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1951/04/15 第13回国会 参議院 参議院会議録情報 第013回国会 外務・法務連合委員会 第2号
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1951/04/15 第13回国会 参議院

参議院会議録情報 第013回国会 外務・法務連合委員会 第2号

#1
第013回国会 外務・法務連合委員会 第2号
昭和二十七年四月十五日(火曜日)
   午後二時五十四分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
  外務委員
   委員長     有馬 英二君
   理事
           徳川 頼貞君
   委員
           杉原 荒太君
           團  伊能君
           平林 太一君
           伊達源一郎君
           岡田 宗司君
           加藤シヅエ君
           大隈 信幸君
           大山 郁夫君
           兼岩 傳一君
  法務委員
   委員長     小野 義夫君
   理事
           伊藤  修君
   委員
           加藤 武徳君
           左藤 義詮君
           長谷山行毅君
           岡部  常君
           内村 清次君
           齋  武雄君
  政府委員
   法制意見長官  佐藤 達夫君
   法務府法制意見
   第二局長    林  修三君
   外務政務次官  石原幹市郎君
   外務事務官
   (外務大臣官房
   審議室勤務)  三宅喜二郎君
   入国管理庁長官 鈴木  一君
   入国管理庁審判
   調査部長    鈴木 政勝君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       坂西 志保君
   常任委員会専門
   員      久保田貫一郎君
   常任委員会専門 長谷川 宏君
   員
   常任委員会専門
   員       西村 高兄君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○ポツダム宣言の受諾に伴い発する命
 令に関する件に基く外務省関係諸命
 令の措置に関する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○外国人登録法案(内閣提出、衆議院
 送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(有馬英二君) 只今から外務、法務連合委員会を開会いたします。
 前回に引続きまして外国人登録法案及びポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く外務省関係諸命令の措置に関する法律案を議題といたします。御質疑のおありのかたは順次御質疑を願います。
#3
○伊藤修君 先ず第一にちよつとお尋ねいたしたいのは、この法律を、殊に出入国管理令を拜見いたしますと、一体我が憲法がこうした外国人に対しまして果して適用あるのかないのか、どういうお考えの下にこの政令を法律として国内に公布しようというお考えであるか、私にはわからない。全文を通覧いたしますというと全く驚きに堪えないところの規定が多々ある。全体の考え方を推測いたしますると、基本的に我が憲法がかような外国人に対しましては適用ないという考え方の下に立案されておるように見受けられる。少くとも憲法の中の基本人権に関するところの條章というものは、日本国民は勿論、日本国に上陸若しくは在住するところの諸外国の人々にもあまねくこれが適用あるものと私は考えるのであります。然るに本法においてはこれらの憲法に保障するところの各種の基本人権保障に関するところの規定というものが蹂躙されてはばからないというような考え方であるのであります。この点に対しまして一体提案者のお考え方として、基本的に憲法が適用あるのかないのか、先ずその点をお伺いしておきたいと思います。
#4
○政府委員(鈴木一君) お答えを申上げます。只今のお尋ねは、出入国管理令が甚だ憲法に違うような点がありはしないかというお尋ねと存じますが、勿論憲法を尊重し、その憲法の下で出入国管理令を出したということは申上げるまでもないと存じますが、実はこの出入国管理令はポツダム政令で昨年の十一月から施行されることになつたのでございますが、これを立案いたしますときに、特に外国人を相手にいたします関係で国際慣例というものを第一に取上げまして、どこの国際社会に持出しても恥かしくないという立場で扱つたのでございます。勿論人権につきましては十分尊重し、国際慣例に悖らざるような、外国人の出入国の管理法令として出しておる次第でございます。従いまして我が国の憲法を前提として出入国管理令を出しておるということをお答え申上げます。
#5
○伊藤修君 只今の御答弁によりますれば、憲法の條章に基いて悖るところはないというようにお伺いいたしたのですが、国際慣例に恥かしくないという御説明でありますが、不幸にして私は資料の中にも国際慣例としての資料を拜見しておらないように思うのです。この点は私は委員長にお願いして、諸外国の立法例を一つ国際慣例の一例として御提出願うことをこの際要求しておきます。私らも経験の少い外国旅行をして参つた者ですが、その諸国の出入する際に我々に与えられるところの特撮というものは、その国の立法のあり方によつて異なると思うのです。幸いにして私は諸外国を歩くに当りましても、一つもそういう感じを抱かずして愉快に旅行することを得たのですが、然るに本法のごとき内容を以てこれらの諸外国の人々に接するならば、恐らく私は相当な非難をこうむるものではないかと思うのです。果して外国においてこういう立法例がどことどこにあるのか、詳しいことは資料を頂いて拜見することにいたしまして、概括的にどことどこにこういう立法例があるのですか。
#6
○政府委員(鈴木一君) 立法例のお話でございますが、アメリカ合衆国、カナダ等現在におきましては一番国際的にいい法律であるということで定評がございますが、それらの例に倣いまして、なおその趣旨は、いやしくも人権を害するようなことのないように、昔戰争前には我が国は外国人の扱いにつきましてはいわゆる外事警察というようなことで、多少警察的な取扱いに過ぎたということで、諸外国から非難を受けておつたのでございますが、特にそういう点について再びいわゆる警察国家の再現というようなことのないようにというくれぐれも総司令部側から勧告がございまして、そういうような勧告に基きましてこの法案を我がほうで作つたのでございますが、その際にアメリカのテクニカル・アトバイザーとして日本に派遣せられましたミスター・コリアーという人が、これは三十年間アメリカでエミグレーシヨンの仕事に携つた法律的な專門家でございますが、その人の相当厖大な勧告を総司令部が受取りまして、それを日本政府に、こういうものでやつてみたらどうかというような勧告がございまして、それがもとになりまして、これを我が国の法制に合せますよう研究いたしまして、苦心の結果やつと昨年の十一月からこれを施行することができたのでございます。で、只今この法令に、これはポツダム政令でございますので、法律的な効果を与えるということをお願いをいたしておる次第でございます。
#7
○伊藤修君 今お示しになつたのはカナダとアメリカだけですが、その他の国はないのですか。
#8
○政府委員(鈴木一君) その他の国の立法例もございます。
#9
○伊藤修君 いや、これと同様な立法例、それを言うのです、どこでも法律はあることはある。
#10
○政府委員(鈴木一君) 大体同じようなものでございます。
#11
○伊藤修君 大体じやない、この趣旨と同様な立法例があるかと聞いているのです。
#12
○政府委員(鈴木一君) ございます。
#13
○伊藤修君 どこですか。
#14
○政府委員(鈴木一君) いろいろ各国のをとつておりますが……。
#15
○伊藤修君 おわかりにならなければ資料を……。
#16
○政府委員(鈴木一君) 資料を差上げます。
#17
○伊藤修君 各国の立法例の資料を一つお出し願いたい。あなたの御答弁を伺つておりますと、非常に進歩的な模範的なものであるというような御意見でありますが、アメリカの国民の、又政府の考え方はどうあろうと、或いはカナダの政府の考え方はどうあろうと、少くとも日本の憲法において、基本人権の保障ということに対しましては、恐らく世界各国にこれほどの基本人権の保障を憲法の上において、十一條から四十條に亘る多数の規定を以て保障した国は恐らくないと思うのです。この点においては日本の憲法はいわゆる誇るべきものであると考えております。それほど基本人権の保障ということにつきましては、我々は過去の戰争という大きな犠牲を払つてかち得たものと言わなくてはなりません。憲法が与えられた憲法であるといえども、少くともこれを日本国民の名において制定した以上は日本国民のものである。だからこの憲法の基本人権の保障ということは飽くまで守るべき筋合のものであろうと思うのです。然るに本法の各所に見るところのものは、これを蹂躙しておるのです。例えばその一例を以ていたしますれば、いわゆるここの許可書というものに対しましてどういう憲法上の根拠があるのですか、先ずそれをお伺いいたします。
#18
○政府委員(鈴木一君) 只今のお尋ねはこの法令には数々の許可がございます。先ず入国いたしますときの入国許可ということの一点を捉えてみまするに、これは世界各国とも外国人がよその国に入りますときには……。
#19
○伊藤修君 いや、私のお伺いしているのは入国じやないのです。いわゆる捜索及び收容、その他差押えする場合におけるところの許可状です。それを伺つております。
#20
○政府委員(鈴木一君) 入国の許可ではございませんで、審査をいたしますときの手続等につきましてお尋ねがあつたと思いますが、それは審査をいたしますときの立法例は、御承知のようにこれは司法処分ではございませんので、行政処分でやることになつておるのでございます。併し行政処分であるからと申して粗略にしてはいけない、そこでこの法令は刑事訴訟法の規定に大体則りましてやつておる次第でございます。で只今の特別のお尋ねは、出入国管理令の三十一條にございます(臨検、捜索及び押收)というようなことをいたします場合に、地方裁判所の裁判官の許可を得てすることができるというその点に触れて来ると存じますが、これらのことは大体只今申しましたように刑事訴訟法の文例によりまして規定をいたしておる次第でございます。
#21
○伊藤修君 文例によるということを聞いておるのじやない、読めば文例によつていることはわかります。いわゆる許可状というものがどういう本質を持つておるか、こう聞いておるのです。而もその本質によつては憲法上どこに根拠を置いて許可状というものをここに新らしく創設されるのか、こういうことをお尋ねしておるのです。いやしくも我々の基本人権を拘束する、制約するという場合においては憲法に基かざるを得ないと思うのです。憲法には明らかに令状を以つてするにあらざれば我々の基本人権を制約することはできないことははつきり明記されておるはずです。然るにいわゆる司法処分ではない、行政処分だからいいというような考え方は、これは全く違憲の考え方です。行政処分であると司法処分であるとを問わず、我々の基本人権を制約しようとする場合には、令状によらざるを得ないということは明らかであると思います。刑事訴訟法の條章を見倣つてお書きになつたというならば、なぜ刑事訴訟法の條文を御準用にならないのですか、私は許可状の本質をお尋ねしておるのです。それに対してお答え願いたい。
#22
○政府委員(鈴木一君) 只今の点は憲法の第三十五條に申しますところの司法官憲の発する令状という中に、これらの捜索に関しまする許可状を含めて解釈がいたされるのでございます。これらの例は、すでに国税犯則取締法第二條等にもこの三十一條と同じような規定がございまして、この令状というその文句のありますものに必ずしも限定されてない、これは只今までの解釈で、この三十五條からこの許可状を出すことができる、かように解釈をいたしております。
#23
○伊藤修君 そうすると御答弁によりますと、司法処分でない、行政処分だから差支えはないという御答弁は変つて参るのですね。いわゆるここの許可状としては令状と本質を同様にする、即ち憲法三十五條に基いて発せられるのである、こういうふうに御答合弁になるわけですか。
#24
○政府委員(鈴木一君) その通りです。
#25
○伊藤修君 私は他の法令がどうあろうと、惡い法令を見倣う必要はないと思うのですが。少くともこの令状という文字を私は一定にする必要がある、立法論として。尤もここでは許可状であり、あそこでは呼出状であり又令状であるというような扱い方というものは、国民を惑わせるものであるのです。先ず立法論としては私はそれは不適当であると思う。他にそういう例があるからといつて惡い例を見倣う必要はないのですよ。こういう場合にはやはり国民はこれによつて覊束されるのですから、高じ表現を用いるべきが立法論としては当然だと思う。それは立法論としてお預けにしてよろしいですが……。そうするとこれは令状の本質を有せられるとおつしやるならば、この條章によつては、裁判所はこの令状の請求をした場合において拒否権がありますかどうですか。
#26
○政府委員(鈴木一君) 拒否権はございます。
#27
○伊藤修君 何條によつてあるのですか。拒否権があるというなら何條によつて出て来るのですか。
#28
○政府委員(鈴木一君) これは許可状という意味から当然出て来ると思うのであります。
#29
○伊藤修君 あなたは立案されたかどうかは存じませんが、この三十一條の第四項に、「前項の請求があつた場合においては、地方裁判所又は簡易裁判所の裁判官は、臨検すべき場所、捜索すべき身体又は物件、押收すべき物件、請求者の官職氏名、有効期間及び裁判所名を記載し、自ら記名押印した許可状を入国警備官に交付しなければならない。」とあるのです。制約されたものですよ。これに対して反対の意思を裁判所は表示できないのです。いわゆる当該官吏がこれこれこれこれの要件の書類を具備して裁判所に出せば、裁判所はこれに盲判を捺せということがはつきりとここに書いてあるのです。拒否権を持つていないのです。いやしくも令状を発行する場合は、裁判所は憲法に定まるところの独立の権限を以ちまして、何人の容喙もなく自由の心証に基いて判断し、そうして令状を発行すべきが司法権の独立であります。それをこれによつて制約しておるわけであります。司法権の独立をもこれによつて覊束しようとして本法は起草されておると思うのです。あなたの言うように拒否権があるということは謳つていないのです。又解釈上持てないと思うのです。如何でしようか。
#30
○政府委員(鈴木一君) これは必ずしもそうならないと存じますが、それはその前頭第三項のほうを御覧頂きますとわかると思いますが、三項の最後のほうに「その物件が違反事件に関係があると、認めるに足りる状況があることを認めるべき資料を添付して」という文句から御推測願つてもわかりますように、「認めるに足りる状況があることを認めるべき資料」、こういうようなことが裁判官においてよろしいと認められたものについては四項において交付をするということでございまして、ここに許可の本質から当然拒否権があるというふうに解釈しております。
#31
○伊藤修君 あなたのようなそういう素人的な見方では、答弁では問題にならんですよ。いやしくも司法警察官が犯罪を認められるべき事情を書いて逮捕状を要求する場合において、それがあれば直ぐ第四項によつてそのまま決定して出さなければならないというふうに制約されておるのです。どこに憲法の保障があるのです。ここにおいてあなたのお説の通り認められる資料を添付しろとあります。勿論認められる資料を添付しなければ請求をすることもできない、当然の要件です。三項の要件は当然のことです。そうした資料を出しても裁判所はその資料に拘束されないことは司法権の独立からいつて当然のことです。裁判所はその資料を以てしては未だ許可状を発するにふさわしくないと考えますれば、令状を出さないことがあり得ることが司法権の独立を保障する意味でなくてはならんのです。あなたのお説のように三項によるところの要件を具えて出せば、裁判所はそれにいつも拘束されて出さなければならんのです。この三項から拒否ができるという解釈ができますか、法制意見長官のお説をお聞き下さい。佐藤さんをお呼び下さい。そんな暴論はありませんよ。
#32
○岡田宗司君 議事進行……、佐藤法制意見長官をお呼び下さい。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
#33
○兼岩傳一君 議事進行について……。
#34
○委員長(有馬英二君) 申上げますが、法制意見第二局長の林君が来ておるようでありますが、よろしうございますか。
#35
○兼岩傳一君 責任のあるあれができますか。
#36
○岡田宗司君 林君では、午前のような答弁では……。
#37
○兼岩傳一君 心許ないじやないかね。
#38
○岡田宗司君 心許ないですからね。
#39
○兼岩傳一君 この間にちよつと議事進行で……。政府委員の声をもう少し大きい声をして頂かんと聞き取りにくいのですが、伊藤委員との論点は大体わかりますけれども、御注意願いたいと思いますが、もう少し明晰に大きな声でやるように御注意を願います。政府委員に……。
#40
○委員長(有馬英二君) それでは長官が来られるまで質疑を続行して頂きたいと思います。
#41
○伊藤修君 只今の問題は後に譲りまして、関連いたしまして、この許可状は令状と同一の効力を有するということには誤りないのですか、その点はどうですか。
#42
○政府委員(鈴木一君) その通りに解釈いたしております。
#43
○伊藤修君 そういたしますと、令状の執行に際しまして、この何というですか、警備官ですか、入国警備官だけでこれは執行できるのですか。本法によると警備官だけで執行されるようにされておりますね。いわゆる司法警察官とかその他の手を借りるということは書いてないようですが……。
#44
○政府委員(鈴木一君) 許可状がございますれば、入国警備官自体で司法警察官の手を借りずしてやれることになつております。
#45
○伊藤修君 まあやれれば結構ですが、私らの考え方としては、一人や二人の場合はできると思いますが、相当な数を予想される事態であると考えられるのですが、何でもかんでもあなたがたのお手によつてなさらなくちやならんという考え方はどうかと思うのですが、そういう補充的な規定が必要じやないかと思うのです。それから根本問題に関連しまして、收容するというのは、これはどういう意味なんですか、未決という意味ですか、懲罰という意味ですか。
#46
○政府委員(鈴木一君) 收容と申しますのはこれは極く一時的なものでございまして、身柄の拘束をするということには変りないのでありますが、審査のために必要な收容ということでございます。
#47
○伊藤修君 それは質問に対してその通りをお答えになつていらつしやつて、別に收容に対しての御説明が……あなたのお考え方は人間を收容するということを極く簡單に物でも收容するように思つていらつしやるのですね。僕らはそういうことは非常に困ると思うのです。いやしくも憲法が基本人権を保障しようといつて大上段に規定しておる以上、そういう物を扱うような考え方では困るのです。單に軽い意味で收容する、收容する人はいいですよ、收容される身になつて御覧なさい。又我々が諸外国を歩いた場合において、先を急ぐ場合においても、又急がん場合にしても、見ず知らずの他国においてどうなるのかわからない、收容されてそれで以て安閑としておれるでしようか。だからその收容という意味は、法律的にどういう意味を持つておるかということを聞いておるのです。
#48
○政府委員(鈴木一君) 先ほど申上げましたように、身柄を拘束をするということでございますが、これは憲法三十一條の中に出て参ります自由の拘束ということになることは間違いないのでございます。
#49
○伊藤修君 私の聞いておるのは、拘束されることはいわゆる憲法に言う拘束だという、それは当然のことです。拘束されるから聞いておるのです。その拘束の意味は、收容という解釈はどういう解釈をとつておるのか、本質はそうでなければ法律的な意味はどうだと、こうお尋ねしておるのです。拘束する事実はわかつておるのです。
#50
○政府委員(鈴木政勝君) 法律的な御質問のようでございますので、私からお答えをいたします。
 お尋ねの收容ということでございますが、これは管理令では二つの意味があるように考えております。一つは管理令に違反して退去強制の処分を受けるような該当者、容疑者と申しますか、こういつたような者がある場合に、三十九條によりまして二十四條の退去強制の事由に該当すると認めるに相当の理由があるときは、收容令書によつてその者を收容する、收容と申しますのは、丁度刑事訴訟法の逮捕なり身柄を拘束すると、この二つのことを刑事訴訟法では二つに分けておりまするけれども、この管理令では收容ということで一本で考えておる、さように收容ということをこの管理令では考えておる。従つて又收容ということはもう一つ最終的に、退去強制令書と管理令は言つておりますが、処分が決定いたしまして、身柄をその本国と申しますかに送還するまで、その身柄を收容所に拘束する、かように考えておるわけでございます。
#51
○伊藤修君 二つの場合がある。そうするとあとの場合と前の場合とのあれはどういうことになるのです。
#52
○政府委員(鈴木政勝君) 前の場合は違反調査その他によりまして、入国審査官が退去強制すべきかどうかということを判断するまでの予備的な段階において身柄を收容すという場合と、それから最終的に判断が決定いたしまして、身柄を本国に送還するというまでの間收容する場合と、二つあるわけでございます。
#53
○伊藤修君 本質は未決ですか。
#54
○政府委員(鈴木政勝君) 前の場合は未決の場合であり、後者の場合は決定したあとの問題になります。
#55
○伊藤修君 問題になるわけですね。どういう根拠によつて……それはいわゆる宿屋という意味ですか、どういう意味ですか。
#56
○政府委員(鈴木政勝君) 決してそういう意味ではなくて……。
#57
○伊藤修君 懲罰の意味が含まれているかどうか。私の聞いているのはいわゆる制裁の意味が含まれるかどうかということを聞いているんです。
#58
○政府委員(鈴木政勝君) この管理令の根本精神は、飽くまで刑罰とかそういう意味ではなくて、外国人が不法に入つて来たという者を、司法手続きによらないで行政手続によつて送還することが管理令を貫く大きな精神であります。従つて司法警察官とかそういつた者の手によらないで、外国人を行政処置によつて還す。こういうことで一貫しているわけであります。従つて只今お尋ねの退去強制令書が出て本国に還すまではその身柄を拘束して向うに送り届ける、こういう意味の收容でございまして、決して何と言いますか、宿屋とかそういう意味で收容するのではございません。
#59
○伊藤修君 本法がいわゆる司法の干与を排除いたしまして、行政措置によつてすべてを賄うという考え方、このいい惡いは別問題といたしまして、その考え方が……従つていわゆる行政権において賄い得ない事項にまで本法が及んでいるという非難があるのです。そういう嫌いがあるのです、多分にあるのです。今の問題に関連しましてですね。いや、收容を三十日する、必要な場合にはもう三十日延ばすことができる、これは御承知の通り刑事訴訟法においても司法警察官の権力を以ていたしましても二日間、検事の調査が一日、検事の持ち時間が十日、特別の事情ある場合にはなお十日延ばせる。併せて二十三日ということになつている。犯罪人であつて、好ましからざる人を容疑者として逮捕して来て、国家権力を以てしてもなお且つこれだけの日時に制約されているんです。然るに行政処置によつて三十日の間はいいとしてこれが收容するとすれば、前段の場合においても後段の場合においても身体の拘束を受けることは同一であります。本人の精神的苦痛、肉体的苦痛というものは計るべからざるものがあると思うのです。自分がその身になれば十分よくわかることです。而もそれが容易に三十日を延ばし得るとなると、合せて六十日の間身体の拘束をなし得るという権限はどこから出て来るのですか。行政処置だから差支えない、行政処置なら一年でも二年でもでるというお考えですか。これらは司法権の行使以上のものを行政権において把握しようという考え方である。こうしたことが行政権において賄い得ると思うのですか。これを以て見ても基本的人権の保障がなし得ると仰せになるのですか。我が国の憲法がこれらの諸外国人に対しましてあまねくこれが保障されているということが言い得るでしようか。
#60
○政府委員(鈴木政勝君) 只今の点は、刑事訴訟法とこの管理令上に相当大きな違いがあるということを改めて御説明すればよく御納得行くのではないかと思うのです。この管理令の四十一條の「收容令書によつて收容することができる期間は、三十日以内とする。但し、主任審査官は、やむを得ない事由があると認めるときは、三十日を限り延長することができる。」つまり六十日は身柄の拘束ができるということでございますが、これは刑事訴訟法と根本的に違いまして、六十日という收容期限というものは、最初の身柄を拘束してからいろいろと審査官が審査したりして、或いはその者に異議があつた場合には第二次の口頭審理をやる。そうして口頭審理の結果なお不服のある者は、退去に対する異議の申立という三段階のいろいろの救済手段があるわけです。そういつた実際の異議の申立とか救済の手段を含めて六十日ということでございまして、そういう点は刑事訴訟法とは全然建前を異にしております。従つて六十日ということは非常に長い期間のようにお尋ねでございますが、その中には救済手段として異議の申立とか口頭審理の期間とか、そういうものを含めて、逆に救済するための一つの手段ということも中に含めてあるわけでございまして、従いましてこれを以て長過ぎるとか、そういうことはあながちまあ言えないことではないかと……、刑事訴訟法とはその点において根本的に違いがあるということを御了解を願いたいと思います。
#61
○伊藤修君 そうすると根本的の考え方の相違ですが、この本法によつてもいわゆる救済期間というものは第一審、俗に言う、私らから言えば第一審、第一段階において三日間、長官に対する異議の申立、三日間、合せて六日間ですよ。そうしてこの種の事案を処理する場合には異議の申立期間が三日間に限られておりまして、従つてこれを取扱うところの官憲は速かにこれが処理されることは想像にかたくないのです。一日若しくは長くて二日間でしよう。殊にこれは大体書面審理、口頭審理ということも極く大ざつぱに言うておる。それを通算いたしまして、これだけの日時を要しないということは十分法文の建前から見ても考えられるのです。いわゆる六十日の期間は救済期間だというような、その意味から申しますればむしろ長きに失するのです。法文の建前から見ても、又刑事訴訟法の場合とこの場合とは違うとおつしやいますけれども、刑事訴訟手続ですらできないのですよ。そういうことを行政手続でなぜできるのですかと言うのです。行政手続ならば何でもできるというお考えかと、こう聞いておるのです。あなたたちのお考え方は、刑事訴訟の場合と行政措置の場合は違うのだから、幾ら長くやつてもいいのだというのですか。日本の官憲の事務処理というものが非常に遅いことは御承知の通りです。そうすると職員の机の上に書類の載つかつておる間は、一年も二年も待たなければならん。それをもなし得るということになるというのは、行政手続が刑事訴訟法ですら許さない期間を、やすやすとしてかように拘束期間を長い期間を定めるということが、それ自体が憲法の本質違反ではないかということを言つておるのです。その点を御答弁を願います。事実が、性質が違うからそれは差支えないのだと言う、そういう議論はちよつと私は受取れないのです。
#62
○政府委員(鈴木政勝君) お尋ねの点につきまして更にお答え申上げますが、先ほどもちよつと申上げましたように、この送還するという処置は刑罰ではないということが根でございます。次にこの拘束は三十日以内とする。又三十日を限り延長することができると、こうした期間が長過ぎるということでございまするが、これは私どもとしては、この入国管理令に規定されておる手続を遂行するために、正当な手続を遂行すために必要な期間であり、又実際上私どもが仕事を運営して参ります経験から申しましても適当な期間であると、かように考えております。
#63
○伊藤修君 私の聞こうとする諸点に対してお答えがないのです。長い短いということは第二次的の問題です。一体行政手続でこうして人身を拘束するということがあり得ないという根本の私の考え方なのです。併しそれは令状に代るべき許可状を持つておるのだから、本質的に令状と異らない許可状を持つておるからよろしいというあなたのほうのお考え方です。然らば本質的に同様な、令状と同等なものを以つてするならば、その根本の原則たるところの法制に定むる期間以上に亘るということは、甚だしく権衡を失しておるのじやないか。殊に行政上そういう手続にそれだけの日にちが必要だからと、いわゆる必要の前に国民を犠牲にする、世界の人々を犠牲にするという考え方は、私には納得できない。いやしくも基本人権を保障しようという考え方を、世界に日本が基本人権の保障をしておるということを誇示するという場合において、日本自体はかようにして、我々世界人類の基本人権を制約しているのじやないかという譏りを受けるのじやないかと思うのです。だから根本的に私の考え方とあなたとは違うのですが、その点に対して如何ですか。
#64
○政府委員(鈴木政勝君) 身柄を拘束するという点は、いわゆる基本的人権を阻害するということの御質問でございまするが、私どもの考えといたしましては、これは行政措置として身柄を拘束するという根本の考え方があるわけでございまして、それはお説のようにできる限り人の基本的な人権というものは尊重しなければならないということは、これはもう誰が申しましても当然なことでございますが、併しながらこういつた外国人が不法に入国して来たり、或いは日本の秩序或いは社会公共の福祉に反する者を日本の国から出て行つてもらうと、こういつた場合、これは言葉を換えて言えば、むしろ個人のそういつた自由の尊重というよりも、社会の秩序といいますか、公共の福祉というものが優先する、その社会の福祉、公共の安全という範囲内において人の自由というものが尊重される、かような精神におきましてこれは止むを得ない措置である。これはどこの国でもそういつた外国人に対する措置としてこういつたことを行なつておるわけでございまして、この管理令のみがそういつた非人道的と申しますか、基本的人権を無視するようなことを決していたしておるのではなくて、どこの国でもさような趣旨におきまして、つまり社会公共の福祉ということが優先して考えられておる。従つてその範囲内において外国人の基本人権というものが尊重される。そういう趣旨におきまして、私どももできる限り外国人の人権というものを尊重する精神は勿論この管理令の中にも盛られておりますし、又実際の運用におきましても十分そういつた精神を活かしまして運用いたして参りたいと思いますし、又現にそういう気持で以てやつておるわけでございます。その点誤解のないようにお願いいたしたいと思います。
#65
○伊藤修君 公共の福祉のためならば個人の基本人権は制約しても差支えないのだというふうに伺うのですが、それならば、いわゆる刑法において犯罪者、例えば殺人をした人間或いは強盗をした人間、これはいつまで放り込んでおいても差支えないということになる。あなたのお説の通り、公共の福祉のためにその人間を無期限に放り込んでおいて差支えないということになる。我々は公共の福祉を勿論第一に考えることは当然のことです。多数の基本人権を保障する意味において各個の事案に対しまして適切な処置をとるのです。それが即ち公共の福祉を貫くゆえんであります。而してその場合においても、その個人の人権というものは飽くまで尊重しなくちやならん。たとえその人が極惡非道の人間であろうと、それが決定するまでは少くともその人の基本人権というものは尊重することが今日の民主国家のあり方であります。世界共通の理念であります。いわんや本件の場合のごときは、ただ容疑があるというだけですから、決定しておるのじやないのです。あなたたちの容疑という言葉も私は不適当だと思うのですけれども、まあこれもよろしいです。容疑があるというだけで以て、而もあなたたちの認定だけで、それで以て六十日の間の基本人権を制約しても差支えないという議論は、私はいわゆる公共の福祉ということにはちつとも当てはまらんと思うのです。そんなことは公共の福祉になるものじやないです。だから私前提に伺つたんですよ。一番前提に、そういう議論が出て来ると思うから、收容というものの本質を伺つたのです。ところがあなたじやない、こちらの御答弁では、收容ということは制裁を含まない、そのことを処理する間の未決的なものである。又他の一つは、宿屋に泊めておくというのではちよつと当てはまらんかも知らんけれども、そういう軽い意味のことだ。して見ますればさような軽い行政処置の意味のものを六十日もこうした公共の福祉だと、そう大上段に振りかぶつて来るほどの理由によつて收容するものとは言えないことじやないですか。あなたがたお二方の御答弁には大きな矛盾がそこに出て来る。論理の飛躍があるのです。それは場当りの御答弁であつて、困るです。如何ですか。
#66
○政府委員(鈴木政勝君) 六十日が長過ぎるというお尋ねでございまするけれども、これは先ほども申上げましたように、その者が二十四條の退去強制事由に該当するという容疑によつて予備調査が始まりましてから、身柄を收容されて先ず第一に審査官によつて審査を受けます。その結果退去強制すべしという決定があつて、なお本人がそれに異議があるという場合には、次に特別審理官の審理に入る。又それに異議のある者は長官の最終的な裁決という救済手段がある。そういつたような一連のこの管理令に規定いたしまする手続を間違いなく運用いたしますためには、原則として三十日までは少くとも身柄が拘束できる。勿論お話のように、できる限り事務というものは敏速にいたしまして、許される者は早く身柄を自由にしてやる、こういうことは勿論でございまして、これは飽くまで三十日以内、又三十日を限りという最長の期間を規定いたしておるわけでございまして、決して三十日なり六十日なりまるまる置くという趣旨では勿論ございません。又私どもの運用といたしましても、基本的人権という点につきましては慎重に考えて、外国人といえども慎重に扱つて、そういう御疑念のないように運用上はやつて行くことでございまして、その点誤解のないように御了解願いたいと存ずる次第であります。
#67
○伊藤修君 どうも今の御答弁では納得できませんから、それはあとで引続いてすることにしまして、先ほどの私の質問に対する佐藤さんの御答弁をお願いいたします
#68
○政府委員(佐藤達夫君) ちよつと私今参りましたので、お尋ねの趣旨を問合せておつたのでございますが、できますならば極めて簡單にここでお尋ね頂ければ非常に率いだと存じます。
#69
○伊藤修君 この條文の三十一條の第四項の規定は、裁判所はこの種の、即ち第三項の條件を具備して申請がありますれば、四項によつていわゆる許可状を発行しなくてはならない……、拒否することができるかどうかということをお尋ねしているのであります。
#70
○政府委員(佐藤達夫君) この條項は他の立法例の、例えば経済調査庁法でございますが、それなどにもある條文でございますが、今のこの許可状を交付するに当りましては、伊藤委員のおつしやいましたこの三項の條件を具えた請求がなければならないわけであります。三項の條件を見ますというと、「その場所が違反事件に関係があると認めるに足りる状況があることを認めるべき資料、」云々というように、この資料を具えるべきことを要求しているわけであります。この資料が客観的に妥当な資料であるかどうかということが問題になりますが、これが妥当であるということに客観的になりますれば、裁判官としてはこの許可状を交付しなければならない、こういうことになるであろうと考えております。
#71
○伊藤修君 そういたしますと、いわゆる第三項にあるところの條件を具えれば裁判所は常にこれを出さなくてはならんと拘束されるわけですね。
#72
○政府委員(佐藤達夫君) この三項による資料というものについては、勿論判断の自由を持つているわけであります。その三項に適合している資料であるという判断をいたしますれば許可状を出さなければならないというふうに考えております。
#73
○伊藤修君 そういたしますると、結局裁判所は第三項の條件を具えた場合においては、常に第四項によつて制約されてこの許可状を出さなくてはならんという拘束を受けるのではないかということをお尋ねするわけです。だからそれに対して拒否はできないということになるのじやないかということです。
#74
○政府委員(佐藤達夫君) 今の三項によつて出て参りました資料の判断は、資料の文書の形式が当つているかどうかというその判断ではないのでありまして、そこに書込まれていることが客観的に当つているかどうかという判断もそれが加えられた上で、この三項に合致しているという結論を得ました場合には許可状を出さなければならない、そういうふうに考えております。
#75
○伊藤修君 そうすると、この三項によるところのこれらの條件を具備するに当つて、書面以外のものを裁判所に要求された場合においてはどうなるのですか。この書面のみによつてはこの條件は知ることができない。そういうふうに認定できないという場合にはどうするのですか。
#76
○政府委員(佐藤達夫君) 法律の要求しますところは、この三項に掲げてある範囲内において判断をして頂く、それ以上の責任と言いますか、判断についてのいろいろな責任は裁判所に負わせるという趣旨ではないと思います。
#77
○伊藤修君 そういたしますと、裁判所といたしましては、この書面審理、要するに書面審理によつては十分そういう認識を得られないという場合においては拒否できるわけですか。
#78
○政府委員(佐藤達夫君) 結局この三項に掲げた要件が充足されておらないという場合には、それはそういう判断をされますれば拒否することになりましよう。
#79
○伊藤修君 そうするというと、四項によつて交付しなければならないという表現には拘束されないわけですか。
#80
○政府委員(佐藤達夫君) 四項で言つておりますのは、「前項の請求があつた場合においては」ということになつておりますので、その前項の請求に該当するかどうかということを今まで申上げているわけであります。それに該当すれば交付しなければならないというふうに考えております。
#81
○伊藤修君 そうすると該当しているかどうかということが飽くまで書面審理の範囲内においてのみというふうに解釈するのですか。
#82
○政府委員(佐藤達夫君) さように考えております。
#83
○伊藤修君 そうすると然らざる場合においては裁判所は拒否できる、こう解釈してよろしいですか。
#84
○政府委員(佐藤達夫君) 三項の條件に該当しておらないと判断すれば拒否することができます。
#85
○伊藤修君 例えば尋ね書を以て聞くならばそれが認定できるという場合において、尋ね書は求めることができないのでしよう、本法によつては……。そうするとその書面の範囲内においてのみほかできないということになりますね。その書面においては十分の心証が得られないということになれば、拒否することになつても差支えないですか。
#86
○政府委員(佐藤達夫君) これは要するに行政権の濫用をチエツクするための裁判所の保障というものを求めているわけでありまして、行政権に属する責任を裁判所におつかぶせようというような趣旨でないことは当然だと思います。従いまして非常に幅の広い裁量と言いますか、判断の資料を責任を以て裁判所に集めて頂こうというようなところまでは、この規定は要求しておらんということから申上げまして、先ほど来私の申上げた程度の資料によつて判断をして行くということで、それ以上の責任を裁判所のほうにぶつかける……、ぶつかけるという言葉はちよつと適当でございませんが、背負つて頂くというものではなかろうかと存じております。
#87
○伊藤修君 私の結局お尋ねしようというのはそこなんです。要するに行政権の処分行為が適法化しようとかいう、一つのカモフラージしようという考え方から裁判所に責任を持つて行こう、裁判所の名を以てしようというところにこの法文の意図があるのじやないか。佐藤さん、あなた考えたのはそういう立法じやないかと思うのです。裁判所はただ名前だけ貸して、実質においては何ら判断権を持つていない。第百項によつて制約されている條件は、一応形式的な條件を持つていれば第四項によつて制約されて盲判を捺すのじやないかということを危懼するのです。裁判所はいいだしになつて、何らそこに判断権は持たない。従つて基本人権は保障されないという結論が出る。これは法律を、佐藤さんあたりの知識でそういうことをお書きになつたか知れませんが、どうもそういう意図に取れる。佐藤さんそう惡い人とは思わないけれども……。
#88
○政府委員(佐藤達夫君) 恐らくそういう気持だと思いましたから、不当な行政上の責任を裁判官に背負せるつもりじやございませんということを申上げたので、丁度伊藤先生のおつしやるところとその点は一致しているわけでございます。
#89
○伊藤修君 どうも佐藤さんは巧妙でして、裁判所にこういうあれは、実際上はこれを塗りつけているらしい。どうもそういうふうに受取れる。あなたの法律立法技術によつてうまいことこういうふうにカモフラージしているが、実際にあなたが裁判官になられた場合に、裁判官はロボツトですよ、それで大切な令状の本質を以て許可したというものを発行しなければならないということに制約されるのじやないですか。
#90
○政府委員(佐藤達夫君) 私はロボツトとは存じませんけれども、仮にロボツトであるといたしましてもとにかく政府委員……、独立した機関であるところの裁判官のところに持つて行つて、こういう條件で許可状を頂きたい。而も三項に列挙してありますような事柄を具えて行くのでありますから、それによつて仮にロボツトであるといたしましても、行政権の濫用というものは相当そこで私は阻止されるという保障にはなるだろうと思います。いわんやそのロボツトではないという考えです。
#91
○伊藤修君 その保障も友人関係の丁度保障みたいなもので、ちよつと名前を貸す程度のものですな。そう伺つてよろしいか……。
#92
○政府委員(佐藤達夫君) そこまでにはならないと存じますので、仮にこの條文がなかつた場合とあつた場合とは、よほどこれは保障において違うだろうと存じます。
#93
○伊藤修君 そうするとこの條文というものはないよりもましだという程度のものですね。(笑声)
#94
○政府委員(佐藤達夫君) そういうことではないので、これが最も適切なところだろうと、今申しましたように行政権の責任関係ということも加味して考えますと、そうすべてを裁判所の責任によつてしまうわけにも行きません。これは三権分立の原則からいつて当然のことでございますから、その間を調整いたしますれば、丁度この程度が一番よいところであろうというのが我々の結論でございます。
#95
○伊藤修君 この立法は佐藤さん御覧になつたのですか。あなたは目をお通しになつたのですか。
#96
○政府委員(佐藤達夫君) 目を通したと申上げざるを得ません。(笑声)
#97
○伊藤修君 ざるを得ません程度ですか。
#98
○政府委員(佐藤達夫君) いや、目を通しております。(笑声)
#99
○伊藤修君 どうもあなたが目をお通しになつたとしてはちよつとできが惡いじやないですか。(笑声)どうも常々あなたに申上げる通り、私はあなたを一番日本で頼りにしておるのですよ。(笑声)そのあなたがこういう杜撰な法律に目を通されてOKされるということは、ちよつと今後あなたが法制意見長官として内閣に毅然としてお坐りになつた場合に、私は大いに期待しておるのですよ。そういう場合において、こういう法律をそのまま目を通されて、すつとOKされるということは、あなたに信頼を裏切られるような気がしますよ。どうも先ほどからお尋ねしておるのですが、大体この法律は基本人権を少しも保障していないのですよ。で、これはなぜあなたは令状というのをこの許可状にしたのですか。令状という言葉を使つたほうがいいじやないでしようか。
#100
○政府委員(佐藤達夫君) 令状と申しますと、例の憲法三十五條等の……、三十三條にありますが、まあそこにあります條文に関係が出て参ります。それと一体これとはどういう関係になるのかという問題にまでこれは遡つて来るわけであります。我々の考えますところは、これはまあ新憲法の制定以来、伊藤委員あたりと質疑応答を重ねたこともあつたと存じますが、この憲法自体で言つておるこの三十三條の條文というものは、これは刑事訴追の関係のことを規律しておる條文である。で行政作用、一般の行政取締上の行政権の行使に関する関係は、この憲法の三十三條というものが直接拘束しておるものではないというのが前提でございまして、併しながらおよそ人権に関係のある点においては、事柄としてはそう違うことではないのでありますから、この立法に当りましては、行政上の作用に当ることにつきましても、人権尊重の意味から同じように扱いたいという意味で、裁判官のこのまあお許しを得る手続をとろう、その前にまあ令状という言葉を避けて許可状という手続で、名称にしてやつておるわけです。従いましてこれは言葉の使い方だけの問題でございますけれども、気持の前提になつておりますところはそういう……、まあ形式的とおつしやられるかも知れませんが、形式のほうが実は頭に入つて、使い分けをしておるということでございます。
#101
○伊藤修君 まあかねがねあなたとときどきお話しておるわけですが、司法処分の場合においても令状を要するものである。いわんや行政処分の案件においては憲法の精神というものを貫くべきものである。この意味は佐藤さんにおいても常に把握されて、各立法の上に具現されることにお努めにはなつておるのですけれども、本法の場合においては、この行政処分だから何でもできるという考え方が多数そこら中に現われておるのです。先ほどからお尋ねしておる、いわゆる刑事訴追の場合においていわゆる拘留期間が二十三日であるにかかわらず、いわゆる行政処分だから六十日はいいのだ、こういう考え方はどうですかね、あなたは立法の技術者としてそれについて憲法の精神というものは蹂躙されやしないでしようか。
#102
○政府委員(佐藤達夫君) これは立法技術と申しますよりも、立法政策と申しますか、この実体を運用して目的を達するために、どういう期間にするのがよろしいかという政策の問題であると存じます。これは私どもの一存できめることではございませんので、その実施の任に当つております当局者と十分連絡をとつて研究を重ねて、この辺が妥当であろう、結局合理的な限度がどこにあるかという問題になると思います。結論はこの辺で止むを得ないだろうという結論に達しておるということであります。
#103
○伊藤修君 今私のお尋ねしようと思うのは、結局基本人権の保障ということは……佐藤さん聞いておいて下さいよ。(笑声)基本人権の保障というものは飽くまでも我々が守らなければならん。あなたも今後守つて頂かなければならんという重要なポストにいらつしやるのだから、それが一方において刑事訴追その他の場合においては極力これが制約することに努めておるのです。ところが行政措置の場合においてこれをどんどん破つて行こうとする。本法においてもいわゆる人身の拘束になるわけですね、六十日の間は收容所へ收容する。收容所と場と分けておりますが、そういう所で拘束するわけです。或いは留置場で拘束するわけですね。それによつてその人の身体というものの自由というものは失われるわけです。してみますれば、その基本人権を制約されることにおいては何ら変らないと思う。司法処分の場合においては嚴にこれを慎しむべく法制上努力をしておるにかかわらず、一方行政上においては斬捨て御免式に、その行政措置の必要な期間だけは、いつもこれによつて国民の犠牲或いは人類の犠牲において賄おうとするということは、立法技術の上においても立法政策の上においても、又憲法の精神を貫く上においても私は大きな矛盾があるのじやないか、こういうことをお尋ねしておるのですが、佐藤さんのお考えはどうですか。
#104
○政府委員(佐藤達夫君) ここに詳しいのがおりますから一つ……。
#105
○伊藤修君 佐藤さんに……。
#106
○政府委員(林修三君) これは結局、いわゆる憲法の遵奉の精神の問題になると思うのでございますが、結局この出入国管理令においては三十日、一応收容期間は三十日、但し三十日延長することができる、勿論これは人権の保障の意味から申しまして、身柄の拘束ということは最短の期間で、最短の期間にすべきことは当然でございます。この出入国管理令のいろいろの手続を考えまして、期間としては最低のものであります。勿論この憲法の精神から申しまして、許される以上の身柄の拘束が不当であることは当然のことであります。許される範囲内で、合理的と認められる範囲においてこの手続を遂行する、最小限度を書いたものでございます。必ずしも刑事訴訟法とはそれは手続が違う、刑事訴訟法の拘留期間よりも長いとも言えないのじやなかろうか、かように考えております。
#107
○伊藤修君 先ほどの御答弁と一緒だ、こちらさんの御答弁とあなたの御答弁と……。だから佐藤さんでなければ駄目だ。私は刑訴のことを聞いておるのではない。このことを聞いておるのです。私は司法処分以上のものを行政措置によつて賄うということがよくないのじやないか、この原則を是認するということなら、今後行政措置によつて我々の折角憲法によつて保障されたところの基本人権というものはいつでも阻害されるということになる。佐藤さんもよく御存じの行政執行法において従来といえども三十日の間は單独にどんどん拘束されておつた。それがいけないといつて我々が第一国会か第二国会では廃止したのじやないですか。それが今度は他の形において、例えばこういう形において容易に六十日の拘束ができるという、或いは又外務省がやろうか、通産省がやろうか、電通省がやろうかと言われたのでは、今後国民は幾つ身体があつても足らんことになつてしまうのです。そういうことを認容するかどうか、そういう基本観念をあなたは是認するかどうかということを聞いておるのです。
#108
○政府委員(佐藤達夫君) おつしやるところはよくわかりますし、又おつしやるところの基本になつておりまするところのお考えは私と全く同様でございます。ただ具体的のこの案文の日にちが、長いか短いかという問題につきましては、いろいろ実質上の点から申上げまして御了解を得ることができると思いまするけれども、私としてはこの個々の具体的の場合についても、今のところ入国管理という見地から見ますれば、このくらいの收容期間は止むを得ない。而してそれは刑事訴訟法と比べてどうということは何でありますけれども、刑事訴訟法に比べて短くなつておるということを申上げておるわけであります。
#109
○伊藤修君 佐藤さんが外国にいらつしやつて、日本にも六十日拘留する、收容する規定があるから、要するに日本人だからこれも合法的に六十日ぶち込んでやるという法律を作つて、フランスなりドイツなりで以てぶち込まれたらいい感じはしますまいがな。だからそういうやはりあなたは相互主義に基いて、国際法的な法律を国内法として私は作らなければいかんと思いますね。日本の独自の考え方だけで、例えばアメリカがやつておる、カナダがやつておるというだけで、それを見倣つて、何も日本はアメリカの属国ではない、カナダの属国でもないのだから、日本は日本としての、毅然として、やはり飽くまで基本人権を保障するという強い考え方を日本国民は把握しておるのだというようなことを、こういうような法律において私はやはりこれは保持できるのではないかと思うのです。ただ行政官は六十日あればそれは十分仕事はおできになるでしよう。併しその仕事をなさるという一面においては、便宜のために一面において外国人の犠牲というものを考えなくちやいかんと思う。六十日ということは、我我外に出ておる者は簡單に考えるけれども、中に入つておつて御覧なさい。六十日というのは五年にも六年にもひとしい日にちですから、それをいいこととして六十日だから短い、相当だろうというお心では困ると思うのですね。あなたはもつとそういう点も考えなければいかんと思う。
#110
○政府委員(佐藤達夫君) 申上げるまでもございませんが、この二十四條の退去強制の原因に該当する者についての一つの措置にこれがなるわけでございます。極端なことを申上げますれば、これは二十四條に該当するという一方的認定によつてもう退去してもらおうという最終的の処分をすることをこれは観念上考えられますけれども、この案の制度のとつておりますのは、それをできるだけ慎重に調べて、そうして正当な手続を尽した上で最終的な判断をしようと、そのためにその被疑者を野放しにできるかどうかという問題から、ここにこの收容の問題が出ておるのでございますからして、そういう点からずつとお考え合せ願いますれば、或る意味においては却つてこれは人権を保障するという気持から出た、止むを得ざる制度であるというふうにもこれは私申上げ得るだろうと思います。
#111
○伊藤修君 これは、二十四條が犯罪事実でないことは、これは事実ですね。この條文自体から見てもわかるのです。ここでは容疑と言つておりますけれども、本質は犯罪ではないのです。いわゆる日本国としては好ましからざるところの事項が幾つか掲げられておる。その事項があるかないかということを調査する期間に過ぎないのです。いわゆる国家を破壊し、社会を破壊するところの犯罪に対する捜査にすら十日間と制約をされておるのです。これは事実上その衝に当るかたは御苦労なことだと存じております。ただ行政措置のかような事案につきましては、調査する期間をかように長く取つて、徒に基本人権を必要以上に制約するということは、取りも直さず基本人権の保障をしないということになるのではないかと、こういうふうに考えるのであります。
#112
○政府委員(佐藤達夫君) どうも処分をむしろ慎重にするために一定の調査をすると、そのために、もとより自由に、その疑われた個人の人を自由に置いておくことは勿論かまわないと、むしろそれが原則でございますが、どうしてもやはり或る種の拘束を加えて置かないと危険であるという場合に限つてこの收容の條文が働くわけでございまするから、そのようなことを彼此勘案して考えますというと、人権を保障しつつ、而も我が国としては止むを得ざるこの退去の措置というものをやつて行こう、そういうあらゆる観点から総合して適当な妥当なところをここで規定しておるというふうに言い得ると思いますし、又そうあるべきことではないかというふうにも考えるわけでございます。
#113
○伊藤修君 どうも佐藤長官は原案を政府当局の一員として支持しなくちやならんものだから、心にもなきことを言つていらしやるように伺えるのですが、併しね、くどいことをいつまでも言つておつても仕方ないが、私は佐藤長官の考え方がそこにあるとすれば、ちよつと納得できないのです。少くともそういうような強制措置というものはできる限り制約すべきものじやないかと私は思う。本当の必要の限度にとどむべきもので、濫りに他の立法例において見ざるところの長期間人身の拘束を容易にここで認容しようというあり方は、それ自体が今後一つの危険な前提になるのです。私は何も外国人だからかまわんと言つて置けば、それで済むかも知れませんけれども、併しそれはその過ちは却つて又日本人に返るのです。我々が外国に行つたときにそれをやはり受けなくちやならんのです。御承知の通り、私が申上げるまでもなく、国際法上応報主義をとられますれば、必ず我々みずからがこの苦痛を嘗めなくちやならん時代が来る。疑われただけで六十日も異国の地において收容されるという苦痛は堪えられないものであると思う。だからこれはできる限り制約すべきが本来ではないか。どうしてもこれを調査するために、必要なために、僅かな日にち人身を拘束しなくちやその目的を達しないというなら、これは我々又便宜的に考えなくちやならん問題でしよう。併しかような長期間というものをここで漫然賄つて置くということは、私はそれ自体が諸外国に対して笑われる事実として指摘されるじやないか、こう思うのです。この点は長官としても十分考えてもらいたいと思う。勿論外務省の当局としても自分の便宜主義で考えるべきことではないと思う。それは皆さんが長い間の日にちを稼いで置くということは一番結構なことです。けれどもそれはあなたたちの仕事だけの面であつて、それによつてこうむるところの被害者の面も考えてやらなくちやならんと思うのです。もう考慮の余地はないのですか、どうですか。
#114
○政府委員(佐藤達夫君) 先ほど申上げましたように、即決主義で退去強制するということも制度上考えられますけれども、それはとらない。真の保障のために十分審査を尽した上で、その結論によつて退去強制をするかしないかをきめようというのがこの骨子であります。ところが十分な審査をするために必要なる期間というものは当然予想されるわけであります。而してその疑われた人によつては、その間どうしても放任して置けない人もある。従つてそういう人たちにつきましては、收容することができると書いてあるのでありまして、すべてを收容するわけでないことは明瞭であります。收容せざるを得ないような人たちについては、その審査の間收容しなければならん、止むを得んというそれは趣旨でできておるわけであります。法制的にはそういう建前でできておるわけであります。なおその運用の関係では、又当局者のほうでもとよりお示しのような趣旨によつて運用されることと私どもは期待しております。
#115
○伊藤修君 この問題は議論しておつても尽きませんから打切ります。併しこの点につきましては、どうしても今のお説明では納得できない。これ自体いわゆる憲法の精神を蹂躙して余りあるものである。どうしてもそう考える。我々自身がこういう過失を犯せばやはり我々の身に又戻つて来る。そういうことを恐れる。日本も折角民主主義国家になつて、基本人権の保障の全きを貰いておるということを、世界に向つて大言壮語は一つもできない証拠を私たちはみずから作り出すことになりはしないか、こう思うのです。ですから先ほど外国にどこにそういう立法例があるかということをお尋ねしたのです。ではこれから逐條についてお尋ねします。よろしいですか、委員長。
#116
○委員長(有馬英二君) 成るべく簡單に……。
#117
○伊藤修君 私は基本論を聞いただけです。
#118
○委員長(有馬英二君) あなたの質問は一時間二十分です。大勢のかたがおられますから……。
#119
○伊藤修君 いや、それだから一体かような重要法案を……。
#120
○委員長(有馬英二君) 勿論重要法案であるから、あなたの長い御質問を私どものほうは承わつておるのです。(「十分やるべきだ」と呼ぶ者あり)
#121
○伊藤修君 私は、法務委員会でありますから、ただ法務委員会としてのこうした関連性の多い法案に対して、少くとも参議院の権威の上においてもこれは質しておかなくちやならんと思います。私は政党政派を考えて発言しておるわけではありません。この法案に対して私は決定権を持つておるわけではないのですから……。少くとも参議院としてはこういう法案に対してどれだけの関心を持つておつたかということは十分知らしめる必要がある……。
#122
○委員長(有馬英二君) 勿論そういう意味で傾聽をしておるわけです。けれども時間も大分過ぎておりますから成るべく簡單に……。
#123
○伊藤修君 明日でも……。
#124
○委員長(有馬英二君) 成るべく簡單にということは簡潔にということで、何も省略してやれという意味ではありません。その点は誤解のないようにお願いいたします。
#125
○伊藤修君 簡潔と言つても、御答弁のほうはどうも簡潔じやない。
#126
○岡田宗司君 答弁のほうを少しはつきりさせるようにして下さいよ。
#127
○伊藤修君 第十二條によつて、長官の裁決の特例によつて特別に上陸が許可された場合には、異議の申立が理由がある旨の裁決と見なされると、こうなつております。第一項第一号乃至第三号の場合の在留資格は第四條第一項のいずれに該当することになるのか、ちよつと條文だけではわからないのですが、第十九條と比較して私は明らかにする必要があるのじやないかと思うのです。第五十條の場合も又そうであります。この点について先ず……。
#128
○政府委員(鈴木政勝君) 第十二條によりまして日本に入つて参りまする外国人が一応入国拒否事由に該当するという判定を受けた場合に、その救済手段として長官の裁決を求める、その場合十二條によつて長官は一定の、十二條の規定しております條件を具備した場合には、特別に上陸を許可することができる、こういう規定がございます。従いまして特別に上陸を許可した場合にはその者に対して如何なる在留資格を与うるかということは、この四條によりましてそれぞれその者が上陸いたしましたあと如何なる目的で在留するか、どういう或いは職業と申しますか、仕事に従事いたしますかということに従つて在留資格をきめるわけでございまして、従いまして上陸を許可した場合には必ず四條による在留資格というものは与えるわけでございます。
#129
○伊藤修君 するとその与えるわけだということは、本法では明確ではないのですが、或いは政令、省令で以て定めるつもりなんですか、どういうことになるのですか、その点は……。
#130
○政府委員(鈴木政勝君) 十二條によりまして長官の裁決がありますると、結局元の審査官の許へ戻りまして、その審査官がこの四條に従いまして、その者が上陸いたしましたあと、或いは観光客、これはまあ具体的な例でございますから、果して適当かどうか、或いは観光のためにその者が入りたいのだという場合には、第四條の第一項の第四号によつて観光客というステイ・パスを与える、或いはその者が日本の学校に入学したいのだといつたような場合には、この四條の第一項の第六号の資格を与える、かように考える次第でございます。
#131
○伊藤修君 私のお尋ねするのは、それはだからその特別許可するときに、自由裁量によつて本人の希望を聞いて与えるというのか、又はそれを与えるとするならば、それは本法によつてそういうことを規定しなくてもいいのかどうか。在留資格というものは重要な問題だと思うのですが、そういう重要事項について本法において明確にしておく必要がないのかどうか。單なる手続規定じやなくして、いわゆる本質的な問題じやないかと思いますが、成るほどお取扱いについては、只今あなたが御説明になつたようなお取扱いであろうと思います。そういう本質的なものはやはり本法において賄うべきものじやない。いわゆる実体法的なものですね、資格問題ですから……。在留資格があるから在留期間というものが出て来る。国内に正当に在留することができるという在留資格が生れて来るのですから、基本的な権利ですね。その基本的な権利というものを特別許可する人の自由裁量によつて本人の希望を聞いて決定し得るということは、ちよつとこの法律の建前としてもどうかと思うのですがね。そういう重要事項についてはその場合においてこうするのだというほどの明文を必要とするのじやないでしようか。
#132
○政府委員(鈴木政勝君) これはすべての入国者につきまして同様のことがあるわけでございまして、一般の入国者はどういうふうにそれでは手続をするかということを先ず御説明申上げますると、先ずこの管理令によりますれば、平和條約発効後日本に入ろうとする外国人は先ずその国の旅券をもらう、その旅券を持つて日本の在外公館、つまり領事館に参りまして、入国の際の査証をもらうということがこの管理令による必要條件になつておるわけでございます。査証をもらつて旅券を持つて港に入つて来る。そこでこの管理令によります入国審査官がその旅券並びに査証の内容、つまり査証には一応管理令の四條によります資格というものが一応査証で明らかになつて来るわけであります。この者が観光客として来る場合には、観光ということが査証に明示せられて、旅券に記載せられて入つて来るわけであります。そこでその港の入国審査官はその内容を見まして、なお且つ第五條の退去強制、上陸拒否事項と申しますか、そういうものをよく本人につきまして調べて、それで支障なければその査証に書いてありまするステイ・パスつまり在留資格、これが果して適当かどうかということをもう一応そこで入国審査官としては調べまして、その査証に書いております資格が正しいと思えばその通り在留資格を与える、入国を許可する、かようになつておるわけであります。従いまして先ほどお尋ねの、そういつた径路で入つて来ない者があつた場合に、それは最終的な長官の裁決として、そういつた手続とか、そういうものが欠けておるけれども、この者がこういつた一定の條件を具備しておりますれば特別に上陸を許可する、これは極めて例外的な場合でございます。そういつた場合にもお話のように在留を認める以上は、四條による在留資格というものは与えなければならないのであります。そこで本人が一体上陸いたしましてからどういう仕事をするのか、そういつたことをよく調べまして、必ずしも本人が言う通り書くということではなくて、本人の言うことと本人が実際上陸いたしましてどういうことをするかということをよく確かめまして、四條による在留資格を与えるわけであります。
#133
○伊藤修君 手続の模様はよくわかりましたですが、そういうような手続によつて正当に来れば問題ないのですが、結局特別許可した場合において、在留資格というものを基本的に認定しようとするわけですが、その認定する場合には、その認定によつてはその人が在留についての利害関係というものは重大な影響をこうむると思うのです。ものによつてはそう長く許されないし、ものによつては将来拒否される虞れもある、こういうことになりますから重要な事項だと思うのです。その在留資格という重要な事項をただ認定でやられる、行政の認定だけでやられるということが果して適法かどうか。むしろそういうものは本質的なものであるから、実体的規定であるのですから、本法上当然賄うべき筋合のものではないか。明文を以て賄うべき筋合ではないかということをお尋ねするわけであります。それともそういう事項は省令のはうへお譲りになるつもりか、或いはそれにもかかわらずして行政のお取扱いに任すという意味か、その点をお伺いするわけであります。それから正しい考え方としては本法で賄うべきものだと私は考えるのですが、どうです。
#134
○政府委員(鈴木政勝君) 在留資格を如何なる基準で与えるかという問題は、これは非常に数多く入つて来る外国人に対して、一々この者が果して観光客か或いは学術教育に従事する者か、いろいろ種類があるわけでございまして、又事柄によりましては、日本においていわゆる商業活動と申しますか、貿易とか、そういう活動をする者もあり、その者が資金関係とか内地の信用関係とか、そういうものからいたしまして、果して国内において商業活動を営み得る者であるかどうか、いろいろ実は個々のケースによつて相当これは違つて来る問題でございます。従いましてこの四條に謳つてありまする第一号から第十六号までの在留資格、こういつたものに該当しない者は、これは入国ができない、かように考えておるわけであります。従いまして入つて来る者が一号から十六号までのどの資格に当てはまるかということは、これは事実上の港におきまする入国審査官の認定に待つよりいたし方ない、かように考えております。ただその認定と申しましても、先ほど申上げましたように、先ず入つて来る外国人は一応日本の在外公館の査証を受ける、その査証の際に一応この一号から十六号までの資格という点について査証という観点から十分な審査を受けて来るわけです。査証の審査を受けた上で、査証の面からも、この在留資格というものが一応記載されて入つて来る、かように考えますので、御承知の通り本法の中にそういつた資格を与える場合の基準と申しますか、実体的規定があつたほうがいい、こういうことは勿論考えられますけれども、実際問題としてなかなかこれは書くことがむずかしいし、実際上これは審査官の認定或いは施行規則上の細かい適用ということに譲るよりいたし方ない、かように考えております。
#135
○伊藤修君 今の問題は、私はそういうようなわからないやつに対しましては、やはり今お説のように、最初出発する場合においての目的があるのですから、そういうことを基準として考えるということを本法で謳つて、但しその本人の希望によつて、その他の條件によつて第一号から第十六号までにおいて定めるというふうにお書きになるか或いは省令で以てそういう点を明らかにする必要があるのじやないか、こう思います。これは私の意見として申上げて置きます。
 第十四條ですね、船員が上陸する場合が考えられますが、これの実際の今の取扱いはどうなつておりますか。
#136
○政府委員(鈴木政勝君) いわゆる寄港地上陸、普通私どもはシヨア・パスと申しておりますが、客船或いは貨物船が入つて参りますと、客船の場合は船客並びに船員が一時的に上陸する場合がございます。それから貨物船の場合は勿論船員だけが一時上陸する、かようなことがございますが、現在行なつておりまするのは、この十四條によりまして、その者が先ず船員であるならば、船員手帳を持つておるかどうかということを先ず調べます。それから船客である場合には、その者が船長或いは船会社のあらかじめ申告に基いて旅券を持つておるかどうか、これは必ずしも日本に入るという意味の旅券でなくても、一応旅券を持つて旅行しておる外国人であるかどうかということを調べまして、そういつた條件に合致いたしております場合には、この十四條によりまして上陸の許可証というものを、いわゆるシヨア・パスというものを、小さい紙でございますが、これを与える。シヨア・パスにおきまして、ここに書いてありますような時間的な制限とか、いろいろな若干の制限を附しまして上陸を許すわけであります。この上陸を許す趣旨と申しますのは、一応はこれは観光という趣旨において、そういつた者に上陸を許す趣旨と考えております。
#137
○伊藤修君 その許す手続の点については差支えないと思います。ただ実際問題といたしまして、神戸にこの間行つて見ますと、いわゆる一括で取扱つてるらしい、頭数で、百人ならば百人下船する、上船するときは百人という頭数で乘船させる。今お説のような手続をちつともしてない、結局甲乙丙丁が降りて神戸に、乙丙丁戊という者が乘船する、自由勝手に出入国しておる、こういうのです。現に後にお伺いしようと思つていたのですが、朝鮮人が現在日本に登録されておるのが六十万近くおる。それが現に七十万からおるという。これは單独で密入国しておる奴もおりましよう。そういう方法によつて内地に潜り込んでおる。又内地の者が出て行くということが毎日行われておる、現在神戸だけでも大体一つの船に百名くらいとか……。そうするとそれは毎日二隻ずつ入る、相当数量の出入りしておるということになつておるのが実情らしいのですが、これは違法であるのか、一体そういう取扱いに慣例上なつておるのか、若しそうであるとするならば、折角こういうような法律を設けたところが、そういう大きな抜け穴があるということになると何もならん。この点はどうですか。
#138
○政府委員(鈴木一君) 只今の点は、従来そういうことが行われておりましたことは事実でございますが、お話のように、全部が全部そうであつたとも思われませんが、そういう抜け道があつたということは事実であります。そこで我々といたしましては、何とかこの点をチエツクしなければならんということで法令も出し、又最近におきましてはそういうことのないように現地の審査官、警備官を嚴重にいたしておるわけでありますが、もう一つの狙いといたしましては、そういう不明朗な乘船者があるということは、その船の船長及び船会社の一つの責任であるというふうにも考えられるのでありまして、その点につきましても、最近におきましては特に船会社を呼びまして、そういう違法な扱いをするような船長及びその船というものを、資料を集めた上でその船会社に交渉し、そうしてそういうことのないようにという方針で嚴重にいたすことにいたしておるわけでございます。
#139
○伊藤修君 事実上行なつているらしいということはあなたも御承知のようですが、そうすると私は、現在でも繰返されているのです、今度も又繰返される虞れがあると思う。神戸あたりの国警隊長、自警の署長、その他検事正に会つてそういう点を質しましたところが、実にそういう点において大きな悩みを持つておる、治安維持の面からいつても非常に困るらしいのです。ただ船会社に責任を持たせるとか、船長に持たせるだけでは、その根絶が期せられないのではないでしようか。要するにこれは警備員ですか、そういう者によつて下りるときに、下船するときに嚴重にその船員手帳と本人とを見比べて、そしてこれを下船せしめる、又乘船するときにもそうするというような手続はとられないものでしようか。若しもそれが実行できないということになれば、何か嚴重に監督するというだけではやはり私はその点において大きな穴を残すことになるのじやないかと思うのです。
#140
○政府委員(鈴木一君) その点はお話の通りでありまして、我々としましては十分その点を承知いたしております。そこで最近にはシヨア・パスを発行いたしますときには、一々船員を並べまして首実験した上渡す。そして船員手帳を必ず携帶させるということにいたしておりますので、港から出ます際或いは船から降ります際に一々首実験をするということをいたしますれば十分その目的は達し得ると思うのでございますが、警備員その他をできるだけ配置いたしまして、そういうような嚴重な処置に向うように努力したいと思います。
#141
○伊藤修君 船員手帳には写真なんか附いているのですか。
#142
○政府委員(鈴木一君) 写真が附いております。
#143
○伊藤修君 次に二十四條関係でお尋ねしますが、貧困者というものの定義を聞いておきたいと思います。
#144
○政府委員(鈴木一君) 二十四條の四号のホにございます貧困者は、これは特に定義と言つて掲げるというよりも、むしろこれは「貧困者、放浪者、身体障害者等で生活上国又は地方公共団体の負担になつているもの」、要するにそういう理由で国又は公共団体の負担になつておるというもの、それの形容詞と見て差支えないのでありまして、申しますれば貧困者で国又は公共団体の負担になつておるということを例示いたしますれば、生活保護法で扶助を受けている者は一応これに当てはまるわけであります。
#145
○伊藤修君 この法文の書き方では貧困者で国の負担になつていなければこれに該当しない、こう解釈してよろしいのですか。要するに二つのものの繋りがなければ該当しないですか。
#146
○政府委員(鈴木一君) その通りであります。
#147
○伊藤修君 そうすると現に貧困者で将来国の負担になるべき筋合のものはどうなんですか。
#148
○政府委員(鈴木一君) それはこれに該当いたしません。
#149
○伊藤修君 そうすると現在日本において乞食をして流浪をして、現実には国家の救済を受けていない、賄いも受けていない、併し陰に陽に日本国の損失であることは当然で、好ましからざる外国人であることも当然である。そういう場合にこれに該当しないということになりますか。
#150
○政府委員(鈴木一君) 只今のお話の範囲でございますれば、この條文には該当しないのでありまして、大体そういう人はその他犯罪を犯しますとか、いろいろなこれ以外の條文にかかわる場合が多いと思います。
#151
○伊藤修君 併しほかの條文と言われますが、貧困者必ずしも犯罪を犯すとはきまつていない、犯罪を犯すのを待つておるわけにも行くまい。そういう流浪して歩いておる者でも、法文の立法趣旨からいつて、そういう人はやはり退去を願うという意味ではないのですか。そうするとこの條文の適用範囲というものは非常に狭くなるのですね。生活扶助を受けていなければ結局これに該当するものはないということになりますね。
#152
○政府委員(鈴木一君) 貧困者で特に国の負担になつておるという意味でこれに該当するわけでありまして、ただ貧困であるとか、或いは流浪しておるというだけでは強制送還の対象にしないという考え方であります。
#153
○伊藤修君 そういたしますと現に日本で国の負担になつておるということになりますれば、いわゆる曾つての日本人である、今日外国人たらんとする、朝鮮人だけと考えられますが、その朝鮮人の中で生活扶助を受けておる者だけがこれに該当するということになるのですか、過去の生活扶助を受けた者は入らない意味ですか。いわゆる現在及び将来に適用があるという意味ですか、この点を承わりたい。
#154
○政府委員(鈴木一君) それは現在受けておるものでございまして、将来予想されるからといつてそれを退去理由にするということはできない。
#155
○伊藤修君 過去の場合は……。
#156
○政府委員(鈴木一君) この法令が朝鮮の人たちに適用されますのは平和條約発効の日からでございますので、それ以前のことは問わないのでございます。
#157
○伊藤修君 そうすると過去において生活扶助を受けた事実が幾らあつても、それは適用にならない。この法律が発効された後大なり小なり国家の扶助を受けたという者だけがこれに該当する。こういうふうに伺つてよろしうございますか。
#158
○政府委員(鈴木一君) その通りです。
#159
○伊藤修君 このうちのオの項ですね、「日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入している者」、これはどういう意味なんですか。
#160
○政府委員(佐藤達夫君) これは格別特に御説明するものもないように思うのでありますが、「政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入している者」、こういう趣旨でございまして、こういつた国内の治安を撹乱する者は日本国内にいわゆる外国人として在留することが適当でないという趣旨から、こういつた者を退去強制事由に掲げて国外に出てもらう、かような趣旨でございます。
#161
○伊藤修君 これはそうすると、「破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て若しくは主張する政党」というのは何ですか、政党と団体に皆かかるのですか、これは單独になるのですか、立法趣旨はどういう趣旨ですか。
#162
○政府委員(鈴木政勝君) これは詳しく申上げますと「日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、」そうして又「これを企て若しくは主張する政党その他の団体を結成し、」というところで又一つありまして、「若しくはこれに加入している者」こういうように解釈いたします。
#163
○伊藤修君 そうすると前段は單独の場合を想像できるのですね。
#164
○政府委員(鈴木政勝君) さようでございます。
#165
○伊藤修君 そうすると中段の場合は団体を指しているわけですね。
#166
○政府委員(鈴木政勝君) さようでございます。
#167
○伊藤修君 そうすると後段の場合は單独ですね。
#168
○政府委員(鈴木政勝君) さようでございます。
#169
○伊藤修君 これはこういう條項をここに設けた根拠は、国内法の何に根拠を置かれたのですか。
#170
○政府委員(鈴木政勝君) これは他の法律にもいろいろと立法例がございまして、国籍法であるとか国家公務員法であるとか、そういつた他の法律にもこれと同じような條文があるわけでございます。国籍法の第四條の第六項に、これと同一の條文がございます。
#171
○伊藤修君 国籍法は私どものほうで作りましたのでよく存じておりますが、この根拠はどこにあるのですかと聞いているのです。国籍法にあるからここに漫然と入れたという意味じやないのでしよう。
#172
○政府委員(鈴木政勝君) 勿論これは先ほどお話申上げましたように、こういつた法律に該当するような外国人は国内に在留を許すことが不適当だ、かような考えを以ちまして、ここに入れたわけでございます。
#173
○伊藤修君 それはお取扱方は、勿論好ましからざる人ということに御認定になるのでしようが、国内法上においてこれをどう規定しているのか、こういう人はどうするのか、国内法的においてこれが違法として排除しておるのかどうか。外人として好ましくないという意味か、日本人としてもいけないのだ、併しいわんや外人は当然好ましくないのだ、こういう意味か、国内法的な根拠はどこにあるかということをお尋ねするわけです。
#174
○政府委員(鈴木政勝君) これはそれぞれその法律によりまして好ましくないか、或いは日本人といえども、例えば公務員になる資格としてはこういつた者は不適当だとか、それぞれの法律によつてその趣旨が勿論違うわけでございまして、或いは他の法律によりましてこういつたものに該当するものは、むしろ或いは処罰するようなことも恐らくあり得るかと思います。ただこの管理令におきましてはそういつたほかの場合と違いまして、こういつた事由に該当する者は、少くとも外国人として日本に在留することが不適当だと、かように考えているだけでございまして、ほかの法律によりましてこういつた者が処罰されるとか、或いはどういう扱いを受けるとかということは別問題でございます。
#175
○伊藤修君 別問題としてはおかしいじやないですか、日本人に対してもいけないのだ、いわんや外人に対しては当然好ましくないのだ。こうあつてこそ諸外国の人は是認するじやないですか。外人だけを排他的に、それだけに責任を負わしめて、外国人だけを惡いという考え方はどうでしようか。この立法はこれは国内法にあるのですよ、国内にあるからしてあるのじやないですか。あなたの今の御答弁では、国内法にはなくてもそんなことは関係ない、あるとかないとか関係ないのだとおつしやるけれども、国内法でも認められないから、いわんや外国人においては認めがたい。だからそういう趣旨に扱つたという御答弁なら筋が通ると思いますが、外人だけを特に取扱う、それは或いは好ましくないでしようが、外人だけを取扱うという考え方は、私は外人に、諸外国に対して偏頗な取扱いになりはしませんかと申上げるのであります。
#176
○政府委員(鈴木政勝君) 私が先ほど申上げましたことはちよつと誤解があるので、私は物の考え方を申上げましただけでございまして、只今お話のオの該当の者は、勿論日本人といえどもこういつた者はほかの法規によつて処罰されることになつている。従つてこのオに関する限りは、日本人といえどもこれは好ましくない者である、従つて外国人、特に外国人に関する限り、これは外国人というのは根本的には日本に在留する基本的な権利というのは勿論ないわけでございますけれども、特に外国人につきましてはこういつた事項に該当する場合は、これは当然滞在を許すべき筋ではないと、かように考えておるわけであります。従いましてお説の通り日本人でもこういつた者は好ましくないし、又ほかの法律で処罰されるということは、これは当然でもございましようし、私は物の考え方として、そういう法律とは別個に、退去強制事由というものが物の考え方として考えられるということを申上げるだけでございまして、その点誤解ないように御理解願いたいと思います。
#177
○伊藤修君 国内法的において認めてこそ初めてここに意義をなすと思うのでありますが、その国内法が今日廃止されて、近く又できようとしているのですが、いずれの法律を根拠としてこういう法律をお考えになつたか、先に国籍法を制定する当時には国内法はあつたのですから、それに倣つて作つたわけですが、現在は段階はちよつと違うのです。その点のお考え方はここに盛込まれておるのかどうか。どういうお考え方でこの点を規定されたか、この点をお伺いいたします。
#178
○政府委員(鈴木政勝君) これはお話のようなほかの法律で、いろいろ処罰のことを規定しておる。併しながらこの出入国管理令は、飽くまで処罰とかそういう趣旨ではなくて、こういつた事由に該当する者は行政措置で、刑罰とかそういうものとは全然別個に、行政措置で国外に出てもらう。かような趣旨でございますので、先ほど申上げておりますように、根本的な考え方はほかの法律で処罰を規定しておるから、こういつたことをこの管理令でもするのだというような直接の関連性は実はないわけです。従つて、ほかの法律でこういつたものが処罰を受けないようになつても、建前としては当然これは管理令としては考えられる事項でふる。こういうように考えております。
#179
○伊藤修君 そういう御答弁を聞いてはかなわんです。それは日本の治安のあり方というものは、こうなくてはならんという、国家の一つの筋があります。その筋を守ろうとすればこそ、管理令にも取入れると、こういうことになるのです。国内法はどうあろうとも、管理令は外人は拒否するのだと、これでは立法の趣旨の一貫性がないのです。外務省は外務省だけで勝手に必要な法律を作る。日本の国策はどうあろうとも、考え方はどうあろうとも、そういうことにはお構いなしという議論に私は聞いたのですが、それは乱暴ですよ。
#180
○政府委員(鈴木政勝君) その点先ほどから申上げておるように、私はこの法律の建前を申上げておるわけです。お説のように、そういうふうなほかの法律でも当然これは罰せるような建前に考えねばならんというような一つの政策といいますか、そういうものは当然私は考えられるべきだと思います。併し純法律的と申しますか、そこまで御説明するのも如何かと思いますが、この管理令という立場のものの考え方としては、さような建前で考えておる。併しながらこの内容のものは、勿論お説のように日本人といえどもこれは好ましくないことには違いない。ただ、ほかの法律で、これが何か処罰に該当するのか或いはされないのかということは、このほかの法律の問題である。広い意味においては勿論これは結び付く問題でなければならないし、又結び付かなければならない。併しこの管理令の建前としては、それがあるからこうだというようなものではない。極めてまあ形式的な答弁のようになりまするけれども、内容的にはお説の通り私も同様に考えております。
#181
○伊藤修君 それは政策とか、政策でないというような問題ではなくて、国の姿として、国のあり方としてはそういう一つの基本の立法の筋が立つておる場合においては、それが日本国の経営維持に一番ふさわしい筋だと、反対がどうあろうとも、一つの建前が立つておるわけです。政策ではないのです。それで、基本を観察して、すべての立法というものが成立たなければならんはずです。外務省は外務省だけの勝手な考え方だけで立てるというあり方はないと思う。例えばこれは極端に言うと、反対にこういう事項は適法行為だという国内法があつたらどうですか。その場合において処罰行為だということになりますれば、管理令のみによつて外人にこういう措置を採るということ、これは好ましくないことになるのじやないか。して見ますれば、根本において国内法においては不法行為だ、違法行為だ、であるから、外人においても尚更これは守つて頂かなければならん、こういう意味になるのじやないか、これと直接に関連性を持つ。だから国内法規の、あなたの言うような広い意味の関連性ではなくて、例えば前科者に対してもそうです。前科のある者は入国させない、退去させる。こういうのは国内法においてもそれは好ましくないから、日本人はどこへも放り出すわけには行かないから、外人の場合だけ放り出す、こういう規定になつておるのじやないですか。だからそれは直接関係があると言わなければならんと私は思う。それでこそ初めて、この今度新らしく取入れる筋がわかるのじやないですか、そうお考えになりませんか。
#182
○政府委員(鈴木政勝君) お話のお気持は私よく了解いたすのでありますけれども、この管理令上の建前から申しますと、オに該当する者が外の法律によつて刑事上の処罰を受けなければ、この管理令上もこの條項の発動ができないとかという意味の関連性はない。外の法律によつて或いはこういつた該当者が処罰を受けない場合においても、この管理令上はこれは行政処分として、好ましくないという判定があれば、これは退去の強制をすべきである。かような考え方でございまして、その間の関連性というものは、先ほどから申上げておりますように、直接の関連性は建前上ない。ただ実際上の運営といたしましては、或いは処罰を受けた者を大体この條項に該当する者として退去強制するとか、或いはそういつた実際上の問題としては、これは考えられることかも知れませんけれども、建前としてはそういうことはない、これは飽くまで行政処分であつて、刑事上の処罰とか、そういうものとは直接に関連はない、かように申上げざるを得ない立場でございます。
#183
○伊藤修君 あなたの考え方は、ただこの管理令のみに囚われて、全般的に日本の法律としての考え方に立つていないのです。管理令のみに囚われて、非常に狭い視野に立つて物事を見ておられる。そうじやないのですよ。而もこの法律は、日本の五千何がしかある法律の中で一番最前線に出ておるのです。外国、世界各国の人と接触する一番最前線に出ている法律でありますから、私は特にこの法律に対して発言を求めておる次第であります。国内法であれば、事は日本国民の、俗に言う内輪でこれは済むわけです。不承々々でも納得できるわけです。併し一朝これが指弾を受けますれば、日本の惡評というものは全世界にこれが拡まるということになりますから、笑われるということになりますから、私がくどく御質問申上げておる次第であります。そういう意味を一つ考えて、広い視野に立つて御答弁をなさつて頂きたいと思います。何も、あなたたちをどうこうと思つているわけではありません。あなたは、別に刑罰を受けるのでないから、いわゆる行政処分だ、行政処分ということを非常に軽く考えておられる。併しこの実際の取扱は刑罰以上のものですよ。あなたもお読みになつたでしようが、「じやがたら文」を御存じでしよう。曾つて徳川時代においてフイリピンなり「じやがたら」の国に追放になつた、流された、退去を命ぜられた本来日本人である婦人が、如何に彼の地において切々たる気持で日本を恋い慕つたか。これは生きながらの地獄じやないかと思う。これは死刑になるより辛いと思う。でありますからこの法律の運用によつては、後にお尋ねしますけれども、日本人が……外国人じやない、日本人、本来の日本人、形式的には外国人になるかも知れませんが、本来の日本人がそういう憂目を見なくちやならん結果をもたらすことになるのですよ。お互い同胞の一人がそういうような不幸な結果をもたらすことを他人事のようにお考えになることはできないと思う。もう少し温かい気持を持つて、ものを見ることが必要だと思います。だからそれは交通機関が発達したから、帰ろうと思えばいつでも帰れるじやないか。そういうわけには行かない、やはり入国を一旦拒否されますれば、再び入国することはなかなか至難な問題であります。いわゆる生木を裂かれる悲惨な事態が幾つか日本国内に起り得ることが想像されるのです。そういう点は十分我々は念頭において本案の審議をすべき筋合だと思います。この場合に、例えば「若しくは主張し、又はこれを企て」た、こういうことを誰が認定するのですか。
#184
○政府委員(鈴木政勝君) これは管理令の建前上、入国審査官が一応の第一次的な決定をいたすわけでございます。
#185
○伊藤修君 そうすると、ここに規定してあるような手続を経て、この認定というものは確認されて行くわけですか。そういうことになりますね。これは本当に私はこういう認定は危険だと思いますね。現在破壊活動をやつているという外形的事実が現われておるものについては、或いは問題はないかも存じませんが、そうでない場合も、これは想像されるのですね、「企て」というようなことはどの点までを指すのですか。事前に事実として現われたものをも指すのか、そうじやないものまでをも含むのですか。いわゆる予備陰謀という程度まで含むのですか。
#186
○政府委員(鈴木政勝君) この條文は、お話のように非常に運用上からも十分これは注意して扱わなければならないということは、私どもも十分承知いたしておりますし、又この運用に当りましては、今お話のような点を十分に心におきまして運用して参りたい、かような精神でございます。従いまして、只今お尋ねの「これを企て」といつたような場合も、何か外形的にそういう事実が認められる、こういつたようなことでない限り、これに該当するものという認定はいたすべきではない、かように考えております。
#187
○伊藤修君 これは用語解釈で、文理解釈から行きますれば「企て」という場合においては、外形的事実が現われなくても、そういう企画があれば当然適用を受けます。裁判所は恐らくそういう判決をしますよ、で、国籍法の場合におきましては單に入籍させる、いわゆる書面上の籍を入れるか入れんかだけですから、こういう法規があつてもそう大きな実害というものはこうむらないのです。だがこの場合におきましては、身柄が何千里先へ送られるかどうかという、結果的には大きな問題を招来するのですから、国籍に入れられるからといつて、漫然こういうことを取入れられたということはちよつと大胆じやないか。それはいろんな條文を入れておかれることは便利には違いないのですが、余りいろんなものを背負い込むと、ちよつといろんな点に差支えが起るのじやないですか。今の「企て」の解釈は、あなたのような解釈ではいけないのじやないでしようか。
#188
○政府委員(鈴木政勝君) 再三申上げておりますように、政府当局といたしましては、この條文の運用につきましては、御説のような十分の注意を以てやつて行きたい、従つて、この「企て」というようなものに果してどういうものが該当するかということも、何らか客観的な事実として現われるとかいうような場合にのみ発動するような精神でやつて行きたいということでございます。
 又この際、ひとこと附加えておきたいと思いますのは、このオのようないわゆる破壊行為と申しますか、こういつた場合の退去強制、入国拒否というようなことは、大体どこの国の法令にもあることでございまして、ただ問題はその運用上如何なる運用をするかというところが問題であろうかと思うわけでございます。その点は再三申上げておりますように、これは外国人といえども、一旦入国を許可した以上、そう無慈悲と申しますか、不合理な扱いにならないよう十分な注意を以ちまして運用して参りたい、かように考えておる次第でございます。
#189
○伊藤修君 これは別にこの法律のみではありません。いろんな法律におきまして常に私は御注意申上げておりますけれども、作るときの立法者の考えというものは、高邁な考え方で以て作るわけです。併し不幸にして人間の力というものは、立法辛の考えているほど末端まで滲透できないのです。それを扱うところの末端の係りのほうでは、必ず法律に現われた文字に覊束されるのです。而もその文字は最大限に拡大してそれを運用するということが、殊に日本のあり方なんです。その被害は皆さん自身が日常生活において多々経験していられることと思います。だから我々が立法する場合においては努めて疑義のないように、その法律の運用の結果そういう虞れがある場合は、これを除去することに努力しなくちやならないのです。でありますから我々としては、そういう疑義のある場合におきましては、法律の前文においてはつきり書くとか、或いは但し書を入れるとか乃至は政令のほうでその趣旨を徹底するように謳うとか、いろいろな方法を講じて法の全き運用を期しておるわけです。御承知の通り大陸法系におきましては従来理論的にすべてを書いて、国民に対して難解な法文を与えて、以てこれに従えといつておつた。英米法系では努めてこれを具体的に書いて、わかりやすくして行くことがその趣旨であることは御承知の通りです。でありますから、この種の條文をお入れになるならばもう少し親切にこれは取扱うべきではないかと思うのです。この場合は将来必ず問題が起ります。あなたのようなお考え方で、これが取扱われるとは考えられません。というのは、この第二項の「外務大臣は、前項第四号ヨに規定する認定をしようとするときは、あらかじめ法務総裁と協議しなければならない。」というような、こういう條文をここで設けておるということから対照しましても、非常にこの條項には疑義を生ずるのです。この二項の場合に一体どうするのでしようか。ヨの場合においては、初めの審査官或いはその他の役人の調査というものが、この二項によつて制約されることになるのですか。二項の場合は独自の強制処置権を失うことになるのですか。この点伺いたい。
#190
○政府委員(鈴木政勝君) ヨの場合は、それ以前に具体的に掲げております退去強制事由に比較いたしまして、かなり表現方法といたしましては総括的に、抽象的に書いてございます。「外務大臣が日本国の利益又は公安を害する行為を行つたと認定する者」、つまりこの認定は外務大臣がするというところにほかの條項とは違う点があるわけでございます。ほかの場合は、これは入国審査官が認定をするわけでありますが、ヨの場合は外務大臣が認定する、こういう規定になつて、相当ここで特殊な扱いをいたしておる、これが非常に末端の入国審査官とか、そういう者で、でたらめに運用解釈できないという意味で外務大臣が認定すると書いてございます。なおその第二項で、それでもまだこれは外務大臣としては、これは職責上国内治安の担当責任者ではないという趣旨から、これはその担当の法務総裁と協議した上でやるというように、この條文の適用につきましては十分慎重な手続と申しますか、ことをこの法律で要請いたしておるわけであります。従いまして外務大臣が認定しただけでは足りなくて、法務総裁と協議して、その同意を得なければこの認定ができない。従いましてその認定、外務大臣が認定して、入国審査官がそのものを退去強制するとか、こういつた手続がなければ、退去強制の実施に至らない、かような趣旨でございます。
#191
○伊藤修君 そうするとこの場合におきましては、外務大臣が法務総裁と協議の上認定権を持つということなら、最終的認定権は大臣にあるわけですか。従つて下級の官吏に処置権はないわけですね、そういうことになるわけですね。
#192
○政府委員(鈴木政勝君) さようでございます。
#193
○伊藤修君 そうすると、この場合にのみそういう特別な何というのですか、丁重な手続をおとりになる、そうすると先ほどのオの場合ですね、オの場合と比較いたしましてその軽重はどうでしよう。オの場合は、これ自体は法務総裁のまさに権限の範疇に属すると思うのです。これを除いて、このヨの場合のみに限られたという私は立法趣旨がわからないのです。むしろこのオの場合のほうが重く考えるべき筋合でないでしようか。
#194
○政府委員(鈴木政勝君) これはオの場合はこの條項が具体的に表わされておる。従つてその認定は審査官でできる、これは勿論運用上はいろいろと本庁の訓令とか、或いはその解釈とか相当審査官が具体的にこれを適用する場合の基準とか、そういうものは勿論これは事前に長官なり大臣からも、訓令その他で勿論明らかにされまするけれども、この條文自体は相当具体的に書いてある。併しながらヨの場合は、外務大臣が日本国の利益又は公安を害する行為を行なつたと認定する者というように、規定の仕方としては非常に広い、読み方によつては何でも入るような表わし方をしている。そこでこのままでは、これは到底実際上の適用としてもいろいろ弊害が起るだろう、そこでこれは外務大臣が認定するものだという点が一つと、それから特に法務総裁と協議しなければならない、かような趣旨でこれを一層嚴重な規定にいたした次第でございます。この趣旨は、このヨの場合は非常に抽象的に広く何でも入るような規定の仕方になつているために、こういうふうな規定をいたした、かような趣旨でございます。
#195
○伊藤修君 その御答弁だというと、このオの場合は非常に具体的だと言うが決して具体的じやありません。まさに抽象的なんです。主の場合のほうがこれはむしろ認定しやすいのです。公安を害するということは、容易にあなたたちの素人の人でも認定ができるのです。だがオの場合は果してこれが一般下級官吏の人でこれの最後の断定権を持てるほどの事項でしようか。国家全体に対する大きな問題ですよ。具体的と言つて決して具体的じやないのですよ。だからものの書き方から申しましても、あなたの言う形式論から申しましても、これはむしろ抽象的たることはオの場合のほうが抽象的です。主張するからいいということをおつしやるけれども、どういうことを主張したのですか、どういうことを主張したらばそれに該当するのですか、その例をおつしやつて頂きましよう。具体的だからわかるとおつしやるのなら、どの範囲までそれは入りますか。そうでしよう、ちよつとこれは例をとりにくいですよ。だから抽象的であるが具体的だということを、あなたの説明の根拠になされば、私もそう言いたい。そうじやないのです、むしろこのヨの場合は、目的はいわゆる共産党を指しておるのです。そうは謳えないから、こう書いたわけです。その是非は別として、だからそういうことを目途としておるならば、オの場合も同様に慎重な手続を踏ましむべきではないでしようか。その他の事項より非常に異色のある項目なんです、オの場合とヨの場合は……。本法中でこれを賄うというには、余り大きな問題だと思うのです。而もこのオの場合とヨの場合は、未だ国内法規としては確としたものが何もない。にもかかわらず本法において卒先してこれを取上げている。外務省がどういう意図を以てしているのか、この点御説明では、そういう外人は好ましくないのだからという單に対外的関係だけの御答弁をされていらつしやるのですけれども、先ほどから申上げますごとく対外的のみでなく、対内的にもこういう重要事項だから外人についてもこれを拒否するのだという考え方が本当の考え方だと思う。又そういう意図で以てお書きになつていることと存じます。して見ますれば、本法においてこれを特に第二項において協議事項、而も大臣の裁定事項というふうにお取上げになつたならば、オの場合も慎重な手続をお取りになることが当然ではないでしようか。下級末端官吏の認定によつて直ちにそういう処置がとられるということは、その認定を受ける人が六十日も放り込まれて、その結果、認定によつてどこかへ皆放り出されてしまう。放り出される外人はいいのですよ。それに連れ添うところの日本人はどうなるのですか。外国人の国籍を持つております場合においては、それも同じ憂き目をみなければならないでしよう。そうした一家一族の悲惨な結果をもたらすような重大事項が、單なる末端の下級官吏の認定によつて左右されるということは重大事項ですよ。だからヨの場合をこういうようにお取計らいになるならば、オの場合も当然そういう慎重な手続を以てお取計らいになることが当然のあり方だと思う。重ねてお考え方を伺つておきます。あなたで満足な御答弁ができなければ、これは大臣の出席を願います。
#196
○政府委員(鈴木政勝君) これは先ほどから御説明申上げているように、オの場合は今お話のように何でもかでも、でたらめにこういつたものを入国審査官が認定をして追い帰す、こういう趣旨ではないのでありまして、これは飽くまで日本の治安と申しますか、公共の福祉という観点から外国人にこういつたようなものに該当する者があつた場合に、やむにやまれぬ事情からこれは退去強制をすべき性質のものである。その点につきましては、これは十分慎重な解釈の下にこの條文を適用して参りたい。従つてこれは非常に抽象的、オとヨとは同じように何か抽象的な広い現わし方だとおつしやいますけれども、政府の考え方といたしましては、オの場合はこの表現の仕方も非常に具体的に書いてありますし、又このオに該当する事実というものを飽くまで客観的な立場から判定をいたし、これは單にこう考えているとか、こう思つているとかいうようなことだけで、このオの條項を発動すべきものでなしに、これは又当然そのように読まなければならないし、又当然そのように読まれると私どもは考えて、この立法をいたしたわけであります。併しながらこのヨの場合になりますると、その他というように一般的な総括的な表現で書いてある、これは或いは見方によると、外国人から見ますると、外務大臣が、何か非常に政治的な意図を以て、この日本国の利益又は公安を害する行為を行なつたと認定するという、非常な誤解と虞れがあるのじやないか、そういう意味から、それは決してそういう意味じやなくして、飽くまでこれは国内治安とか、そういう意味においてこのヨの條文というものを発動するのである。そういう意味から国内治安の責任者たる法務総裁と協議する、こういう趣旨で條文が書き現わされておるわけでございまして、これを飽くまで、お説のように運用という面につきましては、このオの場合も、勿論これはヨの場合は当然でございまするが、具体的にどういうふうな標準で、どういう者に退去強制の理由として該当させるかというような点につきましては、今後十分に政府の当局におきましても研究いたしまして、運用上遺憾のないようにして参りたい。現在までのところ、この管理令が施行されましてから、この條文を適用した例は今まで一件もないわけでございます。従つて今後十分、この條文の解釈運用などにつきましては、お説のように政府の当局といたしましても慎重な態度を以てやつて参りたい、かように考えておる次第でございます。
#197
○伊藤修君 それは、あなたの正しいお考え方からすればまさにそうでありましよう。併しあなたのお気持というものは末端官吏には通じませんよ、法文にそういう字句が配列されておりますれば、それを飽くまで可能な範囲においてこれを有効に適切にお考えになることが今日のあり方ですよ。それで今日までそういう事例がないとあなたはおつしやるけれども、今日まではまさになかつたでしよう。併しこの講和條約が発効された後においては幾多の事例が生ずることは、私はここで断言しておきます。必ずこれが活用されます。現に神戸におるところの約六万の鮮人を検事は退去せしめようと非常に強硬に主張している。これに対しては断固としてやると言つております。それが九〇%までは北鮮系だと、こう言つておる、すべてこれは政治に関係があると言つておる、はつきり申しますれば日共と関係があると言つておる、こういう烙印を押しておる。これはまさに適用されるのです、ここで……。その場合にこの六万の人には皆日本人の家族がいろいろいるでしよう、女の人が……。こういう人が皆連れられて行つてしまうということになる、一体連れられて行かせぬとすればこの人たちは夫婦別れをしなければならん、その中に善良な人も惡い人もめちやめちやに取締られるということになるのじやないでしようか。これはひとり神戸のみじやないし、それからこの点はあなたみたいにオの場合を軽くお考え下さることは私としては納得できない、法務総裁に一つこの点はお聞きしたいのです。委員長に法務総裁をお呼びするよう要求します。
#198
○岡田宗司君 議事進行について……、すでに五時半を過ぎておるのであります。なお伊藤委員の質疑は相当あるのであろうと私には予想されますし、伊藤委員から岡崎国務大臣並びに法務総裁の出席を要求されております。そういうような状況からいたしまして、この委員会を更に継続してお開きになることを前提として、本日は散会せられんことを提案いたします。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#199
○委員長(有馬英二君) それじや十七日の午後に連合委員会を開きます。本日はこれにて散会いたします。
   午後五時三十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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