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1951/04/21 第13回国会 参議院 参議院会議録情報 第013回国会 大蔵委員会 第44号
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1951/04/21 第13回国会 参議院

参議院会議録情報 第013回国会 大蔵委員会 第44号

#1
第013回国会 大蔵委員会 第44号
昭和二十七年四月二十一日(月曜日)
   午後一時五十一分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     平沼彌太郎君
   理事
           大矢半次郎君
           伊藤 保平君
           木内 四郎君
   委員
           岡崎 真一君
           黒田 英雄君
           西川甚五郎君
           溝淵 春次君
           小宮山常吉君
           小林 政夫君
           森 八三一君
           野溝  勝君
           下條 恭兵君
           波多野 鼎君
           菊田 七平君
           油井賢太郎君
           木村禧八郎君
  国務大臣
   大 蔵 大 臣 池田 勇人君
   国 務 大 臣 岡崎 勝男君
  政府委員
   日本專売公社監
   理官      久米 武文君
   大蔵主計局次長 石原 周夫君
   大蔵省主税局長 平田敬一郎君
   大蔵省主税局税
   制課長     泉 美之松君
   大蔵省主税局税
   関部長     北島 武雄君
  事務局側
   常任委員会專門
   員       木村常次郎君
   常任委員会專門
   員       小田 正義君
  説明員
   大蔵省管財局総
   務課長     小林 英三君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○日本国とアメリカ合衆国との間の安
 全保障條約第三條に基く行政協定の
 実施に伴う所得税法等の臨時特例に
 関する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
○日本国とアメリカ合衆国との間の安
 全保障條約第三條に基く行政協定の
 実施に伴う国税犯則取締法等の臨時
 特例に関する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
○日本国とアメリカ合衆国との間の安
 全保障條約第三條に基く行政協定の
 実施に伴う関税法等の臨時特例に関
 する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
○日本国とアメリカ合衆国との間の安
 全保障條約第三條に基く行政協定の
 実施に伴うたばこ專売法等の臨時特
 例に関する法律案(内閣提出、衆議
 院送付)
○日本国とアメリカ合衆国との間の安
 全保障條約第三條に基く行政協定の
 実施に伴う国有の財産の管理に関す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○特別調達資金設置令の一部を改正す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(平沼彌太郎君) 第四十三回の大蔵委員会を開催いたします。
 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う所得税法等の臨時特例に関する法律案、同国税犯則取締法等の臨時特例に関する法律案、同関税法等の臨時特例に関する法律案、同たばこ專売法等の臨時特例に関する法律案、同国有の財産の管理に関する法律案、特別調達資金設置令の一部を改正する法律案、右六案について質疑を行います。
#3
○小林政夫君 前に主計局長に質問をしたのですが、最後の特別調達資金設置令の一部を改正する法律案についてでありますが、この特別調達資金を設置したいきさつから言つて、進駐軍労務のドル拂いというような点からいつて、ああいつた七十五億という回転資金を設けなければならんことになつたのでありますが、防衛分担金の五百五十八億をジヨイント科目に入れて、主計局長の説明では、できるだけ防衛分担金のジヨイント科目による日本円の支拂いについては、将来円で全部拂うようにしたいという希望を持つておるということであります。従つて進駐軍労務についても円拂いが行われるようになるであろうという見通しを持つた説明があつた。そこでそうなつて来ると七十五億というような回転資金を置いておく必要がないのではないか、当面この一部を改正して、今までの占領軍を駐留軍に変えるというこの改正は必要であると思いますが、将来そういつた七十五億という回転資金をいつまでも置いておく必要がないようにジヨイント科目の運営というかを向うに相談をしなきやならんと思いますが、そういうふうにおやりになる御意思があるかどうかということを伺いたいと思います。
#4
○国務大臣(池田勇人君) 駐留軍関係の費用の支拂いは円でいたすように考えております。これは日本銀行のほうへ預け入れいたしまして円で拂うようにいたします。それからお話の進駐軍労務者のためばかりじやありませんが、主として労務者のための七十五億円のいわゆる回転資金についてであります。この問題についてどうするかということは研究をいたしておるのであります。今お話のように二十数万の労務者が今度切替わる場合に退職金の問題が起つております。この退職金がどのくらい要るかと申しますと、実は六十億前後或いは六十数億円じやなかつたかと思います。それを今直ぐ円拂いをするがいいか悪いかという問題、ここで労務者のほうは今直ちに円拂いをしてほしい。それから我々のほうとしては、金融的に今直ぐ円拂いをして退職金を出すことがいいか悪いかという問題のみならず、これからずつと続いて行くときに、退職金の計算をどうするか、上つて来た分で実際退職のときに拂うのが至当じやないか、そのほうが退職者のほうにも多く出せるのじやないかという考え方で、今退職金を拂うのは考えものだと言つておりますが、次の問題の一旦切つてしまつて、もう今後の分は今後の分で別計算にするという、こういう要望も進駐軍労務者のほうから出ておるようであります。そこをどうしますか、或いは折衷案として、拂うことは拂うが、計算をして、それに一定の金利を附けて政府か拂うかというので今話をしておると聞き及んでおります。従いましてお話の点が拂うべきではないかという御質問か、或いは七十五億円の分が要らなくなつて来るのじやないかという問題と思いまするが、要らなくなつて来るかという問題につきましては、今申上げたように、日本政府で負担すべき退職金が六十億余り要る、こう聞いておるのでございまして、ネツト国庫の余裕が出て来ることにはならんと思います。
#5
○小林政夫君 そうすると将来は円拂いになれば、今取りあえず七十五億というものはそういつた退職手当に引当てなきやならんから、結局予算は余らないということでありますが、将来の進駐軍労務或いは物資等の調達について、間接調達の際にこういつた回転資金を設ける必要があるのかどうか。この前の主計局長の説明では、間接調達のためには或る程度こういつた回転資金というか、日本側の運転資金というものが必要だというふうな意味の答合弁があつたわけです。併しこれについては、ジヨイント・アカウントのほうの運用を、それが要らないような、回転資金を日本側において設定することが必要でないような方法をアメリカ側に講じさせる余地があるのじやないか。五百五十八億という防衛分担金を負担をして、更に又ここに回転資金が何がしか要る、進駐軍労務については一応これで御破算になるとしても、将来そういつたものが要るというような事態は余り望ましくないのじやないかと思うのですが、将来そういう物資或いは労務等について間接調達の際に、同じような回転資金を設ける必要が生ずる見通しなのですか、そういうものはこしらえなくてもいいということなのですか。
#6
○政府委員(石原周夫君) 便宜私からお答えを申上げまするが、将来行政協定の第十二條第二項にございまするような日本経済に不利な影響を與えませんために、日本側の適当なる機関を通じまして調達をいたす、只今お尋ねの間接調達をいたすということは、十二條に一応予想せられておるわけであります。その場合におきましてそれの資金上の操作はどうなるかということに相成るかと思うのでありまするが、方法といたしましては、実はその前段にお尋ねの労務関係、即ち現在の調達資金が果しておりまする機能の分につきましても、アメリカ側の分担に属しまする部分について、例えば日本側の官吏に対しまして委任支出をいたすということ、日本の役所の内部でございますればしばしば委任支出という例がございまして、或る官庁の金を他の官庁が委任を受けて支出することがあります。それが国際的にできますれば、何らかの資金というようなことを用いませんでできるわけであります。そういうような方法につきましてアメリカ側の当局者との間に若干議論をいたしておるのであります。現在までのところにおきましては、外国の官吏に委任支出をするということはどうもむずかしいのではなかろうかということでございまするので、それの基礎になります法規の関係もいろいろ調べてもらつておるわけでございます。問題にはなり得るのでありまするが、こういうような方法がどうもむずかしいのではなかろうかというふうに考えておるわけであります。そういたしますると、間接調達ということで一応日本政府が調達をいたしまする際に、何らか資金上の備えが要ることになりまするので、そこに勿論別の予算がありますればいいわけでありますが、予算がない場合におきまして、こういうようなものを利用するということにつきましての可能性の問題が残るのではないかというふうに考えております。
#7
○小林政夫君 まあちよつとこれ以上は意見になるかも知れませんが、そういうふうに主計局長からも説明を聞いたのであります。そこで折角まあアメリカにおいてもジヨイント・アカウントを設けるについては特別立法を要するわけであつて、この際にそういつた日本の官吏に対して委任支出事務を或る程度取扱わせることができる、純然たるこれはアメリカの、煎じつめたところが……、先だつては日本から五百五十八億アメリカに渡して、アメリカの歳入というふうに見なくちやしようがないということですけれども、実際実体的にはアメリカが半分、日本が半分であつて、アメリカの全部歳入としてそれを支出するというふうな扱いにされるには、実体的な性質が違う勘定だから、そういつたアメリカと日本と出し合つた金について日本官吏に、而も日本で使われる金に日本の官吏に出納事務を一部については委任するということは特例として、若しそういつた立法の先例がないとか何とかいうことであれば、こういうことについても恐らく先例はないのだから、十分アメリカ側と折衝をして余分な金を寢せないように、特に財政の苦しいときに運転資金についても余分な金を寢せないという意味において、積極的な折衝が望ましいと思います。で、まあ特に大臣に聞いたわけですが。
#8
○国務大臣(池田勇人君) 十分検討いたしたいと思います。
#9
○木村禧八郎君 国有財産の使用の問題ですが、あれは将来あの中で有料で賃貸使用になる部分が出て来るわけじやないですか。この法律案の規定では、安保條約の一條に基いて、そうしてまあ国有財産を無償で使用を許すというのですけれども、範囲が非常に広いように私は受け取れるのですが、それは一応そうして置いて、それで例えば今賠償指定になつている設備や何かあると思うのですが、そういうものは将来どうなんですか、一応無料で使用を許して置いて……。
 それからもう一つ、民間の私有財産を接収する場合、駐留軍に貸す場合には、一応政府がこれを賃貸して貸すことになる、その負担は日本国政府になるわけですが、そういうものはどうなるのですか、分担金から差つ引くのか、どうなのか。
#10
○説明員(小林英三君) 只今お尋ねの第一点でございますが、行政協定に基きまして、向うもいろいろこの施設をどうするかということについて目下作業中でございますが、この駐留軍の用に供するということでアメリカ側に提供するということにきまつたものにつきましては無償ということになるわけでございますが、駐留軍の目的ではないが、それに関連するようなことで、この行政協定やこの取極の範囲外というものについては有償のものがあるわけでございます。それから第二点の民有財産につきまして、これを政府が止むを得ざる場合において接収するという場合におきましてのいろいろな使用料の問題とか或いは又それを買収する費用ということについては、防衛支出金の九十二億から出すということになつております。
#11
○木村禧八郎君 大蔵大臣にお伺いしたいのですが、前に大蔵大臣にこういう質問をしたときに、それは例えば今の九十何億ですか、賃貸に関する支拂ですね。六百五十億の中の九十何億ですか、あれが足りなくなつたときに、大蔵大臣は安全保障諸費のほうから拂えるようなことを前に言われたのです。併しそれはそういうことは主計局長はできないだろう、こういうことを言つておるのです。それを前に大蔵大臣は、それは例えば土地を接収するような場合、若しか足りなかつたときにはどうするというときに、大蔵大臣は、これは安全保障諸費のほうから拂えるから差支えないのだということを答弁されたことがある。
#12
○国務大臣(池田勇人君) 私は九十二億円が足りなくなつた場合において安全保障諸費から今のような接收家屋の分を出せるということを言つたことはないと思います。ただ予算総則におきましては、一応安全保障諸費は警察予備隊なり防衛支出金のほうに出し得ることに予算総則はなつております。こう答えたのであります。而して九十二億円の分で足りるか足りないかという問題につきましては、これは説明を加えておると思いまするが、相当の家賃等の値上りがありましても十分拂える見込でおりますということはお答えいたした記憶があるのであります。
#13
○波多野鼎君 岡崎さんが来られませんから、大蔵大臣に代つて答弁してもらいたいと思います。今の木村さんの御質問に関連しておることなんで、農地の測量をほうぼうで非常に広範囲にやつております。特に現在ある飛行場の周囲、接收されるかどうかということはよくわからないけれども、或る場合には飛行場附属のところに飛行機の工場を作らせる、そこで修理をやらせる、その工場の敷地として今の占領軍が接收を始めるのだという噂が飛んでおりまして、例えば愛知県の小牧飛行場の附近においては戰々兢々としておる。事実測量をやつておるものですから……、こういうことはこの條約に基く調達の方式が決定したあとでこれはやるべきじやないかと思うのに、現にこういうことは非常に急速に進められつつあるということは非常に遺憾だと思つておりますが、まあそれはそれとして、この農家に対する、土地を收用される農家に対する賠償、補償と申しますか、これは相当多額のものが要るということは今木村さんの話にもあつたと思うのでありますが、家賃などで九十二億、家賃に当てる分としては九十二億は多いかも知れませんけれども、今測量されておるような土地の賠償費としては足りないのじやないかという気がするのですが、そういう点は一体政府のほうではどういうふうに考えておるのですか、今まさにこの條約が発効しようとする現在、急速にそういう接收の手続をとりつつあるということに対しては……。
#14
○国務大臣(池田勇人君) この農地の接收につきましてそういうことが考えられるので、農民に対しまする補償はできるだけのことをいたすように、この前要綱は閣議できめたと思います。併しそれにしても今農地不足の場合にそういうことをどこにもどんどんやられるというのは困るので、私は日本政府と十分話合いで進んで行つておると思います。この飛行場のそばの工場のみならず、これは向うの軍の演習、或いは警察予備隊の演習地等につきましても問題があるのでございまするが、こういうものを極力少範囲にとどめるように、こういう方針で進んで行つて欲しいということは申出ておるのであります。具体的にどこをどの程度接收するかという問題は聞いておりません。
#15
○波多野鼎君 而ももう一つ聞いておきたいのですが、まあできるだけ接收させないように政府のほうでも努力するという話だからまあ安心しておきますが、例えばこの條約が発効する前に接收した農地に対しての補償の問題はどういうふうに扱われるのですか。
#16
○政府委員(石原周夫君) 條約発効前におきまする農地の接收なり補償はあるのでありますが、演習場あたりでございますと、使い方にはいろいろございまして、耕作を引続き許しておるというようなものが随分あります。そういうようなものにつきましては、現実に耕作を阻害せられる状況に応じまして現在地代を拂つておるわけであります。それから現に彈丸が……、どんどん演習をいたしまして、彈丸が落ちるということにつきましては、これは到底耕作するというのが不可能でございますので、これは買收をいたしまして結着をつけておりますものもございます。従来から大体におきまして、徹底的にここは退いてもらはなければいけないという土地は比較的少ない、演習の都合を見ながら耕作ができるというような所が非常に多いわけでございますが、そういうところの地代の見方というものは、従来いろいろまあ問題もございまして、最近あたりではそこら辺の地代の見方につきましても相当の調整を加え、使用期間などにつきましても、向う側でもできるだけ最小限度の必要に使つてもらうということにいたしまして、大体合理的になつておるわけであります。或いはお尋ねの点は、最初に、接收の当初におきまして拂いましたところの離作料或いは土地の代価という点かと、そういうことかと思いますが、離作料につきましては大体基準をきめて支拂いをいたし、だんだんにその線でやつておりまして、最近のところでは実質的にも相当な金額になつておるように承知しております。
#17
○波多野鼎君 その離作料が非常に低いというので問題がある。大蔵大臣が言われたように、最近閣議で農民に対する離作料、その他の補償の案が決定したということですが、これは我々が新聞で知つておる農林省の案が決定したものか、農林省のものだと割合に農民に手厚く離作料などは拂うことになつておりますけれども、それが又別のものか、どんなものですか。
#18
○政府委員(石原周夫君) 波多野委員がお尋ねの農林省の案とおつしやいますのは、一町歩当り幾らというようなものかと思うのでありますが、従来私どもも正式にでございませんが、事務的に或る程度話合いをいたしておりまするものにつきましては、まだ成案を得ておりませんので、大蔵大臣のおつしやいました閣議の決定を経まして云々ということとは違うのじやないかと思います。ただ従来やつておりましたところの金額は、これは率直に申しまして、農地の問題ばかりでなく、いろいろな進駐軍のジープにはね飛ばされたというようなことから始りまして、全体につきましてだんだん合理的な線に近付いて来ておる、そういうようなものと睨み合わせまして従来の分をどうするかということをきめなければならん。波多野委員お尋ねの点は、農林省案という、例えば相当高い何万円という金額が一反歩当り行くのじやないかというお尋ねかと思うのでありますが、その点は私の承知しておるところでは閣議決定という運びに至らないで、まだ成案を得るに至つてないのじやないかと思います。
#19
○波多野鼎君 それじやあとでいいですから、農民の離作料その他についての農民に対する賠償、これを一つ閣議で決定しておるならば決定しておるでいいが、政府側の方針を明らかに出して欲しい。非常に人心不安です。愛知県の小牧あたりは大きな飛行場になりそうなので……。
 それからもう一つお伺いいたしておきますが、今政府委員の答弁で、彈丸が飛んで来るというような場合はそれは離作しなければならないが、併し一定の演習の時間等を打合せて耕作に行けるような所に対しては補償しないといつたようなふうのことを言つておられますけれども、非常に困つたことがたくさん起きておる。例えば或る一定地域に対して棚を作つて、その棚の中で耕作を許しております。耕作を許しておりますけれども、門鑑を一々持つて行く、或いは何時以後は、例えば六時以後は入つていかん、六時になれば耕作をやめて出て行くというので、とても農業なんかできつこないが、農民は何でも離れたくないから、門鑑をもらつて、写真をつけた門鑑をもらつて、非常な何というか、作業能率の上においては非常に損害をこうむりながらやはり作業をしておる。耕作をしておるというような場合がたくさんあるのですが、そういうものに対してもやはり補償しますか、どうなんですか。
#20
○政府委員(石原周夫君) 先ほど私補償しないということを申上げたつもりじやないのでありまして、そういう所は買收ということをいたしませんで、今、波多野委員がおつしやいますように、耕作の制限に応じまして地代の形で補償金を拂つておるわけであります。機械的にすべてがそうだというわけには参りませんが、そのために月の半分くらいは仕事にならんという場合には別に考えられますが、地代のうちの何割という基準がございまして、それに基きましてその農耕が十分に参りませんことに伴いますところの補償はやつてるわけであります。ただ只今申上げましたのは、雑作をいたしておりませんので、そういう離作料でありますとか、或いは農地そのものを買收いたすというような手続をとつてない、こういうことであります。
#21
○国務大臣(池田勇人君) 補償の問題、或いは賠償の問題につきましては考え方だけの問題をあれは要綱で六、七項くらいになつておりましたか、一応閣議できめたのであります。これでは具体的のところがわからんから早く具体的に案を一つ法律案として出そうというので検討いたしておりますが、その法律案はまだ閣議にかかつておりません。
#22
○波多野鼎君 その農民からいうと非常に苦労しながらでも、やはり自分の相先伝来の土地なものだから離れたくない。だが作物を本当に耕作できないという事情の下にある農民がその耕作地を放棄するということになつた場合、補償はいたしますか、やろうと思えば耕作はできるのだけれども、そんな非常な窮屈な門鑑を示しながら耕作をやる、乳を飲ませに行くにも門鑑が要るということではやりきれんから放棄するといつた場合に補償はしますか。
#23
○政府委員(石原周夫君) 具体的な問題について考えませんと急にお答えはしにくいと思うのでありまするが、駐留軍との話合い、或いは政府の農地事務局とかいうような関係の当局との間におきまして、これは耕作するということでやろうじやないか、又客観的に見てもこれは耕作は可能である、若干の制限はあるかも知れないが、それは耕作そのものを致命的に不可能ならしむるものではないというような認定で、引続き耕作をするからそれを邪魔しないという條件で、駐留軍にも気をつけてもらつているというところもございます。そういうところにおきましては、波多野委員のおつしやいますのは客観的な認定に属しますので、右か左かということを申上げにくいのでありますが、俺はもういやだからやめるということだけで直ちに補償ができるかどうかということにつきましては、実際の場合にすべて補償するのだということは申上げにくい、併し具体的な事情が、おつしやるように非常に不都合であるという場合には、これは当然考えなければならないことだと思います。
#24
○波多野鼎君 大蔵大臣の、今農民に対する補償の法律案ですね、これは一つ是非早く出して頂いて、農民の不安を一掃するようにしてもらいたいと思います。
#25
○委員長(平沼彌太郎君) 他に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて差支えございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#26
○委員長(平沼彌太郎君) 御異議ないと認めます。それではこれよりこの六法案一括して討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べ願いたいと思います。
#27
○木村禧八郎君 それで差支えないのですけれども、本会議の件はどうなつたのですか。明日ということにきまつたのですか。
#28
○委員長(平沼彌太郎君) ちよつと速記をとめて。
   〔速記中止〕
#29
○委員長(平沼彌太郎君) 速記を始めて下さい。
#30
○木内四郎君 私は只今議題になつておりまする六法案に対して、民主クラブを代表いたしまして賛成の意を表します。
 大体この六法案の規定いたしておりまする内容は、独立国家としては決して好ましいことではないのでありますが、併し内外の情勢の下におきまして、安保條約によつて外国軍隊の駐留を認めなければならないという今日の場合におきましては、この程度のことは止むを得ないことでありまして、甚だ遺憾ながらそれを認めるものであります。併しながら問題の根本はそこにあるのではありませんので、成るべく速かにみずからの力によつてみずからを守り得る態勢にして、外国の軍隊の駐留の一日も速かに終止して、かくのごとき法律を長く続けて行くことの必要のないようにいたすことを期待いたしますると共に、こういう法案を実施するに当つて恐らくいろいろな点において改正を必要とするような事態が生じて来るだろうと思うのであります。こういう点については政府委員のほうにおきましてもすでに或る程度予想しておるようなこともあるようなことさえも言つておるような状態でありまするので、この実施の状況を見まして、不都合な点はできるだけ速かにこれを改めるという前提の下にこれらの諸法案に対して賛成の意を表するものであります。
#31
○木村禧八郎君 私は行政協定に基いてここに提案されましたこの六つの法案に対して反対するものであります。
 言うまでもなく、この法律案は安保條約第三條に基く行政協定に伴つて提案された法律案でありますが、安保條約第三條に基く行政協定に伴つて出て来た法律案は非常にたくさんあります。その中の一環でありますが、例えば刑事特別法、民事特別法、電信電話料金の特別法、郵便法の特例法、電波法の特例法、地方税等の臨時特例法、土地等の使用等に関する特別措置法、こういうものと並んで所得税法等の特例法、関税法等の臨時特例法、たばこ専売法等の臨時特例に関する法律案、国税犯則取締法等の臨時特例に関する法律案、国有の財産の管理に関する法律案、こういう非常に広汎な国民の権利義務に重大な影響を及ぼすところの特例が出て参つたわけであります。今問題になつておる法律案は、こういう駐留軍に対して治外法権的な特権を與える規定でありますが、その特にこの治外法権的な特権のうち、経済的な側面に関する特権を規定した諸法律案だと思うのです。大体ここに提案された諸法律案を具体的にいろいろ検討して参りますと、今後の日本経済に対して、又日本国民の生活に対して影響するところが非常に重大であることが具体的にこれによつて初めてわかつたわけです。このような極めて重大な影響をもたらす内容がわからないで、こういうものがわからないでそうして行政協定を調印してしまい、而もその行政協定については、国会の審議の対象としなかつたのであります。今更我々この具体的な内容を検討してみまして初めて具体的にこの安保條約或いは行政協定というものが、日本の経済にどういう影響を及ぼすかということがわかつたわけです。而もこの影響たるや極めて重大でありまして、このような、このような経済的治外法権を與えることによつて、日本の経済は本当に独立したと言えるかどうか、経済面以外においてもいろいろな特権を、いわゆる治外法権的な特権を與えるのでありますが、経済的側面からだけ見ても、これで日本経済が、日本が独立したと言えるかどうか、こんなに広汎な特権を與えて独立すると言えるかどうか、私はそういう観点から見まして特にこの三つの点を指摘してこの法案に反対せざるを得ないのであります。
 その第一は、これらの諸法律案が一応国際慣例にならつて制定した、こういう政府側の答弁でありますが、併しその国際慣例を眺めてみまして、こんなに今提出されておるような法律案のように不利な條件で基地協定というものは結ばれておらない。いわゆる北大西洋條約に関連する協定にしましても、米英協定にしましても、米比協定におきましても、国際慣例と言えば、それらの協定を参考にするよりほかにないわけでありますが、そういうものを見まして、ここに出されております法律案は極めて不利に制定されております。特にこの審議の過程で明らかになつたことは、行政協定第十二條によつて日本国内の物資或いは労務を駐留軍が調達する場合、その調達方式が直接調達になつたという点であります。この点は今後の日本の経済にとつて非常に重要な影響を持つ。北大西洋條約に基くあの現地協定ですか、あの九條のたしか三項だと思いましたが、そこにおいては駐留されている国の官憲の手を通じて物資、労務を調達するということになつている。日本の場合、行政協定十二條によつては一応日本の経済に不利な影響をもたらす場合は日本政府の機関を通じて調達し得る途も開かれているにかかわらず、その途がとられないで、直接調達に特に物資についてはなつているという点は、今後日本経済に及ぼす影響が極めて重大であり、而もアメリカの業者が請負いするような場合に中間に入るわけでありますから、そうした場合、直接調達方式は特に日本の中小企業者に対する影響は甚大であるということが財界においても指摘されております。こういうような調達方式によつて日本国において財政金融政策或いは経済政策を立てる場合、その自主性というものは著しくこれで制約される。このような不利な條件の下におかれております。
 更に免税規定におきましてもそうであります。免税規定においてもやはり北大西洋條約においては、駐留されている国の物資を調達する場合の免税規定は日本の場合のようにこんな不利ではありません。一応駐留されている国の物資を調達する場合には免税されないことになつております。
 それから関税の規定につきましても、これは委員会において質疑をいたしたのでありますが、一番重要な点、即ち輸入された物資が果して免税規定に該当しているか否かというものを判定する場合です。その場合に日本側においてそれが不利な取扱を受けないような規定になつておらないのです。すでに米英協定においてそういう弊害が生じて、それを是正する、濫用を防止する協定が作られているにもかかわらず、この日本の場合においてはそういうものが明確に規定されておらない。更に又国有財産を無償に使用せしめる法律案についても非常に不利であります。その他はまあ国税犯則取締規定の特例、たばこ専売法等の特例等につきましても著しく日本の経済的な利益の点から見て不利であるということが指摘できると思うのです。全体から見まして、以上指摘しましたように国際慣例より不利であるということは、これは争うことができないと思います。又具体的に我々その事実を指摘することができるのであります。その点は明らかに日本が対等な立場において、平等な立場においてこの協定を結んだということは言えないと思うのです。これが我々これら諸法案に賛成できない第一の理由であります。
 第二の理由は、いわゆる経済的治外法権の範囲が非常に広過ぎる点であります。一応治外法権というものは国際法上、これはあるのでありまして、一概にこれを我々排撃するものではないのであります。問題は治外法権の範囲がどの程度であるかということであります。その範囲が広汎に過ぎて、これでは日本経済のいわゆる独立、自主性というものが確保できない点であります。これが我々これらの法案に賛成できない第二の点であります。
 最後に第三としまして、これら諸法案を眺めて、今後こういう諸法案を実施された場合の日本経済の運用の仕方がどうなるかということを考えて見ますと、駐留軍の経済の運用が中心になつて来ます。駐留軍経済というものがそれを円滑に運用するために、日本経済が駐留軍経済の目的のために調節される。そういう結果に私はなるのじやないかと思う。駐留軍経済を現地調弁経済と呼んでいる人もあります。或いは基地経済と呼んでいる人もあります。講和後においてこれら諸法案に基いて日本経済が運用される場合、特に先ほど指摘しました直接調達方式を中心として運営される場合、日本経済はいわゆる駐留軍経済の従属的立場に置かれ、自主性がなくなる。そうして駐留軍経済に都合のよいように日本経済が逆に調節されて行く。日本経済を円滑に運用し、日本国民の生活を安定させるために駐留軍経済が調節されるのではなくて、逆に駐留軍経済の運営を円滑ならしめるために日本経済のほうが調整されて行く、どうしてもそうならざるを得ない。このような広汎な経済的治外法権を與えてしまつたのでありまして、我々審議の過程においてそうならないという確証を政府側から、遺憾ながらそういう答弁をわれわれは得られなかつた。かくのごとき法案はこれは結局行政協定から出て来た。行政協定は何から出て来たかと言えば、安全保障條約から出て来た。安保條約第三條から出て来た。安保條約は何から出たかと言えば、結局これは平和條約と密接不可分の関係で出て来たわけであります。最後においてはこういう條約を結んだその具体的結果がここに現われて来たのです。こういう結果を又具体的に国民に示さずして、又それが国会の審議の対象にならないで行政協定が通つてしまつた。これは重大な問題だと思うのです。こういう意味からも私はこういう法案に賛成するということは、日本経済の自主性が失われるということに対して賛成することと同じことでありまして、我々日本経済又日本民族の自主と独立、日本経済の本当の意味における自立というものを念願する者に取つては全くそれを阻害する、それと正反対の法律案でありますので、断固としてこれら諸法案に反対する次第であります。
#32
○小林政夫君 行政協定の実施に関する五法案については、先ほど木内委員の述べられたと同様の気持を以て賛成をいたします。
 なお特別調達資金設置令の一部を改正する法律案についても賛成はいたしますが、先ほど大蔵大臣と質疑の過程において申述べたように、我々としては行政協定第十二條第二項の、進駐軍物資の調達についても間接調達が望ましいという考えを持つておるのであります。ジヨイント・アカウントの運用の仕方によつては、今上程されておる特別調達資金のような回転基金を設けなければならないというような事態を発生するのであります。従つて財政的にのみ考えれば、直接調達のほうが金が要らなくていいというようなことから、日本の産業界に相当不利な影響を及ぼすであろう、今木村委員も心配されたような点を含めての不利な影響を及ぼすであろう。直接調達の方向に、財政上の問題から移行する、財政技術的な問題から移行する慮れがあるのであります。そこでジヨイント・アカウントの運用の問題については、特にアメリカ側の了解を得て、そういつた回転基金を設けなくてもやれるように、日本官吏に対して出納事務の委任等ができるような方向に折衝を強力に準あられることを希望いたしまして、この法案に賛成いたします。
#33
○下條恭兵君 私は只今上程のこれらの法案に対して反対の意思を表明するものであります。
 その理由は、午前中審議しました外資法の審議の過程によりましても、又この法案の審議の過称からいたしましても、政府の独立国家建段に対する熟意並びに気魄に欠けるものがあるように思いまして甚だ不満に思うのであります。その結果がこの法案に、今木村委員からも指摘されたようないろいろな欠点が現われて来たものと思うのであります。詳細につきましては、私は本会議において意思表示をする機会を得たいと思いますので省略いたしますけれども、所得税その他の課税の免除の範囲におきましても余り広過ぎまして、特に業者の工事契約に基くところの所得に対する免税のごときは甚だしく妥当でないと考えるのであります。関税につきましては、米国軍隊の直接の使用物資以外の一般の消費物資を免税にするというようなことは、甚だ面白くないと考えるのであります。現在すでにいろいろな面にこの進駐軍物資の関係から来る経済的な混乱というようなことが現われつつあるのに、更にこれが又拡大されるというようなことは、日本の経済にとつて非常な悪い影響があると考えるのであります。国有財産の使用の目的並びに範囲を明確にして、而もこれが国民の普通の契約の解除などについても十分補償が與えられるような具体的な規定がないのは甚だ遺憾だと思うのであります。
 以上簡単に反対理由を開陳しまして、この法案に反対するものであります。
#34
○野溝勝君 社会党第四控室を代表いたしまして、本法案に反対の意思を表明するものであります。長くは申しません。
 大体独立したという日本が、その日本の行政に対して行政協定をするというのが私にはわからんのです。日本の行政は日本の政府がやるべきで、政府と言いましようか、人民によつてできた機関でやるべきであります。それをよその国の了解と力を得なければやれないというのが、どうしても日本人民として私は不可解でならない。かようなわけのわからん協定をした條約に対して私どもは反対して参りました。そこで更にこの行政協定から端を発しましてできましたと言いましようか、提案されました日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う国有の財産の管理に関する法律案外五法案というものがここに提案されたのでありますが、この法案の内容を検討して見まするならば、一律的にアメリカヘの特権を提供せるものの内容であることは事案でございます。さような意味で、私は先ず第一点が、日本の内政が依然として干渉を続けられているというこの事実、第二点は、日本の財政事情が非常に逼迫して自立経済の不可能な現状でありながら、更にかような財政上の特権を與えまして、日本の財政を一層困難ならしむるような法案は、経済の自立性を無規するものである。こういう第二点の観点、以上の点から大まかに私は反対するものであります。
 更に附加えて申上げておくのでございますが、日本の経済事情は、私が申上げるまでもないのでございますが、非常に政府は楽観的な発表をされているようですが、現実はさようなものではないのであります。特に今回の條約によりまして、真に日本が独立国家となり、日本の経済に明るい展望かもたらされるという事態が、私は発見されないと思います。この條約が締結され、行政協定ができることによりまして、終戦、占領下にあつた当時は、大まかに見て大体一千億内外の占領軍に対する終戦処理費、然るに條約ができ、行政協定が結ばれるという途端に、日本の予算が防衛分担金を初めといたしまして二千二百億近くにまでなつた。更に九月の臨時国会を見るならば、恐らくこれは補正予算が出ますならば、更に再軍備の費用は非常に多くなり、占領下におかれましたときには一千億、講和條約ができる途端に三千億、私はこの一点から見ても、日本の国民経済と言いましようか、国民生活の展望というものは明るくならんということが決定的だと思います。かような意味におきまして、行政協定を中心とする、機軸とするその放射線的なこの六法案は、私は今の基本的性格から言いましても、反対をせざるを得ないのであります。
 以上私の反対の理由でございます。
#35
○委員長(平沼彌太郎君) 他に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#36
○委員長(平沼彌太郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う所得税法等の臨時特例に関する法律案、同国税犯則取締法等の臨時特例に関する法律案、同関税法等の臨時特例に関する法律案、同たばこ専売法等の臨時特例に関する法律案、同国有の財産の管理に関する法律案、特別調達資金設置令の一部を改正する法律案、この六法案を一括して原案通り可決することに賛成のかたの御挙手をお願いいたします。
   〔賛成者挙手〕
#37
○委員長(平沼彌太郎君) 多数であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。なお本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條により、本委員会における質疑、討論、表決の要旨を報告することにあらかじめ御承認願うことに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#38
○委員長(平沼彌太郎君) 御異議ないと認めます。それでは本院規則第七十二條により、委員長が議院に提出する報答書に多数意見者の御署名をお願いいたします。
  多数意見者署名
    溝淵 春次  西川甚五郎
    小林 政夫  黒田 英雄
    大矢半次郎  菊田 七平
    岡崎 真一  木内 四郎
    森 八三一  伊藤 保平
    小宮山常吉  油井賢太郎
#39
○委員長(平沼彌太郎君) 本日の委員会はこれを以て閉じます。
   午後二時五十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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