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1951/05/20 第13回国会 参議院 参議院会議録情報 第013回国会 大蔵委員会 第54号
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1951/05/20 第13回国会 参議院

参議院会議録情報 第013回国会 大蔵委員会 第54号

#1
第013回国会 大蔵委員会 第54号
昭和二十七年五月二十日(火曜日)
   午前十一時二分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     平沼彌太郎君
   理事
           大矢半次郎君
           伊藤 保平君
           菊川 孝夫君
           木内 四郎君
   委員
           黒田 英雄君
           西川甚五郎君
           小林 政夫君
           小宮山常吉君
           田村 文吉君
           森 八三一君
           下條 恭兵君
           菊田 七平君
           油井賢太郎君
           木村禧八郎君
  政府委員
   大蔵省理財局長 石田  正君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       木村常次郎君
   常任委員会専門
   員       小田 正義君
  説明員
   大蔵省理財局為
   替政策課長   稻益  繁君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○連合委員会開会の件
○設備輸出為替損失補償法案(内閣提
 出、衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(平沼彌太郎君) それでは五十三回の大蔵委員会を開催いたします。
 ちよつとお諮りいたします。千九百二十三年十一月三日にジユネーヴで署名された税関手続の簡易化に関する国際条約及び署名議定書の締結について国会の承認を求めるの件という法案が外務委員会にかかつておりますが、これに対して連合委員会を申込みたいという小林委員からの御動議に対しまして、そういうふうに取計つて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(平沼彌太郎君) それでは御異議がないと認めまして、そういうふうに向うの委員長と相談の上、日にちその他を決定して実行いたします。
  ―――――――――――――
#4
○委員長(平沼彌太郎君) それでは設備輸出為替損失補償法案について質疑を行います。
#5
○油井賢太郎君 この際伺いたい点があるのですが、設備輸出の一体最近の状況はどういうふうになつておるか、資料を出して頂きたいと思うのです。おわかりになつていたら、ここで御発表願いたいと思います。
#6
○政府委員(石田正君) 設備輸出の契約の実績が我々のほうで調べ上げたものがございます。これは去年の二月から今年の一月までの実績でございまするが、全体の額といたしましては、日本の円にいたしまして二百四十三億円に上つております。これをドルに換算いたしますると六千七百二十六万ドルというような数字に相成つておる次第でございます。
#7
○油井賢太郎君 この二百四十三億円というのは、年限から言うと、どういうふうな期限になつておりますか。
#8
○説明員(稻益繁君) 只今の二百四十三億円の契約実績を決済の期別に申上げますと、金額にいたしまして、六カ月以内のものはパーセンーテージで申上げますが、僅かに〇・四%でありまして、一年以内のものが一二・八%、二年以内の決済のものが七九・六%、三年以内の決済のものが四・八%、四年以内はございませんで、五年以内のものが二・四%、以上のような割台になつております。
#9
○油井賢太郎君 この契約については内金とか或いは保証金というようなものは取つておりますか。
#10
○政府委員(石田正君) これは大体年賦払いとか、或いは半年賦払いとかいうのが大体多いのでございまして、大体一番初めに第一回分の支払いがありまして、それからあと半年払いとか一年払いとかいうのが大体多いような状況に相成つております。
#11
○油井賢太郎君 それでは実際にこの補償の対象となるものというのは、平均して契約金額の何%ぐらいになりますか。
#12
○政府委員(石田正君) この法律案は、設備の輸出をいたしました場合に、全般的に補償しようというのではないわけでございます。これは輸入と関連いたしまして、日本が必要とするところの輸入を促進するための設備輸出、こういうことに限定いたしておるわけでございます。で現在の、先ず先ほど申上げました二百四十三億というものは一般に設備輸出というやつでございまして、その中で若し申請がありまするならば、この法律案によりまして補償の対象になり得るであろうというものはまだ殆んどない。例を挙げまするならば、その中にありまするのは、ゴアの鉄鉱石の開発、これがあるというのが現状でございまして、今までの過去の実績から見まするならば、この法律案の補償対象になるものは非常に少いということが言えるわけでありまするが、これからだんだんと東南アジア地域に日本側の業者等が進出いたしますることになりまするならば、現地の資源開発という方面に関連するところの設備輸出はこれから殖えて参ると、こういうふうに考えておる次第でございます。
#13
○油井賢太郎君 ではあれですか、今貿易商社等が設備輸出の契約をして、例えば大体多いのは向うへ機械を持つて行つて据え付けて九〇%ぐらいの内金をもらつて、残りの一〇%を実際に据え付けた後において、試験をするとか或いは機械の運転をした実績を見るとか、そういうものであつて、向うで納得の行つたときに一〇%を受取る、そういつたような例が多いのですね。その際この一〇%に対してこの補償が当てはまるかどうかという点なんですか、それはどうなんですか。
#14
○政府委員(石田正君) これはこの法案にもございまするが、大体現在で申しますると、短期の問題、これにつきましては一般的な為替予約契約ができるわけでございます。で例えば機械を作りますのには時間がかかりますけれども、機械がシツプします場合に、例えば九〇%取りまして、あとの一〇%は据え付けてからやるというのは、六体一年以内に回収することができるような場合には、外国為替特別会計に対しまして為替の予約の申込みをいたしますれば、その方面でカヴアーができるわけであります。あえてこの制度を待ちませんでもいいわけでございすので、そういうふうなものについては成るたけそういうふうな方向で行くということが考えられるかと思うのであります。そこで一つ考えておりますのは、向うに資力がございませんので、要するに検収とか何とかというのじやなくて、こういうのでなければ買えないと、こういうふうなものを対象にいたしまして取扱いたい、かように考えておる次第でございます。
#15
○油井賢太郎君 ではこの場合、貿易商社というものを中に入れることは、余り考えないというふうに解釈できるのですか。
#16
○政府委員(石田正君) これは大体資源の開発輸入ということを前提といたしておりまするから、従いまして例えば鉄鋼会社が鉄鉱石を開発する、そのために機械の輸出をする、こういうようなことは勿論テイピカルな場合であろうかと思うのです。併しながらその開発者自身がやらないで、そうして開発するということに関連いたしまして機械メーカが輸出をする、それを今度は鉄鋼会社が入つて来た為替代金の中から支払つて行くといいますか、そういうような形のものも想像されるわけであります。そういう場合に、これは機械輸出業者がやりましても勿論補償の対象になります。その場合に又貿易商社が自分のほうでやろうということでありまするならば、これは必ずしも排する必要はない、かように考えておりますが、併し大体から申しますれば、開発をするところの人或いは機械業者、こういうふうなことに実際問題としてはなつて来ようかと考えておりす。
#17
○油井賢太郎君 この場合大体政府の方針としては二%ぐらいの補償料をお取りになるというように伺つておりましたが、二%というのは今の貿易関係から言うと手数料の全額ぐらいに相当するのですね。そういう高い補償料を取らなくてはならないというのは少しこの際是正してもいいのではないかと思うのですが、二%という高率を取るといういわゆる根拠はどこから出ているのですか。
#18
○政府委員(石田正君) これは延べ払いの契約でやりまするならば、当然業者といたしましては売ります場合に、即金で払うものとは違つた考え方で売るのが当然だろうと思うのです。これはまあ手数料二%と申しますか、そのほかに若し借金して出すということになりますれば金利その他のものがかかる。又借金いたしませんでも、自己資金を寝かすということになりますれば金利ということも考えられるわけでありまして、そういうふうなものは当然手数料の中に入るのではないか。他面為賛のリスクというものはなかなか年二%やなんかでは……実際為替相場の変動が起りました場合には、相当大きなものが予想せられるわけであります。若しこれが放置せられまするならば、例えばポンドならポンドが大体デイヴアリユーエーシヨンがあるのじやないかというような心配が必ずございます。そういう場合におけるところのリスクというものは二%やなんかではない。もつと大きなものであろうと思います。若しこの制度がないならば、相当大きなリスクを負いながら業者のほうで扱わせなければならない、こういうことになるわけでございます。他面から申しますれば、政府は非常に大きな負担をするのだ、こういうことに相成るわけでございます。これは強制的に全部の人が輸出するときに必ずみんなやらなくちやならんというようなものではないのでありまして、希望されるかたに対してだけやるということ、非常に危険を感ぜられるかたがやるということになりますと、純理論から申しますれば二%必ずしも高くはない、むしろ低過ぎるのじやないか、こういう点もあろうかと思います。併しそうそうも言えませんので、大体目の子勘定でございますけれども、二%ぐらいが妥当ではないだろうか、かように考えた次第でございます。
#19
○油井賢太郎君 次に第三条関係の、百億円を超えることはできないことになつておりますが、百億円と言つても補償料は僅かに二億円になつてしまつているのですね。して見ると、これはこういう制限を置かなくても、もつと多額になつてもいいのではないかという疑問が出るのですが、どういうわけでこの百億円というふうに制限したのですか。
#20
○政府委員(石田正君) これは政府といたしましては、為替相場の変動がありまして損失が起りましたときには当然国庫の負担と相成るわけでございます。そこでやはり一つの金額というものをきめなければ適当でない。その契約の仕方というものを全部政府に、行政府にお任せ願うというのはどうであろうか、お話の要点は百億では少いのではないか、こういうお話であろうかと思います。ただ先ほど申しましたような工合に我々といたしましてはまだ今までケースといたしましてそうたくさんのものが出て来ているわけではないのでございます。従いましてどのくらいの数字が契約として妥当であるかどうかということが問題になるわけであります。五十億円でもいいのではないか、こういう見方もあり得るわけであります。併しまあ第一回でございまするので、五十億円というと如何にも窮屈になる虞れがある。それで常識的に百億円ときめたわけでございまして、これが実際問題といたしましてその額に非常に近いものになる。或いはほぼ全額を費してしまつたということになりますれば、当然国会にお諮りして直したほうがいいのではないか、かように考えて一応暫定的に百億円といたしたわけであります。
 なおこの手数料が二億円でございまするが、他面におきまして為替のリスクのほうから考えて、大体リスクはどのくらいであるだろうか。そのほうからきめるという手もあろうかと思うのでありますが、これは為替相場の変更というものは外国の政府が主としてやり得るものでありますので、どのくらいのリスクがあるだろうかということは計り兼ねますので、そこで先ず契約金額というものを抑えまして、そうしてやつた次第であります。
#21
○油井賢太郎君 もう一遍伺いたいのですが、輸入が前提となつて輸出するものに限る、こういうふうに結論はなるのですね、それ以外のものはこれは当てはまらないということ号なんですね。
#22
○政府委員(石田正君) お話の通りでございます。大体この案を作りましたとき、並びに現在でも多少そういう考えがあるのでございますが、これはどの地域に出すとか、或いはどういう計画でやるとかいうことは限定しておりません。併し今の日本の為替は御承知のようにドル決済、或いはポンド決済、或いはオープン勘定と申しますが、これは米ドル決済でございます。こういうものがありまして、一番何と申しますか、危険のございまするところのものは、先ずポンドであるということが常識であろうかと思うのであります。他面今の日本の外貨事情を申しますると、ポンドが溜り過ぎて困るというような実情がございます。これは御承知の通りでございます。それから又ポンド地域に輸出するということはドル地域に対するより非常に利益が多い、そこで皆ポンド地域に輸出したがる。そういうふうに非常に多いときに、すべてポンド地域に出すものであるなら、輸入に関係なくやるということは時期として適当ではないのじやないかと思います。併し他面そういうように日本がフイリピンの鉄鉱石を開発するとか。或いはインドの鉄鉱石を開発するとか、これは緊要な事業でございますので、そういうふうな方面につきましては何らか措置を講じなければならない、かように考えてこの法案を提出したわけでございます。
#23
○油井賢太郎君 そうしますと輸出のはうはポンドのほうで契約を結んだ成る具体的な取引があるとしますね、その前提として輸入に対してもポンドの契約を結んだものがなければこれに当てはまらないということになれば、六体輸出と輸入のポンドの契約というものが殆どバランスが取れて、為替のリスクというものはそこに現われないというふうなことが出て来るのじやないのですか。
#24
○政府委員(石田正君) これ二つの場合にはめてお話申上げたほうがいいかと思います。いわゆる輸出者と輸入者が違つている場合ですね。これは輸出者と輸入者が違つております場合は、これはいわゆる当事者から見ますとリスクはバランスしないわけでございます。それから次に輸出者と輸入者が同一人格のものである場合、これはどうかということになるのでありますが、これは輸出するものは輸出するときに値段がきまつてしまうのであります。それから輸入いたします場合には値段がきまらない、五年先に例えば鉄鋼石が掘れて一トン幾らにつく、何ポンドにつくということがきまつて参りますればよろしいわけでございますが、なかなかきめかねるのであります。それはそのときの値段で行くということになりますと、そうしますとポンドの値段というもの、ポンドの為替相場、ポンドの円に対する為替相場というものは仮に下らないといたしましても、ポンドの値段そのものの額というものが違つてしまいますれば、これはカバーできない、かようなことに相成るのでありまして、やはり補償せざるを得ないのであります、かように考えております。
#25
○小林政夫君 大体油井さんの質疑で尽きたと思いますが、根本的にこの法案自体が、損失があつた場合には補償するけれども、利益があつたときにはそれを取る、結局法案自体の名前が損失補償法というのはむしろ適正でないので、調整法案としてやるほうが本当じやないかと思います。如何にも損失は補償するということであるけれども、若し利益があつたら埋めるので、必ずしも損失のやつばかりじやないのですから、その点についてどうでございますか。
#26
○政府委員(石田正君) これは仰せのような考えかたもできるかと思います。ただ私たちはこの契約をいたしますのに、必ず契約をしなさい、輸出をする限りは……ということを強制しようという意思はないわけでございます。要するに何と申しますか、どこの地域へ輸出するにいたしましても、例えばこういうことは仮定でございますから、そういうふうにお聞き取り願いたいと思いますが、仮にフランスのどこへ出すにつきましても、これは必ず為替の契約をしておけということを強制するということになるのでありまするならば、或いはポンドは下がつたけれどもドルは上がつたということで損得がカバーできる、こういうことも考えられるかと思います。併しそういうことをすべきではない、これは根本観念としてあるわけでございます。それから形の上におきましては損があつたならば補償をする、益があつたならば政府が捲き上げると申しますか、言葉を悪く申しますれば……だから調整ではないかというのでありますが、これは契約をするしないということは、当時者の任意に任せるわけでございます。政府は受動的に出るのであります、積極的に出るわけではない。この法案の実体を申しますならば、為替の損失があつたならば困るからこういう制度が欲しいというところに原因があるわけであります。併しその場合におきまして、実際問題としては政府が損をする場合が多いと思います。併し業者のかたの目算が外れて、そうして仮に政府が利益になるというような場合がありましたならば、そのときはそれば取らんでもよろしいのだということはおかしい。とにかく損をしたならばこれは皆政府にかぶせちまうのだ、益があつたならば一文も払わんのだ、こういうのはどうかと思いますので、そこで両面建に相成つております。但し実際問題としては補償する場合のほうが多いだろうと思いますし、又そうなりますれば、補償してもらおうと思えばこそするのでありまして、調整してもらおうと思つて契約するのではない、かように考えます。まあ言葉は法理的には或いはおかしいかも知れませんが、実体は補償のほうに重点が置いてありますので一応そういたした次第でございます。
#27
○小林政夫君 油井さんの質疑の中にもありましたが、まあ補償料ですか、二%というのが非常に高い、これについて補償料がどうしても二%要るということであれば、関連した輸出銀行の貸出金利等についても考えるということを併わせ考えるべきではないか、これはまあ石田さんに言つてもしようがない、大蔵大臣等に質疑をしたいと思います。それから今の輸入のために貢献する設備輸出ということにも限定されておるが、日本はどうしても輸出振興ということに眼目を置かなければならんわけでありますから、将来この範囲を拡大して、そういつた制限を撤廃し、むしろ全体的な外国為替損失調整法とでもいうようなものを考えるべきじやないか、そういうことについてはどうお考えでございますか。
#28
○政府委員(石田正君) 先ず第一点でございますが、これは私少し僭越だと思いますが、輸出入銀行の金利問題は一般金利にも関連いたしまして当然考えてもらわなければならん問題だろうと考えております。それからこの法案では御承知になつておるかと思うのでありますが、大体例えば五年なら五年の契約をいたします場合に、年に二%の割合でやるわけでございます。それで五分の一は一年分二%だけ、それからして二年分は四%ですね、こういうふうなことになるわけでありますが、一番初めの補償料は、これは一番初めにとらなければならんという問題が起つて来るのであります。その点につきましては、これはいささか酷な点があるわけでありますが、大体こういう現状から考えますると設備輸出のこの補償法案にひつかかりますところのものは、皆輸出入銀行の金融を受けるというのが実情でございます。そこでそういうようなものにつきましては輸出入銀行のほうで一緒に金融を、その保償料の分も合せて金融する、だからしてその点は心配ないというふうなことで進んでおるわけでございます。
 それからなお、これは緊要物資の輸入についてだけの問題であるが、一般的な設備輸出に対してもやる必要があるのではないか、これは情勢によると思います。現状から申しますとポンド地域だけが非常に多いのでございまして、そういう状況の下に、それから而もポンドが余つて困るというような時代におきましては、これは貢献せざるを得ませんけれども、情勢によつては或いは修正が必要となるかも知らん、なお逆に、今度はもつと今のような情勢が深刻化して来るということになりますれば、逆に、設備を輸出するというだけでなくして開発自体のためにも、開発金融と申しますか要するに金を前貸して、機械は出さないけれども輸入をする、こういう場合の補償も考えなければならんという事態も或いは起つて来るかも知れない、そこらのところは将来の推移を見て考えたい。かように考えておるのであります。
#29
○小林政夫君 今の金融の問題はそれは輸出入銀行が貸すときに補償料の込みの資金を融通するということで片付くでしようが、やはり競争相手国、例えばドイツ等はこの金利負担は年五分くらい、輸出入銀行は七分五厘、而もこの補償料二分を合わせると九分五厘ということになり、今の国際競争にそういつた面から耐えられなくなる。そこで今大蔵大臣も多少考えるような気分があるようですが、この輸出入銀行の貸出金利等については相当考慮を要するのではないかと思うわけですね。
#30
○油井賢太郎君 この法案を出した根本方針は、結局今までの話によるとポンドに対するいわゆる懸念というふうに聞えるのですね。これは政府当局でやはりその点を重大視しているわけですか。
#31
○政府委員(石田正君) これはいわゆる替為のリスクとというものは、そのときそのときによりまして危険の度合が強く感ずる場合と、それから割合に軽微に感ずるという場合とあろうと思います。で一般的に申しますと、五年というような長い契約をいたします場合には、本当にビジネスの採算から申しますと為替というものが非常に心配があるわけであります。むしろ何らかそれに対して措置があるということが常識ではないであろうか、それからまあ日本のこれからの通貨政策、為替政策がどうなるかということにも関連するのでありますが、現状のような日本の通貨、為替の状況が続きます限りにおきましては、私は日本の円の問題よりも、よその国の通貨のほうがむしろ心配が多い、かように考える次第でございまして、これはポンドがどうなりますか私はつきり申上げることもできませんけれども、併し先ほど申しましたポンドと、それからドルというようなことになつておりますが、これから先につきまして世界の通貨は多いのでありますし、日本の今後の為替政策といたしまして決済の通貨はポンドとドルだけでなくちやいかんというようなことになりますかどうか、そこらのところも考えなければなりませんので、はつきりしたことは申上げかねるのでありますが、とにかくポンドの危険があるからこれをやる、ポンドの危険がなくなつたらやめてしまうのだ、そういうものではないと考えております。
#32
○油井賢太郎君 まあこの通り法案は政府提出なんですが、ポンドが下落の危険があつたとしても、ドルに対してまあ二ドル八十セントが二ドルに下るというような場合、円も三百六十円から今度はその同じレートだけ変更して行けばこういう問題は起きなくなるわけなんですが、大体政府の方針としては円はもう固定さして置く、ポンドが変更ある場合を想定してこういうものをやつて置かなくちやならないという基本方針がそこにあつたかどうか、これはもうあなたからお答えできなければ大臣でも来てもらうよりほかないのですが、御相談の際はそういうことが基本になつたかどうか、これを伺つて置きたい。
#33
○政府委員(石田正君) この法案を作りますにつきましては当然今お話がありましたような工合に、日本の為替相場というものは堅持するということが基本になつております。それならばこそこういう制度が必要なのでありまして、まあポンドが国際通貨としての本当の役割を果しているかどうかは疑問でありますが、あれを用いざるを得ないという場合に、それと心中をするのだというようなこと、或いはもつと以下の通貨に日本の円がなるということも予想するということでありまするならば、当然こういう法案を出す必要もないわけなんです。かように考えております。
#34
○木内四郎君 ちよつと伺いますが、外国でこの為替損失の補償をするという制度はありますか。
#35
○政府委員(石田正君) 私の知つている限りにおきましては、こういう制度はほかの国にはないと思います。日本が先鞭をつけるということに相成るのではないかと存じておる次第でございます。
#36
○木内四郎君 そこでこれは、ちよつと伺いたいのは、まあこの輸出信用保険という制度があり、又この輸出為替の売予約ということもあつて、輸出によつてできた為替を売予約をして置けばそれによつて損出をカヴアーできるわけですね。輸出信用保険とか輸出為替の売予約というようなことによつてこの目的を達し得ないものでしようか。
#37
○政府委員(石田正君) この輸出の信用保険という中に通貨の変動も入れたらいいじやないか、こういう御議論もあろうかと思います。併しまあこれは為替の変動という特別なものであるということをやはり考えなければならぬかと思うのであります。それから為替の売予約のほうの問題でございますが、為替の売予約というものは、実は日本でやつておりますところの為替の予約というものは、政府でやつております。これは一年以内でやつておりますけれども、これはむしろまだよその国ではこういうものはしてないのが実情であります。そこで今でも恐らくよその国より余計やつておる。それを今度は五年間に延ばす、五年間の為替のリスクを補償するというような国はどこにもないのでございます。ただこの問題つにつきましては、日本の一般的な為替政策から行きまして、どうしても例えばポンド地域ならポンド地域、或いはオープン地域からのものを輸入するということをして、輸入できるから又輸出ができるということで輸出入のバランスを通してやつて行かなければならない立場にある。そこでこういう意味におきましてこういう制度を設けよう、こういう意味でございます。
#38
○木内四郎君 そうするとこの為替の売予約制度が自由に行われておれば、経済上の自然なアジヤストによつてこの目的は達成することができるけれども、それが自由にできないからして、又今日為替の不安があるからして、こういうものをやらざるを得ない、こういうことになつておるわけですね。
#39
○政府委員(石田正君) お説の通りでございます。
#40
○木内四郎君 そこでもう一点だけ極く簡単に伺いたいのですが、三条に、「政府は、設備輸出が重要物資の輸入市場を、国際収支上有利な地域に開拓し、又は国際収支上より有利な地域へ転換することに役立つと認められる場合その他政令で定めるこれに準ずる場合」というのがございますが、それは大体のところはわかつているのですけれども、あなたのほうでこういうところへ出して、こういうところから入れたい、そういうことはきまつておるのでしようか。
#41
○政府委員(石田正君) これはさまつておるかと言われますけど、きまつておるという明確な答弁はできないのでございますが、政府がそういう開拓をみずからやるわけではございません。従いましてその意味におきまして、政府としてきめたものは何にもないわけであります。ただ併し業界におきましては、鉄鉱石のようなもの、マンガンその他のものを東南アジア地域から輸入したい、こういう気持があり、又そういう実際の話合いがいろいろありますことは新聞紙等において御覧願つておりまして御承知の通りだろうと思います。ただこういうふうに分けましたのは、これは観念論になるかも知れませんが、例えば鉄鉱石はカナダよりはインドから輸入したほうがいいということになりますれば、これは有利な地域に転換することになるわけであります。それからして又新らしく今まで入れてない、例えば銅なら銅というもののいい銅鉱山があつて、それを開発して持つて来るということになりますれば、これは新らしく開拓するということになるわけで、観念的にまあ分けてみたわけでございまして、いろいろ銅とか鉄鉱石とかマンガンとかいう話はございます。併しそれに必ずやるのかということになりますと、この法案の建前といたしましては、業者のほうがそういうことについて企画を立てられておやりになりまして、そうして補償を求められて来た場合に補償しよう、こういうことでございます。
#42
○木内四郎君 そうするとこの第三条によつて、私は、政府が一定の貿易政策或いは貿易転換の計画を持つておられてこれをやられると思つたのですが、そうでないとすると、輸出する人は、輸出の補償契約を締結しようとする場合には、輸出と同時に輸入の計画も立てて、そうして政府に申出なくちやならん、こういうことになるわけですか。
#43
○政府委員(石田正君) これは非常にデリケートな問題になるわけですが、例えば今の鉱山の開発をする、鉄鉱石の開発をする、銅鉱石の開発をする、こういつた場合には、これは大体日本に入つて来るものというふうな予想がつき、機械や何か出すわけであります。併し入れる人は必ずしもその人ではない。鉄鉱石の場合においてゴアのようにもう輸入者と輸出者がきまつておる場合もあります。どの機械が行つて、そうして誰が輸入するのだということがきまつておるわけであります。
#44
○木内四郎君 そうすると輸出する人は、輸入計画を立てておるわけではないが、輸入をより有利にできるだろうということを政府が認めるということが必要なんですね。
#45
○政府委員(石田正君) お話の通りでございまして、ポシビリテイがないものをやるわけには行かないと思います。
#46
○菊川孝夫君 ちよつとお尋ねいたしますが、池田大蔵大臣は東南アジアの開発ということをいつもよく言うのだが、その一環として考えておるわけですか。率直なところを言つて……。
#47
○政府委員(石田正君) 東南アジアの開発が、日本の資本と機械設備等の形によつて、物的資本を通じまして行われるということを我々は考えておるわけであります。その意味におきまして、そういうことが行われた場合に、為替のリスクはどうなるのだという場合にそれは補償いたしますというのがこの法案の趣旨でございます。
#48
○菊川孝夫君 それで、重要物資を、日本の経済の維持及び発展に寄与する重要物資と言つておられるのですが、大体どの範囲のものを、構想としておるのはどの程度のものですか。
#49
○政府委員(石田正君) この重要物資というものの中味をはつきり具体的に言えということはなかなか困難でございますが、そこでこれは私たちのほうは何と申しますか、必らずしもこれとこれに限るものだというふうには考えておりません。今私説明の場合におきまして、まあ鉄鉱石とか銅とかいうような工合に鉱物だけ申しましたが、鉱物だけには限らないのでありまして、植物でありましても本当に入つて来るものはそれでいい。例えて申しまするならば、米が余計入つて来るようになる、麦が余計入つて来るようになるというふうなことでありますならば、これも又重要物資であります。バナナ等はこの重要物資の中には入らんのじやないかと思いますけれども、どうしても日本が輸入をしなければならないところのもの、或いは日本の経済を安定する上について特に必要なもの、そういうものを含んでおるわけであります。
#50
○菊川孝夫君 どうもはつきりしないのですが、まあ鉄鉱石だとか銅だとか、先ほど言われたマレーの錫であるとか或いはイランの石油ということになりますと、これはわかる。設備を輸出する、今のお話だと米や小麦もそういうことになる、その設備や倉庫というようなものもこれの対象になるのですか。
#51
○政府委員(石田正君) これは具体的に本当に日本に入つて来ることになれば、米だから要らんのであるということにならんわけでありまして、やはり当然考えなければならんことかと考えております。ただ現実問題といたしましてそういう話は今のところございません。ですから実現性があるかどうかということについては、これは大いに検討を要すると思いますが、仮に若しそういうものがあつて、本当にいいプランであるということでありましたならば、必らずしもそれを除外しなければならん理由はない、かように考えておる次第であります。
#52
○菊川孝夫君 この中に船舶、車輌というようなものがございますね。船舶、車輌というのは一体こういう重要物資の輸入確保にやはり役立つのですか。
#53
○政府委員(石田正君) これは常識から申しますと誠におかしいように思いまするけれども、例えばインドならインドに鉱石或いは鉱床のいいものがある。併しこれをどうしても日本に持つて来られない。五百万トンが五万トンも持つて来られない、何が原因になるかというと、山から港に持つて来るところの鉄道設備がない、こういう場合もございます。それから港まで持つて参りましても埠頭設備が駄目だ、健が足りない、こういうことがありまするならば、こういうふうなものもその状況によりましては、必らずしも排斥する必要はないのじやないか、船や鉄道はおかしいではないかというのは、これは現状といたしまして船や鉄道があつて、そうしてそういう重要物資を搬出するのについて何も支障がない場合もございますし、それが非常なネックになつておるというような東南アジアの状況からといたしますならば、そういうものも又この法案の範囲内に入る場合が多いかと、ういうように考えております。
#54
○菊川孝夫君 差当り日本で石油の資源なんか考えられるんだが、今のところ計画としては鉄鉱石、それからマンガンというお話でございましたが、インドネシアの石油関係は、これは話合いになつておるのではないですか。
#55
○政府委員(石田正君) これは私はつきり申上げることはできないのでありますが、むしろ想像としてお聞き願いたいと思いますが、石油のようなものは世界的な、何と言いますか、有力会社というものがございまして、大体資源を抑えて行くという傾向が強いわけであります。なかなか既存の、わかつておりますようなところに割り込む余地というものは非常に少いのではないか、かように考えておる次第でございます。
#56
○菊川孝夫君 そういうことになりますと、やはり鉄鉱石や銅、マンガンというようなものも、今これから日本が開発に参与しようたつてなかなか抑えられておつて、そう簡単に実際問題として行けるものではないじやないですか、どこかに具体的な何かあるんですか、これの対象にすぐなるような、これによつて日本へ銅や鉄鉱石がたくさん入つて来る、而もそういう計画が進みつつある、或いは話が進みつつあるというのは、具体的に名前を挙げてはあなたのほうでも困るというならば、この方面にこういう話も進みつつあるというような……。
#57
○政府委員(石田正君) 誤解があるといけないと思いますか、石油というものを我々除外しておるわけではないんで、石油が目ぼしいものがございまして、日本の手によつて開発ができますならば、非常に結構だと思つております。ただなかなかむずかしいのではないかということを申上げたわけです。それからなお鉄鉱石その他につきましては、現実問題といたしまして実行したものもございます。まだ話し中のものもあるわけでございます。これはできないことではない、当然できることである、可能性が非常に多いものであるというふうに考えております。
#58
○菊川孝夫君 次に年額大体これによつて、一般会計から負担分がどのくらいになる見込であるか、今年度はどのくらいに見込んでおられますか。
#59
○政府委員(石田正君) これは先ず契約金額を百億円と抑えておるわけであります。それで、百億円の範囲内においてどのくらい一体申請があるだろうか、それから又契約するだろうかということが一点だと思います。それから今度は仮りに百億円の契約を仮りにいたしたといたしました場合に、これを例えば外国が為替切下げをどの程度やるだろうか、二割の切下げをやるだろうか、一割五分やるだろうか、或いは三割やるだろうか、これらのところは目途がつかない、要するに百億なら百億の範囲内であることははつきりいたしております。契約ができたものの範囲内であることは明らかでありまして、併し常識的に申しまして二割かそこらの見当ではないだろうか、かように考えておる次第であります。
 なお本年度の予算に対して、どのくらいのものがあるかと思うのでありますが、これはこれから契約するわけでございまして、そうして契約をいたしますときは、先ほど申したのでありますが、第一回払いというものが始まると直接的に入つて来るわけであります。それから半年とか一年ごとに第二回の受取りの時期が来る。大体一年ということが多いかと思いますので、実際問題といたしましては来年度になりましてから、この為替損失補償の対象となるような代金の支払時が到達するのではないか、かように考えておる次第でございます。但し六カ月なら六カ月というふうなものを仮りに認めたとして、それが丁度本年度内に入つて来た、而もその本年度内において為替相場の変動があつたということに相成りますれば、当然それは支出しなければならんという問題が起つて来るのでありますが、これは率直に申しまして予備費の範囲内におきまして、そういうことはないと思いますけれども、予備費の範囲内において十分賄い得るものではないかという一応の目測をつけております。若しそれができないような場合は、或いは予算を組まなければならんというような問題が起つて来るかと思います。大体その必要はなしに今年はすまされるのではないかという感じを持つております。
#60
○菊川孝夫君 この百億という限度を設けられるということになりますと、大体百億にしますと、件数にして、今あなたの御説明のように鉄鉱石とか銅とかいうような開発に日本の設備を輸出するということになると、僕は二件、よく行つて三件か四件も行けばえらいことだ、まあ二、三件だと思いますが、具体的に実際に言えるのはこれだけの金額でしたら三件ぐらいのことになるだろうというふうに想像されるんだが、大体それくらいのものでございますか。
#61
○政府委員(石田正君) これはどうも何件ということを申上げることはできないのでありますが、併し非常になんと申しますか、東南アジアの開発というものが日本によつて行われるところが進みますれば、百億円では足りないと思います。従つて百億円である限りは件数も非常に少いものだろう、こういうことは言われるわけであります。但しこれも日本側が本式に開発をみずからやるとか、或いは半分やるというような場合でありまして、そうでなくして、鉱山自身がもうすでに開発しておるんだ、それを増産しますために行くというようなものでありますならば、これはみずから或いは共同して開発するというよりも少くなるわけでありまして、件数の点におきまして何件ということは言えないと思いますが、小さなものは件数は多いかも知れませんが、本格的なものに相成りますれば、お説のように極めて少い件数であろうと考えております。
#62
○菊川孝夫君 次にお尋ねしたいのは、これはまあ本当に輸出するという以上は、向うの業者なり或いは政府等に対して、その設備を売り渡すという意味のことになると思うのですが、今後の東南アジアの開発につきましては共同出資というようなことも、かなり向うから、まあどこまでそれは具体性がありますかは別といたしまして、話があるということも聞いておりますし、又現に向うのほうへ行つて帰つて来た連中の話を聞いて見ましても、大体そういう呼びかけのないこともないらしい、半分設備はこちらで持つ、その他は向うで持つということで、機械設備等はこちらでして、その代りにあとのほうは向うで持つというような話が大分進みつつあるようなことも聞いておるんですが、そういうのはこの補償の対象にはならんのでございますか。
#63
○政府委員(石田正君) 今のように共同で以て開発しますというふうな場合に、共同出資をする出資分を機械で出す、こういうことになりますると、要するに代金を回収するという問題は起らんのでございますね。出資してしまうわけでもございます。それから仮にその現地通貨が価値下落をいたしましても、実際の値打が必ずしも下つてしまうものでもなんでもない、これは恐らくこの補償法案の対象にならんと思います。併しながら共同出資はいたしますが、共同出資と言いますか、或いはまあ提携してやつて行くと申しますか、そういう場合は仮りに出資金とは別にその会社に対して延べ金で物を売る、こういう場合も想定ざれると思います。出資以外にそういう話合いになりますと、この法案との関係が起つて来るのではないか、要するに一般に売るのと同じような形になつて来る、形の上では……。併しそのときにはその会社の経営の主体とかなんとかいうようなものをよく見ませんと、これは危険があるかないか、それを補償するのが適当であるか、適当でないかというような問題も、或いは起つて来るかと思いますが、併し可能性は起つて来る、かように考えております。
#64
○菊川孝夫君 それでは最後に具体的にこの法律案が通つた場合に直ちに今もう問題になりそうなものがございますかどうか、ございましたら一つ、名前を明示しなくてもいいが……。
#65
○政府委員(石田正君) 私率直に申しまして、この法案が通りますと直ぐその日に駈けつけるというものはないのではないかと思つております。或いはあるかも知れません。併しそれは業界のほうでございますからわかりませんけれども、私どものほうでは大口なものとしては予想はしておりません。併しいろいろな話合いがありまして、新聞等でも御覧になる通りでございますので、法案が出ます間にまとまつて我々のほうには話が来ておりません。具体的な問題として今法案が通るのを待つているのだが、早くしてくれ、一日も早くしてくれというのは、今のところ余り聞いておりませんけれども、併しあるかも知れません、かように思つております。
#66
○菊川孝夫君 その点について輸出入銀行あたりの調査でもまだそういうものはわかりませんか。
#67
○政府委員(石田正君) 私のほうは輸出入銀行とよく連絡を取つておるのでございます。輸出入銀行のほうから、これはこういうものがないとなかなかうまく行かないであろうというような御意見もございました、それらを我々は参照いたしまして、こういう法案等も作つたわけでございますが、今のところ輸出入銀行のほうから早くこの法案を通さんと、これこれこれと、これが待つておるのだという状況ではござついません。
#68
○菊川孝夫君 輸出入銀行の今までの実績を見ても、輸出銀行当時の実績を見ましても、大してこれは日本の重要物資の輸入にえらい役立つているというような感じが、我々としては余り今までの実績では少くともないと思いますが、今後には相当活躍するだろうし、又今までにあつたようなことを期待するのは大体無理かと思います。これからに大いに活躍の余地があると思いますが、併し現実にこの輸出入銀行の実績を見ましても、船舶とか、この方面に大体主力を注いでおるような結果であつて、これはこの前の輸出銀行法の一部を改正するときに大分問題になつたのでございますが、実際には設備輸出には余り注がれておらずに、船舶の輸出ぐらいなところに大分貸付がなされているということで問題になつたのですが、今後も大体そういうふうなことばかりになつて、その船舶輸出の補償ぐらいに主に百億が使われることになるのじやないですか、実際問題として。
#69
○政府委員(石田正君) これは或いは少し個人的な見解に亘りまして恐縮かと思うのでございますが、大体こういうものが三菱ならば三菱にいたしましても、あらゆる場合を通じて必ず出て行くとか何とかというようなことは実際経済問題としてはむずかしいと思いま。いろいろ時期がございまして、出るときもありますれば出ないときもある。こういうことが言い得るのじやないかと思います。それから、将来の問題、今まで過去の実績がないではないか、或いは私はないのがむしろ普通じやなかつたかと思います。こういうことはなぜかと申しますならば、占領下におきまして、東南アジア開発とか何とかということを本当に実行するような段階になつておらなかつたと思うのです。海外渡航することすらなかなか困難で、或いは条約等の関係もあつて、入国さえできないというような状況が多かつたのでございまして、現地のほうの事情を知ることさえなかなか困難であります。要するに盲貿易と申しますか、そういうふうなことが一般の貿易についてさえも言われておつたのが今までの実情でございます。平和条約が発効いたしましたけれども、まだ必ず盲貿易の状況が改善されておるかというと、そういう状況ではない。いわゆる経済開発とかというふうなことは、できたものを売るとか買うとかというものでなくて、本当に現地に行つて見て余ほど検討しなければならんものであろうと思います。そういう意味におきまして、今まではなかつたのがむしろ当然ではないか、或いは今後これが本当にあるのかどうかということに相成りますると、私たちは必らずこれだけのものがあるのだということはなかなか言えないというのが実際だろうと思います。
#70
○菊川孝夫君 それがためには、先ず講和条約も発効したのだし、東南アジアの諸地域に行つてどんどん向うの事情も知るし、又今の東南アジアには何といつても戦争中に日本が彼の地に与えたいわゆる被害というものに対する反感もある、反面におきましては一応独立のチャンスをこの戦争によつて掴んだという、一つの利益といつては何だけれども、そういう結果も残しておると思うのであります。従つて東南アジアの諸地域に非常に僕らの党のほうからも視察に行つて帰つて来た報告を聞きましても、民族主義運動というか、アジアの、特に日本の技術を導入したいというのは漠然と存在しており、まだ具体化するところまでは行つておらないが、併しそういう機運を醸成するように、これはあらゆる面からして行かなければならん、その一環として私はこれはこの法案も出されたものだと思つておるのですが、併しそれにはまだ政治的な、外交的な裏付けが極めて僕は薄弱だということを言わざるを得ないと思うのであります。
 そこで最後にお尋ねしたいのは、こういう法律案を今回提案されるに当りましても、その裏付けとなるあちらとの交流について、もつとこれよりも先に金を注ぎ込んで、あちらに一つ進出する機会を国民のほうにも与えると同時に、向うの連中もこちらに呼び寄せるというようなほうに相当金を使わなければならんのじやないか、私はそういうふうに考えるのですが、こういうふうな計画は、東南アジア開発だ開発だといつて、抽象論としては成るほど成り立つておるのだが、具体性が極めて乏しいにもかかわらず、こんな法律案が先行しておることはむしろ私はおかしいような気がするのでありますが、この点について一つほかの具体的な、そういう面も大蔵省としては考えておられるかどうか、今までは外務省が主としてこれにあれしたが、今後は大蔵省も相当今までとは考え方を変えて、特に石田さんのほうが担当になるのだろうと思いますけれども、向うのほうとの提携については、経済提携はやはり大蔵省も相当乗り出して行かなければならんと思いますので、これが腹案と言いますか、具体的な構想、対策等についてお考えになつておるかどうか、これを一つ……。
#71
○政府委員(石田正君) 大体先ほども申上げたのでありますが、いろいろ提携をいたします前に、提携をしたり或いは開発する人が向うに行つて見て来ないことには、何にもならない。それから又向うの現地で受入態勢がないところへあれしても何にもならないというのは当然だと思います。そこでそういう部面はどこかということになるのでありますが、この部面におきましては、要するに新らしくそういう現地に人を派遣するとか何とか、というような法律を作るまでもなく、すでに外貨予算の範囲内におきまして人が行くとかいうような措置を講じてあるわけであります。そちらのほうで行かれることは、これは結構であろうと思いまするので、そういう予算的な措置も講ずる、だんだん殖やすようにしております。それから又御承知の通りに、輸出をいたしましたかたは現在では優先外貨と申しますが、日本にそれが一部使われるというようなことがありまして、そういう実績のありますかたがたについては、やかましいことを成るたけ言わんようにするという方向でやつておるわけであります。ただ場合によりましては、日本の人が何の目的もなく行つて、そうして現地の人を混乱させ、同じ問題について来る人も来る人も言う、それも皆違つたことを言うというようなことがあつても、それはいけないので、そこのところにつきましては、私たちのほうは大体の方向といたしましては、だんだん人が向うへ行つて、何と言いますか、早く実が上るようにはいたしたいと思いますが、時期ということがありまして、いきなりラツユするということはいけない、かようなことを考えて旅費予算等を運営いたしておるような実情でございます。
#72
○委員長(平沼彌太郎君) 私から一つお伺いいたしたいのですが、今菊川委員から東南アジアの開発について今の日本に大事なことをおつしやつておるのですが、合弁その他でいろいろな事業をあちらでやるとを現地が希望しておるというのですが、実は或る会社で或る所の鉄鉱についての権利を得たらしいのです、向うの希望によりまして。ところが五、六人人を送ろうとすると、向うの政府がどうしても入国を許可しないそうです。こういうやはり日本の進出を恐れておるという面があるが、政治的関係も非常に国際的に大きいのですが、こういう場合にやはりそれを国際的に処理して行かないと、折角民間でやつても、それがこういう法案をこしらえても効果がないように思うのですが、どういうふうなお考えですか。
#73
○政府委員(石田正君) お話のような点がございます。これは先ほど申しましたような工合に、東南アジアの一般的の気分としましては、菊川委員からお話のありましたように、まあ日本を歓迎するという気分も相当あるのでございます。従いましてそういう面を更に助長して行くように当然配慮しなければならん。併しながら現地におきましても戦争の記憶もございまして、必ずしも好まない、こういう面があろうかと思います。それから又東南アジアと申しますると、日本と東南アジア諸国だけの問題ではないのでありまして、その東南アジア以外の国が、或いはマーケットといたしまして或いは資源入手の所といたしましても、非常に重大な関心を持つて日本の進出を必ずしも喜ばないという実情があることも争えないと思うのでありますが、その間をどういうふうに切り抜けて行くかということには、政府といたしましても民間側といたしましても、相当の努力が要る問題だと思います。安易に流れて行くものを補償するというだけではなくして、その流れ先については非常に努力が要る。努力が要るがこういう点に難点があつたのでありますが、難点があるということであつたならば、その難点を何とかしなければならない、こういう趣旨におきまして法案を提出いたしておるわけでありまして、私は東南アジアの開発ということは、口で言うほど簡単なものでもない、易いものでもない、非常に努力を要するものであるというふうに思つておるわけであります。
#74
○委員長(平沼彌太郎君) どつちみち国際的にこちらで行く人を向うで拒めば、向うとしても日本に対して送らないという相関関係があると思いますが、何かそういうふうな対照的に見て、そういうふうなものを政府が解決して頂きますれば解決すると思うのでありますが、それ一つだけでは駄目です。そういうものについて何とか解決する道はないでしようか。
#75
○政府委員(石田正君) この問題は非常にむずかしい問題だと思います。要するに日本という国はまあ貿易によつて大いに進展する点があると思います。そうして成るたけ物の流れを自由にする、これは日本としては恐らく世界の中で最もそういうことに対して重大な関心を持たなければならない国であろうと思うのであります。今のような、お話のような工合に私大体想像するのでありますが、国の名前をあげることはどうかと思いますが、いろいろなことがありますが、そういう場合にこちらが報復的にカットするか、或いはこちらのほうを出させる、こういう行き方というものは余り好ましいことではないのじやないか。だんだん何と言いますか、東南国だけが世界を支配しているわけでも何でもないのでありまして、やはり皆世界において国を成し、彼此交通するという建前の下におるのでありまするし、第三者の批判もあることでありまするが、だんだんだんだんとお互いに交流するについても、不平がないようにするということが必要だろうかと思います。殊に講和條約発効後日本は今まで塞がれたところと言いますか、一日も早くそこまで行こうというのであります、そういう点において問題があろうと思います。あるけれども日本が先にそれに対応して制限的措置を講ずるということは、必ずしも先行きよくないのではないかと思います。
#76
○菊川孝夫君 それに関連してちよつと一言だけお尋ねしたいのですが、この間僕らのほうの友人が二、三人向うへ行つて帰つて来た話を聞いてみますると、今申上げました民族主義運動と申しますか、アジアの提携を図りたい。そのために日本の技術、設備等の輸入をしたいという希望は非常に多くて、僕らの友人が行つて各地へ廻つて行きましても、大てい外務大臣何かがもう自分の乗用車を視察のために提供して、或いは宿舎等についても殆んど、二カ国ばかりでしたが外務大臣の官邸を使わしてそこへ泊めて、競争相手はまああると言いましたけれども、それよりも優先して日本の技術や設備を持つて行きたい。併しそれは抽象論でもつて、具体的には進まずに帰つて来たのだが、併しそのために日本のこちらに対する働きかけは、政府と言いますか、日本全般としての関心が極めて薄い。勿論戦争中の被害については彼らも決して忘れるものでないけれども、併しそういう過去のことを忘れてしまつて、一つ日本の技術を導入したいという欲求は非常に強い、こういう印象を受けて帰つて来たという報告をしておるのですが、従つてそういう機運が見えている時でありますから、この法案が通ることも勿論大事であろうと思いますが、それよりも先にそのチャンスを掴んで具体化さして、これが早く必要になつて、早く法律案を通してくれというふうになるようにすることが先決問題だと思う。併しこれを石田さんと論争しておつても仕方がないけれども、その面において、僕は大蔵省のほうは欠けるのじやないか、大蔵省というよりも政府自体として欠けるところがあるのじやないか、質問をすると盛んに東南アジアを開発するということを言いますが、ちつとも具体性がないというところからいたしましても、この点を先ず遂行すべきであろうというふうに僕は考えるのでありますが、今石田さんのお話を伺つてみるとそういう必要は認めているのだが、具体的な話は余りないようでありますが、考えていることは相当研究はされているのですか、この点について伺います。
#77
○政府委員(石田正君) 私のほうはそういう問題について考えております。これは何と申しますか、政治的な提携を目途とすべきじやなく、経済提携をするということでありますが、やはり政治的にそのプラン、プランというものの一体有効性というものをよく検討しなければならない、やつてみてあと駄目になつてしまうというものをやつたのでは、これは一時はいいかも知れないけれども、あとにおいて悔いを残すことになるのであります。従いましてこれはそういうことをやつた結果本当によくなるのだ、それにはやはり計数的その他においてはつきりしなければならない、かように考えておるのであります。今のような問題でありますが、そうなつて参りますると、要するに抽象的な話からだんだん具体的な話に進んで行くわけであります。抽象的な話ではよかつたが、具体的になつて来ると工合が悪いという問題がとかく起りがちなようでございます。これは従いまして、私は東南アジアの開発ということは成るべく早くしたほうがいいと思うが、そう一朝一夕に成るものとは思つておりません。時間のかかる問題だ、時を以て完成しなければならない問題だと考えておるのであります。それができないのに、こういう法案を作ることはおかしいじやないかと申されますと、そちらのほうの努力は決してしていないわけじやないのでありまして、やつておるわけであります。ただ受入態勢が悪いということで悔いを残すということでは困りますので、そういうところは早く計画を作つておくほうがいいのではないかと考えておるのであります。
#78
○菊川孝夫君 最後に、向うの人たちの考え方は、いつまでも俺たちを原料提供国の位置に置こうという考え方に対して、どうしても不満があるということを盛んに言うらしいのでありますが、この法律案を見ると、これはどうも原料国としての地位に置こうというふうに、如何にも第一条の目的、それから提案理由からいたしまして見える、どうせ出すのは同じ原料をもらわなければならんだろうが、併しこの表現を、少てとも東南アジアを対象としているということは、これは大体想像できるのでありますが、いつまでも原料国の地位に向うを置こうとするような印象を与えるような表現にするよりも、もう少し表現を変えたらどうですか、それが僕は大事だと思うのですが、というのは今申上げましたような政治的な配慮も相当なければならんと思うのですが、それには如何にもこの法律案が第一条の目的からして、技術、設備は我々のほうにある、向うは原料生産国として、原料提供国の位置に置こうというような印象を与えるように思うのですが、その点どうでございましよう。
#79
○政府委員(石田正君) 重要物資というものは原料に限るというふうに我我は考えておらんのであります。原料以外のものであつても重要物資で、例が適当かどうか分りませんが、仮りに銑鉄というものをとつた場合に、これは原料であるかどうかということになりますと、鉄鉱石とは多少違うと思うのでありますが、やはり半成品ということになると思います。併しやはり重要物資であることには変りないと考えております。それからいつまでも原料供給国にしておくかどうかという問題でございますが、これは原料がすつかり開発されてしまつて、そうしてもう有望ではないが原料があれば、それを更に開発するのは別に悪いことではないじやないか、かまうに考えておるのであります。
#80
○委員長(平沼彌太郎君) 実はちよつと申上げますが大臣に出席を求めてこの法案を研究することになつております。なお今石田理財局長が衆議院のほうから再三請求されておりまするので、御質疑もまだ田村委員その他も残つておるのですが、今日はこの程度で散会いたしたいと思います。
 それでは本日はこれを以て散会いたします。
   午後零時十分散会
ソース: 国立国会図書館
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