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1951/05/23 第13回国会 参議院 参議院会議録情報 第013回国会 大蔵委員会 第56号
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1951/05/23 第13回国会 参議院

参議院会議録情報 第013回国会 大蔵委員会 第56号

#1
第013回国会 大蔵委員会 第56号
昭和二十七年五月二十三日(金曜日)
   午前十時五十七分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     平沼彌太郎君
   理事
           大矢半次郎君
           伊藤 保平君
   委員
           岡崎 真一君
           黒田 英雄君
           西川甚五郎君
           溝淵 春次君
           小宮山常吉君
           田村 文吉君
           森 八三一君
           野溝  勝君
           下條 恭兵君
           菊田 七平君
           木村禧八郎君
  委員外議員
           波多野 鼎君
  政府委員
   大蔵省主計局法
   規課長     佐藤 一郎君
   大蔵省主税局税
   関部長     北島 武雄君
   大蔵省理財局長 石田  正君
   大蔵省銀行局長 河野 通一君
  事務局側
   常任委員会專門
   員       木村常次郎君
   常任委員会專門
   員       小田 正義君
  説明員
   大蔵省理財局為
   替政策課長   稻益  繁君
   通商産業省通商
   振興局経理部長 石井由太郎君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○連合委員会開会の件
○設備輸出為替損失補償法案(内閣提
 出、衆議院送付)
○国民貯蓄債券法案(内閣提出、衆議
 院送付)
○地方自治法第百五十六條第四項の規
 定に基き、税関の出張所及び監視署
 の設置に関し承認を求めるの件(内
 閣提出、衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(平沼彌太郎君) それでは第五十五回の大蔵委員会を開催いたします。
 昨日労働委員会に付託されております労働金庫法について、連合委員会を開くことを労働委員会に申入れることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(平沼彌太郎君) 実は今日午後向うの委員長と連合委員会を開くことに内諾してありますが、そういうふうに取計らつてよろしうございますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(平沼彌太郎君) じやそういうことに決定いたします。
 設備輸出為替損失補償法案について質疑を行います。
#5
○木村禧八郎君 この為替損失補償について、貿易の相手方のほうの為替の変動ですね、向うの損失ばかりでなく、今度日本側の為替変更による損失も含まれているのですか。例えばね、こつちの三百六十円レートを変更するという場合、為替変動による損失額というものも含まれるわけですか。
#6
○説明員(稻益繁君) 仰せの通りでございます。日本側で三百六十円、或いは現在の対ポンドの最低レート千八円というようなレートを変えました場合には適用されます。
#7
○木村禧八郎君 何か将来にそういうような為替の変更を一応予想しているのですか。そういうようなことがあり得ることを予想しているわけですか。
#8
○説明員(稻益繁君) 予想しておるかというお尋ねでございますが、例えば現在のレートで申上げますと対米ドルの相場は三百六十円でありまして、これは為替管理法で対ポンドの相場は但し最低レートを維持しなければならんという規定はございまするが、その場合にポンドが現在対米相場で二ドル八十セントでございます。これが例えば一割なら一割、二割なら二割というように切下げられました場合には一応基準レートが一ドル三百六十円でありまするので、その最低相場が例えば二ドル八十が二ドル六十になつたという場合には千八円のレートが九百何十円というように変つて参るわけであります。その場合にはこういう事態が予想されるという考えでございます。
#9
○木村禧八郎君 それと、今このポンド地域に対する輸出、或いは輸入について為替レートが、特にポンドの闇相場ですか、そういうようなものが支障になつておるので、このまま調整する方法としていろいろ考えられておるわけですね、例えば輸出税を取るとか、或いは又直接の方策としてはレートを変えるということも直接の方策です。そういう対ポンド為替政策の一つとして考えておる。そういうわけですね。
#10
○説明員(稻益繁君) ちよつと御質問の御趣旨がはつきりいたしませんが……。
#11
○木村禧八郎君 もう一度いたします。要するにいろいろなポンドとの調整について政府はいろいろ考えておるわけですね。いろいろなあれがあるわけです。そのうちの一つとして直接今度は為替のポンドに対するレートの変更があるわけです。これを見まして、そういうことも予想されておるように思われるのであつて、いろいろな対策のうち為替相場が変更という、そういう政策を主として政府は考えておるのかどうかということになんですが……。
#12
○政府委員(石田正君) お話の点は、こういうことじやないかと思うのでございますが……、まあポンド地域に物が出てなかなか向うから物が入りにくいと、これは根本的な問題としてはポンド地域の物価高というのが原因である、それが今度はアジヤストする方面といたしますと、為替レートは一ポンドが二ドル八十セントであるとか、二ドル四十セントというような実勢がある、そういうような場合にアジヤストするのが適当じやないかという、こういうような議論もあるわけです。そこでそういうことを政府としては、日本側が自主的に、例えば今千八円でありますやつを八百円とか九百円とかやることを日本側で考えておるかという、こういう御質問なんですか。
#13
○木村禧八郎君 そうです。
#14
○政府委員(石田正君) そういうことは政府では肚をきめておりません。そういう問題がありますことはあるわけでありますが、なかなか重要な問題でございますので、政府といたしましてはそういうことをしようというような決意はいたしておりません。
#15
○木村禧八郎君 併しそれは予想も入つておる、この法律案を作る場合には……。
#16
○政府委員(石田正君) 予想いたすと申しますよりも、若しそういうようなことが行われたといたした場合に、この法律の適用をそのものについて受けるであろうということは言えると思います。
#17
○木村禧八郎君 それは私は非常に重要だと思います。それが相当この法案を作る場合に重要なウエイトになつていないのですか。
#18
○政府委員(石田正君) 御承知の通りポンドの引下げがあるのではないかといういろいろ噂がございます。これはこの法律案の建前といたしまして、ポンドだけについて何も取扱うという限定をいたしておるわけでもございませんし、ポンドの問題が大きな問題であるということは実際問題といたしまして争えないことと思います。そこでイギリス政府においてポンドを変更するというようなことも考えられましよう。それから又日本側でアジヤストするというようなことは全然ないのだ。先ほど申上げましたような工合に、そういうことは今考えておりませんし、又可能性は私は少いと思いますけれども、併し若しそういうことが行われた場合に、この法律案の適用がないものである、日本側でやつた場合に、これは適用しない、こういう意思は毛頭ございません。
#19
○木村禧八郎君 私が質問しておるのはポンドの切下げが行われなくてもすでにポンドの闇相場があるんです。それですでにもう今の当面の対策として対ポンドレートについては、これを変更したらどうかという意見もあるわけですね。ですからポンドの切下げ如何にかかわらず、闇レートがあつて、日本の千八円を、これを下げて八百円とか八百五十円になるかも知れませんが、そういうことは予想していないという意味ですか。ポンドの切下げをやらないでも、現在闇レートがあるんですから、その実際レートと言いますか、対ポンドレートを変更するということは含んでおるのかどうか、予想されておるのかどうかを伺います。
#20
○政府委員(石田正君) これは極めてデリケートなお話でございますが、二ドル八十セント、二ドル四十セント、これは世界的に両方存しているわけです。そしてどちらが本流であるかと申しますと、二ドル八十セントというのが大体各国でやつております本流でございます。闇相場が二ドル四十セントだ、こういう問題であります。今木村先生の言われるように日本がいろいろな地域に行われているところの、いわゆる闇値がある、これは始終違つております。殊に日本政府のほうでオフイシヤルにやつたらどうかというあれを含んでおると思いますが、そこまでは日本政府として今のところは考えておりません。ですから予想しておるかというと予想しておらんと申さざるを得ない。併し何かの関係において仮にそういうことが行われたといたしますればこの法律案といたしまして日本政府がやつた場合に適用がないのだということはどこにもないわけでありまして、当然適用を受けることになる。かように御了承願いたいと思います。
#21
○田村文吉君 昨日もちよつとお伺いしたのでありますが、第一條の目的と、第三條にそれを少し具体的に目的が書いてあるのですが、第三條の「国際收支上有利な地域に開拓し、」云々とありますが、国際收支上有利な地域に開拓するというのは我が国の国際収支上有利な地域に開拓するという意味だろうと思います。
#22
○政府委員(石田正君) これは実はなかなか文章の上で適当に現わすことは困難でありまして、誤解を生じやすいと書き方であろうと思います。これを端的に申しますと、要するにできるだけ貿易というものは均衡して参るのが望ましいということになると思うのでございますが、今通貨がいろいろなふうに分れておりまして、いわゆる出超が非常に多いというような場合において、その地域から物が入つて来るということになりますならばアンバランスということが是正される、そういうことでございまするので、「国際收支上有利な地域に開拓し、」というのは具体的に申しまするならば出超になつておるようなところと、或いは国際收支の上で申しますと出超というと語弊があるかも知れませんが、受取勘定の多い地域と、こういうことにはなると思います。
#23
○田村文吉君 何かしら余りに利己的な考え方で法案を作るような、日本の国の余りに利己的なふうに考えた法案に見えるという疑いを実は持つのですが、そういう意味から私は第一條の「重要物資の輸入の確保に貢献する」云々というだけならいいのですが、なまなか第三條に来てこんなことが書いてあるというと非常にまずい感情を外国にも與えるのじやないかと、こう考えます。
#24
○政府委員(石田正君) これは考え方と思うのでございます。現在日本が出超になつておりますようなところから入れるということ、或いは日本の国際收支ということを考えて非常に勝手なことを考えておるのじやないかという御質問だと思うのでございますが、今申しましたような出超いたしておる国については向うからこつちのほうへ買つてくれ買つてくれという、こういう要望が非常に強いのでございまして、そういう意味におきましてバランスをとるというふうな方向は必ずしも日本側だけが勝手なことをやつておるという意味ではないというふうに考えておる次第でございます。
#25
○田村文吉君 次にこういう判断解釈は誰がなさるのですか。
#26
○政府委員(石田正君) これはこの文章には政府が云々と善いてございまするので、この判断は政府がいたすことに相成ると思います。
#27
○田村文吉君 もう少しはつきりしているといいと思うのですけれども、この目的が非常に漠としておりますので、政府の解釈で甲のものにはこの取引の対象にするし、乙のものにはしないというふうなことが起りやすい疑いが多分にあると思うが、もつとこれを明確にする必要がなかつたとこう考えますが、どうですか。
#28
○政府委員(石田正君) これはもつと特定的に、具体的に今お話がありますような工合に書くためにいろいろ頭を使つたのでございますけれども、なかなか適切なるところの言葉が出て来ない。そこでこういう考え方をとつたのでございますが、併し今お話がございましたような工合に政府が勝手に判断するということで、自由裁量で何でもやるのだというふうなことは私はないと思うのでございます。この国際収支上有利な地域に開拓するというのは、今申しましたような意味におきましては大体常識的にはつきりいたす問題であろうかと思うのでございます。問題はこの開拓するとか、或いは転換するとかということに関連いたしまして、本当に輸入できる見通しが日本に対しましてあるのかどうか、そういう意味においては、それから又そういうものがどれだけの具体性があるかどうかというふうな点につきましては問題があろうかと思います。併しながら国際収支上有利であるか不利であるかということはこれは常識的にわかることでありまして、そう政府が勝手な判断を下すというような心配はないかと、かように心得ておる次第でございます。
#29
○田村文吉君 そういう意味でしたから昨日も実は申上げたので、成るべくそういう制限なしに、すべてプラント輸出に対してはそういう損失を補償するのだ、こういうふうにもうなすつたはうが実ははつきりしてよかつたのじやないか、こういう考えであつたのですが、昨日の御答弁では実は余りはつきりしないのですが、なぜ思い切つてそこまでやつておしまいにならなかつたのですか。
#30
○政府委員(石田正君) 実は私昨日参りませんでよく応答の趣旨は存じませんが、これは全体の法案の趣旨といたしまして設備輸出というものは全部補償するということにしたらどうだろうかという見方が一つあると思います。それから今大切なのは今の国際收支の問題に関連しまして、輸入であるからして輸入に関連するところのものについては全部やつたらどうか、こういう議論もあるわけであります。今の実情から申しますと、例えばポンド地域ならポンド地域を取つて見ますると、これは非常な出超でございます。出超であつて非常に何と申しますか、それによつて為替集中というものもないではない。これは政府が為替の集中をいたしておりますが、政府といたしましても相当何と申しますか危険の状態にあると言えば言えるわけであります。そこでそういう輸出というものをどんどんやつて行くのがいいか悪いかという議論にもなろうかと思うのでありますが、仮にそういう通過がどんどん溜まつて行くという状況の下におきましては、いわゆる直ちに代金を決済するというようなものにつきましても多少考えなければならないものであろうかと思うのであります。そういう状況の下におきましてなおそれを五年先に金をもらうのだとかいうようなものを為替の補償までしてやつて行くということはどうかという議論が立ち得るわけでございまして、その点におきまして設備輸出であるならば全部為替の補償をするというのが今の状況におきましては適当ではないのではないか。例えば出超なら出超である、或いは為替が受取超過であるものに対しましては先ほど申しましたが、輸入ができますればそれだけアンバランスの回復に資するのでありまして、そういうものに関連するものについては特別な措置を講ずる必要があるであろうというのでこの法案を提出した次第であります。
#31
○田村文吉君 次にこの第四條の保険料に該当する文字として「補償料」という文字が使つてあるのでありますが、これは保険料と同じ性質のように考えられますが、そう考えてはいけないのですか。
#32
○政府委員(石田正君) これは要するに危険に対して危険は補償するというふうなことでございまするので、保険料のようなものではないかというふうにお考えになるのもあれでございますが、これは補償契約というものを締結するということにいたしてございます。そこでその補償の契約をいたしまするところの対価であるというので補償という言葉を使つたのでございます。
#33
○田村文吉君 私申上げたのは、余りに補償契約の結果補償金をもらうという文字が一方に出て来ると同時に、一方においては補償料を拂うということになるのですから、補償料という文字は不適当で、むしろ保険料としてしまつたほうがいいのじやないかと思つたのでお伺いしたのですが、それはそれでよろしうございます。私の伺つたことではありませんが、他の委員からの御質問で大体二分くらいをお見込みになつているというお話でございますが、それはそのようなことでよろしうございますか。
#34
○政府委員(石田正君) これはどのくらいの程度が適当であるかということについてはいろいろ考えました結果、大体二%くらいがよろしいのではないかというふうな一応の結論を下しておるということを申上げた次第でございます。
#35
○田村文吉君 次に第十一條の「補償契約を締結した設備輸出者は、補償契約に係る対価について外国為替の売予約を行つてはならない。」ということが書いてございます。この意味はちよつとどういう意味でございましようか。
#36
○政府委員(石田正君) 一般の為替取引につきましては今外国為替特別会計において集中いたしておりますが、併し同時に予約というものが必要であろうと思いますので、短期の予約をいたしておるわけであります。外国為替特別会計は短期の取引というものを重点にいたしておりまするので、従いましてその為替の予約の期間というものを短くいたしておるわけでございます。現状で申しますれば一年以内ということになつております。若しこの設備輸出が輸入に貢献する場合におきましても、代金の回收が一年以内であればあえてこういう制度を設けなくてもいいわけであります。ただこれは五年までを見ようということでございますから、従いまして二年を超えるものにつきましてはこれはどうしてもこの関係を調整しなければならない。併し二年を超えるものだけであつて、一年以内のものはまるきりその部分はこれに載せないのだ、こういうことに相成りますれば二つに分れて来るわけであります。これは全体としまして代金の入ります事態が五年契約にいたしまして、初めの一年には五分の一、二年目には又五分の一という工合に、結局五年間なら五年間で全額回收する契約を一社がいたすわけでございます。その初めの一年分を合せまして補償契約に載せるわけでございます。そういたしました場合に、初めの一年分についてそれについて又外国為替特別会計に売予約をいたすということになりますと二重の予約をするということになるわけでございます。この方面でも補償を受けておる、同時に外国為替特別会計に対して一年間の短期な第一回のものにつきまして予約をするということになりまして、その間に為替相場の変動がございまして補償料を拂うということになりますと、この面におきましてもその変動の損というものをカバーする、同時に又若し一年間の予約をいたしておるということになりますると、その分で儲けができる、二重利得をする、そういうことになるので、そういうことをしてはならない、こういうことになるわけでございます。
#37
○田村文吉君 成るべく政府の厄介にならないで、その当業者自体が補償する方法があるならばそれを利用さしたほうがいいのじやないかという、こういう意味から考えて、売予約のものは許しておいたほうがいいのじやないか、こう私は考えておるのですが……。
#38
○政府委員(石田正君) この補償契約全般の問題といたしまして我々は強制をしようという意図はないわけでございます。で若しこの補償契約を締結してもらいたいというのならばそれはしてもかまわない、こういうことになるわけでございます。そこで併し為替補償契約をいたしました場合になりますると、先ほど申したような場合が起つて来る、而も現在の下におきまして、一般の為替銀行というものが自分のリスクにおきましてこの売却に応ずるということでありますれば問題はないわけでございます。ところがそうでなくして、現在は全部外国為替特別会計にその予約が撃がれておるというようなのが実情でございます。と申しますのは政府が予約をしておるということでございます。政府が二重にやるという必要はないだろう、こういうふうに考えておるわけでございます。
 それから又一般の問題といたしまして為替銀行に対して例えば一年分は予約をする、為替銀行もこれに応ずるということでありますれば、そういう場合には当然この補償契約の場合に一年分を除きまして二年分から補償契約をするということになると思うのでございます。そうでございますから、これができましてもそういうことは別に支障はないと思つております。
#39
○田村文吉君 それからもう一つ伺いますが、補償料、いわゆる保険料ですね、保険料を拂つておいて損した場合に政府より補給してもらうのはわかつておるが、儲かつた場合には返すというのがちよつとどうも一般の観念から言うとわからないのですが、どういう考え方からでありますか。
#40
○政府委員(石田正君) これは先ほど保険料ではないかというお話がありましたときにもう少し突つこんで申上げればよろしかつたのでございますが、大体この問題は長期の為替予約というものが五年間なら五年間の為替予約というものがありますれば、それに乗るわけでございます。その為替予約というのは予約をいたしますれば損をしたときには、損をするような場合もカバーすると同時に、利益がないということが為替予約の特質なのでございます。輸出業者が普通の場合に為替銀行に為替の予約をいたします。この場合におきましてはそのときで以て円で幾らということははつきり採算を立てるというのが本旨でございます。従いましてこの利益を得べかりし場合には来ない、損をこうむる場合には損が来ないというのが為替予約というものの本旨でございます。これは、実は為替予約というものは長期の為替予約を認めようということが実体なのでございます。ただ併し国際慣例等におきまして、五年も先の為替予約ということは長過ぎるという意味で、この補償契約という言葉を作りまして、この為替予約に代るもの、長期の為替予約の実体はそういう意味でございまするので今の御議論のような点が起つて来るのではないかと、かように考える次第でございます。
#41
○田村文吉君 大体、このあれによりましてどのくらいの補償額になる予定をお持ちになつておりますか。
#42
○政府委員(石田正君) 実はこれは補償をどういうふうにあれするかという御質問でございますが、考え方が二つございまして、契約額がどうであるかということと、それから損が起つた場合とか或いは利益があつた場合とかいうような場合にその金額がどのくらいか、こういう問題がございます。でこのあとで申しましたような損とか益とかというような面から申しますると、これは要するに為替相場の率がどのくらいであるということによつてかかるのでございまして、特に外国の政府の為替相場の変動に応ずるところのものについてはどのくらいの程度の変動があるかということは予測できないわけでございます。そちらのほうの関係から補償額が幾らだ、或いは補償料を徴収するものが幾らだということになりますると、これはなかなか補償金を徴取する額が幾らであるかということにつきましてはなかなか算定困難であると思いますので、一応この補償の対象となるところの契約額が幾らかということで、百億円ということで一応ここに規定しておるわけでございます。なおそれではその百億円の分というものが、どのくらいの今度こういう意味のプラント輸出があり得るだろうかという予想の問題になつて来るわけでございますが、この点は先般も申上げたのでございますが、去年の二月頃から今年の一月頃までの一年間の実績を見ますると、これに当てはまるところのプラント輸出というものは大体六億くらいの程度のものでございます。それから申しますとこの百億円という額はそれとの見合においては多過ぎるのではないか、こういうような議論も或いは出るかと思うのでありますが、併しこういう例えば東南アジア開発とかその他これに該当しまするような意味の設備輸出というのは、これから起つて来る問題であると考えております。で我々はそういうものが殖えることは望ましいことであるとは考えておりませんけれども、併しこれは業者のかたがいろいろと向うの当事者と話した結果起つて来るものでございまして、なかなか率直に申しまして、どれだけの金額を予想していいかといういうことは立てがたいのでございます。そこで一応百億円という金額をここに定めました次第でございまして、若しこれによりまして非常にやはりプラント輸出が、この種類のプラント輸出が多くなるというような場合には、その百億円の額を上げるということについて又御審議を願わなければならんのではないかというふうに思つております。
#43
○田村文吉君 大体わかりました。わかりましたが、最後のこの為替の変動のする時期にぐつともぐり込むようなものがたくさん出て来るというようなことがありはせんかということを心配するのですが、そういう点について十分の御警戒をなさり、例えばボンドがいよいよ下りそうだというそのときに、今までしつかりした契約のなかつたものが契約という形になつたり、或いはそういう虞れがありはせんかと心配するのですが、そういうような点は心配はないのですか。
#44
○政府委員(石田正君) お話のような点は運用上十分注意しなければならんかと思つております。でこの契約の問題につきましては船積前に契約をしなければならんということで時期を抑えてございます。その私たちの気持から申しますと、本当のシツプメントが具体化するような時期において締結をいたしたい、漫然と契約ができたからというふうなものにつきましては、これは愼重に考えなければいけないというふうに考えております。
#45
○野溝勝君 二、三ちよつとお伺いします。この法案の中で設備を本邦から輸入するというのは、この設備とはどういうものを考えておられますか。
#46
○政府委員(石田正君) これは設備と言いましてもどういうものを見ておるか、常識的に考えまして機械設備、それからそれに関連いたしまして船とかそれから鉄道、車両とか貨車でございますとか、そういうものを考えておる次第でございます。
#47
○野溝勝君 ところで先ほど政府委員の答弁によりまするというと、第三條の「国際収支上有利な地域に開拓」して行くその大体構想が出超の勘定の多いところというまあ見解を表明されたのですが、出超の勘定の多いところというのは、大体考えておられるのはどの国を対象にされておるか。
#48
○政府委員(石田正君) これは、大体日本は最近どちらかと申しますると、一般的に出超傾向にあります。極く、その米ドル地域からは入超でございますが、そのほかの地域は大体出超であり、それから出超でありまするところは大体後進国というふうにお考え願つていいのではないかと考えております。
#49
○野溝勝君 そうすると、従来大蔵省の見解はドル中心の見解を持つておられたのですが、通産省におきましては大体輸出中心、ポンド地域に対する輸出の抑制を大蔵省の見解だというと、意味されることになるということで通産省と大蔵省との間にはその間輸出政策について少しの食い違いがあつたのか、この法案の精神を見まするとポンド地域を重視しておるやに見受けられておる、私はまあこうなるのは当然だと思うのですが、そこで従来の見解を大蔵当局は改められたんですか。
#50
○政府委員(石田正君) 大蔵省は従来の方針を改めたかという御質問でございますが、従来の考え方を別に変えたわけでございません。従来の考え方を、更にこれによつて貫徹し得るものを考えておるわけでございます。と申しまするのは、今の御質問の趣旨というのは、輸出をただ大いにやれというのがこの法案の趣旨というふうに御理解になつておるのではないかと思うのでございますが、この法案は、日本の輸入を促進するための輸出と、そういう意味のプラント輸出というふうに考えておるわけでございます。
#51
○野溝勝君 だんだんわからなくなつて来ましたが、輸入を促進するための輸出ということなんですが、それをもう少し具体的にお話し願いたいのです。
#52
○政府委員(石田正君) 例えば、繊維の機械をインドに輸出するということが仮にあるとしますと、これは機械を輸出するだけでありまして、何らそれによつて日本はその繊維機械によりまして、できました綿糸布その他を入れようとする気持はないのでございますので、それは該当しないわけであります。併し、例えば、インドの鉄鉱石を掘りまして日本に持つて来る、そのための機械が必要であるというので輸出するということに相成りますれば、そういうものはこれに該当するのであります。
#53
○野溝勝君 そうすると、従来の高い原料を輸入しておつたアメリカを対象とする貿易政策から転換しようというお考えなんですか。その点をはつきり一つ……。
#54
○政府委員(石田正君) アメリカから入れるというのがすべての本旨ではないのでありまして、要するに、アメリカから入れますよりもほかから入れたほうが有利であれば、そこから入れたほうが結構であるということは終始一貫して変つておらないのであります。
#55
○野溝勝君 誠に政府委員の答弁は勇敢で結構なんですが、さような方針は大臣とも打合せた御意見だと思うのですが、若しさような御意見だとするというと、現在の吉田さん初め政府の考えておる見解と、私はそこに少しの違いがあると思うが、どうですか。
#56
○政府委員(石田正君) ドル地域から入れまするよりも、ほかの地域から入れたほうが有利であればそれに越したことはないということは、これはもう常識ではないかと思うのでございます。ただ現状から申しまするというと、ドル地域からしか物が入手できない。ドル地域の物が安いというのが実情でございます。更に各国ともドルがなくて困つておるというのが実情であります。そういう実情の下におきまして、ドルというものが大切であるということは勿論でございまするが、併し成るベくドル地域から入れないでほかから輸入する、而も安いものが輸入できるような途を開いて行きたいということは考えておるのでございます。
#57
○野溝勝君 バトル法等に対する見解を大体少しく漏らされたように思うのですが、かような自主貿易に対する制限を加えるようなことをあえて政府みずからもし、且つ又これを承服しておるということ自体があなたの見解とはよほど開きがあるじやないか。
#58
○政府委員(石田正君) 私バトル法の問題につきましては所管外でございますので、そういう点をどうかという御議論につきましては、私から御答弁申上げるのはいささかどうかと思いますので、この点は一つ御勘弁を願いたいと思います。
#59
○野溝勝君 よろしい、大体わかりました。
 次にもう一点聞いておきます。これは為替管理委員会ですか、との、本法案との関係はないですか。
#60
○政府委員(石田正君) 外国為替管理委員会は現在も存在するわけでありまして、私たち日常いろいろと仕事の上で打合せをいたしております。本件につきましても、勿論外国為替管理委員会とこういうことをやろうと思うのだということをお話はいたしております。併し直接関係はありません。強いてありとしますならば、外国為替管理委員会は、外国為替管理特別会計を持つておりまして、そうして為替の予約というものをいたしておるわけであります。その部分は、これとはダブる部分が起つて参ります、一年間の短期のものにつきましては、それは二重利得になつてはいけませんから、先ほど田村先生からの御質問にお話申上げましたような工合に、それは外国為替管理特別会計に対して為替の予約をしてはならないという点は多少関係するのではないかと思います。その程度であると思います。
#61
○野溝勝君 畢竟各国の為替レートは相当違つておるのですが、これは、当局の見解といたしましては、ドル建で行こうとするのですか、ポンド建で行こうとするのですか。管理の仕方というものについて御見解を持つておられますか。
#62
○政府委員(石田正君) その法案につきましては、別にドル建でなければならんとか、或いはポンド建でなければならんとかいうことはないのでございましてこれは一般の輸出につきまして、御承知の通りに、現在の下におきましては、ドルかポンドかどちらかに相成つておるわけでございます。従いまして、そういう制度があります限りにおきましては、これも又一つの輸出でございますから、そういうことに相成ると思つております。ただ実際問題といたしまして、ドルで出します場合は、恐らくこういう予約の申込、或いは補償の申入れをするかたはないであろう、ポンドのほうが恐らく相手としては多いのであろう、かように考えております。
#63
○木村禧八郎君 通産省のかたがお見えになつておりますね。この法案の趣旨が、これは何回も言われておるように、狙いは日本の経済の維持及び発展に寄與する重要物資の輸入の確保に貢献する、その方策の一つとして、こういう設備輸出の促進を図つて、その重要物資の輸入を行い、確保する、そのために損失補償をする、こういうことになつておるのですが、これは通産省のほうでは重要物資輸入確保策というものは何か体系的に一つ考えられておるじやないかと思うのです。これは非常に重要な問題だと思う。特にポンド過剰の問題もあり、それからさつき野溝さんも言われたように、輸入については、成るたけドルバランスを有利にするように、ドル地域からの輸入を非ドル地域からの輸入に転換して行こう、こういう大きな方策があると思う。その一つとして、これは出て来ておると思う。そこで通産省としては、重要物資の輸入確保策についてどういうことを考えておるか、この際伺つて置きたい。
#64
○説明員(石井由太郎君) ポンド地域その他受取超過になつておりまする地域からの重要物資を如何にして確保するかという御質問でございますが、現在の体系的な施策が何かあるじやないかというお話でありますが、現在考えておりまする段階といたしましては、先ず為替の割当をいたしまする物資につきましては、ポンド、ドル両地域からの輸入可能なものでございますればこれをできるだけポンド地域だけの為替の割当をいたしまして、ドル地域からの輸入為替の割当を抑制して参る。これを先ず第一にいたしておるわけであります。或いは粘結炭、鉄鉱石等につきましても、現に行なつておる事例でございます。更に一般にポンド地域からの輸入につきましては、値段が非常に高いというのが常識的に言われておるわけでございますが、若しその物価情勢の下におきましても、なお且つ輸入可能というものがございますれば、これはできるだけ促進するために、外貨の貸付制度等を実施いたしまして金融面からの負担を軽くいたしまして、輸入の促進を図りたいというふうに考えております。更にこれは地域の別はないのでございますけれども、国際物資の割当会議、IMC等の割当になつておりまする統制的な物資の処分につきましては、今回の国会に緊要物資輸入基金特別会計法を改正いたしまして、従来主として特需の目的のために利用されておりました本会計で、ひとり特需原材料のみでなく、政治的にむずかしい物資、例えばニツケル、コバルトといつたようなものの取得を容易確実にするための政府輸入を行う。このような程度の政策を現在いたしておる次第でございます。
#65
○木村禧八郎君 要するにこの重要物資をまあその適当な数量、品質、それから価格としては成るべく安く確保するということが狙いだと思うのですが、今お話があつたところは、中共貿易については何ら考えておらないように見えるのですが、或いは中共ばかりじやなくソ連と、中ソの貿易については今相当厳重な管理貿易をやつておるわけですね。政府は最近いろいろな業者の中で中ソ貿易を要望する声が非常に大きいのです。そうして又実際としても最近においては、アメリカは関税をどんどん引上げようとしておる。それからポンド地域の輸出、輸出としてもこれは輸入制限がどんどん行われておる。一体どこへ日本の貿易のはけ口を持つて行くか、私は中ソ貿易を拡大するよりほかにないと思うのです。これはもう政治の問題は一応別として、経済的に言えば、そこでどうしても私は重要物資の輸入を確保するという点から言つても、中ソ貿易の問題について通産省として何らか考えていなければならんと思うのです。これについては、余りに今の通産省の政策が、バトル法の規定以上に強く貿易を管理していると思うのです。それで中ソ貿易が必要以上に阻害されるという声が大きいのです。通産省としては、この点についてどういうお考えを持つて、何か研究されているかどうか、この点伺いたいと思います。
#66
○説明員(石井由太郎君) 只今この中共貿易或いバトル法の緩和という問題につきましては、私実は所管外でございますので、できますれば後刻別の政府委員なり或いは政務次官等からお答え願つたほうがよろしいのではないかと考えます。
#67
○木村禧八郎君 昨日私はそれを要求したのです。私は、ですから昨日中共貿易のわかる人に来てもらいたい、こういう要求を出しておいたのですが、どうして呼んでくれないのですか。
#68
○委員長(平沼彌太郎君) 速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#69
○委員長(平沼彌太郎君) 速記を始めて下さい。
#70
○木村禧八郎君 第二條について、これは誰か質問したかも知れませんが、その他政令で定めるこれに準ずる場合というやつですね。これはどういう場合を予想されているのですか。
#71
○政府委員(石田正君) 何と申しますか、これは地域に開拓とか地域に転換するということに関連するわけでございますが、例えて申しますると、フイリツピンで鉄鉱石の山がある、そこでその山を何と申しますか、新らしく掘りますために、機械設備を要する、これはまあ当然これに入つて来ると思うのです。ところが例えばインドならインドにおきまして、すでに鉱山はある、そして持つて来ようと思えば物自体はある、併しながら輸送力がない、そのために鉄道なら鉄道を敷かなければならない、或いは鉄道はあるけれども港湾が駄目で、港湾の設備をしなければならないというような場合がありますときは、これは貨車を出すとか或いはレールを敷くとか、船を、まあライターでございますが、艀なんか輸出するというようなものは必ずしも開拓とか転換ということに当らない場合があるのじやないか。併し実際に獲得する上においては必要なものがあるのじやないか、そういう余地も残したい、かような意味であります。
#72
○委員長(平沼彌太郎君) 委員外議員波多野鼎君から発言の許可を求められました。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#73
○委員長(平沼彌太郎君) どうぞ。
#74
○委員外議員(波多野鼎君) さつきから話が出ておりますが、ポンド地域から輸入するという場合に、ポンド地域が相当インフレになつているので物価が高い、だから物資の輸入が非常に困難になつている。これは大分前から、私いつも言うのだけれども、ポンド地域がインフレーシヨンになつているということは、つまりポンドの為替の実勢相場が、いわゆる公定相場が下つているということを意味するのです。ところが日本ではポンド取引と言つていつも公定相場ばかりにしがみついてやつている。実勢相場で取引すればポンド地域の物価が高いという不利な條件は成る程度相殺されてしまうと思うが、そういう点どうですか。新聞で見るとポンドの実勢相場で取引するような方向に持つて行きたいというような希望も政府は持つているように見えるけれども、そういう点はどんなになつておりますか。
#75
○政府委員(石田正君) 先ほど木村委員からも御質問がありましたことでございますが、これは何と申しますか国際的に皆各国が国をなして、それぞれの為替相場というものを建てましてやつております場合は、いろいろとうまく行かない部面が起つて来るということは現実問題として止むを得ないところであろうと思います。そういうふうな場合におきまして、或る意味におきましてみんな為替相場というものがいろいろと国際取引を阻害するという面はこれは争われないと思う。併しそれを打開するために、日本自体といたしまして、或いはよその国でもそうでありますが、勝手なことをするということでは必ずしも大局的に得るところがないのではないか。例えて申しますれば、日本が仮にまあ千百円なら千百円というポンドの相場を九百五十円にする、或いは九百円にする、或いは八百円にするというふうなことも考えとしては考えられると思うのでありますけれども、併し同時に例えばアメリカならアメリカが、日本が三百六十円ということを言つておるけれども、勝手に四百円にするとか、四百五十円にするというようなことをやるというようなことは、これは日本側としては困る。そういうふうな問題があると思う。それはお互いに話合いをしながら或る程度苦しいところも我慢するとか、何らか別な措置がありますれば、その措置を講ずるというふうなことをやつて行かざるを得ないのであります。一方に割切るということがなかなかできないのが実際であります。併しその被害が非常に極端になつて耐え切れんということになりました場合はこれは考えなければならん、今差当りのことといたしましては、大分一時騒ぎましたような状況とは違つて参りました。御承知の通りポンド地域につきましても、自然に最近までにおきましては、ポンドが溜まるという傾向になつております。併しこのこの三ヵ月というものはその増勢というものは或る意味から申しますると、非常に坂がなだらかになつて来たということを言えると同時に、濠洲その他において輸入制限をやるというふうなことも言つておるのでございます。そういう場合におきましては、よほど愼重に考えて行かなければならん、かように考えておる次第であります。
#76
○委員外議員(波多野鼎君) 何ですか、今実勢相場とマル公相場とどのくらい違つておりますか、以前とは……。よくわからないのですが……。
#77
○政府委員(石田正君) これは実勢相場というか、何と申しますか、今多角的決済と申しますか、或いは自由市場と申しますか、そういうものがないわけでございます。従いまして、いわゆる自由市場とか、或いは言葉を悪く換えれば、闇市場というものが非常に限られたものである。従いまして、所によりまして非常に違つております。例えて見まするならば、アメリカにおきまするところの、例えばポンドの相場ならポンドの相場というものをとりましても、これはポンドの実勢相場とか、或いは闇相場であるとかいうようなものは、ポンド一本じやないのであります。日本で持つておるポンドについてはどうか、或いはタイの持つておるポンドについては幾らとかいうような工合に、ポンド自体におきましても、ただ一つのマーケツトにおいても違う。為替管理とかいうふうなものが行われておりまするために、どうしてもそういう平準化が行われないということがございます。
 それから大勢といたしましては、例の新らしい内閣ができまして、為替につきましてはいわゆる入超と申しますか、或いは国際収支が非常に赤字になつて来るのを放任しないためにいろいろな政策をとつていることは御承知でございますが、あれ以後はどちらかと申しますと、実勢相場はむしろ回復しているという傾向になつている。併し大した大きな回復ではない。同時に日々の相場を見ておりますが、これが上つたり下つたりしております。まだ一定的な傾向は出ておらないというような実状もあります。
#78
○委員外議員(波多野鼎君) それで今の為替損失補償というのは、マル公による取引における損失補償ですか。
#79
○政府委員(石田正君) 当然その通りであります。
#80
○委員外議員(波多野鼎君) どうですか、日本側としてポンド地域からの重要物資の輸入において相当困難があるということは、今の為替の問題にも一つの原因があると思うのだが、そういう点については、別に手を打たないでまあ国際協調の線でお互いの話合いで何か途を見つけようというくらいの態度で日本政府はその問題を扱つているのか、もう少し積極的に扱つているかどうですか。
#81
○政府委員(石田正君) これはポンドの問題にしても、ほかの国の通貨につきましてもいろいろ問題があるのでありますが、なかなか一概にこうというふうに割切るわけには行かないと思います。と申しますの、ドルの問題とかポンドとかという問題は、これは世界各国の問題でありまして、日本だけの操作によつて片付き得ないという根本問題があるわけであります。そういうふうな問題がありまして、何と申しますか、ポンド地域とか何とかというふうなものとか、或いはポンド国際決済通貨というふうな問題についても、これは更に弱いものにするのがよろしいのか、それともそれを成るべくなら強くしたほうがいいのかという問題、或いは強くなる可能性はない、併し弱くなつてもそのあとがどうなるかということを考える場合には、代りのものが出て来ない限りにおいては、よほど慎重に考えなければならぬ問題があるというふうに思つております。従いましてただその根本問題につきましてどう行こうというようなことは、日本として果し得るところの部面と申しますか、パーセンテージというものは遺憾ながらない、かように考えております。同時にそのために害を受けるということがある、工合が悪いという面がありますが、そういうものにつきましては、できるだけ日本全般の経済に悪影響がないようにしなければならない、自主的な範囲においてやり得る、かように考えております。
#82
○委員外議員(波多野鼎君) いわゆる日英仏協定ですね。あれの改訂の問題なり何かあるでしよう。そういうのはどういう態度で臨んでおりますか。
#83
○政府委員(石田正君) これはいずれその問題に当面し且つ向うと協議をしなければならぬと思つております。ただ今日どういう態度に出るかということは今日のところまだはつきりきまつておらない、こういう状況でございます。
#84
○委員長(平沼彌太郎君) 本案につきましては、通商関係の政府委員が来られるまで、その質疑は見合せます。
  ―――――――――――――
#85
○委員長(平沼彌太郎君) 次に国民貯蓄債券法案の質疑を行います。……別に御発言もないようですが、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#86
○委員長(平沼彌太郎君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。
#87
○木村禧八郎君 私は本法案に反対いたすものであります。反対の理由の第一は、この国民貯蓄債券法は結局電源開発その他日本の重要資源の開発、経済再建に必要な資金の調達を目的としているものであります。そういう資金を蓄積するための一つの手段としてこの法案が提出された次第であります。従つて資本の蓄積自体については、これは日本の現下の情勢として必要であることは言うまでもないのですが、こういう国民貯蓄債券の形で蓄積することについて私は賛成できないのであります。本来ならば、この電源開発については今国会に提出されている電源開発促進法を見ましても、外資の導入を予定しておつたのでありまして、あの提案理由を見ても、その提案理由の第一が総合開発に必要上ああいう特殊会社形態をとる必要がある。第二は電源開発のコストを安くする。第三は外資導入の体制を整える必要上ああいう特殊会社形態をとつて電源開発をしよう。こういうようになつているのでありまして、ところが外資の導入が予想された通りに実現しなかつた。そこで政府としてはこれに対して何らかほかの方法を講じなければならぬ。そのためには国内において強力に電源開発のための資金の蓄積を行わなければならないということ、貸付信託法とか投資信託制度、そういうものをここで行なつて電源開発のための資金動員計画、動員計画というのは少し言い過ぎかも知れませんが、強力な電源開発のための資金計画を行う、その必要上この貯蓄債券法ができた。丁度戦時において資金を急速に蓄積する必要上こういう貯蓄債券という制度がとられたのとよく似ておるのでありまして、外資導入ができなかつたその埋合せとしてこの法案が出て来た。そこでこれによつてこの貯蓄債券法以外に政府が電源開発のためにいろいろ貸付信託とか、或いは長期信用銀行その他を通じてたくさんの資金を集めるのですが、その結果中小産業、その他電力以外の方面の資金が相当の影響を受けると思うのです。それに対する総合的な対策というものは私は示されなければならないのじやないか。総合的なそういう中小産業、その他いわゆる平和産業、そういう方面の資金計画と一体になつてこの国民貯蓄債券による資金吸收の方策が考えられなければならないのですが、そういう点が考えられておらない。この点が私は外資導入が実現しなかつたそのしわ寄せがここに来ておるのだ。こういう点で政府の外資導入計画の杜撰なことも勿論でありますが、電源開発のための資金計画も非常に杜撰であるという点で私は賛成できない。
 それから第二の反対理由は、国民貯蓄債券、これはもう明らかに公債であつて、この法律によれば公債でないということをいろいろ書いております。第十一條において国債に関する法律等の非適用條項を設けております。法律上は国債でないということにしておるが、併しこれは実質的に経済的意味から言えば明らかに国債である。そうなればこれはどうしても私の考えでは財政法十四條に基いて、これは従来はともかくも、財政法ができた以上私は総合予算の建前からこれは歳出歳入に計上すべきである、歳出歳入から外してこういう公債を発行する、こういう慣例をここで作つて行くということは私は賛成できない。それから又歳出歳入に計上しないで法律を以て「特別の資金を保有すること」は財政法第四十四條で認められておりますけれども、この財政法第四十四條で認めておる特別の資金の保有の規定は国債整理基金とか、貿易資金或いは金資金、造幣資金特別会計等であつて、資金運用部特別会計においてこういう貯蓄債券を発行して特別の資金を保有するということは許されておらないと思うのです。そういう意味でこの貯蓄債券法は私は財政法の四十四條及び十四條の規定から見てこれに違反しておると、私はそう思います。そういう点で賛成できないのであります。
 それから第三の反対の理由としては、これはまあ大矢委員が非常に適切に指摘されました。勿論大矢委員の反対された点は必ずしも私の反対の理由とは完全に一致はしておりませんけれども、最近資金の蓄積に政府があせる余り、いわゆる合法的脱税を認めるような方向に余りに政府が行き過ぎておる。この貯蓄債券、これも免税規定があるわけでありますが、割増金に対する非課税の規定があるわけであります。第十條において所得税を課さないということになつております。こういう税法上の特例はこれは私は賛成できない。こればかりでなく、貸付信託、投資信託、或いはこれから株式の譲渡所得についてもこれを改訂しようとしておる。又一方において勤労所得については非常に勤労控除も二割五分を一割五分に引下げて、著しくその間に税の不均衡がある。そういう非常な税制上の不均衡の一環として、この貯蓄債券法によつて発行される貯蓄債券に免税規定を設けるということは私は賛成できない。
 以上の三つの理由によつて私は反対するものでありますが、最後に政府はこの外資導入を予定して日本経済の再建というものを一応考えておつたけれども、それが予想通り実現しなかつたために、改めて政府がここで日本経済再建のために、資金面からも、或いは又資材面からも根本的に政策を考え直さなければならない段階に来ておる。而もそれを総合的に考え直さなければならない段階に来ておるのですが、併し実際においてはその穴を埋めるために個々的に何か弥縫的に、資金対策についてもぽかんと貯蓄債券法を出して見たり、或いは貸付信託をやつて見たり、その一貫性を欠いていて一体どうして今後資材面からも資金面からも日本経済の自立再建を総合的に行なつて行こうかということについて何ら定見を認められない。この貯蓄債券法なんかは杜撰なその一つの例としては典型的なものであると思う。こういう意味で私は本案に反対するものであります。
#88
○下條恭兵君 私は社会党第二控室を代表しまして本案に反対の意思を表示いたします。というのは、木村委員から反対理由がいろいろ述べられましたので、重複するところは避けますが、吉田内閣の財政経済政策が大企業中心であるということは、もう私から指摘するまでもないと思うのであります。その結果といたしまして中小企業は非常に極度に疲弊して参つております。そういう面の救済の方法が非常に足らんと思うのでありますが、私に対する大蔵大臣の答弁を聞いて見ましても、電気が足りないために一番困るのは中小企業だと言つておられますけれども、これは非常に私はおかしいと思います。なぜかと申しますと、不足の電気の分け方によつては中小企業も大企業も同じように困ることがあり得るはずであるのに、電気の足らん被害を中小企業だけが負うのは当り前のように言つて、そうしてそのために中小企業が困るようなこういう零細資金を吸収して電気の開発に廻すという池田大蔵大臣の考え方に対しては、私は深く反対の意思を表します。その他の理由については一々は省略いたしますけれども、とにかく私はこういう零細な貯蓄債券のような資金は、どうしても中央でなしに地方で使わせるような方策をとるべきものと、かように考えておるものであります。以上の理由を以ちましてこの法案に反対いたします。
#89
○田村文吉君 私は結論において本案に賛成いたすのであります。ただ一つ御注意を喚起しておきたいと考えますことは、多分審議会でも同様の御意見があつたのじやないかと思うのでありますが、とかくこの官でおやりになります貯蓄事業、こういうようなものになりまするというと、経費はお構いなしにおかけになつてなさるが、割合に非能率的ということになりますので、現在お考えになつておりますものの金利原価も八分六厘七毛というようなこを聞いておりますが、その結果どうしてもこれを、昨日の御質問の中にも大分同僚委員の中からこれが失敗しやせんか、成功させなければならんという御意見であるかのように伺つたのでありますが、そういうことのために、余りに政府のほうで功を急ぐために民業を圧迫される、これを私は一番心配するのであります。余り政府が特殊のことを考えて、特殊のことをおやりになるために、今社会党議員のお話もありましたように、特殊の産業のために小さな企業が潰されるということになつても実は困る。そういう意味から言つて、むしろこれは余り民業を圧迫しないように、運用において考えてもらいたい。割増をつけなければ成功せんではないかというような昨日御意見もあつたのでありますが、私は余りそういうようなことで官業が民業に優越して、税金も余りかからない、又特殊の條件がついておるということのために民業を圧迫することにならないように一つ御注意願いたい。これを申上げて本案に賛成いたします。
#90
○委員長(平沼彌太郎君) 別に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#91
○委員長(平沼彌太郎君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより採決に入ります。
 国民貯蓄債券法案を原案通り可決することに御賛成のかたの御挙手をお願いいたします。
   〔賛成者挙手〕
#92
○委員長(平沼彌太郎君) 多数であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 なお諸般の手続は前例により委員長に御一任願います。
 それから多数意見者の御署名を願います。
  多数意見者署名
    小宮山常吉  岡崎 真一
    西川甚五郎  黒田 英雄
    田村 文吉  菊田 七平
    大矢半次郎  溝淵 春次
    伊藤 保平
  ―――――――――――――
#93
○委員長(平沼彌太郎君) 次に地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、税関の出張所及び監視署の設置に関し承認を求めるの件について質疑を行います。趣旨を御説明願います。
#94
○政府委員(北島武雄君) 本件につきましての提案理由につきましては、先般相当詳細に申上げておるのでありますので、更に附加えることはないかと思いますが、最近におきまする貿易、これは正常貿易と密貿易と総合いたしましたものでありますが、その状況に鑑みまして、税関の出張所と監視署の配置転換を行うというわけでございます。
 御承認を求めておりますのは、現在の佐伯の監視署及び大船渡の監視署を出張所に昇格いたしますことと、それから監視署の方面におきましては、姫路の飾磨区に監視署を置く。それから更に大分県の佐賀ノ関に監視署を置くということと、更に最後の点は、先般我が国の行政権下に復帰いたしました鹿児島県大島郡十島村の中ノ島に監視署を設置しようというのでございます。但しこの半面におきまして、最近の状況に鑑みまして、余り必要度の少くなつた出張所、監視署等は廃止いたしまして、結局全体の数においては増減なからしめようというわけであります。現在税関の出張所は全国で四十七ございます。今回出張所を二つ新設いたしますが、同時に出張所を二つ減らしますので、数は同じく改正後も四十七。それから税関の監視署は現在百四でございますが、今回四つの監視署を置くが同時に又四つの監視署を減らす。これは純然たる新設と出張所から監視署に下るやつとあります。とにかく四つ監視署が殖えるが、同時に四つ監視署が減つて、終局においては百四の監視署がそのまま現状通り、こういうことであります。
#95
○委員長(平沼彌太郎君) 別に御発言もないようですが、質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#96
○委員長(平沼彌太郎君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べ願います。……別に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#97
○委員長(平沼彌太郎君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより採決に入ります。
 地方自治法第五十六條第四項の規定に基き、税関の出張所及び監視署の設置につき承認を求めるの件を原案通り承認することに賛成のかたの御挙手をお願いいたします。
   〔賛成者挙手〕
#98
○委員長(平沼彌太郎君) 全会一致であります。よつて本案は原案通り承認すべきものと決定いたしました。
 なお諸般の手続は前例により委員長に御一任を願います。
 それから多数意見者の御署名をお願いいたします。
  多数意見者署名
    菊田 七平  木村禧八郎
    黒田 英雄  小宮山常吉
    岡崎 真一 西川甚五郎
    下條恭兵  溝淵春次
    大矢半次郎  田村 文吉
    伊藤保平
#99
○委員長(平沼彌太郎君) ちよつと速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#100
○委員長(平沼彌太郎君) 速記を始めて下さい。
 それでは設備輸出為替損失補償法案を議題といたします。……別に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#101
○委員長(平沼彌太郎君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。
#102
○下條恭兵君 私はこの法案に賛成いたしますものでございます。日本の輸出産業が軽工業から重化学工業に移行しなければならんという関係におきまして、而も国際的に通貨の面から見て不安定な状況にあるという際でありますから、何らかの措置が必要なことは当然だと思うのであります。殊にプラントというものは非常に契約から完工までは長い歳月を要するのですから当然と思うのでありますが、ただ先ほどいろいろ質疑の過程にもありましたように、ややもするとこの法案は悪用される危険があると考えるのであります。国際的に通貨の不安定な状況の際などにおいては、特に悪用される場合もあり得ようと思いますので、この運用の面において十分……、特定の業者だけは非常な利益を受けたが、国は損失をこうむるということのないように注意して頂きたいという希望條件を附して賛成いたします。
#103
○木村禧八郎君 私も本案に賛成いたします。賛成いたしますが、この法案の目的は、重要物資の輸入の確保ということが目的になつているのですが、それについては單にこういう政策ばかりでなく、もつと体系的な一つの総合的な対策が、貿易対策が必要なわけでありまして、それの一環としてこの法案が出て来たわけでありますが、その他の重要物資の輸入確保政策を通産省から聞くはずでありましたが、十分に聞けませんで、他の機会に聞くつもりでありますけれども、私は重要物資の輸入については、輸入の確保について最も必要なのは、重要物資を安く、それからいいものを確実に輸入するには、何といつても特に中国から輸入するのが最も日本にとつては有利であると思うのです。この政治的な問題は一応別として、どうしても私は重要物資の輸入確保政策としては中国から輸入を考えなければこの為替損失補償……この程度では私はこの輸入確保が十分に日本にとつて有利にできるとは思わないのです。粘結炭でも、鉄鉱石でも、塩についても半分くらいの値段で中国からなら買えるのでありますから、そういう点を十分これから私は政府が考慮すべきで、むしろこれは積極的にそういう方面に努力を拂うべきだと思うのです。特に最近では通産省あたりはこのバトル法で禁じているよりも更にきつい貿易管理をやつているようでありますが、こういう点については講和発効後においては日本の貿易政策についても自主性をもつと持つて、積極的にその対策を考えるべきだと、そういう希望を附して本案に賛成いたします。
#104
○委員長(平沼彌太郎君) 他に御発言もないようですが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#105
○委員長(平沼彌太郎君) それではこれより採決に入ります。設備輸出為替損失補償法案を原案通り可決することに賛成のかたの御挙手をお願いいたします。
   〔賛成者挙手〕
#106
○委員長(平沼彌太郎君) 全会一致であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。なお諸般の手続は先例によつて委員長に御一任願います。
 それから多数意見者の御署名を願います。
  多数意見者署名
    小宮山常吉  岡崎 真一
    西川甚五郎  下條恭兵
    溝淵 春次  伊藤 保平
    田村 文吉  大矢半次郎
    菊田 七平  木村禧八郎
    黒田 英雄
#107
○委員長(平沼彌太郎君) ちよつと速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#108
○委員長(平沼彌太郎君) 速記始めて。本日の委員会はこれで散会いたします。
ソース: 国立国会図書館
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