いて国有財産の無償使用を許すということになると、私は非常に広範になると思うのです。第一條においては、單に外国の教唆によつて内乱、騒擾、そういうものが起る場合以外に、例えば朝鮮動乱なんかでこれを使用するような場合、そういうようなものまでも含まれるような、相当私は広範なものだと思う。行政協定第三條に基く配備を規律する條件の目的がまあ第一條にあるとすると、第一條の配備というのは、非常に広範だと思うのです。そうなると無償で使用を許すという範囲は相当私は広くなるのじやないかと思うのです。それで私は米比協定よりは非常に不利ではないか、米比協定の場合は公有地の使用を無償で許可すということだけであるから、その点はどうなのです。
#54
○国務大臣(岡崎勝男君) これは予算委員会のときにしばしば申した通り、米比協定とは全然建前を異にしてこの協定を作つております。というのは、米比協定は非常に広範な地域を画しまして、これを軍事基地としてアメリカ側に提供いたします。その基地内においてはすべての裁判管轄権等をアメリカ側に讓渡する、こういう建前になつておりまして、その基地を、提供するということで、その中に私はよく知りませんが、国有財産とか、或いは公有財産もありましようと思います。要するに基地を提供するということでカバーしておると了解しております。こちらのほうはそういうものがありませんので、国有財産につきましては土地、建物等、できるだけそういう種類のものを提供する、こういうことでいたしております。で、今度の法律案につきまして、第一條に規定するというのがおかしいと、こうおつしやいますが、第一條の目的を遂行するため国有の財産を使用する、要するに施設及び区域を提供する、その目的は、第一條に書いてあることが目的である。こういうだけであつて、第一條に基いてというのは、要するに第一條の目的を我々はここに掲げておるので、安全保障條約がありまして、日本においてアメリカの軍隊がこれこれこれこれの場合に平和と安全の維持をする、その目的のために必要な施設、区域を提供する、こういうので、私は別に第一條に掲げる目的遂行のためということは、別におかしいことではないと考えておるのであります。
#55
○木村禧八郎君 それはどうも議論になるから、余りくどくど質問したくないのですけれども、大体これらの法律案は第三條に基く法律案となつているのです。たまたまここに第一條というものが出て来ましたので、私は質問したのですが、そうすると何か第三條によつて基地や何かがきまつて来ると思うのですが、併しそれも事情によつては大きくなつて来ると思うのです。一応きまつても第一條の目的というものは広範だと思うのです。そうしますとやはり国有財産を無償で提供する範囲というものは、日本国全体がそういうようになるような感じがする。必要があればですよ。第三條ですと、配備を規律する條件、これは一応これで今後どことどこが基地となるというので、あとで又追加すれば別ですが、一応きまると思う。これは第三條に基くと言いながら、そこに第一條の目的によるというように書いてありますので、何か日本国全体における国有財産が必要があるときにはいつでも無償で使用を許されるというふうに、どうも解釈されるのです。そう思われるのです。
#56
○国務大臣(岡崎勝男君) これは事実で御覧願うより仕方がありませんが、決して日本国全体の、どこでもかしこでも国有財産を皆提供するなどということは、それは事実を御覧になればすぐわかると思います。現にまだ決定には至つておりませんが、東北、北海道については大体の見当がついたのであります。予備作業班の作業と言いますか、これによりましても、かなり多くの分まで使つておりましたものが還つて参ります。これは主として優先的に私有財産を返すことになりますれば国有財産等もかなり大きく返つて来ると思います。今の見込では木村君の御心配のような点は毫もないと存じますが、日本の安全を保障するために必要と思えば、我々としては原則的にはそれはどこでも必要なものは提供するという気持でおりますから、米国側でも日米両国民の感情等も特に考慮しておりますので、成るべく狭い範囲で、必要最小限度でとどめよう、こういう気持で今まで予備作業班もやつております。今後合同委員会ができますればそこでやりますので、結果について御覧願えばよくおわかりになると思います。
#57
○木村禧八郎君 こられの法律案は、第三條に基いて出されたということはみんな書いてあつて、この国有財産の無償使用の法律案のみに限つて、この第一條が出て来ているのです。これは何か特別の意味があるのじやないか。若しかそれでしたら、ほかの関税の免税或いは所得税の免税、その他の規定についてもやはり同様であるべきだと思つたのですが、これのみに限つて第一條というのが出て来ているのです。そうするとこれは、ほかの税金免除の規定や何かよりも非常に広く解されるというように感じたのです。それで事実を見ればわかると言いますけれども、この法律案の出し方が形式が変つているものですから……、それならばほかの法律案もやはりそういうふうに出て来そうなものだと思うのです。関税の免税規定でも所得税の免税規定でも、第一條の目的を達成するために、これはもう当然と言えば当然だろうけれども、これのみに限つてそういう文句が出て来ているのです。それで何かこれは特別に、この法律案を作るときにそういう何か事情があつたのじやないかと思いますので、お尋ねしたいのですが……。
#58
○波多野鼎君 関連して。やつぱり何んでしよう、岡崎さん、全国的なものになるのじやないかと思うのです。例えば国有鉄道或いは電信電話、こういうものはやつぱり基地的なものじやなぐて、基地的というのか、局部的なものじやなくて、全日本に通ずる国有鉄道、電信電話、これを提供するということになるのじやないですか。
#59
○国務大臣(岡崎勝男君) そういうものは、提供する……と言いますか、これは使用料を拂いまして使うことにたります、電信電話とかそういう種類のものは。で、これはそのユーテイリテイのほうへ入りますかどうですか、ユーテイリテイのほうへ入ることにしてやつております。それも御説明したように、警察予備隊などで使つている一番低いレートではなくて、普通の政府機関が使つておるレートで使う、これは行政協定の議事録にも書いてございます。ここで主として申しますのは施設及び区域だけであります。
#60
○波多野鼎君 そうすると、この国有財産云々の法律案第二條の施設及び区域だけに限つておるのですか。
#61
○国務大臣(岡崎勝男君) これはこの法文から言いますと、国有財産でありまするから、国有の財産であれば提供するものは何でも合意がありさえすれば提供することになりますが、事実上は施設及び区域になります。
#62
○波多野鼎君 そうすると電信電話、鉄道などは別の取極めが法律案で出て来るのですか。
#63
○国務大臣(岡崎勝男君) これは普通の使用料を拂つて使用いたしまするから、その限りでどうなりますか、郵政省なり或いは電通省のほうなりで研究いたしておりますが、その必要があればそれは別の法律を出すかも知れません。要するに電信電話等は使用料を拂つて使うということになつております。
#64
○森八三一君 岡崎国務大臣に一点だけお伺いしたいと思いますが、それは行政協定の実施に伴いまして、いろいろな国内法の臨時特例に関する法律案が提案せられまして只今審議中になつておりますが、この大蔵委員会にも六つの法律案が出まして審議中であるわけでありまするが、先刻の御説明によりますると、これらの法律案はいずれも独立国家の立場に立つて必要な措置と考える、それを提案して審議を求めているという御説明であつたのでありますが、そこでお伺いいたしたいことは、今そういう問題が具体的に考えられておるということではありませんが、そういう立場に立つて提案をされておるということは当然であつて、そうだと思いますが、若しそういうことであるといたしますれば、この法律案を修正をするというような意見が出た場合に、占領治下でありますれば、一々司会部の了解がなければそういう措置を講じ得ないというように考えられるのでありまするが、独立の立場に立つて必要な措置を考えてその審議を求めているということになりますれば、そういう場合に一々司令部の了解を必要とするのかどうかということをどう扱いますか、一点お伺いいたします。
#65
○国務大臣(岡崎勝男君) これは行政協定なり安全保障條約なりは、占領下でありまするが、日本が独立した建前の下に締結した條約であり協定であるのであります。従いまして、これに関連する法律につきましては司令部の承認は、例えばあらかじめ法律案に対する承認等は事実上必要はないと考えております。併しそれは別に、どんどん法律案を修正して頂きたいという意味ではありませんけれども、形式的には承認は必要ない、こう考えております。
#66
○木村禧八郎君 今の国有財産の無償使用の問題ですが、これは議論になりますから……今の点はもつと明確にしなければ、これは非常に広範に亘つて無償で使用されることになると著しく不利益になるので、もつとこれは明確にする必要があるのじやないかと思いますが、これは意見になりますから次にお伺いしたいのですが、この行政協定の中にはさつき菊川さんからも質問があつたのですが、文化財、それから墓地、地下埋蔵物も、こういうものについてはまあ国際慣例によると米比協定などには、フィリピンは住民のその権利を留保するとはつきり書いてあるのです。ところが日本の場合はその点書いてないのですが、その点何か話合いか何かで権利を留保することになつておるのですか。それとも今後それは合同委員会で個々についてきめるのか、フィリピンの場合はそういうことを想定されて、はつきり権利を留保するということが書いてあるのです。こういう文化財なり地下埋蔵物等についてどういうことになつておるのですか。
#67
○国務大臣(岡崎勝男君) これは先ほども申しました通り、フィリピンの場合は大きな地域を画しましてその中は全部軍事基地である、こういうことにしますから、その中にそういう特殊なもがありますと、これを留保しなければならないわけであります。日本の場合は一々日本政府と米国政府とが合意をいたしましたところだけが施設及び区域として使用されるのであるから、日本政府で地下埋蔵物がいけないということになつて、合意をしなければできない。文化財等にしても同様であります。従つてこれは一々留保するという必要がないから書かなかつた。要するに我々が合意したものだけが使用される、合意しなければいい、そういうわけでフィリピンとはその建前が違いますから、そういうことはいたしておりませんが、文化財とかそういうものを施設区域として使用するということは我々としては合意する必要はないと考えておりますから、結局そういうものは使用されない、こう思つております。
#68
○木村禧八郎君 そうですか、そういうふうな規定がないので、若しかそうならそういう規定がありそうなものですが、この国有財産無償使用のこの規定を見ると、さつきみたいに第一條となつておりますから非常に広範だと思うのですが、そのときに、日本政府が合意さえしなければそれで権利を留保される、こういう建前になつているならば、それはまあいいと思うのです。併しそれでそう解釈していいのでしようか。日本政府がいけないと言つた場合はもう必ずそれが留保されるものと解釈して差支えないでしようか、何かそういうような根拠があれば……、合同委員会で結局話合つて、どうしても向うが作戰上必要だというときには、こつちが嫌でもそういうふうにされるということはないのでしようか。
#69
○国務大臣(岡崎勝男君) これは木村君のお考えは、何か全く対等の建前で作つておるのだという前提を危ぶんでおられるから、そういうふうにお考えになるのだと思います。併しこれは成るほどアメリカと日本との実力と言いますか、力の関係は違うと思います。違うと思いまするが、日本の合意しないものを無理にとるというようなことをしますることは、この安全保障條約の目的そのものを全く壞してしまうことになるのであつて、アメリカ側でもこの点はよく承知しておりまするから、日本とアメリカとの間の協議によつてきまつたものだけを使用するのだという建前を決して崩しておりません。従いまして合同委員会におきましても、意見の相違がこれは出て来ることはあり得ると思いますが、日本で承知しないものを、どうしてもとらなければならんということは予想しておらないのであります。ただ合同委員会でも、そういう合同委員会は、御説明したように非常に高度の……何と言いますか、高い地位の人が委員になると予想しておりません。むしろ技術的な施設、区域を決定するのが一番大きな目的としている委員会でありまするから、この二十六條の三項にも、合同委員会ではどうしても技術的にきまらないというような場合には、更に政府の間で考慮するというようなことも書いてありますが、要するに両国政府が合意をしないものは使用されないのでありまするから、その合意をしないものは使用されないという前提がはつきりしておりますのに、それを放り出しておいて、文化財は留保するとか、何は留保するとかいうようなことを書けば、却つておかしくなると私は考えます。
#70
○木村禧八郎君 それはまあ解釈の問題ですから、議論になりますから……。こういう取極めをするということは、その取極めをするときは善意であるけれども、あとで争いが生ずるから一応こういうふうに規定として残しておく。我々友人なんかでも貸借関係のとき、善意でありますけれども、若しかすると返してくれないというので、一応証文とか何とか、こういう取極めというものはするものであつて、私は條約のことは專門じやありませんからわかりませんが、常識論ですが、そういう危惧があるならばやつぱり明記しておいたほうがはつきりしていいというので私は質問したわけです。そこでもう一つ次にお伺いしたいのですが、免税の規定なんですが、軍隊の地位に関する北大西洋條約当事国間の協定を見ますと、九條の八項によつて、駐留軍はその国の物資を調達する場合には、駐留している国の物資を調達する場合には、免税を受けないような規定になつているようですが、日本の場合は、日本国内で駐留軍が調達するものについても免税規定が適用される。これは私は国際関税よりも非常に不利じやないかと思うのです。アメリカ等から持つて来る物資についてそういう免税規定が適用されるというならば一応話はわかるのですが、国内の物資を調達するのは、日本国内の……。その場合にやはりこれを免税しなければならんかどうかということは、私はどうもほかの條約にはそうなつていないのに、日本の場合特にそうなつているので、著しく不利じやないか、これは免税しなくてもいいのじやないかと思うのですが、この点はどういう関係で北大西洋條約なんかよりは不利にこういうように規定されたか。
#71
○国務大臣(岡崎勝男君) これはすでに行政協定の中にその趣旨が書いてありまして、その行政協定のときにいろいろお話いたしたわけであります。我々としてはやはりこういう種類のものを免税することが適当であると考えております。北大西洋條約をお引きになりましたが、御承知のように北大西洋條約はまだアメリカについては効力を発生しておらないのであります。でありますから、これを前例として引くのは今の状況では無理であります。こう考えます。
#72
○委員長(平沼彌太郎君) ちよつとお諮りしますが、大分時間も経過したようですが、まだ両大臣に対する御質問もおありになるかと思つております。それで両大臣とも午後は御都合が惡く、そうして明日は閣議がおありになつて、そのあとならばというふうなことで時間も少いと思いますし、明日は申上げました通り午後は連合委員会がありますので、外資の関係ですから午後はこちらの都合が惡いのです。まだ大臣に対する御質疑は相当残つているのでありますが、それと、まだ大蔵大臣だけ質問があつても岡崎さんのほうはないとか、そういうふうなことをよくお述べ頂きまして、そうしていつにするかというふうなことをきめたいと思いますが……。速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#73
○委員長(平沼彌太郎君) 速記を始めて。委員会は休憩いたします。
   午後一時二分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時三十四分開会
#74
○委員長(平沼彌太郎君) 午前に引続き委員会を再開いたします。
#75
○油井賢太郎君 特調のかたがお見えになつているので、ちよつとこの前お聞きしたいと思つた点があるのを、この際お聞きしたいと思います。実はアメリカとの間に行政協定が結ばれまして、日本で貸してあるところの家屋とか土地とか、そういうものが接收解除されて、民間の手に戻るのが相当あると思います。それの関係がなかなか捗つていないように見受けられて、民間人が非常に困つている実例がたくさんあるのですが、その点について二三お伺いしたいと思います。第一にあの賃借料というものは、一体どういうものを基準にして今までされておるのか。それから今度の條約の発効によつて今後はどんなような賃貸借の様式をとることができるのか、これはあなたのほうの管轄だと思うのですが、一応お聞かせ願いたいと思います。
#76
○政府委員(堀井啓治君) 不動産の解除の問題につきましては、すでにGHQにおきまして声明が出ておりまするが、その実行につきましては只今予備作業班におきまして折衝が重ねられております。大体不動産の專門委員会におきまして、今日北海道、東北方面についての駐留予定地がおおむね確定したというふうに聞いております。第二の賃借料の問題につきましては、これはその決定の方法につきましては勿論従来自由契約によつて主なる交渉をしておるわけでございますが、大体の基準といたしましては、これは本庁に中央不動産審議会、各地方局には地方不動産審議会がございまして、中央不動産審議会におきましては大体評価の基準を決定いたしまして、その基準を示し、地方局に示し、地方局におきましてはそれぞれの具体的な問題につきまして地方不動産審議会において大体料金を定めまして、その結果に基きまして更に所有者と契約を結ぶと、こういう方法がとられております。それぞれ審議会の構成はおおむね中央、地方ともそれぞれ不動産に関する專門のかたがたのみと、それから官側と大体半々の構成を以ちまして審議会を構成して、これらの公正な評価に当つておる次第でございます。
#77
○油井賢太郎君 今の構成された審議会で決定されたら、日本人の民間としては、それに異議を挾むことができないのですか。自由に貸借をすることができるようになるのですか。
#78
○政府委員(長岡伊八君) 不動産審議会で諮りましてきめました金額も、若し不服がございますならば、現在のところでは勿論訴訟等によりまして手続をとることは可能でございます。決して不動産審議会の決定いたしました金額を無理やりに押しつけるということはいたしておりません。ただ今日まで不動産審議会できまりましたものは、事実上訴訟になつたというようなものは聞き及んでおりません次第であります。
#79
○油井賢太郎君 それから先ほど私の質問は、今まで接收されていたものを返す場合、そういう際のいわゆる返還手続や何かは非常に手続が遅れるらしいのですが、そういつたようなことについて民間人の不平が多いようですが、それはどんなことになつておるのですか。
#80
○政府委員(長岡伊八君) 実は解除になりました場合の補償につきましては、何分にも進駐軍が使用いたしまして、模様替えとかいろいろ中が変つておりますので、借入れましたときの状態と、解除になりましたときの状態を比較いたして見なければわかりません。これがために現状確認ということは非常な手数がかかるわけであります。窓ガラス一枚も全部細かく評価いたす必要がございますので、これに一生懸命やりましても事実上非常に日数を食うので、実は我々のほうも各局を督励いたしまして早く解決するように努めたのでありますが、事実手間取りまして長く滯りましたことも事実でございます。ただ只今申上げました通り、一件片付けますにつきましても、書類にいたしましても非常に厖大な書類を作らなければならない。仮にこれが訴訟事件にでもなりますと相当、二年三年とかかる事件ばかりのように心得ております。併し、さようなことを申しておりましても所有者に非常に御迷惑をかけますから、殊に講和條約が発効いたしまして、今後返るものが殖えて参りますとますます手間が要りますので、この三月三十一日までに古いものは全部片付けるという目標で督励いたしまして、大体は、全部とは申上げかねますが、大体古いものは一掃いたしましたので、今後解除になりますものにつきましては比較的早く処理ができるのではないかと考えております。
#81
○油井賢太郎君 その補償される金額の算定ですね。これはどういうことになつておりますか。
#82
○政府委員(長岡伊八君) 解除になりますと只今申上げました通りに、現状確認をいたしまして、それぞれ借入れましたときの原状と現在の状態とを比較いたして見まして価値減を計ります。元の状態に全部を直すという措置はとつておりませんが、価値減を見ましてその価値減を補償するということになつております。ところが中にはどうしても手を入れなければいけないというものがあります。解除になりましたそのままで引渡しまして、すぐ使うということが困難である、手を入れなければならんというものがございますので、そのときには手を入れます金と価値減の額を比較いたして見まして、金額の多いほうを支拂うということにいたしております。
#83
○油井賢太郎君 まあ大体のお話はわかりましたけれども、とにかく接収解除が相当ありますが、時期が遅れるということは結局多少補償が余計あつたとしても何にもならないわけです。そういう点を十分一つ民間人の声をお容れになつて、早急に、はかどるように特に御督励願いたいということを申上げておきます。
#84
○木村禧八郎君 午前中に引続きまして、行政協定十二條に基く調達方式について更にお伺いいたしたいと思うのですが、これは今度直接調達になるについては私も多少財界方面の意見を徴したのです。ところが大企業についてはそんなに支障はないだろうと、こういう話でしたが、中小企業についてはやはり相当惡い影響があるのではないか。これはいろいろな事情を挙げて説明してくれたのですが、私もその点は今後非常に重大だと思いますので、間接調達に戻すことが仮にできない場合には、その弊害を除去するために十分努力しなければならないと思うのです。そこでそういう意味から御質問をするわけなんですが、中小企業なんかについては外人業者が仲介に入るので、それで非常に安く叩かれる危險がある、慮れがあるというふうに非常に憂慮しておるようです。で、御承知のように伊関・ウイリアム会談で過渡的に間接調達みたいなものを考えておられたようですが、それも駄目になつたようです。それで午前中、予定価格制度の問題をお伺いしたのですが、これについてはまだ私十分納得行かないのですが、これは大蔵省のほうからもあとで聞きたいと思つておるのです。やがて来るようですから……。予定価格制度をなぜ政府が設けたか、その趣旨を聞きたいと思うのですが、さつきの答弁ではわからないのです。そこでこの予定価格制度についても伺いたいのですが、次に経理制限額というやつがあるわけですね。経理制限額、フイスカル・リミテイシヨン、恐らく、この資料として配付されたこれは、再協議法の中にあるのか、或いは公契約法にあるのか、私は明らかでないのですけれども、とにかくフイスカル・リミテイシヨンによつてこれまでは日本政府の予定価格の範囲内であるにかかわらず米軍のほうのフィスカル・リミテイシヨン……予定価格を超えるために発注されない、こういう例がこの前にもあつたと思う。今度直接調達になつたときに、こういう弊害は一体除かれるのかどうか、お伺いしたい。
#85
○政府委員(堀井啓治君) 従来、終戰処理費で賄いました時分には、只今御指摘の通り、軍におきましてはフイスカル・リミテイシヨンがあり、政府側におきましては予定価格を以ちまして、両方のいわば制限を受けるというような結果、いろいろな問題を生じたことがございます。その点につきましては法律的にも処置をいたしまして一応矛盾のないような処理の方法がとられておつたのでございますが、直接調達になりました場合に、同様な方法がとられるかどうかという点につきましては、私どもよく承知いたしませんが、従来、特需等の例を聞きますと、只今御指摘のような、又御心配のような点もあり得るかと思うのであります。
#86
○木村禧八郎君 まあそういう心配もあるということはわかつたのですが、次にお伺いしたいのは、これまで終戰処理費に関係する発注ですけれども、一応これは契約の相手方、それから金額をきめる場合には如何なるものでも特調をおいてはこれは許されないということに、建前としてはなつておるはずじやないのですか。
#87
○政府委員(堀井啓治君) お説の通りであります。
#88
○木村禧八郎君 それにもかかわらず、これはスキヤピンですね、スキヤピンの千八百七十二号ですが、そういうふうになつておると私は伝え聞いておるのです。にもかかわらず、さつきお伺いしたレイモンド会社、ああいう例、それから石炭ですか、入札についてそういう日本政府のほうに一応自主性が與えられているにもかかわらず、そういうものか無視されて行われたという例があつたということを聞いているのです。そういうことがあつたわけですか。
#89
○政府委員(堀井啓治君) 私どももそういう点では承服し得なかつたのでありますが、占領時代でありまするので、軍の命令があるならば止むを得ないということで、たしか書面を以て指示を受けておつたということがございます。
#90
○木村禧八郎君 占領下であつても、一応建前としては特調を経由しないでは契約の相手方、金額をきめることはできないとなつているのに、それが守られない、それが尊重されないということは非常に我々として非常に遺憾に感ずるわけです。そういうことが直接調達になると一層そういう弊害が是正されないで、却つて助長されることを憂うるわけです。次にお伺いしたいのは、予算決算会計令の七十五條によりますと、工事等の検査調書を作成しなければならんことになつておるのですね、御承知のように……。ところが今度直接調達になると、そういうことはできなくなるのですね、そういうことはどうなるのか。日本側の検査はできない、そうなると不合格品なんか納入されても何らこれは解決できない。これは一見すると無関係なようですけれども、間接的にはやはり影響するところは大きいと思うのです。そこでこの予算決算会計令の七十五條というものは、今度直接調達になると、この関係はどういうふうになるか。
#91
○政府委員(堀井啓治君) 日本側から行政協定によりまして九十二億を除く五百五十八億の予算が米国に渡されるわけでございまして、渡したことによつて日本政府の責任は、義務は果されたことになります。従つてそれ以後の処置については、なお行政協定によりましてチエツクをし得る権利が認められておると存じますが、その点についてどの程度のチエツクが許されるかどうか、これはまだ、未決定でございます。従いまして、只今御指摘のことは勿論直接調達に相成りますれば適用はないと思います。
#92
○木村禧八郎君 そういう面から見ても、やはり我々としては間接調達が望ましいので、本当はそうすべきだと思うのですが、それが遺憾ながら直接調達になつたということは我々納得が行かない点なんですが、更にお伺いいたしたいことは直接調達になる結果、発注の時期、それから発注の数量、それから納期ですね、それから規格です。そういうものについて日本側の経済事情とマツチしないような、適応しない発注の仕方が行われているのですね。間接調達ならばそれを調整する仕方も、よく国内事情が日本の官吏はわかつておりますからできると思いますが、それが直接調達になるとそういうところが十分調整されない。これは日本の国内経済でのいろいろな競合という面から見て非常に重大だと思うのです。簡單なようで実は実際面になると非常に重大だと思うのですが、直接調達になる場合、こういう弊害をどうして除去するか。この間を何か調整の方法ですが、具体的に考えられていますか。
#93
○政府委員(堀井啓治君) 只今御指摘の点につきましては、只今合同委員会の調達班におきましてできるだけ日本の実情を加味しました契約方式或いは手続等につきまして折衝いたしまして、できるだけ日本の事情に合うことによりまして、御指摘になりました点は防いで参りたいと存じます。なお将来、そういうようなものが起りますれば、これは日米合同委員会を通じまして向う側に申入れすることができると存じます。
#94
○木村禧八郎君 十分そういうことも、今後合同委員会を通じて弊害のないように努力をなされると思いますが、勿論それはそうしなければならないことですが、併し根本的には合同委員会で解決がつくならば問題ないと思います。実際問題としては一番適当に調達するのは何と言つても間接調達、日本国民の機関が一元的に調整するというのが一番望ましいところです。その点から言つても、今度直接調達になつたことは我々非常に遺憾に思います。なお、主計局長がお見えになりましたので一点お伺いしたいのですが、この予算決算会計令における予定価格制度を設けておる意味、どうしてこういうものを設けておるのか、その意味を伺いたい。
#95
○政府委員(河野一之君) これは政府の契約というものは原則として入札主義であります。売る場合はできるだけ高く、買入れる場合はできるだけ安くということであります。非常にそこにいろいろな弊害が起ると申しますか、故意に非常に安い値段でやるというような場合もなきにしもあらずで、現在の会計法そのままの姿で行きますと非常に安い、みすみす、こういう値段でできつこないと思われる値で落すというようなこともあり得るわけでありますから、特に予定価格というものを設けて、契約担当官の一応の判断に資すると、こういう意味でやつておるわけであります。
#96
○木村禧八郎君 只今主計局長の話ですと、一応の判断と言われますけれども、この予算決算会計令では予定価格の範囲内でなければいけないということになつております。業者の見積り入札価格は範囲内でなければいけない。單なる目安じやなくて、それには日本経済の運営上そういう制度を設けておかないと、いろいろ弊害があるというので、そういうものを設けたのじやないかと思われるのですが、ただの目安じやなくして……。
#97
○政府委員(河野一之君) 目安という意味は私少し何か存じませんが、契約担当官としてはそういうものを心において、そうしてその予定価格の範囲内で契約をするという、そこにそういうものがありませんと、幾ら低くても、幾ら高くても一応の入札でありますから落ちるというような場合もあり得るので、やつているわけであります。
#98
○木村禧八郎君 そうしますと、こういう予定価格制度が破られるということは好ましいことじやないわけですね。一応の目安じやありませんから、それを守らなければならないわけです。それが日本国民たると外国人たるとを問わず、国内においてこういう制度があるにかかわらず破られるということは、好ましいことじやないと思うのですが、その点どうですか。
#99
○政府委員(河野一之君) 直接調達のことに関連しておつしやつているのじやないかと思いますが、国民の負担において行われる契約というようなものについては、高いものがあつては……できるだけ国民の負担が少くて済むといつたような考え方で予定価格というものを考えているわけであります。それがまあ、ほかのほうの場合になりますと違つた意味において、非常に高いとか、或いは非常に安過ぎるといつたようなことは、国民の負担という問題でなしに、国民経済にどうという面として、考うべき問題じやないかと私は考えております。
#100
○木村禧八郎君 率直に申上げますと、このスキヤピンの二千二百二十九号によつて予定価格制度が日本にあるにかかわらず、その例外として予定価格を超えた価格の入札価格においてでも、それを日本政府の予定価格と認定するというようなことになつているやに聞いているのです。ですから一応日本の予定価格制度が実際に否定されておるその面では……終戰処理費の発注において、日本政府には予定価格制度が一応あるのでございますけれども、その場合にはしよつちゆうというわけではないでしようけれども、一応予定価格を超えても、例えばABCという入札者があると、最低価格をとるでしようけれども、その最低価格が予定価格を超えていても、それを進駐軍のほうでこれを最低価格、予定価格と認めると、こういうことになると、日本政府の、日本の会計令における予定価格というものは否定される、こういうことはあるのではないでしようか。
#101
○政府委員(堀井啓治君) 只今あなたの御指摘の場合は、政府で作ります予定価格というものは、常に正確を期しておりますけれども、絶対に正確であるとは申しかねますので、誤まりがあります場合には予定価格を改めることがあり得るわけであります。最低の金額のほうが適正でありまする場合には予定価格をそれに直す、直しまして……。一応予定価格の制度を無視しておるわけではないと思います。
#102
○木村禧八郎君 それはわかります。その直した範囲においては、その直した予定価格の範囲内でなければ絶対にいけないのですね。それは成るほど事務当局側の御答弁としてはわかります。それで併し、それが実際に適正な予定価格であるべきものが、しばしば変更されるということになると、実質的に予定価格制度が無視されるということがあり得ると思う。ですからそういうことは一つの弊害としてあつたと思うのです。私は事務当局としてそういう答弁をされるのはその立場上困難かと思われますが、我々はそう考えておる。そういうことが直接調達になりますと、一層適正な予定価格というものをきめることが困難になると、そう思うのですが、その点はどうですか。
#103
○政府委員(堀井啓治君) その点につきましては、私ども関與いたさない範囲であり、先ほども申上げました通り、そういう場合も起り得ることは考えられます。日本におきまして終戰処理費の場合にそういう場合はたくさんあるようなお言葉にも聞えましたが、そういう場合も稀にはございましたが、決して多数あつたわけではございません。
#104
○木村禧八郎君 そうたくさんなければ結構ですが、今後そういうことがしばしばないことを望みまして、そういう弊害が若しか多少でもあつたら除去するように努力して頂きたいと思うのです。
 次にお伺いしたいのは、この契約解除の場合、契約を取消す場合、大体予告期間というようなものがあると思うのですが、それで我々聞いておるところでは、軍のほうで大体一カ月くらいの予告期間を置いて、そこでこれの契約を打切るとか、まあ事事上二、三カ月くらいの予告期間があるように聞いておるのですが、そういう場合に軍の発注はなかなか技術的に困難ものもあつたりなんかして、そういう事業に転換するのに暇がかかつて、漸く転換したのに一カ月乃至二、三カ月の予告期間で打切られてしまう、今度ほかに転換するということは困難である。そういう場合の損失の補償ですね、そういうものは考慮されているのかどうか、その点お伺いいたします。
#105
○政府委員(堀井啓治君) 只今御指摘のような場合は例えば或る役務を契約いたしました場合に、その役務の遂行のために、例えばその工場を相当模様替えをしなければならない、相当の金を使つて模様替えをしたのにかかわらず、僅かな期間でその契約がキャンセルされたというような場合を御指摘になつておると存じますが、そういう場合におきましては通常起る損害の算定、クレームの問題として従来はそういう問題につきましては、特別調達庁におきまして通常起り得る損害を算定いたしまして、軍に要求し、軍はこれを承認いたしますれば、改めてPDにおきまして損失の補償をいたしております。将来直接調達になりました場合には若しそういう問題が起れば、これは裁判に付するか、或いは合同委員会に、日本政府を通じて合同委員会に提訴するという途が開けていると思います。
#106
○木村禧八郎君 損害を生ずる場合は、只今質問した場合以外にいろいろ生産計画の変更、それから仕掛品を廃棄したり、処分したり、それから中止命令が来たというような、いろいろなケースがあると思う。只今のお話では一応調達庁で損失を測定して調べて補償しているというお話ですが、我々その補償されてないということを聞いているのですが、その点どうなんです。
#107
○政府委員(堀井啓治君) 終戰処理費は、御承知の通り軍の承認がなければ支出できないことになつておりますので、我々のほうで算定いたしましても、軍のほうでこれがアプルーヴアルが得られませんというと、支拂ができないという結果になる場合の御指摘かと思います。
#108
○木村禧八郎君 そうしますと日本政府側では、総じて損失を補償するつもりでアメリカ軍に要求する建前になつている。併しそれが実際において補償されないというようなことは、これまで実際あつたのですか。
#109
○政府委員(長岡伊八君) 只今堀井次長から申上げました通りに、軍の承認が要るのでございますが、これにつきましてはあらゆる努力をいたしております。そうして軍といたしましては、その問題が訴訟になりまして、訴訟の結果、軍として支拂う必要がある、義務があるという決定をみた場合には拂つて差支えないと言つたようなものもございます。訴訟になつているものもあるように記憶いたしております。
#110
○木村禧八郎君 その訴訟の場合ですね、その紛議の解決は契約担当官とか極東軍司令官、米国陸軍長官の判決に従うということになつているのですね。そうなんですか。
#111
○政府委員(長岡伊八君) お話の点は、或いはこれまで軍が直接やつております特需の関係についての問題ではないかと存じます。これまで特別調達庁がやつておりますものは、只今申上げました通りクレームが起きますと、軍にこれの解決方につきまして我々のほうからいろいろ努力して参りますが、この際裁判と申しましたのは、日本国の裁判に付する場合があるということを申上げました。特需の問題につきましては特調が全然関與いたしておりません。この点につきましては、これまでも全然手が出せなかつたのであります。特調が終戰処理費で分担いたしました仕事につきましては只今申上げたような措置をとつたものもあります。
#112
○木村禧八郎君 それはどうですか、日本の民事上の裁判ですか、損害賠償とか、そういうのができるのですか、占領下に……。
#113
○政府委員(長岡伊八君) 契約は、軍の特調に対する要求に基きまして、日本政府と業者とが契約いたしておりますから、その点につきまして問題が起り得るのであります。
#114
○木村禧八郎君 そうですか、そういう意味ですね、それはわかりました。まあ日本政府としてはその結果、判決の結果としては拂わなければならないと言えば拂わなければならないのですね。併しその損害を今度はアメリカ軍のほうに要求した場合、アプルーヴアルが得られれば日本政府が拂つた損害が軍のほうから賠償される、併しアプルーヴアルが得られなければ賠償されない、日本政府の負担になつてしまう、こういうわけですね。
#115
○政府委員(堀井啓治君) そうです。
#116
○木村禧八郎君 そういう点は事情よくわかりましたが、それでは日本国民として困るのであつて、政府と業者の間では一応それでいいのですけれども、それは日本国の損失なんですからね、それは我々としては当然軍のほうとしてそれを賠償する制度をこれは作らなければならんと思いますけれども、今まで占領下であるから仕方がないと言えば、独立後においては、講和発効後においては、何かそういうシステムができなければ日本国は非常に損すると思うのですよ。そういう意味でもこれは直接調達のときはどうなんですか。今度は業者との関係になるのですけれども、まあ今までは日本政府があつて一応業者は補償される、今度は日本政府がないと、そうした場合、日本の業者と駐留軍との直接関係になるのですが、そういつた場合、補償関係はですね、非常にむずかしくなつて今までは特別調達庁が間に入つて、そういうものができた今度はそういうシステムが確立されないと非常に困難なように思うのですけれども、この点どうですかね。
#117
○政府委員(長岡伊八君) 御指摘の通りに、今後直接調達になりました場合は、国の損害ということは起らないと思います。これはいわゆる防衛分担金として向うに渡しましたものの範囲で向うが賄いますので、ただこれまでと違いまして、間に入りましていわゆるクツシヨンの役目を勤めましたものがなくなります。軍と業者との直接の問題、その結果、紛議が起りました場合には先ほど次長からも申上げました通り、合同委員会を通じてということに相成り、それ以上まあ訴訟問題ということになりますと、その点はどういうふうに解決されますか。実は特調のほうといたしまして、これも詳らかにいたしておりません。誠に恐縮でございます。
#118
○木村禧八郎君 大体において、今度のまあ調達方式を考える場合には、今の特需のやり方がですね、まあ公面的になると、そう考えればいいわけですか。
#119
○政府委員(長岡伊八君) 御指摘の通りでございますが、先ほど堀井次長から申上げました通りに、まあ話をいたしております結果、軍といたしましても日本の業者が困らないような方式、契約の形をとるということで、予備作業班でこの点を研究いたしております。多少、従来の特需の関係とは変つたものが現われるかとは思つております。まあ考え方といたしましては、御指摘の通りだと思います。
#120
○木村禧八郎君 そうしますと、契約履行上ですね、駐留軍と業者との間に紛議が生じた場合、先ほどの御説明では、その紛議の解決は契約担当官、それから極東軍司令官と米国陸軍長官の判決に従う、この特需の場合そういう御説明だつたのです。そうしますと、今度は駐留軍から発せられた注文については、全体にそういうことになれば何か非常に一方的にこの判決権があつて、そつちに従うということになるのです。それでまあ、占領下においてはそういうことが仮に仕方がないとしても、今度は講和発効後においては、そういう形の紛議の解決の仕方でいいかどうか、一方的ですか、これは。何かその合同委員会でなくても、又そういうものがそれに判決を與えるという形にするのか、何か第三者的な一つの機関ができてそれに当るのか。現在のままだということになると、非常に一方的な判決に従うということになるのじやないですか。
#121
○政府委員(長岡伊八君) その問題につきましては、実はいろいろフレームが起つて来るであろうという予想をいたすわけでありまするので、これを合同委員会に持出しまして解決を図るのでありますが、この事務を、何と申しますか、その下働きと申しますか、そういつたものを受付けますなり、一応の意見を立てますことは恐らく日本政府でどこかの機関でやることになると思いますが、実はまだその機関は一応特調で取計らつたらどうかという話合いでございますけれども、まだ決定的なものになつておりません。
#122
○木村禧八郎君 この点は何らか変らなければおかしいと思いますが、それは議論になりますから次の御質問に移りたいと思うのです。
 午前中の質問の場合にも一応出た問題ですが、アメリカのリネゴシエーシヨン・アクトですね、これによりますと借入金の利息、こういうものは経費に認められない。アメリカはまあ金利は安いのですからそういうことも支障はないかもわかりませんが、日本は相当金利が高いですし、日本の企業は会社負債が非常に多いのですね。御承知のようにそれで借入金が非常に多い。そういうような場合に日本のそういう商慣習或いは日本の経営形態のアメリカとの違いを無視して、こういうものを経費に計上を認められないということは適当かどうか。我々は適当じやないと思うのですが、どういうふうにお考えになりますか。
#123
○政府委員(堀井啓治君) リネゴシエーシヨン・アクトの適用につきましては、私どももこれを何ら……日本に米国そのままを適用される……仮に適用されるといたしましても、そのまま適用することは極めて不適当でございますが、なお、でき得べくんば全面的にこれが適用を排除いたしたいという提案を予備作業班でいたしております。これに対しまして今までは比較的好意のある返事を聞いておりますので、多分適用にならないようになるのではないかと予測しております。と申しますことは、他の諸国におきましても国内では勿論そのアクトの適用がございまするが、外国におきましては、外地におきましてはそういう適用がない所が相当あるというふうに聞いておりますので、その範疇に入り得ると思います。
#124
○木村禧八郎君 このリネゴシエーシヨン・アクトの適用が排除されれば随分その弊害は違つて来ると思います。我々の聞いているところでも、このリネゴシエーシヨン・アクトの一番最初超過利潤を取つてしまうとか、それから退職給與引当金というものも原価計算上これを算入しないとか、いろいろ日本の商慣習に合わないことになりますから、これが適用されないことになればいいのですが、まあその方向に努力をして、これを適用しないというふうにしないと、日本の商慣習と非常な違いができて来ますから、そういう方向に向いて来ればそれは望ましいと思います。
 大分長くなつて恐縮ですが、最後に人事管理に関する問題ですが、これは一番心配しているわけなんです。今までの契約ですと、軍との契約ですと、解雇が一方的にされるということなんですが、解雇の書面が着くと、解雇された者は再びこれを現職にとどまらせないことは勿論、非常に雇用者が不利な條件に置かれておる。ですからこういう人事管理に関する問題は、今後そういう契約の場合には削除するとか、何かそういう救済規定を設けないと非常に従業員が不利な立場になる。これは非常に大きな問題になつておるわけです。その点はどういうふうに処理されるのですか。
#125
○政府委員(堀井啓治君) 労務の提供につきましては、御承知の通りGHQに契約を以て労務を提供しておるわけでありますが、御指摘のように根本的に、在来の占領下における契約につきましては、日米の関係が極めて片務的でございまして、極めて不適当な、御指摘のような箇所も多分にございますので、講和発効と同時に、この契約は更改さるべきであるという考えを以ちまして、只今軍と折衝いたしております。御心配のような点は、日本側の労務者に決して不利にならんように、特に労働三法の遵守というような点につきましては強く主張したいと存じまして、只今改正案を以ちまして軍と折衝いたしております。
#126
○木村禧八郎君 是非そういう折衝をしてもらいたいと思います。私この間、予算委員会のほうで赤羽の工事を見に行つたのですが、就業状態を見ますと非常に戰々兢々として仕事に従事しておるように見えるのです。これではいけないと思います。日本の工場に働いておる労務者と、ああいう所に働いておる人との様子を見ただけでも非常に違うのですね。のんびりしていないのです。何か非常に神経を使う……ああいう点は非常に私お気の毒だつたのですよ。その点は、是非日本の労働三法の適用を受けるように、今の契約の状態では実に我々同胞として……まあ職がないからああいう所に行かざるを得ないのですけれども、ああいう雇用契約はいけないと思うのです。その点、私特に御努力を願いたいと思います。どうも長い間、細かいことをお尋ねして恐縮でしたが、私の質問はこれで終ります。
#127
○委員長(平沼彌太郎君) 大体これで本案に対する質問は終ります。ちよつと速記をとめて。
   〔速記中止〕
#128
○委員長(平沼彌太郎君) 速記を始めて。ではこれで散会いたします。
   午後三時二十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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