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1951/03/06 第13回国会 参議院 参議院会議録情報 第013回国会 外務委員会 第9号
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1951/03/06 第13回国会 参議院

参議院会議録情報 第013回国会 外務委員会 第9号

#1
第013回国会 外務委員会 第9号
昭和二十七年三月六日(木曜日)
   午後一時三十四分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
本日委員小滝彬君辞任につき、その補
欠として徳川頼貞君を議長において指
名した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     有馬 英二君
   理事
           徳川 頼貞君
           野田 俊作君
   委員
           杉原 荒太君
           團  伊能君
           伊達源一郎君
           中山 福藏君
           岡田 宗司君
           金子 洋文君
           大隈 信幸君
           兼岩 傳一君
  政府委員
   賠償政務次官  入交 太藏君
   総理府事務官
   (賠償庁次長心
   得)      河崎 一郎君
   外務政務次官  石原幹市郎君
  事務局側
   常任委員会專門
   員       坂西 志保君
   常任委員会專門
   員      久保田貫一郎君
  説明員
   厚生省薬務局麻
   薬課勤務    齊藤  正君
  参考人
           帆足  計君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○理事の補欠選任の件
○千九百四十六年十二月十一日にレー
 ク・サクセスで署名された議定書に
 よつて改正された麻薬の製造制限及
 び分配取締に関する千九百三十一年
 七月十三日の條約の範囲外の薬品を
 国際統制の下におく議定書への加入
 について承認を求めるの件(内閣送
 付)
○千九百十二年一月二十三日にへーグ
 で、千九百二十五年二月十一日、千
 九百二十五年二月十九日及び千九百
 三十一年七月十三日にジユネーヴ
 で、千九百三十一年十一月二十七日
 にバンコツクで並びに千九百三十六
 年六月二十六日にジユネーヴで締結
 された麻薬に関する協定、條約及び
 議定書を改正する議定書並びに附属
 書への加入について承認を求めるの
 件(内閣提出、衆議院送付)
○国際情勢等に関する件
 (賠償問題に関する件)
 (モスコーにおける国際経済会議出
 席に関する件)
○ポツダム宣言の受諾に伴い発する命
 令に関する件に基く賠償庁関係諸命
 令の措置に関する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○在日朝鮮人の出入国管理令適用除外
 等に関する請願(第七五九号)
○アメリカ駐留軍の国立文教地区内ホ
 テル等利用に関する請願(第八〇八
 号)
○在外同胞救出に関する陳情(第三七
 五号)
○奄美大島および沖繩、小笠原各諸島
 に日本行政行使の陳情(第四〇三
 号)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(有馬英二君) 只今から外務委員会を開会いたします。
 先ず理事の補欠互選の件を議題といたします。先般理事徳川頼貞君が委員を辞任いたしまして、本日又同君は外務委員となられましたが、理事が一名欠員となつたままでございますので、この際理事を互選いたしたいと存じます。
#3
○團伊能君 理事の互選の方法につきましては、成規の手続を省略して委員長の指名に一任するの動議を提出いたします。
#4
○委員長(有馬英二君) 只今の團君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(有馬英二君) 御異議ないものと認めます。それでは徳川頼貞君々指名いたします。
  ―――――――――――――
#6
○委員長(有馬英二君) 次に千九百四十六年十二月十一日にレーク・サクセスで署名された議定書によつて改正された麻薬の製造制限及び分配取締に関する千九百三十一年七月十三日の條約の範囲外の薬品を国際統制の下におく議定書への加入について承認を求めるの件(予備審査)を議題といたします。先ず政府の説明を求めます。
#7
○政府委員(石原幹市郎君) 只今議題となりました千九百四十六年十二月十一日にレーク・サクセスで署名された議定書によつて改正された麻薬の製造制限及び分配取締に関する千九百三十一年七月十三日の條約の範囲外の薬品を国際統制の下におく議定書につきまして提案理由を御説明いたします。
 この議定書は、千九百四十八年十月八日に国連総会で採択され、同年十一月十九日にパリで署名されたものでありまして、その加盟国は、千九百五十一年六月末日現在三十三カ国に上つております。
 元来、麻薬については、主として千九百三十一年の麻薬の製造制限及び分配取締に関する條約(これは、千九百四十六年の議定書により一部改正されましたが、)により、強力な国際的統制及び取締が行われており、我が国も、千九百三十一年の條約などの当事国として、麻薬の統制及び取締に関する国際協力を担当しております。併し、最近の薬理学及び化学の進歩の結果、千九百三十一年の條約では取締ることができない種類の麻薬、特に、アミドン、デイメロールなどのように中毒癖を生じさせることができる合成薬品が製造されるに至りまして、その害毒が、特にアメリカで問題として取上げられるに至りました。この議定書は、この種の麻薬を国際的統制及び取締の下に置くことを目的とするものであります。我が国は、この議定書に加入することにより、これらの麻薬が輸入され、又は国内で製造されて、国内に害毒を流すことから強力に防衛されることとなり、又、麻薬の統制及び取締の分野における国際協力を一段と促進することができることとなるわけであります。なお、我が国は、昨年九月八日サンフランシスコにおいて、この議定書に加入することを宣言しておりますから、これに一日も早く加入することは、わが国の国際信用を高めるゆえんであると考えられます。
 よつてこの議定書への加入について御承認を求める次第であります。右の事情を了察せられ、愼重御審議の上本件につき速かに御承認あらんことを切に希望いたす次第であります。
#8
○委員長(有馬英二君) 御質疑のかたは順次御発言を願います。
#9
○中山福藏君 ちよつと次官にお伺いしておきますが、これは大体この千九百三十一年七月十三日の條約の範囲外の麻薬を製造販売というような問題についての統制を行うということを目標にしておるようでありますが、それ以外の、つまりこの議定書以外の麻薬を統制するという目的のようでありますが、関連してお尋ねしておきたいのは、この議定書以外に新薬ができてその製造、所持、販売というものが国内で行われるというような、いわゆる議定書に掲載されていない麻薬がここで発明されて、そういうものが日本において横行するというような場合においては、これは少しも関心を払つておらないという意味でしようか。又そういうのは国内法で特別に立法して処理するということになるのですか、どういうのですか。ちよつとお伺いしておきます。
#10
○政府委員(石原幹市郎君) 只今のおね尋の件は、厚生大臣が厚生省令で指定いたしまするというとだんだんそれに入つて来ると、こういう形になるわけであります。
#11
○中山福藏君 そうすると、その都度新法をこさえて行く、取締の法規をこさえて行くという意味ですか。
#12
○政府委員(石原幹市郎君) これは厚生省令で一つのこの條約を受けたと言いまするか、こういうものの取締に関する省令があるのでありまして、それにずつといろいろ品目が掲げてあります。そこに追加して行けば当然それに入つて来るわけであります。こういうことになつております。
#13
○委員長(有馬英二君) ほかに御質疑はございませんか、
#14
○兼岩傳一君 坐つたままで次官にお答え願えれば結構なんですが、これは又読めば……これからずつと読んで勉強しますが、これに入りますと、どういう過程で日本国民の健康その他が保護されるのでしよう。簡單に一つ、これの日本国民の保護をされて行く過程を簡單にわかりやすく説明をちよつとして頂きたい。
#15
○政府委員(石原幹市郎君) これは厚生省から專門の技官が説明員として参つておりますから、そのほうから一つ……。
#16
○兼岩傳一君 極くわかりやすく、簡單で結構でございますから一つ……。
#17
○説明員(齊藤正君) 三十一年の條約に規定された麻薬だけを取締つておりますと、今度のこの議定書による……まあ三十一年権規定された麻薬と同等の害毒のあるこういつた合成薬品、中毒者がこういつた合成薬品を自然に使用して行くわけでございます。まあ害毒は、多少三十一年の條約に規定されておりますモルヒネ等よりは、この合成医薬品というのは少いものでございますが、中毒の大体の過程を申上げますと、先ずこういつた合成医薬品に入つてから、それからもつと害毒の多い天然の阿片等から来たモルヒネ等に入る傾向があるわけでございます。それで若しも日本がこれを麻薬として取上げないとしますと、これが結局ほかから一部入つて来る。それで国内ではモルヒネ等を嚴重に取締つておりますので、自然そういつた合成麻薬に中毒者が食いついて行く。従つて相当な中毒者が出て来るということが考えられますのです。
#18
○兼岩傳一君 だからこれに入りますとね、これに加盟いたしますとどういう過程で日本人が保護されますか。それを具体的に説明して頂きたいのです。つまり、どういう過程を経て、どういうふうな方法で、どういうふうにして国民の保護がなされるのですか。
#19
○説明員(齊藤正君) これは先ほどのお話のように、厚生省令麻薬取締法施行規則の第一條でございますね、この第一條は、麻薬取締法第一條第三号の委任によるものでございますが、その一條でこういつたものが麻薬であると厚生大臣が指定をいたしまして、それでモルヒネ等と同一の取締をするわけでございます。
#20
○兼岩傳一君 それは簡單に言えば同市の取締……。
#21
○説明員(齊藤正君) これはまあ製造する場合は……先ず輸入から申上げますが、輸入する場合は、麻薬輸入業者の免許を受けまして、それで輸入の都度厚生大臣の許可を受けて輸入するわけでございます。若しも製造しようとする人は毎四半期ごとに、一月から三月まで、四月から六月まで、こういう四半期ごとに製造の許可を受けまして、それで製造するわけでございます。製造業者は月報を出します。それからいわゆる卸でございます。卸に二種類ございますが、卸はその販売数量又は購入数量その他を月報で報告する義務がございます。それからそれを買つて実際に患者に使用いたしますお医者さん等は、これは診療録に記載して、日報をつけてこれこれ正当の理由で患者に使つたということをはつきりするわけでございます。それで若しもこれを横流しをする、こういつたようなことは、これは月報その他の上から中毒者に流されたかどうか、そういつたことがはつきりするわけでございます。
#22
○兼岩傳一君 もう一つお尋ねしておきます。日本国民はまあそういうふうにして取締つて保護されるとして、これは事実行政協定の審査をして行けばわかると思いますが、何十万という軍人、軍属、家族、御用商人、ずつと行政協定を調べますと、いろいろの人がいろいろの権利で入つて来るのですが、こういう人はどういうことになりますか。そういうことはまだ御研究になりませんか。こういう外国の軍人、軍属、家族、御用商人、関係者等々が非常な特権を持つて入つて来ますね。これと麻薬の関係はどうなりますか。
#23
○政府委員(石原幹市郎君) これは行政協定のたしか十六條でありましたか、先方はやはり日本の法律を尊重することになつておりますので、一応日本の法令を尊重すると思うのでありますが、これを犯した場合は、いわゆる十八條以下の裁判管轄権の問題で移管して取締つて行く、こういうことに相成るかと思つております。
#24
○委員長(有馬英二君) 別に御質問はございませんか。本件は予備審査の案件でございますので、本日はこの程度にとどめます。
  ―――――――――――――
#25
○委員長(有馬英二君) 次に千九百十二年一月二十三日にへーグで、千九百二十五年二月十一日、千九百二十五年二月十九日及び千九百三十一年七月十三日にジユネーヴで、千九百三十一年十一月二十七日にバンコツクで並びに千九百三十六年六月二十六日にジユネーヴで締結された麻薬に関する協定、條約及び議定書を改正する議定書並びに付属書への加入について承認を求めるの件、本件はすでに衆議院を通過いたしましたし、本委員会に付託となつたのであります。先般政府から説明を求めて終了いたしておるのでありまして、本日はこの件につきまして御質疑のおありのかたは御質疑をお願いいたします。それでは別段御質疑がございませんければ、御異議がないものと認めます。それではこれから討論に入るのでありますけれども、都合により少しく後にいたします。
  ―――――――――――――
#26
○委員長(有馬英二君) 只今から賠償関係の問題についてを議題といたします。先ず入交政務次官から賠償関係について御説明を願います。
#27
○政府委員(入交太藏君) 賠償関係はどういつた……。
#28
○委員長(有馬英二君) 現状について。
#29
○政府委員(入交太藏君) 現状ですか。賠償庁におきまして扱つておりまする賠償関係のことにつきましては、いわゆる賠償の指定に相成つておりまする施設並びに機械その他の物資の管理並びにその処理、そうして又今回解除されんとしております旧軍工廠等の問題でありまして、御承知のように極東委員会におきまして賠償を受けることになつておりましたが、その後に至りまして賠償が取立てを中止されるということに相成つたのであります。この賠償施設につきましては、我が国の旧軍工廠関係のものと、民間の所有のものとがあるわけでありまするが、それぞれ賠償指定に相成りましたものは、司令部の命令によりまして管理をしておるわけであります。今回解除になることに相成つておりますので、それは多分この講和條約が発効になりますれば同時にこれが解除されまして、民間の施設、物資に対しましては民間のその所有者に返すことになるわけであります。それから旧軍関係のものにつきましては、これは大蔵省のほうにおきまして管理をいたしておるわけであります。それでこの解除後におきまするこの施設なり物資の使用、或いは払下げ等につきましては、それぞれの所管省、例えば施設、工場等のもの、或いは機械等につきましては通産省におきましてその使途につきまして研究をいたしまして、将来我が国産業の上におきましてこの施設なり物資を有効に使うようにという方針を通産省におきましてきめまして、それによりまして、これまでは司令部の許可を得まして民間で使い、或いは又政府において、国のほうにおきましてこれを或る方面に使用はしておりますけれども、これを将来どういうふうに使うかということにつきましては、只今それぞれ通産省その他におきまして研究をいたしまして決定をすることに相成るわけであります。そういたしまして、これまで指定されております民間並びに旧軍工廠関係におきまするところの工場或いは機械等につきましては、稼働いたしておりますものと、それから休止をいたしてそのまま置いてある分とがあるわけでありまして、大体民間の工場におきまする機械の稼働の状態を概略申しまするというと、総数の四六%というものが現在稼動をいたしております。それから五四%は休止をしてそのまま置いてあるわけであります。それから旧軍関係の旧軍工廠、或いは研究所等におきましては、旧軍関係のものは約三三%が稼働をいたしまして、七七%が休んでおる。それから文部省或いは運輸省関係等におきまする研究所というようなものにつきましては、一三%の稼働で、八七%は休んでいる、こういうような状態であります。いずれもこれは今回の講和條約の発効によりますればそれぞれ賠償は解除になるわけであります。民間のものに対しましては、民間のほうで使うことになります。又旧軍関係のほうにおきましては、今申しましたような大蔵省の下におきまして今後の使途をきめまして、それぞれ解除されましたら使用することになるわけであります。そのような状態でありまして、私どもは一日も早くこの解除が決定いたしまして、そうして今ありまする施設並びに機械その他の物資につきましては、成るべく早く我が国の産業のために役立たせたいと思いまして、賠償庁といたしましては、司令部のほうに対しまして是非早く解除の許可の下りまするように交渉を続けているような次第であります。それから行政協定等の関係もありまして、まだあとはきまつておりませんが、もう講和発効も間近に迫つているわけでありまして、発効後におきましては勿論解除されるわけでありますが、一日も早からんことを願つている次第であります。
 以上のような状態でございます。
#30
○委員長(有馬英二君) 御質疑があるかたは順次御質疑を願います。
#31
○團伊能君 只今の次官の御説明でよくわかりましたが、一、二参考に承わりたいと存じますが、これは民間の賠償指定工場或いは機械でございますが、この指定になりました場合、どういう理由で指定になりましたかよく存じませんが、日本の過剩生産と考えられる工場、これを賠償に指定して、賠償として外国へ出す、賠償物資に当てるというような意見であつたと思いますが、それにつきまして、同一事業をしていた工場で、一つは賠償指定を受け、成るものは受けないというような、甚だどういう理由がわからないことが多少その間にございます。同じ鉄鋼関係におきましても指定されている工場と、指定されていない工場とあります。そこで民間の指定工場の指定されないものとされたものとの間に相当の議論があるように存じますが、その点指定された理由というものをちよつと伺わせて頂けませんでしようか。
#32
○政府委員(河崎一郎君) 只今の御質問でございますが、民間の工場の指定は、これは御承知の通り司令部の一方的の決定によつて従来とつて来たのでありますが、その基準は、従来軍需産業に最も関連のあるものでありますが、只今御指摘のように、過剩生産というような面も勿論先方では考慮して決定になつたわけでございます。只今御指摘の同じ種類の民間工場の間にも多少不公平があるという点でございますが、これは成る程度不公平があることは我々も認めておるにはおるのですが、何分にも指定が一方的の判定でございまして、不公平の是正については我々はその後も交渉いたしまして、一部のものは一応指定になつたあとで指定を取り外してもらつた例もございます。二、三年前にそういうものが一部のものについて行われて、不公平が或る程度是正されたのでございますが、併し何分にも数の多い工場でございまするし、先方の基準判定も必ずしも画一でございませんでした事情もございまして、或る程度の不公平があつたことは止むを得ないのじやないかと存ずる次第であります。
#33
○團伊能君 只今の説明でわかりましたが、次に今日いろいろこの賠償工場の間に流布しております考え方で、必ずしも合法的ではございませんが、こういう考え方について、政府の御説明を承わりたいと思いますが、一つは、賠償工場に指定されたために稼働することができないで産業的に立上れなかつたために、今日立遅れてしまつて相当潰れてしまつた仕事もございますが、そういうものに対する補償をしてくれないかという意見があります。私はこれは合法的であるかないかということを申すのじやございませんが、こういう実情にありますので、この辺のお考えをちよつと承わりたいと思います。それから次は、この賠償指定になつている間保管料をもらつておりまして、これらの機械類が傷まないように相当大きなその保管している場所の修理、手入れ等の費用を政府から頂いていたんであります。この指定が解けますと、その保管料を政府に返せと言つて来るんではないか、或いは一部でも保管料を又政府に返済するというような説が流布されておりますが、この二つの点について御説明願いたいと思います。
#34
○政府委員(河崎一郎君) 只今の御質問の第一の点でございまするが、賠償指定を受けたために不当の損害をこうむつて将来立遅れる状況にあるものも勿論あるわけでございまするが、これらの工場に対しましては、講和発効後何かの形で補償したいということを政府部内でもすでに研究いたしておる次第でございまして、その一つの方法としましては、そういう工場が今後講和発効と同時に稼働しましても、暫らくの間は租税を特に減免して今までの非常に不利な点を補いたいというようなことは具体的に目下考慮されております。
 それから第二の、従来政府から賠償指定工場に支給いたしました管理費の清算の問題でございまするが、管理費は御承知の通り、司令部のほうの嚴重な査定によりまして、必ずしも潤沢には従来は支給されておらなかつた次第であります。従いまして、現在民間管理賠償指定工場のほうから、この管理費の清算をしてもらいたいという希望が政府に対してなされておるのでありますが、管理費の今後の清算、即ち従来の不足の分を今後補うということは、併しながら政府としても目下の財政では殆んど考慮し得ないのではないかと思いまするが、すでに支給した管理費を返すというようなことは今後問題にならないのじやないかと存じます。
#35
○委員長(有馬英二君) ほかに御質疑はございませんか。
  ―――――――――――――
#36
○委員長(有馬英二君) それでは次に、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く賠償庁関係諸命令の措置に関する法律案を議題といたします。質疑をお願いいたします。
#37
○團伊能君 先日この問題は朝鮮関係の財産の接收のことでございましたが、旧総督府の従業員その他財産の処理その他でございますが、その際にその組合の金によつてできました東京及びその他にあります不動産或いは預金等を分配するというお話がありましたが、これらを清算するとふうことは相当困難な事情のように思われますが、これらの方法は完全に行くものでございますか、ちよつと御説明して頂きたい。
#38
○政府委員(河崎一郎君) 只今の御質問に対しまして、この清算は大体関係組合員の従来の掛金とか、従来の勤続年数等のはつきりした基準によつて清算が行われるわけでございまして、只今御心配のような点はないと思います。ただ財産の高に比しまして関係組合員の数が非常に多数ございまするから、こういうふうな基準でやりましても一人当りの分配金は非常に零細な金になると思うのでありまするが、いずれにしましても分配は公平に一定の基準を以て行われる、又現にその清算が進行中でございます。
#39
○團伊能君 今の分配につきまして、すでに組合員のない場合、遺産としてそれがやはり分配されますのでございますか。
#40
○政府委員(河崎一郎君) 朝鮮関係の人で、こちらに引揚げて来ておる関係組合員の住所などを現在調べておりまするが、不明の場合も少くないのでございまして、その点非常に調査に困難を来たしておるわけでありまするが、若しも当該人が死亡又は失踪したような場合にでも遺族その他に公平に分配したいと思つておる次第であります。
#41
○委員長(有馬英二君) ほかに御質問はございませんか。別に御質問がないようでありますから、質疑は盡きたものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#42
○委員長(有馬英二君) 御異議ないものと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。別に御発言もないようでありますが、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#43
○委員長(有馬英二君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。本案全部を議題といたしまして、本案を原案通り可決することに賛成の諸君の御挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#44
○委員長(有馬英二君) 全員賛成と認めます。本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 なお本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條によつて、あらかじめ多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において、本案の内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして御承認願うことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#45
○委員長(有馬英二君) 御異議ないと認めます。それから本院規則第七十二條によりまして、本委員会が議院に提出する報告書には、多数意見者の署名を附することになつておりますから、本案を可決されたかたは順次御署名を願います。
  多数意見者署名
    野田 俊作  大隈 信幸
    金子 洋文  徳川 頼貞
    中山 福藏  伊達源一郎
    團  伊能  岡田 宗司
#46
○委員長(有馬英二君) 御署名漏れはございませんか。……それでは御署名漏れはないものと認めます。
  ―――――――――――――
#47
○委員長(有馬英二君) 次に先ほど申上げましたのでありますが、千九百十二年一月二十三日にへーグで、千九百二十五年二月十一日、千九百二十五年二月十九日及び千九百三十一年七月十三日にジユネーヴで、千九百三十一年十一月二十七日にバンコツクで並びに千九百三十六年六月二十六日にジユネーヴで締結された麻薬に関する協定、條約及び議定書を改正する議定書並びに附属書への加入について承認を求めるの件、先刻これにつきまして御質疑を願つたのでありますが、御質疑が最早なく、それから討論に入るところで中絶いたしましてやらなかつたのでありますが、只今からこの件について御討論を願います。別に御発言もございませんから、御討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#48
○委員長(有馬英二君) 御異議ないものと認めます。それではこれから採決に入ります。本件を承認することに賛成のかたの御挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#49
○委員長(有馬英二君) 全員賛成と認めます。それでは承認することとして、これから順次御署名を願います。
  多数意見者署名
    野田 俊作  大隈 信幸
    兼岩 傳一  金子 洋文
    徳川 頼貞  中山 福藏
    伊達源一郎  團  伊能
    岡田 宗司
  ―――――――――――――
#50
○委員長(有馬英二君) 次に請願二題、陳情二題を議題といたしたいと思いますが……
#51
○岡田宗司君 請願、陳情の問題に入る前に、この前の委員会から引続き問題になつておりましたモスコー行きの旅券に関する問題でございますが、これについて一つここでいろいろと御研究を願いたいと思います。如何でしようか、委員長そういうふうにお取計らい願えませんか。
#52
○委員長(有馬英二君) 本日の公報にある請願、陳情のほうを先にいたしまして、あまたの今の御提案はそのあとにお願いしたいと思います。まだ相当時間がありますから……
#53
○兼岩傳一君 委員長のお取計らいの通りで結構でございますが、実は先般、これは非常に貿易上、或いは新聞の方面から申しましてもいろいろの重要な問題がありますので、政府に対して資料をお願いしておきました。このことはこの陳情、請願の問題よりも先に委員長のほうから御報告願うように、三点ございましたですね、お尋ねした点は。それはどういうようなふうになつておりますか。これは実は非常に緊急な問題でございまして、時間に無制限という問題じやなくして、時間を過ぎると効果を失う問題ですから、この前も急いで岡田委員とともどもお願いして、この委員会の議を経てお願いしておきました資料提出、これは如何になつておりますでしようか。
#54
○委員長(有馬英二君) 私からお答えいたしましよう。今の御請求の資料は、議長のほうに手続をとつておつたのでございますが、まだ政府のほうからは回答がないのであります。
#55
○兼岩傳一君 それは非常に困ることでしてね、次官も来ておられますし、この問題は次官も、衆議院その他においても十分討議されており、新聞その他社会においても大きな問題になつており、そして前の委員会におきまして私と岡崎国務相の間に激しくこの問題を討論して、他の委員のかたがたもお耳に入つておる問題でございますが、こういう期限付の問題をもう三日も四日もたつて、今に至つて……そして問題は極めて簡單にして明瞭なことですし、そして非常に大きな問題です。一つ次官、どういうように御資料をお取りまとめになつておるか聞かして頂きたい。
#56
○政府委員(石原幹市郎君) 参議院のほうからまだ正式な何が届いておりませんので、届きましたならば早速資料を届けます。
#57
○岡田宗司君 馬鹿なことを言われちや困ります。この間次官はここへ御列席になつておいてそれの要求のあつたことを十分御承知のはずなんです。ところがその点について議会のほうから申出がないから云々と言つておるけれども、知らんはずはない。用意しておくのが当然なんだ。それを用意しておかないで、今のような答えをされるのでは甚だ我々は困る。どうか一つそういう人をなめたような馬鹿げた答弁はやめて頂きたい。
#58
○政府委員(石原幹市郎君) いや、そういう意味で申上げたのじやないのでありまして、この前ここで何か参議院規則か何かで議長を経てこれを求めなければならないとか何とか、規則百八十一條か何かによつていろいろなされたようでありまするから、参りましたならば、すぐこれは資料を作りまして提出したいと思つておるのであります。
#59
○岡田宗司君 委員長はどういう手続をおとりになりましたか。
#60
○委員長(有馬英二君) 第百八十一條に「委員会が審査又は調査のため、内閣、官公署その他に対し報告又は記録の提出を求めようとする場合は、議長を経て、これを求めなければならない。」とありますので、即日議長に手続をとつたのであります。
#61
○岡田宗司君 即日議長に手続をとつて、今日まだ向う側に通じてないというのは一体どういうことですか。それは一つ、ここ五分もあればわかることだと思うからお調べ願いたい。
  ―――――――――――――
#62
○委員長(有馬英二君) それではちよつとお待ちを願います。……ちよつと時がありますから先に進んでよろしうございますか。
 それでは請願第七百五十九号、專門員をして朗読いたさせます。
#63
○專門員(坂西志保君) 在日朝鮮人の出入国管理令適用除外等に関する請願でありまして、請願者は、東京都台東区御徒町三ノ六在日朝鮮人商工会内の池来漢外二名でございます。紹介議員は、赤松常子君。日本政府は、昨年十月四日附で出入国管理令を制定し、十一月一日から施行しているが、同政令によれば、大部分の朝鮮人の永住と既得権の維持を困難にしているばかりでなく、貧困者を含めた大部分の朝鮮人を強制退去させることを規定しているわけであります。これは明らかに外国人の基本的人権を無視し、国際法上の国籍選択自由の原則に違反したものでありますから、一九四五年九月二日以前から日本に在留している朝鮮人は、同政令の適用から除外するとともに朝鮮人の国籍は、朝鮮が安全に統一するまで選択の自由を認め、永住権を與えられたいとの請願でございます。
#64
○委員長(有馬英二君) 政府の意見を求めます。
#65
○政府委員(石原幹市郎君) 只今の請願の趣旨でありまするが、これは必ずしも請願書で言われているようなことばかりではないのでありまして、御承知のように只今日韓会談によりまして、この問題、ここに掲げられている問題も大分取上げられまして、いろいろ折衝しているわけであります。ただ国籍の問題につきましては、大体平和條約の解釈上、平和條約発効と同時に、これはこの前もたしかこの委員会でも申上げたかと思いますが、朝鮮人は日本の国籍を離脱して外国人になるという見解をとつておるのでありまして、大体これは今までの一般国際慣例であると思うのであります。そこで今後の終戰前からずつと在日しておりました朝鮮人の処遇であるとか、特に永住許可とか、いろいろ掲げられている問題等につきましては、先ほど申述べましたように、日韓会談によりまして、これからいろいろ取極と申しますか、折衝が行われることになつているのでありますが、国籍の選択を自由にするというような点につきましては、政府といたしましては、只今如何かと思つている次第であります。
#66
○兼岩傳一君 日韓会談は今やつておられるのですか。それからもう一つ、如何かというその辺ちよつとわかりにくかつたのですが……。
#67
○政府委員(石原幹市郎君) 最後の国籍の自由選択を認めるという点につきましては、只今の政府の見解としては如何であろうかというふうに思つている、こう申上げたのであります。それから日韓会談は、御案内の通り、只今いろいろ問題を分けまして分科会等を開いて会談が行われております。
#68
○兼岩傳一君 行われておりますね。それから平和條約は第何條との関連ですか、先ほどの論拠とされた平和條約は……。
#69
○政府委員(石原幹市郎君) 平和條約第二條だと思います。
#70
○兼岩傳一君 それからもう一つお尋ねいたしますが、韓国というのは朝鮮の半分ですね、もう半分の朝鮮の問題というものは……統一された朝鮮ではなく、南のほうの半分だけで話をきめてしまうのですか。
#71
○政府委員(石原幹市郎君) この平和條約第二條におきましては、朝鮮一体としての全部の独立、承認ということを考えておるわけです。
#72
○委員長(有馬英二君) ほかに、御質問はございませんか。ございませんければ如何取計らいましようか。
#73
○團伊能君 これは非常に重要な問題でありまして、又朝鮮人の将来の幸福に非常に関係のある問題でございます。我々といたしまして鋭意朝鮮人の幸福を望んでやまないところであります。只今この国籍の問題は丁度日韓会談の最も重要な問題として取上げられておりまするので、そこにおいて一つの決定的な意見がいずれもたらされることと存じますので、この請願は、この請願のカバーをいたします範囲は相当広いもので不明瞭な点もございますので、今日のところ少し見送つて、先に日韓会談の決定にまつということを考えます。
#74
○岡田宗司君 只今の團委員の御意見でございましたけれども、目下会談が行われておりますので、一方にこういう意見があつて、こういうことを聞いてもらいたいということであります。従つてその内容をここで以て云々するのではなくて、ここで賛成、反対するのではなくて、これは一つ政府のほうでもこういう問題があるということを聞いてもらうという意味でこれをお送り願いたいと思います。
#75
○委員長(有馬英二君) 如何いたしましようか。
#76
○兼岩傳一君 ちよつと、私岡田委員の説明に賛成なんですが、團さんはあれですか、日韓会談の政府の交渉の模様なり、内容等を聞いて、それと睨み合せてこの問題を十分又この委員会で取上げて愼重に審議してやらうというお考えなんですか。それまで保留という御意思なんですか。
#77
○團伊能君 さようでございます。
#78
○委員長(有馬英二君) 只今留保と、採択と両方の御意見が出ておるのでありますが……。
#79
○中山福藏君 私は今團委員の言われたことは最も妥当だと考えます。だから私も留保ということにお願いいたします。
#80
○大隈信幸君 大体採決することは留保して頂いて、もう少し研究させて頂きたいと思います。採択しないというのではなくて今日採択することは……まだ結論まで持つて行つて頂かないようにお願いします。そう思うのです。
#81
○兼岩傳一君 ちよつと関連して。そういうふうに留保されるならば、日韓会談の進行の模様、内容その他を至急中間報告して頂く、その結果、この問題をそれまで留保するようにして、一つ委員長のほうでも御高配願いたいと思います。
#82
○委員長(有馬英二君) いずれこれと同じような問題が、只今石原政務次官からもお話がありましたように、今行われておる日韓会談において解決されるのじやないかと思いますから、暫らくそれではこれは留保することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#83
○委員長(有馬英二君) 留保と決定いたしました。
  ―――――――――――――
#84
○委員長(有馬英二君) 次は請願第八百八号、アメリカ駐留軍の国立文教地区内ホテル等利用に関する請願でありまして、請願者は東京都北多摩郡国立町一橋大学内、中山伊知郎ほか二名であります。紹介議員は高田なほ子君、東京都北多摩郡国立町は、学園都市として設立され、一橋大学、国立管楽大学等の学校が所在する文教地区であるが、最近売春を業とするホテル等の開業が増加し、学園都市として環境が著しく破壞されておるのでありまするから、理想的な学園都市の建設のために、日米行政協定のうちにアメリカ駐留軍の国立文教地区内ホテル使用禁止及び駐留附近には適当の施設を設け、住宅地域の風紀保持を図ること等の條項を加えられるよう善処されたいとの請願であります。
#85
○杉原荒太君 今の請願の趣旨を極く簡潔に一つ御説明願いたい。一口に言うてどういうことですか。
#86
○委員長(有馬英二君) 申上げますが、先週の委員会でこの請願と同じものが陳情として出て採択になりました。
#87
○杉原荒太君 私の今のに対する答弁にはならん。
#88
○專門員(坂西志保君) これは一橋大学や国立音楽大学の附近に、売春のために使うホテルなんかが今建ちかけておりますから、今後そういうことがないように、行政協定の中に一項を加えて頂きたいという請願でございます。
#89
○委員長(有馬英二君) 本件は採択することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#90
○杉原荒太君 今の行政協定中に入れるというのは無理な話ですからして、むしろ実施の問題として善処するという趣旨で私賛成いたします。
  ―――――――――――――
#91
○委員長(有馬英二君) それでは次に陳情第三百七十五号は在外同胞救出に関する陳情でありまして、陳情者は横浜市中区日本大通り神奈川県議会事務局内海外抑留同胞救出国民運動神奈川県本部内、小川康明外一名であります。今なお、敗戰を信ぜず南方諸島の山中に生命を保つている同胞がありますが、これらの者の一名の命も失わないよう救出に対し万全の措置を講ぜられたいとの陳情であります。
#92
○政府委員(石原幹市郎君) これは私から別に申上げるまでもないと思いまするが、総司令部を通じましたり……、フイリピン等におるという話もありまするので、フイリピンの公館を通じ或いは又先般賠償使節団が参りました際にもその意向を伝え、向うの国会議員等にも連絡をとつたりいたしまして、できるだけの処置をとつておるのでありまするが、今後もなおこの処置は続けて参りたいと思つております。
#93
○委員長(有馬英二君) 御質問はございませんか。それでは採択するごとに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  ―――――――――――――
#94
○委員長(有馬英二君) 次に第四百三号の陳情。
#95
○專門員(坂西志保君) 第四百三号、奄美大島及び沖繩、小笠原各諸島に日本行政行使の陳情であります。陳情者は東京都千代田区有楽町二ノ二石川ビル内沖繩諸島日本復帰期成会内、船越義英ほか二十三名であります。奄美大島、沖繩諸島及び小笠原諸島は、固有の日本領土であつて、講和條約にも日本の領土権は放棄されておらず、いつかは日本の行政下に復帰することが約束されているのであります。而して他日日本に完全復帰の際、円転滑達に日本統治が行われる措置を今日から講ずることは大切な時務であり、独立自主権を取戻す日本として、たとえ部分的にもその主権を行使するのが国家的責務であると考えるのでありますから、日本行政をこれら諸島に及ぼす範囲と権限を米国行政当局と取決められ、速かにこれら諸島に対し財政的援助を図られたいとの陳情でございます。
#96
○政府委員(石原幹市郎君) この問題は相手方もあることでありまするので、当方といたしましてもできるだけの努力をし、又留意を払つて行きたいと、そういう気持があるということだけで御了承願います。
#97
○委員長(有馬英二君) 御質疑はございませんか。……如何取計らいましようか。……採択することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#98
○委員長(有馬英二君) それでは採択に決定いたしました。
  ―――――――――――――
#99
○委員長(有馬英二君) それでは先ほどの問題に戻ります。
#100
○岡田宗司君 この間、岡崎国務大臣からもモスコー行旅券の発行の問題についていろいろ御意見を伺つたのですが、本日それを求められておる帆足計君が丁度こちらにおいでになつておりますので、一つ帆足君から今までいろいろ御努力もされておるようであるし、又この問題について或いは行政裁判等を起されるような意向もあるように聞いております。帆足君の側のほうからどういういきさつがあるかということをお伺いすることがやはりこの旅券の問題についての真相を明らかにし、なお今後の旅券の問題についていろいろ紛議が起るであろうということも予想されますので、その際における参考にもなろうか、或いはそういうことによつて又旅券問題についてのいい解決方法も生れるかとも思いますので、一応帆足君から事情をここで聞かして頂くことをお許し願いたいと思います。
#101
○委員長(有馬英二君) 只今岡田委員から御提言のように帆足計君を参考人として呼ぶことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#102
○團伊能君 お話を聞くことは結構と思いますが、これはどういう資格で委員会に御発言願うのですか、ちよつと……。
#103
○岡田宗司君 参考人としてですね、お許し願いたい。
#104
○委員長(有馬英二君) 参考人として呼ぶことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#105
○委員長(有馬英二君) それではさよう取計らいます。帆足計君。
#106
○参考人(帆足計君) 帆足計でございます。貴重な御用件がたくさんおありになりまするところを、外務委員会におきまして皆様、條理と法理に基きまして公正なお立場から御審議なさいます参考に、従来の経過を述べます機会を與えられましたことを厚くお礼申上げます。私も過ぐる年には皆様の後輩、同僚といたしましてこの議席におりました者でございますが、本日力なき一市民として基本的人権について皆様に訴える機会を與えられましたことを心から嬉しく思う次第でございます。
 実は昨年の十一月、パリの国際会議準備委員会から、それまで私は全く何も知らなかつたのでありまするが、モスコーで国際経済会議が開かれるから、数名の学者たちと共に出席しないかという招待状をオスカー・ランゲという有名な学者からもらいました。当時は大して気にもとめませんでしたので、どういう会議であろうかと思いまして、村田さんや石橋さんに御相談をしたようなことでございましたが、その後だんだん会議の性質がわかりまして、一面におきましては多少ソ連の平和工作と関係があるらしい節もあり、他面においては二つの世界に原爆が年産数十発を起えるような苛烈な世の中であり、戰争……そうして平和物資の交流を図らなければならんというような、西ヨーロツパの空気に押されたような気配からしまして、その後愼重に調べておりましたところ、その後詳細な資料がございまして、それにはとにかく議事規則として、党派、制度、イデオロギーに関係なく、平和的経済交流と諸国民の経済交流に寄與するため、諸国から有能な実業家、学者、トレード・ユニオン、その他の代表に来てもらいたいということでありまして、ソ連が主催であると最初私思つておりましたところ、ソ連も参加の一国であるから議事規則に従つて限られた発言しかできないということが詳細に書かれておりまして、特に自由諸国家からは普通の自由人に来てもらう、原則として思想的傾向のある人は余り望んでいないという意味のことを書き添えられておりました。更に資本主義に対する攻撃とか、又は社会主義に対するとかくの論議とかいうことをこの会議はなすべきものではなくて、平和的経済交流について意見の交換をするのが主要目的である。かたがた会議が済みましたらロシアの最近の状況なども見てもらうことも参考になるから、自由に視察団を作つて各地を視察してもらいたいということが書き添えてございました。そこで私どもといたしましては、これは主として経済人の問題であると存じましたので、新聞に出ておりますような実業界の巨頭のかたがたに相談いたしましたところ、それではもつと調査しようということになりまして、特にイギリス、アメリカの動向をよく注意してもらいたいということでありました。その後各国からぼつぼつ主としてまあ学者、それから自由主義的な実業家の出席などがきまりまして……、その後ヨーロツパの、東ヨーロツパと西ヨーロツパとの貿易交流についていろいろな数字を見ました。同時に日本の貿易が非常に物価が上り、殷賑のように見えておりますのに、資料では戰前の僅か五割程度で、やはり業界の実態は非常に不況でございますので、海の国としての日本はやはり国際会議へ出て視野を広める、何事にも一利一害はあろうが、多数の人が出席することがよいのではないかというふうに判断するに至りまして、有志が集つた国際経済懇談会というのができました。新聞に出ておりますように、村田さん、石橋さん、北村さん、それから私どもエキスパートとして出ようというような話になりまして、政府にそれとなしに諮りましたところが、新聞に、政府はこれを好ましく思わないから旅券を発行しないであろうという記事が出ましたので、それでは一体どういうふうに海外旅行のことがなつておるのであろうかということを初めて調べる気になりましたような次第でございます。そこで憲法、世界人権憲章、ユネスコ憲章、旅券法を見ますると、私ども過去において旅行というものは政府の制約を受けるものと思つておりましたところが、調べて見ますると海外の旅行は基本的人権でありまして、好ましからざる人物――テロリスト、密輸出入者(スマツグラー)等――のほかは、善良な市民は為替さえ許されればどこへでも旅行ができるということを、初めて知りましたような次第でございました。そういう方面の認識が、海の国に生れながら殆んど自分自身にもなかつたことに恥じ入つたような次第でございます。そこで外務省に参りまして、どういう條文に従つて、政府が好ましくないと思うからいけないのであるかと聞きましたところが、その條文はどうも明確でないということでございました。たまたまイギリスのイーデン外務大臣がこの会議に対して、英国政府の意見はと問われるなら、余は賛成でなく、その成果を期待し得ないけれども、英国市民が個人として出席することは自由であり、政府の干渉する限りでもないという声明が出ましたので、成るほどこれが大体憲法及び基本的人権の許す範疇の程度であると存じまして、外務省に参りましてこのイーデン外相の言われることは非常に筋が通つておるように思われますが、この会議に対しては賛否両論があり、私ども自身も多少迷うような節もあるようでございますから、政府の意見や調査資料なども頂いて、自粛すべき点は自粛し、スマートに行つて参りたいと思いますが、併し何か旅券法上支障がございますかと聞きましたところが、最初は十三條に好ましからざる人物というのがあるけれども、これが普通の善良な市民に適用されるはずもないので、他に條項がなくて困つておるということでございました。私どものほうとしてはそういうことでお困りになることもないのであるから、是非これは行く人の人柄や方針に政府として問題があるのであるならば、一度礼を盡して懇談するならば、それを考慮するにやぶさかでないような人たちが今日予定に上つておるのであるから、話合いたいと申しましたところが、政府側としましては、理窟はどうであろうとも、行かしたくないと上層部が思つておられるようであるから、旅券は出ないよということでありましたので、更に調べてみましたところが、今日の旅券法におきましては地域の如何という差別を立て、又政治上の見解、主義によつて特定の人を特定の国に行かせないという法規がないということが判明いたしました。ただテロリストとか、追放された人物とか、スマツグラーだけが自由なる旅行を奪われているということを知りました。若し政府の見解によりまして旅行が左右されるということになりますると、非常に保守的な政権ができました場合は、労働組合全国大会に行く代表のごときは禁止せられ、又非常に極左的な政権ができました場合は、国際商業会議の大会などへは資本家が行く必要もあるまいなどと言つて、政権の相違によつて旅行が制限されることになることは成るほど好ましくない。そのためにイギリス、アメリカ、日本、それぞれ民主国家においてはこの程度の自由が與えられておるということを初めて了得いたしました。そこで外務省に対しまして、いよいよイギリス、又アメリカも行くことにきまりまして、アメリカ政府としてはこの会議の成果に何ら期待をおかない、或いはソ連の、苦しまぎれに物資を得たいという運動かも知れないから……、併しそれもバトル法その他があつてソ連の目的は達し得ないであろう、併しアメリカとソ連の間は今日公式にはよい間柄ではないから、私人が行つて多少の合理的調整を図ることはアメリカの国益にむしろ合致するから、行きたい人は行つたらよかろう、旅券の発行は個人に対しては、あえて拒まないということを国務省が発表いたしました。それからその後インド、インドネシア、イタリー、ドイツ、フランス、それぞれ公人でなくして私人の資格を以て殆んど全部出席するようになりまして、そこで念のために宮腰改進党議員と共にシーボルド氏に照会して、日本はまだ占領下にあるからアメリカの占領政策の上から見ても甚だしい障害があるとするならば、我々も参考にいたさねばならんから如何ようにお考えであるかということを問合せましたところ、氏を通して返答が参りまして、そのような政治問題については、今日はとかく言うべきもはや立場でないし、海外旅行ということであれば、国内法規により、公正な手続によつて市民としての権利を主張し、法律通りに処理してもらうことが妥当であろうという意味の答えを頂きましたので、それではもう大体において大きな障害がないと考えまして、約一月半前に交渉を始めたのでございますが、旅券自身は先月の二十五日、約二週間前に申請の手続を完了しました。ところが、外務省の事務官初め東京都の旅券係の事務官のかたがたは、丁寧、懇切、申分のない態度を以ちましてお世話をして下さいまして、全部の手続は完了いたしました。そこで五日ぐらいの猶予を以ちまして、最初一日か二日に定期船が出る予定でございましたので、三月二日か三日と、こういう予定でございましたので、一日までに御回答を頂きたい。予防注射その他もせねばならんからということを申上げましたが、御返答がありませんので、仕方がありませんので、書面を以て申上げました。更に御返答がございませんので、内容証明を以ちまして御催促いたしました。然るに調査中調査中ということで、どこに支障があるか存じませんので、思い余りまして遂に法制意見局に参りまして、長官並びに第一局長に法の解釈についてお尋ね申上げました。すると法制意見局の御意見では、生命の安全度ということだけが問題になつておるが、その安全度によつて旅券を左右する権能は今日の法律において與えられていない。何となれば、そこへ行くことが安全であるかどうかということは、行く個人が自分の生命を大事にし、その妻、母が生命を大事にする、政府が世話をやかなくても危ない所に行く馬鹿者はない。そういうようなことに旅券法はなつていない。ただ一つ旅券をもらつたあとで……家を片附けて、移民などがよその国へ参りますときに、すべてが片附いたあとで突如としてその国に内乱などが起つて、そこへ行けば移民全部が一家心中をするような結果になると同じような場合がある、そのようなことのために著しく且つ客観的に生命にあらゆる危險が来たときに、善意の保護の意味で旅券を戻すことを勧告し、取戻すことはある。そこでこれを拡張解釈することができるならば、次のごとく解釈せねばならん。即ち善意によつて、善意の立場から国民保護のために客観的に著しい生命に明確な危險がある場合、この場合に政府は旅券を拡張解釈すれば取戻す、支給しないこともできるとも解釈し得る。併しこれは政党政略に使うべきでなく、雷一つがなつたから危ないというようなことでなくして、これは善意の保護であるから、政府の旅券返還の要求と、返還を命ぜられる国民の気持との間に理解の一致があれば両方が喧嘩をするようなことは絶対に起らないはずである。若し喧嘩が起るようなことがあれば、どちらかに疚しい意図があると見なければならんから、この法規は人権の保障においては、欠点のない法規であろうと思うというような大体の解釈でございます。そこでその解釈を以ちまして外務省にお話しましたところが、外務当局のかたは、いろいろなことを言われましたけれども、一つには今日漁業問題と捕虜問題が解決していないときに、こういう国に行くことは危ないではないかと申しましたが、捕虜問題は不幸な事件でありますけれども、最終のは何万人でございまするか、数を知りませんけれども、先ず相当の数いるのでございますので、私どもも痛心の極みでありますけれども、今日国際会議に参りますことが、私ども軍人でありませんからみずからすぐ捕虜になるようなこともあるまいと申しました。漁業問題はどうかと言いますので、あれは「さけ」を追つかけて、領海の中にまぎれ込み、生ずる事件でありますので、私は「さけ」を獲ろうとする意思は全然ありませんので、この問題には全然関係ありませんと申上げました。そうすると無條約国であるから、若し万一のことが起つたときに人身保護ができないと申されました。私意見局のかたとも話合いましたが、條約国でも例えばヒツトラーの末期のように内乱状況で人身が危ないときがある。無條約でも客観的に見て生命が安全のようなこともあり得るから、條約、無條約ということと、生命の問題は直接関係はなかろうというようなことでございました。最後にそれにつきまして、ソ連政府からはこの招請者、私と宮腰君に対しまして生命の安全、身体の安全は国際公法に従つて保障するという公文書が到着いたしました。それを政府に差上げましたような次第でございます。このような経過になりましたが、なお外務省当局におきましては旅券を下さいませんので、この十四日頃出帆の予定でございまして、あと数日でございますので予防注射をしようかどうかという相談をいたしました。それは言明の限りでないと申しますので、靴の一足も買わなければなりませんから、それではいつ頃御返事が頂けるかと申しましたら、それもわからんと申しまするから、それでは渡航に間に合うような善意な意思がおありですかと申上げましたが、それもわからない。それでは何カ月かかるか、それもわからん。それでは何をしていらつしやるのかというと、それは今事実認定のために努力しておるが、ソ連は広大な地域であるからなかなかこれは盡せぬというような説明でございます。そこで私は、善意の一市民として涙を流し、数十度も足を運びましたが……そうして條理に従うことなら止むを得ないことでありまして、何で私どもがそれに逆らいましよう。併し條理を無視し、十数回足を運ばせ、ギヤング同様の態度をあなたがたはとられるじやないか。私の親戚の中でも、これは重要な会議の一つであるから、学者として行ければ愼重に勉強して、行つてもらいたいと言つて、兄その他が励まして下さるのに、一体どういうように決定してくれるのか、定期航路も月に一回しかありません。従いましてその日を逃しますれば出席も不可能でございます。考えて見ますれば曾つての軍閥政治の時代でも相当の数の学者が学術会議その他に出席しておりまするし、又米ソ経済断交の時代にも何百人かのジヤーナリストや学者が参つておりますし、又シベリア出兵直後の最も不穏なる時代におきましても又何十人かの学者、ジヤーナリストが駐在しておりました。若しこの会議に出席をそれだけの理由で禁止されますと、そのとばつちりは同盟、朝日の特派員も行けなくなる。貿易業者も一人も行けなくなる。日ソ両国の間は名実ともに暗黒世界になつてしまうわけでありまするので、現実には回教とキリスト教との間柄が曾つて仲の惡い時代がありました、その時代でもなお法王の許可を得た人は行き、鎖国三百年の時代でも出島の港を通じて多少の交流がありました。それが人類の進歩になるならば多少の隙間があつてもよいのではなかろうかと力説し、又この会議に、今日本の指導国家でありますところのアメリカからも人が行かず、イギリスからも行かないならばとにかく、今日英、米、仏、独、インドシナ、インド殆んど全世界一貫して、旅券を拒否した国があることは聞かない状況でありまして、殊にイーデン外相のように個人が行くことは自由である。政府としてはその結果に期待せず、賛成もしていないということであれば、一分間で解決つくものを、何といういやらしいことをするのであろうかと存じますけれども、言を左右にいたしまして答えをいたしませんので、遂に思い余りまして人権擁護局に駈けつけまして相談いたしました。私自身、幼いときから一ヒユーマニストとしての教養を受けまして、自由人権協会の実は常務理事をしておるものでございます。それで大いに人権擁護局長から笑われまして、自由人権協会の常務理事が泣き顔をして人権を訴えに来るなどとは、まあなかなか日本の民主々義も前途遼遠であろうと同情して下さいました。司令部のヘプラーさんでしたか、その他のかたにも紹介して下さいまして、そうしてその結論としては、人権擁護局長としては、かくのごとく一月半もたち、内容証明も出し、そうしてなお定期船の出帆の日が目睫の間に迫つているのに、賛成もせず、不賛成も唱えない、そうして不賛成を唱えれば法の違反になるものですから、拒否は絶対に最近は言わなくなりました。併し切符は渡さぬ、結局東京駅の二等切符係が急に政治論議を始めて切符を持つて逃げたというような事件でございます。時間は刻々迫りますので、どちらか言つて下されば又諦めもいたしますが、それすら言わない結果、かくのごときことが起りましたことは、実は今まで為替管理を政府がいたしておりまして、又警視庁の外事課の錯覚のようなものがございまして、政府の制限によつて海外族行の自由はどうにでもなるという大きな錯覚の上に、漫然とこの問題を考えられたらしうございまして、昔、子供が映画館に行くのに対して、あの映画は見ちやならない、と一言言えばそれで済む、こういうふうな錯覚が多少……又大いにあつた結果ではなかろうかと察知いたしますが、そういう結果になりまして、結論といたしましては、この十四日頃出帆の予定でありますのに、今日に至るまで諾否がございません。そうして今後につきましては、或いはこういう会議に、例えばまあ言葉は惡うございますけれども、非常に極左的な人でもたくさん行きはしないかというような御心配がおありかと善意にも解釈して見たりしておりますけれども、若しそういうことでございますれば、私どもといたしまして十分政府と話合いまして、話合の上、政治問題を離れて、自粛する気持も……又現にそういう顔触れでもございませんけれども、それも持つておりますし、又先日村田、石橋、北村氏たちと話合いましたが、巨頭連中が行くことがモスクワに傾いたような錯覚を與えるならば、諸般の情勢を考えて、自分たちは涙を呑んで遠慮をして、あとにエキスパートたちが恙なく行つてくれるならば多少の役に立つだろうということで、実は昨日のああいう新聞声明が出ましたような次第でございまして、あとに残りました私どもは、この問題に対して多少の世論を起しました責任もありまして、余り見苦しいこともできない。それかと申しましてこれに行かないでおりまして、ソ連はただ生命に危險があるかどうかというようなつまらん議論で、国の賓客として招請された人を、如何にソ連といえども刺し殺すはずもなかろうと思います。ロンドン・タイムスに電報を打つて、生命に危險があるかないかという客観的証拠をもらうというような愚かしいことはできませんし、誠に困つておりますような次第でございます。そこで結論といたしまして、私どもは賛否いずれでも結構でございますから、法の命ずるところに従い、政府に出帆前に裁断を下して頂くことを要求したいのでございます。同時に外務委員の責任ある皆様がたにおかれましては、大局的見地から、二つの世界のこの暗黒の嚴しい世の中に、少しでも情理を通しますために、この問題を如何ようにすることが二つの世界のガソリン・タンクの谷間の中にいる国として必要であるか御明察下さいまして、私どもに必要な御指示を與えて頂きたいと思うのでございます。期限も切迫いたしまして誠に困つております次第でございますから、せめて法律に従いまして期限内に御回答下さいまするよう御指示を頂きますれば、市民として誠に幸福なことでございますので、本日陳情の機会を、報告の機会を與えられましたことを心から感謝いたします。
 又この問題につきまして法務府の見解等につきましては、昨日の東京新聞に詳細に伝えられている通りでございまして、私は外務当局が濫りに法を破つて、そうして旅券の問題は政治問題であるということを申されることを心から悲しむものでございます。政治問題は政治問題として、旅券の問題と離れて、私どもと語り合うことが政治でございまして、切符を持ち逃げしておいて、そうして政治論議をするということは、一体憲法二十何條かの基本的人権や人権宣言を一体お読みになつておられるかどうかすら心許ない気がするのでございます。今日保守であると急進であるとを問わず、国全体として止むを得ず時代に逆行し過ぎる、行過ぎの逆行ではなかろうかということが心配されております時代に、この問題は、私は今後の国交上重大な問題になる、猫の子一匹、片一方の領域に行けないようなことになりますと、結果としては今後ソ連の外交官たちの駐日も実際上不可能になつて来るようなわけでありまして、実際問題といたしましては、いろいろその波及するところも大きいと言わなければなりません。どうぞ上院外務委員の皆様がたにおかれましては愼重に御検討下さいまして、如何なる結論になろうとも、それが法理上條理にかなうことでございますれば、私ども一言半句も文句は申しませんから、どうか法理に従い、良識に従いまして御指示を頂きますようお願いいたします。御清聽有難うございました。
#107
○岡田宗司君 いま一人、改進党の宮腰喜助さんもおいでになつておるようでございますが、大体帆足さんの御意見で、まあ二人のかたを代表して頂くことにいたしまして、私、今帆足さんの御意見を伺つておつたのでありますが、この点について意見長官でございますか、それから人権擁護局長等とも御相談になつたようでありますし、両者のほうからそれぞれ旅券法等に関する。或いは人権擁護の立場からの法律的解釈等もございますので、これは先ず法制意見長官並びに人権擁護局長を呼んで頂きまして、この旅券問題についての法律的な解釈というのを先ずお伺いしたい。そうして、そのあとで外務省が更にこの法律についてどういうふうにお考えになつておるかをお伺いしたいと思いますので、先ず法制意見長官と人権擁護局長をお呼び願いたいと思います。
#108
○委員長(有馬英二君) この点につきましては本日岡田、金子両委員の申出を以ちまして、只今岡田委員のお述べになつたように、政府当局を呼んでというようなお話でありましたので、早速手配をいたしましたけれども、どうも時間の関係上非常に差し迫つておりましたので、遂に御要求の通りに運びかねたことは誠に遺憾であります。只今お述べになりましたように、本日は到底取運べないだろうと存じますから、追つて政府に通告いたしまして、政府当局の出席を求めて、本委員会で御答弁を願うことに取計らいましよう。これでよろしうございますか。
#109
○岡田宗司君 これはやはりできるだけ早くお願いしたいと思います。それでですね、できれば明後日あたりにお願いできれば非常にいいと思います。明日できればなお結構だと思いますが、遅くとも明後日までに一つこの委員会を開きまして、法制意見長官と人権擁護局長をお呼び願います。それからなおそれと同時に、外務省のほうの欧米局長並びに旅券等を取扱つております当面の責任者である渡航課長、こういうかたがたをお呼び願つて、それぞれ外務当局の担当者から詳しく一つ事情をお伺いした上で、更にこの問題が政治的解決を要する問題でございますので、一つ岡崎国務大臣をお呼び願いまして、政府側の確たる御意見をお伺いしたいと、こう思います。明日、遅くとも明後日に、もう一度委員会をこの問題についてお開き願いたいことを私から提案いたします。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#110
○委員長(有馬英二君) さよう取計らいます。
#111
○兼岩傳一君 私は帆足さんにちよつとお尋ねしたいことがございます。昨日の新聞を拜見いたしますと、石橋さんその他のかたがおやめになるのに、非常に意味愼重な声明書を出しておられますが、全文を見ておりませんし、ちよつとお触れにはなりましたけれども、私その点もうちよつと事細かに聞きたいと思います。と申しますのは、我々は今度の国際経済会議は何らイデオロギー或いは政治体制というものに関係なく、むしろこのことを論議してはいけない、それから会談の結果、その場所が経済上の会談のみならず、その場で取引が行われるとか、技術の導入が行われるとか、貿易の商談が整つてもいい、それから第三に若しそういつた制限を附して、なお会議においてイデオロギー、社会体制その他の関係で討議が行われるようなときには、その委員会における議事の進行、或いは出席を拒絶してよろしいというようなところまで、非常に嚴格に、周到に考えられておるこの世界経済会議でございますので、私どもは実業家を選ぶに際しましても、若し我々がこれに関係いたしますと非常に事を円滑に運ぶのに妨げであろうというので、我々共産党に所属する者は意識的にこれに参加しないで、村田さん、石橋さん、帆足さんなどのようなエコノミストに依頼して、我々は会つていないのでありますが……、又技術者の問題につきましても、私自身が技術者の出身でございますので、いろいろの御相談を発起人のほうから間接に受けましたが、私はこの際、この反ソ的な宣伝によつて毒されている日本の善良なる中立的な立場のかたがたの多数……一人でも多きことを望むので、我々はあえて技術者につきましては日本科学技術連盟会長であり、日産協の会長をしておられます石川一郎氏を数時間に亘つて懇談しまして、この問題について科学技術連盟に対して推挙方を私は懇談いたしましたし、又日本の科学技術界の元老である大河内正敏氏とも何遍か連繋をとり、我々としては非常に周到なやり方をしたつもりでございます。従つて私は石橋湛山氏その他の問題につきましても、殆んど今帆足氏から説明を聞くのが初耳のような状態でございますので、ちよつとその辺のところを私は簡單でよろしうございますから御説明を願いたいと思います。
#112
○参考人(帆足計君) 石橋、村田、北村さんが経済会議に出席を断念しました趣旨は、全文は新聞に出ておりませんが、比較的詳しくは朝日新聞に出ております。島国の日本としては、やはり世界の人たちが出る国際会議には出る機会を持つことが何らかの意味でやはり参考になり、国益に合致することであるという信念は今も変らんが、諸般の事情のために止むなく身を引くということでございます。その心中はいろいろ推察もできまするが、先ほど申上げましたように、エキスパートの諸君が行くことは妥当であろうと、この声明書に申添えてございました。自分たちが行くことは諸般の事情上余りシヨクが大きいならば遠慮しよう、こういうことでございます。それから、それに対しまして外務省筋の一、二の責任あるかたが言われましたのは、この会議の趣旨の一つに、ソ連が軍需物資を得ようとする意思があるのではないかということを心配しているということがありましたが、この問題につきましては会議の議事次第の中に平和物資の交流ということが言われておりまして、軍需物資の交流ということは議題にならないのでございます。又その上バトル法がそれぞれありまして、そういうことを論議しても役に立たないようになつております。それからもう一つの議事規則の中に、互いに思想上の問題を論議することは規則で禁止するということがありまして、先日私は間違つたニユースだと思いますが、外務省のある下つ端の役人の人でありましたが、北鮮の放送で北鮮代表が仮に出るとするならば、アメリカの経済問題、いわゆる彼らが言うところの経済侵略を大いに論ずるであろうということを何か社説に書いていたと言いますけれども、議事規則に従いまするとそういう議題を載せたならば、直ちに議事規則に従いましてそれは議題に載せられないようになることになつております。従いまして、会議に対しまする実業家的発言は相当確保されておりまして、そのように理解しておりますので、今次実業界のかたがたの一部が断念されたと申しますのは諸般の事情で、余り大きなシヨツクを世間に與えたくない、それで專門家のかたがたがスマートに行つて来るようにでも取計らつたらどうかというような親心ではないかと、私は推察いたしております。
#113
○兼岩傳一君 先ほど請求いたし、まだ回答を頂いておりません。我々がすでに数日前文書を以て、且つこの委員会の決議の上で政府へ要求いたしました資料の問題を御答弁頂きたいのでありますが、私どもはそれを頂いた上で、只今御決定になりました法制関係及び外務省関係のその衝に当られた責任のあるかたがたの意見を聞いた上で、この問題に対する政府の態度に対して私どもは十分なる批判を加えなければならんと考えますが、それについて今帆足さんはエコノミストとして、経済学者としての御意見ですが、宮腰さんは聞けば秋田の商工会議所が挙げて実業家として推挙をしておられるようにも聞いておりますし、この席にもおいでになりますので、多少又帆足さんとは違つた意見があると思いますが、併し時間の関係その他で同僚委員のかたがたが御賛成下さいませんならば明日なり、或いは明後日の機会でもよろしうございますが、若しもお許しを得るならば私はやはり簡單でよろしうございます。これについての御意見を聞いて置いたほうが、これから政府の態度に対し、資料を御提出の上で、或いは関係官吏の意見を聞いた上での論討の参考になるんじやないかと思いますが、宮腰さんのほうは如何でございますか。
#114
○委員長(有馬英二君) 如何でございますか皆さん、私は先ほどから帆足さんが非常に詳細に、又事理明白な、これ以上のことはないだろうと思いますから、宮腰さんは大分時間も経過いたしておりまするし、或いはそれを補足されまして何らか別に御意見があるならばと思いまするけれども、この次にでも一つお願いいたします。
#115
○兼岩傳一君 それでは当初私が発言し保留になつておりました資料について御回答願いたいと思います。
#116
○委員長(有馬英二君) 実は一昨日兼岩委員からの御要求によりまして、外務委員長の名を以ちまして議長宛に資料の要求をいたしたのでありますが、まだ回答を得ておりませんので、外務委員長の名で外務大臣吉田茂氏に対しまして調査報告書を求める書類を提出したいと思いますが、如何でございますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#117
○政府委員(石原幹市郎君) 一応念のために申し添えて置きたいのは、この前いろいろいきさつもありましたので、何と言いますか、参議院規則百八十一條によられるのならば、やはり正式にやつてもらつたほうがどうかと思うのですが、如何でしようか。念のために一応……。
#118
○大隈信幸君 従来の委員会の慣例から言つても、そんなに非常に形式張つたことをしないで、政府は委員長が要求すればどんどん資料を出すというのが建前だと思うのです。この今問題になつておる規則何條か存じませんが、それを使う場合は極く特殊な場合にそれを使うことであつて、まあ外務省側はどうしてもそれによらなければ出さんという御見解なら、それはこちらとしてもそういう形式をとらなければならんと思うのですけれども、この際は私はそうむずかしいことを言われんでこちらの希望している書類は外務省側からどんどん出すという従来の慣例に従つてやつて頂きたいと思います。
#119
○兼岩傳一君 私は委員長の御苦心のこの前のお取扱、私も同様に大隈君の言われることと同じ意見を出したけれども、委員長は若しかすると、事柄がこんがらがつているから、政府が或いは回答の提出を遅らしたり、或いはその問題が不明瞭であるかも知れんから、むしろこういう形のほうがいいだろうという老婆心からなさつたわけで、却つてそれが非常に事柄を遅らしたわけなんでありますが、そういうことなら幸い次官がおられますから、それでこの我々の三つに対して、今その條文をお読みになるようでございますが、それに対してやはり次官からそれの回答を、私恐らく今日中にできると思いますが、まあ明日の朝でもいいのですが、そういう回答の期限をもう一つ第四項目として私は質した上で、その事務的な進め方をお願いしたいと思います。
#120
○政府委員(石原幹市郎君) これは委員部の人にでも来て頂きまして、参議院規則何々によつてやるということになつておるでしよう。若しそういうことであれば、やはり正規な先例になると言いまするか、一つの何になりまするから、そういう措置を一遍とつて置いてもらつたほうがいいかと思います。
#121
○委員長(有馬英二君) ちよつと速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#122
○委員長(有馬英二君) それでは速記を始めて。本日の会議はこれを以て散会いたします。
   午後三時三十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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