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1951/02/12 第13回国会 参議院 参議院会議録情報 第013回国会 外務委員会 第2号
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1951/02/12 第13回国会 参議院

参議院会議録情報 第013回国会 外務委員会 第2号

#1
第013回国会 外務委員会 第2号
昭和二十七年二月十二日(火曜日)
   午前十時五十五分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
十二月十五日議長において平林太一
君、岡田宗司君、中山福藏君及び大隈
信幸君を委員に指名した。
一月十八日議長において、兼岩傳一君
を委員に指名した。
二月十一日委員曾祢益君辞任につき、
その補欠として、吉川末次郎君を議長
において指名した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     有馬 英二君
   理事
           徳川 頼貞君
           野田 俊作君
   委員
           杉原 荒太君
           團  伊能君
           平林 太一君
           伊達源一郎君
           大隈 信幸君
           兼岩 傳一君
  国務大臣
   国 務 大 臣 岡崎 勝男君
  政府委員
   賠償政務次官  入交 太藏君
   外務政務次官  石原幹市郎君
   外務省アジア局
   長       倭島 英二君
   外務省欧米局長 土屋  隼君
   外務省条約局長 西村 熊雄君
  事務局側
   常任委員会専門
   員      久保田貫一郎君
   常任委員会専門
   員       坂西 志保君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○理事の互選
○台湾引揚者の接収財産返還等に関す
 る請願(第三一号)
○台湾引揚者の接収財産返還に関する
 請願(第一八九号)
○台湾引揚者の接収財産返還に関する
 請願(第三三〇号)
○米国まぐろ関税問題に関する陳情
 (第九三号)
○奄美大島の日本復帰に関する陳情
 (第一三五号)
○漁船の不法だ捕防止等に関する陳情
 (第二一九号)
○国際情勢等に関する調査の件
 (賠償問題に関する件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(有馬英二君) 只今から外務委員会を開会いたします。
 先ず理事互選の件を議題にいたします。
#3
○團伊能君 只今委員長からお諮りになりました理事互選の件につきましては、成規の手続を省略いたしまして委員長一任という動議を提出いたします。
#4
○大隈信幸君 團委員の動議に賛成いたします。
#5
○委員長(有馬英二君) 團委員の動議がありましたが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(有馬英二君) 御異議がなければ、私からこの際、野田俊作君並びに吉川末次郎君の御両君を理事に指名いたします。
#7
○委員長(有馬英二君) 次に現在までに当委員会に付託になりました請願並びに陳情を審査いたします。專門員をしてその趣旨を説明いたさせます。
#8
○專門員(坂西志保君) 台湾引揚者の接収財産返還に関する請願が三通来ておりますから、これをまとめて申上げます。請願第三十一号、秋山俊一郎議員の紹介で、請願者は長崎県佐世保市役所内浜崎優二氏外三名です。台湾引揚者は多年に亘つて築いた地盤と資産を残したまま内地に引揚げたのでありまして、無一物のために引揚後の生活は血のにじむような辛苦に喘いでいるのでありますから、講和条約の締結されたこの際、一、在外接収財産の補償返還、二、接収財産の償還比率は現在の貨幣価値に換算すること等を実現されたいとの請願であります。
 次は請願第百八十九号で、紅露みつ議員の紹介であります。請願者は静岡市瀬名四八八番地静岡県台湾会内海野利作氏外十六名でございます。台湾引揚者は多年に亘つて築き上げた地盤と資産を残したまま終戦によつて内地に引揚げたのでありますが、無一物のために引揚後の生活は血のにじむような辛苦に喘いでおりまするから、講和条約の締結されたこの際、一、在外接収財産を速かに補償返還すること、或いは右価格に相当する国債を交付すること、二、接収財産償還の際は、当時の貨幣価値を現在の内地の貨幣価値に換算するよう取計らわれたいとの請願であります。
 次は請願第三百三十号でありまして、山田節男議員の紹介であります。請願者は広島市下柳町六三広島台湾同志会内藤田敏男氏であります。台湾引揚者は、多年に亘つて築いた地盤及び資産を残したまま終戦によつて内地に引揚げたのでありまして、無一物のため引揚後の生活は言語に絶する惡条件に遭遇し、血のにじむ惡戦苦闘を続けて辛うじて今日に至つている有様でありまするから、一、在外接収財産――不動産、有価証券、預金を早急に補償されたい、二、接収財産の償還比率は、当時の台湾における貨幣価値を現在の日本の貨幣価値に換算すること、三、現金等で支払ができないときは、それに相当する国債を交付するよう取計らわれたいとの請願であります。
#9
○委員長(有馬英二君) 政府委員からこれについて何か御意見がありますか。
#10
○政府委員(石原幹市郎君) 只今の請願三件の問題についてでありまするが、これらの問題につきましては、戦争に伴う他の各種未解決の問題と共に、近く行われます台湾国民政府との交渉において取上げられるはずでございまして、請願の御趣旨等も体しまして、政府としても極力善処したいと、かように存じております。
#11
○委員長(有馬英二君) 本件を如何取計らいましようか。……別に御意見がございませんが、本件はこれを採択し、議院の会議に付し、内閣に送付すべきものと決定することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○委員長(有馬英二君) 御異議ないと認めます。
  ―――――――――――――
#13
○委員長(有馬英二君) 次の陳情を……。
#14
○專門員(坂西志保君) 次は陳情第九十三号でありまして、米国まぐろ関税問題に関する陳情。陳情者は東京都千代田区丸ノ内三ノ一四日本商工会議所会頭藤山愛一郎氏であります。米国まぐろ関税法案は、先に下院を通過して、上院財政委員会の審議に移され、同委員会は本年一月の議会再開を待つて公聴会を開く予定と伝えられるが、我が国は米国におけるまぐろ罐詰関税の国定税率復帰により、その輸出を阻止され、更に今回の生鮮及び冷凍まぐろ関税の賦課によつてその唯一の輸出市場を失うこととなれば、ひとり関係産業の致命的打撃にとどまらず、これによつて日本経済の弱体に拍車を加えることは必然であるから、政府は、米国実業界その他各方面の公平な判断に訴え、この問題が関税立法の手段によらず、業者間の会談交渉により、速かに円満解決に到達する途を選び得るよう、万全の措置を講ぜられたいとの陳情であります。
#15
○委員長(有馬英二君) 右陳情につきまして政府から何か御説明がありますか。
#16
○政府委員(石原幹市郎君) この問題は、日本の業界においても非常な大きな問題としましていろいろ論議されているところでありますが、米国内におきましても相当いろいろ議論されているところでありまして、先方の罐詰業者或いは輸出業者等の中にはこの法案の通過阻止の運動を行なつているものもあるようであります。又御案内と思いますが、先方の政府当局におきましても、あの原案そのものに対しましては若干の異論があるようでございます。日本といたしましても業界から一月二十七日代表団が渡米いたしまして、日本のまぐろ業界についての実情をよく説明いたしまして、米国朝野の理解を深めるように努力しております。それから政府といたしましても、常時関係方面と連絡をとりまして、日本のまぐろ業に関しますいろいろ必要な資料を提供しますと共に、又日本の通商政策の見地から、国際収支の均衡を達成しようと努力しておりますこと、及び我が国の貿易措置上、特にこのドル獲得が必要でありまして、まぐろ産業がこれに十分貢献しております次第を屡時説明いたしまして、米国の理解ある措置を要望しているところでございます。使節団の努力並びに政府の只今申上げましたような措置によりまして、日米両国産業の共存共栄の立場から満足すべき結果に到達せしめるべく極力努力中であるということを申上げておきます。
#17
○團伊能君 只今のまぐろ問題につきまして、もう少し政府のお考えをお伺いしたいと思います。米国の今度のまぐろ関税問題につきましては、米国で非常に重大な問題になつておりますけれども、実際は東部は余り関係がなく、専らカリフオルニアの業者の利害問題が中心となつておりまして、別に、私ども観察して、これがアメリカの朝野の国論として大問題になつておるわけではないと考えまするので、又このまぐろ自身は日本の食糧問題と関係ない、日本ではこれを食糧としない。フイリピン近海その他でとれるまぐろの問題でございますので、これはもう少し政府におかれて手を打たれたならば、十分穏かに解決する途があるように私は観察いたしますが、その辺、政府のお考えを伺いたいと思います。
#18
○政府委員(石原幹市郎君) 先ほど御説明申上げましたように業界から代表が参つておりまするし、それから政府においても常時いろいろな資料等を出しまして、日本の実情、殊にこのまぐろ産業が今後の日本のドル獲得の上においても非常に重要な一つの問題である。日本の経済再建と言いますか、貿易再開に対して一つの大きな重点をなすものであるということを十分先方にもあらゆる機会を利用いたしまして説明しておるところでございます。只今團委員からいろいろ御注意があつたのでありますが、更に一層留意いたしまして折衝を続けて参りたい、かように思う次第であります。
#19
○委員長(有馬英二君) ほかに御発言はございませんか。……本件は如何取計らいましようか。本件は、これを採択し、議院の会議に附し、内閣に送付すべきものと決定することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#20
○委員長(有馬英二君) 御異議ないものと認めます。
  ―――――――――――――
#21
○委員長(有馬英二君) 次の陳情を……。
#22
○專門員(坂西志保君) 陳情第百三十五号、奄美大島の日本復帰に関する陳情、陳情者は奄美都島知事中江実孝氏外一名でございます。奄美大島は、日本が侵略又は征服によつて獲得したものでなく、有史前から民族的にも歴史的にも日本の純然たる領土として数千年来日本国民と運命を共にして来た最古の島であるから、当然日本に復帰すべきものである。若し不幸にして復帰が遅延し、或いは噂のごとく信託統治に関する問題が米国より提案され何らかの取決めがせられる際には、現地住民の代表を参加せしめられ、その総意を存分に披瀝する機会を与えられたいとの陳情でございます。
#23
○委員長(有馬英二君) 政府から御説明はありませんか。
#24
○政府委員(石原幹市郎君) この領土の問題につきましては、日本国民の正しい意見や、熱烈なる要望を機会あるごとに米国側にも伝えまして、又政府の資料も豊富に提供して好意ある取計らいを要請して参りましたことは、御案内の通りであります。まあその結果と申しまするか、これらの地域の主権が日本に残されることになりましたことは、連合国が可能な範囲において日本国民の要望に応えたものと思うのであります。それから主権が日本に残るということになつておりまする以上、只今陳情でいろいろ御要望になりました問題につきましてはまた将来とも望みがある次第でありまするから、国際情勢が許すようになりましたならば、これら地域全体の問題として解決するよう尽力する所存でございます。又その間におきまする外地との人的、経済的交流交通等の問題につきましては現在も極力努力しつつあるところでありまして、若干の問題につきましては解決を見つつある問題もあるのでございまして、今後とも善処する所存であるということを申上げておきたいと思います。
#25
○委員長(有馬英二君) これは前にも同一問題がありまして採択いたしたのであります。今度も同様にこれを採択いたしまして、議院の会議に付し、内閣に送付すべきものと決定することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#26
○委員長(有馬英二君) それでは御異議ないものと認めます。
  ―――――――――――――
#27
○委員長(有馬英二君) 次の陳情を……。
#28
○專門員(坂西志保君) 次に陳情第二百十九号、漁船の不法だ捕防止に関する陳情であります。陳情者は東京都千代田区丸ノ内三ノ一四日本商工会議所会頭藤山愛一郎氏であります。最近一ヵ年間に不法拿捕された漁船は百八隻に達しなお激増の傾向にあつて、拿捕防止委員会の活動では如何ともできない実情にありまするが、講和条約、日米安全保障条約も締結された今日、米軍の協力若しくは日本巡視船の武装によつて漁場の安全を図り、不法拿捕による損害の国家補償制度を確立し、又現在抑留船員並びに拿捕船の速かな帰還又は返還を交渉し、マツカーサー・ライン制限の撤廃を行うと共に、関係国との間に漁業協定の締結促進の処置をとられたいとの陳情でございます。
#29
○委員長(有馬英二君) 政府委員の説明を願います。
#30
○政府委員(石原幹市郎君) 只今の陳情の中には他の省の所管になつておる問題も多々あるのでありまするが、外務当局といたしましては拿捕しておりまする相手国に対しましては可能な範囲におきまして相手国と折衝いたしまして、返還なり解除の処置をお願いをしておる次第でございます。これは今後ともかような点につきましては更に一段と努力をいたしまして適当なる、適切なる処置を講じて参りたいと、かように考えております。
#31
○團伊能君 この拿捕問題の陳情に関しまして二、三政府御当局に伺いたいと思います。殊に岡崎国務大臣も御出席になりましたので、その点につきましてお考えを伺いたいと思います。この拿捕問題は、昨年来参議院の外務委員会におきましてたびたび調査もいたし、出張もいたし、長崎県、山口県、福岡県等の実情も聞き、又拿捕されたところの船員を国会に証人として喚んで、いろいろな事情も調査いたし、そして政府において善処せられたいとの、国会からの要望を再三十しましたところの問題でございます。然るにこの拿捕問題は只今の陳情にもございましたが、なお昨年のみならず今年に至つてもますます盛んでございまして、今年の一月二日に一隻、十三日に四隻、集団的に拿捕されております例もございます。何ら昨年来この状態が改善されていない実情でございます。なおこれは従来、大韓民国、北鮮、或いは台湾等の周辺の諸国を含んでおりましたが、最近は専ら中共によつて拿捕されるものでございます。韓国その他からは大分船も返還して頂きましたが、只今非常に不安な状態がなお続いております。実はそれにつきまして参議院の外務委員会は非常に努力をいたしまして、そのために政府当局に善処を願い、漸く昨年におきまして拿捕された船に日本の保險会社が保險金を払うということだけが漸く成立いたしましたようなわけで、その他におけるこの保護の方法は何らの進歩、或いは方法が実行されておりません。なお最近は非常に拿捕の方法が複雑になりまして、専ら飛行機が漁場を偵察して、そうして直ちに武装した戦艦が現われまして拿捕して行くというような状態であります。これに関しまして只今この陳情にもございましたように、講和条約乃至は安全保障条約等の問題が只今非常に大きな外交問題とはなつておりまするが、その原則的な方面につきましては種々な議論もございますが、今日この日本の国民生活の安全という上から最もこれは具体的な問題でございまして、一日も早く実際問題の解決に当つて頂きたいという希望は漁業関係者のみならず、これに連関する漁港地帯或いは沿岸各県の非常に強い要望でございます。然るに今日まで何らその実行方法が実際に現われておりません。そこでこのたびの行政協定はこういう微細な考えはないというお考えかも知れませんが、実際国民生活としては只今直面いたしておりまする問題として最も実際的な問題でございますので、これに対して、政府は今日までの、何と申しますか、成行きというような形でなく、はつきりした政策なり、或いは方法をここで御設定願いたいと思います。勿論これは行政協定の原則の中に当然含む問題で、而も今日すでに実行されなければならない問題でございますので、その点におきましてこういう公海における日本漁船の拿捕に対する保護の根本的な国際法的観念と同時に、この実際の方法につきまして、外務省におきましてお考えがあるならば伺わして頂きたいと思います。
#32
○国務大臣(岡崎勝男君) 今團委員からいろいろお話がありまして、誠に御尤もな点はかりだと思います。これにつきましては農林省ともいろいろ協議をいたしております。又運輸省とも……運輸省というのは海上保安庁の関係ですが、いろいろ実際の処置を研究しております。ただ行政協定と申しますのは、御承知のように安全保障条約第三条に基いて将来国内に駐屯もするアメリカ軍隊の配備をきめる協定でありまするから、それ以外のことは……安全保障条約を国会で承認せられて、その結果まあ委任条項みたいになつて行政協定を作りますが、それ以上のことに出ることは政府としては法律上もできないと考えております。従つてこれは別個の問題になるのでありますが、その別個の問題としてはまだここで具体的にこうしろ、ああしろというところまで行つておりませんが、できるだけ早く独立達成の後には直ちに措置がとれるように今研究中であります。
#33
○團伊能君 只今岡崎国務大臣から、御説明を伺いましたが、その御説明によりますと、この講和条約が成立いたしますまでの間における海上の保安につきましては、只今のところ何もこれはなすべき方法がないというお考えでございますか。
#34
○国務大臣(岡崎勝男君) これは非常にむずかしいのでありまして、第一には、我々のほうの船が足りないということがある、この船の補充を今急速に計画しておるような次第であります。
 第二に、海の中に線が引いてあるわけではありませんので、一体マツカーサー・ラインを越えたのか越えないのか、この判定も非常にむずかしいのであります。こちら側でばかり獲つておるものですから、勢い魚が少くなるというようなこともあつて、つい越える場合もありましようし、又越えないのを捕まえられてしまう場合もあると思います。併しこれには今のところアメリカの船が保護に当つてくれるか、然らずんば海上保安庁の船が保護に当る以外に方法がないと思いますが、その点では只今のところ十分なる船が海上保安庁にあるとは考えられないので、これを拡充すべくいろいろ計画を
 いたしております。急速にと言つても時間のかかることであります。これは乗組員の訓練も要りますが、併し計画は着々として進んでおりますから、そのうちにだんだん具体的になるだろうと、こう考えております。併しながら今までのところは、講和条約発効までは今まで以上に非常に有効な方法がとれようとは、ちよつと実は正直なところ考えられないのであります。
#35
○團伊能君 只今の御説明に付加えまして、ちよつと私伺いたいたいのは、現に中共に拿捕されまして上海に参りました漁夫の説明を、国会におきまして調査いたしましたときも、これはマツカーサー・ラインの問題とは別に関係がなく、そして中共官憲が漁夫に申したところの一例は、支那海は中国の海である、日本には日本海があるから、日本は日本海で漁業をしたらいいではないかという相当めちやな観念を随分説かれて来たような例もございますが、事実これはマツカーサー・ラインの内側においても頻々と起つておる問題でございます。なお漁業組合といたしまして非常に苦しんだ結果、インドのネール民を通して中共にこの問題につきまして一つアツピールを出して見ましたが、その返事も一切参りませんでした。外務省におかれまして、国連なり或いは国際裁判所に、何らかの一方法におきまして、これは世界的にこの問題の解決を訴えるという方法をおとりになりましたことがありましたかどうか、お伺いいたします。
#36
○国務大臣(岡崎勝男君) そういう方法はまだとつておりません。
#37
○委員長(有馬英二君) 漁船の拿捕並びに拿捕された漁船の返還につきましては、只今團委員から御発言になりました通り、頗る重大なる問題であると考えられまするが故に政府当局におかれましては、今後ともこの点について十分有効なる処置をおとりになられんことを私から一言申上げておきます。
 この陳情は、これを採択いたしまして、本会議にかけ、内閣に送付すべきものと決定することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#38
○委員長(有馬英二君) 御異議ないものと認めます。
#39
○兼岩傳一君 別に皆さんの御決定に異議はありませんが、この問題は中国政府或いは台湾の承認というような問題にも関係しておりますし、それで不法と言われますけれども、一体不法とは何であるか、現に今岡崎国務大臣がマツカーサー・ラインを越えたり越えなかつたりしておるというふうな、而もその説明が非常にあいまいである。それからそのマツカーサー・ラインが問題なのか、東支那海、日本海というような境界が問題なのか、若しその境界が問題であるとするならば、一体その境界が正当であるということは何によつて証明するか、一方的に日本が不法と認めて、それでいいのか。それからネール氏を介して云々という、そういうふうな問題があり、これは非常に複雑な問題だから、私はこの陳情を今委員長の提案のように処理されることには特に異議は申立てませんが、この問題はもう少し慎重に、詳細に私は拝聴したいと思います。特に今岡崎国務大臣が海上保安庁の拡充については着着準備している。こういうふうな発言もあり、私はこの問題については今日の委員会とは言いませんけれども、近い委員会において科学的な根拠に基いて詳細な説明を承わり、私はこの委員会において審議される、そこでいろいろ承わりたいことがあるということだけを申上げておきたい。
  ―――――――――――――
#40
○委員長(有馬英二君) 次に国際情勢等に関する調査を議題といたします。
 本日は賠償問題、日米加漁業条約、いわゆる李承晩ラインの問題につきまして検討をいたしたいと存じます。なお一言申上げておきますが、大分時間が遅れましたので、多数御質問がある場合には到底今日一日で終了しないかということを恐れるのであります。時間は委員一名大体十分くらいにお願いをいたしたいと思うのでありますが、如何でございましようか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#41
○兼岩傳一君 何のためにこういう重要な問題を、そういう簡略な扱いをされるのですか。例えばこの国会は通常国会で、まだこれからたくさんの期日もあり、この外務委員会は実際に外務問題が、外交問題が国民の死活の問題でありながら、碌に開催もされていない。開店休業の状態である。たまたま開店すれば時間が遅いから十分である。そういう議事の運営方法は誰がきめたのですか。
#42
○委員長(有馬英二君) 今日は開会が十時からになつておつたのでありますが、委員のかたで大分遅く御出席になつたかたがありましたので、始めたのが大変遅くなりまして、甚だ予定よりも遅れたのであります。これから多分一時間或いは一時間半かかりましても、八名のかたが皆、或いは七名のかたが質問されるといたしますと、到底それが満足に行かんと存じておるのであります。若しどうしても時間が足りませんときには、次回に継続いたして一向差支えないのでありますが、取りあえず本日は御一名十分くらいにして頂きたいと私は考えるのであります。
#43
○兼岩傳一君 そういうやり方もあるでしようけれども、やはり私は外務委員会の運営の全体のプランを立てて、そうしてそういうふうに今日は時間がないから十分ずつにする、そういう態度でなく、一体この国会においてどういう問題をどういうふうに取上げて行くか、そのためにどういう日程を組み、そのためにはどういう方法によつて審議を進めるか。そうして国民の前に全貌を明らかにするかというように、もつと本質的な態度で外務委員会の運営を望みます。従つて今日一回だけ十分というようなことに強いて反対はいたしませんが、そういうやり方に根本的に私は反対いたします。つまり理事も選出されましたし、我々もそれに参加いたしますから、全体として速かに運営の方針をきめられて、午後にやつたつてよろしい、明日続けたつてよろしい、時間は十分にあるのですから……。そういう運営の方法に対して私は反対いたしたいと思います。委員長如何ですか、そういうふうに運営して頂けませんか。
#44
○委員長(有馬英二君) 只今兼岩委員のお説でありますが、御尤もでありますけれども、本日の運営につきましては、先般委員長並びに理事の会合をいたしまして、本日こういう工合に運営するということをきめたのであります。今後の運営につきましては、重ねまして委員長並びに理事の会合をいたしまして、十分検討をして慎重に運営をしたいと存じます。さよう御承知を願います。
#45
○兼岩傳一君 そうすると、そういうふうにやられると漁業の問題と賠償問題は各自十分ずつの討議で終るというのですか。今日の質疑については機会均等に十分ずつの発言にしようという意味ですか。
#46
○委員長(有馬英二君) 大体終るかと存ずるのでありますが、終らなければ次回に延長いたして一向差支えないと思います。
#47
○兼岩傳一君 それは終らないことは明瞭だと思います。十分ずつに限定するのですから……。終るかも知れぬ、終らないかも知れぬ、併し限定しているということで終らないということは明瞭です。
#48
○委員長(有馬英二君) 取りあえず賠償問題から入ります。賠償問題につきまして政府当局の説明を願います。外務省アジア局長倭島英二君。
#49
○兼岩傳一君 委員長、議事進行について……。今日の委員会はですね、法律案の審議についてやられるのですか、どうもわかりにくいですね。何をどういう調査審議をして、どういう成果を収めるために、どういうことを議題にして……、今日の招集の真意がわからぬですね。(「同感」と呼ぶ者あり)ねえ、ちつともわからぬですね。
#50
○委員長(有馬英二君) 只今政府委員から説明があります。(「まあ聞いて見ましよう」と呼ぶ者あり)
#51
○政府委員(倭島英二君) 今日まで現在の賠償問題の状況の極く概要を申上げます。
 御承知の通り賠償問題は、昨年のサンフランシスコにおける平和条約の十四条に基きまして規定せられておる賠償関係の問題でございますが、特にこの賠償問題につきましてはインドネシアとフィリピンの二国から、できるだけ早く日本と平和条約に基く賠償問題の協議をし、更に問題を協定したいという意向の表明がありましたので、御承知の通りインドネシアからは昨年十二月から本年の一月にかけまして賠償使節団が東京に参りました。その際に数回に亘り正式の会談並びに非公式の会談がしばしば行われたのでありますが、その結果一月の三十一日に双方の政府から発表いたしましたような賠償に関する中間協定案が協定されたわけであります。この賠償中間協定案は、平和条約の発効後速かに双方の政府が調印をするということを双方の政府に勧告をするという建前の了解でございまして、まだ中間協定は案の程度でございまして、協定そのものにはなつておりません。併しながら成るべぐ早くインドネシアとしてもこの賠償問題についての一つの見通しを立てたい、その見通しを立てることが、インドネシアにおけるところの平和条約の批准と密接なる関係を持つているから、成るべく早く見通しを立てたいという強い要望がありまして、日本政府といたしましても平和条約の批准の問題に強い関心を持つております関係上、インドネシアといろいろ話をしまして、先般発表のような了解に達したわけであります。インドネシアとの賠償に関する中間協定案の内容は、戦争損害そのものについては現在まず双方において合意に達するわけに行きませんで、従つてその問題は将来又討議をする。それから賠償総額ということにつきましても、ほかの賠償を請求する国の要求額がはつきりしない以前においては、日本としてはこれに幾ら賠償をするかという総額は協定し得ないということをインドネシアのほうも了承いたしまして、賠償総額と申しますか、賠償の総額の問題はこれ又将来の会議で決定をすることになりまして、先般の会議のときに了解に達しましたことは、賠償とは一体どういうことをやるのかという、そのことについて平和条約に書いてありますものを多少具体的にきめたというのが実際の成果であります。インドネシアのときにきまりましたその賠償の内容は、主だつたものが四つございまして、この協定は勿論平和条約に基くものでありますが、第一は、製造加工に対して日本側が役務を提供するというのが一つ。それから第二は、沈船引揚に対して役務を提供するというのが一つ。それから農業、工業、その他銀行業とか、いろいろな関係に対して技術的な協力をするというのが一つ。それからインドネシアの人を日本で技術的に教育するというのが一つ。大体この四つの大きな種類に亘りまして日本側が将来協定される賠償の総額のうちで、それから日本の経済力の許す範囲において役務を提供する、こういうのが先般の了解の実体でございます。勿論これだけの協定了解ではインドネシア側も満足し得ないということで、大分議論があつたのでありますが、結局現在の状況としては止むを得まいということで、この前の中間協定案になつたわけであります。なおその際に、今年の一応五月頃更に次の会議をインドネシアで開いて、できれば最終的な協定をしたいということになつておりますけれども、それもほかの求償国との交渉状況によつては、更にその時と所の問題は又話合いをしようということになつております。それがインドネシアの賠償関係の大雑把な状況でございます。
 それからなおフイリピン関係でも、インドネシアに次いで速かに日本と交渉を開始したいという希望があり、更にフィリピン政府から、日本側から代表団を派遣しろという要求がございましたので、御存じの通り日本から津島全権が現在マニラに参りまして、フイリピン政府と交渉中であります。フイリピンとの交渉の模様は、これも新聞等で御存じと思いますが、これまで二週間余りも交渉しました結果、まだ妥結に至つておりません。フイリピン側としましては三つの大きな要求を持つておりまして、一つは戦争損害額、即賠償額ということで、八十億ドルを日本側が支払え、第二の点は十年か十五年の間に支払え、それから第三の点は平和条約が発効する以前においても何らか日本側が誠意を示す意味において、中間賠償をやれという、三つの大きな要求を出して参りまして、これに対して勿論我が代表団のほうでは諸般の状況を説明し、インドネシアのときの例等の話を折り衝をしておるわけでありますが、結局又最近、フイリピン側と極く最近問題になつております傾向は、賠償の総額というもの、或いは賠償の支払期間というものは現在きまらないかも知らないが、賠償の全体の八十億のうちのせめて一割、八億ドルに相当する賠償支払について、何らか日本政府はフイリピン側と約束をしろというのが現在のフイリピン側の要求であります。目下その件につきましては日本政府において研究中でございます。
 なおほかの国も、将来条約関係が結ばれますならば、ビルマなどもサンフランシスコ条約の条項に倣いますれば、同様の賠償問題が起るかと思いますが、まだ条約関係が生じておりませんので、まだ問題になつておりません。
 それから仏印三国等においても賠償の問題が起り得るかと思いますが、これもまだ賠償問題は直接に取上げられておりません。その他の国もまだ何ら賠償問題の交渉は問題となつておりません。極く概要を申上げますと、賠償問題は今日はそういうような状況でございます。
#52
○委員長(有馬英二君) 只今の御説明につきまして、或いは賠償問題全般につきまして御質疑はございませんか。
#53
○平林太一君 只今アジア局長から一応の報告を受けたのでありますが、極めて問題が大きい性質であるに比較いたしまして、その報告の甚だ抽象的であり、又不十分であることを甚だ遺憾といたします。それにつきましても、この際私は国務大臣たる、又当委員会の関係大臣たる岡崎君から、実は劈頭におきまして、我が国の目下当面いたしておりまする対外交渉の重大案件に対しまして、私はむしろアジア局長からそのような派生的なことを承わる前に、岡崎君御自身が今日の責任のお立場の上におきまして進んで当委員会に対しまして、我々の求めを待つまでもなく、現下の対外交渉に対しまして、只今は賠償の問題が委員長の議事の運営整理の上と申しますか、取上げられているのでありますが、私はむしろ今日の対外交渉に対しまする政府のとつておりまする全般的な事柄に対しまして、岡崎君より良心的な、自発的な大綱の説明をいたされることを極めて妥当といたします。若しそれ賠償問題が只今狙上に載つておりますから、これ以外のことは別だというのでありますれば、それでよろしいのでありますが、賠償問題に対しまする全体の大綱及び今日までの経過というものを一つ御説明を承わりたいと思います。
#54
○委員長(有馬英二君) 平林委員に申上げますが、只今議題としているのは賠償問題に限定しておつたのでありますが、それにつきまして、それでは国務大臣から何か特に国務大臣自身で説明をされたいと御要望になりますか。或いは外交問題全般に亘りましてはいずれそのうちに又委員会が開かれまして、その時に取上げたいと存じますが、如何いたしますか。
#55
○平林太一君 それは今私が申上げて置きました、賠償問題につきまして……。
#56
○国務大臣(岡崎勝男君) 賠償問題だけにしますとお話が十分通らないかも知れませんが、まあ議題になつておりますから、それに対する政府の考え方を申上げますと、これはサンフランシスコにおける平和条約の第十四条で大筋がきまつているわけであります。従つて日本の国民生活の安定を傷付けない範囲で以てでき得る限り相手国の戦争による被害を何とかしたい、こういうことになりまするから、非常に多くの金額を要求されますとこれに応じられないのは、これは止むを得ないところであります。併しながら政府の根本的の立場としては、單に賠償の要求を値切るということを趣旨といたしているのじやなくして、でき得る限り賠償の交渉を通じても善隣友好の関係をアジアの諸国との間に樹立をいたしたい。従つて例えば賠償に直接関係がなくしても、その相手国の経済の発展に寄与し得るならば、経済援助というようなことでできるだけの協力もいたしたい。又賠償問題自体にしましても、日本側に能力のある場合には誠意を以てこれに応じて、その結果がお互いに争いがあつて、両方とも満足しないというような形にせずして、十分に相互の理解の下に、成るほどこれは無理のないところであるというようなことで、お互いに満足して行くようにいたしたい。こう思つて努力しておるような次第であります。又それに関連して経済援助等の要求がありますれば、これもできるだけ、別の問題でありまするが、応じて相手国の経済の発展に寄与いたしたい。ただこれにつきましてはこちらから余り積極的に出ることはいろいろの関係上慎しまなければならない。というのは、戦争前或いは戦争中に東南アジアの諸国にはいろいろの誤解を招いた、つまり経済侵略と言いますか、何か日本側のほうで無理に出て行つて相手国を植民地的に原料の供給国として、こちらから製品を送る、向うから原料をとるというようなことに、とにかく誤解されがちでありますから、できるだけ注意しまして、相手国の要望のある場合においてこれに誠意を以て協力して行こうと、こういうつもりでおるような次第であります。
#57
○平林太一君 只今御報告を了承いたしたのでありますが、それでまあできるだけ相手国の気持に対して儀礼を尽し、それから我がほうとしては誠意を以てこれに当るというお話でありましたが、誠に妥当のことと思います。併しながら只今現実にフイリピンに対しましては使節を派遣して折衝をいたしておると承知いたしますが、それならば実はそのような我がほうにおいて誠意を以て臨んでおるのでありますから、誠意というものは一方的なものではない、誠意の行われることは相互的なものであり、我誠意を示せば彼又誠意に応え、彼誠意を示せば我又誠意に応えるというのが、我々は誠意というものを形成するところのその目的であると思います。そのような我がほうが誠意をいたして、只今の説明によりますれば、フイリピンと現在当面いたしておるところの事態は非常に遺憾に思う。その誠意を事前に政府はフイリピンの当局によく示し、或いはそれに対して了承せしめておつたならば、恐らく今日当面いたしておるフイリピンのこの八十億ドルというようなものが第一に先方から示されるはずがなかつたと、こういうように私は常識的に思うのでありますが、それが誠意を示しておつたにもかかわらず、更にその効力が現われなくて、当初からフイリピンが八十億ドルというものを示した、そこで今日のような非常にむずかしい事態になりまして、折角の一枚看板にいたしておりまする誠意なるものが全く存在価値を喪失してしまつたというようなことであります。でありまするから、その点につきまして私はこの際伺いたいと思いますることは、会議をフイリピンにおいて現在やつておりますが、事前に、そういう誠意なるものをフイリピン当局に伝えるという処置を政府がいたしたかということをお尋ねいたします。
 それから第二には、先刻、サンフランシスコの条約を基本にいたしてやるのである、又その通りであるはずであります。それでありまするならば、当然条約におきましては、役務賠償、労務賠償、サービス賠償、そういうことに限定いたしておるのでありますが、八十億ドルというような、そういう現金の数字が賠償として出て来たことに対しましては、我がほうといたしましての交渉といたしましては、非常に条約違反であることを今交渉をいたしておるというように考えざるを得ません。それでなくてさえ、この問題はすでにサンフランシスコの会議におきましての全体の性格といたしましては、賠償は日本に対して課すべきものでないというのがこの条約を作成した国連憲章の大精神であります。それでありますから、そういうことは深くこの際、先方にも十分の了解を求めなければならない事柄だと思います。当時イギリスのヤンガー代表が誠に穿つたことを言つておりましたことを思わざるを得ません。何ものかが出て来るであろうという希望の下に、日本に賠償を要求することは、我々を以てするならば短見者流の考えと言わざるを得ない、日本にそのような賠償を要求するということになれば当然日本国民の奮激を買うであろう、そしてこの条約の根本の精神に対して非常に遺憾な点を生ずるであろうということを、すでに我が国でないイギリスが、第三者の立場においてかようなことを、我が国の国情に対して、賠償問題に対する見解を下しておるのであります。でありますから、恐らく私は国民の心中には、今日八十億ドルというようなものを要求されておることに対しましては、胸中ひそかに忿懣おく能わざるものが、全国民の中に私は横溢しておるのじやないかということを思わざるを得ません。無論我がほうも全然この賠償に対して、できるだけ政府の称する誠意を持つて応えようということは国民又ひとしくこれを了承いたしておる次第であります。それでありますから基本はすでにここにあるのでありますが、この八十億ドルというような我が国力、我が国民の力に何としても納得の行かない、腑に落ちない厖大なる数字というものを、今日先方が依然としてこれを示しておるということに対しましては、私は非常に今日の我が国民の感情の上におきましても、折角只今御説明の通り両国の友好をよくして行こうということを、非常に阻害するものであるということを非常に憂えざるを得ないのでありまして、そういう意味を今度参つておりまする津島使節等に政府は訓令等をいたしておりますか、そういうことに対しましてどのような交渉に当つておるかということを一つ伺いたいと思います。
#58
○国務大臣(岡崎勝男君) 日本側でまじめにこういう問題を取上げて、誠意を持つて処理したいという考えは前々から十分先方にも話してあります。併しながらまだ了解するに至らなければ、今後も十分納得するように説明をいたすつもりでおります。津島全権等は先方に行きましてこれ又いろいろ努力して了解を求めておりまして、だんだん日本側の事情もわかつて来たようであります。先ほど倭島局長から申しましたように、八十億ドルというのをこの一割というような話も出ておるようであります。これなどもだんだん彼我の理解が進んで来ておる証拠だろうと思います。併しながらこれはなかなか大きな問題でありまするから、そう短期間のうちに全部片付くとはちよつと予想されないのでありまして、今度津島全権が行きまして相互の理解が非常に深くなつたということになれば、これは非常な一つの収穫である。又更に話合いを別に進めることもあり得ると思いますが、そういう意味で政府としてはいろいろ努力をいたしておるような次第であります。
#59
○平林太一君 時間は御注意を願いたいと思います。只今八億ドルのお話がありましたが、これは八十億ドルに対しましての、つまり数字は先方が譲歩しない。そこでそれはそのままにしておいて、取りあえずその内入れというようなことで、八億ドルのお話を進められておるものかどうか。その八億ドルを今度若し我がほうがそういうことでよろしいということになつた場合に、この八十億ドルを先方は要求しておるということに対しまする関係、そういうものはどういうふうになりますか。
#60
○国務大臣(岡崎勝男君) これは詳細正確なことは津島全権が帰つて来て十分報告を受けてから申上げたいと思いますが、私の感じと言いますか、私の見るところでは、この先方の計算する損害額というものが一つ出て来ることはこれは当然であります。どういう基礎にするにせよ、それからこちら側の支払いの能力ということはこれは別途に考えらるべきものであつて、八十億ドルと言われるのは恐らく先方の計算による損害の額だろうと思います。こちら側がこれのうちのどれだけの支払能力があるかということは、これは又別途の問題でありまして、今度それの一割という一のは恐らく支払い得る能力から勘定して、それくらいを基礎にしてだんだん話を進めて行つたらいいじやないかというふうに想像いたすのでありますが、これは正確じやありませんから、いずれ後ほどお答え申上げます。
#61
○平林太一君 その点につきましては非常に重大な問題でありまして、八億ドルということに、又その次に十億ドル、又次に五億ドルというようなことで大体最高額を示されていない。それから期限も無期限であるというようなことになりまするというと、非常にこれは重大でありますから、これは八億ドルの問題につきましては安易にお考えになりませんで、将来によつて及ぼす事柄を十分に考慮の上に、この問題に当つて頂きたいと思います。それから極く簡單でありますが、これは私は最後に申上げたいことは、非常に対外交渉、いろいろこれからは外務省で一切の行為を行なつて参りまするが、米国側がとられております公開外交を建前といたしましても非常に外交の祕密ということは考えられるのでありまするから、あえてこれを何か大衆的な公開までは要望しませんが、例えば米国においては大統領が相手国と取りきめたことに対しましても、それは上院の三分の二の承認がなければ効力を発生しない、米国国家を拘束する力を持たない。非常に私は外交の面におきまして考えさせられる点がございます。我が外交の方針といたしましては、やはりこういうことは十分に御考慮になられまして、我が外務委員会に対しましては、十分なる公開的なお考えを以ちまして、そうして対外交渉に大いに当られたいということを、この際特に所管大臣としての岡崎君に私から十分に要望して置く次第であります。
#62
○兼岩傳一君 私は賠償問題で一番心配していたことは、条約の締結の当時、これはうまく成功しまい、これは必ずや失敗に終るであろう、日本のためにならないであろう、アジアの平和に寄与しないであろうと危惧しておりましたが、今日倭島局長の報告から直ちに終局的な結論を出すのはいささかまだ時期尚早でありまするが、明らかにインドネシアに対する交渉の経緯、フイリピンに対する交渉の経緯、内容を拝聴いたしましても、これは問題の本質に一つも触れておらない、本質的な問題に対しては解決の糸口にさえも触れていないと考えておるのでありますが、岡崎国務大臣はこういう経過を辿りながら、これからビルマその他に対しても円満な妥結に達する自信をお持ちでしようか。若し持たれるとすれば、それはどういう根拠に基いてこれが本質的な解決に、円満な妥結に到達し得るという見通しを持たれる根拠があるとすれば、どういう点でしようか。
#63
○国務大臣(岡崎勝男君) 我々は先ほど申しましたように、平林委員の申しました通りの基本的な観念を持つて当つておるのであつて、この我々の考えは必ずや相手国に了解されて、円満なる解決に導くものと信じております。
#64
○兼岩傳一君 その基本的な観念、抽象的な国民の生活の安定であるとか、支払能力とかという、そういう抽象的な言葉だけは非常に便利でありますけれども、具体的な構想はどういう構想ですか。全体としての構想は、一度も私はこの条約の審議以来政府から具体的な構想を聞いたことはない。場当り的に一つ一つやつて行くというような考えなのか。全体としての賠償問題に対して、平和条約の十四条の抽象的な規定を具体化して行くところの具体的な内容なり、基準なりは何に基礎を置いて、これから交渉を進めて行かれるのでありますか。
#65
○国務大臣(岡崎勝男君) 平和条約の十四条に基礎を置いてやります。
#66
○兼岩傳一君 だから十四条に基礎を置いてあの抽象的な規定によつて、具体的にはどういうふうに取計らつて行かれるか。例えば各国の戦争損害はおよそどのくらいというところの調査をされておりますか。外務省は、各国に与えた一番本質的な戦争損害は、中国を含めてどういうふうに調査されておりますか、それを御提出願いたいですね。
#67
○国務大臣(岡崎勝男君) これは交渉によつて先方の意見も聞き、そして具体的にそれは調査されるものであります。
#68
○兼岩傳一君 外務省としての調査はどういうふうになつておりますか。
#69
○国務大臣(岡崎勝男君) 外務省としても一応考えておることはありまするが、この際発表することは差控えます。
#70
○兼岩傳一君 なぜですか。
#71
○国務大臣(岡崎勝男君) 正確でないかも知れないからであります。
#72
○兼岩傳一君 どうされるつもりですか、そうした発表はもう少し差控えられるとされて、それをどういう工合に解決して行かれるのでありますか、戦争損害の問題は……。
#73
○国務大臣(岡崎勝男君) 各国と話合いをしてだんだん正確な数字が出て来ると思います。戦争損害なるものはこの際賠償とは関係はありますが、直接の問題ではないのであつて、我々の支払能力が第一の問題となるのであります。
#74
○兼岩傳一君 支払能力は、仮に支払能力と言えば明瞭のようですが、抽象的……、仮に一歩を譲つて相当具体的な支払能力に対しても、各国に対する賠償の方針としてはやはりそこで戦争損害が基準になつて来るのではありませんか。
#75
○国務大臣(岡崎勝男君) 戦争損害が如何ほどあつても、支払能力がなければ支払えないわけであります。
#76
○兼岩傳一君 支払能力は、支払能力のある範囲内においてどういう方針をとられるのですか。支払能力ゼロだというならあなたの議論は正しい、承認できるのであるが、支払能力がある限り支払能力というものは変化する、その国の経済政策、貿易政策でもあれば支払能力というものは変化する。だからこの点は暫らく保留して、あとでの討論として……、支払能力がゼロだというのですか、あなたは。
#77
○国務大臣(岡崎勝男君) ゼロじやないから今交渉をしておるのであります。
#78
○兼岩傳一君 ゼロでなければ、君は戦争損害というものを基準にするかしないか。するとすれば、それに対する調査ができていなければならん。その関係をどうするかというこの質問に対して答える必要がある。
#79
○国務大臣(岡崎勝男君) だから支払能力が我々の考慮の中心であつて、戦争損害は直接ではないと、こう申しております。
#80
○兼岩傳一君 何も答えていないじやありませんか、何を基準にして……、それでは支払能力の限界内において支払うのですか。
#81
○国務大臣(岡崎勝男君) それは平和条約第十四条を御覧下さい。
#82
○兼岩傳一君 何です、失礼な……、そんなものが答弁になるか、我々はですね、条約の字句をあげつらうのでなくて、僕は本質的な批判を持つておるから、こういう質問を出しておるのですよ。言葉の先の遊戯をしておるのでなくして、我々は十四条に立ち帰るのでなくて、十四条を基礎にして、これからだんだん解決して行く場合に、どういう難関に逢着するか、どういう解決の可能性があるか、政府はこれに対して公僕として、威張つた態度で答えるのをやめ給え。公僕であるところの政府が、国民に代つて、どうしてこの大きな戦争の過失を償つて、そうしてアジアにおいて繁栄して行く日本を築いて行くかというところに問題がある。我々はそういう観点から君に質問しておるのだ。それだのに十四条に立ち帰つて……。
#83
○国務大臣(岡崎勝男君) 政府の役人も国会議員もいずれも公僕であります。政府だけが公僕じやない。
#84
○兼岩傳一君 だんだん大臣は昂奮して、公僕に二種類あることを論議しておるが、これは他の委員会でいたしましよう。ともかくも、政府は、僕の質問に対して、十四条に立ち帰るのでなくして、十四条から、これからどういうふうにして日本が進んで行くかという態度に立ち直つて答弁し給え。
#85
○国務大臣(岡崎勝男君) だからさつき倭島局長から言つたじやありませんか。例えば、沈船の引揚がある、例えばプロセツシングがある。我々こちらから銀行とか農林とかいろいろな方面に技術者を出す。向うのほうから希望があれば、向うの技術者をこちらで養成する。これらはすべて具体的な話合いです。
#86
○兼岩傳一君 そういう枝葉末節に入つたことを聞くのでなく、戦争損害の額と日本の支払能力との関係をどう調節して行くかということを聞いておるのだ。
#87
○国務大臣(岡崎勝男君) だからそれは支払能力が問題であると、こう申しております。
#88
○兼岩傳一君 そういう詭弁を以てちよろまかすことはやめてもらいたいと思うのだ。相手国は多数なんですよ、戦争をして日本が荒らしまくつた国々は。まだ中国の問題は、今僕は全然問題にしていない。一応中国は除外して君に質問して、然る後に、中国の問題に及んで行こうと考えて、先ずその基礎的な問題を聞いておるのだ。だから支払能力があるから十四条に帰る、或いは支払能力があるから沈船を引揚げるのだという、そういう頓馬な答弁をしないで、支払能力がある、これは変化しておるのですが、この問題にも触れなければいかんと思うが、変化して行くのだ。日本の支払能力にしてもこういう政策であれば、日本も貧乏になつて支払えなくなつて来る。他の政策を以てすれば繁栄し、支払能力をだんだん持つて来る。これは変化するものだ。それからアメリカ、イギリスにばかり、原爆の損害から何もかも、補償し、援助資金の支払もどんどんして行く、高い物を買つて、そういう支払で、そうしたやり方だけで、アジアの国々に対する賠償という問題を、米英その他に一方的に日本の国民の作る価値を流してしまつて、そうしてアジアの方面をおろそかにしておるという、政府はそういう政策に進んでおるようであるが、私はそういうふうにずつと問題を闡明して行くために、第一の前提として、政府はこの支払能力に応じて各国に賠償を払う。フイリピン、ビルマ、インドネシア等々に払うための賠償の協定をこれから進めて行く場合に、戦争損害とのギヤツプをどういうふうにするか。戦争損害というものは問題ないのか。幾ら荒らしまくつても、それに対しては何らの反省も償いも考えないというのか。それともそういうことをどういう基準に置くか。基準に置くとすればどういうふうな基準に置いて行くか。その点を明確にして頂きたい。
#89
○国務大臣(岡崎勝男君) さつきからたびたび申しておるように、日本の支払能力によつて賠償の額といいますか、すべての問題はきまるのであります。そしてその賠償の全体は一国、二国とではない、話合いをする国すべてのものを総合して日本の支払能力を勘案してきめるものであるからまだきまりません。
#90
○兼岩傳一君 私が丁度聞こうと思つたところへ到達したのです。第一にあなたの言われる通り、そんなものは個別的に十四条を真向に振りかざしてみたつて、相手が相手にしないからなかなか成功しない。やはり全部の日本の侵略戦争によつて被害を受けた国々の国民の、損害関係国全部が寄り、且つ五大国全部がそれに寄つて、そうして価格を定めるのでなければ、これは到底いい結論に落着くことは、日本国民にとつても、或いは先方の、例えばフイリピン、インドネシアにとつても納得するような結論に落着くまいと、その点心配しておる。その点を今聞いておるのでありますが、アジア局長の報告ではまさにそれについて、何ら両方について本質的な解決については、私は非常に望みが薄いということに、私はこれを了承しておるのですが、その点はそれでは大臣は、これから関係国全部を集めて、そうして今私の言つたような形でやるのですか。やはり一国一国を相手にして行くのですか。若し一国々々を相手にして行くとすれば、戦争損害というものはどうされるのですか。考えないのですか。それは目安にならないのですか、なるかならないか、はつきり言つて下さい。
#91
○国務大臣(岡崎勝男君) あなたは、私の言うことを非常に誤解されておりますが、五大国なんという言葉を一言も私は言つたことはありません。なお、倭島局長が先ほど報告したように、例えばインドネシアと話をしても、ほかの国との話もあるから、額はきめられないと、こう申しただけでありまして、やり方は各国とおのおの個別的にやつて行くのであります。
#92
○兼岩傳一君 額をきめないで、ずつと各国と下折衝しておいて、下折衝したものを全部又総計して、問題の本格的な解決へ行くという意味ですか。
#93
○国務大臣(岡崎勝男君) 日本の国民生活を勘案すれば当然そうなります。
#94
○兼岩傳一君 それでは一つお手並みを拝見することにして、今後この委員会へ御報告願うことにして、且つ戦争損害に対する調査の数字を一つ出してもらうことを要求して、次に台湾政府と最近我々の意外とするような方向をとつておられるようだが、そのことと関連して、中国の賠償はどうされるのですか、捨てておくのですか。
#95
○国務大臣(岡崎勝男君) 台湾政府と申されたのは多分国民政府のことだと思いますが、これとは別に意外なことをやつておるわけじやありません。従来の方針通りのことをやつております、中国全体に対しましては、まだ条約の関係ができておらないので、賠償等の話合いはその段階に至つておりません。
#96
○兼岩傳一君 日本は台湾に対しても戦争損害を与えています、現実に。併しこれは軽微であつて、永年に亘つて中国に甚大な戦争の損害を与えておるが、そのことはてんで考えない。そして台湾国政府と、台湾国政府ですよ、台湾国亡命政府ですよ、没落の一歩前にいるところの政府ですよ、そういうものと……我々は意外に感じますよ。何ら国会は相談を受けないし、国民も相談を受けないで、あなたがた祕密裡にダレス氏その他の勧告に基いて、あなたがたは驚くべき行動をとつておられる。我々非常に驚いておりますよ。そのことについては、近い将来に又論議のテーマが与えられると思いますが、賠償という問題について、中国については全然考えない。今後も考えない。共産主義の理由で以てこれは考えない、捨てて顧みない。頬被りして行くのだ、こういう意味ですね。
#97
○国務大臣(岡崎勝男君) 中国全体とはまだ賠償を討議する段階に至つておらないと、こう申すのであります。
#98
○兼岩傳一君 いつ参りますか。それはどういう方法によつてそれを持ち来たすところの誠意を政府は持つのですか。
#99
○国務大臣(岡崎勝男君) 中国を代表する政府が講和条約、サンフランシスコの講和条約に参加したときはそうなります。
#100
○委員長(有馬英二君) 兼岩委員に申上げますけれども、もうあなたの御質問は十五分になんなんとしておりますから、もうあとそれじや簡單に一つ……。
#101
○兼岩傳一君 議事進行について……。やめてもいいです。僕はこんな大きい問題を、非常に憂慮しておる賠償問題、サンフランシスコにおける平和条約十四条を基礎にしてこれを展開して行けば、我々が予見した通りの困難に次ぎ次ぎと行き当つて行く。答弁するのに十四条に行くと坊主がお経を頼りにするような答弁しかできなくなつて来るのです。これは事実がこれからおいおい証明して行くからよろしい。僕は賠償問題については、結局講和条約の本質から出て来る、もろもろの現象がそれから出て来るわけです。問題の本質は条約にあるのです、だから十分これは……。いろいろな角度から討議の機会はありましようが、委員長に議事進行について伺いますが、賠償問題はこれで終りですか。
#102
○委員長(有馬英二君) 本日は賠償問題の全般の概況を聞いておるのですから、更に日を改めまして、又詳細に賠償問題について政府からいろいろのことについて伺う機会があると思います。
#103
○兼岩傳一君 それじや私はもう結構です。
#104
○委員長(有馬英二君) それでは賠償問題につきまして、なお御質疑がございましようか。
#105
○團伊能君 極めて簡單にアジア局長に一つお伺いいたします。只今すでに講和条約にもございますように、技術賠償、その中にやや具体的な形としては、沈船引揚の文字が条約に出ております。ここでインドネシアと御交渉になつた過程におきまして、この技術、加工或いは沈船引揚の実質的な賃金負担の点はどういうお話合いになつておりますか。
#106
○政府委員(倭島英二君) 経費の負担の点だと存じますが、経費の負担の点は、先般のインドネシアとの協定におきましては、役務は日本政府の負担において提供するという書き方になつております。従つて役務に関する限りは日本側が提供する、但し御存じの通りの括りが入つておりまして、外貨の負担は日本政府にかけないということになつております。従つて外貨の関係は、まあそこで起つて来ないという建前になつております。
#107
○團伊能君 只今のをもう少し具体的に伺いますと、沈船の引揚という仕事を一つするにつきまして、日本からサルベージの船を送る、これに乗つておる労務者その他には日本政府が支払う。なおこのサルベージの船を出す船の費用一切は日本から出し、そうして船を引揚げて向うに渡す、これは余り外貨に関係がないと思いますが、全費用を日本政府が負担するわけでありますか。
#108
○政府委員(倭島英二君) サービスに関する限り全費用を負担することになると思います。その具体的な場合に当りますと、その役務と申しますか、サービスがいろいろ分れて参ると思うのでありますが、先般の了解に達しました協定案においては、具体的な仕事を、例えば或る期間を限り、或いは或る仕事を限り、それからそういう問題についてのサービスの提供方法を具体的にきめることになつております。その際に又具体的な問題で、例えば今の御指摘の沈船引揚というような場合についても、いろいろなサービスを具体的には含むわけでございますが、原則的にはサービスは日本側の負担ということになつております。
#109
○委員長(有馬英二君) 私から倭島局長に伺いますが、先ほどインドネシアとの協定の際に、技術を提供するという話がありましたけれども、もう少し具体的にその方面につきましてお話を伺いますが、如何なる技術を提供するのですか。
#110
○政府委員(倭島英二君) 実はその技術の提供というのは、いろいろな部門があり得ると思います。サンフランシスコの平和条約によりますれば、英語でサービスと言つております。そのサービスというのを、実はサービスという言葉はいろいろな意味に使われますので、それを具体的に各国と協定をしたいということで会談をしたわけでありますが、そのサービスの中で技術、つまりサンフランシスコ会議の書き方においては製造工程におけるサービスの提供、それから沈船引揚におけるサービスの提供、それからその他の仕事におけるサービスの提供、こういうような書き方になつております。それでまあ考え得ますことは、やはり技術を提供するということに落着くのではないかということで、話合いが技術の提供ということにきまり、先ほど申上げましたような大きな四つのくくりができたわけであります。その技術は、先般インドネシアとの交渉のときには、例えば第三番目に先ほど申上げました農業だとか、工業だとか、漁業だとか更に銀行業だとか、こういうような方面において、インドネシアでは従来そういう方面の指導的なところへオランダ人が皆就いておる、これが今度のインドネシアの独立後、とにかく引揚げたり職を失つたりという関係になるので、そのあとの技術を、英語で申しますとテクニカル・エンド・マネジリアル・アシスタンスという字を使つたわけでありますが、技術的、それから何と言いますかマネジリアルというのは事業を経営する方面におけるまあ技術というようなものを含めまして、例えば銀行業というようなものにおきましては、普通の工業等に言います技術とは別の意味の経営技術と申しますか、そういうようなものを提供して欲しいという意味でございまして、技術と申しましても極く広範なものを意味するわけでございます。
#111
○委員長(有馬英二君) 重ねてお伺いいたしますが、その技術の中に医学方面の技術というようなことは入つておりませんか。
#112
○政府委員(倭島英二君) 先般会談を行いましたときに、医術のほうの関係も話には出ました。それでただ協定の中にはその一々各方面を挙げるのも挙げにくかつたものでありますから、挙げなかつたわけでありますが、将来具体的に技術の提供を協定する際に当然出て来るのではないかと思います。
#113
○委員長(有馬英二君) ほかに御質問ございませんか。
   〔「散会」と呼ぶ者あり〕
#114
○委員長(有馬英二君) それでは賠償問題につきましては、本日はこれくらいにいたしまして、これにて散会いたします。
   午後零時三十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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