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1947/04/06 第2回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第002回国会 不当財産取引調査特別委員会 第12号
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1947/04/06 第2回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第002回国会 不当財産取引調査特別委員会 第12号

#1
第002回国会 不当財産取引調査特別委員会 第12号
昭和二十三年四月六日(火曜日)
    午後二時二十四分開議
 出席委員
   委員長 武藤運十郎君
   理事 梶川 靜雄君 理事 荊木 一久君
   理事 石田 一松君 理事 田中 角榮君
      足立 梅市君    池谷 信一君
      河井 榮藏君    山中日露史君
      高橋 英吉君    益谷 秀次君
      明禮輝三郎君    伊藤 恭一君
      矢野 政男君    野本 品吉君
      田中 健吉君    徳田 球一君
 出席國務大臣
        内閣総理大臣  芦田  均君
 辻嘉六氏をめぐる政治資金の問題について証言
 のため出頭した証人
      小澤佐重喜君    河野 一郎君
      白石錦太郎君    金子 力三君
      橘 冨士松君    下澤 秀夫君
      尾関 義一君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 辻嘉六氏をめぐる政治資金の問題
#2
○武藤委員長 これより会議を開きます。
 昨日に引続きまして証人を喚問いたします。出頭せられました証人は、金子力三さん、白石錦太郎さん、橘冨士松さん、下澤秀夫さん、尾関義一さん、河野一郎さん。証人の方に一應御出頭願いました理由を簡單に申し上げます。御承知の通り、辻嘉六の問題でありますが、いわゆる世耕情報に関連をいたしまして、中曽幾太郎という人が数回にわたつて六百四十五万円の詐欺をいたしております。軍服拂下というようなことを理由に詐欺をいたしておるのでありますが、このうち二百五十万円を三回にわたつて辻嘉六氏に献金をいたしております。その献金を辻嘉六氏は、昨年の総選挙の前後に、立候補者三十九名に一万円とか、二万円とか、三万円とかいうふうに金を渡しております。当委員会はこの中曽根、辻関係につきまして、政界浄化という立場から、その眞相を究めるために、証人の証言を求める次第であります。
 大体お聽きしますことは、概要を申し上げますと、証人と辻との関係、昨年の選挙当時辻から金を受取つたかどうか、もし受取つたとすれば、いつでこで何ほど受取つたか、その金はどういう性質の金であつたか、どういうふうに考えて受取られたか、その金が中曽根から辻にきた金であることを知つておつたかどうか、受取つた金は何に使われたか、ほかに辻から金を受取つたことがあるかどうか、辻が政界においてどういう存在であるか知つておられるかどうか、その他これに関係して述べたい事項を述べていただきます。
 なお証人諸君から証言を求める前に、御注意を申し上げておきたいことは、昨年十二月二十三日公布になりました、昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人に証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことになつております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき及び医師、歯科医師、藥剤師、藥種商、産婆、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祷祀の職に在る者またはこれらの職に在つた者が、その職務上知つた事実であつて默秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないのであります。そして証人が正当の理由なくして宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることになつておるのであります。一應念のためこのことを申し上げておきたいと存じます。
 それでは法律に從いまして宣誓を命じます。お立ちになつてお読みください。どなたか代表的に一人お読みになつて……。
    〔証人下澤秀夫君各証人を代表して宣誓〕
#3
○武藤委員長 お名前をお書きになつて判を捺してください。
    〔各証人宣誓書に署名捺印す〕
#4
○武藤委員長 それでは河野さんから先に喚問をいたしますから、そのほかの証人の方はちよつと外でお待ちを願いたいと思います。
 河野さんに伺います。あなたは自由党の幹事長をしておられたのですね。
#5
○河野証人 そうです。
#6
○武藤委員長 いつからいつごろまでですか、
#7
○河野証人 終戰の年の十一月から翌年の六月までです。
#8
○武藤委員長 辻嘉六という人を御存んじですか。
#9
○河野証人 よく知つております。
#10
○武藤委員長 どういう人ですか、あなたの考えておられる辻氏をひとつ簡單にお話してみてください。
#11
○河野証人 どういう人というお尋ねのことがよくわかりませんですが……。
#12
○武藤委員長 こういうふうな考えをもつている人があるのです。辻氏は政界の表面には出ておりませんけれども、隠然たる勢力をもつて、政界に大きな発言権をもつている。どこからともなく相当莫大な金をつくつてきて、必要に應じては政党にも金を出すし、また選挙に際しては相当多数の政治家に選挙費用を出しているというような人に考えている人があるのですが、そんなような人ですか。
#13
○河野証人 私もそう思います。
#14
○武藤委員長 自由党と辻とはどういう関係がありますか。
#15
○河野証人 今申し上げたような意味で関係があるでしようね。
#16
○武藤委員長 そうしますと、自由党にはたびたび金を出して援助し、また自由党の動きに対しては相当大きな発言権をもつておるというわけですか。
#17
○河野証人 私が幹事長時代にはたびたび多額の金を出したという事実はありません。私が幹事長時代には直接強力な、党を動かすというような発言をした事実も私は認めません。その後は私は関係しませんからわかりません。
#18
○武藤委員長 あなたの関係しておられたころにはないけれども、さき私が申し上げたような趣旨で從來自由党とは関係をもつていたのですか。
#19
○河野証人 そういうふうに、世間が言うように私も考えるということをさきに申し上げたので、ただ具体的の事実については、私が幹事長として直接衝に当つたときのことは今申し上げた通りです。
#20
○武藤委員長 辻氏と鳩山氏とはどういう関係にあるのですか。
#21
○河野証人 長年非常に親友であつたと思います。
#22
○武藤委員長 やはり鳩山氏に対しても、政治資金その他について辻氏は援定しておりますか。
#23
○河野証人 それは私は知りません。
#24
○武藤委員長 昨年の総選挙当時辻は磯崎貞序、渡邊治湟、三浦寅之助、河野、これは息子さんですか。
#25
○河野証人 いや、違います。
#26
○武藤委員長 磯崎さんに対しては二万円、渡邊さんに対しては二万円、三浦さんに対しては三万円、河野さんに対しては二万円、選挙費用をあなたの手を通じて渡したというふうに辻は言つておるのですが、そういう事実がありましたか。
#27
○河野証人 ありません。
#28
○武藤委員長 全然ありませんか。
#29
○河野証人 ありません。
#30
○武藤委員長 何かそれに関連して思い当るようなことはございませんか。
#31
○河野証人 さあ、思う当ると言われると、どういうことかわかりませんが、選挙当時のことですから、もう大分時間も経つておりますので、ここで私が御参考になるような証言をするようなことは記憶がありません。
#32
○武藤委員長 昨年ですね。
#33
○河野証人 はい。
#34
○武藤委員長 一年ばかり前ですが、当時辻にお会いになりましたか。
#35
○河野証人 始終会つています。
#36
○武藤委員長 選挙当時……。
#37
○河野証人 会つたと思います。しかしはつきり選挙当時と言われましても、長いですから、いつからいつまでと言つても長うございますから……。
#38
○武藤委員長 それでは昨年の一、二月ごろから五、六月ごろまでに……。
#39
○河野証人 無論会つています。
#40
○武藤委員長 何回ぐらい。
#41
○河野証人 おそらく十回ぐらい会つているだろうと思います。
#42
○武藤委員長 どこでお会いになりましたか。
#43
○河野証人 辻さんのところで会いました。
#44
○武藤委員長 立候補者、特にあなたのおられる縣の立候補者について、選挙費用というお話は出ませんでしたか。
#45
○河野証人 私は追放者ですから、政治の話は辻さんに会つても話はいたしませんから、そういうことには関係ありません。
#46
○武藤委員長 そうしますと、十回ぐらいお会いになつたのは、主としてどういう御用件でお会いになつたのですか。
#47
○河野証人 長年の先輩で懇意ですから、いろいろの用件で、ときには御無沙汰のあいさつにも行きますし、引続き会つています。
#48
○武藤委員長 辻という人はあなたはずいぶん懇意のようですが、檢事局に参りまして、うそを言うような人と考えられますか。
#49
○河野証人 それは知りませんね。
#50
○武藤委員長 これはひとつ眞面目に返事をしてもらいたいのですがね。長いこと御懇意なんだし、現に問題が――直接あなたの問題ではありませんけれども、四人なり、幾人なりの代議士、あるいは政治家が非常な疑いをかけられている問題がありまして、あなたの懇意の先輩である辻さんが、あなたを通じてこれだけの金を渡したということを檢事局で述べておるのですから……。
#51
○河野証人 それは述べられたかどうか知りませんけれども……。
#52
○武藤委員長 述べておるのですが……。
#53
○河野証人 先ほど申し上げた通り私が政治に関係もせず、またそういう金銭の授受に関係するということは絶対ないということ、ここで証言いたします。
#54
○武藤委員長 あなたは檢事局でいつか喚んで調べられたことがありますか。
#55
○河野証人 ええ、あります。
#56
○武藤委員長 どういう陳述をなさいましたか。
#57
○河野証人 忘れました。
#58
○武藤委員長 大体。
#59
○河野証人 今申し述べたことと同じだと思います。
#60
○武藤委員長 ちよつとあなたが檢事局で述べられましたことを読んでみますから記憶を喚起してください。
#61
○河野証人 はい。
#62
○武藤委員長 「私は昨年の十一月六日です、私は衆議院議員として当選五回、昨年六月代議士をやめる当時は自由党幹事長でありました。目下公職追放の関係で、一切政治的活動はむろんいたしておりません。お尋ねの辻嘉六とは、七八年前政友会時会からの政友で、終戰後自由党結成当時以來私は自由党幹事長、辻氏は党の支援者たりし関係上密接の度を加えて今日に至りました。從來の選挙の際に、辻氏からは党員の一部に対していわゆる陣中見舞的な政治資金の贈與が行われるのが常でありました。本年四月の総選挙には私は立候補いたしませんが、実弟河野謙三が神奈川縣第三区から立候補しましたが、これに対し私を通じ現金二万円の陣中見舞を送られました。四月上旬ごろ辻宅で私が受取り弟に渡しました。その後辻氏から神奈川縣から立候補する自由党員に若干援助しようという話があつたので、私は磯崎貞序、渡邊治湟、三浦寅之助の三名にその旨を傳えました。三名ともその後各自辻邸に参上して何ほどかの選挙資金をもらつたはずです。金額については知りませんが、想像するところ各二万円ほどと思います。磯崎、渡邊、三浦が私の手を通じて受取つたと言つておるとすれば、辻氏に対する考慮が拂われておるものと思われ、私の傳言により直接受取つておるのが眞相であります。これらのいわゆる政治資金は、從來も辻氏が党の後援者としてなしていたもので、後に紙上に報ぜられた某事件と関係あることなどについては私も弟も磯崎ほか二名も全然知るに由なかつた次第であります。」こういうふうに述べられておりますが、先ほどのお話と少し違つたところがあるようですが、いかがですか。
#63
○河野証人 今お読みになつたことは、その当時記憶があつてそういうふうに申したと思いますが、その当時も私を通じてやつたというのは事実私は否認しております。私はそれを聞いて記憶を喚起したのですが、それらの人に辻氏が選挙費用の援助をしようかというような話があつたように記憶しております。しかしながらその授受があつたかなかつたか私は知らぬのであります。
#64
○武藤委員長 今読みましたようなことは、記憶を喚起しますとその通りですね。
#65
○河野証人 いや今ここで申しておる通りです。その当時、檢事局ではその当時の記憶でそういうふうに話をしたかもしれませんが、今ここで記憶を喚起して考えてみますと、それには言葉が足らぬと思います。というのはそういう金銭の授受があつたかなかつたかというようなことは私は知らぬ。ただそれらの人が辻さんからもらうことがあつたのではないかということで、それ以上のことは知らぬ。これが今の記憶であり、事実であると私は推定します。
#66
○武藤委員長 それでは具体的にもう一つ伺いますが、河野謙三さんというのは、あなたの実弟ですか。
#67
○河野証人 そうでございます。
#68
○武藤委員長 神奈川縣第三区から昨年立候補しましたか。
#69
○河野証人 しました。
#70
○武藤委員長 辻さんから現金二万円陣中見舞として河野謙三氏が受取られましたか。
#71
○河野証人 それを申し上げますと、その当時辻氏からだれだれに金をやつたということは私は聞いておりました。從つて全部それを否定することは先輩のためにもならぬだろうということで、どうちでもいいということから、そういう陳述を私は檢事局でしていますが、それもそういう記憶はないのです。
#72
○武藤委員長 弟さんの記憶はないですか。
#73
○河野証人 記憶はないのです。
#74
○武藤委員長 事実はわからぬのですか。
#75
○河野証人 事実はわからぬのです。それはその当時そういうふうに檢事局では陳述しております。今お読みの通りに記憶はあります。しかし檢事局で事情をいろいろ話した結果、そういう調書をつくつた。こういうことです。
#76
○武藤委員長 署名捺印しておるのですね。
#77
○河野証人 はい。
#78
○武藤委員長 よろしゆうございます。おかけください。
 お聽きの通りですが、委員諸君で何かお聽きになることはありませんか。(「聽いてもだめだ」「聽かぬでもいい」と呼ぶ者あり)それでは済みました。御苦労樣でした。
    ―――――――――――――
#79
○武藤委員長 白石さんに伺いますが、辻嘉六氏が檢事局におきまして、こういうふうに述べております。「白石はもつ神樂坂警察署長で、去る四月の東京都議選挙には無所属で立候補し、落選しました。白石は去る四月上旬ごろ私方に來て、今度の選挙につき、費用がほしいというので、自宅で一万円出してやつたのです。」こういうふうになつておりますが、その通りですか。
#80
○白石証人 その通りでございます。
#81
○武藤委員長 あなたは何年くらい神樂坂の警察署長をやつておりましたか。
#82
○白石証人 私は昭和十八年の五月二十九日から、昭和二十年八月十二日まで神樂坂署長を勤めておりました。
#83
○武藤委員長 辻さんのお宅とは近いのですか。管内ですか。
#84
○白石証人 神樂坂警察から七、八町でございます。加賀町でございますから……
#85
○武藤委員長 ときどきは出入りをして懇意にされておりましたか。
#86
○白石証人 懇意にしておりました。ここは実は職務柄と申しては変でありますが、いろいろの情報がわかつたのでございます。部下もときどきそこへ行きまして、いろいろ情報をいただいたり、私もしばしばお伺いしまして、私的にいろいろかわいがつていただき、また警察行政上も非常に御援助をいただいております。
#87
○武藤委員長 この金は選挙にお使いになつたのですか。
#88
○白石証人 そうでございます。
#89
○武藤委員長 このほかに辻から何か……
#90
○白石証人 何もいただいておりません。
#91
○武藤委員長 金をもらつたことはない。
#92
○白石証人 何もいただいておりません。
#93
○武藤委員長 前後通じてこれだけですか。
#94
○白石証人 それだけでございます。
#95
○武藤委員長 辻という人は政界においてどういう存在であるか、あなたの考えておる辻さんの外貌をひとつ話してもらえませんか。
#96
○白石証人 私やはり署長当時職掌柄、大体のことはわかつておつたのでありますが、今回のこの事件が起きまして表面に出ましたが、こんな人かと意外に思つておるのであります。当時はそれとは存じておりません。ただやはり政界方面におきまして何となしに潜勢力をもつた人だ。いろいろな情報がよくわかるぐらいに軽い氣持で考えておりました。この事件が表面へ出ましてから、こんな大物かというような新しい感じをもつようになつた。それだけでございます。
#97
○武藤委員長 しかし辻氏の所へいわゆる政客、政治家が頻繁に出入りしておつたでしよう。
#98
○白石証人 出入りしておりました。
#99
○武藤委員長 どういうような政治家が出入りしておつたか、御記憶にある限りで……
#100
○白石証人 大体鳩山さんなどおいでになつておつたようであります。
#101
○武藤委員長 そうすると、もとの自由党系の人が多いのでありますか。
#102
○白石証人 そうらしうございます。
#103
○武藤委員長 ほかにどんな人ですか。
#104
○白石証人 ほかに私存じておりません。
#105
○武藤委員長 今のお話の通り辻氏は政界の表面に出ておりませんけれども、政界に隠然たる勢力をもつておつて、相当大きな発言権をもつておる。どこからともなし相当莫大な金をつくつてきて、必要に應じて政党に金を出す。また選挙に際しては相当多数の政治家に選挙費用などを與えるというような人であるとお聞きになつておりますか。
#106
○白石証人 そういうことは、私署長時分にも聞いたことはないのでございます。あとで実はこの事件が出ましてから、眞相という雜誌を見まして、こんな大物かということをはじめて知つたのであります。
#107
○武藤委員長 よろしゆうございます。
#108
○高橋(英)委員 神樂坂署長をやつておられたのは昭和二十年の何月まででしたか。
#109
○白石証人 八月十二日まででございます。
#110
○高橋(英)委員 終戰前ですね。
#111
○白石証人 直前でございます。
#112
○高橋(英)委員 自由党が生れたのはそれから後なのですが、今自由党系の人がたくさん出入りしておつたというのは、どういう人ですか。
#113
○白石証人 たくさん出入りしておつたかどうかということは、私存じておりません。ただ部下からの報告によつて、鳩山さんがおいでになつたということは聞いております。
#114
○高橋(英)委員 鳩山さんがあなたの在任二箇年中、一度くらい辻さんのところへ行きましたか。
#115
○白石証人 私が正確に聞きましたのは一回だと思います。
#116
○高橋(英)委員 そのほか自由党系の政客が行つたというのは、どういう人ですか。
#117
○白石証人 それを私は存じておりません。
#118
○高橋(英)委員 そうすれば、今自由党系と言われたのは、昭和二十年の八月十二日までにはまだ自由党は生れていないのですから、從つてその当時、あなたの部下から自由党系の政客が出入しておるということを報告したはずはないのですが、それをその当時自由党に属していな人が、後に自由党に参加したから、現在自由党だというふうに御観察になるのは別問題だけれども、自由党系の政客が多数出入りしておつたということは、誤りじやないですか。
#119
○白石証人 それは私の失言でございます。
    〔「質問なし」と呼ぶ者あり〕
#120
○武藤委員長 それでは御苦労さまでした。
    ―――――――――――――
#121
○武藤委員長 金子さんに伺いますが、辻嘉六が檢事局へ参りまして、こういうことを述べております。「金子は自由党員で、自由党の選挙演説などを頼まれてやつており、私は古くから演説関係で知り合つております。去る四月の選挙には私から、主として自由党の衆議院議員の選挙應援演説を全國各地に行つてやつてくれるように頼んだことがあり、その費用などとして去る三月末ごろから四月中ごろまでの間、六七回にわたり私方が合計八万五千円を渡してやつたのです。」こういうふうに申しておりますが、その通りでありますか。
#122
○金子証人 その通りであります。
#123
○武藤委員長 いつごろから辻さんとは知合いですか。
#124
○金子証人 今から三十二、三年前です。
#125
○武藤委員長 それからずつと附合つておられますか。
#126
○金子証人 第二次大隈内閣の末期ごろから、すなわち三十二年ほど前以來かわいがつていただいております。
#127
○武藤委員長 辻さんという人物、政界における地位など、どういうふうにお考えになりますか。
#128
○金子証人 政界においてのみでなく、現代日本におけるまれに見る義人だと考えております。
#129
○武藤委員長 どういうところからまれに見る義人だとお考えになつておりますか。
#130
○金子証人 一身一家の利害休戚、一切の名利を忘れて、ひたすら世のため人のために盡しておる。この点からです。
#131
○武藤委員長 たとえば具体的に申しますと、どういうことがありますか。
#132
○金子証人 具体的にこれといつて枚挙にいとまないほどでございます。
#133
○武藤委員長 例をあげてください。
#134
○金子証人 たとえば孤兒になつておる者を助ける、不遇の地位にある者を救う、後輩を指導する、かような事柄であります。
#135
○武藤委員長 本日伺いたいのは、主として政界に関係することでありますけれども、辻氏は政界の表面にはそう出られませんけれども、政界に隠然たる勢力をもつておつて、大きな発言権ももつておる。どこということはないけれども、相当莫大な金をつくつてきて、必要に應じては政党にも金を出すし、また選挙その他に際しては相当多数の人に相当多額の金を與えてやる。そういうことで政治家、政界に対して大きな力をもつておる。從つてあなたのように辻氏を尊敬される人が多いというような意味ですか。
#136
○金子証人 さようです。ただひとり政界のみでなく、政界の革新、社会の改造、人事百般にわたつて、まつたく名利を忘れて努力しておられる。まれに見る義人だと尊敬いたしております。またそういう具体的事実をしばしば目にし、耳にしておるのであります。
#137
○武藤委員長 あなたの受取られた金は、選挙の應援に行く演説の費用ということですか。
#138
○金子証人 政治の視察、わが党候補の應援、わが党勢力、いわゆる日本自由党の勢力の拡大、そういうようなことのためにです。
#139
○武藤委員長 辻さんは職業は何をしておられますか。
#140
○金子証人 職業は主として実業方面、いろいろ会社や事業を経営しておられるように聞いております。
#141
○武藤委員長 辻氏が政党に金を出したり、選挙に出したりする金は、相当莫大な金でありますけれども、どういうところから出てきておるか。あなたは御存じですか。どう考えますか。
#142
○金子証人 それはわかりません。現実にその金を引き出してきておるところを目撃したことはないのですから……。ただ大隈内閣の末期以來、しばしば莫大なる金を撤布しておられることは目撃しております。
#143
○武藤委員長 どのくらいの金をまいたのです。選挙ごとにどのくらいまいておりますか。大体で結構ですが……。
#144
○金子証人 私の記憶しておりますのは、大正九年の原敬先生の内閣の当時に、当時の金にいたしまして百万円近くもまいておりますか。主として政友会の政治家、候補者のためにまいておるのを目撃いたしております。
#145
○武藤委員長 その次にはいつごろです。大分古い御交際のようですから、ゆつくり……。
#146
○金子証人 その次には政友本党の床次竹二郎先生の帷幕にあつて活動せられておつた時、大正十三年の清浦内閣の総選挙の時、これまた数十万金を散布しておるのではないかと存じております。
#147
○武藤委員長 これは目撃したわけではない。
#148
○金子証人 目撃はいたしませんが……。
#149
○武藤委員長 いくらか取次いだこともありますか。
#150
○金子証人 取次いだことも、使いにまいつたこともあります。
#151
○武藤委員長 どういう方面に。
#152
○金子証人 いわゆる政友本党に所属しておる候補者のために、たとえば亡くなりましたが、大阪から出ました森田政義氏とか、その他辻氏の特徴はただ一党一派に偏しておらぬので、ときとしては反対党の候補に対しても頼まれれば與えておるように見受けました。
#153
○武藤委員長 その次にいつごろですか。
#154
○金子証人 その次はこれといつて別によく知りませんが。
#155
○武藤委員長 あと今度の選挙……。
#156
○金子証人 今度の選挙の場合は、私は関西方面にまいつておつたものですから、その留守中のことはよくわかりません。
#157
○武藤委員長 六、七回行かれたですね。
#158
○金子証人 そうです。
#159
○武藤委員長 どこでお会いになつたのですか。
#160
○金子証人 辻先生のお宅で……。
#161
○武藤委員長 その時に君にも金を渡すけれども、候補者にも大分金を渡しておるというようなお話はなかつたですか。
#162
○金子証人 忙しいときであつたものですから、さような話は聽きませんが、自由党の政客のみでなく、他党に属する政客も頻繁に出入りしておつたように見受けますが、名前ははつきり記憶しておりません。
#163
○武藤委員長 下澤という人を御存知ですか。
#164
○金子証人 存じております。
#165
○武藤委員長 これは辻さんとどういう関係の人ですか。
#166
○金子証人 私が紹介をしました人物であります。
#167
○武藤委員長 非常に辻さんとは懇意ですね。
#168
○金子証人 それは大正十三年、清浦内閣の後だと思います。そのころからやはり青年政客の一人として出入りしておつた。
#169
○武藤委員長 祕書のようなことをしておつたわけではないのですか。
#170
○金子証人 現在祕書のようなことをしておるかもしれません。
#171
○武藤委員長 当時は知らない。
#172
○金子証人 はあ。
#173
○武藤委員長 笹本繁太という人を知つていますか。
#174
○金子証人 笹本一雄ですか。
#175
○武藤委員長 笹本繁太という人です。
#176
○金子証人 それは知りません。一雄じやないかと思います。
#177
○武藤委員長 辻氏の祕書をしておる。執事かな。
#178
○金子証人 ちよつと記憶いたしません。
#179
○武藤委員長 最後に伺いますが、辻さんが政治家や候補者に金を渡すときには、人の手を通じて渡すのですか、それともじかに渡すのですか。
#180
○金子証人 人の手を通じて渡す場合もありましようが、おもにじかに渡すことが多いように思います。それから人に知らしめない。與えるものは知らしめないという方針でやられる。いわゆる左の手で與えるものは右の手に知らしめない。人に知らしめないでやるのです。
#181
○武藤委員長 大概奧の十一疊で渡しますか。
#182
○金子証人 さようです。
#183
○武藤委員長 よろしゆうございます。おかけください。何か御質問がありますか。
#184
○田中(健)委員 下澤秀夫という方と、辻さんの関係は大正十年頃からですか。
#185
○金子証人 私が紹介しましたのが、大正十三年の清浦内閣のときです。
#186
○田中(健)委員 常時辻さんのところに勤めるようになつたのは、いつごろですか。
#187
○金子証人 両三年前からではないかと思います。勤めるというとちよつと語弊がありますが。
#188
○田中(健)委員 今祕書をやつておいでになるのでしよう。
#189
○金子証人 そうだろうと思つております。
#190
○田中(健)委員 下澤さんという方はどういう仕事をやられておりますか、それを御存じないですか。
#191
○金子証人 いろいろな仕事をやつておられます。公私ともにいろいろな仕事をやつておられるのではないかと思います。
#192
○田中(健)委員 公私というと公の方は。
#193
○金子証人 プライヴエイトの仕事もやるし、パブリツクの仕事もやる。
#194
○田中(健)委員 下澤という方は辻氏が政治献金を、たとえば横浜の某会社なら某会社から受ける場合に、下澤という方が使いに行つたりすることがあつたのですか。
#195
○金子証人 そういう点はよくわからぬです。
#196
○田中(健)委員 それから金を渡す場合に、下澤さんは全然その場におつたということはないですか。使いに行くようなことはないですか。
#197
○金子証人 あるかも知れません。かなり親しいですから、さような場合もあつたろうと思うのです。
#198
○田中(健)委員 あるだろう。あるという意味じやなく。
#199
○金子証人 親しいですから。私は一一目撃しておらぬですが。
#200
○田中(健)委員 よろしゆうございます。
#201
○河井委員 証人の金子さんは、辻嘉六氏の身辺に二十五年間もおつきになつたので、辻さんが政友会の原敬氏に百万円の金を出されたり、政友本党の床次氏の場合には七十万円ほどであつたというお話でしたが、今度の選挙には辻さんから総額でおよそどれくらい出ておると御推定ですか。
#202
○金子証人 今度の選挙では、私は先ほど委員長に申しました通りに、旅行しておりましたので、あまり手もとに留まつておらなかつたものですから、よくわからぬです。
#203
○河井委員 全然お知りにならなかつたですか。
#204
○金子証人 全然ではありませんが。
#205
○河井委員 もい一部分でもお知りになつておれば、その中の一部分についていくらぐらい出した。全体でなくても、あなたの知つておられる範囲でお聽きしたい。
#206
○金子証人 今度の選挙の場合はよくわからぬです。
#207
○河井委員 こういうふうに辻さんはたくさんの金を政変のたびごとにまいておられますが、あなたの話では、辻さんは実業家だと言つておられますけれども、辻さんは何かそんなにたいへんもうかるような会社をおやりになつておつたのですか。
#208
○金子証人 いろいろ東洋貿易という会社もやつておられましたし、あるいは殖産興業の方面もやつておられました。
#209
○河井委員 そうするとこれらの金はそういう方面から出たとお考えになりますか、それとも辻さんに献金するような人があつて、それから出ておると……。
#210
○金子証人 今回のことですか。
#211
○河井委員 ことに今回もそうです。この前もそうです。
#212
○金子証人 この前の金は献金する人がありましたし、私財も出しております。今回のことは今申しましたようによくわからぬです。
#213
○河井委員 それでよろしゆうございます。
#214
○武藤委員長 それでは済みました。御苦労さまでした。
    ―――――――――――――
#215
○武藤委員長 この際芦田総理大臣より発言を求められておりますから、伺います。
#216
○芦田國務大臣 わが國の政界を粛正して、民主主義政治をほんとうの軌道に乘せていくためには、まず國会みずからの姿が透明なガラス箱の中にはいつて、どこから見ても、どこから衝かれてもさびの出ない、屑の出ない姿であることが先決問題であることは申すまでもないのであります。そういう意味において、本委員会が活動せられるということは、政府としても満幅の同感をもつ問題でありまして、今後のわが民主政治確立のためにこの委員会の活動に大きな期待をもつておるのであります。そういう意味において、今後本委員会の活動上必要な場合には、政府は極力協力することを惜しまないものであります。のみならず政府としても、この委員会がりつぱなる成績をあげられることを期待いたしておる次第であります。
 なおこの際私國会議員の一員として二、三分発言することをお許し願いたいと思います。以下申し述べることは、衆議院議員としての私の所信を申し上げたいと思うのであります。昨今の世上のうわさ、また印刷物等に現われておる國会の姿は、いかにもわれわれをして遺憾を感ぜしめるものがあります。なかんずく事私一身の問題に関していろいろな風説並びに印刷物を目にいたします。正直に申せば、私は多くの場合、もしその記事が自分の名誉毀損にわたる場合においては、進んでこれにつき法規上の手続きをとりたいとさえ思う場合もなきにしもあらずであります。しかしながら今日私の占めておる地位、その他のことに鑑みて、かような手続をとることは今日までは差控えてきたのであります。しかしながらこの委員会がもし印刷物その他に出ておる私の行動に対して多少でも疑いのあるようなことがおありになつたならば、どうかどこまでもこの事件をお調べになつて、世間に対して何らの疑惑を残さないように行動せられることは、私のむしろ心中ひそかに念願としておるところであります。もし私の行動にして、法に背き、政治道徳に反するごとき問題があるという疑念があつた場合には、私は最後までこの調査に應じます。私は政界生活十数年にわたつておりますが、靜かにみずからを省みて、法規に触れ、政治道徳に触れるがごときかような問題に身を投じたことは断じてない。これは私は良心に誓つて明らかに申し上げておきます。從つて今後私の政治行動その他にまつわる何らかの疑点がありましたならば、どうかその点は本委員会においても十分お取上げになつて、その事実を明らかにされることが、私としてはむしろ非常に喜ばしいと考えておる次第であります。
#217
○明禮委員 この際首相が御出席になりましたからお尋ねしたいと思いますが、当委員会に対しての認識、あるいは協力のほどにつきまして、たいへん激励をいただいておりまして、私どもうれしく思うのでありますが、しかし実際においては、最も重大なる委員会でありながら、協力を願つたおる点につきまして、今までも遺憾な点がたくさんあつたのであります。現在におきましても遺憾な点が相当あるのでありまして、これを具体的に一、二申し上げまして、政府並びに関係官廳の御協力を願いたいのであります。それは私が取扱つております兵器処理に関して問題になつております鉄あるいはその他の非鉄金属を合わせまして一千五百万トンあつたと言われておるのでありますが、実際においてこの処理は大体百二十五万トンとなつておるのであります。そこで非常なる食い違いがあるために、今調査をいたしておるのでありますけれども、終戰当時連合軍の方から引渡されましたところの兵器処理のリストがある。盆器処理についてのすべてのリストが今部内務省に引渡されたものがあるわけであります。しかるにそのリストが、前から要求してもおりますし、今度も再々要求しておりますが未だ出てこないために、一体兵器処理に関する鉄その他の非鉄金属がどのくらいあつたかということにつきましては、未だ明瞭を得ない点があるのを非常に遺憾とする次第であります。どうかこういう点について十分に御協力あるいは官廳に対しての御協力を願いたいものと思うのであります。
 それから予算その他のことであります。これは本委員会その他すべての問題でありますが、本委員会その他の問題について院議をもつて二十五万円になつておりまするけれども、御承知の通り不当財産の部分におきまして、隠退藏あるいは兵器処理その他こういつた証人を呼び出してこれを審理するというようなことに至りますれば、相当予算がなければできない次第であります。ようやく二十万円程度のものでやれというように今進みつつあるらしく思われますけれども、この程度の予算をもつてしてはとうていできない仕事であることは、総理大臣みずから御承知のことと存じます。そういう点についての総理大臣の御意見を承りたいと思うのであります。
#218
○芦田國務大臣 非鉄金属その他の物資の行方について必ずしも明瞭でない箇所がたくさんある、そういつた関係のものを取調べて、この委員会に提出するようにという御要求でありましたが、関係の者にただいまの要求を傳えまして、早速そういうふうに提出する運びにいたします。
 予算の問題は、來年度予算の閣議がようやく始まつたばかりでありまして、率直に申しますと、この委員会の経費等については承知いたしておりませんが、ただいまお話の次第は、とくと政府においても考慮いたします。
#219
○明禮委員 総理大臣が御就任の演説にもありました通り、外資導入については、日本の再興は外資導入を願わなければならぬ。それには受入態勢を十分にしなければならないという御意見がありました。これは官公吏並びに政届の粛正というようなものが目標になつてくると存じます。從つて本委員会が最もその活動をするものであると私は信じておるのでありますが、この点についても首相の明快なる御答弁を願いたい。
#220
○芦田國務大臣 受入態勢の問題は詳細に申し上げれば、これはいろいろ複雜した問題をお話しなければならぬと思うのでありますが、先般來本会議及び予算委員会において述べましたところでほぼ大綱は盡きておるのであります。まず大まかに言えば、われわれ日本國民がほんとうに自力をもつて最善の努力をして経済再建のために立つ上る。またポツダム宣言の定むるところによつて、日本の民主化及び文化國家の建設に十分の努力を示して、これによつて諸外國の信頼をとりもどすということがまず第一の前提であろうと思うのであります。次に起る問題は金融上、財政上、経済上の諸般の受入態勢であります。その点は、あるいは外國の投資家をして安心せしめるような諸般の施設、たとえば投資に対する利潤を安全に本國に持ち帰ることのできる方法、もしくはわが國の租税体系が外國人の投資に対して利潤の大半を課税として徴收するごとき障害がこのままに残つておる場合に、はたして外資を導入することができるかどうかというふうな問題等の諸般の條件を伴うのでありますが、これらはすでに関係の事務当局において相当調査をいたしております。審議の進むに從つて法文化する必要が起ると思います。それらの問題は遠からず國会の御審議を受けたい。かように考えておる次第であります。
#221
○武藤委員長 ちよつと申し上げますが、芦田総理大臣はなおほかにも出席すべき会議がありまして時間を急いでおられますから、なるべく簡潔に御質問願いたいと思います。
#222
○明禮委員 簡單にもう一点、私は総理大臣がみずから個人の資格としておつしやいましたから一應お尋ねするのでありますが、私は外資導入ということはいろいろな事情はたくさんありまするけれども、特に官公吏並びに政党の粛正をいたしまして、そうして支那における官吏あるいは軍閥が外資導入の途を塞いでおるというような、この惡い事実をとりのけることが一番重大である。從つて本委員会においては最もこういうところに力を入れてやつておるのだということであります。そこで私はひとつこの際お尋ねしておきたい。芦田氏個人のことについていろいろな報道がある。もしそういうことがあつたならば一々ここで取上げてやつてくれというような御話でありましたから、まことにこれは結構なことでありますが、この際一つお尋ねしておきたいのは、菅原某から相当なる献金をあなたはいただいておられるということを私ども報道によつて始終拜見しておるのであります。私どもはこれはわからぬことでありまするから、取上げようもないのでございますが、こういう事実が実際はないのにかかわらず、そういうことを言つておるとするならば、これはまことにけしからぬ話でありまして、十分私どもはこれに対してあるメスを入れなければならぬと考える次第であります。ここに芦田首相みずからがおつしやつたことでありますから、こういう事実は一体ないのでありましようか、また献金と言いましても淨財の献金は差支えないはずであります。私ども考えまして淨財はいくらもらつてもいいわけであります。これが決していけないというわけでないはずでありまして、ここに問題が出ましたから承つておきますが、菅原某から相当の金が芦田内閣組閣の当時あるいはその前においてばらまかれておると言われておることは非常に遺憾な点であると思います。どうぞここで御明快に、こういうことは実際にないということか、あるいはこれはきれいな金だからあるということか、どちらか伺いたいと存ずる次第であります。
#223
○芦田國務大臣 ただいま御引用になりました菅原というのは私のずいぶん古い友人でありまして、現に戰爭中にも菅原君の借家を借りて鎌倉に疎開をしておつたような、もう十数年來の友人であります。しかし世間では頻りに、菅原君が私のために巨額の政治献金をしているというふうなうわさがあちらこちらに出ております。しかし私は友人でありますから、たとえば鉄道工業の重役をしておつた時代もあります。それを退任したときにお禮をもらつたこともあり、もた冠婚葬祭等には、古い友人としてよく私のところにお祝を持つてきてくれることもあります。しかしながら大体菅原某なるものの納めている所得税をごらんになつてもわかる通り、あの菅原という男は実はそうまとまつた金を人に出せるような財産のある男ではない。どういうわけか非常に金持のようにうたわれておりますが、私はあの人から別に巨額の金をもらつた覚えはもちろんありませんし、またいわんや彼のために利益をはかつたようなこともありません。むしろ友人としては私は世間で言われる通り冷たいせいかもしれませんが、彼のために特に骨を折つて物事をやつたということもないのでありまして、これは私十数年來の友人としてつきあつておりますが、何らそれ以上に意味はないことであります。
#224
○梶川委員 総理は総理としての資格において、民主政治確立の上において、本委員会の活動にまことに期待し、政府はこれに対して極力協力を惜しまないというふうに言われたのでありますが、先ほど明禮委員から要求のありましたことく、從來ともすれば政府はこの委員会の要求に対して十分なる協力を與えず、むしろそれに対してたとえば資料の要求等がありましても、満足な資料の提供を怠つたという感がいたしているのであります。
 そこでわれわれがこの委員会の活動において、政治的な問題、特に政界の淨化という面について相当な成果をあげんと努力いたしておるのでありますが、政界の淨化とともに、今日本の民主政治の確立を阻んであるものは何と申しましても官界の腐敗であります。そこでさつきからここで調べた問題等にいたしましても、一万円、二万円まあせいぜい三万円というような問題が政界の問題であるがゆえに大きく政扱われております。もちろんこれは徹底的に粛正しなければなりませんけれども、現在の官界におきましては、特にその一部の腐敗分子でありますけれども、これらにおいては相当多額の供與をし、あるいは饗應を受け、あるいは裏口営業をみずから誘導し、あるいはこれにみずから乘こむというようなことを度々耳にいたしておるのであります。あるいはまたその他の統制機構におけるところの問題をめぐつて、特殊な利権を與えるとか、あるいは特殊な便宜を供與するとか、こういうようなことによつてその腐敗は極度に達していると言つても過言でない状態であります。このときにおいて総理として、これらについていかなる具体的な粛正方策をとられるか、また現在どういう方策をとつておられるか、すでに組閣後一箇月余も経過いたしておりますので、何らかの方策をとつておられると思いますが、現在どういうふうな方策をとられ、どういう成果をあげつつあられるか、またこれに対してどういうお考えをおもちになるかということをまず第一にお伺いいたしたいのであります。
 第二番目には、総理としてでなく、芦田議員に対して私はこの際お願いいたしたいのでありますが、それは芦田議員が委員外発言として前項の総理大臣としての資格において申し述べられた点、さらにまた一議員として、しかも政府におけるその地位に鑑みて、特に一身上の問題について風説あるいは印刷物等に好ましからざることが掲げられておる。従つてこれらの問題について委員会でお取調べを願いたい、むしろこれを希望すると仰せられているのであります。なるほど民主主義政治の信奉者として当然のことでありますが、そう言われますならば、みずからこれに協力せられることも必要であろうと思うのであります。御承知のごとく本委員会は非常に手足不足でありまして、それぞれの下部機構をもつておりません。これらの風説等々についてもまた有力な資料となり、これをわれわれはたぐつてこの調査を進めなければならぬ場合も起るのであります。從いましてただ印刷物あるいは風説によつて一身上の好ましからざる事態があるというような漠然たることではなくして、われわれに協力せられ、われわれもまた芦田議員の一身上の問題をきれいに解決したいという熱意をもつておるものであります。從つて一体そういう風説が、またこれを告発しようとまで御決意されたほどの風説が、どういう印刷物にどういうふうに載つており、また印刷物以外にどういう風説が流布されておるのであるか、これらを率直にここで御提示願いたいと思うのであります。以上二点をお願いいたします。
#225
○芦田國務大臣 第一の御意見は現在わが国の官界が腐敗しておる。官紀が紊れておる。これを粛正することはわが民主政治の確立のために絶対必要なことと思う。これに対して政府はどういうふうに考えるか、どういう手段をとつておるか、こういうことであつたと思う。前内閣の当時官紀粛正の目的をもつて監察委員会というものをつくりました。そうしてこの監察委員会が各省各部門にわたつてこれらの問題に関する報告書というものをつくつておるはずであります。遠からずこの報告書が内閣に提示せられることによつて、中央地方の官界を通ずる一應の監察委員の見たところが、明瞭になると思つておりますから、この報告にもとずいてそれぞれ必要の処置をとりたい、かように考えておるのが第一点であります。今後の処置はそれらの報告書にもとずいて適切な処置をとりたい、かように思つております。
 それから第二の問題については私の申し上げたことに多少誤解があつたかと思いますが、私が言つたのは自分の一身上についてずいぶん種々のうわさが飛び、印刷物などにも出ておるようです。もしそれを取上げて、私にこういう事実があるじやないかと言う人があれば、私はそれに対して挑戰に應じますということを言つたのでありまして、もしそういう人が現われて來て、お前は現にこういう間違つたことをしておるじやないかというならば、私も最後までこの人の挑戰に應じて、自分の行動が何ら恥ずるものでないことを立証し得るということを申したのでありまして、この委員会に向つてこれらの事実を調べてくださいといつたようなことをお願いしたという筋ではないのであります。
#226
○梶川委員 それではこの印刷物あるいは風説等が現にあるということを確認しておられるのか、あるいはもしそういうことがあつたならば、という將來の予想を言つておられるのか。まず第一にそれを伺いたい。
 その次には、そういう印刷物、風説等を取上げて申出られたならば、身の潔白を証明するために挑戰すると言われるが、そうすると、ここで取上げるまで默認しておられるということ自体がけしからぬと思うのであります。從つてそういうものがあつたならば、國の最高権威であるこの國会の、しかも特別に設けられた委員会に、こういう事態があるから、これを國会において解決してくれと言つて出られること自体が民主主義を尊ぶゆえんではないかと思う。國会にこういう委員会を置きながら、これを取上げるまで――文句があつてけんかをふつかけるなら、いつでも買つてやるぞというような態度は、苟も國会を尊重する者のとるべき態度じやないと思うのであります。從いまして、初めに申し上げましたそういう事実が現にあるということを確認せられるのか、ないのか。それからもう一つは、この委員会に対して、そういうことを取上げた場合に挑戰に應ずるというだけか、あるいはこの委員会を尊重し、信頼して、この委員会にこういう事態があるが、これはこういうぐあいだと言つて、積極的にやられるのかどうか。この二つをもう一遍お伺いします。
#227
○芦田國務大臣 私の言つているのは積極的ではありません。もし世の中の人が、お前には現にこういう事実があると言つて出た人があるならば、私はいかなるときでも、さような事実に対してはりつぱに應える用意がある、こういう意味であります。私の行なつてきたことの中において今まで世の中に流布されているごとき事実はありません。それは先ほど申し上げた通りであります。
#228
○梶川委員 流私されている事実があるのかないのか、それを確認されているのか、ないのか。
#229
○芦田國務大臣 それは新聞なんかにもときどき出ております。
    〔委員長退席、梶川委員長代理着席〕
#230
○徳田委員 芦田首相に質問します。あなたは大分この委員会を尊重しておられるということでありますが、大体この委員会の費用はどんどん出すことになつている。そういうことは一般的には承認せられているのである。しかるにたつた二十万円しか出さない。大藏省はこれ以上はできないという。一体二十万円で今何ができますか。この委員会は非常に多岐多端にわたつているものである。殊に今後始まる兵器処理委員会の問題及び復金の問題、こういうものを扱いますれば、非常に多くの所へたくさんの人を使つて、急速にこれを処理しなければならない。從いまして多数の自動車が必要だ。そうすると、費用はうんとかかります。たつた二十万円ぐらいであなたはできると思いますか。ここでは一箇月少くとも七十万円から百万円くらいなくちやならぬということを要求しておる。二十万では何もできない。人も雇えない。そういう事実に対して、あなたは口ばかりいくら言つてもだめだ。具体的に金を出してこなくちやなんにもなりはしない。それからまたいろいろな委員会にも皆自動車がついているけれども、ここには自動車一つない。ここでは実際自動車というものは実彈だ。ほかの所では空彈も大分ある、私用にも使つているものが大分ある。しかしここではそうではない。事実どこそこへ行かなければならぬというときには、早く実彈をもつてぱつと行かないと、彈丸があたらない。すぐ逃げてしまう。そういう重要な場所において自動車が一つもないというのは一体どういうわけか、政府の怠慢じやないか、そういう具体的のことにおいてわれわれは今度事務局を通じて要求することに対して、政府は一体どういうことをせられるのかを聽きたいのである。まだ聽きたいが、まずそれから聽きます。
#231
○芦田國務大臣 正直に申しますと、この委員会の費用がどういうふうな予算になつているか、私は承知していなかつたのであります。予備費において國会開会中に出すことはいろいろむずかしい関係があるので、あるいは出さなかつたのかとも思いますが、しかしいずれにしても、來年度のうちには國会の経費が相当多額要求されているはずであります。この委員会にいくらの費用を計上してあるかは、ただいま私まだ承知しておりませんが、国会の経費が近く來年度予算の審議のときに出てきましたときに、先ほど來お話の点は十分考慮するつもりであります。
#232
○徳田委員 予備費は國会の開会中出すことは困難だと言われますが、國会の開会中であるから困難ではない。國会の承認を受ければどんどん出る。國会が休会であるときは困難であるかも知れないが、国会の開会中だからこそ承認をどんどん得られてやれるのである。
 それから今度の補正予算にしても、また四月中の暫定予算にしても、ちつともここのことを考えていなしない。まるでこれは勝手にしやがれというような調子である。そういう調子であなたが今後々々と言われるけれども、今後というのはあてにならないのである。政府は今後大いにやりますと、大きなことを言つても、一つだつてやつたことはない。たとえば中小商工業者に対する振興問題は、あなたが自由党におられるときも、民主党におられるときも何遍も出しておるが、一つだつてやりやしない。將來やりますと言つたつて一つもやつたことはありません。だからして今即時この予備費をあなたが処理せられて、そして出されるかどうかその確言を得たい。われわれは第一きよう、あす衆事をするのに困つている。さつき明禮委員からも言われました通り、兵器処理委員会なるものは、莫大な地域にわたつて、莫大な調査をしなければならぬのに、一つだつて経費がないからできやしない。だから今すぐにやるかどうか、これを聽きたい。今すぐやられないと言うならば、あなたの今後やるということもあてにならぬとわれわれ委員は考える次第である。どうです委員諸君。(笑声)(「その通りと」呼ぶ者あり)
#233
○芦田國務大臣 いずれもう少し私自身勉強して知識を得て、そうして予算の面において四月以後の経費がどうなつているかということを調べた上で、当局者によく注意をするようにとくと命じておきます。
#234
○徳田委員 官界の腐敗のことに関してでありますが、たとえばこれは大分縣の問題ですが、大分縣などでは知事も裁判所長も、それから裁判所も檢事局も警察もみんなぐるになつている。隠退藏物資やいろいろの問題について提訴してもそれが消えてします。現にゴム問題やいろいろな問題がある。こういう問題は事実あなたも知つておられるはずだ。もしあなたが総理大臣でそういうことはさつぱりおわかりにならぬというならば、これは総理大臣じやない。それではほかのことばかり考えられて、事実官界の実際をあなたは見ておられんということになる。こういう具体的の問題について、今後この不当財産取引委員会でわれわれは出そうと思つているが、そのときにはたして政府ではどういうふうに処置せられるか、われわれ自身としてはこれは告訴したり、摘発したり、また行つて裁判したりたんかすることはできません。どうしてもこれは政府がやらなければならない。そういう場合に政府はどういう覚悟でやられるか、たとえば各省に皆簿外財産というものがある。これを目をつぶつていて見ない。一体簿外財産というものはあるはずがない。國有財産はちやんと國六財産でその省その省で扱うべきであるが、莫大な簿外財産があります。こういうことをやつてときに、あなたはそれを的確に即刻に処置せられるかいなか、政府の機関である行政査察官だとか何とかそういう者がやつてもだめです。一度政府の機関になれば、大概上すべりのものになつてしまう。そのためにこそこの不当取引の調査委員会はできている。ここは監督をする優先権がある。ここは政府機関よりはるかに大きく尊重しなければならない性格のものである。そこでこの不当取引委員会が政府に対して、この事実に対して即刻処置しろという決議をしましたならば、政府はいかなる手段をとられるか、これをとくと聽いておきたいのである。
#235
○芦田國務大臣 そういう事実が指摘されたならば、徹底的にこれを調査いたしまして、適切なる、交果のある手段をとることをここでお約束いたします。
#236
○徳田委員 それでは今度は議員という立場でお尋ねします。これは今度いろいろの事実を発見したのちに、あんたに証人になつていただかなければならないと思いますが、そういう消極的な態度でなしに、先ほども梶川君が言われましたけれども、いろいろの事実に対して、こういううわさがあり、ああいううわさがあるということに対して、あんたから積極的にこういう事実のないということを証明せられることができないと言われるならば、こう理解していいかどうか。すなわちあんたの政治的活生に対しまして大やみの手続をやつている。すなわち民主党は民主党としてそれぞれ財政関系その他に対して報告をしている。あんたが自由党におられるときにも、自由党の方からそれぞれ報告せられている。またあんたは選挙に対しては、選挙にこれだけ使つたという報告をせられているが、それ以外には断じて政治的にもまた選挙に関しても、金銭的な消費は何もないというふうに理解していいですか。
#237
○芦田國務大臣 私は選挙のときにも、ちやんと費用届を出しております。民主党は幹事長の名において收入した金の届けを出しております。ともに何ら事実を偽つた非合法なものはないと存じております。
#238
○徳田委員 それ以外には、何ら私的に、あるいは総裁として、あるいは幹事長として、同僚に対しても金を出したとか何とかいうことは全然ないと言われるのですね。
    〔梶川委員長代理退席、委員長着席〕
#239
○芦田國務大臣 お答えいたします。私が個人として、たとえば友人の困つている者に金を出すとかいつたようなことが、政党関係に何ら非合法的な措置として、間違つたものとは考えておりません。
#240
○徳田委員 それはそうではありません。そうでなくして、選挙の資金その他に対して、いわゆる政治的関係で金を出すということである。あんたが個人的に、友情としてだれそれに援助するということは、だれにもありがちで、そういうプライヴエートの生活のことを言うているのではなくして、公的な行動において、すなわち政治行動に伴つて、あんたは金を一文も支出しておらぬ、届以來外のことは何もしておらぬ、こういう確言でありますな。
#241
○芦田國務大臣 私は公私の出納はきわめて明確にしております。
#242
○徳田委員 それではわけがわからない。届出以外は何もないかということを聽いているのであつて、公私の生活を明確にしているかどうか、そんなことをだけも聽いているのではない。すなわち届出以外のことを何もしていないか、あるいは届出以外のことでも大いにやられているかどうか、そこが大問題である。公私以外の、いわゆる届出以外にあんたが支出せられて、各候補者に対して金をやられているかどうか、こういうことが問題である。そうすればこれの出所が問題になる。それが問題になるからこそ、あんたに対すらいろいろのうわさも飛んでいる。現在の政党などにおいてはとにかくこういうことはありがちなことなんですが、あんたはそういうありがちなことは全然ない、こう否定せられるかどうか。あんたがこれを否定せられるならばよろしい、否定せられないならば、あんたは公然と、おれはこれだけのことをやつたけれども、これはちつとも間違いでないということを首相としてこれを明確にしたらどうか。これをわれわれは問うのである。あなたがこの不当取引委員会を尊重し、外資導入その他に対して、日本の政界を淨化し、経済界を淨化することが最も緊要だと言われるならば、みずからやられた方がはるかにこれは有効だ。なかなか人の祕密というものを探り出してうんぬんすることはやつかいな話です。ですからあんたがこれを明確にしておけば、われわれは安心してほかのことをやれる。あんだが明確にせられなければ、これは何しろたぐつてたぐつていろいろな困難もして、これを持ち出していかなければならない。一体どつちだ。これをお答え願いたい。
#243
○芦田國務大臣 徳田君は結局先ほど來同じことを聽いておられるのだと思いますが、具体的にお話をした方がよくわかる、私はこの前の選挙のときに幹事長として選挙事務に與つた。そのときに党はどういうふうにして候補者を援助したかということは、ちやんと官廳に届出を出しております。これをごらんくださるならば、私が党の幹事長としてどういうふうに選挙の費用が出て、どういうふうに選挙の費用を使つたかということがはつきりわかる。これは私の党人としての公の收支を明瞭にしておるということです。しかしそのときに、私が家でお客を御馳走するとか、あるいは、友達に会つて困つている人に多少の援助を與えるとかいうことは、たとえ幹事長であつても、これは公の行動ではありません。そこは私は明確の帳簿に現わしてある。こういうことを先ほどから申しておる。
#244
○徳田委員 それ以外にないということですね、よろしい。それならば問題はございません。
#245
○田中(健)委員 総理にお伺いしますが、片山内閣当時、当時の外相芦田さんが関西、九州方面に出られまして、今度できる不当財産委員会が活動を終始することになれば、政界に大変動を來すであろうということをしばしば語つておられたように私は記憶いたします。その新聞は私は今日ここにもつて來ておりませんが、御否定なさるとすれば、あとで読み上げてもよろしゆうございます。そこで総理はそういうことを言う限りにおいては、かなり政界に大変動を來すようにその問題を知つておられたと思う。どういうわけでこの委員会が活動すれば政界に大変動を來すことになるのか。その根拠について詳しく語つてもらいたいと思います。そのお答えによりましてなお若干お尋ねいたしてみたいと思います。
#246
○芦田國務大臣 あの当時私が言つたという話は、おそらく和歌山で茶飲み話をしておつたことが傳えられたのだと思います。それ以外にそういつた話をしたことはどこでもありません。和歌山に行つて晝食のときに、茶飲み話にこの委員会がいよいよ來年になつて活動を始めたならば、これは津波が起るかもしれぬということは言いました。しかしそれは津波と言おうが、政界の変動と言おうが、同じ意味でありましようから、特にそれを区別する必要はありませんが、何となく私はそういう予感をもつておつた。それでそういうことを言いました。
#247
○田中(健)委員 苟くも一國の外務大臣ともあろう方が、何となく予感で津波が起るであろうと言われたことは、私はとうてい承服することができない。何らかそこには世耕事件にからむところの辻氏からの金銭の授受について、だれとだれが関係ある、そういつたようなことについて承知されておつたのじやないかと思いまするが、それらの点について重ねてこの際お伺いいたしておきたいと思います。ただ予感で津波というような当らない地震の予言みたいなことでは、承服できないのであります。この点もう一遍お尋ねいたします。
#248
○芦田國務大臣 そのころ私がいわゆる辻事件関係のことを知つておつたのだろうというお話でありますが、実はそのことはいろいろなうわさはあつたかと思いますけれども、だれもそういうことを的確に知り得た者はないはずだと思います。
#249
○田中(健)委員 國会に委員会ができたのは昨年の十二月二十日でございまして、その後のことでありまするから、総理大臣は当時大体承知しておつたのだろうと思います。しかしここで重ねてお伺いいたしましても、総理が知らないとおつしやるならば、これ以上のことはお伺いいたしません。しかしながら、事実はこの委員会でやつておられる通り、あるいは檢察廳の当委員会に対する報告によりましても、きわめて明瞭になつてまいつておるのでございます。私の想像いたすところによりますと、おそらくこの結果というものは本会議に報告されるだろうと思う。そういう場合に、もし総理が総裁をやつておられる党にそういう関係者がおられたとするならば、総理は総裁としていかようなる処置をとられるのか、あるいはまた現在そういうことに対してどういうお考えをもつておるか、この際お伺いいたしておくことが非常に参考になるのではないかと思いまするので、この点をお伺いしておきたいと思います。
#250
○芦田國務大臣 この委員会の決定が発表せられましたときには、輿論の趨向及び院内の空氣を尊重して善処いたしたいと考えております。
#251
○明禮委員 ちよつと関連して……。今芦田首相は和歌山で言つたとおつしやつたが、実はそのことはたしか私は九州の新聞で見ました。九州で不当財産にからんで政界に大変動が起ると言われた。それから四國へ渡つて八幡浜から大州、内子と某代議士とお通りになつたときにも、茶飲み話か何かしらぬが、その話が大分流布されて、政界は非常に全氣を呈しておつたので、その当時の鈴木法相とも私ども懇談したことがあるのでありますが、あなたは実際はそのときどこかで聽かれて、それを方々で言うてまわられたというわけではありますまいが、いろいろの事情のためにそれを吹聽されたのではなかつたでありましようか。和歌山だけだということでは私はけしからぬと思うのですが、実は方々で言うておられる。九州で言つておられたのも新聞に載つておりますから、いつでもお目にかけますが、どうでありましようか。
#252
○芦田國務大臣 もし九州で新聞に載つておれば、あるいは九州でそういう話をしたのかもしれませんが、実は一々どこで何回話をしたなどという程度に正確には記憶しておらぬので、はつきり記憶しておるのは和歌山ということだけは間違いがない。
#253
○明禮委員 お話になるのは御自由でありますが、しかしそれは今田中委員の言われたと同じように、ただそういう予想と言いますか、あなたのような人がわからないでそういうことを言われるはずはないのでありまして、それを何か根拠があるのだと私は深く感ずる。われわれ大いにこれから活動しようとする者は、こういうことは大いに粛正しなければならぬのでありますから、粛正をするという意味においては、あなたが実はこういうことがあるのだから私は言うた。こういうことが事実なのだが、どうぞ皆それをひとつ研究してくれどぶちまけてもらいたい。それをぶちまけてもらうことがこの委員会の生命であります。それにもかかわらず、どこから聞いたのかわからぬというようなことを方々で言うてまわつたんでは、実際これはあなたの人格上大いに考えなければならぬことが起るのだ。私どもはその点において遺憾の意を表するものである。もう一度その点を明確にされることを希望いたします。
#254
○芦田國務大臣 私はこの委員会に持ち出さるべき事件の内容その他について、その当時正確に知つておつたことはありません。また知り得る途がないのであります。しかしながら世間のうわさをいろいろ聞いていると、どうやらこの委員会においては相当問題がもち上る。そうなれば政界の津浪だといつたようなことを話をしたかもしれませんが、何ら的確な根拠がなかつたことは、そういつたごく漠然たる話しかしなかつたということが、自分に確たる事実を握つていたかつたという一つの証拠なんであります。私の言つたことはきわめて漠たる話にすぎない。浮世話のようなつもりで話したことが、たまたま新聞に報ぜられた、こういうことだと思います。
#255
○徳田委員 ただいまどうもいろいろ外交的な辞令が大いに交されておるように思いますので、一つ芦田さんに、事実議会においてもこういうへんちくりんのことがあると思うという答弁をここでお聽きしたいのですが、あなたは衆議院の委員会で、労働爭議が起つているからアメリカからの外資導入に関して、日本にクレジツトを與えるという、一億六千万ドルかいくらかあつた。これがふいになつたということを言われた。事実その前には日本にストライキが起つて、こういうようなざまになつておる場合は、これに対して援助を拒否しろというような案を出した議員があるようだ。これは、議会では否定された。しかしあなたが言われたときには、すでにこれは否定されて終つておつて、現に一億何千万ドルを出すということになつておる。ところがあのときあなたはこれに対して、爭議があるからと、爭議にかこつけてああいうことを言われた。そうするとあなたは的確のことは知らぬが、どうも爭議を抑えるのにこういうことを言つた方がよいという氣持で言つておるように思われる。一体あれはどういうことか。事実一億何千万ドルというものは日本に援助をすることになつたじやないか。
#256
○武藤委員長 徳田君に御注意いたしますけれども、不当財産委員会の問題に限りたいと思うのですが、やはり答弁を求めますか。
#257
○徳田委員 やはりこれは関連しております。
#258
○芦田國務大臣 それだけは答えます。これは関連のないことでありますけれども、私の話の根拠を明らかにしておく方がよいから申し上げます。それは三月三十日の晩に、アメリカのB・B・Cの放送でそういうことを附け加えて放送した。それを聽いた私のきわめて懇意なアメリカ人が、私に知らしてくれた。それだけの事実は間違いございません。
#259
○徳田委員 そうするとあなたは確かめぬのですね。どうも確かめずにやるという風習があるらしいから。
#260
○武藤委員長 ほかに御質問はございませんか、それでは委員長から委員会を代表して、芦田総理大臣に一つお願いしたいことがあります。
 先ほど総理大臣は日本民主化のために、政界淨化のために、またガラス張りの政治を実現するために協力されることを言明されたのでありまして、私ども委員会としましても、非常に喜ばしい次第です。しかし政府が事務の方面におきまして、書類の提出とか、あるいは事実の調査とか、そういう方面について協力せられますことも、ぜひお願いをしたいのでありますが、私も実は委員長に就任をしまして痛感をしておるのでありますが、この委員会は非常に大きな仕事でありますにもかかわらず、予算が非常に少く、今もつて事務局も充実しないというような実情でありますから、この方面におきましてもぜひ十分な御協力を願いたい。こういうことを一つお願いをしたいと思うのであります。
#261
○芦田國務大臣 ただいまの委員長の御申出に対しましては、政府はできるだけのことをいたす決心をもつております。
    ―――――――――――――
#262
○武藤委員長 橘さんに伺います。先ほど概略を申し上げました問題につきまして伺いたいのでありますけれども、辻嘉六氏は檢事局の取調べでこういうふうに申しております。「橘は自由党所属で、去る衆議院議員選挙には北海道から出て落選しました。橘は数十年來の知合いで、本年四月上旬、右坂東――坂東幸太郎氏です――とともに私方に來て、坂東の場合と同樣、選挙の金が欲しいというので二万円を渡しておいたのです。金を坂東と橘に渡す際は両名の目の前で渡しております。」こういうふうに申しておりますが、その通りでありますか。辻とはいつごろからどういうふうな関係でつきあつておられますか。
#263
○橘証人 私は大正十三、四年ごろと思つております。その交際の最初の原因は、――私は北海道出身でありまして北海道の学生寮をつくる運動と、支那に対し非常に関心をもつておつたために知る機会を得て、二十数年來つきあつております。しかし戰爭が始まつてから一度もお目にかからないでおりまして、三月の二十七日か八日と思いますが、初めてお訪ぬした。その時に北海道の支部長が代つたので坂東先生に一度お目にかかつていただいたらいかがでしようと、こういうお話を申し上げたところが、会おうということで、四月の二日か三日に坂東先生を御案内申し上げたのであります。
#264
○武藤委員長 そのときに坂東氏はいくらもらつたのですか。
#265
○橘証人 よく知りません。
#266
○武藤委員長 こつちから金が欲しいと言つたのですか。向うからくれると言つたのですか。
#267
○橘証人 最初は、北海道の支部長が平塚さんで、金があつたけども追放でやめたので、坂東さんは金がないが、北海道の支部長にどうだろうかと、こういう話を申し上げたので、坂東さんを御案内いたしたが、坂東さんは金はないということで、辻さんから陣中見舞としていただいたのであります。
#268
○武藤委員長 辻氏は政界においてはどういうふうな存在でありますか。
#269
○橘証人 私は辻先生の政界における存在ということに対して何も考えておりませんし、また何人からもあまり聞かなかつた。というのは私は学生時代より終始支那問題に興味をもち、支那に前後七回参りました。日支親善に半生をなげうつて、東條内閣の時に選挙などはやる意思はなかつたが、支那事変処理のために、日支親善のために私にやれということで出ました。もちろん戰爭に反対であつたために阻止運動をなしておりました。選挙の時には移動警察といつて、出ると六日目にあげられて、選挙が終ると出たのであります。從つて支那関係及び北海道関係以外に対しましては、辻さんのうわさも出ない。長いつきあいでありますけれども、一年に一回ないし二回、大東亞戰爭に前から、戰爭が終るまで会つておりません。從つてそういうような話を申し上げる材料をもつておりません。
#270
○武藤委員長 こういうふうなことを考えませんか。辻という人は政界の表面には出ないけれども、政界には隠然たる勢力をもつておつて、大きな発言力をもつておる。どこからともなく相当莫大な金を時々つくつてきて、必要に應じては政党に金を出す。また選挙に際しては相当多額の金を多くの候補者の選挙費用として與えるというような人物であつて、政治家に対する辻氏の影響力、圧力というものは相当大きいものであつたというようなことを考えておりませんか。
#271
○橘証人 私はそういうことは先ほど申し上げる通り、もちろん考えておりません。そうして今後の選挙に私が應援していただいた時も、四二人の程度に應援してくれたのじやないかとあとで思いましたが、その時は何にもそういう考えをもちませんでした。
#272
○武藤委員長 かつて辻から選挙その他の政治運動について金を出してもらつたことはありませんか。
#273
○橘証人 政治運動に対してはもらつたことはありません。満州事変以後私は政治運動をピタツとやめた。それ以前青年時代に支那に行くとか、あるいは満州に行くとかいう場合に旅費をもらつたり小遣いをもらつたことはたびたびあります。
#274
○武藤委員長 選挙に際して辻が多くの代議士に金を出したというようなことを聞いたことはありませんか。
#275
○橘証人 聞いたこともありませんし、そういうことはないと私は思つております。本日ここに來て初めてそれを伺つたような次第であります。
#276
○武藤委員長 何かお尋ねになることはありませんか。――それではこれで済みました。御苦労樣でした。
 しばらく休憩いたします。
    午後四時三十二分休憩
     ――――◇―――――
    午後四時三十九分開議
#277
○武藤委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
 先ほど申し上げた問題につきまして、あなたに伺いたいのですが、まずお名前は……。
#278
○下澤証人 名前は下澤秀夫。
#279
○武藤委員長 辻嘉六氏が檢事局におきまして、こういうふうに述べております。「同人――」というのは下澤さんです。「同人は私方に二十年以前から出入しておる者で、現在は私の秘書格の仕事をいたしております。去る四月上旬ごろ下澤に私方で二十万渡してありまはが、これは中曽根が立候補するにつき、その選挙の世話をしてやれと私から頼んであり、これに要する費用として渡しました。」こういうふうに言つておりますが、その通りでありますか。
#280
○下澤証人 その通りであります。
#281
○武藤委員長 二十年來秘書格というわけですか。
#282
○下澤証人 違います。二十年來私は辻先生の恩顧を受けておるものでありまして、秘書格というのは、先生が病氣になつていろいろな用件がありますので、私は二十年來の恩顧に報いんがために、毎日先生のまくら辺に待して、病氣の看護やら、所要の勤めやらをしておつたのであります。そこでたまたま中曽根の事件がありまして、先生が檢事局に召喚をせらるるということであつたので、病中出頭ができませんから、私が先生の代理として、病氣であるゆえんを申し上げんがために檢事局へ出頭したのであります。当事の新聞の報道は辻嘉六秘書下澤秀夫と称しておるのでありまして、別に秘書としての辞令を貰つたわけでもなく、月給を貰つたわけでもありません。そのときから新聞がそう書いたのであります。しかし私の先生に対する心中は、いかなる場合にあたりましても恩顧に報いんというこの氣持から、微力をいたさしていただいておる次第であります。
#283
○武藤委員長 昨年の四月三日ごろ中曽根幾太郎が百五十万円の小切手を辻の所へ持つてきて、あなたがこれを受取りましたか。
#284
○下澤証人 受取りました。
#285
○武藤委員長 どういう金です。
#286
○下澤証人 金の性質は知りませんが、これを先生に上げてくれということであつたので、私がそれを受取りました。
#287
○武藤委員長 受取つてそのまま小切手を渡したのですか。
#288
○下澤証人 翌日か翌々日かと思います。頭が惡いから記憶ははつきりいたしませんが、現金に取替えて、先生の居間の押入に入れておきました。
#289
○武藤委員長 そうしますと、辻さんに渡す前に東海銀行をもつていつて現金に替えて、それを辻さんの奥の十一疊の押入に入れておいたのですね。
#290
○下澤証人 そうです。
#291
○武藤委員長 いつ辻さんにその話をしましたか。
#292
○下澤証人 もつてきた晩に、中曽根が小切手をもつてきたということを知らせました。
#293
○武藤委員長 辻さんは何と言いましたか。
#294
○下澤証人 そうかと言うておりました。
#295
○武藤委員長 金の性質については何も話はないのですか。
#296
○下澤証人 話もありませんし、私も聽きません。
#297
○武藤委員長 辻の所へ金をもつてくる人がある場合には、大体だれが受取るのですか。
#298
○下澤証人 知りません。
#299
○武藤委員長 この場合はあなたが受取つたのですね。
#300
○下澤証人 さようです。
#301
○武藤委員長 その前に中曽根が六十万円と四十万円二回にわたつて金をもつてきたようですが、これは知りませんか。
#302
○下澤証人 その点は一向知りません。
#303
○武藤委員長 辻さんが昨年の総選挙に四十名近い人に一万円、二万円、三万円というふうに選挙費用を出しておられるようですが、そういう点御存じありましたか。
#304
○下澤証人 知りません。
#305
○武藤委員長 全然知りませんか。
#306
○下澤証人 知りません。私の関係したことではありませんから、知りません。
#307
○武藤委員長 中野寅吉、山本喜助という人に選挙資金として三万円、中野に三万円、山本に二万円辻先生から與えたということを、あなたは檢事局で言つておりますが、それは問違いですか。
#308
○下澤証人 知りません。檢事局で言うたおぼえはありません。少々読んで聞かしていただきます。
#309
○武藤委員長 それでは読みましよう。「中野寅吉、山本喜助の両氏に選挙資金として各三万円と二万円を辻先生から與えましたが、その間の事情の一端を知る意味において封書三通を提出いたします。御用済みの方は適宜御処置されて結構です……。」
#310
○下澤証人 思い出しました。その封書はあとになつて、辻先生の所に來ている手紙の中に、その両名の封書を見出しましたので、それを先生が檢事に申し上げた後に、中野寅吉、山本喜助の両名からはこういう手紙が來ているからということで、後日参考に私がもつていつたはずであります。そういうふうに記憶にありますが、もつと私の記憶を喚び起すに的確な資料がございましたら、お示しを願いたいと思います。
#311
○武藤委員長 先ほどの百五十万円の中から二十万円貰つたのですね。
#312
○下澤証人 私は貰いました。
#313
○武藤委員長 辻さんは大分からだのぐあいもよくなつたようですが、結構ですね。
#314
○下澤証人 よくなりません。逗子に行つて靜養しております。
#315
○武藤委員長 どの程度ですか。
#316
○下澤証人 医者の診断によりますと、人に面会することが続くと病氣再発のおそれがあるということで、現在の病氣の段階におきましては深く注意をしているような現状であります。
#317
○武藤委員長 病氣は何ですか。
#318
○下澤証人 昨年の五月二日脳溢血にかかつて倒れました。以來右の方が手足が不自由で、頭の方も方側の方が厚く圧迫をされるような状態で、口のきき方も完全ではございません。そういう病状であります。さらに今年の一月か二月ごろから糖尿病を併発し、食餌療法をやつておりますので、からだも非常に衰弱をしてまいつております。喘息、神経痛等も寒いうちは起りまして、たいへんに困難をしましたが、御承知の通り暖かくなりましたので、喘息の方はやや回復をいたしましたが、何分にも老齢でありますから、神経痛の方は始終起つて悩まされているような状態であります。
#319
○武藤委員長 全然面会は謝絶しておりますか。
#320
○下澤証人 医者の注意によつて面会は謝絶しているのであります。
#321
○武藤委員長 全然会いませんか。
#322
○下澤証人 はい。
#323
○武藤委員長 さつきのお話では、面会が続くとよくないというお話でしたが……。
#324
○下澤証人 それは私どもが会うことでありまして、家族の者でも、深い話やら、記憶を喚び起す話やら、いろいろのことによつて衝動を起すようなことは一切話をせぬことに深く医者から注意されているような状態であります。
#325
○武藤委員長 話は別ですが、我善妨という麻布のクラブというか、料理屋というか、御存じですか。
#326
○下澤証人 我善妨の家は知つております。私は最近一度参りましたから知つております。
#327
○武藤委員長 一回だけですか。
#328
○下澤証人 一回です。
#329
○武藤委員長 ここの主人は初井マスというのですか。
#330
○下澤証人 おばさんおばさんと呼びますが、私は名前を知りません。
#331
○武藤委員長 これは河野一郎氏の東京宅ではないのですか。
#332
○下澤証人 それらの点については知りません。
#333
○武藤委員長 何か委員諸君でお尋ねがありますか。
#334
○田中(健)委員 証人にお尋ねしますが、辻家の家計の支出はだれが行つておるのですか。奧さんがやつているのか、女中がやつているのか。
#335
○下澤証人 奧さんがやつていると思います。
#336
○田中(健)委員 それはあなたが見てそう思うのでうか、ただ想像するのですか。
#337
○下澤証人 想像であります。
#338
○田中(健)委員 それから聞くところによると、辻さんのところに集つている金は約九百万円前後と聞いております。そのうち今ここで調査なさつているのは二百五十万円ですが、そのほかの金が現在どうなつているかということについては、御存じないのですか。
#339
○下澤証人 私は一向に知りません。
#340
○田中(健)委員 それから東海銀行に小切手を現金に換えるのはだけが行つたのですか。
#341
○下澤証人 私が参りました。
#342
○田中(健)委員 東海銀行に行つたのは、あなたは一遍だけですか。
#343
○下澤証人 私は東海銀行に取引もございませんし、他から金をとる用も言いつけられませんから、そのとき一回だけであります。
#344
○田中(健)委員 その東海銀行の小切手だけ知つておつて、あとは全然知らないのですか。
#345
○下澤証人 知りません。
#346
○田中(健)委員 先ほどの他の証人によりますと、あなたは大分前から辻氏の所に出入りしておられるように言つておられますが、その間において政界入あるいは財界人で辻さんの所に出入りなさつた方のおもなところは、どういう方々が出入りいたしておりますか。
#347
○下澤証人 御承知の通り私は頭が惡いので、そういう点はちつとも憶えておりませんから、お答えができません。
#348
○田中(健)委員 私は頭がよいと思つております。
#349
○下澤証人 あなたより惡いです。(笑声)
#350
○田中(健)委員 あそこにおいでになれば誰かおいでになつておるんじやないかと思います。全然出入りしてないということは言えないと思います。私も一遍お伺いしたことがあります。それはこの事件に関連いたしまして、私委員として一應知つておらなければならぬと思いましてお伺いいたしたのでありますが、病氣で寢ておつてお会いできなかつたのでありますが、同じようにいろいろな方々が訪問なさつているだろうと思います。下澤さんは主人を思うのあまり、大事を取り過ぎて、だれもきておらない、出入りしておらないという印象を受けるような、全然知らないというようなことでは、何のために辻さんの所に下澤さんがおいでになるか、ちよつと了解に苦しむ点がありますので、この際でき得るならば御記憶を喚び起して、今日どうしても記憶を喚び起すことができないとすれば、後日文書でも結構でございますが、でき得るならば本日、どういう方方が始終往來しておつたというようなこと――聞くところによりますと、辻さんが倒れたのは、加藤勘十氏が面会にまいりまして、その面会の最中に、氣分が惡いというのでその場から引取つて隣室に行つて病氣になつた。これはうわさでしようけれども、私はこういうことを耳にいたしております。そういうようにいろいろの方々が出入りしておるだろうと私は想像いたします。あなたは一向存じないようでありますけれども、私の方にも多少知つていることがありまして、できるならばこの席において、記憶にあるだけのことを述べていただけば非常に参考になるんじやないかと思いまして、重ねて下澤さんにお伺いいたす次第であります。
#351
○下澤証人 お答えします。去年の五月二日に先生が倒れた日には私は知りませんでした。そのときは行つておりませんでした。翌日になつて自由党本部でだれかからおやじが倒れたということを聽いたので、その日にすぐ飛んで行つたのでありまして、だれと対談中倒れたかということは知らんのであります。
#352
○田中(健)委員 主人の枕頭におられるあなたが、倒れる前後の状況がわからないということは、主人を思うあなたを考えるときに、どうしてもこれは腑に落ちない。どんなことがあつたか、その前後の事情というものは聽きたいものであるし、よくわかつていなければならぬと思いますが、だれと対談中に倒れたといつたようなことを、どなたかからお伺いしたことはないのですか。
#353
○下澤証人 あります。対談中氣分が惡いとおつしやつて倒れたということは聽きましたが、だれであるかということは私は聽きませんでした。
#354
○田中(健)委員 質問を終ります。
#355
○武藤委員長 ほかにありませんか。――それでは済みました。どうも御苦労様。
    ―――――――――――――
#356
○武藤委員長 それでは尾關さんにお尋ねします。さつき申し上げました問題について、辻嘉六は檢事局においてこういうふうに申しております。「尾關は宇都宮市の弁護士で、本年四月の総選挙当時は自由党栃木縣支部長で、同選挙に衆議院議員候補者として立ち落選しました。同人とは政友会の森格時代から、今から二十年前よりの知合いで、赤坂田町にあつて日本化学産業株式会社の社長を私がやり、尾關がその顧問弁護士をしておるので、特に関係が深かつたわけです。尾關に対し本年三月下旬から四月上旬までの間、三回にわたり私方奧十一疊間で直接本人に対し五万円と三万円二口、合計十一万円を現金で渡しており、これは同人の選挙資金やその他支部の費用等が要ると言つて話があつたので、本人に対する政治資金としての趣旨でくれてやつたのです。」こういうふうに述べておるのでありますがこの通りでありますか。
#357
○尾関証人 大体合つておりますけれども、異なつた点が末端の話ですがあります。宇都宮の弁護士ではありません、東京弁護士会所属の弁護士であります。戰災に遭いまして立ち退いて、選挙当時宇都宮に在住しておりました。それからその当時栃木縣支部長であつたということも間違いない。しかし選挙費用並びに支部の費用として私から金を請求したことはございません。また二十年以上でございましよう私が森格の祕書をしておりましたその以前から、辻とは特殊な関係でありまして、会社その他の顧問をいたしますし、また会社関係の法律問題一切を、私の知つておる範囲では、ほとんど私がこれを引受けてやりました。そういう関係で、あれはいつでございましたか、昭和になりまして田町の辻の会社の顧問弁護士を私がしております当時、一室を事務所に借り受けたような関係で、ほとんど内輪の人間と同じように私的生活ではつき合つた。同時に私が病氣いたしましても、私の子供が病氣いたしましても、それはまことに恐縮するほどなる精神、物資両方面の厄介になりまして、非常に感激して引続きつき合いしてまいりました。一昨年の選挙当時に三回にわたり金を受取りましたことは事実でありますが、しかしあの人は私に対しては、都合さえよければこちらから申し出でなくても渡してくれる関係でもあり、またそういう人であつたので、選挙だから金を出してくれと言いそうなものでしたけれども、私が参りましたときに、初めはとにかくというので、いくらあるか知りませんでしたけれども、帰つてみてあとでわかつたことですが、五万円くれました。その後、日にちははつきり覚えておりませんけれども、その当時檢事局へ回答書を出しておきましたけれども、二回にわたつて三万円ずつもらつたのは事実であります。
#358
○武藤委員長 辻という人は、政界の表面には出ませんけれども、政界に隠然たる勢力をもつておつて、大きな発言権をもつている、どこということはないけれども、相当莫大な金をつくつてきて、必要に應じては、政党に金を出す、また選挙に際しても相当多額の金を多数の政治家に出してやるというようなことは、從來しておられる人でありますか。
#359
○尾関証人 私は政治は若くして志しましたけれども、政治上の関係においては、辻とはほとんど意見を鬪わしたり折衝したことはないのであります。ただ私的関係並びに訴訟事件、会社の関係について、内輪みたようにやつておりましたけれども、政治上の関係は――私には知り合います当時、その以道に知り合つたのでありますけれども、故人森格という私の師事する人間が居りました。見ようによれば、政治上の関係においては、私は意見を異にする場合もあつたのであります。多く政治上の関係に携つたことはないのであります。從つて隠然たる勢力を政治界にもつているということは――もつともそれは顏が廣いという意味なら格別でありますけれども、私はさようには思わない。ただ支那問題については、長らく支那に彼が行つておりました関係上、相当な造詣があるものと思いまして、その話は聽いて程度でありますけれども、政治的関係は、森格生在中が私の他の政客と折衝する最絶頂でありまして、その後は御承知の通り、大政翼賛会なり、あるいは大日本政治会等の関係で私は意見を異にして、微力ではありますけれども、昔のごとくには政党にも関係が薄くなつた。しかしその後も私は政治は志しておりますがゆえに、つとめて政治には興味をもちましたけれども、しかし隠然たる勢力をもつて、そして常に金を政治に志す人にやるというほどなことは、私の見た範囲ではないのであります。しかしあれば出す人だということは、私は思うのです。私に対する私的関係においても、まことに涙の出るようなことがあるのであります。ただ私に対する関係は、そういう古い内輪的の関係で今回が初めてではありません。たとえば戰災に遭えば、金額ははつきりしておりませんけれども、当時の金にすれば、相当な金を届けてくれます。永く患つて入院しておれば、百日近く入院しておりましたときも、見舞としてときどき使をよこして、常に物心両面において非常な好意を受けたことは事実でございます。しかし私ほどにしてもらつた人があるとは思いません。もつともあの人はそういうことを縦断的にやる人でして、ほかの人にこうしてやつた。ああしてやつたということを言わない人であります。私は耳にしていないのであります。
#360
○武藤委員長 何か委員諸君でお尋ねの方はありますか。
    〔「質問なし」と呼ぶ者あり〕
#361
○武藤委員長 それでは済みました、御苦労様でした。
#362
○河井委員 証人のお喚び出しを願いたいのであります。きのうからきようにかけまして辻嘉六氏から金をもらつた方々を三浦氏以下十名近くもお調べになつたと思います。それらの方は二万とか三万あるいは一万くらいな僅少な金を辻氏から、どういう所から出たという金の性質も知らずにもらわれた方々でありますが、もつと大きな金を辻氏と接近して関係にある人がもらつておられるのであります。その人は鳩山一郎氏であります。大阪地方檢察局の田中檢事の聽取書によりますと、辻嘉六氏が燒跡に家を建ててやろう、建築資金は全部辻から出してもらうということを鳩山氏は考えておる。この建物は二建階で七十坪、およそ七十万円くらいなものである。もちろんそれらの金が藤川、鹽月、中曽根から出たということは知らないが、そういう金を辻嘉六氏から出してもらつた。また第二には自由党の創立の際には辻から金が出た。第三には私の建築費用の内金として中曽根と関係のある例の鹽月、藤川氏から自分の建築を請負つておる内藤請負人に対して三十万円の金が出たということを内藤請負人から自分は聽いた。もつとも藤川らが鳩山氏に金を出しておくと、軍服の拂下もうまくいくというようなことを言つておるそうだが、そういうことは知らぬということが調書に出ておるのであります。こういう金について殊に先ほどの証人の白石錦太郎氏が言う証言によりましても、鳩山氏が辻氏宅に出入りする人を知つておるというような関係で、鳩山一郎氏は辻嘉六氏と相当親しい。そうして辻嘉六氏も、こういうふうな七十万円の自由党創立のときの金――金額は載つておりませんが、相当な金でありましよう。それから建築の内金として三十万円出しておる。百万円以上の金が辻嘉六氏から鳩山一郎氏に出ておるのであります。昨日來の二、三万円の金をもらつた人すら調べて本件の眞相を明確にしたいというのが本委員会の趣旨でありますので、この鳩山一郎氏をあすでもほかの証人と同時に、証人として当委員会でお調べを願いたいと思います。
#363
○高橋(英)委員 私は河井君の提案に反対します。反対しますと、自由党方面の議員だから、超党派的であるべき本委員会に対して覚臭をもちこむようなことに疑われるおそれがありますので、はなはだ発言いたしにくいのでありますけれども、大体当委員会の使命並びに現在將來における仕事の性質、また数量の上から言いましても、非常に重大なものがあるのであります。もつともこの委員会が生れました重要な原因は政界の粛正にあると思うのであります。むろん官界の粛正、経済界の粛正なんかも目標にされてはおりますけれども、大体において隠退藏物資摘発委員みたようなものが、不当財産取引調査特別委員会になりましたゆえんのものは、政界の淨化にあると思われるのでありますが、その点から言いますと、この鳩山一郎氏はすでに政界から隠退されている人であります。すでに政界人ではありません。追放によつて現在政界のみならず、社会的にさえも公的方面から隠退されている鳩山氏の邸宅の復興問題といいますか、建築問題のごときは、これは事情はわからないけれども、われわれの想像するところによると、辻氏が多年の親交の結論として、鳩山氏の窮状見るに忍びないとして個人的な友情のもとに援助したものだと想察されるのであります。政界人としての援助関係は少しもないと私どもは信じます。從つて政界淨化ということが重大な使命である本委員会としては、先ほど申し上げましたような、現在將來にわたつて主目的を達成するために、数量的から言つても、非常に重大な案件があるのであつて、先ほどから芦田総理大臣がおられたときも、そういう点について、人手が足りない、活動の余地がないというふうなことが言われているのでありますから、直接本委員会の使命と関連ないものを、興味本位というと語弊がありますけれども、そういうふうな意味において本委員会が力を入れることはどうかと思われるのであります。社会の各方面に対する粛正のメスを揮うべき当委員会でありますけれども、例示的に言えば、政界、官界、経済界ということになるのでありますから、その三つのうちの一つにも該当しない鳩山氏の邸宅の建築問題は大した問題はないと思うのであります。本日の白石証人の終戰前における、まだ政界人としての鳩山氏の在存中の辻氏との関係は、本委員会に現われております辻氏との関係、中曽根の関係、その他の関係とは全然関係がないのでありますから、こういう関連性の浅いものをこの委員会で重大視して、すでに政界から隠退された人を再びここへ喚問して取調べることは、人情においても妥当ではないと思う。人情なんと言うと、また語弊がありますけれども、とにかく私どもあらゆる方面から見てこれは適当でないと、超党派的に公正な立場から考えます。とにかく劇的効果をねらつた興味本位で当委員会の運営をやるような嫌いがあるように感ぜられたら、当委員会の権威にも関する。むろんそういうようなお氣持で発言せられたのでない、政界の淨化ということでやられたものと思いますけれども、私はそういう意味で反対いたします。
#364
○河井委員 ただいまの高橋君の御発言中に、私の発言が興味、劇的な考えでやつておるように言われましたが、それははなはだ不穏当な言葉だと思います。本件は中曽根の詐欺事件として現われておりますが、この奧には辻嘉六氏、またその奧には鳩山一郎氏が大きく背後にあるということは、その記録を読めばだれでも納得がいくことであります。わずかに一万や二万円の金をもらつた人を、この委員会に証人として喚び出しておるにもかかわらず、この大きい人を何がゆえに喚び出すことができないか、何がゆえにこれが劇的であり興味的であるか、私はぜひ鳩山氏を喚んでもらわなければ、本件の全貌を明らかにすることはできないと考えます。從つて政界の淨化というものは断じて行われないと考えます。
#365
○梶川委員 いろいろ御議論があるようでありますけれども、鳩山氏がこの問題に少くとも記録の上において名前が出ておる以上は、これは公平に見て喚ぶのが当然だと思います。先ほど高橋委員からお話がありました現在の政界淨化という面から考えますると、なるほどパージにかかつて引退しておられますけれども、本日も河野一郎氏がパージであるにもかかわらず、本件に関連ありとして召喚されておるのでありまして、これ等の点からみまして、やはり片手落のないように、公平に本委員会は裁かなければいけませんので、從つて少くとも本事件に名前の出ており、しかもそれに関連して多数の人の名が連ねられておるというちようど中心に当つておりますので、鳩山一郎氏をこの委員会に喚ぶということは、本問題を解決する上に、どうしても避けることのできない問題であり、しかも最もポイントに触れるところの問題であろうと思うのであります。從いまして本人が現在公職から追放せられておるとか、あるいは大した事業に携つていないとかいうようなことは問題でないのでありまして、本事件に占める部分というものが問題なのでありますから、この審理上ぜひとも河井委員から提案せられましたように、鳩山氏を喚問せられることを私も希望する次第であります。
#366
○高橋(英)委員 こまかい論爭をしようと思いませんけれども、今梶川君のお話の河野一郎氏と鳩山氏の場合は非常に違つて、河野一郎氏の場合は、現に当委員会の問題になつておる辻嘉六氏を通じて、中曽根に金を渡したか渡さないかという直接の関連者であり、証人者であるがゆえに喚問されたので、これは政界人であろうが、パージになつている人であろうが、外交人であろうが差支えないと私は思う。ただ鳩山氏は本件に関連されていることはほとんどないと思う。どういうぐあいに本件に関連されているか、先ほど白石証人が言われた程度のことは終戰前の問題であり、殊に家屋建築問題は、辻氏の手を通じた問題ではないというふうに私は今まで承つておりますが、中曽根から辻へ渡つて、辻から鳩山氏にその建築資金なるものが渡つているのかどうか、辻がやはりこれに関與しているのかどうか、その点もしはつきりしているようでありましたならば、私の理論も少しは変えていいと思いますけれども、そうでなかつたら、何ら私は関係がないと思いますがいかがですか。もし中曽根の金で鳩山氏の邸宅が建築せられたとか何とかいうことになつて、その問題を糾明しなければならないということになりますならば、これはまた別の案件として当委員会で取上げるべきものであつて、中曽根から辻を通じて二百五十万円ばらまかれたと称するところの案件には、直接関係がないから、從つて現在としては、これは証人として御喚問になるのはいかがかと存ずる次第であります。委員長の方で、鳩山一郎氏が何か辻氏を通じて建築資金との関連があるかどうかということの御説明ができれば、お願いしたいと思います。
#367
○石田(一)委員 これは理事として当然知つておかなければならないことでありますが、ある事情のために今日までおいでを願つた各証人の召喚のしかたは、鳩山氏を喚ぼうというただいまの御意見のように、この委員会を開いた公開の席上の委員会で、今日までの方を全部喚ぶかば喚ないかということを論議して決定したのかどうか、私は決して鳩山氏を証人として出頭を願うことに反対ではない、賛成でありますが、手続において、今までの人は四日の日にこの委員会並びに理事会を開きましたのちに、新聞記者諸君が、明日か明後日に喚ばれる証人の名前を事前に知らせてもらえないかという申込みがあつたときに、われわれ理事としては、それは当日になればわかることであるので、発表することはできぬと決定したはずであると思います。そういう点から、ぜひ今後とも手続は万全を期して、いやしくも当委員会における証人の手続においては、不公平のないように、万全を期さなければならないものだと思います。しかし私はその手続さえ了承できるならば、鳩山氏を証人として当委員会が喚ぶことには賛成であります。
#368
○武藤委員長 ほかに御意見ありませんか。それでは小澤証人を喚問します。小澤君に一言説明をしておきたいと思うのですが、御承知の通り中曽根幾太郎という男が、世耕情報に関連して軍服拂下を理由に詐欺をいたしました。約六百四十五万円の金を受取つておりまして、そのうち二百五十万円を辻嘉六に三回に亘つて渡している。辻はその受取つた二百五十万円を昨年の総選挙に際して、候補者三十九名に対して一万、二万、三万というふうに選挙費用として渡しております。当委員会は政界の淨化という建前から、この問題を取上げまして、眞実を明らかにするために、これに関係をもつておる人々を証人として喚問することになつたのです。それであなたも御出頭を願つたのですが、御承知の通り偽証の制裁がありますから、十分御注意の上で眞実を述べていただきたいと思います。
 それでは法律に從つて宣誓をしてください。立つて朗読してください。
    〔証人小澤佐重喜君宣誓〕
#369
○武藤委員長 辻嘉六氏は檢事局における檢事の取調べに対してこういうふうに述べております。
 「小澤は自由党結成以來の知合で現在岩手縣選出の衆議院議員で自由党所属です。去の四月上旬ごろ同人が私方に來て選挙費用をもらいたいというので、二万円渡しております。これも直接本人に私方奧十一疊間で渡してあるのです。」こういうふうに述べておるようですが、この通りでありますか。
#370
○小澤証人 二万円をいわゆる選挙の陣中見舞としてもらつたことは間違いありません。しかしその日時並びに知合関係などということは違います。すなわち日時は三月三十一日である。それから知合なんということは、自由党結成当時は全然僕は知らない。それは一昨年の五月か六月、井上卓一という前代議士があつたのでありますが、この人が選挙法違反か何かで非常に困つておつて、僕が友人なものだから、その人にいろいろ選挙違反の問題で相談に乘つてやつた。ところが井上君は、実は自分は辻君という人に御やつかいになつているから、君の意見を述べてくれないかということで、一回会つただけであります。しかしそのときは僕が主でなく、井上君が主であつたから、よく覚えていなかつたように思う。二度目に会つたときによくわかつた。
#371
○武藤委員長 辻という人の政界においてどういう存在であるか、また辻と自由党とはどういう関係があるか御存じですか。
#372
○小澤証人 これは自信をもつては申し上げられませんが、とにかく自由党の先輩諸君と相当知己の間にあるということは想像できる。
#373
○武藤委員長 こんなふうにはお考えになりませんか。辻は政界の表面には出ないけれども、政界に隠然たる勢力をもつておつて、大きな発言権をもつておる。どこからということはないけれども、相当莫大な金をつくつてきて必要に應じては政党に金を出し、また選挙に際しては相当対数の政治家候補者に選挙費用というようなものを與えておるというわけで、辻氏の恩顧に與かつた政治家に対する影響力というものは、相当大きいものだということは考えられておるのですが、あなたもそういうふうにお考えになりますか。
#374
○小澤証人 そういううわさを聞いたこともありますし、あるいはそうではないかしらんというようなことも考えないわけではないが、今ここで宣誓をしてそうであるという確信はもちません。
#375
○武藤委員長 辻から受取つた金は全部選挙にお使いになりましたか。
#376
○小澤証人 実は三十一日に会つて、その金というと語弊があるけれども、自分は去年は選挙法のために三十一日までずつとこちらにおつた。從つてすでに選挙に関する金は事務長と家内を呼んで、一切準備をさせておつたから、その金は全部もつていかない。しかしどういうことで使つたかという意味はよくわからぬけれども、現実にもらつた金は使わない。差引その分から拂つたことはあるかもしれぬけれども……。
#377
○武藤委員長 何か委員諸君においてお尋ねになることはありませんか。
    〔「なし」と呼ぶ者あり〕
#378
○武藤委員長 それでは済みました。
#379
○小澤証人 もう一つ私として委員長並びに委員諸君にお願いし、あるいは御了解を得たいことがあるのですが、私も法律家でありますから、多少この問題について……。
#380
○武藤委員長 御意見等につきましては……。
#381
○小澤証人 意見じやない。
#382
○武藤委員長 たいへん証人も立込んでおりますので、もし必要がありますれば理事会が決定の後に最後に述べていただきたい。何か事実関係について附け加えること、あるいは間違つておるとかいうことがありますれば承りますが、それ以外のことでありましたらあとで願いたい。
#383
○小澤証人 もらつた動機については触れていないが、それはどうするのですか。
#384
○武藤委員長 それだけならばお述べください。
#385
○小澤証人 私は御承知の通り前運輸大臣の平塚さんの祕書官をしておつたのです。ところが御承知の通り平塚さんは二月一日か二日によしまして、もちろん私は祕書官をよして、去年の三月三十日だと考えておりますが、平塚運輸大臣が廊下に來て、実は君に非常に働いてもらつたから何とか陣中見舞を心配してやらうと思つたが、あいにく自分はないので、河野のところに頼んであるから、ぜひ河野のところに行つてみてくれないかという話があつたのです。しかし私自手もあの当時忙しくてとても行けなかつた。ところが三十一日になつて河野氏の使いから電話があつて、來てくれというので行きましたら、自分は今金がない。牛込の辻嘉六氏のところにもらいに行つてくれないかという話であつた。ところが辻さんは今申した通り向うで知つているか、知らないか、一回お目にかかつただけだから、私も行くのはいやだと言つたところが、自分は三十一日の二時ごろ行つてみるから、僕を尋ねて來てくれないか、場所はこういうところだというので僕が行つたんです。そうしたら今のあの人がいる前で、ああ小澤君というのはこの君か、これは少しだけれども陣中見舞だというのでもらつてすく私は帰つた。選挙が済んでから挨拶に行つたところが比氣で会えなかつた。その後一回も自分は合つていない。これだけの事情であります。
#386
○田中(健)委員 今の小澤君の証言を聽いておりますと、河野氏というのは河野一郎氏ですか。
#387
○小澤証人 そうです。
#388
○田中(健)委員 河野氏が使いの者をよこして、辻嘉六氏から金を出させるために行為を行つておるということが小澤証人の証言中にありますが、この点は先ほどの河野証人の全面的な否定と多少の食違いがあると思う。この点河野証人を再喚問して、あらためて質してみたいと思いますが、場合によつては小澤証人は退席さしても結構であります。
#389
○梶川委員 小澤証人にお伺いしたいのですが、平塚運輸大臣がやめられたときは、パージになつてやめられたのですか。
#390
○小澤証人 パージになりましたけれども、あの当時の規定においては、議員の任期中はその職にあつても構わないということで、運輸大臣はやめたけれども、衆議院議員だつたのです。
#391
○梶川委員 平塚運輸大臣から、祕書官をやつておつた御苦労だつた、選挙が近いから何とかしてやりたいがというので、初めは平塚さんのところへ行かれたのですか。
#392
○小澤証人 今の控室の廊下の外の呼び出されて、あしたいよいよ解散になる。三十日の日です。三月三十一日の解散日はきまつておつた。あした解散になる。しつ君は田舎に帰る、すぐ帰る。こう言つた。ぼくが心配してやりたいと思うが心配してやれないから、そのことについては河野一郎に話しておく。河野一郎に会つてくれないかという話です。
#393
○梶川委員 そうすると河野氏と平塚さんとの間は相当親密の間柄と見て差支えないですか。
#394
○小澤証人 それはそうでしようね。副社長と社長だから。
#395
○梶川委員 次に平塚さんからの紹介で、河野さんにあなたがお会いになつたわけですね。
#396
○小澤証人 河野さんはよく知つております。幹事長をしておつたから。
#397
○梶川委員 あなたは平塚さんからそういう話があつたので河野さんのところに行つて、平塚さんから話があつたが、選挙費用を少し心配してもらえないか。こういうお話なんですか。
#398
○小澤証人 そんなことは全然言わない。つまり平塚さんが、河野が心配しておるわけだから、河野のところへ行けというのです。私は頼んだのでも何でもない。平塚さんの好意です。自分がこしらえようと思つたが、できなかつたから河野へ頼んでおいた。河野が何とかする。だから君河野の家に行つてくれないか、私は忙しかつたので行かなかつたら、河野の使いのもと自由党の女事務員をしておつた松永という方から、ぜひ寄つてくれという話であつたから、私は改るまぎわに寄つた。そうすると河野さんは、自分も金はないが、実は牛込の辻のところへ行つてくれないか、私は辻氏に一遍しか会つたことがなくて知らない。おそらく向うでは私を知らないと思うから、私一人が行つてもしようがないと言つたのです。それじやおれが三十一日の二時ごろ行つておるから、ぜひ來てくれないか。私は河野さんを訪ねていつたのです。そうしたら河野さんがおつて、辻さんが言うには、小澤というのは君か、そういう話をして、二万円放り出して、わずかだかと言つた。
#399
○梶川委員 そこで私がお聽きしたいのは、河野さんは辻さんのところへ非常に親しくよく出入りしたと了解して差支えないですね。
#400
○小澤証人 そうでしようね。私は出入りしたのを一遍しか知らないけれども。
#401
○梶川委員 もう一つあなたにお伺いしたいが、河野さんに会われたのは去年の三月ですね。
#402
○小澤証人 三月三十一日です。
#403
○梶川委員 三十一日ですか。
#404
○小澤証人 日まで覚えでおります。
#405
○梶川委員 それ以外にあなたが河川さんに会つたことはありませんか。
#406
○小澤証人 それは幹事長をしておつたときには……。
#407
○梶川委員 追放になつた以後会つたことはありませんか。
#408
○小澤証人 会つたことはありません。
#409
○武藤委員長 御苦労さまでした。
    ―――――――――――――
#410
○武藤委員長 これで本日出頭された証人の喚問は終りました。なほ本日喚問をすることになつておりました衆議院議員倉石忠雄君、参議院議員淺岡信夫君からは、いずれも差支えのため出頭ができない旨の欠席届が提出されております。これを了承し、追つて日時を定めて喚び出すことに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#411
○武藤委員長 ほかに何かございませんか。今の河井君の要求にかかる鳩山一郎を証人として喚問する件を決定いたしましよう。
#412
○田中(角)委員 この問題は理事会に移していただきたい。
#413
○武藤委員長 それではこの問題は理事会でいたしましよう。それで本日不出頭の証人その他と併せてもし喚問するようでありましたら日をきめることにいたしませう。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後五時四十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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