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1951/03/07 第13回国会 参議院 参議院会議録情報 第013回国会 議院運営委員会 第22号
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1951/03/07 第13回国会 参議院

参議院会議録情報 第013回国会 議院運営委員会 第22号

#1
第013回国会 議院運営委員会 第22号
昭和二十七年三月七日(金曜日)
   午後三時三十九分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
本日委員古池信三君辞任につき、その
補欠として團伊能君を議長において指
名した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     川村 松助君
   理事
           木村 守江君
           赤木 正雄君
          小笠原二三男君
   委員
           石川 榮一君
           草葉 隆圓君
           郡  祐一君
           團  伊能君
           寺尾  豊君
           安井  謙君
           高橋 道男君
           菊川 孝夫君
           中村 正雄君
           大隈 信幸君
           矢嶋 三義君
           堀  眞琴君
           兼岩 傳一君
  委員外議員
           千田  正君
           岩木 哲夫君
  ―――――――――――――
   副議長     三木 治朗君
  ―――――――――――――
  国務大臣
   国 務 大 臣 岡崎 勝男君
  事務局側
   事 務 総 長 近藤 英明君
   参     事
   (事務次長)  芥川  治君
   参     事
   (記録部長)  小野寺五一君
   参     事
   (議事部長)  河野 義克君
   参     事
   (委員部長)  宮坂 完孝君
  法制局側
   法 制 局 長 奧野 健一君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○委員の辞任及び補欠選任の件
○防衛力漸増問題に関する緊急質問の
 件
○漁業問題に関する緊急質問の件
○議員派遣に関する件
○日米間安全保障條約第三條の規定に
 基く行政協定に関する件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(川村松助君) 会議を開きます。
 常任委員の辞任及び補欠に関する件。
#3
○参事(河野義克君) 自由党から議院運営委員の古池信三君、決算委員の團伊能君、予算委員の平岡市三君、同じく宮本邦彦君がそれぞれ辞任せられて、議院運営委員に團伊能君、決算委員に古池信三君、予算委員に大島定吉君、同じく長島銀藏君をそれぞれ後任として指名せられたい旨申出がありました。緑風会から地方行政委員館哲二君、農林委員三浦辰雄君がそれぞれ辞任せられて、地方行政委員に三浦辰雄君、農林委員に館哲二君をそれぞれ指名せられたいという申出が出ております。社会党第四控室から、郵政委員の和田博雄君、内閣委員の成瀬幡治君がそれぞれ辞任せられ、郵政委員に成瀬幡治君、内閣委員に和田博雄君をそれぞれ後任として指名せられたいという申出が出ております。民主クラブから農林委員の鈴木強平君、文部委員の木内キヤウ君がそれぞれ辞任せられて農林委員に木内キヤウ君、文部委員に鈴木強平君を後任として指名せられたいというお申出が出ております。
#4
○委員長(川村松助君) 常任委員の辞任及び補欠に関して只今議事部長から御報告のありましたように承認することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(川村松助君) 御異議がなければさよう決定いたします。
  ―――――――――――――
#6
○委員長(川村松助君) 次に緊急質問に関する件をお諮りいたします。
#7
○事務総長(近藤英明君) 緊急質問のお申出が二件ございます。その一つは、第一クラブの羽仁五郎君でございまして、防衛力漸増問題に関する緊急質問、所要時間三十分、要求大臣は総理大臣。いま一点は、社会党第二控室の松浦清一君からで漁業問題に関する緊急質問、所要時間十五分、要求大臣は総理大臣、大蔵大臣、農林大臣の三大臣でございます。以上二件の緊急質問の申出がございます。それからなおちよつと申上げますが、羽仁五郎君のは行政協定の問題に関する政府の御説明のあつた前から出ておりました問題でございますので、一言申添えておきます。
#8
○小笠原二三男君 念のために伺つておきますが、羽仁君の緊急質問の内容の意図するところはどういうところでしようか、それから松浦君の場合ならば漁業問題という一般的なもので特に問題とするのは何でしようか、ちよつとお聞きいたします。
#9
○委員外議員(千田正君) 内容の詳細な検討はわかりませんけれども、羽仁君からの意図するところは先般の質問について時間も十分でなかつたので足りない点と、更に総理からの御答弁においても十分納得が行かない点があるので、改めてその点について質問をしたいというように私は聞いております。
#10
○中村正雄君 松浦君の漁業問題に関する緊急質問は昨日の新聞に出ておりましたカニ工船の出漁に関する件であります。
#11
○委員長(川村松助君) 時間は三十分と十分になつていますが。
#12
○安井謙君 羽仁さんの行政協定に関する質問というお話でございますが、これはこの前の本会議で総括的に質問をやつたわけなんです。従つて若し更に細部に亘つての御質問であるならば、一つ委員会にお委かせ願うのがこれは普通であろうと思うのです。
#13
○中村正雄君 安井君の発言は一応御尤もでありますが、今までの緊急質問の一応の慣例としては出たものは大体認める。従つてそれじや困るからというのでこの前小笠原君から発言があつて緊急質問に関する今後の取扱をどうするかということが理事会の懸案になつて、その後理事会は開かれておりませんし、結論が出ておらないのでありまして今の状態であれば認めるより以外に私は方法はないのじやないかと思いますので賛成します。
#14
○堀眞琴君 安井君のお話もありますか、緊急質問の題名は防衛力漸増、こう出ております。そうしますと行政協定に関係がありましようけど、安保條約、それから平和條約にも関係があり、憲法第九條にも関係がある問題じやないかと思います。国民はこの問題について非常に関心を持つておる。安井さんのお話によると、総括的な行政協定に対する質問のときに質問があつたからそれで十分じやないかというお話ですが、併し御承知のように総理大臣はこの間ほんの簡單な答弁をされただけで、あとは岡崎国務大臣、木村法務総裁等からそれぞれ答弁がありましたが、併し必ずしも十分な答弁ではなかつたと思うのです。従つて私はこの緊急質問に賛成します。殊に重要な法案がたくさん本会議に上程されるというような段階でありますと、一応考慮するということもありましようけれども、重要な法案も出ておりませんし、羽仁君の緊急質問は是非通して頂きたいと思います。
#15
○郡祐一君 私は安井君と同意見でありまして行政協定はすでにあれだけ時間を費やして議論し、その間に当然羽仁君の緊急質問の内容として言われるようなことも盛込まれており、又千田さん、堀さんの御意見によると答弁が不十分だと言われるが、これが答弁が不十分か満足かということは別としまして、本会議においてすでに論ずる機会があつたものを……緊急質問についての原則論をきめるとか、一つの標準をきめるということは結構でありますけれども、仮に標準がありませんでも緊急質問という性格から考えて、羽仁君の緊急質問として防衛力漸増について重ねて討論することは、私はその緊急性と申しますか、これを取上げる理由はないと思います。
#16
○中村正雄君 郡君のおつしやることは一応理由が立つかも知れませんが、昨日も総理からああいう答弁なんかあつて、又非常に問題も出ておるわけなので、緊急性がないとは断言できない。ただ参議院の議運では、郡君は御承知ないのじやないかと思いますが、緊急性の有無というものは各派において認めるということで、緊急性の有無についての認定権は各会派に自主的に移譲すると、こういう方針の下にやつて参つたわけです。従つてこの方針を今後一遍再検討しようじやないかと小笠原君から御提案があつて、理事会は一遍開かれただけで、あとは委員長は理事会を開く気配もない。従つてそういう方針を再検討して新たな方針が立たない限りにおいては、ここで一応一つの会派が緊急性ありとして出したものを緊急性がないとは言えない。従つて一応これを認めて、但しそういう御意見がありましたら早急に緊急質問の取扱についての再検討をやつてもらつたらいいと私は思います。時間を取る関係上、できるだけ早く認めてもらいたいと思います。
#17
○安井謙君 それは確かに緊急性の問題、緊急質問の取扱の方針の問題は御尤もだと思います。時間を取るという関係から議論を余りしたくないというのもよくわかるのであります。併し緊急性のある質問でも留保になつた例もたくさんあります。或いは又情勢の変化で撤回になつたこともたくさんあるのでありまして、今のように一定の常識から考えて枠外に理屈をつけて出て行くということになれば、これは無限に出ても仕方がないと思う。そこでこれは一つ中をとつて……、枠をはめるという問題は今後の問題としたら一つどうでしようか。
#18
○小笠原二三男君 羽仁君の緊急質問は、行政協定に関する報告を受ける前から出ておる緊急質問でありまして、内容としましては行政協定に関しての総括質問において十分な答弁を期待した点もあつたろうと思います。それは便宜上緊急質問を省略してもいいという観点に立つておつたろうと思うのですが、やはり既定方針通り緊急質問を行いたいという必要があつて今日まで撤回にならない限り、行政協定の総括質問があつたから云々というようなことは、お互いの立場で言われることであつて、この質問権を否定することは従来の慣例においてもあり得ないことだし、議連としてこれは形式上整備されておりますから承認するよりほか途はないことと考えます。よつてこれ以上の論議は省略いたしまして従来通り承認いたしまして、根本的な問題は私が発言しておりましたように、それこそ緊急に一つ取極めを願つておきたいと、重ねてこの問題については、これ以上の論議はまあ適当にやつて頂きたいと私は思います。
#19
○安井謙君 保留せられて御再考あらんことをお願いいたします。
#20
○矢嶋三義君 羽仁君は私のところの会派の者ですが、先般行政協定の報告があり、その質問が行われるときに、今出ておる緊急質問をどうして下さるかという私の質問に対して小笠原君は、その緊急質問は別個に考えるんだということでまあ済んだわけです。それで私のほうとしては、本人とも連絡をとりまして、でき得べくんば行政協定の一般質問並びに首相並びに国務大臣の答弁によつて緊急質問を繰返したくないと、こういう気持でおつたのでありますが、総理の答弁も終了し、その後本人は是非とも緊急質問したいと、こういう要望をしておりました。昨日来の予算委員会あたりの質疑応答を何しまして、いよいよ前から通告してあつた緊急質問を是非ともやりたいという本人の切望でございますので、まあこの際是非お認め下さいますように切望します。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
#21
○委員長(川村松助君) 緊急質問に関しましては事務総長の報告しました通りに承認することに御異議ありませんか。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
#22
○安井謙君 異議あり、保留して頂きたいと思います。
#23
○中村正雄君 安井君に申上げますが、保留とおつしやいますが、今までの例では保留ということもありましたが、これは出しました会派が取下げる場合、或いは保留に同意した場合においてはあつたけれども、多数決などによつて保留とか取下げをやつたことはないわけです。一応今までの例によつてやつて頂いて今後のことを早くきめて頂きたいということなんです。(「正論」「然り」と呼ぶ者あり)
#24
○安井謙君 この前の共産党の緊急質問が、採決によつてやつたということがありました。これも議論をすれば今のようなお話で時間を食います。それで多数決になります。
#25
○小笠原二三男君 この間の米人何がしという共産党の緊急質問をやりたいということでありまするが、これは私からも共産党に懇談申上げて、共産党においても了解せられましたために、委員長においては異議ございませんかと諮つて異議ないといつてきまつたわけです。それに対して共産党は反対であるという態度は表明しなかつたのです。これはやはりそれならそれでもいいのであつて、安井君の言うようなことを今後の原則にする、そうして今後の各会派の緊急質問というものを議運の多数決の決定によつて許可し或いは否定するという、そういう原則で行くということならいいのですけれども、そうでなくて事と場合によつてですね、こうしたい、ああしたいということであつては、やつぱり従来扱つて来た緊急質問の性格の上からいつて、これは公正を失すると考える。そういう根本的なことはですね、懸案になつていることなんですから、これは一応懸案事項としてやるということにして頂きたい。(「異議なし」と呼ぶ者あり)例えばこういう問題について仮に自由党のほうの御出席が多い。ところが他の会派は緊急質問は許してよいのだと思つておつても数が少い。そうして多数決でこれはあなた方の思うように仮になつたと、こういうことになつたところでですね。それは議院の運営からいつて私は不都合だと思うのです。おのおの緑風会でも、改進党でも、民主クラブでも、うちの会派でも、緊急質問はそれは出す場合があるのですから、それを他会派から拘束を受け、或いは否定せられるというようなことは、論理的にもこれはいろいろ問題がある。種々起つて来るのです。従つてその会派が撤回なり、保留なりを懇談し、懇請せられた場合に事情やむなく自主的にそういうことをなさるならばともかく、是非やつて欲しいということを、我々はそういうことを否定する、或いは賛成だという、そういうような採決に参加することはできないということを言うなら、今後のことにして下さい。(「そうそう」「進行々々」と呼ぶ者あり)
#26
○安井謙君 自由党で時間を取つて恐縮です。ベテランの小笠原、中村両君から正論を吐かれて……、
#27
○小笠原二三男君 正論に聞えるでしよう。
#28
○安井謙君 正論のように吐かれるので……、共産党のときだつてあれは採決したのです。最初は……。二回目のときはうやむやで流れたのです。事と次第によつて今のような建前をおとりになるなら、要求があればどんなことでも通さなければならなくなる。これでは非常に困ると思う。これは常識の一応の枠というものがある。それにはこないだ総括質問をやつたばかりだから、更に一つ委員会でやるなり、或いはもう少し時期を考えてやるということを改めて皆さんにお願いしたい。甚だ心苦しいのですが。
#29
○堀眞琴君 安井君の御意見でもあれですが、安井君、どうなんです。本会議に重要法案が山積しておつて、緊急質問によつて法案の上程が遅れるとか、審議が遅れるとかいうような二とがあれば、これは考慮することも必要になつて来ると思う。ところがそういうこともないのです。そういうこともないし、それから緊急性があるかないかという性格の問題は別といたしましても、とにかく羽仁君にしてみれば、この間の政府側の答弁も必ずしも十分ではなかつたわけですね。而もあなたは、十分答弁されておる、そこで十分討論もする機会もあつたというお話ですが、十分討論する機会はなかつた、時間が二十分に限られておつて討論することもできないのです。ですから、ここは原則が確立するまでは一応緊急質問を従前通りに認めるということにしたらどうですか。
#30
○安井謙君 不本意ですが、多数の会派がそういう御意向ならば私はあえて採決をとるということの動議は撤回いたします。
#31
○委員長(川村松助君) 緊急質問に関する件は事務総長の報告通り承認することに決定いたします。
  ―――――――――――――
#32
○委員長(川村松助君) 次に国際捕鯨委員会委員任命につき本院の議決を求める件であります。これは……(「保留にして下さい」と呼ぶ者あり)小滝彬君を任命する件であります。御異議ございませんか。
#33
○赤木正雄君 これは保留に願いたい。
#34
○委員長(川村松助君) 御異議がなければさよう決定します。
  ―――――――――――――
#35
○委員長(川村松助君) 次に外国為替管理委員会委員長任命につき本院の同意を求めるの件……。
   〔「保留」と呼ぶ者あり〕
#36
○委員長(川村松助君) それでは保留にいたします。
  ―――――――――――――
#37
○委員長(川村松助君) 次に中村君から要望のありました委員長要求の議員派遣の取扱いに関する基準を論議する件であります。
#38
○小笠原二三男君 再三中村君の発言に対しては、私もそういう発言の出る理由についてはその通りであるということを申上げた。ただ、今日はやはり中村君の発言による昨日からの懸案について政府関係者も出席せられる用意ができておるようでありますし、時間も相当経過しておりますから、先ほどの緊急質問の原則取極めの問題と合せて緊急に理事会を招集して懇談して結論を得るように扱うということで中村君如何ですか。
#39
○中村正雄君 結構です。
#40
○委員長(川村松助君) それではごの事案は緊急質問の件と一緒に取上げまして理事会において審議するように取計います。
  ―――――――――――――
#41
○委員長(川村松助君) 次に行政協定に関する件……。
#42
○中村正雄君 質問に入る前に昨日保利官房長官にお願いして、内閣で意見の統一をやつてもらいたいということを言つたわけですが、昨日の運営委員会におきまする保利官房長官の答弁その他速記につきまして内閣は検討せられたかどうかそれを先に伺います。
#43
○国務大臣(岡崎勝男君) 私は、本日は内閣を代表して出て来いというお話でありますから、そのつもりで出て参りました。つまり内閣の内部の意見は統一したものがありましてそれを言いに参りました。
#44
○中村正雄君 私のお尋ねしますのは、昨日も官房長官は内閣の意見はこうであると言つて代表して答弁なさつたわけでありますが、その代表答弁がちよつと我々考えますると、いろいろな委員会の答弁を総合しまして違つておるように思いましたので、昨日の官房長官の答弁を速記録で十分御検討願つて、昨日の答弁が違つておるかどうかということをお尋ねしたいというのが、本日岡崎さんにお越し願つた趣旨であるのでありますので、昨日の速記録を御検討になつたかどうか。又昨日の官房長官の答弁が内閣の答弁として間違いないかどうか。そのことを先に念を押さなければ質問に入れないと思うのでその点をお尋ねしておるわけなんです。
#45
○国務大臣(岡崎勝男君) 官房長官の答弁は、勿論答弁としては正確であります。正確でありまするが答弁と申すものは、どうしても各方面から、そのもの自身は正確でも、もつとほかに附加えるものがあるかも知れないし、そういう場合もありますけれども、官房長官の言つたこと自身は正確であります。
#46
○中村正雄君 そうしますと、昨日の運営委員会の速記のうちの要点だけもう一度確認願いたいと思うのですが、私のお尋ねしました点は、行政協定が国会の承認を要しないという理由として、行政協定は憲法第七十三條にいうところの條約ではない、こういう答弁を再三再四なさつておるわけなんであります。私はその答弁は衆議院におきまずる内閣の答弁と食い違つておる。従つて間違いじやないか。特に大橋国務大臣の名前まで挙げて質問したわけでありますが、大橋国務大臣はどういうふうに答弁したか知らないけれども、内閣としては行政協定は七十三條に言う條約ではないということを再三再四繰返して答弁になつておることは、速記録に明らかなことであります。従つてこの官房長官の答弁が間違いないかどうか念を押したいと思います。
#47
○国務大臣(岡崎勝男君) 大橋国務大臣、その当時大橋法務総裁の答弁を調べました上で私はここに伺つたわけであります。併しながら結論を言えば官房長官の言われたように、憲法第七十三條に言う條約ではないという官房長官の説明は、政府としては正しいと思います。
#48
○中村正雄君 そうしますと大橋国務大臣が衆議院におきまして池田委員の質問に対しまして、こういう答弁が速記に載つております。「行政協定は、国家間において法的拘束力を持つ文書による合意を意味するところの、広義の條約に該当することは申すまでもございません。すなわち憲法第七十三條の條約というものに当然含まれておる、」こう言つております。又羽仁五郎君の、これは当院の外務委員会の答弁でありますが、大橋国務大臣が、国会の承認を必要とする條約であると心得ておりまするが、併し国会の承認は、安保條約においてすでに承認せられておりますから、必要がないと考えます。こう言つております。従つて大橋国務大臣の答弁は、行政協定は憲法七十三條に言うところの條約ではあるけれども、安保條約によつてすでに承認をもらつているから、改めて承認をもらう必要はない、こういうことをはつきりおつしやつています。ところが昨日の官房長官は、行政協定は憲法七十三條に言うところの條約ではないということを再三再四繰返し言つております。従つてどちらが政府の統一ある解釈か、お伺いしたいと思います。
#49
○国務大臣(岡崎勝男君) 官房長官の言う意味は私も確かめましたが、憲法七十三條に言う條約というのは、国会の承認を得べき條約という意味で言つておるのであります。行政協定は、若し安全保障條約がなければ、憲法七十三條によりて国会の承認を得べき條約でありまするけれども、安全保障條約が取極められましたによつて行政協定は憲法七十三條によつて承認を得べき種類の條約でない、こういう意味であります。
#50
○中村正雄君 只今の岡崎国務大臣の答弁は、昨日の保利国務大臣の趣旨を聞かれての話と思いますが、速記をお読みになりた答弁だと解釈していいわけですか。それとも昨日の国務大臣の速記にはそういうふうに載つておるかどうか確認願つておりますか。もう一度お伺いします。
#51
○国務大臣(岡崎勝男君) 昨日は速記はまだ間に合いませんでした。それで保利官房長官が正確に答弁を述べられまして、それに基いた知識であります。
#52
○中村正雄君 昨日の速記につきまして私も確認したわけでありますが、私は四回ほど確認いたしております。行政協定は憲法七十三條に言う條約ではない、こういう解釈が間違いないかということを言つておりまして、そのあとで併し衆議院においてはこういう答弁があるから食い違つているのではないか。従つて明日の運営委員会でこの速記を御検討の上、違つていれば取消し願いたいということまで重ねて言つておるのは、速記にも載つておりますし、今日おいでになつている自由党の委員諸君も十分御記憶だと思う。従つて日本の憲法には、七十三條にしか條約は載つておりません。七十三條の以外の條約は関係ないわけです。従つて私はそのときに重ねて言いました点は、この行政協定が国会の承認を得る必要がないという理由は二つあると思う。一つは七十三條に言う條約ではないから必要がないという考え方と、七十三條にいう憲法に言う條約ではあるけれども、安保條約によつてすでに包括的な承認を得ておるから、再び承認は要らないという二つの解釈がある。官房長官いずれをおとりになるか。今までの御答弁によれば、條約でないから要らないということを再三再四確認なさつておるが、これで間違いないか。大橋国務大臣の答弁と違うのではないかと言つたときに、大橋国務大臣の答弁はどうか知りませんが、内閣の答弁は私のお答えした通りでありますと、はつきりと條約でないから要らない、こう解釈をおとりになつている。従つて私はこれは内閣の方針と違うのではないか、従つてもう一度速記録をよく調べて、間違つておるのであれば改めて昨日のは違つておるからこうだということを答弁願いたい、こう言つて、極端な言葉ですが、もつとわかる人を出してもらいたいと言つて、今日岡崎国務大臣がおいでになつたわけです。従つて今私が申上げておることが事実であるとするならば、どういうふうにお考えになるか御答弁願いたい。
#53
○国務大臣(岡崎勝男君) 私が先ほど申した通り、これは昨日相談を受けたものでありましてこのときは速記は間に合わなかつたので、そのままになつておりましたが、保利官房長官の説明によれば、保利官房長官は憲法七十三條の條約というのではない。というのは、憲法第七十三條にある国会の承認を得べき條約ではない、こういう意味を言つたのだというふうに了解しております。
#54
○中村正雄君 私の申上げるのは、速記を岡崎国務大臣お読みになつておらないからわからないわけですが、従つて今政府の考えておるのは、行政協定が国会の承認が必要ではないというのは、條約ではないから必要がないというのじやなくて、安保條約の第三條によつてすでに承認を得ておるから必要がないのだ、こういうふうな解釈をおとりになつておるものと承わるわけですが、それで間違いないのですか。
#55
○国務大臣(岡崎勝男君) その通りです。
#56
○中村正雄君 そうなりますると、ほかの委員のかたもお聞きと思いますが、今岡崎さんの答弁と昨日の保利官房長官の答弁とは根本的に食い違つておると思います。併しここに僕は速記を持つておりませんから改めて速記ができましてからこの点につきましてはお尋ねしたいと思います。従つて今岡崎さんのおつしやることが政府の統一せる解釈である。言い換えれば行政協定は国会の承認を必要でないという理由は、條約でないからというのではなくして、憲法に言う條約ではあるけれども、安保條約第三條によつてすでに承認を得ているから必要でない、これが政府の統一せる解釈だ、こういうふうに承わつて質問を私展開して行きたいと思います。そうでありますならば、行政協定の性質はどういうものであるか、お伺いしたいと思います。
#57
○国務大臣(岡崎勝男君) 行政協定という言葉については国際法で正確な定義は下されておりません。併し概念的に各方面で、というのは各国で慣行的に使われている意味は、政府間で取極め得る條約といいますか、協定といいますか、そういう種類の国際約定というふうにとられていると思います。
#58
○中村正雄君 そういたしますると行政協定でも憲法に言うところの條約ではあるけれども、若し安保條約がなければ、今後行政協定という名前で條約を締結しても、それはすべて国会の承認を得るべきものだと、こういうふうに解釈して間違いありませんか。
#59
○国務大臣(岡崎勝男君) その通りであります。
#60
○中村正雄君 そうしますと、行政協定で締結し得る内容は行政権の範囲内のものというふうにお考えになつておりますか、どうですか。
#61
○国務大臣(岡崎勝男君) その通りであります。
#62
○中村正雄君 そうしますると、今締結されておりまする行政協定の内容に入ることは差控えますが、一応要点だけは言わなければ質問は展開できないと思いますから言いますが、行政協定の内容には行政権の範囲外のものも相当含まれております。例えば裁判管轄権は行政権の範囲内ではありません。又非常事態の場合におきまする国内防衛力の移動等も……行政権の範囲外のものも相当含まれております。そういたしますと、今岡崎国務大臣のおつしやつておる、行政権の範囲内だとおつしやいますけれども、現在締結されております行政協定は行政権の範囲外のもので、国会の立法権に関するものも相当含まれておるわけで、そういたしますと安保條約第三條において委任した委任外のものを締結したわけであつて、これは違憲になると解釈されますが、この点は如何ですか。
#63
○国務大臣(岡崎勝男君) これは行政協定という名前は誤解を招きますが、これは行政協定という言葉を使つておる国もあり、使つておらない国もあるのでありますが、要するに国際的の約定であります。それでこれが国会の承認を得なくて結び得るというのは、政府限りで結び得る、こういうことでありますから、それは政府で、言葉は惡いのですが、一種の委任をされて結ぶことになります。そこでこれは今度はちよつと国内と離れて国際慣行になりますが、外国の軍隊が他国に駐屯するという例は非常にたくさんあります。従つて外国の軍隊が他国に駐屯するときのその配備の條件を定める協定というものも過去現在たくさんの例があります。従つて国際慣行としては一国の軍隊が他国に駐屯する場合には、如何なるものがその配備の條件であるかということはほぼ慣行が一致しております。そうしてその慣行によつては各国政府が配備の條件を定める協定をいたしております。ただ国内法で或る場合にはそれが立法措置を必要とする国もあり、立法措置をしないでできると認められておる国もあります。フランスのごときは立法措置をしないでできると認められておるようであります。そこでその場合には国内法の手続で、立法措置を必要とするものは当然立法措置をしなければいけないのでありますが、特にそういう場合には留保をする條項を協定に入れる場合もあり、入れない場合もありますが、国際慣行及び、国際法学者の一般に認めておるところでは、立法権に関する問題があるのは当然であり、これを国内の手続で必要な措置を必要とすれば求めることも又当然であるのです。そういう種類の国際慣行で認められておる他国の軍隊の国内駐屯に関する配備の條件を決定する協定を結ぶこと自体が違憲であるとは、たとえ国内法でそういうことが必要である場合でも違憲であるとは認められておらないと私は解釈しております。
#64
○中村正雄君 私は国際的に認められておりまする慣行であるとか、或いは国際法というものに規定されておりますものについてとかく言うておるのではありません。今岡崎さんのおつしやいますように行政権の範囲内だとおつしやいますが、この行政権の範囲を逸脱したるものが相当協定されておるので、従つてこれは岡崎さんの言う行政権の範囲外のものであるから、一歩進めて申しますれば安保條約の第三條の委任の範囲を逸脱したるものであつて、行政協定の権限外ではないか、こういう質問をしたわけです。ところが軍隊の配備等につきましては、各国でそれぞれ違うとおつしやいますが、勿論私も国際法関係は十分には存じませんけれども、軍隊自身の配備におきましてその駐留国の法の支配を受けないということはこれはきまつておりますけれども、今度の安保條約によりますると、一般的に国際法規に認められておりまするいわゆる軍隊の治外法権以外に、駐留の軍人が軍の行動以外一般的な私的行動において日本人との間にいろいろな問題が起きても向うの裁判権に服する、こういうことが国際的な慣行において、その駐留軍の裁判管轄権に属するという慣行が認められておるということは、私は未だ聞いたことがありません。従つてそういうものまで含めるということは、第三條の範囲を逸脱しておるところで、今までの国際慣行にも聞いておらないという点、こういう点が第三條の範囲を出ておるということを御質問申上げるわけです。
#65
○国務大臣(岡崎勝男君) 今のお話ですが、例えば例を挙げて見ますると、アメリカの軍隊が英本国に駐屯しております。従つて英本国におけるアメリカの軍隊の裁判管轄権を認めた協定ができております。この協定によりますると、アメリカの軍所属員は、英本国におきまして公務たると私用たるとを問わず、エクスクルーシバリーと書いてありますが、アメリカのジユリスデイクシヨン、アメリカの裁判管轄権に服する、こういう協定ができております。これは一九四一年に成立いたしまして、四二年に改正されまして現在まで引続いております。従いまして英国とアメリカというような大国で行われまして一般に認められておるこういう慣行は、国際慣行であると私は認めております。
#66
○中村正雄君 それじやもう一歩進めて申しますが、軍の場合には英国と米国との間にそういう前例がある、こういうお話でありますが、それでは家族の一般の私行につきまして駐留地との関係につきましても、やはり家族の本国の管轄権に服するというような国際慣行があるかないか、これも併せて伺いたいと思います。
#67
○国務大臣(岡崎勝男君) これは家族が入つておりましたのは、一番初めは英、埃條約、イギリスとエジプトの條約だと思いますが、その後におきましては家族という字を加えずに、メンバーオブ・ザ・アーミーというような、軍所属員というような言葉を用いておるような場合が多いようであります。併しながら現に北大西洋條約におきまして、駐屯しておりまするアメリカの軍隊の所属員の家族は、アコムパニード・メンバーとして、軍の所属員たるの待遇を與えられておりますし、今議論になつておりまするが、北大西洋條約に基く軍隊の地位に関する協定におきましても、家族は軍の所属員と認められることに、これはまだ成立しておりませんが、なることにきまつておると了解しております。
#68
○中村正雄君 それじや根本的にお伺いしますが、現在結んでおる行政協定の内容というものは、一般の国際慣行上、行政権の範囲内で政府が締結し得べき権限内のものであるという国際慣行があるから、中にいろいろと立法措置等を要するものがあつても、行政権の範囲内で締結し得るということについて何ら第三條の範囲を出ておるものじやない、こういうふうに政府はお考えになつておるのですか。
#69
○国務大臣(岡崎勝男君) これは先ほども申上げましたように、駐留軍の配備を規律する條件を逸脱しておらなければ、第三條によつて認められていると考えております。但し協定は有効に成立しましても、我が国では国内で立法措置なり予算措置なりを要するものがありとすれば、それは立法措置、予算措置が国会の承認を得なければ、それに関する條項は実施できないということに了解されますので、その点は協定第二十七條の二項において特に明らかになつております。
#70
○中村正雄君 ではもう一つ根本に遡つてお尋ねするわけですが、行政協定という慣行なり、そういうものがアメリカにあるわけでありますが、日本の憲法は條約という点につきましては七十三條に一応謳つてあるだけでありまして、日本の憲法が、行政協定というような政府の行政権の範囲内で締結すべき国際約定というものを認めておるとお考えになつているかどうか、この点お尋ねしたいと思います。
#71
○国務大臣(岡崎勝男君) これは行政協定という名前を附けますと誤解を受けますが、国際約定となつている、国と国との間の約束、これはこの場合には安全保障條約が結ばれましたので、この第三條によつて行政協定を結べるということに政府は了解しておりますが、それ以外に普通の国際慣行によりますと、実施の細目をきめる国と国との間の協定というものは、それぞれ過去においても、つまり旧憲法時代においても認められておりまするし、現在も本当の実施細目でありますが、万国郵便條約その他において認められておりまするから、非常に広義の條約ということにしますれば、そのうちの一部は行政機関で締結することを認められていると解釈しております。
#72
○中村正雄君 今岡崎さんのおつしやいますように、一つの條約ができましても、條約によつてすべての手続までできないということは当然であります。従つて施行細則的なものは今まででも或いは今後でもあると思いますが、このたびの行政協定は実施細目だとおつしやいますけれども、先ほども官房長官が、いろいろ岡崎さんがおつしやいますように、行政権の範囲内でなくして、立法措置を講じなくてはいけないものも相当あるわけです。一般に国際上言われておりまするような軽い意味の実施細目でないということは当然御承知のはずなわけなんです。従つてこういう実施細目でないところの、立法措置或いは予算措置まで必要とするような行政協定というようなものを今の憲法が予定しておるかどうか、この点をお尋ねしているわけなんです。
#73
○国務大臣(岡崎勝男君) 私の申上げておるのは、今あなたのおつしやつたように極く軽い意味の実施細目は、これも広義に解すれば條約でありますが、これは結ばれることが慣行として認められておると、それから今度の行政協定は特に安全保障條約の第三條で駐留軍の配備を規律する條件を行政機関で決定することを認められておりますから、そこでこの行政協定はできるのである。又政府は前国会の両院の特別委員会におきましても、行政協定につきましては、これが広義に條約に該当するにしても、別に国会の承認を求める考えはないという旨をたびたび説明しまして、その議決を得たのは御承知の通りであります。従いましてこの安全保障條約の規定がなければこの行政協定は政府限りでは結べないと思いますが、この規定がありますから政府限りで結べる、こう解釈しております。つまり特別のものと解釈しております。
#74
○中村正雄君 安保條約の三條に軍の配備については両国政府間の云々とありますが、軍の配備という一定の條件が附いておる。それが附いておるということになりますけれども、現在の行政協定の内容を見ますれば、これは軍の配備に関係のないということは言えませんけれども、丁度戦時中の総動員法と同じように、全面的な委任立法というような感じを受けるわけなんです。従つて今後ともこういう方向がとられるといたしますと、七十三條に言うところの條約を国会の承認に結びつけているという意味は失われて来るのです。言換えますならば、安保條約でいろいろ條文の中に語つておりますが、根本はアメリカ軍が日本に駐留するということを語つているのが安保條約の実質的な内容です。じやどういうことになるかはすべて政府に任すと、いわゆる白紙的な全面的な委任なんです。軍備の配置という言葉を使つておりますけれども、全面的な白紙で、今後の條約におきましていわゆる細目でなくして、一つの條項だけをきめて、すべて行政協定に讓るということをやりますならば、これは法律的に当否は別といたしまして、日本の憲法がすべての條約は国会の承認に繋つているというこの趣旨に反するような状態じやないかと思うのですが、今の行政協定は何とかやらなければならんという関係で、いろいろ政府自身としても苦心はあると思いますけれども、本当に日本の憲法の趣旨に帰つて考えた場合に、こういう行政協定のような広汎な委任ということが好ましいことであるかどうかという点につきまして、政府はどういうふうにお考えになつておりますか。
#75
○国務大臣(岡崎勝男君) 軍の配備を規律する條件というものは、国際慣行において主義は二つありますけれども、裁判管轄権の問題とか……、併しそれ以外につきましては殆んど一致した見解があるのでありまして、それを要約したものは、要約したと言いますか、或いはこれを理想的に作り上げたと言いますか、それは北大西洋條約に基く軍隊の地位に関する協定という、只今成立しておりませんが、アメリカのものであります。我々はこういう国際慣行で認められている範囲の條件を逸脱しないように細心の注意を加えて参りまして白紙委任でないということは、この前の條約特別委員会においても政府がしばしば説明した通りでありまして、国際慣行に基くものでありますから、決して白紙委任でない。なお政府としてこの慣行を逸脱しないことを特に留意しており、従いまして今後の政策の問題としては、これは国会がきめられる問題であつて、行政協定というものを認めるかどうかということは、これは国会としての判断によるわけであります。政府としては国会がそういうものを承認されれば、その範囲内ではできる、こういう解釈をとつております。
#76
○中村正雄君 私のお尋ねしておりますのは、行政協定というような一つの約束というものを今後認めるかどうかということでなくして、今岡崎さんは軍の配備が中心であつて、これは国際慣行に樹立されておる。ただ裁判管轄権があるだけだとおつしやいますけれども、やはり非常事態におきます国内防衛力の動員であるとか、或いは軍の配備には関係ありますけれども、日本の労務者等の使用状況等いろいろ相当広範囲のものを含んでおる。従つて私のお尋ねしているのは、政府の考えとして、こういう白紙委任ではないとおつしやつておりますが、私は白紙委任的なものではないかと思いますがこれは見解の相違で別といたしまして、広い範囲の委任的な條約というものが憲法上好ましいものであるかどうか、政府はどういうふうに考えているかということをお尋ねしているのです。
#77
○国務大臣(岡崎勝男君) これは先ほど申しましたように、行政行定というはつきりした名前を附けますといろいろ議論が起ると思いますが、若し行政協定という言葉を使わないで、国会の承認を得ないで政府限りで締結する国際約束、こういう意味にお取りになれば、これは各国ともに非常に例があります。殆んど世界のあらゆる国、アメリカは無論ですが、フランス、チリー、ハンガリー、イタリア、スエーデン、チエツコ、ベルギー、フインランド、デンマーク、ポルトガル、その他各国にあります。又イギリスはこれは国王が條約の締結権を持つておりますから、国会の特に承認を求めないのでありますが、こういうわけで、各国の例から我々が判断しますると、こういうことがあつても差支ないと考えておりますが、併し日本のことは日本の国会がきめるのでありますから、これは国会の意思に従うより仕方ないと思います。
#78
○中村正雄君 私のお尋ねしておりますのは、そういう国会の承認を要しない行政府限りの約定ということを言つているわけじやないのです。国会の承認を経る一つの條約で大まかなことをきめる、そうしてあとは政府の間においてきめてもいい、而もその内容は立法措置に関するものも相当あるというような広い範囲の委任状を附したような、親元の條約だけをきめてあとは両国政府で勝手にきめてもいいというような、そういう授権的な條約というものが日本の憲法上好ましいかどうか、政府はどう考えているかということをお聞きしているわけなんです。
#79
○国務大臣(岡崎勝男君) 政府としては、国会にそういうものを委任されれば一向差支えない、こう考えております。
#80
○中村正雄君 じや私一人質問するのもおかしいと思いますから最後に一応確認しておきたいのは、本日の岡崎国務大臣の答弁で、行政協定が国会の承認を要しないというのは、これは七十三條の條約であるけれども、安保條約第三條によつて委任を受けているから再び要らない、これが政府の統一せる見解であるということをはつきり発表されたわけでありますが、昨日の保利官房長官の答弁は、速記録で御覧になればわかるように、私が申上げましたように、これは條約でないから要らないのだということを再三再四確認しているわけなんです。従つて近日中に速記録ができ上ると思いますから速記録を御検討の上、若し保利官房長官の答弁が私の言つていると同じような答弁といたしますならば、改めて政府の責任者がこの席上に参つて一応取消を願いたいということを附加えまして、私の質問を打切ります。
#81
○委員外議員(岩木哲夫君) 岡崎大臣にお尋ねしますが、安保條約第三條の委任事項、即ち米軍の配備規律に関する條件が委任事項であります。そこでこの行政協定は、今のその配備規律に関する條件以外のことがあるならば、これは憲法第七十三條の條項に照して、国会の承認を得べきものであると、かように解釈されますか。
#82
○国務大臣(岡崎勝男君) その通りであります。
#83
○委員外議員(岩木哲夫君) そこでお尋ねしますが、その場合に、この行政協定の中には、立法機関に命令している、或いは約束をしている、かようなことを立法するということをアメリカに約束をしている、そういつたことは、これは何にも配備規律に関する條件と違う。條件の一部には含まれるかも知れませんが筋は本筋じやない。日本の立法機関にこうした、例えば今回の行政協定は、関税にしても、税法にしても、商法にしても、為替管理にしても、出入国管理の問題にしても、或いは裁判管轄権の問題はもとよりでありますが、あらゆる立法上に関することを約束している、約束するようなことは、配備規律以外のことであると私は思うのでありますが、如何でしようか。
#84
○国務大臣(岡崎勝男君) 約束はいたしておりません。
#85
○委員外議員(岩木哲夫君) それではお尋ねしますが、第十八條でありますか、政府は土地、建物等の接収ができない場合には、しまいにはアメリカ軍がこれを差押え得るの権限を委任しておる事項などは如何ですか。
#86
○国務大臣(岡崎勝男君) 十八條、ちよつとお待ち下さい。
#87
○委員外議員(岩木哲夫君) 日本の財産を差押え得るの権限をアメリカ軍に與えておる。
#88
○国務大臣(岡崎勝男君) それはどの條項をお指しになつたか、ちよつとお示し願いたい。
#89
○委員外議員(岩木哲夫君) 十八條の6の(b)であります。
#90
○国務大臣(岡崎勝男君) 6の(b)は、日本が貸興しました施設、区域内で以て、法律の強制執行を行うときには、合衆国の当局が日本国にこれを渡さなければいけないという規定であります。
#91
○委員外議員(岩木哲夫君) 合衆国の軍隊が日本国政府に渡さなければならんという前提は、日本の国有財産、私有財産をアメリカ軍が差押えて、そして日本政府に渡すという條項であります。差押え得る権利などは、配備規律以外の問題ではないですか。
#92
○国務大臣(岡崎勝男君) これは施設、区域内の問題でありまするから、やはり配備の條件を規律することになります。
#93
○委員外議員(岩木哲夫君) 併し施設、区域内といえども、その外といえども、財産を差押するということは、憲法に許されたる、第二十八條ですか、九條ですかの権限を超えているものではないですか。
#94
○国務大臣(岡崎勝男君) これは施設、区域内においては、原則としてアメリカ側が或いは犯人を逮捕したり、財産の管理をいたしたりすることを認めております。従いましてその財産を日本の裁判所が強制執行を行うべきものと認めた場合には、アメリカ側でこれを日本側に提供するために、その財産を差押えるので、これは差支えないと考えております。
#95
○委員外議員(岩木哲夫君) アメリカ軍が日本人の財産を日本政府に渡すというような権限を與えるということは由々しきことであつて、これなどは憲法違反はもとより、当然国会の承認を得べき、憲法第何條かに抵触しておるのはもとよりであります。
 それからもう一点私が指摘いたしたいのは、同じく第十八條で「当事者の軍隊」という言葉が使われておる。これはアメリカ軍の駐屯に関する配備規律であるのだが、日本の軍隊ということを指摘したことまでも、この條文の字句の中に提示しておるということは、やはり日本が軍隊を持ち得るのかどうかということは、昨日の総理大臣の予算委員会における御答弁に関連することでありますが、これはそんなことまで行政協定の字句に許されておる問題じやない。当然軍隊を持つならば、憲法を改正して、国会の承認を得べき問題であるにかかわらず、軍隊を持ち得る当事者間の紛争のことについて言及いたしておるという点は如何ですか。
#96
○国務大臣(岡崎勝男君) これは十八條の第一項を語つておられると思いますが、「各当事者は、その軍隊の構成員又は文民たる政府職員」となつておりまして、日本には軍隊がありませんから、当然日本のほうは文民たる政府職員ということになるのであります。
#97
○木村守江君 議事進行。
#98
○委員外議員(岩木哲夫君) 発言中。まだ関連している。発言中ですよ。(「これは議運の問題じやない」と呼ぶ者あり)これは国会の承認を得べきものであるかどうかの点については、その議論を正当付けるについては、内容の一部にも言及せねばならんことは当然です。これは憲法違反のみならず、国会の承認を得べきことなんであります。この点の論拠を明らかにしておるのですから、内容の問題に触れておるのと違います。
#99
○木村守江君 それは議運でやるべきじやない。
#100
○委員外議員(岩木哲夫君) それをやらなかつたら判断がつかん。
#101
○安井謙君 判断は外務委員会ですればいいですよ。
#102
○委員外議員(岩木哲夫君) 国会の承認を受けるべきであるかどうかの判断を……。日本には軍隊がないというのに、軍隊のあるものの事項を掲げて、そうして行政協定が、第三條の委任事項以外の、ここに約束をしておるということは、これは以てのほかじやないですか。当然国会の承認を得べき重大なる問題の論拠であります。
#103
○国務大臣(岡崎勝男君) これは「又は文民たる政府職員」となつておりまして、日本側のは文民たる政府職員であります。軍隊の構成員ではありません。
#104
○委員外議員(岩木哲夫君) 「又は」ということに及ぶ必要がないのであつて、軍隊と明示しております。
#105
○国務大臣(岡崎勝男君) 「各当事者は」となつておりまして、両当事者ではないのであります。各当事者がおのおのの「軍隊の構成員又は文民たる政府職員」で各当事者と分れております。
#106
○委員外議員(岩木哲夫君) それではこれは委員会の議論に譲ります。譲りますが、「各当事者」の軍隊とある以上は、アメリカの軍隊又は日本の軍隊ということはこれはもう馬鹿でなくてもこんな條文を見ればわかり切つた問題ですから、これは当然憲法背反のみならず、国会の承認を要する事項が明白に現われておる。
 それからもう一点指摘いたしたい。岡崎、ラスク交換文書のあなたからラスク大使に出した手紙の末項に、若し強制接收ができない場合には、財産、土地、建物等の、現在の占領軍が使つておるままの継続を認めるというようなことをあなたが書いております。これは誰に答えてそういうようなことを言われたのか。又これは憲法の財産権、居住権を侵犯しておるものであつて、占領軍政策というものが終焉すると同時にそうした組織は自然解消すべき問題であるにもかかわらず、なお岡崎国務大臣のどうして権限がありますか知らんが、日本国民の土地、財産をそのまま向うに提供する権限を認めておるというようなことは、これはまさに国会の審議を得べき重要な部面であると思うのですが、どうですか。
#107
○国務大臣(岡崎勝男君) これは正確に日本国民にその立場をわからせるために書いたのでありまして、若し何といいますか、規定を逃れる意味ならば、九十日以内に全部日本政府が承諾してしまえば全然問題はないわけであります。併しながらその場合といえども話合いによりまして、都会の中心から地方に移るというような場合もあります。その地方へ移るような場合には建物ができなければ移れないわけでありまして、その建物ができる期間今いる所に待つているという場合もあり得るのでありまするから、こうやつて特に明らかにその点をしたのであります。
#108
○小笠原二三男君 私は先ほどの中村君の質問によつて相当程度明瞭になつたと考えますので、その点については大変結構だと考えるのですが、そういう意味合から言いまして、ますます我我としては結論としては政府側の答弁に不同意でありますが、それはそれとしまして、ただ一点お伺いします点は、日本国憲法第七十三條と、この安保條約に基く行政協定と、国際慣行というこの三つの点の関連している事項についてでございます。日本国憲法が七十三條において、国際間の條約、広範な取極はすべて事前、事後に国会の承認を要するように新らしい憲法を制定した趣旨は、中村君が先ほど申される通り、独裁的或いは封建的な一部の支配によつて秘密條約なりその他のことが行われることを阻止し、国家成立の性格である主権在民の立場から一切国会の承認を要するというふうに規定したものと考えます。先ずその前提を腹に入れまして、そうしてこの安保條約第三條を見ます場合に、「配備を規律する條件」というものの範囲、それが内容とする限界というものが問題であろうと思います。
 無論附属行政協定の性格でない限りは、今回のような行政協定は確実に政府の言う理由から言つても国会の承認を要するわけであります。
 併し配備を規律する條件というようなことは、前国会においてどういう限界のもので何々であるかということは何ら明示されておりません。そうしてこれが国会において承認されたことも事実であります。そうして而も岡崎さんの言われる通りに、配備の條件というものは国際慣行においてこれは限界と範囲がおのずから判明している。その国際慣行を逸脱しないのである。従つてこれが安保條約に基く行政協定として国会の承認を要しないということ、併し條約が憲法に優先しないという学者の論議もある中に、まして国際慣行というものは先ほども例として挙げられましたように、一、二の、或いは大部分の例であつて全体ではない、あらゆる特殊なる国において特例がおのずからあり得る可能性はあるわけであります。ただ單なる国際慣行であります。従つて仮に私は政府側の答弁の立場に立つてそういうものが国際慣行であるからとして、その国際慣行に則つて配備の條件を規律したものが今回の行政協定だとしましても、その国際慣行に優越する憲法の七十三條の三号に基く場合においては、この行政協定に関連する事項について既存の法律その他を侵害する場合は、あとで国会の承認をその部分々々受ければいいのだということは、これは国際慣行のほうを優越視した考えではないかと考えられるのであります。率直に申しますならば、国際慣行の如何にかかわらず、それは国際慣行の範囲によつて行政協定に調印することは可能であるとしましても、調印されたものが附属行政協定であろうがなかろうが、この新しい憲法によつては国会の承認を要するのではないかというのが私の論点であります。私の申上げますのは、国際慣行に憲法が優越する限り、配備の條件等が立法措置その他を必要とするということまで取極められる場合には、国内続としては日本の憲法に基いて国会の承認を要するのではないだろうか。而も国内的には第二の理由としましては、こういう政府側のやり方をしますならば、国会において憲法の第七十三條において規定せられた審議権の内容としては、憲法で規定せられたあらゆる基本的人権が制限せられ、主権が制限せられるという内容を含んでおりまするから、なおのことこれは国会の承認を必要とするのではないだろうか、こういうのが私の理由とするところであります。従つて私の申上げますのは、政府の立場に立つて仮に配備を規律する條件を附して国際慣行によつてこれをなしたとしましても、国際慣行の下に憲法がない限りは、これは国会の承認を要するのではないか、こういうことについて御説明を願います。
#109
○国務大臣(岡崎勝男君) 私の申すことは同じことになるかも知れませんが、安全保障條約の審議の際に、この行政協定というものの性格がしばしば論議の的になつたのであります。そのとき政府が、これは広義の條約といえばいえるのであるけれども、安全保障條約の第三條で、「両政府間の行政協定で決定する。」と書いてあるから、この條約を承認されれば政府間でこれは協定できるものでありますと説明をいたし、且つこの行政協定については白紙委任状ではないかという質問に対しては、白紙委任ではないのである。要するに国際慣行等で一国の軍隊が他国に駐屯する場合の特権というものは認められておるのだから、その国際慣行に基いてするものであり、又それを逸脱しなければ行政協定としては差支えないものと考える旨の御説明もいたしておるのであります。従いまして安全保障條約を承認されたときには、両政府間で行政協定をするのが至当なりという国会の意思表示があつたものと了解いたしたのであります。
#110
○小笠原二三男君 そういう了解があつたものとして、国会の承認を要さないのだということになれば、これは話は誠に現実のものになる、政治的なそれは話になると思うのです。国会が承認したことは、イエス、ノーという意思表示をしただけのことであつて、この配備を規律する條件というものは何であるかということは、これは必ずしも明示されてはおらない。その限界が明らかでなかつたことも事実であります。で、只今申しました通り、これは国際慣行によつて云々ということであります。私は話が混雑することを虞れますから、先ず第一段としてそれでは伺いまするが、政府はこういう見解を出す大前提としまして條約は憲法に優先するとお考えになつておられるのか。又国際慣行は憲法に優先するものとお考えになつておられるのか。この点お伺いしたい。
#111
○国務大臣(岡崎勝男君) 我々は憲法は條約若しくは国際慣行に優先するものと考えます。
#112
○小笠原二三男君 そういうことになりますと、国際慣行であるからとして、如何なることについても両政府間において調印すると、そういう手続を踏むことはできるでございましよう。少くとも事後に立法措置を要し或いは予算の審議等を要するという問題がある場合に、これはこういう形で委任されているからとしましても、憲法上から言いますと、先ほど申す憲法の趣旨、建前から申しますと、国会の承認を要するのではないか。そのことのために憲法七十三條は、必ずしも事前に承認を要するとはせず、調印した後の、事後においてでもこの承認を要すると規定しているのではないか、こういう精神が今回の行政協定においては十分活かされておらないのである。これは憲法の建前から、いわゆる両政府と国会との関係において惡例を残すものではないかと考えるのですが、その点については如何でございますか。と申しますのは、先ほども申します通り、政府が如何ようなことを申そうとも、岩木君のお話もあつた通り、行政協定に承認は要しないとして取結んだものが、その取結んだ機関は両政府である。その両政府は国会に優越するわけのものではない。その取結んだものが国会の審議権を拘束するという結果になつて来る。事後に出す立法措置なるものは日米間における議事録、その他において細目的な話合いのあつた部分等が活かされて立法措置せらるるのでございましよう。国会がそれに対してとやこうの異議がありましても、そういう行政協定の取極の建前上それを肯定せざるを得ない前提に国会が立たせられる。そうなつたら国会の審議権が制限せられるということでございましよう。そういう問題ともからんで先ほどのことについて御質問するわけであります。
#113
○国務大臣(岡崎勝男君) 今の小笠原君のは、御嵩がいろいろ多岐に亘つていますが、一つ一つ申上げると、一つは調印、この事前、事後ということがあるから、調印を終つても国会の承認を求めるべきではないか、こういう御質問でありますが、これはほかの機会にも申したと思いますが、調印ということはこの憲法にはないのでありまして、締結という字が使つてある。で、例えば平和條約のごときも調印してから国会の承認を求めるけれども、事前承認なのであります。効力を発生すること、即ち締結の前、若しくは調印と同時に効力を発生するものは事後ということに了解しております。なおこの今の一般的な問題ですが、国会の審議権を阻害するというようなむずかしいことにおとりになつては困りますけれども、安全保障條約の第三條で、両政府間での行政協定で決定すると書いてありまする以上、我々はその当時の説明にも加えまして、国会でこの分について改めて国会の承認を求めなくてもよろしいのだという結果を得たものと了解しております。
#114
○小笠原二三男君 前国会においても、国会の承認を要することは要らないのだということを国会において承認されたものと認めるとか、認めないとかいうことを乗り越えてこれは憲法の運用上重要な問題であろうと思います。両政府だけの決定によつて憲法の運用がなされるのでもなければ、国会だけの決定によつてこの憲法の解釈がなされ、そして決定されるものでもございません。従つて仮に国会によつてそれが承認せられたものと思つたから、こう言つてもそのことの承認が或いは無効であるという場合もございますでしよう。そこで私はそういう論議ではなくて、基本的なその前の話としてお伺いしているわけなのです。政府が言う通り、仮に両政府間の行政協定で決定する、いわゆる今教えられたような締結でございましよう。そういうようなことがあることはあつていい。政府の言う通り仮にそれを承認したとしましても、それを事後に国会の承認にかけるか否かということは別個の問題であります。そこで基本的な條約なり、国際慣行なりが憲法には優先しないんだという建前をとるならば、如何ようなことが国会或いは両政府においてなされようとも、それは憲法に明示せらるるような手続を以てですね、国会の承認を要することは自明の理じやないですか。この点について伺いたい。
#115
○国務大臣(岡崎勝男君) 憲法七十三條の規定によりまして、安全保障條約は国会の承認を得たのであります。その安全保障條約の第三條によつて、我我は両政府間に協定を作ることができるとされておりまするから、何ら憲法に違反していない、こう考えております。
#116
○小笠原二三男君 そういうことはただ形式的な道行としてそうお話になるだけであるのであつて、その基本として前に遡るならば、配備を規律する條件というものが、それが国際慣行によつてこれはきめられるので、その通り大体きめたものであるというのであります。併しその国際慣行が憲法に優先しないということであるならば、国際慣行によつて取結ぶことは可能であつても、又両政府間で決定することは可能であつても、事後において立法措置その他の要するような事項を含む問題になつて来ますならば、国際慣行に優越する憲法の手続によつてですね、国会の承認を要することは自明の理じやないですか。
#117
○国務大臣(岡崎勝男君) 少しお話が違うと思いますが、我々の国際慣行を引用したのは、安全保障條約第三條に両政府間に行政協定で決定すると書いてある。ところでその行政協定の内容がわからないから白紙委任ではないかという点について、それは白紙委任ではないのだ、国際慣行でおのずからきまつている、その範囲を逸脱しない限りは白紙委任ではない、こういう意味であります。
#118
○小笠原二三男君 そういうことになりますと、話は私の伺いました一瀞初めの質問の場合に戻るわけなんでございますが、私は政府の言われるこういうことがあることについて、第三條のそれに基いてこれが決定せられたものだということを仮に承認した場合においても、この配備を規律する條件というものがこの国際慣行によつておのずから云々ということできまつて来たものである。それによつてきまつて来たことは間違いないのですから、そこで国内的な手続としては国際慣行に優越する限り憲法に基いてこれは承認を要するということになるのじやないか。私の申上げているのは両政府間の権能限りで、範囲内で結ぶのならばいざ知らず、立法措置その他基本的人権を侵害するとか、主権を制限するとかいう内容を含む行政協定である限りは、それの立法は国際慣行にあると、こうなんでありまするから、従つてそれについて是非することは憲法の建前として当然であろうかと思うのであります。従つて国会がそれを委任しておるということ、或いは行政府がそういうことを仮に如何ほど主張しましても、憲法の建前としては国会の承認を要するのが日本の憲法のあり方ではないかということを申上げているんです。
#119
○国務大臣(岡崎勝男君) 今小笠原君の言われたように、憲法の解釈については最高の権威は別にありまするけれども、我々はそれは憲法に違反したという疑いで訴えられた場合のことであります。それに至らないまでは国会が最高の機関でありまするから国会の決定を政府は一応正しい決定と見るのは当然であります。そこでこの前の国会の審議に当つては政府はそれが広義の條約に該当するにしても別に国会の承認を求めないという意味の説明を繰返していたしまして、この安全保障條約は国会の大多数によつて承認を得たものでありまするから、この安全保障條約がなければ行政協定なるものは憲法の規定に従つて国会の承認を得べきものでありましようけれども、安全保障條約が承認された以上は政府間で取決められるということは、極めて明白であると思います。
#120
○小笠原二三男君 一通り見解の分れるところも明らかになつたようでありまするし、まあ私の求めている答弁は聞いたと考えております。速記録を詳しく見まして、そして私の聞こうとした答弁が確実に前後撞着しないで得られているかどうかを見ました上で、又改めて質問することを留保しておきます。
#121
○郡祐一君 国務大臣に昨日の官房長官の答弁との関連について一言伺います。昨日官房長官は中村君の質問に対して、行政協定は七十三條の條約だという解釈は政府はとつておりませんと言い、引続いてそれは安全保障條約第三條による両政府間の取極であります、こういうことを言つておられます。私は憲法七十三條というものは内閣の掌理する国務についての規律の規定であつて、條約の定義ではないのでありまするから、憲法七十三條の條約という解釈は政府はとつておりませんと昨日官房長官が言われましたのは、今日岡崎大臣の言われました説明と全く同じであつて、どなたかからの取消しだとか、訂正であるとかいうような必要は全然ないものと考えるのですが、その点を確かめておきます。
#122
○国務大臣(岡崎勝男君) 先ほど申した通り、私はまだ速記録をはつきり見ておりませんからわかりませんけれども、官房長官の昨日の説明では、私の本日申上げた答弁と何ら食い違わないと確信しております。ただ言い廻しの問題がどうかと思いますけれども、更によく取調べて申上げたいと思います。意味は全然変つておりません。
#123
○安井謙君 これは憲法論議になつて来れば際限のない問題だと思いますガ、一応前回の主たる質問者の見解に対する政府の答弁はすでに明確にされたと思いますので、一応これはこれで打切つて頂きたいと思います。
#124
○兼岩傳一君 議事進行について。私どもは昨日から大会派がやられるので遠慮して待つているだけであつて、やはり発言を……、今日でなければ明日でもいいのですよ、それは延びてもいいのです、併しそういうような運び方をして頂いては甚だ困ります。
#125
○堀眞琴君 只今岡崎国務大臣と各委員との質疑応答を聞いておりますと、結局論点は安保條約第三條に基くところの行政協定は委任範囲を出るものではないという政府側の答弁と、これに対する野党側ではこれを逸脱するものだというところに論点があると思います。それで岡崎さんは逸脱するものではない、その根拠としては国際的な慣行によつてこれを裏付けるので、白紙委任ではないという御説明なんですが、ところが先ほど岩木君が指摘しましたように、日本の刑法なり、関税の法なり、或いは裁判管轄権はもとよりあらゆる点において日本の行政権が立法権に対して或る拘束を與えるという面が相当強く出ているわけです。従つて白紙委任状ではないと申されますが、実質的には安保條約第三條に基く行政協定とは言いながら、別個の條約であろうと見なければならんと思いますが、その点は如何ですか。
#126
○国務大臣(岡崎勝男君) これは先ほどからたびたび申しておるようなわけで、安全保障條約第三條がなければ別問題として、第三條がある限りは政府間で決定し得る協定であろうと考えており、更に必要な立法措置等があればこれは国会に成規の手続を以て承認を求めるのでありますが、そのこともはつきり書いてありまするから、さよう御承知願いたいと思います。
#127
○堀眞琴君 安保條約第三條に基くものである、而もその内容について立法措置を必要とするもの乃至は予算措置を必要とするものはそれぞれそういう手続をとると、こういうお答えのようでありますが、一体安保條約が承認された当時において、このような内容のものが果して両政府間において取極められるだろうというようなことは予想しなかつたのです。ところが実際に出て参りますというと、相当日本の主権を制限し、国民の権利義務に対して重大な影響を與えるものになつて来ているわけです。従つて当時の安保條約は承認されたと申しましても、このような内容のものとしてこれを承認しておらなかつたと思うのです。而も事前の承認でありまするからして、恐らくその承認は安保條約の配備を規律する範囲のものとしてだけ恐らく多数のかたがたが承認されたものだと私は思うのです。そうしますると、幾ら岡崎さんが逸脱はしておらんのだ、合法的に成立することができるのだとおつしやられても果してそういうような見解を我々はとることができるかということについて、もう一度お答えを願いたいと思います。
#128
○国務大臣(岡崎勝男君) あなたのような博学なかたにこういうことを申上げるのはおかしいのですが、一国の軍隊が他国に駐屯する場合に特権を認められるということは過去においても現在においても行われておりまして、国際法でも、これは国際法として規定があるものであります。そうして当時御記憶になつておると思いますが、国内の新聞には裁判管轄権であるとか、或いは施設区域、これを又軍事基地とかいう名前で言つているところもありましたが、いろいろの問題について予備隊との関連とか、盛んに新聞等でこの行政協定の内容について論議も行われておりまして、その当時の新聞を御覧になればどのくらいそれに紙面を使われておるかということもわかるのであります。そうして政府は行政協定につきましては、一般に国際的に行われておる軍の配備を規律する條件をこの行政協定で行うのだという説明をいたしております。白紙委任ではないのだということを申しております。従つてその当時は知らなかつたとおつしやるのは私は少しどうかと考えるのであります。
#129
○委員長(川村松助君) お諮りいたします。国務大臣が実は五時までの予定を以ておられましたので、若し残るところがあつたならば又……。
#130
○赤木正雄君 議事進行について……先ほど中村委員も、又小笠原委員も速記録云々と言われましたが、本日はこれで散会願います。
#131
○委員長(川村松助君) 本日はこの程度で散会いたします。
#132
○堀眞琴君 ちよつと、それで散会に賛成いたしますが、次の機会にこの質問を続行さして頂きたいと思います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
#133
○委員長(川村松助君) 本日はこれを以て散会いたします。
   午後五時十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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