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1951/07/31 第13回国会 参議院 参議院会議録情報 第013回国会 外務・法務連合委員会 第6号
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1951/07/31 第13回国会 参議院

参議院会議録情報 第013回国会 外務・法務連合委員会 第6号

#1
第013回国会 外務・法務連合委員会 第6号
昭和二十七年七月三十一日(木曜日)
   午後三時三十五分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
  外務委員
   委員長     有馬 英二君
   理事
           徳川 頼貞君
   委員
           平林 太一君
           伊達源一郎君
           岡田 宗司君
           金子 洋文君
           加藤シヅエ君
           木内キヤウ君
  法務委員
   委員長     小野 義夫君
   理事
           伊藤  修君
           一松 定吉君
   委員
           石原幹市郎君
           左藤 義詮君
           長谷山行毅君
           岡部  常君
           内村 清次君
           吉田 法晴君
           齋  武雄君
  国務大臣
   外 務 大 臣 岡崎 勝男君
  政府委員
   中央更生保護委
   員会事務局少年
   部長      池田 浩三君
   外務政務次官  石原幹市郎君
  事務局側
   常任委員会専門
   員      久保田貫一郎君
   常任委員会専門
   員       西村 高兄君
   常任委員会専門
   員       掘  眞道君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○国際情勢等に関する調査の件
 (戦犯者の釈放、減刑等に関する件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(有馬英二君) それでは只今から外務、法務連合委員会を開会いたします。
 議題といたしましては、国際情勢に関する調査、戦争犯罪人釈放、減刑に関する件を議題といたします。本日外務委員会におきまして、有志の者が集りまして、巣鴨のプリズンに参りまして、戦争犯罪人のかたがたに直接面会いたしまして、彼らの要求或いは要請につきましていろいろ伺つて参つたようなわけであります。なお、昨日外務委員会といたしまして請願書を受取つております。簡単でありますから、ちよつと請願書を続みます。
  戦争犯罪の本質並に講和の理念に
 鑑み戦争受刑者は講和条約発効と同
 時に釈放せらるべきものであつた。
 然るに政府はこれを実現せしめ得ず
 して条約発効後九十日以上を経過し
 た今日に至るまでわれわれを拘禁し
 て居ることは寔に遺憾とするところ
 である。
  仍て政府は八月十五日(終戦記念
 日)を期してわれわれの赦免を実現
 し得るよう、即時関係各国に対し職
 権審査に基くB、C級戦争受刑者の
 一般赦免を勧告し且つ之が実現に努
 力せられんことを切望する。
  右請願する。
 B、C級戦争受刑者代表として、福地春男、小野武一、小島一作、木田達彦、湯淺虎夫、山口教一、野田衛一その他の諸氏であります。これと同文のものが、恐らく内閣総理大臣、外務大臣、法務総裁、中央更生保護委員会委員長その他両院議長、外務、法務委員長その他に発送された由であります。本日参りまして、これらの人たちに直接聞きましたところの趣意は、大体この請願書に述べられてあると同様であります。かいつまんで申上げますると、講和条約が発効すると同時に自分たちは釈放せらるべきものであると考えておる。然るに政府は今日までまだ十分この我々の意見を取入れられて、それに対して適切な処置がとられているとは考えられない。すでに法務委員会のかたがたにもお目にかかり、又法務総裁、岡崎外務大臣等もここへ参られて、そうして直接自分たちの意見を述べて、それで又外務大臣、法務総裁等の意見も聞いたが、併しどうも政府として、例えば関係各国に適切なる処置をとつているようには考えられない。どうかして外務委員会においても政府を督励し、速かにこれが実現されるよう要望する、こういうような意味合いでありました。なお私の言葉の足りないところは、又実際に同じに参られたかたもおられますからして、足らんところを一つ補足して頂きたいと存じます。金子委員如何でしようか、何らか……。
#3
○金子洋文君 会つた方々は、これを年齢的に言うと三十前後の人が大体六、七割か八割を占めておつたようであります。そして六十前後の人は二人か、あと五十前後の人が四、五人、大体まあ若い人が多数であるわけです。そこで我々冷静なこの外にいる人間からしますと、やや心理的に病的というと言葉が強いが、ややそういう興奮状態、或いはやり切れない焦燥の状態、そういう心理的なものを各自お持ちのようであります。聞きますと無理もないことで、長い人に至つては二十二年六ケ月もまだ家を離れて帰れない状態にある。平均十年近くと言つておりました。そこでまあじりじりするのは無理もないことで、一日千秋の思いで講和条約の締結を待ち望み、それが結ばれたならば釈放されるだろうと希望を持つておつたところが、それが実現されなかつた。そこで講和条約が発効したならば釈放されるだろうと思つていたところが、その希望も破れた。そういう焦燥感から、政府に対する疑惑が、誠意に対する疑惑が生じているわけであります。で、現在の全体的な空気は、非常にまあ一面不穏と言つては言葉がやはり過ぎますが、何となくそういう不穏的な空気がかもされるような心理状態に置かれているわけであります。で、一方冷静に、問題が起らないで無事に、釈放まで無事に行きたい、統一して行きたいという気持の人もありますし、もうやり切れないという気持の人もあるので、これは早く何とかしなければ、内部的に面白くない事態が生ずるのじやないかというふうな空気も見られました。これはそうして単に言葉の表現だけでないように我我には感じさせられました。そこでこの問題を何とか事なきように済ますためには、この際何らかの手を打つて、政府はかくかく努力しておるのだというやはり何か実態を示すことが非常に大事じやないかというふうに感じて参りました。戦犯のかたがたの希望のように、八月十五日までに釈放されれば、誠にこれは結構なところでありまするけれども、これは又簡単に行かないことと思いますが、併しそれ以前に政府がこれこれ言つて手を打つた、打つておる、こういうふうな政府の誠意がわかると、まあ希望を持つて、次の事態に希望を持つて待つということもできるのではないかというふうに考えて参りました。で、これは非常にむずかしい問題でありますので、慎重な態度でこの問題の妥結に政府が努力してもらいたいということを痛感して参りました。
#4
○委員長(有馬英二君) なお加藤委員、それから平林委員のお二人も同道されて、又その席で御発言をなすつたのでありますが、特にお感じになつたところ、又お聞きになつたところを簡単にここで御発表願います。
#5
○加藤シヅエ君 巣鴨プリズンに受刑中のかたがたに今日初めてお会いいたしまして得ました印象は、見たところ皆さんが大変健康そうで、血色もよろしく、衣服も清潔なものを着て、運動場その他の出入りも比較的自由なような有様をちよつとお見受けいたしまして、その点はやや安堵いたしましたのですが、話が一たびその留任家族の問題に及びましたときに、そこにいましたかたがたの表情が一瞬変つたのを私は見てとりました。このことはもうここまで辛抱に辛抱し切つて来た自分たちの焦燥感と、更に家族の生活のことを思うと、一日もこうやつてここに安閑として食べさしてもらつているからいいというようにしてはもういられないという気持がよく見えました。あとで個人的にいろいろ話を聞いてみましたときも、食糧は賛沢こそ言われないけれども、なかなかいいものを食べさしてもらつていて、この点不平はない。ただ家族が食べる物も食べないでいるということを聞くので、刑務所内で例えば果物なんかをつけられたときに、口を揃えて、この果物は自分たちが食べないで家の子供に食べさしてやりたいというようなことをみんな話合うのだということを聞かされまして、私どもは全く社会から置去りにされて戦争の罪悪を一手に負わされたようなこの家族のかたたちの生活に対して、今日まで我々が余りにも何にもなし得なかつたということを非常に何か心の中で詫びたいというような感じを持ちました。又見たところ健康そうなかたがたで、いろいろ話をいたしましたら、先だつて運動会がありまして一番若い一番丈夫なかたがトラツクを走つたそうですが、一廻り走つたらあと九日間寝なければならないような状態になつたということは、一見丈夫そうに見えても、長い間目標もなく、希望もない囚われの生活をしていることは、一見肉体的に健康そうに見えても、社会に出ればすぐには普通の仕事にはつけないほどの異状な体質或いは体格、健康状態になつているのだというようなことを説明されまして、これも非常に私の心を打つたものがございます。それでもう一人、二人の若者に会いましたが、その人なんかは、初めに説明されました不当な、不合理な、外国と日本とが極端に生活程度が違うためから起つた誤解によつて、自分たち働いている者と収容された捕虜とが、同じ食べ物を食べさせていながら、その捕虜のほうが非常に悪いように感じた、それだけのことで、そこに要員として働いていた者が二十年の刑に処せられているというようなことは、何と申しましてもちよつと常軌を逸したような判決だ、こういうような人があのB、C受刑者の間に如何にたくさんあるかということを考えましても、この際早急にこの釈放という問題は国会は真剣になさなければならない。これを若し少しでもこれ以上時間がかかるというようなことでは、全くあちらにいる人にとつても家族にとつても堪えられないことであると思いますので、国会としては強力な発言をして政府を鞭撻したい、こういう考えを持ちました。
#6
○委員長(有馬英二君) 平林委員何か……。
#7
○平林太一君 今の両君からのお話で、もう尽きておると思います。極めて深刻の事態におかれておることをびつくりしたくらいであります。勿論このことにつきましては深い関心を持つておりましたが、実際に今日会つて見まして、関係者の忌憚のない意見や行動を見まして、容易ならんことだということを感ずる以外に何ものもないわけであります。でありますから、この際今日外務大臣の岡崎君が見えておらないので甚だ遺憾でありますが、外務次官がおいでになるので、石原君から単なる委員会における政府の立場としての答弁をするということでなくて、今日までの経過を、どういう処置をとつて来たか、それからこの事態に対してどういう決意を以てこれが具体的な処置を講ずるかということを、ここで今までとは違つた態度と真剣な気持を以て一つ御披瀝を願いたい。これを要求いたします。一応外務次官に答弁を要求いたしたいと思います。
#8
○委員長(有馬英二君) それでは各位から忌憚ない御質疑或いは御意見の御発表を願います。今外務大臣が出席することになつておりまするけれども、取りあえずそれじや政務次官から……。
#9
○政府委員(石原幹市郎君) 外務大臣はちよつと、只今衆議院で解散決議案の問題が始まりましたので、こちらに伺えませんので、私代つて参つたのであります。先ほどからお話がありましたように、外務大臣も先般巣鴨に参りまして皆さんとお会いいたしております。それから法務総裁も参つております。実は私先般やはり巣鴨に参りまして、地域的ではありましたが、A、B、C級の戦犯のかたがたにもお会いいたしました。只今お話になりましたような問題を私も直接聞いて来たわけでございます。私感じましたのに、やはり皆さん巣鴨におられまする人の一番の気持は、相手国から刑を執行されるということならばこれはまだわかるが、日本政府、日本から我々が拘禁をされているということは何としても我我は解せない。つまり平和条約第十一条のこのなにに対する不満が根本的な一つであつたように思いました。それからその後は、只今お話のように、仮出所の申請をいたしておりまするが、これに対してその後何らのまだ回答がないということであります。それから仮出所はつまり刑の三分の一を了えたとか、いろいろの条件によるわけでありまするが、長期刑の人、或いは終身刑のような人で、こういう差当り仮出所に直接関係のないというような人々が非常に不安と言いまするか、不安を持つておられます。つまり全面的の減刑釈放なりを一刻も早くやつてもらいたい。同時にこの刑の長いとか短いとかということは、普通の日本の国内の裁判というような観念とは違つて、終戦直後受けたのは非常な日本に対する憎しみが強い当時の判決で、これはちよつとしたことでも極刑を受けたり終身刑になつている。その後たくさんの人を処断してから後というものは、満腹感と言いまするか、というような感じで、その後の人は刑はだんだん、軽くなつた。刑が五年であるとか、二十年であるとか、終身とかということによつて、その人の罪が重かつたとか、行為がどうであるという判断をされちや困るという気持を持つておられたように思います。そこで只今我々のやつておりますることを、平林委員から又委員会の答弁というようなことでなしにという気持ちでございましたが、これは勿論でございまして、この問題は全く人道上の問題でもあり、誠に留守家族その他を考えて気の毒な問題と思いまするので、これは本当に真剣にやつているわけでありまするが、何分相手国も多数あり、相手があることでございまして、只今まで十分に迅速に行つていないと誠に遺憾に思うのでありまするが、仮出所の申請を済みましたものが百六十五名になつております。それで仮出所のいわゆる適格者が二百九十六名ございまして、どんどん資料を備えつつありますので、これは毎日だんだん殖えております。それで仮出所の適格者も年内には更に六十名前後殖えることになつております。そこで、何と申しましてもアメリカ関係は多いのでありまするが、外務大臣もマーフイ大使等にしばしば会われるわけであります。会う機会ごとにその後どうなつておるかということを執拗に申入れているわけであります。只今までのところまだ何らの回答はないのでございまして、一時は非常に近く回答が来るというような話もあつたのであります。その後又、それからなお若干の日にちが経過しておるわけでございます。それから、全面的の釈放につきましてもこれを放置しておるわけではございませんで、御案内のように、フランス政府に対しましては、七月十四日が丁度向うの記念日に当りましたので、こちらにおりまするドジヤンフランス大使等の協力も得、西村駐仏大使に対しまして、これは職権による調書を作りまして、赦免勧告を願つたのであります。それに対しまして向うからは人道的見地と、日仏国交増進の見地から日本政府の希望に応ずるような措置を近くとるよう考究中だという極めて明るい電報が参つておるのであります。その後まだこれに続いた措置の電報は来ないのでありますが、フランス政府が極めて友好的、同情的立場からいろいろ措置を考究しておるということは、これではつきり窺えると思うのであります。
 それから中国戦犯、中国法廷で受けました戦犯が九十一名、フランス関係は三十九名であります。中国関係が九十一名おりますが、これは日華条約の発効と同時に全部釈放になる、これは日華条約の条項によつてそうなるのでありますが、これは台湾におきましても大体審議が終つたようであります。近く批准書が交換されることになりますので、極めて近い機会と申しますが、これは全面釈放になる。それから朝鮮人、台湾人で、日本で刑の執行を受けておる者もおる。これらの者につきましても全面釈放をそれぞれの関係の英国、オランダ、オーストラリアに願出ておるわけであります。
 なお全面的の減刑釈放についてのいろいろの声がありますので、これは政府においても前から考えておつたわけでございますが、近く適当な機会を捉まえまして、まあ一例を挙げればサンフランシスコの調印記念日であるとか、成るべく早い、而も各国に通用のできるような機会を捉まえまして、全面釈放の勧告をいたしたいと、かように思つておるわけでございます。
 それから留守家族の問題につきましても、これは今回議会を通過いたしました未復員者給与法等の一部改正法律でありますが、これは私は戦犯に対する観念を非常に改めたものと思うのでありまして、戦犯者にとつても、留任家族にとつても非常な大きな影響を与える法律と思います。つまり平和条約十一条に掲げる裁判により拘禁されておる者が、この法律の適用によつて特別未帰還者とみなすということになつたのでありまして、つまり毎月一千円でありますか、こういう給与が実は出ることになるのであります。ところがこれは戦犯者に直接給与を与えるということであれば、つまり濠洲であるとか、いろいろまだ外地に残つておる戦犯者もあるのでありまして、そういう人々にいろいろ影響を与えてはいかんという気持からいたしまして、こういう法律をやるにつきましても最も深刻な考慮をいたしまして、各国大使館と十分連絡をとり、説明をいたしました。形はこういう法律を借りてやるのだけれども、実質は留守家族の援護である。本人に直接やるものではないのだ。それで殊に外地におる者とか、身寄の全然ないような者には直接行かないので、出所するときにまあ必要があれば更生資金のような形でやるのだという説明をいたしまして、各国の了解を得てつまりこの法律ができたわけであります。実質においては留守家族の援護になる。又戦犯者という観念が特別未帰還者となり、つまり満洲その他で戦後未だ帰つていない未復員者と違います特別未復員者と、こういう人と同じように扱うという、これだけでも私は非常な観念上の前進があると思います。
 大体やつておりますところはさようなことでございまして、要するに近い機会に適当な機会を捉まえまして、釈放なり減刑の勧告、そういうことをやる。それに向つて努力をいたしたい。同時に仮出所の回答が一日も早く参りますように、これは単なるお座なり答弁ではなく、本当に全員努力いたしておるということを重ねて申上げます。
#10
○伊達源一郎君 ちよつとお尋ねしますが、アメリカが講和発効がすでに大分前であつたのにかかわらず、今日まで釈放してくれない。外務省のほうの手続のできないで、えらい遅れたように聞いておるのですが、手続が十分尽してあるのにもかかわらずアメリカが進んでやつてくれないというのは何か政治的理由があるのかどうか、先ずその点を伺います。
#11
○政府委員(石原幹市郎君) それは、その手続が強いて遅れたということはないのでありますが、この平和条約発効と同時に、日本側がこれを引継いだわけでありますが、そうして巣鴨の一切の関係は、法務府でこれを所管して、大使館なり外国に対する手続を外務省が担当すると、まあこういうことになります。引継いだ仮出所の書類を前はGHQが全面的にまとめてやつておつたわけでありますが、今度は米国関係は米国、英国関係は英国、それぞれの国へお願いをしなければならん。大使館を通じまして、更にそれが本国へ紹介せられる。それからその仮出所の申請勧告をするにいたしましても、一応この者はこういうことで、こういう事情でこういうことになつておるのだという、まあ調書といいますか、法務府でそれを整えて翻訳して出すわけでありますが、引継いだ書類がなかなか不整備のものがあつたり、それから翻訳その他も非常な努力を、馬力をかけておるわけでありますが、一遍にぱつとできるというわけにも行かなかつたりいたしまして、適格者が二百九十六名おるに対しまして、先ほどお話しましたように、百六十何名、それからすでにいろいろできておる者が百七八十名になつておる、そういうふうにだんだんできておる次第であります。
 それからアメリカ関係は別に特に外交上の問題でどうこうということは何も私はないと思います。向うが管理しておりました時にもどんどんやつておつたのでありますから、そういう意味じやなく、何かこれは灰関するところでありますけれども、向うにやはり仮出所委員会といいますか、そういうものを作つて、そこへかけてぱつとこれから事務を処理しようという、その委員会がまだ向うで構成中であるとか伺つております。そういう先方の国内の手続上の問題ではないかと思うのでありますが、マーフイ大使ももう返事が来るということを大分前に言われたのが延びているようであります。こちらも遺憾に思うが、向うも非常に焦つておるという状態であります。
#12
○伊達源一郎君 台湾のほうの問題ですが、あれは条約でこつちに委せるようになつておると了解しますが、批准が済んだならばすぐにそういうふうになるように手続等は準備してあるのですか。
#13
○政府委員(石原幹市郎君) 準備はやつておるそうであります。
#14
○平林太一君 今日あなたのお話で実情は大分わかりましたが、現在内地におきましての、巣鴨にいる人々の実情は、只今までのお話にありました実情であります。そうでありますから、現在モンテンルパ、或いはマヌス島、ここにおる戦犯者の心境というもの、心理というものを我々は推測いたして、どんなであろうか、まさにこれは今日人類の間に起つておりまする現象中の最大悲惨事であるということを私どもは心から思わざるを得ません。又この両者を比較いたしますれば、それらの人々は内地におきまして家族にも時には会えまするし、それから又この間に内地の新聞等も見ておるのであります。併しそれらの人々もすでに今日お話を申上げたような次第であります。だから現在フイリピン、濠洲におられる戦犯者の心境とか、それがどうであろうか、これは何と言いますか、戦犯者であるから止むを得ない、それからこれは対外的な事情から止むを得ないというようなことで、一日一瞬でもそういうような気持でこれをおろそかにするというようなことに相成りますることは、実に私は国民的な大問題であると思います。戦後いろいろ悲惨なことが次から次へ起りましたから、ややもいたしまするというと、人道上の問題について麻痺しておる。そういうようなものがなお現在のようなことを今日までいたしておるのじやないかと私は考えざるを得ないのでありますが、今までのことはいたし方ありません。併し只今外務次官の御答弁によりますると、非常に尽すべきところは十分お尽しになられたように私も伺つて、この点了承いたすのであります。併し今まで尽して来たことが、依然として今日何ら報いられておらない。でありまするから、これは特にフランスのような場合、或いは条約によつて新たに発生したところは別でありますが、でありまするから、今までの通りのことをしておつたのでは、やはり依然として百年河清を待つというふうにしか考えられないのでありますから、一つ新らしい角度を以てそうしてこの問題の急速なる解決を期するという、ここに施策を立てる必要があると思います。一つ非常な工夫をいたしまして、どうすれば一体これが打開できるだろうかということを強く要望するのでありますが、そこで只今モンテンルパとマヌス島のことを申上げたのでありますが、これは取りあえず内地に送還して服役をこちらでやらしてもらうということをいたさなければならんし、又今日までもそうして来られたのでありますが、この経過に対しましては、只今次官からお話がなかつたのでありますが、定めしいたしておることと存じます。その経過をお話下されて、実際そういうことがまだまだ前途遼遠なものであるかどうか。併しここで一段と力をすればそれらのことができるということを先ず伺いたいと思います。それからその次のことは取りあえず只今伊達君からもお話がありましたが、米国の事情というものは何としましても、内部にはどういう外交上のいろんな経緯が、いきさつがあるかも知れませんが、今日全世界の各国に対しまして、我が日本が米国ほどいわゆる深い関係を持ちまして、そうしてこの同胞友愛の国交を、交りを結んでおる国はないのであります。その国に対しまして先ず第一に、この戦犯の問題が打開ができないということはどこにあるのか。これが非常にもつとむずかしい問題で、何と いますか、打開のできないような問題とは違うのであります、常識上の判断で……。又米国の襟度或いは米国の非常な度量、あの大国が今日戦争が済みまして、講和が発効いたしまして、日米安全保障条約を通じまして両国の共存共栄を今日しておるという、向うの軍隊を我がほうに迎えまして、そうして我が国はそれらの軍隊に対しまして、これ又非常な同胞友愛の精神を以て迎えて、そうして相共に両国が世界の平和の基礎を築こうといたしておるそのときに、米国が依然として戦争中の戦犯者を戦争犯罪人だからということで継続しているという真意が、私といたしましては解釈に苦しむわけであります。如何にも腑に落ちない。併しこれはもののいきさつが只今外務次官がお話の通り、何か先方には委員会があるというお話でありますから、これはそういうような関係においても、手続上の問題で支障があるのだから、ただこの上はそういうわけでありますから、まあいろいろな危惧をしたり、えらい思い過しをする必要はない。それから減刑とか或いは仮出所とかいうことを考える必要はないと思います。一挙に米国政府に対しまして、そうして全部一度に釈放する、もう今日に至つて何か段階を付けて、軽い者から順にやるというような性格のものではないと思います。でありますから、これは一挙に直ちに釈放してくれということは、各国において、条約におきまして、各国個々の立場においてやるのでありますから、米国自体が他の国に対しまして何か気がねをする必要はないのじやないかと思います。米国がそういたしますと、はつきり他の国はおのずから、如何に濠洲、フイリピンの国民感情が我が国に対しまして悪いといたしましても、米国がいたしますれば、必ずしもそれに対しまして私は一つのやはりおつき合いと申しますか、或いはつき合いでなくとも、ほかの国がそういうことをしているときに、自分の国だけがいたさないということは、何としても良心的に苦しまざるを得ません。国際的に言いましても、そういう現状になりますれば、必ず堤を切るようにそういう打開ができて来ると思いますが、それについては私自身といたしましては、この外務省がいわゆる法務府との間で何か両方で所管のぬり合いをいたしておる。そうしてどつちにもおつつけ合つてと申しますか、妙な突つかけ合いをいたしておる。でありまするから、この問題の進捗が非常に私は遅れておるのではないか。今日私から勧告をいたしますれば、これは対外交渉に関するものであります、外国に対する折衝交渉でありますから、それでありますから、外務省がこの問題は法務府のほうに対しまして協力を求めることは当然であるが、所管上のことで躊躇逡巡する必要はない。対外交渉といたしましては、どしどしと一つその交渉をやつて行くことを希望いたします。若しそれ政府の立場においてのみではできないといたしますれば、我々国会自体がそれらの関係者円へ乗り込んで差支えない。そうしてその政府に向つてこの戦犯の問題はこうこうかくかくに一ついたして頂きたい、大いに一つ論争もいたしましよう。又懇請をすることは辞を低くして私はそれをすることにやぶさかでありません。何らかここで一つ具体的な処置を講じなければ、この問題は依然として長引く。長引けばこれ以上容易ならない悲惨な事態が、これら戦犯者の間に発生することは、向うはしないと言つても、我々はそれを想像しなければならないのであります。ですからどうかこの点に対しまして、私は強くここで申上げたいと思いますが、外務次官、一つ改めて両方の問題に対しまして御答弁煩わしたいと思います。
#15
○政府委員(石原幹市郎君) 最初の外地関係でありまするが、これはたびたび申上げたと思いまするが、濠洲、マヌス島に二百六名、フイリピンに百十名まだおるわけであります。フイリピン政府に対しては三月五日に、濠洲に対しては三月三十八日に一応それぞれ正式に要請をしておるのであります。まあそのほか向うのミツシヨンに、或いは大使に、これはもう会うたびと言つてもいいくらいそれぞれやつておるわけでありまするが、今のところまだ確たる返答はございません。ただいろいろの情報と言いまするか、それの情報は入るのでありまして、最近帰られました同僚藤原参議院議員もフィリピンのキリノ大統領には三回も会われたそうでありまして、死刑囚に対する関係なんかは生命をとるようなことはしない、大統領もはつきり何回も言われたということであります。それから向うへ置いておかなければならんということは何にもないのである。早く送還したいと思つておるのであるが、フイリピンにおける国民感情と言うか、対日感情、そういうものをいろいろ比較考量して、適当な時期を見てやる。いろいろ話をされたそうでありますが、これはまあ藤原議員に対するお話でありまして、公式な回答というわけでも何でもございません。正式にはまだ確たる返答は来ておりません。
 それから濠洲方面も、これもいろいろの情報でありまするが、つまり正式に早く日本から大使でも来て、そこでいろいろ話合をしよう。それから濠洲の対日感情というものは、これは御承知のごとく、余りまだよくないようでございます。そこでいろいろ呉の事件であるとか、国連の協定であるとかいろいろの問題が出て来る。そういうところをいろいろ縫つて感情を刺戟せざるように、而も一刻も早くこれを帰してもらおうじやないか、こういうふうに折衝を続けておるわけでありまして、濠洲から最近出獄して、出所して帰つて来られた人の模様も先般衆議院の引揚委員会で確か話を聞きました。誠に同情に堪えない、一刻も早く帰つてもらいたい、こういう気持であります。
 それから次の問題でございまするが、これは一昨日衆議院の法務委員会でもそういう要望が強くございました。これは最初から一般の減刑、全面釈放でもやりたいことはやまやまであつたのでありますが、一応平和条約において日本が刑の執行を受諾したわけなんです。その条約が発効してすぐ全面釈放ということも如何かと思われましたことと、もう一つは、いわゆる従来から引続いて行われておりました仮出所の該当者がどんどんあるわけでありまするから、この全面釈放その他の問題で時間をねばるより、もう出られるという人を一応早く片付けて、それと並行して適当なる機会を捉えて、全面釈放、減刑の問題をやつて行きたい。要はどつちが早く我々が最も希望するような効果が上るかということの認識から出発したわけであります。そういうわけでございまして、全面釈放の問題を決してないがしろにいたしておるわけではございません。まあ最近非常に皆さんの声も強いようであります。適当な機会を捉えてやりたいと思つておりますが、どうかこれは国会の代表のかたもこの適当な機会にやはり先方の大使等に会われていろいろ話をされるというようなことも私は非常ないい方法ではないかと、かように考えております。
#16
○金子洋文君 今政務次官からいろいろ政府の御努力に対して御報告を受けたのでありますが冷静な我々から見ると、素直に今の御報告を聞くことができます。然るところ、今日巣鴨へ行つていろいろお話しました情景から想像しますと、法務総裁や外務大臣がお会いになつて、今次官が話したようなことを恐らくいろいろ伝えたに違いないと思うのです。それが少しも効を示してない。どういうわけで効果を示してないのか、その点はよくわかりませんけれども、殆んど政府の不誠意だけが表へ出て来て、なかなか政府の誠意が足りないというわけで、責めるわけではございませんけれども、特に石原次官がおいでになつたことなんか、何も話が出なかつた。ただ一言附加えたいことは、家族に対するさつきお話した法律案、これは感謝しておりました。問題になるのは今の請願でございます。八月十五日までどうかしてくれというこの請願、これは単なる請願でないとは見られるわけなんです。でありますから委員長も事態容易ならずと見て今日の緊急委員会をお開きになつたと思いますが、もう燃えたぎる焦燥感、何と言いますか、燃焼的な焦燥感と申しますか、そういうような燃えている焦燥感、単なる焦燥じやない、燃えているのです。それから感情が尖鋭的であるが、非常に今日私に対してはおだやかに話しました。だんだん話して行くと、成るきつかけに行くと、爆発するような尖鋭感が見られるのですね。そこでまああとでいろいろ話して、秋田の人と二人ばかり話したが、どうなんだ、この十五日の請願がうまく行かないときにどうなんだ。そうすると、我々は抑えておると言うのです。秋田の人は皆おだやかな人で、若い人ですが、抑えておるけれども、どうも十五日、十五日で非常に大きくそれに期待しておるものだから、十五日に何かの形の政府の誠意が示されないと、どういう事態が起るかわからないという心配がある。そういう事態を起しちやいかんと思うですね。我々が心配するのはそこなんです。そこで何かここで政府が誠意ある手を打つてもらいたいということを私は特に政府に希望をしたいわけなんです。何かうまい手はございませんですか。
#17
○委員長(有馬英二君) 速記をとめて下さい。
   午後四時二十九分速記中止
   ―――――・―――――
   午後四時四十一分速記開始
#18
○委員長(有馬英二君) 速記を始めて。
#19
○吉田法晴君 それはこういう十一条の索連の問題も出ましたが、それはとにかくといたしまして、八月十五日というと一応請願なり何なりからいたして、そこでそれまでに全面釈放について手を打たれても結構ですが、私は十一条に伴います法律案を審議しているときにも、講和までに仮釈放ができておつたのがストツプしているということはあのときにも聞いて参つたのですが、それがだんだん溜まつて来ると、これは、やはり何と言いますか、その気持と焦燥とが積重なるのは当然だと思います。そこで全面釈放が或いは十五日までに実現するということは考えられない。併し仮釈放の期限の来ているのは百五十名、或いは二百名近くあるというふうな、もう相当になりますが、一応十五日までに仮釈放ができれば結構です。それから若しできないとしてもそれまでに見通しをつける。このつけるくらいのことは政府で折衝して私はできんことはないと思います。その点についてはそれが外務省の熱意に現れるならば見通しを、私はつけ得ると思います。それについて先ほど言われたような、或いは請求するとか或いは人をやるといつたようなことも一つの方法かも知れんと思うのです。とにかく十五日までに見通しをつけてもらう。
 それからもう一つ、これは九州の佐賀から家族が面会に来て、その話に関連するのですが、病気その他ということで執行停止が行われてくる。そして家族がまあ病気見舞その他に行けている。それは各家族の事情にもよりましようから一遍には行かんと思いますが、何でも理由によつては執行停止をして各家族に会わせるとか、或いは帰えることができるとか、こういうことができればそれも一つの具体的な……或いは十年、三十年先のことかも知れないが、それも方法じやないか。そういう点について今ここですぐ御返答できるかどうかわからないが、どうですか。
#20
○一松定吉君 これは第一に、お互いが審議するに当つて外務大臣が何ですね、本会議で今解散の決議案があるから出られないというようなことは間違つていると思うのであります。外務大臣が本会議に出ていなければ、解散の決議案が審議できんはずはない。一体外務大臣は熱意がないと思うのです、私をして言わしめれば……。こういうように我々が心配をしているのであるから、そのことについて御自身がここに出席して、ここにつまり今まで打たれた手はこうである、これから先はこういう考えでこうするつもりであるということを我々に一つ吐露して、そうして我々の理解を深めるようにすることがいいのじやないかと私は思うのであります。石原君がここに来て、政務次官の資格で話すこともよろしいが、あなたよりもやはり大臣が来て、直接話したほうが我々もよくわかるし、大臣も我々の言を聞いて徹底するのだ。そういうようにしなければいかんです。何のために開いておるのか、こんなことならお互いが座談会をしておつてもいいわけなんだ。責任のある外務大臣が来て責任のある話をして、責任のある将来行動をとつてもらうということが、我々の要望するところなんであります。だから一応ここに来てもらおうじやないか。何も外務大臣が議会の解散の決議案をするところにおらんでもいいわけなんです。そうしてその上で我々の今思うところも披瀝し、外務大臣の今までやつたところも聞き、そうしてなお且つ外務大臣に向つて要望すべき点は要望するというふうにしなければ本筋じやないですよ。
#21
○委員長(有馬英二君) それでは暫時休憩いたします。
   午後四時四十五分休憩
   ―――――・―――――
   午後六時三十三分間会
#22
○委員長(有馬英二君) それでは休憩前に引続きまして外務・法務連合委員会を開会いたします。
 岡崎外務大臣が御出席になりましたから、なぜ今日差迫つて緊急委員会を、而も法務と連合で開いたかということを簡単に外務大臣にお話をして御了承を頂きたいと思いますが、実は昨日巣鴨のプリズンから連名で請願書が参つたのであります。それと一昨日の外務委員会で専門員の坂西君から、個人的に坂西君が巣鴨へ参りまして代表と会つて、いろいろ内部の事情を聞いたという報告があつたのであります。先方でも是非外務委員会としておいでを願いたい、そうしていろいろ話を聞いてもらいたいということが伝達されましたので、実は今日数名の者が巣鴨へ参りまして、直接その人たちに会つて、そうして衷情を伺つて参りましたが、それによりまするというと、これはもう前からそういうことを申上げており、又外務大臣にも法務総裁にも直接お目にかかつて話はしてあるのですが、結局独立になつてから速かに自分たちは解放さるべきであると考えておるが、未だにそういうことに立ち至らないと、更に又政府はそうことについて適切なる手段を講じてくれないと、いろいろ話をしてみたが、なかなか思うように通らんようである、特に請願言には八月十五日を以て期限としてそれまでに一つ解放してもらいたいというようなことが書いてあり、非常に切実なる彼らの願いのように私どもは伺つたのであります。これは捨置けないような切迫した事情であるように私どもは考えまして、委員会が直ちに懇談会を開きまして相談いたしましたところ、やはり委員会を開いて政府に実情を質し、又政府をいろいろ督励すべきであるというような結果に立ち至りました。ところが法務委員会のほうでもやはり同様なお考えであろうということがわかりましたので、ここに法務委員長に事情をお話申上げて、外務・法務連合委員会を開くべきであるということに立ち至りまして、委員会を開催いたしたようなわけであります。
 先ほど以来外務大臣が出席前に政務次官からいろいろ今までの事情についてお話がありましたが、何といたしましても、彼らの意見を直接外務大臣に聞いて頂いて、より適切なる手段を講じて頂くべきであるというような先ほどから各委員のお話がありましたので、外務大臣に御出席を願つたようなわけであります。この際先方の意見につきましても、外務大臣はすでに御承知の通りでありましようから、外務大臣からいろいろお話を承わり、又只今から質疑を行おうと考えます。
#23
○小野義夫君 今外務委員長からお話がありましたが、法務委員会としての立場を更に敷衍して申上げたいと思うのでありますが、昨日法務委員会は、巣鴨訪問などという意味でなく、東京の弁講士会の御連中が一昨日私を訪ねて、巣鴨のほうが相当問題をやかましく言つておるので、何とかこれは行つて実情も調査し、それから又できるだけの対策を講じようじやないかということに一決しまして、実は明日皆打連れまして十二時頃から出掛けて行こうということにきめておつたのであります。ところが、突如として外務委員長から、実は我々は午前中に行つて実情わ調査したところが、なかなかどうも現場は相当の尖鋭化をしておるのみならず、又それぞれの委員が話をしたところが、相当皆困つた実情にあることを述べておられる、だから君たちが行くのはいいけれども、何らの対策若しくは方法を講じないで行つても、或いは不覚をとるようなことがあるかも知れないから、いろいろ用意周到に一つ研究調査をして、それから臨んだらどうかというような御懇篤なる御意見がありました。又一方案は弁護士団その他の関係者の陳情によりまするというと、ここに来ておる陳情とは別でございますけれども、実は外務大臣もおいでになり、その前に木村法務総裁もおいでになつて、それぞれ最近の情報についてお話し下さつたのでありますが、どうも法務総裁の御説明と、外務大臣の御説明の間に行違いと申しますか、多少そういう言葉の違いがあるので、先ず法務総裁が来たときには、非常にホープフルな報告を頂いた。ところがあとから外務大臣がおいでになつて、それは一個の木村の意見であるが、おれはそんなことは知らんとおつしやつた。それじやもう我々はいかんということで、どうも非常にやつているので、議会で緊急質問を、昨日の議会でですが、してくれろということを一松委員に向つて……私はいなかつたものですから、法務委員の一松委員に向つて要望せられて帰つた。そこで一松先生からのお話をだんだんと二人で相談してみると、どうも緊急質問をするなんというようなことは、それは何か言葉の違いだろう。そんなことを言われるはずもないし、どうもそれは誤解があるのじやないか、それではまあ当局に聞こうというので、更生保護事務局長齋藤氏に来てもらい、又外務省の御当局、次官も多忙でありましたが、その係のかたに来て頂いて、詳細聞いてみると、どうもそういうような外務大臣の御声明ではなかつたらしいので、どうもまあ同じことを言つたのだが、一方のときは非常に有望に聞いたが、一方はそうなかなか簡単に行かんといつたところの、向うの言葉の受取り方が、或いは捕捉が足りなかつた、いずれにしても大変問題は重大化しておるという報告を受けておつたと言うのです。それで行こうと思つているときに、今日外務委員の諸君が行かれて、意想外にどうも状態が悪いから、それじや緊急委員長を開催すべきであるというので、実は緊急委員会を開催いたしておるのであります。但しこれは外務委員、今まで外務省並びに法務総裁側のほうにおいてとられた事務的のことについては、それぞれ相当皆御説明があり、御好意若しくはその御親切にいろいろやられたことについては、皆委員各位は諒としております。併しこの場合におきましては、むしろ外務大臣に質問するというより、何か外務大臣を中心として、又外務及び法務委員で何かの斬新的な手を考え出してそうして新手を一つ打つたということでないと、どうも八月十五日には向うが勝手にきめて、それを期限として云々と、まあ言わるる陳情であるけれども、併しそのただ行つて我々がまあ慰留するというような言葉で……、行つて慰留してみても、却つてそれは逆効果になつてしまう。そこで慰留というのには何か土産のような対策を持つて臨むべきではないかというので、実はここでまあ外務大臣の御意見を承わると同時に、一つ対策を研究して、あすこで問題を起されちや困るから、問題を起さんようにやつて行かなければならん。御説のごとく今日は巣鴨プリズンというたところが、孤立したところのプリズンというわけではなくて、もう殆んど社会的に公開せられておるところのプリズンである以上は、よほど国民感情の波及するところ、彼らの一挙手一投足というものがすぐ国民感情に反映して来るというような、非常にデリケートにして、且つ重要、緊迫の情勢に立至つておるということをまあ我々委員一同は認めて、そしてこれは同じ心配と悲しみの下に、何とかこれは一つ大いに外務大臣にも特別の御考慮を煩わして、何か新対策はなきものであるか、少々金がかかるとか、或いはいろいろの事面倒だというようなことくらいはまあ一つ忍んで、あらゆる手段をとつて、まあそれは向うに言うのではないが、我々の吐の中に、こういうまあ一つの新手を打つておるのであるから、まあ君たちはいわゆるこれは戦争の犠牲で誠に気の毒だけれども、辛抱すべきであるということを我々が言い得るような何物かを向うへ持つて行かなければならないという意味合いが私どものここに開いた理由の一つでもあるのであります。そのことについては今後も法務及び外務の各委員からそれぞれ実情に合う御意見もあることと思いますので、大体のこの連合委員会を開催するに至つた径路はさような次第でございますから、一つよろしく……。
#24
○一松定吉君 只今法務委員長からのお話のありましたように、一昨日林逸郎という弁護士が、この巣鴨にいる人の細君、それから出て来たところの、まあ釈放された人でありましよう、そういう人が二、三人私の所に参りまして、今法務委員長や、それから岡部法務委員等にお願いをして来たのだが、あなたにも是非お願いしたい、それは巣鴨における戦犯に関する当局の態度が余りに緩慢である故に、それらのことについて緊急質問をしてもらいたい、こういう話でありました。それからどういうことかと内容を聞いたところが、本月の十二日に法務総裁が視察に見えたときに、我々に同つて非常な激励の言葉を賜わつた。諸君は国内法における犯罪人ではないのだ、日本の犠牲のためにそういうことに今なつておるのであるが、今講和条約成立後における大赦令までもすでに実施してそれらの人について恩恵を施しておるときであるのだから、諸君に対してもそういう趣旨の下に、できるだけの手を打つて早く釈放すること、減刑すること、仮出獄をするとか、何らかの諸君が喜ぶような手を打つつもりであるから安心しておつてくれというような、こういう話を木村法務総裁がした。ところがその翌々十四日に岡崎外務大臣が見えられてお見舞をして頂いたが、そのときには、岡崎外務六日のお話は、今の木村法務総裁の話とはまるきり違つて、そういうことは閣議で相談したこともなければ、そういうような手を打つということにも今考えておらん。それは即ちこれら関係国の人々がそんなことをしなくても相当に好意を持つてやりつつあるのだから、そのときに、今ああしてくれ、こうしてくれというようなことをすると却つて藪蛇であつて面白くないであろうから、そういうようなことは今全く自分はする考えは持つておらんのだ、木村がそういうことを言うたとすれば、それは木村個人の話であつて、我関せず焉だ、こういうようなことを言われたので、非常に戦犯の諸君は刺戟を受けて、これは大変だ、我々はいつどうなるかわからない、もう講和条約成立してすでに三カ月になんなんとするときに、未だにそういうようなことでは不都合ではないかという意味において、今では尖鋭化しておる。それで一つそれらの事情についてどうなつておるかを緊急質問してみたい、こういう意味でありました。それで、よし、自分らは君らの言うことを聞いてすぐ緊急質問をするとか、そういう軽挙妄動はできないが、委員長にお話して、そうして関係当局に来て頂いて、今日まで外務省の打つた手について一つ話を聞いて、その上で成るたけ外務省のかたに有効適切な手を打つてもらうようにすることに努力しようということを法務委員長にもお願いし、法務委員長もそれはよかろうということで、昨日関係当局においでを願つていろいろ話を聞いてみたところが、一昨日私に陳情した人の言うことと大分違う。木村さんも成るほどそういうことを言つたであろうが、岡崎外相の言つたことはそんなに木村さんとかけ違つたようなことではないのだ、ただ言い廻しが木村さんのようにぼた餅で頬を打つようなことではなかつたから向うに非常に刺激を与えたようであるけれども、いろいろ有効適切な手は打つております。具体的に言えばかようようでありますという話がありまして、我々大分喜んでおつた、それをおみやげに、昨日の話で明後日、即ち明日です、明日法務委員長初め我々が巣鴨を訪問して、そういうようなおみやげを持つて彼ら諸君を慰めてやろう、そういうことであつたときに、今日丁度外務委員長から今委員にお話があつたようなことでここに会議を開きましていろいろ意見を交換しておるときに石原政務次官から岡崎外相が努力せられておるような実情をここに報告を受けまして、我々はそこまでしておいて頂くのは結構であるが、併しながら今後外務大臣のお考えがどういうお考えであるか、又我々が外務大臣に伺つてどういうような要求をして、どういうような御相談に応じられるというようなことについては大臣に直接御出席願つて、意見の交換をしたらいいだろうというようなことを私が発言しておいで願つたようなわけです。どうか外相もそういうようなことについては巣鴨におる諸君は勿論、それらの縁故関係者も安心するような手段をとつて、成るほどそこまで外務省はやつてくれておるか、それなら我我もその時期の到来を待とうというような態度に出られることにしたらよかろう、今日も外務委員長なども巣鴨を訪問した結果、余りにも悲惨だ、あれは何とかしなければならん、あのままにしておいたら誠に気の毒だ、誠に同情に堪えないというお話を聞きましたから、それでは一つ希望者の意見も聞きますし、我々が明日訪問することについてもおみやげを持つて行こうし、又外務大臣が言うことについてそれはむしろこのほうがいいじやないかという若し希望意見を述べることができるなら述べて見ようじやないかということでおいでを願つたのですから、どうか外相はそういうような我々の意のあるところを御理解賜わりまして、差支えのない程度において一つ御発表願い、又将来に対するあなたのお考えをお漏らし願えれば非常に結構だと思います。
#25
○国務大臣(岡崎勝男君) いろいろ申上げることがありますが、今外務省でいろいろやつておることについては説明があつたようですから省略いたしますが、先ず木村法務総裁の言つたことはこれは、個人の意見でありますという点は私は確かに申したのです。私が木村法務総裁に確かめてから言つたのであります。木村法務総裁ははつきり自分の個人の意見だがと断つて述べたということであります。
 なぜそういう点が問題になるかというと、木村法務総裁は巣鴨の人たちに対して、君らは日本の国内法上罪人じやないのだと、そういう発言をされた。併しそれでは何かの意味で、ほかの意味の罪人であるかどうかということについては何も言われない。それは木村法務総裁は法律的に見て、日本の法律で、日本の裁判所で判決されたものでないから、日本の法律から言えば罪人にならないんだと、こういう説明をされたのですが、だからといつて、それならすぐ皆釈放できるかということは言われないので、実は余り意味のないと言つてはおかしいが、巣鴨の人たちに対しては余り大した意味のない法律的の解釈を言われたわけなんです。併し我々は平和条約の十一条の規定があるのですから、日本政府としても或いは日本国としてこの判決を受諾しておるのでありますから、判決をそのまま受諾し、あの十一条に規定のあるような処置をとる以外に只今のところは方法がないということになるわけです。そこで私の考えを率直に言いますと、今両委員長なり一松委員なりのおつしやつたように、多くの日本人はあの人たちは非常に気の毒な人たちであるという感じを強く持つておるのは事実であります。併し諸外国中には必ずしもそういう意見でない国もあるのであります。従つてなかなか話が進まないで来ておるわけであります。そこで我々のやつておることは、原則的には三分の一の刑期の終つた者の仮釈放、それから特殊の事由のある人の減刑なり赦免なりということなんですが、それがまだ動き出しておりません。そこでこの方面のことが動き出すようにできるだけ努力しておるわけであります。これが例えば三分の一の刑期を終つた人の書類というものができて、これがどんどんと向うへ、関係の国へ行つております、ところがまだそれが仮釈放という決定になつてこつちへ戻つて来ない。併しこれはできるだけ早くそういうことにしようと言つて努力しておるのですが、これが今話合中であり、更に特殊の人の減刑なり赦免なりということも申入中である。或る国に対してはとにかくそういうようなことを申入れて今努力中なのであります。そこで例えば八月十五日に一斉に釈放してくれという要求があるようでありますが、これが仮に八月十五日とすれば、もう今からやらなければならん。今巣鴨にいる人たちを一斉に釈放してくれという交渉を関係国にしたいと存じます。その結果はどうなるかといえば、一斉赦免の交渉を始めれば、このほうが根本的の解決になるのであります。仮釈放だとか、減刑だとかいうものは暫らく棚上げにしてこの交渉を進めて行かなければならん。向うもそんな仮釈放なんかの問題を議論するよりは、こつちが来たのだからこつちを議論しようということにこれは私は必ずなると思う。それでこの一斉赦免ということが八カ月なり五カ月たつて交渉の結果実現するという見通しがはつきりついておればそれもよいかも知れない。併しこつちの交渉が実現をしない場合に、例えば六カ月なり、七カ月たつても目鼻がつかないということになつた場合、一体こつちのほうはどうなるか。実は今でもこの三分の一の刑期が過ぎておる人が仮釈放のできるような状況になりつつあるのであります。これを棚上げされてこつちのほうもうまく行かないとすれば、両方うまく行かない。そこで私は少くとも仮釈放等が書面が行けば一人でも二人でもとにかく釈放という決定が出て来る。又書面を送れば又出て来る。そういうふうに機械がぐるぐる廻るように自動的に動くようになれば、それは御希望の通り努力しましよう、併しこつちが自動的に動くようになつて自信が
 つくまでは私はこの全面的の釈放というものを交渉すべきものでないと信じておりますということを私は言つて帰つて来たのであります。今でもそう思つておる。甚だ交渉が手ぬるいじやないかという説は私もしばしば聞いておりますが、私はそう思つておりませんが、結果においてはなかなか出て来ないので甚だ残念に思つております。併し私の今申上げるのは、そういうことを努力したい、早く機械的に動くようにして、こちらの交渉はどうなつてもこちらだけは動いて行くということにしてからでなければ私は交渉したくない。これは見込の問題になつて、いや、こつちが来ればこつちが動くという見込をつけるかたもあるかも知れませんが、私は自分は現在自分でその衝に当つておるとどうもそういう楽観的な考えは持てない。少し長くなりますが、ちよつと速記をとめて頂きたいと思います。
#26
○委員長(有馬英二君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#27
○委員長(有馬英二君) 速記を始めて下さい。
#28
○一松定吉君 今までの外相のお話を承わりまして、私どもも外相が如何に努力せられておるかということの具体的事実がよくわかりまして喜んでおります。併し今お話の中で木村法務総裁の、あなたの言明の中で成るほど巣鴨の戦犯人諸君が非常に刺激を受けたというようなことはそれで私は受取られた。巣鴨におる諸君はとにかく、一般的に赦免という手続は成るだけ早く我我もそういう恩典に浴したいと考えて、おるそのときに、これから個人々々で刑期三分の一を過ぎた者から過ぎた者から出すようにしよう。それでこちらの一般的赦免という手続をとるとこちらが停止するんだからそこに食い違いがあるのではないかと私は思つておる。我々をして言わしむれば、今あなたの刑期三分の一を済ました者から済ました者から仮釈放、仮出獄してもらうという手続をとりながら、一方こういう手続と両建で行くというようなお話があればこれは戦犯人諸君もそこまでやつてくれれば安心だろうと思うのに、両建でおると却つて藪蛇だからして、こつちの三分の一刑期を済んだ者の仮釈放はあと廻しにされて、こつちが論議の的になつてこつちが進まんということになると、却つて藪蛇ではないかと言われたことが大いに刺激したんではないかと思うのですが、そういうお考えも私はいいと思うのですけれども、我々の希望としては三分の一刑期を済ました者に対して仮出獄の正手続を勧告すると同時に、一方両建にやるというような手続をやはりしたほうが本当はよくはなかろうか。併しそれをするということになつて来ると藪蛇になつて、虻蜂取らずになるのではなかろうか。あなたのお考えは、それはあなたの立場からそういう考えも尤もだと思うけれども、併し我々の今考えておるようなことも考えられないこともないのですから、でき得べくんばそういうようにやつて重くということが非常によくはないか。これは私個人の意見です。よくはないかと思うと同時に、もうすでに独立してそれぞれの国に大使、公使も赴任しておるのですから、今までのような手足がなかつたということと違うんだからして、殊に参議院のああいう決議案もできておるんですから、そういうものを十分に大使、公使に呑み込ませられて、そうして適当な手段、方法によつてそういう感情のよくない人を緩和すべく手を打つ、それは外交官の手腕だ。打つてそうして一日も早く戦犯者諸君の赦免、釈放、仮出獄というような手を一つ打つて頂いたら非常に私はよくはないかと思う。と同時に、今あなたの、外務省と、法務府と、それから大蔵省の三省が一つ、そういう機関を持つてやろうというような構想は私非常にいい構想だと思う。なぜそういう構想をもう少し早くからお考えにならなかつたかということを今案はあなたのほうの御構想の高邁なことに対して私はもつと早くそれをやつてくれたらよかつたかと実は思つておるくらいですから、どうかそういうようなことは、この議会が、本当は私どもは議会の開会中にそういうものを出して議会の協賛を得てやるということになればなお一層有効適切ではなかつたかと思うのですが、それはもういよいよ今日限りのことだから今更そういうことは言いませんが、成るたけ早くそういう手をお打ちになつて、そうしてそういうことを新聞に発表することが相手方を刺激して結果がよくないということであれば、今あなたのおとりになつたように、新聞記者が知つても新聞に発表しないようにすることは結構であるが、それと同時に関係者には、実は今こういうような構想を持つてやつておるのだからという喜ばせるような手を打つ必要も私はあると思うのです。そういうことについて一つ一層の御検討を賜わらんことを特に私から希望しておきます。
#29
○国務大臣(岡崎勝男君) ちよつと御説明いたしますが、初めの一松さんの今の御意見ですが、私のほうから言いますと、一斉赦免の交渉をすることは何もむずかしいことはないのです。それは事情をよく説明するには骨が折れますけれども、併し交渉ですから、一斉赦免にしてくれろという交渉をするだけですから、私のほうから言えば骨は折れないのです。又各国にいる大使にもそれを電報で打つて、やつてくれという訓令を出せば当然やりますから骨は折れません。そう今やつている以上に特に骨が折れるということはないのです。従つて私は労力を惜しんだり、或いは変な臆病な考えからやつているわけじやなくて、実際上三分の一の人がその恩典に浴せないような結果になつたら、これは又かなり深刻な問題になりますので、躊躇せざるを得ない。私の率直な意見を申せば、これは各自いろいろの御判断はありましようけれども、私はそれはまだ早い。少くとも、少しでも機械が廻り出して来なければ危ない。こういうふうに強く、まあいろいろの各国との話合いをして見て、そういう印象を得ております。片つ方のほうの、総合的な事務室を設けるということは、これは特に大きく新聞に発表する意向は全然ありませんけれども、このほうは新聞に出しても私は差支えないと思う。だがまだ具体的に計画ができておりませんから、もう少しくかかると思いますが、そういう構想は持つております。又これは当然関係者にはよく知らせて、つまりそこに請願でも何でも来るようにしたい。今どこに行つて話したらいいかわからんというような事情がありますから……。
#30
○一松定吉君 もうこれ以上私は外相と議論はしませんから……、今私の申上げた趣旨は十分お酌み取り下さつたようですから、そういうような方針で一つ何とかやつて頂きたい。こういうことを申上げて私の質問を終ります。
#31
○国務大臣(岡崎勝男君) ちよつと附加えておきますことは、私の非常に恐れておりますことは、よさそうな話を巣鴨の人たちにして、そしてあとでその通りにならないと失望が又特に大きくなつて来ます。そこで私の立場から言うと、これは又私の性格でもあるかも知れませんが、十のことを言つてもいいようなときでもやつぱり八か七くらいしか言えない、成るべく無駄な希望を持たしたくない、こう思つておりますものですから、勢い控え目なことになります。この点は一つ御了承願いたいと思います。
#32
○加藤シヅエ君 今の岡崎外務大臣のお言葉十分によく了解ができましたのでございますが、今朝ほどあの委員会の委員長に会いましたときの言葉は今外務委員長もお聞きの通りでございますが、今の三分の一刑期の済んだ者から順繰りに出すという事務的な方面はそのままやつて頂いて、そして一方に全面赦免という外交的なものと並行してやつて頂きたいというのがその一同の意見なんだそうでございますね。それでこういうような問題は最低が十年、最高が二十年と長い間家族から分離されていて、もう外務当局のほうではやはりいろいろ順もあるし、或いはチャンスも掴まなくてはいけないことをお考えになつていらつしやるでしようけれども、向う側にもチャンスがあるんだそうで、その向う側のチヤンスは八月十五日というのが向う側のチヤンスなんだそうでございます。それで何ともいえない切迫詰つたような気持になつていて、この八月十五日というそのチヤンスまでに、何とかその新らしい段階にみんなが一致結束してやつておるんだ、そうして法務当局も外務当局も少しも意見の相違はないんだ、そしていろいろの手は全部尽くしておるということを具体的にあの人たちにお聞かせになつてやはりこれは一種の安心感を持たせるということが大変大事なんじやないかと思うのでございます。それでその片方のほうの全面赦免のほうを言うと、折角もう順番が来ておる者が危くなるような御心配御尤もたと思うのでございますが、そこは外務大臣の外交的手腕で、今日本に対するいわゆる自由主義国家の感情というようなものがだんだん好転しているというこのチャンスを一つ逃さずにお掴みになつて、そこのところは一つ手腕を発揮して頂く、こういうことを私は希望いたしますものでございます。
#33
○国務大臣(岡崎勝男君) 私はしつつこいようですけれどもやはり自分の考えでは今言つた、先ほど申したような意見で私がやつている以上は、どうしてもこれは仮に巣鴨の人がそう思つておつてもそれは私は考えが違つておると思うのです。そんなうまく行かないと思います。仮に会両釈放という話をして見ても、私の見込では三カ月や六カ月で目処がつくとは到底信じられない。むしろ事態は悪化するかも知れんというくらいに懸念をしておる。それは例えばこれは全然別な話ですけれども、濠洲に或る実業家の会議があつて、日本の実業家も行こうということになつたときに、濠洲側のやはり実業家の関係者ですが、来てくれるなというような最近も話があつたくらいです。濠洲の話は。そんなような実情もあつて、決してそんなにこの問題について日本に皆同情的であると私は到底言えないと思います。ほかの問題と違いまして、いよいよ選挙も控えておるときに婦人団体等の、自分の夫を殺された、子供を殺されたという人たちの投書などにかなり深刻なものがありまして、その気休めに片方のほうを交渉してやることを言うことはいとやすいことであり、又交渉することは何ら今申した通り特別の労力なんかは要らないぐらいに私は思つております。気休めならそれはできますけれども、結果が悪くなるということになれば、責任の地位にある者はたとえ非難攻撃をされてもやるべきじやないものと考えます。これは意見の相違になりますから仕方がありませんが、私はまあそういう考えを持つております。
#34
○加藤シヅエ君 まあそれは非常に責任当局としての御意見はよくわかるのでございますけれども、まああすこにいる戦犯のかたがたの心理状態というものは、到底外部にいる者の心理状態と同じではないと思いますから、あすこで八月十五日になれば、あの委員会というものはそれ以上持ち堪えることができないということを委員長、副委員長みんなそういうことを今日言われたのでありますが、それで持ち堪えることができなくなつて、万一何が不幸な事態が起るというようなことがありましたら、それも非常に重大な問題でございますので、それでどうしてもこの際何とかこの国会の閉会の前に何とか私どもは一つ何か具体的なような、あの人たちに納得のできるような政府の処置というようなものがとられたいということは、これはどうしてもなされなくちやならんというふうに考えるのでございますけれども、この理を尽しての説明は私どもにはわかるのですけれども、あのかたたちにはどうしてもこの場合聞き入れられることができないのです。こういう状態、それをどういうふうになされるかということが、政府当局の最も賢明ななされかたによるものかと思うのです。
#35
○国務大臣(岡崎勝男君) 私も何か変なことが起ることは非常に心配しておるのです。そういうことになりますと、全部の問題が私は御破算になつてしまいやしないか、そうして非常に却つて不幸な事態が起ると思い非常に心配しております。ところが、一方あそこにいる人たちは、いろいろな話を聞いて、その一番いいことをどうしても信じてしまいます。而もそれがいろいろの人が行つて、だんだんいいというような話をあとからあとからするものですから、非常にお話のような心配すべき事態になつて来ることは私も承知しております。かと言つて、政府が気休めを言つて、仮に今私が言つたような事態になりまして、当然三分の一でもう出られそうな者が、三カ月も五カ月もそれのために犠牲になつてしまうということになりますと、その人たちがなかなか収まつて来ない。で若し巣鴨のほうで全部の人が三分の一はあきらめるから、こつちはあきらめてもいい……あきらめなくともいいが、あきらめてもついい。全部の釈放のほうを何カ月かかつてもいいからやつてくれということが本当の希望であれば、私はそれをやつてもいい。併し恐らくそんなことは考えられない。そうなりますと、意見が非常に違うことになりましようが、併しそんなことを言つて、交渉の悪くなるときには、あきらめさせるようなことは私はすべきではないと思うので、何とかして八月十五日までに多少の、仮釈放でも何でもいいけれども、目鼻がつくように是非いたしたいと努力はしております。一斉赦免という交渉だけは、どうもまだ私は躊躇せざるを得ないと思います。
#36
○加藤シヅエ君 今日、私も実は外国によつて愛情の非常にいいところと、余りよくないところがあるということは、事実のまま私は説明いたしましたけれども、向うのかたたちはそういう感情の悪いことを、自分たちが全部責任を背負わされて、こういう拘束されているということは、自分たちとして納得できないという考え方なのでございます。で、この際、特に感情の悪い国に、この赦免のための特使を、余りお金のかからない方法で特使を派遣するというようなことでもお考えになれないでしようか。
#37
○国務大臣(岡崎勝男君) それはその政府、私なんかこういう政治家という資格が余りないのかも知れませんけれども、それも一斉赦免の交渉と同じことで出すことは何でもない。ちよつとした金の問題、たけなのです。それで政府がいい立場になり、いい子になり得るなら、むしろ政治的に言えば結構な話かも知れません。併し悪いところに特使を出すということは今受付けません。今のところ、親善使節を出すと言つても、普通の意味の、グッドウイル・ミッションを出すというけれども、受付けない国がある。いわゆるそういう特使のようなものを受付けることは到底ありません。又それをやつたところで、仮に受付けてくれても効果は全然ない、むしろ逆効果のほうが多いであろうと考えます。従つてこれもお考えでありますが、どうも私は余り賛成できない。今のところは、いい国はいいけれども、特使を出してもいい……併し悪いほうの国が大事なんです。これはやはり時が……。
#38
○一松定吉君 ちよつと外相の政治的手腕云々というお話があつたけれども、私は今あなたのお話を承わつて見ておつて、ちよつと腑に落ちないことは、日本に対する感情の悪い国は結局あなたの考えじや放つたらかして置かなければならんというような意見に聞える。さようなところに親善使節を出しても結局効果がなかろうというようなことで、時間の経過するのを待つて、自然に向うが融和のできるまで待つというようなことでは私ども政治家としては少しくどうかと実は思う。あなたのお考えを批判するのは誠に済まんですけれども、それはやはり感情を害している国は、感情を害しているというのには、感情を害する理由があるのだから、その理由を解消すべくあの手、この手を打つということが政治家の手腕であり、技倆であり、外務大臣の外交手腕でなければならんと私は思うのだがね。それを日本に感情を悪くしているのだから、今やつても効果は発生しないだろうというようなのはあなたの御想像であつてやはりそれについてはいろいろ研究して、こういうところが原因だからこういうことについてはこういうようにしたらばどうであろうか、ああいうようにしたらどうであろうかというようなことを御研究になつて、そうして悪感情を持つているのを解きほぐすという態度をとらなければ、いつまでそのままにしておつては感情は融和しませんわね。融和しなければ融和するのを待つておつて、ただ刑期三分の一済んだ者に出すというのは私はよくないと思うが、どうでしようか。いま一度お考え直して、今お尋ねになつたように、感情が立派な融和しておつて、日本と親善の密度が高まりつつある、例えばアメリカのごとき国に対しては特別に一つ手を打つて、そういうようなものから進んで個人個人の三分の一刑期満了とかいうことでなしに、赦免の手続も併せて打つということをやれば、日本に好意を持つているのだからして、それは早く効果が挙がりましよう。効果が挙るのをあなたは百人いる者を百人一緒に、一瀉千里に全部どうするというようなことを考えれば、あなたのようなことになりますけれども、百人いるところで、日本が調査した結果これこれを少くともそのうち三十人はこういうような、素行も立派であるし、やつたこともこうであるし、改俊の情も顕著である、あれもこうだ、何もこうだということで、赦免のできるような動機、原因をお調べ願つて、その材料を揃えておやりになれば、百人ある者は百人全部できなくても、そのうち五人でも十人でも行ければ、それらの人の得になるから、やはりそういう手をお打ちになればよいと思いますが、併しあなたは打つことのほうが悪いとお考えになれば意見の相違になりましようが、これは一つこういう重大な問題だから、あなたお一人の問題でなく、閣僚諸君に御相談になつて、又他の専門家にも御相談になつて、やはりあなたの考えがいいとなればこれは止むを得ませんけれども、それは君少しこの点はこうしたほうがよかろうというようなことで、あなたもそれもそうだと言つて反省するところがあつたら、それはやはり手をお打ちになることのほうがよいと思いますがね。これは私はあなたに釈迦に説法するようなことで誠に恐縮ですけれども、そういうようにしてやるということが、ただ理窟だけで行くとか、或いは条理だけで行くということでなくて、あの手この手でやはり外交ということはおやりにならなければ、日本と外国との間の親善関係というものは、永久に結ばれないということはこれは由々しい問題だと思いますから、そういう点についていま一つ再検討なさる必要があるものは再検討をして頂きたい。これは加藤委員のお考えも私のと同じだと思う恐らく他の諸君の私の今考えているようなことにあえて反対ではないと思う。あなたのお考えは成るほど私どもは否認はいたしません、立派なお考えであるが、そのお考えの上になお且ついま一遍検討を加えて、私どもの意見が容れられる余地があれば、ちとお容れ下さるということを是非私は希望する。
#39
○国務大臣(岡崎勝男君) 少し私の申したことに誤解がおありのようですが、私が今やつていることは、全部の戦犯老に関して、三分の一の刑期の満了した人には仮釈放、それから特殊の理由のある人には減刑、又更に特殊な理由のある人には釈放ということをやつているのです。で、全面釈放というのは何も理由をつけずに全部の人を一斉に釈放してくれというわけです。私はそれはやれないというのです。個々のケースにはそれのメリットによつて一々ケースとして出すということは、これは減刑もやれば釈放も申入れているのであります。従つてお話の点はやつているわけなんです。
 それから親善関係を増進する、これは私のむしろ本業であり、これを専門的に考えておるのです。お話のようにあらゆる機会を捉え、あらゆる方法によつて、これは経済的な問題もあれば、文化的な問題もあり、いろいろな方法がありますが、これはやつておるつもりです。ただ今加藤さんに申上げたのは、具体的に親善使節を出すからと、それも行きたいと言つたところが、或る国から断わられた事実がある、こういうことを申しておるのであります。来てくれては困るということを申されたくらいであるからしてなかなか簡単には行かないということです。
#40
○一松定吉君 今あなたのお話の全面……、すべての赦免を、理由も動機も何も調べんで云々ということについては、それは私もあなたと同じ考えです。ただ刑期を三分の一済んだとか、或いは情状酌量とかその他の理由で、今現に取りかかつておるということであるならば、私はそれで満足します。何もかも動機も原因も調べずに、百人全部一遍に釈放というようなことは、これはできないことは議論ありませんが、けれどもそういうような、今あなたの釈明によつても、これは私も明らかになつたのだから、こういう百人おるうちで、このうち十人はこうであるとか、十五人はこうであるとか、二十人はこうであるとかと、今現にこういう手続をとりつつ努力しておるのだというならわかるのですが、そういうところがやはり何でしよう、意思の疏通を欠いたために誤解を受けたのじやないかと思います。今私もその誤解は解けましたから、その点は喜んでおりますが……。
#41
○平林太一君 今日私も行つて参つたのですが、お話は今お聞きの通りであります。それで私は帰りますときに、なお又重ねてくれぐれも自重を求めて来たのでありますが、どうか各位も堪えがたい苦難に堪えて今日まで来ておる。それがいよいよ我慢ができないというまでになられた御意中、御心情は、察するに余りある。併しここでその苦心を一簣に欠くようなことがあることは、本当にこれは困つたことであるから、今後国のためにもあなたがたのためにも損になるのであるから、是非一つこの際いやしくもあとで取返しのつかないようなことにしてくれては困るということをよく話して参りました。で、よくわかりましたと言つたのでありまするが、それにつきましては、やはり八月十五日にその決意をしました、で釈放されるまで、この慰めるべきだけの何らかのこちらからの処置、つまり好意が届くことをひそかに期待して自重いたしておることと察するのでありますから、この点どうぞ大臣十分一つお考えを願つて、今後の御処置を責任を以て御苦心をして頂くことを、この際強く要請いたすのであります。それで今いろいろ大分お話が出たのでありますが、一々私も同感でありまして、ただ私の考えておりますことは、只今この全面釈放に対しまして、大臣の御答弁になつておることは、それを事務的、或いは部分的に御解釈になられて、そうしてそういうことはいかんと、こういうのでありますが、私のほうの全面釈放という、私のほうのこの全体的な概念と申しますか、そういうものは、いわゆるその国の、一つ一つの国々に対してその話をつければ、その場合には、ほかの問題とは違いまして、私はそんな……、じや、これはつまり仮釈放してやろうとか、或いは緩和、刑を減刑してやろうとか、そんな私はけちなことは言わんと思うのです。これは一つ一つの国に対しまして、いわゆる外交交渉というものは、その国の懐に入つていたしますれば、事戦犯の問題に対しましては、話がきまつたときには、私のほうでは戦犯に対しましては、それじやよろしうございますから、全都一つ御要求に応じましようと、こういうことに私はなるのじやないかと思います。誰か、今日もう戦争が済んでそうして平和になつて、そうして世界が二つの勢力に分裂して、相共に協力しておるときに、それに段階をつけて、そうしてあれするということはあり得ないと思う。この場合におきましては、私は米国の態度というものは恐らく大臣が本当に先方の中に身を以て自分が飛び込むという行動に出て行きますれば、必ず私は打開のできる問題であるということを信じて疑わないものであります。なぜかと申しますれば、まあいわゆる米国には米国の感情がありますから、ただ向うは、何か米国人の感情の中にも戦犯を許しがたいという感情があるというのですが、併し我がほうにおいては戦時中、戦後を通じて、ほかの言葉で申しますれば銃前銃後を通じて、現に広島、長崎のごとき、あの残虐無道なるああいう悲惨事というものが……、私は先日広島にも参りまして……、その前にも行つたのでありますが、行くときごとに、当時の悲惨事というものがあの世間で想像しておるより以上に非常にひどいものである。被害者は何十万に及んでおるというようなことですから、これは一つ今日我がほうでもそれをどうということを言うのでないから、理窟を言うのでないのですから、米国自体が戦犯に対して、今日まだそういう感情を持つておる、その感情が影響して戦犯の問題を云々しているというような問題ではないと私は思う。一つ我がほうの広島、長崎のことを考えてくれたらいい。併しそんなことをどつちも言い合うときではないから、そんなことはこれは相殺して、この問題に対する感情問題は、一つ両方とも釈然としてそうして今後のことに進むべきじやないかということが、私は言えると思います。それまでに言えば、先方も必ずこれはあれしておる。併しマーフイー大使が非常に御心配になつておられるというのでありますが、これは日本に来て、実際日本の土を踏んでおるから、そういう正しい感覚ができるのです。マーフイー大使が……、私から申しますれば、ひとり又米国自体におきまして、我が国の実情が向うに誤解されておる点があり、又それに近いものがあるのでありますから、これは一つ米国に対しまして、一瀉千里に一つやつてくれということを私は要請することは極めて必要であると思います。そうすれば、これは成功すると思います。そうして米国がやるときには、そんな細かい問題はやらない。平和条約でああいうことを示したことも、今日では恥かしいと、これは米国も必ず言われましよう。これは速記録を通じて大いに海外に対して、これが米国の当事者に対して伝えてもらいたい。それは平和条約というものが今日においては……、あの当時の条約としてはあれでいいでしよう。まあ我々も賛成いたしたのであります。併しながらその情勢というものは刻々に変つて来る。一昨年或いは昨年あたりの状況とは、これはずつと変つて参りましたから、ただ今日はもはやいわゆるあの条約はもう無必要なものになつたのですから、精神的にああいうものは外してしまわなければいけないのであります。外してしまえば、おのずから戦犯の問題は求めずして自然に解消せざるを得ないのでありますから、その点を米国は今日責任を以て、若し……感情が悪い、悪いと称しておられる向きもあるであろう。或いはフイリピンに対しましては私は米国の政治家というものが、又米国政府というものが責任を以て、これらの国国に対しましてはよろしく戦犯問題の解消ということに対しまして、今日全部釈放する、解消でなくてもいいのでありますから、釈放するということを縷々力をいたすべき米国は義務を持つておると思います。今日双方に、日米関係において、殊に国連の憲章の大精神というものを強く我々が信頼し、信用し、そうしてこれに協力して、世界平和を打建てようという今日の場合におきまして、私は当然のことと思うのです。それができないということは、我が国の外交というものがまだ何か占領時代の惰性に慣れておる、非常に怯え戦いておる。そのために却つてそれが国の、そういうことを心配することが過ぎて、いい結果をもたらさない。又それくらいに米国の懐の中にこれは飛び込んで行つて、私はいいのじやないかと思います。今日はそれですから、どうかこの点は一つ、私はこれも意見だということで、大臣が拒絶になるならば、それはもういたしかたがないでありましようが、併しながら私はそういうものではない。それから一つ思い直して一大勇猛心、勇気を出して、そうして頼むことであるから、向うが頼まれて、そんなものは何だと言つて怒るということはありつこない。頼んで見てそうして悪いと言えば、それじやそのときに悪い部分はどういうお話だと言つて、又お話はできるわけでありますから、だから頼む、そうしてそれを一つ持込んでこれこれと……如何にもこんなようなことをして置くことは何としても無理ではないですか。併し条約を結んだ我がほう、日本の政府の立場も少しは考えてくれということで、あの当時だつて向うの条約に対して私は政府自体当時の今総理大臣である只今の吉田老人、この老人といえども射る、ああいうものに対しては満足は私はいたしていないと思います。併し当時の事情といたしまして止むを得ずそういうことをして米国の顔も立つたのであります。これもそれによつて講和条約を締結することによつて妥当な処置と考えたのであります。向うの顔も立つたのであります。それだからいわゆる我がほうに多少不満のことがあつても、その不満は忍んでそうしてあの条約を呑んだ。我々がこの場所においてあの条約を呑んだことも皆そこに起因いたしているわけであります。それだからすでにそういうわけで騒々として時代が変つて来た、一時一刻。今日は私は巣鴨の諸君に会つて、いやそういうようなお話であるが、この講和条約が発効して未だ二カ月か三カ月だ、それだからまあ一つ非常にその堪え切れんであろうが、まだ三カ月か二カ月だから、これからであるから一つこの今日の場合は一つそういうわけで一つ忍びがたきを忍んで我慢してもらいたい。いや向うも悲痛な叫びで、いやそれはそうだが、我々にとつては一瞬一刻が大事だ、一月、二月の日勘定じやないのだ、時計のタイムが刻一刻、一秒一秒を刻んで行くのだ、今日の迫つている……時間に対する観念だ、そのときのことはそういうことでありますから、私は申上げることは甚だ言粗雑でありまして粗野でありまするが、実にこれは私はあえて憂国の何とかというような大きいことを申すのではない、人間としての本当の悲痛の何にこれは立つてこれより深刻なことはないと私は思いますが、私どもは曾つて昔の物語に俊寛という僧侶が、何か昔のことですから、畠に流されて二人行つておつたものが、一人だけ釈放されて帰されて、そのあとで一人残つたときのその心見というものは、爾来そのときの心境というものがいわゆる何か人間性の悲惨なことでそれに対する同情というものが日本国民の何か性格の中に深いこれが昔物語になつているのですから、今日マヌス島でありますとか、或いはモンテンルパという所におられるところの諸君の心境、誠に私は自分のごとく感ぜざるを得ません。そこで方法がないかというとないのではない。私が外務大臣でありますれば米国に乗込んで一瞬にして解決して参ります。これだけの背景を背負つた今日の日米のこの事情下においてこの戦犯の問題を対外交渉、外交交渉によつて解決のできんということはない。ほかの問題と違いますから、どうか一つ私は岡崎君御自身も進んで一つ米国に、今日参りましてマーフイー大使に対しまして自分の職を賭してでも、吉田内閣もはや命旦夕に迫つている、二カ月か三カ月であります。人は一代名は末代である。私は外務大臣はこの問題だけは処理して、そうしてこの内閣の外務大臣としてお引きになるくらいのお覚悟を一つ示して頂きたい。若しそれをおやりになれば来るべき総選挙にあなたは満点で当選いたします。しなければこれは危険な状態になる。私は吉田茂君といえどもそうである。私は与党であるから申すのでふります。この問題を解決せずにして、吉田茂があの選挙区に帰つて選挙したときにどうなるか。実に私は思い半ばに過ぎるものがある。戦犯者に対して、拘置所において冷酷なるところの態度をとつた、義憤を私は禁ぜざるを得ないのであります。その点から天譴が自由党における今日のあの反乱軍を作つたのであります。世の中の因果いうものは、だからこの問題に対しましてはこの戦犯者の今日のような悲惨な実情をいろいろ左顧右眄いたしましてそうしてみずから保身のことを考えて、そうしてこれをこのまま放置するということになれば、戦犯者を殺すのみならず、今日その活殺の権を持つている、或いはその活殺の処置を持つているところの時の当事者がその累に倒れるということは明らかなのであります。若し事によるとこのままにして置きますと巣鴨にどういう事態が起きるか、巣鴨九百何人か、あすこで彼らも武士である、自刃をするというような事態ができ得ないとも言えないでありましよう。これは事実上いろんな何があるから自由がきかないから……併し精神はそれであるということを私はお考えを願いたいと思います。併しそう思うことは彼らがそれを戦争に対して反省しないからであるというようなことを考えてはいけない。今日になりましてはもはやこの講和になりまして日本国民がこの通りたとえ不自由ながらも所を得ておるときにいつそ死んでしまつたならばそれはそこでよろしい。彼らにしても心境から言えば死んじやつたのならば死んじやつたのでいいのだ。併し死にもせず生きもせず生殺しでこのまま置くということは何としても自分の納得の行かないことであるということを、私は、或る人たちが書いておる。そうなればこれを放置して置くということはああいう人々の、我々の、昔やはりああいう人は伝統的な我が国民の思想を継いでおるさむらいである。腹を切つて死んでしまう。そのときに誠に相済まないと言つたときには間に合わないのでありますから、それですからこの問題はどうか、この吉田内閣は内閣の運命、内閣の生命を賭してこの問題はいたすべきである。そうした結果どういう事態が海外に起きたということに対しては我々国会議員が責任を持つ、そんなことありません、絶対に。頼みに行くことであります、これは。誰も頼んで向うが怒る理由がない。そういうことは世界のどこへも共通しません。そういうことを頼んでみてこうやれば向うの感情が悪くなるであろうとか、こうなれば、こういうことをやれば却つて悪くなるであろうなんていうことはそれはまだまだ本当にその身を以てその中へ飛び込まない。それは私は心境ではないかと思います。
#42
○委員長(有馬英二君) ちよつと平林さんに申上げます。
#43
○平林太一君 よろしうございます。それですから私は本当の自身といたしまして、私は而もこの問題に対しましては今日急に思い立つたものじやない。私は今期国会出初めから終始一貫いたしましてこの問題に対しましてはあれをいたしておる次第でありますからその点私はこれは強く申上げることができるのでありますから、どうぞそのように一つ願いたいと思う。併しこれに対しましては私は与党である、又同志同僚である外務大臣岡崎君に対しまして答弁を求めることは甚だ忍びがたいものがありますから求めません。併し私の以上のなにを十分一つお考えになつて、本日はお帰りになつたらば総理大臣の吉田君にもよくお話になつて十分に御処置を願いたいと思います。これで以て終ります。
#44
○委員長(有馬英二君) もう大分時間が過ぎましたから若し今までの皆さんがお述べになつたと同じようなことでありましたならば如何でしようか、何かやつぱり別にお附加えになりますか。
#45
○伊達源一郎君 私はちよつと簡単に、非常なむずかしいことに出つくわしておると思います。巣鴨のほうでは人情の上から、その立場の上から相当デリケートな問題が起つておると思います。一方このことを処置する当局者から申しますればこれは外交上の非常なデリケートなことに突き当つておるのであります。これを両方うまく調整して行きませんとここに大きりな破綻が来るということを、私は巣鴨へ参りませんでしたから実情はよく存じませんけれども、おいでになつたかたがたのお話を聞いて、これは非常に困つたことと思う。その困つたことの原因は過度の希望を持たせて講和条約ができればすぐ釈放になるというような考えを持たせたことにかなり間違いがあつたとも想像されます。外務省のほうにおいても非常にこのことはよく考えておられることを私は今日の休憩前における政務次官の説明によつてもよく承知したのでありますし、又外務大臣が非常にお骨を折つておいでになることも承知いたしておるのでありますけれども、外務省の骨を折つておられることをそのまま知らせるということもできない事情にありますし、国民の間にそれを十分に知らせることすらむずかしい状態にあるのでありますから、皆さんの、先ほど左藤君のお話にも何とかいいことができやしないかという、何とかでありまして、外務大臣もこれだけ手を尽しておるが、何とかして巣鴨のほうによき理解を持たせたいという、これも何とかしてだろうと思うのですが、この何とかが両方から出ておつて合わないのは、この解決が非常にむずかしいからだと私は思つておりますので、私の希望は、外務省は最善の力を尽してこの問題を促進するようにして頂き、できるならばフランスのような調子のよく出ておるところを早く具体化し、アメリカとも頻繁に、只今のお話だと殆んど毎日のように電報が先方に行つておるというような努力をされておることによつて早く効果を持たせて行く。そこに私は自然によき方法が生れて来ると思いますので、私の今当座の希望は法務委員のかたが明日おいでになれば過度な希望を持たせず、落着いた気持になつて明るい希望を持たせるように努力して頂くということが私の今の希望であります。そうして外務省はできるだけフランス、アメリカとかいうようなところの関係のものを早く解決するようにして頂きたい。両方から効果を挙げて行かなければならんことと思いますので、皆さん十分努力しておいでになると私は存じますけれども、ちよつと希望を述べまして失礼いたします。
#46
○左藤義詮君 ちよつと速記を……。
#47
○委員長(有馬英二君) 速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#48
○委員長(有馬英二君) 速記を始めて下さい。いろいろ御注意有難うございました。一つお願いいたしておきたいのですが、八月十五日は成るほどポツダム宣言受諾の日本では記念日に当る。そういうことですけれども、ヨーロツパの国は別としまして、ほかの国は余りそういう日に何かするということをしない習慣で、むしろほかの普通の日にする習慣があります。従つて八月十五日というような日を余り重きを置かないようにお願いをいたします。
#49
○小野義夫君 これは条約発効のときに御承知のごとく二つの事件がこの問題について起つたと思うのですが、それは日本においては特別の恩赦とか大赦というようなものがあつて、日本のために講和発効を慶事として奉祝したということが一つの事件、それからもう一つは、今までこの巣鴨プリズンに関してはともかくGHQにその係があつて、あらゆる陳情、交渉をするにしても、そこの係の人がいろいろその折衝に当られた。そこで私どもが一番心配したことは、これはGHQがなくなつた後におけるところの戦犯の取扱というものは一体誰がする、どういうふうにしてやるのかというのが法務委員会の問題であり、その当時非常に考えられたところであります。そこで我我が、法務委員会のほうでも、これは一つそのセンターを作らなければ駄目だ、というのはGHQに今度はばらばらに交渉をするなどということはこれはますます困るのだから、先ず交渉をする相手というのはどこにするかといつてみても、できれば米国がやはり依然として代理権を持つておつて、各国の処理について取次なりその他をやつてくれればこれに越したことはない。条約が発効すれば、それだけの面倒を見てくれないたろう。そこでこれは何とか一つのオーガニゼーションをこしらえなければいかんのじやないかと言つて、そのときにいろいろの話をしたのが只今岡崎外務大臣の御発表になつた構想と大同小異のものであります。そこで人間が誠心誠意を持つて事に当れば、誰たつて人生というものは希望通りに行われることは如何なる場合においてもあり得ないのです。多くは希望というものは一秤の希望に終る場合が多いのだが、併し右を希望しても左で成功する場合もあり、いろいろあるのたし、なかなか相手のあることで如何に外務大臣が超人的の御能力があると仮定しても私はそう簡単には行かんということを私は同感するものでありまするが、併しここに何か官民の間に一つの組織ができてそうして万事万端ここへ来ればその首脳部というものは今の寄合身上、大蔵、外務、法務といつたような寄合身上というようなものよりはいま一段と進歩した……それが民主的であればなお結構であるが……有力な予算の裏付のある或る種のものを、予算といつて今大した金を又支出しなくても、ほうぼうからつかみ寄りで私はその金はできるであろうと思うが、かかるもので私はやつて行つて、一生懸命やるのだという機構を整備せられることは、彼らに安心感を与えることになるので、どうもあそこへ入つている人たちの心理状態は違いますから……これはもう誰でも一たび牢獄に身を沈めた人は体験のあることであつて、心理状態が浮世の中におる人と中におる人とはまるで考え方が違つて、偏狭にして且つ神経的な感じを持つのであります。これはよほど善導、指導されることを、これは外務大臣に望むべきことでなく、我々やはり議員としても同じくそのことについて大いに努力をしなければならんのでありますが、どうかこれは一つ両院の有力な議員のかたがたも各派で御相談下すつて、できるだけの最善の一つ皆さんの協力態勢をでつち上げるということが、私は非常にこの問題を乗り切る一つの方策ではないか、かようにまあ考えておる次第でありまして、先ほど外務大臣の御発言は非常に私は喜ばしく希望が持てるのでありますが、早急に一つこれを何かの形で一つ現わして頂くことは、少くとも一つの希望を繋げるという現状の取扱よりは一段と進んだものじやないか、かように考えておるわけであります。
#50
○委員長(有馬英二君) それでは終りに臨みまして、この外務、法務連合委員会を緊急に開きました意思が十分外務大臣も御了解になつたことと存じます。まあ各位からも非常な熱心なる、或いは熱烈なる御意見の御発表がありました。私ども本当に心から民間のプリズンにおられる人に対する厚き同情と、そうして熱心なる御支援御協力が如何に大なるものであるかということを感じまして、私自身といたしましても、本日この会を開かれましたことにつきまして大きなものがあつたということを感じまして感謝に堪えないところでございます。外務大臣におかれては、私ども知りませんでありましたいろいろ御苦心のほどを承わりまして、如何に今までひそかに苦心をされたかということを知りまして、どうかしてこれがプリズンにおられるところの人人にまで十分理解されるように、そうして彼の人たちがあのいやな生活を、少しでも明るく又希望に満ちたものであるようにさせる方法が何とかして得られないものであろうかということを深く感ずるのであります。と同時に、先ほどから各位が御発表になりましたように、外務大臣におかれましても、今後更に一段と有力なる外交手段によりまして関係各国の了解を促進されるよう、そうして八月十五日という彼らの期限は、これは勿論一般的のものでありまするけれども、切実なる彼の人たちの悩みを幾らかでも軽減してやられ、慰めを与えられるように取計らいを願いたいと私は存じます。又そういうことば当然岡崎外務大臣の手腕によりましてできることであろうと私どもは確信しておりますから、どうぞ今後とも一段の外交的手段を講じて頂きたいということを切に望むのであります。先ほどから熱心なる各位の御発表も、先ずその点において一致していると思います。どうぞこの点におきまして、一段と彼らに慰安を与えることができますよう御努力を願いたいと存じます。皆さんの今後とも一段の御協力をお願いいたす次第であります。
 これを以て散会いたします。
   午後八時五分散会
ソース: 国立国会図書館
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