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1951/05/07 第13回国会 参議院 参議院会議録情報 第013回国会 大蔵委員会 第47号
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1951/05/07 第13回国会 参議院

参議院会議録情報 第013回国会 大蔵委員会 第47号

#1
第013回国会 大蔵委員会 第47号
昭和二十七年五月七日(水曜日)
   午前十時四十三分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     平沼彌太郎君
   理事
           大矢半次郎君
           菊川 孝夫君
           木内 四郎君
   委員
           岡崎 真一君
           黒田 英雄君
           西川甚五郎君
           溝淵 春次君
           小宮山常吉君
           小林 政夫君
           森 八三一君
           大野 幸一君
           下條 恭兵君
           波多野 鼎君
           菊田 七平君
           油井賢太郎君
           木村禧八郎君
  国務大臣
   大 蔵 大 臣 池田 勇人君
  政府委員
   大蔵政務次官  西村 直己君
   日本專売公社監
   理官      久米 武文君
   大蔵省理財局次
   長       酒井 俊彦君
   大蔵省銀行局長 河野 通一君
   大蔵省銀行局総
   務課長     福田 久男君
  事務局側
   常任委員会專門
   員       木村常次郎君
   常任委員会專門
   員       小田 正義君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○小委員長の報告
○石油関係の輸入税免除に関する請願
 (第二四〇号)(第二七四号)(第
 二七五号)(第二七六号)(第二七
 七号)(第三四五号)(第三七二
 号)(第四一五号)(第四二九号)
 (第五六九号)(第五七〇号)(第
 六四〇号)(第六七九号)(第九一
 一号)(第一二九四号)
○旧軍用土地および建造物の無償拂下
 げに関する請願(第二五六号)
○米軍飛行機による被害見舞金に関す
 る請願(第五四一号)
○進駐軍による被害全額補償の請願
 (第九九五号)
○米空軍機事故による東京都砂川村被
 害補償の陳情(第五〇号)
○勤労所得に対する所得税軽減の請願
 (第八八四号)
○満二十年以上の旧陸軍共済組合甲組
 合員に年金下附の請願(第九一二
 号)(第九六四号)(第九七二号)
 (第一〇七三号)(第一〇八三号)
 (第一〇八四号)(第一一四九号)
 (第一一五〇号)(第一三五四号)
 (第一四二八号)
○農業共済保險金に対する農業総合所
 得税免除の請願(第九三三号)
○銀行従業員給與に対する大蔵省の干
 渉、統制排除の請願(第九四五号)
 (第一〇九二号)(第一一二三号)
 (第一二〇五号)(第一二八五号)
 (第一三一六号)
○加工用金地金の自由販売制施行反対
 等に関する請願(第一〇一六号)
 (第一二四八号)
○金価格引上げ反対に関する陳情(第
 五九〇号)
○社会保險料に対する所得税免除の請
 願(第一二六八号)
○旧軍用財産特例に関する法律制定の
 請願(第一三一〇号)
○労務加配酒類存続に関する請願(第
 一四一一号)
○在外資産の調査に関する請願(第一
 四三二号)(第一四五九号)
○昭和二十六年産米超過供出分に対す
 る免税の請願(第一五三九号)
○超過供出米奬励金の課税免除に関す
 る陳情(第五四二号)
○理容美容業に対する所得税適正化の
 請願(第一六七一号)
○理容美容業に対する所得税適正化の
 陳情(第五三九号)
○日本輸出銀行法改正に関する陳情
 (第一〇五号)
○南九州財務局宮崎財務部存置に関す
 る陳情(第四四三号)
○不動産專門銀行再開に関する陳情
 (第四五五号)
○綿スフ織物工業者の金融危機打開に
 関する陳情(第五〇六号)
○岡山県佐山開拓地拂下げに関する陳
 情(第七六一号)
○関税法改正に関する陳情(第七八五
 号)
○国有財産法第十三條の規定に基き、
 国会の議決を求めるの件(内閣提
 出、衆議院送付)
○塩專売法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○製塩施設法案(内閣送付)
○地方公共団体職員の給與改善のため
 の地方公共団体に対する国の貸付金
 に係る債務の免除等に関する法律案
 (内閣送付)
○当せん金附証票法の一部を改正する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
○参考人の出頭に関する件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(平沼彌太郎君) これより第四十六回の大蔵委員会を開催いたします。
 先ず請願及び陳情に関する小委員長より小委員会の経過並びに結果について御報告を聞くことにいたします。菊川小委員長。
#3
○菊川孝夫君 請願及び陳情につきまして、小委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。
 去る四月二十三日第二回の小委員会を開きまして、政府の意見も十分に聽取して愼重に審議をいたしましたのでありますが、その結果は次のようであります。
 お手許に差上げてありまする請願第二百四十号から千二百九十四号までは、いずれも原油並びに石油製品全般の輸入税を免除せられたいとの趣旨であり、漸次これは軽減の方向に措置することが適当と考えられます。
 請願の第二百五十六号は旧軍用土地及び建物を戰災都市に無償で拂下げられたいとの趣旨でありまして、その使用目的によつて具体的に考慮するのが適当と考えられ、請願第五百四十一号は、アメリカの飛行機による被害見舞金の支給方法につき実情に即して支給せられたいとの趣旨であります。この件につきましては、家屋が被害を受けました場合に、家主のほうへ全部見舞金が渡されてしまいまして、ところが家主がその被害家屋の修理をなかなかしないので、実際には借家人が自費を以て応急修理をしなければならんからして、そういう応急修理にも見舞金が当るようにしてもらいたい、こういう趣旨であります。請願第九百九十五号は、進駐軍による被害はその全額を補償せられたいとの趣旨であり、陳情第五十号は、米軍飛行機による東京都砂川村の罹災者に国家補償措置を講ぜられたいとの趣旨であります。以上各件は今後研究を要するものと考えられます。請願第八百八十四号は、勤労所得者の税負担は過重であるから、現行税法の欠陥を是正し、公平なる負担とせられたいとの趣旨であり、将来財政事情の許す限りその趣旨に副うよう善処することが妥当と考えられます。請願第九百十二号、第九百六十四号、第九百七十二号、第千七十三号、第千八十三号、第千八十四号、第千百四十九号、第千百五十号、第千三百五十四号、第千四百二十八号の各件は、いずれも旧陸軍共済組合の甲組合員について終戰時の年齢如何にかかわらず、加入後満二十年以上経過しておるものについても年金受給資格を附興せられたいとの趣旨であり、請願第九百三十三号は、現行税法では農業共済保險による保險金に総合合算して課税せられるため、農家負担を増加しておるから、所得税の課税対象から除外せられたいとの趣旨であり、願意は妥当と思われます。請願第九百四十五号、第千九十二号、第千百二十三号、第千二百五号、第千二百八十五号、第千三百十六号の各件は、いずれも銀行従業員給與に対して現在大蔵省が干渉、統制しておることは不当であるから、これらの排除方策を講せられたいとの趣旨であり、そのような傾向は一応考えられますので、何らかの措置をすることが適当と考えられます。
 請願第千十六号及び第千二百四十八号は、金の地金の自由販売制が実現されると価格が上昇し、輸出向陶磁器関係業者は甚大な影響を受け、又陳情第五百九十号は、歯科医学、医業の前進を阻止し、国民保健向上の努力を失わしめるから、自由販売制を取上げないか、価格に一定の制限を設けられたいとの趣旨であり、請願第千二百六十八号は、労働力の再生産に必要欠くべからざる社会保險料を課税対象とすることは不合理であるから、所得税の課税対象から除外せられたいとの趣旨であり、その願意は妥当と考えられます。請願第千三百十号は、東京都北区にある旧軍用財産を基本的公共施設に利用せしめるため、地方公共団体に無償讓渡及び貸付の特例に関する法律を制定せられたいとの趣旨であり、請願第千四百十一号は、鉱工業労務者に対して労務加配酒制度を存続せしめられたいとの趣旨であります。請願第千四百三十三号及び第千四百五十九号は、在外資産が価値不明のまま賠償に充てられることは関係者の忍びがたいところであり、連合国との賠償交渉の際にも詳細な資料が必要であるから、政府は在外資産の調査をこの際行われたいとの趣旨であり、請願第千五百三十九号は、昭和二十六年産米の超過供出分に対し、又陳情第五百四十二号は、超過供出の奨励金に対して共に免税せられたいとの趣旨であり、いずれも妥当であると考えられます。請願第千六百七十一号及び陳情第五百二十九号は、理容美容業收入は勤労の対価であるから、勤労所得者に準じた取扱いをせられたいとの趣旨であり、研究を要するものと考えられます。よつて以上の各件はいずれも採択すべきものと決定いたした次第であります。陳情第百五号は、輸出促進のため、日本輸出銀行業務方法書を改正し、利率の引下げ、融資金額の増額等の措置を講ぜられたいとの趣旨であり、願意は妥当と考えられます。陳情第四百四十三号は、宮崎県の特殊事情を考慮して、行政改革の際にも南九州財務局宮崎財務部を存置せられたいとの趣旨であり、陳情第四百五十五号は、合理化資金、設備資金の調達のために、不動産担保を目的とする専門銀行を再開せられたいとの趣旨であり、陳情第五百六号は、綿スフ織物工業者の金融難打開のため、市中銀行の門戸開放、商工中金の資金源増加等の措置を講ぜられたいとの趣旨であり、いずれも願意は妥当と思われます。陳情第七百六十一号は、岡山県佐山開拓地は現在もなお占領軍の接收下にあり、又予備隊等の演習候補地に挙げられているが、講和発効を機会に開拓者に拂下げられたいとの趣旨であり、この趣旨に副うよう善処することが妥当と考えられます。陳情第七百八十五号は、関税法改正に当り、港湾管理者の自主性と責任、行政の簡素化、税関と管理者との業務調整等を考慮せられたいとの趣旨であり、関税法改正の際考慮すべきものと考えられます。よつて以上の各件は、いずれもその願意は妥当と考えられますので、採択すべきものと決定いたしました。
 右御報告申上げます。
#4
○委員長(平沼彌太郎君) 只今御報告のありました請願及び陳情につきましては、小委員長の報告通り決定することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(平沼彌太郎君) 御異議ないようでありますから、そのように決定いたします。
  ―――――――――――――
#6
○委員長(平沼彌太郎君) 次に国有財産法第十三條の規定に基き、国会の議決を求めるの件、塩專売法の一部を改正する法律案、製塩施設法案(予備審査)、地方公共団体職員の給與改善のための地方公共団体に対する国の貸付金に係る債務の免除等に関する法律案(予備審査)、右四案について提案理由を聽取いたします。
#7
○政府委員(西村直己君) 只今議題となりました国有財産法第十三條の規定に基き国会の議決を求めるの件について御説明申上げます。
 現千代田グランドは、皇居外苑の一角にありまして、皇居外苑を公共福祉用財産といたしました際、普通財産として残されていたものでありますが、これを外苑の一環として整備運営することが適当であると考えられますので、ここに国会の議決を経るため提案した次第であります。
 何とぞ御審議の上速かに御承認あらんことをお願い申上げます。
 次に只今議題となりました塩專売法の一部を改正する法律案ほか二法律案につきまして、提案の理由を御説明申上げます。
 先ず第一に塩專売法の一部改正の法律案でありますが、その提案の理由は、現行塩專売法の規定によりますと、公社が苛性ソーダ、ソーダ次第の化学製品の製造の用に供する者に塩を売渡す場合には、一般の売渡価格より低い特別価格で売渡すことができることとなつておりますが、このほか、新たにくじら、にしん、さけ、ます、たら等の漁獲物の塩蔵用塩につきましても、これらの漁獲物の塩蔵の費用を引下げて、塩蔵関係食品を低廉な価格で供給いたしますため、特別価格で売渡すことができることといたしたいのであります。
 これが塩專売法の一部を改正する法律案の提案理由でございますが、特にこの法案につきましてお願いを申上げたいのは、内容を御審議の上適当とお認め頂きますれば、只今こういつた漁獲物の最盛期に入つておりますので、若し法案が可及的速かに御成立頂きまするならば、極めて仕合せと存ずる次第でございます。
 次に製塩施設法案につきまして、その提案の理由を御説明申上げます。
 この法律案は、国内における塩の生産を維持増進し、以て日本專売公社の行う塩に関する国の専売事業の健全な運営に寄與するため、塩田等の改良、新設又は災害復旧事業の費用について公社に補助を行わせると共に、製塩施設の保全及びその効用の維持のため所要の措置をとることを目的としたものであります。
 その内容の概略を申しますと、先ず、塩田等について暴風、洪水等による災害があつた場合には、現在、塩田等災害復旧事業費補助法に基いて、災害復旧事業の費用の一部を補助金として交付しておりますが、この現行補助法の規定をこの製塩施設法に吸收することといたしました。次に、現行の補助法におきましては、災害復旧事業の事業費のうち災害にかかつた塩田等を原形に復旧するのに必要な金額を基準として補助金を算定することになつているのでありますが、原形復旧が著しく困難又は不適当な場合に、これに代るべき施設を設けまするときには、原形復旧に必要な金額を超過する部分、即ちいわゆる超過事業費につきまして、一定の比率で算出した金額の範囲内の補助金を交付できることとして、塩田等の災害復旧事業費補助の制度に改善を加えることにいたしたのであります。更に、塩田防災施設等の改良又は新設につきましても、予算の範囲内で、その事業費の一部を補助金として交付できることといたしたのであります。
 以上申しましたほか、この際、製塩施設の保全措置のための規定を設けることといたしております。即ち、製塩施設を製塩以外の目的に供しようといたしまするときは、あらかじめ公社の許可を受けなければならないこととして、製塩施設を他の用途へ転換することを制限いたしますると共に、製塩施設に隣接する地域又は水域において、製塩施設を損壊し、又はその効用を低下させる虞れがある施設を新設しようとする者に対し、公社は、製塩施設の効用の維持保全に必要な予防施設を設けるべきことを指示することができることといたしたのであります。最後に地方公共団体職員の給與改善のための地方公共団体に対する国の貸付金に係る債務の免除等に関する法律案について、提案の理由を御説明申上げます。
 昭和二十二年度におきまして、国は、地方公共団体の支弁にかかる職員の給與の改善の財源に充てるため、五十一億七千九百五十万円の政府資金を都道府県及び五大市に対しまして貸付けたのであります。
 この貸付金は、昭和二十三年度から同二十五年度までの間に半年賦元利均等償還の方法で償還することとなつておりましたが、その元利の償還状況を見ますと、昭和二十五年度末における償還未済額は、三十五億三千八百六十五万余円になつております。今回、地方公共団体の財政状況に鑑みまして、昭和二十四年度以降において償還すべき分でまだ償還されていない金額については、これを免除することとすると共に、都道府県に対しましては昭和二十一年度分以前の還付税のうちにまだ当該都道府県に還付されていないものがありますので、これは還付しないこととする措置を講ずるため、この法律案を提出した次第であります。
 なお各地方公共団体の償還状況が必しも同一でありませんので今回の貸付金の免除の措置に伴いまして各地方公共団体の間に不均衡が生じますが、この点につきましては昭和二十四年度分以降の償還済額は当該地方公共団体の昭和二十七年度の地方財政平衡交付金の算定に用いる基準財政需要額に加算することによつて調整を図ることといたしております。
 又、貸付金の貸付を受けました都道府県は、五大市を除くその管内の地方公共団体に対し、その貸付金のうちから更に貸付等をいたしておりますので、都道府県は、管内の地方公共団体に対する貸付金等につきましては、成るべく速やかに国の都道府県に対する今回の措置に準じまして、債務の免除及び償還額の還付の措置をとるべき旨を併せて規定いたしているのであります。
 以上がこの三法案の提案の理由でございますが、何とぞ御審議の上速やかに御賛成頂きますようお願い申上げます。
#8
○委員長(平沼彌太郎君) 次に塩專売法の一部を改正する法律案、右について内容説明を聽取いたします。
#9
○政府委員(久米武文君) 塩專売法の一部を改正する法律案、これは皆様よく御存じの通り、塩蔵漁獲物の製造の用に供する塩につきまして、塩の特別定価を設けるということが各方面の御要望でございまして、国会両院を通じまして非常に強く御要望になつておりましたのでございます。政府といたしましても、その御要望に応える意味におきまして、実は昨年の二月に閣議決定をいたしまして、政府提出案を用意いたしたのでございますが、当時占領下にございまして、実は司令部の一部のセクシヨンでございまするが、物価を担当する部面におきまして、塩蔵用塩について特別価格を設けることに反対の担当官がございましたために、政府提出法案の国会提出が思うようにとり運ばなかつたのでございます。皆様その辺の事情はよく御承知と思いますが、その後、昨年春に政府提出法律案が非常に困難な状況になりました直後に、自由党、民主党、社会党各党の政調でいろいろ御相談の上、三党の共同の議員提出法律案というものが用意されました。昨年秋に三党の相当重要な地位に立たれたかたから司令部折衝が行われたのでございます。併しその際にも、依然この司令部の極く一部の担当官の反対がありまして、一種の握りつぶしの状況にあつたのでございます。その後いろいろ折衝を続けて参つたのでございます。
 なお、ちよつと念のため申上げておきますが、昨年春の政府提出法律案の司令部のOKの問題につきましては、正式の掛香はなかつたわけでございます。正式のOKもない。従つて司令部としては、返事がなしという形でもつて握りつぶされたのでございます。それから秋の三党の共同提案の司令部折衝の際もそれと似た状況でございました。最近司令部折衝を重ねました結果、三月に入りまして司令部の正式の
OKがとれましたので、取急ぎ国会に提案の手続をとつた次第でございます。
 衆議院におきましては、かねて各党の要望している政策が司令部の正式の
OKを得られたのであるという意味におきまして、提案の即日、全員一致を以て委員会を通り、即日本会議に緊急上程されて衆議院を通過いたしました。それは四月二十六日でございました。
 政府といたしましては、この塩蔵用塩は各党の御要望をこの法案に盛りました意味で、一日も早く成立させたいということを念願いたしております。実は五月成るべく早い目にこれを実行に移したいという含みでございましたが、なおこれと関連いたしまして、一般の塩価の問題につきましては、專売公社といたしまして国内で生産する塩の生産を合理化する、或いは公社における取扱いの諸経費を節約する。又外国から輸入する塩につきましても、その輸入価格についてできるだけ安い有利な塩を買付ける。又輸入した塩の回送、保管等につきましても、できるだけ経費を節約する、そういうふうな意味における経費の節約によりまして、一般に塩価を引下げるという努力を従来続けて参つたのでございますが、その努力の極くほんの一部ではございますが、五月一日から一般用塩をトン当り五百円値下げをいたしました。
 さてその塩蔵用塩の問題に戻りますが、塩蔵用塩といたしまして予定いたしております漁獲物は、くじら、にしん、さけ、ます、たら、いわし、この六種を予定いたしております。この塩蔵と申しますものは、御承知の通り單に塩魚という意味ではございませんで、塩蔵の製品につきましては、農林省水産庁関係の農林物資規格法という昭和二十五年法律第百七十五号によりまして、塩蔵製品には規格検査を行うことに相成つております。この法律に基きまして農林省告示で、塩蔵製品の規格が告示で出てきまつておるわけであります。例えて申しますると、塩蔵のにしんと申しますものは、初め生にしん百に対して三十以上の塩を加え、そうして二十書夜以上塩漬けした後、更に百に対して五以上の塩を漬け足す。そういうふうなものが塩蔵にしんの規格になつておる。以下さけ、ます、たら等につきましても、それぞれ塩といたしまして三五%或いは二五%、いわしの場合には二〇%というふうな率もきまつておりますが、こういうふうな塩蔵製品は水産庁系統の規格検査がございますので、塩蔵の定義というものはその規格検査のほうからおのずから出て参るわけでございます。
 なおこの塩蔵用塩を幾らにするか、特別価格の問題につきましては一般価格よりも二千円安くするという予定でございまして、主として使われますところの粉砕塩の叺入り、いわゆる包装粉砕塩と申しまするか、これが現在トン当り一万五千五百円でございます。これは五月一日に五百円の値下げした後の一万五千五百円でございます。この一般価格から更に二千円を引くというのが新らしい特別価格として想定しておるところでございます。所要の塩の数量は、最近の統計によりますると、くじら、にしん、さけ、ます、たら、いわし、この六種の塩蔵製品に使いました塩の実績が、昭和二十三年度一万六千百八十九トン、二十四年度一万六千五百二十九トンというわけでございまして、大体本年度、二十七年度は、十二ヵ月フルに見まして大体一万八千トンくらいではないかと見込んでおります。従いましてフルに十二ヵ月を見込みまして一万八千トンと抑えました場合に、財政上のと申しますか、專売公社の歳入歳出に及ぼす影響というものは、年間三千六百万円程度でございます。この塩蔵関係食品の塩を安くするということによりまして、例えば従来非常に大漁、よく獲れた大漁の場合、塩が高いために塩蔵製品にならずに肥料、こやしになつてしまう分が相当あるのでありますが、そういうふうなものが特別価格を設けることによりまして、塩蔵の食品でなく、従来食品に廻らなかつた分まで食品に廻つて来ると、ここに農山村に対する動物性蛋白質の供給数量の増が期待できるということでありまして、その面からおのずから供給が殖えることにより価格の低下を期待できるという狙いでございます。なお塩の一般的な需給関係、生産等の関係につきましては、間もなく製塩施設法のほうが衆議院のほうからいずれ廻つて来ると思いますが、製塩施設法のほうの際にも十分御説明申上げたいと思います。取りあえず塩蔵関係につきまして概要説明をいたしました。
#10
○委員長(平沼彌太郎君) 質疑を行います。
#11
○黒田英雄君 今の政令で定めるというのは、さけ、たら、いわし、三種だけですか。
#12
○政府委員(久米武文君) くじら、にしん、さけ、ます、たら、いわしの六種であります。
#13
○黒田英雄君 ぶりなどは入りませんか。
#14
○政府委員(久米武文君) 入りません。
#15
○菊川孝夫君 さんまなどは……。
#16
○政府委員(久米武文君) さんまも入りません。
#17
○菊川孝夫君 この塩の関係でちよつとお尋ねしたいのは、従来から輸入塩は大体中国あたりから来たのが多いのではないかと思いますが、今一体どこから来ているかということと、それから中国等から今仮りに買えるとするとトン当りの値段、それから今輸入しているものの値段との開きはどのくらいか、この点を一つお伺いしたいと思います。これに関連して第二点は、大体塩蔵用にしんにはむしろ岩塩を使つたほうがいいのではないかと思うのですが、今は主としてどういう塩をこの特別価格で廻されるのか、その点を……。
#18
○政府委員(久米武文君) 輸入の、どこから来るかという問題でありますが、御承知の通り中共貿易が現在ありませんので、現在は中国の塩というものは参つておらんわけでございます。台湾からは十万トン足らず参ることに相成つております。その他大体主な産地というものは紅海、地中海の沿岸でございます。エジプト、スペイン、イタリア等でございます。それから輸入の価絡につきましては、これはその産地における塩そのものの価格、いわゆる原塩そのものの価格というものは大体三ドル乃至三ドル五十セントという程度のものでございまして、現在高くかかつているものは船賃でございます。船賃を込めましたCIFの価格は予算上二十ドルに見て参つたのでございますが、最近の実情では、本年度上半期は大体十ハドル前後に落着く見込みでおります。現在九月までの買付の契約を大体やつておりまするが、その状況から申すと、十八ドル又は十八ドルを割つているものも相当ございます。台湾の塩等は十三ドル五十セントぐらいまでのものがございます。それからこの塩蔵用塩は数量的に申しますると、外国から輸入いたしまするいわゆる原塩、これは主として内地塩、内地で造りまする塩田の塩に比べると大粒なものでございます。この大粒な原塩をそのまま使うことも稀にございますけれども、普通はその原塩を砕きました粉砕塩、これが主たるものでございます。なお内地の塩田で造りましたところの白塩も若干使つております。
#19
○菊川孝夫君 そういたしますと、今の御説明によると、トン当り今のような地中海、紅海沿岸から買わなければならんということになると十八ドルかかる。台湾ものが十三ドル五十セントだ、こういうお話ですが、そうしますと大体中共貿易が仮にできるということになると、十三ドルぐらいで入るということは考えてよろしうございますか。もつと安くなるのですか、これは仮定ですが。
#20
○政府委員(久米武文君) 若しそういう仮定の場合ですけれども、大体その前後の価格ではなかろうか、普通のフリーなマーケツトというものを仮に想定いたしますれば、そういうことではないかと思います。
#21
○木村禧八郎君 ちよつと今のに関連して……。先ほど最近予算で見積つたよりは塩の価格が安く入りそうだということですけれども、それは運賃が安くなつて来たのですか、それとも工業塩の原価そのものが安くなつて来たのですか。
#22
○政府委員(久米武文君) 運賃が安くなつております。
#23
○木村禧八郎君 それから中国から買う場合に、十二ドル辺といいますと、長廬塩あたりを買つたらもつと安いのではないですか。青島あたりから来たところの……。もつと九ドルか、勿論十ドル以下じやないですか。
#24
○政府委員(久米武文君) そこら辺のところは何とも申しかねるのですが、台湾あたりの普通のオフアー、向うの、この塩を買つてくれないかという商売上の申出としては十五ドルぐらいの相場を向うでは呼んでおりますけれども、こちらは十三ドル五十セントを目途として只今買つております。
#25
○木村禧八郎君 台湾じやなく、中共側を聞いているのです。
#26
○政府委員(久米武文君) 中共側の値段はちよつと何とも私からは申しかねます。
#27
○木村禧八郎君 これははつきりした数字はないのですけれども、すでに安本あたりでやつているのですからどのくらいかわかつているでしよう。勿論おつしやらなくてもかまいませんが、そんなことを遠慮する必要はないじやないですか。
#28
○政府委員(久米武文君) 大体台湾の価格の前後と思いまするが、若干安い場合もあると思います。
#29
○黒田英雄君 化学製品の特別価格はいくらぐらいですか。
#30
○政府委員(久米武文君) 黒田委員のお尋ねのほうにお答えいたしますが、化学製品のほうは、只今はソーダ灰及び苛性ソーダにつきまして特別価格を認めているわけでございましてこれは現在は塩化ナトリウムの含有量によりまして、その度数によつて価格は違つております。それから、又どこで引渡すかという引渡場所によつても価格は違つておりますが、大体中庸を得ましたところの九二・三%程度の原塩を例にとりますると、大体平均いたしまして八千二百八十円前後という程度に御了解願いたいと思います。それが四月三十日までの価格でございまして、五月一日から、それから約二ドルの引下げ、七百二十円程度引下げました。従いまして、八千二百八十円見当から七百二十円引きますから、七千五百六十円見当、これが平均的な価格だと御了承願いたいと思います。これは、苛性ソーダ、ソーダ灰のソーダ工業につきましては、特に厳格な原価計算をいたしましてとにかくストは割らないという意味の、裸の実費を抑えておるわけであります。
#31
○委員長(平沼彌太郎君) ちよつと黒田委員にお願いしますが、一つ質問のときには委員長の許可を得て頂きたいと思います。
#32
○波多野鼎君 この法律案は、食料塩蔵物の値段を安くするという目的なんですね。だとすると、今二千円見当下げて、一万三千円見当ですか、で売ろうという、たつた二千円下げたためにそれでどれくらい下るのですか。まあいわしにしましても殆んど問題ないんじやないか、いわしの値段に及ぼす影響というものは……。
#33
○政府委員(久米武文君) この政策の面から申しまして、塩蔵用塩の特別価格を下げる限度は、塩蔵用塩の面から見ますと、塩蔵漁獲物の供給を豊富にし、その価格を下げるという面から見れば、成るべくその引下率が安いことは望ましいのでありますが、大体この粉砕塩、塩蔵用に使いまする塩の原価を見ますると、まあ三千円程度の引下げに止めることが、要するにコスト計算の面から見まして適当ではないかということで抑えておるわけであります。なお、仮にここで以てにしんの例をとりまして、にしんの塩蔵は三五%の塩を使うと、それで、その場合に製品中における所要の塩の価格というものは二割と見ております。それからたらの場合には一割五分弱、くじらの場合には二割九分弱、それからさけ、ますにつきましては、魚そのものの値段が比較的高いために、この比率はやや下りまして五%以内に相成るというふうな見込みを立てております。いわしの場合には大体一二%くらいではなかろうかと考えております。
#34
○波多野鼎君 塩蔵物の、塩蔵魚類の原価の中で塩が占めている率はそんなに……一番高くても二〇%ですね。まあ今度それの一割見当くらいに下げるというのでしよう。殆んど価格には影響ないじやないですか、この場合。二〇%の一割なんだから……。
#35
○政府委員(久米武文君) そういう見方もございまするが……。
#36
○波多野鼎君 見方じやないよ、事案だよ。
#37
○政府委員(久米武文君) 塩を硬いまして、塩蔵製品にするか、或いはこやしにしてほつたらかすかという境目のところの採算のところは、非常に微妙な段階でございまして、少しでも塩を安くするということによつて算盤に乘るわけでございます。これは、千円でも下げることが確かに実際問題として塩蔵製品の生産を殖やすゆえんだと考えております。
#38
○波多野鼎君 国民に蛋白質を供給することが必要だということは、もう食糧政策の重点なんでしよう。そこで、その蛋白質を供給するために塩蔵を奬励したいという考え方なんでしよう。だからその肥料にするか、塩蔵にするかの限界のところを考えないで、どうしたら多くの蛋白質を国民に供給し得るかという見地から、この塩の特別価格を定めて行くということでなくちやならんじやないですか。何だか変じやないかな。その目的とやり方とが食い違つているような気がするのですが……。
#39
○政府委員(久米武文君) 只今御説の点は、誠にそういう点がございまするが……。大臣が見えましたから私の答弁、ちよつと中断いたします。
#40
○波多野鼎君 中断しなくてもいいじやないか。答えたらどうですか。(笑声)
#41
○政府委員(久米武文君) この塩蔵用塩につきましては、塩蔵漁獲物を安い価格で成るべく大量に供給するというのが政策の基本でございます。そのためには、塩蔵用塩の特別価格を二千円ということでなしに、或いは三千円とか、或いは四千円とか引くということが望ましいという御意見も確かにあると思います。併し今塩事業の損益計算は予算的な問題が伴つておりますので、一応この程度の特別価格で以て実施したいというふうに考えております。
#42
○波多野鼎君 何でしよう。化学工業のほうに拂下げる塩はトン当り約半額で、一万五千円に向つて七千五百円になる半額です。これくらいやれば、化学工業のほうのいくらか塩を安く特別価格で売つてもらつたほうの事業は、或いは供給量を殖やすという目的にはかなうと思うのです。今の塩蔵用の塩をたつた二千円下げるということは、その程度に止めるということは、何だか羊頭狗肉のような感じがしてしようがない。
#43
○政府委員(久米武文君) ソーダ灰、苛性ソーダ等の化学ソーダ工業用塩につきましては、これは予算上は二十ドルの岩塩でございます。でありますから、塩の原価が安いのでございます。それから一般用塩のほうは、内地で塩田から収納いたします分は、これは大体予定通り行けば六十万トン、実際には五十万トンぐらいにとどまるかと思いますが、これはトン当り一万三千円で塩業者から收納いたします。それからそのほかに輸入関係から約四十万トン程度廻つて参ります。そのほうは先ほど申しましたソーダ工業のもとになるところの原塩と同じ塩でございまして、つまりその実効上は十八ドルぐらいになるかと思いますが、そういうふうにソーダ工業塩は岩塩だけによつておる。それから一般用塩は内地収納塩のほうが多くて、それよりも少いところの輸入塩を併せ使つておるということで、塩の事業としての損益を見たり、原価計算をするときの基準がちよつと違つておるわけでございます。そういうところに只今御指摘の点の原因があるのではないかと考えております。
#44
○波多野鼎君 その岩塩ですね。岩塩をこの塩蔵用の塩に廻すわけにはいかんでしようか。安い岩塩のほうを先ず下げて廻すということにするわけには行かんでしようか。
#45
○政府委員(久米武文君) 粉砕塩につきましては確かに岩塩を粉砕いたしますのですから、そのものとして押えまするならば安いものであるわけでございまするが、いろいろ塩事業全体の損益の点はいろいろございますので、取りあえずこういうふうなことでスタートしたいと考えております。
#46
○波多野鼎君 これは結局塩專売公社ですか、これの経理の問題にひつかかつておると思うのですがね。それならばそちらのほうも十分検討しながら塩蔵用の魚類を器官に国民に供給するのにはどうしたらいいか、そういう点を考えなければ。これだけを出して来て、たつた二千円ばかり下げるというのは、それは話にならんと思う。それは全く羊頭狗肉ですよ。
#47
○政府委員(久米武文君) 日本專売公社といたしまして、塩の取扱に関する諸経費を成るべく下げる、それから内地製塩につきましても、生産の合理化或いは政府の低利資金を供給するというような方法による生産コストの低下、或いは輸入原塩につきましては、輸入の価格の引下げ等に努力いたしまして、安く買入れて公社内部の諸経費を節約して安く売るということは、先ほども申しました通り、公社が従来努力して来たところでございまして、五月一日から実施いたしまして、一般用塩トン当り五百円の値下げというのもこういう従来の努力の一つの経過的な現われてございまして、今後ともそういう努力を続けて参るつもりでございます。予算の面につきましても、塩事業の損益の点につきましても、今後なお十分な検討を加えまして、今後なおその下げ得る余地を作つて参るということが我々の願望でございます。
#48
○木村禧八郎君 輸入塩を成るべく安く輸入することに努力するというお話ですが、先ほど菊川さんへの御答弁によつても、中共から塩を輸入するということは今まではなかつた、できなかつたのですけれども、今後そういうことも研究せられるのですか、ここから輸入すれば、これが最も輸入価格を安くすることだと思うのですが、併し、いろいろな政治上の問題、外交上の問題がありますから困難とは思いますけれども、これは研究もされたことはないのですか、そういう点一つ。それから正確に中共から輸入した場合、例えば、長廬塩なんか輸入した場合、本当にどのくらい輸入できるかどうか、この点さつきのでは非常に曖昧で、台湾と大体同じくらいだというお話ですが、正確なところを調べて一つお願いしたいと思います。
#49
○政府委員(久米武文君) この供給源の如何を問わず、安い塩がどこにあるかということにつきまして公社としてはいろいろ考えてはおります。又香港貿易等の運用につきしてもいろいろ考えておりますが、それ以上只今のところ何とも申上げられません。
#50
○木村禧八郎君 価格の点は後で調べて下さいますか。
#51
○政府委員(久米武文君) はい。
#52
○委員長(平沼彌太郎君) ちよつと速記を止めて下さい。
   〔速記中止〕
#53
○委員長(平沼彌太郎君) 速記を始めて下さい。
 それでは御質問もまだあるようでございますが、この法案は次回に讓りまして、「当せん金附証票法の一部を改正する法律案」について大蔵大臣に対する質疑を行います。
#54
○小林政夫君 簡單に言いますと、宝くじをいつまでやるおつもりであるか、事務当局に対する質疑においては成るべく速やかに止めたいということとでありますが、特に今度の改正規定によつて第三條の目的を「社会福祉の増進のために要する費用の財源に充てるため」云々というような、何人にも否定できないような目的をはつきりおいてこの法律をお出しになつて、宝くじの発行を続けて行こうというような意図がこの改正法案自体からは見受けられるのでありますが、併し事務当局の御答弁だとそうじやないので、地方自治団体のほうの目的と併せて考えるだけだ、実際においては成るべく速やかに宝くじの発行はやめたいというような答弁でありますが、大臣のお考えはどうであるか、又これと関連をして、この割増金附貯蓄の取扱に関する法律というものに基いて、割増金附貯蓄定期預金というものが相当行われており、これもやはりこの当せん金附証票法と同様に、第一條において「経済の現状に即応して、当分の間」ということが言われておるのであります。こういつた国民の射倖心をそそることをいつまでも継続して行くということは面白くない、一方に当せん金附の証票が発行されておれば、やはり一般市中銀行も貯蓄資金吸収のために割増金附貯蓄をやらなければならんというようなことで、兼ね合になつて、我々としては取あえず今度の法案が出たのを幸いに、一応宝くじというものは発行を停止するというような措置を考えたのでありますが、併し大口のほうで割増金附定期預金等が行われておる現状においては、そのほうも併せて考えなければならんという気持でおるわけでありますが、その点又最近提案されておる国民貯蓄債券法においても同様の抽籤によつて割増金を附する道も開いておるというふうな点から考えて、大臣の御意図はこう言つた割増金附貯蓄或いは当せん金附証票等について、どういうお考えがあるか、お教えを願いたい。
#55
○国務大臣(池田勇人君) 国民の射倖心をそそるというやり方は健全な経済の運営には望ましくないということは異論のないところであろうと思います。併しその射倖心というものを或る程度利用いたしまして、貯蓄の増強その他を図るということも、これは今の段階としては止むを得ない措置ではないかと思います。従いまして射倖心をそそるその程度問題によつて余ほど考えなければならんと思う、宝くじ等のごときは私は成るべく早くやめたい、こういう考えを持つておるのであります。それから当せん金附定期預金、無記名預金皆そうでありますが、これは一定の利子を附け、一定の利子以上の分につきましてこれを当せん金附でやるというのは、宝くじほどの弊害はないではないか。私はこれは当せん金附の無記名預金というものは、今の現状におきましては私はすぐやめるわけには行かんと思う。無記名預金のうち七割余りをこれで占めて、四千億円をこれでやつておるのでありますが、これは今すぐやめられない。経済の正常化が行われて、そういうことをしなくても貯蓄ができるという見通しがつきましたらこれはやめてもいいと思います。ここ数年はまだ続けて行かなければならん。一般の割増金附の債券ということになりますと、これは明治時代からやつております。又関東震災のときもやり、この制度は私は今後も続けて考えられる制度じやないかと思います。ただ問題はこの低利の長期の貯蓄を集めるための社債券でありますので、社債を出す場合には割増金を附けたほうが便利がいいというときにやるのであつて、今のところでは国庫が発行する貯蓄債券には附けないつもりでおりまするが、情勢によつたら附けるということにいたしておるのであります。だから事柄が射倖心を募るというのが、これは原則としてはよくないのでございますが、程度問題によつて善処する。だから原則に立ち返る場合におきましては宝くじのようなものは成るべく速やかに……行うにいたしましても一定の何と申しますか制限をつけたいというのが第三條にこういうふうな規定を設けたゆえんであるのであります。段階を置きましてできるだけ早い機会に正常に返したいという気持を持つております。
#56
○小林政夫君 割増金附貯蓄が四千億程度であるということは現状でありますが、併しこれは割増金が附くから四千億もたまつておるのではなく、恐らく無記名貯金であるということに相当魅力があると思うのでございます。源泉課税で五〇%の税金をとられる、併し割増金をもらつても割増金には税金が附かないというような点から行くと、相殺して非常に税率は安くなるわけであります。そういう意味において貯蓄の奨励になるということは言えますが、必ずしも最近はこの源泉課税率の引下げの問題も恐らく考慮されておると思うのでありますが、そういつた面で考えて、その割増金を附けなければ四千億の貯蓄がないとは私としては考えられないのでございます。むしろ無記名であるというところに貯蓄が集るという原因がより多くあると思います。従つてこの増割金に税金を附けない、その分だけが、この定期預金の利子の減税になつている。その分をならして考えればこの源泉課税率五〇%は安くもできるし、そうして全体的に安くしたほうがむしろ貯蓄奨励になるのではないか、今までの惰性で割増金を附けるということをいつまでも続ける必要がないじやないか、法案を作られたときも当せん金附証票と全く符節を同じくして経済の現状に即応して当分の間ということになつておるわけであります。これはインフレ高進期における恐らく産物であつて、大体大蔵大臣が常に言われたように、日本経済も安定しておるということであれば、こういつたことをいつまでもお続けになる必要はないと思うのですが……。
#57
○国務大臣(池田勇人君) 議論のあるところですが、小林さんの議論と私の議論は大体合つておると思います。現状がこうでございますからすぐやめるというわけには行きませんが、理想はそういうことをやらなくてもいい、併しこういうことをやめるということになりますと、やはり数多い中でございますから、一定の利子はもらつて、そうしてそれを超えた分を一つ当せんくじのほうへやるのもこれ又妙味があると考える人もあるのであります。これは人情の機微でございまして理窟通りには行かない。併し徐々に理窟通りに行かすのが政治でございまして、だんだんお説のようなふうにやりたいと思います。
#58
○大矢半次郎君 ちよつと今のに関連して伺いますが、無記名預金の七割が割増金附の分で、それが四千億というふうに聞えましたが、そんなに無記名預金があるのでございますか。
#59
○国務大臣(池田勇人君) 定期預金の中の七割近くでございます。それで無記名とは必らずしも一致いたしておりません。無記名預金のほうは二月の十一日に始めましたが、大体二月中に即ち十九日間に二百八十億集りました。それから三月中に三百億、日に十億ぐらい集りました。二、三月で五百八十億、今四月の十日までの分が来ておりますが、四月の分で十日間で八十一億円、こうなつております。二月中は十五億円程度、三月中が日に十億円程度、四月が毎日八億円、こう来ておるのであります。そうしてこれに振替りがございまするから、大体ネツトの増がまあ二百五十億、三割乃至三割五分、四割ぐらいがネットの増、こういうつもりであります。だんだん増加が鈍つて参つておりますが、併しこの無記名預金制度によりまして私は年内に五百億程度の純増が期得し得るのではないか、こう思つております。
#60
○大矢半次郎君 無記名預金のうち割増金附というのはどの程度ございますか。
#61
○国務大臣(池田勇人君) 割増金附無記名預金というのでございますか、無記名預金のうち割増金附は殆んどないのではないかと思います。今の割増金附の分が記名預金の分もありますし、必ずしも本当の名前の分でないものもあるかも分りません。
#62
○大矢半次郎君 各銀行で無記名も割増金附でやれるということを宣伝して盛んに吸收しているようなんですが、銀行局長さん如何でしようか。
#63
○政府委員(河野通一君) 大体はつきりした数字を掴んでおりませんが、大体半分ぐらいは割増金附の無記名じやないかと考えております。
#64
○小林政夫君 今のはこの前予算委員会のときに資料をもらつた分で、割増金附貯蓄の取扱い、それに該当する割増金附貯蓄が四千億ぐらい……、先ほど重ねて大臣に質問かたがた意見を述べたのは、この宝くじについては成るべく早くやめたいが、この割増金附貯蓄については、宝くじをやめたいと考えられているほど成るべく速やかにやめるというお気持が最初のお言葉のときになかつたので、特に伺つたわけでありますが、これはどの程度に、一方のほうはあまり弊害がなくて、むしろ貯蓄増強にはいいのだということで、宝くじをやめても割増金附貯蓄のほうは続けて行くというお考えですか。それとも同じようにお考えになつておりますか、もう一遍重ねてお伺いいたします。
#65
○国務大臣(池田勇人君) 同じように考えておりません。先ずやめるとすれば宝くじ、そうしてその次に割増金附の定期預金、この割増金附の定期預金を今やめるということになりますと、必ずセンセーシヨンを起しますから、これはまだ当分続けて行きたいが、往く往くはやめて行きたい、こういうのであります。
#66
○大矢半次郎君 国民貯蓄債券のようなものは明治以来随分長くやつていたというお話でありまするが、今度の立法はやはりこれも当分の間というふうになつておりまして、そこにギヤツプがあるやに窺われますが、これは普通の割増金附定期預金よりももつと長くやるおつもりなんですか、それとも大体割増金附の定期預金をやめるような場合には、これもやはりやめようというお考えなんですか。
#67
○国務大臣(池田勇人君) 債券の割増金というのは私は長くやりたいという気持であるのであります。併し今度御審議願います貯蓄債券につきましては、これは今のところは割増金を附けんことにしておりますが、情勢によつては附けて行きたい、附けなければならんということがあるかもわからんと思つております。そのときは私は附けて出すべきだと考えております。
#68
○木村禧八郎君 簡單に質問します。これは厚生大臣にも質問しようと思つたんですけれども、根本の社会福祉の増進のために要する費用の財源をこういう形で確保するということは非常に姑息なことで、その社会福祉に関する財源について大蔵大臣は基本的にどういうお考えを持つているか、これはこういう問題の重要性の考え方なんですが、大体社会福祉の増進の費用に充てるためにこういうものを認めるということ、そういうことがそもそも問題じやないかと私はそう思います。ですからその社会福祉の増進のために充てる費用、その財源について予算上財政上基本的にどういう形でこれを調達すべきかということについて、大蔵大臣はどういう考えを持つておられるか伺いたいと思います。
#69
○国務大臣(池田勇人君) これは政治の根本でございまするから、社会福祉の増進ということは、これはもう第一番に考えなければなりません。併しここで「社会福祉の増進のために要する費用の財源に充てるため」というのは、社会福祉以外の一般の財源に充てるのであるということは好ましいことではないのでございますから、若しやるとすればこういうふうに政府が政治の根本と考えておるものに先ず使うということで制限をしたほうがいいのじやないか、こういうのであつて、これはあなたは社会福祉ということを簡單に政府が考えておるとお思いになるかもわかりませんが、政府はそういうことを強く考えておるからこういうものが社会福祉に使われて行く、こういう気持であるのであります。
#70
○大野幸一君 この三十五億で今予定されておる社会福祉の事業というものは、具体的にはどういうものが予定されていますか。
#71
○政府委員(河野通一君) 代つてお答え申上げます。特に先般の委員会でもお答え申上げたのでありますが、三十五億のうちで政府の收入になりますものは大体八億程度と考えておりますが、この八億は特にどの種目に紐を付けてどうするということではございません。社会福祉の事業のために大体数百億の予算の支出があるわけであります。このうちの財源の一部にこの八億程度のものを充てて参りたい、こういうつもりでおるわけであります。
#72
○小林政夫君 この法案とは直接関係がありませんが、ついでに大臣がおられるときにもう一つ聞いて置きますが、割増金附貯蓄で今の無記名の場合に利子の源泉課税が五〇%あるが、割増金に対しては課税しないということで、これをならして一つの税を考えた場合に、一体課税率はどのくらいになるのですか。大臣わかりますか。(笑声)
#73
○国務大臣(池田勇人君) 余りよくわかりませんが、お答えいたします。(笑声)これは今までの経過がございましてお話のようにギヤツプがあります。そこで先般も申上げましたように、無記名預金の利子に対する課税は私は下げたいという気持は持つておりますので、今の割増金附定期預金というあれは、どちらかと言つたら余り芳ばしくないのでございます。そういうものと一体として考えて行くように税率を引下げて行きたい、その場合におきまして割増金附の定期預金の割増金に使うべき額を制限するとかいういろいろな方法を講じて行きたいと思つております。無記名定期預金も法制的手続をとらずに通牒でやりました関係上、今までのやつて来たやり方とギヤツプがありますが、それは是非調整したいと思います。
#74
○木村禧八郎君 先ほど銀行局長のお話では、政府が社会保障費として織込んでいる中の一部になるということでありつますが、先ほど大蔵大臣が政府でいろいろやられるその以外に使うのだ、そういうお話じやないんですか。
#75
○国務大臣(池田勇人君) いや以外とは申しておりません。ただこういう目的のためにやるんだというので、好ましくない宝くじ等に一つの目的を持たす、こういう考えでおります。
#76
○木村禧八郎君 それは大体八億でございますね。そういうものをこういう形でどうして調達する必要があるか、そこのところが問題だと思うんです。こういう形でなく、はつきりとした形で財源を調達できないかどうか。
#77
○国務大臣(池田勇人君) はつきりした財源は税その他でやつております。併しお話の通りに宝くじというものは好ましいものじやない、その好ましくないものには何か衣を着せなければならん。(「正直なことを言つちやつたね」と呼ぶ者あり、笑声)
#78
○菊川孝夫君 この宝くじは最初に売出した当時は相当魅力がありまして我々も一枚、二枚買つてみたこともございますが、今日ではもう魅力はなくなつたというふうに思うのでありますが、これはまあ個人的な感覚かも知れない。そこで最初に始めた当時と今日とでは売行きはどういうふうな工合になつておるか、これが一つと、もう一つはどちらかというと定期預金に割増しを附ける、元金は返つて来るのであります。割増金は利息が少し少いだけでありますけれども、ところがこれはもう外れたら全然ふいになつてしまうものでありますからどうしても賭博的な性格を帶びておる。従つてこれが運営に当りましても、いわゆるややもしまするとてら銭を使うというような運営もされておるというふうなことを地方へ行つては言われております。地方の銀行家あたりの意見を聞いてみました場合に、この宝くじに宣伝費等を使つてむしろ健全な貯蓄奬励を阻害している向があるというようなことの陳情や意見を聞いたのでありますが、その点について宣伝費等について、一体どれだけ割増金が付いておつて、それから宣伝費がどのくらいについているか、この点を一つ御説明願いたいと思いますが、総枠三十五億発行しました場合に、宣伝費は一体どれだけ使うか、それから印刷費にどのくらい拂つて、そうしてこれが政府に入るてら銭が八億と、こういうことになるのですが、それをもう一遍どのくらいの割合にかつているか、一つお知らせ願いたい。
#79
○政府委員(河野通一君) 代つてお答え申上げます。発行額に対する売さばき額、つまり消化額の率でありますが、これは発行総額の金額によりまして一率には申上げられませんが、大体昭和二十年度から始めておりますが、非常に消化のいいときで九〇%程度、悪いときで七四、五%、大体八〇%前後がならしたところの消化率というふうに踏んでおりますが、今回二十七年度の予算におきましても大体消化率八〇%程度ということで見ているので、今申上げましたように收入は大体八億という数字を彈いておるわけであります。
 それから経費でありますが、経費は大体パーセンテージで申上げますと、賞金、つまり当籖金に充てるものが大体四四%、それから手数料、これは街で売さばきをいたしております人々の手数料とか、取扱銀行に対する手数料等を含めてこれが九・五%、それからその他の経費といたしまして六・四%、このうちに今の印刷、宣伝等が入るわけでありますが、そのうち宣伝等の費用が二・三%、それからその他の経費の中には御承知のように抽籖その他の関係で相当経費がほかにかかつております。それからそのあとの残りが約四〇・一%くらいになると思いますが、これは政府の純益、こういうことになるわけであります。
#80
○木村禧八郎君 先ほど大蔵大臣ほ好ましくないからカムフラージのためにこういうことをやるというお話でしたが、第三條の「社会福祉の増進のために要する費用の財源に充てるため」というのを、これをとつたら何か差支えがありますか、とつた場合です。
#81
○国務大臣(池田勇人君) 宝くじの発行には支障がございませんが、私はこういうものはあまり好ましくないという議論が多いから、それをやるなら一つ何か立派な着物を着せたほうがいいんじやないかというのでこういう條文を入れたのであります。多分ほかのほうにもこういうのが、地方宝くじの場合におきましては、何か公共事業をやるとか何とかいう枕詞があるのであります。私はやはり政府がやるのでございまするから、こういうものに充てるんだというので、合理性ではございませんが、妥当性を持たすのがいいんじやないかと思つております。
#82
○木村禧八郎君 それは非常にはつきりしたのですが、私はまじめにこれを読んでおつてその通り解釈しておつたのですが、今の大蔵大臣のお話ですと、宝くじは好ましくない、それを何か合理付ける一つの方法としてこういう枕詞を入れたということになると、これは少し考えなければならないのじやないかと思うのですが、枕詞とおつしやいましたが、これは削つても実際予算に八億計上してありますが、それが計上できないとか何とかという問題は起らないのでありますか。
#83
○国務大臣(池田勇人君) そういう問題は起りません。それはあれがありましてもなくても、宝くじを発行するとすればお金が入つて来る、ただだんだんのお話を聞き、又自分の考えを申上げて、好ましくない事態には何かそこに妥当性を持たすような目的を入れるのが本当じやないか、こう思いまして、私は常識的にはやはりあつたほうがいいと考えております。
#84
○菊川孝夫君 今御説明になつた手数料の九・五%というのですが、これは一体どういう按分になつているのですか、九・五%のうち引受銀行はどれだけで、小売人はどれだけというふうにちやんと率はきまつているんですか。
#85
○政府委員(河野通一君) ちよつと今手許に持つておりませんが、九・五%のうち、大部分、殆んど全部が売さばき人、現実に街で売つておられるかたがたの手数料として行つておるはずであります。
#86
○菊川孝夫君 そうすると、引受銀行と言いますか、これは主として勧銀がやつているのでありましようが、ここへ入るのはどのくらい入りますか。
#87
○政府委員(河野通一君) 今大部分と申上げましたのは、取扱銀行は今現実には勧業銀行がやつておるわけでありますが、勧業銀業は直接自分の窓口で売つたものについて手数料が入るのであります。一般の売さばき人にこれを売さばかしておるものにつきましては、勧業銀行としては手数料は全然とつておりません。従いまして銀行の窓口で売る金額というものは割合に少いと思いますから、その手数料は大した金額じやないと考えております。従つて売さばき人の頭をはねるようなことは銀行としてはやつておりません。
#88
○菊川孝夫君 これは手数料のうちには売さばき人の手数料とか、印刷屋とか発送屋とか、そういうようなものも入つているんじやないですか。これも勧銀がとるということになつているんですか。
#89
○政府委員(河野通一君) それは先ほど申上げましたように、その他の諸経費として六・四%というものがあるということを申上げました。このうちに印刷費用も、それからそういう輸送費も、それから抽籖をやります場合のいろいろな経費、そういうものが全部この中に入つております。宣伝費は六・四%のうち二・三%がそういうことになつておるということを御了解願いたいと思います。
#90
○菊川孝夫君 そうすると六・四%の二%でしたか、宣伝費の中には抽籖会や何かを例の劇場なんかでやるそういう費用はこの中から出るというわけですか。
#91
○政府委員(河野通一君) そういうことでございます。
#92
○菊川孝夫君 そうだろうと思いますが、地方銀行の連中の言うには、その際などにこの費用の中からかなり派手にやられるので、非常にわしらみたいな地味な地方銀行あたりは、地方へ来てこれをやられるとどうも押されて困るというようなことを言つております。東京の人がやつて来て派手にやつてしまうもんで、従つてそこへ吸收されてしまうというようなことをこの前に出張に参りましたときに盛んに陳情を受けたわけでありますが、この点はどうですか。その点銀行局のほうへもそういう陳情はございませんか。
#93
○政府委員(河野通一君) そう派手にもやつておるつもりもございませんが、抽籖会におきましては会場を借りていろいろ余興などをやつておる事実もございますが、何分にもこの宝くじの金額は御承知のように全体で限度は三十五億、実際に発行いたしますのは、今二十七年度といたしましては大体三十億程度考えておるわけであります。地方銀行の預金吸收等に対して非常にこれが阻害的な影響を與えるということは、金額等から申しても大した問題じやない。それらの点も十分に考えまして、当せん金附の証票の発行につきましては予算上限度を設けて頂いておるわけであります。三十五億程度で抑えておるわけであります。これらの程度のものでありますれば、そう地方銀行の預金吸收ということに対して悪い影響を及ぼすということはないと私どもは考えております。
#94
○菊川孝夫君 次にこの売さばき人ですが、これは街頭で学生などがアルバイトでやつているのとか、店舗を設けてやつているとか、いろいろ区々まちまちでありますが、従つて実際本当のものの宝くじであるとかどうかということを疑うくらいなので、夜店でろうそくを灯して売つておるものもあります。これはどういう資格とか何もだしに、そういう統制もなしに、例えばたばこ屋でやつているんだつたら、專売局で指定しておるたばこ屋であるからというのであろうが、露店で学生のアルバイトでやつておるものもあれば、ちよつとろうそくを灯してやつておるといつたようなものもありまして、ひよつとすると本物であるかどうかということに疑いを持ち、而も政府のほうで百万円当る宝くじを売つているというにしては、どうも淋しい売り方をしておるというように思うのですが、あの九・五%は統制なくやつておる、こういうやり方をやつておるのですか。
#95
○政府委員(河野通一君) これは結局売さばきを引受けております銀行が、それについて非常に弊害のないような選択方法をとつてやつておるわけです。私どもといたしましては、この問題について特別に今までそういうことでいわゆる弊害と申しますか、インチキがあつていろいろ御迷惑をかけたような例は全然聞いておりません。現在のところでは銀行と売さばき人との間の何と言いますか、契約と言いますか、そういうことでやらして行くことで、これは差支えないというふうに考えております。
#96
○菊川孝夫君 併し政府の発行します富くじ、宝くじにいたしましても、これはまさかああいう売り方につきましては、少し御勘考を願わなければならん余地があると思います。あれでいいというふうにあなたが言われれば別として、従つて例えば売る人には勧業銀行なら勧業銀行が保証する、一つちやんと店先へこれは正式に勧業銀行から指定した売さばき人であるというような証明書を持たすというようなことぐらいはやつてもいいと思うが、今それをやつておるかどうか、それをお伺いしたい。
#97
○政府委員(河野通一君) 売さばき人と銀行との間にはおのおの保証契約と申しますか、保証人を立てるというような方法をとつておりますし、又その店には現実にこれは勧業銀行の委託を受けて売さばきをやつておるという証明書は持つてやらしておるはずであります。
#98
○菊川孝夫君 大体わかりましたが、まああえて学生のアルバイトにああいうことをやることを我々は阻止しようとは思いませんが、もう少しそれが見やすいように、これは果して勧業銀行の指定のものであるというように、見やすいようにしておかないと、有楽町あたりで一応店舗を構えてやつておるところはいいですが、三角くじが乱れ飛んだときには、本当のものかどうかさつぱりわからんというように思うときがある。それは有楽町から少し行つた先にずつと大規模な売り屋はありますがあそこだつたらついいと思いますが、その少し離れたところで、本当に板一枚並べてそこで売つておる。併しそれで売つておつても結構売れればいいのでありますが、それが見やすい個所に、これは指定のものであるという、やはり勧銀の証明書ぐらいは、今夜店の店子でも全部組合員であるという証票を持つております。そのくらいな、表示をするくらいな配慮はされていいと思います。証明書を持つているということが別に見やすいようには出ていない。懐の中に入れているかどうか知りませんが、まさかあなたは証明書を持つているかどうかと聞けない。証明書を見せろということは言えない。従つてこれを見やすいような所に置くことがいいと思いますが、この点どうお考えですか。
#99
○政府委員(河野通一君) 御尤もな御意見でありますので、研究いたしたいと思います。
#100
○木村禧八郎君 今度この法案が通りますと、国会で宝くじの予算を議決しなくても毎会計年度三十五億をいつでも発行できるということになるわけですね。国会の議決ということは必要じやないと思うのですが……。
#101
○政府委員(河野通一君) 予算上の措置として、收入金として八億なら八億、十億になるか、七億になるかわかりませんが、本年度八億、こういうものは歳入として予算上当然出て来る。その意味において予算の審議には必ず乘つて来る、こう了解願いたいと思います。
#102
○木村禧八郎君 その八億の收入は出て来ますけれども、三十五億を発行するかどうかということについては議決は一応ない。今までは、従来議決があつたのですね。それが議決の必要がなくなるということになるのですか。
#103
○政府委員(河野通一君) さようでございます。
#104
○委員長(平沼彌太郎君) 他に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#105
○委員長(平沼彌太郎君) それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。なお修正の御意見のあるかたは討論中にお述べを願います。
#106
○小林政夫君 私は当せん金附証票、いわゆる宝くじが国民の射倖心をそそり、国民思想の上においていい影響を與えないという点から考えて、幸いこういう法案が出た機会に、この法案を握り潰すことによつて、発行停止をさせたいという気持もありますたが、先に二十七年度予算を通したことでもあり、又関係筋においてもそれぞれの準備もされていることでもあるので、二十七年度限りで以て宝くじの発行をやめるというふうな考えになつたのでありますが、只今大臣との質疑応答において、大蔵当局においても成るべく速かに宝くじの発行をやめようという御意図のあることを察しまして、一部の修正にとどめて、原案に賛成したいと思うのでありますが、その修正の点は第三條であります。この改正規定の中で「社会福祉の増進のために要する費用の財源に充てるため必要があると認めるときは」とあります、これだけを削除いたしたいと思うのであります。予算的に見ましても、別にこの宝くじの收入が直接社会福祉の増進のために要する費用にも充ててなく、先ほどの大臣の木村委員に対する答弁にもあつたように、完全な枕詞であります。早く成るべく速かに宝くじの発行をやめようという趣旨から言つて、ここに目的を新たにして、而も万人が首肯するような目的を掲げておくということは、成るべく速かに宝くじの発行をやめるという趣旨にも反すると思いますので、只今申上げたような修正をいたしたいと思います。
#107
○下條恭兵君 私は当せん金附証票法ができました理由は、如何にして大衆購買力を吸收をしてインフレを防止するかということが重大課題であつた時分に制定されたものでありますから、もう今日のように逆に如何にして大衆に購買力を與えて生活を安定させるかということが課題になつておる時分には、当然こういうものは速かに廃止すべきものと思つておつたのであります。ところが二十七年度の予算はすでに通つておりますので、今この法律を急に停止しては、いろいろ政府のほうでもお困りであろうと考えまするから、そこでできれば今年度限りこの法律は廃止すべきものであるという考えで、できればこの法律の有効期間を今年度限りに定めたいという考えも持つたのであります。ところが今小林委員から修正案も出ておりますし、又大蔵大臣の答弁を聞いておりましても、この法律によつて来る弊害については十分お考えになつていられるようでありまするからして、来年度からはこの法律のあるなしにかかわらず、この宝くじを発行しないということを希望條件としましてこの法律の通過に賛成したいと思うものであります。
#108
○木村禧八郎君 私はこの法律案に反対いたします。修正案が出ているようですが、私は「社会福祉の増進のために要する費用の財源に充てるため必要があると認めるときは」の部分を削るということになれば、一応私の反対意見の一半は消えるのでありますが、先ほど大蔵大臣に質問したときに、この国会の議決が要らなくなるという点に私は問題があると思いまして、改正前の條項のほうが非常にすつきりしていると思うのです。従つて私はなぜこれを改正する必要があるのが了解に苦しむわけです。提案理由の説明にはこの発売の目的を限定した、即ち「政府宝くじは、社会福祉の増進のために要する費用の財源に充てるため必要がある場合に限り発売し得ることとした」こういうふうになつておるのですが、これは大蔵大臣の説明によれば枕詞であるということになりますと、改正する意味がないと思うのです。そうしてなお悪いことには社会福祉の増進のためにこの宝くじを発行するという名目において集めたその資金を、これを警察予備隊に使つても差支えないことになるわけです。はつきりと宝くじで集めた財源は必ず社会福祉のためにこれを使うということになつておらないのです。従つてむしろこれは欺瞞になると思うのです。むしろ欺瞞になつて改正前よりなお悪くなる、改正前ならはつきりそういうことが書いてないから却つていいのですけれども、改正後においては何か社会福祉増進のために宝くじを発行するように正直な国民は思つておる。豈図らんやそれが枕詞で実際上は警察予備隊に使われておるという、こういう欺瞞的な結果が私は生ずると思うのです。これが私は改正案に対して反対する第一の理由です。
 第二の理由は、やはりこの宝くじ発行の制度を残して置けば、今後警察予備隊の増強とか、或いは再軍備の要請が起つたときにこれが濫用される私は危險があると思う。そういう意味において今一応三十五億とはなつておりますが、併しそれにしてもやはり国会の議決を金額においてはやる必要がある、こう思うのです。従つてこの改正前の第三條のほうが私はむしろよろしいのであつて、今度の改正案のほうはむしろ改悪である、こういうふうに思いますので本法案に私は反対するものであります。
#109
○菊川孝夫君 私も本法案には反対いたします。と申しますのは、我々はやはり基本的には先ほど小林さんも下條さんも言われましたように、成るべくこういうものは逐次廃止して行かなければならん、どうしても富くじとかそういうものは頽廃的な空気を私は作つて行くものであろうと思う。従つて富くじを最初に設けるときにも、言論機関、学者等にしても相当批判があつた、併し当時の情勢としてまあ設けられた。最近におきましては、まだ完全な安定とは言えないにいたしましても相当安定いたしまして而も今国会には貸付信託法とか、こういつた一応正常のほうへだんだん進みつつある矢先にこれをまだ、而もだんだん魅力もくなつて来ているときに、これを残して置くという必要は私はもうないのではないかと思う、而も金額にしましても三十五億なら、これはもうインフレ防止というようなことはもう理由にならん。従つてそこに至つたときに今度は公共の福祉のための費用に充てるためだというふうな理由をつけてみた。ところがその公共の福祉もはつきりとそれだけ儲かつたやつは全部公共の福祉、特別の救癩事業に充てるとか、結核の予防に充てるとかして置くならばいざ知らず、そういうふうにされないで、そういたしますとただ名目だけになつてしまう。こういう点からも我々は反対せざるを得ないのでありますが、最後に私たちはあの競馬にいたしましても競輪にいたしましても、最近こうした射倖心を煽る空気がだんだんと国内に充満しつつある。従つてこれを一挙にやめようと言つたところで、なかなか相当迷惑もありまして、特に競輪や競馬のごときは施設も持つておりますので、直ちにやめるということは非常に摩擦が多いだろう。なお地方の自治体の財政にも影響を與えますので、これも逐次開催場所、回数等を減らして行くとか、開催日時を日曜、土曜日、祭日等に限定して行くというふうにして、自粛するほうへ向うべきであるというような我々方針であります。併しこの当せん金附証票のごときは、これは大してやめても僕は摩擦はないと思うのです。あえて反対があるとするならば勧銀ぐらいのものだと思う。大した摩擦なしにやめ得る。従つてこの際はやめるべきである、こういうふうな点からこの改正案には反対いたします。
#110
○委員長(平沼彌太郎君) 他に御発言もないようですが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#111
○委員長(平沼彌太郎君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより採決に入ります。先ず討論中にありました小林委員の修正案を議題といたします。小林委員の修正案に賛成のかたの挙手をお願いいたします。
   〔賛成者挙手〕
#112
○委員長(平沼彌太郎君) 多数であります。小林委員の提案の通り修正案は可決せられました。
 次に只今の修正部分を除いて原案について採決をいたします。修正部分を除いた原案に賛成のかたの御挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#113
○委員長(平沼彌太郎君) 多数であります。よつて本案は修正議決すべきものと決定いたしました。
 なお諸般の手続は前例により委員長に御一任願いたいと思います。それから多数意見者の御署名を願います。
  多数意見者署名
    森 八三一  波多野 鼎
    黒田 英雄  大矢半次郎
    岡崎 真一  木内 四郎
    大野 幸一  小宮山常吉
    下條 恭兵  小林 政夫
    溝淵 春次  菊田 七平
    西川甚五郎
  ―――――――――――――
#114
○溝淵春次君 この際日本銀行総裁一万田氏に本委員会に来て頂いて、独立後の日本金融政策についての日銀総裁としての意見をお聞きしたらと思いまするので、本委員会において一万田総裁の御意見を聞くべしとの動議を提出いたします。理由は「日本銀行ハ國家經済總カノ適切ナル發揮ヲ圖ル為國家ノ政策ニ郎シ通貨ノ調節、金融ノ調整及信用制度ノ保持育成ニ任ズルヲ以テ目的トス」という、この日本銀行法の第一條の目的によつて設立されたのでありますが、制定された昭和十七年、更に終戰後の昭和二十年の改正等、二十二年、二十三年、二十四年、二十六年、逐次日本銀行法は改正されて参りましたが、戰争中における状態と戰後における金融の状態と更に二十八日の午後十時三十分を期しての講和條約なり安保條約の発効によりまして、日本の独立が確立いたしました。そういたしますると、今日まで占領治下における金融政策と今後における金融政策との上におきまして、大局は大蔵所管大臣のそれぞれの目的によつて決せられるのであると思いまするけれども、金融の面を担当する日本銀行のあり方について十分当委員会においても検討を加え、そうして日本銀行の持つその目的に副うように運用して行かなければならんと思うのでありますが、一万田総裁の独立後における金融政策に対する見解をお聞きし、そうして将来日本の金融政策に対しての確固たる方針の下に、今日大企業は相当国家の保護を受けておる形がとられておりますが、中小企業、地方農村の人々におきましても結局悩んでおる問題は金融の問題でありまして、いろいろなる事項が論ぜられましても、帰結するところ金融の問題が如何に解決されるかによりましてすべては決定されるのでございまするから、これにつきまして十分日銀を背負うて立つ総裁の意見を聞きまして、大蔵委員会といたしましても今後日本の大蔵所管の事項についての適切なる委員会の審議を遂げて行く上におきまして必要だと存じまするので、日銀総裁の一万田氏の意見を求めるために出席を求むるの動議を提出いたします。
 併せてこの際他の民間銀行のかたがたの代表的な意見を聞く必要もあるのじやないかと思いまするので、委員長におかせられて適当に先輩委員各位の御意見を徴せられて、他の銀行のかたがたの意見を聞くことについても適切なる考慮を拂われんことを附言いたしておきます。
#115
○大野幸一君 溝淵委員の発言に関連して日本開発銀行総裁の御出席を求め意見を聞くことについての動議を提出します。
#116
○委員長(平沼彌太郎君) 只今の溝淵委員と大野委員からの動議に対してその通り委員長として取扱うことに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#117
○委員長(平沼彌太郎君) 御異議ないと認めます。それでは日にち並びに方法は理事会に御一任願います。
 では本日の委員会はこれを以て散会いたします。
   午後零時三十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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