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1947/11/07 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 本会議 第56号
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1947/11/07 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 本会議 第56号

#1
第001回国会 本会議 第56号
昭和二十二年十一月七日(金曜日)
    午後二時二十四分開議
    ―――――――――――――
 議事日程 第五十五号
  昭和二十二年十一月七日(金曜日)
    午後一時開議
 一 國務大臣の演説に対する質疑(前会の続)
    ―――――――――――――
#2
○副議長(田中萬逸君) 諸般の報告をいたさせます。
    [参事朗読]
 委員会に付託された議案は次の通りであります。
(内閣提出)自作農創設特別措置法の一部を改正する法律案
   十一月六日 農林委員会に付託
(内閣提出)石油配給公團法等の一部を改正する法律案
   十一月七日 商業委員会に付託
    [朗読を省略した報告]
一、昨六日議長において、次の常任委員の辞任を許可した。
  水産委員     内海 安吉君
  電氣委員     廣川 弘禪君
  運輸及び交通委員 中野 武雄君
一、昨六日議長において、常任委員の辞任に伴い、次の通り補欠指名した。
  水産委員     關内 正一君
  電氣委員     中野 武雄君
  運輸及び交通委員 内海 安吉君
一、昨六日内閣から提出した議案は次の通りである。
 自作農創設特別措置法の一部を改正する法律案
一、昨六日参議院に送付した内閣提出案は次の通りである。
 昭和二十二年度一般会計予算補正(第六号)
    ―――――――――――――
#3
○副議長(田中萬逸君) これより会議を開きます。
     ―――――・―――――
#4
○副議長(田中萬逸君) 議員田中齊君より辞表が提出されております。これにつきお諮りいたしたいと思います。まずその辞表を朗読いたさせます。
  [参事朗読]
    辞職願
     東京都中央区銀座西七丁目五番地五
          田中  齊
 私儀一身上の都合により衆議院議員を辞職致したく存じますから御許可相成る樣願上ます。
  昭和二十二年十一月七日
        右 田中 齊
   衆議院議長松岡駒吉殿
#5
○副議長(田中萬逸君) 田中齊君の辞表を許可するに御異議ありませんか。
  [「異議なし」と呼ぶ者あり]
#6
○副議長(田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて許可するに決しました。
     ―――――・―――――
 一 國務大臣の演説に対する質疑
            (前会の続)

#7
○副議長(田中萬逸君) 昨日の荒木萬壽夫君及び青木孝義君の質疑に対し、和田國務大臣より答弁のため発言を求められております。これを許します。國務大臣和田博雄君。
  [國務大臣和田博雄君登壇]
#8
○國務大臣(和田博雄君) 荒木議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 予算に対します資材の裏づけの点でございまするが、今度の追加予算を組みますにつきましては、資材の面とも関連をもたせて予算を組んだわけでございます。こまかい個々の資材につきましては煩を避けまして、そのうち一番大きな資材でありまするセメントにつきまして、今度の追加予算と需給計画との関連の概要を御説明申し上げます。
 今年度の下期のセメントの生産見込みは六十五万二千トン、在庫の拂出しを二万五千トン見積りまして、供給力が六十七万七千トンであるのに対しまして、公益事業の需要に対しまする配当は、一般会計におきまして、約九万六千トンのうち、水害復旧用が三万一千トンであります。鉄道特別会計の建設に要しまする分が三万二千トン、通信特別会計の建設に要しまする分が六千九百五十トン、國有林野事業特別会計の分が千六百六十八トン、その他アルコールとか印刷とか專賣等の特別会計に要します分が千二百五十トンで、合計大体十三万八千トンばかりになるのでございます。その他の資材につきましても、殊に進駐軍用の資材等につきましても、これは毎四半期ごとに向うと相談してきめているのでございまして、今回の場合におきましても、その資材の裏づけは十分いたしておるのであります。
 次に、青木さんの質問に対しまして一括して御答弁申し上げます。七月の初め物價体系を設定いたしましたときの一番大きな問題は、食糧危機の問題、生活困難、賃金引上げ、原價高、公定價絡の引上げ、やみ價格の上昇といつたような過程を経まして、物價と貸金とが非常に惡循環をして、インフレーションが増進する危險がありましたので、この危險も食糧の端境期における過渡的な現象であり、新しい食糧年度が始まりますならば、その面からの安定性はある程度考えられるということは予想できたのでありますが、九月におきまする水害によりまして、その後の事態の進展には地域的に若干の曲折が現われましたことは、われわれとしても遺憾に存じておる次第であります。現在の状態において、十一月以降の生計状態を想定して見ますならば、今までの政策の結果といたしまして、やみの撲滅とか配給の改善に全力を注ぐことが正当な方法であろうと考えて、その点について、政府としましても今後全力を注いでいきたいと存ずるのであります。
 千八百円基準の問題につきましては、この賃金水準を價格改訂の場合にわれわれは採用いたしたわけでありますが、この水準自体を守るための努力をいたしますことが、今のインフレーションというものを阻止する上において必要な事柄でありまして、これを崩して、またもう一遍高い水準における物價の安定を求めるという事柄は、もう一遍過去の誤りを繰返すということでありまするので、やはり價格体系堅持という建前に立ちまして、政府といたしましては各般のこれに対する施策をいたそう、こう考えていることを御了承願いたいと存じます。(拍手)
#9
○副議長(田中萬逸君) これまり大藏大臣の財政演説に対する質疑を継続いたします。圓谷光衞君。
  [圓谷光衛君登壇]
#10
○圓谷光衞君 私は、六・三制予算につきまして、片山首相並びに森戸文相に所見を質したいと思います。
 片山首相は、第一回の國会において、七項目の政府施策を述べまして、特に文教については次のごとくお述べになつておるのであります。すなわち、新憲法の精神を生かすために特に六・三制の完全実施をする、種々なる困難はあろうが、これに対して最大の努力をするであろうということを述べているのであります。さらに森戸文相も、機会あるごとに六・三制の完全実施を主張しておつたのであります。しかるに、今回政府は驚くべき欺瞞政策をとつたのであります。これは断じて許すべからざる問題であると思うのであります。欺瞞政策とは何であるか。
 政府は七月の末に閣議を開いて、明年度新しく中学の二年生になる者の不足教室の設備のために約三十一億余万円の予算を見積りまして、うち十四億は國庫の補助といたし、他の十七億は地方起債にまつということを決定されたとのことであります。しかし、文部省はこの予算をただちに地方長官に通知し、地方長官はまたこれを各市町村長にその金額まで割当てたのであります。いかに敗戰の今日とはいえ、地方民はこの指令に基いて、今や建設を急ぎつつあるの状況であります。しかるに、今回この十四億が予算面に七億しか計上されていないということは、國民を欺くことはなはだしいものであると思うのであります。
 この点について片山首相に特に所見を質したいことは、あなたは「國民に訴える」というパンフレットの中に、私の政治観念は正しいことを行うことである、また最大多数の幸福なる生活を確立することである、またさらに文化・平和國家を建設することであつて、政治は一つの國民運動である、精神運動である、主として人類愛に立つところの正義観を布くのでなければならぬということを仰せられておる。この観点よりするならば、國民大多数の要望するこの六・三制案ほど國民が要望しておつたものは、いまだかつてないと思うのであります。各文教委員はもちろんのこと、各党派はもちろん――民主党の一部には反対があつたと聞いておりますが、ほとんどだれ一人異論なくこれを要望しておつたのであります。しかるに、その半額七億円しか出せないということは、國民を欺くものでなくて何であろうか。あなたのおつしやる正義観、あるいは正しい政治、あるいは六・三制を完全に実施するというようなことが、私は何だかわけがわからなくなります。この点について首相の明快なる御所見を承りたいのであります。
 さらに私がこの問題を重要視するゆえんのものは、事教育に関することであつて、全國の津々浦々からは、この予算を案じて幾通かの手紙を私はもらつております。全國の五十万の教員が、正しい政治ということはうそを言つてもいいことだということを國民に教育したならば、日本の國体、道義は一体どうなりますか。
 さらに首相にお伺いしなければならぬことは、この十四億が七億に削減されたということは、森戸文相からの話によれば、これは一應総理大臣の裁定に任したということでありますが、いかなる理由で十四億が七億に削減されたかをお伺いいたします。
 さらに森戸文部大臣にお伺いいたしたいことは、八月六日と十月十四日の両度にわたつて、各市町村に対してこの金額の割当をしたのであります。もちろん、町村はこの予算を目あてに建設にとりかかつておるのであります。しかるに、その半額七億となり、その補助の七億円は欠損が起るのであります。これによつて町村長は非常な窮境に立つであろうと思うのでありますが、一体この責任はどなたがおとりになるのか。わが党は米三合を配給する自信があるとか、あるいは物價を下げて國民の生活を安定させるというようなうそと、うそがまた違う。この点について、文相の責任ある答弁をお願いしたいと思います。
 さらに、もう一つお伺いしたいことは、文相け過日……
  [「時間、時間」と呼ぶ者あり]
#11
○副議長(田中萬逸君) 結論を言つてください。時間です。
#12
○圓谷光衞君(続) 五日に、もしこの予算が窮境に立つ場合はいかなる処置をとられるかという松原君と黒岩君の質問に対して、自分は文相をやめる氣はない、あくまで六・三案の実地のためには努力するであろうということをおつしやつた。
  [「時間だ」「約束を守れ」と呼ぶ者あり]
#13
○副議長(田中萬逸君) 重ねて注意します。
#14
○圓谷光衞君(続) さらに、読賣新聞の報ずるところによれば、十四億の予算は必ずあとからとるであろうというようなことを新聞に報じておりますが、この質問に対しても、自分はそれはわからない、七億の予算も自分独断ではできない、こうおつしやつておるのであります。もしこの七億もできないときには、いかなる態度をおとりになるか。過日は、坦々たる心境であるから自分の腹はきまつておるということを委員会で申されたのでありますが、その坦々たる御説明をお願いいたします。(拍手)
  [國務大臣片山哲君登壇]
#15
○國務大臣(片山哲君) 六・三制はぜひとも実施いたしたいと考えております。つきましては、追加予算面にまず七億円を計上いたしましたのであります。あとの金額は、六・三制実施に伴う必要に應じて、ぜひとも出したいと思つておるのでありまして、これは財源とにらみ合わせて、今考慮中であります。財源ができましたならば、必ず予定通り六・三制を実施いたすことを、ここにお約束いたします。(拍手)
  [國務大臣森戸辰男君登壇]
#16
○國務大臣(森戸辰男君) 圓谷君の御質問にお答えいたします。御質問の中に、六・三制の完全実施をやると私が言つたというお話でありますが、これは間違いであります。私どもは、六・三制は今日の窮乏日本では完全にはできないが、あらゆる努力を拂つて完全に近い方に導いていかねばならぬと常に申しておるのであります。
 第二には割当の点でありますが、これは実は七月十五日に予算が内定をいたしまして、冬になりますと実は工事も進みませんので、そういう事態を考えながら、実はかような事態であつて、まだ内閣ではきまつておらぬのであるけれども、しかし工事費等の関係があり、さような條件を心得ながら御承知願いたいというので、府縣に知らしたわけでありまして、この点で、決してそれが確定的なものとして地方に通達しておるわけではないのであります。しかしながら、それがために実は地方では準備をいたし、中には着工しておる地方もあるやに承つておりますので、当局におきましては、至急に地方のその実情を調査して、実情に即した処置をとりたいと存じております。地方の町村長その他の方々に負担をかけるというような考えは、断じてもつておりません。
 なお七億ときまつたのでありますか、残り七億についてはどういう考えをもつておるかというお話でありますが、私どもは、実はこの七億では私どもの当初望んた六・三制の実現も困難でありますので、この足らないところを充たしていくために最善の努力をいたしたいと存じております。私のなすべきところは、この残されたる範囲のものを最善の線まで導いていくことであろうと存じております。
 なお、この際一言申し添えておきたいことは、実は今日窮乏の際であるから六・三制度は中止すべし、あるいは延期すべしという議論も世の中にはあつたのであります。しかるに私どもは、六・三制度はこの窮乏の間にも断じて行つていかねばならぬ、多くの困難に当面しつつも、殊にこの夏の災害復旧という大きな問題の中にも、國民は苦しきに耐えつつ六・三制を実行していかなければならず、政府もまたこの窮乏の間にあつてこれを実行していこうという固い決意をもつておることを申し添えたいと思うのであります。(拍手)
#17
○副議長(田中萬逸君) 川野芳滿君。
  [川野芳滿君登壇]
#18
○川野芳滿君 今回提案になりました昭和二十二年度の追加予算は、歳入歳出ともに九百二十一億という厖大なる数字に上るのであります。この厖大なる予算が、健全財政堅持の建前から、少しの赤字公債の発行もなく、しかも本予算における赤字四十八億を完全に解消するのみならず、國鉄並びに通信事業のごとき特別会計の赤字七十五億を一般会計にもちこんで解消のできる予算編成を行われました当局の努力に対しましては、その労苦を多といたすものでございます。しかし、靜かに予算の内容を檢討してみますと、將來の負担に残せしもの、あるいはまた追加予算を余儀なくさせんとするもの、あるいはまた國民大衆に過重の負担を負わせんとするもの等あることは、まことに遺憾千万に存じますので、國民協同党の立場から、私は関係大臣に対し若干の質疑を試みんとするものでございます。
 本年七月新物價体系を定められました当時におきまする全國工業賃金水準は千六百円弱で、また當時におきまする全國官公吏の俸給水準は千六百円に定められたばかりでございました。ゆえに、本年七月におきましては、賃金水準を千六百円、物價水準を基準年次の五十倍ないし五十五倍という物價体系をおつくりになりましても、私は一應物價体系は成立つておつたものと考えるのであります。しかるに、賃金水準を千八百円、物價水準を基準年次の六十五倍と大幅にお引上げに相なりましたのは、小幅に引上げておつたのでははね返りが來るであろう、ゆえに物價体系は数箇月しか保たれない、これではいかないというので、すなわち相当期間新物價体系を保つ必要あるために、大幅に引上げられたところの新物價体系をおつくりになつたものであると私は考えるのであります。しかいたしますならば、現内閣といたしましては、新物價体系を相当期間守らなければならないと私は考えております。しかるに現内閣の閣僚の中には、新物價体系が壊れてもやむなしとするかのごとき意見の発表をされる方もあるのでございまするが、先ほど申しましたように、千六百円対基準年次の五十倍ないし五十五倍に定められるところの物價体系を大幅に引上げて、千八百円対基準年次の六十五倍と定められましたその物價体系が、数箇月のうちに壊れるということになるならば、現内閣というものは重大なる責任を負わなければならぬと私は思うのであります。ゆえに現内閣といたしましては、新物價体系を守るべく新たに決心をいたしまして、新物價体系を守るための、その裏づけともなるべきところの施策を進めていかなければならないと私は考えるのであります。
 政府は流通秩序に関する要綱を発表いたしました。これに伴いまして施策を進めておりますが、遺憾ながら成績のあがらざることが今日の状態であります。殊に、その一環をなすところのやみ取締りの実情をながめてみますると、東京都のごときは、やみ取締りが始まる二、三日前に、何日からやみ取締りが始まるということをやみ商人に内通がまいります。そうしますと、やみ商人は、やみ取締りが始まるその期日から、まどを締めて休んでいる。その間にやみ取締りが始まる。それで、やみ取締りにかかるところの者はまことに小さいやみ商人でございまして、大きなやみ商人というものは全部取締りの網から逃れておるというのが現下の実情であります。かくのごとき取締りの方法でございましたならば、やみ取締りの効果というものは、私はあがらないものと考えまするがゆえに、政府におきましては、今後新物價体系を保つ上におきまして、強い政治のとり方をやらねばならないと私は考えるのでありますが、これに対しまして政府は將來いかなる施策をおとりになる考えであるか、この点を御発表願いたいと存ずる次第であります。
 次は、金融機関の補償の問題でございます。私どもは、過ぐる九十二議会におきまして、金融機関補償のために百億の予算を決議いたしたのでございまするが、今回の追加予算におきまして、その百億の予算というものは制減をみておる次第であります。承るところによりますると、金融再建整備が遅れましたるがゆえに、この百億の予算の削減したと申されております。
 しかるに、現在議会におきましては、農業協同組合法案が議会の審議にかかつております。衆議院は議決いたしまして、参議院は本日議決することになつておりまするが、この法案が両院を通過いたしますると、やがて法律となつて現われます。しかいたしますると、現在の農業会というものは解散することに相なります。しかも、その解散は農業協同組合法の制定に伴う農業團体の整備等に関する法律案という法律の建前から、八箇月以内に解散しなければならないということになつておるわけであります。しかるに現在の農業会というものは、金融事業に携わつておりましたる関係上、相当な赤字をもつておるところの農業会が多数あるのでございます。これらの農業会というものは、政府の補償なくばとうてい整理は困難でございます。しかるに、補償するにも財源の削減に遇つた今日でございまするから、かかる赤字を生んでくるところの農業会に対する補償の途は、いかなる費目からされるのであるか、この点を伺つておきたいと存ずる次第であります。
 次は、地方財政の問題でございます。今日國家の財政も非常に苦しいのでございまするが、地方の財政というものは極度に行き詰まつております。殊に市町村財政におきましては、破綻に瀕しておると言つても私は過言でないと存じます。新憲法によりまして、地方制度の改正が行われ、地方に大幅の権限が委譲されました結果、從いまして事務が非常に複雑になつてまいりまして、多くの人員が増員されることは当然であります。しかるに今までにおきましては、地方町村役場等におきましては非常に待遇が悪かつたのでございますが、労働基準法の制定に伴つて法的支配を受くることになりまして、今回の千八百円ベースの線に沿うて支給せねばならないということに相なりました結果、非常に財源が要るということに相なつてまいりました。殊にただいまもお話があつたようでございますが、六・三制の実施に伴いまして、この費用の大部分というものが地方負担によつて行われまする関係上、地方の財政というものは非常に困難なる現在の状態であります。ゆえに、少額の交付金でございますならば、とうてい地方財政は救われないのでございます。これらの貧弱なるところの地方財政の救済に関し、政府はいかなる施策をとられんとするのであるか、この点を伺つておきたいと存じます。
 なお、ただいま自由党の方より御質問がありました六・三制の問題でございます。先般、金融委員会の席上におきまして大藏大臣は、今回の追加予算を出すゆえんのものは、一つは終戰処理費が多くなつた、第二は物價改訂によるところの物の値上りによつて追加予算を出さなければならないようになつた、第三は六・三制を実施するために追加予算を出さなければならなかつたという答弁をいたしておられるのであります。かくのごとく追加予算を出すところの三番目の條件に六・三制の國庫補助十四億円の問題を出しておられるにもかかわらず、承るところによると、わずか七億しか支出されていないようであります。ただいま首相並びに文部大臣の答弁を聽いておりますと、あらゆる施策をやつて、残りの七億は出すというような御答弁があつたようであります。しかし、ただいまも説明がありましたように、すでに各市町村においては割当額を通知になつておりますので、建築にとりかかつておるという現下の実情である。かかる際において、補助が停止され、あるいは半減されるということになりますと、地方町村というものはまたぞろ破綻に瀕するということになりますので、どうしても残りの七億というものは支出してもらわなければなりません。ゆえに政府は、この七億は予備費の中から支出されんとするのであるか、追加予算の中にこの七億円を含めてお出しにならんとするのであるか、この点をもう一回、今度は大藏大臣から御説明を願いたいと考えます。
 なお六・三制実施のために公共事業費から七億円を支出した結果、災害費に不足を來したということになつたわけでございます。しかるに、災害費の補助というものはまことに重大なものであります。殊に災害の中でも旱害――今年の旱害というものは非常に莫大なるものがあつたのであります。先般農林大臣は地方に行脚の際、旱害の補助は必ずやるがゆえに、どうぞ一生懸命に旱害対策をやつてもらいたい、こういう激励の言葉を残して帰られたのであります。農民はこの激励の言葉に應じまして、一生懸命旱害対策をやつたのでございます。しかして、その結果できたところの食糧というものは供出しなければならないということになつたわけでございますから、かかる費用まで削減されるということになりますと、まことに農民をだましたということにもなります。しかして供出にも影響するものと私は考えるのであります。ゆえに、どういたしましてもこの災害対策に対する費用というものは政府は支出いたさなければならぬと考えております。
 殊に土地改良費でございますが、今日日本は何をおいても食糧増産に邁進しなければならないのでございまするがゆえに、土地改良費等においても相当なる費用の計上があつてしかるべきであると思いますのに、今回の追加予算においては、一銭の土地改良費をも計上していない。まことに私は遺憾千万に考えるのであります。これらの災害費に対する補助を、政府はあるいは予備費からでも、あるいは追加予算を出しまして、その中から補助を出される考えはないか、この点を大藏大臣に伺つておきたいと存じます。
 なお、最後にお尋ね申し上げることは、今回の歳出面を見ますと、厖大なるところの絶対的な支出金額がありましたために、厖大なる歳出になつてまいつたわけでございます。從つて、歳入面においても相当無理なるところの收入が見込まれております。すなわち、夕バコの大幅値上げ、あるいは各種租税の大幅の増徴でございます。
 大藏大臣は、先日の財政演説におきまして、わが國におけるところの國民所得は九千億円であると称されました。しかも、この九千億円の中には、やみ所得が含まれておると私は考えます。しかるに昨日、同僚西村君の質問に対しまして栗栖大藏大臣は、やみ所得の調査は困難である旨を述べられております。調査困難であるところのこのやみ所得を、税金の対象となるべきところの國民所得の中に加えるわけにはまいりません。ゆえに、税金の対象となるべきところの所得というものは、國民の総所得九千億円からやみ所得を引いたところの残りが税金の対象になるところの國民の所得であると私は考える。しからば、この九千億円からやみ所得を引いたところのものに対しまして現在の課税をするということになりますので、國民が重税にし苦むということになるのは当然であります。
 本年度の本予算の租税は六百八十億円でございます。今日税金が徴收されておる金額は二百数十億円でありまして、残る四百億円というものは税金が未徴收となつております。しかるに、今回六百三十億円の租税を見越しておられますが、合わせますると一千億円以上に上るのであります。一千億円以上の税金が本年の末から來年の初めにかけて國民の頭に割当てられましたときに、國民はおそらく身震いせられることであろうと私は信ずる次第であります。
 從來の大藏当局の課税の方針を見ておりますと、財務当局をして各税務署に割当てさせます。しかいたしますると、税務署は財務当局から割当てられましたところのこの税額の上まわりをねらつて國民にかけていくのでありますから、国民は不当なる課税のために、今年の春のごときは、税務署を非難し、相当なる問題がもち上つたことは、皆さん御承知の通りであります。ゆえに、今回はかくのごとき厖大なるところの税金を割当てるにあたりましては、國民の納得するところの課税の方法をとつていただきたいと存じます。現在申告制度というものがございまするが、しかし、申告制度によつて國民が申告いたしましても、税務署というものはなかなか聽き入れません。現在においては、税務署の一方的見解のもとに課税されておるのが実情でございます。ゆえに、もう少し國民の納得するような課税方針をとつてもらいたいと考えております。殊に、農民の方々は財政方面に非常に暗いのでございますから、もし農民の納得せぬところの課税の方法を選ぶということになれば、働いても働いても税金に取上げられる。これでは働かない方がましであると考える農民が多数できるということになれば、食糧増産にも悪影響を及ぼすものと私は考えますので、この点については、納得するような課税の方法を考慮していただきたいと考えます。
 また中小商工業者でございますが、中小商工業者の課税にあたりましては、地方税務署といたしましても、やみをやるものという考えのもとに課税をされる税務当局があるのでございます。やみをやる前提のもとに課税をされるのでは、やみをやつた方が得だというような考えを起す商業者も出てまいつておりますので、かくのごとき税金のかけ方をいたしますと、流通秩序を保つところの政策に反する事態も起つてまいると考えますので、中小商工業者の課税にあたりましても、こういう点は十二分に気をつけて課税していただかんことを切望いたす次第であります。これらの問題につきまして大藏当局はどういうお考えをもつておられるか、伺つてみたいと存じます。
 なお、現在國民が、ただいま申しましたように非常に重税で苦しんでおるとき、ひとり官廳のみは増員に増員を重ねまして、現在では二百五十万人の官吏があるということになつております。官吏の家族を合わせますると、國民七人で一人の官吏を養うというそろばんにも相なるのでありますが、かくのごとき厖大なる官吏を有するということが今日日本を混乱に陷れるゆえんであると考えますので、政府は一日も早く行政整理を断行いたしまして、かくのごとき厖大なる人員を整理するの必要ありと思うのであります。西尾官房長官、和田安本長官におかれましては行政整理の断行は必至であると言われたという新聞記事を私は見たのでありますが、政府といたしましては行政整理を断行する意思ありや、断行されんとするならば、いつごろ断行されるのであるか、これは行政調査部総裁齋藤國務相に伺つてみたいと存じます。
 現片山内閣は、講和準備の内閣、続いて講和内閣として國民に期待されているところの内閣でございますが、しかし、近時内紛に内紛を重ねているということは、まことに遺憾千萬でございますので、閣内の内紛を止めまして、一致結束、強き政治力を結集いたしまして、國家再建のために邁進されんことを切に願望いたしまして、私の質問演説を終ることにいたします。(拍手)
  [國務大臣栗栖赳夫君登壇]
#19
○國務大臣(栗栖赳夫君) 川野議員の御質問に対し、お答えをいたします。最初のお尋ねは、今回の追加予算によつて、本予算に百億の補償金が計上してあつたのが削除されたのはどうかというお尋ねであります。この機会に、私は廣く農業関係の方面の方々にもお傳えしたいと思います。この削除は、本年度に計上することを削除しただけでありまして、決して補償を打切るという趣意ではないのであります。実際の面から申しますと、金融機関の再建整備は本年度内に完了するということは困難のように考えられるのでありますが、そういたしますと百億の補償は必要がないので削つた次第でございます。農業会は八箇月以内に解散をすることになつておりますけれども、再建整備の手続を要しますものは新旧勘定にわかれておりますので、これは例外として取扱われまして、その後この再建整備の進むに従つて、なるべく速やかに整理を完了することになるわけでございます。この完了の時期に補償をもあらためて組み上げたい、かように考える次第でございます。なお、新勘定は農業協同組合の方に移行されるのでありますが、その移行についても、十分円満な進捗を期したいと考えている次第でございます。
 次に、地方財政の問題についてお尋ねがあつたのでありますが、お説の通り地方財政の建直しということはきわめて重大な問題でありまして、これは單なる分與税の分與金というくらいでは建直しはとうていできないのであります。すでにしばしば申し上げますように、新財源の設定、地方行政の改革及び整理、借入金の整備とかその他の線に沿うて、これを総合的に建直しをいたしたい、かように考える次第であります。
 なお、六・三制の予算についてのお尋ねがございましたが、これは資材等の見合わせもございます。六・三制の実施ということにつきましては、片山内閣はすでに根本的に取上げている問題でございますので、予算面を担当しております私といたしましては、十分この辺は考えまして、そして資材ともにらみ合わせ、予算上の処置を善処いたしたいと思うのであります。それは予備金でするか、さらに追加を出すかというようなことは、その場合について考えたいと思うのでございます。
 なお、これがために灌漑、土地改良の費用に影響を受けるというお話もありましたが、お説の通り一部の六・三制を七億円にいたしました関係上、一部灌漑、土地改良費というものが、ごくわすかでありますが影響を受けるのであります。しかしながら、これも必要に應じては十分支出の面においては努力いたしたいと考えておる次第でございます。
 なお、國民所得九千億円の問題でございます。これは大体において安本において計出されたものでございまして、昭和十年の國民所得を基礎として出たものであります。なお、これにつきましては徴税その他の関係がございますので、予算委員会に詳細なる説明資料、数字を出しまして、各位の御審議をお願いいたしたいと思うのであります。
 それから、この徴税が必要であつて、予算申告制の結果を憂慮する意味のお尋ねもありましたが、予算申告制はすでに昨日も申し上げたのでありますが、この三月の税制改革によつて新たにとつた方法であります。インフレーシヨンが進んでまいりました今日のような過程におきましては、複雑な分類所得税で前年度の收入を目当てに今年度の税金をきめるというようなことでは、とうてい税の把握ができないので、とつたような次第であります。何分予算申告というようなことが國民に慣れないために、低目に申告をする。それがために、結局は税務官吏において査定して、手数を要しておるというのが現状でありますけれども、この点は、この予算申告制の採用によつて税制も簡易化しておるものでありますから、國民に十分に今回の税の性質、必要性ということをも納得させ、普及をいたしまして、これは昨日申しましたように、納税運動等においていたしまして、徴税の万全を期したいと思う次第でございます。(拍手)
  [國務大臣和田博雄君登壇]
#20
○國務大臣(和田博雄君) 流通秩序の確立について、やみの撲滅に対しましては、ただいま関係方面の各省の委員会をつくりまして、それが中心になりまして、いろいろに手を打つておるのであります。この点は、この組織をいま少し働かせまして、今後はわれわれの方でやりますが、監査の仕事が進むに從いまして、やみの撲滅につきましてもなお一層の努力を拂いたい、かように考えております。
  [國務大臣齋藤隆夫君登壇]
#21
○國務大臣(齋藤隆夫君) 行政整理についてお尋ねがございましたが、これは昨日たしか総理大臣から大体お答えになつておる通りであります。すなわち、行政機構の改革、能率の増加、あるいは人員の整理等が行政整理の内容をなしておるのであります。行政調査部といたしましては、政局に対應するために、ただ下調べをしておるのが今日の現状であります。いろいろの方面から調べておりましたが、具体的に世上に発表するまでに実は至つておりません。行政整理ということは、御承知の通りに長い間の歴代政府の懸案でございまするが、これを実際に行いますについては、なかなか錯雑いたしておりまするのと、各方面にいろいろの影響を及ぼしますので、そう口で言うようには簡單にまいりません。けれども、どうしてもこれは断行しなくちやならぬのでありまして、政府におきましても、よほどの決心をもつてやつておられると思います。いずれ次の通常議会ごろになりますると、具体案がこの議場にも現われることと思いますのみならず、行政調査部でやつております過去一年の仕事は、たしか國会にも二回ばかり報告しております。相当浩瀚な報告が國会に提出せられておりまするからして、もし機会がありましたならば、これを御一覧くださいますことをお願いいたします。これだけお答えしておきます。
#22
○副議長(田中萬逸君) 中村寅太君。
  [中村寅太君登壇]
#23
○中村寅太君 私は、日本農民党を代表し、補正予算案に対し質問いたしたいと存じます。
 およそ予算編成の方針としましては、縮小生産のやむなき時代においては、支出の面にあつて経済力の回復をはかり、その力によつて生産を飛躍的に増大せしめ、國民所得を増加せしむることを第一義とせなくてはなりません。從つて財政の処理も、この目的方針の線に沿うておらなければなりません。生産性の薄い面には努めて支出を圧縮し、生産性の濃厚なる方面に向つては積極的に配分をなさなければなりません。歳出に関する方針としては、單に租税のみによることなく、新円階層に対して貯蓄心を高揚し、この吸收せられた力を利用することにくふうを要するものと考えられます。
 しかるに、この予算案を見るときに、遺憾ながら机上計画的の性格が強くて、國民生活の実態に即し、生産性を盛りこんだ、逞ましき計画性を見出し得ないのであります。ただいまの收支のバランスを整えることのみに專念し、國民生活を犠牲にし、財政のつじつまを合わせるために経済生産を萎縮せしめるようでは、とうてい復興はむずかしいのであります。
 予算案に対する金額決定の基準は、收支均衡の問題ではなく、どこまでもその内容であると考えるのであります。たとい一時は赤字支出でありましようとも、その支出が生産を刺激し、これを増大せしめ、この増大生産による自然増收から生まれてくるところの租税によつてその赤字を補填することができるように國民生活を誘導し、生産を拡充することが最も大切であります。ただバランスが形式上とれているからといついて、それだけで健全財政であり、健全予算であるということは、断じて言えないのであります。われわれは、この黒字予算にも警戒を要すべき幾多の疑点と弱点が潜んでおることを見逃してはならないのであります。
 まず第一点といたしまして、支出面における終戰処理費が六百四十二億円、賠償施設処理費が四十億円、公共事業費が百四十七億円、その総額は八百三十億円となつておるのであります。本年度歳出総額二千六十六億円に対し、実に四割にも及ぶ比重となつております。しかもこれは、九月十二日附の総司令部より発せられたる指示により、人件費、物件費ともに公定價格をもつて算定せられたものと思うが、今日土建事業ほどやみのはなはだしい面はないのであります。從つて工事の実施にあたり、予算の範囲内で予定通りの計画を所定の期日までに仕上げしめることがはたしてできるか。
 政府は、今後政府の手で行わねばならぬところの諸事業は、ことごとく公定價格で実施せなばならぬ義務があるのであります。民間事業と政府事業とを問わず、これまでやみ経済を無視しては何事もできなかつた現実を直視するときに、この弱々しい内閣の手によつて、この措置が完全に遂行できるとは考えられないのであります。政府はこれを貫徹するために法的処置を講ずると言つておりますが、一片の法的処置だけでできることではないのであります。この制度と併行いたしまして、政府支出に対する官僚の自粛を私は絶対に必要とするのであります。同時にこれが監査制を強化徹底するとともに、一般的流通秩序の確立を絶対に前提としなければならないと存ずるのであります。これを貫徹しない限り、藏相の言うところの健全財政も崩れ去り、恐しき不健全財政となるのであります。
 なお、追加補正額九百二十一億円のうち約七割すなわち六百三十億円は、昨年十一月当初予算決定当時より本年七月までの間に生じたところの物價騰貴による自然増加であります。これによつて見ましても、本予算の基準は七月改訂の物價を基礎としたものでありますから、いきおい七月から來年三月までの九箇月間に、当然物價高騰により再ぴ追加補正を必要とする情勢に追いこまれると思うのでありますが、これに対し、政府はいかなる方策と確信をもつて臨むか。この点について所信を伺いたいのであります。
 第二には、まさに破綻せんとしているところの地方財政の健全化をはかるために相当の増額を必要とする地方分與金を圧縮する点であります。これは当然政府で負うべき負担を單に地方に移したことになり、それでなくてさえも窮境にあえでいるところの地方財政を、いよいよ破局に追いこむことになるのであります。特に六・三制実施の結果府縣市町村が負担する巨額の経費に対しまして、今日國民はとうていその負担に耐え得ない実情にあるのであります。これに対して、政府はいかなる見透しと処置をもつて臨まんとするのであるか。
 第三点としましては、農業生産調整費一億九千万円を計上しておりますが、この法案は農村の実情にも合致せず、農業生産の増加にも何ら役に立たないのであります。それのみか、全國五百万農家の怨嗟の的になつているのであります。これは先般來の自由討議によつて見るも明かなるがごとく、ほとんど賛成者なき状態で、通過の見込みなしと私は考えるのであります。(拍手)これを農業生産の増加に最も重要な役割をもつところの農業技術者の養成設置費として変更の意思はないかとお尋ねするのであります。もし変更の意思がないとするならば、この農業技術者養成設置の費用についてはいかにせんと考えておるのであるか、これも重ねてお尋ねするのであります。
 次に歳入の面でありますが、その大部分は六百三十五億円の租税であります。当初予算の租税收入六百八十七億円と合すれば、実に千三百二十億円の厖大なる額となるのであります。本年度國民所得は八千五百億円ないし九千億円と推定せられるのでありますが、國税は実にその一五%に当り、しかも國民所得の相当部分はやみ所得で、これを捕捉することが非常に困難なために、いきおいまじめな正常所得者に課税負担の重圧がかかることになつておるのであります。社会党が在野時代から呼号し、民主党も國民協同党もともに選挙の際公約せしところの新円階層に対する積極的な高率課税の方針は、今回の税制改革にも姿を見せておりませんが、この方針は放棄したのであるか、それとも実行しようとしてもなし得ないのであるか、この点を明瞭にしていただきたいのであります。
 いま一つ重大なことは、これだけの厖大な租税收入を組んでみましても、はたして徴税が可能なりやという点であります。所得税の申告が予算の一八%にも達せず、上半期の納入実績が本予算の三八%にもすぎない不成績の現状を見ますときに、この下半期に一千億円の徴税が可能なりとは、いかにしても考え得られないのであります。(拍手)政府は納税のために大運動を起すと言つておりますが、今日まで片山内閣が起しましたところの國民運動は、單なるかけ声に終つてしまつておるのであります。この納税運動は、國民運動として実績をあげ得ないならば、何らの意味もないのであります。この点につきまして、その運動の具体性と政府の見透しを明確にしていただきたいのであります。
 なお、今日の課税がやみ價格による收入見積りを基準としており、國民の負担力に相應せないところに、納税成績が上らないという原因があると私は思うのであります。この点に対して政府はいかに考えておるか。かくしてはてしなく増加する地方税や厖大なる國税の過重負担に加うるに、酒やタバコや主食の大幅値上げによつて、國家財政の赤字が、國民大衆の犠牲において國民家計の赤字に轉嫁され、企業の赤字に振りかえられ、國民の耐乏生活は今や破綻するものと考えられるのでありますが、これに対し、國民大衆を基盤とすると自称しておるところの社会党中心政府は、いかなる対策をもつて國民の生活を守り、企業の萎縮を防がんと考えておるのであるか。
 最後に、政府は今日なお新物價体系は維持せられておると考えているようでありますが、國民は一人といえども、國民の実生活の中にこれが堅持せられておるとは考えておらないのであります。昨日の新聞によりますと、東京地方裁判所の山口判事は、政府の指示に從つて一切のやみ行為を排し、一切のやみ生活を排し、まじめに遵法生活を続け、遂に栄養失調となり、死去せりと報じておるのであります。國民が政府の指示に從つて生活すれば餓死しなければならないとは、実に容易ならざるところの事態であり、政府の政策に根本的な誤りがあると断ぜざるを得ないのであります。(拍手)しかも、同氏の給料は月三千円弱であつたと言うが、これでも政府は千八百円ベースを維持し得るものと考えておるかどうか。
 次に、千八百円ベースを基準として、そのわく内において決定せられたところの米價に対する問題であります。追加予算の影響を受けて、千八百円ベース改訂のやむなきに至りますことは、もはや時間の問題であるが、その際には当然米價も改訂せられなければなりません。もしもこれを改訂しないならば、三千五十五万石の供出はいきおい困難となり、國民の食糧計画もまた破綻することになるのであります。もし米價を改めずに強制的に供出せしむれば、農民のみが不公平なる赤字を背負うて一箇年を苦しむことになり、農業再生産を妨げ、生産は減少せられることになりますが、この点に対し、首相はいかに処置せんと考えられるか。
 以上の数点につき、明快なる答弁を望むものであります。(拍手)
  [國務大臣片山哲君登壇]
#24
○國務大臣(片山哲君) ただいま中村君が申されました根本的な問題、総括的な問題についてお答えいたしたいと思います。
 納税の問題について、國民運動の成績があがらない、こういうような御意見でありましたが、中村君が非常に熱心に力強くお述べになりました御趣旨は、私どもも共鳴いたすのでありまするが、今日この敗戰日本を建直して、民主的にかつまた平和的にこれを再建しようとする運動が、すでに諸君のうちに起つておるのであります。すなわち、民主教育連盟に諸君は参加されまして、相ともにやつておられるのでありますが、それは一に形式上の政治運動だけではないのであります。経済上におきましても祖國を再建しなければならない。祖國再建の費用は、國民全体が分に應じて担当していかなければ、とうていできるものではないのであります。(拍手)文化國家、平和國家というものは、單に形式の問題ではないのであります。経済的にこれを成り立たすように、國民全体が背負わなければならないと私は考えておるのであります。その意味において、民主運動というものはすでに國民運動とならなければならないのであります。その結果ここに現実性を帯びてくるのでありますから、納税問題等も当然教育連動の中に織りこまれて、諸君の手によつて行われることを私は心より期待するものであります。(拍手)
 なお、インフレ防止問題につきましては、これまたどうしても当面せる問題としてやらなくてはならない問題であります。新物價体系を堅持いたしまして、千八百円のベースを守つてインフレを防止していかないことには、この危局を救うことができないという建前をもつて進んでおるのでありまして、わが國の現状を護るためには、この方法が一番いい、これを除いてはほかにないということを私は確信いたしまして、その途に進んでおるのであります。どうか、そういう意味で経済上の問題、財政上の問題等につきまして、われわれが堅持いたしておりまする政策を十分に御了解あらんことを求める次第であります。(拍手)
  [國務大臣栗栖赳夫君登壇]
#25
○國務大臣(栗栖赳夫君) お答えいたします。この財政、殊に今回の追加予算が形式的であつて、國民生活を犠牲にする、こういうお話でありますが、これにつきましては、幾度も申しますように、國家も地方も企業も家計もみな赤字でありますが、これを何とかして健全化し、建直すという非常に重大なる難局に立ち至つておるのであります。そうして、政府が一番手近で、一番お手本を示すという意味におきましても、健全財政をとらざるを得ないのであります。なお、健全財政をとるにあたりましても、ただ形式的だけにという意味でなしに、実質的にも、すでに幾度も申しましたが、日銀券が増発されるようなところにメスを入れまして、それを数箇所――あらゆる箇所に押えて、そうしてインフレの高進を阻止するということに努めた次第でありまして、この面におきまして、國民生活のみを犠牲にするというような方針は決してとつておらぬのであります。なおしかし、やはりこの財政を切り抜けるためには、またこの危機を切り抜けるためには、政府も國民も一体となつて、この危機を切り抜けなければならぬのでありまして、國民のみが犠牲だというような意味でなしに、すべてが総理の説明のごとく忍苦に耐えて、そうしてこの難関を切り抜けなければならぬと思う次第でございます。
 なお、さらに追加予算の必要はないかという点、地方財政、六・三制等につきましては、すでに御説明を申し上げましたから、ここでは省くことにいたします。
 なお、農業生産調整費一億九千万円の問題が出ました。政府といたしましては、しさいに檢討しまして、この金額を適当と認めまして計上いたしたような次第でございます。
 なお、租税の賦課の衡平を期するということでありますが、これは一昨日しばしば申し上げましたように、この点、追加予算につきましても、この実施については十分考慮を拂う次第であります。やみを抑えるという点においても、十分盡したいと思うのであります。
 なお、インフレ利得者に対しての高率な課税というような点は、一昨日も申し上げましたが、所得税を高額に引上げまして、これによつてその目的を達するということにいたしておる次第であります。(拍手)
  [政府委員井上良次君登壇]
#26
○政府委員(井上良次君) ただいま中村議員より、目下國会で審議を願つております臨時農業生産調整法に含まれております二億円の予算の問題について、これがもし通らなんだ場合には、この予算を農業技術員育成に使つたらどうか、こういうお尋ねのように伺つたのでありますが、政府といたしましては、農業生産調整法は現下の供出制度の欠陷を是正いたしまして、農業生産力を高揚するために必要なる法律案として本國会に提出したのでありまして、この通過に対しましては、國会の皆さん方の御協力を願いたいと考えておりますし、なおこの法案の実施に伴いまして、当然その経費が農業技術員育成の費用として今お示しの一億九千万円近いものを含んでおるのでありまして、この法案が通過いたしますと、当然全國一万一千の町村の技術員育成の費用を助成することになるのであります。ぜひこの法案を通してもらうことが中村さんの質問に答えることになりますから、さよう御了承いただきたいと思います。
#27
○副議長(田中萬逸君) 野坂參三君。
  [野坂參三君登壇]
#28
○野坂參三君 私は、日本共産党を代表しまして、追加予算に対する質問を試みたいと思いますが、時間が非常にないので、大体重要な一般的な問題についてだけ質問したいと思います。
 この演壇に立つて私は、歴史は繰返す、あの言葉を思い出さざるを得ない。と申しますのは、今から八箇月前に、この同じ演壇で、自由党の石橋前大藏大臣が健全財政について滔々と弁説をふるわれたのであります。予算の面では收支が償つておる、これは健全財政である、絶対にこれからインフレは起らないということを保証された。これに対して、私たちの代表の徳田君が追究して、絶対にそうではない、この予算自体がすなわちインフレの因素を含んでおる。同時に今日の日本の状態のもとでは、必ずここからインフレが出てくる、必ず追加予算が出てこなければならない、こういうことを主張した。これに対して大藏大臣は、言を左右にして否定されたが、事実はどうかといえば、徳田君の方が正しかつた。石橋大藏大臣はうそつきであつた。栗栖現大藏大臣も、やはりこの演壇から健全財政を御説明になつた。
 私がこの予算を見ました場合に、同じく形は違いますが、本質においては石橋財政と変らない。すなわち、ここには明らかに不健全なものがはいつている。一体健全ということは何かというと、私はどうしても三つの條件が必要だと思う。第一にはインフレを起さないこと、第二には國民生活の最低生活だけでも保障するようなものあること第三のには経済の破壊ではなくて、経済の再建に役立つような性格をもつたもの、この三つの條件のない予算は、健全財政ではないと思う。さて、この現追加予算を見ますと、遺憾ながらこの三つの條件が一つもはいつてない。言いかえれば、羊頭を掲げて狗肉だけではなしに、羊頭を掲げて毒を盛つてある。こういう結論をわれわれは見出さざるを得ない。
 第一にこの予算の中には、予算自体がインフレの要素を含んでおる。また今日のインフレの状態のもとにおいては、この予算は必ずインフレを生まざるを得ない。インフレを促進する。これをたとえば國民所得の面から見ましても、七月に政府の発表された國民所得の額として、大体われわれの承知しておるところでは約八千五百億円。これについて私たちが千八百円基準に基いて國民消費資金というものを計算してみますと約六千百五十七億円。さらに政府の大体予定しておるらしい産業資金が一千二百三十億円。合計しますと七千三百八十七億円。國民総所得の約八千五百億円からこれを引きますと残つておるものが一千百億円内外。これが財政資金として使われなければならない。ところが、今日出された追加予算一般のものだけを見ましても二千億円ある。どうしても一千億は不足する。これをどうするかといえば、結局この不足、財政面に載せられたものは拂わなければならぬ。しかし金がない。結局一千億円の赤字が出る。これはインフレを生む。これについて、私は和田安本長官の御答弁を願いたい。
 最近では、この八千五百億円が九千億円に、五百億円ばかり急に増しましたが、これは物價騰貴とかいろいろな点もありましようが、今私が掲げたこの率は、九千億になつでも大なる相違はないはずであります。そうしますと、安く見積つても一千億円インフレというものは、どうしても私は見込まざるを得ない。これについて、私は和田安本長官の御答弁をお願いしたいと思います。
 さてこういうふうに、この國民所得及び財政、この二つの面から見ましても、これだけの大体インフレというものが予想されるが、実は安本の最近発表された総合計画というものを見ましても、すでにインフレ自体を認めておる。これは新聞に発表されましたが、これでは千九百二十億円という、大体この年末には通貨の膨脹がある、こういうことを言つておる。これはすなわち、政府自体がインフレを認めておる。これは一般に過小に見積られたものである。実際には年末には二千億円ということは大体言つております。これについても、私は和田安本長官のお答弁をお願いしたいと思う。
 さらにもう一つ大藏大臣にお聽きしたいことは、このようにしてインフレ、從つて物價騰貴――大体今の見積りでは、四五%物價騰貴というものを見積られる。そうしますと、私は大藏大臣にこの壇上から日本の國民の前にはつきり言つていただきたいのは、この年度内に物價の騰貴というものは見透しがないのかどうか、この予算の中には物價の騰貴というものが見積られそおるかどうかということ。もし見積られてないならば、物價体系というものはどうなるのか。必ず崩れざるを得ない。この点について、大藏大臣の御答弁をお願いしたい。
 さらに、昨日ここで自由党の青木議員その他からも申されましたが、今度のこの予算面を見ましても、單に今私の申し上げた点だけではなくて、個々の具体的の予算面を見ても、たくさんインフレの要素を含んでおる。たとえば、しばしばここで申されましたから私はここではこれ以上触れませんが、復金の問題、あれからでも明らかにインフレが起らざるを得ない。また千八百円のあの問題もあります。これも必ず崩れざるを得ない。これもやはりインフレの重大なる因素になつてくる。ここでもまたしばしば申されましたように、租税未納ということも、これは現実の事実であり、必ず將來も続かざるを得ない。ここからもインフレが起る。
 しかし、もう一つ申し上げたいことは、それは終戰処理費の問題、これが大きな負担であることは私が申し上げるまでもありません。この中で一つ問題にしなければならないのは、土木費がマル公でやられておる。もし今日の状態においてマル公でやるということでは、これは実際土木業者はやつていけない。やろうとすれば、強権によつて物資と労力を結局徴発するより方法はない。土木業者はやつていけない。そこで土木業者は、土木以外のところでどうしてももうけなければならない。從つてどうなるかと言えば、土木以外の他の面においては、どうしてもここでインフレを起さざるを得ない要素をもつておる。この点について私は大藏大臣にお聽きしたいのは、この終戰処理費の影響についていかなる考えをもつておられるのか。私たちは、この終戰処理費がマル公であるというただ一つの点から見ても、インフレが促進されるということを考えざるを得ない。
 ついでに、ここでお聽きしたいことは、終戰処理費の中からを見ますと、これは昨日の新聞に発表されていますが、朝鮮向け資材の資金が四十七億はいつています。私はこの点についてお聽きしたいのは、まず第一に、この朝鮮の費用について日本の國民はなぜ自己の負担において支拂わればならないか、この根拠をお聽きしたい。第二には、こういうものをなぜ貿易の形でやられないのか、なぜ日本國民の負担にしなければならないのか、寄附の形にしなければならないか、これをお聽きしたい。第三には、この問題について、大藏当局としては当局といかなる交渉をなされたか、これについても私はお聽きしたい。なぜこの問題をここで申すかというと、四十七億円と言えば、決して今の日本にとつては小さい額ではありません。ここでしばしば問題になつたように、六・三制の問題にしても、初めの文部省の予定では三十一億ということになつておる。しかし今七億になつておる。もしこの四十七億があつただけでも、この六・三制の当面の必要なものだけでもまず解決できる。その意味におきまして、私はこれについて大藏大臣の御答弁をお願いしたいと思う。
 今申しましたように、この予算自体を見ますと、明らかにこれはインフレを起さざるを得ない要素をもつておること、これが第一の性格である。第二に申し上げたいことは、ここでもしばしば申されましたが、この予算は國民生活をますます窮迫化すということ、これについては時間がありませんから詳しくは申し述べません。千八百円ベースの問題がここで言われましたが、ともかくもこれで食えないことは個々の大臣諸君も明らかにそれを認めておるはずです。また大藏大臣の予算演説の中に含まれたところを見ましても、昨年の物價が今三倍半ないし三倍上つておる。物價はこれほど上つておるが給與はどうか。千二百円から千八百円、僅かに五〇%、物價の方は二倍半、三倍上つておる。この大藏大臣の演説の中から見ただけでも、いかに今度の予算が、千八百円ベースというものが、労働者を圧迫しておるかがよくわかると思います。
 しかも、この千八百円ベースがどうしても維持できないということは、政府自身も実際認めておる。認めるだけではない、実際やつておる。たとえば、最近逓信職員組合の方で爭議が起つておる。そのときに政府は、大学その他へ行つて、いろいろストライキ破りを呼んで來た。そのときの條件を見ますと、一人三合の主食附で、一日百二十円ほどもらうことになつておる。もちろん、これは臨時雇ではあります。多少普通よりは高いのは認めますが、しかし、主食と百二十円の給與を與えること自身が、すなわち千八百円を政府自体がもう目の前で破つている。これでもまだ政府は千八百円、千八百円と、こういうことを一体固持されようとするのか。これを私は労働大臣に、お聽きしたい。社会党出身の労働大臣としまして、私は今まで質問もしましたが、この際ここではつきりしていただきたい。あくまでこれをやろうとしておるのかどうか。
 これについて労働大臣は、新聞の報道によりますと、大阪でこういうふうに言われている。官公職員の給與の問題について今紛議があるが、彼らの要求そのまま容れれば百億円支出が必要である、これではやつていけないが、しかし半分くらいは何とかなろう、こういうことを言われたということが新聞に載つていますが、はたしてこれが事実であるか、もし事実なら、この予算面のどこに出ておるのか、出てなければ、これをいかにして解決するか、將來再び追加予算として出されるつもりであるかどうか、これについて私はお聽きしたいと思う。この点を見ましても、今度の予算の性格が大体わかつてくる。
 さらに私は大衆課税という問題について申し述べたいのでありますが、時間が非常に切迫しておりますので、ただ質問の点だけに止めたいと思います。
 大藏大臣はここで、所得税の中で給與所得税や事業所得税の税率が低くなつている、いかにも今度は前よりも大衆に負担をかけない、こういう性格の予算であろということを言われましたが、しかし、これをよく見ますと、それは欺瞞です。この反面に專賣益金とか間接税の引上がある。これによつて、減税されたものの数倍、ある場合においては数十倍の増額になつておる。一例をあげれば、扶養家族三人で月約三千円、これは千八百円ベースですが、そうしますと、これの減税が百四十円になる。ところが、たばこだけを一つ見ましても、夫婦合わせてこれまで月百五十本。これが今度百本に減される。五十本どうしても不足である。これを買わなければならない。これはいくらかと申しますと、月二百五十円の余分の金を出さなければならない。一方で百四十円減税という形をとるが、実際においては、片一方では二百五十円よけい出すということになる。すなわち、百円よけい出させるということになる。これを見ましても、いかにこの財政というものが、大衆に負担をかけているかということがわかる。表面だけではいかにも負担をかけないようなことを言つておるが、しかしながら実際においては、こういうような大衆負担をかけておる。こういう点について、私は大藏大臣の意見をお聽きしたいと思う。
 また先ほども、ここで大藏大臣は、今どこでももうからないと言つている。利潤があがらないと言つておりますが、しかしながら、われわれの調べたところのいろいろな材料によりますと、明らかにある。たとえば、電力会社だけ見ましても……。
#29
○副議長(田中萬逸君) 野坂君、時間が來ておりますから結論を急いでください。
#30
○野坂參三君(続) 名前は出し述べませんが、いろいろのところでみな黒字が出ています。ある電力会社は、六分の配当がちやんと予定してある。こういう問題については、私は委員会において申し述べたいと思いますが、こういう点を見ましても、明らかに利潤は今あがつている。あがらないところも部分的にはあろうが、日本の資本家全体を見た場合においては、利潤というものは明らかにあがつておる。個々の資本家においては、部分的には損をしておるものもあるかもしれぬが、こういうところを見ますと、ここだけに利潤を與えておいて、大衆に対してだけこれを收奪する。これが遺憾ながら社会党首班というこの内閣のもとでやられておる。これについて私は、社会党の同僚諸君に十分この際考えていただきたいということを申し上げたいと思う。
 それからもう一言――行政整理の問題について、ここでしばしば申されましたが、これは自由党、民主党、社会党の方はまだ言われないようですが、行政整理をやらなければならない、すなわち首を切れということを言われている。私は齋藤國務相にお聽きしたいのは、先ほど行政整理は必要だと言われましたが、國務相は來年度にこれが盛られるという意味のことを申されましたが、そうすれば、今年度は行政整理すなわち馘首というものはやられない予定であるのかどうかということ、かりにやられるならば、一体どのくらいやられる予定であるかどうか、この点を私はお聽きしたいと思う。
#31
○副議長(田中萬逸君) 時間が経過しております。寛容をもつて臨んでいるのですから、どうぞ。
#32
○野坂參三君(続) それでは私はまだもう一項目、現在の生産が増強されないで、むしろ危機が深められるということを申し上げたいと思いますが、これは打切つて、最後に一言、この予算の性格を申し上げますれば、まず第一に、この予算はインフレを促進するということ、第二には大衆の收奪をますます強めるということ、第三には生産の増強には役立たない、危機が深まるということ、こういう点を申し上げて、私の質問演説を終りたいとます。(拍手)
  [國務大臣栗栖赳夫君登壇]
#33
○國務大臣(栗栖赳夫君) 野坂議員の質問に対してお答えいたします。今回の追加予算が新物價体系によつてできていることは、すでに申し上げた通りであります。
 次に終戰処理費でありますが、これにつきましては、緊急土木費その他マル公によつてせよ、こういう九月十二日の覚書をも寄せられ、さらにこれに國内的には法的措置をも講じようとすること、なお連合軍に対しては強大な協力を求めていること等は、すでに申し上げた通りであります。
 朝鮮における資材の問題でありますが、これは前内閣におきましても、すでに十七億の計上があつたのでありまして、これは本予算にもあるのであります。今回もさらに計上いたしまして、四十数億のものに相なつておるのでありますが、これは負担するという趣意ではありません。とりあえず立替えておるのであります。何分にも目下は占領下にありますので、今後の処理は、今後における善処によつて処理いたしたいと考えております。
 なお、大衆課税の問題がありましたが、これもすでに数回にわたりましてここで説明申し上げ、今さら申し上げるまでもないことでありますが、この追加予算は財政上の緊要なる必要に應ずることと、國民経済を破綻より再建へ導き、國民の生活を不安定より安定へというような線、及び日本の孤立しておる國内経済をさらに國際経済へ引出すという面、その両面を合わせて建直しをするという面からいたしたのでありまして、大衆課税につきましては、すでに申し上げましたように極力避けるということに努力いたした次第であります。(拍手)
  [國務大臣和田博雄君登壇]
#34
○國務大臣(和田博雄君) 私に関しまする御質問にお答えいたします。國民所得と今度の予算の関係につきましては、これは財政資金の適切な期別の計画がまだ策定される段階に至つておりませんので、これは予算委員会におきまして、その段階に達しましたときに詳しくお話いたしたいと思います。
 ただ第二点の第三・四半期において千九百二十億という通貨の発行になるというわれわれの見込みでありますが、これも今第三・四半期につきましては、財政資金の方の四半期別のものが立つておりませんので、一應産業資金計画につきまして、第三・四半期については一應の見透しをもつて概定いたしたわけであります。それが四百二十五億というところに、一應の資金需要を見込んだわけであります。しかし、この一般資金の需要の見込みというものを、一應立てまして、そしてわれわれといたしましては、千九百二十億という程度にこの期末にはなるであろうということを策定いたした次第であります。第一・四半期及び第二・四半期、殊に第一・四半期におきましては、われわれの見込みは大体二百九十五億かの通貨の増発であつたのでありまするが、二百六億という実績であつた。第二・四半期におきましては、二百四十六億という通貨増発の見透しが、二百一億という実績になつておるのであります。去年のちようど第三・四半期は、二百九十億というものが年末に殖えたのでありますが、われわれといたしましては、大体期末に一月々々に約百億程度の通貨増発、言いかえれば本四半期に三百億程度の資金計画を立て、また蓄貯の増強その他のことをやつて止めることができますならば、物價体系の変りました現在におきましては、これは去年と比べましてそう惡い状況ではない、かように考えておるのであります。われわれがこういう産業資金計画を立て、また今度の追加予算から出てきます財政資金と見合わしまして一般の資金の需給計画を立てましたゆえんのものも、また今回の追加予算におきまして特別会計、一般会計を通じてバランスをとろうといたしましたのも、野坂さんの言われましたように、建設そのものへ向つて一歩前進さそうという強い熱意からきておるのでありまして、物價に対する、貨幣に対する信用を失わせまするや、そこに價格体系を壊し、あるいは賃金ベースそのものを始終動かしていくということになりますれば、かえつて予算編成自体が困難に陷つて、インフレーションそのものの促進が急速に助長されるであろう、こういう考えから組みましたことを御了承願いたいのであります。(拍手)
  [國務大臣米窪滿亮君登壇]
#35
○國務大臣(米窪滿亮君) お答えいたします。今日物價が非常に高くなつて、最低生計費と労働者の收入との間に相当の開きがあることは、政府もこれを認めております。私のところへも非常にたくさんの投書が官公吏から來ておりまして、その実情を聽きますと、まことに同情にたえないのであります。申すまでもなく、こういうことは、もうすべて野坂君も御承知のことと思いますが、いわゆる流通秩序の確立と、日常に必要である品物が出てこない限り、いかに名目賃金を引上げても、それは結局賃金と物價の惡循環に終つて、いつまで経つても終止符を打たないということは明らかなことであります。政府といたしましては、この点に鑑みまして、生産復興運動を組織労働者にお願いする意味において、最近経済復興会議を中心として、全國六千くらいの工場にまたがる生産復興運動の展開を、十一月一日から着手するように計画を立てておるのでございまして、一部はすでに軌道に乗つておると思うのであります。また一方流通秩序の点におきましても、各労働組合の協力を得まして、政府の物資活用委員会であるとか行政監察委員会だけで足らないところを國民に協力していただいて、この二つの点を実現しない限り、名目賃金の引上げというものはいたずらに物價の高騰を促すにすぎない、こういう点において、政府はそのいわゆる生計費と給與とのギャップを埋める点に努力を盡しておる次第でございます。しかしながら、この急場を救うためには、この千八百円ベースを物をもつて裏づけるために、主食糧その他の労務用の物資については、政府は目下急速に具体的な方策を立てるべく努力をしておる次第でございます。
 第三の御質問については、大阪における新聞紙に掲載されたことは、ある一つの新聞紙が金額を書いておるのは明かに誤報でございまして、私としましては、この際できるだけの金額は出さなければならないということを言つたのに対して、その新聞がはつきりと金額を書いておるのでございまして、共同会見をしたほかの新聞にはそういうことは一つもなということが、これが誤つておるということを物語つておるものでございまして、私は即日取消文をその新聞社に出しておるのでございます。以上、お答えいたします。(拍手)
  [國務大臣齋藤隆夫君登壇]
#36
○國務大臣(齋藤隆夫君) 行政整理は來年に持越して、本年はやらないかというお尋ねでありますが、やれるだけのことはやります。御承知の通りに、内務省の解体、司法省の機構改革、またせんだつて両院を通過いたしました公務員法の制定、これらがやはり行政整理のおもなる事項であります。そのほか問題になつておりますものは、建設省の設置であるとか、あるいは中央官廳の出先機関を整理するとか、あるいは事業省をば新設するとか、そのほかいろいろな問題がございまするが、まだそれらは今研究中でありまして、最後の結論に達しておりません。この議會ももう余すところわずかでありますから、この議会には提出はできぬと思いますが、次の通常議会におきましては、なるべく提出をして、あなた方の御審議を仰ぎたいと思つております。それだけであります。
#37
○副議長(田中萬逸君) これにて大藏大臣の財政演説に対する質疑は終局いたしました。
     ―――――・―――――
 地方鉄道法の一部を改正する法律案(内閣提出)

#38
○安平鹿一君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、内閣提出、地方鉄道法の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#39
○副議長(田中萬逸君) 安平君の動議に御異議ありませんか。
   [「異議なし」と呼ぶ者あり]
#40
○副議長(田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 地方鉄道法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。運輸及び交通委員長正木清君。
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 地方鉄道法の一部を改正する法律案(内閣提出)に関する報告書
 [都合により第六十二号の末尾に掲載]
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  [正木清君登壇]
#41
○正木清君 ただいま議題となりました地方鉄道法の一部を改正する法律案について、運輸及び交通委員会における審議の経過並びに結果を御報背申し上げます。
 本法案は十月三十日本委員会に付託され、十一月一日政府より提案理由の説明を聽取し、引続き十一月六日その審議をいたしたのであります。
 本法案の趣旨を簡單に御説明申し上げますと、索道に関する昭和二年逓信省令第三十六号索道事業規則は、法律に基く省令ではないので、昭和二十二年法律第七十二号の規定によつて、本年十二月三十一日をもつて失効することとなりますが、索道は公共事業であり、危険防止、公共の福祉の確保の点から、そのまま放任することはできないので、地方鉄道法の全面的な改正に至るまでの暫定措置として、地方鉄道法の一部を改正し、索道に関する規定は命令をもつて定めらるることとせんとするものであります。しかして併せて、新憲法施行に伴つて当然効力を失つた地方鉄道の軍供用義務を規定する同法第二十九條を削除せんとするものであります。
 本委員会においては、質疑の後、本法案は内容も簡單であり、地方鉄道法の全面的改正に至るまでの暫定措置としてやむを得ないものと認められますので、討論を省略し、ただちに採決に入り、全会一致をもつて原案の通り可決いたした次第であります。
 以上、きわめて簡單でありますが、御報告申し上げます。
#42
○副議長(田中萬逸君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
  [「異議なし」と呼ぶ者あり]
#43
○副議長(田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ―――――・―――――
 小笠原、硫黄両島民の帰郷許可助成の請願

#44
○安平鹿一君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、小笠原、硫黄両島民の帰郷許可助成の請願を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#45
○副議長(田中萬逸君) 安平君の動議に御異議ありませんか。
  [「異議なし」と呼ぶ者あり]
#46
○副議長(田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 小笠原、硫黄両島民の帰郷許可助成の請願を議題といたします。委員長の報告を求めます。外務委員長安東義良君。
  [安東義良君登壇]
#47
○安東義良君 ただいま上程に相なりました請願につきまして、外務委員会における審査の経過並びに結果を御報告いたします。
 去る九月二十五日、本請願を議題といたしまして委員会を開きまして、紹介議員八並達雄君より、請願の要旨及び目的を説明せられました。その説明によりますれば、小笠原、硫黄両島の住民は、戰爭中強制疎開の命令により、全島民は余儀なく父租の地を離れ、本土へ疎開したものであります。これらの人たちは、氣候風土が異り、また本土には知己も少く、就労も意のごとくならず、生活に困難な者も少くなく、また当局のこれらの人たちに対する救済も不十分であるので、今般元島民が終戰後平和民族として帰郷の熱烈な希望をもつているのにこたえて、本請願を提出した旨の説明があつたのであります。
 政府委員にこれに関する説明を求めましたところ、政府委員よりは、講和條約が締結されていない現在、また現に連合軍により管理されておる地区への移住に関して、政府としては正式に連合國当局と折衝することは不可能であるが、將來における連合國当局の善処をお願いする事前処置として、一應この請願を取上げ、連合國当局に提出することは差支えないとの説明があつたのでありますが、本問題は國際的に微妙な影響を有するため、特に小委員会を設けて、なお愼重に本問題を檢討することにいたしたのであります。
 よつて十月十六日、加藤小委員長ほか三名よりなる小委員会を設け、種々檢討した結果、かかる問題は人道的見地よりして却下すべき理由もないから、本請願は單に政府へ本請願の希望を傳達する程度において採択すべく議決した旨報告がありましたので、十月二十三日あらためて外務委員会において檢討の上、小委員会の議決を採択すべきことに決定したのであります。
 なお、右に関連して種々質疑應答が行われましたが、これらの詳細につきましては会議録に譲りたいと存じます。
 かくして、外務委員会といたしましては、本請願を前述の趣旨において本院において採択し かつこれを内閣に送付すべきものと認めた次第であります。この段、御報告申し上げます。(拍手)
#48
○副議長(田中萬逸君) 本請願は委員長報告の通り採択するに御異議ありませんか。
  [「異議なし」と呼ぶ者あり]
#49
○副議長(田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて本請願は委員長報告の通り採択するに決しました。
 次会の議事日程は公報をもつて通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
    午後四時二十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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